JP2014008444A - 封口用マスク、並びに、これを用いたハニカム構造体の封口方法及びハニカムフィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各貫通孔における封口材の封口長さの均一性を向上できるハニカム構造体の封口用マスクを提供すること。
【解決手段】ハニカム構造体1の貫通孔1aを封口する際に用いられる封口用マスク10であって、厚さ方向に貫通する複数の第一開口部11aを有する平板状の第一層11と、第一層11の一面上に設けられ、第一開口部11aに対応する位置において厚さ方向に貫通する複数の第二開口部12aを有する第二層12と、を有し、第二開口部12aの第一層側とは反対側の開口径は、第一開口部11aの第二層側の開口径より大きい、封口用マスク。
【選択図】図9
【解決手段】ハニカム構造体1の貫通孔1aを封口する際に用いられる封口用マスク10であって、厚さ方向に貫通する複数の第一開口部11aを有する平板状の第一層11と、第一層11の一面上に設けられ、第一開口部11aに対応する位置において厚さ方向に貫通する複数の第二開口部12aを有する第二層12と、を有し、第二開口部12aの第一層側とは反対側の開口径は、第一開口部11aの第二層側の開口径より大きい、封口用マスク。
【選択図】図9
Description
本発明は、ハニカム構造体の封口用マスク、並びに、これを用いたハニカム構造体の封口方法及びハニカムフィルタの製造方法に関する。
従来より、ハニカムフィルタが、ディーゼルパティキュレートフィルタ(Diesel particulate filter)用等として広く知られている。このハニカムフィルタは、隔壁により区画された多数の貫通孔を有するハニカム構造体において、一部の貫通孔の一端側を封口材で封じると共に、残りの貫通孔の他端側を封口材で封じることにより製造される。
ハニカム構造体の端面の所望の貫通孔のみを封口材により封じる際には、封口すべき貫通孔に対応する箇所に開口部が設けられた封口用マスクをハニカム構造体の端面に当接させた状態で、封口用マスクの開口部を通じて封口材をハニカム構造体の貫通孔に導入し、その後封口材を固化させる方法が広く採用されている。図14に従来の封口用マスク30を示す。封口用マスク30は、金属製の平板32からなり、厚さ方向に貫通する複数の開口部32aを有する。下記特許文献1、2には、封口用マスクを用いてハニカム構造体を封口する方法が記載されている。
しかしながら、従来の方法では、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性が十分でなかった。
ここで、図15は、図14に示した従来の封口用マスクを用いてハニカム構造体の貫通孔に封口材を供給する様子を示す断面図である。図15は、隔壁1bによって区切られた貫通孔1aを有するハニカム構造体1における所望の貫通孔1aを封口すべく、従来の封口用マスク30をハニカム構造体1の端面に当接させ、弾性板60を押し上げることにより封口材130をハニカム構造体1の貫通孔1a内に供給する様子を示している。従来の封口用マスク30を用いた場合、マスク30の開口部32a同士の間隔が広いため、開口部32aのない領域に封口材130が溜まりやすく、この溜まった封口材130がいずれの貫通孔1aに注入されるかは制御不能である。そのため、図15に示すように、貫通孔1a内に注入される封口材130の量がばらつきやすく、封口長さの均一性が十分に得られない。また、封口材130の注入量が少ない貫通孔1aは、十分に封口されずに封口欠陥となるおそれもある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性を向上できるハニカム構造体の封口用マスク、並びに、これを用いたハニカム構造体の封口方法及びハニカムフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ハニカム構造体の貫通孔を封口する際に用いられる封口用マスクであって、厚さ方向に貫通する複数の第一開口部を有する平板状の第一層と、上記第一層の一面上に設けられ、上記第一開口部に対応する位置において厚さ方向に貫通する複数の第二開口部を有する第二層と、を有し、上記第二開口部の上記第一層側とは反対側の開口径は、上記第一開口部の上記第二層側の開口径より大きい、封口用マスクを提供する。
上記封口用マスクは、開口径が上記の条件を満たす第二開口部を有する第二層を備えている。この封口用マスクを、第二層側が封口材を供給する側(ハニカム構造体に当接する側とは反対側)となるように配置して封口材を供給した場合、封口材はまず第二層の第二開口部の内側に入り込み、次いで第一層の第一開口部を通じて貫通孔内に注入される。このとき、第二開口部の第一層側とは反対側(封口材を供給する側)の開口径が、第一開口部の第二層側の開口径よりも大きいため、第二開口部同士の間隔は、第一開口部同士の間隔よりも狭くなっている。そのため、封口材が溜まりやすい領域(第二開口部のない領域)が減少し、封口材は各第二開口部の内側に均等に入りやすくなる。そして、第二開口部の内側に入った封口材は、当該第二開口部に対応する第一開口部に誘導される。したがって、第二開口部の存在により、いずれの貫通孔に注入されるか制御不能な封口材を減らし、各貫通孔への封口材の注入量を均一化することができる。その結果、封口長さの均一性を向上させることができるとともに、封口材の注入量が極端に少ない貫通孔をなくして封口欠陥の発生を抑制することができる。
本発明はまた、ハニカム構造体の貫通孔の封口方法であって、上記本発明の封口用マスクを、上記第二層が封口材を供給する側となるように配置する工程と、上記封口用マスクの上記第二層側から上記第二開口部及び上記第一開口部を通じて、上記ハニカム構造体の一方の端面における封口すべき貫通孔に封口材を供給する工程と、を有する、封口方法を提供する。
かかる封口方法により、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性を向上させることができる。また、封口欠陥の発生を抑制することができる。
本発明はまた、上記封口方法によりハニカム構造体の一部の貫通孔を封口する工程を経てハニカムフィルタを得る、ハニカムフィルタの製造方法を提供する。
かかる製造方法により、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性が向上されており、且つ、封口欠陥の発生が抑制されたハニカムフィルタを製造することができる。
本発明によれば、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性を向上できるハニカム構造体の封口用マスク、並びに、これを用いたハニカム構造体の封口方法及びハニカムフィルタの製造方法を提供することができる。
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(ハニカム構造体)
図1の(a)に示すように、ハニカム構造体1は、隔壁1bによって区切られた多数の貫通孔1aが略平行に配置された円柱体である。ハニカム構造体1は、側面を形成する側壁1cの形状が円筒状である。また、図1の(b)に示すように、貫通孔1aの断面形状は、例えば、正方形である。以下では、貫通孔1aの断面形状が正方形である場合について説明する。但し、図1の(b)に示すように、貫通孔1aの中には、側壁1c近傍において、異なる断面形状の貫通孔も存在し得る。
図1の(a)に示すように、ハニカム構造体1は、隔壁1bによって区切られた多数の貫通孔1aが略平行に配置された円柱体である。ハニカム構造体1は、側面を形成する側壁1cの形状が円筒状である。また、図1の(b)に示すように、貫通孔1aの断面形状は、例えば、正方形である。以下では、貫通孔1aの断面形状が正方形である場合について説明する。但し、図1の(b)に示すように、貫通孔1aの中には、側壁1c近傍において、異なる断面形状の貫通孔も存在し得る。
貫通孔1aは、ハニカム構造体1において、端面から見て、正方形配置、すなわち、貫通孔1aの中心軸が、正方形の頂点にそれぞれ位置しかつ隣接する辺同士が平行となるように配置されている。貫通孔1aの断面の正方形のサイズは、例えば、一辺0.8〜2.5mmとすることができる。本実施形態では、貫通孔1aの正方形のサイズ及び断面積は互いに略同一とされている。
貫通孔1a間の隔壁1bの厚みは、0.05〜0.5mmとすることができる。また、側壁1cの厚みは、隔壁1bの厚みよりも厚いことが好ましく、0.1〜3.0mmとすることができる。
図1の(a)において、ハニカム構造体1の貫通孔1aが延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。また、ハニカム構造体1の外径も特に限定されないが、例えば、30〜320mmとすることできる。
ハニカム構造体1の材料は特に限定されないが、高温耐性の観点から、セラミクス材料が好ましい。例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。このようなハニカム構造体1は通常多孔質である。
また、ハニカム構造体1は、後で焼成することにより上述のようなセラミック材料となるグリーン成形体(未焼成成形体)であってもよい。グリーン成形体は、セラミクス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。
例えば、チタン酸アルミニウムのグリーン成形体の場合、無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイスなどが挙げられる。
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。
(封口用マスク)
図2(a)及び(b)は、図1に示すハニカム構造体1の所望の貫通孔1aを封口するのに使用される封口用マスク10を示す。図3は封口用マスク10の断面図である。封口用マスク10は、厚さ方向に貫通する複数の第一開口部11aを有する円形平板状の第一層11と、第一層11の一面上に設けられ、第一開口部11aに対応する位置において厚さ方向に貫通する複数の第二開口部12aを有する円形平板状の第二層12と、からなる。そして、第二開口部12aの第一層側とは反対側S1の開口径(以下、「開口径d1」と言う)は、第一開口部11aの第二層側S2の開口径(以下、「開口径d2」と言う)より大きくされている。かかる封口用マスク10をハニカム構造体1の封口処理に用いるとき、第一層11の第二層側とは反対側S4の面をハニカム構造体1の端面に当接させ、第二層12の第一層側とは反対側S1から封口材を供給する。
図2(a)及び(b)は、図1に示すハニカム構造体1の所望の貫通孔1aを封口するのに使用される封口用マスク10を示す。図3は封口用マスク10の断面図である。封口用マスク10は、厚さ方向に貫通する複数の第一開口部11aを有する円形平板状の第一層11と、第一層11の一面上に設けられ、第一開口部11aに対応する位置において厚さ方向に貫通する複数の第二開口部12aを有する円形平板状の第二層12と、からなる。そして、第二開口部12aの第一層側とは反対側S1の開口径(以下、「開口径d1」と言う)は、第一開口部11aの第二層側S2の開口径(以下、「開口径d2」と言う)より大きくされている。かかる封口用マスク10をハニカム構造体1の封口処理に用いるとき、第一層11の第二層側とは反対側S4の面をハニカム構造体1の端面に当接させ、第二層12の第一層側とは反対側S1から封口材を供給する。
また、ハニカム構造体1に封口用マスク10を当接させる際に、封口用マスク10の貫通孔の位置決めを容易にすべく、封口用マスク10には、オリエンテーションフラットOFが形成され、これに対応して図4に示す封口装置100のリング部材65にもオリエンテーションフラットOFに対応する突起65bを設けてもよい(図5参照)。なお、本実施形態では、第一層11及び第二層12の両方にオリエンテーションフラットOFを設けたが、第一層11又は第二層12のいずれか一方にのみオリエンテーションフラットOFを設けてもよい。また、第一層11と第二層12の外径は同一でも異なっていてもよい。また、封口用マスク10の外径は、封口装置100の本体部50の凹部50dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
第一開口部11a及び第二開口部12aは、ハニカム構造体1の所望の貫通孔1aに対して封口材を導入するために設けられたものである。本実施形態では、第一開口部11a及び第二開口部12aの開口形状は、ハニカム構造体1の貫通孔1aの断面形状に対応するように正方形である。これらの第一開口部11a及び第二開口部12aは、千鳥配置されており、封口用マスク10がハニカム構造体1の端面上に位置決めして配置された状態で、正方形配置された複数の貫通孔1aのうち、互いに上下左右に隣接しない関係にある複数の貫通孔1aのみに対して対向して配置される。なお、第一開口部11a及び第二開口部12aの開口形状は、正方形に限定されるものではなく、正方形以外の多角形や円形等であってもよいが、ペースト状の封口材の充填性の観点から、貫通孔1aの形状と相似形又は円形であることが好ましい。また、第一開口部11aの開口形状と第二開口部12aの開口形状とは、同一でも異なっていてもよい。第一開口部11aの開口形状と第二開口部12aの開口形状とが異なる場合は、第二開口部12aの第一層側とは反対側S1の開口形状が、第一開口部11aの第二層側S2の開口形状を内包できることが好ましい。
第二開口部12aの第一層側とは反対側S1の開口径d1は、第一開口部11aの第二層側S2の開口径d2より大きくされているが、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性をより向上できることから、開口径d1は開口径d2の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。
なお、第一開口部11a及び第二開口部12aの開口径は、封口用マスク10の厚さ方向に変化するものであってもよい。例えば、開口径がハニカム構造体1の端面に近づくほど徐々に小さくなるテーパ形状をとってもよい。開口径が変化する場合は、上述した開口径d1及びd2の関係を満たすとともに、以下の関係を満たすことが好ましい。
すなわち、第二開口部12aの第一層側S3の開口径(以下、「開口径d3」と言う)は、開口径d2以上であり、且つ、開口径d1以下であることが好ましい。また、第一開口部11aの第二層側とは反対側S4の開口径(以下、「開口径d4」と言う)は、開口径d2以下であり、且つ、封口すべき貫通孔1aの開口径未満であることが好ましい。開口径d1〜d4が上記の条件を満たすことにより、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性をより向上できるとともに、封口材を第一開口部11a及び第二開口部12aを通じてスムーズに貫通孔1a内に供給することができる。なお、ここでいう開口径とは、第一開口部11a、第二開口部12aもしくは貫通孔1aの開口形状に内包させることができる最大の円の直径を指す。
第一開口部11aの輪郭のアスペクト比は1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることが好ましい。輪郭のアスペクト比とは、開口の輪郭を、外接する最小面積の長方形(正方形含む)で囲んだ場合の、長辺長さ/短辺長さで定義される。なお、第二開口部12aは、各々の形状が全て同一であり、隣接する第二開口部12aと第二開口部12aとの間隔が全て均一であれば、その形状及びアスペクト比は特に限定されない。
また、第一開口部11aは、第二層側とは反対側S4の開口面積が0.1mm2以上であり、且つ、封口すべき貫通孔1aの開口面積と同等又はそれ未満であることが好ましい。第一開口部11aの第二層側とは反対側S4の開口面積が0.1mm2未満であると、封口材が第一開口部11aを通過しにくくなり、所定量の封口材を貫通孔1a内に供給できない場合がある。第一開口部11aの第二層側とは反対側S4の開口面積は、0.1mm2以上であることが好ましく、0.2mm2以上であることがより好ましい。他方、ペースト状の封口材の貫通孔1aへの注入性、短時間での封口材の注入、封口用マスクへの封口材の付着残存(封口材ロス)の低減などの観点から、第一開口部11aの第二層側とは反対側S4の開口面積は、可能な限り、貫通孔1aの開口面積に近くなるように大きく取ることが好ましい。但し、マスクずれや貫通孔1aの配列の歪み(セル配列の歪み)が発生した場合には、封口すべきでない近傍の貫通孔1aへの封口材の漏れ込みが生じることがあるため、その点を考慮して、第一開口部11aの第二層側とは反対側S4の開口面積を、貫通孔1aの開口面積未満としてもよい。
第二開口部12aは、第一層側とは反対側S1の開口面積が1mm2以上であることが好ましく、3mm2以上であることがより好ましい。第二開口部12aの開口面積をできるだけ大きくした方が、封口材が各第二開口部12aの内側に均等に入り込みやすくなり、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性を高めることができるため、好ましい。
第一層11の材質は特に限定されないが、剛性を有するものが好ましく、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、及び銅等の金属や、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、及び炭素繊維強化熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられる。第一層11の厚みは特に限定されないが、例えば0.1〜5mmが好ましい。
第二層12の材質は特に限定されないが、剛性を有するものが好ましく、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、及び銅等の金属や、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、及び炭素繊維強化熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられる。第一層11の材質と第二層12の材質とは、同一でも異なっていてもよい。第二層12の厚みは特に限定されないが、例えば0.1〜5mmが好ましい。
第一層11と第二層12とは、各層の開口部の位置ずれや層間への封口材の侵入が生じないように、接着剤等により接着されて一体化していることが好ましい。なお、各層の開口部の位置ずれや層間への封口材の侵入を十分に抑制可能な場合には、第一層11と第二層12とは、非接着状態で分離可能なように積層されていてもよい。
本実施形態においては、第一層11の一面に直接第二層12を積層した構造を示したが、第一層11と第二層12の間に他の層を設けてもよい。また、第一層11の第二層12とは反対側の面に、他の層を設けてもよい。
(封口装置)
封口用マスク10を用いてハニカム構造体1の封口を実施するのに好適な封口装置について説明する。図4に示す封口装置100は、主として、本体部50、弾性板60、ポンプ70及び保持部80を備える。
封口用マスク10を用いてハニカム構造体1の封口を実施するのに好適な封口装置について説明する。図4に示す封口装置100は、主として、本体部50、弾性板60、ポンプ70及び保持部80を備える。
本体部50は、剛性材料から形成されている。剛性材料としては、ステンレス等の金属や、繊維強化プラスチック等のポリマー材料が挙げられる。本体部50の上面50aには、凹部50dが形成されている。本実施形態では、凹部50dの形状は、図4及び図5に示すように、円柱状とされている。そして、本体部50の上面50aに対して、凹部50dの側面50bが垂直、かつ、底面50cが平行とされている。凹部50dの直径は、たとえば、30〜320mmとすることができる。凹部50dの深さは、たとえば、0.2〜20mmとすることができる。なお、本体部50には、超音波振動器等の加振器140が設けられていることが好ましい。
弾性板60は、凹部50dの開口面を覆うように、本体部50の上面50a上に、配置されている。弾性板60は、弾性を有し、容易に変形しうる。弾性板60としては、ゴム板が好ましい。ゴムとしては、天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが挙げられる。弾性板60の厚みは特に限定されないが、たとえば、0.3〜3.0mmとすることができる。
弾性板60は、リング部材65、及び、ボルト67により本体部50に固定されている。リング部材65は、本体部50の凹部50dに対応する位置に開口65aを有し、これにより環状形状をなしている。そして、リング部材65は、弾性板60における中央部(凹部50dとの対向部)が露出するように弾性板60上に配置されている。これにより、弾性板60の周辺部が、本体部50とリング部材65とにより挟まれている。リング部材65及び弾性板60には貫通孔hがそれぞれ形成され、本体部50には、これら貫通孔hに対応するねじ孔jが形成されており、ボルト67がこれらの貫通孔hを貫通して配置され、ねじ孔jにねじ込まれて固定されることにより、本体部50の上面50aにおける凹部50dのまわりの部分に、弾性板60の周辺部が密着して固定されている。
図4及び図5に示すように、リング部材65の開口65aの内径は、本体部50の凹部50dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
本体部50は、さらに、凹部50dの底面50cに開口する連通路50eを有している。なお、本実施形態では、連通路50eは凹部50dの底面50cに開口しているが、凹部50dの内面に開口していればよく、たとえば、凹部50dの側面50bに開口していてもよい。また、連通路50eの開口の形状や数も特に限定されない。
連通路50eには、接続パイプ54を介してポンプ70が接続されている。
ポンプ70は、シリンダ71、シリンダ71内に配置されたピストン73、及び、ピストン73に接続されたピストンロッド74を備える。ピストンロッド74には、ピストンロッド74を軸方向に往復移動させるモータ75が接続されている。なお、ピストンロッド74を手動で動かしてもよい。
本実施形態では、弾性板60と、ピストン73と、の間には、本体部50、接続パイプ54、及び、シリンダ71により形成される閉鎖空間Vが形成され、閉鎖空間V内には、流体FLが充填されている。流体FLは特に限定されず、空気等の気体でもよいが液体が好ましく、特に、スピンドルオイル等が好ましい。そして、ピストン73を移動させることにより、本体部50の凹部50d内から流体FLを排出することができ、また、凹部50d内に流体FLを供給することができる。
本体部50の上には、保持部80が設けられている。保持部80は、ハニカム構造体1を保持する保持具81、及び保持具81が接続された空気圧シリンダ82を有する。
保持具81は、ハニカム構造体1を、図4に示すように、一方の端面が弾性板60及び凹部50dと対向するように保持する。
空気圧シリンダ82は、上下方向に延びるシリンダ82aと、シリンダ82a内に設けられたピストン82bとを有し、外部からの供給する圧力を調整することによりピストン82bの上下両側での圧力を調節可能となっている。そして、これにより空気圧シリンダ82は、保持具81を、ハニカム構造体1と弾性板60とが近づく方向及びこれらが互いに離れる方向にそれぞれ移動可能である。また、空気圧シリンダ82は、ピストン82bの前後のガスの供給圧力に応じて保持具81を下方に所定の力で押圧することにより、ハニカム構造体1を封口用マスク10に対して密着させることができる。さらに、空気圧シリンダ82は、ピストンの前後の圧力を開放することにより、保持具81が上下方向に自由に移動することを許可することもできる。すなわち、保持部80は、保持具81が保持したハニカム構造体1を上方向に自由に移動可能とする状態と、ハニカム構造体1を本体部50に対して固定する状態とを切替え可能である。
(ハニカム構造体の封口方法)
上述の封口用マスク10を使用してハニカム構造体1を封口する方法について説明する。本実施形態に係る封口方法は、以下の工程を有する。
工程a:封口用マスク10を、第二層12が封口材130を供給する側となるように配置する工程。
工程b:封口用マスク10の第二層12側から第二開口部12a及び第一開口部11aを通じて、ハニカム構造体1の一方の端面における封口すべき貫通孔1aに封口材130を供給する工程。
上述の封口用マスク10を使用してハニカム構造体1を封口する方法について説明する。本実施形態に係る封口方法は、以下の工程を有する。
工程a:封口用マスク10を、第二層12が封口材130を供給する側となるように配置する工程。
工程b:封口用マスク10の第二層12側から第二開口部12a及び第一開口部11aを通じて、ハニカム構造体1の一方の端面における封口すべき貫通孔1aに封口材130を供給する工程。
上記工程a,bを経てハニカム構造体1を封口する方法を、上述の封口装置100を使用した場合を例にして説明する。まず、図4の状態から、予め、空気圧シリンダ82を駆動して、ハニカム構造体1を保持する保持具81上方に引き上げておくと共に、封口用マスク10を弾性板60上から外しておく。次に、ポンプ70のピストン73を下方に引くことにより、本体部50の凹部50dから流体FLを下方に排出させる。これにより、図6の(a)に示すように、弾性板60が変形して凹部50dの側面50b及び底面50cに密着し、これによって、弾性板60の凹部60dが形成する。
続いて、図6の(b)に示すように、弾性板60の凹部60d内に封口材130を供給する。必要に応じて、加振器140を駆動することにより、封口材130の表面の平坦化、脱泡を促す。
封口材130は、ハニカム構造体1の貫通孔1aの端部を閉鎖できるものであれば特に限定されないが、液状であることが好ましい。例えば、封口材として、セラミクス材料又はセラミクス原料と、バインダと、潤滑剤と、溶媒とを含むスラリーが例示できる。
セラミクス材料としては、上述のハニカム構造体1の構成材料や、その原料が挙げられる。セラミクス材料の使用量は、例えば、スラリー100質量部に対して50〜85質量部とすることができる。
バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の有機バインダが挙げられる。バインダの使用量は、例えば、スラリー100質量部に対して0〜30質量部とすることができる。
潤滑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩などが挙げられる。潤滑剤の使用量は、例えば、スラリー100質量部に対して0.5〜20質量部とすることができる。
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。造孔剤の使用量は、例えば、スラリー100質量部に対して0〜20質量部とすることができる。
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、例えば、スラリー100質量部に対して10〜40質量部とすることができる。
ハニカム構造体1の一方の端面の封口に使用する封口材の量は、例えば、3〜5000mLとすることができる。
続いて、図7の(a)に示すように、本体部50の凹部50dを覆うように弾性板60上に封口用マスク10をセットし、次いで、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に移動させてハニカム構造体1を封口用マスク10に接触させる。このとき、封口用マスク10は、第二層12が封口材130側になるようにセットする。これにより、ハニカム構造体1の一部の貫通孔1aと封口用マスク10の第一及び第二開口部11a,12aとを連通させる。さらに、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に押圧し、ハニカム構造体1を封口用マスク10及び本体部50に対して固定する。あるいは、封口材を導入したい貫通孔1aと第一及び第二開口部11a,12aの位置が合うように予めハニカム構造体1の端面に封口用マスク10を配置し、これを封口装置100に装着してもよい。
次いで、ポンプ70のピストンを上方に移動させることにより、凹部50d内に流体FLを供給し、これによって、図7の(b)に示すように、弾性板60が封口用マスク10に向かって移動する。この工程は、図8の(a)に示すように、弾性板60が封口用マスク10に接触し、弾性板60の変形が解消するまで行なう。
これにより、封口材130が封口用マスク10の第一及び第二開口部11a,12aを介して、ハニカム構造体1の一部の貫通孔1a内に供給され、封口部1pが形成される。
図9は、上記工程bにおいて、封口用マスク10をハニカム構造体1の端面に当接させた状態で、第二層12側からハニカム構造体1の貫通孔1aに封口材130を導入した様子を示す図である。封口用マスク10においては、第二開口部12aの第一層側とは反対側の開口径が、第一開口部11aの第二層側の開口径よりも大きいため、第二開口部12a同士の間隔は、第一開口部11a同士の間隔よりも狭くなっている。そのため、第二開口部12aのない領域に封口材130が溜まりにくく、封口材130は第二開口部12aの内側に入りやすい。そして、第二開口部12aの内側に入った封口材130は、図9中に矢印で示すように、当該第二開口部12aに対応する第一開口部11aに誘導される。したがって、第二開口部12aの存在により、各貫通孔1aへの封口材130の注入量を制御することができ、封口長さの均一性を向上させることができる。また、封口材130の注入量が極端に少ない貫通孔1aをなくすことができ、封口欠陥の発生を抑制することができる。
続いて、空気圧シリンダ82によるハニカム構造体1の下方向への押圧を停止してハニカム構造体1が上方に自由に移動できるようした後、ピストン73をさらに上昇させ弾性板60と本体部50との間にさらに流体FLを供給する。これにより、図8の(b)に示すように、弾性板60は、上方向に凸状に変形し、封口用マスク10及びハニカム構造体1が上方に移動する。このとき、凸状に変形する弾性板60の周辺部は封口用マスク10から離れるので、これにより、封口用マスク10及びハニカム構造体1を、本体部50から容易に引き離すことができる。
続いて、ハニカム構造体1を保持具81から外した後、天地をひっくり返したうえで再びハニカム構造体1を保持具81に保持する。次いで、封口用マスク10と第一及び第二開口部11a,12aの配置が正反対の千鳥配置とされた封口用マスク10aを用いて、同様の操作を行なう。これにより、図10の(a)に示すように、残りの貫通孔1aの他端側が封口材で封口され、封口部1pが形成される。なお、ハニカム構造体1の側壁1c近傍に存在する異なる断面形状の貫通孔については、両端ともに封口材で封口することが望ましい。続いて、上述と同様にして弾性板60を上に凸状に変形させることにより、封口用マスク10a及びハニカム構造体1を容易に本体部50及び弾性板60から引き離すことができる。
そして、このようにして両端に対して封口処理が施されたハニカム構造体1を乾燥、焼成等することにより、封口材130を固化して貫通孔1aの封口を完了する。
封口装置100によれば、図8の(b)及び図10の(b)に示す通り、弾性板を凸状に変形させることができるので、封口材130を供給した後のハニカム構造体1に接している封口用マスク10を本体部50や弾性板60から容易に引き離すことができる。したがって、生産効率を高めることができ、封口されたハニカム構造体を低コスト化で製造することができる。
(ハニカムフィルタの製造方法)
上述の封口用マスク10を使用してハニカムフィルタを製造する方法について説明する。本実施形態に係る製造方法は、上述した封口方法によりハニカム構造体1の一部の貫通孔1aを封口する工程(封口工程)を経てハニカムフィルタを得る方法である。封口工程の前後の工程は、封口するハニカム構造体1が焼成前のグリーン成形体であるか、焼成後のハニカム焼成体であるかによって異なる。グリーン成形体に対して封口を行う場合には、グリーン成形体を成形した後、封口工程を行い、次いで焼成工程を行なうことでハニカムフィルタを得ることができる。ハニカム焼成体に対して封口を行なう場合には、グリーン成形体を成形した後、焼成工程を行い、次いで封口工程を行い、その後さらに焼成工程を行うなどして封口材を固化することでハニカムフィルタを得ることができる。
上述の封口用マスク10を使用してハニカムフィルタを製造する方法について説明する。本実施形態に係る製造方法は、上述した封口方法によりハニカム構造体1の一部の貫通孔1aを封口する工程(封口工程)を経てハニカムフィルタを得る方法である。封口工程の前後の工程は、封口するハニカム構造体1が焼成前のグリーン成形体であるか、焼成後のハニカム焼成体であるかによって異なる。グリーン成形体に対して封口を行う場合には、グリーン成形体を成形した後、封口工程を行い、次いで焼成工程を行なうことでハニカムフィルタを得ることができる。ハニカム焼成体に対して封口を行なう場合には、グリーン成形体を成形した後、焼成工程を行い、次いで封口工程を行い、その後さらに焼成工程を行うなどして封口材を固化することでハニカムフィルタを得ることができる。
グリーン成形体は、上述した材料を、隔壁の断面形状に対応する出口開口を有する押出機から押し出し、必要に応じて乾燥をし、所望の長さに切ることにより得ることができる。
焼成工程は、グリーン成形体を仮焼(脱脂)および焼成して、多孔質のセラミックスからなるハニカム焼成体を得る工程である。
仮焼(脱脂)は、グリーン成形体中の有機バインダや、必要に応じて配合される有機添加物を、焼失、分解等により除去するための工程であり、典型的には、焼成温度に至るまでの昇温段階(たとえば、150〜900℃の温度範囲)になされる。仮焼(脱脂)工程おいては、昇温速度を極力おさえることが好ましい。
グリーン成形体の焼成における焼成温度は、通常、1300℃以上、好ましくは1400℃以上である。また、焼成温度は、通常、1650℃以下、好ましくは1550℃以下である。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。
焼成は通常、大気中で行なわれるが、用いる原料粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
焼成に要する時間は、セラミックスが生成するのに十分な時間であればよく、グリーン成形体の量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、通常は10分〜24時間である。
以上の工程を経て、ハニカムフィルタを得ることができる。得られたハニカムフィルタは、研削加工等により、所望の形状に加工することもできる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、さまざまな変形態様が可能である。例えば、封口用マスク10を構成する第二層は平板状の部材でなくてもよく、図11の(a)及び(b)に示すような格子状の枠であってもよい。このような格子状の枠の場合、第一層11の第一開口部11aが無い位置にも、第二層13の第二開口部13aが配置されることとなる。しかし、この場合でも、第二層13の第二開口部13aは、第一層11の第一開口部11aに対応する位置に配置されるため、図2に示した封口用マスク10と同様に、本発明の効果を奏することができる。
また、ハニカム構造体1の貫通孔1aの配置は、正方形配置でなくてもよく、例えば、三角配置、千鳥配置等でも構わない。この場合、貫通孔1aの配置に合わせて、封口用マスク10の第一開口部11a及び第二開口部12aの数や位置を変更することができる。
また、ハニカム構造体1の貫通孔1aの断面形状は、正方形でなくてもよく、例えば、長方形、三角形、多角形、円形等でもよい。また、これらが混在していても構わない。例えば、ハニカム構造体1の貫通孔1aの断面形状が正六角形であり、これらが正三角形配列されている、すなわち、貫通孔1aの中心が仮想的な正三角形の頂点にそれぞれ配置されていてもよい。また、貫通孔1aに、面積が異なるものが混在していてもよい。
また、ハニカム構造体1の外形形状も円柱でなくてもよく、例えば、四角柱等の角柱でもよい。
また、封口用マスク10の外形形状は、円に限定されず、任意の形状が可能である。例えば、楕円や、矩形、三角形、六角形等の多角形を取ることができる。特に、正方形、正三角形、正六角形等の正多角形も好ましい。
以下、本発明の他の好適な実施形態として、ハニカム構造体の貫通孔の断面形状が六角形である場合を説明する。図12の(a)は、隔壁2bによって区切られた、断面形状が正六角形である貫通孔2aを有するハニカム構造体2の一例を示す斜視図であり、図12の(b)は、図12の(a)の部分拡大図である。ハニカム構造体2における貫通孔2aの配置は、図12の(b)に示したように、断面において貫通孔2aの中心が正三角形の頂点に配置される正三角形配置となっている。なお、図12には、貫通孔2aの断面形状が正六角形である場合を示したが、断面形状は非対称六角形等の正六角形以外の六角形であってもよい。また、図12には、全ての貫通孔2aの断面積が等しい場合を示したが、貫通孔2aの断面積は異なっていてもよい。
図13の(a)及び(b)は、図12に示すハニカム構造体2の一方の端面において、所望の貫通孔2aを封口するのに使用される封口用マスク20を示す。封口用マスク20は、厚さ方向に貫通する複数の第一開口部21aを有する円形平板状の第一層21と、第一層21の一面上に設けられ、第一開口部21aに対応する位置において厚さ方向に貫通する複数の第二開口部22aを有する円形平板状の第二層22と、からなる。また、封口用マスク10と同様に、封口用マスク20には、オリエンテーションフラットOFが形成されている。
本実施形態の第一開口部21a及び第二開口部22aの開口形状は円形である。なお、第一開口部21a及び第二開口部22aの開口形状は、ハニカム構造体2の貫通孔2aの断面形状に対応するように六角形としてもよい。
第一開口部21a及び第二開口部22aは、開口部の中心が正六角形の頂点に配置される正六角形配置となっている。正六角形配置の中心に位置する箇所には開口部は設けられていない。また、封口用マスク20における隣接する第一開口部21a及び第二開口部22aの中心間の距離は、ハニカム構造体2における隣接する貫通孔2aの中心間の距離とほぼ等しい。
上記した封口用マスク20を用いて、ハニカム構造体2の一方の端面側を封口すると、開口したままの貫通孔における六角形の全ての辺に隣接する貫通孔が全て封口され、開口したままの貫通孔同士が隣り合わないような配置となる。
なお、ハニカム構造体のもう一方の端面側においては、第一開口部及び第二開口部の配置が上記した開口マスク20とは反対となる封口用マスクを用いて封口する。すなわち、この封口用マスクは、封口用マスク20において開口部が設けられていた正六角形配置の頂点に位置する箇所には開口部を設けず、開口していなかった正六角形配置の中心に位置する箇所に開口部を設けたものである。
このように断面形状が六角形の貫通孔を有するハニカム構造体を封口する場合でも、第一層及び第二層を有する本発明の封口用マスクを用いることで、各貫通孔における封口材の封口長さの均一性を向上させることができる。
1…ハニカム構造体、1a…貫通孔、1b…隔壁、1c…側壁、10…封口用マスク、11…第一層、11a…第一開口部、12…第二層、12a…第二開口部。
Claims (3)
- ハニカム構造体の貫通孔を封口する際に用いられる封口用マスクであって、
厚さ方向に貫通する複数の第一開口部を有する平板状の第一層と、
前記第一層の一面上に設けられ、前記第一開口部に対応する位置において厚さ方向に貫通する複数の第二開口部を有する第二層と、
を有し、
前記第二開口部の前記第一層側とは反対側の開口径は、前記第一開口部の前記第二層側の開口径より大きい、封口用マスク。 - ハニカム構造体の貫通孔の封口方法であって、
請求項1記載の封口用マスクを、前記第二層が封口材を供給する側となるように配置する工程と、
前記封口用マスクの前記第二層側から前記第二開口部及び前記第一開口部を通じて、前記ハニカム構造体の一方の端面における封口すべき貫通孔に封口材を供給する工程と、
を有する、封口方法。 - 請求項2記載の封口方法によりハニカム構造体の一部の貫通孔を封口する工程を経てハニカムフィルタを得る、ハニカムフィルタの製造方法。
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