JP2014010073A - 劣化検査装置および劣化検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリスタおよびリレーなどの電気部品が劣化したか否かを高精度に判定することができる劣化検査装置および方法を提供する。
【解決手段】劣化検査装置1において、信号印加部10は、波高値を切り換えながら基本波の正弦波信号を生成し、各波高値を有する基本波の正弦波信号を電気部品ZTに印加する。信号検出部20は、各波高値を有する基本波の正弦波信号の印加によって電気部品ZTに生じる電圧信号を検出し、検出した電圧信号の高調波成分を抽出する。劣化判定部30は、参照用の電気部品と検査用の電気部品の各々について、所定の範囲内の各波高値に対して得られた高調波成分を積算する。そして、劣化判定部30は、参照用の電気部品についての積算結果と検査用の電気部品についての積算結果との差が所定の閾値を超えている場合に異常と判定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、電気部品の劣化を検査する劣化検査装置および劣化検査方法に関し、たとえば、バリスタまたはリレーなどの電気部品の検査に好適に用いられるものである。
ダイオード、FET、およびバリスタなどの電気素子ならびにリレーなどに使われている電気接点において、酸化膜などの絶縁薄膜に起因する不具合の発生が多数報告されている。たとえば、バリスタは絶縁性薄膜で囲まれた多数の結晶粒で形成されており、劣化によって絶縁性薄膜が破壊される。電気接点の場合には、劣化によって絶縁性薄膜に起因する抵抗が増加する。
従来、これらの絶縁性薄膜の抵抗を検出する方法として、抵抗性漏れ電流を測定する方法が知られている。この方法は、絶縁性薄膜を通過する電流を測定するものである。絶縁性薄膜に交流電圧を印加したときに発生する抵抗性漏れ電流には高調波成分を含むことが良く知られている。これまで、この高調波成分を利用した電気部品の劣化検出方法がいくつか提案されている。
たとえば、Hajek等の文献(非特許文献1)は、絶縁性薄膜に発生した電圧の高調波成分を測定する装置を開示する。この測定装置において、周波数f1の正弦波はローパスフィルタを通して、第1のインピーダンス変換トランスに印加される。第1のインピーダンス変換トランスは、評価サンプルのインピーダンスに整合するようにインピーダンスを変換するものである。周波数f1の正弦波の印加によって評価サンプルで発生した電圧は第2のインピーダンス変換トランスでインピーダンス変換され、ハイパスフィルタへ入力される。ハイパスフィルタを通過した信号は、バンドパスフィルタによって3×f1近傍の周波数成分のみが選択される。バンドパスフィルタを通過した信号は、アンプで増幅された後、検出器によって第3高調波として検出される。この文献では、所定の電圧で測定したときの第3高調波の値を劣化前と劣化後とで比較することによって、劣化の程度が評価される。
小宮らの文献(非特許文献2)は、バリスタの劣化検出方法について開示する。具体的にこの文献の方法では、バリスタに流れる全電流をパソコンを使ってフーリエ級数に展開し、その第3高調波成分の位相から線路電圧の位相を求め、これを利用して抵抗性電流の基本波成分の大きさを計算してバリスタの劣化が検出される。
Hajek. K. and Sikula. J., "Testing of Low-Current Contacts Quality and Reliability by Using Third Harmonic Distortion", Proceedings of the Forty-Ninth IEEE Holm Conference on Electrical Contacts, pp.211-213, 2003 小宮 他2名、「調和解析によるバリスタの劣化検出」、T.IEE Japan(電学論A)、Vol.199-A、No.5、pp.574-579、1999
上記のHajek等の文献(非特許文献1)に記載された劣化検査装置は、ある入力条件での高調波成分の電圧値を測定し、その電圧の変化を正常品と比較して劣化程度を判断する。このため、評価サンプルにばらつきがある場合は劣化判定の精度が悪いという問題がある。小宮らの文献(非特許文献2)に記載された方法も同様に、評価サンプルにばらつきがある場合は劣化判定の精度が悪くなる。
この発明は上記の問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、バリスタおよびリレーなどの電気部品が劣化したか否かを高精度に判定することができる劣化検査装置および方法を提供することである。なお、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態による電気部品の劣化検査装置は、信号印加部と信号検出部と劣化判定部とを含む。信号印加部は、波高値を切り換えながら基本波の正弦波信号を生成し、各波高値を有する基本波の正弦波信号を電気部品に印加する。信号検出部は、各波高値を有する基本波の正弦波信号の印加によって電気部品に生じる電圧信号を検出し、検出した電圧信号の高調波成分を抽出する。劣化判定部は、参照用の電気部品と検査用の電気部品の各々について、所定の範囲内の各波高値に対して得られた高調波成分を積算する。そして、劣化判定部は、参照用の電気部品についての積算結果と検査用の電気部品についての積算結果との差が所定の閾値を超えている場合に異常と判定する。
上記の実施の形態によれば、電気部品が劣化したか否かを高精度に判定することができる。
一実施の形態による劣化検査装置1の構成を示すブロック図である。 電気部品ZTの等価回路図である。 電気部品ZTに生じる電流信号および電圧信号の基本波成分についてのベクトル図である。 図1の劣化検査装置1によってバリスタを測定した結果を示す図である。 図4の測定結果においてロックインアンプの出力電圧を積算した結果を示す図である。 図1の劣化検査装置1を用いた電気部品の劣化検査手順を示すフローチャートである。 劣化判定方法の第1の変形例を説明するための図である。 劣化判定方法の第2の変形例を説明するための図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
図1は、一実施の形態による劣化検査装置1の構成を示すブロック図である。図1を参照して、劣化検査装置1は、電気部品ZTの非線形抵抗の変化を利用して劣化の程度を検出する。電気部品ZTは、たとえば、バリスタまたはリレーなどの電気接点である。これらの電気部品ZTの非線形抵抗は劣化の進行に伴って変化(増加または減少)する。
[劣化検査装置1の概略構成]
図1の劣化検査装置1は、大別すると、信号印加部10と、信号検出部20と、劣化判定部30とを含む。
信号印加部10は、基本周波数f1の正弦波信号を生成し、生成した基本周波数f1の正弦波信号を評価用の電気部品ZTに印加する。信号印加部10によって生成される正弦波信号の波高値は切替え可能であり、信号印加部10は、波高値を切り換えながら(通常、徐々に増加させながら)各波高値を有する基本周波数f1の正弦波信号を評価用の電気部品ZTに印加する。
信号検出部20は、各波高値を有する基本周波数f1の正弦波信号の印加によって電気部品ZTに生じる電圧信号を検出し、検出した電圧信号の高調波成分(具体的には、3次高調波成分)を抽出する。
劣化判定部30は、参照用の正常な電気部品ZTと検査用の電気部品ZTの各々について、所定の範囲内の各波高値を有する基本周波数f1の正弦波信号の印加によって得られた高調波成分を積算する。そして、劣化判定部30は、参照用の電気部品ZTについての積算結果と検査用の電気部品ZTについての積算結果との差が所定の閾値を超えている場合に異常と判定する。
[劣化検査装置1の詳細な構成]
より詳細には、信号印加部10は、波高値を切替え可能な発振器(交流信号発生装置)11と、ローパスフィルタ(LP:Low Pass filter)12と、インピーダンス整合用のトランス13と、抵抗素子14とを含む。発振器11の周波数f1は、たとえば、10kHzである。発振器11から出力された正弦波信号は、ローパスフィルタ12を介してトランス13の一次側に入力される。ローパスフィルタ12の通過帯域の上限は、基本周波数f1の正弦波信号が減衰無しでローパスフィルタ12を通過するように、たとえば、基本周波数f1と第2高調波の周波数2×f1との間に設定される。
トランス13の二次側には、抵抗素子14と評価用の電気部品ZTとが直列に接続される。通常、トランス13の一次巻線と二次巻線との巻数比は、n1を1より大きい数としてn1:1であり、トランス13によって正弦波信号がより小さな振幅の正弦波信号に変換される。変換後の基本波の正弦波信号は、抵抗素子14を介して電気部品ZTに入力される。すなわち、図1に示すように、トランス13の2次側のノードN3と接地ノードGNDとの間の電圧を分圧した電圧が電気部品ZTに印加される。
信号検出部20は、インピーダンス整合用のトランス21と、ハイパスフィルタ(HP:High Pass filter)22と、バンドパスフィルタ(BP:Band Pass filter)23と、ロックインアンプ24と、位相差検出部25と、発振器(参照波発生部)26とを含む。トランス21の一次側には評価用の電気部品ZTが接続される。トランス21の一次巻線と二次巻線との巻数比は、n2を1より大きい数として1:n2であり、トランス21によって電気部品ZTに生じた電圧信号はより大きな振幅の電圧信号に変換される。
トランス21の二次電圧(出力電圧)は、ハイパスフィルタ22およびバンドパスフィルタ23をこの順に通過し、第1の入力信号としてロックインアンプ24に入力される。ハイパスフィルタ22の通過帯域の下限は、基本周波数f1の正弦波信号がハイパスフィルタ22を通過せず、第3高調波(3×f1)の正弦波信号が減衰無しでハイパスフィルタ22を通過するように、たとえば、第2高調波の周波数2×f1と第3高調波の周波数3×f1との間に設定される。バンドパスフィルタ23の通過帯域は、第3高調波の周波数3×f1の近傍に設定される。
なお、トランス21の出力電圧がハイパスフィルタ22の入力インピーダンスの影響を受けないように、トランス21の2次側とハイパスフィルタ22との間に、ボルテッジフォロアなどのインピーダンス変換器を設けることが望ましい。
発振器26は、第3高調波(周波数:3×f1)の正弦波信号を生成する。生成された第3高調波の正弦波信号の位相は、トランス21の出力電圧(ノードN2の電圧)の基本波成分の位相に基づいて設定される。トランス21とハイパスフィルタ22との間にインピーダンス変換器を設けた場合には、インピーダンス変換器の出力電圧に基づいて位相が設定される。
具体的に、トランス21の出力電圧(ノードN2の電圧)の基本波成分の位相をθeとすると、発振器26から出力された第3高調波の正弦波信号の位相は、3×θe+πに設定される(πは円周率)。なお、基本波と第3高調波とは位相がπだけずれている点に注意する必要がある(たとえば、小宮らの文献(非特許文献2)の図2を参照)。
発振器26で生成された第3高調波の正弦波信号は、第2の入力信号としてロックインアンプ24に入力される。ロックインアンプ24は、上記の第1および第2の入力信号を掛け合わせた信号の直流成分を出力する。これによって、ロックインアンプ24は、基本波の正弦波信号の印加によって電気部品ZTに生じた電圧信号のうち抵抗性漏れ電流と同位相の第3高調波成分を抽出する。以下、上記の手順によって、抵抗性漏れ電流と同位相の高調波成分が精度良く抽出できる原理について説明する。
図2は、電気部品ZTの等価回路図である。図3は、電気部品ZTに生じる電流信号および電圧信号の基本波成分についてのベクトル図である。
図2、図3を参照して、一般に、電気部品ZTに3次高調波成分が含まれる理由は、酸化膜や硫化膜などを通して電流が流れるからである。したがって、電気部品ZTは等価的にキャパシタンスCvと非線形抵抗Rvとの並列接続として表わすことができる。図2において、非線形抵抗Rvを流れる抵抗性漏れ電流の基本波成分をIrとし、キャパシタンスCvを流れる容量性漏れ電流の基本波成分をIcとする。そうすると、図3に示すように、抵抗素子14に流れる全漏れ電流の基本波成分ItはIrとIcとのベクトル和になる。なお、全漏れ電流の第3高調波成分は抵抗性電流のみである。
電気部品ZTに流れる全漏れ電流を測定すると、キャパシタンスCvと非線形抵抗Rvとの合成インピーダンスを流れる電流を検出することになり、抵抗性漏れ電流の大きさを厳密に検出したことにはならない。そこで、この実施の形態では、電気部品ZTに生じる電圧の位相が抵抗性漏れ電流の位相に等しいことを利用して、電気部品ZTに生じる電圧の第3高調波成分を抽出している。なお、電気部品ZTに生じる電圧の基本波成分Voutの位相θrは、抵抗素子14に生じる電圧の基本波成分Vtの位相θtと異なり、ノードN3と接地ノードGNDとの間に入力される正弦波信号Vinの位相θinとも異なる。
ここで、ロックインアンプによって第3高調波成分を抽出する際には、測定回路に付随する寄生容量および寄生インダクタンスによって、電気部品ZTに生じた電圧信号の位相がロックインアンプ24に入力されるまでに変化する点に注意する必要がある。特に、図1の測定回路の場合には、トランス21による位相変化に注意する必要がある。このため、発振器26で発生する第3高調波の正弦波信号の位相は、トランス21の出力電圧(ノードN2の電圧)の基本波成分の位相θeに基づいて設定される。電気部品ZTに生じる電圧(ノードN1における電圧)の大きさよりもトランス21の出力電圧の大きさのほうが大きいので、基本波成分の位相の検出が容易になるというメリットもある。
具体的に、トランス21の出力電圧(ノードN2の電圧)の基本波成分を、
Ve×sin(2π×f1×t+θe) …(1)
とすると、発振器26によって生成される第3高調波の正弦波信号は、
Vo×sin(3×2π×f1×t+3×θe+π) …(2)
と表わされる。ただし、Ve,Voは信号強度(振幅)、tは時間を表わす。
再び図1を参照して、劣化判定部30は、積分器31と記憶装置32と比較器33とを含む。積分器31は、まず、参照用の正常な電気部品ZTについて、所定の範囲内の各波高値を有する基本周波数f1の正弦波信号の印加によって検出された高調波成分を積算する。積算結果は記憶装置32に記憶される。次に、積分器31は、検査用の電気部品ZTについて、所定の範囲内の各波高値を有する基本周波数f1の正弦波信号の印加によって検出された高調波成分を積算する。劣化判定部30は、検査用の電気部品ZTについての積算結果を記憶装置32に予め記憶されている参照用の電気部品ZTについての積算結果と比較し、両者の積算結果の差が所定の閾値を超えている場合に異常と判定する。
劣化判定部30を構成する積分器31および比較器33の機能は、単独の部品によって実現してもよいし、コンピュータによって実現してもよい。後者の場合、ロックインアンプ24の出力はAD(Analog-to-Digital)変換器によってデジタル値に変換されてコンピュータに取り込まれる。
[劣化検査装置1の動作]
次に、上記の構成の劣化検査装置1の動作を、信号の流れに沿って説明する。まず、発振器11は、周波数f1の正弦波信号を発生する。発生した正弦波信号は、ローパスフィルタ12を通過し、インピーダンス変換用のトランス13で評価用の電気部品ZTのインピーダンスに整合するようにその波高値が調整される。基本周波数f1の正弦波信号の印加によって評価用の電気部品ZTから出力された電圧信号は、インピーダンス変換用のトランス21でその波高値が拡大された後、ハイパスフィルタ22へ入力される。ハイパスフィルタ22を通過した電圧信号のうち第3高調波(周波数:3×f1)近傍の周波数成分が、バンドパスフィルタ23を通過する。
ロックインアンプ24は、バンドパスフィルタ23を通過した信号のうち、発振器26で生成した第3高調波の正弦波信号と同期した成分の波高値を検出する。ここで、抵抗性漏れ電流の波高値の変化を正確に検出するために、発振器26で発生する信号の位相は、トランス21の出力電圧の基本波成分の位相に基づいて設定される(トランス21の出力電圧(ノードN2の電圧)の基本波成分の位相をθeとすると、3×θe+πに設定される)。これにより、ロックインアンプ24は、抵抗性漏れ電流と同位相の第3高調波成分の波高値を正確に測定することができる。
上記の手順は、発振器11で発生する周波数f1の波高値を切替えながら(徐々に増加させながら)繰り返し実行される。積分器31は、各波高値に対するロックインアンプ24の出力電圧を積算する。比較器33は、積分器31の積算結果と、予め測定し記憶装置32に記憶されている参照用の正常な電気部品ZTについての積算結果とを比較し、評価用の電気部品ZTの劣化の程度を判定する。
[劣化検査装置1による測定例]
以下、上記の劣化検査装置1によって電気部品ZTとしてバリスタを測定した結果について説明する。
図4は、図1の劣化検査装置1によってバリスタを測定した結果を示す図である。図4のグラフは、図1の発振器11で生成した入力電圧(周波数f1)の波高値と、ロックインアンプ24の出力電圧との関係を示す。曲線Aは劣化したサンプルについての測定結果であり、曲線Bは劣化前のサンプル(正常品)についての測定結果である。劣化前のサンプルBおよび劣化後のサンプルAのいずれについても入力電圧が増加するほどロックインアンプの出力電圧(すなわち、3次高調波電圧)が増加する。さらに、劣化したサンプルAは、入力電圧の波高値が比較的低い領域においても、抵抗性漏れ電流に起因して3次高調波電圧が増加している。
サンプルごとの特性ばらつきのために、図4のグラフを単純に比較するだけでは、劣化したか否かの判定が困難である。たとえば、入力電圧の波高値がVin1のときには、劣化前のサンプルBと劣化後のサンプルAとで、ロックインアンプの出力電圧にほとんど差がない。
図5は、図4の測定結果においてロックインアンプの出力電圧を積算した結果を示す図である。図5のグラフにおいて、たとえば、入力電圧の波高値がある値Vin1の場合には、波高値の最小値からVin1までの範囲において得られたロックインアンプの出力電圧が積算される。積算結果(劣化前のサンプルBの場合に積算値IL1、劣化後のサンプルAの場合に積算値IL2)は、波高値Vin1に対応する点としてプロットされている。
図5に示すように、劣化前の正常サンプルBの積算値IL1と劣化後のサンプルAの積算値IL2との差を閾値THと比較することによって、劣化したか否かの判定が正確に行なえる。
閾値THは、複数の正常品の測定結果を用いることによって統計的に決めることができる。たとえば、複数の正常品について、波高値Vin1までの範囲においてロックインアンプの出力電圧を積算し、これらの積算結果の標準偏差をσとする。この場合、閾値THを3σと設定することができ、±3σから外れたサンプルが不良品と判断される。
[劣化検査手順を示すフローチャート]
図6は、図1の劣化検査装置1を用いた電気部品の劣化検査手順を示すフローチャートである。以下、図1、図6を参照してこれまでの説明を総括する。
まず、発振器11によって生成される基本波の正弦波信号の波高値が設定される(ステップS101)。通常、波高値の初期値は、波高値を変化させる範囲の最小値に設定される。発振器11によって生成された基本波の正弦波信号は参照用の正常な電気部品ZTに印加され、電気部品ZTに生じた電圧の第3高調波成分がロックインアンプ24によって検出される(ステップS102)。以上のステップS101,S102は、発振器11の生成する正弦波信号の波高値を切替えながら(徐々に増加させながら)繰り返される(ステップS103でYES)。この場合、ロックインアンプの応答速度よりも緩やかな変化率で波高値を連続的に変化させるようにしてもよい。
所定範囲内の各波高値に対する測定が完了すると(ステップS103でNO)、積分器31は、所定範囲内の各波高値に対して得られたロックインアンプ24の出力電圧(第3高調波成分)を積算する。積算結果は、検査用のサンプルとの比較のために記憶装置32に記憶される(ステップS104)。なお、複数の正常品について上記のステップS101〜S104を実行することによって積算結果の平均値を算出し、算出した平均値を検査用のサンプルとの比較に用いたほうが望ましい。
次に検査用のサンプルについての測定が実行される。上記と同様に、まず、発振器11によって生成される基本波の正弦波信号の波高値が設定される(ステップS105)。通常、波高値の初期値は、波高値を変化させる範囲の最小値に設定される。発振器11によって生成された基本波の正弦波信号は検査用の電気部品ZTに印加され、電気部品ZTに生じた電圧の第3高調波成分がロックインアンプ24によって検出される(ステップS106)。以上のステップS105,S106は、発振器11の生成する正弦波信号の波高値を切替えながら(徐々に増加させながら)繰り返される(ステップS107でYES)。
所定範囲内の各波高値に対する測定が完了すると(ステップS107でNO)、積分器31は、所定範囲内の各波高値に対して得られたロックインアンプ24の出力電圧(第3高調波成分)を積算する(ステップS108)。比較器33は、検査用の電気部品ZTについての積算結果と、記憶装置32に記憶されている参照用の電気部品ZT(正常品)についての積算結果(の平均値)との差を所定の閾値と比較する。比較器33は、検査用部品と参照用部品との積算結果の差が閾値を超えている場合に検査用の電気部品が劣化したと判定する。
[劣化判定方法の変形例]
図5で説明したロックインアンプの出力電圧の積算値を利用する方法とは異なる方法で電気部品ZTの劣化判定を行なうことができる。以下、具体的に説明する。
図7は、劣化判定方法の第1の変形例を説明するための図である。図4のグラフにおいて、互いに隣接する入力電圧の波高値を順にVin1,Vin2としたとき、各波高値にそれぞれ対応するロックインアンプの出力電圧をVout1,Vout2とする。図7の縦軸には、(Vout2−Vout1)/ΔVinが示されている(「差分商」と称する)。ΔVinは隣接するデータの電圧差(ΔVin=Vin2−Vin1)である。図7に示すように、入力電圧の波高値が比較的低い範囲では、劣化したサンプルAの出力電圧の差分商のほうが、正常なサンプルBの出力電圧の差分商よりも大きくなる。したがって、この特徴を利用してサンプルが劣化したか否かを判定することができる。
図8は、劣化判定方法の第2の変形例を説明するための図である。図8のグラフは、図4のグラフを書き換えたものである。すなわち、図8の横軸には、正常品Bのロックインアンプの出力電圧が示され、図8の縦軸は、検査用サンプルAおよび正常品Bの両方のロックインアンプの出力電圧が示される。
図8を参照して、検査用サンプルAが劣化していない場合は、検査用サンプルAのグラフと正常品Bのグラフが一致する(検査用サンプルAのグラフは原点を通る直線のグラフになる)。検査用サンプルAの劣化の程度は、検査用サンプルAのグラフと正常品Bのグラフとの離れ具合によって評価される。具体的には、図8において検査用サンプルAのグラフと正常品Bのグラフの縦軸方向の差をδとしたとき、この離れ具合は各点におけるδの2乗で評価できる。たとえば、図8の各点での縦軸方向の差をδとし、常用対数をlogとしたとき、次式のηの値:
η=10×log(1/(δの2乗の和)) …(3)
を計算する。検査用サンプルAのグラフと正常品Bのグラフとのずれが小さいほど、すなわちδの2乗の和が小さいほど、ηが大きくなる。したがって、ηの値が小さいほどサンプルの劣化が進行していると判定する。上記において劣化したか否かを判定するために用いる、傾きの程度の閾値およびηの値の閾値は評価するサンプルごとに決定される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 劣化検査装置、10 信号印加部、11,26 発振器、12 ローパスフィルタ、13,21 トランス、14 抵抗素子、20 信号検出部、22 ハイパスフィルタ、23 バンドパスフィルタ、24 ロックインアンプ、30 劣化判定部、31 積分器、32 記憶装置、33 比較器、ZT 電気部品、f1 基本周波数。

Claims (5)

  1. 電気部品の劣化を検査する劣化検査装置であって、
    前記電気部品の非線形抵抗は劣化の進行に伴って増加または減少し、
    波高値を切り換えながら基本波の正弦波信号を生成し、各波高値を有する前記基本波の正弦波信号を前記電気部品に印加する信号印加部と、
    各波高値を有する前記基本波の正弦波信号の印加によって前記電気部品に生じる電圧信号を検出し、検出した電圧信号の高調波成分を抽出する信号検出部と、
    参照用の電気部品と検査用の電気部品の各々について、所定の範囲内の各波高値に対して得られた前記高調波成分を積算し、前記参照用の電気部品についての積算結果と前記検査用の電気部品についての積算結果との差が所定の閾値を超えている場合に異常と判定する劣化判定部とを備えた劣化検査装置。
  2. 前記信号検出部は、
    高調波の正弦波信号を生成する信号生成部と、
    前記電気部品から検出した電圧信号と前記高調波の正弦波信号とを乗算することによって、前記検出した電圧信号の高調波成分を抽出するロックインアンプとを含み、
    前記信号生成部で生成される高調波の正弦波信号の位相は、前記検出した電圧信号の基本波成分の位相に基づいて設定される、請求項1に記載の劣化検査装置。
  3. 前記信号検出部は、前記電気部品に生じた電圧信号をより大きな電圧信号に変換するトランスをさらに含み、
    前記ロックインアンプは、前記トランスの出力電圧に基づく信号と前記高調波の正弦波信号とを乗算することによって高調波成分を抽出し、
    前記信号生成部で生成される高調波の正弦波信号の位相は、前記トランスの出力電圧の基本波成分に基づいて設定される、請求項2に記載の劣化検査装置。
  4. 前記トランスの出力電圧の基本波成分の位相がθeであるとき、
    前記信号生成部は、位相が3×θe+πである第3高調波の正弦波信号を生成して前記ロックインアンプに出力する、請求項3に記載の劣化検査装置。
  5. 電気部品の劣化を検査する劣化検査方法であって、
    前記電気部品の非線形抵抗は劣化の進行に伴って増加または減少し、
    波高値を切り換えながら基本波の正弦波信号を生成し、各波高値を有する前記基本波の正弦波信号を参照用の電気部品に印加することによって、前記参照用の電気部品に生じた電圧信号を検出し、検出した電圧信号の高調波成分を抽出するステップと、
    前記参照用の電気部品について、前記所定の範囲内の各波高値に対して得られた前記高調波成分を積算するステップと、
    波高値を切り換えながら前記基本波の正弦波信号を生成し、各波高値を有する前記基本波の正弦波信号を検査用の電気部品に印加することによって、前記検査用の電気部品に生じた電圧信号を検出し、検出した電圧信号の高調波成分を抽出するステップと、
    前記検査用の電気部品について、前記所定の範囲内の各波高値に対して得られた前記高調波成分を積算するステップと、
    前記参照用の電気部品についての積算結果と前記検査用の電気部品についての積算結果との差が所定の閾値を超えている場合に異常と判定するステップとを備える、劣化検査方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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