JP2014005529A - 超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具 - Google Patents

超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具 Download PDF

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直也 大森
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Abstract

【課題】耐初期欠損性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性を両立させた超硬合金を提供する。
【解決手段】本発明の超硬合金は、WC粒子を含み、該超硬合金は、以下の式(I)を満たし、該WC粒子は、その平均粒径Dが、0.7〜4.0μmであり、かつ該WC粒子の平均径をdとしたとき、該WC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、該WC粒子の全粒子数に対して20%以下であることを特徴とする。
|W1000−W500|/WRT≦0.20・・・(I)
(式(I)中、WRTは25℃における熱伝導率を示し、W500は500℃における熱伝導率を示し、W1000は1000℃における熱伝導率を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具に関する。より詳細には、広範な使用用途を持ち、特に鋼フライス切削加工や鋼高速旋削加工に効果の高い超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具に関する。
従来から、炭化タングステンを主成分とする超硬合金で構成された切削工具を用いて、各種の被削材を切削加工することが行なわれている。
このような超硬合金製切削工具は、耐熱亀裂性、耐摩耗性、耐初期欠損性などの切削性能が高いことが要求される。
上記の超硬合金は、炭化タングステン(以下、「WC」とも記す)を主体として含むWC粉末と、WC粉末同士を結合する結合相と、必要に応じて周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相を主体とする粉末を混合した後、プレス法、射出成形法、または押し出し法で成形し、さらにそれら成形体を焼結プレートに載せて焼結炉に入れ、液相焼結して焼結体を作製することにより得られる。
そして、必要に応じて、焼結体の表面に対し、砥石による部分研磨または全面研磨を行ない、さらに刃先処理や、焼結体表面への硬質層被覆や、被覆後の表面処理などを行なうことにより切削工具が作製される。
昨今、被削材の硬度化が進み、加工能率を高めるため切削速度が高速化されるなど、切削工具の使用条件は過酷化を極めている。それに加えて、切削油を使用しないドライ切削などのニーズが高まるなど、用途の多様化も進んでいる。
かかる状況下、切削工具には、耐熱亀裂性、耐摩耗性、および耐初期欠損性の改善が益々望まれるようになっている。その中でもとりわけ、耐熱亀裂性に対する改善要求が強い。
切削工具の刃先部は、切削加工時に、被削材との摩擦により摩擦熱を生じるため600℃以上の高温となる。その結果、刃先部に熱膨張が生じる。
一方、被削材から離れている間、いわゆる空転時間には、刃先部は空転により冷却されて、収縮する。
したがって、切削工具の刃先部は、摩擦による発熱と、空転による冷却という、熱衝撃サイクルを繰り返すことになる。これは同時に、熱膨張と冷却収縮を繰り返すことを意味し、これにより熱亀裂が生じて刃先部に欠損が発生すると考えられている。
特に、フライス加工などでは、その性質上、熱衝撃サイクル回数が多くなりやすく、刃先部に発生する熱亀裂が問題となっていた。
超硬合金の合金組織において、結合相割合を増加させることによって、耐熱亀裂性に一定の効果が得られることが知られている。これは、結合相の強度がWC粒子に比べて高いため、結合相割合の増加に伴って、熱亀裂が拡大し難くなるからであると推測される。
しかしながら、結合相の硬度はWC粒子に比べて低く、結合相割合が増加すると、耐摩耗性が低下してしまう。
すなわち、耐熱亀裂性と耐摩耗性はトレードオフの関係にあり、これらの両立は極めて困難である。そして、耐初期欠損性などの諸特性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性の両立を図ることは、当該技術の分野における長年の課題となっている。
上記課題を解決するため、従来から、さまざまな試みがなされている。たとえば、特開平10−176234号公報(特許文献1)、特開平10−008182号公報(特許文献2)および特開平07−278719号公報(特許文献3)では、超硬合金組織において、WC粒子の形状を制御することにより、切削性能を高める方法が提案されている。また、特開平05−302136号公報(特許文献4)では、超硬合金組織において、Ti化合物相の形状を制御し、特開2003−155537号公報(特許文献5)では結合相の形状を制御することにより、切削性能を高める方法が提案されている。
また、超硬合金の熱伝導率を高めて局所的な発熱を抑制する試みもなされている。たとえば、特開昭63−83236号公報(特許文献6)では、超硬合金に熱間静水圧プレスを行なう方法が、特開平06−279911号公報(特許文献7)では、サーメットにおいて、その材料組成の最適化により熱伝導率を改善する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜7に開示されている技術をもってしても、依然として、耐熱亀裂性および耐摩耗性の両立が図れておらず、いずれの超硬合金およびこれを用いた切削工具も、ユーザーが要求する切削性能を満たすレベルには達していないというのが現状である。
そして、これらの超硬合金は、たとえば、「超硬合金と焼結硬質材料 基礎と応用」(1986年丸善出版株式会社発行)(非特許文献1)に説明されているように、原料粉末を鋼球とともに密閉容器に入れ、粉砕と混合を繰り返す工程を経て製造されている。
特開平10−176234号公報 特開平10−008182号公報 特開平07−278719号公報 特開平05−302136号公報 特開2003−155537号公報 特開昭63−83236号公報 特開平06−279911号公報
「超硬合金と焼結硬質材料 基礎と応用 発行元:株式会社丸善出版株式会社」
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、耐初期欠損性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性を両立させた超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、超硬合金の熱亀裂を減少させる技術について鋭意研究を重ねたところ、超硬合金において、温度に対する超硬合金の熱伝導率の変動幅を減少させることで、耐初期欠損性を維持したまま、耐熱亀裂性と耐摩耗性の両立を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。
なお、ここで、温度に対する超硬合金の熱伝導率の変動幅とは、ある温度における超硬合金の熱伝導率と、他の温度における超硬合金の熱伝導率との差の絶対値を示す。
すなわち、本発明の超硬合金は、WC粒子を含み、
該超硬合金は、以下の式(I)を満たし、
該WC粒子は、その平均粒径Dが、0.7〜4.0μmであり、かつ該WC粒子の平均径をdとしたとき、該WC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、該WC粒子の全粒子数に対して20%以下であることを特徴とする。
|W1000−W500|/WRT≦0.20・・・(I)
(式(I)中、WRTは25℃における熱伝導率を示し、W500は500℃における熱伝導率を示し、W1000は1000℃における熱伝導率を示す。)
ここで、該超硬合金は、
i)該WC粒子と、
ii)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
iii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
iv)不可避不純物と、を含み、
該化合物相または固溶体相は、0.1〜70質量%の範囲で含まれ、
該結合相は、4〜12質量%の範囲で含まれることが好ましい。
また、該超硬合金は、切削工具に用いられ、該切削工具は、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切り工具、リーマ、またはタップのいずれかであることが好ましい。
また、本発明の超硬合金を用いた切削工具としては、基材と該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具であって、
該基材は、本発明の超硬合金により構成される、表面被覆切削工具であることが好ましい。
ここで、該被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素との化合物からなる1層以上の層を含むことが好ましい。
また、該被膜は、物理蒸着法および/または化学蒸着法により形成されることが好ましい。
また、該被膜は、物理蒸着法により形成されるものであり、かつ超多層構造層または変調構造層を含み、
該超多層構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の単位層が、各々0.2nm以上20nm以下の厚みで周期的に繰り返して積層された構造を有し、
該変調構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成され、その化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化する構造を有することが好ましい。
また、該被膜は、化学蒸着法により形成されるものであり、MT−TiCN層および/またはα−アルミナ層を含むことが好ましい。
また、該被膜は、0.1GPa以上の圧縮残留応力が付与されていることが好ましい。
本発明の超硬合金は、上記のような構成を有することにより、耐初期欠損性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性が両立された優れた効果を示す。したがって、該超硬合金を用いた表面被覆切削工具は、良好な切削性能を示し、とりわけフライス加工や高速旋削加工において、極めて良好な切削性能を発揮する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<超硬合金>
本発明の超硬合金は、WC粒子を含む。
そして、該超硬合金は、以下の式(I)を満たし、
該WC粒子は、その平均粒径Dが、0.7〜4.0μmであり、かつ該WC粒子の平均径をdとしたとき、該WC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、該WC粒子の全粒子数に対して20%以下であることを特徴とする。
|W1000−W500|/WRT≦0.20・・・(I)
(式(I)中、WRTは25℃における熱伝導率を示し、W500は500℃における熱伝導率を示し、W1000は1000℃における熱伝導率を示す。)
なお、本発明において、平均粒径Dはフルマンの式により算出される値とし、平均径dは個々の粒子のHeywood径の相加平均値とする。
ここで、該超硬合金は、
i)該WC粒子と、
ii)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
iii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
iv)不可避不純物と、を含むことを、好ましい態様の1つとしている。
超硬合金を切削工具に用いるとき、上記したように、刃先部は600℃を超える高温となり、その結果、熱膨張が生じる。このとき刃先部の温度は、均一ではなく、部位によって温度が異なる。したがって、切削加工時、刃先部には温度分布が生じている。
上記のような温度分布が生じるため、温度分布に対応して、熱膨張量と収縮量にも部位ごとに差が生じる。この熱膨張量と収縮量の部位ごとのバラツキが、切削工具の熱亀裂発生を助長していると考えられる。
一般に、超硬合金の合金組織を形成する成分は、(i)WC粒子と、(ii)化合物相または固溶体相と、(iii)結合相とを含むが、熱伝導率は、(i)WC粒子が最も高く、次いで(iii)結合相が高く、(ii)化合物相または固溶体相が最も低いことが知られている。
そのため、熱伝導率を高くし、温度バラツキを低減するという観点からは、化合物相もしくは固溶体相または結合相の割合を減少させることが好ましい。
しかし、これらの割合を減少させると耐初期欠損性が維持できなくなるため、好ましくない。また、逆に結合相の割合を増加させた場合は、上記したとおり、耐摩耗性が低下するため好ましくない。したがって、超硬合金の組成の配合量を制御することによっては、耐初期欠損性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性を両立させることは困難である。
本発明者らは、様々な組成および組織の超硬合金の熱伝導率と、切削加工時の熱亀裂発生率との相関関係について鋭意調査した結果、熱亀裂の発生を防止するためには、500℃から1000℃における超硬合金の熱伝導率の変動幅を減少させることが、極めて効果的であることを見出した。ここで、500℃から1000℃における超硬合金の熱伝導率の変動幅とは、500℃における超硬合金の熱伝導率と、1000℃における超硬合金の熱伝導率との差の絶対値を示す。
さらに、上記に加えて、超硬合金に含まれるWC粒子として、分級によって微粒子が除去されたWC粒子を用いることで、上記効果をさらに高めることができるだけでなく、耐摩耗性と耐初期欠損性の低下を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の超硬合金は、WC粒子を含む。
そして、該超硬合金は、以下の式(I)を満たし、
該WC粒子は、その平均粒径Dが、0.7〜4.0μm(0.7μm以上4.0μm以下)であり、かつ該WC粒子の平均径をdとしたとき、該WC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、該WC粒子の全粒子数に対して20%以下であることを特徴とする。
|W1000−W500|/WRT≦0.20・・・(I)
(式(I)中、WRTは25℃における熱伝導率を示し、W500は500℃における熱伝導率を示し、W1000は1000℃における熱伝導率を示す。)
ここで、上記式(I)は、温度に対する超硬合金の熱伝導率の変動幅が小さいことを示し、|W1000−W500|/WRTは小さいほど好ましい。
上記式(I)において、|W1000−W500|/WRTが0.20を超える場合には、耐熱亀裂性の改善効果が十分に得られない。これは、工具内部へ熱を拡散させることにより、刃先部の温度分布に起因する熱膨張と収縮の差を緩和する効果が小さくなるためと考えられる。
したがって、本発明の超硬合金は、上記式(I)において、|W1000−W500|/WRTが0.20以下となる関係を満たし、好ましくは、|W1000−W500|/WRTが0.19以下となる関係を満たし、より好ましくは、|W1000−W500|/WRTが0.18以下となる関係を満たすことが好適である。
また、平均粒径Dが、0.7μm未満であると熱亀裂が発生した際、亀裂が伝播しやすくなるため好ましくなく、4.0μmを超えると、WC粒子間の粒界面積が大きくなり、該粒界に含まれる結合相の厚みが増加して曲げ強度が低下するため好ましくない。
したがって、本発明の超硬合金に含まれるWC粒子の平均粒径Dは、0.7μm以上4.0μm以下であり、好ましくは1.0μm以上3.5μm以下であり、より好ましくは1.2μm以上3.0μm以下である。
さらに、WC粒子に含まれる微粒子が少ないほど、本発明の効果を高めることができる。
したがって、本発明においては、WC粒子の平均径をdとしたとき、WC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、該WC粒子の全粒子数に対して20%以下であり、好ましくは19%以下であり、より好ましくは18%以下である。
また、WC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、少ないほど好ましいが、超硬合金の焼結性の観点から、2%以上であることが好ましい場合もある。
<超硬合金の製造方法>
このような超硬合金は、粉末冶金法によって作製されるのが一般的である。すなわち、原料である金属粉末を粉砕混合し、プレス成形してから、液相焼結が行なわれる。そして、必要に応じて、その後に研磨加工が実行される。この場合、得られた超硬合金の組織は、出発原料および/または粉末混合後の粉末物性に大きく依存していることが判明した。
粉砕混合では、たとえば非特許文献1に記載されているように、ボールミル、振動ミル、アトライターなどを用いて、原料粉末に大きな衝撃力を加えて粉砕するため、微粒子から粗大粒子まで幅広い粒度分布を有したWC粉末が得られる。
粉砕時に発生した微粒子は、液相焼結を行なう際に、1度溶解したのち、溶解しなかった別のWC粒子の表面に再析出することが知られている(以下、この現象を溶解再析出とも記す)。そして非特許文献1に記載されるように、上記のようなWC粒子が結晶成長すると、その形状は三角柱状となる。
したがって、上記のようにして得られた超硬合金の合金組織中には、ランダムに配向した三角柱状WC粒子が多数存在している。
<超硬合金原料の混合>
本発明を実現する、温度に対する熱伝導率の変動幅が小さい超硬合金は、WC粉末などの原料粉末を混合する際に、WC粒子の粉砕が発生しない条件とすることにより得られる。
上記のような混合方法は、乾式状態で行なってもよく、水、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコールなどを用いてスラリー状態で行なってもよい。たとえば、原料粉末の混合物を、粉砕用ボールの入っていないボールミルに入れて長時間攪拌するか、またはV型混合機で長時間低速で混合する方法が挙げられる。ここで、攪拌方法は特に限定されず、インペラを用いる方法、水流のみを用いる方法およびこれらを兼ね備えた方法など、粉砕が生じ難い方法であれば、いかなる方法を用いてもよい。
上記のように、WC粒子の粉砕を抑制することで、温度に対する超硬合金の熱伝導率の変動幅が小さくなる原因の詳細は不明だが、本発明者らは、そのメカニズムを以下のように推測している。
超硬合金の合金組織において、WC粒子は、その他の成分に比べて、非常に高い熱伝導率を有している。たとえば、結合相と比較すると、WC粒子の熱伝導率は、約2倍である。したがって、超硬合金の熱伝導率は、WC粒子そのものの熱伝導率に大きく依存していると推測される。
従来の粉砕混合工程を含む製造方法では、粉砕によって発生した微細なWC粒子が焼結前に存在し、焼結工程でこれら微細なWC粒子が溶解再析出する。これにより、WC粒子全体および/またはWC粒子の一部分に結晶性の高いWCが存在する。
一方、本発明のように、焼結前の時点で微細なWC粒子の存在割合が低い場合、溶解再析出も発生し難くなるため、従来法と比べて、WC粒子全体および/またはWC粒子の一部分の結晶性は低いと考えられる。
ところで、熱伝導は、主に結晶内の自由電子によって担われている。熱伝導率が温度依存性を示すのは、自由電子の運動が温度の影響を受けているからである。一般に、温度が上昇すると、自由電子の運動は活発になるが、同時にその運動を阻害する原子の振動も大きくなる。したがって、熱伝導率の温度依存性は、自由電子の運動の活発化と、原子の振動による阻害のバランスによって、その高低が決定されると考えられる。
結晶性の低いWC粒子中では、結晶性の高い場合と比べて、温度上昇時に自由電子の運動が阻害されやすく、これによって温度に対する超硬合金の熱伝導率の変動幅が小さくなると予想される。
したがって、本発明の超硬合金は、上記のように結晶性の低いWC粒子を多く含むため、温度に対する超硬合金の熱伝導率の変動幅が小さくなると推測される。
<分級処理>
あらかじめ、各原料粉末を適宜分級して微粒子を除去しておくことで、溶解再析出の発生をさらに低減できる。すなわち、温度に対する超硬合金の熱伝導率の変動幅をさらに小さくすることができる。ここで、分級はWC粉末に対して行なうのが、特に効果的である。
分級方式は特に限定されず、たとえば気流方式、湿式ふるい方式、乾式ふるい方式などを用いることができる。分級済みの粉末を再度分級する複数処理を行なうこともできる。この場合、原料粉末の粒度分布をよりシャープなものとすることができる。
<超硬合金の調製>
分級を行なったWC原料粉末と、その他原料を、水、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコールなどの溶媒とともに攪拌機に入れ、低速回転で長時間攪拌した後、得られた混合物を乾燥させて、成形し、焼結することで、超硬合金を得ることができる。
<熱伝導率の測定>
超硬合金の熱伝導率Wの測定は、公知の熱拡散率測定装置によって測定される熱拡散率α、公知の示差走査型熱量分析装置により測定される比熱C、および比重ρから、式:W=α×C×ρにより、算出することができる。
<WC粒子の評価>
超硬合金組織中のWC粒子の評価は、超硬合金の任意の表面または断面を鏡面加工して、該加工面を顕微鏡で観察して行なう。
鏡面加工の方法としては、たとえば、ダイヤモンドペーストで研磨する方法、FIB装置(集束イオンビーム装置)を用いる方法、CP装置(クロスセクションポリッシャー装置)を用いる方法およびこれらを組み合わせた方法などを挙げることができる。
該加工面を金属顕微鏡によって観察する場合には、加工面を村上氏試薬でエッチングするのが好ましい。顕微鏡観察で得られた画像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフトウェアを用いて解析することで、WC粒子の粒径などの各種情報を取得することができる。このようなソフトウェアとして、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(製品名:「Mac−View」,株式会社マウンテック製)などが挙げられる。
そして、平均粒径Dは、フルマンの式から算出することができる。
なお、観察面としては工具として機能する部位において行なうのが好ましい。
顕微鏡観察の方法としては、たとえば金属顕微鏡で750〜1500倍、SEM(走査電子顕微鏡)で80〜10000倍の倍率で観察することができる。
ここで、フルマン(Fullman)の式とは、次の数式を示す。
m=(4/π)×(NL/NS
式中dmは、平均粒径を示し、NLは、顕微鏡観察視野の任意の直線において単位長さ当たりに存在するWC粒子の数を示し、NSは、顕微鏡観察視野の任意の単位面積当たりに存在するWC粒子の数を示す。
また、粒度分布の評価は、観察した画像の中で、一定数の粒子について粒径を測定し、測定した粒子のうち、粒径が平均径dの0.5倍以下である粒子数の割合を求めることで行なうことができる。ここで、一定数の粒子とは、たとえば、1000〜5000倍で顕微鏡観察したとき、200個以上とすることが好ましい。
ここで、個々の粒子の粒径と、平均径dは以下の方法で求めることができる。上記同視野において、視野中心部の一定数のWC粒子について、画像解析ソフトを用いて個々のWC粒子の粒径(Heywood径)を算出し、その相加平均値を平均径dとすることができる。なお、Heywood径とは、観察視野上のWC粒子の断面の面積と、同じ面積を有する円の直径を示す。
<超硬合金の組成>
本発明の超硬合金の組成としては、特に限定されることなく、従来公知の組成を採用することができる。たとえば、次のような組成を有するものを採用することが好ましい。
すなわち、超硬合金として、
i)該WC粒子と、
ii)周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hfなど)、Va族元素(V、Nb、Taなど)、およびVIa族元素(Cr、Mo、Wなど)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
iii)鉄族元素(Fe、Co、Niをいい、鉄系金属ともいう)の1種以上からなる結合相と、
iv)不可避不純物と、を含み、
該化合物相または固溶体相は、0.1〜70質量%(0.1質量%以上70質量%以下)の範囲で含まれ、該結合相は、4〜12質量%(4質量%以上12質量%以下)の範囲で含まれるものを挙げることができる。
上記超硬合金の組成範囲は、一般的に工業的に製造されている範囲であるが、この範囲を超えてもよく、また部位により結合相の上記割合が変わっていてもよい。
また、このような超硬合金は、組織中に局所的にη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。なお、本発明の超硬合金を切削工具の基材として用いた場合、その表面に脱β層やCo富化層や表面硬化層が形成されていてもよく、このように表面が改質されていても本発明の効果は示される。
<使用用途>
このような本発明の超硬合金は、耐熱亀裂性に優れるため、切削加工時に刃先温度が高温になりやすい切削工具への適応性が高い。
上記のような切削工具としては、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型チップ、メタルソー、歯切工具、リーマまたはタップなどを挙げることができる。
<表面被覆切削工具>
本発明の超硬合金により構成される基材を用いた切削工具は、該基材上に被膜が形成された表面被覆切削工具であることが好ましい。
<被膜>
該被膜は、切削工具の全面を覆うようにして形成されていてもよいし、切削工具の一部分のみを覆うようにして形成されていてもよいが、その形成目的が切削工具の諸特性の向上(すなわち切削性能の向上)にあることから、全面を覆うか、もしくは一部分を覆う場合であっても切削性能の向上に寄与する部位の少なくとも一部分を覆うことが好ましい。
また、該被膜の構成は部分的に異なっていたとしてもよく、異なっていたとしても本発明の範囲を逸脱するものではない。
このように被膜によって切削工具を覆うことにより、切削工具の耐摩耗性、耐酸化性、靭性、および使用済み刃先部の識別のための色付き性などの諸特性を向上させる作用が付与される。
このような被膜は、周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hfなど)、Va族元素(V、Nb、Taなど)、VIa族元素(Cr、Mo、Wなど)、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素との化合物からなる1層以上の層を含むことが好ましい。
上記のような元素または化合物としては、たとえばTiCN、TiN、TiCNO、TiO2、TiNO、TiB2、TiBN、TiSiN、TiSiCN、TiAlN、TiAlCrN、TiAlSiN、TiAlSiCrN、AlCrN、AlCrCN、AlCrVN、TiAlBN、TiBCN、TiAlBCN、TiSiBCN、AlN、AlCN、Al23、ZrN、ZrCN、ZrN、ZrO2、HfC、HfN、HfCN、NbC、NbCN、NbN、Mo2C、WC、W2C、Cr、Al、Ti、Si、Vなどを挙げることができる。また、上記の元素または化合物に対し、他の元素が微量にドープされたものであってもよい。これらの組成中、各原子比は上記一般式に倣うものとする。なお、本発明において上記のように化合物を化学式で表わす場合、原子比を特に限定しない場合は従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるものではない。たとえば単に「TiCN」と記す場合、「Ti」と「C」と「N」の原子比は50:25:25の場合のみに限られず、また「TiN」と記す場合も「Ti」と「N」の原子比は50:50の場合のみに限られず、従来公知のあらゆる原子比が含まれるものとする。また、TiCNには、公知の化学蒸着法(CVD法)を用いたMT−TiCNも含まれる(本発明において、「MT」とは低温のCVD法で形成されることを示す)。また、Al23には、α−アルミナも含まれるものとする。
したがって、本発明の被膜としては、化学蒸着法により形成されたMT−TiCN層および/またはα−アルミナ層を含むことが好ましい。
そして、このような被膜は、少なくともその1層が圧縮残留応力を有していることが特に好ましい。これにより、被膜の靭性が飛躍的に向上し切削加工時に発生する亀裂の伝播を効果的に防止することが可能になるという極めて優れた効果が示される。このように被膜の少なくとも1層が圧縮残留応力を有し、かつ被膜が後述する超多層構造層または変調構造層を含むことによりこれらが相乗的に作用し極めて高度に耐摩耗性と靭性とを両立させることができる。
ここで、圧縮残留応力とは、このような被膜に存する内部応力(固有ひずみ)の一種であって、「−」(マイナス)の数値(単位:本発明では「GPa」を使う)で表される応力をいう。このため、圧縮残留応力が大きいという概念は、上記数値の絶対値が大きくなることを示し、また、圧縮残留応力が小さいという概念は、上記数値の絶対値が小さくなることを示す。因みに、引張残留応力とは、被膜に存する内部応力(固有ひずみ)の一種であって、「+」(プラス)の数値で表される応力をいう。なお、単に残留応力という場合は、圧縮残留応力と引張残留応力との両者を含むものとする。
そして、本発明の被膜は、その絶対値が0.1GPa以上の圧縮残留応力が付与されていることが好ましく、より好ましくは0.2GPa以上、さらに好ましくは0.5GPa以上の応力である。その絶対値が0.1GPa未満では、十分な靭性を得ることができない場合があり、上記のような優れた効果を得ることができない場合がある。一方、その絶対値は大きくなればなる程靭性の付与という観点からは好ましいが、その絶対値が6GPaを超えると該被膜自体が破壊したり剥離したりすることがあり好ましくない。
なお、このような圧縮残留応力(残留応力)は、X線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定することができる。そしてこのような圧縮残留応力は被膜中の圧縮残留応力が付与される層に含まれる任意の点(1点、好ましくは2点、より好ましくは3〜5点、さらに好ましくは10点(複数点で測定する場合の各点は当該層の応力を代表できるように互いに0.1mm以上の距離を離して選択することが好ましい))の応力を該sin2ψ法により測定し、その平均値を求めることにより測定することができる。
このようなX線を用いたsin2ψ法は、多結晶材料の残留応力の測定方法として広く用いられているものであり、たとえば「X線応力測定法」(日本材料学会、1981年株式会社養賢堂発行)の54〜67頁に詳細に説明されている方法を用いればよい。
また、上記圧縮残留応力は、ラマン分光法を用いた方法を利用することにより測定することも可能である。このようなラマン分光法は、狭い範囲、たとえばスポット径1μmといった局所的な測定ができるというメリットを有している。このようなラマン分光法を用いた残留応力の測定は、一般的なものであるがたとえば「薄膜の力学的特性評価技術」(サイペック(現在リアライズ理工センターに社名変更)、1992年発行)の264〜271頁に記載の方法を採用することができる。
さらに、上記圧縮残留応力は、放射光を用いて測定することもできる。この場合、被膜の厚み方向で残留応力の分布を求めることができるというメリットがある。
本発明の被膜は、物理蒸着法(PVD法)および/または化学蒸着法(CVD法)により形成されることが好ましいが、圧縮残留応力を導入しやすく、かつ切削性能を改善することができるという点で、物理蒸着法がさらに好ましい。
ここで、物理蒸着法としては、たとえば従来公知の真空蒸着法やスパッタ法などを採用することができ、化学蒸着法としては、たとえば従来公知のプラズマCVD法などを採用することができる。
上記の物理蒸着法としては、従来公知の物理蒸着法をいずれも採用することができ特に限定されることはない。より詳細には、たとえばマグネトロンスパッタリング法、アーク式イオンプレーティング法、ホロカソード法、イオンビーム法、電子ビーム法、バランストマグネトロンスパッタリング法、アンバランストマグネトロンスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法などを挙げることができる。
上記に例示した方法の中でも、特にアーク式イオンプレーティング法を採用することが好ましい。被膜に対して極めて有効に圧縮残留応力を付与することができるからである。なお、物理蒸着法を実行する装置としては、上記のような方法に用いられる各イオン源を併設したものを採用することが好ましい。なお、被膜を形成した後に、ブラシ、バレル、ブラスト、ダイヤモンド砥石、レーザー加工などによって被膜の一部を除去したり、被膜の表面に対し、平滑化加工などの表面処理を施したりしても本発明の効果は失われない。また、被膜に対し、乾式ショットブラスト処理、湿式ショットブラスト処理、ブラシ処理、バレル処理、レーザー加工などの表面処理方法を用いて被膜に圧縮残留応力を付与してもよい。
なお、本発明の被膜の厚み(2層以上で形成される場合はその全体の厚み)は、1μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以上20μm以下である。その厚みが1μm未満の場合、耐摩耗性の向上作用が十分に示されないためであり、一方、30μmを超えてもそれ以上の諸特性の向上が認められないことから経済的に有利ではない。しかし、経済性を無視する限りその厚みは30μm以上としても何等差し支えなく、本発明の効果は示される。このような厚みの測定方法としては、たとえば被膜を形成した刃先交換型切削チップを切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)または透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により測定するものとする。また、被膜の組成は、エネルギー分散型X線分析装置(EDS:Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)により測定するものとする。
また、本発明の被膜は、物理蒸着法により形成されるものであり、かつ超多層構造層または変調構造層を含むことが好ましい。以下、これらについて説明する。
<超多層構造層>
本発明の超多層構造層は、周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hfなど)、Va族元素(V、Nb、Taなど)、VIa族元素(Cr、Mo、Wなど)、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の単位層が、各々0.2nm以上20nm以下の厚みで周期的に繰り返して積層された構造を有する。
ここで、周期的に繰り返して積層させるとは、たとえば2種の単位層を上下交互に積層させる場合や、3種の単位層を上中下と繰り返して積層させる場合など、一定の周期性をもって積層させることをいう。なお、各単位層の厚みが0.2nm未満となる場合や20nmを超える場合には、超多層構造層による耐摩耗性の向上効果が示されない場合がある。各単位層の厚みは、それを構成する組成や成膜条件により適宜調整することができる。
なお、各単位層は、実質的に同じ厚みを有していてもよいし、異なる厚みを有していてもよい。
このような単位層を構成する周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物としては、たとえばTiC、TiN、TiCN、TiNO、TiCNO、TiB2、TiO2、TiBN、TiBNO、TiCBN、ZrC、ZrO2、HfC、HfN、TiAlN、TiAlCrN、TiZrN、TiCrN、AlCrN、CrN、VN、TiSiN、TiSiCN、AlTiCrN、TiAlCN、ZrCN、ZrCNO、Al23、AlN、AlCN、ZrN、TiAlC、NbC、NbN、NbCN、Mo2C、WC、W2Cなどを挙げることができる。
なお、超多層構造層を構成する単位層の積層数(合計積層数)は、特に限定されるものではないが通常10層以上5000層以下とすることが好ましい。10層未満の場合は、各単位層における結晶粒が粗大化することから被膜の硬度が低下する場合があり、5000層を超えると各単位層が薄くなり過ぎ各層が混合する傾向を示すためである。
このような超多層構造層は、従来公知の物理蒸着法により形成され、物理蒸着法により形成される限りその製造方法は特に限定されない。以下、物理蒸着法としてアークイオンプレーティング法を採用する場合を例示する。
まず、アークイオンプレーティング成膜装置において、形成する単位層の種類に対応する複数の蒸発源にターゲットをセットする。そして、該装置のチャンバー内の基材ホルダーに基材をセットし、この基材ホルダーを上記蒸発源に対向するように回転させながら該蒸発源のターゲットを蒸発、イオン化させることにより超多層構造層を形成する。より具体的な条件の一例は以下の通りである。
すなわち、チャンバー内に設置されているヒーターにより基材を加熱する。その後、アルゴンガスを導入してチャンバー内の圧力を1〜10Paに維持しつつ、基材にバイアス電圧を印加することにより、アルゴンイオンによる基材表面のクリーニング処理を1〜120分間行なう。
続いて、チャンバー内のアルゴンガスを排出した後、反応ガスを導入し、チャンバー内の圧力を2〜10Paに維持しつつ、基材をセットした基材ホルダーを回転させながら基材にバイアス電圧(−20〜−200V)を印加することにより、蒸発源にセットしたターゲットをイオン化させ単位層を逐次周期的に積層することにより超多層構造層を形成することができる。
<変調構造層>
本発明の変調構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成され、その化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化する構造を有する。このように被膜として変調構造層を形成することにより、極めて優れた耐摩耗性を付与することができる。
ここで、化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化するとは、たとえば構成元素が同一でその組成比が異なるA、B2種の状態を例にとると、変調構造層の基材(刃先交換型切削チップ)側から表面側への厚み方向において、まず地点Xで状態Aであったものが、徐々に変化して地点Yで状態Bとなり、再度徐々に変化して地点Zにおいて状態Aとなる場合、地点XとZの距離が周期(0.2nm以上40nm以下)となり(この場合地点Yは地点XとZとのほぼ中点に位置する)、かつこのような状態A−B−Aの変化が同様の周期で繰り返されることをいう。なお、上記周期が0.2nm未満となる場合や40nmを超える場合には、変調構造層による耐摩耗性の向上効果が示されない場合がある。上記周期のより好ましい範囲は、その上限が35nm以下、さらに好ましくは30nm以下であり、その下限が0.5nm以上、さらに好ましくは1nm以上である。
このような変調構造層を構成する周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物としては、上記超多層構造層において例示した化合物と同様の化合物を挙げることができる。
なお、このような変調構造層は、上記で説明した超多層構造層の製造方法と同様の製造方法により形成することができ、特に組成比が厚み方向において変化する構造の変調構造層の場合は、組成比の異なるターゲットを蒸発源にセットし、基材ホルダーの回転数などを制御することにより形成することができる。
また、組成が厚み方向において変化する場合は、この変調構造層と上記超多層構造層との間で明確な差異が存在しない場合があるが、そのような差異を明確に区別する必要はなくいずれのものも本発明の範囲を逸脱するものではない。
<製造方法>
本発明の超硬合金は、上記のようにWC粒子の分級処理を実行することおよび粉砕が生じ難い方法で原料粉末の混合処理を実行することを除き、従来公知の製造方法により、特に限定されることなく製造することができる。
たとえば、上記の分級処理を経たWC粒子を、その他の原料粉末と上記の粉砕が生じ難い方法で混合処理した後、その混合物をプレス成形するとともに焼結させることにより本発明の超硬合金を得ることができる。
そして、該超硬合金にホーニング処理など種々の刃先処理加工を行ない、切削工具とすることができるとともに、上記のような被膜を形成することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
以下のようにして表面に被膜を有する超硬合金からなる切削工具(刃先交換型切削チップ)No.1〜12を作製した(ただしNo.7、No.12は、被膜を有していない)。なお、各刃先交換型切削チップにおいて、分級条件と成膜条件の組合せは、以下の表1の通りである。表1中、無処理とは、出発原料のWC粉末に対し分級処理を行わなかったことを示す。
まず、出発原料として、フィッシャー径が1.3μmのWC粉末を準備した。
このWC粉末に、以下の分級処理を実行し、目的の粒径、粒径分布を有するWC粉末を得た。
<分級条件>
<分級条件1−1>
上記のWC粉末を、分級点を1.5μmに設定した気流分級機で、1回分級した。
<分級条件1−2>
分級条件1−1で得られた粉末を、分級点を1.5μmに設定した気流分級機で、さらに1回追加分級した。すなわち、合計分級処理数は2回である。
<分級条件1−3>
分級条件1−1で得られた粉末を、分級点を1.5μmに設定した気流分級機で、さらに3回追加分級した。すなわち、合計分級処理数は4回である。
<超硬合金の調製>
まず、2.0質量%のTaCと、0.3質量%のCr32と、9.0質量%のCoと、上記で得られたWC粒子(残部)とからなる組成に配合した超硬合金原料粉末を準備した。
続いて、上記の超硬合金原料粉末と、液体パラフィンワックス(2.0質量%)と、エタノール溶媒とを、粉砕用ボールを入れないボールミルで24時間攪拌することにより混合物を得た。
ここで、比較試験として、No.8〜12については、超硬合金原料粉末と、パラフィンワックス(2.0質量%)と、エタノール溶媒とを、粉砕用ボールを入れたボールミルで24時間攪拌することにより混合物を得た。
その後、この混合物をスプレードライ乾燥して造粒粉末を得た。
<基材の調製>
次いで、上記の造粒粉末をプレス成形し、10Pa以下の真空雰囲気下1380℃で1時間焼結した。
続いて、得られた焼結体の刃先稜線にSiCブラシホーニング処理を行なうことによって、すくい面と逃げ面との交差部に対して、半径が約0.05mmのアール(R)を付与した(以下、該部分を刃先部とも記す)。そして、刃先交換型チップの底面に対して、平坦研磨処理行なって、SEMT13T3AGSN−G(住友電工ハードメタル株式会社製)形状の刃先交換型切削チップの基材とした。また、同時に、熱拡散率、比熱および線膨張係数測定用の試料も、同一粉末および同一条件にて作製した。
<熱伝導率の評価>
上記のようにして得られた基材の熱伝導率の評価を以下のようにして行なった。
上記熱拡散率測定試料(底面10mm×10mm四方、厚み1.5mm)カーボンスプレーで黒化処理した。
熱拡散率測定装置(型番:「LFA457/2/G MicroFlash,NETZSCH社製)の試料ホルダーに、上記試料をセットし、測定雰囲気:アルゴンガス大気圧フロー、レーザー:ハーフタイム20msec、測定温度:25℃〜1100℃、として熱拡散率の測定を行ない、25℃における熱拡散率αRT、500℃における熱拡散率α500、1000℃における熱拡散率α1000を、それぞれ求めた。
次に、比熱測定試料(底面φ5mm、厚み1.5mm)を準備した。
示差走査型熱量分析装置(型番:「STA449 F1 Jupiter」,NETZSCH社製)の試料ホルダーに、上記試料をセットし、測定雰囲気:アルゴンガス大気圧フロー、昇温速度:20℃/min、測定温度:25℃〜1100℃、として比熱の測定を行ない、25℃における比熱CRT、500℃における比熱C500、1000℃における比熱C1000を、それぞれ求めた。
なお、一般に高温において用いられる「STA449 F1 Jupiter」の25℃における測定精度を確認するため、示差走査型熱量分析装置(型番:「DSC220C」,セイコーインスツルメンツ社製)によって、比熱CRTの測定を行なった。「DSC220C」は、一般に室温において用いられる熱量分析装置である。両者の測定値の差は±2.5%以内であったことから、「STA449 F1 Jupiter」による比熱CRTの測定精度は十分であることが確認された。
また、汎用のアルキメデス法によって、上記基材の25℃における密度ρRTを測定した。
さらに、線膨張係数測定用試料(底面φ4mm、高さ10mm)を準備した。
示差走査検出方式による高温型熱膨張計(型番:TD5020SA,日本ブルカー社製)の試料ホルダーに、上記試料をセットし、測定雰囲気:アルゴンガスフロー、大気圧下、昇温速度:10℃/min、測定温度:25℃〜1100℃、として線膨張係数の測定を行ない、500℃における線膨張係数β500および1000℃における線膨張係数β1000をそれぞれ求めた。
そして、式:ρ500=ρRT×{1+β500(500−25)}-3によってρ500を、式:ρ1000=ρRT×{1+β1000(1000−25)}-3によってρ1000を、それぞれ求めた。
そして、上記のようにして得られた各数値と、式:W=α×C×ρにより、25℃における熱伝導率WRT、500℃における熱伝導率W500、1000℃における熱伝導率W1000を、それぞれ求めた。
さらに、(W500−W1000)/WRT(すなわち、|W1000−W500|/WRT)により、数値を求めた。その結果を表1に示す。
<超硬合金組織の観察>
このようにして作製した基材の刃先部を切断して、ダイヤモンドペーストを用いて鏡面加工した後、クロスセクションポリッシャー装置を用いて、該加工面の一部をアルゴンイオンビームによってさらに研磨し、顕微鏡観察用試料とした。
上記観察用試料を、電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、5000倍の倍率で観察し、反射電子像画像を5視野撮影した。
得られた5視野のうち1視野において、視野中心部のWC粒子300個について、上記したフルマンの式で平均粒径Dを算出した。
また、上記同視野において、視野中心部のWC粒子300個について、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(製品名:「Mac−View」,株式会社マウンテック製)を用いて、個々の粒子の粒径(Heywood径)を測定した。さらに、それらの相加平均値を算出し、平均径dとした。
そして、粒径(Heywood径)が0.5d以下となる粒子を計数し、WC粒子300個に対して占める割合を算出した。
その他4視野についても同様の計測および計算を行ない(すなわち、同様の計測および計算を5回行なった)、全5回の平均値を求めた。その結果(平均値)を表1に示す。
<被膜の形成>
続いて、このようにして得られた刃先交換型切削チップの基材に対して、以下の成膜条件で被膜を形成した。
<成膜条件1−11>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて4.1μmの超多層構造層と、0.2μmのTiSiCN層とを有する被膜を形成した。上記の超多層構造層は、12nmの厚みのAlTiSiN層と、12nmの厚みのTiSiN層とを交互に積層することにより形成した。このようにして成膜した被膜の圧縮残留応力を、X線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定したところ、圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件1−12>
刃先交換型切削チップの表面に、物理蒸着法である公知のイオンプレーティング法を用いて4.1μmのTiAlN層である被膜を形成した。上記と同様にして圧縮残留応力の絶対値が0.1GPa以上であることを確認した。
<成膜条件1−13>
刃先交換型切削チップの表面に、化学蒸着法である公知の気相合成法を用いて、TiN層(0.2μm)とMT−TiCN層(2.0μm)とκ−Al23層(1.7μm)とTiN層(0.2μm)とをこの順番で積層した被膜を形成した(括弧内の数値は厚みを示す)。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる引張残留応力が付与されていることを確認した。
<評価>
<耐摩耗性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐摩耗性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタにセットし、これを用いて合金鋼のフライス加工による耐摩耗性試験を行なった。本性能評価は、1つの刃先交換型切削チップのみをカッタに取り付けて行なっている。
切削加工条件は、被削材として、SCM435:ブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=270m/min、送り=0.35mm/刃、切込み量=2.0mm、センターカット、切削油:なし、として8分間切削加工を行なった。このようにして切削加工を行なった後に、コンパレーターを用いて刃先交換型切削チップの逃げ面摩耗量(VB)を測定した。その結果を表1に示す。
表1中、逃げ面摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れていることを示している。なお、表面に被膜を有しない刃先交換型切削チップNo.7、No.12については、摩耗量が多いので、2分間で試験を終了した。
<耐初期欠損性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐初期欠損性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタにセットし、これを用いて炭素鋼の強断続フライス加工による耐初期欠損性試験を行なった。本性能評価は、1つの刃先交換型切削チップのみをカッタに取り付けて行なっている。
切削加工の条件は、被削材として、S45C:ブロック材(300mm×100mm、スリット有り)を用い、この被削材に対し、切削速度=110m/min、送り=0.60mm/刃、切込み量=2.0mm、センターカット、切削油:なし、として1分間切削加工を行なった。この条件で切削加工を20回行ない、全20個の刃先交換型切削チップのうちの破損が生じた刃先交換型切削チップの割合を破損率(%)として算出した。その結果を表1の「破損率(%)」の欄に示す。
表1中、破損率が低いほど、耐初期欠損性が優れていることを示している。
<耐熱亀裂性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐熱亀裂性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番WGC4160R(住友電工ハードメタル株式会社製)のカッタにセットし、これを用いて炭素鋼の強断続フライス加工による耐熱亀裂性試験を行なった。本性能評価は、1つの刃先交換型切削チップのみをカッタに取り付けて行なっている。
切削加工の条件は、被削材として、S45C:φ10穴空き材ブロック材(300mm×100mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=180m/min、送り=0.15mm/刃、切込み量=2.0mm、切削長:最大300mm、センターカット、切削油:水溶性油、として加工を行なった。
熱亀裂の発生状況を比較するため、切削長100mmにて、実体顕微鏡により、刃先状況を確認した。その後、刃先交換型切削チップの破損が生じるまで、加工を続行した。
この条件で切削加工を6回行ない、全6回の切削加工において、切削長100mmにおける熱亀裂発生本数の平均値と、刃先交換型切削チップの破損が生じるまでの切削長の平均値(mm)を算出した。
その結果を表1の「刃先観察結果」および「切削長(mm)」の欄に示す。
表1中、刃先観察では、熱亀裂発生本数が少ないほど耐熱亀裂性が優れていることを示している。また、切削長が長いほど、耐熱亀裂性が優れていることを示している。
Figure 2014005529
表1中、刃先交換型切削チップNo.1〜7が本発明の実施例であり、No.8〜12が比較例である(比較例には「*」が付されている)。
表1より明らかなように、本発明の超硬合金を用いた実施例の刃先交換型切削チップは、式(I):|W1000−W500|/WRT≦0.20を満たし、WC粒子の平均粒径Dが、0.7〜4.0μmであり、かつWC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、WC粒子の全粒子数に対して20%以下であり、以って、本発明の超硬合金は、耐初期欠損性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性を両立させたものであることが確認できた。
<実施例2>
以下のようにして表面に被膜を有する超硬合金からなる切削工具(刃先交換型切削チップ)No.1〜12を作製した(ただしNo.7、No.12は、被膜を有していない)。なお、各刃先交換型切削チップにおいて、分級条件と成膜条件の組合せは、以下の表2の通りである。表2中、無処理とは、出発原料のWC粉末に対し分級処理を行わなかったことを示す。
まず、出発原料として、フィッシャー径が3.1μmのWC粉末を準備した。
このWC粉末に、以下の分級処理を実行し、目的の粒径、粒径分布を有するWC粉末を得た。
<分級条件>
<分級条件2−1>
上記のWC粉末を、分級点を2.5μmに設定した気流分級機で、1回分級した。
<分級条件2−2>
分級条件2−1で得られた粉末を、分級点を2.5μmに設定した気流分級機で、さらに1回追加分級した。すなわち、合計分級処理数は2回である。
<分級条件2−3>
分級条件2−1で得られた粉末を、分級点を2.5μmに設定した気流分級機で、さらに3回追加分級した。すなわち、合計分級処理数は4回である。
<超硬合金の調製>
まず、1.0質量%のTiCと、1.5質量%のNbCと、0.3質量%のZrCと、7.5質量%のCoと、上記で得られたWC(残部)とからなる組成に配合した超硬合金原料粉末を準備した。
続いて、上記の超硬合金原料粉末と、液体パラフィンワックス(2.0質量%)と、エタノール溶媒とを、粉砕用ボールを入れないV型混合機で24時間攪拌することにより混合物を得た。
ここで、比較試験として、No.8〜12については、超硬合金原料粉末と、パラフィンワックス(2.0質量%)と、エタノール溶媒とを、粉砕用ボールを入れたボールミルで24時間攪拌することにより混合物を得た。
その後、この混合物をスプレードライ乾燥して造粒粉末を得た。
<基材の調製>
次いで、上記の造粒粉末をプレス成形し、10Pa以下の真空雰囲気下1450℃で1時間焼結して、CNMG120408N−GE(住友電工ハードメタル株式会社製)の焼結体を得た。
続いて、得られた焼結体の上面および下面の保持面をダイヤモンド砥石で研磨加工した後、刃先稜線にSiCブラシホーニング処理を行なうことによって、すくい面と逃げ面との交差部に対して、半径が約0.03mmのアール(R)を付与して、刃先交換型切削チップの基材とした。なお、焼結体の表面には、厚み15μmの脱β層が形成されていた。また、同時に、熱拡散率、比熱および線膨張係数測定用の試料も、同一粉末および同一条件にて作製した。
<熱伝導率の評価>
上記で作製した基材の熱伝導率を実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
<超硬合金組織の観察>
上記で作製した基材の超硬合金組織を実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
<被膜の形成>
続いて、このようにして得られた刃先交換型切削チップの基材に対して、以下の成膜条件で被膜を形成した。
<成膜条件2−11>
刃先交換型切削チップの表面に、化学蒸着法である公知の気相合成法を用いて、TiN層(0.2μm)とMT−TiCN層(8.9μm)とTiBN層(0.8μm)とα−Al23層(8.5μm)とTiN層(0.2μm)とをこの順番で積層した被膜を形成した(括弧内の数値は厚みを示す)。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる引張残留応力が付与されていることを確認した。
<成膜条件2−12>
上記の成膜条件2−11を行なって表面に被膜を形成した後、公知の表面処理法であるバレル処理を行なった。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる圧縮残留応力が付与されていることを確認した。
<成膜条件2−13>
上記の成膜条件2−11を行なって表面に被膜を形成した後、公知の表面処理法である湿式ショットブラスト処理を行なった。上記と同様にして応力を測定したところ、絶対値が0.1GPa以上となる圧縮残留応力が付与されていることを確認した。
<評価>
<耐摩耗性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐摩耗性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のバイトにセットし、これを用いて合金鋼の連続高速旋削加工による耐摩耗性試験を行なった。
切削加工条件は、被削材として、SCM435:丸棒(φ350mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=320m/min、送り=0.24mm/刃、切込み量=1.5mm、切削油:なし、として18分間切削加工を行なった。このようにして切削加工を行なった後に、コンパレーターを用いて刃先交換型切削チップの逃げ面摩耗量(VB)を測定した。その結果を表2に示す。
表2中、逃げ面摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れていることを示している。なお、表面に被膜を有しない刃先交換型切削チップNo.7、No.12については、摩耗量が多いので、3分間で試験を終了した。
<耐初期欠損性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐初期欠損性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のバイトにセットし、これを用いて合金鋼の強断続旋削加工による耐初期欠損性試験を行なった。
切削加工の条件は、被削材として、SCM435:丸棒(φ350mm、スリット有り)を用い、この被削材に対し、切削速度=90m/min、送り=0.45mm/刃、切込み量=2.0mm、切削油:なし、として0.5分間切削加工を行なった。この条件で切削加工を20回行ない、全20個の刃先交換型切削チップのうちの破損が生じた刃先交換型切削チップの割合を破損率(%)として算出した。その結果を表2の「破損率(%)」の欄に示す。
表2中、破損率が低いほど、耐初期欠損性が優れていることを示している。
<耐熱亀裂性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐熱亀裂性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のバイトにセットし、これを用いて合金鋼の繰り返し旋削加工による耐熱亀裂性評価を行なった。
切削加工の条件は、被削材として、SCM440:丸棒(φ350mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=250m/min、送り=0.25mm/刃、切込み量=1.0mm、切削油:水溶性油、として繰り返し切削加工を行なった。
繰り返し条件は、1秒間切削加工を行なったのち、被削材から離脱させ、空転させることを、1サイクルとして、このサイクルを繰り返した。
熱亀裂の発生状況を比較するため、100サイクル時点で、実体顕微鏡により、刃先状況を確認した。その後、刃先交換型切削チップの破損が生じるまで、上記サイクルを繰り返した。
この条件で切削加工を6回行ない、全6回の切削加工において、100サイクル時の熱亀裂発生本数の平均値と、刃先交換型切削チップの破損が生じるまでのサイクル数(繰り返し切削回数)の平均値を算出した。その結果を表2の「刃先観察結果」および「切削回数(回)」の欄にそれぞれ示す。
表2中、刃先観察では、熱亀裂発生本数が少ないほど耐熱亀裂性が優れていることを示している。また、切削回数が多いほど、耐熱亀裂性が優れていることを示している。
Figure 2014005529
表2中、刃先交換型切削チップNo.1〜7が本発明の実施例であり、No.8〜12が比較例である(比較例には「*」が付されている)。
表2より明らかなように、本発明の超硬合金を用いた実施例の刃先交換型切削チップは、式(I):|W1000−W500|/WRT≦0.20を満たし、WC粒子の平均粒径Dが、0.7〜4.0μmであり、かつWC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、WC粒子の全粒子数に対して20%以下であり、以って、本発明の超硬合金は、耐初期欠損性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性を両立させたものであることが確認できた。
<実施例3>
以下のようにして、超硬合金からなる切削工具(刃先交換型切削チップ)No.1〜8を作製した。なお、各刃先交換型切削チップにおいて、分級条件は、以下の表3の通りである。表3中、無処理とは、出発原料のWC粉末に対し分級処理を行なわなかったことを示す。
まず、出発原料として、実施例1と同じWC粉末を準備した。すなわち、フィッシャー径が1.3μmのWC粉末を準備した。
このWC粉末に、実施例1と同様に、分級条件1−1、分級条件1−2および分級条件1−3の条件で、それぞれ分級処理を実行し、目的の粒径、粒径分布を有するWC粉末を得た。
<超硬合金の調整>
まず、上記で得られたそれぞれのWC粉末(WC粒子)を用いて、13質量%のTiCと、4.0質量%のTaCと、4.0質量%のNbCと、11質量%のCoと、上記で得られたWC粒子(残部)とからなる組成に配合した超硬合金原料粉末を準備した。
続いて、上記の超硬合金原料粉末と、液体パラフィンワックス(2.0質量%)と、エタノール溶媒とを、粉砕用ボールを入れないボールミルで18時間攪拌することにより混合物を得た。
ここで、比較試験として、No.5〜8については、超硬合金原料粉末と、パラフィンワックス(2.0質量%)と、エタノール溶媒とを、粉砕用ボールを入れたボールミルで18時間攪拌することにより混合物を得た。
その後、この混合物をスプレードライ乾燥して造粒粉末を得た。
<基材の調整>
次いで、上記の造粒粉末をプレス成形し、10Pa以下の真空雰囲気下1400℃で1時間焼結して、形状がSNGN120408(JIS B 4120−1998)である焼結体を得た。
続いて、得られた焼結体の上面および下面の保持面をダイヤモンド砥石で研磨加工した後、刃先稜線に、すくい面側から見て幅が、0.05mm、角度15度のチャンファーホーニング処理を行なって、刃先交換型切削チップを作製した。
<熱伝導率の評価>
上記で作製した基材の25℃における熱伝導率WRT、500℃における熱伝導率W500、1000℃における熱伝導率W1000を、実施例1と同様にして、それぞれ求めた。さらに、(W1000−W500)/WRT(すなわち、|W1000−W500|/WRT)により、数値を求めた。その結果を表3に示す。
<超硬合金組織の観察>
上記で作製した基材の超硬合金組織を実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
<評価>
<耐摩耗性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐摩耗性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のバイトにセットし、これを用いて合金鋼の連続高速旋削加工による耐摩耗性試験を行なった。
切削加工条件は、被削材として、SCM435:丸棒(φ350mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=220m/min、送り=0.20mm/刃、切込み量=1.5mm、切削油:なし、として10分間切削加工を行なった。このようにして切削加工を行なった後に、コンパレーターを用いて刃先交換型切削チップの逃げ面摩耗量(VB)を測定した。その結果を表3に示す。
表3中、逃げ面摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れていることを示している。
<耐初期欠損性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐初期欠損性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のバイトにセットし、これを用いて合金鋼の強断続旋削加工による耐初期欠損性試験を行なった。
切削加工の条件は、被削材として、SCM435:丸棒(φ350mm、スリット有り)を用い、この被削材に対し、切削速度=110m/min、送り=0.40mm/刃、切込み量=2.0mm、切削油:なし、として0.5分間切削加工を行なった。この条件で切削加工を20回行ない、全20個の刃先交換型切削チップのうちの破損が生じた刃先交換型切削チップの割合を破損率(%)として算出した。その結果を表3の「破損率(%)」の欄に示す。
表3中、破損率が低いほど、耐初期欠損性が優れていることを示している。
<耐熱亀裂性評価>
上記で作製した刃先交換型切削チップの耐熱亀裂性評価を以下のようにして行なった。
刃先交換型切削チップの1つを型番PCLNR2525−43(住友電工ハードメタル株式会社製)のバイトにセットし、これを用いて合金鋼の繰り返し旋削加工による耐熱亀裂性試験を行なった。
切削加工の条件は、被削材として、SCM440:丸棒(φ350mm)を用い、この被削材に対し、切削速度=250m/min、送り=0.25mm/刃、切込み量=1.0mm、切削油:水溶性油、として繰り返し切削加工を行なった。
繰り返し条件は、1秒間切削加工を行なったのち、被削材から離脱させ、空転させることを、1サイクルとして、このサイクルを繰り返した。
熱亀裂の発生状況を比較するため、100サイクル時点で、実体顕微鏡により、刃先状況を確認した。その後、刃先交換型切削チップの破損が生じるまで、上記のサイクルを繰り返した。
この条件で切削加工を6回行ない、全6回の切削加工において、100サイクル時の熱亀裂発生本数の平均値と、刃先交換型切削チップの破損が生じるまでのサイクル数(繰り返し切削回数)の平均値を算出した。その結果を表3の「刃先観察結果」および「切削回数(回)」の欄にそれぞれ示す。
表3中、刃先観察では、熱亀裂発生本数が少ないほど耐熱亀裂性が優れていることを示している。また、切削回数が多いほど、耐熱亀裂性が優れていることを示している。
Figure 2014005529
表3中、刃先交換型切削チップNo.1〜4が本発明の実施例であり、No.5〜8が比較例である(比較例には「*」が付されている)。
表3より明らかなように、本発明の超硬合金を用いた実施例の刃先交換型切削チップは、式(I):|W1000−W500|/WRT≦0.20を満たし、WC粒子の平均粒径Dが、0.7〜4.0μmであり、かつWC粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、WC粒子の全粒子数に対して20%以下であり、以って、本発明の超硬合金は、耐初期欠損性を維持しつつ、耐熱亀裂性と耐摩耗性を両立させたものであることが確認できた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (9)

  1. 炭化タングステン粒子を含む超硬合金であって、
    前記超硬合金は、以下の式(I)を満たし、
    前記炭化タングステン粒子は、その平均粒径Dが、0.7〜4.0μmであり、かつ前記炭化タングステン粒子の平均径をdとしたとき、前記炭化タングステン粒子のうち0.5d以下となる粒径を有する粒子の割合は、前記炭化タングステン粒子の全粒子数に対して20%以下である、超硬合金。
    |W1000−W500|/WRT≦0.20・・・(I)
    (式(I)中、WRTは25℃における熱伝導率を示し、W500は500℃における熱伝導率を示し、W1000は1000℃における熱伝導率を示す。)
  2. 前記超硬合金は、
    i)前記炭化タングステン粒子と、
    ii)周期律表のIVa族元素、Va族元素、およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とから構成される化合物の1種以上からなる化合物相または固溶体相と、
    iii)鉄族元素の1種以上からなる結合相と、
    iv)不可避不純物と、を含み、
    前記化合物相または固溶体相は、0.1〜70質量%の範囲で含まれ、
    前記結合相は、4〜12質量%の範囲で含まれる、請求項1に記載の超硬合金。
  3. 前記超硬合金は、切削工具に用いられ、
    前記切削工具は、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切り工具、リーマ、またはタップのいずれかである、請求項1または2に記載の超硬合金。
  4. 基材と該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具であって、
    前記基材は、請求項1〜3のいずれかに記載の超硬合金により構成される、表面被覆切削工具。
  5. 前記被膜は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素との化合物からなる1層以上の層を含む、請求項4に記載の表面被覆切削工具。
  6. 前記被膜は、物理蒸着法および/または化学蒸着法により形成される、請求項4または5に記載の表面被覆切削工具。
  7. 前記被膜は、物理蒸着法により形成されるものであり、かつ超多層構造層または変調構造層を含み、
    前記超多層構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の単位層が、各々0.2nm以上20nm以下の厚みで周期的に繰り返して積層された構造を有し、
    前記変調構造層は、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成され、その化合物の組成または組成比が厚み方向において0.2nm以上40nm以下の周期で変化する構造を有する、請求項4〜6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  8. 前記被膜は、化学蒸着法により形成されるものであり、MT−TiCN層および/またはα−アルミナ層を含む、請求項4〜6のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
  9. 前記被膜は、0.1GPa以上の圧縮残留応力が付与されている、請求項4〜8のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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