JP2013253350A - 抄紙用シームフェルト - Google Patents

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Abstract

【課題】 折り畳みによってループを形成した基布を有するシームフェルトにおいて、ループを均一に形成する共に、基布の皺や膨れを抑制する。
【解決手段】 基布2と、バット繊維層3とを有し、丈方向における両端部が結合することによって無端状となる抄紙用シームフェルト1であって、基布は、互いに積層された上層5及び下層6を有し、上層及び下層は、それぞれ経糸7、11と緯糸8、12とを交絡させて形成され、織り組織及び糸の太さが互いに同一であり、丈方向における端部を除いた中央部において接結糸13によって互いに結合され、基布は、丈方向における両端部において、下層が上層よりも丈方向に延出し、下層の端部が折曲部16を形成して上層側に折り返され、下層の端縁18が上層の端縁17に縫合され、折曲部は、折り返された複数の経糸が露出してループ20を形成するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製紙機の、湿紙から水分を搾水するプレスパートにおいて使用される抄紙用シームフェルト及びその製造方法に関する。
製紙機のプレスパートでは、湿紙の運搬及び搾水を行うために、基布と基布に積層一体化されたバット繊維層とを有する無端状の抄紙用フェルトが使用されている。抄紙用フェルトの基布は、袋織りによって無端状に製織したものや、製織した平板状(有端状)織布を結合して無端状にしたものがある。袋織りは、製紙機上の緯糸を織機上で経糸(整経糸)とし、製紙機上の経糸を織機上で打込み糸として、無端状に製織する方法であり、基布の寸法に応じて織機が大型化すると共に、基布の丈寸法の変更が手間であるという問題がある。一方、平板状織布を結合する方法は、製織が容易であると共に製織の高速化が可能であるという利点がある。平板状織布の接合による無端化は、織布を環状に巻回積層する手法(例えば、特許文献1)や、織布の端部同士を超音波溶着や縫合によって結合する手法(例えば、特許文献2、3及び4)、織布を折り畳むことによって端部に経糸からなるループ(シームループ)を形成し、ループを互いの中心孔が整合するように交互に噛み合わし、これらの中心孔に芯線を挿入することによって結合する手法(例えば、特許文献5)等がある。ループを形成し、これらに芯線を挿入することによって結合する手法は、有端のフェルトをフェルトランに引き込んだ上でその両端部を互いに結合して無端とすることが可能であり、抄紙機への掛け入れ作業性がよい。
特許第4140336号公報 特開2008−050732号公報 特開昭46−11042号公報 特開昭43−16642号公報 特許第4719033号公報
特許文献5に係る発明のように、1つの有端の織布を複数回折り畳み、丈方向の広範囲にわたって織布を互いに積層させる構成では、織布の丈方向長さが長い場合(例えば、30m〜200m)に正確かつ均質に折り畳むことは困難であり、積層する織布間のずれが生じ、織布に皺や膨れ(だぶり)が発生する虞がある。また、織布間のずれによって、ループが端部からずれ、ループの形状が不均一になるという問題がある。ループの形状が不均一になると、両端部のループ同士の整合作業や、ループへの芯線の挿入作業が困難になる。
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであって、折り畳みによってループを形成した基布を有するシームフェルトにおいて、ループを均一に形成する共に、基布の皺や膨れを抑制することを課題とする。また、そのようなシームフェルトの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基布(2)と、前記基布に積層されたバット繊維層(3)とを有し、丈方向における両端部が結合することによって無端状となる抄紙用シームフェルト(1)であって、前記基布は、互いに積層された上層(5)及び下層(6)を有し、前記上層及び前記下層は、それぞれ丈方向に延在する経糸(7、11)と幅方向に延在する緯糸(8、12)とを交絡させて形成され、織り組織及び糸の太さが互いに同一であり、丈方向における端部を除いた中央部において接結糸(13)によって互いに結合され、前記基布は、丈方向における両端部において、前記上層及び前記下層の一方の層が他方の層よりも丈方向に延出し、前記一方の層の端縁が折曲部(16)を形成して前記他方の層側に折り返され、前記一方の層の前記経糸の末端が前記他方の層の前記経糸の末端に結合され、前記折曲部は、折り返された複数の前記経糸が露出してループ(20)を形成することを特徴とする。ここで、一方の層及び他方の層の丈方向における端縁の結合は、縫合や溶着等による結合方法を含む。
この構成によれば、基布の丈方向における端部において、上層及び下層の一方の層を他方の層に対して丈方向に延出させ、この延出した部分を折り返してループを形成するようにしたため、ループを構成する一方の層の積層範囲(折り返し範囲)を小さくすることができる。そのため、折り返し作業が容易になると共に、一方の層を正確に積層させることができる。また、積層範囲を小さくすることによって、上層及び下層の積層範囲に皺や膨れが発生し難くなるため、ループを所望の形状、位置に形成することができる。
上記の発明において、前記基布は、製織時から前記上層及び前記下層が前記接結糸によって互いに結合した経緯二重織基布であることが好ましい。
この構成によれば、上層と下層との間にずれが生じ難く、基布に皺や膨れが生じ難くなる。
上記の発明において、前記一方の層に含まれる前記経糸の末端は、前記ループからの丈方向における距離が互いに相違するものを含み、前記他方の層に含まれる前記経糸の末端は、前記ループからの丈方向における距離が互いに相違するものを含むことが好ましい。
この構成によれば、一方の層及び他方の層に含まれる経糸の末端の位置が丈方向に分散するため、経糸の末端同士の結合部位が丈方向にそれぞれ入り組んだ(丈方向にオーバーラップした)形態となり、一方の層及び他方の層の結合強度が増大する。また、経糸の末端同士の結合部位が分散し、基布表面の凹凸が分散され、局所的な凹凸が緩和される。
上記の発明において、前記一方の層及び前記他方の層に含まれる前記経糸の末端の内で、前記ループから丈方向において最も離れた位置に配置されたものと、前記ループから丈方向において最も近くの位置に配置されたものとの丈方向における距離が5cm〜30cmであることが好ましい。
この構成によれば、一方の層と他方の層との結合作業を容易にしつつ、強度の増大を図ることができる。
上記の発明において、前記一方の層及び前記他方の層に含まれる全ての経糸の末端は、前記ループから丈方向において50cm〜150cmの間に配置されることが好ましい。
この構成によれば、一方の層が互いに重なる範囲が小さくなり、折り返し作業が容易になると共に、ループを均一に形成することができる。
上記の発明において、前記基布は、前記一方の層及び前記他方の層に含まれる前記経糸の末端の内で、前記ループから丈方向において最も離れた位置に配置された前記経糸の末端よりも前記ループから丈方向において離れた範囲であり、かつ前記ループから丈方向において100cm〜200cm以上離れた範囲のみにおいて前記接結糸によって前記上層と前記下層とが互いに結合されていることが好ましい。
この構成によれば、接結糸が一方の層の折り返し、及び一方の層及び他方の層の結合を阻害することがなく、製造が容易である。
上記の発明において、前記一方の層の前記経糸の末端と前記他方の層の前記経糸の末端とは、互いに縫合されていることが好ましい。
この構成によれば、一方の層と他方の層とを、安定性良く結合することができる。また、表面に段差を形成せず、かつ特性(表面性、搾水性)を変化させることなく、両層は結合される。
上記の発明において、前記他方の層は、基布において製紙面側に配置される層であることが好ましい。
この構成によれば、各層の端縁結合部が製紙面側に配置されるため、抄紙用シームフェルトが掛け回されるロールとの接触を避けることができ、端縁結合部の劣化を防止することができる。
また、本発明の他の側面は、抄紙用シームフェルト(1)の製造方法であって、互いに積層された上層(5)及び下層(6)を有し、前記上層及び前記下層が、それぞれ丈方向に延在する経糸(7、11)と幅方向に延在する緯糸(8、12)とを交絡させて形成され、織り組織及び糸の太さが互いに同一であり、丈方向における端部を除いた中央部において接結糸(13)によって互いに結合された基布(2)を用意する工程と、前記基布の丈方向における端部において、前記上層及び前記下層の一方の層を他方の層よりも丈方向に延出させるべく、前記他方の層の丈方向における端部を切除する工程と、前記一方の層の端部を、折曲部(16)を形成して前記他方の層側に折り返し、前記一方の層の前記経糸の末端を前記他方の層の前記経糸の末端に結合する工程と、前記折曲部に配置された前記緯糸を抜き去り、折り返された複数の経糸を露出させてループ(20)を形成する工程と、前記基布にバット繊維層(3)を結合する工程とを有することを特徴とする。ここで、上層及び下層の丈方向における端縁の結合は、縫合や溶着等による結合方法を含む。
この構成によれば、容易な方法で、ループを均一に形成することができると共に、基布の皺や膨れを抑制することができる。
上記の発明において、前記基布を、製織時から前記上層及び前記下層が前記接結糸によって互いに結合した状態で形成された経緯二重織基布として用意することが好ましい。
この構成によれば、上層と下層との間にずれが生じ難く、基布に皺や膨れが生じ難くなる。
上記の発明において、用意した前記基布は、各層に含まれる全ての経糸の末端から丈方向において150cm〜350cm以上離れた範囲のみにおいて前記接結糸によって前記上層と前記下層とが互いに結合されていることが好ましい。
この構成によれば、経緯二重織基布の丈方向における両端部に接結糸が存在しないため、上記他方の層の両端部の切除が容易になる。
上記の発明において、前記接結糸が水溶性であり、前記基布にバット繊維層を結合した後、水溶性の前記接結糸を溶解して除去してもよい。
この構成によれば、バット繊維層によって上層と下層とを結合した後においては、接結糸は必須の構成ではないため、除去することができる。
以上の構成によれば、折り畳みによってループを形成した基布を有するシームフェルトにおいて、上層及び下層のずれを抑制し、ループを均一に形成する共に、基布の皺や膨れを抑制することができる。また、そのようなシームフェルトを容易に製造することができる製造方法を提供することができる。
(A)実施形態に係るフェルトを示す模式的な断面図、(B)図1(A)中の範囲Bを拡大した模式的な断面図 実施形態に係るフェルトの基布を示す模式的な斜視図 図2のIIIで示された、上層及び下層の端縁同士の結合構造の一例を示す図 図2のIIIで示された、上層及び下層の端縁同士の結合構造の他の例を示す図 実施形態に係るフェルトの基布を示す模式的な斜視図 実施形態に係る基布の製造工程を示す説明図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態に係る抄紙用フェルトは、製紙機において抄紙を運搬する搬送手段として用いられ、抄紙の加圧脱水工程等に使用される。
図1(A)及び(B)に示すように、シームフェルト1は、基布2にバット繊維層3をニードリングにより積層一体化したものである。シームフェルト1は、丈方向において有端であるが、その両端部が結合されることによって無端環状の形態となる。
図1(B)及び図2に示すように、基布2は、互いに積層された上層(製紙面側層)5及び下層(走行面側層)6と、上層5と下層6とを互いに結合する接結糸13と有する経緯二重織基布から形成されている。上層5は、丈方向に延在する複数の経糸7と、幅方向に延在する複数の緯糸8とが互いに交絡し、下層6は、丈方向に延在する複数の経糸11と、幅方向に延在する複数の緯糸12とが互いに交絡している。複数の接結糸13は、上層5及び下層6の幅方向に延在し、互いに丈方向に所定の間隔をおいて配置されている。接結糸13は上層5の経糸7と下層6の経糸11とに交絡している。
経糸7、11、緯糸8、12及び接結糸13は、例えば、モノフィラメントや撚り糸、芯鞘繊維等の公知の糸を適用することができ、その材質は、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂であってよい。上層5及び下層6の織り組織は、公知の様々な形態を適用することができる。本実施形態では、上層5及び下層6は、それぞれヒラ組織(緯糸8、12が経糸7、11を1本跨いだ後、1本潜ると共に、経糸7、11が緯糸8、12を1本跨いだ後、1本潜る組織)に形成されており、互いに独立している。上層5と下層6とは、材質、糸の形態、織組織等の構造が同一であることが好ましい。接結糸13は、経糸7、11及び緯糸8、12よりも細い糸であることが好ましく、例えば直径が経糸7、11及び緯糸8、12の直径に対して70%以下であることが好ましい。なお、他の実施形態では接結糸13を水溶性繊維から形成し、完成後のシームフェルト1内に存在しないようにしてもよい。
図2に示すように、上層5及び下層6は、幅方向における長さが同一であり、丈方向において下層6が上層5よりも長くなっている。下層6の丈方向における両端縁は、上層5の丈方向における両端縁よりも丈方向に延出し、上層5側に折り返され、下層6同士が2層に積層されている。下層6の大部分を本体部14、本体部14に対して折り返され、本体部14の上面上に配置される部分を折り返し部15、本体部14と各折り返し部15との間の屈曲した部分を折曲部16とする。各折曲部16は、幅方向と平行に延在しており、基布2の丈方向における端縁を構成している。
上層5の丈方向における両端縁17はそれぞれ、幅方向に延在し、下層6の本体部14上に配置されている。下層6の丈方向における両端縁18はそれぞれ、折り返し部15の先端に幅方向に沿って延在している。上層5の端縁17と下層6の端縁18とは互いに結合されている。
図3は、上層5の端縁17と下層6の端縁18との結合構造の一例を示す。図3に示すように、上層5の端縁17では、緯糸8が数本抜き取られ、経糸7のいくつかが緯糸8よりも丈方向に突出している。緯糸8は、末端側から順に8a、8b、…とする。経糸7のうち、経糸7aはその末端が緯糸8aよりも突出し、経糸7bはその末端が緯糸8aと緯糸8bとの間に配置され、経糸7cはその末端が緯糸8aよりも突出し、経糸7dはその末端が緯糸8cと緯糸8dとの間に配置されている。このように、経糸7は、引き抜き、切断等によって異なる長さを含むように形成されている。換言すると、経糸7の末端位置は、丈方向において分散している。上層5の端縁17は、これらの経糸7a〜7dの末端を繋いだ仮想線をいう。同様に、下層6の端縁18では、緯糸12が数本抜き取られ、緯糸が末端側から順に12a、12b、…と配列されている。経糸11のうち、経糸11aはその末端が緯糸12dと緯糸12eとの間に配置され、経糸11bはその末端が緯糸12aよりも突出し、経糸11cはその末端が緯糸12bと緯糸12cとの間に配置され、経糸11dはその末端が緯糸12aよりも突出して配置されている。換言すると、経糸11の末端位置は丈方向において分散している。下層6の端縁18は、これらの経糸11a〜11dの末端を繋いだ仮想線をいう。上層5の緯糸8aよりも突出した経糸7a、7cは、下層6の緯糸12a〜12dに織り込まれ、その末端が下層6の経糸11a、11cの末端に対向している。同様に、下層6の緯糸12aよりも突出した経糸11b、11dは、上層5の緯糸8a〜8cに織り込まれ、その末端が上層5の経糸7b、7dの末端に対向している。以上のようにして、上層5の端縁17と下層6の端縁18とは互いに結合されている。このような結合手法を縫合という。この縫合による結合構造では、端縁17と端縁18とは互いに一致(整合)している。より詳細には、上記の特許文献3を参照されたい。上層5の経糸7a〜7dと、下層6の経糸11a〜11dとの互いに対向する末端同士は、加熱によって溶着されていてもよい。なお、この結合構造において、各層5、6の経糸7、11の末端同士が互いに重なり合う(丈方向においてオーバーラップする)ようにしてもよい。
図4は、上層5の端縁17と下層6の端縁18との結合構造の他の一例を示す。図4に示すように、上層5の端縁17では、緯糸8が数本抜き取られ、全ての経糸7a〜7dが緯糸8aよりも丈方向に突出している。各経糸7a〜7dは、緯糸8aからの突出長さが異なっている。同様に、下層6の端縁18では、緯糸12が数本抜き取られ、全ての経糸11a〜11dが緯糸12aよりも丈方向に突出している。下層6の経糸11a〜11dは、それぞれの末端が上層5の経糸7a〜7dの末端と所定の範囲で重なり合うことができるように、経糸7a〜7dと相補的な長さに形成されている。上層5の経糸7a〜7d及び下層6の経糸11a〜11dは、上層5の緯糸8aと下層6の緯糸12aとの間に緯糸8a、12aと平行に配列された複数の連結糸19に織り込まれることによって互いに結合されている。このような結合方法も縫合という。より詳細には、上記の特許文献4を参照されたい。このとき、上層5の経糸7aと下層6の経糸11aとは、互いに対応するもの同士が互いに重なり合った状態に配置される。そのため、上層5の経糸7a〜7dの末端が形成する端縁17と、下層6の経糸11a〜11dの末端が形成する端縁18とが互いに重なり合った状態となる。なお、この結合構造において、各層5、6の経糸7、11の末端同士が互いに対向する(一致する)ようにしてもよい。
なお、上層5の端縁17と下層6の端縁18との結合は、公知の様々な手法を適用することができる。例えば、上層5の経糸7と下層6の経糸11との末端同士をオーバーラップさせ、オーバーラップした部分に幅方向に延在する熱可塑性樹脂からなる複数の架橋糸を重ね、架橋糸を経糸7、11と共に溶融させることによって一体に溶着してもよい。
各折曲部16は、緯糸12が数本抜き去られており、経糸7によるループ構造が露出している。この経糸7によるループ構造をループ20という。ループ20は、幅方向に複数設けられており、各ループ20の中心孔が幅方向を向いて互いに正対している。
以上のように構成した基布2の寸法関係を図5に示す。図5に示す範囲Aは、上層5及び下層に含まれる経糸7、11の末端の丈方向における分散距離、すなわち上層5及び下層6に含まれる全ての経糸7、11の内でループ20から丈方向において最も離れた位置に配置されたものと、ループ20から丈方向において最も近くの位置に配置されたものとの丈方向における距離を表しており、範囲Aは5cm〜30cmであることが好ましい。これは、上層5及び下層6に含まれる経糸7、11の末端の位置が丈方向に分散するため、経糸7、11の末端同士の結合部位が丈方向にそれぞれ入り組んだ形態となり、上層5及び下層6の結合強度が増大するためである。また、経糸の末端同士の結合部位が分散することによって、経糸の末端同士の結合部位に起因する基布表面の凹凸が分散され、局所的な凹凸が緩和される。
図5中の範囲Bは、上層5及び下層に含まれる全ての経糸7、11の末端の配置範囲を示しており、範囲Bはループ20から丈方向において50cm〜150cmであることが好ましい。すなわち、下層6の端部の折り返し長さは50cm〜150cmである。下層6の端部の折り返し長さをこのように設定することによって、下層6の折り返し作業が容易になると共に、下層6を正確な位置に折り返すことができる。
図5中の範囲Cは、接結糸13の配置範囲を示している。接結糸13は、上層5及び下層6に含まれる経糸7、11の末端の内で、ループ20から丈方向において最も離れた位置に配置された経糸7、11の末端よりもループ20から丈方向において離れた範囲であり、かつループ20から丈方向において100cm〜200cm以上離れた範囲のみに設けることが好ましい。また、範囲Cは上記の範囲に加え、ループ20から丈方向において最も離れた位置に配置された経糸7、11の末端から約50cmの位置に接結糸13の内で最もループ20側に配置されたものが配置されることが好ましい。換言すると、接結糸13の内で最もループ20側に配置されたものとループ20から丈方向において最も離れた位置に配置された経糸7、11との距離が約50cmとなることが好ましい。このようにすることで、接結糸13が下層6の折り返し及び上層5との結合を阻害することがなく、下層6と上層5とを互いに結合することができる。
基布2の上面は上層5と下層6の折り返し部15によって構成され、下面は下層6の本体部14によって構成される。基布2の上面及び下面には、バット繊維層3がニードリングによって結合されている。バット繊維層3は、繊維集合体であり、その材料にはポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が適用される。また、バット繊維層3には、芯部と、芯部を被覆する鞘部とからなる芯鞘複合型繊維を適用してもよい。バット繊維層3に、鞘部が低融点の芯鞘型複合繊維を適用することで、後述する熱セットによって基布2との結合を高めることができる。バット繊維層3のニードリングによって、基布2を構成する上層5及び下層6にバット繊維層3が交絡し、上層5と下層6の本体部14とが結合され、下層6の本体部14と折り返し部15と結合が結合される。基布2の丈方向における一側の端部の上面側のバット繊維層3は、ループ20の表側へと突出し、フラップ22を形成している。
以上のように構成したシームフェルト1は、図1に示すように、バット繊維層3の表側の面が外周面となるように無端状(環状)に配置され、基布2の両端部に設けられたループ20を互いに噛み合わせて中心孔を一致させ、中心孔に芯線23を挿通することによって、両端部が互いに結合される。シームフェルト1の両端部の結合は、シームフェルト1を製紙機のフェルトランに引き込んだ上で行われる。バット繊維層3の表側の上面は、抄紙を支持する製紙面となり、裏側の上面は製紙機のロール等に接触する走行面となる。フラップ22は、両ループ20の製紙面側を覆い、製紙面に段差が生じないようにしている。芯線23は、モノフィラメントや撚り糸、芯鞘繊維等の公知の糸を適用することができ、その材質は、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂であってよい。
以下に、図6を参照してシームフェルト1の製造方法について説明する。図6(A)に示すように、最初に、織機によって上層5、下層6及び接結糸13からなる板状(有端状)の経緯二重織基布2aを製織する。この経緯二重織基布2aは、丈方向における端縁、の距離が150cm〜350cm以上離れた範囲のみに接結糸13が設けられ、接結糸13によって上層5と下層6とが結合されている。より詳細には、接結糸13は、経緯二重織基布2aの各層に含まれる全ての経糸7、11の末端から丈方向において100cm〜300cm以上離れた範囲にのみ設けられている。還元すると、経緯二重織基布2aの丈方向における両端縁(詳細には、経緯二重織基布2aの各層に含まれる全ての経糸7、11の末端)から丈方向に150cm〜350cm以内の範囲には接結糸13が設けられておらず、この範囲で上層5と下層6とは互いに分離可能となっている。
次に、図6(B)に示すように、上層5の丈方向における両端部であって、接結糸13が設けられていない部分を切除する。すなわち、上層5の丈方向における両端縁(詳細には、経緯二重織基布2aの各層に含まれる全ての経糸7、11の末端)から100cm〜200cmの範囲に位置する上層5を切除する。このとき、上層5の丈方向における端部に接結糸13が存在しない範囲が丈方向において約50cm残るようにすることが好ましい。切除によって、上層5の丈方向における両端部には、幅方向に延在する端縁17が形成される。切除は、端縁17が幅方向に沿って直線状に延在するように行うことが好ましい。これにより、下層6は、上層5の端縁17よりも丈方向に延出した延出部26を形成する。
次に、下層6の延出部26を、表側に折り返し、下層6の端縁18を上層5の端縁17に結合する。端縁17、18の結合は、上述したように、例えば、端縁17、18に含まれる緯糸8、12を抜き去って経糸7、11を露出させ、経糸7、11を幅方向に延在する複数の連結糸に織り込むことによって行う。端縁17、18を結合した後に延出部26を2分するように折り畳み、図6(C)に示すように、折り返し部15及び折曲部16を形成する。これにより、下層6の端縁18と折曲部16との丈方向における距離は50cm〜150cmになる。すなわち、折曲部16から下層6の全ての経糸11の末端までの丈方向における距離は50cm〜150cmになる。
次に、図6(D)に示すように、折曲部16から緯糸8、12を抜き去り、経糸7、11を露出させ、ループ20を形成する。以上の工程により、丈方向における両端縁にループ20を有する基布2が形成される。
次に、基布2の上面及び下面に、ニードリングによってバット繊維層3を一体に結合する。続いて、バット繊維層3が結合された基布2を水洗し、埃や異物等を除去する。接結糸13に水溶性繊維を使用した場合は、水洗時に接結糸13が溶解する。なお、接結糸13が溶解しても、上層5と下層6とはバット繊維層3によって結合されているため、分離することはない。その後、基布2及びバット繊維層3の熱セットを行い、基布2及びバット繊維層3の結合安定性を高める。これにより、有端状の形態をとるシームフェルト1が形成される。
以上のように構成したシームフェルト1は、ループ20が、下層6の両端の丈方向における長さが比較的短い折り返し部15によって形成されているため、下層6の折り返し作業が容易である。また、折り返し部15と本体部14との積層された部分の範囲(面積)が小さいため、皺や膨れが発生し難い。そのため、折り返し部15と本体部14とが積層した部分が経糸11に影響を与え難く、各経糸11の丈方向における位置が安定し、ループ20の形状及び位置が安定する。本実施形態では、上層5の端縁17と下層6の端縁18とが結合する箇所を2箇所設け、それらの結合箇所の全てを基布2の丈方向におけるループ20近傍(ループ20から50cm〜150cmの範囲)に設けたため、下層6の折り返し作業が容易になる。
また、製織時から積層一体化された経緯二重織基布2aを使用することによって、上層5と下層6との間のずれを抑制することができるため、ループ20が形成された基布2に皺や膨れが生じることを抑制することができる。
本実施形態の変形例として、図6(A)に示す経緯二重織基布2aに代えて、2枚のヒラ組織の一重織織布を積層し、連結糸によって結合したものを使用してもよい。連結糸は、織布の丈方向における端縁からの距離が150cm〜350cm以上離れた範囲のみに設けるとよい。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、接結糸13を幅方向に延在させたが、丈方向に延在させ、上層5の緯糸8と下層6の緯糸12に交絡させるようにしてもよい。上記実施形態では、作成した基布2の上層5を製紙面側、下層6を走行面側に配置してシームフェルト1を無端状に結合したが、基布2の上層5を走行面側、下層6を製紙面側に配置してシームフェルト1を無端状に結合してもよい。また、実施形態では下層6の両端に延出部26を設ける構成としたが、基布2の一端においては下層6を上層5よりも延出させ、他端においては上層5を下層6よりも延出させ、上層5の折り返しによってループ20を形成するようにしてもよい。
1…シームフェルト、2…基布、3…バット繊維層、5…上層、6…下層、7、11…経糸、8、12…緯糸、13…接結糸、14…本体部、15…折り返し部、16…折曲部、17…上層の端縁、18…下層の端縁、19…連結糸、20…ループ、22…フラップ、23…芯線、26…延出部

Claims (13)

  1. 基布と、前記基布に積層されたバット繊維層とを有し、丈方向における両端部が結合することによって無端状となる抄紙用シームフェルトであって、
    前記基布は、互いに積層された上層及び下層を有し、
    前記上層及び前記下層は、それぞれ丈方向に延在する経糸と幅方向に延在する緯糸とを交絡させて形成され、織り組織及び糸の太さが互いに同一であり、丈方向における端部を除いた中央部において接結糸によって互いに結合され、
    前記基布は、丈方向における両端部において、前記上層及び前記下層の一方の層が他方の層よりも丈方向に延出し、前記一方の層の端部が折曲部を形成して前記他方の層側に折り返され、前記一方の層の前記経糸の末端が前記他方の層の前記経糸の末端に結合され、
    前記折曲部は、折り返された複数の前記経糸が露出してループを形成することを特徴とする抄紙用シームフェルト。
  2. 前記基布は、製織時から前記上層及び前記下層が前記接結糸によって互いに結合した経緯二重織基布であることを特徴とする請求項1に記載の抄紙用シームフェルト。
  3. 前記一方の層に含まれる前記経糸の末端は、前記ループからの丈方向における距離が互いに相違するものを含み、
    前記他方の層に含まれる前記経糸の末端は、前記ループからの丈方向における距離が互いに相違するものを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抄紙用シームフェルト。
  4. 前記一方の層及び前記他方の層に含まれる前記経糸の末端の内で、前記ループから丈方向において最も離れた位置に配置されたものと、前記ループから丈方向において最も近くの位置に配置されたものとの丈方向における距離が5cm〜30cmであることを特徴とする請求項3に記載の抄紙用フェルト。
  5. 前記一方の層及び前記他方の層に含まれる全ての経糸の末端は、前記ループから丈方向において50cm〜150cmの間に配置されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の抄紙用シームフェルト。
  6. 前記基布は、前記一方の層及び前記他方の層に含まれる前記経糸の末端の内で、前記ループから丈方向において最も離れた位置に配置された前記経糸の末端よりも前記ループから丈方向において離れた範囲であり、かつ前記ループから丈方向において100cm〜200cm以上離れた範囲のみにおいて前記接結糸によって前記上層と前記下層とが互いに結合されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載の抄紙用シームフェルト。
  7. 前記一方の層の前記経糸の末端と前記他方の層の前記経糸の末端とは、互いに縫合されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つの項に記載の抄紙用シームフェルト。
  8. 前記他方の層は、基布において製紙面側に配置される層であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つの項に記載の抄紙用シームフェルト。
  9. 抄紙用シームフェルトの製造方法であって、
    互いに積層された上層及び下層を有し、前記上層及び前記下層が、それぞれ丈方向に延在する経糸と幅方向に延在する緯糸とを交絡させて形成され、織り組織及び糸の太さが互いに同一であり、丈方向における端部を除いた中央部において接結糸によって互いに結合された基布を用意する工程と、
    前記基布の丈方向における端部において、前記上層及び前記下層の一方の層を他方の層よりも丈方向に延出させるべく、前記他方の層の丈方向における端部を切除する工程と、
    前記一方の層の端部を、折曲部を形成して前記他方の層側に折り返し、前記一方の層の前記経糸の末端を前記他方の層の前記経糸の末端に結合する工程と、
    前記折曲部に配置された前記緯糸を抜き去り、折り返された複数の経糸を露出させてループを形成する工程と、
    前記基布にバット繊維層を結合する工程と
    を有することを特徴とする抄紙用シームフェルトの製造方法。
  10. 前記基布を、製織時から前記上層及び前記下層が前記接結糸によって互いに結合した状態で形成された経緯二重織基布として用意することを特徴とする請求項9に記載の抄紙用シームフェルトの製造方法。
  11. 用意した前記基布は、各層に含まれる全ての前記経糸の末端から丈方向において150cm〜350cm以上離れた範囲のみにおいて前記接結糸によって前記上層と前記下層とが互いに結合されていることを特徴とする請求項10に記載のシームフェルトの製造方法。
  12. 前記接結糸が水溶性であることを特徴とする請求項10又は請求項11のいずれか1つの項に記載の抄紙用シームフェルト。
  13. 前記基布にバット繊維層を結合した後、水溶性の前記接結糸を溶解して除去することを特徴とする請求項12に記載の抄紙用シームフェルト。
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