JP2013529661A - 緑内障の処置に使用するための薬学的組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、緑内障の処置のための、CXCR3のアンタゴニストまたはCXCR3レセプター発現の阻害剤である化合物に関する。

Description

発明の分野
本発明は、緑内障の処置に使用するためのCXCR3のアンタゴニストまたはCXCR3レセプター発現の阻害剤である化合物に関する。
発明の背景
緑内障は最も頻繁な眼の疾病の1つであり、その罹患率の平均は約2%であり、人口の高齢化と共に増加している。緑内障の医学的および手術的管理における幅広い前進にも関わらず、依然として、人種群および国に依存して、患者の1%から30%は臨床的盲目に至る。そのため、緑内障の処置のための新規分子が当技術分野において恒久的に必要とされている(例えばCedrone C. et Al., 2008参照)。
発明の要約
線維柱帯網(TM)は、角膜および光彩によって形成される隅角に位置する機能的および解剖的な眼の実体であり、その主な機能は、眼房水(AH)の流出を調節することによって眼内圧(IOP)を制御することである。線維柱帯の流出抵抗の異常な増加により、IOPは上昇し、これは緑内障にとって最も重要なリスクファクターである(例えば、Sommer A., 1989参照)。従って、閉塞隅角または原発性開放隅角緑内障の両方における異常に上昇したIOPは、視力障害から盲目までを引き起こす緑内障の神経網膜の変性と連関している。
驚くべきことに、本発明者らは、CXCR3の阻害が、IOPの有意な減少を誘導し、これにより緑内障の処置に至り得ることを発見した。
従って、本発明の第1の目的は、緑内障の処置において使用するためのCXCR3のアンタゴニストまたはCXCR3レセプター発現の阻害剤である化合物に関する。
本発明の別の目的は、本発明による化合物および薬学的に許容される担体を含む緑内障の処置のための薬学的組成物に関する。
発明の詳細な説明
CXCR3は周知である。CXCR3は、CXCケモカインレセプターファミリーにおけるGαiタンパク質共役レセプターである。CXCR3の他の名称は、Gタンパク質共役レセプター9(GPR9)およびCD183である。CXCR3には2つの変異体が存在する:CXCR3−AはCXCケモカインCXCL9(MIG)、CXCL10(IP−10)およびCXCL11(I−TAC)に結合し、一方、CXCR−Bは、CXCL9、CXCL10およびCXCL11に加えてCXCL4にも結合することができる。CXCR3は白血球の輸送を調節することができる。CXCR3へのケモカインの結合は、種々の細胞応答を誘導し、最も顕著にはインテグリン活性化、細胞骨格の変化および走化性遊走を誘導する。CXCR3−リガンド相互作用は、Th1細胞を引きつけ、そしてTh1細胞の成熟を促進する。CXCR3は周知である。Pease et al, (Pease et al., 2009, Expert Opin. Ther. Patents, 19(1):39-58)の文献に説明されているように、乾癬、移植片拒絶、および炎症部位へのT細胞の輸送などの自己免疫疾病の病態生理学におけるCXCR3の役割についての証拠が存在する。
本明細書において使用する「処置する」または「処置」という用語は、このような用語を適用する疾患もしくは状態の進行を逆行、軽減、阻害、または前記疾患もしくは状態を予防すること、あるいはこのような用語を適用する疾患もしくは状態の1つ以上の症状の進行を逆行、軽減、阻害、または前記の1つ以上の症状を予防することを示す。
緑内障は原発性緑内障および続発性緑内障に分類され得る。
原発性緑内障は、「開放隅角」および「閉塞隅角」緑内障に分類され得る。これらの両方の主要な種類の緑内障とは別に、他の病態、すなわちブドウ膜炎続発緑内障およびステロイド誘発性続発症を含む続発性緑内障によってもIOPの上昇に至り得る。よって本発明による化合物を原発性または続発性緑内障に使用し得る。
本発明の第1の目的は、緑内障の処置に使用するためのCXCR3のアンタゴニストまたはCXCR3レセプター発現の阻害剤である化合物に関する。
好ましい態様において、本発明による前記化合物はCXCR3アンタゴニストである。
1つの態様において、前記CXCR3アンタゴニストは、低分子量アンタゴニスト、例えば小有機分子(天然または天然ではない)であり得る。
「小有機分子」という用語は、医薬品に一般的に使用されるそのような有機分子と同等なサイズの分子(天然または天然ではない)を指す。この用語は生物学的な巨大分子(例えばタンパク質、核酸など)を除外する。好ましい小有機分子のサイズの範囲は、約10000Daまで、より好ましくは5000Daまで、より好ましくは2000Daまで、最も好ましくは約1000Daまでである。
1つの態様において、アンタゴニストはCXCR3に結合し、そしてCXCR3上での他の化合物の結合を遮断し得る。
特定の態様において、本発明による化合物は、NBI74330(例えばJopling LA et Al., 2007参照)、AMG487(例えばJiwen Liu, et al., 2009、An-Rong Lia et al., 2008またはJohnson M. et al., 2007参照)、AMG1237845(例えばRosenblum JM et al., 2009参照)である。
CXCR3のアンタゴニストは最新の当技術分野において周知である(例えば、Pease J.E. el al, 2009, Expert Opin. Ther. Patents参照)。
特定の態様において、本発明による化合物は、ジヒドロ−キナゾリン類似体(例えばPease J.E. el al, 2009, Expert Opin. Ther.またはLiu J et al., 2009参照)、例えばAMG487(例えばJiwen Liu, et al., 2009, An-Rong Lia et al., 2008またはJohnson M. et al., 2007参照)であり得る。
特定の態様において、本発明による化合物は、ピペリジニル−尿素誘導体(例えばPease J.E. el al, 2009, Expert Opin. Ther.参照)、例えば1−アリール−3−ピペリジン−4−イル−尿素誘導体(例えばAllen et Al., 2007参照)または5−(ピペリジン−4−イル)アミノ−1,2,4−チアジアゾール誘導体(例えばWatson et Al., 2007参照)、またはトロペニル誘導体(例えばWatson et Al., 2008参照)または2−アミノキノリン置換ピペリジン誘導体(例えばKnight et Al., 2008参照)であり得る。
特定の態様において、本発明による化合物は、4−アリール−[1,4]ジアゼピンエチル尿素誘導体(例えばPease J.E. el al, 2009, Expert Opin. Ther.およびCole AG, et al., 2006参照)であり得る。
特定の態様において、本発明による化合物は、ベンゾイミダゾール誘導体または2−イミノベンゾイミダゾール(例えばPease J.E. el al, 2009, Expert Opin. Ther., Hayes ME, Wallace GA, et Al., 2008およびHayes ME, Breinlinger EC et Al., 2008参照)であり得る。
特定の態様において、本発明による化合物は、ベンゼチミド誘導体(例えばPease J.E. el al, 2009, Expert Opin. Ther.およびBongartz JP et al., 2008参照)であり得る。
特定の態様において、本発明による化合物は、ベンゼチミド誘導体(例えばPease J.E. el al, 2009, Expert Opin. Ther.およびBongartz JP et al., 2008参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、エルゴリン誘導体(例えばThoma G. et Al., 2009またはChoudhary MS et Al., 1995および特許出願WO2006128658参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、ヘテロ環置換ピペラジン誘導体(例えば特許出願WO2006088837およびWO2008008453参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、ヘテロ環置換ピリジン誘導体(例えば特許出願WO2007109238およびWO2006088840参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、イミダゾリウム誘導体(例えばVerzijl D. Et al.および特許出願WO03101970参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、イミダゾール誘導体(例えばDu X. et Al, 2008参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、ピペラジニル−ピペリジン誘導体(例えばMcGuinness BF et Al., 2009参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、カンファースルホンアミド誘導体(例えばWang Y et Al., 2009参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、ピラジニル置換ピペラジン−ピペリジン誘導体(例えば特許出願WO2006088921参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、ピリジルおよびフェニル置換ピペラジン−ピペリジン誘導体(例えば特許出願WO2006088919参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、ピペラジン−ピペリジン誘導体(例えば特許出願WO2006088836参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、ヘテロアリール置換ピラジニル−ピペラジン−ピペリジン誘導体(例えば特許出願WO2006091428参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、アミン結合ピリジルおよびフェニル置換ピペラジン−ピペリジン誘導体(例えば特許出願WO2006088920参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、チアゾール誘導体(例えば特許出願WO2007064553参照)であり得る。
別の特定の態様において、本発明による化合物は、置換ヘテロ環誘導体(例えば特許出願WO2007047202参照)であり得る。
別の態様において、本発明による化合物は、Crosignani et al 2010に記載の化合物であり得る。
別の態様において、本発明のCXCR3アンタゴニストは、CXCR3を中和する抗CXCR3抗体またはCXCR3を中和するその抗CXCR3フラグメントであり得る(例えばXie JH et Al., 2003参照)。
CXCR3に対して向けられる抗体を、例えばとりわけブタ、ウシ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジおよびマウスから選択された宿主動物に適切な抗原またはエピトープを投与することによって公知の方法に従って生じさせることができる。当技術分野において公知の種々のアジュバントを使用して抗体産生を増強することができる。本発明の実施に有用な抗体はポリクローナルであり得るが、モノクローナル抗体が好ましい。CXCR3に対するモノクローナル抗体を、培養液中の連続細胞系によって抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用して調製および単離することができる。産生および単離のための技術は、KohlerおよびMilstein (1975)によって初めて記載されたハイブリドーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Cote et al., 1983);およびEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al. 1985)を含むがそれらに限定されない。あるいは、一本鎖抗体の産生のために記載された技術(例えばU.S. Pat. No. 4,946,778参照)を、抗CXCR3一本鎖抗体の産生に適応させることができる。本発明の実施に有用なCXCR3アンタゴニストはまた、抗CXCR3抗体フラグメント(インタクトな抗体分子のペプシンによる消化によって生成され得るF(ab’)フラグメント、およびF(ab’)フラグメントのジスルフィド橋の還元によって生成され得るFabフラグメントを含むがそれらに限定されない)を含む。あるいは、Fabおよび/またはscFv発現ライブラリーを構築して、CXCR3に対して所望の特異性を有するフラグメントの迅速な同定を可能とすることができる。
ヒト化抗CXCR3抗体およびそれからの抗体フラグメントもまた公知の技術に従って調製することができる。「ヒト化抗体」は、非ヒト免疫グロブリンから誘導された最小の配列を含む、非ヒト(例えばげっ歯類)キメラ抗体の形態である。大半の部分において、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの超可変領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置換されている。いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含み得る。抗体の能力をさらに洗練するためにこれらの改変がなされている。一般的に、ヒト化抗体は実質的に全ての少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインを含み、全てまたは実質的に全ての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、そして全てまたは実質的に全てのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである。また、ヒト化抗体は場合により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含む。ヒト化抗体を作製するための方法は、例えばWinter (U.S. Pat. No. 5,225,539)およびBoss (Celltech, U.S. Pat. No. 4,816,397)によって記載されている。
その結果、本発明のために、CXCR3の中和抗体を選択する。
さらに別の態様において、CXCR3アンタゴニストは、アプタマーから選択され得る。アプタマーは、分子認識の点から抗体の代替物を示すクラスの分子である。アプタマーは、高い親和性および特異性で実質的に任意のクラスのターゲット分子を認識する能力を有するオリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチド配列である。このようなリガンドは、Tuerk C.およびGold L., 1990に記載のような、ランダム配列ライブラリーのSystematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment (SELEX)を通して単離され得る。ランダム配列ライブラリーを、DNAのコンビナトリアル化学合成によって得ることができる。このライブラリーにおいて、各メンバーは、独特な配列の、最終的に化学的に修飾された、鎖状オリゴマーである。このクラスの分子の可能な修飾、使用および利点はJayasena S.D., 1999に概説されている。ペプチドアプタマーは、ツーハイブリッド法(Colas et al., 1996)によってコンビナトリアルライブラリーから選択されたE.coliチオレドキシンAなどの、プラットフォームタンパク質によって示されるコンフォメーション的に制約された抗体可変領域からなる。
その結果、本発明のために、CXCR3の中和アプタマーを選択する。
好ましい態様において、本発明による化合物は、CXCR3レセプター発現の阻害剤である。
阻害性低分子RNA(siRNA)もまた、本発明において使用するためのCXCR3レセプター遺伝子発現の阻害剤として機能し得る。CXCR3レセプター遺伝子発現を、対象または細胞を、低分子二本鎖RNA(dsRNA)または低分子二本鎖RNAの産生を引き起こすベクターもしくは構築物と接触させることによって減少させることができ、よってCXCR3レセプター遺伝子発現が特異的に抑制される(すなわちRNA干渉すなわちRNAi)。適切なdsRNAまたはdsRNAをコードするベクターを選択する方法は、その配列が公知である遺伝子については当技術分野において周知である(例えば、Tuschl, T. et al. (1999); Elbashir, S. M. et al. (2001); Hannon, GJ. (2002); McManus, MT. et al. (2002); Brummelkamp, TR. et al. (2002); U.S. Pat. Nos. 6,573,099および6,506,559;並びに国際特許公開公報第WO 01/36646, WO 99/32619およびWO 01/68836号参照)。
リボザイムもまた、本発明において使用するためのCXCR3レセプター遺伝子発現の阻害剤として機能し得る。リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することのできる酵素的RNA分子である。リボザイムの作用機序は、相補的ターゲットRNAへのリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーション、その後のヌクレオチド鎖切断を含む。よって、CXCR3レセプターmRNA配列のヌクレオチド鎖切断を特異的かつ効率的に触媒する工学操作されたヘアピン型またはハンマーヘッド型モチーフのリボザイム分子は、本発明の範囲内で有用である。任意の可能性あるRNAターゲット内の特異的リボザイム切断部位は最初に、典型的には以下の配列、GUA、GUUおよびGUCを含む、リボザイム切断部位についてターゲット分子を走査することによって同定される。一旦同定されると、切断部位を含むターゲット遺伝子の領域に対応する約15から20リボヌクレオチドの短いRNA配列を、オリゴヌクレオチド配列を不適切なものとさせ得る、二次構造などの、予測される構造特徴について評価し得る。候補ターゲットの適切性はまた、例えばリボヌクレアーゼ保護アッセイなどを使用して、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに到達できるかを試験することによって評価され得る。
CXCR3レセプター遺伝子発現の阻害剤として有用であるアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムの両方を、公知の方法によって調製することができる。これらは、固相ホスホアミダイト(phosphoramadite)化学合成によるなどの化学合成のための技術を含む。あるいは、アンチセンスRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のin vitroまたはin vivoにおける転写によって生成され得る。このようなDNA配列を、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを取り込んだ多種多様なベクターに取り込むことができる。本発明のオリゴヌクレオチドへの種々の修飾を、細胞内安定性および半減期を増加させる手段として導入することができる。可能な改変は、分子の5’末端および/または3’末端へのリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのフランキング配列の付加、あるいは、オリゴヌクレオチド骨格内におけるホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエートまたは2’−O−メチルの使用を含むがそれらに限定されない。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAおよびリボザイムは、in vivoにおいて単独でまたはベクターと共に送達され得る。その最も広い意味において、「ベクター」は、細胞および好ましくはCXCR3レセプターを発現する細胞への、アンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAまたはリボザイム核酸の導入を促進することのできる任意のビヒクルである。好ましくは、ベクターは、ベクターの非存在下において生じるであろう分解の程度と比べて減少した分解の程度で、細胞に核酸を輸送する。一般的に、本発明において有用なベクターは、アンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAまたはリボザイム核酸配列の挿入または取り込みによって操作された、プラスミド、ファージミド、ウイルス、ウイルス源もしくは細菌源から誘導された他のビヒクルを含むがそれらに限定されない。ウイルスベクターは好ましいタイプのベクターであり、そしてこれは、以下のウイルスからの核酸配列を含むがそれらに限定されない:レトロウイルス、例えばモロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルスおよびラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン・バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;並びにRNAウイルス、例えばレトロウイルス。命名されていないが当技術分野において公知である他のベクターを容易に使用することができる。
好ましいウイルスベクターは、非細胞変性の真核生物ウイルスに基づき、必須ではない遺伝子が対象の遺伝子を用いて置換されている。非細胞変性ウイルスとしてはレトロウイルス(例えばレンチウイルス)が挙げられ、その生活環は、ゲノムウイルスRNAからDNAへの逆転写、その後、宿主細胞DNAへのプロウイルスの組込みを含む。レトロウイルスは、ヒト遺伝子療法の治験に認可されている。最も有用なのは、複製欠陥のある(すなわち、所望のタンパク質の合成を指令することはできるが、感染性粒子を製造することはできない)レトロウイルスである。このような遺伝子的に改変されたレトロウイルス発現ベクターは、in vivoにおける遺伝子の高効率の形質導入のための全般的な有用性を有する。複製欠陥のあるレトロウイルスを産生するための標準的なプロトコール(外来性遺伝子材料をプラスミドに取り込み、プラスミドを用いてパッケージング細胞系をトランスフェクションし、パッケージング細胞系により組換えレトロウイルスを産生し、組織培養培地からウイルス粒子を回収し、そしてウイルス粒子を用いてターゲット細胞を感染させる工程を含む)は、Kriegler, 1990およびMurry, 1991に提供されている。
特定の適用のために好ましいウイルスはアデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスであり、これらは二本鎖DNAウイルスであり、これは遺伝子療法におけるヒトへの使用にすでに認可されている。アデノ随伴ウイルスを工学操作して複製欠陥とすることができ、そしてこれは多種多様な細胞型および種に感染することができる。それはさらに、熱および脂質溶媒に対する安定性;造血細胞を含む多様な系統の細胞における高い形質導入頻度;並びに、重感染阻止がなく、従って、複数回の形質導入が可能であるなどの利点を有する。報告によれば、アデノ随伴ウイルスはヒト細胞DNAに部位特異的に組み込むことができ、これによりレトロウイルス感染に特徴的である挿入変異の可能性および挿入遺伝子発現の可変性は最小限になる。さらに、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、選択的圧力の非存在下において100を超える継代にかけて組織培養液中で起こり、このことはアデノ随伴ウイルスのゲノム組込みが比較的安定な事象であることを意味する。アデノ随伴ウイルスはまた染色体外でも機能し得る。
他のベクターとしてはプラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクターは当技術分野において詳細に記載されており、そして当業者には周知である。例えばSambrook et al., 1989を参照。過去数年間、プラスミドベクターは、in vivoにおいて細胞に、抗原をコードする遺伝子を送達するためのDNAワクチンとして使用されてきた。それらはこれに対して特に有利である。なぜなら、それらは多くのウイルスベクターと同じ安全性の懸念を有さないからである。しかしながら、これらのプラスミドは、宿主細胞と適合性のプロモーターを有しているので、プラスミド内に作動的にコードされる遺伝子からのペプチドを発現し得る。いくつかの一般的に使用されるプラスミドとしては、pBR322、pUC18、pUC19、pRC/CMV、SV40およびpBlueScriptが挙げられる。他のプラスミドも当業者には周知である。さらに、制限酵素およびライゲーション反応を使用してDNAの特定のフラグメントを除去および付加することによりプラスミドを注文に応じて設計し得る。プラスミドは、多種多様な非経口、粘膜および外用経路によって送達され得る。例えば、DNAプラスミドを、筋肉内、眼、皮内、皮下または他の経路によって注入することができる。それはまた、鼻腔内スプレーまたは液滴、直腸坐剤および経口によって投与してもよい。それはまた、遺伝子銃を使用して表皮または粘膜表面に投与してもよい。プラスミドを、水溶液中で与えても、金粒子上で乾燥させても、または別のDNA送達システム(リポソーム、デンドリマー、コクリエート(cochleate)およびマイクロカプセル化を含むがそれらに限定されない)と共にあってもよい。
好ましい態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNAまたはリボザイム核酸配列は、異種調節領域、例えば異種プロモーターの制御下にある。プロモーターは、ミューラーグリア細胞、ミクログリア細胞、内皮細胞、周辺細胞およびアストロサイトに対して特異的であり得る。例えば、ミューラーグリア細胞における特異的発現は、グルタミンシンターゼ遺伝子のプロモーターを通して得られる。プロモーターはまた、例えばウイルスプロモーター、例えばCMVプロモーターまたは任意の合成プロモーターであり得る。
眼内圧(IOP)に対する推定CXCR3遮断化合物の機能性を試験するために、in vivo試験が必要である。その目的のために、局所的な高眼圧のモデルが非常に関連性がある。図に記載したような強膜上静脈閉塞によるラットにおける高眼圧のモデル(Garcia-Valenzuela et al., 1995)を使用してこのような分子を試験することができる。
本発明の別の目的は、前記したようなCXCR3のアンタゴニストまたはCDCR3レセプター発現の阻害剤である化合物の治療有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む、緑内障を処置するための方法に関する。
1つの局面において、本発明は、前記したようなCXCR3アンタゴニストの治療有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む、緑内障を処置するための方法に関する。
本発明の化合物は、以下に定義したように、薬学的組成物の形態で投与され得る。
好ましくは、CXCR3のアンタゴニストまたはCXCR3レセプター発現の阻害剤である前記化合物。
「治療有効量」によって、緑内障疾患を処置および/または予防するのに十分な化合物の量を意味する。
本発明の化合物および組成物の1日全使用量は、担当の医師によって妥当な医学的判断の範囲内で決定されることが理解されるだろう。任意の特定の患者に対する具体的な治療有効投与量レベルは、処置する疾患および疾患の重度;使用する具体的な化合物の活性;使用する具体的な組成物、患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;使用する具体的な化合物の投与時刻、投与経路、および排泄速度;処置の期間;使用する具体的なポリペプチドと組み合わせてまたは同時に使用する薬物;および医学分野において周知の同様な因子を含む、多種多様な因子に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルで化合物の用量を開始し、そして所望の効果が達成されるまで次第に用量を増加させることは十分に当業者の技能範囲内である。しかしながら、製品の1日量は、成人1人あたり1日あたり0.01〜1,000mgまでの幅広い範囲におよび変動し得る。好ましくは、前記組成物は、処置しようとする患者への用量の症候による調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250および500mgの活性成分を含む。医薬品は、典型的には、約0.01mgから約500mgまでの活性成分、好ましくは1mgから約100mgまでの活性成分を含む。薬物の有効量は、通常、0.0002mg/kg(体重)/日から約20mg/kg/日、特に約0.001mg/kg(体重)/日から7mg/kg/日の投与量レベルで供給される。
本発明による化合物は、緑内障疾患の処置のための薬学的組成物の調製に使用され得る。
従って、本発明はまた、有効量のCXCR3のアンタゴニストまたはCXCR3レセプター発現の阻害剤、好ましくは本発明によるCXCR3アンタゴニストを含む、薬学的組成物を提供する。
本発明の任意の治療剤を、薬学的に許容される賦形剤、および場合により持続放出マトリックス、例えば生分解性ポリマーと合わせて、治療組成物を形成し得る。
「薬学的に」または「薬学的に許容される」は、適宜、哺乳動物、特にヒトに投与した場合に有害な反応、アレルギー反応または他の望ましくない反応を生じない分子実体および組成物を指す。薬学的に許容される担体または賦形剤は、無毒性固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、封入材料または任意のタイプの製剤補助剤を指す。
薬学的組成物の剤形、投与経路、投与量およびレジメンは当然には、処置しようとする状態、病気の重度、患者の年齢、体重および性別などに依存する。
本発明の薬学的組成物は、外用、経口、鼻腔内、非経口、眼内、静脈内、筋肉内または皮下投与などのために製剤化され得る。
好ましくは、本発明の組成物は、点眼剤を用いて、結膜下にまたは硝子体内投与のいずれかのために眼内用に製剤化され得る。
より好ましくは、局所的な眼の経路、例えば硝子体内、局所、眼周囲注入(結膜下、眼球周囲、眼球側面(lateral bulbar)、眼球後、眼球鞘下、脈絡膜上)、眼内または眼周囲インプラント(強膜内、強膜周囲、強膜上)、硝子体内インプラント、眼表面インプラントまたは任意の放出システム、例えばエマルション、固体の非生分解性もしくは分解性インプラントもしくは錠剤、ミニポンプまたは任意の局所製剤などを使用すべきである。
好ましくは、薬学的組成物は、注射することのできる製剤に対して薬学的に許容されるビヒクルを含む。これらは特に等張で無菌の食塩水溶液(リン酸一ナトリウムまたは二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムなどまたはそのような塩の混合物)、あるいは、場合に応じて、滅菌水または生理的食塩水の添加時に注射可能な溶液の復元を可能とする、乾燥した、特に凍結乾燥した組成物であり得る。
投与のために使用される用量は、種々のパラメーターの関数として、特に使用される投与形態、関連する病態、または代替的には所望の処置期間の関数として適応され得る。
さらに、他の薬学的に許容される剤形としては、例えば経口投与用の錠剤または他の固体;徐放性カプセルが挙げられ;そして任意の他の剤形を現在使用することができる。
活性成分はまた、眼組織への注射、例えば眼周囲、結膜、眼球鞘下、前房内、硝子体内、眼内、網膜下、結膜下、眼球後、または視神経管内への注射によって;カテーテルまたは他の配置装置、例えばレチナールペレット(retinal pellet)、眼内インサート、坐剤、または多孔性、非多孔性、もしくはゼラチン状材料を含むインプラントを使用して、眼への直接的な適用によって;局所的な点眼液または眼軟膏によって;あるいは、結膜嚢中のまたは強膜に隣接して(経強膜)または強膜(強膜内)にまたは眼内にインプラントされた遅延放出装置によって、眼に直接送達され得る。前房内への注射は、薬剤が線維柱帯網に到達できるように、角膜を通して前房中にであり得る。視神経管内注射は、シュレム管から流れる静脈集合管内にか、またはシュレム管内であり得る。
眼への送達のために、活性成分を、眼科学的に許容される保存剤、共溶媒、界面活性剤、粘度増強剤、浸透増強剤、緩衝液、塩化ナトリウムまたは水と合わせることにより、水性で無菌の眼の懸濁剤または液剤を形成し得る。液剤製剤は、活性成分を生理学的に許容される等張の水性緩衝液に溶解することによって調製され得る。さらに、液剤は、活性成分の溶解を補助する許容される界面活性剤を含み得る。粘度構築剤、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを本発明の組成物に加えることにより、化合物の保持を改善し得る。
無菌の眼軟膏製剤を調製するために、活性成分を、鉱油、液体ラノリンまたは白色ワセリンなどの適切なビヒクル中で保存剤と合わせる。無菌の眼用ゲル製剤は、当技術分野において公知の方法に従って、例えば、CARBOPOL(登録商標)-940 (BF Goodrich, Charlotte, NC)などの組合せから調製された親水性基剤に活性成分を懸濁することによって調製され得る。例えば、VISCOAT(登録商標)(Alcon Laboratories, Inc., Fort Worth, TX)が眼内注射に使用され得る。活性成分が眼にあまり浸透しない場合には、本発明の他の組成物は、浸透増強剤、例えばクレモフォール(cremephor)およびTWEEN(登録商標)80(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、Sigma Aldrich, St. Louis, MO)などを含み得る。
本発明は以下の図面および実施例によってさらに説明されるだろう。しかしながら、実施例および図面は、いずれにしても、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
手術により誘発した緑内障のラットモデルにおける眼内圧(IOP)に対するCXCR3阻害剤のNBI74330のin vivoにおける効果。NBI74330(1μM)またはビヒクルの結膜下注射を、緑内障の眼およびコントロールの眼において実施した。NBIの1回の注射(A)は、3日間の間、IOPの減少を誘発した(p<0.001)。NBIの2回の注射(AおよびB)は、12日間の間、IOPの減少を誘発した(p<0.001)。コントロールの眼におけるNBIまたはビヒクルの注射はIOPに影響を及ぼさなかった。(トノペンを使用したIOPのin vivo測定)。 用量の関数における眼内圧(IOP)に対するCXCR3阻害剤のNBI74330の効果。NBI−74330は、用量依存的に緑内障の眼(n=20)のIOPを減少させた。マンホイットニーのU検定:ビヒクルで処置した眼と比較して、、P<0.05および**、P<0.01。 選択的なCXCR4アンタゴニストは、IOPに全く効果を有さない。AMD3100は緑内障の眼または非緑内障のコントロール(n=20)においてIOPに影響を及ぼさなかった。 CXCR3アンタゴニストを用いてのin vivoにおける処置は、緑内障の動物モデルにおいて、眼房水の流出および線維柱帯のろ過を増加させ、そして線維柱帯細胞のアポトーシスを減少させた。眼房水流出(AHO)、線維柱帯の有効ろ過長さ率(PEFL)および線維柱帯細胞アポトーシスを、NBI−74330(1μM、100μL、2回の結膜下への注射)で処置したまたは処置していない正常な眼(n=20)および緑内障の眼(n=20)において評価した。(a)AHOは、ビヒクルで処置した緑内障の眼と比べて、NBI−74330で処置した緑内障の眼(n=20)において改善した。 CXCR3アンタゴニストを用いてのin vivoにおける処置は、緑内障の動物モデルにおいて、眼房水の流出および線維柱帯のろ過を増加させ、そして線維柱帯細胞のアポトーシスを減少させた。眼房水流出(AHO)、線維柱帯の有効ろ過長さ率(PEFL)および線維柱帯細胞アポトーシスを、NBI−74330(1μM、100μL、2回の結膜下への注射)で処置したまたは処置していない正常な眼(n=20)および緑内障の眼(n=20)において評価した。(b)NBI−74330処置は、緑内障の眼におけるアポトーシスTCの量を有意に減少させた。
実施例
材料および方法
動物モデルおよびin vivoにおける実験
300〜400gの重さの雄の8週令のBrown Norwayラットを、Jussieu動物ハウス(UMRS968, Vision Institute, Paris, France)で飼った。全ての実験は、眼科研究における動物の使用のためのAssociation for Research in Vision and Ophthalmologyに従って実施した。眼の完全性は、細隙灯顕微鏡を使用して確認した。IOPの上昇した手術モデルを、全身麻酔下で(ケタミン75mg/kgおよびキシラジン10mg/kgの腹腔内注射)、以前に報告されているように[Bayer AU et Al., 2001およびGarcia-Valenzuela E et Al., 1995]、結膜の切開後の3つの強膜上の静脈の焼灼によって、各ラットの右眼に誘導した。左眼は、コントロールとしてのみ結膜の切開を受けた。手術後、動物を1ヶ月間の期間かけて維持し、そして鎮静させることなく手で持って操作できる眼圧計(トノペン、Medtronics, Jacksonville, FL)を使用して1週間に3回IOPについてモニタリングした。安定に上昇したIOPを提示する30匹の動物を含め、そして3つの同等なグループに無作為に分けた:両眼において、10匹のラットは1回のNBI74330(1μM、100μl)の結膜下注射を受け、10匹のラットは、1回のNBI74330の注射を受け、その後、2回目を5日後に受け、そして10匹のラットは、ビヒクル注射(PBS、100μl)を受けた。IOPを、独立した1人のヒト、すなわち処置に対してブラインドであるヒトによって2日毎にモニタリングした。実験終了時に、動物を安楽死させ、そして眼をIHCのために直ちに調整した。
結果
CXCR3アンタゴニストを用いての処置は、緑内障のラットモデルにおいて眼内圧を下げ、そしてTM細胞のアポトーシスを減少させる。
NBI74330(1μM、100μl)の結膜下注射は、手術により誘発したIOPの上昇した動物眼モデルにおいてIOPの減少を誘導した(図1)。1回の注射を受けたグループでは、この効果は、処置から2日後および5日後に有意であり、コントロールの眼の平均IOPレベルに達した。2回目の注射を初回から4日後に実施した場合、実験の終了時まで有意な低いIOPが維持された。手術していないコントロールの眼では、NBI74330、AMD3100またはPBSは、基礎IOPレベルに対して全く効果を有さなかった。
眼を凍結切片へと調整し、そしてTUNEL標識を使用してアポトーシスについて評価した。TMは、各凍結切片において、色素性のスリムな組織として、虹彩根部のそばで内皮シュレム管のすぐ上の後部強膜−角膜上に同定された。アポトーシスは、NBI74330で処置した緑内障の眼よりも、非処置の緑内障の眼の線維柱帯細胞における方が高かった。さらに、内皮シュレム細胞および網膜細胞、特に内顆粒層および神経節細胞層におけるものは、NBI74330で処置した緑内障の眼よりも、非処置の緑内障の眼における方がより多くのTUNEL標識を提示した。
さらに、NBI−74330は、用量依存的にIOPを減少させた(図2)。CXCR3の遮断とは対照的に、CXCR4選択的アンタゴニストであるAMD−3100の結膜下注射は、緑内障の眼におけるIOPに影響を及ぼさなかった(図3)。非緑内障のコントロールの眼では、NBI−74330もAMD−3100(CXCR4の阻害剤)もIOPに対して全く影響を及ぼさなかった。従って、選択的なCXCR3アンタゴニストは緑内障のラットモデルにおいてIOPを減少させるが、選択的なCXCR4アンタゴニストは全く効果を有さない。
本発明者らは、CXCR3の選択的アンタゴニストおよびCXCR3レセプター発現の選択的阻害剤を緑内障の処置に使用し得ると結論づけることができる。
選択的なCXCR3アンタゴニストを用いてのin vivoにおける処置は、線維柱帯細胞を死から防御することによって線維柱帯のろ過機能を回復させる。
NBI−74330に関連したIOPの減少に関与する機序を研究するために調査を実施した。眼房水の流出をin vivoにおける蛍光測定法によって測定し(図4A)、そして線維柱帯水流出を、蛍光マイクロスフィア注入およびTMのex vivoにおける共焦点イメージングによって評価した(データは示さず)。興味深いことに、本発明者らは、手術手順から1カ月後にコントロールと比較して高眼圧の眼において、TMろ過表面の減少と共に、眼房水の流出の減少を観察した。この線維柱帯流出能の減少は、ヒトにおける高眼圧のPOAGの間に観察されるものと類似している。本発明者らのモデルでは、眼房水流出障害は、ビヒクルで処置されたコントロールと比較して、NBI−74330で処置された眼において有意に逆行していた。さらに、線維柱帯ろ過表面、すなわち有効ろ過長さ率(PEFL)も、NBI−74330処置によって有意に改善した。平行して、ラットTM組織を、免疫組織蛍光およびタネル標識によって細胞充実性およびアポトーシスについて評価した。
本発明者らのモデルでは、TCアポトーシスが、正常な眼圧のコントロールの眼と比較して、緑内障の眼においては有意に増加していた(図4B)。線維柱帯アポトーシスは、非処置の緑内障の眼と比較して、NBI−74330で処置された緑内障の眼において逆行していた。抗CD45または抗CD11b反応性細胞のいずれかの欠失によって判明したところ、炎症細胞の浸潤は、全実験期間を通して緑内障の眼のTMには見られなかった。さらに、NBIに関連したIOPの減少は、TUNEL標識によって評価したところ、網膜神経節細胞アポトーシスの減少を伴っていた(それぞれコントロールの眼、非処置緑内障の眼、およびNBIで処置した緑内障の眼について、4.01±0.86、11.11±3.62、および5.73±1.15のアポトーシス網膜神経節細胞/mm;各グループの間でP<0.05)。これらのデータは共に、CXCR3の遮断は、実験的に誘発した高眼圧を下げ、そして、TMろ過機能を回復することによって網膜神経節細胞をアポトーシスから保護し得ることを示唆する。


本出願全体を通して、種々の参考文献が、本発明が属する最新の技術分野を記載する。これらの参考文献の開示は、本開示への参照によって本明細書に組み入れられる。

Claims (6)

  1. 緑内障の処置に使用するためのCXCR3のアンタゴニストまたはCXCR3レセプター発現の阻害剤である化合物。
  2. 前記化合物がCXCR3のアンタゴニストである、請求項1記載の化合物。
  3. 前記化合物がNBI74330、AMG487またはAMG1237845である、請求項1記載の化合物。
  4. 前記化合物が、細胞表面上のCXCR3タンパク質のレベルを阻害する化合物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
  5. 緑内障が「開放隅角」または「閉塞隅角」緑内障である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、緑内障の処置に使用するための薬学的組成物。
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