本明細書中に記載され、特許請求される本発明は、多数の属性および実施態様、例えば、この概要で記述されるかまたは記載され、あるいは言及されるものを有するが、これらに限定されない。それは全包括的であるよう意図されず、本明細書中に記載され、特許請求される本発明は、この概要で確認される特徴または非限定例(例証のためのみに含まれ、限定するためではない)にあるいはそれらにより限定されない。
ポリマー粒子の産生方法であって、少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、前記少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、および
免疫応答を引き出し得る抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、または
免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
前記発現構築物の発現に適した条件下で前記宿主細胞を保持すること;そして
前記宿主細胞から前記ポリマー粒子を分離すること
を包含する方法が、本明細書中で開示される。
一実施形態では、当該方法は、少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、前記少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、および
例えば、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、または
例えば、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
前記発現構築物の発現に適した条件下で前記宿主細胞を保持すること;そして
前記宿主細胞から前記ポリマー粒子を分離すること
を包含する。
一実施形態では、粒子形成タンパク質はポリマーシンターゼである。
一実施形態では、発現構築物は高コピー数ベクター中である。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列は、強プロモーターと操作可能的に連結される。
一実施形態では、強プロモーターはウイルスプロモーターまたはファージプロモーターである。
一実施形態では、プロモーターは、ファージプロモーター、例えばT7ファージプロモーターである。
一実施形態では、前記宿主細胞は、ポリマーシンターゼの基質、好ましくは、存在する場合ポリマーシンターゼの基質、または基質混合物、例えば単量体基質、または宿主により代謝されて粒子形成タンパク質の基質を形成し得る前駆体基質の存在下で保持される。
一実施形態では、宿主細胞は少なくとも2つの異なる発現構築物を含む。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含むいくつかの実施形態では、発現構築物のうちの少なくとも1つは、以下の:
粒子形成タンパク質、および免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物、
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含む他の実施形態では、発現構築物のうちの1つは、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする核酸配列を含む発現構築物、または
粒子サイズ決定タンパク質をコードする核酸配列を含む発現構築物、または
ポリマー調節因子をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含む他の実施形態では、発現構築物のうちの1つは、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼ、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列を含み、そして少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質、および免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸を含む発現構築物、あるいは
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
一実施形態では、宿主細胞は発現構築物の混合集団を含み、この場合、各発現構築物は、融合ポリペプチドをコードする核酸配列を含無が、融合ポリペプチドは、以下の:
少なくとも1つの粒子形成タンパク質、および
免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、または
免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る少なくとも1つの結合ドメイン
を含む。
種々の実施形態において、抗原は、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原である。
本発明の別の態様は、以下のものを含む発現構築物に関する:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
免疫応答を引き出し得る抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列。
一実施形態では、核酸は、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原をコードする。
本発明の別の態様は、以下のものを含む発現構築物に関する:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列。
種々の実施形態において、抗原は細胞媒介性免疫応答を引き出し得るし、あるいは結合ドメインは細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質、ならびに免疫応答を引き出し得る抗原を含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質、ならびに免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、ならびに免疫応答を引き出し得る抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、ならびに免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列は、強プロモーターと操作可能的に連結される。
一実施形態では、発現構築物は、付加的ポリペプチドをコードするすくむ1つの核酸配列を含む。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質、および免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る少なくとも1つの結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
融合ポリペプチドの免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを結合する付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質、ならびに免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を含む融合ポリペプチドである。
一実施形態では、構築物は、さらに、以下の:
i. 少なくとも1つのチオラーゼ、または
ii. 少なくとも1つのレダクターゼ、または
iii. (i)および(ii)の両方
をコードする核酸を含む。
一実施形態では、構築物は、以下の:
i. 少なくとも1つのチオラーゼ、
ii. 少なくとも1つのレダクターゼ、
iii. 少なくとも1つのポリマーシンターゼ、
iv. 免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、または
v. 免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る少なくとも1つの結合ドメイン、
vi. 上記i)〜v)のうちの1つ以上を含む融合タンパク質、
vii. 上記i)〜vi)の任意の組合せ
をコードする核酸を含む。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質、および免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質、ならびに免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインを含む融合ポリペプチドである。
本発明の別の態様は、本発明の発現構築物を含むベクターに関する。
一実施形態では、ベクターは高コピー数ベクターである。
一実施形態では、ベクターは低コピー数ベクターである。
本発明の別の態様は、上記のような発現構築物またはベクターを含む宿主細胞に関する。
一実施形態では、宿主細胞は、以下の:
粒子形成タンパク質、および免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
粒子形成タンパク質、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸を含む発現構築物、あるいは
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物、あるいは
細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される発現構築物を含む。
本発明の別の態様は、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
本発明の別の態様は、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る少なくとも1つの結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
一実施形態では、ポリマー粒子は、2つ以上の異なる融合ポリペプチドを含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、ポリマー粒子表面上の2つ以上の異なる融合ポリペプチドを含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、3つ以上の異なる融合ポリペプチド、例えばポリマー粒子表面上の3つ以上の異なる融合ポリペプチドを含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る2つ以上の異なる抗原を含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも2つ以上の異なる抗原の結合ドメインを含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、ポリマー粒子に結合されるかまたは組入れられる、あるいはその組合せの少なくとも1つの物質をさらに含む。
一実施形態では、物質は、抗原またはアジュバントまたは免疫刺激分子である。
一実施形態では、物質は架橋により結合される。
一実施形態では、少なくとも1つのポリマー粒子は、ヒト型結核菌抗原、C型肝炎抗原、インフルエンザ抗原、野兎病菌抗原、ウシ流産菌抗原、髄膜炎菌抗原、炭疽菌抗原、デング熱ウイルス抗原、エボラ熱ウイルス抗原、西ナイル熱ウイルス抗原(本明細書中に記載される抗原のうちの1つを含めて)からなる群から選択される少なくとも1つの抗原を含む。
本発明の別の態様は、上記の方法に従って産生されるポリマー粒子に関する。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、ポリマー粒子が、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、ポリマー粒子が、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、ポリマー粒子が、上記の方法に従って産生される組成物に関する。
種々の実施形態において、組成物はワクチン組成物である。種々の実施形態において、ワクチン組成物は、1つ以上のアジュバントまたは免疫刺激分子をさらに含む。
本発明の別の態様は、上記のようなポリマー粒子の組成物を含む診断試薬に関する。
本発明の別の態様は、上記のようなポリマー粒子の組成物を含む診断キットに関する。
一実施形態では、組成物はポリマー粒子の均質集団を含む。
一実施形態では、組成物は、ポリマー粒子の混合集団を含む。
一実施形態では、組成物は、以下の:
免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る1つ以上の抗原
免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る1つ以上の抗原の1つ以上の結合ドメイン、
1つ以上のアジュバント、または
1つ以上の免疫調節物質または分子
のうちの1つ以上をさらに含む。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、前記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが被験者における免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
一実施形態では、免疫応答は細胞媒介性免疫応答である。一実施形態では、抗原は、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原である。
一実施形態では、免疫応答は体液性免疫応答である。一実施形態では、抗原は、体液性免疫応答を引き出し得る抗原である。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、前記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが被験者における免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含み、免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインが免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原に結合されるか、被験者が免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含むか、または被験者が免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、免疫応答は細胞媒介性免疫応答である。一実施形態では、結合ドメインは、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る。
一実施形態では、当該方法は、結核に対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合タンパク質のうちの少なくとも1つが細胞媒介性または他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
一実施形態では、当該方法は、結核に対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合タンパク質のうちの少なくとも1つが細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る少なくとも1つの結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含み、細胞媒介性または他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインが細胞媒介性または他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原に結合されるか、被験者が細胞媒介性または他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含むか、あるいは被験者が細胞媒介性または他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、少なくとも1つのポリマー粒子は、被験者における免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む組成物、例えば、被験者における細胞媒介性または他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、本発明は、結核に感染した被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、例えばヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含むポリマー粒子を投与することを包含する方法に関する。
一実施形態では、ヒト型結核菌抗原結合ドメインは、例えば内因性ヒト型結核菌抗原と結合する。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出すためのポリマー粒子に関するが、この場合、ポリマー粒子が1つ以上の融合ポリペプチドを含み、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが被験者における免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原と融合される粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含む。
一実施形態では、免疫応答は細胞媒介性免疫応答である。一実施形態では、抗原は細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原である。
一実施形態では、免疫応答は体液性免疫応答である。一実施形態では、抗原は、体液性免疫応答を引き出し得る抗原である。
本発明の別の態様は、それを必要とする被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子に関するが、この場合、少なくとも1つのポリマー粒子は1つ以上の融合ポリペプチドを含み、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが被験者における免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含み、免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインが免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原と結合されるか、被験者が免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含むか、または被験者が免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を投与される。
一実施形態では、免疫応答は細胞媒介性免疫応答である。一実施形態では、結合ドメインは、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る。一実施形態では、免疫応答は、体液性免疫応答である。一実施形態では、抗原は体液性免疫応答を引き出し得る抗原である。
一実施形態では、少なくとも1つのポリマー粒子は、免疫応答、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、少なくとも1つのポリマー粒子は、例えば少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、例として、少なくとも1つのポリマー粒子は、ヒト型結核菌抗原、C型肝炎抗原、インフルエンザ抗原、野兎病菌抗原、ウシ流産菌抗原、髄膜炎菌抗原、炭疽菌抗原、デング熱ウイルス抗原、エボラ熱ウイルス抗原、西ナイル熱ウイルス抗原(本明細書中に記載される抗原のうちの1つを含めて)からなる群から選択される少なくとも1つの抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、被験者は、例えば細胞内病原体に感染しているか、または細胞内病原体に感染する危険がある。別の実施形態では、被験者は、例えば主に細胞内生活環を有する病原体に感染しているかまたは感染する危険がある。
種々の実施形態では、被験者は肝炎、インフルエンザまたは結核に感染している。
別の実施形態では、被験者は、例えば細胞内病原体に対して免疫化されている。例えば、被験者はカルメット・グラン桿菌(BCG)をワクチン接種されている。
一実施形態では、例えば、被験者は細胞外病原体に感染しているか、または細胞外病原体に感染する危険がある。別の実施形態では、被験者は、例えば主に細胞外生活環を有する病原体に感染しているかまたは感染する危険がある。
本発明の別の態様は、細胞内病原体に感染したまたはそれに対して免疫化された被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子に関するが、この場合、少なくとも1つのポリマー粒子は、少なくとも1つのポリマー粒子は、免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含む。
細胞内病原体に対して被験者を免疫化するための、あるいは被験者、例えば細胞内病原体に感染したまたは細胞内病原体に対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すための、医薬剤の調製における上記のようなポリマー粒子の使用も、意図される。
本発明の別の態様は、例えば細胞外病原体に感染した、または細胞外病原体に対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子に関するが、この場合、少なくとも1つのポリマー粒子は、免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含む。
例えば、細胞外病原体に対して被験者を免疫化するための、あるいは被験者、例えば細胞外病原体に感染したまたは細胞内病原体に対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すための、医薬剤の調製における上記のようなポリマー粒子の使用も、意図される。
本発明はさらに、それを必要とする被験者のワクチン接種のための、本明細書中に記載されるようなポリマー粒子を提供する。したがって、それを必要とする被験者をワクチン接種するための医薬剤の調製における本明細書中に記載されるようなポリマー粒子の使用が、意図される。
本発明の別の態様は、病原体からの感染の診断方法であって、本発明の少なくとも1つのポリマー粒子を被験者に投与すること、そして病原体の存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
一実施形態では、病原体は細胞内病原体である。別の実施形態では、病原体は細胞外病原体である。
一実施形態では、病原体、例えば細胞内病原体の存在を示す応答は、遅延型過敏応答である。
本発明の別の態様は、病原体からの感染の診断方法であって、被験者から得られる試料を本発明のポリマー粒子と接触すること、そして病原体の存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
さらにまた、ある実施形態では、病原体は細胞内病原体、細胞外病原体、例えば主に細胞内生活環を有する病原体、または例えば主に細胞外生活環を有する病原体である。
一実施形態では、病原体の存在を示す応答は、上記被験者における病原体に対する抗体の存在の検出である。
一実施形態では、病原体の存在を示す応答は、上記試料中の病原体に応答性の免疫細胞の存在の検出である。
一実施形態では、病原体に対する抗体の存在の検出は、イムノアッセイによる。
一実施形態では、病原体に対する抗体の存在の検出は、ELISA、ラジオイムノアッセイ検定またはウエスタンブロットによる。
一実施形態では、病原体の存在を示す応答は、上記被験者における病原体に応答性である免疫細胞の存在の検出である。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の産生方法であって、以下の:
少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、前記少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、および
ヒト型結核菌抗原またはヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
上記発現構築物の発現にならびにポリマー粒子の形成に適した条件下で宿主細胞を保持すること;そして
上記宿主細胞からポリマー粒子を分離すること
を包含する方法を提供する。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含むいくつかの実施形態では、発現構築物のうちの少なくとも1つは、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つのヒト型結核菌抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含む他の実施形態では、発現構築物のうちの1つは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含み、そして少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つのヒト型結核菌抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
一実施形態では、宿主細胞は、発現構築物の混合集団を含み、この場合、各発現構築物は融合ポリペプチドをコードする核酸配列を含み、融合ポリペプチドは、以下の:
少なくとも1つの粒子形成タンパク質、および
少なくとも1つのヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメイン
を含む。
本発明の別の態様は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
ヒト型結核菌抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む一発現構築物に関する。
本発明の別の態様は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
ヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む一発現構築物に関する。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質およびヒト型結核菌抗原を含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質およびヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列およびヒト型結核菌抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列およびヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
融合ポリペプチドのヒト型結核菌抗原結合ドメインを結合する少なくとも1つのポリペプチドを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドはヒト型結核菌抗原であるか、または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む融合ポリペプチドである。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドである。
一実施形態では、宿主細胞は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つのヒト型結核菌抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される発現構築物を含む。
本発明の別の態様は、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
本発明の別の態様は、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
一実施形態では、ポリマー粒子は、2つ以上の異なるヒト型結核菌抗原を含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、2つ以上の異なるヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、前記ポリマー粒子が、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、前記ポリマー粒子が、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
一実施形態では、組成物は、さらに、以下の:
1つ以上のヒト型結核菌抗原、
1つ以上のヒト型結核菌抗原結合ドメイン、
1つ以上のアジュバント、あるいは
1つ以上の免疫調節因子または分子
のうちの1つ以上を含む。
本発明の別の態様は、結核に対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、上記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
本発明の別の態様は、結核に対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、上記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む方法であり、ヒト型結核菌抗原結合ドメインが少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と結合され、被験者が少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含み、または被験者が少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、ポリマー粒子は、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む組成物中に存在する。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む方法であり、ヒト型結核菌抗原結合ドメインが少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と結合され、被験者が少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含み、または被験者が少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、少なくとも1つのポリマー粒子は、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、被験者は結核に感染している。
別の実施形態では、被験者は結核に対して免疫化されている。一実施形態では、被験者はカルメット・グラン桿菌(BCG)をワクチン接種されている(World Health Organisation - http://www.who.int)。
本発明の別の態様は、結核に感染した被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、ヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法に関する。
一実施形態では、ヒト型結核菌抗原結合ドメインは、内因性ヒト型結核菌抗原と結合する。
本発明の別の態様は、結核に対して被験者を免疫化するためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、結核に対して被験者を免疫化するためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのヒト型結核菌抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、被験者は結核に感染している。
別の実施形態では、被験者は結核に対して免疫化されている。例えば、被験者はカルメット・グラン桿菌(BCG)をワクチン接種されている。
本発明の別の態様は、結核に感染しているかまたは結核に対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、ヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含むポリマー粒子に関する。
結核に対して被験者を免疫化するための、あるいは被験者、例えば結核に感染したまたは結核に対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すための、医薬剤の調製における上記のようなポリマー粒子の使用も、意図される。
本発明の別の態様は、被験者における結核の診断方法であって、本発明の少なくとも1つのポリマー粒子を被験者に投与すること、そしてヒト型結核菌の存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
一実施形態では、ヒト型結核菌の存在を示す応答は、遅延型過敏応答である。
本発明の別の態様は、被験者における結核の診断方法であって、被験者から得られる試料を本発明のポリマー粒子と接触させること、そしてヒト型結核菌の存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
一実施形態では、ヒト型結核菌の存在を示す応答は、上記試料中のヒト型結核菌に対する抗体の存在である。
一実施形態では、ヒト型結核菌抗原に対する抗体の存在は、イムノアッセイにより検出される。
一実施形態では、ヒト型結核菌抗原に対する抗体の存在の検出は、ELISA、ラジオイムノアッセイ検定またはウエスタンブロットによる。
一実施形態では、細胞内病原体の存在を示す応答は、上記試料中のヒト型結核菌抗原に応答性である免疫細胞の存在である。
一実施形態では、ヒト型結核菌抗原に応答性である免疫細胞の存在は、細胞増殖検定、細胞選別検定、例えばFACS、またはin situハイブリダイゼーション検定により検出される。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の産生方法であって、以下の:
少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、および
肝炎抗原または肝炎抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
発現構築物の発現に、ならびにポリマー粒子の形成に適した条件下で宿主細胞を保持すること;そして
宿主細胞からポリマー粒子を分離すること
を包含する方法を提供する。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含む一実施形態では、発現構築物のうちの少なくとも1つは、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つの肝炎抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含む他の実施形態では、発現構築物のうちの少なくとも1つは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含み、そして少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つの肝炎抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
一実施形態では、宿主細胞は、発現構築物の混合集団を含み、この場合、各発現構築物は融合ポリペプチドをコードする核酸配列を含み、融合ポリペプチドは、以下の:
少なくとも1つの粒子形成タンパク質、および
少なくとも1つの肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメイン
を含む。
本発明の別の態様は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
肝炎抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む一発現構築物に関する。
本発明の別の態様は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
肝炎抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む一発現構築物に関する。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質および肝炎抗原を含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質および肝炎抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列および肝炎抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列および肝炎抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
融合ポリペプチドの肝炎抗原結合ドメインを結合する少なくとも1つのポリペプチドを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは肝炎抗原であるか、または少なくとも1つの肝炎抗原を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原を含む融合ポリペプチドである。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原を含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドである。
一実施形態では、宿主細胞は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つの肝炎抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される発現構築物を含む。
本発明の別の態様は、少なくとも1つの肝炎抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
本発明の別の態様は、少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
一実施形態では、ポリマー粒子は、2つ以上の異なる肝炎抗原を含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、2つ以上の異なるヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、前記ポリマー粒子が、少なくとも1つの肝炎抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、前記ポリマー粒子が、少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
一実施形態では、組成物は、さらに、以下の:
1つ以上の肝炎抗原、
1つ以上の肝炎抗原結合ドメイン、
1つ以上のアジュバント、あるいは
1つ以上の免疫調節因子または分子
のうちの1つ以上を含む。
本発明の別の態様は、肝炎に対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、上記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの肝炎抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
本発明の別の態様は、肝炎に対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、上記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む方法であり、肝炎抗原結合ドメインが少なくとも1つの肝炎抗原と結合され、被験者が少なくとも1つの肝炎抗原を含み、または被験者が少なくとも1つの肝炎抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、ポリマー粒子は、肝炎抗原を含む組成物中に存在する。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つの肝炎抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む方法であり、肝炎抗原結合ドメインが少なくとも1つの肝炎抗原と結合され、被験者が少なくとも1つの肝炎抗原を含み、または被験者が少なくとも1つの肝炎抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、少なくとも1つのポリマー粒子は、少なくとも1つの肝炎抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、被験者は肝炎に感染している。
別の実施形態では、被験者は肝炎に対して免疫化されている。
本発明の別の態様は、肝炎に感染した被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法に関する。
一実施形態では、肝炎抗原結合ドメインは、内因性肝炎抗原と結合する。
本発明の別の態様は、肝炎に対して被験者を免疫化するためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つの肝炎抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、肝炎に対して被験者を免疫化するためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つの肝炎抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、少なくとも1つの肝炎抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、被験者は肝炎に感染している。
別の実施形態では、被験者は肝炎に対して免疫化されている。
本発明の別の態様は、肝炎に感染しているかまたは肝炎に対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含むポリマー粒子に関する。
肝炎に対して被験者を免疫化するための、あるいは被験者、例えば肝炎に感染したまたは肝炎に対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すための、医薬剤の調製における上記のようなポリマー粒子の使用も、意図される。
本発明の別の態様は、被験者における肝炎の診断方法であって、本発明の少なくとも1つのポリマー粒子を被験者に投与すること、そしてウイルス性肝炎の存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
一実施形態では、ウイルス性肝炎の存在を示す応答は、遅延型過敏応答である。
本発明の別の態様は、被験者における肝炎の診断方法であって、被験者から得られる試料を本発明のポリマー粒子と接触させること、そしてウイルス性肝炎の存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
一実施形態では、ウイルス性肝炎の存在を示す応答は、上記試料中のウイルス性肝炎に対する抗体の存在である。
一実施形態では、肝炎抗原に対する抗体の存在は、イムノアッセイにより検出される。
一実施形態では、ウイルス性肝炎抗原に対する抗体の存在の検出は、ELISA、ラジオイムノアッセイ検定またはウエスタンブロットによる。
一実施形態では、細胞内病原体の存在を示す応答は、上記試料中の肝炎抗原に応答性である免疫細胞の存在である。
一実施形態では、ウイルス性肝炎抗原に応答性である免疫細胞の存在は、細胞増殖検定、細胞選別検定、例えばFACS、またはin situハイブリダイゼーション検定により検出される。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の産生方法であって、以下の:
少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、および
インフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
発現構築物の発現に、ならびにポリマー粒子の形成に適した条件下で宿主細胞を保持すること;そして
宿主細胞からポリマー粒子を分離すること
を包含する方法を提供する。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含むいくつかの実施形態では、発現構築物のうちの少なくとも1つは、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つのインフルエンザ抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含む他の実施形態では、発現構築物のうちの少なくとも1つは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含み、そして少なくとも1つの発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つのインフルエンザ抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
一実施形態では、宿主細胞は、発現構築物の混合集団を含み、この場合、各発現構築物は融合ポリペプチドをコードする核酸配列を含み、融合ポリペプチドは、以下の:
少なくとも1つの粒子形成タンパク質、および
少なくとも1つのインフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメイン
を含む。
本発明の別の態様は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
インフルエンザ抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む一発現構築物に関する。
本発明の別の態様は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
インフルエンザ抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む一発現構築物に関する。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質およびインフルエンザ抗原を含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、発現構築物は、粒子形成タンパク質およびインフルエンザ抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列およびインフルエンザ抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列およびインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列は、単一オープンリーディングフレームとして存在する。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
融合ポリペプチドのインフルエンザ抗原結合ドメインを結合する少なくとも1つのポリペプチドを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドはインフルエンザ抗原であるか、または少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含む融合ポリペプチドである。
一実施形態では、発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含む融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列;ならびに
少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインを含む付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む。
一実施形態では、付加的ポリペプチドは、粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドである。
一実施形態では、宿主細胞は、以下の:
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子形成タンパク質および少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
アジュバントをコードする核酸配列を含む発現構築物;または
少なくとも1つのインフルエンザ抗原をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される発現構築物を含む。
本発明の別の態様は、少なくとも1つのインフルエンザ抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
本発明の別の態様は、少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関する。
一実施形態では、ポリマー粒子は、2つ以上の異なるインフルエンザ抗原を含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、2つ以上の異なるヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、前記ポリマー粒子が、少なくとも1つのインフルエンザ抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
本発明の別の態様は、ポリマー粒子の組成物であって、前記ポリマー粒子が、少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む1つ以上の融合ポリペプチドを含む組成物に関する。
一実施形態では、組成物は、さらに、以下の:
1つ以上のインフルエンザ抗原、
1つ以上のインフルエンザ抗原結合ドメイン、
1つ以上のアジュバント、あるいは
1つ以上の免疫調節因子または分子
のうちの1つ以上を含む。
本発明の別の態様は、インフルエンザに対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、上記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのインフルエンザ抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
本発明の別の態様は、インフルエンザに対して被験者を免疫化する方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、上記融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む方法であり、インフルエンザ抗原結合ドメインが少なくとも1つのインフルエンザ抗原と結合され、被験者が少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含み、または被験者が少なくとも1つのインフルエンザ抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、ポリマー粒子は、インフルエンザ抗原を含む組成物中に存在する。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのインフルエンザ抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む方法に関する。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、1つ以上の融合ポリペプチドを含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法であり、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つがインフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む方法であり、インフルエンザ抗原結合ドメインが少なくとも1つのインフルエンザ抗原と結合され、被験者が少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含み、または被験者が少なくとも1つのインフルエンザ抗原を投与される方法に関する。
一実施形態では、少なくとも1つのポリマー粒子は、少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、被験者はインフルエンザに感染している。
別の実施形態では、被験者はインフルエンザに対して免疫化されている。
本発明の別の態様は、インフルエンザに感染した被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、インフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む少なくとも1つのポリマー粒子を投与することを包含する方法に関する。
一実施形態では、インフルエンザ抗原結合ドメインは、内因性インフルエンザ抗原と結合する。
本発明の別の態様は、インフルエンザに対して被験者を免疫化するためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのインフルエンザ抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、インフルエンザに対して被験者を免疫化するためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのインフルエンザ抗原と融合される粒子形成タンパク質を含む。
本発明の別の態様は、被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、1つ以上の融合ポリペプチドを含むポリマー粒子に関するが、この場合、融合ポリペプチドのうちの少なくとも1つは少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含む。
一実施形態では、ポリマー粒子は、少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含む組成物中に存在する。
一実施形態では、被験者はインフルエンザに感染している。
別の実施形態では、被験者はインフルエンザに対して免疫化されている。
本発明の別の態様は、インフルエンザに感染しているかまたはインフルエンザに対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すためのポリマー粒子であって、インフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含むポリマー粒子に関する。
インフルエンザに対して被験者を免疫化するための、あるいは被験者、例えばインフルエンザに感染したまたはインフルエンザに対して免疫化される被験者における免疫応答を引き出すための、医薬剤の調製における上記のようなポリマー粒子の使用も、意図される。
本発明の別の態様は、被験者におけるインフルエンザの診断方法であって、本発明の少なくとも1つのポリマー粒子を被験者に投与すること、そしてインフルエンザウイルスの存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
一実施形態では、インフルエンザウイルスの存在を示す応答は、遅延型過敏応答である。
本発明の別の態様は、被験者におけるインフルエンザの診断方法であって、被験者から得られる試料を本発明のポリマー粒子と接触させること、そしてインフルエンザウイルスの存在を示す応答を検出することを包含する方法に関する。
一実施形態では、インフルエンザウイルスの存在を示す応答は、上記試料中のインフルエンザに対する抗体の存在である。
一実施形態では、インフルエンザ抗原に対する抗体の存在は、イムノアッセイにより検出される。
一実施形態では、インフルエンザ抗原に対する抗体の存在の検出は、ELISA、ラジオイムノアッセイ検定またはウエスタンブロットによる。
一実施形態では、細胞内病原体の存在を示す応答は、上記試料中のインフルエンザ抗原に応答性である免疫細胞の存在である。
一実施形態では、インフルエンザ抗原に応答性である免疫細胞の存在は、細胞増殖検定、細胞選別検定、例えばFACS、またはin situハイブリダイゼーション検定により検出される。
以下の実施形態は、上記の態様のいずれかに関連し得る。
種々の実施形態において、粒子形成タンパク質はポリマーシンターゼである。
種々の実施形態において、ポリマー粒子は、ポリ−ベータ−アミノ酸、ポリラクテート、ポリチオエステルおよびポリエステルから選択されるポリマーを含む。最も好ましくは、ポリマーは、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、好ましくはポリ(3−ヒドロキシブチラート)(PHB)を含む。
種々の実施形態において、ポリマー粒子は、リン脂質単層により被包されるポリマー粒子である。
種々の実施形態において、ポリマー粒子は、2つ以上の異なる融合ポリペプチドを含む。
種々の実施形態において、ポリマー粒子は、ポリマー粒子表面上の2つ以上の異なる融合ポリペプチドを含む。
種々の実施形態において、ポリマー粒子は、3つ以上の異なる融合ポリペプチド、例えばポリマー粒子表面上の3つ以上の異なる融合ポリペプチドを含む。
種々の実施形態において、ポリマー粒子は、ポリマー粒子に結合されるかまたは組入れられる、あるいはその組合せの少なくとも1つの物質をさらに含む。
種々の実施形態において、物質は、抗原またはアジュバントまたは免疫刺激分子である。
種々の実施形態において、物質は架橋によりポリマー粒子に結合される。
種々の実施形態において、ポリマーシンターゼは、ポリマー粒子と、またはリン脂質単層と結合されるか、あるいはその両方と結合される。
種々の実施形態において、ポリマーシンターゼは、それが形成するポリマー粒子と共有的にまたは非共有的に結合される。
種々の実施形態において、ポリマーシンターゼは、クラス1属 アシネトバクター属、ビブリオ属、アエロモナス属、クロモバクテリウム属、シュードモナス属、ズーグレア属、アルカリゲネス属、デルフチア属、ブルクホルデリア属、ラルストニア属、ロドコッカス属、ゴルドニア属、ロドバクター属、パラコッカス属、リケッチア属、カルロバクター属、メチロバクテリウム属、アゾリゾビウム属、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、シノリゾビウム属、リケッチア属、クレンアーケオータ属、シネコシスチス属、エコチオロドスピラ属、チオカプサ属、チオシスチス属およびアロクロマチウム属、クラス2属 ブルクホルデリア属およびシュードモナス、あるいはクラス4属 バシラス属から、さらに好ましくはクラス1 アシネトバクター種 RA3849、コレラ菌、腸炎ビブリオ、アエロモナス・プンクタータ FA440、アエロモナス・ヒドロフィラ、クロモバクテリウム・ビオラセウム、シュードモナス種 61−3、ズーグレア・ラミゲラ、アルカリゲネス・ラツス、アルカリゲネス種 SH−69、デルフチア・アシドボランス、ブルクホルデリア種 DSMZ9242、ラルストニア・ユートロフィア H16、ブルクホルデリア・セパシア、ロドコッカス・ラバー PP2、ゴルドニア・ルブリペルチンクツス、発疹チフスリケッチア 9111、アロクロマチウム・ビノスムD、チオシスチス・ビオラセア 2311、ロドバクター・スフェロイデス、脱窒菌、光合成細菌、カウロバクター・クレセンツス、メチロバクテリウム・エクストルクエンス、アゾリゾビウム・カウリノダンス、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、シノリゾビウム・メリロチ 41、ロドスピリルム・ルブルム HAおよびロドスピリルム・ルブルム ATCC25903、クラス2 ブルクホルデリア・カリオフィリ、シュードモナス・クロラフィス、シュードモナス種 61−3、シュードモナス・プチダ U、シュードモナス・オレオボランス、緑膿菌、シュードモナス・レシノボランス、シュードモナス・スタッツェリ、シュードモナス・メンドシナ、シュードモナス・シュードルカリゲネス、シュードモナス・プチダ BM01、シュードモナス・ニトロレデュッシンス、シュードモナス・クロラフィス、およびクラス4 バシラス・メガテリウムおよびバシラス種 INT005からなる群からのPHAシンターゼである。
他の実施形態では、ポリマーシンターゼは、グラム陰性およびグラム陽性真正細菌から、または古細菌からのPHAポリマーシンターゼである。
種々の例において、ポリマーシンターゼは、クプリアビダス・ネカトール、緑膿菌、紅色硫黄光合成細菌、巨大菌Bacillus megaterium、ハロアルクラ・マリスモルツイ、シュードモナス・アウレオファシエンスまたはシュードモナス・プチダ(これらは、それぞれ、寄託番号AY836680、AE004091、AB205104、AF109909、YP137339、AB049413およびAF150670を有する)からのPHAポリマーシンターゼを含み得る。
本発明に用い易い他のポリマーシンターゼとしては、各々、その寄託番号により同定される以下の生物体からのポリマーシンターゼが挙げられる:ラルストニア・ユートロファ(A34341)、チオコッカス・フェニジイ(X93599)、アエロモナス・プンクタータ(O32472)、シュードモナス種 61−3(AB014757およびAB014758)、ロドバクター・スフェロイデス(AAA72004)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(AAC69615)、アルカニボラックス・ボルクメンシス SK2(CAL17662)、アルカニボラックス・ボルクメンシス SK2(CAL16866)、ロドバクター・スフェロイデス KD131(ACM01571およびYP002526072)、ロドコッカス・オパクス B4(BAH51880およびYP002780825)、ブルクホルデリア・マルチボランス ATCC 17616(YP001946215およびBAG43679)、アルカニボラックス・ボルクメンシス SK2(YP693934およびYP693138)、ロドスピリルム・ルブルム(AAD53179)、ガンマプロテオバクテリア HTCC5015(ZP05061661およびEDY86606)、アゾアルクス種 BH72(YP932525)、クロモバクテリウム・ビオラセウム ATCC 12472(NP902459)、リムノバクター種 MED105(ZP01915838およびEDM82867)、マリノバクター・アルギコーラ DG893(ZP01895922およびEDM46004)、ロドバクター・スフェロイデス(CAA65833)、クロモバクテリウム・ビオラセウム ATCC 12472(AAQ60457)、アルカリゲネス・ラツス(AAD10274、AAD01209およびAAC83658)、ステノトロホモナス・マルトフィリア K279a(CAQ46418およびYP001972712)、ラルストニア・ソラナセラム IPO1609(CAQ59975およびYP002258080)、ブルクホルデリア・マルチボランス ATCC 17616(YP001941448およびBAG47458)、シュードモナス種 gl13(ACJ02400)、シュードモナス種 gl06(ACJ02399)、シュードモナス種 gl01(ACJ02398)、R.種 gl32(ACJ02397)、リゾビウム・レグミノサルム bv.ビシアエ 3841(CAK10329およびYP770390)、アゾアルクス種 BH72(CAL93638)、シュードモナス種 LDC−5(AAV36510)、ルチエラ・ニトロフェルム 2002(ZP03698179)、サウエラ種 MZ1T(YP002890098およびACR01721)、メチロバクテリウム・ラジオトレランス JCM 2831(YP001755078およびACB24395)、メチロバクテリウム種 4−46(YP001767769およびACA15335)、ルチエラ・ニトロフェルム 2002(EEG08921)、脱窒菌(BAA77257)、マグネトスピリルム・グリフィスワルデンス(ABG23018)、シュードモナス種 USM4−55(ABX64435およびABX64434)、アエロモナス・ヒドロフィラ(AAT77261およびAAT77258)、バシラス種 INT005(BAC45232およびBAC45230)、シュードモナス・プチダ(AAM63409およびAAM63407)、ゴルドニア・ルブリペルチンクツス(AAB94058)、巨大菌(AAD05260)、デルフチア・アシドボランス(BAA33155)、パラコッカス・セリニフィルス(ACM68662)、シュードモナス種 14−3(CAK18904)、シュードモナス種 LDC−5(AAX18690)、シュードモナス種 PC17(ABV25706)、シュードモナス種 3Y2(AAV35431、AAV35429およびAAV35426)、シュードモナス・メンドシナ(AAM10546およびAAM10544)、シュードモナス・ニトロレデュッシンス(AAK19608)、シュードモナス・シュードアルカリゲネス(AAK19605)、シュードモナス・レシノボランス(AAD26367およびAAD26365)、シュードモナス種 USM7−7(ACM90523およびACM90522)、シュードモナス・フルオレッセンス(AAP58480)、ならびにその他の非培養細菌(BAE02881、BAE02880、BAE02879、BAE02878、BAE02877、BAE02876、BAE02875、BAE02874、BAE02873、BAE02872、BAE02871、BAE02870、BAE02869、BAE02868、BAE02867、BAE0286、BAE02865、BAE02864、BAE02863、BAE02862、BAE02861、BAE02860、BAE02859、BAE02858、BAE02857、BAE07146、BAE07145、BAE07144、BAE07143、BAE07142、BAE07141、BAE07140、BAE07139、BAE07138、BAE07137、BAE07136、BAE07135、BAE07134、BAE07133、BAE07132、BAE07131、BAE07130、BAE07129、BAE07128、BAE07127、BAE07126、BAE07125、BAE07124、BAE07123、BAE07122、BAE07121、BAE07120、BAE07119、BAE07118、BAE07117、BAE07116、BAE07115、BAE07114、BAE07113、BAE07112、BAE07111、BAE07110、BAE07109、BAE07108、BAE07107、BAE07106、BAE07105、BAE07104、BAE07103、BAE07102、BAE07101、BAE07100、BAE07099、BAE07098、BAE07097、BAE07096、BAE07095、BAE07094、BAE07093、BAE07092、BAE07091、BAE07090、BAE07089、BAE07088、BAE07053、BAE07052、BAE07051、BAE07050、BAE07049、BAE07048、BAE07047、BAE07046、BAE07045、BAE07044、BAE07043、BAE07042、BAE07041、BAE07040、BAE07039、BAE07038、BAE07037、BAE07036、BAE07035、BAE07034、BAE07033、BAE07032、BAE07031、BAE07030、BAE07029、BAE07028、BAE07027、BAE07026、BAE07025、BAE07024、BAE07023、BAE07022、BAE07021、BAE07020、BAE07019、BAE07018、BAE07017、BAE07016、BAE07015、BAE07014、BAE07013、BAE07012、BAE07011、BAE07010、BAE07009、BAE07008、BAE07007、BAE07006、BAE07005、BAE07004、BAE07003、BAE07002、BAE07001、BAE07000、BAE06999、BAE06998、BAE06997、BAE06996、BAE06995、BAE06994、BAE06993、BAE06992、BAE06991、BAE06990、BAE06989、BAE06988、BAE06987、BAE06986、BAE06985、BAE06984、BAE06983、BAE06982、BAE06981、BAE06980、BAE06979、BAE06978、BAE06977、BAE06976、BAE06975、BAE06974、BAE06973、BAE06972、BAE06971、BAE06970、BAE06969、BAE06968、BAE06967、BAE06966、BAE06965、BAE06964、BAE06963、BAE06962、BAE06961、BAE06960、BAE06959、BAE06958、BAE06957、BAE06956、BAE06955、BAE06954、BAE06953、BAE06952、BAE06951、BAE06950、BAE06949、BAE06948、BAE06947、BAE06946、BAE06945、BAE06944、BAE06943、BAE06942、BAE06941、BAE06940、BAE06939、BAE06938、BAE06937、BAE06936、BAE06935、BAE06934、BAE06933、BAE06932、BAE06931、BAE06930、BAE06929、BAE06928、BAE06927、BAE06926、BAE06925、BAE06924、BAE06923、BAE06922、BAE06921、BAE06920、BAE06919、BAE06918、BAE06917、BAE06916、BAE06915、BAE06914、BAE06913、BAE06912、BAE06911、BAE06910、BAE06909、BAE06908、BAE06907、BAE06906、BAE06905、BAE06904、BAE06903、BAE06902、BAE06901、BAE06900、BAE06899、BAE06898、BAE06897、BAE06896、BAE06895、BAE06894、BAE06893、BAE06892、BAE06891、BAE06890、BAE06889、BAE06888、BAE06887、BAE06886、BAE06885、BAE06884、BAE06883、BAE06882、BAE06881、BAE06880、BAE06879、BAE06878、BAE06877、BAE06876、BAE06875、BAE06874、BAE06873、BAE06872、BAE06871、BAE06870、BAE06869、BAE06868、BAE06867、BAE06866、BAE06865、BAE06864、BAE06863、BAE06862、BAE06861、BAE06860、BAE06859、BAE06858、BAE06857、BAE06856、BAE06855、BAE06854、BAE06853 and BAE06852)。
種々の実施形態において、ポリマーシンターゼは、基質(R)−ヒドロキシアシル−CoAまたは他のCoAチオエステルまたはその誘導体を重合するかまたは重合を助長することにより、ポリマー粒子のin vitro産生のために用いられ得る。
種々の実施形態において、基質または基質混合物は、少なくとも1つの任意置換アミノ酸、ラクテート、エステル、あるいは飽和または不飽和脂肪酸、好ましくはアセチル−CoAを含む。
種々の実施形態において、発現構築物は高コピー数ベクター中である。
種々の実施形態において、発現構築物は、付加的ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。
種々の実施形態において、構築物は、以下の:
i. 少なくとも1つのチオラーゼ、または
ii. 少なくとも1つのレダクターゼ、または
iii. (i)および(ii)の両方
をコードする核酸をさらに含む。
種々の実施形態において、構築物は、以下の:
i. 少なくとも1つのチオラーゼ、または
ii. 少なくとも1つのレダクターゼ、または
iii. 少なくとも1つのポリマーシンターゼ、または
iv. 免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、または
v. 免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る少なくとも1つの結合ドメイン、または
vi. 上記i)〜v)のうちの1つ以上を含む融合タンパク質、または
vii. 上記i)〜vi)の任意の組合せ
をコードする核酸を含む。
種々の実施形態において、構築物は、以下の:
i. 少なくとも1つのチオラーゼ、または
ii. 少なくとも1つのレダクターゼ、または
iii. 少なくとも1つのポリマーシンターゼ、または
iv. 細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、または
v. 細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る少なくとも1つの結合ドメイン、または
vi. 上記i)〜v)のうちの1つ以上を含む融合タンパク質、または
vii. 上記i)〜vi)の任意の組合せ
をコードする核酸を含む。
種々の実施形態において、粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列は、強プロモーターと操作可能的に連結される。
種々の実施形態において、強プロモーターは、ウイルスプロモーターまたはファージプロモーターである。
種々の実施形態において、プロモーターは、ファージプロモーター、例えばT7ファージプロモーターである。
種々の実施形態において、宿主細胞は、粒子形成タンパク質の基質、好ましくは、存在する場合、ポリマーシンターゼの基質、または基質混合物、例えば単量体基質、または宿主により代謝されて粒子形成タンパク質の基質を形成し得る前駆体基質の存在下で保持される。
種々の実施形態において、宿主細胞は、少なくとも2つの異なる発現構築物を含む。
宿主細胞が少なくとも2つの異なる発現構築物を含む種々の実施形態において、発現構築物のうちの1つは、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
粒子細部決定タンパク質をコードする核酸配列を含む発現構築物;または
ポリマー調節因子をコードする核酸配列を含む発現構築物
からなる群から選択される。
種々の実施形態において、融合ポリペプチドをコードする核酸配列は、以下の:
被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列(粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードする核酸配列の5’または3’末端と連続する);あるいは
被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列(粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードする核酸配列の5’または3’末端と、所望の長さのポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して間接的に融合される);あるいは
被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列(粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードする核酸配列中に、任意に、所望の長さのポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して挿入される);あるいは
被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または被験者における細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列と、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードする核酸配列との間に間隔を置いて配置されるプロテアーゼ切断部位をコードする核酸配列;あるいは
細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸配列と、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードする核酸配列との間に間隔を置いて配置される自己スプライシング素子をコードする核酸配列;あるいは
2つ以上のその任意の組合せ
を含む。
種々の実施形態において、少なくとも1つの融合ポリペプチドは、以下の:
細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を含むか、または細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含むアミノ酸配列(粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含むアミノ酸配列のNまたはC末端と連続する);あるいは
細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を含むか、または細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含むアミノ酸配列(粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含むアミノ酸配列のNまたはC末端と、所望の長さのペプチドリンカーまたはスペーサー配列を介して間接的に融合される);あるいは
細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含むアミノ酸配列(粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含むアミノ酸配列中に、所望の長さのペプチドリンカーまたはスペーサー配列を介して挿入される);あるいは
細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含むアミノ酸配列と、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードするアミノ酸配列との間に間隔を置いて配置されるプロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸配列;あるいは
細胞媒介性応答を引き出し得る抗原、または細胞媒介性応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含むアミノ酸配列と、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードするアミノ酸配列との間に間隔を置いて配置される自己スプライシング素子を含むアミノ酸配列;あるいは
2つ以上のその任意の組合せ
を含む。
種々の実施形態において、融合ポリペプチドをコードする核酸配列は、以下の:
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列(粒子形成タンパク質をコードする核酸配列の5’または3’末端と連続する);あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列(粒子形成タンパク質をコードする核酸配列の5’または3’末端と、所望の長さのポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して間接的に融合される);あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列(粒子形成タンパク質をコードする核酸配列中に、任意に、所望の長さのポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して挿入される);あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列と、粒子形成タンパク質をコードする核酸配列との間に間隔を置いて配置されるプロテアーゼ切断部位をコードする核酸配列;あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸配列と、粒子形成タンパク質をコードする核酸配列との間に間隔を置いて配置される自己スプライシング素子をコードする核酸配列;あるいは
2つ以上のその任意の組合せ
を含む。
種々の実施形態において、少なくとも1つの融合ポリペプチドは、以下の:
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインを含むアミノ酸配列(粒子形成タンパク質を含むアミノ酸配列のNまたはC末端と連続する);あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインを含むアミノ酸配列(粒子形成タンパク質を含むアミノ酸配列のNまたはC末端と、所望の長さのペプチドリンカーまたはスペーサー配列を介して間接的に融合される);あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインを含むアミノ酸配列(粒子形成タンパク質を含むアミノ酸配列中に、所望の長さのペプチドリンカーまたはスペーサー配列を介して挿入される);あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインを含むアミノ酸配列と、粒子形成タンパク質をコードするアミノ酸配列との間に間隔を置いて配置されるプロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸配列;あるいは
ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメインを含むアミノ酸配列と、粒子形成タンパク質をコードするアミノ酸配列との間に間隔を置いて配置される自己スプライシング素子を含むアミノ酸配列;あるいは
2つ以上のその任意の組合せ
を含む。
種々の実施形態において、発現構築物は、構成性または調節可能プロモーター系を含む。
種々の実施形態において、調節可能プロモーター系は、誘導可能または抑制可能プロモーター系である。
種々の実施形態において、調節可能プロモーター系は、LacI、Trp、ファージγおよびファージRNAポリメラーゼから選択される。
一実施形態では、プロモーターは、当業者に既知の任意の強プロモーターである。適切な強プロモーターは、アデノウイルスプロモーター、例えばアデノウイルス主要後期プロモーター;または異種プロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター;呼吸器合胞体ウイルス(RSV)プロモーター;シミアンウイルス40(SV40)プロモーター;誘導可能プロモーター、例えばMMTプロモーター、メタロチオネインプロモーター;熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイルスチミジンキナーゼプロモーター、例えば単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター;レトロウイルスLTR;b−アクチンプロモーター;ヒト成長ホルモンプロモーター;ファージプロモーター、例えばT7、SP6およびT3 RNAポリメラーゼプロモーター、ならびにカリフラワーモザイク35S(CaMV 35S)プロモーターを含む。
種々の実施形態において、プロモーターは、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、例えばPCT/NZ2006/000251に記載され、WO 2007/037706として公開されたT7 RNAポリメラーゼプロモーターである。
種々の実施形態において、細胞は、各々が異なる融合ポリペプチドをコードする2つ以上の異なる発現構築物を含む。
種々の実施形態において、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原は、細胞内病原体由来の抗原である。
種々の実施形態において、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原は、マイコバクテリウム属(例えば、ウシ型結核菌、ヒト型結核菌、ライ菌、カンサシ菌、鳥結核菌、ヨーネ菌、マイコバクテリウム種)、リステリア属(例えば、リステリア・モノサイトゲネス、リステリア種)、サルモネラ属(例えば、チフス菌)、エルシニア属(例えば、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、仮性結核菌)、炭疽菌Bacillus anthracis、レジオネラ属(例えば、レジオネラ・ニューモフィラ、レジオネラ・ロングビーチェ、レジオネラ・ボゼマニ、レジオネラ種)、リケッチア属(例えば、ロッキー山紅斑熱リケッチア、リケッチア痘菌、ボタン熱菌、シベリアチックチフス菌、オーストラリアチックチフス菌、日本紅斑熱菌、アフリカダニ熱菌、発疹チフス菌、発疹熱菌、リケッチア種)、クラミジア属(肺炎クラミジア菌、クラミジア・トラコマチス、クラミジア種)、クラミドフィラ属(例えば、クラミドフィラ・シタッシ、クラミドフィラ流産菌)、連鎖球菌属(例えば、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌)、ブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌)、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、エーリキア属(例えば、エーリキア・シャフェンシス、エーリキア・ファゴサイトフィラ・ゲノ群、エーリキア種)、コクシエラ・バーネッティCoxiella burnetii、リーシュマニア種、トキソプラズマ・ゴンジイ、トリパノソーマ・クルージ、ヒストプラズマ種、野兎病菌Francisella tularensis、ならびにウイルス、例えばC型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ピコルナウイルス、例えばコクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ヘルペスウイルス、例えばエプスタイン・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、水痘帯状疱疹ウイルス、ヘパドナウイルス、例えばB型肝炎ウイルス、フラビウイルス、例えばC型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、レトロウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)、オルトミクソウイルス、例えばインフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、例えば麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス属、例えばパピローマウイルス、ラブドウイルス、例えば狂犬病ウイルス、トガウイルス、例えば風疹ウイルス、ならびにその他のウイルス、例えばワクシニアウイルス、アビポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、修飾ワクシニアウイルスアンカラ株、セムリキ森林ウイルス、天然痘ウイルスおよびコロナウイルスからなる病原体の群から得られる抗原、あるいは前記抗原のいずれかの少なくとも1つの抗原性部分またはT細胞エピトープから選択される。
種々の実施形態において、ヒト型結核菌抗原は、早期分泌抗原標的(ESAT)−6、Ag85A、Ag85B(MPT59)、Ag85B、Ag85C、MPT32、MPT51、MPT59、MPT63、MPT64、MPT83、MPB5、MPB59、MPB64、MTC28、Mtb2、Mtb8.4、Mtb9.9、Mtb32A、Mtb39、Mtb41、TB10.4、TB10C、TB11B、TB12.5、TB13A、TB14、TB15、TB15A、TB16、TB16A、TB17、TB18、TB21、TB20.6、TB24、TB27B、TB32、TB32A、TB33、TB38、TB40.8、TB51、TB54、TB64、CFP6、CFP7、CFP7A、CFP7B、CFP8A、CFP8B、CFP9、CFP10、CFP11、CFP16、CFP17、CFP19、CFP19A、CFP19B、CFP20、CFP21、CFP22、CFP22A、CFP23、CFP23A、CFP23B、CFP25、CFP25A、CFP27、CFP28、CFP28B、CFP29、CFP30A、CFP30B、CFP50、CWP32、hspX(アルファ−結晶)、APA、ツベルクリン精製タンパク質誘導体(PPD)、ST−CF、PPE68、LppX、PstS−1、PstS−2、PstS−3、HBHA、GroEL、GroEL2、GrpES、LHP、19kDa リポタンパク質、71kDa、RD1−ORF2、RD1−ORF3、RD1−ORF4、RD1−ORF5、RD1−ORF8、RD1−ORF9A、RD1−ORF9B、Rv1984c、Rv0577、Rv1827、BfrB、Tpx. Rv1352、Rv1810、PpiA、Cut2、FbpB、FbpA、FbpC、DnaK、FecB、Ssb、RplL、FixA、FixB、AhpC2、Rv2626c、Rv1211、Mdh、Rv1626、Adk、ClpP、SucD(Belisle et al、2005;US 7,037,510;US 2004/0057963;US 2008/0199493; US 2008/0267990)、あるいは前記抗原のいずれかの少なくとも1つの抗原性部分またはT細胞エピトープからなる群から選択される。
一例では、ヒト型結核菌抗原は、早期分泌抗原標的(ESAT)−6、Ag85A、ESAT−6の少なくとも1つの抗原性部分、Ag85Aの少なくとも1つの抗原性部分、または例えばESAT−6およびAg85Aの両方といったような2つ以上のその任意の組合せである。
種々の実施形態において、免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメイン、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインは、タンパク質、タンパク質断片、結合ドメイン、標的結合ドメイン、結合タンパク質、結合タンパク質断片、抗体、抗体断片、抗体重鎖、抗体軽鎖、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えばVHH)、Fab抗体断片、Fc抗体断片、Fv抗体断片、F(ab’)2抗体断片、Fab’抗体断片、一本鎖Fv(scFv)抗体断片、T細胞受容体、MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、あるいはその組合せから選択される。
例えば、種々の実施形態において、ヒト型結核菌抗原結合ドメインは、タンパク質、タンパク質断片、結合ドメイン、標的結合ドメイン、結合タンパク質、結合タンパク質断片、抗体、抗体断片、抗体重鎖、抗体軽鎖、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えばVHH)、Fab抗体断片、Fc抗体断片、Fv抗体断片、F(ab’)2抗体断片、Fab’抗体断片、一本鎖Fv(scFv)抗体断片、T細胞受容体、MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、あるいはその組合せから選択される。
種々の実施形態において、組成物は、ポリマー粒子の均質集団を含む。
種々の実施形態において、組成物は、ポリマー粒子の混合集団を含む。
免疫応答は、細胞媒介性免疫応答であるか、または体液性免疫応答であるか、または細胞媒介性免疫応答および体液性免疫応答の両方の組合せである。
例えば、免疫応答は、細胞媒介性免疫応答であって、有意の体液性応答を伴わない。例えば、免疫応答は、例えば、有意のIgA応答の非存在下での、または有意のIgE応答の非存在下での、または有意のIgG応答の非存在下での、例えば有意のIgG1応答の非存在下での、または有意のIgG2応答の非存在下での、あるいは有意のIgM応答の非存在下での、IFN−γ応答により示されるような細胞媒介性免疫応答である。
別の例では、免疫応答は、体液性応答であって、有意の細胞媒介性応答を伴わない。
本発明の主眼は、本明細書中に記載される疾患または症状の処置または防止に有効であるように免疫応答を引き出すことである、と理解されるであろう。同様に、免疫応答の性質を考えると、細胞媒介性免疫応答を引き出すことは、本発明の方法に対する被験者の応答が、実際、細胞媒介性免疫応答と体液性免疫応答の両方の組合せであり得る、といったように、体液性応答も引き出し得ると理解される。
本明細書中に開示される一連の数字(例えば、1〜10)への言及は、その範囲内のすべての有理数(例えば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)への言及も、ならびにその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば2〜8、1.5〜5.5および3.1〜4.7)も組入れ、したがって、本明細書中に明白に開示されるすべての範囲のすべての亜範囲が、それにより明白に開示される、と意図される。これらは、具体的に意図されるものの単なる例であって、列挙される最低値と最高値との間の数値の考え得るすべての組合せは、同様の方法で本出願で明白に記述されるものであるとみなされるべきである。
本発明のさらなる態様および利点は、例としてのみ示される記述を保証することから明らかになる。
特許明細書、その他の外部文書、または他の情報源に言及した本明細書において、これは、一般的に、本発明の特徴を考察するための状況を提供する目的のためである。別記しない限り、このような外部文書への言及は、このような文書またはこのような情報源が、如何なる権限においても、従来技術であるか、または当該技術分野で共通の一般的知識の一部を構成するということを容認するものではない。
本発明は、ポリマー粒子およびその使用に関する。特に本発明は、本明細書で同定されるかまたは記載されるものを含めて、病原体により引き起こされるかまたは関連する種々の疾患および症状の処置または防止における、機能性ポリマー粒子、その産生方法およびその使用に関する。
本発明の機能性ポリマー粒子は、1つ以上の表面結合融合ポリペプチドを含み得るし、ならびにポリマー粒子コア中に組入れられるかまたは吸着される1つ以上の物質、表面結合融合ポリペプチドと結合される1つ以上の物質、またはその組合せも含み得る。
1.定義
「コード領域」または「オープン・リーディング・フレーム」(ORF)という用語は、適切な調節配列の制御下で転写産物および/またはポリペプチドを産生し得るゲノムDNA配列またはcDNA配列のセンス鎖を指す。コード配列は、5’翻訳開始コドンおよび3’翻訳停止コドンの存在により同定される。遺伝子構築物中に挿入される場合、「コード配列」は、それがプロモーターおよびターミネーター配列と操作可能的に連結されると、発現され得る。
「〜を含む」という用語は、本明細書中で用いる場合、「少なくとも一部は〜からなる」ということを意味する。「〜を含む」という用語を包含する本明細書中の各記述を解釈する場合、当該用語以外の特徴、または当該用語を前置きされたものも存在し得る。
「カップリング試薬」という用語は、本明細書中で用いる場合、少なくとも1つの物質を結合するのに適している無機または有機化合物を指し、あるいは一側でカップリング試薬を、他側で少なくとも1つの物質を結合するのに適切であるさらなるカップリング試薬を指す。適切なカップリング試薬の例、ならびにそれらの使用のための例示的方法、例えば本発明の粒子または融合タンパク質の化学修飾のために適切な方法は、PCT/DE2003/002799に示されており、WO 2004/020623(Bernd Rehm)として公開されている(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
「発現構築物」という用語は、挿入ポリヌクレオチド分子を転写し、そして任意に、転写物をポリペプチドに翻訳することを可能にする素子を含む遺伝子構築物を指す。発現構築物は、典型的には、5’−3’方向に、以下の:
(1)構築物が導入されるであろう宿主細胞中で機能性であるプロモーター、
(2)発現されるべきポリヌクレオチド、および
(3)構築物が導入されるであろう宿主細胞中で機能性であるターミネーター
を含む。
本発明の発現構築物は、クローニングのために、または発現のために、複製可能ベクター中に挿入されるか、あるいは宿主ゲノム中に組み入れられる。
本発明で用いるための適合に応じ易い発現構築物の例は、PCT/DE2003/002799(WO 2004/020623(Bernd Rehm)として公開されている)およびPCT/NZ2006/000251(WO 2007/037706(Bernd Rehm)として公開されている)で提供されている(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
「ポリマー粒子を形成する」および「ポリマー粒子の形成」という用語は、本明細書中で用いる場合、本明細書中で考察されるような粒子形成タンパク質の活性を指す。
ポリペプチドの「断片」は、酵素および/または結合活性に必要とされる、および/またはポリペプチドの三次元構造を提供する一機能を実施するポリペプチドの亜配列である。
「融合ポリペプチド」という用語は、本明細書中で用いる場合、ペプチド結合によりそれぞれのアミノおよびカルボキシル残基を介して融合されて、単一連続ポリペプチドを形成する2つ以上のアミノ酸配列、例えば2つ以上のポリペプチドドメインを含むポリペプチドを指す。2つ以上のアミノ酸配列は、直接的に融合されるか、あるいは、リンカーまたはスペーサーまたは付加的ポリペプチドを介して、それらのそれぞれのアミノおよびカルボキシル末端により間接的に融合され得る、と理解されるべきである。
一実施形態では、融合ポリペプチドを含むアミノ酸配列のうちの1つは、粒子形成タンパク質を含む。
一実施形態では、融合ポリペプチドを含むアミノ酸配列のうちの1つは、ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメイン、または融合相手を含む。
「融合相手」という用語は、本明細書中で用いる場合、ポリペプチド、例えばタンパク質、タンパク質断片、結合ドメイン、標的結合ドメイン、結合タンパク質、結合タンパク質断片、抗体、抗体断片、抗体重鎖、抗体軽鎖、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えばVHH)、Fab抗体断片、Fc抗体断片、Fv抗体断片、F(ab’)2抗体断片、Fab’抗体断片、一本鎖Fv(scFv)抗体断片、抗体結合ドメイン(例えばZZドメイン)、抗原、抗原決定基、エピトープ、ハプテン、免疫原、免疫原断片、ビオチン、ビオチン誘導体、アビジン、ストレプトアビジン、基質、酵素、アブザイム、補因子、受容体、受容体断片、受容体サブユニット、受容体サブユニット断片、リガンド、阻害剤、ホルモン、レクチン、ポリヒスチジン、カップリングドメイン、DNA結合ドメイン、FLAGエピトープ、システイン残基、ライブラリーペプチド、受容体ペプチド、アフィニティー精製ペプチド、または任意の2つ以上のその任意の組合せを指す。
上記の2つ以上のポリペプチドは融合相手を形成し得る、と理解されるべきである。
一実施形態では、融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、リンカーまたはスペーサーを介して、例えば、ポリマーシンターゼ−リンカー−免疫応答を引き出し得る抗原、免疫応答を引き出し得る抗原−リンカー−ポリマーシンターゼ、またはポリマーシンターゼ−リンカー−免疫応答を引き出し得る抗原の結合ドメイン、または免疫応答を引き出し得る抗原の結合ドメイン−リンカー−ポリマーシンターゼの順序で整列される上記融合ポリペプチドのアミノ酸配列と、間接的に融合される。他の実施形態では、融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリマーシンターゼ−付加的ポリペプチド−免疫応答を引き出し得る抗原、またはポリマーシンターゼ−付加的ポリペプチド−免疫応答を引き出し得る抗原の結合ドメイン、またはポリマーシンターゼ−リンカー−免疫応答を引き出し得る抗原−付加的ポリペプチド、またはポリマーシンターゼ−リンカー−免疫応答を引き出し得る抗原の結合ドメイン−付加的ポリペプチドの順序で整列される付加的ポリペプチドを介して間接的に融合されるか、またはそれらを含む。さらにまた、ポリマーシンターゼのN末端伸長は、本明細書中で明白に意図される。
免疫応答としては、細胞媒介性および体液性免疫応答が挙げられる。
一実施形態では、融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、リンカーまたはスペーサーを介して、例えば、ポリマーシンターゼ−リンカー−ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原−リンカー−ポリマーシンターゼ、またはポリマーシンターゼ−リンカー−ヒト型結核菌抗原結合ドメイン、またはヒト型結核菌抗原結合ドメイン−リンカー−ポリマーシンターゼの順序で整列される上記融合ポリペプチドのアミノ酸配列と、間接的に融合される。他の実施形態では、融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリマーシンターゼ−付加的ポリペプチド−ヒト型結核菌抗原、またはポリマーシンターゼ−付加的ポリペプチド−ヒト型結核菌抗原結合ドメイン、またはポリマーシンターゼ−リンカー−ヒト型結核菌抗原−付加的ポリペプチド、またはポリマーシンターゼ−リンカー−ヒト型結核菌抗原結合ドメイン−付加的ポリペプチドの順序で整列される付加的ポリペプチドを介して間接的に融合されるか、またはそれらを含む。さらにまた、ポリマーシンターゼのN末端伸長は、本明細書中で明白に意図される。
本発明による融合ポリペプチドは、別のポリペプチドの配列内に挿入される1つ以上のポリペプチド配列も含み得る。例えば、プロテアーゼ認識配列のようなポリペプチド配列は、粒子結合ドメインを含むタンパク質の可変領域に挿入される。
都合よく、本発明の融合ポリペプチドは単一核酸配列によりコードされるが、この場合、核酸配列は、各々がポリペプチドまたはポリペプチドドメインをコードする少なくとも2つの亜配列を含む。ある実施形態では、少なくとも2つの亜配列は、単一オープン・リーディング・フレームを含むよう「イン・フレーム」で存在し、したがって、本明細書中で意図されるような融合ポリペプチドをコードする。他の実施形態では、少なくとも2つの亜配列は、「アウトオブ・フレーム」で存在し、そして翻訳時に融合ポリペプチドが形成されるよう、リーディングフレームにおけるシフトを促進するリボソームフレームシフト部位または他の配列により分離される。ある実施形態では少なくとも2つの亜配列が連続的である。他の実施形態では、上記のように、少なくとも2つのポリペプチドまたはポリペプチドドメインが付加的ポリペプチドを介して間接的に融合される場合、少なくとも2つの亜配列は連続的でない。
「結合ドメイン」または「結合し得るドメイン」への言及は、相補的結合対の半分を意味するよう意図され、そして上記の一覧からの結合対を含み得る。例えば、抗体−抗原、抗体−抗体結合ドメイン、ビオチン−ストレプトアビジン、受容体−リガンド、酵素−阻害剤対。標的−結合ドメインは、試料中の標的分子を結合し、例えば抗体または抗体断片である。ポリペプチド−結合ドメインは、ポリペプチドを結合し、例えば抗体または抗体断片、あるいは受容体またはシグナル伝達タンパク質からの結合ドメインである。
結合ドメインにより結合される物質の例としては、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、ポリペプチド、ポリペプチド断片、抗体、抗体断片、抗体結合ドメイン、抗原、抗原断片、抗原決定基、エピトープ、ハプテン、免疫原、免疫原断片、製薬上許容可能な活性作因、生物学的活性作因、アジュバント、または2つ以上のその任意の組合せが挙げられる。このような物質は、本発明の方法に従って分析される試料中の「標的構成成分」である。
したがって、「免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得るドメイン」および文法的等価物は、相補的結合対中の一構成成分を指すと理解されるが、この場合、他の構成成分は免疫応答を引き出し得る抗原である。
同様に、「細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得るドメイン」および文法的等価物は、相補的結合対中の一構成成分を指すと理解されるが、この場合、他の構成成分は細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原である。例えば、ヒト型結核菌抗原結合ドメインとしても言及され得るヒト型結核菌抗原を結合し得るドメインは、1つ以上のヒト型結核菌抗原を結合し得るドメインである。
したがって、「ヒト型結核菌抗原結合ドメイン」は、1つ以上のヒト型結核菌抗原を結合し得るドメインである。
「ヒト型結核菌抗原」は、本明細書中で用いる場合、ヒト型結核菌由来の抗原である。同様に、他の抗原は、それらが由来する生物体により同定される。
「免疫応答を引き出し得る抗原」という語句は、免疫系の1つ以上の作因、例えば1つ以上の抗体または1つ以上の細胞と接触される場合、免疫系の応答性を引き出すかまたは上方調節し得る、例えば1つ以上のT細胞集団を上方調節する、例えばCD8+T細胞またはCD4+T細胞の活性または数を増大するか、あるいは1つ以上のB細胞集団を上方調節する、例えば抗原に特異的な抗体を産生し得るかまたは抗原を結合し得る1つ以上のB細胞集団を上方調節する、あるいは抗体の1つ以上の集団の量または活性を増大し得る抗原を指す。
「細胞媒介性応答を引き出し得る抗原」という語句は、免疫系の1つ以上の細胞と接触される場合、免疫系の応答性を引き出すかまたは上方調節し得る、例えば1つ以上のT細胞集団を上方調節する、例えばCD8+T細胞またはCD4+T細胞の活性または数を増大し得る抗原を指す。
「遺伝子構築物」という用語は、ポリヌクレオチド分子、通常は、別のポリヌクレオチド分子(挿入ポリヌクレオチド分子)中に挿入された二本鎖DNA、例えばcDNA分子(これに限定されない)を指す。遺伝子構築物は、挿入ポリヌクレオチド分子を転写すること、任意に転写体をポリペプチドに翻訳することを可能にする必要な素子を含有する挿入ポリヌクレオチド分子は、宿主細胞に由来し、あるいは異なる細胞または生物体に由来し、および/または組換えポリヌクレオチドである。一旦、宿主細胞内に入ると、遺伝子構築物は宿主染色体DNA中に組み込まれるようになる。一例では、遺伝子構築物は、ベクターに連結される。
「宿主細胞」という用語は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または動物細胞、例えば哺乳動物宿主細胞を指し、これは、1)天然PHA粒子産生宿主細胞、または2)少なくともチオラーゼおよびレダクターゼを、そして任意にファシンをコードする核酸配列を含む発現構築物を保有する宿主細胞である。宿主細胞がポリマー粒子形成のために欠いているものを増大するためにどの遺伝子が必要であるかは、宿主細胞の遺伝子構成に、ならびにどの物質が培地中に提供されるかによって決まる。
「リンカーまたはスペーサー」という用語は、本明細書中で用いる場合、2つ以上のポリペプチド、または2つ以上のポリペプチドをコードする2つ以上の核酸配列を間接的に融合するアミノ酸またはヌクレオチド配列に関する。いくつかの実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または約100アミノ酸長またはヌクレオチド長である。他の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または約1000アミノ酸長またはヌクレオチド長である。さらに他の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、約1〜約1000アミノ酸長またはヌクレオチド長、約10〜約1000、約50〜約1000、約100〜約1000、約200〜約1000、約300〜約1000、約400〜約1000、約500〜約1000、約600〜約1000、約700〜1000、約800〜約1000、または約900〜1000アミノ酸長またはヌクレオチド長である。
一実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、制限酵素認識部位を含み得る。別の実施形態ではリンカーまたはスペーサーは、プロテアーゼ切断認識配列、例えばエンテロキナーゼ、トロンビンまたはXa因子認識配列、あるいは自己スプライシング素子、例えばインテインを含み得る。別の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する。
「混合集団」という用語は、本明細書中で用いる場合、存在物の2つ以上の集団を指し、混合集団内の存在物の各集団は、いくつかの点で混合集団内の存在物の別の集団と異なる。田と、発現構築物の混合集団に関して用いられる場合、これは、発現構築物の2つ以上の集団を指し、この場合、発現構築物の各集団は、その集団の成員によりコードされる融合ポリペプチドに関して、あるいは構築物のいくつかの他の態様、例えば構築物中に存在するプロモーターの同一性に関して異なる。代替的には、融合ポリペプチドの混合集団に関して用いられる場合、これは、融合ポリペプチドの2つ以上の集団を指し、この場合、融合ポリペプチドの各集団は、ポリペプチド、例えばポリマーシンターゼ、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原、または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメイン(集団が含有する成員)に関して異なる。例えば、結核の処置に用いる状況では、融合ポリペプチドの混合集団は、融合ポリペプチドの2つ以上の集団を指すが、この場合、融合ポリペプチドの各集団は、ポリペプチド、例えばポリマーシンターゼ、ヒト型結核菌抗原、またはヒト型結核菌抗原結合ドメイン(集団が含有する成員)に関して異なる。同様に、肝炎またはインフルエンザの状況では、融合ポリペプチドの混合集団は、融合ポリペプチドの2つ以上の集団を指し、この場合、融合ポリペプチドの各集団は、ポリペプチド、例えばポリマーシンターゼ、肝炎抗原、肝炎抗原結合ドメイン、インフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメイン(集団が含有する成員)に関して異なる。さらに、ポリマー粒子の混合集団に関して用いられる場合、これは、ポリマー粒子の2つ以上の集団を指し、この場合、ポリマー粒子の各集団は、単数または複数の融合ポリペプチド(その集団が保有する成員)に関して異なる。
「核酸」という用語は、本明細書中で用いる場合、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド塩基または天然ヌクレオチドの既知の類似体、あるいはその混合物の一本鎖または二本鎖ポリマーを指す。当該用語は、別記しない限り、特定配列、ならびにそれと相補的な配列への言及を包含する。「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書中で互換的に用いられる。
「操作可能的に連結される」は、発現されるべき配列が、プロモーター、組織特異的調節因子、一時性調節因子、エンハンサー、抑制因子およびターミネーターを包含する調節因子の制御下に置かれる、ということを意味する。
「過剰発現」という用語は、一般的に、正常または非形質転換化宿主細胞における産生のレベルを超える宿主細胞における遺伝子産物の産生を指す。「過剰発現」という用語は、メッセンジャーRNAのレベルに関連して用いられる場合、好ましくは、対照または非形質転換化細胞における宿主細胞で観察される典型的に観察されるよりも約3倍高い発現レベルを示す。さらに好ましくは、発現レベルは、対照宿主細胞または非形質転換化細胞において典型的に観察されるよりも少なくとも約5倍より高く、約10倍より高く、約15倍より高く、約20倍より高く、約25倍より高く、約30倍より高く、約35倍より高く、約40倍より高く、約45倍より高く、約50倍より高く、約55倍より高く、約60倍より高く、約65倍より高く、約70倍より高く、約75倍より高く、約80倍より高く、約85倍より高く、約90倍より高く、約95倍より高く、または約100倍より高いかまたはそれ以上である発現レベルを示す。
mRNAのレベルは、当業者に既知の多数の技法のうちのいずれか、例えばノーザンブロット分析およびRT−PCR、例えば定量的RT−PCR(これらに限定されない)を用いて測定される。
「粒子形成タンパク質」という用語は、本明細書中で用いる場合、粒子の形成に関与するタンパク質を指す。それは、例えば、ポリマーデポリメラーゼ、ポリマー調節因子、ポリマーシンターゼおよび粒子サイズ決定タンパク質を含むタンパク質の群から選択され得る。好ましくは、粒子形成タンパク質は、チオラーゼ、レダクターゼ、ポリマーシンターゼおよびファシンからなる群から選択される。粒子形成タンパク質、例えばシンターゼは、基質または基質の誘導体を重合してポリマー粒子を形成することによりポリマー粒子の形成を触媒し得る。代替的には、粒子形成タンパク質、例えばチオラーゼ、レダクターゼまたはファシンは、重合を助長することにより、ポリマー粒子の形成を促し得る。例えば、チオラーゼまたはレダクターゼは、ポリメラーゼのための適切な基質の産生を触媒し得る。ファシンは、形成されるポリマー粒子のサイズを制御し得る。好ましくは、粒子形成タンパク質は、粒子結合ドメインおよび粒子形成ドメインを含む。
本明細書中で用いる場合、「粒子形成反応混合物」という用語は、宿主細胞または発現構築物がシンターゼ触媒ドメインまたはポリマーシンターゼを含む場合は、少なくともポリマーシンターゼを指し、そして宿主細胞または発現構築物が、別の粒子形成タンパク質またはポリマーシンターゼ触媒ドメインでない粒子結合ドメインを含む場合は、その基質を指す。
「粒子サイズ決定タンパク質」は、ポリマー粒子のサイズを制御するタンパク質を指す。それは、例えば、好ましくは、ラルストニア属、アルカリゲネス属およびシュードモナス属から選択されるファシン様タンパク質のファミリーから得られ、さらに好ましくは、ラルストニア・ユートロファからのファシン遺伝子phaP、およびシュードモナス・オレオボランスからのファシン遺伝子phaFである。ファシンは、14〜28kDaの分子量を有する両親媒性タンパク質であって、これはポリマー粒子の疎水性表面としっかり結合する。それは、粒子を結合し、粒子サイズに影響を及ぼす他の宿主細胞タンパク質も含み得る。
「病原体」または「細胞内病原体」または「微生物」という用語は、その生殖周期または生活環の少なくとも一部のために、宿主細胞内に、細胞質中または空胞内に存在する任意の生物体を指す。細胞内病原体としては、ウイルス(例えばCMV、HIV)、細菌(マイコバクテリウム、リステリア、サルモネラ、赤痢菌、エルシニア、ブルセラ、バシラス、レジオネラ、リケッチア、クラミジア、クラミドフィリア、連鎖球菌、ブドウ球菌、エーリキア、フランシセラ、腸病原性大腸菌、腸出血性大腸菌)、原生動物(例えば、トキソプラズマ)、真菌および細胞内寄生生物(例えばプラスモジウム)が挙げられる。
病原体は、典型的には宿主特異性である、と理解されるであろう。したがって、本発明の方法および組成物は、特定の病原体に対して、例えば種特異的病原体に対して特定の種を免疫化するに際して修飾(使用)に応じ易い。例えば、ヒトは、病原体、例えばヒト特異的病原体、例えばマイコバクテリウム属(例えば、ウシ型結核菌、ヒト型結核菌、ライ菌、カンサシ菌、鳥結核菌、ヨーネ菌、マイコバクテリウム種)、リステリア属(例えば、リステリア・モノサイトゲネス、リステリア種)、サルモネラ属(例えば、チフス菌)、エルシニア属(例えば、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、仮性結核菌)、炭疽菌Bacillus anthracis、レジオネラ属(例えば、レジオネラ・ニューモフィラ、レジオネラ・ロングビーチェ、レジオネラ・ボゼマニ、レジオネラ種)、リケッチア属(例えば、ロッキー山紅斑熱リケッチア、リケッチア痘菌、ボタン熱菌、シベリアチックチフス菌、オーストラリアチックチフス菌、日本紅斑熱菌、アフリカダニ熱菌、発疹チフス菌、発疹熱菌、リケッチア種)、クラミジア属(肺炎クラミジア菌、クラミジア・トラコマチス、クラミジア種)、クラミドフィラ属(例えば、クラミドフィラ・シタッシ、クラミドフィラ流産菌)、連鎖球菌属(例えば、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌)、ブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌)、エーリキア属(例えば、エーリキア・シャフェンシス、エーリキア・ファゴサイトフィラ・ゲノ群、エーリキア種)、コクシエラ・バーネッティCoxiella burnetii、リーシュマニア種、トキソプラズマ・ゴンジイ、トリパノソーマ・クルージ、ヒストプラズマ種、野兎病菌Francisella tularensis、ならびにアデノウイルス、ワクシニア、アビポックス、アデノ随伴ウイルス、修飾ワクシニアウイルスアンカラ株、セムリキ森林ウイルス、天然痘ウイルスおよびヘルペスウイルスに対して免疫化される。
細胞内病原体の他の属は広範な宿主特異性を有し、例としてはブルセラ種が挙げられる。ブルセラは、グラム陰性、非自動性、非被包性球状桿菌の一属である。異なるブルセラ種の例としては、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・アボルツス(ウシ流産菌)、ブルセラ・スイス(ブタ流産菌)、ブルセラ・オビス、ブルセラ・ピンニペディアおよびブルセラ・ネオトメが挙げられる。
他の例では、非ヒト被験体は、病原体、例えば種特異性病原体に対して免疫化される。例えば、ウシ、カラスおよびヒツジ被験体は、マイコバクテリウム種、例えばウシ型結核菌、ヒト型結核菌、ライ菌、カンサシ菌、鳥結核菌、ヨーネ菌およびその他のマイコバクテリウム種に対して免疫化される。
したがって、「被験体」は、動物、例えば哺乳動物、例えば哺乳類伴侶動物またはヒトである。代表的伴侶動物としては、ネコ、ウマおよびイヌが挙げられる。代表的農耕動物としては、ウシ、ヒツジ、シカおよびブタが挙げられる。一実施形態では、ヒトは成人、小児または乳児、例えば免疫無防備状態成人、小児または乳児、あるいは病原体に対してワクチン接種された、感染したまたは曝露された、あるいは感染または曝露の危険がある成人、小児または乳児である。
「処置する」という用語およびその派生語(例えば「処置」)は、それらの最も広い考え得る状況で解釈されるべきである。当該用語は、完全回復まで被験体が処置されるということを意味すると解されるべきでない。したがって、「処置する」は、広範に、特定症状の症候または重症度の開始の改善および/または防止を包含する。
「ポリマー調節因子」は、本明細書中で用いる場合、ポリマー粒子の形成に関与する遺伝子phaA、phaBおよびphaCの転写を調節するタンパク質を指す。それは、粒子表面と結合することにより、転写調節から引き離される。このような調節因子の一例は、ラルストニア・ユートロファ YP_725943からのファシン抑制因子(phaR)であって、これはファシン様遺伝子のプロモーターと結合し、その発現生成物は、形成されるポリマー粒子のサイズを調節し、遺伝子が読取られないようにする。ファシン抑制因子は形成されるポリマー粒子の表面に結合されるため、プロモーター上のこの部位は放出され、下にある遺伝子の転写が開始し得る。「ポリマーシンターゼ」は、本明細書中で用いる場合、基質または基質の誘導体を重合して、ポリマー粒子を形成することにより、ポリマー粒子の形成を触媒し得るタンパク質を指す。一次構造、基質特異性およびサブユニット組成が異なる>45の異なる細菌からの88のPHAシンターゼ遺伝子のヌクレオチド配列が得られている(Rehm, 2007)。
ポリマーシンターゼは、ポリマーの重合ならびに粒子コアへのシンターゼタンパク質の付着を媒介するシンターゼタンパク質のC末端に少なくともシンターゼ触媒ドメインを含む。本発明に用いるためのポリマーシンターゼは、Rehm, 2003(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に詳細に記載されている。例えばポリマーシンターゼは、クラス1属 アシネトバクター属、ビブリオ属、アエロモナス属、クロモバクテリウム属、シュードモナス属、ズーグレア属、アルカリゲネス属、デルフチア属、ブルクホルデリア属、ラルストニア属、ロドコッカス属、ゴルドニア属、ロドバクター属、パラコッカス属、リケッチア属、カルロバクター属、メチロバクテリウム属、アゾリゾビウム属、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、シノリゾビウム属、リケッチア属、クレンアーケオータ属、シネコシスチス属、エコチオロドスピラ属、チオカプサ属、チオシスチス属およびアロクロマチウム属、クラス2属 ブルクホルデリア属およびシュードモナス、あるいはクラス4属 バシラス属から、さらに好ましくはクラス1 アシネトバクター種 RA3849、コレラ菌、腸炎ビブリオ、アエロモナス・プンクタータ FA440、アエロモナス・ヒドロフィラ、クロモバクテリウム・ビオラセウム、シュードモナス種 61−3、ズーグレア・ラミゲラ、アルカリゲネス・ラツス、アルカリゲネス種 SH−69、デルフチア・アシドボランス、ブルクホルデリア種 DSMZ9242、ラルストニア・ユートロフィア H16、ブルクホルデリア・セパシア、ロドコッカス・ラバー PP2、ゴルドニア・ルブリペルチンクツス、発疹チフスリケッチア 9111、アロクロマチウム・ビノスムD、チオシスチス・ビオラセア 2311、ロドバクター・スフェロイデス、脱窒菌、光合成細菌、カウロバクター・クレセンツス、メチロバクテリウム・エクストルクエンス、アゾリゾビウム・カウリノダンス、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、シノリゾビウム・メリロチ 41、ロドスピリルム・ルブルム HAおよびロドスピリルム・ルブルム ATCC25903、クラス2 ブルクホルデリア・カリオフィリ、シュードモナス・クロラフィス、シュードモナス種 61−3、シュードモナス・プチダ U、シュードモナス・オレオボランス、緑膿菌、シュードモナス・レシノボランス、シュードモナス・スタッツェリ、シュードモナス・メンドシナ、シュードモナス・シュードルカリゲネス、シュードモナス・プチダ BM01、シュードモナス・ニトロレデュッシンス、シュードモナス・クロラフィス、およびクラス4 バシラス・メガテリウムおよびバシラス種 INT005からのPHAシンターゼである。
本発明に用い易い他のポリマーシンターゼとしては、各々、その寄託番号により同定される以下の生物体からのポリマーシンターゼが挙げられる:クプリアビダス・ネカトール(AY836680)、緑膿菌(AE004091)、紅色硫黄光合成細菌(AB205104)、巨大菌Bacillus megaterium(AF109909)、ハロアルクラ・マリスモルツイ(YP137339)、シュードモナス・アウレオファシエンス(AB049413)、シュードモナス・プチダ(AF150670)、ラルストニア・ユートロファ(A34341)、チオコッカス・フェニジイ(X93599)、アエロモナス・プンクタータ(O32472)、シュードモナス種 61−3(AB014757およびAB014758)、ロドバクター・スフェロイデス(AAA72004)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(AAC69615)、アルカニボラックス・ボルクメンシス SK2(CAL17662)、アルカニボラックス・ボルクメンシス SK2(CAL16866)、ロドバクター・スフェロイデス KD131(ACM01571およびYP002526072)、ロドコッカス・オパクス B4(BAH51880およびYP002780825)、ブルクホルデリア・マルチボランス ATCC 17616(YP001946215およびBAG43679)、アルカニボラックス・ボルクメンシス SK2(YP693934およびYP693138)、ロドスピリルム・ルブルム(AAD53179)、ガンマプロテオバクテリア HTCC5015(ZP05061661およびEDY86606)、アゾアルクス種 BH72(YP932525)、クロモバクテリウム・ビオラセウム ATCC 12472(NP902459)、リムノバクター種 MED105(ZP01915838およびEDM82867)、マリノバクター・アルギコーラ DG893(ZP01895922およびEDM46004)、ロドバクター・スフェロイデス(CAA65833)、クロモバクテリウム・ビオラセウム ATCC 12472(AAQ60457)、アルカリゲネス・ラツス(AAD10274、AAD01209およびAAC83658)、ステノトロホモナス・マルトフィリア K279a(CAQ46418およびYP001972712)、ラルストニア・ソラナセラム IPO1609(CAQ59975およびYP002258080)、ブルクホルデリア・マルチボランス ATCC 17616(YP001941448およびBAG47458)、シュードモナス種 gl13(ACJ02400)、シュードモナス種 gl06(ACJ02399)、シュードモナス種 gl01(ACJ02398)、R.種 gl32(ACJ02397)、リゾビウム・レグミノサルム bv.ビシアエ 3841(CAK10329およびYP770390)、アゾアルクス種 BH72(CAL93638)、シュードモナス種 LDC−5(AAV36510)、ルチエラ・ニトロフェルム 2002(ZP03698179)、サウエラ種 MZ1T(YP002890098およびACR01721)、メチロバクテリウム・ラジオトレランス JCM 2831(YP001755078およびACB24395)、メチロバクテリウム種 4−46(YP001767769およびACA15335)、ルチエラ・ニトロフェルム 2002(EEG08921)、脱窒菌(BAA77257)、マグネトスピリルム・グリフィスワルデンス(ABG23018)、シュードモナス種 USM4−55(ABX64435およびABX64434)、アエロモナス・ヒドロフィラ(AAT77261およびAAT77258)、バシラス種 INT005(BAC45232およびBAC45230)、シュードモナス・プチダ(AAM63409およびAAM63407)、ゴルドニア・ルブリペルチンクツス(AAB94058)、巨大菌(AAD05260)、デルフチア・アシドボランス(BAA33155)、パラコッカス・セリニフィルス(ACM68662)、シュードモナス種 14−3(CAK18904)、シュードモナス種 LDC−5(AAX18690)、シュードモナス種 PC17(ABV25706)、シュードモナス種 3Y2(AAV35431、AAV35429およびAAV35426)、シュードモナス・メンドシナ(AAM10546およびAAM10544)、シュードモナス・ニトロレデュッシンス(AAK19608)、シュードモナス・シュードアルカリゲネス(AAK19605)、シュードモナス・レシノボランス(AAD26367およびAAD26365)、シュードモナス種 USM7−7(ACM90523およびACM90522)、シュードモナス・フルオレッセンス(AAP58480)、ならびにその他の非培養細菌(BAE02881、BAE02880、BAE02879、BAE02878、BAE02877、BAE02876、BAE02875、BAE02874、BAE02873、BAE02872、BAE02871、BAE02870、BAE02869、BAE02868、BAE02867、BAE0286、BAE02865、BAE02864、BAE02863、BAE02862、BAE02861、BAE02860、BAE02859、BAE02858、BAE02857、BAE07146、BAE07145、BAE07144、BAE07143、BAE07142、BAE07141、BAE07140、BAE07139、BAE07138、BAE07137、BAE07136、BAE07135、BAE07134、BAE07133、BAE07132、BAE07131、BAE07130、BAE07129、BAE07128、BAE07127、BAE07126、BAE07125、BAE07124、BAE07123、BAE07122、BAE07121、BAE07120、BAE07119、BAE07118、BAE07117、BAE07116、BAE07115、BAE07114、BAE07113、BAE07112、BAE07111、BAE07110、BAE07109、BAE07108、BAE07107、BAE07106、BAE07105、BAE07104、BAE07103、BAE07102、BAE07101、BAE07100、BAE07099、BAE07098、BAE07097、BAE07096、BAE07095、BAE07094、BAE07093、BAE07092、BAE07091、BAE07090、BAE07089、BAE07088、BAE07053、BAE07052、BAE07051、BAE07050、BAE07049、BAE07048、BAE07047、BAE07046、BAE07045、BAE07044、BAE07043、BAE07042、BAE07041、BAE07040、BAE07039、BAE07038、BAE07037、BAE07036、BAE07035、BAE07034、BAE07033、BAE07032、BAE07031、BAE07030、BAE07029、BAE07028、BAE07027、BAE07026、BAE07025、BAE07024、BAE07023、BAE07022、BAE07021、BAE07020、BAE07019、BAE07018、BAE07017、BAE07016、BAE07015、BAE07014、BAE07013、BAE07012、BAE07011、BAE07010、BAE07009、BAE07008、BAE07007、BAE07006、BAE07005、BAE07004、BAE07003、BAE07002、BAE07001、BAE07000、BAE06999、BAE06998、BAE06997、BAE06996、BAE06995、BAE06994、BAE06993、BAE06992、BAE06991、BAE06990、BAE06989、BAE06988、BAE06987、BAE06986、BAE06985、BAE06984、BAE06983、BAE06982、BAE06981、BAE06980、BAE06979、BAE06978、BAE06977、BAE06976、BAE06975、BAE06974、BAE06973、BAE06972、BAE06971、BAE06970、BAE06969、BAE06968、BAE06967、BAE06966、BAE06965、BAE06964、BAE06963、BAE06962、BAE06961、BAE06960、BAE06959、BAE06958、BAE06957、BAE06956、BAE06955、BAE06954、BAE06953、BAE06952、BAE06951、BAE06950、BAE06949、BAE06948、BAE06947、BAE06946、BAE06945、BAE06944、BAE06943、BAE06942、BAE06941、BAE06940、BAE06939、BAE06938、BAE06937、BAE06936、BAE06935、BAE06934、BAE06933、BAE06932、BAE06931、BAE06930、BAE06929、BAE06928、BAE06927、BAE06926、BAE06925、BAE06924、BAE06923、BAE06922、BAE06921、BAE06920、BAE06919、BAE06918、BAE06917、BAE06916、BAE06915、BAE06914、BAE06913、BAE06912、BAE06911、BAE06910、BAE06909、BAE06908、BAE06907、BAE06906、BAE06905、BAE06904、BAE06903、BAE06902、BAE06901、BAE06900、BAE06899、BAE06898、BAE06897、BAE06896、BAE06895、BAE06894、BAE06893、BAE06892、BAE06891、BAE06890、BAE06889、BAE06888、BAE06887、BAE06886、BAE06885、BAE06884、BAE06883、BAE06882、BAE06881、BAE06880、BAE06879、BAE06878、BAE06877、BAE06876、BAE06875、BAE06874、BAE06873、BAE06872、BAE06871、BAE06870、BAE06869、BAE06868、BAE06867、BAE06866、BAE06865、BAE06864、BAE06863、BAE06862、BAE06861、BAE06860、BAE06859、BAE06858、BAE06857、BAE06856、BAE06855、BAE06854、BAE06853 and BAE06852)。
PHAシンターゼタンパク質のN末端断片(ほぼアミノ酸1〜200、または1〜150、または1〜100)は、高度に可変性であり、いくつかの例では、欠失されるか、あるいは抗原、抗原結合ドメインまたは別の融合相手により置き換えられ、酵素を不活性することはなく、またはポリマー粒子結合ドメイン(即ち、C末端断片)を介したポリマーコアとのシンターゼの共有結合を防止することはない。シンターゼを結合し得るポリマー粒子結合ドメインは、ポリマーコアの重合およびポリマー粒子の形成を媒介するシンターゼタンパク質の少なくとも触媒ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、PHAシンターゼタンパク質のC末端断片は、修飾され、部分的に欠失され、または免疫応答を引き出し得る抗原、免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメイン、または別の融合相手により置き換えられ、酵素を不活性化すくことなく、あるいはポリマー粒子とのシンターゼの共有結合を防止することはない。
ある場合には、免疫応答を引き出し得る抗原、免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメイン、または別の融合相手は、酵素を不活性化すくことなく、あるいはポリマー粒子とのシンターゼの共有結合を防止することなく、PHAシンターゼタンパク質のN末端またはC末端と融合される。同様に、他の場合には、免疫応答を引き出し得る抗原、免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメイン、または別の融合相手は、PHAシンターゼタンパク質内に、または実際には粒子形成タンパク質内に挿入される。PhaC融合の例は、当該技術分野で既知であり、本明細書中に示されている。
一例では、PHAシンターゼタンパク質のN末端断片(ほぼアミノ酸1〜200、または1〜150、または1〜100)は、高度に可変性であり、欠失されるか、あるいはヒト型結核菌抗原、ヒト型結核菌抗原結合ドメイン、肝炎抗原、肝炎抗原結合ドメイン、インフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメイン、または別の融合相手により置き換えられ、酵素を不活性することはなく、またはポリマー粒子結合ドメイン(即ち、C末端断片(このドメインは疎水性相互作用により結合する))を介したポリマー粒子とのシンターゼの共有結合(共有結合は、初期のポリエステルが突き出る活性部位により起きる)を防止することはない。シンターゼのポリマー粒子結合ドメインは、ポリマー粒子の重合およびポリマー粒子の形成を媒介するシンターゼタンパク質の少なくとも触媒ドメインを含む。
PHAシンターゼタンパク質のC末端断片は、修飾され、部分的に欠失され、または、例えばヒト型結核菌抗原、ヒト型結核菌抗原結合ドメイン、肝炎抗原、肝炎抗原結合ドメイン、インフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメイン、または別の融合相手により部分的に置き換えられ、酵素を不活性化すくことなく、あるいはポリマー粒子とのシンターゼの共有結合を防止することもない。
ある場合には、ヒト型結核菌抗原、ヒト型結核菌抗原結合ドメイン、肝炎抗原、肝炎抗原結合ドメイン、インフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメイン、または別の融合相手は、酵素を不活性化すくことなく、あるいはポリマー粒子とのシンターゼの共有結合を防止することなく、PHAシンターゼタンパク質のN末端またはC末端と融合される。同様に、他の場合には、ヒト型結核菌抗原、ヒト型結核菌抗原結合ドメイン、肝炎抗原、肝炎抗原結合ドメイン、インフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメイン、または別の融合相手は、PHAシンターゼタンパク質内に、または実際には粒子形成タンパク質内に挿入される。PhaC融合の例は、当該技術分野で既知であり、本明細書中に示されている。
「ポリマーデポリメラーゼ」は、本明細書中で用いる場合、存在するポリマー、例えばポリマー粒子中に見出されるものを、水溶性モノマーまたはオリゴマーに加水分解し得るタンパク質を指す。ポリマーデポリメラーゼの例は、広範な種々のPHA分解細菌および真菌中に生じ、例えば、パウシモナス・レモイグネイからのPhaZ1〜PhaZ7細胞外デポリメラーゼ、アシドボラックス種、アルカリゲネス・フェカリス(AE122およびT1株)、デルフチア(コマモナス)・アシドボランスYM1069株、コマモナス・テストステロニ、コマモナス種、レプトトリックス種 HS株、シュードモナス種 GM101株(寄託番号AF293347)、シュードモナス・フルオレッセンス GK13株、シュードモナス・スツッツェリ、ラルストニア・ピケッティ(A1およびK1株、寄託番号JO4223、D25315)、ストレプトミセス・エクスフォリアツス K10およびストレプトミセス・ヒグロスコピクスからのPhaZデポリメラーゼが挙げられる(Jendrossek D., and Handrick, R., Microbial Degredation of Polyhydroxyalkanoates, Annual Review of Microbiology, 2002, 56: 403-32参照)。
「ポリペプチド」という用語は、本明細書中で用いる場合、任意長のアミノ酸鎖、しかし好ましくは少なくとも5アミノ酸(全長タンパク質を含む)を包含し、この場合、アミノ酸残基は共有ペプチド結合により連結される。本発明のポリペプチドは、精製天然産物であるか、あるいは、一部または全部が、組換えまたは合成技法を用いて産生される。当該用語は、ポリペプチド、ポリペプチドの集合体、例えば二量体または他の多量体、融合ポリペプチド、ポリペプチド変異体またはその誘導体を指すこともある。
「プロモーター」という用語は、遺伝子転写を調節するコード領域の上流の非転写シス調節因子を指す。プロモーターは、転写開始部位および保存ボックス、例えばTATAボックス、ならびに転写因子により結合されるモチーフを特定するシス−イニシエーター因子を含む。
「ターミネーター」という用語は、転写を終結する配列を指し、これは、翻訳配列の下流の遺伝子の3’非翻訳末端に見出される。ターミネーターは、mRNA安定性の重要な決定因子であり、いくつかの場合には、空間的調節機能を有することが見出されている。
「物質」という用語は、ポリマー粒子に結合されるか、またはポリマー粒子中に吸収されるかまたはポリマー粒子内に組入れられることに関連して言及される場合、融合相手により結合される物質、あるいはポリマー粒子中に吸収されるかまたはポリマー粒子内に組入れられ得る物質を意味するよう意図される。
「変異体」という用語は、本明細書中で用いる場合、特定的に同定される配列とは異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を指し、この場合、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が欠失され、置換されまたは付加される。変異体は、天然対立遺伝子変異体または非天然変異体である。変異体は、同一種または他の種からであり、そしてホモログ、パラログおよびオルソログを包含し得る。ある実施形態では、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変異体は、野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのものと同一であるかまたは類似する生物学的活性を保有する。「変異体」という用語は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関しては、本明細書中で定義されるようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドのすべての型を包含する。
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド変異体
「ポリヌクレオチド(単数または複数)」という用語は、本明細書中で用いる場合、任意長の、しかし好ましくは少なくとも15ヌクレオチドの一本鎖または二本鎖デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを意味し、例としては、遺伝子のコードおよび非コード配列、センスおよびアンチセンス配列相補体、エキソン、イントロン、ゲノムDNA、cDNA、プレmRNA、mRNA、rRNA、siRNA、miRNA、tRNA、リボザイム、組換えポリペプチド、単離および精製天然DNAまたはRNA配列、合成RNAおよびDNA配列、核酸プローブ、プライマーおよび断片が挙げられるが、これらに限定されない。多数の核酸類似体は当該技術分野で周知であり、これらも意図される。
本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列の「断片」は、好ましくは少なくとも15ヌクレオチド長である連続ヌクレオチドの亜配列である。本発明の断片は、好ましくは、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも20ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも40ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも60連続ヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチド配列の断片は、アンチセンス、遺伝子サイレンシング、三重らせんまたはリボザイム技術で、あるいはプライマー、プローブとして用いられ得るし、マイクロアレイ中に含まれ得るし、あるいはポリヌクレオチドベースの選択方法で用いられ得る。
「断片」という用語は、プロモーターポリヌクレオチド配列に関しては、断片が操作可能的に連結されるポリヌクレオチド配列の発現を調節し得るプロモーターポリヌクレオチド配列のシス因子および領域を含む配列を包含するよう意図される。
好ましくは、本発明のプロモーターポリヌクレオチド配列の断片は、本発明のプロモーターポリヌクレオチドの少なくとも20、さらに好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、さらに好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも200、さらに好ましくは少なくとも300、さらに好ましくは少なくとも400、さらに好ましくは少なくとも500、さらに好ましくは少なくとも600、さらに好ましくは少なくとも700、さらに好ましくは少なくとも800、さらに好ましくは少なくとも900、さらに好ましくは少なくとも1000連続ヌクレオチドを含む。
「プライマー」という用語は、鋳型とハイブリダイズされ、鋳型と相補的なポリヌクレオチドの重合を起動するために用いられる、通常は遊離3’OH基を有する短いポリヌクレオチドを指す。このようなプライマーは、好ましくは、少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも6、されに好ましくは少なくとも7、さらに好ましくは少なくとも9、さらに好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも11、さらに好ましくは少なくとも12、さらに好ましくは少なくとも13、さらに好ましくは少なくとも14、さらに好ましくは少なくとも15、さらに好ましくは少なくとも16、さらに好ましくは少なくとも17、さらに好ましくは少なくとも18、さらに好ましくは少なくとも19、さらに好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長である。
「プローブ」という用語は、ハイブリダイゼーションベースの検定において、プローブと相補的であるポリヌクレオチド配列を検出するために用いられる短いポリヌクレオチドを指す。プローブは、本明細書中で定義されるようなポリヌクレオチドの「断片」からなる。好ましくは、このようなプローブは、少なくとも5、さらに好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも20、さらに好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも40、さらに好ましくは少なくとも50、さらに好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも200、さらに好ましくは少なくとも300、さらに好ましくは少なくとも400、最も好ましくは少なくとも500ヌクレオチド長である。
「変異体」という用語は、本明細書中で用いる場合、特定的に同定される配列とは異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を指し、この場合、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が欠失され、置換されまたは付加される。変異体は、天然対立遺伝子変異体または非天然変異体である。変異体は、同一種または他の種からであり、そしてホモログ、パラログおよびオルソログを包含し得る。ある実施形態では、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変異体は、野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのものと同一であるかまたは類似する生物学的活性を保有する。「変異体」という用語は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関しては、本明細書中で定義されるようなポリヌクレオチドおよびポリペプチドのすべての型を包含する。
ポリヌクレオチド変異体
変異体ポリヌクレオチド配列は、好ましくは、特定ポリヌクレオチド配列と少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性を示す。同一性は、少なくとも20ヌクレオチド位置、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド位置、少なくとも100ヌクレオチド位置の比較ウインドウに亘って、あるいは特定ポリヌクレオチド配列の全長に亘って見出される。
ポリヌクレオチド配列同一性は、以下のようにして決定され得る。被験体ポリヌクレオチド配列は、BLASTN(プログラムのBLAST組、バージョン2.2.10[Oct 2004]から)を用いて、bl2seq(Tatiana A. Tatusova, Thomas L. Madden (1999), "Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences", FEMS Microbiol Lett. 174:247-250)(これは、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)から公的に利用可能である)で、候補ポリヌクレオチド配列と比較される。bl2seqのデフォルトパラメーターが利用されるが、但し、低複雑性部分のフィルタリングは止められるべきである。
ポリヌクレオチド配列の同一性は、以下のunixコマンド行パラメーターを用いて調べられ得る:
bl2seq -i nucleotideseq1 -j nucleotideseq2 -F F -p blastn
パラメーター −FFは、低複雑性区分のフィルタリングを止める。パラメーター −pは、配列の対に関する適切なアルゴリズムを選択する。bl2seqプログラムは、行「同一性=」における同一ヌクレオチドの数およびパーセンテージの両方として配列同一性を報告する。
ポリヌクレオチド配列同一性は、全体的配列アラインメントプログラム(例えば、Needleman, S. B. and Wunsch, C. D. (1970) J. Mol. Biol. 48, 443-453)を用いて、候補および被験体ポリヌクレオチド配列間の重複の全長に亘っても算定され得る。Needleman-Wunsch全体的アラインメントアルゴリズムの完全履行は、EMBOSSパッケージ(Rice,P. Longden,I. and Bleasby,A. EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Trends in Genetics June 2000, vol 16, No 6. pp.276-277)(これは、http://www.hgmp.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/から利用可能)におけるニードルプログラムに見出される。欧州バイオインフォーマティクス研究所のサーバーも、http:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/でのライン上の2つの配列間のEMBOSS−ニードル全体的アラインメントを実施するための設備を提供する。
代替的には、末端ギャップにペナルティを課すことなく、2つの配列の最適全体的アラインメントを計算するGAPプログラムが用いられ得る。GAPは、以下の論文に記載されている:Huang, X. (1994) On Global Sequence Alignment. Computer Applications in the Biosciences 10, 227-235。
本発明のポリヌクレオチド変異体は、その配列の機能的等価物を保存すると思われる特定的に同定される配列のうちの1つ以上との類似性を示すもの、そして無作為見込みにより生じたと合理的に予測され得ないものも包含する。ポリペプチドに関するこのような配列類似性は、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)からのプログラムのBLAST組(バージョン2.2.10[Oct 2004])からの公的に利用可能なbl2seqプログラムを用いて決定する。
ポリヌクレオチド配列の類似性は、以下のunixコマンド行パラメーターを用いて調べられ得る:
bl2seq -i nucleotideseq1 -j nucleotideseq2 -F F -p tblastx
パラメーター −FFは、低複雑性区分のフィルタリングを止める。パラメーター −pは、配列の対に関する適切なアルゴリズムを選択する。このプログラムは、配列間の類似性の領域を見出し、各々のこのような領域に関して、「E値」(これは、無作為配列を含有する固定参照サイズのデータベースにおいて偶然このような整合を観察すると予測され得る予測回数である)を報告する。このデータベースのサイズは、bl2seqプログラムにおけるデフォルトにより設定される。1よりはるかに低い小E値に関しては、E値はこのような無作為整合のおよその確率である。
変異体ポリヌクレオチド配列は、好ましくは、特定的に同定される配列のいずれか1つと比較した場合、1x10−10未満、さらに好ましくは1x10−20未満、1x10−30未満、1x10−40未満、1x10−50未満、1x10−60未満、1x10−70未満、1x10−80未満、1x10−90未満、1x10−100未満、1x10−110未満、1x10−120未満または1x10−123未満のE値を示す。
代替的には、本発明の変異体ポリヌクレオチドは、緊縮条件下で、特定ポリヌクレオチド配列またはその相補体とハイブリダイズする。
「緊縮条件下でハイブリダイズする」という用語およびその文法的等価物は、温度および塩濃度の限定条件下で、標的ポリヌクレオチド分子(例えば、DNAまたはRNAブロット、例えばサザンブロットまたはノーザンブロット上に固定化される標的ポリヌクレオチド分子)とハイブリダイズするポリヌクレオチド分子の能力を指す。緊縮ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする能力は、低緊縮条件下で最初にハイブリダイズし、次いで、所望の緊縮度に緊縮性を増大することにより決定され得る。
約100塩基長より大きいポリヌクレオチド分子に関しては、典型的緊縮ハイブリダイゼーション条件は、ネイティブ二重鎖の融点(Tm)よりせいぜい25〜30℃(例えば10℃)低い(一般的に、Sambrook et al., Eds, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press;Ausubel et al., 1987, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing参照)。約100塩基より大きいポリヌクレオチド分子に関するTmは、式 Tm=81.5+0.41%(G+C−log(Na+)により算定される(Sambrook et al., Eds, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press;Bolton and McCarthy, 1962, PNAS 84:1390)。100塩基長より大きいポリヌクレオチドに関する典型的緊縮条件は、6XSSC、0.2%SDSの溶液中での予備洗浄;65°C、6XSSC、0.2%SDSで一晩ハイブリダイゼーション;その後、1XSSC、0.1%SDS中で65°Cで、各々30分間、2回洗浄、そして0.2XSSC、0.1%SDS中で、65°Cで各々30分間、2回洗浄といったようなハイブリダイゼーション条件であろう。
100塩基未満の長さを有するポリヌクレオチド分子に関しては、例示的緊縮ハイブリダイゼーション条件は、融点より5〜10℃低い。平均で、100bp未満長のポリヌクレオチドのTmは、約(500/オリゴヌクレオチド長)℃だけ低減される。
ペプチド核酸(PNA)として既知のDNA模倣物(Nielsen et al., Science. 1991 Dec 6;254(5037):1497-500)に関しては、Tm値は、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリッドに関する値より高く、Giesen et al., Nucleic Acids Res. 1998 Nov 1;26(21):5004-6に記載された式を用いて算定され得る。100塩基未満の長さを有するDNA−PNAハイブリッドに関する例示的緊縮ハイブリダイゼーション条件は、Tmより5〜10℃低い。
本発明の変異体ポリヌクレオチドは、本発明の配列と異なるが、しかし遺伝子コードの縮重の結果として、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと類似の活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも包含する。ポリペプチドのアミノ酸配列を変えない配列変更は、「サイレント変異」である。ATG(メチオニン)およびTGG(トリプトファン)を除いて、いくつかの例では、同一アミノ酸に関する他のコドンは、当該技術分野で認識された技法により、例えば特定の宿主生物におけるコドン発現を最適化するよう変えられる。
その生物学的活性を有意に変更することなくコードポリペプチド配列中の1つまたは数個のアミノ酸の保存的置換を生じるポリヌクレオチド配列変更も、本発明に包含される。表現型的サイレントアミノ酸置換の作製方法を、当業者は承知している(例えばBowie et al., 1990, Science 247, 1306参照)。
コード化ポリペプチド配列におけるサイレント変異および保存的置換による変異体ポリヌクレオチドは、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)からのプログラムのBLAST組(バージョン2.2.10[Oct 2004])からの公的に利用可能なbl2seqプログラムを用いて決定し得る。
ポリペプチド変異体
「変異体」という用語は、ポリペプチドに関しては、天然、組換えおよび合成的産生ポリペプチドを包含する。変異体ポリペプチド配列は、好ましくは、本発明の配列と少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性を示す。同一性は、少なくとも20アミノ酸位置、好ましくは少なくとも50アミノ酸位置、少なくとも100アミノ酸位置の比較ウインドウに亘って、あるいは本発明のポリペプチドの全長に亘って見出される。
ポリペプチド配列同一性は、以下のようにして決定され得る。被験体ポリペプチド配列は、BLASTP(プログラムのBLAST組、バージョン2.2.10[Oct 2004]から)を用いて、bl2seq(これは、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)から公的に利用可能である)で、候補ポリペプチド配列と比較される。bl2seqのデフォルトパラメーターが利用されるが、但し、低複雑性部分のフィルタリングは止められるべきである。
ポリペプチド配列同一性は、全体的配列アラインメントプログラムを用いて、候補および被験体ポリヌクレオチド配列間の重複の全長に亘っても算定され得る。上記のようなEMBOSSニードル(http:/www.ebi.ac.uk/emboss/align/から利用可能)およびGAP(Huang, X. (1994) On Global Sequence Alignment. Computer Applications in the Biosciences 10, 227-235)は、ポリペプチド配列同一性を算定するための適切な全体的配列アラインメントプログラムでもある。
本発明のポリペプチド変異体は、その配列の機能的等価物を保存すると思われる特定的に同定される配列のうちの1つ以上との類似性を示すもの、そして無作為見込みにより生じたと合理的に予測され得ないものも包含する。ポリペプチドに関するこのような配列類似性は、NCBI(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)からのプログラムのBLAST組(バージョン2.2.10[Oct 2004])からの公的に利用可能なbl2seqプログラムを用いて決定し得る。ポリペプチド配列の類似性は、以下のunixコマンド行パラメーターを用いて調べられ得る:
bl2seq -i peptideseq1 -j peptideseq2 -F F -p blastp
変異体ポリペプチド配列は、好ましくは、特定的に同定される配列のいずれか1つと比較した場合、1x10−10未満、さらに好ましくは1x10−20未満、1x10−30未満、1x10−40未満、1x10−50未満、1x10−60未満、1x10−70未満、1x10−80未満、1x10−90未満、1x10−100未満、1x10−110未満、1x10−120未満または1x10−123未満のE値を示す。
パラメーター −FFは、低複雑性区分のフィルタリングを止める。パラメーター −pは、配列の対に関する適切なアルゴリズムを選択する。このプログラムは、配列間の類似性の領域を見出し、各々のこのような領域に関して、「E値」(これは、無作為配列を含有する固定参照サイズのデータベースにおいて偶然このような整合を観察すると予測され得る予測回数である)を報告する。1よりはるかに低い小E値に関しては、これはこのような無作為整合のおよその確率である。
その生物学的活性を有意に変更することなく記載されたポリペプチド配列の1つまたは数個のアミノ酸の保存的置換も、本発明に包含される。表現型的サイレントアミノ酸置換の作製方法を、当業者は承知している(例えばBowie et al., 1990, Science 247, 1306参照)。
本発明のポリペプチド変異体は、ポリペプチドをコードする拡散から産生されるが、しかしそれが、変更されたアミノ酸配列を有するよう異なって産生されるという点で野生型ポリペプチドと異なるものも包含する。例えば、変異体は、野生型ポリペプチドを産生するものに対して代替的な一次RNA転写物スプライシングパターンにより産生される。
「ベクター」という用語は、宿主細胞中に遺伝子構築物を運搬するために用いられる、通常は二本鎖のDNAであるポリヌクレオチド分子を指す。ある例では、ベクターは、少なくとも1つの付加的宿主系、例えば大腸菌中での複製が可能である。
2.病原体
本発明のポリマー粒子、方法および組成物は、一部は、細胞内病原体を含めた病原体により引き起こされる疾患の防止または処置に関する、と理解される。したがって、細胞内病原体由来の抗原は、本発明において用い易く、当業者により選択され得る。代表的細胞内病原体は、以下でさらに詳細に記載されるが、しかし、本発明は、例えば、標的細胞内病原体からの1つ以上の抗原、あるいは標的細胞内病原体からの抗原を結合し得る1つ以上の結合ドメインを選択することにより、本明細書中に記載される方法に従って、細胞内病原体に関連した任意の疾患または症状の処置または防止における用途を有する、と当業者は理解する。
マイコバクテリウムは、放線菌綱の一属である。この属は、哺乳動物における重篤な疾患、例えば結核およびハンセン病を引き起こすことが知られている病原体を含む。病原体種の例としては、ヒト型結核菌、ウシ型結核菌、マイコバクテリウム・アフリカナム、ネズミ型結核菌、ライ菌(ハンセン病)、ヨーネ菌(ヒトにおけるクローン病および羊におけるジョンズ病に関連)が挙げられる。
リステリア種は、グラム陽性桿菌である。この属の最も既知の病原体は、リステリア・モノサイトゲネスであって、リステリア症の原因作因である。リステリア・イバノビは反芻動物の病原体であって、稀にヒト疾患の原因であるに過ぎない。
赤痢菌属は、大腸菌およびサルモネラ属に密接に関連するグラム陰性、非胞子形成棒形細菌の一属である。赤痢菌属は、ヒト赤痢(下痢)の原因作因であって、霊長類にのみ感染するが、他の哺乳動物には感染しない。
エルシニア属は、グラム陰性、棒形細菌である。具体的ヒト病原体としては、エルシニア・エンテロコリチカ(エルシニア症を引き起こす)、ペスト菌(ペストの原因作因)、および最小一般病原体である仮性結核菌が挙げられる。エルシニア属は、反応性関節炎の病因の1つとして包含される。
ブルセラ属は、グラム陰性、非自動性、非被包性球状桿菌の一属である。ブルセラ属は、ブルセラ症の病因である。異なるブルセラ種の例としては、ブルセラ・メリテンシスおよびブルセラ・オビス(ヒツジ種に感染する)、ブルセラ・アボルツス(畜牛に感染する)、ブルセラ・スイス(ブタ種に感染する)、ブルセラ・ピンニペディア(海洋哺乳動物から単離)およびブルセラ・ネオトメが挙げられる。ヒトは、典型的には、感染動物(ヒツジ、畜牛またはブタ)からの、または非殺菌ミルクおよびチーズのような食品から抽出される流体と接触することにより感染するようになる。
レジオネラ属は、グラム陰性細菌である。最も顕著な種であるレジオネラ・ニューモフィラは、レジオネラ症またはレジオネラ病を引き起こす。
リケッチア属は、自動性、グラム陰性、非胞子形成細菌の一属である。リケッチア種は、多数のダニ、ノミおよびシラミにより寄生生物として保有されて、ロッキー山紅斑熱(R. rickettsii)、リケッチア痘(R. akari)、ボタン熱(R. conorii)、シベリアチックチフス(R. siberica)、オーストラリアチックチフス(R. australis)、日本紅斑熱(R. japonica)、アフリカダニ熱(R. africae)、発疹チフス(R. prowazekii)、および発疹熱(R. typhi)のような疾患を引き起こす。
サルモネラ属は、棒形、グラム陰性、非胞子形成、自動性腸内細菌の一属であって、ヒトおよび多数の動物における疾病、例えば腸チフス、パラチフス熱およびサルモネラ症を引き起こす。
クラミジア属は、ヒト病原体クラミジア・トラコマチスを含む細菌の一属を指す。クラミドフィラ属は関連細菌であって、ヒト病原体クラミドフィラ・ニューモニエ(肺炎を引き起こす)、クラミドフィラ・シタッシ(オーム病を引き起こす)およびクラミドフィラ流産菌(ヒトにおける流産に関連する)を含む。
連鎖球菌属は、球形グラム陽性細菌の一属であって、多数のヒト疾患、例えば、髄膜炎、細菌性肺炎(肺炎連鎖球菌)、心内膜炎、丹毒および壊死性筋膜炎(化膿連鎖球菌)を引き起こすことが知られている。
ブドウ球菌属は、グラム陽性細菌の一属であって、食中毒の一般的原因である。
プラスモジウム属は、寄生性原生動物の一属である。この寄生生物に感染すると、マラリアを引き起こすことが知られている(P. falciparum)。
2.1 結核
結核は重篤な世界的規模の健康問題であって、年間、全世界で200万人以上が死亡している。この疾患は、ヒト型結核菌により引き起こされる。細菌は、一般的に、吸入により肺に侵入して、肺に感染を引き起こし、これは終には身体の他の部分、例えば中枢神経系、リンパ系、循環系、尿生殖系、消化管系、骨、関節および皮膚に蔓延し得る(Dietrich, 2006;Mustafa, 2001)。農耕動物における種々の型の結核、例えばウシ型結核およびヨーネ病も、生産に及ぼす有意の負の作用を有する。
ヒト型結核菌による感染の蔓延は、免疫系により限定される。多数の個体が、咳および発熱以外の症候をほとんど示さない。しかしながら、個体の約30%は、感染を十分に制御できず、一次疾患を発症する。これにもかかわらず、疾患は個体中に休眠して、それらは、数年後あるいは数十年後でさえ、再び感染し得る。この理由のために、ヒト型結核菌は、免疫応答を免れて、長期間、難治性の非または緩徐複製相で生存するので、感染性細菌の中でも独特である。
結核感染は、3相でそれ自体発現する。第一急性段階は、身体の器官における細菌の増殖により同定される。免疫応答が迅速に後に続いて、感染を制御し、終には、細菌負荷の減少を生じる。急性相の後、第二潜伏相が確立される。この第二段階中、細菌負荷は安定且つ低レベルで保持される。ヒト型結核菌は、急性相の活性増加状態から、潜伏相の休眠状態に変わる。第三の再活性化相が起こり、それにより細菌は再び複製し始める。この第三段階に影響を及ぼす因子は、依然として大部分は不明である(Barnes and Cave, 2003)。
細菌は、活性複製から休眠への遷移中の遺伝子発現を調整し得るので、免疫応答の抗原特異性の変化は、感染の異なる段階全体を通して起こる、と考えられる。
2.2 肝炎
肝炎は、種々の肝炎ウイルスにより一般に引き起こされる疾患に関する集合的名称である。肝炎の他の要因としては、アルコール、毒素、薬剤および自己免疫疾患が挙げられる。肝炎は、肝臓の炎症であって、ある場合には、倦怠感、筋肉および関節痛、食欲喪失、ならびに横断および最終的肝不全を含めた症候を伴う。肝炎は、急性および慢性の両方があって、疾患の慢性罹患者では肝硬変が観察される。
2.3 インフルエンザ
インフルエンザ(より一般的には「フル」と呼ばれる)は、オルソミクソウイルス科のRNAウイルスにより引き起こされる。インフルエンザで、年間250,000〜500,000人が死亡する。共通する症候としては、寒気、発熱、咽頭痛、筋肉痛および疼痛、頭痛、咳、衰弱および疲労感が挙げられる。重篤症例では、インフルエンザは、空気を解して、あるいは感染鳥の糞または鼻水と直接接触することにより、伝染され得る。
インフルエンザウイルスの3つのクラス(A、BおよびC)が存在し、すべて、類似の構造を共有する。2つの大型糖タンパク質、ヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼが、ウイルス粒子の表面に表示され、そしてウイルスと標的細胞との結合、標的細胞中へのウイルスゲノムの移入、ならびに感染細胞からのウイルス子孫の放出に関与する。ヘマグルチニンの16の既知のサブタイプ(H1〜H16)およびノイラミニダーゼの9つのサブタイプ(N1〜N9)が存在する。
2.4 最新処置戦略
細胞内病原体に対する防御のための最新処置戦略としては、既知の抗原に対する特異的ワクチン、または細胞内細菌病原体に感染した患者における抗生物質処置が挙げられる。
細胞内病原体の再活性化に対して防御するための適切なワクチンの欠如は、感染前に予防的に、または感染開始後に治療的に、細胞内病原体に対する新規の且つ改善された処置戦略に対する必要性を促してきた。
例えば、結核のための唯一の一般に利用可能なワクチンは、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)であって、これは、ウシ型結核菌の生弱毒化菌株を含有する。結核感染の制御におけるBCGの効力は、限定される。ワクチンは一次疾患に対して小児を防御すると思われるが、しかし成人型の疾患(潜伏期間後に再活性化)に対するその防御効力は低減される(World Health Organisation - http://www.who.int)。BCGの効力は、結核が流行している多数の第三世界の国々においては限定される、ということも報告されている。さらに、BCGワクチンは生ワクチンであるので、それは、免疫無防備状態である患者への投与には適していない。BCGワクチンは、報告によれば、脾臓(およびその他の器官)へのヒト型結核菌の伝播を低減するが、一方、それは、肺における細菌増殖を防止しない。
再活性化に対して防御するために適切なワクチンの欠如は、感染前に予防的に、または感染開始後に治療的に、生ワクチンと関連した他の問題とともに、結核、肝炎またはインフルエンザを含めた細胞内病原体に対する新規の且つ改善された処置戦略に対する必要性を促してきた。
3.免疫応答
3.1. 細胞媒介性応答
細胞媒介性免疫は、主にTリンパ球により媒介される。病原体抗原は、主要組織適合性MHCクラスIまたはMHCクラスII分子と結合される抗原提示細胞(例えば、マクロファージ、Bリンパ球および樹状細胞)の表面に発現される。MHCクラスIIと連結される病原体抗原の提示は、ヘルパー(CD4+)T細胞応答を活性化する。T細胞と抗原−MHC II複合体との結合時に、CD4+ T細胞は増殖し、サイトカイン、例えばインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)およびインターロイキン2(IL−2)、IL−4、IL−7およびIL−12を放出する。
MHCクラスI分子と結合される病原体抗原の例示は、細胞傷害性(CD8+)T細胞応答を活性化する。T細胞と抗原−MHC I複合体との結合時に、CD8+細胞はパーフォリンを分泌して、病原体細胞溶解、腫脹および死を生じる。代替的には、CD8+細胞は、プログラムされた細胞死またはアポトーシスを誘導する。CD8+T細胞の活性化は、CD4+T細胞による特異的サイトカインの放出により増幅される。
細胞媒介性免疫応答は、種々の病原体、例えば細胞内病原体、例えばヒト型結核菌に対する免疫性にとって重要であると考えられる。
被験体における細胞媒介性応答の開始または進行を査定し、監視するための方法は、当該技術分野で周知である。好都合な例示的方法としては、本明細書中で同定されるもののような細胞媒介性応答に関連した1つ以上のサイトカインの存在またはレベルが査定されるものが挙げられる。同様に、細胞媒介性応答の開始および進行を査定しまたは監視するための細胞ベースの方法は、本発明において用い易く、例えば、細胞増殖または活性化検定、例えば、Tリンパ球のような免疫細胞の1つ以上の集団の活性化または拡張の同定時に標的化される検定が挙げられ得る。
ある実施形態では、細胞媒介性免疫応答および体液性応答の両方を引き出す本発明の方法が好ましい。
他の実施形態では、主に細胞媒介性応答を引き出す本発明の方法が好ましい。このような方法は、有意の体液性応答を伴わずに、または任意の検出可能な体液性応答を伴わずに、細胞媒介性免疫応答を引き出すものを包含し得る。一例では、免疫応答は、細胞媒介性免疫応答、例えば有意のIgA応答の非存在下で、または有意のIgE応答の非存在下で、または有意のIgG応答の非存在下で、例えば有意のIgG1応答の非存在下で、または有意のIgG2応答の非存在下で、または有意のIgM応答の非存在下で、IFN−γ応答により示されるものである。
3.2. 体液性応答
体液性免疫応答は、B細胞により産生される分泌抗体により媒介される。分泌抗体は、侵襲病原体の表面に提示される抗原と結合して、撲滅のためにそれらを弱らせる。
組合せ細胞媒介性および体液性応答(例えば開始細胞媒介性応答の結果としてのもの)はより高い感受性免疫応答を達成するために、または細胞内病原体に対する防御のレベルを増強するために有益である、ということが示唆されている。
さらにまた、体液性応答の開始または進行を査定し、監視するための方法は、当該技術分野で周知である。これらは、抗体結合検定、ELISA、皮膚プリックテスト等を包含する。
4. 抗原
種々の病原性生物からの非常に多くの抗原が特性化されており、本発明で用いるのに適している、と理解される。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得る抗原はすべて、意図される。
4.1. 結核抗原
非常に多くのヒト型結核菌抗原が特性化されており、本発明で用いるのに適している、と理解される。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得るヒト型結核菌抗原はすべて、意図される。
本発明で用いるのに適しているヒト型結核菌抗原の例としては、早期分泌抗原標的(ESAT)−6、Ag85A、Ag85B(MPT59)、Ag85B、Ag85C、MPT32、MPT51、MPT59、MPT63、MPT64、MPT83、MPB5、MPB59、MPB64、MTC28、Mtb2、Mtb8.4、Mtb9.9、Mtb32A、Mtb39、Mtb41、TB10.4、TB10C、TB11B、TB12.5、TB13A、TB14、TB15、TB15A、TB16、TB16A、TB17、TB18、TB21、TB20.6、TB24、TB27B、TB32、TB32A、TB33、TB38、TB40.8、TB51、TB54、TB64、CFP6、CFP7、CFP7A、CFP7B、CFP8A、CFP8B、CFP9、CFP10、CFP11、CFP16、CFP17、CFP19、CFP19A、CFP19B、CFP20、CFP21、CFP22、CFP22A、CFP23、CFP23A、CFP23B、CFP25、CFP25A、CFP27、CFP28、CFP28B、CFP29、CFP30A、CFP30B、CFP50、CWP32、hspX(アルファ−結晶)、APA、ツベルクリン精製タンパク質誘導体(PPD)、ST−CF、PPE68、LppX、PstS−1、PstS−2、PstS−3、HBHA、GroEL、GroEL2、GrpES、LHP、19kDa リポタンパク質、71kDa、RD1−ORF2、RD1−ORF3、RD1−ORF4、RD1−ORF5、RD1−ORF8、RD1−ORF9A、RD1−ORF9B、Rv1984c、Rv0577、Rv1827、BfrB、Tpx. Rv1352、Rv1810、PpiA、Cut2、FbpB、FbpA、FbpC、DnaK、FecB、Ssb、RplL、FixA、FixB、AhpC2、Rv2626c、Rv1211、Mdh、Rv1626、Adk、ClpP、SucD(Belisle et al、2005;US 7,037,510;US 2004/0057963;US 2008/0199493;US 2008/0267990)、あるいは上記抗原のいずれかの少なくとも1つの抗原性部分またはT細胞エピトープが挙げられる。
本発明は、単一ヒト型結核菌抗原の使用を意図する。しかしながら、2つ以上のヒト型結核菌抗原の使用に依存する実施形態も、具体的に意図される。
種々の例において、2つ以上の抗原は、2つ以上のヒト型結核菌抗原、例えば上記抗原から選択される2つ以上のヒト型結核菌抗原を含む融合タンパク質として産生される。
4.2. 肝炎抗原
多数の肝炎抗原が特性化されており、本発明で用いるのに適している。C型肝炎抗原の例としては、C−p22、E1−gp35、E2−gp70、NS1−p7、NS2−p23、NS3−p70、NS4A−p8、NS4B−p27、NS5A−p56/58およびNS5B−p68が挙げられ、各々が(単独でも、組合せても)、本発明における適用に適している。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得る肝炎抗原はすべて、意図される。
4.3 インフルエンザ抗原
非常に多くのインフルエンザ抗原が特性化されており、本発明で用いるのに適している。本発明で用いるのに適したインフルエンザ抗原の例としては、PB、PB2、PA、ヘマグルチニン(HA)またはノイラミニダーゼ(NA)タンパク質のいずれか、NP、MおよびNSが挙げられ、各々が(単独でも、組合せても)、本発明における適用に適している。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得るインフルエンザ抗原はすべて、意図される。
4.4 炭疽抗原
多数の炭疽菌抗原がワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、PA83は、ワクチン開発のためのこのような抗原の1つである。一般に、炭疽に関する唯一のFDA認可ワクチンが利用可能であり、「吸着炭疽ワクチン」(AVA)またはバイオ・ソラックス(登録商標)と呼ばれている。このワクチンは、アルミニウムアジュバントに吸着された炭疽菌の非被包性菌株の無細胞上清に由来する。PAは、AVA中の一次免疫原である。本発明で用いるのに適した他の炭疽抗原の例としては、防御抗原(PAまたはPA63)、LFおよびEF(タンパク質)、ポリ−ガンマ−(D−グルタメート)カプセル、胞子抗原(内生胞子特異性成分)、BclA(エキソスポリウム特異性タンパク質)、BxpB(胞子関連タンパク質)、ならびに分泌タンパク質が挙げられる。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得る炭疽抗原はすべて、意図される。
4.5 野兎病抗原
多数の野兎病菌抗原がワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、AcpAおよびIglCは、ワクチン開発のために適した抗原である。本発明で用いるのに適した他の野兎病抗原の例としては、O−抗原、CPS、外膜タンパク質(例えばFopA)、リポタンパク質(例えばTul4)、分泌タンパク質およびリポ多糖が挙げられる。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得る野兎病抗原はすべて、意図される。
4.6 ブルセラ症抗原
多数のブルセラ・アボルツス(ウシ流産菌)抗原がワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、Omp16は、ワクチン開発のためのこのような抗原の1つである。本発明で用いるのに適した他のブルセラ症抗原の例としては、O−抗原、リポ多糖、外膜タンパク質(例えばOmp16)、分泌タンパク質、リボソームタンパク質(例えばL7およびL12)、バクテリオフェリチン、p39(推定周辺質結合タンパク質)、groEL(熱ショックタンパク質)、ルマジンシンターゼ、BCSP31表面タンパク質、PAL16.5OMリポタンパク質、カタラーゼ、26kDa周辺質タンパク質、31kDa Omp31、28kDa Omp、25kDa Ompおよび10kDa Omリポタンパク質が挙げられる。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得るブルセラ症抗原はすべて、意図される。
4.7 髄膜炎抗原
多数の髄膜炎菌抗原がワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、Cys6、PorA、PorB、FetAおよびZnuDは、ワクチン開発のために適した抗原である。本発明で用いるのに適した他の髄膜炎抗原の例としては、O−抗原、因子H結合タンパク質(fHbp)、TbpB、NspA、NadA、外膜タンパク質、B群CPS、分泌タンパク質およびリポ多糖が挙げられる。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得る髄膜炎抗原はすべて、意図される。
4.8 デング熱抗原
多数のフラビウイルス抗原がデング熱を処置するためのワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、デングウイルスエンベロープタンパク質E1〜E4および膜タンパク質M1〜M4は、ワクチン開発のために適した抗原である。本発明で用いるのに適した他のデング熱抗原の例としては、C、preM、1、2A、2B、3、4A、4Bおよび5が挙げられる。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得るデング熱抗原はすべて、意図される。
4.9 エボラ熱抗原
多数のエボラウイルス抗原がエボラ熱感染を処置するためのワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、フィロウイルス科ザイール型エボラウイルスおよびスーダン型エボラウイルス・ビリオンスパイク糖タンパク質前駆体抗原(それぞれ、ZEBOV−GPおよびSEBOV−GP)は、ワクチン開発のために適した抗原である。本発明で用いるのに適した他のエボラ熱抗原の例としては、NP、vp35、vp40、GP、vp30、vp24およびLが挙げられる。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得るエボラ熱抗原はすべて、意図される。
4.10 西ナイル熱抗原
多数の西ナイル熱ウイルス抗原が感染を処置するためのワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、西ナイル熱ウイルス(WNV)からのフラビウイルスエンベロープ抗原(E)はWNVビリオンの表面に発現される非毒性タンパク質(WNVE)であって、ワクチン開発のために適した抗原である。本発明で用いるのに適した他のWNV抗原の例としては、Cp、Prm、NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4BおよびNS5が挙げられる。目下特性化されているか否かにかかわらず、免疫応答を引き出し得る西ナイル熱抗原はすべて、意図される。
上記または参照抗原は本発明の例示であって、本発明を限定するものではない。
5. 発現構築物
微生物、植物細胞または動物細胞(細胞性発現系)における、あるいは無細胞発現系における融合ポリペプチドの発現のための発現構築物の産生および使用方法、ならびに本発明で用いるためのポリマー粒子を形成するために有用な発現構築物を含む宿主細胞は、当該技術分野で周知である(例えば、Sambrook et al., 1987;Ausubel et al., 1987)。
本発明の方法に用いるための発現構築物は、一実施形態では、クローニングのために、または発現のために、複製可能ベクター中に挿入され、あるいは別の実施形態では、宿主ゲノム中に組入れられる。種々のベクターは、公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子またはファージの形態である。適切な核酸配列が、種々の手法によりベクター中に挿入され得る。概して、DNAが、当該技術分野で既知の技法を用いて、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(単数または複数)中に挿入される。ベクター構成成分としては、一般的に、シグナル配列、複製の起点、1つ以上の選択可能マーカー遺伝子、エンハンサー因子、プロモーター、および転写終結配列のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。これらの構成成分のうちの1つ以上を含有する適切なベクターの構築は、当該技術分野で既知の標準結紮技法を用いる。
発現およびクローニングベクターはともに、1つ以上の選択宿主細胞中でベクターを複製させる核酸配列を含有する。このような配列は、種々の細菌、酵母およびウイルスに関してよく知られている。
一実施形態では、発現構築物は高コピー数ベクター上に存在する。
一実施形態では、高コピー数ベクターは、20〜3000コピー/宿主細胞で存在するものから選択される。
一実施形態では、高コピー数ベクターは、高コピー数の複製起点(ori)、例えばColE1またはColE1由来複製起点を含有する。例えば、ColE−1由来複製起点は、pUC19複製起点を含み得る。
本発明のベクターに用いるのに適した多数の高コピー数複製起点は、当業者に既知である。これらの例としては、pBR322およびその誘導体からのColE1由来複製起点、ならびに他の高コピー数複製起点、例えばM13 FR oriまたはp15A oriが挙げられる。2μプラスミド・オリジンは酵母に適しており、そして種々のウイルス・オリジン(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターのために有用である。
好ましくは、高コピー数複製起点は、ColE1由来pUC19複製起点を含む。
制限部位中への挿入物のクローニングがその起点を不活性化し、それがベクターの複製を指図できなくさせるよう、制限部位は複製の起点に配置される。代替的には、制限部位への挿入物のクローニングが、ベクターの低または単一コピー数複製のみを支持し得るよう、少なくとも1つの制限部位が当該起点内に配置される。
発現およびクローニングベクターは、典型的には、形質転換化宿主細胞中のベクターの存在を検出するために、選択可能マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含有する。典型的選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンに対する耐性を付与する、(b)栄養要求性欠損を補足し、あるいは(c)天然培地から利用可能でない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードし、例えば桿菌に関するD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子である。
植物形質転換に一般に用いられる選択可能マーカーとしては、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII遺伝子(NPT II)(カナマイシン耐性を付与する)、aadA遺伝子(スペクチノマイシンおよびストレプトマイシン耐性を付与する)、イグナイト(AgrEvo)およびバスタ(Hoechst)耐性に関するホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(バー遺伝子)、ならびにヒグロマイシン耐性に関するヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(hpt)が挙げられる。
哺乳動物細胞に関する適切な選択可能マーカーの例は、DHFRまたはチミジンキナーゼのような発現構築物を取り上げる応答能がある細胞の同定を可能にするものである。適切な宿主細胞は、野生型DHFRが用いられる場合、DHFR活性を欠くCHO細胞株であって、これは、Urlaub et al.,1980に記載されているように調製され、増殖する。酵母で用いるための適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7中に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcomb et al., 1979;Kingsman et al., 1979;Tschemper et al., 1980)。trp1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の突然変異体株に関する選択マーカーを提供する(例えばATCC番号44076またはPEP4−1[Jones, Genetics, 85:12 (1977)])。
ポリマー粒子を形成するために有用な発現構築物は、好ましくは、ポリマーシンターゼ、粒子形成タンパク質または融合ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸の発現を制御するプロモーターを包含する。
種々の潜在的宿主細胞により認識されるプロモーターは、よく知られている。原核生物宿主とともに用いるのに適したプロモーターとしては、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、[Chang et al., 1978; Goeddel et al., 1979]、アルカリ性ホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980);EP 36,776]、ならびにハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター[deBoer et al., 1983]が挙げられる。細菌系で用いるためのプロモーターも、ポリマーシンターゼ、粒子形成タンパク質または融合ポリペプチドをコードする核酸と操作可能的に連結されるシャイン・ダルガルノ(S.D.)配列を含有する。
酵母宿主とともに用いるための適切な促進配列の例としては、3−ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman et al., 1980]または他の解糖酵素[Hess et al., 1968; Holland, 1978]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセラートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼに関するプロモーターが挙げられる。
増殖条件により制御される転写の付加的利点を有する誘導可能プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連した分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素のためのプロモーター領域である。
単子葉または双子葉植物の組織または器官を含めた植物宿主細胞に用いるための適切なプロモーターの例としては、細胞−、組織−および器官特異性プロモーター、細胞周期特異性プロモーター、一過性プロモーター、誘導可能プロモーター、ほとんどの植物組織中で活性である構成性プロモーター、ならびに組換えプロモーターが挙げられる。プロモーターの選択は、そのように所望されるクローン化ポリヌクレオチドの時間的および空間的発現によって決まる。プロモーターは、宿主細胞からのもの、または他の植物、ウイルスおよび植物病原性細菌および真菌の遺伝子に由来するプロモーターである。本発明のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を用いて発現構築物を修飾し、調整するのに用いるのに適しているプロモーターを、過度の実験をすることなく、当業者は選択し得る。構成性植物プロモーターの例としては、CaMV 35Sプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーターおよびオクトピンシンターゼプロモーター、ならびにトウモロコシからのUbi 1プロモーターが挙げられる。特定組織中で活性であり、内部発達シグナルあるいは外部非生物的または生物的応力に応答する植物プロモーターは、科学文献に記載されている。例示的プロモーターは、例えばWO 02/00894(これの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
哺乳動物宿主細胞に用いるための適切なプロモーターの例は、ウイルス、例えばポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40)のゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、ならびに熱ショックプロモーターから得られるものを含むが、但し、このようなプロモーターは宿主細胞系と適合性である。
高等真核生物による発現構築物の転写は、いくつかの例では、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することにより増大される。エンハンサーは、その転写を増大するためにプロモーターに作用する通常は約10〜300bpのDNAのシス作用性因子である。多くのエンハンサー配列が、現在、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトタンパク質およびインスリン)から知られている。しかしながら、典型的には、真核生物細胞ウイルスからのエンハンサーを用いる。例としては、複製起点(bp100〜270)の後期側におけるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側におけるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。典型的には、エンハンサーは、ポリマーシンターゼ、粒子形成タンパク質または融合ポリペプチドコード配列に対して位置5’または3’でベクター中でスプライシングされる。
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物からの有核細胞)で用いられる発現ベクターは、転写の終結のために、ならびにmRNAを安定化するために必要な配列も含有する。このような配列は、一般に、真核生物またはウイルスDNAまたはcDNAの5’非翻訳領域から、時としては3’非翻訳領域から利用可能である。これらの領域は、ポリマーシンターゼ、粒子形成タンパク質または融合ポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分中にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。
一実施形態では、発現構築物は、上流誘導可能プロモーター、例えばBADプロモーター(アラビノースにより誘導される)を含む。
一実施形態では、発現構築物は構成性または調節可能プロモーター系を含む。
一実施形態では、調節可能プロモーター系は、誘導可能または抑制可能プロモーター系を含む。
組換えタンパク質の酸性においては強プロモーターを用いることが望ましいが、一方、異種タンパク質の構成的過剰産生は、増殖速度、プラスミド安定性および培養生存度における低減をもたらすため、これらのプロモーターの調節は不可欠である。
多数のプロモーターは、レプレッサータンパク質とオペレーター(プロモーターから下流の領域)の相互作用により調節される。最も良く知られたオペレーターは、lacオペロンから、ならびにバクテリオファージAからのものである。大腸菌における調節されたプロモーターの大要は、Friehs & Reardon, 1991の表1に示されている。
標準細菌培養法と組換え大腸菌に関連するものとの間の大きな差異は、増殖および産生または誘導相の分離である。組換えタンパク質産生は、しばしば、調節されたプロモーターを利用して、増殖相における高細胞密度(プロモーターが「オフ」であり、宿主細胞上の代謝負荷がわずかである場合)を、次いで、誘導相における高率の異種タンパク質産生(プロモーターを「オン」に切り替えるための誘導後)を達成する。
一実施形態では、調節可能プロモーター系は、LacI、Trp、ファージγおよびファージRNAポリメラーゼから選択される。
一実施形態では、プロモーター系は、lacまたはPtacプロモーター、およびlacIレプレッサー、あるいはtrpプロモーターおよびTrpRレプレッサーから選択される。
一実施形態では、LacIレプレッサーは、活性レプレッサーと結合するイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)の付加により不活性化され、オペレーターからの解離を引き起こして、発現を可能にする。
一実施形態では、濃度が閾値レベルを下回ると、系が自己誘導性になるよう、trpプロモーター系は、限定トリプトファン濃度を有する合成培地を用いる。一実施形態では、3−β−インドール−アクリル酸が付加されて、TrpRレプレッサーを不活性化する。
一実施形態では、プロモーター系は、バクテリオファージγレプレッサー cIを使用し得る。このレプレッサーはγプロファージを用い、そしてOLおよびORと呼ばれる2つのオペレーターと相互作用することにより、溶解遺伝子すべての発現を防止する。これらのオペレーターは、それぞれ2つの強プロモーターPLおよびPRと重複する。cIレプレッサーの存在下では、RNAポリメラーゼの結合が妨げられる。cIレプレッサーは、UV照射またはマイトマイシンCを用いた細胞の処置により、不活性化され得る。組換えポリペプチドの発現を可能にするためのさらに便利な方法は、cIレプレッサー cI857の温度感受性バージョンの適用である。γベースの発現系を保有する宿主細胞は、低温で中央指数相に増殖され、次いで、高温に移されて、組換えポリペプチドの発現を誘導し得る。
広範に用いられる発現系は、T7 DNA上に見出されるプロモーターのみを認識し、宿主細胞染色体上に存在するプロモーターを認識しないファージT7 RNAポリメラーゼを使用する。したがって、発現構築物は、組換え遺伝子が融合されるT7プロモーター(普通は、遺伝子10の前面に存在するプロモーター)のうちの1つを含有し得る。T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子は、発現構築物上、第二の互換性発現構築物上に存在するか、または宿主染色体中に組み込まれる。3つの場合すべてにおいて、遺伝子は誘導可能プロモーターと融合されて、発現相中のその転写および翻訳を可能にする。
大腸菌株BL21(DE3)およびBL21(DE3)pLysS(Invitrogen, CA)は、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を保有する宿主細胞の例である(例えばKRXおよびXJのようなT7RNAポリメラーゼ遺伝子を保有する2〜3の非常に適切な、市販の大腸菌株がある(自己溶解性))。T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を保有する他の細胞株、例えば、緑膿菌ADD1976(ゲノム中に組み込まれたT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を保有)(Brunschwig & Darzins, 1992)およびカプリアビダス・ネカトール(以前はラスストニア・ユートロファ)(phaPプロモーター制御下でゲノム中に組み込まれたT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を保有)(Barnard et al., 2004)が、当該技術分野で既知である。
T7 RNAポリメラーゼは、宿主細胞酵素を上回る3つの利点を提供する:第一に、それは1つのサブユニットのみからなり、第二に、それはより高い処理能力を発揮し、そして第三に、それはリファンピシンに対して非感受性である。後者の特質は、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子の誘導の約10分後にこの抗生物質を付加することにより、特に融合ポリペプチドの量を増強するために用いられ得る。その時間中、融合ポリペプチドの高レベル発現を可能にするのに十分なポリペプチドが合成され、そして手九種細胞酵素の抑制は、プラスミドおよび染色体の両方に存在する他の遺伝子すべてのさらなる発現を防止する。細菌RNAポリメラーゼを抑制するが、しかしT7 RNAポリメラーゼを抑制しない他の抗生物質、例えばストレプトリジジンおよびストレプトバリシンが、当該技術分野で既知である。
プロモーター系はすべて漏出性であるため、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子の低レベル発現は、組換えポリペプチドが毒性タンパク質をコードする場合、細胞に有害であり得る。増殖相中に存在するこれらのポリメラーゼ分子は、ライソザイムに関するT7コード遺伝子を発現することにより抑制され得る。この酵素は、宿主細胞の細胞壁における結合を切断し、それと結合することによりT7 RNAポリメラーゼを選択的に抑制する二機能性タンパク質である(T7感染中の転写の制御されたバーストを保証するフィードバック機序)。大腸菌株BL21(DE3)pLysSは、T7ライソザイムを構成的に発現するプラスミドpLysSを保有する宿主細胞の一例である。
一実施形態では、プロモーター系は、誘導周期を開始するために、温度シフトにより、例えば温度を約30〜37℃から42℃に上げることにより、誘導周期を開始するよう誘導されるかまたは「スイッチオン」される、APIまたはAPRのようなプロモーターを用いる。
強プロモーターは、in vivo産生中、粒子の表面の融合ポリペプチド密度を増強し得る。
好ましい融合ポリペプチドは、
ポリマーシンターゼ、ならびに以下の:
(i)免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、または
(ii)免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメイン、または
(iii)(i)および(ii)の両方
を含む融合相手
を含む。
本明細書中で用いるための(i)および(ii)の両方をコードする核酸配列は、ポリマーシンターゼをコードする核酸、ならびに細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原をコードする核酸、または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸を含む。一旦発現されると、融合ポリペプチドは、ポリマー粒子を形成するかまたは形成を助長し得る。
一実施形態では、少なくともポリマーシンターゼをコードする核酸配列は、粒子形成タンパク質をコードする核酸配列、および細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原または粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードする核酸、ならびに細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする核酸と、所望長のポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して、間接的に融合される。
一実施形態では、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリマーシンターゼを含むアミノ酸配列のC末端と連続している。
一実施形態では、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原または細胞免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含む融合タンパク質のアミノ酸配列は、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と間接的に融合される。
一実施形態では、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原または細胞免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼまたはC末端シンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と連続する。
一実施形態では、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする融合タンパク質のアミノ酸配列は、所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼまたはN末端ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のC末端と間接的に融合されて、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する。
一実施形態では、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、デポリメラーゼまたはC末端デポリメラーゼ断片をコードするアミノ酸配列のN末端と連続する。
結核の処置または防止に関する種々の実施形態では、例示的融合ポリペプチドは、
ポリマーシンターゼ、ならびに以下の:
(i)少なくとも1つのヒト型結核菌抗原、または
(ii)少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメイン、または
(iii)(i)および(ii)の両方
を含む融合相手
を含む。
本明細書中で用いるための(i)および(ii)の両方をコードする核酸配列は、ポリマーシンターゼをコードする核酸、ならびにヒト型結核菌抗原をコードする核酸、またはポリマーシンターゼをコードする核酸配列、ならびにヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸を含む。一旦発現されると、融合ポリペプチドは、ポリマー粒子を形成するかまたは形成を助長し得る。
一実施形態では、少なくともポリマーシンターゼをコードする核酸配列は、粒子形成タンパク質をコードする核酸配列、およびヒト型結核菌抗原または粒子形成タンパク質をコードする核酸、ならびにヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする核酸と、所望長のポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して、間接的に融合される。
一実施形態では、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリマーシンターゼを含むアミノ酸配列のC末端と連続している。
一実施形態では、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む融合タンパク質のアミノ酸配列は、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と間接的に融合される。
一実施形態では、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、粒子形成タンパク質、またはC末端シンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と連続する。
一実施形態では、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする融合タンパク質のアミノ酸配列は、所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、粒子形成タンパク質、またはN末端ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のC末端と間接的に融合されて、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する。
一実施形態では、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、デポリメラーゼまたはC末端デポリメラーゼ断片をコードするアミノ酸配列のN末端と連続する。
肝炎の処置または防止に関する種々の実施形態では、例示的融合ポリペプチドは、
ポリマーシンターゼ、ならびに以下の:
(i)少なくとも1つの肝炎抗原、または
(ii)少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメイン、または
(iii)(i)および(ii)の両方
を含む融合相手
を含む。
本明細書中で用いるための(i)および(ii)の両方をコードする核酸配列は、ポリマーシンターゼをコードする核酸、ならびに肝炎抗原をコードする核酸、またはポリマーシンターゼをコードする核酸配列、ならびに肝炎抗原結合ドメインをコードする核酸を含む。一旦発現されると、融合ポリペプチドは、ポリマー粒子を形成するかまたは形成を助長し得る。
一実施形態では、少なくともポリマーシンターゼをコードする核酸配列は、粒子形成タンパク質をコードする核酸配列、および肝炎抗原または粒子形成タンパク質をコードする核酸、ならびに肝炎抗原結合ドメインをコードする核酸と、所望長のポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して、間接的に融合される。
一実施形態では、少なくとも1つの肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリマーシンターゼを含むアミノ酸配列のC末端と連続している。
一実施形態では、少なくとも1つの肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインを含む融合タンパク質のアミノ酸配列は、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と間接的に融合される。
一実施形態では、少なくとも1つの肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、粒子形成タンパク質、またはC末端シンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と連続する。
一実施形態では、少なくとも1つの肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする融合タンパク質のアミノ酸配列は、所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、粒子形成タンパク質、またはN末端ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のC末端と間接的に融合されて、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する。
一実施形態では、少なくとも1つの肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、デポリメラーゼまたはC末端デポリメラーゼ断片をコードするアミノ酸配列のN末端と連続する。
インフルエンザの処置または防止に関する種々の実施形態では、例示的融合ポリペプチドは、
ポリマーシンターゼ、ならびに以下の:
(i)少なくとも1つのインフルエンザ抗原、または
(ii)少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメイン、または
(iii)(i)および(ii)の両方
を含む融合相手
を含む。
本明細書中で用いるための(i)および(ii)の両方をコードする核酸配列は、ポリマーシンターゼをコードする核酸、ならびにインフルエンザ抗原をコードする核酸、またはポリマーシンターゼをコードする核酸配列、ならびにインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする核酸を含む。一旦発現されると、融合ポリペプチドは、ポリマー粒子を形成するかまたは形成を助長し得る。
一実施形態では、少なくともポリマーシンターゼをコードする核酸配列は、粒子形成タンパク質をコードする核酸配列、およびインフルエンザ抗原または粒子形成タンパク質をコードする核酸、ならびにインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする核酸と、所望長のポリヌクレオチドリンカーまたはスペーサー配列を介して、間接的に融合される。
一実施形態では、少なくとも1つのインフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリマーシンターゼを含むアミノ酸配列のC末端と連続している。
一実施形態では、少なくとも1つのインフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインを含む融合タンパク質のアミノ酸配列は、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と間接的に融合される。
一実施形態では、少なくとも1つのインフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、粒子形成タンパク質、またはC末端シンターゼ断片を含むアミノ酸配列のN末端と連続する。
一実施形態では、少なくとも1つのインフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする融合タンパク質のアミノ酸配列は、所望長のペプチドリンカーまたはスペーサーを介して、粒子形成タンパク質、またはN末端ポリマーシンターゼ断片を含むアミノ酸配列のC末端と間接的に融合されて、融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長する。
一実施形態では、少なくとも1つのインフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、デポリメラーゼまたはC末端デポリメラーゼ断片をコードするアミノ酸配列のN末端と連続する。
本発明による融合ポリペプチドの一利点は、ポリマー粒子の表面に結合するタンパク質の修飾がポリマー粒子の形成に関与するタンパク質の機能性に影響を及ぼさない、という点である。例えば、ポリマーシンターゼの機能性は、組換えポリペプチドがそのN末端と融合されて、粒子の表面に組換えポリペプチドの産生を生じる場合に保持される。それにもかかわらず、タンパク質の機能性は融合により減損されることがあれば、この欠点は、同一機能を実施,活性状態で存在する付加的粒子形成タンパク質の存在により相殺される。
このようにして、粒子形成タンパク質を介してポリマー粒子と結合される組換えポリペプチドの安定結合を保証することができる。
融合ポリペプチドにおけるタンパク質の配置は、プラスミド中に含入される核酸中の遺伝子配列の順序によって決まる、と理解されるべきである。
例えば、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインがポリマーシンターゼと間接的に融合される融合ポリペプチドを産生することが所望され得る。「間接的に融合される」という用語は、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼ、ならびに細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインを含む融合ポリペプチドであって、融合ポリペプチド中で発現されることが所望される任意のタンパク質であり得る付加的タンパク質により分離される融合ポリペプチドを指す。
結核の処置に用いるための粒子の状況で用いられる場合、ヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインがポリマーシンターゼと間接的に融合される融合ポリペプチドを産生することが所望され得る。同様に、肝炎またはインフルエンザの処置に用いられる場合、肝炎抗原またはインフルエンザ抗原あるいは少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインまたは少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインがポリマーシンターゼと間接的に融合される融合ポリペプチドを産生することが所望され得る。「間接的に融合される」という用語は、粒子形成タンパク質、および少なくともヒト型結核菌抗原、または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドであって、融合ポリペプチド中で発現されることが所望される任意のタンパク質であり得る付加的タンパク質により分離される融合ポリペプチドを指す。同様に、当該用語は、粒子形成タンパク質、および少なくとも1つの肝炎抗原、または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドであって、融合ポリペプチド中で発現されることが所望される任意のタンパク質であり得る付加的タンパク質により分離される融合ポリペプチドを指す。代替的には、当該用語は、粒子形成タンパク質、および少なくとも1つのインフルエンザ抗原、または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインを含む融合ポリペプチドであって、融合ポリペプチド中で発現されることが所望される任意のタンパク質であり得る付加的タンパク質により分離される融合ポリペプチドを指す。
一実施形態では、付加的タンパク質は、上記のような融合ポリペプチドの個々のフォールディングを助長するために、粒子形成タンパク質または融合ポリペプチド、あるいはリンカーまたはスペーサーから選択される。この実施形態では、融合ポリペプチドの所望の配置を反映するためにプラスミド中の遺伝子の配列を順序良く並べる必要がある。
一実施形態では、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインは、ポリマーシンターゼと直接的に融合され得る。「直接的に融合される」という用語は、2つ以上のペプチドがペプチド結合により連結される場合を示すために本明細書中で用いられる。
結核の処置または防止に関する種々の実施形態において、例えばヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインは、ポリマーシンターゼと直接的に融合され得る。
「直接的に融合される」という用語は、2つ以上のペプチドがペプチド結合により連結される場合を示すために本明細書中で用いられる。
肝炎の処置または防止に関する種々の実施形態において、肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインは、ポリマーシンターゼと直接的に融合され得る。
インフルエンザの処置または防止に関する種々の実施形態において、インフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインは、ポリマーシンターゼと直接的に融合され得る。
「直接的に融合される」という用語は、2つ以上のペプチドがペプチド結合により連結される場合を示すために本明細書中で用いられる。
ポリマー粒子と結合される少なくとも2つの別個の融合ポリペプチドを含む粒子を形成することも可能であり得る。例えば、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメインを含み、ポリマーシンターゼと融合される第一の融合ポリペプチドが、ポリマー粒子と結合され得る。結核の処置に用いるための粒子の状況で用いられる場合、粒子は、例えばヒト型結核菌抗原を含む第一の融合ポリペプチドを含み、あるいはポリマーシンターゼと融合される少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインがポリマー粒子と結合され得る。肝炎の処置に用いるための粒子の状況で用いられる場合、粒子は、肝炎抗原を含む第一融合ポリペプチドを含み、あるいはポリマーシンターゼと融合される少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインがポリマー粒子と結合され得る。インフルエンザの処置に用いるための粒子の状況で用いられる場合、粒子は、インフルエンザ抗原を含む第一融合ポリペプチドを含み、あるいはポリマーシンターゼと融合される少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインがポリマー粒子と結合され得る。
一実施形態では、発現構築物は、in vivoで発現される。好ましくは、発現構築物は、微生物、好ましくは大腸菌中で発現されるプラスミドである。
一実施形態では、発現構築物は、in vitroで発現される。好ましくは、発現構築物は、無細胞発現系を用いてin vitroで発現される。
一実施形態では、1つ以上の遺伝子が単一発現構築物中に挿入され得るし、あるいは1つ以上の遺伝子が宿主細胞ゲノム中に組み入れられ得る。すべての場合、発現は、上記のようなプロモーターにより制御され得る。
一実施形態では、発現構築物は、さらに、上記のように、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を結合し得る結合ドメイン、ならびに粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含む少なくとも1つの付加的融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、発現構築物はさらに、上記のようにヒト型結核菌抗原または少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインおよび粒子形成タンパク質を含む少なくとも1つの付加的融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、発現構築物はさらに、上記のように肝炎抗原または少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインおよび粒子形成タンパク質を含む少なくとも1つの付加的融合ポリペプチドをコードする。
一実施形態では、発現構築物はさらに、上記のようにインフルエンザ抗原または少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインおよび粒子形成タンパク質を含む少なくとも1つの付加的融合ポリペプチドをコードする。
本明細書中で有用なプラスミドは、実施例で示されており、そしてPCT/DE2003/002799(WO 2004/020623(Bernd Rehm)として公開)およびPCT/NZ2006/000251(WO 2007/037706(Bernd Rehm)として公開)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に詳細に記載されている。
細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原の結合ドメインは、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原、例えば、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインが投与される被験者に、または免疫応答が引き出されるべきである被験者に存在する細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る、と理解される。
結核の処置のために用いる状況では、ヒト型結核菌抗原結合ドメインは、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原、例えば、ヒト型結核菌抗原結合ドメインが投与される被験者に、または免疫応答が引き出されるべきである被験者に存在するヒト型結核菌抗原を結合し得る、と理解される。同様に、肝炎の処置のための使用においては、肝炎抗原結合ドメインは、少なくとも1つの肝炎抗原、例えば、肝炎抗原結合ドメインが投与される被験者に、または免疫応答が引き出されるべきである被験者に存在する肝炎抗原を結合し得る、と理解される。インフルエンザの処置のための使用においては、インフルエンザ抗原結合ドメインは、少なくとも1つのインフルエンザ抗原、例えば、インフルエンザ抗原結合ドメインが投与される被験者に、または免疫応答が引き出されるべきである被験者に存在するインフルエンザ抗原を結合し得る、と理解される。
6. 粒子産生のための宿主
本発明の粒子は、本明細書中に記載されるような1つ以上の発現構築物を用いて、宿主細胞中で好都合に産生される。本発明のポリマー粒子は、宿主細胞に発現構築物を発現させることにより産生され得る。これは、先ず、宿主細胞または宿主細胞の前駆体細胞中に発現構築物を導入することにより、例えば、宿主細胞または宿主細胞の前駆体細胞を発現構築物で形質転換するかまたはトランスフェクトすることにより、あるいは別のやり方で発現構築物が宿主細胞中に存在することを保証することにより、達成され得る。
形質転換後、形質転換化宿主細胞は、発現構築物からの融合ポリペプチドの発現のために、そしてポリマー粒子の形成のために適した条件下で保持される。このような条件は、当該技術分野で既知であるように、適切な生物体中のプラスミドのような選択発現構築物の発現に適した条件を含む。例えば、そして特に、高収率または過剰発現が所望される場合、培地中に適切な基質を提供すると、融合ポリペプチドの粒子形成タンパク質成分がポリマー粒子を形成し得る。
したがって、本発明は、ポリマー粒子の産生方法であって、以下の:
少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、前記発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼをコードする少なくとも1つの核酸配列、および
細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
前記発現構築物の発現に、ならびにポリマー粒子の形成に適した条件下で前記宿主細胞を保持すること;そして
前記宿主細胞から前記ポリマー粒子を分離すること
を包含する方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、ポリマー粒子の産生方法であって、以下の:
少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、前記発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
ヒト型結核菌抗原またはヒト型結核菌抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
前記発現構築物の発現に、ならびにポリマーシンターゼによるポリマー粒子の形成に適した条件下で前記宿主細胞を保持すること;そして
前記宿主細胞から前記ポリマー粒子を分離して、ポリマー粒子を含む組成物を産生すること
を包含する方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、ポリマー粒子の産生方法であって、以下の:
少なくとも1つの発現構築物を含む宿主細胞を提供すること(ここで、前記発現構築物は、以下の:
粒子形成タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列;および
肝炎抗原または肝炎抗原結合ドメイン、あるいはインフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメインをコードする少なくとも1つの核酸配列
を含む);
前記発現構築物の発現に、ならびにポリマーシンターゼによるポリマー粒子の形成に適した条件下で前記宿主細胞を保持すること;そして
前記宿主細胞から前記ポリマー粒子を分離して、ポリマー粒子を含む組成物を産生すること
を包含する方法を提供する。
好ましくは、宿主細胞は、例えば細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または動物細胞、好ましくは、単離または非ヒト宿主細胞である。組換えポリマー粒子の産生のための当該技術分野で周知の方法(例えば、Sambrook et al., 1987;Ausubel et al., 1987)に有用な宿主細胞は、しばしば、本発明の方法に用いるのに適しており、本明細書中で考察されるその考えを心に留めている。
適切な原核生物宿主細胞は、例えば、真正細菌、例えばグラム陰性またはグラム陽性生物、例えば腸内細菌科、例えば大腸菌を含む。種々の大腸菌株、例えば大腸菌 K12 菌株MM294(ATCC 31,446);大腸菌 X1776(ATCC 31,537);大腸菌 菌株W3110(ATCC 27,325)およびK5 772(ATCC 53,635)が公的に入手可能である。他の適切な原核生物宿主細胞としては、腸内細菌科、例えばエシェリキア種、エンテロバクター属、エルウィニア属、クレブシエラ属、プロテウス属、サルモネラ属、例えばネズミチフス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスカンス、および赤痢菌属、ならびにバシラス属、例えば枯草菌およびバシラス・リケニフォルミス、シュードモナス属、例えば緑膿菌、およびアクチノミセス類、例えばストレプトミセス属、ロドコッカス属、コリネバクテリウム属およびマイコバクテリウム属が挙げられる。
いくつかの実施形態では、例えば大腸菌W3110株は、組換えDNA産物発光のための一般的宿主株であるため、用いられ得る。好ましくは、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、菌株W3110は、宿主に対して内因性であるタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子突然変異を実行するよう修飾され得る。このような宿主の例としては、大腸菌W3110株 1A2(完全遺伝子型tonA);大腸菌 W3110株 9E4(これは、完全遺伝子型tonA ptr3を有する);大腸菌 W3110株 27C7(ATCC 55,244)(これは、完全遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169 degP ompT kanrを有する);大腸菌W3110株 37D6(これは、完全遺伝子型tonA ptr3 phoA E15(argF−lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kanrを有する);大腸菌W3110株 40B4(これは、非カナマイシン耐性degP欠失突然変異を有する菌株37D6である)が挙げられる。
いくつかの好ましい実施形態では、例えば、リポ多糖内毒素を産生しないラクトコッカス・ラクチス株が用いられ得る。ラクトコッカス・ラクチス株の例としては、MG1363およびラクトコッカス・ラクチス亜種クレモリスNZ9000が挙げられる。
原核生物のほかに、真核生物微生物、例えば糸状真菌または酵母は、本発明の方法に用いるための適切なクローニングまたは発現宿主である。例としては、一般に用いられる下等真核生物宿主微生物である出芽酵母が挙げられる。他の例としては、分裂酵母類のシゾサッカロミセス・ポンベ(Beach and Nurse, 1981;EP 139,383)、クリュイベロミセス属宿主(米国特許第4,943,529号;Fleer et al., 1991)、例えばK.ラクチス(MW98−8C、CBS683、CBS4574;Louvencourt et al., 1983)、K.フラジリス(ATCC 12,424)、K.ブルガリクス(ATCC 16,045)、K.ウイケラミイ(ATCC 24,178)、K.ワルチイ(ATCC 56,500)、K.ドロソフィラルム(ATCC 36,906;Van den Berg et al, 1990)、K.テルモトレランスおよびK.マルキシアヌス;ヤロウイア属(EP 402,226);ピキア・パストリス(EP 183,070;Sreekrishna et al., 1988);カンジダ属;トリコデルマ・リーシア(EP 244,234);ニューロスポラ・クラッサ(Case et al., 1979);シュワニオミセス属、例えばシュワニオミセス・オクシデンタリス(EP 394,538(1990年10月31日公開));および糸状真菌、例えばニューロスポラ属、ペニシリウム属、トリポクラジウム属(WO 91/00357(1991年1月10日公開))、およびアスペルギルス属宿主、例えばA.ニデュランス(Ballance et al., 1983;Tilburn et al., 1983;Yelton et al., 1984)およびクロカビ(Kelly and Hynes, 1985)が挙げられる。メタノール資化酵母は、本明細書中で適しており、そしてハンセヌラ属、カンジダ属、クロエケラ属、ピキア属、サッカロミセス属、トルロプシス属およびロドトルラ属からなる属から選択されるメタノール上で増殖し得る酵母を含む。酵母のこのクラスの例である特定の種の一覧は、Anthony, 1982に見出される。
無脊椎動物宿主細胞の例としては、昆虫細胞、例えばショウジョウバエ S2およびスポドプテラ Sf9、ならびに植物細胞、例えばワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマトおよびタバコの細胞培養が挙げられる。ヨトウガ(蛾の幼虫)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)およびカイコガからの多数のバキュロウイルス株および変異体ならびに対応する許容昆虫宿主細胞が、同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株、例えばアウトグラファ・カリフォルニカ NPVのL−1変異体およびカイコガ NPVのBm−5株は公的に入手可能であり、このようなウイルスは、特に、ヨトウガ細胞のトランスフェクションのために、本発明に従って本明細書中のウイルスとして用いられ得る。
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40により形質転換されるサル腎臓CV1系統(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓系統(懸濁液培養中での増殖のためにサブクローニングされる293または293細胞、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977));ハムスター乳仔腎細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaub et al., 1980);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, 1980);サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., 1982);MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝癌系統(Hep G2)である。
例えば、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原、または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメイン、あるいはヒト型結核菌抗原またはヒト型結核菌抗原結合ドメイン、あるいは肝炎抗原または肝炎抗原結合ドメイン、あるいはインフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメインが、1つ以上の翻訳後修飾、例えば糖化を要する場合、真核生物細胞株、特に哺乳動物細胞株が選択される。例えば、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る1つ以上の抗原は、免疫原性または最適に免疫原性である翻訳後修飾を要し得るし、したがって、このような翻訳後修飾をし得る発現宿主中で有用に発現され得る。
一実施形態では、宿主細胞は、酸化サイトゾルを有する細胞、例えば大腸菌Origami株(Novagen)である。
別の実施形態では、宿主細胞は、還元サイトゾルを有する細胞、好ましくは大腸菌である。
例えば宿主細胞は、ラルストニア属、アルカリゲネス属、シュードモナス属およびハロビフォルマ属からなる属から選択され得る。好ましくは、用いられる微生物は、例えばラルストニア・ユートロファ、アルカリゲネス・ラツス、大腸菌、シュードモナス・フラギ、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・オレオボランス、緑膿菌Pseudomonas aeruginosa、シュードモナス・フルオレッセンスおよびハロビフォルマ・ハロテレストリスからなる群から選択される。この群は、生体適合性、生分解性粒子を天然で産生し得る微生物、ならびにそれらの遺伝子構成のために、そのようになし得ない微生物、例えば大腸菌の両方を含む。後者状態の微生物に粒子を産生させるために必要とされる遺伝子は、上記のように導入される。
例示的好塩性古細菌は、タンパク質の低レベルの非特異的結合を有して、細胞からの粒子の単離および精製を容易にするポリマー粒子を産生する。
原則として、異なる機序のためにポリマー粒子を形成するために必要とされる基質を宿主細胞が産生できない場合でも、任意の培養可能宿主細胞が、上記工程により、ポリマー粒子の産生のために用いられ得る。このような場合、必要な基質は培地に付加されて、次いで、細胞中に導入された遺伝子により発現されたタンパク質によりポリマー粒子に転化される。
後者状態宿主細胞にポリマー粒子を産生させるために利用される遺伝子としては、例えば、ラルストニア・ユートロファからのチオラーゼ、レダクターゼまたはポリマーシンターゼ、例えばphaAチオラーゼ、phaBケトアシルレダクターゼまたはphaCシンターゼが挙げられる。どの遺伝子を用いて、ポリマー粒子形成に関して宿主細胞が欠いているものを増大するかは、宿主細胞の遺伝子構成、ならびに培地中にどの基質が提供されるかによって決まる。
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)粒子の形成に関与する遺伝子およびタンパク質、ならびに粒子形成に関する一般的考え方は、Madison, et al, 1999;公開済みPCT国際出願WO 2004/020623(Bernd Rehm);ならびにRehm, 2003; Brockelbank JA. et al., 2006;Peters and Rehm, 2006;Backstrom et al, (2006)およびRehm, (2006)(これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中で援用される)で報告されている。
ポリマーシンターゼ単独は、基質として(R)−ヒドロキシアシル−CoAまたは他のCoAチオエステルあるいはその誘導体とともに、宿主細胞中で用いられ得る。
ポリマー粒子は、in vitroでも形成され得る。好ましくは、例えば無細胞発現系が用いられる。このような系では、ポリマーシンターゼが提供される。精製ポリマーシンターゼ、例えば組換え体産生から得られるもの、またはタンパク質翻訳しうる無細胞系において、ポリマーシンターゼをコードする発現構築物の導入によりそれ自体無細胞系中で得られるものが選択される。in vitroでの粒子形成を可能にするための環境を作るために、ポリマー粒子形成に必要な基質が培地中に含まれるべきである。
ポリマーシンターゼは、例えば、基質として(R)−ヒドロキシアシル−CoAまたは他のCoAチオエステルを用いて、機能性ポリマー粒子のin vitro産生のために用いられ得る。
融合ポリペプチドは、in vitroポリマー粒子産生に用いる前に、細胞選別機、遠心分離、濾過またはアフィニティークロマトグラフィーを用いて、溶解細胞から精製され得る。
in vitroポリマー粒子形成は、融合ポリペプチド適用範囲、リン脂質組成等を含めた表面組成の最適制御を可能にする。
ポリマー粒子の特質はポリマー粒子が産生される条件を制御することにより、影響を及ぼされるかまたは制御され得る、と理解される。これは、例えば、宿主細胞の遺伝子構成、例えばPeters and Rehm, 2005で考察されたように、大型粒子を産生する細胞分裂突然変異体を包含し得る。宿主細胞が保持される条件は、例えば温度、基質の存在、1つ以上の粒子形成タンパク質、例えば粒子サイズ決定タンパク質の存在、ポリマー調節因子の存在等である。
一実施形態では、ポリマー粒子の望ましい特質は、それが持続性であることである。「持続性」という用語は、選択された環境で分解に耐えるポリマー粒子の能力を指す。ポリマー粒子の付加的な望ましい特質は、それがポリマーシンターゼまたは粒子形成タンパク質から形成され、そして粒子集合中にポリマーシンターゼまたは粒子形成タンパク質のCまたはN末端と結合するということである。
本発明のいくつかの実施形態では、宿主細胞中の発現構築物の過剰発現を達成することが望ましい。特定の発現構築物の過剰発現に関する機序は当該技術分野で周知であり、構築物それ自体、それが発現されるべき宿主、ならびに他の因子、例えば所望されるかまたは必要とされる過剰発現の程度によって決まる。例えば、過剰発現は、i)原核生物宿主における強プロモーター系、例えばT7 RNAポリメラーゼプロモーター系の使用;ii)高コピー数プラスミド、例えばcolE1複製起点を含有するプラスミドの使用、あるいはiii)例えば融合配列の使用によるメッセンジャーRNAの安定化、あるいはiv)例えばリボソーム結合部位または終結部位等のコドン使用頻度の最適化による翻訳の最適化により達成され得る。過剰発現の利益は、所望される場合、より小さい粒子の産生を、そしてより多数のポリマー粒子の産生を可能にし得る。
ポリマー粒子を形成するポリマーの組成は、ポリマー粒子の機械的または物理化学的特性に影響を及ぼし得る。例えば、そのポリマー組成が異なるポリマー粒子は、半減期が異なり得るか、あるいは生物学的活性物質、特に薬学的活性成分を、異なる割合で放出し得る。例えばC6〜C14 3−ヒドロキシ脂肪酸からなるポリマー粒子は、ポリマーの低結晶度のために、より高い比率のポリマー分解を示す。ポリマー主鎖上に相対的に大きい側鎖を有するポリマー構成物質のモル比の増大は、通常は結晶度を低減し、より顕著なエラストマー特性を生じる。本発明に記載される工程に従ってポリマー組成を制御することにより、ポリマー粒子の生分解性に影響を及ぼし、したがって、ポリマー粒子(存在する場合、粒子上の細胞媒介性免疫応答を引き出し得る1つ以上の抗原または細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原の結合ドメイン、あるいは粒子上の1つ以上のヒト型結核菌抗原またはヒト型結核菌抗原結合ドメイン、あるいは肝炎抗原または肝炎抗原結合ドメイン、あるいはインフルエンザ抗原またはインフルエンザ抗原結合ドメイン)が、例えば、それらが投与される被験者において保持される持続期間に影響を及ぼすこと、あるはポリマー粒子上または中に存在する生物学的活性物質、特に薬学的活性作因または皮膚ケア成分に関する放出比率に影響を及ぼすことが出来る。
機能性側鎖基を有する少なくとも1つの脂肪酸は、好ましくは、ポリマー粒子の形成のための基質として培地中に導入され、少なくとも1つのヒドロキシ脂肪酸および/または少なくとも1つのメルカプト脂肪酸および/または少なくとも1つのβ−アミノ脂肪酸が、特に好ましくは、導入される。「機能性側鎖基を有する脂肪酸」は、飽和または不飽和脂肪酸を意味すると解釈されるべきである。これらは、メチル基、アルキル基、ヒドロキシル基、フェニル基、スルフヒドリル基、第一級、第二級および第三級アミノ基、アルデヒド基、ケト基、エーテル基、カルボキシル基、O−エステル基、チオエステル基、カルボン酸アミド基、ヘミアセタル基、アセタル基、ホスフェートモノエステル基およびホスフェートジエステル基からなる群から選択される機能性側鎖基を含有する脂肪酸も包含する。基質の使用は、ポリマー粒子の所望の組成および所望の特性により決定される。
基質または基質混合物は、少なくとも1つの任意置換アミノ酸、ラクテート、エステル、あるいは飽和または不飽和脂肪酸、好ましくはアセチル−CoAを含み得る。
一実施形態では、アジュバント、免疫調節作因または分子、例えば免疫刺激作因または分子、あるいはワクチンの調製に有用な他の化合物が、基質混合物中に提供され、ポリマー粒子形成中にポリマー粒子中に組入れられるし、あるいはポリマー粒子中に拡散される。
ポリマー粒子は、例えばポリ−ベータ−アミノ酸、ポリラクテート、ポリチオエステルおよびポリエステルから選択されるポリマーを含み得る。最も好ましくは、ポリマーは、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、好ましくはポリ(3−ヒドロキシブチラート)(PHB)を含む。
ポリマーシンターゼまたはポリマー粒子は、好ましくは、ポリマー粒子を被包するリン脂質単層を含む。好ましくは、上記粒子形成タンパク質は、上記脂質単層に及ぶ。
ポリマーシンターゼまたは粒子形成タンパク質は、好ましくは、ポリマー粒子と、またはリン脂質単層と結合されるか、あるいは両方と結合される。
粒子形成タンパク質は、好ましくは、それが形成するポリマー粒子と共有的にまたは非共有的に結合される。
好ましくは、ポリマー粒子の表面積の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%が、融合ポリペプチドにより被覆される。
ある環境では、本発明の方法で産生される粒子のサイズを制御して、例えば、特に所定の用途に適合される粒子を産生することが望ましい。例えば、強固な細胞媒介性免疫応答を引き出すために、相対的に大きいサイズの細胞媒介性免疫応答を引き出し得る1つ以上の抗原を含むポリマー粒子を産生することが望ましい。例えば、結核の処置における使用のための粒子の状況では、例えば、強固な細胞媒介性免疫応答を引き出すために、相対的に大きいサイズの1つ以上のヒト型結核菌抗原を含むポリマー粒子を産生することが望ましい。同様の条件は、肝炎またはインフルエンザの処置のために適用可能であり得るが、この場合、例えば、強固な細胞媒介性免疫応答を引き出すために、相対的に大きいサイズの1つ以上の肝炎抗原または1つ以上のインフルエンザ抗原を含むポリマー粒子を産生することが望ましい。ポリマー粒子のサイズを制御するための方法は、PCT/DE2003/002799(WO 2004/020623として公開)およびPCT/NZ2006/000251(WO 2007/037706として公開)に記載されている。
いくつかの実施形態では、粒子サイズは、粒子形成タンパク質の発現を制御することにより、あるいは例えば存在する場合、粒子サイズ決定タンパク質の発現を制御することにより、制御される。
本発明の他の実施形態では、例えば粒子サイズは、基質の利用能、例えば培地中の基質の利用能を制御することにより達成され得る。ある例では、基質は、それがポリマー粒子のサイズの制御を保証するのに十分であるような量で、培地中に付加され得る。
このような方法の組合せを用いて、粒子サイズ全体のさらなる有効な制御を発揮するための実現性を可能にする、と理解される。
種々の実施形態において、例えば粒子サイズは、約10nm〜3μm、好ましくは約10nm〜約900nm、約10nm〜約800nm、約10nm〜約700nm、約10nm〜約600nm、約10nm〜約500nm、約10nm〜約400nm、約10nm〜約300nm、約10nm〜約200nm、特に好ましくは約10nm〜約100nmの直径を有する粒子を産生するよう制御され得る。
他の実施形態では、例えば、粒子サイズは、約10nm〜約90nm、約10nm〜約80nm、約10nm〜約70nm、約10nm〜約60nm、約10nm〜約50nm、約10nm〜約40nm、約10nm〜約30nm、または約10nm〜約20nmの直径を有する粒子を産生するよう制御され得る。
平均ポリマーサイズの他の範囲、例えば上記範囲内の範囲が具体的に意図され、例えばポリマー粒子は、約50〜約500nm、約150〜約250nm、または約100〜約500nm等の直径を有する。
種々の実施形態において、例えば産生される粒子の90%は約200nm以下の直径を有し、80%は約150nm以下の直径を有し、60%は約100nm以下の直径を有し、45%は約80nm以下の直径を有し、40%は約60nm以下の直径を有し、25%は約50nm以下の直径を有し、そして5%は約35nm以下の直径を有する。
種々の実施形態において、例えば、当該方法は、約200nm未満、約150nm未満または約110nm未満の平均直径を有するポリマー粒子を産生する。
7. 組成物および処方物
本発明のポリマー粒子は、多数の異なる用途のために本発明の方法に用いるのに適した組成物として処方され、例えば、特定の経路による投与のために処方され、あるいは貯蔵のために処方され得るし、それらを産生した宿主細胞の外側で粒子として安定的に保持され得るし、これらの粒子は多数の用途に適合するよう設計され得る。
一実施形態では、例えば、本明細書中で有用な組成物は、任意の選択される経路により、例えば経口または非経口(例えば、局所、皮下、筋肉内および静脈内)投与(これらに限定されない)により被験者への投与を可能にするよう処方される。
したがって、例えば本発明による有用な薬学的組成物は、意図される投与経路および標準薬学的実行に関して選択される適切な製薬上許容可能な担体(例えば賦形剤、希釈剤、補助剤およびその組合せ)とともに処方され得る。例えば、ワクチン接種のために意図される薬学的組成物は、当該技術分野で周知であるように、1つ以上のアジュバントまたは免疫刺激剤を含有する。例えば、本発明による有用な組成物は、粉末、液体、錠剤またはカプセルとして経口投与され、あるいは軟膏、クリームまたはローションとして局所投与され得る。適切な処方物は、必要な場合、付加的作用物質、例えば乳化剤、酸化防止剤、風味剤または着色剤を含有し得るし、即時−、遅延−、調整−、持続−、パルス−、または制御−放出のために適合され得る。
したがって、本発明は、ヒトおよびその他の哺乳動物における疾患、障害および/または症状、ならびに本明細書中に開示されるような他の障害の治療のために有用な、本明細書中に開示されるものを含めて本発明の1つ以上のポリマー粒子を含む用量、剤形、処方物、組成物および/または装置にも関する。本発明の1つ以上のポリマー粒子を含むこれらの剤形、処方物、組成物および/または装置の使用は、これらの症状の有効な処置を可能にする。本発明は、例えば、本発明の1つ以上のポリマー粒子、例えばTb抗原を含む1つ以上のポリマー粒子を含有するかまたは含む剤形、処方物、装置および/または組成物を提供する。本発明の剤形、処方物、装置および/または組成物は、生物学的利用能、免疫原性を最適化し、あるいは血漿、血液または組織濃度を免疫原または治療範囲に、延長期間を含めて、保持するよう処方され得る。例えば作用部位での抗原濃度を最適化するために、制御送達調製物も用いられ得る。
本発明の剤形、処方物、装置および/または組成物は、周期的投与のために、例えば、本発明の1つ以上のポリマー粒子への継続曝露を提供するために、処方され得る。有益な免疫学的応答を引き出すための戦略、例えば1回以上の「追加免疫」ワクチン接種を用いる戦略が当該技術分野で周知であり、このような戦略は、本発明の実行において適合され得る。
薬学的組成物および剤形は非経口経路により投与され得るが、この経路は、本明細書中に記載されるような免疫応答を引き出す方法のある実施形態のために選択される。非経口剤形の例としては、活性作用物質の水溶液、等張生理食塩水または5%グルコース、あるいは他の周知の製薬上許容可能な賦形剤が挙げられる。例えばシクロデキストリン、または当業者に周知のその他の可溶化剤が、治療薬の送達のための薬学的賦形剤として利用され得る。
経口投与に適した剤形の例としては、治療的有効量の本発明のポリマー粒子を提供し得る錠剤、カプセル、ロゼンジまたは同様の形態、あるいは任意の液体形態、例えばシロップ、水溶液、乳濁液等が挙げられるが、これらに限定されない。カプセルは、任意の標準的製薬上許容可能な物質、例えばゼラチンまたはセルロースを含有し得る。錠剤は、活性成分と固体担体および滑剤との混合物を圧縮することにより、慣用的手法に従って処方され得る。固体担体の例としては、デンプンおよび糖ベントナイトが挙げられる。活性成分は、結合剤、例えばラクトースまたはマンニトール、慣用的充填剤および錠剤成形剤を含有する硬質外被錠剤またはカプセルの形態でも投与され得る。
経皮投与に適した剤形の例としては、経皮パッチ、経皮絆創膏等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物および処方物の局所投与に適した剤形の例は、皮膚に直接適用されるにせよ、あるいはパッド、パッチ等のような媒介手段を介して適用されるにせよ、任意のローション、スティック、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ゲル等である。
本発明の組成物および処方物の坐薬投与に適した剤形の例としては、身体開口部に挿入される任意の固体剤形、特に直腸、膣および尿道に挿入されるものが挙げられる。
本発明の組成物および処方物の注射に適した剤形の例としては、ボーラスによる送達、例えば静脈内注射、皮下、真皮下および筋肉内投与または経口投与による単回または多数回投与が挙げられる。
本発明の組成物および処方物のデポー投与に適した剤形の例としては、本発明のポリマー粒子のペレットまたは小円筒、あるいは、本発明のポリマー粒子が生分解性ポリマー、マイクロエマルション、リポソームのマトリックス中に閉じ込められるかまたはマイクロカプセル封入される固体形態が挙げられる。
本発明の組成物および処方物のための注入装置の例としては、所望回数の用量投与または定常状態投与のために所望量で本発明の1つ以上のポリマー粒子を含有する注入ポンプ、例えば埋込み型薬剤ポンプが挙げられる。
本発明の組成物および処方物のための埋込み型注入装置の例としては、本発明のポリマー粒子が生分解性ポリマーまたは合成ポリマー、例えばシリコーン、シリコンゴム、シリコン剤または類似のポリマーの中に被包されるかまたは全体に分散される。
本発明の組成物および処方物の経粘膜送達に適した剤形の例としては、活性成分のほかに、適切であることが当該技術分野で既知である担体を含有する浣腸、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体、霧状化溶液、粉末および類似の処方物のためのdepositories溶液が挙げられる。本発明の組成物および処方物、例えば製薬上許容可能な水性または有機溶媒あるいはその混合物中の溶液および/または懸濁液および/または粉末を含む組成物の吸入または吹送に適した剤形が、具体的に意図される。本発明の組成物および処方物の経粘膜投与は、任意の粘膜を利用するが、しかし一般に鼻、頬、膣および直腸組織を利用する。本発明の組成物および処方物の鼻投与に適した処方物は、液体形態で、例えば鼻スプレー、鼻滴下液で、あるいは、ポリマー粒子の水性または油性溶液を含めたネブライザーによるエーロゾル投与により投与され得る。担体が固体である場合の鼻投与のための処方物としては、例えば、約100ミクロン未満、好ましくはそれ以下、最も好ましくは約50μ未満の粒子サイズを有する粗粉末が挙げられるが、これは、嗅ぎ薬が摂取されるようにして、すなわち、鼻に近づけて保持される粉末の容器から鼻通路を通して迅速に吸入することにより、投与される。本発明の処方物は、例えば整理食塩水中の水溶液、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該技術分野で既知のその他の可溶化剤または分散剤を用いる溶液として調製され得る。
本発明の組成物および処方物の頬投与に適した剤形の例としては、ロゼンジ、錠剤等が挙げられ、組成物は、製薬上許容可能な水性または有機溶媒あるいはその混合物中の溶液および/または懸濁液、および/または粉末を含む。
本発明の組成物および処方物の舌下投与に適した剤形の例としては、ロゼンジ、錠剤等が挙げられ、組成物は、製薬上許容可能な水性または有機溶媒あるいはその混合物中の溶液および/または懸濁液、および/または粉末を含む。
本発明の組成物および処方物の眼投与に適した剤形の例としては、挿入物が挙げられ、組成物は、製薬上許容可能な水性または有機溶媒中の溶液および/または懸濁液を含む。
本発明の組成物および処方物の送達のために有用な、ワクチンおよび制御薬剤処方物を含めた処方物および組成物の例は、例えば、Sweetman, S. C. (Ed.). Martindale. The Complete Drug Reference, 33rd Edition, Pharmaceutical Press, Chicago, 2002, 2483 pp.;Aulton, M. E. (Ed.) Pharmaceutics. The Science of Dosage Form Design. Churchill Livingstone, Edinburgh, 2000, 734 pp.;およびAnsel, H. C., Allen, L. V. and Popovich, N. G. Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th Ed., Lippincott 1999, 676 ppに見出される。薬剤送達系の製造に用いられる賦形剤は、当業者に既知の種々の出版物、例えばKibbe, E. H. Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Ed., American Pharmaceutical Association, Washington, 2000, 665 ppに記載されている。USPも、調整放出経口剤形の例、例えば錠剤またはカプセルとして処方されるものを提供する。例えば、The United States Pharmacopeia 23/National Formulary 18, The United States Pharmacopeial Convention, Inc., Rockville MD, 1995 (本明細書中では、以後、「USP」)参照。これは、延長放出および遅延放出錠剤およびカプセルの薬剤放出能力を確定するための具体的試験を記載している。延長放出および遅延放出商品に関する薬剤放出に関するUSP試験は、所要試験時間に対する投与量単位からの薬剤溶解に基づいている。種々の試験装置および手法についての記述が、USPに見出され得る。延長放出剤形の分析に関するさらなる指針は、F.D.A.により提供されている(Guidance for Industry. Extended release oral dosage forms: development, evaluation, and application of in vitro/in vivo correlations. Rockville, MD: Center for Drug Evaluation and Research, Food and Drug Administration, 1997参照)。
本発明の剤形のさらなる例としては、調整放出(MR)剤形、例えば遅延放出(DR)型;延長作用(PA)型;制御放出(CR)型;拡大放出(ER)型;時限放出(TR)型;および長期作用(LA)型が挙げられるが、これらに限定されない。ほとんどの部分に関しては、これらの用語は、経口投与剤形を記述するために用いられるが、しかしながら、これらの用語は、本明細書中に記載される剤形、処方物、組成物および/または装置のいずれかに適用可能であり得る。これらの処方物は、薬剤投与後の多少の時間の間の遅延総薬剤放出、および/または投与後断続的な小アリコート中での薬剤放出、および/または送達系により支配される制御速度でのゆっくりとした薬剤放出、および/または変化しない一定速度での薬剤放出、および/または通常処方物より有意に長い期間の間の薬剤放出を実行する。
ある実施形態では、本発明の1つ以上のポリマー粒子の、あるいは本発明の1つ以上のポリマー粒子を含む1つ以上の抗原の治療的有効量は、約1ug/kg〜約1g/kgである。治療的有効用量範囲の例としては、例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約1μg/kg〜約400mg/kg、約1μg/kg〜約300mg/kg、約1μg/kg〜約200mg/kg、約1μg/kg〜約100mg/kg、約1μg/kg〜約90mg/kg、約1μg/kg〜約80mg/kg、約1μg/kg〜約70mg/kg、約1μg/kg〜約60mg/kg、約1μg/kg〜約50mg/kg、約5μg/kg〜約50mg/kg、約10μg/kg〜約50mg/kg、約50μg/kg〜約50mg/kg、約100μg/kg〜約50mg/kg、約200μg/kg〜約50mg/kg、約300μg/kg〜約50mg/kg、約400μg/kg〜約50mg/kg、約500μg/kg〜約50mg/kg、約600μg/kg〜約50mg/kg、約700μg/kg〜約50mg/kg、約800μg/kg〜約50mg/kg、約900μg/kg〜約50mg/kg、約1mg/kg〜約50mg/kg、約5mg/kg〜約50mg/kg、約10mg/kg〜約50mg/kg、約15mg/kg〜約50mg/kg、約20mg/kg〜約50mg/kg、約25mg/kg〜約50mg/kg、約30mg/kg〜約50mg/kg、約35mg/kg〜約50mg/kg、約40mg/kg〜約50mg/kgまたは約45mg/kg〜約50mg/kgが挙げられる。
他の治療的有効用量範囲としては、例えば、約1mg/kg〜約1g/kg、約1.5mg/kg〜約950mg/kg、約2mg/kg〜約900mg/kg、約3mg/kg〜約850mg/kg、約4mg/kg〜約800mg/kg、約5mg/kg〜約750mg/kg、約5mg/kg〜約700mg/kg、5mg/kg〜約600mg/kg、約5mg/kg〜約500mg/kg、約10mg/kg〜約400mg/kg、約10mg/kg〜約300mg/kg、約10mg/kg〜約200mg/kg、約10mg/kg〜約250mg/kg、約10mg/kg〜約200mg/kg、約10mg/kg〜約200mg/kg、約10mg/kg〜約150mg/kg、約10mg/kg〜約100mg/kg、約10mg/kg〜約75mg/kg、約10mg/kg〜約50mg/kgまたは約15mg/kg〜約35mg/kgが挙げられる。
ヒト被験者を標的にする本発明のいくつかの実施形態では、本発明の1つ以上のポリマー粒子の、あるいは本発明の1つ以上のポリマー粒子を含む1つ以上の抗原の治療的有効量は、例えば約10mg〜約10g/用量投与である。他の治療的有効用量範囲としては、例えば約20mg〜約9g、約30mg〜約8g、約40mg〜約7g、約50mg〜約6g、約60mg〜約5g、約70mg〜約4g、約80mg〜約3g、約100mg〜約2g、約100mg〜約1.5g、約200mg〜約1400mg、約200mg〜約1300mg、約200mg〜約1200mg、約200mg〜約1100mg、約200mg〜約1000mg、約300mg〜約900mg、約300mg〜約800、約300mg〜約700mgまたは約300mg〜約600mg/用量投与が挙げられる。
本発明は、一部は、本発明の1つ以上のポリマー粒子を含む低用量の組成物、処方物および装置も提供する。例えば、低用量の組成物、処方物等は、例えば、約0.001mg/kg〜約5mg/kg、約0.01mg/kg〜約4.5mg/kg、約0.02mg/kg〜約4mg/kg、約0.02〜約3.5mg/kg、約0.02mg/kg〜約3mg/kg、約0.05mg/kg〜約2.5mg/kg、約0.05mg/kg〜約2mg/kg、約0.05−0.1mg/kg〜約5mg/kg、約0.05−0.1mg/kg〜約4mg/kg、約0.05−0.1mg/kg〜約3mg/kg、約0.05−0.1mg/kg〜約2mg/kg、約0.05−0.1mg/kg〜約1mg/kgの投与量、および/または本発明の1つ以上のポリマー粒子または本発明の1つ以上のポリマー粒子を含む1つ以上の抗原の本明細書中に記述される範囲内の任意の他の用量または用量範囲を提供するのに十分な量で投与される。
本明細書中に記載される用量は、単回用量投与で、または多数回用量投与で、または分割用量投与で投与され得る。例えば、用量投与は、免疫学の技術分野で周知であるような処置レジメン全体で、1回、2回、3回、4回またはそれ以上の回数で施され得る。
本発明による有用な組成物の効力は、in vitroおよびin vivoの両方で評価され得る(例えば、以下の実施例を参照)。要するに、組成物は、細胞媒介性免疫応答を誘導するその能力に関して、in vitroまたはin vivoで試験され得る。in vivo試験に関しては、組成物は、動物(例えばマウス)に給餌されるかまたは注射されて、免疫応答を引き出すのに及ぼすその作用が次に査定される。結果に基づいて、適切な投与量範囲および投与経路が決定され得る。
本発明のいくつかの実施形態では、治療的有効量は、免疫学的応答を引き出すのに有効な量、例えば約0.5ng/mL〜約20ng/mL、約0.5ng/mL〜約15ng/mL、約0.5ng/mL〜約10ng/mL、約0.5ng/mL〜約9ng/mL、約1ng/mL〜約8ng/mL、約2ng/mL〜約7ng/mLまたは約3ng/mL〜約6ng/mLの血中IFN−ガンマの濃度である。
感染後または長期感染中を含めて、いくつかの環境では、IFN−ガンマ血中濃度上昇が観察されるが、このような濃度上昇は、本発明のポリマー粒子による有効な免疫学的応答を引き出すことが査定されるべきである基線を査定するに際して説明されるべきである。
8. ポリマー粒子による処置
ポリマー粒子、例えばポリヒドロキシアルキルポリマー粒子は、それらを産生した宿主細胞の外側に粒子として安定的に保持され得るし、これらの粒子は多数の用途に適合するよう設計され得る、ということが発見された。
機能性ポリマー粒子は、細胞媒介性またはその他の免疫応答を引き出し得る1つ以上の表面結合抗原、細胞媒介性またはその他の免疫応答を引き出し得る抗原の結合ドメインと結合される1つ以上の物質、あるいはその組合せを含み得る。
一実施形態では、例えば、物質は、粒子形成中に粒子表面に固定され、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインと結合されるか、あるいは負荷、拡散または組入れにより粒子中に組み込まれる。
結核の処置での使用の状況では、例えばポリマー粒子は、1つ以上の表面結合ヒト型結核菌抗原、ヒト型結核菌抗原結合ドメインと結合される1つ以上の物質、またはその組合せを含み得る。
一実施形態では、物質は、粒子形成中に粒子表面に固定され、例えばヒト型結核菌抗原結合ドメインと結合されるか、あるいは負荷、拡散または組入れにより粒子中に組み込まれる。例えば架橋によるポリマー粒子の表面との共有結合も、具体的に意図される。
一実施形態では、物質は、例えばタンパク質またはタンパク質断片、ペプチド、ポリペプチド、抗体または抗体断片、抗体結合ドメイン、抗原、抗原決定基、エピトープ、免疫原またはその断片、あるいはその任意の2つ以上の任意の組合せからなる一覧から選択される。
一実施形態では、細胞内病原体からのDNAは、断片化され、ポリマーシンターゼを含む融合ポリペプチドをコードする発現構築物中に挿入され得る。このようにして、細胞内病原体抗原決定基を表示するポリマー粒子が産生され、感染患者からの血清を用いてスクリーニングされ得るし、そして抗原提示粒子は、周知の且つ計量可能な細菌産生系を用いて同定され、単離され、再生される。
一実施形態では、細胞媒介性(またはその他の)免疫応答を引き出し得る多数の抗原が、ポリマー粒子の表面に固定される。
一実施形態では、例えばヒト型結核菌からのDNAは、断片化され、ポリマーシンターゼを含む融合ポリペプチドをコードする発現構築物中に挿入され得る。このようにして、例えばヒト型結核菌抗原決定基を表示するポリマー粒子が産生され、感染患者からの血清を用いてスクリーニングされ得るし、そして抗原提示粒子は、周知の且つ計量可能な細菌産生系を用いて同定され、単離され、再生される。
一実施形態では、例えば多数のヒト型結核菌または他の抗原がポリマー粒子の表面に固定される。
同様に、種々の実施形態において、例えば肝炎ウイルスからの、またはインフルエンザウイルスからのDNAは、断片化され、ポリマーシンターゼを含む融合ポリペプチドをコードする発現構築物中に挿入され得る。このようにして、肝炎抗原決定基またはインフルエンザ抗原決定基を表示するポリマー粒子が産生され、感染患者からの血清を用いてスクリーニングされ得るし、そして抗原提示粒子は、周知の且つ計量可能な細菌産生系を用いて同定され、単離され、再生される。
一実施形態では、例えば多数の肝炎またはインフルエンザ抗原がポリマー粒子の表面に固定される。
本発明の一態様は、免疫応答を引き出す1つ以上の抗原を保有するポリマー粒子の能力に関する。一実施形態では、ポリマー粒子は、ポリマービーズと融合される、細胞媒介性またはその他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む。ポリマー粒子は、抗原部分に対する最適免疫応答を刺激するために、その表面に、細胞媒介性またはその他の免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を表示する。
一実施形態では、1つ以上の抗原を保有するポリマー粒子は免疫応答を引き出す。一実施形態では、ポリマー粒子は、例えばポリマービーズと融合される少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む。ポリマー粒子は、例えば抗原部分に対する最適免疫応答を刺激するために、その表面に、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を表示する。
一実施形態では、1つ以上の抗原を保有するポリマー粒子は肝炎に対する免疫応答を引き出す。一実施形態では、ポリマー粒子は、例えばポリマービーズと融合される少なくとも1つの肝炎抗原を含む。ポリマー粒子は、例えば抗原部分に対する最適免疫応答を刺激するために、その表面に、少なくとも1つの肝炎抗原を表示する。一実施形態では、ポリマー粒子は、例えばポリマービーズと融合される少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含む。ポリマー粒子は、例えば抗原部分に対する最適免疫応答を刺激するために、その表面に、少なくとも1つのインフルエンザ抗原を表示する。本明細書中に記載されるように、他の抗原が意図される。
一実施形態では、例えば1つより多い抗原、あるいは抗原、アジュバントまたは他の免疫調節因子または分子、例えば免疫刺激因子または分子の組合せが、粒子中または粒子上に存在し、あるいは組成物中に存在する。典型的には、抗原、アジュバントあるいは他の免疫調節因子または分子の組合せの存在は、免疫応答をさらに増強するためである。
一実施形態では、本発明は、例えば多相系ワクチン組成物を提供した。このハイブリッドワクチンは、結核感染の種々の段階に特異的な異なる抗原を表示する。例えば、早期抗原は、後期抗原と同時発現される。細胞内抗原を含めた種々の抗原に特異的な抗原は当該技術分野で周知であり、例示的病原体に関する代表的抗原は、本明細書中に記載されている。
本発明は、被験者における細胞媒介性(および/またはその他の)免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、例えば、粒子形成タンパク質、好ましくはポリマーシンターゼを含み、例えば細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインと融合されるポリマー粒子を投与することを包含する方法にも関する。
この実施形態では、被験者への投与時に、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインは、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る内因性抗原と結合し得る。細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原を結合し得る結合ドメインを含むポリマー粒子と、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る内因性抗原との結合は、被験者の免疫応答を引き出すかまたは増強し得る、と理解される。
例えば、例えば少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む粒子の投与前に、被験者中に存在するがしかし被験者における有効な免疫応答を引き出し得ない細胞媒介性免疫応答を引き出し得る抗原は、粒子との結合時に有効な免疫応答を引き出し得るか、あるいは被験者の免疫応答を増強するために有効である。
一実施形態では、本発明は、例えば結核に感染した、あるいは結核に対して予め免疫化された被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、例えばヒト型結核菌抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含むポリマー粒子を投与することを包含する方法を提供する。
この実施形態では、例えば被験者への投与時に、ヒト型結核菌抗原結合ドメインは、内因性ヒト型結核菌抗原と結合し得る。例えば、ヒト型結核菌抗原結合ドメインを含むポリマー粒子と、内因性ヒト型結核菌抗原との結合は、被験者の免疫応答を引き出すかまたは増強し得る、と理解される。
例えば、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原結合ドメインを含む粒子の投与前に被験者中に存在するが、しかし被験者における有効な免疫応答を引き出し得ない少なくとも1つのヒト型結核菌抗原は、粒子との結合時に有効な免疫応答を引き出し得るか、あるいは被験者の免疫応答を増強するために有効である。
一実施形態では、本発明は、例えば肝炎に感染した、あるいは肝炎に対して予め免疫化された被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、肝炎抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含むポリマー粒子を投与することを包含する方法を提供する。
この実施形態では、例えば被験者への投与時に、肝炎抗原結合ドメインは、内因性肝炎抗原と結合し得る。肝炎抗原結合ドメインを含むポリマー粒子と、内因性肝炎抗原との結合は、被験者の免疫応答を引き出すかまたは増強し得る、と理解される。
例えば、少なくとも1つの肝炎抗原結合ドメインを含む粒子の投与前に被験者中に存在するが、しかし被験者における有効な免疫応答を引き出し得ない肝炎抗原は、粒子との結合時に有効な免疫応答を引き出し得るか、あるいは被験者の免疫応答を増強するために有効である。
一実施形態では、本発明は、例えばインフルエンザに感染した、あるいはインフルエンザに対して予め免疫化された被験者における免疫応答を引き出す方法であって、それを必要とする被験者に、インフルエンザ抗原結合ドメインと融合される粒子形成タンパク質を含むポリマー粒子を投与することを包含する方法を提供する。
この実施形態では、例えば被験者への投与時に、インフルエンザ抗原結合ドメインは、内因性インフルエンザ抗原と結合し得る。インフルエンザ抗原結合ドメインを含むポリマー粒子と、内因性インフルエンザ抗原との結合は、被験者の免疫応答を引き出すかまたは増強し得る、と理解される。
例えば、少なくとも1つのインフルエンザ抗原結合ドメインを含む粒子の投与前に被験者中に存在するが、しかし被験者における有効な免疫応答を引き出し得ないインフルエンザ抗原は、粒子との結合時に有効な免疫応答を引き出し得るか、あるいは被験者の免疫応答を増強するために有効である。
本発明は、それらが施される被験者における免疫応答を引き出す粒子、組成物および方法を提供する、と理解される。好ましくは、本発明の粒子、組成物および方法を用いて被験者に提示される1つ以上の抗原に応答して引き出される免疫応答の大きさは、抗原単独(すなわち、本発明の、または本明細書中に提示さえっるもの以外の方法により提示される粒子または組成物の非存在下)に応答して引き出されるものより大きい。免疫応答、特に細胞媒介性免疫応答の大きさを定量する方法は、当該技術分野で周知である。
9. 免疫応答の調節因子
ある環境においては、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む融合タンパク質を表示するポリマー粒子を産生することが望ましい。代替的には、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つ以上の抗原を免疫応答のアジュバントまたは他の調節因子とともに含む融合タンパク質が、免疫応答を引き出すために望ましい。
ある環境においては、体液性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つの抗原を含む融合タンパク質を表示するポリマー粒子を産生することが望ましい。代替的には、体液性免疫応答を引き出し得る少なくとも1つ以上の抗原を免疫応答のアジュバントまたは他の調節因子とともに含む融合タンパク質が、免疫応答を引き出すために望ましい。
例えば、結核の処置においては、少なくとも1つのヒト型結核菌抗原を含む融合タンパク質を表示するポリマー粒子であって、免疫系の1つ以上のアジュバントまたは他の調節因子と一緒に投与されるポリマー粒子を産生することが望ましい。代替的には、例えば1つ以上のヒト型結核菌抗原、および免疫応答のアジュバントまたは他の調節因子を含む融合タンパク質を含むポリマー粒子が、免疫応答を引き出すために所望され得る。肝炎の処置においては、少なくとも1つの肝炎抗原を含む融合タンパク質を表示するポリマー粒子であって、免疫系の1つ以上のアジュバントまたは他の調節因子と一緒に投与されるポリマー粒子を産生することが望ましい。代替的には、1つ以上の肝炎抗原、および免疫応答のアジュバントまたは他の調節因子を含む融合タンパク質を含むポリマー粒子が、免疫応答を引き出すために所望され得る。インフルエンザの処置においては、少なくとも1つのインフルエンザ抗原を含む融合タンパク質を表示するポリマー粒子であって、免疫系の1つ以上のアジュバントまたは他の調節因子と一緒に投与されるポリマー粒子を産生することが望ましい。代替的には、1つ以上のインフルエンザ抗原、および免疫応答のアジュバントまたは他の調節因子を含む融合タンパク質を含むポリマー粒子が、免疫応答を引き出すために所望され得る。
一例では、本発明のポリマー粒子は、1つ以上の抗原を、1つ以上のトル様受容体、例えばLPS、リポタンパク質、フラゲリン、二本鎖RNA、非メチル化CpGアイランド、あるいは細菌またはウイルスDNAまたはRNAからなるリガンドの群のうちの1つ以上を結合し得る1つ以上のトル様受容体と一緒に含み得る。同様に、本発明の組成物は、1つ以上のTb抗原を含むポリマー粒子の集団、ならびに1つ以上の免疫調節分子、例えば1つ以上のトル様受容体を含むポリマー粒子の集団を含み得る。
1つ以上の免疫調節分子の存在は、体液特異的免疫応答または細胞媒介性特異的免疫応答を引き出すのに、あるいは体液性および細胞媒介性免疫応答の組合せを含む免疫応答を引き指すのに有用であり得る。
上記のものならびに本明細書中で言及される文書中に記載されたものを含めて、任意の既知のヒト型結核菌抗原から、特定抗原が選択され得る。抗原は、早期感染に対して処置するかまたは免疫化するのに適したワクチンを産生するよう、選択され得る。代替的には、感染の早期および潜伏期からの抗原を含む多相ワクチンが提供される。例えば、Ag85A−ESAT−6融合タンパク質を表示するポリマー粒子を含むワクチン送達系が提供される。第二の例は、Ag85A抗原を発現するポリマー粒子を、結核に対する免疫応答を刺激するのに適した既知のアジュバントとともに含み得る。
上記のものならびに本明細書中で言及される文書中に記載されたものを含めて、細胞媒介性免疫応答を引き出し得る任意の既知の抗原から、特定抗原が選択され得る。抗原は、早期感染に対して処置するかまたは免疫化するのに適したワクチンを産生するよう、選択され得る。代替的には、感染の早期および潜伏期からの抗原を含む多相ワクチンが提供される。
上記で本発明を説明してきたが、以下の実施例(単なる例示である)でも本発明を説明する。
実施例1−大腸菌(E.coli)中でのプラスミドの構築およびPHAポリマー粒子の産生
本実施例は、結核抗原Ag−85AとESAT−6、C型肝炎コア抗原、およびインフルエンザ・ヘマグルチニン(HA)抗原のH1サブセットを表示するポリマー粒子を大腸菌中で産生するためのプラスミドの構築について、該ポリマー粒子の免疫原の分析とともに説明する。
材料および方法
1.大腸菌株の増殖
大腸菌(Escherichia coli)DH51α(Invitrogen)を、1%(w/w)グルコースおよび75μg/mLアンピシリンを補充したDifco(登録商標)LB培地(表1を参照)で増殖した。大腸菌BL21(Invitrogen)を、1%(w/w)グルコース、75μg/mLアンピシリン、および30μg/mLクロラムフェニコールを補充したDifco(登録商標)ルリア(LB)培地で増殖した。
2.プラスミドの構築
本実施例で用いたすべてのプラスミドおよびオリゴヌクレオチドを表2に収載する。
PhaAおよびPhaBの酵素をプラスミドpMCS69によってコードした。結核抗原ポリマー粒子の場合、プラスミドDK1.2−Ag85A−ESAT−6は、Ag85A(N末端成分)のコード領域(分泌シグナル配列を含まない)と、ESAT−6(C末端成分)のコード領域とから構成されるハイブリッド遺伝子を含んでいた。Ag85A−ESAT−6融合タンパク質をコードし、且つ翻訳開始部位および開始コドンを含むDNA断片を、プライマーAg85A−SpeI[配列番号3]およびESAT−6−SpeI[配列番号4]を用いるPCRによってこのプラスミドから単離して、XbalI、ClaI−エンドヌクレアーゼ化pHASベクター中に連結して、プラスミドpHAS−Ag85A−ESAT−6を生成した。
Ag85A−ESAT6融合の3’OH末端断片に由来するコード配列を配列番号1として、由来アミノ酸配列を配列番号2として示す。
C型肝炎ポリマー粒子の場合、DNA2.0によってSpeI/NotI断片として合成したHep C DNAを、pET−14b−scFV−PhaCベクターにサブクローニングして、pET−14b Hep−PhaCの形成をもたらす。
HepC−PhaC融合の3’OH末端断片に由来するコード配列を配列番号7として、由来アミノ酸配列を配列番号8として示す。
HA抗原ポリマー粒子の場合、完全長ヘマグルチニン配列をGenScriptでSpeI/NotI断片として合成した。この断片をPET−14b−scFv−PhaCベクターにサブクローニングして、pET−14bヘマグルチニン−PhaC形成をもたらした。ヘマグルチニン抗原の短いH1部分を作製するために、表2に記載したプライマーを有する鋳型としてpET−14bヘマグルチニン−PhaCを用いてH1配列を増殖した。SpeI/SunI断片を、pET−14bヘマグルチニン−PhaCにサブクローニングして、H3−PhaCのpET−14b HA1の形成をもたらした。XhoI/BamHI断片をpET−14b PhaC−リンカー−MalEにサブクローニングして、H3のpET−14b PhaC−リンカー−HA1の形成をもたらした。
H3−PhaC融合のHA1の3’OH末端断片に由来するコード配列を配列番号11として、由来アミノ酸配列を配列番号12として示す。
3.ポリマー粒子を表示するAg85A−ESAT−6の産生
プラスミドpHAS−Ag85A−ESAT−6およびpHASを、プラスミドpMCS69を保有する大腸菌BL21(DE3)細胞に導入した。上述のように、これらの形質転換体をバイオポリエステルポリマー粒子の産生に適している条件下で培養した。次いで、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子、または野生型ポリマー粒子を産生する能力をそれぞれ以下のように評価した。
4.ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)
種々のプラスミドを保有する細菌細胞のポリエステル含有量は、in vivoでのPhaCシンターゼの活性に対応する。phaCシンターゼ活性を決定するために、蓄積されたポリエステルの量をガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)法によって評価し、特に、PhaC−Tb抗原融合が依然としてポリエステル合成を触媒し、且つ細胞内顆粒形成を媒介するかどうかを評価した。酸触媒メタノリシスによってポリエステルを3−ヒドロキシルメチルエステルに転換した後に、ポリエステル含有量をGC−MSで定量的に決定した。
結果
pHAS−Ag85A−ESAT−6とpMCS69、またはpHASとpMCS69を保有する細胞をGC−MSで分析することで、ポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認した。細胞内のポリエステル含有物の存在を、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡でさらに確認した。
考察
pHAS−Ag85A−ESAT−6およびpMCS69を保有する細胞内にポリヒドロキシ酪酸が存在することで、三部融合タンパク質として存在するとき、pはCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示した。
実施例2−L.ラクチス中でのプラスミドの構築およびPHAポリマー粒子の産生
本実施例は、結核抗原Ag−85AおよびESAT−6を表示するポリマー粒子をL.ラクチス中で産生するためのプラスミドの構築を説明する。
材料および方法
1.プラスミドの構築
本実施例で用いたすべのてプラスミドおよびL.ラクチス菌株を表3に記載する。抗原(単数または複数)をコードする遺伝子Ag85A/ESAT6は、GeneScript Corporation(Piscataway, NJ)で合成された。コドン使用頻度は、L.ラクチスのコドン使用頻度バイアスに適していた。
nisAプロモーター(PnisA)の一部を含むpUC57−ZZの断片を、pUC57−ZZのNdeI消化によって取得し、pUC57−ESAT6を消化したNdeIを用いて連結させて、pUC57−nisESAT6を得た。次いで、PnisAおよびAg85A/ESAT6遺伝子の一部を含むpUC57−nisESAT6のBSTBI−BamHI断片を、pNZ−ABの対応する部位でphaBの上流に挿入して、pNZ−ESAT6−Bをもたらした。pNZ−CABの断片を含むphaCおよびphaAをpNZ−ESAT6−Bに導入するために、両プラスミドをNheIおよびBamHIで加水分解して、pNZ−CABのphaCA断片をpNZ−ESAT6−CABに挿入し、pNZ−ESAT6−CABをもたらした。
nisAプロモーター(PnisA)の3’OH末端断片に由来するコード配列を配列番号3として、由来アミノ酸配列を配列番号4として示す。
C型肝炎抗原ポリマー粒子の場合、Hep C DNA配列は、L.ラクチス中での発現のために最適化され、且つGenScriptでNcoI/NheI断片として合成されたコドンであった。該断片を表3に記載したpNZ−CABプラスミドにサブクローニングして、pNZ−HepC−PhaCABの形成をもたらした。
HepC−PhaC(pNZ)融合の3’OH末端断片に由来するコード配列を配列番号9として、由来アミノ酸配列を配列番号10として示す。
実施例3−ポリエステルポリマー粒子の単離および該融合タンパク質の特徴づけ
本実施例は、その表面でAg85A−ESAT−6を表示するバイオポリエステルポリマー粒子の特性化を説明する。
材料および方法
1.ポリエステルポリマー粒子の単離
細菌を破壊することによってポリエステル顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、4000gで15分間遠心して、ポリエステルポリマー粒子を沈降させた。該ポリマー粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製した。
2.タンパク質濃度決定
ポリマー粒子に付着したタンパク質の濃度は、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて、製造業者の使用説明書(Bio-Rad)に従って決定した。濃度決定の後に、該タンパク質をSDS−PAGEによって分離して、SimplyBlue Safe Stain(Invitrogen)で染色した。
ポリマー粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、Ag85A−ESAT−6 PhaC融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析した。対象のタンパク質を該ゲルから抽出して、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いてトリプシンペプチドフィンガープリントにかけた。
3.ELISA
炭酸水素塩コーティング緩衝液(pH9.6)(Sigma-Aldrich)に希釈した精製Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子または野生型ポリマー粒子で、Maxisorbプレート(Nunc)を4℃で一晩被覆した。1mg/mLから0.015mg/mLに亘るタンパク質濃度を該緩衝液の段階希釈で用いた。プレートを洗浄して25℃で2時間ブロックした(表4を参照)。
次いで、プレートをPBS−Tween20で洗浄して、ESAT−6に対するマウス抗体(Abcam)とともにインキュベートし、洗浄し、PBS中1%(w/v)BSAで希釈した抗マウスIgG:西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体(Sigma-Aldrich)とともに室温で1時間、さらにインキュベートした。さらに洗浄した後、o−フェニレンジアミン(OPD)基質(Sigma-Aldrich)を加えて、該プレートを室温で30分間インキュベートした。
0.5MのH2SO4で反応を停止させて、吸光度を495nmで記録した。
4.フローサイトメトリー
25マイクログラムの精製したAg85A−ESAT−6ポリマー粒子または野生型ポリマー粒子を、氷冷のフローサイトメトリー緩衝液(表4を参照)で2回洗浄し、マウス抗ESAT−6抗体(Abcam)とともにインキュベートした。洗浄後、ポリマー粒子はラット抗マウスフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識した抗体(BD Pharmingen,CA,USA)で染色し、暗所の氷上で30分間インキュベートして、再度洗浄した。BD FACScalibur(BD Biosciences,CA,USA)を用いて、各試料に対して少なくとも10,000イベントを収集して、CellQuestソフトウェアを使用して分析した。
結果
Ag85A−ESAT−6−PhaCおよびPhaCに対してそれぞれ、みかけの分子量102kDaおよび63kDaの顕著なタンパク質バンドで決定されたように、該ポリマー粒子は高レベルのタンパク質を表示した。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOP−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントによって確認した。Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子は、抗ESAT−6抗体に用量依存的様式で結合したが、野生型ポリマー粒子は該抗体に結合しなかったことをELISAは示した。フローサイトメトリーは、>98%のAg85A−ESAT−6porima−粒子が抗ESAT−6抗体に結合したことを示した。
考察
三部融合タンパク質Ag85A−ESAT−6−PhaCをコードするハイブリッド遺伝子の組換え大腸菌での発現は成功し、ポリエステルポリマー粒子の表面で融合タンパク質を表示する該粒子の過剰産生を引き起こすことを本実施例の結果が示した。
実施例4−インフルエンザポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、形質転換宿主(この場合は大腸菌)中で、インフルエンザ抗原ノイラミニダーゼ、M1インフルエンザコートタンパク質およびヘマグルチニンを同時に表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。これらの抗原を有する粒子は、インフルエンザに対する予防ワクチンおよび治療ワクチンとして有効である。
1.材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.大腸菌株の増殖
1%(w/w)グルコースと75μg/mLアンピシリンとを補充した、実施例1の表1に詳述したDifco(商標)のLB培地で大腸菌DH5α(Invitrogen)を増殖する。1%(w/w)グルコースと75μg/mLアンピシリンと、30μg/mLクロラムフェニコールとを補充した、Difco(商標)のLB培地または限定培地で大腸菌BL21(Invitrogen)を増殖する。
2.プラスミドの構築
本実施例のプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを表5に収載する。PhaA酵素およびPhaB酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされる。
ノイラミニダーゼ抗原を表示するポリマー粒子を産生するために、ノイラミニダーゼをコードする遺伝子をコドン最適化して、GenScript IncでSpeI/SunIおよびXhoI/BamHIの断片として合成した。SpeI/SunI断片をH3−PhaCプラスミドのpET−14b HA1に挿入して、プラスミドpET−14b−NA−PhaCをもたらした。該XhoI/BamHIの断片をpET−14b−PhaC−リンカー−Ma1Eにサブクローニングして、プラスミドpET−14b−PhaC−リンカー−NAをもたらした。
M1インフルエンザコートタンパク質を表示するポリマー粒子を産生するために、M1遺伝子配列をコドン最適化して、GenScriptでSpeI/SunIおよびXhoI/BamHIの断片として合成した。該SpeI/SunI断片をH3−PhaCプラスミドのpET−14b HA1に挿入して、プラスミドpET−14b−M1−PhaCをもたらした。該XhoI/BamHIの断片をpET−14b−PhaC−リンカー−Ma1Eにサブクローニングして、プラスミドpET−14b−PhaC−リンカー−M1をもたらした。
3つのインフルエンザ抗原のすべてを同時に表示するポリマー粒子を産生するために、プラスミドpET−14b−NA−PhaCに由来するXbaI/NotI断片をpET−14b−PhaC−リンカー−M1にサブクローニングして、プラスミドpET−14b−NA−PhaC−リンカー−M1をもたらした。ヘマグルチニン−PhaCは、実施例1の表2に記載したBamH1 H3プライマーを用いて増殖させる。それぞれのBamH1/BlpI断片をプラスミドpET−14b−NA−PhaC−リンカー−M1にサブクローニングし、プラスミドpET−14b−NA−PhaC−リンカー−M1/ヘマグルチニン−PhaCをもたらす。
NA−PhaC融合およびPhaC−リンカー−NA融合のための構築物をそれぞれ配列番号17および19として示し、由来アミノ酸配列をそれぞれ配列番号18および20として示す。M1−PhaC融合およびPhaC−リンカー−M1融合のための構築物をそれぞれ配列番号21および23として示し、由来アミノ酸配列をそれぞれ配列番号22および24として示す。Na−PhaC−リンカー−M1融合のための構築物を配列番号25として、由来アミノ酸配列を配列番号26として示す。ヘマグルチニン−PhaC融合のための構築物を配列番号27として、由来アミノ酸配列を配列番号28として示す。
3.粒子を表示するAcpA−IglCの産生
プラスミドpET−14b−PhaC−リンカー−NA、pET−14b−PhaC−リンカー−M1、pET−14b−NA−PhaC−リンカー−M1/ヘマグルチニン−PhaCおよびpHASを、プラスミドpMCS69を保有する大腸菌BL21(DE3)細胞に導入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。それぞれ、NA、M1もしくはNA−M1−ヘマグルチニンの粒子または野生型粒子を産生する能力を後述するように評価する。
4.ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)
種々のプラスミドを保有する細菌細胞のポリエステル含有量は、in vivoでのPhaCシンターゼの活性に対応する。蓄積されたポリエステルの量をガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)法によって評価して、phaCシンターゼ活性を決定し、且つ特に、PhaC−NA、Pha−M1およびPhaC−NA−M1−HAの融合がポリエステル合成を触発し、細胞内顆粒形成を媒介することを確認する。酸触媒メタノリシスによるポリエステルの3−ヒドロキシメチルエステルへの転換の後に、ポリエステル含有量をGC−MSによって定量的に決定する。
5.ポリエステル粒子の単離
細菌を破壊することによってポリエステル顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、4000gで15分間遠心させて、ポリエステル粒子を沈降させる。該粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製する。
6.タンパク質濃度決定
粒子に付着したタンパク質の濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて、製造業者の使用説明書(Bio-Rad)に従って決定する。濃度決定の後に、該タンパク質をSDS−PAGEによって分離して、SimplyBlue Safe Stain(Invitrogen)で染色する。
該粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、PhaC−NA、PhaC−M1およびPhaC−NA−M1−HA融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析した。対象のタンパク質を該ゲルから抽出して、融合タンパク質ドメインの同定を可能にするマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いて、トリプシンペプチドフィンガープリントにかける。
7.ELISA
炭酸水素塩コーティング緩衝液(pH9.6)(Sigma-Aldrich)で希釈した精製PorA−C−PorB粒子もしくはHA、M1、NA−M1−HAの粒子または野生型粒子で、Maxisorbプレート(Nunc)を4℃で一晩被覆する。1mg/mLから0.015mg/mLに亘るタンパク質濃度を該緩衝液の段階希釈で用いる。プレートを洗浄して、25℃で2時間ブロックする(表4を参照)。
次いで、プレートをPBS−Tween20で洗浄して、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体とともにインキュベートし、洗浄して、PBS中1%(w/v)BSAで希釈した抗マウスIgG:西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体(Sigma-Aldrich)とともに室温で1時間、さらにインキュベートする。さらに洗浄した後、o−フェニレンジアミン(OPD)基質(Sigma-Aldrich)を加えて、該プレートを室温で30分間インキュベートする。
0.5MのH2SO4で反応を停止させて、吸光度を495nmで記録する。
8.フローサイトメトリー
25マイクログラムの種々の精製した抗原表示粒子または野生型粒子を、実施例3の表4に記載した氷冷のフローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄し、マウス抗抗原抗体とともにインキュベートする。洗浄後、粒子はラット抗マウスフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識した抗体(BD Pharmingen,CA,USA)で染色し、暗所の氷上で30分間インキュベートして、再度洗浄する。BD FACScalibur(BD Biosciences,CA,USA)を用いて、各試料に対して少なくとも10,000イベントを収集して、CellQuestソフトウェアを使用して分析する。
9.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した
種々の抗原粒子で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
10.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。17mMのTRIS−HClと140mMのNH4Clの溶液を用いて、脾臓赤血球(RBC)を溶解する。洗浄後、2mMグルタミン(Invitrogen)、100U/mLペニシリン(Invitrogen)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)、5×10−5M2−メルカプトエタノール(Sigma)および5%(w/w)ウシ胎仔血清(Invitrogen)を補充したDulbecco変法イーグル培地で該RBCを培養する。
該細胞を37℃、10%CO2、単独の培地で、またはそれぞれの抗原を含む培地でインキュベートする。
11.IFN−γの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(BD Pharmingen)を用いて、ELISA(BD Biosciences)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のIFN−γのレベルを測定する。
12.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
13.統計分析
IFN−γおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
種々の抗原−PhaC融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生が可能になる。
プラスミドpET−14b−PhaC−リンカー−NA、pET−14b−PhaC−リンカー−M1、pET−14b−NA−PhaC−リンカー−M1/ヘマグルチニン−PhaCおよびpHASを保有する細胞をすべてpMCS69の存在下でGC−MS分析によって、ポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認し得る。
プラスミドpET−14b−PhaC−リンカー−NA、pET−14b−PhaC−リンカー−M1、pET−14b−NA−PhaC−リンカー−M1/ヘマグルチニン−PhaCおよびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、phaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
ポリマー粒子による高レベルタンパク質表示を、融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって決定する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は、用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは有意に少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果が、>98%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示しているのは好ましい。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されず、実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、免疫部位で小さいしこり(直径2.5mm)が発生するが、ほとんどの場合膿瘍または化膿はなく、典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。
10〜100μg用量の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成する際に最適である。10〜100μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。他の用量を試験して用いてもよい。非免疫化した対照マウスを含む第2の実験では、アジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤とを比較する。非ワクチン接種マウスと比較すると、抗原粒子を与えた両ワクチン群の場合、有意に高い抗原特異的血清抗体応答を評価した。最も高い抗体応答は、Emulsigen中の抗原粒子で免疫化したマウスにおいて観察され得る。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、典型的には、両実験でのIgG2についての応答よりも強いものになる。
10〜100μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強され、およびPBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられないはずである。
10〜100μgの野生型粒子(インフルエンザ抗原は含まない)で3回免疫化したマウスにおいてどちらかの抗原に対するIFN−γ応答は、PBS免疫化した対照マウスの応答と典型的には有意に異なることはない。対照的に、各抗原に対する有意により大きいIFN−γ応答は、抗原粒子で3回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで3回免疫化したマウスにおいて観察され得る。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで3回免疫化したマウスにおいて観察される各抗原に対するIFN−γ応答は有意により大きいと予想される。
ノイラミニダーゼ、M1コートタンパク質またはヘマグルチニン抗原を表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
体液性および細胞媒介性の免疫応答の生成に加えて、体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例5−野兎病菌(Francisella fularensis)ポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、形質転換宿主(この場合は大腸菌)中で、野兎病菌抗体のAcpAおよびIg1Cを同時に表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。これらの抗原を有する粒子は、野兎病に対する予防ワクチンおよび治療ワクチンとして有効である。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミドの構築および大腸菌でのPHA粒子の産生
本実施例のプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを表6に収載する。PhaA酵素およびPhaB酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされる。
2つの野兎病菌抗原を同時に表示するポリマー粒子を産生するために、抗原AcpAおよびIg1Cをコードする遺伝子をコドン最適化して、GenScript Inc.で合成し、PhaCポリマービーズ形成酵素とのN末端融合のためのpET−14b−M−PhaC−リンカー−MalE Xbal−SpeI部位への、およびC末端融合のためのXhoI−BamHI部位へのサブクローニングを可能にする。AcpAコード遺伝子をXbaI−SpeI部位に、および同じプラスミド上のIg1Cコード遺伝子をXhoI−BamHI部位に挿入する。両方の遺伝子挿入は、置換された元のプラスミドのMおよびMalEのコード領域を有するフレーム内であり、プラスミドpET14B−AcpA−C−Ig1Cをもたらす。
AcpA−C−Ig1C融合のための構築物を、配列番号29として、由来アミノ酸配列を列番号30として示す。
プラスミドpET14B−AcpA−C−Ig1CおよびpHASを、プラスミドpMCS69を保有する大腸菌BL21(DE3)に挿入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。AcpA−Ig1C粒子または野生型粒子をそれぞれ産生する能力を後述するように評価する。
2.ポリエステル粒子の単離
細菌を破壊することによってポリエステル顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、4000gで15分間遠心させて、ポリエステル粒子を沈降させる。該粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製する。
粒子に付着したタンパク質の濃度は、実施例3に記述するように、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて決定する。
該粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、AcpA−PhaC−Ig1C融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析し、次いで対象のタンパク質を実施例3に記述するように同定する。
3.ELISA
実施例3に記述するように、野兎病菌ポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定する。簡単に言うと、炭酸水素塩コーティング緩衝液(pH9.6)(Sigma-Aldrich)で希釈した精製PorA−C−PorB粒子またはAcpA−Ig1C粒子または野生型粒子で、Maxisorbプレート(Nunc)を4℃で一晩被覆する。1mg/mLから0.015mg/mLに亘るタンパク質濃度を該緩衝液の段階希釈で用いる。
プレートを洗浄して、25℃で2時間ブロックする。次いで、プレートをPBS−Tween20で洗浄して、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体とともにインキュベートし、洗浄し、PBS中1%(w/v)BSAで希釈した抗マウスIgG:西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体(Sigma-Aldrich)とともに室温で1時間、さらにインキュベートする。さらに洗浄した後、o−フェニレンジアミン(OPD)基質(Sigma-Aldrich)を加えて、該プレートを室温で30分間インキュベートする。
0.5MのH2SO4で反応を停止させて、吸光度を495nmで記録する。
4.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した種々の抗原粒子で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
5.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。実施例4に記述するように脾臓赤血球(RBC)を処理する。
6.IFN−γの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(BD Pharmingen)を用いて、ELISA(BD Biosciences)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のIFN−γのレベルを測定する。
7.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
8.統計分析
IFN−γおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
プラスミドpET14B−AcpA−C−Ig1CおよびpHASを保有する細胞をすべてpMCS69の存在下でGC−MS分析によって、ポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認し得る。
すべてpMCS69の存在下で、プラスミドpET14B−AcpA−C−Ig1CおよびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、phaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
粒子による高レベルタンパク質表示を、融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって決定する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は、用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは有意に少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果が、>98%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示しているのは好ましい。
種々の抗原−PhaC融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生が可能になる。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されず、実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、免疫部位で小さいしこり(直径2.5mm)が発生するが、ほとんどの場合膿瘍または化膿はなく、典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。
10〜100μg用量の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成する際に最適である。10〜100μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。他の用量を試験して用いてもよい。非免疫化した対照マウスを含む第2の実験では、アジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤とを比較する。非ワクチン接種したマウスと比較すると、抗原粒子を与えた両ワクチン群の場合、有意に高い抗原特異的血清抗体応答を評価した。最も高い抗体応答は、Emulsigen中の抗原粒子で免疫化したマウスにおいて観察され得る。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、典型的には両実験のでIgG2についての応答よりも強いものになる。
10〜100μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強され、およびPBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられないはずである。
10〜100μgの野生型粒子(野兎病菌抗原は含まない)で3回免疫化したマウスにおいてどちらかの抗原に対するIFN−γ応答は、PBS免疫化した対照マウスの応答と典型的には有意に異なることはない。対照的に、各抗原に対する有意により大きいIFN−γ応答は、抗原粒子で3回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで3回免疫化したマウスにおいて観察され得る。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで3回免疫化したマウスにおいて観察される各抗原に対するIFN−γ応答は有意により大きいと予想される。
抗原AcpAおよびIg1Cを同時に表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
体液性および細胞媒介性の両免疫応答の生成に加えて、体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例6−ウシ流産菌(Brucella abortus)ポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、形質転換宿主(この場合は大腸菌)中で、ウシ流産菌抗体のOmp16、免疫原性外膜タンパク質を表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。本実施例で産生されるこれらの抗原を表示するポリマー粒子は、ブルセラ症に対する予防ワクチンおよび治療ワクチンとして有効である。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミド構築物の過剰発現
本実施例のプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを表7収載する。β−ケトチオラーゼおよびアセトアセチル−補酵素A還元酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされ、アセチル補酵素Aの3−ヒドロキシブチリル−補酵素Aへの転換を触媒することによってポリマーシンターゼに対する基質を提供する。
ポリマー粒子を表示するウシ流産菌Omp16を産生するために、抗原Omp16をコードする遺伝子をコドン最適化して、GenScript Inc.で合成し、PhaCポリマービーズ形成酵素とのC末端融合のためのpET−14b−PhaC−リンカー−GFP XholI−BamHI部位へのサブクローニングを可能にする。omp16コード遺伝子をXhoI−BamHI部位に挿入する。この遺伝子挿入は、置換された元のプラスミドのGFPコード領域を有するフレーム内であり、プラスミドpET14B−C−omp16をもたらす。
PhaC−omp16融合のための構築物を配列番号31として、由来アミノ酸配列を配列番号32として示す。
2.Omp16表示粒子の産生
プラスミドpET14B−C−omp16およびpHASを、プラスミドpMCS69を保有する大腸菌KRX細胞に導入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。
3.ポリエステル粒子の単離
実施例3に記述するように、ポリエステル顆粒を単離する。粒子に付着したタンパク質の濃度は、実施例3に記述するように、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて決定し、実施例3に記述するように対象のタンパク質をマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いて同定する。
4.ELISA
実施例3に記述するように、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体を用いてウシ流産菌ポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定する。
4.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内(i.p.)に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した種々の抗原粒子で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
6.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。17mMのTRIS−HClおよび140mMのNH4Clの溶液を用いて、脾臓赤血球(RBC)を溶解する。洗浄後、2mMグルタミン(Invitrogen)、100U/mLペニシリン(Invitrogen)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)、5×10−5M2−メルカプトエタノール(Sigma)および5%(w/w)ウシ胎仔血清(Invitrogen)を補充したDulbecco変法イーグル培地で該RBCを培養する。該細胞を37℃、10%CO2、単独の培地で、またはそれぞれの抗原を含む培地でインキュベートする。
7.IFN−γの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(BD Pharmingen)を用いて、ELISA(BD Biosciences)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のIFN−γのレベルを測定する。
8.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
9.統計分析
IFN−γおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
プラスミドpET14B−C−omp16およびpHASを保有する細胞をすべてpMCS69の存在下で、GC−MS分析によってポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認し得る。
すべてpMCS69の存在下で、プラスミドpET14B−C−omp16およびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、PhaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
粒子による高レベルタンパク質表示を、それぞれ融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって決定する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は、用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは有意に少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果が、>95%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示しているのは好ましい。PhaC抗原融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生が可能になる。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されず、実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた(データ不図示)。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。
約10〜50μg用量範囲の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成する際に最適である。10〜50μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。他の用量、例えば50〜500μを試験して用いてもよい。非免疫化した対照マウスを含む第2の実験では、アジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤とを比較する。非ワクチン接種したマウスと比較すると、抗原粒子を与えた両ワクチン群の場合、有意に高い抗原特異的血清抗体応答を評価した。最も高い抗体応答は、Emulsigen中の抗原粒子で免疫化したマウスにおいて観察され得る。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、典型的には両実験でのIgG2についての応答よりも強いものになる。
10〜50μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強され、およびPBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられないはずである。
10〜50μgの野生型粒子(ウシ流産菌抗原は含まない)で2回免疫化したマウスにおいて該抗原に対するIFN−γ応答は、PBS免疫化した対照マウスの応答と典型的には有意に異なることはない。対照的に、各抗原に対する有意により大きいIFN−γ応答は、抗原粒子で2回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで2回免疫化したマウスにおいて観察され得る。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで2回免疫化したマウスにおいて観察される各抗原に対するIFN−γ応答は有意により大きいと予想される。
抗原Omp16を表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
体液性および細胞媒介性の両免疫応答の生成に加えて、体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例7−髄膜炎菌(Neisseria meningitidis))ポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、形質転換宿主(この場合は大腸菌)中で、髄膜炎菌抗体のPorA、PorB、FetA、ZnuD、ならびに化学的に架橋している、または非共有結合した髄膜炎菌B群莢膜多糖類(CPS)を表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。これらの抗原を有する粒子は、髄膜炎に対する予防ワクチンおよび治療ワクチンとして有効である。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North、New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミドの構築物
本実施例のためのプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを表8に収載する。PhaA酵素およびPhaB酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされる。6−システイン−PhaC融合タンパク質をコードし、翻訳開始部位および開始コドンを含むDNA断片を、鋳型としてプライマーCys6−XbaI[配列番号55]およびPhaC−C−BamHI[配列番号56]を用いるPCRによってラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)H16から単離したゲノムDNAから得る。PCR産物をXbaI、BamHI−エンドヌクレアーゼ化pET14Bベクターに連結させて、プラスミドpET−14b−Cys6−PhaCを産生する。
2つの髄膜炎菌抗原を同時に表示するポリマー粒子を産生するために、抗原PorA、PorB、FetA、ZnuDをコードする遺伝子をコドン最適化して、GenScript Inc.で合成し、PhaCポリマービーズ形成酵素とのN末端融合のためのpET−14b−M−PhaC−リンカー−MalE Xbal−SpeI部位への、およびC末端融合のためのXhoI−BamHI部位へのサブクローニングを可能にする。PorAコード遺伝子をXbaI−SeI部位に挿入し、同じプラスミド上のPorBコード]遺伝子をXhoI−BamHIに挿入する。両方の遺伝子挿入は、置換された元のプラスミドのMおよびMalEのコード領域を有するフレーム内であり、プラスミドpET14B−PorA−C−PorBをもたらす。
FetAコード遺伝子をXbaI−SpeI部位に、および同じプラスミド上のZnuDコード遺伝子をXhoI−BamHI部位に挿入する。両方の遺伝子挿入は、置換された元のプラスミドのMおよびMalEのコード領域を有するフレーム内であり、プラスミドpET14B−FetA−C−ZnuDをもたらす。
Cys6−PhaC融合のための構築物を配列番号33として、由来アミノ酸配列を配列番号34として示す。PorA−C−PorB融合のための構築物を配列番号35として、由来アミノ酸配列を配列番号36として示す。FetA−C−ZnuD融合のための構築物を配列番号37として、由来アミノ酸配列を配列番号38として示す。
2.粒子を表示するCys−6、ProA/BおよびFetA/ZnuDの産生
プラスミドpET−14b−Cys6−PhaC、pET14B−PorA−C−PorB、pET14B−FetA−C−ZnuDおよびpHASを、プラスミドpMCS69を保有する大腸菌BL21(DE3)細胞に導入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。
3.ポリエステル粒子の単離
細菌を破壊することによってポリエステル顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、4000gで15分間遠心させて、ポリエステル粒子を沈降させる。該粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製する。
粒子に付着したタンパク質の濃度は、実施例3に記述するように、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて決定する。濃度決定の後に、該タンパク質をSDS−PAGEで分離して、SimplyBlue Safe Stain(Invitrogen)で染色する。
該粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、Cys6−C、PorA−C−PorBまたはFetA−C−ZnuDの融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析する。該タンパク質をマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いて同定する。Cys6−Cの場合は、N末端の配列決定を用いて、PhaCのN末端で6つのシステイン残基の存在を確認する。
4.Cys6ポリエステル粒子への髄膜炎CPSの化学的架橋
Cys6粒子との莢膜性多糖類(CSP)の化学架橋は、精製された髄膜炎菌CPSを用いることで達成される。これまでにAnnunziatoらによって記述されたように、化学架橋リンカーPMPI(N−[p−マレイミドフェニル]イソシアナート)は、ヒドロキシルがチオールに結合するヘテロ二官能性リンカーであり、それにより、ラルストニア・ユートロファから酵素、PHAシンターゼを形成するポリマー粒子のN末端に操作される、6つのシステイン残基を表示するポリマー粒子との髄膜炎菌CPSの共有結合が可能になる。
5.ポリエステル粒子を表示する特異抗体への髄膜炎菌CPSの非共有結合
ウサギを免疫化することによってCPS特異抗体を産生する。単一特異性の多クローン性血清を、プロテインA親和性精製にかける。結果として生じる精製IgGを、ポリエステル粒子を表示するZZドメインに結合させる。次いで、乾燥重量ベースで1:1の比を用いて、これらの粒子を髄膜炎菌CPSとともに30分間インキュベートする。これによって、ポリエステル粒子と特異的であるが非共有の結合が可能になる。
6.ELISA
実施例3に記述するように、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体を用いて髄膜炎菌ポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定する。
7.マウス免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した種々の抗原粒子で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
8.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。実施例4に記述するように脾臓赤血球(RBC)を処理する。
9.IFN−γの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。実施例4に記述するように上清中のIFN−γのレベルをELISA(BD Biosciences)で測定する。
10.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
11.統計分析
IFN−γおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
プラスミドpET14b−Cys6−PhaC、pET14B−PorA−C−PorB、pET14B−FetA−C−ZnuDおよびpHASを保有する細胞をすべてpMCS69の存在下で、GC−MS分析によってポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認し得る。
すべてpMCS69の存在下で、プラスミドpET14−14b−Cys6−PhaC、pET14B−PortA−C−PorB、pET14B−FetA−C−ZnuDおよびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、PhaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
粒子による高レベルタンパク質表示を、それぞれ融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって決定する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は、用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは有意に少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果が、>98%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示しているのは好ましい。
種々のPhaC抗原融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生が可能になる。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されず、実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、免疫部位で小さいしこり(直径2.5mm)が発生するが、ほとんどの場合膿瘍または化膿はなく、典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。
5〜50μg用量範囲の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成する際に最適である。5〜50μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。他の用量を試験して用いてもよい。非免疫化した対照マウスを含む第2の実験では、アジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤とを比較する。非ワクチン接種したマウスと比較すると、抗原粒子を与えた両ワクチン群の場合、有意に高い抗原特異的血清抗体応答を評価した。最も高い抗体応答は、Emulsigen中の抗原粒子で免疫化したマウスにおいて観察され得る。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、典型的には両実験でのIgG2についての応答よりも強いものになる。
5〜50μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強され、およびPBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられないはずである。
40μgの野生型粒子(髄膜炎菌抗原は含まない)で3回免疫化したマウスにおいて該抗原に対するIFN−γ応答は、PBS免疫化した対照マウスの応答と典型的には有意に異なることはない。対照的に、各抗原に対する有意により大きいIFN−γ応答は、抗原粒子で3回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで3回免疫化したマウスにおいて観察され得る。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで3回免疫化したマウスにおいて各抗原に対するIFN−γ応答は有意により大きいと予想される。
抗原PorA、PorB、FetA、ZnuDおよびCPSを表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
体液性および細胞媒介性の両免疫応答の生成に加えて、体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例8−炭疽菌(Bacillus anthracis)ポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、形質転換宿主(この場合は大腸菌)中で、炭疽菌抗体PA83、すなわち炭疽毒素の非毒性サブユニットを表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。本実施例で産生されるこの抗原を表示するポリマー粒子は、炭疽に対する予防ワクチンおよび治療ワクチンとして有効である。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(PalmerstonNorth,New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミドの構築物
本実施例でのプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを、表9に収載する。PhaA酵素およびPhaB酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされる。
炭疽菌PA83抗原、すなわち炭疽毒素の非毒性サブユニットPAの切断型変異体を表示するポリマー粒子を産生するために、抗原PA83をコードする遺伝子をコドン最適化して、GenScript Inc.で合成し、PhaCポリマービーズ形成酵素とのC末端融合のためのpET−14b PhaC−リンカー−GFP XhoI−BamHI部位へのサブクローニングを可能にする。PA83コード遺伝子をXhoI−BamHI部位に挿入する。この遺伝子挿入は、置換された元のプラスミドのGFPコード領域を有するフレーム内であり、プラスミドpET14B−PhaC−PA83をもたらす。
PhaC−PA83融合のための構築物を、配列番号39として、由来アミノ酸配列を配列番号40として示す。
2.PA83を表示する粒子の産生
プラスミドpET14B−C−PA83およびpHASを、プラスミドpMCS69を保有する大腸菌BL21(DE3)細胞に導入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。
3.ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)
種々のプラスミドを保有する細菌細胞のポリエステル含有量は、in vivoでのPhaCシンターゼの活性に対応する。蓄積されたポリエステルの量をガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)法によって評価して、phaCシンターゼ活性を決定し、且つ特に、ポリエステル合成のPhaC−炭疽菌抗原融合および細胞内顆粒形成の媒介による触媒作用を決定する。酸触媒メタノリシスによるポリエステルの3−ヒドロキシメチルエステルへの転換の後に、ポリエステル含有量をGC−MSによって定量的に決定する。
4.ポリマー粒子の単離
実施例3に記述するようにポリエステル顆粒を単離し、および粒子に付着したタンパク質の濃度を、実施例3に記述するように、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて決定する。
5.ELISA
実施例3に記述するように、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体を用いて炭疽菌ポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定する。
6.フローサイトメトリー
25マイクログラムの種々の精製した抗原表示粒子または野生型粒子を、実施例3の表4に記載した氷冷のフローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄し、マウス抗抗原抗体とともにインキュベートする。洗浄後、粒子は、ラット抗マウスフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識した抗体(BD Pharmingen,CA,USA)で染色し、暗所の氷上で30分間インキュベートして、再度洗浄する。BD FACScalibur(BD Biosciences,CA,USA)を用いて、各試料に対して少なくとも10,000イベントを収集して、CellQuestソフトウェアを使用して分析する。
7.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した種々の抗原粒子で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
8.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。17mMのTRIS−HClおよび140mMのNH4Clの溶液を用いて、脾臓赤血球(RBC)を溶解する。洗浄後、2mMグルタミン(Invitrogen)、100U/mLペニシリン(Invitrogen)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)、5×10−5M2−メルカプトエタノール(Sigma)および5%(w/w)ウシ胎仔血清(Invitrogen)を補充したDulbecco変法イーグル培地で該RBCを培養する。
9.IFN−γの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(BD Pharmingen)を用いて、ELISA(BD Biosciences)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のIFN−γのレベルを測定する。
10.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
11.統計分析
IFN−γおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
プラスミドpET14B−C−PA83およびpHASを保有する細胞をすべてpMCS69の存在下で、GC−MS分析によってポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認し得る。
すべてpMCS69の存在下で、プラスミドpET14B−C−PA83およびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、PhaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
粒子による高レベルタンパク質表示を、それぞれ融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって決定する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は、用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは有意に少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果が、>96%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示しているのは好ましい。
PhaC抗原融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生が可能になる。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されず、実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた(データ不図示)。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、免疫部位で小さいしこり(直径2.5mm)が発生するが、ほとんどの場合膿瘍または化膿はなく、典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。
40μg用量の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成する際に最適である。40μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。他の用量を試験して用いてもよい。非免疫化した対照マウスを含む第2の実験では、アジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤とを比較する。非ワクチン接種したマウスと比較すると、抗原粒子を与えた両ワクチン群の場合、有意に高い抗原特異的血清抗体応答を評価した。最も高い抗体応答は、Emulsigen中の抗原粒子で免疫化したマウスにおいて観察され得る。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、典型的には両実験でのIgG2についての応答よりも強いものになる。
40μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強され、およびPBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられないはずである。
40μgの野生型粒子(炭疽菌抗原は含まない)で3回免疫化したマウスにおいて該抗原に対するIFN−γ応答は、PBS免疫化した対照マウスの応答と典型的には有意に異なることはない。対照的に、各抗原に対する有意により大きいIFN−γ応答は、抗原粒子で3回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで3回免疫化したマウスにおいて観察され得る。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで3回免疫化したマウスにおいて各抗原に対するIFN−γ応答は有意により大きいと予想される。
抗原PA83を表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
体液性および細胞媒介性の両免疫応答の生成に加えて、体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例9−in vivoでのマウスにおけるC型肝炎ポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、C型肝炎抗原を含むポリマー粒子による哺乳類モデルの免疫化を説明する。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミドの構築およびポリエステルポリマー粒子の単離
実施例1に記述するように、宿主として大腸菌を用いて、C型肝炎コア抗原を表示するポリマー粒子の産生のために、プラスミドを構築した。
細菌を破壊することによってポリエステル顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、6000gで15分間遠心させて、ポリエステル粒子を沈降させた。該粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製する。タンパク質の濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて、製造業者の使用説明書(Bio-Rad)に従って決定した。該粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、Hep C:PhaCの融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析する。Hep C抗原は、大腸菌中のポリマー粒子の総タンパク質のおよそ6.7%を占め、およびL.ラクチス中のポリマー粒子の総タンパク質の25%を占めた。対象のタンパク質の同定を、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いて確認した。
2.ELISA
実施例3に記述するように、Hep Cポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定した。洗浄後、Hep C(Devatal,USA)に対するマウス抗体とともにプレートをインキュベートし、PBSTを用いて洗浄し、次いでPBS中1%(w/v)BSAで希釈したビオチン化抗マウスIgG(Sigma-Aldrich)とともに室温で1時間、インキュベートした。室温でさらに1時間インキュベートした後、PBSTを用いてプレートを洗浄して、ストレプトアビジン−HRP抱合体を加えて、さらに1時間インキュベートした。さらに洗浄した後、o−フェニレンジアミン(OPD)基質(Sigma-Aldrich)を加えて、該プレートを室温で30分間インキュベートした。
VERSAaxマイクロプレートリーダーで、吸光度を490nmで記録した。
3.マウスの免疫化
市販の組換えHep C抗原処置群を除いて、6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に、週に1回の間隔で3回皮下に免疫化した。
Devatal Inc.(USA)から取得した市販の組換えHep C抗原(大腸菌由来)は、C型肝炎ウイルスのヌクレオカプシド免疫優性領域を含んでいた。サプライヤーが指示した10%PAGE(Coomassie染色)で測定したところ、、該抗原は、>95%純度であった。
6つの処置群(1群あたりn=6)は以下のとおりであった:
a)完全フロイントアジュバント(CFA)中の市販のHep C抗原(30μg)で免疫化した個体−ワクチン接種1回のみ;
b)市販のHep C抗原(30μg)とEmulsigen(商標)アジュバンド(MVP Laboratories)とで免疫化した個体−ワクチン接種1回のみ;
c)PBSと20%Emulsigen(商標)(MVP Laboratories)とで免疫化した個体;
d)Hep Cポリマー粒子(10μg)と20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)とを混合して免疫化した個体;
e)Hep Cポリマー粒子(30μg)と20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)とを混合して免疫化した個体;
f)野生型ポリマー粒子(大腸菌宿主)と20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)とを混合して免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれた。
4.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、体重1グラムあたり87μgのケタミン(Parnell Laboratories,australia)および2.6μgのキシラジン塩酸塩(Bayer,Germany)を用いてマウスに麻酔した。血液を採取して、遠心し、次いで血清を収集してアッセイまで−20℃で凍結させた。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。実施例4に記述するように脾臓赤血球を処理した。該細胞を37℃、10%CO2、単独の培地で、または5μg/mLの組換えHep C抗原を含む培地でインキュベートした。
5.IFN−γの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(BD Pharmingen)を用いて、ELISA(BD Biosciences)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のIFN−γのレベルを測定した。
6.血清抗体の定量化
製造業者の推奨に従って、モノクローナル抗Hep C抗体(Devatal)を用いて、ELISAで血清抗体を測定した。簡単に言うと、Maxisorbプレート(Nunc)を3μg/mLの組換えHep Cで一晩被覆させて、1%BSAでブロックし、次いでPBSTで洗浄した。血清希釈物(1:50〜1:156250)を加えて、インキュベートした。洗浄の後、抗マウスIgG1:HRPまたはIgG2c:HRP(ICL,USA)を加えて、該プレートをインキュベートした。VERSAmaxマイクロプレートリーダーで、450nmで解読する前に、プレートを洗浄し、基質としてTMBを用いた。
IgG1プレートの場合、陽性対照としてモノクローナル坑Hep C抗体を滴定して、インキュベートした。結果は、1:50で希釈した血清の場合、450nmで光学濃度として発現した。
7.統計分析
IFN−γおよび抗体応答の分析を、Fisher一元配置分散分析法(ANOVA)で行い、有意水準はP<0.05であった。
結果
Hep Cポリマー粒子の反応性は、図1に示すように、Hep C抗体に対して用量依存性応答を示した。
30μg/mL用量のHep Cポリマー粒子と比較すると、10μg/mL用量のHep Cポリマー粒子は、より大きなIgG1抗体応答と、より大きなIgG2抗体応答とを引き出した(それぞれ、図2と3を参照)。単独の組換えHep C抗原と比較すると、両用量のHep Cポリマー粒子は、有意に減少したIgG1およびIgG2の抗体応答を引き出した(それぞれ、図2と3を参照)。
図4に示すように、野生型ポリマー粒子で免疫化したマウス(P<0.05)、単独の組換えHep C抗原で免疫化したマウス(P<0.05)、または単独のPBSで免疫化したマウス(P<0.05)と比較すると、30μgのHep Cポリマー粒子で免疫化したマウスのHep Cコア抗原に対する細胞媒介性応答は有意に増強された。実際に、PBSで免疫化した対照マウスと比較すると、単独の抗原で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において有意差はなかった。
考察
大腸菌中で産生されたHep Cコア抗原を表示する操作されたポリエステル粒子は、Hep C抗原投与に対して標的細胞媒介性応答をもたらすことができた。特に、単独の抗原による免疫化(すなわち、本発明のポリマー粒子を含まない抗原)は、強い体液性応答を引き出することができるにもかかわらず、細胞媒介性応答を引き出すことにおいては無効であった。
本発明のHep Cポリマー粒子は、IgG1応答と比較して、より強いIgG2体液性応答を引き出すことができた。IgG2抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の刺激に関与しており、これらのデータは、Hep Cポリマー粒子が細胞媒介性応答の相補的な面を直接的および間接的の双方で効果的に刺激することができるという考えを裏付ける。
これらの結果は、免疫応答の異なる面を引き出すためのこのワクチン送達系の多用途性および可能性を示し、それによって、無効な体液性応答をあまり刺激せずに、細胞媒介性免疫応答は、効果的に引き出された。
体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示した。
実施例10−デング熱(Dengue)ウイルスポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、形質転換宿主(この場合は大腸菌)中で、デング熱ウイルスの外被タンパク質(E)および膜タンパク質(M)(双方とも、ウイルス粒子表面で発現する免疫原性タンパク質)を表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。本実施例で産生されるこの抗原を表示するポリマー粒子は、デング熱ウイルスに対する予防ワクチンおよび治療ワクチンとして有効である。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.過剰発現プラスミドの構築
本実施例のプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを表10に収載する。β−ケトチオラーゼおよびアセトアセチル−補酵素A還元酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされ、アセチルCoaの3−ヒドロキシブチリル−補酵素Aへの転換を触媒することによってポリマーシンターゼのための基質をもたらす。
ポリマー粒子を表示するデング熱ウイルス血清型1−4EおよびMを産生するために、抗原EおよびMをコードする遺伝子をコドン最適化して、GenScript Inc.で合成し、PhaCポリマービーズ形成酵素とのN末端融合のためのpET−14b M−PhaC−リンカー−MalE XbaI−SpeI部位への、およびC末端融合のためのXhoI−BamHI部位へのサブクローニングを可能にする。omp16コード遺伝子をXhoI−BamHI部位に挿入する。この遺伝子挿入は、置換された元のプラスミドのGFPコード領域を有するフレーム内であり、プラスミドpET14B−C−omp16をもたらす。
E1−PhaC−M1融合のための構築物を、配列番号41として、由来アミノ酸配列を配列番号42として示す。E2−PhaC−M2融合のための構築物を、配列番号43として、由来アミノ酸配列を配列番号44として示す。E3−PhaC−M3融合のためのコード配列を、配列番号45として、由来アミノ酸配列を配列配列を配列番号46として示す。E4−PhaC−M1融合のための構築物を、配列番号47として、由来アミノ酸配列を配列番号48として示す。
2.デング熱ウイルス血清型1−4 EおよびMを表示する粒子の産生
プラスミドpET14B−E1−C−M1、pET14B−E2−C−M2、pET14B−E3−C−M3またはpET14B−E4−C−M4およびpHASを、pMCS69を保有する大腸菌BL21(DE3)細胞に導入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。デング熱ウイルスE−PhaC−M粒子または野生型粒子の産生をそれぞれ、後述のように評価する。
3.ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)
種々のプラスミドを保有する細菌細胞のポリエステル含有量は、in vivoでのPhaCシンターゼの活性に対応する。蓄積されたポリエステルの量をガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)法によって評価して、phaCシンターゼ活性を決定し、且つPhaC−デング熱ウイルス血清型1−4EおよびM抗原融合がポリエステル合成を触媒して、細胞内顆粒形成を媒介することを確認する。酸触媒メタノリシスによるポリエステルの3−ヒドロキシメチルエステルへの転換の後に、ポリエステル含有量をGC−MSによって定量的に決定する。
4.ポリエステル粒子の単離
細菌を破壊することによってポリエステル顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、4000gで15分間遠心させて、ポリエステル粒子を沈降させる。該粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製する。
実施例3に記述するように、粒子に付着したタンパク質の濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて決定する。濃度決定の後に、該タンパク質をSDS−PAGEで分離して、SimplyBlue Safe Stain(Invitrogen)で染色する。該粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、E−PhaC−M融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析する。対象のタンパク質をゲルから切除して、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いるトリプシンペプチドフィンガープリントにかける。これによって該融合タンパク質ドメインの同定が可能になる。
5.ELISA
実施例3に記述するように、デング熱ウイルスポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定した。簡単に言うと、炭酸水素塩コーティング緩衝液(pH9.6)(Sigma-Aldrich)で希釈した精製E−PhaC−M粒子または野生型粒子で、Maxisorbプレート(Nunc)を4℃で一晩被覆する。1mg/mLから0.015mg/mLに亘るタンパク質濃度を該緩衝液の段階希釈で用いる。プレートを洗浄して、25℃で2時間ブロックする(表4を参照)。次いで、プレートをPBS−Tween20で洗浄して、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体とともにインキュベートし、洗浄し、PBS中1%(w/v)BSAで希釈した抗マウスIgG:西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体(Sigma-Aldrich)とともに室温で1時間、さらにインキュベートする。さらに洗浄した後、o−フェニレンジアミン(OPD)基質(Sigma-Aldrich)を加えて、該プレートを室温で30分間インキュベートする。0.5MのH2SO4で反応を停止させて、吸光度を495nmで記録する。
6.フローサイトメトリー
洗浄後、粒子は、ラット抗マウスフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識した抗体(BD Pharmingen,CA,USA)で染色し、暗所の氷上で30分間インキュベートして、再度洗浄する。BD FACScalibur(BD Biosciences,CA,USA)を用いて、各試料に対して少なくとも15,000イベントを収集して、CellQuestソフトウェアを使用して分析する。
7.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;および
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した種々の抗原粒子とで免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
8.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。実施例4に記述するように、脾臓赤血球(RBC)を処理する。
9.プラーク減少中和アッセイ
プラーク減少中和試験によって、免疫化したマウスからの血清をデング熱ウイルス中和抗体の存在を検査する。連続希釈した血清を熱失活させて、100プラーク形成単位のホモ血清型およびヘテロ血清型の両ウイルスと混合し、次いで37℃で1時間インキュベートする。該血清ウイルス混合物を単層のVero細胞とともに1時間インキュベートし、次いで培地を含むアガロースでその表面を覆う。アッセイの5日目にウイルスプラークを染色する。プラーク数が80%減少する最大希釈は、Plaque減少中和80(PRNT80)である。
10.サイトカインおよびケモカインの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(EBiosciene)を用いて、ELISAおよび/またはFACS(EBioscience)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のサイトカインおよびケモカインのレベルを測定する。
11.マウスウイルスのプロテクションアッセイ
マウスチャレンジモデルを用いて、アジュバントを含んで、および含まないで、デング熱ウイルスEおよびMの抗原を表示する粒子の製剤の有効性を確認する。上述の材料および方法の第1節に記述するように、13日齢の離乳マウスに、5μgと10μgの投薬を用いて免疫化する。免疫化の後に、100 LD50のマウス適応型デング熱ウイルスを用いてマウスに頭蓋内(IC)に投与する。投与から21日間、罹患率および死亡率をモニターする。
12.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
13.統計分析
サイトカイン、ケモカインおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
プラスミドpET14B−E1−C−M1、pET14B−E2−C−M2、pET14B−E3−C−M3またはpET14B−E4−C−M4およびpHASを保有する細胞を、すべてpMCS69の存在下でのGC−MS分析によって、ポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認し得る。すべてpMCS69の存在下で、プラスミドpET14B−E1−C−M1、pET14B−E2−C−M2、pET14B−E3−C−M3またはpET14B−E4−C−M4およびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、PhaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
粒子による高レベルタンパク質表示を、それぞれ融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって決定する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は、用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは有意に少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果が、>97%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示しているのは好ましい。PhaC抗原融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生が可能になる。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されず、実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた(データ不図示)。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。
約10〜約50μgの用量範囲の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成している。10〜50μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。他の用量、例えば、50〜100μgの各抗原を表示するビーズ(E1−C−M1、E2−C−M2、E3−C−M3およびE4−C−M4)を試験して用いてもよい。非免疫化した対照マウスを含み、且つアジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤とを比較する第2の実験では、非ワクチン接種したマウスと比較すると、抗原粒子を与えた両ワクチン群の場合、抗原特異的血清抗体応答が有意に高い。最も高い抗体応答は、Emulsigen中の抗原粒子で免疫化したマウスにおいて観察される。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、両実験でのIgG2についての応答よりも強い。
10〜50μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強され、およびPBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられないはずである。
野生型粒子で免疫化したマウスに由来する血清は、プラーク減少中和アッセイにおいてPBSで免疫化した対照マウスの血清と典型的には有意に異なることはない。プラーク減少中和アッセイにおいて、デング熱ウイルス血清型1−4 E−M粒子の1:1:1:1での混合物を含む製剤で免疫化したマウスに由来する血清の中和価は、単独の野生型粒子で免疫化したマウルの血清と比較して、有意に高い。プラーク減少中和アッセイにおいて、デング熱ウイルス血清型1−4 E−M粒子の1:1:1:1での混合物を含む製剤で免疫化したマウスに由来する血清の中和価は、デング熱ウイルスのヘテロ血清型に対してビーズを提示するデング熱ウイルス血清型EおよびM1つだけを含む製剤よりも、有意に高い。
10〜50μgの野生型粒子で2回免疫化したマウスにおいて該抗体に対するケモカインおよびサイトカインの応答は、PBSで免疫化した対照マウスのそれと典型的には有意差がない。対照的に、各抗原に対する有意により大きいケモカインおよびサイトカインの応答は、抗原粒子で2回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで2回免疫化したマウスにおいて観察される。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで2回免疫化したマウスにおいて各抗原に対するサイトカインおよびケモカインの応答は有意により大きいと予想される。抗原デング熱ウイルス血清型1−4 EおよびMのタンパク質を表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
PBSまたは野生型粒子のいずれかで免疫化したマウスは、これらの2群間で有意差なく、ウイルス投与後に死亡すると思われる。アジュバントを含む、および含まない、粒子を提示するデング熱ウイルス血清型1−4 EおよびMで免疫化したマウスは、アジュバントを含む製剤から良好な保護を得て、保護されると思われる。
体液性および細胞媒介性の両免疫応答の生成に加えて、体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例11−エボラウイルスポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、大腸菌中で、フィロウイルス科(Filoviridae)のザイール型エボラウイルスおよびスーダン型エボラウイルスのビリオンスパイク糖タンパク質前駆体抗原(それぞれ、ZEBOV−GPおよびSEBOV−GP)を別々にまたは同時に表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。両抗原は、ワクチン開発にとって有用である。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.融合タンパク質過剰産生を媒介するプラスミドの構築およびポリマービーズの形成
本実施例で用いるプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを表11に収載する。
ポリヒドロキシ酪酸生合成酵素、β−ケトチオラーゼおよびR−特異的アセトアセチル−補酵素還元酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされる。2つのエボラビリオンスパイク糖タンパク質前躯体抗原を同時に表示するポリマー粒子を産生するために、エボラウイルスザイール型およびエボラウイルススーダン型由来のビリオンスパイク糖タンパク質前躯体抗原をコードする遺伝子をコドン最適化して、GenScript Inc.で合成し、PhaCポリマービーズ形成酵素とのN末端融合のためのpET−14b M−PhaC−リンカー−MalE Xbal−SpeI部位への、およびC末端融合のためのXhoI−BamHI部位へのサブクローニングを可能にする。ZEBOV−GPコード遺伝子をXbaI−SpeI部位に挿入し、および同じプラスミド上のSEBOV−GPコード遺伝子をXhoI−BamHI部位に挿入する。両遺伝子挿入は、フレーム内であり、且つ元のpラスミドのMおよびMalEコード領域の置換を必要とする。これは、プラスミドpET14B−ZEBOVGP−C−SEBOVGPをもたらす。あるいは、SEBOV−GPコード遺伝子をXbal−SpeI部位に挿入することができ、一方ZEBOV−GPコード遺伝子を同じプラスミド上のXhoI−BamHI部位に挿入することができ、プラスミドpET14B−SEBOVGP−C−ZEBOVGPを産生する。
ZEBOVGP−C−SEBOVGP融合のための構築物を配列番号49として、由来アミノ酸配列を配列番号50として示す。SEBOVGP−C−ZEBOVGP融合のための構築物を配列番号51として、由来アミノ酸配列を配列番号52として示す。
2.ZEBOVGP−SEBOVGPを表示する粒子の産生
プラスミドpET14B−ZEBOVGP−C−SEBOVGPまたはpET14B−ZEBOVGP−C−SEBOVGPのいすれかおよびpHASを、プラスミドpMCS69を保有する大腸菌KRX細胞に導入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。ZEBOVGP−SEBOVGP粒子または野生型粒子をそれぞれ産生する能力を後述するように評価する。
3.ポリエステル粒子の単離
実施例3に記述するように、ポリエステル顆粒を単離する。実施例3に記述するように、粒子に付着したタンパク質の濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて決定する。濃度決定の後に、該タンパク質をSDS−PAGEで分離して、SimplyBlue Safe Stain(Invitrogen)で染色する。該粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、ZEBOVGP−PhaC−SEBOVGPまたはSEBOVGP−PhaC−ZEBOVGP融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析する。
対象のタンパク質をマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いて同定し、これによって該融合タンパク質ドメインの同定が可能になる。
4.ELISA
実施例3に記述するように、エボラウイルスポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定した。簡単に言うと、炭酸水素塩コーティング緩衝液(pH9.6)(Sigma-Aldrich)で希釈した精製SEBOVGP−PhaC−SEBOVGP粒子、SEBOVGP−PhaC−ZEBOVGP粒子または野生型粒子で、Maxisorbプレート(Nunc)を4℃で一晩被覆する。1mg/mLから0.015mg/mLに亘るタンパク質濃度を該緩衝液の段階希釈で用いる。プレートを洗浄して、25℃で2時間ブロックする(表4を参照)。次いで、プレートをPBS−Tween20で洗浄して、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体とともにインキュベートし、洗浄し、PBS中1%(w/v)BSAで希釈した抗マウスIgG:西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体(Sigma-Aldrich)とともに室温で1時間、さらにインキュベートする。さらに洗浄した後、o−フェニレンジアミン(OPD)基質(Sigma-Aldrich)を加えて、該プレートを室温で30分間インキュベートする。0.5MのH2SO4で反応を停止させて、吸光度を495nmで記録する。
5.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;および
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した種々の抗原粒子とで免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
6.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。17mMのTRIS−HClおよび140mMのNH4Clの溶液を用いて、脾臓赤血球(RBC)を溶解する。洗浄後、2mMグルタミン(Invitrogen)、100U/mLペニシリン(Invitrogen)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)、5×10−5M2−メルカプトエタノール(Sigma)および5%(w/w)ウシ胎仔血清(Invitrogen)を補充したDulbecco変法イーグル培地で該RBCを培養する。
7.プラーク減少中和アッセイ
プラーク減少中和試験によって、免疫化したマウスからの血清をエボラウイルス中和抗体の存在を検査する。連続希釈した血清を熱失活させて、100プラーク形成単位のホモ血清型およびヘテロ血清型の両ウイルスと混合し、次いで37℃で1時間インキュベートする。該血清ウイルス混合物を単層のVero細胞とともに1時間インキュベートし、次いで培地を含むアガロースでその表面を覆う。アッセイの10〜12日目にウイルスプラークを染色する。プラーク数が80%減少する最大希釈は、Plaque減少中和80(PRNT80)である。
8.サイトカインおよびケモカインの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(EBiosciene)を用いて、ELISAおよび/またはFACS(EBioscience)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のサイトカインおよびケモカインのレベルを測定する。
9.マウスウイルスのプロテクションアッセイ
マウスチャレンジモデルを用いて、ZEBOVGPおよびSEBOVGPの抗原を提示する粒子のアジュバントを含む製剤、および含まない製剤の有効性を確認する。上述の材料および方法の第1節に記述するように、B10.BRマウス(MHE H-2K)、The Jackson Laboratory,ME)5に、1、5および10μgの投薬を用いて免疫化する。免疫化の後に、1000×LD50のマウス適応型ZEBOVを用いてマウスに腹腔内(IP)に投与する。投与から12〜16日間、罹患率および死亡率をモニターする。
粒子を提示するZEBOVGPおよびSEBOVGP抗原のアジュバントを含む製剤、および含まない製剤の有効性を、1000×LD50のIP注射から30分後に、ワクチン製剤の投与によって確認する。投与から12〜16日間、罹患率および死亡率をモニターする。
10.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
11.統計分析
サイトカイン、ケモカインおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
プラスミドpET14B−ZEBOVGP−C−SEBOVGPまたはpET14B−SEBOVGP−C−ZEBOVGPおよびpHASを保有する細胞を、すべてpMCS69の存在下でのGC−MS分析によって、ポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認する。すべてpMCS69の存在下で、プラスミドpET14B−ZEBOVGP−C−SEBOVGPまたはpET14B−SEBOVGP−C−ZEBOVGPおよびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、PhaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
それぞれ融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって示されるように、該粒子は高レベルのタンパク質を表示する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は、用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは有意に少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果は、>98%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示している。種々の抗原PhaC融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生がもたらされることを結果は、示すことになる。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されない。実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、典型的には、免疫部位で小さいしこり(直径2.5mm)が発生するが、膿瘍または化膿は観察されない。すべてのマウスは典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。
5〜100μgの用量範囲の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成している。5〜100μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。非免疫化した対照マウスを含み、且つアジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤を比較する第2の実験では、非ワクチン接種したマウスと比較すると、抗原粒子を与えた両ワクチン群の場合、抗原特異的血清抗体応答が有意に高い。最も高い抗体応答は、Emulsigen中の抗原粒子で免疫化したマウスにおいて典型的には観察される。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、IgG2についての応答よりも強い。
5〜100μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強される。PBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられない。10〜50μgの野生型粒子で2回免疫化したマウスにおいて該抗原に対するケモカインおよびサイトカインの応答は、PBSで免疫化した対照マウスのそれと典型的には有意異はない。対照的に、各抗原に対する有意により大きいケモカインおよびサイトカインの応答は、抗原粒子で2回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで2回免疫化したマウスにおいて観察される。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで2回免疫化したマウスにおいて各抗原に対するサイトカインおよびケモカインの応答は有意により大きいと予想される。抗原ZEBOVGPおよびSEBOVGPのタンパク質を表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
野生型粒子で免疫化したマウスに由来する血清は、プラーク減少中和アッセイにおいてPBSで免疫化した対照マウスの血清と典型的には有意異はない。プラーク減少中和アッセイにおいて、粒子を提示するSEBOVGPおよびZEBOVGPの製剤で免疫化したマウスに由来する血清の中和価は、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの血清と比較して、有意に高い。プラーク減少中和アッセイにおいて、ZEBOVGPおよびSEBOVGPの粒子を含む製剤で免疫化したマウスに由来する血清の中和価は、同種および異種ウイルスに対して類似している。
PBSまたは野生型粒子のいずれかで免疫化したマウスは、免疫時期および順番に関係なくこれらの2群間で有意差なく、ウイルス投与後に死亡すると思われる。ウイルス接種の前に、アジュバントを含んで、および含まないで、粒子を提示するZEBOVGPおよびSEBOVGPで免疫化したマウスは、アジュバントを含む製剤から良好な保護を得て、保護されると思われる。さらに、アジュバントを含んで、および含まないで、粒子を提示するZEBOVGPおよびSEBOVGPで免疫化したマウスは、保護されると思われる。
ZEBOV−GPおよびSEBOV−GPの抗原を同時に表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子が耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例12−西ナイルウイルスポリマー粒子ワクチンの免疫原性
本実施例は、形質転換宿主(この場合は大腸菌)中で、西ナイルウイルス(WNV)に由来するフラビウイルス(Flavivirus)外被抗原(E)、すなわちWNVビリオン(WNVE)の表面に発現される非毒性のタンパク質を表示するポリマー粒子を産生するためのプラスミド構築を、該ポリマー粒子の免疫原性の分析とともに説明する。この抗原は、ワクチン開発の主要な候補と考えられる。現在、いくつかのワクチンの製剤が試験されているが、承認されたWNVワクチンはない。本実施例で産生されるこの抗原を表示するポリマー粒子は、WNVに対する予防ワクチンおよび治療ワクチンとして有効である。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミドの構築
本実施例で用いるプラスミドおよびオリゴヌクレオチドのすべてを表12に収載さる。3−ヒドロキシブチリル−補酵素Aの合成を媒介する酵素は、プラスミドpMCS69によってコードされる。
WNVE抗原を表示するポリマー粒子を産生するために、外被(E)をコードする遺伝子をコドン最適化して、調和させ、GenScript Inc.で合成し、PhaCポリマービーズ形成酵素とのC末端融合のためのpET−14b PhaC−リンカー−GFP XhoI−BamHI部位へのサブクローニングを可能にする。該Eコード遺伝子をXhoI−BamHI部位に挿入する。この遺伝子挿入は、置換された元のプラスミドのGFPコード領域を有するフレーム内であり、プラスミドpET14B−C−WNVEをもたらす。PhaC−WNVE融合のための構築物を、配列番号53として、由来アミノ酸配列を配列番号54として示す。
2.粒子を表示するWNVEの産生
プラスミドpET14B−C−WNVEおよびpHASを、pMCS69を保有する大腸菌BL21(DE3)細胞に導入する。実施例1に記述するように、バイオポリエステル粒子の産生に適している条件下でこれらの形質転換体を培養する。
3.ガスクロマトグラフィー質量3.分析(GC−MS)
種々のプラスミドを保有する細菌細胞のポリエステル含有量は、in vivoでのPhaCシンターゼの活性に対応する。蓄積されたポリエステルの量をガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)法によって評価して、phaCシンターゼ活性を決定し、且つPhaC−WNVE抗原融合がポリエステル合成を依然として触媒して、細胞内顆粒形成を媒介するかどうかを確認する。酸触媒メタノリシスによるポリエステルの3−ヒドロキシメチルエステルへの転換の後に、ポリエステル含有量をGC−MSによって定量的に決定する。
4.ポリエステル粒子の単離
実施例3に記述するように、ポリエステル顆粒を単離する。
5.タンパク質濃度の決定
実施例3に記述するように、粒子に付着したタンパク質の濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて決定する。
6.ELISA
実施例3に記述するように、西ナイルウイルスポリマー粒子の免疫反応性を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で決定した。炭酸水素塩コーティング緩衝液(pH9.6)(Sigma-Aldrich)で希釈した精製PhaC−WNVE粒子または野生型粒子で、Maxisorbプレート(Nunc)を4℃で一晩被覆する。1mg/mLから0.015mg/mLに亘るタンパク質濃度を該緩衝液の段階希釈で用いる。プレートを洗浄して、25℃で2時間ブロックする。
次いで、プレートをPBS−Tween20で洗浄して、種々の抗原に対して産生されたマウス抗体とともにインキュベートし、洗浄し、PBS中1%(w/v)BSAで希釈した抗マウスIgG:西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体(Sigma-Aldrich)とともに室温で1時間、さらにインキュベートする。さらに洗浄した後、o−フェニレンジアミン(OPD)基質(Sigma-Aldrich)を加えて、該プレートを室温で30分間インキュベートする。
0.5MのH2SO4で反応を停止させて、吸光度を495nmで記録する。
7.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に2週間隔で3回筋肉内に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独の抗原粒子(すなわち、種々の抗原PhaC融合タンパク質およびpMCS69をコードするプラスミドを保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した種々の抗原粒子で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれる。
8.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。実施例4に記述するように、脾臓赤血球(RBC)を処理する。
9.プラーク減少中和アッセイ
免疫化したマウスからの血清を西ナイルウイルス中和抗体の存在を、プラーク減少中和試験によって検査する。連続希釈した血清を熱失活させて、100プラーク形成単位(PFU)のホモ血清型およびヘテロ血清型の両ウイルスと混合し、次いで37℃で1時間インキュベートする。該血清ウイルス混合物を単層のVero細胞とともに1時間インキュベートし、次いで培地を含むアガロースでその表面を覆う。アッセイから5日目にウイルスプラークを染色する。プラーク数が80%減少する最大希釈は、Plaque減少中和80(PRNT80)である。
10.サイトカインおよびケモカインの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(EBiosciene)を用いて、ELISAおよび/またはFACS(EBioscience)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のサイトカインおよびケモカインのレベルを測定する。
11.マウスウイルスのプロテクションアッセイ
マウスチャレンジモデルを用いて、西ナイルE抗原を提示する粒子のアジュバントを含含む製剤、および含まない製剤の有効性を確認する。上述の材料および方法の第1節に記述するように、13日齢の離乳マウスに、1、5および10μgの投薬を用いて免疫化する。免疫化の後に、100 LD50のマウス適応型西ナイルウイルスを用いてマウスに頭蓋内(IC)に投与する。投与から21日間、罹患率および死亡率をモニターする。
12.血清抗体の定量化
抗体捕捉用の粒子を表示する固定化抗原を用いてELISAによって血清抗体を測定する。
13.統計分析
サイトカイン、ケモカインおよび抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)で行う。
結果
プラスミドpET14B−C−WNVEおよびpHASを保有する細胞を、すべてpMCS69の存在下でのGC−MS分析によって、ポリエステルポリヒドロキシ酪酸の存在を確認する。細胞内のポリエステル含有物の存在は、Nile Red染色法を用いて蛍光顕微鏡によって、さらに確認し得る。
すべてpMCS69の存在下で、プラスミドpET14B−C−WNVEおよびpHAS(野生型対照)を保有する細胞中にポリヒドロキシ酪酸が存在することは、単一のまたは3部分からなる融合タンパク質として存在するとき、PhaCポリエステルシンターゼドメインがポリマーシンターゼ活性を保持していたことを示す。
それぞれ融合タンパク質配列から推定される分子量と直接整列するみかけの分子量による顕著なタンパク質バンドによって、該粒子による高レベルのタンパク質の表示を決定する。これらのタンパク質の同一性を、MALDI−TOF−MSを用いるトリプシンペプチドフィンガープリントで確認する。粒子を表示する種々の抗原は用量依存的様式でそれぞれの抗抗原抗体に結合するが、野生型粒子が抗体に結合するのは著しく少ないことをELISAの結果は示している。フローサイトメトリーの結果は、>97%の抗原粒子が抗抗原抗体に結合することを示している。
種々の抗原PhaC融合タンパク質をコードするそれぞれのハイブリッド遺伝子が組換え大腸菌中で発現することで、それらの表面で融合タンパク質を表示するポリエステル粒子の産生がもたらされることを結果は示すことになる。
好ましくは、免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されず、および実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた(データ不図示)。ポリエステル粒子で免疫化したマウスは、典型的には、免疫部位で小さいしこり(直径2.5mm)が発生するが、膿瘍または化膿は観察されず、すべてのマウスは典型的には、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好である。5〜100μgの用量範囲の抗原粒子は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成している。5〜100μg用量の単独の野生型粒子の場合と比較すると、この用量は、高抗体力価を明らかに誘導する。他の用量を試験して用いてもよい。非免疫化したマウス(対照群)を含む第2の実験では、対照野生型粒子(ビーズ対照群)と、アジュバントを含んで、および含まずに製剤化したWNVE提示粒子(試験群)との両方でマウスを免疫化した。非ワクチン接種した、または野生型ビーズで免疫化したマウスと比較すると、抗原提示粒子を与えた両マウス群の場合、有意に高い抗原特異的血清抗体応答についてマウスを評価した。最も高い抗体応答は、Emulsigenで製剤化された抗原粒子で免疫化したマウスにおいて典型的には観察され得る。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、両実験においてIgG2についての応答よりも強い。
5〜100μg抗原粒子で免疫化したマウスの抗原に対する細胞媒介性応答も、単独の野生型粒子で、または単独のPBSで免疫化したマウスの抗原と比較すると、有意に増強される。PBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられない。
野生型粒子で免疫化したマウスに由来する血清は、プラーク減少中和アッセイにおいてPBSで免疫化した対照マウスの血清と典型的には有意異はない。プラーク減少中和アッセイにおいて、WNVE粒子を含む製剤で免疫化したマウスに由来する血清の中和価は、単独の野生型粒子で免疫化したマウスの血清と比較して、有意に高い。好ましくは、WNVE粒子を含む製剤で免疫化したマウスに由来する血清の中和価は、同種および異種の西ナイルウイルス間で類似する。
5〜100μgの野生型粒子で2回免疫化したマウスにおいて該抗原に対するケモカインおよびサイトカインの応答は、PBSで免疫化した対照マウスのそれと典型的には有意異はない。対照的に、有意により大きいケモカインおよびサイトカインの応答は、抗原粒子で2回免疫化したマウスにおいて、および抗原粒子とEmulsigenとで2回免疫化したマウスにおいて観察される。他のすべてのワクチン群よりも、抗原粒子およびEmulsigenで2回免疫化したマウスにおいて各抗原に対するサイトカインおよびケモカインの応答は有意により大きいと予想される。WNVE抗原を表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。
PBSまたは野生型粒子のいずれかで免疫化したマウスは、これらの2群間で何らの有意差なく、ウイルス投与後に死亡すると思われる。アジュバントを含んで、および含まないで粒子を提示するWNVEで免疫化したマウスは、アジュバントを含む製剤から良好な保護を得て、保護されると思われる。
WNVEを表示する操作されたポリエステル粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を著しく増加させることができる。体液性および細胞媒介性の両免疫応答の生成に加えて、体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示す。
実施例13−マウスにおけるin vivoでの免疫研究
本実施例は、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子による哺乳類モデル生物の免疫化を説明する。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North,New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミドの構築ならびに大腸菌およびL.ラクチス中でのポリマー粒子の産生
実施例1および2に記述するように、L.ラクチスおよび大腸菌中で、結核抗原を表示するポリマー粒子の産生のために、プラスミドを構築した。細菌を破壊することによってポリエステル顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、6000gで15分間遠心させて、ポリエステル粒子を沈降させた。該粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製した。タンパク質の濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて、製造業者の使用説明書(Bio-Rad)に従って決定した。ポリマー粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、Ag85A−ESAT−6:PhaCの融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad Laboratories)を使用して分析した。結核抗原は、該ポリマー粒子の総タンパク質のおよそ20%を占めた。対象のタンパク質の同定を、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いて確認した。
2.ELISA
ポリマー粒子の活性を、実施例3に記述するように酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって決定した。VERSAaxマイクロプレートリーダーで、吸光度を490nmで記録した。
3.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に、実施例1、2および3に記述するように構築し、単離した結核ポリマー粒子ワクチンを2週間隔で3回皮下に免疫化する。3つの処置群は以下の通りである:
a)野生型粒子(すなわち、pHASおよびpMCS69を保有する細菌細胞から調製した粒子)で免疫化した個体;
b)単独のAg85A−ESAT−6ポリマー粒子(すなわち、pHAS−Ag85A−ESAT−6およびpMCS69を保有する細菌細胞から調製したポリマー粒子)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合したAg85A−ESAT−6ポリマー粒子で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれた。
4.免疫アッセイ
最後の免疫化から3週間後に、マウスに麻酔して、採血する。該血液を遠心して、血清を収集し、アッセイまで−20℃で凍結させる。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、80ゲージワイヤメッシュ篩に通すことによって単細胞懸濁液を調製する。17mMのTRIS−HClおよび140mMのNH4Clの溶液を用いて、脾臓赤血球(RBC)を溶解する。洗浄後、2mMグルタミン(Invitrogen)、100U/mLペニシリン(Invitrogen)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)、5×10−5M2−メルカプトエタノール(Sigma)および5%(w/w)ウシ胎仔血清(Invitrogen)を補充したDulbecco変法イーグル培地で該RBCを培養した。
該細胞を37℃、10%CO2、単独の培地で、またはAg85A、ESAT−6、または両抗原の組合せのいずれかを含む培地でインキュベートした。
5.IFN−γの定量化
インキュベーションから4日後、培養上清を取り出して、アッセイまで−20℃で凍結させる。市販の抗体および標準物(BD Pharmingen)を用いて、ELISA(BD Biosciences)で製造業者の使用説明書に従って、上清中のIFN−γのレベルを測定する。
6.血清抗体の定量化
製造業者の推奨に従って、モノクローナル抗ESAT−6または抗Ag85A抗体(Abcam)を用いて、ELISAによって血清抗体を測定した。
7.統計分析
IFN−γ応答および抗体応答の分析をKruskal−Wallis一元配置分散分析法(ANOVA)でおこなった。
結果
免疫化の後、明白な毒性はいずれの動物でも観察されなかった。実験の時間経過の間、マウスの体重は群間で有意差はなく、且つすべての群においてマウスの体重は増えた(データ不図示)。ポリエステルポリマー粒子で免疫化したマウスは、免疫部位で小さいしこり(直径2.5mm)が発生したが、膿瘍または化膿は観察されなかった。すべてのマウスは、試験の間健康であり、行動は正常であり、且つ毛質は良好であった(データ不図示)。
30μgのAg85A−ESAT−6ポリマー粒子の用量は、マウスにおいて有意な抗体応答を生成するのに最適であることを示した(図5を参照)。30μg用量の単独の組換えAg85A−ESAT−6タンパク質と比較すると、この用量は、高抗体力価を有意に誘導した(P<0.01)。非免疫化した対照マウスを含み、且つアジュバントを含むビーズ製剤と含まないビーズ製剤とを比較した第2の実験では、非ワクチン接種したマウスと比較すると、抗原特異的血清抗体応答がAg85A−ESAT−6ポリマー粒子を与えた両ワクチン群の場合、有意に高かった(P<0.01、図6を参照)。最も高い抗体応答は、Emulsigen中のAg85A−ESAT−6ポリマー粒子で免疫化したマウスにおいて観察された。IgG1アイソタイプについての抗体応答は、両実験においてIgG2についての応答よりも強かった。
図7に示すように、10μgまたは30μgのAg85A−ESAT−6ポリマー粒子で免疫化したマウスのESAT−6およびAg85Aに対する細胞媒介性応答は、単独の組換えESAT−6−Ag85A抗原(P<0.01)で、または単独のPBS(p<0.01)で免疫化したマウスのそれと比較すると、有意に増強された。PBS免疫化した対照マウスと比較すると、単独の抗原で免疫化したマウスの細胞媒介性応答において典型的には有意差はみられなかった。
図8に示すように、30μgの野生型ポリマー粒子(結核抗原を含まない)で3回免疫化したマウスにおいてESAT−6またはAg85Aのいずれの抗原に対するIFN−γ応答は、PBSで免疫化した対照マウスのそれと有意異はなかった。対照的に、各抗原に対する有意により大きいIFN−γ応答は、Ag85A−ESAT−6ポリマー]粒子で3回免疫化したマウス(p<0.01)において、およびAg85A−ESAT−6ポリマー粒子とEmulsigenとで3回免疫化したマウス(p<0.01)において観察された。実際に、他のすべてのワクチン群(p<0.01、**)よりも、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子およびEmulsigenで3回免疫化したマウスにおいて、各抗原に対するIFN−γ応答は有意により大きく観察された。
考察
Ag85A−ESAT−6抗原融合を表示する操作されたポリエステルポリマー粒子は、抗原特異的細胞媒介性応答を生成することができ、ならびにIgG1およびIgG2の抗体の産生を顕著に増加させることができた。特に、単独の抗原による免疫化(すなわち、本発明のポリマー粒子を含まない抗原)は、細胞媒介性応答を引き出すことにおいて無効であった。
これらの結果は、免疫応答の異なる面を引き出すためのこのワクチン送達系の多用途性および可能性を示し、それによって、体液性および細胞媒介性の両免疫応答が引き出されたことも示した。
体重減少などの有害な副作用の欠如、および注射部位での膿瘍および化膿の非存在は、ポリエステル粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示した。
実施例14−in vivoで免疫化したマウスにおける病原体の投与
本実施例は、ウシ型結核菌の病原体投与に曝露された、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子による哺乳類モデルの免疫化の有効性を説明する。
材料および方法
すべての動物実験は、AgResearch Grasslands Animal Ethics Committee(Palmerston North、New Zealand)の承認を得た。
1.プラスミドの構築およびポリエステルポリマー粒子の単離
実施例1および2に記述するように、L.ラクチスおよび大腸菌中で、結核抗原Ag−85AおよびESAT−6を表示するポリマー粒子の産生のために、プラスミドを構築した。
細菌を破壊することによってポリマー顆粒を単離し、次いで全細胞可溶化物を4℃、6000gで15分間遠心させて、ポリマー粒子を沈降させた。該粒子をグリセロール勾配超遠心分離法で精製した。タンパク質の濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイを用いて、製造業者の使用説明書(Bio-Rad)に従って決定した。ポリマー粒子に付着した総タンパク質の量と比べて、Ag85A−ESAT−6:PhaCの融合タンパク質の量を、Gel Doc(商標)XRを用いて検出して、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.2、Bio-Rad)を使用して分析した。結核抗原は、該ポリマー粒子の総タンパク質のおよそ20%を占めた。対象のタンパク質の同定を、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)を用いて確認した。
2.ELISA
ポリマー粒子の活性を、実施例3に記述するように酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって決定した。VERSAaxマイクロプレートリーダーで、吸光度を490nmで記録した。
3.マウスの免疫化
6〜8週齢の雌C57BL/6マウス(Malaghan Institute,Wellington,NZ)に、週に1回の間隔で3回皮下に免疫化した。7つの処置群(1群あたりn=7)は以下のとおりであった:
a)PBSとEmulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)とで免疫化した個体;
b)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合したAg85A−ESAT−6ポリマー粒子(大腸菌宿主)で免疫化した個体;
c)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した野生型ポリマー粒子(大腸菌宿主)で免疫化した個体;
d)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合したAg85A−ESAT−6ポリマー粒子(L.ラクチス宿主)で免疫化した個体;
e)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した野生型ポリマー粒子(L.ラクチス宿主)で免疫化した個体;
f)20%Emulsigen(商標)アジュバント(MVP Laboratories)と混合した組換えAg85A−ESAT−6抗原で免疫化した個体;
g)BCG 106CFU用量で免疫化した個体。
非ワクチン接種した対照動物は、実験の各組に含まれた。
4.病原体の投与
第1のワクチン接種から15週後に、すべてのマウスに、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)を投与した。ウシ型結核菌を、Tweenアルブミンブロス(Tween80、ブロス基礎培地およびオレイン酸−アルブミン−ブドウ糖、Difco)中の低通過種地から初期の中間対数期まで増殖させた。
培養物のアリコートを、必要とするまで−70℃で凍結させた。
低用量エアゾール曝露によってマウスを感染させるために、各マウスの肺におよそ50細菌を送達するように調整したMadisonチャンバーアエゾール発生装置を用いて、希釈したウシ型結核菌ストックを投与した。
5.免疫アッセイ
病原体の投与から5週間後に、体重1gあたり87μgのケタミン(Parnell Laboratories,Australia)および2.6μgの塩酸キジラジン(Bayer、Germany)を用いて、マウスの腹腔内に麻酔した。血液を採取して、遠心し、次いで血清を収集して、アッセイまで−20℃で凍結させた。
次いで、マウスを安楽死させ、それらの脾臓および肺を摘出した。その後の組織処理のために、先端の肺葉を肺から除去し、10%ホルマリン中で保存した。切片をZiehl−Neelsonと、ヘマトキシリンおよびエオシン染料で染色した。
Seward Stomacher(登録商標)80(Seward、UK)を用いて脾臓および残りの肺の試料を、0.5%Tween80を含む3mLPBS中で、機械的にホモジナイズし、次いで10%のオレイン酸−アルブミン−ブドウ糖−カタラーゼ濃縮(BD)を補充した選択的Middlebrook 7H11寒天上で、10倍希釈で播種した。計数する前に、プレートを加湿空気中37℃で、3週間インキュベートした。
6.血清抗体の定量化
製造業者の推奨に従って、モノクローナル抗ESAT−6(Abcam)を用いて、ELISAによって血清抗体を測定した。簡単に言うと、Microlon高結合プレート(Greiner)を、5μg/mLのrecAg85A−ESAT−6で一晩被覆して、1%BSAでブロックし、次いでPBSTで洗浄した。5倍希釈の血清(1:50〜1:6250)を加えてインキュベートした。洗浄の後に、抗マウスIgG1:HRPまたはIgG2c:HRP(ICL,USA)を加えて、該プレートをインキュベートした。VERSAmaxマイクロプレートリーダーで、450nmで解読する前に、プレートを洗浄し、基質としてTMBを用いた。
IgG1プレートの場合、陽性対照としてモノクローナル抗ESAT−6抗体を滴定して、インキュベートした。
7.統計分析
ウシ型結核菌病原体の投与からの細菌数および抗体応答の分析を、Fisher一元配置分散分析法(ANOVA)で行い、有意水準はP<0.05であった。
結果
L.ラクチス中で産生されたAg85A−ESAT−6ポリマー粒子の反応性は、ESAT−6抗体に対して用量依存性応答を示したが、野生型ポリマー粒子の場合、抗体結合は観察されなかった(図9)。
肺の培養物において、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子によるワクチン接種は、PBSで免疫化した陰性対照群と比較して、有意に向上した感染抵抗性を示した(図10、*=p<0.05)。この向上した抵抗性は、大腸菌またはL.ラクチスのいずれかの宿主中で合成された粒子によってもたらされた。また、大腸菌宿主中で合成されたAg85A−ESAT−6ポリマー粒子によるワクチン接種は、単独の抗原によってもたらされたワクチン接種と比較して、有意により良好な保護を示した。実際に、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子は、最も信頼できる基準であるBCGワクチンに匹敵する保護を示した(図10)。
重要なことに、単独の組換えAg85A−ESAT−6抗原(すなわち、本発明のポリマー粒子を含まない抗原)によるワクチン接種は、PBSで免疫化した対照群と比較して、向上した感染抵抗性をもたらさなかった。
脾臓培養物において、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子によるワクチン接種は、PBSで免疫化した陰性対照群と比較して、有意に向上した感染抵抗性を示した(図11、*=p<0.05)。また、大腸菌宿主中で合成されたAg85A−ESAT−6ポリマー粒子によるワクチン接種は、単独の抗原によってもたらされたワクチン接種と比較して、有意により良好な保護を示した。野生型ポリマー粒子(すなわち、結核抗原を含まないポリマー粒子)による、または単独の組換えAg85A−ESAT−6抗原によるいずれの免疫化も、保護反応をもたらさなかった。
図12および13は、特定の細胞媒介性反応に加えて、体液性応答も、Ag85A−ESAT−6ポリマー粒子でワクチン接種したマウスにおいて引き出されたことを示す。BCGワクチンと比較して、IgG2c抗体応答は、大腸菌中で産生されたAg85A−ESAT−6ポリマー粒子がより大きかった。
考察
大腸菌中およびL.ラクチス中の両方で産生されたAg85A−ESAT−6抗原融合を表示するポリマー粒子による免疫化は、ウシ型結核菌を投与された動物に対して免疫学的防御をもたらすことができた。この防御は、そのようにワクチン接種された動物で、感染負荷の減少をもたらした。
肺では、Ag85A−ESAT−6抗原融合を表示するポリマー粒子による免疫化によってもたらされた結核感染からの保護のレベルは、BCGワクチンの保護レベルに匹敵した。これは、本発明のポリマー粒子が、初感染およびコロニー形成を含む結核感染に対して防御免疫応答を引き出し得ることを示唆する。
対照哺乳類と比較して、Ag85A−ESAT−6抗原融合を表示するポリマー粒子で免疫化した哺乳類の脾臓で観察された感染の減少も、本発明のポリマー粒子による免疫化が結核浸潤および疾患進行からの保護をもたらすことを示唆する。
また、副作用の欠如は、本発明のポリマー粒子は耐容性がよく、安全、且つ非毒性であることを示した。
産業上の用途
本明細書中に記述する方法、ポリマー粒子および融合タンパク質を含む本発明の態様は、疾患の処置と防止、診断法、タンパク質産生、生体触媒固定化、および薬物送達において有用性を有する。
当業者は、上記の説明が例証の目的で提供されるだけであり、且つ本発明がそれに限定されないことを理解する。
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本明細書中に言及されるまたは記述されるすべての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、および他の文書と材料は、本発明が関係する分野における当業者のレベルを表し、且つそのような言及される文書および材料のそれぞれは、その全体を個別に参照によって、またはその全体を本明細書中に記載することによって援用されたかのように同じ程度まで、参照によって援用される。出願者らは、そのような特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的に入手可能な情報、および他の言及される材料または文書のいずれかに由来するありとあらゆる材料および情報を本明細書中に物理的に援用する権利を留保する。
本特許の書面による明細は、すべての請求項を含む。さらに、最初のすべての請求項ならびにありとあらゆる優先権書類からのすべての請求項を含むすべての請求項は、参照によってそれら全体を本明細書の書面による明細部分に組み入れられる。出願者らは、書面による明細または出願書類の任意の他の部分、ありとあらゆるそのような請求項に物理的に援用する権利を留保する。このように、例えば、いかなる状況でも、本特許は、本請求項の的確な言葉遣いが本特許の書面による明細部分にこれらの言葉で記載されていないという断定で、ある請求項に対する文面による明細を示していないと申し立てにより解釈され得ない。
本明細書中に開示される特徴のすべては、任意の組合せで組合せ得る。したがって、明示的に述べられない限り、開示される各特徴は、包括的な一連の同等または同様の特徴の一例にすぎない。
本発明はその詳しい説明と組合せて記述されているが、前述の説明は本発明の範囲を示し、且つ限定しないように意図され、該範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されると理解されるべきである。したがって、本発明の特定の非限定的実施形態は、例証を目的として本明細書中に記述されているが、種々の修正は本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ると前述から理解されることであろう。他の態様、利点および修正は、以下の請求項の範囲内であり、添付の特許請求の範囲による場合を除いて、本発明は限定されないものとする。
本明細書中に記述される特定の方法および組成物は、好ましい非限定的実施形態を代表し、且つ好例であり、本発明の範囲を限定するとして意図されない。本明細書を考察すると他の目的、態様、および実施形態が、当業者に生じるであろう。これらは、特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の精神内に包含される。さまざまな置換および修正が本発明の範囲および精神から逸脱することなく本明細書中に開示される本発明に対してなされ得ることは、当業者にとって容易に理解される。本明細書中に例示的に説明した本発明は、必須として本明細書中に具体的に開示されてない、任意の単数もしくは複数の要素、または単数もしくは複数の限定がない場合でも適切に実施され得る。このように、例えば、本明細書の各例、本発明の非限定的な実施形態または実施例において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などの用語は、拡張的に且つ限定することなく読み取るべきである。本明細書中に例示的に説明される方法およびプロセスは、ステップの順番を変えて適切に実施されてもよく、該方法およびプロセスは、本明細書または特許請求の範囲に示されるステップの順番に必ずしも限定されない。
使用されている用語および表現は、説明の表現として用いられており、限定としてではない。そのような用語および表現を使用する場合、示され且つ記述された特徴またはその部分のいずれか同等のものを除外する意図はなく、種々の修正が請求された本発明の範囲内で可能であると認識される。したがって、本発明は種々の非限定的実施形態および/または好ましい非限定的実施形態および随意的な特徴によって具体的に開示されているが、当業者によって頼られ得る、本明細書中に開示される概念のありとあらゆる修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内であるとみなされると理解される。
本発明は、広範囲に、且つ包括的に本明細書中に記述されている。包括的な開示に含まれる各々の下位種および亜種のグループ化も、本発明の一部を形成する。これには、本発明の包括的な説明が含まれるが、ただし、削除される材料が具体的に本明細書中に列挙されているか否かに関わらず、その種類から任意の対象を取り除いた消極的な限定が含まれない。
また、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は文脈から判断し、明確にそうでない場合を除いて、複数の参照物が含まれる。用語「Xおよび/またはY」とは、「X」しくは「Y」または「X」および「Y」の両方を意味し、名詞の後の文字「s」は、その名詞の複数形および単数形の両方を表すと理解されるべきである。加えて、本発明の特徴または態様がMarkushグループの用語で説明される場合、本発明が、該Markushグループの任意の個別のメンバーおよび任意のメンバーのサブグループを包含し、且つそれによって説明されることを意図し、および当業者は認識する。出願者らは、該Markushグループの任意の個別のメンバーまたは任意のメンバーのサブグループを具体的に言及するために、本出願または特許請求の範囲を訂正する権利を留保する。