JP2013502440A - 黄斑変性の治療 - Google Patents

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Abstract

本発明は一般に、特定のベンゾフラン系化合物の使用を含む、黄斑変性、特に、加齢黄斑変性を治療するための方法に関する。

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、黄斑変性(MD)、および特に、加齢黄斑変性(AMD)を治療するための方法に関する。特に、本発明は、特定のベンゾフラン系化合物の使用を含む、MDおよびAMDを治療するための方法を提供する。
発明の背景
黄斑変性(MD)は、高齢者に起こることの多い医学的状態であり(加齢黄斑変性(AMD)とも呼ばれる)、網膜損傷により黄斑部における視力喪失を引き起こすこともある。MDおよびAMDは、網膜色素上皮と脈絡毛細管板として知られている網膜の外側の吻合血液供給部との間にある、細胞外マトリックスの多層サンドイッチ構造であるブルッフ膜における、またはその近傍における分子の障害が関与する複合疾患である。この障害は、脈絡毛細管板からブルッフ膜を経て網膜下色素上皮または網膜下腔中への新しい血管の増殖を引き起こし得る(一般に脈絡膜新生血管形成(choroidal neovascularization)と呼ばれる)。この新生血管合併症が網膜の構造および機能に与える損傷は深刻であり、本疾患に起因する失明を引き起こすことがある。
脈絡膜新生血管形成(choroidal neovascularization)を伴うMDまたはAMDのための既知の治療としては、眼球の硝子体液中に直接注射して異常な血管増殖を退縮させ、視覚を改善させる抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬が挙げられる。これらの薬剤の例としては、VEGFに対するモノクローナル抗体である、ラニビズマブ(「ルセンティス」として市販)、ベバシズマブ(「アバスチン」として市販)およびペガタニブ(pegatanib)(「マクジェン」として市販)が挙げられる。これらの薬剤の使用を伴う治療は、費用が高く有効(effacious)ではないことが多い。従って、AMDの治療のための代替の効果的な細胞内標的を特定し、これらの標的に適した療法を開発する明確な必要性がある。
本発明は、血管新生内皮細胞の増殖を阻害する優れた選択性を示す特定のベンゾフラン系化合物、および本化合物が黄斑変性の治療において驚くべき利点を有するという発見に基づくものである。
本発明の一つの態様において、それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
を患者に投与することを含んでなる。
本発明の第二の態様では、それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための医薬組成物であって、有効量の式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
を含んでなり、場合により、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて含んでなる医薬組成物が提供される。
本発明の第三の態様では、それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための薬剤の製造における、式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
の使用が提供される。
本発明の第四の態様では、それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための、式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
が提供される。
本発明の第五の態様では、それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための方法が提供され、該方法は式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
と、第二の治療因子とを含んでなる複合製剤の治療上有効な量を、患者に投与することを含んでなる。
発明の具体的説明
本明細書および下記の特許請求の範囲の全文を通して、文脈上必要でない限り、「含んでなる(comprise)」およびその変形形態、例えば、「含んでなる(comprises)」および「含んでなる(comprising)」などは、示された整数もしくは工程、または整数群もしくは工程群の包含を意味するが、他の整数もしくは工程、または整数群もしくは工程群を排除するものではないと理解される。
本明細書における、任意の先行刊行物(またはそれに由来する情報)、または任意の既知の事項への言及は、その先行刊行物(またはそれに由来する情報)、または既知の事項が、本明細書が関連する努力傾注分野における共通の一般知識の一部をなすことへの承認または容認または何らかの形の示唆とは解釈されず、また、解釈されるべきではない。
チューブリンは、血管の異常な形成(血管新生)による、またはその結果生じる、眼筋障害および癌などの疾患状態を治療するための一つの潜在的標的である。チューブリンは、αおよびβチューブリンと呼ばれる2つの関連タンパク質のヘテロ二量体から構成される。チューブリンは重合して微小管と呼ばれる構造を形成する。チューブリンが重合して微小管を形成する能力を阻害する化合物は、有糸分裂紡錘体を形成するための微小管の形成に依存する細胞分裂を阻害する。このような化合物の例としては、ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチンおよびビンブラスチンなどが挙げられる。
これらの細胞分裂抑制薬に関して、病変組織と非病変組織に対する選択性は増殖の相対速度に基づいており、病変組織ではより速く増殖する。従って、病変組織は一般にこれら薬剤の効果に対してより感受性が高いが、これは、病変組織が有糸分裂の状態、すなわち、チューブリンを標的とする薬剤の影響を受ける細胞ライフサイクル段階である可能性が高いためである。しかし残念なことに、多くの正常で健康な組織もまた、かなり高い増殖速度を有し(例えば、毛包および胃腸管内膜)、従って、これらの組織はこれらの薬剤を用いる化学療法の際に損傷を受ける可能性がある。
眼筋障害および癌の場合、血管内皮細胞の細胞骨格が微小管(microtubles)の脱重合を介して破壊されるが、これは微小管を形成するためのチューブリンの重合が阻害された結果である。微小管の長さは重合に対する脱重合の速度によって決まる。重合の阻害による微小管(microtubles)の脱重合は、内皮細胞形態の変化をもたらし、次いで血流の閉塞または停止を引き起こす。癌性腫瘍の場合には、病変組織への血流が停止し、腫瘍から酸素および栄養素を奪い、壊死性細胞死を引き起こす。血管新生系は、同様にアクチンベースの細胞骨格構造により支持される正常で健康な血管内皮細胞よりも、微小管細胞骨格への依存度が高いために、これらの薬剤に対する感受性がより高い。チューブリンのコルヒチン結合部位を標的とする多くのチューブリン重合阻害剤(TPI)について、血管標的モダリティは抗増殖性モダリティよりも低いin vivo濃度にて達成することができる。しかし、理論上、チューブリンのコルヒチン結合ドメインを標的とする薬剤は、潜在的デュアルモード薬剤(すなわち、抗有糸分裂剤および抗血管剤)である。
チューブリンのコルヒチン結合ドメインに結合するチューブリン重合の最も強力な阻害剤の一つは、シス−スチルベンであるコンブレタスタチンA4(CA4)である。その不溶性により、CA4は、コンブレタスタチンA4リン酸二ナトリウム(CA4P)と等価なそのプロドラッグとして投与され、該リン酸は急速にin vivoにて開裂される。CA4Pは現在、臨床試験の第I相および第II相を受けており、治験中の最も進んだ血管破壊剤である。CA4Pに関するいくつかの欠点、例えば不安定性(不活性なトランス−スチルベンへの異性化の可能性)、毒性および急速なクリアランスを考慮して、多くの合成グループが、改善された治療指標および改善された薬物動態を示すよう設計され得る、より安定な類似体を製造するために探求してきた。近年、ベンゾフラン、インドールまたはベンゾチオフェン環系(例えば、WO1998/39323、WO2001/19794およびWO2001/68654参照)、またはクロメンおよびジヒドロナフタレン環系(例えば、WO2005/113532、およびWO1998/39323参照)を含む多くのTPIが確認された。このような環系は非常に安定であり、CA4Pに関する安定性の問題を克服するはずである。
本発明は、式(I)の特定の置換ベンゾフラン化合物、2−メチル−7−ヒドロキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフラン、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
が、他のチューブリン重合阻害剤、例えば同様に置換されたベンゾフラン誘導体およびコンブレスタチン(combrestatin)(CA4)などと比較して、活性化された血管新生内皮細胞に対して驚くほど優れた選択性および有効性を示し、さらには、該化合物がMDの治療において特定の有用性を有するとの発見に基づくものである。
従って、本発明の一つの態様では、それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための方法が提供され、該方法は、式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
の治療上有効な量を患者に投与することを含む。
本明細書において、「黄斑変性」または「MD」とは、加齢黄斑変性(AMD)を包含することが意図されるが、高齢者ではない患者における黄斑変性を除外するものではない。従って、本明細書で言及されるAMDおよびMDは互換的に用いられてよい。本発明において「黄斑変性」とは、特に、新生血管または滲出性AMDとしても知られる「滲出型」MDを意味することが理解されよう。
式(I)の化合物(2−メチル−7−ヒドロキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフラン)は、標準的な方法、例えば実施例1に記載された方法により製造することができる。
本発明の化合物は、その薬学上許容される塩として被験体に投与することができる。好適な薬学上許容される塩としては、限定されるものではないが、薬学上許容される無機酸の塩、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸などの塩、または薬学上許容される有機酸の塩、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸などの塩が挙げられる。
塩基性塩としては、限定されるものではないが、薬学上許容される陽イオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムなどと形成されるものが挙げられる。特に、本発明は、その範囲にカチオン塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩、またはリン酸基のアルキルエステル類(例えばメチル、エチル)を含む。
塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物など;硫酸ジメチルおよび硫酸ジエチルのような硫酸ジアルキル;およびその他の薬剤などを用いて4級化されてもよい。
式(I)の化合物のプロドラッグである任意の化合物もまた、本発明の範囲および趣旨であることが理解されよう。従って、本発明の化合物は、薬学上許容されるプロドラッグの形態で被験体に投与することができる。「プロドラッグ」とは、最も広い意味で用いられており、in vivoで本発明の化合物に変換されたそれらの誘導体も包含する。このような誘導体としては、当業者ならば容易に想到するであろうが、例えば、遊離ヒドロキシ基(例えば、C−7部位)がエステル、例えば酢酸またはリン酸エステルなどに変換されている化合物などが挙げられる。本発明の化合物をエステル化する(例えば、アシル化)ための方法は、当技術分野で十分公知であり、好適な触媒または塩基の存在下、適当なカルボン酸、無水物または塩化物を用いる該化合物の処理を含んでよい。特に好ましいプロドラッグは、リン酸エステル2ナトリウムである。本発明の化合物のリン酸エステル2ナトリウムは、化合物の溶解度を高めるために有用でありうる。これは、例えば、生理食塩水のような無害なビヒクル中での該化合物の送達を可能にする。このリン酸エステル2ナトリウムはPettit, G. R., et al, Anticancer Drug Des., 1995, 10, 299に記載された方法に従って製造してよい。プロドラッグ(およびその製造)について概説している他のテキストとしては、Design of Prodrugs, 1985, H. Bundgaard (Elsevier); The Practice of Medicinal Chemistry, 1996, Camille G. Wermuth et al., Chapter 31 (Academic Press); および A Textbook of Drug Design and Development, 1991, Bundgaard et al., Chapter 5, (Harwood Academic Publishers)が挙げられる。
本発明の化合物は、遊離化合物または溶媒和物(例えば水和物)のいずれかとして結晶状態であってよく、またいずれの形態も本発明の範囲内であることが意図される。溶媒化の方法は当技術分野で一般に公知である。
式(I)の化合物は(以下、「本発明の化合物」とも称する)、強力なチューブリン重合阻害剤(TPI)であることが認められている。TPI化合物は、腫瘍を通じる血流を選択的に停止させる能力を有するため、主に癌の治療において重要であることが示されている。腫瘍の血流を阻害する化合物は一般に、血管破壊剤(VDA)と呼ばれる(Tozer, G. M.; Kanthou, C.; Baguley, B. C. Nature Rev., Vol. 5, 2005, 423)。TPIは、微小管に関連するある細胞シグナル経路を阻害し、腫瘍の血管の内側を覆う内皮細胞の細胞骨格の制御に障害をきたすため、公知の血管破壊剤である。その結果として、これらの通常平らな細胞は、より丸みを帯び、最終的には血管を通じる血流を閉塞させる。
滲出性AMDにおいて、VEGF−Aは黄斑下で異常に増殖し、滲出する血管の形成において重要な役割を果たすと考えられている。血管新生促進因子、例えばVEGF−Aなどへの内皮細胞の持続性曝露は、漏出や出血傾向のある、未成熟の、半分化状態で脆弱な血管の形成をもたらす。これらの細胞のTPI薬剤への曝露は、このような血管の閉塞を引き起こし、加えてさらなる血管新生(angiogenesis)および新生血管形成(neovascularisation)を抑制する。しかしながら、最もよく知られたTPIは活性化した内皮細胞と休止期の内皮細胞を区別しない。例えば、既知のTPIであるコンブレタスタチンA4(CA4)は、休止期の(正常な)内皮細胞と活性化された(血管新生)内皮細胞を同等に選択する。従って、CA4がAMDの治療に使用された場合、正常な内皮細胞を標的とし、その結果、眼の正常な血管系を破壊して患者の視力に非可逆的損傷を引き起こす可能性がある。一方、本発明の化合物は、休止期の(正常な)細胞と比較して活性化された(actived)(血管新生)内皮細胞に対し驚くほど優れた選択性および有効性を示す。この発見は、黄斑変性の治療に対し重要な治療適用を有する。これは、本発明の化合物が、適切な製剤(pharamaceuutical)として処方され、黄斑変性を患う患者に投与された場合、その高い選択性のために、より低い用量において活性化された(血管新生)内皮細胞に対しより強力な作用を示すであろう(すなわち、従って活性化された内皮細胞と休止期の内皮細胞を区別しない化合物または薬剤よりも、より広い治療域を有することが期待される)。
本明細書において、「活性化された内皮細胞」または「活性化された(血管新生)内皮細胞」という文脈中で使用される用語「活性化された」とは、血管新生および/または増殖状態にある内皮細胞を意味することが意図され、一方、「休止期の内皮細胞」または「休止期の(正常な)内皮細胞」という文脈中で使用される用語「休止期の」とは、安定で、成熟した毛細血管であり有糸分裂に関しては不活性な時期にある内皮細胞を意味することが意図される。
前述したように、本発明は、本明細書において定義する式(I)の化合物が休止期の(非血管新生)内皮細胞と比較して活性化された(血管新生)内皮細胞に対してかなり高い細胞傷害性および抗血管新生活性を示すという発見に基づいている。この選択性は、式(I)の化合物、ならびにその薬学上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグが、特に黄斑変性の患者の治療用途によく適しており、活性化された内皮細胞と休止期の内皮細胞を識別し、活性化された細胞のみの増殖を阻害できることを意味している。
本発明はまた、それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための医薬組成物であって、治療上有効な量の式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含んでなり、場合により、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合せて含んでなる医薬組成物を提供する。
本発明はまた、それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療上有効な量の使用を提供する。
本発明はまた、それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
本発明はまた、それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための方法であって、式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグと、他の治療因子とを含んでなる複合製剤の治療上有効な量を、患者に投与することを含んでなる方法を提供する。
加齢黄斑変性の病理学は多因子的であり得る。黄斑変性の治療において、様々な治療法を組み合わせてよい(すなわち、併用療法)。本明細書において用いられる「治療因子」、「他の治療因子」「別の治療因子」、「第二の治療因子」などの用語は、本発明による化合物と併用可能である他の治療化合物または処置を包含することが意図される。これらの他の治療化合物または処置には、限定されるものではないが、血管新生阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤、繊維芽細胞増殖因子−1(FGF−1)阻害剤、抗高血圧薬、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、コルチコステロイド、哺乳類/メカニスティックラパマイシン標的タンパク質(mammalian/mechanistic targets of rapamycin)(mTOR)阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、補体阻害剤、ある標的に対する低分子干渉RNA(siRNA)、ある標的に対するモノクローナル抗体、血管拡張薬、免疫調節剤、チロシン阻害剤、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤、血流阻害剤、光線力学療法、レーザー光凝固、ならびに他のMDまたはAMDの特定の処置が挙げられる。例えば、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、表1に挙げられた1以上の化合物または処置と組み合わせて投与してよい。
このような併用療法において使用される治療化合物または処置は、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグと一緒に、順次に、別個に、1つの組み合わされた単位投与形として、または別個の単位投与形として投与可能である。
本発明の併用療法における使用のための治療因子の例としては、VEGF阻害剤、例えばアバスチン、ルセンティスおよび/またはマクジェンが挙げられる。特定の実施態様では、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、それを必要とする患者にアバスチンと組み合わせて投与されるか;または、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、それを必要とする患者にルセンティスと組み合わせて投与されるか;または式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、それを必要とする患者にマクジェンと組み合わせて投与される。この場合も、アバスチン、ルセンティスおよび/またはマクジェンなどの、このような併用療法に用いられるVEGF阻害剤は、一緒に、順次に、別個に、1つの組み合わされた単位投与形として、または別個の単位投与形として投与してよい。
本発明の併用療法における使用のための処置の例としては、光線力学療法がある。一つの実施態様において、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、それを必要とする患者に光線力学療法(PDT)と組み合わせて投与される。この点において、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが患者に投与される前、投与と同時に、または投与の後に患者にPDTを施してよい。PDTは、当業者によく知られている当技術分野で公知の技術である。
本発明の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、治療上有効な量が患者に投与される。本明細書において、治療上有効な量とは、少なくとも部分的に所望の効果を達成する量、または黄斑変性の発症を遅延させる、または進行を阻害する、または発症もしくは進行を完全に中止させるかまたは改善させる量を包含することが意図される。
本明細書において「有効な量」とは、所望の投与計画に従って投与された場合に、所望の治療活性をもたらす化合物の量に関する。投薬は、分、時間、日、週間、月もしくは年間隔で、またはこれらの期間のいずれか1つにわたり連続的に行われてよい。好適な用量は、約0.1ng/kg体重〜1g/kg体重/回の範囲、例えば1mg〜1g/kg体重/回の範囲にあってよい。一つの実施態様では、用量は1mg〜500mg/kg体重/回の範囲にあってよい。別の実施態様では、用量は1mg〜250mg/kg体重/回の範囲にあってよい。さらに別の実施態様では、用量は1mg〜100mg/kg体重/回の範囲にあってよく、例えば50mg/体重/回までであってよい。
好適な用量および投与計画は、主治医が決定することができ、症状の重篤度、ならびに治療される患者の標準年齢、健康状態および体重によって異なる。
本発明の化合物は、単回用量または連続用量として投与されてよい。有効成分は単独で投与することも可能であるが、組成物として、好ましくは、医薬組成物として提供されることが好ましい。このような組成物の処方は当業者に十分公知である。該組成物は、任意の好適な担体、希釈剤または賦形剤を含んでよい。これらには、従来の総ての溶媒、分散媒、増量剤、固体担体、コーティング剤、抗真菌薬および抗菌薬、皮膚浸透薬、界面活性剤、等張剤および吸収剤ならびに同等のものが含まれる。本発明の組成物はまた、他の補助的な生理的に活性な薬剤も含んでよいと理解される。
担体は、組成物の他の成分と適合し、患者に対し有害ではないという意味で薬学上「許容される」ものでなくてはならない。該組成物は好都合には単位投与形で提供されてよく、また、薬学の技術分野で十分公知の任意の方法で製造されてよい。このような方法には、有効成分を1以上の副成分を構成する担体と会合させる工程が含まれる。一般に、該組成物は有効成分を液体担体または微粉化した固体担体またはその両方と均一かつ緊密に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することにより製造される。
一つの実施態様において、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、眼に、特に、眼の硝子体に直接注射される。本発明の化合物または組成物は、任意の硝子体内または経強膜投与技術を用いて眼の硝子体に投与することができる。例えば、該化合物または組成物は、硝子体内注射により、眼の硝子体に投与することができる。硝子体内注射には一般に、本発明の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを合計0.1ng〜10mg/用量の間で投与することが含まれる。
このような使用のための注射剤は、従来の形態、液体の溶液もしくは懸濁液、または注射に先立って液体中で溶液もしくは懸濁液として製造するために好適な固体形態、またはエマルションとして製造することができる。担体としては、例えば、水、生理食塩水(例えば通常の生理食塩水(NS)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、平衡塩類溶液(BSS))、乳酸ナトリウムリンゲル溶液、デキストロース、グリセロール、エタノール、および同類のもの;ならびに場合により少量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、緩衝液類、および同類のものを添加することができる。例えば、コーティング剤、例えばレシチンを用いることにより、分散液の場合は必要な粒子径を維持することにより、また界面活性剤を用いることにより、適当な流動性を維持することができる。例として、該化合物または組成物は、薬学上有効な担体中に溶解させ、ファインゲージの中空ボア針(例えば、30ゲージ、1/2または3/8インチ針)を用いて、側部からのアプローチ(例えば、水晶体への損傷を避けるために、眼の縁から約3〜約4mm後方)により、眼の硝子体に注射することができる。
一つの実施態様において、式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、生理食塩溶液中に処方され、眼の硝子体に注射されてもよい。好ましい実施態様では、式(I)の化合物、または薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、式(I)の化合物のリン酸エステル2ナトリウムであり、式(I)の化合物のリン酸エステル2ナトリウム0.1ng〜10mgは、0.9%生理食塩溶液中に処方され、眼の硝子体に直接注射される。
当業者ならば、該化合物または組成物を眼の硝子体に注射および/または投与するために他の方法もまた用いることができることを理解するであろう。これらの他の方法としては、例えば、米国特許第6,251,090号および同第6,299,603号に開示されている硝子体内医療送達デバイスを含み得る。これらのデバイスおよび方法には、例えば、硝子体内薬物送達デバイス、および薬剤の長期送達のために眼内に挿入される、例えば、米国特許出願第2005/0250737号に開示されている生分解性ポリマー送達部材を含み得る。これらのデバイスおよび方法には、さらに例えば米国特許出願第2005/0208103号、同第2005/0074497号、および同第2005/0064010号に開示されている経強膜送達デバイスを含み得る。
硝子体内投与が投与の好ましい形態であると思われるが、本発明は、局所的または静脈内投与などの他の投与方法を排除するものではない。例えば、本発明の化合物または組成物の溶液または懸濁液は、点眼剤として、または眼表面に直接適用する膜状の眼用パッチとして処方されてよい。局所適用には、一般に、本発明の化合物を0.1ngおよび10mgの間の量で投与することが含まれる。
本発明の化合物または組成物はまた、静脈内投与にも適している。例えば、式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、16mg/mまでの用量で静脈内に投与されてよい。
本発明の化合物または組成物はまた、経口投与に適していてもよく、例えばカプセル剤、薬包もしくは錠剤などそれぞれが所定量の有効成分を含む不連続単位として;粉剤もしくは顆粒剤として;水性もしくは非水性液体中の液剤または懸濁剤として;または水中油型液状エマルションもしくは油中水型液状エマルションとして提供されてよい。該有効成分はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして提供されてもよい。
錠剤は、場合により、1以上の副成分とともに圧縮または成形により製造し得る。圧縮錠剤は、自由流動形態、例えば粉末または顆粒などの形態の有効成分と、場合により、結合剤(例えば不活性な希釈剤)、保存剤、崩壊剤(例えばグリコール酸ナトリウムデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤と混合して、好適な機械中で圧縮することにより製造し得る。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤を用いて湿潤させた粉末化合物の混合物を好適な機械中で成形することにより製造し得る。該錠剤は、場合により、被覆したり、割線を入れてもよく、その中の有効成分を持続放出または制御放出するように、例えば、所望の放出特性を得るために様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて処方してもよい。錠剤は、場合により、胃以外の消化管の部分で放出させるために腸溶コーティングを施して提供してもよい。
本発明の化合物および組成物は、口腔内の局所投与にも好適であり得、着香基剤、通常、スクロースおよびアラビアガムもしくはトラガカントガム中に有効成分を含むトローチ剤;不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアガム中に有効成分を含む香錠;および好適な液体担体中に有効成分を含む口腔内洗浄液などが挙げられる。
本発明の化合物および組成物は、皮膚への局所投与にも好適であり得、任意の好適な担体または基剤中に溶解または懸濁された化合物を含んでよく、ローション、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏などの形態であってよい。好適な担体としては、鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。経皮パッチもまた、本発明の化合物を投与するために使用してよい。
本発明の化合物および組成物は、非経口投与にも好適であり得、抗酸化剤、緩衝液、殺菌剤、および組成物が意図するレシピエントの血液と等張になるようにする溶質を含む水性および非水性等張性無菌注射溶液;ならびに沈殿防止剤および増粘剤を含む水性および非水性無菌懸濁液を含んでよい。該組成物は単回用量または複数回用量密閉容器、例えば、アンプルおよびバイアルに入れて提供されてよく、使用直前に無菌液体担体、例えば注射水を加えるだけのフリーズドライ(凍結乾燥した)状態で保存されてよい。即時調合注射溶液および懸濁液は、前述の無菌粉末、顆粒および錠剤などから製造されてよい。
好ましい単位用量組成物は、本明細書に前述したように、有効成分の1日の用量または単位、一日分割用量、あるいはその適当な一部分を含むものである。
特に前述した有効成分に加えて、本発明の組成物は、当該組成物のタイプを鑑みて当技術分野で従来用いられてきた他の薬剤、例えば、経口投与に好適なものは、さらに結合剤、甘味剤、増粘剤、香味剤、崩壊剤、コーティング剤、保存剤、滑沢剤および/または遅延剤を含んでよいことを理解すべきである。好適な甘味料としては、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテームまたはサッカリンが挙げられる。好適な崩壊剤としては、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸または寒天が挙げられる。好適な香味剤としては、ペパーミントオイル、ウィンターグリーンオイル、チェリー、オレンジまたはラズベリー香味料が挙げられる。好適なコーティング剤としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはそのエステルのポリマーまたはコポリマー、ワックス、脂肪アルコール、ゼイン、セラックまたはグルテンが挙げられる。好適な保存剤としては、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベンまたは重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。好適な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはタルクが挙げられる。好適な遅延剤としては、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが挙げられる。
当業者ならば、本明細書に記載される発明は具体的に記載されたもの以外の変形および改変が可能であることを理解するであろう。本発明は、本発明の趣旨および範囲内にあるこのような総ての変形および改変を含むと理解されるべきである。本発明はまた、本明細書において個々にまたはまとめて言及または示されたすべての工程、特徴、組成物および化合物、ならびに該工程または特徴のいずれか2以上の任意の組合せを含む。
以下、実施例を示して本発明の特定の実施態様を説明するが、これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、以上に記載されている普遍性の範囲を制限するものではない。
合成プロトコール
2−ブロモ−7−アセトキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフランの製造
工程1:2−t−ブチルジメチルシリル−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシメチレン)−6−メトキシ−7−イソプロポキシベンゾフラン(Larockカップリング)
100℃にて、乾燥ジメチルホルムアミド(5mL)中、2−イソプロポキシ−3−メトキシ−5−ヨードフェノール(4.41mmol)、1−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)プロピン(1.5g、5.28mmol)、塩化リチウム(189mg、4.45mmol)および炭酸ナトリウム(2.34g、22.08mmol)の懸濁液を、排出と窒素の再充填によって4回脱酸素した。酢酸パラジウム(135mg、0.60mmol)を加え、反応容器を窒素で2回脱気した。反応混合物をこの温度で4時間攪拌し(tlc)、溶媒を真空蒸留によって除去した。残渣を酢酸エチル(75mL)に溶かし、よく攪拌し、濾過し、トリエチルアミン(5mL)で処理した。この溶液をシリカゲル(10g)上で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出剤=ヘキサン/ジエチルエーテル/トリエチルアミン;95:5:1%)によって精製し、標題化合物を黄色油状物として得た(1.45g、96%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.24(d, 1H, J = 8.45 Hz), 6.88(d, 1H, J = 8.47 Hz), 4.80(s, 2H, CH2), 4.73(m, 1H), 3.88(s, 3H, OMe), 1.36(d, 6H, J = 6.17 Hz), 0.94(s, 9H), 0.92(s, 9H), 0.35(s, 6H), 0.12(s, 6H)。
工程2:2−t−ブチルジメチルシリル−3−ホルミル−6−メトキシ−7−イソプロポキシベンゾフラン
メタノール(100mL)中、2−t−ブチルジメチルシリル−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシメチレン)−6−メトキシ−7−イソプロポキシベンゾフラン(2.69mmol)の溶液に、濃塩酸(200μL)を加え、この反応物を30分間攪拌し(tlcによりモニタリングした)、トリエチルアミン(2mL)で急冷し、溶媒を真空蒸留によって除去した。残渣をジクロロメタン(20mL)に溶かし、水(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮し、トルエン(20mL)とともに蒸留した。粗生成物を乾燥ジクロロメタン(4mL)に溶かし、乾燥ジクロロメタン(30mL))中、コリンズ試薬(三酸化クロム(1.01g)、ピリジン(1.65mL)の攪拌溶液に加えた。この懸濁液を10分間攪拌し、濾過し、残渣をジエチルエーテル(20mL)で洗浄した。濾液をシリカ(10g)上で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出剤=ヘキサン/ジエチル−エーテル/トリエチルアミン(90:9:1))により精製し、標題化合物を淡黄色油状物として得た(503mg、48%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.25(s, 1H, CHO), 7.79(d, 1H, J = 8.45 Hz), 6.98(d, 1H, J = 8.46 Hz), 4.65(m, 1H), 3.89(s, 3H, OMe), 1.35(d, 6H, J = 6.17 Hz), 0.97(s, 9H), 0.45(s, 6H)。
工程3:2−t−ブチルジメチルシリル−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシ−7−イソプロポキシベンゾフラン
窒素下、−78℃にて、乾燥テトラヒドロフラン(1mL)中、3,4,5−トリメトキシヨードベンゼン(377mg、1.27mmol)の攪拌溶液に、n−ブチルリチウム(795μL、1.59mmol、シクロヘキサン中2M溶液)を加え、この反応混合物をこの温度で40分間攪拌した。この後、この反応物に、乾燥テトラヒドロフラン(1mL)中、2−t−ブチルジメチルシリル−3−ホルミル−6−メトキシ−7−イソプロポキシベンゾフラン(1.07mmol)の溶液を、シリンジピペットを通じて滴下した。この反応混合物を−60℃で20分間攪拌した後、0℃まで温め、10分間攪拌し、飽和塩化アンモニウム溶液(2mL)で急冷し、酢酸エチル(20mL)で希釈した。有機層を水(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空下で除去して残渣を得、それをトルエンとともに蒸留した。粗生成物(908mg)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶かし、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(900mg、1.59mmol)で処理し、加えた。この反応混合物を室温で16時間攪拌し(tlcによりモニタリングした)、次に、シリカ(10g)上に載せ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出剤=ヘキサン/ジエチルエーテル/トリエチルアミン 90:9:1)により精製し、標題化合物を淡黄色油状物として得た(498mg、69%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.14(s, 2H, benzoyl Hs), 6.81(d, 1H, J = 8.64 Hz), 6.77(d, 1H, J = 8.64 Hz) 4.74(m, 1H), 3.93(s, 3H, OMe), 3.86(s, 3H, OMe), 3.78(s, 6H, 2 x OMe), 1.39(d, 6H, J = 6.14 Hz), 1.01(s, 9H), 0.26(s, 6H)。
工程4:2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−アセトキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフラン
窒素下、室温にて、乾燥DCM(2mL)中、2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−イソプロポキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシ−ベンゾフラン(160mg、0.31mmol)の攪拌溶液に、固体三塩化アルミニウム(83mg、0.62mmol)を加え、この反応混合物を15分間攪拌した(tlcによりモニタリングした)。反応を飽和塩化アンモニウム溶液で急冷し、ジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を蒸留により除去し、残渣を水とトルエンの共沸により乾燥させた。粗生成物をピリジン(2mL)に溶かし、無水酢酸(1mL)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を真空蒸留し、残渣をシリカゲル(1g)上に載せ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出剤 ヘキサン:ジエチル−エーテル;80:20)により精製した(134mg、84%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.14(s, 2H, ベンゾイルHs), 6.98(d, 1H, J = 8.72 Hz), 6.85(d, 1H, J = 8.72 Hz), 3.93(s, 3H, OMe), 3.86(s, 3H, OMe), 3.80(s, 6H, 2 x OMe), 2.41(s, 3H), 0.99(s, 9H), 0.25(s, 6H)。
工程5:2−ブロモ−7−アセトキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフラン
窒素下、室温にて、1,2−ジクロロエタン(1mL)中、2−t−ブチルジメチルシリル−7−アセトキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフラン(120mg、0.44mmol)の攪拌溶液に、臭素(12μl、0.44mmol)を滴下し、この反応混合物をこの温度で10分間攪拌した。この後、反応を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で急冷し、酢酸エチル(20mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸留により除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤=ヘキサン:ジエチルエーテル;8:2〜7:3)により精製し、標題化合物を無色の結晶性固体として得た(91mg、81%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.40(d, 1H, J = 8.70 Hz), 7.14(s, 2H, ベンゾイル-Hs), 6.98(d, 1H, J = 8.75 Hz), 3.94(s, 3H, OMe), 3.89(s, 3H, OMe), 3.86(s, 6H, 2 x OMe), 2.43(s, 3H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 187.95(CO), 167.71, 152.75, 149.54, 147.49, 142.59, 131.92, 131.80, 123.91, 121.84, 119.89, 117.72, 109.89, 106.92, 60.69, 56.61, 56.00, 20.09.
実施例1
2−メチル−7−ヒドロキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフランの製造
製法A
90℃にて、1,4−ジオキサン(2mL)中、2−ブロモ−7−アセトキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフラン(20mg、0.042mmol)、メチル−ボロン酸(40mg、0.67mmol)の攪拌溶液に、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(11mg、0.01mmol)を加えた後、蒸留水(0.5mL)中、重炭酸ナトリウム(40mg、0.48mmol)の溶液を加えた。反応混合物は5分後に赤色になった。2時間後(tlc)、反応混合物を室温にし、飽和塩化アンモニウム(2mL)を加え、ジクロロメタン(20mL)で希釈した。有機層を分離し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸留により除去した。残渣をPTLC(溶出剤=ジクロロメタン/メタノール,1:1)により精製し、標題化合物(レクション中に開裂したアクテート(actate cleaved during rection))を綿状の白色固体を得た(3mg、19%)。
製法B(根岸カップリング)
0℃にて、乾燥THF(1.5mL)中、臭化亜鉛(592mg、2.63mmol)の攪拌溶液に、メチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M溶液、2.6mL、4.15mmol)の溶液を加え、反応混合物を2時間攪拌した。固体2−ブロモ−7−アセトキシ−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−6−メトキシ−ベンゾフラン(300mg、0.63mmol)を加え、エーテルを真空下で除去し、残りの懸濁液にジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒(21mg)を加え、触媒量のヨウ化銅(I)を加えた。この反応混合物を室温で36時間攪拌し(tlcによりモニタリングした)、飽和塩化アンモニウム溶液で急冷し、ジクロロメタン(10mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸留し、生成物をシリカゲルカラムにより精製した(溶出剤=ヘキサン/酢酸エチル;8:2)。この生成物はメタノール中で結晶化した(106mg、46%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.09(s, 2H, ベンゾイルHs), 6.93(d, 1H, J = 8.54 Hz), 6.83(d, 1H, J = 8.56 Hz), 5.70(bs, 1H, OH), 3.93(s, 3H, OMe), 3.92(s, 3H, OMe), 3.83(s, 6H, 2 x OMe), 2.54(s, 3H, 2-Me)。
実施例2
6−メトキシ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)ベンゾフラン−7−イルリン酸二ナトリウム
工程1:6−メトキシ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)ベンゾフラン−7−イルリン酸ジベンジル:
窒素雰囲気下、0℃にて、2.5mlの無水アセトニトリル中、0.081g(0.22mmol)の(7−ヒドロキシ−6−メトキシ−2−メチルベンゾフラン−3−イル)(3,4,5−トリメトキシフェニル)メタノン、0.086g(0.261mmol)の四臭化炭素および0.063ml(0.283mmol)の亜リン酸ジベンジルの混合物に、0.046mlの無水トリエチルアミンを滴下した。得られた混合物を室温で2時間攪拌した後、酢酸エチルで20mlになるように希釈し、水ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾別し、減圧下で蒸発乾固させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 9:1)により精製し、標題化合物を無色の泡沫として得た(0.13g、94%)。1H NMR (CDCl3) δ 2.42 (s, 3H, Me-2); 3.83 (s, 1H, OMe); 3.93 (s, 3H, OMe); 5.33 (m, 4H, CH2Ph); 6.89 (d, CH芳香族, J = 8.7 Hz); 7.21 (dd, 1H, CH芳香族, J = 8.72 Hz; J = 1.2 Hz); 7.08 (s, 2H, CH芳香族); 7.29 - 7.43 (m, 10 H, CH芳香族)。
工程2:6−メトキシ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)ベンゾフラン−7−イルリン酸二ナトリウム:
窒素雰囲気下、−5℃にて、1mlの無水アセトニトリル中、0.122g(0.193mmol)の工程1の生成物の攪拌溶液に、0.075ml(0.58mmol)のブロモトリメチルシランを加えた。得られた混合物を0℃で1時間攪拌した後、真空下で蒸発乾固させた。残渣を無水メタノールで5mlとなるように希釈し、この溶液のpHを、ナトリウムメトキシドを加えることにより約10まで引き上げた。得られた混合物を減圧下で蒸発させた後、固体残渣を無水イソプロパノール(4×1.5ml)および無水エタノール(3×1.5ml)で洗浄し、真空乾燥させ、0.062g(収率65%)の標題化合物を無色の固体として得た。1H NMR (D2O) δ 2.37 (s, 3H, Me-2); 3.76 (s, 6H, OMe); 3.79 (s, 3H, OMe); 3.82 (s, 3H, OMe); 4.66 (s, H2O); 6,93 (d, 1H, CH芳香族, J = 8.6 Hz); 7.04 (d, 1H, CH芳香族, J = 8.6 Hz); 7.10 (s, 2H, CH芳香族)。
生物学的データ
生物学的実験の一般的な記載
チューブリン重合アッセイ: チューブリン重合阻害アッセイは、蛍光に基づく検出キット(#BK011,Cytoskeleton)を製造者の説明書に従って用いて行った。試験化合物を、1×バッファー1(バッファー1:80mM ピペラジン−N,N’−ビス[2−エタンスルホン酸]セスキナトリウム(sequisodium)塩;2mM塩化マグネシウム;0.5mMエチレングリコール−ビス(b−アミノ−エチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸、pH6.9、10μM蛍光リポーター)中、20%グリセロールおよび1mM GTPを含有する2mg/mlチューブリン溶液に加えた。蛍光を1分間隔で42分間にわたって測定した。蛍光の増強は、チューブリン重合の増加を示す。モノマーチューブリンのサブユニットに比べて重合したチューブリンに対する蛍光リポーターの親和性には10倍の増加が見られる。結果は、チューブリン重合に密接に従う蛍光シグナルである。
増殖アッセイ−休止期の内皮: ヒト臍帯静脈内皮細胞(CC−2519、Clonetics)を96穴プレートのEBM2(CC−3156、Clonetics)+0.5%FBS(CC−4101A、Clonetics)+GA−1000(CC−4381A、Clonetics)中に15000細胞/穴にて3反復で播種した。細胞を37℃、5%COで一晩培養した。次に、培地を、化合物または陰性対照を含む新鮮培地に置き換えた。細胞を48時間培養した。MTTアッセイを行い、細胞数の変換を測定した。要するに、20μlのMTT試薬を、100μlのEBM2+0.5%FBSを含む細胞に加え、37℃で1時間インキュベートした。492nmで吸光度を測定した。
増殖アッセイ−活性化された内皮: ヒト臍帯静脈内皮細胞(CC−2519、Clonetics)を、96穴プレートのEGM2(CC−3162、Clonetics)中に2500細胞/穴にて3反復で播種した。細胞を37℃、5%COで一晩培養した。次に、培地を、化合物または陰性対照を含む新鮮培地に置き換えた。細胞を48時間培養した。MTTアッセイを行い、細胞数の変換を測定した。要するに、20μlのMTT試薬を、100μlのEBM2を含む細胞に加え、37℃で1時間インキュベートした。492nmで吸光度を測定した。
結果
内皮細胞増殖の阻害
血管新生内皮に対する本発明の化合物の選択性は、黄斑変性の、その潜在的治療有用性の重要な決定因子である。健康な組織に見られる正常な内皮細胞は「休止」状態にあるが、加齢黄斑変性に関連する内皮細胞は「活性化された」血管新生/増殖状態をとる。ほとんどのTPIまたは治療標的は、これらの2つの状態を区別しない。例えば、コンブレタスタチン(CA4)は、休止細胞と活性化内皮細胞に対して等しい効力を持つ(下記図1および表2参照)。
CA4に比べた、実施例2の化合物の、活発に増殖している内皮(HUVEC)細胞に対して選択的に細胞傷害活性を示す能力を図4に示す。細胞傷害活性を活性化された(血管新生)内皮細胞において、休止期の(非血管新生)細胞と比較して試験した。休止期の/活性化されたHUVEC培養内皮細胞に関するIC50活性の比率を測定する。これらのデータは、実施例2の化合物が、休止期の内皮細胞に比べて活性化された内皮細胞の増殖の阻害において、CA4よりも有意に選択性が高いことを示す。このことはまた、類似構造のベンゾフラン系化合物についても当てはまった(データは示されていない)。
さらに、以下の表2に示されるデータは、増殖中の内皮細胞および休止期の内皮細胞に対する実施例2の化合物およびCA4の選択性の比率を示す。これらのデータは明らかに、実施例2の化合物が、ヒト腹部大動脈内皮細胞(HAAEC)とヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の両細胞種において、休止期の細胞に比べて活性化された(血管新生/増殖)内皮細胞に対して有意に選択性が高いことを示す。
in vitro抗血管新生活性
(i)毛細血管形成に対する影響
図5は、Matrigel上でのHUVEC内皮細胞毛細血管形成が本発明の実施例2の化合物によって阻害されたことを示す(A、B)。この毛細血管形成に対する影響はCAよりも著しかった(D、E)。この分析には陰性対照としてDMSOビヒクル(C、F)を含めた。細胞は96穴プレートに25,000/穴で播種し、22時間培養した。
(ii)既存の毛細血管に対する破壊活性
次に、Matriゲル(登録商標)上に予め形成された安定なHUVEC毛細管に対して実施例2の化合物およびCA4により示された乱活性を調べた。実施例2の化合物は新しい毛細血管の形成を抑制する(すなわち、抗血管新生作用を有する;図5)が、図6は、実施例2の化合物が予め形成された安定な毛細血管を破壊しないことを示し(図6Aおよび6B)、一方、CA4は予め形成された安定な毛細血管を破壊することが示された(図6Cおよび6D)。これらの実験では、予め形成されたHUVE毛細血管は、毛細血管形成を阻害することが分かった実施例2の化合物およびCA4濃度に曝した(図5)。これらのデータは、実施例2の化合物は正常な安定血管に対しては活性が低いことを示す。
実施例2の化合物は内皮細胞の細胞骨格を破壊することによって血管新生を妨げる
図7は、実施例2の化合物が内皮細胞の細胞骨格を破壊することによって血管新生を阻害することを示す。HUVEC細胞を、「活性化」細胞条件下、10nMの実施例2の化合物またはDMSO対照の存在下で培養した(HUVEC細胞を使用)。20分後、細胞を洗浄し、固定し、アクチンを染色した。実施例2の化合物で処理した細胞は明らかな「ブレブ形成」の形跡を示した。ブレブは、原形質膜から細胞骨格が局部的に解離することによって起こる、細胞の原形質膜の不規則な隆起と定義される。ブレブ形成は、ブレブの形成を表して用いられる用語である。
増殖中および休止期の内皮細胞に関しての、CA4(nM)の濃度に対する、対照と比較した細胞生存率/増殖のグラフである。 コンブレタスタチンA4リン酸(CA4P)および本発明の実施例2の化合物の間の血管シャットダウン(腫瘍潅流の減少)の相対的レベルに関しての、化合物量(mg/kg)に対する、対照に対しての潅流率(%)のグラフである。 MDA−MB−231同所性乳癌固形腫瘍を担持するBalb/c nu/nu マウスにおける、実施例2の化合物による腫瘍増殖阻害の尺度としての、時間(日)に対する腫瘍容量比(*日目/1日目)のグラフである。 血管新生内皮に対する実施例2の化合物の選択性をCA4と比較して示す。休止期/活性化培養内皮細胞に関してIC50活性の比が示される。 Matrigel上での内皮細胞毛細血管形成がCA4よりも実施例2の化合物によって、より有意に阻害されることを示す。この分析では、陰性対照としてDMSOビヒクルを含めた。96穴プレート中に25,000/穴の細胞を播種し、22時間培養した。 Matrigel上に安定に予め形成されたHUVEC毛細血管に対して、実施例2の化合物およびCA4により示された破壊活性を示す。予め形成された毛細血管を、毛細血管形成を阻害することが認められた濃度の実施例2の化合物およびCA4に曝した。(A)実施例2の化合物投与直後のHUVEC毛細血管、(C)CA4投与直後のHUVEC毛細血管;および(B)実施例2の化合物投与後5時間のHUVEC毛細血管、(D)CA4投与後5時間のHUVEC毛細血管。 実施例2の化合物による内皮細胞の細胞骨格の破壊を示す。内皮細胞は、実施例2の化合物10nMの存在下、またはDMSO対照の存在下で培養し、20分後に洗浄し、固定し、アクチンで染色した。

Claims (13)

  1. それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための方法であって、治療上有効な量の式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
    を患者に投与することを含んでなる、方法。
  2. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための医薬組成物であって、有効量の式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
    を含んでなり、場合により、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて含んでなる、医薬組成物。
  3. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための薬剤の製造における、式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
    の使用。
  4. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための、式(I):
    の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
  5. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための方法であって、式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
    と第二の治療因子とを含んでなる複合製剤の治療上有効な量を患者に投与することを含んでなる、方法。
  6. それを必要とする患者の黄斑変性(MD)を治療するための方法であって、治療上有効な量の式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを患者に投与することを含んでなる、方法。
  7. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための医薬組成物であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含んでなり、場合により、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせて含んでなる、医薬組成物。
  8. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療上有効な量の使用。
  9. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための、式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
  10. それを必要とする患者において黄斑変性(MD)を治療するための方法であって、式(I)の抗血管新生化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグと第二の治療因子とを含んでなる複合製剤の治療上有効な量を患者に投与することを含んでなる、方法。
  11. 第二の治療因子が血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤および光線力学療法(PDT)からなる群から選択される、請求項5または10に記載の方法。
  12. 式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが、眼に直接注射される、請求項1、5、6、10および11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 式(I)の化合物、またはその薬学上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが、眼の硝子体に直接注射される、請求項12に記載の方法。
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