JP2013249260A - 老化抑制剤 - Google Patents

老化抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2013249260A
JP2013249260A JP2012122773A JP2012122773A JP2013249260A JP 2013249260 A JP2013249260 A JP 2013249260A JP 2012122773 A JP2012122773 A JP 2012122773A JP 2012122773 A JP2012122773 A JP 2012122773A JP 2013249260 A JP2013249260 A JP 2013249260A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
compound
aging
sirtuin
alkyl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012122773A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5926616B2 (ja
Inventor
Yuki Katayanagi
悠紀 片柳
Shinjiro Imai
伸二郎 今井
Tsutomu Nakayama
勉 中山
Yasunari Kayashima
泰成 萱嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshin Pharma Inc
University of Shizuoka
Original Assignee
Nisshin Pharma Inc
University of Shizuoka
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Pharma Inc, University of Shizuoka filed Critical Nisshin Pharma Inc
Priority to JP2012122773A priority Critical patent/JP5926616B2/ja
Publication of JP2013249260A publication Critical patent/JP2013249260A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5926616B2 publication Critical patent/JP5926616B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Fodder In General (AREA)

Abstract

【課題】個体の加齢による老化を防止して寿命を延長することができ、且つ長期間摂取しても安全な素材の提供。
【解決手段】下記式(I)で示される化合物を有効成分とするサーチュイン活性化剤または老化抑制剤(式(I)中、R1は飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す)。
【化1】

【選択図】なし

Description

本発明は、老化の抑制に関する。
ヒトを含む動物においては、加齢とともに個体の機能低下、例えば、視力または聴力の低下、運動能力の低下、免疫機能の低下、記憶障害、生体内の各臓器の機能低下などが引き起こされる。このような個体の機能低下を老化と称する。老化は、個体の様々な組織や器官で徐々に進行する多面的な現象である。老化が進行すると、個体はその恒常性を維持することができなくなり、最終的には死に到る。
現在、先進諸国では、医療技術の発達によって人々の寿命そのものは顕著に延長しているが、しかしその一方で、高齢者らは、老化に伴う心身の機能低下により生活に支障が生じたり、様々な疾患に罹患したりするなどの問題を抱えている。高齢者らのための福祉や医療の費用の増加は、先進諸国における深刻な問題となっている。したがって、個体の恒常性を維持し、老化に伴う心身の機能低下や疾患を引き起こすことなく寿命を延長させることができれば、福祉や医療費の抑制および個人のQOL(Quality of life)の観点から有用である。
老化を抑制しまたは寿命を延長する効果を有する薬剤として、いくつかの化合物がこれまでに報告されている。例えば、ワインに含まれているポリフェノールの1種であるレスベラトロールが、高カロリー食を摂取したマウスの寿命を延長させることができることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、より効果の高い老化抑制剤の開発が所望されている。
サーチュイン遺伝子は、その活性化により生物の寿命の延長に貢献することが報告されている遺伝子である。サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子または抗老化遺伝子とも呼ばれている。サーチュイン遺伝子は、酵母のSir2や哺乳類のSIRT1〜7等が知られているが、タンパク質サーチュイン(Sirtuin)をコードしている。サーチュインは、NAD依存的ヒストン脱アセチル化酵素として働き、ヒストンやp53等の転写因子上のアセチル化タンパク質のアセチル基を脱離する。サーチュイン遺伝子が活性化されると、サーチュイン発現が上昇し、その結果様々な遺伝子の発現が調節されることで、寿命が延長すると考えられている(非特許文献2)。サーチュイン遺伝子の活性化による寿命延長効果は、酵母(非特許文献3、4)、線虫(非特許文献5)、ショウジョウバエ(非特許文献6)、マウス(非特許文献7)で報告されている。
サーチュインの寿命延長効果は、サーチュイン発現の増加またはサーチュイン蛋白の活性化によってもたらされる、種々の作用によるものと考えられている。そのような作用としては、加齢による生理学的な機能低下を抑制する作用、(非特許文献8)、自己免疫による障害を回復する作用(非特許文献9)、テロメア遺伝子の不具合に起因する細胞増殖の不具合を回復する作用、神経変性に起因する障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症)を回復する作用、脳における神経栄養因子遺伝子の機能低下を回復し、学習、記憶能力を改善する作用(非特許文献10)等が考えられる。
サーチュインを活性化または老化を抑制する因子としては、カロリー制限やレスベラトロールが以前より知られている(非特許文献2、4等)。さらに最近、レスベラトロールよりも強いサーチュイン活性化作用を有する化合物として、グネツム科植物メリンジョの実もしくは種子の抽出物またはグネチンC(特許文献1)、およびε−ビニフェリン(特許文献2)が開示された。
アルキルレゾシノールは、小麦やライ麦などの多くの植物や菌類に含まれている化合物である。アルキルレゾシノールは、腸内炭水化物加水分解酵素の阻害剤(特許文献3)として知られ、またライ麦の栄養阻害効果への関与が示唆されている(非特許文献11)。しかし、アルキルレゾシノールがサーチュイン蛋白を直接活性化することや老化抑制に貢献することはこれまで知られていなかった。
特開2011−079797号公報 特開2011−057580号公報 特開平5−170645号公報
Baur et al, Nature, 444:337-342 (2006) Tissenbaum and Guarente, Dev Cell, 2:9-19 (2002) Kaeberlein et al, Genes Dev, 13:2570-2580 (1999) Howitz et al, Nature 425:191-196 (2003) Tissenbaum and Guarente, Nature, 410:227-230 (2001) Rogina and Helfand, Proc Natl Acad Sci U S A, 101:15998-16003 (2004) Kanfi et al, Nature 483:218-221 (2012) Colak Y et al, Med Sci Monit. May;17(5):HY5-9 (2011) Kong S et al, Immunol Cell Biol. Jan;90(1):6-13 (2012) Carafa V et al, Front Pharmacol. 3:4. Epub (2012) Ross et al, Nutrition Review, 62:81-95 (2004)
本発明は、生体の恒常性維持に有効であり、個体の老化を防止して寿命を延長することができ、且つ長期間継続的に摂取しても安全な素材の提供を課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するアルキルレゾルシノール類が、サーチュイン活性化作用および老化抑制作用を有し、個体の寿命を延長させる効果をもたらすことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(I):
(式中、R1は飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す)
で表される化合物を有効成分とするサーチュイン活性化剤を提供する。
また、本発明は、上記式(I)で表される化合物を有効成分とする老化抑制剤を提供する。
本発明のサーチュイン活性化剤および老化抑制剤によれば、生体の機能や恒常性を維持したまま、寿命を延長させることができる。また当該本発明の剤によれば、個体の老化を抑制し、その寿命を延長させることができる。さらに、当該本発明の剤の有効成分であるアルキルレゾルシノールは、穀物に含まれる成分であるため、連続的に服用しても有害な副作用がなく、安全性が高い。
式(I)化合物によるサーチュイン活性化。 式(I)化合物によるサーチュイン活性化。 試験例3で計測された雄ショウジョウバエの生存曲線。 試験例3で計測された雌ショウジョウバエの生存曲線。 試験例3で計測された雄ショウジョウバエの平均寿命。エラーバー=標準偏差 試験例3で計測された雌ショウジョウバエの平均寿命。エラーバー=標準偏差
本発明のサーチュイン活性化剤または老化抑制剤は、下記式(I)で表されるアルキルレゾルシノール化合物(本明細書において以下、式(I)化合物とも称する)を有効成分とする。
式(I)中、R1は、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基を表す。R1で表されるアルキル基の炭素数は、制限されるものではないが、好ましくは1〜23、より好ましくは3〜23、さらに好ましくは5〜21、なお好ましくは5、7、9、11、13、15、17、19および21である。
好ましくは、R1は、飽和または不飽和の直鎖アルキル基であり、より好ましくは飽和直鎖アルキル基である。R1で表される飽和直鎖アルキル基の例としては、メチル、n−プロピル、n−ペンチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−ウンデシル、n−トリデシル、n−ペンタデシル、n−ヘプタデシル、n−ノナデシル、n−ヘンイコシル、n−トリコシルなどが挙げられる。
1で表される不飽和直鎖アルキル基の不飽和結合の位置や数は、特に制限されるものではない。当該不飽和直鎖アルキル基の例としては、上述した飽和直鎖アルキル基の炭素鎖上の任意の位置に不飽和結合を有するアルキル基が挙げられる。
1で表される飽和または不飽和の分岐鎖アルキル基の分岐の位置や数、および不飽和結合の位置や数は、特に制限されるものではない。
式(I)中、R2は、水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
式(I)中、好ましくはR1はR2のパラ位に位置する。
上記式(I)化合物の好ましい例としては、以下が挙げられる。
5−ペンチルレゾルシノール[オリベトールまたは1,3−ジヒドロキシ−5−n−ペンチルベンゼン(C5:0)]
5−ヘプチルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−ヘプチルベンゼン(C7:0)]
5−ノニルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−ノニルベンゼン(C9:0)]
5−ウンデシルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−ウンデシルベンゼン(C11:0)]
5−トリデシルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−トリデシルベンゼン(C13:0)]
5−ペンタデシルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−ペンタデシルベンゼン(C15:0)]
5−ヘプタデシルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−ヘプタデシルベンゼン(C17:0)]
5−ノナデシルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−ノナデシルベンゼン(C19:0)]
5−ヘンイコシルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−ヘンイコシルベンゼン(C21:0)]
5−トリコシルレゾルシノール[または1,3−ジヒドロキシ−5−n−トリコシルベンゼン(C23:0)]
上記式(I)化合物は、市販品を入手することができ、また、植物から常法により抽出することができる。市販品は、ReseaChem GmbH、SIGMA−ALDRICHなどから購入することができる。さらに上記式(I)の化合物は、国際公開WO2007/77770号パンフレットなどを参考にして、化学合成法により製造することもできる。
式(I)化合物を含有する植物としては、ウルシ科、イチョウ科、ヤマモガシ科、ヤブコウジ科、サクラソウ科、ニクズク科、アヤメ科、サトイモ科、マメ科、イネ科などに属する植物、およびキク科のヨモギが挙げられる。これらの植物の中でも、イネ科植物は、可食部にアルキルレゾルシノールを含有しているため、式(I)化合物の原料として好ましい。イネ科植物の中でも、小麦およびライ麦がより好ましい。さらに、小麦およびライ麦の糟糠類および全穀粒は、式(I)化合物を豊富に含有しているため(全粒質量の0.015〜0.3質量%程度)、式(I)化合物の原料のさらに好適な例として挙げられる。イネ科植物の発酵物もまた、式(I)化合物の原料の好ましい例として挙げられる。
上記植物からの式(I)化合物の抽出方法としては、上記植物またはその発酵物を常圧または加圧下で室温または加温した抽出溶媒中に必要に応じて攪拌しながら浸漬させる方法、還流抽出法、などが挙げられる。上記植物は、抽出溶媒に添加される前に、必要に応じて切断、粉砕、圧搾、乾燥、またはそれらの組み合わせにかけられてもよい。
上記抽出溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびn−ブタノールなどの低級アルコール、および1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールなどの室温で液体であるアルコール類;ジエチルエーテルおよびプロピルエーテルなどのエーテル類;酢酸ブチルおよび酢酸エチルなどのエステル類;アセトンおよびエチルメチルケトンなどのケトン類;ヘキサン;ならびにクロロホルム、などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記の溶媒のうち、操作性や環境に対する影響などの点から、室温で液体であるアルコール類、例えば、炭素原子数1〜4の低級アルコールを用いるのが好ましく、残留溶媒による安全性の観点からはエタノールを用いるのがより好ましい。
上記有機溶媒には、さらに水性成分が含まれている含水有機溶媒も包含され得る。抽出効率を高く保持する観点からは、上記含水有機溶媒中の水性成分の含有量は、通常50体積%以下、好ましくは30体積%以下、より好ましくは20体積%以下であるのが望ましい。含水有機溶媒としては、好ましくは上記のような室温で液体であるアルコール類にさらに水性成分が含まれている含水アルコール、より好ましくは含水エタノールが挙げられる。
抽出のための温度および時間は、使用する抽出溶媒の種類や抽出条件などによって適宜設定することができるが、抽出温度は2〜100℃、抽出時間は30分〜60時間程度とするのが好ましい。抽出溶媒の量は、上記イネ科植物またはその発酵物100質量部に対し、好ましくは200〜2000質量部程度にすればよい。
次いで、抽出液および残渣を含む混合物を、必要に応じて濾過または遠心分離などに供し、残渣である固形成分を除去して、式(I)化合物を含む抽出物を得る。なお、除去した固形成分を再度、抽出溶媒を用いた抽出操作に供することもでき、さらにこの操作を何回か繰り返してもよい。また得られた抽出物を、さらに液体クロマトグラフィー等により精製することが好ましい。このようにして得られた式(I)化合物を含む抽出物は、そのまま、または必要に応じて、さらに濃縮、凍結乾燥、熱風乾燥、粉砕、粉末化、分級、希釈、加水混合などの処理を施した後、本発明に使用することができる。
式(I)化合物は、後述の実施例に示すように、サーチュイン蛋白SIRT1を活性化する作用を有し、また動物個体の寿命を延長する作用を有する。したがって、式(I)化合物は、サーチュイン活性化、寿命の延長、老化抑制、加齢とともに生じ得る疾患や状態の予防もしくは改善、等のために使用することができる。
従って、本発明は、式(I)化合物を有効成分とするサーチュイン活性化剤を提供する。また本発明は、式(I)化合物を有効成分とする老化抑制剤を提供する。また本発明は、式(I)化合物を有効成分とする寿命延長剤を提供する。また本発明は、式(I)化合物を有効成分とする、加齢とともに生じ得る疾患や状態の予防もしくは改善剤を提供する。一実施形態において、上記の剤は、式(I)化合物から本質的に構成されていてもよい。別の実施形態において、上記の剤は、式(I)で示される化合物を含有する植物抽出物、好ましくは小麦またはライ麦抽出物を含む。
本明細書において、「老化」としては、加齢とともに生じる動物個体の生理機能低下、例えば、視力または聴力の低下、運動能力の低下、恒常性維持機能の低下、免疫機能の低下、記憶障害等の脳機能の低下、生体内の各臓器の機能低下などが挙げられる。本明細書において、「老化抑制」とは、上記加齢とともに生じる動物個体の生理機能低下の抑制、当該生理機能低下に起因する疾患や障害の抑制、および老化の進行による個体の死の抑制(すなわち、寿命の延長)を含む概念である。
また本明細書において「加齢とともに生じ得る疾患や状態」としては、上述の加齢とともに生じる動物個体の生理機能低下に起因する種々の疾患や状態、例えば、自己免疫による障害、テロメア遺伝子の不具合に起因する細胞増殖の不具合、神経変性に起因する障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症)、脳における神経栄養因子遺伝子の機能低下、学習、記憶能力の低下等が挙げられる。
式(I)化合物は、食経験が豊富な小麦やライムギに含まれている成分であることから、長期間継続的摂取しても生体に有害な作用をもたらす懸念が少ない、安全な化合物である。したがって、式(I)化合物は、健常者や成人だけでなく、本発明を特に必要とする高齢者または病弱者にも、安全且つ継続的に接種され得る。したがって、式(I)化合物は、ヒトまたは動物用の医薬、飲食品、飼料等として、あるいはそれらを製造するために有用である。
よって、本発明はまた、式(I)化合物を有効成分として含有する医薬、飲食品、および飼料を提供する。当該医薬、飲食品、および飼料は、サーチュイン活性化、寿命の延長、老化抑制、加齢とともに生じ得る疾患や状態の予防もしくは改善、等のために使用することができる。
上記医薬は、式(I)化合物を有効成分として含有するサーチュイン活性化薬、寿命延長薬、老化抑制薬、加齢とともに生じ得る疾患や状態の予防もしくは改善薬、等であり得る。上記医薬の剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤等の経口剤、および吸入剤、経皮製剤、坐剤等の経腸製剤、点滴剤、注射剤等の非経口剤が挙げられる。上記液剤、懸濁剤等の液体製剤は、服用直前に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよく、上記錠剤および顆粒剤は周知の方法でその表面をコーティングされていてもよい。また上記注射剤は、必要に応じて溶解補助剤を含む式(I)化合物の滅菌蒸留水または滅菌生理食塩水の溶液であり得る。
上記医薬は、有効成分である式(I)化合物に加えて、必要に応じて薬学的に許容される種々の担体、例えば賦形剤、安定化剤、その他の添加剤等を含有していてもよく、あるいは、さらに他の薬効成分、例えば各種ビタミン類、ミネラル類、生薬等を含有していてもよい。当該医薬は、式(I)化合物またそれを含有する植物抽出物に、上述の担体および他の薬効成分を配合し、常法に従って製造することができる。
上記飲食品または飼料は、式(I)化合物を有効成分として含有し、且つサーチュイン活性化、寿命の延長、老化抑制、加齢とともに生じ得る疾患や状態の予防もしくは改善、等の効果を企図して、その旨を表示した健康食品、機能性飲食品、特定保健用飲食品、病者用飲食品、家畜、競走馬、鑑賞動物等のための飼料、ペットフード等であり得る。
上記飲食品および飼料の形態は特に制限されず、式(I)化合物を配合できる全ての形態が含まれる。例えば当該形態としては、固形、半固形または液状であり得、あるいは、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル、顆粒、ドリンク、ゲル、シロップ、経管経腸栄養用流動食等の各種形態が挙げられる。
具体的な飲食品の形態の例としては、緑茶、ウーロン茶や紅茶等の茶飲料、コーヒー飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、アルコール飲料、精製水等の飲料、バター、ジャム、ふりかけ、マーガリン等のスプレッド類、マヨネーズ、ショートニング、クリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ、味噌汁、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープまたはソース類、菓子(例えばビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)等が挙げられる。
上記飼料は上記飲食品とほぼ同様の組成や形態で利用できることから、本明細書における飲食品に関する記載は、飼料についても同様に当てはめることが出来る。
上記飲食品および飼料は、式(I)化合物またそれを含有する植物抽出物に飲食品や飼料の製造に用いられる他の飲食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、各種油脂、種々の添加剤(たとえば呈味成分、甘味料、有機酸等の酸味料、界面活性剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、色素、フレーバー)等を配合して、常法に従って製造することができる。あるいは、通常食されている飲食品または飼料に式(I)化合物またそれを含有する植物抽出物を配合することにより、本発明に係る飲食品または飼料を製造することができる。
上記医薬、飲食品または飼料における式(I)化合物の含有量は、所望のサーチュイン活性化効果、寿命延長効果、老化抑制効果等の効果が得られる量であればよく、医薬の剤型や食品の形態、投与または摂取する個体の種、症状、年齢、性別などに応じて適宜変更され得る。ヒトを対象とする場合、通常、式(I)化合物の好ましい投与量は、成人1人1日当たり0.01〜10gであり得る。当該1日投与量は、1回で投与されてもよいが、数回に分けて投与されてもよい。上記医薬の剤型もしくは投与レジメン、または上記飲食品もしくは飼料の形態は、当該投与量を適切に管理できるような形であることが望ましい。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1 式(I)化合物を含有するライ麦抽出物の製造
ライ麦外皮2gを、マルチビーズショッカー(多検体細胞破砕機/MB301(S):安井器械株式会社製)で粉砕した後、5倍量のエタノールを添加して、150rpm、室温の条件で2時間振とう抽出し、次いで、3500rpm、室温の条件で15分間遠心分離し、上清を遠心濃縮機で乾燥して、ライ麦外皮エタノール抽出物を得た。この抽出物を高速液体クロマトグラフィーを用いて精製し、分析したところ、1,3−ジヒドロキシ−5−n−ペンタデシルベンゼン(C15:0)、1,3−ジヒドロキシ−5−n−ヘプタデシルベンゼン(C17:0)、1,3−ジヒドロキシ−5−n−ノナデシルベンゼン(C19:0)、および1,3−ジヒドロキシ−5−n−ヘンイコシルベンゼン(C21:0)を合計で約80%含有していた。
試験例1 式(I)化合物によるサーチュイン活性化−1
試験化合物として、1,3−ジヒドロキシ−5−n−ヘプタデシルベンゼン(C17:0)(ReseaChem GmbH社より購入)を使用した。サーチュインSIRT1の活性化を、SIRT1/Sir2 Deacetylase Fluorometric Assay Kit(サイクレックス社)を使用して以下に示す方法により測定した。エタノールにより各濃度に調整した試験化合物の溶液に、終濃度で50mMのTris−HCl(pH8.8)、0.5mMのDTT、0.25mAU/mlのLysylendopeptidase、1μMのTrichostatin A、200μMのNAD、20μMの蛍光基質ペプチド、および0.02U/mLのSIRT1酵素を添加混合した。対照として、試験化合物溶液の代わりにエタノールのみを添加した。当該混合物の蛍光を、25℃にて60分間、蛍光プレートリーダーにより、励起波長350nm、発光波長450nmにてカイネティックス測定した。
試験化合物(終濃度10μM)によるSIRT1活性化のカイネティックスカーブを図1に示す。対照と比べて、試験化合物による蛍光強度の変化の初速は増加していることから、試験化合物がSIRT1酵素活性を直接的に活性化したことが確認された。
試験例2 式(I)化合物によるサーチュイン活性化−2
試験化合物として、オリベトール[1,3−ジヒドロキシ−5−n−ペンチルベンゼン(C5:0)](SIGMA−ALDRICHより購入)を使用し、試験例1と同様の手順で蛍光のカイネティックス測定を行い、SIRT1酵素活性を評価した。試験化合物の最終濃度は1、10および100μMとした。反応時間1000秒における、蛍光強度の対照(エタノール)に対する増加率を図2に示す。試験化合物により濃度依存的にSIRT1酵素活性が増強されたことが示された。
試験例3 式(I)化合物によるショウジョウバエの生存期間延長
(ショウジョウバエの準備)
被験対象として、多くのショウジョウバエ研究で野生型相当として扱われる系統であり、Magwire et al, PLoS Genet, 6:e1001037, 2010 他に記載されている系統であるDrosophila melanogaster W1118を、ショウジョウバエ遺伝資源センター(京都市右京区嵯峨一本木町1、京都工芸繊維大学内)より入手して使用した。ショウジョウバエの継代飼育には、通常培地(10%D−グルコース、7%コーンミール、4%エビオス、0.55%寒天、および防腐剤として0.3%プロピオン酸、0.35%p−butyl p−hydroxybenzoateを含む)を用いた。
培地を敷いた飼育容器(バイアル瓶:直径3cm×高さ9cm)内にショウジョウバエの成虫を放ち、室温25℃、12時間明暗、湿度50%に保たれた部屋で飼育を行った。成虫は培地上に産卵し、孵化した幼虫はバイアル瓶の側面に這い上がり蛹になる。蛹から羽化した成虫を新たな飼育容器に移し継代を行った。なお、4〜5日毎に培地の交換を行った。
(試験培地)
上記通常培地に製造例1で調製したライ麦外皮エタノール抽出物の精製物を、式(I)化合物(C15:0、C17:0、C19:0、C21:0の混合物)として0.07質量%になるよう添加した培地を、試験培地とした。陽性対照として、上記通常培地に100μMレスベラトロールを添加し調製した通常培地を、陰性対照として、化合物非添加の通常培地を使用した。
(生存期間測定)
本試験例におけるショウジョウバエ生存期間測定の手順は、ショウジョウバエ成虫個体の生存期間を測定するための一般的な方法(例えば、Muffat et al, Proc Natl Acad Sci U S A, 105:7088-7093, 2008などに記載の方法)に準拠した。各培地を敷いたバイアル瓶に、羽化直後のショウジョウバエ成虫を1バイアルにつき雄20匹または雌20匹を入れて飼育した。バイアル瓶は雌雄各24バイアル作製した。ハエを週に2回新鮮な培地に移し、死亡したハエの数を培地交換のときに計数した。雄および雌のそれぞれについて全個体の生存日数の平均値を求め、平均寿命とした。
図3に雄ショウジョウバエの生存曲線を、図4に雌ショウジョウバエの生存曲線を示す。雄雌のショウジョウバエともに、陰性対照に比べて、式(I)化合物を含む試験培地群では生存期間が延長した。試験培地群の生存期間は、雄では、陽性対照(レスベラトロール)群と同程度またはそれ以上に延長されており、雌では、陽性対照群での生存期間延長が顕著ではなかったが、陽性対照群と比べて大幅に延長されていた。雄および雌ショウジョウバエの平均寿命を、それぞれ図5および図6に示す。試験培地群の平均寿命は、陰性対照に比べて10日程度延長した。雄では、試験培地群、陽性対照群共に、有意(P≦0.005)に平均寿命を延長した。雌では、試験培地群が陰性対照群に比べて有意(P≦0.005)に平均寿命を延長した。

Claims (11)

  1. 下記式(I)
    (式中、R1は飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す)
    で示される化合物を有効成分とするサーチュイン活性化剤。
  2. 1がR2のパラ位に位置する、請求項1記載のサーチュイン活性化剤。
  3. 1が炭素数1〜23の飽和直鎖アルキル基である、請求項1または2記載のサーチュイン活性化剤。
  4. 2が水素原子である、請求項1〜3のいずれか1項記載のサーチュイン活性化剤。
  5. 前記式(I)で示される化合物を含有する小麦またはライ麦抽出物を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のサーチュイン活性化剤。
  6. 下記式(I)
    (式中、R1は飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す)
    で示される化合物を有効成分とする老化抑制剤。
  7. 1がR2のパラ位に位置する、請求項6記載の老化抑制剤。
  8. 1が炭素数1〜23の飽和直鎖アルキル基である、請求項6または7記載の老化抑制剤。
  9. 2が水素原子である、請求項6〜8のいずれか1項記載の老化抑制剤。
  10. 前記式(I)で示される化合物を含有する小麦またはライ麦抽出物を含む、請求項6〜9のいずれか1項記載の老化抑制剤。
  11. 寿命延長のために使用される、請求項6〜10のいずれか1項記載の老化抑制剤。
JP2012122773A 2012-05-30 2012-05-30 老化抑制剤 Active JP5926616B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012122773A JP5926616B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 老化抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012122773A JP5926616B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 老化抑制剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013249260A true JP2013249260A (ja) 2013-12-12
JP5926616B2 JP5926616B2 (ja) 2016-05-25

Family

ID=49848310

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012122773A Active JP5926616B2 (ja) 2012-05-30 2012-05-30 老化抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5926616B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10226441B2 (en) 2014-12-09 2019-03-12 Nihon Sizen Hakkoh Co., Ltd. Aging inhibitor
JP2019172579A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 国立研究開発法人産業技術総合研究所 サーチュイン活性促進剤
JP2020028227A (ja) * 2018-08-20 2020-02-27 帝人株式会社 サーチュインタンパク質活性化組成物
CN113768907A (zh) * 2021-10-29 2021-12-10 北京工商大学 十七烷基间苯二酚在制备改善肌肉运动功能障碍产品中的应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000044460A (ja) * 1998-07-29 2000-02-15 Tekunooburu:Kk 皮膚外用剤
CA2716261A1 (en) * 2009-10-02 2011-04-02 Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc. Compositions comprising an nfkb-inhibitor and a non-retinoid collagen promoter
JP2011246353A (ja) * 2010-05-22 2011-12-08 Pola Chemical Industries Inc 皮膚外用剤

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000044460A (ja) * 1998-07-29 2000-02-15 Tekunooburu:Kk 皮膚外用剤
CA2716261A1 (en) * 2009-10-02 2011-04-02 Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc. Compositions comprising an nfkb-inhibitor and a non-retinoid collagen promoter
JP2011246353A (ja) * 2010-05-22 2011-12-08 Pola Chemical Industries Inc 皮膚外用剤

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015041653; Journal of the Science of Food and Agriculture Vol.92, 2011, p.29-36 *
JPN6015041656; Drug Discovery Today: Therapeutic Strategies Vol.7, No.3-4, 2010, p.51-56 *
JPN6015041658; Nutrition Reviews Vol.62, No.3, 2004, p.81-95 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10226441B2 (en) 2014-12-09 2019-03-12 Nihon Sizen Hakkoh Co., Ltd. Aging inhibitor
JP2019172579A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 国立研究開発法人産業技術総合研究所 サーチュイン活性促進剤
JP2020028227A (ja) * 2018-08-20 2020-02-27 帝人株式会社 サーチュインタンパク質活性化組成物
JP7088779B2 (ja) 2018-08-20 2022-06-21 帝人株式会社 サーチュインタンパク質活性化組成物
CN113768907A (zh) * 2021-10-29 2021-12-10 北京工商大学 十七烷基间苯二酚在制备改善肌肉运动功能障碍产品中的应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP5926616B2 (ja) 2016-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101982326B1 (ko) 근육 질환 예방, 개선 또는 치료용 또는 근 기능 개선용 조성물
JP6745250B2 (ja) モリンガエキス
JP6684966B2 (ja) 新規なラクトバチルス・サケイ及びそれを含む組成物
JP2009013123A (ja) 健康保持剤
JP2023157951A (ja) 肝臓機能改善用組成物
JP5926616B2 (ja) 老化抑制剤
KR101695848B1 (ko) 진세노사이드 f2를 포함하는 비알코올성 간 질환 또는 인슐린 저항성의 예방 또는 치료용 조성물
JP5594819B2 (ja) 脂質代謝改善用組成物
JP5940347B2 (ja) 過活動膀胱の予防又は改善剤
CN107580496B (zh) 绞股蓝皂苷75的抗糖尿效果
JP2006347927A (ja) 疲労改善剤
JP7265591B2 (ja) 脳機能改善用組成物
EP2992933B1 (en) Ginsenoside f2 for prophylaxis and treatment of liver disease
JP2009249320A (ja) 肥満・糖尿病改善剤
JP7229513B2 (ja) 脳の機能改善剤および脳の機能改善用飲食品
KR101927399B1 (ko) 지방간 치료용 또는 예방용 조성물
JP2007070263A (ja) 糖尿病予防用組成物
US20210085742A1 (en) Fruit extract and uses thereof
JP2007051103A (ja) 抗酸化組成物
JP2014152118A (ja) 老化抑制剤
JP2012180340A (ja) 脳機能低下抑制剤
JP7088779B2 (ja) サーチュインタンパク質活性化組成物
JP7206623B2 (ja) 糖代謝異常の予防および改善用組成物
JP6179840B2 (ja) サルナシ由来の高極性有機溶媒抽出物とその利用
JP2011006324A (ja) 新規化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5926616

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250