JP2013522627A - 人員検査システム - Google Patents
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- G01V5/222—
Abstract
人に所持された対象を検出するための検査システムである。この検査システムは、高度にモジュール化されており、従来の工具や器具を用いることで2名によって組立ができる。一例として、検査システムは2つの検出モジュールと1つの放射線源モジュールの合計3つの主要モジュールを有する。これらモジュールはフレームに対し又は互いに即座に組付け、取り外しが可能であり、単一の処理システムに接続されて、設置や解体が即座に行える。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
関連出願に対する相互参照
本願は、2010年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/313,772号に優先権のため依拠し、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
また、本願は、2010年12月15日に出願された米国仮特許出願第61/423,585号に優先権のため依拠し、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
加えて、本願は、2010年12月15日に出願された米国仮特許出願第61/423,582号に優先権のため依拠し、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
加えて、本願は、2010年12月15日に出願された米国仮特許出願第61/423,586号に優先権のため依拠し、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
更に、本願は、「人員を検査するための保安システム」という名称を有し、本発明の出願人に譲渡された米国特許出願第12/887,510号の部分継続出願であり、米国特許出願第12/887,510号は、同一の名称を有し、同じく本発明の出願人に譲渡された米国特許第7,826,589号の継続出願である。両出願について、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
更に、本願は、「プライバシーを向上させた人員検査システム」という名称を有し、本発明の出願人に譲渡された米国特許出願第12/849,987号の部分継続出願であり、米国特許出願第12/849,987号は、同一の名称を有し、同じく本発明の出願人に譲渡された米国特許第7,796,733号の継続出願である。両出願について、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
本発明は、一般に、人間が携帯する危険物を検査するための保安システムに関し、より具体的には、可搬性を向上させたモジュール式構成部品を備えた人員検査システムに関する。本発明は特に、小型で携帯できる検出器タワーに関する。
人間を検査するために空港、裁判所等の通過点で今日使用される放射線に基づくシステムは、概して、非常に大型で、持ち運ぶ用途には役立たない門型のシステムである。残念なことに、そのような従来技術による検査システムは、あまりコンパクトではなく(例えば、光電子増倍管を中央アナログ−デジタル変換及び電力装置に接続するための重い後端ケーブル及び導線を有する)、使用及び/又は輸送するのに困難且つ時間を要することが多い。
また、保安システムは、現状、衣服の下に隠された密輸品、武器、爆発物、及び他の危険物を検出する能力が限られている。金属探知機及び化学嗅覚性探知機は、一般的に大型の金属製物体及びある種の爆発物の検出に使用されるが、これらの装置を用いて検出することができない広範な危険物が存在する。プラスチック及びセラミック武器は、保安員が検出しなければならない非金属製物体の種類を増している。手で対象者を検査するのは、遅く、不便であり、特に、空港のような通行人の多い場所での標準手続としては一般大衆に許容されにくいだろう。
X線散乱を用いて様々な種類の物質の画像を発生させられることが本技術分野において知られている。散乱されるX線の強度は、X線を散乱する物質の原子数(Z)に関連する。一般に、25未満の原子数に対して、X線後方散乱の強度即ちX線反射率は、原子数が増えるにつれて減少する。画像は、主に、対象者の身体の原子数の変化によって変調される。低Z物質は、人員検査において特別な問題を呈する。何故なら、低Zを有する対象者の身体の背景から低Z物体を識別することが困難であるためである。
人間に隠し持たれた物体を検出するための公知の従来技術によるX線システムは、健康上の要請である低い放射線量を達成することを阻んだり、商業的に受け入れられるための前提条件である高画質の生成を妨げたりする設計及び方法上の制約を有している。低レベルの放射線被曝で動作する検査システムは、検査中の人に向けることができる放射線量が小さいことにより、その精度において制限されている。X線の吸収及び散乱が、対象者及び隠された物体の画像を形成するのに使用可能なX線の量を更に減らしてしまう。従来技術のシステムでは、このように検出されるX線量が低いことによって、許容できないほど低い画質という結果になる。
この問題は、X線検査システムが、スタジアム、ショッピングモール、屋外の展示会、祭りなど開放された場所で使用されている場合、更に重大となる。そのような場所では、装置の近くにも装置から離れた位置にも人々がいる可能性がある。もし走査中の対象者がX線装置にあまり近くなければ、その人に届く放射線量が非常に低いため、得られる画像が十分に明確ではない可能性がある。このことにより、システムの走査範囲は、装置の前面から数フィートに限定される。しかしながら、走査される人がX線装置に近すぎると、その人に当たる放射線量が安全ではない可能性がある。
更に、自動危険物検出を行うためにアメリカ合衆国内の空港に配備されるX線検査システムは、運輸保安局(TSA)が定めた基準に準拠しなければならない。現在のTSAの基準では、身長が少なくとも6フィート6インチの人を、肘から肘まで即ち少なくとも103センチメートルの走査幅で走査可能であることが要求されている。また、空港での混雑の増加を考慮すると、空港又はそのような他の処理人数の多い場所に配置される検査システムは、好ましくは一回の走査当たり約10秒という高速な走査時間を提供しなければならない。その上更に、検査システムは、好ましくは身体障害者を司る法律に準拠すべきである。米国では、検査システムは、米国障害者法(ADA)に規定される規則に準拠しなければならない。
更に、国防軍によって用いられるX線スクリーニングシステムは、国防省による安全基準に適合するためには厳しい基準に適合しなければならない。軍用配備のためのスクリーニングシステムは、屋内と屋外の配備があり、通常は異なる領域である。国防軍によって現在使用されている大部分のスクリーニングシステムは、きわめて大型であり、個々のシステムはフォークリフトが必要であり、通常のドアを通じては搬入搬出ができない。
ここで、多目的車又はヘリコプターを用いてスクリーニングを行う場所まで容易に運搬されるスクリーニングシステムは、防衛の目的から必要とされる。陸軍や海軍の場所で配備される米国のスクリーニングシステムにおいては、国防総省(DOD)と、労働安全衛生局(OSHA)とによって発表された、二人可搬基準に関係する基準を遵守する必要がある。二人可搬に関するOSHA基準は、重量が一人あたり44ポンド、二人あたり88ポンドを超えないように規定している。
それ故、X線スクリーニングシステムでは、良好な解像度と広範囲な視野と早い走査速度が必要とされ、また、安全性限界内での放射線被曝を保たなければならない。またスクリーニングシステムは、モジュール方式を採用することや、小型化、軽量化、迅速な組立てによって容易に設置ができることが必要であり、一方でより早い走査速度(より高い処理能力)と最新の処理用電子機器を提供しなければならない。
また、モジュラー方式にとっては、セット数を少なくする必要があり(例えば6セット未満)、互いに取付けが簡単であり、それぞれが上述した可搬基準以下でなければならない。
ある実施の形態について、本明細書は、検査システムを製造する方法であって、受け取り工程と、第1取付け工程と、第2取付け工程とを有し、該受取り工程は少なくとも1つの容器を受取り、該少なくとも1つの容器は第1検出システムと、第2検出システムと、X線源とを有し、該第1検出システムは人から散乱した放射線を検出するように構成されまた第1筐体内に収容され、該第2検出システムは人から散乱した放射線を検出するように構成されまた第2筐体内に収容され、該X線源は該第1検出システムと該第2検出システムとの間に位置しビームスポットパターンを生成するように構成されまた角付き左側部と角付き右側部を有する第3筐体内に収容され、該第1取付け工程では、該第1筐体を該第3筐体の該角付き左側部に当接させて該第1筐体を該第3筐体に取付け、該第2取付け工程では、該第2筐体を該第3筐体の該角付き右側部に当接させて該第2筐体を該第3筐体に取付ける方法について記載している。
一例としては、該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は互いに物理的に分離しており、別個独立である。該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は、それぞれの重量が88ポンド未満である。該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は、それぞれフレームに対して着脱可能に接続される。
別の実施の形態として、本明細書は検査システムの複数の要素を含むキットであって、第1検出システムと、第2検出システムと、放射線源アセンブリと、フレームと、信号処理システムとを備え、該第1検出システムは、人から散乱した放射線を検出するように構成され、また第1筐体内に収容され、該第2検出システムは、人から散乱した放射線を検出するように構成され、また第2筐体内に収容され、該X線源アセンブリは、放射線源と、ビーム生成装置と、該放射線源都外ビーム生成装置とを駆動するモータとを有し、また第3筐体内に収容され、該第3筐体は、該第1筐体と該第2筐体との間に位置するように構成され、該信号処理システムは第4筐体内に収容され、該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体、該フレーム、該第4筐体は、互いに物理的に分離しており、それぞれの重量が100ポンド未満であるキッドを記載している。
一例として、該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体、該フレーム、該第4筐体は、それぞれの重量が88ポンド以下である。該第1筐体は、第1側部と、第2側部と、第1基板と、第2基板と、少なくとも1つの光検出器とを有し、該第1側部は、内方面と人に面する外方面とを備えた平坦面により規定され、人から散乱した放射線を受け入れるように構成され、該第2側部は、該第1側部と鋭角的な関係にあり、該第1の側部を通過した放射線を受け入れるように構成された内側面を備えた平坦面により規定され、また該第1側部を通過した後の放射線を受け取るように構成され、該第1基板は該第1側部の該内方面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、該第2基板は、該第2側部の該内側面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、該少なくとも一つの光検出器は、光感応領域と光不感応領域を有し、該光感応領域は、該第1基板と該第2基板から発せられた光を受け入れる位置にある。
一例として、第第1筐体は複数の光電子増倍管を有する。該第1筐体は更にアナログデジタルコンバータを有し、該複数の光電子増倍管からのパルス電流出力をデジタル信号に変換する。該第1筐体は更に該複数の光電子増倍管に電力を供給するための電力供給源を有する。該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は、該フレームに対して着脱可能に接続されるように構成され、該第4筐体は該フレームには接続されない。該第4筐体は該フレームから離間している。該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体のそれぞれは、単一の処理システムに有線接続されるように構成されている。
その他の実施の形態として、本明細書は、検査システムを製造する方法であって、第1筐体を搬送する工程と、第2筐体を搬送する工程と、第3筐体を搬送する工程と、ベースを搬送する工程と、取付け工程と、第1の接続工程と、第2の接続工程と、設置工程とを有し、該第1筐体を搬送する工程では、該第1筐体を検査地点搬送し、該第1筐体は人から散乱された放射線を検出するように構成された第1検出システムを有し、該第2筐体を搬送する工程では、該第2筐体を検査地点まで搬送し、該第2筐体は人から散乱された放射線を検出するように構成された第2検出システムを有し、該第3筐体を搬送する工程では、該第3筐体を検査地点まで搬送し、該第3筐体はX線源を有するX線源アセンブリと、ビーム生成装置と、モータと、昇降機構とを有し、該ベースを搬送する工程では、該ベースを検査地点まで搬送し、該取付け工程では、該第1筐体と該第2筐体と該第3筐体とを該ベースに取付け、該第1の接続工程では、該第1検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを処理システムに接続し、該第2の接続工程では、該第2検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを該処理システムに接続し、該設置工程では、該X線源アセンブリを該信号処理システムに対して電気通信するように設置する方法について記載している。
該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体はそれぞれ重量が88ポンド未満である。該第1筐体は、第1側部と、第2側部と、第1基板と、第2基板と、複数の光電子増倍管とを有し、該第1側部は、内方面と人に面する外方面とを備えた平坦面により規定され、人から散乱した放射線を受け入れるように構成され、該第2側部は、該第1側部と鋭角的な関係にあり、該第1の側部を通過した放射線を受け入れるように構成された内側面を備えた平坦面により規定され、また該第1側部を通過した後の放射線を受け取るように構成され、該第1基板は該第1側部の該内方面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、該第2基板は、該第2側部の該内側面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、該複数の光電子増倍管は、該第1基板と該第2基板から発せられた光を受け入れる位置にある。
該第1筐体は更にアナログデジタルコンバータを有し、該複数の光電子増倍管からのパルス電流出力をデジタル信号に変換する。該第1筐体は更に該複数の光電子増倍管に電力を供給するための電力供給源を有する。該第2筐体は、第1側部と、第2側部と、第1基板と、第2基板と、複数の光電子増倍管とを有し、該第1側部は、内方面と人に面する外方面とを備えた平坦面により規定され、人から散乱した放射線を受け入れるように構成され、該第2側部は、該第1側部と鋭角的な関係にあり、該第1の側部を通過した放射線を受け入れるように構成された内側面を備えた平坦面により規定され、また該第1側部を通過した後の放射線を受け取るように構成され、該第1基板は該第1側部の該内方面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、該第2基板は、該第2側部の該内側面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、該複数の光電子増倍管は、該第1基板と該第2基板から発せられた光を受け入れる位置にある。
一例として該第2筐体は更にアナログデジタルコンバータを有し、該複数の光電子増倍管からのパルス電流出力をデジタル信号に変換する。該第2筐体は更に該複数の光電子増倍管に電力を供給するための電力供給源を有する。
一例として、第4筐体を搬送する工程と、第5筐体を搬送する工程と、第6筐体を搬送する工程と、第2ベースを搬送する工程と、取付け工程と、第1接続工程と、第2接続工程と、設置工程とを更に備え、該第4筐体を搬送する工程では、該第4筐体を検査地点に搬送し、該第4筐体は、人から散乱する放射線を検出するように構成された第3検出システムを有し、該第5筐体を搬送する工程では、該第5筐体を検査地点に搬送し、該第5筐体は、人から散乱する放射線を検出するように構成された第4検出システムを有し、該第6筐体を搬送する工程では、該第6筐体を検査地点に搬送し、該第6筐体は、X線源を有する第2X線源アセンブリと、ビーム生成装置と、モータ、と昇降機構とを有し、該第2ベースを搬送する工程では、該第2ベースを検査地点に搬送し、該取付け工程では、該第4筐体と該第5筐体と該第6筐体とを該第2ベースに取付け、該第1接続工程では、該第3検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを該処理システムに接続し、該第2接続工程では、該第4検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを該処理システムに接続し、該設置工程では、該第2X線源アセンブリを該信号処理システムに対して電気通信するように設置する。この方法では、該第1検出システムと該X線源アセンブリと該第2検出システムとが、該第3検出システムと該第2X線源アセンブリと該第4検出システムとに光学的に配列整合させる。
本発明のこれら及び他の特徴及び効果は、以下の詳細な説明を、添付図面と関連付けて検討しながら参照することによってより良く理解されることが分かるだろう。
本発明は、安全な場所で人をスクリーニングする改良されたシステムを提供する。本発明によって提供されたシステムは、モジュール要素を有し、移動性と運搬のし易さのために分解可能であり、必要な場所で再組立てができる。本発明によるシステムは、スクリーニングシステムからの人の距離にかかわらず最大の脅迫検出能力と写像性を備える。に写像性となる。
米国特許第7418077号公報と第7660388号公報はいずれも、「機内持ち込み手荷物と乗客の統合スクリーニングシステム」という発明の名称であり、本発明の出願人に譲渡されており、本明細書の記載の一部をなす。
ある実施の形態では、本発明のスクリーニングシステムは通り抜け検出システムであり、少なくとも2つの走査モジュールと、少なくとも2つの検出器モジュールを有し、それぞれの走査モジュールは、放射線源を備える。このスクリーニングシステムは、より高い解像度の走査像を提供しつつも操作上必要な設置面積を減らすことができる。
このシステムにより、ダイナマイト、C−4、セラミックス、グラファイト繊維、プラスチック容器、プラスチック兵器等の爆発物、ガラス製の薬瓶、注射器、パッケージ化された麻酔薬、紙幣束、木製物体などを有効に画像化することによって、脅迫物の検出が可能となる。
ある実施の形態では、スクリーニングシステムは、X線後方散乱原理に基づいている。隠された物体を検出するためのX線後方散乱システムでは、X線ペンシルビームが検査を受ける人の表面を横断する。検査対象で散乱するか反射したX線は、シンジレータと光電子増倍管の組合せよりなる検出器によって検出される。X線検出器によって結果として生じた信号は次に、対象や対象によって持ち込まれた隠された物体のシルエットを人の像として生成するために用いられる。本発明のX線後方散乱撮像システムの設計は、情報を得るための放射線ビームで人又は物体の半リアルタイム撮像を行うのに最適化されるようになっている。本システムはまた、半リアルタイムで画像データに関する検出アルゴリズムを処理することによって、危険物を自動的に検出することが可能である。
本明細書は、検出器及び源ユニットを含む、モジュール式構成部品を備える人員検査システムに関する。本発明のモジュール式構成部品は、運搬を容易にするため分解することができ、また、所望の場所で検査のため簡単に再組立ができる、小型、軽量なおかつ十分に頑丈な全体構造を可能とする。本発明の検査システムの新規なモジュール式構造はまた、モジュール式構成部品が別々に制作され、スナップ式で素早く組み立てられることを可能とする。同様に、モジュール式構成部品は、選択された構成部品に対する点検アクセスをし易くするために、及び/又は、その後の運搬用に梱包するために容易に分解することができる。
本明細書はまた、高い放射線に個人を被曝させることなく、検査手順の効率を保ちつつ、保安検査場にて個人を検査するための改良方法である。開示されるシステムは、検査システムからの個人への距離があるにもかかわらず、最大の危険物検出性能及び画像明瞭性を可能とする。
一実施形態では、X線散乱、赤外線撮像、ミリ波撮像、無線撮像、レーダー撮像、ホログラフィック撮像、CT撮像、及びMRIといった、しかしこれらには限定されない、「身体撮像」用の利用可能な任意の放射線撮像技術を用いてX線画像が形成される。身体の詳細を表示する可能性を有する任意の「身体撮像」システムを利用してよい。一実施形態では、任意の光検出可能な放射線又は光ビームとともに任意の放射線源を本発明において利用してよい。
一実施形態では、本発明のシステムは、検査中の対象者がただ1つの姿勢を取ることを要求し、2つの別々に処理された走査ビーム及び関連する画像を生成するために、検出器、回路及び処理装置のうち単一の群とともに単一の線源を使用する。
一実施形態では、本発明のシステムは、2つの別々に処理された走査ビーム及び関連する画像を生成するために、検出器、回路及び処理装置のうち単一の群とともに単一の線源を使用する歩行通過検査システムである。
別の実施形態では、本システムは、二重線源モードで動作するが、検出器、回路及び処理装置のうち単一の群を使用する。
本発明は複数の実施形態に関する。以下の開示は、当業者が本発明を実施するのを可能とするために提供される。この明細書で使用される文言は、1つの特定の実施形態を一般的に否定するものとして解釈されるべきでないし、クレームが明細書中で使用される用語の意味を越えるのを制限するために使用されるべきでもない。本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の実施形態及び用途にも適用することができる。また、使用される用語及び表現は、典型的な実施形態を説明するためのものであって、限定的に考慮すべきではない。よって、本発明には、開示された原理及び特徴と整合する多くの代替手段、変形例及び同等手段を包含する最大の範囲が与えられる。本発明を不必要に分かりにくくしないように、明確さのため、本発明に関連する技術分野で知られている技術的内容に関する詳細については詳しくは説明しない。
図1は、本発明の新規なモジュール式検査システム100の典型的なX線後方散乱システム構成を示す。図1に示すように、X線源160は、モジュール式ハウジング165に収容され、検査中の対象者103に向けられる細型のX線ペンシルビーム102を発生するのに利用される。
一実施形態では、ペンシルビーム102は、X線管とビーム切断機構167とを組み合わせることによって形成される。ペンシルビーム102は、対象者上を水平又は垂直に画素変換される(rastered)。この画素変換(rastering)は、X線ビームが出射するための最小限の出射孔しかあけていないことによるビーム切断機構の結果である。後述のように、もしチョッパホイールを用いると、直径1mmの出射孔が約7mmに広がったX線ビームとなる。一実施形態では、対象者103は人間である。対象(走査される人)103が検査システム100の前でポーズをとったり検査システム100のそばを歩くと、生じたペンシルビーム102がその対象に当り、X線の少なくとも一部が後方散乱される。典型的な実施形態によるビーム切断機構167を以下により詳細に説明する。
任意の数の電離放射線源を使用してよいことが当業者には理解されるだろう。電離放射線源は、ガンマ放射線、電磁放射線、及び紫外放射線を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、使用されるX線エネルギは、30kVから100kVである。
一実施形態では、人が検査システムの前でポーズをとったり検査システムのそばを歩く際にその人の存在を検出するために、センサ104a及び104bを用いる。
散乱されたX線105の少なくとも一部が、検出器構成106に当たる。一実施形態では、本発明の検査システム内の検出器構成106は、検出を可能とするための第一及び第二検出器筐体110及び120を備える。一実施形態では、第一及び第二検出器筐体110及び120は、少なくとも1つのシンチレータ画面を備えるモジュール式検出器タワーの形で具体化されている。別の実施形態では、第一及び第二検出器筐体110及び120は、少なくとも2つの検出器画面を備えるモジュール式検出器タワーである。代替的な実施形態では、検出器筐体は、複数の検出器画面を含む任意の数の構成を備えていてよいが、これに限定されるものではない。「複数画面検出システム」という名称を有し本発明の出願人に譲渡された米国特許出願第12/262,631号を、参照することにより本明細書に援用する。加えて、「複数画面検出システム」という名称を有し2010年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/313,733号を、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
図1に示すように、検出器タワー110及び120はそれぞれ、互いに斜めに接続されて三角形の断面を形成する第一側部領域141、第二側部領域142、及び第三側部領域143を備える。第一側部領域141は、画面147を備え、検査中の対象者103に対向する。第二側部領域142は、タワーの内側に第二画面148を備える。一実施形態では、画面147,148は最小の画像劣化で放射線ビームの素早い走査を可能とする、10マイクロ秒という比較的短い減衰時間を有する比較的厚みのあるCaWO4シンチレータ画面である。一実施形態において、このCaWO4画面は、後方散乱され又は透過された放射線のうち約70%を検出することが可能であり、従って、30keVのX線につき約250の使用可能な光量子を生成する。加えて、より厚みのある画面を使用することで、光出力が低いことを犠牲にして、検出器に入射する放射線をより多く検出することが可能となる。一実施形態では、画面の面密度は、1平方センチメートル当り80ミリグラムである。
一実施形態では、検出器タワーをベースに固定するために、検出器タワーを「ねじって」ベース上に固定できるように、大径の段付きボルトをベースに仮固定する。一旦放射線源及びハウジングがベースに取り付けられると、検出器タワーを移動したりねじって外したりすることはできない。放射線ハウジング領域165は、第一斜め側部170及び第二斜め側部171を備える。第一斜め側部170及び第二斜め側部171は、検出器タワー及び放射線源ハウジングが統合され組み合わされた際に、検出器タワー110及び120の側部142と容易に当接し重なる。対象者103に対向する前端側部ストリップ172は、X線ビーム102が対象者103に当たる前に通過する開口173を有する。開口173が限定されていることにより、電磁干渉及び放射線ノイズの低減の一助となる。側部ストリップ172は2つの検出器タワーの分離手段としても機能し、2つの検出器タワーは、後方散乱されたX線105を検出するとともにX線反射率の電子信号特性を提供するように、入射するX線ペンシルビーム102の周りに対称的に組み立てられる。
一実施形態では、検出器タワー110及び120は、チョッパホイール又は他のビームコリメーション手段が2つのタワーの中間にあるように、ストリップ172によって離隔している。2つのタワー110,120は、一実施形態では、チョッパホイールの直径の1/2から2倍の範囲にある距離dだけ離間している。距離dは、X線源の視野を規定し、検出器の露出過度を防止しつつ十分な視野を得られるように最適化されている。
本発明の一実施形態では、検出器タワー110,120及び放射線ハウジング165は、頑丈だが軽量という最適な全体構造を提供する複合壁又は当業者にとって明らかな任意の他の類似の非伝導性材料からできている。具体的には、複合壁内の光電子増倍管及び放射線源に関連する後端電子部品、電線及びケーブルを収容することによってファラデー箱を形成し、それによって実質的に電磁干渉を低減する。
本発明の一実施形態では、検出器タワー110,120はまた、検査システムが作動中である及び/又は検査が進行中であることを示す照明として、前部領域141の周囲又は縁部のうち何れか一つ上に、LED等の照明手段を備える。タワー110,120の各々は、第三側部領域143に近接してタワーの内側に置かれた光電子増倍管150を備える。光電子増倍管150の後端電子部品は、略半円状のハウジング151に収容されている。
図2Aから2Cは、本発明の種々の実施形態による検出器タワーの構造的詳細を示す。図2Aは、同一の検出器タワー210及び220の斜視図とともに、それぞれの前面図205、上面図215及び側面図216を示す。一実施形態では、タワーは、67インチの高さh、30インチの横幅w、及び、16インチの最大厚さtを有する。
次に図2B及び2Cの検出器タワーの分解図を参照すると、取付プレート225は、「独立して」、また組立時にプレート225に取り付けられる4つの光電子増倍管組立品230から分離して示されている。本発明の実施形態によると、光電子増倍管230の後端電子部品は、光電子増倍管に近接して取付プレート225上に共に設置された信号処理基板235を含む。
少なくとも1つのアナログ−デジタル変換カード及び電源モジュールが、信号処理基板235上に取り付けられている。電源モジュールは、光電子増倍管に対して動作電圧を印加し、一方、アナログ−デジタル変換カードは、更なる処理のために、光電子増倍管からのパルス電流出力をデジタル信号へ変換する。従来は、光電子増倍管から離れた位置にある中央アナログ−デジタルコンバータ及び電源装置と光電子増倍管とを接続するのに、がっしりとしたケーブルが利用されていた。電源並びにアナログ−デジタルコンバータを光電子増倍管の近くに設けることによって、より小型の電線でよくなり、それによって信号過渡ノイズが低減し、全体的な信号・ノイズ比(SNR)も向上する。
再び図2B及び2Cを参照すると、シール226によって、取付プレート225,光電子増倍管230及び信号処理基板235を含む組立品が、対応するタワー施設227内へきつく嵌め込まれる。相互接続可能な構造の組が、カバーし保護するとともに、必要時には、取付プレート組立品上にある光電子増倍管への容易なアクセスを可能とする。これらの構造の組は、コネクタ角部カバー241を有する角部カバー240、対応するコネクタ246を有する閉鎖カバー245、2つのトリム側部プレート250、及び、上面及び底面把持フレーム255を含む。
図1に戻り、一実施形態では、検査システム100は、移動性及び可搬性のため分解することができ、所望の場所で再び組み立てることができるモジュール式構成部品を有する。よって、涙滴形状の検出器タワー110,120と関連する電子部品及びケーブルを備えた放射線源ハウジング165とは、システム100を構成するように素早く統合可能な別個のモジュール又はキャビネットとして製造される。新規な涙滴モジュール式構造によって、小型且つ軽量の全体システム100が可能となる。
図3Aは本発明の検査システムの分解図300aを示しており、検出器タワー310,320並びに放射線源ハウジング365といったそのモジュール式構成部品が、分解され、運搬し易くするために梱包されている。例えば、検出器タワー310,320の三角形状断面により、運搬時のスペースが最小となるような方法で、互いに当接して梱包されることが可能となる。図3Bは、図3Aの運搬用梱包300aから組み立てられた検査システムの組立図300Bを示す。本発明の検査システムのモジュール式構成部品又はキャビネットは、迅速な組立ができるように、スナップボタンで互いに固定できるなど、単純且つ直感的な接続箇所となるように設計されている。一実施形態では、運搬用に梱包された状態から検査システムを組み立て/展開するのに30分もかからない。一実施形態では、運搬用に梱包された状態から検査システムを組み立て/展開するのに約15分から30分である。一実施形態では、組立/展開の時間は、ユニットが安全な動作温度になるようにユニットを暖めたり冷やしたりしなければならないか否かによる。
図4は本発明のスクリーニングシステムの構造を示す。スクリーニングシステム480は、第1検出器パネル482と、第2検出器パネル484と、放射線源ハウジングと(図4には示されず)、フード486とを備えている。それぞれの検出器パネル482、484は、図1に示されるような少なくとも一つの検出器タワーを有する。放射線源ハウジングは、図1で説明したX線源のような放射線源を有する。フード486はスクリーニングシステム480を屋外に設置する場合に風雨を避ける保護屋根となる。スクリーニングシステム480をなすそれぞれの要素である放射線源ハウジングと、2つの検出器パネルと保護屋根は、互いに分離可能なモジュールユニットであり、スクリーニングをする場所に容易に運搬でき、その後即座に組立てができる。
ある実施の形態では、放射線源ハウジングは、運搬目的の複数の車輪が付いている台車に載置される。この実施の形態では、放射線源モジュールユニットは、その大部分の重量が運搬中は車輪近くにかかっており、人がモジュールユニットを引っ張るときに手にかかる重量は60ポンド未満となる。この実施の形態では、全体の重量は約520ポンドである。荒れた地形の上を走行するために台車の車輪は大径で柔軟である。ある実施の形態では、台車は上階に引くことができるように設計されている。
別の実施の形態では、人がそばを通りかかる形式の走査装置については、スクリーニングシステム480の個々の要素は重量が88ポンド以下であり、運搬基準としては二人の男性で運搬できるものである。ある実施の形態では、この装置は運搬の便宜のために5つの要素に分解できる。ある実施の形態では、それぞれの検出器タワーの重量は100ポンド未満であり、特に85ポンド以下である。基板の重量は100ポンド未満であり、特に85ポンド以下である。放射線源モジュールの重量は100ポンド未満であり、特に88ポンド以下である。電子機器筐体の重量は100ポンド未満であり、特に70ポンド以下である。全体のスクリーニングシステムの重量は500ポンド未満であり、ある実施の形態では、413ポンドである。この実施の形態では、個々の要素に車輪は付いておらず、車輪付き台車もない。全ての要素が2人の男性で運搬できるからである。このモジュール構造は、静止した人をスクリーニングするためのシステムとしても適用できる。
ある実施の形態では、スクリーニングシステム480の要素は容器内にパッケージ化され、それは多目的車の後ろ側に積み込めるものである。別の実施の形態では、個々の要素は四角形状のフレーム構造を有し、互いに積み上げることができ、運搬を容易にしている。
上述した実施の形態では、本発明の検出システムは人が歩いて通り抜けるタイプの検出システムとして実施される。この新規なシステムでは、低レベルの放射線量を利用することで、武器や危険な材料を検出できることにあり、それら武器などは金属や低Z材料製であるか否かとは無関係である。この戸口構成により従来構成に比較して、人の処理能力(スループット)を高めることができる。個々人が戸口を単に歩いて通過することでスクリーニングされるからである。
更に、本発明のスクリーニングシステムは、携帯性と耐久性が要求されるような環境で使用される場合に頑丈な筐体を有するように設計される。本発明のスクリーニングシステムは、一時的な検査場所となるように屋内又は屋外で即座に設置できる。ある実施の形態では、スクリーニングシステムは4個の互いに同一形状で、運搬時に両手が同じように使え、それぞれの重量が約70ポンドのケースを有する。運搬に際しては、2つのケースがストラップで互いに固定され、全体のシステムが二人の操作者によって検査場所まで手で又は台車を用いて運搬される。様々な実施の形態において、スクリーニングシステムのモジュール要素は、フォークリフトまたは人力でトラックに積まれるか、ヘリコプターで運搬される。ある実施の形態では、スクリーニングシステムの複数の要素は、四角形状の積み重ねが可能なフレームを有し、それは輸送の際の枠箱となり、搬送の便宜に供される。
図5は、本発明の実施の形態による走査システムを設置する手順を示すフローチャートである。ある実施の形態では、本発明のシステムを設置するために、第一に様々な要素が設置地点に搬送される(ステップ502)。即ち、人から散乱した放射線を検出するように構成された第1の検出システムを備えた第1筐体と、人から散乱した放射線を検出するように構成された第2の検出システムを備えた第2筐体と、X線源を有するX線源アセンブリとビーム生成装置とモータとを有する第3筐体と、ベースは全て検査地点に搬送される。ある実施の形態では、複数の要素は図3aに示されるように設置地点に搬送される。
ある実施の形態では、ステップ504において、ベースは検査領域に配置される。ステップ506において、第1筐体(検出器タワー)はベースに接続される。ステップ508において、第2筐体(検出器タワー)はベースに接続される。ある実施の形態では、これら複数の検出器タワーをベースに固定するために、大径の肩部を備えた複数のボルトをあらかじめベースに固定しておき、かかるボルトを用いて検出器タワーを振り回してベースに係止させる。
次に、放射線源とハウジングとを備えた第3筐体をベースに固定する。第3筐体は、角のある第1側部と角のある第2側部(図1に関する説明で説明した)とを有し、これらは組立て時には、第1第2筐体の側部と簡単に当接して一致する。放射線源とハウジングとがベースに取付けられた後は、これら検出器タワーは移動不能であり、回転して取り外すこともできない。
全ての筐体が回転して肩部付きボルトに対して位置決めされると、全ての配線接続がなされる。特に、検出システムを含む第1筐体からのデジタル信号の出力を伝送するワイヤと、検出システムを含む第2筐体からのデジタル信号の出力を伝送するワイヤとが、信号処理システムに接続される。
最後に、X線源アセンブリは信号処理システムとともに電子通信回路に接続され、図3bに示される様なシステムの半分が完成する。
ステップ514では、ステップ504、506、508、510、512が繰り返し実行されて、走査モジュールの第2側が提供される。ステップ516では、図4に示されるように両方のモジュールが互いに向かい合うように位置決めされる。更に、これらモジュールは、それぞれのX線の放出と検出プロセスを調整し又は同期させるように、整合される。
空港や鉄道の駅において乗客のスクリーニング、スタジアムやショッピングモール等の開放的な混雑した会場におけるスクリーニングに本発明のシステムが用いられるが、更に、本発明のシステムは港湾や国境往来、税関の検問所など乗り継ぎ地点での車両や容器の中身の検査にまで適用することができる。例示的には、スクリーニングシステムをドライブスルー方式にして実現し、走査を受ける車両がシステムを通過することにより、運動の第2軸を提供する。本発明のスクリーニングシステムは、医療目的にも用いることができる。
当業者であれば、本発明のスクリーニングシステムのモジュール化された要素は、修理や保守点検が簡単になるように設計すべき必要があることが理解できるであろう。例えば図6は、本発明によるスクリーニングシステム600が組立てられ設置された状態を示しており、検出器タワー610は放射ハウジング665から離間するように引かれ、ハウジング665に対する点検を可能にするとともに、タワー610に対しても選択的な首里や保守を行うことができる。
図1に戻り、動作時、対象者103が検出器タワー110,120のそばを歩いたり検出器タワー110,120の前に立ったりする際、対象者103に当たるX線のペンシルビーム102のうち一部が、コンプトン散乱のため線105として後方散乱され、検出器タワーの前側部領域141にて第一画面147に衝突する。散乱されたX線のうち一部は第一画面147によって検出されるが、これらのうちの一部は検出されることなく第一画面147を透過して、検出器タワーの内部で(側部142にて)第二画面148に衝突する。一実施形態では、第一画面147に衝突するX線光子のうち約40%が第一画面147によって検出され、一方、残りのX線光子のうち約24%が第二画面148によって検出される。なお、これらのパーセンテージは、X線のエネルギ及びシンチレータ画面の厚さに応じて変わりうる。
光電子増倍管150は、初めに光に変換される検出線に応じて電子信号を生成する。画面147,148にてシンチレーションにより発せられた光は、光電子増倍管150で捕捉されるまで、三角形状の筐体/タワー110,120周辺で反射する。
2つの検出器タワー110,120によって生成された電子信号は、処理装置へ送られる。処理装置は、受け取った信号を解析して、表示手段上に画像を生成する。表示された画像中の各点の強度は、対象者上をビームが画素変換される(rastered)際に検出される散乱X線の相対強度に対応する。一実施形態では、X線源160は、処理装置へ同期信号を伝える。処理装置は、検出された信号を解析して、それらを同期信号と比較し、表示画像を決定する。一実施形態では、表示手段はモニタであり、処理装置によって送られた画像を表示するのに用いられる。表示手段は、陰極線管モニタ、LCDモニタ又はLEDモニタを含む、当該分野で一般に知られている任意のディスプレイ又はモニタとすることができる。一実施形態では、表示手段によって表示されるデジタル化散乱画像は、好ましくは、1画素当り8ビットを有する480行×160列から構成される。
本発明のひとつの実施の形態では、散乱放射線の2次元像を得るために、複数の検出器システムは2重軸の走査ビームを使用している。
本発明の別の実施の形態において、単一軸の走査ビームを用い、検査対象はその走査ビームを歩いて通過する。対象の歩く動作は動きについての第2軸を提供する。検査中の対象者103又は対象が垂直運動するペンシルX線ビーム102を通過する任意の瞬間において、ビームの正確な位置は、チョッパホイールを制御するモータを通して知られる(以下により詳細に説明する)。各瞬間において、検出器構成106は、後方散乱されたX線の測定された応答を提供する。後方散乱されたX線の強度は、生成された画像に表される。システムは、後方散乱されたX線が検出される何れの瞬間においてもペンシルビームがどこに位置するか正確に分かっているので、対象の包括的な画像を形成するために画像を合わせて「切り替える」ことができる。
一実施形態では、不変の垂直走査ビームが一つの運動軸を構成し、意図された対象者が、垂直走査ビームを通過して歩いたり搬送されることによって第二の運動軸を提供する。この構成は有利である。何故なら、機械組立品が走査ビームが出射できるように検出器間にかなりの開口を必要とする二軸走査ビームを用いる現在の後方散乱検出システムと比べて、単軸ビームは、検出器パネルにおいて非常に小さな方形の開口しか必要としないからである。2重軸走査ビームを用いた最新の後方散乱検出システムにおいては、走査ビームが抜け出るために、機械的組立には検出器間で大幅な開口が要求される。2重軸走査ビームシステムにとっては、対象が静止しているときは、X線のペンシルビームは水平方向に突き出るので、大幅な開口が必要となる。ここで対象が静止しているときは、回転するチョッパホイールは動きの第1軸を提供し、回転するチョッパホイールの鉛直方向の動きは動きの第2軸を提供する。しかして、人体の大きさなど対象をカバーするためには、ビームが人体の全体をカバーできるように開口をより広くする必要がある。更に、従来の大型の開口は、後方散乱放射の多くの部分が検出されないことを避けている。
上述したように、本発明の一つの実施の形態では、動きの第2軸は対象の動きによって提供される。そのため、ビームは鉛直移動のために指向され、より小さい開口と最適な検出器の位置を可能とする。図1に戻ると、上述したように、本発明の単一軸走査システムは、検出器領域110と120間で小型の四角形開口172を備え、X線は開口から放射される。更に、小型の開口172によって、付加的なそして又はより大型の検出器パネルを後方散乱経路に設置することが可能となり、そのことによって画質が向上する。
上述のように、ペンシルビーム102は、ビーム切断機構を利用し、X線ビームが出射するための出射孔を最小限しか許容しないことによって、対象者上を水平又は垂直に画素変換される。一実施形態では、ビーム切断機構は、120度離間した位置にある3つのスリットを有するとともに、各チョッパスリットが平行コリメータスリットの一方を出て、他方は反対の平行スリットに丁度入ろうとするように2つの平行コリメータスリットと整列されたチョッパホイールである。これにより、時間的に交互配置されるとともに、2つの平行スリットを円錐状に照射する単一の線源を何れも使用する単一の共通検出器アレイ、回路及び処理であっても別々に処理可能な2つの平行走査ビームが生成される。
図7Aは、単一の線源を使用して二重の図(2つの平行な交互配置された走査ビームを使用する)を得るために使用可能な典型的なチョッパホイール700の上面図を示す。チョッパホイール700は、互いに120度の角度距離の位置にある3つのスリッ701a,701b及び701cを有する。また、2つの平行コリメータスリット702a及び702bもある。矢印703はチョッパホイールの運動方向を表し、本実施形態では時計回りである。かかる構成によって、上述のように時間的に交互配置され、よって共通の検出器、回路及び処理装置用部品を使用して別々に処理することが可能な2つの「ずれた」(staggered)平行走査ビームが生成される。
一実施形態では、ディスクチョッパ組立品は、電磁モータ駆動を用いて動的に回転が制御される。図7Bは、統合された電磁モータ及び軸受を備える典型的なディスクチョッパ組立品を示す。図7Bに示すように、ディスクチョッパ701は、一実施形態ではX線管を備える放射線源702に連結されている。電磁モータ703は、X線管702及びチョッパ701と統合されている。モータ組立品は、3つの圧縮軸受704及びベルト駆動予備用のV溝705を更に備える。図7Cは、X線管(源)701がディスクチョッパ702と組合された図であり、モータアセンブリは除かれている。
一実施形態では、X線検査システムは、それぞれ発せられたビームの補正及び監視を行い、検査領域内で発せられた放射線を監視するための放射線モニタとしても機能する基準検出器を更に備える。基準検出器は、一実施形態では、ビームチョッパディスクのようなビーム切断装置の前のビーム経路内に位置する。また、基準検出器は、形成される走査線の始めにて、ビームチョッパディスクのようなビーム切断装置の後に位置していてもよい。その場合、放射線検出器は、ビームの始めの2度を十分に遮断する。
図8Aは、典型的な危険物検出システムにおいて図7A,7B及び7Cに示されるように、チョッパホイールと連動して使用されるX線源を示す。線源及びチョッパホイールは、X線ビームの垂直運動を通して走査線間で略等間隔になるように、傾斜「CAM」機構に連結されている。図8Aに示すように、モジュールは、全てフレーム820上に収容されるX線源組立品810と連結された傾斜CAM機構802を備える。傾斜CAM機構802は、CAMガイド804を更に備える。加えて、CAM機構を駆動するためのモータと線源を昇降するのに使用されるベルトも、フレーム820上に収容されている。一実施形態では、金属製CAMガイドフレーム804に線源組立品を嵌め込んだり、金属製CAMガイドフレーム804から線源組立品を取り外したりできるように、取っ手が線源組立品810に取り付けられている。種々の実施形態において、線源組立品の全ての部品は、所定サイズのナット、ネジ及び留め金を用いて確実に取り付けられる。加えて、更に線源の昇降及びつり合いを可能とするために、昇降ベルト806が設けられる。
図8Bは、傾斜CAM機構802の拡大図であり、線源の垂直運動を可能とするようにCAMアーム842に対して上向きに当接した駆動ホイール840を更に示している。
別の実施形態では、線源のバランスをとるとともに昇降モータにかかる応力を軽減するために、つり合いおもりが用いられる。別の実施形態では、線源のバランスをとるために2つの昇降ベルトを用いてもよく、つり合いおもりの必要がなくなり、結果として線源がずっと軽くなる。別の実施形態では、線源はモータに対して15倍軽いと考えられるため、つり合いおもりを使用しないようにギヤ減速機(減速比15:1)及び大トルクモータを用いてもよい。しかしながら、モータは、この場合、同じ放射線パターンを得るためには15倍高速に回転しなければならない。
再び図8Aを参照して、線源組立品810は、X線源812と、X線源によって生成されたX線816を所望の方向に案内するために金属又はプラスチック等の適切な材料で作られたディスクホイール切断機構814とを備える。一実施形態では、線源組立品810はまた、線源組立品を動作させる高圧電源を備える。実施形態において、X線源812は、ビーム切断機構814とともに、走査線を生成するために線源回転又はビーム走査によって検査中の対象者へ向けられる細型のX線ペンシルビームを生成する。一実施形態では、ディスクホイール切断機構814は、任意で、回転するチョッパホイールが発生する熱を消散させる冷却プレートと連結されてもよい。図8Cは、図8Aに示すモジュールの別の図を示しており、線源を回転させる回転台850と、対応する電源とを更に示す。
放射線源は典型的に非常に重いことを当業者は理解しているだろう。X線源の重量に対応するために上述したチョッパホイールの構成はかなり重くする必要があり、従って、システム全体の重量の一因と成る。よって、別の実施形態では、本発明の検査システムは、X線ビーム走査器用の螺旋状開口シャッタを提供するために設計され、軽量且つ展開が容易なスピンロールチョッパを装備している。加えて、スピンロールチョッパを使用することにより、線源の回転が不要となり、それどころか、ビームは−45度から+45までを走査する。
一実施形態では、スピンロールチョッパは、ビームチョッパ装置の物理的特性又は幾何学的配置を変更することによって、速度及びビームスポット寸法の変更が可能である。加えて、スピンロールチョッパは、対象に対して一様な照明が可能となるように一定のサイズ及び速度を有する垂直運動を行うビームスポットを提供し、動作中、より広い視野を生成する。
図9Aは、本発明の種々の実施形態で使用されるスピンロールチョッパの一実施形態による典型的な設計を示す。一実施形態では、ビームチョッパ902は、螺旋状チョッパスリット904を有する中空円筒の形に製造される。円筒形状によってビームチョッパ902はZ軸回りに且つ螺旋状開口704とともに回転することが可能となり、スピン回転運動を生ずる。
よって、本発明のスピンロールチョッパを用いるX線ビーム走査器は、少なくとも2つの螺旋状スリット904が機械加工された中空円筒902を回転することによって、ビーム切断を行い、これによって、一定及び可変双方のリニア走査ビーム速度及び走査ビームスポット寸法でのX線ビーム走査が可能となる。スピンロールチョッパは、螺旋状開口の幾何学的配置を操作することによって、一定及び可変双方のリニア走査ビーム速度を可能とする。一実施形態では、スピンロールチョッパの長手方向に沿って螺旋状開口のピッチ及びロールを操作することによって、速度を変更したり一定に保持したりする。よって、一定速度にすることもできるし、より高い解像度が要求される領域に向かって走査速度を落とすこともできる。
スピンロールチョッパはまた、螺旋状開口の幾何学的配置を操作することによってビームスポット寸法を可変及び一定とし、結果として生じるビーム出力を変更することも可能である。一実施形態では、ビームスポット寸法を変更するために開口の実際の幅を操作することが可能である。一実施形態では、線源の中心からの開口の距離が異なるのを補正して、走査線に沿って一様なビームスポット出射が得られるように、スピンロールチョッパ円筒の長手方向に沿って螺旋状開口の幅を変える。よって、一実施形態では、開口が線源から離れるほど、ビームスポット寸法を小さくするために螺旋状開口の幅を狭くする。一実施形態では、開口が線源に近いほど、ビームスポット寸法を大きくするために螺旋状開口の幅を広くする。
身体走査システムで使用される場合、高い精密さ及び解像度を必要とする身体領域(髪、足等)に対してはビーム走査出力を高くし、より放射線に敏感な身体領域(中央部等)に対しては出力が低くなるように、ピッチ及びロールと螺旋状開口の幅とを変化させることが可能である。
螺旋状スリット904はまた、X線ビームの出射が2つのスリットの二重コリメーションによって制限されないようにする。以下により詳細に説明するように、二重コリメーションとは、任意の時点でX線ビームが2つの螺旋状スリットを通過しようとする概念を指す。生成されたX線ビームの軌道930を図9Aに示し、以下に図9Cを参照しながらより詳細に説明する。
本発明の実施形態では、スピンロールチョッパの螺旋状スリットを通して、60度から90度にわたる範囲の複数の視角を得ることができる。一実施形態では、走査角は、スピンロールチョッパと線源及び対象との間の距離の関数である。加えて、スピンロールチョッパの全高及び幅が視角に影響する。スピンロールが線源の近くに置かれていればいるほど、スピンロールチョッパを小さくする必要があり、同様に、スピンロールチョッパが線源から遠くに置かれていればいるほど、スピンロールチョッパを大きくする必要がある。
図9Bは、図9Aを参照して説明されるスピンロールチョッパを用いるビーム切断機構を示す。図9Bに示すように、円筒状スピンロールチョッパ952は、放射線源954の前に設置される。一実施形態では、放射線源954はX線管を備える。一実施形態では、電磁モータのような適切なモータ958を備えることによって、チョッパ952の回転が容易となる。別の実施形態では、以下により詳細に説明するように、本発明のスピンロールチョッパの回転運動を容易にするために磁気軸受が用いられる。スピンロールチョッパシステムの回転速度又は回転数(RPM)は、走査速度を最適化するように動的に制御される。一実施形態では、スピンロールチョッパシステムは、最大80000RPMの速度を得ることが可能である。
一実施形態では、線源から扇形の放射線ビームのみが生成されるように、放射線源954に放射線遮蔽が設けられる。扇形の放射線ビームはX線を発し、その後、アクティブシャッタとして機能するスピンロールチョッパを通過する。よって、スピンロールチョッパひいては螺旋状開口が回転している時、小さな開口しかなく、これによって飛び動くスポットビームが得られる。
図9Bはまた、スピンロールチョッパとともに線源上に重ねられたディスクチョッパホイール760を示す。図9Bから分かるように、チョッパホイール960は、スピンロールチョッパ952よりも実質的に大きい。
本発明の実施形態によれば、ビームの中心からの或る距離において、(スピンロールチョッパの)螺旋状スリットは他よりも幅広いように保たれる。図9Cは、一実施形態による単一の線源を用いたビームの軌道970を数学的に表現したものである。スピンロール円筒の螺旋状切れ目の寸法を得るために、この軌道の1つの寸法が取り除かれている。より具体的には、ビームが進む距離がより大きいことから、スリットは頂部775においてより狭くなっている。なお、X線ビームが任意の開口を通過して進むとき、ビームはコリメートされる。ビームが遠くまで進めば進むほど、ビームの端において生じる「スポット」(扇形ビーム)は広くなる。頂部975においてスリットを狭く形成することによって、このような大きな距離や幅広いビームが補償される。加えて、点980のような目標への距離が短い位置では、スリットは幅広く形成される。また、スリットの大きさを調整することによって、一直線に出射されるビームの密度を調整できることを当業者は理解するだろう。
「歩行通過人員検査システム」という名称で2010年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/313,772号及びその対応する子出願を、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
本発明のシステムは、対象からのビーム切断機構の距離が最小走査高さと直接に相関するように設計されている。これによって線源から対象への距離をより長くして、それによって対象への線量率に対して被写界深度を延ばすことが可能となる。よって、本技術分野で知られている他のシステムと比較して、本発明のシステムでは、所与の撮像深度に対して要求される放射線量が小さい。
本検査システムは、衣服を脱ぐことなく、対象者上(衣服の中又は衣服の下を含む)の金属及び非金属物体(爆発物及び非金属武器を含む)の双方を撮像可能であり、また、個人的な身体の特徴を隠しつつ身体の輪郭のみを表示するとともに有機及び無機物質の双方を含む危険物又は違法物を目立たせるように生成された画像を処理することによってプライバシーに配慮した画像を生成することが可能であることが理解されるだろう。本検査システムは、プライバシーに配慮した画像のみが操作者に利用可能となるように構成することが可能である。代替的に、本システムは、プライバシーに配慮した画像がデフォルトの画像であるが、身体の輪郭及び危険物又は違法物のみを表示する処理の前に生成された生画像も操作者が利用可能であるように構成してもよい。
加えて、本実施の形態によるシステムは、a)各走査中、システム安全及び放射線レベルを継続的に監視する内部安全監視回路を備え、b)検査中の対象者に対して一回の走査あたりの電離放射線量を5マイクロレム以下とし、c)対象者の一方の側部を8秒以下で走査し、d)長さ(走査中の対象者に面する長さ寸法)は125cm以下であり、e)幅は100cm以下であり、f)高さは205cm以下であり、g)検査中の対象者のプライバシーに役立ち背景からの干渉を防止するための任意の壁を有し、その壁は、身体の側縁上の無機物体を画像中でより目立たせることによってシステムの検出能力を向上させ、壁を使用しない場合の4回の走査に対して2回の走査で体全体をカバーすることが可能となり、h)遠隔の調査者と現場の操作者との通信を促進するとともに、棒人間(stick man)ではなく実際の身体の画像輪郭、又は探索位置を強調した単純化した即ち「棒人間」画像を伝達するための任意の通信モニタを有し、画像は、棒人間の身長に対して対象者の異なる身長を調整するように「標準化され(calibrated)」、i)検出器の壁から対象者の鼻まで計測して10インチ以下の距離に立つ6フィートの対象者を走査可能であり、j)走査システムから遠隔の場所に配置された作業机と通信を行うことが可能であり、k)遠隔の作業机から走査を開始することが可能であり、l)次の対象者に移る前に完了しなければならない一人あたりの所定回数の走査を設定することができ、m)次の対象者に移る前に、操作者に利用可能なオプションとして追加の走査を行うことができ、n)たとえ対象者に複数回の走査が必要であっても、操作者が各走査を独立に合格させたりクリアしたりするように強いるように構成可能であり、o)現場のシステム上で遠隔の操作者が遠隔から見ることのできる視覚ランプ表示(即ち「不合格」は赤ランプで「合格」は緑ランプ)によって遠隔の操作者へ捜査結果(合格又は不合格)を伝達し、p)どの期間にどの操作者がシステムにログインしていたか、その期間に操作者によって何人の人が走査されたか、一日の各時間で合計何人の人が走査されたか、また、任意の所定期間(時間、日、又は月など)における走査数及び走査された人数を記録可能であり、q)少なくとも100研修用画像の画像ライブラリを有する研修用シミュレータとしてのオプションを備え、r)高さが6フィート8インチ又は6フィート6インチ以下、幅が45インチ又は41インチ以下の静止物体を走査可能であり、s)20秒、好ましくは10秒以下で走査を行うことができる。米国特許第7,110,493号を参照することにより本明細書に援用する。
本発明で用いられる画像解析アルゴリズムはまた、画像を生成するのに概して1秒もかからないため、迅速な検査を促進する。本発明の検出システムの画像処理ソフトウェアは、別々の前面及び後面画像を組み合わせて完全な画像を生成したり、危険物を判断するのに画像解析をする等、画像を再構成するために適切なアルゴリズムを利用する。一実施形態では、分割アルゴリズムは、危険物を見分けるために使用される。
米国特許第7796733号公報は、発明の名称が「プライバシーの向上した個人スクリーニングシステム」であり、本発明の出願人に譲渡されており、全体の記載が本件に適用される。更に米国出願番号第12/849,987号は、その名称が「プライバシーの向上した個人スクリーニングシステム」であり、本発明の出願人に譲渡されており、全体の記載が本件に適用される。米国出願番号第12/142,978号は、その名称が「ある方向を向いた人スクリーニングのためのシステム及び方法の改良」であり、本発明の出願人に譲渡されており、全体の記載が本件に適用される。
上述したように、図1を参照すると、本発明の設計は、直接後方散乱経路により多くの検出器パネルを許容することによって画質に貢献する。別の実施形態では、検出視野(detection field)の領域と利用可能な検出器の数を増やすという方法を用いることによって、更に画質が向上する。この新規な方法について、図10及び11を参照して説明する。図10は、単一の線源1001での垂直走査を示す側面図である。この構成では、単一の線源1001を用いて走査可能な対象者1003の高さ1002は、視幅(view width)1004又は線源の照射幅に制限される。
この制限を克服するため、本発明の一実施形態では、図11に示す新規な構成を採用する。図11は、典型的な走査構成の上面図を示す。図11に示すように、単軸走査線源組立品1101は、システムの前面パネルにある回動中心1103を中心として、点1102aから点1102bまで揺動する。図11から分かるように、1104aは線源1101が不変である場合に対象者1106に対して利用可能な視幅であり、一方、1104bは線源が揺動する場合に利用可能な視幅である。よって、所与の線源に対する視幅は、線源が揺動すると拡大する。この場合、多数の検出器1105をシステムに追加することによって、検出領域を大きくすることができる。更に、前面パネルに不変の方形開口が設けられており、方形開口は、少なくとも1つの軸上に焦点を非常に小さく保つ開口としても機能する。更に、図11に示す任意の揺動線源では、対象者が動いている(線源は揺動していない)場合又は対象者が静止している(線源は揺動している)場合に、対象の走査を行うのに同じシステムを用いることができる。静止対象では、対象が動いている場合よりも画質が名目上は良い。動く対象の一部(例えば脚や腕)における差速によって歪みが生じるためである。よって、ある動作状況下では、もし最初の走査で(対象が動いているとき)異常物体が見つかった場合は、同じシステムでより詳細な走査(対象が静止)を行うこともできる。システムの選択は走査の要件に依存し、危険物の検出と高い処理人数とのトレードオフである。
上述したように、ある実施の形態では、本発明の検出システムは通り抜け通路型の検出システムとして実現される。歩行通過システムの新規な設計によって、武器及び危険物が金属、高Z又は低Z物質から構成されるか否かにかかわらず、それらを検出するために低レベルの放射線量を用いることが可能となる。放射線量は、20マイクロレム未満、好ましくは10マイクロレム未満、より好ましくは5マイクロレム未満、そして更に好ましくは1マイクロレム未満の範囲内である。この門型構成では、各被験者は単に門を歩いて通過すればよいため、従来のシステムと比べて高い処理人数に対応可能である。更に、対象者は、走査器システム操作者に命令されて止まったり体の向きを変えたりする必要がない。加えて、対象が歩いて通過するそのような門型構成をその比較的狭い領域で用いる際、金属検出器、麻薬・爆発物嗅覚性探知機、及びビデオカメラを含む他の歩行通過装置と組み合わせることがより容易となる。
空港や鉄道の駅、スタジアムやショッピングモールなど開放され混雑した場所で客の検査に使用される他にも、本発明のシステムの用途は、港、国境、税関など通過地点における車両及びコンテナの中身を検査することにも拡大されてよい。一実施形態では、本検出システムは、「ドライブスルー」システムとして実施され、走査される貨物車両を運転して通過することができ、それによって第二の運動軸が提供される。本発明の検出システムは、医療目的にも使用することができる。
上記の例は、本発明のシステムの多くの応用例を例示するものに過ぎない。本明細書では、本発明の幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の多くの具体的な形式で具体化されうることが理解されるだろう。よって、本例及び実施形態は例示的なものであって限定するものではないと考えなければならない。
Claims (23)
- 検査システムを製造する方法であって、受け取り工程と、第1取付け工程と、第2取付け工程とを有し、
該受取り工程は少なくとも1つの容器を受取り、該少なくとも1つの容器は第1検出システムと、第2検出システムと、X線源とを有し、該第1検出システムは人から散乱した放射線を検出するように構成されまた第1筐体内に収容され、該第2検出システムは人から散乱した放射線を検出するように構成されまた第2筐体内に収容され、該X線源は該第1検出システムと該第2検出システムとの間に位置しビームスポットパターンを生成するように構成されまた角付き左側部と角付き右側部を有する第3筐体内に収容され、
該第1取付け工程では、該第1筐体を該第3筐体の該角付き左側部に当接させて該第1筐体を該第3筐体に取付け、
該第2取付け工程では、該第2筐体を該第3筐体の該角付き右側部に当接させて該第2筐体を該第3筐体に取付けることを特徴とする方法。 - 該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は互いに物理的に分離しており、別個独立であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は、それぞれの重量が88ポンド未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は、それぞれフレームに対して着脱可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 検査システムの複数の要素を含むキットであって、
第1検出システムと、第2検出システムと、放射線源アセンブリと、フレームと、信号処理システムとを備え、
該第1検出システムは、人から散乱した放射線を検出するように構成され、また第1筐体内に収容され、
該第2検出システムは、人から散乱した放射線を検出するように構成され、また第2筐体内に収容され、
該X線源アセンブリは、放射線源と、ビーム生成装置と、該放射線源都外ビーム生成装置とを駆動するモータとを有し、また第3筐体内に収容され、該第3筐体は、該第1筐体と該第2筐体との間に位置するように構成され、
該信号処理システムは第4筐体内に収容され、
該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体、該フレーム、該第4筐体は、互いに物理的に分離しており、それぞれの重量が100ポンド未満であることを特徴とするキッド。 - 該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体、該フレーム、該第4筐体は、それぞれの重量が88ポンド以下であることを特徴とする請求項5記載のキッド。
- 該第1筐体は、第1側部と、第2側部と、第1基板と、第2基板と、少なくとも1つの光検出器とを有し、
該第1側部は、内方面と人に面する外方面とを備えた平坦面により規定され、人から散乱した放射線を受け入れるように構成され、
該第2側部は、該第1側部と鋭角的な関係にあり、該第1の側部を通過した放射線を受け入れるように構成された内側面を備えた平坦面により規定され、また該第1側部を通過した後の放射線を受け取るように構成され、
該第1基板は該第1側部の該内方面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、
該第2基板は、該第2側部の該内側面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、
該少なくとも一つの光検出器は、光感応領域と光不感応領域を有し、該光感応領域は、該第1基板と該第2基板から発せられた光を受け入れる位置にあることを特徴とする請求項6に記載のキッド。 - 第第1筐体は複数の光電子増倍管を有することを特徴とする請求項7に記載のキッド。
- 該第1筐体は更にアナログデジタルコンバータを有し、該複数の光電子増倍管からのパルス電流出力をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項8に記載のキッド。
- 該第1筐体は更に該複数の光電子増倍管に電力を供給するための電力供給源を有することを特徴とする請求項9に記載のキッド。
- 該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体は、該フレームに対して着脱可能に接続されるように構成され、該第4筐体は該フレームには接続されないことを特徴とする請求項5に記載のキッド。
- 該第4筐体は該フレームから離間していることを特徴とする請求項11に記載のキッド。
- 該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体のそれぞれは、単一の処理システムに有線接続されるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のキッド。
- 検査システムを製造する方法であって、
第1筐体を搬送する工程と、第2筐体を搬送する工程と、第3筐体を搬送する工程と、ベースを搬送する工程と、取付け工程と、第1の接続工程と、第2の接続工程と、設置工程とを有し、
該第1筐体を搬送する工程では、該第1筐体を検査地点搬送し、該第1筐体は人から散乱された放射線を検出するように構成された第1検出システムを有し、
該第2筐体を搬送する工程では、該第2筐体を検査地点まで搬送し、該第2筐体は人から散乱された放射線を検出するように構成された第2検出システムを有し、
該第3筐体を搬送する工程では、該第3筐体を検査地点まで搬送し、該第3筐体はX線源を有するX線源アセンブリと、ビーム生成装置と、モータと、昇降機構とを有し、
該ベースを搬送する工程では、該ベースを検査地点まで搬送し、
該取付け工程では、該第1筐体と該第2筐体と該第3筐体とを該ベースに取付け、
該第1の接続工程では、該第1検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを処理システムに接続し、
該第2の接続工程では、該第2検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを該処理システムに接続し、
該設置工程では、該X線源アセンブリを該信号処理システムに対して電気通信するように設置することを特徴とする方法。 - 該第1筐体、該第2筐体、該第3筐体はそれぞれ重量が88ポンド未満であることを特徴賭する請求項14記載の方法。
- 該第1筐体は、第1側部と、第2側部と、第1基板と、第2基板と、複数の光電子増倍管とを有し、
該第1側部は、内方面と人に面する外方面とを備えた平坦面により規定され、人から散乱した放射線を受け入れるように構成され、
該第2側部は、該第1側部と鋭角的な関係にあり、該第1の側部を通過した放射線を受け入れるように構成された内側面を備えた平坦面により規定され、また該第1側部を通過した後の放射線を受け取るように構成され、
該第1基板は該第1側部の該内方面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、
該第2基板は、該第2側部の該内側面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、
該複数の光電子増倍管は、該第1基板と該第2基板から発せられた光を受け入れる位置にあることを特徴とする請求項14に記載の方法。 - 該第1筐体は更にアナログデジタルコンバータを有し、該複数の光電子増倍管からのパルス電流出力をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項16に記載の方法。
- 該第1筐体は更に該複数の光電子増倍管に電力を供給するための電力供給源を有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
- 該第2筐体は、第1側部と、第2側部と、第1基板と、第2基板と、複数の光電子増倍管とを有し、
該第1側部は、内方面と人に面する外方面とを備えた平坦面により規定され、人から散乱した放射線を受け入れるように構成され、
該第2側部は、該第1側部と鋭角的な関係にあり、該第1の側部を通過した放射線を受け入れるように構成された内側面を備えた平坦面により規定され、また該第1側部を通過した後の放射線を受け取るように構成され、
該第1基板は該第1側部の該内方面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、
該第2基板は、該第2側部の該内側面上に位置し、該放射線を受け入れて光に変換するための活性領域を更に有しており、
該複数の光電子増倍管は、該第1基板と該第2基板から発せられた光を受け入れる位置にあることを特徴とする請求項18に記載の方法。 - 該第2筐体は更にアナログデジタルコンバータを有し、該複数の光電子増倍管からのパルス電流出力をデジタル信号に変換することを特徴とする請求項19に記載の方法。
- 該第2筐体は更に該複数の光電子増倍管に電力を供給するための電力供給源を有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
- 第4筐体を搬送する工程と、第5筐体を搬送する工程と、第6筐体を搬送する工程と、第2ベースを搬送する工程と、取付け工程と、第1接続工程と、第2接続工程と、設置工程とを更に備え、
該第4筐体を搬送する工程では、該第4筐体を検査地点に搬送し、該第4筐体は、人から散乱する放射線を検出するように構成された第3検出システムを有し、
該第5筐体を搬送する工程では、該第5筐体を検査地点に搬送し、該第5筐体は、人から散乱する放射線を検出するように構成された第4検出システムを有し、
該第6筐体を搬送する工程では、該第6筐体を検査地点に搬送し、該第6筐体は、X線源を有する第2X線源アセンブリと、ビーム生成装置と、モータ、と昇降機構とを有し、
該第2ベースを搬送する工程では、該第2ベースを検査地点に搬送し、
該取付け工程では、該第4筐体と該第5筐体と該第6筐体とを該第2ベースに取付け、
該第1接続工程では、該第3検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを該処理システムに接続し、
該第2接続工程では、該第4検出システムから出力されたデジタル信号を伝送するワイヤを該処理システムに接続し、
該設置工程では、該第2X線源アセンブリを該信号処理システムに対して電気通信するように設置することを特徴とする請求項14に記載の方法。 - 該第1検出システムと該X線源アセンブリと該第2検出システムとが、
該第3検出システムと該第2X線源アセンブリと該第4検出システムとに光学的に配列整合させることを特徴とする請求項22に記載の方法。
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