JP2013247721A - 異方性磁石ロータとその製造方法およびそれらを用いたモータ - Google Patents

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弘紀 浅井
Shinichi Tsutsumi
慎一 堤
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Abstract

【課題】異方性磁石を接合して異方性磁石ロータを作製した場合、極間部の配向方向が非連続となるため着磁量不足やゼロクロス位置のズレなどが発生し、異方性磁石ロータの磁束に乱れが生じて表面磁束密度波形に影響するという問題があった。本発明は、表面磁束密度波形を均質で安定させた異方性磁石ロータとその製造方法およびそれを備えたモータを提供する。
【解決手段】本発明の異方性磁石ロータ1は、複数の磁極に対応して設けられる複数の第1磁石部成形体5と、第1磁石部成形体5の間に設けられる第2磁石部成形体10と、を備え、隣接して円環状に設けられる第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10において、第1磁石部成形体5の磁化容易軸と第2磁石部成形体10の磁化方向を揃えて、磁極間近傍の第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10の磁化方向が周方向で連続的に変化するように設けた構成を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、異方性磁石ロータとその製造方法およびそれらを用いたモータに関する。
近年、モータの小型化・高性能化に対応するために、モータの固定子(ステータ)に装着される磁石の小型・高性能化が要望されている。それを実現するために、モータは、磁極に対応して、径(ラジアル)方向に配向を制御した複数の円弧形状の異方性磁石を用いた異方性磁石ロータを採用している。
しかし、ラジアル方向に配向を有する異方性磁石ロータを用いたモータは、一般に、コギングトルクが大きいため、円弧形状の異方性磁石の磁極端部の磁束量を低減させる必要があった。そこで、円弧形状の異方性磁石端部の薄肉化などによる異方性磁石形状の異形化、あるいは極中心で径方向に配向を集中させ、極間部の配向を円周方向に制御した異方性磁石構成などにより、磁極端部の磁束量を低減させていた。
なお、異方性磁石の配向方向の制御は、主に径方向に向くラジアル配向型、一方向に向く平行配向型、極中心方向に配向を集中させる極集中配向型の3種類に大別される。そして、ラジアル配向型や平行配向型は、成形金型の外側から電磁石などにより発生させた磁界で、磁性粉末を配向させながら成形して異方性磁石を作製する。また、極中心方向に配向させる方法としては、成形時の金型に配向用の磁界を発生させる磁場発生装置を別に配置し、配向磁場中で所望の方向に配向させながら成形する方法と、一軸方向に磁場中で磁場配向を成形した後、機械的に変形させて所望の配向方向に異方性磁石を配向させる方法がある。
また、異方性磁石の配向方向を制御する別の方法としては、例えば径方向(ラジアル方向)に配向方向を固定して形成し、磁石厚さを変えて磁石の形状により制御する方法がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
まず、特許文献1の従来の異方性磁石ロータは、一方向に配向した磁石を多角形に加工し、多角形の磁石を組み合わせることによりロータ表面の磁束集中と整流作用の改善によりモータ特性の向上を図っている。そのため、異方性磁石の配向方向は、非連続である。
また、特許文献2の従来の異方性磁石ロータは、径(ラジアル)方向に配向された異方性磁石と、異方性磁石に対して直角方向に配向させた異方性磁石または等方性磁石を組み合わせた磁石部で構成されている。これにより、モータ特性の向上を図っている。しかし、異方性磁石はラジアル方向に配向させ、異方性磁石と接する磁石部は直角方向に配向させているため、異方性磁石と磁石部との接触部分において磁化方向に連続性がなく、磁化方向が安定しない。また、磁石部として、等方性磁石を配置した場合においても、ラジアル方向に配向した異方性磁石の配向方向と連続するように等方性磁石を着磁することは困難で、異方性磁石ロータ全体で、磁化方向が安定しない。
上記課題を解決するために、所望の方向で配向設計した金型を配向磁場中に配置して一体成形し、さらに一体成形した異方性磁石の肉厚を適正量に制御している。また、成形時に、磁場中で一軸方向に配向させながら成形した成形体を、機械的に変形させて所望の配向方向に配向を制御して、モータ特性の向上を図っている。
特開2009−261167号公報 特開平6−86484号公報
しかしながら、上記の機械的な変形により、極間部の配向方向を円周方向に近い角度まで制御して形成した異方性磁石を複数枚接合して異方性磁石ロータを作製した場合でも、極間部の配向方向は非連続となる。そのため、異方性磁石ロータの着磁時において、位置ズレなどにより着磁ヨークが発生する磁界方向と、異方性磁石の磁粉の配向方向が整合しない場合、着磁量不足やゼロクロス位置のズレなどが発生する。その結果、異方性磁石ロータの磁束に乱れを生じ、表面磁束密度波形に影響を及ぼすとともに、不完全着磁により異方性磁石ロータの減磁性能が低下するという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するために、表面磁束密度波形を均質で安定させた異方性磁石ロータとその製造方法およびそれを備えたモータの提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の異方性磁石ロータは、複数の磁極に対応して設けられる複数の第1磁石部成形体と、第1磁石部成形体の間に設けられる第2磁石部成形体と、を備えている。さらに、隣接して円環状に設けられる第1磁石部成形体と第2磁石部成形体において、第1磁石部成形体の磁化容易軸と第2磁石部成形体の磁化方向を揃えて、磁極間近傍の第1磁石部成形体と第2磁石部成形体の磁化方向が周方向で連続的に変化するように設けた構成を有する。
つまり、第1磁石部成形体の磁化容易軸の配向方向と第2磁石部成形体の磁化方向を揃えることにより、着磁ヨークで異方性磁石ロータを一体着磁する際、第1磁石部成形体の配向方向は円周方向に極端に近づける必要がなく、極間部分には着磁ヨークが作る磁界により極の反転が実施される。また、第1磁石部成形体においても、成形時、極間に相当する端部の部分は、成形時の配向磁場が低い領域となるため、円周方向に極端に近づける必要がなく、第1磁石部成形体の端部の配向方向も安定させることができる。
これにより、第1磁石部成形体の変形量の大きい端部に別の第2磁石部成形体を組み合わせて異方性磁石ロータを形成できる。その結果、変形量の大きい端部で発生しやすい機械的な変形時に生じる第1磁石部成形体の配向の乱れが抑制され、極中心方向への磁力を向上させることができる。
本発明によれば、極間部の非連続な配向を低減して、異方性磁石ロータの磁路を安定化できる。また、異方性磁石ロータを構成する複数の異方性磁石である第1磁石部成形体を高精度に形成する必要がない。また、第1磁石部成形体である異方性磁石間の極間部分に配置する第2磁石部成形体に等方性磁石を用いることにより、異方性磁石ロータのコストを低減できる。
本発明の実施の形態における異方性磁石ロータの構成を示す概略図 同実施の形態における異方性磁石ロータの製造方法を説明するフローチャート (a)〜(e)同実施の形態の異方性磁石ロータの第1磁石部成形体の製造方法の主なステップを説明する模式図 (a)〜(d)本発明の実施の形態における別の例の異方性磁石ロータの製造方法のステップを説明する概略図 同実施の形態の図4(a)〜(d)に示す異方性磁石ロータの製造方法の概略を説明する断面図 (a)〜(e)同実施の形態の異方性磁石ロータの別の例の第1磁石部成形体の製造方法の主なステップを説明する模式図 同実施の形態における異方性磁石ロータの別の例の構成を示す概略図
以下、本発明の実施の形態の異方性磁石ロータとその製造方法およびそれを備えたモータについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態における異方性磁石ロータの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における異方性磁石ロータの構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施の形態の異方性磁石ロータ1は、極集中配向させた第1磁石部成形体5と、第1磁石部成形体5の両端部の極間領域に設けられた第2磁石部成形体10が、例えば円環状に配置されて構成されている。第1磁石部成形体5は、例えば薄片形状のNdFeB粒子などからなる異方性磁石から構成されている。第2磁石部成形体10は、着磁により磁化方向が決められる等方性磁石から構成されている。なお、第1磁石部成形体5の磁化方向は、成形時に配向させた磁粉の磁化容易軸の方向が配向方向となるように形成されている。
このとき、図1に示すように、第1磁石部成形体5である各異方性磁石の中央部では極中心方向に磁化容易軸が配向するように形成され、各異方性磁石の両端部では異方性磁石ロータ1の周方向から中央部に向かって徐々に配向方向が変化して磁化容易軸が揃うように形成されている。一方、第2磁石部成形体10である等方性磁石は、着磁により、異方性磁石ロータ1の周方向に磁化方向を揃えて形成されている。
これにより、隣接する第1磁石部成形体5の端部間で発生する磁化容易軸の非連続な配向を、第2磁石部成形体10で補間して、磁束の方向(磁路)を連続的に形成することができる。その結果、第1磁石部成形体5間の磁束の乱れを防止し、表面磁束密度波形をより均一で安定させることができる。
また、変形が容易な第2磁石部成形体10を第1磁石部成形体5間に設けることにより、第1磁石部成形体5を高精度に成形する必要がない。その結果、生産性を高めて低コストで異方性磁石ロータ1を形成できる。
また、第2磁石部成形体10に安価な等方性磁石を用いることにより、第1磁石部成形体5を構成する高価な異方性磁石の使用量を低減できる。これにより、異方性磁石ロータ1の特性を低下させずに、コストを低減できる。
以下に、本発明の実施の形態における異方性磁石ロータの製造方法の一例について、図2と図3(a)〜(e)を用いて説明する。
図2は、同実施の形態における異方性磁石ロータの製造方法を説明するフローチャートである。
図2に示すように、はじめに、異方性磁石コンパウンドを、以下の方法により形成する(ステップS10)。
まず、異方化されたNdFeB磁粉と、アセトンに溶解した、例えば軟化温度が80℃のノボラック型エポキシ樹脂とをニーダで十分に混合する。その後、アセトンを気化・蒸発させて、NdFeB磁粉の表面にエポキシ樹脂の皮膜を形成する。
同様に、SmFeN微粉末と、アセトンに溶解した、例えば軟化温度が80℃のノボラック型エポキシ樹脂とをニーダで混合する。その後、アセトンを気化・蒸発させて、SmFeN微粉末の表面にエポキシ樹脂の皮膜を形成する。
そして、エポキシ樹脂で被覆された、NdFeB磁粉およびSmFeN微粉末と、柔軟性と接着性を付与させるためのポリアミド樹脂と潤滑剤とを、ミキサーなどで混合して混合物を作製する。このとき、NdFeB磁粉とSmFeN微粒子の混合比率を、3:2とした。また、エポキシ樹脂は重量比(wt%)で1.1wt%で、ポリアミド樹脂および潤滑剤は合わせて重量比(wt%)で2.8wt%である。
なお、上記混合比率や重量比などは、上記値に限定されるものではなく、要求される特性に応じて、変更できることはいうまでもない。
そして、上記混合物を、例えば混錬装置である、加熱したロールの隙間に連続的に投入し、混錬して混錬物を作製する。これにより、ポリアミド樹脂が軟化して、混合物に練りこまれる。このとき、ポリアミド樹脂が溶融する温度までロールを加熱する必要がないので、混錬時のロールの温度を、例えば140℃に加熱する。なお、混錬装置としては、上記ロールによる方法以外に、エクストルーダなどを用いることができる。
そして、上記磁粉材料とポリアミド樹脂を混錬した混錬物を、室温まで冷却した後、粉砕もしくは解砕して、例えば粒度350μm以下の顆粒状粉末に調整する。このとき、硬化開始温度が170℃の、例えばイミダゾール系の微粉末状の硬化剤を、顆粒状粉末に添加・混合して、異方性磁石コンパウンドを作製する。
つぎに、図2に示すように、上記異方性磁石コンパウンドを用いて、以下の方法により成形体を形成する(ステップS20)。
まず、例えばコの字形状のキャビティを有する金型を準備する。上記異方性磁石コンパウンドを金型のキャビティ内に充填する。
そして、異方性磁石コンパウンドを充填した金型を、充填した異方性磁石コンパウンドの磁粉を任意の方向に配向させる磁場を発生させる磁場発生装置の磁極間に配置する。その後、異方性磁石コンパウンドの磁粉を、所定の方向に配向させるために磁場発生装置の磁極間に磁界を発生させる。
そして、配向磁界を金型に充填された異方性磁石コンパウンドの磁粉に加えた状態で、例えばキャビティの両側からパンチに圧力を加えて圧縮成型を行う。これにより、異方性磁石コンパウンドの磁粉の配向方向が一定の方向に揃った(例えば、図3(a)参照)、コの字形状の成形体20が形成される。このとき、圧縮成型は、例えば金型の温度160℃、成形圧力150MPa、配向磁場1.3MA/m、成形時間は30秒の条件で行う。また、磁場配向成形は、直交磁場成形で行う。なお、例えばΦ50mmで10極構成の異方性磁石ロータを作製する場合、1極分のコの字形状の成形体として、幅(横方向)14mm、高さ(縦方向)13mmの形状で形成される。しかし、異方性磁石ロータの大きさや極数に応じて、コの字形状の成形体の寸法が変わることはいうまでもない。
そして、圧縮成型後、上記状態で、例えば交番磁界を印加して磁界強度を徐々に減衰させる脱磁方法で、少なくとも金型の脱磁を行う。これにより、以降のステップでの、磁粉の金型への付着を防止できる。なお、脱磁は、交番磁界の印加以外に、圧縮成型時とは逆方向に直流磁界を印加して行ってもよい。
つぎに、図2に示すように、上記成形体20を用いて、以下の方法により第1磁石部成形体を形成する(ステップS30)。ここで、第1磁石部成形体の詳細な形成方法は、図3(a)〜(e)を用いて説明する。図3(a)〜(e)は、同実施の形態の異方性磁石ロータの第1磁石部成形体の製造方法の主なステップを説明する模式図である。
まず、コの字形状の成形体20の未硬化体および、上金型11と下金型12と図示しないダイスの少なくとも3つの部品からなる変形金型を、恒温槽に置き、成形体中に含有されている硬化剤の硬化開始温度以下の、例えば160℃に加熱する。このとき、図3(a)に示すように、上金型11は、所望の異方性磁石ロータの外径5b(図1参照)形状を形成する凹状円弧部11aを有している。下金型12は、所望の異方性磁石ロータの内径5a(図1参照)形状を形成する凸状円弧部12bを有している。なお、コの字形状の成形体20を磁場中で変形させないので、上金型11や下金型12の材質は、非磁性材料で形成する必要はなく、例えばS45Cの焼入れ品や、炭化タングステン(WC)などの超硬材料を用いることが好ましい。
そして、図3(a)に示すように、160℃に保持した成形体20を、下金型12上の中心部近傍で、成形体20のコの字の両端が凸状円弧部12b上に載置する。その後、上金型11の凹状円弧部11aを成形体20と対向して配置する。このとき、コの字形状の成形体20を、下金型12の中心部近傍に配置するために、例えば位置決め用の冶具を用いて配置することが好ましい。
そして、図3(b)に示すように、上金型11と下金型12を上下方向から、例えば変形時間30秒で、変形荷重20MPaを加えて、成形体20を機械的に、所定の厚みになるまで変形させる。このとき、成形体20のコの字形状の両端部は、下金型12の凸状円弧部12bに沿って変形する。これにより、図3(a)に示すコの字形状の成形体20では同一方向に磁化容易軸が配向している磁粉14は、変形によりコの字形状の両端部において、磁粉14の長軸が凸状円弧部12bの径方向に揃って配向する。一方、成形体20のコの字形状の中央部では、磁粉14の配向方向がほとんど変形せず、凸状円弧部12bの径方向に磁粉14の磁化容易軸が揃って形成される。
そして、図3(c)に示すように、さらにコの字形状の成形体20を変形すると、成形体20のコの字形状の中央部の磁粉14の変形は、成形体20のコの字形状の両端部により制限される。つまり、下金型12の凸状円弧部12bに沿って、成形体20のコの字形状の中央部の磁粉14の配向方向(磁化容易軸)が揃うように変形する。
そして、図3(d)に示すような、所定の厚みを有する円弧形状の第1磁石部成形体5が形成される。ここで、第1磁石部成形体5の厚さ(肉厚)は、例えば1.5mmになるように、上金型11と下金型12との加圧後の位置を規制することにより設定される。なお、図3(d)では、図示していないが、円弧形状の第1磁石部成形体5のテーパ状の側面を形成する冶具が設けられていることは、いうまでもない。
そして、成形体20を取り出すと、図3(e)で示すように、磁粉が矢印で示す配向方向に揃った円弧形状の第1磁石部成形体5が形成される。
そして、第1磁石部成形体5の形成用に作製された異方性磁石コンパウンドに混合された硬化剤の硬化温度以上の温度で加熱することにより、第1磁石部成形体5を硬化する。
つぎに、図2に示すように、以下の方法により第2磁石部成形体10を形成する(ステップS40)。なお、基本的には、等方性磁石からなる第2磁石部成形体10も圧縮成形により、例えば図1に示すような所望の形状に形成する。
まず、第2磁石部成形体10を形成するために、等方的な磁気特性を有する等方性磁粉と、磁粉間を結合させるエポキシ樹脂などからなるバインダー樹脂と、エポキシ樹脂を硬化する硬化剤と、潤滑剤とを準備する。なお、潤滑剤は、磁石コンパウンドを金型キャビティに充填したときの充填性や成形後の成形体と金型との離型を良好にするために配合する。
つぎに、上記等方性磁粉、バインダー樹脂、硬化剤を混合もしくは混錬し、所定の粒度に粉砕・分級した後、潤滑剤を混合して磁石コンパウンドを作製する。
つぎに、図1に示すような、異方性磁石ロータ1の第1磁石部成形体5間の第2磁石部成形体10の形状に相当するキャビティを有する金型に、常温で磁石コンパウンドを充填する。
そして、金型のキャビティに充填された磁石コンパウンドを、所定の圧力で圧縮成形する。
これにより、異方性磁石ロータ1を構成する所望の形状の等方性磁石からなる第2磁石部成形体10が形成される。
つぎに、図2に示すように、上記第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10を、以下の方法により配置して異方性磁石ロータ1を形成する(ステップS50)。
まず、第1磁石部成形体5である異方性磁石と、第2磁石部成形体10である等方性磁石を、例えば嫌気性接着剤などを用いて、ロータコア13に固定する。この場合、それぞれの第1磁石部成形体5と、それぞれの第2磁石部成形体10を、個別に以下の方法により接着して形成する。
はじめに、所定の形状で形成されたロータコア13を準備する。そして、ロータコア13に、図3(e)で形成された、円弧形状の第1磁石部成形体5の中央部を極中心の位置に合わせて挿入して接着する。
そして、隣接する第1磁石部成形体5の端部に相当する極間部分に、第2磁石部成形体10である等方性磁石を配置して接着する。これにより、異方性磁石ロータ1が形成される。
つぎに、図2に示すように、上記異方性磁石ロータ1を、以下の方法により着磁する(ステップS60)。なお、第1磁石部成形体5の着磁は、第1磁石部成形体5単独で行ってもよい。しかし、通常、複数の第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10を、例えばロータコア13に接着して異方性磁石ロータ1を形成した後に着磁が行われる。
そこで、異方性磁石ロータ1を形成した後に、着磁する場合を例に、以下では説明する。
まず、異方性磁石ロータ1を、所定の方向に着磁できる専用の着磁ヨークに装着して、着磁する。このとき、着磁ヨークは、各円弧形状の第1磁石部成形体5の磁粉の配向方向に、ほぼ着磁方向が合うように設計して作製されている。また、第1磁石部成形体5間で、極間部分に配置された第2磁石部成形体10の着磁は、着磁ヨークで発生される磁界により、異方性磁石ロータ1の周方向に沿って着磁される。なお、円弧形状の第1磁石部成形体5は、配向方向に磁化容易軸を有しているので、必ずしも、着磁ヨークの着磁方向と円弧形状の第1磁石部成形体5の磁粉の配向方向を一致させなくともよい。
上記本実施の形態の製造方法により、図1の矢印で示すように所定の配向方向に着磁された異方性磁石ロータ1が作製される。
そして、上記により得られた異方性磁石ロータ1と、ステータとを組み合わせることにより、本実施の形態のモータが作製される。
以上で説明したように、本実施の形態によれば、隣接する第1磁石部成形体5の端部間で発生する磁化容易軸の非連続な配向方向を、円周方向に磁化方向を有する第2磁石部成形体10を介在させて補間することにより、磁束の方向(磁路)を連続的に形成することができる。その結果、第1磁石部成形体5間の磁束の乱れを防止し、表面磁束密度波形がより均一で安定した異方性磁石ロータ1を作製できる。
なお、本実施の形態では、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10を、ロータコア13に接着して異方性磁石ロータ1を形成した例で説明したが、これに限られない。例えば、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10を、予めリング(円環)状に接合してロータコアに接着してもよい。
以下にその方法について、図4(a)〜(d)と図5を用いて説明する。なお、この場合、図3(a)〜(e)を用いて説明した、円弧形状の第1磁石部成形体5を用いる必要がないので、図3(a)に示すコの字形状の成形体20を例に説明する。
図4(a)〜(d)は、本実施の形態における別の例の異方性磁石ロータの製造方法のステップを説明する概略図である。図5は、同実施の形態の図4(a)〜(d)に示す異方性磁石ロータの製造方法の概略を説明する断面図である。
まず、図4(a)に示すように、同じ外径寸法で形成されている、第1磁石部成形体5および第2磁石部成形体10の内周面を支持する円筒形状の、内径保持冶具21と、ロータコア22と、ロータコア22の下部を支持するロータコア押え冶具23とを一体化する(以下、「一体化冶具」と記す)。これにより、ロータコア22は、ロータコア押え冶具23と内径保持冶具21との間に配置される。このとき、内径保持冶具21と、ロータコア22と、ロータコア押え冶具23の外径寸法を同一寸法とすることにより、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10が、滑らかに移送できるように段差がなく連続して一体化される。なお、内径保持冶具21、ロータコア22、ロータコア押え冶具23は、例えばS45Cなどの金型に用いる材料を用いることができる。ここで、内径保持冶具21のロータコア22と対向する面には、少なくとも2つの位置決め部を構成する位置決め突起21aを有している。ロータコア押え冶具23のロータコア22と対向する面には、少なくとも2つの位置決め部を構成する位置決め突起23aを有している。そして、ロータコア22の内径保持冶具21の位置決め突起21aおよびロータコア押え冶具23の位置決め突起23aと対向する位置には、位置決め部を構成する位置決め穴22aが設けられている。
また、内径保持冶具21の外周面には、異方性磁石ロータの極数(例えば、8本)に対応し、コの字形状の成形体20の両端部に相当する位置に、溝21bが設けられている。これにより、コの字形状の成形体20の両端部の内径側を保持(嵌合)して内径保持冶具21に対してコの字形状の成形体20の位置決めができる。なお、内径保持冶具21の溝21bの深さは、ロータコア22側に向かうほど段階的に浅くなるように形成する。これにより、以降で説明する、コの字形状の成形体20をロータコア22側に移送させるにつれて、コの字形状の成形体20の端部を外周方向に広げることができる。
つぎに、図4(b)と図5に示すように、一体化冶具を上下一対の成形冶具26を構成する下側の成形冶具26上に配置する。そして、内径保持冶具21の外周面に未硬化の、例えば8極分に相当するコの字形状の成形体20の両端部を溝21bに対応させて配置するとともに、第2磁石部成形体10である等方性磁石を、コの字形状の成形体20間に配置して固定する。
つぎに、内径保持冶具21の外周面に配置されたコの字形状の成形体20および第2磁石部成形体10の外周側に外径保持磁石圧着冶具25を配置する。外径保持磁石圧着冶具25は、コの字形状の成形体20と第2磁石部成形体10の外周側への広がりを防止するとともに、それらの外径寸法を規定する。
このとき、上述した内径保持冶具21と、ロータコア22と、ロータコア22の下部を支持するロータコア押え冶具23とからなる一体化冶具および外径保持磁石圧着冶具25を、恒温槽で、例えば160℃で保持する。そして、コの字形状の成形体20と第2磁石部成形体10は、例えば160℃の高温環境下で、120秒間保持した後、160℃に保持された一体化冶具の内径保持冶具21の外周面に取り付けられる。
つぎに、図4(b)と図5に示すように、コの字形状の成形体20と第2磁石部成形体10の上方から、上側の成形冶具26を内径保持冶具21に挿入して配置する。
つぎに、図4(c)と図5に示すように、上側の成形冶具26を内径保持冶具21に沿って挿入し、コの字形状の成形体20と第2磁石部成形体10をロータコア22側に押し出して変形させながら、成形する。このとき、内径保持冶具21の溝21bが、ロータコア22側に向かって段階的に浅くなるように設けられているため、少なくともコの字形状の成形体20の両端部は段階的に外周方向に広げられる。
そして、ロータコア22の方向にコの字形状の成形体20と第2磁石部成形体10を移送してゆくと、内径保持冶具21の表面に形成された溝21bが消失して、内径保持冶具21の外周面は、略円形形状(円形形状を含む)となる。これにより、移送されたコの字形状の成形体20は、内径保持冶具21で、図3(e)に示すような円弧形状の第1磁石部成形体5に変形されながら、第1磁石部成形体5の端部と第2磁石部成形体10とが接合される。このとき、成形体20中に含有されている結合剤の樹脂の柔軟性を利用するために、樹脂の一部が軟化する温度、例えば140℃に加熱して変形させることが好ましい。
さらに、ロータコア22の方向に、成形体20と第2磁石部成形体10を移送すると、ロータコア22の下部に配置されたロータコア押え冶具23を下端として、最終的に接合された第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10との内側にロータコア22が配置される。このとき、ロータコア22に形成した位置決め穴22aを基準として、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10が配置された内径保持冶具21の位置決め突起21aにより、ロータコア22と第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10との圧着位置が一通りに決まり、固定される。これにより、ロータコア22の位置決め穴22aを基準に、着磁器の着磁位置を調整して、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10の配向方向と着磁器から発生する磁界方向とを合わせて着磁することができる。その結果、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10の不完全な着磁部の発生を防止するとともに、極間のばらつきも低減できる。
なお、図5に示すように、ロータコア22と成形体20とが圧着される外径保持磁石圧着冶具25の内周部分には、テーパ部25aが形成されている。テーパ部25aは、外径保持磁石圧着冶具25の最大内径がΦ50mmの場合、例えば0.1mm程度小さくなるように形成されている。そのため、ロータコア22の方向に、成形体20と第2磁石部成形体10が移送されるにしたがって、成形体20と第2磁石部成形体10の外周側は連続的に内側に絞られて(圧縮されて)、周方向に広がる。これにより、第1磁石部成形体5の端部と第2磁石部成形体10の端部が完全に接合される。
つぎに、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10とがロータコア22に接合された状態で、含有されている硬化剤の硬化温度である、例えば170℃の恒温槽中で、例えば20分の所定時間保持して、第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10を熱硬化する。これにより、高い真円度の異方性磁石ロータ1が実現される。
つぎに、図4(c)に示す状態で、室温まで冷却する。これにより、ロータコア22の表面に倣うように第1磁石部成形体5と第2磁石部成形体10が密着固定して一体化する。
そして、図4(d)に示すように、室温まで冷却した後、内径保持冶具21、ロータコア押え冶具23、外径保持磁石圧着冶具25および上下の成形冶具26を取り外して、異方性磁石ロータ1を離型する。このとき、外径保持磁石圧着冶具25の内径側表面に、樹脂との離型性が良好で、樹脂との被着性の小さい、例えばフッ素系の皮膜などでコーティングを施すことが望ましい。これにより、異方性磁石ロータと各冶具との離型性がさらに向上する。
上記の製造方法により、本実施の形態の異方性磁石ロータ1が作製される。
以上で説明したように、本実施の形態の異方性磁石ロータの別の例の製造方法によれば、第1磁石部成形体5を個別に形成する必要がないので、異方性磁石ロータの形成工程を簡略化して生産性を向上できる。
また、本実施の形態では、凸状円弧部12bを有する下金型12を用いて第1磁石部成形体5を形成する例で説明したが、これに限られない。例えば、下金型12の凸状円弧部12b上に、所定の間隔で、少なくとも2つの、例えば半円状の凸部12aを設けた下金型12を用いて、以下に示す方法により第1磁石部成形体15を作製してもよい。
以下に、凸部12aを設けた下金型12を用いて、第1磁石部成形体15を形成する方法について、図6(a)〜(e)と図7を用いて、説明する。なお、基本的には、図3(a)〜(e)の製造方法と同様であるので、同様の工程は簡単に説明し、異なる工程を詳細に説明する。
図6(a)〜(e)は、同実施の形態の異方性磁石ロータの別の例の第1磁石部成形体の製造方法の主なステップを説明する模式図である。図7は、本発明の実施の形態における異方性磁石ロータの別の例の構成を示す概略図である。
まず、コの字形状の成形体20の未硬化体および、上金型11と下金型12など、例えば160℃に加熱する。なお、凸部12aの形状は、凸状円弧部12bの曲率より大きい形状であれば任意である。また、凸部12aの高さは、以下で述べる第1磁石部成形体15の径方向の肉厚に対して、例えば0.01%から40%の範囲で設けられている。具体的には、第1磁石部成形体15の肉厚が1.5mmの場合、凸部12aの高さは10μm(0.6%程度)以上で500μm(35%程度)で、好ましくは50μm以上で150μmである。また、凸部12aの周方向の幅は、50μmから1500μm程度で、好ましくは500μm以上で1000μmである。
そして、図6(a)に示すように、成形体20を、下金型12上の中心部近傍で、成形体20のコの字形状の両端部が凸部12aを内包するように配置して載置する。その後、上金型11の凹状円弧部11aを成形体20と対向して配置する。
そして、図6(b)に示すように、上金型11と下金型12を上下方向から加圧することにより、成形体20を機械的に変形させる。このとき、成形体20のコの字形状の両端部は、下金型12の凸状円弧部12bに沿って変形する。これにより、図6(a)に示すコの字形状の成形体20では同一方向(鉛直方向)に磁化容易軸が配向している磁粉14は、変形によりコの字形状の両端部において、磁粉14の長軸が凸状円弧部12bの径方向に揃って配向する。一方、成形体20のコの字形状の中央部では、磁粉14の配向方向がほとんど変化せず、凸状円弧部12bの径方向に磁粉14の磁化容易軸が揃って形成される。なお、磁粉14の長軸とは、薄片形状の磁粉における長手方向で、短手方向は短軸である。また、磁粉14の磁化容易軸とは、上記の例の場合、磁粉14の長軸と短軸で形成される面に直交する方向である。
そして、図6(c)に示すように、さらにコの字形状の成形体20を変形すると、下金型12の凸部12aにより、成形体20は、コの字形状の中央部の磁粉14の変形が制限されながら変形する。つまり、凸部12aにより、下金型12の凸状円弧部12bに沿って、磁粉14がランダムに変形することが防止される。その結果、成形体20のコの字形状の中央部の磁粉14の配向方向を、さらに均一にできる。
そして、図6(d)に示すような、所定の厚みを有する円弧形状の第1磁石部成形体15が形成される。このとき、図6(e)に示すように、第1磁石部成形体15には、下金型12の凸部12aが転写されて、凹部36を有する円弧形状の第1磁石部成形体35が形成される。
これにより、第1磁石部成形体35の中央部35a近傍の磁化容易軸の配向方向35b(図6(e)中の矢印方向)を、より均一に揃えることができる。
そして、上記で図2のステップS50とステップS60を用いて説明したように、第1磁石部成形体35と第2磁石部成形体10を、配置して異方性磁石ロータを形成して、所定の方向に着磁する着磁ヨークにより異方性磁石ロータを着磁する。
これにより、図7に示す極中心方向への磁力を、さらに向上させた異方性磁石ロータ45が作製できる。このとき、第1磁石部成形体35の凹部36を、異方性磁石ロータ45形成時の位置決めに利用することにより、極中心方向と対向した位置に、精度よく第1磁石部成形体35を配置して異方性磁石ロータ45を作製できる。
また、本実施の形態の異方性磁石ロータを用いることにより、極中心方向への磁力が向上した、小型で、さらに磁力の強い高性能なモータを実現できる。
なお、本実施の形態では、下金型の凸部の断面形状が、半円状を例に説明したが、これに限られない。例えば、断面形状が台形状、三角形状などの多角形や、卵形状でもよい。つまり、成形体を機械的に変形させるときに、コの字形状の成形体の中央部の磁粉の配向方向を乱さないように変形できる形状であれば、任意である。そのため、第1磁石部成形体または異方性磁石ロータの内径側に形成される凹部36の形状も、下金型の凸部の形状に応じて形成されることはいうまでもない。
また、本実施の形態では、コの字形状の成形体を例に説明したが、これに限られない。例えば、成形体の両端部が、ハの字形状に開いた形状でも、R状の曲線であってもよい。
また、本実施の形態では、具体的な数値を例に説明したが、示した数値に限定されず、形成する第1磁石部成形体、第2磁石部成形体および異方性磁石ロータの形状、組成、特性などに応じて、好ましい条件の値で行われることはいうまでもない。特に、成形体を機械的に変形させる際の荷重の範囲は、例えば5〜40MPaで、変形時の温度や磁石材料に含まれる樹脂量により、条件にあった荷重に調整することが好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、用いる材料などを変更して実施することが可能である。
(実施例)
(1)異方性磁石コンパウンドの作製
まず、実施の形態で説明したように、異方化されたNdFeB磁粉とSmFeN微粉末とを、アセトンに溶解した、例えば軟化温度が80℃のノボラック型エポキシ樹脂とをニーダでそれぞれ十分に混合する。その後、アセトンを気化・蒸発させて、NdFeB磁粉とSmFeN微粉末それぞれの表面にエポキシ樹脂の皮膜を形成した。
そして、NdFeB磁粉およびSmFeN微粉末と、柔軟性と接着性を付与させるためのポリアミド樹脂と潤滑剤とを、ミキサーなどで混合して混合物を作製した。このとき、NdFeB磁粉とSmFeN微粒子の混合比率は、3:2とした。また、エポキシ樹脂の樹脂量は、全体に対する重量比(wt%)で1.1wt%で、ポリアミド樹脂および潤滑剤の樹脂量は、合わせて重量比(wt%)で2.8wt%である。
上記混合物を、例えば140℃に加熱したロールの隙間に連続的に投入し混錬して混錬物を作製した。これにより、ポリアミド樹脂を軟化させて、混合物に錬り込んだ。
上記混錬物を、室温まで冷却した後、粉砕もしくは解砕して、例えば粒度350μm以下の顆粒状粉末に調整した。このとき、硬化開始温度が170℃のイミダゾール系の微粉末状の硬化剤を、顆粒状粉末に添加・混合して、異方性磁石コンパウンドを作製した。
(2)成形体の作製
つぎに、上記異方性磁石コンパウンドを用いて、成形体を形成した。
まず、例えばコの字形状のキャビティを有する金型に異方性磁石コンパウンドを充填した。
そして、異方性磁石コンパウンドを充填した金型を、磁場発生装置の磁極間に配置して、磁場を印加することにより、異方性磁石コンパウンドの磁粉を、所定の方向に配向させた。
そして、配向磁界を金型に充填された異方性磁石コンパウンドの磁粉に加えた状態で、例えばキャビティの両側からパンチに圧力を加えて圧縮成型を行い、幅14mm、高さ13mmのコの字形状の成形体を形成した。このとき、圧縮成型は、例えば金型の温度160℃、成形圧力150MPa、配向磁場1.3MA/m、成形時間は30秒の条件で行った。
(3)第1磁石部成形体の作製
つぎに、上記成形体を用いて、第1磁石部成形体を作製した。
まず、コの字形状の成形体の未硬化体および上金型と下金型と図示しないダイスの少なくとも3つの部品からなる変形金型を、160℃の恒温槽に放置して加熱した。
つぎに、160℃に保持した成形体を下金型上の中央部に配置し、成形体の上部に上金型を配置する。そして、下金型と上金型を上下方向から、変形時間30秒で変形荷重20MPaを成形体に加えて、厚さが1.5mmになるように変形させて、第1磁石部成形体を作製した。このとき、変形前のコの字形状の成形体は、縦13mm、横14mmの大きさであった。これは、変形後の大きさが、ロータの外径がΦ50mmで10極中の1極分に相当する大きさである。
(4)第2磁石部成形体の作製
つぎに、等方性の磁石コンパウンドを用いて、第2磁石部成形体を作製した。
はじめに、等方性の磁石コンパウンドは、以下の手順により作製した。
まず、等方性の磁気特性を有する、例えばNdFeB磁粉を、アセトンに溶解した、例えば軟化温度が80℃のエポキシ樹脂とをニーダで十分に混合した。その後、アセトンを気化・蒸発させてNdFeB磁粉の表面にエポキシ樹脂の被膜を形成した。
つぎに、表面にエポキシ樹脂の被膜したNdFeB磁粉を室温まで冷却した後、粉砕もしくは解砕して、例えば粒度250μm以下の顆粒状粉末に調整した。このとき、硬化開始温度が170℃の、例えばイミダゾール系の微粉末状の硬化剤を顆粒状粉末に添加・混合して等方性の磁石コンパウンドを作製した。
つぎに、上記等方性の磁石コンパウンドを、図1に示す第2磁石部成形体の所定の形状のキャビティを形成した金型内に充填した。つまり、第2磁石部成形体を形成する金型は、図1に示す第1磁石部成形体の極間部分に配置される形状に合わせたキャビティを有している。
そして、等方性の磁石コンパウンドを充填した金型で、磁石コンパウンドを、例えば成形圧力800MPa、成形温度は常温、配向磁場なしの条件で、圧縮成形して、第2磁石部成形体を作製した。
(5)異方性磁石ロータの作製
つぎに、第1磁石部成形体と第2磁石部成形体を用いて、異方性磁石ロータを作製した。
まず、所定の形状で形成されたロータコアに、10極分の円弧形状の第1磁石部成形体の中央部を極中心の位置に合わせて挿入し、接着した。
そして、第1磁石部成形体の端部に相当する極間部分に、第2磁石部成形体である等方性磁石を配置して接着した。
これにより、異方性磁石ロータを作製した
(6)異方性磁石ロータの着磁
上記で作製した異方性磁石ロータを、所定の方向に着磁できる専用の着磁ヨークに装着して、着磁した。このときの着磁条件は、例えば着磁時に流す着磁電流で10kAである。
(7)特性比較
上記で作製された異方性磁石ロータの表面磁束密度波形のピーク値と面積を、従来のロータと比較した。その結果、本実施の形態で作製した異方性磁石ロータは、従来のロータの表面磁束密度波形のピーク値は同じであったが、表面磁束密度波形の面積は、3%程度減少した。
また、異方性磁石ロータの100℃における減磁耐力を、従来のロータと比較した。その結果、本実施の形態で作製した異方性磁石ロータは、従来のロータに比べて、減磁率が0.5〜1.0%程度向上することがわかった。
本発明の異方性磁石ロータは、第1磁石部成形体により磁化容易軸の配向方向を極中心部に集中して配向させるとともに、第2磁石部成形体により極間部分の配向方向も連続的に変化させることができる。これにより、未着磁部分を低減して、磁気特性の低下や表面磁束密度波形の対称性を改善できる。そのため、振動や騒音を低減したモータなどの技術分野に有用である。
1,45 異方性磁石ロータ
5,15,35 第1磁石部成形体(異方性磁石)
5a 内径
5b 外径
10 第2磁石部成形体(等方性磁石)
11 上金型
11a 凹状円弧部
12 下金型
12a 凸部
12b 凸状円弧部
13 ロータコア
14 磁粉
20 成形体
21 内径保持冶具
21a,23a 位置決め突起(位置決め部)
21b 溝
22 ロータコア
22a 位置決め穴(位置決め部)
23 ロータコア押え冶具
25 外径保持磁石圧着冶具
25a テーパ部
26 成形冶具
35a 中央部
35b 配向方向
36 凹部

Claims (9)

  1. 複数の磁極に対応して設けられる複数の第1磁石部成形体と、
    前記第1磁石部成形体の間に設けられる第2磁石部成形体と、を備え、
    隣接して円環状に設けられる前記第1磁石部成形体と前記第2磁石部成形体において、前記第1磁石部成形体の磁化容易軸と前記第2磁石部成形体の磁化方向を揃えて、前記磁極間近傍の前記第1磁石部成形体と前記第2磁石部成形体の磁化方向が周方向で連続的に変化するように設けた異方性磁石ロータ。
  2. 前記第1磁石部成形体が、異方性磁石からなる請求項1に記載の異方性磁石ロータ。
  3. 前記第2磁石部成形体が、等方性磁石からなる請求項1に記載の異方性磁石ロータ。
  4. 薄片形状の磁粉を混錬して異方性磁石コンパウンドを形成するステップと、
    前記異方性磁石コンパウンドを成形してコ字形状の成形体を形成するステップと、前記成形体を、凹状円弧部を有する上金型と、凸状円弧部を有する下金型との間に挟んで、円弧形状の第1磁石部成形体を形成するステップと、
    複数の前記第1磁石部成形体を磁極に対応して配置するステップと、
    前記第1磁石部成形体の間に第2磁石部を配置するステップと、
    少なくとも前記第1磁石部成形体を着磁するステップと、
    を含む異方性磁石ロータの製造方法。
  5. 前記下金型の前記凸状円弧部の少なくとも一部に凸部が形成されている請求項4に記載の異方性磁石ロータの製造方法。
  6. 前記第1磁石部成形体が、異方性磁石からなる請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の異方性磁石ロータの製造方法。
  7. 前記第2磁石部成形体が、等方性磁石からなる請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の異方性磁石ロータの製造方法。
  8. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の異方性磁石ロータと、
    ステータと、を少なくとも備えたモータ。
  9. 請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の製造方法を用いて形成された異方性磁石ロータと、
    ステータと、を少なくとも備えたモータ。
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