以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、管理及び防災の併用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、シャッターカーテンが出入口等の開口部を開閉するために、操作装置の操作により開き移動、閉じ移動、移動停止を行う管理用シャッター装置としての機能と、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより、全閉となったこのシャッターカーテンにより建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、を有している。
図1には本実施形態に係るシャッター装置の全体が示されており、この図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右一対のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターボックス8が配置されており、このシャッターボックス8は、図1のS2−S2線断面図である図2に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターボックス8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターボックス8の図1で示されている左右の側面部8A,8Bに回転自在に支持されている。また、図1に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は図2でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
なお、本実施形態の開閉機13は、図2に示されているように、シャッターボックス8の左右の側面部8A,8Bのうち、一方の側面部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
図2から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。まぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。
図3は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この図3に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、円盤状の第1ブレーキ部材20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、第1ブレーキ部材20と軸方向に対面する第2ブレーキ部材22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力によって回転しない。
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22はばね23に対抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
このようにソレノイド24への通電によリ、ブレーキ装置19はオフとなり、この通電を停止すると、ブレーキ装置19はオンとなるため、このブレーキ装置19は電気的にオン、オフするブレーキ装置となっている。
本実施形態では、図1に示されているように、開閉機13には制御装置26が取り付けられており、この制御装置26は、開閉機13の電動モータ装置18及びブレーキ装置19を電気的に制御するものである。なお、制御装置26は、開閉機13とは別の部材や手段、装置等に取り付けてもよく、その配置箇所は任意である。
図1で示した左右の建物躯体3のうち、一方の建物躯体3Aには、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、移動停止させることとを行わせるための操作装置30が取り付けられている。この操作装置30には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。また、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸11に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1Bとを有するものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
カーテン本体1Aは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板1Bは、本実施形態におけるエンド部材となっている。
座板1Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、操作装置30の「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23でオンに復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御によりコイル25への通電が遮断される。
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターボックス8、このシャッターボックス8に結合されたブラケット部材15、さらには、まぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターボックス8、ブラケット部材15、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対する不動部材となっている。
なお、シャッターカーテン1の下向きの閉じ移動をシャッターカーテン1の自重だけで行わせるのではなく、この自重と、電気モータ装置18の駆動による駆動軸14の正回転とにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させるようにしてもよい。
また、前述のように正逆回転自在となっている巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
本実施形態では、図3に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このため、ブレーキ装置19は、第1部分31AへのA方向の荷重の作用と、この荷重が解除されたときのばね23とにより、オン、オフする機械的のブレーキ装置にもなっている。
なお、第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、開閉機13に取り付けられている後述の自動閉鎖装置32によって行われる。この自動閉鎖装置32は、後述の説明で分かるように、シャッターカーテン1を駆動させる駆動装置になっている開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置である。
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
図4は、図1で示されているシャッターカーテン1の座板1Bの部分の構造を示す図1のS4−S4線断面図である。本実施形態のシャッターカーテン1は、前述したようにカーテン本体1Aと座板1Bとを有し、座板1Bは、固定部70Aと可動部70Bとからなる。また、シャッターカーテン1は、カーテン主部71Aと、カーテン副部71Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとによって構成されており、カーテン副部71Bは、座板1Bのうちの可動部70Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部71Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部71Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
また、図4に示されているように座板1Bのうち、カーテン本体1Aと結合されている固定部70Aは、共に断面箱型となった内外の部材75,76で形成され、この固定部70Aに対して可動部70Bは上下動自在となっている。図4から分かるように、固定部70Aを形成している内外の部材75,76の下面は開口部78となっており、この開口部78から可動部70Bの立上り部79の上端が固定部70Aの内部空間に挿入されている。立上り部79の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部79A,79Bが形成され、これらの延出部79A,79Bが、固定部70Aの内部材76の下端に形成された突片部76A,76Bの上面に乗ることにより、固定部70Aに対する可動部70Bの下側への移動限が規定される。
固定部70Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸80を中心に上下揺動自在となった揺動部材81が収納されている。この揺動部材81は、図6で示されているように、可動部70Bが固定部70Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が図1で示した障害物34等に当接したときには、可動部70Bの立上り部79の延出部79Aが揺動部材81を押し上げることにより、揺動部材81は支点軸80を中心に上向きに揺動する。
図4に示されているように、座板1Bの固定部70Aには、図1にも示されているケース33が取り付けられており、このケース33の内部は図5にも示されている。ケース33の内部には、外周部に多数の歯部35Aが円周方向に形成された回転部材35と、巻取りリール37とが、ケース33に固定された固定軸となっている軸41を中心に回転自在に収納され、これらの回転部材35と巻取りリール37は結合一体化されている。また、巻取りリール37には、ロック用ワイヤー36の下端が結合され、このロック用ワイヤー36の下側部分は巻取りリール37に巻き取られているとともに、上側部分は、ケース33の上面に形成されている孔33Aから上方へ延びている。そして、ロック用ワイヤー36の上端は、図10に示されている中継装置38の第1回動部材42に連結されている。この中継装置38には、第2回動部材43と、遅延装置となっているロータリー式のダンパー44も設けられている。
なお、図5で示したケース33の内部に1個又は複数個のガイドローラを回転自在に収納し、このガイドローラで案内させてロック用ワイヤー36を巻取りリール37へ導くようにしてもよい。
中継装置38は、図1及び図2に示されているように、前述のまぐさ16に設置されている。このため、ロック用ワイヤー36は、巻取りリール37が配置されたシャッターカーテン1と、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動となっている不動部材であるまぐさ16との間に架け渡された部分を有する架け渡し部材となっており、また、巻取りリール37に巻取り可能となっているロック用ワイヤー36は、可撓性を有する紐状部材にもなっている。そして、シャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときには、図5の軸41を中心にS方向に回転する巻取りリール37からロック用ワイヤー36が繰り出されながらシャッターカーテン1が閉じ移動することになる。
このため、巻取りリール37は、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取部材となっている。
図4に示されているように、回転部材35と結合一体化されている巻取りリール37の内部には空間部37Aが形成されており、この空間部37Aに、図5では一部が省略されて示されている戻しばね39が収納され、回転部材35と巻取りリール37との回転中心軸である軸41の外周に巻回状態となっているこの戻しばね39は、本実施形態における弾性部材となっているぜんまいばねであり、戻しばね39の一方の端部はケース33側の部材となっている軸41に結合され、他方の端部は回転部材35と一体化されている巻取りリール37に連結されている。このため、回転部材35及び巻取りリール37がS方向に回転してシャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときに、戻しばね39には、ロック用ワイヤー36を繰り出すためにS方向に回転する巻取りリール37により、ロック用ワイヤー36を巻取りリール37で巻き取るための巻き取り力が蓄圧され、回転部材35及び巻取りリール37がT方向に回転してシャッターカーテン1が上方へ開き移動するときに、戻しばね39に蓄圧された蓄圧力により巻取りリール37がT方向に回転することにより、ロック用ワイヤー36は巻取りリール37に巻き取られるようになっている。
このため、本実施形態では、巻取りリール37と戻しばね39により、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置40が構成されている。
本実施形態では、ぜんまいばねによる戻しばね39は、巻取りリール37の内部に形成された空間部37Aに収納されているため、ケース33についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法が小さくても、図4から分かるように巻取りリール37についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法を充分に大きくすることができ、これにより、巻取りリール37によるロック用ワイヤー36の巻取り長さが充分に長くなり、シャッターカーテン1の開閉移動長さが長いシャッター装置にも対応できるようになっている。
図5に示されているように、ケース33の内部には、このケース33に設けられた軸56を中心に上下方向に回動自在となった係合部材50が収納されている。本実施形態の係合部材50は、回転部材35の歯部35Aに係合可能となっている係合部53を有している第1構成部材51と、この第1構成部材51と結合され、シャッターカーテン1の幅方向への長さを有している第2構成部材52とからなる。このように係合部材50を、それぞれ別部品となっている第1構成部材51と第2構成部材52の組み合わせとすることにより、回転部材35の歯部35Aに係合する係合部53が形成されている第1構成部材51を焼入れ処理等により硬質とすることができ、これにより、係合部材50全体を焼入れ処理等しなくても、係合部53に、回転部材35の歯部35Aと同様に、大きな強度を付与することができる。
なお、本実施形態では、係合部材50の係合部53として、図5に示されているように、軸56を中心とする係合部材50の回動方向に離れた第1係合部53Aと第2係合部53Bとが設けられ、これらの第1係合部53Aと第2係合部53Bは、係合部材50の回動中心部を中心とする円弧上又は略円弧上に形成されたものとなっている。
また、図4に示されているように、前述した座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)の内部に支点軸80を中心に上下揺動自在となって配置されている揺動部材81には、押圧部材54が取り付けられている。
また、図4から分かるように、係合部材50にはねじりコイルばね57が設けられている。このねじりコイルばね57のコイル部57Cは、係合部材50の回動の中心軸となっている軸56に巻回されているとともに、ねじりコイルばね57の一方の端部57Aは、係合部材50に係止され、他方の端部57Bは、ケース33の屈曲した小寸法となっている下面部33Bに係止されている。このため、係合部材50は、図5において、ねじりコイルばね57のばね力により軸56を中心にM方向に常時回動付勢されており、これにより、図5、図7及び図8に示されているように、係合部材50の一部が、シャッターカーテン1に設けられた押圧部材54に、具体的には、シャッターカーテン1のカーテン主部71Aに設けられている支点軸80を中心に上下揺動自在な揺動部材81に配置されている押圧部材54に当接するようになっている。
このため、シャッターカーテン1及び係合部材50には、後述の説明で分かるように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、係合部材50を図5のM方向とは反対方向のN方向に回動させるために互いに当接するシャッターカーテン側当接部58と係合部材側当接部59とが設けられていることになる。そして、シャッターカーテン側当接部58は、押圧部材54によるものであり、係合部材側当接部59は、係合部材50の第2構成部材52に第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bとして2個存在している。これらの第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bは、シャッターカーテン1の幅方向に離れている。
また、このような第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bを係合部材50に設けることは、図5に示されているように、係合部材50のうち、軸56よりも下側の部分を、具体的には、係合部材50を第1構成部材51と共に形成している第2構成部材52のうち、第1構成部材51と重複している部分を除く部分をL字又は略L字の形状とすることにより、実現することができる。
また、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときには、係合部材50が軸56を中心に図5のN方向へ回動することにより、ねじりコイルばね57には、軸56を中心に係合部材50をM方向へ回動付勢しようとするための反発力が蓄圧されることになり、ねじりコイルばね57は、このような反発力を蓄圧するために係合部材50に設けられた弾性部材となっている。
また、このねじりコイルばね57の一端57Aは係合部材50に係止され、他端57Bは、係合部材50に対してシャッターカーテン1に不動に配置されることによりシャッターカーテン不動部材(すなわち、開閉体不動部材)となっているケース33に係止されているため、ねじりコイルばね57は、係合部材50とケース33との間に介設された弾性部材にもなっている。
閉じ移動中のシャッターカーテン1の座板1Bが図1に示されている障害物34に当接するなどにより、図6に示されているように、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)に対して可動部70B(カーテン副部71B)が相対的に上昇したときには、支点軸80を中心に揺動部材81が上向きに揺動するため、押圧部材54により、係合部材50は、図5において、軸56を中心にN方向に回動する。これにより、係合部材50の係合部53は、図7の状態を経て図8に示されているように、回転部材35の歯部35Aに係合し、この係合により、回転部材35と、この回転部材35と結合一体化されている巻取りリール37は、シャッターカーテン1が閉じ方向へ移動しているときの回転方向(図5のS方向)へは回転できなくなり、このため、回転部材35と巻取りリール37は、係合部材50によりロックされて回転不能となる。
このため、このときには、一部が巻取りリール37に巻き取られているロック用ワイヤー36と、巻取りリール37が配置されているシャッターカーテン1とが機械式に結合されたことになる。したがって、本実施形態では、回転部材35や係合部材50等により、ロック用ワイヤー36とシャッターカーテン1とを機械式に結合するための機械式結合装置55が構成されていることになる。
次に、図10に示されている中継装置38について説明する。この中継装置38は、前述したように、ロック用ワイヤー36の上端が連結された第1回動部材42と、第2回動部材43と、遅延装置であるロータリー式のダンパー44とが設けられたものになっている。第1回動部材42は、中継装置38の機枠38Aに設けられた軸60を中心に回動自在であり、この軸60にはねじりコイルばね61のコイル部が巻装されているとともに、ねじりコイルばね61の一端61Aは機枠38Aに固定されたピン45に係止され、ねじりコイルばね61の他端61Bは第1回動部材42に固定されたピン46に係止されている。このため、第1回動部材42は、軸60を中心にB方向とC方向のうち、B方向へねじりコイルばね61により常時付勢され、このB方向への回動限は、機枠38Aに設けられているストップ部材38Bによって規定されている。また、第2回動部材43は、機枠38Aに設けられた軸62を中心に回動自在であり、この軸62にはねじりコイルばね63のコイル部が巻装されているとともに、ねじりコイルばね63の一端63Aは機枠38Aに固定されたピン47に係止され、ねじりコイルばね63の他端63Bは、第2回動部材43に結合一体化されているギア部材48に固定されたピン49に係止されている。このため、第2回動部材43は、軸62を中心にD方向とE方向のうち、D方向へねじりコイルばね63により常時付勢されている。
第1回動部材42には、軸64を中心に回転自在となっているローラ65が取り付けられており、第1回動部材42に設けられた回転部材となっているこのローラ65は、第2回動部材43に連続して形成されている直線部43Aと円弧部43Bに接触可能となっている。これらの直線部43Aと円弧部43Bのうち、直線部43Aは、第2回動部材43の回動中心軸となっている軸62に円弧部43Bよりも近い箇所に形成されており、第1回動部材42がストップ部材38Bで規定されるB方向への回動限に達していている図10では、ローラ65は直線部43Aに接触している。
上述のギア部材48は、軸62を中心とする多数のギア歯を有しており、ロータリー式のダンパー44は、ギア部材48のギヤ歯と噛み合うピニオンギヤ66を備えている。ピニオンギヤ66の回転中心軸66Aには、ワンウエイクラッチを介してダンパー44の内部に配置された複数のブレードが取り付けられており、第2回動部材43が軸62を中心にD方向に回動することによりギア部材48を介してピニオンギヤ66及び中心軸66Aが、P方向とQ方向のうち、P方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチを介してそれぞれのブレードがダンパー44の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により第2回動部材43は、D方向へ低速で回動することになる。一方、第2回動部材43がD方向とは逆のE方向に回動し、ピニオンギヤ66及び中心軸66AがQ方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、第2回動部材43は、E方向へは高速で回動することができる。
また、図10に示されているように、中継装置38の機枠38Aには、電気スイッチ67が取り付けられている。第1回動部材42には、この電気スイッチ67のアクチュエータ67Aを作動させるためのドグ部材68が設けられている。
図1及び図2に示されているように、開閉機13の上部には自動閉鎖装置32が載置固定されている。図11は、この自動閉鎖装置32の内部構造を示す正面図であり、図12は、自動閉鎖装置32の内部構造を示す平面図である。自動閉鎖装置32は、火災等の災害の発生時において、開閉機13を機械式に制御することにより、全開位置又は開閉方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により図1の出入口2を閉鎖するためのものである。自動閉鎖装置32は、この自動閉鎖装置32の機枠110に設けられている図11のブラケット部110Aにより、開閉機13に取り付けられている。また、図12に示されているように、自動閉鎖装置32まで、この自動閉鎖装置32を制御するための第1制御用ワイヤー111、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー113のそれぞれの端部が延設されている。これらの制御用ワイヤー111〜113は、前述のロック用ワイヤー36と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
また、これらの制御用ワイヤー111〜113は、可撓性を有するアウターケーブル114〜116の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111〜113はアウターケーブル114〜116により保護されている。
図1、図2及び図10に示されているように、第1制御用ワイヤー111は中継装置38まで延びており、この第1制御用ワイヤー111の端部は、図10に示されているとおり、中継装置38の第2回動部材43に連結されている。
図11及び図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、互いに対向する2個の立上り部110B,110Cが設けられており、これらの立上り部110B,110Cに形成された孔110D,110Eに、2個の立上り部110B,110Cに跨る長さを有している板状のスライド部材120がスライド自在に挿入されている。このスライド部材120の外周にはコイルばね121が巻回されており、弾性付勢部材となっているこのばね121のばね力により、スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、図3で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向である。
図3及び図11に示されているとおり、スライド部材120の前端に下向きに折曲形成された折曲部120Aには、作動部材122が取り付けられており、また、図3のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。スライド部材120がばね121のばね力によって前進した場合には、作動部材122が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに図3で示したA方向への荷重が作用するようになっている。図11に示されているように、本実施形態では、作動部材122はボルト124の頭部124Aとなっているため、この頭部124Aを回転操作してボルト124をスライド部材120の折曲部120Aに対して進退させることにより、作動部材122と被作動部材123との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト124に螺合させておいたロックナット125を回転操作し、このロックナット125を折曲部120Aに圧接させることにより、被作動部材123に対する作動部材122の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、ソレノイド126が取り付けられており、このソレノイド126のプランジャ127には、コイルばね128のばね力がプランジャ127をソレノイド126から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ127の先端には、ビス等の止着具127Aで先端部材140が取り付けられ、この先端部材140には、中心軸129Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材129の一方の端部が接触している。図11で分かるように、逆L字形となっている先端部材140には、屈曲レバー部材129の上記一方の端部が接触している面とは反対側の面において、起倒部材141が接触しており、この起倒部材141は、図12で示されているブラケット142の立上り部にビスによる中心軸142A(図11も参照)によって回動自在に取り付けられており、このため、起倒部材141は、中心軸142Aが挿通している下部を中心に起倒自在となっている。そして、図12に示されているように、トリガーレバー部材となっている屈曲レバー部材129の他方の端部には、ローラ130が回転自在に設けられている。
このローラ130と対面するスライド部材120の部分には凹部120Bが形成されている。この凹部120Bにおけるスライド部材120の後退側の部分は、傾斜面120Cとなっている。また、自動閉鎖装置32には、屈曲レバー部材129に中心軸129Aを中心とするK方向への回動力を付与するためのばね131と、起倒部材141が中心軸142Aを中心にソレノイド126側へ倒れたときに、起倒部材141を直立状態に戻すためのばね132とが設けられている。ばね131のばね力により、屈曲レバー部材129の上述の他方の端部に設けられている通常時のローラ130が、図12に示されているように、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合し、この嵌合により、前述したコイルばね121によるスライド部材120の前進は止められている。このように凹部120Bに嵌合したローラ130で前進が止められているときにおけるスライド部材120の前端の位置は、図12で示す3個の位置H,I,Jのうち、最後位置であるH位置である。
図12に示されているとおり、自動閉鎖装置32には、電気スイッチ135が配置されており、この電気スイッチ135には、ばねで電気スイッチ135から突出する方向へ付勢されているアクチュエータ136が設けられている。また、スライド部材120には、凹部120Bと反対側の箇所において、ドグ部材137が取り付けられており、アクチュエータ136はこのドグ部材137に当接している。
スライド部材120には、第1連結部138Aと第2連結部138Bが設けられた連結部材138が結合されている。図10で示した中継装置38の第2回動部材43に一方の端部が連結されている前述の第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、スライド部材120に結合された連結部材138の第1連結部138Aに連結され、第2制御用ワイヤー112の端部は、図11及び図12で示されている前述の起倒部材141に連結され、第3制御用ワイヤー113の端部は、スライド部材120に結合された連結部材138の第2連結部138Bに連結されている。
また、アウターケーブル115の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112は、図1で示されている操作装置30まで延びており、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の端部には、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。さらに、アウターケーブル116の内部に挿通された第3制御用ワイヤー113も、操作装置30まで延びており、アウターケーブル116から突出している第3制御用ワイヤー113の端部にも、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。
以上の説明から分かるように、図10で示した中継装置38は、前述した架け渡し部材であって可撓性を有する紐状部材にもなっているロック用ワイヤー36と、開閉機13を機械的に制御するためのスライド部材120を備えた自動閉鎖装置32との間に配置されているため、これらのロック用ワイヤー36と自動閉鎖装置32との間を中継するものであり、中継装置38と自動閉鎖装置32のスライド部材120は、第1制御用ワイヤー111を介して連結されている。
そして、前述の巻取りリール37が配置されたシャッターカーテン1と、前述の不動部材であるまぐさ16に配置された中継装置38との間に架け渡されているロック用ワイヤー36は、本実施形態における第1紐状部材になっており、中継装置38と自動閉鎖装置32のスライド部材120との間に架け渡されている第1制御用ワイヤー111は、本実施形態における第2紐状部材となっている。
また、ロック用ワイヤー36の延長線上には、中継装置38と、第1制御用ワイヤー111と、自動閉鎖装置32のスライド部材120を介して、電動モータ装置18とブレーキ装置19との組み合わせからなる開閉機13が配置されていることになる。そして、本実施形態では、後述の説明から分かるように、ロック用ワイヤー36に下向きの緊張力が作用してこのロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られることにより、開閉機13のブレーキ装置19をオフとするために前進していた自動閉鎖装置32のスライド部材120が後退することになり、これにより、ブレーキ装置19がオンとなるようになっている。
次に、本実施形態に係るシャッター装置の作動の概要について説明する。
本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止しているときに、火災等の災害が発生すると、この災害を検知したセンサからの信号が入力した図示しない制御装置(この制御装置は、図1の制御装置26が兼ねていてもよい。)により、自動閉鎖装置32のソレノイド126は通電され、このソレノイド126が励磁されるため、このソレノイド126のプランジャ127は、コイルばね128のばね力に抗して後退する。これにより、屈曲レバー部材129は、ばね131のばね力に抗して中心軸129Aを中心に図12のK方向とは逆方向に回動することになる。このときの状態が図13で示されている。屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心にK方向とは逆方向に回動すると、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bから脱出するため、スライド部材120は、弾性付勢部材となっているコイルばね121のばね力で前進し、この前進は、連結部材138の前端が自動閉鎖装置32の機枠110の前述の立上り部110Bに当接することにより停止する。このときにおけるスライド部材120の前端の位置は、図12で示した3個の位置H,I,Jのうち、図13に示されているように、最前位置であるI位置である。
また、スライド部材120が前進すると、電気スイッチ135のアクチュエータ136は、スライド部材120に取り付けられているドグ部材137の位置から外れるため、アクチュエータ136がばねの付勢力で突出移動することによる電気スイッチ135からの信号により、上記の制御装置はソレノイド126への通電を停止する。
このソレノイド126への通電の停止により、プランジャ127はばね128のばね力でソレノイド126から突出移動し、屈曲レバー部材129は、ばね131のばね力で中心軸129Aを中心に図12のK方向へ回動する。このときのスライド部材120は、このスライド部材120の前端がI位置まで達している前進限まで前進しているため、屈曲レバー部材129のローラ130は、図14に示されているように、スライド部材120の前述した傾斜面120Cに当たる。このため、中心軸129Aを中心とする屈曲レバー部材129のK方向への回動は途中で停止し、また、プランジャ127の突出移動は、プランジャ127が起倒部材141に当接することにより停止する。
以上のようにして自動閉鎖装置32のスライド部材120が前進すると、このスライド部材120の前端に設けられている作動部材122が、図3で示されている被作動部材123を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを図3のA方向に押圧するため、前述したように、この第1部分31Aがレバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、オフとなる。このため、全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板1B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
また、火災等の災害が発生したことを人が発見した場合には、この人が、図1で示した操作装置30に配置されていて、前述した第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作する。これにより、第2制御用ワイヤー112が連結されている図11及び図12の起倒部材141は、中心軸142Aを中心にソレノイド126側へ倒れ回動し、このため、この起倒部材141に先端部材140を介して押されたプランジャ127は後退するとともに、先端部材140に前述のばね131のばね力で前述した一方の端部が接触している屈曲レバー部材129は、中心軸129Aを中心に図12のK方向とは逆方向へ回動することになる。
このため、ソレノイド126が通電、励磁される前であっても、ソレノイド126が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bから脱出し、スライド部材120はコイルばね121のばね力で前進することになるため、それまでオンとなっていたブレーキ装置19をオフとすることができ、これにより、シャッターカーテン1を自重により全閉位置まで閉じ移動させることができる。
このようにしてシャッターカーテン1が全閉位置に達し、そして、火災等の災害が解消したときには、操作装置30に配置されていて、前述した第3制御用ワイヤー113の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作する。これにより、第3制御用ワイヤー113は自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結されているため、このスライド部材120はばね121のばね力に抗して後退することになる。このため、スライド部材120は、図14に示されている位置から、前端が図12のH位置となる初期位置へ復帰することになる。また、スライド部材120がこの初期位置へ復帰するときに、屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心としてばね131のばね力で図12のK方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は、図12に示されているように、スライド部材120の凹部120Bに嵌合することになり、スライド部材120は、スライド部材120の前端がH位置に達した状態で停止する。これにより、自動閉鎖装置32は、火災等の災害が発生する前の初期状態に戻る。
また、スライド部材120が初期位置へ復帰すると、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は図3の前述したばね23でA’方向とは逆方向へ移動するため、ブレーキ装置19はオンに復帰する。この後に、操作装置30に設けられている前述の「開」ボタンを操作することにより、シャッターカーテン1は、前述したとおり、全開位置まで開き移動する。
以上説明した火災等の災害の発生が前述のセンサで検出されたり、火災等の災害の発生を発見した人が第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作することにより、シャッターカーテン1が防災区画を形成するために全閉位置まで閉じ移動するときは、本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときである。これに対して前述したように、操作装置30の「開」「閉」「停」のそれぞれのボタン操作により、シャッターカーテン1の開閉移動、移動停止を行わせているときが、本実施形態に係るシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときである。
本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置となってシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置32が図14で示す状態となっていて、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下側に図1で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部71Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下側部分を形成している図4の可動部70Bが障害物34に当接することになり、可動部70Bの下降が停止する。
可動部70Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板1Bのうち、図4の固定部70Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、図4の状態から下降するため、この下降で生ずるカーテン主部71Aに対するカーテン副部71B(可動部70B)の相対的な上昇により、図6に示されているように、固定部70Aの内部に配置されている揺動部材81が支点軸80を中心に上向きに揺動する。これにより、揺動部材81に設けられている押圧部材54により、前述した機械式結合装置55を構成している係合部材50は、図5の軸56を中心にN方向に回転することで図7の状態を経て図8の状態となり、係合部材50の係合部53は回転部材35の歯部35Aに係合する。
これにより、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに図5のS方向へ回転していた回転部材35及び巻取りリール37は、係合部材50によりロックされるためにこのS方向に回転できなくなり、シャッターカーテン1と、巻取りリール37から繰り出されていたロック用ワイヤー36とが、回転部材35と係合部材50を構成要素とする機械式結合装置55によって結合されたことになる。このため、ロック用ワイヤー36には、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量による下向きの緊張力が作用する。
閉じ移動しているシャッターカーテン1が上述のように障害物34に当接して、ロック用ワイヤー36に、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量による下向きの緊張力が作用した後に、障害物34がへこみ変形すると、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36は、このへこみ変形分だけ下方へ引っ張られることになる。
また、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものであっても、揺動部材81の押圧部材54により係合部材50が図5のN方向に回動すると、図8に示されているように、この係合部材50に係合部53として2個設けられている第1係合部53Aと第2係合部53Bのうち、初めに第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合し、次いで第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する。これらの係合のうち、少なくとも第1係合部53Aの歯部35Aへの係合は、図5に示されているように、係合部材50に、この係合部材50の長さ方向に離れて係合部材側当接部59として2個設けられている第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bのうち、係合部材50の回動の中心軸となっている軸56から遠い箇所にある第1係合部材側当接部59Aが、シャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により押し上げられることにより行われる。
そして、第1係合部53Aと第2係合部53Bとの間隔寸法は、回転部材35の歯部35A同士の間隔寸法(歯ピッチ)と同じ寸法もしくは略同じ寸法、又は歯部35A同士の間隔寸法の2以上の整数倍の寸法もしくは略整数倍の寸法となっているため、第1係合部53Aが歯部35Aに係合したときには、第2係合部53Bも歯部35Aに係合するようになっている。
図9には、上述のように第1係合部53Aと第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときの図8の一部拡大図が示されている。第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときに、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bも回転部材35の歯部35Aした係合した後に、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合した後であって、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する前に、図8に示されているように、係合部材50の第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54に当接して押し上げられる。すなわち、押圧部材54による係合部材50の係合部材側当接部59の押し上げは、第1係合部材側当接部59Aから第2係合部材側当接部59Bへと移行して行われ、2段階でこの押し上げが行われることになる。
このため、図9において、係合部材50のN方向への回動は継続的に行なわれ、これにより、係合部材50の第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aとの係合から外れても、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aとの係合を継続し、この第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させる。このT方向への回転は、巻取りリール37がロック用ワイヤー36を巻き取る方向への回転である。
そして、このようにして第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させることは、係合部材50の回動中心となっている軸56からの距離が第1係合部材側当接部59Aよりも短い第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54によって押し上げられることにより行われるため、第2係合部53Bによる回転部材35のT方向へ回転量は大きくなる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときのカーテン主部71Aに対するカーテン副部71Bの相対的上昇量が一定量となっていても、障害物34がへこみ変形した場合と同様に、ロック用ワイヤー36の下方への引っ張り量を充分に確保することができる。
このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものとなっている場合にも、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36を、障害物34がへこみ変形したときのように、充分に下方へ引っ張ることができる。
なお、係合部材50に設けられている係合部の個数は、本実施形態では2個となっているが、この個数を3個以上としてもよい。
また、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することで係合部材50が図5のN方向に回動することにより、係合部材50の係合部53が回転部材35の歯部35Aに係合する際に、係合部53の先端と歯部35Aの先端とが突き当たり、これにより、これらの係合部53と歯部35Aとがいわばデッドロック状態になることがある(図7を参照)ため、例えば、前述の押圧部材54を板ばね等による弾性部材で形成したり、あるいは、係合部材50における押圧部材54との当接部を板ばね等の弾性部材で形成された弾性部とすることにより、係合部53の先端と歯部35Aの先端とが突き当たったときに、この突き当たり反力により上記押圧部材54や上記弾性部が弾性変形することにより、係合部53の先端を歯部35Aの先端から離れる方向に一旦変位させ、この変位後に、上記押圧部材54や上記弾性部の弾性反発力により、係合部材50の係合部53を、上記変位時に回転が少し進行している回転部材35の歯部35Aに係合させるようにしてもよい。
前述したように閉じ移動しているシャッターカーテン1が障害物34に当接することにより、ロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られると、図10で示した中継装置38の第1回動部材42は、前述したばね61に抗して図10のC方向に回動し、この回動により、第2回動部材43は、第1回動部材42に回転自在に設けられているローラ65で押されることにより、ばね63に抗して図10のE方向へ回動する。このようにロック用ワイヤー36の下方への引っ張り力により第1及び第2回動部材42,43が回動した後の状態は、図16〜図18に示されている。また、第2回動部材43が図10のE方向へ回動すると、第2回動部材43と結合一体化されているギア部材48は、ロータリー式のダンパー44のピニオンギヤ66を図10のQ方向に回転させるが、このQ方向へのピニオンギヤ66の回転では、前述したとおり、ダンパー44に粘性流体による抵抗力は発生しない。このため、ロック用ワイヤー36により第1回動部材42は高速でC方向へ回動するとともに、第2回動部材43は高速でE方向へ回動することになり、この第2回動部材43に一方の端部が連結されている第1制御用ワイヤー111は高速で引っ張られることになる。
なお、以上のように閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することによりロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られ、これにより第1制御用ワイヤー111が引っ張られるときには、ロック用ワイヤー36と第1回動部材42との連結部や、第1回動部材42のローラ65と第2回動部材43との接触部、さらには第2回動部材43と第1制御用ワイヤー111との連結部等には、荷重が作用するが、この荷重の力学的作用については後で説明する。
上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られると、この第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、前述したように図14の状態になっている自動閉鎖装置32のスライド部材120に連結されているため、スライド部材120はコイルばね121に抗しながら後退する。このように後退したときのスライド部材120は図15に示されており、このときの屈曲レバー部材129のローラ130が当接しているスライド部材120の箇所は、図14のときよりも、スライド部材120のスライド方向であるスライド部材120の前進方向へ移動しているが、ローラ130は、スライド部材120の前述した傾斜面120Cにまだ当接している。このようにスライド部材120におけるローラ130が当接する箇所が傾斜面120Cとなり、ローラ130がスライド部材120の凹部120Bに嵌合しない理由についても、後で説明する。
以上のようにスライド部材120が後退すると、このときのスライド部材120の前端の位置は、I位置からJ位置へ移行するため、このスライド部材120の作動部材122によって図3及び図11のレバー部材31の第1部分31Aが図3のA方向に押圧されていた荷重は、解除されることになる。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オフからオンに機械的に切り替えられることになる。そして、このブレーキ装置19のオンにより、開閉機13の前述の駆動軸14は回転できないため、シャッターカーテン1の上端が結合されている巻取軸11も回転することはできない。
したがって、障害物34に当接したシャッターカーテン1は、その当接位置で閉じ移動を停止することになる。この停止は、前述の機械式結合装置55や、同じく機械式となっている中継装置38、さらには機械式にスライドする自動閉鎖装置32の部材となっているスライド部材120、機械式にオンとなる開閉機13のブレーキ装置19等により構成されている機械式構造によって行われる。このため、シャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等の災害の発生を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、閉じ移動中に障害物34に当接したシャッターカーテン1を停止させることができる。
上述したように閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接し、開閉機13のブレーキ装置19がオンになった後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部71Bが下降するため、機械式結合装置55によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との結合は解除される。これにより、ロック用ワイヤー36に作用していた下向きの緊張力は消滅し、このため、図10のばね61の戻し力が作用している中継装置38の第1回動部材42は、図10のB方向に戻り回動し、また、ばね63の戻し力が作用している第2回動部材43は、図10のD方向に戻り回動し、これにより、第1制御用ワイヤー111によって後退方向へ引っ張られていた自動閉鎖装置32のスライド部材120は、弾性付勢部材となっているコイルばね121のばね力により、前端の位置が図15で示すJ位置から図12及び図14で示すI位置へ移行する前進を行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ機械的に再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することとなる。
また、中継装置38の第2回動部材43が図10のD方向に回動するときには、ロータリー式のダンパー44のピニオンギヤ66はP方向に回転し、このP方向についてはダンパー44に粘性流体による抵抗力が生ずる。このため、スライド部材120の前端の位置が図15で示すJ位置から図12及び図14で示すI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、ダンパー44の遅延作用により、瞬時に行われない。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
なお、シャッターカーテン1が前述の管理用シャッター装置のシャッターカーテン1として閉じ移動しているときに障害物34に当接したときも、図10の中継装置38では、第1回動部材42がC方向へ回動すること及び第2回動部材43がE方向へ回動することが行なわれ、このため、第1制御用ワイヤー111は引っ張られるが、このときの自動閉鎖装置32は図12の状態になっていて、屈曲レバー部材129のローラ130はスライド部材120の凹部120Bに嵌合しているため、スライド部材120は、ローラ130と凹部120Bとの間の隙間分だけ少し後退するだけであり、したがって、自動閉鎖装置32に大きな変化は生じない。
そして、本実施形態に係る中継装置38には、第1回動部材42がC方向へ回動することにより、ドグ部材68からアクチュエータ67Aが離れることになる電気スイッチ67が設けられているため、シャッターカーテン1が前述の管理用シャッター装置のシャッターカーテンとして閉じ移動しているときに、第1回動部材42がC方向へ回動することでこの電気スイッチ67は作動した場合には、この電気スイッチ67からの信号が入力する図1の制御装置26によって開閉機13は電気的に駆動制御され、この駆動制御により、シャッターカーテン1は、障害物34への当接後に一定量だけ反転上昇して停止する。なお、電気スイッチ67は、前述の火災等の災害を検知したセンサからの信号が前述の制御装置に入力することにより本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となってシャッターカーテンが閉じ移動するときにも作動するが、上記センサからの信号が制御装置26に入力したときには、電気スイッチ67からの信号を無効とすればよい。
以上において、シャッターカーテン1の幅寸法が大きい大スパン用のシャッター装置では、シャッターカーテン1の重量が重くなるため、閉じ移動中に障害物34に当接したときにこのシャッターカーテン1を停止させるためのブレーキ装置19を含んで構成されている開閉機13も大型化することになる。このため、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えのために前後進方向にスライド自在となっている自動閉鎖装置32のスライド部材120に、前進方向へ弾性付勢するための弾性部製部材となっているコイルばね121は、ばね力が大きなものが用いられることになる。
これによると、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、ブレーキ装置19をオフからオンに切り替えるためには、弾性付勢力となっているばね力が大きいばね121に抗してスライド部材120を後退方向へ移動させなければならず、また、スライド部材120が後退方向に移動するにしたがい、ばね121は圧縮されるため、ばね力は次第に増大し、このようにばね力の大きさが変化するばね121に抗してスライド部材120を後退方向へ移動させなければならない。
また、上述のようにシャッターカーテン1の重量が重くても、障害物34がシャッターカーテン1の幅方向のどの箇所に当接したかや、障害物34への当接後に、シャッターカーテン1の下部がシャッターカーテン重量で下向きに湾曲変形してシャッターカーテン1の一部が着床するなどの理由により、シャッターカーテン1の全体重量が、本実施形態の第1紐状部材となっている前述のロック用ワイヤー36にそのまま緊張力として作用しない場合があり、このため、ロック用ワイヤー36に作用する下向きの緊張力が小さくても、ブレーキ装置19をオフからオンに切り替えるためにスライド部材120を、ばね力が大きいばね121に抗して後退方向に移動させなければならない。
図10及び図16〜図18に示されている本実施形態に係る中継装置38には、以上のような課題を解決できる手段が施されている。次に、この課題解決手段について説明する。
図10、図16及び図17には、前述した防災用シャッターカーテンとなって閉じ移動しているシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、中継装置38に作用する荷重の力学図も示されている。図10、図16及び図17において、点Uは、第2回動部材43と、本実施形態における第2紐状部材となっている第1制御用ワイヤー111との連結部であり、点Vは、第1回動部材42に回転部材として設けられているローラ65と、第2回動部材43との接触部であり、点Wは、ローラ65の回転中心部であり、点Xは、ロック用ワイヤー36と第1回動部材42との連結部であり、点Yは、第1回動部材42の回転中心部である。また、点Zは、第2回動部材43の回動中心部である。
自動閉鎖装置32が、シャッターカーテン1が障害物34に当接する直前を示している図14の状態になっているときには、中継装置38は図10で示す状態になっている。このときの点Uには、スライド部材120の前進が前述の連結部材138と機枠110の立上り部110Bで止められていなければ、コイルばね121等に基づく荷重F11が作用しており、この荷重F11は、コイルばね121によるスライド部材120の前進方向への荷重と、この荷重とは反対方向へスライド部材120に作用する荷重となっていて、図3で示されている開閉機13のブレーキ装置19のばね23のばね力による荷重との合計値である。
図10において、点Uに荷重F11が作用することにより、点Vには、第2回動部材43が軸62を中心にD方向へ回動しようとすることに基づく荷重が作用し、この荷重のうち、点Wを通る荷重がF12で示されており、点Vに作用する荷重のうち、荷重F12を除く荷重成分は点Wを中心にローラ65を回転させるための荷重として消費されるため、この荷重成分は、点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させるために寄与しない。そして、荷重F12のうち、点Yと点Wを結ぶ線分と直角をなす荷重成分F12Aが、点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重となる。
一方、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときには、点Xに、ロック用ワイヤー36に作用する下方への緊張力による引っ張り力によって荷重F13が作用し、この荷重F13のうち、点Yと点Xを結ぶ線分と直角をなす荷重成分F13Aが、点Yを中心にして第1回動部材42をC方向へ回動させようとする荷重となる。
このため、点Yと点Wとの間の間隔寸法に対する点Yと点Xとの間の間隔寸法を考慮したうえで、点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重成分F12Aよりも、点Yを中心にして第1回動部材42をC方向へ回動させようとする荷重成分F13Aが大きければ、第1回動部材42がC方向へ回動することにより、第2回動部材43はE方向へ回動し、これにより、第1制御用ワイヤー111が引っ張られることでスライド部材120はコイルばね121に抗して後退を始めることになる。
これ以後の中継装置38の状態は、図16〜図18に示されている。図16及び図17において、図10の荷重F11は、コイルばね121が圧縮されるため、図16では荷重F21に、図17ではF31に、それぞれ変化する。また、図10の荷重F12及び荷重成分F12Aは、図16では荷重F22及び荷重成分F22Aに、図17では荷重F32及び荷重成分F32Aに、それぞれ変化する。さらに、図10の荷重F13及び荷重成分F13Aは、図16では荷重F23及び荷重成分F23Aに、図17では荷重F33及び荷重成分F33Aに、それぞれ変化する。
図16は、図10の状態から第1制御用ワイヤー111の引っ張り力により、スライド部材120が図14の位置から少し後退したときを示しているため、ばね121は図10のときよりも、言い換えると図14のときよりも少し圧縮されている。このため、このばね121のばね力に基づき点Uに作用する荷重は、図10の荷重F11よりも大きい図16の荷重F21となる。そして、この荷重F21に基づき点Wに作用する荷重は、荷重F22となり、この荷重F22のうち、点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重成分は、F22Aとなる。
図16の状態から第2回動部材43がE方向へ回動した図17は、自動閉鎖装置32が図15の状態になっていて、ブレーキ装置19がオフからオンに切り替えられたときを示している。この図17では、図16の状態からさらに第1制御用ワイヤー111の引っ張り力により、スライド部材120が図14の位置からさらに後退して図15の位置に達している。このときのばね121は、図14のときよりもさらに圧縮されているため、このばね121のばね力に基づき点Uに作用する荷重は、図16の荷重F21よりも大きい図17の荷重F31となっている。そして、この荷重F31に基づき点Wに作用する荷重は、荷重F32となり、この荷重F32のうち、点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重成分は、F32Aとなる。
図16のときと図17のときとを比較すると、図16における荷重F22と荷重成分F22Aとがなす角度は、αであり、図17における荷重F32と荷重成分F32Aとが成す角度は、βであり、この角度βは、角度αよりも大きい。そして、図17の荷重F32は、図16の荷重F22よりも立ち上がっている。
また、図17における点Zと点Vとの間の間隔寸法は、図16における点Zと点Vとの間の間隔寸法よりも大きくなっている。
これらの理由により、図17における点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重成分F32Aは、図16における点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重成分F22Aよりも小さくなる。
したがって、中継装置38が図16の状態から図17の状態に移行した際に、点Yを中心にして第1回動部材42を図10のC方向へ回動させて、点Zを中心にして第2回動部材43をE方向へ回動させ、これによりスライド部材120をばね121に抗して後退させるために必要となる図17の荷重F33の荷重成分F33Aは、図16の荷重F23の荷重成分F23Aよりも小さくてもよいことになる。
このため、図17の荷重F31が図16の荷重F21よりも大きくなっても、図17の小さい荷重F33の荷重成分F33Aにより、スライド部材120をばね121に抗して後退させることができ、このスライド部材120を、コイルばね121を圧縮させながら図15の位置に後退させることができる。
また、図10のときと図16のときとを比較すると、図16における点Zと点Vとの間の間隔寸法は、図10における点Zと点Vとの間の間隔寸法と同じ又は略同じになっていて、それ程変化していないが、図16における荷重F22と荷重成分F22Aとがなす角度αは、図10における荷重F12と荷重成分F12Aとがなす角度よりも大きくなっている。そして、図16の荷重F22は、図10の荷重F12よりも立ち上がっている。このため、図16における点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重成分F22Aは、図10における点Yを中心にして第1回動部材42をB方向へ回動させようとする荷重成分F12Aよりも小さくなる。
このため、図10から図16に中継装置38が移行した際にも、点Yを中心にして第1回動部材42を図10のC方向へ回動させて、点Zを中心にして第2回動部材43をE方向へ回動させ、これによりスライド部材120をばね121に抗して後退させるために必要となる図16の荷重F23の荷重成分F23Aは、図10の荷重F13の荷重成分F13Aよりも小さくてもよいことになる。
したがって、ばね121が圧縮されることにより、図16の荷重F21が図10の荷重F11よりも大きくなっても、図16の荷重F23の荷重成分F23Aにより、スライド部材120をばね121に抗して後退させることができ、このスライド部材120を、コイルばね121を圧縮させながら図14の位置から少し後退させることができることになる。
以上の説明から分かるように、本実施形態に係る中継装置38は、スライド部材120の後退方向への移動と、この移動を行わせるための紐状部材となっているロック用ワイヤー36の緊張力との関係を、スライド部材120が後退方向へ移動するにしたがい、スライド部材120を後退させるためのロック用ワイヤー36の緊張力が増大しない関係とする伝達荷重変更装置となっている。
また、本実施形態では、ロック用ワイヤー36は第1紐状部材であるとともに、第1制御用ワイヤー111は第2紐状部材であり、中継装置38は、第1紐状部材の端部が連結された第1回動部材42と、一方の端部がスライド部材120に連結された第2紐状部材の他方の端部が連結され、かつ第1回動部材42の回動が伝達される第2回動部材43とを含んで構成されたものとなっている。
そして、本実施形態では、第1回動部材42と第2回動部材43との間で行われる回動伝達が、第2紐状部材を介して第2回動部材43に作用するコイルばね121の弾性付勢力の増大にしたがい、この弾性付勢力に抗して第2回動部材43を回動させるために必要となる第1紐状部材(ロック用ワイヤー36)の緊張力が増大しない回動伝達となっている。
また、本実施形態では、コイルばね121の弾性付勢力が第2紐状部材を介して作用する第2回動部材43のコイルばね121の弾性付勢力によるトルクと、このトルクに対抗する第1紐状部材の緊張力による第1回動部材42のトルクとの関係が、第2回動部材のトルクが大きくなるにしたがい、第1回動部材のトルクが大きくならない関係となっている。
さらに、本実施形態では、これらの技術的特徴が、第2回動部材43から第1回動部材42に伝達される荷重と、この荷重のうち、第1回動部材42をB方向へ回動させるための成分とがなす角度が、αからβ等へ大きくなることや、第2回動部材43が第2紐状部材を介してスライド部材120を後退させるE方向へ回動するにしたがい、第2回動部材43と第1回動部材42との接触点Vが第2回動部材の回動中心点Zから遠ざかること、さらには、第2回動部材43が第2紐状部材を介してスライド部材120を後退させるE方向へ回動するにしたがい、第2回動部材43から第1回動部材42に伝達される荷重F12,F22,F32のうち、第1回動部材42をB方向へ回動させるようとする荷重成分がF12A,F22A,F32Aへと次第に小さくなることにより、達成されている。
また、言い換えると、第1回動部材42や第2回動部材43等で構成されている本実施形態の中継装置38は、以上のような荷重の力学変化が生ずるように、第1回動部材42の配置位置や、第2回動部材43の配置位置、さらには第1回動部材42におけるローラ65の配置位置等が設定された装置となっている。
また、本実施形態では、第2回動部材43と第1回動部材42は、第1回動部材42に回転自在に取り付けられた回転部材となっているローラ65において接触しているため、第1回動部材42と第2回動部材43との間で行われる回動の伝達を、ローラ65の回転により、摩擦をなくして又は摩擦を少なくして円滑に行わせることができる。
図18は、第2回動部材43の回動の終期を示している。この終期では、第2回動部材43に形成されている前述の円弧部43Bは、第1回動部材42の回転中心点Yを中心とする円弧形状となるように設定されている。
このため、第1紐状部材(ロック用ワイヤー36)に引っ張り力となって作用する緊張力により第1回動部材42が回動し、この回動量が大きくなったときの第2回動部材43の回動の終期では、第1回動部材42に設けられているローラ65が接触する第2回動部材43の箇所は、円弧部43Bになる。このため、図18に示されているように、第2回動部材43の回動の終期において、第1回動部材42は、図10のC方向へ第2回動部材43に対して空振り状態で回動することになる。このため、第1紐状部材の下方への引っ張り量が大きく、これにより、ブレーキ装置19がオンとなった後も第1回動部材42がさらにC方向へ回動することがあっても、この過度の回動は、上述の空振りにより第2回動部材43に伝達されることはない。これにより、第2回動部材42が第2紐状部材(第1制御用ワイヤー111)を介してスライド部材120を過度に後退方向へ移動させることをなくすことができ、このため、このスライド部材120を図15で示した位置、すなわち、屈曲レバー部材129のローラ130がスライド部材120の傾斜面120Cに当接していて、このローラ130がスライド部材120の凹部120Bに嵌合していない位置に停止させることができ、これにより、シャッターカーテン1が当接した障害物34が除去されたときに、スライド部材120をコイルばね121で前進させて、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替えることができる。
また、本実施形態の中継装置38には、スライド部材120が弾性付勢部材であるコイルばね121の弾性付勢力で前進するときの第2回動部材43のD方向への回動を遅延させるための遅延装置となっているロータリー式のダンパー44が設けられているため、シャッターカーテンに当接した障害物34が除去され、これにより第1紐状部材の緊張力が消滅し、スライド部材120がばね121の弾性付勢力で前進するときに、スライド部材120を前進させるための第2回動部材43の回動は、ダンパー44により遅延されることになる。このため、ブレーキ装置19のオンからオフへの切り替え、及びこの切り替えによって行われるシャッターカーテン1の閉じ移動の再開を、障害物34の除去から時間遅れをもって行わせることができる。
なお、ダンパー44は、スライド部材120がコイルばね121の弾性付勢力で前進するときの第1回動部材42のB方向への回動を遅延させるためのものであってもよい。