JP2013522309A - 活性化した成熟樹状細胞を調製し保存するシステムおよび方法 - Google Patents

活性化した成熟樹状細胞を調製し保存するシステムおよび方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013522309A
JP2013522309A JP2013500149A JP2013500149A JP2013522309A JP 2013522309 A JP2013522309 A JP 2013522309A JP 2013500149 A JP2013500149 A JP 2013500149A JP 2013500149 A JP2013500149 A JP 2013500149A JP 2013522309 A JP2013522309 A JP 2013522309A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
antigen
cell
activated
cancer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013500149A
Other languages
English (en)
Inventor
ブライアン ジェイ. ツェルニツキ
ウルスラ コルドフスキ
シュウウェン スー
ゲイリー ケイ. コスキ
Original Assignee
ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア filed Critical ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
Publication of JP2013522309A publication Critical patent/JP2013522309A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0634Cells from the blood or the immune system
    • C12N5/0639Dendritic cells, e.g. Langherhans cells in the epidermis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/0005Vertebrate antigens
    • A61K39/0011Cancer antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/46Cellular immunotherapy
    • A61K39/461Cellular immunotherapy characterised by the cell type used
    • A61K39/4615Dendritic cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/46Cellular immunotherapy
    • A61K39/462Cellular immunotherapy characterized by the effect or the function of the cells
    • A61K39/4622Antigen presenting cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/46Cellular immunotherapy
    • A61K39/464Cellular immunotherapy characterised by the antigen targeted or presented
    • A61K39/4643Vertebrate antigens
    • A61K39/4644Cancer antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/04Immunostimulants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/51Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
    • A61K2039/515Animal cells
    • A61K2039/5154Antigen presenting cells [APCs], e.g. dendritic cells or macrophages

Abstract

本発明は、T細胞に対する強いシグナルを産生する上で優れた機能性を有する樹状細胞を生成して凍結保存するための組成物および方法を提供し、結果的に、より強力なDCベースの抗腫瘍ワクチンをもたらす。本発明は、好ましくは疾患過程の早い段階で使用されるときに、臨床的に有効な免疫応答を誘導する、Toll様受容体アゴニストによって活性化された、成熟した抗原負荷DCを包含する。本発明のDCは、望ましいレベルのサイトカインおよびケモカインを産生し、さらに腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する能力がある。これらの樹状細胞は後で用いるために凍結保存および解凍することが可能であり、それによりワクチン製造時に繰り返されるフェレーシスおよびエルトリエーション法の必要性を低減することができる。これらの方法はまた、発癌性シグナル伝達経路に関与する分子および癌幹細胞を直接標的とするために利用することができる。

Description

発明の背景
癌研究は大きく前進しており、多くのタイプの悪性腫瘍に関して死亡率の着実な低下につながっている。こうした死亡率の低下は、早期発見の向上、先進外科技術および新たな治療介入の採用により影響を受けてきた。癌関連死亡率を低下させることに成功すると、研究は癌に対する新規な標的治療薬に焦点を当てるようにシフトしてきており、その中でワクチンの開発は最前線に立っている。ワクチンは、免疫系を活性化しかつ外来抗原に対する免疫をつける能力のため、病原体による死亡率を低下させる上で非常に効果的である。有効なワクチン接種は死亡率の低下を促進するだけでなく、ワクチンは再発性の感染症を予防する長期免疫をも誘導する。
最初に癌ワクチンの開発に関心を集めたのは、免疫ができるというワクチンのこの能力である。明らかに、すべての形態の癌ワクチンは、標的に選ばれた腫瘍抗原に対する免疫応答を引き出す上で、少なくとも若干の成功を実証している。癌ワクチンは、特に末期癌に対しての、スタンドアローン療法として利用したとき、一般的に期待はずれであったが(Terrando et al., 2007, Vaccine 25,4-16(非特許文献1); Burgdorf et al., 2008, Oncol. Rep. 20(6), 1305-131 1(非特許文献2))、最近の研究では、樹状細胞(DC)ワクチンが患者の生存率に影響を及ぼし得ることが示唆される。
現在、免疫療法に用いられる方法は、典型的には、エクスビボで刺激した抗原提示細胞(APC)を組み込むものであり、その場合にはDC前駆体が患者から採集した後すぐに培養され、その後抗原を負荷したDCが収集されたら直ちに患者に注入される。こうした方法は、DCの潜在的な治療用途を制限するだけでなく、免疫療法の経過中の複数の時点で患者由来のフェレーシス産物を必要とする時間的制約を生み出す。
抗原提示に加えて、DCは、成熟したとき、サイトカインおよびケモカインとして、さまざまなシグナル分子を産生することによって免疫応答にさらに影響を及ぼすことができると考えられる。しかしながら、DC免疫療法のこれまでの方法は成熟したDCを利用しなかった。さらに、DCの成熟化に関する以前の研究は、DCのシグナル産生をうまく利用するために、成熟化プロセスを十分に最適化したものではなかった。
抗原を負荷した成熟DCは、その抗原をすでにプロセッシングして、免疫細胞に抗原を提示する能力があるので、これらの細胞は、活性化されたとき、抗原特異的免疫応答を迅速に生じさせるだけでなく、免疫応答をさらに引き起こすためのシグナルを産生することもできる。抗原負荷した成熟DCの効果的な凍結保存が、免疫療法のための機能的に強力な細胞を迅速に生成する方法を提供できることについては、疑いの余地がない。そうした細胞の凍結保存はまだ、効果的に実証されていない。したがって、新たに生成されたDCの効果的な抗原提示およびシグナル分泌プロファイルを保持する方法で、活性化DCを凍結保存するための、効率的でかつ方向性を持った手段についての長年にわたる切実な要求が当技術分野には存在する。本発明はその要求を満たすものである。
Terrando et al., 2007, Vaccine 25,4-16 TBurgdorf et al., 2008, Oncol. Rep. 20(6), 1305-131 1
本発明は、免疫療法で使用するための、抗原を負荷して活性化した樹状細胞(DC)を生成させる方法を包含し、この方法は、少なくとも1つの抗原をDCに負荷する段階;該DCを少なくとも1種のTLRアゴニストで活性化する段階;該DCを凍結保存する段階;および該DCを解凍する段階を含み、ここで該DCはT細胞応答を生じさせるのに有効な量の少なくとも1種のサイトカインを産生する。
一態様において、前記抗原は腫瘍抗原である。別の態様において、前記抗原は微生物抗原である。さらに別の態様において、TLRアゴニストはLPSである。さらに別の態様において、凍結保存する段階はDCを約-70℃以下の温度で凍結することを含む。さらに別の態様において、解凍後のDCの回収率および生存率は約70%以上である。さらに別の態様において、解凍後のDCの回収率および生存率は約80%以上である。さらに別の態様において、DCは少なくとも約1週間凍結保存される。さらに別の態様において、前記サイトカインはIL12である。さらに別の態様において、DCはキラー機能を示し、それによってDCは標的癌細胞を溶解することができる。
本発明はさらに、哺乳動物において免疫応答を引き出す方法を包含し、この方法は、抗原負荷して活性化したDCを含む以前に凍結保存された組成物を、その必要がある哺乳動物に投与することを含み、ここで該DCは凍結保存される前に抗原を負荷され、かつ活性化されたものである。
一態様において、前記抗原は腫瘍抗原である。別の態様において、前記抗原は微生物抗原である。さらに別の態様において、TLRアゴニストはLPSである。さらに別の態様において、凍結保存はDCを約-70℃以下の温度で凍結することを含む。さらに別の態様において、解凍後のDCの回収率および生存率は約70%以上である。さらに別の態様において、解凍後のDCの回収率および生存率は約80%以上である。さらに別の態様において、DCは少なくとも約1週間凍結保存される。さらに別の態様において、前記サイトカインはIL12である。さらに別の態様において、DCはキラー機能を示し、それによってDCは標的癌細胞を溶解することができる。
本発明はさらに、哺乳動物において免疫応答を引き出すための保存可能な組成物を包含し、その組成物は、少なくとも1つの抗原を負荷されたDCを含有する;ここで該DCは少なくとも1種のTLRアゴニストに曝露することによって活性化されており;かつ該組成物が凍結保存されているかどうかに関係なく、該DCはT細胞応答を生じさせるのに有効な量の少なくとも1種のサイトカインを産生する。
一態様において、前記抗原は腫瘍抗原である。別の態様において、前記抗原は微生物抗原である。さらに別の態様において、TLRアゴニストはLPSである。さらに別の態様において、前記組成物は約-70℃以下の温度で凍結保存されている。さらに別の態様において、解凍後のDCの回収率および生存率は約70%以上である。さらに別の態様において、解凍後のDCの回収率および生存率は約80%以上である。さらに別の態様において、前記組成物は少なくとも約1週間凍結保存される。さらに別の態様において、前記サイトカインはIL12である。さらに別の態様において、DCはキラー機能を示し、それによってDCは標的癌細胞を溶解することができる。
本発明を説明する目的のために、図面には本発明の特定の態様が示される。しかし、本発明は図面に示された態様の正確な配置および手段に限定されるものではない。
図1は、従来のDC(vac-DC)およびICAIT-DCを、一連のサイトカインとケモカインの産生、ならびにキラー機能(それによって、これらの細胞は乳癌株を溶解することができる)について比較している。 図2は、従来法で成熟させたDCとICAIT-DCの両方が腫瘍抗原に対してT細胞を感作することに成功しているが、ICAIT-DCのみがHER-2発現腫瘍の実際の認識のためにT細胞を条件づけることを示している。 図3は、図3Aと図3Bを含み、新鮮なICAIT-DCに対する、凍結保存して解凍したICAIT-DCの同等な生存率および回収率を示している。トリパンブルー排除を用いて、凍結保存ICAIT DCの生存率および回収率を、凍結保存の前と、凍結保存細胞の解凍および洗浄(遠心分離による)の直後に測定した。図3Aは、2つのバッチセットからの3つの単一例を示す一方で、図3Bは、2つのバッチセットからの2つの単一例を示している。生存率は、新たに調製したDC1と凍結保存したDC1の間で同等である。凍結保存したDC1の回収率は一般に80〜90%であり、新たに調製したDC1からの回収率よりはるかに優れており、これは新たに調製したDC1の収集による細胞の損失に起因する。 図4は、図4A〜4Fを含み、凍結保存から解凍した後のDC1の優れたIL12産生レベルを示している。シグナル3(IL12)の継続的な産生はELISAアッセイで測定した。図4Aは、新鮮なサイトカイン媒介DC(CMDC)と凍結保存CMDCの両方におけるIL12産生が、新鮮なDC1と凍結保存DC1の両方で観察されたIL12産生よりはるかに少ないことを示している。図4Bは、凍結保存前、解凍後2時間、および解凍後12時間でのDC1におけるIL12産生を示す。図4C〜4Fは、凍結保存単球から調製されたDC1と比較した、凍結保存DC1によるIL12産生を示す。 図5は、凍結保存DC1で測定されたIFNγレベルを、凍結保存単球由来のDC1と比較して示す。精製した同種CD4細胞(1×106個/ウェル)の2つのサンプルを、凍結保存したTLRアゴニスト刺激DC(1×105個/ウェル)と共培養し、凍結保存単球から調製されたDC1と比較した。9日後、T細胞を収集して、抗CD3および抗CD28抗体をコーティングしたプレート上で再刺激した。24時間後、上清中の(T細胞によって産生された)IFNγレベルを分析した。 図6は、CD4+CD25+ T細胞が未成熟な樹状細胞の存在下でレスポンダー細胞の増殖を阻害するが、DC1樹状細胞の存在下では阻害しないことを示す。2.5×105個のCFSE標識未分画レスポンダーリンパ球を、1×105個の未成熟な樹状細胞(iDC)、IFN-γ/LPSを用いて成熟させた樹状細胞(LPS活性化DC)、または従来のサイトカインカクテルを用いて成熟させた樹状細胞(CMM)と5日間共培養した。記載したように1.25×105個のソーティングされ精製されたCD4+CD25+ T細胞(Treg)が含まれていた。レスポンダー細胞の増殖はCD4ゲーティングおよびCD8ゲーティングされたT細胞について示される。示されたデータは10回の実験を代表する。Tregおよび共培養に先立ってLPSで短時間(15分)処理した未成熟な樹状細胞の存在下でのCD4陽性レスポンダーの増殖も同様に示される。 図7は、図7A〜7Dを含み、DC1樹状細胞によるTreg機能の阻害が可溶性因子から生じるが、IL-6およびIL-12非依存性であることを示す。図7Aは、1×105個の未成熟な樹状細胞またはLPS活性化樹状細胞と共培養された、1.25×105個のソーティングされ精製されたTregを示す。アポトーシスマーカーであるアネキシン-Vおよび7-AADの24時間後の発現が示される。棒グラフには、両マーカー(+/+)、アネキシン-Vのみ(+/-)、7-AADのみ(-/+)を発現する細胞、またはどちらのマーカーも発現しない細胞(-/-)のパーセントをまとめてある。図7Bは、記載したように1×105個の未成熟なまたはLPS活性化された樹状細胞の存在下で2.5×105個のCFSE標識未分画レスポンダーリンパ球と共培養された、1.25×105個のソーティングされ精製されたTregを示す。さらに、1×105個の未成熟またはLPS活性化樹状細胞を、記載したように培養ウェルに配置された半透性のTranswell(登録商標)メンブレンに添加した。図7Cは、5μg/mLの中和抗IL-6または抗IL-12抗体の存在下で2.5×105個のCFSE標識未分画レスポンダーリンパ球および1×105個のLPS活性化樹状細胞と共培養された、1.25×105個のソーティングされ精製されたTregを示す。示されたデータは、それぞれの場合に、少なくとも3回の独立した実験を代表する。図7Dは、500μLの培養培地およびLPSを添加してから約10時間後にLPS活性化樹状細胞培養物から採集された500μLの培地中で培養した、TregまたはCFSE標識未分画レスポンダーリンパ球を示す(1×106細胞/mL)。24時間後、これらの「処理」集団を、記載した典型的な比(Treg:レスポンダー1:2)で共培養に利用した。データは2回の独立した実験を代表する。 図8は、図8Aと図8Bを含み、DC1樹状細胞の存在下でエフェクターサイトカインを分泌するサプレッサーCD4+CD25+ T細胞を示す。図8Aは、2.0×105個の未成熟またはLPS活性化樹状細胞と組み合わされた、2.5×105個のソーティングされたCD4+CD25+(Treg)またはCD4+CD25-(Teff) T細胞を示す。上清を5日後に収集し、ELISAを用いて上清中に存在するIFN-γの量を測定した。5日目に、いくつかの培養細胞を透過処理し、細胞内IFN-γをフローサイトメトリーにより検出した。CD4 T細胞の34.4%が細胞内にIFN-γを発現した(N=3)。図8Bは、1×105個の未成熟またはLPS活性化DCと共培養した、1.25×105個のCD4+CD25+ T細胞を示す。中和抗IL12抗体(5μg/mL)をいくつかのサンプルに含めた。48時間で細胞を収集し、透過処理し、T-betおよびFoxP3の細胞内発現を細胞内染色により検出した。示されたデータはCD4陽性細胞にゲーティングされる(N=3)。
詳細な説明
本発明は、好ましくは疾患過程の早い段階で使用したときに、臨床的に有効な免疫応答を引き出すための、Toll様受容体アゴニストによって活性化された、成熟した抗原負荷DCの開発および凍結保存に関する。本発明のDCは、サイトカインおよびケモカインの産生を介して、強力なTh1細胞応答の方へ条件づける能力があり、さらに腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する能力がある。本発明のDC開発技術はまた、高転移能をもつ細胞を排除することができる新規な分子および癌幹細胞を標的とするためのプラットフォームを提供する。また、本発明は、抗原を提示する能力および機能性を保持することに加えて、解凍後に種々のサイトカインおよびケモカインの産生をも保持する方法で、これらの活性化DCを凍結保存することに関する。
定義
本明細書中で用いる以下の各用語は、このセクションではそれと関連した意味を有する。
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法上の物体が1つであるかまたは1つより多い(すなわち、少なくとも1つである)ことを指すために本明細書中で用いられる。一例として、「エレメント」(an element)は1つのエレメントまたは1つより多くのエレメントを意味する。
用語「約」は、当業者によって理解されており、それが使用される状況によりある程度変化するだろう。
本明細書中で用いる用語「抗体」とは、抗原上の特定のエピトープと特異的に結合することができる免疫グロブリン分子を意味する。抗体は天然源または組換え供給源に由来する完全な免疫グロブリンであり得るが、完全な免疫グロブリンの免疫活性部分であってもよい。抗体は典型的には免疫グロブリン分子の四量体である。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに一本鎖抗体およびヒト化抗体を含めて、さまざまな形態で存在することができる(Harlow et al., 1988; Houston et al., 1988; Bird et al., 1988)。
本明細書中で用いる用語「抗原」または「Ag」は、免疫応答を惹起する分子として定義される。この免疫応答は、抗体の産生、または特定の免疫適格細胞の活性化、またはこれらの両方を含むことができる。当業者であれば、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを含む巨大分子はどれも抗原として機能し得ることが理解されるであろう。さらに、抗原は組換えまたはゲノムDNAに由来することもある。当業者には理解されるように、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAは、それゆえに、本明細書中で用いられる用語「抗原」をコードしている。さらに、当業者には理解されるように、抗原は遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はない。本発明は、限定するものではないが、1つより多くの遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含むこと、そしてこれらのヌクレオチド配列は所望の免疫応答を誘発するためにさまざまな組み合わせで配置されることが容易に明らかである。また、当業者であれば、抗原は「遺伝子」によってコードされる必要はまったくないことが理解されるであろう。抗原が合成的に生成され得ること、または生物学的サンプルから誘導され得ることは容易に明白である。そのような生物学的サンプルには、限定するものではないが、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞または体液を含めることができる。
「抗原提示細胞」(APC)は、T細胞を活性化することができる細胞であり、限定するものではないが、単球/マクロファージ、B細胞および樹状細胞(DC)が挙げられる。
用語「樹状細胞」または「DC」とは、リンパ系または非リンパ系組織に見られる形態学的に類似した細胞型の多様な集団の任意のメンバーを指す。これらの細胞はその独特の形態と高レベルの表面MHCクラスII発現によって特徴づけられる。DCは多くの組織源から単離することができる。DCはMHC拘束性T細胞を感作するための高い能力を持っており、T細胞にその場で抗原を提示するのに非常に効果的である。抗原は、T細胞の分化および寛容時に発現される自己抗原、ならびに正常な免疫過程において存在する外来抗原であり得る。
本明細書中で用いる「活性化DC」とは、Toll様受容体アゴニストに曝露されたDCである。活性化DCは抗原を負荷されていても、負荷されていなくてもよい。
本明細書中で用いる用語「成熟DC」とは、高レベルのMHCクラスII、CD80(B7.1)およびCD86(B7.2)を含む分子を発現する樹状細胞として定義される。これとは対照的に、未成熟な樹状細胞は低レベルのMHCクラスII、CD80(B7.1)およびCD86(B7.2)分子を発現するが、まだ抗原を取り込むことができる。
「抗原負荷APC」または「抗原パルスAPC」には、抗原に曝露されて、その抗原によって活性化されたAPCが含まれる。例えば、APCはインビトロで、例えば抗原の存在下で培養している間に、Ag負荷させることができる。また、APCは抗原への曝露によってインビボで負荷することもできる。「抗原負荷APC」は伝統的に次の2つの方法のいずれかで調製される:(1)抗原ペプチドとして知られる小さなペプチド断片をAPCの外側に直接「パルス」する;または(2)APCを全タンパク質またはタンパク質粒子とインキュベートする(その後、該タンパク質はAPCによって取り込まれる)。こうしたタンパク質はAPCによって小さなペプチド断片に消化され、最終的にはAPC表面に輸送されて提示される。さらに、抗原負荷APCは、抗原をコードするポリヌクレオチドを細胞に導入することによっても生成することができる。
本明細書中で用いる用語「自己免疫疾患」は、自己免疫反応から生じる疾患として定義される。自己免疫疾患は自己抗原に対する不適切で過剰な反応の結果である。自己免疫疾患の例としては、限定するものではないが、とりわけ以下が挙げられる:アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性耳下腺炎、クローン病、糖尿病(1型)、栄養障害性表皮水疱症、精巣上体炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、甲状腺炎、血管炎、白斑、粘液水腫、悪性貧血、潰瘍性大腸炎。
本明細書中で用いる用語「自己」とは、同じ個体に由来する任意の物質を指し、その物質は後でその個体に再導入されることになっている。
本明細書中で用いる用語「癌」は、異常な細胞の急速かつ制御不能な増殖によって特徴づけられる疾患として定義される。癌細胞は、局所的にまたは血流やリンパ系を介して身体の他の部分に、広がることができる。さまざまな癌の例としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳腫瘍、リンパ腫、白血病、肺癌など。
本明細書中で用いる用語「凍結保存された」または「凍結保存」は、凍結用培地中(cryomedium)に再懸濁されて、約-70℃以下の温度で凍結された細胞を指す。
本明細書中で用いる用語「凍結用培地」は、細胞サンプル中の少なくとも一部の細胞が回収されて、解凍後に生存し続けることができるような、凍結に備えて細胞サンプルと混合される任意の培地を指す。
「ドナー抗原」とは、レシピエントに移植されるドナー組織によって発現される抗原を指す。
「レシピエント抗原」とは、ドナー抗原に対する免疫応答の標的を指す。
本明細書中で用いる「エフェクター細胞」とは、抗原に対する免疫応答を媒介する細胞を指す。エフェクター細胞の例としては、限定するものではないが、T細胞およびB細胞が挙げられる。
本明細書中で用いる「内因性」とは、生物、細胞、組織もしくは系に由来する、またはその内部で産生される任意の物質を指す。
本明細書中で用いる「外因性」とは、生物、細胞、組織もしくは系の外部から導入される、またはその外部で産生される任意の物質を指す。
本明細書中で用いる用語「エピトープ」は、Bおよび/またはT細胞応答を誘導する、免疫応答を引き出すことができる抗原上の小さい化学分子として定義される。抗原は1つまたは複数のエピトープを持つことができる。ほとんどの抗原は多数のエピトープを持つ;すなわち、それらは多価である。一般的に、エピトープは約5アミノ酸および/または糖の大きさである。当業者は、一般に、その分子の特定の直鎖状配列よりもむしろ、全体的な三次元構造が抗原特異性の主な基準であり、したがって、あるエピトープを他のエピトープと区別することを理解している。
本明細書中で用いる用語「ヘルパーT細胞」は、その主な機能が他のBおよびTリンパ球および/またはマクロファージの活性化と機能を促進することである、エフェクターT細胞として定義される。大部分のヘルパーT細胞はCD4 T細胞である。
本明細書中で用いる「免疫原」とは、哺乳動物において体液性抗体および/または細胞性免疫応答を刺激または誘導することができる物質を指す。
本明細書中で用いる用語「免疫グロブリン」または「Ig」は、抗体として機能するタンパク質のクラスとして定義される。タンパク質のこのクラスに含まれる5つのメンバーはIgA、IgG、IgM、IgD、およびIgEである。IgAは、唾液、涙、母乳、消化管分泌物、および呼吸器と尿生殖器の粘液分泌物など、身体の分泌物中に存在する主要な抗体である。IgGは最も一般的な血中循環抗体である。IgMは、ほとんどの哺乳動物において一次免疫応答で産生される主な免疫グロブリンである。それは凝集反応、補体結合および他の抗体応答において最も効果的な免疫グロブリンであり、細菌およびウイルスに対する防御に重要である。IgDは既知の抗体機能をまったくもたない免疫グロブリンであるが、抗原受容体として機能することができる。IgEは、アレルゲンへの曝露時に肥満細胞と好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことによって即時型過敏反応を媒介する免疫グロブリンである。
本明細書中で用いる用語「主要組織適合遺伝子複合体」または「MHC」は、遺伝子の特定のクラスターであって、その遺伝子の多くが、組織適合性の最も重要な決定要因の一つである抗原提示に関与する、進化的に関連する細胞表面タンパク質をコードするものとして定義される。MHCクラスI、つまりMHC-Iは、主にCD8 Tリンパ球への抗原提示に機能する。MHCクラスII、つまりMHC-IIは、主にCD4 Tリンパ球への抗原提示に機能する。
本明細書中で用いる用語「モジュレートする」とは、生物学的状態の変化を指し、すなわち、増加する、減少するなどを意味する。
本明細書中で用いる用語「ポリペプチド」は、通常は特定された配列を有する、アミノ酸残基の鎖として定義される。本明細書中で用いる用語ポリペプチドは用語「ペプチド」および「タンパク質」を相互に含む。
本明細書中で用いる用語「自己抗原」は、宿主の細胞または組織により発現される抗原として定義される。自己抗原は腫瘍抗原とすることができるが、特定の態様では、正常細胞と腫瘍細胞の両方で発現される。当業者は、自己抗原が細胞内で過剰発現され得ることを容易に理解するだろう。
本明細書中で用いる「実質的に精製された」細胞とは、他の細胞型を本質的に含まない細胞のことである。実質的に精製された細胞はまた、それが天然に存在する状態で通常結合している他の細胞型から分離された細胞を指す。ある場合には、実質的に精製された細胞の集団は細胞の均質な集団を指す。他の場合には、この用語は、単に、それらが天然の状態でもともと結合している細胞から分離された細胞を指す。いくつかの態様では、これらの細胞はインビトロで培養される。他の態様では、これらの細胞はインビトロで培養されない。
本明細書中で用いる用語「T細胞」は、さまざまな細胞性免疫反応に関与する胸腺由来の細胞として定義される。
本明細書中で用いる用語「B細胞」は、骨髄および/または脾臓由来の細胞として定義され、B細胞は抗体を産生する形質細胞へと分化することができる。
本明細書中で用いる用語「Toll様受容体」、つまり「TLR」は、自然免疫系において役割を果たすタンパク質のクラスとして定義される。TLRは、微生物由来の構造的に保存された分子を認識する1回膜貫通型、非触媒性の受容体である。TLRはリガンドに結合することで免疫細胞応答を活性化する。
本明細書中で用いる用語「Toll様受容体アゴニスト」、つまり「TLRアゴニスト」は、免疫細胞応答を活性化するためにTLRに結合するリガンドとして定義される。
本明細書中で用いる「治療的有効量」とは、治療用組成物が投与される哺乳動物に有益な効果をもたらすのに十分な、治療用組成物の量のことである。
本明細書中で用いる用語「ワクチン」は、動物、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトへの物質の投与後に、免疫応答を引き出すために用いられる物質として定義される。
範囲:本開示を通して、本発明のさまざまな局面は、範囲の形式で提示することができる。範囲形式での説明は、単に利便性と簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきでないことを、理解すべきである。したがって、範囲の記載は、すべての可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えるべきである。例えば、1〜6のような範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示していると考えるべきである。このことは、その範囲の広さに関係なく適用される。
説明
本明細書で意図されるように、本発明は、T細胞に対するより強いシグナルを産生する上で優れた機能性をもつDCを生成して凍結保存するための方法であって、結果として、より強力なDCベースの抗腫瘍ワクチンをもたらす方法を提供する。この種の細胞を効果的に凍結保存することによって、サンプルを貯蔵して、後で用いるために解凍することが可能であり、それによりワクチン製造時に繰り返されるフェレーシスおよびエルトリエーション(elutriation)法の必要性を低減することができる。これらの方法はまた、発癌性シグナル伝達経路に関与する分子および癌幹細胞(CSC)を直接標的とするために利用することができる。
本発明は、Toll様受容体アゴニストによって活性化された、成熟した、抗原負荷したDCを包含し、かかるDCは、好ましくは疾患過程の早い段階で使用したとき、臨床的に有効な免疫応答を誘導する。本発明のDCは、望ましいレベルのサイトカインおよびケモカインを産生し、さらに腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する能力がある。
本発明はさらに、TLRリガンドが提示細胞を活性化するだけでなく、適応応答を制限するように機能する制御性細胞を抑制することを実証する。特定の態様において、TLR-2、TLR-4、TLR-8およびTLR-9を含む複数のToll様受容体を介したシグナル伝達は、免疫制御性CD4+CD25+Foxp3+ T細胞(本明細書ではTregと呼ばれる)による抑制を逆転させることが示された。本明細書では、TLR-4活性化樹状細胞が、レスポンダー細胞へのTregの効果を阻害するだけでなく、レギュレーターそれ自体をIFN-γ産生エフェクターへと変換するようであることを実証する。
本発明はまた、これらの活性化DCを、抗原を提示する上でのその能力および機能性を保持することに加えて、解凍後に種々のサイトカインおよびケモカインの産生をも保持する方法で凍結保存することに関し、結果的に、凍結保存してから解凍された活性化DCは、新たに収集されて活性化されたDCと同じくらい臨床的に有効である。
DCによる免疫療法
DCは抗原提示細胞(APC)として機能する多能性単球から誘導される。DCは末梢組織に遍在しており、そこでそれらは抗原を捕捉するように準備される。抗原捕捉後、DCは抗原を小さなペプチドへとプロセッシングして、二次リンパ器官に向かって移動する。このリンパ器官内で、DCは抗原ペプチドをナイーブT細胞に提示し、それによってT細胞分化を偏向させるシグナルのカスケードを開始する。曝露されると、DCはMHCクラスIまたはクラスII結合ペプチドのいずれかに結合された抗原分子を提示して、それぞれCD8+またはCD4+ T細胞を活性化する(Steinman, 1991, Annu. Rev. Immunol. 9:271-296; Banchereau et al., 1998, Nature 392, 245-252; Steinman, et al., 2007, Nature 449:419-426; Ginhoux et al., 2007, J. Exp. Med. 204:3133-3146; Banerjee et al., 2006, Blood 108:2655-2661; Sallusto et al., 1999, J. Exp. Med. 189:611-614; Reid et al., 2000, Curr. Opin. Immunol. 12:114-121; Bykovskaia et al., 1999, J. Leukoc. Biol. 66:659-666; Clark et al., 2000, Microbes Infect. 2:257-272)。
DCは適応免疫応答の誘導、協調および制御に関与しており、かつまた、免疫系の自然アーム(innate arm)と適応アーム(adaptive arm)のエフェクター間の情報伝達をまとめるように機能する。こうした特性は、DCを免疫療法の有力な候補にしている。DCには、マクロピノサイトーシスおよび受容体依存性エンドサイトーシスを介して環境をサンプリングするためのユニークな能力がある(Gerner et al., 2008, J. Immunol. 181:155-164; Stoitzner et al., 2008, Cancer Immunol. Immunother 57:1665-1673; Lanzevecchia A., 1996, Curr. Opin. Immunol. 8:348-354; Delamarre et al., 2005, Science, 307(5715):1630-1634)。
DCはまた、その抗原提示能力を高めるために成熟化シグナルを必要とする。DCは、TNF-α、CD40Lまたはカルシウムシグナリング剤などの追加の成熟化シグナルを提供することによって、CD80およびCD86(第2のシグナル分子としても知られる)などの表面分子の発現をアップレギュレートする(Czerniecki et al., 1997, J. Immunol. 159:3823-3837; Bedrosian et al., 2000, J. Immunother. 23:311-320; Mailliard et al., 2004, Cancer Res. 64, 5934-5937; Brossart et al., 1998, Blood 92:4238-4247; Jin et al., 2004, Hum. Immunol. 65:93-103)。TNF-α、IL-1β、IL-6およびプロスタグランジンE2(PGE2)を含むサイトカインの混合物は、DCを成熟させる能力を持っていることが証明されている(Jonuleit, et al., 2000, Arch. Derm. Res. 292:325-332)。DCはまた、抗原をパルスする前に、カルシウムイオノフォアで成熟させることもできる。
病原体認識受容体、例えばPKRおよびMDA-5に加えて(Kalali et al., 2008, J. Immunol. 181:2694-2704; Nallagatla et al., 2008, RNA Biol, 5(3):140-144)、DCはまた、Toll様受容体(TLR)として知られる一連の受容体を含んでおり、これらの受容体も病原体からの危険を感知することが可能である。これらのTLRがトリガーされると、DCにおいて一連の活性化変化が誘起され、これはT細胞の成熟化とシグナル伝達につながる(Boullart et al., 2008, Cancer Immunol. Immunother. 57(11):1589-1597; Kaisho et al., 2003, Curr. Mol. Med. 3(4):373-385; Pulendran et al., 2001, Science 293(5528):253-256; Napolitani et al., 2005, Nat. Immunol. 6(8):769-776)。DCはナチュラルキラーγ-δT細胞およびα-βT細胞などの細胞性応答のさまざまなアームを活性化して増やすことができ、そして一度活性化されると、DCはその免疫能力を保持する(Steinman, 1991, Annu. Rev. Immunol. 9:271-296; Banchereau et al., 1998, Nature 392:245-252; Reid et al., 2000, Curr. Opin. Immunol. 12:114-121; Bykovskaia et al., 1999, J. Leukoc. Biol. 66:659-666; Clark et al., 2000, Microbes Infect. 2:257-272)。
シグナルのDC産生
成熟DCはT細胞性免疫応答を活性化する上でより有利であると考えられている(Jonuleit et al., 2001, Int. J. Cancer, 93:243-251; Prabakaran et al., 2002, Ann. Surg. Oncol. 9:411-418; Xu et al., 2003, J. Immunol. 171:2251-2261)。成熟DCは、未成熟DCと比較して、より大きなT細胞応答を生成することができるが、それは一部には、特定のサイトカインが成熟DCによって分泌され、それらがより強力で効力のあるT細胞応答を増強するからである。例えば、成熟DCはCD4 T細胞との相互作用によりIL-12を産生する(Koch et al., 1996, J. Exp. Med. 184:741-746; Heifler et al., 1996, Eur. J. Immunol. 26:659-668)。IL-12、IL-18およびIL-23などのTh1駆動性サイトカインを分泌するDCは、1型偏向DC、つまりDC1と呼ばれている(Kalinski, et al., 1999, Immunol. Today 20:561-567; Lanzavecchia et al., 2000, Science 290(5489):92-97)。
成熟DCによって産生されたサイトカインはT細胞応答に多様な影響を及ぼす。例えば、ヘテロ二量体のサイトカインであるIL-12はDCによって産生され、IFN-γ分泌CD4+およびCD8+ T細胞を生産しかつ抗菌および抗腫瘍応答を高めるのに極めて重要である(Gee et al., 2009, Inflamm. Allergy Drug Targets 8:40-52)。IL-12はまた、卵巣癌(OV-HM)マウスモデルにおいて原発腫瘍だけでなく転移性腫瘍細胞の増殖を抑制することができる(Tatsumi et al., 2001, Cancer Res. 61:7563-7567)。IL-12はまた、高親和性の抗腫瘍T細胞の生成を媒介することができ(Xu et al., 2003, J. Immunol. 171:2251-2261)、それによって抗腫瘍T細胞機能を改善する。DCはまた、第4のシグナルとしてケモカインを産生し、これらはT細胞の蓄積をもたらし、さらにT細胞応答を生じさせる(Xiao et al., 2003, Cytokine 23:126-132)。
DCは、T細胞活性化にさらに影響を与える他のサイトカインを分泌することができる。例えば、DCは、Th17細胞を活性化するIL-1、IL-6およびIL-23を分泌し得る。Th17細胞は、その特徴的なサイトカインIL-17の産生によって病原体のクリアランスおよび組織の炎症に寄与する、近年確定された炎症性T細胞のサブセットである(Kikly et al., 2006, Curr. Opin. Immunol. 18:670-675)。IL-12産生はより強力なTh1応答をもたらすことができる一方で、IL-23産生はTh17細胞の成熟化をもたらすことができる。実際、IL-12を産生するDCはIL-23の存在下で主にTh1応答に偏向させることができるが、これに反して、IL-12の非存在下でIL-23を産生するDCは強いTh17応答に偏向させる(Roses et al., 2008, J. Immunol. 181:5120-5127; Acosta-Rodriguez et al., 2007, Nat. Immunol. 8:639-646)。このように、特定のDC分泌型サイトカインはT細胞機能にそうした重大な影響を及ぼすので、成熟DCのサイトカインプロファイルを正確に把握することの重要性は、潜在的なT細胞エフェクターが結果として何を生じさせるかのかなり大きな尺度となる。したがって、成熟DCは、表面分子の発現のみによる従来の特徴づけよりもむしろ、その主要なサイトカインの産生およびT細胞へのシグナルのその後の影響によって、より効果的に特徴づけることができる。
負荷した(パルスした)免疫細胞の生成
本発明は、抗原に曝露された、または抗原で「パルス」された細胞を包含する。例えば、DCなどのAPCは、例えば抗原の存在下でのエクスビボ培養によりインビトロで、または抗原への曝露によりインビボで、Ag負荷させることができる。
当業者には容易に理解されるように、APCは、APCの表面への抗原の提示を促進するのに十分な時間にわたりAPCをその抗原に曝露する方法で、「パルス」することができる。例えば、APCを、抗原ペプチドとして知られる小さなペプチド断片の形の抗原に曝露することができ、その抗原ペプチドはAPCの外側に直接「パルス」される(Mehta-Damani et al., 1994);あるいは、APCを、全タンパク質またはタンパク質粒子とインキュベートすることができ、こうしたタンパク質は後でAPCによって取り込まれる。これらの全タンパク質はAPCによって小さなペプチド断片に消化され、最終的にAPCの表面に運ばれて提示される(Cohen et al., 1994)。ペプチドの形をした抗原は、本明細書に記載する標準的な「パルス」技術によって細胞に曝露することができる。
どのような特定の理論によっても拘束されることを望まないが、外来抗原または自己抗原の形をした抗原は、その抗原の免疫原性形態を保持するために、本発明のAPCによってプロセッシングされる。抗原の免疫原性形態は、断片化による抗原のプロセッシングを含み、これにより免疫細胞、例えばT細胞により認識されかつ該細胞を刺激することができる抗原の形態が生成される。好ましくは、そのような外来抗原または自己抗原は、APCによってペプチドにプロセッシングされるタンパク質である。APCによって産生される関連ペプチドは、免疫原性組成物として使用するために抽出および精製することができる。APCによってプロセッシングされたペプチドは、APCによってプロセッシングされたタンパク質に対する免疫寛容を誘導するためにも使用することができる。
本発明の抗原負荷APC(別名「パルスAPC」としても知られる)は、インビトロまたはインビボのいずれかでAPCを抗原に曝露することにより生成される。APCがインビトロでパルスされる場合には、APCを培養皿に播種し、抗原をAPCに結合させるのに十分な量でかつ十分な時間にわたり、抗原に曝露することができる。APCへの抗原の結合を達成するのに必要な量および時間は、当技術分野で公知の方法あるいは本明細書で開示する方法を用いることにより、決定することができる。当業者に知られた他の方法、例えばイムノアッセイまたは結合アッセイを用いて、抗原に曝露した後のAPC上の抗原の存在を検出することもできる。
本発明のさらなる態様では、APCによる特定のタンパク質の発現を可能にするベクターを用いて、APCをトランスフェクトすることができる。APCにより発現されたタンパク質は次にプロセッシングされて、細胞表面に提示される。その後、トランスフェクトされたAPCは、ベクターによりコードされたタンパク質に対する免疫応答を生じさせるための免疫原性組成物として使用され得る。
本明細書中の他の箇所で説明するように、ベクターは、免疫応答が望まれるタンパク質をコードしかつ発現する特定のポリヌクレオチドを含むように作製することができる。好ましくは、細胞に感染させるためにレトロウイルスベクターが用いられる。さらに好ましくは、細胞に感染させるためにアデノウイルスベクターが用いられる。
別の態様において、ベクターは、APC上の受容体により認識されるタンパク質またはその一部をコードするようにウイルスベクターを修飾することによって、APCを標的とすることができ、それにより、APC受容体がそのベクターによって占有されると、ベクターのエンドサイトーシスが開始されて、ウイルスベクターの核酸によりコードされた抗原のプロセッシングおよび提示が可能となる。ウイルスにより運ばれる核酸は、そのウイルスにもともと存在するものであってよく、APC上に発現されるとき、ウイルスタンパク質をコードしており、その後そのウイルスタンパク質はプロセッシングされて、APCのMHC受容体上に提示される。
本明細書中で意図されるように、ポリヌクレオチドを宿主細胞にトランスフェクトするためにさまざまな方法を用いることができる。こうした方法としては、限定するものではないが、リン酸カルシウム沈降、リポフェクション、パーティクル・ボンバードメント、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、コロイド分散系(すなわち、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに脂質ベースの系、例えば水中油型エマルション、ミセル、混合ミセルおよびリポソーム)が挙げられる。これらの方法は当技術分野で理解されており、当業者がこれらの方法を実施できるようにするために、既刊文献に記載されている。
別の態様においては、抗原をコードするポリヌクレオチドを発現ベクターにクローン化して、そのベクターをAPCに導入することで、負荷APCを別の方法で生成することができる。さまざまなタイプのベクターおよび核酸を細胞に導入する方法は、入手可能な既刊文献に説明されている。例えば、発現ベクターは物理的、化学的または生物学的手段によって宿主細胞に導入することができる。例えば、Sambrookら(2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)、およびAusubelら(1997, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York)を参照されたい。抗原をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの導入がパルス細胞をもたらすことは容易に理解される。
本発明は、APCにパルスするためのさまざまな方法を包含し、限定するものではないが、タンパク質、cDNAまたはmRNAの形態の全抗原をAPCに負荷する方法が含まれる。しかし、本発明は、APCにパルスするために用いられる抗原の特定の形態に限定されると解釈されるべきでない。それどころか、本発明は抗原負荷APCを生成するための当技術分野で公知の他の方法を包含する。好ましくは、APCは特定した抗原をコードするmRNAでトランスフェクトされる。配列が知られている遺伝子産物に対応するmRNAは、適切なプライマーおよび逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を転写反応と一緒に用いて、インビトロで速やかに生成することができる。APCのmRNAによるトランスフェクションは、パルスAPCを生成するための他の抗原負荷技術より有利である。例えば、顕微鏡的微量の組織(すなわち、腫瘍組織)からRNAを増幅する能力は、多数の患者にワクチン接種するためのAPCの利用を拡大する。
抗原組成物がワクチンとして有用であるためには、抗原組成物は細胞、組織または哺乳動物(例えば、ヒト)においてその抗原に対する免疫応答を誘導しなければならない。本明細書中で用いる「免疫学的組成物」は、抗原(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)、抗原をコードする核酸(例えば、抗原の発現ベクター)、または抗原もしくは細胞成分を発現しているか提示している細胞を含むことができる。特定の態様において、抗原組成物は本明細書に記載される任意の抗原の全部もしくは一部、またはその免疫学的に機能性の等価物を含有するか、またはコードする。他の態様では、抗原組成物が追加の免疫刺激性物質またはそのような物質をコードする核酸を含有する混合物である。免疫刺激性物質としては、限定するものではないが、追加の抗原、免疫調節剤、抗原提示細胞またはアジュバントが挙げられる。他の態様では、追加の物質の1つまたは複数が、任意の組み合わせで、抗原または免疫刺激性物質に共有結合される。特定の態様では、抗原組成物はHLAアンカーモチーフのアミノ酸にコンジュゲート化されるか、またはそれを含む。
ワクチンは、本明細書で意図されるように、核酸および/または細胞成分のその組成において変化し得る。非限定的な例において、抗原をコードする核酸はアジュバントを用いて処方されてもよい。当然ながら、本明細書に記載の各種組成物は追加の成分をさらに含み得ることが理解されるだろう。例えば、1種または複数種のワクチン成分は脂質またはリポソーム内に含まれていてよい。別の非限定的な例では、ワクチンは1種または複数種のアジュバントを含んでいてもよい。本発明のワクチンとその各種成分は、本明細書に開示される方法により、または当業者に知られているように、本開示を踏まえて、調製および/または投与することができる。
理解されるように、本発明の抗原組成物は当技術分野で周知の方法により調製することができ、こうした方法として、限定するものではないが、固相合成による化学合成とHPLCによる化学反応の他の生成物からの精製、またはインビトロ翻訳系もしくは生細胞での本発明の抗原を構成するペプチドもしくはポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、DNA配列)の発現による生産が含まれる。さらに、抗原組成物は生物学的サンプルから単離された細胞成分を含むことができる。抗原組成物は単離され、1種または複数種の望ましくない低分子量分子を除くために十分に透析され、そして/または所望のビヒクルへの即時製剤化のために凍結乾燥される。さらに理解されるように、ワクチン成分に追加のアミノ酸、突然変異、化学的修飾などがあれば、それらはエピトープ配列の抗体認識を実質的に妨げないことが好ましい。
本発明の1つまたは複数の抗原決定基に対応するペプチドまたはポリペプチドは、一般的に、長さが少なくとも5または6アミノ酸残基であるべきであり、そして最大約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45または約50残基ほどを含むことができる。ペプチド配列は、当業者に公知の方法で、例えばApplied Biosystems社、Foster City, CA(Foster City, CA)から入手可能なような、自動ペプチド合成機を用いるペプチド合成により、合成することができる。
より長いペプチドまたはポリペプチドは、例えば組換え手段によって、調製することもできる。特定の態様において、本明細書に記載される抗原組成物および/または成分をコードする核酸を用いて、例えば、本発明の種々の組成物および方法のためにインビトロまたはインビボで抗原組成物を生産してもよい。例えば、特定の態様では、抗原をコードする核酸が、例えば、組換え細胞内のベクター中に含まれる。その核酸を発現させて、抗原配列を含むペプチドまたはポリペプチドを生産することができる。そのペプチドまたはポリペプチドは細胞から分泌されてもよく、または細胞の一部としてまたは細胞内に含まれてもよい。
特定の態様では、免疫応答は、抗原をコードする核酸を哺乳動物にトランスフェクトまたは接種することによって促進することができる。標的哺乳動物内に含まれる1つまたは複数の細胞が、哺乳動物への該核酸の投与後に、該核酸によってコードされる配列を発現する。ワクチンはまた、例えば、抗原のペプチドまたはポリペプチド配列の全部または一部をコードする核酸(例えば、cDNAまたはRNA)の形態であってもよい。該核酸のインビボ発現は、例えば、プラスミド型ベクター、ウイルスベクター、またはウイルス/プラスミド構築物ベクターによって行うことができる。
別の態様では、核酸は、適切な抗原またはその免疫学的に機能性の等価物をコードする配列の全部または一部をコードするコード領域を含む。当然ながら、核酸は追加の配列を含むおよび/またはコードすることができ、限定するものではないが、1種または複数種の免疫調節剤またはアジュバントが含まれる。
抗原
本明細書で意図されるように、本発明は、免疫応答を引き出すための、APCに負荷するのに適した抗原の使用を含むことができる。一態様では、腫瘍抗原が用いられる。腫瘍抗原は大きく2つのカテゴリーに分けられる:共有の腫瘍抗原;および特異な腫瘍抗原。共有抗原は多くの腫瘍により発現される一方で、特異な腫瘍抗原は物理的または化学的な発癌物質を通して誘導される突然変異に起因することがあり、したがって、個別の腫瘍によってのみ発現される。特定の態様では、共有の腫瘍抗原が本発明のDCに負荷される。他の態様では、特異な腫瘍抗原が本発明のDCに負荷される。
本発明の文脈において、「腫瘍抗原」とは、特定の過剰増殖性疾患に一般的に見られる抗原を指す。特定の局面では、本発明の過剰増殖性疾患の抗原は、限定するものではないが、以下を含む癌に由来するものである:原発性または転移性黒色腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌、肝臓癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、子宮癌、子宮頸癌、膀胱癌、腎臓癌および腺癌、例えば乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌など。
悪性腫瘍は、免疫攻撃の標的抗原として作用し得る多くのタンパク質を発現する。こうした分子としては、限定するものではないが、黒色腫におけるMART-1、チロシナーゼおよびGP 100などの組織特異的抗原、ならびに前立腺癌における前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)および前立腺特異的抗原(PSA)が挙げられる。他の標的分子は、癌遺伝子HER-2/Neu/ErbB-2のような、形質転換関連分子のグループに属する。標的抗原のさらに別のグループは、癌胎児性抗原(CEA)などの胎児腫瘍性抗原である。B細胞リンパ腫では、腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンが、個々の腫瘍にユニークな、真に腫瘍特異的な免疫グロブリン抗原を構成する。B細胞分化抗原、例えばCD19、CD20およびCD37は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。これらの抗原のいくつか(CEA、HER-2、CD19、CD20、イディオタイプ)は、モノクローナル抗体を用いた受動免疫療法の標的として使用されて、一応の成功を収めている。
腫瘍抗原およびその抗原性癌エピトープは、一次臨床分離株、細胞株などの天然源から精製し単離することができる。癌ペプチドとその抗原性エピトープはまた、当技術分野で知られた化学合成または組換えDNA法によって取得することもできる。化学合成法は、Steward et al.(1969); Bodansky et al.(1976); Meienhofer(1983); およびSchroder et al.(1965)に記載されている。さらに、Renkvist et al.(2001)に記載されるように、当技術分野では多数の抗原が知られている。類似体または人工的に改変されたエピトープは具体的に記載されていないが、当業者であれば、当技術分野の標準的な手段によりそれらを取得または生成する方法を理解している。抗体により同定され、そしてSerex技術(Sahin et al.(1997)およびChen et al.(2000)参照)により検出されるような、他の抗原は、Ludwig癌研究所(Ludwig Institute for Cancer Research)のデータベースにおいて同定される。
さらに別の態様において、本発明は、APCによる提示のための微生物抗原を含むことができる。本明細書で意図されるように、微生物抗原の起源はウイルス、細菌または真菌であり得る。感染性ウイルスの例としては、以下が挙げられる:レトロウイルス科(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV-1(HTLV-III、LAVもしくはHTLV-III/LAV、またはHIV-IIIとも呼ばれる);および他の分離株、例えばHIV-LP);ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;腸内ウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(例えば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブンヤウイルス科(例えば、ハンタンウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(例えば、豚コレラウイルス);ならびに未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原体、デルタ肝炎の病原体(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライトであると考えられる)、非A非B型肝炎の病原体(クラス1=内部的に伝染する;クラス2=非経口的に伝染する(すなわち、C型肝炎);ノーウォークウイルスと関連ウイルス、およびアストロウイルス)。
感染性細菌の例としては、以下が挙げられる:ヘリコバクター・ピロリ、ボレリア・ブルグドルフェリ、レジオネラ・ニューモフィラ、マイコバクテリウム属細菌(例えば、ヒト型結核菌、M.アビウム、M.イントラセルラーレ、M.カンサシ、M.ゴルドナエ)、黄色ブドウ球菌、淋菌、髄膜炎菌、リステリア菌、化膿レンサ球菌(A群レンサ球菌)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(B群レンサ球菌)、レンサ球菌(ビリダンス群)、糞便レンサ球菌、ストレプトコッカス・ボビス、レンサ球菌(嫌気性菌種)、肺炎レンサ球菌、病原性カンピロバクター属細菌、エンテロコッカス属細菌、ヘモフィルス・インフルエンザ、炭疽菌、ジフテリア菌、コリネバクテリウム属細菌、豚丹毒菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、エンテロバクター・エロゲネス、肺炎桿菌、パスツレラ・ムルトシダ、バクテロイデス属細菌、フゾバクテリウム・ヌクレアーツム、ストレプトバシラス・モニリフォルミス、トレポネーマ・ペルテニュ、レプトスピラ属、およびアクチノマイセス・イスラエリー。
感染性真菌の例としては、以下が挙げられる:クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ヒストプラスマ・カプスラーツム、コクシジオイデス・イミチス、ブラストマイセス・デルマチチジス、クラミジア・トラコマチス、およびカンジダ・アルビカンス。その他の感染性生物(すなわち、原生生物)には、熱帯熱マラリア原虫およびトキソプラズマ原虫が含まれる。
DCの活性化
従来のDCベースのワクチン(以前は臨床試験の中心になっていた)は、最終的に無菌性炎症を刺激するTNF、IL-6、PGE2およびIL-1βの組み合わせを含むサイトカインカクテル混合物を用いてDCを成熟させたが、本発明は代わりにTLRアゴニストを利用して、DCを成熟させ、かつシグナルの産生を刺激するものである。
本発明の一局面によれば、TLRリガンドの組み合わせを用いたDCの刺激は、増加した量のIL-12の産生をもたらす。さらに、TLRアゴニストの組み合わせによるDCの活性化は、より顕著なCD4およびCD8 T細胞応答をもたらすことができる(Warger et al., 2006, Blood 108:544-550)。したがって、本発明のDCは、TLRをトリガーするこれらのリガンドに曝露することによって、IL-12などのTh1駆動性サイトカインを分泌することができる。例えば、IL-1β、TNF-α、およびIFN-γに対するTLR3アゴニストであるポリ(I:C)の添加は、高レベルのIL-12産生により特徴づけられる強力な1型偏向DCを生成することができる(Heifler et al., 1996, Eur. J. Immunol. 26:659-668)。特定の態様では、TLRアゴニストへの曝露に先立ってDCに抗原を負荷することができる。他の態様では、TLRアゴニストへの曝露に続いてDCに抗原を負荷することができる。
本発明の一局面によれば、TLR活性化を介して強力な抗腫瘍免疫応答を生み出す極めて効果的なDCを生成するために、新規な統合的アプローチが用いられる。活性化された先天的(自己)導入による免疫条件づけ(immune conditioning by activated innate(autologous) transfer: ICAIT)と呼ばれることもあるこのアプローチは、細菌感染をシミュレートする生体分子により特に活性化された単球由来DCを利用するものであり、それによってICAIT-DCが構築される。このユニークな活性化法は、無菌性炎症をもシミュレートするTNF、IL-6、PGE2およびIL-1βのサイトカインカクテル(「従来の成熟化」)で成熟させたDCには見られない性質を備えたDCを与える(Lombardi et al., 2009, J. Immunol. 182:3372-3379)。
一態様において、本発明のICAIT-DCは、TLR4アゴニスト、細菌性リポ多糖(LPS)、TLR7/8アゴニスト、レシキモド(R848)および/またはIFN-γの組み合わせを用いて活性化することができる(Amati et al., 2006, Curr. Pharm. Des 12:4247-4254)。TLR4アゴニストと細菌性LPSでDCを活性化することによって、従来の成熟化法により生成されたDC1と(表現型の点で)少なくとも実質的に同一であるICAIT-DCが生成される。これらのICAIT-DCはCD83、CD80、CD86およびHLA-DRを含む表面分子の高発現を有する。他の態様では、リポテイコ酸(LTA)などのTLR2アゴニスト、ポリ(I:C)などのTLR3アゴニスト、および/またはMPLなどの他のTLR4アゴニストを使用してもよい。本明細書で意図されるように、任意のTLRアゴニスト、またはTLRアゴニストの組み合わせは、そのようなリガンドが活性化DCによるサイトカインおよびケモカインシグナルの産生を刺激するという条件で、DCを活性化するために用いることができる。他の多くのTLRアゴニストが当技術分野で公知であり、本発明とともに使用するために既刊文献中に見いだすことができる。
ICAIT-DCと従来法で成熟させたDCの間には表現型の点で類似性があるにもかかわらず、本発明のICAIT-DCは多くの顕著な利点を示す。例えば、図1に示すように、ICAIT-DCは、従来法で成熟させたDCと比較して、より高いレベルのTNF、ならびに高レベルのIL-12、CCL3(MIP-1α)およびCCL4(MIP-1β)、CCL5(RANTES)、およびCXCL10(IP-10)を産生する。
これらの各因子は抗腫瘍免疫の側面を増強することができる。例えば、CXCL10(IP-10)は腫瘍拒絶を高めるNK細胞を化学的に誘引する(Zing et al., 2005, J. Interferon Cytokine Res. 25:103-112)。TNFとIL-12は抗血管新生であり、腫瘍への血液供給を欠乏させる(Albini et al., 2009, J. Transl. Med. 7(5))。IL-12は、IFN-γを分泌するTh1細胞の分化と動員を促進し、かつNK細胞を活性化する。これとは対照的に、従来法で成熟させたDCはこれらすべての生体分子の発現が非常に低いが、その代わりに、アレルギー反応とTh2細胞の動員に関連したサイトカインCCL17(TARC)を強く発現する(Xiao et al., 2003, Cytokine 23:126-132)。図1には、従来のDCが欠如しているユニークなキラー機能を発揮するICAIT-DCの能力も示されており、それによって、それらは乳癌細胞株を溶解することができる。
こうして、本発明のICAIT-DCは有効な抗腫瘍分子であることが知られているサイトカインの産生を示すだけでなく、ICAIT-DCはまた感作されたT細胞の性質に良い影響を与える。図2に示すように、従来法で成熟させたDCとICAIT-DCはいずれも腫瘍抗原に対してT細胞をうまく感作することができるが、ICAIT-DCだけがHER-2発現腫瘍を実際に認識するようにT細胞を条件づけることができる。このことは、腫瘍が従来のDC活性化に関連した手段によって感作T細胞による認識から腫瘍を保護するメカニズムを備えているが、こうしたメカニズムはICAIT-DCにより条件づけられた感作T細胞によって断たれることを示唆している。したがって、ICAIT-DCは従来のDCが保有しないユニークな性質を示し、そしてICAIT-DCモデルは優れたT細胞感作の条件づけ、腫瘍転移病巣(tumor deposit)への多系列エフェクターの走化性誘引、および癌細胞の直接破壊における支援を可能にする。
免疫療法でのICAIT-DCの使用
DCベースの癌ワクチンの開発に進展があったものの、現在のDCベースの癌ワクチンの成功を制限する相当数の課題が依然として存在する。最優先課題の一つは免疫系を回避する腫瘍の能力を取り除くことであった。それは、組織特異的な腫瘍関連抗原が弱い免疫原性を有し、したがって、宿主免疫応答を回避することができる、または免疫応答が腫瘍を免疫エディティングし、そのため抗原陰性腫瘍細胞を残して抗原陽性細胞を排除することができる、という事実に起因し得る。この免疫エディティングのプロセスは、免疫応答が腫瘍をより攻撃的な表現型の形に変え得る方法である。単一の組織特異的抗原のみを標的とすることがかなり限られた臨床的効果しか上げていない理由を、免疫エディティングが部分的に説明する可能性がある。標的化免疫エディティングの概念とともに、エピトープ拡散の考え方もまた、エフェクターT細胞の誘導を高めるための別の可能なメカニズムとして最近注目を集めている。
DCを用いた大半の臨床試験は、組織特異的腫瘍タンパク質/抗原のみを標的にしている。しかし、過剰発現された場合には腫瘍性形質転換に関連づけられるのに、いまだに標的化されていない数多くの分子が存在している。例えば、抗アポトーシスファミリーのメンバーであるサバイビンは、転写(STAT3)経路のシグナル伝達および活性化剤の直接の下流標的であることが理解されている(Gritsko et al., 2006, Clin. Cancer Res. 12:11-19)。STAT3シグナル伝達の直接阻害はサバイビンタンパク質の発現を阻止して、乳癌細胞のアポトーシスを開始させる。また、HER-2/neu過剰発現の誘導はサバイビンをアップレギュレートすると考えられる(Siddiqa et al., 2008, BMC Cancer 8:129)。よく知られた腫瘍抗原HER-2/neuとシグナル伝達経路の遺伝子サバイビンとのこの関連性は、乳癌の病因における複数のエフェクターを標的にする新規な免疫治療的介入を開発するための大きな可能性を提供する。サバイビン遺伝子の他の免疫原性ペプチドが同定されており、こうして、本発明のシステムおよび方法を介した抗サバイビン、DCベースの治療法の開発は非常に説得力があり、確立された抗HER-2/neu、DCベースのワクチン接種との組み合わせで、エストロゲン非依存性乳癌の退行とおそらく予防に大きな影響を及ぼすことが可能である(Reker et al., 2004, Cancer Biol. Ther. 3:180-183)。
タンパク質HER-1/EGFRは、本発明のシステムおよび方法に従って開発されたDCベースのワクチンの標的として機能し得る新規な分子のさらに別の例である。サバイビンとともに、HER-1/EGFRもDCベースの癌ワクチンのための新規な非組織特異的標的として役に立つ。HER-1/EGFRの過剰発現または変異は、乳癌、結腸直腸癌、脳神経膠腫多形、膵臓腺癌および非小細胞肺癌に及ぶ多様な悪性腫瘍の発癌に関係している(Hynes et al., 2009, Curr. Opin, Cell Biol. 21:177-184)。DCは本明細書に記載するようにHER-1/EGFRでパルスして活性化することができ、したがって、抗HER-1/EGFR T細胞応答を発現させることができる。
ムチン1(MUC-1)もまた、癌ワクチンの標的として機能することができる。MUC-1は、乳癌、胆管腺癌および膵臓腺癌を含めて、多くの腺癌において高度に発現されかつ異常にグリコシル化される、上皮細胞の糖タンパク質である(Vlad et al., 2004, Adv. Immunol. 82:249-293; von Mensdorff-Pouilly et al., 2000, Int. J. Biol. Markers 15,343-356)。MUC-1の過剰発現は腫瘍の浸潤および転移に関係している。MUC-1の過剰発現がいくつかの血液および上皮の悪性腫瘍と関連づけられることを考えると、抗MUC-1 DCベースのワクチンを組織特異的腫瘍標的に対するワクチンと組み合わせることにより、臨床的に意義のある結果が得られる可能性がある。これらの分子を標的とすることは腫瘍性細胞の増殖に大きな影響を及ぼすことができ、したがって、疾患の進行を止めることができる。DCベースのワクチンはサバイビンおよびHER-1/EGFRなどのタンパク質を含むことができるため、疾患の進行は多重標的化ワクチン接種のアプローチを用いて臨床的に影響される可能性がある。
本明細書で意図されるように、CSCもまた、本発明の新規なDCベースのワクチンのための免疫治療標的である。幹細胞の亜集団は、さまざまな新生物を駆動しかつ維持すると考えられている(Wicha et al., 2006, Cancer Res. 66:1883-1890)。CSCに関連する経路は調節を欠いており、こうして、従来の治療に抵抗性の腫瘍を生成するCSCの無制御な自己複製を起こすと考えられている(Eyler et al., 2008, J, Clin. Oncol. 26:2839-2845)。現在の癌治療介入は分化した腫瘍細胞を標的にしているが、CSCの集団は残したままとする(Eyler et al., 2008, J. Clin. Oncol. 26:2839-2845)。しかし、病気の再発を開始させかつ/または標準的な治療法の治療効果を制限する可能性があるのは、CSCの集団である。したがって、これらの細胞において新たな治療標的を同定するために、CSCの自己複製および生存の側面を制御するシグナル伝達経路のより良い理解に基づいて、新戦略を設計することが不可欠である。幹細胞マーカーは、血液の悪性腫瘍、ならびに脳腫瘍、前立腺癌、乳癌、膵臓癌、頭頸部癌、および結腸癌を含めて、多くのヒト悪性腫瘍において同定されている。幹細胞マーカーの同定に加えて、Wnt、NotchおよびHedgehogなどの、自己複製および細胞分化を調節する経路も非常に詳しく解析されつつある(Kakarala et al., 2008, J. Clin. Oncol. 26:2813-2820; Medina et al., 2009, Clin, Transl. Oncol. 11:199-207; Bolos et al., 2009, Clin. Transl. Oncol. 11:11-19; Bisson et al., 2009, Cell Res. 19(6):683-697)。
特定の腫瘍標的化DCワクチンの開発に採用されているのと同じメカニズムが、CSCに固有の分子を標的とするためにも利用可能である。すべての乳癌細胞が同等であるとは限らないこと、そして乳房CSCのサブセットが浸潤および転移性疾患の発生に関与しているかもしれないことが考えられる。ヒト乳癌は、幹細胞の性質を示す、細胞表面マーカーCD44+/CD24low/lin-の発現により特徴づけられる細胞集団を含む(Al-Hajj et al., 2003, Proc. Natl Acad. Sci. USA 100:3983-3988)。幹細胞集団を制御する分子の中にHER-2/neuがある。幹細胞マーカーアルデヒドデヒドロゲナーゼ1の発現とHER-2/neuの過剰発現の間には相関関係がある。例えば、一連の477の乳癌において、正常ヒト乳腺上皮細胞および乳癌におけるHER-2/neu過剰発現は、ALDH1を発現する幹細胞の割合の増加と相関している(Ginestier et al., 2007, Cell Stem Cell. 5:555-567)。HER-2/neu発現と幹細胞のこの相関は、CSCの特定のマーカーを同定することで、本発明のシステムおよび方法(腫瘍抗原を標的にするだけでなく、幹細胞などの自己調節細胞を排除することを目指している)を用いたDCベースのワクチンの開発がいかに促進され得るか、の絶好の例になる。CSCと常にリンクしている分子を標的にすることは、発癌のイニシエーターとして機能し得る多能性細胞のクローンを減らすことによって、一部には癌の予防に効果的であり得る。DCベースのワクチンの開発に関連して本発明を考慮に入れることによって、癌ワクチンの開発は同様に、CSCに特有の分子を標的にすることに狙いを定めることができる。CSCで発現される分子を標的にすることによって、おそらく、全身再発の多くに関与しかつ現在の抗癌治療の失敗の原因である細胞のクローンを排除することが見込まれる。それを達成するために、CSCに特有の分子を同定し、その後、本明細書で意図されるとおりに、DCベースの免疫療法を実行に移して、幹細胞に特有の分子を標的にすることができる。
制御性細胞機能の阻害
本発明はさらに、TLRリガンドが提示細胞を活性化するだけでなく、適応応答を制限するように機能する制御性細胞をも阻害することを実証する。特定の態様において、TLR-2、TLR-4、TLR-8およびTLR-9を含む複数のToll様受容体を介したシグナル伝達は、Tregによる抑制を逆転させる。TLR-4活性化樹状細胞は、レスポンダー細胞に対するTreg効果を阻害するだけでなく、レギュレーターそれ自体をIFN-γ産生エフェクターに変換するらしいことが実証される。
LPSおよびIFN-γで活性化された樹状細胞は、レスポンダー細胞の増殖に対する制御性T細胞の阻害効果を打ち消したが、サイトカインで成熟させたDCはそうでなかった。この効果は、TLR活性化DCの存在下でのアポトーシスマーカーの発現に変化がないので、細胞死に起因するものではない。本明細書で実証されるように、TLR活性化樹状細胞を半透膜によってレギュレーターとレスポンダーの両方から分離したときでさえ、レスポンダー細胞増殖の回復が観察された。この効果は可溶性因子によるものであるが、IL-6およびIL-12のいずれにも非依存性である。さらに、この未知の可溶性メディエーターは、レスポンダー細胞ではなく、レギュレーターそれ自体に少なくとも部分的に作用するようである。本明細書で実証されるように、TLR活性化樹状細胞は、制御性T細胞におけるサイトカイン産生とエフェクター機能を誘導することができる。制御性T細胞はTLR活性化樹状細胞の存在下で相当量のIFN-γを産生するが、未成熟なまたはサイトカインで成熟させた樹状細胞の存在下では産生しない。IFN-γ産生はTh1転写レギュレーターT-betのアップレギュレーションと関連しており、そしてIFN-γ産生レギュレーターのかなりの割合がT-betとFoxP3を同時発現している。レスポンダー細胞増殖へのLPS活性化樹状細胞の効果はIL-12非依存性であるが、T-betのアップレギュレーションは中和抗IL-12抗体によって阻害される。したがって、LPSで活性化された単球由来DCは、サプレッサーT細胞を阻害しかつこれらのレギュレーターを動員してTh1エフェクターにすることによって、部分的に免疫応答の表現型を誘導することができる。
凍結保存
先に説明したように、本発明は、ICAIT-DCの開発を介して優れたAPCを生成するためのシステムおよび方法を提供するだけでなく、解凍後にT細胞機能にとって欠かせないシグナルを産生する能力を保持する方法で、これらの活性化DCを凍結保存するためのシステムおよび方法をも提供する。本明細書で意図されるように、本発明は、当業者が理解しているような、さまざまな凍結保存技術および凍結用培地を包含する。例えば、特定の態様において、培養細胞のための凍結用培地は約5〜10%のDMSOまたはグリセロールおよび10〜50%の血清、例えばヒト血清を含むことができる。他の態様では、凍結用培地は無血清であり得る。特定の態様では、速度制御凍結を用いることができる一方で、他の態様では、絶縁容器の使用を含むことができ、そこでは凍結用培地と混合された細胞のバイアルが、例えば約-70℃〜-80℃の温度のフリーザー内に配置される。本発明は、活性化ICAIT-DCを保存するための方法であって、こうした細胞の臨床応用をさらに促進し、かつ広範に繰り返されるフェレーシスおよびエルトリエーション段階の必要性を減らすやり方で保存する方法を提供する。本明細書で意図されるように、凍結保存技術は小規模および大規模の両バッチに使用することができる。
活性化DCの広範な有用性を考えるとき、凍結保存した活性化DCを安定して供給できるということは、このような細胞の多様な治療上の使用を促進することができるという大きな利点を表している。例えば、活性化DCの大規模培養物は、本発明の方法に従って、適当なサイズのアリコートに分けて凍結保存することができ、その結果、各用量の細胞を特定の免疫治療プロトコルにおいて後で用いることができる。特定の態様では、活性化DCを約-70℃以下の温度で2〜24週間凍結保存することが可能である。より低い温度、例えば約-120℃以下では、活性化DCを少なくとも1年間またはそれより長く凍結保存することができる。
例示的な一態様において、DCはヒト血清および約10%(v/v)のDMSO中に懸濁される。あるいは、ウシ胎児血清などの他の血清型を使用してもよい。懸濁した細胞は、1.8mlバイアル中などに、より小さいサンプルに等分して、約-70℃以下で貯蔵することができる。他の態様では、凍結用培地が約20%の血清および約10%のDMSOを含んでいてよく、懸濁した細胞を約-180℃で貯蔵することができる。さらなる態様には、血漿増量剤である約55%のオキシポリゼラチン、約6%のヒドロキシエチルデンプン、および約5%のDMSOを含有する培地が含まれる。他の例示的な凍結用培地は、約12%のDMSOおよび約25〜30%の血清を含むことができる。
本明細書に記載の本発明は特定の濃度の血清を含むことができるが、当業者には理解されるように、凍結用培地中の血清の正確な量はさまざまに変化してよく、いくつかの態様では完全になくてもよいが、一般的には約1%〜30%の範囲内である。当然ながら、約50%の細胞生存率および/または約50%の細胞回収率をもたらす血清濃度はどれも、本発明の任意のICAIT-DC組成物において、ならびに本明細書に記載の任意の凍結保存法とともに使用することができる。所定の凍結用培地中の凍結保存細胞を回収する際には、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも約70%、あるいはさらに80%の細胞生存率および回収率が望まれる。
同様に、本明細書に記載の本発明は特定の濃度のDMSOを含むことができるが、いくつかの態様ではDMSOが完全になくてもよい一方で、他の態様では約5%から約20%もの高い濃度を凍結用培地中で使用することができ、また、本明細書に記載の凍結保存法に含めることができることを当業者は認識すべきである。一般的には、約5%〜約10%のような、低い濃度のDMSOが好適である。しかし、解凍後に、少なくとも50%の細胞生存率と少なくとも50%の細胞回収率、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは約80%、さらにより好ましくは約90%またはそれ以上の細胞生存率および回収率をもたらす、DMSOの任意の濃度を用いることができる。
本明細書に記載の本発明は速度制御凍結への言及を含むことができるが、速度を制御したまたは制御しないやり方で凍結する方法をルーチンに使用できることが当業者には理解されるはずである。また、本明細書に記載のさまざまな凍結保存培地は血清を含んでもよいし、無血清であってもよいことが当業者には理解されるはずである。無血清培地の例には、XVIVO 10、XVIVO 15、XVIVO 20、StemPro、ならびに市販の無血清培地が含まれる。無血清の凍結用培地を利用する場合、本発明の凍結保存法は一般的に、感染性病原体、抗原性であり得る抗体および外来タンパク質、ならびに血清ベースの凍結用培地中に通常見いだされる他の外来分子を含まない。
抗原負荷した活性DCの凍結保存は、TLRアゴニストで細胞を活性化した後の任意の時点で行うことができる。一態様では、活性化DCはTLRアゴニストに曝露してから約6〜8時間後に凍結保存される。好ましくは、活性化細胞を凍結保存するために選ばれる時点は、その細胞のシグナルの産生、特にIL-12産生の最大化に基づくべきである。
治療への応用
本発明は、凍結保存から解凍されたとき、相当なレベルのサイトカインおよびケモカインを産生する、抗原負荷および活性化したAPCの生成を含み、ここで、抗原負荷および活性化したAPCは哺乳動物、好ましくはヒトの免疫療法において使用される。APCにより提示された抗原への応答は、細胞溶解性T細胞応答、ヘルパーT細胞応答、および/または抗原に対する抗体応答の誘導を、当技術分野で周知の方法を用いてモニタリングすることによって測定することができる。
本発明は、以下の段階を含む、哺乳動物における免疫応答の増強方法を包含する:哺乳動物(例えば、患者)から得られた単球から未成熟DCを生成する段階;未成熟DCを、抗原組成物を含む組成物でパルスする段階;抗原負荷したDCを少なくとも1種のTLRアゴニストで活性化する段階;抗原負荷して活性化したDCを凍結保存する段階;抗原負荷して活性化したDCを解凍し、その後、抗原負荷して活性化したDCを、それを必要とする哺乳動物に投与する段階。前記組成物は少なくとも抗原を含み、さらに、哺乳動物のエクスビボ免疫化および/またはインビボ治療のためのワクチンであり得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
エクスビボでの手順は当技術分野でよく知られており、以下でより詳しく説明される。簡単に述べると、細胞を哺乳動物(好ましくは、ヒト)から分離する。その細胞は治療効果を与えるために哺乳動物レシピエントに投与することができる。哺乳動物レシピエントはヒトであってよく、細胞は該レシピエントに対して自己であってよい。あるいは、細胞は該レシピエントに対して同種異系、同系または異種とすることもできる。
一態様では、末梢血単球を白血球フェレーシスとエルトリエーションの組み合わせによって患者から取得する。単球はGM-CSFとIL-4を含むSFM中で一晩培養することができる。翌日、未成熟DCを抗原でパルスし、続いて該DCをIFN-γおよびLPSと接触させることができる。活性化されたDCはその後凍結用培地に懸濁させて、免疫療法での使用準備が整うまで凍結することができる。
凍結保存したICAIT-DCは、新たに活性化したICAIT-DCと比較して、細胞の回収パーセントおよび生存パーセントをもたらすのに効果的な条件下でエクスビボで培養することができる。凍結保存サンプルから生成されたICAIT-DCは、新たに調製したICAIT-DCと比較して、同様の安定性を示すことができる。さらに、凍結保存した成熟DCと新たに調製したDCのそれとの比較は、実質的に同一の表現型ならびにシグナル分泌プロファイルを示すことができる。本明細書で意図されるように、ICAIT-DCは、小規模と大規模の両方で、本明細書に記載のさまざまな凍結用培地中にて約-70℃〜-80℃の温度で約2〜24週間保存することができる。約-120℃以下の温度では、細胞の回収率、生存率、およびDCの機能性に影響を及ぼすことなく、貯蔵期間を無限にまたは少なくとも24週を超えて延長することができる。例えば、特定の態様では、活性化した細胞は、少なくとも1年間保存しても、解凍後にシグナルを産生する能力をまだ保持することができる。本発明は、細胞の解凍時に有効な回収率および生存率のプロファイルを提供し、さらに本明細書に記載の凍結保存条件は、本明細書全体を通して説明されるように、シグナルプロファイルを保持するICAIT-DCの能力に影響を与えない。
例示的な態様において、ICAIT-DCの活性化後に、細胞を予め冷却したヒト血清中に再懸濁させ、続いてそのサンプルに約10%のDMSOを加えることによって、凍結保存を行うことができる。その後、混合物を1.8mlバイアルに分注し、凍結チャンバー内で約-80℃にて一晩凍結することができる。翌日、バイアルを液体窒素タンクに移すことができる。約2〜24週の凍結保存後、凍結ICAIT-DCを解凍して、その回収率と生存率を調べることができる。そのようなICAIT-DCの回収率は約70%以上とすることができ、同時に生存率も約70%以上であり得る。他の態様では、DCまたは単球を、細胞の活性化に先立って凍結保存することが可能である。
あるいはまた、造血幹細胞および造血前駆細胞のエクスビボ増殖のための手順が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,199,942号に記載されており、そうした手順を本発明の細胞に適用することができる。米国特許第5,199,942号に記載される細胞増殖因子に加えて、flt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドなどの他の因子を細胞の培養と増殖のために用いることができる。
さまざまな細胞選別技術が、細胞集団から細胞を同定して分離するために知られている。例えば、モノクローナル抗体(または他の特定の細胞結合タンパク質)は、細胞上に見られるマーカータンパク質または表面抗原タンパク質に結合させるために使用することができる。幾つかのそのようなマーカーまたは細胞表面抗原が当技術分野で知られている。
ワクチン製剤
本発明はさらに、免疫療法で使用するのに適したワクチン製剤を包含する。特定の態様において、ワクチン製剤は、癌および感染症などの疾患の予防および/または治療に用いられる。一態様では、癌を予防および/または治療するための本発明に従うワクチンの患者への投与は、癌を摘出する外科手術の前または後に、癌を治療するための化学療法の前または後に、そして癌を治療するための放射線療法およびこれらの任意の組み合わせの前または後に、行うことができる。他の態様では、ワクチン製剤は他の組成物または医薬品との併用または組み合わせで患者に投与することができる。本発明はまた、癌にかかっていないものの、癌を発症するリスクがある個体において、癌を予防するためにも使用可能であることを認識すべきである。
本発明に従って調製される癌ワクチンの投与は、癌ワクチンの一部を形成する抗原の選択によって部分的に決定される癌の予防または治療に広く適用可能である。本発明の実施により適切に治療され得る癌としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、結腸癌、頭頸部癌、膵臓癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、腎臓癌、骨癌、肝臓癌、食道癌、脳腫瘍、精巣癌、子宮癌、ならびに各種の白血病およびリンパ腫。
一態様において、本発明によるワクチンは治療すべき腫瘍または癌細胞から誘導することができる。例えば、肺癌の治療において、肺癌細胞は肺癌ワクチンを製造するために上述したように処理されるだろう。同様に、乳癌ワクチン、結腸癌ワクチン、膵臓癌ワクチン、胃癌ワクチン、膀胱癌ワクチン、腎臓癌ワクチンなどが製造され、そのワクチンが製造された腫瘍または癌細胞を予防および/または治療するための実施基準に従って免疫療法剤として使用されるだろう。
他の態様において、本発明によるワクチンは、述べたように、病原体により培養培地中に流された関連抗原を回収することによって、哺乳動物に影響を与えるさまざまな感染症を治療するために製造することができる。同じ疾患を引き起こす生物の多様な変種から発現された、免疫原性のある防御抗原のタイプには異質性が存在するので、重要な異なる抗原を発現する生物のプールからワクチンを調製することによって、多価ワクチンを製造することができる。
本発明の別の態様では、ワクチンは鼠径部リンパ節にリンパ節内注射によって投与することができる。あるいは、ワクチンの標的に応じて、ワクチンは治療を受ける患者の四肢、腕と脚、に皮内または皮下投与することができる。このアプローチは、感染症の予防または治療を含めて、黒色腫および他の癌にとって一般に満足のいくものであるが、筋肉内または血流内などの他の投与経路を使用することも可能である。
さらに、ワクチンは、ワクチンの活性および患者の応答を高めるために、アジュバントおよび/または免疫調節剤と一緒に投与することができる。そのようなアジュバントおよび/または免疫調節剤は当業者に理解されており、入手可能な既刊文献にわかり易く記載されている。
本明細書中で意図されるように、そして生成されるワクチンのタイプに応じて、ワクチンの生産は、必要ならば、バイオリアクターまたは発酵槽または細胞の大量増殖に適する他のそのような容器もしくはデバイスで細胞を培養することによって、スケールアップすることができる。そうした装置では、任意の物質または抗原が培養培地中で分解される前にそのような物質または抗原を培地から回収するために、培養培地が定期的に、頻繁に、または連続的に集められる。
必要に応じて、本発明に従って生産および回収されたワクチンまたは抗原を含有する、持続的または間欠的放出に適するデバイスまたは組成物は、実際には、そのような物質の体内への比較的遅い放出または徐放のために、体内に埋め込まれるか、そこに局所的に適用される。
ワクチン製造の他の手順は、特定のワクチンの要件を満たすために個別化することができる。そのような追加の手順については当業者が理解しているだろう。例えば、集められた特定の抗原物質を濃縮し、ある場合には界面活性剤で処理し、そして移植アロ抗原を除くために遠心分離することができる。
本明細書に記載のこれらの方法は決して包括的なものではなく、特定の使用に適合するさらなる方法が当業者には明らかだろう。さらに、組成物の有効量は、所望の効果を発揮することが知られている化合物から類推して、さらに近似させることができる。
本発明を以下の実施例を参照しながら説明する。これらの実施例は例示のみを目的として提供され、本発明はこれらの実施例に限定されるのではなく、本明細書中に提供される教示の結果として明白な、すべての変更を包含する。
本明細書に開示される実験は、免疫療法で用いるために解凍したときの、抗原負荷して活性化したDCの機能性に及ぼす凍結保存の影響を調べるために実施された。解凍された細胞は、サイトカインおよびケモカインの産生を介して、強いTh1細胞応答の方へ条件づける能力を保持しており、さらに腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する能力を備えている。
ここで、本明細書に開示された実験および実施例で用いられる材料と方法を説明する。
ICAIT DCの凍結保存:DCを穏やかなスクレーピングにより回収した。すべての培地と細胞は常に氷上で保持した。細胞を約800rpmで10分間遠心分離することにより穏やかに洗浄した。10×106個の細胞をヒト血清および10%DMSO中に慎重に懸濁させて、1.8mlバイアルに移した。細胞を-80℃の発泡絶縁Nalgen容器内のイソプロパノール浴中で凍結させた。凍結状態は1℃/分ずつ温度を下げて実験室で達成された。凍結源としてN2を用いる生物学的冷凍装置内で細胞を凍結することもできる。18〜24時間後、細胞を液体N2タンクの蒸気相にすばやく移動させた。タンクの蒸気領域は、温度が約-135℃より高くならないように、外部から制御される。
DCの解凍:細胞を37℃の水浴に移した。ほぼ解凍されたら、細胞を氷冷DC培地中に懸濁させるために、細胞を含むピペットを該培地中に穏やかに下げて、細胞を該培地に滴下放出させた。細胞を800rpmで5分間遠心分離し、再懸濁させた。細胞をカウントして、使用に備えた。
凍結保存のためのICAIT DCの調製:新たにエルトリエートした骨髄性単球を6ウェルのマイクロプレート(12×106個/ウェル)で培養した。培養培地はSerum Free Medium(SFM Invitrogen社, Carlsbad, CA)から成っていた。添加したGMCSFの最終濃度は50ng/mlで、IL4の最終濃度は1000U/mlであった。細胞を37℃、5%CO2で一晩培養した。一部のバッチでは、細胞を16〜20時間後に適切なペプチドでパルスし、さらに6〜8時間培養してから1000U/mlのIFN-γを添加した。樹状細胞をTLRアゴニストLPS(TLR4、10ng/ml)またはR848(TLR8、1μg/ml)で成熟させた。成熟化時間は少なくとも約6時間とした。それ以降は、TLRアゴニスト活性化DCは、凍結保存または即時使用の準備ができた状態であった。
ここで、本明細書に提示した実験の結果を説明する。
実施例1:凍結保存された活性化ICAIT-DCは新たに生成されたICAIT-DCと同様のレベルでシグナル産生を保持する
最初に、凍結保存された活性化DCの生存率と回収率を測定した。トリパンブルー排除を用いて、凍結保存ICAIT-DCの生存率と回収率を、凍結保存前および凍結保存DCの解凍と洗浄(遠心分離による)の直後に測定した。図3Aおよび3Bに示すように、凍結保存DCの2バッチの5つの単一例が示される。生存率は新たに調製したDC1と凍結保存したDC1の間で同等であり、回収率は一般的に約80〜90%であった。回収率は、新たに調製したDC1の収集による細胞の損失のため、新たに調製したDC1からの回収率よりも凍結保存サンプルにおいてはるかに優れていた。
次に、シグナルの産生を、新鮮なICAIT-DCと凍結保存ICAIT-DC間で比較し、同時に、サイトカイン媒介DC成熟化(CMDC)などの従来の成熟化技術からのシグナル産生レベルと比較した。図4Aに示すように、シグナル3(IL12)の継続的な産生がELISAアッセイにより測定された。凍結保存ICAIT-DCは同様にかなりのレベルのIL12産生を示した。重要なことは、凍結保存ICAIT-DCからのIL12産生が凍結保存CMDCまたは新鮮なCMDCのいずれよりも顕著に高かったことであり、これは、凍結保存ICAIT-DCが従来法で成熟させたDCより優れたサイトカインおよびケモカインプロファイルを保持しており、結果的にT細胞応答を誘発する上でより効果的な細胞であることを実証している。図4Bに示すように、解凍後2時間および12時間でのIL12産生レベルは、凍結保存前に見られたIL12産生レベルと同様であった。
CD4 T細胞のアロ感作(allosensitization)を調べるために、精製した同種CD4細胞の2つのサンプル(1×106個/ウェル)を、凍結保存したTLRアゴニスト刺激DC(1×105個/ウェル)と共培養し、凍結保存単球から調製したDC1と比較した。図5に示すように、9日後、T細胞を収集し、抗CD3および抗CD28抗体をコーティングしたプレート上で再刺激した。24時間後に上清中の(T細胞から産生された)IFN-γレベルを分析した。
実施例2:CD4+CD25+ T細胞は未成熟な樹状細胞の存在下でレスポンダー細胞増殖を阻害するがDC1樹状細胞の存在下では阻害しない
以前に、エルトリエートした精製CD14+単球は、DCシグナル伝達剤で処理したとき、活性化DCの特性を獲得することが実証された(Czerniecki 1997)。最近では、IFN-γおよびTLR-4アゴニストLPSを用いて生成された、これらの単球由来の腫瘍抗原担持樹状細胞(LPS活性化DC)は、非浸潤性乳管癌の患者において標的化免疫応答を促進することが実証された(Czerniecki et al., 2007, Cancer Res 67:1842-1852)。これまでの研究は、LPSを含むTLRアゴニストがCD4+CD25+Foxp3+ T細胞により媒介される免疫抑制を抑止することができることを一貫して実証した(文献)。したがって、TLR活性化DCはTreg媒介免疫抑制を逆転させる能力があるかもしれないと仮定される。
この仮説を検討するために、未成熟な樹状細胞(iDC)対LPS活性化単球由来DCの存在下で、TCR刺激(抗CD3)に対するCD4およびCD8リンパ球の増殖を阻害するヒトCD4+CD25+ T細胞の能力を比較する実験が設計された。1.25×105個のソーティングされたCD4+CD25+ T細胞を、2.5×105個のCFSE標識未分画リンパ球(CD4およびCD8陽性)および1×105個の未成熟樹状細胞と混ぜ合わせた。図6に示すように、5日目のCD4およびCD8陽性T細胞の増殖応答はどちらも、Tregの非存在下に対してTregの存在下で阻害された。ソーティングされたCD4+CD25- T細胞の増殖が同様に阻害され、この結果が未分画レスポンダーを用いることの純粋に人為的な結果である可能性を除外する(データは示さず)。これとは対照的に、IFN-γおよびLPSを用いて成熟させたDC樹状細胞を含めると、レギュレーターの存在にもかかわらず、CD4およびCD8陽性T細胞の両方の増殖が回復した。TregおよびLPS活性化DCの存在下でのレスポンダーの増殖は、レギュレーター集団の非存在下での増殖に類似していた。単球由来DCを成熟させるために用いたLPSが共培養物を汚染してこの結果につながったということは、LPSによるiDCの短時間(15分)の前処理によって除外された。抑制はこの設定で影響を受けておらず、これはDC集団が正式に成熟化される必要があること、そして汚染LPSがその結果に関与しないことを示している。注目すべきことに、従来のサイトカインベースの成熟化カクテル(IL-1、IL-6、TNF-α、PGE2)を用いて成熟させた樹状細胞は、レギュレーターの存在下でエフェクターの増殖を十分に回復しなかった。これらの結果は、単球由来のLPS成熟化DCが、抗CD3に応答して、CD4およびCD8陽性T細胞の両方のTreg媒介抑制を阻害することを実証している。
CFSEの使用、より具体的にはエフェクター細胞のみのラベリングは、この実験モデルの中心的な側面である。他の多くの研究で抑制を実証するために用いられた増殖アッセイは、トリチウムチミジンへの依存に悩まされている。制御性T細胞は完全にはアネルギー性でなく、実際には、特に炎症シグナルとの関連において、相当な増殖能を持っていることが多数の報告で実証されている(Brinster et al., 2005, J Immunol 175:7332-7340; Klein et al., 2003, Proc Natl Acad Sci USA 100:8886-8891)。トリチウムチミジンに基づくアッセイは、確認された増殖の違いが少なくとも一部には制御性成分に起因している可能性を除外することができない。CFSEベースのアッセイは、特にエフェクター細胞間の増殖を追跡しており、そしてTregおよび/またはさまざまな樹状細胞集団の存在/非存在下でこれらのエフェクターの増殖を直接比較している。そうすることで、それは、CD4+CD25+レギュレーターによる増殖が結果の誤解釈を促進する可能性を排除している。
実施例3:DC1樹状細胞によるT reg 機能の阻害は可溶性因子によって生じるがIL-6およびIL-12非依存性である
DC1集団がTreg媒介抑制を阻害するメカニズムを特徴づけるための実験が設計された。DC1樹状細胞が制御性T細胞補完物でのアポトーシスを誘導することによってTreg媒介抑制を阻害するのかどうかを調べるため、ソーティングされたCD4+CD25+ T細胞をiDCおよびLPS活性化DCと共培養し、24時間後にアポトーシスマーカーであるアネキシン-Vおよび7-AADの発現を比較した。5日目に確認された増殖性の違いがかなり早くアポトーシス事象から生じるという推定により、その時点として1日目が選ばれた。24時間の培養後、図7A(アネキシン+/7-AAD+およびアネキシン-/7AAD-グループについてp>0.2)に示すように、アネキシン-Vと7-AADの両方の発現は、どちらの樹状細胞集団と共培養したTreg間でも同様であった。これらのデータは、未成熟な樹状細胞と比較して、LPS活性化DC集団がTregアポトーシスを大幅に変更しないことを示唆している。
Treg媒介抑制に対するLPS活性化単球由来DC細胞の効果がアポトーシスによるものでないことが立証されたので、この効果が細胞接触依存性であるのかまたは可溶性因子によって媒介されるのかを調べるために、CFSE標識エフェクター細胞を、未成熟樹状細胞の存在下で、その後半透性Transwell(登録商標)メンブレンで分離された別のDC集団を添加して、未標識CD4+CD25+ T細胞と共培養した。未成熟樹状細胞の追加の補完物をTranswell(登録商標)メンブレンに添加した場合は、図7Bに示すように、iDCの存在下で抑制に対する効果が見られなかった。しかし、LPS活性化DC集団をTranswell(登録商標)メンブレンに添加した場合は、TregをこれらのDCと直接共培養したときに見られたものと同様のTreg媒介抑制の中断が観察された。DCそれ自体がTranswell(登録商標)を通って移動したことにより抑制を中断したという可能性を照合するために、制御性T細胞を、樹状細胞の非存在下で、しかしメンブレンによって分離されたLPS活性化DCを添加して、CFSE標識エフェクターと共培養した。ごくわずかな増殖が認められた。これらのデータは、まとめると、LPS活性化DC集団が細胞接触非依存的にTreg媒介抑制を阻害することができることを示唆している。
いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、抑制の中断のための最も可能性の高い2つの可溶性メディエーターはIL-12とIL-6であると考えられる。LPS活性化DC集団は、主にTh1免疫応答の発現に関与している大量のIL-12の分泌によって特徴づけられる(Xu et al., 2003, J Immunol 171:2251-2261)。IL-6はインビトロでTreg媒介抑制のLPS媒介逆転の中心に位置することが分かっている(Pasare et al., 2003, Science 299:1033-1036)。IL-6またはIL-12の中和がLPS活性化DCの存在下でTregの抑制効果を復元するかどうかを試験したところ、図7Cに示すように、TregおよびIFN-γ/LPS活性化DCの存在下でのエフェクターの増殖は、中和抗IL-12抗体を含めることによって最小限に影響を受け、そして抗IL-6を含めることによって本質的に影響を受けないことが判明した。Transwell(登録商標)実験と一緒にまとめると、これらのデータは、IL-6およびIL-12以外の可溶性因子がLPS活性化DCにより生じた抑制の中断を媒介しており、かつアポトーシスに依存しない方法でそうすることを示唆している。
前述の実験は、DC集団がレギュレーター自体に作用するのか、またはTreg阻害からレスポンダー細胞を単に解放するのか、判別することができない。DC効果は可溶性因子を介して生じるので、LPS活性化DCから採取した培地によるレギュレーターまたはレスポンダーの前処理がTreg媒介抑制を逆転するかどうかを評価するために、ソーティングされたCD4+CD25+ T細胞またはCFSE標識エフェクター細胞を、等量ずつの培養培地とLPS活性化DC培養物から移した培地中で培養した。これらの細胞を24時間後に収集して洗浄し、その後、共培養に利用した。図7Dに示すように、LPS活性化DCの培地でレスポンダーを前処理することは、Treg媒介抑制に何の影響も与えなかった。しかし、共培養に先立ってレギュレーターを前処理すると、それらの存在下でのレスポンダー細胞の増殖がやや回復した。LPSのみ(5ng/mL)でTregを前処理しても、増殖は増えなかった(データは示さず)。これらの知見をまとめると、可溶性因子はレギュレーターそれ自体に少なくとも部分的に作用して抑制を中断し得ることが示唆される。
最近の多くの研究は、TLR-2、TLR-4、TLR-8およびTLR-9を含めて、さまざまなToll様受容体がTreg媒介抑制を抑止することができることを実証している(Urry et al., 2009, J Clin Invest 119:387-398; Pasare et al., 2003, Science 299:1033-1036; Pasare et al., 2003, Science 299:1033-1036; Sutmuller et al., 2006, J Clin Invest 116:485-494; Peng et al., 2005, Science 309:1380-1384; Porrett et al., 2008, J Immunol 181:1692-1699; LaRosa et al., 2007, Immunol Lett 108:183-188; Pasare et al., 2003, Science 299:1033-1036)。これらの著者らは、LPSで活性化された樹状細胞がCD4+CD25+ T細胞による抑制からエフェクター細胞を解放する可溶性因子(1種または複数種)を分泌することを実証した。IL-6はこの効果のために必要とされたが、1種または複数種の他のサイトカインと相乗的に作用するようであった。本明細書に示された結果はこれらの知見と一致するが、いくつかの点でそれらを拡張する。第一に、本実験は、免疫療法に現在使用されている樹状細胞を含むヒト細胞集団を用いて実施された。腫瘍免疫療法に現在使用されているヒト細胞集団での同様の効果はこれらの知見を直接臨床の場に結びつけることが観察された。第二に、これらの著者らは、樹状細胞に直接LPSを添加してその効果を誘導したが、本実験は、LPSで活性化してからTregとエフェクターを含む共培養物に移した樹状細胞が、依然として抑制を抑止することができることを示した。この知見はAPCに対する永続的な効果を示し、そして抑制を中断することができる可溶性メディエーター(1種または複数種)の長期分泌を示唆している。この研究では、LPSが直接サプレッサー集団またはエフェクターに作用することによってTreg媒介抑制を中断することは除外されている。それどころか、その効果を媒介するのはLPS活性化樹状細胞である。第三に、本実験は、IL-6およびIL-12非依存性であるが、可溶性因子によって媒介されるように見える効果を実証している。この因子が上述した研究でIL-6と相乗的に作用するということは、妥当と考えられる。最後に、本実験は、LPS活性化樹状細胞が、Treg制御からエフェクターを単に解放するのではなく、レギュレーター自体を不活性化する因子を分泌する可能性があることを示唆している。
実施例4:サプレッサーCD4+CD25+ T細胞はDC1樹状細胞の存在下でT-betをアップレギュレートし、FoxP3をダウンレギュレートし、そしてエフェクターサイトカインを分泌する
いくつかの実験モデルでの最近の研究は、さまざまな表現型の樹状細胞が制御性T細胞を抗原特異的な自己免疫エフェクターに変換することができることを示した(Baban et al., 2009, J Immunol 183:2475-2483, 18; Radhakrishnan et al., 2008, J Immunol 181:3137-3147)。機構的に、この知見は転写制御因子FoxP3のダウンレギュレーションによって特徴づけられ、そしてエフェクターサイトカインのアップレギュレーションを伴うことがある。最も一貫して認められるのは、Th17免疫を媒介する可能性が高いIL-17産生エフェクター細胞へのTregの変換である(Baban et al., 2009, J Immunol 183:2475-2483, 18; Radhakrishnan et al., 2008, J Immunol 181:3137-3147; Beriou et al., 2009, Blood 113:4240-4249)。抑制の中断が制御性T細胞の単純な失活を反映するのか、それとも免疫応答をさらに増強するエフェクター細胞へのそれらの変換を反映するのかを調べるために、IFN-γ/LPS活性化DCがIL-12の力強い生産を示しかつTh1免疫の強力な誘導因子であることを考慮して、エフェクターへの変換はIL-17の産生よりもIFN-γによって特徴づけられる可能性が高いという仮説を立てた。
この仮説を検証するために、TregおよびCD4+CD25-エフェクターを典型的な1.25:1の比で共培養し、ELISAを用いてそれらのサイトカイン産生を測定した。未成熟な樹状細胞と共培養されたCD4+CD25+ TregおよびCD4+CD25-エフェクター細胞はどちらも、本質的にIFN-γを作らないことがわかった。しかし、図8Aに示すように、両方の集団は、LPS活性化単球由来DCと共培養したときには、かなりの量のIFN-γを作った。測定されたサイトカインがT細胞によって産生され、樹状細胞補完物によって産生されたものでないことを検証するために、細胞を共培養後に収集して、IFN-γの細胞内産生を評価した。図8Aに示すように、CD4+ T細胞のかなりの割合がIFN-γ陽性であった。これとは対照的に、CD11c陽性樹状細胞のはるかに少ない数がサイトカイン陽性であった(データは示さず)。ソーティングされたCD4+CD25+集団の純度は確実に>99%であり、サイトカインの産生が汚染細胞によって媒介されるという可能性は除外される(データは示さず)。しかし、ソーティングされたCD4+CD25+集団のかなりの比率がFoxP3陰性である(約20%;データは示さず)。したがって、抑制の最大の原因とされるFoxP3+細胞が単に失活されて、サイトカインの産生が主にこのFoxP3陰性コホートからもたらされるということは、妥当と考えられる。
エフェクター細胞へのTregの変換を実証する研究は、この表現型の変化を、転写制御因子FoxP3のダウンレギュレーションおよび種々のサイトカインのアップレギュレーションと関連づける。このLPS活性化DC集団は、IFN-γ産生T細胞の発生を助長するその力強いIL-12産生のため、Th1免疫応答に偏向させることが知られている。Th1細胞の分化は、Tボックス因子T-betを含む数種の転写因子の作用を介してプログラムされている。本研究におけるIFN-γ産生エフェクター細胞へのTregの変換は、Treg特異的転写因子FoxP3のダウンレギュレーションおよびT-betのアップレギュレーションと関連づけることができるという仮説を立てた。
この前提を検証するために、CD4+CD25+レギュレーターを未成熟またはLPS活性化DCおよび可溶性CD3と共培養し、その後FoxP3およびT-betの発現を分析するために細胞内サイトカイン染色を用いた。図8Bに示すように、未成熟な樹状細胞と比較して、LPS活性化DCはCD4+CD25+ T細胞間でT-betのアップレギュレーションを誘導した。興味深いことに、T-betのアップレギュレーションはFoxP3陽性細胞で最も顕著であった。CD4+CD25+ T細胞のかなりの割合は、FoxP3とT-betの両方を発現することが2日目に認められた。未成熟樹状細胞の存在下でインキュベートしたCD4+CD25+ T細胞はT-betをアップレギュレートせず、そしてごくわずかな細胞が二重陽性として測定された。5日目に認められた増殖性およびサイトカイン産生の違いは転写因子発現のより早い段階での変化を反映しているという推定のもとで、少し早い時点(2日目)が選ばれた。
これらのデータは、LPS活性化DCと共培養されたCD4+CD25+ T細胞によるIFN-γの産生が、特にFoxP3陽性細胞でのT-betのアップレギュレーションと相関することを示している。これらのデータはまた、ELISAにより検出されたサイトカインがFoxP3陰性CD4+CD25+ T細胞の増殖によって生成されるという可能性を低くしている。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、大多数のT-bet陽性細胞がFoxP3陽性でもあるという事実は、制御性T細胞がサイトカイン産生エフェクターに変換されることを示唆すると考えられる;FoxP3陰性細胞が検出されたサイトカインを生成するために増殖したという可能性は、あまり高くない。エフェクターに移行するTregが複数の転写制御因子を少なくとも一過性に発現するということは、Th17細胞への変換において報告されている(Beriou et al., 2009, Blood 113:4240-4249; Sharma et al., 2009, Blood 113:6102-6111)。
IL-12はTh1分化とその後のIFN-γ産生にきわめて重要であるので、ここで認められたIFN-γ産生細胞へのレギュレーターの変換がIL-12依存性であるのかを調べた。これらの1型DCは、レスポンダー細胞増殖に対するTregの効果を、IL-12に依存しないやり方で打ち消すことが示されたとはいえ、異なるシグナルがエフェクターへの変換を支配していそうである。したがって、Tregを中和抗IL-12抗体の存在下でLPS活性化DCと共培養して、FoxP3およびT-betの発現を評価した。図8Bに示すように、T-betのアップレギュレーションは中和抗体の存在下で最低であることがわかった。
これらの知見は、免疫系に制御性T細胞を組み込むための新しいパラダイムを提案する。Tregは現在、炎症性免疫反応の発生を緩和するのに役立ち、そして自己免疫を防止するのに役立つ、末梢性寛容の主なメディエーターと見なされている。これらの細胞の存在および活性にもかかわらず生産的な免疫応答がどのように開始されるかは、まだ定かでない。炎症状況下でのT細胞制御の中止を目下実証する研究の多くは、1つのモデルを提案する:すなわち、病的傷害の状況で直面する炎症シグナルが免疫応答を発現する際にレギュレーターを失活させるというモデルである。注目すべきは、TLR活性化DCは、Tregの存在にもかかわらず、レスポンダー細胞の増殖を回復させる。抗原特異的Th17細胞へのTregの変換を示す最近の研究は、Tregが生産的な免疫応答の一部になり得ることを示唆することで、このモデルを拡大する(Baban et al., 2009, J Immunol 183:2475-2483; Radhakrishnan et al., 2008, J Immunol 181:3137-3147; Beriou et al., 2009, Blood 113: 4240-4249; Sharma et al., 2009, Blood 113:6102-6111)。本明細書に提示したデータは、LPS活性化DC集団の存在下で、Tregが、主にIFN-γを分泌するためにTh1細胞によく似ているように見えるエフェクター様コンパートメントに動員されることを示している。興味深いことに、この知見は(増殖性応答で認められた効果とは異なり)IL-12依存性であった。まとめると、これらのデータは、発現している免疫応答にTregがどのように組み込まれるかに関して、いくつかの可能性を提起する。第一は、明確なシグナルがサイトカイン産生エフェクターへの変換に対してTreg活性の中止を指令する、ということである。免疫応答の開始時に存在する可溶性シグナルが、Tregが受動的にバイスタンド(bystand)するのかまたはサイトカイン産生エフェクターとして寄与するのかを決めることによって、部分的にその大きさ(magnitude)を決定するということは、妥当と考えられる。第二は、Tregが、傷害の性質により命じられる免疫応答のタイプに応じて、抗原特異的エフェクターの各種サブセット(Th1、Th2、Th17)に変換され得る、ということである。分子基盤では、これは分化特異的転写因子(例えば、T-bet)のアップレギュレーションを介して起こる可能性があり、細胞は制御性表現型とエフェクター表現型の両方を指令する因子を高レベルで少なくとも一過性に発現することができる。これらの細胞はその後、免疫力を最大にするために、同様に分化して放出されたFoxP3陰性細胞と相乗的に作用することができる。
これらの結果はまた、腫瘍免疫療法ワクチンの設計に関して重要性を持っている。制御性T細胞は、1980年代以来、腫瘍免疫を誘導するための本発明者らの試みにおいて問題があることが判明している。いくつかの最近の研究から、さまざまなワクチン接種戦略は制御性T細胞の頻度および/または効力を増加させることが示された(Lacelle et al., 2009, Clin Cancer Res 15:6881-6890; Eggermont, 2009, Clin Cancer Res 15:6745-6747; Francois et al., 2009, Cancer Res 69:4335-4345)。おそらく最も注目すべき点として、ワクチンを生成するためにしばしば用いられた従来のサイトカインカクテルで成熟させた樹状細胞は、サプレッサー機能をもつように見えるFoxP3high細胞を増やすことが判明した(Banerjee et al., 2006, Blood 108:2655-2661)。これは抗腫瘍免疫の発現と持続を危うくする可能性がある。これらの知見を踏まえて、最近のいくつかのプロトコルでは、抗腫瘍ワクチンとTregを枯渇させる物質とが併用される;これらの物質の併用は、どちらか一方の物質のみと比べて、しばしば大きな利益をもたらす(Delluc et al., Cancer Immunol Immunother 58:1669-1677; Yamamoto et al., 2009, Oncol Rep 22:337-343; Morse et al., 2008, Blood 112:610-618; Rech et al., 2009, Ann N Y Acad Sci 1174:99-106; Shimizu et al., 1999, J Immunol 163:5211-5218; Turk et al., 2004, J Exp Med 200:771-782; Dannull et al., 2005, J Clin Invest 115:3623-3633)。したがって、ワクチンの有効性を最適化するには、正常な制御プロセスの転覆が必要になるかもしれない。この点で、LPS活性化単球由来樹状細胞ワクチンは、それがT細胞媒介抑制を活性化するのではなく阻害するように見え、これらの細胞を腫瘍反応性エフェクターに変換するという利点をもち得るという点で、理想的である。LPS活性化DCワクチンと、従来のプロトコルを用いて成熟させた樹状細胞との直接比較は行われていないものの、ここで実証されたTreg機能に対する効果はDCワクチンの有効性につながる可能性を持っている。付加的な利点は、この性質が固有のものであり、併用プロトコルで現在使用されているさまざまな外因性Treg枯渇療法に伴う毒性をもたない可能性がある、ということである。
本明細書中で引用した、ありとあらゆる特許、特許出願および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
特定の態様を参照して本発明を開示してきたが、本発明の他の態様および変更が、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての態様および同等の変更を含むと解釈されることが意図される。

Claims (30)

  1. 少なくとも1つの抗原を樹状細胞(DC)に負荷する段階;
    該DCを少なくとも1種のTLRアゴニストで活性化する段階;
    該DCを凍結保存する段階;および
    該DCを解凍する段階;
    を含む、免疫療法で使用するための、抗原を負荷して活性化した樹状細胞(DC)を生成させる方法であって、
    該DCが、T細胞応答を生じさせるのに有効な量の少なくとも1種のサイトカインを産生する、方法。
  2. 抗原が腫瘍抗原である、請求項1記載の方法。
  3. 抗原が微生物抗原である、請求項1記載の方法。
  4. TLRアゴニストがLPSである、請求項1記載の方法。
  5. 凍結保存する段階がDCを約-70℃以下の温度で凍結することを含む、請求項1記載の方法。
  6. 解凍後のDCの回収率および生存率が約70%以上である、請求項1記載の方法。
  7. 解凍後のDCの回収率および生存率が約80%以上である、請求項1記載の方法。
  8. DCが少なくとも約1週間凍結保存される、請求項1記載の方法。
  9. サイトカインがIL12である、請求項1記載の方法。
  10. DCがキラー機能を示し、それによりDCが標的癌細胞を溶解することができる、請求項1記載の方法。
  11. 抗原負荷して活性化したDCを含む以前に凍結保存された組成物を、その必要がある哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において免疫応答を引き出す方法であって、該DCが凍結保存される前に抗原を負荷されかつ活性化されたものである、方法。
  12. 抗原が腫瘍抗原である、請求項11記載の方法。
  13. 抗原が微生物抗原である、請求項11記載の方法。
  14. TLRアゴニストがLPSである、請求項11記載の方法。
  15. 凍結保存する段階がDCを約-70℃以下の温度で凍結することを含む、請求項11記載の方法。
  16. 解凍後のDCの回収率および生存率が約70%以上である、請求項11記載の方法。
  17. 解凍後のDCの回収率および生存率が約80%以上である、請求項11記載の方法。
  18. DCが少なくとも約1週間凍結保存される、請求項11記載の方法。
  19. サイトカインがIL12である、請求項11記載の方法。
  20. DCがキラー機能を示し、それによりDCが標的癌細胞を溶解することができる、請求項11記載の方法。
  21. 少なくとも1つの抗原を負荷されたDCを含有する、哺乳動物において免疫応答を引き出すための保存可能な組成物であって、
    該DCが、少なくとも1種のTLRアゴニストに曝露することによって活性化されており、かつ
    該組成物が凍結保存されているかどうかに関係なく、該DCが、T細胞応答を生じさせるのに有効な量の少なくとも1種のサイトカインを産生する、組成物。
  22. 抗原が腫瘍抗原である、請求項21記載の組成物。
  23. 抗原が微生物抗原である、請求項21記載の組成物。
  24. TLRアゴニストがLPSである、請求項21記載の組成物。
  25. 約-70℃以下の温度で凍結保存されている、請求項21記載の組成物。
  26. 解凍後のDCの回収率および生存率が約70%以上である、請求項25記載の組成物。
  27. 解凍後のDCの回収率および生存率が約80%以上である、請求項25記載の組成物。
  28. 少なくとも約1週間凍結保存される、請求項25記載の組成物。
  29. サイトカインがIL12である、請求項21記載の組成物。
  30. DCがキラー機能を示し、それによりDCが標的癌細胞を溶解することができる、請求項21記載の組成物。
JP2013500149A 2010-03-15 2011-03-15 活性化した成熟樹状細胞を調製し保存するシステムおよび方法 Pending JP2013522309A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US31398410P 2010-03-15 2010-03-15
US61/313,984 2010-03-15
PCT/US2011/028487 WO2011115970A1 (en) 2010-03-15 2011-03-15 System and method of preparing and storing activated mature dendritic cells

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013522309A true JP2013522309A (ja) 2013-06-13

Family

ID=44649553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013500149A Pending JP2013522309A (ja) 2010-03-15 2011-03-15 活性化した成熟樹状細胞を調製し保存するシステムおよび方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US20130183343A1 (ja)
EP (2) EP3424522A1 (ja)
JP (1) JP2013522309A (ja)
CN (1) CN102933228A (ja)
AU (1) AU2011227447B2 (ja)
BR (1) BR112012023285A2 (ja)
CA (1) CA2793458A1 (ja)
RU (1) RU2575978C2 (ja)
WO (1) WO2011115970A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017522328A (ja) * 2014-07-17 2017-08-10 ブライアン ジェイ ツェルニキCZERNIECKI, Brian, J. 複数用量注射準備済樹状細胞ワクチンの製造ならびにher2およびher3を遮断するための併用療法
JP2018515421A (ja) * 2015-05-22 2018-06-14 ブライアン ジェイ ツェルニキCZERNIECKI, Brian, J. 複数用量注射準備済樹状細胞ワクチンの製造
JP2018521953A (ja) * 2015-07-17 2018-08-09 ブライアン ジェイ ツェルニキCZERNIECKI, Brian, J. 免疫に基づく療法のための、免疫原性mhcクラスiiペプチドの同定
WO2022071423A1 (ja) * 2020-09-30 2022-04-07 国立研究開発法人国立がん研究センター ルミノコッカッセ腸内菌投与による免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果の増強

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2013344879B2 (en) 2012-11-13 2016-04-28 Nant Holdings Ip, Llc Calcium flux agonists and methods therefor
US10238723B2 (en) 2013-03-14 2019-03-26 Icahn School Of Medicine At Mount Sinai Autologous tumor lysate-loaded dendritic cell vaccine for treatment of liver cancer
US9884087B1 (en) 2013-05-03 2018-02-06 Chan Soon-Shiong Nanthealth Foundation Compositions and methods of improved wound healing
AU2017201074A1 (en) * 2014-07-17 2017-03-16 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Manufacturing of multi-dose injection ready dendritic cell vaccines, combination therapies for blocking HER2 and HER3, and estrogen receptor positive HER2 breast cancer therapy
WO2016011432A2 (en) * 2014-07-17 2016-01-21 Czerniecki Brian J Identification of immunogenic mhc class ii peptides for immune-based therapy
CA2955445A1 (en) * 2014-07-17 2016-01-21 Brian J. Czerniecki Manufacturing of multi-dose injection ready dendritic cell vaccines and combination therapy for blocking her2 and her3
CA2979676A1 (en) 2015-03-13 2016-09-29 Brian J. Czerniecki Methods for monitoring cd4+ t-helper type 1 response in cancer and immune restoration
DE202016008300U1 (de) 2015-07-02 2017-07-14 PrimeVax Immuno-Oncology, Inc. Zusammensetzungen zur Kombinationstherapie mit Denguevirus und dendritischen Zellen
MX2018003757A (es) * 2015-09-26 2018-09-21 Primevax Immuno Oncology Inc Composiciones y metodos para producir celulas dendriticas.
WO2017189705A1 (en) * 2016-04-26 2017-11-02 Temple University-Of The Commonwealth System Of Higher Education Dll4-expressing cells and vaccine using the same
EP3497243A4 (en) * 2016-08-10 2020-04-01 Aurelius Biotherapeutics, LLC CELL THERAPY COMPOSITIONS AND METHODS OF USE THEREOF
JP2019528756A (ja) * 2016-09-29 2019-10-17 ハダシット メディカル リサーチ サービシズ アンド ディベロップメント リミテッド 樹状細胞調製物、その組成物及びその使用方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007110240A1 (en) * 2006-03-28 2007-10-04 Helmholtz Zentrum München - Deutsches Forschungszentrum Für Umwelt Und Gesundheit Gmbh Compositions for the preparation of mature dendritic cells
JP2009542714A (ja) * 2006-06-30 2009-12-03 ベイラー リサーチ インスティテュート GM−CSF及びインターフェロンαを用いて生成され、且つ熱処理され死滅したがん細胞を取り込んだ樹状細胞

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5199942A (en) 1991-06-07 1993-04-06 Immunex Corporation Method for improving autologous transplantation
DE10041515A1 (de) * 2000-08-24 2002-03-14 Gerold Schuler Verfahren zur Herstellung gebrauchsfertiger, Antigen-beladener oder -unbeladener, kryokonservierter reifer dendritischer Zellen
US20020182231A1 (en) * 2001-03-23 2002-12-05 Moyer Mary Pat Methods of stem cell manipulation for immunotherapy
EP1270732A1 (en) * 2001-06-21 2003-01-02 Schuler, Gerold Improved transfection of eukaryontic cells with linear polynucleotides by electroporation
US20050260208A1 (en) * 2002-04-11 2005-11-24 Altarex Medical Corp. Binding agents and their use in targeting tumor cells
AT412145B (de) * 2002-09-13 2004-10-25 Forsch Krebskranke Kinder Verfahren zur herstellung eines zellulären immuntherapeutikums auf basis von il-12-freisetzenden dendritischen zellen
JP4762887B2 (ja) * 2003-02-27 2011-08-31 ノースウエスト バイオセラピューティクス,インコーポレイティド 付加的なサイトカインの非存在下でgm−csfを用いる単球樹状前駆細胞からの樹状細胞の産生
WO2006127150A2 (en) * 2005-04-08 2006-11-30 Argos Therapeutics, Inc. Dendritic cell compositions and methods
EP1806395A1 (en) * 2006-01-06 2007-07-11 Stichting Sanquin Bloedvoorziening Maturation of dendritic cells
US20090123501A1 (en) * 2007-05-17 2009-05-14 Baylor College Of Medicine Inhibition of the sh2-domain containing protein tyr-phosphatase, shp-1, to enhance vaccines
EP2072617A1 (en) * 2007-12-12 2009-06-24 Trimed Biotech GmbH Method for producing dendritic cells

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007110240A1 (en) * 2006-03-28 2007-10-04 Helmholtz Zentrum München - Deutsches Forschungszentrum Für Umwelt Und Gesundheit Gmbh Compositions for the preparation of mature dendritic cells
JP2009542714A (ja) * 2006-06-30 2009-12-03 ベイラー リサーチ インスティテュート GM−CSF及びインターフェロンαを用いて生成され、且つ熱処理され死滅したがん細胞を取り込んだ樹状細胞

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015006619; J Immunother 28(6), 2005, 599-609 *
JPN6015006620; Curr Pharm Des 12(32), 2006, 4247-54 *
JPN6015045294; 医学のあゆみ 200(6), 2002, 496-7 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017522328A (ja) * 2014-07-17 2017-08-10 ブライアン ジェイ ツェルニキCZERNIECKI, Brian, J. 複数用量注射準備済樹状細胞ワクチンの製造ならびにher2およびher3を遮断するための併用療法
JP2020169178A (ja) * 2014-07-17 2020-10-15 ブライアン ジェイ ツェルニキCZERNIECKI, Brian, J. 複数用量注射準備済樹状細胞ワクチンの製造ならびにher2およびher3を遮断するための併用療法
JP2018515421A (ja) * 2015-05-22 2018-06-14 ブライアン ジェイ ツェルニキCZERNIECKI, Brian, J. 複数用量注射準備済樹状細胞ワクチンの製造
JP2018521953A (ja) * 2015-07-17 2018-08-09 ブライアン ジェイ ツェルニキCZERNIECKI, Brian, J. 免疫に基づく療法のための、免疫原性mhcクラスiiペプチドの同定
WO2022071423A1 (ja) * 2020-09-30 2022-04-07 国立研究開発法人国立がん研究センター ルミノコッカッセ腸内菌投与による免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果の増強

Also Published As

Publication number Publication date
AU2011227447A1 (en) 2012-10-04
EP2547360A1 (en) 2013-01-23
US20130183343A1 (en) 2013-07-18
RU2575978C2 (ru) 2016-02-27
CN102933228A (zh) 2013-02-13
EP2547360A4 (en) 2013-11-20
AU2011227447B2 (en) 2016-04-14
WO2011115970A1 (en) 2011-09-22
RU2012143745A (ru) 2014-04-20
CA2793458A1 (en) 2011-09-22
EP3424522A1 (en) 2019-01-09
BR112012023285A2 (pt) 2018-12-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013522309A (ja) 活性化した成熟樹状細胞を調製し保存するシステムおよび方法
JP6134763B2 (ja) GM−CSF及びインターフェロンαを用いて生成され、且つ熱処理され死滅したがん細胞を取り込んだ樹状細胞
Banchereau et al. Dendritic cells as therapeutic vaccines against cancer
US10751372B2 (en) Vaccine compositions and methods
Paczesny et al. Dendritic cells as vectors for immunotherapy of cancer
AU2007200049A1 (en) Method to increase class I presentation of exogenous antigens by human dendritic cells
JP2014521657A (ja) 膵臓がんに対する樹状細胞(dc)ワクチン療法
US9567567B2 (en) Compositions and methods for producing dendritic cells
US20150352199A1 (en) Dendritic Cells
Waeckerle‐Men et al. Dendritic cells generated from patients with androgen‐independent prostate cancer are not impaired in migration and T‐cell stimulation
Kim et al. Cytotoxicities of Tumor-specific T Lymphocytes Primed by Glioma Apoptotic Body-or Glioma Cell Lysate-pulsed Dendritic Cells

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150223

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150320

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151112

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160210

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160705