JP2013126745A - 封口装置及びハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】封口材長さの不足が生じやすい貫通孔でも封口材を容易に充填可能な封口装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の封口装置100は、凹部10d及び凹部10dの内面に開口する連通路10eを有する本体部10と、凹部10dを覆うように本体部10に固定された弾性板20と、を備える。凹部10dの底面10cは、平坦な第一部10c1と、前記第一部10c1よりも凹んだ溝(第二部)10c2とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の封口装置100は、凹部10d及び凹部10dの内面に開口する連通路10eを有する本体部10と、凹部10dを覆うように本体部10に固定された弾性板20と、を備える。凹部10dの底面10cは、平坦な第一部10c1と、前記第一部10c1よりも凹んだ溝(第二部)10c2とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は封口装置に関する。
従来より、ハニカムフィルタ構造体が、DPF(Diesel particulate filter)用等として広く知られている。このハニカムフィルタ構造体は、多数の貫通孔を有するハニカム構造体の一部の貫通孔の一端側を封口材で封じると共に、残りの貫通孔の他端側を封口材で封じた構造を有する。そして、特許文献1、2には、このようなハニカムフィルタ構造体を製造する装置及び方法が開示されている。
本発明者らが検討したところ、ハニカム構造体の貫通孔の形状や配置等によって、封口材が充填不足となり、封口長さが不足する場所が生ずることが判明した。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、封口材長さの不足が生じやすい貫通孔でも封口材を容易に充填可能な封口装置及びハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る封口装置は、凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、
前記凹部を覆うように前記本体部に固定された弾性板と、を備え、
前記凹部の底面は、平坦な第一部と、前記第一部よりも凹んだ第二部とを有する。
前記凹部を覆うように前記本体部に固定された弾性板と、を備え、
前記凹部の底面は、平坦な第一部と、前記第一部よりも凹んだ第二部とを有する。
本発明によれば、次の手順によりハニカム構造体の貫通孔に封口材を供給することが出来る。まず、ポンプで本体部の凹部内の流体を排出することにより、弾性板を凹部の内面に沿うように変形させ、弾性板の凹部を形成する。弾性板の凹部は、底面の第一部に対応する平坦な部分と、底面の第二部に対応する凹んだ部分と、から形成される。次に、弾性板の凹部内に封口材を供給し、さらに凹部上にハニカム構造体を保持する。続いて、連通路から本体部の凹部内に流体を供給することにより、変形した弾性板をハニカム構造体に向かって押圧する。これにより、弾性板の凹部内の封口材がハニカム構造体の貫通孔内に供給される。
そして、本発明では、弾性板の凹んだ部分が蓄える封口材の量が、弾性板の平坦な部分が蓄える封口材の量よりも多く、凹んだ部分では、平坦な部分と比べて封口材が貫通孔へ供給されやすくなる。そして、ハニカム構造体の封口すべき貫通孔の形状、大きさ、位置、密度、あるいは、封口に用いるマスクの開口の径や配置に応じて、封口長さの不足が生じやすい貫通孔が第二部の上に位置するようにマスク及びハニカム構造体を配置することにより、当該貫通孔にも好適に封口材を供給することができる。
ここで、前記第二部は溝、すなわち、第一部の面内方向に延びる窪みであることが好ましい。この構成は、封口長さの不足が生じやすい領域が細長い場合に好適である。
ところで、ハニカム構造体の端面の環状の縁部に位置する貫通孔は、外壁の影響を受けて、開口面積が大きくばらつくことがある。そして、開口面積が小さすぎる貫通孔には封口材が入りにくく、また、開口面積が大きすぎる貫通孔でも封口材の絶対量が不足し、いずれも封口不足が生じやすい傾向がある。
そして、この場合、前記溝が前記凹部の底面に環状に形成されていることが好ましい。また、前記溝が前記凹部の底面の縁部に沿って環状に形成されていることも好ましい。
これにより、ハニカム構造体の端面の縁部に位置する貫通孔の封口長さの不足を抑制することが容易となる。
これにより、ハニカム構造体の端面の縁部に位置する貫通孔の封口長さの不足を抑制することが容易となる。
また、前記溝を複数有し、前記複数の溝は同心に配置されていることができる。
また、前記溝の、前記溝が延びる方向に対して垂直な断面の形状は、下に凸の曲線または矩形であることもできる。
前記第二部の最大深さは、第一部の高さよりも0.3〜10mm凹んでいることが好ましい。
また、弾性板は、ゴム板であることが好ましい。これにより、弾性板の変形が容易に行なえる。
また、弾性板上に配置され、複数の貫通孔を有するマスクをさらに備えることが好ましい。これにより、ハニカム構造体の所望の貫通孔群に対して封口材を供給することが容易となる。
また、弾性板上において本体部に対してハニカム構造体を固定する状態と、本体部から離れる方向にハニカム構造体を移動可能とする状態と、を切替える、保持部をさらに備えることが好ましい。
本発明にかかる端部が封口されたハニカム構造体の製造方法は、凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、前記凹部を覆うように前記本体部に固定された弾性板と、を備え、前記凹部の底面が、平坦な第一部と、前記第一部よりも凹んだ第二部とを有する封口装置を準備する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出することにより前記弾性板の凹部を形成する工程と、
前記弾性板の凹部内に封口材を供給する工程と、
前記凹部と対向する位置に、複数の貫通孔を有するハニカム構造体の一端面を配置する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内に流体を供給することにより、前記ハニカム構造体の一端面に向かって前記ピストン板及び前記弾性板を移動させる工程と、を備える。
前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出することにより前記弾性板の凹部を形成する工程と、
前記弾性板の凹部内に封口材を供給する工程と、
前記凹部と対向する位置に、複数の貫通孔を有するハニカム構造体の一端面を配置する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内に流体を供給することにより、前記ハニカム構造体の一端面に向かって前記ピストン板及び前記弾性板を移動させる工程と、を備える。
ここで、前記第二部は溝であることが好ましい。また、前記凹部の前記溝を、前記弾性板が移動する工程において、前記ハニカム構造体の一端面のうち縁部と対向するように配置することが好ましい。
本発明によれば、封口長さの均一性に優れたハニカム構造体の製造方法及び封口装置が提供される。
本発明に係る封口装置の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態の一例に係る封口装置100の概略断面図である。本実施形態に係る封口装置100は、主として、本体部10、弾性板20、ポンプ50、保持部80を備える。
本体部10は、剛性材料から形成されている。剛性材料としては、ステンレス等の金属や、繊維強化プラスチック等のポリマー材料が挙げられる。本体部10の上面10aには、柱状の凹部10dが形成されている。本実施形態では、凹部10dの形状は、図1及び図2に示すように、略円柱状とされている。本実施形態では、本体部10の上面10aに対して、凹部10dの側面10bが垂直、かつ、底面10cが平行とされている。凹部10dの直径は、例えば、100〜320mmとすることができる。
本実施形態では、凹部10dの底面10cは、平坦な第一部10c1と、第一部10c1よりも凹んだ溝(第二部)10c2とを有する。溝10c2は、図2の(a),(b)に示すように、底面10cの外周に沿って環状形状を有する溝を形成している。溝10c2の、溝が延びる方向に垂直な断面形状は、下方に向かって凸の曲線である。本実施形態では、円の一部、すなわち、弧となっている。
凹部10dの第一部10c1の深さD1(図11の(a)参照)は、例えば、0.2〜20mmとすることができる。溝10c2の幅Wや、第一部10c1に対する最大深さD2も特に限定されないが、例えば、幅Wは5〜40mm、最大深さD2は0.5〜20mmとすることができる。
図1に戻って、弾性板20は、凹部10dの開口面を覆うように、本体部10における、上面10a上に、配置されている。弾性板20は、弾性を有し、容易に変形しうる。弾性板20としては、ゴム板が好ましい。ゴムとしては、天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが挙げられる。弾性板20の厚みは特に限定されないが、例えば、0.3〜3.0mmとすることができる。
弾性板20は、リング部材25、及び、ボルト31により本体部10に固定されている。リング部材25は、本体部10の凹部10dに対応する位置に開口25aを有し、これにより環状形状をなしている。そして、リング部材25は、弾性板20における中央部(凹部10dとの対向部)が露出するように弾性板20上に配置されている。これにより、弾性板20の周辺部が、本体部10とリング部材25とにより挟まれている。リング部材25及び弾性板20には貫通孔hがそれぞれ形成され、本体部10には、これら貫通孔hに対応するねじ孔jが形成されており、ボルト31がこれらの貫通孔hを貫通して配置され、ねじ孔jにねじ込まれて固定されることにより、本体部10の上面10aに、弾性板20の周辺部が密着して固定されている。
図1及び図2に示すように、リング部材25の開口25aの内径は、本体部10の凹部10dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
本体部10は、さらに、凹部10dの底面10cに開口する連通路10eを有している。
連通路10eには、接続パイプ14を介してポンプ50が接続されている。
ポンプ50は、シリンダ51、シリンダ51内に配置されたピストン53、及び、ピストン53に接続されたピストンロッド54を備える。ピストンロッド54には、ピストンロッド54を軸方向に往復移動させるモータ55が接続されている。なお、ピストンロッド54を手動で動かしてもよい。
本実施形態では、弾性板20と、ピストン53と、の間には、本体部10、接続パイプ14、及び、シリンダ51により形成される閉鎖空間Vが形成され、閉鎖空間V内には、流体FLが充填されている。流体FLは、特に限定されないが、空気等の気体が好ましい。流体は、スピンドルオイル等の液体でもよい。そして、ピストン53を移動させることにより、本体部10の凹部10d内から流体FLを排出することができ、また、凹部10d内に流体FLを供給することが出来る。
本体部10の上には、保持部80が設けられている。保持部80は、ハニカム構造体70を保持する保持具81、及び保持具81が接続された空気圧シリンダ82を有する。
保持具81は、ハニカム構造体70を、図1に示すように、貫通孔70aの一方側の開口面が弾性板20及び凹部10dと対向するように保持する。
空気圧シリンダ82は、上下方向に延びるシリンダ82aと、シリンダ82a内に設けられたピストン82bとを有し、外部からの供給する圧力を調整することによりピストン82bの上下両側での圧力を調節可能となっている。そして、これにより空気圧シリンダ82は、保持具81を、ハニカム構造体70と弾性板20とが近づく方向及びこれらが互いに離れる方向にそれぞれ移動可能である。また、空気圧シリンダ82は、ピストン82bの前後のガスの供給圧力に応じて保持具81を下方に所定の力で押圧することにより、ハニカム構造体70を後述するマスク170に対して密着させることができる。さらに、空気圧シリンダ82は、ピストンの前後の圧力を開放することにより、保持具81が上下方向に自由に移動することを許可することもできる。すなわち、保持部80は、保持具81が保持したハニカム構造体70を上方向に自由に移動可能とする状態と、ハニカム構造体70を本体部10に対して固定する状態とを切替え可能である。
本実施形態で用いる一例のハニカム構造体70は、図3の(a)に示すように、円柱体であり、軸方向に延びて両端面間に渡って延在する多数の貫通孔74a,74b,78a,78bを有している。ハニカム構造体70は、図3の(b)に示すように、略円柱状のコア部74(図3の(b)において二点鎖線の内側の部分)と、コア部74を包囲する略円筒状のシェル部78(図3の(b)において二点鎖線の外側の部分)と、を備えている。
コア部74は、貫通孔74a、74bをそれぞれ複数備える。各貫通孔74a、74bは、ハニカム構造体1の軸に略平行となるように延在している。コア部74の貫通孔74a、74bは、コア隔壁75により形成されている。各貫通孔74a,74bは、貫通孔74a,74bが延在する方向に垂直な断面形状が六角形状である。貫通孔74a,74bは、貫通孔74a,74bの断面における各重心が正三角形の頂点を形成するように配列されている。
ここでは、各貫通孔74aは正六角形状の断面形状を有する一方、貫通孔74aを取り囲む各貫通孔74bは各内角が120°、かつ、3つの辺の長さが貫通孔74aの一辺と同じ、かつ、他の3つの辺の長さが貫通孔74aの一辺より短い六角形状の断面形状を有する。つまり、コア部74の構造は、互いに異なる断面形状を有する複数種類の貫通孔74a,74bを含む非対称セル構造となっている。コア部74では、1つの貫通孔74aに対し、その断面形状の各辺に貫通孔74bの断面形状の長辺が対向するように、6つの貫通孔74bが隣接している。貫通孔74aの断面の六角形のサイズは、例えば、一辺0.4〜2.5mmとすることができ、対角線Lの長さは0.8〜5.0mmとすることができる。
シェル部78(図3の(b)において二点鎖線の外側の部分)は、コア部74(図3の(b)において二点鎖線の内側の部分)を包囲している。シェル部78は、側壁76とシェル隔壁77とを有している。側壁76は、間隙を介してコア部74を包囲し、円筒形状を有する。シェル隔壁77は、コア部74と側壁76との空間を側壁76の周方向に区画して、周方向に並ぶ複数の貫通孔78a,78bを形成している。シェル隔壁77は、概ね半径方向に延びるように複数配置されている。
各シェル隔壁77は、側壁76に対向しかつ側壁76に対して凸となるように接続された一対のコア隔壁75,75の角部75aと、側壁76との間に、掛け渡されている。ここでは、一つの角部75aと側壁76との間に、一つのシェル隔壁77のみが掛け渡されている。そして、シェル隔壁77は、そのシェル隔壁77が接続された角部75aに集合する一対のコア隔壁75,75のそれぞれと鈍角の角度(90度より大きく180度より小さい角度)を成している。つまり、シェル隔壁77の中心面(厚さの中心面)は、そのシェル隔壁77が接続された角部75aに集合する一対のコア隔壁75,75のそれぞれの中心面(厚さの中心面)と鈍角の角度を成している。また、シェル隔壁77は、側壁76と略90度の角度を成すように(すなわち、側壁76に略直交するように)、側壁76に接続されている。つまり、シェル隔壁77の中心面(厚さの中心面)は、そのシェル隔壁77と側壁76との接続箇所において側壁76の中心面(厚さの中心面)に接する面に対して略90度の角度を成している。
シェル部78の貫通孔78aはコア部74の貫通孔74aと隣接しない一方、シェル部78の貫通孔78bはコア部74の貫通孔74aと隣接する。規則的な構造のコア部74と、円筒状の側壁76との間に挟まれているため、シェル部78の貫通孔78a,78bの断面形状や大きさは、場所に応じて様々であり、五角形、七角形等の形状がある。
周方向において隣り合うセル隔壁77,77の半径方向の最外部同士の間隔Dは、貫通孔74aの断面形状である正六角形における最長の対角線(すなわち、正六角形の中心を通る三本の対角線)の長さL以下となっている。そして、コア隔壁75、側壁76及びシェル隔壁77によって仕切られることでシェル部78に形成された各貫通孔78a,78bの断面積は、全ての貫通孔78a,78bの平均断面積の40%以上となっている。ここでは、ハニカム構造体70の軸方向から見た場合に、一部のシェル隔壁77(例えば、図3において破線で囲んだシェル隔壁77)が途中で折り曲げられることで、全ての貫通孔78a,78bにおいて、隣り合う接続部77,77の半径方向の最外部同士の間隔Dが最長の対角線の長さL以下とされ、かつ各貫通孔78a,78bの断面積がこれら全ての貫通孔78a,78bの平均断面積の40%以上とされている。
また、ハニカム構造体70の各貫通孔が延びる方向の長さ、すなわち軸方向の長さは特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。また、ハニカム構造体70の外径も特に限定されないが、例えば、100〜320mmとすることできる。
ハニカム構造体70の材料は特に限定されないが、高温耐性の観点から、セラミクス材料が好ましい。例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。このような、ハニカム構造体70は通常多孔質である。
また、ハニカム構造体70は、後で焼成することにより上述のようなセラミック材料となるグリーン成形体(未焼成成形体)であってもよい。グリーン成形体は、セラミクス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。
例えば、チタン酸アルミニウムのグリーン成形体の場合、無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。
図1に示すマスク170は、弾性板20上におけるリング部材25の開口25a内に配置されるものである。マスク170の材料は特に限定されず、例えば、金属や樹脂が挙げられる。
図4の(a)に、本実施形態で用いるマスク170の一例を示す。マスク170は、円形の板状部材であり、厚み方向に伸びる多数の貫通孔174b、178bを有する。貫通孔174bは、図4の(b)に示すように、図3の(b)のコア部74の各貫通孔74bに対向する部分に設けられている。各貫通孔174bの断面形状は、図4の(b)に示すように、対応するハニカム構造体70の貫通孔74b(図3の(b)参照)の形状に対応する六角形である。一方、貫通孔178bは、図4の(b)に示すように、図3の(b)のシェル部78の各貫通孔78bに対向する部分に設けられている。各貫通孔178bの断面形状は、図4の(b)に示すように、ハニカム構造体70の貫通孔78bにそれぞれ対応する形状である。なお、マスク170の貫通孔174b、178bの位置決めを容易にすべく、マスク170には、オリエンテーションフラット170bが形成され、これに対応してリング部材25にもオリエンテーションフラットに対応する突起25bを設けてもよい。図1に示すように、マスク170の外径は、本体部10の凹部10dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
なお、本体部10には、本体部10に超音波振動を与える機構、本体部を鉛直軸周りに回転させる機構等の、封口材130の液面を平坦にするレベリング機構140が設けられていることが好ましい。
(ハニカム構造体の製造方法)
つづいて、上述の封口装置100を用いたハニカム構造体の製造方法について説明する。まず、図1の状態から、予め、空気圧シリンダ82を駆動して、ハニカム構造体70を保持する保持具81上方に引き上げておくと共に、マスク170を弾性板20上から外しておく。次に、ポンプ50のピストン53を下方に引くことにより、本体部10の凹部10dから流体FLを下方に排出させる。これにより、図5の(a)に示すように、弾性板20が変形して凹部10dの底面10c及び側面10bに密着し、これによって、弾性板20の凹部20dが形成する。ここで、凹部10dの底面10cの溝10c2及び第一部10c1の高低差に応じて、弾性板20の凹部20dの底面は、平坦な部分20d1及び凹んだ部分20d2を有する。
つづいて、上述の封口装置100を用いたハニカム構造体の製造方法について説明する。まず、図1の状態から、予め、空気圧シリンダ82を駆動して、ハニカム構造体70を保持する保持具81上方に引き上げておくと共に、マスク170を弾性板20上から外しておく。次に、ポンプ50のピストン53を下方に引くことにより、本体部10の凹部10dから流体FLを下方に排出させる。これにより、図5の(a)に示すように、弾性板20が変形して凹部10dの底面10c及び側面10bに密着し、これによって、弾性板20の凹部20dが形成する。ここで、凹部10dの底面10cの溝10c2及び第一部10c1の高低差に応じて、弾性板20の凹部20dの底面は、平坦な部分20d1及び凹んだ部分20d2を有する。
続いて、図5の(b)に示すように、弾性板20の凹部20d内に封口材130を供給する。必要に応じて、レベリング機構を駆動することにより、封口材130の表面の平坦化、脱泡を促す。
(封口材)
封口材130は、ハニカム構造体70の貫通孔70aの端部を閉鎖できるものであれば特に限定されないが、液状であることが好ましい。例えば、封口材として、セラミクス材料又はセラミクス原料と、バインダと、溶媒とを含むスラリーが例示できる。
封口材130は、ハニカム構造体70の貫通孔70aの端部を閉鎖できるものであれば特に限定されないが、液状であることが好ましい。例えば、封口材として、セラミクス材料又はセラミクス原料と、バインダと、溶媒とを含むスラリーが例示できる。
セラミクス材料としては、上述のハニカム構造体の構成材料や、その原料が挙げられる。
バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の有機バインダを例示できる。
バインダの使用量は、例えば、3〜5000mLとすることができる。
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。
溶媒の使用量は、15〜40重量%とすることができる。
続いて、図6に示すように、本体部10の凹部10dを覆うように弾性板20上にマスク170をセットし、次いで、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に移動させてハニカム構造体70をマスク170に接触させることにより、ハニカム構造体70の一部の貫通孔74b、78bと、マスク170の貫通孔174b、178bとを連通させ、さらに、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に押圧し、ハニカム構造体70の下端面(一端面)がマスク170を介して弾性板20の凹部20dと対向するように、ハニカム構造体70をマスク170及び本体部10に対して固定する。
次いで、ポンプ50のピストンを上方に移動させることにより、凹部10d内に流体FLを供給し、これによって、弾性板20をマスク170に向かって移動させ、図7の(a)に示すように、弾性板20をマスク170に接触させ、弾性板20の変形が解消して平面状態とする。
これにより、封口材130がマスク170の貫通孔174b、178b0aを介して、ハニカム構造体70の一部の貫通孔74b、78b内に供給され、封口部70pbが形成する。
そして、本実施形態では、コア部74の貫通孔74bに比べて、シェル部78の貫通孔78bは開口面積がばらついており、従来の方法ではシェル部78の貫通孔78bの封口長さの不足が生じやすい。しかしながら、予め、図6に示すように、貫通孔78bの下には、弾性板20の凹んだ部分20d2が配置され、平坦な部分20d1よりも多くの封口材が供給されうるため、シェル部78の貫通孔78bの封口長さの不足を抑制しやすい。
そして、本実施形態では、コア部74の貫通孔74bに比べて、シェル部78の貫通孔78bは開口面積がばらついており、従来の方法ではシェル部78の貫通孔78bの封口長さの不足が生じやすい。しかしながら、予め、図6に示すように、貫通孔78bの下には、弾性板20の凹んだ部分20d2が配置され、平坦な部分20d1よりも多くの封口材が供給されうるため、シェル部78の貫通孔78bの封口長さの不足を抑制しやすい。
続いて、空気圧シリンダ82によるハニカム構造体70の下方向への押圧を停止してハニカム構造体70が上方に自由に移動できるようした後、ピストン53をさらに上昇させる。これにより、図7の(b)に示すように、弾性板20におけるハニカム構造体の一端面と対向する部分は上方向に凸状(ドーム状)に変形する。これにより、マスク170の中央部に荷重が印加され、マスク170及びハニカム構造体70が上方に移動する。このとき、凸状に変形する弾性板20の周辺部はマスク170から離れるので、これにより、マスク170及びハニカム構造体70を、本体部10から容易に引き離すことが出来る。
続いて、ハニカム構造体70を保持具81から外した後、天地をひっくり返したうえで再びハニカム構造体70を保持具81に保持する。次いで、ハニカム構造体70に対してマスク170とは貫通孔の配置が異なるマスク170’を用いて、同様の操作を行なう。このマスク170’は、コア部74の貫通孔74a及びシェル部78の貫通孔78aに対向する位置にそれぞれ貫通孔174a、178aが配置されている。これにより、図8の(a)に示すように、残りの貫通孔74a,78aの他端側が封口材で封口され、封口部70paが形成される。続いて、上述と同様にして弾性板20におけるハニカム構造体の一端面と対向する部分を上に凸状に変形させることにより、マスク170’及びハニカム構造体70を容易に本体部10及び弾性板20から引き離すことが出来る。
そしてこのようにして、貫通孔70aの両端が封口されたハニカム構造体70を乾燥、焼成等することにより、ハニカムフィルタ構造体を製造することが出来る。
本実施形態によれば、弾性板20の凹部20dの凹んだ部分20d2から供給される封口材の量が、弾性板20の凹部20dの平坦な部分20d1から供給される封口材の量よりも相対的に多く、凹んだ部分20d2では、平坦な部分20d1に比べて封口材130をシェル部78の貫通孔78a、78bに供給しやすい。したがって、シェル部78の貫通孔の封口長さの不足を抑制することが可能である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、様々な変形態様が可能である。
例えば、上記実施形態では、凹部10dの底面10cの溝(第二部)10c2が、柱状の凹部10dの周縁にそって単独で環状に形成されているが、第二部の形態はこれに限定されない。
例えば、図9及び図10に示すように、溝10c2を、底面10cの縁部に沿って同心円状に複数配置してもよい。この際、図9に示すように、溝10c2が平坦部を介さずに連続していてもよいし、図10に示すように、溝10c2が第一部10c1を介して配置されていてもよい。溝10c2が第一部10c1を介して配置される場合の第一部の幅は、例えば、0.5〜5mmとすることができる。
また、溝10c2の位置は、ハニカム構造体の封口すべき貫通孔の形状、大きさ、位置、密度、あるいは、封口に用いるマスクの開口の径や配置に応じて任意の形状及び大きさとすることができ、封口長さの不足が生じやすい貫通孔の下に溝が配置されるようにすればよい。したがって、ハニカム構造体の貫通孔の配置によっては、溝10c2を底面10cの縁部以外、例えば、中心付近に配置してもよい。また、第二部として、細長い溝でなく、例えば、円形状の窪みを用いても構わない。
また、溝10c2の、溝10c2が延びる方向に対して垂直な断面の形状は、特に限定されず、二次曲線(円や楕円の弧(例えば半円など)、放物線、及び、双曲線等)等の下に凸な曲線に加えて、例えば、波形曲線、図11の(b)に示す矩形のような非曲線とすることもできる。
また、上記実施形態では、弾性板20が、リング部材25、及び、ボルト31により、本体部10に対して固定されているが、固定方法は特に限定されない。例えば、弾性板20が接着剤によって、凹部10dの上面10aにおける凹部10d周りの部分10aaに固定されていてもよい。
また、上述では、連通路10eが、本体部10及び接続パイプ14により形成されているが、接続パイプ14を有さずに本体部10に直接ポンプ50が接続されていてもよい。
また、上記実施形態では、ポンプ50として、シリンダ51、ピストン53、及び、ピストンロッド54を備えたピストンポンプを採用しているが、流体を供給及び排出できるものであれば特に限定されない。
また、柱状の凹部10dの形状は、円柱上に限られず、封口対象となるハニカム構造体70にあわせて適宜設定できる。例えば、柱状の凹部10dの断面形状は、円形以外に楕円形、矩形、正方形等とすることもできる。この場合、矩形や正方形の場合の大きさは、例えば、一辺50〜300mmとすることができる。
また、上記実施形態では、保持部80は空気圧シリンダ82を備えるがこれに限られず、たとえば、歯車機構等の種々の機構に代替することが出来る。
また、保持部80は必ずしも必須ではない。例えば、封口材を供給するときには錘をハニカム構造体70の上に載せることによりハニカム構造体を本体部10に対して固定し、ハニカム構造体70を本体部から離れさせる際には、錘を除去してハニカム構造体を移動可能としてもよい。また、ハニカム構造体がある程度の重量を有する場合には、自重によって固定されるので特段の固定手段を有さない態様も可能である。
ハニカム構造体70の形状や構造も上述に限定されない。例えば、ハニカム構造体70の外形形状も円柱でなくてもよく、例えば、四角柱等の角柱でもよい。また、ハニカム構造体70の貫通孔70aの断面形状は、六角形でなくてもよく、例えば、正方形、長方形、三角形、六角形以外の多角形、円形等でも構わない。もちろん、種々の形状が混在していてもよい。さらに、貫通孔70aの配置も、正三角形配置でなくてもよく、例えば、正方形配置、千鳥配置等でも構わない。また、この場合、マスクの貫通孔の形状や配置も、ハニカム構造体70の貫通孔70aの形状や配置に応じて適宜変更でき、貫通孔の形状と異なっていてもよい。
また、マスクの貫通孔の位置も任意の位置に設定できる。さらに、このようなマスク170を用いなくても実施可能である。例えば、封口処理の前に、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70a内に加熱すると分解する材料により栓をしておき、封口後に栓を熱分解等すればよい。本発明では、マスクを使用しない場合であっても、封口処理後に凸状に変形する弾性板20によって、ハニカム構造体70を本体部10や弾性板20から容易に引き離すことが出来るという効果がある。
なお、本実施形態では、連通路10eは凹部10dの底面10cに開口しているが、凹部10dの内面に開口していれば良く、例えば、凹部10dの側面10bに開口していてもよい。また、連通路10eの開口の形状や数も特に限定されない。
10…本体部、10b…凹部、10c…凹部の底面、10c1…第一部、10c2…溝(第二部)、10e…連通路、20…弾性板、30…凹部、50…ポンプ、70…ハニカム構造体、80…保持部、100…封口装置、170…マスク。
Claims (9)
- 凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、
前記凹部を覆うように前記本体部に固定された弾性板と、を備え、
前記凹部の底面は、平坦な第一部と、前記第一部よりも凹んだ第二部とを有する封口装置。 - 前記第二部は溝である請求項1記載の装置。
- 前記溝は前記凹部の底面に環状に形成されている請求項2記載の装置。
- 前記溝は前記凹部の底面の縁部に沿って環状に形成されている請求項2記載の装置。
- 前記溝を複数有し、前記複数の溝は同心に配置されている請求項3又は4記載の装置。
- 前記溝の、前記溝が延びる方向に対して垂直な断面の形状は、下に凸の曲線または矩形である請求項2〜5のいずれか一項記載の装置。
- 凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、前記凹部を覆うように前記本体部に固定された弾性板と、を備え、前記凹部の底面が、平坦な第一部と、前記第一部よりも凹んだ第二部とを有する封口装置を準備する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出することにより前記弾性板の凹部を形成する工程と、
前記弾性板の凹部内に封口材を供給する工程と、
前記凹部と対向する位置に、複数の貫通孔を有するハニカム構造体の一端面を配置する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内に流体を供給することにより、前記ハニカム構造体の一端面に向かって前記弾性板を移動させる工程と、を備えた、端部が封口されたハニカム構造体の製造方法。 - 前記第二部は溝である請求項7記載の方法。
- 前記凹部の底面の前記溝を、前記弾性板が移動する工程において、前記ハニカム構造体の一端面のうちの縁部と対向するように配置する請求項8記載の方法。
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