JP2013533253A - 双極性障害を治療する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象における双極性障害を治療する方法をねらいとし、この方法は治療上有効な量のカルバメート化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはアミドを投与することを含むものである。

Description

本発明は、双極性障害を治療する方法に関する。より具体的には、本発明は、双極性障害の治療のためにカルバメート化合物を単独でまたは他の薬剤と組み合わせて使用する方法をねらいとするものである。
双極性障害(BPD)は、躁病とうつ病とを特徴とする慢性かつ周期性の精神疾患である。双極I型障害は、少なくとも1回の躁病エピソードまたは混合性エピソードを要件とする(MiklowitzおよびJohnson、2006)。躁病は、少なくとも1週間続くかまたは入院を必要とするものであり、この期間における症状として、易刺激性、多幸感、睡眠欲求の減少、誇大妄想、衝動的な行為、多弁、観念奔逸、活動増加および注意散漫等が挙げられる。混合性エピソードは、同時にうつ病を伴う躁病の症状を含む。双極II型障害は軽躁病の期間と大うつ病の期間から成る。軽躁病は躁病と似ているが、患者の機能に変化が見られるが、社会生活や職業生活を行うことは可能であるという点で、躁病よりも軽度であると考えられるものである(Millerら、2009)。大うつ病の期間に、患者は、強い悲しみ/無気力、無関心、疲労感、不眠、動揺、体重増加/減少および自殺念慮/未遂等を経験する。National Comorbidity Survey Replicationによれば、生涯有病率はおよそ4%と推定されている(Kesslerら、2005a)。とりわけ、注意欠陥多動性障害および薬物濫用と双極性障害との併発が多く見られる(Kesslerら、2005b)。
双極性障害の治療は、該障害の躁病、軽躁病、およびうつ病の症状を治療することとともに、該障害における病相の繰り返しを阻止またはその繰り返し回数を低減することにより治療を維持することを目指す。リチウムは、初期における少数の臨床試験(これらの臨床試験には方法論的問題点があり、当初から批判が多い)に基づいて、長きにわたって双極性障害の標準治療と考えられきた(VietaおよびRosa、2007)。しかしながら、リチウムが躁病に効くことに疑いはないが、うつ病の治療には効果が弱い(Fryeら、2004)。さらに、リチウムによる治療を受けた患者は病気の兆候を示すことがあり、治療を急に中断すると躁病エピソードを引き起こす場合があり、さらに、誰もに許容される治療でもない(VietaおよびRosa、2007)。カルバマゼピンおよびバルプロエートもまたBPDに有益かもしれないが、さらなる長期臨床研究が必要である(AzorinおよびKaladjian、2009)。オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびクロザピンを含む第二世代抗精神病薬は、BPDの治療においてある程度の有効性を示しているが、一般に鎮静作用、体重増加、および代謝異常を含む副作用が見られる(VietaおよびRosa、2007)。抗うつ薬であるフルオキセチン、パロキセチン、およびベンラファキシンは、双極性うつ病の治療においてある程度の効果を示す(HarelおよびLevkovitz、2008;AzorinおよびKaladjian、2009)。しかしながら、うつ病から躁病または軽躁病への変化として定義される躁転率が抗うつ薬、特にベンラファキシンにより増すことが報告されているものの、躁転の構成要素となるものやプラセボ群からのドロップアウトの扱いに、一貫性はなかった。サイクルの加速やラピッドサイクルは、BPDにおける抗うつ薬治療に関連したまた別のリスクである(HarelおよびLevkovitz、2008)。躁転率と同様に、サイクルの加速に関しても、一貫した定義や比較データは欠如している。したがって、これらのリスクの発生を適切に評価するには、系統的・客観的な手段による、より多くの対照試験が必要である。
双極性障害には、ドーパミンとのかかわりがあるように思われる(Cuellarら、2005;Cousinsら、2009;Rapoportら、2009)。ドーパミンの役割は複雑であるが、アンフェタミンのような覚醒薬を使用すると、躁病の発作に似た症状を呈する傾向がある。一方、ドーパミン作動薬は、パーキンソン病によるうつ病において観察されるような明らかなドーパミン欠乏症を緩和する。治療を受けていない双極性のうつ病患者は、ドーパミン代謝産物であるホモバニリン酸(HVA)の脳脊髄液中レベルが低下している。ドーパミン作動薬は、BPDにおいて躁病とうつ病との間の極端な行き来を予防する目的で、ドーパミン作動性の神経系のバランスを取るために必要とされる。双極性障害においては、ノルエピネフリンの不均衡があることも報告されている(Cuellerら、2005)。
英国および米国の精神科医を対象とした調査によって、BPDにおいてまだ満たされていない高いニーズのあることが判明した(ChengappaおよびWilliams、2005)。BPDにおいて十分な対応を受けていないのは、ラピッドサイクラーである患者および薬物濫用を合併している患者であった。忍容性がより高く、病気のあらゆるフェーズに対して有効であり、再発の頻度が低く、作用の発現の速い治療がBPDに有益であるだろうと思われた。
したがって、躁病エピソード、うつ病エピソード、ならびに注意欠陥多動性障害および物質濫用を含むその他の併発症を治療し、副作用プロフィールを改善することが求められている。
本発明は、双極性障害を治療し、双極性障害に関連する症状を改善し、かつ/または双極性障害の症状を緩和または解消するための、構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩の新規な使用に関する。
(式中、
Rは、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、F、Cl、Br、およびIから選択されるハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ、ニトロ基、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、ならびに炭素数1〜3のチオアルコキシからなる群より選択され、
xはRの数を表す1〜3の整数であり、xが2または3のときRは同一でも異なっていてもよく、
およびRは同一または互いに異なって、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、炭素数3〜7のアリール、炭素数3〜7のアリールアルキル、および炭素数3〜7のシクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
とRとは一緒になって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル、および炭素数3〜7のアリールからなる群より選択されるメンバーによって置換された5〜7員環のヘテロ環を形成してもよく、この場合該ヘテロ環式化合物は1〜2個の窒素原子および0〜1個の酸素原子を含み、該窒素原子は他の窒素原子とも酸素原子とも直接接合していない。)
一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、その治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、双極性障害を治療する方法をねらいとする。
別の一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、そのような治療を必要とする対象に投与するステップを含む、対象における双極性障害に関連する症状を改善する方法を提供する。
さらなる一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、そのような治療を必要とする対象に投与するステップを含む、対象における双極性障害の症状を緩和または解消する方法を提供する。
さらなる一実施形態において、本発明は、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む、双極性障害を治療するための医薬組成物をねらいとする。
また別の一実施形態において、本発明は、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む、双極性障害に関連する症状を改善するための医薬組成物を提供する。
さらなる一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、対象における双極性障害の症状を緩和または解消するための医薬組成物を提供する。
さらなる一実施形態において、本発明は、双極性障害の治療における使用、または双極性障害を治療するための医薬組成物の調製における使用のための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩をねらいとする。
また別の一実施形態において、本発明は、双極性障害に関連する症状の改善における使用、または双極性障害に関連する症状を改善するための医薬組成物の調製における使用のための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
さらなる一実施形態において、本発明は、双極性障害の症状の緩和または解消における使用、または双極性障害の症状を緩和または解消するための医薬組成物の調製における使用のための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
構造式(1)の化合物は、他のエナンチオマーを実質的に含まない1つのエナンチオマーであるか、または構造式(1)の化合物の1つのエナンチオマーが優位を占めるエナンチオマー混合物である。1つのエナンチオマーは約90%以上、好ましくは約98%以上を占める。
このエナンチオマーは、構造式(1a)によって表されるような(S)もしくは(L)エナンチオマー、または構造式(1b)によって表されるような(R)もしくは(D)エナンチオマーである。
R、RおよびRとしては、すべて水素が選択されることが好ましく、これは下記式で示される。
本発明の実施形態には、式1bのエナンチオマーである、実質的に他のエナンチオマーを含まないエナンチオマー、または式1bのエナンチオマーが優位を占めるエナンチオマー混合物の使用方法が含まれる。(注:下側に位置する式1bの構造式において、β炭素に結合しているアミノ基は紙面の裏側へ突き抜けている。この化合物は絶対配置が(R)である右旋性の(D)エナンチオマーである。)
マウスの自発活動(移動距離)に対する試験化合物の影響を示す図である。
本発明のこれらの目的および他の目的は、以下に記載する発明の詳細な説明および添付の請求項から、より完全に理解されるであろう。
本発明は、治療上有効な量の構造式(1)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、もしくはこれらの混合物、またはその水和物、溶媒和物、薬学的に許容される塩、もしくはアミドを、その治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、双極性障害を治療する方法;
式(1)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、もしくはこれらの混合物、またはその水和物、溶媒和物、薬学的に許容される塩、もしくはアミドを有効成分として含む、双極性障害を治療するための医薬組成物;および/または
双極性障害の治療における使用もしくは双極性障害を治療するための医薬組成物の調製における使用のための、式(1)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、もしくはこれらの混合物、またはその水和物、溶媒和物、薬学的に許容される塩、もしくはアミド
をねらいとするものである。
(式中、
Rは、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、F、Cl、Br、およびIから選択されるハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ、ニトロ基、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、ならびに炭素数1〜3のチオアルコキシからなる群より選択され、
xはRの数を表す1〜3の整数であり、xが2または3のときRは同一でも異なっていてもよく、
およびRは同一または互いに異なって、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、炭素数3〜7のアリール、炭素数3〜7のアリールアルキル、および炭素数3〜7のシクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
とRとは一緒になって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル、および炭素数3〜7のアリールからなる群より選択されるメンバーによって置換された5〜7員環のヘテロ環を形成してもよく、この場合該ヘテロ環式化合物は1〜2個の窒素原子および0〜1個の酸素原子を含み、該窒素原子は他の窒素原子とも酸素原子とも直接接合していない。)
本発明の方法はまた、式1aもしくは1bの化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、もしくはこれらの混合物、またはその水和物、溶媒和物、薬学的に許容される塩もしくはアミドからなる群より選択される化合物の使用を含む。
(式中、Rx、R、およびRは、上で定義されるものと同一である。)
本発明の方法、組成物、および/または使用はまた、好ましくは、式1の化合物またはそのエナンチオマー混合物からなる群より選択される、D(あるいは右旋性)エナンチオマー(絶対配置R)の使用を含む。構造式1bにおいて、β炭素に結合しているアミノ基は紙面の裏側へ突き抜けている。これは絶対配置が(R)である、右旋性(D)エナンチオマーである。
好ましくは、構造式1におけるR、R、およびRは、以下の構造式で表されるように、水素原子である。
O−カルバモイル−(D)−フェニルアラニノールは、(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピルカルバミンエステルモノ塩酸塩とも呼ばれる。O−カルバモイル−(D)−フェニルアラニノールが優位を占めるエナンチオマー混合物においては、該化合物が約90%以上を占めることが好ましく、約98%以上を占めることがより好ましい。
式1の化合物は、当業者に知られた方法によって合成することができる。式(1)の化合物を合成する反応スキームのいくつかが、公開されている米国特許第5705640号、米国特許5756817号、米国特許5955499号、および米国特許6140532号に記載されている。上記の反応スキームの詳細および特定の化合物の調製の代表例も、公開されている米国特許第5705640号、米国特許5756817号、米国特許5955499号、および米国特許6140532号に記載されており、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
式(1)の化合物の塩およびアミドは、該化合物を適切な溶媒中において酸(HX)で処理することによって、または当業者によく知られた手段によって、製造することができる。
構造式1から、本発明の化合物のうちのいくつかが少なくとも1つ、場合によりそれ以上の不斉炭素原子を有することは明らかである。本発明の範囲には、本発明の化合物の立体化学的に純粋な異性体のみならず、それらのラセミ化合物も含まれることが意図される。立体化学的に純粋な異性体は、当技術分野で知られた原理の応用によって得ることができる。ジアステレオマーは、分別結晶やクロマトグラフィー等の物理的分離法によって分離してもよく、エナンチオマーは、光学活性な酸または塩基を用いたジアステレオマー塩の選択的結晶化を行うことによって、またはキラルクロマトグラフィーによって互いに分離してもよい。また、純粋な立体異性体は、立体化学的に純粋な適切な出発物質から合成して調製してもよく、立体選択的反応の使用によって調製してもよい。
本発明の化合物の調製方法のいずれにおいても、関連するあらゆる分子中の感受性または反応性の高い基を保護することが必要かつ/または望ましいかもしれない。これは、Protective Groups in Organic Chemistry, ed. J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;およびT.W.Greene&P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley&Sons,1999に記載されているような慣用の保護基を用いることで達成できる。この保護基は、当技術分野で知られた方法によって、後の適当な段階で除去してもよい。
本発明は、上述した式1のフェニルアルキルアミノカルバメートが新規かつ特異な薬理学的特性を有するという発見に一部基づいている。これらの化合物は、いくつかの動物モデルにおいて、双極性障害を治療し、双極性障害に関連する症状を改善、緩和、または解消する能力を有することが示された。
正確な作用機序が完全に理解されているわけではないが、これらの化合物は、双極性障害のほとんどの治療法とは異なる機序で作用することが知られている。これらの理由から、式1の化合物は、双極性障害に関連する症状の改善、緩和、または解消するための、双極性障害の単独治療または補助的治療としての使用に特に適している。
したがって、これらの化合物は、単独でまたは他の有用な薬剤と組み合わせて安全に使用することができ、併用時には、効果が増強され、各薬剤の用量が低減されるため副作用も軽減される。
一態様において、本発明は双極性障害を治療する方法に関し、該方法は、双極性障害を患う対象に対して本発明のカルバメート化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはアミドのうち1以上の治療上有効な量を、任意で薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とともに投与することを含む。本発明の方法は、前記投与するステップの前に、双極性障害を患う対象を特定するステップをさらに含んでもよい。
別の態様において、本発明はさらに、
双極性障害を患う対象における躁病の症状(たとえば、非現実的な計画、浪費、無謀な行動、睡眠欲求の減少、談話心迫、自尊心の肥大、判断力の低下、身なりに無頓着になる、および異常な性的衝動)およびうつ病の症状(悲嘆・号泣発作、傾眠、不眠、拒食、過食による体重増加、孤独感、自己嫌悪、無気力もしくは無関心、離人症、性欲喪失、内気もしくは社会不安、慢性的疼痛、自発性の欠如、病的/自殺念慮、易刺激性、または情動不安)を含む双極性障害に関連する症状を軽減、抑制、または解消するための方法であって、前記症状を軽減、抑制、または解消するために、前記対象に対して本発明のカルバメート化合物、薬学的に許容されるその塩、またはアミドの有効量を投与することを含む方法;
躁病の症状(たとえば、非現実的な計画、浪費、無謀な行動、睡眠欲求の減少、談話心迫、自尊心の肥大、判断力の低下、身なりに無頓着になる、および異常な性的衝動)およびうつ病の症状(悲嘆・号泣発作、傾眠、不眠、拒食、過食による体重増加、孤独感、自己嫌悪、無気力もしくは無関心、離人症、性欲喪失、内気もしくは社会不安、慢性的疼痛、自発性の欠如、病的/自殺念慮、易刺激性、または情動不安)を含む双極性障害に関連する症状を軽減、抑制、または解消するための医薬組成物であって、本発明のカルバメート化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはアミドの治療上有効な量を含む医薬組成物;ならびに/または
躁病の症状(たとえば、非現実的な計画、浪費、無謀な行動、睡眠欲求の減少、談話心迫、自尊心の肥大、判断力の低下、身なりに無頓着になる、および異常な性的衝動)およびうつ病の症状(悲嘆・号泣発作、傾眠、不眠、拒食、過食による体重増加、孤独感、自己嫌悪、無気力もしくは無関心、離人症、性欲喪失、内気もしくは社会不安、慢性的疼痛、自発性の欠如、病的/自殺念慮、易刺激性、または情動不安)を含む双極性障害に関連する症状の軽減、抑制、または解消における使用、または躁病の症状(たとえば、非現実的な計画、浪費、無謀な行動、睡眠欲求の減少、談話心迫、自尊心の肥大、判断力の低下、身なりに無頓着になる、および異常な性的衝動)およびうつ病の症状(悲嘆・号泣発作、傾眠、不眠、拒食、過食による体重増加、孤独感、自己嫌悪、無気力もしくは無関心、離人症、性欲喪失、内気もしくは社会不安、慢性的疼痛、自発性の欠如、病的/自殺念慮、易刺激性、または情動不安)を含む双極性障害に関連する症状を軽減、抑制、または解消するための医薬組成物の調製における使用のための、本発明のカルバメート化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはアミド
を提供する。
定義
便宜を図って、本明細書、実施例、および添付の請求項において使用される特定の用語をここに集めた。
本明細書に記載の方法論、プロトコル、動物種属、および試薬は変更され得るものであるから、記載した特定のものに本発明が限定されないことは理解されるべきである。また、本明細書で用いられる用語は、個々の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の請求項によってのみ限定される本発明の範囲を限定する意図ではないことも理解されるべきである。
本明細書で使用される「対象」は、治療、観察または実験の対象となっている動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトの、雄雌いずれをも指す。
本明細書で使用される「治療上有効な量」は、組織系、動物、またはヒトにおいて、研究者、獣医師、医師、または他の医療従事者の求める生物学的反応または薬理反応を誘導する有効成分または医薬品の量を意味し、該反応には治療中の疾患または障害の兆候または症状の1以上の緩和が含まれる。
「予防的に有効な量」は、組織、系、動物、またはヒトにおいて、研究者、獣医師、医師、または他の医療従事者が予防しようと努める生物学的または医学的事象の発生を阻止またはその発生リスクを低減させるような薬剤の量を意味することが意図される。
「薬学的に許容される塩またはアミド」は、本発明で使用される化合物の無毒な塩またはアミドを意味し、これらは一般に、遊離酸を適切な有機塩基または無機塩基と反応させることによって調製される。このような塩としては、たとえば、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩化水素化物、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフト酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド、吉草酸塩等が挙げられるが、これらに限定はされない。
したがって、本明細書で使用される「治療を必要とする患者」は、上記の症状または障害を現在有するかあるいは発症するかもしれない任意の対象または患者を指し、該障害には抗うつ薬によって治療できる任意の気分障害、または患者の現時点での臨床症状もしくはその予後が、式(1)の化合物の1以上の単独投与または他の医療的介入(別の投薬を含むがこれに限定はされない)と組み合わせた投与により恩恵を受けるかもしれない他の任意の障害が含まれる。
本明細書で使用される「治療すること」または「治療」は、双極性障害の傷害、病変、または状態の予防または緩和および双極性障害の症状の改善における成功の何らかの徴候を意味し、このような兆候としては、軽減;寛解;症状の軽減または傷害、病変、もしくは状態を患者にとって受忍しやすいものとすること;疾患の悪化、進行、または深刻化の速度を遅らせること;悪化の最終状態を少しでも良い状態にとどめること;または対象の肉体的もしくは精神的健康状態を改善すること等の、任意の客観的または主観的パラメーターが挙げられる。症状の治療または緩和は、理学的検査、神経学的検査、および/または精神鑑定の結果を含む客観的または主観的パラメーターに基づくものであり得る。したがって、「治療すること」または「治療」は、任意の形態の双極性障害を治療するための本発明の化合物または薬剤の投与を含み、該投与は雌雄いずれをも対象とする。場合によっては、本発明の化合物を用いた治療を、双極性障害の進行を予防、抑制、または阻止するための他の化合物と組み合わせて行うこともある。
本明細書で使用される「治療効果」は、双極性障害の症状が効果的に改善されることまたは軽減されることを指す。本明細書で使用される「治療上有効な量」は、双極性障害治療を必要とする対象または患者において、本発明の1以上の化合物が上で定義したような治療効果を生むために十分な量を意味する。
本明細書において「対象」と「患者」とは同じ意味で使用され、任意の哺乳動物を指す。該哺乳動物は、本発明の組成物を投与することができるヒトの患者または対象を含むヒトを包含するが、これに限定はされない。哺乳動物は、ヒトの患者を雌雄の別を問わず含み、ヒト以外の霊長類ならびにウサギ、ラット、マウスおよび他の動物等の実験動物をも含む。
該医薬組成物の治療的に有効な用量および予防的にに有効な用量を決定するための方法は、当技術分野において公知である。たとえば、平均的な成人の場合、該化合物は通常、1日当たり数回たとえば1〜2回という投与計画において、1日量約0.1mg〜400mgの範囲で使用することができる。しかしながら、該有効量は、使用する具体的な化合物、投与方法、製剤の強さ、投与方法および病態の進行によって変化してもよい。さらに、たとえば年齢、体重、食事および投与の時間等、治療を受ける患者に関する要因によって、患者ごとに用量を調節する必要がある。
本発明の化合物は、慣用の任意の投与経路によって対象に投与されてもよく、該経路には、静脈内、経口、皮下、筋肉内、皮内、および非経口が含まれるが、これらに限定はされない。式(1)の化合物は、投与経路に応じて任意の形態とすることができる。たとえば、経口投与に適した形態としては、丸剤、ジェルキャップ剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ即放性、時限放出性、および徐放性の剤形を含む)、顆粒剤、および散剤等の固体形態が挙げられる。経口投与に適した形態としては、さらに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁剤等の液体形態が挙げられる。さらに、非経口投与に有用な形態としては、滅菌した液剤、乳剤、および懸濁剤が挙げられる。
本発明の医薬組成物を調製するには、有効成分としての式(1)の化合物またはその塩の1以上を、慣用の医薬品配合技術によって、医薬担体と十分に混合する。担体は必須であり、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、香味料、甘味料、防腐剤、着色料およびコーティング剤を含む不活性の医薬品賦形剤であるが、不活性の医薬品賦形剤はこれらに限定されない。経口投与形態の組成物を調製する際には、通常の医薬担体であればどのようなものを使用してもよい。たとえば、経口用液体製剤に適した担体および添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤および着色料等が挙げられ、経口用固形製剤に適した担体および添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。非経口用の場合、担体は一般的に滅菌水を含有するが、たとえば溶解性や保存性を高める等の目的で、他の成分を含有してもよい。注射可能な懸濁剤として調製されてもよく、この場合、適切な液体担体、懸濁化剤等を使用してもよい。
投与が容易であることから、錠剤およびカプセル剤は最も有利な経口投与単位であり、この場合、当然のことながら固体医薬担体が使用される。錠剤は、所望により、標準的な技術を用いて糖衣または腸溶コーティングを施してもよい。坐剤として調製してもよく、この場合、担体としてココアバターを使用することができる。錠剤または丸剤は、作用が持続する有利な剤形とするために、コーティングまたは他の方法で調合物とすることができる。たとえば、錠剤または丸剤は、内部投与成分および外部投与成分(外部成分は内部成分の外被の形態である)を含むことができる。この2つの成分は腸溶層で隔てることができる。腸溶層は、胃内での崩壊を防止し、内部成分を完全な状態で十二指腸へと通過させたり、内部成分の放出を遅らせたりすることができる。このような腸溶層または腸溶コーティングには様々な原料を使用することができ、例としては多くのポリマー酸、セラック、セチルアルコール、および酢酸セルロース等が挙げられる。
実薬は、小単層ベシクル、大単層ベシクル、および多層ベシクル等のリポソーム運搬システムの形態でも投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン等の様々なリン脂質から形成することができる。
また、モノクローナル抗体を担体として用い、これに本発明の化合物の分子を結合させて、実薬を送達してもよい。実薬はまた、標的設定の可能な薬物運搬体としての可溶性ポリマーと連結されてもよい。このようなポリマーとしては、パルミトイル残基で置換されたポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシ−プロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチル−アスパルトアミド−フェノールまたはポリエチレンオキシド−ポリリシン等が挙げられる。さらにまた、実薬は、薬剤の制御放出を達成するために有用である生分解性ポリマー類、たとえばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸との共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、および架橋しているかまたは両親媒性のヒドロゲルブロック共重合体等に連結されてもよい。
これらの組成物は単位用量形態にあることが好ましく、そのような形態としては経口、非経口、鼻腔内、舌下もしくは直腸内投与、または吸入もしくは吹送(インサフレーション)による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、無菌の注射用液剤もしくは懸濁剤、定量のエアゾールスプレー剤もしくは液体スプレー剤、点滴剤、アンプル剤、自動注入装置または坐剤等が挙げられる。
あるいは、該組成物は、週に1回または月に1回の投与に適した形態で提供されてもよい。たとえば、デカン酸塩等の、有効成分の不溶性塩が、筋肉注射用デポ製剤の提供に適用されるかもしれない。
本発明における医薬組成物は、用量単位(例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、茶さじ量、坐剤等)当たり、上述のような有効量を送達するために必要な有効成分の量を含むことになる。たとえば、本発明の医薬組成物は、用量単位当たり約25〜400mgの有効成分を含有できる。有効成分含有量の範囲は、約50〜200mgであることが好ましい。
本発明のいくつかの実施形態において、発明の実施における使用に適したカルバメート化合物が、単独でまたは1以上の他の化合物もしくは治療薬とともに投与される。これらの実施形態において、本発明は、患者の双極性障害を治療し、双極性障害に関連した症状を改善するための方法を提供する。該方法は、治療を必要とする患者に、本明細書で開示される1カルバメート化合物の有効量を、1以上の他の化合物または治療薬の有効量とともに投与するステップを含む。
本明細書で提供される方法だけでなく当技術分野で公知の技術によっても容易に合成できる、化学的に安定した化合物を提供するために、本発明の化合物における置換基および置換パターンを当業者が選択できることは理解される。
本発明は、式1の単離されたエナンチオマーの使用を含む。好ましい一実施形態において、式1の単離されたSエナンチオマーを含む医薬組成物が、対象の双極性障害治療を提供するために使用される。別の好ましい一実施形態においては、式1の単離されたRエナンチオマーを含む医薬組成物が、対象の双極性障害治療を提供するために使用される。
本発明はさらに、式1のエナンチオマーの混合物の使用を含む。本発明の一態様においては、1つのエナンチオマーが優位を占めることになる。混合物中で優位を占めるエナンチオマーとは、混合物中の他のどのエナンチオマーよりも多量に(たとえば50%を超えて)存在するものを指す。一態様において、1つのエナンチオマーは、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、またはそれ以上に存在し、優位を占める。好ましい一実施形態において、式1の化合物を含む組成物中で優位を占めるエナンチオマーは、式1のSエナンチオマーである。
本発明は、式1で表される化合物のエナンチオマーおよびエナンチオマー混合物を双極性障害の治療のために使用する方法を提供する。式1のカルバメートエナンチオマーは、ベンジル位に不斉(キラル)炭素を有するが、これはフェニル環に隣接する側から2番目の脂肪族炭素である。
単離されたエナンチオマーとは、他のエナンチオマーを実質的に含まないものをいう。このように、単離されたエナンチオマーは、分割技術によって分離されたか、他のエナンチオマーが含まれないよう調製された化合物を指す。本明細書で使用される「実質的に含まない」は、該化合物が他より顕著に大きな割合を占める1つのエナンチオマーから構成されることを意味する。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、好ましいエナンチオマーを少なくとも約90重量%含む。本発明の別の実施形態では、該化合物は好ましいエナンチオマーを少なくとも約99重量%含む。好ましいエナンチオマーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に知られた任意の方法によってラセミ混合物から単離することができ、また本明細書に記載の方法によって調製することもできる。
医薬としてのカルバメート化合物:
本発明は、医薬としての式1のラセミ混合物、エナンチオマー混合物、および単離されたエナンチオマーを提供する。カルバメート化合物は、対象に抗双極性障害作用をもたらす医薬として製剤化される。
一般に、本発明のカルバメート化合物は、治療薬を投与するための、当技術分野で知られた任意の方法によって医薬組成物として投与することができ、そのような方法としては経口投与、頬側投与、局所投与、全身投与(たとえば経皮投与、鼻腔内投与、もしくは坐薬による投与)、または非経口投与(たとえば筋肉内投与、皮下投与、もしくは静脈注射)等が挙げられる。該化合物の神経系への直接投与としては、たとえば、頭蓋内投与用または脊椎投与用の注射針またはカテーテルを介した送達(ポンプ装置使用または不使用)による脳内、脳室内(intraventricular)、脳室内(intacerebroventricular)、髄腔内、嚢内、脊髄内、または脊髄周辺への投与等が挙げられる。
組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固体剤、散剤、徐放性製剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、エアゾール剤、または他の適切な組成物の形態をとることができ、1以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた1以上の本発明の化合物を含む。適切な賦形剤は当業者にはよく知られており、そのような賦形剤および組成物を製剤化する方法は、Alfonso AR:Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton PA,1985等の標準的な参考資料に見出すことができる。その開示内容は、参照によりあらゆる目的のためにその全体が本願に組み込まれる。適切な液体担体、特に注射剤のための液体担体としては、水、食塩水、デキストロース水溶液およびグリコール等が挙げられる。
カルバメート化合物は水性懸濁剤として提供することができる。本発明の水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合されたカルバメート化合物を含むことができる。このような賦形剤としては、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴム等の懸濁化剤、天然に存在するリン脂質(たとえばレシチン)、脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合生成物(たとえばステアリン酸ポリオキシエチレン)、長連鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物(たとえばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(たとえばポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)、または脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)等の分散剤または湿潤剤が挙げられる。
水性懸濁剤はさらに、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル等の1以上の防腐剤、1以上の着色料、1以上の香味料、およびスクロース、アスパルテーム、またはサッカリン等の1以上の甘味料を含むことができる。製剤の浸透圧の調節を行ってもよい。
本発明の方法で使用される油性懸濁剤は、落花生油、オリーブ油、ごま油、もしくはココナツ油等の植物油、もしくは流動パラフィン等の鉱物油、またはこれらの混合物に、カルバメート化合物を懸濁させることによって製剤化できる。該油性懸濁剤は、ミツロウ、固形パラフィン、またはセチルアルコール等の増粘剤を含むことができる。グリセリン、ソルビトール、またはスクロース等の甘味料は、口当たりの良い経口剤を提供するために添加できる。これらの製剤は、アスコルビン酸等の酸化防止剤の添加によって保存することができる。注射可能な油性媒体については、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102,1997を参照されたい。本発明の医薬製剤は、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は上記の植物油もしくは鉱物油、またはそれらの混合物であってもよい。
適切な乳化剤としては、天然に存在するゴム、たとえばアラビアゴムおよびトラガカントゴム、天然に存在するリン脂質、たとえば大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、たとえばソルビタンモノオレアート、およびこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート等が挙げられる。シロップ剤およびエリキシル剤と同様、乳剤もまた甘味料および香味料を含むことができる。これらの製剤はさらに、粘滑剤、防腐剤、または着色料を含むことができる。
選択した化合物は、単独でまたは他の適切な成分と組み合わせて、吸入によって投与されるエアゾール製剤とする(「霧状化」する)ことができる。エアゾール製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の加圧された許容可能な噴射剤に入れることができる。
非経口投与、たとえば関節内、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、および皮下等の投与経路に適した本発明の製剤は、水性および非水性の無菌等張注射液(酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を投与対象の血液と等張にするための溶質を含有できる)ならびに水性および非水性の無菌懸濁剤(懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および防腐剤を含有できる)を含み得る。使用することができる許容可能な媒体および溶媒として、水およびリンゲル液(等張食塩水)が挙げられる。さらに、溶媒または懸濁媒体として、無菌の不揮発性油が慣例的に使用できる。この目的には、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌性不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸等の脂肪酸も同様に、注射剤の調製に使用することができる。これらの液剤は無菌であり、一般的には不純物を含まない。
化合物が十分な溶解性を有する場合には、プロピレングリコールやポリエチレングリコール等の適切な有機溶媒を使用して、あるいは使用せずに、生理食塩水に直接溶解させることができる。化合物の微細分散液は、デンプン水溶液もしくはカルボキシルメチルセルロースナトリウム水溶液、または落花生油等の適切な油から構成されてもよい。これらの製剤は、従来公知の滅菌技術によって殺菌することができる。製剤は、生理学的条件に近づけるために、薬学的に許容される補助物質を必要に応じて含むことができ、そのような補助物質としてはpH調節剤、緩衝剤、毒性調節剤(たとえば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等)が挙げられる。
これらの製剤におけるカルバメート化合物の濃度は大幅に変えることができ、選択された投与経路および患者のニーズに応じて、主として液量、粘性、体重等に基づいて選択される。静脈投与用には、製剤は、水性または油性の無菌注射用懸濁剤等の無菌注射剤となり得る。この懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤と懸濁化剤とを使用して製剤化することができる。無菌注射剤は、1,3−ブタンジオール溶液等、非経口的に許容される無毒の希釈剤または溶媒を用いた無菌注射用液剤または懸濁剤とすることもできる。推奨される製剤は、アンプルやバイアル等、単位用量または多回用量用の密閉容器で提供することができる。注射液剤および注射懸濁剤は、先に説明した種類の無菌の散剤、顆粒剤、および錠剤から調製できる。
本発明の実施における使用に適したカルバメート化合物は、経口投与が可能であり、また好ましい。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物の種類、単位用量の大きさ、賦形剤の種類、および当業者によく知られたその他の要因に依存して大幅に変わり得る。一般に、最終組成物中に含まれ得るカルバメート化合物は、たとえば0.000001〜50重量パーセント(%w)、好ましくは0.00001〜25%wであり、残りを賦形剤が占める。
経口投与用医薬製剤は、当技術分野でよく知られた薬学的に許容される担体を使用し、経口投与に適した用量で製剤化できる。このような担体の使用により、医薬製剤を錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ロゼンジ剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等、患者による摂取に適した単位用量形態に製剤化できる。
経口投与に適した製剤としては、(a)水、生理食塩水、またはポリエチレングリコール(PEG)400等の希釈剤中に有効量の医薬製剤を懸濁させたもの等の液剤、(b)所定量の有効成分を液体、固体、顆粒、またはゼラチンとして含むカプセル剤、サシェ剤、または錠剤、(c)適切な液体を用いた懸濁剤、および(d)適切な乳剤が挙げられる。
経口で使用される医薬製剤は、本発明の化合物と固体の賦形剤とを混ぜ合わせ、生じた混合物を任意で粉砕し、所望により適切な化合物をさらに添加した後に顆粒混合物を加工することによって錠剤または糖衣錠剤コアとして得ることができる。適切な固体賦形剤は炭水化物またはタンパク質由来の充填剤であり、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール等の糖類;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、または他の植物由来のデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース;たとえばアラビアゴムおよびトラガカントゴム等のゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲン等のタンパク質を含むが、これらに限定はされない。
所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩(アルギン酸ナトリウム等)等の崩壊剤または可溶化剤を添加することができる。錠剤形態のものは、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色料(colorants)、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、香味料、着色料(dyes)、崩壊剤、ならびに薬学的に適合する担体の1以上を含むことができる。ロゼンジ形態のものは、香味料(たとえばスクロース)内に有効成分を含む。これは、ゼラチン、グリセリン、スクロース、アラビアゴムエマルジョン、ゲル等の不活性な基剤中に有効成分とともに当技術分野で知られた担体を含むトローチ剤と同様である。
本発明の化合物は、薬剤の直腸内投与のための坐剤の形態で投与することもできる。このような製剤は、薬剤を適切な刺激性のない賦形剤と混合することにより調製できる。該適切な賦形剤は常温では固体であるが直腸温では液体となるものであり、したがって直腸内では溶けて薬剤を放出する。そのような材料は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
本発明の化合物は、鼻腔内、眼内、膣内、および直腸内といった経路によって投与することもでき、坐剤、吹送(インサフレーション)で送達される薬剤、散剤、およびエアゾール剤等の剤形を含む(ステロイド吸入剤の例に関してはRohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995;Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995を参照のこと)。
本発明の化合物は、アプリケータースティック剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、ゼリー剤、塗布剤(paints)、散剤、およびエアゾール剤として製剤化し、局所的経路によって経皮的に送達することができる。
本発明の化合物とともに封入材料を使用してもよく、この場合の「組成物」は1製剤として、有効成分と封入材料とを組み合わせて含むこともあり、このとき他の担体を含んでも含まなくてもよい。たとえば、本発明の化合物は、体内で持続放出を行うためのミクロスフェアとして送達することもできる。一実施形態において、ミクロスフェアは、皮下で徐々に放出を行う薬剤(たとえばミフェプリストン)含有ミクロスフェアの皮内注射によって(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645,1995を参照のこと)、あるいは生物分解性を有しかつ注射可能なゲル製剤として(たとえばGao,Pharm.Res.12:857−863,1995を参照のこと)、または経口投与用ミクロスフェアとして(たとえばEyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997を参照のこと)投与できる。経皮投与、皮内投与のいずれにおいても、数週間または数か月間にわたる定量送達ができる。カシェ剤も、本発明の化合物の送達に使用することができる。
別の一実施形態において、本発明の化合物は、細胞膜に融合するかまたはエンドサイトーシスによって取り込まれる(リポソームに結合させたリガンドが細胞表面の膜タンパク質受容体に結合することで、エンドサイトーシスが起こることを利用する)リポソームを用いて送達することができる。リポソームの使用によって、特にリポソームの表面が標的細胞に特異的なリガンドを担持するか、または別な方法でリポソームが優先的に特定の器官へと誘導される場合、カルバメート化合物を生体内の標的細胞に集中して送達することができる。(たとえば、Al−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989等を参照のこと)。
本発明の医薬製剤は塩として提供することができ、様々な酸、たとえば塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等との塩を形成することができるが、これらに限定はされない。塩類は、対応する遊離塩基の形態にある水性またはその他のプロトン性溶媒に溶けやすい傾向がある。また、好ましい製剤は、たとえば、1〜50mMのヒスチジン、0.1〜2%のスクロース、および2〜7%のマンニトールのうちいずれかまたはすべてを含んでもよいpH4.5〜5.5の凍結乾燥された粉末であってもよく、これは使用に先立って緩衝液と混合される。
薬学的に許容される塩とは、薬学的に許容され、かつ所望の薬理学的特性を有する塩を指す。そのような塩は、化合物中の酸性プロトンが無機塩基または有機塩基と反応できる場合に形成されるものであってもよい。適切な無機塩には、たとえばナトリウムおよびカリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ならびにアルミニウム等との塩が含まれる。適切な有機塩には、たとえばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等のアミン塩基等の有機塩基との塩が含まれる。薬学的に許容される塩には、親化合物中のアミン部分と無機酸(たとえば塩酸および臭化水素酸)や有機酸(たとえば酢酸、クエン酸、マレイン酸、ならびにメタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸等のアルカンスルホン酸およびアレーンスルホン酸)との反応から形成される酸付加塩も含まれる。薬学的に許容されるエステルには、化合物中に存在するカルボキシ基、スルホニルオキシ基およびホスホノキシ基から形成されるエステルが含まれる。酸性基が2つ存在する場合、薬学的に許容される塩またはエステルは、モノ酸モノ塩もしくはモノ酸モノエステル、またはジ塩もしくはジエステルであってもよく、2を超える酸性基が存在する場合も同様に、そのような基のうちいくつかまたはすべてが塩化またはエステル化され得る。
本発明において命名される化合物は、非塩化もしくは非エステル化形態、または塩化および/もしくはエステル化形態で存在することができ、このような化合物の名称は、元の(非塩化および非エステル化)化合物ならびに薬学的に許容されるその塩およびエステルのいずれをも含むことが意図される。本発明は、式(1)の薬学的に許容される塩およびエステル形態を含む。式1のエナンチオマーの結晶形は複数存在する場合があり、それらもまた本発明に含まれる。
本発明の医薬組成物は、カルバメート化合物に加えて、双極性障害の治療に有用な他の治療薬の1以上を任意に含むことができる。たとえば、式1のカルバメート化合物は、投与を簡単にする目的で、多剤混合薬として、他の双極性障害治療薬と物理的に組み合わせることもできる。
医薬品組成物を製剤化する方法は、多数の刊行物、たとえばPharmaceutical Dosage Forms:Tablets.Second Edition.Revised and Expanded.Volumes 1−3,edited by Lieberman et al;Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications.Volumes 1−2,edited by Avis et al;and Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems.Volumes 1−2,edited by Lieberman et al;published by Marcel Dekker,Inc等に記載されており、その開示内容は、参照によりあらゆる目的のためにその全体が本願に組み込まれる。
本発明の医薬組成物は、通常、無菌かつ実質的に等張なものとして、また米国食品医薬品局の「医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)」の規制に完全に則って製剤化される。
投与計画
本発明は、カルバメート化合物を使用して、哺乳動物に対して抗双極性障害作用をもたらす方法を提供する。双極性障害を軽減または治療するのに必要なカルバメート化合物の量は、治療上または薬学的に有効な量と定義される。この使用に有効な投与スケジュールおよび投与量、すなわち投与計画は、その病気の段階、患者の身体状況、年齢等を含む様々な要因に依存する。患者のための投与計画を策定する際には、投与の方法も考慮される。
当業者であれば、不必要な実験を行わずとも、自身が有する通常の技能および本開示に基づいて、本発明を実施するための、置換された特定のカルバメート化合物の治療上有効な量を決定できるであろう(Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(Vols.1−3,1992);Lloyd,1999,The art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding;およびPickar,1999,Dosage Calculationsを参照のこと)。また、治療上有効な量とは、有効成分による有毒または有害な副作用に対し、臨床的観点から見て治療上有益な効果が上回るような量とも言える。さらに留意すべきは、個別の対象ごとに、個々のニーズ、および該化合物の投与を管理・監督する人物の専門的判断に従い、時間をかけて投与計画の評価・調節を行わなければならないことである。
治療目的としては、本明細書で開示される組成物または化合物は、単回ボーラス送達による長時間にわたる継続送達、または反復投与プロトコル(たとえば、毎時、毎日、もしくは毎週の、反復投与プロトコル)によって、対象に投与することができる。本発明の医薬製剤は、たとえば毎日1回以上、週3回、または週に1回の頻度で投与できる。一実施形態において、本発明の医薬製剤は経口で毎日1〜2回投与される。
本明細書において、カルバメート化合物の治療上有効な量は、双極性障害を治療するために臨床的に顕著な結果をもたらすような長期にわたる治療計画における反復投与の用量を含み得る。これに関して、有効な用量の決定は、一般には動物モデルを用いた研究およびそれに続いて行われるヒトでの臨床試験に基づくものであり、対象において見られるターゲットとされる症状または状態の発生または重症度が顕著に低減されるような有効量および投与プロトコルの決定により導かれる。この点に関して適切なモデルは、たとえば、マウス、ラット、ブタ、ネコ、ヒト以外の霊長類、および当技術分野で知られた他の許容される動物モデルである対象を含む。あるいは、in vitroモデル(たとえば免疫アッセイおよび組織病理学アッセイ)を用いて有効量を決定することもできる。このようなモデルを使用すれば、一般的には通常の計算および調整を行うだけで、生理活性を有する薬剤を治療上有効な量(たとえば、所望の反応を誘発するための、鼻腔内で有効な量、経皮的に有効な量、静脈内で有効な量、あるいは筋肉内で有効な量)で投与するための適切な濃度および用量を決定できる。
本発明の典型的な一実施形態において、化合物の単位用量形態は標準的な投与計画に基づいて調製される。こうすることにより、医師の指示に従って組成物を容易に分割し、用量を下げることができる。たとえば、単位用量を個包装された散剤、バイアル剤、またはアンプル剤とすることができ、カプセル剤または錠剤形態とすることが好ましい。
このような単位用量形態の組成物中の活性化合物の量は、患者の個別のニーズに応じて、毎日1回または複数回の投与を意図して、たとえば約10mg〜1g以上とされる。約1グラムという最小1日投与量で治療計画を開始し、カルバメート化合物の血中濃度を利用して、用量の増減を決定することができる。
本発明のカルバメート化合物は、たとえば、約0.01〜150mg/kg/回の経口または非経口投与により、有効に投与することができる。約0.1〜25mg/kg/回の投与が好ましく、約0.2〜18mg/kg/回の投与がより好ましい。したがって、本明細書に記載される用量単位に含まれる有効成分の治療上有効な量は、たとえば、70kgという平均的な体重を有する対象の場合、約1〜7000mg/日である。
本発明の方法はさらに、双極性障害の治療に使用するためのキットを提供する。本発明の1以上のカルバメート化合物を含む医薬組成物に治療上有益な他の1以上の化合物を任意に加え、適切な担体を用いて製剤化した後、該製剤を適切な容器に入れ、双極性障害治療用としてラベルで表示することができる。さらに、双極性障害の治療に有用である他の1以上の治療薬を含む別の医薬品を同じ容器に入れ、該疾患の治療用としてラベルで表示することができる。そのような表示は、たとえば、各医薬品の投与量、投与頻度、および投与方法に関する説明を含んでいてもよい。
上述の発明について、理解を明確にする目的で例を挙げて詳細に説明してきたが、それらは単に説明のためのものであって限定を意図するものではなく、発明の変更や改良も本開示に包含され、不必要な実験を行うことなく添付の請求項の範囲内で実施され得ることは当業者には明らかであろう。以下の実施例は本発明の態様を具体的に説明するものであり、限定を意図するものではない。
以下の実施例によって本発明についてのより良い理解が得られるであろうが、実施例は例示を目的としたものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1
うつ病動物試験モデルである、マウスおよびラットを用いた強制水泳試験における、O−カルバモイル−(D)−フェニルアラニノール(以下「試験化合物」)の効果について試験した。試験化合物の単回投与後、平均無動時間は短縮され、ED50(50%効果用量)はマウスで16.6mg/kg PO(経口)、ラットで18.5mg/kg POであった。マウスに複数回投与した場合、ED50は5.5mg/kg POであり、試験化合物の効果はさらに高かった。これらのデータから、試験化合物が抗うつ特性を有することが示唆される。
方法
この実験では、雄性CD−1マウス(16〜24g)および雄性ウィスター系ラット(90〜125g)を使用した。試験化合物(10mg/kg、15mg/kg、および30mg/kg)を生理食塩水(0.9%)に溶解し、体重100g当たり1mLを経口で投与した。
マウスは、高さ9.0cmまで水(25℃)を張った1000mLのビーカー(高さ14cm、直径11.5cm)のガラス円筒に入れた。またラットは、高さ19.0cmまで水(25℃)を張った4000mLのビーカー(高さ24.5cm、直径18.0cm)のガラス円筒に入れた。マウスまたはラットは、それぞれガラス円筒に入れて2分間泳がせ、その後4分間、無動の兆候を観察した。無動は、後肢をほとんどあるいはまったく動かさずに水に浮いているような、動きの無い状態と定義する。無動の持続時間はストップウォッチを用いて計測し、記録した。いくつかの実験においては、強制水泳実験の前日に、マウスは6分間、ラットは10分間、それぞれ泳がせた。
単回投与試験では、マウスまたはラットに試験化合物または0.9%NaClを与え、その後ガラス円筒内にマウスは1時間、ラットは4時間入れておいた。複数回投与実験では、マウスに対し1日2回の投与を3日間行い、4日目にさらに1回投与を行った。3日目に、25℃の水を張ったガラス円筒にマウスを入れ、6分間泳がせた。統計的評価は、プロビット解析に基づくコンピュータプログラム(The Pharmacological Calculation System of Tallarida and Murray(#425475−04−7−1992))を用いて行った。スチューデントのt検定を用いて、P値<0.05の時、統計的に有意と判定した。
結果
単回でマウスに投与された試験化合物により、用量10mg/kg、15mg/kg、および30mg/kg POにおいて、平均無動時間は用量依存的に短縮された。平均無動時間は、対照(0.9%NaCLのみ投与)の131秒から、10mg/kgの試験化合物によって101秒まで短縮された。また、15mg/kgの場合、154秒(対照)から80秒へ、30mg/kgの場合、132秒(対照)から30秒へと、顕著に短縮された。試験化合物のED50値(平均無動時間を50%短縮)は、16.6mg/kgであった。
マウスへの複数回投与後、試験化合物により、用量3、5および8mg/kg POにおいて、平均無動時間は用量依存的に短縮された。平均無動時間は、対照の85秒から、3mg/kgの試験化合物によって63秒まで短縮された。また、5mg/kgの場合、136秒(対照)から73秒へ、8mg/kgの場合、114秒(対照)から39秒へと、それぞれ顕著に短縮された。試験化合物のED50値は5.5mg/kg POであった。
ラットの場合、30mg/kgで投与した試験化合物により、処置から4時間後の平均無動時間は38秒(対照)から9秒へと顕著に短縮された。また、10mg/kgの場合、74秒(対照)から62秒へ、15mg/kgの場合、65秒(対照)から39秒へとそれぞれ短縮されたが、これらは統計的に有意な差ではなかった。ED50値は、上記のマウスのED50値に近い18.5mg/kg POであった。
抗うつ性化合物を投与されたマウスは、強制水泳試験で測定された平均無動時間が、対照と比較して短縮された。このようにマウスの強制水泳試験において活性のある化合物は、抗うつ特性を示すかもしれず、双極性障害の抑うつ症状を緩和できるかもしれない。
実施例2
試験化合物の、ドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニントランスポーターへの結合ならびにドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニンの再取込みへの影響について試験した。試験化合物は、コカインと比較して、ドーパミンおよびノルエピネフリントランスポーターへの結合が弱く、またドーパミンおよびノルエピネフリン再取込みへの影響も弱かった。
方法
試験化合物を量り取った後DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かし、10mMまたは100mMの原液を作った。アッセイ緩衝液を用いて希釈を行い、結合試験用として50μMまたは500μM、また取込み試験用として1mMまたは10mMの最初の希釈液を作った。その後の希釈は、DMSOを追加したアッセイ緩衝液を用いて、DMSOの終濃度0.1%を維持しながら行った。ピペッティングには、Biomek 2000 robotic workstationを使用した。試験化合物の濃度を、以下の表1に示す。
クローン細胞におけるhDAT、hSERTまたはhNETへの放射性リガンド[125I]RTI−55の結合の阻害:
細胞の調製: hDAT、hSERT、またはhNETが導入され、発現しているHEK293細胞(American Type Culture Collection, ATCC)を直径150mmの組織培養皿上、加湿した10%CO雰囲気下、37℃で80%コンフルエントになるまで培養し、これを組織源として使用する。HEK−hDAT細胞およびHEK−hSERT細胞は、5%ウシ胎児血清、5%仔ウシ血清、0.05Uペニシリン/ストレプトマイシン、およびピューロマイシン(2μg/mL)を添加したダルベッコ改変イーグル培地中で培養した。HEK−hNET細胞は、10%ウシ胎児血清、0.05Uペニシリン/ストレプトマイシン、およびジェネティシン(300μg/mL)を添加したダルベッコ改変イーグル培地中で培養した。細胞膜は、以下のように調製する。プレートから培地を流し出し、次いで、カルシウムもマグネシウムも含まないリン酸塩緩衝食塩水10mLで洗浄する。溶解緩衝液(10mL;1mM EDTAを含む2mM HEPES)を加える。10分後、プレートから細胞をかき取り、遠心管に注ぎ入れ、30,000×gで20分間遠心分離する。上清を除去し、沈殿物に12〜32mLの0.32Mスクロース溶液を加え、7に設定したPolytronを10秒間作動させ、再懸濁する。再懸濁液量は細胞株中の結合部位の密度に依存し、結合が全放射活性の10%以下となるよう選択される。
アッセイの条件: 各アッセイチューブに、上記のように調製した膜調製物(タンパク量として約10〜15μg)50μL、試験化合物、非特異性結合を規定するための化合物(マチンドールまたはイミプラミン)、または緩衝液(Krebs−HEPES、pH7.4;122mM NaCl、2.5mM CaCl、1.2mM MgSO、10μMパルギリン、100μMトロポロン、0.2%グルコースおよび0.02%アスコルビン酸、25mM HEPESで緩衝)を25μL、[125I]RTI−55((−)−2β−メトキシカルボニル−3β−(4−ヨードフェニル)トロパン、イオメトパン、終濃度40〜80pM)25μLを入れ、さらに緩衝液(Krebs−HEPES)を加えて最終体積を250μLとする。[125I]RTI−55の添加に先立ち、試験化合物を用いて25℃で10分間、膜のプレインキュベーションを行う。アッセイチューブを、25℃で90分間インキュベートする。Tomtec 96ウェル細胞ハーベスタを用い、GF/Cフィルターでろ過することにより結合を終了させる。フィルターを氷冷食塩水で6秒間洗浄する。シンチレーション液を各スクエア(square)に加え、フィルターに残存する放射能をWallacμあるいはβプレートリーダ−を使用して測定する。特異的結合は、5μMマチンドール(HEK−hDATおよびHEK−hNET)または5μMイミプラミン(HEK−hSERT)の存在下および非存在下で観察される結合の差と規定する。二重反復測定により、独立した競合実験を2〜3回実施する。GraphPAD Prismを用いて得られたデータを分析し、IC50値をチェン‐プルソフ(Cheng−Prusoff)式(K=IC50/(1+([RTI−55]/K RTI−55)))に従ってK値に変換する。
組換え生体アミントランスポーターを発現しているHEK293細胞における[H]神経伝達物質取込み阻害のろ過分析:
細胞の調製: 上述の通り、細胞をコンフルエントになるまで培養する。培地を除去し、細胞を室温のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2度洗浄する。3mLのKrebs−HEPES緩衝液を加えた後、25℃の水浴中でプレートを5分間加温する。細胞をそっとかき取り、ピペットで分散させる。複数のプレートの細胞を合わせる。1枚のプレートから、試験化合物についての2本の完全な曲線を描くデータを得るために必要な、48ウェル分の細胞が得られる。
取込み阻害試験の条件: 分析には、96個の1mLバイアルを使用する。Krebs−HEPES(350μL)と、試験化合物、非特異的取込みの測定に用いる化合物、または緩衝液(50μL)とをバイアルに入れ、25℃の水浴中に配置する。特異的取込みは、5μMマチンドール(HEK−hDATおよびHEK−hNET)または5μMイミプラミン(HEK−hSERT)の存在下および非存在下で観察される取込みの差と規定する。細胞(50μL)を加え、試験化合物とともに10分間前培養する。[H]ドーパミン、[H]セロトニン、または[H]ノルエピネフリン(50μL(終濃度20nM))の添加により分析を開始する。10分後、あらかじめ0.05%ポリエチレンイミンに浸したWhatman GF/Cフィルターでろ過することにより、取込みを終了させる。それぞれ6つの薬剤濃度からなる三重曲線にGraphPAD Prismを適用して、IC50値の計算を行う。各曲線の決定は、独立して2〜3回実施する。
結果
ヒトドーパミントランスポーターのeDNAを発現しているHEK細胞(HEK−hDAT細胞)に対する放射性リガンド([125I]RTI−55)結合への影響および該細胞による[H]ドーパミンの取込みへの影響、ヒトセロトニントランスポーターのeDNAを発現しているHEK細胞(HEK−hSERT細胞)に対する放射性リガンド([125I]RTI−55)結合への影響および該細胞による[H]セロトニンの取込みへの影響、ならびにヒトノルエピネフリントランスポーターのeDNAを発現しているHEK細胞(HEK−hNET細胞)に対する放射性リガンド([125I]RTI−55)結合への影響および該細胞による[H]ノルエピネフリンの取込みへの影響に関し、試験化合物を試験した。
HEK−hDAT細胞において、結合部位に対する試験化合物の親和力は、同じ結合部位に対するコカイン(標準化合物)の親和力よりも低かった。試験化合物による[125I]RTI−55の置換に関わるK値は14,200nMであり、コカインによる[125I]RTI−55結合の置換に関わるK値は236nMであった。取込みアッセイでの[H]ドーパミンの取込み阻害において、試験化合物のIC50値は2900nMであり、コカインの効力(IC50=385nM)と比較すると、その効力は低かった。ヒル係数が1以外であれば、結合または取込み部位との複雑な相互作用が示唆される。
HEK−hSERT細胞において、結合部位に対する試験化合物の親和力は、同じ結合部位に対するコカイン(標準化合物)の親和力よりも低かった。試験化合物による[125I]RTI−55の置換に関わるK値は81,500nMであり、コカインによる[125I]RTI−55結合の置換に関わるK値は361nMであった。取込みアッセイにおいて、[H]セロトニンの取込み阻害での31,827は、IC50値が100μMよりも大きく、コカインの効力(IC50=355nM)と比較すると、その効力は低かった。
HEK−hNET細胞において、結合部位に対する試験化合物の親和力は、同じ結合部位に対するコカイン(標準化合物)の親和力よりも低かった。試験化合物による[125I]RTI−55の置換に関わるK値は3700nMであり、コカインによる[125I]RTI−55結合の置換に関わるK値は505nMであった。取込みアッセイでの[H]ノルエピネフリンの取込み阻害において、試験化合物のIC50値は4400nMであり、コカインの効力(IC50=194nM)と比較すると、その効力は低かった。得られた結果を、以下の表2に示す。
数値は、少なくとも3回の独立した実験(それぞれ二重測定(結合アッセイ)または三重測定(取込みアッセイ)で実施)から得た平均±標準誤差を表す。試験化合物のKまたはIC50が10μMを超える場合、実験は2回だけ行い、標準誤差は報告しない。
実施例3
試験化合物の10mg/kg、30mg/kg、および100mg/kgを、野生型マウスおよびホモ接合変異体ドーパミントランスポーターノックアウト(KO)マウスの皮下(SC)に投与して評価し、自発活動に対する影響を測定した。試験化合物は、KOマウスの活動を用量依存的かつ選択的に低下させた。このことから、試験化合物がドーパミントランスポーターKOマウスの運動過多を抑制する上で非常に効果的であることが示唆される。
方法
雄雌の野生型マウスおよびホモ接合変異体ドーパミントランスポーターKOマウス(n〜10匹/遺伝子型/エージェント;Duke University Medical Center, Durham,NCにおいてin vivo相同組換えにより作製・繁殖)に媒体または試験化合物を単回投与した後、オープンフィールドにおける自発活動の試験を行った。マウスをオープンフィールドに30分間置いた後、媒体(滅菌水)、アンフェタミン2mg/kg、または3種類の濃度の試験化合物(10mg/kg、30mg/kg、および100mg/kg)をSC投与した。薬剤はすべて、5mL/kgの量で与えた。マウスをオープンフィールドに戻し、さらに90分間置いた。自動Omnitech Digiscan装置(Accuscan Instruments, Columbus,OH)を用いて自発活動の評価を行った。試験は2時間かけて行い、5分毎に行動を集計した。水平方向の自発運動または移動は合計距離をcm単位で測定し、垂直方向の運動または起立は垂直ビームの遮断された合計回数で表し、また常同は所定のビームの反復的遮断または間隔が1秒未満のビームを定量化した。この解析には、各群に10匹のWTマウスおよび10匹のKOマウスを使用し、各群とも雌雄がほぼ同数となるように割り付けた。データの解析には、統計パッケージソフトウェアであるSPSS(Statistical Package for Social Sciences,version 11.0 for Windows;SPSS Science,Chicago,IL)を使用した。各従属変数の結果は、個体効果(時間経過群間変動)および個体間効果(主効果および交互作用の検定)を求めるために、反復測定分散分析(RMANOVA)によって解析した。事後検定として、ボンフェローニ補正による対比較を行った。p<0.05を有意と見なした。
結果
ベースライン: KOマウスは、WTマウスと比較して、移動、起立、常同のレベルが高かった。
薬物治療: 媒体のみを与えた対照群と比較して、2mg/kgのアンフェタミンをSC投与した場合、媒体のみを与えた対照群と比較して、WTマウスでは移動、起立、常同が増進し、KOマウスでは減少した。試験化合物は活動を用量依存的に低下させ、用量100mg/kgではアンフェタミンよりも効果的に活動を抑制した。アンフェタミン(AMPH)および試験化合物の注射後90分間の自発運動(cmで表した移動距離)については、後に記載する代表的な図を参照されたい。起立および常同も同様の結果となった。得られた結果を図1に示す。
実施例4
隔離したマウスにおける攻撃行動抑制能力に対する試験化合物(15〜30mg/kg、IP)の影響を調べた。隔離により誘導された攻撃性を低下させることに関して、試験化合物はイミプラミンより若干効果が高いことが、ED50により示された。
方法
この実験では、雄性CD−1マウス(15〜20g)を使用した。試験化合物(15mg/kg、22mg/kg、および30mg/kg)を生理食塩水(0.9%)に溶解し、体重100g当たり1mLを経口で投与した。
マウスは、金網のケージ(24×20×17cm)に1匹ずつ入れ、最長8週間隔離した。餌の補充以外、刺激を与えないようにした。マウスのケージに別のマウス(侵入マウス)を入れることにより、攻撃性の試験を行った。3分以内に「侵入者」を攻撃した場合、攻撃性があると判断した。実験では、闘争行動が実証された後、ケージのマウスそれぞれに試験化合物を与えた。ケージのマウスのうち、闘争行動を示したマウスのみを選択した。60分後に、ケージに再び「侵入者」を入れ、2匹に闘争行動が見られるかを観察した。ED50値は、プロビット解析に基づき、コンピュータプログラムを用いて闘争行動の抑制率(%)から計算した。
結果
下記の表は、用量15mg/kg、22mg/kg、および30mg/kgの試験化合物の、闘争行動への影響を示す。隔離により誘導された攻撃性への用量依存的抑制が見られ、ED50は25.9mg/kgであった。これに対し、イミプラミン(30mg/kg PO)は闘争行動を50%抑制した。得られた結果を、以下の表3に示す。
実施例5
この観察の主要な目的は、精神病的特徴を伴わない中度から重度大うつ病の成人被験者に対する6週間の治療における2種類の標的用量(200mg/日および400mg/日)の試験化合物の有効性を、プラセボと比較して判定することであった。negative studyと研究の失敗とを見分けるために、対照実薬(パロキセチン)も使用した。さらに、試験化合物の有する予期せぬ効果についての情報を収集することによって臨床開発計画を改善することを意図して、最終面談が行われた。試験化合物は、1用量または両用量において、気分および健康状態の多くの二次有効性変数に関して、プラセボよりも統計的に有意に高い効果を示し、これにより該化合物の抗うつ活性が示された。また、試験化合物は、体力/身体の健康、悲嘆またはうつ状態の軽減、および精神的エネルギーまたは自発性の評価においても、良好な結果を示した。
方法
本試験は、米国(23施設)およびカナダ(4施設)で行われた、実薬およびプラセボを対照とした無作為化並行群間二重盲検多施設共同試験である。試験は、2つの段階、すなわち前治療段階(スクリーニング/ウォッシュアウトおよびベースラインの来院)および6週間の二重盲検治療段階から構成されるものであった。分析感度を評価するために、陽性対照であるパロキセチンを含めて評価した。禁止物質のウォッシュアウト(必要な場合)の後、被験者は標的用量である200mg/日もしくは400mg/日に調整した試験化合物、これに相当するプラセボ、または固定用量(20mg/日)のパロキセチンの投与を受けるよう無作為に割り付けられた(1:1:1:1)。試験薬は、1日2回、6週間投与された。二重盲検治療段階では、週に1回、効果および安全性を評価した。試験を終えた被験者は、最終面談(Your Health and Well−Being)を受け、Assessment of Benefits of Clinical−trial Drug−treatment (ABCD)の質問表に記入した(米国の施設のみ)。
結果
下記の表は、ITT(LOCF)およびプロトコルに基づく(LOCF)分析対象集団の主要有効性評価項目および主要副次的評価項目の多くの結果をまとめたものである。パロキセチンはプラセボよりも統計的に有意に優れており、これにより分析の感度は確認されたが、試験化合物は用量200mgにおいても400mgにおいても、主要評価項目であるMADRS合計点(ITT[LOCF]分析対象集団)の第6週におけるベースラインからの変化に関してプラセボよりも統計的有意に優れているとは言えなかった。しかしながら、第6週において、試験化合物の1用量または両用量が、いくつかの重要な二次有効性変数、すなわちCGI−I(200mg、400mg)、CGI−S(400mg)、MADRS反応(MADRS合計点における>50%の改善)(400mg)に関して、またMADRSにおける見かけ上あるいは報告された悲嘆の項目(項目1および2)の和(200mg、400mg)に関してプラセボよりも統計的有意に優れており、これにより該化合物の抗うつ活性が示された。統計的有意差は、200mgより400mgの試験化合物の副次的分析(ITT[LOCF]、プロトコルに基づく[LOCF]、およびITT[観察による]分析対象集団全般にわたって)において高い頻度で得られたが、多くの分析においていずれの用量の試験化合物もプラセボに対する統計的に有意な優位性を示した。分析によっては、用量200mgで統計的有意差が得られ、400mgでは得られないこともあった(MADRSの1項目、CDS−Rの3項目、CDS−Rの1クラスター[ITT(LOCF)分析対象集団])。このように、試験化合物の用量依存性を立証する強い証拠はなかった。パロキセチンは、二次有効性変数のほぼすべてに関して、ITT(LOCF)、プロトコルベース(LOCF)、およびITT(観察による)分析対象集団において、プラセボよりも優れていた。自己評価によるCDS−Rでは、(いずれの分析対象集団においても、)パロキセチンのみがプラセボよりも統計的に有意な効果を示した。主要評価項目における試験化合物の結果は、性別により異なっていた。男性は200mgでプラセボに対する名目上統計的に有意な優位性が得られ、女性は400mgでプラセボに対する統計的に有意な優位性が得られた。被験者の視点による、終了面談および本研究における治療の効果についての質問表(ABCD)(米国の施設のみ)に基づくと、4つの治療群のいずれにおいても気分および健康状態の改善が高い頻度で見られた。
被験者が再度服用してもよいと選択した薬剤はパロキセチンであり、200mgの試験化合物が僅差で続いた。ABCDの51項目のうち8〜14の項目で実薬治療とプラセボとの間に統計的有意差があったが、ABCD質問表のいずれの項目においても、パロキセチンと試験化合物(合算)、および400mgの試験化合物と200mgの試験化合物との間に統計的有意差はなかった。得られた結果を、以下の表4に示す。
CGI-I=臨床全般印象−改善度
CGI-S=臨床全般印象−重症度
HAM-D31=ハミルトンうつ病評価尺度(31項目版)
LOCF=最終評価による補完
MADRS=モントゴメリー/アスベルグうつ病評価尺度
a第6週におけるベースラインからの変化
bプラセボに対する試験化合物のp値はDunnett法を使用して多重比較用に調整した。
c第6週の評価;分類別分析
d寛解はMADRS合計点が9未満と定義した。
米国の施設における終了面談および本研究における治療の効果についての自己評価による盲検式ABCD質問表は、被験者の視点でTC−MDD−201の結果を解釈するためのコンテクストとなった。終了面談のデータから、4つの治療群のいずれにおいても、被験者は、良好な変化として、気分および健康状態の改善を最も頻繁に自覚していたことが分かった。これは、ABCD質問表からのデータに裏付けされており、データによれば、試験期間中に健康面で最も改善されたのは「悲嘆およびうつ状態の軽減」であった。概して言えば、気分は最初に改善が見られる症状であり、大部分の被験者は、試験の薬剤投与を受け始めてから最初の3週間以内に気分の改善を自覚した。
概して言えば、ABCD質問表の51項目に関しては、4つの治療群間の違いはほとんど見られなかった。概して、実薬間の差よりもプラセボと実薬との差のほうが明らかに大きかった(すなわち「体力/身体の健康」、「悲嘆またはうつ状態の軽減」、および「精神的エネルギーまたは自発性」)。事後分析においてプラセボに対する統計的に有意な優位性が見られた質問表の項目は、試験化合物200mgで14項目、試験化合物400mgで8項目、またパロキセチンで14項目であった。しかしながら、ABCD質問表の51項目のいずれにおいても、試験化合物400mgと試験化合物200mgとの間、およびパロキセチンと試験化合物(両用量のスコアの合算)との間に、統計的有意差はなかった。
引用文献
本明細書に引用された文献はすべて、個々の特許、特許出願および刊行物が参照によりあらゆる目的のためにその全体が本願に組み込まれると具体的かつ個別に明記されている場合と同程度に、参照によりその全体が本願に組み入れられる。
本明細書における文献の論考は、それらの文献の著者による主張を要約することを意図したものに過ぎず、文献が従来技術を構成するという承認はなされない。出願人らは、引用文献の正確さおよび適切性に異議を唱える権利を留保する。
本発明は、本願に記載された個々の実施形態によって限定されるものではない。記載の実施形態は、本発明の個々の態様を説明するためのものに過ぎない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変更が可能であることは、当業者には明白であろう。本明細書に列挙したものに加えて、本発明の範囲に含まれる機能的に等価な方法および装置も、先の説明から当業者には明白であろう。そのような修正および変更は、添付の請求項の範囲内にあることが意図される。本発明は、添付の請求項の記載事項によってのみ限定されるものであり、添付の請求項の権利範囲に属する等価物の全範囲も本発明に含まれる。

Claims (48)

  1. 治療上有効な量の構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはアミドを、治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、双極性障害を治療する方法。
    (式中、
    Rは、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、F、Cl、Br、およびIから選択されるハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ、ニトロ基、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、ならびに炭素数1〜3のチオアルコキシからなる群より選択され、
    xは1〜3の整数であり、xが2または3のときRは同一でも異なっていてもよく、
    およびRは同一または互いに異なって、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、炭素数3〜7のアリール、炭素数3〜7のアリールアルキル、および炭素数3〜7のシクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
    とRとは一緒になって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル、および炭素数3〜7のアリールからなる群より選択されるメンバーによって置換された5〜7員環のヘテロ環を形成してもよく、この場合該ヘテロ環式化合物は1〜2個の窒素原子および0〜1個の酸素原子を含み、該窒素原子は他の窒素原子とも酸素原子とも直接接合していない。)
  2. Rが水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. R、RおよびRがいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 構造式(1)の化合物が他のエナンチオマーを実質的に含まない1つのエナンチオマーであるか、または構造式(1)の化合物の1つのエナンチオマーが優位を占めるエナンチオマー混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記エナンチオマーが構造式(1a)によって表される(S)または(L)エナンチオマーであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  8. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. R、RおよびRがいずれも水素原子であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  11. 前記エナンチオマーが構造式(1b)によって表される(R)または(D)エナンチオマーであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  12. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記エナンチオマーが(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  15. 前記エナンチオマー(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートが約90%以上を占めることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記エナンチオマー(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートが約98%以上を占めることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 治療上有効な量の構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはアミドを、その治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、双極性障害を治療するための医薬組成物。
    (式中、
    Rは、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、F、Cl、Br、およびIから選択されるハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ、ニトロ基、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、ならびに炭素数1〜3のチオアルコキシからなる群より選択され、
    xは1〜3の整数であり、xが2または3のときRは同一でも異なっていてもよく、
    およびRは同一または互いに異なって、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、炭素数3〜7のアリール、炭素数3〜7のアリールアルキル、および炭素数3〜7のシクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
    とRとは一緒になって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル、および炭素数3〜7のアリールからなる群より選択されるメンバーによって置換された5〜7員環のヘテロ環を形成してもよく、この場合該ヘテロ環式化合物は1〜2個の窒素原子および0〜1個の酸素原子を含み、該窒素原子は他の窒素原子とも酸素原子とも直接接合していない。)
  18. Rが水素原子であることを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
  19. R、RおよびRがいずれも水素原子であることを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
  20. 構造式(1)の化合物が他のエナンチオマーを実質的に含まない1つのエナンチオマーであるか、または構造式(1)の化合物の1つのエナンチオマーが優位を占めるエナンチオマー混合物であることを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
  21. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項20に記載の医薬組成物。
  22. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項21に記載の医薬組成物。
  23. 前記エナンチオマーが構造式(1a)によって表される(S)または(L)エナンチオマーであることを特徴とする請求項20に記載の医薬組成物。
  24. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項23に記載の医薬組成物。
  25. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項24に記載の医薬組成物。
  26. R、RおよびRがいずれも水素原子であることを特徴とする請求項23に記載の医薬組成物。
  27. 前記エナンチオマーが構造式(1b)によって表される(R)または(D)エナンチオマーであることを特徴とする請求項20に記載の医薬組成物。
  28. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項28に記載の医薬組成物。
  30. 前記エナンチオマーが(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートであることを特徴とする請求項27に記載の医薬組成物。
  31. 前記エナンチオマー(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートが約90%以上を占めることを特徴とする請求項30に記載の医薬組成物。
  32. 前記エナンチオマー(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートが約98%以上を占めることを特徴とする請求項31に記載の医薬組成物。
  33. 双極性障害の治療における使用のための、構造式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはアミド。
    (式中、
    Rは、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、F、Cl、Br、およびIから選択されるハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ、ニトロ基、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、ならびに炭素数1〜3のチオアルコキシからなる群より選択され、
    xは1〜3の整数であり、xが2または3のときRは同一でも異なっていてもよく、
    およびRは同一または互いに異なって、水素原子、炭素数1〜8の低級アルキル、炭素数3〜7のアリール、炭素数3〜7のアリールアルキル、および炭素数3〜7のシクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
    とRとは一緒になって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル、および炭素数3〜7のアリールからなる群より選択されるメンバーによって置換された5〜7員環のヘテロ環を形成してもよく、この場合該ヘテロ環式化合物は1〜2個の窒素原子および0〜1個の酸素原子を含み、該窒素原子は他の窒素原子とも酸素原子とも直接接合していない。)
  34. Rが水素原子であることを特徴とする請求項33に記載の化合物。
  35. R、RおよびRがいずれも水素原子であることを特徴とする請求項33に記載の化合物。
  36. 構造式(1)の化合物が他のエナンチオマーを実質的に含まない1つのエナンチオマーであるか、または構造式(1)の化合物の1つのエナンチオマーが優位を占めるエナンチオマー混合物であることを特徴とする請求項33に記載の化合物。
  37. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項36に記載の化合物。
  38. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項37に記載の化合物。
  39. 前記エナンチオマーが構造式(1a)によって表される(S)または(L)エナンチオマーであることを特徴とする請求項36に記載の化合物。
  40. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項39に記載の化合物。
  41. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項40に記載の化合物。
  42. R、RおよびRがいずれも水素原子であることを特徴とする請求項39に記載の化合物。
  43. 前記エナンチオマーが構造式(1b)によって表される(R)または(D)エナンチオマーであることを特徴とする請求項36に記載の化合物。
  44. 1つのエナンチオマーが約90%以上を占めることを特徴とする請求項43に記載の化合物。
  45. 1つのエナンチオマーが約98%以上を占めることを特徴とする請求項44に記載の化合物。
  46. 前記エナンチオマーが(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートであることを特徴とする請求項43に記載の化合物。
  47. 前記エナンチオマー(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートが約90%以上を占めることを特徴とする請求項46に記載の化合物。
  48. 前記エナンチオマー(R)−(β−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートが約98%以上を占めることを特徴とする請求項47に記載の化合物。
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