JP2013532489A5 - - Google Patents

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JP2013532489A5
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遺伝子発現プロファイリングに基づくがん治療への応答の予測ならびにモニタリング
関連出願
本願は、2010年8月2日に出願された米国仮特許出願第61/369,928号への優先権を主張し、この米国仮特許出願は本明細書中に参考として援用される。
発明の分野
本発明は、上皮がんの処置に関わる遺伝子セット、およびがん組織の遺伝子発現研究に由来する知識に基づいて上皮がん患者に対し処置選択肢を割り当てるための方法に関する。
発明の背景
これまでの研究は、上皮間葉移行(「EMT」)が、転移およびがん幹細胞に関わることを示している(Creightonら,2009;Maniら,2008;Morelら,2008;Yangら,2006;Yangら,2004;Yauchら,2005)。重要なことには、上皮がんのタイプ(例えば、肺がん、乳がん)に亘るEMTの誘導はまた、化学療法およびキナーゼ標的抗がん剤(例えば、エルロチニブ)を含むがん治療に対する抵抗をも生じる。当業者は、EMTが、侵襲性であり、遊走性であり、そして幹細胞特性を有する(転移を起こす能力を有する細胞の全ての顕著な特徴である)がん細胞を産生することを認識する。
EMTは、接着上皮細胞が、その上皮特性を脱落させ、そしてその代わりに間葉特性(線維芽細胞様の形態、特徴的遺伝子発現変化、運動能力の増大、ならびに、がん細胞の場合には、侵襲、転移および化学療法に対する抵抗性の増大を、含む)を獲得する過程である(Kalluriら,J Clin Invest 119(6):1420−28(2009);Guptaら,Cell 138(4):645−59(2009)を参照されたい)。近年の研究は、EMTと、がんの転移の進行(Yangら,Cell 117(7):927−39(2004);Frixenら,J Cell Biol 113(1):173−85(1991);Sabbahら,Drug Resist Updat 11(4−5):123−51 (2008)を参照されたい)および幹細胞特性の獲得(Maniら,Cell 133(4):704−15(2008);Morelら,PLoS One 3(8):e288(2008)を参照されたい)とを結びつけており、EMTに至る(undergo)がん細胞が、その獲得した侵襲性を通した転移、およびその後の、その獲得した自己再生能力を通した播種(この後者の特色は、巨視的な転移を構成する大きな細胞集団を生み出すことができる)を可能にするという仮説を導いている。
これらの観察を考慮して、EMTに至っている細胞の顕著な集団(または部分集団)を抱えるがんは、化学療法および抗キナーゼ標的治療に対する応答性の低減を示す可能性があることを予測し得る。
発明の要旨
本発明は、化学療法および抗キナーゼ標的治療に応答性でない上皮がんの分子式別特性を誘導するための方法である。本発明は、また、処置選択および/または予後決定のいずれかの目的のために、本明細書中で記載されるバイオマーカーを利用する、任意の患者層別化スキームをも、本発明は包含する。処置選択は、陽性であっても陰性であってもよく、任意のクラスの抗がん剤に関し得る。この方法は、EMT後にがん細胞において上方制御されるバイオマーカー遺伝子(表1)の発現についてのアッセイ、およびEMTに至っていない細胞において上方制御される他のバイオマーカー遺伝子(表2)についてのアッセイを利用する。これらのバイオマーカーアッセイを使用すると、従来のがん治療に対して応答性でないがんを同定可能である。
本発明は、患者の上皮がんが、原発性腫瘍の外科的切除の後に標準治療に応答性である可能性を、表1および/または2の遺伝子の、がん(すなわち、切除した原発性腫瘍由来の上皮がん細胞)における発現レベルを決定することによって、予測する方法を提供する。ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、その腫瘍が標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示し、表2の遺伝子の過剰発現は、その腫瘍が標準治療に対し感受性である可能性が高くなることを示す。
表1の遺伝子(またはその任意の適切なサブセット)の過剰発現は、上記上皮がんが標準治療(例えば、パクリタキセル)に対し抵抗性であるが、がん幹細胞選択薬剤(CSS薬剤)(例えば、サリノマイシンが挙げられるが、これに選択されない)に対して感受性である可能性が高くなることを示す。さらに、表2の遺伝子(またはその任意の適切なサブセット)の過少発現は、上記上皮がんがパクリタキセルのような標準治療に対しては抵抗性であるが、サリノマイシンのようなCSS薬剤に対して感受性である可能性が高くなることを示す。
さらに、当業者は、表1の遺伝子の過少発現は、上記腫瘍が標準治療に対して感受性である可能性が高くなることを示すことを認識する。同様に、表2の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性であることを示す。
当業者は、表1および/または表2の遺伝子の発現レベルの決定は、切除された原発性腫瘍においてインビトロで起こることを認識する。
具体的には、当業者は、表1の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍が標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示すことを認識する。例えば、表1の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍がパクリタキセルに対して抵抗性である可能性が高くなることを示す。
標準治療の例としては、EGFR阻害のようなキナーゼ標的治療、放射線、ホルモン治療、パクリタキセルおよび/またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
種々の実施形態において、当業者は、アッセイされた遺伝子の発現レベルは、表1および/または表2の遺伝子の任意のサブセットを構成し得ることを、認識する。具体的には、遺伝子サブセットは、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して0.1未満の有意なレベル(例えば、p−値)で、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、適切な統計学的検定(すなわち、遺伝子セット富化分析(「GSEA」)が実証する、遺伝子の任意のサブセットである。当業者に公知の任意の適切な統計学的検定(複数可)および/または当業者に公知の任意の適切な対照集団(複数可)が、上記遺伝子サブセットを同定する際に使用され得る。例えば、上記適切な対照集団(複数可)は、所定のがん治療で処置されていない細胞(すなわち、がん細胞)の任意の集団であり得る。
がん治療の例としては、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、種々の実施形態において、遺伝子のサブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1および/または表2の遺伝子を含み得る。
表1の遺伝子の過剰発現はまた、上記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性であるがん細胞に対し毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなることを示し得る。さらに、表1の遺伝子の過剰発現はまた、上記腫瘍が、がん幹細胞に対し毒性である治療剤、または侵襲性および/もしくは転移性のがん細胞を標的とする治療剤に対して感受性である可能性が高くなることを示し得る。なお他の実施形態において、表1の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍が、上皮間葉移行を受けているがん細胞に対して毒性である治療剤に対し感受性である可能性が高くなることを示し得る。さらに、表1の遺伝子の過剰発現はまた、上記腫瘍が、CSS薬剤(例えば、サリノマイシン)に対して感受性である可能性が高くなることを示す。
患者の上皮がんが標準治療に応答性である可能性を上記原発性腫瘍の外科的切除後に予測する方法であって、がん(すなわち、上記切除した腫瘍由来の上皮がん細胞)における表2の遺伝子の発現レベルを決定することを含む、方法もまた提供される。当業者は、表2の遺伝子の発現の低下は、上記腫瘍が標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示すことを認識する。標準治療としては、EGFR阻害のようなキナーゼ標的治療、放射線治療、ホルモン治療、パクリタキセルおよび/またはこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
当業者は、表2の遺伝子の発現レベルの決定が、上記切除された原発性腫瘍においてインビトロで行われることを認識する。さらに、当業者は、アッセイされる遺伝子の発現レベルが、表2の遺伝子の任意のサブセットを構成し得ることを認識する。具体的には、上記遺伝子サブセットは、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して0.1未満の有意なレベル(例えば、p−値)で、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、適切な統計学的検定(すなわち、遺伝子セット富化分析(「GSEA」))が実証する、遺伝子の任意のサブセットである。当業者に公知の任意の適切な統計学的検定(複数可)および/または当業者に公知の任意の適切な対照集団(複数可)が、上記遺伝子サブセットを同定する際に使用され得る。例えば、適切な対照集団(複数可)は、所定のがん治療で処置されていない細胞(すなわち、がん細胞)の任意の集団であり得る。
がん治療の例としては、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置が挙げられ得るが、これらに限定されない。さらに、種々の実施形態において、遺伝子のサブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表2の遺伝子を含み得る。
これらの方法において、表2の遺伝子の発現の低下は、上記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性であるがん細胞に対し毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなることを示し得る。同様に、表2の遺伝子の発現の低下は、上記腫瘍が、がん幹細胞に対して毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなることを示し得る。同様に、表2の遺伝子の発現の低下は、上記腫瘍が、上皮間葉移行を受けているがん細胞に対して毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなることを示し得る。
本発明は、表2の遺伝子の発現レベルを増大させる候補薬剤を同定するために候補薬剤のスクリーニングによって、がん幹細胞または上皮間葉移行を受けている上皮がんを標的とする治療剤を同定する方法であって、ここで、表2の遺伝子の発現の増大は、その候補薬剤が、がん幹細胞または上皮間葉移行を受けている上皮がんを標的とすることを示す方法を、さらに提供する。さらに、表2の遺伝子の発現の低下はまた、上記腫瘍が、CSS薬剤(例えば、サリノマイシン)に対して感受性である可能性が高くなることを示す。
このような方法は、好ましくは、がん(すなわち、原発性腫瘍の外科的切除後に得られた上皮がん細胞)においてインビトロで実施される。
本発明にしたがうがん幹細胞またはEMTに至っている上皮がんを標的とする治療剤を同定する方法は、独立して行われても、同時に行われても、逐次的に行われてもよい。
当業者は、これらのスクリーニング方法において、表2の遺伝子の任意のサブセットが、その発現レベルについて評価されることを認識する。好ましくは、遺伝子のサブセットは、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して0.1未満の有意なレベル(例えば、p−値)でがん治療(例えば、サリノマイシン処置またはパクリタキセル処置)で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである。例えば、遺伝子のサブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表2の遺伝子を含み得る。
当業者に公知の任意の適切な統計学的検定(複数可)および/または当業者に公知の任意の適切な対照集団(複数可)が、上記遺伝子サブセットを同定する際に使用され得る。例えば、上記適切な対照集団(複数可)は、所定のがん治療で処置されていない任意の細胞集団(すなわち、がん細胞)であり得る。
なおさらなる実施形態において、本発明は、がん幹細胞または上皮間葉移行を受けた上皮がんを標的とする治療剤を同定する方法であって、候補薬剤をスクリーニングして、表1の遺伝子の発現のレベルを低下させる候補薬剤を同定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の発現の低下は、この候補薬剤ががん幹細胞または上皮間葉移行を受けている上皮がんを標的とすることを示す、方法を提供する。このような方法は、好ましくは、がん(すなわち、原発性腫瘍の外科的切除後に得られた上皮がん細胞)においてインビトロで実施される。
これらの方法において、表1の遺伝子の任意のサブセットは、その発現レベルについて評価される。好ましくは、遺伝子のサブセットは、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して0.1未満の有意なレベル(例えば、p−値)でがん治療(例えば、サリノマイシン処置またはパクリタキセル処置)で処置された集団において差次的に発現されることを、適切な統計学的検定が実証する、遺伝子サブセットである。例えば、遺伝子のサブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1の遺伝子を含み得る。
当業者に公知の任意の統計学的検定(複数可)および/または当業者に公知の任意の適切な対照集団(複数可)が、上記遺伝子サブセットを同定する際に使用され得る。例えば、上記適切な対照集団(複数可)は、所定のがん治療で処置されていない任意の細胞集団(すなわち、がん細胞)であり得る。
他の実施形態において、本発明は、上記原発性腫瘍の外科的な切除後に、患者の上皮がんが治療に応答する可能性を予測する方法であって、表1の遺伝子のがんにおける発現レベルを決定する工程を含む、方法を提供する。当業者は、表1の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍が、サリノマイシンまたは他のCSS薬剤による治療に対し感受性である可能性が高くなることを示すことを認識する。さらに、表1の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍が、標準治療、例えばパクリタキセルなどに対し抵抗性である可能性が高くなることを示す。
当業者は、このような方法において、表1の遺伝子の発現レベルを決定する工程が、切除した原発性腫瘍においてインビトロで行われることを認識する。患者の上皮がんが治療に応答する可能性を予測するこれらの方法のいずれかにおいて、表1の遺伝子の任意のサブセットが、その発現レベルについて評価される。好ましくは、その発現が評価される遺伝子のサブセットは、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して0.1未満の有意なレベル(例えば、p−値)でがん治療(例えば、サリノマイシン処置またはパクリタキセル処置)で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである。当業者は、遺伝子のサブセットが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1の遺伝子を含み得ることを認識する。
当業者は、当業者に公知の任意の適切な統計学的検定(複数可)および/または当業者に公知の任意の適切な対照集団(複数可)が、上記遺伝子サブセットの同定の際に使用され得ることを容易に認識する。例えば、上記適切な対照集団(複数可)は、所定のがん治療で処置されていない細胞(すなわち、がん細胞)の任意の集団であり得る。
幾つかの実施形態において、本発明の方法は、熟練の開業医(skilled practitioner)が、患者における行動、治療、および/または処置の将来の方針を選択する際に有用であり得る中間情報を提供する。例えば、本明細書中で記載される方法のいずれかは、遺伝子発現レベルの決定によって得られるデータをまとめる工程(複数可)をさらに含み得る。非限定の例として、このまとめは、上記患者が、上記原発性腫瘍の外科的切除後にがんの再発なしで長期間生存する可能性の予測を含み得る。さらに(またはあるいは)、このまとめは、上記患者の処置様式の推奨を含み得る。
また、1つ以上の容器に、表1および/または表2の遺伝子の1種以上を特異的に認識する少なくとも1種の検出可能な標識試薬を含むキットも、本発明によって提供される。例えば、このキットは、がん(すなわち、上皮がん細胞)において表1及び/または表2の1種以上の遺伝子の発現レベルを決定するために使用され得る。幾つかの実施形態において、上記キットは、上皮がんのバイオマーカープロフィールを作成する(generate)ために使用される。本発明によるキットはまた、少なくとも1種の薬学的賦形剤、希釈剤、アジュバントまたはこれらの任意の組み合わせをも、含み得る。
さらに、本発明の方法のいずれかにおいて、RNA発現レベルは、その対応する遺伝子産物のタンパク質発現レベルを検出することによって、間接的に評価される。例えば、1つの実施形態において、RNA発現レベルは、その対応する遺伝子のクロマチン状態を決定することによって、間接的に評価される。
当業者は、上記RNAは、固定化した、蝋に包埋した上記患者の乳がん組織標本から単離されること、上記RNAは断片化したRNAであること、および/または上記RNAは、細針生検から単離されることを容易に認識する。
本明細書中に記載される方法のいずれかにおいて、上記がんは、上皮がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、脳がんおよび/または黒色腫がんであってもよい。
本発明は、さらに、患者の上皮がんが、標準治療に対して応答性であるかどうかを決定するために、あるいはその可能性を予測するために、インビトロで提供される。このような方法は、がんにおける(すなわち、上皮がんを有する患者からの原発性腫瘍の外科的切除後に得られた上皮がん細胞における)表1および/または表2の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、上記患者の上皮がんが標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示し、そして表2の遺伝子の過剰発現は、上記患者の上皮がんが標準治療に対して感受性である可能性が高くなることを示す。より具体的には、表1の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍が標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることおよび/または上記腫瘍が、パクリタキセルに対して抵抗性である可能性が高くなることを示す。さらに、表1の遺伝子の過剰発現は、上記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性であるがん細胞に対して毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなること;上記腫瘍が、がん幹細胞に対して毒性である治療剤、または侵襲性、転移性もしくは侵襲性且つ転移性のがん細胞を標的とする治療剤に対して感受性である可能性が高くなること;および/または上記腫瘍が、上皮間葉移行を受けているがん細胞に対して毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなることを示す。
同様に、表2の遺伝子の発現の低下は、上記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなること;上記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性であるがん細胞に対し毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなること;上記腫瘍が、がん幹細胞に対し毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなること;および/または上記腫瘍が、上皮間葉移行を受けているがん細胞に対して毒性である治療剤に対して感受性である可能性が高くなることを示す。
当業者は、上記標準治療が、EGFR阻害のようなキナーゼ標的治療;放射線;ホルモン治療;パクリタキセル;および/またはその任意の組み合わせであり得ることを、容易に認識する。
これらのインビトロ方法のいずれかにおいて、アッセイした遺伝子の発現レベルは、表1および/または表2の遺伝子の任意のサブセットを構成する。具体的には、遺伝子のサブセットは、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して0.1未満の有意なレベル(例えば、p−値)で、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定(例えば、遺伝子セット富化分析)が実証する、遺伝子のサブセットである。がん治療の例としては、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、アッセイされた遺伝子のサブセットが、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1および/または表2の遺伝子を含み得ることを認識する。
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが標準治療に応答する可能性を予測する方法であって、がんにおける表1または2の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、該腫瘍が該標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示し、そして表2の遺伝子の過剰発現は、該腫瘍が該標準治療に感受性である可能性が高くなることを示す、方法。
(項目2)
表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍が標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示す、項目1に記載の方法。
(項目3)
表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍がパクリタキセルに対して抵抗性である可能性が高くなることを示す、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記標準治療は、EGFR阻害のようなキナーゼ標的治療である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記標準治療は、放射線である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記標準治療は、ホルモン治療である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記治療は、項目3〜6に示す治療の組み合わせである、項目1に記載の方法。
(項目8)
アッセイされた前記遺伝子の前記発現レベルは、表1または表2の遺伝子の任意のサブセットを構成する、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記がん治療は、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置からなる群から選択される、項目9に記載の方法。
(項目11)
遺伝子の前記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1または表2の遺伝子を含む、項目8〜10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍が、標準治療に抵抗性であるがん細胞に対し毒性である治療剤に対し感受性である可能性が高くなることを示す、項目1に記載の方法。
(項目13)
表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍が、がん幹細胞に対して毒性である治療剤、あるいは侵襲性であるか、転移性であるか、または侵襲性であり転移性であるがん細胞を標的とする治療剤に対し、感受性である可能性が高くなることを示す、項目1に記載の方法。
(項目14)
表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍が、上皮間葉移行に至っているがん細胞に対して毒性である治療剤に対し、感受性である可能性が高くなることを示す、項目1に記載の方法。
(項目15)
表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍が、サリノマイシンに対して感受性である可能性が高くなることを示す、項目1に記載の方法。
(項目16)
原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが標準治療に応答する可能性を予測する方法であって、がんにおける表2の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含む、方法。
(項目17)
表2の遺伝子の発現低下は、前記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示す、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記標準治療は、EGFR阻害のようなキナーゼ標的治療である、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記標準治療は、放射線治療である、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記標準治療は、ホルモン治療である、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記標準治療は、パクリタキセルである、項目16に記載の方法。
(項目22)
前記標準治療は、項目17〜21に示す治療の組み合わせである、項目16に記載の方法。
(項目23)
アッセイされた前記遺伝子の前記発現レベルは、表2の遺伝子の任意のサブセットを構成する、項目16〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記がん治療は、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置からなる群から選択される、項目24に記載の方法。
(項目26)
遺伝子の前記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表2の遺伝子を含む、項目23〜25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
表2の遺伝子の発現の低下は、前記腫瘍が、標準治療に抵抗性であるがん細胞に対し毒性である治療剤に対し感受性である可能性が高くなることを示す、項目16に記載の方法。
(項目28)
表2の遺伝子の発現の低下は、前記腫瘍が、がん幹細胞に対して毒性である治療剤、あるいは侵襲性であるか、転移性であるか、または侵襲性であり転移性であるがん細胞を標的とする治療剤に対し、感受性である可能性が高くなることを示す、項目16に記載の方法。
(項目29)
表2の遺伝子の発現の低下は、前記腫瘍が、上皮間葉移行に至っているがん細胞に対して毒性である治療剤に対し、感受性である可能性が高くなることを示す、項目16に記載の方法。
(項目30)
表2の遺伝子の発現の低下は、前記腫瘍が、サリノマイシンに対して感受性である可能性が高くなることを示す、項目16に記載の方法。
(項目31)
がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とする治療剤を同定する方法であって、候補薬剤をスクリーニングして、表2の遺伝子の発現のレベルを増大させる候補薬剤を同定する工程を含み、ここで、表2の遺伝子の発現の増大は、該候補薬剤が、がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とすることを示す、方法。
(項目32)
表2の遺伝子の任意のサブセットは、その発現レベルについて評価される、項目31に記載の方法。
(項目33)
遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記がん治療は、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置からなる群から選択される、項目33に記載の方法。
(項目35)
遺伝子の前記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表2の遺伝子を含む、項目32〜34のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とする治療剤を同定する方法であって、候補薬剤をスクリーニングして、表1の遺伝子の発現のレベルを低下させる候補薬剤を同定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の発現の低下は、該候補薬剤が、がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とすることを示す、方法。
(項目37)
表1の遺伝子の任意のサブセットは、その発現レベルについて評価される、項目36に記載の方法。
(項目38)
発現が評価される遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記がん治療は、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置からなる群から選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
遺伝子の前記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1の遺伝子を含む、項目37〜39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが治療に応答性である可能性を予測する方法であって、がんにおける表1の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、サリノマイシンまたは他のCSS薬剤による治療に対して腫瘍が感受性である可能性が高くなることを示す、方法。
(項目42)
原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが治療に応答性である可能性を予測する方法であって、がんにおける表1の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、標準治療に対して該腫瘍が抵抗性である可能性が高くなることを示す、方法。
(項目43)
前記標準治療は、パクリタキセルである、項目42に記載の方法。
(項目44)
表1の遺伝子の任意のサブセットは、その発現レベルについて評価される、項目41または42に記載の方法。
(項目45)
発現が評価される遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記がん治療は、サリノマイシン処置およびパクリタキセル処置からなる群から選択される、項目45に記載の方法。
(項目47)
遺伝子の前記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1の遺伝子を含む、項目42〜44のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記遺伝子発現レベルの決定によって得られたデータをまとめる工程をさらに含む、項目1〜30または41〜47のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
前記まとめる工程は、前記原発性腫瘍の外科的切除後に前記がんの再発なしでの前記患者の長期生存の可能性を予測することを含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記まとめる工程は、前記患者の処置様式についての推奨を含む、項目48に記載の方法。
(項目51)
1つ以上の容器内に、表1または表2の遺伝子の1つ以上を特異的に認識する少なくとも1種の検出可能に標識した試薬を含む、キット。
(項目52)
表1または表2の1つ以上の遺伝子の、がんにおける発現のレベルが決定される、項目51に記載のキット。
(項目53)
前記キットは、上皮がんのバイオマーカープロフィールを作成するために使用される、項目51に記載のキット。
(項目54)
前記キットは、少なくとも1種の薬学的賦形剤、希釈剤、アジュバントまたはその任意の組み合わせをさらに含む、項目51に記載のキット。
(項目55)
RNA発現レベルが、対応する遺伝子産物のタンパク質発現レベルを決定することにより、間接的に評価される、項目1〜30または41〜47のいずれか1項に記載の方法。
(項目56)
前記RNA発現レベルが、対応する遺伝子のクロマチン状態を決定することにより、間接的に評価される、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記RNAは、前記患者の固定化して蝋に包埋した乳がん組織標本から単離される、項目55に記載の方法。
(項目58)
前記RNAは、断片化RNAである、項目55に記載の方法。
(項目59)
前記RNAは、細針生検サンプルから単離される、項目55に記載の方法。
(項目60)
前記がんが、上皮がんである、項目1〜30または41〜47のいずれか1項に記載の方法。
(項目61)
前記がんが、肺がん、乳がん、前立腺がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、脳がんまたは黒色腫がんである、項目1〜30または41〜47のいずれか1項に記載の方法。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下に添付の記載において示されている。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは均等である任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料が、ここに記載される。本発明の他の特徴、目的および利点は、本記載および特許請求の範囲から明らかである。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形は、文脈がそうでないと明らかに記載しない限り、複数の対象を含む。他に規定されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明の属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で引用される全ての特許および刊行物は、その全体が、参考として組み込まれる。
図1:EMTを誘導する5つの因子(Goosecoid、TGFb、Snail、TwistまたはE−カドヘリンに対するshRNA)のうちの1つを発現するかまたは2つの対照ベクター(pWZL、GFPに対するshRNA)を発現する三連で培養した細胞からの遺伝子発現データのヒートマップまとめ。凡例は、対数スケール(底を2とする)上の相対的遺伝子発現を示す。 図2:表1の遺伝子のサブセットを用いた遺伝子セット富化分析。パクリタキセルで処置されたHMLERがん細胞におけるEMT関連遺伝子のサブセットの富化レベルが、示される。その遺伝子セットは、EMT_UP_NUMと名付けられ、ここで、NUMは、上記サブセット内の遺伝子の数である。プロットは、ランクの関数としての富化スコアを示し、EMT_UP遺伝子セットのそれぞれが、パクリタキセル処置後の細胞におけるその発現において富化されることを表す。 図3:表2の遺伝子のサブセットによる遺伝子セット富化分析。パクリタキセルで処置したHMLERがん細胞における非EMT関連遺伝子のサブセットの富化レベルが、示される。その遺伝子セットは、EMT_DN_NUMと名付けられ、ここで、NUMは、上記サブセット内の遺伝子の数である。プロットは、ランクの関数としての富化スコアを示し、EMT_DN遺伝子セットのそれぞれが、パクリタキセル処置後の細胞と比較して、DMSO対照で処置した細胞においてその発現が富化されることを表す。 図4:表2の遺伝子のサブセットによる遺伝子セット富化分析。サリノマイシンで処置したHMLERがん細胞における非EMT関連遺伝子のサブセットの富化レベルが、示される。その遺伝子セットは、EMT_DN_NUMと名付けられ、ここで、NUMは、上記サブセット内の遺伝子の数である。プロットは、ランクの関数としての富化スコアを示し、EMT_DN遺伝子セットのそれぞれが、対照処置と比較して、サリノマイシン処置後の細胞においてその発現が富化されることを表す。 図5:表1の遺伝子のサブセットによる遺伝子セット富化分析。サリノマイシンで処置したHMLERがん細胞におけるEMT関連遺伝子のサブセットの富化レベルが、示される。その遺伝子セットは、EMT_UP_NUMと名付けられ、ここで、NUMは、上記サブセット内の遺伝子の数である。プロットは、ランクの関数としての富化スコアを示し、EMT_UP遺伝子セットのそれぞれが、サリノマイシン処置後の細胞と比較して、DMSO対照で処置された細胞においてその発現が富化されることを表す。
発明の詳細な説明
本発明を示す前に、本明細書中以後使用される特定の用語の定義を示すことが、その理解に役立ち得る。
本発明の文脈における「バイオマーカー」は、上皮がんを検出するかおよび/または分類するために使用され得る、特定の生物学的特性の分子指標;生化学的な特徴または面である。「バイオマーカー」は、非限定で、タンパク質、核酸および代謝物を、その多型、変異体(mutation)、改変体、修飾物、サブユニット、断片、タンパク質−リガンド複合体および分解生成物、タンパク質−リガンド複合体、エレメント、関連代謝物および他の検体またはサンプル由来測定単位(measure)と共に包含する。バイオマーカーはまた、変異タンパク質または変異核酸をも含む。本発明において、mRNAの測定が、好ましい。
本発明の文脈における「生物学的サンプル」または「サンプル」は、被検体から単離された生物学的サンプルであり、例として、非限定であるが、全血、血液画分、血清、血漿、血球、組織生検、細胞抽出物、筋肉サンプルもしくは組織サンプル、筋肉生検若しくは組織生検、または任意の他の分泌物、排泄物もしくは他の体液が挙げられる。
語句「差次的に発現される」は、例えば上皮がんを有する患者から得られたサンプル中に存在するバイオマーカーの、対照被験体と比較した場合の量および/または頻度における相違をいう。例えば、非限定で、バイオマーカーは、がんを有する患者のサンプル中で、対照被験体のサンプルと比較して、高いレベルで存在する(すなわち、過剰発現される)か、低いレベルで存在する(すなわち、過少発現される)mRNAまたはポリペプチドであり得る。あるいは、バイオマーカーは、患者のサンプル中で、対照被験体のサンプルと比較した場合、より高い頻度で検出される(すなわち、過剰発現される)かまたはより低い頻度で検出される(すなわち、過少発現される)ポリペプチドであり得る。バイオマーカーは、量、頻度またはその両方の点で、差次的に存在し得る。
以前の研究は、細胞を選択的に標的としてEMTへと誘導する剤はまた、選択的にがん幹細胞を死滅させることを示している。EMTへと誘導されたがん細胞はまた、高度に侵襲性であるので、その仮説は、侵襲性であり且つ/または転移性であるがん細胞を標的とする抗がん治療はまた、がん細胞を標的としてEMTへと誘導する可能性があるというものである。
1つの実施形態にしたがって、本発明は、本質的に重なる3つのクラスの抗がん治療または処置(すなわち、(a)侵襲性/転移性細胞を標的とする治療、(b)がん幹細胞を標的とする治療、および(c)EMT後の細胞を標的とする治療)に対し応答性である腫瘍を有する患者部分集団を決定するための方法を、提供する。具体的には、本発明は、どの治療または処置が、EMT後のがん細胞において上方制御される遺伝子バイオマーカー(表1)を発現するがんにおいて有効であるか、ならびにEMTに至っていないがん細胞において上方制御される遺伝子マーカー(表2)を発現するがんにおいて有効でないかを決定する方法を、提供する。
本発明の方法が有用であることを企図しているがんは、任意の上皮がん、および特に、乳がん、黒色腫、脳がん、胃がん、膵臓がんおよび肺、前立腺および結腸の癌腫が挙げられる。
本発明の方法が有用であることが企図される抗がん治療および処置は、標準治療、例えばパクリタキセル、DNA障害剤、キナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ)、放射線治療、ならびにがん幹細胞を標的とする治療および/またはEMT後の細胞を標的とする治療(例えば、サリノマイシンのようなCSS薬剤を含む)を含む。
EMTに至っているがん細胞において差次的に発現する遺伝子のセット(表1)およびEMTに至っていないがん細胞において発現する遺伝子(表2)を、決定した。これらの遺伝子を、乳がん細胞(5種のEMTを誘導する遺伝子因子のうちの1種を発現しているかまたはEMTを誘導しない2種の対照遺伝子因子を発現している(対照ベクター)かのいずれかで培養した)においてRNAを回収しそしてマイクロアレイ遺伝子発現分析を実施することによって得た。細胞を、各処置条件について三連で培養した。その遺伝子発現データの包括的な分析を、図1のヒートマップとして示し、ここで、表1および2における遺伝子の上部のセットを、ヒートマップの構築に使用した。
治療に対するがん細胞集団の応答性を実証することは、表1および表2に同定される遺伝子の種々のサブセットによって、共に測定され得、そして予測され得る。HMLER乳がん集団を、一般に使用される抗がん化学治療パクリタキセル(Taxol)で処置するか、または対照DMSO処置で処置した。次いで、mRNAを単離し、そして包括的な遺伝子発現データを収集した。次いで、パクリタキセル処置後の表1および表2の遺伝子の集合的発現レベルを、決定した。これらの分析について、図2および図3に示されるが、種々のサイズの遺伝子サブセットの集合を、選んだ。
表1および/または表2の遺伝子の発現レベルの決定は、切除した原発性腫瘍において、インビトロで行うことを、当業者は認識する。
この分析は、表1において発現される遺伝子および/またはその多くのサブセットが、パクリタキセルの処置の際に過剰発現されることを示し、このことは、これらの遺伝子が、パクリタキセルによる処置に抵抗性であるがん細胞部分集団を同定することを示す。結果として、表1の遺伝子の発現の測定は、単一の薬剤として適用される場合のパクリタキセル処置に応答性でない腫瘍を同定することに働く。
本発明において、表1の遺伝子の任意のサブセットもまた包含され、このサブセットについては、統計学的検定(例えば、遺伝子セット富化分析など(Subramanian,Tamayoら,PNAS 102:15545−50(2005)およびMootha,Lindgrenら,Nat.Genet 34:267−73(2003)を参照されたい。これらのそれぞれは、その全体が、本明細書中で参考として組み込まれる))により、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して、パクリタキセル処置集団において、0.1未満、より好ましくは0.05未満の有意なレベル(例えば、p−値)で過剰発現されることが、実証される。1つの実施形態において、表1由来の遺伝子のサブセットは、少なくとも2つの遺伝子、10の遺伝子、15の遺伝子、20の遺伝子または30の遺伝子(またはこれらの間に挟まる任意の範囲)を含むことが、企図された。例えば、そのサブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の遺伝子を含み得る。
遺伝子富化または差次的発現についての任意の他の適切な統計学的検定(複数可)はまた、表1由来の遺伝子の所望のサブセットを同定するために使用され得ることを、当業者は認識する。例えば、セット内の遺伝子についての対数変換遺伝子発現スコアの和は、t検定、改変t検定またはノンパラメトリック検定(例えば、Mann−Whitney)を用いて、2つのプロフィール間の差次的遺伝子発現を比較するために使用され得る尺度(metric)を同定し得る。
さらにまた、任意の適切な対照集団(複数可)も、表1由来の遺伝子の所望のサブセットを同定するために使用され得ることを、当業者は認識する。例えば、上記適切な対照集団(複数可)が、所定のがん治療で処置されていない細胞(すなわち、がん細胞)の任意の集団であり得る。
あるいは、表1の遺伝子のサブセットは、任意のサブセットとして同定され得、このサブセットについては、統計学的検定(例えば、遺伝子セット富化分析など)により、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して、サリノマイシン処置集団において、0.1未満、より好ましくは0.05未満の有意なレベル(例えば、p−値)で過少発現されることが、実証される。1つの実施形態において、表1由来の遺伝子のサブセットは、少なくとも2つの遺伝子、10の遺伝子、15の遺伝子、20の遺伝子または30の遺伝子(またはこれらの間に挟まる任意の範囲)を含むことが、企図された。例えば、そのサブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の遺伝子を含み得る。当業者には、遺伝子発現または差次的発現についての、任意の他の適切な統計学的検定(複数可)もまた、表1由来の遺伝子の所望のサブセットを同定するために使用され得る。例えば、セット内の遺伝子についての対数変換遺伝子発現スコアの和は、t検定、改変t検定またはノンパラメトリック検定(例えば、Mann−Whitney)を用いて、2つのプロフィール間の差次的遺伝子発現を比較するために使用され得る尺度を同定し得る。
同様に、任意の適切な対照集団(複数可)もまた、表1由来の遺伝子の所望のサブセットを同定するために使用され得る。例えば、適切な対照集団(複数可)は、所定のがん治療で処置されていない細胞(すなわち、がん細胞)の任意の集団であり得る。
当業者は、表1の遺伝子の好適なサブセットを決定するために使用される統計学的検定が、本出願において説明のために使用される場合、遺伝子セット富化分析(GSEA)(Subramanian,Tamayoら,PNAS 102:15545−50(2005)およびMootha,Lindgrenら,Nat.Genet 34:267−73(2003)を参照されたい。これらのそれぞれは、その全体が、本明細書中で参考として組み込まれる)であり得るか、または当該分野で公知の富化または発現についての任意の他の統計学的検定であり得ることを、認識する。例えば、セット内の遺伝子についての対数変換遺伝子発現スコアの和は、t検定、改変t検定またはノンパラメトリック検定(例えば、Mann−Whitney)を用いて、2つのプロフィール間の差次的遺伝子発現を比較するために使用され得る尺度を同定し得る。
本評価の目的のために処置される細胞の集団は、任意の型のがん細胞または正常な細胞集団であってもよい。
Figure 2013532489
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Figure 2013532489
Figure 2013532489
Figure 2013532489
分析はまた、表2の遺伝子およびその多くのサブセットは、パクリタキセルによる処置の際に過少発現されることを示し、このことは、これらの遺伝子は、パクリタキセルによる処置に感受性である細胞部分集団を同定することを表す。結果として、表2の遺伝子の発現の測定は、単一の薬剤として用いられる場合にパクリタキセル処置に応答性である腫瘍を同定することに働く。
表2の遺伝子の発現レベルの決定は、切除した原発性腫瘍においてインビトロで行われることを、当業者は認識する。
本発明において、表2の遺伝子の任意のサブセットもまた包含され、このサブセットについては、統計学的検定(例えば、遺伝子セット富化分析など)により、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して、パクリタキセル処置集団において、0.1未満、より好ましくは0.05未満の有意なレベル(例えば、p−値)で過少発現されることが、実証される。1つの実施形態において、表2由来の遺伝子のサブセットは、少なくとも2つの遺伝子、6の遺伝子、10の遺伝子、15の遺伝子、20の遺伝子または30の遺伝子(またはこれらの間に挟まる任意の範囲)を含むことが、企図された。例えば、そのサブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の遺伝子を含み得る。遺伝子富化または差次的発現についての任意の他の適切な統計学的検定(複数可)はまた、表2由来の遺伝子の所望のサブセットを同定するために使用され得ることを、当業者は認識する。例えば、セット内の遺伝子についての対数変換遺伝子発現スコアの和は、t検定、改変t検定またはノンパラメトリック検定(例えば、Mann−Whitney)を用いて、2つのプロフィール間の差次的遺伝子発現を比較するために使用され得る尺度を同定し得る。
さらにまた、任意の適切な対照集団(複数可)も、表2由来の遺伝子の所望のサブセットを同定するために使用され得ることを、当業者は認識する。例えば、上記適切な対照集団(複数可)が、所定のがん治療で処置されていない細胞(すなわち、がん細胞)の任意の集団であり得る。
あるいは、表2の遺伝子のサブセットは、任意のサブセットとして同定され得、このサブセットについては、統計学的検定(例えば、遺伝子セット富化分析など)により、このサブセット内の遺伝子が、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して、サリノマイシン処置集団において、0.1未満、より好ましくは0.05未満の有意なレベル(例えば、p−値)で過剰発現されることが、実証される。1つの実施形態において、表2由来の遺伝子のサブセットは、少なくとも2つの遺伝子、6の遺伝子、10の遺伝子、15の遺伝子、20の遺伝子または30の遺伝子(またはこれらの間に挟まる任意の範囲)を含むことが、企図された。例えば、上記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の遺伝子を含み得る。当業者には、遺伝子富化または差次的発現についての、任意の他の適切な統計学的検定(複数可)もまた、表2由来の遺伝子の所望のサブセットを同定するために使用され得る。例えば、セット内の遺伝子についての対数変換遺伝子発現スコアの和は、t検定、改変t検定またはノンパラメトリック検定(例えば、Mann−Whitney)を用いて、2つのプロフィール間の差次的遺伝子発現を比較するために使用され得る尺度を同定し得る。
同様に、任意の適切な対照集団(複数可)もまた、表2由来の所望のサブセットを同定するために使用され得る。例えば、適切な対照集団(複数可)は、所定のがん治療で処置されていない細胞(すなわち、がん細胞)の任意の集団であり得る。
使用される統計学的検定は、本出願において説明のために使用されるような遺伝子セット富化分析(GSEA)(Subramanian,Tamayoら,PNAS 102:15545−50(2005)およびMootha,Lindgrenら,Nat.Genet 34:267−73(2003)を参照されたい。これらのそれぞれは、その全体が、本明細書中で参考として組み込まれる)または当該分野で公知の富化または発現についての任意の他の統計学的検定であり得る。非限定的な例として、セット内の遺伝子についての対数変換遺伝子発現スコアの和は、t検定、改変t検定またはノンパラメトリック検定(例えば、Mann−Whitney)を用いて、2つのプロフィール間の差次的遺伝子発現を比較するために使用され得る尺度を同定し得る。
本評価の目的のために処置される細胞の集団は、任意の型のがん細胞または正常な細胞集団であってもよい。
Figure 2013532489
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次に、上で記載した通りのものと同じ分析を、異なる抗がん剤(サリノマイシン)による処置に関して、実施した。サリノマイシンは、以前に、侵襲性のがん幹細胞を特異的に死滅させることが同定されている。反対の発現変化(パクリタキセルと比較して)が、サリノマイシンによる処置の際に観察された。図4および図5に示される分析は、表1に表わされる遺伝子およびその任意のサブセットは、サリノマイシンによる処置の際に過少発現されることを示し、このことは、これらの遺伝子は、サリノマイシンのようなCSS薬剤による処置に感受性である細胞部分集団を同定することを表す。結果として、表1の遺伝子(または本明細書中で開示される方法にしたがって同定されるその任意の適切なサブセット)の発現の測定は、単一の薬剤として使用される場合のCSS薬剤(例えば、サリノマイシン処置)に応答性の腫瘍を同定することに働く。
この分析はまた、表2に表される遺伝子およびその任意のサブセットが、サリノマイシンによる処置の際に(対照と比較して)過剰発現されることを示し、このことは、これらの遺伝子が、サリノマイシンのようなCSS薬剤による処置に抵抗性である細胞部分集団を同定することを表す。結果として、表2の遺伝子(または本明細書中で開示される方法にしたがって同定されるその任意の適切なサブセット)の発現の測定は、単一の薬剤として使用される場合のCSS薬剤(例えば、サリノマイシン処置)に応答性でない腫瘍を同定することに働く。
表1および/または2ならびにその種々のサブセット(それに対する統計学的検定により、このサブセット内の遺伝子ががん処置(例えば、サリノマイシン処置またはパクリタキセル処置)での処置に応答して差次的に発現されることを、適切な対照集団(例えば、DMSO処置)と比較して、0.1未満の有意なレベル(例えば、p値)で実証される)の遺伝子の発現の測定が、所定の治療または処置に応答性であるかまたは応答性でないがん細胞集団を同定するために使用され得るということが理解される。細胞の別個の部分集団は、表1および/または2の遺伝子(またはその任意の適切なサブセット)の発現レベルを用いて同定され、これらの識別可能な部分集団は、任意の特定の治療または処置のレジメンに示差的に応答し得、それによってこれらの遺伝子が、原発性腫瘍切除後の治療選択を行うバイオマーカーとして働くことが可能となる。
本明細書中で挙げられた全ての文書および特許または特許出願は、参考として完全に組み込まれる。
Figure 2013532489
Figure 2013532489
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と一緒に記載されているが、先の記載は、本発明を説明することを企図するものであり、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定しない。他の局面、利点および改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

Claims (32)

  1. がんにおける表1または2の遺伝子の発現レベルを、原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが標準治療に応答する可能性の指標とする方法であって、がんにおける表1または2の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、該腫瘍が該標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示し、そして表2の遺伝子の過剰発現は、該腫瘍が該標準治療に感受性である可能性が高くなることを示す、方法。
  2. 表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍が標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示す、請求項1に記載の方法。
  3. 表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍がパクリタキセルに対して抵抗性である可能性が高くなることを示す、請求項2に記載の方法。
  4. アッセイされた前記遺伝子の前記発現レベルは、表1または表2の遺伝子の任意のサブセットを構成する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、請求項に記載の方法。
  6. 遺伝子の前記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表1または表2の遺伝子を含む、請求項のいずれか1項に記載の方法。
  7. 表1の遺伝子の前記過剰発現は、前記腫瘍が、標準治療に抵抗性であるがん細胞に対し毒性である治療剤に対し感受性である可能性が高くなることを示す、請求項1に記載の方法。
  8. がんにおける表2の遺伝子の発現レベルを、原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが標準治療に応答する可能性の指標とする方法であって、がんにおける表2の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含む、方法。
  9. 表2の遺伝子の発現低下は、前記腫瘍が、標準治療に対して抵抗性である可能性が高くなることを示す、請求項に記載の方法。
  10. アッセイされた前記遺伝子の前記発現レベルは、表2の遺伝子の任意のサブセットを構成する、請求項のいずれか1項に記載の方法。
  11. 遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、請求項10に記載の方法。
  12. 遺伝子の前記サブセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の表2の遺伝子を含む、請求項1011のいずれか1項に記載の方法。
  13. 表2の遺伝子の発現の低下は、前記腫瘍が、標準治療に抵抗性であるがん細胞に対し毒性である治療剤に対し感受性である可能性が高くなることを示す、請求項に記載の方法。
  14. がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とする治療剤を同定する方法であって、候補薬剤をスクリーニングして、表2の遺伝子の発現のレベルを増大させる候補薬剤を同定する工程を含み、ここで、表2の遺伝子の発現の増大は、該候補薬剤が、がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とすることを示す、方法。
  15. 表2の遺伝子の任意のサブセットは、その発現レベルについて評価される、請求項14に記載の方法。
  16. 遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、請求項15に記載の方法。
  17. がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とする治療剤を同定する方法であって、候補薬剤をスクリーニングして、表1の遺伝子の発現のレベルを低下させる候補薬剤を同定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の発現の低下は、該候補薬剤が、がん幹細胞または上皮間葉移行に至っている上皮がんを標的とすることを示す、方法。
  18. 表1の遺伝子の任意のサブセットは、その発現レベルについて評価される、請求項17に記載の方法。
  19. 発現が評価される遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、請求項18に記載の方法。
  20. がんにおける表1の遺伝子の発現レベルを、原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが治療に応答性である可能性の指標とする方法であって、がんにおける表1の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、サリノマイシンまたは他のCSS薬剤による治療に対して腫瘍が感受性である可能性が高くなることを示す、方法。
  21. がんにおける表1の遺伝子の発現レベルを、原発性腫瘍の外科的切除後に、患者の上皮がんが治療に応答性である可能性の指標とする方法であって、がんにおける表1の遺伝子の発現レベルを決定する工程を含み、ここで、表1の遺伝子の過剰発現は、標準治療に対して該腫瘍が抵抗性である可能性が高くなることを示す、方法。
  22. 前記標準治療は、パクリタキセルである、請求項21に記載の方法。
  23. 表1の遺伝子の任意のサブセットは、その発現レベルについて評価される、請求項20または21に記載の方法。
  24. 発現が評価される遺伝子の前記サブセットは、該サブセット内の遺伝子が、適切な対照集団と比較して0.1未満の有意なレベルで、がん治療で処置された集団において差次的に発現されることを、統計学的検定が実証する、遺伝子のサブセットである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記遺伝子発現レベルの決定によって得られたデータをまとめる工程をさらに含む、請求項1〜13または2024のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記まとめる工程は、前記原発性腫瘍の外科的切除後に前記がんの再発なしでの前記患者の長期生存の可能性測を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記まとめる工程は、前記患者の処置様式についての推奨を含む、請求項25に記載の方法。
  28. 1つ以上の容器内に、表1または表2の遺伝子の1つ以上を特異的に認識する少なくとも1種の検出可能に標識した試薬を含む、キット。
  29. 表1または表2の1つ以上の遺伝子の、がんにおける発現のレベルが決定される、請求項28に記載のキット。
  30. 前記キットは、上皮がんのバイオマーカープロフィールを作成するために使用される、請求項28に記載のキット。
  31. 前記がんが、上皮がんである、請求項1〜13または2024のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記がんが、肺がん、乳がん、前立腺がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、脳がんまたは黒色腫がんである、請求項1〜13または2024のいずれか1項に記載の方法。

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