JP2013516644A - 形状安定化ミラーモジュールおよび反射素子の安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射素子と、反射素子に取り付けられた支持ベース要素と、ミラーモジュールと熱のやり取りを行うための熱交換要素とからなるミラーモジュールを提供する。
【解決手段】ミラーモジュール、より詳細には、反射素子は、熱負荷によって発生し得る変形に対して安定化され、該安定化されたミラーモジュールは、一方では、熱交換要素と、他方では、反射素子およびベース要素との間で熱のやり取りを行うために、より詳細には、反射素子を冷却するために、ヒートポンプ、例えば、ペルチェ素子を含み、該ミラーモジュールにおいて、反射素子の形状を安定化させるように、熱流量が測定され、ミラーモジュールを安定化させる方法が提供される。
【選択図】図2
【解決手段】ミラーモジュール、より詳細には、反射素子は、熱負荷によって発生し得る変形に対して安定化され、該安定化されたミラーモジュールは、一方では、熱交換要素と、他方では、反射素子およびベース要素との間で熱のやり取りを行うために、より詳細には、反射素子を冷却するために、ヒートポンプ、例えば、ペルチェ素子を含み、該ミラーモジュールにおいて、反射素子の形状を安定化させるように、熱流量が測定され、ミラーモジュールを安定化させる方法が提供される。
【選択図】図2
Description
本発明は、ミラーモジュールに関するものであり、より詳しくは、本発明は、反射素子と、該反射素子に取り付けられたベース要素と、ミラーモジュールと熱のやり取りを行うための熱交換構造とを含むミラーモジュールに関するものである。
本発明は、さらに、反射素子の形状を安定化させる方法に関するものであり、より詳しくは、本発明は、反射素子を安定化させる方法であって、連続的に、反射素子の温度を測定するステップと、測定温度と予め定めた温度との温度差を判断するステップと、および反射素子と熱のやり取りを行ってその温度差を補償するステップとを含む方法に関するものである。
ミラーモジュールは、様々な光学系において使用されている。ミラーモジュールは、例えば、レーザビーム投射器およびリソグラフィー装置において、投影目的で、そして、例えば、レーザビーム走査装置において、光ビームを指向させるために使用されている。ミラーモジュールは、また、電磁放射線検出目的および地球観測目的で、天文学用装置において、例えば、望遠鏡において、使用されている。
ミラーの形状安定性は、常に、望遠鏡および投射器などの光学系の開発者およびユーザの関心事である。ミラーの形状は、とりわけ、反射ビームの方向および焦点調節、投影像の品質、および望遠鏡の解像度を決定する。特に、例えば、気温の変化または熱負荷の変化に起因するミラーの温度変化は、不安定さの原因となる。温度が変化すると、ミラーモジュールを構成するために使用された材料が熱膨張するために、ミラーの形状が変化する。
ミラーモジュールの温度変化を小さくするために、そのようなモジュールを、例えば、冷却液、放熱によって、または熱電素子によって、冷却する。
独国特許公開第3339076A1号明細書には、冷却型ミラーモジュールが開示されている。このミラーモジュールは、冷却液用のチャネルを含み、その冷却液によって、ミラーモジュールから、より詳細には、反射素子から、熱を運び去ることができる。熱交換チャネルは、反射素子の領域全体に広がっている複数の開口部を含み、それら開口部は、冷却液を反射素子の背面にもたらす。この構成は、特に冷却液が開口部の全てに同時にもたらされる場合、反射素子をどちらかといえば均質に冷却できる。反射素子は、軸受要素によって堅固な固体ベースに取り付けられる。反射素子とベースとの間の機械的接続部が、熱変形、それゆえ反射素子に変形を生じるのを防いでいる。これは特に、反射素子がベースよりもはるかに薄い場合に当てはまる。この公知のミラーモジュールの軸受要素は、ベースおよび反射素子の横方向の熱膨張の小さな差を吸収するように設計された細いパイプである。
独国特許公開第3339076A1号明細書から公知のミラーモジュールの欠点は、この冷却方法では、温度を非常に正確には調整できないことである。別の欠点は、この方法は、概念的には、完成形のミラーモジュールは、均質な温度、すなわち冷却液の温度であるという考えに基づくものであることである。しかしながら、熱負荷の瞬間的な変動は、その温度におけるモジュールの安定化を図ることはできない。モジュールにおける、より詳細には、反射素子における温度勾配は、反射素子を変形させ、この変形は、この公知のミラーモジュールでは補償できない。この公知のミラーモジュールでは、冷却液は、反射素子と直接接触しない。そのような冷却方法の欠点は、乱流および液体の流れにおける他の変動が反射素子を振動させることである。反射素子のそのような振動は、光学機器の光学性能を悪化させ、例えば、望遠鏡または投影された光学像の解像度を低下させる。
欧州特許出願公開第1398655A1号明細書には、冷却型光学モジュールが開示されている。その光学モジュールでは、光学素子の温度は、放熱板といくつかの光学素子を取り囲むハウジングとの間に動作可能に配置されたヒートポンプ、より詳細には、ペルチェ素子によって調整される(本明細書で使用される「の間に動作可能に配置された」は、ヒートポンプが構造体に結合されており、ヒートポンプがそれら構造体の間に動作可能に配置されて、ヒートポンプの物理的な位置に関わらずこれら構造体間で熱のやり取りを行うことを意味する)。この公知の光学モジュールは、モジュールの異なる個所での温度を測定する温度センサを含む。温度センサの測定信号に基づいて、コントローラが、温度を一定に保つのに必要とされる熱流量、すなわちペルチェ素子の冷却および加熱容量を調整する。
米国特許第6,098,408号明細書には、リソグラフィーのプロセスで反射レチクルの温度を制御するシステムが開示されている。このシステムは、レチクルを冷却するための熱電冷却器と、熱電冷却システムから熱を吸い上げるためのヒートシンクとを含む。
ヒートポンプによって温度を調整することの欠点は、反射素子のような固体素子内部の温度勾配に起因する応力モーメントから生じる変形を補償できないことである。そのような素子は、数センチメートルもの厚みのある金属のブロックを有することがあるため、とりわけソースの熱負荷安定性に依存して、その素子の温度が安定する状況が仮にも得られるとしても、そのような状況となるまである程度時間がかかる。安定した温度でも、光学素子は、著しい軸方向および半径方向の温度勾配を有する可能性があり、これを補償することはできない。温度が均一でない時間の期間中、反射素子は必要とされる形状を有していない可能性がある。このため、安定化のための追加的な手段を備えていないミラーモジュールの形状安定度は、例えば、ナノメートルスケールの半導体リソグラフィーのような、極めて要求度が高いアプリケーションでは、不十分である。また、この公知のミラーモジュールは、ビーム強度が急変する高出力レーザアプリケーションにおいて、満足するものではない。
反射素子の形状を安定化させるための定評のある方法(例えば、米国特許第6,809,888B1号明細書参照)は、反射素子の温度を測定すること、測定温度と予め定めた温度との温度差を判断すること、および反射素子と熱のやり取りを行ってその温度差を補償することを含む。この方法は、特に、熱負荷、より詳細には、熱負荷の変動を受ける反射素子の冷却に使用される。
本発明の目的は、反射素子を含むミラーモジュールであって、反射素子の形状が、反射素子への熱負荷、より詳細には、時間または場所における熱負荷の変化および変動の影響をほとんど受けない、ミラーモジュールを提供することである。
上述の本発明の目的は、反射素子と、反射素子に取り付けられたベース要素と、ミラーモジュールと熱のやり取りを行うための熱交換構造と、反射素子と熱交換構造との間に動作可能に配置された第1のヒートポンプと、ベース要素と熱交換構造との間に動作可能に配置された第2のヒートポンプとを含むミラーモジュールによって実現される。
ヒートポンプを設けることによる効果は、明確に定義されたまたは予め定められた熱流量を熱交換構造と反射素子およびベース要素との間に与えることができることである。熱交換構造は、例えば、冷却媒体、または熱伝導性固体要素を含むチャネルとし得る。
一方では、熱交換構造と、他方では、反射素子およびベース要素との間に動作可能に配置されたヒートポンプを設けることの利点は、熱交換構造の実際の温度とは無関係に、反射素子の温度を正確に調整できる一方、ベースとの温度差による熱交換構造の変形を回避できることである。また、ベース要素の温度を制御できることも利点である。ベース要素の安定化は、ベース要素の、それゆえミラーモジュールの、より詳細には、反射素子のより良好な形状安定性をもたらす。特に、第1の曲げモードおよびミラーの横方向の熱膨張を、この制御されたベース要素によって補償できる。
一実施形態では、熱交換構造は、ベース要素と反射素子との間に配置される。それゆえ、ヒートポンプは、熱交換構造の両側の素子に設けられるため、相互に対向する各側の加熱むらによるベースの変形を少なくする。ベース要素および反射素子は、熱交換構造に対して対称的に配置されてもよい。このように、熱交換構造の変形を最小限にする。
ヒートポンプの効果によって、熱負荷に対する感受性の強さを弱くする。なぜなら、ヒートポンプは、反射素子と熱交換構造との間の熱流量を一時的にまたは局所的に増減させ、反射素子およびベース要素の温度を迅速に安定化させることができるためである。反射素子と熱交換構造との間で熱のやり取りを行うために、受動的な熱伝導要素、例えば、金属条片またはワイヤが設けられる状況とは異なり、熱伝達は、例えば、電気的な信号によって能動的に制御できる。熱流量は、また、ミラーモジュール、より詳細には、反射素子における不均質な温度分布を補償し得る。
ミラーモジュールは、反射素子の安定性および精度は2つのメカニズム、すなわち熱安定化および機械的安定化の相互作用によって向上できるという見識に基づいている。熱交換構造およびヒートポンプによって支持される熱安定化は、この安定化が、変動の発生源、すなわち温度変化および変動と同じ物理的効果に基づいているという利点を有する。反射素子をベース要素に取り付けることによって支持される機械的安定化は、そのような安定化が、望まない結果、すなわち反射素子の変形を補正するという利点を有する。
ミラーモジュールの実施形態は、反射素子の温度を測定する温度センサを特徴としている。
そのような温度センサの利点は、反射素子の実際の温度を測定できることである。センサは、ヒートポンプおよび/または熱交換構造を制御する制御装置にフィードバック信号を提供することができる。これは、冷却または加熱容量の制御が、例えば、熱負荷または環境の温度に基づく場合よりも、熱交換構造および/またはヒートポンプの冷却、または加熱容量の制御を、良好に行うことができる。
ミラーモジュールの別の実施形態は、反射素子と熱交換構造との間の熱流量を測定するための熱流束センサを特徴としている。
この実施形態の利点は、反射素子への熱負荷に関する追加的な情報が得られることである。この情報は、ヒートポンプおよび/または熱交換構造の制御性能を最適にするために使用できる。
別の目的は、反射素子の形状を安定化させる方法を提供することである。
上述の目的は、反射素子の形状を安定化させることを実現することによって達成され、この方法は、連続的に、反射素子の温度を測定するステップと、測定温度と予め定めた温度との温度差を判断するステップと、反射素子と熱のやり取りを行ってその温度差を補償するステップと、反射素子と熱交換構造との間の熱流量を測定するステップと、反射素子から熱交換構造への熱流路に配置された熱流束センサを使用するステップと、および熱伝達を調整するために測定熱流量を使用するステップとを含む。
反射素子の温度ではなく、反射素子における厚さ方向の温度勾配の測定値である、熱流量を直接測定した追加的な情報を使用することの利点は、特定の条件下で伝達できる熱の量に、ヒートポンプのパワーを調整できることである。
熱の量を調整する効果は、迅速な加熱が可能であること、および温度におけるオーバーシュートを防止できることである。この効果は、ミラーモジュールの形状のより良い安定化をもたらす。
特許請求の範囲は、一方では、熱交換構造と、他方では、ベース要素および反射素子の双方との間にヒートポンプを有するミラーモジュールに係るものであるが、この方法は、熱交換構造と反射素子のみとの間にヒートポンプを備えるミラーモジュールにも適用できるものである。より一般的に、ミラーモジュールを、熱交換構造と反射素子のみとの間にあるヒートポンプとともに使用できるが、これは、熱交換構造の片側に熱負荷があるゆえにより変形を生じやすい。
これらのおよび他の目的および利点は、以下の図面を用いる例示的な実施形態の説明から明白である。
図1に示すような従来技術によるミラーモジュール(1)は、反射素子(2)と、反射素子(2)に、例えば、パイル(5)によって取り付けられたベース要素(3)と、ミラーモジュールと熱のやり取りを行う熱交換要素(4)とを含む。熱交換要素(4)は、また、熱交換用の気体または液体だけでなく、固体状であることを示す熱交換要素とも称する。そのような熱交換構造は、独国特許公開第3339076A1号明細書で説明されているような冷却液用のチャネルを含んでもよい。ベース要素(3)は、反射素子における横方向の熱応力を弱め、それゆえ、ある程度、反射素子が曲がったり、またはその求められる形状から逸れたりしないようにする。
図2は、ミラーモジュール(10)の一実施形態を示す。反射素子(12)は、面(11)が電磁放射線の反射に好適である任意のタイプの素子とし得る。この電磁放射線は、例えば、可視、赤外、遠赤外、紫外、または極紫外光としてもよいし、またはX−線としてもよい。反射素子は、アルミニウム、銅、チタニウム、モリブデン、ベリリウムまたはニッケル/鋼などの金属とし得る適切な材料で構成される。より精度を高くするために、低CTE材料(熱膨張率が低い材料)、例えば、ガラス−セラミックZerodur(Schott社の商標)、ガラスULE(Corning社の商標)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、シリコン、SiCまたはSiSiCを使用してもよい。反射面(11)は、研磨面とし得るが、基板材料に堆積された層ともし得る。反射素子は、電磁放射線を透過させる保護層、例えば、コーティングを含み得ることを理解される。反射素子の面を平面として描いているが、この面は、放物線を含む任意の形状または任意の好適な自由形状を有し得る。
ミラーモジュールは、ミラーモジュールと熱のやり取りを行うための熱交換要素(13)を含む。熱交換要素は、例えば、熱伝導性の良い固体要素(13”)とし得る。熱交換要素は、また、伝導性の良い固体要素と組み合わせて、または組み合わせずに、冷却チャネル(13’)を含む。特定の状況では、ファンを含む熱交換要素は、反射素子から熱を運び去ることを満たし得る。これは、小さな温度負荷がかけられる応用、およびミラーモジュールが、空気中、好ましくは強制循環するようにされた空気中に配置される応用に当てはまる。しかしながら、冷却気体用、または一層好ましくは冷却液用のチャネルは、大冷却容量を得るように適用され得る。多くの適用では、熱交換要素の機能は、反射素子から熱を運び去ることであるが、他の応用では、または他の条件下では、熱交換要素は、反射素子に熱を伝達し得る。
モジュールは、反射素子(12)と熱交換要素(13)との間で熱のやり取りを行うヒートポンプ(14)をさらに含む。このヒートポンプは、周知の冷却システムを含め任意のタイプのヒートポンプとし得る。しかしながら、固体のヒートポンプ、より詳細には、ペルチェ素子のような熱電素子が好ましい。そのような固体のヒートポンプの利点は、可動部分がなく小型であること、および電気的に作動して、電気回路によって簡単に制御できることである。加えて、加熱および冷却の双方に使用できるという利点がある。ペルチェ素子に加えられる電圧の極性を変更することによって、反射素子(12)に対面する面(15)は、反射素子を冷却または加熱できる。熱交換要素は、ベース(16)の一部、例えば、ベースの冷却チャネルとして構成してもよい。熱交換要素は、また、熱接触がよい状態で、または熱的に分離された状態で、ベースに取り付けてもよい。ヒートポンプは、反射素子とベースとの間の機械的接続部の一部として構成してもよい。しかしながら、反射素子とベースとの間の機械的接触は、パイルを含んでもよく、それらのパイルは、熱電対列またはペルチェ素子で作製された単純な機械的なパイル、または追加的な方法もしくは唯一の接続方法として、接着剤のような他の接続手段とし得る。
ベース要素(16)は、金属のブロック、またはZerodur、モリブデン、タングステン、炭化ケイ素または窒化ケイ素などのような低熱膨張材料から作製し得る。好ましくは、ベース要素の剛性は、反射素子よりも高い。ベース要素は、通常、反射素子よりも熱負荷を受けないため、ベース要素は、特に、冷却チャネルがベース要素の付近にまたはその内部に配置されている場合、あまり熱膨張または変形されない。そのため、ベース要素は、特に、反射素子の第1の曲げモードおよび横方向膨張を補償するための補償力を与えることによって、反射層の変形力を弱める。変形力がどの程度補償されるかは、反射素子、ベース要素およびこれらの素子と要素との間の接続部の剛性および熱的特性に依存する。しかしながら、いずれの場合も、反射素子の変形は、ベース要素がない場合よりも小さい。
図2では、反射素子は、熱交換要素(13)およびヒートポンプ(14)を介してベース要素に取り付けられている。しかしながら、その代わりにまたはそれに加えて、反射素子は、図1に示すように、支持パイルによって、または適切な材料、例えば、シリコーン、ゴムまたはプラスチックのような低弾性材料で隙間を埋めることによって、ベース要素に取り付けることができる。
一般的に、ヒートポンプ(14)は、反射素子における、反射素子内の、または反射素子付近の、またはミラーモジュール近傍の、実際の温度に基づいて制御されることが好ましい。このため、ミラーモジュールは、1つ以上の温度センサ(17)を含み得る。しかしながら、ミラーモジュールは、また、特に、熱負荷がよく分かっており、場所および時間で明確に定義されている場合には、熱負荷に基づいて制御してもよい。後者は、周期的な熱負荷による応用に当てはまる。温度センサ(17)の信号を使用して、ヒートポンプを経由する熱流量を制御し得る。温度センサは、熱電対、熱電対列、または温度を測定するための任意の適切なセンサとし得る。熱電対または熱電対列が、反射素子の温度制御のために電気回路に簡単に実装できるため、好ましいとし得る。追加的な温度センサは、他の場所に、例えば、ベース要素にまたはその内部に、または伝導素子にまたはその内部に、配置され得る。
図3は、ミラーモジュールの別の実施形態を示す。この実施形態は、ベース要素(16)と熱交換要素(13)との間で熱のやり取りを行うための追加的なヒートポンプ(19)を含む。このヒートポンプは、反射層(12)と熱交換要素(13)との間に配置されるヒートポンプ(14)と同じタイプとし得る。ペルチェ素子のような熱電素子を使用することが有利である。そのような素子は、コンピュータ制御であろうとなかろうと、電気回路による制御を簡単にする。コンピュータ制御は、熱特性および機械特性およびミラーモジュールのふるまいのモデル記述に基づいた制御を可能にする。反射層付近または反射層の異なる位置における温度センサ(17)は、熱流量を局所的に制御するための信号を提供し得る。ミラーモジュールは、反射層と補償要素(補償力をもたらすベース要素(16))との間の平面に沿って、本質的に対称的であることが好ましいとし得る。ミラーモジュールのこの実施形態は、例えば、ベース要素(16)の温度を測定するために、1つ以上の追加的な温度センサ(18)を含んでもよい。
図4は、反射素子(12)と熱交換要素(13)との間の熱流量を測定するための熱流束センサ(20)を含む、安定性をさらに向上させるための好ましい実施形態を示す。熱流量センサは、熱電対列とし得る。この実施形態は、また、熱交換要素(13)の温度、より詳細には、冷却液の温度を測定するための、1つ以上の別の温度センサ(21)を含む。冷却液の温度を測定することによって、液体の温度の変動を補正することができる。熱電対列は、オーバーシュートせずに、温度安定化を良好に、とりわけ迅速に制御できるようにする。熱電対列は、外部電源を必要とせず、追加的な加熱を引き起こさず、および集積回路の一部として組み込むことができる。特定の状況では、加熱素子(22)をベース要素(16)の加熱に適用できる。特に、反射素子への熱負荷が非常に高い場合、そのような加熱は、追加的な補償をもたらし得る。加熱素子は、制御有りまたは無しの、従来の電気的な加熱素子とし得る。この制御は、ヒートポンプ(14、19)の制御に組み込まれ得る。しかしながら、加熱素子の制御は、また、別個の温度または熱負荷の測定値に基づき得る。
ミラーモジュールは、機能性の異なる素子および構成要素を含む。それゆえ、モジュールは、1つ以上の別個の装置および構成要素から構成し得る。しかしながら、高い集積度または機能性を完全に一体化することも可能であり得る。特に、ヒートポンプ、熱交換要素および/または温度センサを単一の半導体素子に集積させることも可能である。有利な実施形態は、2つの大きな集積部分で構成されたものであり得、それら部分は、図4の破線の、一方が、上側に、および一方が、下側にある。そのような部分は、個別に製造され、例えば、接着剤によって一緒に装着され得る。
図5には、ミラーモジュールの形状を安定化させる方法を示す。反射素子の温度(Tm)および反射素子と熱交換要素との間の熱流量(Φm)の双方を測定する。熱流量(Φm)は、熱交換要素(13)と反射素子(12)との間の熱伝達経路に、例えば、ヒートポンプと直列に配置された熱流束センサ(20)によって、測定する。測定温度を要求温度(Tr)と比較する。コンピュータ制御またはコンピュータ支援装置とし得る制御装置(30)が、ヒートポンプの熱伝達を調整するための信号(p)を生成する。測定値および制御信号(p)の生成は、好ましくは、高い繰り返し周波数で実施され、良好な制御を可能にする。一実施形態では、制御装置(30)は、例えば、測定熱流量(Φm)にそれぞれ依存する各測定温度で使用されるパワーを増減することによって、特定の条件下で伝達できる熱の量に、ヒートポンプのパワーを調整するように構成されている。パワーは、熱流束および温度に依存して、温度のアンダーシュートまたはオーバーシュートを予測するモデルに依存して調整してもよく、例えば、パワーは、モデルに従って、アンダーシュートまたはオーバーシュートを最小限にするように選択される。
図5には、1組のパラメータのみを示す。しかしながら、実際には、ミラーモジュールは、複数の温度センサ、ヒートポンプ、熱電対列、および/または熱流束センサを含んで、局所的な温度および変形の制御を可能にする。熱交換要素(13)と反射素子(12)との間のそれぞれ異なる熱伝達経路にそれぞれ熱流束センサを使用してもよく、および異なるヒートポンプの相対パワーを、異なる熱伝達経路における熱流量の差を小さくするように調整してもよい。
同様の制御アルゴリズムを、それぞれベース要素16および反射素子12の側にあるセンサを使用して、ベース要素16および反射素子12に対するヒートポンプの制御に適用してもよい。このように、熱交換要素13の対向する側の温度の不均衡を小さくできる。
好ましくは、熱伝達は、ペルチェ素子とし得るヒートポンプによって調整される。しかしながら、熱交換要素のパラメータ、例えば、冷却液または液体の温度または流量を調整することも可能である。電子回路の制御は、ミラーモジュールの相関性のある熱変形モデルを使用する、フィードフォーワード制御の原理に基づき得る。より詳細には、異なる位置における形状および温度および熱流束に関する熱変形モデルを使用して、ミラーモジュールの反射素子に適切な形状を得るために、特定の位置において、必要とされる温度(Tr)を計算できる。
Claims (10)
- ミラーモジュール(10)であって、
−反射素子(12)、
−前記反射素子(12)に取り付けられたベース要素(16)、
−ミラーモジュールと熱のやり取りを行うための熱交換構造(13)、
−前記反射素子(12)と前記熱交換構造(13)との間に動作可能に配置された第1のヒートポンプ(14)、および
−前記ベース要素(16)と前記熱交換構造(13)との間に動作可能に配置された第2のヒートポンプ(19)
からなるミラーモジュール。 - 前記熱交換構造(13)が、前記反射素子(12)と前記ベース要素(16)との間に配置されている、請求項1に記載のミラーモジュール。
- 前記反射素子(12)の温度を測定するための第1の温度センサ(17)をさらに含む、請求項1または2に記載のミラーモジュール。
- 前記第1および/または第2のヒートポンプ(14、19)が、熱電素子である、請求項1から3のいずれか一項に記載のミラーモジュール。
- 前記熱交換構造(13)が、液体または気体用のチャネルである、請求項1から4のいずれか一項に記載のミラーモジュール。
- 前記モジュールが、前記ベース要素(16)の温度を測定するための第2の温度センサ(18)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のミラーモジュール。
- 前記モジュールが、前記熱交換構造(13)の温度を測定するための第2または第3の温度センサ(21)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のミラーモジュール。
- 前記モジュールが、前記反射素子(12)から前記熱交換構造(13)までの熱流路に配置された、前記反射素子(12)と前記熱交換構造(13)との間の熱流量を測定するための熱流束センサ(20)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のミラーモジュール。
- 前記ミラーモジュールが、前記反射素子(12)に面する側とは反対側に、前記ベース要素(16)に熱負荷をもたらす加熱素子(22)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のミラーモジュール。
- 反射素子の形状を安定化させる方法であって、以下の連続的なステップ、
−前記反射素子の温度を測定するステップ、
−測定温度と予め定めた温度との温度差を判断するステップ、および
−前記反射素子と熱のやり取りを行ってその温度差を補償するステップ、
−前記反射素子(12)から前記熱交換構造(13)への熱流路に配置された熱流束センサ(20)を使用して、前記反射素子と熱交換構造との間の熱流量を測定するステップ、
−熱伝達を調整するために測定熱流量を使用するステップ
からなる反射素子の形状安定化方法。
Applications Claiming Priority (3)
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