JP2013541446A - 生分解性の疎水性セルロース系基材、及び反応性シランを用いるその製造方法 - Google Patents
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Abstract
基材の生分解性を維持しながら基材を疎水性にするための方法は、反応性シランが基材の格子間空間に樹脂を形成するように、基材を反応性シランで処理する工程を含む。方法パラメーターは、得られる疎水性セルロース系基材が堆肥化可能であるように制御される。
Description
(関連出願の相互参照)
なし。
なし。
(発明の分野)
生分解性の疎水性基材、及び基材を疎水性にするための方法が開示される。反応性シランがその方法において用いられる。
生分解性の疎水性基材、及び基材を疎水性にするための方法が開示される。反応性シランがその方法において用いられる。
紙及び厚紙(例えば、波形化繊維板、板紙、表示板、又はカードストック)製品等のセルロース系基材は、それらの意図される用途に基づいて、様々な環境条件に遭遇する。例えば、厚紙は、製品を出荷及び/又は保管するための梱包材料として使用される場合が多く、その内容物を保護する、耐久性のある筐体を提供しなければならない。これらの梱包材料が直面し得るいくつかのそのような環境条件は、雨を通じての水、縮合を促進し得る温度変化、洪水、雪、氷、霜、雹、又は他の任意の形態の水分である。他の製品としては、紙又は板紙から一般に製造される、使い捨て食品サービス物品が挙げられる。これらのセルロース系基材は、例えば、それらが接触する食品及び飲料からの蒸気及び液体等の湿潤環境条件にも直面する。様々な形態の水が、セルロース鎖の加水分解及び分裂によりその化学構造を分解する、並びに/又は鎖間の水素結合を不可逆的に干渉することによりその物理構造を破壊することにより、セルロース系基材を脅かし得、したがってその意図される用途におけるその性能を低下させる。水、他の水性流体、又は大量の水蒸気に暴露されると、紙及び厚紙等の品目は、柔らかくなり、形態安定性を喪失して、破壊しやすくなる場合がある(例えば、梱包材料の出荷の間、又は使い捨て食品サービス物品の上で使用されるナイフ及びフォーク等のカトラリーにより)。
製造者は、使い捨て食品サービス物品を湿潤環境で使用しないことにより、使い捨て食品サービス物品の水分感受性の問題に対応する場合がある。このアプローチは、単に、水性流体又は蒸気が存在しない用途(例えば、乾燥品目又は油で揚げた品目)にそれらの使い捨て食品サービス物品を市販することにより問題を回避する。しかしながら、多くの食品は、(1)水性(例えば、飲料、スープ)であるか、(2)水相(例えば、薄いソース、水中で加熱された野菜)を含むか、又は(3)冷めると水蒸気を出す(例えば、米及び他のでんぷん質の食品、ホットサンドイッチ等)ため、このアプローチはこれらの物品の潜在的な市場を著しく制限する。
セルロース系基材を保存する別の方法は、水とセルロース系基材との相互作用を防止することである。例えば、耐水性のコーティング(例えば、ワックス又はポリエチレン等のポリマー耐水材料)をセルロース系基材の表面に適用して、水がセルロース系基材と直接接触するのを防いでもよい。このアプローチは、本質的に、感水性コアが耐水性材料の層の間に挟まれる積層構造を形成する。しかしながら、多くのコーティングは、得るのに費用がかかり、適用が困難であるため、製造コスト及び複雑性を増加させるとともに、許容される最終製品の割合を低減させる。更に、コーティングは、分解するか、又は機械的に障害され、時間とともに有効性が低くなり得る。コーティングはまた、基材の縁部が良好に処理されないという固有の弱点も有する。基材全体に疎水性を付与するように縁部が処理され得る場合であっても、処理された基材の任意の破れ、裂け、しわ、又は折れが、容易に湿潤される非処理の表面の暴露を生じる可能性があり、基材のバルクへの漏水を可能にし得る。
更に、セルロース系基材のための特定のコーティング及び他の既知の疎水処理は、基材を生分解性にしない場合もある。したがって、それらの生分解性を維持しながら、セルロース系基材を疎水性にするための方法を提供することが望ましい。
基材の生分解性を維持しながら、基材を疎水性にするための方法が開示される。本方法は、基材に反応性シランを浸透させ、反応性シランから樹脂を形成する工程を含む。
本明細書に記載される全ての量、比率、及び百分率は、別途記載のない限り重量によるものとする。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、明細書の文脈により別途記載のない限り、1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体、及びそこに包含される全てのもの、並びに終点を含む。例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、2.0〜4.0の範囲だけでなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0を個別に含むと同時に、その範囲内に包含される他の任意の数も含む。更に、例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、例えば、2.1〜3.5、2.3〜3.4、2.6〜3.7、及び3.8〜4.0のサブセット、並びにその範囲内に包含される他の任意のサブセットを含む。同様に、マルクーシュグループの開示は、そのグループ全体を含み、かつそこに包含される任意の個別のメンバー及びサブグループも含む。例えば、マルクーシュグループ、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルカリル基の開示は、メンバーアルキルを個別に、サブグループアルキル及びアリール、並びにそこに包含される他の任意の個別のメンバー及びサブグループを含む。
本明細書に記載される方法で有用な基材は、生分解性である。本出願の目的で、用語「堆肥化可能である」及び「堆肥化可能性」は、生分解性、壊変、及び環境毒性等の因子を包含する。用語「生分解性の」、「生分解性」、及びこれらの変異型は、微生物により分解される材料の性質を指す。生分解性とは、基材が、細菌、菌類、酵素、及び/又はウイルス等の微生物の作用を通じて、一定期間にわたって分解することを意味する。用語「壊変」、「壊変する」、及びこれらの変異型は、材料が分解及び分離する程度を指す。生態毒性試験は、堆肥化後の材料が、植物の成長又は土壌若しくは他の動物の生存に任意の阻害を示すか否かを決定する。生分解性及び堆肥化可能性は、分解を監視するように、生物学的接種材料(例えば、細菌、菌類、酵素、及び/又はウイルス)に暴露された基材を視覚的に検査することにより測定されてもよい。あるいは、生分解性基材は、ASTM規格D6400に適合し、あるいは生分解性基材は、ASTM規格D6868−03に適合する。広くは、堆肥化可能性及び/又は生分解性の割合は、各基材の表面積対体積比を最大化することにより増加され得る。例えば、表面積/体積比は、少なくとも10、あるいは少なくとも17であってもよい。あるいは、表面積/体積比は、少なくとも33であってもよい。理論に束縛されるものではないが、少なくとも33の表面積/体積比は、基材が、ASTM規格D6868−03における生分解性の試験に合格できるようにする。本出願の目的で、用語「疎水性の」及び「疎水性」、並びにこれらの変異型は、基材の耐水性を指す。疎水性は、以下の参照実施例2に記載されるCobbテストにより測定されてもよい。本明細書に記載される方法により処理された基材は、固有にリサイクル可能であってもよい。基材は、再パルプ化可能であってもよく、例えば、本明細書に記載される方法により調製された疎水性基材は、製紙で使用するためのパルプまで分解されてもよい。基材は、再度目的を達成することも可能であり得る。
本明細書に記載される方法において、用語「反応性」とは、シランが、基材及び/又は環境湿度の−OH基への暴露に際して、基材内の格子間空間に樹脂を形成することができることを意味する。
基材を反応性シランで処理することによって、基材は疎水性にされ得る。反応性シランは、式(I):R1 aSi(XR2 b)(4−a)を有してもよく、式中、各R1は、独立して、一価の炭化水素基であり、各Xは、独立して、水素原子、酸素原子、セレン原子、窒素原子、硫黄原子、炭素原子、及びリン原子から選択され、各R2は、独立して、一価の有機基であり、添字aは、0〜3の範囲の値を有し、添字bは、X基の残りの原子価に整合する値を有する。添字bは、0〜4の範囲の平均値を有してもよい。
添字bの値は、原子Xの原子価に依存する。上記式(I)中、Xが水素原子等の一価の原子であるときに、添字bは0である。あるいは、Xが酸素原子等の二価の原子であるときに、添字bは1であり、例えば、酸素原子がシリコン原子と共有結合し、残りの原子価が1であり、酸素原子は、R2基の1つの他の原子と共有結合する。あるいは、2つのR2基がそれぞれ、窒素原子と共有結合した1つの原子を有することができるように、Xが窒素等の三価の原子であるときに、例えば、窒素原子がシリコン原子と共有結合し、残りの原子価が2である等、添字bは2である。リンは三価であってもよい(その場合、bは2である)。あるいは、Xは五価のリン原子であってもよい(その場合、bは4である)。
あるいは、反応性シランは、シリコンを含む環式基を有してもよい。このような反応性シランは、下記式(II):
(式中、R1、R2、X、及び添字bは上述のとおりであり、各R3は、独立して、二価の有機基であり、添字cは0、1、又は2である)を有してもよい。
(式中、R1、R2、X、及び添字bは上述のとおりであり、各R3は、独立して、二価の有機基であり、添字cは0、1、又は2である)を有してもよい。
あるいは、反応性シランは、シリコンを含む2つの環式基を有してもよい。このような反応性シランは、下記式(III):
(式中、R2、R3、X、及び添字bは、上述のとおりである)を有してもよい。Xが環式基に結合される場合、添字bの値は、式(I)のbの値と比較して変化する。例えば、式(III)において、Xが酸素原子であるときに、bは0である。Xが窒素原子であるときに、bは1であり、例えば、窒素原子はシリコン原子と共有結合し、かつR3基と共有結合し、残りの原子価が1であり、窒素原子は、1つのR2基の原子と共有結合する。
(式中、R2、R3、X、及び添字bは、上述のとおりである)を有してもよい。Xが環式基に結合される場合、添字bの値は、式(I)のbの値と比較して変化する。例えば、式(III)において、Xが酸素原子であるときに、bは0である。Xが窒素原子であるときに、bは1であり、例えば、窒素原子はシリコン原子と共有結合し、かつR3基と共有結合し、残りの原子価が1であり、窒素原子は、1つのR2基の原子と共有結合する。
反応性シランが基材に浸透し、基材の格子間空間に樹脂を生成する(基材の体積、及び表面が疎水性にされる)ように、反応性シランは任意の方法で適用され得る。加えて、反応性シランの量と種類を変えることによって、基材の物理特性が変更されてもよい。体積の全て又は一部分が疎水性にされ得る。あるいは、基材の全体積が疎水性にされ得る。
本明細書に用いるのに好適な生分解性基材はセルロース系基材であり得る。セルロース系基材は、式(C6H10O5)n(式中、nは任意の整数である)を有するポリマー有機化合物セルロースを実質的に含む基材である。セルロース系基材は、−OH官能基を有し、水、及び任意にリグニン等の反応性シラン化合物と反応し得る他の成分を含有する。リグニンは、p−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、及び/又はシナピルアルコール等のモノリグノールの混合物の共重合から得られるポリマーである。このポリマーは、反応性シランが反応することができる残留−OH官能基を有する。好適な基材の例としては、これらに限定されないが、紙、木材及び木材製品、厚紙、壁板、テキスタイル、デンプン、綿、ウール、他の天然繊維、又はそれらに由来する生分解性複合材料が挙げられる。基材の意図される適用及び製造プロセスに応じて、基材は、その物理特性を変更するか、又は製造プロセスを支援するように、サイジング剤及び/又は追加の添加剤若しくは薬剤を含み得る。例示のサイジング剤としては、デンプン、ロジン、アルキルケテン二量体、アルケニルコハク酸無水物、スチレンマレイン酸無水物、糊、ゼラチン、修飾されたセルロース、合成樹脂、ラテックス、及びワックスが挙げられる。他の例示の添加剤及び薬剤としては、漂白添加剤(例えば、二酸化塩素、酸素、オゾン、及び過酸化水素)、湿潤強度剤、乾燥強度剤、蛍光漂白剤、炭酸カルシウム、蛍光増白剤、抗菌剤、染料、歩留り改良剤(例えば、アニオン性ポリアクリルアミド及びポリジアリルジメチルアンモニウム塩化物)、濾水性向上剤(例えば、高分子量カチオン性アクリルアミドコポリマー、ベントナイト、及びコロイダルシリカ)、殺生物剤、抗かび剤、防汚剤、タルク及び粘土、並びに他の基材修飾剤(例えば、トリエチルアミン及びベンジルアミンを含む有機アミン)が挙げられる。当然のことながら、本明細書に明示的に列挙されていない他のサイジング剤及び追加の添加剤又は薬剤が、代替として、単独又は組み合わせて適用されてもよい。例えば、基材が、紙を含む場合、その紙は、紙を白くするための漂白、紙を堅固にするための糊付け若しくは他のサイジング操作、プリント可能な表面を提供するための粘土コーティング、又はその特性を修飾若しくは調製するための他の代替処理を含むか、又はそれらを受けることもできる。更に、紙等の基材は、真新しい繊維を含むことができ、紙は、リサイクルされていないセルロース化合物、リサイクルされた繊維(紙は以前に使用されたセルロース系材料から作製される)、又はこれらの組み合わせから最初に作製される。
基材は、基材の種類及び寸法に応じて、厚さ及び/又は重量が異なり得る。基材の厚さは、1ミル(=0.001インチ=0.0254ミリメートル(mm))未満〜150ミル(3.81mm)超、10ミル(0.254mm)〜60ミル(1.52mm)、20ミル(0.508mm)〜45ミル(1.143mm)、30ミル(0.762mm)〜45ミル(1.143mm)、24ミル〜45ミル(0.610mm〜1.143mm)、あるいは24ミル〜35ミル(0.610mm〜0.89mm)の範囲であり得るか、あるいは、本明細書において認められるように、反応性シラン又は溶液で処理されるが、生分解性を維持したままにすることを可能にする他の任意の厚さを有し得る。基材の厚さは、均一であるか、又は異なり得、基材は、1つの連続する材料片を含み得るか、又はそこに配設される細孔、開口部、又は穴等の開口を有する材料を含むことができる。更に、基材は、単一の平坦な基材(例えば、単一の平坦な紙片)を含み得るか、又は折り畳まれる、組み立てられる、ないしは別の方法で製造される基材(例えば、ボックス又はエンベロープ等)を含んでもよい。例えば、基材は、一緒に糊付けされる、巻かれる、若しくは織られる複数の基材を含み得るか、又は異なる形状(例えば、段ボール紙)を含み得る。加えて、基材は、例えば、基材がプラスチック、織物、不織布材料、及び/又はガラスと混合されるとき、より大きい基材のサブセット構成要素を含み得る。当然のことながら、基材は、それにより多様な異なる材料、形状、及び構成を具体化し得るため、本明細書に明示的に列挙される例示の実施形態に限定されるべきではない。
更に、本明細書においてより認められるように、基材は制御された温度の環境で提供され得る。例えば、基材は−40℃〜200℃、あるいは10℃〜80℃、あるいは22℃〜25℃の範囲の温度で提供され得る。
本明細書に記載される方法では、基材は反応性シランで処理される。反応性シランは、基材を疎水性にするために、1つ以上の液体として基材に浸透してもよい。あるいは、反応性シランは、1つ以上の蒸気として基材に浸透してもよい。複数の反応性シランが使用されるときに、複数の反応性シランは、少なくとも第1の反応性シラン及び第1の反応性シランと異なる第2の反応性シランを含む。本明細書で使用するところの語句「と異なる」とは、基材が複数の反応性シランで処理されるように、2つの同一でない反応性シランを意味する。本出願の目的で、「反応性シラン」は、水、基材(例えば、セルロース系基材)の−OH基、及び/又はサイジング剤若しくは本明細書において認められる基材に適用される追加の添加剤と反応し得る、官能基を含有するシリコン系モノマー又はオリゴマーとして画定される。
好適な反応性シランの例としては、ヒドロカルボノキシシラン、アミノ官能性アルコキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
ヒドロカルボノキシシランは、式:R1 aSiR4 (4−a)を有してもよく、式中、R1及び添字aは上述のとおりであり、各R4は、独立して、アルコキシ基、プロペノキシ(propenoxy)又はブテノキシ(butenoxy)等のアルケニルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、並びに多環式芳香環を有するアリールオキシ基から選択される。
ヒドロカルボノキシシランは、アルコキシシランであってもよい。好適なアルコキシシランとしては、フェニルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリエチルオルトケイ酸塩(octyltriethoxysilane)、オクチルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の例示のアルコキシシランとしては、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC2H5)3、CH3Si(OCH(CH3)2)3、CH3CH2Si(OCH3)3、CH3CH2Si(OC2H5)3、CH3CH2Si(OCH(CH3)2)3、C3H6Si(OCH3)3、C3H6Si(OC2H5)3、C3H6Si(OCH(CH3)2)3、C4H9Si(OCH3)3、C4H9Si(OC2H5)3、C4H9Si(OCH(CH3)2)3、C5H11Si(OCH3)3、C5H11Si(OC2H5)3、C5H11Si(OCH(CH3)2)3、C6H13Si(OCH3)3、C6H13Si(OC2H5)3、C6H13Si(OCH(CH3)2)3、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の好適なアルコキシシランとしては、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−i−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−i−ブトキシシラン、エチルトリ−t−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソ−オクチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロエチルトリメトキシシラン、クロロエチルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−n−プロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−i−プロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−n−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリ−t−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシエトキシシラン(methyldiemthoxyethoxysilane)、メチルジメトキシ−n−プロポキシシラン、メチルジメトキシ−i−プロポキシシラン、メチルジメトキシ−n−ブトキシシラン、メチルジメトキシ−t−ブトキシシラン、メチルジエトキシ−n−プロポキシシラン、メチルジエトキシ−i−プロポキシシラン、メチルジエトキシ−n−ブトキシシラン、及びメチルジエトキシ(methldiethoxy)−t−ブトキシシラン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。アルケニルトリアルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−イソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。使用され得るジアルキルジアルコキシシランの例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、エチルメチルジエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。使用され得るトリアルキルアルコキシシランの例としては、トリメチルメトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−i−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルエチルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメトキシジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、トリアリルエトキシシラン、ジアリルメチルエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
あるいは、反応性シランは、アセトキシシラン等のアシルオキシシランであってもよい。例示のアセトキシシランとしては、これらに限定されないが、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、ブチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、オクチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本明細書において使用され得るアルコキシ及びアセトキシ基の双方を含有する反応性シランの例としては、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン(metylacetoxydiethoxysilane)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
アミノ官能性アルコキシシランは、H2N(CH2)2Si(OCH3)3、H2N(CH2)2Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)3Si(OCH3)3、H2N(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)3Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)5Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)5Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)2SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)2SiCH3(OCH2CH3)2、H2N(CH2)3SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH2CH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、及びこれらの組み合わせにより例示される。
本明細書における使用に好適な他の反応性シランは、ヘキサメチルジシラザン等のシラザンを含む。
本明細書における使用に好適な他の反応性シランは、オキシモシラン(oximosilane)及び/又はケトキシモシラン(ketoximosilane)を含む。好適なオキシモシランとしては、メトキシトリオキシモシラン(methoxytrioximosilane)、エトキシトリオキシモシラン(ethoxytrioximosilane)、及びプロポキシトリオキシモシラン(propoxytrioximosilane)等のアルコキシトリオキシモシラン;又はプロペニルトリオキシモシラン(propenyltrioximosilane)若しくはブテニルトリオキシモシラン(butenyltrioximosilane)等のアルケニルトリオキシモシラン;ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシラン、ビニルメチルジオキシモシラン、若しくはビニルエチルジオキシモシラン等のアルケニルアルキルジオキシモシラン;あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
好適なケトキシモシランとしては、メチルトリス(ジメチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルプロピルケトキシモ)シラン(methyl tris(methylpropylketoximo)silane)、メチルトリス(メチルイソブチルケトキシモ)シラン、エチルトリス(ジメチルケトキシモ)シラン(ethyl tris(dimethylketoximo)silane)、エチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン(ethyl tris(methylethylketoximo)silane)、エチルトリス(メチルプロピルケトキシモ)シラン(ethyl tris(methylpropylketoximo)silane)、エチルトリス(メチルイソブチルケトキシモ)シラン(ethyl tris(methylisobutylketoximo)silane)、ビニルトリス(ジメチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルプロピルケトキシモ)シラン(vinyl tris(methylpropylketoximo)silane)、ビニルトリス(メチルイソブチルケトキシモ)シラン、テトラキス(ジメチルケトキシモ)シラン(tetrakis(dimethylketoximo)silane)、テトラキス(メチルエチルケトキシモ)シラン、テトラキス(メチルプロピルケトキシモ)シラン(tetrakis(methylpropylketoximo)silane)、テトラキス(メチルイソブチルケトキシモ)シラン(tetrakis(methylisobutylketoximo)silane)、メチルビス(ジメチルケトキシモ)シラン(methylbis(dimethylketoximo)silane)、メチルビス(シクロヘキシルケトキシモ)シラン(methylbis(cyclohexylketoximo)silane)、トリエトキシ(エチルメチルケトキシム)シラン(triethoxy(ethylmethylketoxime)silane)、ジエトキシジ(エチルメチルケトキシム)シラン(diethoxydi(ethylmethylketoxime)silane)、エトキシトリ(エチルメチルケトキシム)シラン、メチルビニルビス(メチルイソブチルケトキシモ)シラン(methylvinylbis(methylisobutylketoximo)silane)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
反応性シランは、蒸気又は液体形態で基材に適用されてもよい。あるいは、反応性シランは、1つ以上の液体として基材に適用されてもよい。具体的に、各反応性シラン(例えば、第1の反応性シラン及び任意の追加の反応性シラン)は、単独か又は他の反応性シランとの組み合わせのいずれかで、液体として基材に適用され得る。本明細書で使用するところの液体は、固定された形状を有しない流体材料を指す。一実施形態では、各反応性シランは、単独又は組み合わせで、液体自体を含み得る。別の実施形態では、各反応性シランは、溶液中に提供され(そこでは、少なくとも第1の反応性シランは、基材の処理前に溶媒と組み合わされる)、液体状態を形成又は維持することができる。本明細書で使用するところの「液体」は、a)1つ以上の反応性シランと、b)液体状態の1つ以上の他の成分との任意の組み合わせを含む。他の成分は、溶媒、界面活性剤、又はこれらの組み合わせであってもよい。そのような実施形態では、反応性シランは本来、それを他の成分と組み合わせて液体溶液を形成するように、任意の形態を含んでもよい。本明細書で有用な界面活性剤は重要ではなく、任意の周知の非イオン性、カチオン性、及びアニオン性界面活性剤が有用であり得る。例としては、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンカルボキシレート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリエーテル修飾されたシリコーン;カチオン性界面活性剤、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩化物及びアルキルベンジルアンモニウム塩化物;アニオン性界面活性剤、例えば、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、及びジアルキルスルホサクシネート;並びに両性界面活性剤、例えば、アミノ酸及びベタイン型界面活性剤が挙げられる。好適な界面活性剤、例えば、アルキルエトキシレートは市販されている。他の好適な界面活性剤としては、シリコーンポリエーテルが挙げられ、ダウ・コーニング社(米国ミシガン州ミッドランド)から市販されている。他の好適な界面活性剤には、フッ素化炭化水素界面活性剤、フルオロシリコーン界面活性剤、アルキル及び/又はアリール四級アンモニウム塩、ポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシドコポリマー、例えば、BASFからのPLURONICS(登録商標)、又はアルキルスルホン酸塩が挙げられる。
更に別の実施形態では、複数の反応性シランは、単一溶液中に提供され得る(例えば、そこで、第1の反応性シラン及び第2の反応性シランは、基材の処理前に他の成分と組み合わされる)。それによって、複数の反応性シランは、反応性シランが1つ以上の液体として基材に適用されるように、単独又は任意の組み合わせのいずれかで液体を含んでもよいか、又は別の成分と組み合わせて液体を構成する任意の他の状態を含んでもよい。したがって、様々な反応性シランは、1つ以上の液体として、同時に、連続的に、又はこれらの任意の組み合わせで基材の上に適用されてもよい。
したがって、一実施形態では、反応性シラン溶液は、少なくとも第1の反応性シラン(及び任意の追加の反応性シラン)を溶媒と組み合わせることにより製造され得る。溶媒は、反応性シランを溶解して、液体溶液を形成する物質か、又は基材の浸透を可能にするために十分な時間の間、均一性を維持する反応性シランの安定した乳状液若しくは分散液を提供する物質かのいずれかとして定義される。適切な溶媒は、非極性シラン、例えば非機能性シラン(すなわち、テトラメチルシラン等の反応性官能基を含有しないシラン)、シリコーン、アルキル炭化水素、芳香族炭化水素、又はアルキル及び芳香族基の双方を有する炭化水素;エーテル、ケトン、エステル、チオエーテル、ハロ炭化水素等の多数の化学的分類からの極性溶媒;並びにこれらの組み合わせであり得る。適切な溶媒の特定非限定例としては、イソペンタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、α−及び/又はβ−メチルナフタレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルチオエーテル、ジエチルチオエーテル、ジプロピルチオエーテル、ジブチルチオエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、並びにデカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられる。例えば、1つの具体的な実施形態では、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の炭化水素を含む。別の実施形態では、溶媒は、アセトン等の極性溶媒を含む。他の例示の溶媒としては、トルエン、ナフタレン、イソドデカン、石油エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、又はシリコーンが挙げられる。任意の使用可能な混合機序を通じて反応性シラン及び溶媒を組み合わせて、溶液を製造することができる。反応性シランは、均一な溶液、乳状液、又は分散液を可能にするように、溶媒と混和性か、又は分散性かのいずれかであり得る。
あるいは、溶媒は水を含んでよい。水は、単独で溶媒として使用され得るか、又は、水は、上述の1つ以上の他の溶媒(複数可)との組み合わせで使用され得る。あるいは、一実施形態では、反応性シランは水と組み合わされ、基材に浸透させる前に、反応性シランを事前に縮合及び/又は事前に加水分解してもよい。当業者であれば、この事前縮合及び/又は事前加水分解工程のための水の量並びに温度及びpH等の条件は、プレポリマーを形成し得るようなものであることを認識するであろう。本出願の目的で、用語「プレポリマー」は、反応性シラン及び水の反応生成物であるが、基材に浸透することができ、その後更に反応して、基材の格子間空間にシリコーン樹脂を形成することができる分子を指す。プレポリマーは、例えば、反応性シランのシラノール官能基を含む化合物又はオリゴマーであってもよい。当業者であれば、反応性シランを使用する本明細書に記載の方法は、代替として、反応性シランに加えて、又はその代わりにプレポリマーを使用してもよいことを認識するであろう。
溶液が使用されるときに、反応性シランは特定の重量パーセントの溶液を含むであろう。重量パーセントは、溶液の全体重量(そこで使用される任意の溶媒又は他の成分を含む)に対する反応性シラン(例えば、複数の反応性シランが使用されるときに、第1の反応性シラン、第2の反応性シラン、及び任意の追加の反応性シラン)の重量を具体的に指す。溶液中の反応性シランの量の例示の範囲としては、0%超〜40%、あるいは0%超〜5%、あるいは5%〜10%、あるいは10%〜15%、あるいは15%〜20%、あるいは20%〜25%、あるいは25%〜30%、あるいは30%〜35%、あるいは35%〜40%が挙げられる。先に述べたとおり、これらの範囲は単なる例示であることが意図され、本開示を制限するものではない。それ故に、他の実施形態は、本明細書において明示的に記載されていなくとも、溶液中の反応性シランの代替の重量パーセントを組み込んでもよい。
反応性シランが提供される(溶液として別個にか、又はこれらの組み合わせとしてかのいずれか)と、基材は反応性シランで処理され、基材を疎水性にする。用語「処理される」(及びその変異型、例えば「処理すること」、「処理する(“treat”, “treats”)」、及び「処理」)は、反応性シランが基材に浸透し、反応してシリコーン樹脂を形成するのに十分な量の時間、適切な環境において、反応性シランを基材に適用することを意味する。用語「浸透する」(及びその変異型、例えば「浸透すること」、「浸透」、「浸透された」、及び「浸透する」)は、反応性シランが、基材の格子間空間の一部又は全てに進入し、反応性シランは単に基材上に表面コーティングを形成するだけではないことを意味する。特定の理論又は機序に束縛されるものではないが、反応性シランは、基材の−OH官能基、基材内の水及び/又は基材内の他のサイジング剤若しくは追加の添加剤と反応し、樹脂を形成することができると考えられる。樹脂は、反応性シランと基材の−OH官能基、基材内の水及び/又は基材内の他のサイジング剤若しくは追加の添加剤との間の反応の任意の生成物を指し、基材を疎水性にする。具体的に、2つ以上の結合を形成することができる反応性シランは、セルロース系基材のセルロース鎖に沿って分布されるヒドロキシル基及び/又はセルロース系基材中に含有される水と反応して、セルロース系基材の格子間空間全体に配設され、セルロース系基材のセルロース鎖に係留される樹脂を形成することができる。反応性シランが基材中の水と反応する場合、反応は、HX生成物(ただし、Xは反応性シランに由来する反応性の原子又は基)及びシラノールを生成することができる。次いでシラノールは、反応性シラン又は別のシラノールと更に反応して、樹脂を生成してよい。異なる反応機序は、基材のマトリックスの実質的に全体を通して継続し得ることによって、適切な厚さの基材の体積の一部、又は全体積が処理される。反応性シランが基材の厚さ全体に浸透するとき、基材の全体積が処理され得る。
基材に反応性シランを浸透させる工程は、様々な方法で達成され得る。例えば、本明細書に明示的に開示される例示の実施形態に限定されることを意図せずに、反応性シラン又は溶液は、基材の上に滴下することによるか(例えば、ノズル又はダイを通じて)、基材の1つ以上の表面の上に噴霧することによるか(例えば、ノズルを通じて)、基材の上に注入することによるか、液浸によるか(例えば、基材を含有量の反応性シラン化合物又は溶液に通過させることによる)か、基材を反応性シラン化合物又は溶液中に浸すことによるか)、あるいはコーティングするか、浸漬するか、ないしは別の方法で反応性シランを基材と物理的に接触させて、基材内の格子間空間に進入させる他の任意の方法により基材に適用され得る。一実施形態では、反応性シランが別個に(例えば、単一溶液としてではなく)適用される場合、第1の反応性シラン、第2の反応性シラン、及び追加の任意の反応性シランは、同時に又は連続的に基材に適用され得るか、又は他の任意の反復若しくは代替順序で適用され得る。あるいは、別個の反応性シラン及び溶液の組み合わせが使用される場合、反応性シラン及び溶液は、同時又は連続的に適用され得るか、又は他の任意の反復若しくは代替順序で適用されてもよい。
あるいは、本明細書に明示的に開示される例示の実施形態に限定されることを意図せずに、反応性シラン又は溶液は、基材を反応性シランの蒸気を含有するチャンバに通すか、又は蒸気形態の反応性シランを基材の表面上に直接導入することにより、蒸気形態で基材に適用され得る。
例えば、一実施形態において、基材が一巻の紙を含む場合、制御された速度で紙をロールから解き、反応性シランが紙の上面に滴下される処理領域に通過させることができる。紙の速度は、紙の厚さ及び/又は適用される反応性シランの量に一部依存することができ、1フィート/分(30.48cm/分)(ft./min.)〜3000ft./min.(91,440cm/分)、10ft./min.〜1000ft./min.(304.80cm/分〜30,480cm/分)、又は20ft./min〜500ft./min(609.6cm/分〜15,240cm/分)の範囲であり得る。処理領域内で、基材の一方又は両方の表面が溶液で被覆されるように、1つ以上のノズルが、基材の一方又は両方の表面上に溶液を滴下してもよい。
次いで反応性シランで処理された基材が残り、移動するか、又は追加の処理を経て、反応性シランが基材及び/又はその中の水と反応し得るようにすることができる。例えば、適量の反応時間を可能にするように、基材は、加熱された、冷却された、及び/又は湿度制御されたチャンバ内で保管され、適切な滞留時間にわたって残留することを可能にし得るか、あるいは代替として、特定の経路に沿って移動させ、反応が生じるだけの適当な長さの時間で基材が特定の経路を横断するように、経路の長さを調整することができる。
方法は、反応性シランが基材に適用された後、処理された基材を塩基性化合物(アンモニアガス等)に暴露する工程を更に含んでもよい。用語「塩基性化合物」は、反応性シランの反応の際に生成されるHX化合物と反応し、それを中和する能力を有する任意の化合物を指す。例えば、一実施形態では、反応性シランは、基材がアンモニアガスに暴露されるように、基材に適用され、アンモニアガスを含有するチャンバを通過してもよい。特定の理論に束縛されるものではないが、塩基性化合物は、反応性シランを基材に適用することから生成される酸を中和し、反応性シランと水、及び/又は基材との間の反応を完了するまで更に促進することの双方を行ってもよい。有用な塩基性化合物の他の非限定例としては、アルカリ金属又はアミンの水酸化物等の有機及び無機塩基の双方が挙げられる。あるいは、他の任意の塩基及び/又は縮合触媒は、アンモニアの全部又は一部代えて使用し、ガスとして、液体として、又は溶液中に送達されてもよい。これに関連して、用語「縮合触媒」は、2つのシラノール基の間、又はシラノール基と、シロキサン結合を生成するための反応性シランと−OH基の反応(例えば、セルロースに結合される等)の結果として、その位置で形成される基との間の反応に影響し得る任意の触媒を指す。更に別の実施形態では、基材は、反応性シランが適用される前に、それと同時に、若しくはその後に、又はこれらの組み合わせにおいて、塩基性化合物に暴露されてもよい。
反応率を増加させるために、反応性シランを適用した後、基材を任意に加熱及び/又は乾燥させて、基材中にシリコーン樹脂を製造することもできる。例えば、基材は乾燥チャンバを通過し、その中で熱を基材に印加し得る。乾燥チャンバの温度は、基材の種類及びそこでの基材の滞留時間に依存するが、チャンバ内の温度は、200℃超の温度を含んでよい。あるいは、温度は、基材の種類、基材が乾燥チャンバを通過する速度、基材の厚さ、及び/又は基材に適用される反応性シランの量を含む因子に依存して変化し得る。あるいは、基材に提供される温度は、それが乾燥チャンバから出るときに基材を200℃まで加熱するのに十分であり得る。
基材が処理されて疎水性になると、疎水性基材は、上述のように、反応性シランとセルロース系基材及び/又は基材内の水との間の反応に由来する樹脂を含む。樹脂は、0%超の疎水性基材〜1%未満あたりの疎水性基材を含むことができる。パーセントは、基材及び樹脂の両方の全体重量に対する樹脂の重量を指す。基材の樹脂の量の他の範囲としては、0.01%〜0.99%、あるいは、0.1%〜0.9%、あるいは0.3%〜0.8%、及びあるいは0.3%〜0.5%が挙げられる。理論に束縛されるものではないが、上述のもの未満の基材の樹脂の量は、梱包材料及び使い捨て食品サービス物品等の本明細書に記載される用途に対して、不十分な疎水性を提供し得ると考えられる。上述されるよりも多い量の樹脂では、基材がその耐用年数の最後に基材を堆肥化することをより困難にし得る。
特定の理論に束縛されるものではないが、異なる比率及び量で異なる反応性シランを混合して複数の反応性シランを形成することにより、反応性シランの沈着効率は増加し、基材を疎水性にする方法は、処理中の反応性シランの沈着が高められることにより、より効率的になり得ると考えられる。
以下の実施例は、本発明を当業者に実証する目的で含まれる。しかしながら、当業者であれば、本開示を考慮すれば、開示される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、依然として同様又は類似の結果を得ることができる。
参照実施例1−壊変試験
12週間の堆肥化の間、板紙の壊変を評価した。試験品目の板紙をスライド枠内に配置し、隔離された堆肥ビン内のバイオ廃棄物(biowaste)に加えた。バイオ廃棄物は、生鮮野菜、庭及び果物廃棄物(VGF)、及び構成材料の混合物であった。バイオ廃棄物は、Schendelbeke,Belgiumの廃棄物処理場から得られる、地方自治体の固形廃棄物の有機画分に由来した。バイオ廃棄物は、50%を超え、pH 5を上回る含水量及び揮発性固形分を有した。試験の間、水をバイオ廃棄物に加え、十分な水分レベルを確実にした。開始時に、pH 6.9を測定し、1.5週間の混成の後、pHは8.5を上回って増加した。堆肥化の間の最高温度は、60℃を上回り、75℃を下回る範囲であった。1週間を超える期間、日気温は60℃を上回った。1.5週間の堆肥化の後、ビンをインキュベーション室に45℃で配置し、少なくとも4週間の間、日気温が40℃を上回るように保たれることを確実にした。日気温は、全試験期間の間、40℃又はそれを上回るように保たれた。温度及び排気ガスを定期的に監視した。堆肥化の間、最初の月の間は週1回、その後は2週間ごとにビンの内容物を手動で回転させ、その時に試料を視覚的に監視した。全試験期間の間、酸素濃度は10%を上回るように保たれ、好気状態を確実にした。この試験方法は、基材がASTM規格D6868−03に記載の生分解性試験に合格するかどうかを予測した。
12週間の堆肥化の間、板紙の壊変を評価した。試験品目の板紙をスライド枠内に配置し、隔離された堆肥ビン内のバイオ廃棄物(biowaste)に加えた。バイオ廃棄物は、生鮮野菜、庭及び果物廃棄物(VGF)、及び構成材料の混合物であった。バイオ廃棄物は、Schendelbeke,Belgiumの廃棄物処理場から得られる、地方自治体の固形廃棄物の有機画分に由来した。バイオ廃棄物は、50%を超え、pH 5を上回る含水量及び揮発性固形分を有した。試験の間、水をバイオ廃棄物に加え、十分な水分レベルを確実にした。開始時に、pH 6.9を測定し、1.5週間の混成の後、pHは8.5を上回って増加した。堆肥化の間の最高温度は、60℃を上回り、75℃を下回る範囲であった。1週間を超える期間、日気温は60℃を上回った。1.5週間の堆肥化の後、ビンをインキュベーション室に45℃で配置し、少なくとも4週間の間、日気温が40℃を上回るように保たれることを確実にした。日気温は、全試験期間の間、40℃又はそれを上回るように保たれた。温度及び排気ガスを定期的に監視した。堆肥化の間、最初の月の間は週1回、その後は2週間ごとにビンの内容物を手動で回転させ、その時に試料を視覚的に監視した。全試験期間の間、酸素濃度は10%を上回るように保たれ、好気状態を確実にした。この試験方法は、基材がASTM規格D6868−03に記載の生分解性試験に合格するかどうかを予測した。
参照実施例1−処理手順、Cobbサイジング試験及び液浸試験、並びに強度評価
薄茶色の無漂白クラフト紙(24ポイント及び45ポイント)を、溶媒中(ペンタン又は酢酸メチルのいずれか)に反応性シランを含有する様々な溶液で処理した。紙を移動ウェブとして機械に引き込み、処理溶液を適用した。ライン速度は、典型的には10フィート/分〜30ft/分(304.8cm/分〜914.4cm/分)であり、処理溶液のライン速度及び流れは、紙の完全な液浸が達成されるように調整した。次いで紙を十分な熱及び空気循環に暴露して、溶媒及び揮発性シランを除去した。
薄茶色の無漂白クラフト紙(24ポイント及び45ポイント)を、溶媒中(ペンタン又は酢酸メチルのいずれか)に反応性シランを含有する様々な溶液で処理した。紙を移動ウェブとして機械に引き込み、処理溶液を適用した。ライン速度は、典型的には10フィート/分〜30ft/分(304.8cm/分〜914.4cm/分)であり、処理溶液のライン速度及び流れは、紙の完全な液浸が達成されるように調整した。次いで紙を十分な熱及び空気循環に暴露して、溶媒及び揮発性シランを除去した。
次いで処理された紙の疎水性属性を、Cobbサイジング試験及び24時間の水中液浸を介して評価した。Cobbサイジング試験を、TAPPI試験方法T441に記載される手順に従って行い、紙の100cm2表面を50℃の脱イオン化水100ミリリットル(mL)に3分間暴露した。報告された値は、処理された紙毎の1平方メートル(g/m2)当たりの吸収された水の質量(g)であった。
TAPPI試験方法T491に従って、6”×6”(15.24cm×15.24cm)の処理された紙片を、脱イオン水浴中に均一期間(例えば、24時間)の間、完全に液浸することにより、液浸試験を行った。紙による水の取り込みを、パーセント重量ゲインとして表現した。紙の強度特性を、TAPPI試験方法T494に記載されるように、紙の機械方向(MD)及び横断方向(CD)の両方から切断された1”(2.54cm)幅のストリップの引張強度を測定することにより更に評価した。機械方向は、セルロース系基材が製造されるとき、紙の繊維が、機械を通じて供給する方向に影響を受けるように概ね整列される方向を指す。横断方向は、紙の繊維が概ね整列する方向に垂直な方向を指す。
乾燥及び湿潤引裂値を、TAPPI試験方法T414に記載される手順に従って評価した。処理された紙を、測定を行って湿潤引裂値を得る前に、22℃で1時間、水に浸漬した。強度特性を、機械方向(MD)及び横断方向(CD)の両方で試験した。沈着効率を、溶液濃度、溶液適用速度、及び給紙速度の既知の変数を使用して、セルロース系基材に適用された反応性シラン(複数可)の量から計算した。処理された紙に含有される樹脂の量を、「The Analytical Chemistry of Silicones」,Ed.A.Lee Smith.Chemical Analysis Vol.112,Wiley−Interscience(ISBN 0−471−51624−4),pp 210〜211に記載される手順に従って、樹脂を単量体シロキサンユニットに変換し、ガスクロマトグラフィーを使用してそれを定量することにより決定した。次いで沈着効率を、紙の樹脂量を適用される反応性シラン(複数可)の量で割ることにより決定した。
Claims (20)
- 1)基材に反応性シランを浸透させる工程と、
2)前記反応性シランから樹脂を形成する工程と、を含み、
前記工程2)の生成物が、疎水性でもあり生分解性でもあることを特徴とする、方法。 - 前記反応性シランが、
式(I):R1 aSi(XR2 b)(4−a)であって、式中、
各R1が、独立して、一価の炭化水素基であり、
各Xが、独立して、水素原子、酸素原子、セレン原子、窒素原子、硫黄原子、炭素原子、及びリン原子から選択され、
各R2が、一価の有機基であり、
添字aが、0〜3の範囲の平均値を有し、
添字bが、X基の残りの原子価に整合する値を有する、式(I)と、
下記式(II):
(式中、
R1、R2、X、及び添字bが、上述のとおりであり、
各R3が、二価の有機基であり、
添字cが、0、1、又は2である)と、
下記式(III):
(式中、
R2、R3、X、及び添字bが、上述のとおりである)と、
(IV):これらの組み合わせと、から選択されるが、
但し、Xの全ての事例が炭素原子である場合、少なくとも1つのR2が、−OH基及び/又は環境湿度と反応することを条件とする、請求項1に記載の方法。 - 前記工程2)の生成物が、堆肥化可能である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記工程2)の生成物が、ASTM D6868−03を満たす、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記工程2)の生成物が、前記樹脂を1%未満で含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 工程3)前記基材を塩基性化合物に暴露する工程を更に含み、前記工程3)の生成物が、疎水性でもあり生分解性でもある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記塩基性化合物が、アンモニアガスを含む、請求項6に記載の方法。
- 前記工程3)の生成物が、堆肥化可能である、請求項6又は7に記載の方法。
- 前記工程3)の生成物が、ASTM D6868−03を満たす、請求項6又は7に記載の方法。
- 前記工程3)の生成物が、前記樹脂を1%未満で含有する、請求項6又は7に記載の方法。
- 前記反応性シランが、前記反応性シラン及び1つ以上の追加成分を含む溶液で提供される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記溶液が、溶媒を更に含む、請求項11に記載の方法。
- 前記溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、又は石油エーテルである、請求項12に記載の方法。
- セルロース系基材と、
0.01%〜0.99%の樹脂と、を含む物品であって、前記樹脂が、前記セルロース系基材を反応性シランで処理することから生成され、
疎水性でもあり生分解性でもあることを特徴とする、物品。 - 前記反応性シランが、
式(I):R1 aSi(XR2 b)(4−a)であって、式中、
各R1が、独立して、一価の炭化水素基であり、
各Xが、独立して、水素原子、酸素原子、セレン原子、窒素原子、硫黄原子、炭素原子、及びリン原子から選択され、
各R2が、一価の有機基であり、
添字aが、0〜3の範囲の平均値を有し、
添字bが、X基の残りの原子価に整合する値を有する、式(I)と、
下記式(II):
(式中、
R1、R2、X、及び添字bが、上述のとおりであり、
各R3が、二価の有機基であり、
添字cが、0、1、又は2である)と、
下記式(III):
(式中、
R2、R3、X、及び添字bが、上述のとおりである)と、
(IV):これらの組み合わせと、から選択される、請求項14に記載の物品。 - 堆肥化可能である、請求項14又は15に記載の物品。
- ASTM D6868−03を満たす、請求項14又は15に記載の物品。
- 前記基材が、紙、厚紙、ボール紙、木材、木材製品、壁板、テキスタイル、デンプン、綿、又はウールを含む、請求項14〜17のいずれか一項に記載の物品。
- 前記基材が、紙、厚紙、又はボール紙を含む、請求項14〜17のいずれか一項に記載の物品。
- 梱包材料又は使い捨て食品サービス物品である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の物品。
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