JP2014003915A - バイオマスの処理装置及び処理方法 - Google Patents

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秀明 水野
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Abstract

【課題】精留装置から排出される廃液を有効利用することができるバイオマスの処理装置および処理方法を提供すること。
【解決手段】 糖化・発酵手段によって、バイオマスを糖化酵素と反応させて糖化し、糖化物を発酵微生物と反応させて発酵する工程と、蒸発装置によって、発酵もろみからアルコールまたは有機酸を蒸発する工程と、精留装置によって、蒸発装置からの蒸発液を精留する工程と、を有するバイオマスの処理方法であって、処理液返送手段によって、前記精留装置から排出される廃液を、前記糖化・発酵手段、蒸留装置または精留装置に利用するために返送する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマスを糖化・発酵して生成した発酵もろみからアルコールまたは有機酸を蒸発させ、蒸発液を精留し、アルコール製品または有機酸製品を得るバイオマスの処理装置及び処理方法に関し、特に精留工程で排出される廃液を再利用するバイオマスの処理装置及び処理方法に関するものである。
バガス、麦藁、稲藁、パーム残渣、スイッチグラス、紙等のセルロースおよびヘミセルロースを含むバイオマスは、家畜飼料として利用されてきたが、最近のセルロース糖化技術の進歩により、アルコール(エタノール、プロパノール、ブタノール、プロパンジオール、ブタンジオール)や有機酸(酢酸、コハク酸、テレフタル酸、アクリル酸、マレイン酸、アミノレブリン酸、ポリヒドロキシ脂肪酸類(乳酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸など))の原料としての用途が開拓されつつある。前記バイオマスからアルコール製品や有機酸製品を製造する一般的な工程は以下のとおりである。
まず前記バイオマスの主成分であるセルロース、ヘミセルロース等の繊維質に酸処理、水熱処理等の前処理を行い、前処理したバイオマスに糖化酵素を反応させてグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース等の糖類を含む糖化液とし、酵母等の微生物を用いる発酵法により発酵もろみを得る。この発酵もろみ内のアルコールまたは有機酸の濃度は低く、不純物が多く含まれるため、この発酵もろみからアルコールまたは有機酸を蒸発させることにより高沸点成分や固形物と分離し、蒸発液を精留することにより不純物と分離し、アルコールや有機酸の純度を上げ、製品を得ることが出来る。特に、燃料用エタノール製品の様に製品規格の水分許容値が低い場合、精留後に脱水工程を経ることにより、所望のエタノール製品を得ることが出来る。乳酸、ブタンジオールのように沸点が水より高い物質の場合、一旦エステル化などで沸点が水より低い物質に変換した後、上述の蒸発、精留工程を経ることが一般的である。なお、前記の場合のほか、前処理後のバイオマスに対し、同時糖化発酵槽内で糖化と発酵を同時に行う手法もよく用いられる。
前記発酵もろみの成分の大部分は水が占めるため、蒸発装置や精留装置から大量の水が廃液として排出される。
前記蒸発工程で蒸発装置から排出される廃液には栄養塩が豊富に含まれるため、栄養塩を濃縮して糖化・発酵装置へ返送し、再利用している事例がある。また、濃縮した栄養塩を動物飼料として再利用している事例もある。
一方、前記精留工程で精留装置から排出される廃液には有機物(不純物)が含まれるが量が少ないため、ポンド法やイリゲーション法などの比較的簡易な手法によって浄化処理し、河川等へ排出している事例がある。また、浄化処理をしないで直接畑地等に散布している事例も多い。さらに、前記廃液固形物をほとんど含まないため、配管や塔槽類の洗浄などに用いている事例もある。
しかし、精留装置から排出される廃液について、浄化処理を行う場合、精留装置から排出される廃液量が多いため、浄化設備が大きくなり、建設コストが嵩むなどの問題が生じる。また、畑地等に散布する場合、散布できる畑地に限りがあることが多いため、散布する畑地の確保に苦慮するという問題が生じる。さらに、配管や塔槽類の洗浄などに用いる場合、通常の工業用水と同様の用途に利用するに留まっている。
本発明が解決しようとする主たる課題は、精留装置から排出される廃液を有効利用することができるバイオマスの処理装置および処理方法を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
バイオマスを糖化酵素によって糖化させ、糖化したバイオマスを発酵微生物によって発酵させる糖化・発酵手段と、
発酵により生成したもろみからアルコールまたは有機酸を蒸発させる蒸発装置と、
蒸発装置からの蒸発液を精留する精留装置と、
を有するバイオマスの処理装置であって、
前記精留装置から排出される廃液を、前記糖化・発酵手段、蒸発装置または精留装置に利用するために返送する処理液返送手段を有する、
ことを特徴とするバイオマスの処理装置。
(作用効果)
精留装置から排出される廃液を、前記糖化・発酵手段、蒸発装置または精留装置に利用することで、新たに滅菌水を調整する量を削減することができる。または、滅菌装置で滅菌水を調整する必要がなくなる。その結果、滅菌水の調整をする設備の簡素化およびコストの削減に寄与することができる。また、バイオマス処理装置から排出される廃液量を削減することができる。
<請求項2記載の発明>
前記糖化・発酵手段は、糖化を行う糖化装置および発酵を行う発酵装置、または糖化と発酵を同時に行う同時糖化発酵装置を含み、前記各装置に用いる培地の調整水として利用するために、または前記各装置に投入する栄養塩の溶媒として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
糖化装置、発酵装置または同時糖化発酵装置における培地の調整水として、または前記各装置に投入する栄養塩の溶媒として廃液を用いることで、調整水や溶媒を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項3記載の発明>
前記糖化・発酵手段は、発酵微生物を培養する発酵微生物培養装置を含み、前記発酵微生物培養装置に用いる培地の調整水として利用するために、または前記発酵微生物培養装置に投入する栄養塩の溶媒として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液を発酵微生物培養装置に用いる培地の調整水として、または前記発酵微生物培養装置に投入する栄養塩の溶媒として利用することで、調整水や溶媒を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項4記載の発明>
前記糖化・発酵手段は、酵素生産菌を培養する酵素生産菌培養装置と、培養した酵素生産菌を用いて酵素を生産する酵素生産装置を含み、前記酵素生産菌培養装置若しくは酵素生産装置に用いる培地の調整水として利用するために、または前記酵素生産菌培養装置若しくは酵素生産装置に投入する栄養塩の溶媒として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液を酵素生産菌培養装置若しくは酵素生産装置に用いる培地の調整水として、または前記酵素生産菌培養装置若しくは酵素生産装置に投入する栄養塩の溶媒として利用することで、調整水や溶媒を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項5記載の発明>
前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置または酵素生産装置はセンサーを有し、前記廃液を前記センサーの洗浄水として利用するために返送する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液をセンサーの洗浄水に用いることで、洗浄水を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項6記載の発明>
前記糖化・発酵手段はバイオマスを前処理する前処理装置を含み、前記前処理装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置に用いる薬品を希釈するための希釈水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液を薬品を希釈するための希釈水に用いることで、希釈水を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項7記載の発明>
前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置を洗浄するための洗浄水として利用するために、または洗浄後のすすぎを行うリンス水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液を塔槽類の洗浄水またはリンス水として用いることで、洗浄水やリンス水を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項8記載の発明>
前記糖化・発酵手段は、前処理前のバイオマスを洗浄する前処理前バイオマス洗浄装置を含み、前記前処理前バイオマス洗浄装置に用いる洗浄水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液を前処理前のバイオマスの洗浄水として用いることで、洗浄水を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項9記載の発明>
前記糖化・発酵手段は、前処理後のバイオマスを洗浄する前処理後バイオマス洗浄装置を含み、前記前処理後バイオマス洗浄装置に用いる洗浄水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液を前処理後のバイオマスの洗浄水として用いることで、洗浄水を調整する設備の簡素化及びコスト削減に寄与することができる。
<請求項10記載の発明>
前記精留装置における精留が120℃以上の温度で行われ、精留装置から排出される廃液が滅菌される構成とした請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
精留塔廃液は、通常運転される条件下では既に滅菌状態にあるが、120℃以上の温度で精留を行うことにより、滅菌の確実性を高めることができる。また、精留装置から排出される廃液が滅菌される構成としたことで、別途滅菌装置を設ける必要性がなくなる。
<請求項11記載の発明>
前記バイオマスの処理装置は、精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を測定する測定手段と、それらの測定結果に基づいて廃液の返送場所を制御する制御手段とをさらに有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液の紫外線吸光度、酸度に基づいて廃液の返送場所を制御することで、廃液中に含まれる阻害物質による発酵工程等の阻害作用を抑えることができるため、アルコールまたは有機酸の収量の低下等を防ぐことができる。
<請求項12記載の発明>
前記バイオマスの処理装置は、前記精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を測定する測定手段と、滅菌水を生成する滅菌水生成装置とをさらに有し、
前記測定手段で測定した廃液の紫外線吸光度または酸度の値が返送場所で要求される紫外線吸光度または酸度の値になるように、前記廃液に前記滅菌水を加えて希釈した希釈廃液を返送場所に返送する構成とした請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
前記精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度の値が、返送予定の場所で要求される紫外線吸光度または酸度の値を満たしていない場合であっても、前記廃液を滅菌水で希釈することで、返送予定の場所で要求される紫外線吸光度または酸度の値を満たすようにすることができ、その結果、返送予定の場所に返送することができる。
<請求項13記載の発明>
前記測定手段による廃液の紫外線吸光度または酸度の測定結果に基づいて、
前記廃液の希釈を行う経路と、
前記廃液の希釈を行わずに、前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置を洗浄するための洗浄水として利用する経路のいずれかに分かれる構成とした請求項12に記載のバイオマスの処理装置。
(作用効果)
廃液が希釈に適さない場合は、塔槽類を洗浄する洗浄水としてその廃液を用いることで、廃液を希釈するために必要な大量の希釈水を生成するコストを削減することができる。
<請求項14記載の発明>
糖化・発酵手段によって、バイオマスを糖化酵素と反応させて糖化し、糖化物を発酵微生物と反応させて発酵する工程と、
蒸発装置によって、発酵もろみからアルコールまたは有機酸を蒸発する工程と、
精留装置によって、蒸発装置からの蒸発液を精留する工程と、
を有するバイオマスの処理方法であって、
処理液返送手段によって、前記精留装置から排出される廃液を、前記糖化・発酵手段、蒸留装置または精留装置に利用するために返送する、
ことを特徴とするバイオマスの処理方法。
(作用効果)
請求項1と同様の作用効果を有する。
本発明によれば、精留装置から排出される廃液を有効利用することができる。
本発明にかかるバイオマスの処理操作フロー図であり、精留装置からの廃液を酵素生産菌培養や酵素生産に用いる例である。 本発明にかかるバイオマスの処理操作フロー図であり、精留装置からの廃液を酵母培養に用いる例である。 本発明にかかるバイオマスの処理操作フロー図であり、精留装置からの廃液を前処理や糖化発酵に用いる例である。 本発明にかかる制御方法を示したフロー図であり、精留装置廃液中の紫外線吸光度や酸度の値に基づいて返送先を決定する制御例である。 本発明にかかる制御方法を示したフロー図であり、精留装置廃液を滅菌水で希釈することにより、返送場所で要求される紫外線吸光度や酸度の値を満たすようにする例である。 本発明にかかる制御方法を示したフロー図であり、精留装置廃液の紫外線吸光度や酸度の値が高い場合に、滅菌水での希釈を行わずに塔槽類洗浄水に利用する例である。
(バイオマス処理工程)
図1〜図3に本発明にかかるバイオマスの処理操作フローの概略を示す。
なお、本発明にかかるバイオマスの処理装置は、バガス、麦わら、パーム残渣、コーンストーバー、パームヤシ残渣、キャッサバ残渣、木片、木質廃材、ジュート、ケナフ、スイッチグラス、古紙等のセルロース、ヘミセルロースを含むバイオマスについて好適に使用できる。
(洗浄・脱水工程)
セルロース、ヘミセルロースを含むバイオマスは、前処理前バイオマス洗浄装置によって洗浄され、砂、小石等の異物が除去される。そして、分離機、脱水機等により洗浄工程で添加された水分の多くが除去される。
(前処理・滅菌工程)
前記バイオマスは、主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンの3成分が固く結合した複合体となっているうえ、セルロース分子自体も固い結晶構造を取っているため、そのままでは糖化酵素セルラーゼがセルロース分子に接近できない。そのため、前処理装置内で、脱水後のバイオマスを、熱処理、水熱処理、酸処理、アルカリ法、微粉砕法、木材腐朽菌などのどれかで前処理して、前記3成分を解離させる。その後、通常はコンタミネーションを防ぐために滅菌処理を行うが、熱処理、水熱処理(蒸煮、爆砕)、酸処理(硫酸、硝酸、リン酸などを用いた希酸法、濃酸法、SO2含浸爆砕法)並びにアルカリ法(苛性ソーダ法、亜硫酸ソーダ法、アンモニア法、水酸化カルシウム法)のいずれかの前処理を行った場合は、その前処理が滅菌効果を有するため、別途滅菌工程を設けなくても良いという利点がある。なお、濃硫酸法の場合はセルラーゼを用いずに前処理と糖化まで可能である。
(洗浄工程)
前処理後のバイオマスは、前処理後バイオマス洗浄装置(前処理物洗浄装置)によって、洗浄されることが好ましい。この洗浄を行うことで、前処理物中に存在する、阻害物質を除去することができる。なお、この工程は任意に設けられるものである。
(糖化工程)
前処理したバイオマスは糖化装置へ送られ、糖化装置内で糖化される。この糖化装置の代表例としては、バイオリアクターを挙げることができる。この糖化装置内で、前処理したバイオマスが主に3種類のセルラーゼ(endoglucanase(EG)、cellobiohydrolase(CBH)、β−glucosidase(BGL))の作用によって分解される。このセルラーゼは、原料の乾燥重量あたり3〜30FPU/g、好ましくは5〜20FPU/g添加する(FPU/gは60分間にろ紙からグルコースを10.8mg生成するセルラーゼ酵素活性の単位)。
(発酵工程)
糖化物は発酵装置へ送られ、発酵装置内で発酵される。糖をアルコールに変換するためには、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、クルイベロマイセス属、ピキア属、キャンジダ属の酵母、ザイモモナス属、クロストリディウム属の細菌、あるいは特定遺伝子を組み込んだ遺伝子組換微生物を用いる。 このアルコール発酵菌は、例えばサッカロマイセス セレビジエの場合、原料容積あたり1〜100g wet−wt/L、好ましくは5〜50g wet−wt/L接種する。
また、糖を乳酸に変換するためには、例えばリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)のような糸状菌等を用いることができ、糖をコハク酸に変換するためには、例えばコリネ型細菌(Coryneform bacterium)、バチルス属細菌、リゾビウム属細菌等を用いることができる。
(同時糖化発酵工程)
前記では、糖化と発酵を別々の装置で行うケースを示したが、糖化と発酵を一つの装置内で同時に行うようにしても良い。
バイオマスを糖化酵素によって糖化(加水分解)する場合、生成した糖化物が蓄積することによって酵素活性が阻害され、糖化率が低下してしまうという問題が生じる。しかし、この同時糖化発酵においては、糖化酵素による糖化と発酵微生物による糖化物の発酵を同時に進行させることができる。そのため、生成された糖化物が蓄積して酵素活性が阻害される前に、酵母等の発酵微生物が糖化物を発酵してしまうため、酵素活性を維持することができるというメリットがある。従って、糖化と発酵を別々の装置で行うよりも、一つの装置内で同時に行うほうが好ましい。
(蒸発工程)
前記発酵によって生成された発酵もろみは、蒸発装置へ送られる。なお、前記蒸発装置とは、例えばもろみ塔や蒸発缶のことをいう。もろみ塔では発酵もろみを沸点近傍の温度で加熱し、蒸発したアルコールまたは有機酸を凝縮させて濃度の高いアルコール液または有機酸含有液を得る。このアルコールまたは有機酸の濃度は約30%以下、より詳しくは3〜20%程度である。一方、アルコールまたは有機酸よりも沸点が高い成分(高沸点成分)や糖化発酵されなかったセルロースやリグニン等の固形物を含む液は、もろみ塔から排出され廃棄される。なお、蒸発缶においても前記と同様の操作が行われる。
(精留工程)
蒸発工程を経たアルコール液または有機酸含有液は、精留装置へ送られる。なお、前記精留装置とは、例えば精留塔や蒸留塔のことをいう。精留塔ではアルコール液または有機酸含有液を目的成分の沸点近傍の温度で加熱し、蒸発したアルコールまたは有機酸を凝縮させて濃度の高いアルコール液または有機酸含有液を得る。生成物がアルコールの場合、精留塔留分中のアルコール濃度は90〜95容積%である。一方、精留工程によって生じる廃液は、通常精留塔の最下段もしくは最下段より1〜3段上の段から排出される。蒸留塔においても前記と同様の操作が行われる。
最終製品の要求品質によっては、更なる高濃度化または不純物除去のため、更なる精留工程を設けたり、脱水工程を設けたりする場合がある。この脱水工程によって分離された水の中には、アルコールや有機酸が含まれていることもあるため、この水を精留装置へ返送し、再度精留するのが好ましい。
(糖化酵素生産工程)
一方、前記糖化装置または同時糖化発酵装置に供給される糖化酵素は、酵素生産菌培養工程、糖化酵素生産工程を経て生産される。以下に、糖化酵素を生産する工程について説明する。
まず目的酵素を生産する有用菌株を作製する。作製する有用菌株としては、例えばセルラーゼを生産するセルラーゼ生産菌、ヘミセルラーゼを生産するヘミセルラーゼ生産菌などの菌株を挙げることができる。より具体的には、アクレモニウム属、トリコデルマ属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、サーモアスカス属の菌類や、クロストリジウム属、バチルス属の真正細菌のいずれか1以上の微生物を用いることができる。
前記糖化酵素生産菌として、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)属に属する菌を用いるのが好ましい。酵素生産菌がアクレモニウム・セルロリティカス属である場合、糖化と酵素生産の原料に同一の前処理バイオマスを用いたときに、ヘミセルロース分解酵素が特に多く分泌されるため、糖化工程における糖収量を増加させることができるからである。アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)属に属する菌としては、具体的に、Acremonium cellulolyticus Y-94株、Acremonium cellulolyticus T-N株、Acremonium cellulolyticus C-1株、Acremonium cellulolyticus CF-2612株などを挙げることができる。これらの菌のうちAcremonium cellulolyticus C-1株、Acremonium cellulolyticus CF-2612株はキシラナーゼ活性が高いため、この2つの菌を用いるのが特に好ましい。
次に作製した有用菌株を培地で培養する。この培地は、炭素源として高純度セルロース、単糖類、二糖類を含むことが多い。また、この培地の種類としては固体培地、反流動培地、液体培地(ブイヨン、ブロス)を用いることができるが、液体培地を用いるのが好ましい。さらに、必要に応じて有機栄養物を含有させても良い。
この培養における培養温度および培養時間は、酵素生産菌の種類によって異なるが、通常は、28〜32℃の温度で48時間〜10日間の期間、培養を行う。
また、前記糖化酵素生産装置のうち培養に用いる発酵槽としては、例えば通気撹拌型、気泡塔型、流動層型、充填層型などを挙げることができる。
前記酵素生産菌の培養によって、酵素生産菌が成長・増殖するとともに、酵素生産菌が糖化酵素を生産する。酵素生産菌の培養終了時の培養液は糖化酵素を含有している。この酵素含有液は直接糖化槽に供給しても、また精製した後に糖化槽に供給しても構わない。
酵素精製の一般的な方法として、まず濾過や遠心分離などの方法によって酵素生産菌を除去し、上清液を得る。そして、その上清液から、イオン交換クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー、エタノール、メタノール、アセトン等を用いた沈殿分離、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透ろ過等の濾過処理などの方法を用いて、目的とする糖化酵素を得る。そして、この糖化酵素を糖化装置へ供給し、前処理バイオマスの糖化に供する。
前記においては、糖化酵素生産工程を経て糖化酵素を得る方法を説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、市販の酵素を購入して、糖化工程に用いることもできる。
(発酵微生物培養工程)
また、前記発酵装置または同時糖化発酵装置に供給される酵母等の発酵微生物は、発酵微生物培養工程を得て得られる。
酵母培養はYPD培地(酵母エキス1%、ポリペプトン2%、グルコース5%)を用いて行われる。予めYPD培地で前培養したSaccharomyces Cerevisiaeを培養培地に対し0.1%(容積比)添加し、無菌空気を0.5vvm程度供給し、攪拌しながら24時間保持することにより酵母培養液を得る。
前記においては、発酵微生物培養工程を経て発酵微生物を得る方法を説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、市販の発酵微生物を購入して、発酵工程に用いることもできる。
(廃液利用)
本発明においては、パイプなどの連結手段を通じ、また貯留タンクを介して、精留装置を、バイオマス洗浄装置、前処理装置、前処理物洗浄装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置等と連結する。そして、この連結手段を通じて、精留装置から排出される廃液を、前記各装置へポンプ等で返送する。
本発明にかかるバイオマスの処理装置において、精留装置から排出される廃液の再利用先を表1に示す。
Figure 2014003915
また、廃液の輸送先を決定する際の基準を表2に示す。
Figure 2014003915
廃液の紫外線吸光度および酸度[g−酸度as酢酸/kg−液]を測定し、その測定結果と表2の基準とを対比し、表2の基準を満たすような輸送先に廃液を輸送するのが好ましい。なお、表2においては、実用上の指針として280nmの紫外線吸光度を用いる例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、他の波長の紫外線吸光度を用いても良い。
(培地調整水)
酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置の各々は培地を含み、この培地調整時の添加水として滅菌水が用いられている。本発明においては、この滅菌水の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることで、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。前記のとおり、精留装置から排出される廃液は、比較的綺麗な液であるとともに滅菌されているため、このような利用が可能である。
なお、前記培地とは、培養および発酵の開始時に槽内に張り込んだ液体および固体のことをいい、この媒体中で微生物が増殖、代謝を行う。
また、培地には炭素源、栄養源、各種薬品(pH調整剤、消泡剤)、培養液、(同時糖化発酵の場合)酵素液等が含まれるが、これらの培地中濃度を調整するため、水が添加される。この濃度調整用の水のことを「調整水」という。
(栄養塩溶媒)
酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置の各々には栄養塩が供給される。また、この栄養塩が供給される前に、栄養塩を溶解するための溶媒(滅菌水等)も供給される。本発明においては、この滅菌水等の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることができる。その結果、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。
(センサー洗浄水)
酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置には、pHセンサー、発泡センサー、温度計、溶存酸素計などの各種センサーが取り付けられており、このセンサーを洗浄するための洗浄水として滅菌水が用いられている。本発明においては、この滅菌水の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることができる。その結果、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。
(薬品希釈水)
前処理装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、蒸発装置、精留装置の各々には、酸やアルカリなどのpH調整剤、消泡剤などの薬品が供給される。そして、これらの薬品は通常希釈して用いられ、希釈するために滅菌水等が用いられている。本発明においては、この滅菌水等の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることができる。その結果、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。
(塔槽類洗浄水)
酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、蒸発装置、精留装置の各々を洗浄するために、洗浄水が用いられる。これらの洗浄水には滅菌水等が用いられている。本発明においては、この滅菌水等の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることができる。その結果、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。
(塔槽類洗浄リンス水)
酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、蒸発装置、精留装置の各々を洗浄後、すすぎを行うために洗浄リンス水が用いられる。これらの洗浄リンス水には滅菌水等が用いられている。本発明においては、この滅菌水等の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることができる。その結果、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。
(バイオマス洗浄水)
前記のとおり、前処理を行う前にバイオマスを洗浄し、バイオマスから砂や小石等の異物を取り除く作業を行う。このバイオマスの洗浄には滅菌水等が用いられている。本発明においては、この滅菌水等の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることができる。その結果、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。
(前処理物洗浄水)
前処理を行った後、前処理物洗浄装置によって前処理したバイオマスを洗浄する。この前処理したバイオマスの洗浄には滅菌水が用いられる。本発明においては、この滅菌水の全部または一部の代わりに、精留装置から排出される廃液を用いることができる。その結果、滅菌装置で調整する滅菌水の量を減らすことができ、または、滅菌装置で滅菌水を調整することがなくなり、設備の簡素化やランニングコストの低減、さらには生産設備全体からの廃液量の低減を図ることができる。
(返送先の制御)
前記のように精留装置から排出される廃液を利用する際、廃液中に含まれる特定の有機物によって、生物学的作用が阻害される場合がある。この阻害物質としては、例えば有機酸類やアルデヒド類が挙げられ、より詳しくは、蟻酸、酢酸、レブリン酸、乳酸、プロピオン酸、2−フランカルボン酸、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール等を挙げることができる。これらの阻害物質を含む廃液を糖化発酵を行うバイオリアクターに供給した場合、発酵微生物の増殖が阻害され、アルコールや有機酸といった最終生成物の収量が低くなる場合がある。また、これらの阻害物質を含む廃液を酵素生産菌培養装置や酵素生産装置へ供給した場合、酵素生産菌の増殖が阻害され、糖化酵素の生産量が少なくなる場合がある。その他、前処理物洗浄装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、同時糖化発酵装置に廃液を投入した場合においても、廃液中の阻害物質が各工程の進行を阻害し、アルコールや有機酸といった最終生成物の収量が低くなる場合がある。
本発明者らは、紫外線吸光度や酸度の値が所定の値よりも高いと、阻害物質による阻害作用が大きくなることに着目し、精留装置から排出される廃液中の紫外線吸光度や酸度を測定する測定手段と、この測定結果に基づいて廃液の返送場所および返送量を制御する制御手段を設けた。より詳しくは、廃液の紫外線吸光度や酸度の値を測定し、その測定結果を表1および表2の基準に照らして、返送先を決定する構成にした。
以下に、この内容を詳述する。なお、表2および下記の説明においては、実用上の指針として280nmの紫外線吸光度を用いる例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、他の波長の紫外線吸光度を用いても良い。
例えば、廃液中の不純物指標が表2の値よりも高く、かつ廃液が滅菌されていない場合は、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、蒸発装置、精留装置に返送し、蒸発装置、精留装置に用いる薬品を希釈する希釈水として、各装置を洗浄する洗浄水として、または各装置を洗浄した後にすすぎを行うリンス水として利用することが好ましい。そのほか、前処理前バイオマス洗浄装置や前処理装置へ返送し、前処理前のバイオマスを洗浄する洗浄水として、または前処理装置に用いる薬品の希釈水として利用することもできる。廃液を前記各用途に用いた場合、上述各装置類は必要に応じて通常滅菌処理を行い、また、洗浄されたバイオマスは前処理工程において滅菌されるため、滅菌水でなくても後段の培養、酵素生産、糖化、発酵の各工程でコンタミネーションを引き起こすことはない。また、通常前処理中に阻害物質が物理的、化学的変化を受けて減少するため、阻害物質が最終生成物の収量に影響を与えない。よってこのような利用が可能となる。
また、廃液中の不純物指標が表2の値よりも低いが、廃液が滅菌されていない場合は、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置に返送し、各装置に用いる栄養塩溶媒として利用することが好ましい。精留塔廃液は、通常運転される条件下では滅菌されているため、廃液が滅菌されていない状態は考えにくいが、仮に廃液が滅菌されていない場合であっても、廃液を前記各装置に返送した後、返送先の各装置内で廃液の滅菌処理が行われるため、精留装置から廃液が排出されたときに滅菌されている必要がないのである。しかし、紫外線吸光度や酸度が不純物指標の値よりも高い場合は、不純物に対する馴致効果が得られず、菌が成長できないため、紫外線吸光度と酸度の両値が不純物指標の表2の値より低くなければならない。なお、ここで述べた用途のほか、廃液中の不純物指標が表2の値よりも高く、かつ廃液が滅菌されていない場合と同様の用途に用いることもできる。
また、廃液中の不純物指標が表2の値よりも高いが、廃液が滅菌されている場合は、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置に返送し、各装置に用いるセンサーの洗浄水として利用することが好ましい。センサー洗浄水として用いられる廃液の量は少量であるため、廃液中の不純物濃度が高い場合であっても、全体として不純物量がそれほど多くならないからである。しかし、菌は各装置内に一度入ると増殖を続けるため、滅菌されていなければならない。なお、ここで述べた用途のほか、廃液中の不純物指標が表2の値よりも高く、かつ廃液が滅菌されていない場合と同様の用途に用いることもできる。
廃液中の不純物指標が表2の値よりも低く、かつ、廃液が滅菌されている場合は、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、発酵微生物培養装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置に返送し、各装置に用いる培地調整水、または薬品希釈水として利用することが好ましい。そのほか、廃液中の不純物指標が表2の値よりも高く、かつ廃液が滅菌されていない場合の用途、廃液中の不純物指標が表2の値よりも低いが、廃液が滅菌されていない場合の用途、廃液中の不純物指標が表2の値よりも高いが、廃液が滅菌されている場合の用途に用いることもできる。
なお、前記各説明において、不純物指標が表2の値よりも低いとは、紫外線吸光度または酸度のいずれかが表2の値より低い場合をいう。
(廃液の貯蔵)
本発明において、通常は、精留装置から排出される廃液が一旦貯留タンクに貯留される。そして、貯留した廃液が必要とされる時に、必要な箇所へ必要な量が返送される。一般に、前記廃液は常時一定量発生し、バイオマス洗浄装置や前処理物洗浄装置は常時定量の洗浄水を使用するため、廃液は常時バイオマス洗浄装置や前処理物洗浄装置へ返送される。その他の装置へは、必要とされる時に必要量返送される。
(廃液の濃度の制御)
前記の説明においては、精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を測定し、測定結果に基づき返送場所を決定する制御の内容を示した。
しかし、このような制御ではなく、廃液を返送する場所を予め定め、その返送場所が要求する不純物指標を満たすように廃液の濃度を制御するようにしても良い。図5は、この制御方法を示したフロー図であり、精留装置廃液を滅菌水で希釈することにより、返送場所で要求される紫外線吸光度や酸度の値を満たすようにした例を示す。
具体的には、精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を測定する測定手段のほかに、滅菌水を生成する滅菌水生成装置を設ける。そして、前記測定手段で測定した廃液の紫外線吸光度または酸度の値が、返送場所で要求される不純物指標を満たしていない場合に、前記廃液に前記滅菌水を加えて廃液を希釈する。このように廃液を希釈することにより、廃液の紫外線吸光度または酸度の値が低くなり、返送場所で要求される不純物指標を満たすことができるようになる。返送場所で要求される不純物指標を満たすようになった希釈廃液は、予め定められた返送場所に返送され、培地調整水等の前記各用途に用いられる。
廃液に加える滅菌水の量は、精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度の値が、返送場所で要求される紫外線吸光度または酸度をどれだけ上回るかによって定まる。即ち、上回る度合が大きい場合は、廃液の紫外線吸光度または酸度の値を返送場所が要求する値にするために、廃液に加える滅菌水(廃液の濃度を希釈する希釈水)の量が必然的に多くなり、前記の差が小さい場合は、廃液に加える滅菌水の量は少なくなる。
また、廃液に滅菌水を加えて廃液を希釈した後、希釈廃液を撹拌する攪拌装置を設けても良い。この撹拌装置を用いることで、希釈廃液中の紫外線吸光度または酸度の値を均等にすることができる。この撹拌装置としては、例えばラインミキサーやスティックミキサーなどの静止型混合攪拌機を挙げることができる。
他の実施例として、前記測定手段で測定した廃液の紫外線吸光度の値が700未満の場合または酸度の値が9未満の場合は、前記廃液の希釈を行い、前記測定手段で測定した廃液の紫外線吸光度の値が700以上の場合または酸度の値が9以上の場合は、前記廃液の希釈を行わずに、前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置を洗浄するための洗浄水として利用する構成にしても良い。図6は、この制御方法を示したフロー図であり、精留装置廃液の紫外線吸光度や酸度の値が高い場合に、滅菌水での希釈を行わずに塔槽類洗浄水に利用する例を示す。
廃液の紫外線吸光度の値が700以上の場合や酸度の値が9以上の場合のように、廃液の紫外線吸光度や酸度の値が高い場合は、返送場所で要求される不純物指標を満たすために、多くの滅菌水を加える必要がある。しかし、大量の滅菌水を生成するには、滅菌水生成装置の大型化や電力量の増大等が必要となり、コストが嵩むため好ましくない。そこで、廃液の紫外線吸収度や酸度の値が前記のように高い場合は、廃液の希釈を行わずに、前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置を洗浄するための洗浄水として利用することで、滅菌水生成コストを抑えることができる。
なお、廃液の紫外線吸光度の値が700未満の場合や酸度の値が9未満の場合は、滅菌水生成量が多くならないため、前記のように廃液を希釈する制御を行うことが好ましい。また、他の実施例を採用する場合には、通常の貯留タンク(A)のほかに、別の貯留タンク(B)を設け、紫外線吸光度や酸度の値が高い廃液を別の貯留タンク(B)に貯留するようにすることが好ましい。
図4に示すような、精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を測定し、測定結果に基づき返送場所を決定する制御方法は、現在滅菌水を必要としている処理工程(返送場所)がある場合に、廃液の紫外線吸光度や酸度の値が、その処理工程で要求される紫外線吸光度や酸度の値を満たさない場合、その工程へ返送することができないという不都合がある。しかし、図5や図6に示すように、前記廃液に滅菌水を混入し、精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を下げることで、滅菌水を必要とする処理工程に返送することができるという利点がある。
一般的には、貯留タンクから廃液を返送する返送先は、バイオマスの各処理工程のスケジュールで一義的に決定される。従って、図4のような制御よりも、図5や図6のように、ある時間帯において送りたい返送先が要求する紫外線吸光度や酸度の値まで、廃液の紫外線吸光度や酸度の値を下げる制御を行うほうがより実際的である。

Claims (14)

  1. バイオマスを糖化酵素によって糖化させ、糖化したバイオマスを発酵微生物によって発酵させる糖化・発酵手段と、
    発酵により生成したもろみからアルコールまたは有機酸を蒸発させる蒸発装置と、
    蒸発装置からの蒸発液を精留する精留装置と、
    を有するバイオマスの処理装置であって、
    前記精留装置から排出される廃液を、前記糖化・発酵手段、蒸発装置または精留装置に利用するために返送する処理液返送手段を有する、
    ことを特徴とするバイオマスの処理装置。
  2. 前記糖化・発酵手段は、糖化を行う糖化装置および発酵を行う発酵装置、または糖化と発酵を同時に行う同時糖化発酵装置を含み、前記各装置に用いる培地の調整水として利用するために、または前記各装置に投入する栄養塩の溶媒として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
  3. 前記糖化・発酵手段は、発酵微生物を培養する発酵微生物培養装置を含み、前記発酵微生物培養装置に用いる培地の調整水として利用するために、または前記発酵微生物培養装置に投入する栄養塩の溶媒として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
  4. 前記糖化・発酵手段は、酵素生産菌を培養する酵素生産菌培養装置と、培養した酵素生産菌を用いて酵素を生産する酵素生産装置を含み、前記酵素生産菌培養装置若しくは酵素生産装置に用いる培地の調整水として利用するために、または前記酵素生産菌培養装置若しくは酵素生産装置に投入する栄養塩の溶媒として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
  5. 前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置または酵素生産装置はセンサーを有し、前記廃液を前記センサーの洗浄水として利用するために返送する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
  6. 前記糖化・発酵手段はバイオマスを前処理する前処理装置を含み、前記前処理装置、糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置に用いる薬品を希釈するための希釈水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
  7. 前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置を洗浄するための洗浄水として利用するために、または洗浄後のすすぎを行うリンス水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
  8. 前記糖化・発酵手段は、前処理前のバイオマスを洗浄する前処理前バイオマス洗浄装置を含み、前記前処理前バイオマス洗浄装置に用いる洗浄水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
  9. 前記糖化・発酵手段は、前処理後のバイオマスを洗浄する前処理後バイオマス洗浄装置を含み、前記前処理後バイオマス洗浄装置に用いる洗浄水として利用するために前記廃液を返送する構成とした請求項1記載のバイオマスの処理装置。
  10. 前記精留装置における精留が120℃以上の温度で行われ、精留装置から排出される廃液が滅菌される構成とした請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
  11. 前記バイオマスの処理装置は、精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を測定する測定手段と、それらの測定結果に基づいて廃液の返送場所を制御する制御手段とをさらに有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
  12. 前記バイオマスの処理装置は、前記精留装置から排出される廃液の紫外線吸光度または酸度を測定する測定手段と、滅菌水を生成する滅菌水生成装置とをさらに有し、
    前記測定手段で測定した廃液の紫外線吸光度または酸度の値が返送場所で要求される紫外線吸光度または酸度の値になるように、前記廃液に前記滅菌水を加えて希釈した希釈廃液を返送場所に返送する構成とした請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイオマスの処理装置。
  13. 前記測定手段による廃液の紫外線吸光度または酸度の測定結果に基づいて、
    前記廃液の希釈を行う経路と、
    前記廃液の希釈を行わずに、前記糖化装置、発酵装置、同時糖化発酵装置、発酵微生物培養装置、酵素生産菌培養装置、酵素生産装置、蒸発装置または精留装置を洗浄するための洗浄水として利用する経路のいずれかに分かれる構成とした請求項12に記載のバイオマスの処理装置。
  14. 糖化・発酵手段によって、バイオマスを糖化酵素と反応させて糖化し、糖化物を発酵微生物と反応させて発酵する工程と、
    蒸発装置によって、発酵もろみからアルコールまたは有機酸を蒸発する工程と、
    精留装置によって、蒸発装置からの蒸発液を精留する工程と、
    を有するバイオマスの処理方法であって、
    処理液返送手段によって、前記精留装置から排出される廃液を、前記糖化・発酵手段、蒸留装置または精留装置に利用するために返送する、
    ことを特徴とするバイオマスの処理方法。
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