JP2013518558A - 構造化されたペプチドプロセシング - Google Patents

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Abstract

本発明は、1以上のペプチドリガンドを提供するステップと、ここで、ポリペプチドは分子足場と共有結合を形成する2以上の反応基と、2つの前記反応基間に内在する2以上のアミノ酸からなる配列を含む少なくとも1つのループとを含み;ペプチドリガンドを1以上のプロテアーゼに曝露するステップと;タンパク質分解切断の程度に従ってリガンドを分類するステップとを含む、2以上のアミノ酸残基において分子足場に共有結合しているポリペプチドを含む1以上のペプチドリガンドを修飾するための方法に関する。

Description

本発明は、ペプチドに立体構造を付与する、構造骨格を提供する化合物に結合することによりその構造が制約されるペプチドのプロセシングに関する。特に、本発明は、プロテアーゼ耐性ペプチドを選択するか、または生成された切断産物を選択するための、かかるペプチドのタンパク質分解処理に関する。
生物学的標的に対して高い親和性および特異性をもつ分子の生成は、化学、生物学および薬学における主要な課題である。特に、生物学的過程に介入することのできる結合リガンドは、薬物の創出に重要である。選択された標的リガンドに結合するリガンドの生成は、通常、複数の推定結合分子を生成し、前記分子をその結合特性について試験するプロセスを伴う。
合成分子構造に繋ぎ止められたポリペプチドは、当技術分野で公知である(Kemp,D.S.and McNamara,P.E.,J.Org.Chem,1985;Timmerman,P.et al.,ChemBioChem,2005)。Meloenと共同研究者らは、タンパク質表面を構造的に模倣するために、合成足場の上での複数のペプチドループの迅速かつ定量的な環化にトリス(ブロモメチル)ベンゼンおよび関連分子を使用した(Timmerman,P.et al.,ChemBioChem,2005)。前記化合物を、例えばトリス(ブロモメチル)ベンゼンのように、システイン含有ポリペプチドと分子足場を連結させることにより生成する、候補薬物化合物の生成のための方法は、WO2004/077062号およびWO2006/078161号に開示されている。
WO2004/077062号には、候補薬物化合物を選択する方法が開示されている。特に、この文書は、第1および第2の反応基を含み、前記足場をさらなる分子に接触させて、カップリング反応において足場とさらなる分子との間に少なくとも2つの結合を形成する、様々な足場分子を開示している。
WO2006/078161号には、結合化合物、免疫原化合物およびペプチド模倣薬が開示されている。この文書には、既存のタンパク質から採取したペプチドの様々なコレクションの人為的合成が開示されている。ここでは、これらのペプチドを、コンビナトリアルライブラリーを作成するために導入された、いくつかのアミノ酸変化を有する一定の合成ペプチドと組み合わせる。様々なアミノ酸変化を特色とする別々のペプチドとの化学結合によって多様性を導入することにより、所望の結合活性を見出す機会が増加する。この文書の図7には、様々なループペプチド構築物の合成の模式図が示される。しかし、作製されたペプチドは、単一の特異性を有する。複数のペプチドループが提供される場合、ループは協力して単一の標的に結合する。
本発明者らの同時係属の国際特許出願WO2009098450号において、本発明者らは、合成分子構造に繋ぎ止められたペプチドを選択するための、例えばファージディスプレイなどの生物学的選択技術の使用を開示している。
ポリペプチドレパートリーを含む、ポリペプチドを修飾するためのタンパク質分解処理の使用は、当技術分野で公知である。例えば、GB2428293号(ドマンティス・リミテッド社)には、大部分のファージがペプチドを提示しないように、ファージをプロテアーゼで処理することにより、ファージ上に提示されるペプチドの価数を減少させるための、割合が一価である方法が記載されている。
タンパク質分解に対するそれらの耐性に基づいて、ファージディスプレイされたタンパク質のレパートリーから安定して折りたたまれたタンパク質を選択するための戦略が、天然タンパク質の安定性を向上させるために用いられてきた。タンパク質分解は、通常、折りたたまれていないタンパク質または折りたたまれたタンパク質の高度に柔軟な領域に限定されている。タンパク質分解切断は、ポリペプチド鎖が、プロテアーゼ活性部位の特有の立体化学に適合することを必要とし、そのために柔軟で、接近し易く、局所的に折りたたまれないことが可能であることを必要とするため、折りたたまれたタンパク質は、主にプロテアーゼに対して耐性である。
さらに、プロテアーゼは、例えばFc、FabおよびFv抗体フラグメントの製造において、当技術分野において所望の切断産物の産生のために使用されてきた。
本発明者らは、ファージ上に提示されていてもいなくても、合成の分子足場に繋ぎ止められ、構造化されたポリペプチドを修飾するためにプロテアーゼ消化技術を適合させることができることを見出した。これらの技法は、プロテアーゼ耐性構造化ペプチドの製造だけでなく、複数のポリペプチドが足場に繋ぎ止められたままであるプロテアーゼ切断産物の製造も可能にするものである。
第1の実施形態では:
(a)遺伝学的ディスプレイ系において1以上のペプチドリガンドを提示するステップと、ここで、前記ポリペプチドは、分子足場と共有結合を形成する2以上の反応基と、2つの前記反応基間に内在する2以上のアミノ酸からなる配列を含む少なくとも1つのループとを含み、
(b)前記ペプチドリガンドを1以上のプロテアーゼに曝露するステップと、
(c)前記ペプチドリガンドを標的に対する結合についてスクリーニングし、標的に結合するリガンドを選択するステップと
を含む、2以上のアミノ酸残基において分子足場に共有結合しているポリペプチドを含む、1以上のペプチドリガンドを調製するための方法が提供される。
関連する実施形態では、本発明は:
(a)遺伝学的ディスプレイ系において1以上のペプチドリガンドを提示するステップと、ここで、前記ポリペプチドは、分子足場と共有結合を形成する2以上の反応基と、2つの反応基間に内在する2以上のアミノ酸からなる配列を含む少なくとも1つのループとを含み、
(b)前記ペプチドリガンドを標的に対する結合についてスクリーニングし、標的に結合するリガンドを選択するステップと、
(c)標的に結合する前記ペプチドリガンドを1以上のプロテアーゼに曝露するステップと、
(d)前記ペプチドリガンドを標的に対する結合についてさらにスクリーニングするステップと
を含む、2以上のアミノ酸残基において分子足場に共有結合しているポリペプチドを含む、1以上のペプチドリガンドを調製するための方法を提供する。
適用できる系としては、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームもしくはポリソームディスプレイ、mRNAディスプレイおよび人工マイクロカプセルでのインビトロ発現が挙げられる。mRNAディスプレイ系は、Litovchick et al.,PNAS October 7,2008 vol.105 no.40;15293−15298に記載されている。好ましい技法は、糸状バクテリオファージを用いるファージディスプレイである。
ペプチドリガンドは、1以上の標的と結合する能力により選択される。リガンドは、それらが単一の標的に結合するという点で単一特異性であってもよいし、2以上の異なる標的と結合する能力があるという点で多重特異性であってもよい。多重特異性リガンドは、同時に2以上の異なる標的に結合することのできる開いた構造であってもよいし、いつでも一度に1つの標的としか結合できない閉じた構造であってもよい。
ペプチドリガンドは、分子足場に結合した少なくとも2つの反応基間に内在するアミノ酸配列により形成された、少なくとも1つのポリペプチドループを含む。好ましくは、ペプチドリガンドは2以上のループを含み、3、4またはそれ以上のループを含むこともできる。例えば、ポリペプチドは、3以上の反応基を含んでよく、それらの間には2以上のループが内在する。3つの反応基を含むポリペプチドは、直鎖状の形態の2つのループ、または環状化した場合は3つのループを支持することになる。
本発明の方法の特定の用途は、ペプチドリガンドのレパートリーを作成することである。かかるレパートリーは、例えば、WO2009098450号に記載されるように、ポリペプチドのレパートリーをファージ上に提示させ、その後にそれらを分子足場にコンジュゲートすることにより作成することができる。
タンパク質分解は、リガンド上で原位置(in situ)でペプチドを修飾するために、または、タンパク質分解作用に耐性であるそれらの複合体(conjugate)を選択するために用いることができる。従って、第1の立体配置では、本発明は、プロテアーゼ耐性ペプチドリガンドの選択に関する。かかるリガンドは、プロテアーゼの存在する環境、例えば粘膜表面などにおいて有用である。この立体配置では、本発明は、そのプロテアーゼ耐性に従ってスクリーニングおよび選別することのできる、複合体のレパートリーとともに特に有用である。
レパートリーは、タンパク質分解処理の時点で未処理であってよく、レパートリーから選択されるタンパク質分解耐性メンバーは、タンパク質分解処理後に1以上の標的との結合についてスクリーニングすることができる。
そのような実施形態では、該方法は、好ましくは、所望により、レパートリーを還元剤で処理するステップと、レパートリーをプロテアーゼ耐性についての選択に付すステップと、前記レパートリーを標的に対する結合についてスクリーニングするステップと、標的に結合する第1のレパートリーのメンバーを選択するこステップとをさらに含む。
もう1つの実施形態では、タンパク質分解処理の前に1以上の標的との結合についてレパートリーをスクリーニングすることができる。
そのような実施形態では、該方法は、前記レパートリーを標的に対する結合についてスクリーニングし、プロテアーゼによる処理の前に標的に結合する第1のレパートリーのメンバーを選択するステップと、所望により、選択されたレパートリーを還元剤で処理するステップと、レパートリーをプロテアーゼ耐性についての選択に付すステップと、その後に前記レパートリーを標的との結合についてさらにスクリーニングするステップとをさらに含む。
本発明はさらに、各々のポリペプチドが、分子足場と共有結合した2以上の反応基と、2つの前記反応基間に内在する2以上のアミノ酸からなる配列を含む少なくとも1つのループとを含む、ポリペプチドのレパートリーに関し、そのレパートリーはプロテアーゼ耐性である。
上記のように、そのようなレパートリーは未処理であってもよいし、または1以上の標的との結合について選択されていてもよい。標的結合についての選択は、プロテアーゼ耐性についての選択よりも前に、プロテアーゼ耐性についての選択の後に、またはその両方で行われてよい。
本発明の第2の立体配置によれば、足場の上に固定化された切断ポリペプチドを生成するために、ペプチドリガンドをタンパク質分解で処理してよい。そのような実施形態では、該方法は、プロテアーゼ切断に感受性のあるペプチドリガンドを選択することをさらに含む。
例えば、この手順は、その各々が少なくとも1つの位置において分子足場に結合している、2以上の独立したポリペプチドを含むリガンドを生成することができる。このことにより、ポリペプチドは比較的構造的制約を受けずに済む。
一実施形態では、該方法は、ペプチドリガンドのレパートリーとともに実施され得る。
本発明は、さらに、分子足場と共有結合した1以上の反応基を各々が含む2以上のポリペプチドを各複合体が含む、ペプチドリガンドのレパートリーを提供する。
好ましくは、ペプチドリガンドは、1以上の標的に特異的に結合する能力がある。
好適には、ペプチドリガンドは、多重特異性である。
複合体は、有利には遺伝学的ディスプレイ系、例えばファージディスプレイなどに提示される。
さらなる態様において、本発明は、ペプチドリガンドをプロテアーゼに曝露させることを含む、ペプチドリガンドと1以上の標的との結合を調節するための方法を提供する。
タンパク質分解切断を用いて、プロテアーゼ耐性であるリガンドを選択することができる。かかるリガンドは、プロテアーゼに富む環境で作動させることが必要であり得るような医学的用途において有用である。例えば、本発明のペプチドリガンドは、免疫系の分子のリガンドとして、例えば抗原としての機能を果たすことができる。従ってそれらはワクチン、アジュバントおよび免疫療法薬として有用であり得る。しかし、もう1つの実施形態では、ペプチドの特定のループを切断するように切断を特異的に方向付け、それによりリガンドの結合特性を変化させることができる。
一実施形態では、リガンドの1以上のループは、切断されていない場合のみそれらの指定された標的(1または複数)に結合することができ、足場との結合に構造的に影響され得る。この場合、プロテアーゼ処理を用いて、特定のループによってその指定された標的との結合を防ぐことができる。例えば、ペプチドリガンドが二重特異性である場合、ループの一方または他方を切断して、特異的プロテアーゼ切断部位を所望のループに含め、リガンドを同族のプロテアーゼに曝露することにより、関連標的との結合を防ぐことができる。
そのような実施形態では、特異的プロテアーゼを選択して、1以上の標的に対する1以上のペプチドリガンドの結合活性を調節することができる。よって、所与リガンドは、1以上のループのプロテアーゼ切断により、二重特異性または単一特異性にすることができ得る。
もう1つの実施形態では、リガンドの1以上のループは、切断された場合のみそれらの指定された標的(1または複数)に結合することができ、それらが結合したままである足場からの構造的な制約は実質的にない。この実施形態では、切断を選択的に用いてループとその指定された標的の結合を促進することができる。
DTTによる前処理無し、およびDTTによる前処理あり、およびDTTの後にキモトリプシンによる前処理ありの、環状複合体または非コンジュゲートペプチドとしてのファージクローン10および48(実施例1)とMDM2の結合を示す図である。 MDM2に対する親和性を示す、ペプチドPEP10およびPEP48についての蛍光異方性のプロットを示す図である。実施例1を参照されたい。
別に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、例えばペプチド化学、細胞培養およびファージディスプレイ、核酸化学および生化学の分野などの当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。標準的な技法が分子生物学、遺伝学および生化学的方法に使用され(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology(1999)4th ed.,John Wiley & Sons,Inc.参照)、それらは参照により本明細書に援用される。
本明細書において言及される、ペプチドリガンドとは、分子足場と共有結合したペプチドをさす。一般に、かかるペプチドは、足場と共有結合を形成する能力のある2以上の反応基、および、ペプチドが足場と結合する場合にそれがループを形成するのでループ配列と呼ばれる前記反応基間に内在する配列を含む。
反応基は、分子足場と共有結合を形成する能力のある基である。一般に、反応基はペプチド上のアミノ酸側鎖に存在する。好ましいものは、システイン、リジンおよびセレノシステインなどのアミノ含有基である。
タンパク質分解は、プロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素によるポリペプチドの切断である。適したプロテアーゼとしては、トリプシン(Lys、Argで切断)、キモトリプシン(Phe、Trp、Tyr、Leu)、サーモリシン(小型脂肪族残基)、スブチリシン(小型脂肪族残基)、Glu−C(Glu)、第Xa因子(Ile/Leu−Glu−Gly Arg)、Arg−C(Arg)およびトロンビンが含まれる。一実施形態では、ランダムな可能性のあるレパートリー中のポリペプチド配列は、特定のプロテアーゼの正確な切断部位を生じると保証され得ないので、多様な部位で切断する能力のあるプロテアーゼが使用される。
特定の配列の切断を必要とする場合、より特異的なプロテアーゼを使用することができる。特異的なプロテアーゼは、下にさらに記載される。
プロテアーゼ耐性は、タンパク質分解切断に対する耐性の増加を示すために使用される。例えば、かかる耐性は、ペプチドの一次配列、またはポリペプチド骨格の修飾によって達成することができる。例えば、一次配列中の変化は、その変化が標的結合の主要な接触を行う残基を含まない限り、プロテアーゼの切断部位を除去することができる。ファージ上に提示されたペプチドを用いて、核酸にコードされる20アミノ残基のうちの1つで最も容易に変更がなされる。化学合成により作成したペプチドを用いて、一連のその他の側鎖を使用することができる(例えばリジンをオルニチンに、またはアルギニンをシトルリンに変化させることなど)。
好ましくは、プロテアーゼ耐性ペプチドは、2、3、4、5、10、20回またはそれ以上、未修飾ペプチドよりもタンパク質分解切断に耐性である。
多重特異性は、2以上の標的と結合する能力である。一般に、結合ペプチドは、それらの構造的特性によって、単一の標的(例えば抗体の場合のエピトープなど)と結合する能力がある。しかし、2以上の標的と結合することのできるペプチド(例えば、上述のように当技術分野で公知の二重特異性抗体)を開発することができる。本発明において、ペプチドリガンドは、2以上の標的と結合する能力があり、そのため多重特異性である。好ましくは、リガンドは2つの標的と結合し、二重特異性である。結合は独立していてよく、それはペプチド上の標的の結合部位が、その標的の一方または他方の結合によって構造的に妨害されないことを意味し得る。この場合、両方の標的は独立に結合してよい。より広くは、1つの標的の結合は、他方の結合を少なくとも一部分妨げることになると予測されている。
多重特異性ペプチドは、個々の標的に結合しているペプチドリガンドの個々のループを連結することにより形成することができる。連結されるループは、隣接するループ(lops)であってもよいし、第3のループにより隔てられていてもよいし、さらに、さらなるループであってもよい。多重特異性ペプチドにおいてループが直接隣接して配置されている場合、該ループの1本を規定する反応基の1つを取り除くことが、ある1つの位置での反応基の効率的な重複(effective duplication)を回避するために好ましい。
標的は、ペプチドリガンドが結合する分子またはその部分である。一般に、標的は、エピトープに類似し、従って同じ分子上の異なるエピトープ、または異なる分子上の異なるエピトープの形をとり得る。標的が同じ分子上にある場合、二重特異性リガンドを使用することは、分子に対するリガンドの結合活性を増大させることとなり、分子を架橋することまたは分子の規定された機能部分を占有することによって、その他の特性を付与することができる。
分子足場は、複数の点でペプチドを結び付けて、1以上の構造的特徴をペプチドに付与する能力のある分子である。分子足場は、ただ単にジスルフィド結合を置き換えないという点において、架橋剤ではなく、その代わりに、分子足場は2以上のペプチドの結合点を提供する。好ましくは、分子足場は、足場反応基と呼ばれる、少なくとも3つのペプチドの結合点を含む。これらの基は、ペプチド上の反応基と反応して共有結合を形成する能力がある。分子足場に好ましい構造は、下に記載される。
レパートリーは、その配列が異なる変異体、この場合はポリペプチド変異体のコレクションである。一般に、反応基の位置および性質は変化しないが、反応基間にループを形成する配列はランダム化することができる。レパートリーはサイズが様々であるが、少なくとも10のメンバーを含むと考えるべきである。1011またはそれ以上のメンバーのレパートリーを構築することができる。
結合活性(または任意のその他の所望の活性)についてのスクリーニングは、当技術分野で周知の方法に従って、例としてファージディスプレイ技術から実施される。例えば、固相に固定化された標的を用いてレパートリーの結合メンバーを同定および単離することができる。スクリーニングは、所望の特性に応じたレパートリーのメンバーの選択を可能にする。
用語ライブラリーとは、異種ポリペプチドまたは核酸の混合物をさす。ライブラリーは、各々が単一のポリペプチドまたは核酸配列を有するメンバーから構成される。この点で、ライブラリーはレパートリーと同義である。ライブラリーメンバー間の配列の違いが、ライブラリー中に存在する多様性の原因である。ライブラリーは、ポリペプチドまたは核酸の単純な混合物の形をとってもよいし、核酸のライブラリーで形質転換された、生物または細胞、例えば細菌、ウイルス、動物もしくは植物細胞などの形であってもよい。好ましくは、各々の個々の生物または細胞は、ただ1つまたは限定された数のライブラリーメンバーを含む。
有利には、核酸によってコードされるポリペプチドの発現を可能にするために、核酸は発現ベクターに組み込まれる。従って、好ましい態様では、ライブラリーは、宿主生物の集団の形をとってよく、各々の生物は、ライブラリーの単一のメンバーを、発現させるとその対応するポリペプチドメンバーを生成することのできる核酸形態で含有する、発現ベクターの1以上のコピーを含有する。よって、宿主生物の集団は、遺伝的に多様なポリペプチド変異体の大きなレパートリーをコードする可能性を有する。
好ましくは、核酸のライブラリーは、ポリペプチドのレパートリーをコードする。ライブラリーの各々の核酸メンバーは、好ましくは1以上のその他のライブラリーのメンバーに関連する配列を有する。関連配列は、ライブラリーの少なくとも1つのその他のメンバーに対して少なくとも50%の同一性、好適には少なくとも60%の同一性、好適には少なくとも70%の同一性、好適には少なくとも80%の同一性、好適には少なくとも90%の同一性、好適には少なくとも95%の同一性、好適には少なくとも98%の同一性、好適には少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を意味する。同一性は、参照配列の少なくとも3つのアミノ酸の連続するセグメントにわたって、好適には少なくとも4、5、6、7、8、9または10のアミノ酸、好適には最小12のアミノ酸、好適には最小14のアミノ酸、好適には最小16のアミノ酸、好適には最小17のアミノ酸または全長の連続するセグメントにわたって好適に判断される。
ペプチドリガンドに結合する官能基は、例えば、さらなる結合活性を媒介するか、またはエフェクター基の結合を可能にする基である。よって、官能基には、抗体およびその結合断片、本明細書に記載されるさらなるペプチドリガンド、化学反応基、ならびに同類のものが含まれる。
エフェクター基は、特異的活性を有するペプチドリガンドに結合する基である。例として、ペプチドリガンドの半減期を増加させるタンパク質、例えばヒト血清アルブミン(HSA)などであり得る。また、エフェクター基には、薬物、例えば細胞傷害性薬物、免疫エフェクター(immunoeffectors)、例えば抗体のFc領域など、および、次のパラメータ:5以下の水素結合供与体(窒素または酸素原子と1以上の水素原子);10以下の水素結合アクセプター(窒素原子または酸素原子);500ダルトン未満の分子量;ならびに、5未満のオクタノール−水分配係数logP、を満足する化合物が含まれる。
A.ペプチドリガンド
ペプチドリガンドの設計および製造は、本発明者らの国際公開公報WO2009/098450号、ならびに国際特許出願WO2004/077062号およびWO2006/078161号に記載されている。以下の態様は、ペプチドリガンドの構築を要約する。
(i)分子足場
分子足場は、「分子コア」または「連結化合物」と呼ばれることもある。好適には、分子足場は、分子対称性を有する。好適には、分子足場は3つの足場反応基を有し、3回対称性を有する。これには、単一の反応生成物のみを生成するという利点がある。分子足場が対称分子でない場合には、複数の反応生成物が生成される可能性がある。これは、複雑な状態を引き起こし得るか、または、所望の異性体をその他の反応生成物から分離することを必要とし得る。
好適には、分子足場は小分子であってよい。好適には、分子足場は有機小分子である。
好適には、分子足場は、天然モノマー、例えばヌクレオシド、糖、またはステロイドなどであってもよいし、またはそれらに基づいていてもよい。好適には、分子足場は、かかる物質の短いポリマー、例えば二量体または三量体を含んでよい。
好適には、分子足場は、トリス(ブロモメチル)ベンゼン、特に1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼン(「TBMB」)、またはその誘導体を含んでもよいし、それからなってもよい。
別の適した分子足場は、2,4,6−トリス(ブロモメチル)メシチレンである。それは1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼンに類似するが、ベンゼン環に結合した3つのメチル基をさらに含む。これは、さらなるメチル基が、ポリペプチドとのさらなる接触点を形成することができ、そのためにさらなる構造的制約を加える点で有利である。
本発明の分子足場は、小分子かまたは巨大分子構造のいずれかから選択される。前記分子足場は、有機、無機または有機および無機成分からなる。
好ましい実施形態では、分子足場は、例えば直鎖アルカンのような有機小分子である。より好適には、分子足場は、分枝アルカン、環状アルカン、多環式アルカン、アロメート(aromate)、複素環式アルカンまたは複素環式アロメートであり、これらは柔軟性が低い(すなわち、より硬質である)という利点をもたらす。最も好適には、分子足場は、ベンジル基を含む。
もう1つの実施形態では、分子足場は、例えばポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは多糖のような巨大分子構造から選択される。
本発明の分子足場は、本発明のコードされたライブラリーのポリペプチドの官能基が分子足場との共有結合を形成することを許容する化学基を含む。前記化学基は、アミン、チオール、アルコール、ケトン、アルデヒド、ニトリル、カルボン酸、エステル、アルケン、アルキン、無水物、スクシンイミド、マレイミド、アジド、ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アシルを含む広い範囲の官能基から選択される。
(ii)ポリペプチド
コードされたポリペプチドの反応基は、好適には天然もしくは非天然アミノ酸の側鎖により提供される。コードされたポリペプチドの反応基は、好適にはチオール基、アミノ基、カルボキシル基、グアニジウム基、フェノール基またはヒドロキシル基から選択される。コードされたポリペプチドの反応基は、好適にはアジド基、ケト−カルボニル基、アルキン基、ビニル基、またはハロゲン化アリール基から選択されてよい。分子足場に連結するためのコードされたポリペプチドの反応基は、好適にはポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端であり得る。
一部の実施形態では、分子足場に連結するためのポリペプチドの反応基の各々は、同じ種類のものである。例えば、各々の反応基は、システイン残基であってよい。
遺伝的にコードされたコンビナトリアル化学ライブラリーのメンバーの適切なアミノ酸は、任意の天然もしくは非天然アミノ酸により置換することができる。ポリペプチドを分子コアに架橋するための官能基をもつものは、これらの置換可能なアミノ酸から除去される。改変が可能な隣接するアミノ酸の群は、ポリペプチドセグメントと規定される。単一のポリペプチドセグメントのサイズは、好適には1〜20アミノ酸の範囲である。ポリペプチドセグメントは、ランダム配列、定常配列またはランダムアミノ酸と定常アミノ酸を含む配列のいずれかを有する。反応基を含むアミノ酸は、本発明のコードされたポリペプチド内の規定された位置またはランダム位置のいずれかに位置する。
一実施形態では、分子足場/分子コアと結合するための反応基を有する2つのアミノ酸により挟まれるポリペプチドセグメントは、10またはそれよりも少ないアミノ酸からなる短いアミノ酸配列である。前記コードされたポリペプチド配列と分子コアとの反応により、高い構造的制約を有するライブラリーメンバーが作製される。構造的に制約されたリガンドは、一般に特異性がより高く、より高い結合親和性を有する。
(iii)ポリペプチドの反応基
本発明の分子足場は、ポリペプチド上の官能基また反応基を介してポリペプチドに結合させることができる。これらは、一般にポリペプチドポリマー中に見出される特定のアミノ酸の側鎖から形成される。かかる反応基は、システイン側鎖、リジン側鎖、あるいはN末端アミン基または任意のその他の適した反応基であってよい。
好適には、少なくとも1つの反応基は、システイン基である。リジンまたはN末端アミンなどの基は、一般に便宜な時間枠内で独力で分子足場と結合するほど十分に反応性ではない。しかし、ひとたび分子足場が少なくとも1つのシステインに引き付けられるかまたは結合すれば、通常の反応速度論は、リジン結合またはアミン結合はそれ以降迅速かつ安定して形成され得ることが意味する。この理由から、好適には少なくとも1つの反応基はシステイン基である。
ポリペプチド上にシステイン/リジン/アミン基以外の反応基を所望する場合、標的ポリペプチド上の最適な特定の官能性反応基と対とするために、異なる分子足場を選んでよい。
好適には、システイン、リジンまたはアミン基を、目的のポリペプチド上の官能性または反応基として使用する。
好適には、少なくとも3つの共有結合が分子足場と目的のポリペプチドとの間に形成される。
一部の実施形態では、4つの結合またはそれより多くの結合が分子足場と目的のポリペプチドとの間に形成され得る。しかし、4より多くの結合を用いる場合、一般に形成される生成混合物は、次第に複雑になり、その後の使用または用途を妨げる可能性がある。この理由から、分子足場と目的のポリペプチドとの間には3つの結合または4つの結合が好ましい。
天然アミノ酸の適した反応基は、システインのチオール基、リジンのアミノ基、アスパラギン酸またはグルタミン酸のカルボキシル基、アルギニンのグアニジウム基、チロシンのフェノール基あるいはセリンのヒドロキシル基である。非天然アミノ酸は、アジド、ケト−カルボニル、アルキン、ビニル、またはハロゲン化アリール基を含む、広い範囲の反応基を提供することができる。ポリペプチドの末端のアミノおよびカルボキシル基も、分子足場/分子コアと共有結合を形成するための反応基としての役割を果たし得る。
本発明のコードされたポリペプチドは、好適には少なくとも3つの反応基を含む。前記ポリペプチドは、4以上の反応基を含むこともできる。より多くの反応基を使用するほど、より多くの多様性セグメントが分子足場/分子コアに繋ぎ止められ得る。しかし、過剰な数の反応基と分子足場/分子コアの結合は、管理しにくい数の生成物異性体をもたらし得るので、推奨されない。好適には3つ、4つまたは5つの分子足場に対する共有結合;最も好適には3つまたは4つの共有結合;最も好適には3つの共有結合が使用される。
B:ファージペプチドと足場の結合
ファージ感染力を破壊することなくファージペプチドに足場を結合させるための詳細な条件は、本発明者らの国際特許出願WO2009/098450号に記載されている。足場分子の結合は、次の原理を伴う。
特に、標的ポリペプチドにおけるシステインの還元が、大部分の効率的な反応に必要とされる。その後、それらのシステインを化学的に還元させるために用いた還元剤は、通常、所望の結合を実施するために除去される。ファージにコードされたポリペプチドのチオール基は、分子足場の結合よりも前に還元剤で還元されてよい。そのような実施形態では、特にファージディスプレイの実施形態では、または特に還元剤がTCEPである場合には、過剰な還元剤は、好適には濾過(例えばファージの濾過)により除去される。しかし、一部の実施形態では、分子足場とペプチドのシステインの反応を損なうほど十分に分子足場と反応しないレベルの結合の間、還元剤が存在し得る。
チオール基の再酸化は、ペプチドと分子足場の反応にTCEPを含めることにより防ぐことができる。
チオール基の再酸化は、好適には反応バッファーを脱気することにより防ぐことができる。
また、チオール基の再酸化は、好適にはキレート化、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)とのキレート化による金属イオンの錯体形成によっても防止される。
最も好適には、チオール基の再酸化は、TCEPを分子足場の反応に含めることにより、キレート化により、かつ脱気したバッファーの使用により、防止されるかまたは阻害される。
本発明の一実施形態では、ポリペプチドと分子足場の結合は、ポリペプチドの反応基、例えばファージコードポリペプチドのチオール基などと分子足場を1時間反応させることにより達成される。
好適には、それらを30℃で反応させる。
好適には、それらを分子足場(例えばトリス(ブロモメチル)ベンゼンなど)と10μM〜40μMの濃度で反応させる。
好適には、反応は水性バッファー中で行う。
好適には、反応は、pH8で行う。
好適には反応バッファーは、アセトニトリルを含有する。好適には、反応バッファーは、20%アセトニトリルを含有する。
これらの反応条件は、ポリペプチドのチオール基をトリス(ブロモメチル)ベンゼンの反応基と定量的に反応させるように最適化する。同じ反応条件下で、約20%のファージ粒子は、増殖および解読のために細菌細胞に遺伝コードを導入するために感染性のままである。
一実施形態では、分子足場、例えばTBMBは、20%アセトニトリルを含有するpH8の水性バッファー中10μM TCEPの存在下、ポリペプチドのチオール基の10μM TBMB(すなわちトリス(ブロモメチル)ベンゼン)との30℃にて1時間の反応(インキュベーション)により、標的ポリペプチド、例えばファージコードポリペプチドに結合させることができる。もう1つの実施形態では、この反応は、同じバッファー中30μM TCEPの存在下、40μM TBMBを用いて実施することができる。
C:タンパク質分解切断
<プロテアーゼ切断>
一部の実施形態では、本発明のポリペプチド要素は、それらが分子足場/分子コアに繋ぎ止められるとすぐにタンパク質分解によって切断される。この切断により、分子足場/分子コアに繋ぎ止められた別個のペプチド断片を有するリガンドが生成される。
例えば、ポリペプチドの1以上のアミド結合は、ポリペプチドを分子コアに繋ぎ止めた後に、タンパク質分解によって切断されてよい。これには、各々が少なくとも1つの共有結合により分子足場に結合されているが、親ポリペプチドをコードする核酸を含む複合体中に保持された状態とは異なる分子構造を提示する、短いポリペプチドを作成するという利点がある。ポリペプチド切断は、好適には、当技術分野で公知の任意の適した手段、例えば制御された加水分解またはより好適には適したプロテアーゼによる酵素切断などにより触媒される。プロテアーゼは、任意の適したプロテアーゼであってよいが、好ましくは特異的なポリペプチド認識配列またはモチーフを含むプロテアーゼである。これにより、より規定された、かつ/またはより予測可能なポリペプチド切断産物の産生が有利にもたらされる。実際に、この実施形態では、プロテアーゼ認識配列は、例えば標的ポリペプチドをコードする核酸(1または複数)を操作することにより、体系的に付加されるかまたは標的ポリペプチドから除去され得る。これより、有利には、本発明に従って提示される分子において、より高度な制御がもたらされ、かつ、より高度の多様性が生成されることが許容される。最も好適には、ポリペプチドは、少なくとも1つのプロテアーゼ認識部位を含む。好適には、各々の前記切断部位は、分子足場と共有結合するために用いられるポリペプチド上の反応基間のアミノ酸配列(1または複数)の中に含まれる。好適には、各々の前記切断部位は、分子足場と共有結合するために用いられるポリペプチド上の反応基間のアミノ酸配列(1または複数)の中に含まれる。
ペプチドループは、好適には、特定のアミノ酸位置でポリペプチドを認識し保有するプロテアーゼ、例えばトリプシン(P1位置のアルギニンまたはリジン)またはサーモリシン(P1位置の脂肪族側鎖)で切断される。酵素は、提示された分子のペプチドループの効率的なプロセシングを可能にするがファージ粒子を残す濃度で使用される。最適な条件は、ポリペプチドループの長さ、および用いるプロテアーゼによって変動し得る。例えば例えばトリプシンは、一般に10℃にて10分間、TBS−Caバッファー(25mMトリスHCl/137mMのNaCl/1mMのCaCl、pH7.4)中200nMで用いられる。提示されるポリペプチドを修飾するがファージを残すために適したあらゆる種類のプロテアーゼが、Kristensen,P.およびWinter,G.(Proteolytic selection for protein folding using filamentous bacteriophages;Fold Des.1998;3(5):321−8)に記載されている。ファージ上のペプチドの酵素プロセシングは、限定された数のファージコートタンパク質が切断されることを排除することができないために、「部分的タンパク質分解」であり得る。よって、条件の最適化では、標的の切断を最大化にすることとファージ粒子を最大限残すこととの間の最良のバランスが好適に選択される。
好適には、標的ポリペプチドは、少なくとも1つのタンパク質分解切断部位を含む。好適には、標的ポリペプチドは、少なくとも2つのタンパク質分解切断部位を含む。
好適には、標的ポリペプチドは、少なくとも3つのタンパク質分解切断部位を含む。
上記各々のタンパク質分解の実施形態において、好適には、前記プロテアーゼ部位(1または複数)は、分子足場により範囲が定められる標的ポリペプチドループ内に位置する。これは、分子足場が複合体上に保持される点で有利である。そうでなければポリペプチド−分子足場複合体は標的ポリペプチドをコードする核酸と切り離されてしまう可能性があり、それは大部分の本発明の用途に望ましくないためである。
短いループ(例えば6アミノ酸残基以下の短さ)の使用は、一部のプロテアーゼのループ内で切断する能力を損なう可能性がある。そのため、一部の例では、プロテアーゼに接近する可能性のより高い、より長いループを選択することが望ましいことがある。さらに、エンドプロテアーゼによるループの切断後に、その他のエンドプロテアーゼで、あるいは実際にはエキソプロテアーゼ、例えばカルボキシペプチダーゼまたはアミノペプチダーゼなどによって、さらにループを切断しなおすのが望ましいことがある。
標的ポリペプチドが1より多くのかかるプロテアーゼ部位を含む場合、好適には、それらの部位の各々は、標的ポリペプチドと分子足場との間に作成される2つの共有結合間に存在する。必要であれば、複数の切断部位が結合間に存在してもよい。
<プロテアーゼ耐性>
もう1つの実施形態では、ポリペプチドは、プロテアーゼ切断に対して耐性であり得る。一般に、切断するためにプロテアーゼがポリペプチドに物理的に接近することができないので、しっかりと折りたたまれたポリペプチド構造は、プロテアーゼに対する耐性がより高い。そのため、ペプチドリガンド中の足場および足場結合の操作によって、ポリペプチドループの折りたたみに影響を及ぼすことにより、プロテアーゼ感受性を調節することができる。
前節に示されるように、プロテアーゼ段階は、化学足場に結合したループ内の接近可能な部位を切断するために導入することができる。ペプチド複合体のレパートリーがファージ上に提示されるならば、各々が少なくとも1つの共有結合により化学足場に結合しているが、親ポリペプチドをコードする核酸を含む複合体に保持されているペプチドがもたらされる。抗原による選択の前に化学修飾されたファージをプロテアーゼで処理することにより、切断されたループ(1または複数)を含むペプチド複合体を有するファージ、および、切断部位の欠如に起因して切断されていないか、そうでなければ切断に耐性であるループ(1または複数)を含むペプチド複合体を有するファージも生じることが見込まれる。一方が抗原に結合し、他方が結合しない場合、選択されたファージクローンと標的抗原の結合をプロテアーゼ処理の前および後に比較することによりこれらの種を識別することは可能である。よって、切断されたループをもつ種は、プロテアーゼ処理の前ではなく後に結合すると予測されるが、一方で、プロテアーゼ耐性の種は、処理の前および後の両方で結合すると予測される。複合体が切断されたループと切断されていないループの両方と結合する場合は(カリクレイン切断後にPK15のように;Heinis et al,2009参照)、プロテアーゼ耐性と不正確に認定される可能性があることに留意されたい。これは、切断を確かめるための直接的方法(例えばペプチド複合体を化学的に合成することによる)を使用すること、および切断を確かめること(例えば質量分析による)の重要性を示す。
切断されたループ複合体がプロテアーゼ耐性複合体よりも好ましい場合には、1回目の選択の前に化学的に修飾されたファージレパートリーをプロテアーゼで処理し、後続の回で、同じプロテアーゼか、または共通の切断部位をもつプロテアーゼを使用し続けることが有利となる。しかしながら、一方で、プロテアーゼ耐性複合体が望ましいことがある。かかるペプチドは、腸プロテアーゼを生き残る経口投与か、またあるいは血液、組織または細胞においてタンパク質分解作用にさらされる投与に有用であり得る。プロテアーゼ耐性治療を、より低い用量でさらに投与することができる。この場合、プロテアーゼを用いない1回目の選択は、その後にプロテアーゼを用いる後続の回の選択が続く、耐性のある種の選択を好むべきである。
プロテアーゼの使用は、選択プロセス中にさらなる有用性がある。例えば、(a)ヌクレオチドの合成でのエラーにより必要なシステイン残基をコードできなかった、または(b)必要なシステイン残基が溶液中の遊離システインとジスルフィド結合を形成した(恐らく不適切な還元または再酸化に起因)、あるいは、不可逆的な方法で反応した(例えば、酸化されてシステイン酸になる、または、必要なシステインの1つが足場の異なる分子と反応して他のものになる)という理由から、一部の形成されていないループ(配列の直鎖状のセグメント)が、ライブラリー中に存在する可能性がある。配列の直鎖状のセグメントは、ループよりもプロテアーゼの作用に感受性が高いので、切断部位が存在する条件では、プロテアーゼを使用してそのような結合剤を避けることが可能であり得る。
プロテアーゼのステップ(還元剤の存在下)も、化学足場によるよりも、必要なシステイン間のジスルフィドを介して形成されたループを除去するのに有利である。これは、ファージ上にシステインの不十分な還元(または後続の再酸化)がある場合に予期され得る。この理由から、本発明者らは、化学架橋段階の間に脱気したバッファーを使用し、また、本発明者らはTBMBとの反応の間に還元剤(TCEP)を低レベルに保って還元環境を維持した。それにもかかわらず、1回目の選択の後、本発明者らは4つのシステイン残基(ループ中に3つの必要なシステイン残基、およびさらなるシステイン残基)が含まれた多くの配列、例えば、PEP21(CFNSEWSCLQSCSNC)を見出した。合成ヌクレオチドライブラリーにはランダムコドンが含まれるので(NNK多様性:ここでNはアデニン、チミン、グアニン、およびシトシンヌクレオチドの各々の25%混合物を表し、Kはチミンおよびグアニンヌクレオチドの各々の50%混合物を表す)、かかる余分のシステインはペプチドレパートリー中に存在すると予期される。一部の条件下で、例えば不十分な還元、または必要なシステインと化学足場の不完全な反応(恐らくアミノ基または水による足場に対する競合反応に起因する)がある場合、余分のシステインが、酸化条件下で、3つの必要なシステインの1つとジスルフィドループを形成することが予測され得る。あるいは、余分のシステインが足場と反応し、必要なシステインの2つにジスルフィドで閉じられたループを形成させる可能性がある。
それらの産生の背後にある正確な機構が何であっても、かかるジスルフィドで閉じられたループは、足場で閉じられたループと競合し、優勢となる可能性がある。モノマーでなくトリプレットから構築した合成ヌクレオチドライブラリーを使用し、そうしてループ中のシステインコドンを回避することによって、余分のシステインの発生頻度を低下させること、および/または、ジスルフィドで閉じられたループを開くために還元剤の存在下で選択を行うことが可能であるはずである。より便宜には、本発明者らは、ループを開いてその次に切断するために、還元剤(例えばジチオトレイトールまたはTCEPなど)の存在下で化学的に修飾されたファージレパートリーをプロテアーゼで処理することが、かかる種の関与(contribution)を最小限にするのに役立つことを見出した。
従って、一実施形態では、本発明のペプチドリガンドは、実質的にプロテアーゼ耐性である。標的に対する選択の後にペプチドリガンドを切断させることは、プロテアーゼ切断に耐性である結合ペプチドリガンドの同定を促す。しかし、特定のペプチドリガンドが切断後も標的に結合する能力を保持している可能性を除外することはできない。従って、本発明は、次のステップ:
(a)ポリペプチドの第1のレパートリーを準備するステップと、
(b)前記ポリペプチドを、ポリペプチド複合体のレパートリーを形成するように2以上のアミノ酸残基においてポリペプチドに結合する分子足場に対してコンジュゲートするステップと、
(c)前記レパートリーを標的に対する結合についてスクリーニングし、標的に結合する第1のレパートリーのメンバーを選択するステップと、
(d)所望により、選択したレパートリーを還元剤で処理するステップと、
(e)レパートリーをプロテアーゼで処理するステップと、
(f)前記レパートリーを標的との結合についてさらにスクリーニングするステップと
を含む、増大したプロテアーゼ耐性を有するペプチドリガンドを選択するための方法を提供する。
もう1つの実施形態では、本発明のペプチドリガンドは、プロテアーゼにより実質的に切断される。プロテアーゼのステップは、レパートリーのスクリーニングの前に含められ、切断形態で標的に結合するペプチドリガンドの同定を促す。従って、本発明は、次のステップ:
(a)ポリペプチドの第1のレパートリーを準備するステップと、
(b)前記ポリペプチドを、ポリペプチド複合体のレパートリーを形成するように2以上のアミノ酸残基においてポリペプチドに結合する分子足場に対してコンジュゲートするステップと、
(c)所望により、レパートリーを還元剤で処理するステップと、
(d)レパートリーをプロテアーゼで処理するステップと、
(e)前記レパートリーを標的に対する結合についてスクリーニングし、プロテアーゼでの処理の後に標的に結合する、第1レパートリーのメンバーを選択するステップと
を含む、プロテアーゼにより切断されたペプチドリガンドを選択するための方法を提供する。
プロテアーゼ耐性についてのスクリーニングは、簡単に、結合がプロテアーゼに感受性であるかまたはプロテアーゼの作用を必要とするレパートリーメンバーを同定するための、プロテアーゼによる制限消化の形をとってよい。最も望ましいのは、二環式ペプチドが使用されることになる条件下、例えば血清の存在下で活性であるプロテアーゼを使用することになる。
<プロテアーゼ切断の条件>
一態様では、ファージ上に提示されるペプチドの切断は、規定されたプロテアーゼ切断部位で行われ得る。切断部位は、プロテアーゼが直鎖状ペプチドを切断することのできるペプチドの配列中の位置である。例えば、そのような部位は、ランダム変異誘発に起因するものであっても、切断部位を含むペプチドの選択によるものであっても、ファージ上に提示されるペプチドに天然に存在し得る。
あるいは、切断部位は、例えばペプチドをコードする核酸の定方向突然変異誘発により、ペプチドの中に操作して入れてよい。
切断部位は、プロテアーゼ、例えば、トロンビン、第Xa因子、セリンプロテアーゼなどのエンテロペプチダーゼ、エンテロキナーゼ(WO01/98366号に記載されるものを含む)などによるか、または例えばトリプシンによって切断されるような酵素切断部位であってもよいし、あるいは、切断部位は、メチオニン残基で切断するCNBrなどの化学薬品により切断可能な化学切断部位であってもよい。
好ましくは、酵素切断剤を使用する。重要なことは、リガンド中のペプチドの切断と、ファージの切断のバランスをとることであり、ファージの切断はファージの感染性を破壊することになる。
高度に特異的なプロテアーゼが多数存在する。本発明は、特定のプロテアーゼを選択することにはないが、プロテアーゼは、好ましくは、使用される条件下で十分に特異的であって、それにより前記切断条件下で、それはペプチドリガンド中の切断部位を切断するが、ファージの生存力に最も重要ないずれのポリペプチドも切断しない能力を有する。特定の切断条件、例えば、低温、を選択することにより、そうでなければ不適当であり得るプロテアーゼを使用することが実現可能となる。
血液凝固および補体系は、多数の非常に特異的なプロテアーゼを含む。通常、カスケードの初期の段階の酵素は、後期段階の酵素よりも特異性が高い。例えば、第X因子、(FX)は、トロンビンよりも特異性が高い。ウシFXは、配列Ile−Glu−Gly−Argの後で切断し、一方ヒトFXは、Ile−Asp−Gly−Argの後で切断する。要求に応じていずれのプロテアーゼ−リンカー対を使用してもよい。
トロンビンを使用する場合、トロンビン感受性部位は、フィブリノゲン、第XIII因子、およびプロトロンビンに見出される。FXを誘導する種は、プロテアーゼの正確な特異性に影響を及ぼし、それをインビボでその天然の標的に見出される正確な配列を切断するために適合させる。
ヒト第XI因子は、ヒト第IX因子を2つの場所(QTSKLTR/AEAVFおよびSFNDFTR/VVGGE)において切断する。そのようなプロテアーゼは、従って、非常に特異的な切断系を提供し、非常に限定された数の部位でのみペプチドを切断することになる。
ヒトカリクレインは、ヒトFXIIをR353(LFSSMTR/VVGFLV)において切断する。
この配列は、上記のhFXI部位と著しく類似する。
ヒトFXIIは、ヒトFXIをR369(KIPPR/IVGGT)において切断する。
融合タンパク質を切断するために使用されているその他のプロテアーゼとしては、エンテロキナーゼ、トリプシン、コラゲナーゼ、キモシン、ウロキナーゼ、レニン、および特定のシグナルペプチドが含まれる。参照により本明細書に援用されるRutter、US4,769,326号を参照されたい。
本発明の好ましい実施形態では、プロテアーゼは、切断部位LEVLFQGPを認識切断するPreScission(商標);部位IEGRGIを切断する第Xa因子;および、部位LVPRGSおよび部位LVPKGSを切断するトロンビンから選択される群のいずれか1種である。
当業者は、ファージが最も重要なファージポリペプチドの切断により不活化しないように、切断条件は注意深く制御されねばならないことを理解する。上記のように、提示されるポリペプチドを修飾するが、ファージを残しておくために適したあらゆる種類のプロテアーゼは、Kristensen,P.およびWinter,G.(Proteolytic selection for protein folding using filamentous bacteriophages;Fold Des.1998;3(5):321−8)に記載されている。
D:標的
本発明のペプチドリガンドは、どんな所定の標的にも結合するよう設計することができる。当業者は、標的分子の選択が大規模で多様であることを理解する。それらは、例として、ヒトまたは動物のタンパク質、サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素の酵素補因子またはDNA結合タンパク質であり得る。適したサイトカインおよび増殖因子としては、限定されるものではないが:ApoE、Apo−SAA、BDNF、カルジオトロフィン−1、EGF、EGF受容体、ENA78、エオタキシン、エオタキシン−2、エクソダス−2、酸性FGF、塩基性FGF、線維芽細胞増殖因子−10、FLT3リガンド、フラクタルカイン(CX3C)、GDNF、G−CSF、GM−CSF、GF−I、インスリン、IFNy、IGF−I、IGF−II、IL−la、IL−1(3、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8(72a.a.)、IL−8(77a.a.)、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−17、IL−17a、IL−17c、IL−17d、IL−17e、IL−17f、IL−18(IGIF)、IL−21、IL−22、IL−23、IL−31、IL−32、IL−33、IL−34、インヒビンα、インヒビンβ、IP−10、ケラチノサイト増殖因子−2(KGF−2)、KGF、レプチン、LIF、リンホタクチン、ミュラー管抑制因子、単球コロニー抑制因子、単球誘引タンパク質、M−CSF、MDC(67a.a.)、MDC(69a.a.)、MCP−1(MCAF)、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MDC(67a.a.)、MDC(69a.a.)、MIG、MIP−la、MIP−1p、MIP−3a、MIP3、MIP−4、骨髄系前駆細胞抑制因子−1(MPIF−1)、NAP−2、ニュールツリン、神経成長因子、P−NGF、NT−3、NT−4、オンコスタチンM、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BB、PF−4、RANTES、SDFla、SDFlp、SCF、SCGF、幹細胞因子(SCF)、TARC、TGF−α、TGF−β、TGF−2、TGF−3、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、TNF−β、TNF受容体I、TNF受容体II、TNIL−1、TPO、VEGF、VEGF受容体1、VEGF受容体2、VEGF受容体3、GCP−2、GRO/MGSA、GRO−β、GRO−γ、HCC1,1−309、HER1、HER2、HER3およびHER4が含まれる;サイトカイン受容体には、前述のサイトカインの受容体が含まれる。ケモカイン標的には、CCケモカインリガンドCCL21/6Ckine、CCL12/MCP−5、CCL6/C10、CCL22/MDC、CCL14/HCC−1/HCC−3、CCL3L1/MIP−1αイソ型LD78β、CCL23/Ckβ8−1、CCL3/MIP−1α、CCL28、CCL4L1/LAG−1、CCL27/CTACK、CCL4/MIP−1β、CCL24/エオタキシン−2/MPIF−2、CCL15/MIP−1δ、CCL26類(CCL26−like)/エオタキシン3類(Eotaxin−3−like)、CCL9/10/MIP−1γ、CCL26/エオタキシン−3、CCL19/MIP−3β、CCL11/エオタキシン、CCL20/MIP−3α、CCL14a/HCC−1、CCL23/MPIF−1、CCL14b/HCC−3、CCL18/PARC、CCL16/HCC−4、CCL5/RANTES、CCL1/I−309/TCA−3、TAFA1/FAM19A1、MCK−2、TAFA5/FAM19A5、CCL2/JE/MCP−1、TAFA3/FAM19A3、CCL8/MCP−2、TAFA4/FAM19A4、CCL7/MCP−3/MARC、CCL17/TARC、CCL13/MCP−4およびCCL25/TECKが含まれる;ケモカイン受容体には、CCR1、CCR7、CCR2、CCR8、CCR3、CCR9、CCR4、CCR10、CCR5、CCRL2/LCCR/CRAM−A/BおよびCCR6が含まれる;CXCケモカインリガンドとしては、CXCL13/BLC/BCA−1、CXCL10/IP−10/CRG−2、CXCL14/BRAK、LIX、CXCL16、CXCL15/ラングカイン(Lungkine)、CXCL5/ENA−78、CXCL9/MIG、CXCL6/GCP−2、CXCL7/NAP−2、CXCL1/2/3/GRO、CXCL4/PF4、CXCL1/GROα/KC/CINC−1、CXCL12/SDF−1α、CXCL2/GROβ/MIP−2/CINC−3、CXCL12/SDF−1β、CXCL3/GROγ/CINC−2/DCIP−1、CXCL12/SDF−1、CXCL11/I−TAC、CXCL7/胸腺ケモカイン−1およびCXCL8/IL−8が含まれる;CXCケモカイン受容体には、CXCR3、CXCR7/RDC−1、CXCR4、CXCR1/IL−8RA、CXCR5、CXCR2/IL−8RBおよびCXCR6が含まれる;TNFスーパーファミリーリガンドには、4−1BBリガンド/TNFSF9、LIGHT/TNFSF14、APRIL/TNFSF13、リンホトキシン、BAFF/BLyS/TNFSF13B、リンホトキシンβ/TNFSF3、CD27リガンド/TNFSF7、OX40リガンド/TNFSF4、CD30リガンド/TNFSF8、TL1A/TNFSF15、CD40リガンド/TNFSF5、TNF−α/TNFSF1A、EDA(pan)、TNF−β/TNFSF1B、EDA−A1/エクトジスプラシンA1、TRAIL/TNFSF10、EDA−A2、TRANCE/TNFSF11、Fasリガンド/TNFSF6、TWEAK/TNFSF12およびGITRリガンド/TNFSF18が含まれる;TNFスーパーファミリー受容体には、4−1BB/TNFRSF9/CD137、NGF R/TNFRSF16、BAFF R/TNFRSF13C、オステオプロテジェリン/TNFRSF11B、BCMA/TNFRSF17、OX40/TNFRSF4、CD27/TNFRSF7、RANK/TNFRSF11A、CD30/TNFRSF8、RELT/TNFRSF19L、CD40/TNFRSF5、TACI/TNFRSF13B、DcR3/TNFRSF6B、TNFRH3/TNFRSF26、DcTRAIL R1/TNFRSF23、TNFRI/TNFRSF1A、DcTRAIL R2/TNFRSF22、TNF RII/TNFRSF1B、DR3/TNFRSF25、TRAIL R1/TNFRSF10A、DR6/TNFRSF21、TRAIL R2/TNFRSF10B、EDAR、TRAIL R3/TNFRSF10C、Fas/TNFRSF6/CD95、TRAIL R4/TNFRSF10D、GITR/TNFRSF18、TROY/TNFRSF19、HVEM/TNFRSF14、TWEAK R/TNFRSF12、リンホトキシンβ R/TNFRSF3およびXEDARが含まれる;TLR−1、TLR−2、TLR−3、TLR−4、TLR−5、TLR−6、TLR−7、TLR−8およびTLR−9を含むトール様受容体;カテプシンA、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンF、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP26、MMP27、MMP28、ウロキナーゼ、カリクレイン(KLK1、KLK2、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK7、KLK8、KLK9、KLK10、KLK11、KLK12、KLK13、KLK14およびKLK15を含む)を含む、酵素;補体系の成分;細胞内シグナル分子および転写因子;p53;およびMDM2。
このリストが決して網羅的でないことは当然理解される。
また、下に示すように、標的は、大型の血漿タンパク質、例えば血清アルブミンであってもよい。
ポリペプチド複合体が、(同じまたは異なる標的上の)2つのエピトープに結合する場合、標的分子は、このリストから選択することができる。標的は、それらが両方とも同時に結合できないように、ポリペプチド複合体と結合を競合する可能性がある。あるいは、ポリペプチド複合体が標的を架橋するように、それらは両方とも同時に結合する可能性がある。
標的は、ペプチドループ(1または複数)が切断されているか、切断されていない場合に、リガンドにより結合されてよい。よって、一実施形態では、1以上の標的は、ペプチドリガンドの少なくとも1つのループが未切断であり、ペプチドが足場への結合により制約される構造をとる場合にのみ結合する。適切なループにおけるリガンドの切断は、結合の消滅をもたらす。リガンドが二重特異性である場合、標的の一方または他方への、あるいは両方への結合は、必要に応じて、1以上のループの切断によって調節することができる。
反対に、リガンドは、1以上のループが切断され、ペプチドが、足場により課せられる構造的制約が実質的にない場合にその標的に結合するアプタマー様分子の機能を果たす場合に、標的(1または複数)に結合し得る。そのような実施形態では、ループの切断は、結合を誘導する。
従って、1以上のループを適切なプロテアーゼで切断することにより、リガンドと1以上の標的との結合を調節することができる。
もう1つの実施形態では、プロテアーゼ耐性リガンドは、プロテアーゼなどの結合標的で使用するために、またはプロテアーゼに富む環境、例えば血漿中または粘膜表面で使用するために、選択され得る。
かかるリガンドは医学的用途、例えばワクチン、治療薬および診断において有用である。
本発明を、以下の実施例に関してさらに説明する。
[実施例1.MDM2に対するプロテアーゼ耐性二環式ペプチド]
MDM2は、腫瘍抑制因子であるp53のトランス活性化ドメインを認識する、酵素(E3ユビキチンリガーゼ)であり、プロテオソームによるp53のユビキチン化および分解を引き起こす。p53−MDM2相互作用のヌトリン(nutlin)阻害剤は、p53経路のインビボ活性化を導くことができ、そのような薬剤が抗癌剤としての可能性を有し得ることが示唆されてきた。本発明者らは、標的「抗原」であるMDM2に対する2つの二環式ペプチド(PEP10およびPEP48)の選択をここに記載する。各々の合成ペプチドの親和性は、マイクロモル以下であって、250〜750nMの範囲内であった。競合ELISAにより、少なくとも1つのペプチドが、p53−MDM2相互作用を阻止することが既に示されている直鎖状ペプチドと同じ部位に結合することが示された。
プロトコールは、一般に、特に断りのない限り、以前にHeinis et al.,2009,Nature Chemical Biology 5,502−507に記載されるものに従った。Heinis et al.の研究において、標的である両方の、カリクレインとカテプシンGはプロテアーゼであった、そして、カリクレイン阻害剤は、カリクレイン切断部位を含んでいるが、カリクレインによるタンパク質分解に相当に耐性である。MDM2は、プロテアーゼではない、従って選択されたペプチドもプロテアーゼに耐性であるかどうかは明白ではなかった。このために、またはその他の理由から(詳細については下記参照)、本発明者らは、1以上のプロテアーゼ(キモトリプシン)ステップを、ファージペプチドレパートリーとTBMB(還元条件下を含む)反応の後と、MDM2に対するレパートリーの選択の前とに含めた。これらの2種類の選択されたファージペプチドPEP10およびPEP48は、ファージELISAにより示されるように、タンパク質分解に耐性であると思われる。
<ファージ産生および精製>
少なくとも4×10クローンの多様性を有するファージペプチドライブラリーを調製し、TBMBを以前に記載されるように、少しの変更とともにコンジュゲートした。
1.以前に記載したファージのcx6ライブラリー(TG1細胞から調製)を用いて非サプレッサー株HB2151(Carter,Bedouelle & Winter.1985.Nucleic Acids Res.13:4431−43)を感染させ、感染細胞を播種した。約8mlの2xTY培地中、30μg/mlクロラムフェニコール、10%グリセロール(v/v)の中に細菌をプレートからこすり落とした。
2.約0.8mlの原液を、30μg/mlクロラムフェニコールを含む800mlの2xTY培地に添加して、600nmで約0.1のODを得た。培養物を30℃にてインキュベートし、2リットルのフラスコ中で200rpmにて16時間振盪した。
3.細胞培養を、4,000rpm(ヘレウス社製Megafuge−2R)で4℃にて30分間遠心した。上清を200ml冷20%PEG/2.5MのNaCLに移した。この混合物を氷上に1時間放置した。
4.沈殿した上清/ファージ混合物を、4℃にて30分間遠心沈殿し、上清を捨てた。
5.ファージを、35mlのPBS/5mMのEDTAに再懸濁し、それに続いて4000rpm(ヘレウス社製Megafuge−2R)で15分間回転させて細胞残屑を除去した。上清を新しい50mlファルコンチューブに移した。
<TBMBによるファージの修飾>
1.5mlの8mMのTCEP(HO中)を、ファージに添加して、終濃度1mMのTCEPを得た。チューブを数回転倒混和し、42℃の水浴中で1時間インキュベートした。
2.TCEPを、2回目のPEG沈殿により除去した。10mlの20%PEG/2.5MのNaCL(脱気溶液)を添加し、混合し、氷上で45分間インキュベートして、4℃、4000rpmで30分間回転させた。
3.上清を注意深く取り出し、12mlのPBS/5mMのEDTA、10μMのTCEP(脱気するバッファー)にペレットを再懸濁した。
4.3mlのアセトニトリル/50μMのTBMBを、12mlの還元したファージに添加して、10μMのTBMB終濃度を得た。チューブを数回反転させ、水浴中30℃にて1時間放置した。ファージを氷上で冷却し、1/5量の20%PEG/2.5MのNaCLで30分間沈殿させた。4000rpm(ヘレウス社製Megafuge−2R)にて20分間回転させることによりファージを回収した。上清を取り出し、ファージを4mlのPBSに再懸濁させた。ファージを2mlのエッペンドルフチューブに移し、13000rpm(エッペンドルフ社製卓上遠心機)で10分間回転させた。上清を新しいエッペンドルフチューブに移し、ファージの感染力を測定した。
<ファージ選択:一般的なプロトコール>
1回目の選択
1.上記のように精製し化学的にコンジュゲートさせたファージを、ストレプトアビジンでコートしたダイナビーズ(ダイナル・バイオテク社)の表面上に固定化されたビオチン化MDM2(bio−MDM2)ペプチド(res2−125)に対して選択した。80μlのビーズをまず洗浄し、PBS中2%(w/v)のマーベル社製粉乳(PBSM)で40分間ブロッキングし、それに続いて総量1mlで100nM bio−MDM2とともに20分間インキュベートした。
2.化学的に修飾したファージ(1010〜1011TU)を、PBSMとともに40分間インキュベートした。
3.ステップ1のブロックされたAgコートビーズを、PBS中0.1%Tween(PBST)で過剰なAgから洗浄し、総量1mlでブロックされたファージとともに30分間インキュベートした。
4.非結合ファージを、PBSTで10回、その後PBSで2回洗浄した。各々の3度目の洗浄段階の後、ファージコートビーズを新しいエッペンドルフチューブに移した。
5.回転ホイール上で、500μlのpH2.2、50mMグリシンとともに10分間インキュベートすることにより、ファージを溶出した。溶出したファージを、250μlの1Mトリス、pH7.5で中和した。
6.375μlのファージを、10mlのHB2151細胞とともに、振盪せずに、37℃にて90分間インキュベートした。
7.次に、感染細胞を37℃にて30分間振盪した後、クロラムフェニコールプレート(20×20cm)に播種した。
8.コロニーをプレートから、上記のように、2xTY、クロラムフェニコール、10%グリセロールの中にこすり落とし、グリセロール原液として−80℃にて貯蔵した。細胞の画分を用いて2回目の選択のためのファージを調製した。
2回目の選択
2回目の選択は、わずかの修飾を除いて1回目の選択と同様に行った。
1.ニュートラアビジンでコートした磁性ビーズを、ストレプトアビジンでコートしたものの代わりに使用した。
2.選択で使用した抗原の量は20nMであった。
3.化学的に修飾されたファージ(1010〜5×1010TU)を最初に50μg/mlのキモトリプシンで2分間処理した後、PBSMで40分間ブロッキングした。
4.非結合ファージを、PBSTで15回、その後PBSで2回、そのほかの点では上記の通り洗浄した。
<ファージ選択:変異プロトコール>
上記のような一般的なプロトコールを用いてクローン48を選択し、一方クローン10を、導入されている修飾プロトコールの結果として開発した。これらの修飾は、以下の通りである。
1.1回目では、化学的に修飾されたファージを50μg/mlのキモトリプシンで2分間前処理した後、PBSMで40分間ブロッキングした。
2.2回目では、化学的に修飾されたファージを最初に5mM DTTで20分間還元した後、50μg/mlのキモトリプシンで2分間インキュベートし、PBSMで40分間ブロッキングした。
<ペプチド合成>
ファージクローン48およびファージクローン10由来のコードペプチドを、遊離N末端およびC末端を用いて合成した。PEP10:H−Ser−Cys−Glu−Leu−Trp−Asn−Pro−Lys−Cys−Arg−Leu−Ser−Pro−Phe−Glu−Cys−Lys−Gly−OH;PEP48:H−Ser−Cys−Val−Arg−Phe−Gly−Trp−Thr−Cys−Asp−Asn−Ser−Trp−His−Gly−Cys−Lys−Gly−OH。
これらの合成は、DMF中PyBopおよびNMP中DIPEA(それぞれ1当量および2当量)で活性化した5倍過剰のFmoc−アミノ酸を用いて、0.1ミリモルFmoc−Gly−PEG PS樹脂でCEM社製Libertyマイクロ波ペプチド合成装置でのFmoc−ペプチド合成により実施された。側鎖保護基は、次の通りであった:Arg(Pbf);Asn(Trt);Asp(OtBu);Cys(Trt);Glu(OtBu);Lys(Boc);Ser(tBu);Thr(tBu);Trp(Boc)。Fmoc−脱保護は、0.1MのHOBtを含有する20%v/vピペリジン/DMFを用いて実施された。H−ペプチジル−樹脂を、DMFで、次いでプロパン−2−オールで洗浄し、真空乾燥させた。側鎖保護基および支持体からの切断は、94:2.5:2.5:1(v/v/v/v)TFA/EDT/HO/iPrSiHを2時間用いて達成した。ペプチド/TFA混合物を濾過して支持体を除去し、ペプチド/TFA混合物を水で希釈し、Et0(5回)で洗浄し、水層を凍結乾燥させた。
逆相HPLCを、フェノメネックス社製ジュピター5μのC18 300Å 250×4.6mmカラムで実施した。バッファーA:0.1%TFA/H2O;バッファーB:10%バッファーAを含有するCH3CN。カラムを10%バッファーBと均一濃度で2分間溶出し、次いで10〜90%の直線勾配で25分にわたって溶出した。検出は215/230nmで;流速は1.5ml/分。
ペプチドを凍結乾燥し、質量分析によって確認した。PEP10 MALDI−TOF mass(M+H):2099.9Da(理論値:2098.4Da)。PEP48 MALDI−TOF Mass(M+H):2043.8Da(理論値:2042.8Da)。次に、ペプチドをTBMBでコンジュゲートした。
<TBMB−ペプチド複合体の合成>
最初の反応を実施して、ファージ選択の間に用いた条件を再現した。一般に、5mgの精製ペプチドを水1mlに溶解させ、0.8mlの50mM NHHCOを添加し、それに続いて40μlのTCEPを添加した。MeCNに溶解したTBMB(ペプチドの重量に基づいて3当量)を、この反応に加えた。反応を1.5時間放置した後、HPLCでモニターした。完了すると、反応をHPLCにより精製した。一般に、0.5〜1.5mgの最終生成物が得られた。この方法は、多くの副生成物を生じ、主な生成物は所望の質量+250amuである。これは、TCEPの目的生成物への添加に相当し、この生成物の収量は反応時間とともに増加する。加えて、2回目のTBMBの添加に相当する、その他の質量のより高い生成物が、MALDI−TOF質量分析で観察されたが、単離されなかった。
TCEP付加物の形成に基づいて、好ましい方法が開発された。ペプチドを樹脂から切断した後、ペプチドをHPLCにより直接精製するか、またはHPLC精製の前にTCEPで15分間前処理した。HPLC溶出バッファー(一般に6ml)中の、HPLC反応からの生成物を、50mM NHHCO(4ml)で中和し、上記のようにMeCN中にTBMBを添加する。10%THFを添加した結果、透明な溶液が得られ、その結果反応が促進される。反応は質量分析によりモニターされるが、一般に1〜2時間で完了する。この反応からの副生成物は(生成物+16の存在が質量分析により観察されるが)最小限である。この反応は、HPLC精製の前に有機溶媒を除去するための濃度を必要とし、そうでなければ生成物は溶媒先端(solvent front)とともに溶出する傾向がある。この方法による生成物の収量は、一般に、3mgのペプチドから0.5〜1.5mgであるが、これは最適化されていない。
<結合アッセイ>
ファージELISAアッセイ
0.6μg/mLのビオチン化MDM2ペプチド(res2〜125)を、ストレプトアビジンコートプレート(ロシュ社)上に固定化した。プレートをPBSM(但し粉乳中4%)でブロッキングし、直鎖状またはTBMBコンジュゲートファージ(5mM DTTの存在下または不在下、PBSM中10TU/ウェル)を、プレート上で室温にて50分間インキュベートした。同様に、ファージを最初に5mM DTT中で20分間還元し、キモトリプシン(PBS中50μg/ml)で2分間処理し、PBSM(終濃度)と混合し、プレート上で50分間室温にてインキュベートした。抗−M13−HRPモノクローナル抗体(1:5000、アマシャム社)を用いてファージを検出した。
結果(図1)は、ファージクローン10とクローン48の両方が環状複合体としてMDM2に結合するが、非コンジュゲートペプチド(DTTでの前処理の有無に関わらず)としては結合しないことを定性的に示した。さらに、コンジュゲートペプチドの結合は、タンパク質分解に抵抗性を示す。5mMのDTTが、キモトリプシンのジスルフィド結合を還元し、プロテアーゼとしてその不活性化を導くことができることに留意されたい。キモトリプシンがアッセイ条件下で活性であったことを裏付けるため、本発明者らは、上記のように5mMのDTTでの前処理の後にMDM2に結合する直鎖状ペプチドを有する対照ファージをインキュベートした。本発明者らの実験条件下で、対照ファージの結合活性は、タンパク質分解で失われた。その他の実験では、本発明者らは、PBS中室温にて2分間、キモトリプシン(0.1mg/ml〜1mg/ml)の存在下、最大0.2mM〜5mMのTCEPを使用した。また、これらの条件により、本発明者らはファージ上の直鎖状ペプチドと環状ペプチドを区別した。
蛍光異方性測定
滴定実験は、実験室のソフトウェアにより制御されたハミルトン社製Microlab滴定装置を備えたホリバ・ジョバンイボン社製蛍光光度計で実施した。用いたλexおよびλemは、それぞれ295nmおよび350nmであった。励起および発光のスリット幅は、5nmおよび15nmであり、10秒の積分時間を各々の測定に用いた。ペプチド10、48中のトリプトファンの内部蛍光を用いて、MDM2(res2〜125)に対するそれらの結合親和性を測定した。実験は23℃にてPBS中、5mMのDTTで実施した。通常は250μlのMDM2(150μM)を、1.2mlのペプチド(1μM)に滴定した。滴定データを、平衡Kd=[A][B]/[AB]に対する二次方程式の解(quadratic solution)を用いて標準的な1:1結合モデルで分析した。Kdは、解離速度であり、[A]および[B]は、それぞれ、滴定剤(MDM2)および蛍光ペプチド10および48の濃度をさす。フィッティング方程式には、線形ドリフト(linear drift)を説明するために余分の項目を含めた。
これらの結果(図2および下記)は、各々のペプチドの親和性がマイクロモル以下であり、250〜750nMの範囲内であることを示す。PEP48の測定を繰り返した。
PEP10+MDM2、測定値λex=295nm、Kd=267nM;
PEP48+MDM2、測定値λex=280nm、Kd=760nM;
PEP48+MDM2、測定値λex=295nm、Kd=567nM
競合アッセイ
PEP48ファージとMDM2の結合は、MDM2にp53部位でKd=3.3nMで結合するペプチドpMI(TSFAEYWNLLSP)に競合された(Pazgier et.al.,2009 PNAS,106,4665−4670)。0.6μg/mlのビオチン化MDM2ペプチド(res2〜125)を、ストレプトアビジンコートプレート(ロシュ社)上に固定化した。プレートをPBSMでブロッキングした。TBMB−コンジュゲートファージ(1%PBSM中10TU/ウェル)を、一連の濃度のpDI(6.94nM〜1μM)と前もって混合し、プレート上で75分間室温にてインキュベートした。抗M13−HRPモノクローナル抗体(1:5000、アマシャム社)を用いてファージを検出した。PEP48ファージとMDM2の結合は、pMIペプチドの添加により抑制され、IC50=125nMと推定された。
[実施例2.二環式ペプチドのプロテアーゼ耐性]
Heinis et al.,2009の二環式ペプチドPK15およびCG4を、それぞれカリクレインおよびカテプシンGプロテアーゼに対して選択した。二環式ペプチドがこれらのプロテアーゼによる消化に耐性であれば、それは驚くことではなく、特に足場が制約された機能は、タンパク質分解作用に対する保護の助けとなるはずである。
本発明者らは、直鎖状のPK15(ヨードアセトアミドで処理したシステイン)と、TBMB足場にコンジュゲートしたPK15、カリクレインと、その他のプロテアーゼとを比較した。下の表を参照されたい(スケールの範囲は、+++(実質的に無傷である)から−(完全に切断された)までである)。予測したようにTBMBを含むPK15複合体は、カリクレインによる攻撃に対して直鎖状のものよりも耐性が高かった。異なる濃度の酵素を比較することによって示されるように、係数は約100倍であった。
その他のプロテアーゼに関して、係数は、プロテアーゼによって、10〜100倍の間の範囲であった。また、本発明者らは、二環式CG4L1−PK15L1(WO2009/098450号)のタンパク質分解に対する耐性を比較した。この場合、係数は、プロテアーゼによって、1〜100倍以上の範囲であった。よって、複合体は、選択プロセスの間に曝露されたプロテアーゼ(カリクレイン)以外のプロテアーゼに対して増大した耐性を有する。
プロテアーゼによる耐性の変化は、実施例1において既に記載されるように、タンパク質分解段階を選択またはスクリーニングプロセスに含めることが望ましいことを示唆する。最も望ましいのは、二環式ペプチドを使用する条件下で、例えば血清の存在下で活性であるプロテアーゼを使用することである。関心をもって、本発明者らはPK15の血清に対する耐性を調べた。これにより、直鎖状PK15が、約2時間以内に37℃の血清中でプロテアーゼにより消化されることが示された。しかし、PK15複合体は、少なくとも48時間タンパク質分解に抵抗する(後の時間はまだ試験されていない)。
表:様々なプロテアーゼによるペプチド複合体の消化。
Figure 2013518558
Figure 2013518558
<方法>
方法に関しては、次の実施例3を参照されたい。タンパク質分解は、37℃で行われた。カテプシンGおよびカリクレイン(kalikrein)反応は、pH7.4の10mMトリス、150mMのNaCl、10mMのMgCl、1mMのCaCl、0.1%BSA、0.01%トリトンX100、5%DMSO中で実施された。キモトリプシン反応は、pH7.4の100mMトリス、10mMのCaCl中で実施された。プロナーゼおよびプロテイナーゼK反応は、pH7.4の100mMトリス、0.5%SDS中で実施された。スブチリシン反応は、pH7.5の50mMのKHPO中で実施された。トリプシン反応は、pH7.6の67mMリン酸ナトリウム中で実施された。血清を含む反応条件は、ペプチドを1×PBS(総容量24μl)に溶解することおよび6μlのヒト血清をこの反応に添加することを伴う。
[実施例3.PK15のトリプシンおよびキモトリプシン切断部位]
PK15のトリプシンおよびキモトリプシン切断部位を同定するため、本発明者らは、上の実施例2に記載されるように、ヨードアセトアミド誘導体化ペプチドとTBMB複合体の両方を使用した。タンパク質分解条件も、実施例2に記載される通りであった。質量分析による解析により、切断された種の分子量の分析から、本発明者らはヨードアセトアミド誘導体化ペプチド(ACSDRFRNCPADEALCG)において、R7およびR9は、両方ともトリプシンに切断され、F8はキモトリプシンに切断されたことを示すことができた。実施例2に述べたようにその切断がはるかに遅い速度であったことを除いて、同じ切断部位がTBMBコンジュゲートペプチドにも見られた。さらに、トリプシンによる、最初の切断段階はR7であり、その後、より長いインキュベーションでR9での切断が続く。
<方法>
ペプチドおよび複合体を、バリアン940 HPLCを用いて、Proteo C12(4μ、フェノメネクス社)カラムで精製した。用いたバッファーは、0.1%TFA(A)および90%MeCN、0.1%TFA(B)であった。一般に、サンプルは、10〜65%のバッファーB勾配で23分にわたって溶出された。
TBMBコンジュゲーションに関して本発明者らは本発明者らの一般条件を使用した、それは次の通りである。5〜6mgの合成後の粗ペプチド(典型的な合成条件については実施例1を参照)を、水(不溶性であれば20μlの10%アンモニア溶液を添加)600μlに溶解させ、それに続いて60μlのTCEPを溶解させた後、20分間放置する。2回の注入で還元ペプチドをHPLC(上記条件)で精製し、ペプチドを約3〜4mlの溶出バッファーに回収した。等容量の100mMリン酸アンモニウム緩衝液で溶液を中和し、1mlのアセトニトリルを添加した。10当量のTBMBを1mlアセトニトリルに溶解させ、還元ペプチドに加えた。pHをモニターし、pHが酸性であればさらに100mMリン酸アンモニウム緩衝液を添加した。一般に、反応は20〜30分以内に完了した。次に、反応物をHPLCで精製した。最初に、最大4.5mlの反応物を、0.1%TFA中で平衡化した(equilibriated)カラムに添加し、8分間0.1%TFAで洗浄した後、下の通りカラムから溶出させた。純粋な画分を凍結乾燥し、水(不溶性であれば10%DMSO)に溶解させた。生成物および反応物は、その間ずっとMALDI−TOF質量分析によりモニターし、ZipTipを用いて反応混合物を脱塩する。複合体の収量は、一般に1〜2mgであった。
ヨードアセトアミド複合体に関して本発明者らは次のような本発明者らの一般条件を使用した。合成の後に、粗ペプチド(5〜6mg)を、水(600μl)に溶解させ、HPLCよりも前にTCEP(0.5Mを60μl)で20分間処理した。HPLCからの精製画分(約3ml)を、等容量の100mM重炭酸アンモニウムで中和し、1mlのMeCN中10当量のヨードアセトアミドで処理した。これらの条件下、反応は通常30分以内に完了する。反応混合物は、HPLCによって直接的に精製し、最大4.5mlの反応物を、0.1%TFA中で平衡化したカラムに添加し、8分間0.1%TFAで洗浄した後、以前に記載したように溶出させた。
ペプチド(直鎖状および複合体)を、1mg/mlの濃度で水に溶解させ、約0.5mM保存溶液の有効濃度を得、この濃度をアミノ酸分析を用いて決定した。2μlのペプチド複合体(終濃度20μM)(実際の分子量にもよるが反応物中約30μM)を、総反応容量30μlで反応バッファー(下記参照)に溶解させ、その後にプロテアーゼ(一般に、反応当たり1、0.1および0.01μgの範囲)が続き、サンプルを37℃にて1時間インキュベートした。10μlアリコートを10μlの1%TFA中でクエンチした。サンプルを、MALDI−TOF質量分析により分析して、断片ピークを同定し、従って切断の部位を決定した。切断部位に関して不明確さがあった場合は、サンプルを、MALDI−TOF−TOF(ブルカー社製Ultraflex3)によるか、またはリニアイオントラップ(サーモサイエンティフィック社製Orbitrap XL)のいずれかにより分析して正確な質量を決定した。
[実施例4.タンパク質分解に抵抗するための骨格の変化]
PK15ビシクロ複合体は、実施例2に記載されるように、直鎖型よりもキモトリプシンおよびトリプシンによる消化に耐性が高い。しかし、延長されたインキュベーションの後、実施例3に記載されるように、それはトリプシンによりアルギニン残基で切断され、フェニルアラニンの後にキモトリプシンにより切断される。アミノ酸側鎖に変化を作ることにより、タンパク質分解に対するさらなる耐性をもたらすことが可能であり得る。また、本明細書に記載され、D−アミノ酸、またはN−メチル化、または還元ペプチド結合の、切断の部位の近傍への導入により例証されるようにペプチド骨格に変化を作ることによりそうすることも可能であり得る。従って、PK15のプロテアーゼ切断部位で耐性をもたらすために、次の変異体を合成した。
H−ACSDR f RNCPADEALCG−OH(ここでfは、D−Pheを表す)、およびH−ACSDRF−(NMeArg)−NCPADEALCG−OH、およびH−ACSDRF Y[CHNH] RNCPADEALCG−OH(ここでY[CHNH]は、還元ペプチド結合を表す)。
以下のペプチド合成の記述において、略語は次の通りである。
THF:テトラヒドロフラン;NMM:N−メチルモルホリン;IBCF:イソ−ブチルクロロホルメート;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DiPEA:ジイソプロピルエチルアミン;TFA:トリフルオロ酢酸;EDT:エタンジチオール;PyBOP:ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩;PyBrOP:ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩
D−フェニルアラニンペプチド(H−ACSDR f RNCPADEALCG−OH)を、実施例1に記載されるように、D−PheをL−Pheの代わりに加えて合成した。
NMe−アルギニンペプチド、H−ACSDRF−(NMeArg)−NCPADEALCG−OHを、NMeアルギニンに先行するアミノ酸まで実施例1に記載されるようにCEM社製Liberty自動化ペプチド合成装置で合成した。樹脂をシリンジにとり、Fmoc基の脱保護の後、6当量のFmoc−NMe−Arg(Mtr)−OH、6当量のPyBOPおよび12当量のDiPEAを4mL DMFに溶解した。この溶液を樹脂に添加し、40分間攪拌した。この段階は二重カップリングのために再現される。次に、20%v/vピペリジン/DMFを用いてFmoc脱保護を実施した。DMFでの洗浄(4回)の後、6当量のFmoc−Phe−OH、6当量のPyBrOPおよび12当量のDiPEAを4mL DMFに溶解した。この溶液を樹脂に添加し、3時間攪拌した。この段階は二重カップリングのために再現される。次に、DMFで樹脂を洗浄し、CEM社製Libertyペプチド合成装置に戻して配列を完成させる。側鎖保護基および支持体からの切断は、82.5:5:5:5:2.5(v/v/v/v/v)TFA/フェノール/チオアニソール/水/EDTを一晩用いて達成された。ペプチド/TFA混合物を濾過して支持体を除去し、ペプチド/TFA混合物を水で希釈し、Et20で洗浄し(5回)、水層を凍結乾燥させた。
還元ペプチド結合、H−ACSDRF Y[CHNH] RNCPADEALCG−OHを含むペプチドは、最初にFmoc−フェニルアラニナールの調製を必要とした。5ミリモルのFmoc−Phe−OHを、10mLの無水THFに溶解させ、窒素下−15℃で保持した。次に、5ミリモルのNMMおよび5ミリモルのIBCFを添加した。15分後、懸濁液を濾過し、5mLの無水THFで2回すすいだ。5ミリモルのモルホリンを濾液に滴下し、1時間後、反応が完了した。混合物を真空濃縮し、酢酸エチルを添加した。有機層を、5%KHSOの溶液で洗浄した後、5%KHCOの溶液および蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて真空濃縮した。得られたワインレブアミドをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。次いで、1.95ミリモルの化合物を20mL無水THFに溶解し、窒素下氷浴中に入れた。1.25当量のLiAlHを添加し、水溶性KHSOで別々に加水分解したアリコートのTLCにより反応を確かめた。45分後、反応を完了させ、5mLの水溶性KHSOでクエンチした。化合物をジエチルエーテルで抽出し、さらなる精製を行わずに使用した。
ペプチド配列における還元結合の導入のため、実施例2と同じように自動化ペプチド合成装置であるCEM社製Libertyで還元結合に含まれるアルギニンまでペプチドを合成した。20%ピペリジン/DMFでのFmoc基の脱保護の後、3当量のFmoc−フェニルアラニナールの5mLのDMF中1%AcOH溶液を、シリンジ中の樹脂に支持されたペプチドに添加した。次に、3当量のNaBH3CNを少量ずつ1時間にわたって添加した。反応物を一晩攪拌し、その後樹脂をDMFで洗浄し、CEM社製Liberty Synthesizerに戻して配列を完成させた。
側鎖保護基および支持体からの切断は、94:2.5:2.5:1(v/v/v/v)TFA/EDT/H2O/iPrSiHを2時間用いて達成された。ペプチド/TFA混合物を濾過して支持体を除去し、ペプチド/TFA混合物を水で希釈し、Et0で洗浄し(5回)、水層を凍結乾燥させた。
精製後、ペプチドをTBMBにコンジュゲートさせて、カリクレイン活性の抑制について、次の通りアッセイした。
酵素はシグマ・アルドリッチ社より、基質はバッケムAG社より購入した。アッセイ緩衝液は、pH7.4の10mMトリス、150mMのNaCl、10mMのMgCl、1mMのCaCl、0.1%BSA、0.01%トリトンX100および5%DMSOからなる。酵素は、基質の添加の前に、阻害剤とともに30分間室温でインキュベートする。全ての実験は30℃で90分間記録した。
アッセイは、exc/em 350/450nmの波長でBMG Pherastarプレートリーダーで実施した。カリクレインを、1080μg/mLの溶液として購入し、希釈してアッセイ緩衝液中0.3nMの作業濃度とした。基質Z−Phe−Arg−amcをDMSO中10mMの原液濃度で可溶化し、アッセイ緩衝液で300μMの作業濃度に希釈した。阻害剤をアッセイ緩衝液中で60μMの原液濃度に対して可溶化した。各々の試薬50μLをウェルに導入して、ウェルあたり150μLの最終容量とした。アッセイでのカリクレインの終濃度は0.1nMであり、基質は100μMである。
阻害剤の終濃度は:0.5nM、1nM、2nM、5nM、8nM、10nM、20nM、50nM、80nM、100nM、200nM、500nM、800nM、1μM、2μM、5μM、8μM、10μMおよび20μMであった。反応の初期速度は、蛍光=f(時間)データをプロットし、各々の濃度の阻害剤に直線的な趨勢線を当てはめることにより得られる。抑制曲線は、初期速度=f([I])をプロットすることにより得られ、IC50値を評価することができる。
これにより、全てのペプチドがカリクレインの活性を阻害したことが明らかとなる;H−ACSDRfRNCPADEALCG−OH、H−ACSDRF−(NMeArg)−NCPADEALCG−OHおよびH−ACSDRF Y[CHNH] RNCPADEALCG−OHペプチドに対する値は、それぞれ4μM、3.1μM、16.6μMであった。
しかし、予期したように、骨格の変化もタンパク質分解に対する耐性の増加をもたらした(方法については実施例2参照)。PK15TBMB複合体が5分以内にR7で完全に切断される、実施例2に記載される最大トリプシン濃度(0.1μg)を用いると、3つ全ての(骨格を修飾した)ペプチドTBMB複合体は未切断であった。実際に1μgトリプシンで、1時間後に、骨格を修飾したTBMB複合体のいずれもが、ほとんどまたは全く切断されなかった。実施例2に記載される、PK15TBMB複合体が1時間後に約50%切断された最大キモトリプシン濃度(0.1μg)を用いると、3つ全ての骨格修飾ペプチドTBMB複合体が未切断であった。PK15TBMB複合体が1時間後に完全に切断された、1μgキモトリプシンでは、骨格を修飾した複合体は大部分(75〜85%)が無傷であった。
よって、骨格修飾複合体は、標的に対する結合親和性は多少減少するが、プロテアーゼに対して改良された安定性を有する。
上記明細書において言及される全ての刊行物は、参照により本明細書に援用される。本発明の記載される態様および実施形態の様々な変更および変形は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明らかである。本発明は具体的な好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求される本発明がかかる具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことは当然理解される。実際に、当業者には明らかな、本発明を実行するための記載される形態の様々な変更は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。

Claims (21)

  1. (a)遺伝学的ディスプレイ系において1以上のペプチドリガンドを提示するステップと、ここで、ポリペプチドは、分子足場と共有結合を形成する2以上の反応基と、2つの前記反応基間に内在する2以上のアミノ酸からなる配列を含む少なくとも1つのループとを含み、
    (b)前記ペプチドリガンドを1以上のプロテアーゼに曝露するステップと、
    (c)前記ペプチドリガンドを標的に対する結合についてスクリーニングし、前記標的に結合するリガンドを選択するステップと
    を含む、2以上のアミノ酸残基において分子足場に共有結合しているポリペプチドを含む1以上のペプチドリガンドを調製するための方法。
  2. (a)遺伝学的ディスプレイ系において1以上のペプチドリガンドを提示するステップと、ここで、ポリペプチドは、分子足場と共有結合を形成する2以上の反応基と、2つの前記反応基間に内在する2以上のアミノ酸からなる配列を含む少なくとも1つのループとを含み、
    (b)前記ペプチドリガンドを標的に対する結合についてスクリーニングし、前記標的に結合する該リガンドを選択するステップと、
    (c)前記標的に結合する前記ペプチドリガンドを1以上のプロテアーゼに曝露するステップと、
    (d)前記ペプチドリガンドを標的に対する結合についてさらにスクリーニングするステップと
    を含む、2以上のアミノ酸残基において分子足場に共有結合しているポリペプチドを含む1以上のペプチドリガンドを調製するための方法。
  3. 前記遺伝子ディスプレイ系は、ファージディスプレイである、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記標的に対する結合について選択された前記ペプチドリガンドは、プロテアーゼ切断に耐性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記プロテアーゼへの曝露は、還元剤の存在下で実施される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記1以上のペプチドリガンドは、ペプチドリガンドのレパートリーである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 各々が、分子足場と共有結合した2以上の反応基を含むポリペプチドと、2つの前記反応基間に内在する2以上のアミノ酸からなる配列を含む少なくとも1つのループとを含む、ペプチドリガンドのレパートリーであって、前記レパートリーはプロテアーゼ耐性である、ペプチドリガンドのレパートリー。
  8. 未処理である、請求項7に記載のレパートリー。
  9. 1以上の標的に対する結合について選択されている、請求項7に記載のレパートリー。
  10. 各々のポリペプチドが、分子足場と共有結合した3以上の反応基を含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載のレパートリー。
  11. 前記標的に対する結合について選択された前記ペプチドリガンドが、プロテアーゼ切断に感受性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記プロテアーゼへの曝露が、還元剤の存在下で実施される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記選択されたペプチドリガンドが、2以上の独立したポリペプチドを含み、そのポリペプチドの各々が少なくとも1カ所で分子足場に結合している、請求項12に記載の方法。
  14. 前記1以上のペプチドリガンドが、ペプチドリガンドのレパートリーである、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 各々のリガンドが2以上の独立したポリペプチドを含み、その各々が少なくとも1カ所において分子足場に結合している、ペプチドリガンドのレパートリー。
  16. 前記ペプチドリガンドが、1以上の標的と特異的に結合する能力のある、請求項15に記載のレパートリー。
  17. 前記ペプチドリガンドが多重特異性である、請求項16に記載のレパートリー。
  18. ファージ上に提示される、請求項15〜17のいずれか一項に記載のレパートリー。
  19. 前記ペプチドリガンドの標的に対する該結合特異性が、1以上のペプチドループのプロテアーゼ切断によって変更される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記標的に結合する前記ペプチドリガンドが、
    (a)アミノ酸側鎖の修飾または置換、または、
    (b)ポリペプチド骨格の修飾
    によってさらに修飾される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記骨格の修飾が、前記プロテアーゼ切断部位の近くに、D−アミノ酸、還元ペプチド結合、およびN−メチル化を導入することからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
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