JP2013257154A - 測定チップ - Google Patents

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Abstract

【課題】緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に血液凝固能が測定できるようにする。
【解決手段】測定チップは、透明な基板101と、基板101の測定領域102に形成された表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層103と、測定領域102において金属層103の上に形成されて検体となる血漿が接触するガラス層104とを備える。ガラス層104は、表面プラズモン共鳴測定による血漿の測定が行える範囲の厚さとすることが重要である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、血漿の凝固状態を測定するための測定チップに関する。
血液凝固活性は、外因系の凝固因子の欠損の選別、肝機能の異常、さらに経口で投与された抗凝血薬による治療の監視に用いる指標などを得るために重要な項目である。例えば災害時では、ストレス,疲労,運動不足などを起因とする生体内ホルモン異常により、体内に血栓が生じ易い。血栓が生じると、特に高齢者の場合、脳梗塞や心筋梗塞などの緊急度の高い疾患に短時間で発展する危険性が高いため、早急な発症認識と治療が必要とされる。しかし、身体の深部で生じた血栓は、外見からは即座に発見することができず、自覚症状が見られないまま病状が悪化するケースが多く報告されている。このため、上述したような場合には、血液凝固活性の測定を、できる限り定期的に行う必要がある。
また、血友病患者は、普段の生活を営む上で常時発生している関節内失血や筋肉内失血などの内失血をコントロールできないため、日常的に血液製剤(凝固因子製剤)を服用している。薬剤の定期投与により、関節内出血も筋肉内出血も正常人と変わらない凝固作用機序を保って止血できる。凝固因子製剤の投与が極度に遅れるなど、投与のタイミングを逸すると出血量が増え治癒が遅れ、最悪の場合、後遺症を引き起こすことになる。この凝固因子製剤の投与タイミングは、血液凝固活性の測定結果により決定することが望ましい。
この血液凝固活性(血液凝固能)を求める従来の血液凝固検査には、PT測定法およびAPTT測定法があり、主に、病院内で大型分析装置を用いて実施されている。PT測定法は、プロトロンビン時間(Prothrombin Time)を測定する方法であり、APTT測定法は、活性化部分トロンボプラスチン時間(Activated Partial Thromboplastin Time)を測定する方法である。
これらの測定方法では、凝固反応の誘因として、血液(血漿)が凝固するトロンボモジュリンやエラグ酸などのタンパク質およびカルシウムイオンが用いられる。これらの凝固誘因物質を血漿に混合し、混合開始から凝固完了までの時間(凝固点)を測定し、標準血漿の結果と比較して遅延時間を見積もっている。
血液凝固能の物理的な測定には、撹拌抵抗式,光散乱方式,熱伝導式,水晶振動子式などが発明されており、現在一般に撹拌抵抗および光散乱方式が多く用いられている。撹拌抵抗式の場合、試料を活性化剤と同時に導入して撹拌子で撹拌し、この撹拌時の抵抗の上昇から凝固時間を得る方法である。また、光散乱方式は、試験用容器内で、血漿に凝固活性化を促す成分を含む試薬を混合し、試験用容器に対し光を入射し、入射した光の散乱光量変化を測定して凝固時間を得る方法である。散乱光から凝固時間を得るためには、散乱光量をそのまま利用する方法,散乱光量の微分値を利用する方法,あるいは散乱光量がある一定値に達するまでの時間を求める方法がある(特許文献1,2,3参照)。
発明者らは、マイクロ流路を備えるチップを使い、表面プラズモン共鳴測定法による流速測定で血液凝固活性を測定するPT測定を提案している(特許文献4参照)。この測定方法では、トロンボモジュリンやエラグ酸などの血漿凝固活性剤を、チップのマイクロ流路に配置しておき、この流路に試料となる血漿を流し、血漿が凝固しながら進行していく際の流速を測定し、この流速より血液凝固活性の値を算出している。凝固活性化剤で満たされたマイクロ流路内を流れる過程で、血漿は完全に凝固していく。
特許第2934557号公報 特許第1923591号公報 特許第1648686号公報 特開2011−232137号公報
ところで、現在、一般的に行われている血液凝固活性測定(血液凝固能試験)で使用される凝固活性剤などの試薬は、生体由来の材料が用いられているなどのことにより、冷蔵による保存が必須となっている。このため、凝固活性剤などを用いる上述した測定方法では、前述したような災害時における定期的な測定などの、少量の試料消費で迅速に現場で対処する緊急の測定用途には不向きである。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に血液凝固能が測定できるようにすることを目的とする。
本発明に係る測定チップは、透明な基板と、基板の測定領域に形成された表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層と、測定領域において金属層の上に形成されて検体となる血漿が接触するガラス層とを少なくとも備え、ガラス層は、表面プラズモン共鳴測定による血漿の測定が行える範囲の厚さとされている。例えば、ガラス層は、厚さが100nm以下とされていればよい。
上記測定チップにおいて、基板の上に配置された上部基板と、基板と上部基板との間に形成された流路とを備え、測定領域は、流路の一部に形成されているようにしてもよい。また、流路の一端に接続して形成された試料血漿が導入される導入口と、流路の他端に接続する吸引流路とを備えるようにしてもよく、上部基板を貫通して吸引流路に到達する複数の貫通孔を備えるようにしてもよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、緊急時などにおいて少量の試料消費で迅速に血液凝固能が測定できるようにするという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態1における測定チップの構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態2における測定チップの構成を示す平面図である。 図3は、本発明の実施の形態2における測定チップの一部構成を示す断面図である。 図4は、本発明の実施の形態2の実施例1における測定チップの構成を示す斜視図である。 図5は、本発明の実施の形態2の実施例1における測定チップの構成を示す平面図である。 図6は、表面プラズモン共鳴測定装置の構成例を示す構成図である。 図7は、実施例1における測定チップを用いた表面プラズモン共鳴測定における凝固時間の算出について説明する説明図である。 図8は、実施例1における測定チップを用いた表面プラズモン共鳴測定による凝固時間算出結果を示す特性図である。 図9は、ガラス層を用いていない測定チップを用いた表面プラズモン共鳴測定による凝固時間算出結果を示す特性図である。 図10は、表面プラズモン共鳴測定による凝固時間算出結果を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における測定チップの構成を示す斜視図である。この測定チップは、透明な基板101と、基板101の測定領域102に形成された表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層103と、測定領域102において金属層103の上に形成されて検体となる血漿が接触するガラス層104とを備える。
基板101は、例えば、ガラス基板であればよい。また、基板101は、アクリル基板であってもよい。金属層103は、例えば、真空蒸着法により形成したAuから構成すればよい。また、ガラス層104は、例えば、よく知られた水ガラスを塗布することで形成すればよい。ここで、ガラス層104は、金属層103における表面プラズモン共鳴測定が行える範囲の厚さとすることが重要である。例えば、ガラス層104は、厚さが100nm以下とされていればよい。
上述した測定チップを用いた表面プラズモン共鳴測定では、測定領域102において、基板101の裏面側より、金属層103の上でガラス層104に接触する検体となる血漿の時系列変化を、金属層103表面におけるエバネッセント波と表面プラズモン波との共鳴状態の時系列変化として観測する。検体となる血漿は、ガラス層104の上に滴下すればよい。後述するように、血漿は、ガラス層104に接触することで、凝固が始まる。言い換えると、上記測定チップでは、血漿の凝固誘因物質として、ガラスを用いている。
ここで、金属層103の上に、ガラス層104が形成されている領域と形成されていない領域とを設けるとよい。ガラス層104が形成されていない領域が、参照領域となる。ガラス層104が形成されている領域と、参照領域とでは、血漿の凝固状態が異なり、これらの間における時系列変化の差分を観察することで、血液の凝固状態の異常などが判別でき、血液凝固能が測定できる。この判別(測定)は、非常に少量の血液で行える。また、よく知られているように、表面プラズモン共鳴測定による屈折率変化などの検出は、短時間で行える。このように、実施の形態1によれば、緊急時などにおいても少量の試料消費で迅速に血液凝固能が測定できるようなる。
以下、より詳細に説明する。まず、血漿の凝固について説明する。通常、体内で行われる止血機序は2通り存在する。第1に、血管内皮細胞が破壊されることから始まる内因性血液凝固がある。第2に、外傷などの際に、損傷組織から組織因子が放出されることで始まる外因系血液凝固がある。
内因系血液凝固は、血液が血管内皮細胞下組織(コラーゲン)に接することを起因とし、第XII因子(Hageman factor)の活性化に引き続いて、次々と関連血液凝固因子が活性化される。生じた活性化第IX因子は、血小板膜のリン脂質に結合し、[活性化第IX因子−カルシウムイオン−第VIII因子−血小板膜リン脂質]のような複合体を形成する。この複合体は、第X因子を活性化し、活性化された第X因子は、プロトロンビンをトロンビンにする。こうして生じたトロンビンは、フィブリノゲンを分解してフィブリン(線維素)に変化させ、これらのフィブリン分子は、ただちに重合してフィブリン網(血栓)が形成される。
上述した凝固の過程で、内因系血液凝固のトリガーとなる血管内皮細胞下組織に接する際に受ける作用が、負電荷によるものと知られている。負電荷を帯びた異物(細胞片など)に触れると、プレカリクレインと高分子量キニノゲンが第XII因子を活性化することで内因性凝固反応が開始される。
これらのことに対し、ガラス表面は、シラノール基(−SiOH)の脱プロトン反応により極性液体と接すると表面に負電荷を帯びる。このため、ガラス表面に接触した血液(血漿)は、負電荷を帯びた異物に触れたことになり、このことによる凝固反応の流れに従って凝固を開始する。
ところで、通常、採血を行う際には、採血した血液を収容するガラス試験管内には抗凝固剤としてクエン酸が予め入っている。クエン酸は、血中に含まれるカルシウムイオンをキレートする作用があり、凝固の進行に重要なカルシウムイオンを取り除き、試験管内側のガラス表面の負電荷に起因する凝固開始を阻止している。このように、従来の検査ではガラスの負電荷による作用を排除している。
上述のことに対し、本発明では、ガラス表面の負電荷に起因する凝固を利用し、簡易な構成の測定チップにおいて、ガラス表面に血漿を接触させたときの凝固挙動(屈折率変化)を表面プラズモン共鳴測定により測定する。言い換えれば、表面電荷が発生するガラス層を、金属層の上に形成しているところに特徴がある。例えば、検体となる血漿をガラス表面に接触させた状態で流し、この流速の状態を、金属層による表面プラズモン共鳴測定で屈折率変化として測定し、得られる流速を血液凝固能の指標とし、検体となる血漿の凝固反応をリアルタイムで観測すればよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図2,図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態2における測定チップの構成を示す平面図である。また、図3は、本発明の実施の形態2における測定チップの一部構成を示す断面図である。
この測定チップは、透明な基板201と、基板201の測定領域202に形成された表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層203と、測定領域202において金属層203の上に形成されて検体となる血漿が接触するガラス層204とを備える。また、この測定チップは、基板201の上に配置された上部基板301を備え、基板201と上部基板301との間に流路205が形成されている。流路205の一端には、試料となる血液が導入される導入口206が形成され、流路205の他端には、吸引流路208が接続している。また、導入口206と流路205との間には、血漿分離部207が設けられ、導入口206より導入された血液より血球と血漿とを分離し、血漿が流路205に流れる状態としている。測定領域202は、流路205の一部に形成されている。
基板201は、例えば、ガラス基板であればよい。また、基板201は、アクリル基板であってもよい。金属層203は、例えば、真空蒸着法により形成したAuから構成すればよい。また、ガラス層204は、例えば、よく知られた水ガラスを塗布することで形成すればよい。ここで、ガラス層204は、金属層203における表面プラズモン共鳴測定が行える範囲の厚さとすることが重要である。例えば、ガラス層204は、厚さが100nm以下とされていればよい。また、上部基板301は、アクリルから構成されていればよい。例えば、上部基板301に、貫通孔および溝部を形成することで、貫通孔の部分を導入口206とし、溝部を流路205や吸引流路208とすることができる。
この測定チップでは、例えば、流路205および吸引流路208を、幅1mm,高さ10〜100μm程度に形成することで、導入口206より導入された液体を、毛細管現象により、流路205および吸引流路208に移送することができる。これらのことにより、導入口206より導入した液体が、流路205で流れる状態が得られる。
血漿分離部207では、例えば、流路変化による流れ分布による分離機構,微細加工によるフィルタリング機構,誘電による沈降,大きさの異なるビーズ充填によるカラムなどから構成されていればよい。
この測定チップを用いた測定では、まず、図3の(a)に示すように、緩衝液302を流路205に流しておく。この状態で、検体となる血液を導入口206より導入する。導入口206より導入された検体となる血液は、血漿分離部207で血球が分離され、血漿が取り出される。この結果、図3の(b)に示すように、血漿303が、流路205を流れていく。この過程で、血漿303は、負電荷を帯びたガラス層204の表面に接触し、凝固反応が起こり、流速に変化を与える。
上述した流速の変化は、緩衝液302と血漿303との界面の移動速度に現れる。従って、緩衝液302と血漿303との液液界面の流れ方向の変位を、金属層203における表面プラズモン共鳴の屈折率変化測定により検出し、流速を測定する(特許文献4参照)。凝固が進行すると流速が減少するので、測定される流速を、血液凝固能の指標とすることができる。
ここで、実施の形態2によれば、測定の後、流路205の内部などを洗浄することで、再度の測定が可能である。例えば、強酸または強アルカリなどによる洗浄液を、導入口206から注入して、血漿分離部207や流路205内などの血液成分を除去し、この後、流路内を緩衝液ですすげばよい。このように、この測定チップによれば、簡単な洗浄で、次の測定準備が行える。
ところで、流路を用いた測定では、検体となる血漿との接触面積にある程度の制限を受けることになる。これに対し、流路205において露出するガラス層204の表面に、凹凸を形成して表面積を広げることが効果的である。例えば、ガラス層204を形成した後、ガラス層204の表面に凹凸を形成すればよい。例えば、公知のリソグラフィー技術により複数の微細孔を備えるレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとし、例えば、フッ酸などを用いてガラス層204の表面を部分的にエッチングし、複数の微細な凹部を形成すればよい。また、上述したように形成した凹部に、乾燥凝固剤を固定する加工を施すことで、流路205における凝固活性を上げ,より詳細な凝固活性能の測定を行うことができる。
ところで、上部基板301の流路形成面が負電荷を帯びている場合、ここにおいても、上述同様に凝固反応が引き起こされる。このため、ガラス層204の表面での凝固状態にチップロット差が生じる恐れがある。このため、上部基板301の流路形成面は、負電荷が帯びていない状態とする。例えば、上部基板301を負電荷が帯びないプラスチックから構成すればよい。また、上部基板301をガラスから構成する場合、流路形成面に、反応基(−SiOH)をブロックして負電荷を帯びさせない修飾が必要である。例えば、「3-aminopropyltriethoxysilane」を反応させてアミノ基の正電荷を付加してブロッキング剤などでブロッキングをすればよい。また、上部基板301の流路形成面にPEGポリマーを修飾して表面に電荷をもたない状態とすればよい。
[実施例1]
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。まず、測定チップの構成について図4,図5を用いて説明する。図4は、実施例1の測定チップの構成を示す斜視図であり、図5は、実施例1の測定チップの構成を示す平面図である。
実施例1における測定チップは、まず、ガラスなどの光を透過する基板401と、基板401の上に配置される上部基板410と、基板401と上部基板410の間に挟まれるスペーサ部420とを備える。
基板401の表面には、表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層402と、金属層402の上に形成されたガラス層403とを備える。基板401は、ガラス(BK7)から構成している。金属層402は、Auから構成している。例えば、スパッタリング法により、Auを厚さ50nm程度堆積することで、金属層402を形成している。また、形成した金属層402の上に、アクアミカ(登録商標;エクスシア社製)を塗布することで、ガラス層403を形成している。アクアミカを塗布した後、4ヶ月以上常温(23℃程度)で乾燥させてガラス層403を形成している。ガラス層403は、例えば、層厚0.05〜0.2μm程度である。
スペーサ部420には、流路421,連結部流路422aおよび主吸引部422bが形成されている。流路421の途中に検出部430が設けられている。連結部流路422aおよび主吸引部422bが吸引流路422となる。また、上部基板410には、試料溶液が導入される導入口411が形成され、吸引流路422に到達する複数の貫通孔412が形成されている。貫通孔412は、例えば、直径約100μmの円筒形状(円管)である。また、上部基板410には、外側表面の貫通孔412の形成領域に凹部が形成され、排出部413を構成している。
基板401と、スペーサ部420と、上部基板410とを一体とすることで、実施例1の測定チップとなる。例えば、スペーサ部420の両面には、粘着材が塗布されており、この粘着材を介して接着することで、基板401,スペーサ部420,上部基板410を貼り合わせる。接着面には、紫外線照射処理をしておくとよい。
上述したように構成した測定チップの流路421は、測定チップの中央部を横切るように配置されている。上部基板410は、板厚3mm程度に形成され、基板401は、板厚1mm程度に形成されている。流路421は、幅1mm、高さ10〜100μm程度に形成されている。
ここで、流路421は、液体に対して毛細管現象が発現する範囲の断面寸法とされ、同様に、貫通孔412は、液体に対して毛細管現象が発現する範囲の管径とされている。また、吸引流路422の基板401および上部基板410の対向する方向(上下方向)の間隔は、流路421より液体が浸入したときに、上下方向に隙間が形成されない範囲とされている。言い換えると、浸入した液体が、吸引流路422の上下の両面に同時に接触可能な状態とされている。
この測定チップでは、導入口411より導入された試料溶液は、毛細管現象により流路421を流れて吸引流路422に浸入する。吸引流路422に到達した試料溶液は、いわゆる毛細管現象により貫通孔412に吸い上げられる。導入口411に導入された試料溶液は、吸引流路422における複数の貫通孔412に吸い上げられることで、流路421を所定の流速で吸引流路422の方向に流れていくことになる。
次に、上述した測定チップを用いた測定について説明する。
[血漿]
試料として用いた血漿は、血液凝固用標準血漿および血液凝固用コントロール血漿Pである。実験の測定では、緩衝液としてオーレンベロナール緩衝液(シスメックス)を使用した。試料として、上述した血漿をオーレンベロナール緩衝液で2倍希釈し、37℃で1分間加熱した後、キレートされているカルシウムイオンを補うためにCaCl2を加えた混合液を20μL用いた。
[流速からの凝固時間の算出]
次に、凝固時間の算出について説明する。まず、図6に示すように、測定チップ605を、表面プラズモン共鳴測定装置600の測定面604に設置する。プリズム603の測定面604と、測定チップ605の基板との間には、マッチングオイルを配置し、光源601からの光の光軸に、検出部が重なるように測定チップ605を載置する。
この測定では、光源601から出射された光を入射側レンズ602で集光してプリズム603に入射させ、プリズム603の測定面604に密着させている測定チップ605の検出部の金属層に照射する。測定チップ605の検出部にはAuからなる金属層が形成されており、この金属層表面を、ガラス層を介して検体となる試料が流れていく状態で、金属層の裏面に、測定チップ605の基板を透過してきた集光光が照射される。このようにして照射された集光光は、金属層の裏面で反射し、いわゆるCCDイメージセンサなどの撮像素子よりなる光検出部606で強度(光強度)が測定される。この測定において、例えば、金属層表面におけるエバネッセント波と表面プラズモン波との共鳴が起こる角度では、反射率が低くなる谷が観測される。
このような表面プラズモン共鳴測定においては、例えば、CCDイメージセンサのx方向の1ライン毎に屈折率を反映したデータが観測されている。このため、検出部の流路を血漿が進行していくと、前述したように屈折率変化が起こり、CCDイメージセンサのライン毎にどのタイミングで血漿進行による屈折率変化が起こったかが記録される。このように、測定チップの流路内を流れる血漿の時系列的な屈折率の変化の測定の中で、屈折率変化の起こった時点(時刻)を読み取るようにすればよい。
例えば、図7の(a)に示すように、CCDイメージセンサのYライン毎に記録されている屈折率変化の時間変化から、屈折率のステップ変化が起こった時刻を読み取る。図3の(b)に示すように、表面プラズモン共鳴角度に相当する最も光が吸収されたピクセル強度をカラープロファイルで表示することで、上述した読み取りの状態をより視覚的に表す。また、図3の(c)に示すように、上述した読み取りにおけるxライン毎の時間変化をカラープロファイルの変化で表すようにしてもよい。図3の(c)に示す矢印で示される傾きが、流速となる。Yラインのピクセルに対応する流路上の実距離(約10μm)を代入して計算し、傾きである流速はμm/secの単位で記述される。なお、図3では、カラープロファイルをグレースケールで簡略化して示している。
この実験において、測定チップの流路に設けている検出部のガラス層表面で凝固反応が起こると、この領域における流速が、使用する試料(血漿)により変化する。本実施例では、血液凝固試験の際に、高凝固活性試料として使用されるコントロールN血漿(活性≧100%)、および、低凝固活性試料として使用されるコントロールP(活性32%)血漿を使用している。
上述した実験の結果について、図8,図9,図10に示す。図8,図10(a),(b)は、ガラス層を用いた測定チップの結果であり、図9,図10(c)は、ガラス層を用いていない測定チップの結果である。ガラス層を用いた測定チップでは、図8に示すように、流路の下流に行くに従い測定される流速が遅くなる傾向が見られた。これは、ガラス層の表面に血漿試料が接触することで血液凝固が開始され、血漿の性質が変化したことを示唆している。これに対し、ガラス層を用いていない測定チップでは、図9に示すように、測定される流速に変化が見られない。また、図10の(a),(b)は、図10の(c)に比較して、流速が遅くなっている。
また、凝固能の異なるコントロールN血漿、コントロールP血漿に対し、実施例におけるガラス層を用いた測定チップを用いて表面プラズモン共鳴測定により流速測定を行った結果、図10の(a)および図10の(b)に示すように、血漿試料の凝固能依存で測定流速に違いが見られた。このことから、ガラス層を用いた測定チップを用いた表面プラズモン共鳴による流速測定により、正常値から逸脱した異常凝固能を有する血漿を見分けることができると考えられる。
以上に説明したように、本発明によれば、表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層の上に、ガラス層を介して検体となる血漿が配置されるようにしたので、緊急時などにおいて少量の試料消費で迅速に血液凝固能が測定できるようになる。
従来の医療検査には、希釈や流動の駆動力、洗浄などで大量の水を必要としているが、本発明では、測定開始から次の測定までに使用する水分量を最低限に抑えられるため、災害時など非常時にも不自由なく検査可能である。また、測定チップは、全て無機物で構成されているため、抗体や酵素などの生体材料を使用する他の技術と比較し、長期保存が可能であり、安価に作製可能となる。
また、本発明の測定チップを用いれば、表面プラズモン共鳴測定法により固まる前の検体の流速を測定することが可能であり、通常の凝固点測定では難しかった凝固のリアルタイム測定が可能となる。また、測定は開始数秒で終了するため、測定に必要な試料も少量でよい。この結果、災害現場など人員や資材の限られた環境下で、血液凝固能異常によって引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞の重篤患者を迅速に発見し、早期の手当を行うことが可能となる。
また、本発明では、検体の凝固反応の誘因にガラスを用いているが、表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層に対してガラス層が保護層として機能するため、耐薬品性が向上する。このため、様々な薬品洗浄が行えるようになり、また、使い捨てではなく、同一の測定チップで複数回の測定が可能となる。また、図4を用いて説明したような構成とする場合、濾紙などの吸水物質を、吸引流路の排出部に設置することで、吸水量の拡大が図れ、より多くの繰り返し測定が可能となる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…基板、102…測定領域、103…金属層、104…ガラス層。

Claims (5)

  1. 透明な基板と、
    前記基板の測定領域に形成された表面プラズモン共鳴測定を行うための金属層と、
    前記測定領域において前記金属層の上に形成されて検体となる血漿が接触するガラス層と
    を少なくとも備え、
    前記ガラス層は、前記金属層における表面プラズモン共鳴測定が行える範囲の厚さとされていることを特徴とする測定チップ。
  2. 請求項1記載の測定チップにおいて、
    前記ガラス層は、厚さが100nm以下とされていることを特徴とする測定チップ。
  3. 請求項1または2記載の測定チップにおいて、
    前記基板の上に配置された上部基板と、
    前記基板と前記上部基板との間に形成された流路とを備え、
    前記測定領域は、前記流路の一部に形成されていることを特徴とする測定チップ。
  4. 請求項3記載の測定チップにおいて、
    前記流路の一端に接続して形成された試料血漿が導入される導入口と、前記流路の他端に接続する吸引流路とを備えることを特徴とする測定チップ。
  5. 請求項4記載の測定チップにおいて、
    前記上部基板を貫通して前記吸引流路に到達する複数の貫通孔を備えることを特徴とする測定チップ。
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