JP2014009258A - 近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性組成物 - Google Patents

近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】近赤外線吸収能に優れた近赤外線吸収剤、近赤外線吸収性組成物、また樹脂本来の物性が損なわれていない近赤外線吸収性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】特定式で表されるフタロシアニン化合物からなる近赤外線吸収剤。近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性組成物は、そのまま、或いはバインダー樹脂や添加剤とともに、紙、プラスチックシート、プラスチック、フィルム、ガラス、樹脂等に塗布又は混練したり、コーティングしたり、モノマーとの混合物を重合させることにより、近赤外線吸収材料として種々の用途に使用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線吸収剤、これを含有する近赤外線吸収性組成物、および近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。詳しくは、近赤外領域に吸収を有し、レーザー光を利用した情報記録材料や、近赤外線吸収能(又は熱線吸収能)を要求される各種用途に有用な、近赤外線吸収剤、近赤外線吸収性組成物、近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。
近年、近赤外線を吸収する近赤外線吸収材(熱線遮蔽材)の各種用途が提案され、より性能のよいものが強く要望されている。
例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の材料が、建物あるいは自動車等の乗り物の窓、天井窓、扉あるいは天井ドーム等のいわゆるグレージング用途に用いられてきており、可視光を十分に取り入れながら、室内の温度の上昇を抑制できるものが望まれている。
また、植物の栽培において、温室やビニルハウスが農作物の収穫内容の改善あるいは収穫時期を変える目的等のために盛んに用いられており、植物の生育に必要な可視光線の透過を実質的に阻止することなく効果的に熱線を遮蔽するフィルムが望まれている。
また、磁気テープ等の情報記録媒体の記録・再生を行う電気製品の駆動あるいは停止に近赤外線を用いている場合が多くあるが、このような電気製品においては、外部からの近赤外線の遮蔽が必要である。
また、プラズマディスプレーから出る近赤外線光が、コードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等の周辺にある電子機器に作用し、誤動作を起こす問題が生じている。そのため、近赤外線吸収効果を奏するプラズマディスプレー用フィルターが望まれている。
さらに最近は、バーコード等の情報信号の読みとりを、誤動作防止やセキュリティを目的としたり、バーコードなどの印刷物を目立たなくする目的で近赤外光により行うことが増加しており、これらに近赤外線吸収インク等が用いられている。
これらの用途に使用される近赤外線吸収材には、従来、近赤外線を吸収する近赤外線吸収色素が用いられており、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、スクアリリウム系色素、ポルフィリン系色素、金属ジチオール錯体系色素、ジイモニウム系色素、無機酸化物粒子等が使用されている(特許文献1)。
しかしながら、これら近赤外線吸収色素を近赤外線吸収材として使用する場合、熱可塑性樹脂等の合成樹脂と組み合わせて使用することが多く、その場合、樹脂との相溶性に問題があったり、可視光線の領域に吸収波長を有し樹脂の透明性を損なったり、その他にも樹脂の物性を損なったりする場合が多かった。また、吸収スペクトル幅が狭く近赤外光の遮断効果が不十分であり、その近赤外線吸収能も満足のいくものではなかった。特に近赤外光領域を効率的に吸収するものが望まれていた。
一方、特許文献2に記載されている化合物は、フタロシアニンを構成する環に、アルコキシ基が必須ではなく、その用途も画像形成用トナーであるため、本発明の知見を得ることはできない。
特開2010−197305号公報 特開2007−316255号公報
従って、本発明の目的は、近赤外線吸収能に優れた近赤外線吸収剤、近赤外線吸収性組成物、また樹脂本来の物性が損なわれていない近赤外線吸収性樹脂組成物を提供すること、また、近赤外線吸収能に優れた近赤外線吸収材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のフタロシアニン化合物を含む組成物に着目し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の近赤外線吸収剤は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物からなることを特徴とするものである。
Figure 2014009258
(一般式(1)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子又はオキシ金属原子を表し、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、Aa、Ab、Ac及びAdは、それぞれ独立に、下記一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)で表される環状構造を表す。但し、Aa、Ab、Ac及びAdのうち、少なくとも一つは一般式(4)の環状構造であり、かつすべてが一般式(4)の環状構造であることはない。)
Figure 2014009258
(一般式(2)中、R〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
Figure 2014009258
(一般式(3)中、R13〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
Figure 2014009258
(一般式(4)中、R16〜R21は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
本発明の近赤外線吸収性組成物は、上記近赤外線吸収剤を1種以上含有することを特徴とするものである。
本発明の近赤外線吸収材料は、上記近赤外線吸収剤を1種以上含有することを特徴とするものである。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、上記近赤外線吸収剤及び合成樹脂を含有することを特徴とするものである。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の合計の含有量が、上記合成樹脂100質量部に対して、0.0005〜20質量部であることが好ましい。本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、上記合成樹脂が熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収材は、上記近赤外線吸収性樹脂組成物を成形してなることを特徴とするものである。
本発明によれば、近赤外線吸収能に優れた近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性組成物を提供することができる。また樹脂本来の物性が損なわれていない近赤外線吸収性樹脂組成物を提供することができる。また、該近赤外線吸収性樹脂組成物を成形して得られ、近赤外線吸収能に優れ、樹脂本来の物性に優れた近赤外線吸収材を提供することができる。
合成例1で得られた組成物のNMRチャート図である。 合成例2で得られた組成物のNMRチャート図である。 合成例3で得られた組成物のNMRチャート図である。 合成例1〜3および比較合成例1で得られた組成物の吸収スペクトル図である。 合成例4および5で得られた組成物の吸収スペクトル図である。 実施例1の試験片の吸収スペクトル図である。
以下、本発明について詳述する。
先ず、本発明の近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性組成物について説明する。本発明の近赤外線吸収剤は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物からなることを特徴とするものである。本発明の近赤外線吸収性組成物は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の1種以上を含有する。
Figure 2014009258
(一般式(1)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子又はオキシ金属原子を表し、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、Aa、Ab、Ac及びAdは、それぞれ独立に、下記一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)で表される環状構造を表す。但し、Aa、Ab、Ac及びAdのうち、少なくとも一つは一般式(4)の環状構造であり、かつすべてが一般式(4)の環状構造であることはない。)
Figure 2014009258
(一般式(2)中、R〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
Figure 2014009258
(一般式(3)中、R13〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
Figure 2014009258
(一般式(4)中、R16〜R21は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
一般式(1)において、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子またはオキシ金属原子を表す。
2価の金属原子としては、例えばCu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Mg、Ti、Be、Ca、Ba、Cd、Hg、Pb、Snなどが挙げられる。
3価の置換金属原子としては、例えばAlCl、AlBr、AlF、AlI、GaCl、GaF、GaI、GaBr、InCl、InBr、InI、InF、TlCl、TlBr、TlI、TlF、FeCl、RuCl、Al−C、Al−C(CH)、In−C、In−C(CH)、In−C、Al(OH)、Mn(OH)、Mn(OC)、Mn〔OSi(CH〕などの1置換の3価金属原子が挙げられる。
4価の置換原子としては、例えばCrCl、SiCl、SiBr、SiF、SiI、ZrCl、GeCl、GeBr、GeI、GeF、SnCl、SnBr、SnF、TiCl、TiBr、TiF、Si(OH)、Ge(OH)、Zr(OH)、Mn(OH)、Sn(OH)、TiR、CrR、SiR、SnR、GeR(但し、Rは、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を示す。)、Si(OR’)、Sn(OR’)、Ge(OR’)、Ti(OR’)、Cr(OR’)(但し、R’は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基またはこれらの誘導体を示す。)、Sn(SR”)、Ge(SR”)(但し、R”は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基またはこれらの誘導体を示す。)などの2置換の4価原子が挙げられる。
オキシ金属としては、例えばVO、MnO、TiOなどが挙げられる。
これらの中で好ましいMは、赤外線吸収能、安定性の点から、2個の水素原子、2価のCu、Ni、VOである。
一般式(1)において、R〜Rで表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基の例を挙げると、非置換の炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−アミル、1,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、1,3−ジメチルブチル、1−イソプロピルプロピル、1,2−ジメチルブチル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、1,4−ジメチルペンチル、tert−ヘプチル、2−メチル−1−イソプロピルプロピル、1−エチル−3−メチルブチル、n−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、2−メチルヘキシル、2−プロピルヘキシル、n−ノニル、イソノニル、n−デシル、イソデシル、n−ウンデシル、イソウンデシル、n−ドデシル、イソドデシル、n−トリデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、イソテトラデシル、n−ペンタデシル、イソペンタデシル、n−ヘキサデシル、イソヘキサデシル、n−ヘプタデシル、イソヘプタデシル、n−オクタデシル、イソオクタデシル、n−ノナデシル、イソノナデシル、n−イコシル、イソイコシル等が挙げられる。
また、一般式(1)において、R〜Rで表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等が挙げられる。
また、一般式(1)において、R〜Rで表される置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基の例としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、スチリル、シンナミル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル等が挙げられる。
また、一般式(1)において、R〜Rで表される置換基を有してもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、4−メチルシクロヘキシル等が挙げられる。
〜Rで表される、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基の、該置換基としては以下のものが挙げられる。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、tert−アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、tert−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、tert−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、tert−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、tert−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、tert−アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、tert−ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、tert−オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の複素環基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウリロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は、塩を形成していてもよい。尚、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数5〜12のシクロアルキル基が、炭素原子を含む置換基を有する場合は、該置換基に含まれる炭素原子も含めた炭素原子数がそれぞれ規定された範囲内となるようにする。
〜Rは、近赤外線吸収能、安定性の点から、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20アルキル基が好ましく、非置換の炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましい。
一般式(2)において、R〜R12で表されるハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
一般式(2)において、R〜R12で表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のアルキル基が挙げられる。
一般式(2)において、R〜R12で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基の例としては、上記で例示したものと同様のアリール基が挙げられる。
一般式(2)において、R〜R12で表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、上記で例示したものと同様のアルキル基に対応するアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、1,2−ジメチル−プロポキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、1,3−ジメチルブトキシ、1−イソプロピルプロポキシ等が挙げられる。この場合の置換基は前記したものが挙げられる。
一般式(2)において、R〜R12で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の例としては、上記で例示したものと同様のアリール基に対応するアリールオキシ基が挙げられ、具体的には、フェノキシ、ナフトキシ等が挙げられる。この場合の置換基は前記したものが挙げられる。
一般式(2)において、R〜R12で表される置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のアリールアルキル基が挙げられる。
一般式(2)において、R〜R12で表される置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のシクロアルキル基が挙げられる。
〜R12は、赤外線吸収能、安定性の点から、水素原子、ハロゲン原子または非置換の炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。
一般式(3)において、R13〜R15で表されるハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R15で表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のアルキル基が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R15で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基の例としては、上記で例示したものと同様のアリール基が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R15で表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、上記で例示したものと同様のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R15で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の例としては、上記で例示したものと同様のアリールオキシ基が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R15で表される置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のアリールアルキル基が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R15で表される置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のシクロアルキル基が挙げられる。
13〜R15は、赤外線吸収能、安定性の点から、水素原子、ハロゲン原子または非置換の炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。
一般式(4)において、R16〜R21で表されるハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
一般式(4)において、R16〜R21で表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のアルキル基が挙げられる。
一般式(4)において、R16〜R21で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基の例としては、上記で例示したものと同様のアリール基が挙げられる。
一般式(4)において、R16〜R21で表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、上記で例示したものと同様のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(4)において、R16〜R21で表される置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の例としては、上記で例示したものと同様のアリールオキシ基が挙げられる。
一般式(4)において、R16〜R21で表される置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のアリールアルキル基が挙げられる。
一般式(4)において、R16〜R21で表される置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基の例としては、上記で例示したものと同様のシクロアルキル基が挙げられる。
16〜R21は、赤外線吸収能、安定性の点から、水素原子、ハロゲン原子または非置換の炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物に含まれる上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の具体例としては、下記の化合物No.1〜No.46が挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。なお、Buはブチル基、Meはメチル基である。
Figure 2014009258
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Figure 2014009258
上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物は、従来公知の反応を応用して製造することができる。例えば、下記一般式(5)または一般式(6)で表される一種以上のジシアノナフタレン化合物と下記一般式(7)で表される一種以上のジシアノアントラセン化合物を原料として、フタロシアニン化合物を常法により合成すればよい。
また、原料である、一般式(5)、一般式(6)で表されるジシアノナフタレン化合物と一般式(7)のジシアノアントラセン化合物の比率を変えることで、一般式(1)で表される化合物を、同時に一種以上合成することも可能であり、その混合物を、本発明の近赤外線吸収性組成物として用いることも好ましい。
Figure 2014009258
一般式(5)中、Rは前記一般式(1)のR、R、R、R、R、R、R、Rのいずれかに対応し、Rは前記一般式(1)のR、R、R、R、R、R、R、Rのいずれかに対応し、R、R10、R11、R12は前記一般式(2)と対応する。
Figure 2014009258
一般式(6)中、Rは前記一般式(1)のR、R、R、R、R、R、R、Rのいずれかに対応し、Rは前記一般式(1)のR、R、R、R、R、R、R、Rのいずれかに対応し、R13、R14、R15は前記一般式(3)と対応する。
Figure 2014009258
一般式(7)中、Rは前記一般式(1)のR、R、R、R、R、R、R、Rのいずれかに対応し、Rは前記一般式(1)のR、R、R、R、R、R、R、Rのいずれかに対応し、R16、R17、R18、R19、R20、R21は前記一般式(4)と対応する。
本発明の近赤外線吸収剤および近赤外線吸収性組成物は、そのまま、或いはバインダー樹脂や添加剤とともに、紙、プラスチックシート、プラスチック、フィルム、ガラス、樹脂等に塗布又は混練したり、コーティングしたり、モノマーとの混合物を重合させることにより、近赤外線吸収材料として種々の用途に使用できる。
特に、本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を、樹脂に混合または分散等したものが近赤外線吸収性樹脂組成物に好ましく用いられる。近赤外線吸収性樹脂組成物は、樹脂ガラス、自動車内外装材、グレージング用途、近赤外線吸収フィルター、プラズマディスプレー用フィルター、農業用フィルム、熱線遮蔽フィルム、偽造防止用の印刷インク、受光素子等の近赤外線吸収材として使用できる。
本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を用いて近赤外線吸収材料を作る方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下の3つの方法が利用できる。
(1)本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を樹脂に配合、混練して近赤外線吸収性樹脂組成物とし、加熱成形して樹脂板等の成形品或いはフィルムを作製する方法。
(2)本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を含有する塗料またはコーティング液を作製し、(透明)樹脂板、(透明)フィルム、或いは(透明)ガラス板上にコーティングする方法。
(3)本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する方法。
まず、樹脂に、本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を配合し、混練、加熱成形する(1)の方法において、樹脂材料としては、樹脂板または樹脂フィルムにした場合にできるだけ透明性の高いものが好ましい。具体例としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンとノルボルネン等のシクロオレフィンとの共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等ビニル化合物及びビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む化合物、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来るが、これらの樹脂に限定されるものではない。
作製方法としては用いるベース樹脂によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、通常、近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を、ベース樹脂の粉体或いはペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後成形して樹脂板等を作製、或いは押し出し機によりフィルム化するか、或いは押し出し機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸乃至は2軸に延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方法で得られる。なお、混練する際に紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤等の通常の樹脂成型に用いる添加剤の他、色調をコントロールするための染料、顔料あるいは、その他の近赤外線吸収化合物を加えてもよい。近赤外線吸収化合物の添加量は、作製する樹脂の厚み、目的の吸収強度、目的の近赤外線透過率、目的の日射透過率、目的の可視透過率等によって異なるが、通常1ppm〜10%である。
塗料化後、コーティングする(2)の方法においては、本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法と、近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物をバインダー樹脂及び水系溶媒に溶解または分散させて水系塗料とする方法がある。
前者の方法は、通常、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂をバインダーとして用いる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いる。近赤外線吸収性組成物の濃度はコーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の近赤外線透過率、目的の日射透過率、目的の可視透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して通常0.1〜100重量%である。また、バインダー樹脂濃度は塗料全体に対して通常1〜50重量%である。
後者の場合は、水系バインダー樹脂に、近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を溶解または分散させる方法、近赤外線吸収性組成物を数μm以下に微粒化し、水系溶媒中に、必要に応じて乳化剤を用いて、エマルジョンにして分散させる方法などがある。
水系バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコールまたはその変性物、ポリアクリル酸またはその共重合物、セルロースまたはその変性物などが挙げられる。水系溶媒としては、水または、水にメチルアルコールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどのエーテルを加えたものなどが挙げられる。
また、エマルジョンの例としては、アクリルエマルジョン中に分散したアクリルエマルジョン系水系塗料など、未着色のアクリルエマルジョン塗料に近赤外線吸収性組成物を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させたもの挙げられる。
塗料中には紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の通常塗料に用いるような添加物の他に、色調をコントロールするための染料、顔料、あるいはその他の近赤外線吸収化合物を加えてもよい。上記の方法で作製した塗料は透明樹脂フィルム、透明樹脂、透明ガラス等の上にバーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、リップコーター、カーテンコーター、ロールコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等でコーティングして近赤外線吸収材料を作製する。コーティング面を保護するために保護層を設けたり、透明樹脂板、透明樹脂フィルム等コーティング面に貼り合わせることもできる。またキャストフィルムも本方法に含まれる。
近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する(3)の方法においては、接着剤としては一般的なシリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用、或いは合わせガラス用のポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等の合わせガラス用の公知の透明接着剤が使用できる。近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物を0.1〜50重量%添加した接着剤を用いて樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を接着して近赤外線吸収材料を作製する。また熱圧着する方法もある。
本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物は、特に近赤外線吸収性樹脂組成物として使用することが好ましい。次に、本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物に用いる合成樹脂について説明する。
本発明に使用できる合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレンとノルボルネン等のシクロオレフィンとの共重合体等のポリオレフィン系樹脂及びこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、SBS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステル及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物を挙げることができる。
更に、熱可塑性樹脂は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーであってもよい。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
更に合成樹脂の例を挙げると、シリコーンゴムポリエーテルスルホン、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等を挙げることができる。
本発明ではこれらの合成樹脂を単独で使用してもよく2種以上使用してもよい。また合成樹脂はアロイ化されていてもよい。
これらの合成樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に拘わらず使用することができる。
合成樹脂の中でも、上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の相溶性と加工性の点から、熱可塑性樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂の中でも特に、透明性と近赤外線吸収性から、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物中、上記一般式(1)のフタロシアニン化合物の合計の含有量は、上記合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.01〜10質量部、最も好ましくは0.1〜5質量部である。
一般式(1)のフタロシアニン化合物の合計の含有量が0.001質量部未満であると、十分な近赤外線吸収能が達成できなくなる可能性があり、逆に20質量部を超えると、使用量に見合う効果が得られず経済的でない上、可視領域での透明性が損なわれる可能性がある。
本発明の近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物の合成樹脂への配合方法は、常法に従えばよく、特に限定されない。例えば合成樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合は、通常熱可塑性樹脂に各種添加剤を配合する場合に使用されている任意の方法を用いることができ、例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練りこみして配合すればよい。
また各種溶媒中に、近赤外線吸収剤または近赤外線吸収性組成物と上記合成樹脂を溶解又は分散して近赤外線吸収性樹脂組成物溶液を配合し使用してもよい。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の合成樹脂に使用される添加剤を配合し、安定化してもよい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部が用いられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜30質量部、より好ましくは0.05〜10質量部が用いられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜30質量部、より好ましくは0.05〜10質量部が用いられる。
さらに本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、必要に応じて、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の造核剤、帯電防止剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、充填剤、顔料、滑剤、発泡剤等の合成樹脂に通常配合される添加剤を添加してもよい。
上記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメランミン等が挙げられる。
上記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記リン酸エステル系難燃剤の例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
上記縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
上記(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
上記その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイト等の無機化合物、及びその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等の種々の市販品を用いることができる。
上記その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
その他、本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物に、本発明の近赤外線吸収性組成物及び上記合成樹脂以外の任意の添加剤を配合する場合、その配合量は添加剤の種類等に応じて適宜選択することができるが、本発明の効果を損なわない観点から、好ましくは合成樹脂100質量部に対し合計で20質量部以下とする。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、成形することにより、近赤外線吸収材としての成形体とすることができる。成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
また、本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物を、各種溶剤に溶解しキャストフィルムを作成することで、近赤外線吸収材として、近赤外線吸収フィルムを作成することができる。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物により得られる近赤外線吸収材は、近赤外線吸収能に優れる。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物及び近赤外線吸収材は、光カード、有機光導電体、レーザー熱転写記録材料、レーザー感熱記録材料、レーザーダイレクト製版用材料等の光情報記録材料;プラズマディスプレー用フィルター、薄型ディスプレー用光学フィルター、光半導体素子用光学フィルター等の近赤外線吸収を目的とした各種光学フィルター;熱線遮蔽材、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽樹脂ガラス;保温蓄熱繊維;保護眼鏡、農業用フィルム、自動車内外装材、シート、その他各種樹脂成形体;シークレットインク、コーティング材、太陽電池用部材等の近赤外線吸収能(熱線吸収能)を必要とされる各種用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例等により、さらに具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%及びppmは特に記載が無い限り質量基準である。
〔合成例1〕
<一般式(2)の環状構造:一般式(4)の環状構造=1:1のフタロシアニン化合物の合成>
10mlナス型フラスコに1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノアントラセン0.5g、1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノナフタレン0.44g、ナトリウムメトキシド0.15g、n−ブタノール1.8mlを加え、窒素雰囲気下135℃で6時間反応させた。冷却後、メタノールを加え析出物を濾過し、クロロホルムで精製しフタロシアニン化合物の組成物0.45g(収率50%)を得た。
得られた組成物のNMRを測定したところ、一般式(2)の環状構造と一般式(4)の環状構造が1:1で含まれていることを確認した。(NMRチャートを図1に示す)
また、得られた組成物のクロロホルム溶液の吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670で行った。吸収スペクトルを図4に示す。最大吸収波長λmax=912nmで、モル吸光係数ε=1.8×10cm−1 mol−1であった。
〔合成例2〕
<一般式(2)の環状構造:一般式(4)の環状構造=1:3の化合物の合成>
10mlナス型フラスコに1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノアントラセン0.5g、1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノナフタレン0.145g、ナトリウムメトキシド0.1g、n−ブタノール1.4mlを加え、窒素雰囲気下135℃で6時間反応させた。冷却後、メタノールを加え析出物を濾過し、クロロホルムで精製しフタロシアニン化合物の組成物0.33g(収率51%)を得た。
得られた組成物のNMRを測定したところ、一般式(2)の環状構造と一般式(4)の環状構造が1:3で含まれていることを確認した。(NMRチャートを図2に示す)
また、得られた組成物のクロロホルム溶液の吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670で行った。吸収スペクトルを図4に示す。最大吸収波長λmax=943nmで、モル吸光係数ε=1.8×10cm−1 mol−1であった。
〔合成例3〕
<一般式(2)の環状構造:一般式(4)の環状構造=1:6の化合物の合成>
10mlナス型フラスコに1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノアントラセン0.7g、1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノナフタレン0.1g、ナトリウムメトキシド0.12g、n−ブタノール1.4mlを加え、窒素雰囲気下135℃で6時間反応させた。冷却後、メタノールを加え析出物を濾過し、クロロホルムで精製しフタロシアニン化合物の組成物0.24g(収率31%)を得た。
得られた組成物のNMRを測定したところ、一般式(2)の環状構造と一般式(4)の環状構造が1:6で含まれていることを確認した。(NMRチャートを図3に示す)
また、得られた組成物のクロロホルム溶液の吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670で行った。吸収スペクトルを図4に示す。最大吸収波長λmax=950nmで、モル吸光係数ε=2.0×10cm−1 mol−1であった。
〔合成例4〕
<一般式(2)の環状構造:一般式(4)の環状構造=1:6の化合物への銅の導入>
10mlナス型フラスコに合成例3で得られたフタロシアニン化合物の混合物を0.3g、第二銅アセチルアセトナート0.07g、クロロベンゼン3mlを加え、窒素雰囲気下150℃で4時間撹拌した。冷却後、メタノールを加え、ろ別し、銅フタロシアニン化合物の組成物0.3g(収率96%)を得た。
得られた組成物のクロロホルム溶液の吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670で行った。吸収スペクトルを図5に示す。最大吸収波長λmax=893nmで、モル吸光係数ε=1.8×10cm−1 mol−1であった。
〔合成例5〕
<一般式(2)の環状構造:一般式(4)の環状構造=1:6の化合物ナフタレン:アントラセン=1:6の化合物へのニッケルの導入>
10mlナス型フラスコに合成例3で得られたフタロシアニン化合物の混合物を0.3g、ニッケルアセチルアセトナート0.07g、クロロベンゼン3mlを加え、窒素雰囲気下150℃で4時間撹拌した。冷却後、メタノールを加え、ろ別し、ニッケルフタロシアニン化合物の組成物0.3g(収率96%)を得た。
得られた組成物のクロロホルム溶液の吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670で行った。吸収スペクトルを図5に示す。最大吸収波長λmax=899nmで、モル吸光係数ε=1.8×10cm−1 mol−1であった。
〔合成例6〕
<一般式(3)の環状構造:一般式(4)の環状構造=1:1のフタロシアニン化合物の合成>
10mlナス型フラスコに1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノアントラセン0.3g、1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノ−5−キノリン0.26g、ナトリウムメトキシド0.09g、n−ブタノール1.4mlを加え、窒素雰囲気下135℃で6時間反応させた。冷却後、メタノールを加え析出物を濾過し、フタロシアニン化合物の組成物0.25g(収率41%)を得た。
得られた組成物のNMRを測定したところ、一般式(3)の環状構造と一般式(4)の環状構造が1:1で含まれていることを確認した。
[比較合成例1]
<オクタブトキシナフタロシアニンH2の合成>
10mlナス型フラスコに1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノナフタレン1g、ナトリウムメトキシド0.17g、n−ブタノール1.5mlを加え、窒素雰囲気下135℃で6時間反応させた。冷却後、メタノールを加え析出物を濾過し、クロロホルムで精製し目的化合物0.3g(収率30%)を得た。また、得られた化合物のクロロホルム溶液の吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670で行った。吸収スペクトルを図4に示す。最大吸収波長λmax=869nmであった。
[比較合成例2]
<オクタブトキシアントラセンアザポルフィリンH2の合成>
10mlナス型フラスコに1,4−ジブトキシ−2,3−ジシアノアントラセン1g、ナトリウムメトキシド0.15g、n−ブタノール1.5mlを加え、窒素雰囲気下135℃で6時間反応させた。冷却後、メタノールを加え析出物を濾過し、クロロホルムで精製し黄色粉末を得たが、この粉末は近赤外線に吸収をもたず、オクタブトキシアントラセンアザポルフィリンH2は合成できていなことが確認された。
〔実施例1〕
<近赤外線吸収性樹脂組成物及び、近赤外線吸収材の製造>
シクロオレフィンコポリマーTOPAS(登録商標)(ノルボルネンとエチレンとの共重合体、ポリプラスチックス株式会社製)100質量部に対して、前記で得られた合成例3のフタロシアニン化合物の混合物を0.004質量部配合して近赤外線吸収性樹脂組成物を得た。該組成物を230℃で溶融混練し、射出成形し、10×10×2mmの近赤外線吸収材を得た。
得られた近赤外線吸収材の吸収スペクトルを測定した。測定は日本分光株式会社製V−670でエアーブランクにて行った。吸収スペクトルを図6に示す。極大吸収波長は955nmであり、その透過率は16%であった。
また、可視光(380nm〜750)の透過率をJISR3106に従い算出し、Haze値を測定した。いずれも結果を表1に示す。
〔比較例1〕
フタロシアニン化合物を配合しない以外は、実施例1と同様にして測定した。
Figure 2014009258

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物からなる近赤外線吸収剤。
    Figure 2014009258
    (一般式(1)中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子又はオキシ金属原子を表し、R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、Aa、Ab、Ac及びAdは、それぞれ独立に、下記一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)で表される環状構造を表す。但し、Aa、Ab、Ac及びAdのうち、少なくとも一つは一般式(4)の環状構造であり、かつすべてが一般式(4)の環状構造であることはない。)
    Figure 2014009258
    (一般式(2)中、R〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
    Figure 2014009258
    (一般式(3)中、R13〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
    Figure 2014009258
    (一般式(4)中、R16〜R21は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し、*位置で前記一般式(1)に結合する。)
  2. 請求項1記載の近赤外線吸収剤を1種以上含有することを特徴とする近赤外線吸収性組成物。
  3. 請求項1記載の近赤外線吸収剤を1種以上含有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
  4. 請求項1記載の近赤外線吸収剤及び合成樹脂を含有することを特徴とする近赤外線吸収性樹脂組成物。
  5. 上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物の合計の含有量が、上記合成樹脂100質量部に対して、0.0005〜20質量部である請求項4記載の近赤外線吸収性樹脂組成物。
  6. 上記合成樹脂が熱可塑性樹脂である請求項4又は5記載の近赤外線吸収性樹脂組成物。
  7. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の近赤外線吸収性樹脂組成物を成形してなる近赤外線吸収材。
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