JP2013255898A - ガス回収装置およびガス回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理ガス濃度が変動した場合であっても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現するとともに、過多の膜モジュールを使用せず、長寿命で効率的な駆動をすることができるガス回収装置およびガス回収方法を得る。
【解決手段】処理ガス濃度検出部(検出ステップ、調節ステップ)は、外部から混合ガスである処理ガスの濃度を検出するとともに、検出した処理ガスの濃度に基づいて、膜面積がXの前段膜モジュールと膜面積がYの後段膜モジュールとの膜面積比Y/Xを調節する。
【選択図】図1
【解決手段】処理ガス濃度検出部(検出ステップ、調節ステップ)は、外部から混合ガスである処理ガスの濃度を検出するとともに、検出した処理ガスの濃度に基づいて、膜面積がXの前段膜モジュールと膜面積がYの後段膜モジュールとの膜面積比Y/Xを調節する。
【選択図】図1
Description
この発明は、混合ガスから目的ガス成分を分離回収するガス回収装置およびガス回収方法に関する。
例えば、SF6(六フッ化硫黄)ガスは、消弧性および絶縁耐圧性に優れているので、電力系統における遮断器および断路器等の絶縁機器の絶縁ガスとして広く使用されている。一方、SF6ガスは、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が23,900と大きな値になっている。
そのため、近年の環境負荷低減を目指す取り組みとして使用量の削減が求められ、世界各国でその規制強化が始まっている。SF6ガスの使用量を削減するための方法としては、代替ガスを使用する方法や、窒素ガスでSF6ガスを希釈したSF6混合ガスを使用する方法が有力である。
また、遮断器等は、定期的に点検保守が実施され、必要に応じてメンテナンスまたは廃棄される。遮断器等の絶縁ガスにSF6混合ガスが用いられている場合には、混合ガスからSF6ガスを大気に排出することなく分離回収し、適正に廃棄処理または再利用する必要がある。
ここで、混合ガスから目的ガス成分を分離する方法として、膜分離法が知られている。膜分離法は、空気から窒素ガスまたは酸素ガスを分離、生成する場合や、半導体製造等において用いられるパーフルオロ化合物の混合ガスから、パーフルオロ化合物ガスを分離回収する場合等に用いられている。
また、膜分離法で用いられる分離膜としては、ポリイミド、ポリアミド等で構成された高分子膜、炭素膜、またはセラミクス膜等の無機多孔膜等があり、それぞれの分離膜が支持層とともに中空糸状や平膜状の形状に形成されるのが一般的である。特に、1本の径が数マイクロメートルから数ミリメートル程度の中空糸状に形成された分離膜は、それらの多数を束ねて筐体内に収納した膜モジュールの形で広く使用されている。
ここで、分離膜を用いたガス分離では、ガス種による透過速度の違いを利用する。透過速度は、膜表面への溶解度係数および膜内部での拡散係数によって規定される係数であり、膜の種類、ガス種、温度等により異なる。
以下、ある温度である分離膜に、異なる2つのガスから成る混合ガスが同じ分圧で導入される場合を考える。ここで、ガスの透過速度が相対的に小さいガス成分を難透過性ガスと呼び、ガスの透過速度が相対的に大きいガス成分を易透過性ガスと呼ぶ。この場合、易透過性ガスは、難透過性ガスと比べて透過しやすい。
そのため、分離膜を透過してきた混合ガス中においては、易透過性ガスの割合が難透過性ガスの割合と比べて大きく、逆に、分離膜を透過しなかった混合ガス中においては、易透過性ガスの割合が難透過性ガスの割合と比べて小さくなる。
また、一般的に、中空糸状分離膜が収納された膜モジュールには、処理ガス(導入される混合ガス)が中空糸状分離膜内部へと通ずる処理ガス入口ポートに加えて、分離膜を透過してきた混合ガスおよび分離膜を透過しなかった混合ガスをそれぞれ取り出す取り出しポートが設けられている。ここで、分離膜を透過してきた混合ガスを透過ガスと呼び、分離膜を透過しなかった混合ガスを非透過ガスと呼ぶ。
なお、実際のガス分離においては、非透過ガスまたは透過ガスの流量や、分離膜の内外の圧力差等を調整することにより、非透過ガス出口または透過ガス出口から、目的に応じた生成ガスを所定の濃度で得ることが行われている。また、処理ガスの流量に応じて、使用する膜モジュールの膜面積を変更することが行われている。
ここで、絶縁機器の絶縁ガスとして使用することが期待されるSF6混合ガスから、SF6ガスを分離回収する場合にも、膜分離法を適用することが検討されている。窒素ガスでSF6ガスを希釈したSF6混合ガスから、目的ガス成分であるSF6ガスを分離回収する場合、難透過性ガスであるSF6ガスは、主に非透過ガス中に含まれ、易透過性ガスである窒素ガスは、主に透過ガス中に含まれて、それぞれ取り出される。
なお、回収したSF6ガスを、その後の精製することなく再利用する場合には、SF6ガスを高濃度のガスとして回収する必要がある。また、環境への影響を考慮して、排出する透過ガス中のSF6流量は、できる限り少なくする必要がある。すなわち、非透過ガス中のSF6濃度を高めることに加えて、次式(1)で定義されるSF6回収率も同様に高く設定する必要がある。
SF6回収率=回収SF6流量/(回収SF6流量+排気SF6流量) (1)
とりわけ、「電力用SF6ガス取扱基準(電機協同研究会、1998年、第54巻、第3号)」の検討を受けて、絶縁機器の点検時には97%以上、廃棄時には99%以上のSF6回収率が要請されている。しかしながら、1つの膜モジュールを用いてガス分離を行う場合において、回収するSF6ガスの濃度(回収SF6濃度)を高く設定すると、SF6回収率が低下し、逆に、SF6回収率を高く設定すると、回収SF6濃度が低下する。
この場合、複数の膜モジュールを用い、透過ガスを別の膜モジュールに導入して、さらにSF6ガスを分離回収する方法がとられる。これは、カスケード接続等と呼ばれており、この方法を適用することにより、回収SF6濃度を高く維持したまま、高いSF6回収率を確保することができることが広く一般に知られている。
具体的には、ハロゲン化合物ガスの分離回収を高濃度および高回収率で実現するために、膜モジュールをカスケード接続したハロゲン化合物ガスの分離回収装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この分離回収装置は、処理ガス供給源に接続されて、少なくとも1段目および2段目の膜モジュールを備えている。
この分離回収装置では、1段目の膜モジュールの非透過ガス出口から、目的ガス成分であるハロゲン化合物ガスを回収し、透過ガス出口を2段目の膜モジュールに接続するとともに、2段目の膜モジュールの非透過ガス出口を処理ガス供給源に接続して、非透過ガスを処理ガス供給源に還流させている。
また、1段目の膜モジュールの非透過ガス側には、制御装置によって結合されたガス濃度検出手段および流量制御弁が設けられており、ガス濃度検出手段の検出結果に基づいて、非透過ガス流量を制御することができる。これにより、所定の回収ガス濃度を維持したまま、高回収率を確保することができる。
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に記載の分離回収装置では、2段目の膜モジュールからの非透過ガスを1段目の膜モジュールに再度導入しているので、処理ガス濃度が変動する。また、この分離回収装置では、所定の回収ガス濃度を維持する際に使用する膜モジュール量が不変である。ここで、発明者らは、処理ガス濃度が変動した場合に、膜モジュール使用量を調節することにより、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できることを見出した。
特許文献1に記載の分離回収装置では、2段目の膜モジュールからの非透過ガスを1段目の膜モジュールに再度導入しているので、処理ガス濃度が変動する。また、この分離回収装置では、所定の回収ガス濃度を維持する際に使用する膜モジュール量が不変である。ここで、発明者らは、処理ガス濃度が変動した場合に、膜モジュール使用量を調節することにより、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できることを見出した。
すなわち、特許文献1に記載の分離回収装置では、処理ガス濃度が変動するにもかかわらず、処理ガス濃度に応じた量の膜モジュールを使用していないので、過多の膜モジュールを使用することにより、装置全体として効率的な駆動をすることができないという問題がある。また、過多の膜モジュールを使用することにより、分離膜が劣化する可能性が高まって、装置全体としての寿命が短くなるという問題もある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、処理ガス濃度が変動した場合であっても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現するとともに、過多の膜モジュールを使用せず、長寿命で効率的な駆動をすることができるガス回収装置およびガス回収方法を得ることを目的とする。
この発明に係るガス回収装置は、外部から混合ガスである処理ガスが導入される膜面積がXの前段膜モジュールと、前段膜モジュールの透過ガス側にカスケード接続される膜面積がYの後段膜モジュールと、を備え、少なくとも前段膜モジュールから目的ガス成分を分離回収するガス回収装置であって、処理ガスの濃度を検出するとともに、検出した処理ガスの濃度に基づいて、前段膜モジュールと後段膜モジュールとの膜面積比Y/Xを調節する処理ガス濃度検出部をさらに備えたものである。
この発明に係るガス回収方法は、外部から混合ガスである処理ガスが導入される膜面積がXの前段膜モジュールと、前段膜モジュールの透過ガス側にカスケード接続される膜面積がYの後段膜モジュールと、を備え、少なくとも前段膜モジュールから目的ガス成分を分離回収するガス回収装置によって実行されるガス回収方法であって、処理ガスの濃度を検出する検出ステップと、検出した処理ガスの濃度に基づいて、前段膜モジュールと後段膜モジュールとの膜面積比Y/Xを調節する調節ステップと、を備えたものである。
この発明に係るガス回収装置およびガス回収方法によれば、処理ガス濃度検出部(検出ステップ、調節ステップ)は、外部から混合ガスである処理ガスの濃度を検出するとともに、検出した処理ガスの濃度に基づいて、膜面積がXの前段膜モジュールと膜面積がYの後段膜モジュールとの膜面積比Y/Xを調節する。
そのため、処理ガス濃度が変動した場合であっても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現するとともに、過多の膜モジュールを使用せず、長寿命で効率的な駆動をすることができる。
そのため、処理ガス濃度が変動した場合であっても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現するとともに、過多の膜モジュールを使用せず、長寿命で効率的な駆動をすることができる。
以下、この発明に係るガス回収装置およびガス回収方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図1において、この回収システムは、GIS(Gas Insulated Switchgear)/GCB(Gas Circuit Breaker)に代表される被処理対象物1、前処理部2、昇圧部3、圧力調節器4、分離部5、タンク60および液化回収装置61を備えている。
図1は、この発明の実施の形態1に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図1において、この回収システムは、GIS(Gas Insulated Switchgear)/GCB(Gas Circuit Breaker)に代表される被処理対象物1、前処理部2、昇圧部3、圧力調節器4、分離部5、タンク60および液化回収装置61を備えている。
分離部5には、回収ガス取り出し口50および排気ポート51が設けられている。なお、図1には記載していないが、前処理部2の前段には、接続ポートが設けられており、一般に、接続ポートから回収ガス取り出し口50および排気ポート51までが、ガス回収装置に相当する。
また、分離部5においては、流量制御部11a、処理ガス濃度検出部12aおよび前段膜モジュール101が互いに直列に接続されている。前段膜モジュール101の非透過ガス側は、圧力調節器34および流量調節器35を介して回収ガス取り出し口50に連通している。
また、前段膜モジュール101の透過ガス側は、昇圧部23および圧力調節器24を介して後段膜モジュール102に接続され、後段膜モジュール102の非透過ガス側は、圧力調節器34および流量調節器35を介して回収ガス取り出し口50に連通している。また、後段膜モジュール102の透過ガス側は、排気ポート51に連通している。
なお、詳細については以下で説明するが、後段膜モジュール102は、3つの膜モジュール102a、102b、102cが互いに並列に接続されて構成されている。また、後段膜モジュール102の前段には、制御線21を介して開閉制御されるバルブ6が設けられている。ここで、バルブ6は、膜モジュール102a、102b、102cのそれぞれに対応したバルブ6a、6b、6cを有している。
この発明の実施の形態1に係るガス回収装置では、処理ガスをSF6/N2混合ガスとし、SF6ガスの分離回収を高濃度および高回収率で実現することを目的とする。したがって、ガス回収装置内の分離部5は、前段膜モジュール101の透過ガス側を、後段膜モジュール102に導入するカスケード接続で構成している。なお、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102中の分離膜として、ポリイミド中空糸膜を使用した。
以下、上記構成の回収システムの動作について説明する。図1に示されるように、被処理対象物1から取り出される処理ガスは、ガス回収装置の前処理部2に導入される。ここで、ガス回収装置に導入される処理ガス中には、パーティクルまたは腐食性ガスが同伴している。
GIS/GCBにおいては、遮断時にGIS/GCB内の絶縁物に起因して発生した微小なパーティクルに加え、内在していた微量水分の影響により、アーク消弧の際にフッ化水素等の腐食性ガスが発生する。これらパーティクルや腐食性ガスが処理ガス中に同伴し、膜モジュール内部に導入された場合、分離膜を構成する高分子鎖の分子鎖隙間が閉塞したり、分子構造が変化したりすることで、所定の透過速度が得られなくなる。
これにより、目的ガス成分の分離回収を実現しうるだけの膜透過特性が喪失し、最終的に、膜モジュールを交換する必要が生じる。そこで、分離膜に処理ガスを導入する前に、これらパーティクルや腐食性ガスをフィルタ、乾式吸着剤およびスクラバー等によって除去するために、前処理部2を設置する。
処理ガスは、前処理部2によってパーティクルや腐食性ガスが除去され、膜面積や設定圧力に応じて選定された昇圧部3および圧力調節器4を経た後、分離部5内の前段膜モジュール101に導入される。なお、被処理対象物1内の圧力が十分高く、分離膜の所定設定圧力差を実現できる場合には、昇圧部3を用いなくてもよい。
分離部5は、昇圧された処理ガスを導入するポートに加え、上述した回収ガス取り出し口50および排気ポート51を有している。分離部5により、処理ガスは、SF6を多く含むガスとN2を多く含むガスとに分離され、前者は回収ガス取り出し口50から取り出され、後者は排気ポート51を通じて装置外に排出される。
具体的には、分離部5に導入された処理ガスは、前段膜モジュール101を経て、そのうちの非透過ガスは、タンク60または液化回収装置61に回収され、透過ガスは、後段膜モジュール102に導入される。後段膜モジュール102に導入されるガスのうち、非透過ガスは、前段膜モジュール101の非透過ガスとともにタンク60または液化回収装置61に回収され、透過ガスは、排気ポート51を通じて装置外に排出される。
また、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102の非透過ガス側には、上述した圧力調節器34および流量調節器35が設けられ、その流量を調節することができる。また、後段膜モジュール102の圧力設定は、所定の設定圧力に応じて選定された昇圧部23および圧力調節器24により設定することができる。なお、図示しないが、後段膜モジュール102の透過ガス側にポンプを設置することにより、後段膜モジュール102の圧力差を設定してもよい。また、設定圧力差は、中空糸状分離膜の内外に設置した圧力計等により確認することができる。
一般に、前段膜モジュール101での非透過ガスのSF6濃度を高くするために、前段膜モジュール101の圧力差を大きくし、その非透過ガス流量を小さくすることが多い。ここで、カスケード接続により高回収率を実現するためには、後段膜モジュール102の設定圧力を比較的小さく設定することが望ましい。また、より高濃度のSF6ガスを回収するためには、後段膜モジュール102の非透過ガスを、前段膜モジュール101の処理ガス導入部に還流させながら回収するとよい。
回収ガスは、目的に応じて、タンク60に気体のまま封入されるか、または必要に応じて液化回収装置61を介して液化回収される。この発明の実施の形態1に係るガス回収装置のように、前処理部2を介して分離回収された回収ガスは、不純物が極めて少なく、容易にリサイクルが可能である。
ここで、発明者らは、膜モジュールをカスケード接続した分離部5を有するガス回収装置を用いて、N2ガスでSF6ガスを希釈したSF6混合ガスから、SF6ガスを高濃度および高回収率で回収することを試みた。ここでは、様々な膜面積を持つ膜モジュールを複数用いて、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102の膜面積を自由に設定できるようにした。
まず、回収するSF6ガスの濃度(回収SF6濃度)90%、SF6回収率99%以上を確保するにあたり、処理ガスのSF6濃度(処理ガスSF6濃度)50%、一定流量の処理ガスを、カスケード接続された膜モジュールから構成される分離部5に導入した。ここで、前段膜モジュール101での圧力差を0.75MPa、後段膜モジュール102での圧力差を0.2MPaと設定し、膜モジュール温度は、すべて80℃とした。
この場合には、後段膜モジュール102の膜面積の、前段膜モジュール101の膜面積に対する比を0.07に設定の上、各膜モジュールの非透過ガス流量を調整することにより、上記の回収SF6濃度およびSF6回収率を実現することができる。
また、発明者らは、処理ガスSF6濃度が20%、35%の場合についても、同様の検討を実施した。前段膜モジュール101の膜面積をX、後段膜モジュール102の膜面積をYとした場合における、膜面積比Y/Xの処理ガス濃度依存性を図2に示す。図2から、処理ガス流量が同一条件の下で、処理ガス濃度が増加するに従って、膜面積比Y/Xを小さく設定することにより、何れの場合においても、回収SF6濃度90%程度およびSF6回収率99%を実現できることがわかる。
このように、膜面積比Y/Xを調節することにより、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できることを見出した。なお、図2では、膜面積比が0.1近傍の場合について説明したが、膜面積比が1の場合やその他の膜面積比においても同様の傾向がある。また、その他の回収ガス濃度や回収率を実現する場合にも、膜面積比Y/Xにて調節可能と考えられる。
そこで、上記の現象に鑑み、処理ガス濃度、所定の回収ガス濃度および回収率に応じて、カスケード接続された膜モジュールの膜面積比Y/Xを、分離部内で設定することができる図1のようなガス回収装置を構成した。ここで、膜モジュールの1次側に設けた流量調節部11aにより一定流量の処理ガスを膜モジュールに導入する。
この発明の実施の形態1に係るガス回収装置では、カスケード接続された膜モジュールの膜面積比Y/Xを0.1に設定した。これは、一定流量でSF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収し、回収ガス濃度90%および回収率99%を実現するために、一例として設定したものである。
すなわち、前段膜モジュール101の膜面積Aに対して、後段膜モジュール102の膜面積をA/10とした。なお、膜面積比Y/Xについては任意でよく、当然ながら膜面積比Y/Xを1に設定してもよい。ここでは、後段膜モジュール102の膜面積について、さらに1/3ずつ面積が分割された膜モジュール102a、102b、102cを選定の上、これらを並列に配した。また、前段膜モジュール101の設定圧力を0.75MPa、後段膜モジュール102の設定圧力を0.2MPaと設定した。何れの膜モジュールも、その温度は80℃に設定されている。
また、分離部5においては、処理ガス濃度検出部12aの検出結果に応じて、制御線21を介して後段膜モジュール102の1次側に設けられたバルブ6の開閉を制御し、使用する後段膜モジュール102の数を調節することができる。なお、図1に示されるように、処理ガスの流量が増加した場合を想定して、同様の分離部5を複数設けてもよい。ただし、図1では、流量調節部11bおよび処理ガス濃度検出部12bのみを記載し、それ以降を省略している。
ここで、分離部5が接続されたガス回収装置において、処理ガス濃度検出部12aを使用せずに後段膜モジュール102をすべて使用し、一定流量13.3slm(standard liter per min)で、SF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収することを試みた。このとき、以下の表1に示されるように、所定の回収ガス濃度89%および回収率99%を確認した。なお、回収ガス流量は5.2slm、排気ガス流量は8.1slmであった。
その後、処理ガス流量を一定に保ったまま、SF6濃度50%の処理ガスの供給に変更した。この場合も、後段膜モジュール102を制御せず、すべての膜モジュールを使用した。通常、処理ガス濃度の変動により回収ガス濃度および回収率は変動する。ここでは、表1に示されるように、処理ガス濃度の変動に伴い、流量調節部11aにて回収ガス流量を変化させたところ、回収率は99%であるものの、回収ガス濃度が85%まで低下した。
一方、SF6濃度50%の処理ガスの供給に変更した際、処理ガス濃度検出部12aを使用し、処理ガス濃度の変動に伴いバルブ6aを閉じた。これにより、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比が0.07に設定され、後段膜モジュール102に配置している膜モジュールのうち、膜モジュール102aにガスが流入せず、膜モジュール102b、102cにガスが流れる。
さらに、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102のそれぞれの非透過ガス流量を流量調節器35により調節した。この発明の実施の形態1に係るガス回収装置では、表1に示されるように、上記所定の回収ガス濃度89%および回収率99%を維持することができた。
図3は、表1中の、処理ガス濃度と回収ガス濃度(回収SF6ガス濃度)との関係を示した説明図である。図3に示されるように、処理ガス濃度が変動した場合において、この発明の実施の形態1に係るガス回収装置のように、カスケード接続の前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
さらにこのとき、処理ガス濃度の変動前に使用していた膜モジュール102aを、処理ガス濃度の変動後には使用していない。すなわち、従来の分離回収装置では、回収ガス濃度の変動に応じて、流量を制御することが行われているが、膜モジュールについては、処理ガス濃度の変動前に使用していた膜モジュールを、制御後もそのまますべて使用しており、処理ガス濃度に適した膜モジュール量を採用していない。
つまり、従来の分離回収装置では、所定の回収ガス濃度を実現するにあたり、過多の膜モジュールを使用している。この発明の実施の形態1に係るガス回収装置では、処理ガス濃度が変動した場合において、膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用せず、効率的な駆動をすることができる。また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態1に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
なお、上記実施の形態1では、設計膜面積比が0.1の場合について説明したが、膜面積比は任意に決定できるものであり、例えば設計膜面積比が1の場合においても同様の効果が期待できる。また、上記実施の形態1で示した設定圧力差および膜モジュール温度は、高回収率を実現するための一例として設定したものであるが、他の設定圧力差や膜モジュール温度でも同様の効果が期待できると考えられる。
さらに、上記実施の形態1では、SF6/N2混合ガスから難透過性ガスであるSF6ガスを回収する場合について説明したが、パーフルオロ化合物ガスと窒素とからなる混合ガスからパーフルオロ化合物ガスを回収する場合等においても同様の効果を得ることができる。また、易透過性ガスを回収する場合においても極めて有効であると考えられ、例えば空気からの酸素精製、または水素やメタンからなる混合ガスから水素を回収する場合等にも適用でき、回収対象が限定されるものではない。必要に応じて、前段膜モジュール101の非透過ガスを後段膜モジュール102に接続するカスケード接続で分離部を構成してもよい。
ここでは、分離膜としてポリイミド中空糸膜を使用したが、その他高分子膜や無機多孔膜等によっても同様の効果が期待できると考えられる。
なお、後段膜モジュール102の3つの膜モジュール102a、102bおよび102cを入れ替えるか、または濃度変動時に使用しない膜モジュールを適宜変更する制御を加えることで、処理ガスを通気する頻度が減少するので、膜モジュールの長寿命化も期待できる。
また、上記実施の形態1では、あらかじめ濃度が増加する場合を想定したうえで使用する膜モジュールを設定した例について説明したが、あらかじめ濃度増加および減少の両方に対応できるように、膜モジュールを設定してもよい。
すなわち、前段膜モジュール101を複数配置してもよいし、または図1に示した後段の3つの膜モジュール102a、102b、102cに加え、後段膜モジュール102にさらに追加の膜モジュールをあらかじめ配置しておくこと等が考えられる。追加の膜モジュールは、頻繁に使用しなくとも、他の分離膜のバックアップとしても使用でき、装置寿命の長期化にも寄与する。また、細やかな処理ガス濃度の変動に対応して、面積が相互に異なる膜モジュールを複数配してもよい。
以上のように、実施の形態1によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図4において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
図4は、この発明の実施の形態2に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図4において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
また、分離部5については、前段膜モジュール101の膜面積Xと後段膜モジュール102の膜面積Yとの膜面積比Y/Xが1であり、後段膜モジュール102について、さらに1/3ずつ面積が分割された膜モジュール102a’、102b’、102c’を並列に配している点で、実施の形態1と異なる。
図4に示されるように、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xが1の場合においても、処理ガス濃度の変動に対応して、膜面積比Y/Xを調節することができる。また、後段膜モジュール102について、さらに細かく複数に分割すれば、処理ガス濃度の変動に応じて、膜モジュール使用量を細かく調整することができるので、なおよい。
さらに、前段膜モジュール101を複数配置してもよいし、または図4に示した後段の3つの膜モジュール102a’、102b’、102c’に加え、後段膜モジュール102にさらに追加の膜モジュールをあらかじめ配置してもよい。
以上のように、実施の形態2によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態2に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図5において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
図5は、この発明の実施の形態3に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図5において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
また、分離部5については、後段膜モジュール102に配された複数の膜モジュール102a”、102b”、102c”の膜面積が互いに異なる点が実施の形態1と異なる。
図5に示されるように、後段膜モジュール102として、並列に配された面積の異なる複数の膜モジュールを設けることで、より小さな処理ガス濃度の変動に対応して、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを調整することができる。このとき、後段膜モジュール102を、2進数の比によって規定された異なる膜面積を持つ複数の膜モジュールで構成すると、さらに細かい調整が可能であり、なおよい。
例えば、後段膜モジュール102として、膜面積比が1:2:4:8・・・である膜モジュールを選定すること等が考えられる。さらに、前段膜モジュール101を複数配置してもよいし、または図5に示した後段の3つの膜モジュール102a”、102b”、102c”に加え、後段膜モジュール102にさらに追加の膜モジュールをあらかじめ配置してもよい。
このような構成のガス回収装置においても、処理ガス濃度のより細かい変動に応じて、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
以上のように、実施の形態3によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、細やかに膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態3に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
実施の形態4.
図6は、この発明の実施の形態4に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図6において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
図6は、この発明の実施の形態4に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図6において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
また、分離部5については、後段膜モジュール102に配された複数の膜モジュール102a、102b、102cの非透過ガス側を回収せず、被処理対象物1に還流している点が実施の形態1と異なる。
図6に示されるように、後段膜モジュール102に配された複数の膜モジュール102a、102b、102cの非透過ガス側を回収せず、被処理対象物1に還流しているので、回収SF6濃度を高く維持することができ、処理ガス濃度が変動する。
この場合においても、処理ガス濃度の変動に対応して、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
また、後段膜モジュール102を、2進数の比によって規定された異なる膜面積を持つ複数の膜モジュールで構成し、処理ガス濃度のより細かい変動に応じて、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
以上のように、実施の形態4によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、細やかに膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態4に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
実施の形態5.
図7は、この発明の実施の形態5に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図7において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
図7は、この発明の実施の形態5に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図7において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
また、分離部5については、後段膜モジュール102に配された複数の膜モジュール102a、102b、102cの透過ガス側を、さらに後段の膜モジュール103a、103b、103c(後段膜モジュール103)で処理している。また、後段膜モジュール102および後段膜モジュール103の非透過ガス側を回収せず、被処理対象物1に還流している点が実施の形態1と異なる。ここで、後段膜モジュール103の膜面積をY’とする。
図7に示されるように、後段膜モジュール102および後段膜モジュール103の非透過ガス側を回収せず、被処理対象物1に還流しているので、回収SF6濃度を高く維持することができ、処理ガス濃度が変動する。
この場合においても、処理ガス濃度の変動に対応して、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102および後段膜モジュール103との膜面積比(Y+Y’)/Xを調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
このように、後段膜モジュール102を、異なる膜面積を持つ複数の膜モジュールで構成し、処理ガス濃度のより細かい変動に応じて、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102および後段膜モジュール103との膜面積比(Y+Y’)/Xを調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
以上のように、実施の形態5によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、細やかに膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態5に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
実施の形態6.
図8は、この発明の実施の形態6に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図7において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
図8は、この発明の実施の形態6に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図7において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
また、分離部5は、圧力調節器4を経た処理ガス(SF6/N2混合ガス)が導入される前段膜モジュール101の透過ガス側を、後段膜モジュール102に導入するカスケード接続で構成している。また、膜モジュールの1次側には、流量調節部11aおよび処理ガス濃度検出部12aが設けられており、流量調節部11aにより一定流量の処理ガスを前段膜モジュール101に導入する。
この発明の実施の形態6に係るガス回収装置では、カスケード接続された前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを0.1程度に設定した。これは、一定流量でSF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収し、回収ガス濃度90%および回収率99%を実現するために、一例として設定したものである。
すなわち、前段膜モジュール101の膜面積Aに対して、後段膜モジュール102の膜面積をA/10程度とした。なお、膜面積比Y/Xについては任意でよく、当然ながら膜面積比Y/Xを1に設定してもよい。ここでは、前段膜モジュール101の膜面積について、さらにおよそ1/5ずつ面積が分割された膜モジュール101a、101b、101c、101d、101eを選定の上、これらを並列に配した。また、前段膜モジュール101の設定圧力をすべて0.75MPa、後段膜モジュール102の設定圧力を0.2MPaと設定した。何れの膜モジュールも、その温度は80℃に設定されている。
また、分離部5においては、処理ガス濃度検出部12aの検出結果に応じて、制御線21を介して前段膜モジュール101の1次側に設けられたバルブ6の開閉を制御し、使用する前段膜モジュール101の数を調節することができる。なお、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102中の分離膜として、ポリイミド中空糸膜を使用した。
また、図8に示されるように、処理ガスの流量が増加した場合を想定して、同様の分離部5を複数設けてもよい。ただし、図8では、流量調節部11bおよび処理ガス濃度検出部12bのみを記載し、それ以降を省略している。この発明の実施の形態6に係るガス回収装置では、カスケード接続における前段膜モジュール101について、複数の膜モジュールを並列に配し、後段モジュールを1つに設定している点で実施の形態1とは異なる。
ここで、分離部5が接続されたガス回収装置において、処理ガス濃度検出部12aを使用せずに前段膜モジュール101をすべて使用し、一定流量13.3slmで、SF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収することを試みた。このとき、所定の回収ガス濃度89%および回収率99%を確認した。
その後、処理ガス流量を一定に保ったまま、SF6濃度20%の処理ガスの供給に変更した。このとき、処理ガス濃度検出部12aを使用し、処理ガス濃度の変動に伴いバルブ6aを閉じた。これにより、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比が0.13に設定され、前段膜モジュール101に配置している膜モジュールのうち、膜モジュール101aにガスが流入せず、膜モジュール101b、101c、101d、101eにガスが流れる。
さらに、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102のそれぞれの非透過ガス流量を流量調節器35により調節した。この場合においても、所定の回収ガス濃度および回収率を維持することができた。すなわち、処理ガス濃度が変動した場合において、カスケード接続の前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。このとき、処理ガス濃度の変動前に使用していた膜モジュール101aを、処理ガス濃度の変動後には使用していない。
なお、上記実施の形態6では、設計膜面積比が0.1の場合について説明したが、膜面積比は任意に決定できるものであり、例えば設計膜面積比が1の場合においても同様の効果が期待できる。また、上記実施の形態6で示した設定圧力差および膜モジュール温度は、高回収率を実現するための一例として設定したものであるが、他の設定圧力差や膜モジュール温度でも同様の効果が期待できると考えられる。
さらに、上記実施の形態6では、SF6/N2混合ガスから難透過性ガスであるSF6ガスを回収する場合について説明したが、パーフルオロ化合物ガスと窒素とからなる混合ガスからパーフルオロ化合物ガスを回収する場合等においても同様の効果を得ることができる。また、易透過性ガスを回収する場合においても極めて有効であると考えられ、例えば空気からの酸素精製、または水素やメタンからなる混合ガスから水素を回収する場合等にも適用でき、回収対象が限定されるものではない。必要に応じて、前段膜モジュール101の非透過ガスを後段膜モジュール102に接続するカスケード接続で分離部を構成してもよい。
ここでは、分離膜としてポリイミド中空糸膜を使用したが、その他高分子膜や無機多孔膜等によっても同様の効果が期待できると考えられる。
なお、前段膜モジュール101の5つの膜モジュール101a、101b、101c、101d、101eを適宜並べ替えるか、または濃度変動時に使用しない膜モジュールを適宜変更する制御を加えることで、処理ガスを通気する頻度が減少するので、膜モジュールの長寿命化も期待できる。
また、前段膜モジュール101として、並列に配された面積の異なる複数の膜モジュールを設けることで、より小さな処理ガス濃度の変動に対応して、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを調整することができる。このとき、前段膜モジュール101を、2進数の比によって規定された異なる膜面積を持つ複数の膜モジュールで構成すると、さらに細かい調整が可能であり、なおよい。
さらに、上記実施の形態6では、あらかじめ濃度が増加する場合を想定したうえで使用する膜モジュールを設定した例について説明したが、あらかじめ濃度増加および減少の両方に対応できるように、膜モジュールを設定してもよい。
すなわち、後段膜モジュール102を複数配置してもよいし、または図8に示した前段の5つの膜モジュール101a、101b、101c、101d、101eに加え、前段膜モジュール101にさらに追加の膜モジュールをあらかじめ配置しておくこと等が考えられる。追加の膜モジュールは、使用しなくとも、他の分離膜のバックアップとしても使用でき、装置寿命の長期化にも寄与する。また、追加の膜モジュールについても、面積が相互に異なる複数の膜モジュールで構成するとなおよいことは言うまでもない。
以上のように、実施の形態6によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態6に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
実施の形態7.
図9は、この発明の実施の形態7に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図9において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態6と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態6と同様である。
図9は、この発明の実施の形態7に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図9において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態6と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態6と同様である。
また、分離部5については、後段膜モジュール102の透過ガス側を排気せず、被処理対象物1に還流している点が実施の形態6と異なる。
図9に示されるように、後段膜モジュール102の透過ガス側を排気せず、被処理対象物1に還流しているので、処理ガス濃度が変動する。この場合においても、処理ガス濃度の変動に対応して、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
このとき、前段膜モジュール101を、2進数の比によって規定された異なる膜面積を持つ複数の膜モジュールで構成し、処理ガス濃度のより細かい変動に応じて、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。
以上のように、実施の形態7によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態7に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
さらに、被処理対象物1内の内容量が低下した場合の、回収速度の低下、またはポンプの過負荷運転を回避することができ、装置全体として安定した駆動が可能になる。なお、ここでは、排気ガスを被処理対象物1内へ還流させているが、図9に示したN2ガス供給装置70からN2ガスを別途供給しもてよい。
実施の形態8.
図10は、この発明の実施の形態8に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図10において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
図10は、この発明の実施の形態8に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図10において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
また、分離部5は、圧力調節器4を経た処理ガス(SF6/N2混合ガス)が導入される前段膜モジュール101の透過ガス側を、後段膜モジュール102に導入するカスケード接続で構成している。また、前段膜モジュール101の1次側には、流量調節部11aおよび処理ガス濃度検出部12aが設けられており、流量調節部11aにより一定流量の処理ガスを前段膜モジュール101に導入する。
この発明の実施の形態8に係るガス回収装置では、カスケード接続された前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを0.1程度に設定した。これは、一定流量でSF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収し、回収ガス濃度90%および回収率99%を実現するために、一例として設定したものである。
すなわち、前段膜モジュール101の膜面積Aに対して、後段膜モジュール102の膜面積をA/10程度とした。なお、膜面積比Y/Xについては任意でよく、当然ながら膜面積比Y/Xを1に設定してもよい。ここでは、後段膜モジュール102の膜面積について、さらに1/3ずつ面積が分割された膜モジュール102a、102b、102cを選定の上、これらを直列に配した。また、前段膜モジュール101の設定圧力を0.75MPa、後段膜モジュール102の設定圧力を0.2MPaと設定した。何れの膜モジュールも、その温度は80℃に設定されている。
また、分離部5においては、処理ガス濃度検出部12aの検出結果に応じて、制御線21を介して後段膜モジュール102の1次側に設けられた3方バルブ7の開閉を制御し、使用する後段膜モジュール102の数を調節することができる。なお、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102中の分離膜として、ポリイミド中空糸膜を使用した。
また、図10に示されるように、処理ガスの流量が増加した場合を想定して、同様の分離部5を複数設けてもよい。ただし、図10では、流量調節部11bおよび処理ガス濃度検出部12bのみを記載し、それ以降を省略している。この発明の実施の形態8に係るガス回収装置では、カスケード接続における後段膜モジュール102について、複数の膜モジュールを直列に廃している点で実施の形態1とは異なる。
ここで、分離部5が接続されたガス回収装置において、処理ガス濃度検出部12aを使用せずに後段膜モジュール102をすべて使用し、一定流量でSF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収することを試みた。このとき、所定の回収ガス濃度89%および回収率99%を確認した。
その後、処理ガス流量を一定に保ったまま、SF6濃度50%の処理ガスの供給に変更した。このとき、処理ガス濃度検出部12aを使用し、処理ガス濃度の変動に伴い3方バルブ7aおよび7bを切り替えた。これにより、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比が0.07に設定され、後段膜モジュール102に配置している膜モジュールのうち、膜モジュール102aにガスが流入せず、膜モジュール102b、102cにガスが流れる。
さらに、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102のそれぞれの非透過ガス流量を流量調節器35により調節した。これにより、所定の回収ガス濃度および回収率を維持することができた。
すなわち、処理ガス濃度が変動した場合において、カスケード接続の前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。このとき、処理ガス濃度の変動前に使用していた膜モジュール102aを、処理ガス濃度の変動後には使用していない。
なお、上記実施の形態8では、設計膜面積比が0.1の場合について説明したが、膜面積比は任意に決定できるものであり、他のガス種を回収する場合や、他の分離膜を使用する場合等においても、同様の効果が期待できると考えられる。
なお、後段膜モジュール102の3つの膜モジュール102a、102bおよび102cを適宜並べ替えるか、または処理ガス濃度の変動時に、優先的に使用する膜モジュールを変更する制御を加えること等により、膜モジュールのさらなる長寿命化も期待できる。また、前段膜モジュール101からの透過ガスの流入順序を変更できるような構造、例えば、透過特性が悪化した膜モジュールほど下流側に配することができる配管構造にすることで、装置の長寿命化がさらに促進されると考えられる。
また、後段膜モジュール102のみならず、前段膜モジュール101を複数の膜モジュールとしてもよいし、これらを異なる膜面積を持つ複数の膜モジュールで構成してもよい。このような装置構成とした場合には、処理ガス濃度のより細かい変動に応じて、使用する膜モジュールを調整することで、さらに効率的な駆動が可能となる。
以上のように、実施の形態8によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態8に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
実施の形態9.
図11は、この発明の実施の形態9に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図11において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
図11は、この発明の実施の形態9に係るガス回収装置を含む回収システムを示す構成図である。図11において、ガス回収装置の分離部5以外については、上述した実施の形態1と同様なので、ここでの説明を省略する。また、分離部5内の圧力調節器24等については、図示を省略しているが、実施の形態1と同様である。
また、分離部5は、圧力調節器4を経た処理ガス(SF6/N2混合ガス)が導入される前段膜モジュール101の透過ガス側を、後段膜モジュール102に導入するカスケード接続で構成している。また、前段膜モジュール101の1次側には、流量調節部11aおよび処理ガス濃度検出部12aが設けられており、流量調節部11aにより一定流量の処理ガスを前段膜モジュール101に導入する。
この発明の実施の形態9に係るガス回収装置では、カスケード接続された前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比Y/Xを0.1程度に設定した。これは、一定流量でSF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収し、回収ガス濃度90%および回収率99%を実現するために、一例として設定したものである。
すなわち、前段膜モジュール101の膜面積Aに対して、後段膜モジュール102の膜面積をA/10程度とした。なお、膜面積比Y/Xについては任意でよく、当然ながら膜面積比Y/Xを1に設定してもよい。ここでは、前段膜モジュール101の膜面積について、さらにおよそ1/5ずつ面積が分割された膜モジュール101a、101b、101c、101d、101eを選定の上、これらを直列に配した。また、前段膜モジュール101の設定圧力をすべて0.75MPa、後段膜モジュール102の設定圧力を0.2MPaと設定した。何れの膜モジュールも、その温度は80℃に設定されている。
また、分離部5においては、処理ガス濃度検出部12aの検出結果に応じて、制御線21を介して前段膜モジュール101の1次側に設けられた3方バルブ7の開閉を制御し、使用する前段膜モジュール101の数を調節することができる。なお、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102中の分離膜として、ポリイミド中空糸膜を使用した。
また、図11に示されるように、処理ガスの流量が増加した場合を想定して、同様の分離部5を複数設けてもよい。ただし、図10では、流量調節部11bおよび処理ガス濃度検出部12bのみを記載し、それ以降を省略している。この発明の実施の形態8に係るガス回収装置では、カスケード接続における前段膜モジュール101について、複数の膜モジュールを直列に廃している点で実施の形態1とは異なる。
ここで、分離部5が接続されたガス回収装置において、処理ガス濃度検出部12aを使用せずに前段膜モジュール101をすべて使用し、一定流量でSF6濃度35%の処理ガスからSF6ガスを回収することを試みた。このとき、所定の回収ガス濃度89%および回収率99%を確認した。
その後、処理ガス流量を一定に保ったまま、SF6濃度20%の処理ガスの供給に変更した。このとき、処理ガス濃度検出部12aを使用し、処理ガス濃度の変動に伴い3方バルブ7aおよび7bを切り替えた。これにより、前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比が0.13に設定され、前段膜モジュール101に配置している膜モジュールのうち、膜モジュール101aにガスが流入せず、膜モジュール101b、101c、101d、101eにガスが流れる。
さらに、前段膜モジュール101および後段膜モジュール102のそれぞれの非透過ガス流量を流量調節器35により調節した。この場合においても、所定の回収ガス濃度および回収率を維持することができた。すなわち、処理ガス濃度が変動した場合において、カスケード接続の前段膜モジュール101と後段膜モジュール102との膜面積比を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。このとき、処理ガス濃度の変動前に使用していた膜モジュール101aを、処理ガス濃度の変動後には使用していない。
なお、上記実施の形態9では、設計膜面積比が0.1の場合について説明したが、膜面積比は任意に決定できるものであり、他のガス種を回収する場合や、他の分離膜を使用する場合等においても、同様の効果が期待できると考えられる。
なお、前段膜モジュール101の5つの膜モジュール101a、101b、101c、101dおよび101eを適宜並べ替えるか、または処理ガス濃度の変動時に、優先的に使用する膜モジュールを変更する制御を加えること等により、膜モジュールのさらなる長寿命化も期待できる。また、前段膜モジュール101からの透過ガスの流入順序を変更できるような構造、例えば、透過特性が悪化した膜モジュールほど下流側に配することができる配管構造にすることで、装置の長寿命化がさらに促進されると考えられる。
また、前段膜モジュール101のみならず、後段膜モジュール102を複数の膜モジュールとしてもよいし、これらを異なる膜面積を持つ複数の膜モジュールで構成してもよい。このような装置構成とした場合には、処理ガス濃度のより細かい変動に応じて、使用する膜モジュールを調整することで、さらに効率的な駆動が可能となる。
以上のように、実施の形態9によれば、特に処理ガス濃度が変動した場合において、膜モジュール使用量を調整することで、所定の回収ガス濃度および回収率を実現することができ、過多の膜モジュールを使用することのない効率的な駆動が可能なガス回収装置を得ることができる。また、過多の膜モジュールを使用することがなくなるので、分離膜が劣化する可能性を低減でき、ガス回収装置の長寿命化にもつながる。
また、従来の分離回収装置では、流量のみが制御パラメータであったが、この発明の実施の形態9に係るガス回収装置では、流量に加えて使用する膜モジュールの面積比も制御パラメータとなる。
そのため、従来の分離回収装置に比べて、処理ガス濃度の大きな変動に対しても、所定の回収ガス濃度および回収率を実現できる。さらに、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広がる。すなわち、所定の回収ガス濃度および回収率を実現する際の処理ガス濃度の変動可能範囲が広がり、回収ガス濃度および回収率の設定可能範囲も広くなることで、様々な仕様に応じたガス分離を実現できる。
1 被処理対象物、2 前処理部、3 昇圧部、4 圧力調節器、5 分離部、6、6a〜6f バルブ、7、7a〜7f 3方バルブ、11a、11b 流量制御部、12a、12b 処理ガス濃度検出部、21 制御線、23 昇圧部、24 圧力調節器、34 圧力調節器、35 流量調節器、50 回収ガス取り出し口、51 排気ポート、60 タンク、61 液化回収装置、70 ガス供給装置、101、101a〜101e 前段膜モジュール、102、102a〜102c、102a’〜102c’、102a”〜102c”、103、103a〜103c 後段膜モジュール。
Claims (5)
- 外部から混合ガスである処理ガスが導入される膜面積がXの前段膜モジュールと、
前記前段膜モジュールの透過ガス側にカスケード接続される膜面積がYの後段膜モジュールと、
を備え、少なくとも前記前段膜モジュールから目的ガス成分を分離回収するガス回収装置であって、
前記処理ガスの濃度を検出するとともに、検出した前記処理ガスの濃度に基づいて、前記前段膜モジュールと前記後段膜モジュールとの膜面積比Y/Xを調節する処理ガス濃度検出部
をさらに備えたことを特徴とするガス回収装置。 - 前記前段膜モジュールの膜面積Xと、前記後段膜モジュールの膜面積Yとは、互いに異なる
ことを特徴とする請求項1に記載のガス回収装置。 - 前段膜モジュールおよび前記後段膜モジュールの少なくとも一方は、複数の膜モジュールが直列に接続されて構成され、導入されるガスの流入順序が膜モジュール毎に変更可能である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス回収装置。 - 前段膜モジュールおよび前記後段膜モジュールの少なくとも一方は、複数の膜モジュールが直列または並列に接続されて構成され、膜モジュール毎にガスの導入を選択可能である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス回収装置。 - 外部から混合ガスである処理ガスが導入される膜面積がXの前段膜モジュールと、
前記前段膜モジュールの透過ガス側にカスケード接続される膜面積がYの後段膜モジュールと、
を備え、少なくとも前記前段膜モジュールから目的ガス成分を分離回収するガス回収装置によって実行されるガス回収方法であって、
前記処理ガスの濃度を検出する検出ステップと、
検出した前記処理ガスの濃度に基づいて、前記前段膜モジュールと前記後段膜モジュールとの膜面積比Y/Xを調節する調節ステップと、
を備えたことを特徴とするガス回収方法。
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- 2012-06-13 JP JP2012133928A patent/JP2013255898A/ja active Pending
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