JP2013249807A - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

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守正 長田
Takeya Harada
丈也 原田
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Abstract

【課題】比較的低コストでラッシュアジャスト機能を実現でき、かつカムプロフィールにしたがったバルブリフトを安定的に実現できる内燃機関の動弁装置を提供する。
【解決手段】機関本体2により回転自在に支持され、軸線方向の一方に向けて拡径するテーパカム面18を有する第1のカム5aを備えたカムシャフト4と、機関本体に支持されるロッカシャフト6と、ロッカシャフト6により揺動自在に支持されて機関弁3に係合する第1のロッカアーム7aと、第1のロッカアーム7aにより回転自在に支持されて、テーパカム面7aに当接する第1のローラ9aとを有し、第1のロッカアーム7aがロッカシャフト6の軸線方向に移動可能に設けられ、第1のロッカアーム7aを第1のカム5aの大径側へ付勢するとともに、第1のロッカアーム7aの第1のカム5aの小径側への移動を防止するノーバック付勢装置20を更に有する構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、バルブクリアランスを自動調整するラッシュアジャスタ機能を有する内燃機関の動弁装置に関する。
カムの回転によって吸気バルブあるいは排気バルブ(以下、単にバルブという)を開閉させる内燃機関の動弁装置には、カムによって直接的にバルブステムを押し下げるダイレクト型と、ロッカアームを介してバルブステムを押し下げるロッカアーム型とがあり、ロッカアーム型には、ロッカアームをエンドピボットで支持するスイングアーム式とロッカアームをロッカシャフトにより支持されるシーソー式とがある。
いずれの型式の動弁装置においても、バルブシートやバルブステムなどの磨耗や熱膨張によってバルブクリアランスが変化すると、バルブの突き上げや異音などが発生する。そのため、バルブクリアランスを自動的に調整できるようにオイルタペットや油圧式ラッシュアジャスタが設けられることがある。
ところが、油圧式ラッシュアジャスタは、圧力を保持するために精密加工部品を用いる必要があるため部品が高価になるうえ、長期にわたって放置すると、エンジン始動時にオイルが圧力室に充満するまでタペットクリアランスをなくすアジャスト機能が損なわれる可能性がある。また、ラッシュアジャスタに供給するオイルの通路をシリンダヘッドなどに形成する必要があることから、動弁系の設計自由度が低下する。しかもラッシュアジャスタはバルブごとに設けられるため、油路構造が非常に複雑になる。
このような問題を解決し得るラッシュアジャスタとして、ロッカアームにローラを保持させ、ローラをカムに転接させたロッカアームの揺動によりバルブを開閉する内燃機関の動弁装置において、カムの外周面を円錐台形状にしてカムとローラとの接点部をカム軸に対して傾斜させ、ローラの側面とロッカアームの側壁内面との間に圧縮コイルばねを介装してローラを軸方向(カムの大径側)に付勢するようにした発明が提案されている(特許文献1)。
特開平7−4213号公報
しかしながら、特許文献1に記載の動弁装置では、圧縮コイルばねでローラを付勢しているだけであるため、ロッカアームが押し下げられる際にローラが軸方向に移動してしまう虞があった。そのため、カムプロフィールにしたがったバルブリフトを実現することができなくなるという問題があった。
本発明は、このような従来技術に含まれる課題を解消するべく案出されたものであり、カムの外周面を円錐台形状にしてカムとローラとの接点部をカム軸に対して傾斜させた内燃機関の動弁装置において、ロッカアームが押し下げられる際にローラが軸方向に移動するのを防止することをその目的とする。
このような課題を解決するために、本発明に係る動弁装置(1)の一側面によれば、機関本体(2)により回転自在に支持され、軸線方向の一方に向けて拡径するテーパカム面(18)を有する第1のカム(5a、35a)を備えたカムシャフト(4、34)と、前記機関本体に支持されるロッカシャフト(6、36)と、前記ロッカシャフトにより揺動自在に支持されて機関弁(3、33)に係合する第1のロッカアーム(7a、37a)と、前記第1のロッカアームにより回転自在に支持されて、前記テーパカム面に当接する第1のローラ(9a、39a)とを有し、前記第1のロッカアームが前記ロッカシャフトの軸線方向に移動可能に設けられ、前記第1のロッカアームを前記第1のカムの大径側へ付勢するとともに、前記第1のロッカアームの前記第1のカムの小径側への移動を防止するノーバック機能を備えたノーバック付勢装置(20)を更に有する構成とする。
この構成によれば、ノーバック付勢装置の付勢力よりも大きな軸方向分力がローラに加わったときには、ノーバック付勢装置がロッカアームのカムの小径側への移動を防止するため、ローラの軸方向への移動を防止できる。そのため、カムプロフィールにしたがったバルブリフトを実現できる。
また、本発明の一側面によれば、前記ロッカシャフト(6、36)が前記カムシャフト(4、34)と平行に配置され、当該動弁装置が更に、前記カムシャフトに設けられ、前記第1のカムとは異なるプロフィールをなし且つ前記第1のカムと同様のテーパ角をなすテーパカム面を有する第2のカム(5b、35b)と、前記第1のロッカアームに隣接して前記ロッカシャフトにより揺動自在に支持された第2のロッカアーム(7b、37b)と、前記第2のロッカアームにより回転自在に支持されて前記第2のカムの前記テーパカム面に当接する第2のローラ(9b、39b)と、前記第2のロッカアームを前記第1のロッカアームと一体的に揺動させる係合位置及び前記第2のロッカアームを前記第1のロッカアームから離脱させる離脱位置を選択的に実現する係合機構(10)とを有し、前記ノーバック付勢装置が、前記両ロッカアームを互いに同様に付勢する構成とすることができる。
係合機構が係合位置または離脱位置を選択することで第2のロッカアームを第1のロッカアームと一体的または独立的に揺動させてカムプロフィールを切り替える可変動弁装置では、係合位置を実現するために両ロッカアームの揺動位置が一致することが要求される。ところが、従来技術のように円錐ローラをロッカアームに対して相対移動させるラッシュアジャスタを可変動弁装置に設けると、バルブに係合しない第2のロッカアームには、バルブシートやバルブステムなどの磨耗や熱膨張によるバルブクリアランスは発生しないため、カムのベース円に接しているときの第1ロッカアームの揺動角度が、第2ロッカアームの揺動角度に対してバルブクリアランスを調整した分だけずれてしまう。そのため、係合機構が係合位置を実現することが困難になる。
上記の構成によれば、第2のロッカアームがノーバック付勢手段により付勢されて第1のロッカアームと同様に軸方向に移動し、同じ角度だけ傾斜するため、係合位置の実現を困難にすることなく、バルブクリアランスの調整を行うことができる。
また、本発明の一側面によれば、前記ロッカシャフト(6、36)が軸線方向に不動に設けられ、前記ノーバック付勢装置(20)が前記ロッカアーム(7a、37a)に対して作用するように設けられた構成とすることができる。
この構成によれば、軸線方向に不動に設けられたロッカシャフトに対してその軸線方向に移動可能にロッカアームを設けることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記ノーバック付勢装置(20)が前記ロッカシャフト(6、36)を囲繞するように設けられた構成とすることができる。
この構成によれば、ロッカアームがロッカアーム周りにおいて均一に付勢され、偏荷重によるこじりが防止されるため、ロッカアームとロッカシャフトとの間の摺動抵抗を低減することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記ロッカシャフト(6、36)が軸線方向に変位可能に設けられ、前記ノーバック付勢装置(20)が前記ロッカシャフトに対して作用するように設けられた構成とすることができる。
この構成によれば、ロッカアームをロッカシャフトに対して軸線方向に不動にした構成で、ロッカアームをロッカシャフトの軸線方向に移動可能に設けることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記第1のローラ(9a、39a)が、前記ロッカシャフト(6、36)の軸線に平行な軸線周りに回転自在に前記第1のロッカアーム(7a、37a)により支持されると共に、前記第1のカム(5a、35a)の前記テーパカム面(18)と同一かつ逆向きのテーパ角のテーパ面(19)をもって前記第1のカムに当接する構成とすることができる。
この構成によれば、第1のローラの軸線がロッカシャフトの軸線に平行となるため、ロッカシャフトの加工が容易である。また、係合機構を設ける場合には、第1のローラの内部に係合機構を設けることができ、動弁装置を小型化できる。
また、本発明の一側面によれば、前記ノーバック付勢装置(20)が、雌ねじ(21)が形成されたねじ孔(22)を有するボディ(23)と、前記雌ねじに螺合する雄ねじ(24)を有するスクリュロッド(25)と、前記スクリュロッドを前記ねじ孔から突出する方向に付勢するリターンスプリング(26)とを備える構成とすることができる。
この構成によれば、簡単な構成且つ比較的低コストでノーバック付勢装置を実現することができる。
このように本発明によれば、比較的低コストでラッシュアジャスト機能を実現でき、かつカムプロフィールにしたがったバルブリフトを安定的に実現できる内燃機関の動弁装置を提供することができる。
第1実施形態に係る動弁装置の要部の概略構成を示す側断面図 図1中のII−II線に沿う切断面で破断した動弁装置の概略構成図 図1中のIII部拡大図 図1に示す動弁装置によるバルブのリフト特性を示す図 第1実施形態の変形例に係る動弁装置の図2に対応する図 図5中のVI部拡大図 第2実施形態に係る動弁装置の図2に対応する図 図7に示す動弁装置によるバルブのリフト特性を示す図 図7に示す動弁装置による他のバルブのリフト特性を示す図 第3実施形態に係る動弁装置の図2に対応する図 図10に示す動弁装置によるバルブのリフト特性を示す図
以下、図面を参照して、本発明に係る動弁装置1を自動車用ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンと記す。)に適用したいくつかの実施の形態について詳細に説明する。
≪第1実施形態≫
図1および図2は、本発明に基づき構成された第1実施形態に係る動弁装置1の概略構成図である。図1および図2に示すように、エンジンのシリンダヘッド2には、各シリンダCについて一対の排気バルブ3(以下、第1排気バルブ3a、第2排気バルブ3bとする。)が設けられている。これらの排気バルブ3a、3bは、クランクシャフトの1/2の回転速度で回転する排気カムシャフト4と、排気カムシャフト4の下方に配置された排気ロッカシャフト6により枢支された排気ロッカアーム7との働きにより個々に開弁駆動される。
排気カムシャフト4は、シリンダヘッド2と一体をなすカムホルダ2aにより回転自在かつ軸線方向に移動不能に支持される。排気カムシャフト4には、第1排気バルブ3aを駆動する第1排気カム5aと、第1排気カム5aと同一のプロフィールを有し、第2排気バルブ3aを駆動する第3排気カム5cとが、カムホルダ2aを挟む位置に一体形成されているほか、第1排気カム5aに対して第3排気カム5cと反対側に、作動角及びリフト量が第1排気カム5aと異なる第2排気カム5bが一体形成されている。なお、ここでは第3排気カム5cを第1排気カム5aと同一のプロフィールにしているが、異なるプロフィールとしてもよい。また、図2では、排気カムシャフト4をカム軸直角方向にずらして示している。
詳細は後述するが、第2排気カム5bは、第1排気カム5aによる第1排気バルブ3aのリフト終了後の吸気行程において、第1排気カム5aよりも小さなリフト量をもつプロフィールとされている。
排気ロッカシャフト6は、排気カムシャフト4と平行に延在するように軸線方向に不動にカムホルダ2aにより支持されている。排気ロッカシャフト6には、第1および第2排気カム5a、5bに対応する第1および第2排気ロッカアーム7a、7bが互いに隣接して列設され、第3排気カム5cに対応する第3排気ロッカアーム7cが、第1および第2排気ロッカアーム7a、7bとの間にカムホルダ2aを挟む位置に配設されている。
3つの排気ロッカアーム7a、7b、7cはそれぞれ、排気ロッカシャフト6に揺動自在かつ軸方向に移動可能に支持されるとともに、対応する第1、第2および第3排気カム5a、5b、5cに当接する第1、第2および第3排気ローラ9a、9b、9cを排気ロッカシャフト6と平行な軸線回りに回転自在に支持している。なお、第1〜第3排気ローラ9a〜9cは、それぞれ排気ロッカアーム7a〜7cに設けられた軸部材30a〜30cによりニードルを介して軸支されている。
第1および第3排気ロッカアーム7a、7cの遊端には、それぞれ閉弁方向へ常時ばね付勢された第1および第2排気バルブ3bのステムエンドに当接する、ロッカシャフト6と平行な円筒面の一部で形成されたスリッパ面8を持たせている。
第2排気ロッカアーム7bは、シリンダヘッド2と一体をなす部分との間に設けられたコイルばね29(図1)の弾発力により、第2排気カム5bとの摺接状態を維持する向きに付勢されている。これにより、後述するように第1および第2排気ロッカアーム7a、7bが独立して揺動する際にも、第2排気ロッカアーム7bの第2排気ローラ9bが第2排気カム5bに常時転接するようになっている。
互いに隣接した第1および第2排気ロッカアーム7a、7bの内部には、これらを相対角変位し得る状態と、一体的に揺動し得る状態とに切換えるための係合機構10が設けられている。以下、係合機構10について詳しく説明する。
第1および第2排気ローラ9a、9bを軸支する各軸部材30a、30bの内部には、第1および第2ガイド孔11a、11bが同軸上に穿設されており、これらガイド孔11a、11bには第1および第2連結ピン12a、12bが摺合している。第1連結ピン12aは、その長さが第1ガイド孔11aの深さよりも小さく設定されている。一方、第2連結ピン12bは、その長さが第2ガイド孔11bの深さと同一に設定されている。
また、第1排気ロッカアーム7aには、第1連結ピン12aを第2排気ロッカアーム7b側に付勢するリターンスプリング13が内装されている。一方、第2排気ロッカアーム7bには、第2連結ピン12bの端面に油圧(エンジン油圧)を供給する油路14が形成されている。油路14には、排気ロッカシャフト6に内設された油圧供給路15が連通している。油圧供給路15に対しては、エンジンECUからの駆動指令に応じて、図示しない電磁スプール弁(油圧制御手段)によって油圧が供給制御される。
油圧供給路15に油圧が供給されず、リターンスプリング13の弾発力によって両連結ピン12a、12bがそれぞれ第1および第2ガイド孔11a、11bに収容された離脱位置に配置された状態では、第1排気ロッカアーム7aと第2排気ロッカアーム7bとが個別に揺動することになる。
一方、油圧供給路15に油圧が供給され、油路14を介して第2連結ピン12bの一端に油圧が作用すると、第2連結ピン12bが軸方向に移動して第1ガイド孔11a内に没入する係合位置に配置され、第2排気ロッカアーム7bが第1排気ロッカアーム7aと係合した状態となり、両排気ロッカアーム7a、7bが一体的に揺動することになる。
なお、第1排気ロッカアーム7aには、第1ガイド孔11aと外部とを連通するエア給排孔16が軸方向中央に穿設されている。エア給排孔16には、第1連結ピン12aの作動に伴って、第1ガイド孔11aと外部との間でオイルミスト等のオイル分を含んだ空気が流通する。
これらにより、第1排気ロッカアーム7aと第2排気ロッカアーム7bとの間の連結/非連結を選択的に実現する係合機構10が構成される。
このように構成された動弁装置1の作動について図4を参照して説明すると、係合機構10によって両排気ロッカアーム7a、7bが非連結状態とされている場合、第1排気ロッカアーム7aが第1排気カム5aのプロフィールにしたがって第3排気ロッカアーム7cと同様に揺動する。そのため、第1および第2排気バルブ3a、3bは、図4中に実線で示すように同一のカム角にて同一のリフト量をもって開弁する。なお、第2排気ロッカアーム7bは、第1ロッカアーム7aとは別に第2排気カム5bのプロフィールにしたがって揺動する。
一方、係合機構10によって両排気ロッカアーム7a、7bが連結状態とされている場合、第1排気ロッカアーム7aは、第1排気カム5aのプロフィールにしたがって第3排気ロッカアーム7bと同様に揺動した後、第2排気カム5bのプロフィールにしたがって吸気行程においても揺動する。そのため、吸気行程において、図4中に破線で示すように、第1吸気バルブ3aが再度開弁する。
エンジンECUは、例えば、暖機後の常用回転域では両排気ロッカアーム7a、7bを非連結状態にして、第1および第3排気カム5a、5cにしたがったリフト量をもって排気行程において両排気バルブ3a、3bを開弁させ、始動直後の低温低回転域では両排気ロッカアーム7a、7bを連結状態にして、第1排気バルブ3aを吸気行程においても再び開弁させ、エキゾーストマニホールド内の高温の排気が新気とともにシリンダCに流入するように係合機構10を制御させることで低温時の始動性を向上させる。
ここで、図2の第1および第2排気カム5a、5bは、排気カムシャフト4の軸線方向の一方(図中右方)に向けて拡径するテーパカム面18a、18bを有するように形成されている。より詳細には、両排気カム5a、5bは、ベース円部分が円錐台をなし、突出部分がベース円部分の円錐角と同一のテーパ角を有する円錐台形状を呈している。一方、第1および第2排気ローラ9a、9bは、排気カムシャフト4の軸線方向の他方、すなわち対応する排気カム5a、5bの小径側に向けて拡径するテーパ面19a、19bを有する円錐台形状とされている。
第1および第2排気カム5a、5bのテーパカム面18a、18bのテーパ角は互いに同一とされており、第1および第2排気ローラ9a、9bのテーパ面19a、19bのテーパ角は、互いに同一、かつ第1および第2排気カム5a、5bのテーパカム面18a、18bのテーパ角と同一(ただし、逆向き)とされている。したがって、第1および第2排気カム5a、5bのテーパカム面18a、18bは、それぞれ第1および第2吸気ローラ9a、9bのテーパ面19a、19bと互いに線接触する。
他方、第3排気カム5cは、第1および第2排気カム5a、5bと同様の円錐台形状を呈し、排気カムシャフト4の軸線方向の他方(図中右方)に向けて拡径するテーパカム面18cを有するように形成されている。また、第3吸気ローラ9cは、排気カムシャフト4の軸線方向の一方、すなわち対応する排気カム5cの小径側に向けて拡径するテーパ面19cを有する円錐台形状とされている。そして、第3吸気ローラ9cのテーパ面19cのテーパ角は、第3排気カム5cのテーパカム面18cのテーパ角と同一とされている。したがって、第3排気カム5cのテーパカム面18cは、第3吸気ローラ9cのテーパ面19cと線接触する。なお、図2では、排気カム5および吸気ローラ9のテーパ角を誇張して示している。
そして、動弁装置1の組付け後の状態において、第2排気ロッカアーム7aおよび第3排気ロッカアーム7cとこれに隣接するカムホルダ2aとの間には隙間が形成されており、3つの排気ロッカアーム7a、7b、7cは、排気ロッカシャフト6に対して軸線方向に移動可能とされている。
さらに、第2排気ロッカアーム7bの左側(第1および第2排気カム5a、5bの小径側)および第3排気ロッカアーム7cの右側(第3排気カム5cの小径側)には、第1および第2排気ロッカアーム7a、7b並びに第3排気ロッカアーム7cを、対応する排気カム5の大径側へ付勢するとともに、対応する排気カム5の小径側への移動を防止するノーバック機能を備えた2つのノーバック付勢装置20が設置されている。つまり、2つのノーバック付勢装置20は、カムホルダ2aとの隙間を小さくする向きに排気ロッカアーム7を付勢する。
図3を参照してノーバック付勢装置20について説明する。なお、両ノーバック付勢装置20は同一の構成を有するため、図3には、図2中の右方に配置されたノーバック付勢装置20を図示し、以下ではこのノーバック付勢装置20に基づいて説明する。
ノーバック付勢装置20は、雌ねじ21が形成されたねじ孔22を有するボディ23と、雌ねじ21に螺合する雄ねじ24を有するスクリュロッド25と、スクリュロッド25をねじ孔22から突出する方向に付勢するリターンスプリング26と、リターンスプリング26のスクリュロッド25側の端部を保持するスプリングリテーナ27とから構成され、排気ロッカシャフト6を囲繞するように設けられている。
排気ロッカシャフト6にはノーバック付勢装置20の軸方向外側に環状溝6aが形成されており、これらの環状溝6aに係止されたCクリップ28により、両ノーバック付勢装置20の軸方向の移動が規制されるようになっている。
ボディ23は、排気ロッカシャフト6を挿通させる貫通孔23aを有する有底筒形状を呈しており、その底壁をCクリップ28に当接させている。スクリュロッド25は、排気ロッカシャフト6を挿通させる貫通孔25aを有する有底筒形状を呈しており、その底壁をボディ23の開口から突出させて第3排気ロッカアーム7cに当接させている。リターンスプリング26は、圧縮コイルスプリングからなり、排気ロッカシャフト6を囲繞するようにボディ23の底壁とスクリュロッド25の底壁との間に介装され、両者を互いに離間する向きに付勢する。
雄ねじ24および雌ねじ21のねじ山は、スクリュロッド25が押込み方向に押圧された際に荷重を受ける圧力側フランク24a、21aのフランク角が遊び側フランク24b、21bのクランク角よりも大きい鋸歯状とされている。そして、雄ねじ24および雌ねじ21のフランク角や、フランク表面の摩擦係数、リード角、リターンスプリング26の押圧力などの設定により、スクリュロッド25が押込み方向の荷重を受けている場合には、雄ねじ24の圧力側フランク24aが雌ねじ21の圧力側フランク21aに楔係合し、その楔効果によって圧力側フランク24a、21a同士に滑りが生じないためにスクリュロッド25が押込まれない一方、スクリュロッド25が押込み方向の荷重を受けていない場合には、リターンスプリング26によってスクリュロッド25が押し出され、第3排気ロッカアーム7cが排気ロッカシャフト6に対して軸方向に移動する。
これにより、図2の第2排気バルブ3bのステムエンドが磨耗してバルブクリアランスが大きくなると、ノーバック付勢装置20がCクリップ28に反力をとって第3排気ロッカアーム7cを第3排気カム5cの大径側に移動させ、第3排気ロッカアーム7cの遊端と第2排気バルブ3bとの隙間を0に維持するラッシュアジャスト機能が発揮される。
一方、第3排気カム5cによって第2排気バルブ3bを開弁させる向きに第3排気ロッカアーム7cが揺動駆動される際には、第3排気カム5cおよび第3排気ローラ9cがテーパ形状とされているためにノーバック付勢装置20側へ付勢する分力が第3排気ロッカアーム7cに作用するが、上記したようにノーバック付勢装置20が、スクリュロッド25の押込み方向の移動を防止するノーバック機能を備えているため、第3排気ロッカアーム7cの軸方向(ノーバック付勢装置20側)への移動は阻止される。そのため、第2排気バルブ3bは、第3排気カム3cのカムプロフィールにしたがったリフト量をもって安定的に開閉する。
他方、図2中左方に設置されたノーバック付勢装置20は、第1排気バルブ3aのステムエンドが磨耗してバルブクリアランスが大きくなると、第1および第2排気ロッカアーム7a、7bを第1および第2排気カム5a、5bの大径側に同様に移動させることで、第1排気ロッカアーム7aの遊端と第1排気バルブ3aとの隙間を0に維持するラッシュアジャスト機能を発揮させる。そして、第1排気カム5aによって第1排気バルブ3aを開弁させる向きに第1排気ロッカアーム7aが揺動駆動される際には、ノーバック付勢装置20が両排気ロッカアーム7a、7bの軸方向(ノーバック付勢装置20側)への移動を阻止するため、第1排気バルブ3aも第1排気カム3aのカムプロフィールにしたがったリフト量をもって安定的に開閉する。
なお、雄ねじ24と雌ねじ21との間には適宜なバックラッシδ(図3参照)が設定されており、これにより、エンジンが冷却した状態でノーバック付勢装置20が伸長してバルブクリアランスが0になり、エンジンの運転によって排気バルブ3a、3bが熱膨張した場合であっても、排気バルブ3に突き上げが生じて圧縮漏れが生じないようになっている。
このように、図2中左方に設置されたノーバック付勢装置20は、第1および第2排気ロッカアーム7a、7bを互いに同様に付勢し、第1および第2排気ロッカアーム7a、7bを同一角度だけ揺動させる。これにより、第1排気ローラ9aが第1排気カム5aのベース円に当接している状態において、第1および第2排気ロッカアーム7a、7bの相対角が一定に維持される。したがって、長期にわたる使用によってステムエンドの磨耗などが生じたとしても、第2連結ピン12bが第1ガイド孔11aに進入し難くなることはない。
また、ノーバック付勢装置20が、雌ねじ21が形成されたボディ23と、雄ねじ24を有するスクリュロッド25と、スクリュロッド25を付勢するリターンスプリング26とを主要素に備えた簡易な構成とされているため、比較的低コストでラッシュアジャスト機構を実現できるうえ、この機構が強制給油を必要としないメカニカルラッシュアジャスタ式であるため、オイルポンプに要求される吐出量の増大も抑制でき、従来の油圧式ラッシュアジャスタ式で必要であったシリンダヘッド側のオイル供給油路と保持スリーブとを必要としなくなる。
本実施形態では、排気ロッカシャフト6が軸線方向に不動に設けられ、ノーバック付勢装置20が排気ロッカアーム7に対して作用するように設けられているため、排気ロッカシャフト6に対してその軸線方向に移動可能に排気ロッカアーム7を設ければよい。そのため、排気ロッカアーム7の軸線方向の移動を規制する必要がなく、構成を簡単にすることこができる。
そして、ノーバック付勢装置20が排気ロッカシャフト6を囲繞するように設けられているため、排気ロッカアーム7が排気ロッカアーム7周りにおいて均一に付勢され、偏荷重によるこじりが防止されるため、排気ロッカアーム7と排気ロッカシャフト6との摺動抵抗が低減する。
また、本実施形態では、各排気ローラ9が、対応する排気カム5のテーパカム面18と同一かつ逆向きのテーパ角のテーパ面19を有し、排気ロッカシャフト6の軸線に平行な軸線周りに回転自在に支持されているため、排気ロッカシャフト6の加工が容易である。さらに、係合機構10が排気ローラ9の内部に設けられているため、動弁装置1の小型化および軽量化が可能である。
≪変形例≫
次に、図5および図6を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。なお、第1実施形態と同様の部材などには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。以下で述べる他の実施形態においても同様とする。
図5に示すように、本変形例では、排気ロッカシャフト6がカムホルダ2aで分割され、各シリンダCについて2本、すなわち第1および第2排気ロッカアーム7a、7bを支持する第1排気ロッカシャフト6Aと、第3排気ロッカアーム7cを支持する第2排気ロッカシャフト6Bとが設けられている。そして、各排気ロッカシャフト6A、6Bは、それぞれ第1ボルト41aおよび第2ボルト41bによってシリンダCの中心を通るように設けられたカムホルダ2aによって片持ち支持されている。支持構造の詳細については後述する。
さらに、本変形例では、第1および第2排気ロッカシャフト6A、6Bが軸線方向に変位可能にカムホルダ2aにより支持され、排気ロッカシャフト6ごとに設けられたノーバック付勢装置20が、各排気ロッカシャフト6A、6Bにおける各カム5a〜5cの小径側の一端と各ボルト41の頭部との間に介装されている。つまり、各ノーバック付勢装置20が、対応する排気ロッカシャフト6A、6Bに対して作用するように設けられている。一方、第1〜第3排気ロッカアーム7a〜7cは、対応する排気ロッカシャフト6A、6Bに対して対応する排気カム5a〜5cの小径側への移動が規制されるように設けられる。
まずノーバック付勢装置20の構成について図6を参照しながら詳細に説明する。ここでも、図3に示した図2中の右方のノーバック付勢装置20に基づいて説明する。ノーバック付勢装置20は、第1実施形態と同様に、ボディ23とスクリュロッド25とリターンスプリング26とスプリングリテーナ27とから構成され、第2排気ロッカシャフト6Bの内部に組み込まれている。排気ロッカシャフト6の内面には環状溝6aが形成され、この環状溝6aに係合するCクリップ28を介して、ノーバック付勢装置20の付勢力が排気ロッカシャフト6に伝達される。
また、第2排気ロッカシャフト6Bには、ノーバック付勢装置20が組み込まれた側の端部外周面にも環状溝6aが形成され、この環状溝6aに係合するCクリップ28を介して、排気ロッカシャフト6に伝達されたノーバック付勢装置20の付勢力が第3排気ロッカアーム7cに伝達される。
ノーバック付勢装置20のボディ23、スクリュロッド25およびスプリングリテーナ27には、その軸線に沿ってそれぞれ貫通孔23a、25a、27aが形成されており、これら貫通孔23a、25a、27aに第2ボルト41bの軸部が挿入される。スクリュロッド25の突出側の端面は第2ボルト41bの頭部に当接しており、ノーバック付勢装置20の反力が第2ボルト41bの頭部に加わることにより、第2ボルト41bの頭部とスクリュロッド25との間からオイルが漏れないようになっている。
図5に戻り、排気ロッカシャフト6の支持構造について説明する。カムホルダ2aには、これを貫通するねじ孔42が形成されている。ねじ孔にはカムホルダ2a内に穿設された油路43が連通している。ねじ孔42の両開口の周囲には、第1および第2ロッカシャフト6a、6bの一端を軸方向に摺動可能に収容する環状壁44a、44bが設けられている。ノーバック装置20の貫通孔23a、25a、27aに挿入されたボルト41a、41bがねじ孔42に締結されることにより、排気ロッカシャフト6A、Bが軸方向に摺動可能かつ片持ち状態でカムホルダ2aにより支持される。なお、両ボルト41a、41bは、先端のみにねじが形成されたショルダーボルトであって締結時にボルトフランジまでの長さが規制されており、ねじ孔42に締結した状態で、かつノーバック付勢装置20が縮んでいる状態で、ロッカシャフト6A、6B端面とカムホルダ2aとの間に隙間が形成される長さとされている。
各ボルト41a、41bの軸部の内部には、軸端に開口し、軸線に沿って延在する油路45a、45bがそれぞれ形成されている。この油路45a、45bは、軸部の側面に開口すべく適所にて径方向に穿設された貫通孔によって排気ロッカシャフト6A、6Bの内部の油路15と連通している。各ボルト41a、41bの軸部に形成された油路45a、45bから供給されるオイルは、排気ロッカシャフト6A、6Bに形成された図示しない油路を介して排気ロッカアーム7a〜7cの潤滑に利用されるほか、第2排気ロッカアーム7bの油路14を介して係合装置10に供給される。
各排気ロッカシャフト6A、6Bの内部には、ボルト41a、41bの軸部よりも若干大きな内径を有する円筒状のスペーサ46が複数圧入されている。これらのスペーサ46は、ボルト41a、41bの軸部に対して摺動可能であり、排気ロッカシャフト7a〜7cが軸方向に移動しても油路45a、45bを塞がない位置に配置される。
このように構成された動弁装置1によっても、排気バルブ3のステムエンドの磨耗などによりバルブクリアランスが大きくなると、各ノーバック付勢装置20が、排気ロッカシャフト6A、6Bと共に第1および第2排気ロッカアーム7a、7bまたは第3排気ロッカアーム7cを、対応する排気カム5の大径側に移動させる。これにより、両排気ロッカアーム7a、7bの遊端と排気バルブ3a、3bとの隙間を0に維持するラッシュアジャスト機能が発揮されるとともに、第1および第2ローラ9a、9bが対応するカム5a、5bのベース円に当接している状態で第2連結ピン12bが第1ガイド孔11aに進入し難くなることはない。
本変形例では、排気ロッカシャフト6A、6Bが軸線方向に変位可能に設けられ、ノーバック付勢装置20が排気ロッカシャフト6A、6Bに対して作用するように設けられているため、排気ロッカアーム7a〜7cを排気ロッカシャフト6A、6Bに対して軸線方向に不動にした構成で、排気ロッカアーム7a〜7cを排気ロッカシャフト6A、6Bの軸線方向に移動可能に設けることができる。
そして、ノーバック付勢装置20を予め排気ロッカシャフト6A、6Bに組付けてアセンブリとしておくことにより、動弁装置1の組付けを容易にすることができる。なお、ノーバック付勢装置20は、荷重が加わっていない状態ではスクリュロッド25が回転してボディ23から突出してしまうため、ピンなどを用いてスクリュロッド25の回転を防止しておき、排気カムシャフト4を含む動弁装置1のシリンダヘッド2への組付け後にピンを外すようにするとよい。
本変形例では、ノーバック付勢装置20が排気ロッカシャフト6A、6Bを付勢する際の反力をボルト41a、41bからとるようにしているが、例えばシリンダC間にロッカシャフトホルダを形成し、ロッカシャフトホルダから反力をとるようにしてもよい。また、本変形例では、ノーバック付勢装置20が排気ロッカシャフト6A、6Bをカムホルダ2a側へ付勢しているが、カム5およびローラ9のテーパの向きを逆にして、排気ロッカシャフト6A、6Bをカムホルダ2aから離反する側へ付勢するようにしてもよい。この場合、排気ロッカシャフト6A、6Bにおける環状壁44a、44bの内部に収容される側の端部にノーバック付勢装置20を設ければよい。
≪第2実施形態≫
次に、図7〜図9を参照して、本発明に係る動弁装置1の第2実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態では、各シリンダCについて、一対の第1排気バルブ3aおよび第2排気バルブ3bと、一対の第1吸気バルブ33aおよび第2吸気バルブ33bとが設けられており、各バルブ3a、3b、33a、33bに対して、ステムエンドに係合する第1、第3排気ロッカアーム7a、7cおよび第1、第3吸気ロッカアーム37a、37cと、これらに隣接配置された第2、第4排気ロッカアーム7b、7dおよび第2、第4吸気ロッカアーム37b、37dとが、それぞれ一対をなすように設けられている。
各一対の排気ロッカアーム7a・7b、7c・7dおよび各一対の吸気ロッカアーム37a・37b、37c・37dには、これらを相対角変位し得る状態と、一体的に揺動し得る状態とに切換えるための係合機構10が設けられている。係合機構10は、第1実施形態と同様の原理を用いた公知の構成のものを用いることができる。
このように構成された動弁装置1では、例えば、第1、第3排気ロッカアーム7a、7cおよび第1、第3吸気ロッカアーム37a、37cに対応する第1、第3排気カム5a、5cおよび第1、第3吸気カム35a、35cのリフト量を0とし(すなわち、カム形状をローラと同様に突出部のない円錐台形とする)、第2、第4排気ロッカアーム7b、7dおよび第2、第4吸気ロッカアーム37b、37dのリフト量を通常のプロフィールに設定することができる。
排気カム5および吸気カム35のプロフィールをこのように設定した場合、動弁装置1は次のように作動することができる。すなわち、各一対のロッカアーム7a・7b、7c・7d、37a・37b、37c・37dを係合機構10によって連結状態とすることにより、図8に実線で示すように排気バルブ3および吸気バルブ33をそれぞれ排気行程および吸気行程において開弁させ、シリンダCで通常の燃焼を行う一方、非連結状態とすることにより、図8に破線で示すようにエンジン運転中に排気バルブ3および吸気バルブ33を常時閉弁状態に保ち、シリンダCで燃焼を行わない気筒休止とすることができる。
或いは、第1、第3排気カム5a、5cおよび第1、第3吸気カム35a、35cのリフト量を、作動角及びリフト量が相対的に小さい低リフトプロフィールとし、第2、第4排気ロッカアーム7b、7dおよび第2、第4吸気ロッカアーム37b、37dのリフト量を、作動角及びリフト量が相対的に大きい高リフトプロフィールとすることもできる。
排気カム5および吸気カム35のプロフィールをこのように設定した場合、動弁装置1は次のように作動することができる。すなわち、各一対のロッカアーム7a・7b、7c・7d、37a・37b、37c・37dを係合機構10によって非連結状態とすることにより、図9に破線で示すように排気バルブ3および吸気バルブ33を相対的に小さく且つ短時間にわたって開弁させ、バルブリフト量を下げて動弁駆動ロスを低減し、かつ吸排気バルブオーバーラップ量を少なくさせた低回転域の省燃費運転を行う一方、連結状態とすることにより、図9に実線で示すように排気バルブ3および吸気バルブ33を相対的に大きく且つ長時間にわたって開弁させ、高回転域の高出力運転に対応させた動弁駆動を行うことができる。
そして、本実施形態においては、各バルブ3、33に対して本発明に係る動弁装置1が適用されている。つまり、各排気カム5および各吸気カム35がテーパカム面18を有し、各排気ローラ9および各吸気ローラ39がテーパ面19を有し、一対の排気ロッカアーム7または吸気ロッカアーム37をそれぞれ付勢するように4つのノーバック付勢装置20が設けられる。
≪第3実施形態≫
最後に、図10および図11を参照して、本発明に係る動弁装置1の第3実施形態について説明する。図10に示すように、本実施形態では、各シリンダCについて一対に設けられた第1および第2排気バルブ3a、3bに対し、各3つの排気ロッカアーム7が設けられている。第1排気バルブ3aのステムエンドに係合する第1排気ロッカアーム7aに対し、第2、第3排気ロッカアーム7b、7dが隣接配置され、第2排気バルブ3bのステムエンドに係合する第4排気ロッカアーム7dに対し、第5、第6排気ロッカアーム7e、7fが隣接配置される。
排気ロッカアーム7には、隣接する2つの排気ロッカアーム7ごとに、これらを相対角変位し得る状態と、一体的に揺動し得る状態とに切換えるために、計4つの係合機構10が設けられている。なお、各係合機構10へ油圧を供給する油圧供給路15(図1参照)は、排気ロッカシャフト6内に複数に分割形成すればよい。
排気カムシャフト4には、第1〜第6排気ロッカアーム7a〜7fに対応する位置に第1〜第6排気カム5a〜6fが一体形成されている。第1および第4排気ロッカアーム7a、7dに対応する第1および第4排気カム5a、5dは、作動角及びリフト量が相対的に小さい低リフトプロフィールとされており、第3および第6排気ロッカアーム7c、7fに対応する第3および第6排気カム5c、5fは、作動角及びリフト量が相対的に大きい高リフトプロフィールとされており、第2および第5排気ロッカアーム7b、7eに対応する第2および第5排気カム5b、5eは、低リフトプロフィールと高リフトプロフィールとの中間的な作動角及びリフト量を与えられている。
このように構成された動弁装置1は次のように作動する。すなわち、第1および第4排気ロッカアーム7a、7dがそれぞれ第2および第5排気ロッカアーム7b、7eと非連結状態とされることにより、両排気バルブ3は、図11に実線で示すように相対的に小さく且つ短く開弁する。第1および第4排気ロッカアーム7a、7dがそれぞれ第2および第5排気ロッカアーム7b、7eと連結状態とされ、且つ第2および第5排気ロッカアーム7b、7eがそれぞれ第3および第6排気ロッカアーム7c、7fと非連結状態とされることにより、両排気バルブ3は、図11に破線で示すように中程度のリフト量および開弁時間をもって開弁する。第1および第4排気ロッカアーム7a、7dがそれぞれ第2および第5排気ロッカアーム7b、7eと連結状態とされ、且つ第2および第5排気ロッカアーム7b、7eもそれぞれ第3および第6排気ロッカアーム7c、7fと連結状態とされることにより、両排気バルブ3は、図11に二点鎖線で示すように相対的に大きく且つ長く開弁する。
そして、本実施形態においては、各排気バルブ3に対して本発明に係る動弁装置1が適用されている。つまり、各排気カム5がテーパカム面18aを有し、各排気ローラ9がテーパ面19aを有し、3つの排気ロッカアーム7で一群をなす各アーム群をそれぞれ付勢するように2つのノーバック付勢装置20が設けられる。前述の第2実施形態と同様に吸気バルブ33側へも同様の機構を適用することで、運転状態に合わせたより多段化した最適なバルブリフトおよびバルブタイミングの切替が可能となる。
これにより、各ノーバック付勢装置20が各群の排気ロッカアーム7a・7b・7c、7d・7e・7fをそれぞれ同様に付勢し、群ごとに排気ロッカアーム7が同一角度だけ揺動することにより、第1および第4排気ローラ9a、9dがそれぞれ対応する排気カム5a、5dのベース円に当接している状態において隣接する排気ロッカアーム7b・7c、7e・7fの相対角が一定に維持される。したがって、長期にわたる使用によってステムエンドの磨耗などが生じたとしても、4つの係合機構10が連結状態に移行し難くなることはない。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、本発明に係る動弁装置1を自動車用ディーゼルエンジンに適用しているが、自動車用以外の内燃機関やガソリンエンジンに適用することも可能である。また、ノーバック付勢装置20の構成は上記例に限られるものではない。この他、各部材や部位の具体的構成や配置など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した本発明に係る動弁装置1の各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜取捨選択することが可能である。
1 動弁装置
2 シリンダヘッド(機関本体)
3 排気バルブ
4 排気カムシャフト
5 排気カム
6 排気ロッカシャフト
7 排気ロッカアーム
9 排気ローラ
10 係合機構
18 テーパカム面
19 テーパ面
20 ノーバック付勢装置
21 雌ねじ
22 ねじ孔
23 ボディ
25 スクリュロッド
26 リターンスプリング
33 吸気バルブ
34 吸気カムシャフト
35 吸気カム
36 吸気ロッカシャフト
37 吸気ロッカアーム
39 吸気ローラ

Claims (7)

  1. 機関本体により回転自在に支持され、軸線方向の一方に向けて拡径するテーパカム面を有する第1のカムを備えたカムシャフトと、
    前記機関本体に支持されるロッカシャフトと、
    前記ロッカシャフトにより揺動自在に支持されて機関弁に係合する第1のロッカアームと、
    前記第1のロッカアームにより回転自在に支持されて、前記テーパカム面に当接する第1のローラとを有し、
    前記第1のロッカアームが前記ロッカシャフトの軸線方向に移動可能に設けられ、
    前記第1のロッカアームを前記第1のカムの大径側へ付勢するとともに、前記第1のロッカアームの前記第1のカムの小径側への移動を防止するノーバック機能を備えたノーバック付勢装置を更に有することを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  2. 前記ロッカシャフトが前記カムシャフトと平行に配置され、
    当該動弁装置が更に、
    前記カムシャフトに設けられ、前記第1のカムとは異なるプロフィールをなし且つ前記第1のカムと同様のテーパ角をなすテーパカム面を有する第2のカムと、
    前記第1のロッカアームに隣接して前記ロッカシャフトにより揺動自在に支持された第2のロッカアームと、
    前記第2のロッカアームにより回転自在に支持されて前記第2のカムの前記テーパカム面に当接する第2のローラと、
    前記第2のロッカアームを前記第1のロッカアームと一体的に揺動させる係合位置及び前記第2のロッカアームを前記第1のロッカアームから離脱させる離脱位置を選択的に実現する係合機構とを有し、
    前記ノーバック付勢装置が、前記両ロッカアームを互いに同様に付勢するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の動弁装置。
  3. 前記ロッカシャフトが軸線方向に不動に設けられ、前記ノーバック付勢装置が、前記ロッカアームに対して作用するように設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の内燃機関の動弁装置。
  4. 前記ノーバック付勢装置が前記ロッカシャフトを囲繞するように設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の内燃機関の動弁装置。
  5. 前記ロッカシャフトが軸線方向に変位可能に設けられ、前記ノーバック付勢装置が、前記ロッカシャフトに対して作用するように設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の内燃機関の動弁装置。
  6. 前記第1のローラが、前記ロッカシャフトの軸線に平行な軸線周りに回転自在に前記第1のロッカアームにより支持されると共に、前記第1のカムの前記テーパカム面と同一かつ逆向きのテーパ角のテーパ面をもって前記第1のカムに当接することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関の動弁装置。
  7. 前記ノーバック付勢装置が、雌ねじが形成されたねじ孔を有するボディと、前記雌ねじに螺合する雄ねじを有するスクリュロッドと、前記スクリュロッドを前記ねじ孔から突出する方向に付勢するリターンスプリングとを備えることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関の動弁装置。
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