JP2013510290A - ウェハ面上に製造された液体クロマトグラフィー用のチップ並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、カラム中に固定された多孔性の固定相を備えた、クロマトグラフィーのための微細化された分離カラムの製造方法において、次の工程:(a)シリコン、ガラス、ガラスセラミック又はセラミックからなる平坦な基板を準備する工程、(b)前記平坦な基板中に少なくとも1つの通路構造体をエッチングする工程、(c)前記通路構造体の少なくとも一部に、多孔性の固定相用のまだ多孔性ではない前駆体材料を導入する工程、(d)前記前駆体材料から、多孔性の三次元的な網状構造を作製する工程及び(e)前記平坦な基板の上面側の通路構造体を液密にカバーする工程を有する、微細化された分離カラムの製造方法に関する。さらに、本発明は、クロマトグラフィー用の微細化された分離カラムの側壁部が、平坦なシリコン基板、ガラス基板、ガラスセラミック基板又はセラミック基板の平面内に延在する1つ又は複数の凹設部、及び、前記凹設部の1つ以上のカバーにより形成されていて、前記凹設部は、前記カラムの壁部の少なくとも一部の領域と化学的又は物理的に結合している、三次元的な網状構造を形成する多孔性の固定相で充填されていて、前記固定相は、金属、セラミック、場合により有機変性された酸化物並びに有機ポリマーから選択される、無機材料又は有機変性された無機材料又は有機材料からなる分離カラム、切り分けによって前記分離カラムを作製することができる、複数の微細化された分離通路を備えたウェハ、並びに1つ又は複数の分離カラムの他に、前記液体クロマトグラフィーのために必要となりえる付加的な構成要素を有するチップに関する。

Description

本発明は、基板中に通路又は凹設部をエッチングし、この凹設部に、後に固定相となるモノリスの前駆体を充填し、この固定相中に細孔を形成させた後に、形成された通路構造を気密にカバーすることにより製造された、クロマトグラフィーの、例えば「オン・チップ・液体クロマトグラフィー」の目的のために微小化された分離カラムに関する。この方法工程により得られる分離カラムは、基板壁部に強固に固定され、自立式の、多孔性の固定相で充填された三次元構造を有し、この三次元構造の側壁は部分的に基板及び部分的にカバーにより構成されている。
本発明は、有利にチップ又はウェハの形状で提供され、微細加工の方法工程を用いて加工、特にエッチングすることができる平坦な基板を用いて実施することができる。
液体クロマトグラフィーによる分子の分離並びにこの場合に特に高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)は、化学的分析及び生化学的分析において最も頻繁に適用される方法である。標準的には、これらの分析は、通常では長さ10〜20cm及び内径10mmを有する寸法の分離カラムを備えた、大規模な実験室用の自動装置中で行われる。わずかな試料消費量及び瞬時の分離効率の利点を有するチップベースの微小化の試みは、最初に文献に記載されているが、今日まで十分でかつ再現可能な分離効率を達成した分離カラムは示されていなかった。
液体クロマトグラフィーに適用するためのチップベースの微小化の試みは、この文献中では主にシリコン及び/又はガラスチップに基づいて記載されている。キャピラリ又はエッチングされた切欠部及び場合によりその中に存在する多孔性の固定相からなる分離カラムを実現するために多数の試みが行われた。次に、記載された多様な試みを例示的に記載する:
固定相なしの平板状の分離通路は、Blom,M.T.,Chmela E.,Oosterbroek R.E.,Tijssen R.,Van den Berg A.著:ナノ粒子及びバイオ分子の、オンチップ流体力学的クロマトグラフィーによる分離及び検出(On−chip hydrodynamic chromatography separation and detection of nanoparticles and biomolecules),Anal.Chem.2003,75,6761−6768に記載されている。3.5barの作動圧力でかつ1μmの通路高さ及び0.5/1mmの通路幅を有する流体力学的クロマトグラフィーに基づく分子分離法用の通路が記載されている。モノリス状の支持構造体中の結合された複数の通路は、米国特許第6,156,273号明細書の「分離カラム及び改良された分離カラムの製造方法(Separation columns and methods for manofacturing the improved separation column)」から公知である。
2Dエッチングされた構造(ピラー)を有する通路は、De Pra M.,De Malsche W.,Desmet G.,Schoenmakers P.J.,Kok W.Th.著、「オンチップ液体クロマトグラフィー用の、ピラー状に構造化されたマイクロチャンネル:透過効率及び分離効率の評価(Pillar−structured microchannels for onchip liquid chromatography: Evaluation of the permeability and separation performance)」,J.Sep.Sci.2007,30,1453−1460に記載されている。シリコンチップ中には、ピラーを備えた通路が高速エッチングにより作成され、この通路は、幅50μm及び深さ100μmである。多様なピラー寸法及び間隔が記載されている。このピラー高さは10μmであり、ピラー幅は±5μmである。エッチングされたピラーの200nmの多孔性の外側層(19/5μm)は、De Malsche W.,Clicq D.,Verdoold V.,Gzil P.,Desmet G.,Gardeniers H.著、「液体クロマトグラフィー用の整列されたピラーアレー中への多孔性層の組み込み(Integration of porous layers in ordered pillar arrays for liquid chromatography)」,Lab Chip 2007,7,1705−1711から公知である。この多孔性の外側層は、分離層の表面積を高めるために、ピラー外壁の付加的アノードエッチングにより製造される。米国特許(B2)第7,217,367号明細書のクロマトグラフィーカラムには、固定相の材料で被覆されたピラーを使用することができる。これは、OTLC(開管液体クロマトグラフィー(open tubular liquid chromatography))システム又はPCLC(充填カラムクロマトグラフィー(packed column chromatography))システム又はその組合せのために適している。
多孔性にエッチングされたキャピラリ分離通路を備えたシリコンチップは、米国特許(US−B1)第7,115,422号明細書に開示されている。Clicq D.,Tjerkstra R.W.,Gardeniers J.G.E.,Van den Berg A.,Baron G.V.,Desmet Gは、剪断駆動クロマトグラフィー用の固定相としての多孔性シリコン(Porous silicon as stationary phase for shear−driven chromatography),J.Chromatogr.2004,1032,185−191に、多孔性にエッチングされたシリコンからなる通路を紹介している。平行に配置された複数の通路を有するシリコンチップが挙げられていて;通路の寸法は:深さ100〜500nm、幅750μmである。まず、SiOマスクによる通常のエッチングにより複数の通路を作成し;引き続きその通路底部上に多孔性シリコン層をアノードHFエッチングにより作成する。後に水との接触によって、さらに二酸化ケイ素表面を形成させることができ、この二酸化ケイ素表面をジメチルオクチルクロロシランを用いて有機性に官能化することができる。
このガスクロマトグラフィーのために、数層の分子膜で被覆されているキャピラリ分離カラムが必要とされる。2つの相互に結合したガラス基板から形成され、そのガラス基板の一方がエッチングされた通路を有するこの種のクロマトグラフィーカラムは、欧州特許公開(EP−A2)第1319949号明細書に開示されている。第1の基板のエッチングされた通路壁は、固定相からなる被覆が設けられていて、それぞれ相応する薬品の充填及び溶剤の蒸発が交互に行われる。この場合、6工程で60個のケイ素原子よりも大きな厚さを有するアルキルシロキサン被覆を達成することができる。引き続き、この通路は第2のガラス基板を載置することにより密封される。同様に固定相によるこの通路壁の被覆は、米国特許(US−B1)第7,314,505号明細書に開示されている。この相の分子の結合のために、官能基Zを有するオニウム塩が使用される。このオニウム塩に、ポリシロキサン又はポリエチレングリコールが結合される。この全体の層厚は、ビニル化されたPDMSでの被覆の場合に約4μmである。ドイツ国特許(DE−B3)第102004050569号明細書は、被覆されたGC分離カラムの製造の際の定着剤の使用を開示している。しかしながら、この液体クロマトグラフィーの多様な適用のために、固定相がカラムの全体の断面に又は少なくともほぼ全体の断面に及んでいない分離カラムは原則として適していない。
粒子で充填された分離カラムは、He Q.,Pang C,Tai Y.−C,Lee T.D.著、ビーズ充填パリレンカラムを有するチップ上のイオン液体クロマトグラフィー(Ion liquid chromatography on−a−chip with beads−packed parylene column),IEEE 2004,0− 7803−8265−Xに記載されている。このカラムは、フリットの間にマイクロビーズ(7μmのPS−DVBビーズ)が充填されている。このカラムの下側はシリコンからなり、上側はパリレンからなる。この達成可能な作業圧力は、250〜800psiである。カラムの高さは25μmである。Ocvirk G.,Verpoorte E.,Manz A.,Widmer H.M.著、シリコンチップ上へのマイクロ液体クロマトグラフィーの組み込み、トランスデューサー(Transducers)1995,固体センサ及びアクチュエータの第8回国際会議、及びユーロセンサーズIX(the 8th international conference on solid−state sensors and actuators,and Eurosensors IX)、ストックホルム、スウェーデン、1995年6月25〜29日は、フリットを有するSi/ガラス−Siの間のマイクロビーズ(3〜5μm)を記載している。このカラムは、幅300μm、深さ100μm及び長さ20mmである。スプリットインジェクタ及び光学検出装置は、このチップ上に組み込まれている。
Ishida A.,Natsume M.,Kamidate T.は、Journal of Chromatography A,1213 (2008) 209−217で、カラム通路として機械的に加工された穴を有するポリスチレンからなるマイクロチップを記載している。このポリスチレン基板の表面上に、Au析出及びエッチングを用いて、電流滴定検出法のための電極システムが設けられた。ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)を用いて、通路構造体が作成された。固定相として、球形C18二酸化ケイ素粒子を用いた。
ガラス/パイレックスからなるモノリスに作成された3D構造体を、A.Ishida研究グループが記載している(Ishida A.,Yoshikawa T.,Natsume M.,Kamidate T.著、サンプルインジェクタ及びモノリスシリカカラムを備えたマイクロチップ上の逆相液体クロマトグラフィー(Reversed−phase liquid chromatography on a microchip with sample injector and monolithic silica column),J.Chromatogr.A 2006,1132,90−98参照)。このエッチングされたカラムは、通路幅400μm、通路深さ30μm及び通路長さ42cmの狭められたカーブを備えた曲がりくねった構造を有する。この通路は、有機変性された二酸化ケイ素粒子からなる多孔性固定相で充填され、この多孔性固定相は、テトラメトキシシラン−ゾルを導入し、引き続き加熱及び乾燥し、生じた二酸化ケイ素をオクタデシルトリクロロシランで変性することにより作成した。
Puy G.,Roux,R.,Demesmay C,Rocca J.−L,lapichella J.,Galarneau A.,Brunel D.著、ナノ液体クロマトグラフィー又はキャピラリ電気クロマトグラフィー用のモノリスシリカキャピラリのクロマトグラフィー特性に関する水熱処理の影響(Influence of the hydrothermal treatment on the chromatographic properties of monolithic silica capillaries for nano−liquid chromatography or capillary electrochromatography),J.Chromatogr.A 2007,1160,150−159は、変性された二酸化ケイ素が充填されたガラスキャピラリ(「融解石英(fused silica)」からなるキャピラリ)の製造を記載している。無充填のキャピラリは、苛性ソーダ液を用いて活性化された。洗浄後に、このキャピラリはポリエチレングリコール(PEG)、尿素、酢酸及びテトラメトキシシランからなる混合物で充填された。このキャピラリは閉鎖され、ゲル化を引き起こすために、この内容物をエージングさせた。さらに、この閉鎖したキャピラリの加熱(水熱処理)により適切なメソ孔を充填物中に作成し、その際に、尿素がアンモニアに加水分解した。引き続き、このPEGを十分に洗浄した。他の試みの場合に、キャピラリ中の二酸化ケイ素はオクチル鎖で変性された。この水熱処理は、オクチル変性された二酸化ケイ素のためにだけ必要であることが判明した;この処理なしでは、この場合この効率が2分の1に低下する。
Levkin P.A.,Eeltink S.,Stratton T.R.,Brennen R.,Robotti K.,Yin H.,Killeen K.,Svec,F.,Frechet J.M.J.著:タンパク質及びペプチドの高速液体クロマトグラフィー分離用の、ポリイミドチップ中のモノリスの多孔性ポリマー固定相(Monolithic porous polymer stationary phases in polyimide chips for the fast high−performance liquid chromatography separation of proteins and peptides)、J.Chromatogr.2008,1200,55−61は、200μm×200μm×6.8cmの寸法を有するポリイミドチップ−通路中のポリ(ラウリル−メタクリラート−co−エチレン−ジメタクリラート)又はポリ(スチレン−co−ジビニルベンゼン)からなる固定相を記載している。この固定相は、ポロゲン(メタクリラート相のための1,4−ブタンジオール又は1−プロパノール、スチレンジビニルベンゼン相のための1−デカノール又はTHF)の存在で、モノリス状に作成され、この固定相は次いでメタノールで溶出される。
米国特許出願第2002/0166816号明細書は、クロマトグラフィー装置及びこの装置を用いて実施可能な方法に関しており、この方法は、通路がフレキシブルでありかつモノリスの固定相で充填されている使い捨てカートリッジを用いて実施される。この相は、ポリマーの有機材料又は無機材料からなることができる。後者の無機材料の例として、二酸化ケイ素ベースの材料が挙げられている。このモノリスの相の製造は、この記載によると、通路内で行うことができ;これとは別に、このモノリスは予備的に作成され、次いで通路中に埋め込むことができる。モノリスの製造のための技術的教示は、この文献には含まれていない。
これらの上記の提案は、以下の欠点の1つ以上を有する:
これらの提案されたカラムのたいていは、チップ面に個別に充填しなければならない。微細通路中への別個の多孔性の固定相の導入は、機械的に困難であり、この通路が末端からだけアクセス可能な場合には特に困難である;次いでシリンジなどの使用は避けられず、同様に通路中の固定相の分配が不均一となる。それにより許容可能な測定は不可能となる。
粒子の形状の固定相は、仕上がったカラム中に充填することができるだけである。三次元の基本骨核は充填密度に依存する。粒子を微細化したカラム中に高い密度で充填することは、小さなカラム寸法に基づいて極めて困難でかつ低い再現性で可能であるだけである。このプロセスは極めてゆっくりであり、かつ一般にそれぞれの個々のチップに対して手動で行われる、それというのも自動化は多数のカラムのためのアクセスが困難であることによりほとんど不可能であるためである。同様に、このことは、信頼のある再現可能なクロマトグラフィーに対して矛盾している。
確かに、先行技術において、後の固定相になるモノリスの前駆体を製造し、引き続き細孔を設けるいくつかの提案が存在する。しかしながらこれらの提案は、全ての場合において、既に予め製造されたカラム中に導入されるため、再び充填の際の上述した機械的な困難性が生じてしまう。(まだモノリスの)固定相の硬化の際及びそれぞれの溶媒の除去の際に、表面張力及び他の効果によって、三次元的な基本骨核において変化、例えば収縮又は予定されていないそのサイズにおいて制御されない細孔が生じる可能性がある。固定相のカラム壁部との強固な結合は、一般に同様に達成されない。
固定相として基板からエッチングされ、後で酸化されるシリコンの場合にだけ、今までは、この相がモノリスであり、かつカラムと化学的に又は機械的に安定に固定されて構成することが可能である。しかしながらアノードエッチングを用いて、「通路」の極めてわずかな深さが達成できるにすぎず;アスペクト比が低すぎ、分離通路として狭いバンドが得られるだけである。従って、カラム寸法のバリエーションは不可能である。場合によっては、この理由から、米国特許(US−B1)第7,115,422号明細書は、特に、分離通路は取り立てるほどの多孔性の固定相を有しているのではなく、通路表面が粗面化されたシリコンからなっている分離通路を採用している。さらに、アノードエッチングを用いてシリコン基板から固定相をエッチングにより作成する際に、この固定相の表面は規則的に著しく一緒にエッチングされるため、この固定相の表面はもはや基板表面と同一平面上にはなく、生じる間隙がカバーを困難にしている。米国特許(US−B1)第7,115,422号明細書では、それゆえに、場合によっては、緻密化する表面の問題が完全に除外されている。そして、最終的に、エッチングにより得られた細孔表面は不十分に少ない。
米国特許第6,156,273号明細書 米国特許(US−B1)第7,115,422号明細書 欧州特許公開(EP−A2)第1319949号明細書 米国特許(US−B1)第7,314,505号明細書 ドイツ国特許(DE−B3)第102004050569号明細書 米国特許出願第2002/0166816号明細書
Blom,M.T.,Chmela E.,Oosterbroek R.E.,Tijssen R.,Van den Berg A.著:ナノ粒子及びバイオ分子の、オンチップ流体力学的クロマトグラフィーによる分離及び検出(On−chip hydrodynamic chromatography separation and detection of nanoparticles and biomolecules),Anal.Chem.2003,75,6761−6768 De Pra M.,De Malsche W.,Desmet G.,Schoenmakers P.J.,Kok W.Th.著、「オンチップ液体クロマトグラフィー用の、ピラー状に構造化されたマイクロチャンネル:透過効率及び分離効率の評価(Pillar−structured microchannels for onchip liquid chromatography: Evaluation of the permeability and separation performance)」,J.Sep.Sci.2007,30,1453−1460 De Malsche W.,Clicq D.,Verdoold V.,Gzil P.,Desmet G.,Gardeniers H.著、「液体クロマトグラフィー用の整列されたピラーアレー中への多孔性層の組み込み(Integration of porous layers in ordered pillar arrays for liquid chromatography)」,Lab Chip 2007,7,1705−1711 Clicq D.,Tjerkstra R.W.,Gardeniers J.G.E.,Van den Berg A.,Baron G.V.,Desmet G著、剪断駆動クロマトグラフィー用の固定相としての多孔性シリコン(Porous silicon as stationary phase for shear−driven chromatography),J.Chromatogr.2004,1032,185−191 He Q.,Pang C,Tai Y.−C,Lee T.D.著、ビーズ充填パリレンカラムを有するチップ上のイオン液体クロマトグラフィー(Ion liquid chromatography on−a−chip with beads−packed parylene column),IEEE 2004,0− 7803−8265−X Ocvirk G.,Verpoorte E.,Manz A.,Widmer H.M.著、シリコンチップ上へのマイクロ液体クロマトグラフィーの組み込み、トランスデューサー(Transducers)1995,固体センサ及びアクチュエータの第8回国際会議、及びユーロセンサーズIX(the 8th international conference on solid−state sensors and actuators,and Eurosensors IX)、ストックホルム、スウェーデン、1995年6月25〜29日 Ishida A.,Natsume M.,Kamidate T.著、Journal of Chromatography A,1213 (2008) 209−217 Ishida A.,Yoshikawa T.,Natsume M.,Kamidate T.著、サンプルインジェクタ及びモノリスシリカカラムを備えたマイクロチップ上の逆相液体クロマトグラフィー(Reversed−phase liquid chromatography on a microchip with sample injector and monolithic silica column),J.Chromatogr.A 2006,1132,90−98 Puy G.,Roux,R.,Demesmay C,Rocca J.−L,lapichella J.,Galarneau A.,Brunel D.著、ナノ液体クロマトグラフィー又はキャピラリ電気クロマトグラフィー用のモノリスシリカキャピラリのクロマトグラフィー特性に関する水熱処理の影響(Influence of the hydrothermal treatment on the chromatographic properties of monolithic silica capillaries for nano−liquid chromatography or capillary electrochromatography),J.Chromatogr.A 2007,1160,150−159 Levkin P.A.,Eeltink S.,Stratton T.R.,Brennen R.,Robotti K.,Yin H.,Killeen K.,Svec,F.,Frechet J.M.J.著:タンパク質及びペプチドの高速液体クロマトグラフィー分離用の、ポリイミドチップ中のモノリスの多孔性ポリマー固定相(Monolithic porous polymer stationary phases in polyimide chips for the fast high−performance liquid chromatography separation of proteins and peptides)、J.Chromatogr.2008,1200,55−61
本発明の根底をなす課題は、この対策を講じて、かつウェハ面上に迅速に多数の微細化され、信頼性がありかつ再現可能に作業することができ、少なくともカラムの一部にそのカラムの全体の断面にわたり固定相が充填されているクロマトグラフィーカラムを作製できる方法を見出すことであった。
前記課題の解決策において、次の工程:
(a)シリコン、ガラス、セラミック又はガラスセラミックからなる平坦な基板を準備する工程、
(b)前記平坦な基板中に1つ又は複数の(横型の)通路構造体をエッチングする工程、
(c)前記通路構造体の少なくとも一部に、固定相用のまだ多孔性ではない前駆体材料を導入する工程、
(d)前記前駆体材料から、多孔性の三次元的な網状構造を形成する工程及び
(e)前記平坦な基板の上面側で通路構造体を液密にカバーする工程
を有する、多孔性の固定相を有する微細化された分離カラムの製造方法が提供される。
本発明による有利な態様の分離カラムを備えたチップの斜視図。 本発明による有利な態様の分離カラム(A〜C)。
本発明による方法を用いて、それぞれ1以上の分離通路を有し、該分離通路は、チップの基板中へ任意の形態で取り付けられかつ三次元的な網状構造を形成する(「モノリスの」)多孔性の固定相が充填されていて、該固定相は通路壁の少なくとも一部と化学的又は機械的に強固に付着している、クロマトグラフィーの目的に適した、微細化された「クロマトグラフィーチップ」を準備することができる。この相は、金属、セラミック及び場合により有機的に連続した又は表面変性された金属化合物又は半金属化合物(半金属として、この場合に特にケイ素が挙げられ、半金属化合物として場合により有機変性されたケイ酸重縮合体が挙げられ、この重縮合体のSi−O−Si骨格中にヘテロ原子、例えば金属原子を組み込むことができる)から選択される無機材料又は有機変性された無機材料からなる。個々の場合に、この相は、有機材料が基板表面上の遊離SiOH基と十分に化学結合することができるか又は分離通路壁部の表面が(例えばシラン化により)、通路壁部表面の有機基と固定相の有機基との間で十分に化学結合することができるように有機変性され、必要な機械的安定性が達成される場合には、純粋な有機材料から形成されていてもよい。
各分離通路は、個々の通路として任意の形状で(基板の直線的な形状長さで、曲がりくねった、ジグザグ形の、スパイラル状などで延在して)、チップを形成する基板上に存在することができるが、しかしながらこのような複数の分離通路が1つのチップ上に配置されていてもよい。有利な方法の場合には、複数のカラムを1つのウェハ基板上に形成し、このウェハ基板を後に、それぞれ1つ又はそれ以上のカラムを備えた別個のチップに個別化する。
基板として、表面にSiOH基を有するか又は湿った空気中で若しくはその他の相応する環境中でSiO基を形成することができ、特に後に個別化することができるウェハの形状の全ての材料、例えばシリコン、ガラス、セラミック並びにガラスセラミックが適している。基板表面の有機変性は、この場合、Si−O基を介して行うことができ、例えば式R SiX4−a−b[式中、Rは、炭素を介して上記ケイ素と結合する、有機固定相との結合のために必要な特性を有する基(例えば、エステル結合の場合にはカルボン酸基を有する基又は熱的に若しくは他の方法によって、後の固定相の有機材料の同等の二重結合と一緒に重合させることができる二重結合を有する基)、Rは、任意のその他のたいていは有機の基、例えばアルキル基、Xは、OH又はSi−O−Si架橋を形成しながら加水分解による縮合が可能である脱離基を表し、aは1、2又は3であり、bは0、1又は2であり、a+bは最大3である]のシランとの反応により行うことができる。Xは、例えばアルコキシド、クロリド又は先行技術から公知である他の基であることができる。
この分離通路は、基板中に凹設部として、基板を少なくとも(背後の)側壁及びその側壁に続く側壁の一部又は全部を形成し、この分離通路の側壁の後者の部分を後で、固定相の導入後に、後のカラムの長手方向でのカバーを形成させるように形成される。このような凹設部の作成は先行技術である。これについては機械的方法、特にエッチング法が挙げられる。この凹設部は、公知の方法で、いわゆるMEMS技術で製造することができる、つまりウェハ面上にマイクロメカニカル/マイクロエレクトロニクス部材の製造の場合に通常の方法を用いて製造することができる。このために、リソグラフィー、特に固定の(例えば酸化物の)又は塗布されたマスクを用いるリソグラフィーを用いるシリコン基板又はガラス基板のエッチングを挙げることができる。分離カラムの寸法は、それぞれの必要性に応じて、任意に選択することができ、頻繁にこの分離カラムは約1〜1000μm、有利に約1〜500μmの幅を有し、約1〜1000μm、有利に約1〜500μmの高さ(又は約1〜1000μm、有利に約1〜500μmの断面積)及び約0.1、有利に1〜100mmの長さを有する。この分離カラムは、任意に、例えば円形、楕円形、台形又は四角形の断面を有することができる。
この凹設部又は通路は、次いで、それぞれの適用のために利用されるクロマトグラフィー法において使用されることになる後の固定相の前駆体材料である材料で充填される。引き続き、この前駆体材料は、上記の固定相を形成するように処理される。この材料はそれ自体安定であり、つまり三次元的な骨格構造を有し、強固に(有利に化学的及び/又は物理的に、例えば物理吸着に基づき)カラム壁部に固定されている。このような骨格構造は「モノリス」ともいわれる(図2A参照)。それ自体安定な骨格構造を有する固定相は、自立式の特性を有し、かつ従ってこのカラムから無傷で取り外しかつ貯蔵される場合に、この固定相の形状は維持されるという点で、粉末状の固定相とは異なっている。
この目的のために、この通路は所定の高さにまで、この通路壁部と固着する、多孔性相用の前駆体材料で充填される。この前駆体材料を多孔性相に変換するために体積変化を危惧することがない場合に、この前駆体材料の充填高さは、有利に基板表面の平面と面一である。他の場合に(例えば、この材料がわずかに収縮することが予想される場合には)、わずかな盛り上げ部を備えることができ、この盛り上げ部は基板又は前駆体材料の適切な表面特性(親水性、疎水性)によって、この材料を多孔性の固定相に変換した後でも、堅固なプレートの形で通路カバーを行う場合であっても、間隙が形成されないように安定化することができる。この予防措置は、例外的な場合に必要なだけである、それというのもコンフォーマルなカバーを設けることが有利であるためである。
この通路は、縦方向の広がりにおいて完全に充填される必要はない。入口開口部又は出口開口部に引き続く通路領域が、固定相を有していないままであることも有利である。断面方向で見て、この通路の少なくとも一部の領域が完全に又はほぼ完全に多孔性相で充填されるのが好ましい。
通路の充填に引き続き、この材料に所望の細孔を備えさせる(図2A参照)。
本発明の第1の実施態様の場合には、固定相のための材料は金属であることができる。「金属」とは、本発明の場合に、本来の金属、つまりシリコンのような半金属ではないと解釈される。この金属は、例えば通路壁部の材料を予め活性化させることにより、通路壁部と密接に結合される。この場合、この活性化は、コロナ前処理又は軽度なエッチングであることができる。その活性化の代わりに又はそれに加えて、プライマー層を塗布することもできる。場合により、固定相のために設けられる金属の電気メッキによる析出を可能にするために、例えば蒸着によって、同じ金属又は他の適した金属からなる開始層(シードレイヤー)が設置される。この金属析出層についての例は、金、金−白金合金又は他の金含有の合金からなる析出層である。クロマトグラフィー材料としての金は、特に本発明のために適している、それというのも金表面はチオールカップリングすることができるためである。この反応によって、金表面に、それぞれ所望のクロマトグラフィープロセスにとってカスタムメイドであるか又は生じるカラムの所望の分離特性を定義する親水性の有機基又は疎水性の有機基を付与することができる。この例は、この固定相の疎水化に作用するC又はC18炭素鎖を用いた変性である。このような疎水性の相又は疎水化された相は、「逆相」クロマトグラフィーのために利用される。場合により、金表面で硫化物含有分子を捉えることができるか、又はこの分離通路はSH結合(「自己集合」)によって金骨核と結合することができる捕捉分子を有するクロマトグラフィーのために利用することができる。
多孔性の、モノリスの金相を作成するために、有利に金より貴ではない金属との金合金を通路中に析出させ、その後にこの卑金属を、例え硝酸のような強酸を用いて酸化によりこの合金から溶出させる。このような方法は、例えばO.V.Shulga et al.著、「多孔性金の製造及び特性並びにアセチルコリンエステラーゼの固定のためのパターンとしてのその適用(Preparation and Characterization of Porous Gold and Its Application as a Platform for Immobilization of Acetylcholine Esterase)」、Chem.Mater.2007,19,3903−3911から公知である。多孔性の金相は、しかしながら他の方法でも通路中に作成することができ、例えば、酸化金(Au)の熱分解、AuI粉末からのヨウ素の昇華、多結晶金の電気化学的処理又は適当な溶液、例えばデキストラン溶液中での塩化金の溶解、及び溶剤の除去後に有機成分の除去するため及びその際に金の還元及び焼結を引き起こすために、この溶液の600〜800℃の加熱により作成することができる。これらの方法も、上記のO.V.Shulgaから公知である。
金の代わりに、他の金属、例えば白金又はアルミニウムを、特別な目的のためにこれらの金属が所望である場合に限り使用することができる。アルミニウムを使用する場合には、この固定相は、任意の深さにまで酸化アルミニウムからなることができ、その表面は酸素原子の他にヒドロキシ基を有することができる。この実施態様とは無関係に、この固定相は金又は他の金属/合金と、他の金属材料又は非金属材料との混合物から、この両方の材料の一方が他方の材料を埋め込んでいるマトリックスの形で固定相を構成するように形成することもできる(図2C参照)。この他の金属材料又は非金属材料は、この場合、クロマトグラフィーによる課題についても同様に考慮することができ、例えば他の分子の他の滞留時間又は保持を生じる。その代わりに又はそれに加えて、他の課題、例えば金又は他の金属/前記合金とは異なる(例えばより低い)導電性を有するという課題を満たすことができる。それとは別に、(通路の長手方向又は長手方向に対して横方向に)上記したような材料の2種以上の材料からなる層も可能である。後者に挙げた実施態様の場合に、寸法及び材料は、前記材料の1つと基板のシリコンとの接触箇所でそれぞれ電気的接続が存在し、情報、例えばこの材料の電荷を測ることができるように選択することができる(図2B参照)。他の材料として、例えば場合により有機変性された二酸化ケイ素を使用することができるが、このために空気を使用することもできる。
場合により、金もしくは全ての金コンパートメントは、1つ以上の電気的コンタクトフィードを有することができる。金に電位を印加することができるため、この分離カラムは電気的移動(電気泳動)のため又は分子の検出のために利用することができる。
本発明の他の実施態様の場合には、固定相のための材料は(セラミックの又は非セラミックの)酸化物であることができる。主族金属及び遷移金属の金属酸化物の他に、この場合、特に酸化ケイ素(この酸化ケイ素は場合により有機変性されていてもよい)又は多孔性にエッチングされたガラスが適している。
二酸化ケイ素を考慮する場合には、信頼性のあるモノリス構造を生じる方法を用いて作成することに留意しなければならない。例えばキセロゲルは適していないが、エアロゲルは本発明にとって良好に使用可能なモノリスの酸化構造である。この構造は、例えば、適切な溶剤中の液体SiO相を1つ又は複数のエッチングされた分離通路中に導入し、COを用いた超臨界乾燥により固定することにより作成することができる。超臨界乾燥プロセスによる溶剤の蒸発の結果、スポンジ状に多数のガス封入部及びガス分枝部を有する極めて大きな表面積を有する分離カラム構造体が得られる。このSiO表面は、後続する工程において、カラムが所望の分離課題を果たすことができるように有機相の塗布により変性/官能化することができる。これについての実施例は、上記に固定相としての金について記載されたように、例えば逆相HPLCのためのC〜C18−炭素鎖を用いた変性であり;この場合に、この変性は有利に先行技術から公知のようにシラン処理により行われる。
セラミック/金属酸化物は、必ずしも酸化ケイ素から構築されるか又は酸化ケイ素を含有する必要はない。特別なセラミックの酸化物についての他の例は、例えば多孔性酸化アルミニウムであり、これは、アルミニウムの電着又は無電解メッキにより、及び、引き続き、細孔の作成のために、例えば、塩酸、硫酸又は硝酸を用いた陽極エッチングにより製造される。このような固定相のコアは、多くの場合にまだアルミニウム金属を有していてもよい。このプロセスにより、多くの分離課題のために所望の表面積を示す細孔/カラムマトリックスとしての酸化アルミニウムが得られる。
この多孔性ガラスは、例えば、いわゆるバイコール(Vycor)プロセスの適用により得られる。基板内に存在する通路中に、均質な材料から、一方は主にケイ酸塩構造を有するガラスでありかつ他方は主にホウ酸塩含有構造を有するガラス(バイコールガラス(Vycorglas))である2つのガラス相に分けることができるガラスを導入する。当初のガラス組成及び分離のために適用される温度に依存して、この通路中に、両方のガラス相の2つの相互に連なるネットからなる固定相が生じる。一方の(この場合には、特にホウ酸塩含有の)相の選択的なエッチングによる溶出により、主にSiOからなる多孔性の構造体が得られる。前記にエアロゲルについて記載したように、この多孔性構造体は有機変性/官能化することもできる。
同様に有機ポリマーを、本発明の場合にモノリスの相として利用することができる。例えば、バイコールプロセスと同様に、少なくとも2種の異なる親水性/疎水性ポリマー又はポリマー前駆体並びに場合により乳化剤及び/又は他の助剤からなる液状のポリマー混合物を、1つ又は複数の通路中に導入することができる。例えば温度の上昇により、UVの照射により、又は他の方法による硬化(重合/架橋又は後架橋)によって、異なるポリマーの2つの相互に入り込んだ網状構造が形成され、そこから前記の一方のポリマーだけを溶解する適切な溶剤の選択により溶出させることができる。このプロセスに引き続き、前記ポリマーの表面の反応性基に、親水性基又は疎水性基を結合させることによる多孔性プラスチックマトリックスの官能化を行うことができる。この実施態様の場合に、この通路壁部は、有利に、洗浄の後でも残留し、固定相を形成するポリマーの部分と化学結合を介して固定されるように有機基で変性されているのが好ましい。
個別の基板又はウェハの1つ以上の通路内に多孔性の固定相を製造した後に、この充填された通路を適切な方法でカバーしかつシールする。これは、コンフォーマルな、つまり通路の表面をなぞるが、細孔を充填しないように、1つ以上の材料を通路上に析出させることにより、場合により全体の基板表面上に析出させることにより行うことができる。この場合、望ましい方法では、気相からの析出又はガルヴァーニプロセスが使用され;析出技術としては例えば、CVD又はPECVD(化学蒸着又はプラズマ化学蒸着)が適しているが、スパッタ技術も適している。材料としては主にケイ素の窒化物又は酸化物が適しているが、例えばアルミニウム、ガリウム又は他の金属カチオンの窒化物又は酸化物も適しており、さらにパリレン又は金属、例えば金、白金、イリジウム、銀なども適している。必要な場合には、前記カバーを後から構造化する、例えば穴又は切欠を備え付けることもできる。他の析出を、金属被覆、コンタクトなどを設置するために行うことができる。このコンフォーマルな析出は、本発明によるクロマトグラフィーカラムの固定相が通常ではこの固定相を取り囲む全ての通路壁部と化学的又は物理的に結合していることが有利である。
しかしながらカバーは、チップ/ウェハを、ガラス、シリコン又はプラスチックからなるプレートで陽極ボンディング、接着又は他の、二成分を強固に結合する方法によりカバーすることにより行うこともでき、その際、このカバーは少なくとも分離カラムの範囲内でたいていの場合には気密に行われるのが好ましく、かつ全面にわたり、上側又は下側に、他の構造体、例えば穴、切欠、金属被覆、コンタクトなどを有することができる。
この通路のカバー又はシールは、場合により、上記のように、固定相を変性する前に行うことができる、それというのもこのような変性は、特に閉鎖された通路を通してポンプ供給する溶液を用いて行うことができるためである。しかしながら、それとは別に、この変性は通路をカバーする前に行うこともできる。
通路のエッチング、固定相用の前駆体材料の導入、多孔性の固定相の形成並びに通路のカバーは、個々のチップ(基板)又はウェハ面に行うこともできる。後者のウェハの場合には、個々の後のチップのそれぞれのために設けられた多数の通路をウェハ上にエッチングし、充填し、シールし、引き続きこのウェハを個別化する。この場合、個別化されたウェハ基板はチップ基板として利用することができ、それとは別に他の基板上に接着又は他の方法で設置される。それぞれの基板は、次いで例えば、単数又は複数の通路を有する基板との関連で次に記載するユニット又はユニットの一部を有するか又は収容することができる。
液体クロマトグラフィーチップ上に、試料投入のための1つ以上のユニット、1つ以上のマイクロポンプ、マイクロバルブ及び/又は電気化学的検出用の、例えばパルスボルタンメトリー、インピーダンスなどのための1つ以上の電極を組み込むことも可能である。このような複数のユニットを別個に個々のチップに設けることもできる(つまり、1つ又は複数の通路を有する基板上に、又は他の基板に、上述の段落を参照)か、又はこのような複数のユニット(又はその複数のユニットのいくつか)を、ウェハ技術を用いて基板上に作成し(例えばメタライジング、エッチングなどによって)、個別化の後に同じチップのために設けられた通路構造体と一緒に1つの基板上に存在する。これとは別に、上記の複数のユニット又は上記の複数のユニットの一部は外部に存在し、クロマトグラフィー工程のためにチップに取り付けることもできる。
クロマトグラフィーチップには、場合により、分離カラム又は全体のチップの熱処理のための装置及びコンタクト及び/又は温度センサが設けられていてもよい。さらに、分離カラムを通して溶剤勾配を送るために必要である技術的必要条件(バルブ、ポンプ、導管及びプログラミン)を組み込むことができる。これらの部材の製造及び配置について、試料投入、マイクロポンプ、マイクロバルブ及び電極について上述したユニットについてと同様のことが通用する。
液体クロマトグラフィー分離のため並びに最も多様な化学的及び生化学的な分子の検出のための記載されたチップは、上述の材料及び製造プロセスに基づいて、著しく頑丈で、再現可能であることを特徴とする。悪い再現性及び分離効率の結果となり得るカラムの手間のかかる充填は行わない。チップレベルにまで微小化することにより、ポータブルでかつフレキシブルな現場分析のための液体クロマトグラフィーを強化することができる。この分離及び分析時間は数秒である。
これらの提案された材料は、液体クロマトグラフィーによる適用のために複数の利点を有する特性を有する。
−特に高圧液体クロマトグラフィーのために特に重要である著しい機械的安定性;
−二酸化ケイ素が標準カラム材料であるため、典型的なカラムのために存在する全ての被覆材料/機能性材料を受け入れることができる;
−二酸化アルミニウムも、同様に多数の分離のための標準材料である;
−金は、場合により電位を印加することができかつこのカラムは電気的な移動又は分子の検出のために利用することができるという利点を有する;
−親水性から疎水性までの大きな表面バンド領域を調節可能であるため、極めて大きな分析スペクトルを取り扱うことができる;
−全てのプロセスは、Si技術(6/8zoll ウェハレベル)に適合し、つまり多数の製品個数で低コストの再現可能な製品を提供する。
液体クロマトグラフィー分離は、化学分析及び生物化学分析において最も頻繁に使用される方法に属する。クロマトグラフィーの微細化及びオンチップクロマトグラフィーの実現のための、固定相/分離カラムをチップに組み込むための記載された方法によって、適用のためのほとんど無制限の分野が開ける。これには、例えば、食品分析及び現場分析(Vor−Ort−Analytik)(例えば、牛乳中の抗生物質、果実及び穀類中のマイコトキシン、食品内容物質、添加剤、ホルモン、薬理学的物質、アレルゲン、一般的な商品入荷検査など)における適用が属する。他の適用分野は、例えば爆薬又は麻薬の検出並びに、特にわずかで及び/又は高価な試料量しか供給されない場合での生物化学における、例えばペプチド、ヌクレオチド、タンパク質の精製及び分析である。
次に、例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
例1
固定相としてのエアロゲルの製造
シリコンウェハのエッチングされたか又は鋸引きされた凹設部中に、次のように製造された粘性の溶液をブレード塗布した:
TEOS(テトラエトキシシラン)1ml、エタノール(99%)5ml及び0.01Mシュウ酸3.5mlをビーカーガラス中にピペットで入れた。このガラスをパラフィンでカバーし、この混合物を室温にて24時間磁気撹拌機で撹拌した。次いで、0.5Mの水酸化アンモニウム溶液3.5mlを添加し、この混合物を(パラフィンでカバーして)さらに45℃にて3時間磁気撹拌機で撹拌し、その後、室温にて24時間放置した。
凹設部中に導入した後に、粘性の溶液をさらに室温で24時間密閉したウェハ容器中でさらにゲル化させた。引き続きこのウェハを超臨界乾燥するための装置(Tousimis社のAutomegasamdri)中に置いた。COのためのパージ時間は45分であった。
例2
固定相としてのエアロゲルの製造
TMOS(テトラメトキシシラン)1ml、メタノール0.5ml、シュウ酸(0.001M)1mlを、閉鎖可能なプラスチック容器(5mlの試験管)中に入れ、室温で30分間ゆっくりと振盪させた(TMOSの加水分解)。次いで水酸化アンモニウム溶液(0.5M)0.5mlを添加した。
この溶液を、気泡の混入を抑制するために注意深く撹拌し、引き続きウェハの分離通路−凹設部中に流し入れた。この溶液を約30分間でゲル化させ、室温で48時間後硬化させた。この時間中は気密なカバーにより、ゲル表面が乾燥しないことを保証しなければならなかった。このゲルを、アセトン(ゲルの少なくとも10倍の体積)で覆い、ゲル中に存在する水/メタノール混合物をアセトンと交換した(拡散プロセス)。このアセトンの覆いを、それぞれ約5時間後に、少なくとも3回新たに交換し、完全な溶液交換を達成した。
最終的な分離カラム−製造プロセスのために、ゲルの(体積を維持する)乾燥を超臨界COを用いて行った。このために、このウェハを「クリティカル・ポイント・ドライヤー(Critical Point Dryer)」(Tousimis社のAutomegasamdri−915B (CPD MEMSドライヤー))中に入れ、その乾燥プログラムを実行した(COパージ時間:45分)。
例3
固定相としての多孔性金
シリコンウェハをリソグラフィーにより構造化し、通路及びコンタクト面を作成した。この構造化は、シリコンウェハの高速エッチング(直線的なエッチング縁部が生じる)又は湿式エッチング(異方性=傾いたエッチング縁部)と、KOH(80℃で30%の水酸化カリウム溶液)又はTMAH(80℃で25%のテトラメチル水酸化アンモニウム)とを組み合わせて行った。引き続き、この通路底部及びコンタクト面に電気メッキ開始層(金)を蒸着させた。
金平面の接続のために、0.4〜0.5A/dmの電流密度で金パラジウム合金の析出のために、接続されたウェハをカソードとして、白金化された電極をアノードとして、50℃に加熱した、例えば亜硫酸金0.15mol/l、亜硫酸パラジウム0.06mol/l及び亜硫酸ナトリウム0.5mol/lからなる撹拌した電解液中に入れた。
パラジウムの代わりに、亜硫酸銀、亜硫酸銅、亜硫酸ニッケル、亜硫酸亜鉛、亜硫酸ヒ素、亜硫酸ビスマス又は他の卑金属亜硫酸塩イオンを電気メッキによる析出のために装入することができる。亜硫酸塩イオンの代わりに、これらの金属をアニオンとしてのシアン化物イオンと一緒に使用することもできる。
金の析出のための電流密度は、選択した出発材料に応じて選択される。一般に、この電流密度は、直流又はパルス流の場合に、約0.05〜1A/dmの範囲内にある。
EDTA又はエチレンジアミンなどのような助剤を添加することも可能である。析出された層からの卑金属のエッチングは、50%の硝酸を用いて行う。この時間は、層厚及び卑金属の含有率に依存し、一般に約10〜48時間である。
例4
固定相の形成後の基板のカバー
例1〜3により処理されたウェハをPECVD炉中に導入する。250〜450℃で、2μmの厚さの窒化ケイ素層を堆積させ、この窒化ケイ素層は、ウェハの全表面を覆い、それにより通路はコンフォーマルに液密に閉鎖される。

Claims (15)

  1. カラム中に固定された多孔性の固定相を備えた、クロマトグラフィーのための微細化された分離カラムの製造方法において、次の工程:
    (a)シリコン、ガラス、ガラスセラミック又はセラミックからなる平坦な基板を準備する工程、
    (b)前記平坦な基板中に少なくとも1つの通路構造体をエッチングする工程、
    (c)前記通路構造体の少なくとも一部に、多孔性の固定相用のまだ多孔性ではない前駆体材料を導入する工程、
    (d)前記前駆体材料から、多孔性の三次元的な網状構造を作製する工程及び
    (e)前記平坦な基板の上面側の通路構造体を液密にカバーする工程
    を有する、微細化された分離カラムの製造方法。
  2. 前記のまだ多孔性でない前駆体材料が通路構造体に化学的に結合するか又は物理的に固着するように、前記前駆体材料を前記通路構造体内へ導入する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記平坦な基板はウェハであり、この基板中に複数の通路構造体がエッチングされる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ウェハを工程(e)により液密にカバーした後に、個々の素子又はチップを個別化し、特にダイシングする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記のまだ多孔性でない前駆体材料は、金属、特に金又はアルミニウム、酸化物、特に酸化ケイ素又は酸化アルミニウム、及びガラスから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記多孔性の三次元的な網状構造を有機基で変性する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記変性を、前記通路構造体のカバーの前又は後に行う、請求項6に記載の方法。
  8. 前記液密のカバーを、カバープレートを用いて行うか又は有利に気相からのコンフォーマルな析出によって行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. クロマトグラフィー用の微細化された分離カラムにおいて、前記分離カラムの側壁部が、
    −平坦なシリコン基板、ガラス基板、ガラスセラミック基板又はセラミック基板の平面内に延在する1つ以上の凹設部、及び
    −前記凹設部の1つ以上のカバーにより形成されていて、
    前記凹設部は、カラム壁部の少なくとも一部の領域と化学的に又は物理的に結合している、三次元的な網状構造を形成する多孔性の固定相で充填されていて、前記固定相は、金属、セラミック、場合により有機変性された酸化物並びに有機ポリマーから選択される、無機材料又は有機変性された無機材料又は有機材料からなる、分離カラム。
  10. 前記固定相が、金、アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ケイ酸塩ガラス又はこれらの材料の組み合わせから形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の分離カラム。
  11. 前記固定相の表面が疎水化されていることを特徴とする、請求項10に記載の分離カラム。
  12. 前記1つ又は複数のカバーは、コンフォーマルな1つ又は複数のカバーであることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の分離カラム。
  13. 多数の微細化された分離通路を備えたウェハにおいて、前記分離通路の側壁部が、
    −平坦なシリコン基板、ガラス基板、ガラスセラミック基板又はセラミック基板の平面内に延在する1つ以上の凹設部、及び
    −前記凹設部の1つ以上のカバーにより形成されていて、前記分離通路の複数又は全ては、通路壁部の少なくとも一部の領域と化学的に又は物理的に結合している、三次元的な網状構造を形成する多孔性の固定相で充填されていて、前記固定相は、金属、セラミック、場合により有機変性された酸化物並びに有機ポリマーから選択される、無機材料又は有機変性された無機材料又は有機材料からなり、前記複数の分離通路は、前記ウェハの切り分けの際に、請求項9〜12のいずれかに記載の、固定相で充填された1つ又は複数の微細化された分離カラムをそれぞれ備えた複数の基板が生じるように配置されている、多数の微細化された分離通路を備えたウェハ。
  14. さらに、試料投入用ユニット、マイクロポンプ、マイクロバルブ、電気化学的検出のための電極、前記分離通路の熱処理のための装置及びコンタクト、温度センサ、電気的コンタクト、液体供給路及び排出路、溶剤勾配を用いるクロマトグラフィーの実施のための電子的プログラミングエレメント及びデータメモリから選択される複数の構成要素を有する、請求項13に記載のウェハ。
  15. 請求項9〜12のいずれかに記載の微細化された少なくとも1つの分離カラム、並びに試料投入用ユニット、マイクロポンプ、マイクロバルブ、電気化学的検出のための電極、前記分離通路又はチップ全体の熱処理のための装置及びコンタクト、温度センサ、電気的コンタクト、液体供給路及び排出路、溶剤勾配を用いるクロマトグラフィーの実施のための電子的プログラミングエレメント及びデータメモリから選択される1つ又は複数の構成要素を備えたチップ。
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