JP2013505089A - 補聴器を用いた携帯型モニタリング装置およびeegモニタ - Google Patents
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Abstract
【構成】
携帯型モニタリング装置はハウジング,周囲音を受信する少なくとも一のマイクロフォン(24),マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段(43)および音響出力トランスデューサ(33)を有する補聴器を備え,携帯型モニタリング装置はさらにそれを使用する人物のEEG信号をモニタリングするEEGモニタリング・システムを備え,上記システムはハウジング中に少なくとも一部が配置され,それを持運ぶ人物から一または複数のEEG信号を計測する上記ハウジングの外部または外側表面上に配置される電極(複数)(12)を持つ計測ユニット(3)を備える。EEGモニタリング・システムはさらにEEG信号を解析するEEG信号処理手段を持つハウジング中に配置される処理ユニット(42)を備え,信号処理手段はEEG信号に基づき人の発作等の特定生物学的事象を識別または予測するように構成され,処理ユニットは解析EEG信号に基づきアラームまたは情報を人に提供すべき時を決定する決定手段および出力トランスデューサ(33)を通してアラームまたは情報を提供する手段を備える。
携帯型モニタリング装置はハウジング,周囲音を受信する少なくとも一のマイクロフォン(24),マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段(43)および音響出力トランスデューサ(33)を有する補聴器を備え,携帯型モニタリング装置はさらにそれを使用する人物のEEG信号をモニタリングするEEGモニタリング・システムを備え,上記システムはハウジング中に少なくとも一部が配置され,それを持運ぶ人物から一または複数のEEG信号を計測する上記ハウジングの外部または外側表面上に配置される電極(複数)(12)を持つ計測ユニット(3)を備える。EEGモニタリング・システムはさらにEEG信号を解析するEEG信号処理手段を持つハウジング中に配置される処理ユニット(42)を備え,信号処理手段はEEG信号に基づき人の発作等の特定生物学的事象を識別または予測するように構成され,処理ユニットは解析EEG信号に基づきアラームまたは情報を人に提供すべき時を決定する決定手段および出力トランスデューサ(33)を通してアラームまたは情報を提供する手段を備える。
Description
この発明は携帯型モニタリング装置(portable monitoring devices)に関する。この発明はさらに,補聴器を備えかつ生物学的事象(biological incidents)をモニタリングするEEGモニタリング・システムを備える携帯型モニタリング装置に関する。より詳細には,この発明は,ハウジング,周囲音を受信する少なくとも一つのマイクロフォン,上記マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段,および出力トランスデューサを備える携帯型モニタリング装置に関する。
一般に補聴器利用の普及は,全母集団よりも高齢者の母集団においてより多く見受けられる。
また,高齢者の母集団では糖尿病の流行が多く見受けられ,そこに糖尿病を持つ補聴器ユーザの重要な(有意な)グループ(a significant group)があることが理解されている。
糖尿病を患う持つ者にとって血糖濃度の細かなコントロールが重要である。このレベルは,糖尿病の長期的な影響のリスクを抑制するためには高すぎるものであってはならない。また血糖値レベルは低すぎてもならず,これは人が朦朧となったり意識不明に陥ったりすることのある低血糖症を発症させることがあるからである。低血糖症は致命的にもなりうる。このため,糖尿病を患う者は,少量の血液サンプルをテストすることで,日常的にまたは一日数回,血糖値を頻繁に測定する必要がある。糖尿病を患う者の中には,低血糖症が生じるレベルに血糖濃度が下降するときまで何らの前兆を感じない(not feel any warning)という問題を持つ者もいる。しかしながら,低血糖症の発症前において糖尿病を患う者の脳波(EEG)信号中には特性変化が見受けられる。
また,てんかんを患う者についても,発作の発症の前に上記EEG信号中に特性変化が見受けられる。
国際特許公開WO2006/066577から,糖尿病を患う者が低血糖事象に近づきつつあるかどうかを検出するために連続的に人のEEG信号を計測するシステムを提供するものが知られている。国際特許公開WO2007/144307にはEEG信号から低血糖症を検出するアルゴリズムも提示されている。米国特許6,572,542では,上記EEG信号および心電図(ECG)信号の両方が低血糖症の検出のために用いられている。
このようなシステムは,人の日常活動を制限することなく人によって連続して持ち運ばれることができるレベルにおいて開発されている。たとえば国際特許公開WO2007/144307に記載の方法にしたがって低血糖症の発症が検出されると,その者は上記システムによって警告され,かつ血糖濃度を計測するかまたは血糖濃度を上昇させるものを飲む若しくは食べることが指示される。多くの場合頭部上に皮下的に電極(複数)を配置するために外科手術が必要とされる。これらの電極は,なんらかのやり方で(in some way),身体に設けられる電子機器と接続される。
補聴器を使用する多くの聴覚障害者にとって,この小さいハイテク機器を取扱うことが難しいことがある。これは特に高齢者にとって問題となる。このような者がEEGモニタリング・システムをも装備し,EEGモニタリング・システムについても正しく取り扱って適切に機能させることが必要とされるとすれば,これらの2つの機器の少なくとも1つについての不正確な取扱いの危険性は,おそらくはかなり増加してしまう。これは,到来する生物学的事象,たとえば低血糖症の警告を見逃す危険や,可能である最適な聞こえを得られないという危険を生じさせる。
このように,補聴器とEEGモニタリング・システムの両方の利点(恩恵)を得るためには,装備される両方に対して注意を払いかつ特定の別々のやり方で取扱わなければならず,高齢者に補聴器とEEGモニタリング・システムの両方を装備させることは多くの問題がある。また,さらなる装置(more devices)を人の身体上に配置させるといずれかの見落としのリスクが高まる。さらに多くの補聴器ユーザは2つの補聴器を必要とする。
上述の問題点は,ハウジング,周囲音を受信する少なくとも一つのマイクロフォン,上記マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段,および音響出力トランスデューサを有する携帯型モニタリング装置によって解決され,上記携帯型モニタリング装置はさらに上記携帯型モニタリング装置を使用する人物のEEG信号をモニタリングするEEGモニタリング・システムを備え,上記EEGモニタリング・システムは上記ハウジング中に少なくとも部分的に配置され,上記EEGモニタリング・システムは上記EEGモニタを持ち運ぶ人物から一または複数のEEG信号を計測する電極(複数)を有する計測ユニットを備え,上記電極(複数)は上記ハウジングの外部(external to)または上記ハウジングの外表面上(at the outer surface)に配置されている。上記EEGモニタリング・システムはさらに上記EEG信号を解析するEEG信号処理手段を有する処理ユニットを備え,上記処理ユニットは上記ハウジング中に配置されており,上記信号処理手段は,上記EEG信号に基づいて,上記人物における発作等の特定の生物学的事象を識別または予測するように構成されており,上記処理ユニットは,上記解析されたEEG信号に基づいて,上記人物にアラームまたは情報を提供しなければならないとき(when an alarm or information must be provided to said person)を決定する決定手段,および上記出力トランスデューサを通して上記アラームまたは情報を提供する手段を備えている。
この発明による補聴器およびEEGモニタリング・システムを備える上記携帯型モニタリング装置は,ただ一つの装置が思い出し(to remember)および取り扱い(to handle)に用いられるという利点をもたらす。上記ハウジングおよび音響出力トランスデューサが両方の目的に使用されるので,2つの独立した装置と比較すると,より小さいサイズでかつ低価格で製造することができる。他のコンポーネント,たとえば電池および電子回路のパーツ(部分)も両方の目的に使用することができる。製造業者は,上記補聴器および上記EEGモニタリング・システムの両方の最適な取扱いおよび制御のために2つのユーザ・インターフェースを統合するまたは設定することができるように,上記補聴器および上記EEGモニタリング・システムを備える携帯型モニタリング装置を設計することが可能であり,したがって,2つの別々の装置と比べて,全体的により簡単な取り扱いが容易になる。たとえば,好ましくは同じリモート・コントロールが両方の機能について用いられる。
一実施態様では,上記携帯型モニタリング装置は,実際の音響背景雑音レベル(the actual acoustic background noise level)にしたがって音メッセージまたはアラームの音レベルを調節し,上記音メッセージを上記背景雑音に対して明確に識別可能にする(make the sound message clearly discernible over the background noise)調節手段を備える。これにより上記ユーザが上記EEGモニタリング・システムからのアラームまたはメッセージに気づく可能性が高まり,このようなアラームに応じた所作をとることができ,したがって生物学的事象のリスクが低減される。この生物学的事象は低血糖症であってもよい。この場合ユーザによってとられるべき所作は比較的単純であり,すなわち高いブドウ糖を含有するものを食べるまたは飲むことで血糖値を上げることである。
補聴器およびEEGモニタリング・システムを備える携帯型モニタリング装置の一実施態様では,上記EEGモニタリング・システムは上記計測ユニットおよび上記処理ユニットの間で無線接続するように構成されている。これにより,上記携帯型モニタリング装置のさらに柔軟な配置が助長される。上記計測ユニットを埋込むこと,またはユーザの身体の異なる位置に上記2つのユニットを配置することが可能になる。
補聴器およびEEGモニタリング・システムを備える携帯型モニタリング装置の一実施態様において,上記計測ユニットは上記電極(複数)と接続される電子モジュール(電子回路モジュール)(electronic module)を備えている。この電子モジュールは,上記信号をデジタル化するアナログ−デジタル変換器を備え,上記電極にできるだけ近づけることで雑音に対する敏感さを低くすることができる。上記電子モジュールはさらに上記EEG信号を上記処理ユニットへ送信する通信手段に接続される。このような通信手段は,たとえばデータ・バスを通じた有線のものであってもよいし,無線のものであってもよい。
携帯型モニタリング装置のさらなる実施態様において,上記EEGモニタリング・システムの上記計測ユニットは,モニタされるべき上記人物の頭部上に皮下的に埋め込まれる。これにより,上記電極および組織間においてよりよくかつ安定した電気的接触が確保される。好ましくは,上記計測ユニットは頭皮と頭蓋骨との間に配置され,これによって上記埋込みが比較的簡単になる。
さらなる実施態様において,上記携帯型モニタリング装置は,上記補聴器および上記EEGモニタリング・システムに電源を供給する電池を備えるように作成され,上記電源は上記計測ユニットに無線で転送される。これにより,上記外部ユニットから給電される埋込物を有することができるようになり,したがって埋込まれた計測ユニット中の電池を交換するための外科手術を避けることができる。
さらなる実施態様において,上記計測ユニットは,少なくとも2つの電極を,少なくとも異なる2つの位置において耳道壁に接触するように上記耳道中に配置させるように構成されている。上記耳道はEEG信号を計測するのに適した場所であることが分かっている。上記耳道中に電極を配置することによって,上記計測ユニットの埋込みを回避することができる。さらに,上記補聴器を機能させるためには,上記ユーザの鼓膜に音響信号を供給する手段を有する何らかのイヤプラグが必要である。したがってこのようなイヤプラグに電極を配置するまたは取り付けることができる。
さらなる実施態様において,上記EEGモニタリング・システムの上記処理ユニットは,耳の後ろに配置されるように構成されている。この実施態様において,上記携帯型モニタリング装置の上記ハウジングは耳掛け型補聴器(behind-the-ear hearing aid)として耳の後ろに配置される。これは,上記ハウジングが直接には見えず,かつ上記計測ユニットが耳の後ろの頭部の領域に皮下的に埋め込まれたときに良好な無線接触を得ることができるという利点がある。
さらなる実施態様において,上記電極からの信号は上記計測ユニットにおいてデジタル化された後,上記処理ユニット中の上記EEG信号処理手段へ送信される。データ・バスを通した送信が容易になり,かつ送信のために上記データをパケット化する(packed)ことができる。また,このような信号はノイズに対して敏感さが低くなる。
さらなる実施態様において,上記計測ユニットおよび上記処理ユニットは上記耳道内に配置されるように構成されるイヤプラグ・ケーシング中に配置され,上記イヤプラグ・ケーシングが上記耳道の形状に個々に適合する外側形状を備えている。この実施態様において,上記電極は典型的には上記イヤプラグ・ケーシングの外側表面上に配置され,上記耳道内に取り付けられたときに上記耳道の皮膚と密接に接触する(in close contact)。耳穴型補聴器(in-the-ear hearing aid)は多くの補聴器ユーザにとって好まれており,この実施態様を用いることで,EEGモニタリング・システムを備える耳穴型の携帯型モニタリング装置を実現することができる。
さらなる実施態様において,補聴器機能用の音響信号処理手段が,上記EEGモニタリング・システム用の上記処理ユニットも備える上記ハウジング中に配置される。上記音響信号処理手段は,上記個々のユーザの必要性(needs)に対する上記補聴器伝達関数の調整を容易にする(facilitate)ためにプログラミング可能である。同じハウジング中に2つの処理ユニットを持たせることの利点は,これらと上記ハウジング中に配置される他のコンポーネントの間の配線(wiring)を簡単にできる点にある。このような他のコンポーネントとして,レシーバ,供給電源,メモリおよびマイクロフォンが考えられる。
さらなる実施態様において,上記音響信号処理手段および上記EEG信号処理手段は同じチップ上に配置される。これによって上記配線がより簡単になり,小さいハウジングを容易にするいくらかの空間がセーブされる。
さらに他の実施態様において,上記音響信号処理手段および上記EEG信号処理手段は外部装置からプログラム可能であり,これにより上記システムは個々のユーザの必要性にしたがって機能を設定することができる。このようなプログラミングは,有線またはたとえばリレー装置を通した無線によって実行することができる。リレー装置は上記携帯型モニタリング装置との間で無線通信に用いることができ,そこでは短距離かつ低電力消費の送信が上記補聴器と上記リレー装置との間で用いられる。他方,より遠い範囲の送信は,上記リレー装置と周辺ユニットとの間に適用される。上記携帯型モニタリング装置のプログラミングは,上記補聴器パラメータと上記EEGモニタリング・パラメータの両方をプログラミングする一つのソフトウエア・ツールから実行することができる。
さらなる実施態様において,上記携帯型モニタリング装置はさらに,特定の生物学的事象の識別または予測に関するEEG信号中の事象(イベント)をログするように構成されたデータ・ロガーを備えている。このようなログ・データは,ユーザに対し,将来の生物学的事象を回避するのを助ける重要な情報を提供する。ある一日のうちの特定の時間に,ある事象が実際には発生していないが起こりそうになることが頻繁に生じる場合,日々の日常行動を変えることを提案することができる。糖尿病の場合であれば,このような変更は,事象(ここでは低血糖症)に頻繁に近づく一日のうちの上記時間の前に,もっと食べることまたはインシュリン服用量を減らすこととすることができる。データ・ロギングは,補聴器関連パラメータおよびEEG信号パラメータの両方について実行することができる。
さらなる実施態様において,上記携帯型モニタリング装置はさらに生物学的事象に関する上記EEGモニタリングから得られた情報を外部装置に送信するように構成された無線送信機(radio transmitter)を備えている。これにより,アラームまたは情報を家族の者または医療ケアスタッフに直接に受け渡す(pass)ことが容易になる。無線受信機を,上記補聴器または上記EEGモニタのいずれかにおいて,別のパラメータを設定するために用いてもよい。
この発明の第2の観点は,聴覚障害者のEEG信号をモニタリングする方法をカバーするものであり,この方法は,
ハウジング,周囲音を受信する少なくとも一つのマイクロフォン,上記マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段,および音響出力トランスデューサを有する補聴器を備える携帯型モニタリング装置を用意し,上記携帯型モニタリング装置はさらに上記携帯型モニタリング装置を使用する人物のEEG信号をモニタリングするEEGモニタリング・システムを備えており,上記EEGモニタリング・システムは上記ハウジング中に少なくとも部分的に配置されており,
上記EEGモニタを持ち運ぶ人物からの一または複数のEEG信号を計測する電極(複数)を有する計測ユニットを用意し,上記電極は上記ハウジングの外部または上記ハウジングの外表面に配置されており,
上記EEG信号を解析するEEG信号処理手段を有する処理ユニットを用意し,上記処理ユニットは上記ハウジング中に配置されており,上記信号処理手段は,上記EEG信号に基づいて,上記人物の発作等の特定の生物学的事象を識別または予測するように構成されており,上記処理ユニットは,上記解析されたEEG信号に基づいて,上記人物にアラームまたは情報を与えなければならないときを決定する決定手段,および上記出力トランスデューサを通して上記アラームまたは情報を提供する手段を備えている。
ハウジング,周囲音を受信する少なくとも一つのマイクロフォン,上記マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段,および音響出力トランスデューサを有する補聴器を備える携帯型モニタリング装置を用意し,上記携帯型モニタリング装置はさらに上記携帯型モニタリング装置を使用する人物のEEG信号をモニタリングするEEGモニタリング・システムを備えており,上記EEGモニタリング・システムは上記ハウジング中に少なくとも部分的に配置されており,
上記EEGモニタを持ち運ぶ人物からの一または複数のEEG信号を計測する電極(複数)を有する計測ユニットを用意し,上記電極は上記ハウジングの外部または上記ハウジングの外表面に配置されており,
上記EEG信号を解析するEEG信号処理手段を有する処理ユニットを用意し,上記処理ユニットは上記ハウジング中に配置されており,上記信号処理手段は,上記EEG信号に基づいて,上記人物の発作等の特定の生物学的事象を識別または予測するように構成されており,上記処理ユニットは,上記解析されたEEG信号に基づいて,上記人物にアラームまたは情報を与えなければならないときを決定する決定手段,および上記出力トランスデューサを通して上記アラームまたは情報を提供する手段を備えている。
第3の観点において,この発明は,上述した実施態様のいずれか一つにしたがい,かつ人の一方の耳に配置されるように構成される携帯型モニタリング装置を備えるシステムをカバーする。上記システムはさらに上記人の他方の耳に配置されるように構成される補聴器を備える。上記補聴器を第2の携帯型モニタリング装置と置き換えることもできる。好ましくは,第1の携帯型モニタリング装置および上記補聴器または第2の携帯型モニタリング装置は,無線で通信し,上記人の両方の耳になんらかのアラームまたはメッセージを提供することができる。両耳メッセージは理解をより簡単なものとし,あらゆるメッセージの明瞭性を増加させることができる。
このシステムの一実施態様において,上記システムは上記携帯型モニタリング装置および上記補聴器を調節するためのリモート・コントロールも備える。
さらなる実施態様において,上記システムはリレー装置を備える。リモート・コントロールおよびリレー装置を一つのユニットに結合してもよい。このような結合ユニットは,たとえばデータ・ロギングのための外部メモリを備えてもよい。
以下,図面を参照しつつ,この発明の実施例をより詳細に説明する。
図1は携帯型モニタリング装置を装着した人の頭部1を示している。図1において,EEGモニタリング・システムは,外部ユニット2ここでは処理ユニットと,埋込みユニット3ここでは計測ユニットを備えている。上記2つのユニット2,3は,人の皮膚を通して無線通信するようになっている。上記埋込みユニット3は電極(複数)12を有する計測ユニットを備えている。上記計測ユニットは少なくとも2つの電極12を持てばよい。上記電極は分離ワイヤ(separate wires)として,または図1に図示するように同一のワイヤ11における分離電極12として配置することができる。すべての電極を備える一のワイヤはシンプルな埋込み処理を容易にする。上記ワイヤ11上の異なる電極12は,個別に電子モジュール10に接続される。上記電子モジュール10は上記電極によって得られた信号をデジタル形式に変換する手段を備え,さらに上記外部ユニット2と通信する手段を備えている。
図2は,人の皮膚4の下にすなわち皮下的に配置された上記埋込みユニット3と,人の皮膚バリア(skin barrier)4の外側に正しく配置された外部ユニット2とを,概略的な形態で示している。この実施形態において,上記外部ユニットは,たとえば耳の後ろに配置されるべく作成されたベース部(base part)20と,上記モニタリング・システムを用いて上記人の耳道中に配置されるべく作成された耳道部(外耳道部)(ear canal part)21とを備えている。別の実施例(図1または図6を参照)では,上記外部ユニットは,耳道部を持たず,ベース部単独で構成される。
上記ベース部20は,上記埋込み部3と通信するための通信手段を備えることができる。上記通信手段は,アンテナを,たとえば誘導結合を通して上記埋込みユニット3中のコイルと対応するコイルの形態で備えることができる。上記ベース部20は上記EEG信号を解析して,上記EEG信号の解析から見つけられる生物学的事象を識別するまたは予測するように構成される処理ユニットも備えることができる。上記ベース部20は,典型的には,電池の形態で供給電源を備えることもできる。また,上記ベース部は多くの場合には補聴器機能のための一つまたは二つのマイクロフォンを備えることもでき,これを背景雑音レベルの計測に用いることもできる。実際の音響背景雑音レベルにしたがって音メッセージの音レベルを調整するために設定される処理手段のための入力として,この雑音レベルを用いることができる。一般には,音メッセージ(複数)は,補聴器機能,および低血糖症の発症に向けられたアラーム(複数)以外の上記EEGモニタリング・システムに関する情報に関連するものであってもよい。
上記耳道部21は,音響信号を,上記モニタリング・システムを持ち運ぶ人物に供給する手段を備えるイヤプラグとして形成することができる。このような音響信号を供給する手段は,上記耳道部21中に配置されるレシーバまたはスピーカ22とすることができ,そこに上記ベース部20中の信号処理手段からワイヤを通して電気信号が提供される。上記音響信号を提供する手段は,一端が上記耳道部21中に配置され,他端が上記ベース部20に配置される音響管(sound tube)であってもよい。この場合,音響信号を上記音響管へ供給する上記ベース部20内にレシーバまたはスピーカ22が配置され,上記音響管が上記音響信号を耳道部21へ伝達する。上記音響信号を供給する手段は,増幅された補聴器信号および上記EEGモニタリング・システムからのあらゆるアラームまたは情報の両方に用いられる。イヤプラグとして形成される耳道部は,好ましくはユーザの耳道の形状に対して形成(形付け)される(shaped)。
図2に示す埋込みユニット3も,電極(複数)12および電子モジュール13を備えている。上記電子モジュールは上記外部ユニット2の上記ベース部20と通信するためのアンテナを備えている。このアンテナは誘導結合のためのコイルの形態とすることができる。さらに他のタイプのアンテナを用いることもできる。上記電子モジュール10はさらに,アナログ−デジタル変換手段,およびたとえば上記ベース部20への信号転送を制御する手段を備えている。
上記埋込みユニット3はさらに上記電子モジュールのための電源供給手段を備えている。これは,外部手段によってたとえば誘導(インダクション)を通して充電可能な電池の形態とすることでき,またはたとえば身体における熱差異(heat differentials)から電源(パワー)を生成するシステムから充電されるもの,もしくは身体の動きから生成される運動エネルギーから充電されるものであってもよい。上記埋込みユニット3は,上記外部ユニット2の上記ベース部から誘導結合を通して連続給電される(continuously powered)ものであってもよい。
図3は上記計測ユニットが耳道部21中に配置される実施例を示している。この実施例において,上記EEG信号を検出する電極(複数)23は上記耳道部の外表面上に配置され,上記耳道部が使用に供されると耳道内の皮膚に接触する。好ましくは,上記耳道部21は,携帯型モニタリング装置のユーザの特定の耳道にフィットするイヤプラグ中に形成される。したがって,上記電極(複数)を,上記耳道部が耳道内に配置されるたびに同じ位置に容易に配置することができる。このことは,上記電極(複数)23の位置の変化によって生じることがある上記EEG信号中の変化を避けるために重要となり得る。
図4は,携帯型モニタリング装置のすべてのパーツが耳道中に配置されるように作成されている実施例を示している。この実施例は,補聴器およびEEGモニタリング・システムを備えた,いわゆる耳内補聴器として形成される。この実施例による上記携帯型モニタリング装置は,好ましくは,補聴器ユーザの耳にフィットするイヤプラグ中に形成される。
図5は,図1または図2の実施例による携帯型モニタリング装置の主要コンポーネントを示すもので,これは,上記携帯型モニタリング装置とその周囲(the surroundings)との間の無線通信において上記携帯型モニタリング装置をアシストする,リモート・コントロールまたはリレー装置のような外部ユニット6と通信するように設定される。上記携帯型モニタリング装置は,音響信号処理手段43およびEEG信号処理手段42を備えるハウジング2中に配置される。上記EEGモニタリング・システムのための計測ユニット3は上記ハウジング2の外に配置され,上記EEG信号処理装置42と無線通信するように作成される。上記計測ユニット3と上記EEG信号処理装置42との間の無線通信は誘導コイル19,30を通して実行することができ,これらのコイルは上記計測ユニット3へ電源を無線転送することもできる。このことは,上記計測ユニット3が埋込まれているときに特に有利である。
上記EEG信号は,上記計測ユニット3とともに皮下的に配置される電極(複数)12によって計測される。送信のために,電子モジュール10によってアナログのEEG信号がデジタル化されかつパケット化される(digitized and packed)。上記EEG信号の上記EEG信号処理装置への転送が完了すると,上記信号は解析されて,低血糖症の発症を示すことがある,信号中の経時的なあらゆる変化(any changes in the signals over time)が検出される。上記信号解析が低血糖症の発症が近づいている可能性を示す場合,メッセージが音響信号処理装置へ送られ,そこから,音響アラームまたは情報が,音響出力トランスデューサ33すなわちレシーバまたはスピーカを通して提供される。マイクロフォン24は周囲音圧レベルを計測するために用いられ,上記レシーバ33の出力はこの背景雑音に対して調整される。上記EEGモニタリング・システムのための個別設定は上記携帯型モニタリング装置中のメモリEEPROM46中に記憶させることができ,このような設定は,上記携帯型モニタリング装置のハウジング2中の様々なコンポーネントを接続する内部バス41を通じてアクセスすることができる。上記EEGモニタリング・システムについての個別設定は,ユーザに関する特定の生物学的事象を識別するまたは予測する上記EEG信号処理装置を設定するパラメータ(複数)を含むことができる。これは低血糖症またはてんかん発作とすることができる。低血糖症の場合,パラメータ(複数)を,低血糖症のアラームをどの程度早く(how early)与えるかを特定するものとすることもできる。低血糖症の発症は別人物であれば異なる原因(causes)を持つことがあるので,これは適切である。
上記携帯型モニタリング装置46の内部メモリ,たとえば一例としてのEEPROMは,補聴器ユーザのオージオグラムを表すデータや個々のユーザについて設定される他のパラメータ(複数)といった補聴器パラメータ(複数)の記憶に用いることもできる。これらのパラメータは補聴器部のフィッティング中に上記携帯型モニタリング装置のメモリ46中に記憶される。これは,補聴器フィッタのコンピュータから,有線接続または図5に示すような無線を通して,上記携帯型モニタリング装置のメモリに転送することによって行われる。
上記携帯型モニタリング装置と外部ユニットとの間の無線接続は,好ましくは,たとえばリレー装置6中の無線装置35と通信する低電力無線装置45の受信機および送信機に基づく。上記リレー装置は,補聴器の技術分野ではDEXユニットとしても説明される。無線装置35を備えた上記外部ユニットは上記フィッタのコンピュータでもよい。上記リレー装置6またはDEXを,上記携帯型モニタリング装置用の設定パラメータを転送する以外の多数の他の目的に使用することができる。多くの場合,上記リレー装置6は補聴器ユーザの首にかけられた紐で胸元において持ち運ばれるように配置される。上記リレー装置は通常は大きく,たとえば補聴器中で使用可能なものよりも実質的に大きいしたがってより強力な電池を設けることができるので,リレー装置は他のユニットと無線通信するものでもよく,この場合ブルートゥースのような大きな電源を必要とする標準的な通信(communication standard)を用いることができる。
リレー装置6は音を上記携帯型モニタリング装置にストリーミングするために用いることができる。これは,テレビからの音または上記携帯型モニタリング装置の外部マイクロフォンからの音について適用することができる。上記リレー装置6にはさらに,フラッシュ・メモリのようなさらなるメモリ容量を供給することができ,フラッシュ・メモリを上記携帯型モニタリング装置によってログされたデータの保存や,上記携帯型モニタリング装置へストリーミングする音ファイルの保存に用いることができる。このようなログ・データは音環境およびEEG信号上の情報を構成する統計データとすることができる。このようなデータを上記EEPROM46中に連続的に記憶し,必要に応じて,たとえばリレー装置中のフラッシュ・メモリに転送することができる。
図6は,補聴器および図1の実施例によるEEGモニタリング・システムを備える携帯型モニタリング装置をより詳細に示している。図6では,EEGモニタリング・システムに焦点が当てられている。上記埋込みユニット3はEEGをモニタすべき人物の耳の後ろに皮下的に配置されるのに適している。上記埋込みユニット3はアイソレータ(絶縁体)(複数)9によって分離された複数のアクティブ領域12を持つ皮下電極ワイヤ(a subcutaneous electrode wire)11を備えており,上記電極ワイヤ11が電子回路10に接続されている。この実施例において示す上記EEG電極ワイヤ11は2つのアクティブ領域12を有しており,そのそれぞれが独立して別個の電極に接続されかつ配置されるが,他の実施例においては3つないしそれ以上のアクティブ領域を有するEEG電極が必要となることもある。上記電子回路10はA/Dコンバータ14,データ・パケット・コントローラ15,通信コントローラ16および電圧レギュレータ17を備えている。好ましくは,上記A/Dコンバータ14は低電力消費タイプのものである。上記電極ワイヤ11は電極ワイヤ13(複数)を介して上記A/Dコンバータ14の入力端子に接続され,上記通信コントローラ16は第1の通信コイル19に接続され,上記電圧レギュレータ17はセラミック・キャパシタ18に接続されている。上記セラミック・キャパシタ18および上記通信コイル19は,その両方が上記埋込みユニット3の一部として配置されている。
図6における上記EEGモニタリング・システムの外部部分(external part)2は,第2の通信コイル30に接続されているコントローラ31,上記コントローラ31に電源を供給する電池32,および音響信号たとえば発作のような生物学的事象が発生したときに音メッセージを供給するレシーバ(すなわち,スピーカ)22を備えている。上記コントローラ31はEEG信号処理装置および音響信号処理装置を備えている。上記外部部分2は,少なくとも一つのマイクロフォン(図示略)も備えている。補聴器機能として用いられるのに加えて,マイクロフォンを,背景雑音を計測するために用いて上記背景雑音レベルにしたがって音メッセージの音圧レベルを調整するために用いることができる。
使用時において,上記EEGモニタリング・システムの上記外部ユニット2を,上記EEG信号のモニタリングを必要とするユーザの耳の後ろでかつ皮下埋込みユニット3の近傍に配置することができる。上記皮下埋込みユニット3は皮膚の直下(right below the skin)でかつややユーザの耳の後ろに埋込まれ,信頼性のある電気EEG信号を上記電極ワイヤ11によって検出することができるように配置される。
上記電極ワイヤ11は,2つのアクティブ領域12間の電位差の変動(a varying electrical voltage potential)としてEEG信号をピックアップし,上記電極ワイヤ13を通して上記A/Dコンバータ14の入力端子に上記変動電圧を与える。上記A/Dコンバータ14は上記電極ワイヤ11からの上記変動電圧をデジタル信号に変換し,上記デジタル信号を上記データ・パケット・コントローラ15にもたらす。上記データ・パケット・コントローラ15は上記電極ワイヤ11からの電気信号を表すデジタル信号を,所定の通信プロトコルにしたがうデータ・パケット(複数)のストリームにアレンジして,得られたデータ・パケットのストリームを上記通信コントローラ16に与える。
上記通信コントローラ16は2つの動作目的(operational purposes)を構成する。上記通信コントローラ16の第1の目的は,上記第1の通信コイル19によって上記外部部分2の上記第2の通信コイル30からのエネルギーを受信することにより,上記電子回路10を電磁的に励磁させる(エネルギーを与える)(energized)ことである。上記第1の通信コイル19において受信された電磁エネルギーは上記通信コントローラ16によって上記電圧レギュレータ17へ転送され,上記セラミック・キャパシタ18において電荷として一時的に蓄積される。上記セラミック・キャパシタ18に蓄積された電気エネルギーが,その後に上記電子回路10用の電源として用いられる。
上記通信コントローラ16の第2の目的は,上記電極ワイヤ11からの電気EEG信号を表す,上記データ・パケット・コントローラ15からのデータ・パケットを受取り(take),それを第1の通信コイル19において,上記外部部分2の上記第2の通信コイル30によって受信されかつ検出されるのに適する電磁エネルギーのバースト(bursts of electromagnetic energy)に変換することである。上記第2の通信コイル30は受信した電磁エネルギーを上記コントローラ31による連続したデコードおよび解析に適する電気信号に変換する。
上記EEG信号の解析の結果に依存して,上記コントローラ31によって,たとえば上記EEG信号の解析から所定の医学的状況(medical condition)が発症しているとみなされるときに,アラームを鳴らすまたは情報を提供するように上記レシーバ22を動作させることの決定を行うことができる。このアラームは上記医学的状況に対してユーザを警告することができ,上記医学的状況を緩和するための適切なステップ,たとえば上記医学的状況に応じて,処方薬を摂取する,即時の助言あるいは支援を求めるために医療従事者に意見を求めるといったことを,ユーザは採ることができる。
図7および図8は,図6に示す上記埋込み可能ユニット3の実施例を示している。図7は上記埋込み可能ユニット3の平面図を示し,図8は上記埋込み可能ユニット3の対応する側面図を示している。上記埋込み可能ユニット3は絶縁領域9,電気信号の存在を検出するために皮下組織に接触するアクティブ領域12a,12cを有する電極ワイヤ11,ならびに電子回路10,セラミック・キャパシタ19および第1の通信コイル19を備える実質的に円形のキャリア要素37を備えている。上記埋込み可能ユニット3はユーザの耳の後ろの皮下的な埋込みのために構成されており,上記電極ワイヤ11は細長部材として具現化されており,一例では約60mmの物理的な長さおよびほぼ1mmの物理的な幅を有し,上記実質的に円形のキャリア要素37は,埋込みユニット3を容易に埋込み可能とするためにたとえば約20mmの直径を持つ。
電極ワイヤ11を備える上記埋込みユニット3は,上記EEGモニタリング・システムの電子回路による検出に適切な信号を提供するために,ユーザの耳の後ろに皮下的に埋め込まれて配置される。上記EEG電極からの典型的な出力信号はおよそ1μVから100mVの範囲の大きさを持つ。筋収縮が通常10mVの大きさのレベルの電圧を生成するが,このような信号は上記システムによって除かれる。上記電極の固有雑音レベル(intrinsic noise level of the electrode)は0.1から100Hzの帯域幅にわたって計測されるときに約1μV RMSであり,上記出力信号の有効帯域幅(usable bandwidth)は0.1から40Hzである。上記電極は生物適合性PTFEポリマーを基材とし,接触電極(electrode contacts)は,同様に生物適合性の,90%のプラチナと10%のイリジウムを持つプラチナ−イリジウム合金(Pt-Ir)からつくられる。
埋込みの前に,上記埋込み可能ユニット3は,埋込み後に周囲組織の環境(the environment of the surrounding tissue)から電子回路を保護するために,電極ワイヤ11を除いて生物適合性レジン(a bio-compatible resin)(図示略)中に全体的に包まれる(encased)。上記外部ユニット2が,上記埋込み物が位置している耳の後ろに装着されると,上記外部部分の第2の通信コイル30は上記埋込み可能ユニット3の上記第1の通信コイル19から1cm未満となり,上記EEGモニタリング・システムの上記埋込み可能ユニット3と上記外部ユニット2との間の通信が円滑になる。この通信は,上記埋込み可能ユニット3へ電磁エネルギーを伝達する上記外部ユニット2と,上記電極ワイヤ11からの信号を表すデータを解析のために上記外部ユニット2へ送信する上記埋込み可能ユニット3を含む。
一般に,いくつかのコンポーネントを補聴器機能およびEEGモニタリング機能の両方に用いることができる。レシーバに加えて,マイクロフォン,供給電源および信号処理手段が,2つの機能のために用いられる。2つの異なる機能のために必要な信号処理手段は,同じ電子チップ上に統合することができる。無線通信に適する外部ユニット2および埋込ユニットを備えるEEGモニタリング・システムの実施例では,上記外部ユニットのアンテナを,補聴器にオーディオをストリーミングする装置や上記EEGモニタリング・システムからのアラームを受信する装置などの周辺機器との無線通信に用いることができる。
2つの補聴器を必要とする者の場合,これらのうちの一つのみにEEGモニタを結合して携帯型モニタリング装置にすればよいことがある(only one of these may be need to be combined with an EGG monitor into a portable monitoring system)。いずれにしても,聞こえを向上するために,上記EEGモニタリング・システムからのアラームまたは情報を,両補聴器を通して供給することができる。上記携帯型モニタリング装置および補聴器は,これを達成するために無線接続することができる。聞こえはさらに,両補聴器の一つへの信号を180度位相シフトすることにより両耳マスキング・レベルを向上することによって,向上させることができる。
たとえば,上記EEGモニタリング・システムからの何らかのアラームまたは情報があるときに,上記携帯型モニタリング装置中の補聴器およびたとえば他の補聴器中において,上記補聴器のマイクロフォンからの音の増幅のレベルを低減することが利点をもたらすこともある。周囲からの増幅された音によって生じる鼓膜の前の音圧レベルが,上記EEGモニタリング・システムからのアラームまたは情報の明瞭度または知覚を低めることがないレベルにまで,上記増幅のレベルは低減されるべきである。増幅における上記低減はさらに,上記EEGモニタリング・システムからのアラームまたはメッセージの重要性ないし緊急性から決定することもできる。
多くの実施例では,補聴器部および上記携帯型モニタリング装置の上記EEGモニタリング・システムの両方が,個々のユーザに対して補聴器機能およびEEGモニタリング機能に適するプログラム可能部分またはパラメータを備えることができる。このようなプログラミングは,たとえ2セットのパラメータが2人の異なる専門家,すなわち,補聴器機能について一人およびEEGモニタリングについて一人によって決定されることが必要であるとしても,同じソフトウェア・プラットフォームから行なうことができる。上記プログラミングは有線接続または無線を通して,リレー装置を介して実行することができる。プログラミングまたは初期プログラミングの調整はインターネットを通じて行うこともできる。
上記携帯型モニタリング装置がデータ・ロガーを備える場合,好ましくは補聴器に関連するデータのみならずEEGに関連するデータもログするように設定される。ログされる上記補聴器関連データは,補聴器が用いられている音環境および対応する音環境においてユーザによって選択された補聴器のプログラムを記述するデータとすることができる。EEG関連データは,アラームの数および時間,ならびにアラームが鳴ることは妨げられたがアラームに近かった事象(events where an alarm was close but prevented before the alarm was given)とすることができる。また,たとえば血糖レベルが比較的低いと思われる特定の時間(the specific time)のロギングもできる。
ほとんどの携帯型モニタリング装置のユーザは,就寝時に補聴器を取り外してスイッチを切る必要がある。しかしながら,就寝中にEEGモニタリングすることが好ましいこともある。したがって,EEGモニタリング機能をスイッチ・オフすることなく,補聴器機能をスイッチ・オフすることができるようにすべきである。リモート・コントロールをこの目的のために用いることができる。
Claims (20)
- ハウジング,周囲音を受信する少なくとも一つのマイクロフォン,上記マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段,および音響出力トランスデューサを有する補聴器を含む携帯型モニタリング装置であって,上記携帯型モニタリング装置はさらに上記補聴器を使用する人物のEEG信号をモニタリングするEEGモニタリング・システムを備え,上記EEGモニタリング・システムは上記ハウジング中に少なくとも部分的に配置されており,
上記EEGモニタリング・システムは,
上記EEGモニタを持ち運ぶ人物から一または複数のEEG信号を計測する,上記ハウジングの外部または上記ハウジングの外表面上に配置される電極(複数)を有する測定ユニット,ならびに
上記EEG信号を解析するEEG信号処理手段を有する処理ユニットを備え,上記処理ユニットが上記ハウジング中に配置されており,上記信号処理手段が,上記EEG信号に基づいて,上記人物における特定の生物学的事象を識別または予測するように構成されており,上記処理ユニットが,上記解析されたEEG信号に基づいて,上記人物にアラームまたは情報を提供しなければならないときを決定する決定手段,および上記出力トランスデューサを通して上記アラームまたは情報を提供する手段を備えている,
携帯型モニタリング装置。 - 音響背景雑音レベルにしたがって音メッセージの音レベルを調節し,上記背景雑音に対して上記音メッセージを明確に識別可能にする調節手段を備えている,請求項1に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記生物学的事象は低血糖症である,請求項1または2に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記EEGモニタリング・システムは,上記計測ユニットと上記処理ユニットとを無線接続するように構成されている,請求項1,2または3に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記計測ユニットは電子モジュールを備え,上記電子モジュールが上記電極(複数)に接続されており,さらに上記EEG信号を上記処理ユニットに送信する通信手段に接続されている,請求項4に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記計測ユニットがモニタされるべき人物の頭部に皮下的に埋込まれている,請求項5に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記補聴器および上記EEGモニタに電源を供給する電池を備え,上記EEGモニタの上記計測ユニットへの上記電源が無線により転送される,先行する請求項のいずれか一項に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記計測ユニットは,少なくとも2つの電極を,少なくとも異なる2つの位置において耳道壁に接触するように上記耳道中に配置させるように構成されている,請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記処理ユニットは耳の後ろに配置されるように構成されている,請求項8に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記電極(複数)からの信号が上記計測ユニットにおいてデジタル化され,その後に上記処理ユニット中の上記EEG信号処理手段に送信される,請求項9に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記計測ユニットおよび上記処理ユニットが,耳道内に配置されるように構成されたイヤプラグ・ケーシング中に配置されており,上記イヤプラグ・ケーシングが上記耳道の形状に個別に適合する外側形状を備えている,請求項8に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記音響信号処理手段が,上記処理ユニットも備えるハウジング中に配置され,上記音響信号処理手段が個々のユーザの必要性に対する補聴器伝達関数の調整を容易にするためにプログラミング可能である,先行する請求項のいずれか一項に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記音響信号処理手段および上記EEG信号処理手段が同じチップ上に配置されている,先行する請求項のいずれか一項に記載の携帯型モニタリング装置。
- 上記音響信号処理手段および上記EEG信号処理手段が外部装置からプログラム可能なものであり,これにより上記携帯型モニタリング装置は個々のユーザの必要性にしたがって機能を設定することが可能である,請求項13に記載の携帯型モニタリング装置。
- 特定の生物学的事象の識別または予測に関するEEG信号中の事象をログするように構成されたデータ・ロガーをさらに備えている,先行する請求項のいずれか一項に記載の携帯型モニタリング装置。
- 生物学的事象に関する上記EEGモニタリングから得られた情報を外部装置に送信するように構成された無線送信機を備えている,先行する請求項のいずれか一項に記載の携帯型モニタリング装置。
- 聴覚障害者のEEG信号をモニタリングする方法であって,
ハウジング,周囲音を受信する少なくとも一つのマイクロフォン,上記マイクロフォンからの信号を処理する音響信号処理手段,および音響出力トランスデューサを有する補聴器を備える携帯型モニタリング装置であって,上記携帯型モニタリング装置を使用する人物のEEG信号をモニタリングする,上記ハウジング中に少なくとも部分的に配置されるEEGモニタリング・システムをさらに備える携帯型モニタリング装置を用意し,
上記ハウジングの外部または上記ハウジングの外表面に配置される電極(複数)であって,上記EEGモニタを持ち運ぶ人物からの一または複数のEEG信号を計測する電極(複数)を備える計測ユニットを用意し,
上記EEG信号を解析するEEG信号処理手段を有し,上記ハウジング中に配置される処理ユニットであって,上記信号処理手段が,上記EEG信号に基づいて,上記人物の発作等の特定の生物学的事象を識別または予測するように構成されており,上記解析されたEEG信号に基づいて,上記人物にアラームまたは情報を与えなければならないときを決定する決定手段,および上記出力トランスデューサを通して上記アラームまたは情報を提供する手段を備えている処理ユニットを用意する,
方法。 - 人の一方の耳に配置される請求項1から16のいずれか一項に記載の携帯型モニタリング装置を備え,さらに上記人の他方の耳に配置される補聴器を備えている,システム。
- 上記携帯型モニタリング装置および上記補聴器を調節するリモート・コントロールをさらに備えている,請求項18に記載のシステム。
- リレー装置をさらに備えている,請求項18または19に記載のシステム。
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