JP2013511036A - 希釈媒体内種検出 - Google Patents

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Abstract

希釈媒体内種のうち分光因子を有するものを検出する方法及び装置(10)であって、互いにコヒーレントでそのチャープパターンが調和的な第1及び第2レーザビームを装置内のビーム源(20)で発生させる。ビームガイドを介し希釈媒体内に少なくとも第1レーザビームを通し、ビームミキサで第1レーザビームと第2レーザビームを混合することで混成ビームを発生させる。検出器(80)を用いチャープパターン発生中に混成ビームを検出し、分光因子の所在による希釈媒体内屈折率変化に伴い混成ビームに生じた変化を計測する。計測結果に応じ変化する信号を出力部から出力する。

Description

本発明は、希釈媒体(dilute medium)内の種(species)、特に気体標本内や大気内の分子種を検出する方法及び装置に関する。
吸収分光や蛍光分光は種々の標本、特に気体等の希釈媒体に含まれる化学種を選別的に検出する手段として広く使用されている。ある種の分子遷移で狭帯域紫外/可視レーザ光が吸収されることによる強度乃至振幅の低下を検出する、単発的又は群発的な分子遷移による広帯域光吸収をその分光分析で検出する、分子状態励起による蛍光を検出する、といった具合である。
しかしながら、これらの技術は一般に振幅検出によるものであり、シンチレーションやレーザ雑音の影響を受けやすい。
非特許文献1には、プラズマ分布密度計測用の共振型二波長ヘテロダイン干渉計が記載されている。2個のレーザ光源を使用すると共に音響光学変調器(AOM)でビーム分割を行うものである。しかしながら、このシステムは、雑音その他の要因で信号が埋もれる希釈媒体内種の検出には不向きである。
"Resonant, heterodyne-laser-interferometer for state density measurements in atoms and ions", Review of Scientific instruments 77, 093108 (2006), J.J.Moschella, et al.
このように、希釈媒体内種を検出する方法及び装置に関し上掲の諸問題を解決することが求められている。
媒体の屈折率は波長に応じ変化する。但し、この屈折率変化は、媒体内の分光因子(spectral feature)、例えば吸収性、電子性乃至振動性の分光因子に照明波長が近づき通過するにつれ急峻乃至劇的となり、その分光因子から照明波長が離れるにつれベースラインへ或いはよりゆっくりとした屈折率変化へと戻っていくのが一般的である。従って、希釈媒体内種計測結果を屈折率変化の計測結果に基づく推量で得ることができる。例えば、希釈媒体内種濃度を屈折率変化計測値、特にその種に備わる分光因子が希釈媒体に備わる分光因子と共起しない場合の計測値に基づき算出することができる。
本発明の第1実施形態は、希釈媒体内の種を検出する方法であって、互いにコヒーレントで調和したチャープパターンを有する第1及び第2レーザビームを発生させるステップと、第1レーザビームのチャープパターンをその種に備わる分光因子のうち少なくとも一部を横断させる(交わらせる)ようにして希釈媒体内に少なくとも第1レーザビームを通すステップと、第1レーザビームと第2レーザビームを混合することで混成ビームを発生させるステップと、チャープパターン発生中に混成ビームを検出することで出力信号を発生させる検出ステップと、分光因子を横断する(交わる)ことによる希釈媒体内屈折率変化がもとで混成ビームに生じた変化を出力信号の処理を通じ計測する処理ステップと、計測した変化に基づきその種を計測するステップと、を有する。レーザビームに対するチャーピングで検出力が高まるため、互いにコヒーレントなビームを使用することができる。レーザ周波数掃引速度を高めることで信号対雑音比(SNR)を高められる。分光因子として、例えばスペクトル吸収特性を利用できる。
希釈媒体内に第1及び第2レーザビーム双方を通す構成にし、第1レーザビームと第2レーザビームの混合に先立ち第2レーザビームに光周波数差を付与するようにしてもよい。この構成では、一つのビームが分光因子を過ぎる際に両ビームは、異なる実効光路長となる。第2レーザビームに光周波数差を付与する時期は、個別の処理で或いは1つのレーザビームを分割して、第1及び第2レーザビームを発生させるのと同時でよい。
第2レーザビームのチャープパターンをその種に備わる分光因子を横切らない(交わらせない)ようにしてもよい。
混成ビームの変化として、第1レーザビームと第2レーザビームの間の光周波数差に生じた変化を計測するようにしてもよい。波長や位相に生じた変化を計測するのもよい。
付与する光周波数差は、1MHz〜1GHzの範囲内とするのが望ましい。分光因子に係る線スペクトルの幅に応じて決めるとよい。
光周波数差に応じ混成ビーム中に生じるビート信号を検出するステップを、検出ステップにて実行するようにしてもよい。
希釈媒体内屈折率変化に伴い混成ビームに生じた変化としてその混成ビームの位相変化を計測するステップを、処理ステップにて実行するのが有益である。
ビート信号の周波数変化を検出するステップを、検出ステップにて実行するのが望ましい。これにより、屈折率に応じ変化する至便な指標が得られる。
分光因子の所在による希釈媒体内屈折率変化に伴い第1レーザビームと第2レーザビームの間の光路長差に生じた変化を計測するステップを、処理ステップにて実行するようにしてもよい。
混成ビームの位相特性を比較することで、第1レーザビームと第2レーザビームの間の光路長差の変化を計測するのが望ましい。
量子カスケードレーザ(QCL)を用い、第1及び第2レーザビームを発生させるようにしてもよい。他種ビーム源乃至レーザ光源のうちコヒーレントなチャーピングが可能なものも使用可能である。
そのチャープパターンにおける第1及び第2レーザビームの周波数掃引速度は、100Hz/ns以上、好ましくは100kHz/ns以上とするのが望ましい。
各チャープパターンのうち、分光因子の少なくとも一部と交わる部分の長さは、10ms未満、好ましくは10μs未満であるのが望ましい。この部分が短いほどSNRが高まる。
分光因子としては、電子吸収、分子遷移、回転遷移、振動回転遷移、バンドギャップ、振動バンド等を利用することができる。これ以外の分光因子も利用可能である。
本発明の第2実施形態は、気体標本内種の分光因子のうち少なくとも一部との交わりで気体標本に生じる屈折率変化を利用した種の検出である。屈折率は、気体標本内にビームを通すことで計測することができる。ビームとしてはレーザビーム、例えばチャーピングされたものを使用するとよい。
本発明の第3実施形態は、希釈媒体内種のうち分光因子を有するものを検出する装置であって、互いにコヒーレントで調和したチャープパターンを有する第1及び第2レーザビームを発生させるビーム源と、希釈媒体内に少なくとも第1レーザビームを通すビームガイドと、第1レーザビームと第2レーザビームを混合することで混成ビームを発生させるビームミキサと、チャープパターン発生中に混成ビームを検出し、分光因子の所在による希釈媒体内屈折率変化に伴い混成ビームに生じた変化を計測する検出器と、計測結果に応じ変化する信号を出力する出力部と、を備える。
ビームガイドを介し希釈媒体内に第1及び第2レーザビーム双方を通す一方、ビームミキサより前段に位置する光周波数シフタで第2レーザビームに光周波数差を付与するようにしてもよい。
ビームガイドを、開放大気内へと第1及び第2レーザビームを案内する構成にしてもよい。この開放光路型の構成は大気汚染モニタ、微量物質モニタ等の大気センシングに利用できる。再帰反射光、気中粒子からの後方散乱光等をテレスコープ集光する構成にしてビーム光路長の延長等を図ることもできる。
光周波数シフタとしてはAOMを用いるのが望ましい。AOMには、母体となるビームから複数本のビームを分割する役目とそれらのビーム間に波長差を付ける役目とを持たせることができる。0次回折ビームに周波数差乃至波長差が生じないようAOMで0次回折ビームと1次回折ビームを発生させ、それらのうち一方を第1レーザビーム、他方を第2レーザビームにするとよい。
ビーム源としてはQCLを用いるのが望ましい。数百MHzの周波数差で二種類のレーザ光を発生させる中赤外の光パラメトリック発振器(OPO)等、他種ビーム源も使用することができる。
ビーム源は、チャープパターン発生用の駆動信号を発生させるレーザドライバを有する構成にするのが望ましい。こうしたチャープ機構乃至手段は、ビーム源乃至レーザ光源に組み込むことも、それとは別体の部材乃至部材群で構成することもできる。
可変遅延線を用い、第1レーザビームと第2レーザビームの間の光路長差を変化させる構成にしてもよい。これは、装置のチューニングや不要光学効果の補償に役立つ。
検出器としては光ヘテロダイン検出器を用いることができる。例えば、ビームの和周波数や差周波数を発生させるべくAOMと併用するとよい。
検出器は、振幅復調器、周波数復調器又はその双方を伴う構成にするのが望ましい。これは、スペクトルアナライザ又はそれに類する装置形態で実現することができる。
希釈媒体が入るセルを備える構成にするのが望ましい。
基準標本が入る第2セルを備え、ビームガイドがその第2セルを介し第2レーザビームを案内する構成にしてもよい。これにより、比較計測が可能になる。
希釈媒体入りの標本セルからその媒体内の種を検出するシステムの一例を示す模式図である。 大気中の種を検出するシステムの一例を示す模式図である。 基準セル及び標本セルを使用し希釈媒体内種を検出するシステムの一例を示す模式図である。 図1のシステムでの計測結果を示すグラフである。 同じく図1のシステムでの計測結果を示すグラフである。 同じく図1のシステムでの計測結果を示すグラフである。 同じく図1のシステムでの計測結果を示すグラフである。 同じく図1のシステムでの計測結果を示すグラフである。 同じく図1のシステムでの計測結果を示すグラフである。 検出対象種入り希釈媒体が入った標本セルをシステム内の第1位置に配置した状態を示す模式図である。 検出対象種入り希釈媒体が入った標本セルをシステム内の第2位置に配置した状態を示す模式図である。
別紙図面を参照し以下に例示説明する通り、本発明は多様な形態で実施することができる。上述した諸特徴が本発明の様々な実施形態で役立ちうることや、別紙図面が概略図であり実物スケールに忠実ではないことを了解されたい。
QCLは、従来から、ある種のフィンガプリント領域にて気体分子による吸収を計測するのに使用されている。こうした技術はQCLベース可調レーザ吸収分光と呼ばれており、これによる微量ガス検出や実時間ガスモニタには専らレーザ光強度変化が利用されている。本発明では、その代わりに屈折率変化を利用し希釈媒体内種、例えば気体内や空気内の種に係る計測を行えるようにしている。
希釈媒体の種類にもよるが、その媒体内の種による屈折率変化がごく僅かで、雑音に比べ劣勢になってしまう場合がある。図1に、そうした屈折率変化から希釈媒体内種を検出できるシステム10を模式的に示す。QCL20は可調であり、コントローラ25でチャーピングする(波長乃至周波数を経時掃引する)ことができる。そのQCL20からのレーザビームは、無線周波数(RF)源40の出力で駆動されるAOM30で2本に分割される。第1レーザビームに相当するのはAOM30からのビームのうち0次回折ビーム60、第2レーザビームに相当するのは1次回折ビーム65である。そのため、両ビーム間にはRF源周波数に相当する周波数差が生じる。QCL20に対するチャーピングでの周波数掃引幅や、RF源周波数は、一方のビームの波長がチャープパターンに従い変化しそのパターン上のある点で計測対象種の分光因子に係る波長を過ぎるように設定しておく。図示例でそうした変化が生じるのは1次ビーム65ではなく0次ビーム60である。0次ではなく1次ビーム65のチャープパターンが分光因子と交わるよう装置を動作させることもできる。
一群のミラーM及びビームスプリッタBSは、光検出器80にて検出可能な混成ビームを0次・1次回折ビーム間再結合で発生させる。図示の通り、標本セル70が採りうる位置は二通りある。位置1では0次回折ビーム60のみがセル70内希釈媒体及び種を過ぎるのに対し、位置2では両ビームをミラーM及びビームスプリッタBSで再結合させたものが標本セル70’内を過ぎることになる。
それら、0次回折ビーム60・1次回折ビーム65間には上述の通りRF源周波数相当の波長差がある。そのため、再結合で生じる混成ビームには、干渉によって、光検出器80で検出可能なビート信号が現れる。そのパターン即ちビートパターンも、RF源40の出力と同じ周波数を有するものとなる。ただ、QCL20に対しチャーピングを施すことで、種の分光因子に係る周波数を通るよう一方のビームの周波数を変化させているので、そのビームの実効光路長に変化が現れる。言い換えれば、標本セル70又は70’内を過ぎる際に遅延しその位相に遅れ又は進みが生じるのは一方のビームだけであり、その周波数乃至波長がその分光因子に係るそれを過ぎらない方のビームはその分光因子の影響をほとんど又は全く受けない。この効果で生じる変化を含め、検出器80はビートパターンを検出して出力信号を発生させ、周波数復調器91や振幅復調器92はそれを復調する。
例えば、NO(酸化窒素)入りN(窒素)ガス等の分子種入り気体媒体で生じる屈折率変化を、計測対象種の基本遷移2個に跨るチャーピングで5.2μmQCLの周波数を変化させつつ計測する。AOM30で生じた0次回折ビームと1次回折ビームの間でビート信号を発生させそれを周波数復調することで、その電磁界の位相情報を取得すればよい。
その場合、屈折率変化を示す信号はチャーピング速度と同速度の信号になる。QCLは非常に高いチャーピング速度、例えば約300MHz/nsでのチャーピングが可能な点で、本方法向けの極めて魅力的なレーザ光源である。
図示の通り、その単一モードQCL20からの光はAOM30に入射している。AOM30で生じた0次及び1次回折ビームは、装置内干渉計に備わる別々の光学腕を経た後再結合し、光検出器80例えばフォトダイオードで生じた光電流が周波数復調される。図示の如く、分析対象標本入りの標本セルは、1次ビームだけが通る前掲の位置1に配置してもよいし、0次,1次両ビームが標本を通る位置2に配置してもよい。
それら、0次及び1次回折ビームに関しては、光検出器80例えばフォトダイオードの表面に達したときの複素電界を、順に次の式
=Aexp[i(ωt−φ)] (式1)
=Aexp[i(ωt−φ)] (式2)
で表すことができる。式中のA、ω及びφは、対応する電界の振幅、角周波数及び位相である。AOM30で1次回折ビーム60に周波数差が付与されているので、この式中のωは、AOM30の励振周波数Ωを用いω+Ωと表すこともできる。光検出器表面でE・E間ビートにより生じる光電流は、ビート周波数が検出器80の電気的帯域幅内であるなら、次の比例式
ph∝A +A +2Acos[(ω−ω)t+(φ−φ)] (式3)
で与えられる。φ(t)はビート信号の位相項である。
[セル位置1]
図10に、標本セル70が位置1にある状態を模式的に示す。但し、セル70の幾何学的な長さがLcであり、そのなかにある希釈媒体が周波数依存性の複素屈折率
N(ω)=n(ω)+iκ(ω) (式4)
を有しているものとする。
光学系を通り光検出器表面に達した電界は、式1及び2を変形した式
=Aexp[−κ(ω)kLc]・exp[i(ωt−(k(L+ΔL)+n(ω)kLc))] (式5)
=Aexp[i(ωt−kL)] (式6)
で表すことができる。Lは1次回折ビーム60の光路長、ΔLは標本セル70内光路を除く1次・0次回折ビーム間開放気中光路長差である。これを更に変形すると、ビート信号位相を示す式
φ(t)=Ωt+(ω/c)ΔL+n(ω)・(ω/c)Lc+(Ω/c)L (式6)
となる。この式は、キャリア周波数に加えビーム間光路長差、ひいてはセル70内屈折率変化に関する情報を含んでいる。
瞬時角周波数は2πf(t)=dφ/dtで与えられる。そのため、本装置における周波数復調信号は次の式
2πf(t)=(1/c)・dω/dt・[ΔL+Lc・(n(ω)+ω・dn(ω)/dω)] (式7)
で表すことができる。n(ω)≒1であるので、この式に示す周波数復調信号中、複素屈折率実部の一次導関数情報の振れ幅は、レーザ周波数掃引速度の影響を強く受ける。レーザ光源に対するチャーピングが線形即ち
dω/dt≡定数=S (式8)
である場合、この周波数復調信号は次の式
2πf(t)=(1/c)S・(ΔL+Lc)+(1/c)・SLcω・dn/dω (式9)
で表すことができる。レーザ光源に対するチャーピングが線形であるので、この式の右辺第1項は定数となる。この項を0にするには、光学腕を略完全にバランスさせればよい。即ち、ΔL=−Lcにすればよい。右辺第2項には、屈折率の一次導関数とレーザ光周波数の積が含まれるほか、重要なことにレーザ周波数のチャーピング速度も含まれている。
[セル位置2]
図11に、標本セル70’が位置2にある状態を模式的に示す。両ビームがその内部を通る位置2にセル70’が挿入されている場合、光検出器表面での電界は次の式
=Aexp[−κ(ω)kLc]exp[i(ωt−(kL+n(ω)kLc))] (式10)
=Aexp[−κ(ω)kLc]exp[i(ωt−(k・(L+ΔL)+n(ω)kLc))] (式11)
で表される。Ω≪ωであり、且つ想定中の分光因子に係る線スペクトルの幅が通例の如くAOM駆動周波数(RF源40の出力)の拡がりに比べかなり広い場合は、次の近似式
n(ω)≒n(ω)+Ω・dn(ω)/dω (式12)
も成り立つ。従って、ビート信号位相を次の式
φ(t)=Ωt+(ω/c)ΔL+Ω・dn(ω)/dω・(ω/c)Lc+n(ω)・(Ω/c)Lc+dn(ω)/dω・(Ω/c)Lc+(Ω/c)・(L+ΔL) (式13)
で表すことができる。
通常、この式の右辺第1項〜第3項は他の項より5桁以上大きい。それらだけを残した周波数復調信号は次の近似式
2πf(t)=(1/c)・dω/dt・[ΔL+ΩLc・(dn/dω+ω・dn/dω)] (式14)
で表すことができる。
()内の第1項は無視できる。レーザ光源に対するチャーピングが線形ならこの式は次のかたち
2πf(t)=(1/c)ΔLS+(1/c)ΩLcSω・dn/dω (式15)
となる。
これは、式12に係る仮定の下で2個の光学腕をほぼ又は全く完全にバランスさせると、周波数復調信号が屈折率の二次導関数にAOM駆動周波数を乗じたものになる、ということである。この信号もやはりレーザ周波数掃引速度と同速度になる。検討中の遷移に係る線スペクトルの典型的な幅がAOM駆動周波数の拡がりと大きく相違しない場合は式12が成り立たない。
[屈折率計算]
屈折率の実部は、供試標本の吸収係数が既知ならクラマース・クローニッヒ関係式に従い求めることができる。希釈媒体についてのクラマース・クローニッヒ関係式は、屈折率実部に媒体の吸収係数を関連付ける単一の式
n(ω)=1+(c/π)∫ +∞(α(ω)/(Ω−ω))dΩ (式16)
に書き改めることができる。
この式16に基づく屈折率実部算出は、吸収スペクトルを線単位で算出可能なアルゴリズム及びそれに適するデータを使用しモデルに組み込むことができる。
図1に光学装置を模式的に示す。そのレーザ光源は、室温下で波長=5.2μmの連続波を発振する分布帰還(DFB)型QCL20である。その温度及び電流は(好ましくは精密に)制御されており、その発振周波数は例えば注入電流変調で変調されている。
平行光化後にQCL出力が送られるAOM30は、例えば、ゲルマニウム製でその駆動周波数が40〜50MHzのものである。45MHz駆動時には、0次・1次回折ビーム間分離角が約2.2°となる。それらのビームは別々の光学腕を介し伝搬する。ビームスプリッタBSは例えば弗化カルシウム製であり、室温下でそれらのビームを再結合させて光検出器80に送る。検出器出力はスペクトルアナライザ、例えばTektronics社製のものに送られ、そこで検出器信号90の周波数復調及び振幅復調が実行される。
標本セル70は15cm長の弗化カルシウム製傾斜窓付きセルにするとよい。そのセル70内には、例えば、NOをドライ窒素で希釈した気相混合物を標本として入れる。この場合、NO混合比は(0.98±0.11)%、標本総圧力は(5±1)Torrにするとよい。NOのν=0→ν=1基礎吸収帯は5.3μmで中赤外域にある。従って、こうして中赤外域のスペクトルに着目することで、NOによる強い振動回転遷移を好適にモニタすることができる。表1に、中赤外域で発振させうるDFB−QCL20での確認実験で狙いとした振動回転遷移を示す。この表で番号1,2が付されているのはΛ−ダブレットとして現れる線スペクトル、3,4が付されているのは衝突ブロードニングで分解が妨げられ単一の遷移であるかのように現れる線スペクトルである。ダブレットになる遷移スペクトル1及び2が狙いなら115.5mA、−15℃、分解されず単一線になる遷移スペクトル3及び4が狙いなら113mA、−20℃でQCL20を作動させるとよい。
Figure 2013511036
[準線形レーザ周波数チャーピング下での計測]
一方のレーザビームだけが通るよう標本セル70を位置1に配し且つQCL20をダブレット狙いに調整した場合、レーザ光に対し8mAピークトゥピーク(p−p)の三角波電流変調を施すことで、チャーピングによるレーザ周波数掃引を理想的な線形掃引に近づけることができる。その変調信号の周期を調整すればレーザ周波数掃引速度も変化させうる。図4中のグラフA〜Dに示す振幅及び周波数は、順に、0.27、0.53、0.8及び1.6A/s、即ち174、347、521及び1043Hz/nsの掃引速度で計測された信号である。この例からは、高速掃引時に横軸収縮が現れる点を除きいずれの計測結果からも同様の吸収信号を読み取れる一方、レーザ周波数掃引速度と歩調を合わせ式9中の周波数オフセット値及び信号振幅が変化していることもわかる。
図4に示した吸収信号は、A:173Hz/ns、B:347Hz/ns、C:521Hz/ns、D:1042Hz/nsなる別々の掃引速度で準線形レーザ周波数掃引を行い、NOによるダブレットを計測して周波数復調したものである。灰色の直線300は、式9中の周波数一定項を表している。
図4中のグラフA及びCに示したスペクトルに関しては、前掲のモデルに基づく理論的計算値との比較を済ませてある。図5に、NOの存在により1912.075cm−1に生じるダブレットに関し実験結果・モデル間の比較結果を示す。スペクトルがA及びCの二通り示されているのは、不確定さに鑑み総圧力が4Torrの場合と6Torrの場合とについて計算を行ったためである。そのスペクトル計算に使用したパラメタを表2に示す。スペクトルCにアンダーサンプリングが若干あるものの、非常に良好な一致が得られている。
Figure 2013511036
[高速レーザ周波数掃引下での計測]
周波数復調信号がレーザ周波数掃引速度で変化するため、QCL20のスペクトル可調性に不足が生じてしまうこともありうる。例えば、電流源の変調帯域幅(250kHz)と、周波数復調を実行するスペクトルアナライザ(図示せず)の捕捉帯域幅(110MHz)とが二大制約になり、超高速レーザ周波数掃引時に信号を捕捉できなくなることがありうる。
例えば、数十mAのステップ状部分を有する変調電流をQCL20に供給するものとする。光路上に標本セル70がなければ、周波数復調信号は、次の式
2πf(t)=(ΔL/c)dω/dt (式17)
の如く、ステップ的電流供給によるレーザ周波数経時変化の情報を含む信号となる。図6に、8mA振幅の1kHz方形波変調電流を供給した場合に関し、レーザパワー(A)、周波数復調信号(B)及びその信号から求めたレーザ周波数経時変化の例を示す。グラフB中の周波数復調信号から読み取れるように、レーザ周波数掃引速度は、ステップ的電流供給に伴い上昇し(局所線形チャーピング)、最大値に達した後下降していく。図6中の線400はこの信号を積分したものであり、掃引に伴うレーザ周波数の経時変化を表している(式17参照)。計測の実行に最適なのは掃引速度が最大の領域、即ち周波数信号のピーク410の頂上に当たる領域である。図6及び図7は、方形波電流による変調でレーザパワー及びレーザ周波数掃引速度に生じるこうした経時変化を表している。特に、掃引10回分の平均をとった図7にはその効果がより明瞭に現れている。QCLに供給する直流電流を調整することで、NOによるダブレットを、レーザ周波数掃引速度最大の位置に動かすことや、そこから別の位置に動かすことができる。従って、信号振幅に対する効果を検出することができる。
この例の場合、電流のステップ幅を変化させることでレーザ周波数掃引速度を変化させることができる。ステップ幅を16mAにすると2.7MHz/ns相当の766kHzにピークが生じ、24mAにすると3.7MHz/ns相当の1055kHzにピークが生じる、といった具合である(光路長差が8.61cmの場合)。
図8に、標本セル70’を図1中の位置2に配置し同様の変調電流(16mAステップ)でレーザ光源を変調した場合に得られるスペクトルを、前述のモデルに従い算出したスペクトルと共に示す。
図中、上側のグラフAは分解不能なダブレット、下側のグラフBは分解されるダブレットを、標本セル70’を位置2に配し計測して得たスペクトルである。変調電流としては、電流ステップが16mAで周波数が100kHzのものを供給した。左側のグラフはスペクトルの実測結果、右側のグラフはそれに対応する計算結果を表している。
これら、スペクトルの実測結果及び計算結果は互いに良好に一致している。なお、チャーピングによるレーザ周波数掃引が線形であるとして計算を行ったが、実際のチャーピングには若干の非線形性がある。そのことは、実測スペクトルにベースライン勾配となって現れている。
この手法には長所が少なくとも三点ある。
・直流オフセットのベースライン抑圧:即ち、標本セル70,70’が位置1又は2にある場合、屈折率変化非発生時の計測出力がほぼ0になるよう2本の光学腕をバランスさせることができる。ここに、可調レーザ吸収分光では、計測対象信号のパワー変動に際し基底となるベースラインが信号自体よりも数桁大きくなりうる。本願記載のシステムと、十分なダイナミックレンジ及び分解能を有する捕捉システムとを併用することで、そうしたことを回避することができる。
・周波数信号の高精度計測:変調を通じ情報を周波数に組み込むこと、並びに周波数信号を非常に高精度で計測することができる。従って、本手法は、レーザパワー変動や強度雑音に左右されにくい。屈折率変化に伴う周波数信号コントラストが、レーザパワー変動にさほど左右されない。周波数信号コントラストとは、周波数復調信号の値域幅(最小値から最大値までの幅)を、周波数復調信号内雑音の振幅p−p値で除した値のことである。表3に、レーザパワーを5桁に亘り変化させて周波数信号コントラストを計測した結果を示す。このように、レーザパワーを5桁に亘り変化させても、周波数信号コントラストにはそれほど影響が現れない。
Figure 2013511036
・レーザ周波数掃引速度による信号振幅の調整:この長所は、QCLが固体レーザ光源で高速チャーピングが可能なことに由来している(但し他種レーザ光源でも生じうる)。周波数掃引速度は約260MHz/nsに上る速度にすることができる。こうした速度とパルス内掃引方法とを併用し、より高速でのチャーピングを実現することも可能である。
[セル位置間比較]
標本セル70が図1中の位置1、即ち一方のレーザビームだけが通る位置にある場合、信号90の周波数復調によって、屈折率の一次導関数に関する情報を得ることができる。そうした構成では、光路が長めだと光路バランスを完全に近づけるのが難しい。長尺マルチパスセル等では非現実的にもなりうる。
この構成が役立つのは、例えば高度に線形なチャーピングを行う場合である。その場合、ビーム間光路長差を含む固定周波数項からキャリア周波数を直に発生させうるため、AOM30が要らないこともある。反面、屈折率変化を示す信号との干渉を避けるにはチャーピングによるレーザ周波数掃引の速度安定性を十分に高めること、好ましくは復調器91及び92の周波数精度を下回る変動幅にすることが必要となる。
別の構成、即ち標本セル70’が図1中の位置2にある構成では、光路バランスによるベースラインの0化をより容易に実現することができる。この構成では、式12に示した近似が成り立つときに、計測で得られる情報が屈折率の二次導関数に比例するものとなる。反面、その分光因子に係る線スペクトルの幅がAOM駆動周波数の拡がりと大差ないときは、更なる最適化を通じ、標本セル70が位置1にある場合に比べ約2倍の線幅が得られることとなる。
[検出限界]
まず、屈折率変化に関する能力上の検出限界は、NOによるスペクトルの計測で調べることができる。例えば、遷移の中心周波数がレーザ周波数掃引速度最高値と一致することになるよう、14mAのステップ状部分を有する電流でレーザ光源を励振しつつ、NO存在時に1912.79cm−1に現れる孤立した線スペクトルを計測すればよい。ベースラインについては三次多項式による補正を、データについては掃引100回に亘る平均化を施せばよい。図9にこの計測で得た信号を示す。図示したのは、レーザ光源を14mAステップで励振しつつNOによる1912.79cm−1での遷移を計測した結果である。掃引100回に亘る平均化と、三次多項式によるベースライン補正とが施されている。この例に関し、ベースラインに関する標準偏差の計測値で信号振幅p−p値を除しSNRを算出したところ、240なる値が得られた。
この信号は、NO濃度を1%、経路長を15cm、総時間を200μsとして計測したものである。経路長が1m、積分時間が1sのときの検出限界(SNR=1)をそれらの数値に基づく外挿で求めると0.9ppmになる。掃引速度が非常に高速でも雑音が同程度に留まるとすれば、レーザ周波数掃引速度を300MHz/nsにすることで、検出限界を更に二桁以上改善することができる。
こうした手法では、ご理解頂けるように、屈折率変化信号の速度がその装置のレーザ光源に対するチャーピングと同速度になる。こうした特徴があるため、本手法は、チャーピングを非常に高速で実行できるQCL分光にとりわけ適している。
具体的には、NOをドライNで希釈したものを供試標本とし、実験で得られたスペクトルから外挿することで、経路長が1mで積分時間が1sの場合について、検出限界が0.9ppm以下となることがわかる。QCLを最高速度でチャーピングすればその値を二桁以上改善することができる。
QCLに対する最高速度でのチャーピングからメリットを引き出せるシステムを実現することは、更なる利益、例えばアドホックな高速周波数復調装置の実現にもつながる。QCLの熱応答を考慮に入れてレーザ注入電流波形を工夫するのも有益である。
図2に、開放光路モニタに使用可能なシステムの例100を模式的に示す。これは、例えば、大気中に含まれるNOの開放光路モニタに使用することができる。NOは主に燃焼反応で生じる重大な汚染物質であり、都会におけるオゾン汚染及びスモッグ発生に関わっている。一般に、NOの気中濃度は10(非汚染時)〜200(汚染時)ppbである。図2に示したのはそれを監視するシステムであり、その構成要素のうち図1に示したものに類するものには同じ参照符号を付してある。この例では、2本のビームを結合させて遠隔の再帰反射器130、例えば輻射側から数百m離れた位置にあるそれに送るようにしている。
レーザ光源としては、やはり、NOの基礎吸収帯で生じる振動回転遷移を狙うべく、5.2μm域で輻射するQCL20が使用されている。
装置内に遅延線110を組み込んだのはビーム光路間をバランスさせるため、ひいては計測で得られる周波数信号中のオフセットを抑えるためである。計測で得られる信号は、やはり、レーザパワー変動の影響を全く又はほとんど受けない信号となる。チャーピングによるレーザ周波数掃引の周期が数μs程度であるため大気乱流の影響も受けにくい。
再帰反射光は、テレスコープ120によって集められ光検出器80側に送られる。
計測結果に基づく外挿計算によれば、この例のシステム100では10ppb域のNO検出レベルを達成することができる。供試条件としては、例えば
・レーザ光源に対するチャーピングの速度:300MHz/ns
・積分時間:200μs
・開放光路長:100m
その他、相応の値を使用すればよい。
ほかには、爆発物を検出することもできる。例えば、即席爆発装置(簡易爆弾)で酸化剤として使用される消散アンモニウム(NHNO)を、図2に示した装置で大気中から検出することができる。この場合、NH−HNO−NOへの分解が生じるため、1560cm−1におけるNO基の逆対称伸縮が分光因子として検出されることとなる。
図3に、別例に係るシステム200を模式的に示す。この装置は、基準物質を用いた“その場”実時間センシング及び濃度計測に使用可能な装置である。この例では、2本のビームを同じ標本媒体中に通すのではなく、別々の(好ましくは同構成の)セルに通すようにしている。標本セル210には例えば未知標本を入れる。基準セル220には例えば基準混合物を入れる。このシステム200でも、ビーム間バランスをとるため可調遅延線110が使用されている。
例えば、空気中の同位体分子種13COを、QCL20を用い4.3μmで計測することができる。同位体分子種濃度の“その場”実時間計測は、気中プロセス研究、地球化学、石油/ガス試掘、偽造品検出、医療研究等で様々に応用することができる。
基準セルには、合成空気に13COを混ぜた基準混合物を入れることができる。標本セル210には、外気を通流させることができる。基準混合物と標本の圧力は同じ圧力に保つのが望ましい。他種基準混合物を使用することもできる。
この例では、周波数復調で得られる信号振幅から、標本・基準混合物間の13CO濃度差に関する情報が得られる。モニタ対象が大気である場合、即ちCO濃度が380ppmである場合には、2298.5cm−1(4.35μm)にて現れる13COの線スペクトルを狙い経路長=1m、積分時間=1sで計測を行うことで、少なくとも、90ppbの13CO濃度差を検出することができる。
いわゆる当業者には自明な通り、上述した諸実施形態の細部は、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、且つ別紙特許請求の範囲の記載に従い変形することができる。
例えば、別種のレーザ光源、別のレーザ波長を使用することができる。分子種以外の種、例えば原子種やプラズマを検出対象にしてもよい。液相や固相の標本も使用することができる。AOMに発する0次及び1次回折ビームのどちらを標本セル70,70’に通すようにしてもよいし、双方とも通すようにしてもよい。
いわゆる当業者には自明な通り、上述した諸実施形態の構成は、本発明の技術的範囲内で様々に組み合わせること、改良すること乃至変形することが可能である。

Claims (26)

  1. 希釈媒体内の種を検出する方法であって、
    互いにコヒーレントで調和したチャープパターンを有する第1及び第2レーザビームを発生させるステップと、
    第1レーザビームのチャープパターンをその種に備わる分光因子のうち少なくとも一部を横切るようにして希釈媒体内に少なくとも第1レーザビームを通すステップと、
    第1レーザビームと第2レーザビームを混合することで混成ビームを発生させるステップと、
    チャープパターン発生中に混成ビームを検出することで出力信号を発生させる検出ステップと、
    分光因子を横切ることによる希釈媒体内屈折率変化に伴い混成ビームに生じた変化を出力信号の処理を通じ計測する処理ステップと、
    計測した変化に基づきその種を計測するステップと、
    を有する方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、希釈媒体内に第1及び第2レーザビーム双方を通す方法において、第1レーザビームと第2レーザビームの混合に先立ち第2レーザビームに光周波数差を付与するステップを有する方法。
  3. 請求項2記載の方法であって、第2レーザビームのチャープパターンをその種に備わる分光因子を横断させない方法。
  4. 請求項2又は3記載の方法であって、第1レーザビームと第2レーザビームの間の光周波数差に生じた変化を混成ビームの変化として計測する方法。
  5. 請求項2乃至4のうちいずれか一項記載の方法であって、付与する光周波数差が1MHz〜1GHzの範囲内である方法。
  6. 請求項2乃至5のうちいずれか一項記載の方法であって、上記検出ステップが、光周波数差に応じ混成ビーム中に生じるビート信号を検出するステップを含む方法。
  7. 請求項6記載の方法であって、上記処理ステップが、希釈媒体内屈折率変化に伴い混成ビームに生じた変化としてその混成ビームの位相変化を計測するステップを含む方法。
  8. 請求項6記載の方法であって、上記検出ステップが、ビート信号の周波数変化を検出するステップを含む方法。
  9. 請求項1記載の方法であって、上記処理ステップが、分光因子の所在による希釈媒体内屈折率変化に伴い第1レーザビームと第2レーザビームの間の光路長差に生じた変化を計測するステップを含む方法。
  10. 請求項9記載の方法であって、混成ビームの位相特性を比較することで第1レーザビームと第2レーザビームの間の光路長差の変化を計測する方法。
  11. 請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の方法であって、量子カスケードレーザを用い第1及び第2レーザビームを発生させる方法。
  12. 請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の方法であって、そのチャープパターンにおける第1及び第2レーザビームの周波数掃引速度が100Hz/ns以上、好ましくは100kHz/ns以上である方法。
  13. 請求項1乃至12のうちいずれか一項記載の方法であって、各チャープパターンのうち、分光因子の少なくとも一部と交わる部分の長さが10ms未満、好ましくは10μs未満である方法。
  14. 請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の方法であって、その分光因子が、電子吸収、分子遷移、回転遷移、振動回転遷移、バンドギャップ又は振動バンドである方法。
  15. 気体標本内種に備わる分光因子のうち少なくとも一部に亘りその気体標本に生じる屈折率変化を利用した種の検出。
  16. 希釈媒体内種のうち分光因子を有するものを検出する装置であって、
    互いにコヒーレントで調和したチャープパターンを有する第1及び第2レーザビームを発生させるビーム源と、
    希釈媒体内に少なくとも第1レーザビームを通すビームガイドと、
    第1レーザビームと第2レーザビームを混合することで混成ビームを発生させるビームミキサと、
    チャープパターン発生中に混成ビームを検出し、分光因子を横切ることによる希釈媒体内屈折率変化に伴い混成ビームに生じた変化を計測する検出器と、
    計測結果に応じ変化する信号を出力する出力部と、
    を備える装置。
  17. 請求項16記載の装置であって、上記ビームガイドが、希釈媒体内に第1及び第2レーザビーム双方を通すよう構成されており、且つ、上記ビームミキサより前段にて第2レーザビームに光周波数を付与する光周波数シフタを備える装置。
  18. 請求項17記載の装置であって、上記ビームガイドが、開放大気内へと第1及び第2レーザビームを案内する装置。
  19. 請求項17又は18記載の装置であって、上記光周波数シフタが音響光学変調器即ちAOMである装置。
  20. 請求項16乃至19のうちいずれか一項記載の装置であって、上記ビーム源が量子カスケードレーザ即ちQCLである装置。
  21. 請求項16乃至20のうちいずれか一項記載の装置であって、上記ビーム源が、チャープパターン発生用の駆動信号を発生させるレーザドライバを有する装置。
  22. 請求項16乃至21のうちいずれか一項記載の装置であって、第1レーザビームと第2レーザビームの間の光路長差を変化させる可調遅延線を備える装置。
  23. 請求項16乃至22のうちいずれか一項記載の装置であって、上記検出器が光ヘテロダイン検出器である装置。
  24. 請求項16乃至23のうちいずれか一項記載の装置であって、上記検出器が、振幅復調器、周波数復調器又はその双方を伴う装置。
  25. 請求項16乃至23のうちいずれか一項記載の装置であって、希釈媒体が入るセルを備える装置。
  26. 請求項25記載の装置であって、基準標本が入る第2セルを備え、上記ビームガイドがその第2セルを介し第2レーザビームを案内する装置。
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