JP2013257125A - 次世代カーボンフリー発電プラント及び次世代カーボンフリー発電方法並びに次世代カーボンフリー発電プラント及び次世代カーボンフリー発電方法に利用する尿素水 - Google Patents
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Abstract
【課題】地球温暖化対策に有効な次世代クリーンエネルギー発電プラント及び次世代クリーンエネルギー発電方法を提供する。
【解決手段】ボイラ本体12と、ボイラ本体に装着されていて燃焼用空気と水素リッチアンモニアとを燃焼させてボイラ本体で高圧蒸気を発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナ18と、尿素水を供給する尿素水供給源60と、ボイラ本体12に隣接して配置されていて尿素水を加水分解してアンモニアを生成するとともにアンモニアの一部を水素と窒素とに転化して水素リッチガスを生成する水素リッチアンモニア生成リアクター22と、アンモニアの残部と水素リッチガスとの混合ガスを水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給する水素リッチアンモニア供給ライン21と、高圧蒸気により駆動される動力装置40と、動力装置により駆動されて発電を行う発電機50とを備え、クリーンエネルギーによる発電を可能とする。
【選択図】図1
【解決手段】ボイラ本体12と、ボイラ本体に装着されていて燃焼用空気と水素リッチアンモニアとを燃焼させてボイラ本体で高圧蒸気を発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナ18と、尿素水を供給する尿素水供給源60と、ボイラ本体12に隣接して配置されていて尿素水を加水分解してアンモニアを生成するとともにアンモニアの一部を水素と窒素とに転化して水素リッチガスを生成する水素リッチアンモニア生成リアクター22と、アンモニアの残部と水素リッチガスとの混合ガスを水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給する水素リッチアンモニア供給ライン21と、高圧蒸気により駆動される動力装置40と、動力装置により駆動されて発電を行う発電機50とを備え、クリーンエネルギーによる発電を可能とする。
【選択図】図1
Description
この発明は火力発電プラント及び火力発電方法に関し、特に、地球環境に優しい新しいエネルギー資源を利用した発電プラント及び発電方法に関する。
世界的な電力需要の拡大に伴い、電力不足が深刻な問題となっている。加えて、環境問題における二酸化炭素排出量削減の課題、さらには、化石燃料消費の削減と再生可能エネルギーへの転換が大きな課題となっている。その有効な解決策として、低炭素化社会に向けた環境に優しい新しいエネルギー資源としてアンモニア及び水素が注目されている。
特許文献1には、液体アンモニアリサーバから供給された液体アンモニアをディーゼルエンジン、ボイラ及びガスタービン等のエネルギー装置の燃料として供給する装置及び方法が開示され、その中で、液体アンモニアリサーバから供給された液体アンモニアをアンモニア加熱器で加熱し、次いで、燃料油タンクから供給された燃料油と混合してアンモニアと燃料油からなるエマルジョン燃料を生成してボイラやエンジンに供給するようにした燃料供給システムが提案されている。
特許文献2には、水分解ガス発生装置をボイラ本体に設置し、水を分解して得た水素ガスと酸素ガスとをボイラ本体内の水中に吹き込んで気体塊を形成し、その気体塊内に水をスプレーしながら、気体塊内にて火花を連続的に発生させることにより効率的に蒸気を発生させるようにして燃料コスト低減を図った環境に優しいボイラ本体が提案されている。
ところで、特許文献1に開示された燃料供給システムでは、液体アンモニアリサーバに貯蔵した液体アンモニアを燃料の一部として利用している。アンモニア自体は天然ガスと二酸化炭素を原料として生産され、燃焼時には水と窒素のみが排出されるため、地球環境に優しいエネルギー源として、近年、最も注目されている。しかし、液体アンモニアは火災・爆発の危険性が高い上に人体に有毒であり、しかも金属腐食性が高い。そのため、液体アンモニアの使用には関連部品の耐久性の維持が困難であり、燃料供給システムの安全性や信頼性に大きな課題が残っていた。さらに、アンモニアは難燃性で燃焼速度も遅いため、未燃アンモニアが排出されやすい。その解決策として、アンモニアを燃料油と混合して得たエマルジョン燃料を燃焼させるようにしていたため、化石燃料への依存度を下げて地球環境保全に貢献させることができなかった。
特許文献2に開示されたボイラ本体において、水分解ガス発生装置では、攪拌槽に水素化ニッケル(NiH2)が添加された水(H2O)が貯留されていて攪拌羽根によって攪拌される。攪拌槽から取り出した水は加熱手段によって加熱されて高温水となり、連続液体供給型遠心分離機の処理槽に送られ、高速回転モータの回転によって水分子の水素原子と酸素原子の結合を解離させる構造となっている。このボイラ本体は、第1に、極めて高価な水素化ニッケルを大量に消耗し、第2に、高速回転モータの電力消費が大きい、第3に、部品点数が多いため、装置が複雑化すると共に生産コストが上昇する。特に、高価な水素化ニッケルの大量使用により、ボイラ本体のランニングコストが大幅に上昇する。したがって、このようなボイラ本体を広く普及させて温暖化ガス排出抑制に利用することが困難となっていた。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、安全性や信頼性が高く、しかも、地球温暖化対策に有効な次世代カーボンフリー発電プラント及び次世代カーボンフリー発電方法並びに次世代カーボンフリー発電プラント及び次世代カーボンフリー発電方法に利用する尿素水を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、次世代カーボンフリー発電プラントが、ボイラ本体と、前記ボイラ本体に装着されていて燃焼用空気と高温の水素リッチアンモニアとを燃焼させて前記ボイラ本体で高圧蒸気を発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナと、尿素水を供給する尿素水供給源と、前記尿素水を加水分解して高温のアンモニアを生成するとともに前記アンモニアの一部を水素と窒素とに転化して高温の水素リッチガスを生成する水素リッチアンモニア生成リアクターと、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスを前記水素リッチアンモニアとして前記高温の水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給する水素リッチアンモニア供給ラインと、前記高圧蒸気により駆動される動力装置と、前記動力装置により駆動されて発電を行う発電機とを備えることを要旨とする。
請求項2に記載された発明によれば、請求項1記載の構成に加え、前記水素リッチアンモニア生成リアクターが、前記ボイラ本体内に収納されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの一部を熱源として加熱される第1及び第2伝熱部材と、前記第1伝熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記尿素水を加水分解して前記高温のアンモニアを生成する加水分解部と、前記第2伝熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記アンモニアの一部を分解して前記高温の水素リッチガスを生成するアンモニア分解触媒を備えたアンモニア分解部とことを要旨とする。
請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2記載の構成に加え、前記ボイラ本体に装着されていて前記燃焼用空気と炭素質燃料とを燃焼させて前記高圧蒸気を発生させる炭素質燃料燃焼バーナと、前記炭素質燃料燃焼バーナに炭素質燃料を供給する炭素質燃料供給タンクと、前記炭素質燃料燃焼バーナへの前記炭素質燃料の供給流量を制御する流量制御とをさらに備えることを要旨とする。
請求項4に記載された発明によれば、請求項1乃至3記載の構成に加え、前記ボイラ本体と前記尿素水供給ラインとの間に接続されたパージガス供給ラインと、前記パージガス供給ラインに設置されたパージガス供給制御弁とを備え、前記水素リッチアンモニア生成リアクターへの前記尿素水の供給が遮断されたときに前記パージガス供給制御弁が前記高圧蒸気の一部をパージガスとして前記尿素水供給ライン、前記水素リッチアンモニア生成リアクター、前記水素リッチアンモニア供給ライン及び前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに導入して未反応尿素及び残留ガスを排出することを要旨とする。
請求項5に記載された発明によれば、前記水素リッチアンモニア生成リアクターが、ケーシングと、前記ケーシングに形成されていて前記尿素水供給源から供給された前記尿素水を導入する尿素水吸入ポートと、前記尿素水を加水分解して前記アンモニアを生成する加水分解部と、前記加水分解部の後流側に配置されていて前記アンモニアの残部を取り出して前記水素リッチアンモニア供給ラインに供給するアンモニア抽出ポートと、前記アンモニア抽出ポートに隣接して配置されていて前記アンモニアの流量を制限する流量制限部材と、前記流量制限部材を介して前記加水分解部に連通していて前記アンモニアの一部を分解して前記高温の水素リッチガスを生成するアンモニア分解部と、前記アンモニア分解部から延びていて前記水素リッチガスを前記水素リッチアンモニア供給ラインに供給する水素リッチガス抽出ポートとを備えることを要旨とする。
請求項6に記載された発明によれば、請求項5記載の構成に加え、前記加水分解部が、前記ケーシングに形成されていて前記尿素水吸入ポートに連通するアークプラズマ発生室と、前記アークプラズマ発生室に配置されていてアーク電源から予め定められた周期のパルス電圧が供給される一対のアーク電極と、前記一対のアーク電極に接触して前記アークプラズマ発生室に充填された多数の発熱球体と、前記発熱球体の隙間に形成されていて前記尿素水を通過させる多数の乱流発生経路とを備え、前記アンモニア分解部が前記アークプラズマ発生室に隣接して形成されていてアンモニア分解触媒を収納したアンモニア分解室を備え、前記尿素水が前記乱流発生経路を通過しながら前記多数の発熱球体と接触して加熱されることで前記アンモニアに転化されることを要旨とする。
請求項7に記載された発明によれば、次世代カーボンフリー発電方法が、高温の水素リッチアンモニアと燃焼用空気との燃焼により燃焼ガスを発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナをボイラ本体に設置し、前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに水素リッチアンモニア生成リアクターを接続し、前記水素リッチアンモニア生成リアクターに尿素水を供給して高温のアンモニアを発生させ、前記高温のアンモニアの一部をさらに窒素と水素に転化して高温の水素リッチガスを発生させ、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスを前記高温の水素リッチアンモニアとして前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給して得た燃焼ガスの熱エネルギーを利用して前記ボイラ本体で高圧蒸気を発生させ、前記高圧蒸気により動力装置を作動させて発電機により発電させることを要旨とする。
請求項8に記載された発明によれば、請求項1〜6記載の次世代カーボンフリー発電プラント並びに請求項7記載の次世代カーボンフリー発電方法に利用される尿素水であって、前記尿素水が、アルカリ金属の水酸化物,炭酸塩及び珪酸塩からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするアルカリ触媒溶液と、尿素と、水からなり、前記尿素水が前記ボイラ本体の排熱回収エネルギーで予熱されることを要旨とする。
請求項1記載の構成において、次世代カーボンフリー発電プラントでは、水素リッチアンモニア燃焼バーナをボイラ本体に装着し、ボイラ本体に隣接して水素リッチアンモニア生成リアクターを配備して尿素水から高温の水素リッチアンモニアを生成し、この高温の水素リッチアンモニアを燃焼用空気と混合して燃焼させる構成を採用している。高温の水素リッチアンモニアは燃焼用空気と混合して均一混合気となり、ボイラ本体で完全燃焼して高圧蒸気を発生させ、この高圧蒸気により動力装置を介して発電機を駆動するようにしている。アンモニアは難燃性であるため、なかなか燃えにくいが、アンモニアに水素が混合した状態で高温となっているため、アンモニアは完全に気化した状態となり、必然的に燃焼用空気と良く混合し均一混合気が形成される。本発明の次世代カーボンフリー発電プラントでは、プラントの設置領域内において、オンデマンドにて尿素水から高温の水素リッチアンモニアを直接、製造することにより、取り扱い上危険な液体アンモニアの使用を不要としている。尿素水自体は、安全で取り扱いが容易であり、しかも、世界中においてどこでも極めて低コストで調達可能な工業用又は農業用尿素を利用して生成することができる。アンモニア自体は燃焼速度が遅く、着火性が悪いが、高温の水素リッチアンモニアの採用によって、着火性の良いクリーン燃料をオンデマンドで製造することができる。水素リッチアンモニアは単独で使用しても良く、或いは、天然ガス等の低炭素燃料用バーナと併用して使用することもでき、そのため、火力発電において、石炭、重油、灯油等の化石燃料への依存度を大幅に低下させ、温暖化ガス排出の削減に貢献して、低炭素化社会の実現を可能にする。また、クリーン燃料の採用により化石燃料の需要を低下させ、その結果、発電における燃料コスト上昇を大幅に抑制することが可能となり、経済的なメリットも大きい。
請求項2記載の構成では、水素リッチアンモニア生成リアクターが燃焼ガスの熱エネルギーの一部を熱源として加熱される伝熱部材を備え、これら伝熱部材に加水分解部とアンモニア分解部とを収納し、加水分解部とアンモニア分解部との間に流量制限部材を備える。したがって、水素リッチアンモニア生成リアクターの部品点数を大幅に削減して水素リッチアンモニア生成リアクターの小型高性能化と高信頼性を達成することが可能となり、水素リッチアンモニア生成リアクターの低コスト化も可能となる。水素リッチアンモニア生成リアクターの構成部品はステンレス等のアンモニアに対する耐腐食性の材料で構成することができるため、耐久性も向上させることができる。
請求項3記載の発明では、前記ボイラ本体に水素リッチアンモニア燃焼バーナと炭素質燃料燃焼バーナが装着されていて水素リッチアンモニアと炭素質燃料とを燃焼させることができるため、温暖化ガス排出を抑制しながら火力発電における発電コストを著しく低減すろことが可能となり環境対策と経済効果に顕著なメリットを有する。
請求項4記載の構成では、ボイラ水を加熱して蒸気を発生するボイラ本体と水素リッチアンモニア生成リアクターとの間に接続された蒸気抽出管に蒸気供給制御弁を設置している。そのため、水素リッチアンモニア生成リアクターへの尿素水の供給が遮断された際に、ボイラで発生した蒸気をパージガスとして水素リッチアンモニア生成リアクターに導入して水素リッチアンモニア生成リアクターに残留する未反応尿素と残留ガスとを排出させている。そのため、ボイラの運転停止時に、未反応尿素の析出による前記水素リッチアンモニア生成リアクターの閉塞を回避し、腐食性が高く、しかも、可燃性の残留ガスがボイラ内部に残留することによる構成部品の劣化を防止する構造となっている。このため、ボイラの安全性と耐久性を飛躍的に向上させることができる。また、水素リッチアンモニア生成リアクターはボイラの運転停止時に常に清浄な状態に維持されるため、ボイラの起動や運転が円滑に行われ、その分信頼性も向上する。
請求項5記載の構成では、水素リッチアンモニア生成リアクターが、尿素水を加水分解してアンモニアを生成する加水分解部と、流量制限部材を介して加水分解部に連通していてアンモニアの一部を分解して水素リッチガスを生成するアンモニア分解部とを備える。このため、簡単で安全な構造にて水素リッチアンモニアを容易に低コストでオンデマンドで生成することができる。そのため、原油高騰に左右されることなく、極めて低いランニングコストで発電が可能となり、優れた経済効果をもたらすことができる。
請求項6記載の特徴によれば、アーク電源から予め定められた周期のパルス電圧が供給される一対のアーク電極が加水分解部のアークプラズマ発生室に配置され、一対のアーク電極に接触して多数の発熱球体がアークプラズマ発生室に充填され、アークプラズマ発生室に隣接してアンモニア分解触媒を収納したアンモニア分解室が配置されている。そのため、簡単で安全な構造にて水素リッチアンモニアを容易に低コストでオンデマンドで生成することができる。そのため、原油高騰に左右されることなく、極めて低いランニングコストで発電が可能となり、優れた経済効果をもたらすことができる。
請求項7記載の特徴によれば、次世代カーボンフリー発電方法において、ボイラ本体に水素リッチアンモニア燃焼バーナを設置して高温の水素リッチアンモニアと燃焼用空気とを燃焼させるようにし、前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに水素リッチアンモニア生成リアクターを接続して、前記水素リッチアンモニア生成リアクターに尿素水を供給して高温のアンモニアをオンデマンドで発生させ、前記高温のアンモニアの一部をさらに窒素と水素に転化して高温の水素リッチガスを発生させ、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスとにより高温の水素リッチアンモニアを生成している。このため、取り扱いの容易な尿素水から安定して高温の水素リッチアンモニアをボイラ本体内で完全燃焼させることが可能となり、化石燃料への依存度を大幅に抑制することができ、低炭素化社会の実現に貢献すると共に、発電コストを大幅に低下させることができる。
請求項8記載の特徴によれば、アルカリ金属の水酸化物,炭酸塩及び珪酸塩からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするアルカリ触媒溶液を尿素水に添加した水溶液であるため、加水分解部がボイラ本体内で、例えば、800℃以上の高温の燃焼ガスで加熱された際に、アルカリ触媒の存在下で尿素を効率よく加水分解してアンモニア生成効率が増大する。尿素水における尿素の濃度は、ボイラ本体の運転条件によって選択しても良い。即ち、天然ガスとの併用運転時には、35〜75%濃度となるように尿素水を調整してもよい。また、水素リッチアンモニアを単独でボイラ本体に使用する場合は、尿素水における尿素の濃度を50〜95%の範囲で調整しても良い。尿素濃度が50%以下では、水素リッチアンモニアの熱量が小さくなり、ボイラ本体の効率を高めることができない。尿素濃度が95%以上では、尿素水の粘度が著しく上昇し、配管類の目詰まりが激しくなるため、その取り扱いが困難となり、得策ではない。尿素水が、例えば、約800℃に加熱されると、アルカリ触媒の存在下で、▲1▼式のように、熱分解する。熱分解により生成したイソシアン酸(HNCO)は、水蒸気と反応して加水分解し▲2▼式のようにNH3とCO2に転化する。この時、イソシアン酸はH2Oと反応し▲3▼式のようにNH3とCO2に加水分解される。なお、アンモニアの一部はアンモニア分解触媒の存在下で▲4▼式のように3H2とN2に転化され、水素リッチガスとなる。
以下、本発明の実施例による次世代カーボンフリー発電プラントについて説明する。図1において、次世代カーボンフリー発電プラント10は、高温の水素リッチアンモニアと燃焼用空気との均一な混合気を生成して燃焼させて高圧蒸気を生成するボイラ本体12を備える。このボイラ本体12の下部に燃焼装置14が設けられている。この燃焼装置14は、ボイラ本体壁に装着された複数の炭素質燃料燃焼バーナ16と、複数の水素リッチアンモニア燃焼バーナ18を備える。本実施例にて、水素リッチアンモニア燃焼バーナ18の下側に複数の炭素質燃料燃焼バーナ16が装着された構造が示されているが、炭素質燃料燃焼バーナ16と水素リッチアンモニア燃焼バーナ18の配置関係は上下逆であってもよい。炭素質燃料燃焼バーナ16は、流量制御弁FCV1及びポンプP1を介して炭素質燃料供給タンク20に接続される。炭素質燃料供給タンク20に貯蔵される炭素質燃料としては、重油、灯油、LPG又はLNG等の化石燃料か廃食用油等の炭素質燃料が利用される。
また、燃焼装置14は、各燃焼バーナ16,18に燃焼用空気を供給可能な空気供給配管19を有しており、この空気供給配管19は、基端部に熱交換器HEを介して送風機23が装着され、先端部がボイラ本体12の外周側に設けられた風箱25に連結されている。熱交換器HEではボイラ本体12の排熱エネルギーを回収して燃焼用空気を200〜300℃の範囲に昇温して、風箱25に供給する。風箱25に供給された燃焼用空気を各燃焼バーナ16,18に供給する。
ボイラ本体12は、上部に煙道12bが連結されており、この煙道12bに、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための、節炭器24、蒸発器26、一次過熱器28、二次過熱器30、再熱器32等からなる蒸発管類が配置され、ボイラ本体12で発生する燃焼ガスの熱エネルギーとボイラ水との間で熱交換が行われる。煙道12bは、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される後流側伝熱部12cが連結されている。この後流側伝熱部12cには、脱硝装置36と熱交換器HEとが連結される。
給水ポンプP2から供給されたボイラ水Wは、節炭器24によって予熱された後、蒸発器26で飽和蒸気となり、飽和蒸気は過熱器28,30に導入され、燃焼ガスCGによって加熱される。過熱器28,30で生成された過熱蒸気は高圧蒸気ライン38及び流量制御弁FCV3を介して動力装置40の高圧エンジン部40aに供給される。高圧エンジン部40aの膨張蒸気は、蒸気再熱ライン42を介して再熱器32に導入され、再度加熱されて再熱蒸気ライン44を介して動力装置40の低圧エンジン部40bに戻される。低圧エンジン部40bの膨張蒸気ESは覆水器46で凝縮されて温水となり、この温水は給水ポンプP2を介して節炭器24に循環され、以後、同一サイクルが繰り返される。動力装置40には発電機50が連結されて発電を行う。動力装置40としては、例えば、同一発明者の発明による特願2011−290720号(発明の名称:回転式流体機械)に開示された回転式流体機械がロータリー蒸気エンジンとして使用されるが、公知の蒸気タービンを使用しても良い。
水素リッチアンモニア生成リアクター22はボイラ本体12において適切な場所、例えば、煙道12bに設置される。水素リッチアンモニア生成リアクター22は、後述の如く、ボイラ本体12で発生した燃焼ガスCGの熱エネルギーの一部を熱源として加熱され、尿素水を加水分解して高温のアンモニアを生成するとともにアンモニアの一部を水素と窒素とに転化して高温の水素リッチガスを発生させ、アンモニアと水素リッチガスからなる高温の水素リッチアンモニアを生成する。水素リッチアンモニア燃焼バーナ18は、水素リッチアンモニア供給ライン21及び流量制御弁FCV2を介して水素リッチアンモニア生成リアクター22に接続される。
水素リッチアンモニア生成リアクター22は、ボイラ本体12において一次過熱器28と再熱器32との間の領域に設置される。この領域はボイラ本体12を構成する火炉12aの出口付近であって、火炉12aの中央部の燃焼温度が約1200〜1400℃であるのに対して、出口付近の燃焼温度が約800℃であるため、アンモニアの生成領域として選択される。しかしながら、水素リッチアンモニア生成リアクター22の設置領域はこの領域に限定されず、尿素水に添加される加水分解触媒等の成分に応じて、アンモニアの生成領域を自由に定めても良い。
空気供給配管19は、熱交換器HEで排ガスの排熱エネルギーを回収して燃焼用空気を200〜300℃に加熱する。熱交換器HEにはブロワー23から加圧した空気が燃焼用空気として供給される。
排ガス配管49は、熱交換器HEより上流側に位置して、選択還元型触媒を収納した脱硝装置36が設けられていて水素リッチアンモニア生成リアクター22で生成されたアンモニアの一部が還元用アンモニア供給ライン21a及び流量制御弁FCV4を介して供給される。
水素リッチアンモニア生成リアクター22は、加水分解部52と、アンモニア分解部54と、加水分解部52及びアンモニア分解部54との間に配置されていて加水分解部52の一部をアンモニア分解部54に通過させるためのオリフィス(図示せず)等からなる流量制限部材55とを備え、加水分解部52及びアンモニア分解部54は煙道12b内に配置されて燃焼ガスCGの熱エネルギーの一部を熱源として加熱される。加水分解部52及びアンモニア分解部54は、それぞれ、燃焼ガスCGを通過させるための間隔SPを有するコイル状のステンレスチューブST1,ST2からなり、これらステンレスチューブST1,ST2は伝熱部材として機能する。
図2Aに示すように、加水分解部52は尿素水噴射ノズル56に接続されたインレット52aと、アウトレット52bとを有する。アウトレット52bは、流量制限部材55を介してアンモニア分解部54に接続されるとともに、還元用アンモニア供給ライン21a及び流量制御弁FCV4を介して脱硝装置36に接続されている。尿素水噴射ノズル56は、加水分解部52のインレット52aに対して噴霧状の尿素水を噴射するもので、逆止弁CV1、ポンプP3及び流量制御弁FCV5を含む尿素水供給ライン59を介して尿素水供給タンク60に接続されている。尿素水供給タンク60には、アンモニアの原料として、例えば、尿素水Usが貯蔵される。尿素水には、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、Na2SiO3及びK2SiO3からなる群から選ばれる1種以上を主成分とする、アルカリ金属の水酸化物,炭酸塩及び珪酸塩からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするアルカリ触媒溶液が添加される。尿素水供給タンク60には熱交換器61が予熱器として配置されていて、覆水器46で得られた温水と熱交換することにより、尿素水供給タンク60の尿素水を、例えば、約57℃以上の温度に予熱している。
図2Aに示されるように、加水分解部52はステンレスチューブST1に充填されていて複数の乱流発生通路62を形成する、2〜6mmの直径のアルミナ等のセラミックボール又はステンレスボール等からなる複数の固形状伝熱体64を備える。尿素水噴射ノズル56から噴霧状に加水分解部52の内部に噴射された尿素水Usは複数の固形状伝熱体64に衝突して気化され、気化したガスは複数の乱流発生通路62で生じた乱流により、混合攪拌されながら通過して、複数の固形状伝熱体64の伝熱面に衝突する。その過程において、尿素水は前述の加水分解触媒の存在下で加水分解されてアンモニアAmが生成される。
加水分解部52で生成した高温のアンモニアAmの一部はアウトレット52bから吐出した後、流量制限部材55によってその流量が制限されながらアンモニア分解部54に供給される。図2Bに示されるように、アンモニア分解部54は、流量制限部材55に連結されたインレット54aと、水素リッチアンモニア供給ライン21に連結されたアウトレット54bとを有する。伝熱部材としてのステンレスチューブST2にはペレット状のアンモニア分解触媒66が充填される。アンモニア分解触媒66としては、これに限定されるものではないが、例えば、イタリア国SAES GETTERS社製アンモニア分解触媒ST909(ZrMnFe合金)、日揮触媒化成製のニッケル触媒N134,N135及びN135Lが使用される。アンモニア分解部54のインレット54aに流入したアンモニアAmの一部はアンモニア分解触媒ペレット66に対して衝突を繰り返しながら分解して窒素と水素から成る高温の水素リッチガスHRGが生成される。高温の水素リッチガスHRGは水素リッチガスアウトレット54bから取り出され、加水分解部52から供給された高温のアンモニアの残部と混合されて高温の水素リッチアンモニアHRAが形成される。高温の水素リッチアンモニアは加温された燃焼用空気と混合して均一な混合気が形成され、完全燃焼されるため、外部に未燃アンモニアが排出されることが無い。
図1に戻って、第2過熱器30には過熱蒸気供給ライン37を介してパージガス供給ライン80が接続され、パージガス供給ライン80にパージガス供給制御弁FCV6が設けられる。パージガス供給ライン80は尿素水供給ライン59を介して水素リッチアンモニア生成リアクター22に接続される。発電プラント10の運転停止時に、水素リッチアンモニア生成リアクター22への尿素水の供給が遮断されると、パージガス供給制御弁FCV6が開弁してパージガス供給ライン80から過熱蒸気がパージガスとして尿素水供給ライン59及び水素リッチアンモニア生成リアクター22に導入される。この結果、尿素水供給ライン59及び水素リッチアンモニア生成リアクター22に残留する未反応尿素と残留ガスが水素リッチアンモニア供給ライン21を経由して水素リッチアンモニア燃焼バーナ18から火炉12a内に排出される。このとき、ポンプP1を起動して流量制御弁FCV1を開弁して炭素質燃料Bfを炭素質燃料燃焼バーナ16に燃焼用空気と共に供給して燃焼させ、同時に、パージガスを火炉12a内において燃焼させても良い。
水素リッチアンモニア生成リアクター22の近辺温度を検出するための温度センサ90が煙道12bに設置され、火炉12aの上部温度を検出するための温度センサ91が設置される。過熱蒸気供給ライン37には過熱蒸気の圧力を検出するための圧力センサ93が設置され、後流側伝熱部12cの排ガス配管49にはNOxセンサ94が設置される。動力装置40の出力軸には、その回転数を検出する回転数検出センサ95が設置される。回転数検出センサ95からのセンサ信号に応じて動力装置40に供給される蒸気の圧力が制御され、発電機50の出力周波数が所定周波数(例えば、50Hz又は60Hz)となるように制御される。これらセンサからの検出信号がパラメータ信号としてコントローラ96に送られる。入力装置98からは、発電プラント10の始動・停止時間、尿素水供給用のポンプ起動・停止時間、バーナ16に供給される炭素質燃料の流量制御弁FCV1、アンモニアの流量制御弁FCV2の供給開始・停止時間、パージガス供給制御弁FCV6の供給開始・停止時間等の各種設定信号がコントローラ96に入力される。コントローラ96は、動力装置40の出力軸の回転数を記憶したメモリ、各種制御パラメータを記憶したメモリ及び各種制御プログラムを備えていて、各センサから供給されたパラメータ信号と入力装置98から入力された設定信号に応じて次世代カーボンフリー発電プラント10の運転を制御する。
以上の構成の次世代カーボンフリー発電プラント10において、起動時にコントローラ96からの始動信号が出力されると、炭素質燃料供給ポンプP1とブロワー23及びボイラ水供給ポンプPP2が起動され、同時に、着火装置(図示せず)が導通される。すると、炭素質燃料燃焼バーナ16によって炭素質燃料と燃焼用空気との混合気が着火され、火炉12a内には火炎による燃焼ガスCGが発生する。この燃焼ガスCGは火炉12aの上方に移動した後、煙道12b及び後流側伝熱部12cを通過しながら第2過熱器30、再熱器32、水素リッチアンモニア生成リアクター22、第1過熱器28、蒸発器26及び節炭器24を加熱する。加熱した後の排ガスは排ガスライン49を通過して脱硝装置36及び熱交換器HEを経由して大気に排出される。
温度センサ90からの温度信号が水素リッチアンモニア生成リアクター22の作動可能温度、例えば、800℃に相当する温度に達した後、所定時間、例えば、30秒経過した時に、コントローラ96から水素リッチアンモニア生成リアクター22の作動開始のための指令信号が出力される。これら指令信号に応答して、ポンプP3が起動され、尿素水供給タンク61から尿素水が逆止弁60を経て供給され、噴射ノズル56から加水分解部52のインレット52aの上流側端部に噴霧状に噴射される。図2Aより明らかなように、噴霧状の尿素水はコイル状ステンレスチューブST1内部において複数の伝熱体64と衝突・加熱されてガスとなり、このガスは乱流発生通路62を通過しながら乱流を発生し、順次、複数の伝熱体64と衝突・加熱を繰り返しながら下流側に進行して加水分解されてアンモニアAmとなる。アンモニアの一部は流量制限部材55によって流量が制限されながらアンモニア分解部54に導入される。
図2Bにおいて、アンモニア分解部54に導入されたアンモニアの一部はコイル状ステンレスチューブST2の内部に充填されたアンモニア分解ペレット66に接触して分解され、窒素と水素に転化されて窒素リッチガスHRGとなる。窒素リッチガスHRGはアウトレット54bから流出してアンモニアAmと混合されて水素リッチアンモニアHRAとなる。この水素リッチアンモニアHRAは水素リッチアンモニア供給ライン21を経由して水素リッチアンモニア燃焼バーナ18に供給される。
このように、次世代カーボンフリー発電プラント10の起動時には、コントローラ96からの起動指令信号に応答して、運転初期には炭素質燃料燃焼バーナ16が作動し、次いで、水素立地アンモニア生成待機モードが経過した時点で、水素リッチアンモニア生成リアクター22から供給された水素リッチアンモニアと燃焼用空気が水素リッチアンモニア燃焼バーナ18で燃焼する。
水素リッチアンモニアの燃焼による燃焼ガスCGによってボイラ本体12が加熱され、第2過熱器30の過熱蒸気が所定圧力に達すると、圧力センサ93からの圧力信号に応答してコントローラ96から動力部作動開始指令信号が出力される。この動力部作動開始指令信号に応答して、流量制御弁FCV3が開弁され、高圧の過熱蒸気(以下、「高圧蒸気」と称する)が動力装置40の高圧エンジン部40aに供給され、高圧エンジン部40aが作動する。高圧エンジン部40aの膨張蒸気は膨張蒸気供給ライン42を介して再熱器32に供給され、再熱器32で膨張蒸気が昇圧されて低圧蒸気となり、この低圧蒸気は低圧エンジン部40bで膨張する。このように、動力装置40は水素リッチアンモニアを新しいエネルギー源としてボイラ本体12で発生した高圧蒸気及び低圧蒸気に応答して動力を発生し、発電機50を駆動して発電させる。
次世代カーボンフリー発電プラント10の運転中において、排ガスのNOx値が所定置を超えたときは、NOxセンサ94から出力された検出信号に応答して、コントローラ96からNOx還元指令信号が出力される。NOx還元指令信号に応答して、アンモニア開閉弁FCV4が開弁する。このとき、アンモニアAmの一部が還元用アンモニア供給ライン21aを介して脱硝装置36に供給されて排ガス中に噴射され、内蔵された脱硝触媒上でアンモニアがNOxを還元して無害化する。
次世代カーボンフリー発電プラント10の停止時には、コントローラ96からボイラ停止信号が出力される。ボイラ停止信号が出力されると、炭素質燃料供給ポンプP1が停止される。このとき、コントローラ96からパージ指令信号が出力され、パージガス供給制御弁FCV6が開弁する。この時、パージガス供給ライン80を介して過熱蒸気がパージガスとしてパージガス供給ライン59と水素リッチアンモニア生成リアクター22内に導入され、未反応尿素及びアンモニア並びに水素リッチガス等の残留ガスがパージされ、パージガスは水素リッチアンモニア燃焼バーナ18から火炉12aに排出される。このとき、炭素質燃料タンク20から炭素質燃料が流量制御弁FCV1を介して炭素質燃料燃焼バーナ16に供給され、カロ12a内においてパージガスと共に燃焼される。
次に、本発明の第2実施例による次世代カーボンフリー発電プラント10Aについて図3及び図4を参照しながら説明する。第2実施例による次世代カーボンフリー発電プラント10Aについて、第1実施例と同一若しくは類似の構成部品については同一符号を用いる。
第2実施例の次世代カーボンフリー発電プラント10Aは、一次過熱器が複数の過熱器28A、28B,28Cからなり、さらに、水素リッチアンモニア生成リアクター22Aが電気式水素リッチアンモニア生成リアクターからなる点において、第1実施例の次世代カーボンフリー発電プラント10とは異なる。従って、この差異に焦点を当てて、第2実施例による次世代カーボンフリー発電プラント10Aについて以下、説明する。
図5、図6において、水素リッチアンモニア生成リアクター22Aは、円筒型ケーシング100と、尿素水噴射ノズル56から噴射された噴霧状の尿素水を導入する尿素水吸入ポート102と、尿素水を加水分解してアンモニアを生成する円弧状加水分解部104と、円弧状加水分解部104で生成したアンモニアの一部を分解して水素と窒素からなる水素リッチガスを生成するアンモニア分解部106と、アンモニアの残部を取り出して水素リッチアンモニア供給ライン21に供給するアンモニア抽出ポート108と、加水分解部104の後流側においてアンモニア抽出ポートに隣接して配置された複数のオリフィスからなっていてアンモニア分解部106に流入するアンモニアの流量を制限する流量制限部材110と、アンモニア分解部106から水素リッチガスHRGを水素リッチアンモニア供給ライン21に供給する水素リッチガス抽出ポート112と、加水分解部104から外部に抽出するアンモニアの流量を制限する流量制限部材112とを備える。
加水分解部104は、ケーシング100の内側とケーシング100の中央内周部114の径方向外側に形成された絶縁耐熱層116と、絶縁耐熱層116の内側に形成されたアークプラズマ発生室118を備える。尿素水吸入ポート102は径方向壁部120に延びていて、径方向壁部120に周方向に延びる複数の開口部122を備える。アークプラズマ発生室118のコーナー部118a、118bには一対のアーク電極124,126がそれぞれ配置される。一対のアーク電極124,126はプラズマアーク電源130に接続される。プラズマアーク電源130には発電機50で発生した出力電力の一部が供給される。プラズマアーク電源130は、例えば、日本国特許第2582956号に開示されたような回路構成やその他の公知の回路が用いられる。プラズマアーク電源130は、コントローラ96から出力されたパルス周期指令(タイミング)信号に応じて予め定められた周期のパルス電圧を生成して一対のアーク電極124,126に供給する。パルス電圧の周期はプラズマアーク室118の温度が、尿素水の分解温度に適した温度、例えば、750℃〜850℃の範囲になるように制御される。そのため、ケーシング100には温度センサ132が装着され、温度信号Tがコントローラ96に供給され、パルス電圧の周期の制御用に利用される。アークプラズマ発生室118には、一対のアーク電極124,126と接触するように多数の発熱球体134が充填され、これら発熱球体134の隙間には尿素水を通過させるための多数の乱流発生経路136が形成される。発熱球体134としては、直径2.5mm〜50mmのタングステンボール、或いは、カーボンボールが使用される。アンモニア分解部106には、アークプラズマ発生室118に隣接して形成された円弧状反応室138と、円弧状反応室138に充填されたアンモニア分解触66を備える。アンモニア分解触媒66としては、前述の第1実施例で使用されたものと同一のアンモニア分解触媒ペレットが用いられる。流量制限部材110を介してアンモニア分解部106にアンモニアの一部が導入されると、アンモニアがアンモニア分解触媒66に接触して水素と窒素とに転化されて水素リッチガスHRGとなる。水素リッチガス抽出ポート140の上流側にはフイルタ142が配置されている。
図3及び図4に示された第2実施例において、プラズマアーク電源130から所定周期のパルス電圧が水素リッチアンモニア生成リアクター22Aに供給されると、多数の発熱球体134との間でプラズマアークが発生する。この時、尿素水が多数の発熱球体134と接触して瞬時に尿素水の蒸気が生成され、プラズマアークの存在下でアンモニアが生成される。アンモニアの一部は流量制限部材110によって流量が制限されながら、アンモニア分解部106に流入する。アンモニアはアンモニア分解触媒66に接触して水素と窒素とに転化されて水素リッチガスHRGとなる。窒素リッチガスHRGはアンモニアAmと混合されて水素リッチアンモニアHRAとなる。この水素リッチアンモニアHRAは水素リッチアンモニア供給ライン21を経由して水素リッチアンモニア燃焼バーナ18に供給される。
上述の第1及び第2実施例において、ボイラ本体は炭素質燃料燃焼バーナと水素リッチアンモニア燃焼バーナとを併設したものとして記載されたが、炭素質燃料燃焼バーナをパイロット燃焼バーナとして利用して発電プラントの始動時にのみ運転し、始動完了後は、水素リッチアンモニア燃焼バーナのみで発電プラントを運転させても良い。また、発電プラントの全運転期間中において、炭素質燃料燃焼バーナと水素リッチアンモニア燃焼バーナとを併用しても良い。
12 ボイラ本体;14 燃焼装置;16 炭素質燃料燃焼バーナ;18 水素リッチアンモニア燃焼バーナ;20 炭素質燃料タンク;22,22A 水素リッチアンモニア生成リアクター;24 節炭器;26 蒸発器;28 一次過熱器;30 二次過熱器;32 再熱器;36 脱硝装置;40 動力装置;50 発電機;60 尿素水供給タンク;66 アンモニア分解触媒;96 コントローラ;98 入力装置;100 ケーシング;110 流量制限部材;118 アークプラズマ発生室;124,126 アーク電極;130 プラズマアーク電源;134 発熱球体
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、次世代カーボンフリー発電プラントが、ボイラ本体と、前記ボイラ本体に装着されていて燃焼用空気と高温の水素リッチアンモニアとを燃焼させて前記ボイラ本体で高圧蒸気を発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナと、尿素水を供給する尿素水供給源と、前記ボイラ本体に隣接して配置されていて前記尿素水を加水分解して高温のアンモニアを生成するとともに前記アンモニアの一部を水素と窒素とに転化して高温の水素リッチガスを生成する水素リッチアンモニア生成リアクターと、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスを前記水素リッチアンモニアとして前記高温の水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給する水素リッチアンモニア供給ラインと、前記高圧蒸気により駆動される動力装置と、前記動力装置により駆動されて発電を行う発電機とを備え、前記水素リッチアンモニア生成リアクターが、前記ボイラ本体内に収納されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの一部を熱源として加熱される第1及び第2伝熱部材と、前記第1伝熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記尿素水を加水分解して前記高温のアンモニアを生成する加水分解部と、前記第2伝熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記アンモニアの一部を分解して前記高温の水素リッチガスを生成するアンモニア分解触媒を備えたアンモニア分解部とを備えることを要旨とする。
請求項2に記載された発明によれば、請求項1記載の構成に加え、前記ボイラ本体に装着されていて前記燃焼用空気と炭素質燃料とを燃焼させて前記高圧蒸気を発生させる炭素質燃料燃焼バーナと、前記炭素質燃料燃焼バーナに炭素質燃料を供給する炭素質燃料供給タンクと、前記炭素質燃料燃焼バーナへの前記炭素質燃料の供給流量を制御する流量制御とをさらに備えることを要旨とする。
請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2記載の構成に加え、前記ボイラ本体と前記尿素水供給ラインとの間に接続されたパージガス供給ラインと、前記パージガス供給ラインに設置されたパージガス供給制御弁とを備え、前記水素リッチアンモニア生成リアクターへの前記尿素水の供給が遮断されたときに前記パージガス供給制御弁が前記高圧蒸気の一部をパージガスとして前記尿素水供給ライン、前記水素リッチアンモニア生成リアクター、前記水素リッチアンモニア供給ライン及び前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに導入して未反応尿素及び残留ガスを排出することを要旨とする。
請求項4に記載された発明によれば、請求項1記載の構成に加え、前記水素リッチアンモニア生成リアクターが、ケーシングと、前記ケーシングに形成されていて前記尿素水供給源から供給された前記尿素水を導入する尿素水吸入ポートと、前記尿素水を加水分解して前記アンモニアを生成する加水分解部と、前記加水分解部の後流側に配置されていて前記アンモニアの残部を取り出して前記水素リッチアンモニア供給ラインに供給するアンモニア抽出ポートと、前記アンモニア抽出ポートに隣接して配置されていて前記アンモニアの流量を制限する流量制限部材と、前記流量制限部材を介して前記加水分解部に連通していて前記アンモニアの一部を分解して前記高温の水素リッチガスを生成するアンモニア分解部と、前記アンモニア分解部から延びていて前記水素リッチガスを前記水素リッチアンモニア供給ラインに供給する水素リッチガス抽出ポートとを備えることを要旨とする。
請求項5に記載された発明によれば、次世代カーボンフリー発電プラントが、ボイラ本体と、前記ボイラ本体に装着されていて燃焼用空気と高温の水素リッチアンモニアとを燃焼させて前記ボイラ本体で高圧蒸気を発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナと、尿素水を供給する尿素水供給源と、前記ボイラ本体に隣接して配置されていて前記尿素水を加水分解して高温のアンモニアを生成するとともに前記アンモニアの一部を水素と窒素とに転化して高温の水素リッチガスを生成する水素リッチアンモニア生成リアクターと、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスを前記水素リッチアンモニアとして前記高温の水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給する水素リッチアンモニア供給ラインと、前記高圧蒸気により駆動される動力装置と、前記動力装置により駆動されて発電を行う発電機とを備え、前記水素リッチアンモニア生成リアクターが、前記ケーシングに形成されていて前記尿素水吸入ポートに連通するアークプラズマ発生室と、前記アークプラズマ発生室に配置されていてアーク電源から予め定められた周期のパルス電圧が供給される一対のアーク電極と、前記一対のアーク電極に接触して前記アークプラズマ発生室に充填された多数の発熱球体と、前記発熱球体の隙間に形成されていて前記尿素水を通過させる多数の乱流発生経路とを備え、前記アンモニア分解部が前記アークプラズマ発生室に隣接して形成されていてアンモニア分解触媒を収納したアンモニア分解室を備え、前記尿素水が前記乱流発生経路を通過しながら前記多数の発熱球体と接触して加熱されることで前記アンモニアに転化されることを要旨とする。
請求項6に記載された発明によれば、次世代カーボンフリー発電方法が、高温の水素リッチアンモニアと燃焼用空気との燃焼により燃焼ガスを発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナをボイラ本体に設置し、前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに水素リッチアンモニア生成リアクターを接続し、前記水素リッチアンモニア生成リアクターに前記燃焼ガスの熱エネルギーの一部を熱源として加熱される第1及び第2伝熱部材と、前記第1伝 熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記尿素水を加水分解して前記高温のアンモニアを生成する加水分解部と、前記第2伝熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記アンモニアの一部を分解して前記高温の水素リッチガスを生成するアンモニア分解触媒を備えたアンモニア分解部とを設け、前記水素リッチアンモニア生成リアクターの前記第1伝熱部材に尿素水を供給して高温のアンモニアを発生させ、前記高温のアンモニアの一部をさらに前記第2伝熱部材で窒素と水素に転化して高温の水素リッチガスを発生させ、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスを前記高温の水素リッチアンモニアとして前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給して得た燃焼ガスの熱エネルギーを利用して前記ボイラ本体で高圧蒸気を発生させ、前記高圧蒸気により動力装置を作動させて発電機により発電させることを要旨とする。
請求項7に記載された発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の次世代カーボンフリー発電プラント並びに請求項6記載の次世代カーボンフリー発電方法に利用される尿素水であって、前記尿素水が、アルカリ金属の水酸化物,炭酸塩及び珪酸塩からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするアルカリ触媒溶液と、尿素と、水からなり、前記尿素水が前記ボイラ本体の排熱回収エネルギーで予熱されることを要旨とする。
請求項1記載の構成において、次世代カーボンフリー発電プラントでは、水素リッチアンモニア燃焼バーナをボイラ本体に装着し、ボイラ本体に隣接して水素リッチアンモニア生成リアクターを配備して尿素水から高温の水素リッチアンモニアを生成し、この高温の水素リッチアンモニアを燃焼用空気と混合して燃焼させる構成を採用している。高温の水素リッチアンモニアは燃焼用空気と混合して均一混合気となり、ボイラ本体で完全燃焼して高圧蒸気を発生させ、この高圧蒸気により動力装置を介して発電機を駆動するようにしている。アンモニアは難燃性であるため、なかなか燃えにくいが、アンモニアに水素が混合した状態で高温となっているため、アンモニアは完全に気化した状態となり、必然的に燃焼用空気と良く混合し均一混合気が形成される。水素リッチアンモニア生成リアクターが燃焼ガスの熱エネルギーの一部を熱源として加熱される伝熱部材を備え、これら伝熱部材に加水分解部とアンモニア分解部とを収納し、加水分解部とアンモニア分解部との間に流量制限部材を備える。したがって、水素リッチアンモニア生成リアクターの部品点数を大幅に削減して水素リッチアンモニア生成リアクターの小型高性能化と高信頼性を達成することが可能となり、水素リッチアンモニア生成リアクターの低コスト化も可能となる。水素リッチアンモニア生成リアクターの構成部品はステンレス等のアンモニアに対する耐腐食性の材料で構成することができるため、耐久性も向上させることができる。本発明の次世代カーボンフリー発電プラントでは、プラントの設置領域内において、オンデマンドにて尿素水から高温の水素リッチアンモニアを直接、製造することにより、取り扱い上危険な液体アンモニアの使用を不要としている。尿素水自体は、安全で取り扱いが容易であり、しかも、世界中においてどこでも極めて低コストで調達可能な工業用又は農業用尿素を利用して生成することができる。アンモニア自体は燃焼速度が遅く、着火性が悪いが、高温の水素リッチアンモニアの採用によって、着火性の良いクリーン燃料をオンデマンドで製造することができる。水素リッチアンモニアは単独で使用しても良く、或いは、天然ガス等の低炭素燃料用バーナと併用して使用することもでき、そのため、火力発電において、石炭、重油、灯油等の化石燃料への依存度を大幅に低下させ、温暖化ガス排出の削減に貢献して、低炭素化社会の実現を可能にする。また、クリーン燃料の採用により化石燃料の需要を低下させ、その結果、発電における燃料コスト上昇を大幅に抑制することが可能となり、経済的なメリットも大きい。
請求項2記載の発明では、前記ボイラ本体に水素リッチアンモニア燃焼バーナと炭素質燃料燃焼バーナが装着されていて水素リッチアンモニアと炭素質燃料とを燃焼させることができるため、温暖化ガス排出を抑制しながら火力発電における発電コストを著しく低減すろことが可能となり環境対策と経済効果に顕著なメリットを有する。
請求項3記載の構成では、ボイラ水を加熱して蒸気を発生するボイラ本体と水素リッチアンモニア生成リアクターとの間に接続された蒸気抽出管に蒸気供給制御弁を設置している。そのため、水素リッチアンモニア生成リアクターへの尿素水の供給が遮断された際に、ボイラで発生した蒸気をパージガスとして水素リッチアンモニア生成リアクターに導入して水素リッチアンモニア生成リアクターに残留する未反応尿素と残留ガスとを排出させている。そのため、ボイラの運転停止時に、未反応尿素の析出による前記水素リッチアンモニア生成リアクターの閉塞を回避し、腐食性が高く、しかも、可燃性の残留ガスがボイラ内部に残留することによる構成部品の劣化を防止する構造となっている。このため、ボイラの安全性と耐久性を飛躍的に向上させることができる。また、水素リッチアンモニア生成リアクターはボイラの運転停止時に常に清浄な状態に維持されるため、ボイラの起動や運転が円滑に行われ、その分信頼性も向上する。
請求項4記載の構成では、水素リッチアンモニア生成リアクターが、尿素水を加水分解してアンモニアを生成する加水分解部と、流量制限部材を介して加水分解部に連通していてアンモニアの一部を分解して水素リッチガスを生成するアンモニア分解部とを備える。このため、簡単で安全な構造にて水素リッチアンモニアを容易に低コストでオンデマンドで生成することができる。そのため、原油高騰に左右されることなく、極めて低いランニングコストで発電が可能となり、優れた経済効果をもたらすことができる。
請求項5記載の特徴によれば、アーク電源から予め定められた周期のパルス電圧が供給される一対のアーク電極が加水分解部のアークプラズマ発生室に配置され、一対のアーク電極に接触して多数の発熱球体がアークプラズマ発生室に充填され、アークプラズマ発生室に隣接してアンモニア分解触媒を収納したアンモニア分解室が配置されている。そのため、簡単で安全な構造にて水素リッチアンモニアを容易に低コストでオンデマンドで生成することができる。そのため、原油高騰に左右されることなく、極めて低いランニングコストで発電が可能となり、優れた経済効果をもたらすことができる。
請求項6記載の特徴によれば、次世代カーボンフリー発電方法において、ボイラ本体に水素リッチアンモニア燃焼バーナを設置して高温の水素リッチアンモニアと燃焼用空気とを燃焼させるようにし、前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに水素リッチアンモニア生成リアクターを接続して、前記水素リッチアンモニア生成リアクターに尿素水を供給して高温のアンモニアをオンデマンドで発生させ、前記高温のアンモニアの一部をさらに窒素と水素に転化して高温の水素リッチガスを発生させ、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスとにより高温の水素リッチアンモニアを生成している。このため、取り扱いの容易な尿素水から安定して高温の水素リッチアンモニアをボイラ本体内で完全燃焼させることが可能となり、化石燃料への依存度を大幅に抑制することができ、低炭素化社会の実現に貢献すると共に、発電コストを大幅に低下させることができる。
請求項7記載の特徴によれば、アルカリ金属の水酸化物,炭酸塩及び珪酸塩からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするアルカリ触媒溶液を尿素水に添加した水溶液であるため、加水分解部がボイラ本体内で、例えば、800℃以上の高温の燃焼ガスで加熱された際に、アルカリ触媒の存在下で尿素を効率よく加水分解してアンモニア生成効率が増大する。尿素水における尿素の濃度は、ボイラ本体の運転条件によって選択しても良い。即ち、天然ガスとの併用運転時には、35〜75%濃度となるように尿素水を調整してもよい。また、水素リッチアンモニアを単独でボイラ本体に使用する場合は、尿素水における尿素の濃度を50〜95%の範囲で調整しても良い。尿素濃度が50%以下では、水素リッチアンモニアの熱量が小さくなり、ボイラ本体の効率を高めることができない。尿素濃度が95%以上では、尿素水の粘度が著しく上昇し、配管類の目詰まりが激しくなるため、その取り扱いが困難となり、得策ではない。尿素水が、例えば、約800℃に加熱されると、アルカリ触媒の存在下で、▲1▼式のように、熱分解する。熱分解により生成したイソシアン酸(HNCO)は、水蒸気と反応して加水分解し▲2▼式のようにNH3とCO2に転化する。この時、イソシアン酸はH2Oと反応し▲3▼式のようにNH3とCO2に加水分解される。なお、アンモニアの一部はアンモニア分解触媒の存在下で▲4▼式のように3H2とN2に転化され、水素リッチガスとなる。
Claims (8)
- ボイラ本体と、前記ボイラ本体に装着されていて燃焼用空気と高温の水素リッチアンモニアとを燃焼させて前記ボイラ本体で高圧蒸気を発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナと、尿素水を供給する尿素水供給源と、前記ボイラ本体に隣接して配置されていて前記尿素水を加水分解して高温のアンモニアを生成するとともに前記アンモニアの一部を水素と窒素とに転化して高温の水素リッチガスを生成する水素リッチアンモニア生成リアクターと、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスを前記水素リッチアンモニアとして前記高温の水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給する水素リッチアンモニア供給ラインと、前記高圧蒸気により駆動される動力装置と、前記動力装置により駆動されて発電を行う発電機とを備えることを特徴とする次世代カーボンフリー発電プラント。
- 前記水素リッチアンモニア生成リアクターが、前記ボイラ本体内に収納されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの一部を熱源として加熱される第1及び第2伝熱部材と、前記第1伝熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記尿素水を加水分解して前記高温のアンモニアを生成する加水分解部と、前記第2伝熱部材に配置されていて前記燃焼ガスの熱エネルギーの存在下で前記アンモニアの一部を分解して前記高温の水素リッチガスを生成するアンモニア分解触媒を備えたアンモニア分解部とを備えることを特徴とする請求項1記載の次世代カーボンフリー発電プラント。
- 前記ボイラ本体に装着されていて前記燃焼用空気と炭素質燃料とを燃焼させて前記高圧蒸気を発生させる炭素質燃料燃焼バーナと、前記炭素質燃料燃焼バーナに炭素質燃料を供給する炭素質燃料供給タンクと、前記炭素質燃料燃焼バーナへの前記炭素質燃料の供給流量を制御する流量制御とをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の次世代カーボンフリー発電プラント。
- 前記ボイラ本体と前記尿素水供給ラインとの間に接続されたパージガス供給ラインと、前記パージガス供給ラインに設置されたパージガス供給制御弁とを備え、前記水素リッチアンモニア生成リアクターへの前記尿素水の供給が遮断されたときに前記パージガス供給制御弁が前記高圧蒸気の一部をパージガスとして前記尿素水供給ライン、前記水素リッチアンモニア生成リアクター、前記水素リッチアンモニア供給ライン及び前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに導入して未反応尿素及び残留ガスを排出することを特徴とする請求項1乃至3記載の次世代カーボンフリー発電プラント。
- 前記水素リッチアンモニア生成リアクターが、ケーシングと、前記ケーシングに形成されていて前記尿素水供給源から供給された前記尿素水を導入する尿素水吸入ポートと、前記尿素水を加水分解して前記アンモニアを生成する加水分解部と、前記加水分解部の後流側に配置されていて前記アンモニアの残部を取り出して前記水素リッチアンモニア供給ラインに供給するアンモニア抽出ポートと、前記アンモニア抽出ポートに隣接して配置されていて前記アンモニアの流量を制限する流量制限部材と、前記流量制限部材を介して前記加水分解部に連通していて前記アンモニアの一部を分解して前記高温の水素リッチガスを生成するアンモニア分解部と、前記アンモニア分解部から延びていて前記水素リッチガスを前記水素リッチアンモニア供給ラインに供給する水素リッチガス抽出ポートとを備えることを特徴とする請求項1記載の次世代カーボンフリー発電プラント。
- 前記加水分解部が、前記ケーシングに形成されていて前記尿素水吸入ポートに連通するアークプラズマ発生室と、前記アークプラズマ発生室に配置されていてアーク電源から予め定められた周期のパルス電圧が供給される一対のアーク電極と、前記一対のアーク電極に接触して前記アークプラズマ発生室に充填された多数の発熱球体と、前記発熱球体の隙間に形成されていて前記尿素水を通過させる多数の乱流発生経路とを備え、前記アンモニア分解部が前記アークプラズマ発生室に隣接して形成されていてアンモニア分解触媒を収納したアンモニア分解室を備え、前記尿素水が前記乱流発生経路を通過しながら前記多数の発熱球体と接触して加熱されることで前記アンモニアに転化されることを特徴とする請求項5記載の次世代カーボンフリー発電プラント。
- 高温の水素リッチアンモニアと燃焼用空気との燃焼により燃焼ガスを発生させる水素リッチアンモニア燃焼バーナをボイラ本体に設置し、前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに水素リッチアンモニア生成リアクターを接続し、前記水素リッチアンモニア生成リアクターに尿素水を供給して高温のアンモニアを発生させ、前記高温のアンモニアの一部をさらに窒素と水素に転化して高温の水素リッチガスを発生させ、前記高温のアンモニアの残部と前記高温の水素リッチガスとの混合ガスを前記高温の水素リッチアンモニアとして前記水素リッチアンモニア燃焼バーナに供給して得た燃焼ガスの熱エネルギーを利用して前記ボイラ本体で高圧蒸気を発生させ、前記高圧蒸気により動力装置を作動させて発電機により発電させることを特徴とする次世代カーボンフリー発電方法。
- 請求項1〜6記載の次世代カーボンフリー発電プラント並びに請求項7記載の次世代カーボンフリー発電方法に利用される尿素水であって、前記尿素水が、アルカリ金属の水酸化物,炭酸塩及び珪酸塩からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするアルカリ触媒溶液と、尿素と、水からなり、前記尿素水が前記ボイラ本体の排熱回収エネルギーで予熱されることを特徴とする尿素水。
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