以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
[第1の実施形態]
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。またさらに上受け皿ユニット8には、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯時に押下することにより演出に変化をもたらすことができる押しボタン式の枠演出ボタン13が設けられている。この枠演出ボタン13は、遊技者が操作可能な手操作手段として働く。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の各所には、光の装飾により光演出効果を奏する複数の装飾ランプ45が設けられている。
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されている。この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分部材(流路振分手段)として働く。本実施形態では、センター飾り48が遊技領域3aのほぼ中央部に配置されており、これにより、遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるようになっている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ねじなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。このようなセンター飾り48は、遊技球の落下方向を変換する遊技球落下方向変換部材(落下方向変換手段)として働く。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、適所に、その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(図示せず)が設けられている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。上記の特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、演出画像とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(たとえば、シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで当否が判明する)により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1〜第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。このラウンド数表示装置39bは、大当り(「大当り」の詳細は後述する)に係る規定ラウンド数を報知するラウンド表示手段として機能し、たとえば、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、その規定ラウンド数が報知されるようになっている。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない形態となっているが、本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞し得る。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、および左側の3つの一般入賞口43があり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、および右側の1つの一般入賞口43がある。
下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。
また上始動口34については、概ね左流下経路3bまたは左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球(センター飾り48のステージを経た遊技球を含む)について、これを上始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
また大入賞口50については右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。上記入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口40は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。なお上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御に係る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御部(主制御手段)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御手段)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段)31と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20:主制御手段)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。ROM202は、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。また図示はしていないが、主制御部20は、特別図柄変動表示ゲームに係る抽選用乱数を生成するための乱数生成回路、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を発揮する割込コントローラ回路なども備えている。
ここでCPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。またCPU201は、処理を実行するのに必要なデータの読み書きが行われる複数種類のレジスタを備えている。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aとが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cが接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置39bが接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。上記のホールコンピュータHCは、主制御部20から送られてくる情報に基づき、パチンコホールの遊技機の稼働状況を管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。他方、払出制御基板29は、主制御部20に対し、払い出し動作状態に関する情報(払出状態信号)を送信可能となっている。主制御部20側では、この払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか否か、具体的には、賞球の払い出しに不具合(たとえば、玉詰まりや賞球の払い出し不足など)が発生したか否かを監視している。
また主制御部20は、特別図柄変動表示ゲームに関する情報を乗せた演出制御コマンドを、演出制御部24に送信可能となっている。このような主制御部20からの演出制御コマンドは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するため、一方向通信により演出制御部24に送信される。
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、およびタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路などが設けられている。ROM242は、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45やLEDの発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、光演出や音演出を行うため、装飾ランプ45やLEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物モータ61に対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な枠演出ボタン13が接続され、演出制御部24は、枠演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。また演出制御部24には、可動体役物の動作を制御するための可動体役物モータ61が接続され、演出制御部24は、可動体役物モータ61を制御するための制御信号を送信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示、予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。ここでの「演出シナリオ」とは、装飾図柄の変動表示動作態様、種々の予告演出を含めた広義の演出パターンを指す。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた本実施形態のパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
たとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、つまり、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。なお、大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選(当り)種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」と、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報)を含む「装飾図柄指定コマンド」とを演出制御部24に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。
なお上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(後述のリーチ状態を経由するリーチ演出や、疑似変動表示動作を伴う疑似連演出など)の発生を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果情報に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえばリーチ演出の発生を指定するリーチ演出指定用の変動パターン(リーチ変動パターン)、リーチ演出の発生を指定しない非リーチ演出指定用の変動パターン(通常変動パターン)、疑似連演出とリーチ演出との複合発生を指定する疑似連演出指定用のリーチ変動パターン(疑似連有りリーチ変動パターン、疑似連演出の発生を指定し、リーチ演出の発生は指定しない疑似連演出指定用の通常変動パターン(疑似連有り通常変動パターン)などがある。なお疑似連有り変動パターンの場合、疑似連回数を指定する情報も含むことができる。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数が異なっていても良い(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を2個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)。また特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選により得られる利益が相対的に高くなる図柄側の最大保留記憶数を多く設定しても良い。本実施形態では、特別図柄2に係る大当り抽選が、遊技者とり利益が高い大当り種が得られることから、たとえば特別図柄1側の最大保留記憶数を1個、特別図柄2側の最大保留記憶数をそれよりも多い4個に設定しても良い。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、追って説明する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態(通常状態)」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には少なくとも大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては少なくとも大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また大当り中は、全機能が非作動となり、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。
なお本実施形態では、遊技状態に関連した演出の多様化を図るために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理している。たとえば上記「通常遊技状態(低確・電サポ無し)」には、「通常遊技状態(通常状態)」および「CHANCE ZONE状態(以下「CZ」と略す)」といった複数種類の通常遊技状態が含まれ、それぞれ異なる遊技状態として管理している。すなわち、同じ通常遊技状態であっても特別図柄の変動パターンを選択する際の条件(変動パターン選択モード(遊技モード):後述の変動パターン振分指定番号(Tcode)。図37参照)が異なるようになっている。
これにより、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常遊技状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては「通常状態」と「CZ」という複数種類の遊技状態(変動パターン選択モード)ごとに対応した変動パターンを選択できるので、演出制御部24側において、各遊技状態ごとに関連した演出モード(詳細は後述する)下における演出を発生させることができるようになっている。また本実施形態では、内部遊技状態は同じ「潜確状態」でありながらも、演出の発生に関連した遊技状態については、「潜確状態」または「CZ」として管理し、上述した通常遊技状態下の「CZ」と同じ遊技状態に対応した演出を発生させるこができるようなっている。これにより、「CZ」期間中、演出上、大当り抽選確率を秘匿できるようになっている(各遊技状態の移行条件や、演出内容を指定する特別図柄の変動パターンに関する詳細については後述する)。
本実施形態において、上記大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能に着目した場合の「内部遊技状態」の種類には、通常遊技状態、潜確状態、時短状態、および確変状態の内部遊技状態が含まれる。他方、特別図柄の変動パターンの決定、換言すれば、演出の決定に着目した場合の「遊技状態(変動パターン選択モード)」の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、通常状態、CZ(CHANCE ZONE状態)、潜確状態、時短状態、および確変状態の複数種類の遊技状態が含まれる。このように本実施形態では、大当り抽選確率や電サポの有無に着目した遊技状態(内部遊技状態)と、演出の決定に着目した遊技状態とを異なるものとして管理することで、内部遊技状態が同じであっても、複数種類の演出モードを実現させることができるようになっている。これにより、同一の内部遊技状態下における演出のバリエーションを豊富なものとすることができる。なお説明の便宜上、本明細書中では特に必要のない限り、上記内部遊技状態と演出の決定に着目した場合の遊技状態(変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode)))とを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選を行うようになっている。この当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、および「小当り(小当りA、小当りB、および小当りC)」などの複数種類の当りが含まれる。
これら当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置(手段)で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態への移行契機となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当りとなっている。他方、「12R長開放非確変大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態を伴う遊技状態に移行させずに、低確率状態を伴う遊技状態に移行させる「非確変大当り」に属する大当りとなっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
(4−2−1.16R長開放確変大当りによる当り遊技)
16R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「16R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を16ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。
ラウンド遊技が開始されて大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の16ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の12R長開放確変大当り、12R長開放非確変大当りおよび2R短開放潜確大当りによる当り遊技についても同様)。
なお、ラウンド遊技間における上記「ラウンド間インターバル時間」は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。また「開放前インターバル時間」とは、上述の残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技における大入賞口が開放されるまでの時間幅(たとえば、20ms)を指す。この開放前インターバル時間中に大入賞口センサ52aが遊技球を検出しても、その遊技球は不正行為による不正入賞とみなし、無効なものとして扱われるようになっている。
(4−2−2.12R長開放確変大当り、12R長開放非確変大当りによる当り遊技)
12R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「12R確変大当り遊技」と称する)と、12R長開放非確変大当りによる当り遊技(以下、「12R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を12ラウンドとする以外は、上述した16R確変大当り遊技の内容と同じある。したがって、この12R確変・12R非確変大当り遊技は、上記16R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる(本実施形態では、4ラウンド分の賞球数差がある)。
(4−2−3.2R短開放潜確大当りによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)では、規定ラウンド数を2ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口50の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。ここで「短開放時間」とは、大入賞口への入賞自体を困難とする時間幅として定めたものである。本実施形態では、遊技球落下方向変換部材(センター飾り48や遊技くぎ)、または発射装置の性能(たとえば単位時間あたりの遊技球の連射速度性能)、あるいは大入賞口の形成位置などにより、上記「短開放時間」内に大入賞口閉鎖条件の一つである「最大入賞数」に達することが不可能なようになっている。2R潜確大当り遊技では、大入賞口50が短開放時間しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口50の入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は極めて低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)。
以上のように本実施形態では、大当りの種類に応じて、大当り遊技中の賞球数、換言すれば、遊技者が獲得し得る遊技球数(獲得賞球数)が異なるように構成されている。なお、2R潜確大当り遊技では最大開放時間を上記短開放時間に設定すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口50への入賞がある程度許容されるように、16R確変大当り遊技や12R確変大当り遊技や12R非確変大当り遊技と同じ長開放時間を設定しても良いし、上記最大入賞数に達することは困難または不可能であるが、大入賞口50への入賞球数をある程度確保できるような開放時間(長開放時間よりも短く、短開放時間よりも長い中間的な開放時間:たとえば、5秒)に設定しても良い。また、当りによる賞球数(特賞数:T1Y)を異ならせるために、大当りの種類に応じて、上記最大入賞数をそれぞれ異なる個数に設定しても良い。
(4−2−4.小当り(小当りA〜小当りC)による当り遊技)
小当りA〜小当りCによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、それぞれ大入賞口50の開放が2回行われ、1回あたりの大入賞口50の最大開放時間が2R潜確大当り遊技の最大開放時間に相当する0.1秒に設定され、1回目の大入賞口50の閉鎖後、2回目の大入賞口50開放までのインターバル時間が2R潜確大当り遊技のラウンド間インターバル時間と同じ時間幅が設定される。また小当り遊技における大入賞口50の閉鎖条件に関しては、最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。この点も2R潜確大当り遊技と同じである。つまり、この小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口50の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。
この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口50を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。また小当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、2R潜確大当り遊技中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、2R短開放潜確大当りへの当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態)
次に図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。
(4−3−1.16R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
16R確変大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行される。この「確変状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動表示動作回数(以下、「特別図柄の変動回数」と略す)が所定回数(本実施形態では、特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数)):たとえば10000回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで(「大当りが確定」するまでとは、特別図柄が大当りを示す表示態様で停止表示され、大当り遊技の発生が確定した場合や、大当りに当選した場合であっても良い。以下同様)当該確変状態が継続され、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている。本実施形態のパチンコ機1は、大当り抽選確率が少なくとも高確率となる遊技状態に移行された後、大当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲームが所定回数終了した場合、当該高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率に移行させる回数切りの確変機(回数切り確変機(ST機))となっている。以下、必要に応じて、この高確率状態が継続される特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)の上限回数を「規定ST回数」と称する。なお本発明は「ST機」に限らず、次回大当りが確定するまで確変状態を継続させる構成としても良い。
(4−3−2.12R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
12R確変大当り遊技後は、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行され、この確変状態となってからの遊技状態遷移は、上述した16R長開放確変大当りの場合と同じである。
(4−3−3.12R非確変大当り遊技終了後の遊技状態)
12R非確変大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「時短状態」に移行される。この「時短状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば50回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該時短状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該時短状態が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている。
(4−3−4.2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R潜確大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ」に、時短状態であった場合には「確変状態」に、「確変状態」であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。ただし、当選時の遊技状態が「CZ」の場合、内部遊技状態に応じて次のような移行制御がなされる。上記大当り当選時の内部遊技状態が通常遊技状態の「CZ」であった場合には、内部遊技状態が潜確状態の「CZ」に移行され、内部遊技状態が潜確状態の「CZ」であった場合には、「潜確状態」に移行される。なお、内部遊技状態が潜確状態下の「CZ」は、内部遊技状態が通常遊技状態下の「CZ」と同じ遊技状態として管理されるが、その実体は、内部遊技状態が‘潜確状態’の「CZ」である。以下では説明の便宜上、内部遊技状態が通常遊技状態下の「CZ」を「CZ(通常)」と称し、内部遊技状態が潜確状態下の「CZ」を「CZ(潜確)」と称する場合がある。
2R潜確大当り遊技終了後の「CZ(ここでは、CZ(潜確))」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が第1の所定回数(たとえば4回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該「CZ(潜確)」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ(潜確)」が終了して、次ゲームから「潜確状態」に移行される。なお詳細は後述するが、本実施形態では、2R潜確大当り遊技終了後、潜確状態への移行期待感を与えるため、後述の小当り遊技後による遊技状態と関連して、2R短開放潜確大当りによる「CZ」の継続回数を、小当りによるものよりも多い継続回数に設定してある。
(4−4.小当り遊技終了後の遊技状態)
次に小当り遊技後の遊技状態について説明する。ここで小当り遊技後に関しては、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続されるようになっている。つまり、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。このため、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。しかし本実施形態では、小当り当選に起因した‘内部遊技状態’の移行制御は行わない一方、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に関する‘遊技状態(変動パターン選択モード(後述の図37の変動パターン振分指定番号(Tcode)参照))’の移行制御は行うようになっている。これにより、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ遊技状態に移行させた場合には、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させ、小当り遊技後であっても、2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下の演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。以下、図4を参照しながら、小当りA〜小当りCに当選した場合における各小当り遊技終了後の遊技状態について詳細に説明する。
(4−4−1.小当りAに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りAによる小当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」か、または「CZ(‘CZ(通常)’または‘CZ(潜確)’)」であった場合には「CZ」に移行され、他の遊技状態(潜確状態、時短状態、または確変状態)の場合には遊技状態の移行はなく、その当選時の遊技状態が継続されるようになっている。
上記小当りAにより「CZ」に移行される場合は、そのCZが継続される回数(以下、「CZ継続回数」と称する)として、第2の所定回数(たとえば、1回)が設定される。上記小当りA当選により「CZ」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が上記CZ継続回数(たとえば、1回)終了するまでの間か、またはその回数内で大当りが確定するまで当該「CZ」が継続し、その回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ」が終了する。なお、この「CZ」が終了したときの遊技状態が「CZ(潜確)」であった場合には、次ゲームから「潜確状態」に移行され、「CZ(通常)」であった場合には、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている(後述の小当りB、Cについても同様)。
(4−4−2.小当りBに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りBによる小当り遊技後は、上述の小当りAの場合と同様の移行制御が行われる(図4の小当りBの欄参照)。ただし、小当りBにより設定されるCZの継続回数は、小当りA(1回)よりも多い回数(第3の所定回数:たとえば2回)が設定される。
(4−4−3.小当りCに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りCによる小当り遊技後は、上述の小当りA、Bの場合と同様の移行制御が行われる(図4の小当りCの欄参照)。ただし、小当りCによリ設定されるCZ継続回数は、小当りB(2回)よりも多い回数(第4の所定回数:たとえば3回)が設定される。
上記「CZ」は、2R潜確大当り遊技終了後にも移行し得る遊技状態である。このため、2R短開放潜確大当り当選、または小当りA〜Cの当選に起因して「CZ」に移行された場合、それぞれ「CZ」に対応した演出をなす演出モード(後述の「CZ(CHANCE ZONE)演出モード」)に滞在することになり、演出上において、内部遊技状態が「潜確状態」であるか否か、つまり大当り当選確率状態が高確率状態であるか低確率状態であるか否かが秘匿される。本実施形態では、通常遊技状態と潜確状態とで内部的な機能である特別図柄確変機能の作動状態に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに‘電サポ無し状態’)、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
また本実施形態では、上記CZ継続回数に関し、2R短開放潜確大当りに当選した場合にはCZ継続回数4回が設定され、これにより変動回数4回限定のCZ(CZ4回)に移行されることになる。そして、このCZが終了した後は(ただし、CZ中、大当りまたは小当りに当選することなくCZが4回が終了した場合)、遊技状態がCZから潜確状態に移行され、後述の演出モードに関しては、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とする秘匿演出モードから、潜確状態を確定的に報知する「潜確演出モード」に移行される(演出モードの詳細については後述する)。したがって、「CZ」が4回継続した場合、「潜伏状態」が明白になる。これに関連して、大当り抽選確率状態の変動が行われない小当りA〜Cのいずれかに当選した場合、その当選した小当りに応じて、2R短開放潜確大当りによる4回よりも少ないCZ継続回数(1回〜3回)が設定されるようになっている。具体的には、小当りAの当選した場合は変動回数1回限定のCZ(CZ1回)に、小当りBの当選した場合には変動回数2回限定のCZ(CZ2回)に、小当りCに当選した場合には変動回数3回限定のCZ(CZ3回)に移行される。これにより、小当りA〜Cおよび2R短開放潜確大当りに応じて上記CZ継続回数が異なり、CZ中のゲームが消化される度に、「潜伏状態」が確定的となる4回に達するかもしれないという緊張感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−5.CZ中の当り当選について)
なお本実施形態では、「CZ」中に2R短開放潜確大当りまたは小当りA〜Cのいずれかに当選した場合、新たなCZ継続回数として、その当選した当りに応じたCZ継続回数が再設定されるようになっている。これにより、2R短開放潜確大当りに当選した場合のCZ継続回数4回以上の状況下を作り出すことができる。たとえば、小当りCに当選してCZ(CZ:3回)に移行し、そのCZ中3回目に小当りBに当選した場合、小当りB当選によりCZ継続回数2回が再設定され、CZ期間が「CZ期間3回+再設定された2回」の最大5回まで延長される。つまりCZが4回継続されたとしても必ずしも潜確状態下であることが明白とはならず、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。
勿論、「CZ」が4回継続した場合に潜確状態下であることが明白となるように構成しても良い。たとえば、通常状態中に小当りに当選に起因して「CZ(通常)」に移行した後、当該「CZ(通常)」中に滞在している限りは、小当りA〜Cのいずれかに再当選したとしても、当該「CZ(通常)」の継続回数が最大3回を超えないよう構成することができる。また通常状態中に2R短開放潜確大当りに当選に起因して「CZ(潜確)」に移行した後、当該「CZ(潜確)」中に小当りA〜Cのいずれかに当選した場合、その小当りに対応したCZ継続回数を新たに設定しない構成とすることができる。これにより、「CZ」が4回継続すれば潜確状態下であることが明白となる、といった遊技性を作り出すことができる。
また本実施形態では、CZ継続回数4回未満で、潜確状態が明らかになる状況下を作り出すこともできる。たとえば、CZ中に2R短開放潜確大当りに当選し、「CZ(潜確)」移行後の1回目に小当りBに当選した場合、小当りB当選によるCZ継続回数‘2回’が再設定されると、CZ期間が「小当りBが当選したCZ期間1回+小当りB当選により再設定された2回」となり、本来の‘4回’よりも少ない‘3回’に短縮される。そして、このCZ期間が終了した後は、遊技状態がCZから潜確状態に移行され、後述の演出モードに関しては、潜確状態を確定的に報知する「潜確演出モード」に移行される。これにより、CZが4回継続しなくとも潜確状態が明白となりうるため、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。なお既に説明したように、2R短開放潜確大当りに当選した場合において、その当選時の遊技状態が「CZ(潜確)」である場合には、その当り遊技後は潜確状態に移行されるので、演出モードに関しては、秘匿演出モードが終了され、潜確演出モードに格上げ移行されることになる。この場合もCZ継続回数4回未満で潜確状態が明らかになりうる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、各遊技状態下に対応する演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、現在の遊技状態に関連した演出をなす演出モードを設け、その演出モード間を行き来可能に構成している。具体的には、「通常状態」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常演出モード」、「潜確状態」滞在中はこれに関連する演出をなす「潜確演出モード」、「CZ」滞在中はこれに関連する演出をなす「CZ演出モード」、「確変状態」滞在中はこれに関連する演出をなす「確変演出モード」などを含む各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。なお上記「CZ」に対応する「CZ演出モード」は、演出上、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とし、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす「秘匿演出モード」としての役割を果たす。本実施形態では、上記大当り抽選確率状態を秘匿状態とする「CZ演出モード」以外の演出モード下では、遊技状態が確定的に報知されるようになっている。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド(たとえば、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を知らせたりする、といった主制御部側で管理される遊技状態を特定可能とする演出制御コマンド)に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。また演出制御部24は、遊技状態を指定するコマンド(たとえば、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、当り中に送信されるコマンド(「大当り開始コマンド」や「大当り終了コマンド」など))により、主制御部20側で管理される内部遊技状態および変動パターン振分指定番号を把握し、これを管理可能に構成されている。
また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、たとえば「通常演出モード」下では季節‘春’を連想させる背景演出(たとえば、桜の木の背景画像を表示する背景演出:第1の背景演出)、「潜確演出モード」下では季節‘夏’を連想させる背景演出(たとえば、海の背景画像を表示する背景演出:第2の背景演出)、「CZ演出モード」下では季節‘秋’を連想させる背景演出(たとえば、紅葉の木の背景画像を表示する背景演出:第3の背景演出)、「確変演出モード」下では季節‘冬’を連想させる背景演出(たとえば、雪山の背景画像を表示する背景演出:第4の背景演出)にそれぞれ切り替え制御される。
なお本実施形態の「CZ演出モード」は、内部遊技状態が潜確状態(高確率状態)であるか通常遊技状態(低確率状態)であるかにかかわらず、同じ演出モードであると説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、主制御部20から演出制御部24に対して、内部遊技状態に関する情報を含ませた演出制御コマンド(たとえば、「変動パターン指定コマンド」、「装飾図柄指定コマンド」、「遊技状態指定コマンド」、当り中に送信されるコマンド(「大当り開始コマンド」や「大当り終了コマンド」など)に含ませても良い)を送信することで、内部遊技状態に応じて、潜確状態(高確率状態)下における「本物のCZ演出モード(第1の秘匿演出モード)」と、通常遊技状態(低確率状態)下における「ガセのCZ演出モード(第2の秘匿演出モード)」とに移行制御可能に構成しても良い。
具体的には、内部遊技状態が「通常遊技状態」中に‘小当りに当選し、当該通常遊技状態が維持される場合には、その小当り遊技終了後に「CZ演出モード」のうち上記「ガセのCZ演出モード(低確)」に移行させ、他方、内部遊技状態が「通常遊技状態」中に‘2R短開放潜確大当り’に当選し、潜確状態に移行される場合には、その2R潜確大当り遊技終了後に「CZ演出モード」のうち上記「本物のCZ演出モード(高確)」に移行制御可能な構成とすることができる。この場合、各演出モード下における演出に関しては、上記「本物のCZ演出モード」と上記「ガセのCZ演出モード」の双方の背景演出を同じにし(たとえば、双方ともに、季節‘秋’を連想させる背景演出)、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態としつつ、上記「本物のCZ演出モード」と上記「ガセのCZ演出モード)」とで、特定の演出の発生確率を異ならせるようにし、高確率状態であるか否かの推測要素を遊技者に与えることができるようになる(たとえば、上記「ガセのCZ演出モード」よりも「本物のCZ演出モード」の方が特定の演出(潜確状態の可能性がある旨を示唆または暗示させる、といった「潜確期待演出」)の発生確率を高める、といった形態があげられる)。このような潜確期待演出により、現在の内部遊技状態が潜確状態であるか否かの潜確期待感を遊技者に与え、遊技の面白みをより一層向上させることができる。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、図柄変動表示ゲーム中において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば当落抽選結果、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な予告演出を、上述した演出モード下で現出制御する機能部(予告演出現出制御手段)を備える。斯様な演出態様には、「リーチ演出(リーチ変動パターンに係る演出態様)」に代表される予告演出の他、これらの演出に付随して、または単独的に発生するものが含まれる。これらの演出態様は、当り種別に当選したか否かの信頼度または期待度(以下、「当り当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感(当り当選期待感)を煽るための「煽り演出」として機能する。上記当り当選期待度は、演出の出現率(選択率)の高低や遊技状態に応じて変化する。たとえば、リーチ演出における当り当選期待度は、主として、リーチ演出の出現率(選択率)の高低に応じて変化する。具体的には、一のリーチ演出(たとえば、強SPリーチ)が出現する場合の当り当選期待度は、大当り時およびハズレ時を含めた当該リーチ演出が実行される割合(当該リーチ演出の全出現率)のうち、大当りの場合に当該リーチ演出が実行される割合(当選時の当該リーチ演出の出現率)で示される。つまり、リーチ演出に対する当り当選期待度は、「当選時の当該リーチ演出の出現率/当該リーチ演出の全出現率」で示され、この期待度が異なるように、大当り抽選結果に関連して各リーチ演出の選択率が定められている。以下に、本実施形態に係る予告演出について説明する。
(5−2−1.リーチ演出)
上記「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終結果を表示するような演出態様をいう。この「リーチ状態」とは、装飾図柄変動表示ゲームの結果が導出される前段階において、当該装飾図柄変動表示ゲームの途中で導出表示される一部の装飾図柄が、大当り発生(大当り当選)を示す表示態様の一部を構成している状態で、未だ導出表示されていない装飾図柄の変動表示が行われている表示態様であり、換言すれば、大当り発生を示す表示態様が導出され易いことを遊技者に連想させうる変動表示態様をいう。たとえば、大当り発生(大当り当選)を示す装飾図柄の組合せが「7(左図柄)」「7(中図柄)」「7(右図柄)」である場合、所定の当り有効ライン上において、装飾図柄の一部が大当り発生(大当り当選)を示す表示態様の一部を表示しており(たとえば、左図柄と右図柄とが「7」を表示しているといった、いわゆる「聴牌状態(リーチ図柄)」を呈している。但し、最終的に導出される結果が必ずしも大当り発生を示す表示態様、たとえば「7(左図柄)」「7(中図柄)」「7(右図柄)」が導出されるとは限らない)、いまだ導出表示されていない装飾図柄(ここでは、聴牌状態(リーチ図柄)を形成していない中図柄)が、所定時間継続して停止、揺動、拡大縮小、または変形しながら、最終結果が表示される前段階で大当り発生の可能性が継続している状態やその様子をいう。したがって、たとえリーチ状態が形成されたからといって、装飾図柄変動表示ゲームの結果が必ずしも「大当り」になるとは限らず、最終的に導出された結果が大当りを示す停止表示態様(たとえば、「7(左図柄)」「7(中図柄)」「7(右図柄)」)でない場合は、今回のゲーム結果は「ハズレ」となる。
上記の「リーチ演出」は、大当りに当選したか否かの期待度を示す大当り当選期待度(大当りである可能性がある旨(大当りとなる旨を含む))を予告(示唆)するものであり、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、特定のリーチ状態を伴うリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ状態(‘ノーマルリーチ(Nリーチ)’)を伴うリーチ演出が出現した場合に比べて、大当り当選期待度が相対的に高まるものがある。このような特定のリーチ状態を伴うリーチ演出を‘スーパーリーチ(SPリーチ)’という。このSPリーチの多くは、大当り期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。
本実施形態のリーチ演出には、各遊技状態に応じて複数種類のリーチ演出が設けられている(図34、図35参照)。リーチ演出における大当り当選期待度は、主として、リーチ演出の選択率の高低や遊技状態に応じて変化する。たとえば、通常状態中に係るリーチ種別間では「Nリーチ<SPリーチ1<SPリーチ2<・・・<SPリーチ6<SPリーチ7」の関係で、番号が大きくなるほど大当り当選期待度が高くなるように、大当り抽選結果に関連してその選択率(発生率)が定められている(他の遊技状態についても同様の関係))。なお、実際の大当り当選期待度は、他の予告演出が伴うか否かに応じて変化する。このため、たとえば、上記SPリーチ5が出現した場合であっても、大当り当選期待度の高い予告演出が絡めば、上記SPリーチ6と同等もしくはそれ以上の大当り当選期待度となりうる。
(5−2−2.疑似連演出(疑似連))
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、具体的には、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返すことにより、見た目上、一セットとする変動動作があたかも複数回実行されているかの如く表現するような変動表示態様をいう。この疑似変動を行う場合には、仮リーチ状態(仮停止状態前にリーチ状態の可能性がある旨を示唆したり、リーチ図柄が停止するかの如く装ったりする変動表示状態)を形成しながら、一旦ハズレとなる図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動動作を行ったり、または通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄(疑似連の発生可能性がある旨を示唆する特殊な装飾図柄(疑似連発動チャンス図柄))を含ませて仮停止状態としてから再変動動作を行う、といったように、特殊な装飾図柄を含ませて仮停止させることにより、疑似変動が行われる旨、またはその可能性がある旨を遊技者に示唆する場合もある。斯様な「疑似連」は、主として、疑似連回数が多くなるほど大当り当選期待度が高まるようにその発生率(疑似連回数に応じた疑似連の発生確率)が定められている。換言すれば、疑似連回数が多くなるほど大当り当選期待度が相対的に高いSPリーチ種別の発生が期待できるようになっている。
したがって上記「疑似連」は、リーチ演出を含む演出シナリオの場合(疑似連有りリーチ変動パターンに基づく演出態様の場合)、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生され、たとえばリーチ演出の発生可能性がある旨の予告として、仮停止状態時の停止図柄の組合せを構成する一部または全部の停止図柄が、リーチ状態を形成するときの図柄の組合せ(リーチ図柄)を構成する可能性がある旨を示唆する疑似変動動作を行い、この疑似変動が終了した後、リーチ状態を経由して、最終的なゲーム結果が導出されることになる。なお、リーチ演出を含まない演出シナリオの場合(疑似連有り通常変動パターンに基づく演出態様の場合)、疑似変動が終了した後、リーチ状態を経由せずに最終的なゲーム結果が導出されることになる。ここで、上記疑似変動が終了した後に展開される変動表示を「本変動」とも称し、たとえばリーチ状態を経由する場合には、この本変動にてリーチ状態が形成されて、最終的なゲーム結果が導出される。なお、上記疑似連と上記リーチ演出とが伴う演出態様の場合、それぞれ別の演出態様である‘疑似連’と‘リーチ演出’とが複合したものとなっているが、説明の便宜上、本明細書では特に必要のない限り、疑似連有りリーチ演出を「リーチ演出」と同列に扱う。
(5−2−3.ボタン予告演出)
上記「ボタン予告演出」とは、遊技者が枠演出ボタン13を操作したか否かに応じて、演出の内容が変化し得る演出態様をいい、いわゆる、「遊技者参加型」の演出態様をいう。この「ボタン予告演出」では、所定の操作受付期間中、遊技者に対して枠演出ボタン13の操作を促す情報が報知され、この報知期間中に枠演出ボタン13が操作されたか否かに応じてその後の演出が変化するようになっており、たとえば現出中のキャラクター表示が変化したり、特殊な効果音が発生したりすることにより、大当り当選期待度を示唆することができるようになっている。このような「遊技者参加型」の演出態様は、遊技者があたかも遊技結果に影響を及ぼしているような感覚を与えることができるので、遊技の面白みを増すことができる。
(5−3.先読み予告演出)
また演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、大当りの当選可能性がある旨(大当り当選期待度)を事前に報知する先読み予告演出がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる(図10のステップS317〜S318、図11のステップS337〜S338(乱数判定処理〜特別停止図柄データ作成処理)参照)。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターンを事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由するリーチ演出指定用のリーチ変動パターン(リーチ変動パターン)となるのか、それともリーチ状態を経由しない非リーチ演出指定用の通常変動パターン(通常変動パターン)となるのかについて事前に判定される。なお上記先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果を利用して判定されるため、演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、変動パターン種別だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含まれる。この先読み変動パターンの情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターン判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
詳しくは、上記先読み判定結果の情報を含む「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され、当該保留加算コマンドを演出制御部24が受信すると、そのコマンドに含まれる先読み判定結果の内容に基づく先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。この保留加算コマンドは2バイトで構成され、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト側のデータと、先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データとから構成される(図5参照)。したがって、保留加算コマンドには、作動保留球情報と先読み変動パターン情報とが含まれる。ただし演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合に必ずしも先読み予告演出を現出させるわけではなく、先読み予告演出の実行を抽選により決定し、作動保留球の発生したタイミングで、または先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出させることができる。
なお作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「通常中SPリーチ1」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明する。このケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が、「SPリーチ1」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「SPリーチ」種別、または大当り当選期待度が相対的に低い「弱SPリーチ種別(たとえば、通常状態であれば、通常中SPリーチ1〜3)」、あるいは、大当り当選期待度が相対的に高い「強SPリーチ種別(たとえば、通常状態であれば、通常中SPリーチ4〜7)」という同系統の変動パターンを纏めて分類した「SPリーチ種別」、または「弱SPリーチ種別」、あるいは「強SPリーチ種別」である旨を指定することができる。このケースに係る先読み予告演出では、先読みされた「リーチ種別」に関連した演出態様が現出されることになる。したがって先読み予告演出により報知される主な情報は、将来的に実行される図柄変動表示ゲームに関し、大当り当選期待度が高い煽り演出(本ケースでは、SPリーチ種)が発生する可能性が高いか低いかといった情報、換言すれば、大当りの当選可能性が高いか低いかといった情報であり、このような情報を作動保留球が消化される前段階において事前に遊技者に報知することにより、今回の図柄変動表示ゲームだけでなく、将来的に実行される図柄変動表示ゲームにも遊技者の関心を向けさせて、遊技の面白みを向上させている。
(5−3−1.先読み予告演出態様:図5、図6)
次に図5および図6を参照しながら、先読み予告演出態様について説明する。図5および図6は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における先読み予告演出の説明に供する説明図であり、先読み予告演出の一例を示したものである。
まず図5を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される(図5(イ)参照)。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている(図5(ロ)参照)。具体的には、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特図図柄1側に対応)、a2〜d2(特図図柄2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記保留加算コマンドを受けた場合、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行う。この先読み予告抽選に当選に係る作動保留球が先読み予告演出の対象となった作動保留球となる(たとえば、図5のハッチングを施した保留表示部b2が該当する)。なお本実施形態では、先読み予告抽選実行条件として、現存する作動保留球に係る先読み変動パターンの中に、リーチ変動パターン種別がないことを条件とする。これは、連続的に発生している先読み予告演出の途中に他のリーチ演出が介在して、本来の先読み予告演出が寸断され、その演出効果が希薄になってしまうのを回避するためである。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。
先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の青色から、予告表示の黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、大当り当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。この保留色は、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定される。具体的には、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が大当り当選期待度が高い保留色が高確率で選択されるようになっている。なお「保留表示変化系」の先読み予告演出態様としては、上述のように保留色を変化させることに限らず、特殊なキャラクタを模したアイコンなどに変化するようにしても良い。このような「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球発生時に現出されることから「入賞時変化系」の先読み予告演出と称される。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点で、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。この連続予告演出は複数回の図柄変動表示ゲームにおいて実行される点で、疑似連のように、1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
また本実施形態では、上述の「入賞時変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行し連続表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。すなわち、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、一の図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する全ての保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にする。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全ての図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出も「入賞時変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。なお、上記先読み予告演出を他の演出手段により現出させても良く、たとえば、可動体役物(図示せず)を先読み専用の動作パターンで動作させて、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って先読み演出として現出可能に構成しても良い。
次に図6を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1が織り成す先読み予告演出態様について説明する。
図中(1)は、図柄変動表示ゲーム中(図示の「↓」は装飾図柄が変動表示中であることを示している)に上始動口34に入賞して特別図柄1側の作動保留球数が3個になったとし、その3個目のうち、第2番目に変動開始動作が実行される作動保留球が先読み予告演出の対象(ここでは、入賞時変化系の先読み予告抽選と変動開始時変化系の先読み予告抽選とに重複当選)となったケースを示している。またここでは、先に保留されていた第1番目と後に保留された第3番目の作動保留球については、先読み予告抽選非当選の作動保留球であったとする。
演出制御部24は、同図(1)示すように、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を通常とは異なる先読み専用の保留表示(以下、「専用保留表示」と称する)に変化させる。このとき、先読み予告の対象ではない第1番目および第3番目の作動保留球に対応する保留表示は、通常の保留表示(以下、「通常保留表示」と称する)のまま維持される。図示では、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を、通常保留表示(白丸(○)印)から専用保留表示(ハッチング付き丸印)に表示態様が変化した場合を示している。これにより、遊技者に対して先読み予告演出が開始された旨が報知される。なお同図(1)は、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して、装飾図柄が「246」で停止表示されたものを示している(結果は「ハズレ」とする)。
遊技進行は同図(2)に移り、主制御部20は、上記第1番目(最も古い作動保留球)であった特別図柄1側の作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化(1つ消化)し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、作動保留球が1つ消化された状態を示す保留表示態様とし、当該第1番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、「変動開始時変化系」の先読み予告演出として、液晶表示装置36の画面内に先読み予告演出用の背景画像(たとえば、稲妻を模した稲妻画像表示による稲妻演出:専用予告画像)を表示させる。これにより、液晶表示装置36の画面は、同図(2)に示すような表示態様となる。
そして遊技進行は同図(3)に移り、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して装飾図柄が「351」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
続いて遊技進行は同図(4)に移り、主制御部20は、上記第2番目であった作動保留球、つまり先読み予告演出の対象となった作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、当該第2番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、入賞時変化系の「専用保留表示」は上記シフト時に画面から消え、今回の図柄変動表示ゲームの開始を契機(その作動保留球の消化とともに)に終了される。また変動開始時変化系の専用予告画像(ここでは稲妻演出)も今回の図柄変動表示ゲーム中の発生を最後に終了される。なお同図(4)は、図柄変動表示ゲーム開始直後の液晶表示装置36の画面表示を示したものである。このようにして、一連の先読み予告演出が終了したことになる。その後、今回の図柄変動表示ゲーム中に、大当り当選期待度が相対的に高まる煽り演出(疑似連やリーチ演出(SPリーチ))が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、大当りへの期待感はより一層高まることになる。
なお先読み予告演出の一態様として、上記保留加算コマンドが2R短開放潜確大当り当選または小当り当選を指定するものであった場合、CZ突入の可能性(2R短開放潜確大当り当選または小当り当選)を予告するといった、CZ突入予告用の先読み予告演出を現出可能に構成することができる。またCZ中において作動保留球が発生した場合、現在の大当り当選確率状態に応じて、その作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出可能に構成することができる。たとえば、CZ中において作動保留球が発生した場合、高確率状態下の方が低確率状態下でよりも相対的に高い確率で先読み予告演出(たとえば、の作動保留球に係る保留表示を高確率状態の可能性を示唆するCZ中専用の保留表示に変化させる)を現出させる。
このように本実施形態のパチンコ遊技機1では、連続予告演出の一態様として、上記のような先読み予告演出を発生可能に構成されている。これにより、演出のバリエーションを豊富なものとすることができるので、遊技の面白みを向上させることができる。
なお、パチンコ遊技機1による各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。上記演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることができる刺激伝達手段であれば、いずれも本発明における演出手段として採用することができる。装飾ランプ45やLED装置、スピーカ46、液晶表示装置36などの光発生手段、音響発生装置、演出表示装置、ないし操作者の体に振動を伝える加振装置、あるいは視覚的演出効果がある可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。また、枠演出ボタン13(手操作手段)の操作を、特定の期間(たとえば、大当りへの当選期待度が相対的に高い煽り演出が発生中の一部または全部の期間)操作不能状態(たとえば、枠演出ボタン13の押下できないようにする)、または操作困難状態(たとえば、枠演出ボタン13の押下し難くする)に置く特殊演出手段を設けても良いし、手操作手段に対して振動を与える加振装置を設けても良い。
<主制御部側の処理:図7〜図16>
次に図7〜図16を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図7)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図8)とを含んで構成される。
<6.主制御側メイン処理:図7>
図7は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図7に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップS012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」が初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ、などが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH(‘XXH’は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を実行する。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<7.主制御側タイマ割込処理:図8>
次に図8を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図8は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜上、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図8において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板31からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において入賞を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。また上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理では、遊技動作状態の異常を監視し、異常(エラー)が発生した場合には、所定のエラー処理を行う。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数)が払い出されるようになっている。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。なお普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御される。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図9にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図16にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、右打ち指示情報(右流下経路3cを狙う旨を指示する情報(普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報))を報せる「発射位置誘導演出(右打ち報知演出)」を現出させるための処理を行う。この右打ち情報が報知されるケースとしては、電サポ有り状態下において遊技者が誤って発射位置を左流下経路3b側に狙いを定めていると推定されるケースで、電サポ有り状態下において、上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合などが挙げられる。このような場合、右打ち報知情報管理処理において、上記発射位置誘導演出の開始を指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射位置誘導演出を現出制御する構成となっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39aや特別図柄表示装置38a,38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図9のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報(当り遊技開始情報、図柄変動表示ゲーム開始・終了情報、入賞発生情報、賞球払い出し情報など)をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力処理を行う。これにより、可動翼片47や開放扉52bが所定のパターンで動作し、下始動口35や大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(8.特別図柄管理処理:図9)
次に、図8中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図9は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00Hまたは01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306)、特別図柄変動中処理(ステップS307)、および特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細は、後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図8のLED管理処理(ステップS062)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−1.特図1始動口チェック処理:図10)
まず、特図1始動口チェック処理(図9のステップS301)について説明する。図10は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理(特図1側の入賞時処理)として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などが行われる。なお後述の特図2始動口チェック処理(図9のステップS302)も特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、および保留加算コマンドの作成処理などが行われ、次に述べる特図1始動口チェック処理と同じ処理手順を踏む。
図10において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS325の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数および変動パターン用乱数は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、RAM203に設けられた各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得されるようになっている。
他方、大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数値をカウントするための大当り判定用乱数カウンタ:図示せず)から抽出される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ34aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。このカウント値は、大当り判定用乱数値として、RAM203の保留記憶エリアと別個に設けられたRAM203の大当り判定用乱数値用の記憶領域(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納され、CPU201は、必要なタイミングで、その特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファに格納された大当り判定用乱数値を読み出し利用する。
次いで、保留加算コマンド(詳細は後述する)を作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず(ステップS315の処理により保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなる)、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS316:YESの処理ルート参照)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ有り状態’を伴う遊技状態中である場合に、特別図柄1側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ有り状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄1側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
第1の理由としては、‘電サポ有り状態’下に置かれた場合は、下始動口35への入賞率が通常遊技状態よりも著しく向上し得る「高ベース遊技状態(可動翼片47の作動率向上状態:補助当りの当選確率が256分の255となり、開放延長機能が作動する)」となるため、遊技者が普通図柄始動口37へ入賞させるように発射位置を狙い定めた場合(本実施形態では、右流下経路3cを遊技球が通過するように狙いを定めた場合)、特別図柄2に係る作動保留球数(以下、「特図2作動保留球」と称する)が頻繁に発生するものと推定される。これに対し、電サポ無し状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が低い「低ベース遊技状態(補助当りの当選確率が256分の1となり、開放延長機能が未作動となる)」となり、また本実施形態では、遊技くぎなどの落下方向変換部材に起因して、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっており、遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合には、特に不利益をもたらす、という遊技性となっている。このため、電サポ有り状態中に遊技者が左流下経路3b側を遊技球が通過するように発射位置を定めることはないものと推定され、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、そのような発生率の低い特図1作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
また第2の理由としては、技術介入性の問題がある。技術介入性の問題が生じる例としては、現在、特図1作動保留球を対象とした何らかの先読み予告演出(特に、大当り当選期待度が高い先読み予告演出)だけが発生した場合、遊技者がこれを認識すれば、特図2作動保留球を途切れないようにして優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム2を継続的に実行させることで、特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選の恩恵を最大限受けながらゲームを進行させていくことができてしまう。本実施形態では、特別図柄1側の図柄抽選を受けるよりも特別図柄2側の図柄抽選を受けた方が、利益の高い「12R長開放確変大当り」や「16R長開放確変大当り」が高確率で当選するようになっている(詳細は後述する)。このため、特別図柄1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選を受けるよりも特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選を受ける方が、遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。これを利用し、特図1作動保留球の大当り当確が判明している場合には、電サポ有り状態が終了するまで特別図柄2側の大当り抽選の恩恵を最大限受けた後、その当選に係る特図1作動保留球を消化させて容易に大当りを得る、といった技術介入性の問題が生じ、遊技者間の不平等を招来する。
そこで本実施形態では、上記のような問題点に鑑み、特図1側と特図2側の先読み判定を禁止する区間(先読み禁止状態)を設け、遊技状態に応じて、これらの区間を切り替え制御可能に構成されている。
再びステップS316の説明に戻り、特図1先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S319)は行わずに、ステップS320の処理に進む。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、次いで、乱数判定処理を行う(ステップS317)。この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「当落抽選」を事前に判定する‘先読み当落判定’を行う。具体的には、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(後述の図12のS409参照)」の抽選結果(変動開始時の当落抽選結果)を先読み判定する。
ステップS317の乱数判定処理に入ると、まずRAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、次いで、後述の特図1用当り乱数判定テーブルを取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落判定(大当り、小当り、およびハズレの別の判定)を行う。
(T−1.当り乱数判定テーブル)
上記当り乱数判定テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る「特図1用当り乱数判定テーブル(図示せず)」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「特図2用当り乱数判定テーブル(図示せず)」とが含まれる。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)と低確率状態(低確))別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当り、小当り、またはハズレのいずれかが決定される。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合(大当り判定用乱数値が同じ値)であっても、現在の大当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「大当り」、他方では「ハズレ」といったように当落種別が異なる場合がある。本実施形態の大当り当選確率は、低確率状態では約1/397で、高確率状態ではそれよりも10倍程度上昇した約1/39.7で大当りに当選するようになっており、小当りの当選確率は、大当り抽選確率状態にかかわらず、約1/200となっている。つまり、小当りの当選確率は大当り抽選確率状態にかかわらず一定であり、この点、大当り抽選確率状態により当選確率が変動する上記の大当りと性格を異にする。
この当落抽選(先読み当落判定)により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH(大当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態)」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH(小当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態)」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)’となる。
なお特別図柄変動表示ゲーム2による当落抽選(特図2始動口チェック処理中のステップS337(図11参照))では、別途設けた上記「特図2用当り乱数判定テーブル」を利用した抽選が行われる。本実施形態の特図2用当り乱数判定テーブルにおいては、大当り当選の判定領域は同じ(大当りの当選確率は同じ)であるが、小当り当選となる判定値自体を定めていない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りとハズレだけが当落抽選対象とされる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、小当りを当落抽選対象として定めても良い。
上記したステップS317の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS318)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「図柄抽選」を事前に判定する‘先読み図柄判定’を行う。具体的には、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別停止図柄作成処理(後述の図11のS410参照)」の抽選結果(変動開始時の図柄抽選結果)を先読み判定する。なお上記乱数判定処理(ステップS317)〜特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)が‘先読み当り判定’に係る処理となる。
ステップS318の特別停止図柄データ作成処理に入ると、まずステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果を取得し、この当落抽選結果(大当り、小当り、ハズレの別)に応じて、大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、またはハズレ図柄テーブルのいずれかを選択する。そして、ステップS314で取得した特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした先読み図柄判定(当り(当選)種別の先読み判定)を行う。
(T−2.図柄テーブル)
上記の各図柄テーブルには、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、当選種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、当選種別を識別するための特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
ここで「特別図柄判定データ」とは当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、つまり2R短開放潜確大当り、12R長開放確変大当り、12R長開放非確変大当り、16R長開放確変大当り、小当りA〜C、ハズレA〜Bのいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図12のステップS411の遊技状態移行準備処理、ステップS412の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図6の特別電動役物管理処理(ステップS060)など)において利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。
(T−2−1.大当り図柄テーブル)
本実施形態の大当り図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「大当り図柄テーブル1」と特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「大当り図柄テーブル2」とが含まれる。各大当り図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値と、大当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが決定されるようになっている。
上記大当り図柄テーブル1では、たとえば、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜80の範囲に属する場合には「2R短開放潜確大当り」当選となり(図柄選択(抽選)率:80/200)、判定値80〜119の範囲に属する場合は「12R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値120〜179の範囲に属する場合には「12R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:60/200)、判定値180〜199の範囲に属する場合には「16R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:20/200)、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが、所定の図柄選択率で決定される。
また上記大当り図柄テーブル2は、上述の大当り図柄テーブル1と基本的な構成は同じであるが、大当り図柄テーブル1と次の点が異なる。大当り図柄テーブル2では、大当り図柄テーブル1と比較し、特定の大当りの図柄選択率(図柄抽選確率)が異なる。具体的には、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜40の範囲に属する場合には「12R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値41〜80の範囲に属する場合には「12R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値80〜199の範囲に属する場合には「16R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:120/200)、「2R短開放潜確大当り」が当選となる判定値が存在しない構成としてある。つまり、大当り図柄テーブル1による図柄抽選よりも大当り図柄テーブル2による図柄抽選の方が相対的に高い利益の大当りの種類が選択される確率が高く、遊技者にとって有利な図柄抽選となっている。これにより、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。
(T−2−2.小当り図柄テーブル)
本実施形態の小当り図柄テーブルは、特別図柄変動表示ゲーム1と特別図柄変動表示ゲーム2とで兼用され、上記の大当り図柄テーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、小当り種別(小当りA〜Cのいずれか)所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データが決定されるようになっている。なお小当りA〜Cの図柄選択率は、自由に設定することができるが、図柄選択確率の関係が「小当りA<小当りB≦(または<)小当りC」の関係であることが好ましい。その理由は、小当りAが最もCZ継続回数が少ない1回に設定され、CZ期間が最も短くなることから、たとえCZに移行しても潜確状態への緊張感がすぐに終ってしまうからである。このような小当りAを最も高い図柄選択率とするよりも、潜確状態が確定しうるCZ継続回数4回に近い回数が設定される、小当りBや小当りCの図柄選択率を高める方が、潜確状態への緊張感を持続させる上で効果的だからである。
(T−2−3.ハズレ図柄テーブル)
本実施形態のハズレ図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「ハズレ図柄テーブル1」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「ハズレ図柄テーブル2」とが含まれる。
上記ハズレ図柄テーブル1、2は、上記の大当り図柄テーブルや小当りテーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、ハズレ種別(ハズレAまたはハズレBのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データが決定されるようになっている。なお、ハズレ図柄テーブル1とハズレ図柄テーブル2とは、ハズレA〜Bの当選に係る判定値が異なっており、したがって特別図柄判定用乱数値が同じ値であっても、ハズレ図柄テーブル1が参照される場合と、ハズレ図柄テーブル2が参照される場合とでは、当選となるハズレ種別が異なる場合がある。本実施形態では、ハズレAの当選確率よりもハズレBの当選確率の方が低く定められている。
上記したステップS318の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理も、上記乱数判定処理(ステップS317)や特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)と同じく、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る変動開始時の変動パターンを先読みする‘先読み変動パターン判定’を行う。具体的には、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別図柄変動パターン作成処理(後述の図12のS412参照)」の結果(変動開始時の変動パターン内容)を先読み判定する。
上記始動口入賞時乱数判定処理に入ると、ステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果と、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理で得られた図柄抽選結果と、変動パターン用乱数とを利用し変動開始時の変動パターンの先読み判定を行い、その判定結果に基づいて、後述の「保留加算コマンド」の作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目(EVENT):下位バイト)の作成処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理において決定される入賞コマンドデータ(EVENT)により、先読み変動パターン(作動保留球数情報は除く)の内容が指定される。
ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト(MODE)側の入賞コマンドデータと、先読み変動パターンを指定する下位バイト(EVENT)側の入賞コマンドデータとから構成される「保留加算コマンド(後述の図29参照)」を作成し(ステップS320)、演出制御部24に送信する(ステップS321)。これにより、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて、図11の特図2始動口チェック処理(ステップS302)を行う。なお上記保留加算コマンドは、具体的には、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1、特別図柄2)とに応じて作成され、先読み判定時の作動保留球数およびその特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)側の入賞コマンドデータと、先読み変動パターン種別を指定する下位バイト(EVENT)側の入賞コマンドデータとから構成される。
上記「保留加算コマンド」には、主として、作動保留球数に関する情報と、先読み変動パターン種別に関する情報とが含まれる。また本実施形態では、特別図柄種が複数種類(特別図柄1と特別図柄2)あるので、この特別図柄種別に関する情報も含まれる。斯様な保留加算コマンドにより、今回の保留記憶ついて、いずれの特別図柄側であるのか、何個目の作動保留球であるのか、先読み判定結果はどのような変動パターンであるのか等について演出制御部24側において特定可能となる。なお、先読み変動パターン種別に関する情報は、演出制御部24側において先読み演出抽選をする契機に利用され、作動保留球数に関する情報と特別図柄種別に関する情報は、図5に保留表示領域76、77として示すように、特別図柄1側と特別図柄2側に区別して作動保留球数を表示するのに利用される。
(保留加算コマンドの変形例)
上記したように、保留加算コマンドには複数種類の情報が含まれている。本実施形態では、単一の保留加算コマンドを作成してこれを演出制御部24側に送信する形態としているが、これに限らず、次のような形態の保留加算コマンドとすることができる。
保留加算コマンドを複数種類の制御コマンドに分け、これらを順次送信可能な構成とすることができる。複数種類の制御コマンドとしては、たとえば、作動保留球数に関する情報を含む制御コマンド(保留記憶された保留球数に関する情報を含む第2の制御コマンド)と、先読み変動パターン種別に関する情報を含む制御コマンド(先読み判定結果に関する情報を含む第1の制御コマンド)とすることができる。
また、特別図柄種別情報を含ませる場合には、作動保留球数に関する情報および特別図柄種別(特別図柄1、特別図柄2)に関する情報を含む制御コマンドと、先読み変動パターン種別に関する情報を含む制御コマンドとするか、または、作動保留球数に関する情報を含む制御コマンドと、特別図柄種別(特別図柄1、特別図柄2)に関する情報および先読み変動パターン種別に関する情報を含む制御コマンドとすることができる。
また作動保留球数に関する情報を含む制御コマンドと、特別図柄種別(特別図柄1、特別図柄2)に関する情報を含む制御コマンドと、先読み変動パターン種別に関する情報を含む制御コマンドとすることができる。
本実施形態では、演出制御コマンドに複数種類の情報を含ませて演出制御部24に送信する場合、それら情報を単一の演出制御コマンドに含ませて演出制御部24に送信する構成としているがこれに限らず、一の情報を含む演出制御コマンドと、他の情報を含む演出制御コマンドとに分けて、単一の演出制御コマンドが有する情報を、上述のように、複数の演出制御コマンドに分担させる形態で演出制御部24に送信する構成としても良い。
(保留加算コマンド一覧:図29)
図29に保留加算コマンドを例示する。なお図示では、保留加算コマンドとして、通常中に利用される保留加算コマンドを代表的に例示し、他の保留加算コマンドについては、説明の便宜上、重複記載を避けるために省略する。
保留加算コマンドは、2バイトの制御データで構成される。具体的には、図29に示すように、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1および特別図柄2)とに応じて作成される上位バイト(1バイト目(MODE)データ:「BXH」(BXHはB5H〜BEH))と、そしてステップS319の始動口入賞時乱数判定処理で作成される下位バイト(2バイト目(EVENT)データ:「XXH」(XXはコマンドごとに対応する数値:00H〜11H))とから構成される。
上位バイト(MODE)データB5H〜BEHは先読み判定時の作動保留球数を指定するもので、このうち「B6H〜B9H」は特別図柄1の作動保留球数1〜4個の指定にそれぞれ対応し、「BBH〜BEH」は特別図柄2の作動保留球数1〜4個の指定にそれぞれ対応する。また下位バイト(EVENT)データ00H〜11Hのうち、00H〜0AHはハズレの先読み変動パターン種別X1〜X11の指定に対応し、0BH〜11Hは当りの先読み変動パターン種別Y1〜Y7の指定に対応する。
したがって、この保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS315〜S317)において得られた先読み判定結果情報、具体的には、先読み変動パターンを特定しうる情報が含まれる。ただし、下位バイト(EVENT)値が「01H」の場合は、先読み禁止が指定される。
なお上記した保留加算コマンドを、複数種類の制御コマンドに分担させる形態(上記変形例)とする場合には、図示の保留加算コマンドデータ値を適宜変更して各制御コマンドに分担させるように構成した2バイト構成の制御コマンドとし、先読み判定時の作動保留球数情報や先読み変動パターン情報を特定可能に構成すれば良い。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報に基づく先読み予告演出の現出に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、先読み予告演出を現出する場合、図柄変動表示ゲームの開始とともに、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、保留加算コマンドを受けた場合、始動口に入賞があった旨を報知する「入賞演出」を現出させることができる。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。このOF保留加算コマンドも、2バイトから構成され、上位バイト目(MODE)は「B5H(特別図柄1に対応)」または「BAH(特別図柄2に対応)」であり、下位バイト(EVENT)はオーバーフロー入賞を指定する「00H」となっている。
また上記OF保留加算コマンドは、先読み判定には利用されずに、専ら上述の「入賞演出」に利用されるものであるが、以下のような演出を現出させるように構成してもよい。たとえば、演出制御部24が上記OF保留加算コマンドを受信した場合において、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在している場合、その旨を報知する予告演出(OF入賞時保留内予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合、これに含まれる先読み判定情報を記憶する先読み判定情報記憶手段と、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在していることを条件に、大当りの可能性や上記CZ突入の可能性(2R短開放潜確大当り当選または小当り当選)がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)保留内予告演出手段と、を含むことができる。斯様な予告演出は、オーバーフロー入賞の発生を契機に現出される入賞演出に準ずるものであるが、未だ最終結果が導出されていない図柄変動表示ゲームの結果を先読み的に報知するという点で、先読み予告演出と同じ役割を果たす。
(8−2.特図2始動口チェック処理:図11)
次、特図2始動口チェック処理(図9のステップS302)について説明する。図11は、特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
上記特図2始動口チェック処理は、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理として、先に述べた特図1始動口チェック処理の流れと同じように、作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などの処理が行われる。以下、上記特図1始動口チェック処理(ステップS301)と同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図11において、CPU201は、まず下始動口35において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS331)。
下始動口35の入賞検出がなかった場合は(ステップS331:NO)、何もしないで特図2始動口チェック処理を抜ける。しかし下始動口35の入賞を検出した場合は(ステップS331:YES)、特別図柄2の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS332)。
特図2作動保留球数が4以上である場合(ステップS332:YES)、ステップS345に進む。一方、特図2作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図2作動保留球数を1加算(+1)し(ステップS333)、ステップS334の処理に進む。
ステップS334の処理に進むと、今回発生した特図2作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム2に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)の乱数カウンタの現在値を取得し、それぞれRAM203の保留記憶エリアに格納する(ステップS334)。この処理は、図10のステップS314の処理の仕方と同じである。この特図2作動保留球は、特別図柄2の変動表示動作に供されるまで、最大保留記憶数を所定の上限値として、始動条件の成立順に保留記憶される。
次いで、入賞コマンドデータとして、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(下位バイト「01H」)を取得し(ステップS335)、「特図2先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS336)。上記「特図2先読み禁止条件」とは、特図2作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図2先読み禁止条件が成立している場合(ステップS336:YES)、今回の特図2作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS336:YESの処理ルート)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ無し状態を伴う遊技状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が、通常遊技状態中または潜確状態中である場合は、特別図柄2側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ無し状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄2側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
「通常遊技状態」または「潜確状態」であるならば、‘電サポ無し状態’下に置かれ、下始動口35の入賞率が著しく低下する。また既に説明したように、本実施形態では、上記電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合、左流下経路3bを遊技球が通過するように狙いを定めた場合よりも上始動口34の入賞率が著しく低下してしまう、といった遊技者にとって不利益をもたらす遊技性となっている。このため、電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めることはないものと推定される。したがって、電サポ無し状態中においては、特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、また発生率の低い特図2作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
なお本実施形態では、遊技状態に応じて、特別図柄1側の先読み禁止区間(先読み禁止状態の期間)と特別図柄2側の先読み禁止区間とを切り替え可能に構成されているが、本発明はこれに限られない。たとえば、遊技状態に応じて、特別図柄1側および特別図柄2側のいずれか一方の先読み判定は一切実施しないという構成としても良い。特にCZ中において、先読み判定を一切実施しない構成としても良い。CZ中においては、これに対応する専用のCZ演出モード下でなされる演出により、遊技者の潜確状態の期待感を煽るようになっている。またCZ期間も比較的短期間である。このため、先読み予告演出を現出させない構成としても良い。
再びステップS336の説明に戻り、特図2先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS336:YES)、ステップS340の処理に進む。しかし特図2先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS336:NO)、ステップS337の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS337)。この乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み当落判定」が行われる。また基本的な処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS317の乱数判定処理と同じである。
ステップS337の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS338)。この特別停止図柄データ作成処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み図柄判定」が行われる。また基本的な処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS318の特別停止図柄データ作成処理と同じである。
次いで、特図1始動口チェック処理中と同様の始動口入賞時乱数判定処理を行い(ステップS339)、入賞コマンドデータと作動保留球数に基づき、図29の保留加算コマンド(MODEデータがBAH〜BEH、EVENTデータが00H〜11H)を作成し(ステップS340)、作成した保留加算コマンドを演出制御部24に送信して(ステップS341)、特図2始動口チェック処理を抜ける。
(8−3.特別図柄変動開始処理:図11)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS305)について説明する。図11は、図9の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図11において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を行う。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。ステップS401とS402の処理は、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる「優先変動手段」として機能する。
本実施形態では、上記優先変動手段により、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。より詳しくは、特別図柄1または特別図柄2が停止表示されたことを条件に、上記第1の保留記憶エリア(第1の保留記憶手段(特別図柄1側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄1に関する保留データ(第1の保留記憶:特図1作動保留球)が記憶されており上記第2の保留記憶エリア(第2の保留記憶手段(特別図柄2側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄2に関する第2の保留データ(第2の保留記憶:特図2作動保留球)が記憶されていない場合には、当該第1の保留データのうちの最も先に記憶された保留データに基づく第1の特別図柄の変動表示を開始させる一方、当該第2の保留記憶エリアに当該第2の保留データが記憶されている場合には、その第1の保留記憶エリアに上記第1の保留データが記憶されているか否かにかかわらず、当該第2の保留データのうち最も先に記憶された保留データに基づく当該第2の特別図柄の変動表示を開始させるようになっている。
なお特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、デモ画面表示に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H)」であるか否かを判定する。この「待機中(00H)」は、上記「作動保留球なし」の状態を示す動作ステータスである。初めてステップ417の判定処理を通過する場合には、特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」となっている(後述の図24Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)。この「待機中(01H)」の場合には、ステップ418の処理に進み、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなし、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NOまたはS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S417)を行っていく。なお、以下に説明するステップS403〜S417の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかという区別をせずに説明していく。
ステップS403に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報を含む制御コマンドを「保留減算コマンド」(図30)として作成し、これを演出制御部24に送信する(ステップS404)。
(保留減算コマンド:図30)
図30は、保留減算コマンドの一覧を示したものである。この保留減算コマンドも2バイトの制御データで構成される。具体的には、特別図柄種別(特別図柄1および特別図柄2)に応じて作成される上位バイト(MODE)データ:「B0H」〜「B1H」(「B0H」は特別図柄1の保留球数減算指定、「B1H」は特別図柄2の保留球数減算指定)と、そして下位バイト(EVENT)データ:「XXH」(XXはコマンドごとに対応する数値:01H〜05H)とから構成される。MODEデータの「B0H」(特別図柄1の保留球数減算指定)と「B1H」(特別図柄2の保留球数減算指定)のそれぞれにEVENTデータの01H〜05Hが対応する。このEVENTデータの「01H〜05H」は作動保留球数0〜4個の指定にそれぞれ対応する。なお、「05H」(保留記憶個数が4個を指定するもの)は電源投入時にセットする場合に使用されるものであり、この実施形態では使用されない。したがってEVENTデータが「05H」の保留減算コマンドは送信されない。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS407)。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS407の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、残り時短回数コマンド送信処理を行う(ステップS408)。ここでは、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」は、演出制御部24側において、残りの時短回数情報を報知する際に利用される。
次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「当落抽選」を行う。特別電動役物作動判定用乱数判定処理の処理手順は、乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)と実施的に同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の変動表示側に対応する当り乱数判定テーブルを取得する。この当り乱数判定テーブルは、乱数判定処理(図10のステップS317、図11のステップS337)で利用した当り乱数判定テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく、大当り、小当り、およびハズレの別の当落抽選を行う。
この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH」となり、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ’となる。
ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。なお特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「図柄抽選」を行う。特別停止図柄作成処理の基本的な処理手順は、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)と同じであるので、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データとステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果(上記大当り判定フラグと小当り判定フラグ)と、を取得し、これらに基づき、今回の変動表示側に対応する図柄テーブルとして、大当り図柄テーブル1、2、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブル1、2のいずれかを選択する。この図柄テーブルは、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)で利用した図柄テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、上記選択した図柄テーブルと、特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行い、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別を決定する。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。なお、この遊技状態移行準備処理の詳細は図13にて後述する。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果、および変動パターン用乱数などを利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターンを決定する。そして、その変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターンの内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。なお、特別図柄変動パターン作成処理は、特別図柄の変動パターンを決定するといった点において‘先読み判定’処理の一つである始動口入賞時乱数判定処理および保留加算コマンドに関する作成処理(図10のステップS319〜S320、図11のステップS339〜S340)と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターン、つまり変動開始時の変動パターンが決定される。
ここではまず、変動パターン用乱数値を取得し、次いで、大当り抽選結果(当落抽選、図柄抽選)に基づき、下記の当り変動パターン振分テーブル(図34)またはハズレ変動パターン振分テーブル(図35)を取得する。そして、この変動パターン振分テーブルと変動パターン用乱数値と基づき、特別図柄の変動パターンを抽選により決定する。
(T−3.変動パターン振分テーブル:図34、図35)
図34に当り用変動パターン振分テーブルを、図35にハズレ用変動パターン振分テーブルを示す。上記当り用変動パターン振分テーブルは、当り(大当りまたは小当り)に当選した場合に選択され、上記ハズレ用変動パターン振分テーブルは、ハズレに当選した場合に選択される変動パターン振分テーブルである。
上記の変動パターン振分テーブルには、変動パターン振分指定番号(現在の遊技状態)、作動保留球数(ハズレ変動パターン振分テーブルの場合の図中の「保0」〜「保3」の表記は、今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、残りの作動保留球数「0個」〜「3個」を示す)、大当り抽選結果(特別停止図柄作成処理(ステップS410)の図柄抽選結果)、および変動パターン用乱数値(乱数値の大きさ:239)などが関連付けて定められており、変動パターン用乱数による抽選により複数種類の変動パターンのうちからいずれかの変動パターンが選択されるようになっている。なお図34および図35では、説明の便宜上、変動パターンの「選択率(抽選確率)」を表記しているが、実際には、変動パターンを決定するための判定領域(判定値)が定められており、変動パターン用乱数値がいずれの判定値に属するのか否かにより、目的とする変動パターンが決定されるようになっている。
このとき、変動時間決定テーブルも決定される。この「変動時間テーブル」には、各変動パターンに対応した変動時間(変動表示動作時間)が定められており、これにより、選択した変動パターンの変動時間が決定される。なお、この変動時間は、特別図柄変動表示ゲームと同調して実行される装飾図柄変動表示ゲームの遊技時間(装飾図柄の変動表示時間(演出時間))となる。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、主に、当り・ハズレの別の当落抽選結果(詳細な図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)、現在の遊技状態種別、変動時間、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出種(Nリーチ、通常中SPリーチ1〜7など)の指定情報、および疑似連回数の指定情報など)が含まれる。CPU201は、その内容を特定可能とする「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信し、演出制御部24は、変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報に基づき、今回の図柄変動表示ゲーム中の演出を現出制御するようになっている。
(CZ中のハズレ変動パターンについて)
なお本実施形態において、CZ中に選択されうるハズレ変動パターンは、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、残りの作動保留球数(保0〜3個))にかかわらず、単一のハズレ変動パターン(CZ用ハズレ変動)が選択される(図35のハズレ用変動パターン振分テーブルの「CZ(01H)」の欄参照)。これにより、CZ中に選択されるハズレ変動パターンは、作動保留球数によらず、同一の変動時間決定テーブルが選択されるので、その変動時間は同じ時間幅となる。このように、CZ中に選択されるハズレ変動パターンを、作動保留球数によらず同一の変動時間とする理由は次の通りである。
一般的に電サポ無し状態であっても、作動保留球数は比較的短時間で変化しうるものであり(一般的な弾球遊技機では、1回の図柄変動表示ゲーム中に、作動保留球数が1〜3個程度増加するものが多い)、これを利用して作動保留球数に応じた変動パターンを選択させるようにすれば、毎回の図柄変動表示ゲームごとに、演出時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)に変化をもたらすことができ、多彩な演出を発生させることが可能である。そのような遊技状態として、たとえば「通常状態」や「時短状態」などがある(図35参照)。
しかし、作動保留球数に応じて図柄変動表示ゲームの演出時間が異なるようにしてしまうと、今回の図柄変動表示ゲームの演出時間と次回の図柄変動表示ゲームの演出時間とが異なる可能性が高く、短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して複数回の図柄変動表示ゲームに跨って、密接な関連性を持つ演出(たとえば、ストーリー仕立ての物語風の演出)を連続的に展開させていくのが困難になる。たとえば、CZ演出モード下において、関連性を有した複数話のストーリー演出を含む物語風の演出を現出させる場合、すべてのストーリー演出の演出時間が同一であれば、これを連続的に展開させていくのは容易であるが(演出制御部24側の演出の選択処理が容易になり演出制御負担が軽減される)、作動保留球数に応じて演出時間が変化してしまうと、ストーリーを展開する関係上、各ストーリー演出それぞれに対し、作動保留球数0〜3個に対応した多くの演出を設けなくてならず、さらに演出時間が異なる演出同士を関連性を有した表現とする必要があり、演出パターンの種類が増加し、演出制御部24側における演出選択処理に係る演出制御負担が増大してしまう。
また上記のような物語風の演出を現出させる場合、先読み予告演出を利用することも考えられるが、先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、現存する作動保留記憶数がその都度異なり、上述と同じく短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して密接な関連性を持つ演出を連続的に展開させていくのが困難になると考えられる。また先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、先読み予告演出の実行回数が毎回異なる可能性が高い。このため、本実施形態のように、CZ演出モードの継続回数が長く続くほど潜確状態の期待感を高まるようにしたり、CZ演出モードが所定回数継続した場合に潜確演出モードに移行させて潜確状態下である旨を確定的に報知したりする、といったことはできない。特にCZ演出モードは、大当り抽選確率を秘匿しうる演出をなす演出モードとして働くため、このような演出モードの下で、高確率状態の期待感を煽るような物語風の演出を展開可能とすることは、遊技の面白みを向上させる上で極めて有効である。なお上記の「物語風の演出」は、たとえば、敵と対峙しながら戦いを繰り広げるような「戦闘演出」や、昔話しや童話の内容を展開していくような「筋書き演出」、図柄変動表示ゲームの実行ごとに遊技者に所定の指令を与える「指令演出」など、特定の期間中(CZ中)に展開されうる演出同士に何らかの関係性を有した表現がなされるものであれば特に限定されない。
そこで本実施形態では、演出時間の長短が発生してしまうことを極力抑えるべく、作動保留球数に関係なく、変動時間が同一の変動パターンが選択されるような特定の遊技状態(CZ)を設け、その特定の遊技状態が継続しうる変動回数を当選種別(2R短開放潜確大当り、小当りA〜C)に応じて固定的なものとし、上記物語風演出の展開を容易なものとして、演出制御負担を軽減することができるようにしている。
また本実施形態では、既に説明したように、CZ継続回数に応じて潜確状態移行の期待感を高めることができるようになっている。そして、その上限回数を最大保留記憶数の同じ値の4回に定めてある。その理由は、次の通りである。
第1に、CZ演出モードのような秘匿演出モードを長期間(たとえば、数十ゲーム間)継続させるようにした場合、遊技者は潜確状態でないこと確信できるまで(たとえば、秘匿演出モードが終了し、通常状態が確定的となる通常演出モードに移行するなど)、ゲーム数を長期間消化せざるをえない状況に置かれてしまい、遊技者にとり不利なゲーム展開となる。特に近年では、秘匿演出モードが長期間継続するような遊技機を敬遠する遊技者も多く、このため、秘匿演出モードの継続回数を比較的短いゲーム数に定めることが好ましい。
第2に、CZ演出モードのような秘匿演出モードの継続回数を定めるに際し、秘匿演出モード下でなす演出を先読み予告演出のような連続予告演出とすることが、遊技の面白みを向上させる上で効果的である。つまり秘匿演出モード下でなす演出が、あたかも先読み予告演出が如く装わせることが好ましいといえる。この点について説明すれば、次の通りである。
先読み予告演出は、現存する作動保留球を対象とする連続予告演出であるので、その実行回数は、最大保留記憶数(4回)までが限界である。この点に着目し、遊技者に対して、CZ演出モード下でなす演出が、恰も先読み予告演出が如く装わせるため、CZ継続回数を最大保留記憶数の4回の範囲内に定めている。これは、多くの遊技者が作動保留球数を報知する保留表示を注視しながら遊技に興じている訳ではなく、保留表示よりも大きく見やすい位置に表示される予告演出を注視しながら遊技に興じている点、また上述したように、作動保留球数が1回の図柄変動表示ゲーム中の期間であっても1個〜3個程度増加し、作動保留球数が短期間で変化しうる(たとえば、CZ突入時に作動保留球が1個であっても次ゲーム開始時点で作動保留球数が2〜4個に増加し可能性が高い)点などの理由からである。本実施形態では、CZ継続回数を最大保留記憶数の範囲内にとどめることで、CZ演出モード下でなす演出を、先読み予告演出(連続予告演出)の如く装わせることができるようになっている。
このようにCZ演出モード下では、先読み予告演出(連続予告演出)の如く装わせる専用の演出が現出する。そこで当該CZ演出モード下で新たな入賞に基づく保留記憶が発生し、これに基づいて先読み予告演出が発生すると、相互に矛盾や違和感をもたらす可能性がある。そこで、このような不都合を避けるべく、CZ演出モード下で新たに発生した保留記憶につき、その保留記憶可能な上限である最大保留記憶数の4回だけは先読みを禁止するように構成して、CZ演出モード下でなす演出と先読み演出予告との間に矛盾や違和感が発生しないようにすることが好ましい。
(2R短開放潜確大当り当選・小当り当選時の当り変動パターンについて)
図34に当り用変動パターン振分テーブルを参照して、本実施形態では、2R短開放潜確大当り当選した場合と小当りに当選した場合とで、同じ当り変動パターン(通常中2R潜確・小当り1、通常中2R潜確・小当り2、CZ中2R潜確・小当り1、CZ中2R潜確・小当り)が選択されるようになっている。これは、2R短開放潜確大当り当選した場合と小当りに当選した場合とで、同じ変動時間(演出時間)が決定されるようにし、演出選択する上で、どちらの当りに当選したかを不明確にさせる演出処理を行うためである。
再び図11の説明に戻り、ステップ412の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。たとえば、上位バイト(MODE)側には、変動側の特別図柄が特図1の場合は「BBH」、特図2の場合は「BCH」が設定され、下位バイト(EVENT)側には、当選種別がハズレA〜Bの場合は「01H」〜「02H」、小当りA〜Cの場合は「03H」〜「05H」、大当りの場合は2R短開放潜確大当りが「06H」、12R長開放非確変大当りが「07H」、12R長開放確変大当りが「08H」、16R長開放確変大当りが「09H」が設定される。この装飾図柄指定コマンドは、当選種別情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図9の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS059)を抜けて、図8の特別電動役物管理処理(ステップS060)に進む。
(8−3−1.遊技状態移行準備処理:図13)
次に、上記の遊技状態移行準備処理(ステップS411)について説明する。図13は、図12の遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
図13において、CPU201は、まず大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS431)。大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS431:≠5AH)、何もしないで遊技状態移行準備処理を抜ける。
大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS431:=5AH)、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図31)を取得する(ステップS432)。
次いで、取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(図33)を取得し(ステップS433)、この遊技状態移行テーブルに定められたデータを後述の各種バッファに格納する(ステップS434:状態バッファ設定処理)。これらバッファに格納された値は、後述する特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(図16のステップS509)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々のバッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。ステップS434の処理を終えると、遊技状態移行準備処理を抜けて、図15の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)に進む。なお、この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理が行われ、小当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理は、後述の電動役物管理処理中の小当り処理(図16のステップS504参照)で行われるようになっている。
(T−4.大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図31)
図31に、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、遊技状態判定番号(YJ)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは大当り種別)とに関連付けられた複数種類の遊技状態移行テーブルが定められており、具体的には、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル((大当り用の遊技状態移行テーブル)が選択されるようになっている。
ここで「遊技状態判定番号(YJ)」とは、内部遊技状態を識別するためのデータである。図37の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、遊技状態判定番号(YJ)が「00H」の場合は「通常遊技状態(電サポ無し状態、低確)」を、「01H」の場合は「潜確状態(電サポ無し状態、高確)」を、「02H」の場合は「時短状態(電サポ有り状態、低確)」、「03H」の場合は「確変状態(電サポ有り状態、高確率)」をそれぞれ示す。したがって、遊技状態判定番号(YJ)は上記のような内部遊技状態を識別する点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)のように遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(T−5.遊技状態移行テーブル:図33)
図33に、上述の遊技状態移行テーブルを示す。本実施形態の遊技状態移行テーブルには、大当りの場合に選択されうる大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−4」と、小当りの場合に選択されうる小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」とが含まれる。
これら遊技状態移行テーブルには、当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するための複数種類データ群が定められている。具体的には、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種のデータが定められている。これらのバッファに格納された値は、必要なタイミングで読み出され、RAM203に設けられた所定のフラグ記憶領域や所定のカウンタ記憶領域に設定される。この各バッファに各遊技状態移行テーブルにより指定される各種データが格納されると、当り遊技終了後の遊技状態が定まることになる。
本実施形態の「JTTBL−1」は‘確変状態’に、「JTTBL−2」は‘潜確状態’に、「JTTBL−3」は‘CZ’に、「JTTBL−4」は‘時短状態’に、「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」は‘CZ’に移行させるための遊技状態移行テーブルである。ただし、CZ移行に関する「JTTBL−3」、「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」については、「JTTBL−3」はCZ継続回数4回とするCZ(4回)に、「JTTBL−5」はCZ継続回数1回とするCZ(1回)に、「JTTBL−6」はCZ継続回数2回とするCZ(2回)に、「JTTBL−7」はCZ継続回数3回とするCZ(3回)に移行させる遊技状態移行テーブルとなっている。以下に、上述の各種バッファの役割について説明する。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(普通図柄確変移行状態バッファ)
「普通図柄確変移行状態バッファ」は、普通図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄確変状態フラグ」とは、補助当り抽選確率状態、つまり普通図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄確変機能作動中の「補助当り確変状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄確変機能非作動の「補助当り低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄確変移行状態バッファ)
「特別図柄確変移行状態バッファ」は、特別図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄確変状態フラグ」とは、特別図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄確変機能作動中の「高確率状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄確変機能非作動の「低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短回数カウンタバッファ)
「特別図柄時短回数カウンタバッファ」は、特別図柄時短回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄時短回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図15BのステップS481参照)。
(特別図柄確変回数カウンタバッファ)
「特別図柄確変回数カウンタバッファ」は、特別図柄確変回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄確変回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄確変機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「高確率状態」が終了するまでの残り回数(残りST回数)を計数するためのカウンタである。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、遊技状態を特定するための遊技状態データである(図37の参照)。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、RAM203の変動パターン振分指定番号格納領域に設定され、所定の遊技状態移行条件を満たすと、その値が変更されるようになっている(特別図柄確認時間中処理(図15B)のステップS481、S486、S490、遊技状態移行準備処理(図12のS411、図13のS434、特別電動役物管理処理(図16)など)。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄変動回数カウンタ」とは、遊技状態移行条件となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)を計数するためのカウンタである。本実施形態の特別図柄変動回数カウンタには、遊技状態移行規定回数としてCZ継続回数が設定され(図33の「JTBL−3」、「JTBL−5」〜「JTBL−7」参照)、このカウンタはCZ継続回数を管理する管理手段として機能する。
(8−4.特別図柄変動中処理:図14)
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。図14は、図9の特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24側では、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、RAM203の特別図柄確定タイマに、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
ステップS453の処理を終えると、この特別図柄変動中処理を抜けて、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−5.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図15Aおよび図15B)
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図15Aおよび図15Bは、図9の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図15Aおよび図15Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(図14のステップS453参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常A指定)を格納し、遊技状態報知LED(図示せず)の点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。上記「遊技状態報知LED」とは、現在の遊技状態情報を報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LED(状態報知手段)は、特別図柄時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、遊技状態報知LED(状態報知手段)の報知態様を変化させる。たとえば、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合、現在、特別図柄時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非特別図柄時短状態報知)、「01H」の場合には、現在、特別図柄時短状態である旨が報知される(遊技状態報知LED:点灯状態(特別図柄時短状態報知)。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、ステップS478の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでステップS483の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数(時短状態であれば50回、確変状態であれば10000回)に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了した旨を示す(電サポ無し状態移行情報)「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。演出制御部24は、この時短終了コマンドを受信することで、次ゲームから電サポ無し状態となる旨を把握する。なお本実施形態では、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合は、確変状態から通常Aに移行することと同じであるので、演出制御部24がこの「時短終了コマンド」を受けると、たとえば、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替えて当該演出モード下に係る演出制御処理を行う。
次いでステップS483の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。
特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、ステップS488の処理に進む。
特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST規定回数(70回)に達していないので、何もせずにステップS487の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、特別図柄の変動回数がST規定回数(本実施形態では、10000回)に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS486)。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、ステップS487の処理に進み、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(CZ継続回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS487)。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS487:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS487:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS488)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS489)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS489:NO)、遊技状態移行規定回数に達していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、遊技状態の移行設定処理を行う(ステップS490:変動パターン振分指定番号設定処理)。ここでは、CZ継続回数が終了した後の遊技状態の移行設定処理を行う。本実施形態では、CZ終了時の大当り抽選確率状態が低確率状態か高確率状態かに応じて、移行先の遊技状態が異なるようになっている。ここでは、まず遊技状態判定番号(YJ)を取得し、現在の内部遊技状態が通常状態(遊技状態判定番号(YJ)=00H)であるか、潜確状態(遊技状態判定番号(YJ)=01H)であるかを判定する。現在の内部遊技状態が通常状態、つまり低確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)を通常状態を指定する「00H」に設定し、現在の内部遊技状態が潜確状態、つまり高確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)を潜確状態を指定する「02H」に設定する。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常状態」または「潜確状態」における特別図柄の変動パターンが選択される。このステップS490処理は、所定の条件の成立に基づき、変動パターンの選択条件(変動パターン選択モード)を切替制御するための変動パターン選択条件切替手段として働く。
次いで、演出制御コマンドとして、移行先の遊技状態情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この「遊技状態指定コマンド」により演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームで「CZ」が終了し、次ゲームから「通常状態」または「潜確状態」となる旨を把握する。これにより、演出制御部24は、次回の図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)または「潜確演出モード」用の背景画像に切り替え制御し、当該演出モード下での演出制御処理を行う。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(9.特別電動役物管理処理:図16)
次に、図8中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図16は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置52の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、
特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値に応じた処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置52の動作が制御される。ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
以下に、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り遊技制御処理(ステップS504)とについて説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
先ず、大当り開始処理(ステップS505)について説明する。
(9−1.大当り開始処理)
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合には、まず最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。
ここでは、まず大当り遊技を開始する際に必要な大当り遊技開始時の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するためのカウンタであり、現在のラウンド数はここに記憶される。ここでの連続回数カウンタは「01H」が設定されるので、現在のラウンド数は1R目を示している。
次いで、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じた最大ラウンド数(規定ラウンド数)とラウンド表示LED番号とが定められた「大当り開始設定テーブル(図示せず)」を取得する。この大当り開始設定テーブルを参照して、今回の特別図柄判定データに対応した各データを、それぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに「開始インターバル時間」を格納する。なお上記「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後(図14のステップS453の、図15AのステップS471参照)、特別変動入賞装置52が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出が行われる区間を定めた時間幅(1回目のラウンド遊技が行われる前の初回演出時間)を指す。また「ラウンド表示LED番号」とは、ラウンド数表示装置39b(ラウンド数表示手段)の報知態様を指定するデータで、今回の大当り遊技の最大ラウンド数(規定ラウンド数)を示す。
次いで、オープニング演出の開始を指示する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。なお「大当り開始コマンド」には、オープニング演出の開始を指示する役割の他、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出(大当り種別ごとに対応するオープニング演出、ラウンド演出、ラウンド終了演出、およびエンディング演出など)を決定する際にも利用される。
(9−2.特別電動役物作動開始処理)
次に、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、上記大当り開始処理(ステップS505)で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、2R目以降でこの特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)で設定されるインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンド(1R目)の場合は、開始インターバル時間)が経過したならば、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに応じた大入賞口50の開閉動作パターンを設定する(大入賞口開閉動作設定処理)。具体的には、大入賞口50を開放させるための大入賞口開閉動作時間(たとえば、29.8秒)を特別図柄役物動作タイマに格納し、大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。これにより、大入賞口ソレノイド52cを動作させ、大入賞口50が上記大入賞口開閉動作時間を上限に開放される。上記大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)、特別電動役物管理処理を抜け、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3.特別電動役物作動中処理)
次に、特別電動役物作動中処理(ステップS507)について説明する。
ここではまず、大入賞口50への入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認し(大入賞口最大入賞数確認処理)、最大入賞数に達した場合には特別図柄役物動作タイマをクリアする。これにより、上記特別電動役物作動開始処理(ステップS506)で設定されたタイマ値が強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことをもって開放中の大入賞口50が閉鎖されるようになっている。なお特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(大入賞口開放動作時間経過するか、または最大入賞数に達するまでの間)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(最大入賞数に達したか、または大入賞口開放動作時間経過した場合)、今回のラウンド遊技が終了したとして、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納し、特別電動役物作動中処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の上記残存球排出時間が設定されているので(特別電動役物作動中処理(ステップS507)参照)、この残存球排出時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数(最大ラウンド数)に達したか否かを判定する。最大ラウンド数に達していない場合には、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。これにより、特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図9のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合、「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、次いで、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。なお上記「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。
そして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。なお「大当り終了コマンド」には、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。なお、上述の大当り当選時の遊技状態を特定可能な情報には、変動パターン振分指定番号に関する情報、または変動パターン振分指定番号と内部遊技状態とに関する情報を含むことができる。また大当り当選時の遊技状態がCZであった場合、その当選時の遊技状態が内部遊技状態により区別される「CZ(通常)」であるか、「CZ(潜確)」であるかを特定可能な情報を含むことができる。また、大当り終了コマンドは、単一のコマンドであっても良いし、複数のコマンドであっても良い。複数のコマンドとする場合、たとえば、一の大当り終了コマンドに今回の大当り種別を特定可能とする情報を含ませ、他の大当り終了コマンドにその大当り当選時の遊技状態を特定可能とする情報が含ませて、これらのコマンドを同時あるいは順次に必要なタイミングで演出制御部24に送信することができる。本実施形態では、複数種類の情報を演出制御コマンドに含ませる場合、その特定の演出制御コマンドが有する役割を複数の演出制御コマンドに分担させ、一の情報を含む特定の演出制御コマンドと、他の情報を含む特定の演出制御コマンドとに分けて、演出制御部24に送信する構成としても良い。このような上記特定の演出制御コマンドとしては、大当り終了コマンドの他、たとえば、作動保留球数と先読み変動パターン内容とに関する情報を含む「保留加算コマンド」や、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる「装飾図柄指定コマンド」などがある。
このように上記の大当り終了コマンドは、エンディング演出の開始を指示する役割の他に、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担う。これにより、大当り遊技後に移行される遊技状態と、その遊技状態に係る演出モードとの整合性を取ることができるようになっている。
(9−5.大当り終了処理)
次に、大当り終了処理(S509)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの大当り終了処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば、各移行状態バッファの値を各状態フラグに格納し、大当り遊技後の遊技状態を指定する。具体的には、特別図柄変動開始処理中のステップS411の遊技状態移行準備処理(図12のステップS411、その詳細を示す図13参照)で設定した移行状態バッファの各々の値を、遊技状態を指定するための、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、変動パターン振分指定番号、および特別図柄変動回数カウンタにそれぞれ格納する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が特定される。
次いで、大当り終了時の各種設定処理を行う。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、条件装置作動フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、連続回数カウンタ、最大ラウンド数、ラウンド表示LED番号、各種バッファなどをそれぞれクリアし、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
次いで、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行う。ここでは、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)かOFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合、遊技状態報知LEDを点灯させるデータ、具体的には、遊技状態報知LED出力番号に01Hを格納する。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<小当り遊技制御処理>
(9−6.小当り処理)
次に、小当り処理(ステップS504)について説明する。
小当り遊技では、大当り遊技のような「ラウンド遊技」が実行されない。したがって、ここでは、小当り遊技中の動作態様が「2R短開放潜確大当り遊技」の動作態様と実質的同一となるように、大入賞口50の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。
この小当り処理に入ると、まず小当り遊技における「開始インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに設定し、オープニング演出の開始を指示する「小当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する。開始インターバル経過したならば、次いで、後述の小当り遊技後の遊技状態を指定する小当り時遊技状態移行準備処理を行い、続いて、大入賞口50の開閉動作が「2R潜確大当り遊技」と同一または酷似する動作態様となるように、大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。これにより、大入賞口50が2R潜確大当り遊技の如く開放動作し、小当り遊技中の擬似的なラウンド遊技が実行される。なお小当り遊技中における大入賞口50への最大入賞数は大当りによるものと同じとなっており、当該最大入賞数に達すると、大入賞口50が閉鎖される。ただし、小当り遊技は大当り遊技のようなラウンド遊技が実行されないため、上記最大入賞数に達した場合、上記擬似的なラウンド遊技自体が終了されることになる。
大入賞口50の一連の開閉動作が終了したならば、エンディング演出の開始を指示する「小当り終了コマンド」を、演出制御部24に送信する。この「小当り終了コマンド」には、今回の小当り種別とその小当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、小当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この小当り終了コマンドは、エンディング演出の開始指示の役割の他に、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担い、大当り遊技に係る「大当り終了コマンド」と同じ働きをする演出制御コマンドである。
<9−6−1.小当り時遊技状態移行準備処理>
次に、上述の小当り時遊技状態移行準備処理について説明する。
小当り時遊技状態移行準備処理では、小当り遊技後の遊技状態を指定すべく、小当り遊技後の遊技状態を指定するための設定処理を行う。具体的には、まず変動パターン振分指定番号(Tcode)を取得し、次いで小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図32)を取得する。そして、上記小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、変動パターン振分指定番号と小当り種別(特別図柄判定データ)とに基づき、遊技状態移行テーブル「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」のいずれかを取得し、この遊技状態移行テーブルを参照して、該当するデータをRAM203の所定領域(変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタ)に格納する。これにより、小当り遊技後の遊技状態が決定されるようになっている。
(T−6.小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図32)
図32に、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、変動パターン振分指定番号(Tcode)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは、小当り種別)とに関連付けられた複数種類の遊技状態移行テーブル「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」(図33参照)が定められており、具体的には、変動パターン振分指定番号(Tcode)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル(小当り用の遊技状態移行テーブル)が決定されるようになっている。
(T−7.小当り用遊技状態移行テーブル:図32)
図33を参照して、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」について説明する。これらの小当り用遊技状態移行テーブルには、小当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するためのデータとして、変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタに格納するためのデータが定められている。これらデータ値が変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタが格納されると、小当り遊技終了後の遊技状態が特定される。ここで上記「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」には、変動パターン振分指定番号バッファおよび特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するためのデータだけが定められているので、小当りに当選しても内部遊技状態の移行はなく、変動パターン選択モードとしての遊技状態の移行(変動パターン振分指定番号(Tcode)の変更)が行われるだけとなる。上記の遊技状態移行テーブルのうち、「JTTBL−5」は‘CZ(1回)’に、「JTTBL−6」は‘CZ(2回)’に、「JTTBL−7」は‘CZ(3回)’に移行させるための遊技状態移行テーブルとなっている。
なお、上記小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルでは、小当り当選時の遊技状態が通常状態(変動パターン振分指定番号00H)である場合か、またはCZ(変動パターン振分指定番号01H)である場合に限り、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」のいずれかが選択されるようになっている。すなわち、遊技状態が、時短状態(変動パターン振分指定番号03H)、確変状態(変動パターン振分指定番号04H)、潜確状態(変動パターン振分指定番号02H)の場合には遊技状態の移行はなく、その小当り当選時の遊技状態が継続される。またCZ中に小当り当選の場合は、再度、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−5」〜「JTTBL−7」のいずれかが選択されて、その小当り種別に応じてCZ継続回数が再設定されることになる。
以上の小当り処理を抜けると、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<演出制御部側の処理:図17〜図28>
次に、図17〜図28を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図17)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図19)とを含んで構成される。
<11.演出制御側メイン処理:図17>
図17は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図17に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS71の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS080の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図19のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS72:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、保留加算コマンド、保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、変動停止コマンドなどが含まれる。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選種別情報)に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ部45やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図19のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ61の制御データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図19のステップS094)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(12.コマンド受信割込処理:図18)
次に図18を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図18は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図19)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部24(CPU241)は、図17に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
(13.演出制御側タイマ割込処理:図19)
次に図19を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図19は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図19において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、上記ボタン予告演出に利用される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図17の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ61に制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<受信コマンド解析処理の内容:図20〜図28>
図20〜図28は受信コマンド解析処理(図17のステップS073)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示したものである。以下、「保留加算コマンド」、「保留減算コマンド」、「変動パターン指定コマンド」、「大当り終了コマンド」、「小当り終了コマンド」、および「装飾図柄指定コマンド」を受信した場合についてそれぞれ説明する。
<14.保留加算コマンドの受信処理:図20>
図20は、保留加算コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。ここで扱う保留加算コマンドは、図10の特図1始動口チェック処理のステップS321や、図11の特図2始動口チェック処理のステップS341で送信される演出制御コマンドである。
(14−1.保留加算コマンドの正否判定)
図20において、演出制御部24(CPU241)は、保留加算コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し、保留加算コマンドが正常であるか否かの判定(保留加算コマンドの正否判定)を行う(ステップS711)。これは演出制御部側に参照用データとして予め記憶してある保留加算コマンド一覧(図29)を参照して、その一覧中の保留加算コマンド種別と照合し、そのうちの一つと受信した保留加算コマンドが一致するかどうかを判定することで行う。
具体的には、保留加算コマンドのEVENTデータ(先読み変動パターン情報)同士を照合し、受信した保留加算コマンドのEVENTデータが、演出制御部側に図29の保留加算コマンド一覧として記憶されているEVENTデータ「00H」〜「11H」(先読み変動パターン種別X1〜X11およびY1〜Y7)の一つと一致するか否かについて判定する。
受信した保留加算コマンドのEVENTデータが00H〜11Hのいずれでもでない場合は(ステップS711:NO)、コマンド異常と判断し、当該保留加算コマンドについての加算処理を行わないで、この保留加算コマンド受信処理を抜ける。
(14−2.保留球数の整合性判定)
受信した保留加算コマンドのEVENTデータが00H〜11Hである場合は(ステップS711:YES)、コマンドが正常であると判断し、演出制御部側が管理する保留球数(サブ保留球数)について1加算する処理を実行する(ステップS712)。そして、当該保留加算コマンドで指定された保留球数を、演出制御部側が管理するRAM243の所定領域(保留球数管理領域:保留球数記憶手段)に格納する(ステップS713)。そして、現在記憶管理している上記1加算後のサブ保留球数と、受信した保留加算コマンドが指定する保留球数とを照合し、一致するか否かで整合性を判定する(ステップS714)。つまり、保留加算コマンドを受信したならば、そのことによりサブ保留球数を1加算し、保留加算コマンドの指示する内容(保留球数)が、この加算結果と一致するかをチェックする。
このような保留球数の整合性判定を必要とする理由は、たとえば何らかの電気的ノイズ(たとえば、電源投入時のノイズや静電気ノイズなどの外乱的・内乱的要因による各種ノイズ)が制御系に入り込んで保留加算コマンドのデータが変化し、保留加算コマンドが指定する保留球数が、演出制御部側が管理している現在の保留球数(サブ保留球数)と異なってくることがあり、これに起因して、主制御部側で管理している先読み判定結果と、演出制御部側で行っている先読み予告演出との対応関係がくずれ、演出制御部側で行っている先読み予告演出が不適切なものとなることが考えられるからである。
上記サブ保留球数は、特別図柄1の保留球数と、特別図柄2の保留球数と、その両者を合わせた総合保留球数(合計保留球数)とに分けて管理されており、上記のステップS712では、該当するサブ保留球数について1加算する。たとえば特別図柄1についての保留加算コマンドを受信した場合であれば特別図柄1の保留球数と総合保留球数とを1加算する処理を行い、特別図柄2についての保留加算コマンドを受信した場合であれば特別図柄2の保留球数と総合保留球数とを1加算する処理を行う。
上記ステップS714における保留球数の整合性判定は、最初に特別図柄1と特別図柄2の保留球数を合わせた総合保留球数(合計保留球数)についてその整合性を判定し、2番目に特別図柄1の保留球数についてその整合性を判定し、3番目に特別図柄2の保留球数についてその整合性を判定する。
この実施形態では、総合保留球数と特別図柄1の保留球数と特別図柄2の保留球数の3つについて、整合性判定を実行した。しかし事情によっては、これらのうちの幾つかについてのみ整合性を判断してもよい。たとえば総合保留球数についてのみ整合性判定を実行し、または総合保留球数と特別図柄1の保留球数の2つについて整合性判定を実行し、または総合保留球数と特別図柄2の保留球数の2つについて整合性判定を実行することができる。
(14−2−1.保留球数が整合している場合)
上記整合性判定の結果、上記1加算後のサブ保留球数と保留加算コマンドが指定する保留球数との値が一致する場合、つまり両者が整合している場合は(ステップS715:YES)、「先読み禁止カウンタsys」の値がゼロであるか否かをチェックし(ステップS716)、ゼロである場合は続いて「先読み禁止カウンタmode」の値がゼロであるか否かをチェックする(ステップS717)。
ここで「先読み禁止カウンタsys」と「先読み禁止カウンタmode」は、共に、先読みを禁止する図柄変動表示ゲーム数を計数管理するためのカウンタである。このうち、一方の「先読み禁止カウンタsys」は、制御系における異常(たとえば電気的ノイズによる保留球数の主・副制御部間での不一致)に起因して先読みを禁止する場合に使用される。この「先読み禁止カウンタsys」には、現存する保留球数に対応する値がセットされ、これにより保留球数分の図柄変動表示ゲームが消化されるまでの区間が管理され、当該区間中に新たに生じた保留記憶についての先読み予告演出の抽選または実行が禁止される。
また他方の「先読み禁止カウンタmode」は、下記のケース1、2のような上記矛盾や違和感ないし不信感をもたらす状況が発生しないように先読み予告演出の発生を禁止するために用いられる。
<ケース1>
新たにハズレ入賞または当り入賞があり、その保留記憶(たとえば保留4個目)の先読み結果に基づいて連続予告演出が開始したが、その前に当り入賞に係る保留記憶(たとえば保留2個目)が存在していたため、保留4個目の先読み結果に基づいて開始された上記連続予告演出が、保留4の図柄変動が開始される前に途切れてしまうと、遊技者に違和感や不信感をもたらすことになる。
<ケース2>
確変状態下での先読み予告演出でプレミアム大当りの虹色保留が発生したが、その前に非確変大当りの入賞に係る保留記憶が存在していて、低確率状態の当り判定テーブル上でのハズレに該当してしまうと、プレミアム大当りの虹色保留がハズレとなってしまい、遊技者に不信感を与える。
このように、一度先読み演出抽選(ステップS718)に当選して当該先読み予告演出を実行中である場合に、新たな入賞球による保留記憶に基づき再び先読み演出抽選に当選したとして先読み予告演出を現出させると、先読み演出相互間に矛盾や違和感を発生させたり、先読み予告演出(たとえば赤保留や稲妻画像予告)がいずれの入賞球(保留記憶)に基づいて発生しているのかが不明となって、遊技者に一種の不信感をもたらすことになる。そこで、そのような状況が発生しないように、「先読み禁止カウンタmode」に現存する保留球数に対応する値をセットし、保留球数分の図柄変動表示ゲームが消化されるまで、新たな保留記憶について、先読み予告演出の抽選または実行を禁止する。
先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出である。したがって、上記「先読み禁止カウンタsys」または「先読み禁止カウンタmode」のいずれによる場合であっても、先読み予告演出の禁止については、先読み演出抽選に当選した時点で存在する保留球数に対応する図柄変動表示ゲームの回数について先読み予告を禁止すればよく、本実施形態ではそのようにしている(ステップS720、S724)。
しかし、先読み演出抽選に当選した時点で存在する保留球数は、最大でも、その上限である4個までに定まっている。そこで、最大保留記憶数と同じ値の4回を「先読み禁止カウンタsys」および「先読み禁止カウンタmode」にそれぞれセットして、確定的に4回だけ、新たな保留記憶について先読み予告を禁止する構成としてもよい。
また特別図柄1に係る保留球数と特別図柄2に係る保留球数の合計値(最大で8個)を管理している構成の場合には、「先読み禁止カウンタsys」および「先読み禁止カウンタmode」に上記合計の最大値である8個をセットして、確定的に8回だけ、新たな保留記憶について先読み予告を禁止する構成としてもよい。
ステップS716の判断において「先読み禁止カウンタsys」の値がゼロとなっていない場合(ステップS716:NO)、つまり先読み禁止中の場合は、後述する先読み演出抽選処理(ステップS718)を行わずにステップS721に進む。同様にステップS717の判断において「先読み禁止カウンタmode」の値がゼロでない場合(ステップS717:NO)、つまり先読み禁止中の場合も、後述する先読み演出抽選(ステップS718)を行わずにステップS721に進む。
他方、ステップS716〜S717の判断において「先読み禁止カウンタsys」の値がゼロで(ステップS716:YES)かつ「先読み禁止カウンタmode」の値もゼロ(ステップS717:YES)の場合、先読み禁止中ではないので、ステップS718に進み先読み演出抽選処理を行う。
(先読み演出抽選処理:図21)
図21は、先読み演出抽選処理(ステップS718)の詳細を示したものである。
この先読み演出抽選処理では、変動開始時に決定されることとなる変動パターン種別を先読みした結果として保留加算コマンドで指定される先読み変動パターン種別に基づき、先読み予告演出を行うか否かの抽選を行う(ステップS718)。
本実施形態における「保留加算コマンド」は、作動保留球数、先読み変動パターン種別、特別図柄種別のそれぞれに関する情報を含んだ形態のものであり、したがって、これらの情報のうちの先読み変動パターン種別に関する情報が、先読み演出抽選の抽選契機に利用される。しかし、作動保留球数、先読み変動パターン種別、特別図柄種別に関する情報を、複数の演出制御コマンドに分担させる形態とした場合には、それらの形態における先読み変動パターン種別に関する情報を含んだ制御コマンドを受信した場合に、先読み演出抽選を行うことになる。
たとえば、作動保留球数情報を含む制御コマンド1と、先読み変動パターン種別情報を含む第2の制御コマンド2とを用いる形態では、先読み変動パターン種別情報を含む制御コマンド2を受信した場合に先読み演出抽選を行う。
また、作動保留球数および特別図柄種別(特別図柄1、特別図柄2)情報を含む制御コマンド3と、先読み変動パターン種別情報を含む制御コマンド4とを用いる形態では、制御コマンド4を受信した場合に先読み演出抽選を行う。また、作動保留球数情報を含む制御コマンド5と、特別図柄種別(特別図柄1、特別図柄2)情報および先読み変動パターン種別情報を含む制御コマンド6とを用いる形態では、先読み変動パターン種別情報を含む制御コマンド6を受信した場合に先読み演出抽選を行う。
また作動保留球数情報を含む制御コマンド7と、特別図柄種別(特別図柄1、特別図柄2)情報を含む制御コマンド8と、先読み変動パターン種別情報を含む制御コマンド9とを用いる形態では、先読み変動パターン種別情報を含む制御コマンド9を受信した場合に先読み演出抽選を行う。
ここで「先読み予告演出」には二種類がある。一つは、始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した際(つまり入賞時または始動条件成立時)に生起させる入賞時変化系ないし始動時変化系の予告演出を、複数回の図柄変動表示動作において実行することによる先読み予告演出(連続予告演出)であり、本実施形態では保留表示変化系の予告演出(色変化保留の出現)を連続させる、つまり表示位置シフトさせることにより行う先読み予告演出である。他の一つは、図柄遊技の図柄変動表示動作を実行する際(つまり変動開始時)に生起させる変動開始時変化系の予告演出を、複数回の図柄変動表示動作に跨って表示させることによる先読み予告演出(連続予告演出)であり、本実施形態では画像表示変化系の予告演出(稲妻出現)を連続させることにより行う連続予告演出である。したがって、先読み予告演出の抽選としては、変動開始時変化系の予告演出を行うか否かについての抽選と、変動開始時変化系の予告演出を行うか否かについての抽選とがあり、両者を独立に行う。しかし、両者をまとめて一緒に抽選する形態(先読み予告演出と変動開始時変化系の予告演出を一の抽選結果に係らしめて実行する形態)にして、先読み予告演出の抽選に当選するときは同時に変動開始時変化系の予告演出の抽選にも当選するように構成してもよい。
上記先読み演出抽選処理では、保留加算コマンドで指定される先読み変動パターン種別が、図29の先読み変動パターン種別X1〜X11およびY1〜Y7である場合は、当該変動パターン種別に基づき、図38に示す先読み演出抽選テーブルを参照して先読み予告演出を決定し(ステップS731:先読み演出抽選)、その先読み演出抽選の結果に基づく演出情報(先読み演出抽選結果に関する情報)をセットする(ステップS732)。この演出情報は先読み予告演出を現出する際に利用される。ここでセットされる演出情報には、(i)入賞時変化系の先読み予告演出を指定する情報、たとえば、図38に示す保留表示に関する情報(保留色やアイコン画像による保留表示態様を指定する)の他、(ii)変動開始時変化系の予告演出を指定する情報、たとえば、稲妻演出の種別(強稲妻演出(当選期待度高)、中稲妻演出(当選期待度中)、弱稲妻演出(当選期待度低)の別)や、(iii)先読み演出抽選非当選情報(入賞時変化系の先読み予告演出を実行しない旨の情報)などが含まれる。
(T−8.先読み演出抽選テーブル:図38)
図38は先読み演出抽選テーブルを示したもので、先読み演出を実行する抽選契機となる先読み変動パターン種別として、図35のハズレ変動パターン種別の一部と、図34の当り変動パターン種別の一部とを含んだ構成になっている(ここでは、一例として、図29に例示した先読み変動パターン種別X3〜X11、Y1〜Y7の保留加算コマンドに対応するものを示している)。しかし、これらと共に、またはこれらとは別に、他の変動パターン種別を抽選契機となる先読み変動パターン種別として扱ってもよい。
図38では、先読み変動パターン種別として、ハズレの場合は、指定内容が「通常変動」、「Nリーチ」、「通常中SPリーチ1〜7」である先読み変動パターン種別X3〜X11が、また当りの場合は、指定内容が「通常中SPリーチ1〜7」である先読み変動パターン種別Y1〜Y7が抽選契機となっている。これらの先読み変動パターン種別の変動態様は、通常変動、ノーマルリーチ、第1リーチ演出A、第1リーチ演出B、第1+第2リーチ演出A、第1+第2リーチ演出B、第2リーチ演出A、第2リーチ演出B、特殊リーチとなっている。そして、これらの先読み変動パターン種別において抽選により選択される先読み保留予告の色の選択割合が数値で示されている。
詳しくは、ハズレの場合の先読み変動パターン種別X3〜X11として、「通常変動」、Nリーチ(ノーマルリーチ)、通常中SPリーチ1(第1リーチ演出A)、通常中SPリーチ2(第1リーチ演出B)、通常中SPリーチ3(第1+第2リーチ演出A)、通常中SPリーチ4(第1+第2リーチ演出B)、通常中SPリーチ5(第2リーチ演出A)、通常中SPリーチ6(第2リーチ演出B)、通常中SPリーチ7(特殊リーチ)があり、先読み保留予告の色が「白」「青」「赤」となる場合の選択割合が数値で示されている。また同様に、当りの場合の先読み変動パターン種別Y1〜Y7として、についても、通常中SPリーチ1(第1リーチ演出A)、通常中SPリーチ2(第1リーチ演出B)、通常中SPリーチ3(第1+第2リーチ演出A)、通常中SPリーチ4(第1+第2リーチ演出B)、通常中SPリーチ5(第2リーチ演出A)、通常中SPリーチ6(第2リーチ演出B)、通常中SPリーチ7(特殊リーチ)があり、先読み保留予告の色が「白」「青」「赤」となる場合の選択割合が数値で示されている。
上記の変動態様のうち「通常変動」は、通常の短時間の図柄変動表示動作(通常変動)をしただけで、リーチ状態を経由せずに終了する図柄変動パターンの変動態様である。この通常変動の場合、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が250、「青」が6、「赤」が0である。
また「ノーマルリーチ」は、図39に「変動パターン0」として示すように、通常変動をした後、ノーマルリーチ状態を経由するだけで、リーチ演出が発生することなくハズレを報知して終了する場合の変動態様である。このノーマルリーチの場合、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が244、「青」が12、「赤」が0である。
また、「第1リーチ演出A」または「第1リーチ演出B」は、図39に「変動パターン1」として示すように、通常変動をした後、ノーマルリーチ状態を経由して第1リーチ演出(たとえばアニメ画像による演出)が発生し、その後、当りまたはハズレを報知して終了する場合の変動態様である。ハズレの「第1リーチ演出A」または「第1リーチ演出B」の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が230、「青」が25、「赤」が1である。また当りの「第1リーチ演出A」または「第1リーチ演出B」の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が216、「青」が30、「赤」が10である。したがって、第1リーチ演出を伴うと先読み保留予告が発生する割合が高まり、またハズレの場合よりも当りの場合の方が先読み保留予告の発生する割合が高まるようになっている。
また、「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」は、図39に「変動パターン2」として示すように、通常変動をした後、ノーマルリーチ状態を経由して第1リーチ演出(たとえばアニメ画像による演出)が発生し、一旦ハズレが報知された後、上記第1リーチ演出よりも当り期待度の高い第2リーチ演出(たとえば実写画像による演出)が発生し、当りまたはハズレを報知して終了する場合の変動態様である。ハズレの「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が186、「青」が50、「赤」が20である。また当りの「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が166、「青」が60、「赤」が30である。したがって、「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」の場合、「第1リーチ演出A」または「第1リーチ演出B」の場合よりも「青」「赤」の選択される割合が高くなり、相対的に「白」の選択される割合が低くなる。またハズレの場合よりも当りの場合の方が、「青」「赤」の選択される割合が高くなり、相対的に「白」の選択される割合が低くなる。
また、「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」は、図39に「変動パターン3」として示すように、通常変動をした後、ノーマルリーチ状態を経由するが、第1リーチ演出(アニメ画像演出)は経由せずに、つまり省略されて、直ちに第2リーチ演出(実写画像演出)が発生し、当りまたはハズレを報知して終了する場合の変動態様である。ハズレの「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が176、「青」が40、「赤」が40である。また当りの「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が106、「青」が70、「赤」が80である。したがって、「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」の場合、「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」の場合よりも「赤」の選択される割合が高くなり、相対的に「白」「青」の選択される割合が低くなる。またハズレの場合よりも当りの場合の方が、「青」「赤」の選択される割合が高くなり、相対的に「白」の選択される割合が低くなる。
また、「特殊リーチ」とは、通常中SPリーチ7の場合、図34に示すように、当たれば16R確変大当りとなるリーチ態様(たとえば7図柄リーチのかかる態様)が出現することから、その特殊性に鑑みて命名したものである。図38のハズレの「特殊リーチ」(図35の通常中SPリーチ7)の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が206、「青」が0、「赤」が50である。また当りの「特殊リーチ」(図34の通常中SPリーチ7)の場合において、先読み保留予告「白」「青」「赤」が選択される割合は、全体が256のうち、「白」が128、「青」が0、「赤」が128である。したがって、「特殊リーチ」の場合、「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」の場合よりも「赤」の選択される割合が高くなる。またハズレの場合よりも当りの場合の方が、「「赤」の選択される割合が高くなり、相対的に「白」の選択される割合が低くなる。
(先読み演出抽選の特色)
上記図38の説明から判るように、本実施形態の場合、リーチ演出(リーチ中の演出)種別)として、第1リーチ演出(たとえばアニメ画像による演出)と、この第1リーチ演出よりも当り期待度の高い第2リーチ演出(たとえば実写画像による演出)との2種類を含んでいる。またリーチ演出を扱う図柄変動パターンの種別として、第1リーチ演出を行った後に、当りの当否結果を報知して図柄変動表示動作を終える「第1変動パターン(図39の変動パターン1)」と、第1リーチ演出を行った後に第2リーチ演出を行い、その後に当りの当否結果を報知して図柄変動表示動作を終える「第2変動パターン(図39の変動パターン2)」と、第1リーチ演出を行うことなく第2リーチ演出を行い、その後に当りの当否結果を報知して図柄変動表示動作を終える「第3変動パターン(図39の変動パターン3)」との、計3種類を含んでいる。
そして図21の先読み演出抽選処理におけるステップS731(先読み演出選択手段)においては、上記変動パターンの種別に関連して特定の先読み予告演出(ここでは通常色(白色)以外の色(青色または赤色)の先読み保留予告)を実行する割合に違いを付けており、ここでは、上記第1リーチ演出を行うことなく第2リーチ演出を行う第3変動パターン(図39の変動パターン3)のときに上記特定の先読み予告演出を実行する割合の方が、第1リーチ演出と第2リーチ演出を行う第2変動パターン(図39の変動パターン2)のときに特定の先読み予告演出を実行する割合よりも、高くなっている。
図38の先読み演出抽選テーブルにおいて、特定の先読み予告演出として、通常の「白」以外の「青」または「赤」の先読み保留予告が選択される割合を見てみると、ハズレの場合、通常変動が‘6’、ノーマルリーチが‘12’、「第1リーチ演出A」または「第1リーチ演出B」が‘26’、「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」が‘70’、「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」が‘80’、「特殊リーチ」が‘50’である。また当りの場合、「第1リーチ演出A」または「第1リーチ演出B」が‘40’、「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」が‘90’、「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」が‘150’、ハズレの「特殊リーチ」が‘128’である。したがって熱い先読み演出として、通常の「白」以外の「青」または「赤」が選択されて表示される割合は、ハズレおよび当りのいずれの場合においても、「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」が最も高くなっており、またハズレの場合よりも当りの場合の方の選択割合が高くなっている。
このように「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」の場合よりも、「第2リーチ演出A」または「第2リーチ演出B」の場合の方が、先読み保留予告として「青」または「赤」の選択される割合の方を高くしている理由は、変動パターン2(「第1+第2リーチ演出A」または「第1+第2リーチ演出B」)が選択されて、熱い先読み予告演出(先読み保留予告の「青」または「赤」や「稲妻連続予告」)が発生したときの第1リーチ演出中は、多くの遊技者に「この第1リーチ演出は外れとなって第2リーチ演出に発展するんでしょ」という冷めた見方、つまり第1リーチ演出自体には意義がない見方をされ、第1リーチ演出を経由することが時間の無駄となっている状況を少なくするためである。
本実施形態では、図39の変動パターン3のときに特定の先読み予告演出を実行する割合を、図39の変動パターン2のときに特定の先読み予告演出を実行する割合よりも高くしている結果、期待度の高い先読み演出が発生した場合、第1リーチ演出が省かれて、いきなり第2リーチ演出が実行される第3変動パターンの発生割合が高まることから、第1リーチ演出に要する時間の無駄をできるだけ無くすことが可能になる。つまり、期待度の高い先読み予告演出が発生した場合は、できるだけ早く期待度の高いリーチ演出を実行することになり、図柄遊技における興趣の向上を図ることができる。
上記先読み演出抽選処理を終了するとステップS719に進み、先読み演出抽選処理において先読み予告に当選しているか否かを判断する。当選している場合は(ステップS719:YES)、現在の保留球数の値(1〜4個または1〜8個)を「先読み禁止カウンタmode」にセットし(ステップS720)、ステップS721に進む。当選していない場合(ステップS719:NO)は、ステップS720のカウンタセット処理を行わずにステップS721に進む。
上記のように先読み演出抽選に当選した際に現存する保留球数の値を「先読み禁止カウンタmode」にセットすることで(ステップS720)、当該保留球数の値に対応する図柄変動回数の間、新たな入賞球が発生しても、それについて先読み予告演出の抽選が禁止される(ステップS717:NOのルート)。たとえば現在の保留球数が3個の場合、当該保留球数に対応する3回の図柄変動の間、先読み予告演出の抽選が禁止され、これにより先読み予告演出の発生が阻止される。この関係は、後述するステップS724において「先読み禁止カウンタsys」に現在の保留球数の値がセットされた場合も同じである。なお上述の「先読み禁止カウンタmode」は、先読み予告当選に関する情報としても利用することができる。つまり、「先読み禁止カウンタmode」がゼロであれば、先読み予告非当選中(先読み予告非実行状態)であり、ゼロ以外の値であれば先読み予告当選中(先読み予告実行状態)と判断することができる。
ステップS721に進むと、液晶制御部側に、作動保留球数情報を含む液晶制御コマンド(液晶側保留球数情報コマンド)を送信する。これにより、液晶表示画面に保留球数に対応する数のアイコン画像が点灯表示される。なお、この保留球数情報のコマンド送信は、特別図柄1の保留球数と特別図柄2の保留球数のすべてについて送信する。
またここでは、上記液晶側保留球数情報コマンドの他、演出情報を確認し、先読み予告演出に関する情報として、たとえば、保留表示に関する情報(保留表示態様を指定する情報)を含む液晶制御コマンド(液晶側先読み情報コマンド)も送信される。したがって、入賞時変化系の先読み予告演出(保留表示変化系の先読み予告演出)を実施するか否かについての先読み予告抽選に当選している場合には、ステップS721の液晶制御部側に送信される液晶側先読み情報コマンドに基づき、液晶制御部側が保留表示変化系の先読み予告演出として、今回入賞した保留記憶に係る保留表示態様(保留アイコン)を、専用の保留色(たとえば、青色、黄色、緑色、赤色または虹色のいずれかの色)の保留表示態様(専用保留表示)としたり、または通常とは異なる特殊なアイコンを利用した特別な保留表示態様となるように液晶画面に表示させる。これにより、たとえば、今回入賞した保留記憶が3個目であれば、この3個目の保留記憶が図柄変動表示ゲーム(図柄変動表示動作)に供されるまでの間、その特別な保留表示を連続的に出現させることができる。つまり、ここでの処理では、先読み予告抽選に当選している場合には保留加算コマンドを受信した際、「入賞時変化系」の先読み予告演出として、「専用保留表示(たとえば、青色、黄色、緑色、赤色または虹色の保留表示)」を、先読み予告抽選に当選していない場合には通常保留表示を現出制御するための演出制御処理が行われるようになっている(図5、図6参照)。なお本実施形態では、液晶側保留球数情報コマンドと、液晶側先読み情報コマンドとを送信する(複数のコマンドを送信する)と説明したがこれに限らず、制御負担の軽減のために、保留球数情報および保留表示に関する情報を含ませた液晶制御コマンドを送信しても良い。
またここでは、先読み予告演出の一環として、たとえば、通常とは異なる音演出(特殊音演出)や特殊な光演出(特殊光演出)を現出制御するための演出(特殊保留演出)シナリオがセットされる。これにより、たとえば、今回の保留記憶が3個目であれば、この3個目の保留記憶が図柄変動表示ゲーム(図柄変動表示動作)に供されるまでの間、先読み予告演出を現出させることができるようになっている。たとえば、保留記憶発生時(入賞時)において、通常とは異なる入賞音(特殊入賞音)を発生させて先読み予告抽選に当選したことを報知したり、また当該保留記憶が図柄変動表示ゲーム(図柄変動表示動作)に供されるまでの期間において(たとえば、保留表示がシフト表示時や新たな保留記憶の発生時など)、特殊音演出や特殊光演出を現出させたり、保留表示のアイコン画像を変化(保留アイコン画像変化演出)させたりすることができる。
また、変動開始時変化系の先読み予告演出(稲妻演出)を実施するか否かについての先読み予告抽選に当選している場合には、保留記憶が順次消化される際、図柄変動表示動作が実行時の後述の先読み予告演出処理(後述の図27のステップS874)において、変動開始時変化系の予告演出として稲妻演出の演出シナリオがセットされ、これにより、稲妻画像による稲妻演出(図5、図6参照)が現出されることになる。
次いで、保留特殊演出の演出情報が含まれていないか、つまり上記保留特殊演出が実行中であるか否かを確認し、保留特殊演出が実行中でなければ(ステップS722:NO)、通常保留入賞音のシナリオをセットする(ステップS723)。これにより、新たな保留記憶が発生し、このとき保留特殊演出が実行中でない場合には、特殊入賞音の替わりに、通常の保留入賞音が発生することになる。その後、保留加算コマンド受信処理を抜ける。一方、保留特殊演出の演出情報が含まれている場合には(ステップS722:YES)、保留特殊演出が実行中であり、この場合は、上記特殊保留演出のシナリオに基づいて先読み予告演出に係る音演出を発生させることとしているので、ここでは何もせず、そのまま保留加算コマンド受信処理を抜ける。なお、先読み予告演出が実行中である場合には、新たな保留を対象とした先読み予告演出が禁止されることとしているので、「先読み禁止カウンタmode」がゼロであれば保留特殊演出が実行中でないと判定してゼロでないならば保留特殊演出が実行中であると判定しても良い。また、先読み予告演出実行期間中(保留特殊演出が実行中)である場合、上記通常の保留入賞音を発生させるのではなく、保留記憶発生時による入賞音自体を発生させない、または、保留発生時による入賞音は発生させずに保留発生時による入賞光演出(通常の入賞光演出であっても良いし、特殊光演出であっても良い)だけを発生させるようにすることができる。
(14−2−2.保留球数が整合していない場合)
電気的ノイズによる制御系における異常に起因して保留加算コマンドの指示内容である保留球数が変化した場合、これに基づいて演出制御部側で先読み予告演出を発生させると、遊技者に不信感をいだかせる状況が生れてしまう可能性がある。そこで、このような不都合な状況が発生しないように、現存する保留個数に対応する図柄変動表示ゲーム数だけ、新たな保留記憶についての先読み演出の発生を禁止することとし、このときの先読み禁止回数を「先読み禁止カウンタsys」にて計数管理する。
具体的には、ステップS715の整合性判断処理において、保留加算コマンドの指定する保留球数が現在のサブ保留球数と整合していない場合は(ステップS715:NO)、ステップS724に進み、現在の保留球数の値を「先読み禁止カウンタsys」にセットする(ステップS724)。これにより「先読み禁止カウンタsys」にセットされた保留球数分だけ、その後の新たな入賞球の発生に関し、先読み演出抽選処理が禁止される(ステップS716:NOのルート)。
また保留加算コマンド指定の保留球数が現在のサブ保留球数と整合しない場合は(ステップS715:NO)、実行中の先読み演出情報をクリアする(ステップS725)。たとえば、当該保留加算コマンドを受信した時点で既に存在していた保留球が3個であり、当該保留加算コマンドが新しく発生した4個目の保留球であって、既に存在する3個目の保留球によって先読み予告演出が行われていたとすると、上記3個目の保留球の保留データが、現在実行中の先読み演出情報ということになる。そこで、このステップS725の処理では、この3個目の保留球に係る先読み演出情報をクリアして、それまで当該3個目の保留球の先読み演出情報に基づいて行われていた先読み予告演出を消失させることになる。よって、既に発生していた画像表示変化系(変動開始時変化系)の先読み予告演出については、3個の保留球が記憶の古い順に図柄変動表示ゲームに供されるので、3個の保留球のうちで記憶が最も古い1個目の保留球が図柄変動表示ゲームに供される時点から発生しなくなる。また、既に発生していた3個目の保留球についての保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出については、当該3個目の保留球の表示位置が1個シフトされた時点で消失することになる。
このように連続予告演出が途中で現出しなくなっても、変動開始時変化系の先読み予告演出(たとえば稲妻演出や音演出)については、もともと図柄変動表示ゲームにおいて発生するか否かが不確定な予告演出であるので、特に違和感は発生しない。これに対し、保留表示変化系の先読み予告演出(たとえば保留色変化予告)は入賞時変化系の先読み予告演出であり、作動保留球の発生時から視覚的に認識されている。したがって、既に現出していた期待度の高い保留表示色、たとえば赤色が、途中から期待度の低い通常色に戻れば、それによって遊技者に違和感を与えることになる。しかし、非常に希なケースである上に、保留色が期待度の低いものへ変化する事象が発生するというものであり、その違和感の程度は、保留記憶数の整合性がとれないために誤った保留表示変化予告(たとえば当り確定の虹色の保留が発生する事象など)が生ずることに比べれば、許容の範囲内ものと考えられる。
なお、上記の先読み禁止をした旨の情報は、特には液晶制御部側に送信されない。液晶制御部側に送信して「先読み禁止中」であることを画面中に小さく表示する等の用途に用いても良いが、先読みを禁止していることを特に遊技者に報知する必要性に乏しいからである。
上記ステップS724〜S725の処理を終えると、保留加算コマンド受信処理を抜ける。
<16.保留減算コマンドの受信処理:図22>
図22は、保留減算コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。ここで扱う保留減算コマンドは、図12の特別図柄変動開始処理のステップS404で送信される演出制御コマンドである。なお本実施形態における「保留減算コマンド」は、作動保留球数と特別図柄種別に関する情報を含んでいるが、作動保留球数に関する情報を含んだ制御コマンドと特別図柄種別に関する情報を含んだ制御コマンドとに分担させる形態としてもよく、その場合には、それらを総合判断して特別図柄1または特別図柄2の保留球数を特定することになる。
(16−1.保留減算コマンドの正否判定)
図22において、演出制御部24(CPU241)は、保留減算コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し、保留減算コマンドが正常であるか否かの判定(保留減算コマンドの正否判定)を行う(ステップS741)。これは演出制御部側に参照用データとして予め記憶してある保留減算コマンド一覧(図30)を参照して、その一覧中の保留減算コマンド種別のうちの一つと受信した保留減算コマンドが一致するかどうかを判定することで行う。
具体的には、保留減算コマンドの下位バイト(EVENT)のデータ同士を照合し、受信した保留減算コマンドのEVENTデータ(先読み変動パターン情報)が、演出制御部側に図30の保留減算コマンド一覧として記憶されているものと一致するかどうか、つまりEVENTデータ「01H〜05H」のうちの一つと一致するか否かについて判定する。なお、実際にはEVENTデータ「05H」を持つ保留減算コマンドは送信されて来ないので、送られて来た保留減算コマンドがEVENTデータ「01H〜05H」の範囲のものであるか否かを判定する替わりに、EVENTデータ「01H〜04H」(保留球数減算指定が保留記憶個数0個〜3個)の範囲にあるか否かについて判定してもよい。
受信した保留減算コマンドのEVENTデータが01H〜05Hでない場合は(ステップS741:NO)、コマンド異常と判断して、減算処理を行わないで、この保留加算コマンド受信処理を抜ける。
(16−2.保留球数の整合性判定)
受信した保留減算コマンドのEVENTデータが01H〜05Hである場合は(ステップS741:YES)、コマンドが正常であると判断し、演出制御部は、当該保留減算コマンドで指定された保留球数を記憶するとともに(ステップS742)、演出制御部側が管理するサブ保留球数について1減算する処理を実行する(ステップS743)。そして、演出制御部側が現在記憶管理している上記1減算後のサブ保留球数と、受信した保留減算コマンドが指定する保留球数とを照合し、その整合性(一致するか否か)を判定する(ステップS744)。
このように保留減算コマンドについて保留球数の整合性判定を必要とするのは、保留加算コマンドの保留球数について整合性判定(ステップS715)を行うのと同じ理由による。すなわち電気的ノイズなどが制御系に入り込んで保留減算コマンドのデータが変化し、保留減算コマンドの指定する保留球数が演出制御部側の管理するサブ保留球数と異なってくることがあり、これに起因して、主制御部側で管理している先読み判定結果と、演出制御部側で行っている先読み予告演出との対応関係がくずれ、演出制御部側で行っている先読み予告演出が不適切なものとなることが考えられるからである。
上記のステップS743では、特別図柄1の保留球数と、特別図柄2の保留球数と、その両者を合わせた総合保留球数(合計保留球数)とに分けて管理されているもののうち、該当するサブ保留球数について1減算する。たとえば特別図柄1についての保留減算コマンドを受信した場合であれば、特別図柄1の保留球数と総合保留球数とをそれぞれ1減算する処理を行い、特別図柄2についての保留減算コマンドを受信した場合であれば、特別図柄2の保留球数と総合保留球数とをそれぞれ1減算する処理を行う。
また上記ステップS744における保留球数の整合性判定は、最初に特別図柄1と特別図柄2の保留球数を合わせた総合保留球数(合計保留球数)についてその整合性を判定し、2番目に特別図柄1の保留球数についてその整合性を判定し、3番目に特別図柄2の保留球数についてその整合性を判定する。
この実施形態では、総合保留球数と、特別図柄1の保留球数と、特別図柄2の保留球数の3種類について、整合性判定を実行しているが、これらのうちの幾つかについてのみ整合性を判断してもよい。たとえば総合保留球数についてのみ整合性判定を実行し、または総合保留球数と特別図柄1の保留球数の2つについて整合性判定を実行し、または総合保留球数と特別図柄2の保留球数の2つについて整合性判定を実行することができる。
(16−2−1.保留球数が整合している場合)
上記保留球数の整合性判定の結果、減算後のサブ保留球数と保留減算コマンドが指定する保留球数との数が一致し、両者が整合していると判断できた場合は(ステップS745:YES)、先読み禁止処理(ステップS746〜S747)を行わず、保留記憶情報(保留表示データ)をシフトする保留情報シフト処理(ステップS748)、つまり、作動保留球の消化に伴う保留表示のシフト処理(保留表示シフト処理)を実行する。
上記保留情報シフト処理では、保留表示データn記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留表示データ記憶エリア(保留2表示データ記憶エリア、保留3表示データ記憶エリア、保留4表示データ記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留表示データ記憶エリアに上書きし、保留4表示データ記憶エリアに空き領域を設ける。空き領域となっている保留表示データ記憶エリアには保留表示用の演出シナリオデータが格納されていないため、この場合は、保留表示演出は行われずに該当表示箇所は消灯状態として表示される(図5参照)。これによりCPU241は、保留表示データ記憶エリア内に格納されている保留表示用演出シナリオを参照して、現存する保留表示部の位置が全体として古い記憶位置側に1つシフトされる演出表示を行い、装飾図柄変動表示ゲーム開始時には作動保留球が消化された状態を表現した保留表示を行うようになっている。なお、RAM203の先読み情報記憶エリアに関しても、上述の保留表示データ記憶エリアのシフト処理と同様にして、保留n先読み情報記憶エリア(n=2、3、4)に対応する先読み情報記憶エリアに格納されている先読み判定結果情報を、それぞれ‘n−1’に対応する先読み情報記憶エリアに上書きし、保留4先読み情報記憶エリアに空き領域を設け、次の保留加算コマンドを受信した場合の先読み判定結果情報を格納する領域を確保するようになっている。
この保留情報シフト処理では、上記のように保留球数に対応する保留記憶情報をシフトする他に、先読み禁止期間となっている演出モード中においては、その図柄変動回数を1加算して演出モードの回数を1歩進させる処理を行うと共に、先読み禁止回数を管理している「先読み禁止カウンタsys」および「先読み禁止カウンタmode」の内容をそれぞれ1減算する処理を行う。
ここで保留情報のシフト処理を保留球数の整合性判定の後で行っているのは、保留球数の整合性判定より前の段階で保留情報をシフトさせる処理を行うと、保留球数の整合性が取れていないのにも拘わらず、保留情報のシフト処理が行われてしまう、という場合が発生するからである。
上記のような保留情報シフト処理(ステップS748)を行った後に、保留減算コマンド受信処理(図22)を抜ける。
(16−2−2.保留球数が整合していない場合)
上記ステップS745の判断結果として、保留減算コマンドの指定する保留球数が現在のサブ保留球数と整合していない場合は(ステップS745:NO)、ステップS746に進み、現在の保留球数の値を「先読み禁止カウンタsys」にセットするとともに(ステップS746)、実行中の先読み演出情報をクリアして(ステップS747)、この保留減算コマンド受信処理を抜ける。
したがって、保留減算コマンド指定の保留球数が現在のサブ保留球数と整合しない場合、「先読み禁止カウンタsys」に現在の保留球数の値がセットされて、その保留球数個分だけ先読みが禁止され、かつ現在実行中の先読み演出情報もクリアされて、先読み演出(画像表示変化系(変動開始時変化系)および保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出)が発生しなくなる。このため、電気的ノイズなどによる制御系の異常に起因して保留減算コマンドのデータが変化した場合の不都合が解消される。この関係は、保留加算コマンド指定の保留球数について整合性がとれなかった場合(ステップS724〜S725)と同じである。なお、特にその先読み禁止をした旨の情報は液晶制御部側に送信されない。先読みを禁止していることを液晶制御部側に送信しても良いが、その必要性は乏しいと考えられるからである。
(17.当り終了コマンドの受信処理:図23〜図25)
図23は、当り終了コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この当り終了コマンドには、大当り終了コマンドと小当り終了コマンドとが含まれる。上記大当り終了コマンドは、図16の特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(ステップS509)で、小当り終了コマンドは、同処理の小当り処理(ステップS504)で送信される演出制御コマンドである。
図23において、演出制御部24(CPU241)は、当り終了コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し(ステップS801)、その内容である今回の当り情報とその当選時の遊技状態情報とに基づき、その当り遊技後に移行すべき演出モードを設定する(ステップS802:当り終了時演出モード設定処理)。この当り終了時演出モード設定処理についての詳細は、図24〜図25にて後述する。
(17−1.当り終了時演出モード設定処理:図24〜図25)
次に、上記の当り終了時演出モード設定処理(ステップS802)について説明する。図24(1)は通常状態中の2R短開放潜確大当り当選時に対応する大当り終了コマンドを受信した場合、同図(2)はCZ中の2R短開放潜確大当り当選時に対応する大当り終了コマンドを受信した場合、図25は通常状態中またはCZ中の小当り当選時に対応する小当り終了コマンドを受信した場合の当り終了時演出モード設定処理の詳細を示すフローチャートである。
(17−1−1.通常状態中の2R短開放潜確大当り当選時:図24(1))
まず図24(1)参照して、通常状態中において2R短開放潜確大当りに当選した場合について説明する。図24(1)において、演出制御部24(CPU241)は、ステップS801で解析した大当り終了コマンドの内容が、通常状態中において2R短開放潜確大当りに当選したものである場合、その大当り遊技後の演出モードを、CZ演出モードに設定し(ステップS821)、CZ継続回数に初期値としての4回を設定する(ステップS822)。このCZ継続回数は、CZ継続回数を管理するRAM243の所定領域(CZ継続回数管理領域)に格納される。これにより、通常状態中(演出モードは、通常演出モード)に2R短開放潜確大当りに当選した場合、遊技状態は通常状態からCZ(ここでは「CZ(潜確):4回」)に移行され、演出モードはCZ演出モードに移行されることになる(図4の「通常状態」の「2R短開放潜確」の欄参照)。
(17−1−2.CZ中の2R短開放潜確大当り当選時:図24(2))
次に図24(2)参照して、CZ中において2R短開放潜確大当りに当選した場合について説明する。図24(2)において、演出制御部24(CPU241)は、まずステップS831で解析した大当り終了コマンドの内容が、CZ(通常)中において2R短開放潜確大当りに当選したものであるか、CZ(潜確)中において2R短開放潜確大当りに当選したものであるかを判定する(ステップS831)。
CZ(潜確)中において2R短開放潜確大当りに当選の場合(ステップS831:=CZ(潜確))、その大当り遊技後の演出モードを潜確演出モードに設定し(ステップS832)、CZ継続回数をクリアする(ステップS833)。これにより、CZ(潜確)中(演出モードは、CZ演出モード)に2R短開放潜確大当りに当選した場合、遊技状態はCZから潜確状態に移行され、演出モードはCZ演出モードから潜確演出モードへと格上げされることになる(図4の「CZ(潜確)」の「2R短開放潜確」の欄参照)。
一方、CZ(通常)中において2R短開放潜確大当りに当選の場合(ステップS831:=CZ(通常))、その大当り遊技後の演出モードをCZ演出モードに設定し(ステップS834)、CZ継続回数に4回を再設定する(ステップS835)。これにより、CZ演出モードが再継続されることになる。これにより、CZ(通常)中(演出モードは、CZ演出モード)に2R短開放潜確大当りに当選した場合、遊技状態はCZ(潜確:4回)に移行され、演出モードはCZが継続されることになる(図4の「CZ(通常)」の「2R短開放潜確」の欄参照)。なお内部遊技状態を考慮すれば、実体的な遊技状態は「CZ(通常)」から「CZ(潜確)」に移行されるが、演出モードは、双方同じ「CZ演出モード」である。
(17−1−3.通常状態中・CZ中の小当り当選時:図25)
次に図25参照して、通常状態中またはCZ中において小当りに当選した場合について説明する。図25において、演出制御部24(CPU241)は、ステップS801で解析した内容が、通常状態中またはCZ中において小当りA〜Cのいずれかに当選したものである場合、その小当り遊技後の演出モードをCZ演出モードに設定し(ステップS851)、CZ継続回数に小当り種別(小当りA〜C)に応じたCZ継続回数を設定する(ステップS852)。これにより、通常状態中(演出モードは通常演出モード)に小当りA〜Cのいずれかに当選した場合、遊技状態は通常状態からCZ(ここでは「CZ(通常):1回〜3回」)に移行され、演出モードは通常演出モードからCZ演出モードに移行されることになる。またCZ(通常)中(演出モードは、CZ演出モード)に小当りA〜Cのいずれかに当選した場合、遊技状態はCZ(ここでは「CZ(通常):1回〜3回」)に移行され、これにより演出モードは、CZが継続されることになる(図4の「通常状態」、「CZ(通常)」の「小当りA」〜「小当りC」の欄参照)。
ここで本実施形態では「CZ(通常)」中において、小当りに当選した場合であっても2R短開放潜確大当りに当選した場合であっても、CZが継続されるようになっている。これにより、たとえば、遊技状態の遷移状況として「CZ(通常)→小当りC当選→CZ(3回:通常)」となるケースと、「CZ(通常)→2R短開放潜確大当り当選→CZ(4回:潜確)」となるケースとで結果的に同じCZ演出モードが継続されて大当り当選確率状態が秘匿され、遊技者に対し、潜確状態への移行を不明確にすることができる。つまりCZ中に2R短開放潜確大当りに当選した場合、必ず潜確演出モードに移行させるよりも、CZ期間中、潜確状態への移行を不明確にすることができるので潜確状態の期待感を煽ることができる。他方、CZ(潜確)中に2R短開放潜確大当りに当選した場合、特典として、CZ演出モードから潜確演出モードへと直ちに移行させ、潜確状態であることを確定的に報知するようにしている。なお「CZ(通常)」中および「CZ(潜確)」中に2R短開放潜確大当りに当選した場合、潜確演出モードに移行させても良い。
(18.変動パターン指定コマンドの受信処理:図26)
図26は、変動パターン指定コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この変動パターン指定コマンドは、図12の特別図柄変動パターン作成処理のステップS412で送信される演出制御コマンドである。
図26において、演出制御部24(CPU241)は、変動パターン指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し(ステップS861)、その内容である特別図柄の変動パターン情報を取得し、RAM243の所定領域に格納する(ステップS862)。図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオは、まだこの時点では決定せず、変動パターン指定コマンドに続いて送られてくる装飾図柄指定コマンドを受信した場合に決定される。つまり、ここで格納された変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(特別図柄判定データ情報)とに基づき、図柄変動表示ゲーム(装飾図柄変動表示ゲーム)中の演出シナリオが決定されるようになっている。なお、本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとに含まれる情報に基づき、図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオを決定しているが本発明はこれに限らず、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる情報に基づき決定することができる。変動パターン指定コマンドには、当落情報と変動パターン情報とが含まれるので、当り種別自体を必要としない場合には、この変動パターン指定コマンドに基づいて、図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオを構成することもできる。
(19.装飾図柄指定コマンドの受信処理:図27)
図27は、装飾図柄指定コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この装飾図柄指定コマンドは、図12の特別図柄変動開始処理のステップS415で送信される演出制御コマンドである。ここでは、図26の変動パターン指定コマンド受信処理で得られた変動パターン情報と、装飾図柄指定コマンドにより得られる情報とに基づいて、図柄変動表示ゲーム中の演出(各種の予告演出)、装飾図柄の表示態様(疑似連中の仮停止図柄、リーチ図柄、停止装飾図柄など)が決定され、今回の変動表示ゲームに係る演出シナリオが構成される。本実施形態では、図柄変動表示ゲームを実行する際、主制御部20側が保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、および装飾図柄指定コマンドを、この順に演出制御部24に対し送信して(図12の特別図柄変動開始処理のステップS404、S412、S415参照)、演出制御部24側では、最後の装飾図柄指定コマンドを受信した際に、図柄変動表示ゲームの開始条件が整ったとして、図柄変動表示ゲームの開始処理として、図27の装飾図柄指定コマンドの受信処理を行うようになっている。
図27において、演出制御部24(CPU241)は、まず装飾図柄指定コマンドの内容を解析し、その内容を取得する(ステップS871)。
次いで、装飾図柄停止図柄抽選処理を行う(ステップS872)。この装飾図柄停止図柄抽選処理では、ステップS732の処理で得られた変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる当選種別情報とに基づき、最終的に停止させる左図柄・中図柄・右図柄(装飾図柄停止図柄の組合せ)を抽選により決定する。たとえば、変動パターンの内容がリーチ演出指定の当り変動パターンあり、かつ当選種別情報が16R長開放確変大当りである場合、当該16R長開放確変大当りに関連した装飾図柄の停止表示態様を決定するべく、まず左図柄を抽選により決定し、次いで、その左図柄とリーチ状態が形成可能な装飾図柄を右図柄として決定(リーチ図柄の決定)して、その決定された左図柄と右図柄とに基づき、16R長開放確変大当りに関連した装飾図柄列(大当り図柄)が最終的に停止されるように中図柄を決定する。これにより、今回の装飾図柄変動表示ゲームが完了したときの装飾図柄の組合せが定まる。この決定された装飾図柄データは、RAM243の装飾図柄データ格納領域に格納され利用される。
次いで、先読み予告演出処理を行う(ステップS874)。ここでは、今回の図柄変動表示ゲーム中における「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出させるための演出処理を行う。ここでは、ステップS718(図20)の先読み演出抽選処理において「変動開始時変化系」の先読み予告演出に当選していた場合、専用予告画像(稲妻を模した稲妻画像)表示による稲妻演出用演出データを作成し、これをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。これにより、液晶表示装置36の画面に稲妻画像表示による稲妻演出が現出される(図6(2)参照)。
詳しくは、先読み予告演出処理では、先読み禁止カウンタmodeのカウンタ値を確認し、その値がゼロでない場合、ステップS732の処理でセットされた変動開始時変化系の予告演出に係る演出情報を確認し、先読み予告演出として、稲妻演出(強稲妻演出(当選期待度高)、中稲妻演出(当選期待度中)、または弱稲妻演出(当選期待度低)のいずれかを現出させるための演出制御処理を行う。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出は「先読み禁止カウンタmode」のカウンタがゼロになるまで実行されるようになっている。なお本実施形態では、図22のS748の保留情報シフト処理において、「先読み禁止カウンタmode」の値があらかじめ1減算されるようになっており、たとえば、先読み予告抽選当選保留が3個目の保留であった場合、ステップS874の処理に入るときには、先読み禁止カウンタmodeのカウンタ値が「2」となっている。したがって、先の保留1個目〜2個目の図柄変動表示ゲームにおいて稲妻演出が展開されるようになっている。これは、保留3個目の図柄変動表示ゲームは、先読み予告演出対象保留に係る図柄変動表示ゲームとなるので、変動開始時に先読み予告演出を現出する必要性が乏しいからである。勿論、先読み予告演出対象保留に係る図柄変動表示ゲームにおいても先読み演出を現出しても良く、この場合には、この先読み予告演出処理を終えた後段階で、先読み禁止カウンタmodeを1減算する処理を行うように構成すれば良い。
次いで、演出モードに応じた演出処理を行う(ステップS875:演出モード分岐処理)。ステップS875の演出モード分岐処理では、現在の演出モードに応じた演出シナリオ設定処理(ステップS876〜S880)を呼び出して実行させる。これらの演出シナリオ設定処理では、各演出モード下における演出パターン(パーツ演出)を決定する。そして決定された演出パターンに基づき、今回の図柄変動表示ゲームで現出する演出シナリオを構成し、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。なおステップS877の「CZ演出モード演出シナリオ設定処理」についての詳細は、図28にて後述する。
上述の演出モードに対応した演出シナリオ設定処理を終えると、装飾図柄変動表示ゲーム開始に要する各種の設定処理を行う(ステップS881)。
ステップS881の処理を終えると、装飾図柄指定コマンド受信処理を抜けて、以後、演出シナリオに沿った装飾図柄変動表示ゲームが開始されることになる。
(19−1.CZ演出モード演出シナリオ設定処理:図28)
次に、上記のCZ演出モード演出シナリオ設定処理(ステップS906)について説明する。図28は、図27のCZ演出モード演出シナリオ設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図28において、演出制御部24(CPU241)は、ステップS732の処理で得られた変動パターン情報に基づき、変動パターン種別を判定する(ステップS901:変動パターン種別分岐処理)。当り変動パターンである場合(ステップS901:当り変動)、ステップS732の処理で得られた変動パターン情報とステップS871の処理で得られた装飾図柄指定コマンドに含まれる当選種別情報(大当り種別または小当り種別)とに基づき、CZ中における当り変動パターンである場合の演出シナリオを決定し、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。
(CZ中ハズレ変動演出処理(ステップS905〜S907)について)
ハズレ変動パターンである場合(ステップS901:ハズレ変動)、CZ継続回数を1減算し(ステップS902)、CZ継続回数の残り継続回数(以下、「CZ残余回数」と称する)に応じて、ステップS905〜S907の演出処理を行う(ステップS903:CZ残余回数分岐処理)。本実施形態では、CZ演出モード中における演出を決定する際、CZ残余回数に応じた演出が決定されるようになっている。以下、詳細に説明する。
具体的には、CZ中においては、ハズレが連続して当選した場合、上記CZ残余回数に応じて下記(α)〜(γ)のような演出の選択状況(特定遊技状態下演出選択状況)が発生する。
(α)今回の図柄変動表示ゲーム(図柄変動表示動作)の後、次回の図柄変動表示ゲームもCZが継続される第1の選択状況。この場合、CZ残余回数は、少なくとも1回となっている。
(β)今回の図柄変動表示ゲームでCZが終了し、次回の図柄変動表示ゲームから通常状態(第1の遊技状態)に移行される第2の選択状況。この場合、今回の図柄変動表示ゲームに係る内部遊技状態は「通常遊技状態(低確電サポ無し)」であり、CZ残余回数は「0回」となっている。
(γ)今回の図柄変動表示ゲームでCZが終了し、次回の図柄変動表示ゲームから潜確状態(第2の遊技状態)に移行される第3の選択状況。この場合、今回の図柄変動表示ゲームに係る内部遊技状態は「潜確状態(高確電サポ無し)」であり、CZ残余回数は「0回」となっている。
上記第1〜第3の選択状況が発生することを考慮し、本実施形態では、CZ残余回数に応じた演出処理(ステップS905〜S907:CZ中ハズレ第1〜第3選択状況演出処理)を行うようにし、当該第1〜第3の選択状況に応じた演出を現出させるようになっている。たとえば、CZが継続する第1の選択状況であれば「CZ継続専用の演出態様(演出シナリオ)」を現出させたり、CZが終了する第2の選択状況または第3の選択状況であれば「CZ終了専用の演出態様」を現出させたりすることができる。
特に第2の選択状況と第3の選択状況とでは、次ゲームから異なる遊技状態に移行される。したがって、たとえば、上記第2の選択状況である場合には、次回の図柄変動表示ゲームから通常状態に移行されるので、今回の図柄変動表示ゲームに係る演出として、通常状態に移行される旨を報せる演出(通常移行演出)を現出させたり、上記第3の選択状況である場合には、次回の図柄変動表示ゲームから潜確状態に移行するので、今回の図柄変動表示ゲームに係る演出として、潜確状態に移行される旨を報せる演出(潜確移行演出)を現出させたりすることができる。また本実施形態では、CZ中に選択されるハズレ変動パターンの変動時間が作動保留球によらず同一ものが選択され、これによりCZ中の図柄変動表示ゲームの演出時間が同一となる。そのため、CZ中に展開される演出を‘物語風の演出’とすることが容易になる。
また本実施形態では、CZ中のハズレ当選の場合は通常変動パターン(CZ用ハズレ変動)のみが選択され、リーチ変動パターンが選択されない構成となっている(図35の「CZ(01H)」の欄参照)。一方、当りの場合(ただし2R短開放潜確大当りと小当りは除く)、「CZ用当り変動」が選択され(図34の「CZ(01H)」の欄参照)、この「CZ用当り変動」はリーチ変動パターンとして定められている。つまり、CZ演出モード中にリーチ演出(リーチ状態)が発生した時点で、大当り当選確定が報知されることになる。
(CZ中当り変動演出処理(ステップS904)について)
なお「CZ(通常)」中に2R短開放潜確大当りに当選した場合か、または「CZ(通常)」および「CZ(潜確)」中に小当りに当選した場合、次回の図柄変動表示ゲームもCZが継続されることから(図4の「CZ(通常)」「CZ(潜確)」の欄参照)、当該当選した場合の選択状況(以下、当り当選によりCZが再継続される状況を「第4の選択状況」と称する)は、ハズレの場合に係る上記第1の選択状況と同様の状況下に置かれる。この点に着目し、ステップS904のCZ中当り変動演出処理において、上記第4の選択状況である場合には、演出として上記第1の選択状況と同じ「CZ継続専用の演出態様」を現出させることが好ましい。この場合、上記CZ用ハズレ変動に基づく「CZ継続専用の演出態様」と同じ演出を現出させるべく、上記第4の選択状況下の当り変動パターン(「CZ中2R潜確・小当り1」または「CZ中2R潜確・小当り2」)を受信した場合と「CZ用ハズレ変動」とで同じ変動時間が選択されるように構成することができる。
具体的には、主制御部20側の特別図柄変動パターン作成処理(図12のステップS412)において参照される「変動時間決定テーブル」を、「CZ(01)」中の「CZ中2R潜確・小当り1」または「CZ中2R潜確・小当り2」と、「CZ用ハズレ変動」とで同じ変動時間が選択されるように構成する。また第4の選択状況であるか否かは、「CZ中2R潜確・小当り1」または「CZ中2R潜確・小当り2」を受信した際、現在の内部遊技状態を判定し、装飾図柄指定コマンドに含まれる当選種別情報により2R短開放潜確大当り当選であるか、小当り当選であるかを判定すれば、当該第4の選択状況であるか否かを識別できる。このようにすれば、上記第4の選択状況下で2R短開放潜確大当りまたは小当りに当選した場合、上記「CZ継続専用の演出態様」が選択され、その当選が演出上報知されないので、あたかもCZが継続されているが如く装うことができる。その結果、遊技者に対しCZの終了時期を察知され難くし、CZ期間中の潜確状態の緊張感や期待感を与えることができるようになる。
また本実施形態では、2R短開放潜確大当りに当選した場合と小当り当選した場合とで、選択率の異なる「CZ中2R潜確・小当り1」または「CZ中2R潜確・小当り2」が選択される。図34の当り変動パターン振分テーブルを参照すれば、2R短開放潜確大当りに当選した場合、「CZ中2R潜確・小当り1」よりも「CZ中2R潜確・小当り2」の方が高い選択率となっており、小当りに当選した場合はその逆の選択率となっている(図34の「CZ(01H)」欄参照)。これを利用し、「CZ中2R潜確・小当り1」と「CZ中2R潜確・小当り2」とで異なる演出態様を現出させることができる。たとえば上記第4の選択状況の「CZ中2R潜確・小当り1」と「CZ中2R潜確・小当り2」の場合とで、特定の演出の発生確率(たとえば、特定のキャラクタ演出の発生確率)を異ならせるようにすれば、高確率状態であるか否かの推測要素を遊技者に与えることができるようになり、遊技の面白みが向上する。
また本実施形態では「CZ(潜確)」中に2R短開放潜確大当りに当選した場合、次回の図柄変動表示ゲームの遊技状態は、潜確状態に移行される(図4の「CZ(潜確)」の欄参照)。したがって、CZ中に2R短開放潜確大当りに当選し、潜確状態に移行される場合には(以下、CZから潜確状態に移行される状況を「第5の選択状況」と称する)、ハズレの場合に係る上記第3の選択状況と同様の状況下に置かれる。この点に着目し、ステップS904のCZ中当り変動演出処理において、この第5の選択状況である場合には、演出として上記第3の選択状況と同じ「潜確状態移行演出」を現出させるように構成しても良い。
[第2の実施形態]
以上に説明した第1の実施形態では、演出制御部24側がCZ継続回数を管理し、その回数に応じた演出を決定する形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、主制御部側でCZ継続回数を管理する構成としても良い。以下、第2の実施形態について説明する。
(ハズレ変動パターン選択処理について)
CZ中においては、ハズレ変動パターンを選択する際の選択状況として、CZ残余回数に応じて上記第1〜第3の選択状況と同様の選択状況(特定遊技状態下変動パターン選択状況)が発生する。
そこで、主制御部20(CPU201)がCZ中の変動パターンを選択する際、上記第1〜第3の選択状況を考慮し、各選択状況に基づく変動パターンを選択するように構成することができる。具体的には、主制御部20側に、CZ継続回数を管理する管理手段(特定遊技状態継続回数管理手段)と、CZ継続回数の残り回数(CZ残余回数)に応じて変動パターンを選択を選択する選択手段(特定遊技状態下変動パターン選択手段)と、を設けることができる。そして上記の選択手段により、上記第1の選択状況の場合(次回の図柄変動表示ゲームもCZ継続)には「第1のCZ用ハズレ変動パターン」を、第2の選択状況(次回の図柄変動表示ゲームから通常状態に移行)の場合には「第2のCZ用ハズレ変動パターン」を、第3の選択状況の場合(次回の図柄変動表示ゲームから潜確状態に移行)には「第3のCZ用ハズレ変動パターン」を選択可能に構成する。この場合、第1〜第3の選択状況のいずれの状態であるかの情報を含ませた変動パターン指定コマンド作成し、これを演出制御部24に送信することができる。なお上述の管理手段は、特別図柄変動回数カウンタがその機能を、また上述の選択手段は、特別図柄変動パターン作成処理(図12のステップS411)がその機能を担うことができる。
図36に、第2の実施形態に係るハズレ変動パターン振分テーブルを示す。なお図36には、CZに着目したハズレ変動パターン振分テーブルを示し、他の遊技状態については第1の実施形態と同じであるので、重複記載を避けるため省略してある。
図示のハズレ変動パターン振分テーブルAでは、上記第1〜第3の選択状況、つまりCZ残余回数に応じた変動パターンが選択されるようになっている。具体的には、CZ継続指定の上記第1の選択状況(CZ残余回数≠0(CZ残1〜3))である場合には「CZ用ハズレ変動1」が、通常移行指定の第2の選択状況(CZ残0:通常移行)である場合には「CZ用ハズレ変動2」が、潜確移行指定の第3の選択状況である場合(CZ残0:潜確移行)には「CZ用ハズレ変動3」が選択されるようになっている。
上記ハズレ変動パターン振分テーブルAを参照するに際し、主制御部20(CPU201)は、CZ中である場合、まず特別図柄変動回数カウンタを確認し、CZ残余回数を判定する。ただし、本実施形態の場合、特別図柄変動回数カウンタの減算処理は、後段階の特別図柄確認時間中処理(図15BのステップS488)中で行われるため、上記変動パターン振分テーブルAに示す残余回数は、実際には、「CZ残余回数≠0(CZ残1〜3)」の場合は上記減算処理前のCZ継続回数2〜4回、「CZ残余回数=0(CZ残0)」の場合は同処理前のCZ継続回数1回の場合である。
次いで、変動パターン振分テーブルAを参照して、目的とする変動パターンを選択する。ここでは、今回の図柄変動表示ゲームでCZ残余回数≠0となる場合には、CZ継続指定の「CZ用ハズレ変動1」を選択する。ただし、今回の図柄変動表示ゲームでCZ残余回数=0となる場合には、遊技状態判定番号(YJ)を取得して現在の内部遊技状態を判定し、現在の内部遊技状態が通常遊技状態(通常状態:遊技状態判定番号(YJ)=00H)である場合には通常移行指定の「CZ用ハズレ変動2」を選択し、現在の内部遊技状態が潜確状態(遊技状態判定番号(YJ)=01H)である場合には潜確移行指定の「CZ用ハズレ変動3」を選択する。そして、上記変動時間決定テーブルを参照し、選択した変動パターンの変動時間を決定する。本実施形態により作成された変動パターン指定コマンドは、第1〜第3の選択状況のそれぞれに対応したもの、つまり、第1〜第3の選択状況のいずれの状態であるかを情報を含み、第1〜第3の選択状況のいずれの状態であるかを特定可能な変動パターン指定コマンドとなる。
また本実施形態の変形例として、CZの内部遊技状態を考慮し、「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」とを識別しうる変動パターン振分指定番号(Tcode)を設け、これに対応した変動パターン振分テーブル(図36に示す変動パターン振分テーブルB)を設けても良い。この構成では、CZ(潜確)に対応した変動パターン指定振分番号(05H)を新たに設け、図36に示す変動パターン振分テーブルBに基づき、CZ残余回数に応じた変動パターンを選択する構成となっている。
以上のように本実施形態では、上記第1〜第3状況に応じた変動パターンを選択することにより、演出制御部24側において、上記「CZ用ハズレ変動1」の場合には「CZ継続専用の演出態様」を選択したり、上記「CZ用ハズレ変動2」または「CZ用ハズレ変動3」の場合には上記「CZ終了専用の演出態様」を選択したりすることができる。また上記第2の状況の場合と第3の状況の場合とで異なる変動パターン、「CZ用ハズレ変動2」または「CZ用ハズレ変動3」が選択されるので、演出制御部24側が「CZ終了専用の演出態様」を選択する際、CZ終了状況に応じて上記通常移行演出または潜確移行演出を現出させることができる。なお、CZ用ハズレ変動1〜3の変動時間を決定するに際し、それぞれ同一の変動時間としても良いし、それぞれ異なる変動時間としても良い。また、上記CZ用ハズレ変動2、3は、CZ継続ではなくCZ終了を指定するものであるので、少なくともこれら変動パターンの変動時間を同一にし、上記CZ用ハズレ変動1が持つ変動時間とは異なる変動時間としても良い。
(当り変動パターン選択処理について)
なお既に説明したように、「CZ(通常)」中に2R短開放潜確大当りに当選した場合か、または「CZ(通常)」および「CZ(潜確)」中に小当りに当選した場合、次回の図柄変動表示ゲームもCZが継続されることから、この当選した場合の選択状況は(第4の選択状況)、ハズレの場合における上記第1の選択状況と同様の状況下に置かれる。この点に着目し、当り変動パターンを選択する際、CZ中の内部遊技状態を考慮して、「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」とに応じた当り変動パターンを選択可能に構成しても良い。ただし、当り変動パターンと「CZ用ハズレ変動」とで同じ変動時間が選択される(同一の変動時間決定テーブルが参照される)ように構成することが好ましい。演出制御部24側では、この当り変動パターンの変動パターン指定コマンドを受信した場合、「CZ(通常)」中の当選であるか、「CZ(潜確)」中の当選であるかを識別し、また装飾図柄指定コマンドに含まれる当選種別情報により2R短開放潜確大当り当選であるか、小当り当選であるかを識別して、2R短開放潜確大当りまたは小当り当選に関する上記第4の選択状況であるか上記第5の選択状況であるかを判定することができる。そして、このときの演出を上記した第1の実施形態と同じように「CZ継続専用の演出態様」を選択させるようにすれば、2R短開放潜確大当り当選または小当り当選した場合であっても、その当選が演出上報知されないので、あたかもCZが継続されているが如く装うことができ、第1の実施形態と同じ効果を奏することができる。
また演出制御部24側が「CZ(潜確)」に対応する当り変動パターンを受信した場合、上記第4の選択状況であるか第5の選択状況であるかを判定し、当該第5の選択状況である場合には、上記第3の選択状況と同じ「潜確状態移行演出」を現出させるように構成することができる。
以上に説明した第1の実施形態および第2の実施形態について、制御負担の観点から本発明の作用効果を述べると以下のようになる。上記第1の実施形態では、主制御部20側が変動パターンを選択する際のCZ継続回数を管理せず、演出制御部24側がCZ中の演出を選択する際のCZ継続回数を管理し、その継続回数に基づく演出を現出させる形態となっている。これにより、主制御部20側の変動パターン選択に係る制御処理負担を低減させることができる。これに対し、上記第2の実施形態では、主制御部20側が変動パターンを選択する際のCZ継続回数を管理し、その継続回数に基づく変動パターンを選択し、演出制御部24側では、CZ中の演出を選択する際のCZ継続回数を管理せず、当該変動パターンに基づく演出を現出させる形態となっている。これにより、演出制御部24側の演出制御処理負担を低減させることができるようになっている。特に近年では、演出を多彩なすべく、変動パターンの種類も増え、これに関するプログラム量を勢い増加せざるを得ない状況が発生しうる。しかしながら、パチンコ店に設置するような遊技機、具体的には、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による7号営業を対象とした遊技機においては、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則により、遊技動作全般の制御を司る主基板(本実施形態では、主制御部20が該当する)に装着されるROMのプログラム容量が制限されているため(同規則別表第3 不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格(第6条関係))、プログラム容量の削減の観点から、主制御部20側の変動パターン選択に係る制御負担を低減しうる第1の実施形態とすることが好ましい。しかし、いずれの制御部の負担を軽減させるかは、遊技機の設計に応じて適宜選択することができる。
[第3の実施形態]
次に第3の実施形態について説明する。これはチャンスゾーン(CZ)中については先読み予告の発生を禁止する構成としたものである。
上記第1、第2の実施形態では、複数回の図柄変動表示ゲーム(1〜4回)に跨って特定の遊技状態(CZ)を設け、そのCZ演出モード下においては、先読み予告演出(連続予告演出)の如く装わせる専用の演出(潜確状態の期待感を煽る演出)が現出するようにしている。このCZ演出モード中において先読み演出が行われることは禁止されていない。このため、当該CZ演出モード下で新たな入賞に基づく保留記憶が発生し、これに基づいて先読み予告演出が発生すると、CZ演出モード中の演出との間で相互に矛盾や違和感をもたらす可能性がある。
そこで第3の実施形態では、CZ演出モード下で新たに発生した保留記憶については、つまりCZ演出モードの期間として設定した変動回数(この例では1〜4回)だけは、先読み演出抽選の実行を禁止するように構成して、CZ演出モード下でなす演出と先読み演出予告との間に矛盾や違和感が発生しないようにする。
具体的には、たとえば、図20のステップS716とS717で「先読み禁止カウンタsys」と「先読み禁止カウンタmode」の値がゼロである(先読み禁止中でない)との確認が取れた後に、上記CZ演出モードへの切り替わりが生じたか否かを判断する処理(演出モード切り替わり判定処理)を設ける。このCZ演出モードへの切り替わりが生じたか否かは、大当り終了コマンドまたは小当り終了コマンド(図16の大当り終了処理(ステップS509)、または小当り処理(ステップS504)において送信されるコマンド)を受信することにより把握することができる。これらのコマンドには、今回の当り情報とその当選時の遊技状態情報とが含まれ、その内容に基づき、その当り遊技後に移行すべき演出モードが設定されるので、当該コマンドに基づいて、CZ演出モードへの切り替わりが生じたか否かを把握することができ、またその継続回数を管理することができるようになっている(図23〜図25参照)。そして、CZ演出モード中でない場合はステップS718へ移行して先読み演出抽選処理を実行するが、CZ演出モード中である場合はステップS718の先読み演出抽選処理およびステップS719の判断処理を迂回して、ステップS720の「先読み禁止カウンタmode」のセット処理へ移行するように構成することができる。
あるいは、図20のステップS719(先読み演出抽選結果の判断処理)の後に上記演出モード切り替わり判定処理を設け、CZ演出モード中でない場合はステップS720へ移行して「先読み禁止カウンタmode」のセット処理を実行するが、CZ演出モード中である場合はステップS720の「先読み禁止カウンタmode」のセット処理を迂回して、ステップS721へ移行するように構成することができる。
いずれの場合も、「先読み禁止カウンタmode」にセットする数値は、CZ演出モードの期間として設定した変動回数と同じ値(この例では1〜4回)であるが、常に固定値の4回をセットしてもよい。この場合、CZ演出モードの期間として設定した変動回数(1〜4回)と「先読み禁止カウンタmode」にセットした数値(4回)とのあいだにずれを発生する場合があるが、そのずれ幅は、最大でもCZ演出モードの期間経過後の3回の図柄変動の先読み禁止になるだけであるので、問題はないと考えられる。
[第4の実施形態]
次に第4の実施形態について説明する。これは特定の遊技状態中の所定の残りの図柄変動回数については先読み予告の発生を禁止する構成のものである。ここでは、特定の遊技状態として、特別図柄時短機能作動状態(特別図柄時短状態)中の遊技状態である「時短状態」または「確変状態」を代表例にとり説明する。
上記の第1、第2の実施形態では、特別図柄時短回数カウンタにより「特別図柄時短状態」にある時短演出モードの図柄変動回数(時短回数50回)が設定され、この特別図柄時短回数カウンタの値がゼロになると特別図柄時短状態が終了する。第4の実施形態では、前提として、上記時短演出モードについて、特別図柄時短状態(時短回数50回)が終了する手前の所定回数目に至った場合、当該所定回数目を含む残りの図柄変動回数(たとえば保留記憶可能な上限である最大保留記憶数の4回)を「ラストチャンス」とする特定の演出モードに切り替え、この「ラストチャンス」中は比較的長い変動時間の変動パターンが選択されて、遊技者の緊張が続くように構成する。
しかし上記「ラストチャンス」とする特定の演出モード中に先読み予告演出が発生すると、当該特定の演出モードの演出と先読み予告演出との間で相互に矛盾や違和感をもたらす可能性がある。そこで、第4の実施形態では、演出モードが上記特定の演出モード(ラストチャンス)に切り替わった場合、当該特定の演出モード(ラストチャンス)下で新たに発生した保留記憶については、つまり上記特定の演出モード期間(ラストチャンスゾーン)として設定した残り変動回数(この例では4回)については、先読み予告演出の発生を禁止する構成にして、当該特定の演出モード下でなす演出と先読み演出予告との間に矛盾や違和感が発生しないようにする。
具体的には、たとえば、図20のステップS716とS717で「先読み禁止カウンタsys」と「先読み禁止カウンタmode」の値がゼロである(先読み禁止中でない)との確認が取れた後に、上記特定の演出モード(ラストチャンス)への切り替わりが生じたか否かを判断する処理(演出モード切り替わり判定処理)を設ける。この特定の演出モード(ラストチャンス)への切り替わりが生じたか否かは、残り時短回数コマンド送信処理(ステップS408)で送信される「残り時短回数コマンド」を監視することにより判断することができる。そして、特定の演出モード(ラストチャンス)中でない場合はステップS718へ移行して先読み演出抽選処理を実行するが、特定の演出モード(ラストチャンス)中である場合はステップS718の先読み演出抽選処理およびステップS719の判断処理を迂回して、ステップS720の「先読み禁止カウンタmode」のセット処理へ移行するように構成する。
あるいは、図20のステップS719(先読み演出抽選結果の判断処理)の後に上記演出モード切り替わり判定処理を設け、特定の演出モード(ラストチャンス)中でない場合はステップS720へ移行して「先読み禁止カウンタmode」のセット処理を実行するが、特定の演出モード(ラストチャンス)中である場合はステップS720の「先読み禁止カウンタmode」のセット処理を迂回して、ステップS721へ移行するように構成することができる。
いずれの場合も、「先読み禁止カウンタmode」にセットする数値は、特定の演出モード(ラストチャンス)の期間として設定した変動回数と同じ値(この例では4回)であるが、特定の演出モード(ラストチャンス)の期間として設定した変動回数を少し超える固定値(たとえば5〜6回)をセットしてもよい。
上記値を「先読み禁止カウンタmode」にセットすることで(ステップS720)、たとえば時短回数50回のうちの残り図柄変動回数4回に入ってから当該区間が終了するまでの間、先読み予告演出の抽選または発生が禁止される。つまり、時短回数50回が終了する残りの図柄変動回数が、残り4回になった場合、この残り4回の区間では遊技者の緊張が続くように比較的長い変動時間の変動パターンが選択されるように構成される。このラスト4回の非常に緊張感の高まった濃艶な演出中にガセの先読み予告演出がさらに発生すると、図柄遊技結果が非当選であった場合に遊技者に演出上の不信感を与えることになる。しかし、そのような緊張感の高まった状況下にあるラスト4回の期間中について、先読み予告演出の抽選または発生が禁止されるので、上記不信感を与えることを避けることができる。
[第5の実施形態]
次に第5の実施形態について説明する。これは、いわゆるST機を前提としたものであるので、この構成について先に説明する。
ST機においては、大当り遊技終了後に特典遊技状態として、「確変状態」(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能および開放延長機能が作動する遊技状態)に移行される。この確変状態はいわゆる「回数切り確変状態(ST)」であって、図柄の変動回数が上限回数(たとえば計100回)に達すると主制御部20の遊技状態が通常の遊技状態に戻される。
このST機における追加的な構成として、ST状態(ST回数100回)が終了する手前の所定回数目に至った場合、当該所定回数目を含む残りの図柄変動回数(たとえば5回)を「ラストチャンス」とする特定の演出モードに切り替え、この「ラストチャンス」中は比較的長い変動時間の変動パターンが選択されて、遊技者の緊張が続くようにする。つまり1〜95回転目までの確変状態(確変A状態)における演出モードよりも、96〜100回転目までの確変状態(確変B状態)における演出モード(ラストチャンスゾーン)における特別図柄の変動時間(図柄の変動開始から停止までの時間)の方が、相対的に長くなるように変動パターンを規定する。このようにしておくと、一方において、図柄の変動時間が相対的に短く設定される(たとえば5秒、8秒、12秒から選択される)確変A状態においては、毎回の特別図柄変動表示ゲームをスピーディに消化して行くことができ、大当り連荘時の出球スピードが高められる。また他方において、特別図柄の変動時間が相対的に長く設定される(変動時間が最も長い12秒に固定される)確変B状態においては、時間をかけて確変状態であることを遊技者に明確に意識させながら、通常の遊技状態と同じように確変状態を長く楽しませることができる。
しかし上記「ラストチャンス」とする特定の演出モード中に先読み予告演出が発生すると、当該特定の演出モードで発生させる演出と先読み予告演出との間で相互に矛盾や違和感をもたらす可能性がある。そこで、第5の実施形態では、ST期間の終り(既知の値:上記100回目)から逆算して所定の変動回数分(ここでは5回転分)だけ前の時点から上記特定の演出モード(ラストチャンス)に切り替わった場合、上記特定の演出モード(ラストチャンス)下で発生した保留記憶については、つまり上記特定の演出モード期間(ラストチャンスゾーン)として設定した残り変動回数(この例では5回)については、先読み予告演出の発生を禁止する構成にして、当該特定の演出モード下でなす演出と先読み演出予告との間に矛盾や違和感が発生しないようにする。
具体的には、たとえば、図20のステップS716とS717で「先読み禁止カウンタsys」と「先読み禁止カウンタmode」の値がゼロである(先読み禁止中でない)との確認が取れた後に、上記特定の演出モード(ラストチャンス)への切り替わりが生じたか否かを判断する処理(演出モード切り替わり判定処理)を設ける。
この特定の演出モード(ラストチャンス)への切り替わりが生じたか否かは、たとえば、大当りが終了したときに送られてくる大当り終了コマンドに基づいて、当該大当り終了後にST状態への移行を知ることができるので、当該ST状態となったときからの変動回数を監視し、ST状態の残余回数を把握することで、上記特定の演出モード(ラストチャンス)への切り替わりが生じたと判断することができる。上記ST状態の残余回数は、たとえば、変動パターン指定コマンドの受信回数をカウントする、または装飾図柄変動表示ゲームの実行回数をカウントする、あるいは残り時短回数コマンドに含まれる残り時短回数情報などにより把握することができる。
またたとえば、主制御部20側において、図37には示してないが、確変A状態に対応する変動パターン振分指定番号(Tcode)と、確変B状態に対応する変動パターン振分指定番号(Tcode)とを設け、図34〜図35のように、それぞれの変動パターン振分指定番号(Tcode)に対応する専用の変動パターンを選択するように構成する。つまり、確変A状態専用の変動パターンと、確変B状態専用の変動パターンとを選択可能に構成する。この場合、主制御部20側においては、確変状態開始・終了が管理可能に構成することができるので(たとえば、図15BのS483〜S486参照)、ST状態の実行回数(残余回数)を監視して、1〜95回転目までは確変A状態下における変動パターン(確変A状態専用の変動パターン)を選択し、96〜100回転目までは確変B状態下における変動パターン(確変B状態専用の変動パターン)を選択することができる。したがって、確変B状態専用の変動パターン種別情報を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側が受信した時点で、上記特定の演出モード(ラストチャンス)への切り替わりが生じたと判断することができる。換言すれば、確変A状態専用の変動パターン種別情報を含む「変動パターン指定コマンド」を受信した場合には、上記特定の演出モード(ラストチャンス)中でないと判断することができ、確変B状態専用の変動パターン種別情報を含む「変動パターン指定コマンド」を受信した場合には、上記特定の演出モード(ラストチャンス)中であると判断することができる。勿論、確変A状態、確変B状態専用変動パターンにおける当り・ハズレ変動については、1または複数種類設けることができる。
そして、特定の演出モード(ラストチャンス)中でない場合はステップS718へ移行して先読み演出抽選処理を実行するが、特定の演出モード(ラストチャンス)中である場合はステップS718の先読み演出抽選処理およびステップS719の判断処理を迂回して、ステップS720の「先読み禁止カウンタmode」のセット処理へ移行するように構成する。
あるいは、図20のステップS719(先読み演出抽選結果の判断処理)の後に上記演出モード切り替わり判定処理を設け、特定の演出モード(ラストチャンス)中でない場合はステップS720へ移行して「先読み禁止カウンタmode」のセット処理を実行するが、特定の演出モード(ラストチャンス)中である場合はステップS720の「先読み禁止カウンタmode」のセット処理を迂回して、ステップS721へ移行するように構成することができる。
いずれの場合も、「先読み禁止カウンタmode」にセットする数値は、特定の演出モード(ラストチャンス)の期間として設定した変動回数と同じ値(この例では5回)であるが、特定の演出モード(ラストチャンス)の期間として設定した変動回数を少し超える固定値(たとえば6〜7回)をセットしてもよい。
[第6の実施形態]
次に第6の実施形態について説明する。これは、電源復旧時に先読み予告演出の発生を禁止するもので、次のような不都合をなくそうとするものである。
電気的ノイズなどの制御系における異常に起因して保留加算コマンドのデータが変化した場合、これに基づいて演出制御部側で先読み予告演出(特に画像表示変化系の先読み予告演出)を発生させると、下記のケース3、4に示すように、遊技者に不信感をいだかせる状況が発生してしまう可能性がある。
<ケース3>
電源復帰後に新たにハズレ入賞(または当り入賞)があり、その保留記憶(保留4)の先読み結果に基づいて連続予告演出が開始したが、その前に電源復旧時に当り入賞に係る保留記憶(保留2)が存在していたため、保留4の先読み結果に基づいて開始された上記連続予告演出が、保留4の図柄変動が開始される前に途切れてしまうこと、遊技者に違和感や不信感をもたらすことになる。
<ケース4>
電源復帰後の高確率状態下でプレミアム大当りの虹色保留が発生したが、その前に電源復旧時に転落入賞に係る保留または普通大当りの入賞に係る保留が存在していたため、低確率状態の当り判定テーブル上でのハズレに該当してしまうこと、プレミアム大当りの虹色保留がハズレとなってしまい、遊技者に不信感を与える。
そこで、このような不都合な状況が発生しないようにするため、第6の実施形態では、復帰手段により保留記憶個数分の保留データが遊技動作可能に回復された場合、その後に新たに保留記憶手段に保留記憶される最大保留記憶個数(特別図柄1の最大保留記憶個数の4個と特別図柄2の最大保留記憶個数の4個の合計数に対応する8個)と同数(8回転)またはそれより1個多い値(9回転)の保留データに関しては、先読み予告演出の発生を禁止する構成を設ける。
すなわち、「先読み禁止カウンタsys」に上記の8回転または9回転の値をセットし、この「先読み禁止カウンタsys」にて、先読み予告演出の発生を禁止する図柄変動表示ゲームの回数を計数管理し、上記の8回転または9回転の間は先読み演出が発生しないようにする。この場合の先読み禁止動作は、電気的ノイズなどがもたらす制御系における異常(保留加算コマンドのデータが変化した場合)に起因して「先読み禁止カウンタsys」をセットした場合と同様になる。