JP2013247267A - 縁マヨラナフェルミ粒子を使用したトポロジカル量子計算用デバイスユニット、及びその操作方法、並びにトポロジカル量子計算用デバイス、及びその操作方法 - Google Patents

縁マヨラナフェルミ粒子を使用したトポロジカル量子計算用デバイスユニット、及びその操作方法、並びにトポロジカル量子計算用デバイス、及びその操作方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マヨラナフェルミ粒子(Majorana fermion、MF)を使用したトポロジカル量子計算用の実現可能なデバイス構造を与えること。
【解決手段】図中のaに示すように、縁MFが存在することができる領域を四つの小領域に分け、中心となる一つの小領域が他の3つの小領域とそれぞれくびれ部を介して結合されている構造がこのデバイスの単位構造である。くびれ部分には可変の電圧が印加できるようになっていて、この電圧制御により、小領域間でのくびれ部分を介した縁MFの移送をオン、オフできる。これにより、小領域上の対の縁MFを交換することができる。この単位構造を、同じくびれ部分を介して直接に接続することで、より大規模なデバイスを構成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は量子計算に関し、特に縁マヨラナフェルミ粒子(edge Majorana fermion)を使用したトポロジカル量子計算用デバイスに関する。
トポロジカル量子計算(topological quantum computation、TQC)は、量子情報が非局所的に記憶され、環境との相互作用によるデコヒーレンス(decoherence)に対して強固であることによる耐障害性というユニークな特徴のために大きな関心を集めている(非特許文献1,2)。基底状態の縮退(degeneracy)及びユニタリ非アーベル変換(unitary non-Abelian transformation)による縮退部分空間(degenerate subspace)内での回転はその実現のための2つの重要な要素である。粒子が自身の反粒子であるマヨラナフェルミ粒子(MF)(非特許文献3〜23)が対応するゼロエネルギー励起を持つ系は有望である。というのはこれらは通常のフェルミ粒子の半分であって非局所性の量子ビットを形成できるからである。超伝導Bogoliubov準粒子が電子とホールの両方で構成されているので、超伝導はMFの良い棲家である。
MFを超伝導系で探索しようという試みはReadとGreenによる興味深い研究から始まった(非特許文献5)。そこでは、スピンなしのp+ip超伝導体の量子渦のコアにMFが存在する。スピンなしのカイラルp波超伝導体の存在は依然として不明だが、FuとKaneは同じ状態を従来のs波超伝導体(s-wave superconductor、SC)とトポロジカル絶縁体(topological insulator、TI)(非特許文献24,25)で実現し得ると提案している(非特許文献11)。Sau他は、強磁性体絶縁体(ferromagnetic insulator、FMI)に近接したスピン−軌道結合を示す半導体(spin-orbit coupling semiconductor、SM)はTIと似た役割を果たし、これによってSC/SM/FMIへテロ構造がトポロジカル相(topological phase)を提供するための一般的なプラットホームとなり得ることを示すことによって、このアイディアを押し進めた(非特許文献14)。量子渦状態(vortex state)に関連したMFの探索と並行して、Kitaevによって最初に論じられた(非特許文献7)一次元(1D)スピンなし超伝導体(one-dimensional spinless superconductor)の端部におけるMFにも大きな注意が払われた。Lutchyn他及びOreg他は、磁界中のs波超伝導体に近接した1Dスピン軌道結合半導体は端部MF(end MF)を生成し得ることを見出した(非特許文献17,18)。
IvanovはそのコアにMFを持つ2つの量子渦のブレーディング(braiding)は非アーベル統計に従うことを最初に証明した(非特許文献6)。最近、Alicea他は、端部MFの非アーベルブレーディングは1DトポロジカルナノワイヤーのT接合への電圧印加によって達成できることを示した(非特許文献19)。また、超伝導位相の調整に基いてS/TI/S接合の回路中でMFの生成、操作及び融合(fusion)を行うことも提案されている(非特許文献11)。
しかしながら、従来技術で提案されたデバイスは理論的には存在できるものの、現実のデバイスを作製することは極めて困難であった。本発明の課題はMFを利用した量子計算用の実現可能なデバイスの構造及びその操作方法を提供することにある。
本発明の一側面によれば、縁マヨラナフェルミ粒子(縁MF)が存在することができる四つの小領域を設けるとともに、中心となる一つの前記小領域が他の三つの前記小領域である第1、第2及び第3の小領域とそれぞれくびれ部を介して結合され、前記くびれ部への可変の電圧の印加によって、電子のホッピングを許し、または遮断することができ、初期状態においては、前記中心となる小領域と前記第1の小領域との間の前記くびれ部、及び前記中心となる小領域と前記第2の小領域との間の前記くびれ部がそれぞれ遮断されることにより、前記第1の小領域及び前記第2の小領域にそれぞれ縁MSが存在するとともに、前記中心となる小領域と前記第3の小領域との間の前記くびれ部が電子のホッピングを許すことにより、前記中心となる小領域及び前記第3の小領域には縁MFが存在しない、トポロジカル量子計算用デバイスユニットが与えられる。
ここで、前記領域はs波超伝導体層と、スピン−軌道結合を示す半導体層と、強磁性体絶縁体のヘテロ構造を有してよい。
また、前記s波超伝導体層を基板の全面に設け、前記へテロ構造中の残りの層を前記s波超伝導体層の上の前記領域が存在する部分に設けてよい。
また、前記くびれ部に可変電圧を印加することによって前記縁MFを前記小領域間で移送することができる。
本発明の他の側面によれば、前記くびれ部への前記可変電圧の選択的な印加による以下のステップ(ア)〜(ウ)を設けて、前記第1の小領域上の縁MFと前記第2の小領域上の縁MFとを交換する、請求項4に記載のトポロジカル量子計算用デバイスユニットの操作方法が与えられる。
(ア)前記第1の小領域上の縁MFを前記くびれ部及び前記中心となる小領域を経由して前記第3の小領域へ移送する。
(イ)前記第2の小領域上の縁MFを前記くびれ部及び前記中心となる小領域を経由して前記第1の小領域へ移送する。
(ウ)前記第3の小領域上の縁MFを前記くびれ部及び前記中心となる小領域を経由して前記第2の小領域へ移送する。
本発明の更に他の側面によれば、上述した何れかのデバイスユニットをN個(Nは2以上の整数)直列接続したトポロジカル量子計算用デバイスにおいて、i番目(1≦i≦N−1)の前記デバイスユニット中の前記他の三つの前記小領域の内の一つと(i+1)番目の前記デバイスユニット中の前記中心となる小領域とがくびれ部を介して結合されている、トポロジカル計算用デバイスが与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、上述したトポロジカル量子計算用デバイス中のm番目(1≦m≦N)の前記デバイスユニット中の、前記中心となる小領域を中心小領域mcとし、他の三つの小領域のうちで隣接する前記デバイスユニットに前記くびれ部を介して結合されていない小領域を小領域m1及び小領域m2、結合されている小領域を小領域m3と表現するとき、前記くびれ部への前記可変電圧の選択的な印加による以下のステップ(ア)から(ウ)を設けて、デバイスユニットj中の小領域j1上の縁MFとデバイスユニットk中の小領域k1(1≦j、k≦N、かつj≠k)上の縁MFとを交換する、トポロジカル量子計算用デバイスの操作方法が与えられる。
(ア)小領域j1上の縁MFを介在する前記小領域及びくびれ部を経由して小領域k3へ移送する。
(イ)小領域k1上の縁MFを介在する前期小領域及びくびれ部を経由して小領域j1へ移送する。
(ウ)小領域k3上の縁MFを小領域k1へ移送する。
本発明により、縁MFとコアMFの対を量子ビットとした量子計算用デバイスを実現することができるようになる。このように本発明によれば実現可能なデバイス構造が与えられるため、本発明は量子計算の実用化へ大きく貢献する。
a.四つの有限サンプルをくびれ構造で接続したデバイスユニットの概念図。くびれ部(constriction junction)でゲート電圧を調節することによって端部MFを操作できる。b.量子渦を有するs波超伝導体、スピン軌道結合半導体、及び強磁性絶縁体から成る有限サンプル(小領域、つまりブリック)の構造を概念的に示す図。c.強磁性体絶縁体に近接している半導体の分散関係(dispersion relation)を概念的に示す図。 幾つかの最低励起のエネルギースペクトル及びゼロエネルギーMFの波動関数ノルム(wave-function norm)の分布を示す図。a.は1つはブリックのコアに、もう一つはブリックの端部にという、都合2つのMFを有する1つのブリックについての図。b.はそれぞれコアMFを有する、結合された2つのブリックについての図。結果は、ブリックについて100×100サイト、くびれ部については10×10サイトのとき、Δ=0.5t、V=0.8t、μ=0、及びtα=0.9tであった。 (a)左端のブリックでできた縁MFが右端のブリックへの移送、及び計算された波動関数ノルムの分布を示す図。(b)エネルギースペクトルの変化を示す図。ここで、二つのゼロエネルギー励起(及びここでは示していない粒子−ホール対称性によるほかの2つ)は三つのコアMF及び一つの縁MFに対応している。左側の結合がλによってパラメータ化されて断熱的にオンになり、右側の結合はλによってパラメータ化されて断熱的にオフになる。なお、(b)のグラフにおいて、E1のデータ点(◆)とE2のデータ点(●)は同じ位置にあって重なっているので、グラフ上では◆だけがプロットされているように見えることに注意されたい。 縁MFのブレーディング及び計算された波動関数ノルムの分布を示す図。図中の数字はステップ番号である。 図4中の交換過程についての縁MFの波動関数の時間変化を、初期ステージに作られた二つの縁MFへのその射影(projection)O及びOで表す図。移送過程の時間はT=40000h/(2πt)である。 ブリック中の縁MFについての南部スピノル成分を示す図。各ベクトルの角度及び長さは四つの複素場(complex field)の位相及び大きさを示す。 (a)(S2)式から計算した(上側)、及びTDGL計算によって得た(下側)対ポテンシャル(pair potential)。この縮尺では見えないが、ベクトルの角度及び長さは対ポテンシャルの位相及び大きさを表す。(b)縁MFの波動関数ノルムのエネルギースペクトル及び分布を示す図(上側及び下側の差込図はそれぞれ(S2)式及びTDGLによって導出された対ポテンシャルを使った場合のノルム)。 λ(t)が線形関数の場合(a)及び放物線関数の場合(b)についてのW及びWの時間変化を示す図。 (a)三つの縁MFの二つのブレーディング過程を示す図。(b)縁MFの波動関数の時間変化を、初期状態で準備された三つの縁MFへのその射影OL、OR及びOTで表した図。 本願発明にかかるユニットの1Dアレイを示す図。
本発明において、超伝導量子渦により有限サンプル中に生成された縁MF(図1(a)を参照)が非常に有用であることを示す。具体的には、超伝導量子渦がサンプルの中央にあるSC/SM/FMIへテロ構造(非特許文献14,17)(ブリックと呼ぶ)を考える。ブリックはくびれ部(constriction junction)によって結合されていて、この接合は局所的なゲート電圧を印加することでオン・オフすることができる。トポロジカルな性質により、端部MFは単にこれらのゲート電圧を指定された順序でオン、オフすることによって移送できることを見出した。端部MFの動的挙動を、時間依存Bogoliubov-de Gennes(BdG)方程式を解くことによって調べ、MFの非アーベルブレーディング(non-Abelian braiding)を確認した。ここで提案するMFの操作は安定性、及びデバイスとして簡単に実現できるという利点を有する。本願では、図1(a)に示す構成、つまり中心の一つのブリックに三つのブリックがそれぞれくびれ部を介して結合されているものをデバイスユニットと呼ぶことがある。このデバイスユニットは一つでもデバイスとして使用できるが、複数個のデバイスユニットを直列に並べ、隣接するデバイスユニット間のブリック同士がくびれ部を介して結合されるような構造により、更に規模の大きなデバイスを提供することもできる。なお、図1(a)に示すブリック及びくびれ部を基板上に形成する場合、ブリックやくびれ部が存在している領域を図1(b)に示す三層のヘテロ構造とし、これらが存在しない領域はこれらの層を全く設けなくてもよいし、あるいは超伝導体(SC)の層を基板の全面に設け、その上のブリックやくびれ部の領域にだけ残りの二つの層を設けても良い。
[モデルの系の説明]
基本的な系を概念的に図1のbに示す。強磁性絶縁体に近接したスピン軌道結合半導体ハミルトニアンは以下の(1)式によって与えられる。
ここで、m*、μ、α及びVはそれぞれ実効電子質量、化学ポテンシャル、Rashbaスピン軌道結合の強度、及びZeeman場であり、また
Pauliマトリクス、

電子対消滅演算子(electron annihilation operator)である。s波超伝導体からの近接効果は以下の(2)式によって与えられる。
ここで、
はs波ペアリングテンシャル(pairing potential)である。全ハミルトニアンはHtot=H+Hscである。化学ポテンシャルが
を満たす場合、分散関係とスピン構成が図1(c)で与えられ、系は実効的に2Dスピンなしp+ip超伝導体として振舞う(非特許文献5、10、26〜28)。
系内の準粒子励起(quasiparticle excitation)は、以下の(3)式で表されるBogoliubov-de-Gennes(BdG)方程式によって与えられる。
ここで、南部スピノル(Nambu spinor)表記
が適用される。粒子−ホール対称性から、(3)式のエネルギーEの固有ベクトル(eigen vector)Ψはエネルギー−Eのツイン
を有する。ここで、
は南部スピノル空間内のPauliマトリックスである。BdG方程式は偶数次元ハミルトニアンによって定義されるので、ゼロエネルギーの固有モード(eigen mode)がもし存在すれば、それは対で現れる。これらのゼロエネルギーの固有波動関数(eigen wave function)を再結合することによって、常に下式を得ることができる。
これについて、以下の(4)式によって定義される準粒子演算子
は関係
を満足する。従って、系のゼロエネルギー励起は実際にMFである。
非特許文献10、27、28では、超伝導体中に量子渦のある系の方程式(3)は量子渦のコアにMFを持つことを示している。系中に一個の量子渦がある場合には、そのツインは系の縁に現れるはずである(非特許文献26、29)。コアMFは先行する多くの研究で検討されてきたが、本願の中心テーマである縁MFについては今まではほとんど注意が払われなかった。
縁MFを検討するため、正方形グリッド上でのタイトバインディング版のHを以下の(5)式に示すように求めた。
ここで、スピン保存ホッピング(spin-reserved hopping)
とスピンフリップホッピング(spin-flipped hopping)
は最近隣のグリッド点の間にあり、グリッド間隔はaで、μはバンドの底から測定される。本願では、核ブリックは100サイト×100サイトのグリッドに分割され、この系のハミルトニアンマトリックスは典型的には10オーダーと大きいものである。E=0に近い励起に関する限り、大きな系を扱うための強力な数値的な技法が利用できる(非特許文献30)。
[縁MF及びその操作]
ここでは先ず単一のブリック、つまり正方形のサンプル(図1(b)参照)であって量子渦が中心にある場合
ここでs=4a、を検討する(後述の補足説明参照)。図2(a)のエネルギースペクトルに示されるように、二つのゼロエネルギー励起が見出された。一方の励起の波動関数は量子渦のコアに局在化され、他方はサンプルの縁に局在化されていて(ノルムについての図2(a)の差込図参照)、それぞれの波動関数はMFの一般的な関係(generic relation)を満たす(後述の補足説明参照)。これらの2つの状態をそれぞれコアMF、縁MFと呼ぶ。
次に、くびれ部で結合された二つのブリックを検討する。図2(b)に示すように、この場合も二つのゼロエネルギーMFが見出され、これらは二つの量子渦のコアに局在している。今度は縁MFはない(図2(b)の差込図参照)。それは、二つのブリックの二つの縁MFはくびれ部で出会って、融合して有限のエネルギーを持つBogoliubov準粒子となるからである。MFの融合は本系のトポロジカルな特徴によるものであることを強調しておく。つまり、サンプルの周囲が二つの、従って偶数の量子渦を含む場合には縁MFは存在しない。
今度は3個のブリックの系を検討するが、ここでくびれ部のオン/オフを切り替える動的過程を導入する。これはブリック間のくびれ部におけるホッピング積分(hopping integral)を調節することによって行われる。実際にはゲート電圧を調節することで実現することができる。初期ステージにおいて、左側のブリックは分離され、残り二つが結合される。図3に示すように、三つのコアMF及び一つの縁MFがある。計算によって確認したところでは、切替過程の間、コアMFは(指数精度で)不変であり、以下の議論では簡略化のため省略される。次に、左側のブリックと中央のブリックとの間のくびれ部が断熱的にオンにされる。図3(a)(上段から中段へ)に示すように、左側のブリックの縁MFはその波動関数を中央及び右側のブリックに広げる。ここで、縁MFの高い移動度はトポロジカルな特徴の明らかな現れであることを強調しておく。それは、統合された縁は今や三つの量子渦を含むからである。
次に、中央のブリックと右側のブリックとの間のくびれ部を断熱的にオフにする。図3(a)(下段)に示すように、縁MFの波動関数は今や右側のブリックに収縮する。上述の2つの切替の結果、最初は左側のブリックにあった縁MFは右側のブリックに移送される。この全ての過程の間のエネルギースペクトルを観測し、ゼロエネルギーMFと有限エネルギー励起の間のギャップは開いたままであることを確認した(図3(b)参照)が、これは系のトポロジカル状態を保護する。
以上の結果から、縁MFの対を交換できる。この目的のための最も簡単な構造は図1(a)に示すように四つのブリックからなり、二つの縁MFの交換過程の図式を図4に示す。初期状態(ステップ0)では、左側及び右側のブリックに二つの縁MFが置かれていて、中央及び上側のブリックは接続されている(従って、縁MFは存在しない)。上述の移送過程により、左側のMFの縁MFを上側のブリックに移送し(ステップ1及び2)、次に右側のブリックにある縁MFを左側のブリックに移送する(ステップ3及び4)。最後に、一時的に上側のブリックに格納していた縁MFを右側のブリックに移送する。これら一連の操作後、系の設定、つまりハミルトニアンは初期状態に戻るが、二つの縁MFは初期状態のそれらとは交換されている。
[非アーベル統計]
ここで、上述の交換が波動関数系に与える影響を検討する。この目的のために、時間依存BdG(TDBdG)法(後述の補足説明、及び非特許文献31〜33)を使用して、断熱切替(adiabatic switching)についての波動関数の時間変化を評価する。先ず、(3)式のハミルトニアンを対角化することによって左側及び右側のブリックにおける縁MFの波動関数を導出する。ここで、(3)式により、系全体についての所期は導関数は以下で与えられる。
図4に示された切替過程で、波動関数はTDBdG方程式である(6)式に従って時間変化する。
波動関数の時間変化は二つの縁MFの初期波動関数へのその射影
及び
によってモニターすることができる。図5に示すように、一方では初期状態の定義によってO=O=+1であり、他方、最終状態ではO=1かつO=−1となる。従って、図4に示す二つの縁MFの交換の過程で、系の波動関数は以下の(7)式のように変化する。
あるいは、演算子により以下の(8)式のように表される。
これはIvanovが示したコアMFについてのものと同じ形態であり、ユニタリ変換
によって表すことができる(非特許文献6、また非特許文献19も参照のこと)。
上述の縁MFの交換規則はMFについての格子ハミルトニアン(lattice Hamiltonian)によって理解することができる。先ず図3中のMF移送から始める。断熱移送の低エネルギー物理についての瞬時ハミルトニアン(instantaneous Hamiltonian)は以下の(9)式で与えられる。
ここで、Γij=−ΓjiはMF間の相互作用を示す。時間期間[0、T]の間で切替関数λ(t)は0から1へ増加し、切替関数λは1のままである。また、[T,2T]の間ではλ(t)は1から0へ減少し、λは1のままである。ゼロエネルギー縁MFは以下の(10)式で表すことができる。
ここで、
の要請から、
になることが分かる。
従って、図4に示される二つの縁MFの交換過程は以下のように記述できる。
また、
また、
これより、ブレーディングの後、左側及び右側のブリックにおける二つのMFは反対の符号を獲得することが明らかである。このように図5及び(8)式の結果が理解される。従って、二つの縁MFのブレーディングは非アーベル統計に従う(後述の補足説明参照)。
[検討]
最初に、ここでのデバイスの可能性について検討する。トポロジカル状態を保護するためには、動作温度は励起温度よりも下に維持しなければならないが、これはパラメータΔ=0.5t、V=0.8t、かつα=0.9tの場合はほぼ0.008Δである。Δ≒1meVでは(非特許文献27、34)、励起ギャップに対応する温度は約100mKとなるが、これは今日の低温科学では達成困難な温度ではない。強いスピン軌道結合を与えるためには、層状の極性半導体(polar semiconductor)BiTeI(非特許文献35)を本発明のデバイスに使用することができる。最近の研究(非特許文献27)によれば、数meVオーダーのZeeman分裂(Zeeman splitting)Vは、強磁性絶縁体薄膜(非特許文献36)中で実現することができる。
本発明を、MFを操作することに関するこれまでの提案と比較する。コアMFのブレーディングは原理的にはホスト量子渦(host vortex)を交換することによって行うことができる(非特許文献6)が、量子渦の操作は実際上簡単なことではなく、また量子渦の大きな実効質量により遅い。超伝導位相の制御に基いてS/TI/S接合の回路中でMFを操作すること(非特許文献11)、また電圧の印加に基いて1Dナノワイヤーのネットワーク中でこれを行うこと(非特許文献19)とは対照的に、本発明のゲート電圧操作は、サンプル間の点状のくびれ部に局限される。これにより、デバイス構造を単純化しながら、系全体への動揺の影響は最小レベルに抑えることができる。本願発明の設定の構造は自然にMFの格子系をもたらすが、これは非アーベル統計のチェックの見通しを良くする。本設定は良好なスケーラビリティを有し(後述の補足説明参照)、従って実用に当たって好適である。
トポロジカルな特徴により、トポロジカル超伝導体の量子渦状態中の縁マヨラナフェルミ粒子(縁MF)は、サンプル間の点状のくびれ部にゲート電圧を印加することによって移送することができることが示された。縁MFの断熱ブレーディングを時間依存Bogoliubov-de Gennes法によってシミュレートし、非アーベル統計を確認した。従って、本発明は、ゼロエネルギーマヨラナフェルミ粒子に基いた量子トポロジカル計算のための、単純なデバイス構造と簡単な操作という利点を有する有望な手段を提供するものである。
[補足説明]
− 方法 −
本願では、上で説明したようにTDBdG法を使用してくびれ部のオン/オフ切替時の縁MFの断熱ブレーディングをシミュレートした。このシミュレーションの主要な作業は、TDBdG方程式(6)を解くことである。この方程式の形式的な解は以下の通りである。
これを数値的に解くため、シミュレートする時間全体を短時間のステップに分割し、この間ではハミルトニアンは変化しない。従って、下式を得る。
ここで、指数関数をChebyshev多項式Tn(H)によって展開して下式が得られる。
ここにおいて、係数cは指数関数的に減少するので(非特許文献31、32)、十分な精度の波動関数を得るためには上記の展開式中の有限個数(Mmax)の項しか必要とされない。Chebyshev多項式の再帰的関係
(H)=2HTm−1(H)−Tm−2(H)
を使用することで、(S1)式の和はMmax回の行列乗算として行うことができる。こうすることで、本願での疎行列Hでは計算時間はO(N)となる(非特許文献31)。
ハミルトニアンの時間依存部分はブリック間のくびれ部でのホッピング積分である。本願では、パラメーター0≦λ(t)≦1を使って、時間期間[0、T]の間のホッピング積分を調整する。断熱プロセスをシミュレートするため、関数λ(t)はtとともにゆっくりと変化しなければならず、従って変化時間全体Tは最低励起エネルギーの逆数と比較して十分に長く
取られる。
― 縁マヨラナフェルミ粒子(縁MF) ―
有限系における準粒子励起については、コア及びサンプルの縁での波動関数は指数関数的に小さなオーバーラップを持つが、これにより、励起エネルギーは正確にはゼロにならない(非特許文献10、14、27)。ここで扱う系において、図2に示す「ゼロエネルギー」状態の対では|E|=1.5×10−7であり、これは2番目に低い有限エネルギー励起|E|=1.0×10−2の大きさより5桁小さい。動作温度は通常は|E|よりもかなり高いので、これら二つの「ゼロエネルギー」状態は厳密に縮退した(degenerate)とみなすことができる。これら二つの状態を再結合して、図2(a)に示すように、一方は量子渦のコアに他方はサンプルの縁にある、対となったMFを得る。図6はこの縁MFの四つの南部スピノル成分(Nambu-spinor components)の分布を示す。関係
及び
が満足されていることは明らかであり、MFが満たすべきものである(非特許文献14)。
― 多重量子渦(multi vortices)についての対ポテンシャル ―
多重量子渦を持つ系については、一つの量子渦に近いが他の量子渦からは遠い位置における超伝導の対ポテンシャルは近似的に以下の(S2)式によって与えることができる。
ここで、
及び
である。なお、
及び
はサイトi及びm番目の量子渦のコアの位置である(非特許文献2、37、38)。ここで例として図7(a)中の三個のブリックの系についての対ポテンシャルをプロットした。ここで、各ブリックの中心に一つの量子渦があるとした。
図7(b)には、この代わりに、ゼロ電気ポテンシャルゲージを使って時間依存Gingzburg-Landau計算(非特許文献39)による対ポテンシャルを示す。形状の制限により、ゲージ不変な物理実体(gauge-invariant physical object)である量子渦はブリックの中心にトラップされる。
図7(b)から明確に分かるように、MFのエネルギー並びに縁MFの第1励起状態及びその波動関数ノルムの分布は対ポテンシャルの二つのセットについて等しい。この結果は、ゼロエネルギーMFの起源は系のトポロジカルな性質であってそれは位相の巻き数(winding number of the phase)、あるいは等価的に量子渦の分布によってに支配されるという理解に一致する。
― くびれ部での切替動作 ―
本発明のデバイスでは、ブリック間の接続のオン/オフ切替はくびれ部におけるゲート電圧を調節することによって行われる。TDBdGシミュレーションにおいて、この過程はホッピング積分t及びtαをゼロから本来の値まで調整する時間依存変数λ(t)によってパラメータ化される。原理上は、単調でゆっくり増減する任意の関数をλ(t)として使用することができる。しかし、関数λ(t)として良好なものは、シミュレーション時間を短縮できる一方で、実際のデバイス動作についての有用なヒントを与える関数である。調節関数を評価するために、図3中の移送過程中の左側及び右側のブリックにおける波動関数の重み
の時間変化をモニターする。
最も簡単な選択は、線形の関数
λ(t)=t/T
である。ここでTは切替過程の全動作時間である(オフに切り替える場合はλ(t)=1−t/T)。
であり、また本明細書中で使用されたパラメータを使用した場合のTDBdG計算に基くwL,Rの時間変化を図8(a)に示す。ここで、wとwとの合計は1ではない。それは、波動関数は移送過程の間にブリックの中心に重みを持つからである。移送過程の間にw及びwに振動が起こるが、これは有限エネルギーの状態への励起によって引き起こされる。これが起こるのは、この過程が十分に断熱的でないからである。切替時間がもっと短い場合、移送過程に課せられるところの、wが1からゼロまで減少しまたwがゼロから1まで増加するという要請は達成できない。
同じ所与の切替時間内の断熱過程の品質を向上するため、放物線関数λ(t)=(t/T)を導入した。図8(b)から分かるように、この図の縮尺では波動関数の振動は観測されない。放物線関数によって達成されたこの目覚しい改善は、本明細書中で既に導入した簡単なモデルによって以下のように説明できる。
既に説明したように、移送におけるオン切替過程のための低エネルギー物理の実効ハミルトニアンは
である。なお、ここで、ΓLC=ΓCR=1とした。三つの固有状態は3×3のハミルトニアン行列を対角化することによって得られ、そのうちの一つはゼロエネルギーMF
であり、二つは普通の正則準粒子
であって、エネルギーが
であるものである。切替が十分に断熱的である場合には、ゼロエネルギーMFは既に述べたように移送過程を辿る。そうでない場合には、図8(a)に示すように、二つの準粒子状態が関与する。
ここで、系がtにおいてゼロエネルギー状態であると仮定する。これは妥当な近似である。というのは、励起状態からの成分による振動の振幅は図8(a)にあってさえも小さいからである。また、時間ステップΔtの間にシステムが二つの最も低い励起状態であるE±に励起される可能性をチェックした。この時間ステップの間に、ハミルトニアンは
の変化を受け、システムが励起される可能性は以下の一次摂動(first-order perturbation)によって与えられる。
よって、λが小さい場合には、Pを抑えるにはΔλを減らすのが理想的であることは明白である。従って、放物線関数は線形関数に比べてはるかに好ましく、
の場合、移送過程をほとんど完全に断熱的にする。
― 三つの縁MFのブレーディング ―
ここで、三つの縁MFの非アーベルブレーディングを示す。図9に示すように、同一の初期状態から出発して、二つの異なる順序のブレーディングにより、二つの異なる最終状態が生成される。この結果は、不等式ULTTR≠UTRLT、すなわち非アーベル統計であること、に直接対応する。
― 設定のスケーラビリティ ―
本発明に係る設定は良好なスケーラビリティを有している。図1に示すユニットのアレイは多体マヨラナ縁状態の線状の組合せから成り、空間内の状態の回転(rotation of states)は非アーベル統計に従う。図10に示すように、初期状態において、全てのユニット中のブリック2とブリック4との間のくびれ部はオン状態(図中では濃色で表現)に、他のくびれ部はオフ状態(図中では淡色で表現)になっている。ここで、量子情報は全てのユニット中のブリック1及びブリック3中にエンコードされる(これらのブリックは濃色で縁取りすることで表現)。
異なるユニット中でのMFのブレーディングが効率よくでき、しかも非アーベル統計に従う。これを示すためには、例として、ユニットi中のブリック1にあるMFとユニットj中のブリック1にあるMFである二つのMFを交換するだけでよい(図9を参照)。
まずユニットi中のブリック1にあるMF
を、ユニットjのブリック4に移送し、次に、ユニットjのブリック1にあるMF
をユニットiのブリック1に移送する。最後に、
をユニットjのブリック4からブリック1へ移動する。すでに明らかになったように、縁MFを同じくびれ部を通って反対方向へ移動する際には、Γij=−Γjiであることから、常にマイナス符号を取得する。上述の交換過程の間、ユニットiとユニットjとの間隔にかかわらず、水平方向での反対向きの動きが奇数回起こり(図9参照)、垂直方向では2回起こる。その結果、全体としては奇数個のマイナス符号がもたらされる。従って、交換過程の後では、二つの縁MFは(8)式に示すように逆の符号を獲得する。
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Claims (7)

  1. 縁マヨラナフェルミ粒子(縁MF)が存在することができる四つの小領域を設けるとともに、中心となる一つの前記小領域が他の三つの前記小領域である第1、第2及び第3の小領域とそれぞれくびれ部を介して結合され、
    前記くびれ部への可変の電圧の印加によって、電子のホッピングを許し、または遮断することができ、
    初期状態においては、前記中心となる小領域と前記第1の小領域との間の前記くびれ部、及び前記中心となる小領域と前記第2の小領域との間の前記くびれ部がそれぞれ遮断されることにより、前記第1の小領域及び前記第2の小領域にそれぞれ縁MSが存在するとともに、前記中心となる小領域と前記第3の小領域との間の前記くびれ部が電子のホッピングを許すことにより、前記中心となる小領域及び前記第3の小領域には縁MFが存在しない、
    トポロジカル量子計算用デバイスユニット。
  2. 前記領域はs波超伝導体層と、スピン−軌道結合を示す半導体層と、強磁性体絶縁体のヘテロ構造を有する、請求項1に記載のデバイスユニット。
  3. 前記s波超伝導体層を基板の全面に設け、前記へテロ構造中の残りの層を前記s波超伝導体層の上の前記領域が存在する部分に設ける、請求項2に記載のデバイスユニット。
  4. 前記くびれ部に可変電圧を印加することによって前記縁MFを前記小領域間で移送することができる、請求項1から3の何れかに記載のデバイスユニット。
  5. 前記くびれ部への前記可変電圧の選択的な印加による以下のステップ(ア)〜(ウ)を設けて、前記第1の小領域上の縁MFと前記第2の小領域上の縁MFとを交換する、請求項4に記載のトポロジカル量子計算用デバイスユニットの操作方法。
    (ア)前記第1の小領域上の縁MFを前記くびれ部及び前記中心となる小領域を経由して前記第3の小領域へ移送する。
    (イ)前記第2の小領域上の縁MFを前記くびれ部及び前記中心となる小領域を経由して前記第1の小領域へ移送する。
    (ウ)前記第3の小領域上の縁MFを前記くびれ部及び前記中心となる小領域を経由して前記第2の小領域へ移送する。
  6. 請求項1から4の何れかに記載のデバイスユニットをN個(Nは2以上の整数)直列接続したトポロジカル量子計算用デバイスにおいて、
    i番目(1≦i≦N−1)の前記デバイスユニット中の前記他の三つの前記小領域の内の一つと(i+1)番目の前記デバイスユニット中の前記中心となる小領域とがくびれ部を介して結合されている、トポロジカル計算用デバイス。
  7. 請求項6に記載のトポロジカル量子計算用デバイス中のm番目(1≦m≦N)の前記デバイスユニット中の、前記中心となる小領域を中心小領域mcとし、他の三つの小領域のうちで隣接する前記デバイスユニットに前記くびれ部を介して結合されていない小領域を小領域m1及び小領域m2、結合されている小領域を小領域m3と表現するとき、
    前記くびれ部への前記可変電圧の選択的な印加による以下のステップ(ア)から(ウ)を設けて、デバイスユニットj中の小領域j1上の縁MFとデバイスユニットk中の小領域k1(1≦j、k≦N、かつj≠k)上の縁MFとを交換する、トポロジカル量子計算用デバイスの操作方法。
    (ア)小領域j1上の縁MFを介在する前記小領域及びくびれ部を経由して小領域k3へ移送する。
    (イ)小領域k1上の縁MFを介在する前期小領域及びくびれ部を経由して小領域j1へ移送する。
    (ウ)小領域k3上の縁MFを小領域k1へ移送する。
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