JP2013522205A - 高分子薬物送達結合体ならびにその製造および使用方法 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
本出願は、2010年3月8日に出願された米国仮特許出願第61/311,459号に対する優先権を主張する。本出願は、その教示の全てについて、参照によってその全体が本明細書に援用される。
本明細書に記載されるペプチドは、配列番号(SEQ ID NO)によって参照される。配列番号は、数値的に、配列識別子<400>1、<400>2などに対応する。書面によるコンピューター可読フォーマット(CFR)の配列表は、参照によってその全体が援用される。
本発明につながる研究は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)(NIH)認可番号GM069847、EB005288、CA51578、およびCA132831によって一部資金提供を受けた。アメリカ政府は、本発明における特定の権利を有する。
従来の合成ポリマー−薬物結合体(コンジュゲ―ト)は低分子量薬物を上回る多数の利益を提供するが、合成ポリマー薬物キャリア(例えば、HPMAまたはPEG)の分子量は、腎閾値によって制限される。この結果、糸球体ろ過による結合体の急速な排除が起こり、循環時間が短くなり、そして血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果による腫瘍組織における蓄積が非効率的になる。
本明細書には、生物活性剤を被験者に効果的に送達するための生分解性薬物送達結合体が記載されている。薬物送達結合体は、第1の(すなわち、主鎖)切断可能なリンカーによって互いに結合された複数の線状水溶性高分子セグメントを含む水溶性高分子量線状生分解性ポリマー骨格を含み、生物活性剤は、少なくとも1つの水溶性高分子セグメント、少なくとも1つの切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに共有結合されている。本結合体は、従来技術の送達結合体を上回る多数の利点を有する。また本明細書には、結合体を製造および使用するための方法も記載されている。以下に記載される利点は、特許請求の範囲において特に指摘される要素および組み合わせを用いて、実現および達成されるであろう。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明がいずれも単に例示的および説明的なものに過ぎず、限定的なものではないことは理解されるべきである。
本明細書中に援用されて本明細書の一部を構成する添付図面は、以下に記載されるいくつかの態様を示す。
本発明の化合物、組成物、および/または方法を開示および説明する前に、以下に記載される態様が特定の化合物、合成方法、または使用に制限されず、従って、当然ながら変わり得ることは理解されるべきである。また、本明細書中で使用される用語が特定の態様だけを説明するためのものであり、限定することを意図しないことも理解されるべきである。
Xは、OまたはNR2であり、ここで、R2は水素またはアルキル基であり、
Lは、アルキル基、アリール基、またはシクロアルキル基であり、そして
Yは、親水基である)
を有する水溶性モノマーを使用して、水溶性高分子セグメントを生成することができる。
−(AA1)−K−(AA2)− (III)
を有し、式中、
AA1およびAA2は、6個までのアミノ酸を含む同一または異なるアミノ酸配列であり、そして
Kは、リジン、オルニチン、またはジアミン(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)である。AA1およびAA2は、上記の任意のアミノ酸配列であり得る。
R1は、水素またはメチルであり、
Xは、OまたはNR2であり、ここで、R2は水素またはアルキル基であり、
L1は、第2の(すなわち、側鎖)切断可能なリンカーであり、そして
Zは、生物活性剤である。
以下の実施例は、本明細書において記載および請求される化合物、組成物、および方法がどのように製造および評価されるかについての完全な開示および説明を当業者に提供するように提示されており、単に例示であることが意図され、本発明者らが本発明であると考えるものの範囲を限定することは意図されない。数(例えば、量、温度など)に関する正確さを保証するための努力が成されているが、いくらかの誤差および偏差は説明されるべきである。他に示されない限り、部は重量部であり、温度は℃で示されるか周囲温度であり、圧力は大気圧またはその付近である。記載されるプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用され得る反応条件、例えば、成分濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力および他の反応範囲および条件には、多数のバリエーションおよび組み合わせがある。このようなプロセス条件を最適化するために、合理的で日常的な実験が必要とされるのみであろう。
実施例1. MA−GFLG−ゲムシタビンの合成
N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシル−チアゾリジン−2−チオン(MA−GFLG−TT)の合成
窒素雰囲気下、MA−GFLG−OH(129mg、0.28mmol)、パクリタキセル(200mg、0.23mmol)およびDMAP(50mg、0.41mmol)を無水DMF(1.0mL)中に溶解させた。溶液を0℃で15分間攪拌し、DMF(1.0mL)中のDCC(200mg、0.97mmol)を液滴で添加し、溶液を4℃で24時間攪拌した。反応溶媒を減圧下で回転蒸発により除去した。EtOAc(50mL)を添加し、DCUをろ過により除去し、溶液をKHSO4水(0.1M)、NaHCO3(1M)、そして次にNaCl水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。溶液を回転蒸発により除去した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、200〜400メッシュ、EtOAc:CH3OH、15:1)により粗生成物を精製して、白色固体を68%の収率で得た(206mg、1.5mmol)。構造は、1HNMR分光法およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間(MALDI−TOF)質量分析によって確認した。MALDI−TOF MS:m/z1318.68([M+Na]+)。
実施例5. 鎖末端修飾のための4,4’−アゾビス(N,N’−プロパルギル−4−シアノペンタンアミド)(ジアルキン−V−501)の合成(スキーム2)
窒素雰囲気下、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(CTP、500mg、1.78mmol)、プロパルギルアミン(201.04mg、3.65mmol)およびHOBt(499.9mg、3.7mmol)を無水DMF(15mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、DIPEA(646mg、5.0mmol)を添加してから、HBTU(1.4g、3.7mmol)を添加した。溶液を氷浴中で30分間、そして室温で一晩攪拌した。反応の後、EtOAc(100mL)を添加し、有機溶液をNaHCO3水(飽和)およびHCl(1M)、次にNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO4)させ、回転蒸発により15mLまで濃縮した。EtOAcおよびエーテルによる再結晶によって75%の収率で最終生成物を得た。1HNMR(300MHz、CDCl3、δ(ppm)):1.44(s,3H,CH3)、1.72(s,3H,CH3)、2.21(m,2H,CH)、2.23−2.44(m,8H,CNCCH2CH2CO)、4.04(m,4,NHCH2C)、6.14(s,1H,NH)、6.19(s,1H,NH)。13CNMR(75MHz、CDCl3、δ(ppm)):207.33、207.28、155.81、155.66、118.46、110.61、109.47、109.40、70.41、67.31、67.20、65.45、60.76、60.45。
4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(V−501、1g、3.6mmol)、3−アジドプロパノール(1.08g、10.7mmol)およびDMAP(0.35g、2.9mmol)をDCM/THF(10/10mL)中に溶解させ、4℃まで冷却した。10mLのDCM中のDCC(1.62g、7.9mmol)を液滴で添加した。添加の後、反応混合物を4℃で一晩、次に室温で1時間攪拌した。反応の完了後、2滴の酢酸を反応混合物に添加し、攪拌を30分間続けた。DCUをろ過により除去し、溶媒を回転蒸発により除去した。シリカゲルクロマトグラフィ(シリカゲル60Å、200〜400メッシュ、酢酸エチル/ヘキサン1/1)によって残渣を精製した。収量1.5g。構造は、1H−NMRおよび13C−NMR分光法によって確認した。1H−NMR(CDCl3、δ、ppm):4.17(m,4H,−COOCH2)、3.37(m,4H,N3CH2)、2.60−2.30(m,8H,CO−CH2CH2−C)、1.89(m,4H,C−CH2−C)、1.68(d,6H,CH3)。13C−NMR(CDCl3、δ、ppm):171.16、117.42、71.76、62.01、48.07、33.05、29.01、27.97、23.86。
窒素雰囲気下、5−ヘキシン酸(1.0g、8.9mmol)、HBTU(3.41g、9.0mmol)およびHOBt(1.22g、9.0mmol)を無水DMF(20mL)中に溶解させた。溶液を氷浴中で5分間攪拌し、DIPEA(1.94g、15mmol)を添加した。溶液を氷浴中で5分間攪拌してから、システアミン(694.35mg、9.0mmol)を添加し、溶液を室温で一晩5時間攪拌した。次に、EtOAc(50mL)を添加し、有機溶液をNaHCO3水(飽和)およびHCl(1M)、次にNaCl水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO4)させ、回転蒸発により15mLまで除去した。EtOAcからの再結晶によって78.5%の収率で化合物1を得た。1HNMR(300MHz、CDCl3、δ(ppm)):1.84(m,2H,CCH2CH2CH2CO)、1.95(s,2,CH)、2.22(m,2H,CCH2CH2CH2CO)、2.34(m,2H,CCH2CH2CH2CO)、2.82(m,2H,SHCH2CH2)、3.55(m,2H,SHCH2CH2)、6.46(s,1H,NH)。13CNMR(75MHz、CDCl3、δ(ppm)):172.84、83.48、69.17、38.40、37.72、34.88、24.13、17.87。
CTP−GFLG−アルキンは、固相ペプチド合成(SPPS)方法論を用いて合成した。Dde−Lys(Fmoc)−OH(351mg、0.64mmol)を、282μLのDIPEAを含む5mLのDCM中に溶解させてから、1gの塩化2−クロロトリチル樹脂(1.29mmol/g)を含有するバイアルに添加した。バイアルを緩やかに1.5時間振とうさせ続けた。樹脂をポリプロピレン管に移し、DCM:MeOH:DIPEA(17:2:1)の混合物で洗った(20mL×4)。次に、樹脂をDCMおよびDMFによりそれぞれ3回洗浄した。DMF中20%のピペリジン10mLによりFmoc基を除去した(5分×3)。HBTU(2.4×、586mg)およびDIPEA(5×、3.2mmol、570μL)の存在下でヘキシン酸(2.5×、1.6mmol)をカップリングさせ、アルキン基を導入した。DMF中3%のヒドラジン10mL(5分×3)によりDde基を除去した後、HBTU/DIPEA手順を用いて、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHと順次カップリングさせることによって、テトラペプチドGFLGによる延長を達成した。ニンヒドリン試験(Kaiser試験としても知られている)を用いて、各カップリングおよび脱保護ステップの完了を確認した。ペプチドのN末端を、DIC/HOBtの存在下、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート(1.6mmol、0.45g)でキャップした。ビーズをTFE/DCM混合物(3:7)で2時間処理した。樹脂をろ過により除去した。ろ液を減圧下で濃縮し、メタノール溶液をエーテル中に沈殿させることによって精製した。ピンク色の粉末が得られた。構造は、MALDI−ToF−質量スペクトルによって検証した([M+H+]876.41)。純度は、RP−HPLCにより決定した。
酵素感受性ペプチドを含有するテレケリック型連鎖移動剤は、塩化2−クロロトリチル樹脂においてSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。Fmoc−Lys(Dde)−OHを第1のアミノ酸としてビーズに負荷した(0.5g、0.19mmol負荷)。DMF中20%のペプリジン(pepridine)によりFmoc基を除去した後、アジド安息香酸をリジンのα−NH2にカップリングさせた。次に、DMF中3%のヒドラジンによってε−Dde基を除去した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のペプリジン(pepridine)を用いることにより、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いて、連鎖移動剤4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートをグリシンのアミノ基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、ペプチドを単離した。収量85mgの生成物。1H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。1H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.62(s,1H,−COOH)、8.45(t,1H,Ph−CONH)、8.28(q,1H,CONH)、8.10(m,2H,CONH)、8.02(m,1H,CONH)、7.97(d,1H,CONH)、7.88(m,4H,Ph−H)、7.68(t,1H,Ph−H)、7.50(t,2H,Ph−H)、7.21(m,7H,Ph−H)、4.51(m,1H,Phe−CH)、4.25(m,1H,Leu−CH)、4.17(m,1H,Lys−CH)、3.71−3.56(m,4H,Gly−CH2)、3.21(m,2H,Lys−NH−CH2)、3.03(m,1H,Phe−CHH)、2.76(m,1H,Phe−CHH)、2.50−2.35(m,4H,CTA−CH2CH2)、1.88(s,3H,CTA−CH3)、1.73−1.30(m,9H,Lys−C−CH2CH2CH2−C、Leu−CH2CHMe2)、0.88−0.81(dd,6H,Leu−Me)。
酵素感受性ペプチドを含有するテレケリック型連鎖移動剤は、塩化2−クロロトリチル樹脂におけるSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。第1のアミノ酸としてFmoc−Lys(Dde)−OHをビーズに負荷した(0.5g、0.19mmol負荷)。DMF中20%のピペリジンによりFmoc基を除去した後、アジド安息香酸をリジンのα−NH2にカップリングさせた。次に、DMF中3%のヒドラジンによってε−Dde基を除去した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることにより、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いて、連鎖移動剤4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートをグリシンのアミノ基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、ペプチドを単離した。収量85mgの生成物。1H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。1H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.62(s,1H,−COOH)、8.45(t,1H,Ph−CONH)、8.28(q,1H,CONH)、8.10(m,2H,CONH)、8.02(m,1H,CONH)、7.97(d,1H,CONH)、7.88(m,4H,Ph−H)、7.68(t,1H,Ph−H)、7.50(t,2H,Ph−H)、7.21(m,7H,Ph−H)、4.51(m,1H,Phe−CH)、4.25(m,1H,Leu−CH)、4.17(m,1H,Lys−CH)、3.71−3.56(m,4H,Gly−CH2)、3.21(m,2H,Lys−NH−CH2)、3.03(m,1H,Phe−CHH)、2.76(m,1H,Phe−CHH)、2.50−2.35(m,4H,CTA−CH2CH2)、1.88(s,3H,CTA−CH3)、1.73−1.30(m,9H,Lys−C−CH2CH2CH2−C、Leu−CH2CHMe2)、0.88−0.81(dd,6H,Leu−Me)。
ジアルキン修飾を有する酵素分解可能なペプチド、HC≡C−GFLG−C≡CH(a)およびHC≡C−QSFRFK−C≡CH(b)のSPPS合成(スキーム8)
Fmoc−Lys(ivDde)−OHを第1のアミノ酸残基として用いて、2つの遊離アミン基を導入した。保護基(Fmoc−およびivDde−)を選択的に除去し、一方を使用してペプチドのC末端にアルキン基を導入し、他方はペプチド配列を構成する働きをした。N末端におけるアルキンの取込みは、標準的なカップリングプロトコールを用いて5−ヘキシン酸によるペプチドのアシル化によって達成した(DMF中−COOH/DIPEA/HATU)。次に、樹脂を3×DMF、3×DCMおよび3×MeOHで順次洗浄し、真空下で乾燥させた。得られた樹脂結合ペプチドを樹脂から切断し、TFA:H2O:TIS(95:2.5:2.5)カクテルを用いて側鎖を保護した。30分間で50%から100%までのBの勾配(ここで、緩衝液Aは水中0.1%のTFAであり、緩衝液Bは90:10(v/v)メタノール/水中0.1%のTFAである)を用いて、RP−HPLC(Agilent Technologies 1100、セミ分取用Zorbax 300SB-C18カラム、250×9.4mm、細孔サイズ300Å、粒径5μm、流速2.5mL/分)によって、粗製ペプチドを精製した。生成物の純度は、分析RP−HPLCによって検証した。構造は、MALDI−TOF質量分析(Voyager-DE STR Biospectrometry Workstation, Perseptive Biosystems)によって確かめた。
Fmoc−L−Lys(Boc)−OH(5.0g、10.3mmol)をCH3OH(50mL)中に溶解させた。溶液を−15℃で5分間攪拌してから、SOCl2(1.4g、12mmol)を液滴で添加した。溶液を0℃で30分間、そして60℃でさらに3時間攪拌した。後処理の後、200mLのエーテルを添加し、結晶化により96.7%の収率で化合物2を得た。
テレケリック型のアジド基官能化酵素感受性ペプチドは、塩化2−クロロトリチル樹脂におけるSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることにより、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた(0.4g、0.15mmol負荷)。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いてアジド安息香酸をグリシル残基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、ペプチドを単離した。収率128mg(65%)。1H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。1H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.53(s,1H,−COOH)、8.76(t,2H,Ph−CONH)、8.17−7.82(m,14H,CONH、Ph−H)、7.19(m,14H,Ph−H)、4.53(m,2H,Phe−CH)、4.34−4.17(m,4H,Leu−CH,Ala−CH)、4.16(m,1H,Lys−CH)、3.90−3.62(m,8H,Gly−CH2)、3.00(m,4H,Phe−CHH,Lys−NH−CH2)、2.79(m,2H,Phe−CHH)、1.68−1.26(m,12H,Lys−C−CH2CH2CH2−C,Leu−CH2CHMe2)、1.62(t,6H,Ala−CH3)、0.87−0.81(dd,12H,Leu−Me)。
テレケリック型のマレイミド基官能化酵素感受性ペプチドは、塩化2−クロロトリチル樹脂におけるSPPS方法論および手動Fmoc/tBu戦略によって合成した。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いて、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Phe−OHおよびFmoc−Gly−OHを連続的にビーズにカップリングさせた(0.1g、0.04mmol負荷)。脱保護の後、ヘテロ二官能性薬剤のSMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)をグリシル残基にカップリングさせた。DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、生成物を単離した。収率38mg(76%)。1H−NMR分光法によってペプチドを特徴付けた。1H−NMR(DMSO−d6、δ、ppm):12.62(s,1H,−COOH)、8.14−7.15(m,20H,CONH,Ph−H)、7.00(s,4H,−CH=CH−)、4.48(m,2H,Phe−CH)、4.25(m,2H,Leu−CH)、4.16(m,1H,Lys−CH)、3.74−3.50(m,8H,Gly−CH2)、3.22(d,4H,CH2−シクロヘキサン)、3.01(m,4H,Phe−CHH,Lys−NH−CH2)、2.77(m,2H,Phe−CHH)、2.08(m,4H,シクロヘキサン中の4CH)、1.68−1.15(m,28H,Lys−C−CH2CH2CH2−C、Leu−CH2CHMe2、シクロヘキサン中の8CH2)、0.87−0.80(dd,12H,Leu−Me)。
実施例15. HPMA RAFT重合によるアルキン−テレケリック型ポリHPMA(HC≡C−ポリHPMA−C≡CH)の合成(スキーム12)
HPMAと、ジアルキン官能化CTA(CTA1)とのRAFT重合。HPMA(0.1g、0.7mmol)およびCTA1(2.88mg、0.007mmol)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、0.5mLの脱気蒸留水を添加し、その後、蒸留水中の開始剤V−501溶液(0.1mL中0.4mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、70℃で12時間重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。テレケリック型ポリHPMAを真空下で乾燥させた。収量95mg。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw14kDa、PDI1.02)。
生分解性マルチブロックポリHPMAをクリック反応により合成した。アルキン−テレケリック型ポリHPMA(50mg、Mw14kDa、Mw/Mn1.03)およびアジド末端ペプチドをDMF中のL−アスコルビン酸(0.5×、0.6mg)の200μLの脱気溶液中に溶解させた。窒素雰囲気下、DMF中のCuBr(1×、1mg)の溶液50μLを添加した。反応混合物を室温で48時間攪拌し続けた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、10mMのEDTA溶液に対して、そして次に水中での透析によって精製して銅塩を除去し、そして凍結乾燥させた。収量42mgのクリック生成物。S6分取用カラムによる分画の後、Mw352kDa、Mw/Mn1.2を有するポリマーを得た。
ポリマー骨格中にGFLG配列を含有するマルチブロックポリHPMAの分解は、モデル酵素としてパパインを用いて、McIlvaine緩衝液(50mMのクエン酸/0.1Mのリン酸)中、pH6.0、37℃において実施した。0.05mg/mLの濃度(280nmでUVにより決定)のパパインを、5mMのグルタチオンで5分間還元した。酵素活性は、色素生産性基質としてBz−PheValArg−NApを用いて確認した。ポリマー(3〜10mg)を酵素溶液中に溶解させ(3mg/mL)、37℃で保持した。所定の時点で、移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィにより媒体を分析した。37℃のクエン酸−リン酸緩衝液(pH6.0)中0.14mg/mLのパパインによるマルチブロックコポリマー(選択画分、Mw=291kDa、Mw/Mn=1.11)のインキュベーションの結果、マルチブロックコポリマー骨格中のオリゴペプチド配列が完全に分解し、初期分子量(Mw=41.7kDa、Mw/Mn=1.04)を有するポリマーが形成された(図2)。
HPMAのRAFT重合。HPMA(0.5g、3.5mmol)およびCTP−GFLGK−アルキン(CTA2、17mg、0.019mmol)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルでアンプル中の酸素を除去した後、2.5mLの脱気水を添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中1.78mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で20時間重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。ポリマー(ポリHPMA)を真空下で乾燥させ、ピンク色の粉末として単離した。収量0.42g。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw33.1kDa、PDI1.04)。
マイクロ波に支援されたクリック反応による鎖延長。ヘテロテレケリック型N3−ポリHPMA−C≡CH(20mg)を100μLの脱気L−アスコルビン酸(0.25×、0.026mg)のDMF溶液中に溶解させた。窒素雰囲気下、100μLのCuBr(0.5×、0.044mg)のDMF溶液を添加した。反応混合物を36Wのマイクロ波反応器(Biotage)に30分間入れた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、10mMのEDTA溶液に対する透析によって精製して銅塩を除去し、そして乾燥させた。収量16mgのクリック生成物。ポリマーをSECにより分析した。結果は、残存モノマー(33.7kDa)に加えて、テトラマー(Mw121.1kDa)およびダイマー(Mw69.6kDa)に関する3重のピークを示した。個々の量体(mer)は、クロマトグラフィカラムにおいて分離され、狭い分子量分布の画分をもたらすであろう。
HPMAと、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(APMA)とを共重合させることによって、側鎖アミノ基を含有するHPMAコポリマー(P−NH2)を生成した。HPMA(88mg)、APMA(12mg、10モル%)、CTP−GFLGK−アルキン(CTA2、3.8mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、0.5mLの脱気H2Oを添加し、その後、メタノール中の開始剤V−501溶液(50μL中0.36mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、70℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−NH2)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)において、ポリマーをSECにより分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。アミノ基の含量は、ニンヒドリンアッセイによって決定した。鎖延長は、実施例19と同様の手順に従って行われるであろう。
ペンダントアミノ基を含有するテレケリック型HPMAコポリマー(P−NH2)をまず実施例20に記載されるように合成した。トリエチルアミンの存在下DMF中でSMCCとの反応によるFab’とのコンジュゲ―ションのために、アミノ基をマレイミド基に定量的に転換した。コポリマー中のマレイミドの量は、修正されたEllmanアッセイを用いて決定した。次に、Fab’断片(OV−TL16抗体由来)はキャリアに結合され得る。ポリマー前駆体を20mMのMES緩衝液pH6.5中に溶解させ、新たに調製されたFab’断片と4℃の暗所で一晩反応させる(ポリマー:Fab’重量比=1:2)ことによって、標的結合体が調製されるであろう。生成物は、0〜0.5MのNaCl濃度勾配で20mMのビス−トリス緩衝液pH6.5を用いて溶出されるDEAE Sepharose Fast Flowイオン交換カラム(Pharmacia)において精製されるであろう。結合体に相当する画分は、Superose 6(HR10/30)カラムを用いて、SECによって単離されるであろう。Fab’断片のポリマー前駆体へのコンジュゲ―ションの後、標的部分(Fab’)を含有するヘテロテレケリック型HPMAコポリマーを、抗癌剤を含有する同一の構成要素または別のヘテロテレケリック型HPMAコポリマーと共に延長させ、標的生分解性マルチブロックHPMAコポリマーベースのポリマー治療薬を生成することができる。
HPMAと、チアゾリジン−2−チオン(TT)の重合性誘導体との共重合によって、
側鎖反応基を含有するHPMAコポリマーを生成した。HPMA(0.3g)、MA−GFLG−TT(60mg、5モル%)、CTP−GFLGK−アルキン(CTA2、12.5mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2mLの脱気MeOHを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.6mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で24時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−TT)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるSECによってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw=16kDa、PDI=1.02)。メタノール中でのUV分光光度法によって決定されるコポリマー中のTTの含量は5.3%であった(ε305=10,800Lmol−1cm−1)。
抗癌剤白金酸塩を含有するHPMAコポリマー(P−Pt)を2段階プロセスで生成した。まず、HPMAと、重合性マロン酸誘導体、MA−GFLG−diCOOHとの共重合によってポリマー前駆体を得た。次に、白金剤をポリマー前駆体とキレート化して、薬物−ポリマー体を形成した。
ジアミノシクロヘキシル(DACH)PtキレートDACHPt(OH2)2(P. Sood et al., Bioconjugate Chem. 2006, 17, 1270-1279)は、少量の5%のHNO3を含有する水中(pH<2)でのHPMAコポリマーと、DACHPt(NO3)2との反応によって調製されるであろう。反応混合物は、70℃で1時間攪拌され得る。HPMAコポリマーP−diCOOHは、水中に溶解され得る。溶液のpHは2MのNaOHによって12.6に調整され、30分間保持され得る。次に、5%のHNO3をゆっくり添加することによって溶液はpH7.4に調整され得る。白金化溶液は、激しく攪拌しながら添加され得る。pHは2MのNaOHを用いて5.2に調整されて維持され、2時間攪拌され得る。次に、pHは2MのNaOHを用いて7.4に調整され、38℃で17時間攪拌され得る。反応の後、生成物は精製され、凍結乾燥され得る。
HPMAと、薬物のMA−GFLG−ゲムシタビンの重合性誘導体との共重合によって、抗癌剤ゲムシタビンを含有するHPMAコポリマー(P−ゲムシタビン)を生成した。HPMA(160mg)、MA−GFLG−ゲムシタビン(40mg、5モル%)、CTP−GFLG−アルキン(CTA2、6.68mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2.5mLの脱気MeOHを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.72mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、60℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−ゲムシタビン)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるSECによって、ポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。ゲムシタビンの含量をUVにより測定した。メタノール中でのUV分光光度法によって決定されるコポリマー中のゲムシタビン(gem)の含量は5.4%であった(ε305=5710Lmol−1cm−1)。鎖延長は、実施例19と同様の手順に従って行われるであろう。
抗癌剤ゲムシタビンおよび標的Fab’断片(抗PSMA(前立腺特異的膜抗原)抗体に由来)を含有するHPMAコポリマーは、3段階で生成されるであろう。まず、実施例20に記載されるように連鎖移動剤としてCTP−GFLG−アルキン(CTA2)および開始剤としてV−501を用いて、HPMA(129mg、0.9mmol)、MA−GFLG−ゲムシタビン(49mg、0.07mmol)およびAPMA(5.4mg、0.03mmol)が70℃においてDMSO/H2O中で重合され得る。ジアジド−V−501による末端修飾の後、ポリマーはSMCCと反応されて、側鎖マレイミド官能基が導入された後、実施例21に記載されるようにチオール−マレイミド反応によって、Fab’(1F5抗CD20抗体に由来)とのコンジュゲ―ションが行われ得る。鎖延長は、実施例19の手順に従って行われるであろう。
実施例22に記載されるように、HPMAと、薬物の重合性誘導体と、白金による錯体化に適したマロン酸を含有するコモノマーとの共重合によって、抗癌剤ゲムシタビンおよび白金酸塩の前駆体を含有するHPMAコポリマー(P−ゲムシタビン−diCOOH)を生成した。HPMA(160mg)、MA−GFLG−ゲムシタビン(22mg、2.5モル%)、MA−GFLG−diCOOH(18mg、2.5モル%)、CTP−GFLGK−アルキン(CTA2、6.68mg)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2.5mLの脱気MeOHを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.72mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーが得られ、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。コポリマー(P−ゲムシタビン−diCOOH)を実施例18に記載される手順に従って末端修飾した。白金は、実施例22に記載されるようなポリマーと錯体化されるであろう。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)において、ポリマーをSECにより分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。ゲムシタビンの含量はUVにより測定し、マロン酸の含量は滴定によって測定した。鎖延長は、実施例18と同様の手順に従って行われるであろう。
側鎖中の反応性TT基と、Ptの錯体化のための付着部位とを含有するHPMAコポリマーを、HPMAと、2つのコモノマーとの共重合によって生成した。HPMA(166mg)、MA−GFLG−diCOOH(17mg、2.5モル%)、MA−GFLG−TT(17mg、2.5モル%)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、2.5mLの脱気メタノールを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.72mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、65℃で20時間共重合を実施した。アセトン中への沈殿によってポリマーを単離し、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。真空下で乾燥させた後、コポリマーをオレンジ色の粉末として単離した。コポリマー(P−TT−diCOOH)を実施例18に記載される手順に従ってさらに末端修飾し、移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose6 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるSECによって分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した。鎖延長は、実施例19と同様の手順に従って行われるであろう。
HPMAとアジド官能化CTA(CTA3)とのRAFT重合。HPMA(0.1g、0.7mmol)およびCTA3(3mg、0.008mmol)を含有するアンプルをSchlenkラインにつないだ。3回の真空−窒素サイクルで酸素を除去した後、0.5mLの脱気メタノールを添加し、その後、メタノール中の開始剤AIBN溶液(0.1mL中0.5mg)をシリンジで添加した。アンプルを密封し、60℃で20時間重合を進行させた。アセトン中への沈殿によってポリマーを単離し、メタノール中での再溶解−アセトン中での沈殿をさらに2回行うことにより精製した。ポリHPMAを真空下で乾燥させ、ピンク色の粉末として単離した。収量60mg。移動相としてPBS(pH7)を有するSuperose12 HR/10/30カラムを用いて、miniDAWN TREOSおよびOptilabEX検出器(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を備えたAKTA FPLCシステム(Pharmacia)におけるサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によってポリマーを分析した。ポリマーの平均分子量は、光散乱、UV、RIにより決定し、ASTRAソフトウェアにより計算した(Mw26kDa、PDI1.02)。
生分解性マルチブロックポリHPMAをクリック反応により合成した。アジド−テレケリック型ポリHPMA(15mg)およびアルキン末端ペプチドGFLGK(実施例11)をDMF中のL−アスコルビン酸(0.25×、0.07mg)の100μLの脱気溶液中に溶解させた。窒素雰囲気下、DMF中のCuBr(0.5×、0.1mg)溶液50μLを添加した。反応混合物を80℃で一晩攪拌し続けた。ポリマーをアセトン中に沈殿させ、10mMのEDTA溶液に対して、そして次に対する透析によって精製して銅塩を除去し、そして乾燥させた。収量12mgのクリック生成物。ポリマーをSECにより分析した。結果は、テトラマー(Mw110.8kDa)が少量の中間体(Mw53.4kDaおよび24.8kDa)と共に得られたことを示した。主要画分は、クロマトグラフィカラムにおいて分離されるであろう。
RAFT重合。HPMA(886mg)、MA−GFLG−PTX(245mg)、MA−Tyr(15mg)、(CTP−GFLG)2K(6.6mg)およびAIBN(0.5mg)をメタノール(3.7mL)中に溶解させた。溶液をN2で30分間バブリングし、密封し、55℃で30時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってコポリマーを精製し、次に、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量454mgのピンク色のテレケリック型HPMAコポリマー−パクリタキセル(Mn103kDa、PDI1.05)。
実施例31. CTAとして(CTP−GFLG)2Kを用いるチオール−テレケリック型ポリHPMAの合成およびポリマー鎖延長(スキーム28)
HPMAの重合。HPMA(330mg)、(CTP−GFLG)2K(12mg)およびAIBN(0.5mg)をメタノール(2.8mL)中に溶解させた。溶液をN2で30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、次に、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量156mgのピンク色のポリマー(Mw19.4kDa、PDI1.05)。
チオール−エン反応から得られたマルチブロックポリHPMAの分解は、パパインまたはカテプシンBを用いて、McIlvaine緩衝液(50mMのクエン酸/0.1Mのリン酸)中、pH5.0、37℃において実施した。ポリマー切断研究においてカテプシンBストック溶液(0.35mg/mL)およびパパインストック溶液(0.45mg/mL)を使用した。
共重合。HPMA(98mg)、MA−GFLG−ドセタキセル(16mg、2モル%)、(CTP−GFLG)2K(4.1mg)およびAIBN(0.2mg)をメタノール(1mL)中に溶解させた。溶液をN2で30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量35mgのピンク色のポリマーP−DTX−CTA2(Mw11.6kDa、PDI1.12)。結合体は、1.5モル%のDTX(0.09g/gポリマー)を含有した。
共重合。HPMA(270mg)、MA−GFLG−TT(67mg、6モル%)、(CTP−GFLG)2K(12mg)およびAIBN(0.5mg)をメタノール(3mL)中に溶解させた。溶液をN2で30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量139mgのピンク色のポリマーP−TT−CTA2(Mw19.8kDa、PDI1.07)。
HPMA(140mg)、MA−GFLG−ドセタキセル(12.5mg、1モル%)、MA−GFLG−DOX(9.6mg、1モル%、(CTP−GFLG)2K(11.5mg)およびAIBN(0.4mg)をメタノール(1.4mL)中に溶解させた。溶液をN2で30分間バブリングし、密封し、50℃で30時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。収量65mg組み合わせコポリマー(Mw29.9kDa、PDI1.36)。薬物の含量は、UV−visおよびパパイン切断によって測定した。結合体は、0.96モル%のDOX(0.03g/gポリマー)および0.75モル%のDTX(0.04g/gポリマー)を含有した。
HPMA(90モル%)、MA−GFLG−Dox(5モル%)、MA−NH2HCl(5モル%)、(CTA−GFLG)2K(連鎖移動剤として、10kDaのコポリマーの調製のために適切な量)およびAIBN(CTAの1/5量)をメタノール中に溶解させた。溶液をN2で30分間バブリングし、密封し、50℃で48時間重合させた。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーを精製し、次にアセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。
実施例37. RAFT重合による加水分解的に切断可能なエステル結合のHPMAコポリマー主鎖への導入(スキーム30)
HPMA、5,6−ベンゾ−2−メチレン−1,3−ジオキセパンまたは2−メチレン−1,3−ジオキセパン(モノマーの1重量%)、CTA1(全モノマーの3重量%)およびAIBN(CTAの20重量%)は、メタノール(全モノマーの濃度は15重量%であり得る)中に溶解され得る。溶液はN2で30分間バブリングされ、密封され、50℃で24時間重合され得る。重合の後、ポリマーは、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、次にアセトンで洗浄され、減圧下で乾燥されるであろう。
(1)HDA−CTA
4−シアノジチオ安息香酸。トルエン(200mL)中の4−シアノ安息香酸(10g、68mmol)および五硫化リン(8g、18mmol)の混合物を12時間還流させた。赤色生成物4−シアノジチオ安息香酸を5%のHCl×3および塩水×3で洗浄した。次に、生成物を200mLの5%のNaOH中に抽出し、エーテルおよびベンゼンで洗浄した。
α,ω−ジブロモ−PEGはTHF中に溶解され、0℃に冷却され得る。この溶液に、3当量のシクロペンタジエニドナトリウム(THF中2.0M)がゆっくり添加され得る。混合物は0℃で30分間、そして次に室温で12時間攪拌され得る。得られる混合物は飽和NH4Cl溶液中に注がれ、DCMで抽出され得る。有機相は冷蒸留水で洗浄され、MgSO4上で乾燥され、濃縮され、冷ジエチルエーテル中で沈殿され得る。生成物は捕集され、減圧下で乾燥され得る。
HPMA、コモノマー、HDA−CTAおよびAIBNはメタノール中に溶解され、最終モノマー濃度は13〜15重量%になるであろう。溶液はN2で30分間バブリングされ、密封され、50℃で48時間重合され得る。重合の後、メタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によってポリマーは精製され、次にアセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。α,ω−ジシクロペンタジエニル−PEGおよびジチオエステル終結ポリマー(末端官能基と同等)はDMF中に溶解され、室温で1日間攪拌され得る。ポリマーはメタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
MA−GG−TTの合成は、実施例1におけるMA−GFLG−TTの合成と同様であった。N−メタクリロイルグリシルグリシン(MA−GG−OH)を、触媒量のDMAPの存在下、EDCIによる仲介で、DCM中で2−メルカプトチアゾリンとカップリングさせた。反応の後、MeOH溶液からの再結晶によって生成物を精製した。
MA−GlyGlyValCit−OHは、固相ペプチド合成(SPPS)方法論によって合成されるであろう。カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることによって、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Cit−OHおよびFmoc−Val−OH、そしてその後MA−GlyGly−OHが塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。ペプチドは、TFA:H2O:TIS(95:2.5:2.5)により2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後に単離され、エーテル中で沈殿され、真空下で乾燥され得る。
2アーム型CTA(CTP−Val−Cit)2Kは、実施例10に記載されるものと同一の方法によって合成されるであろう。簡単に言うと、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Cit−OHおよびFmoc−Val−OHは、塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。脱保護の後、カップリング剤としてDICを用いて、連鎖移動剤4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートはバリニル残基にカップリングされ得る。ペプチドは、DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、単離され得る。
テレケリック型のアジド基官能化酵素感受性ペプチドN3−Val−Cit−N3は、実施例12に記載されるものと同一の方法によって合成されるであろう。簡単に言うと、カップリング剤としてHBTU、そして脱保護剤としてDMF中20%のピペリジンを用いることにより、Fmoc保護アミノ酸、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Cit−OHおよびFmoc−Val−OHは、塩化2−Cl−トリチルビーズに連続的にカップリングされ得る。脱保護の後、アジド安息香酸は、カップリング剤としてDICを用いてグリシル残基にカップリングされ得る。ペプチドは、DCM中30%のTFEにより2−Cl−トリチル樹脂から2時間切断した後、単離され得る。ペプチドは、1H−NMRスペクトルによって特徴付けられるであろう。
HPMA(90モル%)、MA−GG−TT(5モル%)、MA−GFLG−Gem(5モル%)、(CTP−Val−Cit)2Kまたは(CTP−Phe−Lys)2KおよびAIBNはメタノール中に溶解され得る。モノマーの濃度は約15重量%になり得る。溶液は、N2で30分間バブリングされ、密封され、50℃で24時間重合され得る。重合の後、ポリマーはメタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
HPMA(90モル%)、MA−GFLG−DTX(5モル%)、MA−GlyGlyValCit−Gem(5モル%)、CTA1(実施例6)およびAIBNはメタノール中に溶解され得る。モノマーの濃度は、約15重量%になり得る。溶液はN2で30分間バブリングされ、密封され、50℃で24時間重合され得る。重合の後、ポリマーはメタノール−アセトン中での3回の溶解−沈殿によって精製され、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥され得る。
多剤耐性ヒト卵巣癌A2780/AD細胞(5×106)をメス胸腺欠損nu/nuマウスの(右側)側腹部に皮下移植した。腫瘍が約1cm2の大きさに達したら、HPMAコポリマー−DOX結合体(25mgのDOXと同等/kg)によりマウスを腹腔内で3回(1、4、および7日目)処置した。
Claims (29)
- 第1の切断可能なリンカーによって互いに結合された複数の線状水溶性高分子セグメントを含む水溶性高分子量線状生分解性ポリマー骨格を含み、生物活性剤が、少なくとも1つの水溶性高分子セグメント、少なくとも1つの切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに共有結合された、薬物送達結合体またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステル。
- 前記結合体が50kDa〜750kDaの分子量を有する、請求項1に記載の結合体。
- 前記水溶性高分子セグメントが40kDa未満の分子量を有する、請求項1に記載の結合体。
- 前記水溶性高分子セグメントが1つまたは複数の不飽和水溶性モノマーの重合生成物を含む、請求項1に記載の結合体。
- R1がメチルであり、XがNHであり、そしてLがC1〜C5メチレン基である、請求項5に記載の結合体。
- Lがメチレン基、エチレン基、またはイソプロピレン基である、請求項6に記載の結合体。
- 前記親水基が、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、SO3H基、または双性イオン基である、請求項4に記載の結合体。
- 前記水溶性モノマーが、N−置換メタクリルアミド、N,N−二置換アクリルアミド、メタクリル酸もしくはアクリル酸の親水性エステル、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、スルホエチルメタクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の結合体。
- 前記水溶性モノマーが、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、N−[3−(N’−ジカルボキシメチル)アミノプロピル]メタクリルアミド(DAMA)、N−メタクリロイルグリシルフェニルアラニルロイシルグリシン−アミノマロン酸(MA−GFLG−diCOOH)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の結合体。
- 前記生物活性剤が、第2の切断可能なリンカーを介して前記水溶性高分子セグメントに連結された、請求項1に記載の結合体。
- 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、酵素、pHの変化、またはこれらの組み合わせによって切断される、請求項1に記載の結合体。
- 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、2〜13個のアミノ酸残基を有するペプチドを含む、請求項1に記載の結合体。
- 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、配列番号1〜22のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1に記載の結合体。
- 前記第1のリンカーが、式III
−(AA1)−K−(AA2)− (III)
(式中、AA1およびAA2は、6個までのアミノ酸を含む同一または異なるアミノ酸配列であり、そして
Kは、リジン、オルニチン、またはジアミンである)
を有する、請求項1に記載の結合体。 - 前記第1および第2の切断可能なリンカーが、pH感受性リンカーを含む、請求項1に記載の結合体。
- 前記pH感受性リンカーが、カルボキシアルキルマレイン酸リンカーまたはアスコルビン酸リンカーである、請求項17に記載の結合体。
- 前記生物活性剤が前記第1の切断可能なリンカーに共有結合され、前記生物活性剤がカップリング反応によって前記切断可能なリンカーに結合された、請求項1に記載の結合体。
- 前記生物活性剤が抗癌剤を含む、請求項1に記載の結合体。
- 前記生物活性剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、白金酸塩(シスプラチン、カルボプラチン、DACH−Pt)、ドキソルビシン、ゲルダナマイシン、または9−アミノカンプトテシンを含む、請求項1に記載の結合体。
- 2つ以上の異なる生物活性剤が前記結合体に共有結合された、請求項1に記載の結合体。
- 前記水溶性高分子セグメント、前記第1の切断可能なリンカー、またはこれらの組み合わせに、標的基が共有結合された、請求項1に記載の結合体。
- 前記標的基が、抗体、抗体断片、糖類、またはエピトープ結合ペプチド、またはアプタマーである、請求項23に記載の結合体。
- 請求項1〜24のいずれか一項に記載の結合体と、薬学的に許容可能なキャリアとを含む医薬組成物。
- 前記組成物が、薬学的に許容可能なキャリアとして無菌水性媒体を含む注射可能な組成物である、請求項25に記載の医薬組成物。
- 生物活性剤を被験者に送達するための方法であって、請求項1〜24のいずれか一項に記載の結合体を前記被験者に投与することを含む方法。
- 請求項1〜24のいずれか一項に記載の結合体の、生物活性剤のための送達デバイスとしての使用。
- 前記水溶性高分子セグメントおよび前記第1の切断可能なリンカーが、アジド−アルキン反応、チオール−エン反応、酸化反応、またはディールス−アルダー反応によって互いにカップリングされる、請求項1に記載の結合体。
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