JP2013538050A - 組換え神経毒ポリペプチドの選択的製造 - Google Patents

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Abstract

本発明は、組換え神経毒ポリペプチドおよびその製造に関する。具体的には、本発明は、軽鎖、リンカーおよび重鎖を含む神経毒ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該リンカーが、該ポリペプチドに対して少なくとも一つの物理化学的特性を付与する異種アミノ酸配列を含む改変リンカーであり、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドからの、部分的にプロセッシングされたか、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの分離を可能にし、前記異種アミノ酸配列がプロテアーゼ認識および切断部位によってNおよびC末端にフランキングされている、前記ポリヌクレオチドに関する。さらに、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞ならびに前記ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドおよびプロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造方法も本発明に包含される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、組換え神経毒(ニューロトキシン)ポリペプチドおよびその製造に関する。具体的には、本発明は、軽鎖、リンカーおよび重鎖を含む神経毒ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、リンカーが、該ポリペプチドに対して少なくとも一つの物理化学的特性を付与する異種アミノ酸配列を含む改変リンカーであり、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドからの、部分的にプロセッシングされたか、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの分離を可能にし、前記異種アミノ酸配列がプロテアーゼ認識および切断部位によってNおよびC末端にフランキング(隣接)されている、前記ポリヌクレオチドに関する。さらに、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞ならびに前記ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドおよびプロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造方法も本発明に包含される。
クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum)およびクロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)は、非常に強力な神経毒、すなわち、それぞれ、ボツリヌス毒素(BoNT)および破傷風毒素(TeNT)を産生する。これらのクロストリジウム神経毒は神経細胞に特異的に結合し、神経伝達因子の放出を阻害する。それぞれの毒素は約150 kDaの不活性な一本鎖タンパク質として合成される。翻訳後プロセッシングはジスルフィド架橋の形成、および細菌プロテアーゼによる限定的なタンパク質分解(ニッキング)を含む。活性な二本鎖神経毒は、ジスルフィド結合により連結された約50 kDaのN末端軽鎖と、約100 kDaの重鎖との2つの鎖からなる。神経毒は、構造的には3つのドメイン、すなわち、触媒的軽鎖、転座ドメインを包含する重鎖(N末端の半分)および受容体結合ドメイン(C末端の半分)からなる。Krieglstein 1990, Eur J Biochem 188, 39; Krieglstein 1991, Eur J Biochem 202, 41; Krieglstein 1994, J Protein Chem 13, 49を参照されたい。
クロストリジウム・ボツリナムは、A〜Gと命名された7つの抗原的に異なる血清型のボツリヌス神経毒(BoNT)を分泌する。クロストリジウム・テタニにより分泌される関連する破傷風神経毒(TeNT)と一緒に、全ての血清型は、SNAREタンパク質を切断することによりシナプスエキソサイトーシスを遮断するZn2+エンドプロテアーゼである。CNTはボツリヌス中毒症および破傷風において認められる弛緩性筋肉麻痺を引き起こす(Fischer 2007, PNAS 104, 10447を参照されたい)。
その毒性作用にも拘らず、ボツリヌス毒素複合体は多数の疾患において治療剤として用いられてきた。ボツリヌス毒素血清型Aは、斜視、眼瞼けいれん、および他の障害の治療のために1989年に米国でヒトでの使用について認可された。それは例えば、商標名BOTOX(Allergan Inc)および商標名DYSPORT(Ipsen Ltd)の下でボツリヌス毒素Aタンパク質調製物として市販されている。治療適用のために、前記複合体は治療しようとする筋肉に直接注射される。生理的pHで、毒素はタンパク質複合体から遊離し、所望の薬理学的作用が起こる。複合体化しているタンパク質を含まない改善されたBoNT/A調製物が、商標名XEOMIN(Merz Pharmaceuticals GmbH)の下で入手可能である。ボツリヌス毒素の作用は一時的なものに過ぎず、これが治療効果を維持するためにボツリヌス毒素の反復投与が必要とされる理由である。
クロストリジウム神経毒は、随意筋強度を弱め、斜視、頸部ジストニアなどの限局性筋失調症、および良性特発性眼瞼けいれんの治療において有効である。それらは片側顔面けいれんおよび限局性けいれんを軽減し、さらに、胃腸障害、多汗症などの様々な他の適応症、およびシワ補正化粧品において有効であることがさらに示されている(Jost 2007, Drugs 67, 669を参照されたい)。
クロストリジウム神経毒の製造のために、由来する野生型クロストリジウム細菌、または大腸菌などの他の宿主細胞種から単離されようと、発酵後の宿主細胞溶解物からの神経毒の精製が特に重要である。クロストリジウム・ボツリナムからの古典的な製造プロセスにおいては、精製神経毒を得るために、様々な沈降ステップおよび抽出ステップ、次いで、濃縮ステップおよびさらに異なるクロマトグラフィーステップが通常適用される(DasGupta 1984, Toxicon 22, 415; Sathyamoorthy 1985, J Biol Chemistry 260, 10461を参照されたい)。同様に、大腸菌などの他の宿主細胞からの組換え製造プロセスにおいては、細胞破壊、溶解物清澄化などの様々な加工ステップ、および複数のクロマトグラフィー精製ステップが神経毒の単離に用いられる。
現在、全ての入手可能な神経毒調製物は、所望の活性な(プロセッシングされた)二本鎖神経毒に加えて、タンパク質分解的にプロセッシングされていない前駆体および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを含む。タンパク質分解的にプロセッシングされていない前駆体または部分的にプロセッシングされたポリペプチドは、活性な(プロセッシングされた)二本鎖神経毒ポリペプチドとほんの数個のアミノ酸において異なる。従って、それらはその化学的および物理的特性に基づいて区別するのが難しい場合がある。他方、タンパク質分解的にプロセッシングされていない前駆体および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドと全タンパク質との比率は、そのような調製物においてさらに有意である。プロセッシングされていない前駆体および/または部分的にプロセッシングされた神経毒の前記量は生物生産系に固有のものであり、完全には制御できない。かくして、神経毒調製物中の望ましくないタンパク質分解的にプロセッシングされていない前駆体および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドの量は所定のものであり、現在は減少させるのはかなり難しい。
神経毒の加工は、成熟二本鎖ポリペプチドが得られるような、前駆体ポリペプチドと、神経毒ポリペプチドを切断することができる未知の大腸菌プロテアーゼにより惹起されるプロテアーゼ活性を含む大腸菌溶解物とのインキュベーションによっても達成された(WO 2006/076902を参照されたい)。
プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドの量を減少させ、それによって、神経毒調製物の品質を改善することによる神経毒のより効率的な製造のための手段および方法が高く望まれるが、未だに利用可能ではない。
かくして、本発明の基礎となる技術的課題は、上記の必要性を満たすことにより神経毒ポリペプチドの製造を改善するための手段および方法の提供と見ることができる。この技術的課題は、特許請求の範囲および本明細書の以下に特徴付けられる実施形態によって解決される。
かくして、本発明は、軽鎖、リンカーおよび重鎖を含む神経毒ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、リンカーが、該ポリペプチドに対して少なくとも一つの物理化学的特性を付与する異種アミノ酸配列を含む改変リンカーであり、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドからの、部分的にプロセッシングされたか、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの分離を可能にし、前記異種アミノ酸配列がプロテアーゼ認識および切断部位によってNおよびC末端にフランキングされている、前記ポリヌクレオチドに関する。
本発明に係る2つの実施形態(AおよびB)の模式図である。(A)は、2つのプロテアーゼ認識および切断部位(3)によりフランキングしたエピトープタグを含むリンカー(4)を含む軽鎖(1)および重鎖(2)を有する神経毒ポリペプチドを示す。(B)は、2つのプロテアーゼ認識および切断部位(3)によりフランキングしたコイルドコイル構造(5)内のエピトープタグを含むリンカー(4)を含む軽鎖(1)および重鎖(2)を有する神経毒ポリペプチドを示す。
本明細書で用いられる用語「ポリヌクレオチド」とは、一本鎖または二本鎖DNA分子ならびにRNA分子を指す。前記用語により包含されるのは、ゲノムDNA、cDNA、hnRNA、mRNAならびにそのような分子種の全ての天然の、または人工的に改変された誘導体である。ポリヌクレオチドは、一態様においては、線状または環状分子であってよい。さらに、上記神経毒ポリペプチドをコードする核酸配列に加えて、本発明のポリヌクレオチドは、5'-または3'-UTR配列などの適切な転写および/または翻訳に必要とされるさらなる配列を含んでもよい。本発明のポリヌクレオチドは、改変リンカーを含む神経毒ポリペプチドをコードする。神経毒ポリペプチドならびに特に、その軽鎖および重鎖は、ボツリヌス神経毒の抗原的に異なる血清型の一つ、すなわち、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/Gまたは破傷風神経毒(TeNT)から誘導可能である。一態様において、神経毒ポリペプチドの前記軽鎖および重鎖は、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/GまたはTeNTからなる群より選択される神経毒の軽鎖および重鎖である。別の態様においては、前記ポリヌクレオチドは、本明細書に特定されたリンカーにおいて改変された配列番号1(BoNT/A)、配列番号3(BoNT/B)、配列番号5(BoNT/C1)、配列番号7(BoNT/D)、配列番号9(BoNT/E)、配列番号11(BoNT/F)、配列番号13(BoNT/G)または配列番号15(TeNT)に示される核酸配列を含む。さらに、一態様においては、本明細書に特定されたリンカーにおいて改変された配列番号2(BoNT/A)、配列番号4(BoNT/B)、配列番号6(BoNT/C1)、配列番号8(BoNT/D)、配列番号10(BoNT/E)、配列番号12(BoNT/F)、配列番号14(BoNT/G)または配列番号16(TeNT)のいずれか一つに示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドが包含される。
別の態様においては、前記ポリヌクレオチドは、1個以上のヌクレオチド置換、欠失および/または付加を含む上記ポリヌクレオチドの変異体であり、さらに別の態様においては、1個以上のアミノ酸置換、欠失および/または付加を有するポリペプチドをもたらし得る。さらに、本発明のポリヌクレオチド変異体は、別の態様においては、配列番号1、3、5、7、9、11、13もしくは15のいずれか一つに示される核酸配列と少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である核酸配列変異体または配列番号2、4、6、8、10、12、14もしくは16のいずれか一つに示されるアミノ酸配列と少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列変異体を含む。本明細書で用いられる用語「同一である」とは、配列が、最上位の一致が得られるように整列された2つの核酸配列またはアミノ酸配列の間の同一のアミノ酸の数を決定することにより特徴付けられる配列同一性を指す。それを、公開された技術または例えば、BLASTP、BLASTNまたはFASTAなどのコンピュータプログラム中で体系化された方法を用いて算出することができる(Altschul 1990, J Mol Biol 215, 403)。同一性%の値は、一態様においては、アミノ酸配列全体にわたって算出される。異なる配列を比較するための様々なアルゴリズムに基づく一連のプログラムが当業者に利用可能である。これに関連して、NeedlemanおよびWunschまたはSmithおよびWatermanのアルゴリズムが特に信頼できる結果を与えている。配列アラインメントを実行するために、GCGソフトウェアパケット(Genetics Computer Group 1991, 575 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA 53711)の一部であるPileUpプログラム(Higgins 1989, CABIOS 5, 151)またはGapおよびBestFitプログラム (Needleman 1970, J Mol Biol 48; 443; Smith 1981, Adv Appl Math 2, 482)を用いることができる。パーセント(%)で上記された配列同一性の値は、本発明の別の態様においては、別途特定しない限り、配列アラインメントのための標準設定として常に用いられるべきである以下の設定:ギャップ重量:50、長さ重量:3、平均一致:10.000および平均不一致:0.000を用いて配列領域全体にわたってGAPプログラムを用いて決定される。一態様においては、上記ポリヌクレオチド変異体はそれぞれ、対応する神経毒ポリペプチド、すなわち、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/Gまたは破傷風神経毒(TeNT)の1つ以上、および別の態様においては、全ての生物学的特性をコードする。当業者であれば、プロセッシングされていない前駆体がいくつかの生物学的機能を発揮するか、または部分的に活性であり得ると考えられるとしても、完全な生物学的活性はタンパク質分解活性化後にのみ維持されることを理解できる。本明細書で用いられる「生物学的特性」は、(a)受容体結合、(b)内在化、(c)細胞質ゾル中へのエンドソーム膜を通過する転座、および/または(d)シナプス小胞膜融合に関与するタンパク質の細胞内タンパク質分解的切断を指す。生物学的活性を評価するためのin vivoアッセイとしては、マウスLD50アッセイならびにPearceら(Pearce 1994, Toxicol Appl Pharmacol 128: 69-77)およびDresslerら(Dressler 2005, Mov Disord 20:1617-1619, Keller 2006, Neuroscience 139: 629-637)により記載されたex vivoマウス片側横隔膜アッセイが挙げられる。生物学的活性は一般に、マウス単位(MU)で表される。本明細書で用いられる場合、1 MUは、腹腔内注射後に特定のマウス集団の50%を殺傷する神経毒成分の量、すなわち、マウスのi.p. LD50である。さらなる態様においては、ポリヌクレオチド変異体は、改善されたか、または変化した生物学的特性を有する神経毒をコードしてもよく、例えば、それらは酵素認識について改善された切断部位を含むか、または受容体結合もしくは上記で特定された他の特性のいずれかについて改善されていてもよい。
本明細書に記載の神経毒ポリペプチドは、N末端軽鎖、中間リンカー、およびC末端重鎖を含む。神経毒は一本鎖前駆体分子として翻訳され、プロセッシング中にタンパク質分解的に切断されて成熟二本鎖形態になる。タンパク質分解的切断は、リンカーが一度切断されるか、またはリンカーのNおよびC末端での切断後に除去されるような様式でリンカーで起こる。プロセッシングの効率に依存して、切断されていない一本鎖構築物に加えて、部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチド、すなわち、不適切な切断に起因して軽鎖または重鎖にリンカーを保持する神経毒ポリペプチドも生成され得る。神経毒ポリペプチドの内因性リンカーは、それが高い親和性で精製マトリックスに結合する異種(すなわち、内因性でない)アミノ酸配列を含み、該異種アミノ酸配列がプロテアーゼ認識および切断部位によってNおよびC末端にフランキングするように、本発明に従って改変される。前記改変は、一態様においては、改変リンカーをもたらす内因性リンカー中の個々のアミノ酸の改変であってもよい。あるいは、および別の態様においては、前記改変は、異種リンカーによる内因性リンカーの置換であってもよい。リンカーに対するそのような改変を実行するための好適な技術は当業界で周知であり、突然変異誘発技術ならびに標準的なクローニングおよびPCRに基づく技術が挙げられる。
用語「プロセッシングされた神経毒ポリペプチドからの、部分的にプロセッシングされたか、またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの分離を可能にするポリペプチドに少なくとも一つの物理化学的特性を付与する異種アミノ酸配列」とは、改変しようとする神経毒のリンカー中に天然には生じず(すなわち、異種性である)、前記リンカーを含む神経毒分子種、すなわち、プロセッシングされていないか、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒に対して少なくとも一つの物理化学的特性を付与するアミノ酸配列を指す。前記物理化学的特性は、一態様においては、本明細書の他の場所に詳細に定義される精製マトリックスに対する変化した親和性であるか、または効率的な物理的分離を可能にする分子量などの変化した物理的特性であってもよい。
本発明のポリヌクレオチドの一態様においては、前記異種アミノ酸配列は、精製マトリックスに高い親和性で結合する異種アミノ酸配列である。
用語「精製マトリックスに高い親和性で結合する異種アミノ酸配列」は、リンカー中で内因性ではない(すなわち、天然では生じない)アミノ酸配列に関する。前記アミノ酸配列は、精製マトリックスへの高親和性結合を付与する。用いられる精製マトリックスに応じて、配列中に存在し、マトリックス成分もしくはペプチド配列ストレッチと物理的または化学的に相互作用することができる個々のアミノ酸またはマトリックスと相互作用することができる形成された三次元構造により、これを達成することができる。後者の場合の高親和性結合は、タンパク質間相互作用に基づく結合も含む。これに関連して適用することができる好適な高親和性タンパク質間相互作用は、抗体-エピトープ相互作用である。例えば、精製マトリックスは、異種アミノ酸配列により構成されるエピトープを特異的に認識し、高い親和性でこれに結合する抗体を含んでもよい。さらに、受容体-リガンドまたは他の高親和性タンパク質間相互作用を適用することができる。例えば、精製マトリックスをビオチンにカップリングさせ、異種アミノ酸配列はストレプトアビジンもしくはアビジンまたはそれから誘導されるタグを含んでもよい。本発明の特定の態様において用いられるさらなる異種アミノ酸配列は、本明細書の他の場所に特定される。本明細書で意味される「精製マトリックス」とは、改変リンカーの上記アミノ酸配列に結合することができる三次元構造または空間的配置を指す。周知のマトリックスは、ポリペプチド、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、およびマグネタイトを含む。固形マトリックスは、本発明の一態様においては、セファロース、セファデックス、スーパーデックス;アガロース、セファセル、ミクロセルロース、およびアルギナートビーズからなる群より選択される多糖マトリックスである。別の態様においては、前記固形マトリックスは、ガラスビーズおよび/またはポリペプチドマトリックスからなってもよい。
本発明のポリヌクレオチドのさらなる態様においては、前記異種アミノ酸配列は、部分的にプロセッシングされたか、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドをプロセッシングされた神経毒ポリペプチドから物理的に分離することができるように神経毒ポリペプチドの分子量を増加させる。
リンカーによりこの態様に含まれる前記異種アミノ酸配列は、リンカーを含有する分子種をプロセッシングされた神経毒、すなわち、物理的分離プロセスにより、改変リンカーを含まない分子種から分離することができるようにリンカーを含有する神経毒分子種の分子量を増加させる。前記プロセスは、一態様においては、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過、分取ゲル電気泳動技術、または遠心分離に基づく技術が挙げられる。分子量を増加させるために改変リンカー中に導入することができるアミノ酸としては、ペプチド主鎖中にペプチド結合により導入することができる本質的に全ての利用可能な天然または人工アミノ酸が挙げられる。さらに、一態様においては、アミノ酸を化学的に改変して、物理的分離を改善するか、または容易にすることができる。そのような場合、高分子量に寄与する部分をアミノ酸にカップリングさせることができる。別の態様においては、未改変のアミノ酸のより長いストレッチが、物理的分離を可能にする程度で改変リンカーの分子量を増加させるのに十分であってよい。
一態様において、改変リンカーは、(i)精製マトリックスに高い親和性で結合する異種アミノ酸配列ならびに(ii)部分的にプロセッシングされたか、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドをプロセッシングされた神経毒ポリペプチドから物理的に分離することができるように神経毒ポリペプチドの分子量を増加させる異種アミノ酸配列を含むことが理解される。
前記異種アミノ酸配列は、プロテアーゼ認識および切断部位によってN末端およびC末端にフランキングされる。リンカーはプロセッシングが完了した後に完全に除去されることが本発明により想定される。これは、リンカー配列のNおよびC末端にフランキングする2つのプロテアーゼ認識および切断部位を導入することにより達成することができる。切断部位の切断時に、リンカー配列を含むペプチドは遊離し、神経毒ポリペプチドのダイマー化した軽鎖および重鎖は成熟二本鎖神経毒ポリペプチドとして残る。一態様においては、リンカー配列のNおよびC末端に同じプロテアーゼの認識および切断部位を導入することが想定される。別の態様においては、リンカー配列のNおよびC末端に異なるプロテアーゼの認識および切断部位を導入することが想定される。本発明に従って用いられるプロテアーゼに応じて、プロテアーゼ認識部位は切断部位と異なっていてもよく、またはそれと同一であってもよい。さらに、外因性プロテアーゼを本発明による態様において用いることができる。あるいは、リンカーまたは神経毒ポリペプチドの他の部分に存在する内因性プロテアーゼ活性、例えば、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる神経毒プロテアーゼ活性を、本発明の別の態様において用いることができる。単一の切断部位のための後者の自己触媒的プロテアーゼ切断系が、参照により本明細書に組み入れられるものとする米国特許第7,556,817号により詳細に記載されている。一態様においては、前記プロテアーゼ認識および切断部位は、SNAP25に由来する神経毒軽鎖プロテアーゼ認識および切断部位、大腸菌プロテアーゼに由来する認識および切断部位、トロンビン認識および切断部位、第X因子認識および切断部位、トリプシン認識および切断部位、エンテロキナーゼ認識および切断部位、TEVプロテアーゼ認識および切断部位、HRV 3c認識および切断部位、ならびにPreScissionプロテアーゼ認識および切断部位からなる群より選択される。
有利には、上記で特定された改変リンカーを含む神経毒ポリペプチドを、改善された物理的分離を可能にするマトリックスへの親和性結合または増加した分子量などの効率的かつ信頼できる精製を可能にするリンカー含有ポリペプチドに対して変化した物理化学的特性を付与する異種アミノ酸配列の存在に起因してより効率的に精製することができることが本発明に従って見出されている。さらに、リンカーのサイズおよび/または親水性に応じて溶解度を増加させることができる。さらに、神経毒ポリペプチドの製造にとって好適であるさらなる特性を、検出可能なマーカー、例えば、蛍光タンパク質などのリンカー中に導入することができる。これらの特性は、それぞれのアミノ酸配列が成熟神経毒ポリペプチドからのプロセッシング工程の結果として除去されるため、プロセッシング中にのみ持続する。
本発明のポリヌクレオチドの一態様においては、精製マトリックスに高い親和性で結合する前記異種アミノ酸配列は精製タグを含む。
用語「精製タグ」とは、それを含むポリヌクレオチドの精製を可能にするアミノ酸配列を指す。これは、一態様においては、精製マトリックスと物理的または化学的に相互作用することができる個々のアミノ酸、ペプチド配列または三次元ペプチド構造の存在に起因して達成することができる。これに関連して、セファロースまたはアガロースなどの好適なマトリックス中に埋込まれたニッケルまたはコバルトなどの金属イオンと物理化学的に相互作用することができるヒスチジンなどの、特定のアミノ酸が精製のために用いられる規定のマトリックスと複合体を形成することができることが周知である。さらなるペプチド配列または三次元構造を、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)中に見出すことができる。さらなる態様においては、当業界で周知でもあるストレプトアビジン/ビオチン系などのタンパク質間相互作用に基づく精製マトリックス/精製タグ系を用いることができる。さらに別の態様においては、タグは蛍光などの、精製を可能にするタグを含有するポリペプチドに対して物理化学的特性を付与することができる。これに関連する好適なタグとしては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)またはその他などの周知の蛍光タンパク質が挙げられる。いくつかのマトリックスに対して固有の親和性を有するこれらのタグに加えて、別の態様においてはエピトープタグを適用することができる。そのようなエピトープタグは、抗体により特異的に認識され得るペプチドエピトープを構成する短いアミノ酸ストレッチからなる。エピトープタグもまた、当業界で周知であり、FLAGタグ、MYCタグまたはHAタグが挙げられる。かくして、一態様においては、精製タグはHisタグ、Mycタグ、FALGタグ、strepタグ、MBPタグ、NusAタグ、GSTタグ、ストレプトアビジンおよびアビジンからなる群より選択される。
本発明のポリヌクレオチドの別の態様においては、精製マトリックスに高い親和性で結合する前記異種アミノ酸配列は、(i)精製マトリックスに対して高親和性結合を付与する少なくとも1個のアミノ酸ドメインおよび(ii)異種アミノ酸配列による軽鎖と重鎖の間の適切なジスルフィド結合の形成の干渉を防止する少なくとも1個のアミノ酸ドメインを含む。
一態様においては、精製マトリックスに対して高親和性結合を付与する前記少なくとも1個のドメインは、本明細書の他の場所に記載の精製タグを含む。さらなる態様においては、前記少なくとも1個のアミノ酸ドメインは、重鎖と軽鎖の間の適切なジスルフィド結合形成を可能にする、および/もしくは容易にする、ならびに/または異種アミノ酸配列による軽鎖と重鎖の間の適切なジスルフィド結合の形成の干渉を防止する。一態様においては、前記ドメインは、異種アミノ酸配列のCおよびN末端アミノ酸が物理的に近い三次元構造を形成する。一態様において、ジスルフィド結合の硫黄原子に近い範囲にある、すなわち、約2.0オングストロームにあるNおよびC末端アミノ酸の物理的近接性の結果として、残りの部分のリンカーは神経毒分子の軽鎖および重鎖から突出する。従って、高親和性結合または分子の溶解度の増加などのリンカーにより付与される特性は物理的に近くなく、かくして、軽鎖と重鎖の間の適切な分子内ジスルフィド結合形成を干渉しない。さらに、一態様においては、突出リンカーもまた、別々の神経毒分子間の分子間ジスルフィド結合形成の形成を立体的に阻害する。一態様においては、軽鎖と重鎖の間の分子内ジスルフィド架橋を形成するシステイン残基を近くにもっていく前記三次元構造は逆平行コイルドコイル構造または逆平行βシート構造である。一態様においては、前記逆平行コイルドコイルは、1FHAフェリチン、1VSG変異体表面糖タンパク質、1LIGb Asp受容体、1PRCm光合成反応中心、2CCYシトクロムC'、256Bシトクロムb562、3LZM T4リゾチーム、1COL1aコリシン、1PRC1光合成反応中心、2CTSクエン酸合成酵素、1ROP Ropタンパク質、3HHRヒト成長ホルモンまたは1LPEアポリポタンパク質A3から誘導される。そのような構造を作製する方法は当業界で周知であり、例えば、Gernert 1995, Protein Science 4(11): 2252-22560またはHadley 2008, Proc Natl. Acad. Sci. USA 15:105(2):530-5(両方とも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
本発明のポリヌクレオチドの別の態様においては、前記異種アミノ酸配列はさらに、少なくとも一つの検出可能なマーカーアミノ酸配列を含む。
一態様においては、前記検出可能なマーカーアミノ酸配列は、蛍光タンパク質のアミノ酸配列、検出可能なシグナルを生成することができる酵素のアミノ酸配列、および検出可能なタグのアミノ酸配列からなる群より選択される。一態様においては、蛍光タンパク質は、GFPまたはBFPである。別の態様においては、検出可能なシグナルを生成することができる酵素は、βガラクトシダーゼ(GAL4)、蛍ルシフェラーゼ、またはクロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)から選択される。さらに別の態様においては、検出可能なタグは、本明細書の他の場所に特定されるものなどのエピトープタグである(NusA-タグ)。
別の態様においては、改変リンカーは、精製を改善するか、または溶解を可能にするか、もしくは溶解度を改善するポリペプチドに対して特性を付与するポリペプチドドメインをコードするさらなる核酸配列を含む。そのようなポリペプチドドメインは、一態様においては、本明細書の他の場所に記載され、親和性結合による改善された精製を可能にするさらなる精製タグであってよい。さらに、ポリペプチドドメインは、親水性アミノ酸残基の存在に起因して溶解を可能にするか、または容易にすることができる。好適なドメインは当業界で周知である。
上記の用語の定義および説明は、別途指摘される以下のことを除いて、本明細書に記載される全ての態様について変更すべきところは変更して適用されることが理解されるべきである。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターにも関する。
用語「ベクター」は、好ましくは、ファージ、プラスミド、ウイルスまたはレトロウイルスベクターならびに人工染色体、例えば、細菌もしくは酵母人工染色体を包含する。さらに、この用語はまた、ゲノムDNA中への標的化構築物の無作為または部位特異的組込みを可能にする標的化構築物にも関する。そのような標的構築物は、好ましくは、以下で詳細に説明される相同または異種組換えにとって十分な長さのDNAを含む。本発明のポリヌクレオチドを包含するベクターは、一態様においては、宿主中での増殖および/または選択のための選択マーカーをさらに含む。ベクターを、当業界で周知の様々な技術により宿主細胞中に組込むことができる。例えば、プラスミドベクターを、リン酸カルシウム沈降物もしくは塩化ルビジウム沈降物などの沈降物中に、または荷電した脂質もしくはフラーレンなどの炭素に基づくクラスターとの複合体中に導入することができる。あるいは、プラスミドベクターを、熱ショックまたはエレクトロポレーション技術により導入することができる。ベクターがウイルスである場合、好適なパッケージング細胞系を用いてそれをin vitroでパッケージングした後、宿主細胞に適用することができる。レトロウイルスベクターは自己複製能力を有するか、または複製欠損であってよい。後者の場合、ウイルス増殖は一般に、相補的宿主/細胞においてのみ起こる。さらに、本発明の一態様においては、ポリヌクレオチドを、原核もしくは真核宿主細胞または前記ベクター中のその単離された画分中での発現を可能にする発現制御配列に機能し得る形で連結する。ポリヌクレオチドの発現は、翻訳可能なmRNA中へのポリヌクレオチドの転写を含む。宿主細胞中での発現を確保する調節エレメントは当業界で周知である。一態様においては、それらは転写の開始を確保する調節配列ならびに/または転写の終結および転写物の安定化を確保するポリAシグナルを含む。さらなる調節エレメントは、転写ならびに翻訳エンハンサーを含んでもよい。原核宿主細胞中での発現を許容する可能な調節エレメントは、例えば、大腸菌におけるlac、trpまたはtacプロモーターを含み、真核宿主細胞中での発現を許容する調節エレメントの例は、酵母におけるAOX1もしくはGAL1プロモーターまたは哺乳動物および他の動物細胞におけるCMV、SV40、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサーもしくはグロビンイントロンである。本発明により想定される他の発現系は、ポリへドリンプロモーターに基づく系などの昆虫細胞中での発現を許容する。
さらに、誘導性発現制御配列を、本発明により包含される発現ベクター中で用いることができる。そのような誘導性ベクターは、tetもしくはlacオペレーター配列または熱ショックもしくは他の環境因子により誘導される配列を含んでもよい。好適な発現制御配列は当業界で周知である。転写の開始を担うエレメントの他に、そのような調節エレメントはまた、ポリヌクレオチドの下流の、SV40-ポリA部位またはtk-ポリA部位などの転写終結シグナルを含んでもよい。これに関連して、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1 (Pharmacia)、pBluescript (Stratagene)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3 (Invitrogen)もしくはpSPORT1 (Invitrogen)またはバキュロウイルス由来ベクターなどの好適な発現ベクターが当業界で公知である。好ましくは、前記ベクターは発現ベクターおよび遺伝子導入または標的化ベクターである。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシパピローマウイルスなどのウイルスから誘導された発現ベクターを、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターの標的化細胞集団への送達のために用いることができる。当業者には周知の方法を用いて、組換えウイルスベクターを構築することができる;例えば、Sambrook, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1989) N.Y.およびAusubel, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1994)に記載の技術を参照されたい。
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主細胞に関する。
本明細書で用いられる用語「宿主細胞」は、原核および真核宿主細胞を包含する。一態様においては、宿主細胞は細菌細胞であり、別の態様においては、フィルミクテス(Firmicutes)細菌細胞である。一態様においては、前記細菌宿主細胞は、大腸菌宿主細胞である。別の態様においては、それはクロストリジウム宿主細胞である。さらなる態様においては、前記クロストリジウム宿主細胞はクロストリジウム・ボツリナム宿主細胞であり、さらに別の態様においては、クロストリジウム・ボツリナムの上記の7つの異なる血清型の1つの細胞である。さらに別の態様においては、細菌宿主細胞は、クロストリジウム・テタニ宿主細胞である。さらなる態様においては、宿主細胞はバチルス宿主細胞であり、特定の態様においては、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)宿主細胞である。真核宿主細胞は、一態様においては、毒性タンパク質の産生にとって好適な動物細胞系の細胞または酵母宿主細胞などの菌類宿主細胞である。本明細書に記載の宿主細胞は、かくして、一態様においては、初代細胞または細胞系としての酵母、哺乳動物、植物または昆虫細胞を包含する。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドに関する。
本明細書で用いられる用語「ポリペプチド」は、宿主細胞の複合体化タンパク質(HA70、HA17、HA33、もしくはNTNH(NBP))または他のタンパク質をさらに含まないポリペプチド調製物などの他のポリペプチドを本質的に含まない単離された、または本質的に精製されたポリペプチドを包含する。さらに、この用語は、化学的に改変されたポリペプチドを含む。そのような改変は、人工的改変または天然の改変であってもよい。上記のように、本発明のポリペプチドは、上記の神経毒ポリペプチドの生物学的特性を有する。本発明のポリペプチドは、一態様においては、本明細書の他の場所により詳細に記載されるポリペプチドを製造する方法によって製造することができる。本発明の一態様においては、神経毒ポリペプチドと、上記のその複合体化タンパク質との複合体を含むポリペプチド調製物も想定される。
さらに、本発明は、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造方法であって、
a)本発明のプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドと、精製マトリックスとを、該プロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの精製マトリックスへの結合を可能にするのに十分な条件下、および時間にわたって接触させるステップ;
b)精製マトリックスに結合したプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドと、プロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断し、プロセッシングされた、および部分的にプロセッシングされた、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドをもたらすことができるプロテアーゼとを接触させるステップ;ならびに
c)精製マトリックスから、遊離したプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取り出すステップ
を含む前記方法を包含する。
本明細書で特定された神経毒ポリペプチドを製造するための方法が、神経毒の合成に関するステップ、洗浄ステップまたはそれぞれ医薬組成物もしくは化粧品組成物として適用することができる神経毒調製物への精製神経毒ポリペプチドの製剤化に関するステップなどの追加のステップを含んでもよいことが理解される。
本明細書で用いられる用語「接触させること」とは、少なくとも2つの異なる化合物を物理的に近い位置にもっていき、該化合物の物理的および/または化学的相互作用を可能にすることを指す。上記方法において、本発明によるプロセッシングされていない神経毒、すなわち、上記で特定された改変リンカーを含む神経毒ポリペプチドを、前記プロセッシングされていない神経毒のマトリックスへの結合を可能にするのに十分な時間および条件下で精製マトリックスと接触させる。前記時間および条件は、リンカーとマトリックスとの間で達成される結合の種類に依存する。当業者であれば、精製マトリックスとリンカーの所与の組合せに適用される必要がある条件をよく知っている。接触は、クロマトグラフィーまたはバッチ式を用いて実行することができる。プロセッシングされていない神経毒の結合時に、洗浄ステップを行って、未結合のプロセッシングされていない神経毒および他の宿主細胞タンパク質を除去(回収)することができる。
続いて、精製マトリックスに結合したプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを、プロテアーゼ活性を可能にする時間および条件下でプロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼと接触させる。これに関連するプロテアーゼを、精製された酵素調製物として、または内因的もしくは外因的に前記プロテアーゼを発現する細胞からの細胞溶解物として提供することができる。プロテアーゼ活性の結果として、改変リンカーを含む神経毒ポリペプチドはプロセッシングされた、および部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドに切断される。いくつかの神経毒ポリペプチドはさらに、プロセッシングされていない神経毒ポリペプチドとして未切断の形態で残存し得る。上記プロテアーゼ処理のための好適な条件は、用いられるプロテアーゼに依存し、当業者であればさらに苦労することなく適合させることができる。
プロセッシングされた神経毒ポリペプチドは、切断時に、精製マトリックスへの結合を担う改変リンカーを喪失し、かくして、マトリックスから遊離する。逆に、部分的にプロセッシングされた、またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドは、前記分子中の改変リンカーの存在に起因して精製マトリックスに結合したままになる。成熟した、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドを、好適なバッファーまたは水を用いて洗浄することにより、精製マトリックスから取り出すことができる。
上記方法の特定の態様においては、神経毒ポリペプチドのリンカーは、本明細書の他の場所で特定されるエピトープタグを含み、精製マトリックスは前記エピトープタグに特異的に結合する抗体を含む。一態様においては、前記精製マトリックスを、以下のようにカラムアフィニティクロマトグラフィーに印加する。本発明によるプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを含む溶液をカラムに印加する。精製マトリックスへのプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの改変リンカー中のエピトープタグの特異的結合を可能にする時間および条件下で、溶液をカラム中で維持する。続いて、過剰なプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを、洗浄ステップにより除去する。前記洗浄ステップの後、改変リンカーにフランキングする認識および切断部位を認識および切断することができるプロテアーゼを含む溶液を印加する。精製マトリックスに結合したプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを、両方の切断部位でのタンパク質分解的切断を可能にするプロテアーゼと共にインキュベートする。前記切断反応の結果として、成熟した、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドは精製マトリックスから遊離するが、プロセッシングされていないか、または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドは、リンカーとのその結合のため精製マトリックスに結合したままになる。次いで、遊離したプロセッシングされた神経毒をカラムから溶出させることができる。
上記方法の別の特定の態様においては、神経毒ポリペプチドのリンカーは、本明細書の他の場所に特定されるようなヘキサ-Hisタグなどのポリヒスチジンタグを含み、精製マトリックスはニッケル、コバルト、銅および亜鉛を含有するセファロースまたは他のクロマトグラフィー媒体である。一態様においては、前記精製マトリックスを、以下のようにカラムアフィニティクロマトグラフィーに印加する。本発明によるプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを含む溶液をカラムに印加する。精製マトリックス中のニッケルまたはコバルトイオンへの、プロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの改変リンカー中のヘキサ-Hisタグの特異的結合を可能にする時間および条件下で、溶液をカラム中で維持する。続いて、過剰のプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドおよび特に夾雑する宿主細胞タンパク質を洗浄ステップにより除去する。前記洗浄ステップの後、改変リンカーにフランキングする認識および切断部位を認識および切断することができるプロテアーゼを含む溶液を印加する。精製マトリックスに結合したプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを、両方の切断部位でのタンパク質分解的切断を可能にするプロテアーゼと共にインキュベートする。前記切断反応の結果として、成熟した、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドは精製マトリックスから遊離するが、プロセッシングされていないか、または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドはリンカーとのその結合のため精製マトリックスに結合したままになる。次いで、遊離したプロセッシングされた神経毒をカラムから溶出させることができる。
さらに、本発明は、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造のための方法であって、
a)本発明の神経毒ポリペプチドと、プロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼとを接触させるステップ;
b)ステップa)で得られたプロセッシングされた、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドと、精製マトリックスとを、精製マトリックスへの前記プロセッシングされていないか、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドの結合を可能にするのに十分な条件下および時間にわたって接触させるステップ;ならびに
c)精製マトリックスから、遊離した、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取り出すステップ
を含む、前記方法に関する。
上記方法の一態様においては、ステップa)を、本発明のポリヌクレオチドおよびプロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼを発現する宿主細胞中で実行する。一態様においては、前記プロテアーゼを、前記宿主細胞中で内因的に発現させることができる。別の態様においては、前記プロテアーゼを、前記宿主細胞中に導入された発現構築物から発現させる。一態様においては、宿主細胞は宿主細胞溶解物または本明細書の他の場所に記載される宿主細胞である。
さらに、本発明は、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造のための方法であって、
a)本発明の神経毒ポリペプチドと、プロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼとを接触させるステップ;
b)ステップa)で得られたプロセッシングされた、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドからの部分的にプロセッシングされたか、またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの物理的分離を可能にするのに十分な時間にわたって物理的条件に供するステップ;ならびに
c)前記物理的分離後にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取り出すステップ
を含む前記方法を意図する。
本明細書で用いられる用語「供すること」とは、プロセッシングされた、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドに物理的条件を印加することを指す。分離のために印加される物理的条件に応じて、当業者はどのように前記「供すること」を実行することができるかを知っている。一態様においては、供することは、サイズ排除クロマトグラフィーを実施することを含み、その原理は本明細書の他の場所にさらに定義される。別の態様においては、供することは、濾過、例えば、限外濾過を含む。別の態様においては、供することは、遠心分離、例えば、超遠心分離を含む。さらに別の態様においては、供することは、ゲル電気泳動を含み、一態様においては、分取規模でのゲル電気泳動を含む。切断後に存在する神経毒の分子種を、完全にプロセッシングされた神経毒ポリペプチド分子と、プロセッシングされていないか、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒分子とに物理的に分離した後、当業界で周知の好適な手段により、前記プロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取り出すことができる。一態様において、サイズ排除クロマトグラフィーを物理的分離のために適用する場合、溶出液を異なる画分中に回収することにより、サイズ排除クロマトグラフィーカラムからプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取得することができる。プロセッシングされた、ならびにプロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドは、そのような場合、異なる画分中に存在する。
本発明の方法の別の態様においては、神経毒ポリペプチドの製造は、さらなる精製ステップを含む。一態様においては、前記さらなる精製ステップはサイズ排除クロマトグラフィーを含む。
本発明で用いられるサイズ排除クロマトグラフィーにより、粒子をそのサイズ、すなわち、その流体力学的体積に基づいて分離する。移動相は、サンプルを輸送するのに用いられる水性溶液(ゲル濾過クロマトグラフィー)、または有機溶媒(ゲル浸透クロマトグラフィー)である。固定相は、低圧下のゲル媒体(ポリアクリルアミド、デキストランもしくはアガロース)およびフィルター、またはより高圧下でのシリカ、もしくは架橋ポリスチレン媒体である。さらに別の態様においては、前記サイズ排除クロマトグラフィーを、カラムクロマトグラフィーとして実施する。本発明の方法のさらなる態様においては、前記サイズ排除クロマトグラフィーを、活性炭、シリカゲル、ゼオライトなどの異なる孔径を有する分子篩を用いて実施する。
本発明の方法は、別の態様においては、イオン交換クロマトグラフィーをさらに含む。
本発明において用いられるイオン交換クロマトグラフィーは、タンパク質および関連化合物の全体の電荷の間の差異に基づいて分子を分離する。それは、タンパク質精製のため、オリゴヌクレオチド、ペプチド、または他の荷電分子の精製のために用いられる。そのような分子は、夾雑物として精製方法に適用される溶液中に存在し得る。目的のタンパク質または関連化合物、本発明の場合では神経毒は、結合するためには樹脂に結合した官能基のものと反対の電荷を有する必要がある。この相互作用はイオン性であるため、結合は低イオン条件下で起こる必要がある。イオン強度を増加させてイオン相互作用を破壊することにより、またはタンパク質のpHを変化させることにより、溶出を達成する。本発明の方法の一態様においては、前記交換クロマトグラフィーを、カラムクロマトグラフィーとして実施する。本発明で用いられるイオン交換クロマトグラフィーは、さらなる態様においては、陽イオンおよび/または陰イオンクロマトグラフィーにより実施される。本明細書で用いられる陰イオン交換クロマトグラフィーにおいては、結合する溶質(タンパク質、ペプチド、核酸、内毒素)の表面電荷は正味の負電荷であり、かくして、特定のタンパク質の結合を得るためには、そのタンパク質のpIに近いか、またはそれより上であるべきである。一般的に用いられる陰イオン交換樹脂は、Q樹脂(Q Sepharose)、四級アミン;およびDEAE(ジエチルアミノエタン)樹脂である。一般に、イオン交換樹脂は、人工ゼオライトとして用いられる荷電表面を有する小ビーズの不溶性マトリックスである。強酸性樹脂(スルホン酸基、例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムもしくはポリAMPS)、強塩基性樹脂(四級アミノ基、例えば、トリメチルアンモニウム基、例えば、ポリAPTAC)、弱酸性樹脂(多くは、カルボン酸基)、弱塩基性樹脂(一級、二級、および/もしくは三級アミノ基、例えば、ポリエチレンアミン)などの異なる種類の樹脂を、その官能基に基づいて区別することができる。また、キレート樹脂(イミノ二酢酸、チオウレア)などの特殊な種類の樹脂も存在し、さらに区別することができる。本明細書で用いられる陽イオン交換クロマトグラフィーにおいては、結合する溶質(タンパク質、ペプチド、核酸、内毒素)の表面電荷は正味の正電荷であり、かくして、特定のタンパク質の結合を得るためには、そのタンパク質のpIに近いか、またはそれより下であるべきである。一般的に用いられる陽イオン交換樹脂は、S樹脂、硫酸誘導体;およびCM樹脂、カルボキシレート誘導イオンである。
本発明の方法によるさらなる精製ステップにおいて用いることができるさらなる精製技術としては、疎水性相互作用クロマトグラフィー、マルチモーダルクロマトグラフィー(例えば、Capto MMCもしくはCapto Adhere)、アフィニティクロマトグラフィー(例えば、Blue Sepharose)および/またはヒドロキシアパタイトマトリックスが挙げられる。
本発明の方法の一態様においては、プロセッシングされた、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドと精製マトリックスとを接触させる前および/または後に、前記イオン交換クロマトグラフィーを実行する。本発明の方法の別の態様においては、プロセッシングされた、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドと精製マトリックスとを接触させる前に、本明細書で用いられる前記イオン交換クロマトグラフィーを実行する。この手段のため、アフィニティクロマトグラフィー中の交差反応または非特異的結合の可能性の危険をさらに回避し、低下させることができる。
本発明の方法は、プロセッシングされていない、または部分的にプロセッシングされた前駆体ポリペプチドを本質的に含まない活性なプロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造を可能にし、かくして、より多量の活性なプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取得することができる。そのような神経毒ポリペプチドを、医薬または化粧品組成物を製剤化するために用いることができる。これに関連して、本質的に含まないとは、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒が、特定の閾値以下である、一態様においては、所与のサンプルにより含まれる全神経毒の2.5%未満、1%未満、0.5%未満または0.1%未満であることを意味する。
かくして、本発明はまた、上記方法のステップおよび医薬としてタンパク質分解的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを製剤化するさらなるステップを含む医薬の製造のための方法にも関する。
本明細書で用いられる用語「医薬」とは、一態様においては、医薬活性化合物として生物学的に活性な(タンパク質分解的にプロセッシングされた)神経毒ポリペプチドを含有する医薬組成物を指し、該医薬組成物は、治療上有効用量で様々な疾患または障害のヒトまたは非ヒト療法に用いることができる。
本明細書で用いられる医薬組成物は、生物学的に活性な(タンパク質分解的にプロセッシングされた)本発明の神経毒ポリペプチド、および一態様においては、1種以上の製薬上許容し得る担体を含む。活性神経毒は、液体または凍結乾燥形態で存在してもよい。一態様においては、前記化合物は、グリセロール、タンパク質安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン(HAS))または非タンパク質安定剤と共に存在してもよい。
医薬組成物は、一態様においては、局所投与される。従来用いられる薬物投与は、筋肉内、皮下(腺の近く)投与される。しかしながら、化合物の性質および作用様式に応じて、同様に医薬組成物を他の経路により投与してもよい。
化合物、すなわち、生物学的に活性な(タンパク質分解的にプロセッシングされた)神経毒ポリペプチドは、組成物の活性成分であり、一態様においては、薬物と、標準的な医薬担体とを従来の手順に従って組合わせることにより調製された従来の剤形中で投与される。これらの手順は、必要に応じて所望の調製物に成分を混合、顆粒化、および圧縮、または溶解することを含んでもよい。製薬上許容し得る担体または希釈剤の形態および性質はそれが組合わされる活性成分の量、投与経路、および他の周知の変数により決定されることが理解される。
担体は、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに対して有害ではないという意味で許容性でなければならない。用いられる医薬担体は、固体、ゲル、または液体を含んでもよい。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の例は、リン酸緩衝生理食塩溶液、シロップ、油、水、乳濁液、様々な種類の湿潤剤などである。同様に、担体または希釈剤は、当業界で周知の時間遅延材料、例えば、単独またはワックスを含むモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを含んでもよい。前記好適な担体は、上記のものおよび当業界で周知の他のものを含む。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。
組合せ物の生物学的活性に影響しないように希釈剤を選択する。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンクス液である。さらに、医薬組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性的、非治療的、非免疫原性安定剤なども含んでもよい。
治療上有効用量とは、本明細書に記載の疾患または症状に伴う症候を予防する、軽減する、または治療する本発明の医薬組成物中で用いられる化合物の量を指す。化合物の治療効力および毒性、例えば、ED50(集団の50%において治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%に対して致死的な用量)は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。治療効果と毒性効果との間の用量比は治療指数であり、それを比LD50/ED50として表すことができる。
主治医および他の臨床因子により用量レジメンを決定することができる。医学界においては周知の通り、任意の一人の患者のための用量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間および投与経路、一般的な健康、および同時に投与される他の薬物などの多くの因子に依存する。定期的評価によって進行をモニターすることができる。
本明細書に記載の医薬組成物および製剤は、本明細書に記載の疾患または症状を治療または軽減または予防するために少なくとも1回投与される。しかしながら、前記医薬組成物を2回以上投与してもよい。
特定の医薬組成物は、製薬業界で周知の様式で調製され、製薬上許容し得る担体もしくは希釈剤と混合した、またはさもなければそれと結合した上記の少なくとも1つの活性化合物を含む。これらの特定の医薬組成物を作製するために、通常は活性化合物を担体または希釈剤と混合する。得られる製剤を投与様式に適合させる。推奨用量を処方者または使用者の説明書において指示して、考えられるレシピエントに応じて用量調整を予測することができる。
本発明に係る医薬は、本発明のさらなる態様においては、その製剤化の間に医薬組成物に添加される生物学的に活性な(タンパク質分解的にプロセッシングされた)神経毒ポリペプチドに加えて、薬物を含んでもよい。最後に、医薬組成物の製剤化は医薬の品質、製薬上の安全性、および有効性を確保するためのGMP標準化条件などの下で行われることが理解されるべきである。
本発明は、一般に、本発明の方法により得られるタンパク質分解的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを含む組成物を意図する。
用語「組成物」とは、固体、液体、エアロゾル(または気体)形態で製剤化された任意の組成物を指す。前記組成物は、必要に応じて希釈剤もしくは担体などの好適な補助的化合物またはさらなる成分と共に、本発明の化合物を含む。これに関連して、本発明にとって、それは補助的化合物、すなわち、その望ましい目的のための組成物の適用時に本発明の化合物により惹起される効果に寄与しない化合物と、さらなる成分、すなわち、さらなる効果に寄与するか、もしくは本発明の化合物の効果を調節する化合物との間で区別される。好適な希釈剤および/または担体は、組成物が用いられる目的および他の成分に依存する。当業者であれば、さらに苦労せずにそのような好適な希釈剤および/または担体を決定することができる。好適な担体および/または希釈剤の例は本明細書の他の場所に開示される。
本発明のさらなる態様においては、上記組成物は、本明細書の他の場所により詳細に特定された医薬である。一態様においては、前記医薬を、以下の疾患および障害の少なくとも1つの予防および/または治療に用いることができる:随意筋力、限局性筋失調症、例えば、頸部ジストニア、頭蓋ジストニア、および良性特発性眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、および限局性けいれん、胃腸障害、多汗症、およびシワ補正化粧品、さらなる態様においては、眼瞼けいれん、顎口腔ジストニア、開口型、閉口型、歯ぎしり、メージュ症候群、舌ジストニア、まぶたの失行、開口頸部ジストニア、頸部前屈、頸部後屈、頸部側屈、斜頸、咽頭ジストニア、喉頭ジストニア、けいれん性発声障害/内転筋型、けいれん性発声障害/外転筋型、けいれん性呼吸困難、四肢ジストニア、腕ジストニア、動作特異性ジストニア、書痙、音楽家けいれん、ゴルファーけいれん、脚ジストニア、大腿部内転、大腿部内転膝屈曲、膝伸展、足首屈曲、足首伸展、内反尖足、奇形足ジストニア、母指の過伸展(striatal toe)、足指の屈曲、足指の伸展、軸性ジストニア、ピサ症候群、ベリーダンサージストニア、分節性ジストニア、片側性ジストニア、全身性ジストニア、lubag病におけるジストニア、大脳皮質基底核変性症におけるジストニア、lubag病におけるジストニア、遅発性ジストニア、脊髄小脳失調症におけるジストニア、パーキンソン病におけるジストニア、ハンチントン病におけるジストニア、ハレルフォルデン・スパッツ病におけるジストニア、ドーパ誘発性ジスキネジア/ドーパ誘発性ジストニア、遅発性ジスキネジア/遅発性ジストニア、発作性ジスキネジア/ジストニア、運動誘発性・非運動誘発性・動作誘発性口蓋ミオクローヌス、ミオクローヌス、ミオキミア、硬直、良性筋けいれん、遺伝性の顎の振戦、奇異性顎筋活動、片側咀嚼筋けいれん、肥大性鰓弓筋疾患、咬筋肥大、前脛骨筋肥大、眼振、動揺視、核上性注視麻痺、てんかん、持続性部分てんかん、痙性斜頸手術計画、声帯外転筋麻痺、難治性変異性発声障害、上部食道括約筋機能障害、声帯肉芽腫、吃音、ジル・ド・ラ・トゥレット症候群、中耳ミオクローヌス、防御性喉頭閉鎖、咽頭切除後言語障害、防御性眼瞼下垂症、眼瞼内反(entropion)、オディ括約筋機能障害、偽性アカラシア(pseudoachalasia)、非アカラシア、食道運動障害、膣痙、術後固定振戦、膀胱機能障害、排尿筋・括約筋協調不全、膀胱括約筋けいれん、片側顔面けいれん、神経再生によるジスキネジア、美容用途、目尻の小じわ、渋面、顔面非対称、オトガイのくぼみ、スティッフパーソン症候群、強縮、前立腺肥大、脂肪過多症、脳性小児麻痺の治療による斜視、網膜剥離手術後、白内障手術後、無水晶体筋炎斜視における混合型麻痺付随、筋障害性斜視、斜視手術に伴う交代性上斜位、内斜視、外斜視、アカラシア、裂肛、外分泌腺活動亢進、フレイ症候群、ワニの涙症候群、腋窩部、手掌、足底の多汗症、鼻漏、脳卒中、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症における関連唾液過多症、脳炎および脊髄炎、自己免疫過程、多発性硬化症、横断性脊髄炎、デビック症候群、ウイルス感染、細菌感染、寄生虫感染、真菌感染における、遺伝性痙性対麻痺、脳卒中後の症候群、大脳半球梗塞、脳幹梗塞、脊髄梗塞、中枢神経系外傷、大脳半球損傷、脳幹損傷、脊髄損傷における、中枢神経系出血、脳内出血、くも膜下出血、硬膜下出血、髄腔内出血における、新生物、大脳半球腫瘍、脳幹腫瘍、脊髄腫瘍におけるけいれん症状。詳細および症候については、Jost 2007, Drugs 67(5), 669またはDressier 2000 in Botulinum Toxin Therapy, Thieme Verlag, Stuttgart, New Yorkを参照されたい。
本発明の別の態様においては、前記組成物は上記の医薬組成物について記載のように製剤化することができる化粧品組成物である。同様に、化粧品組成物についても、本発明の化合物は、一態様においては、実質的に純粋な形態で用いられることが想定される。化粧品組成物は、さらなる態様においては、筋肉内に適用される。本発明のさらに別の態様においては、神経毒を含む化粧品組成物を、シワ取り溶液として製剤化することができる。
本明細書に引用された全ての参考文献は、その開示の内容全体および本明細書に具体的に記載された開示内容に関して参照により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (21)

  1. 軽鎖、リンカーおよび重鎖を含む神経毒ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、該リンカーが、該ポリペプチドに対して少なくとも一つの物理化学的特性を付与する異種アミノ酸配列を含む改変リンカーであり、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドからの、部分的にプロセッシングされたか、またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの分離を可能にし、前記異種アミノ酸配列がプロテアーゼ認識および切断部位によってNおよびC末端にフランキングされている、前記ポリヌクレオチド。
  2. 前記異種アミノ酸配列が、精製マトリックスに高い親和性で結合する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 精製マトリックスに高い親和性で結合する前記異種アミノ酸配列が精製タグを含む、請求項1または2に記載のポリヌクレオチド。
  4. 部分的にプロセッシングされたか、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドから物理的に分離することができるように、前記異種アミノ酸配列が神経毒ポリペプチドの分子量を増加させる、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  5. 精製マトリックスに高い親和性で結合する前記異種アミノ酸配列が、(i)精製マトリックスへの高親和性結合を付与する少なくとも1個のアミノ酸ドメインならびに(ii)軽鎖と重鎖の間に分子内ジスルフィド架橋を形成するシステイン残基を近くにもっていくか、および/または該異種アミノ酸配列による軽鎖と重鎖の間の適切なジスルフィド結合の形成の干渉を防止する少なくとも1個のアミノ酸ドメインを含む、請求項1、2または4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  6. 精製マトリックスへの高親和性結合を付与する前記少なくとも1個のドメインが、精製タグを含む、請求項5に記載のポリヌクレオチド。
  7. 異種アミノ酸配列による軽鎖と重鎖の間の適切なジスルフィド結合の形成の干渉を防止する前記少なくとも1個のアミノ酸ドメインが、軽鎖と重鎖の間に分子内ジスルフィド架橋を形成するシステイン残基を物理的に近いところにもっていく三次元構造を形成する、請求項5または6に記載のポリヌクレオチド。
  8. 異種アミノ酸配列のCおよびN末端アミノ酸により形成される前記三次元構造が、逆平行コイルドコイル構造または逆平行βシート構造である、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
  9. 精製マトリックスに高い親和性で結合する前記異種アミノ酸配列が、少なくとも1つの検出可能なマーカーアミノ酸配列をさらに含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  10. 前記検出可能なマーカーアミノ酸配列が、蛍光タンパク質のアミノ酸配列、検出可能なシグナルを生成することができる酵素のアミノ酸配列、および検出可能なタグのアミノ酸配列からなる群より選択される、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. 前記精製タグがHisタグ、Mycタグ、FLAGタグ、strepタグ、MBPタグ、NusAタグ、GSTタグ、ストレプトアビジンおよびアビジンからなる群より選択される、請求項3または請求項6〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  12. 前記プロテアーゼ認識および切断部位が、SNAP25に由来する神経毒軽鎖プロテアーゼ認識および切断部位、大腸菌プロテアーゼに由来する認識および切断部位、トロンビン認識および切断部位、第X因子認識および切断部位、トリプシン認識および切断部位、エンテロキナーゼ認識および切断部位、TEVプロテアーゼ認識および切断部位、HRV 3c認識および切断部位、ならびにPreScissionプロテアーゼ認識および切断部位からなる群より選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  13. 神経毒ポリペプチドの前記軽鎖および重鎖が、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/GまたはTeNTからなる群より選択される神経毒の軽鎖および重鎖である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項14に記載のベクターを含む宿主細胞。
  16. 前記宿主細胞が細菌細胞である、請求項15に記載の宿主細胞。
  17. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド。
  18. プロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造方法であって、
    a)請求項17に記載のプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドと、精製マトリックスとを、精製マトリックスへの前記プロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの結合を可能にするのに十分な条件下および時間にわたって接触させるステップ;
    b)精製マトリックスに結合したプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドと、プロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼとを接触させて、プロセッシングされた、および部分的にプロセッシングされた、および/またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドを得るステップ;ならびに
    c)精製マトリックスから、遊離した、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取り出すステップ、
    を含む、前記方法。
  19. プロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造方法であって、
    a)請求項17に記載の神経毒ポリペプチドと、プロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼとを接触させるステップ;
    b)ステップa)で得られたプロセッシングされた、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドと、精製マトリックスとを、精製マトリックスへの前記プロセッシングされていないか、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドの結合を可能にするのに十分な条件下および時間にわたって接触させるステップ;ならびに
    c)精製マトリックスから、遊離した、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取り出すステップ、
    を含む、前記方法。
  20. ステップa)が、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドと、プロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼとを発現する宿主細胞またはその溶解物中で実行される、請求項19に記載の方法。
  21. プロセッシングされた神経毒ポリペプチドの製造方法であって、
    a)請求項17に記載の神経毒ポリペプチドと、プロテアーゼ認識および切断部位で神経毒ポリペプチドを切断することができるプロテアーゼとを接触させるステップ;
    b)ステップa)で得られたプロセッシングされた、プロセッシングされていない、および/または部分的にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを、プロセッシングされた神経毒ポリペプチドからの、部分的にプロセッシングされたか、またはプロセッシングされていない神経毒ポリペプチドの物理的分離を可能にするのに十分な時間にわたって物理的条件に供するステップ;ならびに
    c)前記物理的分離後にプロセッシングされた神経毒ポリペプチドを取り出すステップ、
    を含む、前記方法。
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