JP2014009603A - オイルジェット - Google Patents

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Abstract

【課題】油温に応じて開弁圧が機械的に自動調整されるオイルジェットを提供する。
【解決手段】オイルジェット100のボディー2は、オイル通路62に開口するオイル供給ポート6、シリンダ4及びオイル噴射ポート10を備える。ボディー2内にはシリンダ4の底面を形成する可動底30が収容される。可動底30には突起部42が貫通し、可動底30と突起部42との間には環状のリーク孔32が形成されている。シリンダ4にはピストン弁20が収容される。ピストン弁20はシリンダ4内に差圧室8を形成する。ピストン弁20には差圧室8をオイル供給ポート6の側に連通させるオリフィス22が形成される。ピストン弁20は第1バネ16によってオイル噴射ポート10を塞ぐ位置に付勢され、可動底30は第2バネ18によって支持されている。可動底30の移動距離に応じてリーク孔32の奥行長が変わる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のピストンの冷却に用いられるオイルジェットに関する。
内燃機関のシリンダブロックには加圧されたオイルが流れるオイル通路が形成されている。オイルジェットはこのオイル通路から供給されるオイルをピストンやピストンとシリンダボアとの間に噴射し、それにより高温になったピストンを冷却する装置である。従来一般的に用いられているオイルジェットは、油圧に応じて弁を開閉させる仕組みを有している。具体的には、弁体はバネによって油圧に抗する方向に付勢されており、弁体が油圧により受ける力がバネの力を上回ったときに、弁体が弁座から離れて弁が開くようになっている。油圧は内燃機関の回転数の上昇に応じて増大する一方、回転数が高まるほどピストンの温度も高くなることから、上記仕組みによればピストンが高温になる状況でオイルを噴射してピストンを冷却し、ピストンの温度が高くない状況ではオイルの噴射を停止することで過冷却を防止することができる。
以下の特許文献1に記載されたオイルジェットも、油圧に応じて弁を開閉させるためのバネ機構を備えている。このオイルジェットは、さらに、油温に応じてオイルの噴射量を変化させる仕組みも有している。その仕組みとは、弁の上流に配置された絞り部材である。絞り部材には複数の絞り孔が形成されている。これらの絞り孔を通過する際にはオイルは流動抵抗を受け、その大きさはオイルの粘度が高いほど大きくなる。このため、オイルの温度が低くオイルの粘度が高いときには絞り孔を通過するオイルの流量は少なくなり、オイルの温度が高くオイルの粘度が低いときには絞り孔を通過するオイルの流量は多くなる。このような仕組みにより、油圧の上昇によって弁が開いたとき、それが機関始動直後の冷間時であれば油温が低いことからオイルの噴射量は抑制され、暖機完了後であれば油温の上昇によってオイルの噴射量は増大されることになる。
特開2011−064155号公報
特許文献1に記載のオイルジェットは油圧だけでなく油温によっても作動状態が変化するように構成されている。油温は油圧とともにピストンの温度状態に密接に関連することから、油温にも応じてオイルジェットの作動状態が切り替わる構成によれば、単に油圧に応じて弁が開閉するだけの一般的なオイルジェットに比べて、オイルの噴射によるピストンの冷却をより適切に行うことができると考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載のオイルジェットには問題がある。特許文献1に記載のオイルジェットは、オイルの流路に絞り部材が配置されているため、オイルが絞り部材を通過する際に圧力損失が発生する。油温が高くなってオイルの粘度が低くなれば発生する圧力損失は小さくなるものの、絞り部材が配置されていないオイルジェットに比較すれば圧力損失は大きい。その分だけ、高温時にピストンに噴射されるオイルの噴射量は少なくなってしまう。さらに、油圧が上昇しても油温が十分に高くなるまではオイルの噴射量は抑制されるため、冷間状態の内燃機関が高回転で運転されたような場合には、ピストンが高温になっているにもかかわらず十分な量のオイルが噴射されないおそれがある。
以上述べた問題は、弁が開くときの開弁圧を油温に応じて変化させることで解決することができる。つまり、油温が低いときには開弁圧を高くし、油温が高くなるにつれて開弁圧を低くできれば、特許文献1に記載のオイルジェットで生じているような問題は発生しない。ただし、その手段はあくまでも機械式のオイルジェットであることが望ましい。ソレノイドによって弁を開閉するオイルジェットであれば、油圧や油温に応じて弁の開閉を電気的に操作することができる。しかし、信頼性とコストについて勘案するならば、機械式のオイルジェットのほうが有利だからである。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、油温に応じて開弁圧が機械的に自動調整されるオイルジェットを提供することを目的とする。
本発明に係るオイルジェットは少なくともボディー、ピストン弁、突起部、可動底、第1バネ及び第2バネを備えている。ボディーは内燃機関のシリンダブロックに取り付けられるオイルジェットの本体部であって、オイル供給ポート、シリンダ及びオイル噴射ポートを有している。オイル供給ポートはボディーがシリンダブロックに取り付けられたときにシリンダブロック内のオイル通路に開口するように形成されている。シリンダはその一方の端部がオイル供給ポートに連通し他端には開口を有している。オイル噴射ポートはシリンダの側面に開口している。
突起部はボディーの内部に設けられてシリンダの他端の開口に向けて突き出ている。突起部の先端には円柱面が備えられている。可動底はシリンダの底面を形成する部材であって、ボディーの内部を摺動可能に取り付けられている。可動底には突起部が貫通する円筒形の貫通孔が形成されている。可動底がボディーの内部を摺動するとき、貫通孔の円筒面と突起部の円柱面との間には所定幅の環状の隙間が保持されるようになっている。第2のバネはボディーの内部に配置されて可動底を支持している。
ピストン弁はシリンダに収容されて可動底との間に閉区画を形成している。ピストン弁には閉区画をオイル供給ポートの側に連通させるオリフィスが形成されている。第1のバネはピストン弁と可動底との間に配置されてオイル噴射ポートを塞ぐ位置にピストン弁を付勢している。
可動底の貫通孔の円筒面と突起部の円柱面との間に設けられた環状の隙間は、閉区画からオイルを漏出させるリーク孔として機能する。このリーク孔の奥行長である貫通孔の円筒面と突起部の円柱面との重なりの長さは、可動底の第2のバネを押し下げる方向への移動距離に応じて短くなるようにされている。
本発明に係るオイルジェットが有する上記の構成によれば、ピストン弁によってオイル噴射ポートが開閉される。ピストン弁には、シリンダブロック内のオイル通路を流れるオイルの圧力が作用すると同時に、それとは逆の方向に、閉区画内のオイルの圧力と第1のバネによる付勢力とが作用する。そして、ピストン弁が閉区画内の油圧から受ける力と第1のバネによる付勢力との合力よりもピストン弁がオイル通路内の油圧から受ける力のほうが大きくなったとき、ピストン弁はオイル通路から供給されるオイルに押されてオイル噴射ポートを塞ぐ位置から移動する。これによりピストン弁は開弁状態になってオイル噴射ポートとオイル供給ポートとが連通し、オイル噴射ポートへオイルが供給されてオイルの噴射が達成される。
閉区画の油圧は、オリフィスを通って閉区画に流入するオイルの流量と、リーク孔を通って閉区画から漏出するオイルの流量との関係によって変化する。本発明に係るオイルジェットにおいて、オリフィスとリーク孔とは流量を決定する因子において違いがある。流量と圧力との関係がベルヌーイの定理にしたがうオリフィスでは、オイル密度が流量を左右する。より詳しくは、オリフィスを通過してオイル噴射ポート側から閉区画内に流入するオイルの流量はオイル密度の1/2乗に反比例する。一方、ハーゲン・ポアズイユの法則によって流量が決まるリーク孔では、オイル粘度が流量を左右する。より詳しくは、リーク孔を通過してシリンダの閉区画からボディーの外部へ漏出するオイルの流量はオイル粘度に反比例する。ここで重要なことは、オイル密度とオイル粘度とでは油温に対する感度が大きく異なることである。油温の変化に対するオイル密度の変化はほとんどなく、内燃機関におけるオイルの通常温度域においては、オイル密度はほぼ一定とみなすことができる。これに対して、油温の変化に対するオイル粘度の変化は極めて大きい。オイルの油種にもよるが、冷間時のオイル粘度は暖機後のオイル粘度よりも10倍以上高い。このため、同一の閉区画内の圧力で比較した場合、オリフィスから閉区画内に流入するオイルの流量は油温によって大きく変化しないものの、リーク孔から漏出するオイルの流量は油温が高くなるほど増大する。リーク孔から漏出するオイルの流量が大きいほど閉区画内の油圧の低下も大きい。
第1のバネの付勢力は一定であることから、ピストン弁を移動させるのに必要なオイル通路内の油圧、すなわち開弁圧は閉区画内の油圧によって決まる。暖機の完了後のように油温が高い場合には、オイル粘度が低いために閉区画内からオイルが漏れやすくなり、結果、閉区画内の圧力が低くなることから開弁圧は低くなる。一方、冷間時のように油温が低い場合には、オイル粘度が高いために閉区画内からオイルが漏れにくく、結果、閉区画内の圧力が高くなることから開弁圧も高くなる。つまり、本発明に係るオイルジェットが有する上記の構成によれば、油温が高いほど開弁圧は低く油温が低いほど開弁圧は高くなるように開弁圧は機械的に自動調整される。
ところで、高粘度のオイルが使用されている場合、油温が低くオイル粘度が高いときには、ピストン弁がシリンダの底側に動き始めるのに伴い閉区画内の油圧が上昇することがある。リーク孔から漏出するオイルの流量はオイル粘度に反比例するため、オイル粘度が高いとオイルの漏出量が減少するためである。閉区画内の油圧の上昇はピストン弁の動きを鈍らせ、オイル供給ポートとオイル噴射ポートの連通を妨げることになる。
しかし、本発明に係るオイルジェットが有する上記の構成によれば、閉区画内の油圧が上昇すると、第2バネによって支持されている可動底が閉区画内の油圧によって押し下げられる。リーク孔は可動底の貫通孔の円筒面と突起部の円柱面との間に設けられた環状の隙間であって、その奥行長は貫通孔の円筒面と突起部の円柱面との重なりの長さであるので、閉区画内の油圧によって可動底が押し下げられるとその押し下げられた距離に応じてリーク孔の奥行長は短くなる。リーク孔から漏出するオイルの流量はリーク孔の奥行長に反比例することから、オイルの漏出が促進されることで閉区画内の油圧は低下し、ピストン弁はオイル噴射ポートを開放する位置まで移動する。これによりピストン弁は確実に開弁状態になってオイル噴射ポートとオイル供給ポートとが連通し、オイル噴射ポートへオイルが供給されてオイルの噴射が達成される。つまり、本発明に係るオイルジェットが有する上記の構成によれば、使用されているオイルの種類によらず、オイル粘度の高い低油温時であってもピストン弁を確実に開弁させてオイル噴射を達成することができる。
本発明に係るオイルジェットにおいては、好ましくは第2バネは非線形バネとする。非線形バネによって可動底を支持することにより、閉区画内の油圧の変化に対する可動底の移動量の変化率を閉区画内の油圧に応じて変化させることができる。これによれば、油温の変化に対する可動底の移動量の変化率を一定にすることができる。
上述の通り、本発明に係るオイルジェットによれば、開弁圧を油温に応じて機械的に自動調整することができる。また、使用されているオイルの種類によらず、オイル粘度の高い低油温時であってもピストン弁を確実に開弁させてオイル噴射を達成することができる。
本発明の実施の形態に係るオイルジェットの構成を模式的に示す縦断面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットの可動底の構成と作用について説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットの低粘度オイルが使用された場合の動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットの低粘度オイルが使用された場合の動作を説明するための図である。 油温とオイル粘度との関係を示す図である。 可動底が固定の場合の油温と開弁圧との関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットの高粘度オイルが使用された場合の動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットの高粘度オイルが使用された場合の動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットにおける第2バネのバネ特性を示す図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットにおける油温と差圧室の油圧との関係と、油温と可動底のストロークとの関係とを併せて示す図である。 本発明の実施の形態に係るオイルジェットの開弁圧特性を示す図である。 突起部の構成の変形例を示す図3に対応する図である。 突起部の構成の変形例を示す図3に対応する図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
本発明の実施の形態に係るオイルジェットの構成は図1、図2及び図3を用いて説明することができる。図1の縦断面図に模式的に示すように、本実施の形態に係るオイルジェット100は、内燃機関のシリンダブロック60に取り付けられるボディー2を備えている。シリンダブロック60にはオイルポンプによって加圧されたオイルが流れるオイル通路62が形成されている。オイルポンプは内燃機関のクランクシャフトから受ける動力によって駆動されるため、内燃機関の回転数が低いときにはオイル通路62内の油圧は低く、回転数が高くなるにつれてオイル通路62内の油圧も高くなっていく。ボディー2には、このオイル通路62に開口するオイル供給ポート6が形成されている。
ボディー2には、オイル供給ポート6を入口とする貫通孔が形成されている。その貫通孔のオイル供給ポート6の側はシリンダ4になっている。貫通孔の出口には後述するプラグ40が嵌め込まれている。これにより、ボディー2の中には、一方の端部は開放され他方の端部は閉塞された空間が形成されている。シリンダ4の側面で入口の近くには、シリンダ4よりも小径のオイル噴射ポート10が開口している。ボディー2にはオイル噴射ノズル50がロウ付けなどによって取り付けられている。オイル噴射ノズル50に形成されたオイル噴射通路52はオイル噴射ポート10に連通されている。オイル噴射ノズル50の先端は内燃機関のピストンの裏面やピストンとシリンダボアとの間に向けられている。なお、図1にはオイル噴射ノズル50は一本のみ示されているが、オイル噴射ポート10をシリンダ4の周方向に複数形成することによって複数本のオイル噴射ノズル50をボディー2に取り付けることもできる。
ボディー2の内部には、シリンダ4の入口側(オイル供給ポート6の側)から順に、ピストン弁20、第1バネ16、可動底30及び第2バネ18が収容されている。可動底30は厚みの有る円盤状の部品であって、中央に円筒状の貫通孔を有している。第2バネ18は不等ピッチのコイル状の圧縮バネ(すなわち非線形バネ)であり、可動底30とプラグ40との間に挟まれている。可動底30はシリンダ4よりも大径であり、第2バネ18によってシリンダ4の出口部に形成されたストッパ14に押し付けられている。これにより、可動底30はシリンダ4の底面として機能している。なお、可動底30の外径は可動底30を収容するボディー2の内径よりもわずかに大きく、可動底30はボディー2の内部を摺動できるようになっている。
シリンダ4の入口にはピストン弁20の弁座12が形成されている。前述のオイル噴射ポート10は、ピストン弁20が弁座12に着座したときにピストン弁20によって閉塞される位置に形成されている。第1バネ16は等ピッチのコイル状の圧縮バネであって、ピストン弁20と可動底30との間に配置されてピストン弁20を弁座12に押し付けている。これにより、シリンダ4内には、ピストン弁20と可動底30とによって挟まれた閉区画8が形成されている。ピストン弁20には、この閉区画8をオイル供給ポート6の側に連通させるオリフィス22が形成されている。このため、オイルジェット100をシリンダブロック60に取り付けたときには閉区画8内にはオリフィス22を介してオイルが満たされる。ただし、閉区画8の油圧には、次に説明する構成によりオイル通路62の油圧に対する差圧が発生させられる。以下、この閉区画8を差圧室と称する。
プラグ40のシリンダ4の側の面、つまり、第2バネ18を支持している面には、シリンダ4の内部に向けて突き出た突起部42が形成されている。突起部42は先端側が太く根元側が細い形状であり、先端側は円柱状に形成されている。突起部42の先端は可動底30に形成された貫通孔を貫通している。図2に示すように、突起部42の先端の円柱面44と可動底30に形成された貫通孔の円筒面34との間には、環状隙間32が作られている。この環状隙間32は差圧室8内のオイルをボディー2の外へ漏出させるために設けられていて、その流路断面積は差圧室8の断面積に比較すれば格段に小さく形成されている。以下、この環状隙間をリーク孔32と称する。このようなリーク孔32がシリンダ4の底面に形成されることで、差圧室8の外へオイルが漏れ出し、それにより差圧室8内の油圧が低下する。つまり、オイル通路62の油圧と差圧室8の油圧との間に差圧が発生する。
なお、リーク孔32を通って差圧室8から漏れ出るオイルの流量は、リーク孔32の奥行長が長いほど小さくなる。詳しくは、漏出するオイルの流量はリーク孔32の奥行長に反比例する。リーク孔32の奥行長Lは、図3に示すように、突起部42の円柱面44と可動底30の円筒面34との重なりの長さとして定義される。突起部42の円柱面44と可動底30の円筒面34との上下方向の位置関係は、可動底30がストッパ14に当たっている場合に、突起部42の円柱面44の下端と可動底30の円筒面34の下端とが揃うように調整されている。よって、可動底30がストッパ14に当たっている場合にリーク孔32の奥行長Lは最長となり、可動底30のストッパ14からの移動距離が大きくなるにつれてリーク孔32の奥行長Lは短くなる。
可動底30とプラグ40との間の空間は、リーク孔32から漏れ出たオイルを外部へ排出するためのオイル排出室48となっている。オイル排出室48は、プラグ40に形成された複数のオイル排出孔46を介してボディー2の外へ連通されている。オイル排出孔46の総流路断面積はリーク孔32の流路断面積よりも格段に大きい。このため、リーク孔32からオイル排出室48に漏出したオイルは、オイル排出室48やオイル排出孔46に充満することなく、オイル排出孔46を伝って速やかにボディー2の外へ排出される。
次に、本実施の形態に係るオイルジェット100の動作について説明する。なお、説明に使用する図4,5,8,9中には各状態におけるオイルの流れを矢印線で示している。
本実施の形態に係るオイルジェット100の構成によれば、ピストン弁20にはオイル通路62を流れるオイルの油圧がオイル供給ポート6側から作用する。そして、それと同時に、差圧室8内の油圧と第1バネ16による付勢力とが逆方向からピストン弁20に作用する。前者はピストン弁20に対して開弁方向の力として作用し、後者は閉弁方向の力として作用する。よって、差圧室8内の油圧による力と第1バネ16の付勢力との合力がオイル通路62内の油圧による力以上になっていれば、図4の模式図に示すように、ピストン弁20は着座したままオイル噴射ポート10を塞ぐ位置に保持される。つまり、ピストン弁20は閉弁状態に維持される。
オイル通路62内の油圧による力が差圧室8内の油圧による力と第1バネ16の付勢力との合力よりも大きくなった場合には、図5の模式図に示すように、ピストン弁20はオイル通路62から供給されるオイルに押されて弁座12から離れる。すなわち、ピストン弁20が開弁し始める。
このときのオイル通路62内の油圧、すなわち、開弁圧は差圧室8内の油圧によって決まる。差圧室8内の油圧は差圧室8に入るオイルの流量と差圧室8から出るオイルの流量との関係によって変化する。差圧室8にはオリフィス22を通ってオイルが流入するため、その流量Q1は次の式1で表されるようにベルヌーイの定理にしたがう。つまり、オリフィス22を通過するオイルの流量Q1はオイル通路62内の油圧PM/Gと差圧室8内の油圧PINとの差圧の1/2乗に比例し、オイル密度ρの1/2乗に反比例する。なお、式1においてCは流量係数、Aはオリフィス22の流路断面積である。
Figure 2014009603
一方、差圧室8からはリーク孔32を通ってオイルが漏出するため、その流量Q2は次の式2で表されるようにハーゲン・ポアズイユの法則にしたがう。つまり、リーク孔32を通過するオイルの流量Q2は差圧室8内の油圧PINと大気圧POUTとの差圧に比例し、オイル粘度ηに反比例する。なお、式2においてBは係数である。
Figure 2014009603
上記の2つの式から分かるように、オリフィス22を通過するオイルの流量にはオイル密度が影響するが、リーク孔32を通過するオイルの流量にはオイル粘度が影響する。オイル密度とオイル粘度はともに油温の影響は受けるものの、その感度は大きく異なる。すなわち、油温の変化に対するオイル密度の変化はほとんどなく、冷間時から暖機の完了までの温度域においてオイル密度はほぼ一定であるのに対し、油温の変化に対するオイル粘度の変化は極めて大きい。オイルの油種にもよるが、冷間時のオイル粘度は暖機後のオイル粘度よりも10倍以上高い。
このような油温に対するオイル密度とオイル粘度の各特性により、オリフィス22から差圧室8内に流入するオイルの流量は油温によって大きく変化しないものの、リーク孔32から漏出するオイルの流量は油温が高くなるほど増大する。リーク孔32から漏出するオイルの流量が大きいほど差圧室8内の油圧は低下し、ピストン弁20を開弁させるのに必要なオイル通路62内の油圧、すなわち開弁圧は低下する。よって、暖機完了後のように油温が高い場合には、リーク孔32からオイルが漏れやすいために開弁圧は低く、冷間時のように油温が低い場合には、リーク孔32からオイルが漏れにくいために開弁圧は高くなる。つまり、本実施の形態に係るオイルジェット100によれば、開弁圧は油温が高いほど低く油温が低いほど高くなるように機械的に自動調整される。
ただし、図6に示すように、油温とオイル粘度との関係はオイルの種類によって異なる。仮にリーク孔32の奥行長が固定であるとすると、リーク孔32から漏出するオイルの流量はオイル粘度に反比例する。このため、低粘度オイルと高粘度オイルとでは、同じ油温で比較した場合の差圧室8内の油圧には違いが生じる。その結果、図7に示すように、低粘度オイルを使用した場合と高粘度オイルを使用した場合とでは、油温に対する開弁圧の特性は異なったものになる。ピストン弁20を付勢する第1バネ16のバネ特性は、ある基準のオイルにおいて狙いの開弁圧特性が得られるように設計される。このため、図7に示すようなオイルの種類による開弁圧特性の違いがある場合には、所望の開弁圧でピストン弁20が開かないといった問題や、逆に所望の開弁圧に達する前にピストン弁20が開いてしまうという問題が生じるおそれがある。前者の問題はピストンの焼き付きの原因となる可能性があり、後者の問題は内燃機関の暖機を遅らせる可能性があるから、どちらの問題も起こらないようにしたい。
上記の課題に鑑みてなされた工夫が、シリンダ4の底面を第2バネ18によって支持された可動底30とし、可動底30の移動距離に応じてリーク孔32の奥行長を変化させることである。
高粘度オイルが使用されている場合、油温が低くオイル粘度の高い冷間時は、オイル通路62内の油圧の力によって生じるピストン弁20の動きにリーク孔32からのオイルの漏出量が追いつかず、ピストン弁20によって差圧室8内のオイルが圧縮される。これにより差圧室8内の油圧が上昇すると、図8の模式図に示すように、第2バネ18によって支持されている可動底30は差圧室8内の油圧によって押し下げられる。リーク孔32の奥行長は可動底30の円筒面と突起部42の円柱面との重なりの長さであるので、差圧室8内の油圧によって可動底30が押し下げられると、その押し下げられた距離に応じてリーク孔32の奥行長は短くなる。リーク孔32から漏出するオイルの流量はリーク孔32の奥行長に反比例することから、リーク孔32の奥行長が短くなることによりオイルの漏出が促進される。
オイルの漏出が促進されることで差圧室8内の油圧は低下する。差圧室8内の油圧が低下することでピストン弁20はオイル通路62内の油圧によって押し下げられる。その結果、図9の模式図に示すように、ピストン弁20によるオイル噴射ポート10の閉塞が解かれてオイル噴射ポート10とオイル供給ポート6とが連通する。これにより、オイル噴射ポート10へオイルが供給されるようになり、オイル噴射ノズル50からのオイル噴射が開始される。
ここで、本実施の形態に係るオイルジェット100で用いられる第2バネ18のバネ特性を図10に示す。第2バネ18は、バネ荷重に対するバネ変位量の変化率が一定ではない非線形バネである。より詳しくは、図10に示すように、バネ変位量が所定値以下の領域ではバネ定数は第1の値をとり、バネ変位量が所定値より大きい領域ではバネ定数が第1の値より大きい第2の値をとるように設計された非線形バネである。このような非線形バネによって可動底30を支持することにより、差圧室8内の油圧の変化に対する可動底30の移動量の変化率を差圧室8内の油圧に応じて変化させることができる。
図11は、本実施の形態に係るオイルジェット100における油温と差圧室8内の油圧との関係と、油温と可動底30のストローク(ストッパ14に当接した位置からの可動底30の移動量)との関係とを併せて示す図である。図11に示すように、低粘度オイルと高粘度オイルとでは同一の油温における差圧室8内の油圧に差があり、その油圧差は油温に応じて変化する。より詳しくは、油温が低いほど低粘度オイルと高粘度オイルとの間の油圧差は大きく、しかも油温に対する油圧差の変化率は一定ではない。図11には、低粘度オイルを基準にして狙いの開弁圧特性が決定された場合において、高粘度オイルが使用されたときの油温に対する可動底30のストロークの変化を示している。第2バネ18が図10に示すようなバネ特性を有していることから、本実施の形態に係るオイルジェット100によれば、油温の変化に対する可動底30のストロークの変化率を略一定にすることができる。
そして、図12は、本実施の形態に係るオイルジェット100に係るオイルジェットの開弁圧特性を示す図である。本実施の形態に係るオイルジェット100によれば、シリンダ4の底面を非線形バネである第2バネ18によって支持された可動底30とし、可動底30の移動距離に応じてリーク孔32の奥行長を変化させることにより、オイルの種類が変わったときの油温に対する開弁圧の変化を抑えることができる。これにより、低粘度オイルが使用された場合でも高粘度オイルが使用された場合でも同様の開弁圧特性を得ることができる。
以上のように、本実施の形態に係るオイルジェット100によれば、開弁圧を油温に応じて機械的に自動調整することができる。さらに、オイルの種類が変わったときの油温に対する開弁圧の変化を抑えることができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、突起部42の形状は図13や図14に示す変形例のような形状であってもよい。図13に示す変形例では、突起部42の根元側の胴部431はテーパ状になっている。図14に示す変形例では、突起部42の根元側の胴部432にはRが付けられている。いずれにしても、可動底30の円筒面34との間でリーク孔32を形成する円柱面44が突起部42の先端側に形成されており、かつ、先端側の径が根元側よりも太くなっていればよい。
2 ボディー
4 シリンダ
6 オイル供給ポート
8 差圧室
10 オイル噴射ポート
12 弁座
14 ストッパ
16 第1バネ
18 第2バネ
20 ピストン弁
22 オリフィス
30 可動底
32 リーク孔(環状隙間)
34 円筒面
40 プラグ
42 突起部
44 円柱面
46 オイル排出孔
48 オイル排出室
50 オイル噴射ノズル
60 シリンダブロック
62 オイル通路
100 オイルジェット

Claims (2)

  1. 内燃機関のシリンダブロック内のオイル通路に開口するオイル供給ポートと、一端が前記オイル供給ポートに連通し他端に開口を有するシリンダと、前記シリンダの側面に開口するオイル噴射ポートとを有するボディーと、
    前記ボディーの内部に設けられて前記シリンダの他端の開口に向けて突き出た、先端に円柱面を備える突起部と、
    前記突起部が貫通する円筒形の貫通孔を有し、当該貫通孔の円筒面と前記突起部の円柱面との間に所定幅の環状の隙間を保持しつつ前記ボディーの内部を摺動可能な、前記シリンダの底面を形成する可動底と、
    前記シリンダに収容されて前記可動底との間に閉区画を形成し、且つ、前記閉区画を前記オイル供給ポートの側に連通させるオリフィスを備えるピストン弁と、
    前記ピストン弁と前記可動底との間に配置されて前記オイル噴射ポートを塞ぐ位置に前記ピストン弁を付勢する第1のバネと、
    前記ボディーの内部に配置されて前記可動底を支持する第2のバネと、を備え、
    前記環状の隙間は前記閉区画からオイルを漏出させるリーク孔として機能し、当該リーク孔の奥行長である前記貫通孔の円筒面と前記突起部の円柱面との重なりの長さは、前記可動底の前記第2のバネを押し下げる方向への移動距離に応じて短くなることを特徴とするオイルジェット。
  2. 前記第2のバネは非線形バネであることを特徴とする請求項1に記載のオイルジェット。
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