JP2013522452A - ポリアリーレンスルフィド組成物の熱酸化安定化 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド組成物の熱酸化安定化 Download PDF

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Abstract

ポリアリーレンスルフィドと、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、Sn(OCR)(OCR”)、およびその混合物からなる群から選択される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む少なくとも1つのスズ添加剤と、を含む組成物であって、そのカルボキシレート部分OCRおよびOCR’が独立して、分枝状カルボキシレートアニオンを表し、かつカルボキシレート部分OCR”が、直鎖状カルボキシレートアニオンを表す、新規な組成物が提供される。その新規な組成物を含む物品も提供される。さらに、ポリアリーレンスルフィドの熱安定性を向上させる方法、および開示される分枝状カルボン酸スズ(II)を使用することによってポリアリーレンスルフィドの熱酸化安定性を向上させる方法が提供される。ポリアリーレンスルフィド組成物は、優れた耐熱性、耐薬品性、および電気絶縁性が必要とされる様々な用途において有用である。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2010年3月22日出願の米国仮特許出願第61/316,048号明細書の優先権の利益を主張する。
本発明は、ポリアリーレンスルフィド組成物およびそれを安定化する方法に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂からの繊維、フィルム、不織布および成形品の製造などの用途では、ポリマー樹脂の分子量および粘度がポリマーの加工中、実質的に変化しないことが望ましい。ポリマー加工中の物理的性質の変化に対して、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などのポリアリーレンスルフィド組成物を安定化するために、様々な手順が用いられている。
例えば、特許文献1には、加熱時の樹脂の硬化および架橋を遅らせる、少なくとも1種類の有機スズ化合物の安定化有効量での添加によって、アリーレンスルフィド樹脂の熱安定性が改善されることが開示されている。硬化遅延剤および熱安定剤として使用される多くのジアルキルスズジカルボキシレート化合物、ならびにジ−n−ブチルスズ−S,S’−ビス(イソオクチルチオアセテート)およびジ−n−ブチルスズ−S,S’−ビス(イソオクチル−3−チオプロピオネートが開示されている。
特許文献2には、構造[CH(CHCOO−]−M(Mは第IIA族または第IIB族金属であり、nは8〜18の整数である)によって表される脂肪酸の第IIA族または第IIB族金属を含む硬化遅延剤の添加によって、アリーレンスルフィド樹脂の熱安定性が改善されることが開示されている。ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸カルシウムの有効性が開示されている。
特許文献3は、化学的に安定化されたポリ−p−フェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれから製造されたフィルムに関する。この参考文献には、PPS樹脂組成物は、亜鉛、鉛、マグネシウム、マンガン、バリウム、およびスズからなる群から選択される少なくとも1つの金属成分を0.05〜40重量%の総量で含有すべきであることが開示されている。これらの金属成分は、あらゆる形態で含有されることができる。
向上した熱安定性および熱酸化安定性を示す新規なポリアリーレンスルフィド組成物が継続して求められており、ポリアリーレンスルフィド組成物、特にポリフェニレンスルフィド組成物に向上した熱安定性および熱酸化安定性を提供する方法も同様に求められている。
米国特許第4,411,853号明細書 米国特許第4,418,029号明細書 米国特許第4,426,479号明細書
本発明は、ポリアリーレンスルフィドと、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、Sn(OCR)(OCR”)、およびその混合物からなる群から選択される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む少なくとも1種類のスズ添加剤と、を合わせることを含む、ポリアリーレンスルフィドの熱酸化安定性を向上させる方法であって、そのカルボキシレート部位OCRおよびOCR’が独立して、分枝状カルボキシレートアニオンを表し、カルボキシレート部位OCR”が直鎖状カルボキシレートアニオンを表す、方法を提供する。
本発明は、分枝状カルボン酸スズ(II)を含む少なくとも1種類のスズ添加剤を含むポリアリーレンスルフィド組成物に関する。そのスズ添加剤は、ポリアリーレンスルフィド組成物に向上した安定性を付与する。さらに、スズ添加剤は、ポリアリーレン組成物の熱酸化安定性を向上させる。
対流オーブン内にて空気中で繊維試料を老化させるために使用されるフレーム上の繊維ループの透視図を示す。
本発明は、ポリアリーレンスルフィドと、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、Sn(OCR)(OCR”)、およびその混合物からなる群から選択される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む少なくとも1種類のスズ添加剤と、を含む組成物であって、そのカルボキシレート部位OCRおよびOCR’が独立して、分枝状カルボキシレートアニオンを表し、カルボキシレート部位OCR”が直鎖状カルボキシレートアニオンを表す、組成物に関する。本発明はさらに、新規な組成物を含む物品に関する。本発明は、開示のスズ添加剤を使用することによってポリアリーレンスルフィドの熱安定性を向上させる方法にも関する。さらに、本発明は、開示のスズ添加剤を使用することによってポリアリーレンスルフィドの熱酸化安定性を向上させる方法に関する。ポリアリーレンスルフィド組成物は、優れた耐熱性、耐薬品性、および電気絶縁性が必要とされる様々な用途で有用である。
本発明の方法における工程の存在の提示または記述に関して不定冠詞「a」または「an」が使用される場合、提示または記述がその逆を示していない限り、かかる不定冠詞が方法における工程の存在を数字の1に限定しないことを理解されたい。
数値の範囲が本明細書に記載されている場合、別段の指定がない限り、その範囲はその終点、およびその範囲内のすべての整数および少数を包含することが意図される。本発明の範囲は、ある範囲を定義する場合に記載される特定の値に制限されることを意図しない。
以下の定義が本明細書で用いられ、特許請求の範囲および明細書の解釈のために参照される。
「PAS」という用語はポリアリーレンスルフィドを意味する。
「PPS」という用語はポリフェニレンスルフィドを意味する。
「天然の」という用語は、いずれの添加剤も含有しないポリマーを意味する。
「第2級炭素原子」という用語は、単結合で他の2つの炭素原子に結合されている炭素原子を意味する。
「第3級炭素原子」という用語は、単結合で他の3つの炭素原子に結合されている炭素原子を意味する。
本明細書で使用される「熱安定性」という用語は、酸素の非存在下で高温によって誘発されるPASポリマーの重量平均分子量の変化の程度を意味する。所定のPASポリマーの熱安定性が向上する場合には、ポリマーの重量平均分子量が時間の経過にしたがって変化する程度が減少する。一般に、酸素の非存在下では、分子量の変化は主に、一般にPASポリマーの分子量を減少する、鎖の切断によるものであるとみなされることが多い。
本明細書で使用される「熱酸化安定性」という用語は、酸素の存在下で高温によって誘発されるPASポリマーの重量平均分子量の変化の程度を意味する。所定のPASポリマーの熱酸化安定性が向上する場合には、ポリマーの重量平均分子量が時間の経過にしたがって変化する程度が減少する。一般に、酸素の存在下では、分子量の変化は、ポリマーの酸化と鎖の切断の組み合わせによるものであり得る。ポリマーの酸化は一般に、分子量を増加する架橋を生じ、鎖の切断は一般に分子量を低減し、酸素の存在下での高温でのポリマーの分子量の変化は、解釈するのが難しい。
「℃」という用語は、摂氏温度を意味する。
「kg」という用語は、キログラムを意味する。
「g」という用語は、グラムを意味する。
「mg」という用語は、ミリグラムを意味する。
「mol」という用語は、モルを意味する。
「s」という用語は、秒を意味する。
「min」という用語は、分を意味する。
「hr」という用語は、時間を意味する。
「rpm」という用語は、毎分回転数を意味する。
「rad」という用語は、ラジアンを意味する。
「Pa」という用語は、パスカルを意味する。
「psi」という用語は、ポンド/平方インチを意味する。
「mL」という用語は、ミリリットルを意味する。
「ft」という用語は、フィートを意味する。
本明細で使用される「重量パーセント」という用語は、別段の指定がない限り、組成物の全重量に対する組成物の成分の重量を意味する。重量パーセントは、「重量%」と省略される。
ポリアリーレンスルフィド(PAS)としては、アリーレンスルフィド単位を含む、直鎖状、分枝状または架橋ポリマーが挙げられる。ポリアリーレンスルフィドポリマーおよびその合成は当技術分野で公知であり、かかるポリマーは市販されている。
本発明において有用な例示的なポリアリーレンスルフィドとしては、式−[(Ar−X]−[(Ar−Y]−(Ar−Z]−[(Ar−W]−(式中、Ar、Ar、Ar、およびArは、同一または異なり、かつ炭素原子6〜18個のアリーレン単位であり;W、X、Y、およびZは同一または異なり、かつ−SO−、−S−、−SO−、−CO−、−O−、−COO−または炭素原子1〜6個のアルキレンまたはアルキリデン基から選択される二価結合性基であり、その結合性基の少なくとも1つが−S−であり;その総和が2以上であるという条件で、n、m、i、j、k、l、o、およびpが独立して、ゼロまたは1、2、3、または4である)の反復単位を含有するポリアリーレンチオエーテルが挙げられる。アリーレン単位Ar、Ar、Ar、およびArは、選択的に置換されてもよいし、または置換されなくてもよい。有利なアリーレンシステムは、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセンおよびフェナントレンである。ポリアリーレンスルフィドは一般に、アリーレンスルフィド(−S−)単位を少なくとも30モル%、特に少なくとも50モル%、さらに詳しくは少なくとも70モル%含有する。好ましくは、ポリアリーレンスルフィドポリマーは、2つの芳香族環に直接結合するスルフィド結合を少なくとも85モル%含有する。有利には、ポリアリーレンスルフィドポリマーが、フェニレンスルフィド構造−(C−S)−(nは1以上の整数である)をその構成要素として含有すると本明細書で定義されるポリフェニレンスルフィド(PPS)である。
主要構成要素として1種類のアリーレン基を有するポリアリーレンスルフィドポリマーが好ましくは使用される。しかしながら、加工性および耐熱性を考慮して、2種類以上のアリーレン基を含有するコポリマーも使用することができる。優れた加工性を有し、かつ工業的に容易に入手されることから、主要構成要素としてp−フェニレンスルフィド反復単位を含むPPS樹脂が特に好ましい。さらに、ポリアリーレンケトンスルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフィド、ポリアリーレンスルフィドスルホン等も使用することができる。
可能性のあるコポリマーの具体的な例としては、p−フェニレンスルフィド反復単位およびm−フェニレンスルフィド反復単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィド反復単位およびアリーレンケトンスルフィド反復単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィド反復単位およびアリーレンケトンケトンスルフィド反復単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、ならびにフェニレンスルフィド反復単位およびアリーレンスルホンスルフィド反復単位を有するランダムまたはブロックコポリマーが挙げられる。
ポリアリーレンスルフィドは任意選択的に、その望ましい特性に悪影響を及ぼさない他の成分を含んでもよい。更なる成分として使用することができる例示的な材料としては、限定されないが、抗菌剤、顔料、酸化防止剤、界面活性剤、ワックス、流動促進剤、微粒子、およびポリマーの加工性を高めるために添加される他の材料が挙げられる。従来の量でこれらのおよび他の添加剤を使用することができる。
上記のように、PPSは、ポリアリーレンスルフィドの一例である。PPSは、その高い耐薬品性、優れた機械的性質、および良好な熱的性質のために、フィルム、繊維、射出成形および複合材用途に広く使用されるエンジニアリング熱可塑性ポリマーである。しかしながら、空気の存在下および高温では、PPSの熱安定性および熱酸化安定性はかなり低下する。これらの条件下では、激しい劣化が起こり、PPS材料の脆化および強度の激しい低下が引き起こされる。高温および空気の存在下でのPPSの向上した熱安定性および酸化安定性が望まれる。
ポリアリーレンスルフィド組成物は、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、Sn(OCR)(OCR”)、およびその混合物からなる群から選択される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む少なくとも1種類の添加剤を含み、そのカルボキシレート部位OCRおよびOCR’は独立して、分枝状カルボキシレートアニオンを表し、カルボキシレート部位O2CR”は直鎖状カルボキシレートアニオンを表す。一実施形態において、分枝状カルボン酸スズ(II)は、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、またはその混合物を含む。一実施形態において、分枝状カルボン酸スズ(II)は、Sn(OCR)を含む。一実施形態において、分枝状カルボン酸スズ(II)は、Sn(OCR)(OCR’)を含む。一実施形態において、分枝状カルボン酸スズ(II)はSn(OCR)(OCR”)を含む。
任意選択的に、スズ添加剤はさらに、直鎖状カルボン酸スズ(II)Sn(OCR”)を含み得る。一般に、分枝状カルボキシレート部位[OCR+OCR’]の合計が、添加剤に含有されるカルボキシレート部位[OCR+OCR’+OCR”]全体に対して少なくとも約25モル%であるように、分枝状および直鎖状カルボン酸スズ(II)の相対量が選択される。分枝状カルボキシレート部位の合計が、スズ添加剤に含有されるカルボキシレート部位全体に対して少なくとも約33%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約66%、または少なくとも約75%、または少なくとも約90%であり得る。
一実施形態において、ラジカルRとR’のどちらも、炭素原子6〜30個を含み、どちらも少なくとも1つの第2級または第3級炭素を含有する。第2級または第3級炭素(1つまたは複数)は、カルボキシレート部位OCRおよびOCR’におけるいずれかの位置(1つまたは複数)、例えばカルボキシレート炭素に対してα位、カルボキシレート炭素に対してω位、およびいずれかの中間位置(1つまたは複数)に位置し得る。ラジカルRおよびR’は、置換されていなくてもよいし、または不活性基、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシレート基で任意選択的に置換されていてもよい。適切な有機RおよびR’基の例としては、脂肪族、芳香族、脂環式、酸素含有複素環式、窒素含有複素環式、および硫黄含有複素環式ラジカルが挙げられる。複素環式ラジカルは、環構造に炭素および酸素、窒素、または硫黄を含有し得る。
一実施形態において、ラジカルR”は、不活性基、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシレート基で任意選択的に置換されている、炭素原子6〜30個を含む第1級アルキル基である。一実施形態において、ラジカルR”は、炭素原子6〜20個を含む第1級アルキル基である。
一実施形態において、ラジカルRまたはR’は独立して、またはどちらも、式(I)
Figure 2013522452
によって表される構造を有し、
式中、R、R、およびRは独立して:
H;
フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換されている、炭素原子6〜18個を有する第1級、第2級、または第3級アルキル基;
アルキル、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換されている、炭素原子6〜18個を有する芳香族基;および
フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換されている、炭素原子6〜18個を有する脂環式基;であり、
ただし、RおよびRがHであるとき、Rは:
フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換されている、炭素原子6〜18個を有する第2級または第3級アルキル基;
炭素原子6〜18個を有し、かつ炭素原子6〜18個を有する第2級または第3級アルキル基で置換されている芳香族基であって、その芳香族基および/または第2級または第3級アルキル基が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換されている、芳香族基;および
フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換されている、炭素原子6〜18個を有する脂環式基;である。
一実施形態において、ラジカルRまたはR’またはその両方が、式(I)によって表される構造を有し、RはHである。
他の実施形態において、ラジカルRまたはR’またはその両方が、式(II)
Figure 2013522452
によって表される構造を有し、
式中、Rは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、およびヒドロキシル基で任意選択的に置換されている、炭素原子4〜6個を有する第1級、第2級、または第3級アルキル基であり;
は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、およびヒドロキシル基で任意選択的に置換されている、メチル、エチル、n−プロピル、s−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、またはt−ブチル基である。
一実施形態において、ラジカルRおよびR’は同一であり、両方が式(II)(Rはn−ブチルであり、Rはエチルである)によって表される構造を有する。この実施形態では、本明細書でエチルヘキサン酸スズ(II)とも呼ばれる分枝状カルボン酸スズ(II)2−エチルヘキサン酸スズ(II)が説明される。
カルボン酸スズ(II)は、商業的に入手可能であり、あるいはスズ(II)カチオンの適切な供給源と所望のカルボキシレートに相当するカルボン酸から現場で生成することができる。スズ(II)添加剤は、向上した熱酸化安定性および/または熱安定性を付与するのに十分な濃度でポリアリーレンスルフィド中に存在し得る。一実施形態において、スズ(II)添加剤は、ポリアリーレンスルフィドの重量に対して濃度約10重量%以下で存在し得る。例えば、スズ(II)添加剤は、濃度約0.01〜約5重量%、または例えば約0.25〜約2重量%で存在し得る。一般に、スズ(II)添加剤の濃度は、マスターバッチ組成物中でそれより高くてもよく、例えば約5〜約10重量%、またはそれ以上であり得る。スズ(II)添加剤は、固形物、スラリー、または溶液として溶融または固形ポリアリーレンスルフィドに添加され得る。
一実施形態において、ポリアリーレンスルフィド組成物はさらに、少なくとも1種類の亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属[Zn(0)]を含む。有機または無機対イオンがポリアリーレンスルフィド組成物の望ましい特性に悪影響を及ぼさない限り、亜鉛(II)化合物は、有機化合物、例えばステアリン酸亜鉛、または硫酸亜鉛または酸化亜鉛などの無機化合物であることができる。亜鉛(II)化合物は商業的に入手することができ、あるいは現場で生成することができる。亜鉛金属は、亜鉛(II)イオンの供給源として、単独で、または少なくとも1種類の亜鉛(II)化合物と併せて、組成物中で使用され得る。一実施形態において、亜鉛(II)化合物は、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、およびその混合物からなる群から選択される。
亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属は、ポリアリーレンスルフィドの重量に対して、約10重量%以下の濃度にてポリアリーレンスルフィド中に存在し得る。例えば、亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属は、約0.01〜約5重量%、または例えば約0.25〜約2重量%の濃度で存在し得る。一般に、亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属の濃度は、マスターバッチ組成物中でそれより高くてもよく、例えば約5〜約10重量%、またはそれ以上であり得る。その少なくとも1種類の亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属は、固形物、スラリー、または溶液として溶融または固形ポリアリーレンスルフィドに添加され得る。亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属は、スズ(II)添加剤と共に、または別々に添加され得る。
米国特許第3,405,073号明細書および米国特許第3,489,702号明細書は、熱劣化に対するエチレンスルフィドポリマーの耐性の向上に有用な組成物に関する。かかるポリマーは、長鎖における連結されたエチレンスルフィド単位(CHCH−S)(nは、その鎖におけるかかる単位の数を表す)で構成され、したがって、ポリマーエチレンチオエーテルの性質のポリマーである。しかしながら、この参考文献では、適切な機械的強度を欠いていることから、工業用途用のプラスチック材料としてのこれらのポリマーの有用性はひどく制限されていることが言及されている。この参考文献には、スズカルボキシレート、フェノラートまたはアルコラートなど、酸素を介してスズに結合された有機ラジカルを有する有機スズ化合物が、エチレンスルフィドポリマーの熱劣化に対する耐性を高めるために用いられることが開示されている。この参考文献では、有機スズ化合物の有効性は、他の多価金属の化合物または他のスズ化合物によって高められる場合が多いことを言及している。第2の多価金属は、周期表の第II〜VIII族から選択されるいずれかの金属であることができる。ポリアリーレンスルフィドと比較して、エチレンスルフィドポリマーの化学反応性および物理的性質には違いがある。しかしながら、本出願人らは、本明細書に記載の様々な添加剤が、エチレンスルフィドポリマーにおいて効果を有するのと同様にポリアリーレンスルフィドにおいて同じ効果を有することを発見した。
ポリアリーレンスルフィドと、本明細書で上述される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む少なくとも1種類のスズ添加剤と、を含む物品としては、繊維、不織布、フィルム、コーティング、および成形品が挙げられる。かかる繊維または不織布は、焼却炉またはバッグフィルターを有する石炭だきボイラーからの排気ガスの濾過においてと同様に、例えば高温で用いられる濾過媒体において有用であり得る。新規なポリアリーレンスルフィド組成物を含むコーティングは、ワイヤーまたはケーブルに、特に高温、酸素含有環境において使用することができる。
本発明の一実施形態において、ポリアリーレンスルフィドの熱安定性を向上させる方法が提供される。この方法は、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、Sn(OCR)(OCR”)、およびその混合物からなる群から選択される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む十分な量の少なくとも1種類のスズ添加剤と、ポリアリーレンスルフィドとを合わせることを含み、そのカルボキシレート部位OCRおよびOCR’は独立して、分枝状カルボキシレートアニオンを表し、カルボキシレート部位OCR”は、直鎖状カルボキシレートアニオンを表し、かつラジカルR、R’、およびR”は本明細書に上述のとおりである。亜鉛(II)化合物または亜鉛金属と任意選択により組み合わされたスズ添加剤は、ポリアリーレンスルフィド組成物に向上した熱安定性を提供し、それは、酸素の非存在下にて高温で、時間の経過に伴うポリマーの重量平均分子量の変化が、同一時間にわたる、かつ同一温度での本来のPPSの重量平均分子量の変化に対して減少することを意味する。例えば、酸素への曝露が最小限であり、高温での時間も最小限である条件下で通常加工されるポリマー溶融物に関しては、向上した熱安定性が望まれる。
本発明の他の実施形態において、ポリアリーレンスルフィドの熱酸化安定性を向上させる方法が提供される。この方法は、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、Sn(OCR)(OCR”)、およびその混合物からなる群から選択される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む十分な量の少なくとも1種類のスズ添加剤と、ポリアリーレンスルフィドとを合わせることを含み、そのカルボキシレート部位OCRおよびOCR’は独立して、分枝状カルボキシレートアニオンを表し、カルボキシレート部位O2CR”は、直鎖状カルボキシレートアニオンを表し、かつラジカルR、R’、およびR”は本明細書に上述のとおりである。亜鉛(II)化合物または亜鉛金属と任意選択により組み合わされたスズ添加剤は、ポリアリーレンスルフィド組成物に向上した熱酸化安定性を提供し、それは、酸素の存在下にて高温で、時間の経過に伴うポリマーの重量平均分子量の変化が、同一時間にわたる、かつ同一温度での本来のPPSの重量平均分子量の変化に対して減少することを意味する。例えば、高温での酸素への曝露が長時間起こり得る条件下で使用される固形状態のPPSを含む物品に関しては、向上した熱安定性が特に望まれる。かかる物品の例は、PPS繊維で構成され、かつ焼却炉、石炭だきボイラー、および金属融解炉から排出される粉塵を収集するためにバッグフィルターとして使用される不織布である。
本発明は、以下の実施例でさらに定義される。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すと同時に、実例としてのみ示されていることを理解されたい。上記の説明およびこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を理解し、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えて、様々な用途および条件にそれを適応させることができる。
実施例1〜3および比較例A〜Dは、ペレット状のPPS組成物を実証する。実施例4〜6および比較例EおよびFは、繊維状のPPS組成物を実証する。
材料
以下の材料を実施例で使用した。別段の指定がない限り、受け取った状態のまま、すべての市販の材料を使用した。Fortron(登録商標)309ポリフェニレンスルフィドおよびFortron(登録商標)317ポリフェニレンスルフィドは、Ticona(Florence,KY)から入手された。2−エチルヘキサン酸スズ(II)(90%)および酸化亜鉛(99%)は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手された。ステアリン酸スズ(II)(98%)は、Acros Organics(Morris Plains,NJ)から入手された。ステアリン酸亜鉛(99%)は、Honeywell Reidel−de Haen(Seelze,Germany)から入手された。
2−エチルヘキサン酸スズ(II)は、本明細書においてエチルヘキサン酸スズ(II)とも呼ばれる。
それぞれの実施例および比較例に関して、評価すべき組成物の試料を複素粘度測定および分子量測定に別々に使用した。
分析方法
複素粘度測定
窒素下での複素粘度のその場での変化を時間の関数として測定することによって、PPS組成物の熱安定性を評価した。拡張温度セル(ETC)強制対流式オーブンおよび滑らかな表面を有する25mm平行プレートを備えたMalvern応力制御型回転レオメーターを使用して、ASTM D4440に従って300℃で窒素下にて複素粘度を測定した。その中心に熱電対が埋め込まれたナイロン製ディスクを使用して、プレート温度を較正した。Dake実験室用加熱プレスを使用して、真空下にて温度290℃で圧縮成形することによって、実施例および比較例の組成物のペレットから、直径25mm、厚さ1.2mmのディスクを作製した。
複素粘度測定を実施するために、300℃に予熱した平行プレートの間にPPS組成物の成形ディスクを挿入し、強制対流式オーブンのドアを閉め、ギャップを約3200μmに変更し、ディスクが丸まるのを防ぎ、オーブンの温度を再び300℃に平衡化した。次いで、ギャップを3200μmから1050μmへと変更し、オーブンを開け、試料の端を注意深くトリミングし、オーブンを閉め、オーブンの温度を再び300℃に平衡化し、ギャップを1000μmに調整し、測定を開始した。10%のひずみを用いて速度6.283rad/sにて、時間掃引を行った。各回で新たな試料をローディングして、測定を2回繰り返して行い、その平均値を表に示す。
粘度保持率を以下のように計算し、パーセンテージで表した:
粘度保持率(%)=[1−[(粘度(初期)−粘度(最終))/粘度(初期)]]×100
式中、粘度(初期)は、試験開始後180秒で測定された試料の粘度であり、粘度(最終)は、試験開始後3600秒で測定された試料の粘度である。粘度(初期)および粘度(比較)は、同一条件下で測定される。
分子量の測定
窒素下での分子量(Mw)の変化を時間の関数として測定することによっても、PPS組成物の熱安定性を評価した。分子量の変化を評価するために、試料を窒素中で熱処理し、未処理試料と比較した。試料を熱処理するため、17×28mmの穴を含む12インチのアルミニウムブロックを窒素パージされたドライボックス内でIKAホットプレートを使用して、320℃に予熱した。実施例および比較例の組成物のペレット(0.5g)を40mLバイアル(26mm×95mm)に入れ、予熱されたブロックに2時間挿入し、取り出し、室温に冷却した。続いて、液体窒素に浸漬し、続いて液体窒素から取り出した後にハンマーでバイアルを割ることによって、熱処理ポリマーの一体となった塊を各バイアルから取り出した。
Polymer Laboratories Ltd.、現在Varian Incの一部(Church Stretton,UK)から市販の一体型多列検出器SECシステムPL−220TMを使用して、熱処理試料および非熱処理試料の分子量を測定した。インジェクターから、4つのオンライン検出器:1)角度光散乱光度計、2)示差屈折計、3)示差毛管粘度計、および4)蒸発光散乱光度計(ELSD)を通して、ポリマー溶液の経路全体にわたって一定温度を維持した。ELSD検出器のバルブを閉じてシステムを動作させ、その結果、屈折計、粘度計および光散乱光度計からのトレースのみが収集された。3つのクロマトグラフカラム:2つはMix−B PL−Gelカラム、1つはPolymer Labs製の500A PL Gelカラム(粒径10μm)を使用した。移動相は、1−クロロナフタレン(1−CNP)(Acros Organics)で構成され、使用前に0.2ミクロンPTFE膜フィルターを通して濾過された。オーブン温度は210℃に設定した。
一般に、濾過することなく連続的に穏やかに攪拌しながら、250℃にて1−CNPにPPS試料を2時間溶解した(Polymer Laboratories製の自動試料調製システムPL260TM)。続いて、熱い試料溶液を熱い(220℃)4mL注入バルブに移し、その時点でそれを即座にシステムに注入し、溶出した。以下のセットのクロマトグラフ条件を用いた:1−CNP温度:インジェクターにて220℃、カラムおよび検出器にて210℃;流量:1mL/分、試料濃度:3mg/mL、注入容積:0.2mL、実行時間:40分。次いで、Waters Corp.(Milford,MA)から市販のEmpowerTM2.0Chromatography Data Managerで実行される多列検出器SEC法を用いて、PPSの分子量分布(MWD)および平均分子量を計算した。
分子量の保持率を以下のように計算し、パーセンテージとして表した:
Mw保持率(%)=[1−[(Mw(初期)−Mw(最終))/Mw(初期)]]×100
式中、Mw(初期)は、熱安定性試験の開始時の組成物の分子量であり、Mw(最終)は、窒素中320℃で2時間老化させた後の組成物の分子量である。
示差走査熱量測定
空気中での曝露時間の関数としての融点(Tm)の変化を測定することによって、PPS組成物の熱酸化安定性を評価した。一分析方法において、固形PPS組成物を250℃で空気中に10日間曝露した。もう1つの分析方法において、溶融PPS組成物を320℃で空気中に3時間曝露した。それぞれの分析方法において、融点保持を定量化し、ΔTm(℃)として報告した。ΔTm(℃)値が低いほど、熱酸化安定性が高いことを示した。
250℃の方法では、実施例および比較例の組成物試料(1〜5g)を、能動循環を有する250℃に予熱された対流オーブンの中央ラック上の2インチ円形アルミニウム皿に入れた。空気老化して10日後に試料を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)よる評価のために保管した。機械冷却器を備えたTA instruments Q100を使用して、DSCを行った。空気老化したポリマー8〜12mgを標準アルミニウムDSC皿に入れ、その蓋をかしめることによって、試料を調製した。最初にその融点を超えてそれを10℃/分で35℃から320℃に加熱し、次いで10℃/分で320℃から35℃へと冷却する間、試料を再結晶化させることによって、試料の熱履歴を消去するように温度プログラムをデザインした。10℃/分で35℃から320℃に試料を再加熱することによって、空気老化試料の融点が得られ、それを記録し、同一組成の非老化試料の融点と直接比較した。窒素パージ下にて流量50mL/分で温度プログラム全体を行った。TA’s Universal Analysis softwareを使用して、ソフトウェアの線形ピーク積分関数によって、すべての融点を定量化した。
320℃の方法では、実施例および比較例の組成物試料(8〜12mg)を計量し、蓋のない標準アルミニウムDSC皿内に入れた。機械冷却器を備えたTA instruments Q100を使用して、DSCを行った。ポリマーを窒素下で溶融し、その試料を320℃で空気に20分間曝露し、空気曝露試料を窒素下で結晶化し、次いで融点の変化を特定するために試料を再加熱するように、温度プログラムをデザインした。このように、窒素(流量:50mL/分)下にて20℃/分で35℃から320℃へと各試料を加熱し、320℃で等温的に5分間維持し、そのポイントで温度320℃を180分間維持しながら、パージガスを窒素から空気(流量50mL/分)へと切り換えた。続いて、パージガスを空気から窒素(流量:50mL/分)に再び切り換え、試料を10℃/分で320℃から35℃に冷却し、次いで10℃/分で35℃から320℃に再加熱し、空気曝露された材料の融点を測定した。すべての溶融物曲線が二峰性であった。TA’s Universal Analysis softwareを使用して、開始関数のソフトウェアの変曲によって、より低い溶融物の融点を定量化した。
表において、「Ex」は「実施例」を意味し、「Comp Ex」は「比較例」を意味し、「@」は「にて」を意味し、「MW」は「分子量」を意味し、「Tm」は「融点」を意味し、「Δ」は「差」を意味する。
複素粘度および重量平均分子量の値は、平均値+/−不確定性として報告される。標準的規則に従って、不確定性を有効数字1に丸め、不確定性として平均値を小数点以下の同じ桁数に丸めた。表に示される平均値は、最低でも2つの実施から得た平均であり、不確定性は、平均の標準誤差である。重量平均分子量に関しては、不確定性は1000g/モルであり、複素粘度に関しては、不確定性は10Pa.sである。
実施例1
エチルヘキサン酸スズ(II)を含有するPPS
この実施例は、ポリフェニレンスルフィドにおける添加剤としてのエチルヘキサン酸スズ(II)の結果を示す。2−エチルヘキサン酸スズ0.58重量%(0.014モル/kg)を含有するPPS組成物を以下のように調製した。Fortron(登録商標)309PPS(700g)、Fortron(登録商標)317PPS(300g)、およびエチルヘキサン酸スズ(II)(6.48g)をガラス広口瓶内で合わせて、手作業で混合し、Stonewareボトルローラー上に5分間置いた。続いて、Coperion 18mmかみ合い同時回転二軸スクリュー押出機を使用して、得られた混合物を溶融混合した。押出し条件は、滞留時間約1分および単一ストランドでのダイ圧力14〜15psiと共に、最高バレル温度300℃、最高溶融温度310℃、スクリュー回転数300rpmを含んだ。Conairチョッパーでペレット化する前に、6フィートの水道水槽内でストランドを凝固し、ペレット100〜120個/グラムのペレット数を得た。ペレット化組成物896gが得られた。
上述の分析技術を用いて、熱安定性および熱酸化安定性についてペレット化組成物を評価した。その結果を表1、2、3、および4に示す。
実施例2
エチルヘキサン酸スズ(II)と酸化亜鉛を含有するPPS
この実施例は、ポリフェニレンスルフィドにおける添加剤としてのエチルヘキサン酸スズ(II)および酸化亜鉛の結果を示す。エチルヘキサン酸スズ(II)6.48グラム、酸化亜鉛1.30グラムをFortron(登録商標)309PPS700gおよびFortron(登録商標)317PPS300gと合わせたことを除いては、エチルヘキサン酸スズ(II)0.58重量%(0.014モル/kg)および酸化亜鉛0.13重量%(0.016モル/kg)を含有するPPS組成物を実施例1に記載のように調製した。ペレット化組成物866グラムが得られた。
上述の分析技術を用いて、熱安定性および熱酸化安定性についてペレット化組成物を評価した。その結果を表1、2、3、および4に示す。
実施例3
エチルヘキサン酸スズ(II)およびステアリン酸亜鉛を含有するPPS
この実施例は、ポリフェニレンスルフィドにおける添加剤としてのエチルヘキサン酸スズ(II)およびステアリン酸亜鉛の結果を示す。エチルヘキサン酸スズ(II)6.48グラム、ステアリン酸亜鉛10.12グラムをFortron(登録商標)309PPS700gおよびFortron(登録商標)317PPS300gと合わせたことを除いては、エチルヘキサン酸スズ(II)0.58重量%(0.014モル/kg)およびステアリン酸亜鉛1.0重量%(0.016モル/kg)を含有するPPS組成物を実施例1に記載のように調製した。ペレット化組成物866グラムが得られた。
上述の分析技術を用いて、熱安定性および熱酸化安定性についてペレット化組成物を評価した。その結果を表1、2、3、および4に示す。
比較例A
PPS対照(添加剤なし)
この比較例は、本来のPPSと呼ばれる、添加剤を含有しないポリフェニレンスルフィドの結果を示す対照である。Fortron(登録商標)309PPS700gおよびFortron(登録商標)317PPS300gを使用して、実施例1に記載のようにPPS組成物を調製したが、他の化合物は添加しなかった。ペレット化組成物829グラムを得た。
上述の分析技術を用いて、熱安定性および熱酸化安定性についてペレット化組成物を評価した。その結果を表1、2、3、および4に示す。
比較例B
ステアリン酸亜鉛を含有するPPS
この比較例は、ポリフェニレンスルフィドにおける添加剤としてのステアリン酸亜鉛の結果を示す。ステアリン酸亜鉛10.12グラムをFortron(登録商標)309PPS700gおよびFortron(登録商標)317PPS300gと合わせたことを除いては、ステアリン酸亜鉛1.0重量%(0.016モル/kg)を含有するPPS組成物を実施例1に記載のように調製した。ペレット化組成物784グラムが得られた。
上述の分析技術を用いて、熱安定性および熱酸化安定性についてペレット化組成物を評価した。その結果を表1、2、3、および4に示す。
比較例C
ステアリン酸スズを含有するPPS
この比較例は、ポリフェニレンスルフィドにおける添加剤としてのステアリン酸スズの結果を示す。ステアリン酸スズ10.97グラムをFortron(登録商標)309PPS700gおよびFortron(登録商標)317PPS300gと合わせたことを除いては、ステアリン酸スズ1.1重量%(0.016モル/kg)を含有するPPS組成物を実施例1に記載のように調製した。ペレット化組成物797グラムが得られた。
上述の分析技術を用いて、熱安定性および熱酸化安定性についてペレット化組成物を評価した。その結果を表1、2、3、および4に示す。
比較例D
ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸スズを含有するPPS
この比較例は、ポリフェニレンスルフィドにおける共添加剤としてのステアリン酸亜鉛およびステアリン酸スズの結果を示す。ステアリン酸亜10.12グラムおよびステアリン酸スズ10.97グラムをFortron(登録商標)309PPS700gおよびFortron(登録商標)317PPS300gと合わせたことを除いては、ステアリン酸亜鉛1.0重量%(0.016モル/kg)およびステアリン酸スズ1.1重量%(0.016モル/kg)を含有するPPS組成物を実施例1に記載のように調製した。ペレット化組成物857グラムが得られた。
上述の分析技術を用いて、熱安定性および熱酸化安定性についてペレット化組成物を評価した。その結果を表1、2、3、および4に示す。
Figure 2013522452
表1の複素粘度データから、比較例A、本来のPPS試料よりも高い粘度保持率パーセンテージを有する実施例の組成物の向上した熱安定性が実証されている。320℃で1時間後、分枝状カルボン酸スズ(II)を含有する組成物の粘度保持率は少なくとも86%であったのに対して、対照はわずか64%であった。実施例1、2、および3の粘度保持率は、比較例CおよびDの粘度保持率よりも高く、比較例Bの粘度保持率とほぼ同等またはそれよりも高かった。
Figure 2013522452
表2の分子量データから、比較例A、本来のPPS試料よりも高い分子量保持率パーセンテージを有する実施例の組成物の向上した熱安定性が実証されている。320℃で2時間後、分枝状カルボン酸スズ(II)を含有する組成物の分子量保持率は少なくとも86%であったのに対して、対照はわずか77%であった。
Figure 2013522452
融点データでは、変化が小さいほど(ΔTm値が低いほど)、熱酸化安定性が高いことを表す。表3において、固形状態で250℃にて空気曝露して10日後に得られたΔTmデータから、エチルヘキサン酸スズのみ含有する、または添加剤を全く含有しない固形PPS組成物と比較して、エチルヘキサン酸スズと亜鉛(II)化合物の両方を含有するPPSペレットの向上した熱酸化安定性が実証されている。実施例1について、ΔTmは24℃であるのに対して、実施例2および3のΔTmはそれぞれ8℃および9℃であった。それと対照的に、本来のPPS(比較例A)は、ΔTm23℃を有した。直鎖状ステアリン酸スズを含むPPS(比較例C)のΔTmは、比較例Aまたは実施例1よりも高く、ステアリン酸スズとステアリン酸亜鉛の組み合わせ(比較例D)のΔTmは17℃であり、実施例2および3よりも著しく高かった。
Figure 2013522452
表4において、溶融相で320℃で空気曝露して3時間後に得られたΔTmデータから、エチルヘキサン酸スズのみ含有する、または添加剤を全く含有しないPPS組成物と比較して、エチルヘキサン酸スズと亜鉛化合物の両方を含む溶融PPSの向上した熱酸化安定性が実証されている。実施例1については、ΔTmは30℃であったのに対して、実施例2および3のΔTmはどちらも25℃であった。それと対照的に、本来のPPS(比較例A)は、ΔTm35℃を有した。直鎖状ステアリン酸スズを含むPPS(比較例C)のΔTmは、比較例Aまたは実施例1よりも高かった。
以下に記載の基本手順を用いて、実施例4〜6および比較例EおよびFの繊維試料が得られた。使用される添加剤、添加剤の量、および延伸比を表5に示す。次いで、繊維を以下に記載のように空気中で老化させ、上述の分析方法を用いてその分子量を測定した。
乾燥窒素スイープを用いて真空オーブン内で120℃にて16時間、Fortron(登録商標)309ペレットおよびFortron(登録商標)317PPSペレットを乾燥させた。乾燥Fortron(登録商標)309PPSペレット(30重量部)およびFortron(登録商標)317PPSペレット(70重量部)を添加剤と合わせ、その量を表5に示し、ポリエチレン袋内で混合した。Werner and Pfleiderer 28mm二軸スクリュー押出機内に混合物を計量しながら供給し、直径0.012インチ(0.030mm)、長さ0.048インチ(1.22mm)の34穴紡糸口金を通して紡糸し、繊維を製造した。押出機を以下のように:供給領域で190℃、溶融領域で275℃、次いで285℃、移動領域で285℃、Zenithポンプ(Zenith Pumps,Monroe,NC)内で285℃にて加熱した。溶融ポリマーを290℃の紡糸口金パックブロックに移した。紡糸口金を保持するパックナット周囲でリングヒーターを295℃で使用した。
PPS組成物42g/分が紡糸口金に供給されるように、歯車ポンプの速度を予め設定した。パック内の50メッシュスクリーンの間に挟まれた5つの200メッシュスクリーンを通してポリマーストリームを濾過し、濾過した後、合計34本の個々のフィラメントが紡糸口金オリフィス出口で形成された。簡単なクロスフロー空気クエンチを用いて、得られた34本のこれらのフィラメントを周囲空気領域内で冷却し、水−油系エマルジョン(油10%)仕上げが施され、次いで紡糸パックの約8フィート(約7メートル)下のガイドで合わされ、ヤーンが形成された。紡糸口金オリフィスから、約800メートル/分で回転するアイドラーロールによってガイドを通して、そのフィラメント34本のヤーンを押出した。これらのロールから、800メートル/分で一対のロールにヤーンを取り入れ、次いで140℃でストリームジェットに通して取り入れ、次いで2550メートル/分で120℃に加熱された一対のロールに取り入れ、次いで2570メートル/分で140℃に加熱された一対のロールに取り入れ、次いで一対のレットダウンロールに取り入れ、巻取りユニット(Barmag SW6)に取り入れ、延伸比3.2倍を得た。
実施例4
添加剤としてエチルヘキサン酸スズ(II)を使用して、基本手順に従って繊維を製造した。
実施例5
添加剤としてエチルヘキサン酸スズ(II)および酸化亜鉛を使用して、基本手順に従って繊維を製造した。
実施例6
添加剤としてエチルヘキサン酸スズ(II)およびステアリン酸亜鉛を使用して、基本手順に従って繊維を製造した。
比較例E
これは、本来のPPSを使用した対照の実施であった。添加剤を全く使用することなく、乾燥PPSポリマー混合物を押出機に供給することを除いては、基本手順に従って繊維を製造した。
比較例F
添加剤としてステアリン酸亜鉛を使用して、基本手順に従って繊維を製造した。
Figure 2013522452
次いで、以下の方法を用いて、強制空気循環を有する対流オーブン内で空気中にて繊維試料を老化させた。各繊維試料について、繊維50メートルを巻き、周囲長約1メートルのループを形成した。図1を参照すると、ループ1Aは、それぞれが直径約1/4インチ(6mm)、長さ少なくとも12インチ(30cm)である、5つのアルミニウム製ロッド(2、2’、3、3’、4)からなるフレーム上に置かれ、図1に示すように裏面7および底部8を有する一般的な支持体に取り付けられ、L1は約8インチ(20cm)であり、L2は約3〜4インチ(7.5〜10cm)である。そのループをロッド2および2’の上部上に、かつロッド3および3’の底部下に置いた。ループをロッド4の下にも置き、次いで、方向指示矢印6によって示されるようにレール5に沿って上または下へ移動させ、かろうじてピンと張られた状態で繊維ループを引いた。次いで、ロッド4を老化試験の間、所定の位置に固定した。6本までの繊維ループ(1A〜1F)を同時にフレーム上に置き、所定の位置にループを維持するために各ループ間にワイヤークリップ9が置かれた。しかしながら、すべての実施形態において、クリップ9を上部ロッドおよび下部ロッドの両方で使用する必要があるわけではない。
250℃に予熱されたBlue M対流オーブン内に、繊維ループを含有するフレームを入れた。空気中で様々な長さの時間老化された試料を同時にではなく逐次的に老化させた。適切な長さの老化時間の後、その繊維ループを有するフレームをオーブンから取り出し、分子量の測定のために、繊維ループを取り出した。比較用のデータを得るために、空気中で老化する前に、試料の分子量も測定した。その結果を表6に示す。
Figure 2013522452
250℃にて空気中で老化して1時間後の実施例1、2、および3の保持率(%)値が高いほど、エチルヘキサン酸スズを含むPPS繊維が、対照の比較例E(本来のPPS)よりも低い分子量減少を示すことが分かる。その両方がエチルヘキサノエートと亜鉛化合物を含む実施例2および3は、エチルヘキサン酸スズのみ含有するPPS繊維(実施例1)の88%と比べると、分子量保持率91%および93%を有する。これらの繊維試料すべてが、1時間の時点でステアリン酸亜鉛を含有する比較例Fよりも良い分子量保持率を示す。
250℃にて空気中で老化して5日後、比較例Eは分子量がはっきりと増加したのに対して(MW保持率120%)、添加剤を含有するすべての試料が、分子量がわずかに減少するか、または分子量がごくわずかに増加した。したがって、添加剤を含有する試料は、対照よりも良い分子量保持率を示す。
250℃にて空気中で老化して10日後、試料の一部が不溶性部分を含有し、その分子量を決定することができなかった。他の試料について測定された分子量が実際の分子量を表すのかどうかを決定することが、不溶性部分のために難しくなる。
繊維データから、エチルヘキサン酸スズ(II)とステアリン酸亜鉛の組み合わせによって、本来のPPS(比較例E)よりも良い熱安定性および熱酸化安定性が得られることが実証されている。
本発明の特定の実施形態は、上述の明細書において説明されているが、本発明の本質的な特質の精神から逸脱することなく、本発明に多くの修正、置換、および再配列を加えることができることは、当業者によって理解されよう。本発明の範囲を示す場合には、上述の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照されたい。

Claims (11)

  1. ポリアリーレンスルフィドの熱酸化安定性を向上させる方法であって、ポリアリーレンスルフィドを、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、Sn(OCR)(OCR”)、およびその混合物からなる群から選択される分枝状カルボン酸スズ(II)を含む少なくとも1つのスズ添加剤と組み合わせることを含み、カルボキシレート部分OCRおよびOCR’が独立して、分枝状カルボキシレートアニオンを表し、カルボキシレート部分OCR”が直鎖状カルボキシレートアニオンを表す、上記方法。
  2. 添加剤がさらに、直鎖状カルボン酸スズ(II)Sn(OCR”)(式中R”は、炭素原子6〜30個を含む第1級アルキル基である)を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 分枝状カルボキシレート部分OCR+OCR’の合計が、添加剤に含有される全カルボキシレート部分OCR+OCR’+OCR”のモル基準で少なくとも約25%である、請求項2に記載の方法。
  4. カルボン酸スズ(II)が、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、またはその混合物を含み、かつ基RまたはR’が、独立して、またはその両方が、式(I)
    Figure 2013522452
    (式中、R、R、およびRは独立して:
    H;
    フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換される、炭素原子6〜18個を有する第1級、第2級、または第3級アルキル基;
    アルキル、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換される、炭素原子6〜18個を有する芳香族基;および
    フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換される、炭素原子6〜18個を有する脂環式基;であり、
    ただし、RおよびRがHであるとき、Rは:
    フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換される、炭素原子6〜18個を有する第2級または第3級アルキル基;
    炭素原子6〜18個を有し、かつ炭素原子6〜18個を有する第2級または第3級アルキル基で置換されている芳香族基であって、芳香族基および/または第2級もしくは第3級アルキル基が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換される、該芳香族基;および
    フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、ヒドロキシル、およびカルボキシル基で任意選択的に置換される、炭素原子6〜18個を有する脂環式基;である)
    によって表される構造を有する、請求項1に記載の方法。
  5. 基RもしくはR’またはその両方が、式(I)によって表される構造を有し、かつRがHである、請求項4に記載の方法。
  6. カルボン酸スズ(II)が、Sn(OCR)、Sn(OCR)(OCR’)、またはその混合物を含み、かつ基RもしくはR’またはその両方が、式(II)
    Figure 2013522452
    (式中、Rは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、およびヒドロキシル基で任意選択的に置換される、炭素原子4〜6個を有する第1級、第2級、または第3級アルキル基であり;
    は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ニトロ、およびヒドロキシル基で任意選択的に置換される、メチル、エチル、n−プロピル、s−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、またはt−ブチル基である)
    によって表される構造を有する、請求項1に記載の方法。
  7. カルボン酸スズ(II)がSn(OCR)を含み、かつRが、式(II)(式中、Rはn−ブチルであり、Rはエチルである)によって表される構造を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 少なくとも1つの亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 亜鉛(II)化合物がステアリン酸亜鉛を含み、添加剤がSn(OCR)を含み、かつRが、式(II)
    Figure 2013522452
    (式中、Rはn−ブチルであり、Rはエチルである)
    によって表される構造を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 亜鉛(II)化合物および/または亜鉛金属が、ポリアリーレンスルフィドの質量に基づいて約10質量%以下の濃度で存在する、請求項8に記載の方法。
  11. ポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドである、請求項1に記載の方法。
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