JP2013530165A - 末梢血sparc結合抗体及びその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、SPARC、特に血漿のSPARC、に対し高い親和性を有する、SPARC結合抗体、及び該抗体を、癌を含む状態を治療することに使用する方法を提供する。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2010年6月3日に出願された、米国仮出願番号61/351,246の35 U.S.C. §119(e)の下の優先権の利益を主張し、その全体の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
本出願は、2010年6月3日に出願された、米国仮出願番号61/351,246の35 U.S.C. §119(e)の下の優先権の利益を主張し、その全体の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
発明の背景
酸性であり且つシステインに富んだ分泌タンパク質(Secreted Protein, Acidic, Rich in Cysteines;SPARC)(オステオネクチンとしても知られる)は、281個のアミノ酸からなる糖タンパク質である。SPARCは、陽イオン(例えば、Ca2+、Cu2+、Fe2+)、成長因子(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、及び血管内皮増殖因子(VEGF))、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質(例えば、コラーゲンI−V及びコラーゲンIX、ビトロネクチン、並びにトロンボスポンジン−1)、内皮細胞、血小板、アルブミン、並びにハイドロキシアパタイトを含む多種多様なリガンドへの親和性を有する。SPARCの発現は発生段階で制御を受け、主に、正常発生中の又は傷への反応における、再構築を行っている組織において発現する(例えば、Lane et al., FASEB J., 8, 167−173(1994)を参照されたい)。SPARCタンパク質は発生中の骨や歯において高発現している。
酸性であり且つシステインに富んだ分泌タンパク質(Secreted Protein, Acidic, Rich in Cysteines;SPARC)(オステオネクチンとしても知られる)は、281個のアミノ酸からなる糖タンパク質である。SPARCは、陽イオン(例えば、Ca2+、Cu2+、Fe2+)、成長因子(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、及び血管内皮増殖因子(VEGF))、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質(例えば、コラーゲンI−V及びコラーゲンIX、ビトロネクチン、並びにトロンボスポンジン−1)、内皮細胞、血小板、アルブミン、並びにハイドロキシアパタイトを含む多種多様なリガンドへの親和性を有する。SPARCの発現は発生段階で制御を受け、主に、正常発生中の又は傷への反応における、再構築を行っている組織において発現する(例えば、Lane et al., FASEB J., 8, 167−173(1994)を参照されたい)。SPARCタンパク質は発生中の骨や歯において高発現している。
SPARCはマトリックス細胞タンパク質であり、いくつかの侵襲性の癌で上方制御されているが、大部分の正常組織では発現が見られない(Porter et al., J. Histochem. Cytochem., 43, 791(1995)及び下記参照)。実際に、SPARCの発現は様々な腫瘍において誘導されている(例えば、膀胱、肝臓、卵巣、腎臓、腸、及び乳房)。例えば膀胱癌において、SPARCの発現は進行性の癌と関連付けられている。ステージT2かそれよりも進行した浸潤性の膀胱癌では、ステージT1の膀胱癌(又はより早期の表在性腫瘍)よりもSPARCの高い発現が見られ、より不良な予後となることが示されている(例えば、Yamanaka et al., J. Urology, 166, 2495−2499(2001)を参照されたい)。髄膜腫において、SPARCの発現は浸潤性腫瘍のみに関連付けられている(例えば、Rempel et al., Clinical Cancer Res., 5, 237−241(1999)を参照されたい)。SPARCの発現は、上皮内浸潤性乳癌種病変の74.5%(例えば、Bellahcene et al., Am. J. Pathol., 146, 95−100(1995)を参照されたい)、及び浸潤性の乳管癌の54.2%(例えば、Kim et al., J. Korean Med. Sci., 13, 652−657(1998)を参照されたい)でも検出される。SPARCの発現は乳癌における頻繁な微小石灰化とも関連付けられており(例えば、上掲のBellahcene et al.を参照されたい)、このことはSPARCの発現が、乳房転移の骨に対する親和性の原因となり得ることを示唆している。SPARCはアルブミンと結合することも知られている(例えば、Schnitzer, J. Biol. Chem., 269, 6072(1994)を参照されたい)。
従って、特に、いくつかの癌におけるSPARCの役割といった、疾患におけるSPARCの役割を活用する組成物や方法が必要とされている。
発明の概要
一態様において、本発明は、Imm12、Imm14、hHTI、又はそれらの組み合わせを含むSPARC結合抗体を包含する組成物を提供する。
一態様において、本発明は、Imm12、Imm14、hHTI、又はそれらの組み合わせを含むSPARC結合抗体を包含する組成物を提供する。
その他の態様において、本発明は、Imm12、Imm14、hHTI、又はそれらの組み合わせを含むSPARC結合抗体を包含する組成物の、診断上又は治療上有効量を投与することを含む、癌などの疾患を動物において診断する又は治療する方法を提供する。
本発明は、1つ以上の抗癌剤及びSPARC結合抗体で、動物における腫瘍を治療する方法を更に提供し、それは以下を含む:動物から生物サンプルを単離すること、該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質の発現を検出すること、該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質を定量すること、該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質が閾値レベルを超えて存在した場合に、治療有効量の抗癌剤及び治療有効量の抗SPARC抗体を投与すること、又はSPARCタンパク質が閾値レベルを下回って存在した場合に、治療有効量の抗癌剤を投与し、該SPARC結合抗体を投与しないこと。SPARCの発現の定量についての、本発明に従う使用のための適切な生物サンプルとして、例えば、血液、血清、及び血漿が挙げられる。本発明に従う、腫瘍を治療するための適切なSPARC結合抗体として、例えば、Imm12、Imm14、hHTI等に基づいた、ヒト化SPARC結合抗体が挙げられる。SPARC結合抗体の使用のための、生物サンプルにおけるSPARCの閾値レベルは、少なくとも約4.3ng/ml、少なくとも約43ng/ml、又は、好ましくは、少なくとも約430ng/mlであり得る。
本発明の全ての方法及び組成物において、SPARC結合抗体は、治療上の又は診断上の活性剤へと結合させることができる。本発明及び本発明の方法の適用により提供される組成物の投与に適した動物は、ヒトの患者を含むが、これに限定されない。
発明の詳細な説明
本発明は、ヒト及びマウスSPARCの両方に対する特異的な結合、並びに血管新生及び転移を阻害する性能について解析した、特定のSPARC結合抗体に関する。驚いたことに、上記解析は、スクリーニングELISAにおいて、3つの抗体が天然の及び変性したヒトSPARCに結合したが、1つの抗体のみが、マウスのSPARCにも結合することを明らかにした。これら3つの抗体、Imm12、Imm14、及びmHTIはまた、驚いたことに、抗血管新生(即ち、抗腫瘍)及び抗転移特性を有することを見出した。
本発明は、ヒト及びマウスSPARCの両方に対する特異的な結合、並びに血管新生及び転移を阻害する性能について解析した、特定のSPARC結合抗体に関する。驚いたことに、上記解析は、スクリーニングELISAにおいて、3つの抗体が天然の及び変性したヒトSPARCに結合したが、1つの抗体のみが、マウスのSPARCにも結合することを明らかにした。これら3つの抗体、Imm12、Imm14、及びmHTIはまた、驚いたことに、抗血管新生(即ち、抗腫瘍)及び抗転移特性を有することを見出した。
定義
本明細書において、「ペプチド」及び「ポリペプチド」は、互換的に使用され、ペプチド結合により結合したアミノ酸残基の鎖から構成される化合物のことをいう。ポリペプチドの「活性部位」は、全長ポリペプチドより短いが、測定可能な生物学的活性及び生物学的検出を保持するペプチドを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍」は、良性であろうと悪性(癌性)であろうと、原発部位病変であろうと転移であろうと、いかなる新生物の成長、増殖、又は細胞集団をもいう。
本明細書で使用される場合、用語「癌」は、正常な増殖制御に対する感受性を喪失した細胞の増殖によって引き起こされる、又は特徴付けられる、増殖性疾患のことを言う。同一組織型の癌は通常、同一組織に由来し、それらの生物学的な特徴に基づいて異なるサブタイプに分けることができる。癌の4つの一般的なカテゴリーは、カルシノーマ(上皮組織由来)、肉腫(結合組織又は中胚葉系由来)、白血病(造血組織由来)、及びリンパ腫(リンパ組織由来)である。200を超える異なるタイプの癌が既知であり、体の全ての臓器及び組織が罹患し得る。癌の定義を限定するものではないが、癌の具体例として、メラノーマ、白血病、星状細胞腫、神経膠芽腫、網膜芽細胞腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、及び慢性リンパ性白血病が挙げられる。様々な癌に罹患し得る臓器及び組織の例として、膵臓、乳房、甲状腺、卵巣、子宮、精巣、前立腺、脳下垂体、副腎、腎臓、胃、食道、直腸、小腸、結腸、肝臓、胆嚢、頭部及び頸部、舌、口、眼部及び眼窩、骨、関節、脳、神経系、皮膚、血液、鼻咽頭組織、肺、咽頭、泌尿器、子宮頸部、膣、外分泌腺、並びに内分泌腺が挙げられる。或いは、癌は多中心性癌又は原発不明癌(CUPS)であり得る。
本明細書で使用される場合、「適切なSPARC結合抗体」又は「SPARC結合抗体」は、SPARCに特異的に結合することができる抗体をいう。
本明細書で使用される場合、「腫瘍標的化抗体」は、腫瘍、癌、新生物等の疾患を標的とする抗体をいう。
本明細書で使用される場合、「SPARC結合抗体」は、1、又は10、又は100、又は1000nMの範囲内、好ましくは10nM以下のKdを有し、循環しているSPARCに対し親和性を有する抗体をいう。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、哺乳動物において1つ以上の疾患又は状態の症状を軽減する(熟練した医療従事者による評価で何らかの程度にまで)組成物の量をいう。更に、組成物の「治療有効量」は、疾患若しくは状態に関連する又は原因となる、生理学的又は生化学的パラメーターを、部分的に又は完全に正常へ戻す量を意味する。当該技術分野における熟練した臨床医は、例えば、静脈内に、腹腔内に、経口的に、又は吸入を介して投与された場合に、特定の疾患状態又は障害を、治療又は予防するために、組成物の治療有効量を決定することができる。治療上有効であるのに必要とされる組成物の正確な量は、例えば、多くの患者に特異的な留意事項に加え、活性剤の特定の活性、使用した送達用機器、薬剤の物理学的特性、投与の目的等の、多くの因子に依存するであろう。しかし、治療有効量の決定は、本明細書の開示を理解した通常の技術を有する臨床医の技術範囲内である。
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」、「療法」、及び「治療法」は、治癒的療法、防止的療法、又は予防的療法をいう。「予防的療法」の例として、標的疾患(例えば、癌又は他の増殖性疾患)又はその関連疾患の可能性を阻止する又は減らすことが挙げられる。治療の必要がある者として、すでに疾患又は状態を有する者、及び予防すべき疾患又は状態を有する傾向にある者が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」、「療法」、及び「治療法」は、疾患又は関連する状態と闘うことを目的とした、哺乳動物の管理及び看護をもいい、組成物の投与により、症状、副作用、又は疾患や状態の他の合併症を緩和することも含む。癌の治療法は、手術、化学療法、放射線療法、遺伝子療法、及び免疫療法を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、用語「薬剤」又は「薬」又は「治療剤」は、治療上の特性を有すると思われる、化学物質、化学物質の混合物、生物学的高分子、或いは、細菌、植物、真菌、又は動物(特に哺乳膨物)細胞若しくは組織等の生物材料から作製された抽出物をいう。薬剤又は薬は、実質的に精製又は部分的に精製され得る。本発明に係る「薬剤」は、放射線療法剤又は「化学療法剤」をも含む。
本明細書で使用される場合、用語「診断剤」は、ELISA等の方法により、血漿の/循環しているSPARCの定量を可能にする薬剤をいう。
本明細書で使用される場合、用語「化学療法剤」は、癌疾患、新生物疾患、及び/又は増殖性疾患に対し活性を有する薬剤をいう。
本明細書で使用される場合、用語「放射線療法レジメン」又は「放射線療法」は、癌性細胞を殺す放射線の投与のことをいう。放射線は細胞内の様々な分子と相互作用するが、細胞死という結果を招く主要な標的はデオキシリボ核酸(DNA)である。しかしながら、放射線療法はしばしば細胞膜及び核膜並びに他の細胞小器官に対しても傷害をもたらす。DNA損傷は通常、糖−リン酸骨格における1本鎖及び2本鎖切断に関連する。更に、細胞機能を破壊し得る、DNAとタンパク質の架橋が生じる可能性がある。放射線のタイプによって、DNA損傷の機序は、相対的な生物学的有効性と共に、様々であり得る。例えば、重粒子(即ち陽子、中性子)はDNAを直接傷害し、より大きな相対的生物学的有効性を有する。それに対し、電磁放射線は主に細胞内の水のイオン化によって生じる、寿命の短いヒドロキシル基のフリーラジカルを介して、間接的なイオン化という結果をもたらす。放射線の臨床応用は、外部からの放射線照射(外部の照射源から)及び密封小線源治療(患者に移植された又は埋め込まれた放射線源の使用)からなる。外部からの放射線照射は、X線及び/又はガンマ線からなり、一方、密封小線源治療は崩壊してアルファ粒子、又はガンマ線と共にベータ粒子を放射する放射性核を用いる。
本明細書で使用される場合、用語「代替療法レジメン」又は「代替療法」は(上述のような第一の化学療法レジメンではない)、例えば、受容体型チロシンキナーゼ阻害剤(例えばイレッサ(登録商標)(ゲフィチニブ)、タルセバ(登録商標)(エルロチニブ)、アービタックス(登録商標)(セツキシマブ)、イマチニブメシル酸塩(グリベック(登録商標))、プロテアソーム(proteosome)阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標));PTK787(ZK222584)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えばZM447439)等のVEGFR2阻害剤;哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、ラパマイシン阻害剤(例えば、シロリムス(ラパミューン(登録商標)));ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、ティピファニブ(ザーネストラ(登録商標)));マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、BAY12−9566;硫酸多糖テコガラン);血管新生阻害剤(例えば、アバスチン(登録商標)(ベバシズマブ);TNP−4等のフマギリン類似体;カルボキシアミノトリアゾール(carboxyaminotriazole);BB−94及びBB−2516;サリドマイド;インターロイキン−12;リノマイド;ペプチド断片;並びに血管成長因子及び血管成長因子受容体に対する抗体);血小板由来成長因子受容体阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、マイトジェン活性化キナーゼ阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ阻害剤、ラウス肉腫ウイルス形質転換癌遺伝子(SRC)阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、小分子低酸素誘導因子阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、並びにTGF−βシグナル阻害剤を含み得る。更に、免疫療法薬もまた代替療法レジメンとして考えられるであろう。例えば、前もって作られた抗体を含む血清又はガンマグロブリン;非特異的な免疫刺激アジュバント;能動的で特異的な免疫療法;及び養子免疫療法も含まれる。更に、代替療法は、ポリヌクレオチド(アンチセンス分子を含む)、ポリペプチド、抗体、遺伝子治療ベクター等の、その他の生物を基盤とした化学物質を含み得る。そのような代替療法は、単独若しくは組み合わせで、又は本明細書に記載されている別の治療レジメンとの組み合わせで実施されてもよい。用量及び投与レジメンを含めて、併用療法における代替療法レジメンに用いられる、化学療法剤及びその他の薬剤の使用方法もまた、当該技術分野に精通した者に公知であろう。
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍の局在」は、腫瘍を有する動物への注入の際に、SPARCを発現している腫瘍において、SPARC結合抗体が濃縮する度合いを意味する。腫瘍の局在は、抗体を蛍光色素でラベルすること、該蛍光抗体を腫瘍を有する動物へ注入すること、及び腫瘍の蛍光と、任意の肉眼的腫瘍から離れた皮膚の蛍光との比率を決定することを含むが、これに限定されない、いかなる適切な方法によっても測定することができ、前記比率が>20、好ましくは>10、より好ましくは>5である場合、局在が存在する。
抗体
本発明はSPARC結合抗体を提供する。特に、SPARC結合抗体は、Imm12、Imm14、mHTI、hHTI(mHTIのヒト化バージョン)、又はそれらの組み合わせであり得る。
更に、本発明は、例えば、HTI(血小板)SPARC等の血液に見られるSPARC、及び例えば、Bio1−SPARC等の腫瘍部位に見られるSPARCの両方に結合することができる、SPARC結合抗体を提供する。抗体結合強度を決定するための様々な方法が当業者に既知である。
ヒトへの使用については、免疫原性及び免疫反応を避けるために、ヒト化SPARC結合抗体、又はFab’、Fab、若しくはFab2等の適切な断片を使用するのが好ましい。ヒト化抗体又はその断片は、例えば、以下の確立された方法の1つを使用して産生することができる:1)ヒト化抗体は、可変CDR領域をSPARCに対する抗体のCDR領域で置換した、ヒトIgG骨格を使用して構築することができ、このとき重鎖及び軽鎖は、別個のプロモーター下で独立に発現する、又はIRES配列とともに1つのプロモーター下で共発現する;2)ヒト化モノクローナル抗体は、ヒトの免疫系を有するように操作されたマウスを使用して、SPARCに対して産生させることができる;3)SPARCに対するヒト化抗体は、ファージミド(M13、ラムダ大腸菌ファージ、又は表面提示可能な任意のファージ系)を使用して、産生させることができる。全長抗体を構築するために、可変領域を重鎖及び軽鎖の両方のCDR上へ移行することができる。CHO、293、又はヒト骨髄細胞等の哺乳動物細胞における重鎖及び軽鎖の共発現は、全長抗体を提供し得る。同様に、十分に確立された方法を使用して、Fab’、Fab、又はFab2断片、及び一本鎖抗体を作製することが可能である。
本発明は、血漿のSPARCに特有のエピトープを特異的に認識するヒト化抗体を更に提供する。ヒト化抗体は通常、そのCDRの残基が、所望の特異性、親和性、及び性能を有する、マウス、ラット、又はラビット等の非ヒトである種のCDRの残基で置き換えられている、ヒト抗体である。いくつかの例では、ヒト抗体のFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基で置き換えられている。例えば、ヒト及びマウスの両方のSPARCへ結合し(特に、循環しているヒトSPARC)、in vitroアッセイで良好な抗血管新生活性を示し、動物モデルにおいて有望な結果を有する(例えば、異種移植モデル系で転移を減少する)、抗SPARC抗体等の、いかなる適切なモノクローナル抗体も、CDRの供給源として使用することができる。
モノクローナル抗体をヒト化するために、4つの一般的な工程が存在する。(1)出発抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域の、ヌクレオチド配列及び予想されるアミノ酸配列を決定すること、(2)ヒト化抗体をデザインすること、即ち、ヒト化の過程でどの抗体フレームワーク領域を使用するかを決定すること、(3)実際のヒト化の方法論/技術、並びに(4)ヒト化抗体のトランスフェクション及び発現、の工程である。例えば、米国特許番号4,816,567;5,807,715;5,866,692;6,331,415;5,530,101;5,693,761;5,693,762;5,585,089;6,180,370;及び6,548,640を参照されたい(これらは参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、抗体が臨床試験及びヒトの治療に使用される場合は、免疫反応を避けるために、定常領域をよりヒト定常領域に類似のものへと操作し得る。例えば、米国特許番号5,997,867及び5,866,692を参照されたい(これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
抗体を、抗原に対する高親和性、及びその他の有利な生物学的特性を保持しながらヒト化することが重要である。この目標を達成するために、ヒト化抗体は、元の配列、並びに元の配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用した、様々な概念的なヒト化産物の解析の過程により作製することができる。三次元イムノグロブリンモデルは、一般に利用可能であり、当業者に公知である。選択されたイムノグロブリン配列の候補の、推定三次元立体構造を図示及び表示する、コンピュータープログラムが利用可能である。これらの表示の調査は、イムノグロブリン配列候補の機能における残基の推定上の役割の解析、即ち、イムノグロブリン候補のその抗原への結合能に影響する残基の解析、を可能にする。このようにして、標的抗原(複数含む)への増加した親和性等の、所望の抗体特性を達成するために、フレームワーク残基を、共通配列及び移入した配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、CDR残基が、直接及び最も実質的に抗原への結合に関与する。ヒト化抗体は、抗体の1つ以上の特性を改善するために、ヒンジ領域において修飾をも含み得る。
或いは、抗体は、ファージディスプレイ技術により選別し、組換え技術により作製し得る。例えば、米国特許番号5,565,332;5,580,717;5,733,743及び6,265,150を参照されたい(これらは参照により本明細書に組み込まれる)。或いは、ファージディスプレイ技術(McCafferty et al., Nature 348:552-553 (1990))を使用して、免疫されていないドナーの、イムノグロブリン可変(V)領域遺伝子レパートリーから、in vitroでヒト抗体及び抗体断片を産生することができる。
自然の免疫反応において、抗体遺伝子は高い割合で変異を蓄積する(体細胞超突然変異)。導入された変化のいくつかは、より高い親和性をもたらし、高親和性表面イムノグロブリンを提示しているB細胞は、その後の抗原曝露の間に優先的に複製及び分化を行う。この自然の過程は、「チェーンシャッフリング(chain shuffling)」として知られる技術を用いることで、模倣することができる。(Marks, et al., Bio/Technol. 10:779-783 (1992))。当該方法において、ファージディスプレイにより得られた「第1次」ヒト抗体の親和性は、重鎖及び軽鎖V領域遺伝子を、免疫されていないドナーから得た、自然発生したV領域遺伝子のバリアント(レパートリー)のレパートリーで、順次置換することによって改善することができる。この技術は、pM〜nMの範囲で親和性を有する、抗体及び抗体断片の産生を可能にする。
遺伝子シャッフリング(Gene shuffling)もまた、げっ歯類の抗体から得たヒト抗体であって、最初のげっ歯類の抗体と同様の親和性及び特異性を有する、ヒト抗体を得るために使用することができる。「エピトープインプリンティング」とも称される当該方法により、ファージディスプレイ技術により得られたげっ歯類の抗体の重鎖又は軽鎖V領域遺伝子を、ヒトV領域遺伝子のレパートリーと置換し、げっ歯類−ヒトキメラを創出する。抗原に対する選別により、機能的な抗原結合部位を保持することができる、ヒト可変領域の単離をもたらす(即ち、エピトープがパートナーの選択を支配する(刷り込む))。残存しているげっ歯類V領域を置換するために、上記過程を繰り返すと、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日発行のPCT公報番号WO 93/06213を参照されたい)。CDR移植による従来からのげっ歯類抗体のヒト化と異なり、当該技術は、げっ歯類起源のフレームワーク又はCDRの残留がない、完全ヒト抗体を提供する。上述したのはヒト化抗体に関することであるが、議論した一般的な原理は、例えば、イヌ、ネコ、霊長類、ウマ、及びウシ等への使用のための、抗体のカスタマイズへ応用可能であることは明白である。
本発明のSPARC結合抗体は、抗体全体、及びSPARC結合部位を保持する抗体の断片(例えば、Fab’、Fab及びFab2)を含む。該抗体は、例えば、IgM、IgA、IgG、IgE、IgD、及びIgY等の任意のクラスの抗体であり得る。該抗体は、例えば、1つの結合価がSPARCに対するもので、他の結合価が活性剤(tTF若しくはリシンA、又は本明細書に記載の他の活性剤等)に対するものであるような、二価の、一価の、又はキメラ抗体でもあり得る。ヒト化抗体はIgGに限定されない。特定の疾患標的に適した、異なる抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性や補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する、IgE、IgA、IgD、IgM等の全ての他のクラスの抗体を産生することにも、同様の技術を使用することができる。抗体の機能的な断片は、制限的タンパク質分解によって産生し得る。これらの断片は、Fab’等の一価のもの又はFab2等の二価のものであり得る。大腸菌で、単鎖のscfvとして、又は二重特異性抗体として、断片を合成することも可能である。
組成物
本発明は、上記のように、SPARC結合抗体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、該組成物は、Imm12、Imm14、mHTI、又はhHTI、加えて適切な担体を含む。その他の実施形態において、該組成物は、Imm12、Imm14、mHTI、又はhHTIの組み合わせ、加えて適切な担体を含む。好ましい実施形態において、該組成物は、SPARC結合抗体及び医薬上許容される担体を含む、医薬上許容される組成物である。
本発明は、上記のように、SPARC結合抗体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、該組成物は、Imm12、Imm14、mHTI、又はhHTI、加えて適切な担体を含む。その他の実施形態において、該組成物は、Imm12、Imm14、mHTI、又はhHTIの組み合わせ、加えて適切な担体を含む。好ましい実施形態において、該組成物は、SPARC結合抗体及び医薬上許容される担体を含む、医薬上許容される組成物である。
本発明の組成物は、活性剤を更に含み得る。いくつかの実施形態において、該活性剤は、その薬理学的効果を直接発揮することができる、医薬上の活性型治療剤である。その他の実施形態において、該活性剤は診断剤である。好ましい実施形態において、該活性剤は、SPARC結合抗体に結合した、又はSPARC結合抗体と共に投与される、診断上の又は治療上の活性剤である。いくつかの活性剤は、診断剤と治療剤の両方として有用であり、従って、これらの用語は相互排他的ではないことが理解されるであろう。
本発明の組成物を使用し、活性剤のみでの送達よりも、病変部への活性剤の送達を亢進することができ、又は、SPARCの排除を亢進し、SPARCの血中レベルの減少をもたらすことができる。好ましい実施形態において、SPARCの血中レベルにおける減少は、少なくとも約10%である。より好ましい実施形態において、SPARCの血中レベルにおける減少は、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は、最も好ましくは、少なくとも約50%である。
活性剤は、化学療法剤又は抗癌剤等の、いかなる適切な治療剤又は診断剤でもあり得る。適切な診断剤として、蛍光色素、放射性物質、MRI造影剤、X線造影剤、超音波造影剤、及びPET造影剤が挙げられる。本発明に基づいた使用のための、適切な化学療法剤又は他の抗癌剤は、チロシンキナーゼ阻害剤(ゲニステイン)、生物学的活性剤(TNF、tTF)、放射性核種(131I、90Y、111In、211At、32P、及びその他の既知の治療用放射性核種)、アドリアマイシン、アンサマイシン抗生物質、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、カペシタビン、クロラムブシル、シタラビン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エポチロン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルカプトプリン、meplhalan、メトトレキサート、ラパマイシン(シロリムス)及び派生物、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、nitrosurea、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、タキサン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、タキソール、コンブレタスタチン、ディスコデルモリド、及びtransplatinumを含むが、これらに限定されない。
本発明に基づいた使用のための、他の適切な化学療法剤は、代謝拮抗剤(例えば、アスパラギナーゼ)、抗有糸分裂剤(例えば、ビンカアルカロイド)、DNA傷害剤(例えば、シスプラチン)、アポトーシス促進剤(プログラム細胞死又はアポトーシスを誘導する薬剤)(例えば、epipodophylotoxin)、分化誘導剤(例えば、レチノイド)、抗生物質(例えば、ブレオマイシン)、及びホルモン(例えば、タモキシフェン、diethylstibestrol)を含むが、これらに限定されない。更に、本発明に基づいた使用のための、適切な化学療法剤は、IFN−alpha、フマギリン、アンジオスタチン、エンドスタチン、サリドマイド等の、抗血管新生剤(血管新生阻害剤)を含む。Carmeliet and Jain (2000)によってリストされたものを含む、多くのその他の抗血管新生剤が同定されており、当該技術分野において公知である。抗血管新生剤は、天然に生じた又は人工的なものであり得る。いくつかの実施形態において、化学療法剤は抗血管新生合成ペプチドである。例えば、アポトーシス促進小分子合成ペプチドの抗血管新生活性は、2つの機能性領域を含み、1つは腫瘍の微小血管におけるCD13レセプター(アミノペプチダーゼN)を標的とし、もう一方は、内在化後にミトコンドリア膜を破壊することが、以前に報告されている。Nat. Med. 1999, 5(9):1032−8。その他の実施形態において、抗血管新生剤は、第2世代2量体ペプチド、CNGRC−GG−d(KLAKLAK)2であり、HKP(Hunter Killer Peptide)と称され、改善した抗腫瘍活性を有することが見出された。特定の実施形態において、当業者はベバシズマブが本発明に従って使用され得ることも理解するであろうが、抗血管新生剤は抗VEGF抗体(ベバシズマブ等)以外である。
好ましい化学療法剤として、ドセタキセル、パクリタキセル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。「それらの組み合わせ」は、1つより多くの薬(例えば、ドセタキセルとパクリタキセル)を含む剤形の投与、並びにドセタキセル及びパクリタキセルの連続的ではあるが時間的に異なる投与(例えば、1サイクルにおいてドセタキセルを使用し、次にパクリタキセルを使用する等)の両方のことをいう。特に好ましい化学療法剤は、タンパク質結合剤の粒子を含むものであって、該タンパク質結合剤の粒子を構成するタンパク質がアルブミンを含み、50%を超える化学療法剤がナノ粒子形態であることを含む、タンパク質結合剤の粒子を包含するが、これに限定されない。最も好ましくは、化学療法剤は、例えばAbraxane(登録商標)等の、アルブミン結合パクリタキセルの粒子を含む。nab−パクリタキセルと称される、そのようなアルブミン結合パクリタキセル製剤を、本発明に従って使用することができ、投与するパクリタキセルの用量は、約30mg/m2〜約1000mg/m2で、約3週間の投与サイクルで(即ち、約3週間ごとに、パクリタキセル用量の投与)使用され得る。更に、投与するパクリタキセル用量は、約50mg/m2〜約800mg/m2、好ましくは約80mg/m2〜約700mg/m2、及び最も好ましくは250mg/m2〜約300mg/m2を、約3週間の投与サイクルで行うことが望ましい。
その他の治療剤は、生物学的に活性型であるポリペプチド、抗体及びその断片、レクチン、並びに毒素(リシンA等)、又は放射性核種も含むが、これらに限定されない。本発明に従う活性剤として使用するための、適切な抗体は、結合型(共役型)又は非結合型(非共役型)抗体、モノクローナル又はポリクローナル抗体、ヒト化又は非ヒト化抗体、及びFab′、Fab、又はFab2断片、単鎖抗体等を含むが、これらに限定されない。予期される抗体又は抗体断片は、IgG、IgA、IgD、IgE、又はIgMのFc断片であり得る。様々な好ましい実施形態において、活性剤は、抗体自体のFc断片、単鎖抗体、Fab断片、二重特異性抗体等である。より好ましい実施形態において、抗体又は抗体断片は、補体活性化、細胞媒介性細胞傷害、オプソニン化、マスト細胞活性化、及び/又はその他の免疫反応を媒介する。
更に、医薬上の活性剤はsiRNAであり得る。好ましい実施形態において、siRNA分子は、例えば、c−Sis及び他の成長因子、EGFR、PDGFR、VEGFR、HER2、その他のレセプター型チロシンキナーゼ、Srcファミリー遺伝子、Syk−ZAP−70ファミリー遺伝子、BTKファミリー遺伝子、その他の細胞質型チロシンキナーゼ、Rafキナーゼ、サイクリン依存性キナーゼ、その他の細胞質型セリン/スレオニンキナーゼ、Rasタンパク質及び他の制御性GTPase等の腫瘍に関連した遺伝子の発現を阻害する。
SPARC結合抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)と結合することもできる。PEGへの結合は、循環するタンパク質の半減期を増加し、タンパク質の免疫原性及び抗原性を減少し、並びに生物活性を改善し得る。例えば、メトキシ−PEGをSPARC結合抗体の利用可能なアミノ基又は他の反応性部位(ヒスチジン又はシステイン等)と反応させることを含むが、これに限定されない、いかなる適切な結合法も使用され得る。更に、リコンビナントDNAアプローチを使用し、PEG−反応基を有するアミノ酸を本発明のSPARC結合抗体へ付加することができる。SPARC結合抗体と反応させる前に、例えば、リンカー基をPEGへ付加する等の処理をすることができる。更に、例えば、PEG分子がSPARC結合抗体の特定の部位へ付加され、in vivoにおいて遊離するようなSPARC結合抗体のPEG化等、遊離可能な及び複合型PEG化戦略を本発明に従って使用することができる。そのようなPEG結合法は当該分野において既知である(Greenwald et al., Adv. Drug Delivery Rev. 55:217-250 (2003)等を参照されたい)。
予期されるSPARC結合抗体及びその複合体は、天然の形態又は塩の形態で組成物中へ調合され得る。医薬上許容される塩は、例えば、塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸とともに形成される、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)を含む。遊離カルボキシル基とともに形成される塩もまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化第二鉄等の無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基に由来し得る。
本発明の組成物は、通常、製剤中で医薬上許容される担体等の担体とともに提供される。通常、担体は液体であるが、固体、又は液体と固体成分の組み合わせでもあり得る。担体は、望ましくは、生理学的に許容可能な(例えば、医薬上又は薬理学上許容可能な)担体(例えば、賦形剤又は希釈剤)である。適切な医薬上の賦形剤は、安定化剤、抗酸化剤、浸透圧調節剤、緩衝剤、及びpH調節剤を含む。適切な添加剤は、生理学的に生体適合性である緩衝剤、キレート若しくはカルシウムキレート複合体の添加、又は、任意で、カルシウム塩若しくはナトリウム塩の添加を含む。医薬組成物は、液体の形態で又は凍結乾燥形態で梱包され得る。好ましい生理学的に許容される担体の媒体は、水、緩衝水、生理食塩水、0.4%塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等である。生理学的に許容される担体は周知であり、容易に利用できる。担体の選択は、少なくとも部分的には、標的となる組織及び/又は細胞の部位、並びに組成物を投与するのに使用される特定の方法により決定されるであろう。
上記組成物は、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、局所的、経皮的、皮下、経粘膜的(例えば、肺内を含む)、鼻腔内、直腸内、腟内、又は経口を含む経路による投与のために調合し得る。該組成物は、希釈剤、アジュバント、賦形剤、保存剤、及びpH調節剤等の追加の成分も含み得る。
注入投与可能な適切な製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質、を含み得る、水性及び非水性の、等張で無菌の注入溶液、並びに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、リオプロテクタント(lyoprotectant)、及び保存剤を含み得る、水性及び非水性の、無菌の懸濁液を包含する。該製剤は、単回用量又は複数回用量で、アンプル及びバイアル等の密封した容器で提供することができ、注入による使用直前に、例えば、水等の無菌の液体担体の添加のみを必要とする、凍結乾燥(lyophilized)状態で保存することができる。即時調製の注入溶液及び懸濁液を、無菌の粉末、顆粒、又は錠剤から調製し得る。
活性化合物を必要量、適切な溶媒中に、必要に応じて上記成分の1つ又は組み合わせと共に組み入れ、その後フィルターで滅菌することで、無菌の注入可能な溶液を調製することができる。好ましくは、注入用の溶液はエンドトキシンフリーである。一般的に、分散液は、基礎分散媒及び上記の必要な他の成分を含む、無菌の媒体へ活性化合物を取り込むことにより調製される。無菌の注入可能な溶液の調製のための無菌の粉末の場合、好ましい調製法は、先にフィルター滅菌した溶液から、活性成分と任意の付加的な所望の成分の粉末を産生する、バキューム乾燥及び凍結乾燥である。全ての場合において、製剤は無菌でなければならず、容易に注入できる程度に流動的でなければならない。該製剤は製造及び保存の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌等の微生物の混入に対し保護されなければならない。遊離塩基又は薬理学的に許容可能な塩としての、活性化合物の溶液は、ヒドロキシセルロース(hydroxycellulose)等の界面活性剤と適切に混合された水中に調製することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で、並びに油中で調製することができる。通常の保存及び使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐ保存剤を含む。
好ましい実施形態において、活性成分は、コロイド性ドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミン微粒子、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョン(macroemulsion)において、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethylcellulose)又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(methylmethacylate)マイクロカプセル)、調製されるマイクロカプセル内に封入することができる。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)において開示されている。具体的には、SPARC結合抗体を含むリポソームを、Rezler et al., J. Am. Chem. Soc. 129(16): 4961-72 (2007);Samad et al., Curr. Drug Deliv. 4(4): 297-305 (2007);並びに米国特許番号4,485,045及び4,544,545に記載されているような方法により調製することができる。亢進した循環時間を有するリポソームは、米国特許番号5,013,556に開示されている。
特に有用なリポソームは、例えば、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG−誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた、逆相蒸発法により産生し得る。所望の直径を有するリポソームを産生するために、リポソームを既定のポアサイズのフィルターに通す。本発明のポリペプチドは、Werle et al., Int. J. Pharm. 370(1-2): 26-32 (2009)に記載のように、リポソームへ結合することができる。
その他の実施形態において、天然のウイルス若しくはウイルス様粒子、デンドリマー、carbon nanoassembly、ポリマー担体、常磁性粒子、強磁性粒子、polymersome、filomicelle、ミセル、又はリポタンパク質を使用して、組成物を送達し得る。
気道への投与は、全身性の投与、又は気管及び/若しくは肺等への局所的投与のいずれかを提供し得る。そのような投与は、エアロゾル、溶液、気管支鏡等の機器を使用して、吸入を介して又は物理的な塗布を介して行い得る。吸入のために、本明細書に記載の組成物は、吸入器、噴霧器、ポンプ、加圧パック、又は粉末のエアロゾル、非エアロゾルスプレー、若しくは液体の非エアロゾルスプレーを送達するその他の有用な方法で、有用に送達される。加圧パックは、液化ガス又は圧縮ガス等の適切な推進剤を含み得る。液化ガスとして、例えば、フッ化塩化炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン(hydrochlorocarbon)、炭化水素、ヒドロカーボンエーテル(hydrocarbon ether)が挙げられる。圧縮ガスとして、例えば、窒素、亜酸化窒素、及び二酸化炭素が挙げられる。特に、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又はその他の適切なガスの使用が予期される。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、制御された量を送達するためのバルブを提供することにより決定できる。乾燥粉末組成物の投与において、粉末混合物は、ラクトース又はデンプン等の適切な粉末ベースを含み得る。粉末組成物は、例えば、カプセル、薬包、ブリスター包装といった、吸入具又は吸入器を利用して粉末を投与可能である、単位投与形態であり得る。
全身性の投与も経粘膜又は経皮の方法であり得る。経粘膜又は経皮投与については、浸透に対する障壁への適切な浸透剤を、製剤中で使用する。該浸透剤は当該技術分野で公知であり、例として、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸派生物が挙げられる。経粘膜投与は、スプレー式点鼻薬、吸入エアロゾル、直腸坐薬若しくは膣坐薬、洗口剤、即溶解性錠剤、又はトローチ剤の使用を介して成し得る。経皮投与については、活性化合物は、当該技術分野において公知であるように、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、泡状、又はクリームへと調合される。
上記医薬組成物はドラッグデリバリーシステムを使用して送達することができる。該デリバリーシステムは、ヒアルロン酸溶液又はコラーゲン断片の懸濁液を含む。薬剤はマイクロカプセル中に調合することができ、ポリ乳酸、エチルヒドロキシセルロース(ethylhydroxycellulose)、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンジオール、ポリリジン、ポリグリコール酸、ポリマレイン酸、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メチルアクリルアミド]等の、適切な重合体物質を用いて放出を制御するよう設計され得る。ドラッグデリバリーシステムを使用した特定の製剤は、液体懸濁液、軟膏、包帯との複合物、コラーゲン保護剤等の形態であり得る。
上記組成物は、特に組成物の安定性及び/又はその最終用途を亢進するために、いかなる他の適切な成分も更に含み得る。従って、本発明の組成物について、多種多様な適切な製剤が存在する。
例えば、米国特許番号5,672,659及び5,595,760に記載されているような、組成物の持続した放出も、本明細書に記載の組成物に使用され得る。即時の又は持続した組成物の放出の使用は、治療される状態の性質に依存する。該状態が急性の又は超急性の障害からなる場合、長期の組成物放出よりも、即時の放出形態での治療が好ましいであろう。或いは、特定の予防的治療又は長期治療については、持続した組成物の放出が適切であり得る。
更に、上記組成物は、さらなる治療上の又は生物学的な活性剤を含み得る。例えば、特定の適応症の治療に有用な治療上の因子が存在し得る。イブプロフェン又はステロイド等の炎症を制御する因子が、医薬組成物のin vivo投与及び生理学的困難性に関連した、腫れや炎症を減少させるために、該組成物の一部であり得る。
本発明により提供される組成物は、例えば、約0.5mL〜約4mLの水性又は有機液体であって、SPARC結合抗体と共役した活性剤を有し、活性剤の濃度が約10mg/mL〜約100mg/mL、好ましくは約1mg/mL〜約10mg/mL、より好ましくは約0.1mg/mL〜約1mg/mLであることを含み得る。該活性剤は、いかなる適切な及び治療上有効な濃度でも存在し得る(例えば、ベバシズマブは約10mg/mL〜約50mg/mLの濃度で)。
方法
本発明は、Imm12、Imm14、mHTI、hHTI、又はそれらの組み合わせを含む、SPARC結合抗体を包含する組成物の、診断上又は治療上有効量を投与することによる、動物における疾患を診断する又は治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Imm12、Imm14、mHTI、hHTI、又はそれらの組み合わせの有効量を投与することによる、動物における疾患を診断するための方法を提供する。その他の実施形態において、本発明は、Imm12、Imm14、mHTI、hHTI、又はそれらの組み合わせの有効量を投与することによる、動物における疾患を治療するための方法を提供する。上記の任意の組成物が、本発明の方法において使用され得る。
本発明は、Imm12、Imm14、mHTI、hHTI、又はそれらの組み合わせを含む、SPARC結合抗体を包含する組成物の、診断上又は治療上有効量を投与することによる、動物における疾患を診断する又は治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Imm12、Imm14、mHTI、hHTI、又はそれらの組み合わせの有効量を投与することによる、動物における疾患を診断するための方法を提供する。その他の実施形態において、本発明は、Imm12、Imm14、mHTI、hHTI、又はそれらの組み合わせの有効量を投与することによる、動物における疾患を治療するための方法を提供する。上記の任意の組成物が、本発明の方法において使用され得る。
本発明の方法に基づいて、治療上有効量の組成物を、活性剤のみでの送達よりも、病変部への活性剤の送達を亢進するために、又は、排除を亢進することでSPARCの血中レベルの減少をもたらすために、哺乳動物に対して投与し得る。好ましい実施形態において、SPARCの血中レベルにおける減少は、少なくとも約10%である。より好ましい実施形態において、SPARCの血中レベルにおける減少は、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は、最も好ましくは、少なくとも約50%である。
本発明は、動物における疾患又は状態を診断する方法も提供し、それは以下を含む:(a)Imm12、Imm14、mHTI、hHTI、又はそれらの組み合わせを含むSPARC結合抗体の診断上有効量を動物に投与すること;(b)動物の特定の部位又は組織に存在するSPARC結合抗体の量を検出すること;並びに(c)特定の部位又は組織において、存在するSPARC結合抗体の量が、正常レベルのSPARCを有意に超えて存在していることを示した場合に、前記疾患又は状態が存在すると診断すること。
同様に、本発明は、1つ以上の抗癌剤及びSPARC結合抗体で、動物における腫瘍を治療する方法を更に提供し、それは以下を含む:動物から生物サンプルを単離すること、該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質の発現を検出すること、該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質を定量すること、該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質が閾値レベルを超えて存在した場合に、治療有効量の抗癌剤及び治療有効量の抗SPARC抗体を投与すること、又はSPARCタンパク質が閾値レベルを下回って存在した場合に、治療有効量の抗癌剤を投与し、SPARC結合抗体を投与しないこと。
サンプル中に存在するSPARCタンパク質のレベルは、通常、抗SPARC抗体を使用して検出する。しかしながら、いくつかの実施形態において、SPARCタンパク質の発現は、抗体の一部のみを使用して、抗体ではないSPARC結合分子を使用して、又は、抗体若しくはSPARC結合分子を必要としない、SPARC発現を検出するいくつかの他の方法を使用して、決定し得る。
上記方法は、SPARCの過剰発現により特徴付けられる、いかなる状態においても使用し得る。本発明が有用である典型的な疾患は、軟組織、結合組織、骨、固形臓器、血管等を含む、任意の体の組織における、増殖、組織再構築、過形成、過剰創傷治癒の異常な状態を含む。本発明の方法及び組成物を使用して、治療可能な又は診断される疾患の例として、癌、糖尿病性又はその他の網膜症、炎症、関節炎、血管、若しくは人工血管移植片、若しくは血管内装置における再狭窄等が挙げられる。
本発明の方法の範囲内のその他の疾患は、癌、再狭窄、若しくは他の増殖性疾患、線維症、骨粗鬆症、又は過剰創傷治癒を含むが、これらに限定されない。具体的には、そのような適切な疾患は以下を含むが、これに限定されない:(a)癌は、例えば、上皮内癌、非定型過形成、カルシノーマ、肉腫、癌肉腫、肺癌、膵臓癌、皮膚癌、血液腫瘍、乳癌、脳癌、結腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭部及び頸部の癌、多発性骨髄腫、肝臓癌、白血病、リンパ腫、口腔癌、骨肉腫、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌であり得、(b)再狭窄は、例えば、冠動脈再狭窄、大脳動脈再狭窄、頸動脈再狭窄、腎動脈再狭窄、大腿動脈再狭窄、末梢動脈再狭窄、又はこれらの組み合わせであり得、(c)その他の増殖性疾患は、例えば、過形成、子宮内膜症、肥厚性瘢痕及びケロイド、増殖性糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、増殖性、肺高血圧症、関節リウマチ、動静脈奇形、動脈硬化プラーク、冠動脈疾患、遅延性創傷治癒、血友病性関節、偽関節骨折、Osler−Weber症候群、乾癬、化膿性肉芽腫、強皮症、tracoma、月経過多、血管接着、及び乳頭腫であり得、並びに(d)線維症疾患は、例えば、肝線維症、肺線維症、及び後腹膜線維症であり得る。
上記動物は、治療又は診断を必要とする、いかなる患者又は対象でもあり得る。好ましい実施形態において、該動物は哺乳動物である。特に好ましい実施形態において、該動物はヒトである。その他の実施形態において、該動物は、マウス、ラット、ラビット、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、又は非ヒト霊長類であり得る。
本発明は、例えば、適切なSPARC結合抗体等の、SPARCに対する中和抗体を使用して、SPARCの活性を阻害する方法も提供する。中和抗体は、SPARCとそのin vivoでのエフェクターとの相互作用を遮断する性能を有し、例えばそれは、SPARCと細胞表面構成成分との相互作用であるか、又はアルブミン、成長因子、及びCa2+等のSPARCの天然のリガンドへのSPARCの結合である。本発明は、化学療法剤を哺乳動物における腫瘍へ送達する方法を提供する。該方法は、ヒト又はその他の動物へ、治療有効量の医薬組成物を投与することを含み、該医薬組成物は、適切なSPARC結合抗体及び医薬上許容される担体へ共役した、化学療法剤を含む。本発明のその他の実施形態と関連して本明細書に記載された、化学療法剤、動物、及びそれらの構成成分の記述は、化学療法剤を腫瘍へ送達する前記方法の同じ態様へ適用することもできる。
本発明に基づいて治療することが可能であり、化学療法への反応が予測又は決定可能な、検出される腫瘍のタイプは、一般にヒトやその他の哺乳動物に見られるものである。該腫瘍は、実験動物等における接種の結果でもあり得る。多くのタイプ及び形態の腫瘍が、ヒト及びその他の動物の状態において見られ、いかなる特定の腫瘍タイプ又は種類に対しても、本発明の方法の適用を制限することは意図しない。周知なように、腫瘍は、制御されない及び進行性の細胞分裂がもたらす、異常な組織塊を含み、一般に、「新生物」としても知られている。本発明の方法は、例えばヒトにおける、腫瘍細胞及び付随のストローマ細胞、固形腫瘍及び軟組織肉腫等の軟組織に関する腫瘍、に対して有用である。
腫瘍又は癌は、口腔及び咽頭、消化器系、呼吸器系、骨及び関節(例えば、骨転移)、軟組織、皮膚(例えば、メラノーマ)、乳房、生殖器系、泌尿器系、眼及び眼窩、脳及び中枢神経系(例えば、神経膠腫)、又は内分泌系(例えば、甲状腺)に位置する可能性があり、必ずしも原発性腫瘍又は癌に限定されない。口腔に関連する組織として、舌及び口の組織が挙げられるが、これに限定されない。癌は、例えば、食道、胃、小腸、結腸、直腸、肛門、肝臓、胆嚢、及び膵臓を含む消化器系の組織において生じ得る。呼吸器系の癌は、喉頭、肺、及び気管支で発症する可能性があり、例えば、小細胞及び非小細胞肺癌を含む。腫瘍は、雄性及び雌性生殖器系を構成する、子宮頸部、子宮体部、卵巣外陰部、腟、前立腺、精巣、及び陰茎、並びに、泌尿器系に含まれる、膀胱、腎臓、腎盂、及び尿管において生じ得る。腫瘍又は癌は、頭部及び/又は頸部に位置し得る(例えば、咽頭癌及び副甲状腺癌)。腫瘍又は癌は、造血系又はリンパ系においても位置する可能性があり、例えば、リンパ腫(例えば、ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、又は白血病(例えば、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病等)を含む。好ましくは、腫瘍は、膀胱、肝臓、卵巣、腎臓、腸、脳、又は乳房に位置するものである。
その他の実施形態において、本発明は、SPARC結合抗体を用いて、SPARCの過剰発現で特徴付けられる疾患部へ、医薬活性剤を送達する方法を提供する。該疾患は、体組織における、増殖、組織再構築、過形成、及び過剰創傷治癒の異常な状態を含む(例えば、軟組織、結合組織、骨、固形臓器、血管等)。適切なSPARC抗体と共役した治療剤を含む医薬組成物を投与することにより、治療可能な又は診断可能な疾患の例として、癌、糖尿病性又はその他の網膜症、炎症、関節炎や、血管、人工血管移植片、若しくは血管内装置における再狭窄等が挙げられる。本発明のその他の実施形態と関連して本明細書に記載された、化学療法剤、腫瘍、動物、及びそれらの構成成分の記述は、医薬活性剤を送達する前記方法の同じ態様へ適用することもできる。
その他の実施形態において、本発明の方法は、リポソーム又はアルブミンが、適切な疾患を標的とするSPARC結合抗体と共役する、リポソーム結合型又はアルブミン結合型化学療法剤を含む、医薬組成物の治療有効量を哺乳動物へ投与することを包含する。該化学療法剤は、いかなる適切な方法を使用しても、SPARC結合抗体へと共役し得る。好ましくは、該化学療法剤は、例えばジスルフィド結合を含む、共有結合を介して化合物へ化学的に共役している。
上述したもの等の、1以上の化学療法剤の1通り以上の用量もまた、本発明の方法に従い投与することができる。本発明の方法で使用される化学療法剤の種類及び数は、特定の腫瘍タイプについての標準的な化学療法レジメンに依存するであろう。換言すれば、特定の癌は単一の化学療法剤を用いて日常的に治療され得るが、別の癌は化学療法剤の組み合わせを用いて日常的に治療され得る。適切な治療剤、化学療法剤、放射性核種等を、抗体若しくはその断片へ共役する又は結合する方法は、当該技術分野において周知である。以下の例は、本発明を更に説明するが、当然のことながら、いかなる点においても本発明の範囲を限定すると解釈すべきでない。
本発明に基づく方法として、例えば、動物が、手術、化学療法、放射線療法、温熱療法、免疫療法、ホルモン療法、及びレーザー療法からなる群より選択される、1以上の癌療法も受けている、併用療法が挙げられる。用語「併用投与」及び「併用療法」は、対象に2以上の治療活性剤を投与することをいう。前記の剤は、単一の医薬組成物に含有し、同時に投与することができ、又は、前記の剤は、別々の製剤に含有し、連続的に対象へ投与することができる。2つの剤が、対象において同時に検出される限り、該2つの剤は併用投与されたといえる。
本発明において予期される併用療法は、抗体投与、ワクチン投与、細胞傷害性薬剤の投与、天然のアミノ酸ポリペプチド、核酸、ヌクレオチドアナログ、及び生物反応修飾因子を含むが、これらに限定されない。2以上の組み合わされた化合物を共に、又は連続的に使用し得る。化学療法剤の例として、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然物、ホルモン及び拮抗剤、並びに種々の剤が挙げられる。アルキル化剤の例として、メクロレタミン、シクロフォスファミド、イホスファミド、メルファラン(L−サルコリジン)、及びクロラムブシル等のナイトロジェンマスタード;ヘキサメチルメラミン及びチオテパ等のエチレンイミン及びメチルメラミン;ブスルファン等のアルキルスルホン酸;カルムスチン(BCNU)、セムスチン(メチル−CCNU)、ロムスチン(CCNU)、及びストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)等のニトロソウレア;リン酸エストラムスチン等のDNA合成拮抗剤;及びダカルバジン(DTIC、ジメチル−トリアゼノイミダゾールカルボキサミド)並びにテモゾロミド等のトリアジンが挙げられる。代謝拮抗剤の例として、メトトレキサート(アメトプテリン)等の葉酸類似体;フルオロウラシン(fluorouracin)(5−フルオロウラシル、5−FU、5FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン、FUdR)、シタラビン(シトシンアラビノシド)、及びゲムシタビン等のピリミジン類似体;メルカプトプリン(6−niercaptopurine、6−MP)、チオグアニン(6−チオグアニン、TG)及びペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン、デオキシコホルマイシン)、クラドリビン及びフルダラビン等のプリン類似体;並びにアムサクリン等のトポイソメラーゼ阻害剤が挙げられる。天然物の例として、ビンブラスチン(VLB)及びビンクリスチン等のビンカアルカロイド;パクリタキセル(Abraxane(登録商標))及びドセタキセル(Taxotere(登録商標))等のタキサン;エトポシド及びテニポシド等のエピポドフィロトキシン;トポテカン及びイリノテカン等のカンプトテシン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンC)、イダルビシン、エピルビシン等の抗生物質;L−アスパラギナーゼ等の酵素;並びにインターフェロンα及びインターロイキン2等の生物学的応答調節物質が挙げられる。ホルモン及び拮抗剤の例として、ブセレリン等の黄体ホルモン放出ホルモン作用物質;プレドニゾン及び関連製剤等の副腎皮質ステロイド;カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン及び酢酸メゲストロール等のプロゲスチン;ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール等のエストロゲン及び関連製剤;タモキシフェン及びアナストロゾール等のエストロゲン拮抗剤;プロピオン酸テストステロン及びフルオキシメステロン等のアンドロゲン及び関連製剤;フルタミド及びビカルタミド等のアンドロゲン拮抗剤;並びにリュープロリド等の性腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体が挙げられる。種々の剤の例として、サリドマイド;シスプラチン(czs−DDP)、オキサリプラチン及びカルボプラチン等の白金配位錯体;ミトキサントロン等のアントラセンジオン;ヒドロキシウレア等の置換尿素;プロカルバジン(N−メチルヒドラジン、MIH)等のメチルヒドラジン誘導体;ミトタン(o,p’−DDD)及びアミノグルテチミド等の副腎皮質抑制剤;ベキサロテン等のRXR作用物質;並びにイマチニブ等のチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。
本発明の方法において特徴付けられる組成物は、単回又は複数回投与し得る。抗体の投与が注入による場合、該注入は単回の持続的投与であり得、又は複数回注入により送達し得る。薬剤の注入は、組織の異常な標的遺伝子発現がある部位に、又はその近辺に直接行うことができる。薬剤の複数回注入は、組織の該部位に、又はその近辺に行うことができる。
用量のレベルは、1投与当り約1μg/kg〜100mg/kg(体重)のオーダーが、疾患の治療に有用である。用量に関して、抗体は、体重1kg当り約75mg未満の単位用量で、又は体重1kg当り約70、60、50、40、30、20、10、5、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、若しくは0.0005mg未満で、及び体重1kg当り200nmol未満の抗体、又は体重1kg当り1500、750、300、150、75、15、7.5、1.5、0.75、0.15、0.075、0.015、0.0075、0.0015、0.00075、0.00015nmol未満の抗体を投与することができる。該単位用量は、例えば、注入(例えば、静脈内若しくは筋肉内、髄腔内、又は臓器に直接)、吸入、又は局所投与によって、投与することができる。
当業者は、本発明の抗体を対象者へ投与するための、適切な投与レジメンを容易に決定することも可能である。例えば、SPARC発現部位へ、又はその近辺に、単回の注入又は沈着として、SPARC結合抗体組成物を対象へ1回投与することが可能である。本発明の組成物は、毎日、週2回、週1回、2週に1回、月2回、月1回、2月に1回、又は臨床医の裁量で投与することができる。いくつかの実施形態において、該組成物は対象に1日1回又は2回、約3〜約28日間、より好ましくは、約7〜約10日間投与される。更なる実施形態において、単位用量が1日1回よりも少ない頻度で、例えば、2、4、8、又は30日ごとよりも少ない頻度で投与される。その他の実施形態において、単位用量はある頻度では投与されない(例えば、定期的な頻度ではない)。
投与レジメンが複数回投与を含む場合、対象に投与されるSPARC結合抗体組成物の有効量は、投与レジメン全体に渡って投与される抗体の総量を含み得ると理解される。投与している特定のSPARC結合抗体組成物、投与の時間、投与の経路、製剤の性質、排出率、治療する特定の疾患、疾患の重症度、オリゴヌクレオチド剤の薬物動力学、並びに患者の年齢、性別、体重、及び全体的な健康状態を含む、様々な因子も多少ならず考慮して、正確な個別の投与量を調節し得ることは、当業者に理解されるであろう。必要な投与量レベルの広範なバリエーションは、投与の様々な経路の異なる効率を考慮して、予期されるべきである。
特定の状況下で望ましい又は適切であるとみなされた場合、有効量を単用量で、又は2回以上の用量で投与することができる。繰り返しの又は頻繁な注入を促すことが望ましい場合、例えば、ポンプ、半透性のステント(例えば、静脈内、腹腔内、嚢内、又は関節内)、又はリザーバー等の、送達装置の移植が望ましくあり得る。成功裏の治療の後、患者に維持治療を受けさせて、疾患状態の再発を防ぐことが望ましくあり得る。抗体組成物の濃度は、疾患を治療する又は予防するのに効果的であるための十分量、又はヒトにおいて生理学的状態を制御するのに十分な量である。投与する抗体の濃度又は量は、薬剤に対して決定したパラメーター、及び投与方法に依存するであろう。
疾患又は障害の重症度、先の治療、全体的な健康状態及び/又は対象の年齢、並びに罹患している他の疾患を含む(がこれらに限定されない)、特定の因子が、対象を効果的に治療するのに求められる投与量へ影響し得る。治療に使用される抗体の有効量は、特定の治療の経過に渡って増加又は減少し得ることも理解されるであろう。投与量の変化は、診断の分析結果からもたらされ、明らかになる可能性がある。例えば、抗体組成物を投与した後、対象者をモニターすることができる。モニタリングの情報に基づいて、抗体組成物の追加量を投与することができる。当業者は、最適投与量、投与の方法論、及び反復する割合を容易に決定することができる。
実施例1
本実施例は、ヒトSPARCに結合することのできる、一連の抗体の調製を明示する。
本実施例は、ヒトSPARCに結合することのできる、一連の抗体の調製を明示する。
マウス系統、RBF/DnJ、を使用して、マウス由来の12の抗ヒトSPARC抗体が、従来のハイブリドーマアプローチで市販品として産生された。
pASK84発現ベクター(図1)を使用し、Imm1からImm12と名付けられた、結果物である抗体の、Fab領域を発現した。Fab領域をペリプラズムに標的化してそこで回収した後、プロテインAセファロースカラム上の活性クロマトグラフィーを介して精製した。アイデンティティ(identity)をウェスタンブロットで検証し、SPARC結合活性をELISAで検証した。
Imm13及びImm14は、ヒトファージディスプレイライブラリーを使用して産生された、完全ヒト抗ヒトSPARC抗体である。SPARCを市販のヒトFabファージディスプレイライブラリー、HuFabL(登録商標)(Creative Biolabs, Shirley, NY)に対してパニングした。2つの目的のFab配列を同定した:図2に示されている、Fab6(配列番号15)及びFab16(配列番号16)。これら2つのFab分子について、SPARC結合活性をELISAにより検証した。
これらFab領域をpBADベクター(図3)へクローニングし、細菌内で発現し精製した。pBADベクターにより発現したFabタンパク質を、溶解した細菌のペリプラズムの画分より単離した(図4に配列を提供する)。ペリプラズム画分から得られたFab領域のアイデンティティを、SDS−PAGEによって検証した。Fabタンパク質は、プロテインAセファロースカラム上の活性クロマトグラフィーを介して精製し、均一物とした。
完全ヒトのSPARC結合抗体を創製するために、Fab6及びFab16の遺伝子をクローニングし、pcDNA3002Neoベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)を介して発現した(図5)。結果物である抗体を精製し、そのアイデンティティをゲル電気泳動及びN末端解析により検証した。Fab6から創製した完全ヒト抗体をImm13と指名し、Fab16から創製した完全ヒト抗体をImm14と指名した。
前述の方法に従って上記抗体を産生した後、市販のマウスアイソタイプ試験キット(AbD Serotec, Raleigh, NC)を使用して、Imm1からImm14の抗体のアイソタイプに基づいて特徴を明らかにした。その結果を表1に示す。
Imm12を含む選択した一連のImm抗体についての、可変相補性決定領域の配列を、図6に示す。Imm1からImm14の表1のクローンは、ATCC等の適切な保管機関へ預けられるであろう。
実施例2
本実施例は、一連のImm抗体のSPARC結合の特徴を明らかにするために、ELISAアッセイの使用を示す。
本実施例は、一連のImm抗体のSPARC結合の特徴を明らかにするために、ELISAアッセイの使用を示す。
Imm1からImm12(マウス由来抗ヒトSPARC抗体)のリコンビナントヒトSPARC(Bio1−SPARC)への結合能を、精製の様々な段階で行った、複数のELISA解析により明らかにした。図7は、精製前の抗体上清の段階希釈(1:1、1:10、及び1:100)において行った、ELISAアッセイの結果を示す。本アッセイにおいて、Imm4、Imm6、Imm9、Imm10、及びImm12は最も強いBio1−SPARC結合を示し、Imm12が全体で最も強い結合を示した。精製した抗体を用いて、0.04μg/mL、0.2μg/mL、1μg/mL、及び5μg/mLの濃度で、別のELISAアッセイを行った(図8)。精製した抗体の結合は、大抵の場合、未精製の上清よりも改善した。本アッセイにおいて、Imm4、Imm9、Imm11及びImm12が最も強いBio1−SPARC結合を示した。更にELISAを行い、マウス由来の一連のImm抗体の、2つの異なる種類のSPARCに対する結合を比較した:Bio1−SPARC、及びヒト血小板SPARC(HTI−SPARC)(図9)。本アッセイにおいて、Imm4及びImm9の双方は、HTI−SPARCよりもBio1−SPARCへ有意に結合することを見出した。Imm11及びImm12は、両種のヒトSPARCに同等によく結合する。
ELISAアッセイは、完全ヒト型SPARC結合抗体、Imm13及びImm14のSPARC結合の特徴を明らかにするためにも使用した。例えば、タンパク質ELISAアッセイ(図10)によれば、Fab16(Imm14のFab領域)はHTI−SPARCと11nMのKDで結合し、Bio1− SPARCと7nMのKDで結合する。Biacore3000(登録商標)(GE/Biacore International AB,Uppsala,Sweden)で行った、表面プラズモン共鳴結合アッセイにより、センサーチップ上に固定された両種のSPARCに対する、Fab16の結合を試験した(図11及び12)。本アッセイにより、HTI SPARCに対するKD値が76.2nMであり、Bio1−SPARCに対するKD値が132nMであるという結果が得られた。
また、選択したマウス由来の抗ヒトSPARC抗体、Imm11及びImm12のSPARC結合能と、完全ヒト型Imm13及びImm14の結合能を直接比較するために、ELISAを行い、その結果を図13に示す。該結果は、Imm13はSPARCに対して、マウス由来の両抗体よりも高い親和性を有し、一方、Imm14はより低い親和性を有することを示している。
本実施例は、特定の一連のImm抗体は、in vitroでの結合アッセイにおいて、リコンビナントヒトSPARC及びヒト血小板SPARCの両方に結合することを明示している。
実施例3
本実施例は、一連のImm抗体が結合するエピトープの解析を示す。
本実施例は、一連のImm抗体が結合するエピトープの解析を示す。
ウェスタンブロッティングを使用し、一連のImm抗体が直鎖の又は立体構造のエピトープへ結合するかを決定した。本解析において、SPARCタンパク質を、SDS存在下のポリアクリルアミドゲルで泳動した。従って、ゲル上のSPARCタンパク質は変性形態であった。一連のImm抗体を一次抗体として使用し、その後、ゴート抗マウスIgGでプローブした。BSAをネガティブコントロールとして使用した。図14に示されている、アッセイの結果は、Imm11及びImm12はSPARCへ結合するが、一方で、Imm1からImm11は変性したSPARCへ結合しないことを示す。続いての試験において、Imm14及びmHTIが、変性したSPARCへ結合することも見出した(データは示していない)。
これらの結果は、Imm12、Imm14、及びmHTIが、直鎖状又は第一次のエピトープに基づいてSPARCに結合することができることを示している。
実施例4
本実施例では、LL/2ルイス肺癌に曝露されたヌードマウスの生存率に対する、特定の抗体の効果を調べるための、in vivoアッセイの結果を議論する。
本実施例では、LL/2ルイス肺癌に曝露されたヌードマウスの生存率に対する、特定の抗体の効果を調べるための、in vivoアッセイの結果を議論する。
C57BLのオスマウス(およそ6週齢)を計量し、その後、静脈内に約1x106細胞(約0.1mL)のLL/2(ルイス肺癌)を25ゲージの針を用いて注入した。1群当り、最低10匹の動物を使用した。全ての群の各動物は、週2回を4週間、200μg/マウスの試験抗体又はマウスIgGを受けた。これらの試験用物品/抗体は、腹腔内注入を介して腹膜腔へ25〜27ゲージの針を用いて投与した。最初の投与は、腫瘍細胞注入後30分以内に行った。
腫瘍細胞注入の前に動物を計量し、週2回、投与前に計量した。生死/病的状態について、全ての動物を1日2回調べた。実験の終了時に、マウスを殺し、原発性腫瘍及び肺を摘出し、固定し、包埋した。安楽死した動物及び死後硬直前の死亡しているいかなる動物についても、剖検を行った。全ての動物から血漿及び肺を回収し、終了時点で計量した。肺に10%中性緩衝ホルマリンを注入し、その後該溶液に浸した。組織は、追加の肉眼による及び病理組織学的な解析のために保存した。
動物にmHTI、Imm12、又はImm14のいずれかを投与した。ネガティブコントロール群にはmIgGを投与した。該抗体はPBS中に調合し、200μg/マウスの用量で、週2回、4週間投与した。その後、動物の生存率を20日間に渡り記録した。
mHTIで治療した動物は、Imm12又はImm14で治療した動物よりも、様々な時点で、より高いパーセンテージで生存した。図15に示されるように、mHTIのみが、マウスにおける肺転移を阻害するのに有効であった(マウスコントロールIgGに対してp=0.02;logランク統計量)。予期したように、マウスSPARCは認識しないがヒトSPARCは認識する、Imm12及びImm14は、肺のLL/2転移を阻害しなかった。図16に示されるように、Imm12及びImm14は、ヒトSPARCに特異的に結合するが、マウスSPARCには結合せず、一方で、mHTIはマウス及びヒトSPARCの両方に結合することができる。
これらの結果は、mHTIによるマウスSPARCの特異的な阻害は、マウスにおける同系LL/2細胞のコロニー形成及び/又は増殖の阻害をもたらし、mHTI、又はそのヒト化バージョンが、癌治療において有用であり得ることを示している。
実施例5
本実施例は、切除不能なステージIVの悪性メラノーマを有する患者において、カルボプラチン及びnab−パクリタキセル(Abraxane(登録商標)、ABI−007とも称される)の組み合わせの、抗腫瘍活性及び安全特性を評価するための、2つの並行したフェーズII臨床試験(コホート)からなる研究について述べる。
本実施例は、切除不能なステージIVの悪性メラノーマを有する患者において、カルボプラチン及びnab−パクリタキセル(Abraxane(登録商標)、ABI−007とも称される)の組み合わせの、抗腫瘍活性及び安全特性を評価するための、2つの並行したフェーズII臨床試験(コホート)からなる研究について述べる。
コホート1は、以前に化学療法で治療した患者からなり、コホート2は、新たに診断された及び化学療法を受けていない患者からなる。
本明細書に記載のデータは、North Central Cancer Treatment Group(NCCTG)を通じて行われた、複数機関による共同グループ研究による。本研究は、全ての参加機関の機関内審査委員会により認証された。書面のインフォームドコンセントを全ての参加者から得た。適格な患者は、年齢18歳以上で、切除不能な組織学的に確認されたステージIVメラノーマを有する者とした。更なる適格基準は、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST)によって定義される測定可能な疾患、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のがんの状態を表す指標(PS)が0〜2であること、平均余命が3ヶ月以上、適正な血液性機能及び肝臓機能、最後の化学療法治療(コホート1のみ)、放射線治療、又は免疫療法から4週以上の経過を含んだ。除外基準は以下を含んだ:白金又はタキサンを用いた任意の過去の治療(コホート1及び2)、転移疾患に対する任意の過去の化学療法(コホート2)、活動性感染症、ニューヨーク心臓協会によるクラスIII又はIV、グレード2以上の末梢神経障害;過去5年間におけるその他の悪性腫瘍(非メラノーマ性(non−melanomatous)皮膚癌、又は子宮頸部の上皮内癌を除く)、又は脳への未治療の転移性メラノーマ若しくは研究開始3ヶ月以内の脳転移の進行を含む。妊娠中又は授乳中の女性は登録しなかった。
適格な患者(両コホート)を、28日サイクルの1、8、及び15日目に、30分かけた静脈内注入で100mg/m2のnab−パクリタキセルを用いて処置し、その後、30分間かけて標的AUCが2(Cockroft and Gault等式及び実体重を用いたCalvert公式による)のカルボプラチン(CBDCA)を用いて処理することを最大8サイクル行う。患者が過剰毒性又は進行性の疾患を進展させなかった場合、8サイクルを越えた治療は、治療を行っている臨床医の裁量とした。登録から14日以内に、患者は、全体的な健康診断、ECOG PSの評価、全体的な血液細胞の計数(CBC)、乳酸脱水素酵素(LDH)を含む包括的な代謝性検査、及び通常のCT又はMRI又はスパイラルCTによる腫瘍の評価を受けた。各治療サイクルの前に、患者は、健康診断、毒性評価、血液性群及び化学群のための採血を受けた。腫瘍の状態は、RECIST基準を使用して進行となるまで、8週間ごとに評価した。各治療サイクルの1日目に、絶対好中球数(ANC)が1,500/mm3未満であり、血小板数(PLT)が100,000/mm3であり、患者がグレード2以上のAST神経障害を進展し、又はその他のグレード3以上の非血液性毒性を進展した場合、治療は保留とした。患者がこれらの毒性から回復した場合、両薬剤を20%用量減少させて、治療を再開した。各治療サイクルの8又は15日目に、以下の場合治療を除外した:ANCが1,000/mm3未満である、又はPLTが100,000/mm3である、又は患者がグレード2以上の神経障害を進展し、又はグレード3以上の非血液性毒性を進展した場合。毒性が4週以内に許容可能なレベルにまで回復しなかった場合、及び/又は、患者が毒性に起因して、3分の1の投与量減少を必要とした場合、研究治療を終了した。全ての患者は、治療を行っている臨床医の裁量で、制吐剤、抗生物質、血液/血小板輸血、エリスロポエチン及びコロニー刺激因子を含む、標準的なサポート療法を受けた。
2006年11月15日から2007年7月31日の間に、35名の患者をコホート1とし、41名の患者をコホート2とした(表2)。コホート1(PT)において、1名の患者が、同意書にサインした後であって、治療開始前に、参加をキャンセルした。そのため、コホート1研究で、研究治療を開始したのは34名の患者で構成される(男性67.6%)。登録者の年齢の中央値は60歳であった(年齢は28〜84歳の範囲であった)。コホート2(CN)において、2名の患者が、同意書にサインした後であって、治療開始前に、参加をキャンセルした。そのため、コホート2研究で、研究治療を開始したのは39名の患者で構成される(男性59.0%)。登録者の年齢の中央値は59歳であった(年齢は23〜91歳の範囲であった)。
コホート1については、投与サイクルの中央値は4サイクルであった(合計:135サイクル、範囲:1〜10)。21名の患者(61.8%)は、8又は15日目の治療を除外した、又は少なくとも1用量の減少を行った。これは主に、重篤な好中球減少症、疲労、及び神経障害に起因した。研究中断の主要な理由は疾患の進行であった(27名の患者)。
コホート2については、投与サイクルの中央値は4サイクルであった(合計:193サイクル、範囲:1〜25)。25名の患者は、8又は15日目の治療を除外した、又は少なくとも1用量の減少を行い、多くは重篤な好中球減少症及び神経障害がその原因であった。研究中断の第一の理由は疾患の進行であった(27名の患者)。
血漿SPARCの予後の有用性を、患者を「高」及び「低」SPARC群へ層別化することにより評価した。血漿SPARCの中央値は431ng/mlであったため、高SPARC群は431ng/mlを超える血漿SPARCを有する患者と定義した。患者集団の内訳を表2に示す。1つの例外を除き、当該結果は、「高SPARC」患者は対応する「低SPARC」患者よりも、悪い進行なし生存率(PFS)及び全体の生存率(OS)を有する傾向があることを示している(過去の化学療法群におけるOSのみが、統計上有意(p=0.01)であったが)。
2つのコホート間で全体の反応率は有意に異なったが(25.6%vs8.8%)、進行なし生存率又は全体の生存率における違いはなかった(図17A−B)。全体的に、治療は中程度に良好な耐性であり、主要な毒性は、吐気、嘔吐、末梢神経障害、及び血球減少症(好中球減少症、血小板減少症、白血球減少症)であった。
これらの結果は、低い循環性SPARCレベルは、改善した全体の生存率と関連していたことを示している。更に、nab−パクリタキセルとカルボプラチンの組み合わせは、以前に治療を受けた又は化学療法を受けたことのない、転移性メラノーマを有する患者にとっての、適した治療選択肢である。
実施例6
本実施例は、転移性メラノーマ患者及び健康な個人からのサンプルにおける、血漿SPARCの濃度の評価を記述する。
本実施例は、転移性メラノーマ患者及び健康な個人からのサンプルにおける、血漿SPARCの濃度の評価を記述する。
ELISAプレートを、50mMの炭酸緩衝液中の、2.5μg/mlのSPARC結合ポリクローナル抗体(R&D Biosystems,Minneapolis,MN)を用いて、4℃で一晩コートした。プレートをPBS/0.1%Tween20(PBST)で4回洗浄し、カゼインブロッキング/希釈緩衝液(Thermo Fisher Scientific Inc.,IL)を用いて、室温(RT)で2時間ブロックした。SPARCの検量線を作成するために、既知の濃度のヒト血小板SPARCタンパク質(Hematologic Technologies, Essex junction,VT)を、SPARCネガティブであり10%のプールした正常ヒトヘパリン血漿(PNHP)を含む、ブロッキング/希釈緩衝液で希釈した。試験をする前に、患者のサンプルをブロッキング/希釈緩衝液で1/10に希釈した。ブロッキング溶液を除去し、PBSTで3回洗浄した後、標準及び希釈した血漿サンプルを、100μl/wellで二連でELISAプレートにプレーティングし、室温(RT)で2時間インキュベートし、その後PBSTで更に3回洗浄した。結合したSPARCの検出のために、ブロッキング/希釈緩衝液中の0.5μg/mlビオチン化抗SPARCモノクローナル抗体(R&D Biosystems,Minneapolis,MN)100ulを加え、RTで1時間インキュベートし、その後、3回のPBSTによる洗浄を行った。引き続き、1:20000で希釈したストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を100ul/wellで加え、RTで1時間インキュベートした。3回のPBSTでの洗浄の後、HRPの基質TMB(KPL#52−00−03)100ulを各ウェルに加え、650nmでODを測定した。OD0.6から0.8での測定のために、反応を2Nの硫酸で停止した。ウェルの光学密度はELISAプレートリーダー(Molecular Devices; Sunnyvale,CA)で、450nmで30分以内に読み取った。
図18に示されているように、健康な個人からの計20サンプルの結果と、65の癌患者の血漿サンプルの結果を比較した。ELISAの結果の解析により、両群のSPARC濃度に統計上有意な違いがあることが明らかになった。健康な個人におけるSPARCレベルは、中央値の濃度が192ng/mlと定められ、それに対し、癌患者サンプルの血漿SPARCの中央値の濃度は390ng/mlであると測定された(p値0.0002)(図18)。更に、治療後に、大部分の患者の血漿SPARCの有意な低下があった(図19)。
これらの結果は、転移性メラノーマ患者における増加したSPARCの発現を明示し、腫瘍量と正の相関があり得ることを示す。
実施例7
本実施例は、SPARC微小環境シグニチャー(SMS)の調製を示す。
本実施例は、SPARC微小環境シグニチャー(SMS)の調製を示す。
SPARCに対する一連の抗体を、それらの結合特性について、様々な正常及び腫瘍組織において評価した。腫瘍細胞、血管、線維芽細胞、ストローマ、炎症細胞、及び隣接する正常組織におけるSPARCの発現レベルを含む、腫瘍の様々な成分における、免疫染色により決定されるSPARCの発現パターンを決定した。2つの抗体がSPARCに対し異なる親和性を有すると同定され、追跡研究に使用された。具体的には、染色のパターンは、モノクローナル抗体(「抗体M」)(SPARCモノクローナル抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN)、カタログ番号MAB941、ロット番号ECH045011、トリスベース希釈液で1:100に希釈)、及びポリクローナル抗体(「抗体P」)(SPARCポリクローナル抗体(R&D Systems,Minneapolis,MN)カタログ番号AF941、ロット番号EWN04、トリスベース希釈液で1:50に希釈)を使用して決定した。
腫瘍の組織切片は、標準的な免疫染色プロトコールを使用して、スライド上に調製し、染色した。簡単に述べると、ホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍ブロックからの、組織主要部(ブロック当りの最も代表的な領域から2つの主要部)を、各2.0mmの計測用主要部の組織マイクロアレイを作成するために配置し(Beecher Instruments, Silver Spring, MD)、ポジティブチャージのスライド上に置いた。その後、標本スライドを60℃のオーブンに1時間おいて、冷却、脱パラフィンを行い、キシレン及び段階的なエタノール溶液から水への移動を介して再水和した。全てのスライドは、自動染色機器を使用して染色した(Dako Cytomation Autostainer, Dako, Carpinteria,CA)。
全てのスライドは、水中3%過酸化水素溶液において5分間クエンチし、内在性ペルオキシダーゼを阻止する。緩衝液での洗浄の後、スライドを、抗体M又はネガティブコントロール試薬と共に30分間インキュベートした。マウスホースラディッシュペルオキシダーゼポリマーキット(Mouse MACH 3 HRP Polymer Kit,Biocare Medical, Concord,CA)を、試薬当り20分間インキュベートした。もう一度緩衝液で洗浄した後、DAB色素原(Dako, Carpinteria,CA)を10分間適用した。スライドを対比染色するために、ヘマトキシリンを使用した。HRP検出キットの代わりに、アビジン−ビオチン検出キット(Biocare Medical, Concord,CA)を使用し、試薬当り15分間のインキュベートを行ったが、抗体Pを用いた標本の免疫染色についても同じプロトコールを使用した。
一連の腫瘍におけるSPARC発現の詳細な病理学的評価は、委員会によって認定された病理学者により行われた。免疫組織化学により決定したSPARC発現のレベルを、様々な腫瘍の構成要素についてスコア化した。スコアを0〜3の尺度でSPARC発現のレベルに対し割り当て、3が最もポジティブスコアであり、これらは、当該分野で一般的に行われ、当業者に周知である。
上記ポリクローナル抗体は、線維芽細胞においてSPARCの優先的な染色を示し、一方、モノクローナル抗体は、腫瘍細胞においてSPARCを好ましく染色した。
ロジスティック回帰及び比例ハザードを使用し、進行なし生存率(「PFS」)、及び全体の生存率(「OS」)のSPARCパターンに対する反応の間の相関を決定した。
腫瘍セットの1つは、切除不能なステージIVメラノーマを有する患者における、カルボプラチン及びnab−パクリタキセル(ABI−007)のフェーズII試験であった。具体的には、nab−パクリタキセル(100mg/m2)及びカルボプラチン(AUC2)は、28日サイクルの1、8、及び15日目に投与した。腫瘍生検のSMSを使用し、患者を、高リスク(クラスター1)及び低リスク(クラスター2)の2つのクラスターへグループ分けした。表3及び図20A−Bに示されるように、高リスク及び低リスクのSPARCシグニチャーは、進行なし生存率及び全体の生存率と相関した。
これらの結果は、SPARC微小環境シグニチャーのみで、進行なし生存率及び全体の生存率に関して、低リスクと高リスクを区別することができることを示している。
実施例8
本実施例は、SPARC微小環境シグニチャーと血漿SPARCレベルの間の相関関係の解析を記述する。
本実施例は、SPARC微小環境シグニチャーと血漿SPARCレベルの間の相関関係の解析を記述する。
上記実施例5及び7にあるように、血漿SPARCレベル及びSMSを解析し、その結果を組み合わせ、患者の転帰との相関を決定した。
図21に示されるように、血漿SPARCのベースラインは、SMS高リスク群とSMS低リスク群との間で同様であった。血漿SPARCのベースライン、及びSMS高リスク対低リスクに基づいて、患者の有するリスクレベルを0、1、又は2にコード化した。リスクレベル0は、低ベースラインの血漿SPARC、及びSMS低リスクを有するとして特定される。リスクレベル1は、高ベースラインの血漿SPARC、又はSMS高リスクとして特定される。リスクレベル2は、高ベースラインの血漿SPARC、及びSMS高リスクとして特定される。全体の生存率及び進行なし生存率のデータを、表4に示す。
図22A−Bに示されるように、リスクレベルが増加するとともに、進行なし生存率及び全体の生存率が悪くなる、全般的な傾向があった(リスク2の群の患者の進行なし生存率については、結果に有意な違いはなかったが)。
これらの結果は、高い血漿SPARC及び高リスクSMSを有する患者は、有意に悪い全体の生存率を有することを示している。
実施例9
本実施例は、SPARCが特定の化学療法の効果を無効にすることを示す、腫瘍の異種移植アッセイを記述する。
本実施例は、SPARCが特定の化学療法の効果を無効にすることを示す、腫瘍の異種移植アッセイを記述する。
5〜6週齢の間で、およそ20g重量の、メス及びオスの胸腺欠損NCr−nuマウスを、Harlan,Inc.(Madison,Wisconsin,USA)より購入した。ヒト癌細胞(HT29(結腸)、PC3(前立腺)、及びMDA−MB−231(乳房))を細胞培養で増殖し、メス(MDA−MB−231及びHT29に対して)又はオス(PC3前立腺腫瘍に対して)のヌードマウスの、脇腹当り100万細胞で皮下に移植し、治療開始前に、およそ60〜100mm3に成長させた。治療は、5−フルオロウラシル(5FU)、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、アルブミン結合パクリタキセル(nab−パクリタキセル)、nab−パクリタキセルとsuntinibリンゴ酸塩(suntinib malate)(Sutent(登録商標))、又はnab−パクリタキセルとベバシズマブ(Avastin(登録商標))、と外から投与したSPARCを有する又は有さない、を含んだ。各異種移植についてのコントロール動物にはPBSを投与した。最も長い(長さ)及び最も短い(幅)腫瘍の直径(ミリメーター)、並びに腫瘍の深度を、週2回計測した。腫瘍体積は以下の式で計算した:腫瘍体積(mm3)=幅x長さx深度。腫瘍成長阻害(TGI)を、コントロール動物の安楽死の時点でのコントロール群と比較した、腫瘍体積の減少のパーセンテージとして定義した。腫瘍の倍加時間を、腫瘍体積が2倍になるのに必要な時間と定義した。動物の体重は週2回測量した。統計解析は、Prismプログラム(GraphPad,San Diego,California,USA)を使用して行った。分散分析(ANOVA)統計を使用し、腫瘍成長曲線を比較した。
SPARC投与の影響を、5−フルオロウラシルを用いた治療について評価した。HT29結腸癌異種移植モデルにおいて、5−FUは、体重を減少させることなく、腫瘍の成長を抑制するのに効果的であった(TGI 89.8%、P<0.0001vs生理食塩水)。図23Aに示されるように、SPARCの投与は5−FUの抗腫瘍活性の用量依存的な阻害を起こし、50.8%、47.4%、及び10.4%のTGI(それぞれ4、6、及び8mg/kg用量レベル)をもたらした(P=0.003vs5−FU群、ウイルコクソンの順位和検定)。SPARCのみでは、中程度の抗腫瘍活性を有していた(35.4%;NS)。同様の結果がドセタキセルについても得られた(図23B)。
SPARC投与の影響は、同じHT29異種移植モデルにおいて、4日ごと3サイクルの、15mg/kg nab−パクリタキセルとの組み合わせについても評価した。抗血管新生剤suntinib(Sutent(登録商標))との併用は、nab−パクリタキセルを有意に亢進した(TGI>100%vs.94.8%、P=0.015 vs nab−パクリタキセル単独療法、ウイルコクソンの順位和検定)。対照的に、SPARCの投与はnab−パクリタキセルの抗腫瘍活性を有意に減少した(TGI 84.8%vs.94.8%、P=0.007 vs. nab−パクリタキセル単独療法、ウイルコクソンの順位和検定)。更に重要なことに、外からのSPARCは、nab−パクリタキセルとsuntinibの相乗効果を大幅に無効にした(TGI 52.3%vs.>100%(51日目の後)、P=0.006 vs. nab−パクリタキセルとsuntinib併用群、ウイルコクソンの順位和検定)(図24A)。nab−パクリタキセルとsuntinib及び/又はSPARCを用いた治療は、明らかな体重の喪失がなく、良好な耐性であった。同様に、ベバシズマブのみで有意なTGI(75%、P<0.001)を誘導した。しかしながら、本実験において、nab−パクリタキセルの抗腫瘍活性は、ベバシズマブによって亢進したが、SPARCを用いた治療はnab−パクリタキセル/ベバシズマブの併用に対し最小の負の影響のみをもたらした(図24B)。nab−パクリタキセルとベバシズマブ及び/又はSPARCを用いた治療は、明らかな体重の喪失がなく、良好な耐性であった。
これらの知見は、MDA-MB-231乳癌異種移植(図24C)、及びPC3前立腺癌異種移植(図24D)においても、更に確認した。これらのアッセイにおいて、nab−パクリタキセル及びsuntinib、又はnab−パクリタキセル及びベバシズマブの併用で観察された抗腫瘍効果は、SPARCの投与により有意に阻害された(P<0.001、図24C及び24D)。これらの実験において、nab−パクリタキセルを準最適に、10mg/kgで、毎日、5サイクル投与した。
これらのデータは、外来のSPARCが腫瘍の成長を促進し、nab−パクリタキセル、ドセタキセル、及び5−フルオロウラシル等の化学療法の治療有益性を無効にすることを示している。
実施例10
本実施例において、SPARCの血管新生動態を2つのin vitroアッセイにより研究した。
本実施例において、SPARCの血管新生動態を2つのin vitroアッセイにより研究した。
初めに、Nakatsuらにより記述されたように(Methods Enzymol. 443:65-82 (2008))、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使用して作製した、in vitro血管新生モデル系において、SPARCのスプラウト形成に対する影響を研究した。10%FBS(Gibco,Carlsbad,CA)を補充したM199培地で育てた、継代数の少ないHUVECを、ビーディング(beading)の2日前にEGM−2培地(Clonetics,Walkersville,MD)へと切り換えた。Cytodex 3マイクロキャリアビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を水和し、PBS(pH7.4)で洗浄した。コーティングのために、1x106 HUVEC細胞を、2500の水和した無菌のビーズとともに、EGM−2培地中で4時間、37℃でインキュベートした。次に、コートしたビーズを、0.15units/mLアプロチニンを有するPBS中の2mg/mLフィブリノーゲンに500ビーズ/mLで包埋した。次に、0.625units/mLトロンビンを加え、その混合液を0.5mL、24ウェルプレートの各ウェルへ添加した。該溶液を、RTで5分間と、その後37℃で15分間凝固させた。凝固後、EGM−2培地中の20,000の肺線維芽細胞を各ウェルに播種した。PBS中の1、10、若しくは100μg/mLいずれかのBioI SPARCタンパク質、又はタンパク質なしのPBSを成長培地へ加え、培養を5日間、スプラウト形成を光学顕微鏡で評価するまで維持した。形成した管の数/ビーズ、及び培養内のスプラウティングしているHUVEC細胞の形態を、image proソフトウェア(Media Cybernetics,Bethesda,MD)を使用して決定した。
本アッセイの結果は、SPARCによる処理が、用量依存的にスプラウト形成を誘導することを示している(図25)。1μg/mLで、播種したHUVEC/ビーズの50%未満がスプラウトを発生した。10又は100μg/mL SPARCの添加は、それぞれ平均0.9又は1.9スプラウト/ビーズをもたらし(図26B)、それに対し、SPARC無しの培養における平均スプラウト数は、約0.5スプラウト/ビーズを下回ったままであった。
次に、SPARCの管形成への影響を、TCS cellworks human Angiokit model kit(TCS−ZHA−1000,TCS Cell Works Buckingham,UK)を使用して調べた。本アッセイにおいて、内皮細胞は初めに、培養マトリックス内に小さな島を形成する。それらは、続いて増殖を開始し、その後、移動フェーズに入り、移動の間それらはマトリックスを通過し、糸状管構造を形成する。これらは徐々に接続し(9〜11日までに)、毛細血管床によく似た吻合管のネットワークを形成する。
初期ステージの共培養を含む、24ウェルの前もって播種した、内皮細胞の組織培養プレート(2〜3日)を、製造者の推奨(TCS Cell Works,Buckingham,UK)に従って使用した。該培養を37℃/5%CO2で11日間インキュベートした。該培養の培地は、添加試験及びコントロール化合物を用いて、最初の処理後4、7、及び9日目に交換し、その後、11日目に70%エタノールで固定した。固定した培養は、続いて以下のように染色した:ラビット抗CD31一次抗体(Thermo Scientific)を、PBS/1%BSAブロッキング緩衝液中で、2μg/mLの最終濃度に希釈した。その後、0.5mLの希釈した抗CD31抗体を各ウェルに加え、37℃で1時間インキュベートした。該培養をPBSで3回洗浄し、その後、AP結合型二次抗体(Thermo Scientific,1μg/mL)を添加し、37℃で1時間インキュベートした後、PBS及び水でよく洗浄した。形成した細管の可視化のために、ウェル当り0.5mLの1ステップNIB/BCIP溶液(Thermo Scientific)を加え、染色が完了するまでインキュベートした。その後、反応を水で停止した。
その後、形成した細管の数及び長さを光学顕微鏡により評価した。細管の発達の比較は、AngioKitを使用して産生した画像の解析のために専用に開発された、「AngioSys」イメージ解析システムを使用して実施した(TCS Cell Works,Buckingham,UK)。解析ソフトウェアにより取得した、染色された細管を、その幅において、単一ピクセルにまで減少した。それ故、特定の視野におけるピクセルの総数は、細管の長さを表す。このデータから、平均の細管長、標準偏差、及び変動係数を計算することができる。総血管数、総細管面積、分岐点の数も同様に決定することができる。
図26に示されるように、この系において、SPARCは二相性の血管新生活性を示した。これらの結果は、低濃度のSPARC(1及び10μg/mL)、特に10μg/mLの濃度で、血管新生を刺激することができ、一方、高濃度のSPARC(100μg/mL)は血管新生を有意に阻害することを示す。
これら2つのアッセイの結果は、少なくとも特定の濃度において、循環するSPARCの活性は血管新生を刺激することを示している。
実施例11
本実施例は、MDA−435転移モデルにおける、外来性のSPARC及びnab−パクリタキセルの、腫瘍進行に対する効果を説明する。
本実施例は、MDA−435転移モデルにおける、外来性のSPARC及びnab−パクリタキセルの、腫瘍進行に対する効果を説明する。
5〜6週齢の間で、およそ20g重量の、メス及びオスの胸腺欠損NCr−nuマウスを、Harlan,Inc.(Madison,Wisconsin,USA)より購入した。MDA−MB−435−Luc+を、乳房脂肪体(MFP)に50%マトリゲル中4x106細胞で、同所に移植し、治療前に180mm3の平均腫瘍体積に到達させた。治療は以下であった:2サイクルの10mg/kg nab−パクリタキセル、4mg/kg SPARC、及びベバシズマブを隔週で。適切な時間間隔で、以下の臓器を転移の定量のために回収した:近位のリンパ節、対側リンパ節、肺、肝臓、及び脳を回収した。使用した統計検定は、t−検定及びMann Whitney U検定を含んだ。
マウスは週2〜3回モニターし、腫瘍の成長を記録した。腫瘍体積が180mm3に達した場合、マウスを選別し、最初のサイクルの治療を投与した。最初と2回目のサイクルの間に7日間の安静日を与えた。ベバシズマブ及びSPARCは、安静期間の間、継続的に投与した。本研究を通じて体重は定期的に測量し、治療の毒性効果を評価した。Nnab−パクリタキセルは、最小の体重喪失を起こし、薬剤を中止するとすぐに回復した(データは示されていない)。
以下の投与スケジュールに従った:コントロール(群1);10mg/kg nab−パクリタキセルを毎日、3〜5サイクル(群2);4mg/kg 可溶性SPARC(Bio1)を静脈内に隔週で(群3);並びに10mg/kg nab−パクリタキセルを毎日、2〜5サイクル、及び4mg/kgSPARCを隔週で(群4)行った。
コントロールの腫瘍は安定した腫瘍の成長を有し、体積の平均増加量は43.75±5.65mm3/dayであり、最終的な体積は56日目において1870.6mm3であった。SPARC治療群は、同様の成長率である23.16±4.38mm3/dayを示し、平均体積は63日目に1765mm3を示した。nab−パクリタキセルのみの群は、18日間の腫瘍の退縮を有し、再成長が起きる前に腫瘍体積の76%の減少をもたらした。9匹の内5匹のマウスが明白な腫瘍を有していた;しかしながら、全てのマウスにおいて、22.98±0.89mm3/dayの成長率であり、最終的な平均体積は739mm3に成長した。腫瘍の再成長は、nab−パクリタキセル治療の休止後6日で起きた。退縮は29日間続き、再成長は6.10±1.16mm3/dayで起き、最終体積は136mm3であった。nab−パクリタキセル+SPARC群は、nab−パクリタキセル群と同様の挙動を示した。2例の完全な退縮が起きたが、治療開始後21日で、再成長が21.05±2.57mm3/dayの率で起き、最終体積が653mm3となった(表4)。
総転移量も計算し、タンパク質mg当りに標準化したRLUで表される、組織抽出物において測定した、ルシフェラーゼ活性として示している。全ての対側リンパ節は、全ての群でネガティブであった。近位のリンパ節、肝臓、及び脳において、少数の転移の発生が起きた。該近位のリンパは、コントロール群の12匹の動物の内2匹で、転移を示した。肝臓転移は、コントロール及びSPARC群の両方において、幾分高頻度で起きた(各群で3匹のマウスで起きた)。脳転移を有する1匹のマウスも存在した。
転移の大部分は肺で起きた。コントロール群では12匹中11匹のマウスがポジティブであり、平均RLU/総タンパク質mgは33840±9176(N=12)であった。SPARCは転移に対しわずかな効果を有し、9匹中9匹のポジティブマウス、平均RLU/総タンパク質mgが31630±10820(N=9)であった。nab−パクリタキセルのみでは、肺転移に対しいくらか効果を有し、9匹中4匹のみのポジティブマウスで、及びRLU/総タンパク質mgが4722+2684(N=9)で、p=0.015(対コントロール)(スチューデントt検定)であった。nab−パクリタキセルとSPARCを共投与したものでは、発生は10匹中9匹のポジティブマウスに増加し、及びRLU/総タンパク質mgが13690±3579(N=10)であり、p=ns(対コントロール)(スチューデントt検定)であった。これらのデータは、循環するSPARCがnab−パクリタキセルの抗転移活性を無効にすることを示している。
循環する血小板及びマクロファージは高レベルのSPARCを発現し、血漿のSPARCの供給源であり得るので(Sangaletti S. et al., Cancer Res. 68: 9050-9059 (2008); Sangaletti S. et al., J. Exp. Med. 198: 1475-1485(2003))、これらの結果は、特定の状況下で、実験的に(即ち、外来性の投与されたSPARCによって)又は循環するSPARCの内因性の過剰発現(即ち、腫瘍、白血球、血小板、及びマクロファージ等の、患者におけるSPARCを発現する臓器によって)のいずれかにより上昇したSPARCが、化学療法が存在する場合において、転移のリスクを増加することを示す。
実施例12
本実施例は、管形成アッセイを使用した、モノクローナルSPARC結合抗体、Imm12、Imm14、及びmHTIの、SPARCの血管新生性挙動に対する効果の決定について記述する。
本実施例は、管形成アッセイを使用した、モノクローナルSPARC結合抗体、Imm12、Imm14、及びmHTIの、SPARCの血管新生性挙動に対する効果の決定について記述する。
本アッセイは、上記実施例10に記述されるように、TCS Cellworks human AngioKit model kit(TCS−ZHA−1000,TCS Cell Works,Buckingham,UK)を使用して行った。培地は10μg/mLのリコンビナントヒトSPARCタンパク質を含むものであった。また、該培地は、上記の調製したマウスSPARC結合モノクローナル抗体(Imm12、Imm14、mHTI)の1つ、又はコントロール(マウスIgG)を300μg/mLで含むものであった。
SPARCの管形成への影響及びSPARC結合モノクローナル抗体によるその機能の阻害を調べるために、形成した管の数及びその長さを光学顕微鏡により評価した。
本アッセイの結果は図28に示す。培養培地におけるSPARCの存在は、多数の長い管の形成をもたらした。これらの結果は、本モデル系におけるSPARCの血管新生促進効果を確認した。しかしながら、前記3つの抗SPARC抗体のどの抗体の添加でも、この効果の阻害をもたらした。Imm12又はImm14モノクローナル抗体のいずれかの存在下において、非常に短い管のごくわずかな形成のみが観察された。mHTIの培養培地への添加は、管形成のほぼ完全な阻害をもたらす。
これらの結果は、SPARC結合抗体、Imm12、Imm14、及びmHTIは、SPARCの血管新生刺激効果を打ち消すことが可能であることを示している。
実施例13
本実施例は、mHTI、Imm12、及びImm14が、in vivo動物モデルにおいて、腫瘍部位に局在しないことを示す。
本実施例は、mHTI、Imm12、及びImm14が、in vivo動物モデルにおいて、腫瘍部位に局在しないことを示す。
結腸由来HT29の皮下の異種移植により移植を受けたヌードマウスを、Alexa 680蛍光色素で標識した一連のImm抗体を用いて、200ug/マウスの用量で治療した。標識したImm抗体を生理食塩水中で調合し、静脈内に1日目に投与した。36日に渡ってこれらのマウスにおける、蛍光シグナルを追跡した。
図29に示される、本研究の結果は、mHTI(「HTI」と表示する)、Imm12、及びImm14は、本モデルにおいては腫瘍部位に局在せず、一方、Imm2は良く局在することを示す。
本明細書に引用される、刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参照は、それぞれの参照が個別に具体的に示され、参照により組み込まれ、及びその全体が本明細書中に記載されたのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明を記述することに関して(特に以下の特許請求の範囲に関して)、用語「a」及び「an」及び「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書中で指示がない場合又は明らかに文脈と矛盾する場合を除き、単数及び複数の両方を対象とすると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、特に指示の無い場合は、制約のない用語として解釈されるべきである(即ち、「を含むが、これに限定されるものではない」ということを意味する)。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に特記のない限り、この範囲内に入る各個別の値を個々に言及する、簡単な方法としての役割を単に意図したものであり、各個別の値はそれが個々に本明細書に列挙されたかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中に特記のない限り、又はさもなくば文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書中に提供される任意の全ての例、又は例示的語句(例えば、「等(such as)」)の使用は、本発明をより明確に説明することを単に意図するにすぎず、別途特許請求されない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中のいかなる語句も、特許請求されていない任意の要素を本発明の実施に必須なものとして示していると解釈されるべきではない。
本発明を実施するための本発明者らが知る最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書中に記載されている。これらの好ましい実施形態のバリエーションは、前述の記載を読めば、当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてこのようなバリエーションを使用することを予期し、また本発明者らは、本明細書中に具体的に記載されたもの以外の方法で、本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法により許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された対象の全ての改変物及び均等物を含む。更に、上記要素の全ての可能なバリエーションでの上記要素の任意の組み合わせが、本明細書中に特記のない限り、又はさもなくば文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。
Claims (47)
- SPARC結合抗体を含む組成物であって、該SPARC結合抗体がImm12、Imm14、hHTI、又はそれらの組み合わせを含む組成物。
- 該SPARC結合抗体がhHTIを含む、請求項1に記載の組成物。
- 該SPARC結合抗体がImm12を含む、請求項1に記載の組成物。
- 該SPARC結合抗体がImm14を含む、請求項1に記載の組成物。
- 更に活性剤を含み、該活性剤が前記SPARC結合抗体に結合している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- 該活性剤が治療剤又は診断剤を含む、請求項5に記載の組成物。
- 該治療剤又は診断剤が、チロシンキナーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、生物学的活性剤、生体分子、放射性核種、アドリアマイシン、アンサマイシン抗生物質、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、カペシタビン、クロラムブシル、シタラビン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エポチロン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルカプトプリン、meplhalan、メトトレキサート、ラパマイシン(シロリムス)、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、nitrosurea、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、タキサン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、タキソール、コンブレタスタチン、ディスコデルモリド、transplatinum、抗血管内皮増殖因子化合物(「抗VEGF」)、抗上皮増殖因子レセプター化合物(「抗EGFR」)、5−フルオロウラシル及びその派生物、放射性核種、ポリペプチド毒物、アポトーシス誘導因子、治療増感剤、酵素又はその活性型断片、並びにこれらの組み合わせ、からなる群より選択される治療剤である、請求項6に記載の組成物。
- 該治療剤又は診断剤が抗体若しくは抗体断片を含む治療剤である、請求項6に記載の組成物。
- 前記抗体又は抗体断片が、IgG、若しくはIgA、若しくはIgD、若しくはIgE、若しくはIgMのFc断片である、請求項8に記載の組成物。
- 前記抗体又は抗体断片が、補体活性化、細胞媒介性細胞傷害若しくはオプソニン化、又はマスト細胞活性化、又はその他の免疫反応の、1つ以上を媒介するものである、請求項8又は9に記載の組成物。
- 該治療剤又は診断剤が、蛍光色素、放射性物質、MRI造影剤、X線造影剤、超音波造影剤、及びPET造影剤からなる群より選択される診断剤である、請求項6に記載の組成物。
- リポソーム中に含有されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
- アルブミンナノ粒子中に含有されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
- 該組成物が適切な医薬担体を更に含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記組成物が、静脈内を介して、局所的に、注入を介して、吸入を介して、鼻腔内に、直腸内に、又は経口で、患者に投与されるものである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
- SPARC結合抗体を含む組成物を診断上又は治療上有効量投与することを含み、該SPARC結合抗体がImm12、Imm14、hHTI、又はこれらの組み合わせを含む、動物における疾患を診断する又は治療する方法。
- 該SPARC結合抗体がhHTIを含む、請求項16に記載の方法。
- 該SPARC結合抗体がImm12を含む、請求項16に記載の方法。
- 該SPARC結合抗体がImm14を含む、請求項16に記載の方法。
- 該組成物が、SPARC結合抗体に結合した活性剤がを更に含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 該活性剤が治療剤又は診断剤を含む、請求項20に記載の方法。
- 該治療剤又は診断剤が、チロシンキナーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、生物学的活性剤、生体分子、放射性核種、アドリアマイシン、アンサマイシン抗生物質、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、カペシタビン、クロラムブシル、シタラビン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エポチロン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルカプトプリン、meplhalan、メトトレキサート、ラパマイシン(シロリムス)、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、nitrosurea、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、タキサン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、タキソール、コンブレタスタチン、ディスコデルモリド、transplatinum、抗血管内皮増殖因子化合物(「抗VEGF」)、抗上皮増殖因子レセプター化合物(「抗EGFR」)、5−フルオロウラシル及びその派生物、放射性核種、ポリペプチド毒物、アポトーシス誘導因子、治療増感剤、並びに酵素又はその活性型断片、からなる群より選択される治療剤である、請求項21に記載の方法。
- 該治療剤又は診断剤が抗体若しくは抗体断片を含む治療剤である、請求項21に記載の方法。
- 該抗体又は抗体断片が、IgG、若しくはIgA、若しくはIgD、若しくはIgE、若しくはIgMのFc断片である、請求項23に記載の方法。
- 前記抗体又は抗体断片が、補体活性化、細胞媒介性細胞傷害若しくはオプソニン化、又はマスト細胞活性化、又はその他の免疫反応の、1つ以上を媒介するものである、請求項23又は24に記載の方法。
- 該治療剤又は診断剤が、蛍光色素、放射性物質、MRI造影剤、X線造影剤、超音波造影剤、及びPET造影剤からなる群より選択される診断剤である、請求項21に記載の方法。
- 該組成物が適切な医薬担体を更に含む、請求項16〜26のいずれか1項に記載の方法。
- 該組成物の治療有効量が、静脈内を介して、局所的に、注入を介して、吸入を介して、鼻腔内に、直腸内に、又は経口で、患者に投与される、請求項16〜27のいずれか1項に記載の方法。
- 治療有効量のアルブミン結合ナノ粒子パクリタキセルを投与することを更に含む、請求項16〜28のいずれか1項に記載の方法。
- 腫瘍が、口腔腫瘍、咽頭腫瘍、消化器系腫瘍、呼吸器系腫瘍、骨腫瘍、軟骨腫瘍、骨転移、肉腫、皮膚腫瘍、メラノーマ、乳房腫瘍、生殖器系腫瘍、泌尿器系腫瘍、眼窩腫瘍、脳及び中枢神経系腫瘍、神経膠腫、内分泌系腫瘍、甲状腺腫瘍、食道腫瘍、胃腫瘍、小腸腫瘍、結腸腫瘍、直腸腫瘍、肛門腫瘍、肝臓腫瘍、胆嚢腫瘍、膵臓腫瘍、喉頭腫瘍、肺の腫瘍、気管支腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、子宮頸部腫瘍、子宮体部腫瘍、卵巣腫瘍、外陰部腫瘍、膣腫瘍、前立腺腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、陰茎の腫瘍、膀胱腫瘍、腎臓の腫瘍、腎盂の腫瘍、尿管の腫瘍、頭部及び頸部の腫瘍、副甲状腺癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
- 該動物がヒトである、請求項16〜30のいずれか1項に記載の方法。
- 動物における腫瘍を、抗癌剤及びSPARC結合抗体を用いて治療する方法であって:
(a)動物から生物サンプルを単離すること;
(b)該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質の発現を検出すること;並びに
(c)該生物サンプルにおけるSPARCタンパク質を定量すること;
を含み、該SPARCタンパク質が閾値レベルを超えて存在している場合に、治療有効量の抗癌剤及び治療有効量のSPARC結合抗体を投与するか;又は、該SPARCタンパク質が該閾値レベルを下回って存在している場合に、治療有効量の抗癌剤を投与し、SPARC結合抗体を投与しないことを含む方法。 - 該SPARC結合抗体が、Imm12、Imm14、hHTI、又はこれらの組み合わせを含む、請求項32に記載の方法。
- 該生物サンプルが体液から単離される、請求項32に記載の方法。
- 該体液が、脳脊髄液、血液、血漿、血清、及び尿からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
- 該動物がヒトである、請求項32〜35のいずれか1項に記載の方法。
- 該腫瘍が、口腔腫瘍、咽頭腫瘍、消化器系腫瘍、呼吸器系腫瘍、骨腫瘍、軟骨腫瘍、骨転移、肉腫、皮膚腫瘍、メラノーマ、乳房腫瘍、生殖器系腫瘍、泌尿器系腫瘍、眼窩腫瘍、脳及び中枢神経系腫瘍、神経膠腫、内分泌系腫瘍、甲状腺腫瘍、食道腫瘍、胃腫瘍、小腸腫瘍、結腸腫瘍、直腸腫瘍、肛門腫瘍、肝臓腫瘍、胆嚢腫瘍、膵臓腫瘍、喉頭腫瘍、肺の腫瘍、気管支腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、子宮頸部腫瘍、子宮体部腫瘍、卵巣腫瘍、外陰部腫瘍、膣腫瘍、前立腺腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、陰茎の腫瘍、膀胱腫瘍、腎臓の腫瘍、腎盂の腫瘍、尿管の腫瘍、頭部及び頸部の腫瘍、副甲状腺癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
- 該化学療法剤又は抗癌剤が、ドセタキセル、パクリタキセル、タキサン、白金化合物、葉酸代謝拮抗剤、代謝拮抗剤、抗有糸分裂剤、DNA傷害剤、アポトーシス促進剤、分化誘導剤、抗血管新生剤、抗生物質、ホルモン、ペプチド、抗体、及びこれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
- 該動物の治療が、治療有効量の血管新生阻害剤を投与することを更に含む、請求項32に記載の方法。
- 該血管新生阻害剤が、ベバシズマブ、suntinib、HKP、IFN−alpha、フマギリン、アンジオスタチン、エンドスタチン、サリドマイド、及びこれらの組み合わせ、からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
- 該化学療法剤がタンパク質結合薬剤の粒子を含む、請求項32に記載の方法。
- 該タンパク質結合薬剤粒子のタンパク質成分がアルブミンを含む、請求項40に記載の方法。
- 該化学療法剤がアルブミン結合パクリタキセル粒子を含む、請求項41に記載の方法。
- SPARCタンパク質の発現が抗体を用いて検出される、請求項32〜43のいずれか1項に記載の方法。
- SPARCタンパク質の発現が抗体を用いずに検出される、請求項32〜43のいずれか1項に記載の方法。
- SPARCタンパク質の発現が、抗体でないSPARC結合分子を用いて検出される、請求項32〜43のいずれか1項に記載の方法。
- SPARCタンパク質の発現が、SPARC結合分子を使用することなく検出される、請求項32〜43のいずれか1項に記載の方法。
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