JP2013522205A - 高分子薬物送達結合体ならびにその製造および使用方法 - Google Patents

高分子薬物送達結合体ならびにその製造および使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013522205A
JP2013522205A JP2012557145A JP2012557145A JP2013522205A JP 2013522205 A JP2013522205 A JP 2013522205A JP 2012557145 A JP2012557145 A JP 2012557145A JP 2012557145 A JP2012557145 A JP 2012557145A JP 2013522205 A JP2013522205 A JP 2013522205A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conjugate
group
polymer
water
hpma
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012557145A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5944836B2 (ja
Inventor
パン,ファイホン
コペッコヴァ,パヴラ
ヤン,ジュアン
コペチェック,ジンドリッチ
ルオ,クイ
Original Assignee
ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデイション filed Critical ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデイション
Publication of JP2013522205A publication Critical patent/JP2013522205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5944836B2 publication Critical patent/JP5944836B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/50Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
    • A61K47/51Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent
    • A61K47/62Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being a protein, peptide or polyamino acid
    • A61K47/65Peptidic linkers, binders or spacers, e.g. peptidic enzyme-labile linkers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/50Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates
    • A61K47/51Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent
    • A61K47/56Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being an organic macromolecular compound, e.g. an oligomeric, polymeric or dendrimeric molecule
    • A61K47/58Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient the non-active ingredient being chemically bound to the active ingredient, e.g. polymer-drug conjugates the non-active ingredient being a modifying agent the modifying agent being an organic macromolecular compound, e.g. an oligomeric, polymeric or dendrimeric molecule obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, e.g. poly[meth]acrylate, polyacrylamide, polystyrene, polyvinylpyrrolidone, polyvinylalcohol or polystyrene sulfonic acid resin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本明細書には、生物活性剤を被験者に効果的に送達するための生分解性薬物送達結合体が記載されている。薬物送達結合体は、第1の(主鎖)切断可能なリンカーによって互いに結合された複数の線状水溶性高分子セグメントを含む水溶性高分子量線状生分解性ポリマー骨格を含み、生物活性剤は、少なくとも1つの水溶性高分子セグメント、少なくとも1つの切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに共有結合されている。本結合体は、従来技術の送達結合体を上回る多数の利点を有する。また本明細書には、本結合体を製造および使用するための方法も記載されている。
【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2010年3月8日に出願された米国仮特許出願第61/311,459号に対する優先権を主張する。本出願は、その教示の全てについて、参照によってその全体が本明細書に援用される。
配列表への相互参照
本明細書に記載されるペプチドは、配列番号(SEQ ID NO)によって参照される。配列番号は、数値的に、配列識別子<400>1、<400>2などに対応する。書面によるコンピューター可読フォーマット(CFR)の配列表は、参照によってその全体が援用される。
承認
本発明につながる研究は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)(NIH)認可番号GM069847、EB005288、CA51578、およびCA132831によって一部資金提供を受けた。アメリカ政府は、本発明における特定の権利を有する。
背景
従来の合成ポリマー−薬物結合体(コンジュゲ―ト)は低分子量薬物を上回る多数の利益を提供するが、合成ポリマー薬物キャリア(例えば、HPMAまたはPEG)の分子量は、腎閾値によって制限される。この結果、糸球体ろ過による結合体の急速な排除が起こり、循環時間が短くなり、そして血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果による腫瘍組織における蓄積が非効率的になる。
薬物キャリア結合体の分子量および分子量分布(MWD)は、効果的な機能のために重要である。腎閾値は、結合体の流体力学的半径を45Å未満に制限する。従って、高分子キャリアの分子量は30〜40kDa未満でなければならない(正確な値は、詳細な構造に依存する)。しかしながら、分子量の低下は循環系における結合体の滞留時間を短くすると同時に、薬学的な効率を低下させる。理想的な薬物キャリアは、糸球体ろ過による急速な損失を防止するために十分に高い分子量を有するべきである。高分子量(長時間循環する)ポリマー結合体は、EPR効果のために腫瘍組織中に効率的に蓄積する。しかしながら、これらは、非分解性の骨格を有する場合には、種々の臓器に沈着および蓄積して、生体適合性を損ない得る。
概要
本明細書には、生物活性剤を被験者に効果的に送達するための生分解性薬物送達結合体が記載されている。薬物送達結合体は、第1の(すなわち、主鎖)切断可能なリンカーによって互いに結合された複数の線状水溶性高分子セグメントを含む水溶性高分子量線状生分解性ポリマー骨格を含み、生物活性剤は、少なくとも1つの水溶性高分子セグメント、少なくとも1つの切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに共有結合されている。本結合体は、従来技術の送達結合体を上回る多数の利点を有する。また本明細書には、結合体を製造および使用するための方法も記載されている。以下に記載される利点は、特許請求の範囲において特に指摘される要素および組み合わせを用いて、実現および達成されるであろう。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明がいずれも単に例示的および説明的なものに過ぎず、限定的なものではないことは理解されるべきである。
図面の簡単な説明
本明細書中に援用されて本明細書の一部を構成する添付図面は、以下に記載されるいくつかの態様を示す。
本明細書に記載される結合体を調製するための例示的な反応スキームを示す。 銅触媒によるアルキンおよびアジド1,3−双極性付加環化による、ヘテロテレケリック型(heterotelechelic)ポリHPMA(Mw=41.8kDa、Mw/Mn=1.05)のマルチブロックコポリマーへの鎖延長を示す。37℃におけるクエン酸−リン酸緩衝液(pH6.0)中0.14mg/mLのパパインによる、マルチブロックコポリマー(選択画分、Mw=291kDa、Mw/Mn=1.11)のインキュベーションの結果、マルチブロックコポリマー骨格中のオリゴペプチド配列が完全に分解し、初期分子量(Mw=41.7kDa、Mw/Mn=1.04)を有するポリマーが形成された。 初期テレケリック型α,ω−ジチオール−ポリHPMA(P−Org)、延長されたマルチブロックポリHPMA画分(P−Ext)、ならびに(A)カテプシンBおよび(B)パパインによる異なる時間間隔でのインキュベーション後の分解生成物のSECプロファイルを示す。 メス胸腺欠損nu/nuマウス中のs.c.A2780AD(耐性)ヒト卵巣癌異種移植片に対するHPMAコポリマー−DOX結合体の増殖阻害を示す。従来のDOX結合体と比較して、高分子量マルチブロックDOX結合体は、より高い抗腫瘍活性(より高い腫瘍増殖の阻害)を実証した。 モデル酵素としてパパイン(2.0μM)を用いて、McIlvaine緩衝液(50mMのクエン酸/0.1Mのリン酸)中、pH6.0、37℃で実施された、マルチブロックコポリマー画分(Mn306kDa、PDI1.09)の分解を示し、分解されたHPMAコポリマー(Mn47kDa、PDI1.01)が得られる。パパイン(10μM)中でパクリタキセル(5.4重量%)がコポリマー結合体から切断された。
詳細な説明
本発明の化合物、組成物、および/または方法を開示および説明する前に、以下に記載される態様が特定の化合物、合成方法、または使用に制限されず、従って、当然ながら変わり得ることは理解されるべきである。また、本明細書中で使用される用語が特定の態様だけを説明するためのものであり、限定することを意図しないことも理解されるべきである。
本明細書において、そしてそれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を有するように定義されるべきいくつかの用語が言及されるであろう。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限りは複数の指示対象も含むことに注意しなければならない。従って、例えば、「単数形のモノマー」への言及は、このようなモノマーの2つ以上の混合物なども含む。
「任意的な(optional)」または「任意的に(optionally)」は、続いて記載される事象または状況が発生してもしなくてもよく、その記載が、その事象または状況が発生する場合および発生しない場合を含むことを意味する。例えば、「任意的に置換された低級アルキル」という語句は、低級アルキル基が置換されていても置換されていなくてもよく、その記載が、非置換の低級アルキルおよび置換のある低級アルキルを両方とも含むことを意味する。
組成物または物品中の特定の要素または成分の重量部に対する本明細書および最終の特許請求の範囲における言及は、その要素または成分と、組成物または物品中の他の任意の要素または成分との間の重量関係(このために、重量部が示される)を示す。従って、2重量部の成分Xおよび5重量部の成分Yを含有する化合物において、XおよびYは2:5の重量比で存在し、付加的な成分が化合物中に含有されるかどうかに関係なくこのような比率で存在する。
成分の重量パーセントは、特に反することが記載されない限り、成分が含有されている製剤または組成物の全重量に基づく。
化学種の残基は、本明細書および最終の特許請求の範囲において使用される場合、特定の反応スキームにおいて得られる化学種の生成物またはその後の製剤または化学生成物である部分を指し、その部分が化学種から実際に得られたかどうかに関係ない。例えば、少なくとも1つの−NH基を含有するアミノ酸は式H−Y−OHで表すことができ、ここで、Yはアミノ酸分子の残りの部分(すなわち残基、−HN−CHR−CO−)である。
「アルキル基」という用語は、本明細書で使用される場合、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどの、1〜24個の炭素原子を有する分枝状または非分枝状の飽和炭化水素基である。「低級アルキル」基は、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基である。
「アリール基」という用語は、本明細書で使用される場合、任意の炭素ベースの芳香族基であり、ベンゼン、ナフタレンなどを含むがこれらに限定されない。「芳香族」という用語は、芳香族基の環内に取り込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基であると定義される「ヘテロアリール基」も含む。へテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄、およびリンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は置換されていてもよいし、非置換であってもよい。アリール基は、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ハライド、ニトロ、アミノ、エステル、ケトン、アルデヒド、ヒドロキシ、カルボン酸、またはアルコキシを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の基によって置換され得る。
「シクロアルキル基」という用語は、本明細書で使用される場合、C〜C環状基である。シクロアルキルは完全不飽和であってもよいし、1以上の不飽和度を有することもできる。「シクロアルキル」という用語は、環内に取り込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有するシクロアルキル基も含む。へテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄、およびリンが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキル基は置換されていてもよいし、非置換であってもよい。
「親水基」という用語は、本明細書で使用される場合、結合体の水溶性を高める任意の基である。親水基は、結合体において水溶性単位を生じるために使用される1つまたは複数のモノマー上に存在し得る。このような基の例としては、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、SOH基、または双性イオン基が挙げられるが、これらに限定されない。
本出願を通して使用されるAA、AA、L、L、X、Y、およびZなどの変数は、反することが記載されない限り、これまでに定義された変数と同じである。
本明細書には、生物活性剤の送達において有用な薬物送達結合体が記載されている。結合体は、第1の(すなわち、主鎖)切断可能なリンカーによって互いに結合された複数の線状水溶性高分子セグメントを含む水溶性高分子量線状生分解性ポリマー骨格を含み、生物活性剤は、少なくとも1つの水溶性高分子セグメント、少なくとも1つの切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに共有結合されている。結合体の各成分は、以下に詳細に記載される。
結合体は、50kDa〜750kDaの分子量を有する線状ポリマーである。1つの態様では、結合体の分子量は、50kDa、60kDa、70kDa、80kDa、90kDa、100kDa、125kDa、150kDa、175kDa、200kDa、225kDa、250kDa、275kDa、300kDa、325kDa、350kDa、375kDa、400kDa、425kDa、450kDa、475kDa、500kDa、550kDa、600kDa、650kDa、700kDa、750kDa、またはこれらの値に基づいた任意の範囲である。結合体は線状ポリマーであって、分枝状ポリマーではない。言い換えると、結合体は、抗癌剤、標的部分(抗体、抗体断片、アプタマー、ペプチド、オリゴ糖など)の付着のためのアンカーの機能を果たす単一の線状高分子骨格を有する。
以下でより詳細に議論されるように、生物活性剤は、切断可能なリンカーを介して、結合体の高分子骨格から垂下していてもよい。しかしながら、垂下している生物活性剤はそれ自体は高分子基ではなく、従って「高分子分枝」ではない。結合体の各成分は、以下に詳細に議論される。
結合体の水溶性成分は、比較的低い分子量を有する高分子セグメントである。1つの態様では、水溶性高分子セグメントは、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、または40kDaの分子量を有する。水溶性高分子セグメントは、水と相互作用をして、結果として得られる結合体を水に可溶性にする1つまたは複数の親水基を有する。このような基の例には、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、SOH基、双性イオン基などの、プロトンを容易に受取または供与する任意の有機基が含まれる。
1つの態様では、水溶性高分子セグメントは、1つまたは複数の不飽和水溶性モノマーの重合生成物を含む。式I
Figure 2013522205
(式中、Rは、水素またはメチルであり、
Xは、OまたはNRであり、ここで、Rは水素またはアルキル基であり、
Lは、アルキル基、アリール基、またはシクロアルキル基であり、そして
Yは、親水基である)
を有する水溶性モノマーを使用して、水溶性高分子セグメントを生成することができる。
1つの態様では、Rはメチルであり、XはNHであり、そしてLは、例えば、メチレン基、エチレン基、またはイソプロピレン基などのC〜Cアルキル基である。別の態様では、水溶性モノマーは、N−置換メタクリルアミド、N,N−二置換アクリルアミド、メタクリル酸もしくはアクリル酸の親水性エステル、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、スルホエチルメタクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、またはこれらの任意の組み合わせを含む。別の態様では、水溶性モノマーは、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、N−[3−(N’−ジカルボキシメチル)アミノプロピル]メタクリルアミド(DAMA)、N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシン−アミノマロン酸(MA−GFLG−diCOOH)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
水溶性高分子セグメントは、当該技術分野において既知の技術を用いて作ることができる。実施例では、本明細書に記載される結合体において有用な水溶性高分子セグメントを作るための例示的な合成プロトコールも提供される。
1つの態様では、結合体中に存在する第1の切断可能なリンカーは、1つまたは複数のアミノ酸残基から構成される。第1の切断可能なリンカーは、リンカーがポリマー骨格中に存在する場合には、本明細書では主鎖切断可能なリンカーとも呼ばれる。例えば、第1の切断可能なリンカーは、2〜13個のアミノ酸残基を有するペプチドであり得る。アミノ酸またはアミノ酸の配列を変化させることによって、特定の条件下で切断されるように第1の切断可能なリンカーを設計することが可能である。第1の切断可能なリンカーは血流中でかなり安定であるが、酵素と接触すると分解することが望ましい。
第1の切断可能なリンカーは、酵素によって切断可能である。1つの態様では、リンカーは、リソソーム酵素によって切断される。リソソーム酵素には、ペプチド結合を加水分解する能力を有するいくつかのプロテイナーゼ(例えば、カテプシンB、L、DまたはK)が含まれる。切断可能なリンカーのリソソーム加水分解の速度は、リンカー中に存在するアミノ酸残基の数および性質の両方に依存する。これは、立体的因子および構造的因子の両方の反映である。1つの態様では、第1の切断可能なリンカーは、アミノ酸配列−Gly−Pro−Nle−(配列番号1)、−Cit−Phe−(配列番号2)、−Lys−Lys−(配列番号3)、−Phe−Lys−(配列番号4)、−Arg−Arg−(配列番号5)、Val−Cit(配列番号6)、Gly−Phe−Gly(配列番号7)、Gly−Phe−Phe(配列番号8)、Gly−Leu−Gly(配列番号9)、Gly−Val−Ala(配列番号10)、Gly−Phe−Ala、Gly−Leu−Phe(配列番号11)、Gly−Leu−Ala、Ala−Val−Ala(配列番号12)、Gly−Phe−Leu−Gly(配列番号13)、Gly−Phe−Phe−Leu(配列番号14)、Gly−Leu−Leu−Gly(配列番号15)、Gly−Phe−Tyr−Ala(配列番号16)、Gly−Phe−Gly−Phe(配列番号17)、Ala−Gly−Val−Phe(配列番号18)、Gly−Phe−Phe−Gly(配列番号19)、Gly−Phe−Leu−Gly−Phe(配列番号20)、Gly−Gly−Phe−Leu−Gly−Phe(配列番号21)、およびGln−Ser−Phe−Arg−Phe−Lys(配列番号22)を有するペプチドである。
別の態様では、第1の切断可能なリンカーは、式III
−(AA)−K−(AA)− (III)
を有し、式中、
AAおよびAAは、6個までのアミノ酸を含む同一または異なるアミノ酸配列であり、そして
Kは、リジン、オルニチン、またはジアミン(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)である。AAおよびAAは、上記の任意のアミノ酸配列であり得る。
他の態様では、第1の切断可能なリンカーは、加水分解的に切断することができる基である。例えば、リンカーは、pHの変化(例えば、カルボキシアルキルマレイン酸リンカーまたはアスコルビン酸リンカー)、またはこれらの組み合わせによって切断され得る。
第1の切断可能なリンカーは、当該技術分野において既知の技術を用いて作ることができる。実施例では、切断可能なリンカーを作るための例示的な合成プロトコールが提供される。切断可能なリンカーを水溶性高分子セグメントに連結させるための方法は、以下で詳細に議論される。
様々な生物活性剤を本明細書において使用することができる。生物活性剤は、結合体中の少なくとも1つの水溶性高分子セグメント、少なくとも1つの切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに供給結合され得る。生物活性剤を結合体に共有結合させるための方法は以下に詳細に記載されており、例示的な手順は実施例において記載される。1つの態様では、2つ以上の異なる生物活性剤が結合体に共有結合されている。1つの態様では、生物活性剤は、抗癌剤、抗菌剤、抗寄生虫薬、抗炎症剤、心臓血管薬、または神経系に作用する薬物である。別の態様では、生物活性剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、白金酸塩(シスプラチン、カルボプラチン、DACH−Pt)、ドキソルビシン、ゲルダナマイシン、または9−アミノカンプトテシンを含む。
1つの態様では、生物活性剤が水溶性高分子セグメントに共有結合される場合、水溶性高分子セグメントは、上記のような1つまたは複数の不飽和水溶性モノマーと、式II
Figure 2013522205
を含むモノマーとの重合生成物を含み、式中、
は、水素またはメチルであり、
Xは、OまたはNRであり、ここで、Rは水素またはアルキル基であり、
は、第2の(すなわち、側鎖)切断可能なリンカーであり、そして
Zは、生物活性剤である。
この態様では、生物活性剤は、第2のリンカーLを介して不飽和モノマーに連結される。第2の切断可能なリンカーは、本明細書では側鎖リンカーとも呼ばれ、リンカーは高分子骨格の一部ではないが、骨格から垂下する。第2の切断可能なリンカーは、結合体のポリマー骨格中の第1の切断可能なリンカーのペプチドと同じペプチドでも異なるペプチドでもよい。式IIを有する化合物を作るための例示的な方法は実施例において提供される。
特定の態様では、結合体には、細胞に対する結合体の特異性を改善するために1つまたは複数の標的基が共有結合されている。例えば、標的基は、水溶性高分子セグメント、第1の切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに共有結合され得る。標的基は、スペーサーを用いずにアミド結合またはエステル結合のいずれかによってポリマー骨格に直接連結されてもよいし、あるいはアミノ酸またはペプチドスペーサーを介して連結されてもよい。標的基は、標的細胞上の特異的受容体によって到達可能でなければならず、これは、高分子薬物分子の幾何学と大きく相関する。
1つの態様では、標的基は、メタクリルアミド、メタアクリル酸またはN−メタクリロイル化アミノ酸もしくはペプチドに結合される。例えば、上記の式IIを参照して、Zは生物活性剤の代わりに標的基であることも可能であり、これは、式IIを有し、生物活性剤を含有する他のモノマーと重合させることができる。
標的基として、細胞表面の抗原または受容体に相補的な構造を使用することができる。1つの態様では、標的基は、抗体、抗体断片、糖類、またはエピトープ結合ペプチド、またはアプタマーである。例えば、標的基は、アミド結合によって結合された単糖、二糖、オリゴ糖もしくはメタクリロイル化糖類単位、IgG(ラット免疫グロブリン)などの抗体もしくは抗体断片、またはトランスフェリンもしくはメラノサイト刺激ホルモン(MSH)などのタンパク質、またはペプチドであり得る。別の態様では、標的基は、ガラクトサミン、フコシルアミン、ラクトース、葉酸誘導体、ホルモン(例えば、MSH、セクレチン)、オピエート、モノクローナルおよびポリクローナル抗体である。1つの態様では、標的基は、CD47(卵巣癌細胞の大部分において発現される)に特異的なOV−TL16抗体からのFab’、または前立腺特異的膜抗原(PMSA)に対する抗体である。
本明細書に記載される結合体は、医薬組成物を生成するために、生物系または生物体が耐容性であり得る任意の賦形剤中に配合することができる。このような賦形剤の例としては、水、ヒアルロン酸水溶液、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、ハンクス液、および他の生理学的にバランスのとれた塩水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。固定油、植物油(オリーブ油およびゴマ油など)、トリグリセリド、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および注射可能な有機エステル(オレイン酸エチルなど)などの非水系媒体も使用することができる。その他の有用な製剤には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランなどの粘度増強剤を含有する懸濁液が含まれる。賦形剤は、等張性および化学安定性を高める物質などの少量の添加剤も含有し得る。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液およびトリス緩衝液が挙げられ、防腐剤の例としては、チメロソール(thimerosol)、クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが挙げられる。特定の態様では、pHは投与モードに応じて変更され得る。例えば、組成物のpHは約6.5〜約7.5であり、これは、局所適用に適している。さらに、医薬組成物は、本明細書に記載される化合物の他に、キャリア、増粘剤、希釈剤、防腐剤、表面活性剤などを含むことができる。
医薬組成物は、本明細書に記載される結合体と組み合わせて使用される1つまたは複数の活性成分も含むことができる。得られる医薬組成物は、適用部位に隣接した組織または適用部位から離れた組織への、薬物および他の生物活性剤の持続した連続送達のためのシステムを提供することができる。生物活性剤は、それが適用される生物系において局所性または全身性の生物学的、生理学的または治療的な効果を提供することができる。例えば、生物活性剤は、その他の機能として、感染または炎症を調節およびまたは防止し、細胞増殖および組織再生を増強し、腫瘍増殖を調節し、鎮痛剤としての機能を果たし、抗細胞接着を促進し、歯槽骨および歯の脱落を低減し、軟骨および体重を支持する関節の変性を阻害し、そして骨成長を高めるように作用することができる。さらに、本明細書に記載される結合体はどれも、2つ以上の薬学的に許容可能な化合物の組み合わせを含有することができる。このような化合物の例としては、抗菌剤、他の抗炎症剤、他の抗癌剤または抗転移剤、鎮痛剤、麻酔剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物は、当該技術分野において既知の技術を用いて調製することができる。1つの態様では、組成物は、本明細書に記載される結合体と、薬学的に許容可能な化合物および/またはキャリアとを混合することによって調製される。「混合」という用語は、化学反応または物理的相互作用が起こらないように2つの成分を一緒に混ぜ合わせることであると定義される。「混合」という用語は、化合物と、薬学的に許容可能な化合物との間の化学反応または物理的相互作用も含む。
特定の場合の結合体の実際の好ましい量は、使用されている特定の化合物、配合される特定の組成物、適用モード、ならびに処置される特定の位置および対象に従って変わり得ることが認識されるであろう。所与の宿主に対する投与量は、従来の考察を用いて、例えば、主題の化合物と既知の薬剤との異なる活性の習慣的な比較によって、例えば、適切な従来の薬理学的プロトコールによって決定することができる。医薬化合物の用量を決定する技術に精通した医師および配合者は、標準的な推奨((Physicians Desk Reference, Barnhart Publishing (1999))に従って用量を決定することに全く問題ないであろう。
結合体の調製方法も本明細書において記載されている。図1は、結合体を生成するための一般的な反応スキームを提供する。図1を参照すると、反応1および2は、クリック反応を用いてビス−アジド化合物をビス−アルキン化合物にカップリングさせ、結合体を生成することを含む。式1において、ビス−アジド化合物は水溶性ポリマー(ポリHPMA)であり、生物活性剤(すなわち、薬物)がポリマーに共有結合されている。式1においてビス−アジドは、酵素切断可能なペプチド(すなわち、第1の(主鎖)切断可能なリンカー)から構成されるビス−アルキンとカップリングされて、結合体を生成する。式2には別のアプローチが示されており、ビス−アジド化合物は、ポリマーに共有結合された生物活性剤を有する酵素切断可能なペプチドである。式2において、Rは、アルキン基でキャップされたリンカーである。
式3における別のアプローチは、マルチセグメントコポリマー結合体を調製するための、生物活性剤(すなわち、薬物)および酵素切断可能なペプチドの結合体を含有するヘテロテレケリック型HPMAコポリマーのクリックカップリングである。ヘテロテレケリック型HPMAコポリマー結合体は、アジドまたはアルキン変性ペプチド含有連鎖移動剤を用いるRAFT共重合によって合成することができる。
式4は、ビス−アルキン化合物が水溶性ポリマー(ポリHPMA)であり、生物活性剤(すなわち、薬物)がポリマーに結合されているアプローチを示す。
図1の式5および6には、結合体を生成するためのチオール−エン(例えば、マレイミド−チオール)反応の一例が記載される。チオール末端ポリマーは、RAFT重合によって容易に調製することができる。高効率チオール−エン反応は金属触媒を必要とせず、水および酸素と適合性であり、溶媒の非存在下、光化学開始において実施することができる。
図1の式7は、HPMAコポリマー鎖の延長のためのヘテロディールス−アルダー反応の一例を提供する。この反応は高効率であり、触媒を必要としない。
図1の式8は、加水分解的に切断可能な結合を結合体のポリマー骨格に導入するための合成戦略を提供する。1,3−ジオキセパンは重合および開環を受けて、エステル結合を有するポリマーを生成する。エステル結合は、エステル基を加水分解して結合体を切断するために、pHの調整によって切断することができる。
図1の式9は、ジピリジルジスルフィド、DMSOなどの酸化剤を用いることによって、HPMAコポリマー結合体の延長の一例を提供する。
実施例は、本明細書に記載される結合体を製造するための多数の合成戦略および手順を提供する。
本明細書に記載される結合体は水溶性および生分解性である。結合体は循環中安定であり、長い滞留時間を有し、そしてより良い標的特性を有する。さらに、リンカーの切断(例えば、酵素的、加水分解的など)後に体内から除去することができる。本明細書に記載されるような結合体の合成は用途が広く、それぞれに適した特性(循環時間および分解の速度/部位など)を有する多様なポリマー構造の調製を可能にする。さらに、結合体は、(1)不安定な薬物の劣化からの保護、(2)結合された薬物の非特異的な毒性の低下、(3)標的指向化による標的部位における薬物の能動的な蓄積の増大および/またはEPR効果による腫瘍部位における薬物の受動的な蓄積の増大、ならびに(4)同一の標的部位に対して異なる(相補的な)特性を有する2つ以上の薬物を送達し、協同的および/または相乗的な効果により薬物効率を高める能力のような、付加的な利点を有する。これらは、生物活性剤を被験者へ送達する際に、本明細書に記載される結合体が効果的である理由のほんの一部である。
開示される組成物および方法の所与の特定の態様はどれも、実施例において議論される非多糖類ベースの試薬を含む、本明細書に開示される特定の実施例および実施形態と容易に比較され得ることが理解される。このような比較を行うことによって、それぞれの特定の実施形態の相対的な効力を容易に決定することができる。特に好ましい組成物および方法は、本明細書中、実施例において開示されており、これらの組成物および方法は、必ずしも限定することはないが、本明細書に開示される組成物および方法のいずれかを用いて実施され得ることが理解される。
実施例
以下の実施例は、本明細書において記載および請求される化合物、組成物、および方法がどのように製造および評価されるかについての完全な開示および説明を当業者に提供するように提示されており、単に例示であることが意図され、本発明者らが本発明であると考えるものの範囲を限定することは意図されない。数(例えば、量、温度など)に関する正確さを保証するための努力が成されているが、いくらかの誤差および偏差は説明されるべきである。他に示されない限り、部は重量部であり、温度は℃で示されるか周囲温度であり、圧力は大気圧またはその付近である。記載されるプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用され得る反応条件、例えば、成分濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力および他の反応範囲および条件には、多数のバリエーションおよび組み合わせがある。このようなプロセス条件を最適化するために、合理的で日常的な実験が必要とされるのみであろう。
略語。CTA、連鎖移動剤;CTP、4−シアノ−4−チオベンゾイルスルファニル−ペンタン酸;Da、ダルトン;DCC、ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCM、ジクロロメタン;DCU、ジシクロヘキシル尿素;Dde、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキサシクロヘキシリデン)エチル;DIAD、アゾジカルボン酸ジイソプロピル;DIPEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMAP、4−ジメチルアミノピリジン;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;DOX、ドキソルビシン;DTX、ドセタキセル;EDCI、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;EPR、血管透過性・滞留性亢進;EtOAc、酢酸エチル;Fmoc、フルオレニルメチルオキシカルボニル;HBTU、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスファート;HOBt、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPMA、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド;MA、メタクリロイル;MAL、マレイミド;MALDI−TOF、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間;MA−NH、3−アミノプロピルメタクリルアミド;Mn、数平均分子量;MS、質量分析;Mw、重量平均分子量;MWD、分子量分布;NMP、1−メチル−2−ピロリジノン;PDI、多分散性=Mw/Mn;PEG、ポリ(エチレングリコール);PHPMA、ポリHPMA;PSMA、前立腺特異的膜抗原;RAFT、可逆的付加開裂連鎖移動;RP−HPLC、逆相高速液体クロマトグラフィ;SEC、サイズ排除クロマトグラフィ;SPPS、固相ペプチド合成;TCEP.HCl、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩;TFA、トリフルオロ酢酸;TLC、薄層クロマトグラフィ;TT、チアゾリジン−2−チオン;TTC、トリチオカルボネート。
官能基の導入のための重合性薬物誘導体およびコモノマーの合成実施例
実施例1. MA−GFLG−ゲムシタビンの合成
N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシル−チアゾリジン−2−チオン(MA−GFLG−TT)の合成
Figure 2013522205
MA−GFLG−TTの合成は、わずかな変更を加えて、公開された手順[V. Subr et al., Reactive & Functional Polymers 66 1525-1538 (2006)]に従った。窒素雰囲気下、N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシン(MA−GFLG−OH、320mg、0.7mmol)、2−メルカプトチアゾリン(83.5mg、0.7mmol)およびDMAP(85.5mg、0.7mmol)をジクロロメタン(DCM)(20mL)中に溶解させた。溶液を−10℃で5分間攪拌し、EDCI(134.2mg、0.7mmol)を添加し、溶液を−10℃で3時間、そして室温でさらに12時間攪拌した。反応の後、50mLのDCMを添加し、溶液をNaHCO水(0.1M)、HCl(0.1M)、そして次にNaCl水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)させ、溶媒を回転蒸発により除去し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、200〜400メッシュ、EtOAc:CHOH、15:1)により粗生成物を精製し、次にDCMから再結晶して、黄色の粉末を51.9%の収率で得た。構造は、HNMRおよび13CNMR分光法によって確認した。HNMR(300MHz、CDCl、δ(ppm)):0.86(m,6H,CH(CH)、1.51(m,2H,CHCHCH(CH)、1.66(m,1H,CH(CH)、1.91(s,3H,CCH)、3.03(m,2H,Ph−CH)、3.33(t,2H,SCH)、4.00(s,2H,NHCHCO)、4.54(t,2H,NCHCHS)、4.63(m,1H,NHCHCO)、4.73(m,1H,NHCHCO)、4.81(s,2H,NHCHCO)、5.39(s,1H,C=CH)、5.77(s,1H,C=CH)、6.99(s,1H,NH)、7.18(m,6H,NH、Ph−H)、7.56−7.80(m,2H,NH)。13CNMR(75MHz、CDCl、δ(ppm)):201.78、172.6、170.92、170.57、169.33、168.99、139.02、136.46、129.77、128.80、127.21、121.31、56.11、54.89、51.83、46.85、43.61、41.81、39.37、29.37、24.88、22.86、18.21。
N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシル−ゲムシタビン(MA−GFLG−ゲムシタビン)の合成
Figure 2013522205
MA−GFLG−TT(90mg、0.16mmol)およびゲムシタビン塩酸塩(44.95mg、0.15mmol)を窒素雰囲気下でピリジン(5mL)中に溶解させた。溶液を50℃で12時間攪拌してから、溶媒を回転蒸発により除去した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、200〜400メッシュ、DCM:CHOH、6:1)により粗生成物を精製して、白色固体を66.1%の収率で得た。構造は、HNMR分光法およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間(MALDI−TOF)質量分析によって確認した。MALDI−TOF MS:m/z706.22(m+H)、728.21(M+Na)、744.19(M+K)
同一のアプローチを用いて、MA−GFTA−ゲムシタビン、MA−GFA−ゲムシタビン、MA−GLA−ゲムシタビン、MA−GIA−ゲムシタビン、MA−Acap−V−Cit−ゲムシタビン(AcapはNε−アミノカプロン酸であり、Citはシトルリン(citruline)である)などの、酵素分解可能なオリゴペプチド配列を含有する重合性ゲムシタビン誘導体を合成することができる。
実施例2. N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシル−アミノマロン酸(MA−GFLG−マロン酸)の合成
Figure 2013522205
窒素雰囲気下、MA−GFLG−OH(400mg、0.87mmol)、アミノマロン酸ジエチル塩酸塩(184mg、0.87mmol)およびHOBt(121.6mg、0.9mmol)を無水DMF(10mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、DIPEA(310mg、2.4mmol)を添加してから、HBTU(341.3mg、0.9mmol)を添加した。溶液を氷浴中で30分間、そして室温で一晩攪拌した。反応の後、酢酸エチル(EtOAc)(50mL)を添加し、有機溶液をNaHCO水(飽和)およびHCl(1M)、次にNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO)させ、回転蒸発により体積を15mLまで減少させた。EtOAcおよびエーテルからの再結晶によって85%の収率で生成物(MA−GFLG−diCOOEt)を得て、MALDI−TOF質量分析により構造を特徴付けた。MALDI−TOF MS:m/z640.10[(M+Na)、C3043Na]。MA−GFLG−diCOOEt(300mg、0.49mmol)をCHOH(10mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌してから、CHOH(5mL)中のNaOH(1M、0.49mmol)を液滴で添加した。溶液を氷浴中でさらに2時間、そして室温でさらに1時間攪拌した。反応の後、MeOHを除去し、溶液をHCl(1M)によりpH=2〜3まで酸性化し、分離し、EtOAc(25×3)により水を抽出した。有機溶液を乾燥(MgSO)させ、溶媒を回転蒸発により除去した。EtOAcからの再結晶により最終生成物(MA−GFLG−diCOOH)を76%の収率で得た。
実施例3. 2’−O−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシル−ドセタキセル(MA−GFLG−ドセタキセル)の合成
Figure 2013522205
MA−Gly−Phe−Leu−Gly−OH(84mg、0.18mmol)、ドセタキセル(147mg、0.18mmol)およびDMAP(21mg、0.17mmol)を0.75mLのDMF中に溶解させ、0℃まで冷却し、0.15mLのDMF中のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、45mg、0.22mmol)溶液を液滴で添加した。反応混合物を0℃で2時間、そして室温でさらに24時間攪拌した。ジシクロヘキシル尿素(DCU)をろ過により除去した後、DMFを真空中で除去し、残渣を酢酸エチルで希釈した。少量のDCUを再度ろ過により除去し、ろ液をKHSO水、NaHCO水、NaCl水で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。乾燥した溶液をほぼ蒸発乾固させ、残渣をエーテルにより粉状にし、120mgの白色粉末を得た。
15分間で75%から85%までのBの勾配の後、20分間で85%から88%までの勾配を用いて、分取用RP−HPLCカラム(VYDACTMC18、22×250、10μm、流速5ml/分)における精製によって、純粋なモノマーを得た。緩衝液Aは水中0.1%のTFAであり、緩衝液Bは90%のMeOH中0.1%のTFAであった。生成物は32分間で溶出された。モノマーの純度は、MALDI−TOF質量分析によって評価し(計算値M:1249.4、実測値:1272.64 M+Na)、2’−O−エステルの形成は、HNMR分光法によって検証した。
実施例4. 2’−O−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシル−パクリタキセル(MA−GFLG−PTX)の合成(スキーム1)
窒素雰囲気下、MA−GFLG−OH(129mg、0.28mmol)、パクリタキセル(200mg、0.23mmol)およびDMAP(50mg、0.41mmol)を無水DMF(1.0mL)中に溶解させた。溶液を0℃で15分間攪拌し、DMF(1.0mL)中のDCC(200mg、0.97mmol)を液滴で添加し、溶液を4℃で24時間攪拌した。反応溶媒を減圧下で回転蒸発により除去した。EtOAc(50mL)を添加し、DCUをろ過により除去し、溶液をKHSO水(0.1M)、NaHCO(1M)、そして次にNaCl水で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶液を回転蒸発により除去した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、200〜400メッシュ、EtOAc:CHOH、15:1)により粗生成物を精製して、白色固体を68%の収率で得た(206mg、1.5mmol)。構造は、HNMR分光法およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間(MALDI−TOF)質量分析によって確認した。MALDI−TOF MS:m/z1318.68([M+Na])。
同一のアプローチを用いて、MA−GLLG−PTX、MA−AGVF−PTX、MA−Acap−Cit−F−PTX(AcapはNε−アミノカプロン酸であり、Citはシトルリンである)、MA−GFA−PTX、MA−GFGF−PTXなどの、異なるオリゴペプチドスペーサーを含有するパクリタキセル(および他の抗癌剤、ドセタキセル、ゲムシタビン、エピルビシンなど)の重合性誘導体が合成されるであろう。これらの(コ)モノマーは、標的のマルチブロック生分解性HPMAコポリマー−抗癌剤結合体の合成において使用されるであろう。
開始系のコモノマーの合成実施例
実施例5. 鎖末端修飾のための4,4’−アゾビス(N,N’−プロパルギル−4−シアノペンタンアミド)(ジアルキン−V−501)の合成(スキーム2)
窒素雰囲気下、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(CTP、500mg、1.78mmol)、プロパルギルアミン(201.04mg、3.65mmol)およびHOBt(499.9mg、3.7mmol)を無水DMF(15mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、DIPEA(646mg、5.0mmol)を添加してから、HBTU(1.4g、3.7mmol)を添加した。溶液を氷浴中で30分間、そして室温で一晩攪拌した。反応の後、EtOAc(100mL)を添加し、有機溶液をNaHCO水(飽和)およびHCl(1M)、次にNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO)させ、回転蒸発により15mLまで濃縮した。EtOAcおよびエーテルによる再結晶によって75%の収率で最終生成物を得た。HNMR(300MHz、CDCl、δ(ppm)):1.44(s,3H,CH)、1.72(s,3H,CH)、2.21(m,2H,CH)、2.23−2.44(m,8H,CNCCHCHCO)、4.04(m,4,NHCHC)、6.14(s,1H,NH)、6.19(s,1H,NH)。13CNMR(75MHz、CDCl、δ(ppm)):207.33、207.28、155.81、155.66、118.46、110.61、109.47、109.40、70.41、67.31、67.20、65.45、60.76、60.45。
実施例6. 鎖末端修飾のための4,4’−アゾビス(アジドプロピル4−シアノペンタノエート)(ジアジド−V−501)の合成(スキーム3)
4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(V−501、1g、3.6mmol)、3−アジドプロパノール(1.08g、10.7mmol)およびDMAP(0.35g、2.9mmol)をDCM/THF(10/10mL)中に溶解させ、4℃まで冷却した。10mLのDCM中のDCC(1.62g、7.9mmol)を液滴で添加した。添加の後、反応混合物を4℃で一晩、次に室温で1時間攪拌した。反応の完了後、2滴の酢酸を反応混合物に添加し、攪拌を30分間続けた。DCUをろ過により除去し、溶媒を回転蒸発により除去した。シリカゲルクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、200〜400メッシュ、酢酸エチル/ヘキサン1/1)によって残渣を精製した。収量1.5g。構造は、H−NMRおよび13C−NMR分光法によって確認した。H−NMR(CDCl、δ、ppm):4.17(m,4H,−COOCH)、3.37(m,4H,NCH)、2.60−2.30(m,8H,CO−CHCH−C)、1.89(m,4H,C−CH−C)、1.68(d,6H,CH)。13C−NMR(CDCl、δ、ppm):171.16、117.42、71.76、62.01、48.07、33.05、29.01、27.97、23.86。
実施例7. α,ω−ジアルキン連鎖移動剤2−シアノ−5−オキソ−5−(プロパ−2−イニルアミノ)ペンタン−2−イル2−ヘキサ−5−インアミドエチルトリチオカルボネート(CTA1、アルキン−TTC)の合成(スキーム4)
窒素雰囲気下、5−ヘキシン酸(1.0g、8.9mmol)、HBTU(3.41g、9.0mmol)およびHOBt(1.22g、9.0mmol)を無水DMF(20mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、DIPEA(1.94g、15mmol)を添加した。溶液を氷浴中で5分間攪拌してから、システアミン(694.35mg、9.0mmol)を添加し、溶液を室温で一晩5時間攪拌した。次に、EtOAc(50mL)を添加し、有機溶液をNaHCO水(飽和)およびHCl(1M)、次にNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO)させ、回転蒸発により15mLまで除去した。EtOAcからの再結晶によって78.5%の収率で化合物1を得た。HNMR(300MHz、CDCl、δ(ppm)):1.84(m,2H,CCHCHCHCO)、1.95(s,2,CH)、2.22(m,2H,CCHCHCHCO)、2.34(m,2H,CCHCHCHCO)、2.82(m,2H,SHCHCH)、3.55(m,2H,SHCHCH)、6.46(s,1H,NH)。13CNMR(75MHz、CDCl、δ(ppm)):172.84、83.48、69.17、38.40、37.72、34.88、24.13、17.87。
化合物1(513.8mg、3.0mmol)を水/アセトン(3/1、15mL)中に溶解させ、氷浴中で保持し、5分間攪拌した。KOH溶液(50%、202mg、3.6mmol)を10分間にわたって攪拌溶液に液滴で添加してから、二硫化炭素(228.4mg、3.0mmol)を1回で添加し、系を室温で30分間攪拌し、氷/アセトン浴により−5℃まで冷却した。塩化p−トルエンスルホニル(305mg、1.6mmol)を10分間にわたって数回に分けて添加し、攪拌を24℃でさらに1時間続けた。次に、混合物を45℃で10分間攪拌してから、DCM(100mL)中に溶解させた。NaCl水で2回(2×50mL)洗浄した後、有機層を分離し、MgSO上で乾燥させた。乾燥剤をろ過により除去し、蒸発により溶媒を除去した。DCMおよびエーテルからの再結晶により63.1%の収率で化合物2を得た。HNMR(300MHz、CDCl、δ(ppm)):1.62(t,2H,CCHCHCHCO)、2.12(m,4、CCHCHCHCO)、2.76(s,1H,CH)、3.35(m,2H,SCHCH)、3.44(m,2H,SCHCH)、8.12(s,1H,NH)。13CNMR(75MHz、CDCl、δ(ppm)):221.25、171.78、84.01、77.51、38.88、37.85、36.11、34.04、24.15、17.36。
窒素雰囲気下、化合物2(200mg、0.435mmol)およびジ−アルキンV501(実施例4、231.28mg、0.653mmol)に蒸留酢酸エチル(15mL)を添加した。溶液を20時間還流させた。次に、酢酸エチルを減圧下で除去した。溶離液として酢酸エチル:ヘキサン(50:50)を用いるカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、60−200メッシュ)によって粗生成物を単離した。標的化合物を黄色の油として得た。収率:51%。HNMR(300MHz、CDCl、δ(ppm)):1.78(m,2H,CCHCHCHCO)、1.82(s,3H,CH)、1.96(s,1H,CH)、2.12(s,1H,CH)、2.19(m,4,CCHCHCHCO)、2.29(m,2H,CNCCHCH)、2.44(m,2H,CNCCHCH)、3.48(m,4H,SCHCH)、6.63(s,1H,NH)、7.18(s,1H,NH)。13CNMR(75MHz、CDCl、δ(ppm)):217.27、173.32、170.69、119.35、83.72、79.67、71.81、69.66、47.16、37.82、36.34、35.15、34.31、31.40、29.43、25.04、24.40、18.13。質量スペクトル(ESI)計算値:410.1 m/z(M+H)、実測値:410.2 m/z(M+H)。質量スペクトル(MALDI)計算値:410.10 m/z(M+H)、実測値:410.05 m/z(M+H)。
実施例8. アルキン官能化酵素感受性CTA、Nα−(5−ペンタノイル)−Nε−(4−シアノ−4−(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタノイル−グリシルフェニルアラニルロイシルグリシル)−リジン(CTP−GFLG−アルキン、CTA2)の合成(スキーム5)
CTP−GFLG−アルキンは、固相ペプチド合成(SPPS)方法論を用いて合成した。Dde−Lys(Fmoc)−OH(351mg、0.64mmol)を、282μLのDIPEAを含む5mLのDCM中に溶解させてから、1gの塩化2−クロロトリチル樹脂(1.29mmol/g)を含有するバイアルに添加した。バイアルを緩やかに1.5時間振とうさせ続けた。樹脂をポリプロピレン管に移し、DCM:MeOH:DIPEA(17:2:1)の混合物で洗った(20mL×4)。次に、樹脂をDCMおよびDMFによりそれぞれ3回洗浄した。DMF中20%のピペリジン10mLによりFmoc基を除去した(5分×3)。HBTU(2.4×、586mg)およびDIPEA(5×、3.2mmol、570μL)の存在下でヘキシン酸(2.5×、1.6mmol)をカップリングさせ、アルキン基を導入した。DMF中3%のヒドラジン10mL(5分×3)によりDde基を除去した後、HBTU/DIPEA手順を用いて、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHと順次カップリングさせることによって、テトラペプチドGFLGによる延長を達成した。ニンヒドリン試験(Kaiser試験としても知られている)を用いて、各カップリングおよび脱保護ステップの完了を確認した。ペプチドのN末端を、DIC/HOBtの存在下、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート(1.6mmol、0.45g)でキャップした。ビーズをTFE/DCM混合物(3:7)で2時間処理した。樹脂をろ過により除去した。ろ液を減圧下で濃縮し、メタノール溶液をエーテル中に沈殿させることによって精製した。ピンク色の粉末が得られた。構造は、MALDI−ToF−質量スペクトルによって検証した([M+H]876.41)。純度は、RP−HPLCにより決定した。
同じ原理に従って、最初のアミノ酸としてFmoc−Orn(ivDde)−OHを用いて、異なる配列を有する酵素感受性CTA(CTA2aおよびCTA2b)を合成することができる。
実施例9. 3−アジドプロピル4−シアノ−4−チオベンゾイルスルファニル−ペンタノエート(CTP−N、CTA3)の合成
Figure 2013522205
4−シアノ−4−チオベンゾイルスルファニル−ペンタン酸(CTP、1.0g、3.6mmol)およびDMAP(439.8mg、3.6mmol)を無水DCM(50mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、EDCI(690.1mg、3.6mmol)を添加し、30分間攪拌した。3−アジドプロパノール(364mg、3.6mmol)を添加し、溶液を氷浴中で30分間、そして室温でさらに8時間攪拌した。反応の後、溶液をNaHCO水(飽和)、そして次にHOで洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)させ、溶媒を回転蒸発により除去し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、200〜400メッシュ、酢酸エチル:ヘキサン、1:4)により粗生成物を精製して、ローズレッドの油を84.6%の収率で得た。この化合物の構造は、HNMRおよび13CNMR分光法により確認した。HNMR(300MHz、CDCl、δ(ppm)):1.90−1.93(m,5H,−CHCH、−CH)、2.45−2.60(m,2H,C(CN)CH−)、2.68(m,2H,C(CN)CHCH−)、3.40(t,2H,−CH)、4.21(t,4H,−OCHCH−)、7.39(m,2H,PH−2H)、7.57(m,1H,PH−4H)、7.89(m,2H,PH−3H)。13CNMR(75MHz、CDCl、δ(ppm)):222.40、171.43、144.74、133.29、128.82、126.91、118.68、62.22、48.34、45.93、33.60、29.98、28.27、24.41。
実施例10. 酵素感受性CTA、Nα−(アジドフェニル)−Nε−(4−シアノ−4−(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタノイル−グリシルフェニルアラニルロイシルグリシル)−リジン(CTP−GFLGK−N、CTA4)の合成(スキーム6)
酵素感受性ペプチドを含有するテレケリック型連鎖移動剤は、塩化2−クロロトリチル樹脂においてSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。Fmoc−Lys(Dde)−OHを第1のアミノ酸としてビーズに負荷した(0.5g、0.19mmol負荷)。DMF中20%のペプリジン(pepridine)によりFmoc基を除去した後、アジド安息香酸をリジンのα−NHにカップリングさせた。次に、DMF中3%のヒドラジンによってε−Dde基を除去した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のペプリジン(pepridine)を用いることにより、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いて、連鎖移動剤4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートをグリシンのアミノ基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、ペプチドを単離した。収量85mgの生成物。H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.62(s,1H,−COOH)、8.45(t,1H,Ph−CONH)、8.28(q,1H,CONH)、8.10(m,2H,CONH)、8.02(m,1H,CONH)、7.97(d,1H,CONH)、7.88(m,4H,Ph−H)、7.68(t,1H,Ph−H)、7.50(t,2H,Ph−H)、7.21(m,7H,Ph−H)、4.51(m,1H,Phe−CH)、4.25(m,1H,Leu−CH)、4.17(m,1H,Lys−CH)、3.71−3.56(m,4H,Gly−CH)、3.21(m,2H,Lys−NH−CH)、3.03(m,1H,Phe−CHH)、2.76(m,1H,Phe−CHH)、2.50−2.35(m,4H,CTA−CHCH)、1.88(s,3H,CTA−CH)、1.73−1.30(m,9H,Lys−C−CHCHCH−C、Leu−CHCHMe)、0.88−0.81(dd,6H,Leu−Me)。
実施例11. 2アーム型CTA、Nα,Nδ−(ビス(4−シアノ−4−(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタノイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシル)リジン((CTP−GFLG)K、CTA5)の合成(スキーム7)
酵素感受性ペプチドを含有するテレケリック型連鎖移動剤は、塩化2−クロロトリチル樹脂におけるSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。第1のアミノ酸としてFmoc−Lys(Dde)−OHをビーズに負荷した(0.5g、0.19mmol負荷)。DMF中20%のピペリジンによりFmoc基を除去した後、アジド安息香酸をリジンのα−NHにカップリングさせた。次に、DMF中3%のヒドラジンによってε−Dde基を除去した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることにより、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いて、連鎖移動剤4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートをグリシンのアミノ基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、ペプチドを単離した。収量85mgの生成物。H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.62(s,1H,−COOH)、8.45(t,1H,Ph−CONH)、8.28(q,1H,CONH)、8.10(m,2H,CONH)、8.02(m,1H,CONH)、7.97(d,1H,CONH)、7.88(m,4H,Ph−H)、7.68(t,1H,Ph−H)、7.50(t,2H,Ph−H)、7.21(m,7H,Ph−H)、4.51(m,1H,Phe−CH)、4.25(m,1H,Leu−CH)、4.17(m,1H,Lys−CH)、3.71−3.56(m,4H,Gly−CH)、3.21(m,2H,Lys−NH−CH)、3.03(m,1H,Phe−CHH)、2.76(m,1H,Phe−CHH)、2.50−2.35(m,4H,CTA−CHCH)、1.88(s,3H,CTA−CH)、1.73−1.30(m,9H,Lys−C−CHCHCH−C、Leu−CHCHMe)、0.88−0.81(dd,6H,Leu−Me)。
実施例12. 鎖延長のためのジアルキン化合物の合成
ジアルキン修飾を有する酵素分解可能なペプチド、HC≡C−GFLG−C≡CH(a)およびHC≡C−QSFRFK−C≡CH(b)のSPPS合成(スキーム8)
Fmoc−Lys(ivDde)−OHを第1のアミノ酸残基として用いて、2つの遊離アミン基を導入した。保護基(Fmoc−およびivDde−)を選択的に除去し、一方を使用してペプチドのC末端にアルキン基を導入し、他方はペプチド配列を構成する働きをした。N末端におけるアルキンの取込みは、標準的なカップリングプロトコールを用いて5−ヘキシン酸によるペプチドのアシル化によって達成した(DMF中−COOH/DIPEA/HATU)。次に、樹脂を3×DMF、3×DCMおよび3×MeOHで順次洗浄し、真空下で乾燥させた。得られた樹脂結合ペプチドを樹脂から切断し、TFA:HO:TIS(95:2.5:2.5)カクテルを用いて側鎖を保護した。30分間で50%から100%までのBの勾配(ここで、緩衝液Aは水中0.1%のTFAであり、緩衝液Bは90:10(v/v)メタノール/水中0.1%のTFAである)を用いて、RP−HPLC(Agilent Technologies 1100、セミ分取用Zorbax 300SB-C18カラム、250×9.4mm、細孔サイズ300Å、粒径5μm、流速2.5mL/分)によって、粗製ペプチドを精製した。生成物の純度は、分析RP−HPLCによって検証した。構造は、MALDI−TOF質量分析(Voyager-DE STR Biospectrometry Workstation, Perseptive Biosystems)によって確かめた。
上記のプロトコールに従って、ジアルキン修飾を有する2つの酵素分解可能なペプチド、HC≡C−GFLG−C≡CH(a)およびHC≡C−QSFRFK−C≡CH(b)を合成した。これらのペプチドの構造は、MALDI−TOF質量スペクトルによって確認した:ジアルキン−GFLGについては、計算値708.38(M)、実測値709.41(m+H)、ジアルキン−QSFRFKについては、計算値998.53(M)、実測値999.55(M+H)
HC≡C−GFLG−C≡CHの液相有機合成
Fmoc−L−Lys(Boc)−OH(5.0g、10.3mmol)をCHOH(50mL)中に溶解させた。溶液を−15℃で5分間攪拌してから、SOCl(1.4g、12mmol)を液滴で添加した。溶液を0℃で30分間、そして60℃でさらに3時間攪拌した。後処理の後、200mLのエーテルを添加し、結晶化により96.7%の収率で化合物2を得た。
窒素雰囲気下、Fmoc−L−Lys−OMe.HCl(2.4g、5.7mmol)、5−ヘキシン酸(616.6mg、5.5mmol)およびHOBt(810.6mg、6mmol)をEtOAc(50mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌してから、DIPEA(1.9g、15mmol)、そしてその後にEDCI(1.15g、6mmol)を添加した。溶液を氷浴中で30分間、そして室温で16時間攪拌した。反応の後、EtOAc(200mL)を添加し、溶液をNaHCO水(飽和)、HCl(1M)、およびNaCl水で洗浄した。EtOAc溶液を乾燥(MgSO)させ、回転蒸発によって溶媒を部分的に除去した(50mLになるまで)。再結晶によって84%の収率で化合物3を得た(スキーム9)。
Gly−Phe−OH(5.0g、22.5mmol)をCHOH(50mL)中に溶解させた。溶液を−15℃で5分間攪拌してから、SOCl(3.0g、25mmol)を液滴で添加した。溶液を0℃で30分間、そして64℃でさらに3時間攪拌した。反応の後、200mLのエーテルを添加し、EtOAc中での再結晶によって94.1%の収率で化合物5を得た。
Gly−Phe−OMe.HCl(5.0g、18.3mmol)、5−ヘキシン酸(2.0g、18mmol)およびHOBt(2.7g、20mmol)を窒素雰囲気下で無水DMF(100mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌してから、DIPEA(6.5g、50mmol)、そしてその後にHBTU(7.6g、20mmol)を添加した。溶液を氷浴中で30分間、そして室温で一晩攪拌した。反応の後、EtOAc(300mL)を添加し、溶液をNaHCO水(飽和)、HCl(1M)およびNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO)させ、回転蒸発により体積を50mLまで減少させた。EtOAcおよびエーテルからの再結晶によって86.3%の収率で化合物6を得た。
化合物6(4.5g、13.6mmol)をCHOH(100mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、CHOH(25mL)中のNaOH(1M、15mmol)を30分間にわたって液滴で添加した。溶液を氷浴中で1.5時間、そして室温でさらに1時間攪拌した。反応の後、MeOHを除去し、EtOAc(200mL)を添加し、溶液をHCl(1M)によりpH=2〜3まで酸性化し、分離し、EtOAc(50×3)により水を抽出した。有機溶液を乾燥(MgSO)させ、回転蒸発により体積を50mLまで減少させた。EtOAcおよびエーテルからの再結晶により90.6%の収率で化合物7を得た。
化合物7(3.5g、11.1mmol)、Leu−Gly−OMe.HCl(2.74g、11.5mmol)およびHOBt(1.62g、12mmol)を無水DMF(100mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌してから、DIPEA(3.6g、28mmol)、そしてその後にHBTU(4.6g、12mmol)を添加した。溶液を氷浴中で30分間、そして室温で一晩攪拌した。反応の後、EtOAc(250mL)を添加し、有機溶液をNaHCO水(飽和)およびHCl(1M)、次にNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(NaSO)させ、回転蒸発により50mLまで減少させた。EtOAc中での再結晶により85%の収率で化合物8を得た。
NaOHによる加水分解によって化合物8から化合物9を得た。収率=87.9%。
窒素雰囲気下、化合物3(1.43g、3.0mmol)をDMF中20%のピペリジン中で攪拌し、溶媒を除去し、エーテルで処理して、油を得た。油、化合物9(1.46g、3.0mmol)およびHOBt(418.8mg、3.1mmol)を無水DMF(50mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、DIPEA(646mg、5mmol)を添加してから、HBTU(1.18g、3.1mmol)を添加した。溶液を氷浴中で30分間、そして室温で一晩攪拌した。反応の後、EtOAc(150mL)を添加し、有機溶液をNaHCO水(飽和)およびHCl(1M)、次にNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO)させ、回転蒸発により50mLまで除去した。再結晶により81%の収率で化合物10を得た。
NaOHによる加水分解によって化合物10から化合物11を得た。収率89%。構造は、MALDI−TOF質量分析によって特徴付けた。MALDI−TOF MS:m/z731.31[(M+Na)]。
実施例13. 鎖延長のためのジアジド化合物、Nα,Nε−(ビス(アジドベンゾイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシルアラニル)リジン(N−GFLG−N)の合成(スキーム10)
テレケリック型のアジド基官能化酵素感受性ペプチドは、塩化2−クロロトリチル樹脂におけるSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることにより、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた(0.4g、0.15mmol負荷)。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いてアジド安息香酸をグリシル残基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、ペプチドを単離した。収率128mg(65%)。H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.53(s,1H,−COOH)、8.76(t,2H,Ph−CONH)、8.17−7.82(m,14H,CONH、Ph−H)、7.19(m,14H,Ph−H)、4.53(m,2H,Phe−CH)、4.34−4.17(m,4H,Leu−CH,Ala−CH)、4.16(m,1H,Lys−CH)、3.90−3.62(m,8H,Gly−CH)、3.00(m,4H,Phe−CHH,Lys−NH−CH)、2.79(m,2H,Phe−CHH)、1.68−1.26(m,12H,Lys−C−CHCHCH−C,Leu−CHCHMe)、1.62(t,6H,Ala−CH)、0.87−0.81(dd,12H,Leu−Me)。
実施例14. Nα,Nε−ビス(4−マレイミドメチル−シクロヘキサンカルボニル−グリシルフェニルアラニルロイシルグリシル(glycylphenylalanlylleucylglycyl))リジン((MAL−GFLG)K)の合成(スキーム11)
テレケリック型のマレイミド基官能化酵素感受性ペプチドは、塩化2−クロロトリチル樹脂におけるSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いて、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた(0.1g、0.04mmol負荷)。脱保護の後、ヘテロ二官能性薬剤のSMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)をグリシル残基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、生成物を単離した。収率38mg(76%)。H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.62(s,1H,−COOH)、8.14−7.15(m,20H,CONH,Ph−H)、7.00(s,4H,−CH=CH−)、4.48(m,2H,Phe−CH)、4.25(m,2H,Leu−CH)、4.16(m,1H,Lys−CH)、3.74−3.50(m,8H,Gly−CH)、3.22(d,4H,CH−シクロヘキサン)、3.01(m,4H,Phe−CHH,Lys−NH−CH)、2.77(m,2H,Phe−CHH)、2.08(m,4H,シクロヘキサン中の4CH)、1.68−1.15(m,28H,Lys−C−CHCHCH−C、Leu−CHCHMe、シクロヘキサン中の8CH)、0.87−0.80(dd,12H,Leu−Me)。
アルキン−アジド反応を用いる、骨格分解可能なHPMAコポリマー−薬物結合体の合成実施例
実施例15. HPMA RAFT重合によるアルキン−テレケリック型ポリHPMA(HC≡C−ポリHPMA−C≡CH)の合成(スキーム12)
HPMAと、ジアルキン官能化CTA(CTA1)とのRAFT重合。HPMA(0.1g、0.7mmol)およびCTA1(2.88mg、0.007mmol)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、0.5mLの脱気蒸留水を添加し、その後、蒸留水中の開始剤V−501溶液(0.1mL中0.4mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、70℃で12時間重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。テレケリック型ポリHPMAを真空下で乾燥させた。収量95mg。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw14kDa、PDI1.02)。
実施例16. クリック反応による生分解性マルチブロックポリHPMAの合成(スキーム13)
生分解性マルチブロックポリHPMAをクリック反応により合成した。アルキン−テレケリック型ポリHPMA(50mg、Mw14kDa、Mw/Mn1.03)およびアジド末端ペプチドをDMF中のL−アスコルビン酸(0.5×、0.6mg)の200μLの脱気溶液中に溶解させた。窒素雰囲気下、DMF中のCuBr(1×、1mg)の溶液50μLを添加した。反応混合物を室温で48時間攪拌し続けた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、10mMのEDTA溶液に対して、そして次に水中での透析によって精製して銅塩を除去し、そして凍結乾燥させた。収量42mgのクリック生成物。S6分取用カラムによる分画の後、Mw352kDa、Mw/Mn1.2を有するポリマーを得た。
実施例17. ヘテロテレケリック型前駆体から調製されたマルチブロックポリHPMAの酵素触媒分解
ポリマー骨格中にGFLG配列を含有するマルチブロックポリHPMAの分解は、モデル酵素としてパパインを用いて、McIlvaine緩衝液(50mMのクエン酸/0.1Mのリン酸)中、pH6.0、37℃において実施した。0.05mg/mLの濃度(280nmでUVにより決定)のパパインを、5mMのグルタチオンで5分間還元した。酵素活性は、色素生産性基質としてBz−PheValArg−NApを用いて確認した。ポリマー(3〜10mg)を酵素溶液中に溶解させ(3mg/mL)、37℃で保持した。所定の時点で、移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィにより媒体を分析した。37℃のクエン酸−リン酸緩衝液(pH6.0)中0.14mg/mLのパパインによるマルチブロックコポリマー(選択画分、Mw=291kDa、Mw/Mn=1.11)のインキュベーションの結果、マルチブロックコポリマー骨格中のオリゴペプチド配列が完全に分解し、初期分子量(Mw=41.7kDa、Mw/Mn=1.04)を有するポリマーが形成された(図2)。
実施例18. ヘテロテレケリック型ポリHPMA(N−ポリHPMA−C≡CH)の合成(スキーム14)
HPMAのRAFT重合。HPMA(0.5g、3.5mmol)およびCTP−GFLGK−アルキン(CTA2、17mg、0.019mmol)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルでアンプル中の酸素を除去した後、2.5mLの脱気水を添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中1.78mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で20時間重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。ポリマー(ポリHPMA)を真空下で乾燥させ、ピンク色の粉末として単離した。収量0.42g。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw33.1kDa、PDI1.04)。
末端基修飾。アルキンおよびジチオベンゾエート鎖末端を含有するヘテロテレケリック型HPMAポリマー(Mw=33.1kDa、100mg)を500μLの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)中に溶解させた。ジチオベンゾエート基をアジド基に転換するために、ジアジド−V−501(20×、0.06mmol)を添加し、溶液をNで30分間バブリングし、密封し、70℃で3時間攪拌し続けた。アセトン中への沈殿によってポリマーを精製し、減圧下で乾燥させた。収量96mgのα−アジド−ω−アルキン−ポリHPMA(N−ポリHPMA−C≡CH)。末端基修飾の完了は、検出可能なジチオベンゾエート基(δ=7〜8.5ppm)を全く示さないH−NMR分光法と、2100cm−1における新しいピーク(アジド)を示すFTIRとによって確認した。
実施例19. クリック反応による生分解性マルチブロックポリHPMAの合成(スキーム15)
マイクロ波に支援されたクリック反応による鎖延長。ヘテロテレケリック型N−ポリHPMA−C≡CH(20mg)を100μLの脱気L−アスコルビン酸(0.25×、0.026mg)のDMF溶液中に溶解させた。窒素雰囲気下、100μLのCuBr(0.5×、0.044mg)のDMF溶液を添加した。反応混合物を36Wのマイクロ波反応器(Biotage)に30分間入れた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、10mMのEDTA溶液に対する透析によって精製して銅塩を除去し、そして乾燥させた。収量16mgのクリック生成物。ポリマーをSECにより分析した。結果は、残存モノマー(33.7kDa)に加えて、テトラマー(Mw121.1kDa)およびダイマー(Mw69.6kDa)に関する3重のピークを示した。個々の量体(mer)は、クロマトグラフィカラムにおいて分離され、狭い分子量分布の画分をもたらすであろう。
実施例20. ペンダントアミノ基(P−NH)を含有するテレケリック型HPMAコポリマーの合成(スキーム16)
HPMAと、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(APMA)とを共重合させることによって、側鎖アミノ基を含有するHPMAコポリマー(P−NH)を生成した。HPMA(88mg)、APMA(12mg、10モル%)、CTP−GFLGK−アルキン(CTA2、3.8mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、0.5mLの脱気HOを添加し、その後、メタノール中の開始剤V−501溶液(50μL中0.36mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、70℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−NH)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)において、ポリマーをSECにより分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。アミノ基の含量は、ニンヒドリンアッセイによって決定した。鎖延長は、実施例19と同様の手順に従って行われるであろう。
実施例21. 標的部分Fab’を含有するテレケリック型HPMAコポリマーの合成
ペンダントアミノ基を含有するテレケリック型HPMAコポリマー(P−NH)をまず実施例20に記載されるように合成した。トリエチルアミンの存在下DMF中でSMCCとの反応によるFab’とのコンジュゲ―ションのために、アミノ基をマレイミド基に定量的に転換した。コポリマー中のマレイミドの量は、修正されたEllmanアッセイを用いて決定した。次に、Fab’断片(OV−TL16抗体由来)はキャリアに結合され得る。ポリマー前駆体を20mMのMES緩衝液pH6.5中に溶解させ、新たに調製されたFab’断片と4℃の暗所で一晩反応させる(ポリマー:Fab’重量比=1:2)ことによって、標的結合体が調製されるであろう。生成物は、0〜0.5MのNaCl濃度勾配で20mMのビス−トリス緩衝液pH6.5を用いて溶出されるDEAE Sepharose Fast Flowイオン交換カラム(Pharmacia)において精製されるであろう。結合体に相当する画分は、Superose 6(HR10/30)カラムを用いて、SECによって単離されるであろう。Fab’断片のポリマー前駆体へのコンジュゲ―ションの後、標的部分(Fab’)を含有するヘテロテレケリック型HPMAコポリマーを、抗癌剤を含有する同一の構成要素または別のヘテロテレケリック型HPMAコポリマーと共に延長させ、標的生分解性マルチブロックHPMAコポリマーベースのポリマー治療薬を生成することができる。
実施例22. チアゾリジン−2−チオン(TT)反応基を含有するテレケリック型HPMAコポリマー(P−TT)の合成(スキーム17)
HPMAと、チアゾリジン−2−チオン(TT)の重合性誘導体との共重合によって、
側鎖反応基を含有するHPMAコポリマーを生成した。HPMA(0.3g)、MA−GFLG−TT(60mg、5モル%)、CTP−GFLGK−アルキン(CTA2、12.5mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2mLの脱気MeOHを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.6mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で24時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−TT)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるSECによってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw=16kDa、PDI=1.02)。メタノール中でのUV分光光度法によって決定されるコポリマー中のTTの含量は5.3%であった(ε305=10,800Lmol−1cm−1)。
このポリマー前駆体は、抗癌剤、および標的部分を連続して結合させるために使用することができる。
結合体22a:ポリマー前駆体をDMSO中に溶解させた後、ドキソルビシンおよびガラクトサミンはアミド結合によってポリマーに結合され、生成物はSECにより精製され得る。実施例19に記載されるような生成物の鎖延長は、アシアロ糖タンパク質受容体によるN−アシル化ガラクトサミンの生体認識によって肝細胞に対して標的可能なマルチブロック生分解性HPMAコポリマー−DOX結合体を提供するであろう。
結合体22b:ポリマー前駆体をDMSO中に溶解させた後、エピルビシンおよび5’−アミノヘキシル−抗−PSMAアプタマーA9(Bioconjugate Chemistry 19, 1309, 2008における構造を参照)はアミド結合によってポリマーに結合され、生成物はSECにより精製され得る。実施例19に記載されるような生成物の鎖延長は、前立腺癌細胞に対して標的可能なマルチブロック生分解性HPMAコポリマー−エピルビシン結合体を提供するであろう。
結合体22c:ポリマー前駆体をDMSO中に溶解させた後、エピルビシンは、TT基で終結する側鎖の画分に結合され得る。HPMAコポリマー−エピルビシン−(GFLG)−TT結合体はアセトン中への沈殿によって単離され、真空中で乾燥され得る。次に、80mgのポリマーの溶液は300μLのDMSO中に溶解され、溶液は、4℃において4mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)pH7.3中のOV−TL16抗体(10mg/mL)に添加され得る。溶液が2時間保持されてから、pHは3時間以内にpH8.5まで徐々に上昇され得る。HPMAコポリマー−エピルビシン−OV−TL16結合体は、PBS緩衝液において、まずSephadex G25カラムを用い、次に、サイズ排除Superose 6カラムを用いて精製されるであろう。
実施例23. 白金の錯体化のためのマロン酸基を含有するテレケリック型HPMAコポリマー前駆体(P−diCOOH)の合成(スキーム18)
抗癌剤白金酸塩を含有するHPMAコポリマー(P−Pt)を2段階プロセスで生成した。まず、HPMAと、重合性マロン酸誘導体、MA−GFLG−diCOOHとの共重合によってポリマー前駆体を得た。次に、白金剤をポリマー前駆体とキレート化して、薬物−ポリマー体を形成した。
ポリマー前駆体の合成。HPMA(170mg)、MA−GFLG−diCOOH(30mg、5モル%)、CTP−GFLG−アルキン(CTA2、6.68mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2.5mLの脱気MeOHを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.72mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製し、ピンク色の粉末として単離した。第2のステップでは、コポリマー(P−diCOOH)の末端修飾は、diN−V501(実施例6を参照)と一緒に、そのNMP中の溶液中で還流させることによって実施した。ヘテロテレケリック型コポリマーを真空下で乾燥させた。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるSECを用いてポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw=16kDa、PDI=1.02)。鎖延長は、実施例19と同様の手順に従って行われるであろう。
白金剤のポリHPMA骨格への連結(スキーム19)
ジアミノシクロヘキシル(DACH)PtキレートDACHPt(OH(P. Sood et al., Bioconjugate Chem. 2006, 17, 1270-1279)は、少量の5%のHNOを含有する水中(pH<2)でのHPMAコポリマーと、DACHPt(NOとの反応によって調製されるであろう。反応混合物は、70℃で1時間攪拌され得る。HPMAコポリマーP−diCOOHは、水中に溶解され得る。溶液のpHは2MのNaOHによって12.6に調整され、30分間保持され得る。次に、5%のHNOをゆっくり添加することによって溶液はpH7.4に調整され得る。白金化溶液は、激しく攪拌しながら添加され得る。pHは2MのNaOHを用いて5.2に調整されて維持され、2時間攪拌され得る。次に、pHは2MのNaOHを用いて7.4に調整され、38℃で17時間攪拌され得る。反応の後、生成物は精製され、凍結乾燥され得る。
実施例24. 抗癌剤ゲムシタビンを含有するテレケリック型HPMAコポリマー(P−ゲムシタビン)の合成(スキーム20)
HPMAと、薬物のMA−GFLG−ゲムシタビンの重合性誘導体との共重合によって、抗癌剤ゲムシタビンを含有するHPMAコポリマー(P−ゲムシタビン)を生成した。HPMA(160mg)、MA−GFLG−ゲムシタビン(40mg、5モル%)、CTP−GFLG−アルキン(CTA2、6.68mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2.5mLの脱気MeOHを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.72mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、60℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−ゲムシタビン)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるSECによって、ポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。ゲムシタビンの含量をUVにより測定した。メタノール中でのUV分光光度法によって決定されるコポリマー中のゲムシタビン(gem)の含量は5.4%であった(ε305=5710Lmol−1cm−1)。鎖延長は、実施例19と同様の手順に従って行われるであろう。
RAFT共重合のためにCTA2aを用いて、抗癌剤ゲムシタビンを含有するHPMAコポリマー(P−ゲムシタビン)が生成される場合、スキーム21に示されるように、主鎖は酵素分解可能な配列Phe−Lys(FK)を含有し、側鎖はGFLG配列を含有するであろう。
実施例25. ゲムシタビンおよび標的部分Fab’を含有するテレケリック型HPMAコポリマーの合成(スキーム22)
抗癌剤ゲムシタビンおよび標的Fab’断片(抗PSMA(前立腺特異的膜抗原)抗体に由来)を含有するHPMAコポリマーは、3段階で生成されるであろう。まず、実施例20に記載されるように連鎖移動剤としてCTP−GFLG−アルキン(CTA2)および開始剤としてV−501を用いて、HPMA(129mg、0.9mmol)、MA−GFLG−ゲムシタビン(49mg、0.07mmol)およびAPMA(5.4mg、0.03mmol)が70℃においてDMSO/HO中で重合され得る。ジアジド−V−501による末端修飾の後、ポリマーはSMCCと反応されて、側鎖マレイミド官能基が導入された後、実施例21に記載されるようにチオール−マレイミド反応によって、Fab’(1F5抗CD20抗体に由来)とのコンジュゲ―ションが行われ得る。鎖延長は、実施例19の手順に従って行われるであろう。
実施例26. ゲムシタビンおよび白金前駆体を含有するテレケリック型組み合わせHPMAコポリマー−薬物結合体(P−ゲムシタビン−diCOOH)の合成(スキーム23)
実施例22に記載されるように、HPMAと、薬物の重合性誘導体と、白金による錯体化に適したマロン酸を含有するコモノマーとの共重合によって、抗癌剤ゲムシタビンおよび白金酸塩の前駆体を含有するHPMAコポリマー(P−ゲムシタビン−diCOOH)を生成した。HPMA(160mg)、MA−GFLG−ゲムシタビン(22mg、2.5モル%)、MA−GFLG−diCOOH(18mg、2.5モル%)、CTP−GFLGK−アルキン(CTA2、6.68mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2.5mLの脱気MeOHを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.72mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−ゲムシタビン−diCOOH)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。白金は、実施例22に記載されるようなポリマーと錯体化されるであろう。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)において、ポリマーをSECにより分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。ゲムシタビンの含量はUVにより測定し、マロン酸の含量は滴定によって測定した。鎖延長は、実施例18と同様の手順に従って行われるであろう。
実施例27. 抗癌剤のための2つの異なる付着点、TT基およびマロン酸を含有するヘテロテレケリック型HPMAコポリマー前駆体(P−TT−diCOOH)の合成(スキーム24)
側鎖中の反応性TT基と、Ptの錯体化のための付着部位とを含有するHPMAコポリマーを、HPMAと、2つのコモノマーとの共重合によって生成した。HPMA(166mg)、MA−GFLG−diCOOH(17mg、2.5モル%)、MA−GFLG−TT(17mg、2.5モル%)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2.5mLの脱気メタノールを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.72mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーを単離し、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。真空下で乾燥させた後、コポリマーをオレンジ色の粉末として単離した。コポリマー(P−TT−diCOOH)を実施例18に記載される手順に従ってさらに末端修飾し、移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるSECによって分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。鎖延長は、実施例19と同様の手順に従って行われるであろう。
実施例28. アジド−テレケリック型ポリHPMAの合成(スキーム25)
HPMAとアジド官能化CTA(CTA3)とのRAFT重合。HPMA(0.1g、0.7mmol)およびCTA3(3mg、0.008mmol)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、0.5mLの脱気メタノールを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.5mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、60℃で20時間重合を進行させた。アセトン中への沈殿によってポリマーを単離し、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。ポリHPMAを真空下で乾燥させ、ピンク色の粉末として単離した。収量60mg。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose12 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw26kDa、PDI1.02)。
末端基修飾。このHPMAコポリマー(10mg)を100μLの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)中に溶解させた。ジアジド−V−501(diN−V501、20×、20μL)を添加し、溶液をNで30分間バブリングし、密封し、70℃で3時間攪拌し続けた。アセトン中への沈殿によってポリマーを精製し、減圧下で乾燥させた。収量9.6mgの白色のアジド−テレケリック型ポリHPMA(N−ポリHPMA−N)。末端基修飾の完了は、検出可能なジチオベンゾエート基(δ=7〜8.5ppm)を全く示さないH−NMR分光法と、2100cm−1における新しいピーク(アジド)を示すFTIRとによって確認した。
実施例29. クリック反応による生分解性マルチブロックポリHPMAの合成(スキーム26)
生分解性マルチブロックポリHPMAをクリック反応により合成した。アジド−テレケリック型ポリHPMA(15mg)およびアルキン末端ペプチドGFLGK(実施例11)をDMF中のL−アスコルビン酸(0.25×、0.07mg)の100μLの脱気溶液中に溶解させた。窒素雰囲気下、DMF中のCuBr(0.5×、0.1mg)溶液50μLを添加した。反応混合物を80℃で一晩攪拌し続けた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、10mMのEDTA溶液に対して、そして次に対する透析によって精製して銅塩を除去し、そして乾燥させた。収量12mgのクリック生成物。ポリマーをSECにより分析した。結果は、テトラマー(Mw110.8kDa)が少量の中間体(Mw53.4kDaおよび24.8kDa)と共に得られたことを示した。主要画分は、クロマトグラフィカラムにおいて分離されるであろう。
実施例30. 生分解性マルチブロックポリHPMAコポリマー−パクリタキセル結合体の合成(スキーム27)
RAFT重合。HPMA(886mg)、MA−GFLG−PTX(245mg)、MA−Tyr(15mg)、(CTP−GFLG)K(6.6mg)およびAIBN(0.5mg)をメタノール(3.7mL)中に溶解させた。溶液をNで30分間バブリングし、密封し、55℃で30時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってコポリマーを精製し、次に、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量454mgのピンク色のテレケリック型HPMAコポリマー−パクリタキセル(Mn103kDa、PDI1.05)。
末端基修飾。HPMAコポリマー−パクリタキセル(440mg)を4.0mLの脱酸素化メタノール中、70℃で3時間、ジアルキン−V−501(61mg、0.172mmol)と反応させた。メタノール−アセトン中での2回の溶解−沈殿によってコポリマーを精製し、乾燥させ、α,ω−ジアルキンテレケリック型HPMAコポリマー−パクリタキセルが84%の収率(370mg)で得られた。
クリック反応。α,ω−ジアルキンテレケリック型HPMAコポリマー−パクリタキセル(103kDa、350mg、3.4μmol)、(アジド−GFLG)K(4.0mg、3.4μmol)およびアスコルビン酸ナトリウム(8mg、40μmol)をバイアルに添加した。バイアルを真空にし、窒素を3回補充した後、1.1mLの脱酸素化DMFを添加した。CuSOの脱酸素化溶液(水中、3.2mg、20μmol、200μL)を添加した。バイアルを密封した。溶液を室温で20時間攪拌した。コポリマーをアセトン中に沈殿させ、真空下で乾燥させ、PD−10カラムによりさらに精製した。分取用Superose 6 HR 16/60カラムおよび溶離液として酢酸緩衝液(pH=6.5)を用いてクリック生成物を分画した。流速は1mL/分であり、画分(Mn306kDa、PDI1.09)を捕集し、透析および凍結乾燥させ、白色の粉末が27.7%の収率(98mg)で得られた。
分解。モデル酵素としてパパイン(2.0μM)を用いて、McIlvaine緩衝液(50mMのクエン酸/0.1Mのリン酸)中、pH6.0、37℃でマルチブロックコポリマー画分(Mn306kDa、PDI1.09)の分解を実施し、分解HPMAコポリマー(Mn47kDa、PDI1.01)が得られた。パクリタキセル(5.4重量%)をパパイン(10μM)中でコポリマー結合体から切断した。結果は、図5に示される。
チオール−エン反応を用いる骨格分解可能なHPMAコポリマー−薬物結合体の合成実施例
実施例31. CTAとして(CTP−GFLG)Kを用いるチオール−テレケリック型ポリHPMAの合成およびポリマー鎖延長(スキーム28)
HPMAの重合。HPMA(330mg)、(CTP−GFLG)K(12mg)およびAIBN(0.5mg)をメタノール(2.8mL)中に溶解させた。溶液をNで30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、次に、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量156mgのピンク色のポリマー(Mw19.4kDa、PDI1.05)。
アミノリシス。HPMAポリマーCTA−ポリHPMA−CTA(100mg)を800μLのメタノール中に溶解させ、n−BuNH(50μL)を添加し、混合物を10分間振とうさせた。次に、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量76mgのチオールテレケリック型ポリHPMA。
還元。HPMAコポリマードセタキセル結合体CTA−ポリHPMA−CTA(10mg)、還元剤TCEP.HCl(20mg)を100μLメタノール中に添加し、室温で一晩攪拌した。還元の後、ポリマーをアセトン中に沈殿させ、エーテルまたはアセトンで3回洗浄し、室温において減圧下で乾燥させた。収量8mgのチオールテレケリック型ポリHPMA。
2,2’−ジピリジンジスルフィドによる鎖延長。チオールテレケリック型ポリHPMA(6mg)および2,2’−ジピリジンジスルフィド(6mg)を100μLのメタノール中に溶解させた。反応混合物を室温で3時間振とうさせた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、溶解−沈殿法(未反応PySSPyの完全な除去)によって精製し、次に乾燥させた。収量6mgのテレケリック型PySS−ポリHPMA。テレケリック型PySS−ポリHPMA(6mg)およびチオールテレケリック型ポリHPMA(6mg)をそれぞれ40μLのメタノール中に溶解させ、次に、2つの溶液を混合し、40℃で一晩振とうを続けた。メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量12mgのポリ(PHPMA−SS)。
界面鎖延長。チオールテレケリック型ポリHPMA(15mg)を200μLの水中に溶解させ、Nで5分間バブリングした。ビス−MAL−dPEG3(CAS♯756525−89−0)(0.3mg)を100μLのDCM中に溶解させた。2つの溶液を1mlのアンプル内で混合し、炎で密封した。反応混合物を室温で20時間激しく攪拌した。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、アセトンで3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量15mgの鎖延長されたポリマー。
DMSO酸化によるジスルフィド結合形成を用いる鎖延長。チオールテレケリック型ポリHPMA(5mg)を20μLの水および10μLのDMSOの混合溶媒中に溶解させた。溶液を室温で10時間攪拌した。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、アセトンで3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量5mgのポリマー(Mw168.1kDa、PDI1.44)。
ビス−MAL−dPEG3(CAS♯756525−89−0)による鎖延長。チオールテレケリック型ポリHPMA(26mg)およびビス−MAL−dPEG3(10.3mg)を60μLのDMF中に溶解させた。反応混合物を室温で8時間振とうさせた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、溶解−沈殿法(未反応ビス−MAL−dPEG3の完全な除去)によって精製し、乾燥させた。収量27mgのテレケリック型MAL−ポリHPMA。テレケリック型MAL−ポリHPMA(27mg)およびテレケリック型HS−ポリHPMA(25mg)をそれぞれ50μLのDMF中に溶解させた。2つの溶液を混合し、室温で一晩振とうを続けた。メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量50mgのポリマー(Mw100.4kDa、PDI2.31)。
実施例32. マルチブロックポリHPMAの酵素触媒分解
チオール−エン反応から得られたマルチブロックポリHPMAの分解は、パパインまたはカテプシンBを用いて、McIlvaine緩衝液(50mMのクエン酸/0.1Mのリン酸)中、pH5.0、37℃において実施した。ポリマー切断研究においてカテプシンBストック溶液(0.35mg/mL)およびパパインストック溶液(0.45mg/mL)を使用した。
パパイン(0.45mg/mL、0.1mL)(またはカテプシンB、0.35mg/mL、0.1mL)を、5mMのGSHを含有する0.8mLの緩衝液と混合し、混合物を37℃で5分間プレインキュベートした。4mgのポリマーを含有する0.1mLの緩衝液中のマルチブロックマルチブロックHPMAコポリマー−DOX結合体(227.7kDa画分)を添加し、37℃でインキュベートした。指定の時間間隔で、0.1mLのサンプルを抜き取り、0.05mLの1Mのヨード酢酸ナトリウムを含有する0.4mLのPBS(pH7.3)と混合した。サンプルは、移動相としてPBS(pH7.3)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いるminiDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器を備えたAeKTA FPLCシステムを用いて、SECにより分析した。
分解生成物の平均分子量は、図3(左側パネル−カテプシンBによる分解、右側パネル−パパインによる分解)に示されるように出発のポリHPMAに近い。主鎖の分解に加えて、DOXは同時にオリゴペプチド側鎖の分解によって遊離される。
実施例33. 抗癌剤ドセタキセルを含有するチオール−テレケリック型HPMAコポリマーの合成および鎖延長
共重合。HPMA(98mg)、MA−GFLG−ドセタキセル(16mg、2モル%)、(CTP−GFLG)K(4.1mg)およびAIBN(0.2mg)をメタノール(1mL)中に溶解させた。溶液をNで30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量35mgのピンク色のポリマーP−DTX−CTA2(Mw11.6kDa、PDI1.12)。結合体は、1.5モル%のDTX(0.09g/gポリマー)を含有した。
アミノリシス。P−DTX−CTA2(20mg)を100μLのメタノール中に溶解させ、n−BuNH(10μLの)を添加し、混合物を5分間振とうさせた。次に、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量15mgのテレケリック型P−DTX(HS−[ポリHPMA−DTX]−SH)。
鎖延長。チオールテレケリック型P−DTX(7mg)およびビス−MAL−dPEG3(5mg)を20μLのDMF中に溶解させた。反応混合物を室温で8時間振とうさせた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、溶解−沈殿法(未反応ビス−MAL−dPEG3の完全な除去)により精製し、次に乾燥させた。収量8mgのテレケリック型P−DTX−MAL2。テレケリック型P−DTX−MAL2(8mg)およびテレケリック型P−DTX−SH2(6.5mg)をそれぞれ20μLのDMF中に溶解させた。2つの溶液を混合し、室温で一晩振とうを続けた。メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量12mgのポリマー(Mw79.4kDa、PDI3.33)。
実施例34.チアゾリジン−2−チオン(TT)を含有するチオール−テレケリック型HPMAコポリマーの合成、抗癌剤ドキソルビシンの付着および鎖延長
共重合。HPMA(270mg)、MA−GFLG−TT(67mg、6モル%)、(CTP−GFLG)K(12mg)およびAIBN(0.5mg)をメタノール(3mL)中に溶解させた。溶液をNで30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量139mgのピンク色のポリマーP−TT−CTA2(Mw19.8kDa、PDI1.07)。
薬物結合およびアミノリシス。P−TT−CTA2(78mg)およびドキソルビシン(20mg)を500μLのDMSO中に溶解させた。DIPEA(12μL)を攪拌下で添加した。系を室温で一晩攪拌してから、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量30mgのテレケリック型p−Dox−SH2。
鎖延長。テレケリック型P−DOX−SH2(10mg)およびビス−MAL−dPEG3(7mg)を40μLのDMF中に溶解させた。反応混合物を室温で8時間振とうさせた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、溶解−沈殿(未反応ビス−MAL−dPEG3の完全な除去)によって精製し、次に乾燥させた。収量10.5mgのテレケリック型P−DOX−MAL2。テレケリック型P−DOX−MAL2(10.5mg)およびテレケリック型P−DOX−SH2(10mg)をそれぞれ20μLのDMF中に溶解させた。2つの溶液を混合し、室温で一晩振とうを続けた。メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量20mgのポリマー(Mw98.1kDa、PDI2.37)。薬物の含量は、UV−visにより測定した。結合体は2.48モル%のDOX(0.08g/gポリマー)を含有した。
実施例35. ドキソルビシンおよびドセタキセルを含有するチオールテレケリック型組み合わせHPMAコポリマー−薬物結合体の合成
HPMA(140mg)、MA−GFLG−ドセタキセル(12.5mg、1モル%)、MA−GFLG−DOX(9.6mg、1モル%、(CTP−GFLG)K(11.5mg)およびAIBN(0.4mg)をメタノール(1.4mL)中に溶解させた。溶液をNで30分間バブリングし、密封し、50℃で30時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量65mg組み合わせコポリマー(Mw29.9kDa、PDI1.36)。薬物の含量は、UV−visおよびパパイン切断によって測定した。結合体は、0.96モル%のDOX(0.03g/gポリマー)および0.75モル%のDTX(0.04g/gポリマー)を含有した。
実施例36. ドキソルビシンおよびFab’標的部分を含有するチオール−テレケリック型組み合わせHPMAコポリマーの合成(スキーム29)
HPMA(90モル%)、MA−GFLG−Dox(5モル%)、MA−NHHCl(5モル%)、(CTA−GFLG)2K(連鎖移動剤として、10kDaのコポリマーの調製のために適切な量)およびAIBN(CTAの1/5量)をメタノール中に溶解させた。溶液をNで30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、次にアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。
コポリマーCTA−ポリ(HPMA−Dox−NH)−CTAはDMF中に溶解され、DIPEA(コポリマー中のアミノ基の量に対して2当量)が添加され得る。DMF中のSMCC(3×)を0℃で添加した。反応混合物は室温下で12時間攪拌され得る。反応の後、生成物は、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、次にアセトンで洗浄され、減圧下で乾燥されるであろう。
コポリマーCTA−ポリ(HPMA−Dox−MAL)−CTAはPBS緩衝液(pH6.0)中に溶解され得る。PBS緩衝液(pH6.0)中のFab’が添加され得る。カップリング反応混合物は、室温下で12時間穏やかに攪拌され得る。反応の後、2−メルカプトエタノールが溶液に添加され、1時間攪拌が継続され得る。溶液のpHは1NのNaOHを用いて9に調整され、10時間攪拌されて、末端ジチオエステル基を除去し得る。コポリマー結合体は、BS緩衝液(pH6)に対する透析(100kDaのMWCO)によって精製され、限外ろ過によって濃縮されるであろう。
テレケリック型HS−ポリ(HPMA−Dox−Fab’)−SHおよびビス−MAL−dPEG3(CAS♯756525−89−0、コポリマーと同等)は、PBS緩衝液(pH6)中に溶解され得る、。反応混合物は、室温で2日間振とうされ得る。反応の後、延長されたコポリマー結合体は、PBS緩衝液(pH6)に対する透析(100kDaのMWCO)によって精製され、限外ろ過により濃縮され得る。結合体の最終精製はSECによって実施され得る。Fab’の含量および分子量および多分散性は、UV−visおよびFPLCによって測定されるであろう。
他のアプローチを用いる骨格分解可能なHPMAコポリマー−薬物結合体の合成実施例
実施例37. RAFT重合による加水分解的に切断可能なエステル結合のHPMAコポリマー主鎖への導入(スキーム30)
HPMA、5,6−ベンゾ−2−メチレン−1,3−ジオキセパンまたは2−メチレン−1,3−ジオキセパン(モノマーの1重量%)、CTA1(全モノマーの3重量%)およびAIBN(CTAの20重量%)は、メタノール(全モノマーの濃度は15重量%であり得る)中に溶解され得る。溶液はNで30分間バブリングされ、密封され、50℃で24時間重合され得る。重合の後、ポリマーは、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、次にアセトンで洗浄され、減圧下で乾燥されるであろう。
実施例38. ヘテロディールス−アルダー反応によるマルチセグメントHPMAコポリマー結合体の合成(スキーム31)
(1)HDA−CTA
4−シアノジチオ安息香酸。トルエン(200mL)中の4−シアノ安息香酸(10g、68mmol)および五硫化リン(8g、18mmol)の混合物を12時間還流させた。赤色生成物4−シアノジチオ安息香酸を5%のHCl×3および塩水×3で洗浄した。次に、生成物を200mLの5%のNaOH中に抽出し、エーテルおよびベンゼンで洗浄した。
ビス(4−シアノチオベンゾイル)ジスルフィド。フェリシアン化カリウム(III)(25g、76mmol)を脱イオン水(300mL)中に溶解させ、激しく攪拌しながら、滴下漏斗によりナトリウム4−シアノジチオベンゾエートに1時間にわたって液滴で添加した。赤色沈殿物をろ過し、洗浄液が無色になるまで脱イオン水で洗浄した。固体を室温で一晩、真空中で乾燥させた。生成物ビス(4−シアノチオベンゾイル)ジスルフィドをエタノールから再結晶した。
4−シアノペンタン酸4−シアノジチオベンゾエートの合成。4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(5.6g、20mmol)およびビス(シアノチオベンゾイル)ジスルフィド(4g、11.2mmol)を80mLの蒸留酢酸エチルを含有する250mLの丸底フラスコに添加した。反応溶液を18時間還流させた。酢酸エチルを真空中で除去した。溶離液として酢酸エチル:ヘキサン(2:3)を用いるカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、70〜230メッシュ)によって生成物を単離した。
他のベンゼン置換されたジチオエステルCTAおよびピリジルジチオエステルCTAは、同様の方法によって合成されるであろう。
HAD−CTA。テレケリック型ベンゼン置換ジチオエステルCTAまたはピリジルジチオエステルCTAを含有するGFLGペプチドは、実施例9に記載されるものと同一のSPPS法によって合成されるであろう。
(2)α,ω−ジシクロペンタジエニル−PEG
α,ω−ジブロモ−PEGはTHF中に溶解され、0℃に冷却され得る。この溶液に、3当量のシクロペンタジエニドナトリウム(THF中2.0M)がゆっくり添加され得る。混合物は0℃で30分間、そして次に室温で12時間攪拌され得る。得られる混合物は飽和NHCl溶液中に注がれ、DCMで抽出され得る。有機相は冷蒸留水で洗浄され、MgSO上で乾燥され、濃縮され、冷ジエチルエーテル中で沈殿され得る。生成物は捕集され、減圧下で乾燥され得る。
(3)ヘテロ−ディールス−アルダー反応による延長
HPMA、コモノマー、HDA−CTAおよびAIBNはメタノール中に溶解され、最終モノマー濃度は13〜15重量%になるであろう。溶液はNで30分間バブリングされ、密封され、50℃で48時間重合され得る。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーは精製され、次にアセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。α,ω−ジシクロペンタジエニル−PEGおよびジチオエステル終結ポリマー(末端官能基と同等)はDMF中に溶解され、室温で1日間攪拌され得る。ポリマーはメタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
実施例39. N−メタクリロイルグリシルグリシル−チアゾリジン−2−チオン(MA−GG−TT)の合成(スキーム32)
MA−GG−TTの合成は、実施例1におけるMA−GFLG−TTの合成と同様であった。N−メタクリロイルグリシルグリシン(MA−GG−OH)を、触媒量のDMAPの存在下、EDCIによる仲介で、DCM中で2−メルカプトチアゾリンとカップリングさせた。反応の後、MeOH溶液からの再結晶によって生成物を精製した。
実施例40. N−メタクリロイルグリシルグリシルバリニルシトルリン(MA−GlyGlyValCit−Gem)の合成(スキーム33)
MA−GlyGlyValCit−OHは、固相ペプチド合成(SPPS)方法論によって合成されるであろう。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることによって、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Cit−OHおよびFmoc−Val−OH、そしてその後MA−GlyGly−OHが塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。ペプチドは、TFA:HO:TIS(95:2.5:2.5)により2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後に単離され、エーテル中で沈殿され、真空下で乾燥され得る。
MA−GlyGlyValCit−Gemは、4℃においてDIPEAおよびDCCの存在下、DMF中でのMA−GlyGlyValCit−OHと、ゲムシタビン塩酸塩との反応によって合成されるであろう。反応の後、溶媒は回転蒸発によって除去され得る。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製され得る。
実施例41. 2アーム型CTA、Nα,Nδ−ビス(4−シアノ−4−(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタノイルバリニルシトルリニル)リジン(CTP−Val−Cit)K、CTA5.1)およびNα,Nδ−ビス(4−シアノ−4−(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタノイルフェニルアラニルリジル)リジン(CTP−Phe−Lys)K、CTA5.2)の合成(スキーム34)
2アーム型CTA(CTP−Val−Cit)Kは、実施例10に記載されるものと同一の方法によって合成されるであろう。簡単に言うと、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Cit−OHおよびFmoc−Val−OHは、塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いて、連鎖移動剤4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートはバリニル残基にカップリングされ得る。ペプチドは、DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、単離され得る。
同一の方法を用いて、(CTP−Phe−Lys)Kが合成され得る。簡単に言うと、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OHおよびFmoc−Phe−OHは、塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いて、連鎖移動剤4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートはフェニルアラニル残基にカップリングされ得る。ペプチドは、DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、単離され得る。
実施例42. 鎖延長のためのジアジド化合物、Nα,Nδ−ビス(アジドベンゾイルバリニルシトルリニル)リジン(N−Val−Cit−N)およびNα,Nδ−ビス(アジドベンゾイルフェニルアラニルリジル)リジン(N−Phe−Lys−N)の合成(スキーム35)
テレケリック型のアジド基官能化酵素感受性ペプチドN−Val−Cit−Nは、実施例12に記載されるものと同一の方法によって合成されるであろう。簡単に言うと、カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることにより、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Cit−OHおよびFmoc−Val−OHは、塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。脱保護の後、アジド安息香酸は、カップリング剤としてDICを用いてグリシル残基にカップリングされ得る。ペプチドは、DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、単離され得る。ペプチドは、H−NMRスペクトルによって特徴付けられるであろう。
同一の方法によって、N−Phe−Lys−Nが合成されるであろう。簡単に言うと、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OHおよびFmoc−Phe−OHは、塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。脱保護の後、アジド安息香酸は、カップリング剤としてDICを用いてグリシル残基にカップリングされ得る。ペプチドは、DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、単離され得る。ペプチドは、H−NMRスペクトルによって特徴付けられるであろう。
実施例43. 2つの薬物DOXおよびGemを含有するHPMAコポリマー結合体P−DOX−Gemの合成(スキーム36)
HPMA(90モル%)、MA−GG−TT(5モル%)、MA−GFLG−Gem(5モル%)、(CTP−Val−Cit)Kまたは(CTP−Phe−Lys)KおよびAIBNはメタノール中に溶解され得る。モノマーの濃度は約15重量%になり得る。溶液は、Nで30分間バブリングされ、密封され、50℃で24時間重合され得る。重合の後、ポリマーはメタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
コポリマーCTA−P(HPMA−TT−Gem)−CTA(100mg)は800μLのDMF中に溶解され、800μLのDMF中のNHNH(100μL)に添加され、混合物は室温で30分間振とうされ得る。次に、ポリマーは、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
コポリマーHS−P(HPMA−CONHNH−Gem)−SH(100mg)は1mLのMeOH/HO(1/1)中に溶解され得る。0.5mLのMeOH/HO(1/1)中のDOX(20mg)が添加され得る。反応混合物は室温で攪拌され得る。次に、ポリマーはメタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
テレケリック型コポリマー結合体HS−P(HPMA−CONHNHDOX−Gem)−SHおよびビス−MAL−dPEG3(同等)はDMF中に溶解され得る。反応混合物は、室温で24時間振とうされ得る。ポリマーはアセトン中に沈殿され、溶解−沈殿法によって精製され得る。
実施例44. 2つの薬物、DTXおよびGemを含有するHPMAコポリマー結合体P−DTX−Gemの合成(スキーム37)
HPMA(90モル%)、MA−GFLG−DTX(5モル%)、MA−GlyGlyValCit−Gem(5モル%)、CTA1(実施例6)およびAIBNはメタノール中に溶解され得る。モノマーの濃度は、約15重量%になり得る。溶液はNで30分間バブリングされ、密封され、50℃で24時間重合され得る。重合の後、ポリマーはメタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
コポリマーのアルキン−P(HPMA−DTX−Gem)−アルキンおよびN−Val−Cit−NまたはN−Phe−Lys−Nは、DMF中のL−アスコルビン酸(0.5×)の脱気溶液中に溶解され得る。窒素雰囲気下、DMF中のCuBr(0.5×)溶液が添加され得る。反応混合物は室温で48時間、攪拌が継続され得る。ポリマーはアセトン中に沈殿され、10mMのEDTA溶液に対して、そして次に水中での透析によって精製されて銅塩が除去され、次に凍結乾燥され得る。
実施例45. マルチブロックHPMAコポリマー−DOX結合体の効力のインビボ評価
多剤耐性ヒト卵巣癌A2780/AD細胞(5×10)をメス胸腺欠損nu/nuマウスの(右側)側腹部に皮下移植した。腫瘍が約1cmの大きさに達したら、HPMAコポリマー−DOX結合体(25mgのDOXと同等/kg)によりマウスを腹腔内で3回(1、4、および7日目)処置した。
メス胸腺欠損nu/nuマウス中のs.c.A2780AD(耐性)ヒト卵巣癌異種移植片に対するHPMAコポリマー−DOX結合体の増殖阻害は図4に示される。従来のDOX結合体と比較して、高分子量マルチブロックDOX結合体は、より高い抗腫瘍活性(より高い腫瘍増殖の阻害)を実証した。
本出願を通して、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、本明細書に記載される化合物、組成物および方法をより完全に説明するために本出願内へ参照されることによってその全体が本明細書に援用される。
本明細書に記載される化合物、組成物および方法には種々の修正および変化が成され得る。本明細書に記載される化合物、組成物および方法の他の態様は、本明細書の考察および本明細書に開示される化合物、組成物および方法の実施から明らかになるであろう。本明細書および実施例は例として考えられることが意図される。
Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Figure 2013522205

Claims (29)

  1. 第1の切断可能なリンカーによって互いに結合された複数の線状水溶性高分子セグメントを含む水溶性高分子量線状生分解性ポリマー骨格を含み、生物活性剤が、少なくとも1つの水溶性高分子セグメント、少なくとも1つの切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに共有結合された、薬物送達結合体またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステル。
  2. 前記結合体が50kDa〜750kDaの分子量を有する、請求項1に記載の結合体。
  3. 前記水溶性高分子セグメントが40kDa未満の分子量を有する、請求項1に記載の結合体。
  4. 前記水溶性高分子セグメントが1つまたは複数の不飽和水溶性モノマーの重合生成物を含む、請求項1に記載の結合体。
  5. 前記不飽和水溶性モノマーが、式I
    Figure 2013522205
    (式中、Rは水素またはメチルであり、
    XはOまたはNRであり、ここで、Rは水素またはアルキル基であり、
    Lは、アルキル基、アリール基、またはシクロアルキル基であり、そして
    Yは親水基である)
    を含む、請求項4に記載の結合体。
  6. がメチルであり、XがNHであり、そしてLがC〜Cメチレン基である、請求項5に記載の結合体。
  7. Lがメチレン基、エチレン基、またはイソプロピレン基である、請求項6に記載の結合体。
  8. 前記親水基が、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、SOH基、または双性イオン基である、請求項4に記載の結合体。
  9. 前記水溶性モノマーが、N−置換メタクリルアミド、N,N−二置換アクリルアミド、メタクリル酸もしくはアクリル酸の親水性エステル、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、スルホエチルメタクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の結合体。
  10. 前記水溶性モノマーが、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、N−[3−(N’−ジカルボキシメチル)アミノプロピル]メタクリルアミド(DAMA)、N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシン−アミノマロン酸(MA−GFLG−diCOOH)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の結合体。
  11. 前記生物活性剤が、第2の切断可能なリンカーを介して前記水溶性高分子セグメントに連結された、請求項1に記載の結合体。
  12. 前記水溶性高分子セグメントが、請求項4〜10のいずれか一項における1つまたは複数の不飽和水溶性モノマーと、式II
    Figure 2013522205
    (式中、Rは、水素またはメチルであり、
    XはOまたはNRであり、ここで、Rは水素またはアルキル基であり、
    は、第2の切断可能なリンカーであり、そして
    Zは、生物活性剤である)
    を含むモノマーとの重合生成物を含む、請求項11に記載の結合体。
  13. 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、酵素、pHの変化、またはこれらの組み合わせによって切断される、請求項1に記載の結合体。
  14. 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、2〜13個のアミノ酸残基を有するペプチドを含む、請求項1に記載の結合体。
  15. 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、配列番号1〜22のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1に記載の結合体。
  16. 前記第1のリンカーが、式III
    −(AA)−K−(AA)− (III)
    (式中、AAおよびAAは、6個までのアミノ酸を含む同一または異なるアミノ酸配列であり、そして
    Kは、リジン、オルニチン、またはジアミンである)
    を有する、請求項1に記載の結合体。
  17. 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、pH感受性リンカーを含む、請求項1に記載の結合体。
  18. 前記pH感受性リンカーが、カルボキシアルキルマレイン酸リンカーまたはアスコルビン酸リンカーである、請求項17に記載の結合体。
  19. 前記生物活性剤が前記第1の切断可能なリンカーに共有結合され、前記生物活性剤がカップリング反応によって前記切断可能なリンカーに結合された、請求項1に記載の結合体。
  20. 前記生物活性剤が抗癌剤を含む、請求項1に記載の結合体。
  21. 前記生物活性剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、白金酸塩(シスプラチン、カルボプラチン、DACH−Pt)、ドキソルビシン、ゲルダナマイシン、または9−アミノカンプトテシンを含む、請求項1に記載の結合体。
  22. 2つ以上の異なる生物活性剤が前記結合体に共有結合された、請求項1に記載の結合体。
  23. 前記水溶性高分子セグメント、前記第1の切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに、標的基が共有結合された、請求項1に記載の結合体。
  24. 前記標的基が、抗体、抗体断片、糖類、またはエピトープ結合ペプチド、またはアプタマーである、請求項23に記載の結合体。
  25. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の結合体と、薬学的に許容可能なキャリアとを含む医薬組成物。
  26. 前記組成物が、薬学的に許容可能なキャリアとして無菌水性媒体を含む注射可能な組成物である、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 生物活性剤を被験者に送達するための方法であって、請求項1〜24のいずれか一項に記載の結合体を前記被験者に投与することを含む方法。
  28. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の結合体の、生物活性剤のための送達デバイスとしての使用。
  29. 前記水溶性高分子セグメントおよび前記第1の切断可能なリンカーが、アジド−アルキン反応、チオール−エン反応、酸化反応、またはディールス−アルダー反応によって互いにカップリングされる、請求項1に記載の結合体。
JP2012557145A 2010-03-08 2011-03-07 高分子薬物送達結合体ならびにその製造および使用方法 Active JP5944836B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US31145910P 2010-03-08 2010-03-08
US61/311,459 2010-03-08
PCT/US2011/027337 WO2011112482A2 (en) 2010-03-08 2011-03-07 Polymeric drug delivery conjugates and methods of making and using thereof

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013522205A true JP2013522205A (ja) 2013-06-13
JP5944836B2 JP5944836B2 (ja) 2016-07-05

Family

ID=44564066

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012557145A Active JP5944836B2 (ja) 2010-03-08 2011-03-07 高分子薬物送達結合体ならびにその製造および使用方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9289510B2 (ja)
EP (1) EP2544701B1 (ja)
JP (1) JP5944836B2 (ja)
WO (1) WO2011112482A2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016035223A1 (ja) * 2014-09-02 2016-03-10 東亞合成株式会社 周期的に官能基を備えるビニル系重合体及びその製造方法
JP2018065968A (ja) * 2016-10-21 2018-04-26 株式会社日本触媒 チオール基含有イオン性高分子化合物及びその製造方法
JP2019152674A (ja) * 2013-09-17 2019-09-12 ビオメリューBiomerieux ビタミンd結合タンパク質からビタミンdを解離するための溶液、その関連検出法及び使用
JP2019534889A (ja) * 2016-10-14 2019-12-05 ユニヴァーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション 抗体−ポリマー−薬物コンジュゲート
JP2020121981A (ja) * 2014-02-21 2020-08-13 エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ(ウペエフエル)Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL) 糖標的化治療剤

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011112482A2 (en) * 2010-03-08 2011-09-15 University Of Utah Research Foundation Polymeric drug delivery conjugates and methods of making and using thereof
WO2012021512A2 (en) 2010-08-10 2012-02-16 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne Erythrocyte-binding therapeutics
US9850296B2 (en) 2010-08-10 2017-12-26 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Erythrocyte-binding therapeutics
US9517257B2 (en) 2010-08-10 2016-12-13 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Erythrocyte-binding therapeutics
US10946079B2 (en) 2014-02-21 2021-03-16 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne Glycotargeting therapeutics
US10953101B2 (en) 2014-02-21 2021-03-23 École Polytechnique Fédérale De Lausanne (Epfl) Glycotargeting therapeutics
US10046056B2 (en) 2014-02-21 2018-08-14 École Polytechnique Fédérale De Lausanne (Epfl) Glycotargeting therapeutics
EP3267975A4 (en) 2015-03-09 2018-08-08 The Regents of the University of California Polymer-drug conjugates for combination anticancer therapy
WO2017019559A1 (en) * 2015-07-24 2017-02-02 University Of Utah Research Foundation Hpma-drug conjugates for the treatment of acute myeloid leukemia
EA201891235A1 (ru) 2015-11-25 2018-12-28 Дзе Риджентс Оф Дзе Юниверсити Оф Калифорния Составы лекарственных средств для лечения злокачественной опухоли
CN106581690B (zh) * 2016-12-23 2019-05-28 四川大学 肿瘤微环境刺激可降解的两亲性嵌段hpma聚合物给药系统及其制备方法
CN106880848B (zh) * 2017-02-14 2019-09-06 四川大学 可生物降解的多聚HPMA-Gd磁共振成像探针及其制备方法
EP3638296A1 (en) 2017-06-16 2020-04-22 The University Of Chicago Compositions and methods for inducing immune tolerance
JP2022552841A (ja) * 2019-10-18 2022-12-20 ザ ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデイション ポリマー薬物送達コンジュゲートならびにそれを作製および使用する方法
CN114621393A (zh) * 2022-03-17 2022-06-14 华侨大学 一种n-(2-羟基)丙基甲基丙烯酰胺和n-甲基丙烯酰甘氨酰甘氨酸的共聚物及其应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050287114A1 (en) * 2003-01-06 2005-12-29 University Of Utah Research Foundation Water-soluble polymeric bone-targeting drug delivery system
US20070287680A1 (en) * 2004-05-10 2007-12-13 University Of Utah Research Foundation Combined Active and Passive Targeting of Biologically Active Agents
US20110086111A1 (en) * 2009-10-13 2011-04-14 Rexahn Pharmaceuticals, Inc. Polymeric systems for the delivery of anticancer drugs

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4074039A (en) 1970-03-26 1978-02-14 Ceskoslovenska Akademie Ved Hydrophilic N,N-diethyl acrylamide copolymers
CS159937B1 (ja) 1972-02-29 1975-02-28
CS173846B1 (ja) 1974-04-23 1977-03-31
CS173849B1 (ja) 1974-04-25 1977-03-31
GB8500209D0 (en) 1985-01-04 1985-02-13 Ceskoslovenska Akademie Ved Synthetic polymeric drugs
US5258453A (en) 1992-01-21 1993-11-02 University Of Utah Drug delivery system for the simultaneous delivery of drugs activatable by enzymes and light
US7179487B1 (en) 1998-06-19 2007-02-20 University Of Utah Research Foundation Hydrogels of water soluble polymers crosslinked by protein domains
US7098032B2 (en) 2001-01-02 2006-08-29 Mirus Bio Corporation Compositions and methods for drug delivery using pH sensitive molecules
US20040228831A1 (en) * 2003-05-15 2004-11-18 Belinka Benjamin A. Polymeric conjugates for tissue activated drug delivery
WO2007003054A1 (en) * 2005-07-06 2007-01-11 Shoichet Molly S Method of biomolecule immobilization on polymers using click-type chemistry
CN101420984B (zh) * 2006-02-21 2013-01-02 尼克塔治疗公司 嵌段可降解聚合物及由其制备的轭合物
US20090171455A1 (en) * 2007-12-31 2009-07-02 Boston Scientific Scimed, Inc. Biodegradable polymers
CN102105157B (zh) 2008-05-22 2015-09-30 特拉维夫大学拉莫特有限公司 聚合物、抗血管生成剂和靶向部分的缀合物及其在制备用于治疗骨相关血管生成状况的药物中的用途
WO2011112482A2 (en) * 2010-03-08 2011-09-15 University Of Utah Research Foundation Polymeric drug delivery conjugates and methods of making and using thereof

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050287114A1 (en) * 2003-01-06 2005-12-29 University Of Utah Research Foundation Water-soluble polymeric bone-targeting drug delivery system
US20070287680A1 (en) * 2004-05-10 2007-12-13 University Of Utah Research Foundation Combined Active and Passive Targeting of Biologically Active Agents
US20110086111A1 (en) * 2009-10-13 2011-04-14 Rexahn Pharmaceuticals, Inc. Polymeric systems for the delivery of anticancer drugs

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015008182; Journal of controlled release vol. 60, no.2-3, 1999, p.321-332 *

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019152674A (ja) * 2013-09-17 2019-09-12 ビオメリューBiomerieux ビタミンd結合タンパク質からビタミンdを解離するための溶液、その関連検出法及び使用
JP2020121981A (ja) * 2014-02-21 2020-08-13 エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ(ウペエフエル)Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL) 糖標的化治療剤
WO2016035223A1 (ja) * 2014-09-02 2016-03-10 東亞合成株式会社 周期的に官能基を備えるビニル系重合体及びその製造方法
JPWO2016035223A1 (ja) * 2014-09-02 2017-08-10 東亞合成株式会社 周期的に官能基を備えるビニル系重合体及びその製造方法
JP2019534889A (ja) * 2016-10-14 2019-12-05 ユニヴァーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション 抗体−ポリマー−薬物コンジュゲート
JP7390000B2 (ja) 2016-10-14 2023-12-01 ユニヴァーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション 抗体-ポリマー-薬物コンジュゲート
JP2018065968A (ja) * 2016-10-21 2018-04-26 株式会社日本触媒 チオール基含有イオン性高分子化合物及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5944836B2 (ja) 2016-07-05
US20130156722A1 (en) 2013-06-20
US9289510B2 (en) 2016-03-22
WO2011112482A3 (en) 2011-12-08
WO2011112482A2 (en) 2011-09-15
EP2544701B1 (en) 2019-08-14
EP2544701A4 (en) 2016-03-02
EP2544701A2 (en) 2013-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5944836B2 (ja) 高分子薬物送達結合体ならびにその製造および使用方法
JP6013424B2 (ja) Hpma−ドセタキセルコンジュゲートおよびその使用
JP2620517B2 (ja) 重合性薬剤
EP0673258B1 (en) Polymer-bound camptothecin derivatives
EP0955064B1 (en) Process for producing drug complexes
US20030171262A1 (en) Drug complex
EP2063914B1 (en) Grafted macromolecular conjugates of doxorubicin with anticancer activity and method of their preparation
JP5749273B2 (ja) 抗がん剤送達のためのポリマー系
MX2009002857A (es) Enlazadores polimericos basados en lisina.
US20030195152A1 (en) Polymeric conjugates of antitumor agents
EP2512521B1 (en) Dendritic high-molecular-weight polymer drug carriers and their conjugates with drugs especially for treatment of solid tumours
JP5105166B2 (ja) ポリエーテルの製造方法
JP5189243B2 (ja) 薬物複合体および薬物送達用担体
Özer Investigation of antibody-dye conjugates
RU2493848C1 (ru) Биодеградируемый полимерный носитель для доставки противоопухолевого лекарственного средства (варианты)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150918

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20151218

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160427

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160526

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5944836

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250