JP2013253445A - 基礎施工方法、太陽光発電パネル施工方法及び建物施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地面100における基礎施工予定箇所から少なくとも一の方向へ溝を掘る溝掘り工程と、溝の底部に沿って帯状又は面状のアンカーシート10を敷設するアンカーシート敷設工程と、基礎施工予定箇所にコンクリートを打設することによりブロック状の基礎30を構築し、基礎30の内部にアンカーシート10の一部を埋め殺すことによりアンカーシート10を基礎30と一体化させる基礎構築工程と、溝を埋める溝埋め工程とを経ることにより、地面100に対して基礎30を施工する。アンカーシート10が土から受ける摩擦力及び重量によって、基礎30の浮き上がり又は沈下が防止される。
【選択図】図8
Description
地面に対して基礎を施工するための基礎施工方法であって、
地面における基礎施工予定箇所から少なくとも一の方向へ溝を掘る溝掘り工程と、
前記溝の底部に沿って帯状又は面状のアンカーシートを敷設するアンカーシート敷設工程と、
基礎施工予定箇所にコンクリートを打設することにより基礎(通常、ブロック状の基礎)を構築し、該基礎内にアンカーシートの一部を埋め殺すことによりアンカーシートを基礎と一体化させる基礎構築工程と、
前記溝を埋める溝埋め工程と
を経ることにより地面に対して基礎を施工し、
施工された基礎の浮き上がり又は沈下をアンカーシートで防止することができるようにしたことを特徴とする基礎施工方法。
を提供することによって解決される。
まず、第一実施態様の基礎施工方法について説明する。図1は、第一実施態様の基礎施工方法において、溝掘り工程を終えた状態の地面100を示した斜視図である。図2は、第一実施態様の基礎施工方法において、アンカーシート敷設工程を終えた状態の地面100を示した斜視図である。図3は、第一実施態様の基礎施工方法において、基礎構築工程を終えた状態の地面100を示した斜視図である。図4は、第一実施態様の基礎施工方法において、支柱立設工程を終えた状態の地面100を示した斜視図である。図5は、第一実施態様の基礎施工方法において、溝埋め工程を終えた状態の地面100を示した斜視図である。図6は、第一実施態様の基礎施工方法で施工された基礎30の上部に太陽光発電パネル50を取り付けた状態を示した斜視図である。図7は、第一実施態様の基礎施工方法で施工された基礎30の周辺を、図6におけるアンカーシート10の中心線を通る鉛直面で切断した状態を示した断面図である。図8は、アンカーシート10を波状に敷設した場合における基礎30の周辺を、図7に相当する鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
溝掘り工程では、図1に示すように、地面100における基礎30を施工する予定の基礎施工予定箇所から溝101を掘る。太陽光発電パネル50(図6)は、その後端縁側の浮き上がりを防止すればよく、その前端縁側の浮き上がりを防止する必要性はそれほどない。このため、太陽光発電パネル50を施工する第一実施態様の基礎施工方法においては、太陽光発電パネル50の後端縁側を固定する基礎30の基礎施工予定箇所Aからのみ溝101を掘り、太陽光発電パネル50の前端縁側を固定する基礎30の基礎施工予定箇所には溝101を掘らないようにしている。基礎施工予定箇所Aから掘る溝101の向きや本数は、基礎30の用途などを考慮して適宜決定される。第一実施態様の基礎施工方法においては、各基礎施工予定箇所Aから前後方向(y軸方向)に2本の溝101を掘っている。
アンカーシート敷設工程では、図2に示すように、溝101の底部に沿って、アンカーシート10を敷設する。それぞれのアンカーシート10の中間部は、基礎施工予定箇所A(図1を参照)で地表に表出させている。アンカーシート10としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの連続繊維からなるメッシュ状のシートを好適に用いることができる。アンカーシート10の目付け量は、その厚さやそれに用いる連続繊維の種類などによっても異なり、特に限定されないが、例えば、アラミド繊維を厚さ0.1〜1mm程度に織製する場合には、100〜1000g/m2程度である。第一実施態様の基礎施工方法においては、前田工繊株式会社製のコンクリート用連続繊維補強材「FFシート AW40」をアンカーシート10として用いている。このアンカーシート10は、引張強度が2060N/mm2以上と非常に強靭なものとなっている。
基礎構築工程では、図3又は図7に示すように、基礎施工予定箇所にブロック状の基礎30を構築し、その基礎30の内部にアンカーシート10の中間部を埋め殺す。基礎30は、基礎施工予定箇所の周囲を図示省略の型枠で囲み、該型枠内にコンクリートを注入して養生させた後、その型枠を撤去することにより構築される。第一実施態様の基礎施工方法においては、図7に示すように、アンカーシート10の中間部から上向きにアンカーボルト40を打ち込んでおり、基礎30の上部からアンカーボルト40の先端が突出するようにしている。このアンカーボルト40は、基礎30とアンカーシート10との一体性を高めるだけでなく、後の支柱立設工程において、基礎30に支柱20を固定するために用いることができる。
支柱立設工程では、図4に示すように、基礎30の上面に支柱20を立設固定する。第一実施態様の基礎施工方法で施工された支柱20の上部には、図6に示すように、後に太陽光発電パネル50が傾斜した状態で取り付けられる。このため、太陽光発電パネル50の前端縁を支持する支柱20の高さは、太陽光発電パネル50の後端縁を支持する20の高さよりも低く設定している。支柱20の下端は、図7に示すように、基礎30の上面から突き出たアンカーボルト40の先端部に固定している。
溝埋め工程では、図5に示すように、アンカーシート10の上側に土を被せて溝101(図4を参照)を埋め、アンカーシート10を地中に埋める。これにより、アンカーシート10の上側に被せられた土の重量も、基礎30の浮き上がり防止又は沈下防止に寄与するようになる。溝101を埋める土には、砂利102(図8を参照)など、土よりも密度の高い素材を混ぜてもよい。また、土壌を固化する作用を有する土壌改良材が添加することも好ましい。第一実施態様の基礎施工方法においては、住友大阪セメント株式会社製のセメント系固化材「タフロック3E型」を土壌改良材として添加している。この土壌改良材は、物理的作用や水和反応により、土粒子の団流化を行うだけでなく、エトリンガイトの生成により土粒子間に架橋構造を形成して固定化を行い、その後もケイ酸カルシウムなどの水和物の生成により、長期的に安定した強度が得られるものとなっている。
図6に示す太陽光発電パネル50に風が当たり、太陽光発電パネル50に揚力が生じると、太陽光発電パネル50の後端縁側を支持する基礎30には、上向きの引張力が加えられる。しかし、第一実施態様の基礎施工方法で施工された基礎30は、それ自体の重量に加えて、その下部に固定されたアンカーシート10が土から受ける摩擦力や重力などによって、前記引張力に対して抵抗することができるようになっている。したがって、台風などの強風によって太陽光発電パネル50が煽られた場合であっても、太陽光発電パネル50を浮き上がらせることなく、地面100に対して固定された状態を維持することができる。
続いて、第二実施態様の基礎施工方法について説明する。図9は、第二実施態様の基礎施工方法で施工された基礎30の上部に太陽光発電パネル50を取り付けた状態を示した斜視図である。第二実施態様の基礎施工方法では、図9に示すように、太陽光発電パネル50の後端縁側を支持するそれぞれの基礎30から太陽光発電パネル50の後方(y軸方向負側)へ1本のアンカーシート10を埋め込んでいる。第二実施態様の基礎施工方法における他の構成は、既に述べた第一実施態様の基礎施工方法と同様の構成を採用することができるため、詳しい説明は割愛する。
続いて、第三実施態様の基礎施工方法について説明する。図10は、第三実施態様の基礎施工方法で施工された基礎30の上部に太陽光発電パネル50を取り付けた状態を示した斜視図である。第三実施態様の基礎施工方法では、図10に示すように、太陽光発電パネル50の後端縁側を支持するそれぞれの基礎30から太陽光発電パネル50の前方(y軸方向正側)、後方(y軸方向負側)、右方(x軸方向正側)及び左方(x軸方向負側)へ計4本のアンカーシート10を埋め込んでいる。このように、基礎30から放射状にアンカーシート10を配することにより、基礎30の定着力をさらに高めることができる。第三実施態様の基礎施工方法における他の構成は、既に述べた第一実施態様の基礎施工方法と同様の構成を採用することができるため、詳しい説明は割愛する。
続いて、第四実施態様の基礎施工方法について説明する。図11は、第四実施態様の基礎施工方法で施工された基礎30の上部に太陽光発電パネル50を取り付けた状態を示した斜視図である。第四実施態様の基礎施工方法では、図11に示すように、太陽光発電パネル50の後端縁側を支持するそれぞれの基礎30から太陽光発電パネル50の前方(y軸方向正側)、後方(y軸方向負側)、右方(x軸方向正側)及び左方(x軸方向負側)へ計4本のアンカーシート10を埋め込むとともに、横方向(x軸方向)に隣接する基礎30から横方向に延びるアンカーシート10が繋がった形態としている。これにより、基礎30の定着力をさらに高めるだけでなく、アンカーシート敷設工程をより容易に行うことも可能になる。第四実施態様の基礎施工方法における他の構成は、既に述べた第一実施態様の基礎施工方法と同様の構成を採用することができるため、詳しい説明は割愛する。
続いて、第五実施態様の基礎施工方法について説明する。図12は、第五実施態様の基礎施工方法で施工された基礎の上部に建物80を施工した状態を示した断面図である。上述した第一実施態様から第四実施態様までの基礎施工方法では、その上部構造として太陽光発電パネルを取り付けたが、第五実施態様の基礎施工方法では、施工された基礎の上部に建物80を施工している。第五実施態様の基礎構築方法では、アンカーシート10として炭素繊維からなる網(カーボンメッシュ)を使用している。本発明の基礎施工方法は、このような重量のあるものを支える基礎を施工するためにも用いることができる。建物80に本発明の基礎施工方法を採用すると、風や津波などによる建物80の浮き上がりを防止するだけでなく、建物80の沈下(不同沈下や液状化に伴う沈下)を防止することも可能になる。また、溝埋め工程で使用する土に砂利などを添加して転圧すれば、液状化を発生しにくくすることも可能になる。第五実施態様の基礎施工方法における他の構成は、既に述べた第一実施態様から第四実施態様の基礎施工方法と同様の構成を採用することができるため、詳しい説明は割愛する。
20 支柱
30 基礎
40 アンカーボルト
50 太陽光発電パネル
60 アンカー杭
80 建物
90 基礎
100 地面
101 溝
102 砂利
A 基礎施工予定箇所
Claims (7)
- 地面に対して基礎を施工するための基礎施工方法であって、
地面における基礎施工予定箇所から少なくとも一の方向へ溝を掘る溝掘り工程と、
前記溝の底部に沿って帯状又は面状のアンカーシートを敷設するアンカーシート敷設工程と、
基礎施工予定箇所にコンクリートを打設することにより基礎を構築し、該基礎内にアンカーシートの一部を埋め殺すことによりアンカーシートを基礎と一体化させる基礎構築工程と、
前記溝を埋める溝埋め工程と
を経ることにより地面に対して基礎を施工し、
施工された基礎の浮き上がり又は沈下をアンカーシートで防止することができるようにしたことを特徴とする基礎施工方法。 - アンカーシートとしてメッシュ状のものを使用する請求項1記載の基礎施工方法。
- 溝埋め工程において前記溝を埋める土として土壌を固化する作用を有する土壌改良材が添加されたものを使用する請求項1又は2記載の基礎施工方法。
- 溝掘り工程において前記溝の底部を波状に形成し、アンカーシート敷設工程においてアンカーシートを波状に敷設する請求項1〜3いずれか記載の基礎施工方法。
- アンカーシート敷設工程で敷設されたアンカーシートの中途部にアンカー杭を打ち込む請求項1〜4いずれか記載の基礎施工方法。
- 請求項1〜5いずれか記載の基礎施工方法で施工された基礎の上部に太陽光発電パネルを取り付ける太陽光発電パネル施工方法。
- 請求項1〜5いずれか記載の基礎施工方法で施工された基礎の上部に建物を施工する建物施工方法。
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