JP2014009415A - 積層不織布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物が、短繊維不織布Aと短繊維不織布Bとの間に積層されてなることを特徴とする積層不織布。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物が、短繊維不織布Aと短繊維不織布Bとの間に積層されてなることを特徴とする積層不織布。
(2)長繊維ウエブを構成する熱可塑性樹脂の融点が200℃以下であることを特徴とする(1)記載の積層不織布。
(3)熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物の目付が10〜50g/m2であることを特徴とする(1)または(2)記載の積層不織布。
(4)短繊維不織布Aおよび/または短繊維不織布Bを構成する短繊維が木綿であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層不織布。
(5)短繊維不織布Aと短繊維不織布Bの目付が、それぞれ10〜150g/m2であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層不織布。
(6)短繊維不織布Aの目付が、短繊維不織布Bの目付の1.5倍以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の積層不織布。
(7)上記(1)記載の積層不織布を製造するための方法であって、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの一方の表面に短繊維ウエブAを積層し、もう一方の表面に短繊維ウエブBを積層し、高圧液体流を用いた繊維同士の交絡処理によりこれらを一体化した後、得られたシートを、長繊維ウエブを構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱処理して、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブを溶融した後、固化することにより、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物を、短繊維ウエブAから形成された短繊維不織布Aと、短繊維ウエブBから形成された短繊維不織布Bとの間に積層することを特徴とする積層不織布の製造方法。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の積層不織布を用いたことを特徴とする洗顔用シート。
(9)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の積層不織布を用いたことを特徴とするボディ用シート。
(10)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の積層不織布を用いたことを特徴とするメイク落とし用シート。
本発明の積層不織布は、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの両面に短繊維ウエブを積層して交絡により一体化した後、加熱することにより製造できるので、長繊維ウエブの両面に積層する短繊維ウエブの目付を適宜変更することにより、肌当たりの感触を容易に調節することができる。
本発明の積層不織布は、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物が、短繊維不織布Aと短繊維不織布Bとの間に積層されてなるものである。溶融固化物が短繊維不織布中に積層されることで、積層不織布はゴシゴシ感を有することができる。
また、ポリ乳酸系重合体(例えば、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体(D、L−乳酸共重合体)、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、あるいはD−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体)などの植物由来熱可塑性樹脂は、自然環境保護の見地から好適である上、生分解性を有する。したがって、長繊維ウエブを構成する熱可塑性樹脂として植物由来熱可塑性樹脂を用い、また、短繊維不織布を構成する短繊維として例えば木綿等を用いて積層不織布を構成すると、自然環境中で分解する生分解性不織布とすることができる。
長繊維ウエブの目付が10g/m2未満では、積層不織布における溶融固化物の目付が少なく、得られる積層不織布にゴシゴシ感が出づらいため、両表面に積層する短繊維不織布の目付によっては、本発明の目的が達成されにくくなる。
逆に、長繊維ウエブの目付が50g/m2を超えると、コスト面で不利となるだけでなく、これを溶融すると、短繊維不織布の目付が薄い場合には、溶融固化物の一部が短繊維不織布の表面にまで露出することがあり、好ましくない。
短繊維不織布A、Bを構成する再生繊維としては、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸されたレーヨン(リヨセル)が挙げられる。
これらの天然繊維や再生繊維は、吸水性に優れているため薬液含浸に適しており、洗顔、ボディ、メイク落とし用シートとして好適に用いることができる。
合成繊維の融点は、長繊維ウエブを構成する熱可塑性樹脂のそれよりも30℃以上高いことが好ましい。合成繊維の融点を30℃以上高くすることにより、後述する積層不織布の製造方法、すなわち、この合成繊維を含む短繊維ウエブと熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブとを積層してなるシートを熱処理する方法においては、この合成繊維を含む短繊維ウエブは、長繊維ウエブとともに溶融することなく、また熱の影響を受けることなく、積層不織布を製造することができる。
高圧液体流処理としては、例えば、水流交絡処理が挙げられる。水流交絡処理は、公知の方法により行えばよい。すなわち、短繊維ウエブA/長繊維ウエブ/短繊維ウエブBからなる構成に積層し、この積層物をメッシュ状支持体に担持し、次いで、高圧水流を施すことにより、短繊維ウエブ内の構成短繊維同士が三次元的に交絡するとともに、両表面層に存在する短繊維同士が長繊維ウエブを通して互いに絡む。
高圧水流は、例えば、孔径0.05〜2.0mmの噴射孔が、噴射孔間隔0.05〜10mmで、一列又は複数列配置されている噴射装置を用い、1.5〜30MPaの圧力で、噴射孔から水を噴射することによって得ることができる。
このようにして得られた高圧水流はウエブに衝突して、短繊維に運動エネルギーを与える。この運動エネルギーにより、短繊維ウエブ内の短繊維同士あるいは短繊維ウエブ間の短繊維同士が相互に交絡する。なお、一部の短繊維は、長繊維ウエブを構成する繊維と絡むこともある。
なお、この熱処理工程は、水流交絡後のシートの乾燥工程と兼ねてもよいし、次工程で行ってもよいが、次工程で行う場合、乾燥工程の熱処理温度は、長繊維ウエブの融点未満で行うことが好ましい。
熱処理工程後、温度が融点以下に降下した長繊維ウエブは固化して、溶融固化物となる。
上記のように、長繊維ウエブを構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度でシートを熱処理することにより、長繊維ウエブは溶融し、次いで固化することにより、短繊維不織布Aと短繊維不織布Bとの間に、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物が積層されてなる積層不織布を得ることができる。
さらに、本発明の積層不織布は、中間層の長繊維ウエブの溶融固化物が熱可塑性樹脂により構成されているため、熱エンボス加工や超音波加工等を施すことによって凹凸を付与することができるので、表面に任意の模様を付与することができる。特に両表面に積層する短繊維不織布として木綿等の天然繊維や再生繊維を用いた場合は、人体に接触する不織布表面に、熱可塑性樹脂が存在しないため、これらの加工によって風合いを損ねることがない。本発明の積層不織布は任意の模様が付与できるため、これを用いて、洗顔用シート、ボディ用シート、メイク落とし用シート等として視覚的に美観を有するものを得ることができる。
JIS L 1906 単位面積当たりの質量に記載の方法に基づき測定した。
パーキンエルマ社製の示差走査熱量計DSC−7型を用い、昇温速度を10℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)とした。
ウエブの状態における繊維径を50本顕微鏡にて測定し、密度補正して求めた繊度の平均値を繊度(デシテックス)とした。
下記ウェット状態またはドライ状態とした積層不織布の試料(10×10cm)を用意した。成人男性5名と成人女性5名とに、試料の短繊維不織布Aの面または短繊維不織布Bの面で、自分の腕を拭いてもらい、その拭き心地を下記5段階で評価した。
5:10人以下8人以上がゴシゴシ感があると感じた。
4:7人以下5人以上がゴシゴシ感があると感じた。
3:4人以下3人以上がゴシゴシ感があると感じた。
2:2人以下1人以上がゴシゴシ感があると感じた。
1:誰もゴシゴシ感があると感じなかった。
ウェット状態:実施例1、2、比較例1〜3にて得られた積層不織布を10cm×10cmの大きさに裁断した試料を純水500mLが入った1Lビーカーに入れ、水分を吸わせた後、手で軽く絞った状態。
ドライ状態:実施例1、2、比較例1〜3にて得られた積層不織布を10cm×10cmの大きさに裁断した試料を1時間、25℃、65RH%下で置いた状態。
上記同様、ウェット状態またはドライ状態とした積層不織布の試料(10×10cm)を用意した。成人男性5名と成人女性5名とに、試料の短繊維不織布Aの面または短繊維不織布Bの面を体にあて、その上に手をおいて体を拭いてもらい、手とそれに接する試料面(体を拭く不織布面の反対側の試料面)とのすべり具合を下記5段階で評価した。
5:10人以下8人以上がすべりづらいと感じた。
4:7人以下5人以上がすべりづらいと感じた。
3:4人以下3人以上がすべりづらいと感じた。
2:2人以下1人以上がすべりづらいと感じた。
1:すべての人がすべりやすいと感じた。
熱可塑性樹脂として、共重合ポリエステル樹脂(テレフタル酸:1,6−ヘキサンジオール:1,4−ブタンジオール=100:85:15(モル比)、融点140℃)を用い、長繊維ウエブとして、7デシテックス、目付30g/m2の長繊維不織布(スパンボンド不織布)を作成した。
一方、短繊維として、木綿の晒し綿を用い、パラレルカード機にて短繊維ウエブAとして、目付50g/m2の不織ウエブを作成し、また、短繊維ウエブBとして、目付15g/m2の不織ウエブを作成した。
次いで、短繊維ウエブA/長繊維ウエブ/短繊維ウエブBとなるように積層し、この3層構造の積層物を100メッシュの金網上に積載した。
孔径0.1mmの噴射孔が孔間隔0.6mmで配置された高圧液体流処理機を用いて、短繊維ウエブA側より、40kg/cm2の水圧で1回、60kg/cm2の水圧で1回、また、短繊維ウエブB側より、60kg/cm2の水圧で1回、前記3層構造の積層物に液体流を噴射して、高圧液体流処理を施し、積層物を一体化した。その後、得られたシートの過剰な水分の除去のため、120℃で乾燥処理を施した。
次いで、乾燥処理を施したシートを、150℃で1分間熱処理を行い、本発明の積層不織布を得た。得られた積層不織布の評価結果を表1に示す。
短繊維ウエブAの目付を30g/m2とした以外は実施例1と同様の条件で、積層不織布を得た。得られた積層不織布の評価結果を表1に示す。
短繊維ウエブAと、長繊維ウエブとを用いて、短繊維ウエブA/長繊維ウエブとなるように積層し、この2層構造の積層物を100メッシュの金網上に積載し、また、高圧液体流処理を、短繊維ウエブA側より、40kg/cm2の水圧で1回、60kg/cm2の水圧で2回行った以外は実施例2の同様の条件で、積層不織布を得た。得られた積層不織布の評価結果を表1に示す。
短繊維として、木綿の晒し綿を用い、パラレルカード機にて目付50g/m2の短繊維ウエブを作成した。
得られた短繊維ウエブを100メッシュの金網上に積載し、40kg/cm2の水圧で1回、60kg/cm2の水圧で2回、前記短繊維ウエブに液体流を噴射して、高圧液体流処理を施した。得られた不織布の過剰な水分の除去のため、120℃で乾燥処理を施した。その後、150℃で1分間熱処理を行った。得られた不織布の評価結果を表1に示す。
短繊維として、木綿の晒し綿と、ポリエステル繊維(融点256℃、2.2デシテックス、38mm)とを用い、70:30となるように混合し、パラレルカード機にて目付50g/m2の短繊維ウエブを作成した。
得られた短繊維ウエブを用いた以外は、比較例2と同様の条件で、不織布を得た。得られた不織布の評価結果を表1に示す。
比較例1の積層不織布は、一方の表面に長繊維ウエブの溶融固化物が現れているため、この表面は、すべりにくいものであったが、肌に触れる用途のワイパーとして使用することができず、またアレルギーがある人は使用できないものであった。
比較例2の不織布は、柔らかい拭き心地ではあるものの、ゴシゴシ感は得られなかった。
比較例3の不織布は、比較例2のものよりも強い拭き心地ではあったが、実施例のものと比較すると、ゴシゴシ感は得られなかった。また、この不織布は、皮膚に触れる所に合成繊維があるので、アレルギーがある人は使用できないものであった。
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物が、短繊維不織布Aと短繊維不織布Bとの間に積層されてなることを特徴とする積層不織布。
- 長繊維ウエブを構成する熱可塑性樹脂の融点が200℃以下であることを特徴とする請求項1記載の積層不織布。
- 熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物の目付が10〜50g/m2であることを特徴とする請求項1または2記載の積層不織布。
- 短繊維不織布Aおよび/または短繊維不織布Bを構成する短繊維が木綿であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層不織布。
- 短繊維不織布Aと短繊維不織布Bの目付が、それぞれ10〜150g/m2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層不織布。
- 短繊維不織布Aの目付が、短繊維不織布Bの目付の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層不織布。
- 請求項1記載の積層不織布を製造するための方法であって、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの一方の表面に短繊維ウエブAを積層し、もう一方の表面に短繊維ウエブBを積層し、高圧液体流を用いた繊維同士の交絡処理によりこれらを一体化した後、得られたシートを、長繊維ウエブを構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱処理して、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブを溶融した後、固化することにより、熱可塑性樹脂からなる長繊維ウエブの溶融固化物を、短繊維ウエブAから形成された短繊維不織布Aと、短繊維ウエブBから形成された短繊維不織布Bとの間に積層することを特徴とする積層不織布の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の積層不織布を用いたことを特徴とする洗顔用シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の積層不織布を用いたことを特徴とするボディ用シート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の積層不織布を用いたことを特徴とするメイク落とし用シート。
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