JP2014011083A - 有機el表示装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォトリソグラフィーによるパターニング手法を利用しつつ、メタルマスク等を用いた真空一貫で形成した有機EL素子と同等の素子特性を有する有機EL素子を備える有機EL表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第一電極上に有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程と、前記有機化合物層上に犠牲層を形成する犠牲層の形成工程と、前記犠牲層上に水溶性高分子からなる中間層を形成する中間層の形成工程と、前記犠牲層と前記有機化合物層とをパターニングする加工工程と、前記犠牲層を除去する犠牲層の除去工程と、を有し、前記犠牲層の除去工程が、前記犠牲層と極性溶剤とを接触させる接触工程を複数回行う工程である有機EL表示装置の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL表示装置の製造方法に関する。
一般に知られている有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を搭載した表示装置とは、有機EL素子を単数あるいは複数有する画素を所定のパターンで配列してなる装置である。またこの画素により、表示装置内の表示領域は二次元的に高精細に分割されている。ここでこの画素に含まれる有機EL素子は、例えば、赤、緑又は青のいずれかの光を出力する電子素子である。有機EL素子を搭載した表示装置は、所望の色を出力する有機EL素子を所望の発光強度で駆動させることでフルカラーの画像を得ている。
このような状況の中、フォトリソプロセスによって高精細化された有機EL素子を有する表示装置を作製する方法が提案されている。特許文献1では、発光層上にフォトレジストが直接成膜される方法が提案されている。この方法を採用する場合、使用されるフォトレジストには、一般に光開始剤や架橋剤等が多く含まれている。ここで光開始剤や架橋剤等は、少なくとも現像液に対する不溶性を変化させるための材料である。特許文献2では、有機化合物層上に水溶性材料からなる中間層を設け、この中間層上でフォトリソグラフィーを行って有機化合物層のパターニングを行う方法が提案されている。ここで発光層上に形成され中間層を構成する水溶性高分子は一般に絶縁性である。また、特許文献3には、水溶性高分子を剥離層として用いてこの剥離層ごとフォトレジストを剥離する技術が提案されている。また、特許文献4では有機化合物層上に残ったフォトレジスト残渣をEL層(有機化合物層)の表面を溶媒(クロロベンゼン、酢酸エチル等)で洗浄し、基板を回転させて乾燥させるスピン乾燥法が提案されている。
特許第3839276号公報 特許第4507759号公報 特許第4544811号公報 特許第4736923号公報
ところで、上述したレジスト、中間層、剥離層等は一般に絶縁性である。このため、これらの層の一部が残渣として有機EL素子を構成する発光層等の表面に残ったままになると、その残渣が抵抗となって有機EL表示装置内に含まれる有機EL素子の素子特性が著しく悪化する。このため、フォトリソグラフィー法を用いた有機化合物層のパターニングを行う際には、上述したレジスト、中間層、剥離層等の残渣が、発光層等の表面に残らないよう除去する必要がある。しかし、レジスト、中間層、剥離層等の構成材料として高分子材料を使用した場合、一般にこれを十分に除去するのは困難であり、除去しきれない高分子材料の残渣が多少なりとも装置内に残存してしまう。これは、高分子材料が非常に多くのモノマーが結合してなるものであるから、一度膜表面に付着するとこの膜表面と高分子鎖との分子間相互作用により、高分子材料の膜表面との吸着が発生することに起因する。この吸着によって高分子鎖の一部が膜表面から離れても、高分子鎖の全てが膜表面から離れない限り膜表面に再付着する確率が高く、高分子材料の残渣は容易に除去できないと考えられる。従って、従来は、フォトリソプロセスを利用したパターニングにより作製された有機EL表示装置に含まれる有機EL素子の素子特性は、メタルマスク等を用いて、真空一貫でパターン状に形成された有機EL素子の素子特性よりも劣るという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、フォトリソグラフィーによるパターニング手法を利用しつつ、メタルマスク等を用いた真空一貫で形成した有機EL素子と同等の素子特性を有する有機EL素子を備える有機EL表示装置の製造方法を提供することである。
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、第一電極と第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置されている有機化合物層と、からなる有機EL素子を複数有し、前記有機化合物層が所定の形状にパターニングされている有機EL表示装置の製造方法において、
第一電極上に有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程と、
前記有機化合物層上に犠牲層を形成する犠牲層の形成工程と、
前記犠牲層上に水溶性高分子からなる中間層を形成する中間層の形成工程と、
前記犠牲層と前記有機化合物層とをパターニングする加工工程と、
前記犠牲層を除去する犠牲層の除去工程と、を有し、
前記犠牲層の除去工程が、前記犠牲層と極性溶剤とを接触させる接触工程を複数回行う工程であることを特徴とする。
本発明によれば、フォトリソグラフィーによるパターニング手法を利用しつつ、メタルマスク等を用いた真空一貫で形成した有機EL素子と同等の素子特性を有する有機EL素子を備える有機EL表示装置の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法で製造される有機EL表示装置の例を示す断面模式図である。 本発明の有機EL表示装置の製造方法における第一の実施形態を示す断面模式図である。 化合物1と化合物A2とにおけるエッチング時間に対する膜厚変化を示すグラフである。 所定の芳香族炭化水素化合物と所定の複素環化合物のイソプロピルアルコール水溶液に対する溶解度を示すグラフである スピン乾燥法を利用した犠牲層の除去プロセスを示す模式図である。 スピン乾燥法によるエッチングの通算時間と犠牲層の膜厚との関係を示すグラフである。 スピン乾燥法実施後における犠牲層表面でのTOF−SIMS表面分析におけるCNOのシグナル強度の変化を示すグラフである。 ディッピング法を利用した犠牲層の除去プロセスを示す模式図である。 ディッピング法によるエッチングの通算時間と犠牲層の膜厚との関係を示すグラフである。 本発明の有機EL表示装置の製造方法における第二の実施形態を示す断面模式図である。 デジタルカメラシステムのブロック図を示す図である。
本発明の製造方法は、第一電極と第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置されている有機化合物層と、からなる有機EL素子を複数有し、前記有機化合物層が所定の形状にパターニングされている有機EL表示装置を製造する製造方法である。
また本発明の製造方法は、少なくとも下記に示す工程(A)乃至(E)を有している。
(A)第一電極上に有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程
(B)有機化合物層上に犠牲層を形成する犠牲層の形成工程
(C)犠牲層上に水溶性高分子からなる中間層を形成する中間層の形成工程
(D)犠牲層と有機化合物層とをパターニングする加工工程
(E)犠牲層を除去する犠牲層の除去工程
本発明において、犠牲層の除去工程(工程(E))は、犠牲層と極性溶剤とを接触させる接触工程を複数回行う工程である。
本発明において、犠牲層は、好ましくは、電荷輸送性の有機化合物からなる蒸着膜であり、かつ極性溶媒に可溶な薄膜層である。一般的に、有機EL素子を構成する有機化合物層に含まれている材料は極性溶媒に対する溶解度が小さい。従って、工程(E)において使用される極性溶媒は、有機化合物層をほとんど溶かすことなく、犠牲層を選択的に溶かすことが可能となる。さらに、工程(E)を行った後に有機化合物層の表面に犠牲層が残存したとしても、犠牲層の構成材料が電荷輸送性の有機化合物であるため、その上に第二電極等の有機EL素子を構成する層・部材を形成したとしても、電荷の流れを妨げることがない。尚、本発明においては、上記工程(E)(犠牲層の除去工程)の後に、アルカリ金属を含む層を形成する工程をさらに有するのが好ましい。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、特に図示又は記載がない部分に関しては、当該技術分野の周知技術又は公知技術を適用することができる。また以下に説明する実施形態は、あくまでも本発明の実施形態の一つにすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。また本発明の趣旨を逸脱しない限り、以下に説明する実施形態を適宜組み合わせてもよい。
[有機EL表示装置]
図1は、本発明の製造方法で製造される有機EL表示装置の例を示す断面模式図である。図1の有機EL表示装置1は、基板10上に、三種類の副画素、即ち、第一副画素20aと、第二副画素20bと、第三副画素20cと、が設けられている。ここで第一副画素20aと、第二副画素20bと、第三副画素20cと、により、1組の画素が構成されている。尚、図1の有機EL表示装置1には、第一副画素20aと、第二副画素20bと、第三副画素20cと、からなる1組の画素が示されているが、実際の有機EL表示装置では、支持基板10上に複数の画素がマトリックス状に配置されている。
また、図1の有機EL表示装置1において、各副画素(20a、20b、20c)は、それぞれ第一電極21と、有機化合物層22と、電荷輸送層23と、電荷注入・輸送層24と、第二電極25と、を有する。
第一電極21(21a、21b、21c)は、支持基板10上に設けられる電極層(下部電極)であり、副画素ごとに個別に設けられている。また第一電極21a、21b、21cは、トランジスタ等のスイッチング素子(不図示)と電気接続されている。
有機化合物層22(22a、22b、22c)は、所定の有機化合物からなる単層あるいは複数層からなる積層体である。尚、有機化合物層22a、22b、22cには、少なくとも、赤色、緑色、青色等のいずれか一色の光を出力させるための発光層(不図示)を有している。
電荷注入・輸送層24は、第二電極25から注入される正孔又は電子を有機化合物層22に注入・輸送するために設けられる。尚、図1の有機EL表示装置1では、電荷注入・輸送層24は、各副画素(20a、20b、20c)に共通する層として設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、電荷注入・輸送層24は、副画素ごとに個別に設けてもよい。
図1の有機EL表示装置1では、第二電極25(上部電極)は、電荷注入・輸送層24と同様に各副画素(20a、20b、20c)に共通する層として設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、第二電極25は、副画素ごとに個別に設けてもよい。
[有機EL表示装置の製造方法]
次に、互いに異なる色を表示する3種類の副画素を備える図1の有機EL表示装置の製造方法を具体例として、本発明の有機EL表示装置の製造方法について説明する。
上述したように、本発明の有機EL表示装置の製造方法は、少なくとも下記に示す工程(A)乃至(E)を有している。
(A)第一電極上に有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程
(B)有機化合物層上に犠牲層を形成する犠牲層の形成工程
(C)犠牲層を所定の形状に加工する犠牲層の加工工程
(D)犠牲層の加工工程において加工された犠牲層に被覆されていない領域の有機化合物層を除去する有機化合物層の加工工程
(E)犠牲層の除去工程
図2は、図1の有機EL表示装置の製造プロセスの一例を示す断面概略図である。また図2は、本発明の有機EL表示装置の製造方法における第一の実施形態を示す断面模式図でもある。図1の有機EL表示装置を製造する際には、例えば、以下の工程により有機EL表示装置を製造する。
(1)第一電極の形成工程(図2(a))
(2)有機化合物層の形成工程(図2(b))
(3)犠牲層の形成工程(図2(b))
(4)第一中間層の形成工程(図2(c))
(5)感光性樹脂層の形成工程(図2(d))
(6)感光性樹脂層の加工工程(図2(e))
(7)犠牲層の加工工程(図2(f))
(8)有機化合物層の加工工程(図2(g))
(9)感光性樹脂層の除去工程(図2(m))
(10)犠牲層の除去工程(図2(n))
(11)電荷注入・輸送層の形成工程(図2(o))
(12)第二電極の形成工程(図2(p))
ただし、上記(1)乃至(11)の工程はあくまでも具体例であり、本発明は、この態様に限定されるものではない。尚、図1の有機EL表示装置1は、発光色が異なる3種類の副画素(20a、20b、20c)をそれぞれ作製する必要があるため、(1)の工程を行った後は、(9)の工程を行う前に、(2)乃至(8)の工程を合計で3回行う必要がある。例えば、ます第一副画素20aに含まれる有機化合物層22aを(2)乃至(8)の工程で形成する(図2(g))。そして、第二副画素20bに含まれる有機化合物層22bを(2)乃至(8)の工程で形成した後(図2(h)〜図2(i))、第三副画素20cに含まれる有機化合物層22cを(2)乃至(8)の工程で形成する(図2(j)〜図2(k))。
次に、上記(1)乃至(11)の工程についてそれぞれ具体的に説明する。
(1)第一電極の形成工程(図2(a))
まず支持基板10上に第一電極(21a、21b、21c)を形成する(図2(a))。支持基板10は、ガラス基板等の公知の基板を選択することができる。第一電極(21a、21b、21c)は、公知の電極材料からなる電極層であり、光の取り出し方向に対応してその構成材料を適宜選択する。トップエミッション型の有機EL表示装置を作製する場合は、第一電極(21a、21b、21c)を反射電極とし、後述する第二電極25を光透過性電極とする。一方、ボトムエミッション型の有機EL表示装置を作製する場合は、第一電極(21a、21b、21c)を光透過性電極とし、第二電極25を反射電極とする。
反射電極として第一電極(21a、21b、21c)を形成する場合、第一電極(21a、21b、21c)の構成材料として、好ましくは、Cr、Al、Ag、Au、Pt等の金属材料である。これら金属材料の中でも反射率が高い材料は、光取り出し効率をより向上させることができるのでより好ましい。反射電極は、例えば、スパッタリング等の公知の方法で上記金属材料の薄膜を成膜し、フォトリソグラフィー等を用いて所望の形状に加工することで、副画素ごとに別個に形成される。尚、上記金属材料からなる薄膜上には、当該薄膜の保護あるいは仕事関数の調節等の理由により、酸化インジウム錫や酸化インジウム亜鉛等の光透過性を有する酸化物半導体からなる層をさらに設けてもよい。また、第一電極(21a、21b、21c)を形成する際には、メタルマスクを使用した蒸着を利用してもよい。メタルマスクを使用した蒸着を行った場合でも、第一電極21a、21b、21cは、副画素ごとに別個に形成される。
光透過性電極として第一電極(21a、21b、21c)を形成する場合、第一電極(21a、21b、21c)の構成材料としては、酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム亜鉛等の光透過性を有する酸化物半導体が挙げられる。
(2)有機化合物層の形成工程(図2(b)等)
有機化合物層22(22a、22b、22c)は、有機EL表示装置の構成部材であって、少なくとも発光層を含む単層又は複数の層からなる積層体である。有機化合物層22に含まれる発光層以外の層としては、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層が挙げられる。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。ここで発光層に接する層は、電荷輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)であってもよいし、電荷ブロック層(電子ブロック層、正孔ブロック層)であってもよい。
また第一電極21に対する有機化合物層22の具体的構成については、第一電極21が有機化合物層22へ向けて注入するキャリアの種類に応じて適宜設定すればよい。即ち、第一電極21から正孔が注入される場合では、第一電極21側に正孔を注入・輸送する層(正孔注入層、正孔輸送層)が設けられる一方で、第二電極25側に電子を注入・輸送する層(電子注入層、電子輸送層)が設けられる。反対に、第一電極21から電子が注入される場合では、第一電極21側に電子を注入・輸送する層(電子注入層、電子輸送層)が設けられる一方で、第二電極25側に正孔を注入・輸送する層(正孔注入層、正孔輸送層)が設けられる。
尚、有機化合物層22は、発光効率の観点からアモルファス膜であることが好ましい。また光学干渉効果を得られるように、発光波長によって、各有機層の膜厚を適切に設計することが好ましい。
正孔注入層あるいは正孔輸送層又はその両方を設ける場合、正孔注入層、正孔輸送層の構成材料である正孔注入・輸送性材料は、特に限定されるものではないが少なくとも発光層の構成材料よりも仕事関数が小さく正孔輸送性が高い材料を用いることが好ましい。また正孔注入層、正孔輸送層は、正孔を輸送する機能に加えて、発光層から流れ込む電子をブロックする機能を付加させてもよい。また正孔注入層や正孔輸送層とは別に、発光層から流れ込む電子をブロックする機能を有する層(電子ブロック層)を正孔輸送層(あるいは正孔注入層)と発光層との間に挿入してもよい。
発光層に含まれる各色(赤色/緑色/青色)の有機発光材料として、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリーレン、縮合多環炭化水素化合物、複素環式芳香族化合物、複素環式縮合多環化合物、有機金属錯体化合物等及びこれらの単独オリゴ体あるいは複合オリゴ体を使用することができる。ただし本発明においては、上記材料に限定されるものではない。
尚、図1の有機EL表示装置を製造する際に、第一電極21a、21b、21cにそれぞれ設けられる3種類の有機化合物層22a、22b、22cに含まれる発光層の発光色は、それぞれ青色、赤色、緑色と異なっている。また発光色の組み合わせは特に限定されない。
正孔ブロック層の構成材料としては、発光層から陰極方向へ正孔が漏れるのを防止するためのエネルギー障壁を有し、かつ電子輸送性を有する材料であれば特に限定されるものではない。
本発明では、有機化合物層のパターニング後に行う犠牲層の除去工程で、犠牲層を選択的にエッチングする必要がある。そこで、有機化合物層の形成工程にて形成される有機化合物層22の全体が、犠牲層よりも極性溶媒に対して溶解度が低い材料からなる層とするのが好ましい。ここで有機化合物層22とは、少なくとも発光層を有し、さらに正孔ブロック層、電子ブロック層、電荷輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)又は電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)から選択される層を含んでいても良い。ここで、極性溶媒に対して溶解度が低い材料とは、具体的には、m−ターフェニル基を有さない縮合多環炭化水素化合物である。
ここで縮合多環炭化水素化合物とは、炭化水素のみで構成された環状不飽和有機化合物である。より具体的には、少なくともベンゼン環等の芳香環の1辺が縮合されてなる縮合環を含む化合物である。縮合多環炭化水素化合物として、具体的には、ナフタレン、フルオレン、フルオランテン、クリセン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン等が挙げられる。
ただし、上記の縮合多環炭化水素化合物は、そのままでは熱安定性が低いため、有機化合物層の構成材料としては利用しにくい。従って、これらの縮合多環炭化水素化合物に置換基が付加された化合物が有機化合物層の構成材料として使用される。
ここで有機化合物層の、特に、その最上層の構成材料である化合物として、好ましくは、上記の縮合多環炭化水素化合物が単結合により複数結合されてなる有機化合物である。この有機化合物には、主骨格である縮合多環炭化水素化合物にメチル基、エチル基等のアルキル基が適宜置換されている化合物も含まれる。このような有機化合物は、主骨格中あるいは置換基中にヘテロ原子(N、O等)を有する化合物を含まないため、極性溶媒に対する溶解度が特に低い。
上記芳香族炭化水素化合物からなる層は電荷輸送性を有する。ここで電荷輸送性とは、電流を流すことができる特性をいう。具体的には、電子輸送層や正孔輸送層だけでなく、電子注入層、正孔注入層、ブロック層なども、電荷輸送性を有する層に含まれる。
尚、上記芳香族炭化水素化合物からなる層の成膜方法としては、真空蒸着法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法等の既存の方法を用いることが可能である。有機EL表示装置の発光特性を考慮すると、成膜方法は真空蒸着法がより好ましい。
(3)犠牲層の形成工程(図2(b)等)
犠牲層30は、有機化合物層のパターニング工程から有機化合物層を保護するための層である。有機化合物層22上に設けられる犠牲層30は、単一の層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。本発明では、犠牲層30が単一の層からなる場合、この層は極性溶媒に可溶な材料からなる蒸着膜である。また犠牲層30が複数の層からなる積層体である場合、当該積層体を構成する層のうち少なくとも最下層は、真空蒸着法によって成膜される低分子材料からなる層である。より具体的には、犠牲層30の最下層は、極性溶媒に可溶な材料からなる蒸着膜である。これにより、極性溶媒を使用することで犠牲層30を選択的に除去することが可能になる。また、本発明において犠牲層30は、アモルファス膜であることが好ましい。
ここで犠牲層30(又は少なくともその最下層)を、極性溶媒に可溶な材料を真空蒸着法によって形成する蒸着膜とする理由について説明する。
真空蒸着法は昇華性の高い化合物に対して適用される薄膜形成方法であるので、真空蒸着法にて成膜される材料は、自ずと昇華性を有する低分子化合物に限定される。昇華性の高い化合物とは、具体的には、10-4Pa〜10-5Paの圧力下で、400℃以下の温度で昇華する化合物である。また蒸着膜に含まれる化合物の分子量は、高分子材料と比較して小さいため、蒸着膜を構成する分子同士の相互作用(分子間力)が弱く、また、有機化合物層22への吸着力も弱い。さらにアモルファス状態で形成された蒸着膜中の分子の状態、例えば、分子同士の配向はランダムである。このため、固体状態や結晶状態と比べると分子間距離は大きくなっており、分子がばらけて溶媒分子が入りやすい状態、即ち、溶けやすい状態になっている。よって、このような真空蒸着法によって形成された(有機化合物の)蒸着膜は、極性溶媒を含む溶剤に接触させることによって、表面からほぼ均一にエッチングされ除去することができる。
後述する犠牲層の除去工程において、犠牲層を除去するために使用される極性溶媒を用いることが好ましい。また犠牲層を除去するために使用される極性溶媒は、水と混和する有機溶媒と、水と、を混合した混合溶媒であることがより好ましい。水と混和する有機溶媒は複数種類使用してもよい。
ここで極性溶媒としては、有機系の極性溶媒であり、例えば、アルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エステル類、ピリジン類、エーテル類等が挙げられる。ただし、後述の犠牲層の除去工程を行った後でこの除去工程で使用した溶剤を揮発させて除去する必要がある。このため、使用する有機溶媒の沸点は、少なくとも、有機化合物層22に含まれる有機化合物の分解温度やガラス転位温度よりも低いことが好ましい。アルコール類を具体例とすると、炭素数が少ないアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等は沸点が低いので、好ましい。
極性溶媒に対する種々の化合物からなる膜のエッチングレートの違い、即ち、溶解性の違いが生じる要因としては、以下のように考えることができる。極性溶媒として列挙された化合物には分子中にヘテロ原子が必ず含まれており、このヘテロ原子が対象となる化合物分子の極性部位として機能する。そしてこの極性部位が犠牲層の構成材料に含まれる極性部位と相互作用を起こすことで、犠牲層の構成材料が極性溶媒に溶解される。またこの極性部位同士の相互作用は、種々の化合物の極性溶媒に対する溶解度に影響を与えている。以上を考慮すると、犠牲層30の構成材料として用いられる化合物の構造を考慮しながら極性溶媒を適宜選択することで、極性溶媒からなる溶剤に対しする有機化合物層の溶解性よりも犠牲層の最下層の溶解性を高めることが可能である。
複素環式化合物では、炭素以外のヘテロ元素(N、O、S等)に電荷が極在化する。例えば、環内に窒素原子を有するピリジンは、当該窒素原子上にマイナスの電荷が局在化することで分子全体として極性を生じている。ここで水酸基(−OH)等のプラスの電荷が局在化する水素原子を含む(水と混和する)有機溶媒が介在しているとする。そうすると、複素環式化合物が有するマイナスの電荷が局在化する部位(N原子)と、極性溶媒分子に含まれるプラスの電荷が局在化する水素原子との間で水素結合が形成される。このように水素結合が形成されると、当該複素環式化合物は極性溶媒中に溶解する又は溶解し易くなる。
同様に、少なくともヘテロ原子(N,O、S等)を含むことで極性が生じている化合物は、縮合多環炭化水素化合物と比べて、極性溶媒に対する溶解性が向上する。
例えば、芳香族環に電子吸引性基又は電子供与性基が導入された化合物では、π電子の偏りが生じ分極が生じる。ここで電子吸引基の置換基を導入した場合では、この置換基上にマイナスの電荷が局在化することで極性が生じ、電子供与基の置換基を導入した場合では、この置換基上にプラスの電荷が局在化することで極性が生じる。この極性の発生によって極性溶媒の溶媒分子との相互作用が可能になるのでこの有機溶媒に対する溶解性が向上する。
一方、縮合環を持たない芳香族炭化水素化合物、具体的には、単結合によりベンゼン環同士が連結されている化合物は、分子自体の大きさが縮合多環炭化水素化合物と比較して小さい。このため、縮合多環炭化水素化合物に比べて極性溶媒に対する溶解性が向上する。例として、m−ターフェニル構造を有する分子は、たがいに配向しにくい構造なため、結晶化しにくい構造である。このため、極性溶媒に対する溶解度はより大きくなる。
上記の考察のもと、本発明に用いる犠牲層に適した電荷輸送性を有しかつ溶解性の良好な材料として次のような化合物群のいずれかに属する化合物を用いることが好ましいが、上記考察に従うものであれば下記の例には限定されない。
ここで有機化合物層の構成材料と犠牲層の構成材料との極性溶媒に対する溶解度の差について説明する。具体例として、有機化合物層の構成材料として使用されるm−ターフェニル構造を有さない縮合多環炭化水素を有する化合物である下記化合物1と、犠牲層の構成材料として使用される下記化合物A2とのエッチングレートについて説明する。
Figure 2014011083
本発明では、エッチングレートが大きいということは溶解速度が速いことを意味する。そして、エッチングレートが大きいということは、対象材料を有する層の溶剤(極性溶媒)への溶解度が高いことを意味する。
図3は、化合物1と化合物A2とにおけるエッチング時間に対する膜厚変化を示すグラフである。ここで図3は、極性溶媒からなる溶剤として、イソプロピルアルコール(IPA)が60重量%となるように、IPAと水とを混合して調製した混合溶媒(以下、IPA/水混合溶剤と呼ぶことがある。)を用いた場合の各層のエッチングの結果を示している。
例えば、縮合多環炭化水素化合物である化合物1からなる層(A層)は、エッチング時間を長くしても膜厚がほとんど減少しない。一方、複素環式化合物である化合物A2からなる層(B層)は、時間を追うごとに膜厚が減少している。エッチング条件を同じにした上で各層のエッチングレートを算出すると、A層では0.008nm/secであるのに対して、B層では0.87nm/secであり、その比は約100倍である。
ここで有機化合物層(A層に相当)と、犠牲層(B層に相当)と、における極性溶媒によるエッチングレートの比(n)は、下記式のように示すことができる。
Figure 2014011083
尚、上記式に記載されている有機化合物層には、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、正孔輸送層等が含まれている。本発明において、nは、少なくとも1より大きいことが必要である。nは、好ましくは、10よりも大きい(n>10)。ここで上述の化合物1を有機化合物層の最上層に、化合物A2を犠牲層(の最下層)にそれぞれ用いた場合、nは、約100になる。このように、極性溶媒への溶解性を考慮して、有機化合物層の最上層の構成材料と犠牲層の(最下層の)構成材料とをそれぞれ選択すると、両層のエッチングレート比を大きくすることができる。これにより、極性溶媒を用いて犠牲層の選択的な除去が可能となる。従って、有機化合物層22は、極性溶媒への溶出やこの溶媒の浸透等によるダメージから保護される。また、膜の端部が露出した場合、有機化合物層22の端部が極性溶媒からなる溶剤により溶出するのを防ぐためにも、有機化合物層22に含まれる全ての層に対して、少なくとも数1の式においてn>10となるような関係であることが好ましい。
上述したIPA/水混合溶剤においては、各層の構成材料となる化合物の溶解度は、混合溶剤に含まれるIPAの重量比によって変化する。図4は、化合物1(縮合多環炭化水素化合物)と化合物A2(複素環式化合物)とのIPA/水混合溶剤(極性溶媒)に対する溶解度を示したグラフである。ここで図4のグラフにおいて、横軸は、IPA/水混合溶剤中のIPAの重量パーセント濃度である。縦軸は、溶媒1グラム中に溶解する縮合多環炭化水素化合物又は複素環式化合物の量である。図4より、化合物1(縮合多環炭化水素化合物)は、IPAが80重量%のIPA/水混合溶剤1gに対する溶解量が5μgである一方で、化合物A2(複素環式化合物)は、溶解量が73μgである。
また図4のグラフは、下記(a)及び(b)を証明するグラフでもある。
(a)IPA/水混合溶剤中のIPAの濃度が濃すぎると、犠牲層の構成材料と有機化合物層の構成材料とが、共にIPA/水混合溶剤に対する溶解速度が速すぎてエッチングレート比(n)が1に近い状況になること
(b)(a)の場合において、水を添加してIPAの濃度を薄くすることで各々の溶解速度を低下させつつエッチングレート比(n)を大きくすることが可能であること
以上のように、極性部位の相互作用、水素結合、分子の大きさなど極性溶媒への溶解度を支配する因子を踏まえて犠牲層30の構成材料を選定する。こうすることで、犠牲層30の極性溶媒に対する溶解度を、隣接する有機化合物層を構成する層のいずれに対しても大きくすることができる。ただし、水以外の極性溶媒では、その種類・濃度によっては溶解度の差が大差にはならず、エッチングレート比が1に近づいてしまう可能性がある。
係る場合では、水と混合した極性溶媒にして用いるのが好ましい。具体的には、有機化合物層に対して犠牲層のエッチングレートがより大きくなるように水の含有量を適宜調節することが好ましい。よりこのましくは、有機化合物層中の最上層に位置する層と犠牲層のエッチングレート比(n)が10を超えるように水の含有量を適宜調節することである。これによってより選択的に犠牲層の除去が可能になり、有機EL表示装置の特性低下を防ぐことができる。
(4)第一中間層の形成工程(図2(c)等)
犠牲層30の上層には有機化合物層を保護するための層として水溶性高分子からなる第一中間層40を形成する。
第一中間層40の構成材料である水溶性材料としては、公知の材料の水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、等が挙げられる。また第一中間層40を形成する際には、公知のスピンコート法、ディップコート法、インクジェット法等の、既存の方法を用いることができる。ここで有機化合物層22は水に溶解しない材料からなる層であるため、第一中間層40を形成する際に有機化合物層22が溶媒でエッチングされることがない。また、第一中間層40の膜厚を厚く形成することにより、感光性樹脂層50の溶媒で有機化合物層22が溶解したり、有機化合物層22の膜厚が減少したり、発光材料が溶出したりする等の影響をより軽減することができる。
(5)犠牲層の加工工程(図2(d)〜(f)等)
本発明において、犠牲層30を所望の形状にパターニング(加工)する手段として、フォトリソグラフィー法を利用することができる。ここでフォトリソグラフィー法を利用した犠牲層の加工プロセス(犠牲層の加工工程)について説明する。
(i)感光性樹脂層の形成・加工工程(図2(d)〜(e)等)
フォトリソグラフィー法を利用する場合では、まず犠牲層30上に感光性樹脂層50を設ける必要がある。感光性樹脂層50の構成材料である感光性樹脂は、公知の材料を使用することができる。また感光性樹脂層50の成膜方法としては、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法等、既存の方法を用いることができる。状況によっては蒸着法を利用することができる。
感光性樹脂層50を形成した後、感光性樹脂層50の加工を行う。ここで感光性樹脂層50の加工工程は、感光性樹脂層への露光(露光工程)と感光性樹脂層の現像(現像工程)と、に分かれる。
ここで露光工程は、既存の光照射装置を用いることができる。尚、露光装置はマスクパターンの精細度に合わせたものを用いればよい。またこの露光工程を行う際には、露光する領域に開口を有するフォトマスク60を使用する。尚、フォトマスクとしては、一般的に使用されるCr薄膜からなる遮光領域を有するフォトマスクを使用することができる。一方、この露光工程において感光性樹脂層50に照射する光として、紫外光や可視光を利用することができる。
ところで、露光工程を行う際には、感光性樹脂層50の構成材料である感光性樹脂の性質を考慮して感光性樹脂層50の露光領域を決めるのが望ましい。具体的には、ポジ型の感光性樹脂を使用する場合は、次の現像工程で感光性樹脂層50を除去したい領域を露光領域とする。一方、ネガ型の感光性樹脂を使用する場合は、次の現像工程を行ったときに感光性樹脂層50を残したい領域を露光領域とする。ここで図2(e)は、ポジ型の感光性樹脂を使用する場合を示している。図2(e)において、感光性樹脂層40のうち紫外光61に照射されている領域52は、次の現像工程で除去される。一方、フォトマスク60によって紫外光が遮られている領域51は、後の犠牲層の加工工程や有機化合物層の加工工程において、所定の領域(第一副画素20a)に設けられている有機化合物層22aを保護する役割を果たす。
現像工程を行う際には、感光性樹脂層50の構成材料である感光性樹脂に適した現像液を用いればよい。
(ii)第一中間層の加工工程(図2(f)等)
第一中間層40の除去方法は特に限定されるものではないが、具体的には、ウェットエッチング、ドライエッチング等の既存の薄膜加工方法を用いることができる。ただし、溶媒によるサイドエッチングの影響が他よりも小さいドライエッチングが好ましい。
(iii)犠牲層の加工工程(図2(f)等)
次に、犠牲層30のうち感光性樹脂50に被覆されていない領域を選択的に除去することで犠牲層30の加工を行う。犠牲層30の選択的な除去方法は特に限定されるものではないが、具体的には、ウェットエッチング、ドライエッチング等の既存の薄膜加工方法を用いることができる。ただし、溶媒によるサイドエッチングの影響が他よりも小さい点からドライエッチングが好ましい。
以上の説明では、犠牲層30の加工手段として、フォトレジストを用いたフォトリソプロセスを利用しているが、犠牲層30の加工方法はこれに限定されるものではない。例えば、インクジェット方式、印刷、レーザー加工等を利用して、犠牲層を所望の形状にパターニングしても構わない。本発明の製造方法では高精細メタルマスクを使わないので、ピクセルサイズを10μm程度と高精細にすることが可能となる。従って、第5世代以降といった支持基板サイズの大きい有機EL表示装置の製造を実現することができる。
(6)有機化合物層の加工工程(図2(g)等)
次に、犠牲層の除去工程と同様にして、有機化合物層22のうち犠牲層30に被覆されていない領域にある有機化合物層22を選択的に除去する。尚、感光性樹脂層の形成・加工工程の後、犠牲層30の加工工程と有機化合物層22の加工工程とを、一括して行ってもよい。
以上のプロセスにより、有機化合物層を所定の副画素にのみ選択的に設けられるように形成することができる。また以上に説明した有機化合物層の形成工程から有機化合物層の加工工程までを副画素の種類の数だけ繰り返し行うことにより、各副画素において、その副画素にのみ所望の有機化合物層を選択的に形成することができる。
(7)第一中間層の除去工程(図2(m))
次に、第一中間層40(41)を選択的に除去する(図2(m))。第一中間層40は水溶性高分子であるため、水に接触させることにより溶解除去することが可能である。同時に、第一中間層40の上に残っている感光性樹脂層50を一緒に除去することができる。前述したように、一旦溶解した第一中間層40が犠牲層30の表面に再付着するため、犠牲層30の表面から高分子材料である第一中間層40の残渣を完全に除去することは難しい。
(8)犠牲層の除去工程(図2(n))
次に、犠牲層30を除去する(図2(n))。犠牲層30の除去工程は、具体的には、上述した有機化合物層の加工工程の後、犠牲層30が残存している基板10と極性溶媒とを接触させる工程である。本発明において、極性溶媒は、上述した有機系の極性溶媒が挙げられる。ただし、極性溶媒は、純粋な溶媒に限定されず、水と混合してなる混合溶媒も含まれる。ここで犠牲層30が残存している基板10を極性溶媒に接触させると、犠牲層30は、基板10の反対側より順に溶解される。
犠牲層30は、有機化合物層(22a、22b、22c)の加工(パターニング)が完了した後で、かつ犠牲層30より上の層が除去された後に除去するのが特に好ましい。プロセス中に、犠牲層30より上に設けられるレジスト層51等の層やレジスト現像液や剥離液等に含まれる不純物が、有機化合物層(22a、22b、22c)に混入し、素子特性が低下するのを回避できるからである。
犠牲層30と極性溶媒とが接触すると、犠牲層30が溶解するとともに犠牲層30上に残存する第一中間層40の残渣が一緒に溶出する。この後基板10に接触する極性溶媒を基板10から離すことにより極性溶媒に溶解した犠牲層30(の少なくとも一部)や第一中間層40の残渣等が極性溶媒と共に基板10から離れることになる。しかし、犠牲層30と極性溶媒との接触工程を一回行っただけでは、第一中間層40の残渣は残された犠牲層30上に再付着することがある。よって第一中間層40の残渣を十分に取り除くためには、犠牲層30と極性溶媒との接触工程を少なくとも2回以上行うことが必要になる。これによって犠牲層30を基板10上から除去しつつ、段階的に第一中間層40の構成材料である水溶性高分子の残渣を減らすことができる。
犠牲層30と極性溶媒とを接触させる方法としては、例えば、下記(i)及び(ii)に示す方法がある。
(i)極性溶媒を、犠牲層30が残存している基板10上に滴下した後、基板10を回転させて犠牲層30の構成材料を溶解した極性溶媒を飛ばす方法(スピン乾燥法)
(ii)犠牲層30が残存している基板10を、極性溶媒が収容されている容器内に投入し、一定時間基板10を極性溶媒内に浸漬して基板10上に残存する犠牲層30(の少なくとも一部)を溶解・除去する方法(ディッピング法)
図5は、スピン乾燥法を利用した犠牲層30の除去プロセスを示す模式図である。
スピン乾燥法は、まず犠牲層30上に極性溶媒81を滴下(図5(b))し、所定時間保持(図5(c))した後、基板10を回転させて極性溶媒81を飛ばし、またこの回転を利用して基板10を乾燥させる(図5(d))。スピン乾燥法は、図5(a)乃至(d)に示されるプロセスを1つのサイクルとして、通常複数回行われる。そして、このサイクルを犠牲層30が基板10上から完全に除去されるまで繰り返す。尚、複数回行われるサイクルにおいて使用される極性溶媒81は、毎回同じであってもよいし、一部又は毎回異なる組成比の混合溶媒を用いてもよい。
図6は、スピン乾燥法によるエッチングの通算時間と犠牲層の膜厚との関係を示すグラフである。尚、図6のグラフにおいて、犠牲層30の構成材料として化合物A2が用いられており、極性溶媒としてIPA60重量%水溶液が用いられている。また、図6中に示される4点のプロットは、左から、スピン乾燥法によるプロセスを0回、2回、4回、6回繰り返したデータを示している。図6から、スピン乾燥法によるプロセスを繰り返し行うことにより犠牲層30の膜厚は一定量ずつ減少し、6回以上サイクルを繰り返すことで膜厚40nmの犠牲層30が除去できることが分かる。図6に示されるグラフは、あくまでも具体例ではあるが、図6に示される定量的な犠牲層30の減少傾向を利用して、スピン乾燥法によるプロセスの繰り返し回数を決定することができる。
スピン乾燥法を利用する場合は、極性溶媒を基板に滴下する吐出部を有する装置を用意する必要がある。ここで吐出部の形状については特に限定するものではないが、ノズル、スプレーノズル、スリットノズル、シャワーノズル等が好ましい。またスピン乾燥法を利用する場合において、吐出部から極性溶媒を吐出する際に、基板10は、静止させてもよいし回転させてもよい。
ところで、スピン乾燥法を利用する場合は、使用する極性溶媒に犠牲層30の構成材料等が溶解していないのが好ましい。これにより、スピン乾燥法による犠牲層30の除去プロセスを繰り返すことで犠牲層30上に存在し得る残渣が減少していく。
図7は、スピン乾燥法実施後における犠牲層表面でのTOF−SIMS表面分析におけるCNOのシグナル強度の変化を示すグラフである。図7は、犠牲層30上に水溶性高分子であるポリビニルピロリドンの残渣が存在する場合における測定結果である。ポリビニルピロリドンにはピロリドン由来のCNOフラグメントのイオン強度がTOF−SIMS分析によって特異的に検出できるので、これを指標にして犠牲層30の表面に残留するポリビニルピロリドンの残渣の減少挙動を確認することが可能である。図7で示すように、スピン乾燥法による犠牲層30のエッチングを複数回繰り返していくことで、ポリビニルピロリドンの特異ピークであるCNOフラグメントのイオン強度が段階的に減少していくことが分かる。図7によれば、エッチングを5回乃至6回で比較サンプルの蒸着膜表面と同レベルまで減少させることができる。この結果から、犠牲層30上に設けられる第一中間層40の残渣は、エッチングを繰り返すことで定量的に減少していくものの、少なくとも1回では残渣を十分に除去できないことが分かる。
図8は、ディッピング法を利用した犠牲層30の除去プロセスを示す模式図である。
ディッピング法とは、極性溶媒を収容した容器内に基板10を投入して、一定時間基板10を極性溶媒内に浸漬した後、基板10を容器から取り出す方法である。基板10が極性溶媒に浸漬される際に、犠牲層30(の少なくとも一部)が溶出する。このとき極性溶媒に含まれる犠牲層30と共に溶解し得る第一中間層40を構成する水溶性高分子材料の濃度が有機EL表示装置の特性を悪化させない濃度であれば、ディッピング法に使用される極性溶媒は再利用することが可能である。
ディッピング法は、例えば、以下に説明する方法で行われる。即ち、犠牲層30が残存する基板10を、極性溶媒85が収容されている第一容器84上にセッティングした(図8(a))後、第一容器84内に収容されている極性溶媒85に基板10を浸漬させる(図8(b))。次に、基板10を第一容器84から取り出した後、第二容器86内に収容されている極性溶媒85に基板10を投入する(図8(c))。次に、基板10を第二容器86から取り出した後、第三容器87内に収容されている極性溶媒85に基板10を投入する(図8(d))。本発明において、図8に示されるディッピング法は、基板の浸漬・取り出しからなるプロセスを少なくとも2回行う必要がある。尚、容器(84、86、87)内に収納される極性溶媒85は、それぞれ組成比が同じ混合溶媒であってもよいし、組成比が一部又は全て異なる混合溶媒を用いてもよい。
図9は、ディッピング法によるエッチングの通算時間と犠牲層の膜厚との関係を示すグラフである。尚、図9のグラフにおいて、犠牲層30の構成材料として化合物A2が用いられており、極性溶媒としてIPA60重量%水溶液が用いられている。また、図9中に示される6点のプロットは、左から、ディッピング法によるプロセスを0回、1回、2回、3回、4回、6回繰り返したデータを示している。図9から、ディッピング法によるプロセスを繰り返し行うことにより犠牲層30の膜厚は一定量ずつ減少し、11回以上プロセスを繰り返すことで膜厚40nmの犠牲層30が除去できることが分かる。図9に示されるグラフは、あくまでも具体例ではあるが、図9に示される定量的な犠牲層30の減少傾向を利用して、ディッピング法によるプロセスの繰り返し回数を決定することができる。尚、ディッピング法を用いて犠牲層30を除去した場合では、後の工程で基板10を回転させたり、窒素ブローを行ったりして基板10の乾燥を行うのが好ましい。
また上述したスピン乾燥法やディッピング法に代わる方法として、極性溶媒を犠牲層30に対して連続的に供給し続ける方法(連続供給法)がある。例えば、極性溶媒を、ノズル、スリット、シャワー等の一般的な連続的液体供給方式により基板10上から供給して、基板10を洗浄しながら犠牲層30を除去する方法がある。尚、この連続供給法を採用する場合、基板10は静止した状態でもよいし、回転させてもよい。
以上説明した方法によるエッチングを少なくとも2回以上行うことで着実に取るべき残渣が減っていき、犠牲層30と共に犠牲層30の上層に設けられた水溶性高分子層の残渣を有機EL表示装置から除去することができる。また本工程において、犠牲層30と極性溶剤との一回目の接触により得られる溶液に含まれる犠牲層30の構成材料の濃度よりも、二回目以降の接触により得られる溶液に含まれる犠牲層30の構成材料の濃度の方が低いことが好ましい。さらに、二回目以降の接触工程に使用される極性溶媒は、犠牲層の構成材料が含まれていないことが好ましい。
この犠牲層の除去工程において、使用される極性溶媒は、有機化合物層に対するエッチングレートよりも犠牲層に対するエッチングレートの方が速ければ溶媒種類や混合溶媒の組成等は限定されない。例えば、有機化合物層に対して犠牲層のエッチングレートを速めるために、例えば、水とIPAとの混合比を調整しておいてもよい。こうすることで、有機化合物の加工工程後に各副画素単位で生じる有機化合物層22(22a、22b、22c)の端部は当該溶剤によって溶解されにくくなっている。また本発明において、極性溶媒として、少なくとも二種類以上の水と混和する極性を有する化合物が含まれる溶媒も好適に使用することができる。
以上に説明した方法で犠牲層30を除去した後で、極性溶媒中から基板10を引き上げると、有機化合物層22(22a、22b、22c)の形状を維持しつつ、犠牲層30のみを除去することができる。
尚、犠牲層30を除去した後は、有機化合物層22が設けられている基板10を加熱して、基板10上あるいは有機化合物層22上に残存する溶剤を除去することが好ましい。より好ましくは、真空条件下で、例えば、110℃程度で基板10を加熱する。このように、基板10を加熱して溶媒を除去することにより、当該溶媒の影響を受けない状態で次の工程において電荷注入層又は電荷輸送層を形成することができる。尚、次の工程を行う前に、事前に基板10を真空加熱してもよい。この真空加熱によっても大気中の水、酸素や異物の付着等の影響を低減させることができる。
(9)電荷注入層・電荷輸送層の形成工程(図2(o))
犠牲層30を除去した後、有機化合物層22上に、電荷注入・輸送層24を形成する(図2(o))。尚、この電荷注入・輸送層24は、各副画素に共通する層として形成するのが好ましい。また、本発明の製造方法は、電荷注入層として、アルカリ金属成分あるいはアルカリ土類金属成分を含む層を形成する際に好適な方法である。
電荷注入・輸送層24として電子注入層を形成する場合、電子注入層の構成材料である電子注入材料は仕事関数の高いものがよい。例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、電子輸送材料にアルカリ金属をドープしたもの、アルカリ金属化合物(酸化物、炭酸塩、ハロゲン化塩)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、炭酸塩、ハロゲン化塩)等が挙げられる。ここで、アルカリ金属として、具体的には、セシウム、カリウム、リチウム等を挙げることができる。またアルカリ土類金属として、具体的には、カルシウム、バリウム等が挙げられる。
(10)第二電極の形成工程(図2(p))
トップエミッション型の有機EL表示装置を作製する場合、上部電極に相当する第二電極25は、透明導電材料からなる透明電極とする。光透過性を有する透明導電材料は、光の透過率の高い材料が好ましい。例えば、ITO、酸化インジウム亜鉛、ZnO等の透明導電材料や、ポリアセチレン等の有機導電材料が挙げられる。尚、Ag、Al等の金属材料を10nm〜30nm程度に形成した半透過膜を第二電極25としてもよい。ここでITO、酸化インジウム亜鉛、ZnO等の透明導電材料で光透過性の電極を形成する場合、低消費電力化を目的として、電極として用いるのに必要な低抵抗特性と、光の取り出し効率を高めるのに必要な高透過率特性と、の両方を満足する組成が好ましい。光透過性の電極になる薄膜は、スパッタリング等の公知の方法で成膜することができる。上述した低抵抗特性と高透過率特性とを兼ね備える透明導電膜を作製する場合は、成膜装置の容量、ターゲット、装置内の圧力、成膜時の出力電圧を適宜調整する必要がある。尚、第二電極25は、トランジスタ(不図示)等のスイッチング素子に電気接続されている。以上に説明したように、本発明の製造方法は、高精細メタルマスクを使わない製造方法である。このため、ピクセルサイズが10μm程度と高精細であり、第5世代以降といった支持基板サイズの大きい有機EL表示装置の製造を実現することができる。
[有機EL表示装置の駆動方法]
本発明の製造方法で製造された有機EL表示装置は、各副画素(20a、20b、20c)が有する第一電極21と第二電極25との間に電圧を印加することによって駆動することができる。ここで電圧を印加する場合は、例えば、トランジスタを介して各電極と電気接続される電源手段(不図示)を使用する。
[第二の実施形態]
図10は、本発明の有機EL表示装置の製造方法における第二の実施形態を示す断面模式図である。ここで第二の実施形態は、第一の実施形態と比較して、犠牲層30の形成工程、第一中間層40の形成の後、第一中間層40上に中間層70が形成されている点で相違する(図10(a))。以下、第一の実施形態との相違点を中心に第二の実施形態について説明する。
(第二中間層の形成工程)
本発明の製造方法においては、犠牲層30の形成工程の後、図10(a)に示されるように、この第一中間層40上に第二中間層70を形成してもよい。ここで第一中間層40上に形成する第二中間層70は、水や有機溶媒に対して不溶の膜であり、防湿性、ガスバリア性を有する膜であることが好ましい。ここで第二中間層70は、フォトリソグラフィー時に照射される光を吸収する特性があることがより好ましい。本発明の製造方法において形成される第二中間層70としては、窒化珪素(SiN)を主材料とする無機化合物の薄膜層であることが好ましい。
ところで、第一中間層40上に第二中間層70を形成することにより、次の工程で感光性樹脂40を形成する際に使用される溶媒が犠牲層30を浸透して有機化合物層22に接することがなくなる。よって、感光性樹脂層40の溶媒を選択するにあたって、有機化合物層22を溶解しない等の制約がなくなり、より安価な材料を選択することもできる。
第二中間層70を形成する場合、第一中間層40を省略する構成も考えられるが、後の工程で第二中間層70を除去するためには、第一中間層40を設けておくのが好ましい。第二中間層70は水や有機溶媒に対して不溶の膜であるため、ドライエッチングして除去、あるいは、第二中間層よりも下に形成された層を溶解して除去する際にリフトオフして除去する。犠牲層30は蒸着法にて形成される。このため、第二中間層70をドライエッチングにより除去する際にドライエッチングのダメージを有機化合物層22に与えない膜厚、あるいは、第一中間層40を溶解して第二中間層70をリフトオフするのに適した膜厚まで形成するには、時間がかかりすぎる。そこで、塗布法により厚く形成可能な水溶性高分子材料からなる第一中間層40と第二中間層70の積層構成にすることにより、プロセスのタクトタイムを大幅に延長することなく第二中間層の除去が可能となる。
(第二中間層の加工工程)
感光性樹脂層50と第一中間層40との間に第二中間層70が設けられている場合は、犠牲層30の加工を行う前に、第二中間層70の加工を行う必要がある。ここで第二中間層70の加工とは、具体的には、第二中間層70のうち感光性樹脂層61(露光工程において露光されなかった感光性樹脂)に被覆されていない領域を選択的に除去することである(図10(b))。第二中間層70の選択的な除去方法は特に限定されるものではないが、公知の技術、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングを利用することができる。例えば、中間層70の構成材料がSiNの場合では、CF4を反応ガスとしたドライエッチングが利用可能である。
(第二中間層の除去工程等)
以上に説明した第二中間層70の加工工程を行った後、第一の実施形態と同様に、第一中間層60、犠牲層30および有機化合物層22aの加工を行う(図10(c))。尚、第一中間層60、犠牲層30、および有機化合物層22aの加工を行う際に、感光性樹脂層51が一緒に除去されてもよい。
この後、有機化合物層(22b、22c)の形成から有機化合物層の加工までの工程を各副画素において行い(図10(d))、第二中間層70、第一中間層40及び犠牲層30を順次除去する(図10(e))。本実施形態のように、犠牲層30と感光性樹脂層50との間に第二中間層70を設けた場合は、感光性樹脂層50を除去した後に、まずドライエッチングで第二中間層70を除去する。その後、水を用いて第一中間層40を除去し、ついで極性溶媒を用いて犠牲層30を除去する。あるいは、第一中間層40を水に接触させて溶解して除去すると同時に第二中間層70をリフトオフして除去したのちに、犠牲層30を選択的に除去してもよい。
[有機EL表示装置の用途]
以上、説明したように、本発明にかかる製造方法にて形成された有機EL表示装置は、電流効率、駆動寿命、精細度に優れるため、様々な電子機器の表示部として用いることができる。電子機器としては、デジタルカメラ、携帯情報端末などの携帯機器や、パーソナルコンピュータ、テレビ、各種プリンタ等が挙げられる。
電子機器の一例として、デジタルカメラについて説明する。図11は、デジタルカメラシステムのブロック図を示す図である。デジタルカメラシステム91は、92は撮影部92、映像信号処理回路93、本発明にかかる表示装置94、メモリ95、CPU96、操作部97を備えている。撮影部92で撮影した映像又はメモリ95に記録された映像情報を、映像信号処理回路13で信号処理して映像信号を生成し、表示装置94に表示することができる。コントローラーは、操作部97からの入力によって撮影部92、メモリ95、映像信号処理回路93等を制御するCPU96を有し、状況に適した撮影、記録、再生、表示を行う。
次に、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。例えば、発光色から見た副画素の形成順序は、青、緑、赤の順に限定されるものではない。例えば、有機化合物層の構成や膜厚は、実施例にて記載された内容に限定されるものではない。例えば、第一電極から電子が注入される場合は、これに合わせた有機化合物層の積層順序をとればよい。また、以下に説明する実施例を組み合わせた事例も、当然に本発明に含まれるものとする。尚、図面にて特に図示されなかったり以下の説明において特段記載されなかったりした部分については、当該技術分野の周知技術又は公知技術を適用することができる。
[実施例1]
図1に示される有機EL表示装置を、図2に示されるプロセスに従って作製した。
(1)第一電極の形成工程(図2(a))
まずスパッタリング法により、基板10上に、アルミニウム合金(AlNd)を成膜しAlNd膜(反射電極)を形成した。このときAlNd膜の膜厚を100nmとした。次に、スパッタリング法により、AlNd膜上にITOを成膜しITO膜を成膜した。このときITO膜の膜厚を10nmとした。尚、上記AlNd膜とITO膜とからなる積層体は、第一電極21として機能する。次に、フォトリソプロセスによる第一電極21のパターニングを行うことにより、第一副画素20a、第二副画素20b及び第三副画素20cにそれぞれ含まれる第一電極(21a、21b、21c)をそれぞれ形成した(図2(a))。
(2)青色有機化合物層の形成工程(図2(b))
次に、真空蒸着法を用いた連続成膜により、第一電極(21a、21b、21c)上及び基板10上に、青色有機化合物層22aを形成した。
まず正孔輸送層を膜厚120nmで形成した後、青色発光材料を含む青色発光層を膜厚30nmで形成した。次に、下記式[1]に示される縮合多環炭化水素化合物を成膜し正孔ブロック層を形成した。このとき正孔ブロック層の膜厚を10nmとした。以上により、青色有機化合物層22aを形成した(図2(b))。
Figure 2014011083
(3)犠牲層の形成工程(図2(b))
次に、真空蒸着法により、下記式[2]に示されるフェナントロリン誘導体を成膜し犠牲層30を形成した。このとき犠牲層30の膜厚を40nmとした(図2(b))。
Figure 2014011083
(4)第一中間層の形成工程(図2(c))
次に、犠牲層30上に、水溶性高分子材料のポリビニルピロリドン(PVP、分子量36万)と水と、をPVPの重量濃度が5重量%になるように混合してPVP水溶液を調製した。次に、スピンコート法により、犠牲層30上に、調製したPVP水溶液を塗布し、乾燥することで第一中間層40を形成した。このとき第一中間層40の膜厚は500nmであった(図2(c))。
(5)感光性樹脂層の形成・加工工程
次に、スピンコート法により、ポジ型のフォトレジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ製、製品名「AZ1500」)を成膜し、感光性樹脂層50を形成した(図2(d))。このとき感光性樹脂層50の膜厚は1000nmであった。次に、露光装置(キヤノン製、マスクアライナーMPA600)を使用し、第一副画素20aを設ける領域以外の領域に開口を有するフォトマスク60を用いて紫外光61による露光を行った(図2(e)))。このとき露光時間は40秒であった。露光後、現像液(AZエレクトロニックマテリアルズ製、製品名「312MIF」を水で希釈し濃度を50%としたもの)を用いて1分間現像した。この現像処理により紫外光61に露光された感光性樹脂層52を除去した。
(6)第一中間層、犠牲層及び青色有機化合物層の加工工程
次に、残存した感光性樹脂層51をマスクとして、酸素を反応ガスとし流量20sccm、圧力8Pa、出力150W、5分の条件下で、感光性樹脂層51にて被覆されていない領域に設けられる第一中間層40を除去した。
次に、感光性樹脂層51及び第一中間層41をマスクとして、酸素を反応ガスとし流量20sccm、圧力8Pa、出力150W、反応時間2分の条件下で、感光性樹脂層51及び第一中間層41にて被覆されていない犠牲層30を除去した。以上により、第一副画素20aを設ける領域にパターニングされた犠牲層30を形成した(図2(f))。次に、犠牲層30と同じ条件で青色有機化合物層22aをドライエッチングすることにより、第一副画素20aの領域以外の領域に設けられている青色有機化合物層22aを選択的に除去した。このようにして第一副画素20aの領域に選択的に青色有機化合物層22aを形成した(図2(g))。
(7)赤色有機化合物層の形成・加工工程
次に、真空蒸着法を用いた連続成膜により、赤色有機化合物層22bを形成した。まず正孔輸送層を膜厚200nmで形成した後、赤色発光材料を含む赤色発光層を膜厚30nmで形成した。次に、式[1]の縮合多環炭化水素化合物を成膜し正孔ブロック層を形成した。このとき正孔ブロック層の膜厚を10nmとした。以上により、赤色有機化合物層22bを形成した。
次に、工程(3)と同様の方法で式[2]のフェナントロリン誘導体を成膜し犠牲層30を膜厚40nmで形成した。次に、工程(4)と同様の方法で、第一中間層40を膜厚500nmで形成した。次に、工程(5)と同様の方法で、工程(5)で使用したポジ型のフォトレジストを成膜し感光性樹脂層50を形成した(図2(h))。このとき感光性樹脂層の膜厚は1000nmであった。次に、工程(5)と同様の方法で、感光性樹脂層50の加工を行った。次に、工程(6)と同様の方法で、第一中間層40、犠牲層30及び赤色有機化合物層22bをこの順で加工することにより、第二副画素20bを設ける領域に選択的に赤色有機化合物層22bを形成した(図2(i))。
(8)緑色有機化合物層の形成・加工工程
次に、真空蒸着法を用いた連続成膜により、緑色有機化合物層22cを形成した。まず正孔輸送層を膜厚160nmで形成した後、緑色発光材料を含む緑色発光層を膜厚30nmで形成した。次に、式[1]の縮合多環炭化水素化合物を成膜し正孔ブロック層を形成した。このとき正孔ブロック層の膜厚を10nmとした。以上により、緑色有機化合物層22cを形成した。
次に、工程(3)と同様の方法で式[2]のフェナントロリン誘導体を成膜し犠牲層30を膜厚40nmで形成した。次に、工程(4)と同様の方法で、第一中間層40を膜厚500nmで形成した。次に、工程(5)と同様の方法で、工程(5)で使用したポジ型のフォトレジストを成膜し感光性樹脂層50を形成した(図2(j))。このとき感光性樹脂層の膜厚は1000nmであった。次に、工程(5)と同様の方法で、感光性樹脂層50の加工を行った。次に、工程(6)と同様の方法で、第一中間層40、犠牲層30及び緑色有機化合物層22cをこの順で加工することにより、第三副画素20bを設ける領域に選択的に緑色有機化合物層22cを形成した(図2(k))。
(9)感光性樹脂層、第一中間層の除去工程
次に、酸素を反応ガスとし、流量20sccm、圧力8Pa、出力150Wの条件下で、ドライエッチングを行い、感光性樹脂層51を除去した(図2(l))。次に、流水を用いて第一中間層41を除去した(図2(m))。
(10)犠牲層の除去工程
尚、犠牲層30を、IPA濃度60重量%の水溶液を用いて除去した。具体的には、まず60重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下し10秒間保持したのち基板10を回転させIPA水溶液を振り切り捨てると共に基板10を乾燥させるプロセス(スピン除去・スピン乾燥)を一つのサイクルとしてこのサイクルを7回繰り返した。これにより犠牲層30を除去した(図2(n))。次に、基板10を水で洗ってリンスした後、基板10を回転させて乾燥(スピン乾燥)を行った。次に、基板10を80℃にて真空加熱して有機化合物層(22a、22b、22c)上に残存する溶剤を除去した。尚、各副画素に配置された有機化合物層の最上層(正孔ブロック層)の構成材料である式[1]の化合物は、犠牲層30の除去の際に用いた極性溶媒に対するエッチングレートが、犠牲層30の構成材料エッチングレートよりも十分小さい。
(11)第二電極の作製工程等
次に、式[2]の化合物(化合物A2)を成膜して電荷輸送層(電子輸送層)を形成した。このとき電荷輸送層の膜厚を20nmとした。次に、式[2]の化合物と炭酸セシウム(Cs2CO3)とを共蒸着して電子注入層を形成した。このとき電子注入層の膜厚を20nmとした。尚、電子輸送層と電子注入層とからなる積層体は、共通層24として機能する(図2(o))。
次に、スパッタリングにより、Agを成膜し、半透明の第二電極25を形成した(図2(p))。尚、第二電極25の膜厚を16nmとした。
次に、窒素雰囲気下において封止ガラス(不図示)を基板に接着することにより素子劣化を防ぐ構造とした。以上のようにして図1の有機EL表示装置1を作製した。
また、犠牲層30としてPVPからなる薄膜を形成した点を除き、本実施例と同様にフォトリソグラフィーを用いて作製した有機EL表示装置(以下、比較例1の有機EL表示装置という。)を作製した。さらに、メタルマスクを用いた真空一貫成膜により各有機化合物層(22a、22b、22c)のパターンを形成した点を除き、同様に作製した有機EL表示装置(以下、比較例2の有機EL表示装置という。)も作製した。
本実施例にて得られた有機EL表示装置1について、比較例1及び比較例2の有機EL表示装置と共に性能を評価した。
電流効率及び駆動耐久寿命は、比較例1の有機EL表示装置よりも優れ、比較例2の有機EL表示装置と同等の値が得られた。これは真空蒸着法によって形成される蒸着膜を犠牲層30に用いることで、PVPに比べて残渣なく除去でき、効率低下や寿命悪化を回避できた結果と考えられる。
高精細化に関しては、比較例2の有機EL表示装置の画素サイズが100μm角程度が限界であったのに対し、本実施例の有機EL表示装置の場合は、9μm角の画素サイズまで小さくすることができた。
[実施例2]
実施例1の工程(10)において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA濃度60重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下し5秒保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を2回繰り返して犠牲層30の表層部を除去した。次に、同濃度のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下して10秒間保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を6回繰り返し行うことにより、犠牲層30を除去した。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例3]
実施例1の工程(10)において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA濃度40重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下し10秒保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を2回繰り返して犠牲層30の表面を洗浄した。次に、IPA濃度60重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下して10秒間保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を7回繰り返し行うことにより、犠牲層30を除去した。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例4]
実施例1の工程(10)において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA濃度40重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下し10秒保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を1回行って犠牲層30の表面を洗浄した。次に、IPA濃度60重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下し5秒保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を2回繰り返して犠牲層30の表層部を除去した。次に、同濃度のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下して10秒間保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を6回繰り返し行うことにより、犠牲層30を除去した。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例5]
実施例1の工程(10)において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA濃度40重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下し10秒保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を1回行って犠牲層30の表面を洗浄した。次に、IPA濃度60重量%のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下し5秒保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を2回繰り返して犠牲層30の表層部を除去した。次に、同濃度のIPA水溶液を犠牲層30上に滴下して10秒間保持した後、基板10を回転させてIPA水溶液を振り切って捨てつつ基板10を乾燥させる工程を6回繰り返し行うことにより、犠牲層30を除去した。さらに、IPA濃度30重量%のIPA水溶液を基板10の表面に滴下して、基板表面をリンスした。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例6]
実施例1の工程(10)において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を、図9に示されるエッチング時間と犠牲層の膜厚との関係を元に11回繰り返して犠牲層30を除去した。尚、犠牲層30を除去した後、基板10を水槽に移してディップし水でリンスを行った後、N2ブローで基板10上の水を除去して乾燥させた。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例7]
実施例6において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を5秒間ディップ(浸漬)する工程を2回行った。次に、IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を、図9に示されるエッチング時間と犠牲層の膜厚との関係を元に10回繰り返して犠牲層30を除去した。以下、実施例6と同様の方法で基板のリンス・乾燥を行った。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例8]
実施例6において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度40重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を行い犠牲層30の表層部分を洗浄した。次に、IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を、図9に示されるエッチング時間と犠牲層の膜厚との関係を元に11回繰り返して犠牲層30を除去した。以下、実施例6と同様の方法で基板のリンス・乾燥を行った。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例9]
実施例6において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度40重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を行い犠牲層30の表層部分を洗浄した。次に、IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を5秒間ディップ(浸漬)する工程を2回行った。次に、IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を、図9に示されるエッチング時間と犠牲層の膜厚との関係を元に10回繰り返して犠牲層30を除去した。以下、実施例6と同様の方法で基板のリンス・乾燥を行った。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例10]
実施例6において、以下に示す方法で犠牲層30を除去したこと以外は、実施例1と同様の方法により有機EL表示装置を得た。
IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度40重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を行い犠牲層30の表層部分を洗浄した。次に、IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を5秒間ディップ(浸漬)する工程を2回行い、犠牲層30の表層部分を除去した。次に、IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度60重量%のIPA水溶液中に、基板10を10秒間ディップ(浸漬)する工程を、図9に示されるエッチング時間と犠牲層の膜厚との関係を元に10回繰り返して犠牲層30を除去した。尚、犠牲層30を除去した後、基板10を、IPA及び水のみを混合してなるIPA濃度30重量%のIPA水溶液槽に移してディップし水でリンスを行った後、N2ブローで基板10上の水を除去して乾燥させた。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
[実施例11]
図1に示される有機EL表示装置を、図2(a)乃至(c)、及び図10に示されるプロセスに従って作製した。
(1)第一電極の形成工程(図2(a))
実施例1(1)と同様の方法により、三種類の副画素(20a、20b、20c)を設ける領域に、それぞれ独立に第一電極(21a、21b、21c)を形成した(図2(a))。
(2)青色有機化合物層の形成工程(図2(b))
実施例1(2)と同様の方法により、青色有機化合物層22aを形成した(図2(b))。
(3)犠牲層の形成工程(図2(b))
実施例1(3)と同様の方法により、犠牲層30を形成した(図2(b))。
(4)第一中間層の形成工程(図2(c))
実施例1(4)と同様の方法により、第一中間層40を形成した(図2(c))。
(5)第二中間層の形成工程等(図10(a))
次に、CVD法により、第一中間層40上に、窒化珪素(SiN)を成膜して第二中間層70を形成した。このとき第二中間層70の膜厚を1000nmとした。次に、第二中間層70上に、実施例1(5)と同様の方法により、感光性樹脂層50を形成した(図10(a))。
(6)第二中間層の加工工程
次に、実施例1(5)と同様の方法により感光性樹脂層50のパターニングを行った。次に、第二中間層70を、CF4を反応ガスとし、流量30sccm、出力150w、圧力10Pa、処理時間7分の条件下で、感光性樹脂層51で被覆されていない第二中間層70を除去した(図10(b))。これにより、青色副画素20aを設ける領域に選択的に第二中間層70が残るように第二中間層70を加工した。
(7)第一中間層、有機化合物層の加工工程
次に、実施例1(6)と同様の方法により、第一中間層40と、犠牲層30と、青色有機化合物層22aと、を順次加工した(図10(c))。
次に、実施例1(7)に説明されているプロセスを基に、第二副画素20bを設ける領域に赤色有機化合物層22bを形成した。尚、赤色有機化合物層22bの加工プロセスにおいて、第一中間層40を形成した後、本実施例の(5)と同様のプロセスにより第二中間層70を形成した。
次に、実施例1(8)に説明されているプロセスを基に、第三副画素20cを設ける領域に緑色有機化合物層22cを形成した。尚、緑色有機化合物層22cの加工プロセスにおいて、第一中間層40を形成した後、本実施例の(5)と同様のプロセスにより第二中間層70を形成した(図10(d))。
(8)第二中間層、第一中間層、犠牲層の除去工程
次に、実施例1(9)と同様の方法により、感光性樹脂層41を除去した。次に、CF4を反応ガスとし、流量30sccm、出力150w、圧力10Pa、処理時間7分の条件下で第二中間層70を除去した。次に、実施例1(9)と同様の方法により、第一中間層40を除去した。次に、実施例1(10)と同様の方法により、犠牲層30を除去した(図10(e)))。
(9)第二電極の作製工程等
次に、実施例1(11)と同様の方法により、共通層24(電荷注入・輸送層)と、第二電極24と、をこの順で形成し、最後に、実施例1(11)と同様の方法により、封止を行った。以上により、有機EL表示装置を得た。
得られた有機EL表示装置について実施例1と同様の方法で評価したところ、実施例1と同程度の電流効率、駆動寿命、精細度を有する有機EL表示装置であることがわかった。
1:有機EL表示装置、10:支持基板、20a:第一副画素、20b:第二副画素、20c:第三副画素、21(21a、21b、21c):第一電極、22(22a、22b、22c):有機化合物層、24:電荷注入・輸送層、25:第二電極、30:犠牲層、40(41):第一中間層、50(51、52):感光性樹脂、60:フォトマスク、61:紫外線、70:第二中間層、80:スピン試料台、81(85):極性溶媒(IPA水溶液)、82:吐出部、84、86〜88:エッチング槽、91:デジタルカメラシステム、92:撮影部、93:映像信号処理回路、94:表示装置、95:メモリ、96:CPU、97:操作部

Claims (6)

  1. 第一電極と第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置されている有機化合物層と、からなる有機EL素子を複数有し、前記有機化合物層が所定の形状にパターニングされている有機EL表示装置の製造方法において、
    第一電極上に有機化合物層を形成する有機化合物層の形成工程と、
    前記有機化合物層上に犠牲層を形成する犠牲層の形成工程と、
    前記犠牲層上に水溶性高分子からなる中間層を形成する中間層の形成工程と、
    前記犠牲層と前記有機化合物層とをパターニングする加工工程と、
    前記犠牲層を除去する犠牲層の除去工程と、を有し、
    前記犠牲層の除去工程が、前記犠牲層と極性溶剤とを接触させる接触工程を複数回行う工程であることを特徴とする、有機EL表示装置の製造方法。
  2. 前記犠牲層と前記極性溶剤との一回目の接触により得られる溶液に含まれる前記犠牲層の構成材料の濃度よりも、前記犠牲層と前記極性溶剤との二回目以降の接触により得られる溶液に含まれる前記犠牲層の構成材料の濃度の方が低いことを特徴とする、請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  3. 二回目以降の接触工程に使用される前記極性溶媒には前記犠牲層の構成材料が含まれないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  4. 前記極性溶媒が、水と、水と混和する極性を有する化合物と、の混合溶媒であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  5. 前記極性溶媒として、異なる組成比の混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  6. 表示装置と、メモリと、CPUと、操作部と、を備える電子機器であって、
    前記表示装置は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機EL表示装置の製造方法により製造された有機EL表示装置であることを特徴とする、電子機器。
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