JP2014009126A - ガラス基板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基板の作製工程において清澄管を加熱して脱泡処理を行うとき、清澄管が気相空間に向かって垂れ下がることを抑制する。
【解決手段】ガラス基板を製造するガラス基板の製造方法は、熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる工程と、前記熔融ガラスを白金製あるいは白金合金製の清澄管に供給して熔融ガラスの清澄を行う工程と、清澄後の熔融ガラスを成形してガラス基板を形成する工程と、を含む。前記清澄管では、前記熔融ガラスの流路上方に気相空間を有するように、前記熔融ガラスが流れる。前記清澄管には、前記清澄管の外壁面に前記清澄管の外方に煙突状に突出し、前記気相空間と外気とを連通させる通気管が設けられ、前記通気管には、前記清澄管のうち気相空間に接する部分が熱により前記気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための、清澄管形状変化抑止手段が設けられる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ガラス原料を熔融して生成させた熔融ガラスを成形することによりガラス基板を製造するガラス基板の製造方法及び製造装置に関する。
ガラス基板は、一般的に、ガラス原料から熔融ガラスを生成させた後、熔融ガラスをガラス基板へと成形する工程を経て製造される。上記の工程中に、熔融ガラスが内包する微小な気泡を除去する工程(以下、清澄ともいう)が含まれる。清澄は、清澄管を加熱しながら、この清澄管にAs等の清澄剤を配合させた熔融ガラスを通過させ、清澄剤の酸化還元反応により熔融ガラス中の泡が取り除かれることで行われる。より具体的には、粗溶解した熔融ガラスの温度をさらに上げて清澄剤を機能させ泡を浮上脱泡させた後、温度を下げることにより、脱泡しきれずに残った比較的小さな泡は熔融ガラスに吸収させるようにしている。すなわち、清澄は、泡を浮上脱泡させる処理(以下、脱泡処理という)および小泡を熔融ガラスへ吸収させる処理(以下、吸収処理という)を含む。脱泡処理では、清澄管に熔融ガラスを通過させる際に、清澄管の内部上方の表面と熔融ガラスの液面との間に一定の広さの脱泡用の気相空間を有する。
高温の熔融ガラスから高品質のガラス基板を量産するためには、ガラス基板の欠陥の要因となる異物等が、ガラス基板を製造するいずれの装置からも熔融ガラスへ混入しないよう考慮することが望まれる。このため、ガラス基板の製造過程において熔融ガラスに接する部材の内壁は、その部材に接する熔融ガラスの温度、要求されるガラス基板の品質等に応じ、適切な材料により構成する必要がある。たとえば、上述の清澄管を構成する管の材料は、通常白金または白金合金等の白金族金属が用いられていることが知られている(特許文献1)。白金または白金合金等は、高価ではあるが融点が高く、熔融ガラスに対する耐食性にも優れているので、清澄管に好適に用いられる。
脱泡処理時に清澄管を加熱する温度は、成形するべきガラス基板の組成によって相違するが、1000〜1650℃程度である。特に、環境負荷低減の観点から、清澄機能は高いが毒性の高いAsの代わりに、SnOやFe等が近年用いられるようになってきている。しかし、これらの清澄機能は、Asに比べて劣り、清澄機能を発揮する温度はAsに比べて高い。このため、脱泡処理時の熔融ガラスの温度は1500〜1650℃に設定される。
特表2006−522001号公報
このようなガラス基板の製造装置の清澄管は、長期間清澄工程を行うと、高温に長期間さらされるため、機械的強度が低下する。また、白金あるいは白金合金の一部が揮発して厚さが部分的に薄くなるので、さらに機械的強度が低下する。さらに、厚さが薄くなった部分では、清澄管を通電加熱するときの抵抗が高くなり加熱温度が部分的に高くなる。これにより、より一層強度が低下すると同時に、上記揮発が促進されるので、より一層厚さが薄くなり、強度が低下する。この強度の低下により、気相空間に接する箇所は、清澄管の内側の熔融ガラスから圧力を受けていないため、自重により垂れ下がり易くなる。
一方、脱泡処理により熔融ガラスから出た酸素等のガスを外気に排出するために、清澄管には気相空間と外気とを連通させる煙突状の通気管が設けられている。この通気管は、清澄管のうち、気相空間に接する箇所に接続されているため、この通気管の、清澄管と接続する接続部分に通気管の荷重がかかり、清澄管は通気管を中心として下方に垂れ下がり易い。
このような垂れ下がりによって、清澄管と清澄管の周りに設けられた耐火物部材との間に隙間ができ、この隙間に外部から空気が入り込み易くなる。この隙間に空気が入り込むと、隙間に接する清澄管の外壁面から白金や白金合金の揮発が促進される虞がある。
特に、通気管の部分における垂れ下がりは、熔融ガラスへの金属性異物の多量の混入を招く虞がある。具体的には、清澄管の気相空間に接した内壁面から揮発した白金あるいは白金合金が比較的低い温度を有する通気管の内壁面の周囲に接触して凝縮し固化して白金異物等の金属製異物が多数形成される。このため、通気管の周囲の内壁面が垂れ下がり熔融ガラス中に沈み込む場合、通気管の周囲の内壁面に形成された金属製異物が熔融ガラスに混入する可能性が高くなる。
また、通気管の沈み込みが大きくなると、清澄管の壁にかかる歪みも大きくなるため、厚さの薄くなった清澄管はますます壊れ易くなる。
そこで、本発明は、ガラス基板の作製工程において清澄管を加熱して脱泡処理を行うとき、清澄管が気相空間に向かって垂れ下がることを抑制することができるガラス基板の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ガラス基板を製造するガラス基板の製造方法である。当該ガラス基板の製造方法は、
熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる工程と、
前記熔融ガラスを白金製あるいは白金合金製の清澄管に供給して熔融ガラスの清澄を行う工程と、
清澄後の熔融ガラスを成形してガラス基板を形成する工程と、を含む。
前記清澄管では、前記熔融ガラスの流路上方に気相空間を有するように、前記熔融ガラスが流れる。
前記清澄管には、前記清澄管の外壁面に前記清澄管の外方に煙突状に突出し、前記気相空間と外気とを連通させる通気管が設けられる。
前記通気管には、前記清澄管のうち気相空間に接する部分が熱により前記気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための、清澄管形状変化抑止手段が設けられる。
このように、前記通気管には、前記清澄管のうち気相空間に接する部分が熱により前記気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための、清澄管形状変化抑止手段が設けられるので、前記清澄管を加熱して脱泡処理を行うとき、前記清澄管が気相空間に向かって垂れ下がることを抑制することができる。
その際、前記熔融ガラスは、清澄剤としてSnO2を含んでもよい。
従来より清澄剤として用いられてきたAs23等に比べてSnO2は毒性が少ないので、環境負荷低減の点から、清澄剤としてSnO2を用いることが好ましい。しかし、清澄剤として用いられてきたAs23等に比べて清澄機能が劣るSnO2の清澄機能を効果的に機能させるために、清澄管内の熔融ガラスの温度は従来よりも高温にする。このため、前記清澄管の垂れ下がりを抑制する効果は、熔融ガラスの温度を高温にするほど一層大きくなる。
前記熔融ガラスの102.5 poiseにおける温度は、1500℃以上であってもよい。
熔融ガラスの102.5 poiseにおける温度が1500℃以上である場合、熔融ガラスは、高温粘性が高いため、清澄工程における脱泡処理では熔融ガラスを高温にする。このため、前記清澄管の垂れ下がりを抑制する効果は、熔融ガラスの温度を高温にするほど一層大きくなる。
また、前記清澄管の外壁面の周りには、耐火物部材が設けられ、前記清澄管形状変化抑止手段は、耐火物部材に対して、前記通気管の位置を固定するストッパであることが好ましい。
前記ストッパは、前記耐火物部材に対して前記通気管の位置を固定するので、前記清澄管の垂れ下がることを確実に抑制することができる。
その際、前記ストッパは、前記通気管の外周面に設けられ前記外周面から突出した部材であり、前記部材が前記耐火物部材に固定されることが好ましい。
前記ストッパは、前記通気管の外周面に設けられ前記外周面から突出した部材であるので、前記耐火物部材に対して容易に固定することができる。
前記突起は、板部材であることが好ましい。
前記板部材は、前記通気管の外周面を取り巻く鍔部材であることが好ましい。この場合、前記鍔部材は、前記耐火物部材に引っ掛けられることで、前記耐火物部材に対して極めて容易に固定することができる。
本発明の他の一態様は、ガラス基板を製造するガラス基板の製造装置である。当該製造装置は、
熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる熔解槽と、
前記熔融ガラスを白金製あるいは白金合金製の清澄管に供給して熔融ガラスの清澄を行う清澄管と、
清澄後の熔融ガラスを成形してガラス基板を形成する成形装置と、を有する。
前記清澄管では、前記熔融ガラスの流路上方に気相空間を有するように、前記熔融ガラスが流れる。
前記清澄管には、前記清澄管の外壁面に前記清澄管の外方に煙突状に突出し、前記気相空間と外気とを連通させる通気管が設けられる。
前記通気管には、前記清澄管のうち気相空間に接する部分が熱により前記気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための、清澄管形状変化抑止手段が設けられる。
このように、前記通気管には、前記清澄管のうち気相空間に接する部分が熱により前記気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための、清澄管形状変化抑止手段が設けられるので、前記ガラス基板の製造装置は、前記清澄管を加熱して脱泡処理を行うとき、前記清澄管が気相空間に向かって垂れ下がることを抑制することができる。
上述の態様のガラス基板の製造方法によれば、清澄管が気相空間に向かって垂れ下がることを抑制することができる。
本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。 本実施形態における熔解工程〜切断工程を行う装置の一例を模式的に示す図である。 図2に示す装置のうち、熔解槽および清澄管の一例の概略図である。 図3に示す清澄管周りの装置構成を示す断面図である。 従来の清澄管の問題点を説明する図である。 本実施形態の通気管の変形例を示す図である。 本実施形態の通気管の変形例を示す図である。
以下、本実施形態のガラス基板の製造方法及び製造装置について説明する。図1は、本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。
ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス基板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程(ST1)は熔解槽で行われる。熔解工程では、熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面にガラス原料を投入することにより熔融ガラスを作る。さらに、熔解槽の内壁のうち、平面視で長方形の熔解槽の長手方向に向いてお互いに対向する内壁の一方の底部に設けられた流出口から後工程に向けて熔融ガラスを流す。
ここで、熔解槽中の熔融ガラスは熔解槽において電極を用いて通電加熱されることにより熔解槽中で所望の温度を有する熔融ガラスとなる。すなわち、熔解槽の熔融ガラスは、例えば、モリブデン、白金または酸化錫等で構成された少なくとも1対の電極間に電流を流して電極管の間に位置する溶融ガラスを通電加熱してもよい。また、通電加熱に加えて、バーナーによる火焔を補助的に与えてガラス原料を熔解してもよい。なお、ガラス原料には清澄剤が添加される。清澄剤については、環境負荷低減の点から、SnO2(酸化錫)が好適に用いられる。
清澄工程(ST2)は、少なくとも白金又は白金合金製の管を含む清澄管の内部で行われる。清澄工程では、清澄管内の熔融ガラスが昇温される。この過程で、清澄剤は、還元反応により酸素を放出し、後に酸素を吸収する物質となる。清澄剤の還元反応により生じたOの泡は、熔融ガラス中に含まれるCOあるいはSOを含んだ泡を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に浮上して破泡し消滅する。泡に含まれたガスは、清澄管に設けられた気相空間を通じて外気に放出される。
その後、清澄工程では、熔融ガラスの温度を低下させる。この過程で、清澄剤の還元反応により得られた還元剤が酸化反応をする。これにより、熔融ガラスに残存する泡中のO等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。
均質化工程(ST3)では、清澄管から延びる配管を通って供給された攪拌槽内の熔融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。これにより、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減することができる。なお、攪拌槽は1つ設けても、2つ設けてもよい。
供給工程(ST4)では、攪拌槽から延びる配管を通して熔融ガラスが成形装置に供給される。
成形装置では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスをシートガラスに成形し、シートガラスの流れを作る。成形は、オーバーフローダウンドロー法あるいはフロート法を用いることができる。後述する本実施形態では、オーバーフローダウンドロー法が用いられる。
徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置において、成形装置から供給されたシートガラスを所定の長さに切断することで、板状のガラス板を得る。切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。この後、ガラス基板の端面の研削、研磨が行われ、ガラス基板の洗浄が行われ、さらに、気泡やキズ等の異常欠陥の有無が検査された後、検査合格品のガラス板が最終製品として梱包される。
図2は、本実施形態における熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行う装置の一例を模式的に示す図である。当該装置は、図2に示すように、主に熔解装置100と、成形装置200と、切断装置300と、を有する。熔解装置100は、熔解槽101と、清澄管102と、攪拌槽103と、ガラス供給管104,105,106と、を有する。
図2に示す例の熔解槽(熔解装置)101は、ガラス原料の投入が原料投入機101dを用いて行われる。なお、本実施形態では、原料投入機101dとして、スクリューフィーダを用いてガラス原料の投入を行うが、バケットを用いてガラス原料の投入を行ってもよく、ガラス原料の投入方式は特に限定されない。清澄管102には、白金あるいは白金合金製の通気管102a(図3参照)が設けられている。清澄管102の内部では、熔融ガラスMGが液面を有するように気相空間が形成された状態で熔融ガラスMGを通過させる間、清澄管102に設けられた一対の電極板間に電流を流して清澄管102を通電加熱して熔融ガラスMGを気相空間に泡を放出させる脱泡処理を少なくとも行う。攪拌槽103は、スターラ103aによって熔融ガラスMGを攪拌して均質化する。
成形装置200は、成形体210を含み、清澄管102、攪拌槽103を通過した熔融ガラスMGを、成形体210を用いたオーバーフローダウンドロー法により、成形してガラスシートSGとする。さらに、成形装置200は、板厚偏差、歪、及び反りがガラスシートSGに生じないように、ガラスシートSGを徐冷する。
切断装置300は、徐冷したガラスシートSGを切断してガラス基板とする。
(清澄工程)
図3は、熔解槽および清澄管の一例の概略図である。
熔解槽101でつくられた熔融ガラスMGは、ガラス供給管104を通過中、ガラス供給管104によって加熱され、清澄管102に進入するとき、清澄剤の還元反応により酸素を放出する温度、例えば1650℃程度に加熱される。清澄管102には、外周面の頂部に、通気管102aと、吊り部材102c,102dが設けられている。通気管102aは、清澄管102の外壁面に清澄管102の外方に煙突状に突出しており、清澄管102内の気相空間と外気とを連通させる。
熔融ガラスMGが清澄管102に入ると、清澄剤の放出する酸素の泡が熔融ガラスMG内の泡を吸収して大きな泡となる。一方、高温となり低粘度となった熔融ガラスMGの中で、大きな泡は容易に液面に浮上して破泡する。この破泡により気相空間に放出されたガスは通気管102aを通して外気に放出される。
図4は、清澄管102とその周りの構成を示す図である。清澄管102には、アルミナセメント等を用いた耐火物保護層102gが設けられている。この耐火物保護層102gの外周に、耐火物レンガ102hが設けられている。耐火物レンガ102hは図示されない基台に載せられている。したがって、清澄管102は、耐火物レンガ102hによって下方から支持されている。
清澄管102の両端には、フランジ状の電極板102e,102fが設けられている。電極板102e,102fは、図示されない電源と接続されている。電極板102e,102fに電圧が印加されることにより、電極板102e及び電極板102fの間の清澄管102に電流が流れて通電加熱される。この通電加熱により、清澄管102の壁は、例えば1700℃程度に加熱される。この通電加熱により、清澄管102を流れる熔融ガラスMGは、脱泡に適した温度例えば1600〜1650℃程度に加熱される。
清澄管102の外周面に設けられる吊り部材102c,102dは、清澄管102の上方向に板状に延び、その途中で90度屈曲して清澄管102の長手方向に延在した形状、すなわちL字形状を成している。このL字形状の吊り部材102c,102dが、耐火物レンガ102hの上側の壁面に引っ掛けられている。耐火物レンガ102hは、基台上に積層されて、清澄管102を下方から支持するとともに、清澄管102の外周面を覆うように設けられている。したがって、この耐火物レンガ102hに引っ掛けられた吊り部材102c,102dは、清澄管102を上方から支持するので、清澄管102が熱により剛性が低下し、自らの重みによって清澄管102の頂部が鉛直下方に垂れ下がることを抑制する。
さらに、清澄管102の通気管102aの外周面の、管の延在方向の途中には、鍔形状のストッパ102bが設けられている。ストッパ102bは、通気管102aの外周面から突出した部材であり、耐火物レンガ(耐火物部材)103に固定されている。すなわち、ストッパ102bは、清澄管102のうち気相空間に接する部分が熱により気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための清澄管形状変化抑止手段として機能する。図3,4に示すように、清澄管形状変化抑止手段は、通気管102aの外周面から突出した鍔部材であり、吊り部材102c,102dと同様に、耐火物レンガ(耐火物部材)103の壁面に引っ掛かるように固定される。本実施形態では、ストッパ102bが耐火物レンガ102hの壁面に引っ掛かるように固定されるが、固定の方法は、特に限定されない。例えば、通気管102aの外周表面が耐火物レンガ102hと接触する部分が微小な凹凸形状を成した構成も、清澄管形状変化抑止手段として機能する。通気管102aの耐火物レンガ102hと接触する部分を微小な凹凸形状とし、通気管102aと耐火物レンガ102hとの間の摩擦力を大きくする。これにより、通気管102aが耐火物レンガ102hに対して下方に滑ることを抑制できる。
図5は、通気管102aに清澄管形状変化抑止手段が設けられていない場合の清澄管202の垂れ下がりによる変形状態の一例を示す図である。上述した吊り部材102c,102dが清澄管202で支持されているとしても、清澄管202の通気管202aが設けられている部分は、通気管202aの荷重を受け、清澄管202は、図5に示すように、通気管202aとともに下方に垂れ下がり易い。この垂れ下がりによって、清澄管202の壁面の歪みは大きくなり、高温状態で機械的強度が低下した壁がより破壊され易くなる。しかも、清澄管202と耐火物レンガとの間に隙間ができると、この隙間に外部から清澄管202の両端部を通って空気が入り込み易くなり、空気が入り込むと、この隙間に接する清澄管202の外壁面から白金や白金合金の揮発が促進され易くなる。このため、ますます、清澄管202の厚さは薄くなり清澄管202の機械的強度は低下する。
本実施形態のストッパ102bは、この垂れ下がりを抑制するために、耐火物レンガ102hに引っ掛けられる(担持させる)ことにより、清澄管102を上方から支持する。このため、図5に示すような通気管102a周りの清澄管102の垂れ下がりを抑制することができる。
図6は、本実施形態とは別の清澄管形状変化抑止手段の例を示す図である。図6に示す清澄管形状変化抑止手段は、図3,4に示すように、通気管102aの外周を囲むように設けられた板状の鍔部材ではなく、通気管102aの径方向の異なる向きに延びる複数の板状部材からなるストッパ102bの例である。このストッパ102bは、通気管102aの外周面に4つ設けられるL字形状をなした部材である。ストッパ102bは、少なくとも1つ以上通気管102aに設けられるとよい。ストッパ102bは、図4に示す形態と同様に、耐火物レンガ102hの壁面に引っ掛けられる(担持させる)ことにより、通気管102aを耐火物レンガ102hに対して固定することができる。このため、通気管102aおよび清澄管102の垂れ下がりを抑制する清澄管形状変化抑止手段として機能する。清澄管形状変化抑止手段が鍔状の板部材である場合、鍔形状のため表面積が大きく通気管102aが冷却されて、通気管102aの内部に白金異物が析出される場合がある。図6に示す本変形例の場合、鍔状の板部材に比べて表面積が大きくないので、通気管102aの内部に白金異物が析出されることを改善する
本実施形態の清澄管形状変化抑止手段は、耐火物レンガ102hに対して、通気管102aの位置を固定するストッパ102bの形態である。具体的には、清澄管形状変化抑止手段は、通気管102aの外周面に設けられ外周面から突出した部材であり、この部材が耐火物レンガ102hに引っ掛けられて通気管102aが清澄管102に対して固定される形態である。しかし、上述したように、通気管102aの外周面が微小の凹凸形状の部分を有し、この凹凸形状の部分が、ストッパ102bとして、耐火物レンガ102hに対して滑らないように摩擦力で通気管102aを保持する形態であってもよい。
ストッパ102bが、通気管102aの外周面に設けられた板状部材である場合、例えば、鍔状の板部材、あるいは、通気管102aに対して突出した少なくとも1つ以上の板部材が挙げられる。しかし、清澄管形状変化抑止手段は、清澄管102のうち気相空間に接する部分が熱により気相空間に向かって垂れ下がることを抑制する形態であれば、特に制限されない。
また、清澄管形状変化抑止手段は、図7に示すような形態であってもよい。図7は、本実施形態の通気管の変形例を示す図である。図7に示すように、通気管102aの外周表面が耐火物レンガ102hと接触する部分が粗い凹凸形状を成した構成も、清澄管形状変化抑止手段として機能する。通気管102aの耐火物レンガ102hと接触する部分を粗い凹凸形状とし、この凹凸形状が耐火物レンガ102hに食い込むことにより耐火物レンガ102hに対して滑り難くすることができる。
(熔融ガラス、ガラス基板)
このような清澄管102に流れる熔融ガラスMGは、以下(A)〜(C)の場合、従来、清澄管で加熱していた熔融ガラスの温度に比べて高温に加熱される。したがって、従来に比べて熔融ガラスMGを高温に加熱する場合、本実施形態のように、清澄管102が熱により垂れ下がることを抑制する手段を用いることによる効果は、より一層大きくなる。
(A)従来より清澄剤として用いられてきたAs23等に比べてSnO2は毒性が少ないので、環境負荷低減の点から、清澄剤としてSnO2を用いることが好ましい。しかし、清澄剤として用いられてきたAs23等に比べて清澄機能が劣るSnO2の清澄機能を効果的に機能させるために、清澄管内の熔融ガラスの温度は従来よりも高温にする。
(B)熔融ガラスMGの102.5 poiseにおける温度は、1500℃以上である場合、熔融ガラスMGは、高温粘性が高いため、清澄工程における脱泡処理において、従来と同様の粘性を保つために熔融ガラスMGを高温にする。
(C)本実施形態において作製されるガラス基板をフラットパネルディスプレイ用のガラス基板に用いる場合が挙げられる。フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)に用いるガラス基板には、その表面にTFT(Thin Film Transistor)を使用される。この揚合、TFTの影響を抑制する観点から、無アルカリガラスを用いた無アルカリガラスガラス板、あるいは、アルカリ成分を微量含有させるアルカリ微量含有ガラスを用いたアルカリ微量含有ガラス板が好適に用いられる。しかし、アルカリ微量含有ガラス板あるいは無アルカリガラス板は、高温粘性が高い。高温粘性が高いガラス板を製造する場合、従来のアルカリガラスのガラス板を製造する場合よりも清澄工程における熔融ガラスMGの温度を高温にする。
(ガラス組成)
本実施形態で用いられるガラス基板のガラス組成は例えば以下のものを挙げることができる。以下に示す組成の含有率表示は、質量%である。
SiO:50〜70%、
Al:0〜25%、
:1〜15%、
MgO:0〜10%、
CaO:0〜20%、
SrO:0〜20%、
BaO:0〜10%、
RO:5〜30%(ただし、RはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種であり、ガラス基板が含有するものである)、
を含有する無アルカリガラスであることが、好ましい。
なお、本実施形態では無アルカリガラスとしたが、ガラス基板はアルカリ金属を微量含んだアルカリ微量含有ガラスであってもよい。アルカリ金属を含有させる場合、R’2Oの合計が0.10%以上0.5%以下、好ましくは0.20%以上0.5%以下(ただし、R’はLi、Na及びKから選ばれる少なくとも1種であり、ガラス基板が含有するものである)含むことが好ましい。勿論、R’2Oの合計が0.10%より低くてもよい。また、As23、Sb23およびPbOを実質的に含まないことが好ましい。
また、本発明のガラス基板の製造方法を適用する場合は、ガラス組成物が、上記各成分に加えて、質量%で表示して、SnO:0.01〜1%(好ましくは0.01〜0.5%)、Fe:0〜0.2%(好ましくは0.01〜0.08%)を含有し、環境負荷を考慮して、As、Sb及びPbOを実質的に含有しないようにガラス原料を調製してもよい。
さらに、上述した成分に加え、本実施形態のガラス基板に用いるガラスは、ガラスの様々な物理的、溶融、清澄、および、成形の特性を調節するために、様々な他の酸化物を含有しても差し支えない。そのような他の酸化物の例としては、以下に限られないが、TiO2、MnO、ZnO、Nb25、MoO3、Ta25、WO3、Y23、および、La23が挙げられる。
以上、本発明のガラス基板の製造方法及び製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
100 熔解装置
101 熔解槽
101d 原料投入機
102,202 清澄管
102a,202a 通気管
102b ストッパ
102c,102d 吊り部材
102e,102f 電極板
102g 耐火物保護層
102h 耐火物レンガ
103 攪拌槽
103a スターラ
104,105,106 ガラス供給管
200 成形装置
210 成形体
300 切断装置

Claims (6)

  1. ガラス基板を製造するガラス基板の製造方法であって、
    熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる工程と、
    前記熔融ガラスを白金製あるいは白金合金製の清澄管に供給して熔融ガラスの清澄を行う工程と、
    清澄後の熔融ガラスを成形してガラス基板を形成する工程と、を含み、
    前記清澄管では、前記熔融ガラスの流路上方に気相空間を有するように、前記熔融ガラスが流れ、
    前記清澄管には、前記清澄管の外壁面に前記清澄管の外方に煙突状に突出し、前記気相空間と外気とを連通させる通気管が設けられ、
    前記通気管には、前記清澄管のうち気相空間に接する部分が熱により前記気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための、清澄管形状変化抑止手段が設けられる、
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記熔融ガラスは、清澄剤としてSnO2を含む、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記熔融ガラスの102.5 poiseにおける温度は、1500℃以上である、
    請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記清澄管の外壁面の周りには、耐火物部材が設けられ、
    前記清澄管形状変化抑止手段は、耐火物部材に対して、前記通気管の位置を固定するストッパである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記ストッパは、前記通気管の外周面に設けられ前記外周面から突出した部材であり、前記部材が前記耐火物部材に固定される、
    請求項4に記載のガラス基板の製造方法。
  6. ガラス基板を製造するガラス基板の製造装置であって、
    熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる熔解槽と、
    前記熔融ガラスを白金製あるいは白金合金製の清澄管に供給して熔融ガラスの清澄を行う清澄管と、
    清澄後の熔融ガラスを成形してガラス基板を形成する成形装置と、を有し、
    前記清澄管では、前記熔融ガラスの流路上方に気相空間を有するように、前記熔融ガラスが流れ、
    前記清澄管には、前記清澄管の外壁面に前記清澄管の外方に煙突状に突出し、前記気相空間と外気とを連通させる通気管が設けられ、
    前記通気管には、前記清澄管のうち気相空間に接する部分が熱により前記気相空間に向かって垂れ下がることを抑制するための、清澄管形状変化抑止手段が設けられる、
    ことを特徴とするガラス基板の製造装置。

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