JP2013522225A - リラキシンによるアクアポリンの調節 - Google Patents

リラキシンによるアクアポリンの調節 Download PDF

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Abstract

本開示は、アクアポリンチャネルを調節する方法に関する。詳細には、本開示は、リラキシンを投与することによって哺乳動物組織でアクアポリンチャネルを調節する方法を提供する。

Description

本開示は、アクアポリンチャネルの調節方法に関する。詳細には、本開示は、リラキシンを投与することによって哺乳動物組織でアクアポリンチャネルを調節する方法を提供する。
アクアポリンファミリー
アクアポリンは、水または他の小さな非荷電分子を浸透勾配に沿って選択的に通させる6つの膜貫通ヘリックスを特徴とする小さな(24〜30kDa)孔形成内在性膜タンパク質のファミリーである。これらのタンパク質は四量体を形成し、各単量体は単一の孔を規定する。アクアポリンタンパク質ファミリーは、現在AQP0と命名されている、哺乳動物の水晶体の主要な内在性タンパク質(MIP)の名をとって最初に名付けられた。最終的にMIP相同体が水路として機能することが示されたとき、名称アクアポリンが同ファミリーのために採用された。アクアポリンファミリーは、古細菌、真正細菌、真菌類、植物および動物を含む全ての生物界で相当物を有する。排他的透水性を有するMIP相同体はアクアポリンと呼ばれるが、水およびグリセロール透過性相同体はアクアグリセロポリンと呼ばれる。脊椎動物では、ヒトタンパク質AQP0〜AQP10に対応する11個の異なるアクアポリンがこれまでに同定されている。これらの中で、7つのアクアポリン(AQP0、AQP1、AQP2、AQP4、AQP5、AQP6およびAQP8)は、哺乳動物で水輸送を促進する古典的アクアポリンとして特徴付けられた。他の4つのアクアポリン(AQP3、AQP7、AQP9およびAQP10)は哺乳動物でグリセロール輸送を促進し、したがってGLPサブファミリーに帰属させられた。さらなるアクアポリンが大腸菌(E. coli)、酵母および植物で同定されている(Kruse et al. (2006) Genome Biology 7(2)(206):1-6)。
広く記載されたアクアポリンファミリーの第一のメンバーは、ヒト赤血球膜のチャネル様内在性膜タンパク質であった。このタンパク質は、当初28kDaタンパク質CHIP28として知られていた。機能解析に基づき、このタンパク質は後にアクアポリン1(AQP1)と改名された。アクアポリン1(AQP1)の一次タンパク質配列の実験は、5つのループ(ループA〜E)によって接続される6つの膜貫通ヘリックス(I〜VI)を予測した。ループA、CおよびEは細胞外である、ループBおよびDは細胞内である。さらに、このタンパク質は、タンパク質のおおよそアミノ末端側半分とカルボキシ末端側半分とをカバーする2つの内部タンデムリピートを含む。各リピートは、3つの膜貫通ヘリックスと、第二の膜貫通ヘリックスに続く高度に保存されたループ(それぞれループBおよびE)とからなる。このループは、保存されたシグネチャーモチーフ、アスパラギン−プロリン−アラニン(NPA)を含む。ループBおよびEは、膜内に折り畳まれる短いαヘリックスを形成し、ループBは細胞質側から膜に入り、ループEは細胞外側から入る。したがって、2つのNPAボックスが互いに180度の方向である第七の膜貫通ドメインが形成され、タンパク質の孔を通る水性の経路を形成する。全てのアクアポリンは構造的に関連し、特に孔形成ドメインで非常に類似した共通領域を有するので、類似した輸送機構の可能性がある。ループBおよびEによって形成される疎水性のドメインは、基質特異性および/またはサイズ制限に関与することが示唆されている。アクアポリン単量体を通る経路に沿って、水分子の単一ファイル水素結合鎖の形で水の急速輸送を可能にする保存された疎水性残基が並んでいる。孔は2つの狭窄部位を含み、すなわち、保存されたアルギニン残基(Arg195)を含む芳香族の領域は孔の最も狭い部分を形成し、高度に保存されたNPAモチーフが第二のフィルターを形成し、そこにおいて単一の水分子は2つのアスパラギン側鎖と相互作用する。直接的な相互作用が水分子とNPAモチーフとの間にあるので、双極性水分子は孔を通過する間180度回転する。両方のフィルター領域は静電障壁を確立し、それは陽子の透過を阻止する。ヒトAQP1では、疎水性のフェニルアラニン側鎖(Phe24)が孔に貫入し、単一の透過水分子とNPAループとの相互作用を増強する。実際、Phe24はサイズ排除フィルターとして作用し、グリセロールなどのより大きな分子のAQP1の通過を阻止する。ヒトアクアポリンの透水性は、AQP0の0.25×10−14cm/秒とAQP4の24×10−14cm/秒との間にあると推定される。しかし、アクアポリンは異なる組織、器官および発育段階で、浸透圧調整および膜貫通水移動の異なる要件を有すると考えられている。哺乳動物では、アクアポリンは、高速な水分流動を必要とする上皮、例えば腎臓の集合管、肺の毛細血管および唾液腺の分泌細胞に局在化される。さらに、哺乳動物のアクアポリンは、それらの転写調節、転写後調節および細胞内分布で異なる(Kruse et al.(前掲))。
水腫
水腫は、過度の流体がそれらの組織の中に蓄積するときに起こる組織の膨潤である。水腫は、全身疾患、すなわち体の様々な器官系に影響を及ぼす疾患の症状である。それは、罹患四肢だけが関与する局所状態に起因することもある。末梢水腫では、膨潤は、結合組織で構成される間質性の空間または間質としても知られる、組織内空間の皮膚下への過剰の流体の蓄積の結果である。細胞の外で見出されるほとんどの体液は、通常血管および間質空間に保存される。様々な疾患および特定の条件下では、過剰な流体はこれらのコンパートメントの一方または両方に蓄積することができる。水腫を引き起こす最も普通の局所状態は、拡張蛇行静脈および血栓性静脈炎、すなわち足の深部静脈の静脈炎症である。これらの状態は、静脈による血液の不十分なポンピングをもたらすことがあり、それは次に静脈不全につながる。静脈で生じる逆圧の増加は、流体を四肢、特に足首および足に停留させる。過剰な流体は次に間質空間に漏出し、水腫を引き起こす。膨潤は下肢のような特定の領域に限定されることもあるが、体の広域に広がることもある。全身性水腫は、心臓、肝臓および腎臓の疾患と最も一般的に関連している。それは、主に体があまりに多くの塩、すなわち塩化ナトリウムを保持するので起こる。過剰な塩は、体が水を保持する原因になる。この水は間質空間に次に漏出し、そこでそれは水腫として現れる。
一般に、水腫は膨潤組織の位置によって分類される。多数の例があり、例えば主に下肢の膨潤である末梢水腫;肺での流体の蓄積である肺水腫;目周囲の膨潤である眼窩周囲水腫;角膜での流体保持である目の水腫;脳組織の膨潤である脳水腫;腹水(腹部での過剰な流体);体の大部分を覆う膨潤である大量水腫(すなわち、全身性水腫);など。膨潤することができる他の体の場所には、歯茎、リンパ腺、顔、腹部、乳房、陰嚢、肝臓および関節が含まれる。水腫の徴候および症状は、組織の位置および膨潤の程度によって異なる。多くの種類の水腫について、流体は皮膚の下に蓄積して膨潤を引き起こし、上の領域を引き伸ばして光沢を与える。水腫は、圧痕性でも、非圧痕性でもよい。圧痕性水腫では、指で膨潤領域を押し、次にそれを除くと窪みができるが、それは徐々に消える。水腫がより重症になる場合、組織はそれを置換することができないほど膨潤し、非圧痕性水腫におけるように圧を加えた後に窪みが皮膚に残らない。特に寝たきり患者では、体の骨領域の上の圧点の上に起こる水腫は、重大なただれまたは潰瘍に発達する可能性がある。
水腫はそれ自体、いくつかの異なる基礎疾患、例えば腎臓、肝臓および心臓の疾患と関連している症状であることも知られている。したがって、水腫は重大な結果を伴う障害の長期のおよび進行性の徴候である可能性がある。例えば、肺水腫は心不全の合併症である可能性がある。心臓がより低い効率で送り出すにつれて、流体は肺の静脈から漏出して気嚢または肺胞を満たし、呼吸を困難にする。肺水腫は生命にかかわることがあり、放置されると速やかに死に至ることがある。肺水腫の症状には、息切れ、呼吸中のうなり声(grunting)、聴診器でわかる肺でのパチパチ(crackling)またはガラガラ(rattling)いう雑音(ラ音)、喘鳴、不安、落ち着きのなさ、せき、多汗、異常に青白い皮膚(蒼白)、異常な鼓動またはリズム、および胸痛が含まれる。しかし、肺水腫に至らないであろうより軽症の心不全患者さえ、下肢での重大な膨潤をなお経験する可能性がある。水腫は、慢性肺疾患に起因することもある。重症の慢性肺疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫または慢性気管支炎は、肺の血管での血流を制限する可能性がある。制限された血流は、残りの循環系全体で逆流させることができる圧を血管内に生成する。この圧は、次に、周囲の組織に流体を漏出させ、例えば脚および足で膨潤、すなわち水腫を引き起こす。
水腫のさらなる原因は、拡張蛇行静脈(下腿での血液の貯留の結果として);起立性水腫の場合のように長時間座っているか立っていること(例えば、炎天、飛行機および自動車への長時間の乗車の結果として);特定の薬物投与(例えば、エストロゲンもしくは黄体ホルモンを含む経口避妊薬、血圧薬、特定の抗うつ薬、経口用コルチコステロイド、テストステロン);妊娠(子癇前症による可能性がある下肢の血圧の上昇の結果として);アレルギー反応;日焼け;栄養失調、損傷または外傷;リンパ系の遮断(例えば、感染、炎症または癌に起因する)、高々度水腫の場合のように高い高度への曝露;一部の女性での月経と関連するホルモン変化;ネフローゼ症候群(損傷を受けた腎臓が尿で過剰なタンパク質を失い、足首での重症の腫脹をもたらす);および重症の肝疾患(肝硬変および過剰な足首腫脹につながる)である。
水腫は多くの場合別の基礎状態の症状であるので、水腫のリスク因子は基礎状態のものと同じである。このように、腎臓、肝臓、心臓および肺疾患におけるとの同じリスク因子が水腫に適用される。例えば、喫煙は慢性肺疾患の主要なリスク因子であり、高血圧は心疾患の主要なリスク因子であり、肥満は心疾患および糖尿病の主要なリスク因子である。これらのリスク因子の全ては、水腫を起こす対象のリスクも増大させる。さらに、水腫の基礎原因の多くはより高齢の集団でより高い頻度で起こるので、水腫はより高齢の個体でより一般に起こる。
開示の一態様は、哺乳動物の組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の哺乳動物にリラキシンを投与することを含む、哺乳動物でアクアポリンチャネルを調節する方法を提供する。アクアポリンの発現は、アクアポリン遺伝子の発現および/またはアクアポリンタンパク質の発現であってよい。アクアポリン遺伝子およびタンパク質の発現は両方とも、上方制御または下方制御することができる。一実施形態では、アクアポリンチャネル遺伝子には、アクアポリン0遺伝子(aqp0)、アクアポリン1遺伝子(aqp1)、アクアポリン2遺伝子(aqp2)、アクアポリン3遺伝子(aqp3)、アクアポリン4遺伝子(aqp4)、アクアポリン5遺伝子(aqp5)、アクアポリン6遺伝子(aqp6)、アクアポリン7遺伝子(aqp7)、アクアポリン8遺伝子(aqp8)、アクアポリン9遺伝子(aqp9)およびアクアポリン10遺伝子(aqp10)が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、アクアポリンチャネルには、アクアポリン0(AQP0)、アクアポリン1(AQP1)、アクアポリン2(AQP2)、アクアポリン3(AQP3)、アクアポリン4(AQP4)、アクアポリン5(AQP5)、アクアポリン6(AQP6)、アクアポリン7(AQP7)、アクアポリン8(AQP8)、アクアポリン9(AQP9)およびアクアポリン10(AQP10)が含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、アクアポリンチャネル遺伝子には、アクアポリン1遺伝子(aqp1)、アクアポリン2遺伝子(aqp2)、アクアポリン3遺伝子(aqp3)、アクアポリン4遺伝子(aqp4)およびアクアポリン5遺伝子(aqp5)が含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、アクアポリンチャネルには、アクアポリン1(AQP1)、アクアポリン2(AQP2)、アクアポリン3(AQP3)、アクアポリン4(AQP4)およびアクアポリン5(AQP5)が含まれるが、これらに限定されない。
開示の別態様は、哺乳動物の組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の哺乳動物にリラキシンを投与することを含む、哺乳動物でアクアポリンチャネルを調節する方法を提供し、そこで、アクアポリンの発現は、アクアポリン遺伝子aqp2、aqp3、aqp4およびaqp5ならびに/またはアクアポリンタンパク質AQP2、AQP3、AQP4およびAQP5の1つまたは複数を含む。一実施形態では、aqp3は頸部で上方制御される。別の実施形態では、aqp5は頸部で下方制御される。別の実施形態では、AQP3は頸部で上方制御される。別の実施形態では、AQP5は頸部で下方制御される。別の実施形態では、aqp2およびaqp4は、腎臓で上方制御される。他の実施形態では、AQP2およびAQP4は、腎臓で上方制御される。
開示の別態様は、哺乳動物の組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の哺乳動物にリラキシンを投与することを含む、哺乳動物でアクアポリンチャネルを調節する方法を提供し、そこで、組織には、それらに限定されないが、器官組織、筋肉組織、上皮組織および内皮組織が含まれる。一実施形態では、器官組織には、それらに限定されないが、脳組織、腎臓組織、肺組織および生殖組織が含まれる。別の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
開示は、哺乳動物にリラキシンを投与することによって哺乳動物でアクアポリンチャネルを調節する方法も包含する。一実施形態では、リラキシンはアクアポリン遺伝子の発現を調節する。別の実施形態では、リラキシンはアクアポリンタンパク質の発現を調節する。さらに別の実施形態では、アクアポリン遺伝子には、アクアポリン1遺伝子(aqp1)、アクアポリン2遺伝子(aqp2)、アクアポリン3遺伝子(aqp3)、アクアポリン4遺伝子(aqp4)およびアクアポリン5遺伝子(aqp5)が含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、アクアポリンタンパク質には、アクアポリン1(AQP1)、アクアポリン2(AQP2)、アクアポリン3(AQP3)、アクアポリン4(AQP4)およびアクアポリン5(AQP5)が含まれるが、これらに限定されない。
開示の別の態様は、水腫の処置方法を提供する。本方法は、ヒト対象の組織で水腫と関連する流体蓄積の低減において有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む。リラキシンは、水腫を処置するために、医薬製剤の形で提供される。開示の医薬製剤で使用されるリラキシンは、例えば、合成であるか組換え型のリラキシン、または薬学的に有効なリラキシンアゴニストであってよい。開示の一実施形態では、リラキシンはH1ヒトリラキシンである。別の実施形態では、リラキシンはH2ヒトリラキシンである。さらに別の実施形態では、リラキシンはH3ヒトリラキシンである。さらなる実施形態では、リラキシンは合成または組換え型のヒトリラキシン、または薬学的に有効なリラキシンアゴニストである。したがって、合成または組換え型のヒトリラキシンまたはリラキシンアゴニスト、またはリラキシン様活性を有する任意の剤の医薬製剤によって、対象を水腫のために処置することができる。開示の一実施形態では、対象は合成ヒトリラキシンで処置される。別の実施形態では、対象は組換え型ヒトリラキシンで処置される。さらに別の実施形態では、対象は薬学的に有効なリラキシンアゴニストで処置される。リラキシンは、それらに限定されないが、静脈内、皮下、筋肉内、舌下、鼻腔内、大脳内、脳室内、局所的、硝子体内および吸入を含むいくつかの異なる経路を通して、ヒト対象に投与することができる。そのような投与経路には、静脈内注入、静脈内ボーラス、皮下注入、皮下ボーラス、皮下ポンプ、硝子体内注射および局所点眼薬が含まれるが、これらに限定されない。より具体的には、リラキシンまたはリラキシンアゴニストの医薬製剤は、対象体重の1kgにつき1日に約10から1000μgの範囲の量で対象に投与することができる。一実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。このように、約1から約500ng/mlのリラキシンの血清濃度を維持するように、リラキシンは対象に投与される。一実施形態では、約1ng/mlから約100ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、リラキシンは、約10ng/mlの血清濃度を維持するために投与される。ヒト対象の組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約24時間以内に測定可能になることができる。一部の状況では、ヒト対象の組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約4〜6時間以内という早い時期に測定可能になることができる。
開示の別の態様は、ヒト対象の脳の水腫を処置する方法を提供する。本方法は、ヒト対象の脳組織で水腫と関連する流体蓄積の低減において有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む。脳水腫は、脳の1つまたは複数の領域に影響を及ぼすことができる。一実施形態では、脳水腫は大脳水腫である。脳水腫の他の形も包含される。脳水腫を処置するために、リラキシンは、例えば、静脈内、皮下、大脳内または脳室内に投与することができる。このように、罹患対象は、例えば静脈内注入を通して、静脈内ボーラスを通して、皮下注入を通してまたは皮下ボーラスを通してリラキシンを投与することができる。リラキシン投与の型は、患者の状態および関与する状況に依存する。一実施形態では、ヒト対象で約1ng/mlから約100ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、ヒト対象で約10ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスで投与することができる。さらに別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスで投与される。ヒト対象の脳組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約24時間以内に測定可能になることができる。一部の状況では、ヒト対象の脳組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約4〜6時間以内という早い時期に測定可能になることができる。患者の状態および水腫の重症度に従い、適当な時点で水腫の改善を観察することができるほど流体蓄積の減少が測定可能になることができる。流体蓄積のそのような減少は、磁気共鳴画像化(MRI)または医師が利用できる他の技術によって測定することができる。さらに、脳での流体蓄積の減少は、共調運動、意識水準および麻痺の改善、ならびにめまい、吐き気および記憶喪失の減少などの患者挙動の改善と関連付けることができる。
開示の別の態様は、ヒト対象の脳組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、水腫の処置方法を提供する。そのような方法は、血管原性および細胞傷害性水腫を含む大脳水腫を含むが、これらに限定されない。
開示は、ヒト対象に、前記ヒト対象の角膜組織で水腫に関連する流体蓄積を低減するために有効な量の、薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、水腫の処置方法をさらに企図する。一実施形態では、水腫は目の水腫である。目の水腫を処置するために、リラキシンは、静脈内、皮下、局所または硝子体内に投与することができる。静脈内投与は、静脈内注入または静脈内ボーラスを通して行うことができる。皮下投与は、皮下注入または皮下ボーラスを通して行うことができる。局所投与は、局所の点眼を通して行うことができる。硝子体内投与は、注射、例えば目への注射を通して行うことができる。一実施形態では、ヒト対象で約1ng/mlから約100ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、ヒト対象で約10ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスで投与される。約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスでのリラキシン投与がさらに含まれる。ヒト対象の角膜組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約24時間以内に測定可能になることができる。一部の患者では、ヒト対象の角膜組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約4〜6時間以内という早い時期に測定可能になることができる。患者の状態および目の水腫の重症度に従い、適当な時点で水腫の改善を観察することができるほど流体蓄積の減少が測定可能になることができる。流体蓄積のそのような減少は、磁気共鳴画像化(MRI)、医師による目の評価による角膜の膨潤および/または炎症、歪んだ視覚の減少、ならびに目の不快および羞明の減少を通して測定することができる。
開示の別の態様は、ヒト対象の角膜組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、水腫の処置方法を提供する。そのような方法は、目の水腫を含むが、これに限定されない。
本開示は、ヒト対象の肺組織で水腫と関連する流体蓄積の低減において有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、水腫の処置をさらに企図する。一実施形態では、水腫は肺水腫である。肺で起こる肺水腫または任意の水腫を処置するために、リラキシンを静脈内または皮下に投与することができる。静脈内投与は、静脈内注入または静脈内ボーラスを通して行うことができる。皮下投与は、皮下注入または皮下ボーラスを通して行うことができる。一実施形態では、ヒト対象で約1ng/mlから約100ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、ヒト対象で約10ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスで投与される。約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスのリラキシン投与がさらに含まれる。ヒト対象の肺組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約24時間以内に測定可能になることができる。一部の患者では、ヒト対象の肺組織での水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約4〜6時間以内という早い時期に測定可能になることができる。患者の状態および肺水腫の重症度に従い、適当な時点で水腫の改善を観察することができるほど流体蓄積の減少が測定可能になることができる。流体蓄積のそのような減少は、胸部X線を通して測定することができる。さらに、流体蓄積の減少は、患者の肺うっ血の軽減ならびに呼吸の改善(呼吸の改善を聴く聴診法による検査を通して)および酸素飽和の増加(動脈血ガスの測定を通して)に関連付けることができる。
開示の別の態様は、ヒト対象の肺組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、水腫の処置方法を提供する。一実施形態では、水腫は肺水腫である。
さらに、本発明の別の態様は、ヒト対象の膨潤組織で水腫に関連する流体蓄積を低減するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、末梢水腫の処置方法を提供し、そこで、膨潤組織には、ヒト対象の皮膚下の領域が含まれる。一実施形態では、膨潤組織は皮膚の結合組織である。末梢水腫は、うっ血心不全、外傷、アルコール症、高山病、妊娠、高血圧または他を含む特定の状態を起こす患者集団などの、特定の患者集団で起こりうる。さらに、そのような患者は、肝疾患または特定の種類の心臓病を起こすことができる。さらに、そのような患者は、1つの種類または別種の臓器不全をさらに起こすこともできる。末梢水腫は、例えば、膨潤が特定の状態と関連せず、特定の疾患または起源に関連付けることができない膨潤した手足を示す患者におけるように、単独でも起こりうる。時々、そのような対象は、単に動くことなく長時間座り続けるか立ち続ける(例えば、机に向かって長時間座るオフィスの人々、または長時間立っている組立ラインで働く人々)。リラキシンは単独で起こる末梢水腫、または別の疾患の症状であるか、別の疾患状態に関連する水腫を処置するために用いることができる。末梢水腫を処置するために、リラキシンは、静脈内または皮下に投与することができる。静脈内投与は、静脈内注入または静脈内ボーラスを通して行うことができる。皮下投与は、皮下注入または皮下ボーラスを通して行うことができる。一実施形態では、ヒト対象で約1ng/mlから約100ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、ヒト対象で約10ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスで投与される。約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスのリラキシン投与がさらに含まれる。ヒト対象の膨潤組織での末梢水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約24時間以内に測定可能になることができる。一部の患者では、ヒト対象の膨潤組織での末梢水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約4〜6時間以内という早い時期に測定可能になることができる。患者の状態および末梢水腫の重症度に従い、適当な時点で水腫の改善を観察することができるほど流体蓄積の減少が測定可能になることができる。流体蓄積のそのような減少は、検診による膨潤の減少、ならびに24〜48時間の間の体重の急な減少を通して測定することができる。患者が水分を失うに従い、体重は顕著に減少し、それは次に水腫の減少と直接的に関連する。
開示の別の態様は、ヒト対象の組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、末梢水腫の処置方法を提供する。一実施形態では、組織は、皮膚下の領域を含む膨潤組織である。別の実施形態では、組織は結合組織である。
開示は、ヒト対象の組織で水腫に関連する流体蓄積を低減するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、全身性水腫の処置方法をさらに含む。組織には、肺、心臓、腎臓および肝臓を含めることができるが、これらに限定されない。末梢水腫と同様に、全身性水腫は、特定の状態を起こす患者集団などの、特定の患者集団で起こりうる。例えば、そのような患者は、肝疾患、特定の種類の心臓病、甲状腺機能低下性の状態、肺病、腎臓障害などを起こすことがある。さらに、そのような患者は、1つの種類または別種の臓器不全をさらに起こすこともできる。全身性水腫は、例えば肝硬変および/または腹水を示し、肝臓で水腫を起こす患者におけるように、単一の器官でも起こりうる。あるいは、全身性水腫は、複数の器官で同時に起こりうる。1つまたは複数の器官で起こる全身性水腫を処置するためにリラキシンを用いることができる。全身性水腫を処置するために、リラキシンは、静脈内または皮下に投与することができる。静脈内投与は、静脈内注入または静脈内ボーラスを通して行うことができる。皮下投与は、皮下注入または皮下ボーラスを通して行うことができる。一実施形態では、ヒト対象で約1ng/mlから約100ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、ヒト対象で約10ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスで投与される。約30μg/kg/日の範囲の静脈内または皮下ボーラスのリラキシン投与がさらに含まれる。ヒト対象の罹患組織または器官での全身性水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約24時間以内に測定可能になることができる。一部の患者では、ヒト対象の罹患組織または器官での全身性水腫と関連する流体蓄積の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約4〜6時間以内という早い時期に測定可能になることができる。患者の状態および全身性水腫の重症度に従い、適当な時点で水腫の改善を観察することができるほど流体蓄積の減少が測定可能になることができる。流体蓄積のそのような減少は、適当な症状軽減について患者を検査することによって、または、CTスキャンもしくは超音波(腹部胴回りおよび鼓脹の減少を示す)などの水腫の基礎をなす状態にマッチするスキャン、MRI(特定の器官の含水量の減少を示す)、胸部X線(肺液の減少を示す)、および心エコー図(心臓チャンバーのサイズおよび心臓の内外での他の変化を示す)を使用することによって測定することができる。
開示の別の態様は、ヒト対象の組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、全身性水腫の処置方法を提供する。一実施形態では、組織は肺、心臓、腎臓および肝臓である。
本発明のさらに別の態様は、動物の組織で水腫に関連する流体蓄積を低減するために有効な量の、動物に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、水腫の処置方法を提供する。好ましい一実施形態では、動物はイヌ、ネコまたはウマである。
本開示は、ヒト対象で希釈尿の慢性排出を低減するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、腎原発性尿崩症(NDI)の処置方法をさらに企図する。NDIを有する患者は頻繁で重い排尿、過度の渇きおよび全体的な虚弱感を起こすので、リラキシン処置の結果としてのこれらの症状の1つまたは複数の軽快はその病の改善を示す。例えば、排尿頻度の低下、24時間尿量の減少、尿モル浸透圧濃度の追跡測定、および/または患者の強い渇きの軽減は、リラキシンを通してのNDIの改善に直接的に関連付けることができよう。このように、ヒト対象で約1ng/mlから約100ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、ヒト対象で約10ng/mlの血清濃度を維持するために、リラキシンは投与される。別の実施形態では、リラキシンは、約3μg/kg/日から約150μg/kg/日の範囲の皮下注入速度で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンは約30μg/kg/日の範囲の皮下注入速度で投与される。さらに、リラキシンは間欠皮下注射またはポンプを含む様々な異なる経路で、長期にわたり投与されてもよい。詳細には、リラキシンは少なくとも24時間連続的に投与することができる。NDI患者では、NDIと関連する希釈尿の排出の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約24時間以内に測定可能になることができる。あるいは、ヒト対象のNDIと関連する希釈尿の排出の減少は、プラセボによる処置と比較してリラキシン処置の開始から約4〜6時間以内という早い時期に測定可能になることができる。
開示の別の態様は、ヒト対象の腎臓組織でアクアポリンの発現および細胞局在化を改変するために有効な量の、ヒト対象に薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む、腎原発性尿崩症(NDI)の処置方法を提供する。一実施形態では、アクアポリンはアクアポリン2(AQP2)、アクアポリン3(AQP3)および/またはアクアポリン4(AQP4)である。
本開示は、好ましい実施形態を例示する役目を果たす付随図と一緒に読むときに最もよく理解される。しかし、本開示は、図で開示される具体的な実施形態に限定されないことが理解される。
妊娠後期リラキシン欠損(Rln−/−)マウスの頸部でのaqp3遺伝子の発現の減少を示す図。 AQP3タンパク質がマウス頸部で主に上皮細胞の基底層(矢印を参照)に局在化されることを示す図。Rln−/−マウスにおいて、野生型(Rln+/+)マウスと比較して低いレベルのAQP3タンパク質発現がある。 妊娠Rln−/−マウスの頸部でリラキシン処置がaqp3遺伝子発現を増加させ(図3A)、aqp5遺伝子発現を減少させる(図3B)ことを示す図。 妊娠Rln−/−マウスの頸部の基底上皮細胞でリラキシン処置がAQP3タンパク質発現を増加させ(矢印)、AQP5タンパク質発現を減少させる(アスタリスク)ことを示す図。 雄Rln−/−マウスでの血漿モル浸透圧濃度に対するリラキシン処置の影響を示す図。 雄マウス(図6A)および雌マウス(図6B)の腎臓での定量PCRによるRxfp1リラキシン受容体の発現を示す図。 雄および雌ラットの腎臓でのRxfp1リラキシン受容体の発現を示す図。図7Aは、免疫組織化学による皮質、外部髄質および内部髄質での腎細管の横断面におけるRXFP1タンパク質を示す。図7Bおよび7Cは、定量PCRによる雌および雄ラットの皮質および髄質領域でのRxfp1遺伝子の発現を示す。図7Dは、ウェスタンブロット分析による皮質および髄質領域での定量的なタンパク質発現を示す。 生理食塩水(VEH)対照と比較して、リラキシンで処置された雄Rln+/+マウスの腎臓でのaqp2遺伝子発現の増加を示す図(図8A)(βアクチンは、標準化対照である)、5日間リラキシンで処置された雄Rln−/−マウスの乳頭突起でのaqp2遺伝子発現の中程度の増加を示す図(図8B)、および5日間リラキシンで処置された雄ラットの髄質でのaqp2遺伝子発現の小さな増加を示す図(図8C)。 妊娠後期ラットでのラットリラキシンに対するモノクローナル抗体(MCA1)による処置が腎臓の髄質領域でaqp2遺伝子発現を減少させることを示す図。 雄Rln−/−マウスの腎臓でのaqp4遺伝子発現の減少を示す図(図10A)、雄Rln−/−マウスでのリラキシンによる5日間または14日間の処置が腎臓の乳頭突起領域でaqp4遺伝子発現を増加させることを示す図(図10Bおよび10C)、および5日間リラキシンで処置された雄ラットの髄質でのaqp4遺伝子発現の増加を示す図(図10D)。 5日間リラキシンで処置された雄ラットの髄質でのaqp4遺伝子発現の増加を示す図。
一般概要
本開示は、リラキシンの投与を通してアクアポリンチャネルを調節する方法に関する。アクアポリンは、体の様々な組織で水およびグリセロールの流動を調節するために、ほとんどの細胞の細胞膜に包埋されているタンパク質である。発明者らは、リラキシンがこれらの水路を調節することができること、すなわち、リラキシンが特定の組織および/または器官で特定のアクアポリンの発現を上方制御および/または下方制御することができることを示した。これは、次に特定の組織および/または器官で特定のアクアポリンを通して水の流動に影響を及ぼし、それによって水に対する生体膜の透過性を変え、体組織および/または器官の流体含有量をさらに変更する。特定のアクアポリンの場合には、それらの遺伝子発現を改変することの影響が組織の間で一貫していることを本発明者らは示した。アクアポリンはほとんどの哺乳動物の組織で発現され、哺乳動物系全体で高度に保存されているので、それらの発現を上方制御および下方制御する能力は多くの疾患過程を理解するための基本的な基礎を提供する。例えば、水腫は組織および/または器官での過度の水蓄積の結果である状態であり、このように、リラキシン処置は水腫および/またはその症状で苦しむ対象のためになることができる。
より具体的には、マウスでのヒト組換え(H2)リラキシンによる処置は、妊娠後期の頸部上皮細胞でaqp3遺伝子発現およびAQP3タンパク質の量を増加させる。これは頸部の内腔からの、上皮細胞を横断する水流入を促進し、間質組織での含水量を増加させて、細胞外基質のリモデリングを促進する。リラキシン処置は、同じ組織でアクアポリンを減少させることもできる。例えば、リラキシンは妊娠後期の頸部上皮細胞の基底層でaqp5遺伝子発現およびAQP5タンパク質の量を減少させる。別の試験では、リラキシン処置は、哺乳動物の2種で腎臓の髄質および乳頭突起領域でaqp2およびaqp4遺伝子の発現を増加させることが明らかにされた。腎臓でのこの作用は、ネフロンの細胞を横断して血液に戻る、ネフロン濾液からの水の移動を促進し、それは、尿を濃縮して血漿モル浸透圧濃度を低減するために必要である。
したがって、本開示は、苦しむ対象にリラキシンを投与することによって、水腫を減らす方法にさらに関する。詳細には、これらの方法は、水腫と一般に関連する流体蓄積を低減するために有効な量の、薬学的に活性なリラキシンを投与することを含む。水腫は多くの疾患の一般的な副作用または症状であり、さらに高齢者に影響を及ぼす状態であるので、それは健康管理システムへの着実に増加する費用と関連している。例えば、それらに限定されないが、その全ては体組織および器官での流体の蓄積の結果である大脳水腫、目の水腫、肺水腫、腹水、遺伝血管性水腫、末梢水腫および全身性水腫を含む多くの形態の水腫がある。さらに、水腫は例えば脳または大脳水腫のように、脳および脊髄への外傷と関連する一般的な状態である。さらに、水腫は脳卒中にしばしば付随し、それは脳腫瘍の臨床経過を劇的に悪化させることができる。例えば脳水腫のための現在の処置は限定され、浸透圧療法およびグルココルチコイドが含まれる。浸透圧療法の使用は、脳での膨潤を元に戻すのを助けるための、高張性マンニトールの投与を含む。しかし、浸透圧療法は損傷領域に加えて健康な脳組織を萎縮させるので、この処置は限定され、多くの場合成功しない。同じ理由で、グルココルチコイドもほとんどの形態の脳水腫の処置であまり成功していなく、脳卒中関連の水腫では完敗である。同様に、外科減圧術は、多くの場合患者を危険にさらす侵襲性の処置である。悲しいことに、これらの処置は過去70年の間用いられたが、成功率は非常に低い。外傷性脳損傷および関連水腫の処置のための費用だけでも、毎年14,000,000,000USDを超え、それは着実に上昇している。したがって、水腫で苦しむ患者集団は、重大な副作用を引き起こすことなく状態を改善し、患者を安定させる新しい治療法を必要とする。リラキシンは、水腫を有する対象に投与されるとき、近隣の組織に影響を及ぼすことなく水腫と関連する組織での流体蓄積を低減することができる、天然に存在する物質である。このように、リラキシンは、患者の健康を向上させ、さらに水腫で苦しむ対象のための医療費を低減するための新しいアベニューを提供する、新しい処置方式を提供する。本開示は、苦しむ個体に薬学的に活性なリラキシンを投与することによる、腎原発性尿崩症(NDI)の処置をさらに含む。
定義
用語「調節する」は、それらに限定されないが遺伝子およびタンパク質を含む生物的実体の活性および/または存在および/または影響を制御または調整する能力を指す。
用語「組織」は、同じ起源からの細胞の集合を指す。例えば、哺乳動物の組織は、哺乳動物種からの細胞の集合である。組織を占める細胞は必ずしも同一であるというわけではないが、一緒になってそれらは特定の機能を実行する。用語「水腫」は、哺乳動物の体の組織および/または器官での流体の蓄積を意味する。用語「投与する」は、それらに限定されないが静脈内、皮下、筋肉内、舌下、鼻腔内、大脳内、脳室内、局所、硝子体内および吸入を含む特定の経路を通して、治療薬または医薬製剤を対象に与えるか適用することを指す。「水腫と関連する流体蓄積を低減するために有効な」の場合のように「有効な」という用語は、患者のベースライン状態、または未処置もしくはプラセボ処置の対象(例えば、リラキシンで処置されていない)の状態と比較して、測定可能な所望の医学的または臨床的利点を患者にもたらす薬学的に活性なリラキシンの量を指す。
用語「リラキシン」は、当技術分野で周知であるペプチドホルモンを指す。本明細書で用いる用語「リラキシン」は、ヒトリラキシンを包含し、元の状態の完全長ヒトリラキシンまたは生物的活性を保持するリラキシン分子の一部を含む。用語「リラキシン」は、ヒトH1のプレプロリラキシン、プロリラキシンおよびリラキシン;H2のプレプロリラキシン、プロリラキシンおよびリラキシン;ならびにH3のプレプロリラキシン、プロリラキシンおよびリラキシンを包含する。用語「リラキシン」には、組換え型、合成または天然の供給源からの生物学的に活性(本明細書では「薬学的に活性」とも呼ばれる)なリラキシン、ならびにアミノ酸配列変異体などのリラキシン変異体がさらに含まれる。このように、本用語は、合成H1、H2およびH3ヒトリラキシンおよび組換え型H1、H2およびH3ヒトリラキシンを含む、合成ヒトリラキシンおよび組換え型ヒトリラキシンを企図する。本用語は、リラキシン様活性を有する活性剤、例えばリラキシンアゴニストおよび/またはリラキシン類似体、および生物的活性を保持するその部分、例えばリラキシン受容体(例えば、以前にはそれぞれLGR7、LGR8、GPCR135、GPCR142として知られるRXFP1受容体、RXFP2受容体、RXFP3受容体、RXFP4受容体)から結合したリラキシンを競合的に置換する全ての剤をさらに包含する。したがって、薬学的に有効なリラキシンまたはリラキシンアゴニストは、リラキシン受容体に結合してリラキシン様応答を導き出すことが可能であるリラキシン様活性を有するあらゆる剤である。さらに、薬学的に有効なリラキシンまたはリラキシンアゴニストは、アクアポリン分子(AQP)の発現を上方制御および/もしくは下方制御すること、ならびに/または改変することが可能であり、それによって水に対する生体膜の透過性を調節および/または変更し、それは次に体の組織および/または器官の流体含有量を変更することができる、リラキシン様活性を有するあらゆる剤である。さらに、本明細書で用いるヒトリラキシンの核酸配列は、ヒトリラキシン(例えば、H1、H2および/またはH3)の核酸配列と100%同一であってはならないが、少なくとも約40%、50%、60%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%ヒトリラキシンの核酸配列に同じであってよい。本明細書で用いるリラキシンは、当業者に公知である任意の方法によって作製することができる。そのような方法の例は、例えば米国特許第5,759,807号で、ならびにBullesbach et al. (1991) The Journal of Biological Chemistry 266:10754-10761で例示されている。リラキシン分子および類似体の例は、例えば米国特許第5,166,191号で例示されている。天然に存在する生物学的に活性なリラキシンは、ヒト、ネズミ(すなわち、ラットもしくはマウス)、ブタまたは他の哺乳動物の供給源に由来することができる。in vivo半減期を増加させるように改変されたリラキシン、例えばペグ化されたリラキシン(すなわち、ポリエチレングリコールとコンジュゲートさせたリラキシン)、分解酵素による切断を受けるリラキシン中のアミノ酸の改変なども包含される。本用語は、N末端および/またはC末端の切断を有するA鎖およびB鎖を含むリラキシンをさらに包含する。一般に、H2リラキシンでは、A鎖はA(1〜24)からA(10〜24)に、B鎖はB(1〜33)からB(10〜22)に変化させることができ;H1リラキシンでは、A鎖はA(1〜24)からA(10〜24)に、B鎖はB(1〜32)からB(10〜22)に変化させることができる。用語「リラキシン」の範囲内には、1つまたは複数のアミノ酸残基の他の挿入、置換または欠失、グリコシル化変異体、非グリコシル化リラキシン、有機および無機の塩、リラキシンの共有結合改変誘導体、プレプロリラキシンおよびプロリラキシンも含まれる。本用語には、それらに限定されないが米国特許第5,811,395号で開示されるリラキシン類似体を含む、野生型(例えば、天然に存在する)配列と異なるアミノ酸配列を有するリラキシン類似体も包含される。リラキシンアミノ酸残基の可能な改変には、N末端を含む遊離アミノ基のアセチル化、ホルミル化もしくは類似した保護、C末端基のアミド化、またはヒドロキシルもしくはカルボキシル基のエステルの形成、例えばホルミル基の付加によるB2のトリプトファン(Trp)残基の改変が含まれる。ホルミル基は、容易に取り外し可能な保護基の典型例である。他の可能な改変には、異なるアミノ酸(天然アミノ酸のD型を含む)によるB鎖および/またはA鎖の天然アミノ酸の1つまたは複数の置換、例えば、それらに限定されないが、ノルロイシン(Nle)、バリン(Val)、アラニン(Ala)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)またはホモセリン(HomoSer)によるB24のMet部分の置換が含まれる。他の可能な改変には、鎖からの天然のアミノ酸の欠失または1つまたは複数の余分のアミノ酸の鎖への付加が含まれる。さらなる改変には、プロリラキシンからのC鎖の切断を促進する、プロリラキシンのB/CおよびC/A接合部でのアミノ酸置換;ならびに天然に存在しないCペプチドを含む変異体リラキシン、例えば米国特許第5,759,807号に記載のものが含まれる。用語「リラキシン」には、リラキシンおよび異種ポリペプチドを含む融合ポリペプチドも包含される。異種ポリペプチド(例えば、非リラキシンポリペプチド)融合パートナーは、融合タンパク質のリラキシン部分のC末端側またはN末端側にあってよい。異種ポリペプチドには、免疫学的に検出可能なポリペプチド(例えば、「エピトープタグ」);検出可能なシグナルを生成することができるポリペプチド(例えば、緑色蛍光タンパク質、アルカリ性ホスファターゼなどの酵素および当技術分野で公知である他のもの);それらに限定されないがサイトカイン、ケモカインおよび増殖因子を含む治療的ポリペプチドが含まれる。リラキシンの機能的(生物的)活性が維持される限り、変異体を生じるリラキシン分子の構造の全てのそのような変化または変更は、この開示の範囲内に含まれる。好ましくは、リラキシンのアミノ酸配列または構造のいかなる改変も、リラキシン変異体で処置される個体でその免疫原性を増加させない改変である。記載される機能的活性を有するリラキシンのそれらの変異体は、当技術分野で公知であるin vitroおよびin vivoでのアッセイを用いて容易に同定することができる。
リラキシン
リラキシンは、インスリンとサイズおよび形状が類似しているポリペプチドホルモンである。それは、インスリン遺伝子スーパーファミリーに属する内分泌およびオートクリン/パラクリンホルモンである。コードされるタンパク質の活性形は、2つは鎖間および1つは鎖内部であるジスルフィド結合によって一緒に保持されるA鎖およびB鎖からなる。したがって、その構造はジスルフィド結合の配置でインスリンに非常に類似している。ヒトでは、3つの既知の非対立性リラキシン遺伝子、リラキシン1(RLN−1またはH1)、リラキシン2(RLN−2またはH2)およびリラキシン3(RLN−3またはH3)がある。H1およびH2は、高い配列相同性を共有する。この遺伝子について記載される異なるアイソフォームをコードする、2つの二者択一的にスプライシングされる転写産物変異体がある。H1およびH2は、生殖器官で特異に発現され(米国特許第5,023,321号およびGaribay-Tupas et al. (2004) Molecular and Cellular Endocrinology 219:115-125)、H3は脳で主に見出される。その受容体でのリラキシンペプチドファミリーの進化は一般に当技術分野で周知である(Wilkinson et al. (2005) BMC Evolutionary Biology 5:1-17;およびWilkinson & Bathgate (2007)、Chapter 1、Relaxin and Related Peptides、Landes Bioscience and Springer Science+Business Media)。リラキシン、リラキシン受容体およびリラキシンアゴニストは、特許出願公開第20100048475号でさらに詳細に記載されている。
アクアポリン関連の生理および障害
驚くことでないが、アクアポリン(AQP)は多くの生理過程と関係付けられている。例えば、腎臓では、AQP1は腎近位尿細管の頂端膜および側底膜ならびに毛細血管内皮に豊富である。このように、AQP1は尿濃縮および交換のための逆流機構に寄与する。唾液腺では、AQP3は水が間質から取り込まれる側底膜で見出され、AQP5は水が放出される頂端膜で見出される。腎臓機能の異常、失明、脳水腫の開始および飢餓を含む一定範囲の臨床障害がアクアポリンの減損または機能障害に関連付けされている。さらに、AQP1は血管形成、創傷治癒、器官再生および発癌に関与していると考えられている(Kruse et al.(前掲))。
グリア細胞膜水路であるAQP4は脳水腫に関連付けされ、それは頭部外傷、腫瘍、脳卒中、感染および代謝異常などの神経系障害の罹患率で重要な役割を演ずる。脳水腫のための現在の処置選択肢は高浸透圧剤および外科減圧術に限定され、それらは70年より前に導入された療法である。急性の水中毒に起因する脳水腫のモデルで、AQP4を欠くマウスは野生型マウスより良い生存を有することを一部の試験は示している。本明細書で、AQP4欠損マウスの脳組織含水量および毛細血管周囲星状細胞足突起の膨潤は、低減させることができる。星状細胞足突起の特徴的な膨潤は、頭部負傷の患者からの脳組織でも見出される。中大脳動脈閉塞によって生成される虚血性脳卒中などの脳水腫の別のモデルでは、AQP4欠損マウスは同じく改善された神経学的転帰を有する。大脳水腫の状態は、24時間時の半球拡大の百分率を通して測定され、AQP4欠損マウスでは35%減少することが見出される。そのような知見は、脳の水輸送を調節することにおけるAQP4の重要な役割を示唆し、さらに、AQP4阻害が多種多様の大脳障害で脳水腫を低減するための新しい治療選択肢を提供することができることを示唆する(Manley et al. (2000) Nature Medicine 6:159-163)。しかし、別の試験では、星状細胞ETB受容体の直接活性化はAQP4発現を減少させ、水腫液の排出の低下を生じ、血管原性脳水腫の悪化につながることが示唆されている(Koyama et al. (2010) Neuroscience Letters 469:343-347)。水流入の阻止のためにAQP4発現の減少によって細胞傷害性水腫を改善することができ、一方で、水腫液の流出増加のためにAQP4発現の増加によって血管原性水腫を改善することができることをこの試験はさらに示唆する。
AQP1、AQP4およびAQP9の発現が、妊娠中の脳で試験されている。ここでは、aqp1、aqp4およびaqp9の発現を評価するために、妊娠中および分娩後状態の間の異なる脳領域でリアルタイム定量PCRが用いられる。妊娠中に、後部回復可能脳症症候群、子癇および子癇前症を含む大脳水腫形成が関与する病的状態がある。子癇および子癇前症は、神経症状が起こる妊娠の重大な合併症である。血圧の急な上昇による血管原性脳水腫のために、これらの症状は起こる。子癇での水腫形成は、後部脳領域で主に見出される。特に、子癇が通常起こる2つの状態である妊娠後期動物および分娩後動物の両方において、前部大脳に対して後部大脳でAQP4のより高い発現が観察される(Wiegman et al. (2008) Reproductive Sciences 15:506-516)。
AQP1およびAQP5は、角膜膨潤および水腫に関連付けられている。水腫関連の疾患を有する角膜は透明性を失い、かなりの視覚喪失をもたらす。AQP1およびAQP5は、それぞれ角膜の内皮および上皮細胞で発現されて、浸透圧によって作動する水輸送を促進する働きをする。これらのアクアポリンが角膜の流体輸送および透明性に関与するかどうか試験するために、トランスジェニックマウスを作製した。例えば、野生型マウスならびにaqp1およびaqp5を欠くトランスジェニックヌルマウスで、角膜の厚み、透水性および実験的な膨潤への応答が比較された。マウスでのaqp5の欠失が角膜の厚みを増加させ、角膜上皮を横断する浸透圧性透水性を低減することが判明した。さらに、aqp1欠失が角膜の厚みおよび角膜内皮を横断する浸透圧性透水性を低減し、実験的な膨潤の後に角膜透明性の回復を損なうことが判明した。したがって、非毒性遮断薬によるAQP5またはAQP1の阻害は、角膜構造および含水量を変更することができる。さらに、角膜内皮でのAQP1の上方調節は、角膜水腫を低減し、損傷後の透明性を改善することにおいて特に有益であろう(Thiagarajah et al. (2002) The Journal of Biological Chemistry 277:19139-19144)。同様に、AQP1、AQP3およびAQP4は、偽水晶体水疱性角膜症(PBK)、無水晶体症の水疱性角膜症(ABK)およびフックのジストロフィーに関連付けられている。これらの障害は、病態生理の主要な構成要素として内皮細胞機能障害および慢性水腫を有する角膜疾患である。これらの状態が存在する場合、流体が上皮細胞中に蓄積し、角膜の厚みは相当に増し、透明性の喪失および視覚の低下を引き起こすことができる。PBKおよびABKでは、角膜はAQP1、AQP3およびAQP4で変化した分布を有し、フックのジストロフィーでは、角膜はAQP1の変化を有することが判明した(Kennedy et al. (2004) Journal of Histochemistry and Cytochemistry 52:1341-1350)。
アクアポリンは、尿の希釈および濃縮の臨床障害とさらに関係付けされている。AQP1、および特にAQP2、AQP3およびAQP4は、尿素およびイオンの輸送体とともに、細胞および分子レベルでの尿の希釈および濃縮のより深い理解を可能にした。例えば、AQP1は、近位尿細管およびヘンレ係蹄の下行肢の頂端膜および側底膜の両方で構成的に発現される。aqp1ノックアウトマウスは、最大尿モル浸透圧濃度の低下を起こす。aqp1遺伝子を欠くヒトについても同じである。AQP3およびAQP4は、集合管の主細胞の側底膜の上に位置する。AQP3は、アルギニンバソプレシン(AVP)によって調節される。aqp3ノックアウトマウスは、バソプレッシン抵抗性の腎原発性尿崩症(NDI)に二次性の相当の多尿を示す。AQP4は内部髄質の側底膜の上で優位を占め、AVPによって調節されない。aqp4ノックアウトマウスもNDIを示すが、aqp3ノックアウトマウスで観察されるものより重症度の低いものである。AQP3およびAQP4は集合管の側底膜を横断する水移動のための出口チャネルを構成し、AQP2は集合管の主細胞の頂端膜を横断する水再吸収のための水路である。実際、AQP2は、アルギニンバソプレシン(AVP)によって調節される収集尿細管および集合管の主細胞に排他的に見出される。しかし、一部の知見は、AVPと無関係の高浸透圧症によるAQP2の調節を示唆する。他の多くの障害の間で、水不均衡は臨床的に関連する低ナトリウム血症または高ナトリウム血症のいずれかをもたらすことができる。低ナトリウム血症がより一般的であり、入院患者で最も頻繁な流体および電解質障害であり、すなわち入院患者の低ナトリウム血症の有病率は15から30%と高い(Schrier (2006) Journal of the American Society of Nephrology 17:1820-1832)。
リラキシンはアクアポリンを調節して生殖生理に影響を及ぼす
妊娠後期では、分娩中に胎児に産道を通過させるために、頸部の成熟の過程で頸部の細胞外基質(ECM)は大きく変化する。コラーゲンの分解および分散につながる一連の複雑な事象によって、頸部の成熟はもたらされる。卵巣のペプチドリラキシンはこれらの過程に関与する1つの因子であるが、リラキシン作用機構に関する現在の理論は答えるべき多くの疑問を残している。出願人らは、アクアポリン(AQP)を調節することによって、リラキシンが頸部の含水量およびコラーゲン線維の分散を増加させるという新しい仮説を試験した(実施例1を参照)。妊娠の終わりにリラキシンノックアウト(Rln−/−)マウスの頸部でaqp3遺伝子発現が有意に低減されることを出願人らは示した(図1)。AQP3タンパク質は、マウス頸部の基底上皮細胞に主に局在化され、Rln−/−マウスのこの領域で免疫活性AQP3の減少があった(図1)。第二の試験では、妊娠Rln−/−マウスをリラキシンで処置し、それはプラセボ対照と比較して頸部aqp3の有意な増加およびaqp5遺伝子発現の減少をもたらした(図3)。リラキシンで処置された妊娠Rln−/−マウスは、プラセボ対照と比較して基底外側の上皮でより高い免疫活性AQP3を有し、上皮の基底細胞でより低い免疫活性AQP5を有していた(図4)。さらに、リラキシン処置は、頸部の含水重量および間質ECM内のコラーゲン分散を有意に増加させた。これらの知見は、リラキシンがアクアポリンの遺伝子およびタンパク質の発現を調節し、生殖組織で水収支を調節することができることを示した。
おそらくAQP5はcAMPによって調節される。PKAの阻害は肺上皮MLE−12でcAMP媒介AQP5転位を妨害するので、これはプロテインキナーゼA(PKA)の活性化を通して起こると考えられている(Sidhaye et al. (2005) The Journal of Biological Chemistry 280:3590-3596)。上記したように、生理食塩水で処置された対照と比較して、妊娠Rln−/−マウスのリラキシン処置はAQP5発現を減少させた。本明細書で、ELISAデータは、リラキシン濃度が注入の6日目により低かったが、より低いリラキシン濃度はAQP5発現に対するリラキシンの阻害作用を低減しなかったことを示した。出願人は、リラキシンは、PKAの活性化を含むcAMP経路を通してAQP5の発現または転位を調節することができると仮定する。さらに、リラキシンは、第二の波のために必要とされるホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)の活性化を通して二相式にcAMPを活性化する(Dessauer & Nguyuen (2005) Annals of the New York Academy of Sciences 1041:272-279)。頸部では、妊娠初期でのAQP5の機能的重要性は、水の間質への流入、およびさらに上皮細胞での粘液分泌の増加を可能にすることである(Anderson et al. (2006) Endocrinology 147:130-140)。発明者らは、妊娠後期Rln+/+マウスのAQP5発現の減少は、天然に存在するリラキシンによる阻害作用を示唆すると考える。
AQP5の別の可能な機構は、炎症性因子を含む。頸部の成熟は、妊娠頸部で見出される高レベルの炎症性因子による炎症性応答であることが示唆されている。頸部でのサイトカイン、特にIL−8または血小板活性化因子(PAF)、単球化学走性タンパク質1(MCP−1)およびマクロファージなどの炎症性因子の正確な媒介および相互関連性は未定のままであるが、最高レベルの炎症性因子は頸部成熟の活性相と同時に起こる。AQP5調節に関して、可能な経路は、TNFR1に結合してAQP5のmRNA(2倍)およびタンパク質(10倍)を阻害および/または下方制御するTNFα炎症性因子を通しての、正規のNF−κB経路の活性化である(Towne et al. (2001) The Journal of Biological Chemistry 276:18657-18664)。AQP5は独立したERK経路を通しても上方制御されるが、MLE−15細胞では高浸透圧条件の間だけである(Hoffert et al. (2000) The Journal of Biological Chemistry 275:9070-9077)。NF−κBはERKおよびMEKなどの複数のシグナル伝達経路を活性化するが、AQP5調節への主要な作用はNF−κB転写産物から直接及ぼされる。ここでの関連は、ヒトTHP−1細胞では、リラキシンが2つのNF−κBサブユニット、p50およびp65(転写活性化物質)を増加させ、核へのNF−κB転位を阻害するIkBアルファを減少させることを最近の調査が報告したことである(Ho et al. (2007) Journal of Leukocyte Biology 81:1303-1310)。しかし、この試験は、NF−κB経路を通したリラキシンによるMMP−9の誘導を示すために実行され、したがってわずかに1つの可能な機構である。
リラキシンはアクアポリンを調節して流体ホメオスタシスに影響を及ぼす
そのホルモンは妊娠中に高濃度で卵巣から分泌されるので、ペプチドホルモンリラキシンに関するほとんどの研究は哺乳動物の生殖に集中する。その古典的な役割は、動物での分娩の開始前に頸部および膣の細胞外基質で起こる組織再構築過程と関連している。しかし、リラキシンは腎臓で重要な役割を演ずることが今では明らかになっている。
特定の砂漠動物は様々な形態学的、行動的および生理的適応を通して限られた水利用の問題に対処することが知られている。詳細には、それらの動物は、代謝老廃物が排出されるときに大量の水が失われることを阻止するために、尿を濃縮することができる。これは、特に乾燥環境で陸生の脊椎動物が利用できる単一の最も重要な水保全機構であると考えられる。水保全は、腎臓のネフロンの集合管で起こる。血漿モル浸透圧濃度(すなわち、溶液1リットル(L)あたりの溶質のオスモル数(Osm)と定義される溶質濃度の測定手段)が増加する場合、これらの管は水に対して高透過性になり、水はネフロンから出て周囲の髄質に入る。水再吸収と関連する主な尿濃縮機構の1つは、ホルモンバソプレッシン、および特定の水路分子(すなわち、アクアポリン)、具体的には腎乳頭に伸長する集合管中のAQP2とのその相互作用に依存する。しかし、腎乳頭の具体的な機能についてほとんど知られていない。興味深いことに、トゲマウスは水を大量に飲む必要もなしに塩摂取後の血漿モル浸透圧濃度の大きな増加に耐えるが、実験用マウスは飲水しなければならない。例えば、トゲホップマウスは、尿量を減少させ、非常に速やかに尿モル浸透圧濃度を増加させることによって水欠乏に応答する。同じことが実験用マウスでは起こらない。したがって、これらの知見をヒトを含む他の哺乳動物と相関させるために、発明者らは実験用マウスおよびラットで尿濃縮機構の調査に着手した。尿濃縮機構はバソプレッシンまたはレニンアンジオテンシンの増加に依存しないので、これは困難であることが判明した。本明細書で、発明者らは、特に水欠乏および増加する塩分に応じる腎臓での濃縮された尿の生成における、ペプチドホルモンリラキシンおよびその受容体RXFP1の新規機能を企図する。発明者らは、リラキシンは腎臓での濃縮された尿の生成で重要な調節因子であり、リラキシンは内部髄質集合管細胞に直接的に作用して細胞内cAMPを刺激し、頂端膜へのAQP2輸送を媒介すると考える(実施例2を参照)。発明者らは実験用マウス乳頭突起(図6を参照)、すなわちAQP2およびAQP4を発現する腎臓の特定の領域でRXFP1の高い発現を見出した(図8および10を参照)。さらに発明者らは、研究用ラットの腎臓の皮質および髄質両方の領域で腎細管中のRXFP1の発現を見出した(図7)。異なる種でのこれらの知見は、透水性を担うAQP2およびAQP4を発現する腎臓の領域でのリラキシンの受容体の証拠を提供する。さらに、リラキシンはバソプレッシンと独立して作用することができ、腎臓自体に対する直接的な浸透調節作用を有することができた(実施例2を参照)。発明者らは、マウスおよびラットでのリラキシン処置は腎臓でのAQP2およびAQP4の発現を増加させることを見出した(図8、10および11を参照)。これは、リラキシンとアクアポリンとの最初の関連を立証する。ラットでのリラキシン処置は、脳で神経活性を高めることによってバソプレッシン放出を刺激することも知られている(McKinley et al. (2004) Journal of Neuroendocrinology 16:340-347)。これらの知見に基づき、発明者らは、腎臓での水保存機構は、アクアポリンとのリラキシンの直接的な調節作用または脳からのバソプレッシン放出を含むAQPへの間接的な調節作用に依存すると提唱する。
リラキシンによる水腫の処置
水腫は、流体が組織中に捕捉されるときに引き起こされる膨潤の形である。それはほとんどの場合下肢、すなわち足、足首および下腿に起こるが、それは顔および手などの体の他の部分にも起こりうる。重力によって水が下腿および足に引き落とされるので、水腫は、一か所にあまりにも長い間座るか立っていることから起こりうる。水腫は、下腿の静脈弁の弱化(すなわち、静脈不全)に起因することもできる。この状態は、静脈が血液を心臓に押し上げるのを困難にし、したがってそれは下腿で拡張蛇行静脈および流体の蓄積をもたらす。特定の疾患または状態(例えば、うっ血心不全、肺疾患、肝疾患、腎臓疾患、甲状腺疾患、外傷性頭部外傷)は、水腫を引き起こすこと、またはそれをより顕著にしうる。子宮が胴体下部の血管に圧を加えるので、妊娠は下腿で水腫を引き起こしうる。さらに、妊娠と関連する状態である子癇前症および子癇は、水腫をもたらしうる。子癇前症は、それらを組織に「漏出」させる変化を血管内に起こす。漏出することは組織の膨潤を引き起こし、それは水腫をもたらす。子癇前症がより重症になる場合、膨潤は肝臓で起こることがあり、出血を伴う肝臓の破裂をもたらすかもしれない。時々、膨潤が脳でも起こり、発作をもたらすことがあり、それは子癇として知られる。
大脳水腫は、処置しなければ死につながることがある危険な状態である。それは、脳の細胞内および/または細胞外間隙での水の過剰な蓄積の結果である。大脳水腫には、急性および悪性の高血圧で起こる流体静力学大脳水腫;脳腫瘍に起因する大脳水腫;ならびに高々度大脳水腫(HACE)にさらに分けられる、血管原性大脳水腫を含む異なる形態がある。血管原性大脳水腫に加えて、細胞傷害性大脳水腫(すなわち、灰白質および白質でナトリウムおよび水の細胞内保持ならびに膨潤星状神経膠細胞につながる、グリア細胞膜でのナトリウムおよびカリウムポンプの不十分な機能を生じる細胞代謝の破壊による);浸透圧性大脳水腫(すなわち、脳の脳脊髄液(CSF)および細胞外液(ECF)モル浸透圧濃度が乱れ、それによって異常な圧力勾配が形成されて、水が脳に流れ込むようになる);ならびに間質性の大脳水腫(CSFが脳に浸透して白質の細胞外間隙内に広がることを可能にするCSFの脳室上皮横断流を生じるCSF−脳障壁の破裂に水腫が起因する、閉塞性水頭の場合のように)がある。
血管原性水腫は、脳血液関門の破壊に起因する。これは、通常隔離されている血管内タンパク質および流体が、脳実質細胞外間隙に浸透することを可能にする。血漿構成要素が脳血液関門を越えると、水腫が多くの場合かなり速やかに広がる。水が白質に入るとき、それは線維管に沿って細胞外で移動し、これは灰白質に影響を及ぼすこともできる。この種の水腫は、頭部外傷、腫瘍、病巣の炎症、後期の脳虚血および高血圧性脳症への応答で見出される。例えば、米国内だけで、頭部損傷のために約2,000,000件の救急室来診、頭部外傷のために約475,000件の入院、約52,000件の死、および約80,000症例の重症の長期障害が毎年ある。今なお、重症頭部損傷および生じた水腫の処置のためのFDA承認薬がない。外傷性頭部損傷を示す患者は、多くの場合重い障害があり、一過性のまたは一過性でなくともよい意識喪失、記憶喪失および病巣部の神経欠損を起こす。
大脳水腫は、AQP1、AQP4およびAQP9が関与すると考えられている。特に、脳内の最も豊富なアクアポリンであるAQP4は、脳水生理学、脳水腫および水頭で役割を果たすようである(Brian et al. (2010) Cerebrospinal Fluid Research 7:15)。ラットモデルで(例えば、エピソン(epison)毒素処理を通して)実験的に誘導された大脳水腫では、AQP4発現は増加し、それは以前の知見と一貫している(Manley et al.(前掲)を参照)。しかし、別の実験モデルでは、星状細胞エンドセリンB(ETB)受容体の直接活性化はAQP4発現を減少させ、水腫液の排出の低下を生じ、血管原性脳水腫の悪化につながることが示唆されている(Koyama et al. (2010) Neuroscience Letters 469:343-347)。興味深いことに、この試験は、細胞傷害性水腫は水流入の阻止のためにAQP4発現の減少によって改善することができるが、血管原性水腫は水腫液の流出増加のためにAQP4発現の増加によって改善することができることをさらに示唆する。リラキシン処置は細胞傷害性水腫でAQP4発現を減少させることができると発明者らは考え、そのことはリラキシンがETB受容体アゴニストおよびエンドセリン1アンタゴニストとして有効なことと一貫している(Dschietzig et al. (2003) Circ Res. 92:32-40)。リラキシンは、第二の機構を通して起こりうる血管原性水腫でAQP4発現をさらに増加させることができる。特に、発明者らはリラキシンによる処置の後に(AQP2の増加に加えて)腎臓組織でのAQP4発現の増加を明らかにした。したがって、AQP4に関して類似した影響が血管原性水腫の脳組織で起こることができ、そのことは、可能性のある新規薬剤標的としてのAQP4と一貫している(Manley et al. and Koyama et al.(前掲)を参照)。
目の水腫は、AQP1、AQP3、AQP4およびAQP5が関与すると考えられている。偽水晶体/無水晶体症の水疱性角膜症(PBK/ABK)角膜およびフックのジストロフィー角膜に関係する目の水腫は、膨潤に寄与するかもしれない病気の角膜でのAQP3およびAQP4の発現の増加を示した。リラキシンによる目の水腫の処置は、患者の角膜のAQP3および/またはAQP4の調節をもたらすことができると発明者らは考える。
肺水腫は、AQP1、AQP3、AQP4およびAQP5が関与すると考えられている。ラットおよびマウスのモデルでの実験的に誘導された肺水腫では、AQP1、AQP4およびAQP5の発現は減少し、AQP3の発現は増加する。例えば、チオ尿素による処置はこれらのアクアポリンの発現の非常に急速な減少を引き起こすが、高酸素処置は72時間にわたる減少を引き起こす。リラキシンによる肺水腫の処置は、AQP1、AQP3、AQP4および/またはAQP5を調節することができるかもしれないと発明者らは考える。1つの可能なシナリオは、リラキシン処置の結果としての患者の肺におけるAQP1、AQP4および/またはAQP5の発現の増加、およびAQP3の発現の減少である。
この開示で詳細に記載されるように、リラキシンは、水路を制御および/または調整する機構(すなわち、アクアポリン)を通して全身の水腫を改善すると考えられる。しかし、2つのさらなる機構の少なくとも1つは、水腫の減少に少なくとも部分的に寄与することができた。したがって、同じく役割を果たすことができる第二の機構は、例えば肺水腫でのイオン輸送および浸透勾配の調節であり、リラキシンはイオン輸送を、したがって肺胞上皮細胞を横切る浸透勾配を増加させ、それによって肺空隙からの流体のクリアランスを促進するかもしれない(Zemans et al. (2004) Critical Care 8:469-477)。関与することができる第三の機構は血行動態の調節であり、例えば、腎臓によるナトリウムの強い保持が全身性水腫の全ての形の基礎をなす犯人である限り、腎臓血行動態および/またはGFRを改善することによって、リラキシンは腎臓のナトリウム排出を促進し、それによって全身性水腫を改善することができる。さらに、リラキシンは少なくとも短期的にはナトリウム排泄を増加させることができ、そのことは全身性水腫の状況では腎臓のナトリウム排出を促進する(Jeyabalan & Conrad (2010) Renal Physiology and Pathophysiology in Pregnancy。典拠:Renal and Electrolyte Disorders、4th Edition、RW Schrier, ed. Little Brown and Company)。
要約すると、リラキシンは異なる組織でアクアポリンの発現を調節することが可能であることを発明者らは示した。したがって、アクアポリンの発現を増加させて水腫状組織または器官からの水の移動を促進し、それによって水の蓄積および膨潤を低減するので、リラキシンは血管原性水腫の処置で有効であることが予想される。あるいは、リラキシンはアクアポリンの発現を減少させ、組織または器官への水のさらなる移動を低減し、それによって細胞傷害性水腫の増悪を阻止することができる。さらに、リラキシンは組織と血液との間の溶質移行を調節し、それによって組織へのおよび組織からの水移動に影響を及ぼし、組織および器官で水腫を減少させることができる。さらに、罹患器官からの水の移行を向上させるために、これは、様々な器官の血管系に対するリラキシンの血行力学作用を含むことができる。
発明者らは、リラキシンを投与することによって、患者の水腫を処置する方法を考案した。このように、患者は1日につき対象体重の1kgあたり約1〜1000μgの範囲の量の薬学的に活性なリラキシン(例えば、合成体、組換え体、類似体、アゴニストなど)の日用量で処置される。表示値との関連で用いられるときの用語「約」は、表示値の上下10%までの範囲(例えば、表示値の90〜110%)を包含する。例えば、約30μg/kg/日の静脈内(IV)注入速度は、27μg/kg/日から33μg/kg/日のIV注入速度を包含する。一実施形態では、リラキシンの投薬量は、10、30、100および250μg/kg/日である。これらの投薬量は、リラキシンの約1、3、10、30、75または100ng/mlの血清濃度を生じる。好ましい一実施形態では、薬学的に有効なリラキシンまたはそのアゴニストは、約30μg/kg/日で投与される。別の好ましい実施形態では、薬学的に有効なリラキシンまたはそのアゴニストは、約10〜約250μg/kg/日で投与される。別の実施形態では、リラキシンの投与は、リラキシンの約0.5〜約500ng/ml、より好ましくは約0.5〜約300ng/ml、最も好ましくは約1〜約10ng/mlの血清濃度を維持するように継続される。最も好ましくは、リラキシンの投与は、リラキシンの10ng/ml以上の血清濃度を維持するように継続される。これらのリラキシン濃度は、それらに限定されないが大脳水腫、目の水腫、肺水腫、腹水、遺伝血管性水腫、末梢水腫および全身性水腫を含む水腫と関連する流体蓄積を改善または低減することができる。
リラキシンによる腎原発性尿崩症(NDI)の処置
腎原発性尿崩症(NDI)は、バソプレッシンとも呼ばれている抗利尿ホルモン(ADH)に対して尿細管が応答しないときに起こる状態である。その結果、尿濃縮機構が損なわれ、苦しむ対象は薄い尿を過度に生産する。大量の薄い尿の排出の主な症状(すなわち、多尿)の他に、苦しむ対象は尿で失われる水を補うために大量の水を飲む必要がある(すなわち、多飲)。さらなる合併症には、急速な脱水、過度の渇き、刺激感受性、無気力、熱、嘔吐、便秘または下痢、発作、および体重増加障害が含まれる。
NDIは、V2受容体での部分不活性化突然変異またはSNPに起因すると考えられている。発明者らは、リラキシンがプリンシプル(principle)細胞でcAMPを増加させる機構によってNDIを改善すると考える。リラキシンおよびAVPのためのcAMPプールに重複部分があるとするならば、リラキシンはそれぞれ頂端膜および側底膜でAQP2およびAQP3の挿入を強化すること、ならびにV2受容体での部分不活性化突然変異またはSNPの状況下でそれらの発現を増加させることができよう。しかし、2つのさらなる機構の少なくとも1つは、NDIの改善に少なくとも部分的に寄与することができた。したがって、第二の機構には、末端集合管主細胞でcAMPを増加させることが含まれる。上記のcAMPシグナル伝達は膜でのUT−A1およびUT−A3の挿入をもたらし、皮質−乳頭浸透勾配の60%も占める内部髄質での尿素堆積を促進する。第三の機構には、髄質の厚いALHでNa/K/2Cl共輸送体の発現を増加させることが含まれ、その活動はC−P浸透勾配の形成、尿の濃縮および希釈に重要な「単一の影響」を構成する(Hebert & Andreoli (1984) American Journal of Physiology 246:F745-756)。
発明者らは、リラキシンを投与することによって、患者のNDIを処置する方法を考案した。NDI患者は、1日につき対象体重の1kgあたり約1〜1000μgの範囲の量の薬学的に活性なリラキシン(例えば、合成体、組換え体、類似体、アゴニストなど)を供給する皮下ポンプによって処置される。一実施形態では、リラキシンの投薬量は、10、30、100および250μg/kg/日である。これらの投薬量は、リラキシンの約1、3、10、30、75または100ng/mlの血清濃度を生じる。好ましい一実施形態では、薬学的に有効なリラキシンまたはそのアゴニストは、約30μg/kg/日で投与される。別の好ましい実施形態では、薬学的に有効なリラキシンまたはそのアゴニストは、約10〜約250μg/kg/日で投与される。別の実施形態では、リラキシンの投与は、リラキシンの約0.5〜約500ng/ml、より好ましくは約0.5〜約300ng/ml、最も好ましくは約1〜約10ng/mlの血清濃度を維持するように継続される。最も好ましくは、リラキシンの投与は、リラキシンの10ng/ml以上の血清濃度を維持するように継続される。これらのリラキシン濃度は、NDIと関連する過度の薄い尿の生産および付随する合併症を改善または低減することができる。
リラキシンの組成物および製剤
リラキシン、リラキシンアゴニストおよび/またはリラキシン類似体は、開示の方法で用いられる医薬として製剤化される。リラキシン受容体への生物学的または薬学的に活性なリラキシン(例えば、合成リラキシン、組換え型リラキシン)またはリラキシンアゴニスト(例えば、リラキシン類似体もしくはリラキシン様モジュレーター)の結合と関連する生物的応答を刺激することができるいかなる組成物または化合物も、開示の医薬として用いることができる。製剤および投与の技術に関する全般的な詳細は、科学文献に詳しく記載されている(Remington's Pharmaceutical Sciences、Maack Publishing Co、Easton Pa.を参照)。薬学的に活性なリラキシンを含む医薬製剤は、医薬の製造のための当技術分野で公知である任意の方法によって調製することができる。開示の方法で用いられる薬学的に活性なリラキシンまたはリラキシンアゴニストを含む製剤は、それらに限定されないが静脈内、皮下、筋肉内、舌下、鼻腔内、大脳内、脳室内、局所、経口、硝子体内および吸入を含む、任意の従来許容されている方法で投与のために製剤化することができる。例示的な例を下に示す。好ましい一実施形態では、リラキシンは静脈内または皮下に投与される。
リラキシンが静脈内または皮下の注射(例えば、注入、ボーラス、ポンプ)によって送達される場合、薬学的に活性なリラキシンまたは薬学的に有効なリラキシンアゴニストを含む製剤は、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液などの無菌の注射可能な調製物の形であってよい。この懸濁液は、上で指摘されている適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いる公知の技術によって製剤化することができる。無菌の注射可能な調製物は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。使用されてよい許容されるビヒクルおよび溶媒には、水およびリンガー液、等張性の塩化ナトリウムがある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒として従来使用することができる。この目的のために、合成モノ−またはジグリセリドを含む、任意の刺激の少ない不揮発性油を使用することができる。さらに、注射剤の調製でオレイン酸などの脂肪酸も同様に用いることができる。
開示の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤と混合させたリラキシンを含む。そのような賦形剤には、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム、ならびに分散剤もしくは湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、脂肪酸とのアルキレンオキシドの縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、または脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとのエチレンオキシドの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が含まれる。水性懸濁液は、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートなどの1つまたは複数の保存料、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香料、およびショ糖、アスパルテームもしくはサッカリンなどの1つまたは複数の甘味料をさらに含むことができる。製剤は、モル浸透圧濃度について調整されてよい。
植物油、例えば落花生油、オリーブ油、胡麻油もしくはヤシ油に、または流動パラフィンなどの鉱油にリラキシンを懸濁することによって、油懸濁液を製剤化することができる。油懸濁液は、密蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含むことができる。甘味料は、口に合う経口調製物を提供するために加えることができる。これらの製剤は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存することができる。
加水による水性懸濁液の調製に適する開示の分散性粉末および粒剤は、分散剤、懸濁剤および/または湿潤剤、および1つまたは複数の保存料と混合させたリラキシンから製剤化することができる。適する分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、上で開示されるものによって例示される。さらなる賦形剤、例えば甘味料、香料および着色剤がさらに存在してもよい。
開示の医薬製剤は、水中油型乳剤の形であってもよい。油相は、オリーブ油または落花生油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油、またはこれらの混合物であってよい。適する乳化剤には、天然に存在するゴム、例えばアラビアゴムおよびトラガカントゴム、天然に存在するホスファチド、例えばダイズレシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、ならびにエチレンオキシドとのこれらの部分エステルの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが含まれる。
リラキシン製剤の投与および投薬計画
開示の方法で用いられる薬学的に活性なリラキシンまたは薬学的に有効なリラキシンアゴニストを含む製剤は、それらに限定されないが静脈内、皮下、筋肉内、舌下、鼻腔内、大脳内、脳室内、局所、経口、硝子体内および吸入を含む、任意の従来許容されている方法で投与することができる。投与は、薬剤の薬物動態学および他の特性、ならびに患者の健康状態によって異なる。一般ガイドラインを下に提示する。
開示の方法は、水腫と関連する流体蓄積を低減する。さらに、開示の方法は、腎原発性尿崩症(NDI)患者で薄い尿の慢性排出を低減する。これを達成するために十分なリラキシン単独の量、または別の剤もしくは薬剤と組み合わせた量は、治療有効用量とみなされる。この使用のために有効な投薬スケジュールおよび量、すなわち「投薬計画」は、疾患もしくは状態の段階、疾患もしくは状態の重症度、有害な副作用の程度、患者の健康の一般状態、患者の全身状態、年齢などを含む様々な因子に依存する。患者のための投薬計画を立てることにおいて、投与様式も考慮される。投薬計画は、薬物動態、すなわち吸収速度、生物学的利用能、代謝、クリアランスなども考慮しなければならない。それらの原理に基づいて、水腫および/またはNDIをこれらの障害で苦しむ個体で処置するためにリラキシンを用いることができる。
本開示は、苦しむ個体を処置するために特に調製される、水腫および/またはNDIを処置するための医薬の製造におけるリラキシンの使用をさらに提供する。水腫および/またはNDIを処置するための医薬の製造におけるリラキシンの使用であって、患者は異なる薬剤で前に(例えば、2、3時間前、1日または数日前など)処置されている使用がさらに企図される。一実施形態では、他の薬剤は、患者でin vivoでなお活性である。別の実施形態では、他の薬剤は、患者でin vivoでもはや活性でない。
最高水準の技術は、臨床医が個々の患者ごとにリラキシンの投薬計画を決定することを可能にする。例示的な例として、リラキシンについて下で提供されるガイドラインは、開示の方法を実施するときに投与される、薬学的に活性なリラキシンを含む製剤の投薬計画、すなわち投与スケジュールおよび投薬量レベルを決定する指針として用いることができる。一般ガイドラインとして、薬学的に活性なH1、H2および/またはH3ヒトリラキシン(例えば、合成物、組換え体、類似体、アゴニストなど)の日用量は、一般的に1日につき対象体重1kgあたり約1〜1000μgの範囲の量であると予想される。一実施形態では、リラキシンの投薬量は、10、30、100および250μg/kg/日である。別の実施形態では、これらの投薬量は、リラキシンの約1、3、10、30、75または100ng/mlの血清濃度を生じる。好ましい一実施形態では、薬学的に有効なリラキシンまたはそのアゴニストは、約30μg/kg/日で投与される。別の好ましい実施形態では、薬学的に有効なリラキシンまたはそのアゴニストは、約10〜約250μg/kg/日で投与される。別の実施形態では、リラキシンの投与は、リラキシンの約0.5〜約500ng/ml、より好ましくは約0.5〜約300ng/ml、最も好ましくは約1〜約10ng/mlの血清濃度を維持するように継続される。最も好ましくは、リラキシンの投与は、リラキシンの10ng/ml以上の血清濃度を維持するように継続される。したがって、本開示の方法は、リラキシンのこれらの血清濃度をもたらす投与を含む。これらのリラキシン濃度は、それらに限定されないが大脳水腫、目の水腫、肺水腫、腹水、遺伝血管性水腫、末梢水腫および全身性水腫を含む水腫と関連する流体蓄積を改善または低減することができる。さらに、これらのリラキシン濃度は、NDIで薄い尿の慢性排出を改善または低減することができる。対象に従い、リラキシンの投与は特定の期間、または対象で安定性を達成するために必要な期間維持される。例えば、リラキシン処置の継続期間は、好ましくは約4時間〜約96時間、より好ましくは患者によって8時間〜約72時間の範囲に保たれ、および必要に応じて1回または複数回の任意選択の処置が繰り返される。
水腫および/またはNDIに苦しむ患者によって必要とされ、許容される投薬量および頻度に従い、リラキシン製剤の単一または複数の投与を投与することができる。製剤は、その状態を効果的に改善するために十分な量のリラキシンを提供するべきである。リラキシンの静脈内皮下投与のための一般的な医薬製剤は、具体的な療法に依存する。例えば、リラキシンは単独療法で(すなわち、他の付随する薬物投与なしで)、または別の薬物投与との併用療法で患者に投与することができる。一実施形態では、リラキシンは単独療法として毎日患者に投与される。別の実施形態では、リラキシンは別の薬剤との併用療法として毎日患者に投与される。特に、患者に投与されるリラキシンの投薬量および頻度は、年齢、病気の程度、薬剤許容度ならびに付随する薬物投与および状態によって異なることができる。
一部の実施形態では、リラキシンは1mg/ml溶液(5mlガラスバイアルに3.5ml)として提供される。リラキシンの希釈剤と同一であるプラセボが、同一のバイアルで提供される。リラキシンまたはプラセボは、ピギーバック構成の通常の生理食塩水と組み合わせたシリンジポンプを用いて小容量で患者に静脈内または皮下に投与することができる。リラキシンと用いるために試験され、適格と認められた適合するチューブおよび3方向ストップコックが、リラキシン製剤を投与するために用いられる。用量は重量ベースで投与され、例えば注入ポンプによって送達されるリラキシン薬剤の速度を調整することによって、各患者のために調整される。
以下の具体例は、開示の例示を意図するものであり、請求項の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
リラキシンは、頸部のアクアポリン3およびアクアポリン5を調節する
リラキシンは、アクアポリン(AQP)を調節することによって、頸部の含水量およびコラーゲン線維の分散を増加させる。妊娠の終わりにリラキシンノックアウト(Rln−/−)マウスの頸部で、aqp3の遺伝子発現は有意に低減された(図1A)。AQP3タンパク質は、マウス頸部の基底外側上皮に局在化され、Rln−/−マウスのこの領域で免疫活性AQP3の減少があった(図1B)。第二の試験では、妊娠Rln−/−マウスをリラキシンで処置した。これは、プラセボ対照と比較して頸部aqp3の有意な増加およびaqp5遺伝子発現の減少をもたらした(図3)。リラキシンで処置された妊娠Rln−/−マウスは、プラセボ対照と比較して基底外側上皮でより高い免疫活性AQP3を有し、上皮の頂端層でより低い免疫活性AQP5を有していた(図4)。さらに、リラキシン処置は、頸部の含水重量および間質ECM内のコラーゲン分散を有意に増加させた。これらの知見は、リラキシンがアクアポリンの遺伝子およびタンパク質の発現を調節し、生殖組織で水収支を調節することができることを示した。
より具体的には、リラキシン遺伝子ノックアウトマウスは、妊娠の終わりにより高い頸部のコラーゲン密度を有するが、これは減少したMMPのためではない。本明細書で、発明者らは、頸部の水和を増加させ、コラーゲン線維の分散を引き起こすために、頸部間質への水の補充を含む、リラキシン作用の代替機構を提案する。上記試験は、リラキシンがアクアポリン(AQP)を調節するとの仮説を試験した。さらに詳細には、それらの妊娠(pc)から14.5、16.5、18.5および19日目および分娩後1日目に、リラキシン野生型およびリラキシンノックアウトマウスから頸部を収集して、遺伝子型間のaqp3およびaqp5遺伝子発現を定量PCR分析によって、およびタンパク質発現を免疫組織化学によって比較した。上記第二の試験では、12.5pc日目にリラキシンノックアウトマウスにAlzet浸透圧ミニポンプを移植して、組換え型H2ヒトリラキシン(0.05μg/h;Corthera,Inc)または0.9%生理食塩水のいずれかを注入した。頸部は、注入から4または6日後に収集した。リラキシン処置は、プラセボ対照と比較して頸部aqp3の有意な増加およびaqp5遺伝子発現の減少をもたらした。さらに、リラキシン処置は、頸部含水重量の6倍の増加、およびリラキシン受容体RXFP1発現の減少を引き起こした。これらの新知見は、リラキシンが上皮の基底外側領域でAQP3を上方制御して、内腔から間質への水流入を維持することを示唆する(図4)。リラキシンは、AQP5を下方制御して、頂端領域から内腔への水分消失を阻止することもできる(図4)。これらのデータは、リラキシンがAQPを調節することによって頸部の水和を促進することを示唆する。このことは、ECMでコラーゲン原線維の分散を引き起こすことによって、頸部の成熟を促進することができる。
リラキシンは、腎臓でアクアポリン2およびアクアポリン4を調節する
リラキシン欠損マウスは、血液中の電解質、尿素および他のイオンの濃度の測定手段である、異常に高い血漿モル浸透圧濃度を報告する。これらの動物での高い血漿モル浸透圧濃度は、腎細管の尿濃縮機構が損なわれているかもしれないことを示唆する。しかし、動物をリラキシンで処置すると、その反対が発生し、血漿モル浸透圧濃度は減少する。発明者らは、リラキシンが脳の「渇き認識」中心を変化させてアルギニンバソプレシン(AVP)放出を刺激し、次にそれは集合管のそのV2受容体に作用し、AQP2を通して透水性を増加させると考える。発明者らは、RXFP1リラキシン受容体が実際にマウスおよびラットの腎臓で発現されることを見出した(図7)。RXFP1のこの発現は、透水性を担う腎臓の領域、すなわちマウスの乳頭突起およびラットの内部髄質で観察された(図7)。これらのデータは、リラキシンがAVPと独立して作用することができ、腎臓自体に対する直接的な浸透調節作用を有するであろうことを示唆する。他の可能性は、リラキシンがAVPと相乗的に作用して、その水保存能力を強化することである。
マウスおよびラットでのリラキシン処置は、腎臓でのAQP2の発現を増加させた(図8)。図8Aは、生理食塩水(VEH)対照と比較して、リラキシンで14日間処置された雄Rln+/+マウスの腎臓でのaqp2遺伝子発現の増加を示し、そこで、βアクチンは標準化対照である。図8Bは、5日間リラキシンで処置された雄Rln−/−マウスでのaqp2遺伝子発現の増加を示す。この知見は、腎臓でのリラキシンとアクアポリンとの調節関係を提供した。その結果、発明者らは、腎臓での水保存機構は、アクアポリン(AQP)を媒介するリラキシンの直接作用ならびに脳からのAVP放出に対する間接作用に依存すると提唱する。
ラットでの5日間のリラキシンによる処置は、雄ラット腎臓の髄質領域(乳頭突起を含む)でaqp2遺伝子の発現を増加させた(図8C)。この知見は、哺乳動物において、リラキシンが腎臓内でAQP2発現を増加させ、腎細管濾液から血液に戻る水分子の移動を調節する作用をすることができるとの推測を支持する。
妊娠ラットでのラットリラキシンに対するモノクローナル抗体(MCA1)による処置は、腎臓の髄質領域でaqp2遺伝子の発現を減少させた(図9)。内因性リラキシンが腎臓でのアクアポリンの調節で役割を果たすという考えをこの知見は支持する。その結果、発明者らは、腎臓での妊娠関連の水保存機構は、アクアポリンを媒介するリラキシンの直接作用に依存するかもしれないと提唱する。
リラキシンは、腎臓でAQP4を増加させる。発明者らは、図10Aに示すように、Rln−/−マウスにおいてaqp4遺伝子の発現が腎臓の乳頭突起領域で有意に低減されることを最初に示した。図10Bおよび10Cは、雄Rln−/−マウスでのリラキシンによる5日間または14日間の処置が、乳頭突起でaqp4遺伝子の発現を増加させたことを示す。この知見は、哺乳動物において、リラキシンが腎臓内でAQP4発現を増加させ、腎細管濾液から血液に戻る水分子の移動を調節する作用をするとの新規推測を支持する。
雄ラットでの5日間のリラキシンによる処置は、腎臓の髄質領域(乳頭突起を含む)でaqp4遺伝子の発現を増加させた(図11)。異なる哺乳動物で、リラキシンが腎臓内でAQP4発現を増加させる作用をするという新規考えをこの知見は支持する。
腎臓の集合管細胞に対するリラキシンの作用
腎臓での水保存機構は、アクアポリン(AQP)ならびにAVPとのリラキシン媒介性の相互作用に依存する可能性がある。腎臓集合管でのAQP2機能の調節におけるAVPに対するリラキシンの寄与を評価するために、AVP欠損Brattleboroラットモデルを用いることができる。
このモデルで、体重、水および食餌の摂取量、糞便および尿の排泄量が毎日記録される。尿サンプルは、分光測光(Synchron CX5CE Delta;Beckman Coulter)によって電解質および尿素が分析される。モル浸透圧濃度は、氷点降下(浸透圧計)で測定される。
遺伝子およびタンパク質の分析のために、9対の腎臓を皮質および内部髄質に切り分ける。3対の腎臓を半分に切断し、免疫組織化学のためにポリエステルワックスに包埋するためにPLP(パラホルムアルデヒド/リシン/過ヨウ素酸塩)で固定する。遺伝子発現を測定するために定量PCR(q−PCR)を用い、異なる腎臓領域および2種のマウスの間で比較を行う。タンパク質発現をウェスタンブロット分析および免疫組織化学で測定する。血漿モル浸透圧濃度およびAVP濃度も、それぞれ浸透圧計およびRIAによって測定する。
リラキシンは集合管での透水性を増加させ、これらのラットがそれらの尿を濃縮し、したがって過度の水分消失を低減することを可能にすると予測される。リラキシン処置が腎臓でAQP2発現を増加させたという発明者の発見(前掲)は、リラキシン欠損動物での異常に高い血漿モル浸透圧濃度が、集合管内でのAQP2発現またはAQP2小胞転位の欠陥に関係しているかもしれないことを示唆する。
内部髄質集合管(IMCD)細胞は、AQP2のAVP非依存性の調節でのリラキシンの役割を実証するためのモデルを提供する。IMCD細胞は、10%BSAを含むDMEM/F12培地を有する、IV型コラーゲンでコーティングしたペトリ皿に播種する。細胞を集密まで4日の間増殖させ、接種後5日目に処置する。リラキシン処置に応答するcAMPレベルおよびPKA活性の測定のために、ヒトH2リラキシン(濃度0.1pM〜1μM)を含む培地でIMCD細胞を45分間インキュベートする。H2リラキシンによるインキュベーションの前に、PKA阻害を受ける細胞を10μMのH−89(PKA阻害剤)と一緒に60分間プレインキュベートする。この濃度のH−89は、IMCD細胞でAQP2リン酸化を阻害することが知られている。処置の後、細胞を溶解緩衝液中でスナップ冷凍する。市販キット(Cayman Chemical、米国)を用いてcAMP含有量およびPKA活性を測定する。IMCD細胞でのRxfp1およびaqp2遺伝子の発現を測定するために、標準の分子生物学的手法を用いることができる。AQP2の細胞内局在化を評価するために、IMCD細胞を処置後に4%PFAで固定し、次に抗AQP2抗体およびヤギ抗ウサギIgG Alexa Fluor 488二次抗体と一緒にインキュベートして、AQP2タンパク質を可視化する。個々の試料(n=9)につき3反復で、各実験を3回繰り返す。頂端細胞膜でのそれらの作用点へのAQP2を含む小胞の転位は、細胞の周辺のより大きな蛍光によって検出することができる。
リラキシン、バソプレッシンおよび腎臓でのAQP2の調節
リラキシンはバソプレッシンと独立して腎臓に作用して、AQP2および濃縮尿の生産を調節することができる。方法および分析については、実施例2(前掲)を参照されたい。ホモ接合(di/di)Brattleboroラットは、それらがAVPを生成できないことに起因する重症の腎原発性尿崩症(NDI)を有する。それらは大量の薄い尿を排出し、およびこの水分消失を償うためにおびただしく飲物を摂取する。それらはAVPを有しないので、集合管でAQP2の有意な減少がある。AVPによるこれらの動物の処置は、頂端膜へのAQP2転位を増加させることによってそれらがそれらの尿を濃縮することを可能にする。しかし、文献中の報告は、特に摂食妨害の後、BrattleboroラットがAVPなしでそれらの尿を濃縮することができることを示唆する。リラキシンがAVPと独立してAQP2を調節することができるならば、Brattleboroラットでのリラキシン処置はAQP2発現を増加させることが予想され、それらがそれらの尿を濃縮することを可能にすることができる。この仮説を試験するために、発明者らは、図5で概説されるリラキシンおよび対照(生理食塩水)の注入時間を示す実験プロトコルを用いる。具体的には、Brattleboroラット(6匹の♀および6匹の♂、3〜4カ月齢)を、食物および水を与えて2回の24時間の間ラット特異の代謝ケージに慣らす。4μg/時間のヒトH2リラキシンまたは生理食塩水のいずれかを72時間送達するために、それらにAlzet浸透圧ミニポンプを移植した。この注入速度は、ロングエバンスラットでGFRおよびERPFを増加させ、血漿モル浸透圧濃度を低下させる。この試験のための対照は、年齢を一致させたロングエバンスラットである。図5に示す時点で、体重、水および食餌の摂取量、糞便および尿の排泄量が測定される。尿サンプルは、分光測光によって電解質および尿素が分析される。モル浸透圧濃度は、氷点降下で測定される。リラキシンに応答しての尿排泄量および血漿モル浸透圧濃度の低下は、腎臓の尿濃縮機構の改善を示す。AQP2発現の増加は、アクアポリンに対するリラキシンの作用がバソプレッシンから独立していることを示唆する。
リラキシンは、マウスの大脳水腫を低減する
血管原性脳水腫は、脳血液関門の血管内皮細胞で密着帯の破壊があるときに起こる。それは、神経組織の細胞外間隙への大量の血漿タンパク質および流体の流入、ならびに脳での水の過剰な蓄積につながる。AQP4媒介性の経細胞水移動は、血管原性脳水腫での流体クリアランスのために重要である(Papadopoulos et al. (2004) FASEB Journal 18: 1291-1293)。したがって、脳AQP4の上方制御の増加は、血管原性脳水腫での新規治療選択肢になるかもしれない。リラキシン処置哺乳動物における腎臓でのAQP4発現の増加(前掲、実施例2を参照)に基づき、発明者らはリラキシン処置が脳でAQP4発現を増加させることもできるかもしれないと考える。この仮説を試験するために、50〜500ngのヒトH2リラキシンまたは生理食塩水を24または72時間送達するために、雄ラットにAlzet浸透圧ミニポンプおよび脳注入カニューレを移植する。リラキシンのこれらの用量および注入速度は、ラットで飲水行動および血漿バソプレッシンを増加させる。脳組織を大脳皮質、脳幹および小脳から得、AQP4遺伝子およびタンパク質の発現を定量PCR、免疫組織化学およびウェスタンブロット分析によって分析する。
マウスおよびラットでのリラキシン処置は、腎臓の髄質領域(乳頭突起を含む)でのAQP4の発現を増加させた(図10および11)。本明細書で、発明者らは、リラキシンが脳内でAQP4発現を増加させ、それによって大脳水腫を低減する作用をすると提唱する。AQP4を欠くマウス(Aqp4−/−)では、野生型マウスと比較して、水中毒および病巣の脳虚血の後に脳腫脹が低減される(Manley et al. (2000) Nature Medicine 6:159-163)。腎臓で示されるものと類似した方法でリラキシンがAQP4を上方制御する場合、血管原性水腫の動物モデルでのリラキシン処置は脳でAQP4発現を増加させ、脳実質からの水腫液の排除を速めると発明者らは予測する(Papadopoulos et al.(前掲))。この仮説を試験するために、発明者らは等張性の流体を脳実質に注入して血管原性水腫を起こさせることができる。具体的には、麻酔下ラットを定位フレームに支持し、気密250μL注射器に付けたホウ珪酸ガラス顕微針(先端径約100μm)を脳実質に挿入する。0.9%生理食塩水またはリラキシンを含む等張性の流体を、0.5μl/分の速度で1〜6時間注入する。Aqp4−/−マウスでは、1時間以内に脳実質含水量の有意な増加があった(Papadopoulos et al.(前掲))。注入時間の終わりに、ラットを安楽死させ、大脳皮質、脳幹および小脳での含水量およびAQP4発現の分析のために脳を収集する。リラキシンが処置ラットでAQP4発現を増加させることが見出されるならば、おそらくそれはさらに実質で水の蓄積を阻止し、血管原性水腫を低減させるであろう。
本開示の様々な改変および変形は、開示の範囲および精神を逸脱せずに当業者に明らかになる。本開示は特定の好ましい実施形態に関連して記載されたが、請求項はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないことを理解すべきである。実際、当業者に理解される本開示の実施のための記載様式の様々な改変は、請求項の範囲内であるものとする。

Claims (20)

  1. 哺乳動物の組織でアクアポリンの発現を改変するために有効な量のリラキシンを投与することを含む、哺乳動物でアクアポリンチャネルを調節する方法。
  2. アクアポリンの発現がアクアポリン遺伝子の発現である、請求項1に記載の方法。
  3. アクアポリン遺伝子の発現が上方制御される、請求項2に記載の方法。
  4. アクアポリン遺伝子の発現が下方制御される、請求項2に記載の方法。
  5. アクアポリンの発現がアクアポリンタンパク質の発現である、請求項1に記載の方法。
  6. アクアポリンタンパク質の発現が上方制御される、請求項5に記載の方法。
  7. アクアポリンタンパク質の発現が下方制御される、請求項5に記載の方法。
  8. アクアポリンチャネルが、アクアポリン0(AQP0)、アクアポリン1(AQP1)、アクアポリン2(AQP2)、アクアポリン3(AQP3)、アクアポリン4(AQP4)、アクアポリン5(AQP5)、アクアポリン6(AQP6)、アクアポリン7(AQP7)、アクアポリン8(AQP8)、アクアポリン9(AQP9)およびアクアポリン10(AQP10)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  9. アクアポリンチャネルが、アクアポリン1(AQP1)、アクアポリン2(AQP2)、アクアポリン3(AQP3)、アクアポリン4(AQP4)およびアクアポリン5(AQP5)からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. AQP3が頸部で上方制御される、請求項9に記載の方法。
  11. AQP5が頸部で下方制御される、請求項9に記載の方法。
  12. AQP2が腎臓で上方制御される、請求項9に記載の方法。
  13. AQP4が腎臓で上方制御される、請求項9に記載の方法。
  14. 組織が、器官組織、筋肉組織、上皮組織および内皮組織からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  15. 器官組織が、脳組織、腎臓組織、肺組織および生殖組織からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
  17. リラキシンを投与することを含む、哺乳動物でアクアポリンチャネルを調節する方法。
  18. リラキシンがアクアポリン遺伝子の発現を調節する、請求項17に記載の方法。
  19. リラキシンがアクアポリンタンパク質の発現を調節する、請求項17に記載の方法。
  20. アクアポリンが、アクアポリン1(AQP1)、アクアポリン2(AQP2)、アクアポリン3(AQP3)、アクアポリン4(AQP4)およびアクアポリン5(AQP5)からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
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