以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、弾球遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。またさらに上受け皿ユニット8には、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯時に押下することにより演出に変化をもたらすことができる押しボタン式の枠演出ボタン13が設けられている。この枠演出ボタン13は、遊技者が操作可能な手操作手段として働く。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の各所には、光の装飾により光演出効果を奏する複数の装飾ランプ45が設けられている。
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されている。この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分部材(流路振分手段)として働く。本実施形態では、センター飾り48が遊技領域3aのほぼ中央部に配置されており、これにより、遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるようになっている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ねじなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。このようなセンター飾り48は、遊技球の落下方向を変換する遊技球落下方向変換部材(落下方向変換手段)として働く。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、適所に、その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(図示せず)が設けられている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。上記の特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグメントにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、演出画像とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(たとえば、シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで当否が判明する)により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1〜第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。ラウンド数表示装置39bは、大当り(「大当り」の詳細は後述する)に係る規定ラウンド数を報知するラウンド表示手段として機能し、たとえば、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、規定ラウンド数が報知される。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない形態となっているが、本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞し得る。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口40は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。勿論、普通図柄始動口37に入賞があった場合にも賞球数を払い出すように構成しても良い。なお上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御に係る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作全体を統括的に司る主制御部(主制御手段)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御手段)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段)31と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20:主制御手段)
主制御部(主制御手段)20は、遊技動作制御を統括的に司る主制御手段として機能し、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。ROM202は、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。また図示はしていないが、主制御部20は、特別図柄変動表示ゲームに係る抽選用乱数を生成するための乱数生成回路、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を発揮する割込コントローラ回路なども備えている。
ここでCPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。CPU201は、処理を実行するのに必要なデータの読み書きが行われる複数種類のレジスタが設けられている。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aとが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cが接続され、主制御部20は、複合表示装置38cに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置39bが接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、パチンコホールの遊技機を統括的に管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。他方、払出制御基板29は、主制御部20に対し、払い出し動作状態に関する情報(払出状態信号)を送信可能となっている。主制御部20側では、この払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか否か、具体的には、賞球の払い出しに不具合(払い出しエラー:たとえば、玉詰まりや賞球の払い出し不足)が発生したか否かを監視している。
また主制御部20は、特別図柄変動表示ゲームに関する情報を乗せた演出制御コマンドを、演出制御部24に送信可能となっている。このような主制御部20からの演出制御コマンドは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するため、一方向通信により演出制御部24に送信される。
(2−2.演出制御部24:演出制御手段)
演出制御部(演出制御手段)24は、演出動作制御を統括的に司る演出制御手段として機能し、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、およびタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路などが設けられている。ROM242は、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45やLEDの発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、光演出や音演出を行うため、装飾ランプ45やLEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物モータ61に対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な枠演出ボタン13が接続され、演出制御部24は、枠演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。また演出制御部24には、可動体役物の動作を制御するための役物モータ61が接続され、演出制御部24は、可動体役物モータ61を制御するための制御信号を送信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現される。これら演出手段により、種々の演出パターンが時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた本実施形態のパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」または「小当り(小当りについては後述する)」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
たとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、つまり、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大15ラウンド)繰り返される。なお、大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当り(当選)種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果、特別図柄の変動時間、特定演出(たとえば、予告演出)の有無に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」と、特別停止図柄の情報を含む「装飾図柄指定コマンド」とを演出制御部24に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、同一または実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。たとえば、各図柄ごとに異なる作動保留球数の最大記憶数を設定しても良いし(たとえば、特別図柄1側を最大4個、特別図柄2側を最大2個、普通図柄側を最大6個など)、特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選による結果により得られる利益が相対的に高くなる図柄側の作動保留球数の最大記憶数を多く設定しても良い(たとえば、特別図柄2側を最大4個、特別図柄1側を最大1個)。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、追って説明する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。なお詳細は後述するが、本実施形態では、上記の「時短状態」は単独では発生しない構成となっている。また大当り中は、全機能が非作動となり、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し’(以下、「電サポ無し状態」と称する)となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り’(以下、「電サポ有り状態」と称する)となる。
なお本実施形態では、遊技状態に関連した演出の多様化を図るために、一の遊技状態をさらに分類して管理している。具体的には、「通常遊技状態」には、「通常遊技状態A(通常A)」、「通常遊技状態B(通常B)」、および「通常遊技状態C(通常C)」といった複数種類の通常遊技状態が含まれ、それぞれ異なる遊技状態として管理している。すなわち、同じ通常遊技状態であっても特別図柄の変動パターンを選択する際の条件(変動パターン選択モード)が異なるようになっている。これにより、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常遊技状態」でありながらも、演出に関しては「通常A」〜「通常C」という複数種類の遊技状態ごとに対応した演出を発生させるこができるようになる。さらに本実施形態では、内部遊技状態は同じ「潜確状態」でありながらも、演出に関しては、「通常A」、「通常B」、または「通常C」として管理し、上述した通常遊技状態下の「通常A」〜「通常C」と同じ遊技状態に対応した演出を発生させるこができるようなっている(各遊技状態の移行条件については後述する)。本実施形態において、上記大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能に着目した場合の「内部遊技状態」の種類には、通常遊技状態、潜確状態、および確変状態が含まれ、また演出の決定に着目した場合の「遊技状態(変動パターン選択モード)」の種類には、通常A、通常B、通常C、および確変状態が含まれる。
このように本実施形態では、大当り抽選確率や電サポの有無に着目した遊技状態(内部遊技状態)と、演出の決定に着目した遊技状態とを異なるものとして管理することで、内部遊技状態が同じであっても、複数種類の演出モードを実現させることができるようになっている。これにより、同一の内部遊技状態下における演出のバリエーションを豊富なものとすることができる。なお本明細書中では特に必要のない限り、上記内部遊技状態と演出の決定に着目した場合の上記遊技状態とを同列に扱う。
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選を行うようになっている。この当り種別には、「15R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、および「小当り(小当りA、小当りB、および小当りC)」などの複数種類の当りが含まれる。
これら当りのうち、「15R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態への移行契機となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「15R長開放確変大当り」、「10R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当りとなっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
(4−2−1.15R長開放確変大当りによる当り遊技)
15R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「15R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を15ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。
ラウンド遊技が開始されて大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の15ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の10R長開放確変大当りによる当り遊技、2R短開放潜確大当りによる当り遊技についても同様)。
なお、ラウンド遊技間における上記「ラウンド間インターバル時間」は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。また「開放前インターバル時間」とは、上述の残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技における大入賞口が開放されるまでの時間幅(たとえば、20ms)を指す。この開放前インターバル時間中に大入賞口センサ52aが遊技球を検出しても、その遊技球は無効なものとして扱われるようになっている。
(4−2−2.10R長開放確変大当りによる当り遊技)
10R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「10R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を10ラウンドとする以外は、上述した15R確変大当り遊技の内容と同じある。したがって、この10R確変大当り遊技は、上記15R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる(本実施形態では、5ラウンド分の賞球数差がある)。
(4−2−3.2R短開放潜確大当りによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)では、規定ラウンド数を15ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口50の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。ここで「短開放時間」とは、大入賞口への入賞自体を困難とする時間幅として定めたものである。本実施形態では、発射装置の性能(たとえば単位時間あたりの遊技球の連射速度性能)や大入賞口の形成位置などにより、上記「短開放時間」内に大入賞口閉鎖条件の一つである「最大入賞数」に達することが不可能なようになっている。2R潜確大当り遊技では、大入賞口50が短開放時間しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口50の入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は極めて低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)。
以上のように本実施形態では、大当りの種類に応じて、大当り遊技中の賞球数、換言すれば、遊技者が獲得し得る遊技球数(獲得賞球数)が異なるように構成されている。なお、2R潜確大当り遊技では最大開放時間を上記短開放時間に設定すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口50への入賞がある程度許容されるように、15R確変大当り遊技や10R確変大当り遊技と同じ長開放時間を設定しても良いし、上記最大入賞数に達することは困難または不可能であるが、大入賞口50への入賞球数をある程度確保できるような開放時間(長開放時間よりも短く、短開放時間よりも長い中間的な開放時間:たとえば、5秒)に設定しても良い。また、賞球数を異ならせるために、大当りの種類に応じて、上記最大入賞数をそれぞれ異なる個数に設定しても良い。
(4−2−4.小当り(小当りA〜小当りC)による当り遊技)
小当りA〜小当りCによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、それぞれ大入賞口50の開放が2回行われ、1回あたりの大入賞口50の最大開放時間が2R潜確大当り遊技の最大開放時間に相当する0.1秒に設定され、1回目の大入賞口50の閉鎖後、2回目の大入賞口50開放までのインターバル時間が2R潜確大当り遊技のラウンド間インターバル時間と同じ時間幅が設定される。また小当り遊技における大入賞口50の閉鎖条件に関しては、最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。この点も2R潜確大当り遊技と同じである。つまり、この小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口50の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。
この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口50を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。また小当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、2R潜確大当り遊技中の当り中演出と同一または酷似する演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りに係る動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、2R短開放潜確大当りへの当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態:図4)
次に図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。
(4−3−1.15R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
15R確変大当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行される。この「確変状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動表示動作回数(以下、「特別図柄の変動回数」と略す)が所定回数(本実施形態では、特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数)。以下同じ):たとえば70回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定する(特別図柄が大当りを示す表示態様で停止表示され、大当り遊技の発生が確定した場合。なお、大当りに当選した場合であっても良い。以下同様)まで当該確変状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態が終了して、次ゲームから「通常A(内部遊技状態は通常遊技状態)」に移行されるようになっている。本実施形態のパチンコ機1は、大当り抽選確率が少なくとも高確率となる遊技状態に移行された後、大当り(小当りは除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが所定回数終了した場合、当該高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率に移行させる回数切りの確変機(回数切り確変機(ST機))となっている。以下、必要に応じて、この高確率状態が継続される特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)の上限回数を「規定ST回数」と称する。
(4−3−2.10R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
15R確変大当り遊技後は、その大当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行され、この確変状態となってからの遊技状態遷移は、上述した15R確変大当りの場合と同じである。
(4−3−3.2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R潜確大当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合(内部遊技状態が通常遊技状態または潜確状態であった場合)には「通常C(内部遊技状態は潜確状態)」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。ここでの「通常C」は、先に述べたように、内部遊技状態が通常遊技状態の「通常C」と同じ遊技状態として管理されるが、その実体は、内部遊技状態が潜確状態の「通常C(潜確)」である。
2R潜確大当り遊技終了後の「通常C」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが第1の所定回数(たとえば30回)を終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常C」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常C」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行される。つまり、規定ST回数を前半区間と後半区間とで区切った場合、前半区間は「通常C」下に置かれ、後半区間は「通常A」下に置かれることになる。したがって、この「通常C」から「通常A」へと移行された場合は、内部遊技状態が潜確状態の「通常A」に移行される。
上記潜確状態の「通常A」となった後、前半区間の「通常C」中を含めた特別図柄変動表示ゲームの実行回数が規定ST回数(70回)終了するまでの間か、またはその規定ST回数内で大当り(小当りを含む)が確定するまで「通常A」が継続し、その規定ST回数内で大当り(小当りを含む)が確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、高確率状態が終了となり、次ゲームから通常遊技状態の「通常A」に移行される。つまり、2R潜確大当り遊技終了後に「通常C」となった後、上記規定ST回数(たとえば、70回)以内に大当りに当選しなかった場合は、内部遊技状態が潜確状態の「通常C(特別図柄変動表示ゲームの実行回数30回)」→同状態の「通常A(特別図柄変動表示ゲームの実行回数40回)」(ST規定回数終了)→内部遊技状態が通常遊技状態の「通常A」、といった遊技状態遷移となる。
以上に述べたように、上記の「15R長開放確変大当り」は、第1の大当り遊技に移行させ、当該第1の大当り遊技の終了後に通常遊技状態よりも遊技者に有利な第1の特典遊技状態(本実施形態では、確変状態)に移行させる「第1の大当り」として機能する。また上記の「10R長開放確変大当り」は、上記第1の大当り遊技よりも遊技者に供与する利益が相対的に少なくなるように大入賞口の開閉動作パターンが実行制御される第2の大当り遊技に移行させ、当該第2の大当り遊技の終了後に上記第1の特典遊技状態に移行させる「第2の大当り」として機能する。また上記の「2R短開放潜確大当り」は、上記第1の大当り遊技よりも遊技者に供与する利益が相対的に少なくなるように大入賞口の開閉動作パターンが実行制御される第3の大当り遊技に移行させ、当該第3の大当り遊技の終了後に上記第1の特典遊技状態よりも遊技者に供与する利益が相対的に少ない第2の特典遊技状態(本実施形態では、「潜確状態」)に移行させる「第3の大当り」として機能する。
なお本実施形態では、どの大当りに当選しても「時短状態」が発生しない構成となっているが本発明はこれに限らず、大当り遊技終了後に時短状態を発生させる第4の大当り(時短大当り)をさらに設けても良いし、本実施形態の大当りの一種(たとえば、10R長開放確変大当り)を時短大当りとしても良い。この場合、時短状態の終了条件としては、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば100回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定または当選するまでを条件とすることができる。また本実施形態では、少なくとも高確率状態に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(規定ST回数)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定または当選するまで当該高確率状態が継続するものとして説明した。しかし本発明はこれに限らず、特別図柄変動表示ゲームの実行回数に関係なく、次回の大当りが確定または当選するまで高確率状態を継続させる第5の大当りを設けても良い。
(4−4.小当り遊技終了後の遊技状態)
次に小当り遊技後の遊技状態について説明する。ここで小当り遊技後に関しては、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続されるようになっている。つまり、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。このため、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。しかし本実施形態では、小当り当選に起因した‘内部遊技状態’の移行制御は行わない一方、‘遊技状態’の移行制御は行うようになっている。これにより、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ遊技状態に移行させた場合には、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させることができる。つまり、小当り遊技後であっても2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下の演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。以下、図4を参照しながら、小当りA〜小当りCに当選した場合における各小当り遊技終了後の遊技状態について詳細に説明する。
(4−4−1.小当りAに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りAによる小当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合には「通常B」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。上記「通常B」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが所定回数(たとえば100回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常B」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常B」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行されるようになっている。
(4−4−2.小当りBに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りBによる小当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合には「通常B」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。この小当りBによる「通常C」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが第2の所定回数(たとえば15回)を終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常C」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常C」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行されるようになっている。
(4−4−3.小当りCに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りCによる小当り遊技後は、図示のように、その大当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、大当り当選時の遊技状態「通常A」〜「通常C」であった場合には「通常C」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。この小当りCによる「通常C」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームが第3の所定回数(好ましくは、「上記第2の所定回数<第3の所定回数」および「第1の所定回数=第3の所定回数」の少なくともいずれか一方の関係を満たす回数。本実施形態では、たとえば30回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「通常C」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「通常C」が終了して、次ゲームから「通常A」に移行されるようになっている。したがって、上述の小当りC当選に起因して移行される「通常C」と上記小当りB当選に起因して移行される「通常C」とは同一の遊技状態である。ただし、「通常C」の滞在期間が、特別図柄変動表示ゲーム30回(図中の「通常C(30回)」)で終了するものであるか、15回(図中の「通常C(15回)」)で終了するものであるかという点が異なる。
ここで上述の「通常C」は、2R潜確大当り遊技終了後にも移行し得る遊技状態である。このため、2R短開放潜確大当り当選、小当りB当選、または小当りC当選に起因して「通常C」に移行された場合は、それぞれ「通常C」に対応した演出をなす演出モード(後述の「通常C演出モード」)に滞在することになり、演出上において、内部遊技状態が「潜確状態」であるか否か、つまり大当り当選確率状態が高確率状態であるか低確率状態であるか否かが秘匿される。本実施形態では、通常遊技状態と潜確状態とで特別図柄確変機能の作動状況に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに‘電サポ無し状態’)、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。特に、大当りまたは小当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲーム15回を終了し、次ゲームも「通常C」に対応する演出をなす演出モードに滞在している場合には、小当りC当選か、または2R短開放潜確大当り当選かの限定されるため、「通常C(15回)」よりも「通常C(30回)」の方が高確率状態に突入したかも知れないという期待感がより一層高まる。
なお「通常C」から「通常A」に移行された場合であっても、遊技者に高確率状態の期待感を残すため、「通常C」の継続回数は、規定ST回数よりも少ない回数であることが好ましい。また特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)に応じて、上記「通常C」から「通常A」へ移行させるだけなく、「通常C」に滞在中に特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数終了した後、特別図柄変動表示ゲーム実行毎に、所定の移行抽選を行い、その移行抽選に当選した場合には当該「通常C」から「通常A」へと移行させても良い。たとえば、2R短開放潜伏確変大当りまたは小当りCに当選した場合は第1の所定回数(たとえば30回)終了した後、上記移行抽選を行い、小当りBに当選した場合は第2の所定回数(たとえば15回)終了した後、上記移行抽選を行う。さらに、規定ST回数が終了するまで、上記移行抽選に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、強制的に「通常A」に移行させることが好ましい。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、各遊技状態下に対応する演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、現在の遊技状態に関連した演出をなす演出モードを設け、その演出モード間を行き来可能に構成している。具体的には、「通常A」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常A演出モード」と、「通常B」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常B演出モード」と、「通常C」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常C演出モード」と、「確変状態」滞在中はこれに関連する演出をなす「確変演出モード」とを含む各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。なお上記「通常C」に対応する「通常C演出モード」は、演出上、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とし、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす「秘匿演出モード」としての役割を果たす。
演出制御部24(CPU241)は、演出モードを移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有し、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド(遊技状態指定コマンド)に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、これらの演出モード間を移行制御可能に構成されている。
また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、たとえば「通常A演出モード」下では季節‘春’を連想させる背景演出(たとえば、桜の木の背景画像を表示する背景演出:第1の背景演出)、「通常B演出モード」下では季節‘夏’を連想させる背景演出(たとえば、海の背景画像を表示する背景演出:第2の背景演出)、「通常C演出モード」下では季節‘秋’を連想させる背景演出(たとえば、紅葉の木の背景画像を表示する背景演出:第3の背景演出)、「確変演出モード」下では季節‘冬’を連想させる背景演出(たとえば、雪山の背景画像を表示する背景演出:第4の背景演出)にそれぞれ切り替え制御される。
なお本実施形態の「通常C演出モード」は、内部遊技状態が潜確状態(高確率状態)であるか通常遊技状態(低確率状態)であるかにかかわらず、同じ演出モードであると説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、主制御部20から演出制御部24に対して、内部遊技状態情報を含む演出制御コマンド(たとえば、「変動パターン指定コマンド」、「装飾図柄指定コマンド」、または「遊技状態指定コマンド」)を送信することで、内部遊技状態(特に大当り抽選確率)に応じて、潜確状態(高確率状態)下における「本物の通常C演出モード(第1の秘匿演出モード)」と、通常遊技状態(低確率状態)下における「ガセの通常C演出モード(第2の秘匿演出モード)」とに移行制御可能に構成しても良い。
たとえば、内部遊技状態が「通常遊技状態」中に‘小当りB’または‘小当りC’に当選し、当該通常遊技状態が維持される場合には、「通常C演出モード」のうち上記「ガセの通常C演出モード(低確)」に移行させ、他方、内部遊技状態が「通常遊技状態」中または「潜確状態」中に‘2R短開放潜確大当り’に当選し、潜確状態に移行される場合には、「通常C演出モード」のうち上記「本物の通常C演出モード(高確)」に移行制御可能な構成とすることができる。この場合、演出に関しては、上記「本物の通常C演出モード(高確)」と上記「ガセの通常C演出モード(低確)」の双方の背景演出を同じにて(たとえば、双方ともに、季節‘秋’を連想させる背景演出)、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態としつつ、上記「本物の通常C演出モード(高確)」と上記「ガセの通常C演出モード(低確)」とで、特定の演出の発生確率を異ならせるようにし、高確率状態であるか否かの推測要素を遊技者に与えることができるようになる(たとえば、上記「ガセの通常C演出モード」よりも「本物の通常C演出モード」の方が特定の演出(潜確状態の可能性がある旨を示唆、暗示させる潜確期待演出)の発生確率を高める)これにより、現在の内部遊技状態が潜確状態であるか否かの潜確期待感を遊技者に与え、遊技の面白みをより一層向上させることができる。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。図柄変動表示ゲーム中には、上述した演出モードに関連した様々な予告演出が発生させることができるようになっている。斯様な予告演出は、遊技者の大当り当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。「煽り演出」の代表的なものとして、「リーチ演出」が挙げられる。この「リーチ演出」とは、いわゆる「リーチ状態」を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終結果を導出するような演出態様をいう。上記「リーチ演出」は、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、特定のリーチ状態が出現すると、通常のリーチ状態(‘ノーマルリーチ(Nリーチ)’)が出現した場合に比べて、大当り当選期待度が相対的に高まるものがある。このような特定のリーチ状態を伴うリーチ演出を、‘スーパーリーチ(SPリーチ)’という。SPリーチの多くは、大当り当選期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。本実施形態のリーチ演出には、次のような複数種類のリーチ演出が設けられている。まずリーチ演出を大別すると、「通常A」または「通常B」専用の「Nリーチ、弱SPリーチA、弱SPリーチB、強SPリーチA、および強SPリーチB」種別や、「通常C」専用の「特殊リーチ」種別や、「確変状態」専用の「確変中リーチ」種別などが設けられている。これらのリーチ演出種別は、1または複数種類のリーチ有り変動パターンを含む。たとえば「弱SPリーチ」種別には‘弱SPリーチ1〜3’が、「強SPリーチ種別」には‘強SPリーチ1〜3’が、「特殊リーチ」種別には‘特殊リーチ1〜3’が、「確変中リーチ」種別には‘確変中リーチ1〜3’が含まれる。
なお、パチンコ遊技機1による各種の演出は、遊技機に配設された演出手段(所定の電気電子部品)により現出される。上記演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることができる刺激伝達手段であれば、いずれも本発明における演出手段として採用することができる。装飾ランプ45やLED装置、スピーカ46、液晶表示装置36などの光発生手段、音響発生装置、演出表示装置、ないし操作者の体に振動を伝える加振装置、あるいは視覚的演出効果がある可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<主制御部側の処理:図5〜図17>
次に図5〜図17を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図5)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図6)とを含んで構成される。
<6.主制御側メイン処理:図5>
図5は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図5に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次いで、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップS012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次いで、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」が初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数1カウンタ、変動パターン用乱数2カウンタなどが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数1カウンタ、変動パターン用乱数2カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数1カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数1の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH(‘**H’は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を実行する。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<7.主制御側タイマ割込処理:図6>
次に図6を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図6は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜上、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図6において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板31からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において入賞を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。また上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、大入賞口50大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなどが設けられている。またこの入力管理処理では、入賞検出スイッチからの検出情報が入賞を許容すべき期間中に入賞したか否かに基づいて、不正入賞があったか否かも監視される。たとえば、可動翼片47が作動中でないにもかかわらず下始動口センサ35aが遊技球を検出したり、大当り遊技中でないにもかかわらず大入賞口センサ52aが遊技球を検出したりした場合は、これを不正入賞とみなして入賞検出情報を無効化し、その無効化した旨を外部に報知するべく後述のエラー管理処理(ステップS055)において所定のエラー処理が行われるようになっている。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理では、遊技動作状態の異常として、たとえば、基板間に断線が生じたか否かを監視したり、不正入賞があったか否かを監視したりして、これらの動作異常(エラー)が発生した場合には、そのエラーに対応した所定のエラー処理を行う。エラー処理としては、たとえば、所定の遊技動作(たとえば、遊技球の払い出し動作や遊技球の発射動作など)の進行を停止させたり、エラー報知用コマンドを演出制御部24に送信して、これにより演出制御部24が、演出手段に対し上記エラーが発生した旨を報知させたりする。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数)が払い出されるようになっている。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。なお普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御される。なお普通電動役物管理処理は、補助当り制御手段として機能する。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図7にて後述する。
次に、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図12にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態(本実施形態では、確変状態)である場合、右打ち指示情報を報せる「発射位置誘導演出(右打ち報知演出)」を現出させるための処理を行う。ここでの右打ち指示情報は、たとえば、普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報であり、具体的には、発射位置として右流下経路3cを狙う旨を指示する情報である。この右打ち情報が報知されるケースとしては、電サポ有り状態下において遊技者が誤って発射位置を左流下経路3b側に狙いを定めていると推定されるケースで、上記電サポ有り状態下において、上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合などが挙げられる。このような場合、この右打ち報知情報管理処理において、演出制御コマンドとして、上記発射位置誘導演出の実行指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24では、上記発射位置誘導演出を現出制御する構成となっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39aや特別図柄表示装置38a,38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図7のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。上記動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、図柄変動表示ゲームが実行された旨(特別図柄変動表示ゲームの開始または終了した旨)、入賞情報(始動口や大入賞口に入賞した旨や賞球数情報)などの情報が含まれる。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力処理を行う。これにより、可動翼片47や開放扉52bが所定のパターンで動作し、下始動口35や大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(8.特別図柄管理処理:図7)
次に、図6中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図7は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図7において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお、上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306)、特別図柄変動中処理(ステップS307)、および特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細は、後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図6のLED管理処理(ステップS062)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図6のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−1.特図1始動口チェック処理、特図2始動口チェック処理:図8)
まず、特図1始動口チェック処理(図7のステップS301)について説明する。図8は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などが行われる。
なお特図2始動口チェック処理(ステップS302)は、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、および保留加算コマンドの作成処理などが行われ、特図1始動口チェック処理と基本的に同じ処理手順を踏む。本明細書中では、重複記載を避けるために、特図1始動口チェック処理についてのみ説明し、特図2始動口チェック処理(ステップS302)についての説明は省略する。
図8において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS325の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、変動パターン用乱数2の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))が設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、RAM203に設けられた各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得されるようになっている。また大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数値をカウントするための大当り判定用乱数カウンタ:図示せず)から取得される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ34aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。
次いで、保留加算コマンドを作成し、これを演出制御部24に送信する(ステップS315:保留加算コマンド送信処理)。この保留加算コマンドは、保留球数情報が含まれる。本実施形態では、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。なおCPU201は、作成した上記「保留加算コマンド」をRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する。
保留加算コマンドをRAM203に格納しない理由は次の通りである。上記保留加算コマンドが主制御部20から演出制御部24に送られた後は、演出制御部24側において、演出手段(たとえば、液晶表示装置36)に対して、専ら今回の作動保留球数情報の報知や、入賞があった旨を示す入賞演出(たとえば、始動口に入賞した旨を示す音演出や光演出)を現出を際に利用され、その後、特に利用されるものではない。したがって、保留加算コマンドをRAM203に格納せずに、始動口チェック処理(ステップS301、S302)を抜けても特に問題はない。本実施形態では、保留加算コマンドをRAM203に格納することなく、上記始動口チェック処理を終えるといった処理を採用することで、ROMやRAMのメモリ容量を削減し、制御負担を軽減させることを可能にしている。
(8−3.特別図柄変動開始処理:図9)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図9は、図7のステップS306の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を行う。しかし特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。ステップS401とS402の処理は、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる「優先変動手段」として機能する。
なお特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中でかつ保留記憶なしの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS419)。演出制御部24は、このデモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンドや変動パターン指定コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなし、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NOまたはS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S417)を行っていく。なお、以下に説明するステップS403〜S417の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかという区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報が含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS407)。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS407の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、残り時短回数コマンド送信処理を行う(ステップS408)。ここでは、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」は、演出制御部24側において、残りの時短回数情報を報知する際に利用される。
次いで、特別電役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、特図1用当り乱数判定テーブル(図示せず)か、または特図2用当り乱数判定テーブル(図示せず)を取得し、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得するし、大当り、小当り、およびハズレの別の抽選を行う。この当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)、低確率状態(低確))と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)に応じて当落種別(大当りか小当りかハズレの別)を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当りか小当りかハズレかの別が決定されるようになっている。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合(大当り判定用乱数値が同じ値)であっても、現在の大当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「大当り」、他方では「ハズレ」となるといったように、当落種別が異なる場合がある。本実施形態の大当り当選確率は、低確率状態では約1/397で、高確率状態ではそれよりも10倍程度上昇した約1/39.7で、大当りに当選するようになっており、小当りの当選確率は、大当りの当選確率よりも低い、約1/585となっている。しかし本発明はこれに限らず、小当りと大当りとの当選確率の同一またはそれよりも高く定めても良い。
この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH」に設定され、大当り判定フラグが「5AH」となる判定値以外は、「大当り非当選」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH」となり、それ以外の判定値に属する場合には、「小当り非当選」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ’となる。なお本実施形態では、特別図柄変動表示ゲーム2による当落抽選(特図1作動保留球を対象とした当落抽選)では、小当り当選となる判定値自体が存在していない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りとハズレだけが当落抽選対象とされる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、小当りを当落抽選対象として定めても良い。なお、特図2用当り乱数判定テーブルにおける大当りの当選確率は、特図1用当り乱数判定テーブルと同じ当選確率となっている。
ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。ここではまず、まず判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、次いで、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、つまり大当り判定フラグと小当り判定フラグとを取得する。そして、特別図柄作動確認データに基づき、特図1用図柄テーブル(図示せず)か、または特図2用図柄テーブル(図示せず)を取得する。上記の図柄テーブルには、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、当り(当選)種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、当り種別を識別するための特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号などが決定されるようになっている。
上記「特別図柄判定データ」とは当り種別、つまり2R短開放潜確大当り、10R長開放確変大当り、15R長開放確変大当り、小当りA〜C、ハズレA〜Cのいずれかに当選した旨を識別するためのデータである。具体的には、大当りである場合において(大当り判定フラグ=5AH、小当り判定フラグ=00Hの場合)、特別図柄判定データが「01H」の場合は‘2R短開放潜確大当り’、「02H」の場合は‘10R長開放確変大当り’、「03H」の場合は‘15R長開放確変大当り’である旨を示す。また、小当りである場合において(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=5AHの場合)、特別図柄判定データが「01H」の場合は‘小当りA’、「02H」の場合は‘小当りB’、「03H」の場合は‘小当りC’である旨を示す。なおハズレである場合においては(大当り判定フラグ=00H、小当り判定フラグ=00Hの場合)、特別図柄判定データが「00H」の場合は‘ハズレA〜C’である旨を示す。この特別図柄判定データは、遊技状態移行制御に関する処理(たとえば、図9のステップS411の遊技状態移行準備処理)や、大当り遊技に関する処理(たとえば、特別電動役物処理(ステップS060))において利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。
上記図柄テーブルには、たとえば、当落抽選結果が大当り当選である場合において、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜119の範囲に属する場合には「2R短開放潜確大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):120/200)、判定値120〜179の範囲に属する場合には「10R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:60/200)、判定値180〜199の範囲に属する場合には「15R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:20/200)、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが(具体的には、当り種別に対応する特別図柄判定データとこれに対応する特別停止図柄番号)、所定の図柄選択率で決定されるようになっている。なお、当落抽選結果が小当り当選である場合も同様に、小当り種別(小当りA〜C)が図柄選択率で決定されるようになっており、また当落抽選結果がハズレ当選も同様に、ハズレ種別(ハズレA〜C)が所定の図柄選択率で決定されるようになっている。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。ここでは、大当りである場合、大当り用遊技状態移行テーブル(図示せず)に基づき、大当り遊技後に移行される遊技状態を指定するためのデータを所定のバッファ領域(移行状態バッファ領域)に設定する。
上記大当り用遊技状態移行テーブルには、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要なデータ群が定められている。具体的には、上記大当り用遊技状態移行テーブルには、後述の、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種のデータが定められている。これらのバッファに格納された値は、大当り遊技の終了時(後述するステップS060の特別電動役物管理処理中の大当り終了処理:図12、図17参照)に読み出され、RAM203に設けられた所定のフラグ記憶領域や所定のカウンタ記憶領域(遊技状態を指定するための、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、変動パターン振分指定番号、および特別図柄変動回数カウンタ)に設定されて、大当り遊技後に移行される遊技状態が定まるようになっている。本実施形態では、大当り遊技後の内部遊技状態については、15Rまたは10R長開放確変大当りの場合には、当選時の内部遊技状態が通常遊技状態または潜確状態であれば「確変状態」に、2R短開放潜確大当りの場合には、当選時の内部遊技状態が通常遊技状態または潜確状態あれば「潜確状態」に移行されるようにになっており、遊技状態(通常A〜C、確変状態)については、図4に示すように、各大当り種別に応じた遊技状態に移行されるようになっている。以下に、上述の各種バッファと各種フラグの役割について説明しておく。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(普通図柄確変移行状態バッファ)
「普通図柄確変移行状態バッファ」は、普通図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄確変状態フラグ」とは、補助当り抽選確率状態、つまり普通図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄確変機能作動中の「補助当り確変状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄確変機能非作動の「補助当り低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄確変移行状態バッファ)
「特別図柄確変移行状態バッファ」は、特別図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄確変状態フラグ」とは、特別図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄確変機能作動中の「高確率状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄確変機能非作動の「低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短回数カウンタバッファ)
「特別図柄時短回数カウンタバッファ」は、特別図柄時短回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄時短回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図11BのステップS481参照)。
(特別図柄確変回数カウンタバッファ)
「特別図柄確変回数カウンタバッファ」は、特別図柄確変回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄確変回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄確変機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「高確率状態」が終了するまでの残り回数(残りST回数(本実施形態では、70回))を計数するためのカウンタである。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。この「変動パターン振分指定番号(Tcode)」とは、現在の遊技状態を識別するデータであり、遊技状態に応じた特別図柄の変動パターンを選択する際の条件を定める‘変動パターン選択モード’として働く。たとえば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が「00H」の場合は「通常A」を示し、「01H」の場合は「通常B」を示し、「02H」の場合は「通常C」を示し、「03H」の場合は「確変状態(確変)」を示す。本実施形態では、この変動パターン振分指定番号(Tcode)に関連する複数種類の特別図柄の変動パターンが設けてあり、当該変動パターンは、この変動パターン振分指定番号(Tcode)と、上記変動パターン用乱数値1、2とにより、複数種類の特別図柄の変動パターンから択一的に決定されるようになっている(詳細は後述する)。上記変動パターン振分指定番号(Tcode)は、内部遊技状態が変化あった場合ではなく、遊技状態に変化があった場合に変更される。つまり変動パターン振分指定番号(Tcode)は、確変状態、通常A、通常B、または通常Cのいずれであるか、といった現在の「遊技状態」種を識別するデータである。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、RAM203の変動パターン振分指定番号格納領域に設定される。なお内部遊技状態を識別するデータとして、本実施形態では、遊技状態判定番号(YJ)を設けてある。この「遊技状態判定番号(YJ)」は、「通常遊技状態(電サポ無し状態、低確)」、「潜確状態(電サポ無し状態、高確)」または「確変状態(電サポ有り状態、高確)」のいずれであるか、といった現在の「内部遊技状態」種を識別するデータであり、変動パターン振分指定番号(Tcode)とは区別される。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄変動回数カウンタ」とは、遊技状態移行条件となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)を計数するためのカウンタである。本実施形態では、たとえば、「小当りC」や「2R短開放潜伏確変大当り」に当選した場合、「通常C」から「通常A」の遊技状態移行条件として、遊技状態移行規定回数の30回が設定される。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果、変動パターン用乱数1、および変動パターン用乱数2を利用し、今回の変動表示動作に供されることとなる特別図柄の変動パターン(特別図柄の変動時間(変動表示動作時間)を含む)を決定するとともに、演出制御コマンドとして、その変動パターンに対応する変動パターン指定コマンドを作成する。
変動パターンの決定は、次のような階層的な処理により変動パターンを決定する。第1階層目の処理として、CPU201は、まず変動パターン振分指定番号(現在の遊技状態(通常A〜通常C、確変状態))と、大当り抽選結果とに関連付けられた複数種類の基本パターンのうちから、変動パターン用乱数値1(乱数の大きさ:238)を利用した抽選処理により、いずれかの「基本パターン」を決定する。この「基本パターン」とは、複数種類の変動パターンをその変動態様の特徴に着目して、同じ系統の変動パターンを纏めてグループ化した‘変動パターン種別(たとえば、同系統の変動パターンとして、弱SPリーチ1〜3指定の各変動パターンが属する「弱SPリーチ」種別や、強SPリーチ1〜3指定の各変動パターンが属する「強SPリーチ」種別など)’を指す。次いで、第2階層目の処理として、変動パターン用乱数値2を用いた抽選処理により、基本パターンの具体的内容である「詳細パターン」を決定する。この「詳細パターン」とは、上記基本パターン(変動パターン種別)に含まれる‘変動パターンの種類’(たとえば、「弱SPリーチ1〜3」や、「弱SPリーチ1〜3」などの個々の変動パターン)を指す。本実施形態では、第1階層、第2階層といった階層構造を有して第1階層から順番に実行される階層的な処理を利用し、複数種類の変動パターン用乱数値を順次判定していくことにより、目的とする変動パターン(変動開始時の変動パターン)が決定されるようになっている。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、主に、当り・ハズレの別の当落抽選結果(詳細な図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)、現在の遊技状態種別、変動時間、リーチ演出種(Nリーチ、弱SPリーチ、および強SPリーチの種類)指定情報、および疑似連回数の指定情報が含まれる。
CPU201は、その内容を特定可能とする2バイト構成の「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。この変動パターン指定コマンドが演出制御部24に送られると、これに続き、後述の装飾図柄指定コマンドが送信されるようになっている(ステップS415参照)。これらコマンド受けた演出制御部24は、そのコマンドに含まれる情報に基づき、今回の図柄変動表示ゲーム中の展開する演出(リーチ図柄や最終的に停止表示する停止装飾図柄態様を含む演出シナリオ)を決定し、その演出に基づく演出制御処理を行う。かくして、図柄変動表示ゲーム中の装飾図柄の変動表示動作とこれに付随して発生する各種の演出が実現される。
ステップS412の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、当選種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別情報と大当り抽選結果情報(図柄抽選結果情報)とが含まれる。この装飾図柄指定コマンドは、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せを決定する際に利用される。
そして、特別図柄の変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。この特別図柄の変動開始時設定処理は後述するデータセット処理(図19)により行う。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図7の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、図6の特別図柄管理処理(ステップS059)を抜けて、次の特別電動役物管理処理(ステップS060)に進む。
(8−2.特別図柄変動中処理:図10)
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。図10は、図7の特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図10において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24側では、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、特別図柄の変動停止時設定処理として、後述するデータセット処理(図19)により、RAM203の特別図柄確定タイマに、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
ステップS453の処理を終えると、この特別図柄変動中処理を抜けて、図7のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図6のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−3.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図11Aおよび図11B)
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図11Aおよび図11Bは、図9の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図11Aおよび図11Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(図10のステップS453参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常A指定)を格納し、複合表示装置38cがその機能を担う遊技状態報知LEDの点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。上記「遊技状態報知LED」とは、現在の遊技状態情報の一部または全部を報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LED(状態報知手段)は、特別図柄時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、遊技状態報知LED(状態報知手段)の報知態様を変化させる。たとえば、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合、現在、特別図柄時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非特別図柄時短状態報知)、「01H」の場合には、現在、特別図柄時短状態である旨が報知される(遊技状態報知LED:点灯状態(特別図柄時短状態報知)。この大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)は、図21のゼロセット処理により、図27(b)の条件装置作動開始設定テーブル1および図27(c)の条件装置作動開始設定テーブル2を用いて行う。この詳細は後述する。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、ステップS478の処理に進む。
小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、後述するデータセット処理(図19)により、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。なお、この小当り遊技開始前処理(ステップS477)は、図27(b)(c)のように分けて、図19のデータセット処理と図21のゼロセット処理により行ってもよい。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでステップS483の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数の70回に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数の70回に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、図21のゼロセット処理により、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了情報(電サポ無し状態移行情報)を含む「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。この「時短終了コマンド」は、現在の遊技状態を指定したり、遊技状態が移行される旨を知らせる「遊技状態指定コマンド」の一種であり、このコマンドにより演出制御部24は、次ゲームから電サポ無し状態となる旨を把握する。なお本実施形態では、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合は、確変状態から通常Aに移行することと同じであるので、演出制御部24がこの「時短終了コマンド」を受けると、たとえば、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常A演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替えて当該演出モード下での演出制御処理を行ったり、発射位置として左流下経路3bを狙う旨を指示する「発射位置誘導演出(左打ち報知演出)」を現出させるための演出制御処理を行ったりすることができる。
次いでステップS483の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。
特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、ステップS487の処理に進む。
特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST規定回数(70回)に達していないので、何もせずにステップS487の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、特別図柄の変動回数がST規定回数の70回に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS486)。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、図21のゼロセット処理により、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。なお潜確状態の場合には、特別図柄時短回数カウンタがゼロに設定されるので(図9のステップS411の遊技状態移行準備処理)、この確変終了時の設定処理において潜確状態の終了タイミングが管理されている。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、ステップS487の処理に進み、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(「通常B」移行時:遊技状態移行規定回数100回、「通常C」移行時:15回または30回)がゼロであるか否かを判定する(ステップS487)。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS487:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS487:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS488)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS489)。
上記減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS489:NO)、遊技状態移行規定回数に達していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、上記減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、「通常A」への移行設定処理を行う(ステップS490)。ここでは、「通常A」への移行設定処理として、図19のデータセット処理または図21のゼロセット処理により、変動パターン振分指定番号(Tcode)に「00H(通常A指定)」を格納する。これにより、特別図柄の変動パターンの選択条件が変更されることになる。このステップS490処理は、所定の選択変更条件の成立に基づき、特別図柄の変動パターンの選択条件を切替制御するための選択条件切替手段として働く。これにより、次回以降の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常A」が継続する限り、「通常A」下における変動パターンが選択される。
次いで、演出制御コマンドとして、「通常A」移行情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この「遊技状態指定コマンド」により演出制御部24側は、今回のゲームで「通常B」または「通常C」が終了し、次ゲームから「通常A」となる旨を把握する。これにより、演出制御部24は、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常A演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替え、当該演出モード下での演出制御処理を行う。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図7のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図6のステップ60の特別電動役物管理処理に進む。
(9.特別電動役物管理処理:図12)
次に、図6中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図12は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置52の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別変動入賞装置52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「開始処理中(00H)」「作動開始処理中(01H)」「継続判定中(03H)」「終了処理中(04H)」のいずれのステータス値であるに応じて、それぞれに対応する処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置52の動作が制御される。ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
以下に、図12〜図17を参照しながら、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り遊技制御処理(ステップS504)について詳細に説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
(9−1.大当り開始処理:図13)
まず、大当り開始処理(図12のステップS505)について説明する。図13は、大当り開始処理の詳細を示すフローチャートである。
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合は、まず最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。
図13において、CPU201は、まず大当り遊技を開始する際に必要な大当り開始時の設定処理を行う(ステップS511:大当り開始時の設定処理)。ここでは、大当り開始時の設定処理として、図19のデータセット処理により、図20の役物連続作動装置開始設定テーブル(テーブル名:D_TD0SET)を用いて、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数、つまり現在のラウンド数を記憶するためのカウンタである。ここでの連続回数カウンタは「01H」であるので、現在のラウンド数は1R目を示す。
次いで、大当り開始設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS512)、その大当り開始設定テーブルを参照して、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて、最大ラウンド数(規定ラウンド数)、ラウンド表示LED番号をそれぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに開始インターバル時間を格納する(ステップS513:特別図柄判定データ別設定処理)。この特別図柄判定データ別設定処理も図19のデータセット処理により行う。
上記大当り開始設定テーブルには、特別図柄判定データ(ここでは大当り種別)と、「最大ラウンド数(規定ラウンド数)、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED番号」とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データに応じて「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED番号」が決定されるようになっている。
上記「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間(図10のステップS453参照)が経過して大当りが確定した後、特別変動入賞装置52が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出が行われる区間を定めた時間幅(1回目のラウンド遊技が行われる前の初回演出時間)を指す。たとえば、「2R短開放潜確大当り」の場合には、開始インターバル時間‘1000ms’が「10R長開放確変大当り」の場合には、開始インターバル時間‘10000ms’が、「15R長開放確変大当り」の場合には、開始インターバル時間‘10000ms’が設定される。
また上記「ラウンド表示LED番号」とは、ラウンド数表示装置39b(ラウンド数表示手段)の報知態様を指定するデータであり、CPU201は、ラウンド表示LED番号に対応した表示態様で、ラウンド数表示装置39bのLEDを点灯/消灯させる。これにより今回の大当り遊技の最大ラウンド数(規定ラウンド数)が、ラウンド数表示装置39bにより報知される。
上記ステップS513の処理を終えると、オープニング演出の開始を指示する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS514)。なお「大当り開始コマンド」には、今回の大当り種別情報と大当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出態様(オープニング演出、ラウンド演出、ラウンド終了演出、エンディング演出などを含む一連の当り中演出シナリオ)を決定する際に利用される。
以上により、この大当り開始処理を抜けると、図6ステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−2.特別電動役物作動開始処理:図14)
次に、特別電動役物作動開始処理(図12のステップS506)について説明する。図14は、特別電動役物作動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS521)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、図13のステップS513で設定される「開始インターバル時間」が監視されるが、2R目以降でこのステップS521を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の図16のステップS575参照)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS521:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンドの場合は、開始インターバル時間)が経過したならば(ステップS521:YES)、大入賞口開放開始動作に伴い、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS522)。この「大入賞口開放コマンド」は、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。
次いで、大入賞口動作時間設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS523)、大入賞口開放動作時間設定処理を行う(ステップS524)。この大入賞口開放動作時間設定処理では、大入賞口開放動作時間設定テーブル(図示せず)を参照して、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに対応する大入賞口開放動作時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。この大入賞口開放動作時間設定処理も図19のデータセット処理により行う。
上記大入賞口動作時間設定テーブルには、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに関連付けられた大入賞口開放動作時間が定められており、具体的には、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに対応する大入賞口開放動作時間が決定されるようになっている。本実施形態の大入賞口開放動作時間は、10R長開放確変大当りと15R長開放確変大当りとの場合には、初期値として長開放時間に相当する29800msが、2R短開放潜確大当りの場合には、初期値として短開放時間に相当する100msが、特別図柄役物動作タイマに設定される。これにより、大入賞口の最大開放時間が定まる。なお本実施形態では、10R長開放確変大当りの場合は1R〜10Rまで長開放時間に相当する29800msが、15R長開放確変大当りの場合は1R〜15Rまで長開放時間に相当する29800msが、2R短開放潜確大当りの場合には1R〜2Rまで短開放時間に相当する100msが設定される。
次いで、大入賞口入賞数カウンタに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS525)。上記「大入賞口入賞数カウンタ」とは、大入賞口50の入賞球数を計数(記憶)するためのRAM203に設けられたカウンタ領域である。
次いで、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS526)。この大入賞口開閉動作設定処理では、大当り種別に応じた大入賞口50の開閉動作制御に必要な設定処理を行う。具体的には、ステップS524の大入賞口開放動作時間設定処理で設定された開放時間分、大入賞口50を開放するために必要な大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データを作成し、RAM203のソレノイド管理領域に設定する。なおここで設定されたデータは、図6のソレノイド管理処理(ステップS064)中で確認され、ソレノイド管理処理にて、設定されたソレノイド制御データに基づくソレノイド用の励磁信号が大入賞口ソレノイド52cに対し出力される。これにより開放扉52bが作動し大入賞口50が開放されるようになっている。
ステップS526の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納する)(ステップS527)。
以上により、この特別電動役物作動開始処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜け、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3.特別電動役物作動中処理:図15)
次に、特別電動役物作動中処理(図12のステップS507)について説明する。図15は、特別電動役物作動中処理の詳細を示すフローチャートである。
図15において、CPU201は、まず大入賞口最大入賞数確認処理を行う(ステップS551)。この大入賞口最大入賞数確認処理では、大入賞口50への入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認する。大入賞口50への入賞球数が最大入賞数に達した場合は、特別図柄役物動作タイマをゼロクリア、つまり大入賞口開放動作時間を強制的にゼロにする。これにより、大入賞口50の最大開放時間が経過していない場合であっても、入賞球数が最大入賞数に達した場合は、大入賞口50が閉鎖される。
ステップS551の大入賞口最大入賞数確認処理を終えると、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS552)。ここでの大入賞口開閉動作設定処理は、基本的には、図14の特別電動役物作動開始処理中の大入賞口開閉動作設定処理(ステップS526)の仕方と同じである。なおステップS552を通過するときには、特別図柄役物動作タイマ(ステップS524の大入賞口開放動作時間設定処理で設定された開放時間)が監視され、当該特別図柄役物動作タイマがゼロになった場合、大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力を停止するためのソレノイド制御データを作成する。これにより、ステップS524で設定された開放時間が経過した場合か、または大入賞口最大入賞数確認処理にて入賞球数が最大入賞数に達して特別図柄役物動作タイマがゼロクリアされた場合には、大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力が停止され、これにより、大入賞口50が閉鎖されるようになっている。
次いで、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS553)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記大入賞口開放動作時間が設定されているので、ステップS533の判定処理では、大入賞口動作時間が経過したか否か(大入賞口動作時間がゼロであるか否か)が判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS553:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(大入賞口開放動作時間経過)になったならば(ステップS553:YES)、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS554)。この「ラウンド終了コマンド」は、今回の大当り種別情報、ラウンド遊技終了情報(ラウンド終了演出の開始指示情報)、および現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド遊技間のインターバル時間中における「ラウンド終了演出」を現出する際に利用される。
次いで、ラウンド遊技が終了した際の各種設定処理を行う(ステップS555)。ここでは、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納する。このラウンド遊技終了時の各種設定処理も図19のデータセット処理により行う。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される残存球排出時間がすべて同じ時間幅(1980ms)となっているがこれに限られない。上記残存球排出時間は、大入賞口の閉鎖後の大入賞口内の残存球を排出するための余裕時間として定めたものであることから、大入賞口の内部構造(たとえば、大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまでの最大経路長)を考慮して、大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまで(または大入賞口内から遊技球が外部に排出されるまで)に要する最大時間を見込んだ時間幅が設定される。しかし、ラウンド遊技が複数種類の動作態様に制御される場合にあっては、それぞれの動作態様に着目して異なる残存球排出時間が設定されるように構成しても良い。たとえば、短開放時間に係るラウンド遊技中は大入賞口への入賞率が相対的に低い点に着目し、開閉扉52bによる遊技球の玉噛み頻度や大入賞口内において多数の遊技球による混雑が予想されないことから、長開放時間に係るラウンド遊技中よりも相対的に短い時間幅の残存球排出時間としても良い。
以上により、この特別電動役物作動中処理を抜けると、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理:図16)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(図12のステップS508)について説明する。図16は、特別電動役物作動継続判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS571)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の残存球排出時間が設定されているので(図15のステップS557参照)、ステップS571の判定処理では、残存球排出時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS571:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)ならば(ステップS571:YES)、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数の最大ラウンド数に達したか否かを判定する(ステップS572)。
最大ラウンド数に達していない場合には(ステップS572:NO)、ラウンド遊技継続時の処理として、後述のステップS573〜S576の処理(ラウンド継続処理)を行う。しかし最大ラウンド数に達した場合には(ステップS572:YES)、ラウンド遊技継続終了時の処理として、ステップS577〜S582の処理(ラウンド継続終了処理)を行う。
(9−4−1.ラウンド継続処理:ステップS573〜S576)
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達していない場合(ステップS572:NO)、ステップS573〜S576の処理ルートに入る。
まずステップS573の処理では、連続回数カウンタに1加算(+1)する(ステップS573)。
次いで、特別電動役物終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS574)、この特別電動役物終了インターバル設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに対応する「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS575)。
上記特別電動役物終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データと連続回数カウンタとに関連付けられた開放前インターバル時間が定められおり、具体的には、特別図柄判定データ(今回の大当り種別)と連続回数カウンタの現在値(ステップS573の加算処理後の連続回数カウンタ値)とに対応する開放前インターバル時間が決定されるようになっている。なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間がすべて同じ時間幅(20ms)となっている。しかし本発明はこれに限らず、一のラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間と他のラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間が異なっていても良い。
また開放前インターバル時間中は、後述のステップS576の処理において特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。この「特別電動役物作動フラグ」とは、特別変動入賞装置52が作動中か否かを確認するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置52が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、特別変動入賞装置52が未作動中である旨を示す。なおラウンド遊技間において特別電動役物作動フラグがON状態(=5AH)となる期間、つまり特別変動入賞装置が作動中とされる期間は、大入賞口が開放してからその大入賞口が閉鎖された後、残存球排出時間(第1の所定時間:1980ms)が経過するまでの期間となっている。他方、ラウンド遊技間において特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)となる期間、つまり特別変動入賞装置が未作動中とされる期間は、上述の残存球排出時間(1980ms)が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでのインターバル時間(開放前インターバル時間(第2の所定時間):20ms)中の期間となっている。このインターバル時間は、遊技球が実際に入賞口に入球して入賞検出スイッチのON信号が出力された場合、その出力時間(信号継続期間)は、入賞球の転動時間に長短があるものの最長で20ms程度であることを考慮したものである。上記開放前インターバル時間内は、特別変動入賞装置52が未作動中となることから、この間は、大入賞口50への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間(大当り中不正入賞監視期間)となる。
図16の説明に戻り、ステップS575の処理を終えると、ラウンド継続時の各種設定処理を行う(ステップS576)。ここでは、今回のラウンド遊技が終了して次回のラウンド遊技を開始させるため設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)。このラウンド継続時の各種設定処理は、図27(b)(c)のように分けて、図19のデータセット処理により行う。しかし、図27(b)(c)のように分けて、図19のデータセット処理と図21のゼロセット処理により行ってもよい。
以上のステップS573〜S576(ラウンド継続処理)を終えると、特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−4−2.ラウンド継続終了処理:ステップS577〜S580)
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合(ステップS572:YES)、ステップS577〜S580の処理ルートに入る。
まずステップS577の処理では、役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS577)、この役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに対応する「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS578)。
上記役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データ(大当り種別)と終了インターバル時間とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データに応じて終了インターバル時間が決定されるようになっている。本実施形態では、上記終了インターバル時間として、「2R短開放潜確大当り(特別図柄判定データ:01H)」の場合には‘5000ms’が、「10R長開放確変大当り(特別図柄判定データ:02H)」の場合には‘6000ms’が、「15R長開放確変大当り(特別図柄判定データ「03H」)」の場合には‘10000ms’が設定されるようになっている。
なお上記「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。この「終了インターバル時間」中は、後述のステップS579の処理において特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。したがって、終了インターバル時間内は、開放前インターバル時間内と同じく、大入賞口への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間となる。
ステップS578の処理を終えると、ラウンド継続終了時の各種設定処理を行う(ステップS579)。ここでは、最大ラウンド到達時の設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。このラウンド継続終了時の各種設定処理も図19のデータセット処理により行う。しかし、図27(b)(c)のように分けて、図19のデータセット処理と図21のゼロセット処理により行ってもよい。
次いで、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS580)。なお「大当り終了コマンド」には、今回の大当り種別情報と大当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この「大当り終了コマンド」は、遊技状態指定コマンドとしての役割も担っている。演出制御部24は、大当り終了コマンドに含まれる情報に基づき、演出モードを決定することで、大当り終了後の遊技状態と、その遊技状態に係る演出モードとの整合性を取ることができるようになっている。
以上により、この特別電動役物作動継続判定処理を抜けると、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−5.大当り終了処理:図17)
次に、大当り終了処理(図12のステップS509)について説明する。図17は、大当り終了処理の詳細を示すフローチャートである。
図17において、CPU201は、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS591)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、ステップS591の判定処理では、終了インターバル時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、大当り終了時の各種設定の一環として、各移行状態バッファの値を各状態フラグに格納する(ステップS592)。具体的には、図9の特別図柄変動開始処理中のステップS411の遊技状態移行準備処理で設定した移行状態バッファの各々の値を、遊技状態を指定するための、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、変動パターン振分指定番号、および特別図柄変動回数カウンタにそれぞれ格納する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が特定される。
続いて、大当り終了時の各種設定処理を行う(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、条件装置作動フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、連続回数カウンタ、最大ラウンド数、普通電役物開放延長状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特図確変移行状態バッファ、特図時短回数カウンタバッファ、特図確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、特図変動回数カウンタバッファ、ラウンド表示LED番号、および遊技状態判定番号(YJ)をそれぞれクリア(00Hを格納)し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。この大当り終了時の各種設定処理は、図21のゼロセット処理により、図22の役物連続作動装置終了設定テーブルを用いて行う。この詳細は後述する。
次いで、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行い(ステップS594)。ここでの処理は、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)かOFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合、遊技状態報知LEDを点灯させるデータを格納する。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<小当り遊技制御処理>
(9−6.小当り処理)
次に、図12のステップS504の小当り処理について説明する。この小当り処理では、小当り遊技動作に必要な設定処理が行われる。この小当り処理では、小当り遊技の進行状況に応じて、主として、一連の当り遊技中の動作態様を「2R潜確大当り遊技」と同一または酷似する動作態様とするために必要な設定処理や、小当り遊技後に移行される遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。
具体的には、特別図柄役物動作タイマの確定表示時間(図10のステップS453参照)が経過した後、まず最初に、小当り遊技の開始を指示する「小当り開始コマンド」を演出制御部24に送信するとともに、大入賞口開放前のインターバル時間を設定する。また今回当選した小当り種別に応じ、その小当り遊技後の遊技状態の移行制御設定を行う。なお小当りの場合は、内部遊技状態の移行はないので、ここでは、変動パターン振分指定番号と特別図柄変動カウンタに小当り種別に応じた所定値が設定して、小当り遊技後の遊技状態を指定する。たとえば、小当りCに当選し、その当選時の遊技状態が「通常A」であった場合、変動パターン振分指定番号に「通常C」を指定するデータ「02H」が格納され、特別図柄変動回数カウンタに遊技状態移行規定回数「30回」を指定するデータが格納される。これにより、小当り遊技後の遊技状態が「通常A」から「通常C(30回)」に移行されることになる(図4参照)。そして上記インターバル時間が経過した後は、大入賞口50を「2R短開放潜確大当り」の1R目〜2R目終了と同一または酷似する動作態様で開閉制御し、擬似的なラウンド遊技を発生させるようになっている。この擬似的なラウンド遊技が終了した後は、エンディング演出の開始を指示する「小当り終了コマンド」を演出制御部24に送信し、小当り遊技に関する制御処理を終了する。これにより小当り遊技を実現している。なお上記「小当り開始コマンド」は、大当り中の「大当り開始コマンド」と同じ働きをし、また「小当り終了コマンド」は、大当り中の「大当り終了コマンド」と同じ働きをするものであり、演出制御部24側において、小当り遊技中における当り演出を実行したり、小当り遊技後の演出モードを決定する際に利用される。また小当り遊技中における大入賞口52への最大入賞数は大当り(ここでは、2R短開放潜確大当り)によるものと同じとなっている。以上により、この小当り処理を抜けると、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<10.データセット処理>
(10−1.データセット処理の種類:図18)
図19(a)(b)に、上記ステップS416、S453、S477、S511、S513、S524、S555、S579等で用いられる、データセット処理の詳細を示す。
不揮発性記憶手段であるROM202は、使用領域において、所定の大きさ(3KB)を超えてはならない制約下でデータ領域が割り当てられ、それ以外の記憶領域がプログラムを記憶したプログラム領域を含む制御領域として割り当てられている。そして、ROM202の上記データ領域には、遊技動作の制御を行う際に使用する遊技動作制御用の複数種類のデータテーブルが格納されている。
また揮発性記憶手段であるRAM203は、基底アドレスの値(この例では2800H)に相対アドレス値(下位1バイト)を加えたアドレス位置から所定のアドレス位置(この例では28A7H)に至るまでの記憶領域が、遊技動作の制御に伴い発生する動作データを設定するワーク領域として定められている。
上記複数種類のデータテーブルは、データセット用の第1のデータセットテーブル(図20のD_TD0SET等)と、ゼロセット用の第2のデータセットテーブル(図22、図26のD_TD0SET等)とを含んでいる。データセット用の第1のデータセットテーブル(以下、データセット用データセットテーブルと略す)は、ワーク領域に転送して設定すべき上記動作データと、その設定先を特定する設定先アドレス情報(下位)とで一対とされ、このような一対の情報が設定すべき処理数(セットするデータの個数)だけ、つまり1または複数組だけ、テーブルアドレス(設定元アドレス)を付して順次設けられている。またゼロセット用の第2のデータセットテーブル(以下、ゼロセット用データセットテーブルと略す)は、ワーク領域にクリアデータを設定すべき場合に用いられるものであって、このテーブルには、ワーク領域に転送され設定されるクリアデータは記憶されておらず、そのクリアデータの設定先を特定する設定先アドレス情報だけが、設定すべき処理数(セットするデータの個数)だけ、つまり1または複数組だけ、テーブルアドレス(設定元アドレス)を付して順次設けられている。これらのデータセットテーブルは、そのデータテーブルの先頭アドレスが、当該データテーブルの識別データとして利用され、個々のデータテーブルが識別されるようになっている。
また遊技動作制御手段の主制御部20は、データセット用データセットテーブルの動作データをRAM203のワーク領域に転送し設定するデータセット用の第1のデータセット処理(以下単に「データセット処理」と略す)と、第2のデータセットテーブルの設定先アドレス情報により特定されるRAM203のワーク領域の該当番地に、当該ゼロセット処理のプログラムにより自ら作成したクリアデータ(00H)を転送して設定するゼロセット用の第2のデータセット処理(以下単に「ゼロセット処理」と略す)とを含む。
図18は、データセット処理とゼロセット処理に先立ち行われる前段階の処理を示すフローチャートである。図18(a)に示すように、データセット処理(第1のデータセット処理)は、RAM203のワーク領域に動作データを設定すべき処理時(たとえば図13のステップS511:大当り開始時の各種設定処理)に、ROM202にあらかじめ記憶された複数種類のデータセットテーブルのうちから、使用するデータセット用データセットテーブルを、その先頭アドレスを識別データとしてHLレジスタにセットして決定した後(ステップS600A)、呼び出されるモジュールである(ステップS600B)。このデータセット処理(第1のデータセット処理)の働きは、当該テーブルのテーブルアドレス(設定元アドレス)を順次指定して、設定すべきデータ数だけの設定処理を実行することにより、当該データテーブル上の動作データを、当該テーブルにおける設定先アドレス情報で指定されるRAMワーク領域の該当番地に転送して設定するという設定処理を行うものであり、主制御部20の制御プログラム中で設定プログラムとして随所に用いられる。ここで動作データとは、遊技動作制御手段としてのCPU201が遊技動作の制御を実行することで遊技進行に係る処理状態に応じて発生する動作データ(遊技データ)であり、具体的には動作状態を示すフラグ値やバッファ値や計数情報(カウンタ値や、タイマ値など)である。
またゼロセット処理(第2のデータセット処理)は、図18(b)に示すように、クリアデータをワーク領域に設定すべき処理時(たとえば図17のステップS593:大当り終了時の各種設定処理)に、使用するゼロセット用データセットテーブルを、その先頭アドレスを識別データとしてHLレジスタにセットした後(ステップS700A)、呼び出されるモジュールである(ステップS700B)。このゼロセット処理(第2のデータセット処理)の働きは、当該テーブルのテーブルアドレス(設定元アドレス)を順次指定して、設定すべきクリアデータ数だけの設定処理を実行することにより、当該データテーブルにおける設定先アドレス情報により指定されるワーク領域の該当番地に、当該ゼロセット処理中でプログラムにより自ら作成したクリアデータを設定するという設定処理を行うものであり、主制御部20の制御プログラム中で設定プログラムとして随所に用いられる。
(10−2.データセット処理:図19、図20)
図20に、データセット用データセットテーブルの一例として、役物連続作動装置開始設定テーブル(D_TD0SET)の構成を示す。このテーブルD_TD0SETは、図20(b)に示すように、テーブルアドレス“1130”〜“1136”の順に、設定すべきデータ個数(処理数データ)「03H」、設定先となるワーク領域の設定先アドレス「W_YKFLG」、このアドレスに設定されるべき動作データ(設定データ)「5AH」、設定先アドレス「W_TDJBST」、その設定データ「01H」、設定先アドレス「W_VCNT」、その設定データ「01H」が、それぞれ1バイト長で設けられている。
この実施形態の場合、先頭アドレス“1130”には、設定すべきデータの個数として3個に対応する03Hが記憶されている。また、これに続くテーブルアドレス“1131”〜“1132”には、ラベルW_YKFLGによる役物連続作動装置開作動フラグの設定先アドレスの情報(38H)と、同フラグの値5AH(動作データ)を一対とする情報が記憶されている。このラベルW_YKFLGは、当該ラベルによって、RAM203のワーク領域の先頭(TOP)つまり基底アドレス(2800H番地)からの相対アドレス値が+38Hであるアドレス位置(2838H番地)を指定するように関係付けられている。従って、1131番地には、38Hという値が記憶されていることになる。
このようにRAM203のワーク領域の基底アドレス(TOP)からの相対アドレス値(+38H)を設定先アドレスとして指定することにより、設定先となるワーク領域の該当するエリア(2838H番地)を特定するようにしている。これはデータセット処理の場合に限らず、ゼロセット処理を行う場合も同じである。
同様に、次のテーブルアドレス“1133”〜“1134”には、ラベルW_TDJBSTによる特別電動役物動作ステータスの設定先アドレスと、同特別電動役物動作ステータスの動作データ01Hを一対とする情報が記憶されている。この動作データ01Hは、ワーク領域の該当ラベルW_TDJBSTの指示番地(TOP+39H番地)に格納される。続いて、次のテーブルアドレス“1135”〜“1136”には、ラベルW_VCNT”による連続回数カウンタ(ラウンド回数)の設定先アドレスと、連続回数カウンタの動作データ01Hを一対とする情報が記憶されている。この連続回数カウンタの値はワーク領域の該当ラベルW_VCNTの指示番地(TOP+9AH番地)に格納される。
このように、図20のテーブルD_TD0SETの場合、役物連続作動装置開作動フラグW_YKFLGについては、その値5AHが2838H番地に転送され、特別電動役物動作ステータスW_TDJBSTについてはその値01HがRAM203の2839H番地に転送され、連続回数カウンタ(ラウンド回数)W_VCNTについてはその値01HがRAM203の289AHH番地に転送されて、RAM203に格納されることとなる。
上記の例では、設定すべき処理数を確定するために、先頭アドレスの記憶エリアに、あらかじめ設定すべき動作データの個数(03H)を置いて明らかにしておくテーブル形式を採用している。しかし、あらかじめ設定すべき動作データの個数を明らかにしておかないで、最後に設定すべき動作データがそれ以上存在しないことを示すエンドコードを置いたテーブル形式を採用することもできる。この場合には、図26のテーブルにクリアデータを付加した形のテーブルを用い、設定処理プログラムとして図25のゼロセット処理のものを採用することで実現される。このエンドコードを用いたテーブル形式によれば、後に設定すべき動作データの個数に増減があっても、テーブル上には、そもそも動作データ自体が存在していないため、この値を変更する必要も発生することはなく、単に所望する設定処理データ行を必要数だけ増加または減少させればよい。これは、データテーブルとして図26のようにクリアデータの存在しないテーブルを用い、図25のゼロセット処理のプログラムによりゼロセット処理を行う場合にも当てはまることであり、同様の効果を得ることができる。
図20のデータセット用データセットテーブルの場合の設定プロブラムは、図19のデータセット処理で実現される。なお、図19はZ80CPUによって実行されるプログラムである。CPU201は、まず図18のステップS600Aにおいて、必要なデータテーブルの先頭アドレスをHLレジスタにセットし、データテーブルを特定した後で、図19のデータ設定処理を呼び出し、当該データテーブルに記憶された設定先アドレスおよび動作データに基づいてデータセット処理を実行する。
図19のデータセット処理(M_DTSET)において、“LD”は、第1の引数として指定されるレジスタに、第2の引数として設定されるデータをセットする命令である。また、Dは8ビットレジスタ、@RAMHEADはワーク領域の先頭アドレスの上位8ビットを意味する。従って、M_ZEROSETでは、先ず、“LD D,@RAMHEAD”という命令により、RAM203のワーク領域の先頭アドレスの上位8ビットがDレジスタにロードされる(ステップS601)。この実施形態の場合、RAM203のワーク領域はすべてアドレスが28**Hで統一されているため、ここでは上位8ビットの28HがDレジスタにロードされる。
次に、“LD B,(HL)”という命令により、HLレジスタの示すテーブルアドレスが指す内容をBレジスタにロードする(ステップS602)。このデータセット処理(サブルーチンまたはモジュール)がCALLされるときには、HLレジスタには、ステップS600Aによってデータセットテーブルの先頭アドレス“1130”が格納されているので、このステップS602の処理によって、Bレジスタには、設定すべきデータの個数(セット処理数)として03Hが格納されることになる。
次に、“INC HL”という命令により、HLレジスタをインクリメントして(ステップS603)、HLレジスタのテーブルアドレス“1131”が指す内容(設定先アドレス下位)をEレジスタにロードする(ステップS604)。これによりEレジスタに38Hがロードされることになり、DEレジスタには2838Hがセットされる。
その後、再度、HLレジスタをインクリメントし(ステップS605)、“LD A,(HL)”という命令により、HLレジスタの示すアドレス“1132”の内容(動作データ5AH)をAレジスタにロードする(ステップS605)。そして、“LD (DE),A”という命令により、DEレジスタの示すアドレス先にAレジスタの値(動作データ)を転送する(ステップS607)。この段階では、Dレジスタには、ワークエリアの先頭アドレスの上位8ビットが格納され、Eレジスタにはワーク領域のW_YKFLGに対応する下位アドレスとして38Hが格納されているので、ROMエリア(データセットテーブル)から読み出されたフラグ値やカウンタ値等が、RAMワーク領域の該当番地に転送されて設定されることになる。
そこで、次に“DJNZ DTSET_10”という命令を実行することにより、Bレジスタの値(セット処理数)をデクリメントし(ステップS608)、Bレジスタの値がゼロになるまでステップS602〜S609の処理を繰り返す。
以上の処理によって、データセットテーブルD_TD0SETに記憶されている動作データ、つまり役物連続作動装置開作動フラグW_YKFLGの値5AH、特別電動役物動作ステータスW_TDJBSTの値01H、および連続回数カウンタ(ラウンド回数)W_VCNTの値01Hが、必要なタイミングで、RAM203の該当ワーク領域に転送され設定されることになる。なお、データセット用データセットテーブルD_TD0SETに格納されているこれらの動作データは、図13のステップST511の処理で設定される。上記したステップS416、S453、S477、S513、S524、S555、S579等においても、同様のデータセット用データセットテーブルに記憶されている動作データが、上記データセット処理により、ワーク領域の指定されたエリアに転送され設定されることになる。
(10−3.ゼロセット処理:図21〜図23)
弾球遊技機では、大当り中は、低確率状態でかつ開放延長機能が作動しない状態になる。そこで、上述したように、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)(図11AのステップS475)においては、それ以前の段階でセットした条件装置作動フラグや役物連続作動装置作動フラグ等について、これをクリアする処理を行う。また、時短終了時の設定処理(図11BのステップS481)や、大当り終了時の各種設定処理(図17のステップS593)等においては、それ以前の段階でセットしたフラグやカウンタ等について、これをクリアする処理を行う。これらのクリア処理は、従来、上記データセット処理(図19)によって行われている。
しかし、上記データセット処理(図19)によってフラグやカウンタ等のクリアデータを設定するのでは、ROMのデータセットテーブル上にワーク領域のアドレスと共に必要な数だけのクリアデータ00Hを記憶させておかなければならない。このクリアデータ00Hのセット処理を必要とするプログラム箇所は非常に数多く存在するため、これをデータセットテーブル上に設けると、その存在が規定容量のROMへ記憶させるべきデータの記憶容量(記憶可能領域)の大きさを圧迫する。
たとえば、図23は、大当り終了時において上記データセット処理(図19)により役物連続作動装置の終了設定を行う場合に用いるゼロセット用データセットテーブルを例示したものである。この図23の役物連続作動装置終了設定テーブルD_TD4SETでは、ワーク領域のアドレスと共に動作データとしてクリアデータ00Hを15個設けており、したがってクリアデータ00Hだけで合計15バイトの記憶領域を占有している。
そこで、これらのクリアデータ00H(15個)をデータセットテーブル上から取り去ってアドレスセットテーブルとして構成し、これをゼロセット用データセットテーブルとして用いる。図22は、クリアデータ00Hを持たない役物連続作動装置終了設定テーブル(D_TD4SET)として構成したものである。クリアデータ00Hについては、それ自体を図21に示すゼロセット処理プログラムにより作成し、これを、ワーク領域に格納すべき所定のタイミング(図17のステップS593)において、設定先アドレスが指すワーク領域の該当番地にセットする。
(10−3−1.ゼロセット用データセットテーブル:図22)
図22に示す役物連続作動装置終了設定テーブル(D_TD4SET)は、設定すべきデータ個数(処理数データ)「0FH」と、設定先アドレスとが記憶され、設定すべきクリアデータ00Hを持たないゼロセット用データセットテーブルとなっている。すなわち、ワーク領域にクリアデータを設定すべき場合に用いられるものであるが、図20や図23のデータセットテーブルで設けられている動作データ対応するクリアデータ00Hは有しておらず、設定先アドレス下位だけが、セット処理数分だけ記憶されている。
この先頭アドレス“1140に続く、データアドレス(設定元アドレス)“1141”〜“114F”には、順次、条件装置作動フラグW_JKFLG、役物連続作動装置作動フラグW_YKFLG、特別電動役物動作ステータスW_TDJBST、遊技状態判定番号W_YJTPTN、普電役物開放延長状態バッファW_FDLBF、普図時短移行状態バッファW_FJTBF、普図確率変動移行状態バッファW_FHIBF、特図時短移行状態バッファW_TJTBF、特図確変移行状態バッファW_THIBF、特図時短回数カウンタ移行状態バッファW_JTCTBF、特図確変回数カウンタ移行状態バッファW_HICTBF、変動パターン振分指定番号バッファW_TCODEBF、連続回数カウンタW_VCNT、最大ラウンド数W_VCNTLIM、ラウンド表示LED番号W_RNDDSPの各設定先アドレス下位が記憶されており、それらについてのクリアデータ00Hはこのゼロセット用データセットテーブル上には設けられていない。クリアデータ00Hは、図21のゼロセット処理によるプログラムにてセットされる。換言すれば、ゼロセット処理のプログラムにてクリアデータ00Hをセットする構成となっているため、ゼロセット用データセットテーブルにはクリアデータ00Hを記憶させておく必要がない。
(10−3−2.ゼロセット処理のプログラム:図21)
図21のゼロセット処理のプログラムの作用を、図22の役物連続作動装置終了設定テーブルを用いる場合を例にして説明する。
図22のようなクリアデータを持たないゼロセット用データセットテーブルの場合、そのゼロセット処理プロブラムは、図21のようになる。なお、図21はZ80CPUによって実行されるプログラムである。
この図21のゼロセット処理(M_ZEROSET)は、ワーク領域にクリアデータを設定すべき処理タイミングが到来した際、図18(b)のステップS700AでHLレジスタに先頭アドレス“1140”がセットされた後に、ステップS700Bにて呼び出されて用いられる。
図21(b)に示すプログラムM_ZEROSETにおいて、先ず、“LD D,@RAMHEAD”という命令により、RAM203のワーク領域の先頭アドレス(28**H)の上位8ビット(28H)がDレジスタにロードされる(ステップS701)。
次の“XOR”は、引数として指定されるレジスタの値とCPU201における8ビットレジスタであるAレジスタの値との排他的論理和を演算する命令である。ここで、同一の値の排他的論理和は0となる。従って、M_ZEROSETでは、“XOR A”という命令により、CPU201におけるAレジスタにクリアデータ00Hがセットされることとなる(ステップS702)。
続いて、“LD B,(HL)”という命令により、HLレジスタが指すテーブルアドレスの内容をBレジスタにロードする(ステップS703)。このゼロセット処理M_ZEROSET(サブルーチンまたはモジュールとして機能する)が呼出されるときには、HLレジスタには、図22のゼロセット用データセットテーブルにおける先頭アドレス“1140”が記憶されているので、Bレジスタには、ワーク領域に設定すべきデータの個数(セット処理数)として0FHが格納される。
次に、ラベル“ZEROSET_10”の付いた処理に入り、“INC HL”という命令により、HLレジスタをインクリメントしてテーブルアドレスを“1141”とし(ステップS704)、“LD E,(HL)”という命令により、HLレジスタのテーブルアドレス“1141”が指す内容(設定先アドレス下位(37H))をEレジスタにロードする(ステップS705)。これによりDEレジスタには、ワーク領域の条件装置作動フラグに対応するアドレス(2837H)がセットされる。
その後、“LD (DE),A”という命令により、DEレジスタにより指定される設定先アドレスに、Aレジスタの値(クリアデータ00H)がロードされる(ステップS706)。この段階では、Dレジスタには、ワークエリアの先頭アドレスの上位8ビット(28H)が格納され、Eレジスタには設定先アドレスの下位アドレス(37H)が格納されているので、Aレジスタの内容(クリアデータ00H)が、ワーク領域のラベルW_JKFLGで特定される該当番地(2837H)に転送され設定されることになる。
そこで、次に“DJNZ ZEROSET_10”という命令を実行することにより、Bレジスタの値をデクリメントし(ステップS707)、Bレジスタの値がゼロでない間はラベル“ZEROSET_10”に戻り、Bレジスタの値がゼロになるまでステップS704〜S708の処理を繰り返す。
以上の処理によって、条件装置作動フラグW_JKFLG、役物連続作動装置作動フラグW_YKFLG、特別電動役物動作ステータスW_TDJBST、遊技状態判定番号W_YJTPTN、普電役物開放延長状態バッファW_FDLBF、普図時短移行状態バッファW_FJTBF、普図確率変動移行状態バッファW_FHIBF、特図時短移行状態バッファW_TJTBF、特図確変移行状態バッファW_THIBF、特図時短回数カウンタ移行状態バッファW_JTCTBF、特図確変回数カウンタ移行状態バッファW_HICTBF、変動パターン振分指定番号バッファW_TCODEBF、連続回数カウンタW_VCNT、最大ラウンド数W_VCNTLIM、ラウンド表示LED番号W_RNDDSPの領域に、動作データとしてクリアデータ00Hが転送されて格納されることになる。このようなゼロセット処理はたとえば図17のステップS593で行われる。
上記のゼロセット処理を用いることの利点は、ROM202のデータテーブルにクリアデータ00Hを記憶しておく必要が無いことである。このため、それまでクリアデータ00Hにより占有されていたROMの記憶領域(図23の点線の枠参照)が図22に点線の枠で示唆するように削除開放され、ここを他のデータの記憶領域として活用することができること。つまりクリアデータ00Hの存在がROMの規定記憶容量の使用可能領域を圧迫しあるいは狭めることがなくなる、という点にある。よってデータテーブル上からクリアデータ00Hを無くすことにより、その分だけROMの記憶容量を節減することができる。この作用効果の違いは、図23の場合はテーブルアドレスの数が“1140”〜“115D”と31個必要であるのに対し、図22の場合は、テーブルアドレスの数が“1140”〜“114F”の16個で済むことからも分かる。
(10−3−3.従来のゼロセット用データセットテーブルとの対比:図24)
図24の(a)は図20の大当り開始時のデータセットテーブルを再掲したものである。(b)(c)は、この(a)のテーブルアドレス3行分に対応するテーブル部分(W_YKFLG、W_TDJBST、W_VCNT)だけを、図22と図23中から抜粋し、それぞれを(b)大当り終了時のゼロセット用データセットテーブル、および(c)大当り終了時の従来のゼロセット用データセットテーブルとして示したものである。この(b)と(c)を比較すると、(c)の従来のゼロセット用データセットテーブルでは、クリアデータ00Hとして3バイトを記憶することが必要とされ、ROMの記憶エリアを占有しているのに対し、(b)の大当り終了時のゼロセット用データセットテーブルではW_YKFLG、W_TDJBST、W_VCNTのクリアデータ00Hを記憶していないため、ROMの記憶エリアにおける占有領域が、従来の3バイト分だけ開放されていることが分かる。
ここでは説明を容易にするため、W_YKFLG、W_TDJBST、W_VCNTの3セット分(3バイト)を扱ったゼロセット用データセットテーブルについて論じているが、任意の数のセット処理数(1または複数バイト)を扱ったゼロセット用データセットテーブルについて適用することができる。ゼロセット処理を必要とする箇所は、遊技機の遊技動作制御プログラムの中で随所に現れるため、それぞれの箇所において、適宜、上記ゼロセット処理(図21または図25)とゼロセット用データセットテーブルとを適用して、ROMの記憶容量の節減を図ることができる。
たとえば、一方においては、遊技進行に係る処理状態の一つが実行される際、たとえば特別図柄の変動表示の開始および当該変動表示の停止を一セットとする図柄変動表示動作における図柄変動や、遊技者に有利な利益状態(大当り、小当り等)の所定の動作の開始時には、上記したデータセットテーブル(図20や図27(b)など)に基づくデータセット処理(図19)を行い、他方において、これらの所定の動作の終了時には、上記したゼロセット用データセットテーブル(図22、図26、図27(c)など)に基づくゼロセット処理(図21または図25)を行う、というデータセット処理とゼロセット処理の上手な組み合わせにより、従来のゼロセット処理の作用を損なわずに、ROMの記憶容量の節減を図ることができる。このため遊技制御において、データテーブルで使用するデータ容量をROMの規定容量の枠内に納めつつ、従来に比べ、より一層豊富な演出を現出させることができる。
<変形例1>
上記実施形態では、図22の如く、テーブルの先頭アドレスに、あらかじめ設定すべき処理データの個数(セット処理数)を記憶した構造のテーブル形式を採用しているが、あらかじめ設定すべき処理データの個数(セット処理数)を明らかにしておかないで、テーブルの最後に、設定すべき処理データがそれ以上存在しないことを示すエンドコードを置いたテーブル形式を採用することもできる。このエンドコードを用いた構造のテーブル形式とすることもできる。これによれば、一旦決定した後に、設定すべき処理データの個数に増減があっても、テーブル上には、処理データの個数を明らかにしておく識別データが存在していないため、セット処理数の値を書き替えて変更するという作業が発生する余地がなく、単に必要数の処理データ行を増減するだけで対応することができる。
図25に、この実施形態に係るゼロセット処理の設定プログラムを示し、また図26に、この設定プログラムにおいて使用するゼロセット用データセットテーブル例を示す。
この図26は、役物連続作動装置終了設定テーブルを例にしたもので、ほぼ図24(b)と同じ構成であるが、テーブルの先頭アドレスに設定すべきデータ処理数は記憶されておらず、その替わりにテーブルの最後のアドレスつまり必要行数分の処理データの次のアドレスに、エンドコードの0FFHが置かれている点で相違している。
図25のゼロセット処理においては、まずRAM203のワーク領域の先頭アドレスの上位8ビット(28H)がDレジスタにロードされる(ステップS801)。次に、Aレジスタの内容に対し、これと同じ値で排他的論理和をとることにより、Aレジスタの内容が00H(クリアデータとして用いる)にセットされる(ステップS802)。
次に、HLレジスタをインクリメントし(ステップS803)、設定先アドレス下位をEレジスタにロードする(ステップS804)。これによりDEレジスタには、ワーク領域の条件装置作動フラグに対応するアドレスがセットされる。
ここでEレジスタの内容がエンドコードのFFHを示すものであるか否かを判断し(ステップS805)、まだFFHでなければステップS806に進む。ステップS806では、Aレジスタの内容(クリアデータ00H)をDEレジスタの示す設定先アドレスに転送する(ステップS806)。この段階では、Dレジスタには、ワークエリアの先頭アドレスの上位8ビットが格納され、Eレジスタには設定先アドレスの下位アドレスが格納されているので、Aレジスタの内容(クリアデータ00H)がワーク領域の該当番地に転送され設定されることになる。なおエンドコードはFFHに限るものではなく、任意のコードを用いることができる。
その後、Eレジスタの値がエンドコードのFFHになるまでステップS803〜S806の処理を繰り返し、Eレジスタの値がFFHになった時点で(ステップS805、E=FFH)、ゼロセット処理を終了する。
以上の処理により、役物連続作動装置開作動フラグW_YKFLGの値として00Hが、ワーク領域の先頭(TOP)から+38H番地のエリア(RAM203の2838H番地)に転送され、特別電動役物動作ステータスW_TDJBSTの値として00Hが、ワーク領域の先頭(TOP)から+39H番地のエリア(RAM203の2839H番地)に転送され、また連続回数カウンタ(ラウンド回数)W_VCNTの値として00Hが、ワーク領域の先頭(TOP)から+9AH番地のエリア(RAM203の289AHH番地)に転送されて、RAM203に格納される。
このエンドコードを用いたテーブル形式によれば、後に設定すべき動作データの個数に増減があっても、テーブル上には、処理データの個数を明らかにしておく識別データが存在していないため、この識別データの値を変更する必要はなく、単に所望する設定データ行を必要数だけ増減すればよい。
<変形例2>
上記はゼロセット用データセットテーブルがクリアデータのみを含む場合を扱ったが、データセットテーブル中にセットデータとクリアデータが混在している場合には、これをセットデータのみを扱った、つまりクリアデータを含まないデータセット用データセットテーブルと、クリアデータのみを扱った、つまりセットデータを含まないゼロセット用データセットテーブルとに分け、前者のデータセット用データセットテーブルに対しては図19のデータセット処理を行い、また、後者のゼロセット用データセットテーブルに対しては図21または図25のゼロセット処理を行うようにすることで、ROMのデータ容量を節減することもできる。
図27は、従来のデータセットテーブルである図27(a)の条件装置作動開始設定テーブル(D_JKSET)を、データセット用データセットテーブルである図27(b)の条件装置作動開始設定テーブル1(D_JKSET1)と、データセット用データセットテーブルである図27(c)の条件装置作動開始設定テーブル2(D_JKSET2)とに分ける例を示したものである。
図27(b)の条件装置作動開始設定テーブル1は、図11AのステップS475において、図19のデータセット処理により用いられ、データセット用データセットテーブルに記憶されている条件装置作動フラグW_JKFLGの値5AHが、データセット用データセットテーブルにより指示されるRAM203の該当アドレスに格納される。
図27(c)の条件装置作動開始設定テーブル2も、同じく図11AのステップS475において、図21のゼロセット処理により用いられ、ゼロセット用データセットテーブルに記憶されている大当り判定フラグW_TJFLG、普電役物開放延長状態フラグW_FDLFLG、普通図柄時短状態フラグW_FJTFLG、普通図柄確変状態フラグW_FHIFLG、特別図柄時短状態フラグW_TJTFLG、特別図柄確変状態フラグW_THIFLG、特別図柄時短回数カウンタW_JTCNT、特別図柄確変回数カウンタW_HICNT、特別図柄変動回数カウンタW_TZCNT、変動パターン振分け指定番号W_TCODE、遊技状態報知表示LED出力番W_TJDSPの各設定先アドレスで特定されるRAM203のワーク領域の該当エリアに、レジスタAに設定したクリアデータ00Hが順次セットされる。
なお、図27(c)のゼロセット用データセットテーブルは、セット処理数(転送すべき設定先アドレス情報の個数に対応する)を含むテーブル形式となっているが、このセット処理数を含ませる替わりに、図26に示すように、転送すべき設定先アドレス情報がそれ以上存在しないことを示すエンドコードを含ませたテーブル形式とする一方、当該ゼロセット用データセットテーブルを用いて、図25のゼロセット処理を実行することにより、レジスタAに設定したクリアデータ00Hを順次セットすることも可能である。
図27(c)または図26に示すテーブル形式のいずれによる場合も、結果として、クリアデータ00Hを保持していないデータテーブル形式に変更しているので、これにより、クリアデータ00Hを保持しているデータテーブル形式のゼロセット用データセットテーブルを採用する場合に比べ、11バイト分の記憶容量の削減を図ることができる。このようにして、従来のデータセットテーブルが、クリアデータ00Hとそれ以外の動作データとが混在しているテーブル形式を用いている場合でも、この箇所に本発明を適用して、上記のようにデータセット用データセットテーブルとゼロセット用データセットテーブルとに分け、遊技動作制御用データを格納するROMのデータ領域の容量節減を図ることができる。