JP2014001940A - フローセルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリジメチルシロキサンを材料としたフローセルにおいて、流路からの液漏れが抑制できるようにする。
【解決手段】流路基板111の支持基板112との接着面は、疎水性PDMSから形成した接着面形成部105から構成され、疎水性とされおり、流路106は親水性PDMSから形成した溝形成部104より構成され、親水性とされている。
【選択図】 図1D

Description

本発明は、試料溶液を移送する流路を備えたフローセルおよびその製造方法に関するものである。
抗原抗体反応やDNA断片(DNAプローブ)とDNAとの結合などの高度な生体分子の識別機能を利用した測定は、臨床検査および生化学分野での測定および環境汚染物質の測定で重要な技術となっている。この測定の適用先としては、例えば、マイクロTAS(Total analysis systems),マイクロコンビナトリアルケミストリ,化学IC,化学センサ,バイオセンサ,微量分析,電気化学分析,QCM測定,SPR測定,ATR測定などがある。このような測定の分野では、測定対象の試料溶液は微量な場合が多い。
上述したような測定においては、試料溶液を保持可能な試料セルが用いられている。この試料セルに微量の試料溶液を供給し、当該試料セルの測定を行う検出部まで移送する。これにより、試料溶液に溶解または分散しているDNAや抗体などの検体の濃度を低下させることなく、より高感度・高効率に測定を行う。このように試料溶液を測定部分に流す試料セルは、フローセルと呼ばれる。
フローセルで微量な試料溶液の移送を実現する技術としては、例えば、以下のような方法がある。例えば、フローセルの検出部に対面する流路を設けるとともに、シリンジポンプなどによる外部からの圧力で試料溶液を移送させる方法,静電気力で移送させる方法,エレクトロウエッティング法,加熱による体積変化や気泡の生成により溶液を移送させる方法,および電気浸透流を利用する方法などがある。
しかしながら、これらの方法で微量な試料溶液を移送させるためには、例えば、基板(チップ)の上に微細な溝を流路や検出部として形成するとともに、同じ基板の上に電極や加熱器などの構成部品が設けられている状態とする必要があり、作製が容易ではない。また、外部からの圧力で試料溶液を移送する場合、検出部を構成するチップ以外に、ポンプや配管などの部品が必要となり、加えて、移送経路に大きな無駄が発生することになり、試料溶液の微量化には限界がある。
上述した試料移送の技術の他に、毛細管力を利用した溶液の移送技術がある。毛細管力を利用した送液は、非常に簡便な方法である。この毛細管力を利用した移送技術として、フローセル中に、試料溶液に対して毛細管現象が発現可能な流路またはポンプとなる領域を形成する技術が提案されている(特許文献1、2参照)。この技術によるフローセルは、試料溶液が導入される導入口(供給部)と、導入された試料溶液を吸引する毛細管ポンプ(移送部)と、これら導入口と毛細管ポンプとの間に設けられた測定のための流路とが板状のセルの平面方向に沿って直線状に並んで形成されている。このフローセルでは、導入口に試料溶液を供給すると、供給された試料溶液は導入口から流路を通って毛細管ポンプへと達し、毛細管ポンプに吸引されて連続的に流路を流れる。
また、他の試料移送の手段として、流路の両端に半径の異なる液滴を形成し、液滴に生じる表面張力の大きさの違いにより、液体を移送する方法も提案されている(非特許文献1参照)。
上述した毛細管力や表面張力を利用した送液方法は、外部からの駆動力を必要とせず、パッシブポンプと呼ばれている。パッシブポンプを内蔵するフローセルは、送液のための周辺装置を必要としないため、オンサイトでの測定が容易であり、また、一度に多数の測定を行う場合に有利となる。
このようなフローセルを作製する材料としては、リソグラフィによる製造方法を利用するため、一般に、シリコン,石英,ガラスウエハなどが用いられてきた。フローセルの形成では、流路となる溝を形成した基板と、溝を閉じて流路とする基板とを接着している。この2つの基板を接着する方法として、高温にして融着する方法,陽極接合,フッ酸による接合などがある。
ところで、バイオセンサとして機能させるために、バイオ材料をフローセル内に固定化する方法が多く採用されている。しかしながら、バイオ材料は高温,強酸,強アルカリ,有機溶剤などに対して耐性が低い。このため、一般には、バイオ材料を固定化した後、上記の様な接合方法でフローセルを作製してもバイオセンサとして機能させることは困難である。
近年、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を材料とするフローセルが多く研究されている。これは、PDMSが、ガラスやシリコン基板に対する自己接着力が強く、接着のプロセスを必要せずに両者を接着できるためである。PDMSを用いて流路となる溝を備える流路基板を作製すれば、これを平坦な支持基板に搭載するだけで、これら2つの基板を接着せることができ、簡便にフローセルを作製することができる。また、これらの接着では、高温処理,強酸,強アルカリ,有機溶剤などを用いないため、バイオ材料の固定化が容易である。
ここで、PDMSは、水溶液に対する接触角が90度以上あり、疎水性である。液滴の表面張力による送液に関しては、液滴を形成するために、疎水性であることは好都合であるが、予め呼び水となる溶液を導入するにはピペットなどによる強制的な送液が前準備として必要となる。これは、支持基板が親水性であっても、PDMSで構成する流路基板に形成されている流路の面が疎水性であるため、外部から加圧しなければ水溶液は入っていかないためである。
このことからも、毛細管力を駆動力とするパッシブポンプを備えるフローセルの流路基板をPDMSだけで実現することは難しいことは明らかである。このため、PDMS表面に試薬を塗布し親水性にすることが行われるが、時間と共に親水性が失われていくといった問題点があった。このため、PDMS自体に改質剤を添加し、PDMS自体を親水性にしてフローセルを作製した研究が行われている(非特許文献2参照)。
WO 2009/088021 WO 2009/145172
Glenn M. Walker and David J. Beebe, "A passive pumping method for microfluidic devices", Lab Chip ,vol.2 ,pp.131-134, 2002. YuChang Kima, Seung-Hoon Kimb, Duckjong Kima, Sang-Jin Parka, Je-Kyun Parkb, "Plasma extraction in a capillary-driven microfluidic device using surfactant-added poly (dimethylsiloxane)", Sens. Actuators B, vol.145, pp.861-868, 2010.
しかしながら、PDMS自体を親水化すると、流路の近傍において、支持基板と流路基板との間に微細な不純物粒子などを原因とする僅かな隙間があると、この隙間に流路から水溶液が漏れだしてしまうといった問題点があった。これは、支持基板の表面および流路基板の表面の両方が親水性のため、微小な間隙を水溶液が侵入しやすいためである。このような状態では、隣接する流路間で溶液が混合する可能性がある。このため、上述した技術では、1つのフローセル内に多数の微細な流路を集積して配置することができず、例えば、高度な溶液処理を必要とする分析や多重測定への応用が困難であるという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ポリジメチルシロキサンを材料としたフローセルにおいて、流路からの液漏れが抑制できるようにすることを目的とする。
本発明に係るフローセルは、ポリジメチルシロキサンから構成された流路基板と、ポリジメチルシロキサンの自己接着力により流路基板に接着された支持基板と、流路基板の支持基板との接着面の側に形成された溝からなる流路とを少なくとも備え、流路基板の支持基板との接着面は疎水性とされ、流路は親水性とされている。
上記フローセルにおいて、流路に沿って流路の脇の流路基板の支持基板との接着面側に形成された流路より小さな側溝を備えるようにしてもよい。
また、本発明に係るフローセルの製造方法は、親水性のポリジメチルシロキサンから構成されて流路となる溝を備える溝形成部を形成する溝形成部形成工程と、疎水性のポリジメチルシロキサンから構成されて接着面を有する接着面形成部を形成する接着面形成工程と、溝形成部および接着面形成部が一体とされた流路基板の接着面をポリジメチルシロキサンの自己接着力により支持基板に接着して溝による流路を形成する接着工程とを少なくとも備える。
例えば、溝形成部を形成した後で、溝形成部を覆う状態に接着面形成部を形成し、溝形成部および接着面形成部が一体とされた流路基板とすればよい。また、接着面形成部を形成した後で、接着面形成部以外に溝形成部が配置されて接着面形成部を覆う状態に溝形成部を形成し、溝形成部および接着面形成部が一体とされた流路基板としてもよい。
上記フローセルの製造方法において、ポリジメチルシロキサンから構成されて溝形成部の脇に形成された溝形成部より小さな側溝を形成する側溝形成工程を備え、接着工程では、溝形成部,側溝,および接着面形成部が一体とされた流路基板の接着面をポリジメチルシロキサンの自己接着力により支持基板に接着してもよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、ポリジメチルシロキサンを材料としたフローセルにおいて、流路からの液漏れが抑制できるようになるという優れた効果が得られる。
図1Aは、本発明の実施の形態1におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図1Bは、本発明の実施の形態1におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図1Cは、本発明の実施の形態1におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図1Dは、本発明の実施の形態1におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1におけるフローセルの概略的な構成を示す斜視図である。 図3は、本発明の実施の形態1におけるフローセルによる液漏れ防止について説明する説明図である。 図4Aは、本発明の実施の形態2におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図4Bは、本発明の実施の形態2におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図4Cは、本発明の実施の形態2におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図4Dは、本発明の実施の形態2におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図5Aは、本発明の実施の形態3におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図5Bは、本発明の実施の形態3におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図5Cは、本発明の実施の形態3におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図5Dは、本発明の実施の形態3におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図6Aは、本発明の実施の形態4におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図6Bは、本発明の実施の形態4におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図6Cは、本発明の実施の形態4におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図6Dは、本発明の実施の形態4におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図7Aは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図7Bは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図7Cは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図7Dは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図7Eは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図7Fは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。 図7Gは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの一部構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について、図1A〜図1Dを用いて説明する。図1A〜図1Dは、本発明の実施の形態1におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。
まず、図1Aに示すように、型基板101および型枠102からなる型を用意し、型基板101の型枠102内に流路型103を形成する。型基板101は、例えば、シリコンウエハである。また、流路型103は、公知のフォトリソグラフィ技術により形成したレジストパターンであればよい。
例えば、まず、濃硫酸(濃度約98wt%)と過酸化水素水(濃度30wt%)とを混合した洗浄液にシリコンウエハである型基板101を30分程度浸漬することなどにより洗浄し、水洗の後、200℃・20分の加熱乾燥処理をする。次いで、型基板101の上に、ネガ型のフォトレジストを塗布する。フォトレジストは、例えば、化薬マイクロケム株式会社製の「SU−8」であればよい。このフォトレジストをスピンコート法により塗布し、65℃・30分、引き続き、95℃・270分の条件でプリベークをした後、流路となる溝形成部形成のためのパターンを露光する。この後、90℃・90分の加熱処理をした後、現像液を用いて現像し、イソプロピルアルコール・アセトンでリンスを行い、流路型103を形成する。このようにして流路型103を形成した後、型枠102を形成する。
次に、図1Bに示すように、流路型103の上面および側面を覆う状態に親水性のポリジメチルシロキサン(PDMS)の膜を形成(塗布)して溝形成部104を形成する。親水性PDMSは固化前の疎水性PDMSにポリエーテル変性シリコーンであるトリシロキサンエトキシレート(SILWET L−77)を重量比で1パーセント添加し、減圧脱泡したものである。固化前の疎水性PDMSは、PDMSのベース(SYLGARD 184)と重合開始剤とを10:1で混合し減圧脱泡したものである。
溝形成部104の形成は、例えば、上記親水性PDMSをマイクロディスペンサで流路型103を覆うように塗布することで形成すればよい。また、刷毛などを用い流路型103を覆うように上記親水性PDMSを塗布することで、溝形成部104を形成してもよい。また、凹版印刷,凸版印刷,平版印刷,孔版印刷技術により、流路型103の箇所に選択的に親水性PDMSのパターンを形成することで、溝形成部104を形成してもよい。親水性PDMSを塗布した後、80℃・120分の加熱条件で加熱して硬化(固化)する。
次に、図1Cに示すように、型枠102の内側に疎水性PDMSを充填して硬化し、接着面形成部105を形成する。疎水性PDMSは、PDMSのベース(SYLGARD 184)と重合開始剤とを10:1で混合し減圧脱泡したものである。充填した後、80℃・120分の加熱条件により熱硬化すればよい。これらのことにより、溝形成部104と接着面形成部105とが一体に成型された状態となる。
次に、一体に成型された溝形成部104および接着面形成部105からなる流路基板を型基板101および型枠102からなる型より離型し、図1Dに示すように、離型した流路基板111の接着面を支持基板112に接着する。流路基板111の溝形成部104が形成されて溝形成部104の開口領域が配置されている側の面が、接着面である。この接着面を支持基板112の上に載置すれば、PDMSの自己接着力により接着する。このように両者を接着することで、溝形成部104の開口領域が支持基板112により閉じられ、図2の斜視図にも示すように、溝形成部104の溝による流路106が形成される。なお、支持基板112は、PDMSの自己接着力により接着可能な材料から構成されていればよい。
実施の形態1により製造されたフローセルは、PDMSから構成された流路基板111と、PDMSの自己接着力により流路基板111に接着された支持基板112と、流路基板111の支持基板112との接着面の側に形成された溝からなる流路106とを少なくとも備えたものとなる。また、このフローセルは、流路基板111の支持基板112との接着面は、疎水性PDMSから形成した接着面形成部105から構成され、疎水性とされており、流路106は親水性PDMSから形成した溝形成部104より構成され、親水性とされていることになる。
このフローセルは、例えば、予め、支持基板112の流路106となる箇所にバイオ材料を固定しておけば、バイオセンサとして用いることができる。流路106の内側面は親水性PDMSであるため、流路106の一端に供給される水溶液は、毛細管力により自発的に流路106を流れるようになる。
一方、支持基板112に密着する接着面は、疎水性のPDMSから形成した接着面形成部105であるため、流路106からの液漏れが抑制できるようになる。この点について説明すると、まず、図3の(a)の断面図に示すように、親水性PDMSから形成した流路基板305を支持基板312に貼り合わせている場合について説明する。この状態では、微粒子の混入や、製造プロセスの不具合などで生じた微小間隙が形成されると、拡大した図3の(a’)にも示すように、微小間隙の両面が親水性のため、流路306内の水溶液は通常の毛細管力により、微小間隙内を進行する。これが流路306からの液漏れの原因となり、複数の流路が接近している場合、液体が混合してしまう。
次に、図3の(b)の断面図に示すように、親水性PDMSから形成した流路基板111を支持基板112に貼り合わせている実施の形態1の場合について説明する。上述同様に、微粒子の混入や、製造プロセスの不具合などで生じた微小間隙が形成されると、拡大した図3の(b’)にも示すように、微小間隙の流路基板111(接着面形成部105)の面は、疎水性であるため、メニスカスの接触角は鈍角となる。十分大きな鈍角の接触角が得られれば、微小間隔の中に水溶液が進行することがない。この結果、上述したように微小間隔が形成されても、流路106からの液漏れが抑制されるようになる。このため、実施の形態1によれば、複数の微細な流路106を接近して配置することが可能になり、高度な集積化が可能となる。
ところで、上述した実施の形態1では、溝形成部104の形成と接着面形成部105の形成とを異なる工程で行い、親水性PDMSと疎水性PDMSとが互いに混じり合わない状態としたが、集積度が低くある程度の混合が許容される場合には、これらを同時に硬化することも可能である。
また、図1Aで説明した流路型103に、部分的に厚い箇所を設けることで、接着面形成部105を貫通する部分(貫通孔)が形成できる。このような貫通孔を設けることで、この部分を表面張力ポンプとして利用することができる。上述した貫通孔においては、貫通孔側壁が親水性PDMSで被覆された状態になるため、貫通孔および流路106にかけては親水性の状態であり、試料となる溶液の液滴を、流路基板111(接着面形成部105)の上より貫通孔の部分に滴下すれば、溶液は、毛細管現象により親水性の貫通孔を流れて流路106内に到達し、流路106内を溶液で満たすことができる。このようにすることで、ピペットなどを用いて外部から加圧して導入する必要がない。
また、上述した貫通孔を、流路106の両端に各々接続して形成すれば、一端から他端にかけて送液することができる。接着面形成部105の上面は疎水性であるため、一方の貫通孔には大きな液滴を滴下し、他方の貫通孔には小さな液滴を滴下すれば、表面張力の差により、流路106内を小さな液滴側から、大きな液滴側に送液することができる(非特許文献1参照)。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図4A〜図4Dを用いて説明する。図4A〜図4Dは、本発明の実施の形態2におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。
まず、図4Aに示すように、型基板401および型枠402からなる型を用意し、型基板401の型枠402内に流路型403を形成する。型基板401は、例えば、シリコンウエハである。また、流路型403は、公知のフォトリソグラフィ技術により形成したレジストパターンであればよい。
例えば、まず、前述した実施の形態1と同様に、濃硫酸と過酸化水素水とを混合した洗浄液にシリコンウエハである型基板401を30分程度浸漬することなどにより洗浄し、水洗の後、200℃・20分の加熱乾燥処理をする。次いで、型基板401の上に、ネガ型のフォトレジストを塗布する。引き続き、所定の加熱条件でプリベークをした後、流路となる溝形成部形成のためのパターンを露光する。この後、所定の加熱処理をした後、現像処理・リンス処理を行い、流路型403を形成する。このようにして流路型403を形成した後、型枠402を形成する。
次に、流路型403が形成されずに露出している型枠402内側の型基板401の上に、図4Bに示すように、疎水性PDMSの膜を形成(塗布)して接着面形成部404を形成する。例えば、疎水性PDMSをマイクロディスペンサで流路型403が形成されていない型基板401の表面を覆うように塗布することで形成すればよい。また、刷毛などを用い流路型403が形成されていない型基板401の表面を覆うように疎水性PDMSを塗布することで、接着面形成部404を形成してもよい。また、凹版印刷,凸版印刷,平版印刷,孔版印刷技術により、流路型403が形成されていない型基板401の表面に選択的に疎水性PDMSのパターンを形成することで、接着面形成部404を形成してもよい。疎水性PDMSを塗布した後、80℃・120分の加熱条件で加熱して硬化する。
次に、図4Cに示すように、型枠402の内側に親水性PDMSを充填して硬化し、溝形成部405を形成する。溝形成部405には、流路型403による溝が形成される。なお、疎水性PDMSおよび親水性PDMSは、前述した実施の形態1と同様である。充填した後、80℃・120分の加熱条件により熱硬化すればよい。これらのことにより、接着面形成部404と溝形成部405とが一体に成型された状態となる。
次に、一体に成型された接着面形成部404および溝形成部405からなる流路基板を型基板401および型枠402からなる型より離型し、図4Dに示すように、離型した流路基板411の接着面を支持基板412に接着する。流路基板411の接着面形成部404が形成されている領域が、接着面である。この接着面の側に、溝形成部405に形成されている溝が開口している。この接着面を支持基板412の上に載置すれば、PDMSの自己接着力により接着する。このように両者を接着することで、溝形成部405に形成されている溝の開口領域が支持基板412により閉じられ、溝形成部405の溝による流路406が形成される。
実施の形態2により製造されたフローセルは、PDMSから構成された流路基板411と、PDMSの自己接着力により流路基板411に接着された支持基板412と、流路基板411の支持基板412との接着面の側に形成された溝からなる流路406とを少なくとも備えたものとなる。また、このフローセルは、流路基板411の支持基板412との接着面は、疎水性PDMSから形成した接着面形成部404であり、疎水性とされており、流路406は親水性PDMSから形成した溝形成部405から構成され、親水性とされていることになる。
このフローセルは、例えば、予め、支持基板412の流路406となる箇所にバイオ材料を固定しておけば、バイオセンサとして用いることができる。流路406の内側面は親水性PDMSであるため、流路406の一端に供給される水溶液は、毛細管力により自発的に流路406を流れるようになる。
一方、支持基板412に密着する接着面は、疎水性のPDMSから形成した接着面形成部404であるため、支持基板412と接着面形成部404との密着面に微粒子などによる微小間隙が形成され、これが流路406の一端まで届いていたとしても、水溶液はこの間隙には入っていくことはできず、液漏れを起こすことはない。このため、実施の形態2においても、複数の微細な流路406を接近して配置することが可能になり、高度な集積化が可能となる。
また、実施の形態2においても、接着面形成部404の形成と溝形成部405の形成とを異なる工程で行い、親水性PDMSと疎水性PDMSとが互いに混じり合わない状態としたが、集積度が低くある程度の混合が許容される場合には、これらを同時に硬化することも可能である。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について、図5A〜図5Dを用いて説明する。図5A〜図5Dは、本発明の実施の形態3におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。
まず、図5Aに示すように、型基板501および型枠502からなる型を用意し、型基板501の型枠502内に流路型503および側溝型513を形成する。側溝型513は、流路型503の両側部(両脇)に形成され、流路型503と同様に延在している。また、側溝型513は、断面形状が流路型503より小さく形成されている。流路型503は、2つの側溝型513に挟まれて設けられている。なお、型基板501は、例えば、シリコンウエハである。また、流路型503および側溝型513は、公知のフォトリソグラフィ技術により形成したレジストパターンであればよい。
例えば、まず、濃硫酸と過酸化水素水とを混合した洗浄液にシリコンウエハである型基板501を30分程度浸漬することなどにより洗浄し、水洗の後、乾燥処理をする。次いで、型基板501の上に、ネガ型のフォトレジストを塗布する。このフォトレジストをスピンコート法により塗布し、所定の温度条件でプリベークをした後、流路となる溝形成部形成のためのパターンを露光する。この後、所定の温度条件で加熱処理をした後、現像・リンスを行い、流路型503および側溝型513を形成する。このようにして流路型503および側溝型513を形成した後、型枠502を形成する。
次に、図5Bに示すように、流路型503の上面および側面を覆う状態に親水性のPDMSの膜を形成(塗布)して溝形成部504を形成する。例えば、上記親水性PDMSをマイクロディスペンサで流路型503を覆うように塗布することで、溝形成部504を形成すればよい。また、刷毛などを用い流路型503を覆うように親水性PDMSを塗布することで、溝形成部504を形成してもよい。また、凹版印刷,凸版印刷,平版印刷,孔版印刷技術により、流路型503の箇所に選択的に親水性PDMSのパターンを形成することで、溝形成部504を形成してもよい。親水性PDMSを塗布した後、80℃・120分の加熱条件で加熱して硬化(固化)する。ここで、溝形成部504が、側溝型513を覆わないように形成する。溝形成部504と側溝型503との間に、ある程度の間隙があってもよい。
次に、図5Cに示すように、型枠502の内側に疎水性PDMSを充填して硬化し、接着面形成部505を形成する。充填した後、80℃・120分の加熱条件により熱硬化すればよい。これらのことにより、溝形成部504と接着面形成部505とが一体に成型された状態となる。また、実施の形態3では、接着面形成部505に、側溝型503による側溝が形成された状態となる。
次に、一体に成型された溝形成部504および接着面形成部505からなる流路基板を型基板501および型枠502からなる型より離型し、図5Dに示すように、離型した流路基板511の接着面を支持基板512に接着する。流路基板511の溝形成部504が形成されて溝形成部504の開口領域が配置されている側の面が、接着面である。この接着面を支持基板512の上に載置すれば、PDMSの自己接着力により接着する。このように両者を接着することで、溝形成部504の開口領域が支持基板512により閉じられ、溝形成部504の溝による流路506が形成される。また、流路506の両脇には、接着面形成部505に設けられた側溝516が形成される。側溝516の内側面などは、疎水性となる。
実施の形態3により製造されたフローセルは、PDMSから構成された流路基板511と、PDMSの自己接着力により流路基板511に接着された支持基板512と、流路基板511の支持基板512との接着面の側に形成された溝からなる流路506とを少なくとも備えたものとなる。また、このフローセルは、流路基板511の支持基板512との接着面は、疎水性PDMSから形成した接着面形成部505から構成され、疎水性とされており、流路506は親水性PDMSから形成した溝形成部504より構成され、親水性とされていることになる。加えて、流路506に沿って流路506の脇の流路基板511の支持基板512との接着面側に形成された流路506より小さな側溝516を備える。
このフローセルは、例えば、予め、支持基板512の流路506となる箇所にバイオ材料を固定しておけば、バイオセンサとして用いることができる。流路506の内側面は親水性PDMSであるため、流路506の一端に供給される水溶液は、毛細管力により自発的に流路506を流れるようになる。
一方、支持基板512に密着する接着面は、疎水性のPDMSから形成した接着面形成部505であるため、流路506からの液漏れが抑制できるようになる。支持基板512と接着面形成部505との密着面に微粒子などによる微小間隙が形成されても、接着面形成部505の接着面は疎水性であるため、水溶液はこの間隙には入っていくことができない。また、実施の形態3では、側溝516を設けているので、流路506から漏れた溶液は、ある程度が側溝516に収容されるようになり、この点でも、液漏れの拡散が抑制できるようになる。このため、実施の形態3によれば、微細な流路506を接近して配置することが可能になり、高度な集積化が可能となる。
また、実施の形態3では、流路基板511の上面が疎水性であるため、前述した実施の形態1と同様の表面張力ポンプの構造が応用できる。
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4について、図6A〜図6Dを用いて説明する。図6A〜図6Dは、本発明の実施の形態4におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。
まず、図6Aに示すように、型基板601および型枠602からなる型を用意し、型基板601の型枠602内に流路型603および側溝型613を形成する。側溝型613は、流路型603の両側部(両脇)に形成され、流路型603と同様に延在している。また、側溝型613は、断面形状が流路型603より小さく形成されている。流路型603は、2つの側溝型613に挟まれて設けられている。なお、型基板601は、例えば、シリコンウエハである。また、流路型603および側溝型613は、公知のフォトリソグラフィ技術により形成したレジストパターンであればよい。このようにして流路型603および側溝型613を形成した後、型枠602を形成する。
次に、流路型603および側溝型613が形成されずに露出している型枠602内側の型基板601の上に、図6Bに示すように、疎水性PDMSの膜を形成(塗布)して接着面形成部604を形成する。なお、流路型603と側溝型613との間には、接着面形成部604が形成されないようにする。例えば、疎水性PDMSをマイクロディスペンサで塗布することで、接着面形成部604を形成すればよい。また、刷毛などを用いて疎水性PDMSを塗布することで、接着面形成部604を形成してもよい。また、凹版印刷,凸版印刷,平版印刷,孔版印刷技術により、対象とする箇所に選択的に疎水性PDMSのパターンを形成することで、接着面形成部604を形成してもよい。疎水性PDMSを塗布した後、80℃・120分の加熱条件で加熱して硬化する。
次に、図6Cに示すように、型枠602の内側に親水性PDMSを充填して硬化し、溝形成部605を形成する。溝形成部605には、流路型603による溝が形成される。なお、疎水性PDMSおよび親水性PDMSは、前述した実施の形態1と同様である。充填した後、80℃・120分の加熱条件により熱硬化すればよい。これらのことにより、接着面形成部604と溝形成部605とが一体に成型された状態となる。
次に、一体に成型された接着面形成部604および溝形成部605からなる流路基板を型基板601および型枠602からなる型より離型し、図6Dに示すように、離型した流路基板611の接着面を支持基板612に接着する。流路基板611の接着面形成部604が形成されている領域が、接着面である。この接着面の側に、溝形成部605に形成されている溝が開口している。この接着面を支持基板612の上に載置すれば、PDMSの自己接着力により接着する。このように両者を接着することで、溝形成部605に形成されている溝の開口領域が支持基板612により閉じられ、溝形成部605の溝による流路606が形成される。また、流路606の両脇には、溝形成部605に設けられた側溝616が形成される。側溝616の内側面などは、親水性となる。
実施の形態4により製造されたフローセルは、PDMSから構成された流路基板611と、PDMSの自己接着力により流路基板611に接着された支持基板612と、流路基板611の支持基板612との接着面の側に形成された溝からなる流路606とを少なくとも備えたものとなる。また、このフローセルは、流路基板611の支持基板612との接着面は、疎水性PDMSから形成した接着面形成部604であり、疎水性とされており、流路606は親水性PDMSから形成した溝形成部605から構成され、親水性とされていることになる。加えて、流路606に沿って流路606の脇の流路基板611の支持基板612との接着面側に形成された流路606より小さな側溝616を備える。
このフローセルは、例えば、予め、支持基板612の流路606となる箇所にバイオ材料を固定しておけば、バイオセンサとして用いることができる。流路606の内側面は親水性PDMSであるため、流路606の一端に供給される水溶液は、毛細管力により自発的に流路606を流れるようになる。
一方、支持基板612に密着する接着面は、疎水性のPDMSから形成した接着面形成部604であるため、支持基板612と接着面形成部604との密着面に微粒子などによる微小間隙が形成され、これが流路606の一端まで届いていたとしても、水溶液はこの間隙には入っていくことはできず、液漏れを起こすことはない。また、実施の形態4では、側溝616を設けているので、流路606から漏れた溶液は、ある程度が側溝616に収容されるようになり、この点でも、液漏れの拡散が抑制できるようになる。このため、実施の形態4においても、微細な流路606を接近して配置することが可能になり、高度な集積化が可能となる。
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5について図7A〜図7Dを用いて説明する。図7A〜図7Dは、本発明の実施の形態5におけるフローセルの製造方法を説明するための各工程における状態を模式的に示す断面図である。
まず、図7Aに示すように、型基板701および型枠702からなる型を用意し、型基板701の型枠702内に流路型703および吸引流路型704を形成する。型基板701は、例えば、シリコンウエハである。また、流路型703は、公知のフォトリソグラフィ技術により形成したレジストパターンであればよい。また、流路型703および吸引流路型704を形成した後、型枠702を形成する。
次に、図7Bに示すように、流路型703および吸引流路型704が形成されずに露出している型枠702内側の型基板701の上に、疎水性PDMSの膜を形成(塗布)して接着面形成部705を形成する。疎水性PDMSを塗布した後、80℃・120分の加熱条件で加熱して硬化する。次に、図7Cに示すように、型枠702の内側に親水性PDMSを充填して溝形成部706を形成する。この状態では、溝形成部706を未硬化状態とする。溝形成部706には、流路型703による溝および吸引流路型704による溝が形成される。なお、疎水性PDMSおよび親水性PDMSは、前述した実施の形態1と同様である。
次いで、図7Dに示すように、複数のピン707を備えた押し型部品708を用意する。ピン707は、吸引流路型704の領域に配置されている。このように構成した押し型部品708を、型基板701の型枠702内に形成されている溝形成部706の上より押し付け、図7Eに示すように、ピン707を溝形成部706に挿入する。ピン707の先端が、吸引流路型704に到達する状態とする。このように、ピン707を挿入した状態で、溝形成部706を熱硬化する。例えば、80℃・120分の加熱条件により熱硬化すればよい。これらのことにより、接着面形成部705と溝形成部706とが一体に成型された状態となる。
次に、押し付け型708を取り除いた後、一体に成型された接着面形成部705および溝形成部706からなる流路基板を型基板701および型枠702からなる型より離型し、図7Fに示すように、離型した流路基板711の接着面を支持基板712に接着する。流路基板711の接着面形成部705が形成されている領域が、接着面である。この接着面の側に、溝形成部706に形成されている溝が開口している。この接着面を支持基板712の上に載置すれば、PDMSの自己接着力により接着する。このように両者を接着することで、溝形成部706に形成されている溝の開口領域が支持基板712により閉じられ、溝形成部706の溝による流路713が形成され、吸引流路型704の溝による吸引流路714が形成される。また、吸引流路714においては、溝形成部706に、複数の貫通孔717が形成される。貫通孔717は、例えば円筒形状である。
実施の形態5により製造されたフローセルは、PDMSから構成された流路基板711と、PDMSの自己接着力により流路基板711に接着された支持基板712と、流路基板711の支持基板712との接着面の側に形成された溝からなる流路713とを少なくとも備えたものとなる。また、このフローセルは、流路基板711の支持基板712との接着面は、疎水性PDMSから形成した接着面形成部705であり、疎水性とされており、流路713は親水性PDMSから形成した溝形成部706から構成され、親水性とされていることになる。
また、このフローセルは、図7Gの斜視図にも示すように、流路基板711に、流路713に接続する吸引流路714を設けている。図7Gでは、流路基板711のみを示している。なお、流路713の一端には、流路基板711(溝形成部706)に形成した導入口718が連通し、試料溶液が投入可能とされている。ここで、流路713は、液体に対して毛細管現象が発現する範囲の断面寸法とされ、同様に、貫通孔717は、液体に対して毛細管現象が発現する範囲の管径とされている。また、吸引流路714の流路高さは、流路713より液体が浸入したときに、上下方向に隙間が形成されない範囲とされている。言い換えると、浸入した液体が、吸引流路714の上下の両面に同時に接触可能な状態とされている。
このフローセルは、例えば、予め、支持基板712の流路713となる箇所にバイオ材料を固定しておけば、バイオセンサとして用いることができる。流路713の内側面は親水性PDMSであるため、流路713の一端に供給される水溶液は、毛細管力により自発的に流路713を流れるようになる。
一方、支持基板712に密着する接着面は、疎水性のPDMSから形成した接着面形成部705であるため、支持基板712と接着面形成部705との密着面に微粒子などによる微小間隙が形成され、これが流路713の一端まで届いていたとしても、水溶液はこの間隙には入っていくことはできず、液漏れを起こすことはない。このため、実施の形態5においても、微細な流路713を接近して配置することが可能になり、高度な集積化が可能となる。
また、実施の形態5では、吸引流路714を設けており、導入口718より導入されて毛細管現象により流路713を流れて吸引流路714に浸入した試料溶液は、毛細管現象により貫通孔717に吸い上げられる。このように、導入口718に導入された試料溶液は、吸引流路714における複数の貫通孔717に吸い上げられることで、流路713を所定の流速で吸引流路714の方向に流れていくことになる。また、実施の形態5では、流路713の側方(両側)に、吸引流路714が展開して配置されているようにしたので、フローセル全体の面積を大きく広げることなく、吸引流路714の領域を拡大することができ、吸引流路714による送液能力を、より拡大させることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、試料溶液が流れる流路における試料溶液が接触する領域は、親水性のPDMSから形成し、流路となる溝が設けられている流路基板が支持基板に密着する領域は、疎水性のPDMSから構成したので、PDMSを材料としたフローセルにおいて、流路からの液漏れが抑制できるようになる。この結果、複数の微細な流路を、1チップ上に集積化することが可能となり、フロー分析,ケミカルセンサ,バイオセンサなどに適用すれば、測定精度,確度,利便性を著しく向上させることができる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、実施の形態5を用いて説明した複数の貫通孔による吸引流路を備えるフローセルは、実施の形態1を用いて説明した製造方法により形成してもよい。この場合、吸引流路型を形成するとともに、貫通孔を形成するための複数の突起部を吸引流路型に形成しておけばよい。このようにすることで、内壁が親水性PDMSで被覆された複数の貫通孔が、疎水性PDMSによる接着面形成部(流路基板)に形成できる。また、形成する流路は、直線状に限るものではなく、曲線状に形成してもよい。
101…型基板、102…型枠、103…流路型、104…溝形成部、105…接着面形成部、106…流路、111…流路基板、112…支持基板。

Claims (6)

  1. 親水性のポリジメチルシロキサンから構成されて流路となる溝を備える溝形成部を形成する溝形成部形成工程と、
    疎水性のポリジメチルシロキサンから構成されて接着面を有する接着面形成部を形成する接着面形成工程と、
    前記溝形成部および前記接着面形成部が一体とされた流路基板の前記接着面をポリジメチルシロキサンの自己接着力により支持基板に接着して前記溝による流路を形成する接着工程と
    を少なくとも備えることを特徴とするフローセルの製造方法。
  2. 請求項1記載のフローセルの製造方法において、
    前記溝形成部を形成した後で、前記溝形成部を覆う状態に前記接着面形成部を形成し、前記前記溝形成部および前記接着面形成部が一体とされた前記流路基板とすることを特徴とするフローセルの製造方法。
  3. 請求項1記載のフローセルの製造方法において、
    前記接着面形成部を形成した後で、前記接着面形成部以外に前記溝形成部が配置されて前記接着面形成部を覆う状態に前記溝形成部を形成し、前記前記溝形成部および前記接着面形成部が一体とされた前記流路基板とすることを特徴とするフローセルの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフローセルの製造方法において、
    ポリジメチルシロキサンから構成されて前記溝形成部の脇に形成された前記溝形成部より小さな側溝を形成する側溝形成工程を備え、
    前記接着工程では、前記溝形成部,前記側溝,および前記接着面形成部が一体とされた流路基板の前記接着面をポリジメチルシロキサンの自己接着力により支持基板に接着する
    ことを特徴とするフローセルの製造方法。
  5. ポリジメチルシロキサンから構成された流路基板と、
    ポリジメチルシロキサンの自己接着力により前記流路基板に接着された支持基板と、
    前記流路基板の前記支持基板との接着面の側に形成された溝からなる流路と
    を少なくとも備え、
    前記流路基板の前記支持基板との接着面は疎水性とされ、前記流路は親水性とされていることを特徴とするフローセル。
  6. 請求項5記載のフローセルにおいて、
    前記流路に沿って前記流路の脇の前記流路基板の前記支持基板との接着面側に形成された前記流路より小さな側溝を備えることを特徴とするフローセル。
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