JP2013507391A - 抗ウイルスアミノグリコシド類似体 - Google Patents
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- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/04—Antibacterial agents
Abstract
抗菌活性を有する化合物を開示している。該化合物(その立体異性体、薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む)は以下の構造(I)を有し、式中、Q1、Q2、Q5、R1、R2、R3、Z1およびZ2は本明細書に定義の通りである。そのような化合物ならびにそのような化合物を含む医薬組成物の調製および使用と関連する方法も開示している。本発明は、抗菌活性を有する新規のアミノグリコシド化合物(その立体異性体、薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む)、ならびに細菌性感染の治療におけるそのような化合物の使用を対象としている。
Description
政府の利益の陳述
本発明は、保険社会福祉省の一部局である、国立衛生研究所により授与された契約番号HHSN272200800043Cの支援により成された。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
本発明は、保険社会福祉省の一部局である、国立衛生研究所により授与された契約番号HHSN272200800043Cの支援により成された。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
関連出願への相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2009年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/250,119号の利益を主張する。この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される
背景
分野
本発明は、新規のアミノグリコシド化合物、ならびにそれらの調製方法および治療または予防剤としての使用を対象としている。
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2009年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/250,119号の利益を主張する。この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される
背景
分野
本発明は、新規のアミノグリコシド化合物、ならびにそれらの調製方法および治療または予防剤としての使用を対象としている。
先行技術の説明
現代の創薬において、RNAに結合することにより効果を発揮する新規の低分子量薬物の開発が特に関心を集めている。DNAとタンパク質との間のメッセンジャーとして機能するRNAは、大きい構造的複雑性を有さない完全に屈曲性の分子であると考えられていた。最近の研究により、RNA構造における驚くべき複雑さが明らかとなった。RNAは、DNAのような単純なモチーフよりむしろタンパク質に匹敵する構造的複雑性を有する。ゲノム配列決定により、タンパク質およびそれらをコードするmRNAの配列のいずれもが明らかとなる。タンパク質はRNA鋳型を使用して合成されるため、そのようなタンパク質は、mRNAの翻訳に干渉することによりそれらの産生を最初の段階で防止することにより阻害することができる。タンパク質およびRNAはいずれも潜在的な薬物標的部位であるため、ゲノム配列決定作業から明らかとなる標的の数は効果的に倍増する。これらの観測により、医薬産業において、小分子によりRNAを標的化する新しい機会が開かれる。
現代の創薬において、RNAに結合することにより効果を発揮する新規の低分子量薬物の開発が特に関心を集めている。DNAとタンパク質との間のメッセンジャーとして機能するRNAは、大きい構造的複雑性を有さない完全に屈曲性の分子であると考えられていた。最近の研究により、RNA構造における驚くべき複雑さが明らかとなった。RNAは、DNAのような単純なモチーフよりむしろタンパク質に匹敵する構造的複雑性を有する。ゲノム配列決定により、タンパク質およびそれらをコードするmRNAの配列のいずれもが明らかとなる。タンパク質はRNA鋳型を使用して合成されるため、そのようなタンパク質は、mRNAの翻訳に干渉することによりそれらの産生を最初の段階で防止することにより阻害することができる。タンパク質およびRNAはいずれも潜在的な薬物標的部位であるため、ゲノム配列決定作業から明らかとなる標的の数は効果的に倍増する。これらの観測により、医薬産業において、小分子によりRNAを標的化する新しい機会が開かれる。
古典的創薬では、治療介入の標的としてタンパク質に着目してきた。タンパク質は、薬物スクリーニングのアッセイにおいて使用するために適切な形態で単離し精製することが非常に困難な恐れがある。多くのタンパク質は、特定の条件下で特定の細胞型においてのみ行われる翻訳後修飾を必要とする。タンパク質は、疎水性コアを有し、表面に親水性で荷電を有する基を有する球状ドメインに折り畳まれる。多数のサブユニットが、妥当な薬物スクリーニングに必要となり得る複合体を形成することが多い。膜タンパク質は、通常、それらの固有の形状を保持するために膜に埋め込まれている必要がある。薬物スクリーニングにおいて使用することができるタンパク質の最小の実用単位は球状ドメインである。インタクトなタンパク質のみが薬物結合に適切な3次元形状を有し得るため、単一のアルファヘリックスまたはベータシートのターンを取り出し、これを薬物スクリーニングにおいて使用するという概念は実用的ではない。スクリーニング用の生物活性タンパク質の調製が、古典的なハイスループットスクリーニングの主な限界である。ハイスループットスクリーニング作業における限定試薬は生物活性形態のタンパク質であることが非常に多く、それは非常に高価な恐れもある。
RNA標的に結合する化合物を発見するためのスクリーニングのために、タンパク質に使用される古典的アプローチに替わって新しいアプローチを使用することができる。全てのRNAは、それらの溶解度、合成またはアッセイにおける使用の容易さについては本質的に同等である。RNAの物理的性質は、それらがコードするタンパク質と無関係である。RNAは、化学的または酵素的合成を通して容易に大量に調製することができ、in vivoで大きく修飾されない。RNAについては、薬物結合のための最小の実用単位は機能的サブドメインである。RNA中の機能的サブドメインは、大きいRNAから取り出して単離状態で研究した場合、その生物学的に関連する形状およびタンパク質またはRNA結合性質を保持する断片である。RNAの機能的サブドメインのサイズおよび組成によって、RNAが酵素的または化学的合成により入手しやすくなる。構造生物学界は、NMR分光分析法などの技術による構造研究を促進するために、機能的RNAサブドメインの識別において重要な知見を得てきた。例えば、16S rRNA(A部位)の解読領域の小さい類似体は、必須領域のみを含有すると識別され、インタクトなリボソームと同じように抗生物質に結合することが示されてきた。
RNA上の結合部位は親水性であり、タンパク質と比較して相対的にオープンである。形状に基づいた小分子認識の見込みは、RNAの変形性により高まる。特定のRNA標的への分子の結合は、グローバルなコンフォメーションおよび相対的に強固な足場からの荷電を有する芳香族水素結合基の分布により求めることができる。広範囲にわたる静電的相互作用を使用して適当な配向を有する結合ポケットに分子を導くことができるため、正電荷が適当に配置されていることが重要であると考えられている。核酸塩基が露出している構造においては、芳香族官能基とのスタッキング相互作用が結合相互作用に関与し得る。RNAの主溝により、リガンドとの特異的水素結合のための多くの部位が提供される。これらとしては、アデノシンおよびグアノシンの芳香族N7窒素原子、ウリジンおよびグアノシンのO4およびO6酸素原子、ならびにアデノシンおよびシチジンのアミンが挙げられる。RNAの豊かな構造および配列の多様性は、それらの標的に対する高い親和性および特異性を有するリガンドを作製できることを本発明者らに示唆するものである。
RNAの構造およびフォールディング、ならびにRNAが他のリガンドにより認識される様式に対する本発明者らの知識は決して包括的なものではないが、この10年間で著しく進展してきた(例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照せよ)。細菌の複製においてRNAが中心的役割を果たしているにもかかわらず、これらの病原体のこれらの中枢のRNA部位を標的化する薬物は稀である。抗生物質に対する細菌耐性の問題が深刻化しているため、新規のRNA結合体の探索が極めて重要となっている。
特定の小分子はRNAに結合し、その必須機能をブロックすることができる。そのような分子の例としては、アミノグリコシド抗生物質、ならびに細菌のrRNAに結合しペプチジル−tRNAおよびmRNAを放出するエリスロマイシンなどの薬物が挙げられる。アミノグリコシド抗生物質は、RNAに結合することが昔から公知である。アミノグリコシド抗生物質は、細菌リボソーム中の特定の標的部位に結合することによりそれらの抗菌効果を発揮する。構造的に関連する抗生物質ネアミン、リボスタマイシン、ネオマイシンB、およびパロモマイシンについては、結合部位は、原核16Sリボソーム解読領域RNAのA部位に限局されてきた(非特許文献3を参照せよ)。アミノグリコシドがこのRNA標的に結合すると、mRNA翻訳の忠実性が損なわれ、ミスコードおよびトランケーションが生じ、最終的に細菌の細胞死につながる(非特許文献4を参照せよ)。
当技術分野において、広域スペクトル活性を有する細菌に対して効果を発揮する新しい化学成分が必要とされている。おそらく、RNAに結合する抗菌薬物の発見における最大の課題は、小分子薬物の結合により無力化することができる細菌に共通している生体構造を識別することである。小分子によるRNAの標的化における課題は、特定の形状のRNAを認識する化学的戦略を開発することである。これを実現するための方法に関するヒントをもたらす3セットのデータがある。RNAと天然のタンパク質との相互作用、RNAに結合する天然の抗生物質、およびタンパク質と他の分子とを結合する人工RNA(アプタマー)。しかし、各データセットは、この問題に対する異なる洞察を提供している。
天然源から得られる複数のクラスの薬物が、RNAまたはRNA/タンパク質複合体に結合することにより効果を発揮することが示されてきた。これらとしては、3つの異なる構造クラスの抗生物質:チオストレプトン、アミノグリコシドファミリーおよびマクロライドファミリーの抗生物質が挙げられる。これらの例は、小分子および標的が選択されるプロセスに関する有力な手がかりを与えるものである。自然界では、細菌中の最も古い保存された標的の1つであるリボソームのRNA標的が選択されてきた。抗菌薬物は強力で広域スペクトル活性を有することが望ましいため、全ての細菌の生命に欠かせないこれらの古いプロセスは、魅力的な標的である。本発明者らは、古い保存された機能に接近するほど、広範に保存されたRNA形状を見出す可能性が高そうである。細菌はRNAを進化させるときにそれらの治療指数を考慮に入れていたとは考えられないため、ヒトにおける同等の構造の形状も考慮に入れることが重要である。
多数の天然の抗生物質が存在し、これらとしては、キロマイシン、ネオマイシン、パロモマイシン、チオストレプトンなどのアミノグリコシド、およびその他多数が挙げられる。それらは、小さいリボソームサブユニットのRNAに結合する非常に強力な殺菌化合物である。その殺菌作用は、遺伝暗号の誤読につながるような方式で細菌RNAに結合することにより媒介される。内在性膜タンパク質の暗号翻訳の間の誤読により、細菌膜のバリア性を損なう異常なタンパク質が産生されると考えられている。
抗生物質は、様々な微生物種(細菌、真菌、放線菌)により生成される化学物質であり、他の微生物の増殖を抑制し、最後にはそれらを破壊し得る。しかし、一般的用法では、抗生物質という用語を、微生物の産生物ではないスルホンアミド、およびキノリンなどの合成抗細菌剤を含むように拡張することが多い。識別されている抗生物質の数は今や数百に及び、これらの多くは、それらが感染症の治療において価値のある段階まで開発されてきたものである。各抗生物質は、物理的、化学的、および薬理学的性質、抗菌スペクトル、および作用の機序が著しく異なる。近年、細菌、真菌、およびウイルス複製の分子機構の知識により、これらの微生物のライフサイクルに干渉することができる化合物の合理的な開発が大いに促進されてきた。
現在、全ての入院患者の少なくとも30%が抗生物質による1種または複数の治療コースを受けており、数百万もの潜在的に致死性の感染が治癒されてきている。同時に、これらの医薬品は、開業医が入手可能なものの中で最も誤用されるものとなっている。抗菌剤の広範な使用の結果の一例は抗生物質耐性病原体の出現であり、それにより、新しい薬物に対する需要がさらに高まっている。これらの抗菌剤の多くは、医療費の上昇にも著しく関与してきた。
新しい薬剤の抗菌活性を最初に試験する場合、通常、感受性および耐性のパターンが明らかとなる。微生物は、それらが抗生物質の存在下で生存することを可能にする、上で論じた数々の巧妙な変更を展開してきたため、残念ながら、この活性のスペクトルは、その後驚くほど変化する恐れがある。薬物耐性の機序は微生物毎および薬物毎に異なる。
抗生物質に対する耐性の発達は、通常、世代から世代へと遺伝する安定な遺伝的変化を伴う。細菌の遺伝子構成の変更をもたらす機序のいずれかが作動し得る。変異が原因である場合が多いが、抗菌剤に対する耐性は、形質導入、形質転換または接合により、1つの細菌から別の細菌への遺伝物質の移入を通して獲得され得る。
Chow,C.S.;Bogdan,F.M.、Chem. Rev.、1997年、97巻、1489頁
Wallis,M.G.;Schroeder,R.、Prog. Biophys. Molec. Biol. 1997年、67巻、141頁
Moazed,D.;Noller,H.F.、Nature、1987年、327巻、389頁
Alper,P.B.;Hendrix,M.;Sears,P.;Wong,C.、J. Am. Chem. Soc.、1998年、120巻、1965頁
この分野は進展してきたが、前述の理由から、抗菌活性を持つ新しい化学成分が必要とされている。さらに、創薬プロセスを加速するために、細菌性感染の治療のための潜在的に新しい薬物である数々の化合物を得るためのアミノグリコシド抗生物質を合成する新しい方法が必要とされている。本発明はこれらの必要性を満たし、関連するさらなる利点を提供するものである。
簡単な要旨
要するに、本発明は、抗菌活性を有する新規のアミノグリコシド化合物(その立体異性体、薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む)、ならびに細菌性感染の治療におけるそのような化合物の使用を対象としている。
要するに、本発明は、抗菌活性を有する新規のアミノグリコシド化合物(その立体異性体、薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む)、ならびに細菌性感染の治療におけるそのような化合物の使用を対象としている。
一実施形態において、以下の構造(I):
またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
Q1は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
Q2は、
Q5は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
各R1およびR2は、独立して、水素またはアミノ保護基であり、
各R3は、独立して、水素またはヒドロキシル保護基であり、
各R4およびR5は、独立して、水素、または場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R6は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR4およびR5は、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR5および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができ、
各nは、独立して、0〜4の整数であり、
各Z1およびZ2は、独立して、水素または−OR3であり、
(i)Z1およびZ2の少なくとも一方はHであり、(ii)R4およびR5の少なくとも一方は置換C1〜C6アルキルであるか、または少なくとも一方のR6はハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノであり、(iii)Z1およびZ2が結合している2つの隣接する−CH−基は、場合により、二重結合を形成し得る。
別の実施形態において、以下の構造(I):
またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
Q1は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
Q2は、場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アミノで置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキルまたは場合により置換されたヘテロシクリルであり、
各R1およびR2は、独立して、水素またはアミノ保護基であり、
各R3は、独立して、水素またはヒドロキシル保護基であり、
各R4、R5、R7およびR8は、独立して、水素、または場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R6は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR4およびR5は、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR5および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができるか、またはR7およびR8は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができ、
各R9は、独立して、水素、ヒドロキシル、アミノまたは場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R10は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであり、
各R11は、独立して、水素、ハロゲン、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR9および一方のR11は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR11は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができ、
各nは、独立して、0〜4の整数であり、
各pは、独立して、1〜4の整数であり、
各Z1およびZ2は、独立して、水素または−OR3であり、
(i)Z1およびZ2の少なくとも一方はHであり、(ii)Z1およびZ2が結合している2つの隣接する−CH−基は、場合により、二重結合を形成し得る。
別の実施形態において、構造(I)を有する化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
別の実施形態において、構造(I)を有する化合物の治療における使用方法を提供する。特に、本発明は、治療を必要としている哺乳動物に有効量の構造(I)を有する化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、哺乳動物における細菌性感染の治療方法を提供する。さらに、本発明は、治療を必要としている哺乳動物に有効量の構造(I)を有する化合物を含む医薬組成物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を投与するステップを含む、哺乳動物における細菌性感染の治療方法を提供する。
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な記述を参照すれば明らかとなろう。
詳細な説明
以下の記述において、本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために特定の具体的な詳細を示している。しかし、当業者は、これらの詳細がなくても本発明を実行し得ることを理解しよう。
以下の記述において、本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために特定の具体的な詳細を示している。しかし、当業者は、これらの詳細がなくても本発明を実行し得ることを理解しよう。
文脈上必要ない限り、本明細書および請求項を通して、「〜を含む(comprise)」という用語、ならびに、「〜を含む(comprises)」および「〜を含む(comprising)」などのその変化形は、制限のない包括的な意味で、すなわち、「〜が挙げられるが、これらに限定されない」として解釈されるものである。
本明細書を通した「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載している特定の特色、構造または特徴が本発明の実施形態の少なくとも1つに含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「一実施形態において」または「実施形態において」という言い回しの出現は、必ずしも全て同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、その特定の特色、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
「アミノ」は、−NH2ラジカルを指す。
「シアノ」は、−CNラジカルを指す。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHラジカルを指す。
「イミノ」は、=NH置換基を指す。
「ニトロ」は、−NO2ラジカルを指す。
「オキソ」は、=O置換基を指す。
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
「アルキル」は、炭素および水素原子のみからなり、飽和または不飽和(すなわち、1つまたは複数の二重および/または三重結合を含有する)であり、1〜12個の炭素原子(C1〜C12アルキル)、好ましくは1〜8個の炭素原子(C1〜C8アルキル)または1〜6個の炭素原子(C1〜C6アルキル)を有し、単結合により分子の残りの部分に結合している、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、エテニル、プロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等を指す。本明細書において別段の定めのない限り、アルキル基は場合により置換されていてもよい。
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、分子の残りの部分をラジカル基に連結させている、炭素および水素のみからなり、飽和または不飽和(すなわち、1つまたは複数の二重および/または三重結合を含有する)であり、1〜12個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレン、プロピニレン、n−ブチニレン等を指す。アルキレン鎖は、単結合または二重結合を通して分子の残りの部分に、かつ単結合または二重結合を通してラジカル基に結合している。アルキレン鎖と分子の残りの部分およびラジカル基との結合点は、該鎖内の1個の炭素または任意の2個の炭素によるものとすることができる。本明細書において別段の定めのない限り、アルキレン鎖は場合により置換されていてもよい。
「アルコキシ」は、1〜12個の炭素原子を含有する式−ORaのラジカルを指し、式中、Raは上で定義したアルキルラジカルである。本明細書において別段の定めのない限り、アルコキシ基は場合により置換されていてもよい。
「アルキルアミノ」は、1〜12個の炭素原子を含有する式−NHRaまたは−NRaRaのラジカルを指し、式中、各Raは、独立して、上で定義したアルキルラジカルである。本明細書において別段の定めのない限り、アルキルアミノ基は場合により置換されていてもよい。
「チオアルキル」は、1〜12個の炭素原子を含有する式−SRaのラジカルを指し、式中、Raは上で定義したアルキルラジカルである。本明細書において別段の定めのない限り、チオアルキル基は場合により置換されていてもよい。
「アリール」は、水素、6〜18個の炭素原子および少なくとも1個の芳香族環を含む炭化水素環系ラジカルを指す。本発明の目的のために、アリールラジカルは、縮合または架橋環系を含み得る単環式、二環式、三環式または四環式環系でもよい。アリールラジカルとしては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンに由来するアリールラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において別段の定めのない限り、「アリール」という用語または(「アラルキル」などの)「アラ(ar−)」という接頭語は、場合により置換されているアリールラジカルを含むことを意図したものである。
「アラルキル」は、式−Rb−Rcのラジカルを指し、式中、Rbは上で定義したアルキレン鎖であり、Rcは1つまたは複数の上で定義したアリールラジカル、例えば、ベンジル、ジフェニルメチル等である。本明細書において別段の定めのない限り、アラルキル基は場合により置換されていてもよい。
「シクロアルキル」または「炭素環式環」は、炭素および水素原子のみからなり、縮合または架橋環系を含んでいてもよく、3〜15個の炭素原子を有し、好ましくは3〜10個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であり、単結合により分子の残りの部分に結合している、安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルを指す。単環式ラジカルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式ラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニル等が挙げられる。本明細書において別段の指定のない限り、シクロアルキル基は場合により置換されていてもよい。
「シクロアルキルアルキル」は、式−RbRdのラジカルを指し、式中、Rdは上で定義したアルキレン鎖であり、Rgは上で定義したシクロアルキルラジカルである。本明細書において別段の定めのない限り、シクロアルキルアルキル基は場合により置換されていてもよい。
「縮合」は、本明細書に記載の任意の環構造が本発明の化合物中にある既存の環構造に縮合されていることを指す。縮合環がヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環または縮合ヘテロアリール環の一部となる該既存の環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子で置き換えることができる。
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを指す。
「ハロアルキル」は、1つまたは複数の上で定義したハロラジカルにより置換されている上で定義したアルキルラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1,2−ジブロモエチル等を指す。本明細書において別段の定めのない限り、ハロアルキル基は場合により置換されていてもよい。
「ヘテロシクリル」または「複素環式環」は、2〜12個の炭素原子ならびに窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子からなる安定な3〜18員非芳香族環ラジカルを指す。本明細書において別段の定めのない限り、ヘテロシクリルラジカルは、縮合または架橋環系を含み得る単環式、二環式、三環式または四環式環系でもよく;ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、場合により酸化されていてもよく;窒素原子は、場合により四級化されていてもよく;ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和されていてもよい。そのようなヘテロシクリルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソチオモルホリニル、および1,1−ジオキソ−チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において別段の定めのない限り、ヘテロシクリル基は場合により置換されていてもよい。
「N−ヘテロシクリル」は、少なくとも1個の窒素を含有し、ヘテロシクリルラジカルと分子の残りの部分との結合点がヘテロシクリルラジカル中の窒素原子によるものである、上で定義したヘテロシクリルラジカルを指す。本明細書において別段の定めのない限り、N−ヘテロシクリル基は場合により置換されていてもよい。
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−RbReのラジカルを指し、式中、Rbは上で定義したアルキレン鎖であり、Reは上で定義したヘテロシクリルラジカルであり、ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合、そのヘテロシクリルは窒素原子でアルキルラジカルに結合していてもよい。本明細書において別段の定めのない限り、ヘテロシクリルアルキル基は場合により置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」は、水素原子、1〜13個の炭素原子、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子、ならびに少なくとも1個の芳香族環を含む5〜14員環系ラジカルを指す。本発明の目的のために、ヘテロアリールラジカルは、縮合または架橋環系を含み得る単環式、二環式、三環式または四環式環系でもよく;ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、場合により酸化されていてもよく;窒素原子は、場合により四級化されていてもよい。その例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル(benzooxazolyl)、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1−オキシドピリジニル、1−オキシドピリミジニル、1−オキシドピラジニル、1−オキシドピリダジニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において別段の定めのない限り、ヘテロアリール基は場合により置換されていてもよい。
「N−ヘテロアリール」は、少なくとも1個の窒素を含有し、ヘテロアリールラジカルと分子の残りの部分との結合点がヘテロアリールラジカル中の窒素原子によるものである、上で定義したヘテロアリールラジカルを指す。本明細書において別段の定めのない限り、N−ヘテロアリール基は場合により置換されていてもよい。
「ヘテロアリールアルキル」は、式−RbRfのラジカルを指し、式中、Rbは上で定義したアルキレン鎖であり、Rfは上で定義したヘテロアリールラジカルである。本明細書において別段の定めのない限り、ヘテロアリールアルキル基は場合により置換されていてもよい。
本明細書において使用する「置換」という用語は、上記の基(すなわち、アルキル、アルキレン、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル)のいずれかにおいて、少なくとも1個の水素原子が、以下のもの:F、Cl、Br、およびIなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、およびエステル基などの基中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基などの基中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、およびエナミンなどの基中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基などの基中のケイ素原子;ならびに様々な他の基中の他のヘテロ原子が挙げられるが、これらに限定されない非水素原子との結合で置き換えられていることを意味する。「置換」は、上記の基のいずれかにおいて、1個または複数の水素原子が、オキソ、カルボニル、カルボキシル、およびエステル基中の酸素;ならびにイミン、オキシム、ヒドラゾン、およびニトリルなどの基中の窒素などのヘテロ原子との高次結合(例えば、二重または三重結合)で置き換えられていることも意味する。例えば、「置換」は、上記の基のいずれかにおいて、1個または複数の水素原子が、−NRgRh、−NRgC(=O)Rh、−NRgC(=O)NRgRh、−NRgC(=O)ORh、−NRgC(=NRg)NRgRh、−NRgSO2Rh、−OC(=O)NRgRh、−ORg、−SRg、−SORg、−SO2Rg、−OSO2Rg、−SO2ORg、=NSO2Rg、および−SO2NRgRhで置き換えられていることを含む。「置換は、上記の基のいずれかにおいて、1個または複数の水素原子が、−C(=O)Rg、−C(=O)ORg、−C(=O)NRgRh、−CH2SO2Rg、−CH2SO2NRgRhで置き換えられていることも意味する。上記のうち、RgおよびRhは同じであるかまたは異なっており、独立して水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキルである。「置換」は、上記の基のいずれかにおいて、1個または複数の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル基との結合で置き換えられていることをさらに意味する。さらに、前述の各置換基は、場合により上記置換基の1つまたは複数で置換されていてもよい。
「保護基」という用語は、本明細書において使用する場合、ヒドロキシルおよびアミノ基が挙げられるがこれらに限定されない反応性基を合成手順の間の好ましくない反応から保護することが当技術分野において公知の不安定な化学的部分を指す。保護基で保護されているヒドロキシルおよびアミノ基は、本明細書において、それぞれ「保護されたヒドロキシル基」および「保護されたアミノ基」と呼ぶ。保護基は、一般に、他の反応性部位での反応の間に各部位を保護するために選択的および/または直交的に使用され、次いで、保護されていない基をそのまま、またはさらなる反応で使用できるように残すために除去することができる。当技術分野において公知の保護基は、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年)で全般的に記載されている。各基は、本発明のアミノグリコシドに選択的に前駆体として組み込むことができる。例えば、アミノ基は、合成の所望の時点でアミノ基に化学的に変換することができるアジド基として本発明の化合物中に配置することができる。一般に、各基は保護されているか、または、適切な時期にそれらの最終的な基へ変換するために親分子の他の領域を修飾する反応に対して不活性な前駆体として存在している。さらなる代表的な保護または前駆体基が、Agrawalら、Protocols for Oligonucleotide Conjugates、Eds、Humana Press;New Jersey、1994年;26巻1〜72頁で論じられている。「ヒドロキシル保護基」の例としては、t−ブチル、t−ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、2−トリメチルシリルエチル、p−クロロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p−ニトロベンジル、トリフェニルメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリフェニルシリル、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、ピバロエート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、9−フルオレニルメチルカーボネート、メシレートおよびトシレートが挙げられるが、これらに限定されない。「アミノ保護基」の例としては、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エトキシカルボニル(Bpoc)、t−ブトキシカルボニル(BOC)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)などのカルバメート保護基;ホルミル、アセチル、トリハロアセチル、ベンゾイル、およびニトロフェニルアセチルなどのアミド保護基;2−ニトロベンゼンスルホニルなどのスルホンアミド保護基;ならびにフタルイミドおよびジチアスクシノイルなどのイミンおよび環状イミド保護基が挙げられるが、これらに限定されない。
「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、または加溶媒分解により本発明の生物活性化合物に変換することができる化合物を示すことを意図したものである。したがって、「プロドラッグ」という用語は、本発明の化合物の薬学的に許容される代謝前駆体を指す。プロドラッグは、それを必要としている対象に投与したときには不活性でもよいが、in vivoで本発明の活性化合物に変換される。プロドラッグは、一般に、in vivoで、例えば、血液中での加水分解により急速に転換されて本発明の親化合物を生じる。プロドラッグ化合物により、哺乳類生物における溶解度、組織適合性または遅延放出という利点がもたらされる場合が多い(Bundgard,H.、Design of Prodrugs(1985年)、7〜9頁、21〜24巻(Elsevier、Amsterdam)を参照せよ)。プロドラッグの議論は、Higuchi,T.ら、A.C.S. Symposium Series、14巻、およびBioreversible Carriers in Drug Design、Ed. Edward B. Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年で示されている。
「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが哺乳類の対象に投与されたときにin vivoで本発明の活性化合物を放出する任意の共有結合担体を含むことも意図したものである。本発明の化合物のプロドラッグは、所定の操作またはin vivoで修飾が切断されるように本発明の化合物中に存在する官能基を修飾して本発明の親化合物とすることにより、調製することができる。プロドラッグとしては、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基が任意の基に結合している本発明の化合物であって、該任意の基が、本発明の化合物のプロドラッグが哺乳類の対象に投与されると切断してそれぞれ遊離ヒドロキシ、遊離アミノまたは遊離メルカプト基を形成する化合物が挙げられる。プロドラッグの例としては、本発明の化合物中のアルコールのアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体またはアミン官能基のアミド誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示の発明は、異なる原子質量または質量数を有する原子で1個または複数の原子が置き換えられていることにより同位体標識されている全ての薬学的に許容される構造(I)の化合物を包含することも意図したものである。開示している化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iなどが挙げられる。これらの放射標識化合物は、例えば、作用の部位もしくは様式、または薬理学的に重要な作用部位への結合親和性を特徴付けることにより該化合物の有効性の判定または測定を促進するのに有用であり得る。特定の構造(I)の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、3H、および炭素14、すなわち、14Cは、それらの組み込みやすさおよび検出しやすさの観点から、この目的にとって特に有用である。
ジュウテリウム、すなわち、2Hなどのより重い同位体による置換は、代謝安定性の増大、例えば、in vivo半減期の増大または必要用量の低減から生じる特定の治療上の利点をもたらす可能性があり、それ故、状況次第で好ましい場合がある。
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質の受容体占拠率を試験するための陽電子放出トポグラフィー(PET)研究において有用であり得る。構造(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来の技術により、または以下に示している調製および実施例の項に記載のものと類似のプロセスにより、以前に用いていた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して調製することができる。
本明細書に開示の発明は、開示している化合物のin vivo代謝産物を包含することも意図したものである。そのような産物は、主に酵素的プロセスに起因して、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化等から生じ得る。したがって、本発明は、その代謝産物が生じるのに十分な期にわたって本発明の化合物を哺乳動物に投与するステップを含む方法により生成される化合物を含む。そのような産物は、一般に、本発明の放射標識化合物を検出可能な投与量でラット、マウス、モルモット、サルなどの動物またはヒトに投与し、代謝が発生するのに十分な時間を取り、その変換産物を尿、血液または他の生体試料から単離することにより識別される。
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な程度の純度までの単離、および有効な治療剤への製剤化に耐えるのに十分なほど頑丈な化合物を示すことを意図したものである。
「哺乳動物」とは、ヒトならびに実験動物およびペットなどの家畜(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)、および野生動物等の非家畜の両方を含む。
「任意選択の」または「場合により」は、続いて記載する事象状況が発生してもしなくてもよいこと、ならびに該記述が前記事象または状況が発生する場合および前記事象または状況が発生しない場合を含むことを意味する。例えば、「場合により置換されたアリール」は、アリールラジカルが置換されていてもいなくてもよいこと、および該記述が置換アリールラジカルおよび置換を有さないアリールラジカルの両方を含むことを意味する。
「薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」としては、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、染料/着色剤、香味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散化剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶剤、またはヒトもしくは家畜における使用が許容されると米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)により承認されている乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
「薬学的に許容される塩」とは、酸および塩基付加塩の両方を含む。
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および性質を保持する塩を指し、それは、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられるがこれらに限定されない無機酸、ならびに酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−二硫酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、粘液酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソ−グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン−1,5−二硫酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸等が挙げられるがこれらに限定されない有機酸を用いて形成される。
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的有効性および性質を保持する塩を指し、それは、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではない。これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への付加から調製される。無機塩基に由来する塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩としては、第一級、第二級、および第三級アミン、自然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂の塩等が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい有機塩基はイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
多くの場合、結晶化により本発明の化合物の溶媒和物が得られる。本明細書において使用する場合、「溶媒和物」という用語は、1つまたは複数の本発明の化合物の分子ならびに1つまたは複数の溶媒の分子を含む凝集体を指す。溶媒は水であってもよく、その場合、その溶媒和物は水和物とすることができる。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物等を含めた水和物、ならびに対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は真の溶媒和物とすることができるが、場合によっては、本発明の化合物は、単に外来水を保持するもの、または水と多少の外来溶媒との混合物とすることができる。
「医薬組成物」は、本発明の化合物と、哺乳動物、例えば、ヒトへの生物活性化合物の送達のための当技術分野において一般に受け入れられている媒体との製剤を指す。したがって、そのような媒体としては、送達のための全ての薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
「有効量」または「治療有効量」は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与したときに、以下に定義の、哺乳動物、好ましくはヒトにおける細菌性感染の治療を実施するのに十分な本発明の化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する本発明の化合物の量は、化合物、状態およびその重症度、投与方法、および治療される哺乳動物の年齢に応じて変動するが、当業者が当業者自身の知識および本開示を考慮すれば通常通りに求めることができる。
本明細書において使用する場合、「〜を治療する」または「治療」とは、目的とする疾患または状態を有する哺乳動物、好ましくはヒトにおける目的とする疾患または状態の治療を包含し、
(i)哺乳動物における該疾患または状態の発生を、特に、そのような哺乳動物がその状態に対する素因を有するがその状態を有すると未だ診断されていない場合に予防すること、
(ii)該疾患または状態を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、
(iii)該疾患または状態を緩和すること、すなわち、疾患または状態の後退を引き起こすこと、あるいは
(iv)該疾患または状態に起因する症状を緩和すること、すなわち、根底にある疾患または状態に対処することなく痛みを緩和すること
を含む。本明細書において使用する場合、「疾患」および「状態」という用語は、互換的に使用してもよく、または特定の病もしくは状態が公知の原因物質を有さない(つまり、病因が未だに解明されていない)可能性があり、したがって、未だに疾患として認識されていないが、望ましくない状態もしくは症候群としては認識されており、多かれ少なかれ特定の症状群が臨床医により識別されているという点で異なっていてもよい。
(i)哺乳動物における該疾患または状態の発生を、特に、そのような哺乳動物がその状態に対する素因を有するがその状態を有すると未だ診断されていない場合に予防すること、
(ii)該疾患または状態を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、
(iii)該疾患または状態を緩和すること、すなわち、疾患または状態の後退を引き起こすこと、あるいは
(iv)該疾患または状態に起因する症状を緩和すること、すなわち、根底にある疾患または状態に対処することなく痛みを緩和すること
を含む。本明細書において使用する場合、「疾患」および「状態」という用語は、互換的に使用してもよく、または特定の病もしくは状態が公知の原因物質を有さない(つまり、病因が未だに解明されていない)可能性があり、したがって、未だに疾患として認識されていないが、望ましくない状態もしくは症候群としては認識されており、多かれ少なかれ特定の症状群が臨床医により識別されているという点で異なっていてもよい。
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、1個または複数の不斉中心を含有することができ、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、およびアミノ酸については絶対立体化学の観点から(R)−もしくは(S)−として、または(D)−もしくは(L)−として定義することができる他の立体異性形態を生じ得る。本発明は、全てのそのような考えられる異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことを意図したものである。光学的に活性な(+)および(−)、(R)および(S)、または(D)および(L)異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製したものか、または従来の技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化を使用して分割したものとすることができる。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来の技術としては、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ化合物(または塩もしくは誘導体のラセミ化合物)の分割が挙げられる。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何学的不斉中心を含有する場合、別段の定めのない限り、該化合物がEおよびZ幾何異性体の両方を含むことを意図している。同様に、全ての互変異性形態を含むことも意図したものである。
「立体異性体」は、同じ結合により結合されている同じ原子で構成されているが、異なる3次元構造を有する互換性ではない化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体およびその混合物を企図しており、その分子が互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す「エナンチオマー」を含む。
「互変異性体」は、ある分子の1個の原子から同じ分子の別の原子へのプロトン移動を指す。本発明は、任意の前記化合物の互変異性体を含む。
上述の通り、本発明の一実施形態において、以下の構造(I):
またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
Q1は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
Q2は、
Q5は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
各R1およびR2は、独立して、水素またはアミノ保護基であり、
各R3は、独立して、水素またはヒドロキシル保護基であり、
各R4およびR5は、独立して、水素、または場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R6は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR4およびR5は、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR5および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができ、
各nは、独立して、0〜4の整数であり、
各Z1およびZ2は、独立して、水素または−OR3であり、
(i)Z1およびZ2の少なくとも一方はHであり、(ii)R4およびR5の少なくとも一方は置換C1〜C6アルキルであるか、または少なくとも一方のR6はハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノであり、(iii)Z1およびZ2が結合している2つの隣接する−CH−基は、場合により、二重結合を形成し得る。
さらなる実施形態において、各R1、R2およびR3は水素である。
さらなる実施形態において、Q5はアミノである。
他のさらなる実施形態において、Q5はヒドロキシルである。
さらなる実施形態において、Q1はアミノである。
他のさらなる実施形態において、Q1はヒドロキシルである。
さらなる実施形態において、Z1およびZ2はいずれも水素である。
他のさらなる実施形態において、Z1はヒドロキシルでありZ2が水素である。
他のさらなる実施形態において、Z1は水素でありZ2がヒドロキシルである。
さらなる実施形態において、Q2は、
式中、R4は水素であり、R5は水素であり、少なくとも一方のR6はハロゲンであり、nは1〜4の整数である。例えば、前述のより具体的な実施形態において、Q2は、
式中、各R6はハロゲン(例えば、フルオロなど)である。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R4は水素であり、R5は水素であり、少なくとも一方のR6はヒドロキシルであり、nは1〜4の整数である。例えば、前述のより具体的な実施形態において、Q2は、
他の実施形態において、Q2は、
式中、R4は水素であり、R5および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成し、少なくとも一方のR6はハロゲンであり、nは1〜4の整数である。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R4およびR5は、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成し、少なくとも一方のR6はハロゲンであり、nは1〜4の整数である。
他の実施形態において、Q2は、
式中、R5は水素であり、R4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成し、少なくとも一方のR6はハロゲンであり、nは1〜4の整数である。
他の実施形態において、Q2は、
さらなる実施形態において、前述の構造(I)の化合物は、以下の立体配置:
さらなる実施形態において、Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子は二重結合を形成する。
他のさらなる実施形態において、Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子は単結合を形成する。
やはり上述したように、本発明の別の実施形態において、以下の構造(I):
またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
Q1は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
Q2は、場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アミノで置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキルまたは場合により置換されたヘテロシクリルであり、
各R1およびR2は、独立して、水素またはアミノ保護基であり、
各R3は、独立して、水素またはヒドロキシル保護基であり、
各R4、R5、R7およびR8は、独立して、水素、または場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R6は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR4およびR5は、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR5および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができるか、またはR7およびR8は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができ、
各R9は、独立して、水素、ヒドロキシル、アミノまたは場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R10は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであり、
各R11は、独立して、水素、ハロゲン、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR9および一方のR11は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR11は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができ、
各nは、独立して、0〜4の整数であり、
各pは、独立して、1〜4の整数であり、
各Z1およびZ2は、独立して、水素または−OR3であり、
(i)Z1およびZ2の少なくとも一方はHであり、(ii)Z1およびZ2が結合している2つの隣接する−CH−基は、場合により、二重結合を形成し得る。
さらなる実施形態において、各R1、R2およびR3は水素である。
さらなる実施形態において、Q5はアミノである。
他のさらなる実施形態において、Q5はヒドロキシルである。
さらなる実施形態において、Q1はアミノである。
他のさらなる実施形態において、Q1はヒドロキシルである。
さらなる実施形態において、Z1およびZ2はいずれも水素である。
他のさらなる実施形態において、Z1はヒドロキシルでありZ2が水素である。
他のさらなる実施形態において、Z1は水素でありZ2がヒドロキシルである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R4は水素であり、R7は水素であり、R8は水素であり、nは1〜4の整数である。さらなる実施形態において、各R6は水素である。例えば、前述のより具体的な実施形態において、Q2は、
他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR6はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成し、R7は水素であり、R8は水素であり、nは1〜4の整数である。例えば、前述のより具体的な実施形態において、Q2は、
他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR6はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、各R5は水素である。さらなる実施形態において、各R6は水素である。例えば、前述のより具体的な実施形態において、Q2は、
他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR6はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R7は水素であり、R8は水素である。さらなる実施形態において、各R6は水素である。例えば、前述のより具体的な実施形態において、Q2は、
他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR6はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R5は水素である。さらなる実施形態において、各R6は水素である。他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR6はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R7は水素であり、R8は水素である。さらなる実施形態において、各R6は水素である。他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR6はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R5は水素である。さらなる実施形態において、各R6は水素である。他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR6はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R9は水素である。さらなる実施形態において、各R11は水素である。他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR11はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R7は水素であり、R8は水素である。さらなる実施形態において、各R10は水素である。他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR10はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
式中、R4は水素である。さらなる実施形態において、各R11は水素である。他のさらなる実施形態において、少なくとも一方のR11はハロゲンである。
他のさらなる実施形態において、Q2は、
他のさらなる実施形態において、Q2は、場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アミノで置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキルまたは場合により置換されたヘテロシクリルである。例えば、前述のより具体的な実施形態において、Q2は非置換またはQ2は1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されている。
さらなる実施形態において、前述の構造(I)の化合物は、以下の立体配置:
さらなる実施形態において、Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子は二重結合を形成する。
他のさらなる実施形態において、Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子は単結合を形成する。
当然のことながら、上記の構造(I)の化合物の任意の実施形態、ならびに、上記の構造(I)の化合物中のQ1、Q2、Q5、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、Z1およびZ2基に関して本明細書において示している任意の特定の置換基を、構造(I)の化合物の他の実施形態および/または置換基と独立に組み合わせて、上で具体的に示していない本発明の実施形態を形成することができる。さらに、特定の実施形態および/または請求項中の任意の特定のQ1、Q2、Q5、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、Z1およびZ2に関して置換基の一覧を列挙している場合、当然のことながら、個々の置換基は特定の実施形態および/または請求項から削除してもよく、残りの置換基の一覧を本発明の範囲内に入るものと見なす。
投与の目的のために、本発明の化合物は、未加工の化学物質として投与してもよく、または医薬組成物として製剤化してもよい。本発明の医薬組成物は、構造(I)の化合物および薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。構造(I)の化合物は、目的とする特定の疾患または状態を治療するのに効果的な量で、すなわち、細菌性感染を治療するのに十分な量で、好ましくは患者に対する毒性が許容される量で該組成物中に存在する。構造(I)の化合物の抗菌活性は、例えば、以下の実施例に記載の通りに当業者が求めることができる。適切な濃度および用量は、当業者が容易に求めることができる。
本発明の化合物は、広範なグラム陽性およびグラム陰性細菌、ならびに腸内細菌および嫌気細菌に対する抗菌活性を持つ。代表的な感受性生物としては、一般に、本発明の化合物によりその増殖を阻害することができるグラム陽性およびグラム陰性、好気性および嫌気性の生物、例えば、Staphylococcus、Lactobacillus、Streptococcus、Sarcina、Escherichia、Enterobacter、Klebsiella、Pseudomonas、Acinetobacter、Mycobacterium、Proteus、Campylobacter、Citrobacter、Nisseria、Baccillus、Bacteroides、Peptococcus、Clostridium、Salmonella、Shigella、Serratia、Haemophilus、Brucella、Francisella、Anthracis、Yersinia、Corynebacterium、Moraxella、Enterococcus、および他の生物などが挙げられる。
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の、純粋な形態または適切な医薬組成物での投与は、同様の効用を有する薬剤の受け入れられている投与の様式のいずれかを介して実施することができる。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を適切な薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と合わせることにより調製することができ、固形、半固形、液状またはガス状の調製物、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、溶液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア剤、およびエアゾール剤などに製剤化することができる。そのような医薬組成物の投与の一般的経路としては、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、直腸、腟内、および鼻腔内が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において使用する場合、非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術を含む。本発明の医薬組成物は、その中に含有されている活性成分が該組成物の患者への投与時に生体内利用可能となるように製剤化する。対象または患者に投与される組成物は、1種または複数の投与単位の形態を取り、例えば、錠剤は単回投与単位としてもよく、エアゾール形態の本発明の化合物の容器は複数の投与単位を保持してもよい。そのような剤形の実際の調製方法は公知であるか、または当業者には明らかとなろう。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science、2000年)を参照せよ。投与される組成物は、いずれの場合も、本発明の教示に従った目的とする疾患または状態の治療のための治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有する。
本発明の医薬組成物は、固形または液状とすることができる。一態様において、担体(複数可)は粒状であり、そのため、該組成物は、例えば、錠剤または粉末形態である。担体(複数可)は液体でもよく、該組成物は、例えば、経口シロップ剤、注射用液体剤またはエアゾール剤であり、エアゾール剤は、例えば、吸入投与において有用である。
経口投与を意図した場合、本発明の医薬組成物は、一般に、固形または液状であり、半固形、半液状、懸濁液およびゲル状のものは、本明細書において固形または液状と見なす形態に含まれる。
経口投与用の固形組成物として、医薬組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、ウェーファー剤等の形態に製剤化することができる。そのような固形組成物は、一般に、1種または複数の不活性な希釈剤または食用担体を含有する。さらに、以下のもの:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、ガムトラガカントまたはゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトースまたはデキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、Primogel、トウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;ハッカ、サリチル酸メチルまたはオレンジ風味料などの香味剤;および着色剤の1種または複数が存在し得る。
医薬組成物がカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態である場合、それは、上記タイプの物質の他に、ポリエチレングリコールまたは油などの液状担体を含有し得る。
本発明の医薬組成物は、液体剤、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤または懸濁剤の形態とすることができる。液体剤は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用とすることができる。経口投与を意図した場合、本発明の医薬組成物は、一般に、本化合物の他に、甘味剤、保存剤、染料/着色剤および香味増強剤の1種または複数を含有する。注射による投与を意図した組成物は、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散化剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤および等張化剤の1種または複数を含むことができる。
本発明の液体医薬組成物は、それらが溶液剤、懸濁剤または他の同様の形態であれ、以下のアジュバント:注射用水、食塩水、好ましくは生理学的食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム液などの滅菌希釈剤、溶媒または懸濁媒として作用し得る合成モノまたはジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張化用の薬剤の1種または複数を含み得る。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨ての注入器または多回投与バイアルに封入することができる。生理学的食塩水が好ましいアジュバントである。注射用医薬組成物は、滅菌されていることが好ましい。
非経口または経口投与向けの本発明の液体医薬組成物は、好適な用量が得られるような量の本発明の化合物を含有すべきである。
本発明の医薬組成物は、局所投与向けとすることができ、その場合、担体は、溶液、エマルション、軟膏またはゲル基剤を適切に含み得る。該基剤は、例えば、以下のもの:ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツロウ、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定剤の1種または複数を含み得る。局所投与用の医薬組成物中には増粘剤が存在し得る。経皮投与向けである場合、該組成物は、経皮パッチまたはイオントフォレシス装置を含み得る。
本発明の医薬組成物は、例えば、直腸で溶解して薬物を放出する坐剤の形態の直腸投与向けとすることができる。直腸投与用の組成物は、好適な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有し得る。そのような基剤としては、ラノリン、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、固形または液状の投与単位の物理的形態を変更する様々な物質を含み得る。例えば、該組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する物質を含み得る。コーティングシェルを形成する物質は、一般に不活性であり、例えば、糖、セラック、および他の腸溶コーティング剤から選択することができる。あるいは、活性成分は、ゼラチンカプセルで包んでもよい。
固形または液状の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合して該化合物の送達を促進する薬剤を含み得る。この立場で作用する好適な薬剤としては、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、タンパク質またはリポソームが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、エアゾール剤として投与することができる投与単位で調製することができる。エアゾールという用語は、コロイド状の性質のものから加圧パッケージからなる系に及ぶ範囲の様々な系を示すのに使用する。送達は、液化もしくは圧縮ガスによるもの、または活性成分を計量分配する好適なポンプシステムによるものとすることができる。本発明の化合物のエアゾール剤は、活性成分(複数可)を送達するために単相、二相、または三相系で送達することができる。エアゾール剤の送達は、必要な容器、活性化剤、バルブ、補助容器等を含み、それらが一緒になってキットを形成する。当業者は、過度な実験を行うことなく好ましいエアゾール剤を求めることができる。
本発明の医薬組成物は、医薬品業界で周知の方法論により調製することができる。例えば、注射による投与を意図した医薬組成物は、本発明の化合物を滅菌蒸留水と合わせて溶液を形成することにより調製することができる。界面活性剤を添加して均一な溶液または懸濁液の形成を促進することができる。界面活性剤は、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用して該化合物の水性送達系における溶解または均一な懸濁を促進する化合物である。
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、治療有効量で投与され、該量は、用いる特定の化合物の活性;該化合物の代謝安定性および作用の長さ;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食事;投与の様式および時間;排出の速度;薬物の併用;特定の障害または状態の重症度;ならびに治療を受ける対象を含めた様々な要因に応じて変動する。
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される誘導体は、1種または複数の他の治療剤の投与と同時、その前、または後に投与することもできる。そのような併用療法は、本発明の化合物および1種または複数の追加の活性薬剤を含有する単一の医薬剤形製剤の投与、ならびに本発明の化合物および各活性薬剤のそれぞれ別個の医薬剤形製剤での投与を含む。例えば、本発明の化合物およびその他の活性薬剤は、錠剤またはカプセル剤などの単一の経口投与組成物で患者に一緒に投与してもよく、または各薬剤を別個の経口剤形製剤で投与してもよい。別個の剤形製剤を使用する場合、本発明の化合物および1種または複数の追加の活性薬剤は、本質的に同じ時間に、すなわち、同時に、または別個に時間をずらして、すなわち、順次投与することができる。併用療法は全てのこれらのレジメンを含むことが理解されている。
当然のことながら、本記述において、示した式の置換基および/または変数の組合せは、そのような寄与により安定な化合物が生じる場合にのみ許容されるものである。
本明細書に記載の合成プロセスにおいて中間化合物の官能基を好適な保護基により保護する必要があり得ることも当業者に理解されよう。そのような官能基としては、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびカルボン酸が挙げられる。上記の通り、ヒドロキシに好適な保護基としては、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル等が挙げられ、アミノ、アミジノおよびグアニジノに好適な保護基としては、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。メルカプトに好適な保護基としては、−C(O)−R”(式中、R”はアルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p−メトキシベンジル、トリチル等が挙げられる。カルボン酸に好適な保護基としては、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知の標準的技術に従って、および本明細書に記載の通りに付加または除去することができる。保護基の使用は、Green,T.W.およびP.G.M. Wutz、Protective Groups in Organic Synthesis(1999年)、第3版、Wileyに詳細に記載されている。当業者に理解されるように、保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂または2−クロロトリチル−クロリド樹脂などのポリマー樹脂とすることもできる。
本発明の化合物の保護された誘導体それ自体は薬理学的活性を持っていなくてもよいが、それらは、哺乳動物に投与されると、体内で代謝されて薬理学的に活性な本発明の化合物を形成できることも当業者に理解されよう。したがって、そのような誘導体は、「プロドラッグ」と記述することができる。本発明の化合物の全てのプロドラッグは本発明の範囲内に含まれる。
さらに、遊離塩基または酸の形態で存在する本発明の化合物は、当業者に公知の方法により適切な無機または有機塩基または酸を用いた処理により、それらの薬学的に許容される塩に変換することができる。本発明の化合物の塩は、標準的技術によりそれらの遊離塩基または酸の形態に変換することができる。
以下の実施例は、本発明の化合物、すなわち、構造(I):
以下の実施例において例示している通り、本発明の化合物は、以下の構造(INT−I):
式中、
各R1は、独立して、アミノ保護基であり、
各R3は、独立して、ヒドロキシル保護基であり、
各Aは、独立して、1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アミノで場合により置換されたフェニル、または場合により1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで置換されたC1〜C6アルキルである。
前述のより具体的な実施形態において、中間化合物は、例えば:
構造(INT−I)の中間化合物が3’位でのネオマイシン誘導体の選択的修飾に有用であることが分かった。
以下の実施例は、限定ではなく例示の目的のために示すものである。
一般的合成スキーム
スキーム1
N−1置換3’,4’−ジデオキシネオマイシン類似体
スキーム1
N−1置換3’,4’−ジデオキシネオマイシン類似体
N−1置換3’−デオキシネオマイシン類似体
N−1置換4’−デオキシネオマイシン類似体
N−1アシル化
N−1エポキシド開環
N−1スルホニル化
N−1還元的アミノ化
代表的N−1カップリング試薬
手順1:還元的アミノ化
方法A:撹拌中のアミノグリコシド誘導体(0.06mmol)のMeOH(2mL)溶液にアルデヒド(0.068mmol)、シリカ担持シアノボロヒドリド(0.1g、1.0mmol/g)を添加し、反応混合物をマイクロ波照射により100℃(100ワット出力)まで15分間加熱した。反応が完了したかどうかMSによりチェックし、完了した時点で、全ての溶媒を回転蒸発により除去した。得られた残渣をEtOAc(20ml)に溶解し、5%のNaHCO3(2×5mL)で洗浄し、その後、ブライン(5mL)で洗浄した。次いで、有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を回転蒸発により除去した。
方法B:アミノグリコシド誘導体(0.078mmol)のDMF(1ml)溶液に3Åのモレキュラーシーブ(15〜20)を添加し、その後、アルデヒド(0.15mmol)を添加し、反応液を2.5時間振盪した。反応が完了したかどうかMSによりチェックし、必要に応じて、より多くのアルデヒド(0.5当量)を添加した。次いで、反応混合物を撹拌中のNaBH4(0.78mmol)のMeOH(2mL)溶液に0℃で一滴ずつ添加し、反応液を1時間撹拌した。反応液をH2O(2mL)およびEtOAc(2ml)で希釈した。有機層を分離し、水性層をEtOAc(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
手順2:Boc脱保護(これらの条件下でtert−ブチルジメチルシリル保護基を除去する)
重要:Boc脱保護の前に高真空で3時間のポンピングにより試料をよく乾燥しなければならない。
重要:Boc脱保護の前に高真空で3時間のポンピングにより試料をよく乾燥しなければならない。
方法A:撹拌中のBoc保護されたアミノグリコシド(0.054mmol)のDCMまたはMeOH(1mL)溶液に3Åのモレキュラーシーブ(4〜6)、およびトリフルオロ酢酸(0.6mL)を添加した。反応液を室温で1時間撹拌し、MSにより完了したかどうかチェックした。完了した時点で、反応混合物をエーテル(15mL)で希釈して沈殿を誘発した。バイアルを遠心分離し、上澄みをデカントした。沈殿物をエーテル(2×15ml)で洗浄し、デカントし、真空下で乾燥した。
手順3:PyBOPカップリング
撹拌中のアミノグリコシド誘導体(0.078mmol)のDMF(1mL)溶液に−40℃で酸(0.16mmol)を添加し、その後、PyBOP(0.16mmol)およびDIPEA(0.31mmol)を添加し、反応液を撹拌した。反応混合物をEtOAc(3mL)およびH2O(3mL)で希釈し、水性層を分離し、EtOAc(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
撹拌中のアミノグリコシド誘導体(0.078mmol)のDMF(1mL)溶液に−40℃で酸(0.16mmol)を添加し、その後、PyBOP(0.16mmol)およびDIPEA(0.31mmol)を添加し、反応液を撹拌した。反応混合物をEtOAc(3mL)およびH2O(3mL)で希釈し、水性層を分離し、EtOAc(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
手順4:エポキシド開環
撹拌中のアミノグリコシド誘導体(0.06mmol)のMeOH(2mL)溶液にエポキシド(0.07mmol)、LiClO4(0.15mmol)を添加し、反応混合物をマイクロ波照射により100℃まで90分間加熱した。反応の進展をMSによりモニターした。完了した時点で、溶媒を回転蒸発により除去した。得られた残渣をEtOAc(20mL)に溶解し、H2O(2×5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
撹拌中のアミノグリコシド誘導体(0.06mmol)のMeOH(2mL)溶液にエポキシド(0.07mmol)、LiClO4(0.15mmol)を添加し、反応混合物をマイクロ波照射により100℃まで90分間加熱した。反応の進展をMSによりモニターした。完了した時点で、溶媒を回転蒸発により除去した。得られた残渣をEtOAc(20mL)に溶解し、H2O(2×5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
手順5:フタルイミド脱保護
撹拌中のフタルイミド保護されたアミノグリコシド(0.064mmol)のEtOH(3mL)溶液にヒドラジン(0.32mmol)を添加し、反応混合物を2時間加熱還流した。反応の進展をMSによりモニターした。室温まで冷却すると、環状副生成物が沈殿し、それを濾過により除去した。濾液を濃縮乾固して残渣を得、それをEtOAc(20mL)に溶解し、5%のNaHCO3(2×5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
撹拌中のフタルイミド保護されたアミノグリコシド(0.064mmol)のEtOH(3mL)溶液にヒドラジン(0.32mmol)を添加し、反応混合物を2時間加熱還流した。反応の進展をMSによりモニターした。室温まで冷却すると、環状副生成物が沈殿し、それを濾過により除去した。濾液を濃縮乾固して残渣を得、それをEtOAc(20mL)に溶解し、5%のNaHCO3(2×5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
手順6:スルホニル化
撹拌中のアミノグリコシド(0.067mmol)のDCM(3mL)溶液にDIPEA(0.128mol)および塩化スルホニル(0.07mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌し、その進展をMSによりモニターした。完了した時点で、溶媒を回転蒸発により除去し、残渣を酢酸エチル(20mL)に溶解し、5%のNaHCO3(2×5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
撹拌中のアミノグリコシド(0.067mmol)のDCM(3mL)溶液にDIPEA(0.128mol)および塩化スルホニル(0.07mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌し、その進展をMSによりモニターした。完了した時点で、溶媒を回転蒸発により除去し、残渣を酢酸エチル(20mL)に溶解し、5%のNaHCO3(2×5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
手順7:N−Boc保護
撹拌中のアミン(4.64mmol)のTHF(10mL)溶液に1NのNaOH(10mL)を添加し、その後、Boc無水物(5.57mmol)を添加し、反応の進展をMSによりチェックした。完了した時点で、THFを回転蒸発により除去し、水(40mL)を添加した。水性相を分離し、Et2O(2×30ml)で抽出した。希H3PO4の添加により水性相をpH3まで酸性化し、次いで、EtOAc(2×60ml)で抽出した。合わせた有機層をH2O(2×30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
撹拌中のアミン(4.64mmol)のTHF(10mL)溶液に1NのNaOH(10mL)を添加し、その後、Boc無水物(5.57mmol)を添加し、反応の進展をMSによりチェックした。完了した時点で、THFを回転蒸発により除去し、水(40mL)を添加した。水性相を分離し、Et2O(2×30ml)で抽出した。希H3PO4の添加により水性相をpH3まで酸性化し、次いで、EtOAc(2×60ml)で抽出した。合わせた有機層をH2O(2×30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
手順8:エポキシドの合成
撹拌中のアルケン(5.16mmol)のクロロホルム(20mL)溶液に0℃でm−クロロ安息香酸(8.0mmol)を添加し、反応混合物を30分間0℃で撹拌し、次いで、室温まで昇温させた。反応の進展をMSおよびTLCによりモニターし、m−CPBAの追加の部分を必要に応じて添加した。完了した時点で、反応混合物をクロロホルム(50mL)で希釈し、10%のNa2SO3水溶液(2×30mL)、10%のNaHCO3水溶液(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル0〜25%)により精製した。
撹拌中のアルケン(5.16mmol)のクロロホルム(20mL)溶液に0℃でm−クロロ安息香酸(8.0mmol)を添加し、反応混合物を30分間0℃で撹拌し、次いで、室温まで昇温させた。反応の進展をMSおよびTLCによりモニターし、m−CPBAの追加の部分を必要に応じて添加した。完了した時点で、反応混合物をクロロホルム(50mL)で希釈し、10%のNa2SO3水溶液(2×30mL)、10%のNaHCO3水溶液(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル0〜25%)により精製した。
手順9:α−ヒドロキシカルボン酸の合成の一般的手順
ステップ#1. O−(トリメチルシリル)シアノヒドリン:磁気撹拌子および乾燥管を備えた50mLのフラスコにケトンまたはアルデヒド(0.010mmol)を投入し、その後、THF(50mL)、シアン化トリメチルシリル(1.39g、14mmol)、およびヨウ化亜鉛(0.090g、0.28mmol)を投入し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒蒸発により残渣を得、それをEtOAc(60mL)に溶解し、5%のNaHCO3水溶液(2×30mL)、H2O(30mL)、およびブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して粗生成物を得、それをさらに精製することなく次のステップに持ち越した。
ステップ#1. O−(トリメチルシリル)シアノヒドリン:磁気撹拌子および乾燥管を備えた50mLのフラスコにケトンまたはアルデヒド(0.010mmol)を投入し、その後、THF(50mL)、シアン化トリメチルシリル(1.39g、14mmol)、およびヨウ化亜鉛(0.090g、0.28mmol)を投入し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒蒸発により残渣を得、それをEtOAc(60mL)に溶解し、5%のNaHCO3水溶液(2×30mL)、H2O(30mL)、およびブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して粗生成物を得、それをさらに精製することなく次のステップに持ち越した。
ステップ#2. α−ヒドロキシカルボン酸への酸加水分解:AcOH(25ml)および濃HCl(25ml)をステップ#1の未精製物質に添加し、反応混合物を2〜3時間還流した。次いで、反応混合物を濃縮乾固して白色の固形物を得、それをさらに精製することなく次のステップに持ち越した。
ステップ#3. Boc保護:撹拌中のステップ#2の固形の2MのNaOH(20mL)およびi−PrOH(20mL)溶液に0℃でBoc2O(6.6g、3mmol)を少量ずつ添加し、反応混合物を4時間にわたって室温まで昇温させた。次いで、i−PrOHを蒸発し、H2O(50mL)を添加し、水性相を分離し、Et2O(2×30ml)で抽出した。希H3PO4の添加により水性層をpH3まで酸性化し、EtOAc(2×60ml)で抽出した。合わせた有機層をH2O(2×30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して所望のN−Boc−α−ヒドロキシカルボン酸を収率56〜72%で得た。
手順10:Fmoc基によるアミンの保護
撹拌中のアミン(0.049mol)のDCM(100mL)溶液にDIPEA(16mL、0.099mol)を添加し、反応混合物を0℃まで冷却した。次いで、Fmoc−Cl(12.8g、0.049mol)を数分にわたって少量ずつ添加し、反応液を室温まで2時間昇温させた。有機層を水(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固してFmoc保護されたアミンを得た(収率90〜95%)。
撹拌中のアミン(0.049mol)のDCM(100mL)溶液にDIPEA(16mL、0.099mol)を添加し、反応混合物を0℃まで冷却した。次いで、Fmoc−Cl(12.8g、0.049mol)を数分にわたって少量ずつ添加し、反応液を室温まで2時間昇温させた。有機層を水(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固してFmoc保護されたアミンを得た(収率90〜95%)。
手順11:TEMPO/漂白剤による酸化を介したアルデヒドの合成
激しく撹拌中のアルコール(1.54mmol)のDCM(4mL)溶液にTEMPO(0.007g、0.045mmol、0.03mol%)および2MのKBr水溶液(75mL、0.15mmol、10mol%)を添加し、反応混合物を−10℃まで冷却した。別個のフラスコ中でNaHCO3(0.5g、9.5mmol)を漂白剤(25mL、Chlorox 6.0%のNaOCl)に溶解して0.78MのNaOCl緩衝液を得た。この新たに調製した0.78MのNaOCl溶液(2.3mL、1.8mmol、117mol%)を5分にわたって反応混合物に添加し、反応液を追加の30分間0℃で撹拌した。有機相を分離し、水性層をジクロロメタン(2×4mL)で抽出した。合わせた有機層を10%のNa2S2O3水溶液(4mL)、飽和NaHCO3水溶液(2×4mL)、ブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮乾固した。
激しく撹拌中のアルコール(1.54mmol)のDCM(4mL)溶液にTEMPO(0.007g、0.045mmol、0.03mol%)および2MのKBr水溶液(75mL、0.15mmol、10mol%)を添加し、反応混合物を−10℃まで冷却した。別個のフラスコ中でNaHCO3(0.5g、9.5mmol)を漂白剤(25mL、Chlorox 6.0%のNaOCl)に溶解して0.78MのNaOCl緩衝液を得た。この新たに調製した0.78MのNaOCl溶液(2.3mL、1.8mmol、117mol%)を5分にわたって反応混合物に添加し、反応液を追加の30分間0℃で撹拌した。有機相を分離し、水性層をジクロロメタン(2×4mL)で抽出した。合わせた有機層を10%のNa2S2O3水溶液(4mL)、飽和NaHCO3水溶液(2×4mL)、ブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮乾固した。
手順12:ボラン還元を介したアルコールの合成
撹拌中の酸(1.5mmol)のTHF(5mL)溶液に−10℃で1.0MのBH3−THF(2.98mL、2.98mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物をさらに3分間−10℃で激しく撹拌し、次いで、室温まで一晩昇温させた。HOAc/H2O(1:1v/v、2.0mL)の溶液を一滴ずつ添加することにより反応液をクエンチした。THFを回転蒸発により除去し、飽和NaHCO3水溶液(15mL)を添加した。水性層をDCM(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(2×5mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
撹拌中の酸(1.5mmol)のTHF(5mL)溶液に−10℃で1.0MのBH3−THF(2.98mL、2.98mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物をさらに3分間−10℃で激しく撹拌し、次いで、室温まで一晩昇温させた。HOAc/H2O(1:1v/v、2.0mL)の溶液を一滴ずつ添加することにより反応液をクエンチした。THFを回転蒸発により除去し、飽和NaHCO3水溶液(15mL)を添加した。水性層をDCM(3×5mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(2×5mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。
手順13:オゾン分解およびピニック酸化
基質オレフィン(0.5〜0.75mmol)をDCM(30mL)に溶解し、反応液を−78℃まで冷却した。オゾンを青色が持続するようになるまで(3〜5分間)吹き込み、反応液を1時間撹拌した。次いで、アルゴンを吹き込んで過剰なオゾンを10分間除去した。硫化ジメチル(10当量)の添加により反応液をさらにクエンチし、室温まで昇温させながら30分間撹拌した。溶媒を真空下で減少させて粗アルデヒドを得、それを高真空下で10分間乾燥し、さらに精製することなく使用した。撹拌中のアルデヒドのTHF、tBuOHおよびH2O(3:3:2、10mL)溶液にNaH2PO4(4当量)を添加し、その後、2−メチル−2−ブテン(10当量)および亜塩素酸ナトリウム(2当量)を添加し、反応液を4時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和NaCl水溶液(10mL)に添加し、DCM(3×)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0→0.5または1%MeOH/DCM)により精製した。
基質オレフィン(0.5〜0.75mmol)をDCM(30mL)に溶解し、反応液を−78℃まで冷却した。オゾンを青色が持続するようになるまで(3〜5分間)吹き込み、反応液を1時間撹拌した。次いで、アルゴンを吹き込んで過剰なオゾンを10分間除去した。硫化ジメチル(10当量)の添加により反応液をさらにクエンチし、室温まで昇温させながら30分間撹拌した。溶媒を真空下で減少させて粗アルデヒドを得、それを高真空下で10分間乾燥し、さらに精製することなく使用した。撹拌中のアルデヒドのTHF、tBuOHおよびH2O(3:3:2、10mL)溶液にNaH2PO4(4当量)を添加し、その後、2−メチル−2−ブテン(10当量)および亜塩素酸ナトリウム(2当量)を添加し、反応液を4時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和NaCl水溶液(10mL)に添加し、DCM(3×)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0→0.5または1%MeOH/DCM)により精製した。
手順14:PyBOPカップリング
撹拌中のアミノグリコシド誘導体(0.137mmol)のDMF(2mL)溶液に0℃で酸(0.151mmol、1.1当量)を添加し、その後、PyBOP(0.164mmol、1.2当量)およびDIPEA(0.411mmol、3当量)を添加し、完了するまで(LC−MSにより)反応液を室温まで昇温させながら撹拌した(1〜3時間)。反応混合物をAcOH(0.2mL)で希釈し、HPLCカラムに直接充填した(方法#3)。画分を回収し、1MのNH4OHで中和し、濃縮した。残渣をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて所望の生成物を得た。
撹拌中のアミノグリコシド誘導体(0.137mmol)のDMF(2mL)溶液に0℃で酸(0.151mmol、1.1当量)を添加し、その後、PyBOP(0.164mmol、1.2当量)およびDIPEA(0.411mmol、3当量)を添加し、完了するまで(LC−MSにより)反応液を室温まで昇温させながら撹拌した(1〜3時間)。反応混合物をAcOH(0.2mL)で希釈し、HPLCカラムに直接充填した(方法#3)。画分を回収し、1MのNH4OHで中和し、濃縮した。残渣をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて所望の生成物を得た。
手順15:DCCカップリング
撹拌中の酸(0.15mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(0.15mmol)のEtOAc(1.5mL)溶液にN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.15mmol)を添加し、反応混合物を1時間撹拌した。得られた白色の懸濁液を綿を通して濾過し、EtOAc(3×5mL)で洗浄し、真空下で蒸発乾固して活性化エステルを得た。撹拌中の活性化エステルのTHF(1.5mL)溶液にNaHCO3(1mmol)を添加し、その後、アミノグリコシド(0.138mmol)を添加し、反応液を24時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、DCM(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて粗生成物を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25分にわたって18mL/分で0〜100%のヘキサン/酢酸エチル)により精製した。所望の化合物を含有する画分を合わせ、in vacuoで濃縮して所望の生成物を得た。
撹拌中の酸(0.15mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(0.15mmol)のEtOAc(1.5mL)溶液にN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.15mmol)を添加し、反応混合物を1時間撹拌した。得られた白色の懸濁液を綿を通して濾過し、EtOAc(3×5mL)で洗浄し、真空下で蒸発乾固して活性化エステルを得た。撹拌中の活性化エステルのTHF(1.5mL)溶液にNaHCO3(1mmol)を添加し、その後、アミノグリコシド(0.138mmol)を添加し、反応液を24時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、DCM(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で減少させて粗生成物を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25分にわたって18mL/分で0〜100%のヘキサン/酢酸エチル)により精製した。所望の化合物を含有する画分を合わせ、in vacuoで濃縮して所望の生成物を得た。
手順16:THF中での水素化分解
撹拌中のアミノグリコシド(0.15mmol)のTHF(4mL)溶液にAcOH(108μL、1.8mmol)を添加し、その後、20%のPd(OH)2/C(140mg)を添加し、反応液を水素雰囲気下で1時間撹拌した。次いで、H2O(2mL)を添加し、反応混合物を1時間撹拌した。追加の水(2×2mL)を添加し、反応液を水素雰囲気下で一晩撹拌した。反応液を0.45μmのPVDFフィルターを通して濾過し、水(50mL)で希釈し、凍結乾燥してその酢酸塩としての生成物を得た。
撹拌中のアミノグリコシド(0.15mmol)のTHF(4mL)溶液にAcOH(108μL、1.8mmol)を添加し、その後、20%のPd(OH)2/C(140mg)を添加し、反応液を水素雰囲気下で1時間撹拌した。次いで、H2O(2mL)を添加し、反応混合物を1時間撹拌した。追加の水(2×2mL)を添加し、反応液を水素雰囲気下で一晩撹拌した。反応液を0.45μmのPVDFフィルターを通して濾過し、水(50mL)で希釈し、凍結乾燥してその酢酸塩としての生成物を得た。
手順17:AcOH/H2O(4:1)中の水素化分解
撹拌中のアミノグリコシド(0.2mmol)のAcOH:H2O(5mL、4:1v/v)溶液に20%のPd(OH)2/C(400mg)を添加し、反応液を水素雰囲気下で一晩撹拌した。反応液を0.45μmのPVDFフィルターを通して濾過し、水(50mL)で希釈し、凍結乾燥してその酢酸塩としての生成物を得た。
手順18:硫酸塩スワップ
アミノグリコシド塩(0.074mmol)のH2O(1mL)溶液に1MのNH4OH(約400μL)を添加してpHを7〜8に調整し、その後、(NH4)2SO4(0.22mmol、3当量)を添加した。得られた溶液を0.45μmのPVDFフィルターを通して濾過し、濾液を激しく撹拌中のMeOH(40mL)に滴下した。20分後、沈殿物を遠心分離により回収し、真空下で1時間乾燥した。固形物をH2O(1mL)に溶解し、MeOH(40mL)で2回沈殿させた。得られた沈殿物を遠心分離により回収し、H2O(3mL)に溶解し、凍結乾燥してその硫酸塩としての生成物を得た。
撹拌中のアミノグリコシド(0.2mmol)のAcOH:H2O(5mL、4:1v/v)溶液に20%のPd(OH)2/C(400mg)を添加し、反応液を水素雰囲気下で一晩撹拌した。反応液を0.45μmのPVDFフィルターを通して濾過し、水(50mL)で希釈し、凍結乾燥してその酢酸塩としての生成物を得た。
手順18:硫酸塩スワップ
アミノグリコシド塩(0.074mmol)のH2O(1mL)溶液に1MのNH4OH(約400μL)を添加してpHを7〜8に調整し、その後、(NH4)2SO4(0.22mmol、3当量)を添加した。得られた溶液を0.45μmのPVDFフィルターを通して濾過し、濾液を激しく撹拌中のMeOH(40mL)に滴下した。20分後、沈殿物を遠心分離により回収し、真空下で1時間乾燥した。固形物をH2O(1mL)に溶解し、MeOH(40mL)で2回沈殿させた。得られた沈殿物を遠心分離により回収し、H2O(3mL)に溶解し、凍結乾燥してその硫酸塩としての生成物を得た。
一般的精製手順
方法#1:塩基性条件による精製
移動相:
A − 10mMのNH4OHを含む水
B − 10mMのNH4OHを含むアセトニトリル
カラム:
A:Waters−XBridge Prep Shield RP18カラム
19×250mm、5μm
勾配:0%で20分間、次いで、20ml/分の流量で200分間で0〜20%
B:Waters−XBridge Prep Shield RP18カラム
50×100mm、5μm
勾配:0%で20分間、次いで、20ml/分の流量で200分間で0〜20%
方法#2:酸性条件による精製
移動相:
A − 0.1%のTFAを含む水
B − 0.1%のTFAを含むアセトニトリル
カラム:
A:Phenomenex Luna C18
21.4×250mm、10μm
勾配:0〜100%、流量25ml/分
B:Phenomenex Luna C18
50×250mm、10μm
勾配:0〜100%、流量45ml/分
方法#3:酸性条件による精製
移動相:
A − 0.1%のTFAを含む水
B − 0.1%のTFAを含むアセトニトリル
カラム:Varian Dynamax 250×41.4mm、
Microsorb 100−8 C18
勾配:70分にわたって30〜100%B、流量50ml/分
UV検出器215nm
方法#4:塩基性条件による精製
移動相:
A − 0.25MのNH4OHを含む水
B − 0.25MのNH4OHを含むアセトニトリル
カラム:Phenomemex Gemini−NX 150×21.2mm、
10μm C18 110A
勾配:20分にわたって0%B、70分にわたって0〜10%B、流量15ml/分
UV検出器215nm。
方法#1:塩基性条件による精製
移動相:
A − 10mMのNH4OHを含む水
B − 10mMのNH4OHを含むアセトニトリル
カラム:
A:Waters−XBridge Prep Shield RP18カラム
19×250mm、5μm
勾配:0%で20分間、次いで、20ml/分の流量で200分間で0〜20%
B:Waters−XBridge Prep Shield RP18カラム
50×100mm、5μm
勾配:0%で20分間、次いで、20ml/分の流量で200分間で0〜20%
方法#2:酸性条件による精製
移動相:
A − 0.1%のTFAを含む水
B − 0.1%のTFAを含むアセトニトリル
カラム:
A:Phenomenex Luna C18
21.4×250mm、10μm
勾配:0〜100%、流量25ml/分
B:Phenomenex Luna C18
50×250mm、10μm
勾配:0〜100%、流量45ml/分
方法#3:酸性条件による精製
移動相:
A − 0.1%のTFAを含む水
B − 0.1%のTFAを含むアセトニトリル
カラム:Varian Dynamax 250×41.4mm、
Microsorb 100−8 C18
勾配:70分にわたって30〜100%B、流量50ml/分
UV検出器215nm
方法#4:塩基性条件による精製
移動相:
A − 0.25MのNH4OHを含む水
B − 0.25MのNH4OHを含むアセトニトリル
カラム:Phenomemex Gemini−NX 150×21.2mm、
10μm C18 110A
勾配:20分にわたって0%B、70分にわたって0〜10%B、流量15ml/分
UV検出器215nm。
所望の化合物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥した。撹拌中のアミノグリコシド(0.02〜0.05mmol)のH2O(0.5〜1mL)溶液に1MのH2SO4をpH=1〜2まで一滴ずつ添加した。該溶液を0.45μmのPVDFフィルターを通して濾過し、濾液を激しく撹拌中のMeOH(25〜30mL)に滴下した。(沈殿物の品質を改善するために必要に応じてEt2O(10〜15mL)を添加した)。20分後、固形物を遠心分離により回収し、MeOH−Et2O(1:1v/v、10mL)で洗浄し、その後、Et2O(10mL)で洗浄した。得られた沈殿物を遠心分離により回収してその硫酸塩としての生成物を得た。
代表的中間体
N,N’−ビス−Cbz−2(S)−ヒドロキシ−4−グアニジノ−酪酸
N,N’−ビス−Cbz−2(S)−ヒドロキシ−4−グアニジノ−酪酸
ベンジル−2−(ベンゾイルオキシアミノ)エチルカルバメート
スクシンイミジルベンゾイルオキシ(2−Cbz−アミノエチル)カルバメート
N−Boc−3−アミノ−プロパナール
N−Boc−1−オキサ−6−アザスピロ[2.5]オクタン
2−(ペンタ−4−エニル)−イソインドリン−1,3−ジオン
2−(3−(オキシラン−2−イル)−プロピル)−イソインドリン−1,3−ジオン
N−Boc−1−アミノ−ブタ−3−エン
N−Boc−2−(オキシラン−2−イル)−エチルカルバメート
3−メチレン−1−メチルアミノ−シクロブタン
3−メチレン−1−N−Boc−メチルアミノ−シクロブタン
N−Boc−1−オキサスピロ[2.3]ヘキサン−5−イル−メタンアミン
N−Fmoc−4−アミノ−ブチルアルデヒドジエチルアセタール
N−Fmoc−4−アミノ−ブチルアルデヒド
3−メチレン−シクロブタンカルボン酸
N−Boc−3−メチレン−シクロブタンアミン
N−Boc−1−オキサスピロ[2.3]ヘキサン−5−アミン
N−Boc−2,2−ジメチル−3−アミノ−プロピオンアルデヒド
N−Boc−3−アミノ−3−シクロプロピルプロピオンアルデヒド
4(S)−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−N−Boc−ピロリジン−2(R)−カルボキシアルデヒド
3−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−プロパナール
2−メチル−N−Boc−2−アミノ−プロパナール
N−Boc−1−アミノ−シクロブタンカルボン酸
N−Boc−1−アミノ−シクロブチル−メタノール
N−Boc−1−アミノ−シクロブタンカルボキシアルデヒド
N,N−ジBoc−4(S)−アミノ−2(S)−メタノール−ピロリジン
N,N−ジBoc−4(S)−アミノ−ピロリジン−2(S)−カルボアルデヒド
N−Boc−1−アミノメチル−シクロプロピル−メタノール
N−Boc−1−アミノメチル−シクロプロパンカルボキシアルデヒド
N−Boc−1−アミノ−シクロプロピル−メタノール
N−Boc−1−アミノ−シクロプロパンカルボキシアルデヒド
N−Boc−1(R)−アミノ−2(S)−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−シクロペンタン−4(S)−カルボン酸
N−Boc−1(R)−アミノ−2(S)−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−4(S)−ヒドロキシメチル−シクロペンタン
N−Boc−1(R)−アミノ−2(S)−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−シクロペンタン−4(S)−カルボキシアルデヒド
tert−ブチル−2−(N−Boc−3−ヒドロキシ−アゼチジン−3−イル)アセテート
2−(N−Boc−3−ヒドロキシ−アゼチジン−3−イル)−酢酸
N−Boc−3−(2−ヒドロキシ−エチル)−アゼチジン−3−オール
2−(N−Boc−3−ヒドロキシ−アゼチジン−3−イル)−アセトアルデヒド
N−Boc−3−ヒドロキシメチル−アゼチジン
N−Boc−アゼチジン−3−カルボキシアルデヒド
(2R,3R)−4−アジド−2−ベンジルオキシ−3−フルオロブタン酸(5)の合成
撹拌中のエポキシド(1)のTHF(100mL)溶液にアルゴン雰囲気下でテトラブチルアンモニウムヨージド(2.2g、5.96mmol)を添加し、その後、臭化ベンジル(8.6mL、71.9mmol)を添加し、反応液を−15℃まで冷却した。水素化ナトリウム(鉱油中で60%、2.65g、66.1mmol)を少量ずつ添加し、反応液を室温まで昇温させながら一晩撹拌した。反応液をMeOHでクエンチし、Celiteを通して濾過し、Et2Oで洗浄した。溶媒除去により油状残渣を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5→10%のEt2O/ヘキサン)により精製して(2S,3R)−1,2−エポキシ−3−ベンジルオキシ−4−ペンテン(2)を透明な不揮発性液体として得た(5.3g、収率47.6%)。Rf=0.69(1:4EtOAc/ヘキサン);[α]D=−36.7°(c 1.52、CHCl3);HRMS(ESI)(M+H)+のC12H14O2の理論値191.1067、観測値191.1064;1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 7.38−7.33 (m,5H),5.92−5.78 (m,1H),5.41−5.39 (m,1H),5.37−5.33 (m,1H),4.66 (d,J=11.95 Hz,1H),4.49 (d,J=11.96Hz,1H),3.83 (dd,J=7.34,4.20 Hz,1H),3.10 (dt,J=4.07,4.06,2.70 Hz,1H),2.79 (dd,J=5.21,4.00 Hz,1H),2.70 (dd,J=5.23,2.64Hz,1H). 13C NMR (CDCl3,100 MHz) δ 138.32,134.67,128.56 (2C),127.87 (2C),127.82,119.73,79.54,70.83,53.41,45.00。
ent−5の合成
(R)−4−アジド−3,3−ジフルオロ−2−ベンジルオキシ−ブタン酸(3)の合成
ent−3の合成
(2S,3S)−4−アジド−2,3−ビス−ベンジルオキシブタン酸(3)の合成
ent−3の合成
化合物6の合成
還流冷却器を備えた2Lの3つ口丸底フラスコにエポキシド1(60g、315mmol)、フタルイミド(69.6g、473mmol)、ピリジン(5.1mL、63.1mmol、20mol%)およびIPA(600mL)を投入し、得られた溶液を80〜82℃で8時間撹拌した。次いで、反応混合物を周囲温度まで冷却し、回転蒸発器で濃縮乾固した。残渣をシリカゲル(100g)で吸着し、高真空下で乾燥し、次いで、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜40%のMTBE/ヘプタン)により精製して、所望のフタルイミド保護されたアミノアルコール2を白色の固形物として得た(73.5g、69%)。1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 7.83−7.82 (m,2H),7.71−7.69 (m,2H),7.32−7.31 (m,4H),7.28−7.25 (m,1H),5.91 (ddd,J=17.4,10.5,7.6Hz,1H),5.46−5.40 (m,2H),4.65 (d,J=11.7 Hz,1H),4.40 (d,J=11.7 Hz,1H),3.99−3.97 (m,1H),3.95−3.90 (m,2H),3.86 (dd,J=14.0,3.3 Hz,1H),2.61 (d,J=6.5 Hz,1H)。
化合物3の合成
添加漏斗、オーバーヘッド機械式撹拌機、および窒素入口/出口を備えた2Lの3つ口丸底フラスコにアルコール2(70g、208mmol)の無水テトラヒドロフラン(840mL)溶液を投入した。該溶液を−10〜−15℃まで冷却し、次いで、Bu4NI(7.66g、20.8mmol、10mol%)を反応器に投入し、その後、臭化ベンジル(29.6mL、249mmol)を投入した。得られた溶液を20分間撹拌し、次いで、バッチ温度が−10〜−15℃で維持されるように水素化ナトリウム(9.2g、228mmol、1.1当量、60%鉱油分散液)をバッチに少量ずつ添加した。水素化ナトリウムの添加が完了した時点で、反応混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、周囲温度とし、さらに18時間撹拌した。反応混合物を−5〜0℃(氷浴)で維持しながら反応液を水性NaHCO3(280mL)でクエンチした。次いで、反応混合物をMTBE(1.4LmL)で希釈し、各相を分離した。有機層を水(2×210mL)、ブライン(210mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して粗生成物を油として得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜25%のMTBE/ヘプタン)により精製して、所望の生成物3を半固形物として得た(75.7g、85%)。1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 7.75−7.74 (m,2H),7.67−7.66 (m,2H),7.34−7.21 (m,5H),7.15−7.13 (m,2H),7.07−7.02 (m,3H),5.98−5.91 (m,1H),5.43 (s,1H),5.39 (td,J=5.9,1Hz,1H),4.66 (dd,J=12.0,5.7 Hz,2H),4.49 (d,J=12.0 Hz,1H),4.44 (d,J=11.8 Hz,1H),3.95−3.89 (m,3H),3.77−3.72 (m,1H)。
添加漏斗、オーバーヘッド機械式撹拌機、および窒素入口/出口を備えた2Lの3つ口丸底フラスコにアルコール2(70g、208mmol)の無水テトラヒドロフラン(840mL)溶液を投入した。該溶液を−10〜−15℃まで冷却し、次いで、Bu4NI(7.66g、20.8mmol、10mol%)を反応器に投入し、その後、臭化ベンジル(29.6mL、249mmol)を投入した。得られた溶液を20分間撹拌し、次いで、バッチ温度が−10〜−15℃で維持されるように水素化ナトリウム(9.2g、228mmol、1.1当量、60%鉱油分散液)をバッチに少量ずつ添加した。水素化ナトリウムの添加が完了した時点で、反応混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、周囲温度とし、さらに18時間撹拌した。反応混合物を−5〜0℃(氷浴)で維持しながら反応液を水性NaHCO3(280mL)でクエンチした。次いで、反応混合物をMTBE(1.4LmL)で希釈し、各相を分離した。有機層を水(2×210mL)、ブライン(210mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して粗生成物を油として得た。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜25%のMTBE/ヘプタン)により精製して、所望の生成物3を半固形物として得た(75.7g、85%)。1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 7.75−7.74 (m,2H),7.67−7.66 (m,2H),7.34−7.21 (m,5H),7.15−7.13 (m,2H),7.07−7.02 (m,3H),5.98−5.91 (m,1H),5.43 (s,1H),5.39 (td,J=5.9,1Hz,1H),4.66 (dd,J=12.0,5.7 Hz,2H),4.49 (d,J=12.0 Hz,1H),4.44 (d,J=11.8 Hz,1H),3.95−3.89 (m,3H),3.77−3.72 (m,1H)。
アルデヒド4およびカルボン酸5の合成
オゾンを生成するために酸素源を使用しながら<−70℃(ドライアイス−アセトン)でアルケン3(30g、70.2mol)のDCM(1.8L)溶液にオゾンを1分間通気した。反応が完了したと見なした時点で(TLC、1:1 MTBE/ヘプタン)、該溶液に窒素を35分間通気して残りのオゾンを除去した。反応混合物を<−70℃(ドライアイス−アセトン)で維持しながら反応液を硫化ジメチル(52mL、702mmol)でクエンチした。冷浴を取り除き、混合物を周囲温度まで昇温させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、さらに高真空下で乾燥して粗アルデヒド4を粘性油として得た(35.5g、>99%)。Rf=0.38(1:1 MTBE/ヘプタン)。3の30gスケールで反応を繰り返して粗アルデヒド4を得た(33.4g、>99%)。2つのロットの粗アルデヒドを合わせ、さらに精製することなくピニック酸化に付した。
オゾンを生成するために酸素源を使用しながら<−70℃(ドライアイス−アセトン)でアルケン3(30g、70.2mol)のDCM(1.8L)溶液にオゾンを1分間通気した。反応が完了したと見なした時点で(TLC、1:1 MTBE/ヘプタン)、該溶液に窒素を35分間通気して残りのオゾンを除去した。反応混合物を<−70℃(ドライアイス−アセトン)で維持しながら反応液を硫化ジメチル(52mL、702mmol)でクエンチした。冷浴を取り除き、混合物を周囲温度まで昇温させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、さらに高真空下で乾燥して粗アルデヒド4を粘性油として得た(35.5g、>99%)。Rf=0.38(1:1 MTBE/ヘプタン)。3の30gスケールで反応を繰り返して粗アルデヒド4を得た(33.4g、>99%)。2つのロットの粗アルデヒドを合わせ、さらに精製することなくピニック酸化に付した。
粗アルデヒド4(30.1g)をNaH2PO4(33.7g、281mmol)および2−メチル−2−ブテン(149mL、1.4mol)と共にテトラヒドロフラン、tBuOH、および水(226mL、226mL、151mL、3:3:2)の混合物に入れた。該溶液を冷却した(15±5℃、水浴)。亜塩素酸ナトリウム(12.7g、140mmol)をバッチに添加し、得られた溶液を周囲温度で4時間撹拌した。反応の完了をTLC分析により確認した(1:1 MTBE/ヘプタンおよびDCM中の5%MeOH)。次いで、反応液をブライン(602mL)でクエンチし、生成物をDCM(3×602mL)に抽出した。有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗酸5を粘性油として得た(42.5g、>99%)。4の30.1gスケールで合成を繰り返して粗酸5を得た(44.2g、>99%)。両方のロットの粗酸を合わせ、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜100%のMTBE/ヘプタン)により精製した。該酸を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮して酸5を白色の固形物として得た(29.1g、47%)。Rf=0.39(5:95 MeOH/DCM);1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 7.76 (dd,J=6.8,3.7 Hz,2H),7.68 (dd,J=5.5,3.0 Hz,2H),7.35−7.34 (m,2H),7.31−7.26 (m,3H),7.18−7.16 (m,2H),7.11−7.05 (m,3H),4.75 (d,J=11Hz,1H),4.65 (d,J=12.8,2H),4.59 (d,J=11.9Hz,1H),4.22 (d,J=3.65,1H),4.17 (m,1H),4.08 (dd,J=14.3,6.8 Hz,1H),3.86 (dd,J=14.3,4.7 Hz,1H)。
化合物6の合成
磁気撹拌子および熱電対プローブを備えた丸底フラスコにフタルイミドで保護されたアミノ酸5(29.0g、65.1mmol)のTHF(350mL)溶液を投入した。透明で黄色の溶液に脱イオン水(175mL)を添加し、得られた混合物を5℃まで冷却した。次いで、メチルアミン水溶液(58.0mL、40wt%、665mmol)をバッチに添加し、それを周囲温度(21〜23℃)まで温め、26時間撹拌した。反応混合物からのアリコートのLCMSによる分析は、反応が完了していることを示した。次いで、反応混合物をin vacuoで黄色の固形残渣となるまで濃縮し、全ての過剰なメチルアミンを除去した。残渣をTHF(700mL)および水(350mL)に溶解し、0〜5℃まで冷却し、粗アミノ酸溶液に炭酸カリウム(45g、326mmol)を添加し、その後、ベンジルクロロホルメート(benzylchloroformate)(17.2mL、114mmol)を添加した。バッチを周囲温度まで温め、反応を28時間進行させた。この時点でのLCMSによるアリコートの分析は、アミノ酸のカルバメートへの完全な変換を示していた。反応混合物を減圧下で濃縮して大部分のTHFを除去し、水性残渣を水(320mL)で希釈し、2NのHClでpHを約pH5に調整した(pH試験紙片)。粗生成物を塩化メチレン(3×500mL)で抽出し、抽出物を水(60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、in vacuoで黄色の油(40.34g)となるまで濃縮し、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(400g;CH2Cl2中の0〜5%MeOHによる溶出)により精製して化合物6を黄色の油として得た(27.5g、2つのステップにわたって収率92%)。1H NMR (DMSO−d6,500 MHz) δ 12.93 (s,1H),7.36−7.23 (m,16H),5.01 (s,2H),4.63 (d,J=11.8 Hz,1H),4.56 (dd,J=22.9,11.7 Hz,2H),4.45 (d,J=11.7 Hz,1H),4.14 (d,J=4.0 Hz,1H),3.81 (td,J=7.3,4.1Hz,1H),3.31−3.24 (m,2H)。
磁気撹拌子および熱電対プローブを備えた丸底フラスコにフタルイミドで保護されたアミノ酸5(29.0g、65.1mmol)のTHF(350mL)溶液を投入した。透明で黄色の溶液に脱イオン水(175mL)を添加し、得られた混合物を5℃まで冷却した。次いで、メチルアミン水溶液(58.0mL、40wt%、665mmol)をバッチに添加し、それを周囲温度(21〜23℃)まで温め、26時間撹拌した。反応混合物からのアリコートのLCMSによる分析は、反応が完了していることを示した。次いで、反応混合物をin vacuoで黄色の固形残渣となるまで濃縮し、全ての過剰なメチルアミンを除去した。残渣をTHF(700mL)および水(350mL)に溶解し、0〜5℃まで冷却し、粗アミノ酸溶液に炭酸カリウム(45g、326mmol)を添加し、その後、ベンジルクロロホルメート(benzylchloroformate)(17.2mL、114mmol)を添加した。バッチを周囲温度まで温め、反応を28時間進行させた。この時点でのLCMSによるアリコートの分析は、アミノ酸のカルバメートへの完全な変換を示していた。反応混合物を減圧下で濃縮して大部分のTHFを除去し、水性残渣を水(320mL)で希釈し、2NのHClでpHを約pH5に調整した(pH試験紙片)。粗生成物を塩化メチレン(3×500mL)で抽出し、抽出物を水(60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、in vacuoで黄色の油(40.34g)となるまで濃縮し、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(400g;CH2Cl2中の0〜5%MeOHによる溶出)により精製して化合物6を黄色の油として得た(27.5g、2つのステップにわたって収率92%)。1H NMR (DMSO−d6,500 MHz) δ 12.93 (s,1H),7.36−7.23 (m,16H),5.01 (s,2H),4.63 (d,J=11.8 Hz,1H),4.56 (dd,J=22.9,11.7 Hz,2H),4.45 (d,J=11.7 Hz,1H),4.14 (d,J=4.0 Hz,1H),3.81 (td,J=7.3,4.1Hz,1H),3.31−3.24 (m,2H)。
化合物9の合成
オーバーヘッド機械式撹拌機、熱電対プローブおよび窒素入口/出口を備えた3つ口の5リットル丸底フラスコに粉末状の新たに活性化したモレキュラーシーブ(4Å、84g、0.8重量当量)を投入し、その後、無水ジクロロメタン(2.1L、20容)を投入した。アセトニトリル/CO2浴を使用して得られた懸濁液を約−42℃まで冷却し、次いで、チタンテトライソプロポキシド(37mL、0.125mol、10mol%)をバッチに投入し、その後、(S,S)−(+)−酒石酸ジイソプロピル(35mL、0.166mol、13.3mol%)を投入した。反応混合物を30分間撹拌し、次いで、添加漏斗を使用してジビニルアルコール1(105g、1.25mol、1.0当量)を3分にわたって添加した(わずかな発熱、2℃)。次いで、添加漏斗を使用してクメンヒドロペルオキシド(370mL、滴定濃度80%、1.99mol、1.59当量)を5分にわたってバッチに添加した(発熱10℃)。温度を−45と−30℃との間に保持しながら反応を18時間進行させた。TLC分析により完了していると判定した時点で(Rfがジビニルアルコールは0.42、エポキシアルコールは0.18、ヘプタン中の50%のMTBE)、反応液を飽和水性硫酸ナトリウム(105mL、1容)でクエンチし、MTBE(1.05L、10容)で希釈し、激しく撹拌しながらバッチを周囲温度まで昇温させた。珪藻土、Celite(登録商標)(105g、1重量当量)をバッチに添加し、次いで、バッチをCelite(登録商標)のパッドを通して濾過した。濾過ケークをMTBE(0.5L)で洗浄し、濾液をin vacuoで回転蒸発器で(水浴を10〜20℃で保持しながら)濃縮して黄色/茶色がかった油を得た。粗生成物の一部[311g]を0〜60%のMTBE/石油エーテルを使用するシリカプラグ(1kgのシリカゲル)に通した。生成物を含有する画分を回収し、濃縮して無色の油を得た(48.3g)。次いで、カラムクロマトグラフィー(300gのシリカゲル、5〜30%のMTBE/石油エーテル)を介してこの物質を精製してent−2を透明な液体として得た[22.6g、総質量回収率36%]:Rf=0.59(1:1 MTBE/石油エーテル);1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 5.85 (ddd,J=17.0,10.5,6.2Hz,1H),5.40 (dt,J=17.3,1.3 Hz,1H),5.27 (dt,J=10.5,1.3 Hz,1H),4.36−4.33 (m,1H),3.10 (ddd,J=3.8,3.8,3.0 Hz,1H),2.81 (dd,J=2.9,5.0 Hz,1H),2.76 (dd,4.1,5.0 Hz,1H),2.07 (d,J=3.0 Hz,1H)。
化合物3の合成
文献の手順(J. Org. Chem.2009年、74巻(15号)、5758〜5761頁)に従ってアルコールの20gスケールで反応を実施した。窒素雰囲気下でPh3P(105g、400mmol、2当量)、および4−ニトロ安息香酸(67g、400mmol、2当量)と共に、機械式撹拌機、熱電対プローブ、および添加漏斗を備えた2Lの丸底フラスコにエポキシアルコールent−2[20g、200mmol、1当量]のテトラヒドロフラン(400mL、20容)溶液を投入した。添加漏斗を使用して反応混合物を0℃(氷浴)で維持しながらDIAD(81g、400mmol、2当量)を反応混合物に添加した。DIADの添加が完了した時点で、冷浴を取り除き、反応混合物を周囲温度(23℃)にした。反応混合物を1.5時間撹拌し(全ての出発原料が消費された)、次いで、NaHCO3水溶液(100ml、5容)でクエンチし、その後、MTBE(1000mL、50容)を添加した。得られた溶液を分液漏斗に移動した。ブライン(100mL、5容)を添加して相分離をもたらした。有機相をブライン(2×20容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮して油を得た(296g)。10〜20%のMTBE/ヘプタンを使用して油をシリカプラグ(1kg)に通した。次いで、粗固形物(46g)をMTBE(20容)に溶解し、NaHCO3(3×5容)、水(2×2容)、ブライン(2×2容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、さらに乾燥して安息香酸エステルを白色の固形物として得た[29g、59%:Rf=0.56(1:1 MTBE/ヘプタン)];1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 8.35(d,J=10.8 Hz,2H),8.25 (d,J=10.8 Hz,2H),5.97 (ddd,J=17.2,10.6,6.2Hz,1H),5.48 (td,J=17.3,1.2Hz,1H),5.40 (td,J=10.7,1.1Hz,1H),5.34 (dd,J=5.0,1.3 Hz,1H),3.31 (ddd,J=6.5,4.1,2.6Hz,1H),2.93 (dd,J=4.2,4.2Hz,1H),2.76 (dd,J=4.8,2.6Hz,1H)。
文献の手順(J. Org. Chem.2009年、74巻(15号)、5758〜5761頁)に従ってアルコールの20gスケールで反応を実施した。窒素雰囲気下でPh3P(105g、400mmol、2当量)、および4−ニトロ安息香酸(67g、400mmol、2当量)と共に、機械式撹拌機、熱電対プローブ、および添加漏斗を備えた2Lの丸底フラスコにエポキシアルコールent−2[20g、200mmol、1当量]のテトラヒドロフラン(400mL、20容)溶液を投入した。添加漏斗を使用して反応混合物を0℃(氷浴)で維持しながらDIAD(81g、400mmol、2当量)を反応混合物に添加した。DIADの添加が完了した時点で、冷浴を取り除き、反応混合物を周囲温度(23℃)にした。反応混合物を1.5時間撹拌し(全ての出発原料が消費された)、次いで、NaHCO3水溶液(100ml、5容)でクエンチし、その後、MTBE(1000mL、50容)を添加した。得られた溶液を分液漏斗に移動した。ブライン(100mL、5容)を添加して相分離をもたらした。有機相をブライン(2×20容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮して油を得た(296g)。10〜20%のMTBE/ヘプタンを使用して油をシリカプラグ(1kg)に通した。次いで、粗固形物(46g)をMTBE(20容)に溶解し、NaHCO3(3×5容)、水(2×2容)、ブライン(2×2容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、さらに乾燥して安息香酸エステルを白色の固形物として得た[29g、59%:Rf=0.56(1:1 MTBE/ヘプタン)];1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 8.35(d,J=10.8 Hz,2H),8.25 (d,J=10.8 Hz,2H),5.97 (ddd,J=17.2,10.6,6.2Hz,1H),5.48 (td,J=17.3,1.2Hz,1H),5.40 (td,J=10.7,1.1Hz,1H),5.34 (dd,J=5.0,1.3 Hz,1H),3.31 (ddd,J=6.5,4.1,2.6Hz,1H),2.93 (dd,J=4.2,4.2Hz,1H),2.76 (dd,J=4.8,2.6Hz,1H)。
文献の手順(J. Org. Chem.2009年、74巻(15号)、5758〜5761頁)に従って安息香酸エステルの加水分解を実施した。したがって、該エステル(22.7g、91mmol、1当量)のメタノール(340mL、15容)溶液を10〜15℃でK2CO3の水溶液(13.8g、100mmol、1.1当量、34mL中、1.5容水)で処理した。該溶液は直ちに濃いスラリーとなった。該スラリーを周囲温度で(23℃)3時間撹拌した(出発原料は消費された)。反応混合物を回転蒸発器で約2容(45mL)まで濃縮した(周囲温度の水浴で)。次いで、濃い溶液をDCM(454mL、20容)に再スラリー化した。該スラリーを濾過し、固形物をDCM(2×5容、2×114mL)で洗浄した。合わせた有機濾液を乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して固形物を得た(31g)。次いで、粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10〜30%のMTBE/石油エーテル)により精製して、所望のアルコール3を透明な油として得た[9.24g、定量収率、Rf=0.31(1:1 MTBE/ヘプタン)];1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 5.94 (ddd,J=16.2,10.6,5.5,1H),5.40 (d,J=17.3 Hz,1H),5.26 (d,J=10.6Hz,1H),4.0 (t,J=5.3 Hz,1H),3.07 (m,1H),2.84 (t,J=4.8 Hz,1H),2.77−2.74 (m,1H),2.57 (br s,1H)。
化合物4の合成
添加漏斗、オーバーヘッド機械式撹拌機、窒素入口/出口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに無水テトラヒドロフラン(166mL、18容)中のアルコール3[9.24g、92.3mmol、1当量]を投入した。該溶液を−10〜−15℃まで冷却した。触媒Bu4NI(3.41g、9.23mmol、10mol%)を反応器に投入し、その後、臭化ベンジル(19.1g、112mmol、1.2当量)を投入した。得られた溶液を20分間撹拌した。次いで、バッチ温度が−10〜−15℃で維持されるように水素化ナトリウム(4.1g、1.1当量、60%の鉱油分散液)をバッチに少量ずつ添加した。水素化ナトリウムの添加が完了した時点で、反応混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、冷浴を取り除き、反応混合物を周囲温度にし、さらに18時間撹拌した。温度を−5〜0℃(氷浴)で維持しながら反応液を水性NaHCO3(37mL、4容)でクエンチした。得られた溶液をMTBE(185mL、20容)で希釈し、有機層を水(2×18mL、2×3容)、ブライン(1×18mL、1×3容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を油として得た。アルコール3の1.98gスケールで合成を繰り返した。両方の反応からの粗生成物を合わせ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカラム、2.5〜10%のMTBE/ヘプタン)を介して精製して、所望のベンジル化物4を油として得た[13.96g、65%:Rf=0.61(3:7 MTBE/ヘプタン)];1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 7.36−7.32 (m,4H),7.29−7.26 (m,1H),5.83 (ddd,J=17.3,10.5,6.7,1H),5.36 (td,J=17.3,1.4Hz,1H),5.31 (td,J=10.5,1.2Hz,1H),4.63 (ABq,J=12.0 Hz,2H),3.62 (ddd,J=,1H),3.11−3.08 (m,1H),2.78 (t,J=4.4Hz,1H),2.60 (dd,J=5.0,2.7 Hz,1H)。
添加漏斗、オーバーヘッド機械式撹拌機、窒素入口/出口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコに無水テトラヒドロフラン(166mL、18容)中のアルコール3[9.24g、92.3mmol、1当量]を投入した。該溶液を−10〜−15℃まで冷却した。触媒Bu4NI(3.41g、9.23mmol、10mol%)を反応器に投入し、その後、臭化ベンジル(19.1g、112mmol、1.2当量)を投入した。得られた溶液を20分間撹拌した。次いで、バッチ温度が−10〜−15℃で維持されるように水素化ナトリウム(4.1g、1.1当量、60%の鉱油分散液)をバッチに少量ずつ添加した。水素化ナトリウムの添加が完了した時点で、反応混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、冷浴を取り除き、反応混合物を周囲温度にし、さらに18時間撹拌した。温度を−5〜0℃(氷浴)で維持しながら反応液を水性NaHCO3(37mL、4容)でクエンチした。得られた溶液をMTBE(185mL、20容)で希釈し、有機層を水(2×18mL、2×3容)、ブライン(1×18mL、1×3容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を油として得た。アルコール3の1.98gスケールで合成を繰り返した。両方の反応からの粗生成物を合わせ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルカラム、2.5〜10%のMTBE/ヘプタン)を介して精製して、所望のベンジル化物4を油として得た[13.96g、65%:Rf=0.61(3:7 MTBE/ヘプタン)];1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 7.36−7.32 (m,4H),7.29−7.26 (m,1H),5.83 (ddd,J=17.3,10.5,6.7,1H),5.36 (td,J=17.3,1.4Hz,1H),5.31 (td,J=10.5,1.2Hz,1H),4.63 (ABq,J=12.0 Hz,2H),3.62 (ddd,J=,1H),3.11−3.08 (m,1H),2.78 (t,J=4.4Hz,1H),2.60 (dd,J=5.0,2.7 Hz,1H)。
化合物5の合成
還流冷却器を備えた250mLの丸底フラスコにアルコール4[10g、52.5mmol、1当量]、フタルイミド(11.6g、78.8mmol、1.5当量)、ピリジン(0.85mL、10.5mmol、20mol%)およびIPA(100mL、10容)を投入し、得られた溶液を80〜82℃で8時間撹拌した。次いで、反応混合物を周囲温度まで冷却し、回転蒸発器で濃縮乾固した。残渣をシリカゲル(20g)で吸着し、高真空下で乾燥し、次いで、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜40%のMTBE/ヘプタン)により精製して、所望のフタルイミド保護されたアミノアルコール5を白色の粘着性の固形物として得た[15.85g、89%]:Rf=0.34(1:1 MTBE/ヘプタン);1H NMR (DMSO−d6,500 MHz) δ 7.84−7.82 (m,4H),7.36−7.31 (m,4H),7.28−7.25 (m,1H),5.93 (ddd,J=17.5,10.5,10.1Hz,1H),5.38−5.35 (m,2H),5.12 (d,J=5.5 Hz,1H),4.53 (d,J=11.9Hz,1H),4.40 (d,J=11.9Hz,1H),3.98 (dddd,J=9.0,4.5,4.5,4.5 Hz 1H),3.86 (dd,J=5.8,4.6Hz,1H),3.67 (dd,J=13.7,8.9Hz,1H),3.59 (dd,J=13.7,4.4Hz,1H)。
還流冷却器を備えた250mLの丸底フラスコにアルコール4[10g、52.5mmol、1当量]、フタルイミド(11.6g、78.8mmol、1.5当量)、ピリジン(0.85mL、10.5mmol、20mol%)およびIPA(100mL、10容)を投入し、得られた溶液を80〜82℃で8時間撹拌した。次いで、反応混合物を周囲温度まで冷却し、回転蒸発器で濃縮乾固した。残渣をシリカゲル(20g)で吸着し、高真空下で乾燥し、次いで、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜40%のMTBE/ヘプタン)により精製して、所望のフタルイミド保護されたアミノアルコール5を白色の粘着性の固形物として得た[15.85g、89%]:Rf=0.34(1:1 MTBE/ヘプタン);1H NMR (DMSO−d6,500 MHz) δ 7.84−7.82 (m,4H),7.36−7.31 (m,4H),7.28−7.25 (m,1H),5.93 (ddd,J=17.5,10.5,10.1Hz,1H),5.38−5.35 (m,2H),5.12 (d,J=5.5 Hz,1H),4.53 (d,J=11.9Hz,1H),4.40 (d,J=11.9Hz,1H),3.98 (dddd,J=9.0,4.5,4.5,4.5 Hz 1H),3.86 (dd,J=5.8,4.6Hz,1H),3.67 (dd,J=13.7,8.9Hz,1H),3.59 (dd,J=13.7,4.4Hz,1H)。
化合物6の合成
添加漏斗、オーバーヘッド機械式撹拌機、および窒素入口/出口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコにアルコール5[15g、44.5mmol、1当量]の無水テトラヒドロフラン(270mL、18容)溶液を投入した。該溶液を−10〜−15℃まで冷却し、次いで、Bu4NI(1.64g、4.45mmol、10mol%)を反応器に投入し、その後、臭化ベンジル(9.2g、53.8mmol、1.2当量)を投入した。得られた溶液を20分間撹拌し、次いで、バッチ温度が−10〜−15℃で維持されるように水素化ナトリウム(1.97g、1.1当量、60%鉱油分散液)をバッチに少量ずつ添加した。水素化ナトリウムの添加が完了した時点で、反応混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、周囲温度とし、さらに18時間撹拌した。反応混合物を−5〜0℃(氷浴)で維持しながら反応液を水性NaHCO3(60mL、4容)でクエンチした。次いで、反応混合物をMTBE(300mL、20容)で希釈し、各相を分離した。有機層を水(2×45mL、2×3容)、ブライン(1×45mL、1×3容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して粗生成物を油として得た。アルコール5の1.75gスケールで合成を繰り返した。両方の反応から合わせた粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜25%のMTBE/ヘプタン)により精製して、所望の生成物6を半固形物として得た[15.1g、71%:Rf=0.61(1:1 MTBE/ヘプタン)];1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 7.74−7.71 (m,2H),7.67−7.64 (m,2H),7.37−7.27 (m,5H),7.10−7.07 (m,2H),6.98−6.93 (m,3H),5.97 (ddd,J=17.5,10.4,10.0 Hz,1H),5.42 (d,J=4.38 Hz,1H),5.38 (s,1H),4.68 (dd,J=12.3,12.3 Hz,2H),4.45 (d,J=5.37 Hz,1H),4.41 (d,J=5.58 Hz,1H),3.99−3.82 (m,3H),3.65 (dd,J=13.6,3.2Hz,1H)。
添加漏斗、オーバーヘッド機械式撹拌機、および窒素入口/出口を備えた1Lの3つ口丸底フラスコにアルコール5[15g、44.5mmol、1当量]の無水テトラヒドロフラン(270mL、18容)溶液を投入した。該溶液を−10〜−15℃まで冷却し、次いで、Bu4NI(1.64g、4.45mmol、10mol%)を反応器に投入し、その後、臭化ベンジル(9.2g、53.8mmol、1.2当量)を投入した。得られた溶液を20分間撹拌し、次いで、バッチ温度が−10〜−15℃で維持されるように水素化ナトリウム(1.97g、1.1当量、60%鉱油分散液)をバッチに少量ずつ添加した。水素化ナトリウムの添加が完了した時点で、反応混合物をさらに30分間撹拌し、次いで、周囲温度とし、さらに18時間撹拌した。反応混合物を−5〜0℃(氷浴)で維持しながら反応液を水性NaHCO3(60mL、4容)でクエンチした。次いで、反応混合物をMTBE(300mL、20容)で希釈し、各相を分離した。有機層を水(2×45mL、2×3容)、ブライン(1×45mL、1×3容)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して粗生成物を油として得た。アルコール5の1.75gスケールで合成を繰り返した。両方の反応から合わせた粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜25%のMTBE/ヘプタン)により精製して、所望の生成物6を半固形物として得た[15.1g、71%:Rf=0.61(1:1 MTBE/ヘプタン)];1H NMR (CDCl3,300 MHz) δ 7.74−7.71 (m,2H),7.67−7.64 (m,2H),7.37−7.27 (m,5H),7.10−7.07 (m,2H),6.98−6.93 (m,3H),5.97 (ddd,J=17.5,10.4,10.0 Hz,1H),5.42 (d,J=4.38 Hz,1H),5.38 (s,1H),4.68 (dd,J=12.3,12.3 Hz,2H),4.45 (d,J=5.37 Hz,1H),4.41 (d,J=5.58 Hz,1H),3.99−3.82 (m,3H),3.65 (dd,J=13.6,3.2Hz,1H)。
アルデヒド7およびカルボン酸8の合成
アルケン6[1g、2.34mol]のDCM(60mL、60容)溶液に、室内の空気をオゾンを生成するための酸素源として使用しながら<−70℃(ドライアイス−アセトン)で25分間オゾンを通気した。反応が完了したと見なした時点で(TLC、1:1 MTBE/ヘプタン)、該溶液に窒素を20分間通気して残りのオゾンを除去した。反応混合物を<−70℃(ドライアイス−アセトン)で維持しながら反応液を硫化ジメチル(1.7mL、23.4mmol、10当量)でクエンチした。冷浴を取り除き、混合物を周囲温度まで昇温させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、さらに高真空下で乾燥して粗アルデヒドを粘性油として得た(1.12g、>99%、Rf=0.36、1:1 MTBE/ヘプタン)。6の13gスケールで反応を繰り返した。2つのロットの粗アルデヒドを合わせ、さらに精製することなくピニック酸化に付した。
アルケン6[1g、2.34mol]のDCM(60mL、60容)溶液に、室内の空気をオゾンを生成するための酸素源として使用しながら<−70℃(ドライアイス−アセトン)で25分間オゾンを通気した。反応が完了したと見なした時点で(TLC、1:1 MTBE/ヘプタン)、該溶液に窒素を20分間通気して残りのオゾンを除去した。反応混合物を<−70℃(ドライアイス−アセトン)で維持しながら反応液を硫化ジメチル(1.7mL、23.4mmol、10当量)でクエンチした。冷浴を取り除き、混合物を周囲温度まで昇温させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、さらに高真空下で乾燥して粗アルデヒドを粘性油として得た(1.12g、>99%、Rf=0.36、1:1 MTBE/ヘプタン)。6の13gスケールで反応を繰り返した。2つのロットの粗アルデヒドを合わせ、さらに精製することなくピニック酸化に付した。
NaH2PO4(15.6g、130mmol、4当量)および2−メチル−2−ブテン(34.4mL、324mmol、10当量)と共に粗アルデヒド7[14.06g]をテトラヒドロフラン、tBuOH、および水(105mL、105mL、70mL、3:3:2、20容)の混合物に入れた。該溶液を冷却した(15±5℃、水浴)。亜塩素酸ナトリウム(3.9g、43mmol、1.33当量)をバッチに添加し、得られた溶液を周囲温度で4時間撹拌した。TLC分析により反応の完了を確認した(1:1 MTBE/ヘプタンおよびDCM中の5%MeOH)。次いで、反応液をブライン(280mL、20容)でクエンチし、生成物をDCM(3×280mL、3×20容)に抽出した。有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗酸を粘性油として得た。粗酸をシリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜100%のMTBE/ヘプタン、その後、5〜20%MeOH/DCM)により精製した。該酸を含有する画分を合わせ、減圧下で濃縮して酸8を白色の固形物として得た[2.64g、18%:Rf=0.33、5:95 MeOH/DCM)];1H NMR (CDCl3,500 MHz) δ 7.78 (dd,J=5.5,3.0 Hz,2H),7.70 (dd,J=5.5,3.0 Hz,2H),7.43−7.40 (m,2H),7.37−7.29 (m,3H),7.20−7.19 (m,2H),7.14−7.11 (m,2H),7.09−7.05 (m,1H),4.76 (d,J=11Hz,1H),4.65 (dd,J=10.9,9.4Hz,2H),4.55 (d,J=11.8 Hz,1H),4.13 (ddd,J=6.2,6.2,3.1Hz,1H),4.1 (d,J=3.0 Hz,1H),3.98 (dd,J=14.2,6.2Hz,1H),3.89 (dd,J=14.2,6.2Hz,1H)。
化合物9の合成
磁気撹拌子、および熱電対プローブを備えた丸底フラスコにフタルイミドで保護されたアミノ酸8[2.5g、5.61mmol、1.0当量]のTHF(28mL、11容、バルク溶媒グレード)溶液を投入した。透明で黄色の溶液に脱イオン水(15mL、6容)を添加し、得られた混合物を5℃まで冷却した。次いで、メチルアミン水溶液(5.0mL、40wt%、56.1mmol、10当量)をバッチに添加し、それを周囲温度(21〜23℃)まで温め、22.5時間撹拌した。反応混合物からのアリコートのLCMSによる分析は、反応が完了していることを示した。次いで、反応混合物をin vacuoで黄色の固形残渣となるまで濃縮し、全ての過剰なメチルアミンを除去した。残渣をTHF(60mL、24容)および水(30mL、12容)に溶解し、0〜5℃まで冷却し、粗アミノ酸溶液に炭酸カリウム(3.9g、28.26mmol、5.0当量)を添加し、その後、ベンジルクロロホルメート(1.4mL、9.81mmol、1.75当量)を添加した。バッチを周囲温度まで温め、反応を25.5時間進行させた。この時点でのLCMSによるアリコートの分析は、アミノ酸のカルバメートへの完全な変換を示していた。反応混合物を減圧下で濃縮して大部分のTHFを除去し、水性残渣を水(30mL、12容)で希釈し、2NのHClでpHを約pH5に調整した(pH試験紙片)。粗生成物をクロロホルム(3×60mL)で抽出し、抽出物を水(1×60mL)で、および水性NaCl(1×60mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、in vacuoで黄色のモビール油(3.52g)となるまで濃縮し、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(50重量当量;CHCl3中の0〜5%MeOHによる溶出)により精製して9を黄色の油として得、それを高真空下でさらに乾燥するときに部分的に凝固させた[2.22g、2つのステップにわたって収率88.1%]。1H NMR (DMSO,500 MHz) δ 12.92 (s,1H),7.43−7.23 (m,15H),5.04 (s,2H),4.67 (d,J=11.10 Hz,1H),4.58 (d,J=11.10 Hz,1H),4.48 (d,J=11.05 Hz,1H),4.42 (d,J=11.05 Hz,1H),4.09 (d,J=2.95 Hz,1H),3.96 (ddd,J=6.30,6.30,3.15 Hz,1H),3.29 (dd,J=6.30,6.30,2H)。
磁気撹拌子、および熱電対プローブを備えた丸底フラスコにフタルイミドで保護されたアミノ酸8[2.5g、5.61mmol、1.0当量]のTHF(28mL、11容、バルク溶媒グレード)溶液を投入した。透明で黄色の溶液に脱イオン水(15mL、6容)を添加し、得られた混合物を5℃まで冷却した。次いで、メチルアミン水溶液(5.0mL、40wt%、56.1mmol、10当量)をバッチに添加し、それを周囲温度(21〜23℃)まで温め、22.5時間撹拌した。反応混合物からのアリコートのLCMSによる分析は、反応が完了していることを示した。次いで、反応混合物をin vacuoで黄色の固形残渣となるまで濃縮し、全ての過剰なメチルアミンを除去した。残渣をTHF(60mL、24容)および水(30mL、12容)に溶解し、0〜5℃まで冷却し、粗アミノ酸溶液に炭酸カリウム(3.9g、28.26mmol、5.0当量)を添加し、その後、ベンジルクロロホルメート(1.4mL、9.81mmol、1.75当量)を添加した。バッチを周囲温度まで温め、反応を25.5時間進行させた。この時点でのLCMSによるアリコートの分析は、アミノ酸のカルバメートへの完全な変換を示していた。反応混合物を減圧下で濃縮して大部分のTHFを除去し、水性残渣を水(30mL、12容)で希釈し、2NのHClでpHを約pH5に調整した(pH試験紙片)。粗生成物をクロロホルム(3×60mL)で抽出し、抽出物を水(1×60mL)で、および水性NaCl(1×60mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、in vacuoで黄色のモビール油(3.52g)となるまで濃縮し、それをシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(50重量当量;CHCl3中の0〜5%MeOHによる溶出)により精製して9を黄色の油として得、それを高真空下でさらに乾燥するときに部分的に凝固させた[2.22g、2つのステップにわたって収率88.1%]。1H NMR (DMSO,500 MHz) δ 12.92 (s,1H),7.43−7.23 (m,15H),5.04 (s,2H),4.67 (d,J=11.10 Hz,1H),4.58 (d,J=11.10 Hz,1H),4.48 (d,J=11.05 Hz,1H),4.42 (d,J=11.05 Hz,1H),4.09 (d,J=2.95 Hz,1H),3.96 (ddd,J=6.30,6.30,3.15 Hz,1H),3.29 (dd,J=6.30,6.30,2H)。
シクロプロピルアミノ酸の合成
エステル1(4.00g、34.4mmol)およびトリエチルアミン(4.79mL、34.4mmol)の無水ジクロロメタン(170mL)溶液を窒素下で0℃まで冷却し、tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(8.31mL、36.2mmol)を一滴ずつ添加した。得られた溶液を還流で4時間激しく撹拌した。次いで、溶媒を慎重に蒸発し、残渣をEt2O(170mL)に溶解し、有機相を水(3×50mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。残渣を0〜20%のジエチルエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して2を透明な油として得た(4.89g、62%)。1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 5.50 (d,J =1.0 Hz,1H),4.85 (d,J=1.0 Hz,1H),4.21 (q,J=7.0 Hz,2H),1.31 (t,J=7.0 Hz,3H),0.95 (s,9H),0.16 (s,6H)。
2−tert−ブチル−1−エチル−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロプロパン−1,2−ジカルボキシレート(3aおよび3b)
エチル2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)アクリレート(2、500mg、2.17mmol)およびCu(acac)2(0.011g、0.043mmol)の混合物を80℃で加熱した。tert−ブチルジアゾアセテート(463mg、3.25mmol)のベンゼン(5mL)溶液を2時間にわたって反応混合物に添加した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、濃縮した。残渣を0〜10%のジエチルエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してジアステレオマー3a(0.119g、16%)および3b(0.235g、31%)の両方を透明な油として得た。3a。1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.25−4.13 (m,2H),2.28 (dd,J=7.5,2.0 Hz,1H),1.73 (dd,J=7.5,2.0 Hz,1H),1.59 (dd,J=9.5,4.0 Hz,1H),1.46 (s,9H),1.29 (t,J=7.5 Hz,3H),0.90 (s,9H),0.18 (s,3H),0.12 (s,3H);ESI MS m/z 367[M+Na]+;3b:1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.23 (dq,J=11.0,7.0 Hz,1H),4.13 (dq,J=11.0,7.0 Hz,1H),2.11 (dd,J=10.0,1.5 Hz,1H),1.85 (dd,J=5.5,2.5 Hz,1H),1.43 (s,9H),1.54 (dd,J=10.0,4.0 Hz,1H),1.28 (t,J=7.5 Hz,3H),0.86 (s,9H),0.19 (s,3H),0.18 (s,3H);ESI MS m/z 367[M+Na]+。
エチル2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)アクリレート(2、500mg、2.17mmol)およびCu(acac)2(0.011g、0.043mmol)の混合物を80℃で加熱した。tert−ブチルジアゾアセテート(463mg、3.25mmol)のベンゼン(5mL)溶液を2時間にわたって反応混合物に添加した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、濃縮した。残渣を0〜10%のジエチルエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してジアステレオマー3a(0.119g、16%)および3b(0.235g、31%)の両方を透明な油として得た。3a。1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.25−4.13 (m,2H),2.28 (dd,J=7.5,2.0 Hz,1H),1.73 (dd,J=7.5,2.0 Hz,1H),1.59 (dd,J=9.5,4.0 Hz,1H),1.46 (s,9H),1.29 (t,J=7.5 Hz,3H),0.90 (s,9H),0.18 (s,3H),0.12 (s,3H);ESI MS m/z 367[M+Na]+;3b:1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.23 (dq,J=11.0,7.0 Hz,1H),4.13 (dq,J=11.0,7.0 Hz,1H),2.11 (dd,J=10.0,1.5 Hz,1H),1.85 (dd,J=5.5,2.5 Hz,1H),1.43 (s,9H),1.54 (dd,J=10.0,4.0 Hz,1H),1.28 (t,J=7.5 Hz,3H),0.86 (s,9H),0.19 (s,3H),0.18 (s,3H);ESI MS m/z 367[M+Na]+。
2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−(エトキシカルボニル)シクロプロパンカルボン酸(4aおよび4b)
ジカルボキシレート3aおよび3b(0.385g、1.12mmol、3a/3bの1:2比)、トリフルオロ酢酸(0.43mL)、およびジクロロメタン(0.5mL)の混合物を室温で一晩撹拌した。各固形物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を0〜100%のジエチルエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してジアステレオマー4a(0.050g、15%)および4b(0.078g、24%)の両方をオフホワイトの固形物として得た。4a。1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.25−4.17 (m,2H),2.38 (dd,J=7.5,1.5 Hz,1H),1.81−1.76 (m,2H),1.30 (t,J=7.0 Hz,3H),0.90 (s,9H),0.21 (s,3H),0.13 (s,3H);ESI MS m/z 289[M+Na]+;4b:1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.22 (q,J=7.0 Hz,1H),2.21 (dd,J=10.0,1.5 Hz,1H),1.93 (dd,J=8.0,2.0 Hz,1H),1.52 (dd,J=6.0,3.5 Hz,1H),1.28 (t,J=7.0 Hz,3H),0.87 (s,9H),0.19 (s,3H),0.17 (s,3H);ESI MS m/z 287[M−H]−。
ジカルボキシレート3aおよび3b(0.385g、1.12mmol、3a/3bの1:2比)、トリフルオロ酢酸(0.43mL)、およびジクロロメタン(0.5mL)の混合物を室温で一晩撹拌した。各固形物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を0〜100%のジエチルエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製してジアステレオマー4a(0.050g、15%)および4b(0.078g、24%)の両方をオフホワイトの固形物として得た。4a。1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.25−4.17 (m,2H),2.38 (dd,J=7.5,1.5 Hz,1H),1.81−1.76 (m,2H),1.30 (t,J=7.0 Hz,3H),0.90 (s,9H),0.21 (s,3H),0.13 (s,3H);ESI MS m/z 289[M+Na]+;4b:1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 4.22 (q,J=7.0 Hz,1H),2.21 (dd,J=10.0,1.5 Hz,1H),1.93 (dd,J=8.0,2.0 Hz,1H),1.52 (dd,J=6.0,3.5 Hz,1H),1.28 (t,J=7.0 Hz,3H),0.87 (s,9H),0.19 (s,3H),0.17 (s,3H);ESI MS m/z 287[M−H]−。
エチル−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロプロパンカルボキシレート(5b)
2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−(エトキシカルボニル)シクロプロパンカルボン酸(4b、0.335g、1.16mmol)のトルエン(5mL)混合物を窒素下でヒューニッヒ塩基(0.260mL、1.51mmol)で処理し、混合物を0℃まで冷却した。その後、DPPA(0.324mL、1.51mmol)を添加し、混合物を90℃で30分間で加熱し、その後、ベンジルアルコール(0.155mL、1.51mmol)を添加した。15時間後、混合物を冷却し、酢酸エチル(75mL)で希釈し、10%クエン酸(2×50mL)、水(50mL)、および飽和NaHCO3(50mL)で順次洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮した。残渣を10%のEtOAc/ヘキサンから100%のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を透明な油として得た(0.146g、30%)。1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 7.34−7.30 (m,5H),5.40−5.38 (m,1H),5.21−5.00 (m,2H),4.29−4.18 (m,2H),4.16−4.09 (m,1H),1.50−1.47 (m,2H),1.30 (t,J=7.2Hz,3H),0.88 (s,9H),0.26−0.07 (m,6H);マルチモード(APCI+ESI)MS m/z 295[M+H]+。
2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−(エトキシカルボニル)シクロプロパンカルボン酸(4b、0.335g、1.16mmol)のトルエン(5mL)混合物を窒素下でヒューニッヒ塩基(0.260mL、1.51mmol)で処理し、混合物を0℃まで冷却した。その後、DPPA(0.324mL、1.51mmol)を添加し、混合物を90℃で30分間で加熱し、その後、ベンジルアルコール(0.155mL、1.51mmol)を添加した。15時間後、混合物を冷却し、酢酸エチル(75mL)で希釈し、10%クエン酸(2×50mL)、水(50mL)、および飽和NaHCO3(50mL)で順次洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮した。残渣を10%のEtOAc/ヘキサンから100%のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を透明な油として得た(0.146g、30%)。1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 7.34−7.30 (m,5H),5.40−5.38 (m,1H),5.21−5.00 (m,2H),4.29−4.18 (m,2H),4.16−4.09 (m,1H),1.50−1.47 (m,2H),1.30 (t,J=7.2Hz,3H),0.88 (s,9H),0.26−0.07 (m,6H);マルチモード(APCI+ESI)MS m/z 295[M+H]+。
エチル2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロプロパンカルボキシレート(6b)
エチル2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロプロパンカルボキシレート(1.45g、3.69mmol)のTHF(35mL)溶液にN2下でHF・ピリジン(1.0mL、38mmol)を添加した。反応混合物を5時間撹拌した。その後、追加のHF・ピリジン(1.0mL、38mmol)を添加し、19時間撹拌し続けた。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、Et2O(150mL)で希釈した。次いで、ガス放出が止まるまで混合物を飽和水性NaHCO3で慎重にクエンチした。この時点で、有機層を分離し、残りの水性層をEt2O(300mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、in vacuoで濃縮した。20%〜50%のEtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによる精製により表題化合物を得た(0.960g、93%)。1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 7.34−7.30 (m,5H),5.11−4.83 (m,3H),4.21 (q,J=7.2Hz,2H),3.37−3.25 (m,2H),1.73−1.68 (m,1H),1.27 (t,J=7.2Hz,3H),1.14−1.06 (m,1H);ESI MS m/z 280[M+H]+。
エチル2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロプロパンカルボキシレート(1.45g、3.69mmol)のTHF(35mL)溶液にN2下でHF・ピリジン(1.0mL、38mmol)を添加した。反応混合物を5時間撹拌した。その後、追加のHF・ピリジン(1.0mL、38mmol)を添加し、19時間撹拌し続けた。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、Et2O(150mL)で希釈した。次いで、ガス放出が止まるまで混合物を飽和水性NaHCO3で慎重にクエンチした。この時点で、有機層を分離し、残りの水性層をEt2O(300mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、in vacuoで濃縮した。20%〜50%のEtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによる精製により表題化合物を得た(0.960g、93%)。1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 7.34−7.30 (m,5H),5.11−4.83 (m,3H),4.21 (q,J=7.2Hz,2H),3.37−3.25 (m,2H),1.73−1.68 (m,1H),1.27 (t,J=7.2Hz,3H),1.14−1.06 (m,1H);ESI MS m/z 280[M+H]+。
2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロプロパンカルボン酸(7b)
エチル2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロプロパンカルボキシレート(6b、12.5g、44.7mmol)の0℃のTHF(100mL)溶液にK2CO3(24.7g、179.0mmol)をH2O(300mL)溶液として添加した。反応液を室温まで昇温させ、4時間撹拌し、次いで、追加のH2O(200mL)を添加した。撹拌後、さらに18時間室温で反応液を濃縮して大部分のTHFを除去した。残りの水溶液をEt2O(2×500mL)で洗浄し、2NのHClでpH2まで酸性化し、次いで、EtOAc(5×200mL)で抽出した。合わせたEtOAc層をブライン(500mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、in vacuoで濃縮して表題化合物をジアステレオマーの混合物として得た(7.75g、69%)。混合物をEt2Oで粉砕して、大半を主要なジアステレオマーとして白色の固形物を得た。上澄みを濃縮し、次いで、Et2Oで粉砕して両方のジアステレオマーの清浄な混合物を得た。主要なジアステレオマー。1H NMR (300 MHz,MeOD) δ 7.50−7.14 (m,5H),5.22−4.96 (m,2H),3.23−3.10 (m,1H),1.60 (dd,J=8.9,6.3 Hz,1H),1.10 (t,J=6.2Hz,1H);マルチモード(APCI+ESI)MS m/z 250[M−H]−。ジアステレオマーの混合物。1H NMR (300 MHz,MeOD) δ 7.45−7.14 (m,5H),5.24−5.01 (m,2H),3.25−3.15 (m,0.46H),3.14−3.01 (m,0.54H),1.71−1.53 (m,1H),1.42 (dd,J=9.1,6.4Hz,0.54H),1.12 (t,J=6.2Hz,0.46H);マルチモード(APCI+ESI)MS m/z 250[M−H]−。
エチル2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−1−ヒドロキシシクロプロパンカルボキシレート(6b、12.5g、44.7mmol)の0℃のTHF(100mL)溶液にK2CO3(24.7g、179.0mmol)をH2O(300mL)溶液として添加した。反応液を室温まで昇温させ、4時間撹拌し、次いで、追加のH2O(200mL)を添加した。撹拌後、さらに18時間室温で反応液を濃縮して大部分のTHFを除去した。残りの水溶液をEt2O(2×500mL)で洗浄し、2NのHClでpH2まで酸性化し、次いで、EtOAc(5×200mL)で抽出した。合わせたEtOAc層をブライン(500mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、in vacuoで濃縮して表題化合物をジアステレオマーの混合物として得た(7.75g、69%)。混合物をEt2Oで粉砕して、大半を主要なジアステレオマーとして白色の固形物を得た。上澄みを濃縮し、次いで、Et2Oで粉砕して両方のジアステレオマーの清浄な混合物を得た。主要なジアステレオマー。1H NMR (300 MHz,MeOD) δ 7.50−7.14 (m,5H),5.22−4.96 (m,2H),3.23−3.10 (m,1H),1.60 (dd,J=8.9,6.3 Hz,1H),1.10 (t,J=6.2Hz,1H);マルチモード(APCI+ESI)MS m/z 250[M−H]−。ジアステレオマーの混合物。1H NMR (300 MHz,MeOD) δ 7.45−7.14 (m,5H),5.24−5.01 (m,2H),3.25−3.15 (m,0.46H),3.14−3.01 (m,0.54H),1.71−1.53 (m,1H),1.42 (dd,J=9.1,6.4Hz,0.54H),1.12 (t,J=6.2Hz,0.46H);マルチモード(APCI+ESI)MS m/z 250[M−H]−。
化合物11の合成
代表的化合物
(実施例1)
(実施例1)
(実施例2)
(実施例3)
(実施例4)
(実施例5)
(実施例6)
(実施例7)
(実施例8)
他の代表的化合物
前述の手順に従って以下の代表的化合物を調製することができる。
前述の手順に従って以下の代表的化合物を調製することができる。
米国臨床検査標準委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute)(CLSI)の微量液体希釈法を参照しながら、M7−A7[2006]の通りに最小阻止濃度(MIC)を求めた。E.coli ATCC 25922、P.aeruginosa ATCC 27853およびS.aureus ATCC 29213を利用する品質管理範囲、ならびに比較対照薬剤の解釈基準は、CLSI M100−S17[2007]で発表された通りとする。つまり、試験化合物の連続2倍希釈液をMueller Hinton Brothにおいて2×濃度で調製した。該化合物希釈液を96ウェルアッセイプレートにおいて1:1比で細菌接種材料と混合した。該接種材料は、前日に調製した寒天プレートからのコロニーの懸濁により調製した。細菌を滅菌食塩水に懸濁し、最終濃度が5×105CFU/mLとなるように各アッセイプレートに添加した。各プレートを周囲空気で35Cで20時間インキュベートした。MICは、未処理の対照と比較して細菌増殖が見られない試験化合物の最低濃度とした。
表1
**MICの注:
1.0μg/mL以下のMIC=A
1.0μg/mL超〜16.0μg/mLのMIC=B
16.0μg/mL超のMIC=C。
本明細書において参照した全ての米国特許、米国特許出願公開広報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、本記述と矛盾しない範囲でその全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明の特定の実施形態を本明細書において例示の目的で記載したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更をなし得ることが、前述のことから理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によって限定されることはない。
Claims (79)
- 以下の構造(I):
式中、
Q1は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
Q2は、
Q5は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
各R1およびR2は、独立して、水素またはアミノ保護基であり、
各R3は、独立して、水素またはヒドロキシル保護基であり、
各R4およびR5は、独立して、水素、または1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで場合により置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R6は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR4およびR5は、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR5および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができ、
各nは、独立して、0〜4の整数であり、
各Z1およびZ2は、独立して、水素または−OR3であり、
(i)Z1およびZ2の少なくとも一方はHであり、(ii)R4およびR5の少なくとも一方は置換C1〜C6アルキルであるか、または少なくとも一方のR6はハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノであり、(iii)Z1およびZ2が結合している2つの隣接する−CH−基は、場合により、二重結合を形成し得る
化合物、
またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に許容される塩。 - 各R1、R2およびR3が水素である、請求項1に記載の化合物。
- Q5がアミノである、請求項1または2に記載の化合物。
- Q5がヒドロキシルである、請求項1または2に記載の化合物。
- Q1がアミノである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
- Q1がヒドロキシルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1およびZ2がいずれも水素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1がヒドロキシルでありZ2が水素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1が水素でありZ2がヒドロキシルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R4が水素であり、
R5が水素であり、
少なくとも一方のR6がハロゲンであり、
nが1〜4の整数である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。 - Q2が、
式中、
各R6がハロゲンである、
請求項10に記載の化合物。 - 各R6がフルオロである、請求項11に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R4が水素であり、
R5が水素であり、
少なくとも一方のR6がヒドロキシルであり、
nが1〜4の整数である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。 - Q2が、
- Q2が、
式中、
R4が水素であり、
R5および一方のR6が、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成し、
少なくとも一方のR6がハロゲンであり、
nが1〜4の整数である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。 - Q2が、
式中、
R4およびR5が、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成し、
少なくとも一方のR6がハロゲンであり、
nが1〜4の整数である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。 - Q2が、
式中、
R5が水素であり、
R4および一方のR6が、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成し、
少なくとも一方のR6がハロゲンであり、
nが1〜4の整数である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。 - Q2が、
- 立体配置:
- Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子が二重結合を形成する、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子が単結合を形成する、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
-
- 請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む医薬組成物。
- 哺乳動物における細菌性感染の治療方法であって、該治療を必要としている哺乳動物に有効量の請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
- 哺乳動物における細菌性感染の治療方法であって、該治療を必要としている哺乳動物に有効量の請求項23に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
- 以下の構造(I):
式中、
Q1は、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アミノまたは保護されたアミノ基であり、
Q2は、1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アミノで場合により置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキルまたは場合により置換されたヘテロシクリルであり、
各R1およびR2は、独立して、水素またはアミノ保護基であり、
各R3は、独立して、水素またはヒドロキシル保護基であり、
各R4、R5、R7およびR8は、独立して、水素、または1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで場合により置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R6は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR4およびR5は、それらが結合する原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR5および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができるか、またはR7およびR8は、それらが結合している原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができ、
各R9は、独立して、水素、ヒドロキシル、アミノ、または1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで場合により置換されたC1〜C6アルキルであり、
各R10は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノまたはC1〜C6アルキルであり、
各R11は、独立して、水素、ハロゲン、アミノまたはC1〜C6アルキルであるか、
あるいはR9および一方のR11は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する複素環式環を形成することができるか、またはR4および一方のR11は、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成することができ、
各nは、独立して、0〜4の整数であり、
各pは、独立して、1〜4の整数であり、
各Z1およびZ2は、独立して、水素または−OR3であり、
(i)Z1およびZ2の少なくとも一方はHであり、(ii)Z1およびZ2が結合している2つの隣接する−CH−基は、場合により、二重結合を形成し得る
化合物、
またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬学的に許容される塩。 - 各R1、R2およびR3が水素である、請求項26に記載の化合物。
- Q5がアミノである、請求項26または27に記載の化合物。
- Q5がヒドロキシルである、請求項26または27に記載の化合物。
- Q1がアミノである、請求項26から29のいずれか一項に記載の化合物。
- Q1がヒドロキシルである、請求項26から29のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1およびZ2がいずれも水素である、請求項26から31のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1がヒドロキシルでありZ2が水素である、請求項26から31のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1が水素でありZ2がヒドロキシルである、請求項26から31のいずれか一項に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R4が水素であり、
R7が水素であり、
R8が水素であり、
nが1〜4の整数である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R6が水素である、請求項35に記載の化合物。
- Q2が、
- 少なくとも一方のR6がハロゲンである、請求項35に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R4および一方のR6が、それらが結合する原子と一緒になって、3〜6個の環原子を有する炭素環式環を形成し、
R7が水素であり、
R8が水素であり、
nが1〜4の整数である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - Q2が、
- 少なくとも一方のR6がハロゲンである、請求項39に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
各R5が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R6が水素である、請求項42に記載の化合物。
- Q2が、
- 少なくとも一方のR6がハロゲンである、請求項42に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R7が水素であり、
R8が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R6が水素である、請求項46に記載の化合物。
- Q2が、
- 少なくとも一方のR6がハロゲンである、請求項46に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R5が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R6が水素である、請求項50に記載の化合物。
- 少なくとも一方のR6がハロゲンである、請求項50に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R7が水素であり、
R8が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R6が水素である、請求項53に記載の化合物。
- 少なくとも一方のR6がハロゲンである、請求項53に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R5が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R6が水素である、請求項56に記載の化合物。
- 少なくとも一方のR6がハロゲンである、請求項56に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R9が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R11が水素である、請求項59に記載の化合物。
- 少なくとも一方のR11がハロゲンである、請求項59に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R7が水素であり、
R8が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R10が水素である、請求項62に記載の化合物。
- 少なくとも一方のR10がハロゲンである、請求項62に記載の化合物。
- Q2が、
式中、
R4が水素である、
請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。 - 各R11が水素である、請求項65に記載の化合物。
- 少なくとも一方のR11がハロゲンである、請求項65に記載の化合物。
- Q2が、
- Q2が、1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アミノで場合により置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキルまたは場合により置換されたヘテロシクリルである、請求項26から34のいずれか一項に記載の化合物。
- Q2が非置換である、請求項69に記載の化合物。
- Q2が1つまたは複数のハロゲン、ヒドロキシルまたはアミノで置換されている、請求項69に記載の化合物。
- 立体配置:
- Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子が二重結合を形成する、請求項26から72のいずれか一項に記載の化合物。
- Z1およびZ2が結合している2つの隣接する炭素原子が単結合を形成する、請求項26から72のいずれか一項に記載の化合物。
- 請求項26から74のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む医薬組成物。
- 哺乳動物における細菌性感染の治療方法であって、該治療を必要としている哺乳動物に有効量の請求項26から74のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
- 哺乳動物における細菌性感染の治療方法であって、該治療を必要としている哺乳動物に有効量の請求項75に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
- 以下の構造(INT−I):
式中、
各R1は、独立して、アミノ保護基であり、
各R3は、独立して、ヒドロキシル保護基であり、
各Aは、独立して、1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アミノで場合により置換されたフェニル、または1つもしくは複数のハロゲン、ヒドロキシルもしくはアミノで場合により置換されたC1〜C6アルキルである
化合物。 -
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