JP2013542979A - パクリタキセルとcdk阻害剤の薬学的組合せ - Google Patents

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Abstract

本発明は、三重陰性乳癌(TNBC)の治療における使用のための、パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩;及び式Iの化合物(本明細書に記載のもの)又はその薬学的に許容される塩によって表される少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤を含む薬学的組合せに関する。本発明は、細胞傷害性抗腫瘍剤パクリタキセル、及び少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤を含む薬学的組合せの治療有効量の、それを必要とする患者への投与による、乳癌、特に、三重陰性乳癌の治療のための方法に関し;ここで、投与時の該組合せは相乗効果を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、三重陰性乳癌(TNBC)の治療における使用のための、パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩;及び式Iの化合物(本明細書に記載のもの)又はその薬学的に許容される塩によって表される少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤を含む薬学的組合せに関する。本発明はまた、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象に、パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量;及び式Iの化合物(本明細書に記載のもの)又はその薬学的に許容される塩によって表される少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤の治療有効量を含む薬学的組合せを投与することを含む方法に関する。
癌は、異常な細胞が制御なしに分裂する疾患を説明するために用いられる一般用語である。癌細胞は、隣接する組織に浸潤することができ、かつ血流及びリンパ系を通して身体の他の部分に広がることができる。膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、腎臓(腎細胞)癌、白血病、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膵癌、前立腺癌、甲状腺癌、皮膚癌、非ホジキンリンパ腫、及び黒色腫などの、様々なタイプの癌がある。現在、化学療法、放射線、外科手術、ホルモン療法、免疫療法、及び遺伝子療法を含む、かつて無いほど多くの治療が癌に利用できる。化学療法は、最も日常的に用いられる癌治療である。
最も広く用いられる化学療法剤(抗腫瘍剤)としては、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、トポテカン、及びゲムシタビンが挙げられる。これらの抗腫瘍剤は、様々な癌の治療に用いられ、成功している。しかしながら、やがて、一部の癌患者は、そのような標準的な抗腫瘍剤の使用を伴う単剤療法に対する耐性を発症することが見出されている。薬物に対する耐性(tolerance)又は耐性(resistance)は、治療の成功に対する重大な障害である。そのような耐性は、多くの場合、内因性(すなわち、治療の開始時に存在する)又は獲得性(すなわち、化学療法の経過中に発生する)のいずれかであると考えられる。漸増濃度のドキソルビシンに対するヒト非小細胞肺癌細胞(NCI−H460)の曝露を伴う研究により、ドキソルビシンに対して耐性があり、かつエトポシド、パクリタキセル、ビンブラスチン、及びエピルビシンに対して交差耐性がある新しい細胞株(NCI−H460/R)の出現が報告された(J.Chemother.,2006,18,1,66−73)。ゲムシタビンは、膵癌の治療のために最も臨床活性が高い薬物であると考えられたが、それは、薬物に対する腫瘍細胞の既存の又は獲得された化学耐性のために、膵癌患者の状態を顕著には改善しなかった(Oncogene,2003,22,21,3243−51)。
癌治療において認められる又はよく見られる別の問題は、抗腫瘍剤の多くと関連する強い毒性である。耐性の発生、並びに従来の抗腫瘍剤、例えば、ゲムシタビン及びパクリタキセルと関連する強い毒性にもかかわらず、これらの薬剤は、それらが腫瘤を縮小する能力を有するために、今なお癌治療で重要であり続けている。応答率を改善し、かつ従来の抗腫瘍剤と関連する毒性を防ぐために、新しい治療手法が評価されているところである。
1つのそのような手法は、異なる抗癌剤の組合せを含むプロトコルに関するものである。最適な組合せ化学療法プロトコルは、治療効力の増大、宿主毒性の減少、及び薬物耐性の最小化又は遅延をもたらすことができる。異なる毒性を有する薬物を組み合わせた場合、各々の薬物をその最適用量で使用することができ、耐えられない副作用を最小限に抑えるのに役立つ。抗腫瘍剤のうちのいくつかは、単剤療法として使用されたときよりも他の抗癌剤と組み合わせて使用されたときに相乗的に有効であることが見出されている。
シクロホスファミドと5−フルオロウラシルは、卵巣明細胞腺癌細胞で相乗的に作用する(Cancer Lett.,2001,162,1,39−48)。組合せ化学療法は、単剤療法、放射線療法、又は外科的処置で治療するのが難しい進行期の癌を治療するために有利に使用することもでき、例えば、パクリタキセルとゲムシタビンの組合せが、転移性非小細胞肺癌の治療について報告されている(Cancer,2006,107,5,1050−1054)。ゲムシタビンとカルボプラチンの組合せ化学療法は、非小細胞肺癌を有する高齢患者を治療するために比較的安全かつ有効であった(Cancer Res.Treat.,2008,40,116−120)。ゲムシタビンとカルボプラチンの組合せは、許容される毒性で、進行TCC(移行細胞癌)において活性がある(BMC Cancer,2007,7,98)。ゲムシタビンとカルボプラチンによる治療は、白金感受性の再発性卵巣癌を有する患者の無増悪生存率を有意に改善する(Int.J.Gynecol.Cancer,2005,15(Suppl.1),36−41)。
最近、薬物応答率を改善するために、及び抗腫瘍剤に対する耐性に対処するために、癌の治療のための、1以上の標準的な抗腫瘍剤、例えば、パクリタキセル、シスプラチンなどと、分子標的抗癌剤との組合せが試されている。分子標的薬、例えば、メシル酸イマチニブ、フラボピリドールなどは、その活性が癌細胞とより特異的に関連しているタンパク質、例えば、キナーゼを調節する。長期にわたる研究により、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)ファミリーのメンバーが、様々な細胞プロセスにおいて重要な役割を果たすことが証明されている。11種のCDKファミリーメンバーが現在までに知られている。これらの中で、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、及びCDK6は、細胞周期において重要な役割を果たすことが知られている(Adv.Cancer Res.,1995,66,181−212)。CDKは、サイクリン、例えば、A型、B型、C型、D型(D1、D2、及びD3)、並びにE型サイクリンとの非共有結合的複合体を形成することによって活性化される。このファミリーの各々のアイソザイムは、細胞周期の特定の側面(細胞シグナル伝達、転写など)に関与し、CDKアイソザイムのうちのいくつかは、特定の種類の組織に特異的である。これらのキナーゼの異常発現及び過剰発現は、多くの病態で証明されている。潜在的に有用なCDK阻害特性を有するいくつかの化合物が開発され、文献に報告されている。
フラボピリドールは、臨床試験にまで至ったサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の最初の強力な阻害剤である。フラボピリドールは、種々の癌細胞株において従来の細胞傷害性抗腫瘍剤の細胞傷害性応答を相乗的に促進することが見出された。例えば、肺癌細胞についてのドセタキセルとフラボピリドールの組合せ処理は、Radiother.Oncol.,2004,71,2,213−21に報告されており、胃癌の治療については、Mol.Cancer Ther.,2003,2,6,549−55に報告されている。PCT公開WO2008139271号は、非小細胞肺癌及び膵癌の治療のための、CDK阻害剤の(+)−トランス−2−(2−クロロフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩と、細胞傷害性腫瘍剤、例えば、ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、及びゲムシタビンとの組合せを開示している。
癌の治療について様々な治療選択肢が利用可能であるが、この疾患は、今なお最も致命的な疾患の1つであり続けている。全ての種類の癌が致命的であるが、乳癌は、今なお致命的な癌の一種であり続けている。実際、女性において、乳癌は最も一般的な癌であり、癌による死亡の5番目に多い原因である。異なる形態の乳癌は、顕著に異なる生物学的特徴及び臨床的挙動を有することがある。したがって、患者の乳癌の分類は、治療レジメンを決定するための重要な要素となっている。乳癌患者は、3つの主なグループに分類される:
(i)いくつかのエストロゲン受容体(ER)標的療法の選択肢±化学療法によって管理されるホルモン受容体陽性腫瘍を有する者;
(ii)さらに、トラスツズマブ、又は場合によっては、ラパチニブによるHER2指向性療法を受けるHER2+腫瘍を有する者;及び
(iii)化学療法が利用可能な唯一の全身治療モダリティである、ホルモン受容体[ER及びプロゲステロン受容体(PR)]陰性及びHER2)乳癌を有する者。
現在、トラスツズマブが、乳癌患者のための標的療法として開発されている。研究により、乳癌の発現プロファイルが体系的変化を示し、かつ5つの主要なグループへの乳癌の分類を可能にすることが示されており、それらのうちの2つはER+(内腔A及びB)グループ、3つはER−グループ[正常乳房様、ERBB2(HER2としても知られる)、及び「基底様」]である。基底様グループは、ホルモン受容体及びHER2の発現を欠く腫瘍が多く、従来のネオアジュバント及びアジュバント化学療法レジメンに応答するにもかかわらず、より侵襲性の臨床的挙動、独特の転移パターン、及び不良な予後を有することが示されている。上記のことを基に、三重陰性乳癌に対する関心が、(i)このグループの乳癌患者に合った療法の欠如、及び(ii)基底様癌のプロファイルとの重複に端を発していることは明らかである(Histopathology,2008,52,108−118)。
三重陰性乳癌(TNBC)、すなわち、エストロゲン受容体(ER)陰性及びプロゲステロン受容体(PR)陰性であり、かつヒト上皮成長因子受容体2(HER2)を過剰発現しない腫瘍は乳癌の約15%を占め、2008年には、全世界で約170,000症例が報告された。三重陰性乳癌は、他の分子サブグループに関する腫瘍よりも顕著に侵襲性(転移性)である。TNBCは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、及びHER2受容体を発現せず、そのため、それらは、ホルモン療法及びHER2標的療法を含む、現在利用可能な標的治療に耐性がある。基底様癌又は三重陰性癌を有する患者は、非基底様/非三重陰性患者のものと比較したとき、最初の転移事象後の生存期間が有意により短い。BRCA1生殖系列突然変異キャリアに生じる腫瘍の大部分は、基底様癌で記載されているものと同様の形態的特徴を有し、それらは、三重陰性かつ基底様の表現型を示す。
TNBCは、最も厄介な乳癌グループのうちの1つを構成する。そのような癌を有する患者に、現在利用可能な唯一の全身療法は、化学療法である。しかしながら、そのような腫瘍を有する患者の生存率は今なお悪く、それゆえ、その管理は、より侵襲的な介入を必要とし得る。結果として、TNBCのための標的療法の開発はかなり重要である。最近の治験により、ポリ(ADP−リボシル)化ポリメラーゼ(PARP)阻害剤のBSI−201(Sanofi−Aventisによって開発されたイニパリブとして現在知られている)が、TNBCにおいて非常に有効であることが示された(Maturitas,2009,63,269−274)。また、TNBCは、PARPレベルの上昇を特徴とする。これらの特徴は、PARP阻害によって、TNBCにおける化学療法誘発性DNA損傷の効果を強化することができる可能性があることを示唆している(Community Oncology,2010,7,5,2,7−10;Clinical Advances in Hematology and Oncology,7,7,441−443)。
三重陰性乳癌は、化学療法に応答すると報告されているものの、そのような腫瘍を有する患者の生存率は今なお悪く、それゆえ、その管理は、より侵襲的な代替的介入を必要とし得る。したがって、三重陰性乳癌のための生物学的情報に基づく全身療法及び標的療法の開発は最も重要であり、この不均質な腫瘍集団の複雑さを理解すること、及び組合せ療法を用いることによって達成可能であると分かる可能性がある(Histopathology,2008,52,108−118)。
上記の議論を考慮し、かつ三重陰性乳癌を治療するための治療選択肢が非常に限られていることを考慮して、TNBCを治療するためのさらなる治療選択肢及び治療方法が依然として必要である。
一態様では、本発明は、三重陰性乳癌(TNBC)の治療における使用のための、パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量;及び式Iの化合物(本明細書に記載のもの)又はその薬学的に許容される塩によって表されるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤の治療有効量を含む薬学的組合せに関する。
一態様では、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象にパクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を;式Iの化合物(本明細書に記載のもの)又はその薬学的に許容される塩によって表されるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤の治療有効量と組み合わせて投与することを含む方法に関する。
別の態様では、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象にパクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与し;その後、対象に式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤の治療有効量を投与することを含む方法に関する。
さらなる態様では、本発明は、三重陰性乳癌の治療のための、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤の治療有効量を含む薬学的組合せの使用に関する。
また別の態様では、本発明は、三重陰性乳癌を治療するための薬剤の製造のための、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤;を含む薬学的組合せの使用に関する。
本発明の他の態様及びさらなる適用性の範囲は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
乳癌細胞株(MDA−MB−231、MDA−MB−468、及びMCF−7)におけるコロニー形成に対する化合物Aの効果 MCF−7乳癌細胞株におけるMCTS形成に対する化合物Aの効果 MCF−7(Her2−、BRCA+/−アレル欠失)細胞株における細胞周期進行及びアポトーシスに対する化合物Aの時間依存的効果 MDA−MB−231細胞株における細胞周期進行及びアポトーシスに対する化合物Aの時間依存的効果 化合物Aで処理したMCF−7及びMDA−MB−231細胞株における抗アポトーシスタンパク質Bcl−2の発現 MDA−MB−231細胞株(細胞周期の様々な段階)に対する化合物Aの効果 MDA−MB−468細胞株に対する化合物Aの効果 TNBC MDA−MB−231及びMDA−MB−468細胞株に対するBSI−201の効果 様々な乳癌細胞株におけるサイクリンD1レベル MCF−7細胞周期タンパク質及びCDK4キナーゼ活性に対する化合物Aの効果 PARポリマーによって測定される乳癌細胞株(MDA−MB−231及びMDA−MB−468)におけるPARP酵素活性に対する化合物Aの効果 2つのTNBC細胞株(MDA−MB−231及びMDA−MB−468)におけるPARP及び細胞周期タンパク質に対する化合物A(24時間)の効果 U251 HRE及びU251 pGL3細胞株におけるHIF−1α阻害に対する化合物Aの効果 VEGF受容体遺伝子ベースのアッセイを用いたVEGF阻害に対する化合物Aの効果 BT−549乳癌細胞株の遊走に対する化合物Aの効果 MDA−MB−231乳癌細胞株の遊走に対する化合物Aの効果 MCF−7乳癌細胞株の遊走に対する化合物Aの効果 内皮細胞管形成アッセイで観察される内皮管形成に対する化合物Aの効果 MDA−MB−231細胞株における24時間のパクリタキセルと、それに続く72時間の完全培地(CM)−グループIA/化合物A(IC50)−グループIVA/スニチニブ(IC50)−グループVAの組合せの効果 BT−549細胞株における24時間のパクリタキセルと、それに続く72時間の完全培地(CM)−グループIB/化合物A(IC50)−グループIVB/スニチニブ(IC50)−グループVBの組合せの効果 MDA−MB−468細胞株における24時間のパクリタキセルと、それに続く72時間の完全培地(CM)−グループIC/化合物A(IC50)−グループIVC/スニチニブ(IC50)−グループVCの組合せの効果
パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩、及び式Iの化合物(本明細書に記載のもの)又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤を含む、本発明の薬学的組合せが;三重陰性乳癌の治療で使用されたときに、相乗効果を示すことが現在見出されている。
特に、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療又は管理する方法であって、対象にパクリタキセルの治療有効量を、式Iの化合物から選択されるCDK阻害剤の治療有効量と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
本発明の薬学的組合せ中に含まれるCDK阻害剤は、本明細書に記載の式Iの化合物から選択される。以下の式Iによって表されるCDK阻害剤は、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許公開WO2004004632号(米国特許第7,272,193号に対応する)及びPCT特許公開WO2007148158号に開示されている。式Iの化合物は、様々な癌細胞の増殖を阻害するCDK阻害剤である。本発明の薬学的組合せ中に含まれる式Iの化合物は、様々な固形悪性腫瘍及び血液悪性腫瘍に対して効果がある。本発明の発明者らは、式Iの化合物をパクリタキセルと組み合わせると、アポトーシス、すなわち、プログラム細胞死が増加することを観察した。
本発明で使用されるCDK阻害剤は、以下の式Iによって表される化合物から選択される。
Figure 2013542979
(式中、Arは、非置換であるか、或いは:クロロ、ブロモ、フルオロ、もしくはヨードから選択されるハロゲン;ニトロ、シアノ、C1−C4−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−C4−アルコキシ、カルボキシ、C1−C4−アルコキシカルボニル、CONH2、又はNR12から選択される1個、2個、又は3個の同一の又は異なる置換基によって置換されているフェニル基であり;
ここで、R1及びR2は、各々独立に、水素又はC1−C4−アルキルから選択される。)
式(I)の化合物は、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開WO2004004632号及びPCT公開WO2007148158号に開示されている方法に従って調製することができる。
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩の一般的な調製プロセスは、以下の工程を含む:
(a)式VIA
Figure 2013542979
の中間体化合物の分割されたエナンチオマー的に純粋な(−)−トランスエナンチオマーを、ルイス酸触媒の存在下、無水酢酸で処理して、式VIIA
Figure 2013542979
の分割されたアセチル化化合物を得ること、
(b)式VIIAの分割されたアセチル化化合物を、塩基及び溶媒の存在下、式ArCOOHの酸又は式ArCOClの酸塩化物又は式(ArCO)2Oの酸無水物又は式ArCOOCH3のエステル(式中、Arは、式(I)の化合物に関連して上で定義されている通りである)と反応させて、式VIIIA;
Figure 2013542979
の分割された化合物を得ること、
(c)式VIIIAの分割された化合物を、好適な溶媒中、塩基で処理して、式IXA;
Figure 2013542979
(式中、Arは、上で定義されている通りである)の対応する分割されたβ−ジケトン化合物を得ること;
(d)式IXAの分割されたβ−ジケトン化合物を塩酸などの酸で処理して、式XA
Figure 2013542979
の対応する環化化合物を得ること
(e)式XAの化合物を120〜180℃の範囲の温度で脱アルキル化剤とともに加熱することによって、それを脱アルキル化に供して、式(I)の化合物の(+)−トランスエナンチオマーを得ること、及び任意に、対象化合物をその薬学的に許容される塩に変換すること。
上記の工程(a)で利用されるルイス酸触媒は:BF3、Et2O、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、及び塩化チタンから選択することができる。
プロセス工程(b)で利用される塩基は、トリエチルアミン、ピリジン、及びDCC−DMAP組合せ(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドと4−ジメチルアミノピリジンの組合せ)から選択することができる。
式VIIIAの化合物から式IXAの対応するβ−ジケトン化合物への転位がベーカー・ベンカタラマン転位として知られることが当業者には明らかであろう(J.Chem.Soc.,1933,1381およびCurr.Sci.,1933,4,214)。
プロセス工程(c)で使用される塩基は:リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、水素化ナトリウム、及び水素化カリウムから選択することができる。好ましい塩基は、リチウムヘキサメチルジシラジドである。
式IXAの化合物の脱アルキル化のためにプロセス工程(e)で使用される脱アルキル化剤は:ピリジン塩酸塩、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、及び三塩化アルミニウムから選択することができる。好ましい脱アルキル化剤は、ピリジン塩酸塩である。
式VIAの出発化合物の調製は、1−メチル−4−ピペリドンを1,3,5−トリメトキシベンゼンの氷酢酸溶液と反応させて、1−メチル−4−(2,4,6−トリメトキシフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンを生じさせ、これを、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、水素化ホウ素ナトリウム、及びテトラヒドロフランと反応させて、1−メチル−4−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ピペリジン−3−オールを生じさせることを含む。1−メチル−4−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ピペリジン−3−オールから式VIAの化合物への変換は、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウム、又は炭酸ナトリウムなどの酸素求核剤の存在下でのp−トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、又は五塩化リンなどの適当な試薬による処理と、それに続く、イソプロパノール、エタノール、又はプロパノールなどのアルコール溶媒中、酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムなどの酸素求核剤の存在下での環縮小によって、化合物1−メチル−4−(2,4,6−トリメトキシフェニル)ピペリジン−3−オールのピペリジン環上に存在するヒドロキシル基を、トシル、メシル、トリフレート、又はハライドなどの脱離基に変換することを含む。
一実施形態では、CDK阻害剤は、フェニル基が:塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素から選択されるハロゲン;C1−C4−アルキル、及びトリフルオロメチルから選択される1個、2個、又は3個の同一の又は異なる置換基によって置換されている、式Iの化合物である。
別の実施形態では、CDK阻害剤は、フェニル基が、塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素から選択される1個、2個、又は3個のハロゲンによって置換されている、式Iの化合物である。
別の実施形態では、CDK阻害剤は、フェニル基が塩素によって置換されている、式Iの化合物である。
さらなる実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン又はその薬学的に許容される塩である。
またさらなる実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(本明細書において化合物Aと表される)である。
別の実施形態では、CDK阻害剤は、フェニル基が、クロロ及びトリフルオロメチル基で二置換されている、式Iの化合物である。
さらなる実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン;又はその薬学的に許容される塩である。
またさらなる実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(本明細書において化合物Bと表される)である。
一実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、抗血管新生剤である。
一実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、HIF−1α阻害剤である。一実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、VEG−F阻害剤である。一実施形態では、式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤は、PARP酵素阻害剤である。
薬学的に許容される塩の形態であり得る、式Iの化合物の製造、並びに上記の化合物を含有する経口及び/又は非経口薬学的組成物の製造は、PCT公開WO2004004632号(米国特許第7,272,193号に対応する)及びPCT公開WO2007148158号に開示されている。これらのPCT公開は、式Iによって表されるCDK阻害剤が多くの癌細胞の増殖を阻害することを開示している。本明細書において上で示されているように、式IのCDK阻害剤は、その塩の形態で使用することができる。式Iの化合物の好ましい塩としては、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。
式Iの化合物は、少なくとも2つのキラル中心を含み、したがって、2つの異なる光学異性体(すなわち、(+)又は(−)エナンチオマー)の形態で存在する。全てのそのようなエナンチオマー、及びラセミ混合物を含むその混合物が本発明の範囲内に含まれる。式Iの化合物のエナンチオマーは、PCT公開WO2004004632号、WO2008007169号、及びWO2007148158号に開示されている方法によって、上記のように得ることができるか、又は式Iの化合物のエナンチオマーは、キラルHPLC及び酵素的分割などの、当技術分野で周知の技術によって得ることもできる。用語「エナンチオマー的に純粋な」は、95%を超えるエナンチオマー過剰(ee)で存在する化合物を記述するものである。別の実施形態では、エナンチオマー過剰は97%を超える。また別の実施形態では、エナンチオマー過剰は99%を超える。用語「エナンチオマー過剰」は、あるエナンチオマーの量と生成物混合物中に存在する別のエナンチオマーの量の差を記述するものである。
或いは、式Iの化合物のエナンチオマーは、光学活性のある出発材料を用いることによって合成することができる。したがって、式Iの化合物の定義は、全てのあり得る立体異性体及びそれらの混合物を含む。式Iの化合物の定義は、規定の活性を有するラセミ体及び単離された光学異性体を含む。
パクリタキセルは、本発明の薬学的組合せ中に含まれる細胞傷害性抗腫瘍剤であるが、これは、タイヘイヨウイチイの木であるタクスス・ブレビフォリア(Taxus brevifolia)から単離された天然のジテルペン産物である(Rowinsky et.al.,J.Natl.Cancer Inst.,82,1247−1259(1990))。パクリタキセルの単離及びその構造は、J.Am.Chem.Soc.93,2325(1971)に開示されている。それは、チューブリン二量体からの微小管の集合を促進し、脱重合を妨げることによって微小管を安定化する抗微小管剤である。パクリタキセルは、肺癌、卵巣癌、乳癌、頭頸部癌、及び進行型のカポジ肉腫を有する患者を治療するのに用いられる。パクリタキセルは、卵巣癌の治療において(Merkman et al.;Yale Journal Of Biology and Medicine,64:583,1991)及び乳癌の治療に対して(Holmes et al;J.Nat.cancer Inst.,83;1797,1991)臨床使用が承認されているが、それは、他の癌を治療する際にも有用であり、例えば、それは、頭頸部癌(Forastire et.al.,Sem.Oncol.,20:56,1990)及び肺癌(M.Ghaemmaghami et al;Chest;113;86−91(1998))の治療のための有力な候補であると考えられている。パクリタキセルは、米国特許第5,670,537号に開示されており、この文献は、感受性のある癌の治療におけるパクリタキセルの使用又は投与に関するその教示について、参照により本明細書に組み込まれる。パクリタキセルは、注射溶液のTaxol(登録商標)として市販されている。パクリタキセルがアルブミンに結合している製剤は、Abraxane(登録商標)(Abraxis BioScience,Inc.)という商標で販売されている。
別途示されない限り、上記又は下記に使用される一般用語は、好ましくは、本開示との関連において以下の意味を有する:
本明細書で使用される場合、用語「組合せ」又は「薬学的組合せ」は、抗癌剤、すなわち、パクリタキセルとCDK阻害剤(式Iの化合物)の組合せ投与を意味し;抗癌剤は、独立して同時に、又はとりわけ、組合せ相手が相乗効果を示すことを可能にする時間間隔内で別々に、投与することができる。
本明細書で使用される場合、用語「相乗的な」は、本発明の方法及び組合せを用いて達成される効果が、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩、及びCDK阻害剤である式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を別々に用いて得られる効果の和よりも大きいことを意味する。有利には、そのような相乗作用は、同じ用量でより大きい効力を提供し、かつ/又は多剤耐性の構築を防止するかもしくは遅延させる。
三重陰性乳癌の治療との関連における「治療有効量」は、本発明の組合せを受容する対象において以下の効果のうちの1つ又は複数をもたらすことができる量を指す:(i)減速及び完全な成長停止を含む、腫瘍成長のある程度の阻害;(ii)癌細胞の数の低下;(iii)腫瘍サイズの縮小;(iv)末梢器官への腫瘍細胞浸潤の阻害(すなわち、低下、減速、もしくは完全な停止);(v)転移の阻害(すなわち、低下、減速、もしくは完全な停止);(vi)腫瘍の退縮もしくは拒絶をもたらし得るが、必ずしもその必要はない、抗腫瘍免疫応答の増強;並びに/又は(vii)三重陰性乳癌と関連する1以上の症状のある程度の軽減。
本明細書で使用される場合、用語「管理する」、「管理すること」、及び「管理」は、対象又は患者が、TNBCの進行又は悪化を予防するために該患者又は対象に投与されたときに、本発明の薬学的組合せから得る有益な効果を指す。
本明細書で使用される場合、用語「三重陰性乳癌(複数可)」又は「TNBC」は、様々な組織病理学的表現型の癌腫を包含する。例えば、あるTNBCは、腫瘍細胞が、乳房の正常な基底/筋上皮細胞に通常見られる遺伝子、例えば、高分子量基底サイトケラチン(CK、CK5/6、CK14、CK17)、ビメンチン、p−カドヘリン、ccBクリスタリン、ファシン、並びにカベオリン1及び2を発現する「基底様」(「BL」)に分類される。しかしながら、ある他のTNBCは、異なる組織病理学的表現型を有し、その例としては、乳房の非特殊型の高悪性度浸潤性腺管癌、化生性癌、髄様癌、及び唾液腺様腫瘍が挙げられる。本発明の薬学的組合せが提供される治療のためのTNBCは、非応答性又は不応性TNBCであってもよい。
本明細書で使用される用語「非応答性/不応性」は、三重陰性乳癌(TNBC)を有する対象または患者のうち、TNBCの治療のために現在利用可能な癌療法(例えば、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法、及び/又は、生物療法/免疫療法)を受けているけれども、その療法が患者の治療に臨床的に十分ではなく、さらなる効果的な療法を必要とする(例えば、治療に感受性のない)者を表すために用いられる。この語句は、療法に応答するが、副作用に苦しむ、再発する、耐性を発症するなどの、対象又は患者を記述することもできる。様々な実施形態では、「非応答性/不応性」は、癌細胞の少なくとも相当な部分が死滅しないか、又はその細胞分裂が停止しないことを意味する。癌細胞が「非応答性/不応性」であるかどうかの決定は、当技術分野で認められている「不応性」の意味をそのような文脈で用いて、癌細胞に対する治療の有効性を検定するための当技術分野で公知の任意の方法によって、インビボ又はインビトロのいずれかで行なうことができる。癌細胞の数が、顕著には低下していないか、又は増加している場合、癌は、「非応答性/不応性」である。
本明細書で使用される場合、用語「治療周期」は、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のCDK阻害剤の投与の連続シークエンスが実行される期間を指す。
用語「アポトーシス」は、細胞内の一連の分子工程がその死をもたらす細胞死の一種を指す。これは、不要な又は異常な細胞を取り除く身体の正常なやり方である。アポトーシスの過程は、癌細胞で遮断されている場合がある。プログラム細胞死とも呼ばれる(癌用語辞典、 米国国立癌研究所)。
本明細書で使用される場合、用語「アポトーシスを増加させる」は、プログラム細胞死の割合の増加、すなわち、抗腫瘍剤のみ又はCDK阻害剤のみのいずれかへの曝露(接触)と比べて、より多くの細胞が死の過程に誘導されることと定義される。
本明細書で使用される用語「対象」は、治療、観察、又は実験の対象となっている、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
一実施形態では、本発明は、対象における三重陰性乳癌の治療方法であって、対象に、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物(本明細書に記載のもの)又はその薬学的に許容される塩から選択されるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤を投与することを含む方法に関する。
したがって、本発明の方法では、三重陰性乳癌は、それを必要とする対象に、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量と組み合わせて投与することによって治療され、その場合、相乗効果が得られる。
一実施形態では、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象に、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量を投与することを含む方法に関し、ここで、パクリタキセル及び該CDK阻害剤は、連続的に投与される。
一実施形態では、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象に、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量を投与することを含む方法に関し、ここで、パクリタキセルは、該CDK阻害剤の投与の前に投与される。
一実施形態では、本発明の三重陰性乳癌を治療する方法は、パクリタキセル及びCDK阻害剤を本明細書に記載の用量範囲で投与することを含む。
一実施形態では、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象に、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び化合物A又は化合物Bから選択されるCDK阻害剤の治療有効量を投与することを含む方法に関する。
一実施形態では、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象に、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び化合物A又は化合物Bから選択されるCDK阻害剤の治療有効量を投与することを含む方法に関し、ここで、パクリタキセル及び該化合物A又は化合物Bは、連続的に投与される。
一実施形態では、本発明は、対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、対象にパクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び化合物A又は化合物Bから選択されるCDK阻害剤の治療有効量を投与することを含む方法に関し、ここで、パクリタキセルは、化合物A又は化合物Bの投与の前に投与される。
一実施形態では、本発明は、三重陰性乳癌の治療における使用のための薬学的組合せに関し、ここで、該薬学的組合せは、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量を含む。
一実施形態では、本発明は、三重陰性乳癌の治療における使用のための薬学的組合せに関し、ここで、該薬学的組合せは、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量を含み、ここで、パクリタキセル及び該CDK阻害剤は、連続的に投与される。
一実施形態では、本発明は、三重陰性乳癌の治療における使用のための薬学的組合せに関し、ここで、該薬学的組合せは、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量を含み、ここで、パクリタキセルは、CDK阻害剤の投与の前に投与される。
一実施形態では、本発明は、三重陰性乳癌の治療における使用のため薬剤の製造のための薬学的組合せの使用に関し、ここで、該薬学的組合せは、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤の治療有効量を含む。
一実施形態では、三重陰性乳癌の治療における使用のために提供される薬学的組合せ中に含まれるCDK阻害剤は、化合物A又は化合物Bから選択される。
一実施形態では、薬学的組合せに含まれるCDK阻害剤は、化合物Aである。
一実施形態では、薬学的組合せに含まれるCDK阻害剤は、化合物Bである。
一実施形態では、本発明の薬学的組合せ中に含まれる抗癌剤は、それらの異なる物理的及び化学的特徴のために、異なる投与経路を必要とし得る。例えば、式IのCDK阻害剤を、その良好な血液レベルを生成させ、かつ維持するために、経口又は非経口のいずれかで投与し得る一方で、抗腫瘍剤を、静脈内、皮下、又は筋肉内経路で非経口的に投与し得る。
経口使用のために、式IのCDK阻害剤を、例えば、錠剤もしくはカプセル、粉末、分散性顆粒、又はカシェーの形態で、或いは水性溶液又は懸濁液として投与し得る。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトース、トウモロコシデンプン、炭酸マグネシウム、タルク、及び糖が含まれ、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤が一般に添加される。カプセル形態での経口投与のために、有用な担体には、ラクトース、トウモロコシデンプン、炭酸マグネシウム、タルク、及び糖が含まれる。
筋肉内、腹腔内、皮下、及び静脈内使用のために、活性成分(パクリタキセル又はCDK阻害剤)の滅菌溶液が通常利用され、これらの溶液のpHは、好適に調整及び緩衝化されるべきである。
一実施形態では、使用される活性成分の滅菌溶液は、生理食塩水又は蒸留水中で調製される。
活性成分、すなわち、組合せ中に含まれる抗癌剤の実際の投薬量は、患者の要件及び治療されている状態の重症度によって様々に異なり得る。通常、治療は、化合物の最適用量に満たないより少ない用量で開始される。その後、各成分の用量を、その状況下での最適効果に達するまで少量ずつ増加させる。しかしながら、薬学的組合せ中の各成分の量は、通常、単独で投与された場合に治療効果をもたらす量に満たない。便宜のため、全日用量を、必要に応じて分割し、1日の間に少しずつ投与することができる。一実施形態では、パクリタキセルが、各々10mg〜1000mgの範囲の相乗的有効用量で投与され、かつCDK阻害剤が、5mg/m2/日〜1000mg/m2/日の範囲の相乗的有効用量、特に、9mg/m2/日〜約259mg/m2/日の範囲の用量で投与されるように、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤は、注射可能な形態で連続的に投与される。
一実施形態では、三重陰性乳癌の治療における使用のために提供される薬学的組合せは、それを必要とする対象に、以下の工程を含む、6〜8回の治療周期、特に、6回の治療周期;2回連続の治療周期の間、投与される。:
i)治療周期の1日目のパクリタキセルと化合物Aの薬学的組合せ単回用量投与;
ii)2日目から、連続4日間の1日1用量の化合物Aの投与;
iii)薬物(抗癌剤)を投与しない2日間のインターバル;
iv)連続5日間の化合物Aの任意投与、次いで、薬物(抗癌剤)投与をしない2日間のインターバル;
v)任意に、工程iv)を反復すること;及び
vi)工程i)の開始から3週間のインターバルの後、工程i)〜v)を第二の治療周期として繰り返すこと
一実施形態では、薬学的組合せは、それを必要とする対象に、外科手術前もしくは外科手術後に、又は外科手術前に一部及び外科手術後に一部、2回〜6回の治療周期の間、投与される。
本発明によって提供される組合せは、特定のアッセイ系で、及びいくつかの異なるインビトロでの投与スケジュールで評価されている。実験の詳細は、本明細書で以下に提供されている通りである。本明細書で提示されるデータは、式Iの化合物から選択されるCDK阻害剤と組み合わせたときに、パクリタキセルが相乗効果を示すことを明確に示している。三重陰性乳癌の治療において組み合わせて使用したときの抗癌剤が、細胞をCDK阻害剤のみ、式Iの化合物のみ、又はパクリタキセルのみで処理したときよりも、増殖性細胞におけるアポトーシス又は細胞傷害性を増大させることが明確に示されている。
薬理学的アッセイで使用される、代表的な化合物の化合物Aは、(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩を指し、これは、参照により本明細書に組み込まれる、公開されたPCT公開WO2004004632号に開示されている化合物のうちの1つであった。
これから、パクリタキセル及びCDK阻害剤を含む本発明の組合せの相乗効果を、その好ましい実施形態に関して、より詳細に説明する。これらは単なる例として提供されており、本発明を限定することを意図するものではないことに留意すべきである。
以下の略語又は用語を本明細書で使用する:
ATCC:アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,USA
ATP:アデノシン三リン酸
CHCl3:クロロホルム
CDCl3:重水素化クロロホルム
CO2:二酸化炭素
CoA:補酵素A(Sigma Aldrich,USA)
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DBTA:ジベンゾイル酒石酸
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DNA:デオキシリボ核酸
DTT:ジチオスレイトール(Sigma Aldrich,USA)
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
EtOAc:酢酸エチル
FBS:胎仔ウシ(bovine)血清(Gibco,USA)
FCS:胎仔ウシ(calf)血清(Gibco,USA)
g:グラム
h:時間
HCl:塩酸
IPA:イソプロピルアルコール
KBr:臭化カリウム
Kg:キログラム
L:リットル
MgSO4:硫酸マグネシウム
MeOH:メタノール
Min:分
mL:ミリリットル
μL:マイクロリットル
μM:マイクロモル
mmol:ミリモル
mol:モル
Na2CO3:炭酸ナトリウム
Na2SO4:硫酸ナトリウム
NaBH4:水素化ホウ素ナトリウム
NaOH:水酸化ナトリウム
NCI:米国国立癌研究所
℃:セ氏度
PARP:ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ
PBS:リン酸緩衝生理食塩水(Sigma Aldrich,USA)
PI:ヨウ化プロピジウム(Sigma Aldrich,USA)
RPMI:米国ロズウェルパーク記念研究所
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
細胞株(供給源:ATCC,USA):
TNBC:三重陰性乳癌
MCF−7:(HER低、ER+、PR+、BRCA+/−アレル欠失)乳癌細胞株
T47−D:(HER低、ER+、PR+)乳癌細胞株
ZR−75−1:(HER低、ER+、PR+)乳癌細胞株
MDA−MB−468:(HER−、ER−、PR−)三重陰性乳癌細胞株
MDA−MB−231:(HER−、ER−、PR−)三重陰性乳癌細胞株
MDA−MB−435−S:(HER−、ER−、PR−)三重陰性乳癌細胞株
MDA−MB−361:(HER−、ER−、PR−)三重陰性乳癌細胞株
HBL−100:(HER−、ER−、PR−)三重陰性乳癌細胞株
BT−549:(HER−、ER−、PR−)三重陰性乳癌細胞株
HUVEC:ヒト臍帯静脈内皮細胞
細胞株(供給源:NCI,USA):
U251 HRE:遺伝子改変膠芽腫細胞
U251 pGL3:遺伝子改変膠芽腫細胞
抗体(供給源:Cell Signaling Technology,USA):
サイクリンD1(細胞周期タンパク質)
Bcl−2(抗アポトーシスタンパク質)
CDK4(サイクリン依存性キナーゼ−4)
Rb(レチノブラストーマ)
pRb Ser780(ホスホ−レチノブラストーマ)
PAR(PARP酵素の基質)
PARP(ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ)
β−アクチン(ハウスキーピングタンパク質、ウェスタンブロット解析のローディング対照として使用される)
細胞株のインキュベーション条件:37℃及び5%CO2
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明するが、この実施例は、本発明をさらに例示するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、また、それらは、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでもない。
実施例1:
(+)−トランス−2−(2−クロロフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物A)の調製
水素化ナトリウム(50%、0.54g、11.25mmol)を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら、0℃の(−)−トランス−1−[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシメチル−1−メチルピロリジン−3−イル)−4,6−ジメトキシフェニル)−エタノン(0.7g、2.2mmol)の無水DMF(15mL)溶液に少しずつ添加した。10分後、メチル2−クロロベンゾエート(1.15g、6.75mmol)を添加した。反応混合物を25℃で2時間撹拌した。メタノールを20℃未満で注意深く添加した。反応混合物をクラッシュアイス(300g)上に注ぎ、1:1のHCl(pH2)で酸性化し、EtOAc(2×100mL)を用いて抽出した。水性層を飽和Na2CO3(pH10)を用いて塩基性化し、CHCl3(3×200mL)を用いて抽出した。有機層を乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮した。残渣に濃HCl(25mL)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応混合物をクラッシュアイス(300g)上に注ぎ、飽和水性Na2CO3溶液を用いて塩基性にした。混合物をCHCl3(3×200mL)を用いて抽出した。有機抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(無水Na2SO4)、濃縮すると、化合物の(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−5,7−ジメトキシ−クロメン−4−オンが得られた。[収率:0.67g(64%);mp:91〜93℃;[α]D 25=+5.8°(c=0.7、メタノール)]
溶融ピリジン塩酸塩(4.1g、35.6mmol)を(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−5,7−ジメトキシ−クロメン−4−オン(0.4g、0.9mmol)に添加し、180℃で1.5時間加熱した。反応混合物を25℃に冷却し、MeOH(10mL)で希釈し、Na2CO3を用いてpH10に塩基性化した。混合物を濾過し、有機層を濃縮した。残渣を水(5mL)に懸濁させ、30分間撹拌し、濾過し、乾燥させると、化合物の(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オンが得られた。[収率:0.25g(70%)]
(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン(0.2g、0.48mmol)をIPA(5mL)に懸濁させ、3.5%HCl(25mL)を添加した。懸濁液を加熱して、透明な溶液を得た。この溶液を冷却し、固体を濾過すると、化合物の(+)−トランス−2−(2−クロロフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩、すなわち、化合物Aが得られた。
収率:0.21g(97%);mp:188〜192℃;[α]D 25=+21.3°(c=0.2、メタノール);
実施例2:
(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシ−メチル−1−メチルピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物B)の調製
トランス−1−[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシメチル−1−メチルピロリジン−3−イル)−4,6−ジメトキシフェニル)−エタノンの化合物(1.16g、3.2mmol)、2−クロロ−4−トリフルオロメチル安息香酸(0.88g、4mmol)、DCC(1.35g、6.5mmol)、及びDMAP(0.4g、3.27mmol)の混合物をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、室温で12時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、沈殿したジシクロヘキシル尿素を濾過し、有機層を濃縮し、残渣を、クロロホルム中の1%メタノール及び0.01%アンモニアを溶離剤として用いるカラムクロマトグラフィーにより精製すると、化合物の(+)−トランス−2−クロロ−4−トリフルオロメチル安息香酸2−(2−アセトキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−6−アセチル−3,5−ジメトキシフェニルエステルが得られた[収率:1.44g(78.8%)]。
窒素雰囲気下、0℃で維持されたn−BuLi(15%ヘキサン溶液、2.2mL、5mmol)のTHF(10mL)溶液に、ヘキサメチルジシラザン(1.08mL、5.1mmol)を滴加し、15分間撹拌した。これに、(+)−トランス−2−クロロ−4−トリフルオロメチル安息香酸2−(2−アセトキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−6−アセチル−3,5−ジメトキシフェニルエステル(1.44g、2.5mmol)のTHF(10mL)溶液を滴加し、温度を0℃に維持した。添加後、反応液を室温にまで温めさせておき、2.5時間撹拌した。反応混合物を希HClで酸性化し、10%重炭酸ナトリウムでpH8〜9に塩基性化した。水性層をクロロホルム(3×25mL)で抽出した。有機層を水(25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。有機層を減圧下で濃縮し、真空下で乾燥させると、酢酸3−{3−[3−(2−クロロ−4−トリフルロメチル(−フェニル)−3−オキソ−プロピオニル]−2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシ−フェニル}−1−メチル−ピロリジン−2−イルメチルエステルが油(1.3g、90.2%)として得られた。このエステルを濃HCl(10mL)に溶解させ、3時間撹拌して、環化をもたらした。3時間後に、反応混合物を固体NaHCO3でpH8〜9に塩基性化した。水性層をクロロホルム(25×3mL)で抽出し、水(25mL)及びブライン(25mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、真空上で乾燥させた。残渣を、クロロホルム中の3%メタノールと0.1%アンモニアとを溶離剤として用いるカラムクロマトグラフィーで精製すると、化合物の(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチルピロリジン−3−イル)−5,7−ジメトキシ−クロメン−4−オンが黄色の固体として得られた。[収率:0.56g(48.2%)]
(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチルピロリジン−3−イル)−5,7−ジメトキシ−クロメン−4−オン(0.25g、0.5mmol)、ピリジン塩酸塩(0.25g、2.16mmol)、及び触媒量のキノリンの混合物を180℃で2.5時間加熱した。反応混合物をメタノール(25mL)で希釈し、固体Na2CO3でpH10に塩基性化した。反応混合物を濾過し、メタノールで洗浄した。有機層を濃縮し、残渣を、0.1%アンモニアとクロロホルム中の4.5%メタノールとを溶離剤として用いるカラムクロマトグラフィーで精製すると、化合物の(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシ−メチル−1−メチルピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オンが黄色の固体として得られた。[収率:0.15g(63.7%)]
(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシ−メチル−1−メチルピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン(0.1g、0.2mmol)をメタノール(2mL)に懸濁させ、エーテルHClで処理し、有機溶媒を蒸発させると、化合物の(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩が得られた。[収率:0.1g(92.8%)]
薬理学的アッセイ:
実施例3:
ヨウ化プロピジウム(PI)を用いた細胞傷害性アッセイ
ヨウ化プロピジウム蛍光アッセイ(PI)は、Anticancer Drugs,1995,6,522−32に記載の手順に従って実施した。
ヒト腫瘍細胞株のインビトロ成長を特徴付けるため、及び化合物の細胞傷害活性を試験するために、アッセイを開発した。損傷した細胞膜にのみ透過するヨウ化プロピジウム(PI)を色素として用いた。インターカレーション複合体は、PIと二本鎖DNAとによって形成され、これにより、蛍光の増幅がもたらされる。細胞を−20℃で24時間凍結させた後、PIは全DNAにアクセスすることができ、全細胞集団のカウントが可能になった。バックグラウンド測定値は、培地及びヨウ化プロピジウムを含む無細胞ウェルから得られた。
ヒト乳癌細胞株(すなわち、MCF−7、T47−D、ZR−75−1、MDA−MB−468、MDA−MB−231、MDA−MB−435−S、MDA−MB−361、HBL−100、BT−549)を、10%FCSを含む180μLのDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco,USA)又はRPMI 1460中、1500〜3000細胞/ウェルの密度で、96ウェルプレートに播種し、約16時間インキュベートして、細胞を接着させておいた。その後、細胞を様々な濃度の化合物A(0.1〜3μM)で処理した。上記の手順を、様々な濃度の化合物A、パクリタキセル(Sigma Aldrich,USA)、及びスニチニブ(Sutent(登録商標)、LC Laboratories,USA)について、3つのTNBC細胞株(MDA−MB−231、MDA−MB−468、及びBT−549)で繰り返した、すなわち、化合物Aの濃度範囲を0.1〜3μMとし、パクリタキセルの濃度範囲を0.1〜10μMとし、一方、スニチニブ(Sutent(登録商標))については、濃度範囲を48時間の全期間の間1〜100μMとした。プレートを、37℃±1℃の加湿5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。対照ウェルをビヒクル(DMSO)で処理した。インキュベーション期間の最後に、これらのプレートを、PI細胞傷害性アッセイプロトコルを用いてアッセイした。パーセント細胞傷害性を様々な薬物濃度で計算し、プロットされたグラフから、IC50値を決定した。本研究の結果を表1A及び1Bに示す。
Figure 2013542979
表1Aは、化合物処理の48時間後に行なわれた細胞傷害性アッセイによって決定された、MDA−MB−231、BT−549、及びMDA−MB−468における化合物A、パクリタキセル、及びスニチニブ(Sutent(登録商標))のIC50値(単位μM)を示している。
Figure 2013542979
表1Bは、化合物Aが、遺伝子マーカーに関係なく、0.3〜1.0μMの範囲のIC50で、全ての乳癌細胞株に対して有効に抗増殖性であることが分かったことを示している。
実施例4:
クローン形成アッセイ又はコロニー形成アッセイ
MDA−MB−231、MDA−MB−468、及びMCF−7細胞株を、6ウェルプレート中、1500細胞/ウェルの密度で、10%FCSを含むRPMI 1460中に播種した。24時間のインキュベーションの後、細胞を(実施例3の手順により決定される)IC10、IC30、及びIC50濃度の化合物Aで48時間処理した。このIC10、IC30、及びIC50値を表2に示す。培地を処理の最後に除去し、新鮮な培地(薬物なし)中で14日間インキュベートした。14日後、培地を吸引し、コロニーを、2:1の比率のメタノールと酢酸の混合物で固定し、水ですすぎ、固定手順を繰り返した。プレートを乾燥させ、コロニーを0.1%クリスタルバイオレットで5分間染色した。最後に、ウェルを水ですすぎ、乾燥させた。
Figure 2013542979
結果は図1に示されており、これは、MDA−MB−231、MDA−MB−468、及びMCF−7細胞株(播種密度:1500細胞/プレート)におけるIC10、IC30、及びIC50用量の化合物Aによる応答の視覚的増強を示している。
化合物Aは、用量依存的な様式でコロニー形成能を阻害することが分かった。
実施例5:
多細胞腫瘍スフェロイド(3D)形成に対する化合物Aの効果
このアッセイは、Methods in Molecular Medicine,2007,140,141−151に開示されている方法に従って実施した。
多細胞腫瘍スフェロイド(MCTS)モデルは、最もよく記載されている3Dインビトロ腫瘍モデル系のうちの1つであり、これは、腫瘍組織の特徴の多くを表現し、再現性のある実験を可能にし、優れたインビトロスクリーニング系を提供する。MCTSをハンギングドロップ法を用いて増殖させた。簡潔に述べると、細胞単層をトリプシン−EDTAを用いて剥離した。細胞数を調整し、1,000細胞/滴を含む20μLのハンギングドロップ滴を細菌等級ペトリ皿の中で生成させた。これらのハンギングドロップを、5%CO2の加湿雰囲気で、37℃で24時間インキュベートした。このように生成されたMCTSを、様々な濃度(0.3μM〜30μM)の化合物Aの存在下又は非存在下で72時間、培養した。
結果を図2に示す。
MCF−7細胞懸濁液を、MCTSの増殖のために、様々な濃度の化合物A(0.3μM〜30μM)と共インキュベートしたとき、3μM濃度以降の化合物Aで、スフェロイド形成が停止した。1μMで形成されたMCTSのサイズも対照と比べてより小さかった。MCTSは、患者腫瘍の病態生理学的環境をシミュレートすることが十分によく特徴付けられているので、この観察は臨床的観点から重要である。腫瘍の低酸素状態の形成をもたらすスフェロイド中での酸素勾配のために、それは、腫瘍組織に広がる微小環境を模倣する。スフェロイド形成に対する化合物Aの効果は、化合物Aが低酸素状況下で有効であり得ることを示している。
実施例6:
MCF−7(Her低、ER+、PR+、BRCA+/−アレル欠失)及びTNBC細胞株MDA−MB−231における細胞周期進行及びアポトーシスに対する化合物Aの時間依存的効果
細胞周期進行及びアポトーシスに対する化合物Aの時間依存的効果を2つの乳癌細胞株で評価した。非同期ヒト乳癌細胞株のMCF−7(Her低、ER+、PR+、BRCA+/−アレル欠失)及びMDA−MB−231細胞を、10%FCSを含むRPMI 1460中、フラスコ当たり0.5×106細胞の密度で、25mm3組織培養フラスコに播種した。24時間後、細胞を4.5μMの化合物Aで0、24、48、及び72時間処理した。剥離された細胞と接着している細胞の両方を、表3に挙げられている様々な時点で回収した(トリプシン処理した)。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄した後、細胞を氷冷70%エタノール中で固定し、さらなる解析まで−20℃で保存した。
解析の前に、細胞をPBSで2回洗浄して、固定液を除去し、50μg/mLのヨウ化プロピジウム及び50μg/mLのRNアーゼAを含むPBSに再懸濁させた。室温(20〜35℃)で20分間のインキュベーションの後、フローサイトメトリーを用いて細胞を解析した。Becton Dickinson FACS Caliburフローサイトメーター(BD,USA)をこれらの研究に用いた。488nmに設定されたアルゴンイオンレーザーを励起源として用いた。赤色蛍光のレベルで規定したとき、2n〜4nのDNA含量を有する細胞は、細胞周期のG1、S、及びG2/M期にあると表した。2n未満のDNA含量を示す細胞は、サブ−G1(アポトーシス集団)細胞と表した。各細胞周期コンパートメント内の細胞の数は、存在する細胞の総数のパーセンテージとして表した。結果を表3に示し、図3A(MCF−7細胞株)及び図3B(MDA−MB−231細胞株)にグラフで示す。
Figure 2013542979
上の表に示した結果から、化合物Aが、MCF−7(Her低、ER+、PR+、BRCA+/−アレル欠失)及びTNBC細胞株MDA−MB−231でアポトーシスを誘導したことが明らかである。最大のアポトーシスは48時間及び72時間で見られた。
実施例7:
ウェスタンブロット解析を用いたMCF−7及びMDA−MB−231細胞における化合物Aの効果:
若干の修正を加えて、Molecular Cancer Therapeutics,2007,6,918−925に開示されている手順に従って、ウェスタンブロットアッセイを実施した。
MCF−7細胞及びMDA−MB−231細胞を、25mm3組織培養フラスコ中の10%FCSを含むRPMI 1460培地中に播種し、24時間インキュベートした。これらの細胞を、1.5及び4.5μMの化合物Aで処理した。様々な時点で、すなわち、6、24、及び30時間で、細胞を回収するか又はトリプシン処理し、溶解緩衝液(Sigma Aldrich,USA)を用いて溶解させた。タンパク質含量を推定した。溶解物をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、次いで、ウェスタンブロッティングに適用した(Molecular Cancer Therapeutics,2007,6,918−925)。Bcl−2及びアクチンに対する特異的抗体を用いて、ウェスタンブロッティングを行なった。結果を図4に示す。
図4から、化合物Aが、両方の細胞株において用量依存的な様式で、抗アポトーシスタンパク質Bcl−2を下方調節することを理解することができる。MCF−7細胞では、Bcl−2が、24時間以降、顕著に下方調節される一方、MDA−MB−231では、顕著な下方調節は、30時間で観察された。
実施例8:
細胞周期進行及びアポトーシスに対する化合物Aの効果:
細胞周期進行及びアポトーシスに対する化合物A及びPARP阻害剤BSI−201(Sanofi−Aventisにより開発されたイニパリブ。BSI−201は自前で調製する)の効果の比較を、2つのTNBC細胞株で評価した。同期していないヒトTNBC細胞株のMDA−MB−231とMDA−MB−468を、25mm3組織培養フラスコ中、フラスコ当たり0.5×106細胞の密度で、10%FCSを含むRPMI 1460中に播種した。24時間後、細胞を、1.5及び3.0μMの化合物A又は50μMのPARP阻害剤BSI−201のいずれかで72時間処理した。インキュベーション後、細胞を回収し(トリプシン処理し)、実施例6に示したように処理した。結果を表4A及び4Bに示し;図5A、5B、及び5Cにグラフで示す。
Figure 2013542979
Figure 2013542979
TNBC細胞株のMDA−MB−231及びMDA−MB−468は、化合物Aで処理したとき、用量依存的なアポトーシスの増加を示した。BSI−201(50μM)は、MDA−MB−231におけるアポトーシスの誘導を示さなかった。しかしながら、最小限のアポトーシス(12.67%)が、MDA−MB−468で観察された。
実施例9:
MCF−7細胞周期タンパク質及びCDK4キナーゼ活性に対する化合物Aの効果
ステップ1:サイクリン−D1発現の基礎レベル
サイクリン−D1発現の基礎レベルを、様々な乳癌細胞株、すなわち、MCF−7、MDA−MB−231、MDA−MB−468、MDA−MB−435S、MDA−MB−453、BT−549、及びHBL−100にわたって、ウェスタンブロット解析を用いて調べた(Molecular Cancer Therapeutics,2007,6,918−925)。これらの細胞を、25mm3組織培養フラスコ中の10%FCSを含むRPMI 1460培地中に播種し、24時間インキュベートした。これらの細胞を回収し(トリプシン処理し)、溶解緩衝液を用いて溶解させた。タンパク質含量を推定した。溶解物をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、次いで、ウェスタンブロッティングに適用した。サイクリンD1抗体を用いて、ウェスタンブロッティングを行なった。アクチンはローディング対照として使用される。結果を図6Aに示す。高サイクリンD1レベルは、三重陰性乳癌細胞株を含む乳癌細胞株の大部分で観察された。
ステップ2:MCF−7細胞周期タンパク質及びCDK4キナーゼ活性に対する化合物Aの効果
MCF−7細胞を、25mm3組織培養フラスコ中の10%FCSを含むRPMI 1460培地中に播種し、24時間インキュベートした。これらの細胞を1.5μMの化合物Aで処理した。様々な時点、すなわち、3時間、6時間、9時間、12時間、及び24時間で、細胞を回収し(トリプシン処理し)、溶解緩衝液を用いて溶解させた。タンパク質含量をブラッドフォード法(Anal.Biochem.,1976,72,248−254)で推定した。溶解物をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、次いで、ウェスタンブロッティングに適用した。様々な細胞周期タンパク質、すなわち、サイクリンD1、CDK4、Rb、及びpRbSer780に対する特異的抗体を用いて、ウェスタンブロッティングを行なった。
免疫沈降アッセイのために、MCF−7細胞を血清飢餓によって同期させた。これらの細胞を、様々な時点、すなわち、3時間、6時間、9時間、及び12時間で、1.5μMの化合物Aで処理した。細胞を回収し(トリプシン処理し)、溶解緩衝液を用いて溶解させ、タンパク質含量を推定した。CDK4に対する特異的抗体を用いる免疫沈降によって、CDK4−D1(サイクリンD1及びCDK4)を溶解物から精製した。免疫複合体をプロテインAセファロースビーズ(Sigma Aldrich,USA)を用いてさらに精製した。免疫複合体を用いて、基質としてのpRbと32P標識ATP(BRIT,India)とを用いて、CDK4活性を決定した。混合した反応液をSDS−PAGE、次いで、転写及びオートラジオグラフィーに適用した。結果を図6Bに示す。
化合物Aは、MCF−7(Her低、ER+、PR+、BRCA+/−、アレル欠失あり)において、時間依存的な様式でサイクリンD1及びpRbを下方調節する。サイクリンD1及びpRb発現は、6時間以降、顕著には12時間での減少を示す。24時間を除き、Rb全体の顕著な変化は見られない。細胞ベースのアッセイにおけるCDK4キナーゼ活性の減少は早くも3時間から見られた。
実施例10:
PARポリマーで測定されるPARP酵素活性に対する化合物Aの効果
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、ポリ(ADP−リボシル化)(PAR)触媒能を保有する酵素のファミリーの原理メンバーである。PARP酵素活性を調べるために、PARポリマー形成を測定した。MDA−MB−231及びMDA−MB−468細胞を、25mm3組織培養フラスコ中の10%FCSを含むRPMI 1460培地中に播種し、24時間インキュベートした。これらの細胞を1.5μM及び5μMの化合物Aで24時間処理した。細胞を回収し(トリプシン処理し)、溶解緩衝液を用いて溶解させた。PARに対する特異的抗体を用いてウェスタンブロッティング(Molecular Cancer Therapeutics,2007,6,918−925)を行なった。結果を図7に示す。
MDA−MB−231細胞株におけるPARポリマー形成の阻害によって観察されるように、化合物Aは、PARP酵素活性を阻害する。しかしながら、MDA−MB−468では、PARポリマーの形成が阻害されないことが観察された。
実施例11:
TNBC細胞株におけるPARP及び細胞周期タンパク質に対する化合物A(24時間)の効果
PARP活性と細胞周期タンパク質サイクリンD1、全Rb、及びpRb 780との相関を、2つのTNBC細胞株、すなわち、MDA−MB−468及びMDA−MB−231で調べた。MDA−MB−231及びMDA−MB−468細胞を、25mm3組織培養フラスコ中の10%FCSを含むRPMI 1460培地中に播種し、24時間インキュベートした。これらの細胞を1.5μM及び5μMの化合物Aで24時間処理した。細胞を回収し(トリプシン処理し)、溶解緩衝液を用いて溶解させた。PAR、PARP、サイクリンD1、CDK4、及びpRb Ser 780に対する特異的抗体を用いて、ウェスタンブロッティングを実施した(Molecular Cancer Therapeutically effectives,2007,6,918−925)。結果を図8に示す。
MDA−MB−231では、PARポリマー形成の阻害によって見られるように、化合物Aは、PARP酵素活性を阻害する。これは、pRb、サイクリンD1、及びCDK4の用量依存的な減少を伴う。MDA−MB−468では、PARポリマー形成の変化は見られなかったものの、アポトーシスの指標であるPARP切断は顕著であった。
TNBC細胞株MDA−MB−231を化合物Aで処理し、24時間インキュベートしたとき、この細胞株でPARP活性の阻害が観察された。しかしながら、MDA−MB−468は、PARP酵素阻害を示さず、その代わりに、PARPの切断を示した。これらは両方とも、アポトーシスを経ている細胞のマーカーである。したがって、化合物Aがこれらの細胞株の両方において顕著なアポトーシスを誘導することが明らかである。
実施例12:
HIF−1α阻害に対する化合物Aの効果
HIF−1α受容体遺伝子ベースのアッセイにおける試験系:
1)U251 HRE:ルシフェラーゼレポーター遺伝子が3コピーの同族HREの制御下にある組換えベクターを安定に発現する遺伝子改変細胞U251 HRE。
2)U251 pGL3:対照細胞株は、非特異的及び/又はHIF−1非依存的様式でルシフェラーゼ発現を阻害する化合物を除外するのに役立つ構成的活性型SV40プロモーター及びエンハンサーの制御下にホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む。これらの細胞は、酸素正常条件で高い基礎レベルのルシフェラーゼを発現し、低酸素条件で若干より低いレベルのルシフェラーゼを発現した。
U251 HRE細胞を、180μLの容量中、10000〜15000細胞/ウェルで、96ウェルの白色平底プレートに播種し、37℃、5%CO2、及び周囲O2で24時間インキュベートした。化合物Aを、様々な濃度、すなわち、0.01、0.03、0.1、0.3、1.0、3.0、及び10μMで試験し、プレートを、37℃、5%CO2、1%O2、及び94%N2のモジュール式低酸素チャンバー(Billups Rothenberg,MIC 101,USA)内で20時間インキュベートした。20時間のインキュベーション後、プレートを取り出し、室温、5%CO2、及び周囲O2で1.5時間インキュベートした。40μLのBright Gloルシフェラーゼ試薬(Promega,USA)を添加し、3分後、発光モードでPolar Star Plate Reader(USA)を用いて、発光を測定した。適当な対照細胞(U251 pGL3)を、それらを37℃、5%CO2、及び周囲O2で処理したことを除き、同様に処理した。化合物毒性をMTSアッセイを用いて検定した。
結果を図9にグラフで示す。
化合物Aによる処理は、低酸素下(<1%O2)のU251 HRE細胞株において用量依存的な様式でHIF−1αの発現を効果的に遮断した。これらの化合物は、正常酸素下の対照細胞株U251 pGL3におけるルシフェラーゼ発現を阻害しなかった。これは、化合物AがHIF−1αを特異的に阻害することを示している。
実施例13:
VEGF阻害に対する化合物Aの効果:
細胞株M−9は、VEGF−Lucコンストラクト(pGL2−basic中のVEGFプロモーター)と、VEGFプロモーターレポーター遺伝子を形成するジェネティシン(G418)耐性遺伝子を含むプラスミドとで安定にコトランスフェクトされているMDA−MB−231である。ルシフェラーゼ活性によって測定される、クローン細胞におけるレポーター遺伝子の発現は、安定である。
VEGF受容体遺伝子ベースのアッセイを用いて、VEGF阻害に対する化合物Aの効果を評価した。
VEGFアッセイの試薬:
溶解アッセイ緩衝液(1×)
トリス−リン酸塩(pH7.8)−125mM、DTT−10mM、EDTA−10mM、グリセロール−50%、及びTriton X−100−5%。
ルシフェラーゼアッセイ試薬(LAR)
ルシフェラーゼアッセイ緩衝液−8mL、530μM ATP−530μL、270μM CoA−1mL、及び170μMルシフェリン−1mL。
ルシフェラーゼアッセイ緩衝液(LAB)(1×)
トリシン(pH7.8)−20mM、マグネシアアルバ−1.07mM、MgSO4−2.67mM、EDTA−0.1mM、及びDTT−33.3mM。
LAB中で作製されるATPストック=5.85mg/mL
LAB中で作製されるCoAストック=2.1mg/mL
LAB中で作製されるルシフェリンストック=1.5mg/mL
VEGFアッセイ用のプロトコル:
1.M−9細胞を継代培養し、37℃及び5%CO2の加湿インキュベーター内で、10%FBS、及び4μL/ml G418(ストック100mg/mL)を補充したRPMI−1640培地中で維持した。
2.細胞を、組織培養等級の96ウェル白色プレート及び透明プレートに、180μL容量中、3×104細胞/ウェルの密度で播種し、37℃の加湿CO2インキュベーター(5%CO2)内で16〜20時間接着させておいた。インキュベーション条件が異なるので、合計2組のプレートを作製した。
3.最終所望濃度がそれぞれのウェルで達成されるように、化合物A、Sutent(登録商標)、及びBSI−201を培地に連続希釈した。(ウェル中のDMSO濃度は0.5%を超えない)。
4.インキュベーション条件:1組のプレートを、周囲大気条件下、5%CO2でインキュベートし、以後、正常酸素/有酸素プレートと表す。一方、もう1組のプレートを、酸素濃度が1%未満、窒素が94%、CO2が5%である無酸素条件とし、以後、低酸素プレートと表す。インキュベーションの温度を37℃とし、湿度を75%超とする。
5.低酸素条件及び正常酸素条件下での20〜24時間のインキュベーションの後、プレートをインキュベーターから取り出し、全てのウェルの培地を白色プレートから除去する。細胞を100〜150μL/ウェルのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で速やかに洗浄する。細胞を40〜50μLの溶解緩衝液で20分間溶解させる。
6.全てのウェルに、100μLのルシフェラーゼアッセイ試薬(LAR)を添加し、TOPCOUNT(商標)(Packard,USA)で、発光について直ちにプレートを読み取る。阻害率及び阻害濃度(IC50)又は有効濃度(EC50)を対照(未処理)値と比較して計算する。
低酸素下でのVEGF阻害のIC50値(μM):
化合物A:0.31μM
Sutent:15μM
BSI−201:>100μM
結果を図10にグラフで示す。
化合物Aによる処理は、VEGFの発現を用量依存的な様式で効果的に遮断した。
実施例14:
創傷治癒アッセイにおける化合物Aの効果
創傷治癒アッセイは、単純で、費用がかからず、インビトロでの有向性の細胞遊走を調べるための最も初期に開発された方法の1つである。この方法は、インビボでの創傷治癒時の細胞遊走を模倣する。
プロトコル:
1.MCF−7細胞を、25mm3組織培養フラスコ中の10%FCSを含むRPMI 1460培地中に播種し、24時間インキュベートした。
2.細胞をトリプシン処理し、滅菌6ウェルプレートに1ウェル当たり(0.5〜2.0)×106の密度で播種した。
3.プレートを、周囲酸素レベル下、37℃の加湿CO2インキュベーター(5%CO2)内で、約16時間インキュベートした。細胞は、ウェルの全面にコンフルエントな均一の単層を形成することが観察された。コンフルエントな単層のための必要とされる細胞数は、具体的な細胞型とディッシュの大きさの両方によって決まる。
4.一直線の細胞単層をピペットの先端で均等に擦って、「引っ掻き傷」を生成させた。化合物の添加前に、引っ掻き傷の1枚目の画像を取得した。
5.化合物Aを1μM及び3μMの濃度で添加した。
6.その後、さらなるインキュベーションのために、プレートをインキュベーター内で保持した。インキュベーションの時間枠は、使用した具体的な細胞型について実験的に決定した。
7.インキュベーション後、デュッシュを位相差顕微鏡(Zeiss Axio Observer,Germany)下に置き、基準点を一致させ、1枚目の画像の撮影領域を位置合わせし、2枚目の画像を取得した。各画像について、引っ掻き傷の一方の側ともう一方の側の距離を測定した。
BT−549及びMDA−MB−231細胞株についても、同様のプロトコルに従った。
結果を図11A、11B、及び11Cに示す。
化合物Aは、三重陰性乳癌細胞株を含む全ての乳癌細胞株で強力な抗遊走効果を示した。対照細胞は、24時間のインキュベーションの後、完全な治癒を示した。化合物Aで処理した細胞は、両側からの非常に少ない遊走を示し、したがって、強力な抗遊走効果が示された。
実施例15:
内皮管形成アッセイにおける化合物Aの血管新生
管形成アッセイは、血管新生の阻害及び誘導を研究するための、単純であるが、強力なモデルである。このアッセイは、細胞外マトリックス(BD Matrigel(商標)Matrix,USA)中に明白な血管様の管を形成する内皮細胞の能力に依存しており、このマトリックス中で、この血管様の管を顕微鏡観察により後から可視化することができる。それにより、ネイティブな生理的環境によく似ている3次元マトリックス中での血管新生性の管の解析が可能となる。
プロトコル
内皮細胞管形成アッセイ
コンフルエントなHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を、所望のコンフルエンスになるまで上述の内皮培地を用いて培養した。HUVECについては、60〜80%コンフルエンスが推奨される。
細胞単層をトリプシン処理し、細胞を5〜10%血清を含む培養培地に再懸濁させることによって、内皮細胞懸濁液を調製した。(24ウェルプレートの1ウェルにつき)細胞懸濁液180μL当たり(0.5〜1)×106個の細胞を、4℃で解凍しておいた培地(BD Matrigel Matrix)に添加した。その後、この懸濁液をプレートに添加し、インキュベーションのために保持した。細胞を2〜3時間接着させておき、その後、化合物A(1μM)、ロテノン(1μM)(Sigma−Aldrich,USA)、及びトポテカン(3μM)(Sigma−Aldrich,USA)(20μLの10×ストック)をそれぞれのウェルに添加した。DMSOを対照として用いた。24〜48時間のインキュベーションの後、細胞を、管形成及び血管新生について位相差顕微鏡(Zeiss Axio Observer,Germany)下で観察した。
結果を図12に示す。
化合物Aは、3DゲルHUVEC管形成アッセイにおいて、内皮細胞管形成、したがって、血管新生を効果的に阻害した。1μMの化合物Aは、ロテノン(標準的なVEGF阻害剤)に匹敵し、トポテカン(臨床試験における既知のHIF−1阻害剤)よりも優れていた。
実施例16:
インビトロ細胞傷害性アッセイ:
方法
ヨウ化プロピジウム(PI)アッセイを用いた三重陰性乳癌細胞株MDA−MB−231に対する化合物Aとパクリタキセルの組合せの効果
アッセイプロトコル:
ヨウ化プロピジウム蛍光アッセイ(PI)をAnticancer Drugs,1995,6,522−32に言及されている手順に従って実施した。
ヒト腫瘍細胞株のインビトロ成長を特徴付けるため、及び試験化合物の細胞傷害活性を試験するために、アッセイを開発した。損傷した細胞膜にのみ透過するヨウ化プロピジウム(PI)を色素として用いた。インターカレーション複合体はPIと二本鎖DNAとによって形成され、これにより、蛍光の増幅がもたらされる。細胞を−20℃で24時間凍結させた後、PIは全DNAにアクセスすることができ、全細胞集団のカウントが可能になった。バックグラウンド測定値は、培地及びヨウ化プロピジウムを含む無細胞ウェルから得られた。
ヒト三重陰性乳癌細胞株MDA−MB−231を、96ウェルプレートに、180μLのRPMI−1640培地中、1500〜3000細胞/ウェルの密度で播種し、37±1℃の加湿5%CO2インキュベーター内で約16時間インキュベートして、細胞を接着させた。その後、表5に示す薬物処理のスケジュールに従って細胞を処理した。このスケジュールは、6つの処理グループからなる。全ての処理グループにおいて、20μLの10×化合物(最初にDMSOに溶解させ、その後、細胞培地に希釈したもの、最終DMSO濃度は0.5%を超えない)をウェル中で用い、プレートを、37±1℃の加湿5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。培地をウェルから除去し、PBSで洗浄した。1ウェル当たり100μLのPIワーキング溶液(7μg/mL)を添加し、プレートを−80℃で約16時間保存した。プレートを解凍し、POLARstar optimaプレートリーダー(USA)を用いて、励起536nm及び放出590nmで蛍光を測定した。
(1mg/mLのPIストック溶液は、1mgのPIを1mLの蒸留水に溶解させることによって調製した。PIワーキング溶液は、140μLのストック溶液をPBSに添加して、容量を220mLにすることによって調製した(7μg/mL))。
スケジュール:それは、6つの処理グループからなる。
1)MDA−MB−231細胞を、パクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM濃度のICμM)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、完全培地(CM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIA)。
2)細胞を完全培地で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、化合物A(IC50=1μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIIA)。
3)細胞を完全培地で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、スニチニブ(Sutent(登録商標)、IC50=7.8μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIIIA)。
4)細胞を、様々な濃度のパクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、化合物A(IC50=1μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIVA)。
5)細胞を、パクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、スニチニブ(Sutent(登録商標)、IC50=7.8μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループVA)。
6)細胞をDMSOビヒクルで処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、完全培地(CM:培地+10%FCS)を添加し、72時間インキュベートした(グループVIA)。
薬物処理のスケジュールを表5に示す。
Figure 2013542979
インキュベーション期間の最後に、PI細胞傷害性アッセイプロトコルを用いてプレートを検定した。結果を表6、表7、及び図13に示す。
Figure 2013542979
TNBC MDA−MB−231細胞株における相乗効果を、Pharmacological Reviews,2006,58,621−681に記載されている、Chou及びTalalayによるCompuSynソフトウェアを用いて評価した。組合せ指数(CI)を用いて、組合せが、相加的であるか、相乗的であるか、又は拮抗的であるかを評価する。CI<1は相乗的であり、CI=1は相加的であり、CI>1は拮抗的である。組合せグループを評価したときの組合せ指数を表7に示す。
Figure 2013542979
TNBC細胞株MDA−MB−231における組合せ指数の値から明らかであるように、パクリタキセルと化合物Aの組合せは、パクリタキセルとSutent(登録商標)よりも比較的相乗的であった。
細胞傷害性の決定:
実施例3の表1Aで明らかにされている、化合物処理の48時間後に行なわれた細胞傷害性アッセイで決定されたMDA−MB−231、BT−549、及びMDA−MB−468における化合物A、パクリタキセル、及びスニチニブ(Sutent(登録商標))のIC50値(単位μM)を実施例16で用いた。化合物処理の終了後、すなわち、48時間後に、プレートをPIアッセイのために処理し、DMSO(ビヒクル)対照と比較して細胞傷害性パーセントを計算した。
組合せ実験で用いたスケジュールの結果は、パクリタキセルと組み合わせて使用したときに、化合物Aが相乗的であることを示した。
実施例17:
インビトロ細胞傷害性アッセイ:
方法
ヨウ化プロピジウム(PI)を用いた三重陰性乳癌細胞株BT−549に対する化合物Aとパクリタキセルの組合せの効果
アッセイプロトコル:
ヨウ化プロピジウム蛍光アッセイ(PI)をAnticancer Drugs,1995,6,522−32に言及されている手順に従って実施した。
ヒト腫瘍細胞株のインビトロ成長を特徴付けるため、及び化合物の細胞傷害活性を試験するために、アッセイを開発した。損傷した細胞膜にのみ透過するヨウ化プロピジウム(PI)を色素として用いた。インターカレーション複合体はPIと二本鎖DNAとによって形成され、これにより、蛍光の増幅がもたらされる。細胞を−20℃で24時間凍結させた後、PIは全DNAにアクセスすることができ、全細胞集団のカウントが可能になった。バックグラウンド測定値は、培地及びヨウ化プロピジウムを含む無細胞ウェルから得られた。
ヒト三重陰性乳癌細胞株BT−549を、96ウェルプレートに、180μLのRPMI−1640培地中、1500〜3000細胞/ウェルの密度で播種し、37±1℃の加湿5%CO2インキュベーター内で約16時間インキュベートして、細胞を接着させた。その後、表8のスケジュールに従って細胞を処理した。各スケジュールは、6つの処理グループからなる。全ての処理グループにおいて、20μLの10×化合物(最初にDMSOに溶解させ、その後、細胞培地に希釈したもの、最終DMSO濃度は0.5%を超えない)をウェル中で用い、プレートを、37±1℃の加湿5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。培地をウェルから除去し、PBSで洗浄した。1ウェル当たり100μLのPIワーキング溶液(7μg/mL)を添加し、プレートを−80℃で約16時間保存した。プレートを解凍し、POLARstar optimaプレートリーダー(USA)を用いて、励起536nm及び放出590nmで蛍光を測定した。
(1mg/mLのPIストック溶液は、1mgのPIを1mLの蒸留水に溶解させることによって調製した。PIワーキング溶液は、140μLのストック溶液をPBSに添加して、容量を220mLにすることによって調製した(7μg/mL))。
スケジュール:それは、6つの処理グループからなる。
1)BT−549細胞をパクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM濃度)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、完全培地を添加し、72時間インキュベートした(グループIB)。
2)細胞を完全培地で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、化合物A(IC50=1μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIIB)。
3)細胞を完全培地で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、スニチニブ(Sutent(登録商標)、IC50=7.8μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIIIB)。
4)細胞を、パクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、化合物A(IC50=1μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIVB)。
5)細胞を、パクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、スニチニブ(Sutent(登録商標)、IC50=7.8μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループVB)。
6)細胞をDMSOビヒクルで処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、完全培地(CM:培地+10%FCS)を添加し、72時間インキュベートした(グループVIB)。
薬物処理のスケジュールを表8に示す。
Figure 2013542979
組合せグループを評価したときの組合せ指数を表9に示す。結果を図14に示す。
Figure 2013542979
TNBC細胞株BT−549における組合せ指数によって示されるように、パクリタキセルと化合物Aの組合せは、パクリタキセルとSutent(登録商標)よりも比較的相乗的であった。
実施例18:
インビトロ細胞傷害性アッセイ:
方法
ヨウ化プロピジウム(PI)を用いた三重陰性乳癌細胞株MDA−MB−468に対する化合物Aとパクリタキセルの組合せの効果
アッセイプロトコル:
ヨウ化プロピジウム蛍光アッセイ(PI)をAnticancer Drugs,1995,6,522−32に言及されている手順に従って実施した。
ヒト腫瘍細胞株のインビトロ成長を特徴付けるため、及び化合物の細胞傷害活性を試験するために、アッセイを開発した。損傷した細胞膜にのみ透過するヨウ化プロピジウム(PI)を色素として用いた。インターカレーション複合体はPIと二本鎖DNAとによって形成され、これにより、蛍光の増幅がもたらされる。細胞を−20℃で24時間凍結させた後、PIは全DNAにアクセスすることができ、全細胞集団のカウントが可能になった。バックグラウンド測定値は、培地及びヨウ化プロピジウムを含む無細胞ウェルから得られた。
ヒト三重陰性乳癌細胞株MDA−MB−468を、96ウェルプレートに、180μLのRPMI−1640培地中、1500〜3000細胞/ウェルの密度で播種し、37±1℃の加湿5%CO2インキュベーター内で約16時間インキュベートして、細胞を接着させた。その後、表10のスケジュールに従って細胞を処理した。各スケジュールは、6つの処理グループからなる。全ての処理グループにおいて、20μLの10×化合物(最初にDMSOに溶解させ、その後、細胞培地に希釈したもの、最終DMSO濃度は0.5%を超えない)をウェル中で用い、プレートを、37±1℃の加湿5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。培地をウェルから除去し、PBSで洗浄した。1ウェル当たり100μLのPIワーキング溶液(7μg/mL)を添加し、プレートを−80℃で約16時間保存した。プレートを解凍し、POLARstar optimaプレートリーダー(USA)を用いて、励起536nm及び放出590nmで蛍光を測定した。
(1mg/mLのPIストック溶液は、1mgのPIを1mLの蒸留水に溶解させることによって調製した。PIワーキング溶液は、140μLのストック溶液をPBSに添加して、容量を220mLにすることによって調製した(7μg/mL))。
スケジュール:それは、6つの処理グループからなる。
1)MDA−MB−468細胞を、パクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM濃度)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、完全培地を添加し、72時間インキュベートした(グループIC)。
2)細胞を完全培地で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、化合物A(IC50=1μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIIC)。
3)細胞を完全培地で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、スニチニブ(Sutent(登録商標)、IC50=7.8μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIIIC)。
4)細胞を、パクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、化合物A(IC50=1μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループIVC)。
5)細胞を、パクリタキセル(0.03、0.1、0.3、1.0、及び3.0μM)で処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、スニチニブ(Sutent(登録商標)、IC50=7.8μM)を添加し、72時間インキュベートした(グループVC)。
6)細胞をDMSOビヒクルで処理し、24時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、完全培地(CM:培地+10%FCS)を添加し、72時間インキュベートした(グループVIC)。
薬物処置のスケジュールを表10に示す。
Figure 2013542979
組合せグループを評価したときの組合せ指数を表11に示す。結果を図14に示す。
Figure 2013542979
TNBC細胞株MDA−MB−468における組合せ指数によって示されるように、パクリタキセルと化合物Aの組合せは、パクリタキセルとSutent(登録商標)よりも比較的相乗的であった。
本発明は記載されている。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈上そうでないことが明白に示されない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「化合物(a compound)」を含む組成物に対する言及は、2以上の化合物の混合物を含む。文脈上そうでないことが明白に示されない限り、用語「又は(or)」は、一般に、「及び/又は(and/or)」を含むその意味において利用されることにも留意すべきである。
本明細書中の刊行物及び特許出願は全て、本発明が関連する分野の当業者のレベルを示すものである。
本発明は、様々な特定の及び好ましい実施形態及び技術に関して記載されている。しかしながら、本発明の精神及び範囲内にとどまりつつ、多くの変形及び修正が行なわれ得ることが理解されるべきである。

Claims (23)

  1. パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量を含む、三重陰性乳癌の治療における使用のための薬学的組合せ;
    Figure 2013542979
    (式中、Arは、非置換であるか、或いは:塩素、臭素、フッ素、もしくはヨウ素から選択されるハロゲン;ニトロ、シアノ、C−C−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、カルボキシ、C−C−アルコキシカルボニル、CONH、又はNRから選択される1個、2個、又は3個の同一の又は異なる置換基によって置換されているフェニルであり;ここで、R及びRは、各々独立に、水素又はC−C−アルキルから選択される)。
  2. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が:塩素、臭素、フッ素、もしくはヨウ素から選択されるハロゲン;C−C−アルキル、又はトリフルオロメチルから選択される1個、2個、又は3個の同一の又は異なる置換基によって置換されている、請求項1に記載の使用のための薬学的組合せ。
  3. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が、塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素から選択される1個、2個、又は3個のハロゲンによって置換されている、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組合せ。
  4. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が塩素によって置換されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組合せ。
  5. 式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤 が、(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物A)である、請求項4に記載の使用のための薬学的組合せ。
  6. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が、クロロ及びトリフルオロメチル基で二置換されている、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組合せ。
  7. 前記式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤が、(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物B)である、請求項6に記載の使用のための薬学的組合せ。
  8. パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量;及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤の治療有効量;が、それを必要とする対象に連続的に投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組合せ。
  9. パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量;が、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤の治療有効量の前に投与される、請求項8に記載の使用のための薬学的組合せ。
  10. 治療的相乗効果を示す、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組合せ。
  11. 対象における三重陰性乳癌を治療する方法であって、前記対象に、パクリタキセル又はその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び請求項1に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩から選択されるCDK阻害剤の治療有効量を投与することを含む方法。
  12. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が:塩素、臭素、フッ素、もしくはヨウ素から選択されるハロゲン;C−C−アルキル、又はトリフルオロメチルから選択される1個、2個、又は3個の同一の又は異なる置換基によって置換されている、請求項11に記載の方法。
  13. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が、塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素から選択される1個、2個、又は3個のハロゲンによって置換されている、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が塩素によって置換されている、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤が、(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物A)である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記CDK阻害剤が式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、前記フェニル基が、クロロ及びトリフルオロメチル基で二置換されている、請求項11又は12に記載の方法。
  17. 前記式Iの化合物によって表されるCDK阻害剤 が、(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物B)である、請求項16に記載の方法。
  18. パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量;及び式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤の治療有効量;が、それを必要とする対象に連続的に投与される、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. パクリタキセル、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量;が、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩によって表されるCDK阻害剤の治療有効量の前に投与される、請求項18に記載の方法。
  20. パクリタキセル及び前記CDK阻害剤が治療的相乗効果を示す、請求項11〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 三重陰性乳癌の治療における使用のための薬剤の製造のための請求項1に記載の薬学的組合せの使用。
  22. 請求項1に記載の薬学的組合せに含まれるCDK阻害剤が、(+)−トランス−2−(2−クロロ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物A)である、請求項21に記載の使用。
  23. 請求項1に記載の薬学的組合せに含まれるCDK阻害剤が、(+)−トランス−2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシメチル−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−クロメン−4−オン塩酸塩(化合物B)である、請求項22に記載の使用。
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