JP2013258326A - 太陽電池バックシート用積層体及び太陽電池バックシート - Google Patents

太陽電池バックシート用積層体及び太陽電池バックシート Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐候性を有し、かつ太陽電池バックシートとして必要とされる部分放電電圧を達成するにあたり、従来の技術に比べて薄膜化が可能で、難燃性が向上した太陽電池バックシート用積層体を提供する。
【解決手段】基材と、該基材上に形成されたシリコーン変性アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層と、を備える太陽電池バックシート用積層体であって、シリコーン変性アクリル系樹脂が、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、を含む単量体混合物の共重合反応、並びに、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び脱水縮合反応により得られるものであり、[(A)+(C)]:[(B)]:[(D)の加水分解及び脱水縮合により生成するシリコーン樹脂]が所定の質量比を有する、太陽電池バックシート用積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池バックシート用積層体、前記太陽電池バックシート用積層体を有する太陽電池バックシート、及び前記太陽電池バックシートを備える太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化問題に対する内外各方面の関心が高まる中、二酸化炭素の排出抑制のために、種々努力が続けられている。化石燃料の消費量の増大は、大気中の二酸化炭素の増加をもたらし、その温室効果により地球の気温が上昇し、地球環境に重大な影響を及ぼす。化石燃料に代替えするエネルギーとしては、いろいろ検討されているが、クリーンなエネルギー源である太陽光発電に対する期待が高まっている。
太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、半導体からできている。その構造としては、太陽電池素子単体をそのままの状態で使用することはなく、一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列、並列に配線し、長時間(約20年)に亘って素子を保護するため種々パッケージングが行われ、ユニット化されている。そのパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に、太陽電池モジュールの太陽光が当たる面はガラスで覆われている。そして、熱可塑性プラスチック(一般的にはエチレン酢酸ビニル共重合樹脂)からなる充填材で間隙が埋められ、裏面が耐熱、耐候性プラスチック材料等のシートで保護された構成になっている。
太陽電池モジュールは、屋外で使用されるため、その構成、材質構造等において、十分な耐久性、耐候性が要求される。特にバックシート(裏面保護シート)は直接外界と接する樹脂部材であるため、構成する樹脂には非常に高いレベルの耐候性が要求される。
従来、この太陽電池バックシートとしては、ポリフッ化ビニルフィルム(フッ素フィルム)等の高耐候性樹脂フィルムを用い、PET基材を該フッ素フィルムでサンドイッチしたもの、又はPET基材の片側にフッ素フィルムを積層した構造の太陽電池バックシートが多く用いられてきた。しかし、このフッ素フィルムは非常に高価な部材であり、太陽電池普及の障害の一つとなっている。また、フッ素フィルムをPETフィルムにラミネートして製造するという工程は、生産性の面でも望ましいものとは言えない。また、これらフッ素フィルムをラミネートした太陽電池バックシートは、フッ素フィルム部分が多孔質のフィルムとなっていることから、部分放電電圧の向上に寄与しない。そのため、要求される部分放電電圧を満たすためには、PET基材を厚くする必要があり、バックシートの薄膜化が出来ないといった問題点があり、部材コストの低減にも限界がある。このように、フッ素フィルムを用いた太陽電池バックシートは、部材コスト、及び生産性(生産コスト)の観点で改善の余地を有する。
太陽電池バックシートの部材コストを低減するために、耐加水分解性フィルムや機材フィルムへのフッ素コート、部分放電電圧向上手段によるバックシートの薄膜化等さまざまな取り組みがなされてきた。特に、太陽電池のバックシートの薄膜化は、部材コスト低減に効果があるため、さまざまな手法が提案されている(特許文献1〜3)。
特開2009−147063号公報 特開2009−158952号公報 特開2010−92958号公報
特許文献1〜3には、太陽電池バックシートの片面に表面電気抵抗の低い層を形成することで部分放電電圧性能を向上させる技術が記載されている。しかしながら、いずれの文献においても、表面電気抵抗の低い層の役割は帯電防止性能ひいては、部分放電電圧性能の向上のみであり、最外層に位置する構成体に必要とされる耐候性(耐UV性能及び耐加水分解性能)という観点においては必ずしも十分なものではない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、長期間にわたる過酷な自然環境下においても、優れた耐候性(耐UV性能及び耐加水分解性能)を発現及び維持することが可能で、かつ太陽電池バックシートとして使用するために必要とされる部分放電電圧を達成し、従来の太陽電池バックシートに対して薄膜化が可能で、難燃性が向上した太陽電池バックシート用積層体を提供することである。また、前記太陽電池バックシート用積層体を有する太陽電池バックシート及び該太陽電池バックシートを備える太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明は、以下の太陽電池バックシート用積層体ならびに、前記太陽電池バックシート用積層体を有する太陽電池バックシート及び該太陽電池バックシートを備える太陽電池モジュールを提供する。すなわち、
[1]基材と、該基材上に形成されたシリコーン変性アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層と、を備える太陽電池バックシート用積層体であって、上記シリコーン変性アクリル系樹脂が、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、上記(A)及び上記(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、を含む単量体混合物の共重合反応、並びに、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び脱水縮合反応により得られるものであり、上記(A)、上記(B)、上記(C)、及び上記(D)は、[(A)の質量+(C)の質量]:[(B)の質量]:[(D)の加水分解及び脱水縮合により生成するシリコーン樹脂の質量]=(100):(8〜150):(10〜220)なる質量比を有する、太陽電池バックシート用積層体。
[2]樹脂層の厚みが5〜50μmである、[1]に記載の太陽電池バックシート用積層体。
[3]樹脂層が顔料を含有する、[1]又は[2]に記載の太陽電池バックシート用積層体。
[4]顔料が、酸化チタンである、[3]に記載の太陽電池バックシート用積層体。
[5]樹脂層が、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物の存在下で、上記樹脂組成物から形成されたものである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の太陽電池バックシート用積層体。
[6]樹脂層が、シリコーン変性アクリル系樹脂を含むラテックスを基材にコーティングし、乾燥することによって得られる、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の太陽電池バックシート用積層体。
[7]基材がPET樹脂からなるフィルムである、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の太陽電池バックシート用積層体。
[8]PET樹脂が耐加水分解性PET樹脂である、[7]に記載の太陽電池バックシート用積層体。
[9][1]〜[8]のいずれか1つに記載の太陽電池バックシート用積層体を有する、太陽電池バックシート。
[10][9]に記載の太陽電池バックシートを有する、太陽電池モジュール。
本発明によれば、長期間にわたる過酷な自然環境下においても、優れた耐候性(耐UV性能及び耐加水分解性能)を発現及び維持することができ、かつ太陽電池バックシートとして使用するために必要とされる部分放電電圧を達成し、従来の太陽電池バックシートに対しての薄膜化が可能で、難燃性が向上した太陽電池バックシート用積層体を提供することができる。また、前記太陽電池バックシート用積層体を有する太陽電池バックシートを提供することができる。さらに、前記太陽電池バックシートを備える太陽電池モジュールを提供することができる。
以下、本願発明について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、以下、アクリル酸及びメタアクリル酸をあわせて、単に、(メタ)アクリル酸と記載する場合がある。
(太陽電池バックシート用積層体)
本実施形態の太陽電池バックシート用積層体は、基材と、基材上に形成されたシリコーン変性アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層と、を備える太陽電池バックシート用積層体であって、シリコーン変性アクリル系樹脂が、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、これら(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、を含む単量体混合物の共重合反応、並びに、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び脱水縮合反応により得られるものであり、これら(A)、(B)、(C)及び(D)は、[(A)の質量+(C)の質量]:[(B)の質量]:[(D)の加水分解及び脱水縮合により生成するシリコーン樹脂の質量]=(100):(8〜150):(10〜220)なる質量比を有する。
本実施形態の太陽電池バックシート用積層体は、長期間にわたる過酷な自然環境下においても、バックシートの変色・黄変がなく、かつ優れた耐候性(UV及び加水分解による基材劣化が原因の、チョーキングやクラックの発生抑制)を発現し、また維持することができる。また、太陽電池バックシートとして使用するために必要とされる部分放電電圧を達成することができ、従来の部材に対して太陽電池バックシートの薄膜化が可能である。また、太陽電池バックシートの燃焼をチャーの形成や燃焼ドロップの防止等により抑制することが可能であり難燃性に優れる。
本発明の第一の実施形態における太陽電池バックシート用積層体は、基材上にシリコーン変性アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層が形成された積層体である。基材と樹脂層とは、接着剤で接着され積層されてもよいが、直接接して積層されていることがより好ましい。接着剤を使用する場合には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂といった一般的な接着剤を使用でき、接着剤の層を基材上に形成することで使用することが出来る。
(シリコーン変性アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層)
本実施形態におけるシリコーン変性アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層(以下単に「シリコーン変性アクリル系樹脂層」と呼ぶ。)の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン変性アクリル系フィルム、シリコーン変性アクリルレジン、シリコーン変性アクリルエマルジョン等から製造されるものが挙げられる。任意の膜厚を得ることが出来るという観点から、シリコーン変性アクリルエマルジョンから製造されることが好ましい。ここで、シリコーン変性アクリル系フィルム、シリコーン変性アクリルレジン及びシリコーン変性アクリルエマルジョンとは、それぞれ、シリコーン変性アクリル系樹脂単独又はこれを含む樹脂組成物からなるフィルム、乾燥粉末及びエマルジョンをいう。
また、部材構成の簡素化、加工性、加工コスト等の生産性の観点からシリコーン変性アクリル系樹脂層が、シリコーン変性アクリルエマルジョンを基材上に直接コーティングし、その後乾燥して得られるものであることがより好ましい。
なお、ここで、シリコーン変性アクリル系樹脂とは、シロキサン結合とアクリル系樹脂が共存している樹脂又は樹脂組成物をいい、例えば、シリコーン変性剤(シロキサン化合物)(D)と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、の共重合体であってもよいし、その一部にシリコーン変性剤(D)が結合したアクリル系樹脂であってもよいし、シリコーン樹脂とアクリル系樹脂の混合物であってもよい。ただし、本実施形態においては、該シリコーン変性アクリル系樹脂が、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)を構成成分として含むことが必須である。ここで、シリコーン樹脂とは、シロキサン結合を有する高分子化合物をいう。
上述のアクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)とスルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、を主体とする共重合体である。
本実施形態において、アクリル系樹脂部分のガラス転移温度(Tg)は、10℃以上60℃以下であることが好ましい。10℃以上とすることで、シリコーン変性アクリル系樹脂層が耐ブロッキング適性に優れたものとなり、60℃以下とすることで、プラスチック基材に対する密着性、接着性が優れたものとなる。
本実施形態において、アクリル系樹脂部分のTg(K:絶対温度)は、次のFOX式を用いて計算されるものをいう。ここで、アクリル系樹脂部分のTgを計算するに当たり、対象となる単量体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、これら(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、シリコーン変性剤(D)のうち、(A)と(C)に含まれるものである。ただし、(A)の(メタ)アクリル酸エステル系単量体においても、シランカップリング剤は除くものとする。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・Wn/Tgn
[上記FOX式は、n種の単量体からなる重合体を構成する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTgi(K)とし、各モノマー単位の質量分率をWiとしている(W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1)。]
本実施形態においてシリコーン変性アクリル系樹脂層はエナメル層であってもよい。ここでエナメル層とは、シリコーン変性アクリル系樹脂と顔料とを含む層であり、シリコーン変性アクリルエマルジョンと顔料とを混合した塗料をコーティングすること等によって得られる。顔料としては、特に限定するものではないが、例えば白色顔料であれば、酸化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物)、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム及びバライト粉等の無機顔料、並びにポリスチレン系共重合体粒子等の有機顔料が使用できる。また、黒色顔料であればカーボンブラック等が、赤色顔料であれば鉛丹、酸化鉄赤等が、黄色顔料であれば、黄鉛、亜鉛黄等が、青色顔料であればウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)等が使用できる。太陽電池モジュールに入射した光を反射させ、電気への変換効率をあげるという観点では、白色顔料を使用することが好ましく、なかでも二酸化チタン、酸化亜鉛及び炭酸カルシウムを使用することがより好ましい。二酸化チタンは、樹脂層に隠蔽性を持たせることができ、これにより、太陽電池表面から取り入れた光がバックシートを通過することを防止できるため、発電効率向上の観点から特に好ましい。また、難燃性を付与するという観点では、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等が好ましい。
前述の顔料は、隠蔽性、難燃性及び意匠性を考慮して、1種又は2種以上を併用してもよい。
顔料とシリコーン変性アクリルエマルジョンとを混合した塗料には、必要に応じて分散剤、pH調整剤、消泡剤、増粘剤、湿潤剤、難燃防止剤、造膜助剤(有機溶剤)等が使用される。造膜助剤としては、後述するものが使用できる。
エナメル層中の顔料とシリコーン変性アクリル系樹脂の含有比率は、シリコーン変性アクリル系樹脂層に求める隠蔽性、難燃性、意匠性等で決定されるものであるが、層を構成する全成分に対して、顔料20〜60質量%、シリコーン変性アクリル系樹脂40〜80質量%であることが好ましく、顔料30〜50質量%、シリコーン変性アクリル系樹脂50〜70質量%であることがより好ましい。
特に、エナメル層による隠蔽性を重視する際には、顔料として二酸化チタンを使用し、その比率を20質量%以上とすることが好ましい。顔料として白色顔料を用いた場合には太陽光発電セルの表面から入射した光を効率よく反射させることができるため、発電効率の向上が期待できる。一方、顔料の比率を60質量%以下とすることで、塗膜の成膜性、塗膜強度、塗膜と基材との接着性並びに自然環境下における耐候性がより良好となる。
本実施形態におけるシリコーン変性アクリル系樹脂層やエナメル層の製造に使用するシリコーン変性アクリルエマルジョンとしては、耐候性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、シリコーン変性剤(D)と、を乳化剤の存在下で重合して得られるシリコーン含有高分子エマルジョンが好ましい。ここで、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)に乳化能がある場合には、別途乳化剤を使用する必要は無いが、乳化剤を併用しても差し支えない。
シリコーン変性アクリルエマルジョンには、耐光性の観点から、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が配合されていてもよく、また、シリコーン変性アクリルエマルジョンに紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を共重合して得られるものであってもよい。
シリコーン変性アクリルエマルジョンを重合により製造する方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、ミニエマルジョン重合等の重合方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。平均粒子径が10nm〜1μm程度の分散安定性の良好なエマルジョンを安定的に製造するには、乳化重合が好ましい。
乳化重合は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)並びに(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)のラジカル重合による乳化重合と、シリコーン変性剤(D)の加水分解・縮合反応とを同時に水性媒体中で行うことが好ましく、これによりアクリル系樹脂とシリコーン樹脂とを含有するシリコーン変性アクリルエマルジョンを得ることができる。
水性媒体としては、水を用いることができるが、炭素数1〜3の低級アルコール又はアセトン等の水に可溶な溶媒を水に添加した媒体を用いることもできる。この際添加する水以外の溶媒の量は重合開始前のプレ乳化液中で(すなわち、水、水以外の溶媒及び単量体の総量に対して)20質量%以下となるように添加することが好ましい。水以外の溶媒の量を20質量%以下とすることにより、プレ乳化液の乳化状態が破壊されず、乳化重合が安定に進行する。溶媒として水のみを用いて、乳化重合を行うことがさらに好ましい。
本実施形態において、乳化重合を行う前の、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)、並びに乳化剤(スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)に乳化能が有る場合には、使用しなくても良い)を含むプレ乳化液のpHは、特に限定されるものでないが、pH4.0以下であることが好ましい。pH4.0以下で乳化重合を実施することにより、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び引き続き起こる脱水縮合反応が速やかに起こり、縮合反応残りのシリコーン変性剤(D)の乳化重合後における縮合反応を抑制することができる。製品としての貯蔵安定性の観点から、重合時の反応系のpHは1.5以上4.0以下であることが好ましく、pH2.0以上3.5以下であることがより好ましい。
また、本実施形態において、乳化重合を行う際のラジカル開始剤の導入方法に特に制限はない。ラジカル開始剤として過硫酸塩等をあらかじめ反応系に導入してもよい。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)、乳化剤(スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)に乳化能が有る場合には、使用しなくても良い)、並びにラジカル開始剤を含むプレ乳化液を、直接反応系に逐次添加する方法でもよい。また、プレ乳化液とは別に水溶液系等で反応系へ逐次導入することも可能である。
ラジカル重合では、シリコーン変性剤(D)の添加が乳化重合の前に行われても、乳化重合中に行われても、乳化重合の後に行われてもよい。乳化重合中に行われることがより好ましい。また、乳化重合において、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び縮合反応による乳化重合は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)等のラジカル重合による乳化重合開始と同時であることが特に好ましい。
また、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)の添加については、乳化重合の前に行われても、乳化重合中に行われても、乳化重合の後に行われても良い。乳化重合の前及び乳化重合中に行われることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)、乳化剤(スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)に乳化能が有る場合には、使用しなくても良い)、並びにラジカル開始剤を含むプレ乳化液の形態で添加することがより好ましい。
また、シリコーン変性アクリルエマルジョンは、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び縮合反応により製造されるシリコーン樹脂を、本実施形態のアクリル系樹脂を含むアクリルエマルジョンとブレンド配合することにより製造してもよい。
<(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)>
本実施形態において用いる(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)としては、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と重合可能な少なくとも1種のコモノマーとして、(メタ)アクリレート単量体等が挙げられる。
(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキサイド単位の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド単位の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイドが好ましい。
(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。
前記以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(A)と、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)との質量の合計([(A)の質量+(C)の質量])を100としたときに、ここに占める、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)の含有比率は、好ましくは50〜99.9(質量比)、より好ましくは70〜99.9(質量比)、さらに好ましくは80〜99.9(質量比)、一層好ましくは90〜99.9(質量比)である。
本実施形態においては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)として、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体を用いることが、耐久性に優れるシリコーン変性アクリル系樹脂層とすることができるため好ましい。シクロアルキル基の水素原子の一部が炭素数1〜6のアルキル基、水酸基で置換されていてもよく、また、環状にエポキシ基が存在していてもよい。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)としては、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、炭素数5〜12のシクロアルキル基のエステルが挙げられる。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)の具体例として、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
CH=C(R)COOR (1)
(式中、
は、水素原子又はメチル基であり、
は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロドデシル基であり、これらシクロアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基又はエポキシ基を置換基として有してもよい。)
前記式(1)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド等を挙げることができる。これらの中では、メタクリル酸シクロヘキシルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)における、前記シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体を含有する割合は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)の全質量に対して、5質量%以上90質量%が好ましく、5質量%〜80質量%であることがより好ましく、5質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。5質量%以上含有することにより、耐久性に優れるシリコーン変性アクリル系樹脂層とすることができ、90質量%以下含有することにより、シリコーン変性アクリルエマルジョンの成膜性が優れたものとなる。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)は、一種を用いてもよく、二種以上の混合物を用いてもよい。
<スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)>
本実施形態において用いるスルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)としては、分子中に、スルホン酸基、スルホニル基及び硫酸エステル基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の官能基、及び少なくとも1つ以上のビニル基を有する化合物であればよい。
本実施形態において、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)の質量は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)との質量の合計([(A)の質量+(C)の質量])を100とした際に、8〜150(質量比)であり、好ましくは10〜120(質量比)であり、より好ましくは12〜100(質量比)である。
本実施形態におけるスルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)としては、例えば、ラジカル重合性の二重結合を有し、かつ遊離のスルホン酸基又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート基又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物のことをさす。具体的には、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜4のアルキルエーテル基、炭素2〜4のポリアルキルエーテル基、炭素数6又は10のアリール基及びコハク酸基からなる群より選ばれる置換基を有するエチレン性不飽和基含有化合物であるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基に結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物等が挙げられる。
本実施形態におけるスルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換されたコハク酸基からなる置換基を有するエチレン性不飽和基含有化合物の具体例として、例えば、アリルスルホコハク酸塩である、下記式(2)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013258326

Figure 2013258326

Figure 2013258326

Figure 2013258326

(式(2)〜(5)中、
は、水素又はメチル基であり、
は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基である炭化水素基若しくはその一部が水酸基、カルボン酸基で置換された炭化水素基又はポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が1〜20及びアルキレン部分の炭素数が2〜4である。)若しくはポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が1〜20、アルキレン部分の炭素数が2〜4である。)であり、
Aは、炭素数2〜4のアルキレン基又はアルキレン基の一部の水素が水酸基若しくはカルボン酸基で置換されたアルキレン基であり、
Mは、アンモニウム、ナトリウム又はカリウムであり、
nは、0〜200の整数である。)
前記式(2)及び(3)で表される化合物を含む乳化剤として、例えば、エレミノールJS−2、JS−5(登録商標、三洋化成工業株式会社製)等が挙げられ、前記式(4)及び(5)で表される化合物を含む乳化剤として、例えば、ラテムルS−120、S−180A、S−180(登録商標、花王株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態における硫酸エステル基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩である基により一部が置換された炭素数2〜4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキルエーテル基を有するエチレン性不飽和基含有化合物の具体例として、下記式(6)〜(9)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013258326

(式中、
10は、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基であり、
11は、炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基であり、
12は、水素又はプロペニル基であり、
Aは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、
Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム又はアルカノールアミン残基であり、
nは、1〜200の整数である。)
Figure 2013258326

(式中、
13は、水素又はメチル基であり、
14は、炭素数8〜24のアルキル基、アルキルフェニル基又はアシル基であり、
Aは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、
Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム又はアルカノールアミン残基であり、
lは、0〜50の整数であり、
nは、0〜20の整数である。)
Figure 2013258326

(式中、
15は、水素又はメチル基であり、
16は、炭素数8〜30のアルキル基であり、
Aは、炭素数2〜4のアルキレン基又はアルキレン基の一部の水素が水酸基若しくはカルボン酸基で置換されたアルキレン基であり、
Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム又はアルカノールアミン残基であり、
nは、0〜200の整数である。)
Figure 2013258326

(式中、
17は、水素又はメチル基であり、
18は、炭素数2〜12のアルキル基であり、
o及びpは、1〜200の整数であり、
Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム又はアルカノールアミン残基である。)
前記式(6)で表される化合物として、例えば、アクアロンHS−10(登録商標、第一工業製薬株式会社製)等が挙げられ、前記式(7)で表される化合物として、例えばアデカリアソープSE−1025A、SR−10N、SR−20N(製品名、株式会社ADEKA製)等が挙げられ、前記式(8)で表される化合物として、例えば、アクアロンKH−10、KH−05(登録商標、第一工業製薬株式会社製)等が挙げられ、前記式(9)で表される化合物として、例えば、PD−104(製品名、花王株式会社製)が挙げられる。
本実施形態において用いられるスルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)(スルホン酸基、スルホネート基又は硫酸エステル基を有するエチレン系単量体)は、エマルジョン中に、エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物として存在するか、未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着しているか若しくはエマルジョン水相中に存在するか、又は水溶性単量体との共重合物若しくは乳化剤として用いられるエチレン性不飽和単量体どうしの共重合物としてエマルジョン粒子へ吸着しているか又はエマルジョン水相中に存在している。
中でも、エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物の状態で存在する比率を高めることによって、エマルジョンより得られるフィルムの耐湿性ならびに、耐候性試験の前後における部分放電電圧性能をより高度なものとすることができる。
乳化剤として用いられるスルホン酸系単量体は、エマルジョンより得られるフィルムの熱分解ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−MS)により、各物質を同定することができる。
<(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)>
本実施形態において用いる、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)及びスルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)のいずれとも重合可能な単量体であれば特に限定されるものではなく、例えば、カルボン酸単量体、(メタ)アクリルアミド単量体また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、ビニルトルエン、スチレン及びα−メチルスチレン等の芳香族単量体、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン等が挙げられる。
カルボン酸系単量体としては、少なくとも1つのカルボキシル基を持つラジカル重合性カルボン酸単量体が挙げられる。具体的な例としては、イタコン酸及びそのモノエステル、フマル酸及びそのモノエステル、マレイン酸及びそのモノエステル、並びにアクリル酸及びメタクリル酸等が挙げられる。
カルボン酸系単量体は、シリコーン変性剤(D)の加水分解反応及び縮合反応を促進させる触媒としても作用するため、上記の群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。本実施形態において、カルボン酸系単量体の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、並びに(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)の合計質量([(A)の質量+(C)の質量])を100としたときに、0.1〜15(質量比)が好ましい。
(メタ)アクリルアミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
<シリコーン変性剤(D)>
本実施形態において用いるシリコーン変性剤(D)としては、それぞれ、下記式(10)〜(12)で表されるシラン化合物や環状シラン化合物が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、二種類以上を組合せてもよい。太陽電池バックシートとして要求される耐候性能を維持するためには、前記シラン化合物(10)〜(12)の3種を組合せるのがより好ましい。
SiR (3−m) (10)
(式中、
は、フェニル基又はシクロヘキシル基であり、
は、水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基又は炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基であり、
は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基から選択され、
mは、0又は1である。)
CHSi(R (11)
(式中、
は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基から選択される。)
(CHSi(R (12)
(式中、
は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基から選択される。)
本実施形態において、シリコーン変性剤(D)として、シラン化合物(10)を少なくとも一種類含むことは、重合を行った後に、シリコーン樹脂とアクリル系樹脂との共存がより円滑となるため好ましい。
また、シリコーン変性剤(D)として、シラン化合物(11)を少なくとも一種類含むことは、シリコーン構造の架橋密度をより向上させるために好ましい。
さらに、シリコーン変性剤(D)として、シラン化合物(12)の少なくとも一種及び/又は環状シラン化合物を含むことは、シリコーン変性剤(D)が形成するシリコーン重合体の架橋密度を低下させることにより、シリコーン変性アクリルエマルジョンを塗膜する際に可撓性を付与することができるため好ましい。
本実施形態において用いる前記シラン化合物(10)の具体例としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン等が挙げられる。これら化合物は、一種を用いてもよく、またこれらの二種以上を用いてもよい。シラン化合物(10)としては、フェニルトリメトキシシラン及びジフェニルジメトキシシランが好ましい。
本実施形態に用いる前記シラン化合物(11)の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これら化合物は、一種を用いてもよく、これらの二種以上を用いてもよい。シラン化合物(11)としては、メチルトリメトキシシランが好ましい。
本実施形態に用いる前記シラン化合物(12)の具体例としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これら化合物は、一種を用いてもよく、これらの二種以上を用いてもよい。シラン化合物(12)としては、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
本実施形態に用いる前記環状シラン化合物の具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これら化合物は、一種を用いてもよく、これらの二種以上を用いてもよい。
シリコーン変性剤(D)としては、前記シラン化合物(10)、シラン化合物(11)、シラン化合物(12)及び環状シラン化合物から選ばれるシリコーン変性剤(D)に加え、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等も挙げられる。
なお、本実施形態において、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)とシリコーン変性剤(D)とのいずれにも該当しうる化合物は、シリコーン変性剤(D)に分類する。
シリコーン変性アクリルエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)、及び乳化剤(スルホン酸系単量体に乳化能が有る場合には、使用しなくても良い)にシリコーン変性剤(D)を添加して作製してもよいし、又はシリコーン変性剤(D)を添加せずにエマルジョンを作製した後、シリコーンエマルジョンを後からブレンド配合してもよい。後からブレンド配合するシリコーンエマルジョンとしては、ジメチルシリコーンエマルジョンの他、フェニル系、直鎖アルキル系、水素系、アミノ系、エポキシ系、メルカプト系シリコーンエマルジョン及びシリコーンレジンエマルジョン等が挙げられる。
本実施形態におけるシリコーン変性アクリル系樹脂層には、シリコーン変性剤(D)が加水分解及び縮合することによって、アクリル系樹脂(アクリルエマルジョン粒子)中にシリコーン樹脂(シロキサン結合)が存在しているので、極めて優れた耐候性を有する。
ここで、シリコーン変性剤(D)の縮合物の存在は、29Si−NMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)、又はH−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって確認することができる。なお、H−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)では、テトラメチルシランを内部標準として使用するが、29Si−NMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)では、内部標準は使用せず、シリコンゴムを測定してその信号を−22ppmとするか、あるいはクロロホルムにテトラメチルシランを溶解した溶液試料の測定値を0ppmとしてそれを外部標準として使用する。
例えば、シラン化合物(10)の縮合物は、29Si−NMRのケミカルシフトが−35〜−90ppmにピークを示すので同定することができる。また、シラン化合物(11)の縮合物は、29Si−NMRのケミカルシフトが−40〜−80ppmにピークを示すので同定することができる。さらに、シラン化合物(12)の縮合物は、29Si−NMRのケミカルシフトが−16〜−26ppmにピークを示すので同定することができる。また、環状シラン化合物の縮合物も、その構造に応じた29Si−NMRのケミカルシフトにピークを示すので同定することができる。
本実施形態において、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び引き続き起こる脱水縮合反応により得られるシリコーン樹脂の質量は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)の質量の合計([(A)の質量+(C)の質量])を100とした際に、10〜220(質量比)、好ましくは10〜200(質量比)、より好ましくは15〜200(質量比)、さらに好ましくは20〜150である。
<乳化剤>
本実施形態において、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)(スルホン酸基、スルホネート基又は硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体)以外に、通常の乳化剤を併用することもできる。乳化剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩及びポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン型界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等の非反応性ノニオン型界面活性剤;アデカリアソープNE−20、NE−30及びNE−40(製品名、株式会社ADEKA製)等のα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン並びにアクアロンRN−10、RN−20、RN−30及びRN−50(登録商標、第一工業製薬株式会社製)等のポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル等の反応性ノニオン型界面活性剤といわれる、エチレン性不飽和単量体と重合可能なノニオン型界面活性剤等を併用することができる。
乳化剤の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、並びに(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)の合計質量([(A)の質量+(C)の質量])を100としたときに、好ましくは0.05〜10(質量比)用いられ、より好ましくは0.05〜5(質量比)用いられる。ここで、乳化剤がアニオン型界面活性剤の場合には、さらに好ましくは0.05〜2.0(質量比)、一層好ましくは0.05〜1.0(質量比)であり、非反応性ノニオン型界面活性剤及び反応性ノニオン型界面活性剤の場合には、さらに好ましくは0.05〜4.0(質量比)、一層好ましくは0.05〜2.0(質量比)である。この範囲で乳化剤を使用すると、耐湿性がより良好なフィルムを形成することができる。
<紫外線吸収剤及び光安定剤>
本実施形態において、シリコーン変性アクリルエマルジョンには、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が含有されていることが好ましく、高耐候性を付与したシリコーン変性アクリルエマルジョンを得ることができる。また、シリコーン変性アクリルエマルジョンが光安定剤を共重合して得られたものであってもよい。
シリコーン変性アクリルエマルジョンに紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有させる方法としては、シリコーン変性アクリルエマルジョンに造膜助剤等を混合した後に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を添加してもよいが、より長期にわたる耐光性及び耐久性の発現のためには、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を乳化重合時に存在させることが好ましい。紫外線吸収剤及び/又は光安定剤は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、並びに(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)の合計質量([(A)の質量+(C)の質量])を100としたときに、0.1〜20(質量比)用いることが好ましく、0.1〜10(質量比)がより好ましい。また、紫外線吸収剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のもの、光安定剤として、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性のものを用いることもできる。また、紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、そのシリコーン変性アクリルエマルジョンを用いて皮膜を形成した際に、皮膜がより耐候性に優れたシリコーン変性アクリル系樹脂層を得ることができる。
本実施形態において用いる紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、本実施形態において用いる光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物を用いることが好ましい。耐久性の優れたシリコーン変性アクリルエマルジョンと紫外線吸収能が高いベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又は光安定剤とを組み合わせることで、相乗効果により卓越した耐久性を示す。これらの中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と光安定剤との組合せがより好ましい。
前記ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ラジカル重合性のベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−トリエトキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、メチル−3−〔3’−tert−ブチル−5’−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4’−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(日本チバガイギー株式会社製、製品名:TINUVIN(登録商標)1130)、イソオクチル−3−〔3’−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(日本チバガイギー株式会社製、製品名:TINUVIN(登録商標)384)、2−(3’−ドデシル−5’−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(日本チバガイギー株式会社製、製品名:TINUVIN(登録商標)571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4’−(1’’,1’’,3’’,3’’−テトラメチルブチル)−6’−(2H−ベンゾトリアゾール−2’’−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2’−イル)−4,6−ビス(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール(日本チバガイギー株式会社製、製品名:TINUVIN(登録商標)900)等が挙げられる。
ラジカル重合性のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2’’−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学株式会社製、製品名:RUVA−93)、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3’−tert−ブチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−3’−tert−ブチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート(日本チバガイギー株式会社製、製品名:CGL−104)等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、TINUVIN(登録商標)384が好ましい。
前記トリアジン系の紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN477DW、TINUVIN479(登録商標、日本チバガイギー株式会社製)等が挙げられる。トリアジン系の紫外線吸収剤としては、TINUVIN400が好ましい。
前記光安定剤としては、塩基性が低いものが好ましく、塩基定数(pKb)が8以上のものがより好ましい。具体的には、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられ、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(日本チバガイギー株式会社製、製品名:TINUVIN(登録商標)292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(登録商標、日本チバガイギー株式会社製)等が挙げられる。
ラジカル重合性の光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、製品名:アデカスタブLA82)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、製品名:アデカスタブLA87)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。光安定剤としては、TINUVIN(登録商標)123が好ましい。
<重合開始剤>
本実施形態における乳化重合は、重合開始剤を使用し、熱又は還元性物質等を用いたラジカル分解により、エチレン性不飽和単量体の付加重合を起こさせることにより行うことができる。
乳化重合のための前記重合開始剤としては、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等を使用することができる。具体的には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びt−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド及び2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス化合物を挙げられる。シリコーン変性剤(D)の加水分解反応及び縮合反応を促進させるための触媒としても効果のある過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。
前記重合開始剤の量としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)、並びに(A)及び(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)の合計質量([(A)の質量+(C)の質量])を100としたときに、0.05〜1(質量比)を通常用いることができる。
<その他の条件>
本実施形態において、乳化重合反応は常圧下、65〜90℃の反応温度で行うことが好ましいが、単量体等の反応温度における蒸気圧等の特性に合わせ、高圧下でも実施することができる。
本実施形態において、乳化重合の反応時間としては、導入時間と、導入後の熟成(cooking)時間を合わせた時間となる。導入時間は、各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分であり、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は、重合による発熱が除熱可能な範囲で反応系へ各種原料を導入するため、最終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によっても異なるが、通常10分以上である。導入後の熟成(cooking)時間としては、少なくとも10分以上であることが好ましい。前記熟成時間を10分以上とすることにより、各原料を反応させるのに十分な時間となる。また、シリコーン変性剤(D)が加水分解した後に縮合するのに十分な時間とすることができる。
重合速度の促進及び70℃以下での低温での重合が望まれるときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いることが好ましい。さらに、得られるシリコーン変性アクリルエマルジョン中の重合体の分子量を調整するために、ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を任意に添加することもできる。
本実施形態におけるシリコーン変性アクリルエマルジョンでは、乳化重合終了後、シリコーン変性アクリル系樹脂層とするための成膜時の硬化触媒として、例えば、ジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネート等の有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等のアミン化合物を、シリコーン変性アクリルエマルジョンへ添加することもできる。
これらの硬化触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、乳化剤と水とを用いてエマルジョン化しておくことが好ましい。
本実施形態におけるシリコーン変性アクリルエマルジョンには、エマルジョンの分散の長期安定を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノール等のアミン類を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
本実施形態において、乳化重合終了後に、未反応単量体の揮発性物質、水、アルコール等を蒸発除去するために濃縮を行うこともできる。
本実施形態におけるシリコーン変性アクリルエマルジョンの分散質の平均粒子径は、10〜1,000nmであることが好ましい。
また、得られたエマルジョン中の分散質(固形分)の質量%は、1質量%以上65質量%以下が好ましく、より好ましくは、1質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上50質量%以下である。1質量%以上とすることで、樹脂層を形成する際に有効な樹脂層厚みを実現しやすくなる。また、65質量%以下とすることで塗料の粘度がハンドリングのよい領域となる。
本実施形態におけるシリコーン変性アクリルエマルジョンには、造膜助剤、増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、染料、防腐剤、湿潤剤、難燃剤等を任意に配合することができる。
前記造膜助剤として、具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。これら造膜助剤は、単独で、又は任意に併用して配合することができる。
本実施形態において、シリコーン変性アクリル系樹脂層を基材上に形成する方法としては、シリコーン変性アクリルエマルジョンと、必要により各種配合物とを混合した塗料を基材に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。前記方法により樹脂皮膜を形成して、シリコーン変性アクリル系樹脂層を形成することができる。このとき、上記塗料中の固形分の濃度は、1〜65質量%が好ましい。また、上記乾燥は20〜150℃の間で行うことが好ましい。上記塗料の塗布方法としては、グラビアコート、ワイヤーバーコート、エアナイフコート、ダイコート、リップコート、コンマコート等の様々な方法により行うことができる。
本実施形態において、シリコーン変性アクリル系樹脂層を形成する際に、1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する化合物(以下、単に「イソシアネート化合物」という。)をシリコーン変性アクリルエマルジョンに予め添加し、それを塗布・乾燥することでシリコーン変性アクリル系樹脂層を得てもよい。これにより、シリコーン変性アクリル系樹脂層の層強度がより向上するとともに、該樹脂層と基材との密着性もより向上する。
本実施形態において使用されるイソシアネート化合物としては、2個以上のイソシアネート基を分子内に有するものであれば特に限定されないが、その具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、及び4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等のジイソシアネート化合物;これらジイソシアネート化合物の誘導体であるトリメチロールプロパンアダクト体、ビュウレット体及びイソシアヌレート体等のアダクトポリイソシアネート化合物;、上記のジイソシアネート化合物及びアダクトポリイソシアネート化合物を公知の重合方法で単独重合させ、又は他の重合性単量体と共重合させた重合体;これらの乳化物等を用いることができる。
本実施形態において使用されるイソシアネート化合物は、水分散性の点からは、ノニオン型及び/又はイオン型界面活性剤等により変性処理された水分散性を有するポリイソシアネート化合物が好適である。このようなポリイソシアネート化合物としては、従来公知の手法により親水基を導入してなるものであれば特に制限なく使用でき、例えばアルコキシポリアルキレングリコールとポリイソシアネート化合物との反応生成物や、界面活性能を有するノニオン性基及びイソシアネート反応性基(水酸基等)を含有するビニル系重合体とポリイソシアネート化合物との反応生成物、ジアルカノールアミンとを反応させることにより得られる反応生成物、イセチオン酸アミン塩等のスルホン酸基とイソシアネート反応基を有する化合物とポリイソシアネート化合物の反応生成物を含有するポリイソシアネート化合物を挙げることができる。これらの中で、アルコキシポリアルキレングリコールとポリイソシアネート化合物との反応生成物を含有するポリイソシアネート化合物は水分散性が優れるため、特に好ましい。このような化合物は、市販品としては、商品名「デュラネートWT20−100」、「デュラネートWT30−100」、「デュラネートWB40−100」(以上旭化成ケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
本実施形態におけるシリコーン変性アクリル系樹脂層の厚みは5〜80μmが好ましく、5〜40μmであることがより好ましく、5〜15μmであることがさらに好ましい。シリコーン変性アクリル系樹脂層の厚みを5μm以上とすることにより、基材の隠蔽性が優れ、それにより耐久性や耐候性等の耐環境適性により優れる太陽電池バックシートを得ることができる。また、シリコーン変性アクリル系樹脂層の厚みを80μm以下とすることにより、乾燥過程において塗膜にクラックが発生しにくく、塗膜欠陥のない優れたシリコーン変性アクリル系樹脂層を得ることができる。乾燥工程においては、成膜性を高めるために、前記造膜助剤を使用することができる。
(基材)
本実施形態における基材としては、シリコーン変性アクリル系樹脂層を保持しうるものであれば特に限定されるものではない。例えば、プラスチック基材が好ましく用いられる。
本実施形態においては、プラスチック基材として、熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。前記熱可塑性樹脂フィルムは、ジカルボン酸誘導体とジオール誘導体との重縮合体であるポリエステル樹脂フィルムであることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル樹脂を用いることができる。ジカルボン酸成分としてテレフタル酸及びその誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを用いてエステル化反応で高分子化した結晶性熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることがより好ましい。これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合体又はブレンド体であってもよい。ここで好ましく使用されるポリエステルの融点は、250℃以上のものが耐熱性の上で好ましく、300℃以下のものが生産性の上で好ましい。さらに、熱可塑性樹脂は、耐加水分解性を持たせるために、数平均分子量18,500〜40,000の範囲内の高分子量ポリマーで構成された2軸延伸フィルムであることが好ましい。耐加水分解性を有するためには、前記数平均分子量が高いほど好ましいが、重合性、溶融成形性、2軸延伸性の観点から、数平均分子量が前記範囲内にあるポリエステル樹脂を用いることが好ましい。本実施形態における数平均分子量は、一般的に用いられる浸透クロマトグラフ法(GPC)等で測定することができる。
前記基材の厚さは、太陽電池バックシートの基材としての適正な腰の強さ、加工性や電気絶縁性の観点から100〜350μmの範囲が好ましい。
また、基材には、コロナ放電処理や大気プラズマ放電処理等、コーティングのための各種表面処理を施してもよく、エステル系やウレタン系接着剤等公知の接着剤等を使用することもできる。
ここで、太陽電池にバックシートを装着する際に、装着の向きに関しては特に制限はないが、シリコーン変性アクリル系樹脂層を外側に装着することが好ましい。
(太陽電池バックシート)
本実施形態における太陽電池バックシートは、前記太陽電池バックシート用積層体を少なくとも構成成分として含む構造体である。太陽電池バックシートは、前記太陽電池バックシート用積層体のほかに、封止剤との易接着層及び必要に応じて水蒸気バリア層等を有してもよく、それぞれのフィルム及び層間は、直接積層されてもよいし、接着剤を介してラミネート等により積層されていてもよい。
本実施形態の太陽電池バックシートは、本実施形態の太陽電池バックシート用積層体を有するので、耐候性(耐UV性能及び耐加水分解性能)及び難燃性に優れ、かつ太陽電池バックシートとして使用するために必要とされる部分放電電圧を達成するにあたり、従来の太陽電池バックシートに対して薄膜化が可能である。
(太陽電池モジュール)
本実施形態における太陽電池モジュールは、本実施形態の太陽電池バックシートを有するものである。これにより、耐候性(耐UV性能及び耐加水分解性能)、絶縁性及び難燃性に優れ、従来の太陽電池モジュールに対して薄型化が可能である。
以下本実施形態をラテックスの製造例及び実施例によりさらに具体的に説明するが、本実施例は、これらラテックスの製造例及び実施例のみに限定されるものではない。また、以下、「部」とは、断りがない限り「質量部」を意味する。
実施例及び比較例に用いたシリコーン変性アクリルエマルジョンの製造方法例を製造例として示す。また、各実施例及び比較例には、エナメル塗料の製造方法例及び該塗料を用いて作製した太陽電池バックシートの製造方法例を示す。
(シリコーン変性アクリルエマルジョン)
[製造例1]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水110部と「アクアロンKH−1025(25%水溶液)」(登録商標、第一工業製薬株式会社製)4部を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を1.5部添加した。
添加した5分後に、ステップ(1)として、メタクリル酸メチル18.3部、メタクリル酸n−ブチル11部、アクリル酸ブチル20.1部、アクリル酸0.6部、「ラテムルPD104」(登録商標、花王株式会社製、20%水溶液)65部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.225部、ドデシルベンゼンスルホン酸(10%水溶液)3部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)2.5部及び水90部をホモミキサーにより5分間混合して作製した乳化液と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.54部、メチルトリメトキシシラン54.8部、ジメチルジメトキシシラン21.9部及びジフェニルジメトキシシラン5.6部からなる混合液と、を別々の滴下槽から反応容器に125分かけて滴下した。
ステップ(1)の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま30分維持し、今度はステップ(2)として、メタクリル酸メチル5.9部、メタクリル酸シクロヘキシル7部、メタクリル酸n−ブチル3部、アクリル酸ブチル1部、メタクリル酸1.5部、アクリル酸0.4部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1部、アクリルアミド0.2部、ラテムルPD104(20%水溶液)30部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.18部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)1部及び水55部をホモミキサーにより5分間混合して作製した乳化液を滴下槽から反応容器に45分かけて滴下した。
ステップ(2)の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま30分維持し、今度はステップ(3)として、メタクリル酸メチル9.4部、メタクリル酸シクロヘキシル13部、メタクリル酸n−ブチル6.1部、アクリル酸ブチル1部、アクリル酸0.5部、「TINUVIN400」(登録商標、日本チバガイギー株式会社製)1.2部、「TINUVIN123」(登録商標、日本チバガイギー株式会社製)1.2部、ラテムルPD104(20%水溶液)25部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.135部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)1.5部及び水55部をホモミキサーにより5分間混合して作製した乳化液と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.18部、メチルトリメトキシシラン18.3部、ジメチルジメトキシシラン7.3部及びジフェニルジメトキシシラン1.9部からなる混合液と、を別々の滴下槽から反応容器に60分かけて滴下した。
ステップ(3)の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分維持し、その後室温まで冷却した。
その後、反応液に1Lのイオン交換水を添加した後、減圧濃縮機で1Lのメタノールと水の混合液を除去することで、反応液中のメタノールを除去した。
メタノールを除去した反応液1Lに対して、アンモニア水溶液(25%水溶液)を30gの割合で添加した。それを、撹拌機及び還流冷却器を取りつけた反応容器に移し、反応器内部温度が80℃となるよう昇温し、その温度を保ったまま3時間攪拌養生し、その後室温まで冷却した。
冷却後、反応液の固形分が40%以上になるまで減圧濃縮すると同時に余剰のアンモニアを除去しラテックス(1)を得た。
[製造例2]
ステップ(1)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を33部とし、ステップ(2)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を15部とし、ステップ(3)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を12部とした以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(2)を得た。
[製造例3]
ステップ(1)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を130部、水を120部とし、ステップ(2)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を60部、水を80部とし、ステップ(3)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を50部、水を75部とした以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(3)を得た。
[製造例4]
ステップ(1)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を260部、水を230部とし、ステップ(2)の乳化液を作製する際に使用する「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を120部、水を115部とし、ステップ(3)の乳化液を作製する際に使用する、「ラテムルPD104(20%水溶液)の使用量を100部、水を120部とした以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(4)を得た。
[製造例5]
ステップ(1)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.54部、メチルトリメトキシシラン36.6部、ジメチルジメトキシシラン36.5部、ジフェニルジメトキシシラン5.6部からなる混合液とし、ステップ(3)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.18部、メチルトリメトキシシラン12.2部、ジメチルジメトキシシラン12.2部、ジフェニルジメトキシシラン1.9部からなる混合液としたこと以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(5)を得た。
[製造例6]
ステップ(1)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.54部、メチルトリメトキシシラン18.3部、ジメチルジメトキシシラン7.3部、ジフェニルジメトキシシラン1.9部からなる混合液とし、ステップ(3)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.18部、メチルトリメトキシシラン6.1部、ジメチルジメトキシシラン2.4部、ジフェニルジメトキシシラン0.3部からなる混合液としたこと以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(6)を得た。
[製造例7]
ステップ(1)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.54部、メチルトリメトキシシラン109.6部、ジメチルジメトキシシラン43.8部、ジフェニルジメトキシシラン11.2部からなる混合液とし、ステップ(3)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.18部、メチルトリメトキシシラン36.6部、ジメチルジメトキシシラン14.6部、ジフェニルジメトキシシラン3.8部からなる混合液としたこと以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(7)を得た。
[製造例8]
ステップ(1)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.54部、メチルトリメトキシシラン164.4部、ジメチルジメトキシシラン65.7部、ジフェニルジメトキシシラン16.8部からなる混合液とし、ステップ(3)におけるシラン類の混合液を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.18部、メチルトリメトキシシラン54.9部、ジメチルジメトキシシラン21.9部、ジフェニルジメトキシシラン5.7部からなる混合液としたこと以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(8)を得た。
[製造例9]
ステップ(1)の乳化液を構成する単量体量を、メタクリル酸メチル23.4部、メタクリル酸n−ブチル11部、アクリル酸ブチル15部、アクリル酸0.6部、としたこと以外は[製造例1]と同様にして、ラテックス(9)を得た。
[製造例10]
ステップ(1)の乳化液を構成する単量体量を、メタクリル酸メチル30.4部、メタクリル酸n−ブチル11部、アクリル酸ブチル8部、アクリル酸0.6部、としたこと以外は[製造例1]と同様にして、ラテックス(10)を得た。
[製造例11]
ステップ(1)の乳化液を構成する単量体量を、メタクリル酸メチル11.5部、メタクリル酸n−ブチル11部、アクリル酸ブチル26.9部、アクリル酸0.6部、としたこと以外は[製造例1]と同様にして、ラテックス(11)を得た。
[製造例12]
撹拌機、還流冷却器、2つの滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水110部と「アクアロンKH−1025(25%水溶液)」(登録商標、第一工業製薬株式会社製)4部を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を1.5部添加した。
添加した5分後に、メタクリル酸メチル33.6部、メタクリル酸シクロヘキシル20部、メタクリル酸n−ブチル20.1部、アクリル酸ブチル22.1部、アクリル酸1.5部、メタクリル酸1.5部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1部、アクリルアミド0.2部、「TINUVIN400」(登録商標、日本チバガイギー株式会社製)1.2部、「TINUVIN123」(登録商標、日本チバガイギー株式会社製)1.2部、「ラテムルPD104」(登録商標、花王株式会社製、20%水溶液)147.5部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.54部、ドデシルベンゼンスルホン酸(10%水溶液)6部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を5部及び水200部をホモミキサーにより5分間混合して作製した乳化液と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.72部、メチルトリメトキシシラン73.1部、ジメチルジメトキシシラン29.2部及びジフェニルジメトキシシラン7.5部からなる混合液と、を別々の滴下槽から反応容器に230分かけて滴下した。
滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま150分維持し、その後室温まで冷却した。
その後、反応液に1Lのイオン交換水を添加した後、減圧濃縮機で1Lのメタノールと水の混合液を除去することで、反応液中のメタノールを除去した。
メタノールを除去した反応液1Lに対して、アンモニア水溶液(25%水溶液)を30g添加し、撹拌機、還流冷却器を取りつけた反応容器に移し、反応器内部温度が80℃に昇温後、その温度を保ったまま3時間攪拌養生し、その後室温まで冷却した。
冷却後、反応液の固形分が40%以上になるまで減圧濃縮し同時に余剰のアンモニアを除去しラテックス(12)を得た。
[製造例13]
[製造例12]において、シラン類の混合液をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.72部、メチルトリメトキシシラン48.8部、ジメチルジメトキシシラン48.7部、ジフェニルジメトキシシラン7.5部からなる混合液としたこと以外は、[製造例12]と同様にしてラテックス(13)を得た。
[製造例14]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の替わりに、「アクアロンKH−1025(25%水溶液)」(登録商標、第一工業製薬株式会社製)を使用し、その使用量が、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=52部/24部/20部であること以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(14)を得た。
[製造例15]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の替わりに、「アデカリアソープSR−1025(25%水溶液)」(登録商標、株式会社ADEKA製)を使用し、その使用量が、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=52部/24部/20部であること以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(15)を得た。
[製造例16]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の替わりに、「アクアロンHS−1025(25%水溶液)」(登録商標、第一工業製薬株式会社製)を使用し、その使用量が、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=52部/24部/20部であること以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(16)を得た。
[製造例17]
[製造例1]において、ステップ(1)のシラン類の混合液比率を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.54部、メチルトリメトキシシラン4.6部、ジメチルジメトキシシラン1.8部及びジフェニルジメトキシシラン0.5部とし、ステップ(3)のシラン類の混合液比率を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.18部、メチルトリメトキシシラン1.5部、ジメチルジメトキシシラン0.6部及びジフェニルジメトキシシラン0.2部としたこと以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(17)を得た。
[製造例18]
[製造例1]において、ステップ(1)のシラン類の混合液比率を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.54部、メチルトリメトキシシラン219.2部、ジメチルジメトキシシラン87.6部及びジフェニルジメトキシシラン22.4部とし、ステップ(3)のシラン類の混合液比率を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.18部、メチルトリメトキシシラン54.9部、ジメチルジメトキシシラン21.9部及びジフェニルジメトキシシラン5.4部としたこと以外は、[製造例1]と同様にして、ラテックス(18)を得た。
[製造例19]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の使用量を、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=16.3部/7.5部/6.3部としたこと以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(19)を得た。
[製造例20]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の替わりに、「アクアロンKH−1025(25%水溶液)」(登録商標、第一工業製薬株式会社製)を使用し、その使用量が、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=13.0部/6.0部/5.0部であること以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(20)を得た。
[製造例21]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の替わりに、「アデカリアソープSR−1025(25%水溶液)」(登録商標、株式会社ADEKA製)を使用し、その使用量が、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=13.0部/6.0部/5.0部であること以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(21)を得た。
[製造例22]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の替わりに、「アクアロンHS−1025(25%水溶液)」(登録商標、第一工業製薬株式会社製)を使用し、その使用量が、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=13.0部/6.0部/5.0部であること以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(22)を得た。
[製造例23]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の使用量を、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=433.3部/200部/166.7部としたこと以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(23)を得た。
[製造例24]
[製造例1]において、ステップ(1)〜(3)に使用している乳化剤PD−104の使用量を、ステップ(1)/ステップ(2)/ステップ(3)=542部/250部/208部としたこと以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(24)を得た。
[製造例25]
[製造例1]において、ステップ(1)と(3)で乳化液とは別に反応系に添加しているシランモノマーのうち、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びジフェニルジメトキシシランを使用せず、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランについては、他のモノマーと混合し、乳化液を作製したこと以外は、[製造例1]と同様にしてラテックス(25)を得た。
[実施例1]
シリコーン変性アクリルエマルジョン(ラテックス(1)、不揮発分=40%)を150gビーカーにとり、攪拌しながら、ブチルセロソルブ/水=1/1の混合溶媒を6g添加し、さらにジエチレングリコールジブチルエーテル(以降DBDGと記載)を6g添加し、その後5分間攪拌を続けた。
5分間攪拌後、攪拌を続けながら、そこにEMF WHITE HR(登録商標 トーヨーケム株式会社製:TiOの65%水分散体)を58.5g添加した。さらに攪拌を続けながら超微粉無定形シリカ(商品名ファインシールFM−30:トクヤマ製)を2g添加し、10分間攪拌した。10分間攪拌後、ノプコウェット−50(サンノプコ株式会社製)を1.1g添加し5分間攪拌を続けた。その後、水14.5gを添加し、さらに5分間攪拌した。その後、コンディショニングミキサーにて脱泡処理を行い、#200ステンレスメッシュ(目開き75μm)でろ過してエナメル塗料(1)を得た。
基材であるX10S(東レ株式会社製耐加水分解性PET 厚み188μm)の片面をコロナ放電処理し、コロナ放電処理面に対してワイヤーバーにてエナメル塗料(1)を塗布後、130℃で3分間熱風乾燥した(乾燥後の塗布膜厚みが約5μmとなるよう、ワイヤーバーを選定した)。得られたフィルムは、25℃の雰囲気下7日以上養生し、実施例1の太陽電池バックシートを得た。
[実施例2〜3]
乾燥後の塗布膜厚みが、それぞれ、10μm及び20μmとなるようにエナメル塗料(1)を塗布したこと以外は、[実施例1]と同様にして、実施例2及び実施例3の太陽電池バックシートを得た。
[実施例4〜7、12〜14、17〜24]
[実施例1]において、ラテックス(1)の替わりに、ラテックス(2)〜(5)、(6)〜(8)、(9)〜(16)を用いてエナメル塗料(2)〜(5)、(9)〜(11)、(14)〜(21)を作製し、該エナメル塗料を用いて[実施例1]に記載の方法で実施例4〜7、12〜14及び17〜24の太陽電池バックシートを得た。
[実施例8]
シリコーン変性アクリルエマルジョン(ラテックス(1)、不揮発分=40%)を136.3gビーカーにとり、攪拌しながら、DBDGを6g添加し、その後5分間攪拌を続けた。
5分間攪拌後、攪拌を続けながら、そこにEMF WHITE HR(登録商標 トーヨーケム株式会社製:TiOの65%水分散体)を58.5g添加した。さらに攪拌を続けながら超微粉無定形シリカ(商品名ファインシールFM−30:トクヤマ製)を2g添加し、10分間攪拌した。10分間攪拌後、ノプコウェット−50(サンノプコ株式会社製)を1.1g添加し5分間攪拌を続けた。その後、水25gを添加し、さらに5分間攪拌した。そこに、デュラネートWT30−100(旭化成ケミカルズ社製 HDI系水分散タイプのイソシアネート硬化剤)を5.5g添加し、5分間攪拌を続けた。
その後、コンディショニングミキサーにて脱泡処理を行い、#200ステンレスメッシュ(目開き75μm)でろ過してエナメル塗料(6)を得た。
基材であるX10S(東レ株式会社製 耐加水分解性PET)のエナメル塗料塗布面をコロナ処理し、コロナ処理面に対してワイヤーバーにてエナメル塗料(6)を塗布後、130℃で3分間熱風乾燥した。(乾燥後の塗布膜厚みが約10μmとなるよう、ワイヤーバーを選定した。)得られたフィルムは、25℃の雰囲気下7日以上養生し、実施例8の太陽電池バックシートを得た。
[実施例9]
[実施例8]において、ラテックス(1)を130.5g、デュラネートWT30−100を7.8g、水を28g使用したこと以外は、[実施例8]と同様にしてエナメル塗料(7)を得た。エナメル塗料(7)を用いて、[実施例8]と同様にして実施例9の太陽電池バックシート(9)を得た。
[実施例10]
[実施例8]において、ラテックス(1)を125g、デュラネートWT30−100を10.0g、水を31g使用したこと以外は、[実施例8]と同様にしてエナメル塗料(8)を得た。エナメル塗料(8)を用いて、[実施例8]と同様にして実施例10の太陽電池バックシートを得た。
[実施例11]
[実施例1]に記載のエナメル塗料(1)を用い、エナメル塗料(1)を塗布する基材が、コスモシャインA4100(東洋紡製 透明PET 厚み188μm)で、この基材の易接着処理がなされていない面にコロナ放電処理を行い、そのコロナ放電処理面にエナメル塗料(1)を塗布したこと以外は、[実施例1]に記載の方法で実施例11の太陽電池バックシートを得た。
[実施例15]
[実施例1]において、ラテックス(1)を200g、ブチルセロソルブ/水=1/1の混合溶媒を8g、DBDGを8g使用し、水を使用しなかったこと以外は、[実施例8]と同様にしてエナメル塗料(12)を得た。エナメル塗料(12)を用いて、[実施例1]と同様にして実施例15の太陽電池バックシートを得た。
[実施例16]
[実施例1]において、ラテックス(1)を100g、ブチルセロソルブ/水=1/1の混合溶媒を4g、DBDGを4g、水を48g使用したこと以外は、[実施例1]と同様にしてエナメル塗料(16)を得た。エナメル塗料(16)を用いて、[実施例1]と同様にして実施例16の太陽電池バックシートを得た。
[比較例1〜9]
[実施例1]において、ラテックス(1)の替わりに、ラテックス(17)〜(25)を用いてエナメル塗料(22)〜(30)を作製し、該エナメル塗料を用いて[実施例1]に記載の方法で比較例1〜9の太陽電池バックシートを得た。
実施例1〜25、比較例1〜9の太陽電池バックシートを用いて、以下の評価を行った。
<燃焼試験>
各種太陽電池バックシートを、長さ×幅=130mm×13mmの大きさに切り出し、UL94HBの規格(水平燃焼性試験)に準拠して評価した。燃焼時に、燃焼ドロップ(バックシートの燃焼時に溶融したものが燃えながら落ちる現象)の有無及びチャー(バックシートの燃焼時に生成した炭化物)の形成の有無を観察した。また、75mmの長さが燃焼するのに要した時間を計測した。
燃焼ドロップがない場合 :○、燃焼ドロップがある場合:×
チャーの形成がある場合 :○、チャーの形成がない場合:×
75mm燃焼時間 :n=5の平均時間(秒)
<基材との密着性>
各種バックシートのエナメル塗布面に対して、碁盤目試験(100マスのクロスカット剥離試験)を行った。以下の判定基準に沿って結果を記載した。
剥離面積が0〜1%未満のものを「◎」とした。
剥離面積が1%以上〜5%未満のものを「○」
剥離面積が5%以上〜10%未満のものを「△」
剥離面積が10%以上〜20%未満のものを「×」
剥離面積が20%以上〜50%未満のものを「××」
剥離面積が50%以上のものを「×××」
<湿熱後の基材との密着性>
各種バックシートを、耐熱アルミシールで四隅を封止するようにしてアルミ板に貼り付けた。該サンプルを85℃/85%RHの環境下に3000時間暴露したのちに、碁盤目試験を実施した。評価基準は、前記の「基材との密着性」に記載の判定基準に沿って判定した。
<塗膜の耐候性>
サンシャインウエザオメーター(スガ試験機株式会社製、WEL−SUN−DC)(以下SWOMと記載)を使用して、曝露試験(降雨サイクル;12分/時間、ブラックパネル温度60〜66℃)を実施した。試験3000時間後に碁盤目試験を実施した。評価基準は、前記の「基材との密着性」に記載の判定基準に沿って判定した。
<部分放電電圧>
各種バックシートの各耐候性試験前及び、湿熱試験(85℃/85%RH/3000時間)及びSWOM(3000時間)実施後の部分放電電圧を測定した。
測定方法、条件は、以下の通りとした。
適用規格 : IEC61730−2
試験装置 : カップリングコンデンサ=2000pF
使用電極 : 上部φ25mm(円柱状)
下部φ75mm(円柱状)
サンプルサイズ : 100mm×100mm
実施例1〜24及び比較例1〜10の評価結果を、用いたラテックスの組成及びバックシートの構成とともに表1〜3に示す。なお、表中のラテックスの組成において、シリコーン樹脂の質量部とは、用いられたシリコーン変性剤の全てが完全に加水分解及び縮合重合してシリコーン樹脂が形成されたと仮定した場合のシリコーン樹脂の質量部を表す。また、各シリコーン変性剤由来の樹脂量の割合は、上述のように仮定して形成されたシリコーン樹脂中に含まれる各シリコーン変性剤由来の樹脂の割合を表す。
Figure 2013258326
Figure 2013258326
Figure 2013258326
実施例1〜3の結果から、シリコーン変性アクリル系樹脂層の厚みが5μm以上とすることで隠蔽性がよく、燃焼試験を実施した際にチャーの形成及び燃焼ドロップの抑制により難燃性がより優れていることがわかる。実施例4〜6及び比較例3〜8の結果より、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)の使用量が8部未満の比較例3〜8では部分放電電圧向上効果が小さく、8部以上の実施例4〜6では、部分放電電圧の向上効果が明らかに発現していることがわかる。ただし、150部以上(比較例7,8)では、塗膜の基材との密着性が悪く塗膜を形成する塗料としては不適当であった。実施例の12〜14と比較例1〜2とを比較すると、シリコーン変性剤の含有量が10部以上の実施例12〜14は、10部未満の比較例1に比べ、燃焼試験におけるチャーの形成及び燃焼ドロップ防止による、難燃性能の向上が確認された。実施例12〜14は、シリコーン変性剤の含油量が220部以上の比較例2に比べ、基材との密着性が良好であることがわかる。実施例15及び16から、無機顔料の塗料中の比率PWC(顔料の重量比率)を20〜60の範囲とすることで、基材との密着性及び難燃性の向上効果のバランスがより良好になることがわかる。実施例17〜19から、アクリル系樹脂部分のTgを20℃〜54℃とすることで、基材との密着性がより良好になることがわかる。実施例2と実施例22〜24との比較から、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)の種類によらず一定の性能を発現することがわかる。実施例2と比較例9との比較から、シリコーン変性剤を含有することで、密着性、難燃性、耐候性試験後の部分放電電圧特性等のあらゆる物性が向上していることがわかる。特に湿熱試験後の性能維持のためには、一定量以上のシリコーン変性が必須であることがわかる。
本発明の太陽電池バックシート用積層体並びに、該積層体を有するバックシートは、長期間にわたる過酷な自然環境下においても、耐候性、耐熱性に優れ、優れた部分放電電圧性能を有し、かつ基材が樹脂で該樹脂が易燃性の場合には、難燃性向上に寄与することが出来る性能を有する。

Claims (10)

  1. 基材と、
    該基材上に形成されたシリコーン変性アクリル系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂層と、
    を備える太陽電池バックシート用積層体であって、
    前記シリコーン変性アクリル系樹脂が、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(A)と、スルホ基を有するエチレン性不飽和単量体(B)と、前記(A)及び前記(B)のいずれとも重合可能な単量体(C)と、を含む単量体混合物の共重合反応、並びに、シリコーン変性剤(D)の加水分解及び脱水縮合反応により得られるものであり、前記(A)、前記(B)、前記(C)、及び前記(D)は、[(A)の質量+(C)の質量]:[(B)の質量]:[(D)の加水分解及び脱水縮合により生成するシリコーン樹脂の質量]=(100):(8〜150):(10〜220)なる質量比を有する、太陽電池バックシート用積層体。
  2. 前記樹脂層の厚みが5〜50μmである、請求項1に記載の太陽電池バックシート用積層体。
  3. 前記樹脂層が顔料を含有する、請求項1又は2に記載の太陽電池バックシート用積層体。
  4. 前記顔料が、酸化チタンである、請求項3に記載の太陽電池バックシート用積層体。
  5. 前記樹脂層が、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物の存在下で、前記樹脂組成物から形成されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池バックシート用積層体。
  6. 前記樹脂層が、前記シリコーン変性アクリル系樹脂を含むラテックスを前記基材にコーティングし、乾燥することによって得られる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池バックシート用積層体。
  7. 前記基材がポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるフィルムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池バックシート用積層体。
  8. 前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂が耐加水分解性を有する、請求項7に記載の太陽電池バックシート用積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池バックシート用積層体を有する、太陽電池バックシート。
  10. 請求項9に記載の太陽電池バックシートを有する、太陽電池モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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