JP2013507922A - 細胞培養用マイクロ流体デバイス - Google Patents
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Abstract
マイクロ流体細胞培養装置は、細胞保持チャンバおよび灌流チャネルを備える。細胞保持チャンバは構造化表面を有する。構造化表面は主表面を有し、この主表面から複数の突起が前記チャンバ内へと伸びる。複数の突起は、チャンバ内で培養した細胞が主表面上を浮遊するように構成される。第1の灌流チャネルは、前記チャネルを通じて流体の層流をもたらすように構成され、前記細胞保持チャンバと連通する複数の開口部を形成する。開口部は、保持チャンバに由来する細胞が灌流チャネルに入るのを妨げるように構成される。
Description
本願は、2009年10月12日に出願した米国仮特許出願第61/250,754号の利益を主張する。本文献の内容および本明細書に記載される刊行物、特許、および特許文献の開示全体が、参照することによって本明細書に援用される。
本開示は、細胞培養のための装置に関し、さらに具体的には、マイクロ流体細胞培養装置に関する。
平らな細胞培養容器上で培養された細胞は、しばしば、インビボにおけるものとは顕著に異なる形態および機能を有する、細胞の人工的な2次元のシートをもたらす。培養細胞は最新の創薬および薬剤開発にとって重要であり、薬物検査に幅広く用いられている。しかしながら、これらの試験結果がインビボにおける細胞からの応答を示さない場合、結果の妥当性が低下してしまいかねない。人体の細胞は、他の細胞、膜、線維層、接着タンパク質などに完全に取り囲まれた三次元環境を経験する。よって、インビボ条件をより良好に模倣し、インビボ様の形態および機能を発現するように培養細胞を刺激する細胞培養装置が望ましい。
インビボ条件をより良好に模倣し、長期間にわたり培養において肝細胞などの分化細胞を維持するため、細胞培養の形態および細胞培養系は目覚ましく進歩してきた。例えば、コラーゲンサンドイッチ培養系、3D細胞培養、およびマイクロ流体灌流システムは、いくつかの表現型の関連性を有する生存細胞の培養の維持において、従来の培養デバイスと比較してある程度の細胞性能の強化を提供している。細胞の生存および機能を長持ちさせるのに用いられている他の方法としては、改良型の細胞培養培地、共培養、および3Dの細胞構成を促進するためのさまざまな細胞外マトリクスの使用が挙げられる。
しかしながら、細胞の長期培養を成功させるために、細胞機能を調節する複雑なインビボ微環境の模倣は、いまだ課題である。したがって、これらの進歩をもってしても、細胞培養された細胞機能の改善は、限られた範囲でしか達成されていない。
本開示は、とりわけ、多数の灌流チャネルを用いた動的細胞培養状態および、構造化された支持体上に存在する細胞または構造化された支持体によってカプセル化された細胞の実質的浮遊を提供する、マイクロ流体デバイスについて説明する。デバイスは、構造、灌流およびインビボにおける組織のフローを模倣し、組織様の構造および形態の形成を可能にする。例えば、以下に提供する実施例では、本明細書に記載のデバイス上で培養された肝細胞は、三次元に延在する復元された膜極性および毛細胆管構造の形成を示し、また、生物学的または合成のマトリクスまたは凝固剤を添加せずに、輸送機能を示した。
本明細書に記載のデバイスは、細胞培養培地または他の流体組成物が流れる灌流チャネルを有する。灌流チャネルは、細胞を培養する細胞保持チャンバと流体連通する。細胞保持チャンバは、細胞の拡散を妨げるように構成された構造化表面を備え、それによって三次元の細胞形態を促進しうる。構造化表面は、構造化表面の底部上に細胞を浮遊させるように構成された突起を備える。細胞が接触する突起表面の表面積は、多くの実施の形態では、デバイスで培養される細胞の接触面積未満(すなわち、平らな非構造化表面と接触するであろう細胞の表面積未満)である。細胞が接触しうる表面積を制限することにより、細胞拡散は抑制され、三次元の細胞形態が促進されうる。場合によっては、構造化表面は、例えば肝細胞の極性などの細胞極性を促進または保持することができる。
構造化表面は、内部を流体が流れる1つ以上のトラフを形成しうる。トラフの底部は構造化表面の底部によって形成されてよく、突起の側面はトラフの側面を形成しうる。さまざまな実施の形態では、マイクロ流体の培養デバイスは、流体をトラフに導入、または流体をトラフから除去可能にする、構造化表面の1つ以上のトラフと流体連通した入口および出口を有する。培養細胞が堅固な細胞間結合を形成する場合には(例えば、組織様の形態をとる)、細胞はトラフと灌流チャネルとを流動的に分離し、細胞チャンバにわたって独立した勾配を形成可能にする。加えて、トラフおよび灌流チャネルは、インビボにおける多方向フローのシミュレートに効果的に用いることができる。一部の事例では、多方向フローを生じさせうるさまざまな勾配によって細胞極性が助長されうる。
本明細書に記載のデバイスおよび方法は、従前のマイクロ流体培養デバイスまたは他の培養デバイスに対し、1つ以上の利点を提供するであろう。例えば、本明細書に記載のデバイスの実施の形態では、細胞の3Dの組織様の構成およびインビボ様の膜極性の復元を可能にする構造設計を提供し、長期細胞培養のための持続可能な動的なインビボ様の状態および、毒性評価(慢性毒性を含む)および薬物間相互作用の研究(長期にわたる)のためのインビトロにおける細胞特異的機能性を提供し、酸素および栄養素の供給制御、酸素勾配およびせん断応力の制御などの動的細胞培養状態を提供し、さらには、生理学的条件を模倣するために酸素濃度および栄養素の制御を可能にしうる。多数のフロー・チャネルは、効率的かつ効果的な栄養素の輸送、老廃物の除去、および酸素の供給を提供する。トラフおよび灌流チャネルは、細胞チャンバにわたって勾配を生じさせ、インビボにおいて多方向フローをシミュレートするために、独立して、効果的に用いることができる。極性の復元を促進し、三次元に毛細胆管構造を伸ばす、灌流型が実現されうる。本明細書に記載のデバイスおよび方法のさまざまな実施の形態のこれらおよび他の利点は、本明細書に提示される開示を読む際に、当業者に容易に明らかとなるであろう。
本明細書に提示される概略的な図面は、必ずしも縮尺が正確ではない。図で用いられる類似した番号は、類似した構成要素、ステップなどを指す。しかしながら、図に示される構成要素を参照するための数字は、同一の番号で標識された別の図の構成要素を限定することは意図されていないことが理解されよう。さらには、構成要素を参照するために異なる数字を使用することは、異なる番号が付された構成要素同士が同一ではありえないことを示唆することは意図されていない。
以下の詳細な説明では、明細書の一部を形成し、例として、幾つかの特定のデバイスの実施の形態、システムおよび方法を示す、添付の図面について述べる。他の実施の形態も意図されており、それらは本開示の範囲および精神から逸脱することなくなされうることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるべきではない。
本明細書で用いられるすべての科学用語および技術用語は、他に特記されない限り、当技術分野で一般に用いられる意味を有する。本明細書に提供される定義は、本明細書で頻繁に用いられるある特定の用語の理解を促すためのものであって、本開示の範囲を限定することを意味しない。
本明細書および添付の特許請求の範囲では、用語「または」は、別段の明確な指示がない限り、一般に、「および/または」を含む意味で用いられる。
本明細書では、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、「備える」、「備えている」などは、オープン・エンドの意味で用いられ、一般に、「含むが、それらに限定されない」ことを意味する。
例えば「上部」、「底部」、「左」、「右」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、および他の方向および位置づけなど、本明細書で言及される方向は、図面に関する明確性のために本明細書で説明されており、実際のデバイスまたはシステムまたは該デバイスまたはシステムの使用を限定するものではない。本明細書に記載のデバイスまたはシステムは、多くの方向および位置づけに使用されうる。
本明細書では、「構造化表面」とは、所定の地形を有する表面を意味する。構造化表面は、主表面および、所定の地形を定義する、該主表面から伸びる突起を備える。突起は、主表面と実質的に同一の方向に向いた表面を有し、これらの突起表面は、主表面の露出部分(突起が存在していない部分)と一緒に、「構造化表面」を構成する。
本明細書では、構造化表面に関連する「トラフ」とは、主表面から伸びる少なくとも2つの突起間の構造化表面の主表面に沿って形成されたくぼみまたはチャネルを意味する。多くの実施の形態では、「トラフ」は、構造化表面の主表面の長さに沿って延在する連続した通路である。トラフは、主表面に沿って通り、少なくとも一部分は、主表面から伸びる突起によって画成される。
本明細書では、表面に関する細胞に関連して「浮遊(suspend)」とは、その表面上で細胞を支えることを意味する。
本明細書では、細胞を培養するためのマイクロ流体デバイスに関連して「灌流チャネル」とは、細胞培養培地が流れるチャネルを意味し、このチャネルは、細胞培養培地がデバイスで培養された細胞を灌流できるように構成される。典型的には、灌流チャネルは細胞培養培地の層流(すなわち、非乱流)を提供するように構成され、細胞を灌流するために細胞培養培地が通る開口部を形成する。
本開示は、とりわけ、多数の灌流チャネルを介して動的細胞培養状態ならびに、構造化された支持体上における細胞または構造化された支持体によってカプセル化された細胞の実質的浮遊を提供する、マイクロ流体デバイスについて説明する。デバイスは、構造物、灌流およびインビボにおける組織の流れを模倣し、培養細胞がインビボ様の形態および機能性を獲得できるようにする。本明細書の以下に記載するこれらデバイスは、細胞間シグナル伝達、三次元における極性の復元、および生物学的または合成マトリクスまたは凝固剤を加えずに長期の細胞培養の間のインビトロにおける細胞特異的機能性を促進する、3Dのインビボ様の細胞構造を促進および維持することが示された。
さまざまな実施の形態では、これらのデバイスは、独立したフローのため、ならびに、すぐに使える(組立てる必要のない)デバイスに細胞を播種または注入するための、多数の入口および出口を有する。デバイスは、灌流の制御を可能にし、例えば、組織の微小循環に似た培地の流れおよびせん断応力、酸素および増殖培地の供給、および、老廃物成分、異化生成物および代謝産物の除去など、最適化された、生理的に適切な細胞培養条件を提供する。デバイスは、多数の灌流チャネルも有していて差し支えなく、ここで、細胞チャンバのいずれかの側面に2本の平行なフロー・チャネルが存在し、独立したフロー、および、細胞チャンバの底部における、構造化された支持体(柱またはチャネルの基礎構造)上での細胞の実質的浮遊を支持する下側のフロー・チャネルが存在する。これらのデバイスは、標的細胞における薬剤候補、薬物間相互作用、新しい薬剤候補ならびにそれらの代謝産物の代謝および毒性、および薬剤候補およびそれらの代謝産物の輸送の試験に使用して差し支えない。デバイスは、毒性スクリーニングなどのスクリーニング・アッセイを行うためのスループット用の形式で配置され、包装されてもよい。さまざまな実施の形態では、デバイスは、O2、CO2、流速、pHおよび温度などの環境状態をモニタするためのバイオセンサを取り付けるように配置される(またはバイオセンサが取り付けられている)。
図1を参照すると、マイクロ流体細胞培養装置100の実施の形態の概略的な斜視図が示されている。図示される装置100は、内部の細胞保持チャンバ(図1には示さず)と連通する入口330および出口335を有する。図示される装置は、第1の内部灌流チャネル(図1には示さず)と流体連通する入口310および出口315、および第2の内部灌流チャネル(図1には示さず)と流体連通する入口312および出口317も有する。本明細書に記載の細胞培養装置100は、多数の入口310、312および出口315、317および多数の灌流チャネルを備えうることが理解されよう。流体フローの方向に応じて、図示する入口310、312は出口であってもよく、図示する出口315、317は、入口であって差し支えないこともまた理解されよう。1つの入口または1つの出口は2つ以上の灌流チャネルと流体連通する。
図2A〜Cを参照すると、図1に示す線a−aとb−bの間の線c−cに沿って切った、図1の装置100のさまざまな実施の形態の概略的な断面図が示されている。装置100の細胞保持チャンバは、細胞が培養される構造化表面140を備えている。構造表面140は、細胞保持チャンバに面した主表面149(示される図面の底部表面)を備える。複数の突起144は、主表面149から細胞保持チャンバ内に伸びる。図示される実施の形態に例証されるように、突起144は、適切な方式で配置され、任意の適切な形状または構成をしていて差し支えない。図2A〜2Bに示す実施の形態では、突起144は柱の形態をしている。柱は、図2A〜Bには長方形の断面形状を有するように示されているが、柱は、例えば円形、楕円形、六角形、三角形、V字形、または不規則な形状など、適切な断面形状であればどんな形状でもよいことが理解されよう。図2Cに示す実施の形態では、突起144は構造化表面140の長さに沿って延在する尾根または隆起を形成する。図2Cに示される尾根は線形であるが、尾根は正弦曲線、蛇紋状、不規則な形状などを含めた任意の適切な形状でありうることが理解されよう。
図3A〜Cを参照すると、表面140上で培養された細胞200が存在しない場合(3A)および存在する場合(3B)の細胞保持チャンバの構造化表面140の概略図が示されている。構造化表面140は、表面上で培養された細胞200の拡散を制限するように構成される。これは、細胞200が装置の細胞保持チャンバで培養される場合に細胞と接触する構造化表面140の表面積を模倣することによって達成することができる。一般に、突起144は、チャンバ内で培養される細胞の直径寸法未満である、例えば幅や直径などの直径寸法dを有する。例えば、突起144の細胞接触表面146(一般に主表面149と接触している表面とは反対側にある、または主表面149から伸びている、図示される実施の形態における上部表面)の直径寸法dは、装置内で培養される細胞200の直径寸法の約半分でありうる。さまざまな実施の形態では、突起144の細胞接触表面146の直径寸法dは、約5マイクロメートル〜約15マイクロメートル、または約5マイクロメートル〜10マイクロメートルである。突起144が柱である場合(図2Cに示す細長い尾根とは対照的に)、細胞接触表面146の表面積は、平らな非構造化表面と接触したであろう細胞の表面積よりも小さくなるであろう。例えば、細胞接触表面146の表面積は、平らな非構造化表面と接触したであろう細胞の表面積の2分の1、4分の1、または4分の1未満でありうる。さまざまな実施の形態では、細胞接触表面146の表面積は、約25平方マイクロメートル〜225平方マイクロメートルである。
さらには、突起144は、隣接する突起144間の距離Dが、細胞が構造化表面の主表面149と接触するのを防ぐのに十分に小さくなるように、間隔をあける。こうして、突起144は主表面149上に細胞200を浮遊させ、細胞200が接触する構造化表面140の表面積は、突起144の細胞接触表面に限定される。隣接する突起144間の距離Dは、適切な距離であればどのような距離でもよく、例えば、装置で培養される平均細胞200の直径寸法未満、または装置で培養される平均細胞200の直径寸法の2分の1未満などである。さまざまな実施の形態では、隣接する突起144間の距離Dは、約5マイクロメートル〜約15マイクロメートル、または約5マイクロメートル〜10マイクロメートルである。
突起144は、構造化表面140の主表面149から、細胞200が主表面149上に効果的に浮遊するような任意の適切な距離だけ伸びていて構わない。例えば、突起は約5マイクロメートルを超える高さhを有していてもよい。さまざまな実施の形態では、突起144は、約5マイクロメートル〜約25マイクロメートルの高さhを有する。
構造化表面140の突起144は、規則的な、または不規則なパターンで配置されうる。製造の目的では、突起144は、規則的なパターンまたはアレイで配置される。アレイにおける突起は、同一または異なる形状、寸法、または構成でありうる。
図4〜8を参照すると、マイクロ流体デバイス100の実施の形態のさまざまな図が示されている。図4は、マイクロ流体デバイス100の1つの実施の形態の概略的な断面の斜視図であり;図5は、マイクロ流体デバイス100の実施の形態の一部の上から見た概略図であり;図6は、線6−6で切った図5に示すデバイスの概略的断面図であり;図7は、線7−7で切った図5に示すデバイスの概略的断面図であり;図8は、デバイス100で培養した細胞200を示す、図6に示すデバイスの概略図である。
図4〜8に示す実施の形態では、デバイス100は、培養するために細胞200を入れる細胞保持チャンバ130を備える。チャンバ130は、所望の数の細胞200を培養できる適切な大きさでありうる。さまざまな実施の形態では、チャンバ130は、チャンバの幅にわたり、2〜6個の細胞、およびチャンバの高さにわたり、2〜3個の細胞の培養ができるように寸法化および構成される。細胞2〜6個の幅および細胞2〜3個の高さを有することにより、灌流チャネル120、122から栄養素または他の物質をチャンバ内で培養した細胞へと容易に拡散可能にする。当然ながら、細胞の大きさは、細胞型および培養条件に応じて変化しうることが理解されよう。したがって、チャンバ130の適切な大きさは、所望の数の細胞の幅および高さ寸法を提供するように変化させて差し支えない。同一条件下における所望の細胞型の細胞の大きさは、細胞によって変化しうる。一般に、本明細書に細胞の大きさに基づいた寸法が記載される場合、その寸法は培養細胞の平均的大きさに基づいている。
さまざまな実施の形態では、チャンバ130は、例えば約105マイクロメートルなど、約80〜120マイクロメートルの幅(約20〜25マイクロメートルの典型的な細胞の直径の約4〜5倍)を有する。チャンバ130は、任意の適切な高さであって差し支えなく、例えば約30マイクロメートル〜80マイクロメートル、35〜50マイクロメートル、または約45マイクロメートル。チャンバ130は、任意の適切な長さであって差し支えなく、例えば、約100マイクロメートル〜約30,000マイクロメートル、約150マイクロメートル〜約20,000マイクロメートル、または約200マイクロメートル〜約15,000マイクロメートルである。多くの場合、短い長さを有するチャンバ130は、長さの長いチャンバと比較して、細胞が効率的に充填される傾向にある(必要に応じて)。
チャンバ130は、細胞接触表面146間に1つ以上のトラフ142を形成する構造化表面140を有する。トラフ142は、流体の保持または、チャンバ130内で培養された細胞200に隣接したフロー用のチャネルを提供するように構成される。したがって、トラフ142は、チャンバ130内で培養される細胞200がトラフ142を通じた流体のフローを遮断しないような幅を有する。すなわち、トラフ142の幅は、チャンバ130内で培養される細胞200の幅未満である。例えば、トラフ142の幅は、培養される細胞200の幅の2分の1でありうる。当然、トラフ142の幅は、装置100内で培養される細胞200の大きさに応じて変化しうることが理解されよう。さまざまな実施の形態では、トラフは、約15マイクロメートル未満、約5マイクロメートル〜約15マイクロメートルまたは約5マイクロメートル〜約10マイクロメートルの幅を有する。一部の実施の形態では、トラフ142は、一般に、構造化表面140の長さに沿って均一な幅を有する。一般に、トラフ142は構造化表面140の主表面(例えば、図2A〜Cの参照番号149参照)および突起144の側面によって形成される。したがって、トラフ142は、突起144の形状および構成に応じて、構造化表面140の主表面に沿った経路を取りうる。トラフ142は、構造化表面140の長さにわたり延在する。
トラフ142は、細胞200に物質を送達することができる、または細胞チャンバ130から物質を除去することができる流体組成物を輸送または保持するために利用されうる。例として、培養細胞200に栄養素を送達するため、または細胞から老廃物を除去するために、例えば細胞培養培地などの栄養素を含む組成物をトラフ142に設置してもよい。薬物などの試験すべき化学物質は、トラフ142を介して細胞200に送達されうる。細胞の極性化を誘発する化学物質、インビボの生理環境を模倣する物質または組成物などをトラフ142内に導入してもよい。さまざまな実施の形態では、チャンバ130内での細胞200の培養は、トラフ142を、灌流チャネル120、122から少なくとも部分的に流動的に分離する。例えば、デバイス100で培養した細胞200は、トラフ142と灌流チャネル120、122間の流体のバルク・ムーブメントを抑制または低減することができる細胞間相互作用を有する組織様の形態を形成するように相互作用しうる。
図4〜8をさらに参照すると、図示されるデバイス100は、流体が流れるであろう、第1の灌流チャネル120および第2の灌流チャネル122を備える。さまざまな実施の形態では(図示せず)、デバイスは1つまたは3つ以上の灌流チャネルを備える。チャネルは、チャンバ130と灌流チャネル120、122との間に流体連通をもたらす開口部150を形成する保持柱160を備え、開口部150を介して灌流チャネル120、122と細胞チャンバ130との間の物質の拡散を可能にする。開口部150は、チャンバ130内の細胞が灌流チャネル120、122に入るのを妨げるような寸法を有する。例えば、開口部150は、約20マイクロメートル未満、約15マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、または約5マイクロメートルの高さ、幅または直径寸法を有しうる。図4〜8では長方形の断面形状を有するように示されているが、保持柱160は任意の適切な形状または構成でありうることが理解されよう。さまざまな実施の形態では、保持柱160は、楕円形、円形、三角形、W字形、または不規則な断面形状などを有する。
灌流チャネル120、122は任意の適切な寸法でありうる。さまざまな実施の形態では、灌流チャネル120、122の高さは、細胞保持チャンバ130の高さと同一であり、一部の実施の形態では 灌流チャネル120、122の高さは細胞保持チャンバ130の高さとは異なる。実施の形態では、第1および第2の灌流チャネル120、122は、細胞培養培地などの流体を運搬するように構成される。実施の形態では、第1および第2の灌流チャネル120、122は、細胞が細胞保持チャンバ130から灌流チャネル120、122に入るのを妨げるように構成される。一部の実施の形態では、灌流チャネルの高さは、約30マイクロメートル〜約80マイクロメートル、約35〜約50マイクロメートル、または約45マイクロメートルである。細胞がチャネルに偶然入りこんだ場合に、その細胞が、流れを遮断することなくチャネルを通過するように、灌流チャネルの幅は、デバイスで培養された細胞の直径寸法の約1.5倍以上であることが望ましいであろう。一部の実施の形態では、灌流チャネルの幅は、約30マイクロメートル〜約1000マイクロメートル、約30マイクロメートル〜約100マイクロメートル、または約30マイクロメートル〜約45マイクロメートルである。典型的には、灌流チャンバ120、122は、チャンバの長さに沿って、細胞保持チャンバ130の側面に沿って走っている。
図9A〜Bを参照すると、マイクロ流体デバイス100の実施の形態の一部の上から見た概略図が示されている。デバイス100は、図5に示すデバイスに似ており、同様の部品または要素には同様の参照番号が付されている。図9A〜Bに示される突起144の一部は 、図5に示す細長い突起ではなく正方形の柱である(言うまでもなく、図9A〜Bの突起のいくつかは細長い突起である)。図9A〜Bに示される突起144は、構造化表面140の長さにわたって走るトラフ142の少なくとも一部を形成する。図9Bにおける線で示されるように、トラフ142は、いずれかの適切な形状であって差し支えなく、また、構造化表面140の長さに沿ったいずれかの適切な通路をとると考えられうる。突起144の少なくとも一部が、トラフ142が2つ以上の道筋をとることを可能にする場合、トラフ142はいずれかの適切な道筋をとると考えられうる。
トラフおよび突起の構造のいかんにかかわらず、構造化表面は、さまざまな実施の形態では、細胞の拡散を制限するように構成され、これが三次元の組織様の形態および細胞間相互作用を促進しうる。構造化表面の構成、ならびに、突起の形状および構成、およびトラフの道筋および構成は、所望の効果(例えば、3Dの組織様の形態)が達成できるように、培養される細胞に応じて変化させて差し支えない。一般に、突起144は、チャンバ内で培養した細胞の実質的なを促進することが望ましい。突起144とトラフ142は一緒に、細胞の実質的浮遊を促進し、ここで、細胞は突起の上部に基礎をおき、トラフ内の流体は細胞の浮遊を補助する。このような実質的浮遊を創出することにより、細胞集合の制御または組織様の構造物内への細胞の再配列が推進されると考えられる。
図10に示すように、細胞保持チャンバの上部および底部表面は、構造化表面140、140’であってもよい。チャンバ130の上部および底部の両方に構造化表面140、140’を提供することによって、デバイス100とデバイスで培養された細胞との相互作用がさらに模倣されうる(1つの表面のみの場合と比較して)。加えて、チャンバ130の側面は、保持柱160および灌流チャネル120、122の開口部によって効果的に形成され、これも同様に、効果的な構造表面である。チャンバ130が培養細胞で満たされる場合、上部の構造化表面140’は、細胞とともに、流体が流れるチャネルを形成しうる。すなわち、培養細胞は、突起間の封止を形成し、細胞培養培地などの流体が流れうる、封止されたチャネルを形成しうる。実施の形態では、これらの細胞によって形成された封止チャネルは、培養細胞の一方の側への流体の送達を可能にし、培養細胞の別の側に送達された流体から分離し、それによって、一方の側に対し、別の側における異なる流体に曝露されるときに、細胞培養における極性を確立可能にする。
図11〜12を参照すると、デバイス100の実施の形態の上から見た概略図が示されている。入口310、312、320、330および出口315、317、325、335が示されている。入口および出口はデバイス100の外部からアクセスすることができる。本明細書に記載のマイクロ流体デバイスは、任意の適切な数の入口および出口を備えうる。流体フローの方向に応じて、入口は出口としての役割をして差し支えなく、また、出口は入口としての役割をしてもよいことが理解されよう。図11に示される実施の形態では、デバイス100は、灌流チャネルの入口310、トラフの入口320、細胞チャンバの入口330、灌流チャネルの出口315、トラフの出口325、および細胞チャンバの出口335を有する。図11における破線の四角で囲んだ領域は、例えば、図5に示すデバイスの領域の概略的な描写である。灌流チャネルの入り口310および出口315は灌流チャネル120、122と流体連通しており(例えば、図5に示すように)、流体が入口310に入り、灌流チャネル120、122を通って流れ、出口315を出ることができるようにする。図12に示される実施の形態では、入口310および出口315は1つの灌流チャネル120と流体連通しており(例えば、図5に示すように);入口312および出口317はもう1つの灌流チャネル122と流体連通している(例えば、図5に示すように)。よって、灌流チャネル内のフローの容量、速度、および方向の独立制御が達成されうる。
図11〜12に示される実施の形態では、トラフの入口320およびトラフの出口325は1つ以上のトラフ142と流体連通する(例えば、図5に示すように)。言うまでもなく、1つ以上の入口および出口は、所定の1つまたは複数のトラフにおける流体のフローの容量、速度、および方向を独立して制御することが望ましい場合に、用いられうる。図示される実施の形態では、細胞チャンバの入口330および出口335は細胞チャンバと流体連通する。したがって、提供される入口および出口の数に応じて、フローの組成、速度または方向は、灌流チャネルとトラフとの間で所望されるように変動しうる。
例として、図13A〜Cを参照すると、代表的なマイクロ流体デバイスを通過するフローの例が示されている。フローの方向は、灌流チャネル120、122およびトラフ142、142’に矢印で示されている。フローの流速は、矢印の長さで示されている。同一または異なる流体組成物が灌流チャネル120、122とトラフ142、142’に導入されてもよい。一部の実施の形態では、チャネルまたはトラフにおけるフローの方向を変化させて差し支えなく、フローの流速を変化させてもよく、あるいは任意の所望の時点でチャネルまたはトラフを流れる流体の組成を変化させて構わない。
ポンプ、シリンジ、または他の適切な注射用または輸液用デバイスを使用して、細胞チャンバ、トラフまたは灌流チャネルと連通する入口に流体を導入してもよい。本明細書に記載のマイクロ流体デバイスは、利用可能なロボット流体処理システムとともに使用するのに容易に適合させることができる。
本明細書に記載のマイクロ流体デバイスでは、インビボの組織状態を厳密に模倣する適切なデバイスを達成するのに所望されるように、構造化表面および灌流チャネルの構成、ならびに、フローの組成、速度または方向を変化させることができる。
多くの実施の形態では、灌流チャネルまたはトラフを通過するフローは、層流になるように構成され、これは、本明細書では、チャネルまたはトラフの任意の所定の地点におけるフローの方向が一般に同方向にあることを意味する。あるいは、本開示の目的では、層流は、非乱流とみなすことができる。デバイスのマイクロ流体の特質およびデバイスに用いられる圧力駆動流に起因して、灌流チャネルならびにトラフに沿って灌流の圧力損失が生じうる。チャンバの長さが増大するにつれて、流れ抵抗も増大し、トラフおよび灌流チャネルにおける独立したフローを遮る。よって、チャンバの寸法は、所望のフロー特性に応じて変動して構わない。例えば、場合によっては、一般に、灌流チャネルの方向と反対方向のトラフのフローは、500マイクロメートルのチャンバ長にわたって達成可能でありうるが、1500マイクロメートルのチャンバ長にわたって達成可能ではないであろう。
図14A〜Eを参照すると、マイクロ流体装置の1つの実施の形態が示されている。上のパネル(図14A)には、概略的な概観が示されており;中央のパネル(図14B〜C)には典型的な拡大画像が示されており;下のパネル(図14D〜E)には、さらに高倍率の画像が示されている。図示される実施の形態では、第1の灌流チャネル120および第2の灌流チャネル122は、細胞培養チャンバ130を越えて入口310、312および出口315、317へと延在する。構造化表面140も細胞チャンバ130を越えて入口320および出口325へと延在する。入口330はチャンバ130と流体連通し、細胞をチャンバ130内に導入するためのアクセスを提供する。図示される実施の形態では、保持柱131はチャンバの一方の端に配置され、チャンバ130内に導入された細胞が保持柱131を通過して、チャンバ130と流体連通する出口335の方へ移動するのを妨げる。当然、流体フローの方向に応じて、入口は出口であって差し支えなく、出口は入口であってもよいことが理解されよう。
図15を参照すると、マイクロ流体細胞培養装置の一部の別の実施の形態が示されている。図示される実施の形態では、線形のトラフ142は構造化表面を越えて延在し、入口と流体連通する(図14に示すように、構造化表面全体とは対照的に)。これらの実施の形態では、構造化表面の全幅というよりは構造化表面を貫通するトラフが、入口に動作可能に連結している場合、構造化表面上で培養された細胞が緊密な封止を形成でき、灌流チャネルからトラフを流動的に分離するという可能性は増大する。なぜなら、細胞が緊密な封止を形成して分離を達成することが必要な領域が低減するからである(構造化表面の全幅にわたってではなく、トラフにわたって)。さらには、これらの実施の形態におけるトラフを通じて導入される物質の勾配は、細胞培養チャンバの底部から上部までだけでなく、細胞培養チャンバの中心から側面に至るまで達成されうる。
マイクロ流体デバイスは、任意の適切な1種類またはそれ以上の材料から作られて差し支えなく、また、いずれかの適切な技法を介して形成されて差し支えない。例えば、マイクロ流体デバイスまたはその一部は、シリコンマスタなどのマスタを介して形成されうる。マスタは、近接UVフォトリソグラフィーを利用してシリコンから製作されて差し支えない。例えば、スピンコーターを利用して、紫外線光に感受性の有機ポリマーであるフォトレジストの薄層がシリコン・ウエハ上にスピニングされてもよい。フォトレジストの厚さはスピンコーティングの速度および持続期間によって決定される。ウエハをソフトベークして溶媒をある程度除去した後、フォトレジストはフォトマスクを通じて紫外線光に曝露されうる。マスクの機能は、光がある特定の領域を通過することができるようにし、かつ、他の領域の通過を妨げ、それによって、フォトマスクのパターンを下層のレジスト上に転写する。その後、可溶性のフォトレジストは現像液を使用して洗い流され、架橋レジストの保護パターンがシリコン上に残る。この段階では、レジストは、典型的には、スタンプを型作るための地形テンプレートとして使用されるウエハ上に保持される。あるいは、保護されていないシリコン領域をエッチングすることができ、フォトレジストがストリップされて、さらに安定なテンプレートにを生みだすパターン化したシリコンを有するウエハを後に残す。構造化された基板上の特徴の下限は、テンプレートの作出に使用する製造プロセスの解像度によって決定される。この解像度は、マスクの不透明な領域のエッジにおける光の回折およびフォトレジストの厚さによって決定される。より微小な特徴は、極めて短い波長のUV光(〜200nm)を用いて達成することができる。極微細パターン(例えば約100ナノメートルのエッチング深さ)には、PMMA(ポリメチルメタクリレート)上に電子ビームリソグラフィーが用いられうる。テンプレートはマイクロマシニングによっても製造することができ、あるいは、例えば回折格子を用いて製造してもよい。
マスタの簡便な取り外しを可能にするため、例えば、OTS(オクタデシルトリクロロシラン)またはフッ化シランを用いて、シラン処理を利用して液相に非接着処理を行ってもよい。現像後、ウエハはその後の突起アレイの除去に役立つフッ化シランで薬物刺激された蒸気でありうる。使用されうるフッ化シランの例としては、限定はしないが、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリメトキシシラン、および(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシランが挙げられる。
例として、図16を参照すると、デバイスまたはその一部を形成するための方法の概要が示されている。図16に示すように、フォトレジスト410がシリコン・ウエハ400(A)上にコーティングされている。次に、クロムマスクなどのフォトマスク420が、フォトレジスト(B)上に置かれ、得られた組立体はUV照射に供される。フォトレジスト410のUVに曝露された領域は洗い流され(C)、得られた構造はエッチングされて(D)シリコンマスタ400’が生じる。このシリコンマスタは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリマー430を用いて成形された複製物である。
一部の実施の形態では、熱エンボス加工または射出成形が用いられ、ポリマーが形成されうる。しかしながら、シリコンマスタは、このようなプロセス条件下では良好に持続されない可能性がある。このような場合、逆シリコンマスタを作って、ニッケルなどの金属を逆マスタ上に堆積し、これらのプロセスに使用するための金属マスタを作出してもよい。
任意の適切な1種類またはそれ以上の材料を使用して、マイクロ流体デバイスまたはそれらの構成要素を形成してもよい。例えば、デバイスまたはそれらの構成要素は、ガラス、シリカ、シリコン、金属などを含めた無機材料、または、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル−無水マレイン酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマーなどの樹枝状ポリマー、およびノルボルネンとエチレンのコポリマーを含めたコポリマー、フッ化炭素ポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンイミン;ポリ(酢酸ビニル−co−無水マレイン酸)、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)、多糖体、タンパク多糖体、ポリ(エチレン−co−アクリル酸)またはそれらの誘導体などのコポリマーを含めたプラスチックまたはポリマーから製造されて差し支えない。デバイスまたはそれらの構成要素または部品を形成するための材料は、所望の機械的性質特性、細胞相互作用、または細胞の独特の型について細胞培養を最適化するための他の特性に基づいて選択されて構わない。
さまざまな実施の形態では、デバイスは2つの部品から形成される。例えば、図17A〜Bを参照すると、デバイス100は上部510および下部520から形成されうる。図17Aに示すデバイス100では、上部510および下部520の部品は、接合する前に注意深く位置合わせされる。図17Bに示すデバイス100では、上部510は、下部520に密封接合されうるプレート、蓋、カバーなどである。上部510は、入口および出口を備えうる。上部510または下部520の形成に用いられる材料に応じて、部品は自己封止式であってもよい。あるいは、部品は接着、溶接等によって密封係合されてもよい。
細胞保持チャンバ130(例えば、図17A参照)またはその一部は、処理またはコーティングされた表面に望ましい特性または特徴を付与するために処理またはコーティングされうる。細胞培養の目的でしばしば用いられる表面処理の例としては、コロナ処理またはプラズマ処理が挙げられる。さまざまな実施の形態では、突起または基板表面は、ガラクトマンナン、アルギン酸塩などの多糖でコーティングされるか、または、天然の細胞外マトリクス(ECM)タンパク質または合成の細胞外マトリクス(ECM)材料などの細胞外マトリクス(ECM)材料でコーティングされる。選択されるEMCのタイプは、所望の結果および、培養細胞所望の表現型などの培養する細胞型に応じて変化しうる。天然のECMタンパク質の例としては、フィブロネクチン、コラーゲン、プロテオグリカン、およびグリコサミノグリカンが挙げられる。合成ECMSの製造のための合成材料の例としては、天然のα−ヒドロキシ酸、ポリ(DL−乳酸)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸)(PLLA)およびポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)のコポリマーが挙げられる。これらの熱可塑性ポリマーは、鋳型成形、押出成形および溶媒キャスティングを含めたさまざまな技法によって所望の形状に容易に成形されうる。アミノ酸系のポリマーも、突起または基板のコーティングのためのECMの製造に使用されうる。例えば、コラーゲン様、絹様およびエラスチン様のタンパク質がECMに含まれていてもよい。さまざまな実施の形態では、ECMはアルギン酸塩を含み、これは、Ca2+などの2価イオンの存在下でゲルを形成するマンヌロン酸とグルロン酸のコポリマーの仲間である。いずれかの適切な加工技術を用いて、合成ポリマーからECMを製造してもよい。例えば、生分解性のポリマーが繊維、多孔性のスポンジまたは管状構造へと加工されうる。
1種類以上のECM材料を使用して突起または基板をコーティングしてもよい。例えば、実施の形態では、RGD含有ポリペプチドを含めた、インテグリン受容体を結合することができるポリペプチドなどの細胞接着因子または成長因子をECM材料に取り込んで、材料表面における吸着または共有結合、または材料のバルク全体にわたる共有結合を含めた手段を用いて細胞の接着または特異的機能を刺激することができる。細胞保持チャンバで培養される1つまたは複数の細胞の型は、細胞チャンバの突起または他の部分に施用される処理またはコーティングが存在する場合には、それらを決定する役割を担いうることが理解されよう。多くの実施の形態では、細胞培養チャンバ130またはその一部に、コーティングは施用されない。
上述の構造化表面を有するマイクロ流体細胞培養物品は、さまざまな細胞の培養に用いられ、重要な三次元構造を提供して培養細胞に望ましい特性を付与しうる。どのような細胞型または細胞型の組合せ(例えば、肝細胞、幹細胞、腎細胞、心臓細胞、神経細胞またはグリア細胞など)でも、これらのマイクロ流体細胞培養物品で培養して差し支えない。
ここで図18〜19を参照すると、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスを使用して用いられる方法の一般的な概観が示されている。図18に示す方法では、細胞は、例えば細胞チャンバの入口を介してチャンバ内に細胞を注入することによって、細胞保持チャンバ(600)内に導入される。多くの実施の形態では、チャンバを細胞で満たすために、十分な数の細胞がチャンバ内に導入される。チャンバを満たす細胞の数は、使用する1つまたは複数の細胞の型に応じて変動しうるが、0.06mm3の体積を有するチャンバの充填には約5000〜約15000個の肝細胞で十分である。一部の実施の形態では、チャンバを満たすであろう細胞数未満の細胞数がチャンバに導入される。細胞は、チャンバを満たすように増殖可能な方法で培養されて差し支えなく、あるいは、チャンバが満杯にならないような方法で培養されてもよい。加える細胞の数および、チャンバが満たされるか否かは、培養される細胞、研究する効果などに応じて決まりうる。細胞が細胞保持チャンバ(600)内に導入された後に、灌流チャネル(610)を介して細胞培養培地が注入される。十分な時間の後(例えば、細胞が緊密な接合を形成するまで、肝細胞では約3日間を要する)、トラフ(620)を通じて流体が注入されて、所望の効果を生じさせるか、または効果を研究してもよい。
図19を参照すると、細胞における小分子薬物または生物学的作用物質などのさまざまな物質の効果または物質における細胞の効果を決定するために、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスが用いられうる。図18に示される方法と同様に、細胞はデバイス(700)の細胞保持チャンバ内に導入され、灌流チャネル(710)を通じて細胞培養培地が注入される。十分な培養時間の経過後、物質を細胞(720)と接触させる。物質は、灌流チャネル、トラフ、または細胞保持チャンバを介して導入されて差し支えない。物質を細胞(730)とともに適切な時間インキュベートした後、物質における細胞の効果、細胞における物質の効果などが決定されうる。一部の実施の形態では、効果を決定するためのセンサー、マーカー、または適切なリーダーがデバイスに取り込まれる。さまざまな実施の形態では、流体または細胞がデバイスから回収され、流体は、物質における細胞の効果、細胞における物質の効果などを決定するために分析される。流体は灌流チャネル、トラフ、または細胞保持チャンバから回収されて構わない。
以下の実施例にさらに詳細に説明するように、極性およびインビボ様の機能を復元した培養肝細胞を生じるための構造化表面を備えたマイクロ流体細胞培養物品が本明細書に示されている。インビトロで培養された肝細胞は、薬物代謝および毒性研究の分野に普及している。しかしながら、従来の2次元の細胞培養基板上で培養された肝細胞は、その極性および、薬物代謝能力および輸送機能を急速に失ってしまう。薬物代謝および輸送機能を維持する能力を改善するために、肝細胞は、(i)MATRIGEL(商標)(BD Biosciences社製)上で動物由来のタンパク質マトリクスを培養し、(ii)コラーゲンなどのECMの2つの層で挟んだサンドイッチ培養系で培養する、しっかりと確立されたインビトロモデルで培養されている。しかしながら、このような系は、動物起源の「MATRIGEL」またはECM材料、複雑な分子組成、バッチ間変動および制御できないコーティングに起因して、ヒト肝細胞のファージ汚染の可能性を含めた顕著な欠点に悩まされる。本明細書に記載のマイクロ流体デバイスでの肝細胞の培養は、従前の系の1つ以上の欠点を克服しうる。
肝細胞であればいずれも本明細書に記載のマイクロ流体デバイスで培養して差し支えない。例えば、培養される肝細胞は、ヒトまたはヒト以外(例えばラット、ブタなど)の肝細胞でありうる。培養されうるヒト肝細胞の例としては、ヒトHepG2細胞、ヒトHepG2C3A細胞、不死化FaN4細胞、ヒト一次肝細胞など、またはそれらの組合せが挙げられる。肝細胞は、適切な密度で、マイクロ流体デバイスの細胞培養チャンバ内に播種されて差し支えない。チャンバを満たすためには、肝細胞は、チャンバ1マイクロリットルあたり約100,000細胞〜約200,000細胞の密度で播種されうる。播種密度は、培養条件および持続期間に基づいて最適化してもよい。例えば、長期間の培養では、播種密度は低くて構わない(例えば、チャンバ1マイクロリットルあたり30,000細胞〜50,000細胞)。
一部の実施の形態では、hepG2細胞などの増殖可能な細胞は、チャンバを満たす密度よりも低い密度で播種され、細胞はチャンバを満たすために増殖されうる。さまざまな実施の形態では、一次肝細胞などの非増殖細胞は、細胞チャンバを満たす密度で播種される。
細胞型のいかんによらず、任意の適切なインキュベート時間および条件が用いられうる。温度、CO2およびO2レベル、培養培地の含量などは、培養される細胞の性質に応じて決まり、容易に変更可能であることが理解されよう。細胞が細胞保持チャンバ内でインキュベートされる時間量は、研究する細胞応答または所望の細胞応答に応じて変動しうる。細胞を播種する前に、細胞は採取され、細胞が表面に播種されて培養される成長培地などの適切な培地に懸濁されて差し支えない。例えば、細胞は、血清含有培地、馴化培地、または化学的に定義された培地に懸濁され、培養されうる。American Tissue Cell Cultureまたは他の供給業者によって推奨される、各細胞型にとって最適な培地を、改良して、または改良せずに使用することができる。
本明細書には示していないが、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスは、マルチデバイスチップ・フォーマットへのスループット用に容易に多重化されうることが理解されよう。例として、このようなマルチデバイスチップ・フォーマットは、従来の96ウェルプレートのフットプリントを有していてもよい。
態様(1)では、第1の構造化表面を有する細胞保持チャンバであって、前記構造化表面が主表面を有し、該主表面から複数の突起が前記チャンバ内へと伸び、前記複数の突起が、チャンバ内で培養された細胞が前記主表面上に浮遊するように構成された、細胞保持チャンバと、第1の灌流チャネルであって、(i)細胞培養培地を運ぶように構成され、かつ(ii)前記細胞保持チャンバと連通する複数の開口部を形成し、前記開口部が、保持チャンバに由来する細胞が灌流チャネルに入るのを妨げるように構成された、第1の灌流チャネルと、を備えた細胞培養装置が提供される。態様(2)では、前記複数の突起のそれぞれが1つ以上の細胞と接触するように構成された胞接触表面を有し、前記細胞接触表面が、15マイクロメートル未満の直径寸法を有する、態様1に従った細胞培養装置が提供される。態様(3)では、各突起の細胞接触表面が5マイクロメートル〜10マイクロメートルの直径寸法を有する、態様2に従った細胞培養装置が提供される。態様(4)では、各突起が主表面から5マイクロメートル〜25マイクロメートルの高さまで伸びる、態様1〜3のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。態様(5)では、隣接する突起間の距離が15マイクロメートル未満である、態様1〜4のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。態様(6)では、隣接する突起間の距離が5マイクロメートル〜10マイクロメートルである、態様1〜4のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。態様(7)では、前記複数の突起間にトラフが形成され、前記トラフが前記構造化表面の長さにわたり延在する、態様1〜6のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。態様(8)では、前記装置が前記トラフと流体連通する入口をさらに備える、態様7に従った細胞培養装置が提供される。態様(9)では、前記装置が前記トラフと流体連通する出口をさらに備え、前記出口が前記入口と同一または異なっている、態様8に従った細胞培養装置が提供される。態様(10)では、前記細胞保持チャンバと連通する複数の開口部を形成する第2の灌流チャネルをさらに備え、前記開口部が前記培養チャンバに由来する細胞が前記第2の灌流チャネルに入るのを妨げるように構成された寸法を有する、態様1〜9のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。態様(11)では、前記第1および第2の灌流チャネルが、一般に、前記細胞保持チャンバとは反対側に存在する、態様10に従った細胞培養装置が提供される。態様(12)では、前記細胞保持チャンバが80マイクロメートル〜110マイクロメートルの幅を有する、態様1〜11のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。態様(13)では、細胞保持チャンバが40マイクロメートル〜50マイクロメートルの高さを有する、態様1〜12のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。態様(14)では、前記第1の灌流チャネルが、30マイクロメートル〜50マイクロメートルの高さを有し、30マイクロメートル〜50マイクロメートルの幅を有する、態様1〜13のいずれか1つに従った細胞培養装置が提供される。
別の態様(15)では、態様1〜14のいずれか1つに従った装置で細胞を培養する方法であって、細胞を保持チャンバ内に導入し、第1の灌流チャネルを通じて細胞培養培地を注入する、各工程を有してなる方法が提供される。態様(16)では、態様8〜14のいずれか1つに従った装置で細胞を培養する方法であって、細胞を保持チャンバ内に導入し;第1の灌流チャネルを通じて細胞培養培地を注入し;チャンバ内の細胞が第1の灌流 チャンバからトラフを分離するのに十分な時間、前記細胞を培養する、各工程を有してなる、態様15に従った方法が提供される。態様(17)では、入口を通じてトラフ内に流体組成物を導入する工程をさらに有してなる、態様16に従った方法が提供される。態様(18)では、物質における細胞の効果を決定する方法であって、態様1〜14のいずれか1つに従った装置の保持チャンバ内に細胞を導入し;前記物質を前記細胞と接触させ;前記物質における細胞の効果を決定する、各工程を有してなる方法が提供される。態様(19)では、前記物質を前記細胞と接触させる工程が、前記第1の灌流チャンバを通じて前記物質を注入することを含む、態様18に従った方法が提供される。態様(20)では、前記物質における細胞の効果を決定する工程が、前記トラフから得た流体を分析することを含む、態様18または19に従った方法が提供される。態様(21)では、前記流体を分析する前に、前記流体を前記トラフから引き出す工程をさらに有してなる、態様20に従った方法が提供される。態様(22)では、細胞における物質の効果を決定する方法であって、態様1〜14のいずれか1つに従った装置の保持チャンバ内に細胞を導入し;前記細胞を前記物質と接触させ;前記細胞における物質の効果を決定する、各工程を有してなる方法が提供される。態様(23)では、前記細胞を前記物質と接触させる工程が、第1の灌流チャンバを通じて前記物質を注入することを含む、態様22に従った方法が提供される。態様(24)では、前記細胞における前記物質の効果を決定する工程が、前記トラフから得た流体を分析することを含む、態様22または23に従った方法が提供される。態様(25)では、前記流体を分析する前に、前記流体を前記トラフから引き出す工程をさらに有する、態様24に従った方法が提供される。態様(26)では、第1の構造化表面を有する細胞保持チャンバであって、前記構造化表面が主表面を有し、該主表面から複数の突起が前記チャンバ内へと伸び、前記複数の突起のそれぞれが前記主表面とは反対側に細胞接触表面を有し、前記細胞接触表面が15マイクロメートル未満の直径寸法を有し、前記突起のそれぞれが、前記主表面から5マイクロメートルを超える高さに至るまで延在し、隣接する突起間の距離が15マイクロメートル未満であり、前記構造化表面がトラフを備え、その少なくとも一部が前記隣接する突起間に形成され、前記トラフが前記構造化表面の長さにわたり延在する、細胞保持チャンバと;前記トラフと流体連通するトラフの入口と;前記細胞保持チャンバと流体連通するチャンバの入口と;第1の灌流チャネルであって、(i)細胞培養培地を運ぶように構成され、かつ(ii)前記細胞保持チャンバと連通する複数の開口部を形成する、第1の灌流チャネルであって、前記開口部が、 保持チャンバに由来する細胞が灌流チャネルに入るのを妨げるように構成された、第1の灌流チャネルと、を有してなる細胞培養装置が提供される。態様(27)では、細胞が前記チャンバ内で培養される際に、前記トラフが前記チャンバから少なくとも部分的に分離されるように構成された、態様26に従った細胞培養装置が提供される。
次に、上述の物品および方法のさまざまな実施の形態について説明する非限定的な実施例が提示される。
実施例1:デバイスの製造および組立て
4インチ(10.16cm)のシリコン・ウエハをP−20(Microprime Primer P−20、Shin−Etsu MicroSi社製(米国アリゾナ州フェニックス所在))で薬物刺激されし、1μmの厚さのShipley 1813フォトレジスト(Rohm and Haas社製(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア所在))をウエハ上で3000rpmで30秒間スピニングし(加速度1000rpm/s)、ホットプレート上、110℃で1分間、ソフトベークした。MA6(Karl Suss社製)マスクアライナーを使用してCADドローイングとして設計した所望の構造を有するクロムマスクを通じて、ウエハをUV光に曝露した。80℃で2分間焼成後、ウエハを最終的に現像し(60〜100秒、MF−319、Shipley社製)、水で十分にすすぎ、乾燥した。Plasma Therm 72 フッ素系反応性イオンエッチング装置を使用して、15μmの深さのトラフおよび45μmの深さの流体チャネルおよび細胞培養チャンバ様の鋳型にシリコンエッチングを施した。フォトレジストストリッピングおよび洗浄後、シリコンマスタをパッシベーション処理するため、トリクロロ(1H、1H、2H、2H)−ペルフルオロオクチル蒸気に2時間曝露した。whole 4”( 1:10の比の硬化剤:プレポリマー、Sylgard 184、Dow Corning社製(米国所在))上に前駆体混合物を注ぐことによってポリジメチルシロキサン(PDMS)の複製を生成した。それを、室温で少なくとも24時間硬化し、硬化したPMDSをシリコンの鋳型から剥離し、製造を完了した。高い寸法精度を維持する理由から、このプロセスでは室温効果が望ましい。通常の熱硬化(65℃以上)では、PDMS構造をマスタから剥離後、設計値と比べて相当なサイズ縮小を生じる。これは、上部チャンバと下部チャンバの配置に不整合を生じるため、アレイ構造にとって好ましくない。培地灌流チャンバ用および細胞培養チャンバ用の入口および出口ポートをsharp23Gスタイル2ニードルを用いて穿孔した。顕微鏡を用いて上部および下部のPDMS片を位置合わせし、すぐに接触させた。等角接触させて可逆的な結合を達成した。
4インチ(10.16cm)のシリコン・ウエハをP−20(Microprime Primer P−20、Shin−Etsu MicroSi社製(米国アリゾナ州フェニックス所在))で薬物刺激されし、1μmの厚さのShipley 1813フォトレジスト(Rohm and Haas社製(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア所在))をウエハ上で3000rpmで30秒間スピニングし(加速度1000rpm/s)、ホットプレート上、110℃で1分間、ソフトベークした。MA6(Karl Suss社製)マスクアライナーを使用してCADドローイングとして設計した所望の構造を有するクロムマスクを通じて、ウエハをUV光に曝露した。80℃で2分間焼成後、ウエハを最終的に現像し(60〜100秒、MF−319、Shipley社製)、水で十分にすすぎ、乾燥した。Plasma Therm 72 フッ素系反応性イオンエッチング装置を使用して、15μmの深さのトラフおよび45μmの深さの流体チャネルおよび細胞培養チャンバ様の鋳型にシリコンエッチングを施した。フォトレジストストリッピングおよび洗浄後、シリコンマスタをパッシベーション処理するため、トリクロロ(1H、1H、2H、2H)−ペルフルオロオクチル蒸気に2時間曝露した。whole 4”( 1:10の比の硬化剤:プレポリマー、Sylgard 184、Dow Corning社製(米国所在))上に前駆体混合物を注ぐことによってポリジメチルシロキサン(PDMS)の複製を生成した。それを、室温で少なくとも24時間硬化し、硬化したPMDSをシリコンの鋳型から剥離し、製造を完了した。高い寸法精度を維持する理由から、このプロセスでは室温効果が望ましい。通常の熱硬化(65℃以上)では、PDMS構造をマスタから剥離後、設計値と比べて相当なサイズ縮小を生じる。これは、上部チャンバと下部チャンバの配置に不整合を生じるため、アレイ構造にとって好ましくない。培地灌流チャンバ用および細胞培養チャンバ用の入口および出口ポートをsharp23Gスタイル2ニードルを用いて穿孔した。顕微鏡を用いて上部および下部のPDMS片を位置合わせし、すぐに接触させた。等角接触させて可逆的な結合を達成した。
上述のプロセス型得られた例示的なシリコン・ウエハ鋳型の画像が図20に示されている。図21には、得られた複製組立デバイスの画像が示されている。異なる寸法の保持柱および底部チャネル(または上部チャネル)基礎構造を示す、別のデバイスの実施の形態の画像が図22A〜Bに示されている。図21および22A〜Bでは、便宜上、突起144、トラフ142、保持柱160、および灌流チャネル120、122が表示されている。図21、22Aおよび22Bに示すように、保持柱160、ならびに突起144およびトラフ142は、ほぼ任意の適切な形状をとることができる。
下記実施例2〜6では、上述のように作られた、図14D、22A、22Bに示される下部構造化表面を備えた細胞チャンバを有するマイクロ流体デバイスが用いられた。下部構造化表面は、10マイクロメートルの幅および深さおよび15マイクロメートルの高さを有する突起アレイを有していた。突起間のギャップ距離(すなわち、トラフの幅)は10マイクロメートルであった。細胞培養チャンバの高さは45マイクロメートルであり、長さは15,000マイクロメートルであった。
図21および図22Aでは、白線またはジグザグの線が画像に加えられ、トラフ142が識別できるようになっている。
実施例2:マイクロ流体デバイスの流体特性
デバイス内部の灌流チャネルと細胞培養チャンバ間の物質移動およびその後の注入について試験するため、右と左の両方の灌流チャネルについて、単一の入口および出口を有するマイクロ流体デバイスを用いて、スルホロダミンB(PBS緩衝液中、8.9×10-5MのSRB)およびカルボキシフルオレセイン(PBS緩衝液中4×10-5M)染料の溶液を流した。フローの流速および時間の関数として、細胞培養チャンバにおけるスルホロダミンB蛍光強度の増大が見られ(図23A)、保持障壁(柱)、灌流チャネル間および細胞チャンバにわたって良好な流体の輸送が示唆された。反対に、フルオレセイン(PBS緩衝液中、4×10-5M)が細胞チャンバの入口を介して導入される場合は、保持障壁(柱)にわたる蛍光強度の増大および灌流チャネルの充填が見られた(図23B)。図23Aおよび23Bに示す画像では、画像の左側は流体が導入される入口に近く、画像の左側は流体がデバイスから出る出口に近い。
デバイス内部の灌流チャネルと細胞培養チャンバ間の物質移動およびその後の注入について試験するため、右と左の両方の灌流チャネルについて、単一の入口および出口を有するマイクロ流体デバイスを用いて、スルホロダミンB(PBS緩衝液中、8.9×10-5MのSRB)およびカルボキシフルオレセイン(PBS緩衝液中4×10-5M)染料の溶液を流した。フローの流速および時間の関数として、細胞培養チャンバにおけるスルホロダミンB蛍光強度の増大が見られ(図23A)、保持障壁(柱)、灌流チャネル間および細胞チャンバにわたって良好な流体の輸送が示唆された。反対に、フルオレセイン(PBS緩衝液中、4×10-5M)が細胞チャンバの入口を介して導入される場合は、保持障壁(柱)にわたる蛍光強度の増大および灌流チャネルの充填が見られた(図23B)。図23Aおよび23Bに示す画像では、画像の左側は流体が導入される入口に近く、画像の左側は流体がデバイスから出る出口に近い。
細胞を、細胞チャンバの入口を介してマイクロ流体細胞培養デバイスの主要チャンバに導入した。約5マイクロリットルの懸濁したヒト一次肝細胞(200万細胞/ml)を使用した。懸濁した細胞を細胞保持チャンバ内に0.5μl/分の流速で注入した。細胞保持チャンバ全体が細胞で満たされた時点で(約10000細胞/デバイス)懸濁細胞の注入を停止した。底部構造チャネルの独立した灌流を開始する前に、デバイスを通じて細胞培養培地を3日間灌流した。その後、非蛍光溶液(細胞培養培地−MFE Essential Support Medium F w/MFE Culture Medium Supplement A、# K4105.X、XenoTech LLC社製)および蛍光溶液(デキストラン−ローダミン複合体、分子量10000、HBSS緩衝液中8mg/ml)の注入液を底部チャネルの入口に導入した。図24Aに示すように、細胞を基礎構造の上部に固定することにより、細胞保持チャンバの底部における基礎構造を通じて独立したフローの導入が可能になる。これは、図24Aにのみ、基礎構造の領域に蛍光染料のフローが見られることから明らかである。蛍光染料は混合されていない、すなわち、細胞チャンバの左右の灌流チャネルのどちらかの側に入ってない(図24Aと図24Bとの比較。比較の目的で底部および側部のチャネルに蛍光染料を故意に注入した)。
試験したデバイスでは、下部構造のチャネルの灌流の流速が、2本の主要な側部の灌流チャネルの灌流の流速より約10倍低くなるように構成されていた。したがって、デバイスにおける灌流フローは、例えば、肝組織に特徴的な胆汁塩の勾配を提供するなど、インビボで観察される複雑な細胞外の流体分布を効果的に模倣するように構成されうる。
実施例3:マイクロ流体デバイスにおける長期細胞培養
長時間、表現型的にとして活性な細胞集団を支持する能力を実証するため、マイクロ流体デバイス内でのヒト一次肝細胞のインキュベートを行った。5,000〜10,000個のヒト一次肝細胞細胞(低温保存されたヒト肝細胞、XenoTech社製(米国カンザス州レネックサ所在))をマイクロ流体デバイスに入れ(細胞チャンバのポートを介して)、MFE細胞培養培地を用いて、オープンループモードで1μl/分の流速でデバイスを灌流させた。96ウェルプレート培地において、細胞培養培地を手動で毎日交換した。細胞形態および健康における変動の可能性を追跡するため、デバイスを毎日モニタした。それぞれ異なった時点でインキュベートを停止し、細胞の生存率およびをモニタするため、生細胞・死細胞分別染色(哺乳動物細胞用のLIVE/DEAD viability/細胞毒性キット、Molecular Probes社製(米国オレゴン州ユージーン所在))を行った。デバイスに充填した細胞の画像および生細胞・死細胞分別染色の結果を図25〜26に示す。
長時間、表現型的にとして活性な細胞集団を支持する能力を実証するため、マイクロ流体デバイス内でのヒト一次肝細胞のインキュベートを行った。5,000〜10,000個のヒト一次肝細胞細胞(低温保存されたヒト肝細胞、XenoTech社製(米国カンザス州レネックサ所在))をマイクロ流体デバイスに入れ(細胞チャンバのポートを介して)、MFE細胞培養培地を用いて、オープンループモードで1μl/分の流速でデバイスを灌流させた。96ウェルプレート培地において、細胞培養培地を手動で毎日交換した。細胞形態および健康における変動の可能性を追跡するため、デバイスを毎日モニタした。それぞれ異なった時点でインキュベートを停止し、細胞の生存率およびをモニタするため、生細胞・死細胞分別染色(哺乳動物細胞用のLIVE/DEAD viability/細胞毒性キット、Molecular Probes社製(米国オレゴン州ユージーン所在))を行った。デバイスに充填した細胞の画像および生細胞・死細胞分別染色の結果を図25〜26に示す。
図25は、デバイスの細胞チャンバ内に充填され、7日間培養されたヒト一次肝細胞の画像(20倍)である。顕微鏡検査は、細胞が3Dの状態で詰まっており、拡散を被らなかったことを実証した。肝細胞は細胞チャンバ(のみ)に保持されていることが観察され、保持障壁を横断する灌流チャネルまたは灌流の遮断は見られなかった。
図26A〜Bは、インキュベート7日後の生菌/死菌の染色の結果を示す代表的な蛍光画像(A:5倍、B:20倍)である。生菌/死菌の染色では、緑色蛍光は細胞が生存していることを示し、赤色蛍光は細胞が死んでいることを示す。本願で提示される白黒の複写からは明らかではないが、7日間のインキュベート後には、ほぼ100%の細胞が生存していた(緑色蛍光)。図26A〜Bに提示する画像は、マイクロ流体の培養デバイスが、保持障壁を横断し、肝細胞を充填した細胞培養チャンバを通過する、アッセイ試薬の有効な灌流を提供することができることを実証している。
実施例4:細胞培養チャンバ底部における基礎構造の特徴の影響
図27A〜Bは、インキュベート7日後に撮影した底部基礎構造なし(27A)および底部基礎構造あり(27B)の細胞チャンバにおける3Dで充填した肝細胞の蛍光および明視野画像である。図27Aでは、最も左のパネルは蛍光画像(5倍)であり、3枚の最も右のパネルは、5倍、20倍および20倍(それぞれ左から右へ)における明視野画像である。図27Bでは、最も左のパネルは蛍光画像(10倍)であり、中央のパネルは明視野画像(10倍)であり、右側のパネルは明視野画像(20倍)である。
図27A〜Bは、インキュベート7日後に撮影した底部基礎構造なし(27A)および底部基礎構造あり(27B)の細胞チャンバにおける3Dで充填した肝細胞の蛍光および明視野画像である。図27Aでは、最も左のパネルは蛍光画像(5倍)であり、3枚の最も右のパネルは、5倍、20倍および20倍(それぞれ左から右へ)における明視野画像である。図27Bでは、最も左のパネルは蛍光画像(10倍)であり、中央のパネルは明視野画像(10倍)であり、右側のパネルは明視野画像(20倍)である。
底部基礎構造を有するデバイスであるか底部基礎構造を有しないデバイスであるかにかかわらず、大半の肝細胞は生存していた(本願で提示される白黒の複写からは視認されないが、上述の生菌/死菌の染色での緑色蛍光に基づく)。しかしながら、形態学的な評価から、底部基礎構造を有しないデバイス上で培養された細胞はしっかりと融合しないことが判明した。対照的に、細胞チャンバの底部基礎構造の上部で培養された肝細胞は、細胞が首尾よく融合した証拠として、組織様の形態に似ている3Dの組織構造の滑らかなエッジを示す、しっかりと融合した細胞(図27Bの一番右のパネルの矢印)を有する組織様の形態を示した。
実施例5:細胞の流体工学の影響
マイクロ流体デバイスの灌流チャネルを通過する灌流フローの重要性を試験するため、細胞は、細胞培養培地を含むマイクロ流体デバイスで培養され、静置条件下(連続したフローなし)、チャネル内に含まれる細胞培養培地全体にわたって、かつ細胞培養培地とともに灌流チャネルを貫流する。簡潔に述べると、約10,000個の低温保存されたヒト肝細胞(XenoTech社製(米国カンザス州レネクサ所在))をデバイスに導入した。灌流は、5μL/時の流速を使用した。静置条件では、細胞培養培地を手作業で毎日交換した。細胞は合計7日間インキュベートされた。
マイクロ流体デバイスの灌流チャネルを通過する灌流フローの重要性を試験するため、細胞は、細胞培養培地を含むマイクロ流体デバイスで培養され、静置条件下(連続したフローなし)、チャネル内に含まれる細胞培養培地全体にわたって、かつ細胞培養培地とともに灌流チャネルを貫流する。簡潔に述べると、約10,000個の低温保存されたヒト肝細胞(XenoTech社製(米国カンザス州レネクサ所在))をデバイスに導入した。灌流は、5μL/時の流速を使用した。静置条件では、細胞培養培地を手作業で毎日交換した。細胞は合計7日間インキュベートされた。
図28は、灌流条件下で培養した細胞の3枚の明視野画像を示している。左のパネルには、組み立てられたデバイス内における細胞が示されている。中央のパネルには、デバイスカバーが取り外された後の細胞が示されている。細胞は融合されて、カバーを取り外した後もその構成を維持しているように見えた。右側のパネルには、デバイスから取り出した後の細胞が示されている。この場合も、細胞は融合した構成を維持していた。
図29は、静置条件下で培養された細胞の3枚の明視野画像を示している。左のパネルには、組立デバイスにおける細胞が示されている。中央のパネルには、デバイスカバーが取り外された後の細胞が示されている。細胞は、死んでいるように見え、融合した組織様の構造は形成されなかった。右側のパネルには、デバイスから取り出された後の細胞が示されている。これもまた、細胞は死んでいるように見え、融合した組織様の構造は形成されなかった。
図30は、ウェルの底部表面に複製されたマイクロ流体デバイスの構造化された底部表面を有する、96ウェルプレート上で培養された細胞の2枚の明視野画像を示している。1ウェルあたり約60,000個の低温保存されたヒト肝細胞(XenoTech LLC社製(米国カンザス州レネックサ所在))がMFE Essential Plating Medium F(# K4000)に播種された。24時間のインキュベート後、培地をMFE Essential Support Medium F w/MFE Culture Medium Supplement A(# K4105.X、XenoTech LLC社製)に変更した。インキュベーションの間、培地は毎日交換された。細胞は、7日間培養された。左の画像は、プラズマ処理したPDMS基板上で培養した細胞のものである。右の画像は未処理のPDMS上で培養した細胞のものである。どちらの場合も、静置細胞培養条件は3Dの組織様の細胞構造を支持しなかった。静置条件下、96ウェルプレートの構造化されたPDMS表面で培養された肝細胞は単層培養を形成し、平らな領域に対し、構造化された領域を選択的に認識しなかった。
マイクロ流体デバイスは、連続的な培地(流体)フローにおける細胞培養のための多数の独立した灌流チャネルを提供する。設計寸法に基づいた流体の灌流は、ガスおよび栄養素の肝細胞への効率的な連続輸送および代謝産物または細胞老廃物の除去をもたらす肝循環を模倣する。細胞チャンバ底部における微小構造化された低フロー・チャネルは、デバイスの他の2つの灌流チャネルとは独立した灌流を可能にする。多数の灌流チャネルは、培地(栄養素)、アッセイ試薬および細胞老廃物を効果的に輸送し、それによって、より長期間にわたり生存細胞の培養を維持する。また、動的細胞の培養条件は、デバイスから取り出す際に損傷を受けない状態を保つ動物由来または合成のマトリクスまたは凝固剤を添加せずに、組織様の細胞構造へとしっかりと融合する3D細胞の形成に影響を与える(図28)。
デバイスにおける静置培養条件は、インキュベーションの間に死亡し、デバイスが解体されると容易に分散する細胞を生じた(図29)。同様に、デバイスの細胞チャンバの複製である、96ウェルプレートにおける構造化されたPDMS表面を用いた静置細胞培養条件は、3Dの組織様の細胞構造を支持しなかった。静置条件下、96ウェルプレートの構造化されたPDMS表面上で培養された肝細胞は、単層培養を形成し、平らな領域と比較して、構造化された領域を選択的に認識しなかった(図30)。
実施例6:膜極性および肝細胞の特異的機能の復元
において、肝細胞は、細胞外マトリクス(ECM)と他の非実質細胞との組合せによって、立体構造において支持される。従来のインビトロにおける2Dの細胞培養フォーマットでは、限定された細胞間相互作用およびンビボ様の細胞構成の復元の不能の理由から、一次肝細胞は急速に脱分化する。一次肝細胞の分化機能の維持は、形態構造および膜極性の復元に依存する。一次肝細胞の代謝機能は、異なる培養形態によって誘発された肝細胞の極性と明確に相関していた。したがって、肝細胞の極性の復元は、肝細胞機能の維持において重要である。
において、肝細胞は、細胞外マトリクス(ECM)と他の非実質細胞との組合せによって、立体構造において支持される。従来のインビトロにおける2Dの細胞培養フォーマットでは、限定された細胞間相互作用およびンビボ様の細胞構成の復元の不能の理由から、一次肝細胞は急速に脱分化する。一次肝細胞の分化機能の維持は、形態構造および膜極性の復元に依存する。一次肝細胞の代謝機能は、異なる培養形態によって誘発された肝細胞の極性と明確に相関していた。したがって、肝細胞の極性の復元は、肝細胞機能の維持において重要である。
上述のように、細胞チャンバの底部における基礎構造は、独立した灌流を提供する、これらの微小構造を通じた低フロー・チャネルを提供する。この設計の特徴は、しっかりと融合した組織様の細胞構造の形成に影響を及ぼす。3Dの細胞培養形態は、動物由来または合成のマトリクスまたは凝固剤を添加せずに、細胞の膜極性の復元(図31〜32)、および輸送機能などの肝細胞の特異的機能の復元(図33)を促進する。細胞の膜極性は、図31〜32において、免疫染色を介した毛細胆管マーカーMRP2およびギャップ結合タンパク質であるコネキシン32の発現によって示される、3Dにおける毛細胆管構造の拡大形成によって実証されている。簡潔に述べると、マイクロ流体デバイス内部での7日間の灌流培養の後、細胞は、PBS中、3%のパラホルムアルデヒドを用いて固定され、Triton X−100(PBS中1%)を用いて透過性にされ、4℃で一晩、一次抗体の混合物(ブロッキングバッファーで1:100に希釈、マウス抗コネキシン32 非抱合型モノクローナル抗体、25μg/ml;ウサギ抗MRP2、ポリクローナル抗体、9μg/ml、Abcam社製)を用いてインキュベートされた。インキュベート後、サンプルはPBS中、0.1%のTween 20で洗浄され、FITC(494/518nm)およびCy3(550/570nm)蛍光標識と共役した二次抗体とともにインキュベートされた。未結合の抗体は洗浄用バッファー(3×200μL)で洗い流され、サンプルは細胞核を染色するための蛍光DAPI染色が補充された20μLのVectashield封入液で覆われた。
従来の2Dの細胞培養では、存在する場合には、MRP2タンパク質の発現は、一部の細胞の間に、毛細胆管構造の限定的な形成を示す、小さい繋がっていない点として観察される(肝細胞を従来の96ウェルプレート上で培養した図33A参照)。従来の96ウェルプレート上での7日間の培養の後、細胞は、MPR2基板(細胞培養培地中、5μMの二酢酸5−(6)カルボキシ−2’,7’−ジクロロフルオレセイン溶液)を用いて10分間インキュベートされた。二酢酸カルボキシ−2’,7’−ジクロロフルオレセイン溶液は細胞に吸収され、代謝された。代謝産物は、MRP2タンパク質によって毛細胆管構造内に能動的に排出される。フルオレセイン代謝産物の転位は蛍光顕微鏡(494/518nm)でモニタされ、細胞集合体内部の毛細胆管構造の動的機能性染色が得られた。
MRP2タンパク質は、細胞から毛細胆管構造内への輸送機能にも関与する。輸送機能は、近年、しばしば肝臓における第III相の薬物代謝とも称され、薬物代謝産物の除去または細胞への薬剤化合物の能動輸送にとって重要である。図33Bは、二酢酸フルオレセインが肝細胞に受動的に吸収され、MRP2輸送体タンパク質を介して拡張した毛細胆管構造内に能動輸送される、マイクロ流体デバイスにおける肝細胞の特異的機能を実証する、動的アッセイの1枚の画像を提示している。簡潔に述べると、1μL/分の流速で10分間、デバイスを通してMPR2基板(細胞培養培地中、5μMの二酢酸5−(6)カルボキシ2’,7’−ジクロロフルオレセイン溶液)を灌流した。フルオレセイン代謝産物の輸送は蛍光顕微鏡(494/518nm)でモニタすることができ、したがって、デバイス内部の毛細胆管構造の動的な機能性染色(dynamic functional stain)を得ることができる。この機能は、細胞間シグナル伝達を介した極性の復元、および、しっかりと融合した組織様の3D細胞構造の形成によって駆動される。我々の知るところによれば、3Dにおけるこれらの拡張された毛細胆管構造の形成(膜極性の復元)およびマイクロ流体デバイスにおけるヒト一次肝細胞の輸送機能の実証は、以前には示されておらず、報告もされていない。
要約すれば、本開示は、インビトロにおいて高度に分化した状態の細胞の機能維持のためのマイクロ流体デバイス設計および方法について記載する。インビトロ系で培養されると同時に、細胞のインビボにおける機能を支持する能力は、組織工学用途および治療候補物質の評価においてきわめて重要である。記載した細胞培養系を使用して長期の細胞培養を支持し、培養細胞の表現型特異的活性を増大させるインビボ様の細胞構成の復元を促進し、ひいては細胞ベースアッセイのための生理学関連情報を提供してもよい。
このように、細胞培養のためのマイクロ流体デバイスの実施の形態が開示される。当業者は、本明細書に記載の細胞培養装置および方法が開示された以外の実施の形態を用いて実施することができることを認識するであろう。開示される実施の形態は例示の目的で提示されるのであって、限定の目的ではない。
Claims (10)
- 第1の構造化表面を有する細胞保持チャンバであって、前記構造化表面が主表面を有し、該主表面から複数の突起が前記チャンバ内へと伸び、前記複数の突起が、チャンバ内で培養された細胞が前記主表面上で浮遊するように構成された、細胞保持チャンバと、
(i)細胞培養培地を運ぶように構成され、かつ(ii)前記細胞保持チャンバと連通する複数の開口部を形成する、第1の灌流チャネルであって、前記開口部が、 保持チャンバに由来する細胞が灌流チャネルに入るのを妨げるように構成された第1の灌流チャネルと、
を備えた細胞培養装置。 - 前記複数の突起のそれぞれが、1つ以上の細胞と接触するように構成された細胞接触表面を有し、
前記細胞接触表面が15マイクロメートル未満の直径寸法を有する
ことを特徴とする請求項1記載の細胞培養装置。 - 隣接する突起間の距離が15マイクロメートル未満であることを特徴とする請求項1または2記載の細胞培養装置。
- 前記隣接する突起間の距離が5マイクロメートル〜10マイクロメートルであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の細胞培養装置。
- 前記複数の突起間にトラフが形成され、
前記トラフが前記構造化表面の長さにわたり延在することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の細胞培養装置。 - 前記装置が、前記トラフと流体連通する入口および前記トラフと流体連通する出口をさらに備え、
前記出口が前記入口と同一または異なっている
ことを特徴とする請求項5記載の細胞培養装置。 - 前記細胞保持チャンバと連通する複数の開口部を形成する第2の灌流チャネルをさらに備え、
前記開口部が、前記培養チャンバに由来する細胞が前記第2の灌流チャネルに入るのを妨げるように構成された寸法を有する
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の細胞培養装置。 - 前記第1および第2の灌流チャネルが、一般に、前記細胞保持チャンバとは反対側にあることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の細胞培養装置。
- 前記複数の突起のそれぞれが前記主表面とは反対側に細胞接触表面を有し、ここで、
前記細胞接触表面が15マイクロメートル未満の直径寸法を有し、
前記突起のそれぞれが、 前記主表面から5マイクロメートルを超える高さに至るまで伸び、
隣接する突起間の距離が15マイクロメートル未満であり、
前記構造化表面がトラフを備え、
前記トラフの少なくとも一部が隣接する突起間に形成され、
前記トラフが前記構造化表面の長さにわたり延在し、
前記トラフと流体連通するトラフの入口と、
前記細胞保持チャンバと流体連通するチャンバの入口と、
(i)細胞培養培地を運ぶように構成され、かつ(ii)前記細胞保持チャンバと連通する複数の開口部を形成する、第1の灌流チャネルであって、前記開口部が、 保持チャンバに由来する細胞が灌流チャネルに入るのを妨げるように構成された、第1の灌流チャネルと、
を備えた、
請求項1記載の細胞培養装置。 - 細胞が前記チャンバ内で培養されるときに、前記トラフが、前記チャンバから少なくとも部分的に分離されるように構成されることを特徴とする請求項9記載の細胞培養装置。
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