JP2013541330A5 - - Google Patents

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抗IL−1β抗体およびその使用方法
(関連出願への相互参照)
本出願は、2010年9月10日に出願された米国仮特許出願第61/381,883号の米国特許法119条(e)項の下での利益を主張し、上記米国仮特許出願は、その全容が参考として本明細書に援用される。
(配列表についての陳述)
本出願に関連付けられている配列表は、紙の写しの代わりに、テキストフォーマットで提供され、本明細書に参考として援用される。上記配列表を含むテキストファイルの名称は、APEX_011_01WO_ST25.txtである。上記テキストファイルは、8KBであり、2011年9月9日に作成され、EFS−Webを介して電子的に提出される。
(背景)
(技術分野)
本発明は、一般に、抗IL−1β抗体、これを使用する組成物および方法に関する。本発明は、より具体的には、抗IL−1β抗体ならびにそれらの製造および使用に関する。このような抗体は、例えば、種々の炎症性疾患のうちのいずれかを処置するための方法において有用である。
(関連技術の記載)
IL−1遺伝子ファミリーは、アゴニストサイトカイン、IL−1αおよびIL−1β、天然のIL−1レセプターアンタゴニスト(IL−1Ra)、ならびにIL−1活性を直接調整する多くの異なるタンパク質を包含する。IL−1αおよびIL−1βの両方は、細胞質性の前駆体として合成される。IL−1αは細胞内に残っているが、IL−1βは、効率的にプロセシングおよび分泌され、このことは、IL−1βを治療用抗体のための魅力的な標的にしている。
IL−1βは、細菌生成物および免疫複合体による刺激後に、単球/マクロファージによって主に生成されるサイトカインである。さらに、IL−1βは、炎症性応答の重要なメディエーターであり、種々の細胞活動(NF−kBおよびc−Jun経路を介してシグナル伝達することによる、細胞増殖、分化、ならびにアポトーシスが挙げられる)に関与する。IL−1βは、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNFおよびIL−6)の放出を活性化し、細胞適応応答におけるTh17バイアスを誘導する。IL−1βの過剰な放出は、関節の無菌的炎症、漿膜炎、発熱、および皮膚病変という攻撃によって特徴付けられる、自己免疫症候群および炎症症候群に関わってきた。
(A.IL−1βと関節リウマチ(RA))
RAは、軟骨および骨の破壊と関連する関節の慢性炎症性疾患である。その局所的な破壊性質に加えて、それはまた、発熱、頭痛および疲労を示す、顕著な全身炎症成分を有し得、他の器官(例えば、皮膚、肝臓、脾臓およびリンパ節)にすら影響し得る。
IL−1βは、自己免疫プロセスの間に活動する炎症促進性サイトカインである。炎症促進性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)−αおよびIL−1)によってなされる寄与は、前臨床動物モデルにおいておよびヒトRA患者において確認されてきた(非特許文献1)。IL−1βは、RAにおいて関節の炎症および破壊を駆動することにおいて重要な役割を果たす。例えば、RA患者において、IL−1βは、炎症を起こした滑膜組織において、特に、裏打ち層および下内層細胞(sublining cell)において過剰発現される。IL−1β発現は、罹患した関節から排出しているリンパ節において上昇する(非特許文献2)。さらに、RA患者の軟骨は、正常軟骨と比較して、IL−1β mRNAのアップレギュレーションを示す。さらに、滑液中のIL−1βの増大したレベルは、RAの組織学的特徴と相関することが見いだされた。さらになお、IL−1Raでの処置(アナキンラ, Amgen)は、RA関節における病的変化を改善し(非特許文献3)、関節損傷の進行を遅らせた(非特許文献4)。この生成物は、従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)治療への不適切な応答を有する、中程度から重度の関節リウマチを有する患者を処置するために承認された。メトトレキサート抗療性患者に投与したIL−1βに対する抗体(カナキヌマブ,Novatis)は、ACR20スコアにおける臨床的改善を生じた。
(B.IL−1βと糖尿病)
1型糖尿病は、膵臓のインスリン生成β−細胞の自己免疫破壊から生じる糖尿病の1形態である。その後のインスリン欠如は、血中グルコースおよび尿中グルコースの増大をもたらす。IL−1βは、1型糖尿病の自己免疫プロセスの間に作用する炎症促進性サイトカインである。例えば、IL−1βは、β細胞機能を阻害し、転写因子NF−κBを活性化することによって、β−細胞のFas誘導性アポトーシスを促進する(非特許文献5)。
2型糖尿病は、インスリン抵抗性および相対的インスリン欠乏の状況において高い血中グルコースによって特徴付けられる代謝障害である。血中グルコースの慢性的上昇(高血糖症)は、Fasのアップレギュレーションによって膵臓β細胞アポトーシスを誘導する(非特許文献6)。このことは、β細胞機能をさらに損ない、糖毒性をもたらす(非特許文献7)。IL−1βは、II型糖尿病の病因に関わってきた。例えば、高グルコースレベルは、IL−1βの増大した生成および放出を生じ、NF−κB活性化、Fasアップレギュレーション、DNAフラグメント化、および損なわれたβ細胞機能をもたらした(非特許文献8)。IL−1Ra(アナキンラ,Amgen)処置は、2型糖尿病の食餌誘導性肥満モデルにおける耐糖能およびインスリン分泌を改善することによって、高血糖症を予防することが示された(非特許文献9)。
(C.IL−1βと痛風)
痛風は、異常なプリン代謝によって引き起こされ、関節および関節周囲組織における尿酸一ナトリウム(MSU)結晶の沈着と関連する。同様に、偽性痛風は、未知の原因のために、ピロリン酸カルシウム二水和物(calcium pyrophosphate dehydrate)結晶の沈着から生じた。痛風のIL−1β関与を裏付ける証拠としては、例えば、MSUおよびピロリン酸カルシウム二水和物結晶がNALP3インフラマソームを活性化したこと(これは、活性IL−1βの生成を引き起こす)(非特許文献10)が挙げられる。さらに、IL−1βのブロックは、マウスモデルにおいてMSU結晶誘導性炎症を低下させた。さらに、標準的な抗炎症治療に応答しなかった痛風患者は、100mg/日のアナキンラでの処置に十分応答する。最後に、IL−1βに対する抗体は、非ステロイド性抗炎症薬に抗療性である痛風性関節炎を有する患者における急性発赤のためのトリアムシノロンアセトニドと比較して、より迅速な開始での優れた疼痛軽減を提供する(So 2007)。
(D.IL−1βとクリオピリン関連周期性症候群(CAPS))
CAPSは、ある範囲の、重篤度が増大する、明らかに異なる稀な、遺伝性の炎症性障害(家族性寒冷自己炎症症候群、Muckle−Wells症候群、および新生児期発症多臓器系炎症性疾患が挙げられる)を含む。これら障害の大部分は、NALP3/CIAS1遺伝子のNACHTドメインにおけるミスセンス変異によって引き起こされ、IL−1βのプロセシングおよび分泌の調節不全の主な例である。
Dinarello CA: The IL−1 family and inflammatory diseases. Clin Exp Rheumatol 2002, 20:S1−S13. Dayer JM: The pivotal role of interleukin−1 in the clinical manifestations of rheumatoid arthritis. Rheumatology (Oxford) 2003, 42(suppl 2):ii3−ii10. Cunnane G, Madigan A, Murphy E, Fitzgerald O, Bresnihan B: The effects of treatment with interleukin−1 receptor antagonist on the inflamed synovial membrane in rheumatoid arthritis. Rheumatology (Oxford) 2001, 40:62−69. Bresnihan B, Cobby M: Clinical and radiological effects of anakinra in patients with rheumatoid arthritis. Rheumatology (Oxford) 2003, 42(suppl 2):ii22−ii28. Pickersgill LM, Mandrup−Poulsen TR. The anti−interleukin−1 in type 1 diabetes action trial−−background and rationale. Diabetes Metab Res Rev. 2009 May;25(4):321−4. Maedler, K., et al. Glucose induces b−cell apoptosis via upregulation of the Fasreceptor in human islets. Diabetes. 2001. 50:1683−1690. Marshak, S., et al. Impaired beta−cell functions induced by chronic exposure of cultured human pancreatic islets to high glucose. Diabetes. 1999. 48:1230−1236. Maedler K, Sergeev P, Ris F, Oberholzer J, Joller−Jemelka HI, Spinas GA, Kaiser N, Halban PA, Donath MY. Glucose−induced β cell production of IL−1β contributes to glucotoxicity in human pancreatic islets. J Clin Invest 2002, 110:851−860. Sauter NS, Schulthess FT, Galasso R, Castellani LW, Maedler K. The anti−inflammatory cytokine interleukin−1 receptor antagonist protects from high−fat diet−induced hyperglycemia. Endocrinology 2008, 149:2208−2218. Martinon F et al. (2006) Gout−associated uric acid crystals activate the NALP3 inflammasome. Nature 440: 237−241
これらおよび他の疾患状態におけるIL−1βの公知の関与にも拘わらず、IL−1β活性を中和しかつIL−1β下流シグナル伝達を阻害し、それによって、IL−1β関連サイトカイン生成および炎症性疾患を予防するより強力なヒト化モノクローナル抗体に関する重大なニーズが未だにある。本発明は、これらのニーズに対処し、他の関連する利点を提供する。
(要旨)
本開示の一局面は、IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント;または上記抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメントを提供し、上記IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、(i)配列番号3に示されるVHCDR1領域、配列番号4に示されるVHCDR2領域、および配列番号5に示されるVHCDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに(ii)配列番号6に示されるVLCDR1領域、配列番号7に示されるVLCDR2領域、および配列番号8に示されるVLCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含み;上記抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメントは、上記CDR領域において最大8個までのアミノ酸置換を除いて、(i)および(ii)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に対して同一な重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。本明細書で開示される抗体の一実施形態において、上記重鎖可変領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、上記軽鎖可変領域は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。
本開示の別の局面は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントを提供する。この局面の一実施形態において、上記単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。この局面のさらなる実施形態において、上記単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
本開示のなおさらなる局面は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントを提供する。この局面の一実施形態において、上記単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
特定の実施形態において、本明細書で開示される単離された抗体は、ヒト化されている。例示的ヒト化抗体可変領域は、配列番号9のVH領域アミノ酸配列および配列番号10のVL領域アミノ酸配列に示される。
一実施形態において、本明細書で開示される単離された抗体は、一本鎖抗体、ScFv、ヒンジ領域を欠く1価抗体、ミニボディー、Fab、Fab’フラグメント、もしくはF(ab’)フラグメントであり得る。特定の実施形態において、本明細書中の抗体は、完全抗体である。
別の実施形態において、本明細書で記載される単離された抗体は、ヒトIgG定常ドメイン(例えば、IgG1 CH1ドメインもしくはIgG1 Fc領域が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。
本開示のさらなる実施形態は、IL−1βへの結合について本明細書に記載される抗IL−1β抗体と競合する、単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントを提供する。
本開示の一実施形態において、IL−1βに結合する上記単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、KD 0.199nM以下で結合する。
本開示はまた、本明細書で開示される単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。別の実施形態において、本開示は、本明細書で開示される単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびこのようなベクターを含む単離された宿主細胞を提供する。
本開示はまた、生理学に受容可能なキャリア、および治療上有効な量の、本明細書で記載される抗IL−1β抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む組成物を提供する。
別の実施形態において、本開示は、異常なIL−1β発現と関連した疾患を有する患者を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記患者に、生理学に受容可能なキャリアおよび治療上有効な量の、抗IL−1β抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む上記組成物を投与し、それによって、異常なIL−1β発現と関連する上記疾患を処置する工程を包含する。この点に関して、異常なIL−1β発現と関連した疾患としては、関節リウマチ、糖尿病、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症および脈管炎が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、抗IL−1β抗体アミノ酸配列、ならびにこのような抗体をコードするポリヌクレオチド、およびこれを含む組成物を提供する。抗IL−1β抗体をコードするDNA配列、およびこのような抗体のアミノ酸配列の同定は、種々の炎症性疾患の処置において使用するための強力な組換え抗IL−1β抗体の生成を高収量で可能にする。
従って、特定の実施形態によれば、本発明は、以下からなる群:
(a)図1に示される抗IL−1β抗体配列;
(b)図1に示される抗IL−1β抗体配列に対して少なくとも90%同一性を有する配列;
(c)図1に示される抗IL−1β抗体配列のFRドメイン;
(d)図1に示される抗IL−1β抗体配列のCDRドメイン;および
(e)図1に示される抗IL−1β抗体配列の可変領域の少なくとも5連続残基からなる配列、
より選択されるアミノ酸配列を含む、ヒトIL−1βを特異的に結合し得る単離されたポリペプチドを提供する。
本発明は、別の局面において、上記で示されそして/または本明細書で記載されるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド、ならびにこれを含む発現ベクターおよび宿主細胞を提供する。
特定のより具体的な実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるIL−1β抗体配列(例えば、図1に示されるIL−1β抗体配列)の少なくとも一部を含む単離されたモノクローナル抗体を提供し、ここで上記単離されたモノクローナル抗体は、IL−1βを特異的に結合する。当然のことながら、本発明の抗体は、ヒト化抗体またはその結合配列もしくは改変体であり得ることは、理解される。
別の具体的実施形態において、本発明は、IL−1βに特異的に結合し、図1に示される抗IL−1β抗体配列の少なくともCDR領域を含む単離された抗体を提供する。
なお別の実施形態において、本発明は、IL−1βに特異的に結合し、図1に示される抗IL−1β抗体配列の少なくともCDR領域を含む、単離された一本鎖可変フラグメント抗体を提供する。
本発明の別の局面によれば、IL−1βによって媒介される疾患を処置するための方法が提供され、上記方法は、必要な被験体に、治療上有効な量の、本明細書に記載されるIL−1β結合ポリペプチドもしくは抗体配列を投与する工程を包含する。特定の実施形態において、この方法に従って処置される疾患は、炎症性疾患もしくは心血管疾患である。特定のより具体的な実施形態において、上記疾患は、関節リウマチ、糖尿病、痛風、クリオピリン関連周期性症候群、慢性閉塞性肺疾患および種々の心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症および脈管炎)からなる群より選択される。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または該抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメントであって、
該IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、
(i)配列番号3に示されるVHCDR1領域、配列番号4に示されるVHCDR2領域、および配列番号5に示されるVHCDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに
(ii)配列番号6に示されるVLCDR1領域、配列番号7に示されるVLCDR2領域、および配列番号8に示されるVLCDR3領域を含む軽鎖可変領域
を含み;
該抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメントは、該CDR領域における最大8個までのアミノ酸置換を除いて、(i)および(ii)の該重鎖可変領域および該軽鎖可変領域に同一な重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、
IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または該抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目2)
前記重鎖可変領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目3)
前記軽鎖可変領域は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目4)
配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むものである、IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目5)
配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むものである、項目4に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目6)
配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むものである、項目4に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目7)
配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むものである、IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目8)
配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むものである、項目7に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目9)
項目1に記載の単離された抗体であって、ヒト化されている、単離された抗体。
(項目10)
前記VH領域は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、前記VL領域は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む、項目9に記載の単離された抗体。
(項目11)
項目1に記載の単離された抗体であって、一本鎖抗体、ScFv、ヒンジ領域を欠く1価抗体、およびミニボディーからなる群より選択される、単離された抗体。
(項目12)
項目1に記載の単離された抗体であって、FabもしくはFab’フラグメントである、単離された抗体。
(項目13)
項目1に記載の単離された抗体であって、F(ab’) フラグメントである、単離された抗体。
(項目14)
項目1に記載の単離された抗体であって、完全抗体である、単離された抗体。
(項目15)
ヒトIgG定常ドメインを含むものである、項目1に記載の単離された抗体。
(項目16)
前記IgG定常ドメインは、IgG1 CH1ドメインを含む、項目15に記載の単離された抗体。
(項目17)
前記IgG定常ドメインは、IgG1 Fc領域を含む、項目15に記載の単離された抗体。
(項目18)
IL−1βへの結合について項目1に記載の抗体と競合するものである、単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目19)
0.199nM以下のKDでIL−1βに結合するものである、単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
(項目20)
項目1もしくは項目10に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードするものである、単離されたポリヌクレオチド。
(項目21)
項目20に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むものである、発現ベクター。
(項目22)
項目21に記載のベクターを含むものである、単離された宿主細胞。
(項目23)
生理学的に受容可能なキャリア、および
治療上有効量の、項目1もしくは項目10に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント
を含むものである、組成物。
(項目24)
異常なIL−1β発現と関連した疾患を有する患者を処置するための方法であって、該方法は、該患者に項目23に記載の組成物を投与して、該異常なIL−1β発現と関連した該疾患を処置する工程を包含する、方法。
(項目25)
前記異常なIL−1β発現と関連した前記疾患は、関節リウマチ、糖尿病、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症および脈管炎からなる群より選択される、項目24に記載の方法。
図1は、CDR配列が示される、例示的ヒト化抗IL−1β抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域(それぞれ、配列番号1および配列番号2)を示す。上記ヒト化重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列は、太字で示される(それぞれ、配列番号9および配列番号10)。示されるヒト生殖系列VH配列およびVL配列は、それぞれ、配列番号13および14に示される。 図2は、抗IL−1−β抗体によるIL−1−β誘導性TF−1細胞増殖の用量依存性阻害を示す。 図3は、IL−1−β1誘導性NF−kB核移行の阻害を示す。 図4は、ヒト化Q26抗体によるIL−1β刺激TF−1細胞の用量依存性阻害を示す。 図5は、サルおよびマウスのIL−1βの交叉反応性結果を示す。
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVH領域のアミノ酸配列である。
配列番号2は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVL領域のアミノ酸配列である。
配列番号3は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVHCDR1領域のアミノ酸配列である。
配列番号4は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVHCDR2領域のアミノ酸配列である。
配列番号5は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVHCDR3領域のアミノ酸配列である。
配列番号6は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVLCDR1領域のアミノ酸配列である。
配列番号7は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVLCDR2領域のアミノ酸配列である。
配列番号8は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVLCDR3領域のアミノ酸配列である。
配列番号9は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVH領域のヒト化配列のアミノ酸配列である。
配列番号10は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVL領域のヒト化配列のアミノ酸配列である。
配列番号11は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVHCDR1のヒト化配列である。
配列番号12は、クローン Q26ウサギ抗IL−1β抗体のVLCDR3のヒト化配列である。
配列番号13は、Q26ウサギ抗IL−1β抗体クローンのヒト化のために使用されるVHヒト生殖系列配列である。
配列番号14は、Q26ウサギ抗IL−1β抗体クローンのヒト化のために使用されるVLヒト生殖系列配列である。
(詳細な説明)
本開示は、IL−1βに特異的に結合する抗体およびその抗原結合フラグメント(特に、特異的なエピトープ特異性および機能的特性を有する抗体)に関する。本発明の一実施形態は、IL−1βに結合し、IL−1βレセプターとの結合するIL−1βをブロックし、IL−1β誘導性の下流の細胞シグナル伝達および生物学的効を阻害し得る、特異的ヒト化抗体およびそのフラグメントを包含する。本発明のより具体的な実施形態において、本明細書で記載される抗体は、高い親和性でIL−1βに特異的に結合し、そのレセプターへのIL−1β結合をブロックする。
本発明の実施形態は、IL−1β、IL−1βレセプターもしくはその異常な発現と関連した疾患および障害の診断、評価および処置のための抗IL−1β抗体もしくはその抗原結合フラグメントの使用に関する。本発明の抗体は、炎症性疾患および自己免疫疾患(とりわけ疾患の中でも、関節リウマチ、糖尿病、痛風、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)および慢性閉塞性肺疾患(COPD)が挙げられる)の処置もしくは予防において使用される。
本発明の実施は、そうでないと具体的に示されなければ、当業者の技術範囲内のウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学および組換えDNA技術の従来法を使用する。そのうちの多くは、例示目的で以下に記載される。このような技術は、以下の文献において十分に説明される。例えば、Current Protocols in Molecular Biology or Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York, N.Y.(2009); Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology, 3rd ed., Wiley & Sons, 1995; Sambrook および Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Edition, 2001); Maniatis et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1982); DNA Cloning: A Practical Approach, vol. I & II (D. Glover, ed.); Oligonucleotide Synthesis (N. Gait, ed., 1984); Nucleic Acid Hybridization (B. Hames & S. Higgins, eds., 1985); Transcription and Translation (B. Hames & S. Higgins, eds., 1984); Animal Cell Culture (R. Freshney, ed., 1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning (1984)および他の同様の参考文献を参照のこと。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「上記、この、その(the)」は、文脈が明らかにそうでないと示さなければ、複数形への言及を包含する。
本明細書全体を通じて、文脈が別のものを要求しなければ、語句「含む、包含する(comprise)」または「含む、包含する(comprises)」もしくは「含む、包含する(comprising)」のようなバリエーションは、示される要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の包含を意味するが、任意の他の要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の排除を意味しないことが理解される。
本明細書における各実施形態は、明らかに別のことが示されなければ、必要な変更を加えて、あらゆる他の実施形態に適用されるべきである。
標準的技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および組織培養ならびに形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)のために使用され得る。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様に従って、もしくは当該分野で通常達成されるように、もしくは本明細書に記載されるように行われ得る。これらのおよび関連する技術および手順は、一般に、引用されそして本明細書全体を通じて考察される種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載されるように、当該分野で周知の従来法に従って行われ得る。具体的な定義が提供されなければ、本明細書で記載される分子生物学、分析化学、合成有機化学、ならびに医学および製薬化学と関連して利用される命名法、ならびにこれらの実験手順および技術は、周知のものであり、当該分野で一般に使用されている。標準的技術は、組み換え技術、分子生物学的合成、微生物合成、化学合成、化学分析、薬学的な調製物、処方物、および送達、ならびに患者の処置のために使用され得る。
本発明の実施形態は、上記IL−1βに結合する抗体に関する。特に、本明細書に記載される抗体は、予測外の高い親和性でIL−1βに特異的に結合し、上記IL−1βへのレセプター結合をブロックし、レセプター活性をブロックし、そして異常な発現のIL−1βもしくは上記IL−1βレセプターと関連した疾患の処置のために治療的有用性を有する。本明細書に記載される抗体はまた、有利な特性(例えば、種々のIL−1β媒介性生物学的効果(例えば、NF−kBおよびc−Jun経路を介してシグナル伝達することによる、細胞増殖、分化、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNFおよびIL−6)の放出、およびアポトーシス)、ならびに当業者に公知の他のIL−1β媒介性効果を阻害する能力)を有する。本明細書に記載される抗体はまた、IL−1βレセプターインターナリゼーションに対する効果を有し得る。
例示的抗体、またはその抗原結合フラグメント、もしくは相補性決定領域(CDR)の配列は、配列番号1〜12に示される(図1もまた参照のこと)。
当該分野で周知であるように、抗体は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1個のエピトープ認識部位を介して、標的(例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなど)に特異的に結合し得る免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、上記用語は、インタクトなポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のみならず、これらのフラグメント(例えば、dAb、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、一本鎖(ScFv)、合成改変体、天然に存在する改変体、必要とされる特異性の抗原結合フラグメントを伴った抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および上記必要とされる特異性の抗原結合部位もしくはフラグメント(エピトープ認識部位)を含む上記免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成をも包含する。「ダイアボディー(Diabodies)」、遺伝子融合によって構築される多価フラグメントもしくは複数特異的フラグメント(WO94/13804; P. Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 6444−6448, 1993)はまた、本明細書で企図される抗体の特定の形態である。CH3ドメインに結合されたscFvを含むミニボディーはまた、本明細書において包含される(S. Hu et al., Cancer Res., 56, 3055−3061, 1996)。例えば、Ward, E. S. et al., Nature 341, 544−546 (1989); Bird et al., Science, 242, 423−426, 1988; Huston et al., PNAS USA, 85, 5879−5883, 1988); PCT/US92/09965; WO94/13804; P. Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 6444−6448, 1993; Y. Reiter et al., Nature Biotech, 14, 1239−1245, 1996; S. Hu et al., Cancer Res., 56, 3055−3061, 1996を参照のこと。
用語「抗原結合フラグメント」とは、本明細書で使用される場合、目的の抗原に(特に、上記IL−1βに)結合する免疫グロブリン重鎖および/もしくは軽鎖の少なくとも1個のCDRを含むポリペプチドフラグメントをいう。この点に関して、本明細書に記載される抗体の抗原結合フラグメントは、IL−1βを結合する抗体に由来する、本明細書に示されるVH配列およびVL配列のうちの1個、2個、3個、4個、5個、もしくは6個全てのCDRを含み得る。本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体の抗原結合フラグメントは、IL−1βに結合し得る。特定の実施形態において、抗原結合フラグメントもしくは抗原結合フラグメントを含む抗体は、IL−1βの、そのレセプターへの結合およびその後のシグナル伝達事象を防止もしくは阻害する。特定の実施形態において、上記抗原結合フラグメントは、ヒトIL−1βに特異的に結合し、そして/またはその生物学的活性を阻害もしくは調節する。
用語「抗原」とは、選択的結合因子(例えば、抗体)によって結合され得、そしてさらには、その抗原のエピトープに結合し得る抗体を生成するために動物において使用され得る分子もしくは分子の一部に言及する。抗原は、1個以上のエピトープを有し得る。
用語「エピトープ」とは、免疫グロブリンもしくはT細胞レセプターに特異的に結合し得る任意の決定基、好ましくは、ポリペプチド決定基を包含する。エピトープは、抗体によって結合される抗原の領域である。特定の実施形態において、エピトープ決定基は、分子の科学的に活性な表面(例えば、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルもしくはスルホニル)を含み、特定の実施形態において、特定の三次元構造特徴、および/もしくは特定の電荷特徴を有し得る。特定の実施形態において、抗体は、これが、タンパク質および/もしくは高分子の複雑な混合物中のその標的抗原を優先的に認識する場合、抗原に特異的に結合するといわれる。抗体は、平衡解離定数が≦10−7もしくは10−8Mである場合に、抗原を特異的に結合するといわれる。いくつかの実施形態において、上記平衡解離定数は、≦10−9Mもしくは≦10−10Mであり得る。
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントは、それぞれ、重鎖フレームワーク領域(FR)セットおよび軽鎖フレームワーク領域セット(これらは、CDRへの支持を提供し、互いに対する上記CDRの空間的関係を規定する)の間に挟まれた重鎖および軽鎖のCDRセットを含む。本明細書で使用される場合、用語「CDRセット」とは、重鎖V領域もしくは軽鎖V領域の3個の超可変領域に言及する。重鎖もしくは軽鎖のN末端から進んで、これら領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。抗原結合部位は、従って、重鎖V領域および軽鎖V領域の各々に由来するCDRセットを含む6個のCDRを含む。単一のCDR(例えば、CDR1、CDR2もしくはCDR3)を含むポリペプチドは、「分子認識ユニット」と本明細書で言及される。多くの抗原抗体複合体の結晶学分析は、CDRのアミノ酸残基が、結合した抗原と完全な接触を形成することを示した。ここで最も完全な抗原接触は、重鎖CDR3とである。従って、上記分子認識ユニットは、抗原結合部位の特異性を主に担う。
本明細書で使用される場合、用語「FRセット」とは、重鎖もしくは軽鎖V領域のCDRセットのうちのCDRを組み立てる4個の隣接するアミノ酸配列に言及する。いくつかのFR残基は、結合した抗原と接触し得る;しかし、FR(特に、上記CDRに直接隣接する上記FR残基)は、上記V領域を上記抗原結合部位へと折りたたむことを主に担う。FR内で、特定のアミノ残基および特定の構造特徴が、非常によく保存されている。この点に関して、全てのV領域配列は、約90アミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含む。上記V領域が結合部位へと折りたたまれる場合、上記CDRは、抗原結合表面を形成する突出するループモチーフとして提示される。一般に、(その正確なCDRアミノ酸配列に拘わらず)上記CDRループの折りたたまれた形状を特定の「規範的」構造へと動かすFRの保存された構造領域が存在することは、認識されている。さらに、特定のFR残基は、上記抗体の重鎖および軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合的ドメイン接触に関与することが公知である。
免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、Kabat, E. A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest. 4th Edition. US Department of Health and Human Services. 1987(およびその更新版)(今では、インターネット(immuno.bme.nwu.edu)で入手可能)を参照することによって決定され得る。
「モノクローナル抗体」とは、同種の抗体集団であって、エピトープの選択的結合に関与するアミノ酸(天然に存在するおよび天然に存在しない)から構成される、抗体集団に言及する。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一のエピトープに対して指向される。用語「モノクローナル抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体および全長モノクローナル抗体のみならず、これらのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv)、一本鎖(ScFv)、これらの改変体、抗原結合部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、および必要とされる特異性およびエピトープに結合する能力の抗原結合フラグメント(エピトープ認識部位)を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成をも包含する。上記抗体の供給源および作製される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによって)に関しては、限定されないことが意図される。上記用語は、「抗体」の定義下で上記に記載される、完全免疫グロブリンならびに上記フラグメントなどを含む。
タンパク質分解酵素であるパパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかのフラグメント(これらのうちの2つ(上記F(ab)フラグメント)は、各々、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合のヘテロダイマーを含む)を生じる。上記酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、いくつかのフラグメント(両方の抗原結合部位を含む上記F(ab’)フラグメントを含む)を提供し得る。本発明の特定の実施形態に従って使用するためのFvフラグメントは、IgMの、および稀な場合には、IgGもしくはIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解切断によって生成され得る。しかし、Fvフラグメントは、より一般には、当該分野で公知の組換え技術を使用して、得られる。上記Fvフラグメントは、上記ネイティブな抗体分子の抗原認識および結合能力の大部分を保持する抗原結合部位を含む、非共有結合的なV::Vヘテロダイマーを含む。Inbar et al. (1972) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 69:2659−2662; Hochman et al. (1976) Biochem 15:2706−2710;およびEhrlich et al. (1980) Biochem 19:4091−4096。
特定の実施形態において、一本鎖FvもしくはscFV抗体が企図される。例えば、κボディー(Ill et al., Prot. Eng. 10: 949−57 (1997);ミニボディー(Martin et al., EMBO J 13: 5305−9 (1994);ダイアボディー(Holliger et al., PNAS 90: 6444−8 (1993);もしくはJanusins(Traunecker et al., EMBO J 10: 3655−59 (1991)およびTraunecker et al., Int. J. Cancer Suppl. 7: 51−52 (1992)は、所望の特異性を有する抗体を選択することに関して、本願の教示に従って標準的な分子生物学技術を使用して調製され得る。なお別の実施形態において、本開示のリガンドを含む二特異的(bispecific)もしくはキメラ抗体が、作製され得る。例えば、キメラ抗体は、異なる抗体に由来するCDRおよびフレームワーク領域を含み得る一方で、二特異的抗体が生成され得、これは、1つの結合ドメインを介してIL−1βに、および第2の結合ドメインを介して第2の分子に、特異的に結合する。これら抗体は、組換え分子生物学技術を介して生成されてもよいし、物理的に一緒に結合体化されてもよい。
一本鎖Fv(sFv)ポリペプチドは、ペプチドコードリンカーによって連結されたVコード遺伝子およびVコード遺伝子を含む遺伝子融合物から発現される、共有結合されたV::Vヘテロダイマーである。Huston et al. (1988) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 85(16):5879−5883。多くの方法が、天然では凝集しているが、化学的には分離した抗体V領域からの軽鎖および重鎖ポリペプチドを、sFv分子(これは、抗原結合部位の構造に実質的に類似する三次元構造へと折りたたまれる)へと変換するため化学構造を識別することを記載した。例えば、米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号(Huston et al.);ならびに米国特許第4,946,778号(Ladner et al)を参照のこと。
特定の実施形態において、本明細書に記載されるIL−1β結合抗体は、ダイアボディーの形態にある。ダイアボディーは、ポリペプチドのマルチマーであり、各ポリペプチドは、免疫グロブリン軽鎖の結合領域を含む第1のドメインおよび免疫グロブリン重鎖の結合領域を含む第2の結合ドメインを含み、上記2個のドメインは、連結される(例えば、ペプチドリンカーによって)が、互いと会合して、抗原結合部位を形成できない:抗原結合部位は、上記マルチマー内の1個のポリペプチドの第1のドメインと、上記マルチマー内の他のポリペプチドの第2のドメインとの会合によって形成される(WO94/13804)。
抗体のdAbフラグメントは、VHドメインからなる(Ward, E. S. et al., Nature 341, 544−546 (1989))。
二特異的抗体が使用されるべきである場合、これは、従来の二特異的抗体であり得、これらは、種々の方法で製造され得(Holliger, P. および Winter G. Current Opinion Biotechnol. 4, 446−449 (1993))、例えば、化学的にもしくはハイブリッドハイブリドーマから調製され得るか、または前述のように上記二特異的抗体フラグメントのうちのいずかれかであり得る。ダイアボディーおよびscFvは、Fc領域なしで、可変ドメインのみを使用して、抗イディオタイプ反応の効果を潜在的には低下させて構築され得る。
二特異的ダイアボディーはまた、二特異的完全抗体とは対照的に、特に有用であり得る。なぜならそれらは、容易に構築され得かつE.coliにおいて発現され得るからである。適切な結合特異性のダイアボディー(および多くの他のポリペプチド(例えば、抗体フラグメント))は、ファージディスプレイ(WO94/13804)を使用して、ライブラリーから容易に選択され得る。上記ダイアボディーの一方のアーム、一定に保持されるべきである場合(例えば、抗原Xに対して指向される特異性を有する)、次いで、ライブラリーが作製され得、ここで他方のアームは様々であり、適切な特異性の抗体が選択される。二特異的完全抗体は、knobs−into−holes技術によって作製され得る(J. B. B. Ridgeway et al., Protein Eng., 9, 616−621, 1996)。
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、UniBody(登録商標)の形態において提供され得る。UniBody(登録商標)は、ヒンジ領域が除去されたIgG4抗体である(GenMab Utrecht, The Netherlandsを参照のこと;例えば、US20090226421もまた参照のこと)。この特許をもった抗体技術は、現在の低分子抗体形式より長い予測治療域を有する、安定で、より小さな抗体形式を作り出す。IgG4抗体は、不活性であると考えられるので、免疫系と相互作用しない。完全にヒトのIgG4抗体は、上記抗体のヒンジ領域を除去して、その対応するインタクトなIgG4に対して別個の安定性特性を有する半分子(half−molecule)フラグメントを得ることによって改変され得る(GenMab, Utrecht)。上記IgG4分子を半分にすると、同起源の(cognate)抗原(例えば、疾患標的)に結合し得る上記UniBody(登録商標)上の唯一の領域が残され、従って、上記UniBody(登録商標)は、標的細胞上の唯一の部位に1価として(univalently)結合する。特定の癌細胞表面抗原に関しては、この1価の結合は、同じ抗原特異性を有する二価抗体を使用して認められ得るように、癌細胞を刺激して、増殖させることがないと思われるので、UniBody(登録商標)技術は、従来の抗体での処置に抗療性であり得る癌のいくつかのタイプの処置選択肢を提供し得る。上記UniBody(登録商標)の小さなサイズは、癌のいくつかの形態を処置する場合に大きな利益となり得、より大きな固形腫瘍にわたる上記分子のよりよい分布を可能にし、潜在的に効力を増大させる。
特定の実施形態において、本開示の抗体は、ナノボディーの形態をとり得る。ナノボディーは、単一の遺伝子によってコードされ、ほぼ全ての原核生物宿主および真核生物宿主(例えば、E.coli(例えば、米国特許第6,765,087号を参照のこと)、糸状菌(例えば、AspergillusもしくはTrichoderma)および酵母(例えば、Saccharomyces、Kluyvermyces、HansenulaもしくはPichia(例えば、米国特許第6,838,254号を参照のこと))において効率的に生成される。上記生成プロセスは、大規模実現可能であり、複数キログラムの量のナノボディーが作製された。ナノボディーは、長い貯蔵期間を有する直ぐに使用可能な溶液として処方され得る。ナノクローン法(例えば、WO 06/079372を参照のこと)は、B細胞の自動化ハイスループット選択に基づいて所望の標的に対するナノボディーを生成するための特許をもった方法である。
特定の実施形態において、本明細書で開示される抗IL−1β抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されている。これは、キメラ分子といわれ、一般に、組み換え技術を使用して調製され、非ヒト種由来の免疫グロブリンに由来する抗原結合部位およびヒト免疫グロブリンの構造および/もしくは配列に基づい上記分子の残りの免疫グロブリン構造を有する。上記抗原結合部位は、定常ドメインに融合された完全な可変ドメイン、もしくは上記可変ドメインにおける適切なフレームワーク領域にグラフト化されたCDRのみのいずれかを含み得る。エピトープ結合部位は、野生型であってもよいし、1もしくはより多くのアミノ酸置換によって改変されてもよい。このことは、ヒト個体における免疫原としての定常領域を排除するが、外来の可変領域に対する免疫応答の可能性は残る(LoBuglio, A. F. et al., (1989) Proc Natl Acad Sci USA 86:4220−4224; Queen et al., PNAS (1988) 86:10029−10033; Riechmann et al., Nature (1988) 332:323−327)。本明細書で開示される抗IL−1β抗体のヒト化のための例示的方法としては、米国特許第7,462,697号に記載される方法が挙げられる。本発明の特定の実施形態に従う例示的ヒト化抗体は、配列番号9、配列番号10、配列番号19および配列番号20に提供されるヒト化配列を含む。
別のアプローチは、ヒト由来の定常領域を提供することのみならず、ヒト形態に可能な限り近くそれらを再度形作るように上記可変領域を改変することにも焦点を当てる。重鎖および軽鎖両方の可変領域は、問題のエピトープに対する応答において変動し、結合能を決定し、所定の種において比較的保存されておりかつおそらくは上記CDRのための足場を提供する4個のフレームワーク(FR)領域が隣り合った、3個の相補性決定領域(CDR)を含むことは、公知である。非ヒト抗体が、特定のエピトープに関して調製される場合、可変領域は、「再度形作られ」得るか、または非ヒト抗体に由来するCDRを、改変される予定のヒト抗体に存在する上記FR上にグラフト化することによって、「ヒト化」され得る。種々の抗体に対するこのアプローチの適用は、Sato, K., et al., (1993) Cancer Res 53:851−856. Riechmann, L., et al., (1988) Nature 332:323−327; Verhoeyen, M., et al., (1988) Science 239:1534−1536; Kettleborough, C. A., et al., (1991) Protein Engineering 4:773−3783; Maeda, H., et al., (1991) Human Antibodies Hybridoma 2:124−134; Gorman, S. D., et al., (1991) Proc Natl Acad Sci USA 88:4181−4185; Tempest, P. R., et al., (1991) Bio/Technology 9:266−271; Co, M. S., et al., (1991) Proc Natl Acad Sci USA 88:2869−2873; Carter, P., et al., (1992) Proc Natl Acad Sci USA 89:4285−4289; および Co, M. S. et al., (1992) J Immunol 148:1149−1154によって報告されてきた。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、全てのCDR配列を保存する(例えば、ヒト化マウス抗体は、上記マウス抗体に由来する6個すべてのCDRを含む)。他の実施形態において、ヒト化抗体は、元の抗体に対して変化し、上記元の抗体の1個以上のCDR「に由来する」1個以上のCDRといわれる、1個以上のCDR(1個、2個、3個、4個、5個、6個)を有する。
特定の実施形態において、本開示の抗体は、キメラ抗体であり得る。この点に関して、キメラ抗体は、異なる抗体の異種Fc部分に作動可能に連結されたか、さもなければ融合された抗IL−1β抗体の抗原結合フラグメントから構成される。特定の実施形態において、上記異種Fcドメインは、ヒト由来である。他の実施形態において、上記異種Fcドメインは、親抗体とは異なるIgクラス(IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、およびIgMが挙げられる)に由来し得る。さらなる実施形態において、上記異種Fcドメインは、上記異なるIgクラスのうちの1種以上に由来するCH2およびCH3ドメインから構成され得る。ヒト化抗体に関して上記のように、キメラ抗体の上記抗IL−1β抗原結合フラグメントは、本明細書に記載される抗体のCDRのうちの1個以上(例えば、本明細書に記載される抗体の1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個のCDR)のみを含んでいてもよいし、可変ドメイン全体(VL、VHもしくは両方)を含んでいてもよい。
特定の実施形態において、IL−1β結合抗体は、本明細書に記載される抗体のCDRのうちの1個以上を含む。この点に関して、抗体のVHCDR3のみの移動が、所望の特異的結合をなお保持しながら行われ得ることは、いくつかの場合において認められてきた(Barbas et al., PNAS (1995) 92: 2529−2533)。McLane et al., PNAS (1995) 92:5214−5218, Barbas et al., J. Am. Chem. Soc. (1994) 116:2161−2162もまた参照のこと。
Marks et al (Bio/Technology, 1992, 10:779−783)は、抗体可変ドメインのレパートリーを生成する方法を記載し、ここで上記可変ドメイン領域の5’末端に指向されるかもしくはこれに隣接するコンセンサスプライマーは、CDR3を欠いているVH可変ドメインのレパートリーを提供するように、ヒトVH遺伝子の第3のフレームワーク領域へコンセンサスプライマーと関連して使用される。Marks et alは、このレパートリーが特定の抗体のCDR3とどのように合わせられ得るかをさらに記載する。類似の技術を使用して、本明細書に記載される抗体の上記CDR3由来配列は、CDR3を欠いているVHもしくはVLドメインのレパートリーとシャッフルし得、上記シャッフルした完全なVHもしくはVLドメインは、同起源のVLもしくはVHドメインと合わせられて、IL−1βを結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを提供し得る。次いで、上記レパートリーは、適切な抗体もしくはその抗原結合フラグメントが選択され得るように、適切な宿主システム(例えば、WO92/01047のファージディスプレイシステム)においてディスプレイされ得る。レパートリーは、少なくとも約10個の個々のメンバーから数桁大きいメンバーまで(例えば、約10個から、10個もしくは1010個以上のメンバーまで)からなり得る。類似のシャッフリングもしくはコンビナトリアル技術はまた、Stemmer (Nature, 1994, 370:389−391)によって開示され、彼は、β−ラクタマーゼ遺伝子に関連する技術を記載しているが、上記アプローチが、抗体の生成のために使用され得ると所見を述べている。
さらなる代替は、1以上の選択されたVHおよび/もしくはVL遺伝子のランダム変異誘発を使用して可変ドメイン全体の中に変異を生成して、本明細書で記載される本発明の実施形態の1個以上のCDR由来配列を有する新規VHもしくはVL領域を生成することである。このような技術は、Gram et al (1992, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89:3576−3580)によって記載され、彼は、エラープローンPCRを使用した。使用され得る別の方法は、VHもしくはVL遺伝子のCDR領域に変異誘発を指向することである。このような技術は、Barbas et al., (1994, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 91:3809−3813)およびSchier et al (1996, J. Mol. Biol. 263:551−567)によって開示される。
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体の特定のVHおよび/もしくはVLは、所望の特性(例えば、IL−1βに対する増大した親和性)を有する抗体を同定するために相補性可変ドメイン(complementary variable domain)のライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。このような方法は、例えば、Portolano et al., J. Immunol. (1993) 150:880−887; Clarkson et al., Nature (1991) 352:624−628において記載される。
他の方法はまた、所望の結合活性(例えば、IL−1βへの結合)を有する抗体を同定するためにCDRを混合およびマッチさせるために使用され得る。例えば: Klimka et al., British Journal of Cancer (2000) 83: 252−260は、CDR3およびFR4がマウスVHから保持されたマウスVLおよびヒトVHライブラリーを使用して、スクリーニングプロセスを記載する。抗体を得た後、上記VHは、抗原を結合した抗体を得るためにヒトVLライブラリーに対してスクリーニングされた。Beiboer et al., J. Mol. Biol. (2000) 296:833−849は、マウス重鎖全体およびヒト軽鎖ライブラリーを使用するスクリーニングプロセスを記載する。抗体を得た後、1個のVLを、マウスのCDR3が保持されたヒトVHライブラリーと合わせた。抗原を結合し得る抗体を、得た。Rader et al., PNAS (1998) 95:8910−8915は、上記のBeiboer et alに類似のプロセスを記載する。
これらちょうど記載されたばかりの技術は、それ自体、当該分野におけるように公知である。しかし、当業者は、当該分野で慣用的な方法論を使用して、本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態に従って、抗体もしくはその抗原結合フラグメントを得るためにこのような技術を使用し得る。
IL−1β抗原に対して特異的な抗体抗原結合ドメインを得るための方法もまた、本明細書で開示され、上記方法は、本明細書で示されるVHドメインのアミノ酸配列における1もしくはより多くのアミノ酸の付加、欠失、置換もしくは挿入の方法によって、上記VHドメインのアミノ酸配列改変体であるVHドメインを提供する工程、必要に応じて、このようにして提供された上記VHドメインと、1個以上のVLドメインとを合わせる工程、および上記VHドメインもしくはVH/VL組み合わせを試験して、必要に応じて1つ以上の所望の特性を有する特異的結合メンバーもしくはIL−1βに対して特異的な抗体抗原結合ドメインを同定する工程を包含する。上記VLドメインは、本明細書に実質的に示されるとおりのアミノ酸配列を有し得る。本明細書で開示されるVLドメインの1個以上の配列改変体が、1個以上のVHドメインと合わされる類似の方法が、使用され得る。
抗体もしくはポリペプチドに「特異的に結合」するかもしくは「優先的に結合」するエピトープ(本明細書では交換可能に使用される)は、当該分野で十分に理解されている用語であり、このような特異的もしくは優先的な結合を決定するための方法はまた、当該分野で周知である。分子は、特定の細胞もしくは物質と、別の細胞もしくは物質より頻繁に、より迅速に、長い持続時間および/もしくは大きな親和性で反応もしくは会合する場合に、「特異的結合」もしくは「優先的結合」を示すといわれる。抗体は、他の物質に結合するより大きな親和性、結合能で、より容易に、および/もしくはより長い持続時間で上記抗体が結合する場合、標的に「特異的に結合」するかもしくは「優先的に結合」する。例えば、IL−1βエピトープに特異的にもしくは優先的に結合する抗体は、1つのIL−1βエピトープを、他のIL−1βエピトープもしくは非IL−1βエピトープに結合するより大きな親和性、結合能で、より迅速に、および/もしくはより長い持続時間で結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的にもしくは優先的に結合する抗体(もしくは部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的にもしくは優先的に結合してもよいし、結合しなくてもよいことは、この定義を読むことによっても理解される。よって、「特異的結合」もしくは「優先的結合」は、排他的な結合を必ずしも必要としない(しかし、含んでもよい)。一般に、しかし、必須ではなく、結合への言及は、優先的結合を意味する。
免疫学的結合は、一般に、例えば、例示であって限定ではないが、静電的、イオン的、親水性のおよび/もしくは疎水性の引力もしくは反発力、立体の力(steric force)、水素結合、ファンデルワールス力、ならびに他の相互作用の結果として、免疫グロブリン分子と上記免疫グロブリンが特異的である抗原との間で起こるタイプの非共有結合的相互作用に言及する。免疫学的結合相互作用の強さ、もしくは親和性は、上記相互作用の解離定数(K)(ここでより小さなKは、より大きな親和性を表す)によって表され得る。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該分野で周知の方法を使用して、定量され得る。1つのこのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成および解離の速度を測定することを包含し、ここでそれら速度は、上記複合体パートナーの濃度、上記相互作用の親和性、および両方の方向において上記速度に等しく影響を及ぼす幾何的パラメーターに依存する。従って、上記「オン速度定数(on rate constant)」(Kon)および「オフ速度定数(off rate constant)」(Koff)はともに、上記濃度の計算ならびに会合および解離の実際の速度によって決定され得る。Koff/Konの比は、親和性に関連しない全てのパラメーターの取り消しを可能にするので、上記解離定数Kに等しい。一般に、Davies et al. (1990) Annual Rev. Biochem. 59:439−473を参照のこと。
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗IL−1β抗体は、約100、150、155、160、170、175、180、185、190、191、192、193、194、195、196、197、198もしくは199ピコモル濃度の親和性を有し、そしていくつかの実施形態において、上記抗体は、IL−1βに対してさらに高い親和性を有し得る。
存在するエピトープに言及して用語「免疫学的に活性」、もしくは「免疫学的に活性なまま」とは、抗体(例えば、抗IL−1β抗体)が、異なる条件下で、例えば、上記エピトープが還元条件もしくは変性条件に供された後に、上記エピトープに結合する能力に言及する。
本願の特定の好ましい実施形態に従う抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、IL−1βへの結合について、(i)上記抗原に特異的に結合し、かつ(ii)本明細書で開示されるVHおよび/もしくはVLドメインを含むか、または本明細書で開示されるVH CDR3、もしくはこれらのうちのいずれかの改変体を含む、本明細書で記載される任意の抗体と競合する、ものであり得る。抗体の間の競合は、インビトロで、例えば、ELISAを使用して、および/もしくは特定のレポーター分子をある抗体にタグ化する(これは、他の非タグ化抗体の存在下で検出され得る)ことによって、容易にアッセイされて、同じエピトープもしくは重複するエピトープを結合する特異的抗体の同定を可能にし得る。従って、特異的抗体もしくはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、上記抗体は、IL−1βに結合する本明細書で記載される抗体と競合するヒト抗体抗原結合部位を含む。
この点に関して、本明細書で使用される場合、用語「〜と競合する」、「結合を阻害する」および「結合をブロックする」(例えば、IL−1βの、そのレセプターへの結合を阻害/ブロックすることに言及するか、またはIL−1βへの抗IL−1β抗体の結合を阻害/ブロックすることに言及する)は、本明細書で交換可能に使用され、部分的および完全な阻害/ブロックの両方を包含する。上記IL−1βの、そのレセプターへの阻害/ブロックは、好ましくは、IL−1βが、そのレセプターに阻害もしくはブロックなしに結合する場合に起こる細胞シグナル伝達の正常なレベルもしくはタイプを低下させるかまたは変化させる。阻害およびブロックはまた、本明細書で開示される抗IL−1β抗体と接触した場合に、抗IL−1β抗体と接触していないリガンドと比較して、IL−1βの、そのレセプターへの結合における任意の測定可能な減少(例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%だけ、IL−1βへの上記レセプターをブロックする)を含むと解釈される。
免疫グロブリンの定常領域は、上記可変領域より少ない配列多様性を示し、多くの天然タンパク質を結合して、重要な生化学的事象を誘発することを担う。ヒトにおいては、5種の異なるクラスの抗体がある(IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、およびIgMを含む)。これら抗体クラス間の識別特徴は、それらの定常領域であるが、微妙な差異がV領域に存在し得る。
抗体のFc領域は、多くのFcレセプターおよびリガンドと相互作用して、エフェクター機能といわれる多くの重要な機能的能力を付与する。IgGに関しては、上記Fc領域は、Igドメイン CH2およびCH3、ならびにCH2へ導くN末端ヒンジを含む。上記IgGクラスのFcレセプターの重要なファミリーは、Fcγレセプター(FcγR)である。これらレセプターは、抗体と免疫系の細胞アームとの間の連絡を媒介する(Raghavan et al., 1996, Annu Rev Cell Dev Biol 12:181−220; Ravetch et al., 2001, Annu Rev Immunol 19:275−290)。ヒトにおいて、このタンパク質ファミリーは、FcγRI(CD64)(アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含む);FcγRII(CD32)(アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含む)、およびFcγRIIcを含む);ならびにFcγRIII(CD16)(アイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含む)を含む)を含む(Jefferis et al., 2002, Immunol Lett 82:57−65)。これらレセプターは、代表的には、Fcへの結合を媒介する細胞外ドメイン、膜貫通領域、および上記細胞内のいくつかのシグナル伝達事象を媒介し得る細胞内ドメインを有する。これらレセプターは、種々の免疫細胞(単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、B細胞、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラル・キラー(NK)細胞、およびT細胞が挙げられる)において発現される。上記Fc/FcγR複合体の形成は、これらエフェクター細胞を結合した抗原の部位へとリクルートし、代表的には、上記細胞内でのシグナル伝達事象および重要なその後の免疫応答(例えば、炎症メディエーターの放出、B細胞活性化、エンドサイトーシス、ファゴサイトーシス、および細胞傷害性アタック)を生じる。
細胞傷害性およびファゴサイトーシスのエフェクター機能を媒介する能力は、抗体が標的として細胞を破壊する潜在的機構である。FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が、標的細胞上で結合した抗体を認識し、その後、上記標的細胞の溶解を引き起こす上記細胞媒介性反応は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)といわれる(Raghavan et al., 1996, Annu Rev Cell Dev Biol 12:181−220; Ghetie et al., 2000, Annu Rev Immunol 18:739−766; Ravetch et al., 2001, Annu Rev Immunol 19:275−290)。FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、その後、上記標的細胞のファゴサイトーシスを引き起こす上記細胞媒介性反応は、抗体依存性細胞媒介性ファゴサイトーシス(ADCP)といわれる。全てのFcγRは、上記Cg2(CH2)ドメインのN末端および前にあるヒンジにおいて、Fc上の同じ領域を結合する。この相互作用は、構造的に十分特徴付けられており(Sondermann et al., 2001, J Mol Biol 309:737−749)、ヒトFcγRIIIbの上記細胞外ドメインに結合したヒトFcのいくつかの構造は、解明された(pdbアクセッションコード1E4K)(Sondermann et al., 2000, Nature 406:267−273)(pdbアクセッションコード1IISおよび1IIX)(Radaev et al., 2001, J Biol Chem 276:16469−16477)。
上記異なるIgGサブクラスは、上記FcγRに対して異なる親和性を有する(IgG1およびIgG3は、代表的には、IgG2およびIgG4より上記レセプターに実質的によく結合する(Jefferis et al., 2002, Immunol Lett 82:57−65))。全てのFcγRは、IgG Fc上の同じ領域に結合するが、親和性は異なっている:高親和性結合者であるFcγRIは、10−8−1というIgG1のKdを有するのに対して、低親和性レセプターであるFcγRIIおよびFcγRIIIは、一般に、それぞれ、10−6および10−5において結合する。上記FcγRIIIaおよびFcγRIIIbの細胞外ドメインは、96%同一であるが、FcγRIIIbは、細胞内シグナル伝達ドメインを有さない。さらに、FcγRI、FcγRIIa/c、およびFcγRIIIaは、イムノレセプターチロシンベースの活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine−based activation motif)(ITAM)を有する細胞内ドメインを有することによって特徴付けられる免疫複合体誘発性活性化の正のレギュレーターであるのに対して、FcγRIIbは、イムノレセプターチロシンベースの抑制モチーフ(immunoreceptor tyrosine−based inhibition motif)(ITIM)を有し、従って、阻害性である。従って、前者は、活性化レセプターといわれ、FcγRIIbは、阻害レセプターといわれる。上記レセプターはまた、異なる免疫細胞上での発現パターンおよびレベルが異なる。複雑性のなお別のレベルは、ヒトプロテオームにおける多くのFcγR多型の存在である。臨床的重要性と特に関連する多型は、V158/F158 FcγRIIIaである。ヒトIgG1は、上記F158アロタイプより上記V158アロタイプに大きな親和性で結合する。親和性におけるこの差異、およびおそらくADCCおよび/もしくはADCPに対するその効果は、上記抗CD20抗体であるリツキシマブ(リツキサン(登録商標)(IDEC Pharmaceuticals Corporationの登録商標))の効力の顕著な決定因子(determinant)であることが示された。上記V158アロタイプを有する患者は、リツキシマブ処置に有利に応答する;しかし、上記低親和性F158アロタイプを有する患者は、不十分にしか応答しない(Cartron et al., 2002, Blood 99:754−758)。ヒトのうちの約10〜20%が、V158/V158ホモ接合性であり、45%は、V158/F158ヘテロ接合性であり、ヒトのうちの35〜45%は、F158/F158ホモ接合性である(Lehrnbecher et al., 1999, Blood 94:4220−4232; Cartron et al., 2002, Blood 99:754−758)。従って、ヒトのうちの80〜90%は、不十分な応答者であり、すなわち、彼らは、F158 FcγRIIIaの少なくとも1つの対立遺伝子を有する。
上記Fc領域はまた、補体カスケードの活性化に関与する。古典的補体経路において、C1は、そのC1qサブユニットとともに、抗原と複合体を形成するIgGもしくはIgMのFcフラグメントに結合する。本発明の特定の実施形態において、上記Fc領域への改変は、本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体が補体系を活性化する能力を変化させる(増強するか低下させるかのいずれかである)改変を包含する(例えば、米国特許第7,740,847号を参照のこと)。補体活性化を評価するために、補体依存性細胞傷害性(CDC)アッセイを行い得る(例えば、Gazzano−Santoro et al., J. Immunol. Methods, 202:163 (1996)を参照のこと)。
従って、特定の実施形態において、本発明は、変化した機能特性(例えば、低下もしくは増強したCDC、ADCC、もしくはADCP活性、または特異的FcγRに対する増強した結合親和性または増大した血清半減期)を有する、改変されたFc領域を有する抗IL−1β抗体を提供する。本明細書で企図される他の改変されたFc領域は、例えば、発行された米国特許第7,317,091号;同第7,657,380号;同第7,662,925号;同第6,538,124号;同第6,528,624号;同第7,297,775号;同第7,364,731号;公開米国出願US2009092599;同第US20080131435号;同第US20080138344号;および公開国際出願WO2006/105338;同WO2004/063351;同WO2006/088494;同WO2007/024249において記載される。
従って、特定の実施形態において、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。特定の実施形態において、上記融合物は、Ig重鎖定常ドメイン(上記ヒンジ、C2、およびC3領域の少なくとも一部を含む)とである。上記融合物のうちの少なくとも1つに存在する、軽鎖結合に必須の部位を含む第1の重鎖定常領域(C1)を有することは、好ましい。上記免疫グロブリン重鎖融合物、および望ましい場合、上記免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別個の発現ベクターに挿入され、適切な宿主細胞にトランスフェクトされる。このことは、上記構築物において使用される3つのポリペプチド鎖の一様でない比が、所望の二特異的抗体の最適収率を提供する場合の実施形態において、上記3個のポリペプチドフラグメントの相互の割合を調節することにおいてより大きな融通性を提供する。しかし、2個もしくは3個全てのポリペプチド鎖のコード配列を、単一の発現ベクターに挿入することは、等しい割合の少なくとも2個のポリペプチド鎖の発現が、高収率生じるか、または上記比が、所望の鎖の組み合わせの収率に顕著な影響を及ぼさない場合に可能である。
本発明の抗体(およびその抗原結合フラグメントおよび改変体)はまた、例えば、精製もしくは診断適用において使用するために、エピトープタグもしくは標識を含むように改変され得る。抗体結合体を作製するために、当該分野で公知の多くの連結基が存在する(例えば、米国特許第5,208,020号もしくはEP特許第0 425 235 B1号、ならびにChari et al., Cancer Research 52: 127−131 (1992)に記載されるものを含む)。上記連結基としては、上記で同定された特許において開示されるように、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光不安定基、ペプチダーゼ不安定基、もしくはエステラーゼ不安定基が挙げられ、ジスルフィド基およびチオエーテル基が好ましい。
別の企図される実施形態において、本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体は、別の治療用化合物に結合体化され得るかもしくは作動可能に連結され得る(本明細書では結合体といわれる)。上記結合体は、細胞傷害性薬剤、化学療法剤、サイトカイン、抗脈管形成薬剤、チロシンキナーゼインヒビター、毒素、放射性同位体、もしくは他の治療上活性な薬剤であり得る。化学療法剤、サイトカイン、抗脈管形成薬剤、チロシンキナーゼインヒビター、および他の治療剤は、上記に記載されており、これら前述の治療剤は全て、抗体結合体としての使用が見いだされ得る。
代替の実施形態において、上記抗体は、毒素に結合体化されるか、または作動可能に連結される。上記毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:低分子毒素および細菌、真菌、植物もしくは動物由来の酵素的に活性な毒素(これらのフラグメントおよび/もしくは改変体を含む)。低分子毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:サポリン(Kuroda K, et al., The Prostate 70:1286−1294 (2010); Lip, WL. et al., 2007 Molecular Pharmaceutics 4:241−251; Quadros EV., et al., 2010 Mol Cancer Ther; 9(11); 3033−40; Polito L., et al. 2009 British Journal of Haematology, 147, 710−718)、カリケアマイシン、メイタンシン(米国特許第5,208,020号)、トリコテセン(trichothene)、およびCC1065。毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:RNase、ゲロニン、エンジイン、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、Pseudomonas外毒素(PE40)、Shigella毒素、Clostridium perfringens毒素、およびヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質。
一実施形態において、本開示の抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、1個以上のメイタンシノイド分子に結合体化される。メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する、有糸分裂インヒビターである。メイタンシンは、東アフリカの灌木であるMaytenus serrataから最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。その後、特定の微生物も、メイタンシノイド(例えば、メイタンシノールおよびC−3メイタンシノールエステル(米国特許第4,151,042号))を生成することが発見された。合成メイタンシノールおよび誘導体およびこれらのアナログは、例えば、米国特許第4,137,230号;同第4,248,870号;同第4,256,746号;同第4,260,608号;同第4,265,814号;同第4,294,757号;同第4,307,016号;同第4,308,268号;同第4,308,269号;同第4,309,428号;同第4,313,946号;同第4,315,929号;同第4,317,821号;同第4,322,348号;同第4,331,598号;同第4,361,650号;同第4,364,866号;同第4,424,219号;同第4,450,254号;同第4,362,663号;および同第4,371,533号において開示される。メイタンシノイドを含む免疫結合体およびそれらの治療的使用は、例えば、米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号0および欧州特許EP 0 425 235 B1号に開示される。Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618−8623 (1996)は、ヒト結腸直腸癌に対して指向されるモノクローナル抗体C242に連結されたメイタンシノイド(DM1と称される)を含む免疫結合体を記載した。上記結合体は、培養された結腸癌細胞に対して非常に細胞傷害性であることが見いだされ、インビボ腫瘍増殖アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。
抗体−メイタンシノイド結合体は、抗体をメイタンシノイド分子に、上記抗体の生物学的活性も上記メイタンシノイド分子の生物学的活性もいずれも顕著に低下させることなく化学的に連結することによって調製される。抗体分子1個あたり結合体化された平均して3〜4個のメイタンシノイド分子が、上記抗体の機能にも溶解度にも負に影響を及ぼすことなく、標的細胞の細胞傷害性を増強することにおいて抗力を示したが、毒素/抗体の1分子ですら、裸の抗体の使用より細胞傷害性を増強すると予測される。メイタンシノイドは、当該分野で周知であり、公知の技術によって合成され得るか、または天然供給源から単離され得る。適切なメイタンシノイドは、例えば、米国特許第5,208,020号、ならびに本明細書中上記で言及される他の特許公報および非特許刊行物において開示される。好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノールおよびその芳香族環においてもしくは上記メイタンシノール分子の他の位置において改変されたメイタンシノールアナログ(例えば、種々のメイタンシノールエステル)である。
目的の別の結合体は、1個以上のカリケアマイシン分子に結合体化された抗体を含む。抗生物質の上記カリケアマイシンファミリーは、ピコモル未満の濃度において二本鎖DNA破壊を生じ得る。カリケアマイシンの構造アナログもまた、使用され得る(Hinman et al., 1993, Cancer Research 53:3336−3342; Lode et al., 1998, Cancer Research 58:2925−2928)(米国特許第5,714,586号;同第5,712,374号;同第5,264,586号;同第5,773,001号)。ドラスタチン10アナログ(例えば、オーリスタチンE(AE)およびモノメチルオーリスタチンE(MMAE))は、本明細書で開示される抗体もしくはその改変体のための結合体としての使用が見いだされ得る(Doronina et al., 2003, Nat Biotechnol 21(7):778−84; Francisco et al., 2003 Blood 102(4):1458−65)。有用な酵素的に活性な毒素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジランチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセン(tricothecene)。例えば、PCT WO 93/21232を参照のこと。本開示は、結合体もしくは融合物が本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼもしくはDNAエンドヌクレアーゼ(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase))との間で形成される実施形態をさらに企図する。
代替の実施形態において、本明細書で開示される抗体は、放射性同位体に結合体化されるかもしくは作動可能に連結されて、放射性結合体を形成し得る。種々の放射活性同位体は、放射性結合体抗体の生成のために利用可能である。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Bi。
本明細書で記載される抗体は、特定の他の実施形態において、治療部分(例えば、細胞毒素(例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊薬剤))、治療剤もしくは放射活性要素(例えば、α放出体、γ放出体など)に結合体化され得る。細胞毒素もしくは細胞傷害性薬剤は、細胞に有害である任意の薬剤を含む。例としては、以下が挙げられる:パクリタキセル/パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにこれらのアナログもしくはホモログ。1つの好ましい例示的細胞毒素は、サポリン(Advanced Targeting Systems, San Diego, CAから入手可能)である。治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル、ダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)、シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC)、ならびに抗有糸分裂薬剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)。
さらに、IL−1β特異的抗体(本明細書で提供されるその機能的フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)を含む)は、特定の実施形態において、治療部分(例えば、放射活性物質もしくは放射性金属イオンを結合体化するために有用な大環状キレート化剤)に結合体化され得る。特定の実施形態において、上記大環状キレート化剤は、リンカー分子を介して上記抗体に結合され得る1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N”,N”’−テトラ酢酸(DOTA)である。このようなリンカー分子は、当該分野で一般に公知であり、Denardo et al., 1998, Clin Cancer Res. 4:2483−90; Peterson et al., 1999, Bioconjug. Chem. 10:553;およびZimmerman et al., 1999, Nucl. Med. Biol. 26:943−50に記載される。
なお別の実施形態において、抗体は、腫瘍のプレターゲティング(pretargeting)における利用のために、「レセプター」(例えば、ストレプトアビジン)に結合体化され得る。ここで上記抗体−レセプター結合体は、患者に投与され、続いて、結合しなかった結合体がキレート化剤を使用して循環から除去され、次いで、細胞傷害性薬剤(例えば、ラジオヌクレオチド)に結合体化されている「リガンド」(例えば、アビジン)が投与される。代替の実施形態において、上記抗体は、抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ治療(Antibody Dependent Enzyme Mediated Prodrug Therapy)(ADEPT)を使用するために、酵素に結合体化されるかもしくは作動可能に連結される。ADEPTは、上記抗体を、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤(PCT WO 81/01145を参照のこと))を活性な抗癌薬物に変換するプロドラッグ活性化酵素に結合体化するかもしくは作動可能に連結することによって、使用され得る。例えば、PCT WO 88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと。ADEPTに有用な上記免疫結合体の酵素成分は、プロドラッグをそのより活性な細胞傷害性形態へと変換するような様式で、上記プロドラッグに対して作用し得る任意の酵素を含む。これらおよび関連の実施形態の方法において有用な酵素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアリールスルファターゼ;非毒性5−フルオロシトシンを上記抗癌薬物である5−フルオロウラシルに変換するために有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ(例えば、serratiaプロテアーゼ、サーモライシン、ズブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えば、カテプシンBおよびカテプシンL)(これらは、ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物へと変換するために有用である);D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するために有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物へと変換するために有用な炭水化物切断酵素(例えば、 −ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ); −ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物へと変換するために有用なβ−ラクタマーゼ;およびペニシリンアミダーゼ(例えば、ペニシリンVアミダーゼもしくはペニシリンGアミダーゼ(それらのアミン窒素において、それぞれフェノキシアセチル基もしくはフェニルアセチル基で誘導体化された薬物を遊離薬物へと変換するために有用))。あるいは、酵素活性を有する抗体(当該分野でアブザイム(abzyme)としても公知)は、プロドラッグを遊離活性薬物へと変換するために使用され得る(例えば、Massey, 1987, Nature 328: 457−458を参照のこと)。抗体−アブザイム結合体は、上記アブザイムを腫瘍細胞集団へと送達するために調製され得る。
免疫結合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤(例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6−ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン))を使用して、作製され得る。特定のカップリング剤としては、以下が挙げられる:ジスルフィド結合を提供するためのN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlsson et al., Biochem. J. 173:723−737 [1978])およびN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)。上記リンカーは、1種以上の切断可能な成分の放出を促進する「切断可能リンカー」であり得る。例えば、酸不安定リンカーが使用され得る(Cancer Research 52: 127−131 (1992);米国特許第5,208,020号)。
本発明の抗体(およびポリペプチド)の他の改変はまた、本明細書で企図される。例えば、上記抗体は、種々の非タンパク質ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、もしくはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー)のうちの1種に連結され得る。上記抗体はまた、コロイド性薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)において、またはマクロエマルジョンにおいて、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されるマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース、もしくはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中に捕捉され得る。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版, Oslo, A., Ed., (1980)に開示されている。
「キャリア」は、本明細書で使用される場合、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、もしくは安定化剤を含み、これらは、使用される投与量および濃度においてそれらに曝される細胞もしくは哺乳動物に対して非毒性である。しばしば、上記生理学に受容可能なキャリアは、pH緩衝化水溶液である。生理学に受容可能なキャリアの例としては、以下が挙げられる:緩衝液(例えば、ホスフェート、シトレート、および他の有機酸);抗酸化剤(アスコルビン酸を含む);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジン);モノサッカリド、ジサッカリド、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンが挙げられる);キレート化剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールもしくはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);および/または非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20(TWEENTM)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポロキサマー(PLURONICSTM)など)。
抗IL−1β抗体の所望の機能的特性は、当業者に公知の種々の方法(例えば、アフィニティー/結合アッセイ(例えば、表面プラズモン共鳴、競合的阻害アッセイ);インビトロもしくはインビボのモデルを使用する、炎症応答阻害もしくは自己免疫応答阻害;IL−1βに応じた、細胞傷害性アッセイ、細胞生存アッセイ、細胞増殖もしくは分化アッセイ)を使用して評価され得る。特定の実施形態において、本明細書中の抗体は、例えば、IL−1β誘導性TF−1細胞増殖もしくはNF−kBの核移行を測定することによって、評価される。他のアッセイは、本明細書で記載される抗体が正常のレセプター/IL−1β媒介性応答(例えば、NF−kBおよびc−Jun経路を介してシグナル伝達されることによる、細胞増殖、分化、アポトーシス)、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNFおよびIL−6)の放出、および細胞適応応答におけるTh17バイアスをブロックする能力を試験し得る。本明細書に記載される抗体はまた、IL−1βレセプターインターナリゼーション、インビトロおよびインビボでの効力などに対する効果について試験され得る。このようなアッセイは、当業者に公知の十分に確立されたプロトコル(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Greene Publ. Assoc. Inc. & John Wiley & Sons, Inc., NY, NY); Current Protocols in Immunology (Edited by: John E. Coligan, Ada M. Kruisbeek, David H. Margulies, Ethan M. Shevach, Warren Strober 2001 John Wiley & Sons, NY, NY)を参照のこと);もしくは市販のキットを使用して、行われ得る。
本発明は、特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸(例えば、本明細書に記載されるCDRもしくはVHもしくはVLドメインをコードする核酸)をさらに提供する。核酸は、DNAおよびRNAを含む。これらおよび関連の実施形態は、本明細書に記載されるIL−1βを結合する抗体をコードするポリヌクレオチドを含み得る。用語「単離されたポリヌクレオチド」とは、本明細書で使用される場合、ゲノム、cDNA、または合成起源もしくはこれらのうちのある組み合わせのポリヌクレオチドを意味するものとし、その起源によって、上記単離されたポリヌクレオチドは、(1)ポリヌクレオチドのうちの全てもしくは一部と会合しない(上記単離されたポリヌクレオチドは天然に見いだされる)、(2)天然に連結されないポリヌクレオチドに連結されている、または(3)より大きな配列の一部として天然に存在しない。
用語「作動可能に連結される」とは、上記用語が適用される成分が、適切な条件下でそれらその固有の機能を行うことを可能にする関係にあることを意味する。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結される」転写制御配列は、上記タンパク質コード配列の発現が、上記制御配列の転写活性と適合する条件下で達成されるように、上記タンパク質コード配列に連結される。
用語「制御配列」とは、本明細書で使用される場合、連結されるかもしくは作動可能に連結されるコード配列の発現、プロセシングもしくは細胞内位置に影響を及ぼし得るポリヌクレオチド配列に言及する。このような制御配列の性質は、宿主物に依存し得る。特定の実施形態において、原核生物のための転写制御配列としては、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列が挙げられ得る。他の特定の実施形態において、真核生物のための転写制御配列としては、転写因子の1個もしくは複数の認識部位を含むプロモーター、転写エンハンサー配列、転写終結配列およびポリアデニル化配列が挙げられ得る。特定の実施形態において、「制御配列」は、リーダー配列および/もしくは融合パートナー配列を含み得る。
用語「ポリヌクレオチド」とは、本明細書で言及される場合、一本鎖もしくは二本鎖の核酸ポリマーを意味する。特定の実施形態において、上記ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、またはヌクレオチドのうちのいずれかのタイプの改変形態であり得る。上記改変としては、塩基改変(例えば、ブロモウリジン)、リボース改変(例えば、アラビノシドおよび2’,3’−ジデオキシリボース)およびヌクレオチド間連結改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート(phoshoraniladate)およびホスホロアミデートが挙げられる。用語「ポリヌクレオチド」は、具体的には、一本鎖および二本鎖形態のDNAを含む。
用語「天然に存在するヌクレオチド」とは、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「改変されたヌクレオチド」は、改変されたかもしくは置換された糖基などを有するヌクレオチドを含む。用語「オリゴヌクレオチド連結」は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート、ホスホロアミデートなどのようなオリゴヌクレオチド連結を含む。例えば、LaPlanche et al., 1986, Nucl. Acids Res., 14:9081; Stec et al., 1984, J. Am. Chem. Soc., 106:6077; Stein et al., 1988, Nucl. Acids Res., 16:3209; Zon et al., 1991, Anti−Cancer Drug Design, 6:539; Zon et al., 1991, OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES: A PRACTICAL APPROACH, pp. 87−108 (F. Eckstein, Ed.), Oxford University Press, Oxford England; Stec et al.,米国特許第5,151,510号; Uhlmann および Peyman, 1990, Chemical Reviews, 90:543(これらの開示は、いずれかの目的のために本明細書に参考として援用される)を参照のこと。オリゴヌクレオチドは、上記オリゴヌクレオチドもしくはそのハイブリダイゼーションの検出を可能にするために検出可能な標識を含み得る。
用語「ベクター」は、宿主細胞にコード情報を移入するために使用される任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、もしくはウイルス)に言及するために使用される。用語「発現ベクター」とは、宿主細胞の形質転換に適切であり、挿入される異種核酸配列の発現を指向および/もしくは制御する核酸配列を含むベクターに言及する。発現としては、転写、翻訳、およびRNAスプライシング(イントロンが存在すれば)のようなプロセスが挙げられるが、これらに限定されない。
当業者によって理解されるように、ポリヌクレオチドは、ゲノム配列、エクストラゲノム配列およびプラスミドコード配列、ならびにタンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するかもしくは発現する様に適合され得るより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。このようなセグメントは、天然に単離され得るか、または当業者によって合成で改変され得る。
当業者によって同様に認識されるように、ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であってもよいし、DNA(ゲノム、cDNAもしくは合成の)分子もしくはRNA分子であってもよい。RNA分子は、HnRNA分子(これは、イントロンを含み、DNA分子に1対1様式で対応する)、mRNA分子(これは、イントロンを含まない)を含み得る。さらなるコード配列もしくは非コード配列は、本開示に従うポリヌクレオチド内に存在し得るが、必要ではなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/もしくは支持物質に連結され得るが、必要ではない。ポリヌクレオチドは、天然配列を含んでいてもよいし、このような配列の改変体もしくは誘導体をコードする配列を含んでいてもよい。
従って、これらおよび関連の実施形態によれば、本開示はまた、本明細書に記載される抗IL−1β抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチド配列のうちのいくらかもしくは全て、およびこのようなポリヌクレオチドの相補体を含むポリヌクレオチドが提供される。
他の関連する実施形態において、ポリヌクレオチド改変体は、本明細書に記載される抗IL−1β抗体をコードするポリヌクレオチド配列に対して実質的同一性を有し得る。例えば、ポリヌクレオチドは、本明細書で記載される方法(例えば、以下に記載されるように、標準パラメーターを使用するBLAST分析)を使用して、参照ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載される抗体をコードする配列)と比較して、少なくとも70%配列同一性、好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%以上の配列同一性を含むポリヌクレオチドであり得る。当業者は、これら値が、コドン縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの配置などを考慮に入れることによって、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために適切に調節され得ることを認識する。
代表的には、ポリヌクレオチド改変体は、好ましくは、上記改変体ポリヌクレオチドによってコードされる上記抗体の結合親和性が、本明細書に具体的に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされる抗体に対して実質的に減少されないように、1もしくはより多くの置換、付加、欠失および/もしくは挿入を含む。
特定の他の関連する実施形態において、ポリヌクレオチドフラグメントは、本明細書に記載される抗体をコードする配列に同一かもしくは相補的な配列の連続する範囲の種々の長さを含み得るかもしくはこれから本質的になり得る。例えば、本明細書で開示される抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする配列の少なくとも約5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、200個、300個、400個、500個もしくは1000個以上の連続するヌクレオチドを含むかもしくはこれから本質的になるポリヌクレオチド、ならびにこれらの間の全ての中間の長さのポリヌクレオチドが提供される。「中間の長さ」とは、この文脈において、引用された値の間の任意の長さ(例えば、50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000まで全ての整数を含むなど)を意味することは、容易に理解される。本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列は、天然配列において見いだされないさらなるヌクレオチドによって、一方もしくは両方の末端において伸長され得る。このさらなる配列は、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドのいずれかの末端において、または本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドの両方の末端において、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、もしくは20個のヌクレオチドからなり得る。
別の実施形態において、本明細書で提供される抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチド配列、またはそのフラグメント、またはその相補配列に中程度から高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチドが、提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の分野において周知である。例示目的で、本明細書に提供されるポリヌクレオチドと他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するための適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予備洗浄工程;50℃〜60℃、5×SSCにおいて、一晩のハイブリダイズ工程;続いて、65℃において20分間にわたって2回の洗浄工程(各々、0.1% SDSを含む2×、0.5×および0.2×SSC)を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが、例えば、上記ハイブリダイゼーション溶液の塩含有量および/もしくはハイブリダイゼーションが行われる温度を変化させることによって容易に操作され得ることを理解する。例えば、別の実施形態において、適切な高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションの温度が増大される(例えば、60℃〜65℃もしくは65℃〜70℃へと)ことを除いて、上記に記載される条件を含む。
特定の実施形態において、上記で記載されるポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド改変体、フラグメント)およびハイブリダイズする配列は、IL−1βもしくはその抗原結合フラグメントを結合する抗体をコードする。他の実施形態において、このようなポリヌクレオチドは、少なくとも約50%、少なくとも約70%、および特定の実施形態において、少なくとも約90%IL−1βに結合する抗体もしくは抗原結合フラグメント、またはそのCDR、ならびに本明細書で具体的に示される抗体配列をコードする。さらなる実施形態において、このようなポリヌクレオチドは、本明細書に示される抗体より高い親和性で結合する、例えば、定量的に少なくとも約105%、106%、107%、108%、109%、もしくは110%、IL−1βに結合する抗体もしくは抗原結合フラグメント、またはそのCDR、ならびに本明細書で具体的に示される抗体配列をコードする。
本明細書で他の箇所に記載されるように、代表的ポリペプチド(例えば、本明細書に提供される改変体IL−1β特異的抗体、例えば、本明細書に提供される抗原結合フラグメントを有する抗体タンパク質)の三次元構造の決定は、選択された天然もしくは非天然のアミノ酸での、1もしくはより多くのアミノ酸の置換、付加、欠失もしくは挿入が、このように得られた構造改変体が、本開示の種の空間を埋める特性を保持するか否かを決定する目的で、実質的にモデル化され得るように、慣用的な方法論を介して行われ得る。種々のコンピュータープログラムは、例えば、親和性が維持されるかもしくはより良好な親和性が達成されるように、抗体内の適切なアミノ酸置換(もしくは上記アミノ酸配列をコードする適切なポリヌクレオチド)を決定することに関して、当業者に公知である。
コード配列自体の長さに拘わらず、本明細書に記載されるポリヌクレオチドもしくはそのフラグメントは、それらの長さ全体がかなり変動し得るように、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と合わされ得る。従って、ほぼ任意の長さの核酸フラグメントが使用され得、全体の長さは、好ましくは、調製の容易さおよび意図された組換えDNAプロトコルにおける使用によって限定されることは、予期される。例えば、長さが約10,000個、約5000個、約3000個、約2,000個、約1,000個、約500個、約200個、約100個、約50個の塩基対など(全ての中間の長さを含む)の全長を有する例示的ポリヌクレオチドセグメントは、有用であると予期される。
ポリヌクレオチド配列を比較する場合、2種の配列は、上記2種の配列におけるヌクレオチドの配列が、以下に記載されるように、最大限に対応するようにアラインされる場合に同じであれば、「同一」であるといわれる。2種の配列間の比較は、代表的には、比較ウインドウにわたって上記配列を比較して、配列類似性の局所的領域を同定および比較することによって行われる。「比較ウインドウ」とは、本明細書で使用される場合、少なくとも約20個の連続する位置、通常は、30〜約75個、40〜約50個のセグメントに言及し、ここで配列は、上記2種の配列が最適にアラインされた後に、連続する位置の同じ数の参照配列に対して比較され得る。
比較のための配列の最適なアラインメントは、デフォルトパラメーターを使用して、バイオインフォマティクスソフトウェアのLasergene統合パッケージ中のMegalignプログラムを使用して行われ得る(DNASTAR,Inc., Madison,WI)。このプログラムは、以下の参考文献に記載されるいくつかのアラインメントスキームを具現化する: Dayhoff,M.O. (1978) A model of evolutionary change in proteins − Matrices for detecting distant relationships. In Dayhoff,M.O. (ed.) Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol. 5,Suppl. 3,pp. 345−358; Hein J., Unified Approach to Alignment and Phylogenes,pp. 626−645 (1990); Methods in Enzymology vol. 183,Academic Press,Inc., San Diego,CA; Higgins,D.G. および Sharp,P.M., CABIOS 5:151−153 (1989); Myers,E.W. および Muller W., CABIOS 4:11−17 (1988); Robinson,E.D., Comb. Theor 11:105 (1971); Santou,N. Nes,M., Mol. Biol. Evol. 4:406−425 (1987); Sneath,P.H.A. および Sokal,R.R., Numerical Taxonomy − the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA (1973); Wilbur,W.J. および Lipman,D.J., Proc. Natl. Acad., Sci. USA 80:726−730 (1983)。
あるいは、比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith および Waterman,Add. APL. Math 2:482 (1981)の局所的同一性アルゴリズムによって、Needleman および Wunsch,J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の同一性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson および Lipman,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)の類似性検索方法によって、これらアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group (GCG),575 Science Dr., Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)のコンピューター化された実施によって、もしくは目視によって行われ得る。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために適したアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTアルゴリズムおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれ、Altschul et al., Nucl. Acids Res. 25:3389−3402 (1977)、およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403−410 (1990)に記載される。BLASTおよびBLAST 2.0は、例えば、本明細書に記載されるパラメーターとともに使用されて、2種以上の上記ポリヌクレオチドの中でパーセント配列同一性を決定し得る。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて公に入手可能である。1つに例示的な例において、累積スコアは、ヌクレオチド配列に関して、パラメーターM(マッチする残基対についてのリワードスコア(reward score);常に>0)およびN(ミスマッチする残基についてのペナルティースコア;常に<0)を使用して計算され得る。各方向におけるワードヒットの伸長は、以下の場合に中止される:上記累積アラインメントスコアがその最大限に達成された値から量Xだけ低下している場合;1つ以上の負のスコア付け残基アラインメント(negative−scoring residue alignment)の累積に起因して、上記累積スコアがゼロ以下になっている場合;またはいずれかの配列の最後に達した場合。上記BLASTアルゴリズムパラメーターであるW、TおよびXは、上記アラインメントの感度および速度を決定する。上記BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関して)は、デフォルトワード長(W) 11、および期待値(E) 10、およびBLOSUM62スコア付けマトリクス(Henikoff および Henikoff,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照のこと)アラインメント(B) 50、期待値(E) 10、M=5、N=−4および両方の鎖の比較として使用する。
特定の実施形態において、「配列同一性のパーセンテージ」とは、少なくとも20個の位置の比較ウィンドウにわたって、2種最適にアラインされた配列を比較することによって決定され、ここで上記比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、上記2種の配列の最適アラインメントのために参照配列(これは、付加も欠失も含まない)に対して比較される場合、付加もしくは欠失(すなわち、ギャップ) 20%以下(通常は、5〜15%、もしくは10〜12%)を含み得る。上記パーセンテージは、同一の核酸塩基が両方の配列において存在して、マッチした位置の数を生じる位置の数を決定し、上記マッチした位置の数を上記参照配列における位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で除算し、その結果に100をかけて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書に記載される抗体をコードする多くのヌクレオチド配列が存在することは、当業者によって認識される。これらポリヌクレオチドのうちのいくつかは、上記IL−1βに結合する抗体をコードする天然もしくは元のポリヌクレオチド配列のヌクレオチド配列に対して最小限の配列同一性を有する。にも拘わらず、コドン使用頻度における差異に起因して変動するポリヌクレオチドは、本開示によって明らかに企図される。特定の実施形態において、哺乳動物発現のためにコドン最適化された配列は、具体的に企図される。
従って、本発明の別の実施形態において、変異誘発アプローチ(例えば、部位特異的変異誘発)は、本明細書に記載される抗体の改変体および/もしくは誘導体の調製のために使用され得る。このアプローチによって、ポリペプチド配列における特定の改変が、それらをコードする根底にあるポリヌクレオチドの変異誘発を介して行われ得る。これら技術は、例えば、前述の考慮事項のうちの1つ以上を組み込んで、1種以上のヌクレオチド配列変化を上記ポリヌクレオチドへ導入することによって、配列改変体を調製および試験するための直接的アプローチを提供する。
部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接するヌクレオチドの使用を介して、十分なサイズおよび配列複雑性のプライマー配列を提供して、横切っている欠失接合点の両方の側に安定な二重鎖を形成して、変異の生成を可能にする。変異は、改善、変化、低下、改変、あるいはさもなければ、上記ポリヌクレオチド自体の特性を変化させ、そして/または上記コードされるポリペプチドの特性、活性、組成、安定性もしくは一配列を変化させるために、選択されたポリヌクレオチド配列において使用され得る。
特定の実施形態において、本発明者らは、上記コードされるポリペプチドの1つ以上の特性(例えば、抗体もしくはその抗原結合フラグメントの結合親和性、もしくは特定のFc領域の機能、もしくは特定のFcγRに対する上記Fc領域の親和性)を変化させるために、本明細書で開示される上記抗体もくは上記その抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチド配列の変異誘発を企図する。上記部位特異的変異誘発の技術は、当該分野で周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を作製するために広く使用されている。例えば、部位特異的変異誘発は、しばしば、DNA分子の特定の部分を変化させるために使用される。このような実施形態において、代表的には、約14〜約25ヌクレオチドなどの長さを含むプライマーが使用され、変化させられる配列の接合部の両側に約5〜約10残基を伴う
当業者によって認識されるように、部位特異的変異誘発技術は、しばしば、一本鎖および二本鎖両方の形態に存在するファージベクターを使用した。部位指向性変異誘発において有用な代表的ベクターとしては、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらファージは、容易に商業的に入手可能であり、それらの使用は、一般に、当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、部位指向性変異誘発において慣用的に使用され、これは、目的の遺伝子をプラスミドからファージへと乗り換えさせる工程を排除する。
一般に、本明細書に従う部位指向性変異誘発は、最初に、一本鎖ベクターを得るかもしくはその配列内に、所望のペプチドをコードするDNA配列含む二本鎖ベクターの2本の鎖を融解して分離する(melting apart)ことによって行われる。所望の変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般に、合成によって調製される。このプライマーは、次いで、上記一本鎖ベクターとアニールされ、上記変異を有する鎖の合成を完了するために、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI クレノウフラグメント)に供される。従って、ヘテロ二重鎖が形成され、ここで一方の鎖は、元の変異していない配列をコードし、第2の鎖は、所望の変異を有する。このヘテロ二重鎖ベクターは、次いで、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換するために使用され、上記変異した配列配置を有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
部位指向性変異誘発を使用する上記選択されたペプチドをコードするDNAセグメントの配列改変体の調製は、潜在的に有用な種を生成する手段を提供し、限定することは意味しない。なぜなら、ペプチドの配列改変体およびこれらをコードするDNA配列が得られ得る他の方法が存在するからである。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターは、変異誘発剤(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理されて、配列改変体を得ることができる。これら方法およびプロトコルに関する具体的な詳細は、以下の教示において見いだされる:Maloy et al., 1994; Segal、1976; Prokop および Bajpai、1991; Kuby、1994;およびManiatis et al., 1982(各々は、その目的のために本明細書に参考として援用される)。
本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド指向性変異誘発手順」は、その最初の濃度に対する特定の核酸分子の濃度における増大、もしくは検出可能なシグナルの濃度における増大(例えば、増幅)を生じるテンプレート依存性プロセスかつベクター媒介性増殖に言及する。本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド指向性変異誘発手順」とは、プライマー分子のテンプレート依存性長を含むプロセスに言及すると解釈される。用語、テンプレート依存性プロセスとは、核酸の新たに合成された鎖の配列が、相補的塩基対形成という周知の規則(例えば、Watson,1987を参照のこと)によって必然的に決められるRNA分子もしくはDNA分子の核酸合成に言及する。代表的には、ベクター媒介性の方法論は、DNAベクターもしくはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、上記ベクターのクローン性増幅、および上記増幅された核酸フラグメントの回収を包含する。このような方法論の例は、米国特許第4,237,224号(その全体において、本明細書に参考として具体的に援用される)によって提供される。
ポリペプチド改変体の生成のための別のアプローチにおいて、帰納的配列組換え(recursive sequence recombination)(米国特許第5,837,458号に記載されるとおり)が使用され得る。このアプローチにおいて、組換えおよびスクリーニングもしくは選択の反復サイクルは、例えば、増大した結合親和性を有する個々のポリヌクレオチド改変体を進化させるために行われる。特定の実施形態はまた、本明細書に記載される少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む、プラスミド、ベクター、転写もしくは発現カセットの形態にある構築物を提供する。
多くの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体をコードする核酸は、宿主細胞に直接導入され、上記細胞は、上記コードされる抗体の発現を誘導するに十分な条件下でインキュベートされる。本開示の抗体は、本明細書で提供されるポリペプチド配列および核酸配列と組み合わせて、当業者に周知の標準的技術を使用して調製される。上記ポリペプチド配列は、それによって開示される特定の抗体をコードする適切な核酸配列を決定するために使用され得る。上記核酸配列は、当業者に周知の標準的方法に従って、種々の発現系のための特定のコドン「優先性」を反映させるために最適化され得る。
特定の関連の実施形態によれば、本明細書に記載される1種以上の構築物を含む組換え宿主細胞;任意の抗体、CDR、VHもしくはVLドメイン、またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸;および上記コードされる生成物を生成するための方法(この方法は、そのためのコード核酸からの発現を含む)が提供される。発現は、都合の良いことには、適切な条件下で、上記核酸を含む組換え宿主細胞を培養することによって達成され得る。発現による生成後、抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、任意の適切な技術を使用して、単離および/もしくは精製され得、次いで、所望されるとおりに使用される。
本明細書で提供される抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ならびにコード核酸分子およびベクターは、例えば、それらの天然の環境から、実質的に純粋もしくは均一な形態において、または核酸の場合には、所望の機能を有するポリペプチドをコードする配列以外の供給源の核酸も遺伝子も含まないかもしくは実質的に含まずに、単離および/もしくは精製され得る。核酸は、DNAもしくはRNAを含み得、完全に合成されてもよいし、部分的に合成されてもよい。本明細書に示されるヌクレオチド配列への言及は、上記特定の配列を有するDNA分子を包含し、文脈が別のことを要しなければ、Tの代わりにUで置換されている上記特定の配列を有するRNA分子を包含する。
種々の異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニングおよび発現のためのシステムは、周知である。適切な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物細胞、酵母およびバキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現のために当該分野で利用可能な哺乳動物細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎臓細胞、NSOマウスメラノーマ細胞などが挙げられる。一般の、好ましい細菌宿主は、E.coliである。
原核生物細胞(例えば、E.coli)における抗体および抗原結合フラグメントの発現は、当該分野で十分に確立されている。総説については、例えば、Pluckthun、A. Bio/Technology 9: 545−551 (1991)を参照のこと。培養物中の真核生物細胞における発現はまた、抗体もしくはその抗原結合フラグメントの生成のための選択肢として、当業者に利用可能である。近年の総説(例えば、 Ref、M. E. (1993) Curr. Opinion Biotech. 4: 573−576; Trill J. J. et al. (1995) Curr. Opinion Biotech 6: 553−560)を参照のこと。
適切なベクターが選択もしくは構築され得、これらは、適切な調節配列(プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および適切な場合には他の配列を含む)を含む。ベクターは、プラスミド、適切な場合には、ウイルス(例えば、ファージ、もしくはファージミド)であり得る。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 2nd edition、Sambrook et al., 1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。例えば、核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、細胞へのDNAの導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質分析における核酸の操作のための多くの公知の技術およびプロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al. eds., John Wiley & Sons、1992、もしくはその後の改訂版に詳細に記載されている。
用語「宿主細胞」とは、本明細書に記載される抗体のうちの1種以上をコードする核酸配列を導入したか、または中に導入され得、かつ目的の選択された遺伝子(例えば、任意の本明細書で記載される抗体をコードする遺伝子)をさらに発現するかもしくは発現し得る細胞に言及するために使用される。上記用語は、子孫が元の親に対して形態もしくは遺伝的構成において同一であろうとなかろうと、上記選択された遺伝子が存在する限りにおいて、親細胞の子孫を含む。よって、このような核酸を宿主細胞導入する工程を包含する方法もまた、企図される。上記導入は、任意の利用可能な技術を使用し得る。真核生物に関しては、適切な技術としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介性トランスフェクションおよびレトロウイルスもしくは他のウイルス(例えば、ワクシニア、もしくは昆虫細胞に関しては、バキュロウイルス)を使用する形質導入が挙げられ得る。細菌細胞に関しては、適切な技術としては、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーションおよびバクテリオファージを使用するトランスフェクションが挙げられ得る。上記導入、上記核酸からの発現を引き起こすかもしくは可能にすること(例えば、宿主細胞を、上記遺伝子の発現のための条件下で培養すること)ができる。一実施形態において、上記核酸は、上記宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)に組み込まれる。組み込みは、標準的な技術に従って、上記ゲノムとの組換えを促進する配列を含めることによって、促進され得る。
本発明はまた、特定の実施形態において、特定のポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体)を発現させるために、発現系において上記のような構築物を使用する工程を包含する方法を提供する。用語「形質導入」とは、ある細菌から別の細菌への、通常はファージによる遺伝子の移入に言及するために使用される。「形質導入」はまた、レトロウイルスによる真核生物細胞配列の獲得および移入に言及する。用語「トランスフェクション」とは、細胞による外来もしくは外因性DNAの取り込みに言及するために使用され、細胞は、上記外因性DNAが、細胞膜の中に導入された場合に「トランスフェクト」されている。多くのトランスフェクション技術が当該分野で周知であり、本明細書で開示される。例えば、Graham et al., 1973、Virology 52:456; Sambrook et al., 2001,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratories; Davis et al., 1986,BASIC METHODS 1N MOLECULAR BIOLOGY,Elsevier;およびChu et al., 1981,Gene 13:197を参照のこと。このような技術は、1種以上の外因性DNA部分を適切な宿主細胞へと導入するために使用され得る。
用語「形質転換」とは、本明細書で使用される場合、細胞の遺伝的特徴における変化に言及し、細胞は、上記細胞が新たなDNAを含むように改変された場合に、形質転換されている。例えば、細胞は、その天然の状態から遺伝的に改変された場合に形質転換されている。トランスフェクションもしくは形質導入の後、上記形質転換を起こさせるDNAは、上記細胞の染色体へと物理的に組み込まれることによって、上記細胞のDNAと組換わり得るか、または複製されることなく、エピソームエレメントとして一過性に維持され得るか、またはプラスミドとして独立して複製され得る。細胞は、上記DNAが、上記細胞の分裂とともに複製される場合に、安定して形質転換されたと考えられる。用語「天然に存在する」もしくは「天然の」とは、生物学的物質(例えば、核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞など)に関連して使用される場合、天然において見いだされかつ人によって操作されていない物質に言及する。同様に、「天然に存在しない」もしくは「非天然の」とは、本明細書で使用される場合、天然において見いだされないか、または人によって構造的に改変されたかもしくは合成された物質に言及する。
用語「ポリペプチド」、「タンパク質」および「ペプチド」ならびに「糖タンパク質」とは、交換可能に使用され、任意の特定の長さに限定されないアミノ酸のポリマーを意味する。上記用語は、ミリスチル化、硫酸化、グリコシル化、リン酸化およびシグナル配列の付加もしくは欠失のような改変を排除しない。用語「ポリペプチド」もしくは「タンパク質」は、アミノ酸の1つ以上の鎖を意味し、ここで各鎖は、ペプチド結合によって共有結合的に連結されたアミノ酸を含み、そして上記ポリペプチドもしくはタンパク質は、非共有結合的におよび/もしくはペプチド結合によって共有結合的に一緒に結合された複数の鎖を含み得、天然タンパク質の配列を有し、すなわち、天然に存在しかつ具体的には非組み換え細胞、または遺伝的に操作されたかもしくは組換え細胞によって生成されるタンパク質の配列を有し、上記天然タンパク質のアミノ酸配列を有する分子、もしくは上記天然配列からの1もしくはより多くのアミノ酸の欠失、付加、および/もしくは置換を有する分子を含み得る。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、具体的には、本開示のIL−1βに結合する抗体、または抗IL−1β抗体の1もしくはより多くのアミノ酸の欠失、付加、および/もしくは置換を有する配列を包含する。従って、「ポリペプチド」もしくは「タンパク質」は、1つの(「モノマー」といわれる)もしくは複数の(「マルチマー」といわれる)アミノ酸鎖を含み得る。
本明細書で言及される用語「単離されたタンパク質」とは、本発明のポリペプチドが、(1)天然において代表的には一緒に見いだされる少なくともいくらかの他のタンパク質を含まないか、(2)同じ供給源に由来する(例えば、同じ種に由来する)他のタンパク質を本質的に含まないか、(3)異なる種に由来する細胞によって発現されるか、(4)天然においては一緒に会合されているポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、もしくは他の物質のうちの少なくとも約50%から分離されているか、(5)「単離されたタンパク質」が天然において会合しているタンパク質の一部と(共有結合的もしくは非共有結合的な相互作用によって)会合していないか、(6)天然において会合していないポリペプチドと(共有結合的もしくは非共有結合的な相互作用によって)作動可能に会合しているか、あるいは(7)天然においては存在しないことを意味する。このような単離されたタンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNAによってコードされ得るか、または合成起源もしくはこれらの任意の組み合わせのものであり得る。特定の実施形態において、上記単離されたタンパク質は、その用途(治療、診断、予防、研究もしくは他のもの)を妨害する、その天然の環境において見いだされるタンパク質もしくはポリペプチドもしくは他の夾雑物を実質的に含まない。
用語「ポリペプチドフラグメント」とは、天然に存在するかもしくは組換え生成されたポリペプチドのアミノ末端欠失、カルボキシル末端欠失、および/または内部欠失もしくは置換を有する、モノマーもしくはマルチマーであり得るポリペプチドに言及する。特定の実施形態において、ポリペプチドフラグメントは、アミノ酸鎖(少なくとも5〜約500アミノ酸長)を含み得る。特定の実施形態において、フラグメントは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、150、200、250、300、350、400、もしくは450のアミノ酸長であることが理解される。特に有用なポリペプチドフラグメントとしては、機能的ドメイン(抗体の抗原結合ドメインもしくはフラグメントが挙げられる)を含む。抗IL−1β抗体の場合、有用なフラグメントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CDR領域(特に、重鎖もしくは軽鎖のCDR3領域);重鎖もしくは軽鎖の可変領域;抗体鎖もしくはその可変領域の一部のみ(2個のCDRを含む)など(例えば、図1および配列表に提供される配列を参照のこと)。
ポリペプチドは、上記タンパク質のN末端においてシグナル(もしくはリーダー)配列を含み得、これ、上記タンパク質の移動を翻訳と同時にもしくは翻訳後に指示する。上記ポリペプチドはまた、合成の容易さ、上記ポリペプチドの精製もしくは同定(例えば、ポリHis)のために、または上記ポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカーもしくは他の配列にインフレームで融合されてもよいし、結合体化されてもよい。
ペプチドリンカー/スペーサー配列はまた、各ポリペプチドがその二次構造および/もしくは三次構造(所望されれば)へと折りたたまれるのを確実にするために十分な距離だけ、複数のポリペプチド成分を分離するために使用され得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的技術を使用して、融合ポリペプチドへと組み込まれ得る。
特定のペプチドスペーサー配列は、例えば、以下に基づいて選択され得る:(1)それらが可撓性の延びたコンホメーションを採用する能力;(2)それらが第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチド上の機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を採用する能力がないこと;ならびに/または(3)上記ポリペプチドの機能的エピトープと反応し得る疎水性残基もしくは荷電した残基がないこと。
1つの例示的実施形態において、ペプチドスペーサー配列は、例えば、Gly、AsnおよびSer残基を含む。他の中性に近いアミノ酸(例えば、ThrおよびAla)はまた、上記スペーサー配列に含まれ得る。
スペーサーとして有用に使用され得る他のアミノ酸配列としては、Maratea et al., Gene 40:39 46 (1985); Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258 8262 (1986);米国特許第4,935,233号および同第4,751,180号に開示されるものが挙げられる。
他の例示的スペーサーとしては、例えば、Glu−Gly−Lys−Ser−Ser−Gly−Ser−Gly−Ser−Glu−Ser−Lys−Val−Asp(Chaudhary et al., 1990、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:1066−1070)およびLys−Glu−Ser−Gly−Ser−Val−Ser−Ser−Glu−Gln−Leu−Ala−Gln−Phe−Arg−Ser−Leu−Asp (Bird et al., 1988、Science 242:423−426)が挙げられ得る。
いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、上記第1のおよび第2のポリペプチドが、機能的ドメインを分離し、立体障害を妨げるために使用され得る必ではないN末端アミノ酸領域を有する場合には、必要とされない。2種のコード配列は、いずれのスペーサーもなしで直接に、または例えば、ペンタマーであるGly−Gly−Gly−Gly−Serの1〜3回の反復から構成される可撓性のポリリンカーを使用することによって、融合され得る。このようなスペーサーは、VHとVLとの間に挿入されることによって、一本鎖抗体(scFv)を構築するにあたって使用されてきた(Bird et al., 1988、Science 242:423−426; Huston et al., 1988、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5979−5883)。
ペプチドスペーサーは、特定の実施形態において、上記一本鎖抗体の可変領域を形成する2つのβシート間の正確な相互作用を可能にするように設計される。
特定の例示的実施形態において、ペプチドスペーサーは、1〜5アミノ酸の間、5〜10アミノ酸の間、5〜25アミノ酸の間、5〜50アミノ酸の間、10〜25アミノ酸の間、10〜50アミノ酸の間、10〜100アミノ酸の間、もしくは任意の間の範囲にあるアミノ酸である。
他の例示的実施形態において、ペプチドスペーサーは、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50以上のアミノ酸長を含む。
本明細書に記載される抗体のアミノ酸配列改変が、企図される。例えば、上記抗体の結合親和性および/もしくは他の生物学的特性を改善することは望ましいことであり得る。例えば、抗体のアミノ酸配列改変体は、適切なヌクレオチド変化を上記抗体もしくはその鎖をコードするポリヌクレオチドに導入することによって、もしくはペプチド合成によって、調製され得る。このような改変としては、例えば、上記抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失および/もしくは挿入および/もしくは置換が挙げられる。欠失、挿入および置換の任意の組み合わせは、最終の抗体に達するように行われ得るが、ただし上記最終構築物は、所望の特徴(例えば、IL−1βに対する高親和性結合)を有する。上記アミノ酸変化はまた、上記抗体の翻訳後修飾プロセスを変化させ得る(例えば、グリコシル化部位の数もしくは位置を変更する)。本発明のポリペプチドについて上記のバリエーションおよび改変のうちのいずれかは、本発明の抗体に含まれ得る。
本開示は、本明細書で開示される抗体の改変体を提供する。特定の実施形態において、このような改変抗体もしくはその抗原結合フラグメント、もしくはCDRは、本明細書で具体的に示される抗体配列と同様に、少なくとも約50%、少なくとも約70%、および特定の実施形態において、少なくとも約90%でIL−1βに結合する。さらなる実施形態において、このような改変抗体もしくはその抗原結合フラグメント、もしくはCDRは、本明細書で示される抗体より大きな親和性でIL−1βに結合し、例えば、本明細書で具体的に示される抗体配列と同様に、少なくとも約105%、106%、107%、108%、109%、もしくは110%で定量的に結合する。
特定の実施形態において、本発明の抗体は、a)本明細書に記載される抗IL−1β抗体の重鎖可変領域に対して少なくとも80%同一、少なくとも95%同一、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;およびb)本明細書に記載される抗IL−1β抗体の軽鎖可変領域に対して少なくとも80%同一、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、を有し得る。例示的な重鎖領域および軽鎖領域のアミノ酸配列は、配列番号1〜12に示される。
特定の実施形態において、上記抗体は、a)i.本明細書に記載される選択された抗体の重鎖CDR1領域に対して、アミノ酸配列において同一であるCDR1領域;ii.上記選択された抗体の重鎖CDR2領域に対して、アミノ酸配列において同一であるCDR2領域;およびiii.上記選択された抗体の重鎖CDR3領域に対して、アミノ酸配列において同一であるCDR3領域を含む、重鎖可変領域;ならびにb)i.上記選択された抗体の軽鎖CDR1領域に対して、アミノ酸配列において同一であるCDR1領域;ii.上記選択された抗体の軽鎖CDR2領域に対して、アミノ酸配列において同一であるCDR2領域;およびiii.上記選択された抗体の軽鎖CDR3領域に対して、アミノ酸配列において同一であるCDR3領域を含む、軽鎖可変ドメインを含み得;ここで上記抗体は、選択された標的(例えば、IL−1β)を特異的に結合する。さらなる実施形態において、上記抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、上記VH領域およびVL領域のCDR領域における最大8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個以上のアミノ酸置換を除いて、上記選択された抗体に対して同一な重鎖および軽鎖を含む改変抗体である。この点に関して、上記選択された抗体のCDR領域において1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、または特定の実施形態において、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個以上のアミノ酸置換が存在し得る。置換は、上記VHおよび/もしくは上記VL領域おけるCDRのいずれかに存在し得る(例えば、Muller,1998,Structure 6:1153−1167を参照のこと)。
代表的なポリペプチド(例えば、本明細書で提供される改変IL−1β特異的抗体(例えば、本明細書で提供される抗原結合フラグメントを有する抗体タンパク質))の三次元構造の決定は、選択された天然もしくは非天然のアミノ酸での1もしくはより多くのアミノ酸の置換、付加、欠失もしくは挿入が、このように得られた構造改変体が、ここで開示された種の空間を埋める特性を保持するか否かを決定する目的で、実質的にモデル化され得るように、慣用的な方法論を介して行われ得る。例えば、Donate et al., 1994 Prot. Sci. 3:2378; Bradley et al., Science 309: 1868−1871 (2005); Schueler−Furman et al., Science 310:638 (2005); Dietz et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 103:1244 (2006); Dodson et al., Nature 450:176 (2007); Qian et al., Nature 450:259 (2007); Raman et al. Science 327:1014−1018 (2010)を参照のこと。これらおよび関連の実施形態のために(例えば、本明細書で提供されるそのIL−1β特異的抗体抗原結合ドメインの合理的な設計のために)使用され得るコンピューターアルゴリズムのいくつかのさらなる非限定的例としては、3−Dグラフィックスおよびビルトインスクリプティングを使用して大きな生体分子システムをディスプレイ、アニメ化および分析するための分子可視化プログラムであるVMDが挙げられる(Theoretical and Computational Biophysics Group,University of Illinois at Urbana−Champagneのウェブサイト、ks.uiuc.edu/Research/vmd/を参照のこと)。多くの他のコンピュータープログラムは、当該分野で公知であり、当業者に利用可能であり、これは、エネルギー最小化コンホメーションの空間を埋めるモデル(ファンデルワールス半径)から原子寸法を決定することを可能にする;GRID(これは、異なる化学基に対する高親和性の領域を決定して、それによって、結合を増強しようとする)、Monte Carlo検索(これは、数学的アラインメントを計算する)、ならびにCHARMM(Brooks et al. (1983) J. Comput. Chem. 4:187−217)およびAMBER(Weiner et al (1981) J. Comput. Chem. 106: 765)(これは、力場の計算および分析を評価する(Eisenfield et al. (1991) Am. J. Physiol. 261:C376−386; Lybrand (1991) J. Pharm. Belg. 46:49−54; Froimowitz (1990) Biotechniques 8:640−644; Burbam et al. (1990) Proteins 7:99−111; Pedersen (1985) Environ. Health Perspect. 61:185−190; および Kini et al. (1991) J. Biomol. Struct. Dyn. 9:475−488もまた参照のこと)。種々の適切なコンピューターによるコンピュータープログラムはまた、市販されている(例えば、Schroedinger(Munich、Germany)から)。
本発明の別の実施形態において、上記抗IL−1β抗体およびそのヒト化バージョンは、ウサギモノクローナル抗体に由来し、特に、RabMAb(登録商標)技術を使用して生成される。これら抗体は、最小の配列改変しか必要とせず、それによって、mutational lineage guided (MLG)ヒト化技術(例えば、米国特許第7,462,697号を参照のこと)を使用してヒト化した後に、機能的特性の保持を促進するので、有利である。従って、本開示の抗IL−1β抗体を作製するための例示的方法としては、例えば、米国特許第5,675,063号および同第7,429,487号に記載されるRabMab(登録商標)ウサギモノクローナル抗体技術が挙げられる。この点に関して、特定の実施形態において、本開示の抗IL−1β抗体は、ウサギにおいて生成される。特定の実施形態において、ウサギ脾細胞と融合し得るウサギ由来不死化Bリンパ球は、抗体を生成するハイブリッド細胞を生成するために使用される。上記不死化Bリンパ球は、内因性免疫グロブリン重鎖を検出可能に発現せず、特定の実施形態においては、変化した免疫グロブリン重鎖コード遺伝子を含み得る。
(組成物および使用方法)
本開示は、上記IL−1β特異的抗体、その抗原結合フラグメントを含む組成物、および種々の治療状況におけるこのような組成物の投与を提供する。
純粋形態もしくは適切な薬学的組成物における本明細書で記載されるIL−1β特異的抗体の投与は、類似の有用性を果たすために、薬剤の受容された投与様式のうちのいずれかを介して行われ得る。上記薬学的組成物は、抗体もしくは抗体含有組成物と、適切な生理学に受容可能なキャリア、希釈剤もしくは賦形剤とを合わせることによって調製され得、固体、半固体、液体もしくはガス様の形態(例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射物、吸入物、ゲル、マイクロスフェア、およびエアロゾル)において、調製物の中に処方され得る。さらに、他の薬学的に活性な成分(本明細書中の他の箇所で記載される他の抗癌剤を含む)および/もしくは適切な賦形剤(例えば、塩、緩衝化剤および安定化剤)は、上記組成物内に存在し得るが、必要ではない。投与は、種々の異なる経路(経口、非経口、鼻、静脈内、皮内、皮下もしくは局所が挙げられる)によって達成され得る。好ましい投与形態は、処置もしくは予防されるべき状態の性質に依存する。投与後に、癌の進行および/もしくは転移を低下、阻害、予防もしくは遅らせる量は、有効であると考えられる。
特定の実施形態において、上記投与される量は、熟練した臨床医に公知の、特定の疾患適応症の炎症症状および自己免疫症状の臨床的に関連する低下を生じるのに十分である。
処置の正確な投与量および持続時間は、処置されている疾患の関数であり、公知の試験プロトコルを使用して、または当該分野で公知のモデル系において上記組成物を試験し、そこから外挿することによって、経験的に決定され得る。制御された臨床試験も、行われ得る。投与量はまた、軽減されるべき状態の重篤度とともに変動し得る。薬学的組成物は、一般に、望ましくない副作用を最小限にすると同時に、治療上有用な効果を発揮させるために処方および投与される。上記組成物は、一度に投与されてもよいし、多くのより小さな用量に分けて、時間間隔を空けて投与されてもよい。任意の特定の被験体に関して、具体的な投与レジメンは、上記個体のニーズに従って、経時的に調節され得る。
上記IL−1β特異的抗体含有組成物は、単独で、もしくは他の公知の癌処置(例えば、放射線療法、化学療法、移植、免疫療法、ホルモン療法、光線力学療法など)と組み合わせて、投与され得る。上記組成物はまた、抗生物質と組み合わせて投与され得る。
このようにしてこれらおよび関連の薬学的組成物を投与する代表的経路としては、経口、局所、皮内、吸入、非経口、舌下、口内、直腸、膣、および鼻内が挙げられるが、これらに限定されない。用語、非経口とは、本明細書で使用される場合、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射もしくは注入技術を含む。本発明の特定の実施形態に従う薬学的組成物は、そこに含まれる活性成分が、上記組成物を患者に投与した際に、生物利用可能であることを可能にするように、処方される。被験体もしくは患者に投与される組成物は、1つ以上の投与単位の形態をとり得る。ここで例えば、錠剤は、単一投与形態であり得、エアロゾル形態にある本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体の容器は、複数の投与単位を保持し得る。このような投与形態を調製する実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明らかである;例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)を参照のこと。投与されるべき上記組成物は、いずれにしても、本明細書中の教示に従って、目的の疾患もしくは状態の処置のために治療上有効な量の本開示の抗体を含む。
薬学的組成物は、固体もしくは液体の形態にあり得る。一実施形態において、上記キャリアは、上記組成物が、例えば、錠剤もしくは散剤形態にあるように、粒状である。上記キャリアは液体であり得、上記組成物は、例えば、経口用の油、注射用液体もしくはエアロゾル(これは、例えば、吸入投与に有用である)である。経口投与について意図される場合、上記薬学的組成物は、好ましくは、固体形態もしくは液体形態のいずれかにあり、ここで半固体、半液体、懸濁物およびゲル形態が、固体もしくは液体のいずれかとして、本明細書で考慮される形態の中に含まれる。
経口投与のための固体組成物として、上記薬学的組成物は、散剤、粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューイングガム、ウェハなどへと処方され得る。このような固体組成物は、代表的には、1種以上の不活性希釈剤もしくは食用のキャリアを含む。さらに、以下のうちの1種以上が、存在し得る:結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプン、ラクトースもしくはデキストリン)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンスターチなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotex);滑剤(例えば、コロイド性二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースもしくはサッカリン);矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジフレーバー);および着色剤。上記薬学的組成物がカプセル剤(例えば、ゼラチンカプセル)の形態にある場合、それは、上記のタイプの材料に加えて、液体キャリア(例えば、ポリエチレングリコールもしくは油)を含み得る。
上記薬学的組成物は、液体の形態(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、エマルジョンもしくは懸濁物)にあり得る。上記液体は、2つの例として、経口投与のためもしくは注射による送達のためであり得る。経口投与に関して意図される場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味剤、保存剤、色素/着色料および香味増強剤(flavor enhancer)のうちの1種以上を含む。注射によって投与されることが意図される組成物において、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝化剤、安定化剤および等張剤のうちの1種以上が、含められ得る。
上記液体薬学的組成物は、それらが液剤、懸濁物もしくは他の類似の形態であろうと、以下の補助物質のうちの1種以上を含み得る:滅菌希釈剤(例えば、注射用水、塩類溶液、好ましくは、生理食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、不揮発性油例えば、溶媒もしくは懸濁媒体として働き得る合成のモノグリセリドもしくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールもしくは他の溶媒);抗細菌剤(例えば、ベンジルアルコールもしくはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸もしくは亜硫酸水素ナトリウム);キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝化剤(例えば、アセテート、シトレートもしくはホスフェート、および張度を調節するための薬剤(例えば、塩化ナトリウムもしくはデキストロース))。非経口調製物は、ガラスもしくはプラスチックから作製されるアンプル、使い捨てシリンジもしくは複数用量バイアル中に閉じ込められ得る。生理食塩水は、好ましい補助物質である。注射用薬学的組成物は、好ましくは、無菌である。
非経口もしくは経口投与のいずれかが意図された液体薬学的組成物は、適切な投与量が得られるように、本明細書で開示されるIL−1β特異的抗体のある量を含むべきである。代表的には、この量は、上記組成物において少なくとも0.01%の上記抗体である。経口投与が意図される場合、この量は、上記組成物の重量のうちの0.1〜約70%の間であるように変化し得る。特定の経口用薬学的組成物は、約4%〜約75%の間の上記抗体を含む。特定の実施形態において、本発明に従う薬学的組成物および調製物は、非経口投与単位が希釈前に、0.01〜10重量%の間の上記抗体を含むように、調製される。
上記薬学的組成物は、局所投与について意図され得、この場合、上記キャリアは、適切には、液剤、エマルジョン、軟膏剤もしくはゲル基剤を含み得る。上記基剤は、例えば、以下のうちの1種以上を含み得る:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、ミネラルオイル、希釈剤(例えば、水およびアルコール)、ならびに乳化剤および安定化剤。濃化剤は、局所投与のために薬学的組成物中に存在し得る。経皮的投与が意図される場合、上記組成物は、経皮パッチもしくはイオン導入デバイスを含み得る。上記薬学的組成物は、例えば、坐剤の形態において、直腸投与について意図され得る。上記坐剤は、直腸中で融解し、上記薬物を放出する。上記直腸投与のための組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性の基剤を含み得る。このような基剤としては、ラノリン、カカオ脂およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
上記薬学的組成物は、固体もしくは液体の投与形態の物理的形態を改変する種々の材料を含み得る。例えば、上記組成物は、上記活性成分の周りのコーティング殻を形成する材料を含み得る。上記コーティング殻を形成する材料は、代表的には、不活性であり、例えば、糖、シェラック、および他の腸溶性コーティング薬剤から選択され得る。あるいは、上記活性成分は、ゼラチンカプセル剤中に入れられ得る。固体もしくは液体の形態にある上記薬学的組成物は、本発明の抗体に結合し、それによって、上記化合物の送達を補助する薬剤を含み得る。この能力において作用し得る適切な薬剤としては、他のモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、1種以上のタンパク質またはリポソームが挙げられる。上記薬学的組成物は、エアロゾルとして投与され得る投与単位から本質的になり得る。用語エアロゾルは、コロイド性の性質のものから加圧されたパッケージからなるシステムまでの範囲に及ぶ種々のシステムを指すために使用される。送達は、液化ガスもしくは加圧ガスによるものであり得るか、または上記活性成分を分与する適切なポンプシステムによるものであり得る。エアロゾルは、上記活性成分を送達するために、単相、二相、もしくは三相のシステムにおいて送達され得る。上記エアロゾルの送達は、必要な容器、作動器、バルブ、補助容器(subcontainer)などを含み、これらは一緒に、キットを形成し得る。当業者は、過度な実験なくして、好ましいエアロゾルを決定し得る。
上記薬学的組成物は、薬学分野において周知の方法論によって調製され得る。例えば、注射による投与が意図された薬学的組成物は、本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体、および必要に応じて、塩、緩衝化剤および/もしくは安定化剤のうちの1種以上を含む組成物と、溶液を形成するように滅菌蒸留水とを合わせることによって調製され得る。界面活性剤は、均質な溶液もしくは懸濁物の形成を促進するために添加され得る。界面活性剤は、水性の送達系において、上記抗体の溶解もしくは均質な懸濁を容易にするように、上記抗体組成物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
上記組成物は、治療上有効な量において投与され得る。これは、種々の要因に依存して変動し、上記要因としては、使用される特定の化合物(例えば、IL−1β特異的抗体)の活性;上記化合物の代謝安定性および作用時間の長さ;上記患者の年齢、体重、全身的な健康状態、性別、および食餌;投与様式および投与時間;排出速度;薬物組み合わせ;上記特定の障害もしくは状態の重篤度;および治療を受けている被験体が挙げられる。一般に、治療上有効な毎日の用量は、(70kgの哺乳動物に関して)約0.001mg/kg(すなわち、0.07mg)〜約100mg/kg(すなわち、7.0g)であり;好ましくは、治療上有効な用量は、(70kgの哺乳動物に関して)約0.01mg/kg(すなわち、0.7mg)〜約50mg/kg(すなわち、3.5g)であり;より好ましくは、治療上有効な用量は、(70kgの哺乳動物に関して)約1mg/kg(すなわち、70mg)〜約25mg/kg(すなわち、1.75g)である。
本開示のIL−1β特異的抗体を含む組成物はまた、1種以上の他の治療剤の投与と同時に、その前に、もしくはその後に、投与され得る。このような組み合わせ治療は、本発明の化合物および1種以上のさらなる活性薬剤を含む単一の薬学的投与処方物の投与、ならびに本発明の抗体および活性薬剤をそれら自体の別個の薬学的投与処方物において含む組成物の投与を含み得る。例えば、本明細書に記載される抗体および他の活性薬剤は、単一の経口投与組成物(例えば、錠剤もしくはカプセル剤)において一緒に上記患者に投与され得るか、または各薬剤が別個の経口投与処方物において投与され得る。同様に、本明細書に記載される抗体および上記他の活性薬剤は、単一の非経口投与組成物において(例えば、食塩水もしくは他の生理学的に受容可能な溶液において)一緒に上記患者に投与され得るか、または各薬剤が別個の非経口投与処方物において投与され得る。別個の投与処方物が使用される場合、抗体および1種以上のさらなる活性薬剤を含む上記組成物は、本質的に同時に(at same time)(すなわち、同時に(concurrently))、または別個に時間をずらして(すなわち、逐次的にかつ任意の順番で)投与され得る;組み合わせ治療は、全てのこれらレジメンを含むことが理解される。
従って、特定の実施形態において、1種以上の他の治療剤と組み合わせた本開示の抗IL−1β抗体組成物の投与もまた、企図される。このような治療剤は、本明細書に記載されるように、特定の疾患状態(例えば、関節リウマチ、炎症もしくは癌)の標準的処置として当該分野で受け入れられ得る。企図される例示的治療剤は、サイトカイン、増殖因子、ステロイド、NSAID、DMARD、抗炎症剤、化学療法剤、放射線療法剤、または他の活性薬剤および補助薬剤が挙げられる。
特定の実施形態において、本明細書で開示される抗IL−1β抗体は、任意の数の化学療法剤と関連して投与され得る。化学療法剤の例としては、以下が挙げられる:アルキル化剤(例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXANTM);アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン);アジリジン(例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパ);エチレンイミンおよびメチルアミルアミン(methylamelamines)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む);ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード);ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン);抗生物質(例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン);代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU));葉酸アナログ(例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート);プリンアナログ(例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン);ピリミジンアナログ(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FU);アンドロゲン(例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン);抗アドレナリン(anti−adrenals)(例えば、アミノグルテチミド、ミトータン、トリロスタン);葉酸補液(folic acid replenisher)(例えば、フォリン酸(frolinic acid));アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジコン;エフロルニチン(elformithine);エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.RTM.;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;gacytosine;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド(例えば、パクリタキセル(タキソール(登録商標),Bristol−Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)およびドセタキセル(タキソテール(登録商標)., Rhne−Poulenc Rorer, Antony, France));クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼインヒビターRFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluoromethylomithine)(DMFO);レチノイン酸誘導体(例えば、TargretinTM(ベキサロテン)、PanretinTM(アリトレチノイン);ONTAKTM(デニロイキンジフチトクス);エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩、酸もしくは誘導体。腫瘍に対するホルモン作用を調節もしくは阻害する様に作用する抗ホルモン剤(例えば、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston)が挙げられる));抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン);および上記のうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩、酸もしくは誘導体もまた、この定義中に含まれる。
種々の他の治療剤は、本明細書に記載される抗IL−1β抗体と関連して、使用され得る。一実施形態において、上記抗体は、抗炎症剤とともに投与される。抗炎症剤もしくは抗炎症薬としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ステロイドおよびグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンが挙げられる)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬、シクロホスファミドおよびミコフェノレートが挙げられる)。
例示的NSAIDsは、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、Cox−2インヒビター(例えば、VIOXX(登録商標)(ロフェコキシブ)およびCELEBREX(登録商標)(セレコキシブ)、ならびにシアリレートからなる群より選択される。例示的鎮痛薬は、アセトアミノフェン、オキシコドン、トラマドールもしくは塩酸プロポキシフェン(proporxyphene hydrochloride)からなる群より選択される。例示的グルココルチコイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、もしくはプレドニゾンからなる群より選択される。例示的な生物学的応答改変因子としては、細胞表面マーカー(例えば、CD4、CD5など)に対して指向される分子、サイトカインインヒビター(例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))およびインフリキシマブ(REMICADE(登録商標)))、ケモカインインヒビターおよび接着分子インヒビターが挙げられる。上記生物学的応答改変因子としては、モノクローナル抗体、ならびに組換え形態の分子を含む。例示的DMARDsとしては、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、金(経口(オーラノフィン)および筋肉内)およびミノサイクリンが挙げられる。
特定の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、サイトカインに関連して投与される。「サイトカイン」とは、本明細書で使用される場合、ある細胞集団によって放出され、細胞メディエーターとして別の細胞に対して作用するタンパク質の包括的用語を意味する。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中には、以下が含まれる:成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン);副甲状腺ホルモン;サイロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン(例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH));肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−αおよび腫瘍壊死因子−β;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経増殖因子(例えば、NGF−β);血小板増殖因子;トランスホーミング増殖因子(TGFs)(例えば、TGF−αおよびTGF−β);インスリン様増殖因子−Iおよびインスリン様増殖因子−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロン(例えば、インターフェロン−α、−β、および−γ);コロニー刺激因子(CSFs)(例えば、マクロファージ−CSF(M−CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF);および顆粒球−CSF(G−CSF));インターロイキン(ILs)(例えば、IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12;IL−15、腫瘍壊死因子(例えば、TNF−αもしくはTNF−β);および他のポリペプチド因子(LIFおよびkitリガンド(KL)が挙げられる)。本明細書で使用される場合、用語、サイトカインは、天然供給源に由来するか、もしくは組換え細胞培養に由来するタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体を含む上記組成物は、本明細書に記載される疾患(炎症性障害および自己免疫障害が挙げられるが、これらに限定されない)に罹患した個体に投与され得る。特に、本明細書に記載される抗体は、関節リウマチ、糖尿病、痛風、クリオピリン関連周期性症候群、慢性閉塞性肺疾患および種々の心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症および脈管炎)の処置に有用である。本発明の抗体は、関節の無菌的炎症(sterile inflammation)、漿膜炎、発熱、および皮膚病変という攻撃によって特徴付けられる自己免疫性および炎症性の症候群の処置に有用である。炎症性疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:クローン病、大腸炎、皮膚炎、乾癬、憩室炎、肝炎、過敏性腸症候群(IBS)、全身性エリテマトーデス、腎炎、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、関節炎、関節リウマチ、喘息、および種々の心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症および脈管炎)。一実施形態において、本開示は、必要な患者に、治療上有効量の、本明細書で開示される組成物を投与することによって、炎症もしくは炎症性疾患を処置するか、その重篤度を低下させるか、またはそれを予防するための方法を提供する。抗IL−1β抗体を含む本発明の組成物は、自己免疫疾患(例えば、関節炎(関節リウマチ、反応性関節炎が挙げられる)、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬および炎症性腸疾患(IBD)、脳脊髄炎、ぶどう膜炎、重症筋無力症、多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、自己免疫肝炎、自己免疫性脱毛症、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、線維筋痛症、尋常性天疱瘡、シェーグレン症候群、川崎病、甲状線機能亢進症/グレーブス病、甲状腺機能低下症/橋本病、子宮内膜症、強皮症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、ヴェグナー病(Wegener’s disease)、糸球体腎炎、再生不良性貧血(何度も輸注した再生不良性貧血患者を含む)、発作性夜間ヘモグロビン尿症、骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、エバンズ症候群、第VIII因子インヒビター症候群(Factor VIII inhibitor syndrome)、全身性血管炎、皮膚筋炎、多発性筋炎およびリウマチ熱、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性水疱性類天疱瘡、パーキンソン病(Parkinson’s)、サルコイドーシス、白斑、原発性胆汁性肝硬変、および自己免疫性心筋炎)を処置するために有用である。
ヒト疾患の処置のためのインビボ使用に関して、本明細書に記載される抗体は、一般に、投与前に薬学的組成物へと組み込まれる。薬学的組成物は、本明細書に記載される抗体のうちの1種以上を、本明細書中の他の箇所で記載される生理学に受容可能なキャリアもしくは賦形剤と組み合わせて含む。薬学的組成物を調製するために、有効量の、上記化合物のうちの1種以上は、特定の投与様式に適切であるように、当業者に公知の任意の薬学的キャリアもしくは賦形剤と混合される。薬学的キャリアは、液体、半液体もしくは固体であり得る。非経口、皮内、皮下もしくは局所的な適用のために使用される溶液もしくは懸濁物は、例えば、滅菌希釈剤(例えば、水)、食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールもしくは他の合成溶媒;抗微生物剤(例えば、ベンジルアルコールおよびメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウム)およびキレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));緩衝化剤(例えば、アセテート、シトレートおよびホスフェート)を含み得る。静脈内投与される場合、適切なキャリアとしては、生理食塩水もしくはリン酸緩衝化食塩水(PBS)、ならびに濃化剤および可溶化剤(例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびこれらの混合物)を含む溶液が挙げられる。
本明細書に記載されるIL−1β特異的抗体を含む上記組成物は、身体からの迅速な排除から上記抗体を保護するキャリアとともに調製され得る(例えば、時間放出処方物もしくはコーティング)。このようなキャリアは、制御放出処方物(例えば、移植物および微小被包送達系、および生分解性、生体適合性ポリマー(例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸および当業者に公知の他のもの)が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。
IL−1βを結合する抗体を使用する処置方法が本明細書で提供される。一実施形態において、本発明の抗体は、IL−1βの不適切な発現を伴う疾患(これは、本開示の状況において、例えば、存在するタンパク質の量、もしくは変異タンパク質の存在、もしくはその両方における変化(例えば、統計的に有意な増大もしくは低下)に起因して、異常なIL−1β発現もしくは活性によって特徴付けられる疾患および障害を含むことが意味される)を有する患者に投与される。過剰は、任意の原因に起因し得、上記原因としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:分子レベルでの過剰発現、作用部位での長期間のもしくは累積した発生、または通常検出可能であるものに対してIL−1βの増大した(例えば、統計的に有意な様式において)活性。このようなIL−1β過剰は、正常の発現、発生もしくはIL−1βシグナル伝達事象の活性に対して測定され得、上記測定は、本明細書に記載される抗体の開発および/もしくは臨床試験において重要な役割を果たし得る。
別の実施形態は、種々の炎症性疾患もしくは自己免疫疾患のうちのいずれかを処置するか、その進行を阻害するかもしくは上記疾患を予防するための方法を提供し、上記方法は、これら疾患のうちの1種以上に罹患した患者に、治療上有効な量の本明細書で開示されるIL−1β特異的抗体を投与することによる。
別の実施形態において、本発明の抗IL−1β抗体は、結合した抗原の構造(例えば、立体エピトープ)を決定するために使用され、その構造は、次いで、例えば、化学モデリングおよびSAR法を介して、この構造を有するかもしくは摸倣する化合物を開発するために使用され得る。
本発明の種々の他の実施形態は、一部は、IL−1βを発現する細胞もしくは組織の存在を検出するための診断適用に関する。従って、本開示は、サンプル中のIL−1βを検出するための方法を提供する(例えば、IL−1βを発現する細胞もしくは組織の検出)。このような方法は、種々の公知の検出形式(免疫組織化学(IHC)、免疫細胞化学(ICC)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、ホールマウントインサイチュハイブリダイゼーション(WISH)、蛍光DNAインサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、フローサイトメトリー、酵素イムノアッセイ(EIA)、および酵素結合イムノアッセイ(ELISA)が挙げられるが、これらに限定されない)において適用され得る。
ISHは、標識された相補的DNAもしくはRNA鎖(すなわち、1次結合剤)を使用して、細胞もしくは組織の一部もしくは切片(インサイチュ)における特定のDNA配列もしくはRNA配列を位置決定する1タイプのハイブリダイゼーションである(または上記組織が十分小さければ、上記組織全体(ホールマウントISH)である)。当業者は、これが、免疫組織化学とは別個であり、免疫組織化学は、1次結合剤として抗体を使用して、組織切片におけるタンパク質を位置決定することを認識する。DNA ISHは、染色体の構造を決定するために、ゲノムDNAに対して使用され得る。蛍光DNA ISH(FISH)は、例えば、染色体完全性を評価するために医学的診断において使用され得る。RNA ISH(ハイブリダイゼーション組織化学)は、組織切片もしくはホールマウント内のmRNAおよび他の転写物を測定し、位置決めするために使用される。
用語「タグ化されたエピトープ(epitope tagged)」とは、本明細書で使用される場合、「タグ」ポリペプチドに融合されたポリペプチド(例えば、本発明の抗体もしくはフラグメント)を含むキメラポリペプチドに言及する。上記タグポリペプチドは、抗体が作製され得るエピトープを提供するために十分な残基を有するが、融合される上記ポリペプチドの活性を妨げないように十分短い。上記タグポリペプチドはまた、好ましくは、上記抗体が他のエピトープと実質的に交叉反応しないように、かなり特有である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6個のアミノ酸残基、および通常は、約8〜50個の間のアミノ酸残基(好ましくは、約10〜20個の間のアミノ酸残基)を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるキメラポリペプチドにおいて見いだされるとおりの上記エピトープタグは、例えば、上記タグ化されたタンパク質を同定および単離するために有用である。
種々のタグポリペプチドおよびそれらそれぞれの抗体は、当該分野で周知である。例としては、ポリ−ヒスチジン(HIS6;ポリ−his)タグもしくはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−his−gly)タグ;インフルエンザHAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Field et al., Mol. Cell. Biol., 8:2159−2165 (1988));c−mycタグ、ならびにこれに対する8F9抗体、3C7抗体、6E10抗体、G4抗体、B7抗体および9E10抗体(Evan et al., Molecular and Cellular Biology, 5:3610−3616 (1985);ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6):547−553 (1990))が挙げられる。別の例は、FLAG−ペプチド(Hopp et al., BioTechnology, 6:1204−1210 (1988))であり、これは、抗FLAG M2モノクローナル抗体(Sigma, St. Louis, MO)によって認識される。上記FLAGペプチドを含むタンパク質の精製は、アガロースに共有結合された上記抗FLAG M2モノクローナル抗体を含むアフィニティーマトリクス(Eastman Kodak Co., New Haven, CT)を使用するイムノアフィニティークロマトグラフィーによって行われ得る。他のタグポリペプチドの例としては、KT3エピトープペプチド(Martin et al., Science, 255:192−194 (1992));α−チューブリンエピトープペプチド(Skinner et al., J. Biol. Chem., 266:15163−15166 (1991));およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz−Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393−6397 (1990))が挙げられる。
種々の実施形態において、本明細書に記載される抗体は、直接的もしくは間接的に検出され得る検出可能な標識に結合体化される。この点に関して、抗体「結合体」とは、検出可能な標識に共有結合されている抗IL−1β抗体に言及する。本発明において、DNAプローブ、RNAプローブ、モノクローナル抗体、その抗原結合フラグメントおよびその抗体誘導体(例えば、一本鎖可変フラグメント抗体もしくはエピトープタグ化抗体)は、検出可能な標識に共有結合され得る。「直接検出」において、1種のみの検出可能な抗体(すなわち、1次検出抗体)が使用される。従って、直接検出は、検出可能な標識に結合体化される上記抗体が、第2の抗体(二次抗体)を添加する必要なく、それ自体検出され得ることを意味する。
「検出可能な標識」とは、サンプル中の上記標識の存在および/もしくは濃度を示す、検出可能な(例えば、視覚的に、電気的にもしくは別の方法で)シグナルを生成し得る分子もしくは物質である。抗体に結合体化される場合、上記検出可能な標識は、上記具体的な抗体が指向される標的を位置決めおよび/もしくは定量するために、使用され得る。それによって、サンプル中の上記標的の存在および/もしくは濃度は、上記検出可能な標識によって生成されるシグナルを検出することによって、検出され得る。検出可能なシグナルは、直接的もしくは間接的に検出され得、異なる特異的抗体に結合体化されたいくつかの異なる検出可能な標識が、1種以上の標的を検出するために組み合わせて使用され得る。
直接検出され得る検出可能な標識の例としては、蛍光色素および放射活性物質および金属粒子が挙げられる。対照的に、間接的検出は、上記一次抗体の適用後に、1種以上のさらなる抗体(すなわち、二次抗体)の適用を要する。従って、上記検出は、上記検出可能な一次抗体への上記二次抗体もしくは結合剤の結合の検出によって行われる。第2の結合剤もしくは抗体の付加を要する検出可能な1次結合剤もしくは一次抗体の例としては、酵素により検出可能な結合剤およびハプテンにより検出可能な結合剤もしくは抗体が挙げられる。
いくつかの実施形態において、上記検出可能な標識は、上記第1の結合剤を含む核酸ポリマーに結合体化される(例えば、ISH、WISH、もしくはFISHプロセスにおいて)。他の実施形態において、上記検出可能な標識は、上記第1の結合剤を含む抗体に結合体化される(例えば、IHCプロセスにおいて)。
本開示の方法において使用される抗体に結合体化され得る検出可能な標識の例としては、蛍光標識、酵素標識、放射性同位体、化学発光標識、電気化学発光標識、生体発光標識、ポリマー、ポリマー粒子、金属粒子、ハプテン、および色素が挙げられる。
蛍光標識の例としては、以下が挙げられる:5−(および6)−カルボキシフルオレセイン、5−もしくは6−カルボキシフルオレセイン、6−(フルオレセイン)−5−(および6)−カルボキサミドヘキサン酸、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、テトラメチルローダミン、ならびに色素(例えば、Cy2、Cy3、およびCy5)、必要に応じて置換されたクマリン(AMCAが挙げられる)、PerCP、フィコビリタンパク質(R−フィコエリトリン(RPE)およびアロフィコエリトリン(APC)が挙げられる)、テキサスレッド、プリンストンレッド、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびこれらのアナログ、ならびにR−フィコエリトリンもしくはアロフィコエリトリンの結合体、無機蛍光標識(例えば、被覆されたCdSeナノ結晶のような半導体材料に基づく粒子)。
ポリマー粒子標識の例としては、ポリスチレン、PMMAもしくはシリカのミクロ粒子もしくはラテックス粒子(蛍光色素と共に組み込まれ得る)、または色素、酵素もしくは基質を含むポリマーミセルもしくはカプセルが挙げられる。
金属粒子標識の例としては、金粒子および被覆された金粒子が挙げられ、これらは、銀染色によって変更され得る。ハプテンの例としては、DNP、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ビオチン、およびジゴキシゲニンが挙げられる。酵素標識の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(ALPもしくはAP)、β−ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼおよびグルコースオキシダーゼ(GO)が挙げられる。西洋ワサビペルオキシダーゼの一般に使用される基質の例としては、以下が挙げられる:3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、ジアミノベンジジンとニッケル増強、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、ベンジジンジヒドロクロリド(BDHC)、Hanker−Yates試薬(HYR)、インドフェノールブルー(Indophane blue)(IB)、テトラメチルベンジジン(TMB)、4−クロロ−1−ナフトール(CN)、α−ナフトールピロニン(α−NP)、o−ジアニシジン(OD)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、2−(p−ヨードフェニル)−3−p−ニトロフェニル−5−フェニルテトラゾリウムクロリド(INT)、テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D−ガラクトシド/フェロ−フェリシアニド(ferro−ferricyanide)(BCIG/FF)。
アルカリホスファターゼに一般に使用される基質の例としては、以下が挙げられる:ナフトール−AS−B 1−ホスフェート/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール−AS−MX−ホスフェート/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール−AS−B1−ホスフェート/−ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール−AS−MX−ホスフェート/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール−AS−B1−ホスフェート/ニューフクシン(NABP/NF)、ブロモクロロインドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−−d−ガラクトピラノシド(BCIG)。
発光標識の例としては、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、1,2−ジオキセタンおよびピリドピリダジンが挙げられる。電気化学発光標識の例としては、ルテニウム誘導体が挙げられる。放射活性標識の例としては、ヨウ素、コバルト、セレン、トリチウム、炭素、硫黄およびリンの放射活性同位体が挙げられる。
検出可能な標識は、本明細書に記載される抗体もしくは目的の生物学的マーカーに特異的に結合する任意の他の分子(例えば、抗体、核酸プローブ、もしくはポリマー)に連結され得る。さらに、当業者は、検出可能な標識がまた、第2の、および/もしくは第3の、および/もしくは第4の、および/もしくは第5の結合剤もしくは抗体などに結合体化され得ることを認識する。さらに、当業者は、目的の生物学的マーカーを特徴付けるために使用される各々のさらなる結合剤もしくは抗体は、1回の増幅工程として働き得ることを認識する。上記生物学的マーカーは、例えば、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡を使用して、視覚的に検出され得る。ここで上記検出可能な物質は、例えば、色素、コロイド性金粒子、発光試薬である。生物学的マーカーに結合される視覚的に検出可能な物質はまた、分光光度計を使用して検出され得る。上記検出可能な物質が、放射活性同位体である場合、検出は、オートラジオグラフィーによる視覚的なものであり得るか、またはシンチレーションカウンターを使用する非視覚的なものであり得る。例えば、Larsson, 1988, Immunocytochemistry: Theory and Practice, (CRC Press, Boca Raton, Fla.); Methods in Molecular Biology, vol. 80 1998, John D. Pound (ed.) (Humana Press, Totowa, N.J.)を参照のこと。
本発明は、サンプルにおいてIL−1βを検出するか、またはサンプルにおいてIL−1βを発現する細胞もしくは組織を検出するためのキットをさらに提供し、ここで上記キットは、本明細書に記載されるように、少なくとも1種の抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターもしくは宿主細胞を含む。特定の実施形態において、キットは、緩衝液、酵素、標識、基質、ビーズもしくは本発明の抗体が結合される他の表面など、ならびに使用説明書を含み得る。
(実施例1:モノクローナル抗IL−1β抗体の生成およびヒト化)
1 抗体生成
1.1 免疫化
3羽のNew Zealandホワイトウサギに、完全フロイントアジュバント(Sigma−Aldrich Corp., St. Louis, MO)中の0.5mgの組換えヒトIL−1βを皮下で免疫化した。最初の免疫化の後、動物に、不完全フロイントアジュバント中の0.25mg IL−1βを、3週間の間隔を空けて5回ブーストした。最高の血清力価およびIL−1β中和活性を有するウサギに、細胞融合のための脾臓摘出の4日前に、PBS中の0.4mg IL−1βを静脈内でブーストした。
1.2 抗体生成
脾細胞を、上記免疫化したウサギから採取し、ウサギ形質細胞腫細胞240E−W2と、PEG4000(Sigma Chemical, St. Louis, MO)を使用して融合した。HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)によって選択した後、元の96ウェルプレート中で増殖しているハイブリドーマクローンを、培地交換した新たな96ウェルプレートに移した。ハイブリドーマ上清を集め、特異的抗原結合についてスクリーニングした。ELISA結合アッセイにおいて陽性であった400個のハイブリドーマを、機能スクリーニングのために選択した。
1.3 ハイブリドーマの機能スクリーニング
機能的スクリーニングのために、24ウェルプレート中の確認された400個の陽性クローンに由来する上清を、IL−1β誘導性TF−1細胞(ヒト前骨髄細胞株)増殖を中和することに関して試験した。60個のクローンは、IL−1β活性を中和することが見いだされた。IL−1β活性を中和した上から34個のクローンを、さらなる機能的特徴付けのために、分子クローニングおよび組換え発現についてさらに選択した。
1.4 組換え抗IL−1β抗体
上記上から34個のクローンに由来するウサギIgGのL鎖のDNA配列およびH鎖の可変領域(VH)を、PCRによって増幅した。上記L鎖フラグメントを、Hind III部位およびNot I部位においてpTT5ベクターへとクローニングし、上記VHフラグメントを、Hind III部位およびKpn I部位においてH鎖の定常領域が組み込まれたpTT5ベクターへとクローニングした。各ハイブリドーマに関して、L鎖もしくはH鎖の3個のDNAクローンを配列決定し、コンセンサス配列を有するプラスミドを同定し、組換え発現のために使用した。組換え抗体を発現するために、上記L鎖プラスミドおよびH鎖プラスミドを、293−6E細胞(National Research Council Canada)へと同時トランスフェクトした。上記上清を、5日後に採取し、ELISAアッセイを使用して定量して、機能的アッセイの前に、IgG濃度を測定した。
1.5 組換え抗IL−1β抗体の機能的スクリーニング
IL−1β誘導性TF−1細胞増殖の中和を、組換え抗体の効力をランク付けするために行った。10% FBS含有RPMI 1640中で培養したTF−1細胞を、400pg/mlのIL−1βの存在下で抗体の力価測定した用量で処した。AlamarBlueを添加して、3日後の細胞増殖を評価した。その結果を、以下の表に示す(表1)。より高い活性を有する強調したクローンを、精製した材料でのさらなる機能的ランク付けのために選択した。
1.6 組換え抗IL−1β抗体の機能的ランク付け
クローンQ6、16、26、32、33を、さらなる機能的分析のために選択して、IL−1β活性を中和するそれらの能力を評価した。全ての抗体は、293−6E細胞において発現され、その上清を、プロテインAカラムを介して精製し、PBS緩衝液に対して透析した後に定量した。図2は、IL−1β誘導性TF−1細胞増殖の用量依存性阻害を示す。アナキンラを、陽性コントロールとして使用した。各抗体のIC50もまた、計算した。全ての上記クローンは、アナキンラと比較して、より強力なIL−1β中和活性を示した。クローンQ26は、最高の中和効力を示した。
1.7 IL−1βに対する抗IL−1β抗体の結合親和性
抗IL−1β抗体の抗原結合親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した。各抗体のKdを、表2に示す。クローンQ26は、IL−1βに対して最高の結合親和性を示した。
1.8 IL−1β誘導性NFkB核移行のブロック
NF−kBの核移行アッセイをIL−1β誘導性下流シグナルをブロックするクローンQ26の活性を評価するために行った。CHO/dhfr細胞を、10ng/mlのIL−1βで20分間にわたって処した。次いで、細胞を固定し、NF−kB局在化を、マウス抗NF−kB p65(BD bioscience)および2次ヤギ抗マウスHRP抗体(Immunovision)で検出した。図3は、クローンQ26が、IL−1βによって刺激されたNF−kB核移行をブロックすることを示す代表的データである。
2. 抗体のヒト化
2.1 ヒト化設計
クローンQ26を、特許を有するmutational lineage guided (MLG)ヒト化技術を使用して、ヒト化した。第1に、上記クローンQ26の重鎖(VH)可変領域および軽鎖(VK)可変領域の配列を、ヒト生殖系列VHおよびVKデータベースに対してblast検索した。最も近いヒト生殖系列配列、VH3−66およびVK−L19を、クローンQ26ヒト化のテンプレートとして同定した。第2に、上記クローンQ26系統内の抗体配列をアラインした。上記系統クローンは、CDRにおいて類似の配列を有し、上記可変領域において同数のアミノ酸残基を含む。第3に、CDR接触もしくは鎖間接触に潜在的に関与するフレームワーク領域中のウサギ残基を、ヒト抗体およびマウス抗体の知見に基づいて同定した。上記系統発生論的分析に基づいて上記抗体の構造活性に重要でないと考えられる残基を、ヒト化した。MLG操作の後、上記ヒト化Q26のフレームワークは、上記ヒト生殖系列フレームワークに対して93.5%同一である。さらに、MLGヒト化技術は、H鎖のCDR1およびL鎖のCDR3においてさらなるヒト化を可能にした(各々、1アミノ酸だけ親ウサギ抗体とは異なる(図1、ならびに配列番号11および配列番号12を参照のこと))。
2.2 ヒト化Q26の発現
Q26のヒト化VKおよびVHをコードするDNAを、MCLab(South San Francisco, CA, USA)が合成した。上記DNAフラグメントは、5’末端においてシグナルペプチドおよびKozak配列を含む。上記ヒト化Q26を発現するために、上記ヒト化VKフラグメントを、Hind IIIおよびNhe IにおいてヒトCK組み込みpTT5ベクターへとクローニングした。上記ヒト化VHを、Hind IIIおよびBsiW I部位においてヒトIgG1 CH組み込みpTT5ベクターへとクローニングした。ヒトCKおよびIgG1 CHのDNA配列およびアミノ酸配列を、定常領域について選択した。ヒト化Q26を、293−6E細胞において発現させ、プロテインAカラムを介して精製し、PBS緩衝液に対して透析した後に、UV280で定量した。
2.3 ヒト化Q26は、生物学的活性を保持する
ヒト化Q26がIL−1β誘導性TF−1細胞増殖を阻害する能力を試験した。ヒト化Q26は、IL−1β刺激性TF−1細胞増殖に対して用量依存性阻害を示し、その親ウサギQ26と類似の効力を示した(図4)。従って、ヒト化Q26をさらなる前臨床開発のために選択し、APX002と名付けた。
3. 前臨床開発
3.1 APX002のインビトロIL−1β中和活性
APX002は、ウサギハイブリドーマクローンQ26から最初に同定された、ヒト化モノクローナル抗体である。APX002を、ヒトIL−1βに特異的に結合し、かつインビトロでIL−1β関連活性を中和するその能力が原因で、リード物質(lead)として選択した。それは、1.99×10−10Mの親和性でIL−1βに結合する。交叉種反応性アッセイにおいて、APX002は、ヒトIL−1βに類似の親和性でサルIL−1βと交叉反応性を示したが、マウスIL−1βと交叉反応しなかった(図5)。
3.2 エキソビボモデルにおけるAPX002の生物学的効果
その生物学的活性をさらに評価するために、APX002を、ヒト末梢血細胞を使用して、エキソビボアッセイにおいて試験した。このアッセイにおいて、4名のドナーに由来するヒト全血球を、APX002の存在下でStaphylococcus epidermidisで刺激した。Toll様レセプター(TLR)への結合の際に、Staphylococcus epidermidisは、IL−1β生成を誘発し、次いで、IL−1βは、他のサイトカイン(例えば、IL−6およびTNFα)の生成を含む、下流の生物学的効果を誘導する。従って、IL−6生成は、APX002がIL−1βをブロックする能力を測定するために、読み取り値として使用され得る。24時間のインキュベーション後に、血球をTriton(登録商標)−Xで溶解して、測定のために膜および細胞内サイトカインを抽出した。表3に示されるように、APX002は、Staphylococcus epidermidisによって誘導されるIL−6の生成を強く阻害した。試験した両方の用量において、APX002は、Xoma−052より僅かに強力であり、別の抗IL−1β抗体は、現在臨床開発中である。
他の実験において、LPS(TLRリガンド)を使用して、培養したヒト全血球を使用してIL−1β誘導性サイトカイン生成を刺激した。APX002の高用量および低用量がともに、LPS誘導性TNFαおよびIL−6生成を阻害した(表4)。低用量(83pM)において、APX002は、IL−6およびTNFαの生成を阻害するにあたって、Xoma−052より実質的に有効であると判明した。高用量(166pM)において、APX002は、Xoma−052のものに類似の阻害活性を示した。
ヒト全血球培養物を使用するこれらエキソビボデータから、強力なIL−1βアンタゴニストとしてAPX002の生物学的活性がさらに確認された。
3.3 疾患モデルにおけるAPX002のインビボ効力
APX002が、マウスIL−1βと交叉反応しないという事実は、そのインビボ薬理学を評価するためにマウスモデルの使用を制限した。代替として、2つの動物研究を使用して、APX002のインビボ効力を試験する。関節炎症のヒトIL−1β誘導性マウスモデルにおいて、高レベルのhIL−1βを生成する上記NIH 3T3線維芽細胞株を、DBA−1マウスの右膝関節へと注射して、hIL−1β依存性関節炎を誘導する。APX002を投与し、炎症置にける効力について、このモデルにおいて試験する。さらに、サル空気嚢(air pouch)への尿酸一ナトリウム(MSU)結晶の注射は、ヒト痛風に類似した急性炎症応答を誘発し得る。APX002を投与し、痛風を処置することにおける効力についてこのモデルにおいて試験する。
上記の種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わされ得る。本明細書において言及され、そして/または出願データシートにおいて列挙される米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は全て、それらの全体において本明細書に参考として援用される。上記実施形態の局面は、上記種々の特許、出願および刊行物の概念を使用するために必要とされるのであれば、なおさらなる実施形態を提供するために改変され得る。
これらおよび他の変化は、上記の説明に鑑みて、上記実施形態に対して行われ得る。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、上記特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲において開示される具体的実施形態に限定するとは解釈されるべきではなく、全ての可能な実施形態とともに、権与えられるこのような特許請求の範囲の等価物の全範囲を含むと解釈されるべきである。よって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。

Claims (11)

  1. IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または該抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメントであって、
    該IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、
    (i)配列番号3に示されるVHCDR1領域、配列番号4に示されるVHCDR2領域、および配列番号5に示されるVHCDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに
    (ii)配列番号6に示されるVLCDR1領域、配列番号7に示されるVLCDR2領域、および配列番号8に示されるVLCDR3領域を含む軽鎖可変領域
    を含み;
    該抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメントは、該CDR領域における最大個までのアミノ酸置換を除いて、(i)および(ii)の該重鎖可変領域および該軽鎖可変領域に同一な重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、
    IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または該抗体の改変体もしくはその抗原結合フラグメント。
  2. 必要に応じて、
    (a)前記重鎖可変領域は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む
    (b)前記軽鎖可変領域は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む;
    (c)前記抗体はヒト化されている;
    (d)前記抗体はヒト化されており、前記VH領域は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、前記VL領域は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む;
    (e)前記抗体は、一本鎖抗体、ScFv、ヒンジ領域を欠く1価抗体、およびミニボディーからなる群より選択される;
    (f)前記抗体は、FabもしくはFab’フラグメントである;
    (g)前記抗体は、F(ab’) フラグメントである;
    (h)前記抗体は完全抗体である;または
    (i)前記抗体は、ヒトIgG定常ドメインを含み、ここで必要に応じて、該IgG定常ドメインは、IgG1 CH1ドメインまたはIgG1 Fc領域を含む、請求項1に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
  3. 配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むものである、IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
  4. 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
  5. 配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むものである、IL−1βに結合する単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント。
  6. 請求項1もしくは請求項2(d)に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードするものである、単離されたポリヌクレオチド。
  7. 請求項に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むものである、発現ベクター。
  8. 請求項に記載のベクターを含むものである、単離された宿主細胞。
  9. 生理学的に受容可能なキャリア、および
    治療上有効量の、請求項1もしくは請求項2(d)に記載の単離された抗体もしくはその抗原結合フラグメント
    を含むものである、組成物。
  10. 異常なIL−1β発現と関連した疾患を有する患者を処置するための、請求項に記載の組成物。
  11. 前記異常なIL−1β発現と関連した前記疾患は、関節リウマチ、糖尿病、クリオピリン関連周期性症候群、痛風、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症および脈管炎からなる群より選択される、請求項10に記載の組成物
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