図1は、動力源12、吸気システム14、および排気システム16を有する動力システム10を示している。本開示において、動力源12は、4ストロークディーゼルエンジンとして図示および説明される。しかし、動力源12は、例えば、ガソリンエンジン、ガス燃料駆動エンジンなどの他の任意のタイプの燃焼機関とすることができる。動力源12は、複数のシリンダ20を少なくとも部分的に画定するエンジンブロック18を含む。ピストン(図示せず)は、上死点位置と下死点位置との間を往復運動するように、各シリンダ20内にスライド可能に配置され、シリンダヘッド(図示せず)が、各シリンダ20に連結される。図示した実施形態では、動力源12は6つのシリンダ20を含む。しかし、動力源12は、それを超えるか、またはそれ未満の数量のシリンダ20を含むことができ、シリンダ20は、「直列」構成、「V字」構成、または他の任意の適切な構成で配置することができると考えられる。
吸気システム14は、給気を動力源12に導入するように構成された構成要素を含む。例えば、吸気システム14は、シリンダ20と連通する吸気マニホルド22と、第1のコンプレッサホイール25を有する第1のコンプレッサ24と、第2のコンプレッサホイール27を有する第2のコンプレッサ26と、空気冷却器28とを含む。第1のコンプレッサ24および第2のコンプレッサ26には、コンプレッサ24、26の上流の流体路から空気を受け入れ、空気が動力源12に流入する前に空気を高い圧力レベルまで圧縮するように構成された固定容量コンプレッサ、可変容量コンプレッサ、または他の任意のタイプのコンプレッサを含めることができる。第1のコンプレッサ24および第2のコンプレッサ26は、直列の関係で配置し、流体路32を介して動力源12に接続することができる。しかし、他の実施形態では、第2のコンプレッサ26は、第1のコンプレッサ24と並列に配置することができる。
第2のコンプレッサ26は、第1のコンプレッサ24よりも高い圧力に空気を圧縮するように構成されている。第2のコンプレッサ26は、流体路34を介して第1のコンプレッサ24と流体連通することができ、第1のコンプレッサ24からの圧縮空気を受け入れ、第1のコンプレッサ24によってすでに圧縮された空気をさらに圧縮するように配置することができる。
空気冷却器28には、空気対空気熱交換器、空気対液体熱交換器、または両方の組み合わせを含めることができ、空気冷却器28は、動力源12に送られる圧縮空気との間の熱エネルギの伝達を容易にするように構成することができる。空気冷却器28は、第1のコンプレッサ24と第2のコンプレッサ26との間の流体路34内か、または動力源12と第2のコンプレッサ26との間の流体路32内に配置することができる。
排気システム16は、排気ガスを動力源12から大気に送るように構成された構成要素を含む。具体的には、排気システム16は、シリンダ20と連通する排気マニホルド36と、排気システム16を吸気システム14と流体連通させる排気ガス再循環(EGR)回路38と、第1のコンプレッサ24と連結された第1のタービン40と、第2のコンプレッサ26と連結された第2のタービン42と、動力源12の排気ガスから望ましくない排出物を除去するように構成された排気ガス後処理システム44とを含む。排気ガス後処理システム44は、それに限定するものではないが、再生装置、熱源、酸化触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル粒子フィルタ(DPF)、選択的接触還元触媒(SCR)、NOx吸蔵触媒(LNT)、マフラ、または動力源12から出た排気ガスを処理するのに必要とされる他の装置を含む様々な排出物処理技術を含むことができる。図1では、排気ガス後処理システム44は、第1のタービン40より下流にあるとして示されている。しかし、排気ガス後処理システム44の1つまたは複数の構成要素は、エンジンと第2のタービン42との間、および/または第2のタービン42と第1のタービン40との間に配置することができる。
動力源12で生じた排気ガスは、排気マニホルド36を介して排気システム16に流入する。排気マニホルド36は、動力源12を第1のタービン40および第2のタービン42に流体的に接続する。EGR回路38は、動力源12で生じた排気ガスの一部の方向を排気マニホルド36から吸気システム14に協同して向け直す構成要素を含むことができる。具体的には、EGR回路38は、流体路46、EGR冷却器48、および再循環制御弁50を含む。流体路46は、第2のタービン42の上流で排気システム16に流体的につながり、空気冷却器28の下流で吸気システム14に流体的につながっている。
再循環制御弁50は、EGR冷却器48の下流で流体路46内に配置されて、EGR回路38を通る排気ガスの流れを制御する。再循環制御弁50は、例えば、蝶形弁、ダイヤフラム弁、ゲート弁、ボール弁、ポペット弁、または玉形弁などの当技術分野で公知の任意のタイプの弁とすることができる。さらに、再循環制御弁50は、ソレノイドで駆動されるか、油圧で駆動されるか、空気圧で駆動されるか、または他の任意の態様で駆動されて、流体路46を通る排気ガスの流れを選択的に制限する、または完全に遮断することができる。
EGR冷却器48は、EGR回路38を流れる排気ガスを冷却するように構成されている。EGR冷却器48には、液体対空気熱交換器、空気対空気熱交換器、または排気ガス流れを冷却する、当技術分野で公知の他の任意のタイプの熱交換器があり得る。
第1のタービン40は、第1のコンプレッサ24を駆動するように構成することができ、第2のタービン42は、第2のコンプレッサ26を駆動するように構成することができる。例えば、第1のタービン40は、第1のシャフト52によって第1のコンプレッサ24に直接、かつ機械的に連結されて、第1のターボチャージャ54を形成することができる。動力源12から出た高温排気ガスは、第1のタービン40を通るので、第1のタービン40は回転し、第1のコンプレッサ24を駆動して流入空気を加圧する。第2のタービン42は、第2のシャフト56を介して第2のコンプレッサ26に同様に連結されて、第2のターボチャージャ58を形成することができる。第2のタービン42は、第1のタービン40と直列に配置することができる。別の実施形態では、第1のタービン40は、第1のコンプレッサ24および第2のコンプレッサ26の両方を駆動するように構成される。例えば、動力システム10は、第1のコンプレッサ24および第2のコンプレッサ26が、共通シャフトを介して第1のタービンに機械的に連結されるツインコンプレッサターボチャージャ(図示せず)を含むことができる。この実施形態では、第2のタービン42をなくすことができる。
吸気システム14はまた、第2のコンプレッサホイール27からの圧縮空気を第1のコンプレッサ24に送るように構成された空気供給路60を含む。空気供給路60は、入口62、出口64、および空気供給制御装置66などの圧力調整装置を有する。入口62は、第2のコンプレッサホイール27の下流に配置され、第2のコンプレッサ26によって圧縮された空気を受け入れるように構成されている。出口64は、第1のコンプレッサホイール25に近接して配置されている。空気供給制御装置66は、様々な形で構成することができる。第1のコンプレッサ24に送られる空気の流量および/または圧力を制御または調整可能な任意の装置を使用することができる。例えば、空気供給制御装置66は、第1のコンプレッサ24の方に向けられる空気圧力を約4kPa〜約100kPaに制御できる圧力レギュレータとすることができる。空気供給制御装置66は、例えば、電気でか、空気圧でか、または機械式に駆動することができる。空気供給制御装置66はまた、流路内の空気圧が、例えば、100kPaなどの所定の圧力しきい値を超えた場合に、吸気供給路60を閉鎖するように構成することができる。
図2を参照すると、示した実施形態において、第1のコンプレッサホイール25は、コンプレッサホイール背面68および外周縁部70を含む。第1のコンプレッサホイール25は、長手軸73のまわりに回転するように、第1のシャフト52に固定して連結され、コンプレッサハウジング72内の中心に配置されている。コンプレッサハウジング72は、第1のコンプレッサホイール25を少なくとも部分的に囲むように構成することができる。
コンプレッサハウジング72は、コンプレッサバックプレート76を介してセンタハウジング74に取り付いている。図示した実施形態では、コンプレッサバックプレート76は、例えば、留め具などの任意の適切な手段によって、コンプレッサハウジング72およびセンタハウジング74の両方に取り付けられる。他の実施形態では、コンプレッサバックプレート76は、コンプレッサハウジング72またはセンタハウジング74と一体に形成することができる。
コンプレッサバックプレート76は、第1のシャフト52を貫通させて受け入れる開孔78を形成している。第1のシャフト52は、1つまたは複数のベアリングアセンブリ80によってセンタハウジング74内に回転可能に支持されている。ベアリングアセンブリ80は、様々な形で構成することができる。ターボチャージャシャフトにとって典型的な動作条件および回転速度で、第1のシャフト52をセンタハウジング74内に回転可能に支持するのに適した任意のベアリングアセンブリ80を使用することができる。
例えば、ターボチャージャシャフトに対して浮動スリーブ式ベアリングを使用するのは公知である。浮動スリーブ式ベアリング(すなわち、ジャーナルベアリング)は、ターボチャージャシャフトとセンタハウジングとの間に配置されたスリーブ(図示せず)を利用する。エンジンのオイル回路からなどのオイルは、ベアリングアセンブリに送られて、ターボチャージャシャフトとスリーブとの間、およびセンタハウジングとスリーブとの間にオイルの薄膜を形成する。したがって、スリーブは、2つのオイル膜間で「浮遊」し、ターボチャージャシャフトおよびセンタハウジングに対して回転することができる。
ターボチャージャは、ボールベアリングを使用するとしても公知である。浮動スリーブ式ベアリングと同様に、ボールベアリングアセンブリは、ターボチャージャシャフトをセンタハウジング内で回転可能に支持する。しかし、ボールベアリングの場合、ターボチャージャシャフトがオイルのクッション上をスリーブベアリングとともに回転する代わりに、シャフトは、ボールベアリングアセンブリの内輪(図示せず)を回転させる。
ベアリングアセンブリ80はオイルで潤滑される。オイル路82は、圧力下でオイルをベアリングアセンブリ80に供給するように構成されている。例えば、図示した実施形態では、オイル路82は、センタハウジング74内に形成され、ベアリングアセンブリ80を動力源12の潤滑システム(図示せず)などのオイル源に流体的に接続する。
ベアリングアセンブリ80からのオイルがコンプレッサ領域に流入するのを防止するために、1つまたは複数のシャフトシールが利用される。シャフトシールは、様々な形で構成することができる。オイルがコンプレッサ領域に流入するのを阻止できる任意の封止装置を使用することができる。図示した実施形態では、環状の第1のシール84が、センタハウジング74と第1のコンプレッサホイール25との間で、第1のシャフト52のまわりに配置され、環状の第2のシール85が、ハウジング74と環状の第1のシール84との間で、第1のシャフト52のまわりに配置されている。環状の第1のシール84および環状の第2のシール85は、環状空間87がシール間に形成されるように軸方向に離間している。
空気供給路60をセンタハウジング74と第1のコンプレッサホイール25との間の領域に流体的に接続する空気路86が設けられている。一実施形態では、空気路86は、空気供給路60の一部である。空気路86は、空気供給路60からの圧縮空気を受け入れるように構成された流路入口88と流路出口90とを含む。図示した実施形態では、空気路86は、コンプレッサバックプレート76を貫通している。しかし、他の実施形態では、空気路86は、コンプレッサハウジング72および/またはセンタハウジング74などの、第1のターボチャージャ54の他の部分を部分的に、または完全に貫通することができる。したがって、第2のコンプレッサ26からの圧縮空気が、センタハウジング74と第1のコンプレッサホイール25との間の領域に送られるのを可能にする空気路86の任意の構成を使用することができる。図示した実施形態では、空気路86は、空気供給路60を環状空間87に流体的に接続している。
再度図1を参照すると、動力システム10は、動力システム10の一部またはすべての動作を制御できるコントローラ92を含む。コントローラ92は、1つまたは複数のセンサから受け取った信号に応じて、動力システム10の動作を制御する手段を含む単一または複数のマイクロプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などを含むことができる。
様々な市販のマイクロプロセッサが、コントローラ92の機能を実行するように構成され得る。当然ながら、コントローラ92は、他の非排気関連の動力システム機能を制御するものとは別のマイクロプロセッサを容易に組み込むことができ、またはコントローラ92は、汎用動力システムマイクロプロセッサと一体化することができ、様々な動力システム機能および運転モードを制御することができる。コントローラ92は、汎用動力システムマイクロプロセッサから離れている場合に、データリンクまたは他の方法を介して汎用動力システムマイクロプロセッサと通信することができる。電源回路、信号調整回路、アクチュエータドライバ回路(すなわち、ソレノイド、モータ、または圧電アクチュエータを駆動する回路)、通信回路、および他の適切な回路を含む、様々な他の公知の回路をコントローラ92に接続することができる。
図示した実施形態では、コントローラ92は、空気供給制御装置66を制御して、第2のコンプレッサ26から第1のコンプレッサ24に送られる空気の流量および/または圧力を調整するために使用される。例えば、第2のコンプレッサ26から第1のコンプレッサ24に送られる空気圧を示す信号を生成するために、圧力センサ94を空気供給路60に取り付けることができる。コントローラ92は、圧力センサ94から信号を受け取り、空気供給制御装置66を調整して、所望の空気圧を生じさせることができる。
別の実施形態では、空気供給制御装置66は、コントローラ92からの入力なしに、流れおよび圧力を調整または制御するように構成することができる。例えば、空気供給制御装置66は、空気圧を調整するバイアス要素またはダイヤフラムなどの機械的手段を含むことができる。
コントローラ92はまた、再循環制御弁50を制御して、吸気システム14に送られる排気ガスの流量および/または圧力を調整するように構成することができる。
開示した吸気システムは、吸気システム内で第1および第2のコンプレッサを利用する任意の動力システム用途に実装することができる。開示した吸気システムにより、第1のコンプレッサのオイル消費が低減される。
図示した実施形態では、動力源12からの排気ガスは、直列配置の第2のタービン42および第1のタービン40に通される。それに応じて、第2のタービン42は、第2のシャフト56を介して第2のコンプレッサ26を駆動し、第1のタービン40は、第1のシャフト52を介して第1のコンプレッサ24を駆動する。第1のコンプレッサ24は、吸気システム14内の空気を第1の圧力に圧縮する。第2のコンプレッサ26は、第1のコンプレッサ24によってすでに圧縮された空気を、第1の圧力よりも大きい第2の圧力に圧縮する。
第2のコンプレッサ26によって圧縮された空気の一部は、第1のコンプレッサに戻されて、第1のコンプレッサホイール25とセンタハウジング74との間の領域に至る。加圧した空気を第1のコンプレッサホイール25とセンタハウジング74との間の領域に送ることで、第1のコンプレッサホイール25とベアリングアセンブリ80との間に、ベアリングアセンブリ80を潤滑するために利用されるオイル圧力よりも高い圧力領域が形成される。したがって、圧力領域は、オイルが、第1のシール84を通り過ぎてコンプレッサハウジング72に漏出するのを阻止する。空気路86は、コンプレッサバックプレート76および/または第1のターボチャージャ54の他の部分を貫通するので、第2のコンプレッサ26からの圧縮空気は、第1のシール84と第2のシール85との間に送られる。さらに、第2のコンプレッサ26は、第1のコンプレッサ24よりも高い圧力に空気を圧縮するので、第1のコンプレッサホイール25とコンプレッサバックプレート76との間の圧力は、第1のコンプレッサ24の出力を使用した場合に供給できる圧力よりも高くなり得る。
第1のコンプレッサホイール25とセンタハウジング74との間の領域への空気圧および流れも、コントローラ92および/または空気供給制御装置66によって制御することができる。したがって、圧力は、動力システム10の動作条件に応じて変えることができ、幅広い動作条件にわたって所望の範囲内に維持することができる。さらに、圧力しきい値に達した場合など、必要に応じて、空気流を停止することができる。
開示した排気システムに対して、様々な修正および変形を行うことができると当業者には分かるであろう。開示した排気システムの仕様および実施を検討することで、他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。仕様および実施例は、単なる例示とみなされることが意図され、真の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示される。