JP2013252687A - ハードコート層付樹脂シート - Google Patents

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裕明 山田
Etsuyuki Yahagi
悦幸 矢作
Teruji Takahashi
照士 高橋
Ichiji Asami
一司 浅見
Koichi Tanaka
興一 田中
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

【課題】透明性、高表面硬度性、耐候性、耐薬品性、耐湿性、耐熱性及び生産性に優れたハードコート層付ポリカーボネートを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂よりなる基材に粘着層を介してハードコートフィルムが貼着されたハードコート層付樹脂シートであって、ハードコートフィルムが、少なくとも光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂を含有した光硬化性樹脂組成物を硬化させて、波長550nmでの光透過率が90%以上であると共にガラス転移温度が250℃以上である樹脂層を最表面に有し、且つ、樹脂層の厚みが10μm以上及び200μm以下であり、粘着層が(メタ)アクリル系樹脂からなる粘着剤で形成され、その厚みが3μm以上30μm以下であることを特徴とするハードコート層付樹脂シートである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードコート層付樹脂シートに関するものである。詳しくは、透明性、高表面硬度性、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性に優れたものであり、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置をはじめ、保護ガラス、建材用窓ガラス、車両用窓ガラス等の建築、各種工業用途に好適なハードコート層付樹脂シートに関するものである。
ガラスは優れた光線透過率、ガスバリア性、寸法特性等から様々な用途に使用されている。特に、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等に代表されるフラットディスプレイの分野では、より高性能で高価なガラスが提供されている。しかしながら、これらの用途では、フラットディスプレイに対する薄肉化、軽量化、低価格化の要求から、ガラスに代わって軽量、安価なポリカーボネート樹脂等のプラスチックで代替することが試みられている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂等はガラスよりも表面硬度が低く傷が付きやすいことから、それを防ぐために表面に塗料を塗布したり、硬化性フィルムを貼り合わせるなどして表面を保護する必要がある。
例えば、特開2008−260202号公報(特許文献1)には、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とを含んだ混合樹脂組成物からなる基材層と、アクリル系ポリマーを含んだ紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層とを備えた射出成形用ハードコートフィルムに係る発明が記載されている。また、特開2002−1759号公報(特許文献2)には、樹脂フィルムに硬化性のコーティング剤を塗布して該コーティング剤を半硬化した後、これを金型内に装着してポリカーボネート樹脂を射出成形し、樹脂フィルムを剥離してから更にコーティング剤を硬化させて表面硬化されたポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に係る発明が記載されている。そしてこの特許文献2には、RnSi(OH)4-nの構造を有するオルガノシランにコロイダルシリカを添加したシリコーン系コーティング剤や、アクリル系コーティング剤が好ましいものとして挙げられている。
特開2008−260202号公報 特開2002−1759号公報
しかしながら、従来のハードコート層を形成する方法では基材のポリカーボネートとの密着が不十分であったり、十分な表面硬度が得られなかったり、特殊な成型方法を用いなければならないなど信頼性、性能、コスト面で満足できるものではなく、例えばフラットディスプレイの分野や車両用窓ガラスの分野において要求される性能を十分に満たすことができないといった問題がある。また、異種層の一体化により、高温や高温高湿環境下での反りといった問題が容易に考えられる。
本発明は、表面硬度が高く耐傷付性に優れるとともに、さらに透明性、耐候性、耐薬品性、耐久性、耐熱性及び生産性に優れ、さらに特殊な環境下での変形、反りを抑えたハードコート付樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、透明性を有するポリカーボネートからなるプラスチックフィルムの表面に、少なくとも光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂を最表面に有する樹脂層を、反りの低減が期待出来る粘着材を使用し形成することにより得られた積層体とすることで、透明性、高表面硬度性、耐候性、耐薬品性、耐久性及び耐熱性、さらに高温、高温高湿等の特殊な環境下での変形、反りを抑え、生産性に優れたハードコート層付樹脂シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂よりなる基材に粘着層を介してハードコートフィルムが貼着されたハードコート層付樹脂シートであって、ハードコートフィルムが、少なくとも光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂を含有した光硬化性樹脂組成物を硬化させて、波長550nmでの光透過率が90%以上であると共にガラス転移温度が250℃以上である樹脂層を最表面に有し、且つ、樹脂層の厚みが10μm以上及び200μm以下であり、粘着層が(メタ)アクリル系樹脂からなる粘着剤で形成され、その厚みが3μm以上30μm以下であることを特徴とするハードコート層付樹脂シートである。
本発明のハードコート層付樹脂シートにおいて、ハードコート層を形成する樹脂層が光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂を3重量%以上含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなるのが好ましい態様である。
また、本発明のハードコート層付樹脂シートにおいて、ハードコート層が熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂よりなる基材の両面に粘着層を介してハードコートフィルムが貼着されるのが好ましい態様である。
また、本発明のハードコート層付樹脂シートにおいて、光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(2)
[RSiO3/2]n (2)
(但し、Rは(メタ)アクリロイル基、又はビニル基のいずれか一つを有する有機官能基であり、nは8、10、12又は14である)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂であるのが好ましい態様である。
更に、本発明のハードコート層付樹脂シートにおいて、光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(1)
RSiX3 (1)
〔但し、Rは(メタ)アクリロイル基、若しくはビニル基のいずれか一つを有する有機官能基、又は下記一般式(3)、若しくは(4)
Figure 2013252687
(但し、mは1〜3の整数であり、R1 は水素原子又はメチル基を示す)であり、Xは加水分解性基を示す〕で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるかご型シルセスキオキサン樹脂であるのが好ましい態様である。
更にまた、本発明のハードコート付樹脂シートは粘着層が(メタ)アクリル系樹脂からなる粘着剤から形成されること、酸価が10mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であること、架橋剤を含有することが、それぞれ好ましい態様である。
本発明のハードコート層付樹脂シートは、透明性、高表面硬度性、耐候性、耐薬品性、耐久性、耐熱性及び生産性に優れる。そのため、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置をはじめ、保護ガラス、建材用窓ガラス、車両用窓ガラス等の建築、各種工業用途に好適なハードコート層付樹脂シートである。
図1は、本発明のハードコート層付ポリカーボネートの断面模式図の一例を示す。
以下、本発明のハードコート層付樹脂シートについて、好適な実施形態を詳細に説明する。
本発明において、ハードコートフィルムは、好ましくは樹脂層とガラス転移温度が70℃以上220℃以下である透明プラスチックフィルムとが積層されてなるのがよい。このうち、ハードコート層付樹脂シートのハードコート層として用いられる樹脂層は、波長550nmでの光透過率が90%以上であると共に、ガラス転移温度(耐熱温度)が250℃以上である必要がある。このような樹脂層を形成するに際して、光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂を含有した光硬化性樹脂組成物を用いるようにする。光硬化性樹脂組成物におけるかご型のシルセスキオキサン樹脂の含有量については、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5〜30重量%含有するようにするのがよい。光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂が3重量%未満であると、得られるフィルム積層体としてフラットディスプレイの分野での使用耐熱不足となる。
透明プラスチックフィルムに積層される樹脂層は波長550nmでの光透過率が90%未満であると光透過性が不足となり、ハードコート層付樹脂シートの視認性等に問題が生じたり、意匠性を損なうおそれがある。また、樹脂層のガラス転移温度が250℃未満であると、例えばフラットディスプレイの分野や車両用窓ガラスの分野での使用耐熱不足となる。積層される樹脂層の耐熱温度は高いほど好ましいものであり、積層される樹脂層の他の品質である透明性、高表面硬度性、耐候性、耐薬品性、及び耐久性を阻害しなければよい。
光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂としては、例えば、次のようなものが適用できる。
先ず、第1の例として、下記一般式(1)
RSiX3 (1)
(但し、Rは(メタ)アクリロイル基、又はビニル基のいずれか一つを有する有機官能基であり、Xは加水分解性基を示す)で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるかご型シルセスキオキサン樹脂である。
また、第2の例として、下記一般式(2)
[RSiO3/2]n (2)
(但し、Rは(メタ)アクリロイル基、又はビニル基のいずれか一つを有する有機官能基であり、nは8、10、12又は14である)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂である。
更に第3の例として、上記一般式(1)において、Rが下記一般式(3)、又は(4)
Figure 2013252687
(但し、mは1〜3の整数であり、R1は水素原子又はメチル基を示す)で表される有機官能基であるかご型シルセスキオキサン樹脂である。
本発明においては、分子量分布及び分子構造が制御され、かつ、ケイ素原子全てに(メタ)アクリロイル基、又はビニル基を有する有機官能基からなる反応性官能基を有するかご型シルセスキオキサン樹脂であるのが好ましい。本発明の光硬化性樹脂組成物に含まれるかご型シルセスキオキサン樹脂は、分子量分布及び分子構造が制御されたかご型シルセスキオキサン樹脂のほか、このようなかご型シルセスキオキサン樹脂を主成分(好ましくは3重量%以上)として他の樹脂を含有した樹脂混合物であってもよく、また、上記式(2)で表されるn数の異なる成分を含んだ樹脂混合物であってもよい。更には、かご型シルセスキオキサン樹脂がオリゴマーであってもよい。ここで、かご型シルセスキオキサン樹脂を主成分として含有する樹脂混合物において、混合に適した樹脂としては、かご型シルセスキオキサン樹脂と相溶性及び反応性を有する樹脂であれば特に制限されないが、(メタ)アクリレート及びエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が好ましいものである。さらに光硬化性を阻害しなければ、光硬化性樹脂組成物にフィラー系添加物を加えてもよい。
また、光硬化性樹脂組成物には、通常、光重合開始剤が配合される。また、本発明では、適当な溶媒を希釈剤として用い光硬化性樹脂組成物の粘度調整等して用いることもできるが、溶媒の揮発除去工程を考慮すると時間を要し生産効率が低下すること、硬化後に得られる樹脂層内部に残留溶媒等が存在して成形フィルムの特性低下につながることなどから、塗布される光硬化性樹脂組成物中、溶媒の含有量は5%以下にとどめておくことがよく、実質的には溶媒が含有されていないものを使用することが好ましい。
ハードコート層は上記光硬化性樹脂組成物より形成された樹脂層よりなる単独のハードコートフィルムとして用いてもよいし、透明なプラスチック上に形成された「樹脂層−透明プラスチックフィルムの積層体としてもよい。この単独のハードコートフィルムあるいは「樹脂層−透明プラスチックフィルム」からなるフィルム積層体において、光硬化性樹脂組成物を硬化して得る樹脂層の厚みは10〜200μmの範囲内であるのがよく、好ましくは20〜150μmであるのがよい。樹脂層の厚みが10μmより薄いと耐熱性や表面硬度性が十分に性能発揮されず、反対に200μmより厚くなると樹脂層部分の硬化収縮により、変形等の発生が懸念される。また「樹脂層−透明プラスチックフィルム」からなるフィルム積層体においては、樹脂層と透明プラスチックフィルムとの厚みの比率(樹脂層の厚み÷透明プラスチックフィルムの厚み)が0.1以上及び5.0以下となることが好ましい。この厚みの比率が0.1に満たないと樹脂層が薄くなり過ぎて、光硬化性樹脂組成物の特徴である高耐熱性の効果が十分に発揮されず、ベースに用いる透明プラスチックフィルムの耐熱特性の向上が見込めなくなる。一方、厚みの比率が5.0を超えると樹脂層が厚くなり過ぎて、得られるフィルム積層体が破損しやすくなるおそれがある。また、ベースの透明プラスチックフィルムの両面に光硬化性樹脂組成物を塗工し硬化させて、「樹脂層−透明プラスチックフィルム−樹脂層」の三層構造からなるフィルム積層体としてもよい。樹脂層を片面のみに設けた「樹脂層−透明プラスチックフィルム」に比べてフィルム積層体の反りや変形等を更に低減させることができる。尚、透明プラスチックフィルムの両面に樹脂層を形成する場合には、それぞれの樹脂層が本発明で規定する各条件を満たすようにするのが好ましい。すなわち、例えば樹脂層と透明プラスチックフィルムとの厚みの比率は各樹脂層単独で透明プラスチックフィルムとの厚み比率が上述した範囲となるようにするのがよい。また、両樹脂層を同一成分のから形成してもよく、各面に塗布する光硬化性樹脂組成物を異なるようにしてもよい。
また、透明プラスチックフィルムについては、波長550nmでの光透過率は80%以上であることが好ましい。光透過率が80%未満であると得られるフィルム積層体として光透過性が不足となり、ハードコート層付樹脂シートの視認性に問題が生じたり、意匠性を損なうおそれがある。また、この透明プラスチックフィルムについてはガラス転移温度(耐熱温度)が70℃以上であるものを用いる。ガラス転移温度が70℃未満であると車載用等の高温となる使用環境下において熱によるうねり、そりが発生するおそれがある。このような透明プラスチックフィルムの材質として、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、PC(ポリカーボネート)、アセテート、アクリル、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂系等のフィルムを例示することができ、これらのフィルムを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。特に耐熱性と透明性に優れ、諸特性のバランスのとれたPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)が好ましい。また、樹脂層との密着性に優れた透明プラスチックフィルムを使用するのが望ましいが、樹脂層との密着性をより向上させるために、例えば透明プラスチックフィルムの表面にコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等の表面活性処理を行ってもよい。
透明プラスチックフィルムの厚みについては、上述した樹脂層との厚みの比率を満たすことが必要であるが、単独の厚みとしては好ましくは0.05mm以上であるのがよい。透明プラスチックフィルムの厚さが0.05mmに満たない場合、樹脂層の硬化時の収縮による変形の発生のおそれや塗工時の張力に耐えられないおそれがある。尚、透明プラスチックフィルムの表面形状については、平坦性を有するものであっても、表面に凹凸加工が施されているものであってもよい。ただし、透明性を阻害しない表面形状が好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、液状であることから公知の塗布装置で塗布できるが、塗布ヘッドを用いて硬化反応を起こすとゲル状の付着物が筋や異物の原因となるため、望ましくは塗布ヘッドには紫外線が当たらないようにするのがよい。塗布方式としては、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ドクターコート、エクストルージョンコート、スライドコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート、押出コート、スピナーコート等の公知の方法を用いることができる。
光硬化性樹脂組成物は、透明プラスチックフィルムに塗工し流延させた後、光硬化を実施するが、この光硬化としては、紫外線照射法が一般的である。通常、紫外線ランプを使用して紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプ等があり、いずれも使用することができる。これらの紫外線ランプの中でも、メタルハライドランプもしくは高圧水銀ランプが好ましい。照射条件はそれぞれのランプ条件によって異なるが、照射露光量が20〜10000mJ/cm2程度であればよく、好ましくは100〜10000mJ/cm2である。また、光エネルギーの有効利用の観点から、紫外線ランプには楕円型、放物線型、拡散型等の反射板を取り付けるのが好ましく、さらには、冷却対策として熱カットフィルター等を装着するようにしてもよい。
また、紫外線ランプの照射箇所には、冷却装置を有していることが好ましい。この冷却装置により、紫外線ランプからの発生する熱に誘発される透明プラスチックフィルム等の熱変形を抑制することができる。冷却方式としては、空冷方式、水冷方式等の公知の方法がある。
紫外線硬化反応はラジカル反応であるため酸素による反応阻害を受ける。そのため、光硬化性樹脂組成物は、透明プラスチックフィルムへ塗工、流延後、光硬化を実施するが、塗工、流延後、酸素阻害を防止するため、光硬化性樹脂組成物上へ透明カバーフィルムを施し、流延された原料の液状光硬化性樹脂の表面では酸素濃度を1%以下にすることが好ましく、0.1%以下にすることがより好ましい。酸素濃度を小さくするには、表面に空孔がなく、酸素透過率の小さい透明カバーフィルムを採用する必要がある。透明カバーフィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、アクリル、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂系等のフィルムを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。ただし、光硬化性樹脂組成物との剥離が可能でなければならない。この為、これらの透明カバーフィルムの表面にシリコン塗布、フッ素塗布等の易剥離処理が施されているものが好ましい。ハードコート層が樹脂層単独とする場合にも透明プラスチックフィルムに対し同様の易剥離処理を施されているものを用いる。
本発明において、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂よりなる基材としては、前記透明プラスチックフィルムと同様なものを使用することができる。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、PC(ポリカーボネート)、アセテート、アクリル、フッ化ビニル、ポリアミド、ポリアリレート、セロファン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂系等のフィルムを例示することができ、これらのフィルムを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。これらのうち強度と透明性に優れる点から、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)が好ましい。
本発明において、フィルム積層体と熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂よりなる基材とを接着する粘着層を形成する材料については、(メタ)アクリル系樹脂からなる粘着剤を用いる。粘着層の厚みは3μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上20μm以下であり、更に好ましくは7μm以上15μ以下である。3μm以下であると十分な接着性を維持できず剥れが生じる恐れがあり、30μmを超えると被着体のハードコート特性を低下させる恐れがある。
(メタ)アクリル系樹脂粘着剤は、主成分である官能基を持たない(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、官能基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーや不飽和多塩基酸との共重合体である。官能基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーは架橋剤を用いる場合の反応点として活用され、架橋により粘着性の改良、共重合体のガラス転移温度の制御による凝集力や耐熱性の向上等が期待できる。該共重合体中における官能基を有する(メタ)アクリル酸系モノマー及び/又は不飽和多塩基酸の使用量は、共重合体を構成する全モノマー成分の総質量中に通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは4〜12質量%である。
官能基を持たない(メタ)アクリル酸系アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル又は(メタ)アクリル酸ドデシルなどの、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸n−ブチルである。これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良い。
尚、本願明細書中の、例えば「(メタ)アクリル酸メチル」との記載は、「アクリル酸メチル」及び「メタクリル酸メチル」の両者を示している。
官能基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸の如きカルボキシル基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルエチル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルの如きヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、モルホリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如きアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、並びにグリシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸である。不飽和多塩基酸の具体例としては、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸又はフマール酸の如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
該粘着剤は粘着力、凝集力に優れると共に、共重合させた後のポリマー中には光や酸で反応する不飽和結合がないため光や酸素に対する安定性が高く、また、モノマーの種類や分子量の選択の自由度が高いという理由からも好ましい。透明基材への密着性を保持するためには粘着剤の分子量(重合度)がある程度高いもの、即ち、粘着剤中の主ポリマーの重量平均分子量(Mw)が40万〜200万程度のものが好ましく、より好ましくは80万〜180万程度である。
尚、ここでいう重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーの測定により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
該粘着剤のガラス転移温度(Tg)は通常−80〜0℃であり、−60〜−20℃が好ましい範囲である。粘着剤のガラス転移温度が−80℃を下回る場合には室温域における粘着剤の凝集力が低下することで透明基材が被着体から剥がれやすくなる恐れがあり、逆に0℃を上回る場合にも粘着剤の粘着力が低下することで、同様に透明基材が被着体から剥がれやすくなる恐れがある。
本発明の該粘着剤に架橋剤を配合することにより前記共重合体に架橋処理を施すことができる。使用し得る架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物などの脂肪族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等の芳香族ジイソシアネートの如きポリイソシアネート、トリメチロールメラミンの如きメラミン化合物、ヘキサメチレンジアミン及びトリエチルジアミンの如きポリアミン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びビスフェノールA・エピクロルヒドリンの如きエポキシ化合物、アルミニウムアセチルアセトンの如き金属キレート化合物、並びに塩化アルミニウムの如き金属塩等が挙げられ、好ましくは芳香族イソシアネートである。その配合量は、共重合体100質量部あたり0.005〜5質量部、好ましくは0.01〜3質量部程度である。
該粘着剤の酸価は10〜130mgKOH/gの範囲が好ましく、更に好ましくは30〜90mgKOH/gの範囲である。該範囲においては、表面張力の向上により被着体との接着性優れる。更に架橋剤を用いた場合、架橋により粘着層の膜強度が向上し、被着体との積層後、該被着体のハードコート特性の低下を防ぐことが出来る。
該粘着剤には必要に応じ、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤などを添加することも可能である。
ハードコート層を圧着により重ね合わせることになるが、なお、ハードコート層が樹脂層と透明プラスチックフィルムとの2層からなる場合、耐熱性、耐薬品性、表面硬度性を発現させるため、透明プラスチックフィルム側を接着層に対向させ、樹脂層が最表面に来るようにするのが好ましい。
また、ハードコート層を両面に付与したい場合は、中間の樹脂層の両面に、粘着剤層を設け、表面にハードコート層を圧着した構成にもすることができる。両面にハードコート層を付与することで、ハードコート層が樹脂層と透明プラスチックフィルムとの2層からなる場合に比べてフィルム積層体の反りや変形等を更に低減させることができる。
本発明において用いられる樹脂層については特に制限はなく、得られるハードコート層付樹脂シートの用途等に応じて適宜選択するのがよく、ハードコート付樹脂シートを通じた視認性が要求される場合には透明であることが必要であるが、機能に応じて色や模様等が付されたものであってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例もしくは比較例中の「部」は重量部を表す。
[実施例1]
トリメチロールプロパントアクリレート(日本化薬社製KS-TMPA)80部、シルセスキオキサンオリゴマー(下記構造式1)20部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE 184)2.5部を均一に攪拌混合した後、脱泡して液状の光硬化性樹脂組成物を得たのち、本液状の光硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを毎分1mで巻き出した透明プラスチックフィルム(PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.188mm、波長550nmでの光透過率90%以上)上へスロットダイコーター法にて片面に塗布した。そして、透明カバーフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.188mm、光透過率90%以上)を塗工した光硬化性樹脂へ圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の割合で照射した。硬化して得られた樹脂層の厚みは0.15mmとなるようにした。その後、透明カバーフィルム及び透明プラスチックフィルムを剥離除去し、樹脂層(厚さ:0.15mm)の単層フィルム積層体を得た。得られたフィルムについて、樹脂層の反応率を測定した結果は85%以上であった。また、樹脂層の波長550nmでの光透過率を測定したところ91%であった。更には、樹脂層のガラス転移温度について示差走査熱量測定方法にて求めたところ、300℃以上であった。これらの結果を表1にまとめて示す。
Figure 2013252687
Figure 2013252687
次に、基材として熱可塑性樹脂(ポリカーボネートフィルム、帝人社製PC−2151、200mm×200mm×厚さ0.5mm)に、アクリル系樹脂粘着剤(日本化薬製TSP−110:酸価83mgKOH/g)100部に対してトリレンジイソシアネートを1部配合した粘着剤からなる厚さ10μmの粘着シートを使用し、上記で得られたフィルムを貼り合わせ、圧着し、ハードコート層付ポリカーボネートを得た。得られたハードコート層付ポリカーボネートについて、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
[表面硬度測定試験]
鉛筆硬度法(JIS−K5400)に準じて、各種硬度の鉛筆を90度の角度でハードコート層付ポリカーボネートの表面に当て、荷重750gで引っ掻き、傷が発生しない鉛筆のかたさを表示した。
[高温試験、高温高湿試験]
ハードコート層付ポリカーボネートを85℃の環境時に120時間、85℃x85%の環境下に72時間入れた際の反りを表示した。
○:ハードコート層とPC層の間で剥離等の発生、外観以上無し
×:ハードコート層のPC層の間で剥離等の発生、外観以上無し
[評価方法:耐薬品試験]
ハードコート層表面にトルエンを滴下し、表面の耐薬品性を以下の基準で評価した。
○:ハードコート層の表面に溶解、荒れ等の外観異常無し
×:ハードコート層の表面に溶解、荒れ等の外観異常有り
Figure 2013252687
[実施例2]
トリメチロールプロパントアクリレート(日本化薬社製KS-TMPA)80部、シルセスキオキサンオリゴマー(下記構造式2)20部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGACURE 184)2.5部を均一に攪拌混合した後、脱泡して液状の光硬化性樹脂組成物を得たのち、本液状の光硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを毎分1mで巻き出した透明プラスチックフィルム(PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.188mm、波長550nmでの光透過率90%以上)上へスロットダイコーター法にて片面に塗布した。そして、透明カバーフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.188mm、光透過率90%以上)を塗工した光硬化性樹脂へ圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の割合で照射した。硬化して得られた樹脂層の厚みは0.15mmとなるようにした。その後、透明カバーフィルム及び透明プラスチックフィルムを剥離除去し、樹脂層(厚さ:0.15mm)の単層フィルム積層体を得た。得られたフィルムについて、反応率を測定した結果は85%以上であった。また、実施例1と同様にして、樹脂層の光透過率及びガラス転移温度を求めたところ、表1に示したとおりであった。
Figure 2013252687
そして、実施例1と同じように基材としてポリカーボネート(帝人社製、PC−2151、厚さ:0.5mm)に、アクリル系樹脂粘着剤(日本化薬製TSP−110:酸価83mgKOH/g)100部に対してトリレンジイソシアネートを1部配合した粘着剤からなる厚さ10μmの粘着シートを使用し、上記で得られたフィルムを貼り合わせ、圧着し、ハードコート層付ポリカーボネートを得た。得られたハードコート層付ポリカーボネートを実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
シルセスキオキサンオリゴマー(構造式2)25部、ジペンタエリスリトール(日本化薬社製、商品名「KAYARAD DPHA」)65部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製、商品名「ライトアクリレートDCP−A」10部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「IRGACURE184」)2.5部を均一に攪拌混合した後、脱泡して液状の光硬化性樹脂組成物を得たのち、本液状の光硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを毎分1mで巻き出した透明プラスチックフィルム(PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.188mm、波長550nmでの光透過率90%以上)上へスロットダイコーター法にて片面に塗布した。そして、透明カバーフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、0.188mm、光透過率90%以上)を塗工した光硬化性樹脂へ圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の割合で照射した。硬化して得られた樹脂層の厚みは0.15mmとなるようにした。その後、透明カバーフィルム及び透明プラスチックフィルムを剥離除去し、樹脂層(厚さ:0.15mm)の単層フィルム積層体を得た。得られたフィルムについて、樹脂層の反応率を測定した結果は85%以上であった。また、実施例1と同様にして、樹脂層の光透過率及びガラス転移温度を求めたところ、表1に示したとおりであった。
そして、実施例1と同じように基材としてポリカーボネート(帝人社製、PC−2151、厚さ:0.5mm)に、アクリル系樹脂粘着剤(日本化薬製TSP−110:酸価83mgKOH/g)100部に対してトリレンジイソシアネートを1部配合した粘着剤からなる厚さ10μmの粘着シートを使用し、上記で得られたフィルムを貼り合わせ、圧着し、ハードコート層付ポリカーボネートを得た。得られたハードコート層付ポリカーボネートを実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
シルセスキオキサンオリゴマー(構造式2)25部、ジペンタエリスリトール(日本化薬社製、商品名「KAYARAD DPHA」)65部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製、商品名「ライトアクリレートDCP−A」10部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「IRGACURE184」)2.5部を均一に攪拌混合した後、脱泡して液状の光硬化性樹脂組成物を得たのち、本液状の光硬化性樹脂組成物を塗工装置へ投入し、これを毎分1mで巻き出した透明プラスチックフィルム(PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、波長550nmでの光透過率90%以上)上へスロットダイコーター法にて両面に同時に塗布した。そして、透明カバーフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、幅300mm、厚さ0.1mm、光透過率90%以上)を塗工した光硬化性樹脂へ両面から圧着したのち、メタルハライドランプにて紫外線を500mJ/cm2の割合で両面から照射した。硬化して得られた樹脂層の片側の厚みはそれぞれ0.05mmとなるようにした。その後、透明カバーフィルムを剥離除去し、「樹脂層(厚さ:0.05mm)−透明プラスチックフィルム(厚さ:0.1mm)−樹脂層(厚さ:0.05mm)」の三層構造からなるフィルム積層体(合計厚さ:0.2mm)を得た。尚、各樹脂層の反応率を測定した結果は85%以上であった。また、実施例1と同様にして、樹脂層の光透過率とガラス転移温度、及び透明プラスチックフィルムのガラス転移温度を求めたところ、表1に示したとおりであった。
そして、実施例1と同じように基材としてポリカーボネート(帝人化成社製PC−2151、厚さ:0.5mm)に、アクリル系樹脂粘着剤(日本化薬製TSP−110:酸価83mgKOH/g)100部に対してトリレンジイソシアネートを1部配合した粘着剤からなる厚さ10μmの粘着シートを使用し、上記で得られたフィルム積層体(厚さ:0.2mm)を貼り合わせ、圧着し、ハードコート層付ポリカーボネートを得た。得られたハードコート層付ポリカーボネートを実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1と同じように基材としてポリカーボネート(帝人化成社製PC−2151、厚さ:0.5mm)に、アクリル系樹脂粘着剤(日本化薬製TSP−110:酸価83mgKOH/g)100部に対しトリレンジイソシアネートを1部配合した粘着剤からなる厚さ50μmの粘着シートを使用し、実施例1で得られたフィルムを貼り合わせ、圧着し、ハードコート層付ポリカーボネートを得た。得られたハードコート層付ポリカーボネートを実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[参考例1]
実施例1と同じように基材としてポリカーボネート(帝人化成社製PC−2151、厚さ:0.5mm)に、アクリル系粘着剤(日本化薬製TSP−120:酸価165mgKOH/g)100部に対しトリレンジイソシアネートを1部配合した粘着剤からなる厚さ10μmの粘着シートを使用し、実施例1で得られたフィルムとを貼り合わせ、圧着し、ハードコート層付ポリカーボネートを得た。得られたハードコート層付ポリカーボネートを実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
本発明は、透明性、高表面硬度性、耐候性、耐薬品性、耐湿性、耐熱性及び生産性に優れたハードコート層付樹脂シートを提供するものである。得られたハードコート層付ポリカーボネートは、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置に用いられるガラスをはじめ、保護ガラス、建材用窓ガラス、車両用窓ガラス等に代表されるように各種材料に用いられ、特に薄型化が要求されるような材料に好適であり、このようなハードコート層付ポリカーボネートを得ることが可能となる本発明は、その産業上の利用価値が極めて高いものである。
1:透明フィルム
2:接着層
3:ポリカーボネート
4:ハードコート層

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂よりなる基材に粘着層を介してハードコートフィルムが貼着されたハードコート層付樹脂シートであって、ハードコートフィルムが、少なくとも光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂を含有した光硬化性樹脂組成物を硬化させて、波長550nmでの光透過率が90%以上であると共にガラス転移温度が250℃以上である樹脂層を最表面に有し、且つ、樹脂層の厚みが10μm以上200μm以下であり、粘着層が(メタ)アクリル系樹脂からなる粘着剤で形成され、その厚みが3μm以上30μm以下あることを特徴とするハードコート層付樹脂シート。
  2. 樹脂層が、光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂を3重量%以上含有する光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる請求項1に記載のハードコート層付樹脂シート。
  3. ハードコートフィルムが、樹脂層とガラス転移温度が70℃以上220℃以下である透明プラスチックフィルムとが積層されてなる請求項1又は2に記載のハードコート層付樹脂シート。
  4. 光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(2)
    [RSiO3/2]n (2)
    (但し、Rは(メタ)アクリロイル基、又はビニル基のいずれか一つを有する有機官能基であり、nは8、10、12又は14である)で表されるかご型シルセスキオキサン樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のハードコート層付樹脂シート。
  5. 光硬化性を有するかご型のシルセスキオキサン樹脂が、下記一般式(1)
    RSiX3 (1)
    〔但し、Rは(メタ)アクリロイル基、若しくはビニル基のいずれか一つを有する有機官能基、又は下記一般式(3)、若しくは(4)
    Figure 2013252687
    (但し、mは1〜3の整数であり、R1 は水素原子又はメチル基を示す)であり、Xは加水分解性基を示す〕で表されるケイ素化合物を有機極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させてなるかご型シルセスキオキサン樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載のハードコート層付樹脂シート。
  6. 粘着層が架橋剤を含有する(メタ)アクリル系樹脂からなる粘着剤から形成される請求項1〜5のいずれかに記載のハードコート層付樹脂シート。
  7. 粘着層が(メタ)アクリル系樹脂からなる粘着剤から形成され、酸価が10mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である請求項1〜6のいずれかに記載のハードコート層付樹脂シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014125976A1 (ja) * 2013-02-12 2014-08-21 新日鉄住金化学株式会社 樹脂積層体
JP2015217530A (ja) * 2014-05-14 2015-12-07 株式会社巴川製紙所 粘着型高硬度透明フィルム

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