JP2013249459A - α−オレフィン重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応性の高いα−オレフィン重合体を提供する。
【解決手段】下記(1)〜(4)を満たすα−オレフィン重合体。
(1)2,1−結合分率が0.5モル%未満。
(2)1,3−結合分率及び1,4−結合分率の合計が0.5モル%未満。
(3)示差走査熱量計(DSC)で測定した融解吸熱量ΔH−Dが1.0J/g未満。
(4)プロピレン系重合体又はブテン系重合体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、α−オレフィン重合体及びその製造方法に関する。
高分子量ポリオレフィンは化学的安定性が高く、力学物性に優れ、安価なことから工業部材等として幅広く用いられている。一方で、低分子量ポリオレフィンは、ワックス類としての使用に限定されているが、その高機能化が期待されている。
ポリオレフィンの機能化は長年にわたり行われてきたが、低分子量〜中分子量領域での効率的な製造技術がないうえ、炭化水素であるポリオレフィンに対する極性等の付加技術も限定されていた。特に低分子量〜中分子量ポリオレフィンをメタロセン触媒により製造する試みが近年なされているが、より高い機能を付与するために必要な不飽和基の官能基等を制御して導入するには限界があった。
特許文献1及び2には、不飽和基の導入のため、高分子量ポリオレフィン、特にポリプロピレンを熱分解することが開示されている(特許文献1及び2)。特許文献1は、アイソタクチックポリプロピレンを370℃で熱分解したポリプロピレン(例えば1分子当りのビニリデン基数は1.8個)を開示し、特許文献2は、ポリブテンを370℃で熱分解した熱分解ポリブテン(例えば1分子当りのビニリデン基数は1.53〜1.75個)を開示する。
また、特許文献3には、プロピレンやブテン−1の単独重合体又は共重合体を原料として、末端不飽和α−オレフィン重合体を製造する方法が記載されている。
一方、接着剤などの用途においては、より反応性が高い材料が望まれており、反応型接着剤(エポキシ樹脂系、ポリウレタン系、ポリアミド系)、封止材、シーリング材、接着剤、可塑剤などの用途では、取扱い性が良く、反応性が高い材料、反応性を制御できる材料が望まれている。また、耐熱性向上、防水性向上などの観点からオレフィン系材料に対するニーズが高まっている。
特開2003−40921号公報 特開2003−137927号公報 国際公開第2011/148586号
メタロセン触媒を用いてプロピレンや1−ブテンの重合を行った場合、2,1−挿入、1,3−挿入、1,4−挿入による異常挿入が起こりやすく、それにより、末端構造が完全にビニリデン構造にならず、ビニル基や内部オレフィンが生成する。分子鎖中にこれらの異常挿入が存在するα−オレフィン重合体を分解して低分子量〜中分子量の重合体を製造すると、反応性の低いものとなることがわかった。
そこで本発明の目的は、反応性の高いα−オレフィン重合体を提供することである。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]下記(1)〜(4)を満たすα−オレフィン重合体。
(1)2,1−結合分率が0.5モル%未満。
(2)1,3−結合分率及び1,4−結合分率の合計が0.5モル%未満。
(3)示差走査熱量計(DSC)で測定した融解吸熱量ΔH−Dが1.0J/g未満。
(4)プロピレン系重合体又はブテン系重合体である。
[2]さらに、下記(5)〜(8)を満たす[1]に記載のα−オレフィン重合体。
(5)メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%未満である。
(6)ラセミペンタッド分率[rrrr]が20モル%未満である。
(7)重量平均分子量(Mw)が100〜500,000である。
(8)分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である。
[3]さらに、下記(9)を満たす[1]又は[2]に記載のα−オレフィン重合体。
(9)1分子当りの末端不飽和基の数が0.5〜2.5個である。
[4]重量平均分子量(Mw)が300〜50,000である[1]〜[3]のいずれかに記載のα−オレフィン重合体。
[5]1分子当りの末端不飽和基の数が1.0〜2.5個である[1]〜[4]のいずれかに記載のα−オレフィン重合体。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のα−オレフィン重合体を含む粘接着剤組成物。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載のα−オレフィン重合体を含むシーリング材組成物。
[8][1]〜[5]のいずれかに記載のα−オレフィン重合体を含むポッティング材組成物。
本発明によれば、反応性の高いα−オレフィン重合体を提供できる。
[α−オレフィン重合体]
本発明のα−オレフィン重合体は、下記(1)〜(4)を満たし、好ましくはさらに下記(5)〜(9)を満たす。
(1)2,1−結合分率が0.5モル%未満。
本発明のα−オレフィン重合体は、2,1−結合分率が0.5モル%未満であり、好ましくは0.4モル%未満であり、より好ましくは0.2モル%未満である。
2,1−結合分率の制御は、主触媒の構造や重合条件によって行われる。具体的には、主触媒の構造が大きく影響し、主触媒の中心金属周辺のモノマーの挿入場を狭くすることで2,1−結合を制御することができ、逆に挿入場を広くすることで2,1−結合を増やすことができる。例えばハーフメタロセン型と呼ばれる触媒は中心金属周辺の挿入場が広いため、2,1−結合や長鎖分岐などの構造が生成しやすく、ラセミ型のメタロセン触媒であれば、2,1−結合を抑制することが期待できるが、ラセミ型の場合は立体規則性が高くなり、本願で示しているような非晶のポリマーを得ることは困難である。例えば後述するようなラセミ型でも2重架橋したメタロセン触媒で3位に置換基を導入し、中心金属の挿入場を制御することで非晶かつ2,1−結合の非常に少ない重合体を得ることができる。
(2)1,3−結合分率及び1,4−結合分率の合計が0.5モル%未満。
本発明のα−オレフィン重合体は、1,3−結合分率及び1,4−結合分率の合計が0.5モル%未満であり、好ましくは0.4モル%未満であり、より好ましくは0.1モル%未満である。
上記「1,3−結合分率及び1,4−結合分率の合計」とは、本発明のα−オレフィン重合体が、プロピレン系重合体である場合には1,3−結合分率を意味し、ブテン系重合体である場合には1,4−結合分率を意味し、プロピレン−ブテン共重合体である場合には1,3−結合分率及び1,4−結合分率の合計を意味する。
ここで、上記プロピレン系重合体とは、プロピレン単独重合体又はプロピレン単位の共重合比が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上のものを示し、上記ブテン系重合体とは、1−ブテン単独重合体又は1−ブテン単位の共重合比が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上のものを示し、プロピレン−ブテン共重合体とは、プロピレン単位の共重合比と1−ブテン単位の共重合比の合計が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上のものを示す。
1,3−結合分率及び1,4−結合分率の制御は、上述の2,1−結合分率の制御と同様にして、主触媒の構造や重合条件によって行われる。
(3)示差走査熱量計(DSC)で測定した融解吸熱量ΔH−Dが1.0J/g未満。
本発明のα−オレフィン重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解吸熱量ΔH−Dが1.0J/g未満であり、好ましくは0.5J/g未満であり、より好ましくは0.2J/g未満である。
融解吸熱量ΔH−Dが1.0J/gを超えると、結晶性成分が存在することになり、常温での流動性が低下する。
なお、ΔH−Dは、DSC測定により求める。すなわち、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱量をΔH−Dとする。
融解吸熱量を1.0J/g未満に制御するためには、立体規則性の指標であるメソペンタッド分率[mmmm]を20モル%未満に制御する必要があり、これは主触媒の構造や重合条件によって制御できる。例えば、触媒の構造によって制御する場合、触媒の中心金属にモノマーが配位する空間を適する大きさに設計する必要がある。配位空間の大きさによって、モノマーの挿入が起こりづらく活性が低下したり、ラセミ型の構造であれば規則性の高いポリマーが得られ、融解吸熱量が1.0J/gを超える。メソ型の構造であれば、規則性の低いポリマーが得られやすく、融解吸熱量が1.0J/g未満になる可能性があるが、上述の2,1−挿入が起こりやすくなるなど、結合割合と融解吸熱量のバランスを有する重合体の合成は難しい。例えば、後述するの二重架橋の触媒を用いることで、モノマーの配位空間を制御し、結合割合と融解吸熱量のバランスを有する重合体を合成することが可能となる。
(4)プロピレン系重合体又はブテン系重合体である。
本発明のα−オレフィン重合体は、プロピレン系重合体又はブテン系重合体であり、具体的には、プロピレン単位が主成分であるプロピレン系重合体、1−ブテン単位が主成分であるブテン系重合体、又はプロピレン単位及び1−ブテン単位が主成分であるプロピレン−ブテン共重合体である。本発明のα−オレフィン重合体は、エチレンや炭素数5以上のα−オレフィン(好ましくは炭素数5〜20のα−オレフィン)をコモノマーとして含むものであってもよい。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンの具体例としては、ペンテン−1、ヘプテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1,3−ブタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエン、ヘフ゜タシ゛エン、オクタジエン等のジエン類等が挙げられる。
(5)メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%未満である。
本発明のα−オレフィン重合体のメソペンタッド分率[mmmm]は、20モル%未満であり、好ましくは1モル%超かつ20モル%未満であり、より好ましくは2モル%超かつ15モル%未満であり、特に好ましくは3モル%超かつ10モル%未満である。
α−オレフィン重合体が1−ブテン−プロピレン共重合体である場合、メソダイアッド分率[m]が1〜50モル%であることを要し、2〜45モル%であると好ましく、2〜40モル%であるとさらに好ましい。
メソペンタッド分率[mmmm]及びメソダイアッド分率[m]の制御は、主触媒の構造や重合条件によって行われる。
立体規則性の指標であるメソペンタッド分率[mmmm]を20モル%未満に制御することは、主触媒の構造や重合条件によって制御できる。例えば、触媒の構造によって制御する場合、触媒の中心金属にモノマーが配位する空間を適する大きさに設計する必要がある。配位空間の大きさによって、モノマーの挿入が起こりづらく活性が低下したり、ラセミ型の構造であれば規則性の高いポリマーが得られ、メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%以上となる。メソ型の構造であれば、規則性の低いポリマーが得られやすく、メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%未満になる可能性があるが、上述の2,1−挿入が起こりやすくなるなど、結合割合と立体規則性のバランスを有する重合体の合成は難しい。例えば、本願記載の二重架橋の触媒を用いることで、モノマーの配位空間を制御し、結合割合と立体規則性のバランスを有する重合体を合成することが可能となる。
(6)ラセミペンタッド分率[rrrr]が20モル%未満である。
本発明のα−オレフィン重合体のラセミペンタッド分率[rrrr]は、20モル%未満であり、好ましくは1モル%超かつ20モル%未満であり、より好ましくは2モル%超かつ15モル%未満であり、特に好ましくは3モル%超かつ10モル%未満である。
α−オレフィン重合体が1−ブテン−プロピレン共重合体である場合、ラセミダイアッド分率[r]が1〜50モル%であることを要し、2〜45モル%であると好ましく、2〜40モル%であるとさらに好ましい。
ラセミペンタッド分率[rrrr]及びラセミダイアッド分率[r]の制御は、上述のメソペンタッド分率[mmmm]と同様にして、主触媒の構造や重合条件によって行われる。
本発明において、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、メソダイアッド分率[m]、1,3−結合分率、1,4−結合分率及び2,1−結合分率は、朝倉らにより報告された「Polymer Journal,16,717(1984)」、J.Randallらにより報告された「Macromol.Chem.Phys.,C29,201(1989)」及びV.Busicoらにより報告された「Macromol.Chem.Phys.,198,1257(1997)」で提案された方法に準拠して求めた。すなわち、13C核磁気共鳴スペクトルを用いてメチレン基、メチン基のシグナルを測定し、ポリ(1−ブテン)連鎖中のメソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、メソダイアッド分率[m]、1,3−結合分率、1,4−結合分率及び2,1−結合分率を求めた。
13C−NMRスペクトルの測定は、下記の装置及び条件にて行った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:230mg/ミリリットル
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
<プロピレン系重合体の場合>
上記1,3−結合分率、1,4−結合分率及び2,1−結合分率は、上述の13C−NMRスペクトルの測定結果より、下記式にて算出できる。
1,3−結合分率=(D/2)/(A+B+C+D)×100(モル%)
2,1−結合分率=[(A+B)/2]/(A+B+C+D)×100(モル%)
A:15〜15.5ppmの積分値
B:17〜18ppmの積分値
C:19.5〜22.5ppmの積分値
D:27.6〜27.8ppmの積分値
<ブテン系重合体の場合>
上記1,4−結合分率及び2,1−結合分率は、上述の13C−NMRスペクトルの測定結果より、下記式にて算出できる。
1,4−結合分率=E/(A+B+C+D+E)×100(モル%)
2,1−結合分率={(A+B+D)/3}/(A+B+C+D)×100(モル%)
A:29.0〜28.2ppmの積分値
B:35.4〜34.6ppmの積分値
C:38.3〜36.5ppmの積分値
D:43.6〜42.8ppmの積分値
E:31.1ppmの積分値
(7)重量平均分子量(Mw)が100〜500,000である。
本発明のα−オレフィン重合体は、流動性の観点から、重量平均分子量が100〜500,000であることが好ましく、200〜100,000であることがより好ましく、300〜50,000であることがより好ましく、400〜10,000であることがさらに好ましく、500〜5,000であることが特に好ましい。
(8)分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である。
本発明のα−オレフィン重合体は、反応性及び反応硬化性の観点から、分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であることが好ましく、1.9以下であることがより好ましい。
なお、上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算のものであり、上記分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した値である。
GPC測定装置
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration 解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
(9)1分子当りの末端不飽和基の数が0.5〜2.5個である。
本発明のα−オレフィン重合体は、反応性の観点から、1分子当りの末端不飽和基の数が0.5〜2.5個であることが好ましい。本発明のα−オレフィン重合体を反応性可塑剤として用いる場合、上記1分子当りの末端不飽和基の数は0.5〜1.5個であることがより好ましく、0.5〜1.2個であることがより好ましく、0.5〜1.0個であることが特に好ましい。一方、本発明のα−オレフィン重合体を反応型の接着剤原料、シーリング材原料、ポッティング剤原料などとして用いる場合、硬化性能が重要であり、架橋構造を得るためには上記1分子当りの末端不飽和基の数は0.7〜2.5個であることがより好ましく、1.0〜2.5個であることがより好ましく、1.0〜2.2個であることが特に好ましい。
1分子当りの末端不飽和基の数の制御は、主触媒の構造、モノマー種や重合条件(重合温度、水素濃度等)によって行われる。
触媒の存在下、水素と遷移金属化合物とのモル比(水素/遷移金属化合物)を選択することで、1分子当りの末端不飽和基の数の制御が可能である。
例えば、水素と遷移金属化合物とのモル比(水素/遷移金属化合物)が0〜5000の範囲において重合反応を行うことにより得ることができる。末端不飽和基選択性及び触媒活性を高めるためには、微量の水素の存在下で重合反応を行うことが好ましい。
通常、水素は連鎖移動剤として機能し、重合鎖末端は飽和構造となることが知られている。また、ドーマントの再活性化を行い、触媒活性を高めることができるという機能も有する。微量の水素の触媒性能に与える影響は不明であるが、ある特定の範囲で水素を用いることで、末端不飽和基選択性が高くかつ高活性を達成することができる。
水素と遷移金属化合物とのモル比(水素/遷移金属化合物)は、好ましくは200〜4500、より好ましくは300〜4000、最も好ましくは400〜3000である。このモル比が5000以下であると、末端不飽和基の数が極端に低いα−オレフィン重合体の生成が抑制され、目的とする末端不飽和基の数のα−オレフィン重合体を得ることができる。
本発明のα−オレフィン重合体は、反応性、室温での作業性等の観点から、融点を有しないことが好ましい。融点を有しないとは、すなわち、融解ピークが1.0J/g未満である、あるいは、30℃における流動性(B粘度)によっても表すことができる。
融点を有しないα−オレフィン重合体の製造は、主触媒の構造、モノマー種及び重合条件によって制御可能である。
ここで、上記B粘度とはASTM−D19860−91に従って測定されるものを示す。
[α−オレフィン重合体の製造方法]
本発明のα−オレフィン重合体は、例えば下記成分(A)、(B)及び(C)の組合せからなるメタロセン触媒を用い、水素を分子量調節剤として用いることにより製造することができる。具体的には、WO2008/047860に開示の方法で製造できる。
(A)シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基を有する周期律表第3族〜10族の金属元素を含む遷移金属化合物
(B)遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物
(C)有機アルミニウム化合物
(A)成分のシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基又は置換インデニル基を有する周期律表第3〜10族の金属元素を含む遷移金属化合物としては、下記一般式(I)で表される二架橋錯体が挙げられる。
Figure 2013249459
上記一般式(I)において、Mは周期律表第3〜10族の金属元素を示し、具体例としてはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,イットリウム,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,パラジウム及びランタノイド系金属等が挙げられる。これらの中ではオレフィン重合活性等の点からチタン,ジルコニウム及びハフニウムが好適であり、α−オレフィン重合体の収率及び触媒活性の点から、ジルコニウムが最も好適である。
1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及びケイ素含有基〔>SiR−,>Si<〕(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましく、E1及びE2のうちの少なくとも一つは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基又は置換インデニル基である。
前記置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換へテロシクロペンタジエニル基の置換基としては、炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6)の炭化水素基、ケイ素含有基又はヘテロ原子含有基等の置換基を示す。
Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。このXの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20のケイ素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントニル基等のアリール基等が挙げられる。なかでもメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基やフェニル基等のアリール基が好ましい。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基等が挙げられる。炭素数1〜20のアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジブチルアミド基、ジシクロヘキシルアミド基、メチルエチルアミド基等のアルキルアミド基や、ジビニルアミド基、ジプロペニルアミド基、ジシクロヘキセニルアミド基等のアルケニルアミド基;ジベンジルアミド基、フェニルエチルアミド基、フェニルプロピルアミド基等のアリールアルキルアミド基;ジフェニルアミド基、ジナフチルアミド基等のアリールアミド基が挙げられる。
炭素数1〜20のケイ素含有基としては、メチルシリル基、フェニルシリル基等のモノ炭化水素置換シリル基;ジメチルシリル基、ジフェニルシリル基等のジ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基等のトリ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基等の炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基等のケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基等のケイ素置換アリール基等が挙げられる。なかでもトリメチルシリルメチル基、フェニルジメチルシリルエチル基等が好ましい。
炭素数1〜20のホスフィド基としては、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基、ヘキシルスルフィド基、シクロヘキシルスルフィド基、オクチルスルフィド基等のアルキルスルフィド基;ビニルスルフィド基、プロペニルスルフィド基、シクロヘキセニルスルフィド基等のアルケニルスルフィド基;ベンジルスルフィド基、フェニルエチルスルフィド基、フェニルプロピルスルフィド基等のアリールアルキルスルフィド基;フェニルスルフィド基、トリルスルフィド基、ジメチルフェニルスルフィド基、トリメチルフェニルスルフィド基、エチルフェニルスルフィド基、プロピルフェニルスルフィド基、ビフェニルスルフィド基、ナフチルスルフィド基、メチルナフチルスルフィド基、アントラセニルスルフィド基、フェナントニルスルフィド基等のアリールスルフィド基が挙げられる。
炭素数1〜20のスルフィド基としては、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基、ヘキシルスルフィド基、シクロヘキシルスルフィド基、オクチルスルフィド基等のアルキルスルフィド基;ビニルスルフィド基、プロペニルスルフィド基、シクロヘキセニルスルフィド基等のアルケニルスルフィド基;ベンジルスルフィド基、フェニルエチルスルフィド基、フェニルプロピルスルフィド基等のアリールアルキルスルフィド基;フェニルスルフィド基、トリルスルフィド基、ジメチルフェニルスルフィド基、トリメチルフェニルスルフィド基、エチルフェニルスルフィド基、プロピルフェニルスルフィド基、ビフェニルスルフィド基、ナフチルスルフィド基、メチルナフチルスルフィド基、アントラセニルスルフィド基、フェナントニルスルフィド基等のアリールスルフィド基が挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、パルミトイル基、テアロイル基、オレオイル基等のアルキルアシル基、ベンゾイル基、トルオイル基、サリチロイル基、シンナモイル基、ナフトイル基、フタロイル基等のアリールアシル基、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸からそれぞれ誘導されるオキサリル基、マロニル基、スクシニル基等が挙げられる。
一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE1,E2又はXと架橋していてもよい。このYのルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類等を挙げることができる。アミンとしては、炭素数1〜20のアミンが挙げられ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン等のアルキルアミン;ビニルアミン、プロペニルアミン、シクロヘキセニルアミン、ジビニルアミン、ジプロペニルアミン、ジシクロヘキセニルアミン等のアルケニルアミン;フェニルアミン、フェニルエチルアミン、フェニルプロピルアミン等のアリールアルキルアミン;ジフェニルアミン、ジナフチルアミン等のアリールアミンが挙げられる。
エーテル類としては、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、n−アミルエーテル、イソアミルエーテル等の脂肪族単一エーテル化合物;メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチル−n−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチル−n−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテル等の脂肪族混成エーテル化合物;ビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル等の脂肪族不飽和エーテル化合物;アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテル、フェニルベンジルエーテル、α−ナフチルエーテル、β−ナフチルエーテル等の芳香族エーテル化合物、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化トリメチレン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環式エーテル化合物が挙げられる。
ホスフィン類としては、炭素数1〜20のホスフィンが挙げられる。具体的には、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、ヘキシルホスフィン、シクロヘキシルホスフィン、オクチルホスフィン等のモノ炭化水素置換ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジプロピルホスフィン、ジブチルホスフィン、ジヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ジオクチルホスフィン等のジ炭化水素置換ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリ炭化水素置換ホスフィン等のアルキルホスフィンや、ビニルホスフィン、プロペニルホスフィン、シクロヘキセニルホスフィン等のモノアルケニルホスフィンやホスフィンの水素原子をアルケニルが2個置換したジアルケニルホスフィン;ホスフィンの水素原子をアルケニルが3個置換したトリアルケニルホスフィン;ベンジルホスフィン、フェニルエチルホスフィン、フェニルプロピルホスフィン等のアリールアルキルホスフィン;ホスフィンの水素原子をアリール又はアルケニルが3個置換したジアリールアルキルホスフィン又はアリールジアルキルホスフィン;フェニルホスフィン、トリルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリメチルフェニルホスフィン、エチルフェニルホスフィン、プロピルフェニルホスフィン、ビフェニルホスフィン、ナフチルホスフィン、メチルナフチルホスフィン、アントラセニルホスフィン、フェナントニルホスフィン;ホスフィンの水素原子をアルキルアリールが2個置換したジ(アルキルアリール)ホスフィン;ホスフィンの水素原子をアルキルアリールが3個置換したトリ(アルキルアリール)ホスフィン等のアリールホスフィンが挙げられる。チオエーテル類としては、前記のスルフィドが挙げられる。
次に、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
このような架橋基のうち、少なくとも一つは炭素数1以上の炭化水素基からなる架橋基もしくは、ケイ素含有基であることが好ましい。このような架橋基としては、例えば下記一般式(a)で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基等を挙げることができる。これらの中で、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。
Figure 2013249459
(Dは周期律表第14族元素であり、例えば炭素,ケイ素,ゲルマニウム及びスズが挙げられる。R2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては、WO2008/066168に記載の具体例が挙げられる。また、他の族の金属元素の類似化合物であってもよい。好ましくは周期律表第4族の遷移金属化合物であり、中でもジルコニウムの化合物が好ましい。
上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の中では、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013249459
上記一般式(II)において、Mは周期律表第3〜10族の金属元素を示し、A1a及びA2aは、それぞれ上記一般式(I)における一般式(a)で表される架橋基を示し、CH2,CH2CH2,(CH32C,(CH32C(CH32C,(CH32Si及び(C65)2Siが好ましい。A1a及びA2aは、互いに同一でも異なっていてもよい。R4〜R13はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基又はヘテロ原子含有基を示す。ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基及びケイ素含有基としては、上記一般式(I)において説明したものと同様のものが挙げられる。炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基としては、p−フルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロ)フェニル基、フルオロブチル基等が挙げられる。ヘテロ原子含有基としては、炭素数1〜20のヘテロ原子含有基が挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の窒素含有基;フェニルスルフィド基、メチルスルフィド基等の硫黄含有基;ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基等の燐含有基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等の酸素含有基等が挙げられる。なかでも、R4及びR5としてはハロゲン原子、酸素、ケイ素等のヘテロ原子を含有する基、炭素数1〜20の炭化水素基が、重合活性が高く好ましい。R6〜R13としては、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。X及びYは一般式(I)と同じである。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
上記一般式(II)で表される遷移金属化合物のうち、両方のインデニル基が同一である場合、周期律表第4族の遷移金属化合物としては、WO2008/066168に記載の具体例が挙げられる。また、第4族以外の他の族の金属元素の類似化合物であってもよい。好ましくは周期律表第4族の遷移金属化合物であり、中でもジルコニウムの化合物が好ましい。
一方、上記一般式(II)で表される遷移金属化合物のうち、R5が水素原子で、R4が水素原子でない場合、周期律表第4族の遷移金属化合物としては、WO2008/066168に記載の具体例が挙げられる。また、第4族以外の他の族の金属元素の類似化合物であってもよい。好ましくは周期律表第4族の遷移金属化合物であり、中でもジルコニウムの化合物が好ましい。
本発明で用いる触媒を構成する(B)遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物としては、比較的低分子量の高純度末端不飽和オレフィン系重合体が得られる点、及び触媒高活性の点でボレート化合物が好ましい。ボレート化合物としては、WO2008/066168に記載の具体例が挙げられる。これらは一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。後述する水素と遷移金属化合物とのモル比(水素/遷移金属化合物)が0である場合、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルカルベニウム及びテトラキス(パーフルオロフェニル)ホウ酸メチルアニリニウム等が好ましい。
本発明のα−オレフィン重合体の製造方法で用いる触媒は、上記(A)成分と(B)成分との組み合わせでもよく、上記(A)成分及び(B)成分に加えて(C)成分として有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド及びエチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム及びトリノルマルオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムが好ましく、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム及びトリノルマルオクチルアルミニウムがより好ましい。
(A)成分の使用量は、通常0.1×10-6〜1.5×10-5mol/L、好ましくは0.15×10-6〜1.3×10-5mol/L、より好ましくは0.2×10-6〜1.2×10-5mol/L、特に好ましくは0.3×10-6〜1.0×10-5mol/Lである。(A)成分の使用量が0.1×10-6mol/L以上であると、触媒活性が十分に発現され、1.5×10-5mol/L以下であると、重合熱を容易に除去することができる。
(A)成分と(B)成分との使用割合(A)/(B)は、モル比で好ましくは10/1〜1/100、より好ましくは2/1〜1/10である。(A)/(B)が10/1〜1/100の範囲にあると、触媒としての効果が得られると共に、単位質量ポリマー当たりの触媒コストを抑えることができる。また、目的とするα−オレフィン重合体中にホウ素が多量に存在するおそれがない。
(A)成分と(C)成分との使用割合(A)/(C)は、モル比で好ましくは1/1〜1/10000、より好ましくは1/5〜1/2000、更に好ましくは1/10〜1/1000である。(C)成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができる。(A)/(C)が1/1〜1/10000の範囲にあると、(C)成分の添加効果と経済性のバランスが良好であり、また、目的とするα−オレフィン重合体中にアルミニウムが多量に存在するおそれがない。
本発明のα−オレフィン重合体の製造方法においては、上述した(A)成分及び(B)成分、あるいは(A)成分、(B)成分及び(C)成分を用いて予備接触を行うこともできる。予備接触は、(A)成分に、例えば(B)成分を接触させることにより行うことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。このような予備接触により触媒活性の向上や、助触媒である(B)成分の使用割合の低減等、触媒コストの低減に効果的である。
本発明のα−オレフィン重合体は、上記製造方法により得られるα−オレフィン重合体を原料とし、さらに熱分解反応を介して得られる末端不飽和α−オレフィン重合体であってもよい。
熱分解反応は、上記製造方法により得られた原料α−オレフィン重合体を加熱処理することで行なう。
加熱温度は、目標とする分子量を設定し、予め実施した実験結果を勘案して調整することができ、好ましくは300〜400℃であり、より好ましくは310〜390℃である。加熱温度が300℃未満の場合、熱分解反応が進まないおそれがある。一方、加熱温度が400℃超の場合、得られる末端不飽和α−オレフィン重合体が劣化するおそれがある。
また、熱分解時間(加熱処理時間)は、好ましくは30分〜10時間であり、より好ましくは60〜240分である。熱分解時間が30分未満の場合、得られる末端不飽和α−オレフィン重合体の生成量が少なくおそれがある。一方、熱分解時間が10時間超の場合、得られる末端不飽和α−オレフィン重合体が劣化するおそれがある。
上記熱分解反応は、例えば、熱分解装置として攪拌装置の付いたステンレス製等の反応容器を用い、この容器内に窒素、アルゴン等の不活性ガスを充填し、原料α−オレフィン重合体を入れて加熱溶融させ、溶融ポリマー相を不活性ガスでバブリングして、揮発性生成物を抜き出しながら、所定温度で所定時間加熱することで実施できる。
ラジカル分解反応は、温度160〜300℃で、有機過酸化物を原料α−オレフィン重合体に対して0.05〜2.0重量%添加することで実施できる。
上記分解温度は、好ましくは170〜290℃であり、より好ましくは180〜280℃である。分解温度が160℃未満の場合、分解反応が進まないおそれがある。一方、分解温度が300℃超の場合、分解が激しく進行し、攪拌により十分に有機過酸化物が溶融ポリマーに均一拡散する前に分解が終了してしまい、収率が低下するおそれがある。
添加する有機過酸化物は、好ましくは1分間半減期温度が140〜270℃の有機過酸化物であり、当該有機過酸化物の具体例としては以下の化合物が挙げられる:ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエイト、ジ(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシネオへプタノエイト、t−ヘキシルパーオキシピバレイト、t−ブチルパーオキシピバレイト、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)へキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルプロピルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘササン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロへキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、3,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシアセテイト、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−Menthans ハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド。
有機過酸化物の添加量は、好ましくは原料α−オレフィン重合体に対して0.1〜1.8重量%であり、より好ましくは0.2〜1.7重量%である。添加量が0.05重量%未満である場合、分解反応速度が遅くなって生産効率が悪くなるおそれがある。一方、添加量が2.0重量%超の場合、有機過酸化物の分解に起因する臭気が問題となるおそれがある。
分解反応の分解時間は、例えば30秒〜10時間であり、好ましくは1分〜1時間である。分解時間が30秒未満の場合、分解反応が十分に進行しないだけでなく、未分解の有機過酸化物が多量に残存するおそれがある。一方、分解時間が10時間超である場合、副反応である架橋反応の進行が懸念されることや、得られるα−オレフィン重合体が黄変するおそれがある。
ラジカル分解反応は、例えばバッチ法による分解及び溶融連続法による分解のいずれかの方法を用いることで実施できる。
ラジカル分解反応をバッチ法によって実施する場合、攪拌装置の付いたステンレス製等の反応容器に窒素、アルゴン等の不活性ガスを充填し、原料α−オレフィン重合体を入れて加熱溶融させ、溶融した原料α−オレフィン重合体に及び有機化酸化物を滴下して、所定温度で所定時間加熱することでラジカル熱分解反応を実施できる。
上記有機過酸化物の滴下は、上記分解時間の範囲内で滴下するとよく、当該滴下は連続的な滴下及び分割した滴下のいずれでもよい。また、滴下終了時間からの反応時間は、上記反応時間の範囲内とするとよい。
有機過酸化物は、溶媒に溶解して溶液として滴下してもよい。
上記溶媒は、好ましくは炭化水素系溶媒であり、具体例としてはヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、ナノデカン等の脂肪族炭化水素;メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロへキサン、シクロオクタン、シクロドデカン等の脂環式炭化水素;及びベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これら溶媒のなかでも、沸点が100℃以上の溶媒が好ましい。
また、分解の際、原料α−オレフィン重合体を溶媒に溶解させてもよい。原料α−オレフィン重合体を溶媒に溶解して分解する場合の分解温度は、通常100〜250℃の範囲、好ましくは120〜200℃の範囲である。
ラジカル分解反応を溶融連続法によって実施する場合、平均滞留時間でみた反応時間は、例えば20秒〜10分である。溶融連続法はバッチ法と比較して混合状態を良好にでき、反応時間を短くすることができる。
装置は、単軸又は二軸の溶融押出機を用いることができ、好ましくはバレル途中に注入口を有し、減圧脱気が可能な押出機であって、L/D=10以上である押出機である。
溶融連続法によるラジカル分解反応は、上記装置を用いて、有機過酸化物を原料α−オレフィン重合体に含浸させる方法、又は原料α−オレフィン重合体及び有機過酸化物を個別に供給して混合する方法が適用できる。
有機過酸化物の原料α−オレフィン重合体への含浸は、具体的には所定量の有機過酸化物を窒素等の不活性ガス存在下で原料α−オレフィン重合体に添加し、室温〜40℃の範囲で攪拌することで、原料ペレットに均一に吸収含浸させることができる。得られた有機過酸化物を含浸させた原料α−オレフィン重合体(含浸ペレット)を溶融押出によって分解する又は、含浸ペレットをマスターバッチとして原料α−オレフィン重合体に添加して分解することで末端不飽和α−オレフィン重合体が得られる。
尚、有機過酸化物が固体である、又は有機過酸化物が原料α−オレフィン重合体に対して溶解性が低い場合は、有機過酸化物を予め炭化水素溶媒に溶解させた溶液として、原料α−オレフィン重合体に吸収含浸させるとよい。
原料α−オレフィン重合体及び有機過酸化物を個別に供給しての混合は、押出機ホッパー部に一定流量で原料α−オレフィン重合体と有機過酸化物を供給する、又は有機過酸化物をバレル途中に一定流量で供給することで実施できる。
[官能化α−オレフィン重合体]
本発明のα−オレフィン重合体は、これを原料として末端に官能基を有する官能化α−オレフィン重合体を製造することができる。
官能化α−オレフィン重合体は、好ましくは末端不飽和基の5モル%以上が官能基を有し、より好ましくは末端不飽和基の10モル%以上が官能基を有する。
当該官能基は、好ましくは水酸基、エポキシ基、アルコキシ珪素基、アルキル珪素基、カルボキシル基、アミノ基及びイソシアナート基から選択される1以上の官能基である。
また、官能化α−オレフィン重合体は、好ましくは酸無水物構造を有する。酸無水物構造とは、カルボン酸のカルボキシル2個から1分子の水が失われ、2つのアシル基が1個の酸素原子を共有する構造である。一般に、R1COOCOR2で示される。例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等が挙げられる。
α−オレフィン重合体に官能基を付与することで、極性化合物との相溶性及び分散性を向上させることができ、各種ポリマーとの組成物を得ることが容易になる。また、官能化α−オレフィン重合体は、官能基を有することで、水等の極性溶媒への溶解性及び分散性を向上させることができ、エマルジョン系接着剤又は塗料として使用できる。ポリオレフィン系材料への適用としては接着性、塗装性の付与ができ、有機無機顔料の表面状態を改良するため、ポリオレフィン系マスターバッチの製造も可能となるほか、アルコキシ珪素基等では架橋による耐熱性の付与が可能である。
官能基の導入方法としては、例えば無水マレイン酸のエン付加反応;蟻酸/過酸化水素による水酸基の導入;過酢酸によるエポキシ化;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン等のアルコキシシランとの反応によるアルコキシ珪素基の導入;トリノルマルへキシルシラン、トリノルマルオクチルシラン等のアルキルシラン類との反応によるアルキル珪素基の導入;臭化銅/ターシャリブチルパーオキシアセテートによるカルボキシル化;無水マレイン化物とジアミン化合物との反応によるアミノ基の導入;無水マレイン化物とジイソシアネート化合物との反応によるイソシアネート基の導入等が挙げられる。
官能基の導入方法は上記のほか、BH3・THFによるヒドロ硼素化;9−ボランビシクロ[3,3,1]ノナンによる硼素化;イソブチルアルミニウムハイドライド等によるメタル化;ジブロム又は臭化水素によるハロゲン化;蟻酸/コバルト系触媒によるヒドロホルミル化;一酸化炭素/ジコバルトオクタカルボニル触媒によるアルデヒド化;無水酢酸/硫酸によるスルホン化等を用いることができる
本発明の官能化α−オレフィン重合体は、シーリング材、ポッティング材、反応性ホットメルト接着剤、塗料等の用途に用いることができる。
上記2官能以上の多官能性化合物としては、例えば水、;TDI,MDI等のイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジアミン等のアミン化合物;末端水酸基を含有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール類;末端エポキシ基を含有するポリブタジエン変性物;ポリアクリル酸及びアクリル酸共重合体類等を挙げることができる。
官能化α−オレフィン重合体と2官能以上の多官能性化合物との反応は、通常一般に用いられる方法に従うことができ、例えば特開2009−185171公報等に記載された方法に準拠して実施することができる。
具体的には、官能化α−オレフィン重合体の官能基が水酸基の場合、好適に用いることができる2官能以上の多官能性化合物としてはイソシアナート基、カルボン酸基、エポキシ基を有する化合物である。同様に、エポキシ基の場合は、水酸基、アミノ基、イソシアナート基を有する化合物である。アルコキシ珪素の場合は水等の水酸基を有するものである。カルボキシル基の場合は水酸基、エポキシ基、アミノ基を有する化合物である。アミノ基の場合はエポキシ基、イソシアナート基、カルボキシル基である。イソシアナート基の場合は水酸基、アミノ基等の活性水素を有する化合物である。酸無水物構造の場合は水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナート基である。
官能基としてアルコキシ珪素基を含む本発明の官能化α−オレフィン重合体を湿気硬化してなる架橋体は、シーリング材、ポッティング材、反応性ホットメルト接着剤等に用いることができる。
官能基としてアルコキシ珪素基を含む官能化α−オレフィン重合体の湿気硬化は、通常は水分又は湿気と接触させる処理により実施できる。この際の硬化触媒として、シラノール縮合触媒を使用してもよい。
シラノール縮合触媒としては、例えば有機金属触媒類、3級アミン類等を挙げることができる。有機金属類としては、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、オクテン酸錫、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛等を挙げることができる。3級アミン類としては、N−トリエチルアミン、N−メチルモルホリンビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物等を挙げることができる。これら触媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記触媒の中で特に好ましいのはジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテートである。これらの添加量は官能化α−オレフィン重合体に対して、通常0.005〜2.0質量%であり、好ましくは0.01〜0.5質量%である。硬化反応は温度によっても影響を受け、低温ほど遅く、室温では1週間程度の養生期間が必要となる。
本発明のα−オレフィン重合体はSiH基を1分子当り2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと触媒(例えば白金触媒などのヒドロシリル化促進用触媒)と反応させることで硬化組成物を得ることができる。得られる硬化組成物は、高い耐溶媒溶解性及び耐熱性を有する。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、好ましくは以下の(a)、(b)及び(c)を満たすポリシロキサン残基である:
(a)式(A)で表されるシロキサン末端(Aユニット)又は式(B)で表される
シロキサン主鎖(Bユニット)、あるいは両者の構造を有する
(b)ポリシロキサン分子主鎖に、式(C)で表されるシロキサンの繰り返し単位(Cユニット)を有する
(c)Aユニットの数が0〜2個/分子であり、Bユニットの数が0〜10個/分子であり、AユニットとBユニットは同時に0とはならない。Aユニット、Bユニット及びCユニットの合計が1分子当り5〜1500個、好ましくは5〜200個、より好ましくは10〜150個であり、ポリオレフィンとの結合部位以外のポリシロキサン末端はR7又はOR8(R7及びR8は、それぞれ独立に非置換又は置換の炭素数1〜12の1価の炭化水素基を示す)である。
Figure 2013249459
(式中、R2〜R6は、それぞれ非置換又は置換の炭素数1〜12の1価の炭化水素基を示す。*−Siはポリオレフィンとの結合部位を示す。)
2〜R8で示される非置換の炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びフェニル基等が挙げられる。また、置換の炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、上記炭化水素基を、水素原子、アルコキシ基又はアミノ基等で置換した炭化水素基が挙げられる。
上記Aユニットは、反応したシロキサン分子末端に相当する基であり、上記ユニットBは、反応したシロキサン分子の主鎖に存在する基である。上記Aユニット、Bユニット及びCユニットの個数は整数である。但し、上記(a)〜(c)を満足するポリシロキサン残基が分子量分布を有する場合、上記Aユニット、Bユニット及びCユニットの個数は平均値として表されるために正の数となる。
上記SiH基を1分子当り2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、片末端ヒドリドポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン及び分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等が挙げられる。
ポリシロキサン残基は、官能化α−オレフィン重合体の使用目的応じて適宜選定される。官能化α−オレフィン重合体を、樹脂に潤滑性や耐摩耗性を付与する用途に供する場合は、片末端ヒドリドポリジメチルシロキサン残基が好ましい。加えて更に溶融特性や、柔軟性及び耐衝撃性等の機械物性、ガス透過性を樹脂に付与する場合は、2〜10個のヒドリド結合残基を有するポリシロキサン残基が好ましい。また、官能化α−オレフィン重合体を無機フィラーの処理に用いる場合は、アルコキシ基を含有するポリシロキサン残基が好ましい。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明のα−オレフィン重合体又は官能化α−オレフィン重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物(以下、これらをまとめて単に本発明の組成物という場合がある)は、好ましくはさらにフィラー及び/又は顔料を含む。
上記フィラーには、無機フィラー及び有機フィラーがある。
無機フィラーとしては、タルク、ホワイトカーボン、シリカ、マイカ、ベントナイト、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、バリウム化合物、珪藻土、ガラスビーズ又はガラス繊維、金属粉又は金属繊維等が挙げられる。
有機フィラーとしては、でんぷん(例えば粉末状でんぷん)、繊維状皮革(例えば綿、麻等のセルロースからなる天然有機繊維)、及びナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成高分子からなる繊維等が挙げられる。
上記顔料には、無機顔料、有機顔料(例えばアゾ系顔料及び多環式系顔料)がある。
無機顔料としては、酸化物(二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー等、水酸化物として:アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン等)、硫化物(硫化亜鉛、リトポン、カドミウムエロー、朱、カドミウムレッド等)、クロム酸塩(黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート等)、珪酸塩(ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青等)、硫酸塩(沈降性硫酸バリウム、バライト粉等、炭酸塩として:炭酸カルシウム、鉛白等)が挙げられ、これらのほかフェロシアン化物(紺青)、燐酸塩(マンガンバイオレット)、炭素(カーボンブラック)等も用いることができる。
有機顔料であるアゾ系顔料としては、溶性アゾ(カーミン6B、レーキレットC等)、不溶性アゾ(ジスアゾエロー、レーキレット4R等)、縮合アゾ(クロモフタルエロー3G、クロモフタルスカーレットRN等)、アゾ錯塩(ニッケルアゾエロー等)、ペンズイダゾロンアゾ(パーマネントオレンジHL等)が挙げれる。有機顔料である多環式系顔料としては、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ピラゾロン、フラバトロン、アントラキノン、ジケト−ピロロ−ピロール、ピロール、ピラゾロン、ピランスロン、ペリノン、ペリレン、キナクリドン、インジゴイド、オキサジン、イミダゾロン、キサンテン、カルボニウム、ビオランスロン、フタロシアニン、ニトロソ等が挙げられる。
フィラー及び/又は顔料の含有量は、フィラー及び/又は顔料の含有量を(a)とし、本発明のα−オレフィン重合体の含有量を(b)とした場合、例えば(a)/(b)=0.005〜20であり、好ましくは0.01〜10である。
(a)/(b)が0.005未満ではフィラー又は顔料表面の濡れ性、接着性の改良が不十分で、マスターバッチ又は樹脂分散組成物において、フィラー又は顔料の分散性及び、界面接着性が不足するおそれがある。一方、(a)/(b)が20を超えると、表面処理に関与しない(b)成分が存在し、製造コストが上昇して好ましくない。
本発明の組成物は、接着剤、樹脂相溶化剤、分散体又はコーティング剤として好適に用いることができる。
本発明の組成物は、ホットメルト接着剤基材として使用できる。ホットメルト接着剤の他成分としては、オイル、粘着付与材、酸化防止剤等の添加剤等を通常の範囲で使用する。
本発明の組成物は、溶媒に溶解して溶媒型接着剤として用いることができ、塗布、噴霧して接着基材表面に皮膜を形成し被着体と接着することができる。また、本発明の組成物を、水等の極性溶媒に分散させる又はエマルジョンとすることでも接着剤として用いることができる。そのほか、本発明の組成物をシート状又はフイルム状に成形し、接着基材間に挟み込み、接着剤が流動する温度以上に加熱して接着し、冷却固化により接着することができる。
本発明の組成物は、ポリオレフィンを必須成分とする樹脂組成物に対して例えば0.005〜15重量%添加することで、樹脂相溶化剤として使用できる。
本発明の組成物は、溶媒に室温又は加熱して溶解させることで、α−オレフィン重合体が微分散した分散体とすることができる。α−オレフィン重合体の濃度は5〜30質量%の範囲である。
上記溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素系化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素化合物;クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル化合物等が挙げられる。
溶媒に極性溶媒を用いることでエマルジョンとすることができる。極性溶媒としては水;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類等が挙げられる。
分散体の製造方法としては、組成物を溶媒に溶解した溶液を上記極性溶媒に攪拌しながら添加して固体微粒子成分を生成した後、溶媒を留去し、極性溶媒の分散体を製造する例等を例示することができる。
具体的には、テトラヒドロフランの20〜30質量%の溶液を20〜50℃の水に少量ずつ添加した後、減圧状態でテトラヒドロフランを除去し、水の量を所望の濃度に調整して製造する方法等を例示できる。他の方法としては、高速攪拌又は高せん断場で極性溶媒に直接分散する方法等、公知の方法を挙げることができる。必要に応じて、アニオン、カチオン、ノニオンタイプの界面活性剤や水溶性高分子化合物を添加剤として用いてもよい。
上記分散体を基材上に塗布又は噴霧し、溶媒を除去することによりコートすることができる。また、フィルム又はシートを基材上に置き、加熱冷却によりコートすることができる。これらのほか、溶融した官能化α−オレフィン重合体、本発明のα−オレフィン重合体を基材上に均一に塗布し冷却固化工程によりコートすることができる。
本発明の官能化α−オレフィン重合体は、上記と同様に接着剤、樹脂相溶化剤、分散体、コーティング材として用いることができるほか、反応性ホットメルト接着剤、シール材及びポッティング材としても用いることができる。
反応性ホットメルト接着剤は、アルコキシ珪素を含む官能化α−オレフィン重合体、本発明のα−オレフィン重合体を主成分とし、必要に応じてオイル及び粘着付与剤、無機フィラー、シラノール縮合触媒を含む。
上記オイルとしては、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、アロマ系オイル等のオイル及びこれらを混合したオイル、及び、液状ポリブテン、液状イソポリブチレン等の液状ゴムが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
粘着付与剤(粘着性付与樹脂)としては、ロジン及びその誘導体、テルペン系樹脂及びその水素添加型樹脂、スチレン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)系樹脂及びその水素添加型樹脂、脂肪族系(C5系)石油樹脂及びその水素添加型樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂及びその水素添加型樹脂、並びにC5系−C9系の共重合石油樹脂及びその水素添加型樹脂等、通常使用される多くの粘着付与剤の中から、官能化α−オレフィン重合体との相溶性が良好なものが選択される。これらの粘着性付与樹脂の中から1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合物として用いてもよい。
好ましい粘着性付与樹脂としては、再剥離性と、曲面及び凹凸面への接着性とのバランスの観点から、テルペン系樹脂及びその水素添加型樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)系樹脂及びその水素添加型樹脂、脂肪族系(C5系)石油樹脂及びその水素添加型樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂及びその水素添加型樹脂、並びにC5系−C9系の共重合石油樹脂及びその水素添加型樹脂の群から選ばれる1種の樹脂又は2種以上の混合物を用いることが好ましい。
無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉等が挙げられる。
無機フィラーの代わりに無機充填剤を用いてもよく、シラン系やチタネート系等の各種カップリング剤で表面処理を施してもよい。この処理方法としては、乾式法、スラリー法又はスプレー法等の各種カップリング剤で無機質充填剤を直接処理する方法、又は直接法やマスターバッチ法等のインテグラルブレンド法、或いはドライコンセントレート法等の方法が挙げられる。
シラノール縮合触媒は、混和して使用するのがよい。添加方法は予めシラノール縮合触媒の高濃度に入った触媒マスターバッチを調製しておき、触媒マスターバッチと他の反応性ホットメルト成分とをブレンドし、混練もしくは溶融することが好ましい。
シラノール縮合触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート等の有機錫金属化合物;有機塩基、エチルアミン酸等の有機酸、脂肪酸等であり、特に好ましいのはジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテートである。これらの添加量はα−オレフィン重合体変性物に対して、0.005〜2.0質量%であり、好ましくは0.01〜0.5質量%である。
反応性ホットメルト接着剤の硬化方法としては、シラノール縮合触媒の存在下、あるいは不存在下で、水分又は湿気と接触させて加熱処理又は室温下で養生することにより、硬化を行うことができる。
水分又は湿気を接触させるには、例えば反応性ホットメルト接着剤を空気中に放置してもよいし、水槽に浸漬、スチームを導入してもよい。また温度は常温でもよいが、高温にすると短時間で架橋させるので好ましい。
官能化α−オレフィン重合体は、シール材、ポッティング材に用いることができ、架橋性能を要求する場合は上記反応性ホットメルト接着剤と同様に調製することができる。
架橋性能を必要としない場合は官能化α−オレフィン重合体、本発明のα−オレフィン重合体を主成分とした溶融物をシール又はポッティングに用い冷却固化により固定化する。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
合成例1[(1,2’―ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド(錯体A)の合成]
窒素気流下、1000mlのフラスコ内にフェニルマグネシウムブロマイドのジエチルエーテル溶液76.5ml(229.5mmol)を入れて氷浴で冷却した。これに、1−インダノン30g(227.2mmol)をジエチルエーテル300mlに溶解させてゆっくりと滴下した。室温で一時間攪拌した後に、氷浴で冷却し、6mol/lの塩酸を滴下した。室温で攪拌した後に、ジエチルエーテルで有機層を抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水相を分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して、1−フェニルインデン37.2g(193.4mmol)を得た(収率85%)。
次に、得られた1−フェニルインデン16.7g(87.1mmol)を300mlフラスコに入れ、ジメチルスルホキシド70mlに溶解させた。水4mlを入れ、氷浴で冷却した。これに、N−ブロモスクシンイミド15.6g(87.1mmol)をゆっくりと加えた後、室温で10時間攪拌した。これを氷浴で冷却し、水60mlを加えてジエチルエーテルで有機層を抽出した。水相を分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して、2−ブロモ−1−インダン−1−オールの粗生成物24.0g(83.3mmol)を得た(粗収率96%)。
上記で得られた2−ブロモ−1−インダン−1−オールの粗生成物24.0g(83.3mmol)を300mlフラスコに入れ、トルエン200mlに溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.48g(2.5mmol)を加えた。フラスコにディーンスターク管を取り付け、2時間還流した。溶媒を留去し、ジエチルエーテルで有機層を抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水相を分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して、2−ブロモ−1−フェニルインデンの粗生成物を得た。これをカラムで精製し、2−ブロモ−1−フェニルインデン17.9g(66.4mmol)を得た(収率80%)。
次に、窒素気流下で、得られた2−ブロモ−1−フェニルインデン2.7g(10.0mmol)を200mlシュレンク瓶に入れ、ジエチルエーテル50mlに溶解させ、0℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(濃度2.6mol/l)3.8ml(10.0mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。これを再び0℃に冷却し、ジエチルエーテル30mlと、t−ブチルリチウム(t−BuLi)のペンタン溶液(濃度1.6mol/l)12.5ml(20.0mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。
攪拌後、これを−78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン0.6ml(5.0mmol)を滴下し、室温で終夜攪拌した。これを再び−78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン0.6ml(5.0mmol)を滴下し、室温で終夜攪拌した。その後、水を加えて反応を停止すると、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデン)1.1g(2.2mmol)が析出したので、これを濾取した(収率44%)。
次に、シュレンク瓶中で、上記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデン)1.6g(3.2mmol)をジエチルエーテル12.6mlに溶解させ、0℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(濃度2.6mol/l)2.6ml(6.6mmol)を加え、再び室温に戻して1時間攪拌した。
得られた溶液から溶媒を留去し、残留した固体をヘキサン20mlで洗浄した後、減圧乾燥することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデン)のリチウム塩のエーテル付加体を白色固体として定量的に得た。
窒素気流下、上記で得られたリチウム塩のエーテル付加体を塩化メチレン18mlに懸濁させ、−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム0.74g(3.2mmol)の塩化メチレン(8ml)懸濁液を滴下したのち、室温に戻し4時間攪拌した。
得られた溶液を濾過し、濾液を濃縮すると黄色い固体が析出した。これをヘキサン10mlで洗浄すると、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライド(錯体A)の黄色微結晶1.3g(2.0mmol)を得た。(収率62%)
この黄色微結晶の1H−NMRスペクトルを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ0.31(s,−Me2Si−,6H),1.21(s,−Me2Si−,6H),7.18−7.69(m,Ar−H,18H)
実施例1[末端不飽和液状ポリプロピレンの製造]
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、錯体A 0.2マイクロモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.8マイクロモルを加え、更に水素0.05MPaを導入した。攪拌しながらプロピレンを張り込み、全圧0.7MPaまで昇圧し、温度60℃で30分重合した。重合反応終了後、プロピレン、水素を脱圧し、重合液を加熱、減圧下にて乾燥することにより、末端不飽和液状ポリプロピレンを100gを得た。
得られた末端不飽和液状ポリプロピレンについて、下記測定方法にて2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
13C−NMR測定]
下記の装置及び条件にて13C−NMRスペクトルの測定を行い、2,1−結合分率、1,3−結合分率、メソペンタッド分率[mmmm]、及びラセミペンタッド分率[rrrr]を求めた。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:230mg/ミリリットル
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
[DSC測定]
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱量をΔH−D及びガラス転移温度Tgと、また、このとき得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点Tm−Dとして求めた。
[GPC測定]
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置及び条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を得た。
<GPC測定装置>
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
[末端不飽和基濃度]
1H−NMR測定より得られるδ4.8〜4.6(2H)に出現する末端ビニリデン基、δ5.9〜5.7(1H)に出現する末端ビニル基及びδ1.05〜0.60(3H)に出現するメチル基に基づいて、末端不飽和基濃度(C)(モル%)を算出した。
ビニリデン基のCH2(4.8〜4.6ppm)・・・(i)
ビニル基のCH(5.9〜5.7ppm)・・・(ii)
側鎖末端のCH3(1.05〜0.60ppm)・・・(iii)
ビニリデン基量=[(i)/2]/[(iii)/3]×100 モル%
ビニル基量=(ii)/[(iii)/3]×100 モル%
末端不飽和基濃度(C)=[ビニリデン基量]+[ビニル基量]
[1分子当りの末端不飽和基の数]
上記方法により算出した末端不飽和基濃度(C、モル%)と、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)より求めた数平均分子量(Mn)及びモノマー分子量(M)から、下記式により1分子当りの末端不飽和基の数を算出した。
1分子当りの末端不飽和基の数(個)=(Mn/M)×(C/100)
[分解効率]
分解効率は以下の式のより算出し、以下の基準で評価した。
分解効率(%)=[(分解前重量平均分子量(Mw)−分解後重量平均分子量(Mw))/分解前重量平均分子量(Mw)]×100%
○:分解効率≧40%
×:分解効率<40%
[反応性]
ポリメチルヒドロシロキサンを混合し、110℃で2時間かけて硬化させた。その硬化状況を目視で確認し、反応性を評価した。
◎:完全に硬化した状態であった。
○:完全には硬化しなかったが、流動性が無くなる程度には硬化した状態であった。
×:完全に硬化せず、流動性を保持した状態であった。
[流動性]
室温下で目視によって流動性を確認し、以下の基準で評価した。
○:高粘度オイル程度の流動性があった。
△:蜂蜜程度の流動性があった。
×:全く流動性がなかった。
実施例2[末端不飽和液状ポリプロピレンの製造]
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、錯体A 0.2マイクロモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.8マイクロモルを加え、更に水素0.05MPaを導入した。攪拌しながらプロピレンを張り込み、全圧0.7MPaまで昇圧し、温度70℃で30分重合した。重合反応終了後、プロピレン、水素を脱圧し、重合液を加熱、減圧下にて乾燥することにより、末端不飽和液状ポリプロピレンを100gを得た。
得られた末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
実施例3[末端不飽和液状ポリプロピレンの製造]
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、錯体A 0.2マイクロモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.8マイクロモルを加え、更に水素0.05MPaを導入した。攪拌しながらプロピレンを張り込み、全圧0.7MPaまで昇圧し、温度80℃で30分重合した。重合反応終了後、プロピレン、水素を脱圧し、重合液を加熱、減圧下にて乾燥することにより、末端不飽和液状ポリプロピレンを100gを得た。
得られた末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
実施例4[高末端不飽和液状ポリプロピレンの製造]
攪拌装置付きステンレス製反応器(内容量500ml)に実施例1で製造した末端不飽和液状PPを70gを投入した。窒素気流下に30分間攪拌した。
攪拌を開始し、マントルヒーターを用い樹脂温度を160℃に上昇した。マントルヒーターを樹脂温度が230℃と一定になるように制御した。これに、パーヘキサ25B0.4ミリリットルを4分にわたり滴下した。滴下終了後、15分間反応し、その後110℃まで冷却した。
反応終了後、100℃で減圧乾燥を10時間行いラジカル分解し、高末端不飽和液状ポリプロピレンを得た。
得られた高末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
また、得られた高末端不飽和液状ポリプロピレンの収率は仕込末端不飽和液状ポリプロピレンに対して99.3質量%であり、副生成物量は微量であった。
実施例5[高末端不飽和液状ポリプロピレンの製造]
攪拌装置付きステンレス製反応器(内容量500ml)に実施例1で製造した末端不飽和液状ポリプロピレンを70gを投入した。窒素気流下に30分間攪拌した。
攪拌を開始し、マントルヒーターを用い樹脂温度を160℃に上昇した。マントルヒーターを樹脂温度が230℃と一定になるように制御した。これに、パーヘキサ25B0.4ミリリットルを4分にわたり滴下した。滴下終了後、15分間反応し、その後110℃まで冷却した。
反応終了後、100℃で減圧乾燥を10時間行いラジカル分解し、高末端不飽和液状ポリプロピレンを得た。
得られた高末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
また、得られた高末端不飽和液状ポリプロピレンの収率は仕込末端不飽和液状ポリプロピレンに対して99.3質量%であり、副生成物量は微量であった。
合成例2 [(1,1’−エチレン)(2,2’−テトラメチルジシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロライド(錯体B)の合成]
500ミリリットル2口フラスコにマグネシウム(12グラム,500ミリモル)及びテトラヒドロフラン(30ミリリットル)を投入し、1,2−ジブロモエタン(0.2ミリリットル)を滴下することでマグネシウムを活性化した。ここへテトラヒドロフラン(150ミリリットル)に溶解させた2−ブロモインデン(20グラム,103ミリモル)を滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、1,2−ジクロロテトラメチルジシラン(9.4ミリリットル,5.1ミリモル)を0℃で滴下した。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、溶媒を留去し、残渣をヘキサン(150ミリリットル×2)で抽出し、1,2−ジ(1H−インデン−2−イル)−1,1,2,2−テトラメチルジシランを白色固体として得た(15.4グラム,44.4ミリモル,収率86%)。
これをジエチルエーテル(100ミリリットル)に溶解し、0℃でn−ブチルリチウム(2.6モル/リットル,38ミリリットル,98ミリモル)を滴下し、室温で1時間攪拌したところ白色粉末が沈殿した。上澄みを除去し、固体をヘキサン(80ミリリットル)で洗浄して、リチウム塩を白色粉末状固体として得た(14.6グラム,33.8ミリモル,76%)。
これをテトラヒドロフラン(120ミリリットル)に溶解させ、−30℃で1,2‐ジブロモエタン(2.88ミリリットル,33.8ミリモル)を滴下した。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、乾固し、残渣をヘキサン(150ミリリットル)で抽出することにより2架橋配位子を無色オイル状液体として得た(14.2グラム,37.9ミリモル)。
これをジエチルエーテル(120ミリリットル)に溶解させ、0℃でn−ブチルリチウム(2.6モル/リットル,32ミリリットル,84ミリモル)を滴下し、室温で1時間攪拌したところ白色粉末が沈殿した。上澄みを除去し、固体をヘキサン(70ミリリットル)で洗浄することにより2架橋配位子のリチウム塩を白色粉末として得た(14.0グラム,31ミリモル,収率81%)。
得られた2架橋配位子のリチウム塩(3.00グラム,6.54ミリモル)のトルエン(30ミリリットル)懸濁液に、−78℃で四塩化ジルコニウム(1.52グラム,6.54ミリモル)のトルエン(30ミリリットル)懸濁液をキャヌラーにより滴下した。反応混合物を室温で2時間攪拌した後、上澄み液を分離し、さらに残渣をトルエンで抽出した。
減圧下、上澄み液及び抽出液の溶媒を留去して乾固することにより黄色固体として下記式(1)に示す(1,1’−エチレン)(2,2’−テトラメチルジシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロライド(錯体B)を得た(2.5グラム,4.7ミリモル,収率72%)。
Figure 2013249459
1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3):δ0.617(s,6H,−SiMe2−),0.623(s,6H,−SiMe2−),3.65−3.74,4.05−4.15(m,4H,CH2CH2),6.79(s,2H,CpH),7.0−7.5(m,8H,Aromatic−H)
実施例6[末端不飽和液状ポリブテンの製造]
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン(200mL)、トリイソブチルアルミニム(2M、0.2mL、0.4mmol)、ブテン−1(200mL)、錯体B(10μmol/mL、0.20mL、2.0μmol)、東ソーファインケム社製MAO(2000μmol)を加え、さらに水素0.1MPa導入した。撹絆しながら温度を70℃にした後、30分間重合した。重合反応終了後、5mLのエタノールで重合を停止し、反応物を減圧下、乾燥することにより、1−ブテン単独重合体を82g得た
得られた末端不飽和液状ポリブテンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
実施例7[高末端不飽和液状ポリブテンの製造]
攪拌装置付きステンレス製反応器(内容量500ml)に実施例6で製造した末端不飽和液状ポリブテンを70gを投入した。窒素気流下に30分間攪拌した。
攪拌を開始し、マントルヒーターを用い樹脂温度を200℃に上昇した。マントルヒーターを樹脂温度が230℃と一定になるように制御した。これに、パーヘキサ25B0.4ミリリットルを4分にわたり滴下した。滴下終了後、15分間反応し、その後110℃まで冷却した。
反応終了後、100℃で減圧乾燥を10時間行いラジカル分解し、高末端不飽和液状ポリブテンを得た。
得られた高末端不飽和液状ポリブテンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
また、得られた高末端不飽和液状ポリブテンの収率は仕込末端不飽和液状ポリブテンに対して99.3質量%であり、副生成物量は微量であった。
比較例1
Organometallics 2000,19,1870−1878を参考に、錯体C[ジメチルシリレン(η1−tert−ブチルアミド)(η5−テトラメチルシクロペンタジエン)チタニウムジクロライド]を合成した。
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、錯体C 0.2マイクロモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.8マイクロモルを加え、更に水素0.05MPaを導入した。攪拌しながらプロピレンを張り込み、全圧0.5MPaまで昇圧し、温度90℃で60分重合した。重合反応終了後、プロピレン、水素を脱圧し、重合液を加熱、減圧下にて乾燥することにより、末端不飽和液状プロピレンを50gを得た。
得られた末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
比較例2
攪拌装置付きステンレス製反応器(内容量500ml)に比較例1で製造した末端不飽和液状ポリプロピレンを70gを投入し、窒素気流下で30分間攪拌した。
攪拌を開始し、マントルヒーターを用い樹脂温度を160℃に上昇した。マントルヒーターを樹脂温度が230℃と一定になるように制御した。これに、パーヘキサ25B0.4ミリリットルを4分にわたり滴下した。滴下終了後、15分間反応し、その後110℃まで冷却した。
反応終了後、100℃で減圧乾燥を10時間行いラジカル分解高末端不飽和液状ポリプロピレンを得た。
得られた高末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
得られた高末端不飽和液状ポリプロピレンの収率は仕込末端不飽和液状ポリプロピレンに対して99.3質量%であり、副生成物量は微量であった。
比較例3
特開平11−193309を参考に錯体D[ジメチルシリル(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド]を合成した。
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、錯体D 2マイクロモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート8マイクロモルを加え、更に水素0.05MPaを導入した。攪拌しながらプロピレンを張り込み、全圧0.65MPaまで昇圧し、温度70℃で60分重合した。重合反応終了後、プロピレン、水素を脱圧し、重合液を加熱、減圧下にて乾燥することにより、末端不飽和液状ポリプロピレンを30gを得た。
得られた末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
比較例4
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、錯体E[(1,2’―ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビスインデニルジルコニウムジクロリド]0.2マイクロモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.8マイクロモルを加え、更に水素0.05MPaを導入した。攪拌しながらプロピレンを張り込み、全圧0.65MPaまで昇圧し、温度70℃で60分重合した。重合反応終了後、プロピレン、水素を脱圧し、重合液を加熱、減圧下にて乾燥することにより、末端不飽和液状ポリプロピレンを20gを得た。
得られた高末端不飽和液状ポリプロピレンについて、2,1−結合分率、1,3−結合分率、融解吸熱量ΔH−D、ガラス転移温度Tg、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、1分子当りの末端不飽和基の数を測定し、また、分解効率、反応性及び流動性を評価した。結果を第1表に示す。
Figure 2013249459
本発明のα−オレフィン重合体は、末端不飽和基を反応点に用いることで、化学的に不活性なポリオレフィン材料に対して接着性、塗装性、コーティング性の付与、ポリオレフィン以外の樹脂とのアロイ材料の製造、無機・有機フィラーとの組成物等の分野に利用できる。さらに反応性原料として活用することにより、反応型接着剤、反応型ホットメルト接着剤、その他接着剤、粘着剤、封止材、シーリング材、ポッティング材、反応性可塑剤等の用途や原料として幅広く利用できる。

Claims (9)

  1. 下記(1)〜(4)を満たすα−オレフィン重合体。
    (1)2,1−結合分率が0.5モル%未満。
    (2)1,3−結合分率及び1,4−結合分率の合計が0.5モル%未満。
    (3)示差走査熱量計(DSC)で測定した融解吸熱量ΔH−Dが1.0J/g未満。
    (4)プロピレン系重合体又はブテン系重合体である。
  2. さらに、下記(5)〜(8)を満たす請求項1に記載のα−オレフィン重合体。
    (5)メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%未満である。
    (6)ラセミペンタッド分率[rrrr]が20モル%未満である。
    (7)重量平均分子量(Mw)が100〜500,000である。
    (8)分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である。
  3. さらに、下記(9)を満たす請求項1又は2に記載のα−オレフィン重合体。
    (9)1分子当りの末端不飽和基の数が0.5〜2.5個である。
  4. 重量平均分子量(Mw)が300〜50,000である請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィン重合体。
  5. 1分子当りの末端不飽和基の数が1.0〜2.5個である請求項1〜4のいずれかに記載のα−オレフィン重合体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のα−オレフィン重合体を官能化してなる官能化α−オレフィン重合体。
  7. 請求項6に記載の官能化α−オレフィン重合体を含む粘接着剤組成物。
  8. 請求項6に記載の官能化α−オレフィン重合体を含むシーリング材組成物。
  9. 請求項6に記載の官能化α−オレフィン重合体を含むポッティング材組成物。
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