JP2013503640A - 植物におけるポリペプチドの発現を増加させるための翻訳エンハンサー要素のスタッキング - Google Patents

植物におけるポリペプチドの発現を増加させるための翻訳エンハンサー要素のスタッキング Download PDF

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Abstract

植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための組成物および方法を提供する。本発明の組成物は、(a)細胞遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、ウイルス由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物である。これらのポリヌクレオチド構築物を含む発現カセット、ベクター、ならびにトランスジェニック植物および植物の部分もまた提供する。本発明のポリヌクレオチド構築物および発現カセットを用いて、植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための方法もまた提供する。

Description

発明の分野
本発明は、概して植物分子生物学、特に植物における導入遺伝子の発現を増加させるための組成物および方法に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、2009年9月4日に出願された米国特許仮出願第61/240,118号の利益を主張するものである。
電子的に提出された配列表の参照
配列表の正式なコピーは、2010年9月2日に作成されたファイル名「42473 SEQ Listing_ST25.txt」(サイズ17kb)のASCII形式の配列表としてEFS−Web経由で電子的に提出され、明細書と同時に提出された。このASCII形式の文書に含まれる配列表は明細書の一部であり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
背景
植物遺伝子工学の進歩により、農学的に望ましい形質、および生存可能な組換えタンパク質の発現系としての役割を果たす能力を有する植物の生産が可能となった。これらの進歩は、それらが導入されるトランスジェニック植物において1つ以上の目的のポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチド構築物の適切な発現によるものである。先行研究は、トランスジェニック植物におけるそのような組換えポリヌクレオチド構築物の発現をもたらすのに有用なプロモーター、イントロン、および翻訳リーダー等の多くの調節要素を提供する。しかしながら、以前に特定された多くの調節要素は、選択した遺伝子の発現をトランスジェニック植物に導入したことによる本来の利益を完全に実現するために必要な組換えタンパク質の発現レベルを提供することができない。したがって、植物において所望のポリペプチドの高レベルの発現を誘導することができる新規調節要素および調節要素の組み合わせの必要性が、依然として高い。
植物またはその植物の部分において、目的のポリペプチドの発現を増加させるための組成物および方法を提供する。本発明の組成物は、(a)細胞遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、ウイルス由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物である。これらのポリヌクレオチド構築物を含む発現カセット、ベクター、ならびにトランスジェニック植物および植物の部分もまた提供する。翻訳エンハンサー要素のうちの1つ以上は、目的のポリペプチドとは異種であってもよい。異種とは、発現された目的のポリペプチドのリーダー配列(5’UTR)に由来しない配列を指す。
本発明の方法は、植物またはその植物の部分に、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチド構築物を導入することを含む。本発明のポリヌクレオチド構築物の発現に好適な条件下で培養した場合、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、関連するmRNA転写物の翻訳においてより高い効率を提供する。したがって、本発明の方法は、植物またはその植物の部分において、目的のポリペプチドの発現の増加をもたらす。
以下の実施形態が、本発明に包含される。
1.(a)細胞遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、ウイルス由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドと、を含む、ポリヌクレオチド構築物。
2.前記ウイルスは植物ウイルスである、実施形態1に記載のポリヌクレオチド構築物。
3.前記ウイルスはRNAウイルスである、実施形態2に記載のポリヌクレオチド構築物。
4.前記ウイルスは、第IV群(+)ssRNAウイルスのメンバーであり、前記ウイルス由来の前記翻訳エンハンサー要素は、前記ウイルスのリーダー配列(5’UTR)を含む、実施形態3に記載のポリヌクレオチド構築物。
5.前記ウイルスは、トバモウイルス属のメンバーであるか、またはポティウイルス科、ブロモウイルス科、およびトンブスウイルス科からなる群から選択されるファミリーのメンバーである、実施形態4に記載のポリヌクレオチド構築物。
6.前記ウイルスは、タバコモザイクウイルス(TMV)、タバコエッチウイルス(TEV)、アルファルファモザイクウイルス(AMV)、およびトウモロコシえそ条斑病ウイルス(MNeSV)からなる群から選択される、実施形態5に記載のポリヌクレオチド構築物。
7.前記ウイルスはTMVであり、前記TMV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号1に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号1に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態6に記載のポリヌクレオチド構築物。
8.前記ウイルスはTEVであり、前記TEV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号2または配列番号18に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号2または配列番号18に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態6に記載のポリヌクレオチド構築物。
9.前記ウイルスはAMVまたはMNeSVであり、前記AMVまたは前記MNeSV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、それぞれ配列番号3または配列番号19に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号3または配列番号19に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態6に記載のポリヌクレオチド構築物。
10.前記細胞遺伝子はストレス応答遺伝子である、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド構築物。
11.前記細胞のストレス応答遺伝子は、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子および熱ショックタンパク質遺伝子からなる群から選択される、実施形態10に記載のポリヌクレオチド構築物。
12.前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子は、単子葉植物または双子葉植物に由来する、実施形態11に記載のポリヌクレオチド構築物。
13.前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子は、タバコ、イネ、シロイヌナズナ、大豆、またはトウモロコシに由来する、実施形態12に記載のポリヌクレオチド構築物。
14.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号4に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態13に記載のポリヌクレオチド構築物。
15.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号5に記載のイネアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号5に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態13に記載のポリヌクレオチド構築物。
16.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号6に記載のシロイヌナズナアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号6に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態13に記載のポリヌクレオチド構築物。
17.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号7に記載のトウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号7に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態13に記載のポリヌクレオチド構築物。
18.前記熱ショックタンパク質遺伝子は、単子葉植物または双子葉植物に由来する、実施形態11に記載のポリヌクレオチド構築物。
19.前記熱ショックタンパク質遺伝子は、トウモロコシ、大豆、またはペチュニアに由来する、実施形態18に記載のポリヌクレオチド構築物。
20.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号5に記載のトウモロコシ熱ショックタンパク質101のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号5に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態19に記載のポリヌクレオチド構築物。
21.前記作動可能に連結されたポリヌクレオチドは、昆虫抵抗性、病害抵抗性、除草剤抵抗性、非生物的ストレス耐性、酵素発現プロファイルの改変、油含有量の改変、および栄養含有量の改変からなる群から選択される表現型を付与するポリペプチドをコードする、実施形態1〜20のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド構築物。
22.実施形態1〜21のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド構築物を含む、発現カセット。
23.前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結され、前記プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および組織特異的プロモーターからなる群から選択される、実施形態22に記載の発現カセット。
24.実施形態1のポリヌクレオチド構築物または実施形態22の発現カセットを含む、植物。
25.前記植物は、単子葉植物または双子葉植物である、実施形態24に記載の植物。
26.前記植物は、イネ、オオムギ、ジャガイモ、サツマイモ、キャノーラ、ヒマワリ、ライムギ、カラスムギ、コムギ、トウモロコシ、大豆、テンサイ、タバコ、ススキ、スイッチグラス、ベニバナ、樹木、ワタ、キャッサバ、トマト、モロコシ、アルファルファ、およびサトウキビからなる群から選択される、実施形態25に記載の植物。
27.前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットは、植物のゲノムに安定に組み込まれ、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、実施形態24〜26のいずれか1つに記載の植物。
28.前記細胞は、そのゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、実施形態24〜27のいずれか1つに記載の植物の細胞。
29.そのゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、実施形態24〜28のいずれか1つに記載の種子。
30.植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための方法であって、前記方法は、前記植物または前記植物の部分に、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド構築物を導入することを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、(a)細胞遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、ウイルス由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドと、を含む、方法。
31.前記ウイルスは植物ウイルスである、実施形態30に記載の方法。
32.前記ウイルスはRNAウイルスである、実施形態31の方法。
33.前記ウイルスは、第IV群(+)ssRNAウイルスのメンバーであり、前記ウイルス由来の前記翻訳エンハンサー要素は、前記ウイルスのリーダー配列(5’UTR)を含む、実施形態32に記載の方法。
34.前記ウイルスは、トバモウイルス属のメンバーであるか、またはポティウイルス科、ブロモウイルス科、およびトンブスウイルス科からなる群から選択されるファミリーのメンバーである、実施形態33に記載の方法。
35.前記ウイルスは、タバコモザイクウイルス(TMV)、タバコエッチウイルス(TEV)、アルファルファモザイクウイルス(AMV)、およびトウモロコシえそ条斑病ウイルス(MNeSV)からなる群から選択される、実施形態34に記載の方法。
36.前記ウイルスはTMVであり、前記TMV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号1に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号1に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態35に記載の方法。
37.前記ウイルスはTEVであり、前記TEV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号2または配列番号18に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号2または配列番号18に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態35に記載の方法。
38.前記ウイルスはAMVまたはMNeSVであり、前記AMVまたは前記MNeSV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、それぞれ配列番号3または配列番号19に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号3または配列番号19に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態35に記載の方法。
39.前記細胞遺伝子はストレス応答遺伝子である、実施形態30〜38のいずれか1つに記載の方法。
40.前記細胞のストレス応答遺伝子は、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子および熱ショックタンパク質遺伝子からなる群から選択される、実施形態39に記載の方法。
41.前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子は、単子葉植物または双子葉植物に由来する、実施形態40に記載の方法。
42.前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子は、タバコ、イネ、シロイヌナズナ、大豆、またはトウモロコシに由来する、実施形態41に記載の方法。
43.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号4に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態42に記載の方法。
44.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号5に記載のイネアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号5に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態42に記載の方法。
45.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号6に記載のシロイヌナズナアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号6に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態42に記載の方法。
46.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号7に記載のトウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号7に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態42に記載の方法。
47.前記熱ショックタンパク質遺伝子は、トウモロコシ、大豆、またはペチュニアに由来する、実施形態40に記載の方法。
48.前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号5に記載のトウモロコシ熱ショックタンパク質101のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号5に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態47に記載の方法。
49.前記作動可能に連結されたポリヌクレオチドは、昆虫抵抗性、病害抵抗性、除草剤抵抗性、非生物的ストレス耐性、酵素発現プロファイルの改変、油含有量の改変、および栄養含有量の改変からなる群から選択される表現型を付与するポリペプチドをコードする、実施形態38〜48のいずれか1つに記載の方法。
50.前記ポリヌクレオチド構築物は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および組織特異的プロモーターからなる群から選択されるプロモーターに作動可能に連結される、実施形態30〜49のいずれか1つに記載の方法。
51.前記植物は、単子葉植物または双子葉植物である、実施形態30〜50のいずれか1つに記載の方法。
52.前記植物は、イネ、オオムギ、ジャガイモ、サツマイモ、キャノーラ、ヒマワリ、ライムギ、カラスムギ、コムギ、トウモロコシ、大豆、テンサイ、タバコ、ススキ、スイッチグラス、ベニバナ、樹木、ワタ、キャッサバ、トマト、モロコシ、アルファルファ、およびサトウキビからなる群から選択される、実施形態51に記載の方法。
53.前記ポリヌクレオチド構築物は、植物またはその植物の部分のゲノムに安定に組み込まれる、実施形態30〜52のいずれか1つに記載の方法。
54.前記植物またはその植物の部分における前記目的のポリペプチドの発現は、野生型植物もしくはその植物の部分における、または対照植物もしくはその植物の部分における、前記目的のポリペプチドの発現と比較して、少なくとも2倍増加する、実施形態30〜53のいずれか1つに記載の方法。
55.前記植物またはその植物の部分における前記目的のポリペプチドの発現は、野生型植物もしくはその植物の部分における、または対照植物もしくはその植物の部分における、前記目的のポリペプチドの発現と比較して、少なくとも4倍増加する、実施形態54に記載の方法。
56.(a)配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号1に記載のタバコモザイクウイルス(TMV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、ポリヌクレオチド構築物。
57.植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための方法であって、前記方法は、(a)配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号1に記載のタバコモザイクウイルス(TMV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結されるポリヌクレオチド構築物を導入することを含む、方法。
59.(a)配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号3に記載のアルファルファモザイクウイルス(AMV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、ポリヌクレオチド構築物。
60.植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための方法であって、前記方法は、(a)配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号3に記載のアルファルファモザイクウイルス(AMV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結されるポリヌクレオチド構築物を導入することを含む、方法。
61.(a)配列番号7に記載のトウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号1に記載のタバコモザイクウイルス(TMV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、ポリヌクレオチド構築物。
62.植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための方法であって、前記方法は、配列番号7に記載のトウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号1に記載のタバコモザイクウイルス(TMV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結されるポリヌクレオチド構築物を導入することを含む、方法。
63.(a)配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号18に記載のタバコエッチウイルス(TEV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、ポリヌクレオチド構築物。
64.植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための方法であって、前記方法は、(a)配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼの5’UTRとタンデムにスタッキングした、配列番号18に記載のタバコエッチウイルス(TEV)の5’UTRに由来する翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物であって、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結されるポリヌクレオチド構築物を導入することを含む、方法。
図1は、タバコモザイクウイルス(TMV)のΩ5’リーダーおよびタバコアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の5’リーダーが、単独で、また発現カセットとタンデムにスタッキングして、エンドグルカナーゼ(EG)の発現に与える影響を示す。ウイルスの5’リーダー(すなわちΩ)を細胞の5’リーダー(すなわち5’−ADH)の上流に配置したときに、発現の増強が観察された。テストした5つの構築物(対照ベクターは含まない)の各々について4つの植物を調べた:各バーは、個々の植物からの平均活性を表す(X軸はEGの活性(μmol/分/全可溶性タンパク質のmg)、Y軸は各個々の植物)。 図2Aはまた、タバコモザイクウイルス(TMV)のΩ5’リーダー(「Ω」とも称される)、およびタバコアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の5’リーダーが、単独で、また発現カセットとタンデムにスタッキングして、エンドグルカナーゼ(EG)の発現に与える影響を示す。図2Aは、生葉重ベースのエンドグルカナーゼの発現を示し、図2Bは、全可溶性タンパク質ベースのエンドグルカナーゼの発現を示す。ウイルスの5’リーダー配列(すなわちΩ)を細胞の5’リーダー配列(すなわち5’−ADH)の上流に配置したときに、発現の増強が観察された。テストした5つの構築物の各々について3つ〜4つの植物を調べた(X軸はEGの活性(μmol/分/gまたはmg)、Y軸は各構築物)。 図2Bはまた、タバコモザイクウイルス(TMV)のΩ5’リーダー(「Ω」とも称される)、およびタバコアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の5’リーダーが、単独で、また発現カセットとタンデムにスタッキングして、エンドグルカナーゼ(EG)の発現に与える影響を示す。図2Aは、生葉重ベースのエンドグルカナーゼの発現を示し、図2Bは、全可溶性タンパク質ベースのエンドグルカナーゼの発現を示す。ウイルスの5’リーダー配列(すなわちΩ)を細胞の5’リーダー配列(すなわち5’−ADH)の上流に配置したときに、発現の増強が観察された。テストした5つの構築物の各々について3つ〜4つの植物を調べた(X軸はEGの活性(μmol/分/gまたはmg)、Y軸は各構築物)。
本発明は、植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための組成物および方法を対象とする。組成物は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの上流(すなわち5’末端)に配置され、かつそれに作動可能に連結された、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素を含むポリヌクレオチド構築物を含む。作動可能に連結された目的のプロモーターとともに発現カセットに組み入れられると、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素は、関連するmRNA転写物の翻訳効率の増加をもたらし、それによって、作動可能に連結された、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素を含まないポリヌクレオチド構築物からのポリペプチドの発現レベルと比較して、コードされた目的のポリペプチドの発現を増加させる。このように、目的のポリペプチドの増加した発現を有するトランスジェニック植物を作製および使用するための組成物および方法が本明細書に記載され、トランスジェニック植物は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された、少なくとも2つのタンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素を有するポリヌクレオチド構築物を含む発現カセットを含み、少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素はウイルス起源であり、少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素は細胞起源である。本発明は、異種のエンハンサーの使用を含む。
本明細書に記載される組成物および方法は、植物またはその植物の部分におけるタンパク質生産量の増加が必要とされる用途において使用される。そのような用途は、植物の農学的能力を向上するため、例えば、病害抵抗性、除草剤抵抗性、栄養利用、および環境ストレス耐性の増加;農学的特性を改善するため、例えば、動物およびヒトの栄養を強化するため、消化性を向上させるため、および/または処理特性を向上させるためのデンプン、油、脂肪酸、またはタンパク質含有量/組成の変更;男性不妊症、老化等の改善を開発するため;ならびに医薬品、産業酵素等の導入遺伝子発現を導入するための、代謝経路の遺伝子操作を含むが、これらに限定されない。
ポリヌクレオチド構築物
本発明は、植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現の増加をもたらすポリヌクレオチド構築物を対象とする。本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド構築物」とは、個々の断片の形態であるか、または単鎖もしくは二重鎖形態のより大きな構築物の構成要素としての、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはその修飾された形態等の、ヌクレオチドのポリマーを意味する。ポリヌクレオチドは、本発明にしたがって実施される方法の目標に応じて適切にDNAまたはRNAのセンスおよびアンチセンスポリヌクレオチド配列を含む。DNAまたはRNA分子は、相補的DNA(cDNA)、ゲノムDNA、合成DNA、もしくはそのハイブリッド、または非翻訳領域および翻訳領域を含むmRNA等のRNA分子であってもよい。本明細書で使用される場合、「DNA構築物」、「遺伝子構築物」、「ポリヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド構築物」は、DNA分子およびRNA分子の両方を意味する。
本発明のポリヌクレオチド構築物は、(a)少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。第2の核酸配列と作動可能に連結された第1の核酸配列を言及する場合、本明細書で使用される「作動可能に連結される」とは、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係に配置された状態を意味する。例えば、プロモーターがコード配列の転写をもたらす場合、プロモーターはそのコード配列に作動可能に連結している。同様に、シグナルペプチドがポリペプチドの細胞外分泌をもたらす場合、シグナルペプチドのコード配列は、そのポリペプチドのコード配列に作動可能に連結している。通常、作動可能に連結された核酸配列は隣接しており、2つのタンパク質コード領域を結合させる必要がある場合は、読み取り枠を整合させる。本発明のポリヌクレオチド構築物に関連して、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結され、したがって、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素が、関連するmRNA転写物の翻訳を増加させ、それによってコードされた目的のポリペプチドの発現を増加させるという点において機能的関連性がある。いずれか特定の理論に拘束されるものではないが、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素が、mRNAへの一次転写、mRNAの安定性、翻訳効率、またはこれらの任意の組み合わせの処理に与える影響により、翻訳が増加され得る。
本明細書で使用される場合、「翻訳エンハンサー要素」とは、翻訳を増強し(すなわち増加させ)、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの上流(すなわち、同じ核酸配列上の5’方向)に配置される、ポリヌクレオチドを意味する。翻訳エンハンサー要素は、完全に処理されたmRNA転写物の一部としてRNAに転写されるが、翻訳はされず、下流のmRNA転写物の翻訳を容易にし(すなわち促進し)、それによってコードされた目的のポリペプチドの発現を増加させる。本発明の翻訳エンハンサー要素は、異種配列を含んでもよい。異種配列は、発現された目的の遺伝子のリーダー配列に由来しない配列である。
いずれか特定の理論に拘束されるものではないが、翻訳エンハンサー要素は、RNA結合タンパク質(例えば、熱ショックタンパク質および他の翻訳阻害因子、例えば、真核生物翻訳開始因子(eIF−1〜4)、リボソームサブユニット、翻訳伸長因子(例えば、真核生物伸長因子(eEF−1または−2)等の転写作用因子を補充し、最終的にmRNA転写物の翻訳を増強すると考えられる。用語「翻訳エンハンサー要素」は、プロモーター、TATAボックス、CAATボックス等のcis作用性転写促進要素を明示的に除外する。したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物内でタンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、当該技術分野において既知であるタンデムにスタッキングしたcis作用性転写要素とは対比するものであり、後者は、作動可能に連結された、転写可能な目的のポリヌクレオチド、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたは阻害性RNA分子(例えば、ヘアピンRNAi等のRNAに干渉する)の転写を増加させるために、ポリヌクレオチド構築物において使用される。
翻訳エンハンサー要素は、得られたmRNA転写物の翻訳を増強するそれらの能力によって、作動可能に連結されたポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドの発現を増加させることができる翻訳リーダー配列(すなわち5’UTR)、およびその中に位置する要素またはドメインを含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「翻訳リーダー配列」、「5’UTR」、「リーダー配列」、または「5’リーダー」とは、コード配列の転写開始部位から始まり、第1の翻訳開始コドン(通常は、DNA配列のATG、mRNA転写物のAUG)のすぐ前で終了するゲノムDNA(すなわち遺伝子)またはmRNAの上流調節領域に由来するかまたはそこから単離されたポリヌクレオチドを意味する。当業者は、翻訳リーダー配列のことを、「5’非翻訳リーダー配列(5’untranslated leader sequence)」または「5’非翻訳リーダー配列(5’non−translated leader sequence)」とも称する。
本発明の目的のために、用語「翻訳エンハンサー要素」は、Kozak配列のみを意味すると解釈されるべきではない。「Kozak配列」、「Kozakコンセンサス配列」、または「Kozakコンセンサス」とは、mRNA内の開始コドン(AUG)を取り囲む短いコンセンサス配列を意味する。Kozakは、699個の脊椎mRNAに基づいて、(GCC)GCC(A/G)CCAUGGがmRNA内の機能的AUGコドンのコンテキストのためのコンセンサス配列であると提案した(コンセンサス配列は下線部)(例えば、Kozak et al.(1987)Nucleic Acids Res.15(20):8125−8148)を参照のこと。Kozak配列は、リボソームによって翻訳開始部位として認識され、そこからタンパク質がそのmRNA分子によってコードされ、翻訳プロセスの開始において重要な役割を果たす(例えば、De Angioletti et al.(2004)Br.J.Haematol.124(2):224−231;Kozak(1984)Nature 308:241−246;Kozak(1986)Cell 44(2):283−292)を参照のこと)。ウイルスのmRNAの場合、開始AUGを取り囲むKozak配列は、通常ACCAUGGであり、最も一致した位置が開始コドン(AUG)の3つ前のヌクレオチドに位置し、ほぼいつもアデニン(A)ヌクレオチドに位置する。高等植物のmRNAは、ACリッチコンセンサス配列CAA(A/C)AAUGGCGを有する。被子植物の2つの主要グループ間では、双子葉植物のmRNAにおけるAUGコドンの内容はAAA(A/C)AAUGGCUであり、これは高等植物のコンセンサスに類似するが、単子葉植物のmRNAはC(A/C)(A/G)(A/C)CAUGGCGをコンセンサスとして有し、これは、Kozakによって提案された脊椎コンセンサスとの全体的な類似性を呈する(例えば、Joshi et al.(1997)Plant Mol.Biol.35:993−1001)を参照のこと。リボソームは、翻訳を開始するためにKozak配列またはこの配列の変種を必要とするが、Kozak配列は、リボソーム結合部位(RBS)(すなわち、メッセンジャーRNAの5’キャップまたは配列内リボソーム進入部位(IRES))と識別可能である。したがって、5’UTRの一部分または断片が本明細書において使用するための翻訳エンハンサー要素としての役割を果たす場合、その一部分は、好適なKozak配列を含んでもよいが、そのKozak配列のみからなるものではない。
翻訳エンハンサー要素は、遺伝子のゲノムコピーから単離することができる。したがって、例えば、翻訳リーダー配列またはその中の要素もしくはドメインが、非翻訳5’領域(5’UTR)から単離されてもよい。代替として、翻訳を増強する翻訳リーダー配列およびその中の機能的要素またはドメイン等の翻訳エンハンサー要素は、合成的に生成された、または操作された非コードDNA要素であってもよい。本発明を実施するために有用な翻訳エンハンサー要素は、ウイルス起源または細胞起源の要素である。任意の所与の翻訳エンハンサー要素の長さは異なるが、典型的には、約250塩基対長(bp)未満、約225bp長未満、約200bp長未満、約175bp長未満、または約150bp長未満、約125bp長未満、約100bp長未満、約75bp長未満、約50bp長未満、または約25bp長未満、また典型的には約10bp長未満である。いくつかの実施形態において、任意の所与の翻訳エンハンサー要素の長さは、約10bp〜約250bpであり、それは例えば、約10bp、15bp、20bp、25bp、30bp、35bp、40bp、45bp、50bp、55bp、60bp、65bp、70bp、75bp、80bp、85bp、90bp、95bp、100bp、105bp、110bp、115bp、120bp、125bp、130bp、135bp、140bp、145bp、150bp、155bp、160bp、165bp、170bp、175bp、180bp、185bp、190bp、195bp、200bp、205bp、210bp、215bp、220bp、225bp、230bp、235bp、240bp、245bp、250bp、または約10bp〜約250bpの間の任意のそのような長さを含む。1つ以上の追加の翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングされる各翻訳エンハンサー要素が同じ長さである必要はなく、実際のことろ、典型的に翻訳エンハンサー要素は、本発明のポリヌクレオチド構築物内に含まれる天然の翻訳エンハンサー要素またはその断片の長さに応じて長さが異なる。
本明細書で使用される場合、「タンデムにスタッキングした」とは、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素および少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素が、本発明のポリヌクレオチド構築物において順次または連続的に配置されること(すなわち、一方が他方の後ろになる順序)を意味する。これは、ポリヌクレオチド構築物内に単独で(すなわち1つずつ)配置される、またはポリヌクレオチド構築物内で互いに対してランダムに配置されるウイルス性または細胞性の翻訳エンハンサー要素とは対照的である(例えば、ランダムな配置は、ウイルス性翻訳エンハンサー要素がポリペプチドコード配列の上流に位置する場合、ならびに細胞性翻訳エンハンサー要素がコード配列の下流および/またはコード配列内に位置する場合に例示される)。さらに、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素が、少なくとも1つの細胞性エンハンサー要素の上流(すなわち5’末端)に配置される。
ウイルス性エンハンサー要素と翻訳性エンハンサー要素とは、互いに直接隣接していること(すなわち、ウイルス性翻訳エンハンサー要素の3’末端と細胞性翻訳エンハンサー要素の5’末端の間に介在するヌクレオチドが存在しないこと)が好ましいが、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、ポリヌクレオチド構築物内で、それぞれの3’末端と5’末端の間に位置するリンカー配列を含むことができることを認識されたい。存在する場合、リンカー配列は、最大30個のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長の単一ヌクレオチドであり得る。したがって、いくつかの実施形態において、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、1〜約30ヌクレオチド長、1〜約25ヌクレオチド長、1〜約20ヌクレオチド長、1〜約15ヌクレオチド長、1〜約10ヌクレオチド長、または1〜約5ヌクレオチド長のリンカー配列を含むことができる。他の実施形態において、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、少なくとも2ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも5ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも15ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも25ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも2ヌクレオチド〜最大約25ヌクレオチド長、少なくとも2ヌクレオチド〜最大約20ヌクレオチド長、少なくとも2ヌクレオチド〜最大約15ヌクレオチド長、少なくとも2ヌクレオチド〜最大約10ヌクレオチド長、少なくとも2ヌクレオチド〜最大約5ヌクレオチド長、少なくとも5ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも5ヌクレオチド〜最大約25ヌクレオチド長、少なくとも5ヌクレオチド〜最大約20ヌクレオチド長、少なくとも5ヌクレオチド〜最大約15ヌクレオチド長、少なくとも5ヌクレオチド〜最大約10ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド〜最大約25ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド〜最大約20ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド〜最大約15ヌクレオチド長、少なくとも15ヌクレオチド〜最大約30ヌクレオチド長、少なくとも15ヌクレオチド〜最大約25ヌクレオチド長、少なくとも15ヌクレオチド〜最大約20ヌクレオチド長、または少なくとも20ヌクレオチド〜最大約25ヌクレオチド長のリンカー配列を含むことができる。
本発明に特に関連するのは、ウイルス起源および細胞起源の翻訳エンハンサー要素である。いくつかの実施形態において、細胞性翻訳エンハンサー要素は、例えば動物または植物の細胞起源を含む、真核生物の細胞起源の要素である。したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物は、好ましくは、(a)細胞遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、ウイルス由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。本明細書で使用される場合、「由来する」とは、翻訳エンハンサー配列が、ウイルスもしくは細胞遺伝子の自然発生型核酸配列から得られる(例えば単離される)こと、またはウイルスもしくは細胞遺伝子の自然発生型核酸配列から設計される(すなわち遺伝子操作される)ことのいずれかを意味する。
任意の既知のウイルスが、本発明の実施において使用するための翻訳エンハンサー要素の源としての役割を果たすことができる。したがって、例えばウイルスは、例えば、細菌、真菌、植物、動物、および昆虫等を含む、様々な範囲の宿主に由来し得る。ウイルスは、DNAまたはRNAウイルスであってもよい。「DNAウイルス」とは、その遺伝子材料としてDNAを有し、RNA依存性DNAポリメラーゼを使用して複製するウイルスを意味する。DNAウイルスの核酸は、二重鎖DNA(dsDNA)または単鎖DNA(ssDNA)であり得る。「RNAウイルス」とは、その遺伝子材料としてRNAを有するウイルスを意味する。RNAウイルスの核酸は、単鎖(ssRNA)または二重鎖RNA(dsRNA)であり得る。RNAウイルスは、それらのRNAのセンスまたは極性に従って、マイナスセンス(−)およびプラスセンス(+)、またはアンビセンスのRNAウイルスにさらに分類される。プラスセンスのウイルスRNAはウイルスmRNAと同一であり、したがって宿主細胞により直に翻訳され得る。マイナスセンスのウイルスRNAは、mRNAに相補的であり、したがって、翻訳の前にRNAポリメラーゼによりプラスセンスのRNAに変換されなければならない。アンビセンスRNAウイルスは、プラス鎖からの遺伝子も翻訳すること以外は、マイナスセンスのRNAウイルスに類似する。したがって、ウイルス性翻訳エンハンサー要素は、いずれのウイルス源に由来してもよい。
いくつかの実施形態において、ウイルス性翻訳エンハンサー要素は植物ウイルスに由来する、すなわち、ウイルスの宿主生物は植物である。これらの実施形態のいくつかにおいて、翻訳エンハンサー要素はRNA植物ウイルスに由来する。任意のRNA植物ウイルスが、ウイルス性翻訳エンハンサー要素の起源としての役割を果たすことができる。
目的のRNA植物ウイルスは、ウイルスのボルティモア分類システムによる第IV群のウイルスのメンバーを含むが、これに限定されない。ボルティモア分類システムは、ウイルスの核酸(DNAまたはRNA)、鎖の数(単鎖または二重鎖)、センス(すなわち極性)、および複製の方法の組み合わせに応じて、ウイルスを7群のうちの1つに分類する。ボルティモア第IV群ウイルスは、プラスセンス(+)単鎖(ss)RNAゲノムを保有する(第IV群(+)ssRNAウイルスと称される)。第IV群(+)ssRNA植物ウイルスの例として、ブロモウイルス科、ポティウイルス科、およびトンブスウイルス科の植物ウイルス、ならびにトバモウイルス属の植物ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。ブロモウイルス科の例示的なメンバーとして、アルファモウイルス属、アニュラウイルス(Anulavrius)属、イラルウイルス属、ブロモウイルス属、ククモウイルス属、およびオレアウイルス属のウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。ポティウイルス科の例示的なメンバーとして、ポティウイルス属、ライモウイルス属、バイモウイルス属、マクルラウイルス属、イポモウイルス属、およびトリティモウイルス属のウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。トンブスウイルス科の例示的なメンバーとして、トンブスウイルス属、カーモウイルス属、ネクロウイルス属、ダイアントウイルス属、マクロモウイルス属、アベナウイルス属、およびパニコウイルス属のウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、植物ウイルスの分類については目下検討中であり、このウイルスの科および属のメンバーのリストは、本発明の実施において使用するためのウイルス性翻訳エンハンサー要素の植物ウイルス源の範囲を制限することを意図するものではなく、RNA植物ウイルス由来の任意の好適な翻訳エンハンサー要素が、本明細書に記載される様式で本発明を実施するために使用され得る。
いくつかの実施形態において、ウイルス性翻訳エンハンサー要素は、アルファルファモザイクウイルス(AMV:ブロモウイルス科)、タバコ条斑病ウイルス(TSV:ブロモウイルス科)、ブロムモザイクウイルス(BMV:ブロモウイルス科)、キュウリモザイクウイルス(CMV:ブロモウイルス科)、タバコエッチウイルス(TEV:ポティウイルス科)、ジャガイモウイルスY(PVY:ポティウイルス科)、ドクムギモザイクウイルス(ポティウイルス科)、オオムギ縞萎縮病(ポティウイルス科)、ハリグワモザイクウイルス(ポティウイルス科)、サツマイモ微斑ウイルス(SPMMV:ポティウイルス科)、コムギ条斑モザイクウイルス(WSMV:ポティウイルス科)、トウモロコシえそ条斑病ウイルス(MNeSV;トンブスウイルス科)、トマト矮化病ウイルス(TBSV;トンブスウイルス科);カーネーション輪点ウイルス(CRSV:トンブスウイルス科);アカツメクサ壊死モザイクウイルス(トンブスウイルス科)、スイートクローバー壊死モザイクウイルス(トンブスウイルス科)、タバコモザイクウイルス(TMV:トバモウイルス属)、U2−タバコモザイクウイルス(T2MV:トバモウイルス属)、トマトモザイクウイルス(ToMV;トバモウイルス属)、キュウリ緑斑モザイクウィルス(CGMMV:トバモウイルス属)、キュウリウイルス4(CV4:トバモウイルス属)、フランジパニウイルス(FV:トバモウイルス属)、オドントグロッサム輪点ウイルス(ORSV:トバモウイルス属)、ヘラオオバコモザイクウイルス(HRV:トバモウイルス属)、サンヘンプモザイクウイルス(SHMV:トバモウイルス属)、テンサイそう根病(BNYVV:暫定的にトバモウイルス属に割り当てられる)、ニコチアナ・ベルチナモザイクウイルス(NVMV:暫定的にトバモウイルス属に割り当てられる)、ラッカセイクランプウイルス(PCV:暫定的にトバモウイルス属に割り当てられる)、ジャガイモモップトップウイルス(PMTV:暫定的にトバモウイルス属に割り当てられる)、土壌感染性ムギ類萎縮ウイルス(SBWMV:暫定的にトバモウイルス属に割り当てる)からなる群から選択される、第IV群(+)ssRNAウイルスに由来する。上記の第IV群(+)ssRNAウイルスのリストは、本発明において使用するための翻訳エンハンサー要素が由来し得るウイルス源の例に過ぎず、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
ウイルス起源の翻訳エンハンサー要素は、当該技術分野において周知である。例えば、本発明のポリヌクレオチド構築物は、少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素を含んでもよく、ウイルス性翻訳エンハンサー要素は、ピコルナウイルスの翻訳リーダー配列、例えば、脳心筋炎ウイルス(EMCV)の5’リーダー(Elroy−Stein et al.(1989)Proc.Natl.Acid.Sci.USA 86:6126−6130);ポティウイルスの翻訳リーダー配列、例えば、タバコエッチウイルス(TEV)の5’リーダー(Allison et al.(1986)Virology 154:9−20、およびGallie et al.(1995)Gene 165:233−238);トウモロコシ萎縮モザイクウイルス(MDMV)の5’リーダー(Allison et al.(1986)Virology 154:9−20);ジャガイモエッチウイルス(PEV)の5’リーダー(Tomashevskaya et al.(1993)J.Gen.Virol.74:2717−2724);ジャガイモウイルスSのゲノムRNA由来の翻訳リーダー(Turner et al.(1999)Archives Virol.144(7):1451−1461);アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質mRNA由来の翻訳リーダー配列(AMV RNA4の5’リーダー)(Jobling et al.(1987)Nature 325:622−625;米国特許第6,037,527号);タバコモザイクウイルス(TMV)の5’リーダー(Gallie et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:3257−3273;Gallie et al.(1988)Nucleic Acids Res.16:883−893;Gallie et al.(1992)Nucleic Acids Res.20:4631−4638;米国特許第5,489,527号);トウモロコシえそ条斑病ウイルス(MNeSv)の5’リーダー(Louie et al.(2000)Plant Dis.84:1133−1139;配列番号19);およびトウモロコシ退緑斑紋(MCMV)の5’リーダー(Lommel et al.(1991)Virology81:382−385)を含んでもよい。
RNAウイルス起源の翻訳エンハンサー要素(例えば、TMVの5’リーダー)は、例えば、T4RNAリガーゼを使用して、細胞性翻訳エンハンサー要素と、目的のポリペプチドをコードする作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含むポリヌクレオチドに相補的な、適切なmRNA転写物の上流にそれらを連結することにより、本発明のポリヌクレオチド構築物を調製するためにそのように使用することができることを認識されたい。好ましくは、本発明のポリヌクレオチド構築物は、発現カセットまたは発現ベクターにおいて使用するために設計され、その場合、RNAウイルス起源の翻訳エンハンサー要素は、相補的DNAの形態で使用される。RNAウイルス性翻訳エンハンサー要素のcDNAは、当業者に既知の従来方法を使用して得ることができる。いくつかの実施形態において、RNAウイルス性翻訳エンハンサー要素のcDNAは、発現カセットまたは発現ベクターに組み込むために化学的に合成される。したがって、本発明の目的のために、ウイルス起源の翻訳エンハンサー要素を含むポリヌクレオチド構築物は、その翻訳エンハンサー要素のRNAまたはcDNA配列の存在を包含する。
細胞遺伝子の翻訳エンハンサー要素もまた、当該技術分野において既知であり、いずれの細胞遺伝子に由来してもよい。本明細書において特に関連するのは、特定の宿主細胞内で高度に発現される細胞遺伝子の翻訳エンハンサー要素である。いずれかの理論または作用機序に拘束されるものではないが、高度に発現される遺伝子由来の翻訳エンハンサー要素は、より高いレベルで機能し得る。高度に発現される遺伝子は、発現されたときに、細胞のmRNAの少なくとも10%を占める遺伝子として定義されてもよい。代替として、高度に発現される遺伝子は、発現されたときに、特定の細胞または組織型の全可溶性タンパク質の1%より多くを占めるタンパク質をコードしてもよい。いくつかの実施形態において、高度に発現される遺伝子は、発現されたときに、特定の細胞または組織型の全可溶性タンパク質の1%より多くを占めるタンパク質をコードしてもよく、細胞のmRNAの少なくとも10%を占めなくてもよい。
いくつかの実施形態において、翻訳エンハンサー要素は、例えば、動物または植物細胞のストレス応答遺伝子を含む、細胞のストレス応答遺伝子に由来する。本明細書で使用される場合、「ストレス応答遺伝子」とは、生物の成長、発達、または生産性に有害な影響を及ぼす外的条件によって上方制御される遺伝子を意味する。そのようなストレスは、生物的(他の生物によって課せられる)または非生物的(物理的または化学的環境における過剰もしくは不足から生じる)のいずれかであり得、例えば、太陽エネルギーの不足または過剰、栄養不足、土壌の塩分、高温(暑さおよび乾燥)および低温(寒さおよび凍結)、酸化ストレス、または汚染(例えば重金)であり得る。ストレス応答遺伝子の例として、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子、アブシジン酸(ABA)遺伝子、および熱ショックタンパク質遺伝子を含むが、これらに限定されない(例えば、米国特許第7,109,033号;Seki et al.(2001)Plant Cell 13:61−72;Seki et al.(2002)Funct.Integr.Genomic.2:282−291;およびSeki et al.(2002)Plant J.31:279−292を参照のこと(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる))。
このように、本発明のポリヌクレオチド構築物は、少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素を含むことができ、細胞性翻訳エンハンサー要素は、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH)由来の翻訳リーダー配列、例えば、タバコADH遺伝子の翻訳リーダー配列(NtADHの5’リーダー;Satoh et al.(2004)J.Bioscience Bioengineering 98(1):1−8)、イネADH2遺伝子の翻訳リーダー配列(OsADH2の5’リーダー;Sugio et al.(2008)J.Bioscience Bioengineering 105(3):300−302)、シロイヌナズナADH遺伝子の翻訳リーダー配列(AtADHの5’リーダー;Sugio et al.(2008)J.Bioscience Bioengineering 105(3):300−302)、およびトウモロコシADH1遺伝子の翻訳リーダー配列(ADH1の5’リーダー);ならびに熱ショックタンパク質(HSP)遺伝子由来の翻訳リーダー配列、例えば、トウモロコシHSP101遺伝子の翻訳リーダー配列(HSP101の5’リーダー;Nieto−Sotelo et al.(1999)Gene 230:187−195)、およびペチュニアHSP70、大豆HSP17.9、トウモロコシHSP70遺伝子の翻訳リーダー配列を含んでもよい(例えば、参照により、本明細書にその全体が組み込まれる米国特許第5,659,122号および5,362,865号を参照のこと)。他の好適な細胞性翻訳エンハンサー要素は、タバコ光化学系I遺伝子psaDbの翻訳リーダー配列(psaDbの5’リーダー;Yamamoto et al.(1995)J.Biol.Chem.270(21):12466−12470)、Fed−1の5’リーダー(Dickey(1992)EMBO J.11:2311−2317)、およびリブロース二リン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(RbcS)の5’リーダー(Silverthorne et al.(1990)J.Plant.Mol.Biol.15:49−58)を含むが、これらに限定されない。
したがって、本発明のいくつかの実施形態において、翻訳エンハンサー要素は、上記翻訳リーダー配列を含むが、これらに限定されない翻訳リーダー配列である。本発明のポリヌクレオチド構築物において使用するための翻訳リーダー配列は、完全長の天然の(すなわち自然発生型の)5’UTR配列であってもよいが、これらのリーダー配列の機能的断片および変種が、請求される発明を実施するために使用されてもよいことを認識されたい。したがって、本明細書に記載される天然の翻訳リーダー配列は、少なくとも1つの他の翻訳エンハンサー要素とタンデムに使用されたときに、その機能が破壊されず、変異体または切断された配列が目的のポリペプチドの発現を増加させる能力を保持する限り、翻訳エンハンサーとしてのそれらの機能が修飾される(すなわち、増加されるかまたは減少される)ように、(例えば、置換、挿入、または欠質により)変異されてもよいか、または(5’末端および/または3’末端で)切断されてもよい。変化(すなわち、置換、挿入、欠失、または切断)を受け易い天然の翻訳リーダー配列内のこれらの領域、または機能的断片を意味する天然の翻訳リーダーのこれら部分の特定は、例えば、標準的な突然変異分析を用いて当業者により容易に決定される。例えば、Gallie et al.(1988)Nucleic Acids Res.16(3):883−893を参照のこと。したがって、以下の考察は、完全長の天然の翻訳リーダー配列を翻訳エンハンサー要素として含むポリヌクレオチド構築物に言及するが、開示される各実施形態は、これらの翻訳リーダー配列の機能的変異体および断片の使用を企図し、これらの変異体および断片は、本明細書の他の箇所に記載されるように定義される。
本発明のいくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、(a)少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、タバコモザイクウイルスの翻訳リーダー配列(TMVの5’リーダー)の少なくとも1つのコピーと、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。Ωとも称されるTMVの5’リーダーは、TMVのゲノムRNA由来の68塩基対(bp)配列である(例えば、Gallie et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:8693−8711;Gallie et al.(1987)Nucleic Acids.Res.15:3257−3273を参照のこと)。ΩのcDNA配列は、配列番号1に記載される。Ωリーダー配列は、高度に構造化されている:8塩基(5’−ACAAUUAC−3’)直列反復配列の3つのコピーおよび27塩基ポリ(CAA)領域の1つのコピー(5’の8塩基直列反復配列と、この反復配列の他の2つのコピーとの間に位置する)が、このリーダーの72%を占める(Gallie(1996)”Post−transcriptional Control in Transgenic Gene Design,”in Transgenc Plants:A Production System for Industrial and Pharmaceutical Proteins, Chapters1−3,ed.Owen and Pen(Wiley、Hoboken,NJ)。4つの異なるTMV株由来の5’非翻訳リーダー配列は長さが異なるが、それらは全て、ほぼ等しい反復配列およびポリ(CAA)配列を含有する(Kukla et al.(1979)Eur.J.Biochem 98:61−66;およびGoelet et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5818−5822)。
本明細書の他の箇所に記載されるように、TMVの5’リーダーの機能的変異体および断片は、本発明のポリヌクレオチド構築物に使用されてもよく、細胞遺伝子の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングしたときに、なおも目的のポリペプチドの発現増加をもたらす。Ωの機能分析により、作動可能に連結された読み取り枠のインビボでの翻訳の増強に寄与する主な要素として、ポリ(CAA)領域が同定された(Gallie and Walbot(1992)Nucleic Acids Res.20:4631−4638;およびGallie et al.(1988)Nucleic Acids Res.16:883−893)。Ωリーダー配列の機能的変異体および断片は、当該技術において既知であり、例えば、欠失変異体ΩΔ1(配列番号1のnt2〜9を欠損する1)、ΩΔ2(配列番号1のnt12〜19に対応する最初の8塩基直列反復配列を欠損する1)、ΩΔ3(配列番号1のnt20〜42に対応する27bpポリ(CAA)領域のnt1〜23を欠損する1)、ΩΔ4(配列番号1のnt47〜54に対応する2番目の8塩基直列反復配列を欠損する1)、ΩΔ5((配列番号1のnt60〜67に対応する3番目の8塩基直列反復配列を欠損する1)、ならびにΩA,C→U(ポリ(CAA)領域のポリ(U)による置換)およびΩA→C(5’の8塩基直列反復配列のAUU配列における単一塩基置換、AUUをCUUで置換)として表される変異体配列を含むが、これらに限定されない。ΩΔ3欠質変異体および変異ΩA、C→U配列は機能的であるが、この翻訳エンハンサー要素によって提供される翻訳効率の増加を最大化するために、好ましくは、ポリ(CAA)領域がΩリーダー配列の断片または変異体内に保持される。例えば、Gallie et al.(1988)(上記参照)を参照のこと。
他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、(a)少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、タバコエッチウイルスの翻訳リーダー配列(TEVの5’リーダー)の少なくとも1つのコピーと、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。タバコエッチウイルス(TEV)はポティウイルスであり、植物に感染するプラス鎖RNAウイルスのピコルナウイルススーパーグループのメンバーである。TEVのゲノムRNAは、5’キャップ構造を自然に欠損するポリアデニル化mRNAであるが、それにもかかわらず効率的に翻訳される。143塩基対(bp)のTEVの5’リーダー(配列番号2に示されるは、mRNAにキャップ非依存性翻訳をもたらすのに十分であり(Carrington and Freed(1990)J.Virology 64:1590−1597;Gallie(2001)J.Virology 75:12141−12152)、ポリ(A)テールと相互作用して翻訳を促進するという点において、キャップと機能的に類似する(Gallie et al.(1995)Gene 165:233−238)。143−bp TEVの5’リーダー内で中央に位置する2つのキャップ非依存性調節要素(CIRE)は、キャップ非依存性翻訳を誘導するために必要であり、単一の翻訳リーダーとして使用される場合、その両方ともが、ポリ(A)テールと機能的に相互作用して最適な翻訳を促進することが必要である(Niepel and Gallie(1999)J.Virology 73:9080−9088)。これらのCIREは、配列番号2のnt28〜65(CIRE−1)およびnt66〜118(CRIE−2)内に配置される。
機能的なTEVの5’リーダーは、144−bp長であると報告されており(Carrington and Freed(1990)(上記参照)を参照)、該配列は配列番号2に示されるものと同一であるが、配列番号2の1位の前に挿入されたチミン(t)ヌクレオチドを含む(配列番号18に記載の144bp配列を参照のこと)。18).したがって、144−bp TEVの5’リーダーは、配列番号2に示される143−bp TEVの5’リーダーの最初の5つのヌクレオチド(すなわち、5’−aaata−3’)とは対照的に、その5’末端に以下の5つのヌクレオチドを有する:5’−taaat−3’。CIREの位置についての上記説明およびTEVのリーダーの変異体および断片に関する以下の考察は、配列番号2に示される143−bp配列に関するものである。上記CIREならびに以下の変異体および断片について記載されるように、143−bp配列におけるヌクレオチド(nt)の位置は、配列番号2に示される143−bp配列の5’末端に単一ヌクレオチドを挿入するように位置を調節することにより、144−bp配列において特定することができることを認識されたい。したがって、例えば、CIRE−1が配列番号2のnt28〜65内に配置される場合、144−bp TEVの5’リーダー内の対応する位置は、配列番号18のnt29〜66である。144−bp TEVの5’リーダーはまた、本発明のポリヌクレオチド構築物内でウイルス性翻訳エンハンサー要素の源としても使用できることを理解されたい。
したがって、TEVリーダーの変異体および断片は、これらのCIREのうちの少なくとも1つ、好ましくはこれらのCIREの両方を含む限り、本発明のポリヌクレオチド構築物に使用されてもよい。TEVリーダーの機能的断片は、当該技術分野において既知であり、欠失変異体TEV28-143(配列番号2のnt1〜27を欠損する2)、TEV1-118(配列番号2のnt119〜143を欠損する、TEV28-118(配列番号2のnt1〜27および119〜143を欠損する)、TEV1-65(配列番号2の66〜143を欠損する、TEV66-143(配列番号2のnt1〜65を欠損する、TEV28-65(配列番号2のnt1〜27および66〜143を欠損する)、ならびにTEV66-118(配列番号2のnt1〜65を欠損する)を含むが、これらに限定されない。例えば、Niepel and Gallie(1999)(上記参照)を参照のこと。
さらに他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、(a)少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質(CP)mRNA由来の翻訳リーダー配列(AMV RNA4の5’リーダー)の少なくとも1つのコピーと、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。36塩基対のAMV RNA4の5’リーダーは、配列番号3に記載される。他の翻訳エンハンサー要素の場合、本発明のポリヌクレオチド構築物は、本明細書の他の箇所に定義されるように、AMV RNA4の5’リーダーの機能的変異体および断片を含んでもよい。
他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、(a)少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、トウモロコシえそ条斑病ウイルス由来の翻訳リーダー配列(MNeSVの5’リーダー)の少なくとも1つのコピーと、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。122塩基対のMNeSVの5’リーダーは、配列番号19に記載される。他の翻訳エンハンサー要素の場合、本発明のポリヌクレオチド構築物は、本明細書の他の箇所に定義されるように、MNeSVの5’リーダーの機能的変異体および断片を含んでもよい。
他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、(a)アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子由来の翻訳エンハンサー要素は、当該技術分野において既知であり、配列番号4に記載のタバコADH遺伝子の84−bp翻訳リーダー配列(NtADHの5’リーダー)、配列番号5に記載のイネADH2遺伝子の翻訳リーダー配列(OsADH2の5’リーダー)、配列番号6に記載のシロイヌナズナADH遺伝子の翻訳リーダー配列(AtADHの5’リーダー)、配列番号7に記載のトウモロコシADH遺伝子の翻訳リーダー配列(ADHの5’リーダー)、またはそれらの機能的変異体または断片を含むが、これらに限定されない。
さらに他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、(a)熱ショックタンパク質(HSP)遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含む。熱ショックタンパク質遺伝子由来の翻訳エンハンサー要素は、当該技術分野において既知であり、配列番号8に記載のトウモロコシHSP101遺伝子の翻訳リーダー配列(HSP101の5’リーダー)、ならびに、それぞれ配列番号9,10、および11に記載のトウモロコシHSP70、ペチュニアHSP70、および大豆HSP17.9遺伝子の翻訳リーダー配列(例えば、米国特許第5,659,122号および第5,362,865号を参照のこと(参照により、これらの全体が本明細書に組み込まれる))、またはその機能的変異体もしくは断片を含むが、これらに限定されない。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号4、5、6、および7に記載のタバコ、イネ、シロイヌナズナ、およびトウモロコシADHの5’リーダーからなる群から選択される少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、それぞれ、配列番号1、2(または18)、3、および19に記載のTMV、TEV、AMV RNA4およびMNeSVの5’リーダー配列から選択される少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物を提供する。これらの実施形態のいくつかにおいて、本発明のポリヌクレオチド構築物は、配列番号4に記載のタバコADHの5’リーダー(または、本明細書において後に定義される、その機能的断片もしくは変異体)とタンデムにスタッキングした、配列番号1に記載のTMVのΩ5’リーダー(または、本明細書において後に定義される、その機能的断片もしくは変異体)と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。
他の実施形態において、本発明は、それぞれ、配列番号8、9、10および11に記載のトウモロコシHSP101遺伝子、トウモロコシHSP70遺伝子、ペチュニアHSP70遺伝子、および大豆HSP17.9遺伝子の5’リーダーからなる群から選択される少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、それぞれ、配列番号1、2(または18)、3および19に記載のTMV、TEV、AMV、およびMNeSVの5’リーダーから選択される少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド構築物を提供する。これらの実施形態のいくつかにおいて、本発明のポリヌクレオチド構築物は、配列番号8に記載のトウモロコシHSP101の5’リーダー(または、本明細書において後に定義される、その機能的断片もしくは変異体)とタンデムにスタッキングした、配列番号1に記載のTMVのΩ5’リーダー(または、本明細書において後に定義される、その機能的断片もしくは変異体)と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む。
上記の通り、ウイルスまたは細胞の5’UTRの機能的断片および変異体は、本発明のポリヌクレオチド構築物内で翻訳エンハンサー要素として用いることができる。本明細書で使用される場合、「機能的」とは、本発明のポリヌクレオチド構築物内で他の翻訳エンハンサー要素(同様に完全長の5’UTRの断片または変異体であってもよい)とタンデムにスタッキングしたときに、断片または変異核酸配列が目的のポリペプチドの発現増加をもたらすことができることを意味する。本明細書で使用される場合、「断片」とは、目的の5’UTRの任意の部分を意味する。5’UTRの断片は、少なくとも約10個の隣接するヌクレオチドから完全長の5’UTRに存在するヌクレオチドの数までの範囲であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、5’UTRの断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250個の隣接するヌクレオチドの長さであるか、または約5個の隣接するヌクレオチドから完全長の5’UTRよりも1つ少ないヌクレオチドまでの間の任意のそのような値である。
したがって、例えば、ウイルス性翻訳エンハンサー要素が、TMVの5’UTR(Ω;配列番号1)、TEVの5’UTR(配列番号2もしくは配列番号18を参照)、AMVの5’UTR(配列番号3)またはMNeSVの5’UTRである場合、この配列の断片は、本発明のポリヌクレオチド構築物内で少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングしたときに機能的である限り、すなわち、目的のポリペプチドの発現を増加させることが可能である限り、細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムに連結することができる。Ωの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65個、または完全長のΩ配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号1に記載される68個のヌクレオチドのうちの67個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。TEVの5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140個、または完全長のTEVの5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号2に記載される143個のヌクレオチドのうちの142個までの隣接するヌクレオチド、または配列番号18に記載される144個のヌクレオチドのうちの143個の隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。AMVの5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30個、または完全長のTEVの5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号3に記載される36個のヌクレオチドのうちの35個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。MNeSVの5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120個、または完全長のMNeSVの5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号19に記載される122個のヌクレオチドのうちの121個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。
同様に、細胞性翻訳エンハンサー要素が、例えば、タバコADHの5’UTR(配列番号4を参照)、イネADH2の5’UTR(配列番号5を参照)、シロイヌナズナADHの5’UTR(配列番号6を参照)、トウモロコシADHの5’UTR(配列番号7を参照)、トウモロコシ熱ショックタンパク質101(HSP101)の5’UTR(配列番号8を参照)、トウモロコシ熱ショックタンパク質70(HSP70)の5’UTR(配列番号9を参照)、ペチュニア熱ショックタンパク質70(HSP70)の5’UTR(配列番号10を参照)、または大豆熱ショックタンパク質17.9(HSP17.9)の5’UTR(配列番号11を参照)である場合、この配列の断片は、本発明のポリヌクレオチド構築物内で少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングしたときに機能的である限り、すなわち、目的のポリペプチドの発現を増加させることが可能である限り、ウイルス性翻訳エンハンサー要素とタンデムに連結することができる。タバコADHの5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80個、または完全長のタバコADHの5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号4に記載される84個のヌクレオチドのうちの83個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。イネADH2の5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95個、または完全長のイネADH2の5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号5に記載される101個のヌクレオチドのうちの100個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。シロイヌナズナADHの5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55個、または完全長のシロイヌナズナADHの5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号6に記載される58個のヌクレオチドのうちの57個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。トウモロコシADHの5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105個、または完全長のトウモロコシADHの5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号7に記載される107個のヌクレオチドのうちの106個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。トウモロコシHSP101の5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200個、または完全長のトウモロコシHSP101の5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号8に記載される206個のヌクレオチドのうちの205個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。トウモロコシHSP70の5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105個、または完全長のトウモロコシHSP70の5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号9に記載の107個のヌクレオチドのうちの106個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。ペチュニアHSP70の5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90個、または完全長のペチュニアHSP70の5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号10に記載される96個のヌクレオチドのうちの95個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。大豆HSP17.9の5’UTRの場合、そのような断片は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70個、または完全長の大豆HSP17.9の5’UTR配列に存在するよりも1つ少ないヌクレオチド(すなわち、配列番号11に記載される72個のヌクレオチドのうちの71個までの隣接するヌクレオチド)を含んでもよい。
本明細書で使用される場合、5’UTRの「変異体」とは、その5’UTR(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、18、または19に記載の5’UTR)のヌクレオチド配列またはその断片との実質的な類似性を有する配列を意味する。5’UTRの場合、これらのような自然発生型の変異体は、例えば、PCRおよびハイブリダイゼーション技術を用いた周知の分子生物学的技術の使用により特定することができる。変異ヌクレオチド配列は、例えば部位特異的変異誘発(その技術もまた、当業者に周知である)を使用することにより産生されるような、合成的に誘導されたヌクレオチド配列を含む。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York 2001)およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,Greene Publishing and Wiley−Interscience、New York 1995)を参照のこと(参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)。
通常、配列番号1〜11、18、および19のうちのいずれかの変異体を含む特定の5’UTRの変異体は、デフォルトのパラメータを使用して本明細書において後述する配列アラインメントプログラムにより決定されるように、その特定のヌクレオチド配列に対して、少なくとも約40%、50%、60%、65%、70%、通常、少なくとも約75%、80%、85%、好ましくは少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。目的の5’UTRの変異体は機能的である、つまり、本発明のポリヌクレオチド構築物内で他の翻訳エンハンサー要素(同様に完全長の5’UTRの断片または変異体であってもよい)とタンデムにスタッキングしたときに、変異体は目的のポリペプチドの発現増加をもたらすことができる。生物学的に活性な変異体は、例えば、1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失、または挿入を有する天然のまたは自然発生型の5’UTRを含む。
本明細書で使用される場合、2つの核酸配列に関連して「配列同一性」または「同一性」とは、特定の比較ウィンドウ上で最大一致のために整合させたときに同じである2つの配列のヌクレオチドを言及する。本明細書で使用される場合、「比較ウィンドウ」とは、ポリヌクレオチド配列の隣接する特定のセグメントであり、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでもよい。通常、比較ウィンドウは、少なくとも20個の隣接するヌクレオチドの長さであり、任意選択的に30、40、50、100ヌクレオチドまたはそれより長くてもよい。
比較のための配列アラインメントの方法は、当該技術分野において周知である。したがって、任意の2つの配列間のパーセント配列同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。そのような数学的アルゴリズムの非限定的な例は、MyersおよびMillerのアルゴリズム(1988)CABIOS 4:11−17;Smith et al.のローカルアラインメントアルゴリズム(1981)Adv.Appl.Math.2:482;NeedlemanおよびWunschのグローバルアラインメントアルゴリズム(1970)J.Mol.Biol.48:443−453;PearsonおよびLipmanのローカルアラインメント検索法(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444−2448;KarlinおよびAltschulのアルゴリズム(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264(KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877において改変)である。
これらの数学的アルゴリズムのコンピュータへの実装は、配列同一性を決定するための配列の比較に利用することができる。そのような実装は、限定されないが、以下を含む:PC/Geneプログラム(Intelligenetics、Mountain View, Californiaより入手可能)のCLUSTAL;GCG Wisconsin Genetics Software Package,Version 10(Accelrys Inc.,San Diego,CAより入手可能)のALIGNプログラム(バージョン2.0)ならびにGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA。これらのプログラムを用いるアラインメントは、デフォルトのパラメータを使用して実行することができる。
本発明のポリヌクレオチド構築物の構築、およびそれらの目的の発現カセットへの挿入は、当該技術分野において周知の遺伝子操作技術を使用して行うことができる。例えば、Sambrook et al.(2001)(上記参照)およびAusubel et al.(上記参照)を参照のこと。さらに、ポリヌクレオチド構築物を植物に導入するのに好適な組換えベクターを調製するための手段は、当該技術分野において周知である。本明細書で使用される場合、「ベクター」、「構築物」、または「ベクター構築物」とは、植物形質転換の目的で、すなわち、宿主植物細胞内に異種ポリヌクレオチドを導入する目的で使用され得る、任意の組換えポリヌクレオチド構築物を意味する。例えば、米国特許 第4,971,908号、第4,940,835号、第4,769,061号、および第4,757,011;Rodriguez,Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses(Butterworths,Boston 1988);Glick et al.,Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology(CRC Press 1993);ならびにAusubel et al.(1995)、(上記参照)およびSambrook et al.(2001)、(上記参照)に記載されるベクターを参照のこと。核酸を植物に導入するために有用な典型的な構築物は、当該技術分野において周知であり、アグロバクテリウム・ツメファシエンスの腫瘍誘発(Ti)プラスミド由来のベクターを含む(Rogers et al.(1987)Meth.Enzymol.153:253−277)。
本発明のポリヌクレオチド構築物は、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素が目的のポリペプチドの発現に与える影響を評価するための一過性アッセイにおいて用いることができる。目的のポリペプチドをコードするmRNA転写物に作動可能に連結された、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素を含むmRNAは、当業者に既知の標準的な方法を使用して、例えば、対応するcDNAのインビトロ転写によって構築することができ、得られたmRNAを目的の植物細胞に導入してmRNAの翻訳をモニタリングすることができる。例えば、Gallie et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:8693−8711、およびJobling and Gehrke(1987)Nature 325:622−625に記載される一過性アッセイを参照のこと。
他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、発現カセット内に組み入れられ、コードされた目的のポリペプチドの一過性または安定したインビボ転写および翻訳のために目的の植物に導入される。
発現カセット
本発明のポリヌクレオチド構築物は、目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドの発現をもたらす調節要素に作動可能に連結することができる。このように、本発明は、(a)少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドとを含む本発明のポリヌクレオチド構築物を含む、発現カセットおよび発現ベクターを提供する。本明細書で使用される「発現カセット」とは、適切な宿主細胞において目的のポリヌクレオチド配列の発現を誘導することができる核酸分子を意味し、したがって、目的のポリヌクレオチド配列(すなわち、本発明のポリヌクレオチド構築物)と作動可能に連結された5’および3’調節配列を含む。発現カセット内の作動可能に連結された要素は、それらの間に機能的関連性があり、したがって、発現カセット内の各要素が、その本来の機能を実行することができるように構成される。作動可能に連結された要素は、隣接していてもよいか、または隣接していなくてもよい。
本発明の発現カセットは、本発明のポリヌクレオチド構築物を含み、したがってキメラ構築物である、すなわち、それらの構成要素のうちの少なくとも1つの核酸配列は、それらの他の構成要素のうちの少なくとも1つの核酸配列に対して異種である(すなわち、外来性であるか、または一緒に自然発生したものではない)。したがって、例えば、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素は、異なる源(すなわち、ウイルスと細胞)に由来するため、それらは互いに異種である。同様に、調節領域、例えばプロモーターは、目的のポリペプチドのコード配列とは異種であり得る。また、本発明の発現カセット内の個々の構成要素のうちの1つ以上は、発現カセット内の別の構成要素に天然に存在し得ることも認識されたい。例えば、プロモーターは、コードされた目的のポリペプチドの自然発生型プロモーターであり得るが、2つの構成要素は、それらの天然の構成においては見出されない。
本発明の発現カセットは、それらが導入される植物細胞とは異種である、すなわち、発現カセットの特定のDNA配列は宿主植物細胞内で自然に発生しないため、形質転換事象により宿主植物細胞または宿主植物細胞の祖先に導入されていなくてはならない。いずれの場合でも、発現カセット内の個々の構成要素のうちのいずれか1つ以上は、植物宿主に天然に存在し得るか(すなわち、構成要素自体のヌクレオチド配列が、その植物宿主のゲノム内で自然発生する配列として見出され得る)、または植物宿主とは異種でり得る(すなわち、異なる生物に由来するため、または、例えば、ヌクレオチドの置換、挿入、欠失、および/もしくは切断によってその元の形態から遺伝子組換えされているためのいずれかにより、構成要素自体のヌクレオチド配列が植物宿主に対して外来性である)。
本発明の発現カセットにおいて使用するための例示的な調節配列として、プロモーター配列、ポリアデニル化配列、転写終結配列、上流調節ドメイン、複製起源、配列内リボソーム進入部位(「IRES」)、他の翻訳エンハンサー(例えば3’UTR)等が挙げられるが、これらに限定されず、これらは、目的の受容植物細胞において、作動可能に連結された目的のポリヌクレオチドの複製および転写、ならびにその中の任意のコード配列の翻訳を集合的にもたらす。目的のポリヌクレオチドが、受容植物細胞において複製、転写、および翻訳され得る限り、必ずしもこれらの制御配列の全てが存在する必要はない。したがって、調節配列は、通常、特定のコード配列の適切な転写開始部位でRNAの合成を開始するようにRNAポリメラーゼIIを誘導することができるTATAボックスを含むDNAの調節領域であり得る。発現制御配列は、通常、TATAボックスの上流または5’に配置され、転写開始速度に影響を与える(例えば増強する)他の認識配列をさらに含むことができる。さらに、発現制御配列は、通常、TATAボックスの下流または3’に配置され、転写開始速度に影響を与える他の配列をさらに含んでもよい。
本発明の発現カセットは、典型的には、5’−3’の転写方向に、植物において機能的なプロモーター、作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチド構築物、および作動可能に連結された、植物において機能的な翻訳終結領域を含む。いくつかの実施形態において、発現カセットは、安定した転換体の選択を可能にするための選択マーカー遺伝子を含む。代替として、選択マーカーは、同じベクター上または異なるベクター上の追加の発現カセット内に提供されてもよい。発現カセットにおけるポリヌクレオチド構築物の発現は、宿主細胞がある特定の外的刺激に曝露された場合にのみ転写を開始する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあってもよい。さらに、プロモーターは、特定の組織または器官または発達段階に特異的であり得る。カセットはまた、目的の植物内に同時形質転換される、少なくとも1つの追加の目的のポリヌクレオチド(例えば、別の目的のポリペプチドのコード配列)を含有してもよい。代替として、同じベクター上または異なるベクター上の複数の発現カセットに、追加の目的のポリヌクレオチド(複数可)が提供されてもよい。本発明の発現カセットは、調節領域の転写調節下となる本発明のポリヌクレオチド構築物の挿入のための複数の制限部位および/または組換え部位とともに提供される。
植物細胞において機能的な(すなわち、植物細胞において、作動可能に連結した転写可能なポリヌクレオチドの発現を駆動することができる)いずれのプロモーターが、本発明のポリヌクレオチド構築物に作動可能に連結されてもよい。プロモーターは、ポリヌクレオチド構築物のコード領域の天然の(すなわち、自然発生型)プロモーターであってもよいか、またはポリヌクレオチド構築物のコード領域とは異種(すなわち、外来性または非自然発生型)のプロモーターであってもよい。プロモーターがポリヌクレオチド構築物のコード領域の自然発生型プロモーターではない場合、それは自然発生型プロモーター配列ならびに/または自然発生型コード配列の遺伝子操作のために(例えば、自然発生型プロモーター配列ならびに/またはコード配列内のヌクレオチドの置換、挿入、欠失、および/もしくは切断によって)異種であり得るか、あるいはその遺伝子の起源(例えば、別の遺伝子および/または別の生物由来のプロモーター)のために異種であり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは、ポリヌクレオチド構築物のコード領域の天然のプロモーターであり、両方の配列は、発現カセットが導入される植物宿主に天然に存在する(すなわち、プロモーターとコード配列は、植物宿主内で天然に見出される同じ遺伝子に由来する)。代替として、プロモーターは、ポリヌクレオチド構築物のコード領域の天然のプロモーターであるが、両方の配列は、発現カセットが導入される植物宿主とは異種である(すなわち、外来性であるか、または自然発生したものではない)(すなわち、プロモーターとポリヌクレオチド構築物のコード配列は、例えば、それらの元の配列の遺伝子操作によるため、または別の遺伝子源に由来するためのいずれかにより、両方とも植物宿主に対して外来性である)。さらに他の実施形態において、プロモーターは、コード配列とは異種であり、植物宿主に天然に存在するか(すなわち、プロモーターは植物宿主の遺伝子に由来する)、または植物宿主に対して外来性であるか(すなわち、その元の配列が遺伝子操作されているか、もしくは他の遺伝子源に由来する)のいずれかである。プロモーター、コード配列、および本発明の発現カセットが導入される植物宿主の間の上記関係(すなわち、異種対天然)は、限定的であることを意図するものではなく、実際は単なる例である。
本発明の発現カセットに導入されるべきプロモーターの選択は、有効性、選択可能性、誘導性、目的のポリペプチドの所望の発現レベル、およびポリペプチドの細胞または組織選択的発現を含むが、これらに限定されない、いくつかの要因に依存する。その配列に関連するプロモーターおよび他の調節領域を適切に選択して配置することにより、作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現を調節することは、当業者にとって日常的なことである。植物のゲノムDNAにおいてプロモーター領域を特定して特徴付けるための方法は、例えば、Jordano et al.(1989)Plant Cell 1:855−866;Bustos et al.(1989)Plant Cell 1:839−854;Green et al.(1988)EMBO J.7:4035−4044;Meier et al.(1991)Plant Cell 3:309−316;およびZhang et al.(1996)Plant Physiology 110:1069−1079に記載されるものを含む。
本発明のポリヌクレオチド構築物の発現のために使用されるプロモーターは、以下のような要素からなる強い植物プロモーター、ウイルス性プロモーター、またはキメラプロモーターであってもよい:任意選択的に1つ以上のエンハンサー(カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sエンハンサー、FMVエンハンサー、CMPエンハンサー、RUBISCO小サブユニットエンハンサー、プラストシアニンエンハンサー等)に融合した、任意選択的に植物プロモーターのTATAボックスの領域5’(組織および時間的に適切な遺伝子発現をを誘導する)に融合した、任意の遺伝子由来の(または、植物遺伝子TATAボックスの分析に基づく合成の)TATAボックス(例えば、Chua et al.(2003)Plant Cell 15(6):1468−1479を参照)、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンスのオクトピンシンターゼ遺伝子由来の活性化要素(米国特許第5,955,646号を参照)。
代替として、目的の植物宿主細胞における遺伝子スライシングの効果を改変するために、弱い植物プロモーターを使用することができる。したがって、例えば、アンチセンスまたはヘアピンRNA干渉等の遺伝子抑制技術によって、例えば、宿主植物細胞内で目的の標的ポリペプチドの発現が阻害された場合、標的ポリペプチドのコード配列に作動可能に連結された、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素を含む本発明のポリヌクレオチド構築物は、弱いプロモーターに作動可能に連結されてもよく、標的ポリペプチドの低レベル発現をもたらすための当該技術分野において既知である任意の方法によって植物宿主細胞に導入されてもよい。
本発明のそのような実施形態において、「弱いプロモーター」は、標的ポリペプチドの作動可能に連結されたコード配列の低レベルの発現を提供するプロモーターである。しかしながら、弱いプロモーターは、他の細胞においてではなく数個の細胞においてのみ、植物宿主内の標的ポリペプチドの全体的な低レベルの発現を生じる、作動可能に連結されたコード配列の発現をもたらすプロモーターであり得ることを認識されたい。弱い植物プロモーターは、自然発生型であり得るか、または作動可能に連結されたコード配列の発現レベルを減少するように修飾された、標的ポリペプチドの自然発生型プロモーター配列の変異体であり得るか、または標的ポリペプチドの発現の減少をもたらす自然発生型プロモーター配列の切断型であり得る。弱いプロモーターの例として、例えば、Rsyn7プロモーターのコアプロモーター(WO99/43838および米国特許第6,072,050号)、コア35S CaMVプロモーター等が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物の構成的発現が望ましい。構成的プロモーターは未制御であり、したがって連続的な、作動可能に連結されたポリヌクレオチド構築物の発現をもたらす。例示的な構成的プロモーターとして、例えば、Rsyn7プロモーターのコアプロモーター、ならびにWO99/43838および米国特許第6,072,050号に開示される他の構成的プロモーター;コアCaMV35Sプロモーター(Odell et al.(1985)Nature 313:810−812);イネアクチンプロモーター(McElroy et al.(1990)Plant Cell 2:163−171);ユビキチンプロモーター(Christensen et al.(1989)Plant Mol.Biol.12:619−632;およびChristensen et al.(1992)Plant Mol.Biol.18:675−689);pEMU(Last et al.(1991)Theor.Appl.Genet.81:581−588);MAS(Velten et al.(1984)EMBO J.3:2723−2730);ALSプロモーター(米国特許第5,659,026号)等が挙げられる。他の構成的プロモーターは、例えば、米国特許第5,608,149号、5,608,144号、5,604,121号、5,569,597号、5,466,785号、5,399,680号、5,268,463号、5,608,142号、および6,177,611号、7,256,276号、7,550,578号に開示されるものを含み、それらの開示は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
適切な植物プロモーターまたはキメラプロモーターは、特定の組織における本発明のポリヌクレオチド構築物の発現等の用途に有用である一方で、種子または生殖組織等の他の組織における発現を最小限に抑える。例示的な細胞型選択的または組織選択的プロモーターは、標的組織において選択的に発現を駆動するが、他の細胞型または組織においてもいくらかの発現をもたらし得る。したがって、組織特異的な発現を生じるプロモーター(例えば、根、葉、および花に特異的なプロモーター)を選択することができる。例えば、Yamamoto et al.(1997)Plant J.12(2):255−265;Kawamata et al.(1997)Plant Cell Physiol.38(7):792−803;Hansen et al.(1997)Mol.Gen Genet.254(3):337−343;Russell et al.(1997)Transgenic Res.6(2):157−168;Rinehart et al.(1996)Plant Physiol.112(3):1331−1341;Van Camp et al.(1996)Plant Physiol.112(2):525−535;Canevascini et al.(1996)Plant Physiol.112(2):513−524;Yamamoto et al.(1994)Plant Cell Physiol.35(5):773−778;Lam(1994)Results Probl.Cell Differ.20:181−196;Orozco et al.(1993)Plant Mol Biol.23(6):1129−1138;Matsuoka et al.(1993)Proc Natl.Acad.Sci.USA 90(20):9586−9590;およびGuevara−Garcia et al.(1993)Plant J.4(3):495−505に開示されるプロモーターを参照のこと。また、米国特許第7,297,839号および7,129,397号に記載される、色素体における選択的発現をもたらすプロモーターも参照のこと。
葉および茎等の緑色組織における転写を駆動するために光合成組織において活性なプロモーターもまた、本発明に包含される。最も好適なのは、そのような組織においてのみまたは優先的に発現を駆動するプロモーターである。プロモーターは、緑色組織全体にわたって構成的に、または緑色組織ごとに異なって、または発現が起こる緑色組織の発達段階ごとに異なって、または外的刺激に反応して、そのような発現をもたらし得る。
そのようなプロモーターの例として、リブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼ(RbcS)プロモーター、例えば、カラマツ由来のRbcSプロモーター(Larix laricina)、マツcab6プロモーター(Yamamoto et al.(1994)Plant Cell Physiol.35:773−778)、コムギ由来のCab−1遺伝子プロモーター(Fejes et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:921−932)、ホウレンソウ由来のCAB−1プロモーター(Lubberstedt et al.(1994)Plant Physiol.104:997−1006)、イネ由来のcab1Rプロモーター(Luan et al.(1992)Plant Cell 4:971−981)、トウモロコシ由来のピルビン酸リン酸ジキナーゼ(PPDK)プロモーター(Matsuoka et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:9586−9590)、タバコLhcb1*2プロモーター(Cerdan et al.(1997)Plant Mol.Biol.33:245−255)、シロイヌナズナSUC2スクロース−H+シンポータープロモーター(Truernit et al.(1995)Planta 196:564−570)、およびホウレンソウ由来のチラコイド膜タンパク質プロモーター(psaD、psaF、psaE、PC、FNR、atpC、atpD、cab、rbcS)等が挙げられる。茎、葉、および緑色組織において転写を駆動する他のプロモーターは、米国特許公開第007/0006346号に記載される(参照により、本明細書にその全体が組み込まれる)。同様に、ホスフェノールカルボキシラーゼ(PEPC)をコードするトウモロコシ遺伝子が、当該技術分野において記載されている(Hudspeth およびGrula(1989)Plant Mol.Biol.12:579−589)。標準的な分子生物学的技術を用いて、植物において緑色組織特異的な様式で本発明のポリヌクレオチド構築物の発現を駆動するために、この遺伝子のプロモーターを使用することができる。
本発明の他の実施形態において、誘導性プロモーターが望ましい可能性がある。誘導性プロモーターは、化学物質または環境的刺激等の外的刺激に反応して転写を駆動する。例えば、誘導性プロモーターは、環境的刺激(例えば、熱ショック遺伝子プロモーター、乾燥誘導性遺伝子プロモーター、病原体誘導性遺伝子プロモーター、傷害誘導性遺伝子プロモーター、および明期/暗期誘導性遺伝子プロモーター)、または植物成長調節物質(例えば、アブシジン酸、オーキシン、サイトカイニン、およびジベレリン酸によって誘導される遺伝子由来のプロモーター)に反応して、転写をもたらすことができる。例えば、米国特許第7,199,286号および7,230,159号を参照のこと。
本発明のポリヌクレオチド構築物の発現を駆動するために使用することのできる他のプロモーターは、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター、オパインシンセターゼプロモーター(例えば、nos、mas、ocs等)、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーター、リブロース二リン酸(RubP)カルボキシラーゼの小サブユニットプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、発生プロモーター(例えば、6,953,848および6,437,221を参照)、ならびに米国特許第6,987,179号に記載されるキメラプロモーターを含むが、これらに限定されない。RubPカルボキシラーゼの小サブユニットプロモーターは、当該技術分野において既知である(Silverthorne et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:49−58)。植物に感染するウイルス由来の他のプロモーターも好適であり、それには、サトイモモザイクウイルス、クロレラウイルス(例えば、クロレラウイルスアデニンメチルトランスフェラーゼプロモーター;Mitra and Higgins(1994)Plant Mol.Biol.26:85−93)、トマト黄化えそ病ウイルス、タバコ茎えそウイルス、タバコ壊死ウイルス、タバコ輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、キュウリモザイクウイルス、ラッカセイクランプウイルス、アルファルファモザイクウイルス、サトウキビ桿菌状バドナウイルス等から単離されたプロモーターを含むが、これらに限定されない。
様々な転写ターミネーターが、本発明のポリヌクレオチド構築物を含む発現カセットにおける使用に利用可能である。これらは、発現カセット内のポリヌクレオチド構築物のコード領域を超えた転写の終結および正しいmRNAポリアデニル化に寄与する。終結領域は、プロモーターとともに天然に存在してもよいか(すなわち自然発生型)、ポリヌクレオチド構築物内で作動可能に連結されたコード配列とともに天然に存在してもよいか、発現カセットが導入される植物とともに天然に存在してもよいか、または別の源に由来してもよいか(すなわち、プロモーター、コード配列、もしくは植物に対して外来性または異種である)、あるいはそれらの任意の組み合わせであってもよい。適切な転写ターミネーターは、植物において機能的であることが分かっているものであり、例えば、CAMV35Sターミネーター、tmlターミネーター、ノパリンシンターゼターミネーター、およびエンドウマメrbcs E9ターミネーターを含む。
いくつかの実施形態において、発現カセットは、形質転換された細胞の選択のための選択マーカー遺伝子を含む。他の実施形態において、選択マーカー遺伝子は、同じベクター上または異なるベクター上の別の発現カセット内に構築され、本発明のポリヌクレオチド構築物と選択マーカー遺伝子は、目的の植物内に同時形質転換される。形質転換において日常的に使用される選択マーカーは、カナマイシンおよび関連する抗生物質に対する耐性を付与するnptll遺伝子(Messing and Vierra(1982)Gene 19:259−268;Bevan et al.(1983)Nature 304:184−187);除草剤ホスフィノスリシンに対する耐性を付与するbar遺伝子(White et al.(1990)Nucleic Acids Res.18:1062;Spencer et al.(1990)Theor.Appl.Genet.79:625−631);抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を付与するhph遺伝子(Blochinger and Diggelmann(1984)Mol.Cell.Biol.4:2929−2931);メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr遺伝子(Bourouis et al.(1983)EMBO J.2:1099−1104);グリホサートに対する耐性を付与するEPSPS遺伝子(米国特許第4,940,935号および5,188,642号);マンノースを代謝する能力を提供するホスホマンノースイソメラーゼ遺伝子(PMI)(米国特許第5,767,378号および5,994,629号)を含む。他の好適な選択マーカーが当該技術分野において既知であり、いずれのそのようなマーカーが本発明の実施に用いられてもよい。
さらに、所望される場合、発現カセットは、発現された目的のポリペプチドが、植物細胞の特定の細胞小器官(例えば、ミトコンドリアもしくは葉緑体等の色素体)を標的にするように、またはポリペプチドが細胞外分泌を標的にするように、設計することができる。遺伝子産物を標的にするための種々の機序が植物に存在することが分かっており、これらの機序の機能を制御する配列が詳細に特徴付けられている。
例えば、遺伝子産物を葉緑体に標的化することは、種々のタンパク質のアミノ末端に見出される輸送ペプチド(成熟タンパク質を産生するように葉緑体移行の間に切断される)によって制御される(Comai et al.(1988)J.Biol.Chem.263:15104−15109)。これらの輸送ペプチドは、これらの産物の葉緑体内への移行を生じるように、異種ポリペプチド産物と融合させることができる(van den Broeck et al.(1985)Nature 313:358−363)。RUBISCOタンパク質、CABタンパク質、EPSPシンターゼ酵素、GS2タンパク質、および局在する葉緑体であることが分かっている他の多くのタンパク質をコードするcDNAの5’末端から、適切な輸送ペプチドをコードするDNAを単離することができる。米国特許第5,639,949号の実施例37、標題「Expression with Chloroplast Targeting」も参照のこと(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
細胞標的化のための上記機序は、標的とする輸送ペプチドが由来するプロモーターのものとは異なる発現パターンを有するプロモーターの転写調節下で特異的な細胞標的化の目標を達成するように、それらの天然のプロモーターと組み合わせるだけではなく、異種のプロモーターとも組み合わせて用いることができる。
したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物が葉緑体に標的化されるポリペプチドをコードする場合、構築物内のコード配列は、目的のポリペプチドをコードする配列と一緒のフレーム内に融合された、適切な葉緑体−標的化輸送ペプチドをコードする配列を含む融合ポリヌクレオチドであってもよい。色素体における局在化を確実にするために、例えば、Jansen et al.(1988)Current Genetics 13:517−522に開示されるホウレンソウのフェレドキシンNADP+酸化還元酵素(FNR)のための輸送ペプチド配列を使用することが考えられる。別の例は、成熟Wxタンパク質の最初の34個のアミノ酸残基を含むトウモロコシのWxタンパク質の輸送ペプチド配列である(Klosgen et al.(1989)Mol.Gen.Genet.217:155−161)。また、34個のアミノ酸を含まないこの成熟タンパク質の輸送ペプチドを使用することも可能である。さらに、リブロース二リン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(Wolter et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:846−850;Nawrath et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:12760−12764)、NADPリンゴ酸脱水素酵素(Galiardo et al.(1995)Planta 197:324−332)、グルタチオン還元酵素(Creissen et al.(1995)Plant J.8:167−175)、またはR1タンパク質(Lorberth et al.(1998)Nature Biotechnology 16:473−477)の輸送ペプチド配列を使用することができる。
例えば、細胞壁または培養培地内に、目的のポリペプチドが分泌されることが望ましい場合、本発明のポリヌクレオチド構築物は、構築物内のコード配列が、目的のポリペプチドをコードする配列と一緒のフレーム内に融合された適切なシグナルペプチドをコードする配列を含む融合ポリヌクレオチドであるように設計することができる。本明細書で使用される場合、「シグナルペプチド」または「シグナル配列」とは、小胞体(ER)膜上で受容体タンパク質と相互作用し、細胞からの分泌のために、膜を横切ってER内への成長ポリペプチド鎖の移動を誘導するポリペプチドをコードする核酸配列を意味する。このシグナルペプチドは、シグナルペプチドを持たない「成熟」ポリペプチドを生成するために、前駆体ポリペプチドから切断されることが多い。このように、発現カセット内のポリヌクレオチド構築物は、コードされたポリペプチドが細胞壁内に分泌されるか、または植物から(例えば、培養培地内に)分泌されるように設計することができる。
本発明のポリヌクレオチド構築物は、当該技術分野において既知である任意の好適なシグナル配列(細菌、酵母、真菌、昆虫、哺乳類、および植物のシグナル配列を含む)を使用することができる。例えば、米国特許第6,020,169号を参照のこと。シグナルペプチドは、目的のポリペプチドのシグナルペプチドに対応し得る。好適なシグナルペプチドは、当業者に周知である。
本明細書に記載される発現カセットは、その中に含有されるポリヌクレオチド構築物の発現を増加させるために、発現カセット内から遺伝子発現を増強させることが分かっている他の調節配列を含むことができる。例えば、種々のイントロン配列が、特に単子葉細胞において発現を増加させることが示されている。イントロン1は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含む融合構築物において、特に効果的であり、発現を増強させたことが示された(Callis et al.(1987)Genes Develop.1:1183−1200)。また、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼイントロンの使用について記載する米国特許第6,342,660号も参照のこと。イントロン配列は、植物形質転換ベクター、典型的には非翻訳リーダー内に、日常的に組み入れられてきた。したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物を含む発現カセットは、その中に作動可能に連結されたイントロン配列を含み得る。いくつかの実施形態において、イントロン配列は、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素のうちの1つ以上の中に挿入される。
異なる生物の翻訳開始コドンには、最適な翻訳開始コンテキストヌクレオチド配列間に既知の相違があり、これらの翻訳開始コンテキストヌクレオチド配列の組成が翻訳開始の効率に影響を与え得ることを認識されたい。例えば、Lukaszewicz et al.(2000)Plant Science 154:89−98;およびJoshi et al.(1997)Plant Mol.Biol.35:993−1001を参照のこと。本明細書で使用される場合、「翻訳開始コドン」とは、目的の核酸分子から転写されたmRNA内でコード領域の翻訳を開始するコドンを意味する。翻訳開始コドンは、通常、DNA配列のATG、およびAUG mRNA転写物のAUGである。本明細書で使用される場合、「翻訳開始コンテキストヌクレオチド配列」とは、翻訳開始コドンのすぐ5’の3つのヌクレオチドの同一性を意味する。このように、本発明のポリヌクレオチド構築物内のコード配列の翻訳開始コドンの翻訳開始コンテキストヌクレオチド配列は、植物に好ましい翻訳開始コンテキストヌクレオチド配列を選択することにより、植物における発現を増強するように修飾されてもよい。したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物は、特に植物に由来する、当該技術分野において既知である任意の好適な翻訳開始コンテキストヌクレオチド配列を使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチド構築物は、目的のポリヌクレオチド構築物内のコード配列の翻訳開始コドンのすぐ上流の3つのヌクレオチドが「ACC」、「ACA」、または「AAAAAA」になるように修飾することができる。
さらに、本明細書に記載される発現カセット内に含有される任意のコード配列は、それが導入される植物における発現のために最適化することができる。つまり、ヌクレオチド配列は、発現を向上させるための植物に好ましいコドンを使用して合成することができるか、または植物に好ましいコドン使用頻度でコドンを使用して合成されてもよい。通常、遺伝子のGC含有量は増加する。宿主に好ましいコドン使用の考察については、例えば、Campbell and Gowri(1990)Plant Physiol.92:1−11を参照のこと。植物に好ましい遺伝子を合成するための方法は、当該技術分野において利用可能である。例えば、米国特許第5,380,831号、および5,436,391号、ならびにMurray et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:477−498を参照(参照により、本明細書に組み込まれる)。GenBank(登録商標)リリースに含まれる配列に基づく、コドン使用頻度を示す表は、Chiba,JapanのKazusa DNA Research Instituteのウェブサイト上で見ることができる。このデータベースは、Nakamura et al.(2000)Nucleic Acids Res.28:292に記載される。
本明細書に記載される発現カセットを構築した後、それは、本明細書で後述するものを含む、当該技術分野において既知である任意の好適な形質転換方法によって、目的の植物に導入される。
目的のポリペプチド
本発明のポリヌクレオチド構築物でタンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素は、任意の目的のポリペプチドの発現を増強するために使用することができる。このように、本発明のポリヌクレオチド構築物内で作動可能に連結されたコード配列は、植物の農学的能力を向上するため、例えば、病害抵抗性、除草剤抵抗性、栄養利用、および環境ストレス耐性の増加;農学的特性を改善するため、例えば、動物およびヒトの栄養を強化するため、消化性を向上させるため、および/または処理特性を向上させるためのデンプン、油、脂肪酸、またはタンパク質含有量/組成の変更;男性不妊症、老化等の改善を開発するため;ならびに医薬品、産業酵素等の導入遺伝子発現を導入するための、代謝経路の遺伝子操作に有用なポリペプチドをコードすることができる。
したがって、本発明のポリヌクレオチド構築物は、植物の形態、生理機能、成長および発達、収穫量、栄養強化、病害もしくは害虫耐性、または環境もしくは薬剤耐性に関連する望ましい特徴を提供するポリペプチドのコード配列を含むことができる。そのようなポリペプチドの発現は、農学的に重要な形質を付与するために望ましい。作物に有益な農学的形質を提供するポリペプチドの例は、例えば以下を付与するポリペプチドであり得る:害虫駆除(米国特許第7,244,820号、7,230,167号、6,809,078号、6,780,408号、6,720,488号、6,713,063号、6,686,452号、6,657,046号、6,645,497号、6,642,030号、6,639,054号、6,620,988号、6,593,293号、6,555,655号、6,538,109号、6,537,756号、6,521,442号、6,501,009号、6,468,523号、6,342,660号、6,326,351号、6,320,100号、6,313,378号、6,300,544号、6,284,949号、6,281,413号、6,281,016号、6,278,041号、6,277,823号、6,248,536号、6,242,241号、6,221,649号、6,177,615号、6,156,573号、6,153,814号、6,110,464号、6,093,695号、6,063,756号、6,063,597号、6,023,013号、5,959,091号、5,942,664号、5,942,658,5,880,275号、5,763,245号、および5,763,241号);真菌病抵抗性(米国特許第7,098,378号、6,864,076号、6,864,068号、6,653,280号、6,573,361号、6,506,962号、6,316,407号、6,300,103号、6,215,048号、5,516,671号、5,773,696号、6,121,436号、6,316,407号、および6,291,647号);ウイルス抵抗性(米国特許第6,617,496号、6,608,241号、6,015,940号、6,013,864号、5,850,023号、および5,304,730号);線虫抵抗性(米国特許第6,784,337号および6,228,992号);細菌病抵抗性(米国特許第7,098,378号、6,956,115号、6,528,702号、および5,516,671号);除草剤抵抗性(米国特許第7,312,379号、7,056,715号、6,803,501号、6,448,476号、6,307,129号、6,294,345号、6,248,876号、6,225,114号、6,107,549号、5,866,775号、5,804,425号、5,633,435号、および5,463,175号、ならびに米国特許出願公開第2003/0135879号および2003/0115626号);植物の成長および発達(米国特許第6,723,897号、6,603,064号、および6,518,488号);デンプン生産(米国特許第.6,538,181号、6,538,179号、6,538,178号、5,750,876号、および6,476,295号);収穫量増加(米国再発行特許第38,446号、米国特許第6,716,474号、6,663,906号、6,476,295号、6,441,277号、6,423,828号、6,399,330号、6,372,211号、6,235,971号、6,222,098号、および5,716,837号);遺伝子組換え油の生産(米国特許第6,444,876号、6,426,447号、および6,380,462号);高油の生産(米国特許第6,495,739号、5,608,149号、6,483,008号、および6,476,295号);脂肪酸含有量の変更(米国特許第6,828,475号、6,822,141号、6,770,465号、6,706,950号、6,660,849号、6,596,538号、6,589,767号、6,537,750号、6,489,461号、および6,459,018号);高タンパク質の生産(米国特許第6,380,466号);果実の熟成(米国特許第5,512,466号);動物およびヒトの栄養強化(米国特許第6,723,837号、6,653,530号、6,5412,59号、5,985,605号、および6,171,640号);バイオポリマー(米国再発行特許第37,543号、米国特許第6,228,623号、5,958,745号、および米国特許出願公開第2003/0028917);環境ストレス耐性(米国特許第6,072,103号);製薬ペプチドおよび分泌型ペプチド(米国特許第6,812,379号、6,774,283号、および6,140,075号、6,080,560号);処理特性の向上(米国特許第6,476,295号);消化性の向上(米国特許第6,531,648号);低ラフィノース(米国特許第6,166,292号);産業用酵素の生産(米国特許第5,543,576号);風味の向上(米国特許第6,011,199)、窒素固定(米国特許第5,229,114号);ハイブリッド種子の生産(米国特許第5,689,041号);繊維の生産(米国特許第6,576,818号、6,271,443号、5,981,834号、および5,869,720号);ならびにバイオ燃料の生産(米国特許第5,998,700号)(これらの特許および特許出願公開の各々の内容は、参照により、これらの全体が本明細書に組み込まれる)。
上記のように、また当てはまる場合は、目的のポリペプチドは、融合ポリペプチドの一部として発現されてもよい。
したがって、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素を含む本発明のポリヌクレオチド構築物は、任意の目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。これらの構築物は、農学的能力を向上するため、農学的特性を改変するため、および医薬品、産業酵素等の発現をもたらすために、任意の目的の植物に導入することができる。
目的の植物
このように、本発明は、本発明のポリヌクレオチド構築物を含む形質転換された(すなわちトランスジェニック)植物およびその植物の部分を提供し、該構築物は、a)少なくとも1つの細胞性翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、少なくとも1つのウイルス性翻訳エンハンサー要素と、b)目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとを含む。本明細書で使用される場合、「植物の部分」とは、植物の器官(例えば、葉、茎、根等)、種子、および植物細胞を意味する。植物の部分は、プロトプラスト、組織、根粒、カルス、植物が再生され得る植物細胞組織培養物、胚、および植物またはそれらの子孫に由来する花、胚珠、葯、花粉、茎、枝、果実、穀粒、穂、穂軸、殻、柄、葉、分げつ、根、根端等を制限なく含む。植物細胞はまた、種子の細胞、胚、成長領域、カルス組織、葉、根、苗条、配偶体、胞子体、花粉、および小胞子を制限なく含む。
本明細書で使用される場合、「形質転換された」または「トランスジェニック」とは、本発明のポリヌクレオチド構築物等の外来性ポリヌクレオチド分子が導入された植物またはその植物の部分を意味する。導入されたポリヌクレオチド分子は、導入されたポリヌクレオチド分子が次の子孫によって受け継がれるように、受容植物または植物の部分のゲノムDNAに組み込まれてもよい。「トランスジェニック」または「形質転換された」植物またはその植物の部分(例えば細胞または組織)は、植物または植物の部分の子孫、およびそのようなトランスジェニック植物または植物の部分を交配において親として用いる育種プログラムから生成され、外来性ポリヌクレオチド分子、例えば本発明のポリヌクレオチド構築物の存在に起因する表現型の変更を示す子孫も含む。
好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物および植物細胞内で機能する作動可能に連結されたプロモーターは、植物またはその植物の部分のゲノムに安定に組み込まれるため、そうすることによりコードされるポリペプチドによって提供される所望の特徴または形質は、その子孫によって、より具体的には、複数継代の子孫によって受け継がれることが可能となる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチド構築物は、本発明の発現カセットの一部として植物またはその植物の部分のゲノムに安定に組み込まれ、したがって、この発現カセットを植物またはその植物の部分の1つ以上の細胞に導入することにより、植物またはその植物の部分は遺伝子操作されている。
本発明による植物は、産業、医薬、または商業プロセスにおける経口摂取または利用のいずれかのために、ヒトまたは動物によって求められる植物材料を生産する目的で栽培される任意の植物を含む。本発明は、多様な植物のうちのいずれに適用されてもよく、それには、トウモロコシ、コムギ、イネ、オオムギ、大豆、ワタ、モロコシ、一般に豆類、ナタネ/キャノーラ、アルファルファ、亜麻、ヒマワリ、ベニバナ、アワ、ベニバナ、サトウキビ、テンサイ、カカオ、茶、アブラナ、ワタ、タバコ、コーヒー、サツマイモ、亜麻、ラッカセイ、クローバー;レタス、トマト、ウリ科植物、キャッサバ、ジャガイモ、ニンジン、ダイコン、エンドウマメ、レンズマメ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、芽キャベツ、ピーマン、およびパイナップル等の野菜;柑橘類、リンゴ、ナシ、モモ、杏、クルミ、アボカド、バナナ、およびココナッツ等の果樹;ならびにラン、カーネーション、およびバラ等の花を含むが、これらに限定されない。本発明の実施において有用な他の植物は、スイッチグラス、プレーリーグラス、インディアングラス、ビッグブルーステムグラス等の多年草を含む。
本発明の方法
本発明のポリヌクレオチド構築物は、植物またはその植物の部分における目的のポリペプチドの発現を増加させるための方法に使用される。本発明の方法は、植物またはその植物の部分に、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチド構築物を導入することを含む。本発明のポリヌクレオチド構築物の発現に好適な条件下で培養した場合、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、関連するmRNA転写物の翻訳においてより高い効率を提供する。したがって、本発明の方法は、植物またはその植物の部分において目的のポリペプチドの発現の増加をもたらす。本明細書で使用される場合、「発現」とは、転写、翻訳、およびコードされたポリペプチドの構築を含む、コードされたポリペプチドの合成を意味する。ポリペプチドの発現の増加は、任意の2つの植物または植物の部分の間の比較に関連し、例えば、本発明のポリヌクレオチド構築物の導入によって遺伝子組換えされた植物または植物の部分におけるポリペプチドの発現に対する、対応する野生型植物または野生型植物の部分におけるポリペプチドの発現である。
いくつかの実施形態において、発現の増加は、本発明のポリヌクレオチド構築物の導入によって遺伝子組み換えされた植物または植物の部分と、対応する対照植物または対照植物の部分におけるそのポリペプチドの発現との間の比較に関連する。本明細書で使用される場合、「対照植物」または「対照植物の部分」とは、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素が存在しないことのみが本発明のポリヌクレオチド構築物と異なるポリヌクレオチド構築物から、同じポリペプチドを発現するように遺伝子組み換えされた植物または植物の部分を意味する。このように、対照植物または植物の部分は、ポリペプチドの同じ転写調節領域(すなわち同じプロモーター)、同じコード配列、および以下のうちのいずれかを含有するポリヌクレオチド構築物を含む:作動可能に連結されていない翻訳エンハンサー要素、または作動可能に連結された単一の翻訳エンハンサー要素のみであって、その要素は、本発明のポリヌクレオチド構築物に存在するものと同じウイルス性翻訳エンハンサー要素であるか、または本発明のポリヌクレオチド構築物に存在するものと同じ細胞性翻訳エンハンサー要素である。
本発明の特定の実施形態において、本発明のトランスジェニック植物または植物の部分における目的のポリペプチドの発現レベルは、野生型植物もしくは植物の部分、または対照植物もしくは植物の部分と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、50%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%、225%、250%、275%、300%、350%、400%、450%、または少なくとも約500%増加する。本発明の他の実施形態において、本発明のトランスジェニック植物または植物の部分における目的のポリペプチドの発現レベルは、野生型植物もしくは植物の部分、または対照植物もしくは植物の部分と比較して、少なくとも約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、または少なくとも約5倍増加する。目的のポリペプチドの発現レベルは、例えば、植物または植物の部分において発現されるポリペプチドのレベルをアッセイすることにより、例えば、植物または植物の部分におけるポリペプチドの活性を測定することで、直接測定することができる。
本発明のポリヌクレオチド構築物および発現カセットは、電気穿孔法(米国特許第5,384,253号に示されるように);微粒子衝突法(米国特許第6,403,865号、5,015,580号、5,550,318号、5,538,880号、6,160,208号、6,399,861号、および6,403,865号に示されるように);アグロバクテリウムによる形質転換(米国特許第7,029,908;5,824,877号、5,591,616号、5,981,840号、および6,384,301号に示されるように)、およびプロトプラスト形質転換(米国特許第5,508,184号に示されるように)(これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる)を含むが、これらに限定されない、当業者に既知である任意の植物形質転換技術を用いて、目的の植物または植物の部分に導入することができる。これらの構築物および発現カセットはまた、育種プロトコルを用いて目的の植物または植物の部分に導入することもできる。以下の植物形質転換技術に関する記載は、ガイダンスとして提供されるのであって、限定的であることを意図するものではない。
植物の形質転換および育種
本発明のポリヌクレオチド構築物および発現カセットは、単独で、または1つ以上の追加の目的の核酸分子と組み合わせて、目的の標的植物の細胞に形質転換される。これらの構築物および発現カセットは、当該技術において認識される多数の方法で細胞に導入することができる。本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドに関連して「導入する」とは、ポリヌクレオチドが植物の細胞内部へのアクセスを得る様式で、本発明のポリヌクレオチド構築物または発現カセットが植物に提示されることを意味する。1つより多くのポリヌクレオチドが導入される場合、これらのポリヌクレオチドは、単一のヌクレオチド構築物の一部として、または別個のヌクレオチド構築物として構築されてもよく、同じかまたは異なる形質転換ベクター上に位置し得る。したがって、これらのポリヌクレオチドは、単一の形質転換事象において、別個の形質転換事象において、または例えば育種プロトコルの一部として、目的の植物細胞に導入することができる。本発明の方法は、1つ以上のポリヌクレオチドを植物に導入するための特定の方法にのみ依存せず、ポリヌクレオチド(複数可)が植物の少なくとも1つの細胞の内部へのアクセスを得る。ポリヌクレオチドを植物に導入するための方法は、当該技術分野において既知であり、一過性形質転換法、安定形質転換法、およびウイルスによる方法を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドに関連して「一過性形質転換」または「一過性発現」とは、ポリヌクレオチドが植物に導入されるが、植物のゲノムには組み込まれないことを意味する。一過性形質転換および一過性発現は、当該技術分野において既知である任意の好適な方法を用いて達成することができる。例えば、一過性発現は、植物細胞の培養により、または組換えアグロバクテリウム株を植物の葉に浸潤させることにより行うことができる。一過性発現は、その植物の子孫には受け継がれない。
本明細書で使用される場合、植物に導入されるポリヌクレオチドに関連して「安定に導入する」または「安定に導入される」とは、導入されたポリヌクレオチドが植物のゲノムに安定に組み入れられ、したがって、その植物がポリヌクレオチドによって安定に形質転換されることを意味する。「安定した形質転換」または「安定に形質転換される」とは、植物に導入されたポリヌクレオチド、例えば、本発明のポリヌクレオチド構築物または発現カセットが、その植物のゲノムに組み込まれ、その子孫によって、より具体的には複数世代の子孫によって、受け継がれることが可能であることを意味する。
植物形質転換に利用可能な多数の形質転換ベクターは、植物形質転換技術分野の当業者に既知であり、本発明のポリヌクレオチド構築物および発現カセットは、任意のそのようなベクターと組み合わせて使用することができる。ベクターの選択は、好ましい形質転換技術および形質転換の標的植物種に依存する。特定の標的種には、異なる抗生物質または除草剤選択マーカーが好ましい可能性がある。形質転換において日常的に使用される選択マーカーは、本明細書で上述した選択マーカーを含む。
植物を形質転換するための方法およびベクターは、当該技術分野において周知である。例えば、Tiプラスミドベクターが、外来性DNAの送達、ならびに直接DNA取り込み、リボソーム、電気穿孔、マイクロインジェクション、および微粒子のために用いられてきた。また、アグロバクテリウム属由来の細菌を利用して植物細胞を形質転換することができる。以下は、双子葉類および単子葉類の両方を形質転換するための代表的な技術、ならびに代表的な色素体形質転換技術である。
多くのベクターが、アグロバクテリウム・ツメファシエンスを使用する形質転換に利用可能である。これらは、典型的には少なくとも1つのT−DNA境界配列を保持し、pBIN19等のベクターを含む(Bevan(1984)Nucleic Acids Res.12:8711−8721)。アグロバクテリウムの形質転換に有用なベクターについては、例えば、米国特許出願公開第2006/0260011号および米国特許第7,029,908号を参照のこと(参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる)。
アグロバクテリウム・ツメファシエンスを使用しない形質転換は、選択された形質転換ベクターにおけるT−DNA配列の必要性を回避し、結果として、T−DNA配列を含有する上記のようなベクターに加えて、これらの配列を欠損するベクターを利用することができる。アグロバクテリウムに依存しない形質転換技術は、微粒子衝突法による形質転換、プロトプラストによる取り込み(例えば、PEGおよび電気穿孔法)、ならびにマイクロインジェクションを含む。ベクターの選択は、形質転換される植物種の好ましい選択に大きく依存する。そのようなベクターの構築については、例えば、米国特許出願公開第2006/0260011号を参照のこと(参照により本明細書に組み込まれる)。
本発明のポリヌクレオチド構築物または発現カセットを植物の色素体に導入することが望ましい場合は、色素体形質転換ベクターpPH143(WO97/32011号の実施例36を参照)が使用される。発現カセットはpPH143に挿入され、それによってPROTOXコード配列が置換される。このベクターは、その後、色素体形質転換、およびスペクチノマイシン耐性のための転換体の選択に使用される。代替として、発現カセットは、aadH遺伝子を置換するようにpPH143に挿入される。この場合、転換体は、PROTOX阻害剤に対する抵抗性のために選択される。米国特許第7,235,711号に開示される色素体形質転換技術も参照のこと(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)。
双子葉類のための形質転換技術は当該技術分野において既知であり、アグロバクテリウムに基づく技術およびアグロバクテリウムを必要としない技術を含む。非アグロバクテリウム技術は、プロトプラストまたは細胞による直接的な外来性遺伝子材料の取り込みに関与する。これは、PEGまたは電気穿孔法による取り込み、微粒子衝突法による送達、またはマイクロインジェクションにより達成することができる。これらの技術の例は、Paszkowski et al.(1984)EMBO J.3:2717−2722;Potrykus et al.(1985)Mol.Gen.Genet.199:169−177;Reich et al.(1986)Biotechnology 4:1001−1004;およびKlein et al.(1987)Nature 327:70−73に記載されている。各々の場合において、形質転換された細胞は、当該技術分野において既知である標準的な方法を使用して全植物に再生される。
アグロバクテリウムによる形質転換は、その高い形質転換効率および多くの異なる種に対する幅広い有用性のために、双子葉類の形質転換に好ましい技術である。アグロバクテリウムによる形質転換は、典型的には、目的の外来性DNAを保持するバイナリーベクター(例えば、pCIB200またはpCIB2001)を、共存するTiプラスミドまたは染色体のいずれかに宿主アグロバクテリウム(例えば、pCIB200およびpCIB2001のための株CIB542株)が保持するvir遺伝子の補完に依存し得る適切なアグロバクテリウム株(Uknes et al.(1993)Plant Cell 5:159−169)に移入することに関与する。組換えバイナリーベクターのアグロバクテリウムへの移入は、組換えバイナリーベクターを保持する大腸菌であって、pRK2013等のプラスミドを保持し、組換えバイナリーベクターを標的アグロバクテリウム株に移動させることができるヘルパー大腸菌株を使用した、三親交配手順により達成される。代替として、組換えバイナリーベクターは、DNAの形質転換によってアグロバクテリウムに移入することができる(Hofgen and Willmitzer(1988)Nucl.Acids Res.16:9877)。
組換えアグロバクテリウムによる標的植物種の形質転換は、通常、アグロバクテリウムをその植物由来の外植片と共培養することに関与し、当該技術分野で周知のプロトコルに従う。形質転換された組織は、バイナリープラスミドT−DNA境界間に存在する抗生物質耐性マーカーまたは除草剤抵抗性マーカーを保持する選択培地上で再生される。
目的のポリヌクレオチドを用いて植物細胞を形質転換するための別の手法は、不活性または生物学的に活性な粒子を植物の組織および細胞において推進することに関与する。この技術は、米国特許第4,945,050号、5,036,006号、および5,100,792号に開示されており、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。通常、この手順は、細胞の外表面を通過し、その内部への組み入れを可能にするのに効果的な条件下で、不活性または生物学的に活性な粒子を細胞において推進することを伴う。不活性粒子が用いられる場合、所望の遺伝子を含有するベクターとともに粒子をコーティングすることにより、植物細胞にベクターを導入することができる。代替として、粒子の活性化によってベクターが細胞内に運ばれるように、ベクターで標的細胞を囲むことができる。生物学的に活性な粒子(例えば、導入したいDNAを各々が含有する乾燥酵母細胞、乾燥細菌、またはバクテリオファージ)もまた、植物細胞組織中に推進することができる。ほとんどの単子葉植物種の形質転換もまた、今ではルーチンとなっている。好ましい技術は、PEGまたは電気穿孔法技術を使用したプロトプラスト内への直接遺伝子導入、およびカルス組織内への微粒子衝突を含む。形質転換は、単一のDNA種または複数のDNA種(すなわち同時形質転換)を用いて行われてもよく、これらの技術はどちらも本発明とともに使用するのに好適である。同時形質転換は、完全なベクター構築を回避し、目的の遺伝子および選択マーカーのための非連鎖遺伝子座を有するトランスジェニック植物を作製するという利点を有し得、望ましいと見なされる場合には、後の世代において選択マーカーを除去することが可能である。しかしながら、同時形質転換を用いることの不利な点は、別々のDNA種がゲノムに組み込まれる頻度が100%未満であることである(Schocher et al.(1986)Biotechnology 4:1093−1096)。
欧州特許出願第0 292 435号、同0 392 225号、およびWO93/07278号は、トウモロコシの優良な同系交配系統からのカルスおよびプロトプラストの調製、PEGまたは電気穿孔法を用いたプロトプラストの形質転換、ならびに形質転換されたプロトプラストからのトウモロコシ植物の再生のための技術について記載している。Gordon−Kamm et al.(Plant Cell 2:603−618(1990))およびFromm et al.(Biotechnology 8:833−839(1990))は、微粒子衝突法を用いたA188由来トウモロコシ系統の形質転換のための技術を発表した。さらに、WO93/07278号およびKoziel et al.(Biotechnology 11:194−200(1993))は、微粒子衝突法によるトウモロコシの優良な同系交配系統の形質転換のための技術について記載している。この技術は、受粉から14〜15日後のトウモロコシの穂から切り出した1.5〜2.5mmの長さの未成熟なトウモロコシ胚と、衝突用のPDS−1000He微粒子銃デバイスを利用する。また、米国特許第6,403,865号に開示される微粒子銃形質転換の方法も参照のこと(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)。
イネの形質転換も、プロトプラストまたは微粒子衝突法を用いた直接遺伝子導入技術により行うことができる。プロトプラストによる形質転換は、ジャポニカ型およびインディカ型について記載されている(Zhang et al.(1988)Plant Cell Rep 7:379−384;Shimamoto et al.(1989)Nature 338:274−277;およびDatta et al.(1990)Biotechnology 8:736−740)。どちらの型も、微粒子衝突法を用いて日常的に形質転換可能である(Christou et al.(1991)Biotechnology 9:957−962)。さらに、WO93/21335号は、電気穿孔法によるイネの形質転換のための技術について記載している。
欧州特許出願第0 332 581号は、イチゴツナギ亜科プロトプラストの生成、形質転換、および再生のための技術について記載している。これらの技術により、カモガヤ属およびコムギの形質転換が可能となる。さらに、Vasil et al.(Biotechnology 10:667−674(1992))(長期再生可能なC型カルス細胞内への微粒子衝突を使用)、またVasil et al.(Biotechnology 11:1553−1558(1993))およびWeeks et al.(Plant Physiol.102:1077−1084(1993))(未成熟胚および未成熟胚由来カルスの微粒子衝突を使用)によるコムギの形質転換が記載されている。しかしながら、コムギの形質転換のための好ましい技術は、未成熟胚の微粒子衝突によるコムギの形質転換を伴い、遺伝子送達の前に高スクロースまたは高マルトースのいずれかの段階を含む。衝突の前に、体細胞胚の誘導のために、3%スクロース(Murashige and Skoog(1962)Physiologia Plantarum 15:473−497)および3mg/Lの2,4−Dを含むMS培地に、任意の数の胚(0.75〜1mmの長さ)をプレーティングし、暗所で進行させる。選択された衝突の日に、誘導培地から胚を取り出し、浸透圧調節物質(すなわち、所望の濃度、典型的には15%のスクロースまたはマルトースを加えた誘導培地)上に置く。胚を2〜3時間原形質分離させ、次いで衝突させる。決定的ではないが、標的プレート当たり胚20個が典型的である。標準的な手順を用いて、適切な遺伝子を保持するプラスミド(pCIB3064またはpSOG35等)をマイクロメーターサイズの金粒子上に沈殿させる。標準的な80メッシュスクリーンを使用するDuPont BIOLISTICS(登録商標)ヘリウムデバイスを用いて、約1000psiの破裂圧で胚の各プレートに打ち込む。衝突後、胚を暗所に戻し、約24時間(さらに浸透圧調節物質上で)回復させる。24時間後、浸透圧調節物質から胚を取り出し、誘導培地上に戻し、再生まで約1ヶ月静置する。約1ヵ月後、発達中の胚形成カルスを有する胚外植片を、適切な選択剤(pCIB3064の場合は10mg/Lバスタ、pSOG35の場合は2mg/Lメトトレキサート)をさらに含有する再生培地(MS+1mg/L NAA、5mg/L GA)に移す。約1ヵ月後、半強度のMS、2%スクロース、および同濃度の選択剤を含有する、「GA7」として知られるより大きな滅菌容器に、発達した苗条を移す。
アグロバクテリウムを使用した単子葉植物の形質転換もまた、記載されている。WO94/00977号および米国特許第5,591,616号を参照のこと(その両方が、参照により本明細書に組み込まれる);また、Negrotto et al.(2000)Plant Cell Reports 19:798−803を参照のこと(参照により本明細書に組み込まれる)。
例えば、イネ(Oryza sativa)を使用してトランスジェニック植物を作製することができる。種々のイネ栽培品種を使用することができる(Hiei et al.(1994)Plant Journal 6:271−282;Dong et al.(1996)Molecular Breeding 2:267−276;およびHiei et al.(1997)Plant Molecular Biology 35:205−218)。また、以下に記載する種々の培地成分は、量を変更されるかまたは交換されるかのいずれかであってもよい。MS−CIM培地(MS基礎塩、4.3g/リットル;ビタミンB5(200X)、5ml/L;スクロース、30g/L;プロリン、500mg/L;グルタミン、500mg/Lr;カゼイン加水分解産物、300mg/L;2,4−D(1mg/ml)、2ml/L;1N KOHでpH5.8に調整;Phytagel、3g/L)上で培養することにより、胚形成反応を開始するか、および/または成熟胚から培養を確立する。培養反応の初期段階にある成熟胚または確立された培養系統のいずれかを接種し、所望のベクター構築物を含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス株LBA4404(アグロバクテリウム)とともに共培養する。固形YPC培地上(100mg/Lスペクチノマイシンおよび任意の他の適切な抗生物質)上で、グリセロールストックからアグロバクテリウムを約2日間28℃で培養する。液体MS−CIM培地にアグロバクテリウムを再懸濁する。アグロバクテリウム培養物を光学密度(OD)600で0.2〜0.3になるように希釈し、最終濃度200μMまでアセトシリンゴンを加える。溶液をイネ培養物と混合する前にアセトシリンゴンを加え、植物細胞へのDNA移入のためにアグロバクテリウムを誘導する。接種のために、植物の培養物を細菌懸濁液中に浸漬する。細菌懸濁液を除去し、接種した培養物を共培養培地上に置き、22℃で2日間インキュベートする。次いで、培養物をチカルシリン(400mg/L)を含むMS−CIM培地に移してアグロバクテリウムの成長を阻害する。PMI選択マーカー遺伝子(Reed et al.(2001)In Vitro Cell.Dev.Biol.−Plant 37:127−132)を用いた構築物については、7日後、炭水化物源としてマンノースを含有する選択培地(2%マンノース、300mg/Lチカルシリンを含むMS)に培養物を移し、暗所で3〜4週間培養する。次いで、耐性コロニーを再生誘導培地(2,4−D非含有、0.5mg/リットルIAA、1mg/Lゼアチン、200mg/Lチメンチン2%マンノースおよび3%ソルビトールを含むMS)に移し、暗所で14日間成長させる。次いで、増殖コロニーを別ラウンドの再生誘導培地に移し、明るい成長用の部屋に移動する。再生した苗条をGA7−1培地(ホルモン非含有、2%ソルビトールを含むMS)を含むGA7容器に2週間移動し、その後、それらが十分に大きくなり、適当な根を有するようになったら温室に移動する。植物を温室内の土壌に移植し(T0世代)、成熟するまで成長させ、T1種子を採取する。
本発明のポリヌクレオチド構築物または発現カセットを用いて形質転換させた細胞は、従来様式にしたがって植物に成長させることができる。例えば、McCormick et al.(1986)Plant Cell Reports5:81−84を参照のこと。これらの植物は、成長させて、同じ形質転換株または異なる株のいずれかで受粉することができ、得られた子孫は、所望の表現型特性の発現を有することが特定される。所望の表現型特性の発現が安定して維持および受け継がれることを確実にするために、2世代以上を成長させてもよく、所望の表現型特性の発現が達成されていることを確実にするために、次いで種子を採取してもよい。このように、本発明は、それらのゲノムに安定に組み入れられた本発明のポリヌクレオチド構築物または発現カセットを有する形質転換された種子(「トランスジェニック種子」とも称される)を提供する。
本発明のポリヌクレオチド構築物または発現カセットを用いた形質転換によって得られた植物は、単子葉および双子葉種、ならびに本明細書の他の箇所に記載される農学的に重要な作物のリストを含む多様な植物種のうちのいずれであってもよい。本発明のポリヌクレオチド構築物および発現カセットは、生産量および品質にとって重要な他の特徴と組み合わせて、育種により植物系統に組み入れることができる。育種の手法および技術は当該技術分野において既知である。例えば、Welsh,Fundamentals of Plant Genetics and Breeding(John Wiley and Sons,NY 1981);Crop Breeding(Wood ed.,American Society of Agronomy Madison,WI 1983);Mayo,The Theory of Plant Breeding(2nded.;Clarendon Press,Oxford 1987);Singh,Breeding for Resistance to Diseases and Insect Pests(Springer−Verlag,NY 1986);およびWricke and Weber,Quantitative Genetics and Selection Plant Breeding(Walter de Gruyter and Co.,Berlin 1986)を参照のこと。
上記トランスジェニック種子および植物に遺伝子工学的に付与された遺伝的特性は、有性生殖または栄養生長により継代され、したがって、子孫植物において維持および伝播され得る。一般に、維持および伝播は、耕耘、種蒔き、または収穫等の特定の目的に適合するように開発された機知の農業方法を利用する。
目的のポリペプチドの安定した組み込みおよび発現の検出
上記条件は、光合成能を有する緑色植物体および植物の再生をもたらす。上述のように、目的の核酸分子が目的の植物またはその植物の部分のゲノムに安定に組み込まれていることを確認するために使用されるテストは、必ずその植物に付与される特性に依存する。例えば、特性が除草剤抵抗性である場合、形質転換プロセスに供されていない対照植物にとって致死濃度の除草剤を葉に噴霧または塗布して成長中の葉を処理することにより、確認が達成されてもよい。
形質転換された植物またはその部分における目的のポリペプチドの発現は、免疫学的方法を使用して検出することができる。使用することのできる免疫学的方法は、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、多重ELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ等の免疫に基づく技術を使用する競合および非競合アッセイ系を含むが、これらに限定されない。そのようなアッセイはルーチンであり、当該技術分野において既知である(例えばAusubel et al.(1994)(上記参照)を参照)。
発現は、イムノアッセイの他に、目的のポリペプチドまたはレポーター遺伝子またはその両方をコードするポリヌクレオチドの発現パターンを評価することによっても測定することができる。例えば、発現パターンは、ノーザン分析、PCR、RT−PCR、TaqMan分析、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、FRET検出、1つ以上の分子ビーコンのモニタリング、オリゴヌクレオチドアレイへのハイブリダイゼーション、cDNAアレイへのハイブリダイゼーション、ポリヌクレオチドアレイへのハイブリダイゼーション、液体マイクロアレイへのハイブリダイゼーション、マイクロエレクトロニックアレイへのハイブリダイゼーション、cDNA配列決定、クローンハイブリダイゼーション、cDNA断片フィンガープリント法等によって評価することができる。選択される特定の方法は、回収されるRNAの数、技術者の好み、利用可能な試薬および機器、検出器等の要因に依存する。
以下の実施例は、例示目的で提供されるのであって、限定する目的のものではない。
実施例1:ベクター
二重エンハンサーの概念を検証するために20個のベクターを構築した。タバコまたはトウモロコシの発現のために9個のベクターを2セット作製した。トウモロコシおよびタバコの両方において、各エンハンサーおよびエンハンサーの組み合わせをテストした。2つの追加のベクターは、タバコにおいてのみテストした。タバコの発現にはケストルムプロモーターおよび35Sターミネーターを使用し、トウモロコシの発現にはPEPCプロモーターおよびPEPCターミネーターを使用した。ERを標的とするエンドグルカナーゼをレポーター遺伝子として使用した。エンドグルカナーゼ遺伝子を発現宿主にコドン最適化した:トウモロコシの発現のためのトウモロコシ最適化およびタバコの発現のための大豆最適化。トウモロコシまたはタバコにおける全ての構築物について、プロモーターとエンハンサーの間、およびエンハンサーと開始コドン(Kozak)の間のコンテキストを同じに維持するよう注意した。二重エンハンサーを使用した場合、エンハンサーの間に干渉する配列はなく、配列は隣接していた。
タバコ:プロモーター-TGCGGATCC-エンハンサー挿入-AAAAAA-レポーター
トウモロコシ:プロモーター-GGATCC-エンハンサー挿入-TAAACC-レポーター
ベクター構築物については、後により詳細に記載する。
実施例2:タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、タバコの一過性系における発現を増加させる
タバコの一過性系において得られた結果は、対照構築物と比較して、2つの翻訳エンハンサー要素(ウイルス性+細胞性5’UTR)が互いに対してタンデムに配置されたポリヌクレオチド構築物で形質転換したタバコ植物の葉において、エンドグルカナーゼ(EG)の発現が有意に増加したことを示している。ウイルス性翻訳エンハンサー要素が細胞性翻訳エンハンサー要素の上流に(すなわち5’末端に)配置されたときに、発現の増加が観察された。
方法
植物材料:TEV−Bタバコ転換体を使用した一過性発現アッセイを用いて、種々のポリヌクレオチド構築物によってもたらされたEGの発現レベルをモニタリングした。
ポリヌクレオチド構築物:6つの異なるポリヌクレオチド構築物を使用した。ウイルス性および細胞性の5’UTRの種々の組み合わせを含有する構築物を、EGをコードする配列の上流に配置した。その構築物をタバコの一過性系および安定系に使用した。
1.タンデム構築物:
Ω−NtADH構築物:この構築物では、「Ω」とも示されるタバコモザイクウイルス(TMV)のウイルス性翻訳エンハンサー要素(5’UTR(5’リーダー)(配列番号1)を、タバコアルコールデヒドロゲナーゼ(NtADH)遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号4)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)Ωエンハンサー(配列番号1);(3)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);4)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(5)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(6)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
NtADH−Ω構築物:この構築物では、細胞性翻訳エンハンサー要素(NtADH遺伝子の5’UTR(配列番号4)をウイルス性翻訳エンハンサー要素(TMVの5’UTR(配列番号1)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)NtADHエンハンサー要素(配列番号4);(3)Ωエンハンサー要素(配列番号1);(4)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(5)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(6)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
2.単一構築物:
Ω構築物:この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)Ω翻訳エンハンサー要素(配列番号1);(3)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(4)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(5)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(6)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(7)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
NtADH構築物:この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(3)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(4)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(5)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(6)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(7)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
一過性形質転換プロトコル:発現カセットをバイナリーベクターにクローニングした。冷凍解凍法を用いてバイナリーベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス株LBA4404に移入した(An et al.(1988)”Binary vector,”A3 1−19,in Plant Molecular Biology Manual,ed.Gelvin and Schilproot(Kluwar Academic Publishers,Dordrecht)。
TEV−B幼植物(4週齢)の葉を酵素の一過性発現に使用した。転写後遺伝子スライシングを抑制するTEV由来の突然変異P1/HC−Pro遺伝子を含有するトランスジェニックTEV−Bタバコ植物(タバコ栽培品種Xanthi中に作製)(Mallory et al.(2002)Nat.Biotechnol.20:622−625)を、タバコ葉における選択された酵素の一過性発現のために使用した。アグロバクテリウム培養物の調製およびタバコの浸潤は、Azhakanandam et al.(2007)Plant Mol.Biol.63:393−404に記載されるように行った。
簡単に述べると、遺伝子組み換えされたアグロバクテリアを100μMアセトシリンゴンおよび10μM MES(pH5.6)を含有する50mlのLB培地で一晩増殖させ、その後、4000Xgで10分間遠心分離してペレット化した。ペレットをOD600=1.0まで感染培地(ビタミンを含むMurashige−Skoog塩、2%スクロース、500μM MES(pH5.6)、10μM MgSO4、および100μMアセトシリンゴン)に再懸濁し、次いで28℃で3時間維持した。個々の葉の浸潤は、5mlシリンジを使用して、シリンジの先端(針は付いていない)を葉の背軸面に押し当てることにより、約4週齢のTEV−Bタバコ植物に対して行った。浸潤させた植物を22〜25℃で、明期16時間および暗期8時間の光周期で維持した。浸潤の5日後、その後の分析のために植物組織を採取した。
活性アッセイ:40℃、pH4.75で、CM−セルロース上で生成された遊離グルコースの観点から、本方法によりnmol/分/タンパク質のmgでEGを測定した。グルコースオキシダーゼ/ペロキシダーゼ(GOPOD)化学を用いて、標準曲線に対してグルコースを測定した。グルコースに基づくアッセイ法は比色アッセイであり、40℃でGOPODがグルコースと反応し、淡いピンクから濃いピンクがかった発色団を生じる。このアッセイは4つの基本的ステップからなる:(1)トランスジェニック組織の粉砕/製粉;(2)粉砕組織サンプルの計量;(3)酢酸ナトリウム緩衝液中における酵素の抽出;および(4)酵素活性/タンパク質定量のためのアッセイ。
1.材料:
酢酸ナトリウム緩衝液:100mM酢酸ナトリウム(pH4.75)、0.02%NaN3、0.02%Tween、および緩衝液50ml当たり1錠の完全プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤。緩衝液を調製し、4℃で3ヶ月まで保存することができるが、カクテル錠剤の添加後、緩衝液は4℃で1週間の有効期間を有する。約800mlのH2O中で50mlの酢酸ナトリウム(1M)、50mlの酢酸(1M)を混合し、pHを4.75に調整することにより、溶液を調製した。次いで、10mlのアジ化ナトリウム(2%)および10mlのTween(2%)を加え、H2Oで1Lに希釈した。
基質溶液:乾燥した1000mlメスフラスコに5gのCMC−4Mを計り入れることにより、0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC−4M;Megazymeロット番号81101;Wicklow,Ireland)溶液を調製した。25mlの95%エタノールでサンプルを十分に湿らせ、そこに600mlのH2Oを加えながら撹拌した。溶液を100℃まで加熱し、10分間撹拌して基質が確実に溶解するようにした。次いで、溶液を25℃まで冷却し、次いで、50mlの酢酸ナトリウム(1M)、50mlの酢酸(1M)、および10mlのアジ化ナトリウム(2%)を加え、体積が1000mlになるようにH2Oで調整した。この基質溶液を4℃で保存した。
β−グルコシダーゼ溶液:基質1ml当たり20μlのクロコウジカビ(Megazyme社製)由来β−グルコシダーゼを混合し、最終濃度を0.8μl/mlとした。この溶液は、毎日新しく作製した。
グルコース標準物質:酢酸ナトリウム中で、無水グルコース(純度99.5%)から濃縮グルコース(100mM)を調製した。酢酸ナトリウム緩衝液中で希釈を行い、0、1、2、3、4および5mMグルコースの溶液を作製した。GOPODアッセイにおいて、各標準物質を20μlずつ加え、0、1、20、40、60、80および100nmolの標準曲線を作成した。
グルコース試薬緩衝液(濃縮:1Mオルトリン酸二水素カリウム;200mMパラヒドロキシ安息香酸;および0.4%アジ化ナトリウム
グルコース測定試薬(バイアル当たり):12,000Uグルコース酸化酵素;650Uペルオキシダーゼ;および0.4mmol4−アミノアンチピリン
グルコース標準物質:1.0mg/mlグルコース;および0.2%w/v安息香酸
色素原試薬(GOPOD):50.0mlのグルコース試薬緩衝液を蒸留H2Oで1Lに希釈した。1バイアルのグルコース測定試薬の内容物をグルコース試薬緩衝液に溶解した。得られたGOPPOD試薬は、茶色の試薬瓶に保存した場合、2〜5℃で3ヶ月まで安定しているか、または冷凍した状態で保存した場合、12ヶ月以上安定している。この試薬を新たに調製すると、淡黄色または淡いピンク色であり得る。4℃で2〜3ヶ月経過すると、より濃いピンク色を発色する。この溶液の吸光度は、蒸留水に対して読み取った場合に0.05未満であるべきである。
2.サンプルの調製および抽出:
緑葉サンプル/24ウェルブロック形式:ドライアイス上に維持した24ウェルブロックの各ウェルに、4つのボールベアリングを加えた。各サンプルにつき、およそ0.5gの緑葉をブロックの各ウェルに入れ、ブロックをゴムの覆いで密封し、−80℃で最低3時間静置した。アッセイ当日、Kleco(登録商標)Titer Plate/Micro Tube Grinding Mill(Kleco、Visalia,CA)を使用してサンプルを2分間粉砕し、次いで3000rpmで30秒という短時間遠心分離した。ブロックからゴムの覆いを取り外し、1〜3mlの酢酸ナトリウム緩衝液を加えた。次いで、24ウェルブロックをプレートシーラーで2回(各方向に1回)密閉し、ボルテックスした。次いで、ベンチトップローテーター上で、室温で20分間かけてサンプルを抽出した。24ウェルブロックを3000rpmで5分間遠心分離した。上清をアーカイブプレート(すなわち、96ウェル平底リーディングプレートまたは深い96ウェルブロック)に移し、下の列を標準物質のために空けておいた。
3.アッセイ:氷上の96ウェルPCRプレートを2組調製した。120時間(T120)プレートには、50μlのβ−グルコシダーゼと基質の混合物をプレートの各ウェルに加えた。次いで、20μlのサンプル抽出液を加えた。プレートを密閉し、ボルテックスし、短時間遠心分離した(3000rpmで15秒)。次に、PCR機に40℃で2時間プレートを入れた。
2時間のインキュベーション後、96ウェル平底リーディングプレートの各ウェルに200μlのGOPODを加え、そこに20μlのT120サンプルまたはグルコース標準物質を加えた。プレートを密閉し、ボルテックスし、短時間遠心分離した(3000rpmで15秒)。次に、40℃のホットプレート上に20分間プレートを置き、次いで510nm(1cmの光路)で吸収度を測定した。
0時間(T0)対照プレートには、50μlのβ−グルコシダーゼと基質の混合物をプレートの各ウェルに加えた。次いで、20μlのサンプル抽出液を加えた。プレートを密閉し、ボルテックスし、短時間遠心分離した。次に、PCR機に90℃で10分間プレートを入れた。
10分間のインキュベーション後、96ウェル平底プレートの各ウェルに200μlのGOPODを加え、そこに20μlのT0サンプルまたはグルコース標準物質を加えた。プレートを密閉し、ボルテックスし、短時間遠心分離した。次に、プレートを40℃で20分間置き、510nm(1cmの光路)で吸収度を測定した。
全タンパク質:製造者の指示に従ってThermo Scientific Pierce BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific Inc.、Rockford,IL)を使用して、全タンパク質を測定した。
計算のための式:酵素活性=μmol/分/タンパク質mg=(nmolグルコースT120サンプル-nmolグルコースT0サンプル)×(1/120分)×(酵素rxn中で1/0.02ml添加)=(nmol/分/ml)/(mg/ml全タンパク質)=nmol/分/タンパク質mg
結果
図1に示すように、翻訳エンハンサー要素が存在しない構築物は、ベースラインのエンドグルカナーゼ(EG)活性(8μmol/分/全可溶性タンパク質mg)を有し、ベクター対照構築物はベースライン未満であった。単一要素構築物では、NtADH翻訳エンハンサー要素は、ベースラインの約1.5倍活性を増加させた。対照的に、Ω翻訳エンハンサー要素は、活性に負の影響を与えた。タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素構築物では、細胞性およびウイルス性の翻訳エンハンサー要素が配置された順序が、EGの発現、そして最終的にはEGの活性に有意に影響を及ぼした。つまり、Ω翻訳エンハンサー要素がNtADH翻訳エンハンサー要素の上流に配置されたとき、活性はベースラインの約2.0倍増加した。対照的に、NtADH翻訳エンハンサー要素がΩ翻訳エンハンサー要素の上流に配置されたとき、活性はベースライン未満であった。したがって、エンドグルカナーゼの発現は、翻訳エンハンサー要素のタンデム構成による影響を受けた。ウイルス性翻訳エンハンサー要素を細胞性翻訳要素の上流に配置することにより、EGの発現は、単一の細胞性エンハンサー要素で観察された発現をさらに約25%を上回って増強された。
細胞性翻訳エンハンサー要素に対するウイルス性翻訳エンハンサー要素の順序が発現ひいては活性に影響すると考えられたため、上述の5つの構築物(翻訳エンハンサー要素を含まないベクター;Ω構築物;NtADH構築物;Ω−NtADH構築物;およびNtADH−Ω構築物)を使用して第2セットの実験を行った。最初の実験では、5つの構築物からの発現を生葉重ベースで比較し(図2A)、第2の実験では、5つの構築物からの発現を全可溶性タンパク質ベースで比較した(図2B)。上記のように、ウイルス性翻訳エンハンサー要素と細胞性翻訳エンハンサー要素の順序が、EGの活性に有意に影響を及ぼした。そのため、EGの活性は、NtADH翻訳エンハンサー要素によりベースラインを超えて増加し、ウイルス性翻訳エンハンサー要素を細胞性翻訳エンハンサー要素の上流に配置したときにのみ、さらに増加した。
エンハンサー要素が存在しないベクター構築物と比較して、Ω−NtADH構築物がEGの活性を増強させた程度を表1にまとめた。
Figure 2013503640
実施例3:タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、安定したタバコ事象における発現を増強させる。
1.タンデム構築物
Ω−NtADH構築物:この構築物では、「Ω」とも示されるタバコモザイクウイルス(TMV)のウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号1)を、タバコアルコールデヒドロゲナーゼ(NtADH)遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号4)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12;(2)Ωエンハンサー(配列番号1);(3)NtADH 翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(4)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(5)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(6)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
NtADH−Ω構築物:この構築物では、細胞性翻訳エンハンサー要素(NtADH遺伝子の5’UTR(配列番号4)をウイルス性翻訳エンハンサー要素(TMVの5’UTR(配列番号1)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)NtADHエンハンサー要素(配列番号4);(3)Ωエンハンサー要素(配列番号1);(4)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(5)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(6)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
AMV−NtADH:この構築物では、AMVのウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号3)を、NtADH遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号4)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12;(2)AMVエンハンサー要素(配列番号3);(3)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(4)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(5)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(6)エンドグルカナーゼコード配列を含むレポーター(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
TEV−NtADH:この構築物では、タバコエッチウイルス(TEV)のウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号2)を、NtADH遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号4)とタンデムにスタッキングさせた。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12;(2)TEVエンハンサー要素(配列番号2);(3)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(4)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(5)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(6)エンドグルカナーゼコード配列を含むレポーター(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
Ω−ZmADH:この構築物では、TMVのウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号1)を、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ(ZmADH)遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号7)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12;(2)Ω(配列番号1);(3)ZmADH翻訳エンハンサー要素(配列番号7);(4)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(5)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(6)エンドグルカナーゼコード配列を含むレポーター(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
2.単一構築物
Ω構築物:この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)Ωエンハンサー要素(配列番号1);(3)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(4)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(5)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(6)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(7)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
NtADH構築物:この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(3)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(4)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(5)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(6)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(7)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
ZmADH構築物:この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)黄化葉巻ウイルス由来のケストルムプロモーター(配列番号12);(2)ZmADH翻訳エンハンサー要素(配列番号7);(3)6bp大豆Kozak配列(配列番号13);(4)大豆種子タンパク質グリシニン由来のシグナル配列(配列番号14);(5)エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(6)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(7)t35s転写ターミネーター(配列番号17)。
T0タバコの形質転換およびサンプリング
タバコの形質転換は、構築物当たりの回収された事象の合計およびコピー数の分布の点において非常にばらつきがあった。さらに、いくつかの事象は、一貫してコピー数の混在を示しており、例えば、選択マーカーは一貫して2コピーであり、EGは一貫して1コピーであった。
形質転換培養容器から温室内の土壌に移植した日に対する2つの時点で、タバコ植物のサンプリングを行った。移植から13日後および34日後にサンプル(パンチ穴約3つ分)を採取した。13日目の植物には2〜4枚の葉があった。最も若い葉からサンプルを収集した。最も若い葉が小さ過ぎる場合は、2番目に若い葉のサンプルを採取した。34日目の植物は、開花が始まっていた。この段階で、一番下にある(最も成熟した)緑葉をサンプリングのために選択した。ELISAおよびTAQMAN(登録商標)により組織サンプルを分析した。
ほとんどの事象は、13日目および34日目の両方にサンプリングを行った。しかしながら、一方の日には事象のスクリーニングを行ったが、他方の日には行わなかった場合もいくつかあった。13日目のサンプルに発現が見られなかった事象については廃棄した。13日目に低い発現を生じたが、34日目には発現が見られなかった事象は、34日目のデータセットには含めなかった。最終的に、13日間のスクリーニングの間には、いくつかの植物の発現が見られなかった。これらの植物は、13日目にはアッセイを行わなかったが、34日目にはアッセイを行った。13日と34日のデータセットの間で、いくつかの構築物について事象数に若干の違いがあるのはこのためである。
T0タバコ幼葉の結果
Ω+ZmHSP101を例外として、二重エンハンサー5つのうちの4つは、エンハンサーを含まない対照よりも平均発現が高かった。一過性データに基づいて予想されたように、エンハンサーを含まない対照と比較して、Ω単独およびNtADH+Ωの成果は不良であった。
Figure 2013503640
T0タバコ成葉の結果
予想されたように、成葉サンプルでは、全構築物にわたってより高い平均発現が見られた。2つの例外はあったが、幼葉サンプルに観察されたのと同じ傾向が成葉サンプルにも観察された。NtADHを用いた事象は、以前に観察されたよりも有意に低い発現レベルを示した。この結果は、2回目のサンプリングにおいて確認された。なぜ発現レベルが低下したのかは不明である。2つ目の例外は、Ω+ZmADHが、単一エンハンサー対照(ZmADH単独)よりもはるかに良好な成果を出したことあった。
Figure 2013503640
T1タバコ
各構築物から最大11事象をT1分析のために選択した。以前にスクリーニングされた事象に加えて、TEV+NtADHのためにさらなる事象が加えられた。T0分析の間に発現が見られなかったTEV+NtADHの2事象からのT1種子を分析した。各事象からのT1種子を成長チャンバ内で発芽させた。植え付けから23日後、最も大きな葉からサンプル(パンチ穴約3つ分)を採取した。TAQMAN(登録商標)を用いて子孫のコピー数について分析した。各T0事象からの1コピーおよび2コピーのT1植物のみをELISAにより分析した。所与の事象について全ての1コピー同胞の平均を、その事象の代表値と見なした。2コピー植物についても同様の平均を取った。各結果を構築物ごとに平均化して、エンハンサーの組み合わせに基づく成績データを得た。
T1タバコ幼葉の結果
単一コピー植物のみまたは二重コピー植物のみを比較した場合、構築物の成績は同様であった。データの入手が不可能であったΩ+ZmHSP101を例外として、二重エンハンサー5つのうちの4つは、エンハンサーを含まない対照よりも平均発現が高かった。T0幼葉のスクリーニングで観察されたように、エンハンサーを含まない対照と比較して、Ω単独の成果は不良であった。この実験において、NtADH+Ωは、エンハンサーを含まない対照よりも良好な成績であった。このT1のスクリーニングの結果は、NtADHおよびΩ+NtADHについての一過性の観察と同様であった。単一エンハンサーは発現を増加させ、第2の翻訳エンハンサーの付加によりさらに発現が強化された。これは、NtADHと組み合わせたAMVおよびTEVにおいても観察された。ZmADHおよびΩ+ZmADHの場合、これには該当しなかったようである。
Figure 2013503640
実施例4:タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素は、トウモロコシT0安定発現系において発現を増強する。
1.タンデム構築物:
Ω−NtADH構築物:この構築物では、タバコモザイクウイルス(TMV)のウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号1)を、NtADH遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号4)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)トウモロコシ由来のPEPCプロモーター(配列番号20;(2)Ωエンハンサー要素(配列番号1);(3)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(4)6bpトウモロコシKozak配列(配列番号13);(5)トウモロコシ由来のγ‐ゼインシグナル配列(配列番号21);(6)単子葉最適化エンドグルカナーゼコード配列(配列番号23);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)トウモロコシ由来のPEPC 転写ターミネーター(配列番号25)。
AMV−NtADH:この構築物では、AMV遺伝子のウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号2)を、NtADH遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号4)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)トウモロコシ由来のPEPCプロモーター(配列番号20);(2)AMVエンハンサー要素(配列番号2);(3)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(4)6bpトウモロコシKozak配列(配列番号22);(5)γ‐ゼインシグナル(配列番号21);(6)単子葉最適化エンドグルカナーゼコード配列を含むレポーター(配列番号23);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)PEPC転写ターミネーター(配列番号25)。
TEV−NtADH:この構築物では、タバコエッチウイルス(TEV)のウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号2)を、NtADH遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素(配列番号4)5’UTRとタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)PEPCプロモーター(配列番号20);(2)TEVエンハンサー要素(配列番号2);(3)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(4)6bpトウモロコシKozak配列(配列番号22);(5)γ‐ゼインシグナル配列(配列番号21);(6)単子葉最適化エンドグルカナーゼコード配列を含むレポーター(配列番号24);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(8)PEPC転写ターミネーター(配列番号25)。
Ω−ZmADH:この構築物では、TMV(Ω)のウイルス性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号1)を、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ(ZmADH)遺伝子の細胞性翻訳エンハンサー要素5’UTR(配列番号7)とタンデムにスタッキングした。この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)PEPCプロモーター(配列番号20);(2)Ω(配列番号1);(3)ZmADH翻訳エンハンサー要素(配列番号7);(4)6bpトウモロコシKozak配列(配列番号22);(5)γ‐ゼインシグナル配列(配列番号21);(6)単子葉エンドグルカナーゼコード配列を含むレポーター(配列番号15);(7)小胞体保留シグナル(配列番号16);(8)PEPC転写ターミネーター(配列番号25)。
2.単一構築物:
NtADH構築物:この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)PEPCプロモーター(配列番号20);(2)NtADH翻訳エンハンサー要素(配列番号4);(3)6bpトウモロコシKozak配列(配列番号22);(4)γ‐ゼインシグナル配列(配列番号21);(5)単子葉最適化エンドグルカナーゼコード配列(配列番号15);(6)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(7)PEPC転写ターミネーター(配列番号25)。
ZmADH構築物:この構築物の要素を以下のように5’−3’の順に配置した:(1)PEPC(配列番号20);(2)ZmADH翻訳エンハンサー要素(配列番号7);(3)6bpトウモロコシKozak配列(配列番号22);(4)γ‐ゼインシグナル配列(配列番号21);(5)トウモロコシ最適化エンドグルカナーゼコード配列(配列番号23);(6)小胞体保留シグナル(配列番号16);および(7)PEPC転写ターミネーター(配列番号25)。
T0トウモロコシのサンプリング
形質転換培養容器から土壌に移植してから6日後に、トウモロコシ幼植物のサンプリングを行った。この段階の植物には、平均2〜4枚の葉があった。目に見える最も若い葉先からサンプル(パンチ穴約3つ分)を収集した。目に見える最も若い葉先が小さ過ぎる場合は、2番目に若い葉先のサンプルを採取した。形質転換からスクリーニングされた全ての事象は、選択マーカーの単一コピーおよび目的の遺伝子を含有し、TAQMAN(登録商標)によりアッセイしたところバックボーンはなかった。TAQMAN(登録商標)を用いて2回目に事象を単一コピーとして確認した。ELISAアッセイを用いて発現を定量した。
T0トウモロコシ幼葉の結果
全ての二重エンハンサーの組み合わせが、エンハンサーを含まない対照よりも優れていた。全ての二重エンハンサーの組み合わせはまた、それらの関連する単一エンハンサー対照よりも優れていた。ZmADHは、エンハンサーを含まない対照を超えて発現を増加させ、第2の翻訳エンハンサーの付加によりさらに発現が増加した。
Figure 2013503640
実施例5:T1トウモロコシの結果
T1トウモロコシのデータは、T0幼葉のデータを反映するものではなかった。T1トウモロコシ植物において実行した1つの実験では、エンハンサー構築物のレポーター遺伝子(目的の遺伝子)の発現が、エンハンサーを含まない対照よりも低いか、またはそれと等しかったという結果を示した。これは、サンプルを採取したときに植物が若すぎたためであると考えられる。使用した光合成プロモーター(PEPC)が、非常に若い葉において完全に活性ではなかった可能性がある。この若い段階では、葉の出現におけるわずかな変動がプロモーターの機能性に多大な影響を及ぼした可能性があり、それによってエンハンサーの効果が顕在化しなかった可能性がある。
これらの実験は、タンデムにスタッキングしたウイルス性および細胞性の翻訳エンハンサー要素を有するポリヌクレオチド構築物を利用することによる、植物におけるポリペプチド生産の増強の最初の既知の例を実証するものである。ウイルス性翻訳エンハンサー要素が細胞性翻訳エンハンサー要素の上流に配置されたときに発現が増加したことから、タンデムにスタッキングした翻訳エンハンサー要素の順序は重要であった。この配向は、典型的には、任意の翻訳エンハンサー要素の非存在下で達成される発現を少なくとも2倍上回って、また、単一の細胞性翻訳エンハンサー要素の使用により達成され得る発現レベルを少なくとも25%上回って、EGの発現を増加させた。
冠詞「a」および「an」は、1つ以上の(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法的対象物を意味する。例として、「要素(an element)」は、1つ以上の要素を意味する。本明細書を通して、「含む(comprising)」という単語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」等の変形は、記載される要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の包含を暗示するものであって、任意の他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の排除を暗示するものではないことを理解されたい。
本明細書で使用される場合、「約」とは、統計的に有意な範囲内の値、例えば、記載される濃度、長さ、分子量、純度、時間、または温度を意味する。そのような範囲は、所与の値または範囲の典型的には20%以内、より典型的には10%以内、またより典型的にはさらに5%以内の大きさの範囲内であり得る。「約」によって包含される許容偏差は、検討される特定のシステムに依存し、また当業者に容易に理解され得る。
本明細書に記載される全ての刊行物および特許出願は、この発明が関連する技術分野の当業者の技術レベルを示唆するものである。全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、参照によって具体的かつ個別に組み込まれた場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
上記発明についての理解を明確にする目的で、説明および例を用いて詳細に記載してきたが、上記実施形態および添付の特許請求の範囲のリストの範囲内で、特定の変更例および修正例が行われ得ることは明白であろう。
配列表の簡単な説明
配列番号1は、タバコモザイクウイルス(TMV)の5’UTRである。
配列番号2は、タバコエッチウイルス(TEV)の5’UTRである。
配列番号3は、アルファルファモザイクウイルス(AMV)の5’UTRである。
配列番号4は、タバコアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の5’UTRである。
配列番号5は、イネアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の5’UTRである。
配列番号6は、シロイヌナズナアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の5’UTRである。
配列番号7は、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の5’UTRである。
配列番号8は、トウモロコシ熱ショックタンパク質101(HSP101)の5’UTRである。
配列番号9は、トウモロコシ熱ショックタンパク質70(HSP70)の5’UTRである。
配列番号10は、ペチュニア熱ショックタンパク質101(HSP101)の5’UTRである。
配列番号11は、大豆熱ショックタンパク質17.9(HSP17.9)の5’UTRである。
配列番号12は、ケストルム黄化葉巻ウイルスプロモーターである。
配列番号13は、大豆Kozak配列である。
配列番号14は、大豆種子タンパク質グリシニンCDSである。
配列番号15は、大豆最適化エンドグルカナーゼCDSである。
配列番号16は、大豆に最適化した小胞体保留シグナルである。
配列番号17は、カリフラワーモザイクウイルス(CMV)ターミネーターである。
配列番号18は、タバコエッチウイルス(TEV)の5’UTRである。
配列番号19は、トウモロコシえそ条斑病ウイルスの5’UTRである。
配列番号20は、トウモロコシPEPCプロモーターである。
配列番号21は、トウモロコシガンマゼインのシグナル配列である。
配列番号22は、トウモロコシKozak配列である。
配列番号23は、トウモロコシに最適化したエンドグルカナーゼCDSである。
配列番号24は、トウモロコシに最適化した小胞体保留シグナルである。
配列番号25は、トウモロコシPEPCターミネーターである。

Claims (30)

  1. (a)細胞遺伝子由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素とタンデムにスタッキングした、ウイルス由来の少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素と、(b)目的のポリペプチドをコードする、作動可能に連結されたポリヌクレオチドと、を含む、ポリヌクレオチド構築物。
  2. 前記ウイルスは植物ウイルスである、請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物。
  3. 前記ウイルスはRNAウイルスである、請求項2に記載のポリヌクレオチド構築物。
  4. 前記ウイルスは、第IV群(+)ssRNAウイルスのメンバーであり、前記ウイルス由来の前記翻訳エンハンサー要素は、前記ウイルスのリーダー配列(5’UTR)を含む、請求項3に記載のポリヌクレオチド構築物。
  5. 前記ウイルスは、トバモウイルス属のメンバーであるか、またはポティウイルス科、ブロモウイルス科、およびトンブスウイルス科からなる群から選択されるファミリーのメンバーである、請求項4に記載のポリヌクレオチド構築物。
  6. 前記ウイルスは、タバコモザイクウイルス(TMV)、タバコエッチウイルス(TEV)、アルファルファモザイクウイルス(AMV)、およびトウモロコシえそ条斑病ウイルス(MNeSV)からなる群から選択される、請求項5に記載のポリヌクレオチド構築物。
  7. 前記ウイルスはTMVであり、前記TMV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号1に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号1に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項6に記載のポリヌクレオチド構築物。
  8. 前記ウイルスはTEVであり、前記TEV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号2または配列番号18に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号2または配列番号18に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項6に記載のポリヌクレオチド構築物。
  9. 前記ウイルスはAMVまたはMNeSVであり、前記AMVまたは前記MNeSV由来の前記翻訳エンハンサー要素は、それぞれ配列番号3または配列番号19に記載のリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号3または配列番号19に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項6に記載のポリヌクレオチド構築物。
  10. 細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物。
  11. 前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子は、単子葉植物または双子葉植物に由来する、請求項10に記載のポリヌクレオチド構築物。
  12. 前記アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子は、タバコ、イネ、シロイヌナズナ、大豆、またはトウモロコシに由来する、請求項10に記載のポリヌクレオチド構築物。
  13. 前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号4に記載のタバコアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号4に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項10に記載のポリヌクレオチド構築物。
  14. 前記細胞遺伝子由来の前記翻訳エンハンサー要素は、配列番号7に記載のトウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼのリーダー配列またはその機能的断片もしくは変異体を含み、前記変異体は、配列番号7に記載の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項10に記載のポリヌクレオチド構築物。
  15. 請求項13に記載のポリヌクレオチド構築物を含む、発現カセット。
  16. 請求項14に記載のポリヌクレオチド構築物を含む、発現カセット。
  17. 前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結され、前記プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および組織特異的プロモーターからなる群から選択される、請求項15に記載の発現カセット。
  18. 前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結され、前記プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および組織特異的プロモーターからなる群から選択される、請求項16に記載の発現カセット。
  19. 請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物を含む、植物。
  20. 請求項17に記載のポリヌクレオチド構築物を含む、植物。
  21. 請求項18に記載のポリヌクレオチド構築物を含む、植物。
  22. 前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットは、前記植物のゲノムに安定に組み込まれ、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項19に記載の植物。
  23. 前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットは、前記植物のゲノムに安定に組み込まれ、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項20に記載の植物。
  24. 前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットは、前記植物のゲノムに安定に組み込まれ、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項21に記載の植物。
  25. 前記細胞は、そのゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項22に記載の植物の細胞。
  26. 前記細胞は、そのゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項23に記載の植物の細胞。
  27. 前記細胞は、そのゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項24に記載の植物の細胞。
  28. ゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項22に記載の植物の種子。
  29. ゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項23に記載の植物の種子。
  30. ゲノムに安定に組み込まれた前記ポリヌクレオチド構築物または前記発現カセットを含み、前記ポリヌクレオチド構築物は、植物細胞において機能的なプロモーターに作動可能に連結される、請求項24に記載の植物の種子。
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